JP6132348B2 - 濁水凝集処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工事の際に発生する濁水を凝集処理する濁水凝集処理方法などに関連する。より詳細には、被処理領域内に貯留又は滞留する濁水に、被処理領域の略中央下方の、底質面とは接触しない位置から曝気するとともに、曝気により形成された循環水流に凝集剤を投入する濁水凝集処理方法などに関連する。
例えば、ダム湖・河川・港湾・運河などにおける浚渫工事、埋立工事、地盤改良工事などの水域の工事では、水底土砂・工事用材などが原因となって、濁水が発生する。また、例えば、トンネル排水工事・シールド排水工事などの土木工事では、工事に伴い大量の濁水が発生する。
従来、工事を施工する際には、周辺環境に及ぼす影響を極力低減することが望まれており、濁水の発生する工事においても、濁水の周辺水域などへの拡散・流出を極力軽減すること求められている。
そこで、例えば、水域の工事では、一般的に、濁水が周辺水域に拡散しないように、工区を汚濁防止膜などで取り囲んだ状態で施工し、濁水の拡散を防止するとともに、濁りを自然沈殿させる方法が採用されている。一方、例えば、短期間で水域の濁りを低減したい場合、自然沈殿のみでは所要の沈殿効果を達成できない場合などには、汚濁防止膜などの敷設に加えて、水域に凝集剤を添加して汚濁粒子を凝集・沈殿させる方法が採用されている。
また、例えば、濁水の大量に発生する土木工事などでは、一般的に、現場の濁水を直接周辺環境へは排出せず、例えば、処理水槽などに濁水を導入し、その水槽に凝集剤を添加して汚濁粒子を凝集・沈殿させてから、水域へ排出・放流することが広く行われている。
従来、汚濁粒子の凝集・沈殿処理に用いる凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウムなどの無機性の凝集剤、ポリアクリルアミドや高分子多糖類などの高分子凝集剤などが用いられている。その他、本発明者らは、先般、凝集剤として鉄塩とラン藻類由来成分とを個別に添加する凝集効果の高い凝集処理技術を開発した(特許文献1参照)。
なお、特許文献2には、湖水などの内部の作業水域を仕切り部材で仕切り、仕切られた作業水域内に凝集剤を投入して、この作業水域内の水を撹拌する作業水域内の濁度低下方法が、特許文献3には、水中に汚濁防止膜を設置する設置工程と、凝集剤溶液を水中に噴出させる溶液噴出工程と、汚濁防止膜の下端付近に沿って気体を噴出させる気泡噴出工程を備える汚濁防止方法が、それぞれ記載されている。非特許文献1は、後述する水平最大流速に関する文献である。
特開2012−217972号公報 特開平5−321234号公報 特開2012−117280号公報 Bulson, P.S.M.I., Struct: The theory and design of bubble breakwaters, Proc.11th Conference on Coastal Engineering, Vol.II, pp.995-1015 (1968)
例えば、工事の際に発生する濁水を、凝集剤を用いて凝集処理する場合、凝集剤と汚濁粒子とを効率よく接触させるため、凝集剤の投入に合わせて濁水を撹拌する必要がある。しかし、従来の撹拌手段の場合、凝集効果が必ずしも充分ではなく、改善の余地があった。
そこで、本発明は、簡易かつ有効に凝集効果を向上できる濁水の凝集処理手段を提供することなどを目的とする。
本発明では、凝集剤を用いて、工事の際に発生する濁水を凝集処理する濁水凝集処理方法であって、濁水の貯留又は滞留した汚濁領域、若しくは該汚濁領域内に形成された汚濁区域であって、全側面又は全側面及び天井面が仕切られ、略隔離する範囲が画定された区域を被処理領域とし、前記被処理領域内に貯留又は滞留する濁水に、前記被処理領域の略中央下方の、底質面とは接触しない位置から曝気手段により曝気するとともに、前記曝気により形成された循環水流に凝集剤を投入する濁水凝集処理方法を提供する。
濁水の貯留又は滞留する被処理領域の略中央下方から曝気することにより、気泡が被処理領域の略中央下方から略中央上方に向けて浮上する。この気泡の移動が推進力となり、被処理領域の略中央下方から略中央上方への上行水流が発生する。この上行水流が被処理領域の略中央上方へ達して水平方向に向きを変えた後、下行水流となることにより、被処理領域内で循環水流が形成される。被処理領域内に貯留又は滞留する汚濁粒子も、循環水流により被処理領域内を循環し、撹拌される。
曝気により循環水流が形成され、被処理領域内で汚濁粒子が撹拌される状況において、循環水流に凝集剤を投入することにより、凝集剤も循環水流に乗って、被処理領域内で撹拌される。これにより、凝集剤と汚濁粒子とをより効率よく接触させることができるため、凝集フロックの形成を促進でき、濁水中の汚濁粒子の凝集処理効率を向上できる。
また、曝気による撹拌の場合、気体を吹き込むことにより水流を形成しており、被処理領域内に貯留又は滞留する濁水は、原則的にはその被処理領域内を循環するだけであるため、凝集フロックを粉砕しない。従って、より大きな凝集フロックを形成することが可能となるため、凝集フロックの沈殿を促進し、濁りを有効に低減できる。
本発明では、曝気を被処理領域の外縁近傍ではなく略中央下方で行う。これにより、被処理領域内で循環水流が円滑に形成されやすくなり、水流の乱れの発生を少なくできるため、撹拌効率を向上でき、濁水中の汚濁粒子の凝集効果を向上できる。また、例えば、汚濁領域内に形成された汚濁区域を被処理領域とした場合、本発明では、曝気による攪拌により、被処理領域内で水平方向ではなく鉛直方向の循環水流が形成され、かつ被処理領域内の下方では、外縁近傍から曝気位置へ向けての水流が形成されるため、被処理領域内への領域外からの濁水の流入を抑制でき、水流の乱れの発生を少なくできる。従って、被処理水域内における濁水の流出ロスを低減でき、攪拌効率を向上できるため、凝集効率も高くできる。
加えて、本発明には、被処理領域が比較的大きい場合でも簡易かつ有効に凝集処理を行うことができるという特徴がある。例えば、濁水の貯留又は滞留した汚濁領域が大きい場合、汚濁領域内の全側面又は全側面及び天井面を仕切り、略隔離する範囲を画定してその区域を被処理領域とし、仕切られた区域ごとに凝集処理を行うことにより、汚濁領域の全体に亘って、凝集効果の高い処理を行うことができる。この場合、汚濁領域内を仕切るとともに、被処理領域の略中央下方に曝気手段を設置するという比較的簡易な構成のみで本発明に係る濁水凝集処理を実行することが可能であるため、本発明の実施に必要な設備などの設置、並びにその運転を、簡易、低労力かつ低コストに行うことができる。
また、例えば、被処理領域内の略中央下方の、底質面とは接触しない位置に複数列の気体噴出部が設置された曝気手段を用いて、被処理領域内に貯留又は滞留する濁水に曝気することにより、被処理領域が比較的大きい場合でも、濁水中の汚濁粒子を効率的に凝集させることができる。例えば、被処理領域の略下方から曝気することにより濁水凝集処理を行う際において、循環水流の水平最大流速が4〜50cm/secになるように曝気手段からの気体の吹き込み量を調整した場合、曝気位置を左右方向中央の基準の位置とすると、その基準の位置を中心として、曝気位置から被処理領域の濁水の上面までの長さと略同じ幅の領域内で、循環水流が形成される。従って、例えば、気泡噴出部間の間隔を、曝気位置から被処理領域の濁水の上面までの長さと略同等の長さに設置することにより、比較的簡易な構成のみで、比較的大きな被処理領域の全体に亘って、凝集効果の高い処理を行うことができる。
本発明により、工事の際に発生する濁水を、凝集剤を用いて凝集処理する場合において、凝集効果を向上できる。また、本発明では、比較的被処理領域が大きい場合でも簡易かつ有効に濁水の凝集処理を行うことが可能である。
本発明に係る濁水凝集処理方法は、少なくとも、凝集剤を用いて、工事の際に発生する濁水を凝集処理する濁水凝集処理方法であって、濁水の貯留又は滞留した汚濁領域、若しくは該汚濁領域内に形成された汚濁区域であって、全側面又は全側面及び天井面が仕切られ、略隔離する範囲が画定された区域を被処理領域とし、前記被処理領域内に貯留又は滞留する濁水に、前記被処理領域の略中央下方の、底質面とは接触しない位置から曝気手段により曝気するとともに、前記曝気により形成された循環水流に凝集剤を投入するものをすべて包含する。
上述の通り、本発明は、濁水の貯留又は滞留する被処理領域を画定した後、その被処理領域の略中央下方から曝気するとともに凝集剤を投入することにより、濁水中の汚濁粒子を効率よく凝集・沈殿させる方法である。本発明により、凝集効果を向上でき、また、比較的被処理領域が大きい場合でも簡易かつ有効に濁水の凝集処理を行うことが可能となる。
本発明は、工事の際に発生する濁水の凝集処理全般に適用できる。例えば、ダム湖・河川・港湾・運河などにおける浚渫工事、埋立工事、地盤改良工事などの水域の工事などにおいて発生する濁水の処理に本発明を適用することにより、濁水の周辺水域への拡散などを防止できる。また、例えば、トンネル排水工事・シールド排水工事などの土木工事などにおいて発生する濁水の処理に本発明を適用することにより、濁水の濁りを排水基準以下の濁度にまで低減してから水域などへ排出・放流することが可能になる。
この濁水凝集処理方法は、例えば、(1)被処理領域を画定する被処理領域画定工程、(2)曝気するとともに凝集剤を投入する濁水凝集処理工程、(3)曝気を停止し凝集フロックを沈殿させる沈殿処理工程、を少なくとも含む構成により実施することができる。
初めに、被処理領域画定工程では、本発明による濁水凝集処理において、濁水の凝集処理を行う範囲を画定する。例えば、この工程で、被処理領域として、例えば、濁水の貯留又は滞留した汚濁領域、若しくは該汚濁領域内に形成された汚濁区域であって、全側面又は全側面及び天井面が仕切られ、略隔離する範囲を画定する。
濁水の貯留又は滞留した汚濁領域としては、例えば、水域などで汚染防止膜などの敷設により、汚染防止膜又は汚染防止膜及び堤防・護岸などの水中構造体などで全側面を囲繞され、周辺水域から略隔離された領域、土木工事などにおいて発生する濁水を導入した水槽などが挙げられる。
汚濁区域は、汚濁領域内に形成され、全側面又は全側面及び天井面が仕切られ、略隔離された範囲である。例えば、汚濁領域内を鉛直方向にのみ仕切る場合には、天井面を仕切らずに全側面のみを仕切って、汚濁区域を画定する。一方、例えば、汚濁領域内を水平方向にも仕切り、所定の水深の区域を分割して凝集処理を行う場合には、全側面に加えて天井面も仕切って、汚濁区域を画定する。
全側面又は全側面及び天井面が仕切られた状態とは、例えば、仕切り部材単独により、若しくは仕切り部材、堤防・護岸などの水中構造体の壁面、汚濁防止膜などにより、汚濁領域内の特定の区域の全側面又は全側面及び天井面が汚濁領域内の他の区域から略隔離された状態をいう。原則的には、汚濁粒子が、汚濁区域の全側面及び天井面を通過して、汚濁領域内の他の区域と流通しないように、汚濁区域が他の区域から隔てられている状態が好ましい。一方、原則的には、凝集処理後、凝集フロックが沈殿できるように、汚濁区域の下面は仕切られずに開放されていることが好ましい。
仕切り部材については、汚濁領域内の特定の区域を他の区域から略隔離できる構成であり、原則的に汚濁粒子の流通を遮断でき、水中に設置可能なものであればよく、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。また、仕切り部材として準備された部材のみで汚濁区域の全面を仕切る必要はなく、適宜、堤防・護岸などの水中構造体の壁面や、汚濁防止膜なども仕切り部材として利用して、全体として、他の区域から略隔離された区域を形成できていればよい。
仕切り部材として、例えば、略長方形の板状体を単独で、若しくは複数の板状体を接合などして全側面又は全側面及び天井面を形成したものなどを用いてもよいし、略長方形の枠体内に膜状体などを取り付けて面を形成させ、それらを単独で、若しくは複数の枠体を接合などして全側面又は全側面及び天井面を形成したものなどを用いてもよい。また、例えば、市販テントのフレームなど、略直方体形状の骨組みを形成する枠体を利用し、その全側面又は全側面及び天井面に膜状体などを取り付けて用いてもよい。その他、例えば、天井面を略錐状に形成し、その頂部に筒状部材を、天井面を貫通させた状態で立設させる構成にしてもよい。これにより、この仕切り部材を汚濁領域内の特定の区域に設置して曝気しながら凝集処理を行う際に、筒状部材の中空部分から曝気による気体を被処理領域外に脱出させることができるとともに、その中空部分から凝集剤を投入することにより、曝気位置の上方に凝集剤を投入することができるため、凝集剤を素早く被処理水域全体に拡散させることができ、撹拌効率・凝集効率を向上できる。
次に、濁水凝集処理工程では、被処理領域内に貯留又は滞留する濁水に、被処理領域の略中央下方の、底質面とは接触しない位置から曝気手段により曝気するとともに、曝気により形成された循環水流に凝集剤を投入する。
曝気手段により被処理領域内に気泡を供給するとともに、曝気により形成された循環水流に凝集剤を投入することにより、凝集フロックの沈殿を促進し、濁りを有効に低減できる。
曝気する位置は、例えば、被処理領域の略中央下方が好ましい。この位置で曝気することにより、被処理領域内の略中央で上行し、外縁近傍で下行する循環水流を形成できる。これにより、凝集剤と汚濁粒子とをより効率よく接触させることができるため、凝集フロックの形成を促進でき、濁水中の汚濁粒子の凝集処理効率を向上できる。また、被処理領域内で水平方向ではなく鉛直方向の循環水流を形成することができ、かつ被処理領域内の下方では、外縁近傍から曝気位置への向けての水流を形成できるため、被処理領域内への領域外からの濁水の流入を抑制でき、水流の乱れの発生を少なくできる。従って、被処理水域内における濁水の流出ロスを低減でき、攪拌効率を向上できるため、凝集効率も高くできる。
加えて、曝気する位置は、例えば、底質面とは接触しない位置であることが好ましい。これにより、曝気の際にも、底質面に沈殿・堆積した砂泥・凝集フロックなどを極力巻上げずに濁水を攪拌できるため、凝集フロックの沈殿を促進し、濁りを有効に低減できる。
曝気の際には、循環水流の水平最大流速が4〜50cm/sec、より好適には4〜28cm/sec、最も好適には6〜24cm/secになるように前記曝気手段からの気体の吹き込み量を調整することが好ましい。曝気の際、曝気位置の上方における水平最大流速がこの範囲内になるように調整することにより、凝集剤と汚濁粒子との接触効率を最適化できる。これにより、凝集フロックの形成を促進でき、濁水中の汚濁粒子の凝集処理効率を向上できる。なお、本発明の場合、水平最大流速は、曝気位置の上方付近の位置の水流の速度の値となる。
例えば、非特許文献1に基づき、以下の数式により、水平最大流速をこの範囲にするための気体の吹き込み量を算出することができる。
Figure 0006132348
ここで、Umaxは水平最大流速(単位:cm/sec)を、gは重力加速度(9.8m/s2)を、Gs曝気手段の一列の気泡噴出部1m当たりの1分間での気体の吹き込み量(単位:L/m/min)、Hは曝気手段の気泡噴出部を設置した位置の水深、Hは同水深における気圧(単位:Patm/ρω・g)である。
例えば、3m×3m×3mの被処理領域を画定し、被処理領域の略中央の水深3mの位置に3mの長さの気泡噴出部を一列設置した場合、曝気位置の上方における水平最大流速を18cm/secになるように調整するためには、上記数1に記載された数式に基づき、Gs(単位長さ単位時間当たりの気体の吹き込み量)は14.8L/m/minとなる。気泡噴出部の長さが3mであるため、曝気位置の上方における水平最大流速を18cm/secにするために必要な、気泡噴出部全体での気体の吹き込み量は、44.4L/minとなる。
曝気手段は、公知の電動空気ポンプなどの気体供給部を備え、気体を水中に導入でき、水中で気泡を形成できるものであればよく、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、曝気手段が、気体供給部と、管状部材で形成された、気体を前記被処理領域に導入するための管路とを備え、前記管路の先端側には、気泡を噴出する気泡噴出部が形成され、該気泡噴出部には、複数の通気孔が形成された構成にしてもよい。
例えば、気体供給部で形成された気体が管路を介してその先端側の気泡噴出部に供給され、気泡噴出部に形成された複数の通気孔から気泡として噴出される。被処理領域の略中央下方の、底質面とは接触しない位置に気泡噴出部を設置し、その位置で曝気する。これにより、被処理領域内で循環水流を形成することができる。
管路については、例えば、通常用いられるチューブなどの管状部材を広く用いることができる。管路は目的・用途などに応じて適宜分岐させてあってもよい。管状部材として、例えば、通常用いられる、管路の内孔径が6mm〜18mmの範囲のものを用いてもよい。
管路の先端側には、気泡を噴出する複数の通気孔が形成された気泡噴出部を形成する。
通気孔の孔径は、0.6〜5.0mm、より好適には1.0〜5.0mmの範囲であることが好ましい。通気孔の孔径が0.6mmよりも小さい場合、気泡径も小さくなるため、気泡が凝集フロックに付着しやすくなり、凝集フロックの沈降を妨げ、凝集効率が低くなる。また、通気孔の孔径が小さい場合、水深が増すとより高圧で空気を供給できる装置が必要となりコスト高になる、孔が閉塞しやすいなどの不利益もある。一方、通気孔の孔径が5.0mmよりも大きい場合は、管状部材上に孔を形成すること自体が難しくなり、また、孔の間隔も大きくしないと、各孔から均一に気泡が噴出されにくくなる。
各通気孔の間隔は、10〜1,000mmの範囲であることが好ましい。孔の間隔が1,000mmよりも大きくなると、被処理領域内で均一な水平最大流速を形成することが難しくなる。
本発明に係る濁水凝集処理方法では、前記気泡噴出部が、前記被処理領域内の前記位置に一列又は複数列設置された構成であってもよい。
上述の通り、例えば、被処理領域の略下方から曝気することにより濁水凝集処理を行う際において、循環水流の水平最大流速が4〜50cm/secになるように曝気手段からの気体の吹き込み量を調整した場合、曝気位置を左右方向中央の基準の位置とすると、その基準の位置から、曝気位置から被処理領域の濁水の上面までの長さと略同じ幅の領域内で、循環水流が形成される。従って、例えば、曝気位置から被処理領域の濁水の上面までの長さと略同等の間隔で気体噴出部を複数列設置することにより、比較的簡易な構成のみで、比較的大きな被処理領域の全体に亘って、凝集効果の高い処理を行うことができる。
被処理領域に投入する凝集剤としては、例えば、鉄塩、アルミニウム塩(ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなど)などの無機凝集剤、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、尿素-ホルマリン樹脂、ポリアミノアルキルメタクリレート、高分子多糖類(キトサン、グアガム、キサンタンガム、アルギン酸ソーダ、多糖類含有海藻類由来成分、多糖類含有ラン藻類由来成分など)などの高分子凝集剤など、汚濁粒子とともに混合・攪拌することにより凝集フロックを形成する公知のものを広く採用でき、特に限定されない。
例えば、凝集剤として鉄塩を適用する場合、用いる鉄塩は、特に限定されないが、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などの第二鉄塩を好適に用いることができる。これらの物質は、例えば、第二鉄塩を少なくとも含有する固形剤、若しくは水溶液などの形態で、懸濁水に添加してもよい。
第二鉄塩の添加量は、例えば、塩化第二鉄の場合、濁水1L当たり、0.5〜1,000mgが好適であり、1〜500mgがより好適であり、5〜100mgが最も好適である。
例えば、凝集剤として多糖類含有ラン藻類由来成分を適用する場合、多糖類含有ラン藻類由来成分は、その成分中に多糖類を有効成分として含有していればよく、その形態などは特に限定されない。多糖類含有ラン藻類由来成分として、例えば、ラン藻類の藻体をペースト状に調製したものを用いてもよいし、ラン藻類から抽出された多糖類含有成分を直接又は調製して用いてもよい。
ラン藻類としては、淡水産のものが好適であり、クロオコッカス科(学名「Chroococcaceae」)の微生物、例えば、Chroococcus limneticus(学名)、Chroococcus disperses(学名)、Merismopedia elegans(学名)、スイゼンジノリ(学名「Aphanothece sacrum」)、Aphanothece clathrata(学名)などがより好適であり、スイゼンジノリ(学名「Aphanothece sacrum」)又はその近縁種が最も好適である。例えば、これらのラン藻類を水耕栽培又は野養殖し、多糖類含有ラン藻類由来成分の原材料として用いてもよい。
ラン藻類の藻体をペースト状に調製する方法としては、公知のものを採用でき、特に限定されない。例えば、低濃度の水酸化ナトリウム水溶液にラン藻類の藻体を入れ、ミキサーなどでペースト状になるまで混合・粉砕し、そのペースト状物含有溶液を数時間、沸騰処理した後、冷却放置する。以上の手順などにより、多糖類を含有するラン藻類由来ペースト状物を調製できる。
ラン藻類から多糖類などの成分を抽出する方法としては、公知のものを採用でき、特に限定されない。例えば、ラン藻類を直接又は乾燥粉砕物を調製後、溶媒に一定時間浸漬し、水溶性・脂溶性色素などを除去する。溶媒には、例えば、エタノールなどの有機溶媒を用いることができる。次に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの水溶液に移し、一定時間加熱処理して加水分解する。以上の手順などにより、ラン藻類から多糖類などの有効成分を抽出できる。
また、ラン藻類から抽出した成分を中和し、その溶液を多糖類含有ラン藻類由来成分溶液として用いてもよい。その他、例えば、脱水処理後、低温乾燥し、粉末化したもの、その粉末を固形化したもの、その粉末を溶液に溶解したものなどを多糖類含有ラン藻由来成分として用いてもよい。
多糖類含有ラン藻類由来成分の添加量は、例えば、例えば、懸濁水1L当たり、0.05〜2,000mgが好適であり、0.1〜1,000mgがより好適であり、0.5〜500mgが最も好適である。
多糖類含有ラン藻類由来成分は、その抽出成分中に、好適には重量平均分子量200万〜4,000万の多糖類を、より好適には重量平均分子量800万〜3,000万の多糖類を、さらに好適には重量平均分子量1,000万〜2,000万の多糖類を、有効成分として含有する。なお、重量平均分子量の測定は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーにより、公知の方法で行うことができる。
ラン藻類由来成分に含有する多糖類は、好適には5〜30種類の、より好適には8〜30種類の、さらに好適には11〜30種類の構成単糖を含む。この多糖類は、少しずつ構造の異なる多様な糖鎖分子を分子構造中に包含し、また、多くの硫酸基、カルボン酸基、アミノ基などを含有し、両性電解質である。そのため、イオン交換能発現に幅を有しており、pHの変化などに対して、物質特性の安定性を備えている。従って、多糖類含有ラン藻類由来成分を凝集剤として用いた場合、pH調整などの前処理を行う手順を省略又は簡略化でき、より簡易かつ有効に懸濁物を凝集・沈降させることができるという有利性がある。
この多糖類の構成単糖として、例えば、中性糖であるグルコース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、フコース、キシロース、アラビノースなど、酸性糖であるウロン酸類(グルクロン酸、ガラクツロン酸)、硫酸化ムラミン酸など、並びにアミノ糖であるガラクトサミンなどが挙げられる。
本発明で凝集剤として用いるラン藻由来成分中の多糖類は、構成単糖として少なくともウロン酸類を含有することがより好ましい。多糖類における全構成単糖中のウロン酸類の割合は特に限定されないが、例えば、2〜20%が好適であり、4〜15%がより好適であり、5〜12%が最も好適である。
なお、構成単糖の定性・定量分析は、例えば、高速液体クロマトグラフィー、質量分析計による分析などにより、公知の方法で行うことができる。
また、本発明で凝集剤として用いるラン藻由来成分中の多糖類は、硫酸基を含有する構成単糖を、1〜20%、より好適には3〜15%、さらに好適には5〜10%有することが好ましい。
なお、硫酸基の定量分析は、例えば、質量分析計による分析などにより、公知の方法で行うことができる。また、多糖類中における硫黄含量は、例えば、ICP発光分光法などによる公知の方法で行うことができる。
例えば、凝集剤として高分子多糖類を投入する手順を少なくとも含む濁り凝集処理方法を採用することにより、大きな凝集フロックの形成を促進でき、濁水中の汚濁粒子の凝集処理効率を向上できる。
例えば、凝集剤として、鉄塩と高分子多糖類とを個別に投入することにより、より好適には、凝集剤として、鉄塩と多糖類含有ラン藻類由来成分とを個別に投入することにより、より大きな凝集フロックの形成を促進でき、濁水中の汚濁粒子の凝集処理効率を大幅に向上できる。例えば、凝集剤として鉄塩と高分子多糖類とを個別に投入する場合、大きな凝集フロックを形成しやすく、凝集効率が高い。一方、本発明では、曝気により凝集フロックの粉砕を抑制しながら攪拌できる。従って、凝集剤として、鉄塩と高分子多糖類とを個別に投入することにより、より大きな凝集フロックを形成することが可能となり、凝集フロックの沈殿を促進できる。なお、鉄塩と高分子多糖類は、それぞれ個別に懸濁水に添加すればよく、添加する順序は特に限定されない。
次に、沈殿処理工程では、曝気を停止し、濁水凝集処理工程により形成された凝集フロックを沈殿させる工程である。
曝気を停止し、被処理領域内の水流を静止させることにより、凝集フロックが沈殿し、濁りが除去される。凝集フロックを沈殿させた後、公知手段によりそれらを回収・除去してもよい。
続いて、図1は、本発明に係る濁り凝集処理方法の例を示す断面模式図である。
図1では、水域Wの岸側に水中構造体Eが構築されるとともに、水面W1から底質面W2に向けて沿岸側に汚濁防止膜Cが敷設されている。これにより、水域Wのうち、濁水の貯留又は滞留した汚濁領域Rが、外の水域から略隔離されており、濁水の拡散が抑制されている。また、被処理領域1として汚濁領域R内に汚濁区域R1が形成され、汚濁区域R1の全側面R2及び天井面R3が仕切り部材2により仕切られ、略隔離する範囲が画定されている。曝気手段3は、気体供給部31と、気体供給部31に接続された管路32とを備え、管路32の先端側には気泡Bを噴出する複数の通気孔が形成された気泡噴出部33が形成されている。仕切り部材2の天井面には、天井面を貫通させた状態で天井面に立設させた筒状部材4が形成されている。
汚濁領域Rを仕切り部材2で仕切ることにより汚濁区域R1が画定され、被処理領域1は、下面側R4を除き汚濁粒子の流通が遮断される状態となっており、略隔離されている。この被処理領域1の略中央下方の、底質面W2とは接触しない位置P1から曝気手段3により曝気することにより、気泡Bが噴出され、この気泡Bの移動が推進力となり、循環水流(図1中、符号X1参照)が形成され、被処理領域1内の汚濁粒子も攪拌される。また、曝気された気体(気泡B)は、被処理水域1内を上行した後、筒状部材4の中空部分を通過して被処理水域1の外へ脱出する(図1中、符号X2参照)。これにより、仕切り部材2により天井面が仕切られている場合でも、被処理領域1内に気体が蓄積することを防止できる。
例えば、曝気の際、循環水流の水平最大流速が4〜50cm/secになるように曝気手段3からの気体の吹き込み量を調整する。この構成の場合、水平最大流速は、曝気位置P1の上方P2の位置における水流の速度の値となるため、その位置P2周辺における水平最大流速を調整する。
被処理水域1への凝集剤の投入を、例えば、筒状部材4の中空部分から行ってもよい(図1中、符号X3参照)。筒状部材4の中空部分から凝集剤を投入することにより、曝気位置P1の上方P2に凝集剤を投入することができるため、凝集剤を素早く被処理水域全体に拡散させることができ、撹拌効率・凝集効率を向上できる。
図2は、本発明に係る凝集処理方法において、気泡噴出部を複数列配置した例を示す平面模式図である。
図2では、水域Wの岸側に水中構造体Eが構築されるとともに、水中構造体Eの壁面及び仕切り部材2により、汚濁領域Rの全側面R2が仕切られ、被処理領域1として略隔離する範囲が画定されている。曝気手段3は、気体供給部31と、気体供給部31に接続された管路32とを備え、管路32の先端側には気泡を噴出する複数の通気孔が形成された複数列の気泡噴出部33、33が形成されている。
例えば、被処理領域1の略下方から曝気することにより濁水凝集処理を行う際において、循環水流の水平最大流速が4〜50cm/secになるように曝気手段3からの気体の吹き込み量を調整する場合、曝気位置を左右方向中央の基準の位置(図2中、符号X4)とすると、その基準の位置X4を中心として、曝気位置から被処理領域の濁水の上面までの長さと略同じ幅の領域内で(図2中、符号X5の範囲内で)、循環水流が形成される。従って、例えば、図2にように、気泡噴出部33、33間の間隔を、曝気位置から被処理領域1の濁水の上面までの長さ(図1中、符号X6参照)と略同等の長さに設置することにより(図2中、符号X7参照)、比較的簡易な構成のみで、比較的大きな被処理領域の全体に亘って、凝集効果の高い処理を行うことができる。
実施例1では、凝集剤を用いて凝集・沈殿処理を行う際における攪拌手法を検討した。
懸濁モデルとして、縦30cm×横30cm×高さ23.4cmの3つの水槽を準備し、それぞれ、水道水を18L入れ、そこにカオリンを200mg/Lの割合で添加し、混合した。その結果、濁度は、いずれも約250NTUであった。カオリンには和光純薬株式会社製のはくとう土を用いた(以下の実施例において同じ)。
3つの水槽に、それぞれ、水中ポンプ、撹拌機、若しくは曝気による攪拌手段を設置した。
水中ポンプで撹拌した水槽では、水槽の角部の水深10cmの位置に、水中ポンプ(製品名「EHIM compact300」、EHIM社製)を設置し、水流2.1L/minで水を噴出させ、濁水を撹拌した。水深10cmにおけるポンプの噴出口付近の流速は30〜40cm/sec、ポンプの噴出口から20cm離れた箇所での流速は2〜3cm/secであった。
撹拌機で撹拌した水槽では、水槽の中央部に羽が水深10cmの位置になるように、プロペラ撹拌機(プロペラ:PR-300、6枚羽、柴田科学株式会社製)を設置し、200rpmで羽を回転させ、濁水を撹拌した。水深10cmにおける流速は10cm/secであった。
曝気により撹拌した水槽では、電動空気ポンプの空気供給口に管内直径9.5mmのチューブを取り付け、チューブの先端側30cmまでの部分に、2cm間隔で一列に孔径2mmの通気孔を計12個形成し、そのチューブの先端側を水槽の中央下方に設置し、水槽内に空気を供給し、曝気により濁水を撹拌した。水深10cmにおける流速は3〜5cm/secであった。
それぞれ、凝集剤を添加する前の各水槽の濁度を測定した後、攪拌しながら、各水槽に、凝集剤として、まず、ポリ硫酸第二鉄水溶液を720μL添加し(最終濃度6.4mg/L)、6分間撹拌し、次に、凝集剤として、多糖類含有ラン藻類由来成分溶液を最終濃度で6mg/Lになるように添加し、4分間撹拌した。撹拌手段を停止し、5分間静置した後、各水槽における濁度を測定した。
なお、凝集剤として用いた多糖類含有ラン藻類由来成分溶液は、以下の手順で調製した。野養殖したスイゼンジノリをエタノールに一定時間浸し、水溶性色素、脂溶性色素などを除去した。次に、水酸化ナトリウム水溶液に移し、加熱処理を行い、ラン藻類から重量平均分子量200万〜2,000万の多糖類を主とする成分を抽出した。この抽出液に塩酸を滴下し、pH7付近に中和した(以下の実施例において同じ)。
濁度の測定は、携帯式濁度計(製品名「TB-25A」、DKK・TOA社製)で行った。その測定値を「数2」に示す式で演算して濁り減衰率を算出し、評価した。
Figure 0006132348
結果を表1に示す。
Figure 0006132348
表1に示す通り、水中ポンプで攪拌した場合、濁り減衰率が45.6%と低かった。この結果は、水中ポンプにより水流で攪拌した場合、凝集粒子が水流により破砕され、凝集粒子が小さくなり、沈降時間が長くなるためであると推測する。
それに対し、攪拌機又は曝気で攪拌した場合、濁り減衰率が90%以上の高い値を示し、良好な凝集結果が得られた。但し、攪拌機による攪拌は、実際の水域においては、特定領域を仕切り、その囲いの中に攪拌機を設置して攪拌することが難しく、また、被処理水域内の特に隅角部などの攪拌むらを生じやすいという課題がある。一方、曝気による攪拌は、実際の水域において簡易かつ低廉に設置でき、攪拌むらも生じにくいため、実際の水域における濁り凝集処理にも適していると考える。
実施例2では、凝集剤を曝気しながら投入し、凝集・沈殿処理を行う際において、凝集剤に鉄塩及び多糖類含有ラン藻由来成分を用いて曝気により被処理水域の攪拌を行った場合における、懸濁液の凝集・沈殿に最適な水平最大流速を検討した。
懸濁モデルとして、縦30cm×横30cm×高さ30cmの水槽を準備し、実験ごとに、水道水を27L入れ、そこにカオリンを200mg/Lの割合で添加し、混合した。
曝気手段として、電動空気ポンプの空気供給口に、管内直径9.5mmのチューブを取り付け、チューブの先端側30cmまでの部分に、2cm間隔で一列に孔径2mmの通気孔を計12個形成したものを準備し、そのチューブの先端側を水槽の中央下方に設置した。この曝気手段により水槽内に空気を供給し、曝気により濁水を撹拌した。その際、曝気手段からの空気吹き込み量を調整することにより、上記「数1」の数式に基づき、循環水流の水平最大流速を3〜36cm/secの各値に調整した。
凝集剤を添加する前の各水槽の濁度を測定した後、水平最大流速が設定値になるように調整しながら攪拌し、曝気位置の上方より、凝集剤として、まず、ポリ硫酸第二鉄水溶液を1,620μL添加し(最終濃度6.4mg/L)、6分間撹拌し、次に、凝集剤として、実施例1と同様の多糖類含有ラン藻類由来成分溶液を、曝気位置の上方より最終濃度で6mg/Lになるように添加し、4分間撹拌した。撹拌手段を停止し、5分間静置した後、各水槽における濁度を測定し、実施例1と同様の方法で、濁り減衰率を算出した。
結果を図3に示す。図3は、曝気により各水平最大流速で被処理水域の攪拌を行った場合における濁り減衰率を示すグラフである。図3中の横軸は水平最大流速(Umax、単位:cm/sec)を、縦軸は濁り減衰率(単位:%)をそれぞれ表す。
図3に示す通り、濁り減衰率は、水平最大流速を3cm/sec以下及び29cm/sec以上に調整した場合には80%未満の値であったのに対し、6、8、14、18cm/secの各値に調整した場合にはいずれも80%以上の高い値を示し、良好な凝集結果が得られた。
この結果より、凝集剤に鉄塩及び多糖類含有ラン藻由来成分を用いた場合、曝気の際、例えば、循環水流の水平最大流速が4〜28cm/secの範囲内になるように曝気手段からの空気吹き込み量を調整することにより、高い凝集効果が得られることが分かった。
実施例3では、実施例2と同様、凝集剤を曝気しながら投入し、凝集・沈殿処理を行う際において、凝集剤にキトサンを用いて曝気により被処理水域の攪拌を行った場合における、懸濁液の凝集・沈殿に最適な水平最大流速を検討した。
懸濁モデル及び曝気手段には、実施例2と同様のものを用いた。曝気手段からの空気吹き込み量を調整することにより、上記「数1」の数式に基づき、循環水流の水平最大流速を2〜40cm/secの各値に調整した。
凝集剤を添加する前の各水槽の濁度を測定した後、水平最大流速が設定値になるように調整しながら攪拌し、曝気位置の上方より、凝集剤として、キトサンを最終濃度3mg/Lになるように添加し、10分間撹拌した。撹拌手段を停止し、5分間静置した後、各水槽における濁度を測定し、実施例1などと同様の方法で、濁り減衰率を算出した。
結果を図4に示す。図4は、凝集剤にキトサンを用いて曝気により各水平最大流速で被処理水域の攪拌を行った場合における濁り減衰率を示すグラフである。図4中の横軸は水平最大流速(Umax、単位:cm/sec)を、縦軸は濁り減衰率(単位:%)をそれぞれ表す。
図4に示す通り、濁り減衰率は、水平最大流速を2cm/secに調整した場合には38%と低い値であったに対し、5、10、20、30、40cm/secの各値に調整した場合にはいずれも80%以上の高い値を示し、良好な凝集結果が得られた。
但し、例えば、実際の作業現場などにおいては、水平最大流速が過大な場合、水流が強くなりすぎ、被処理領域以内の濁水が仕切り部材などを超えてその領域外へ多く流出するとともに、被処理領域外の水がその領域内に多く流入するため、凝集効果が低減されることが想定される。また、例えば、水深の深い領域で凝集処理を行う場合などにおいて水平最大流速を高くするためには、その水深における水圧に抗して気体を吹き込む必要があり、多大なエネルギーを必要とすることも想定される。従って、上記の結果及び想定に基づき、凝集剤にキトサンなどを用いて曝気により被処理水域の攪拌を行った場合における最適な水平最大流速は4〜50cm/secの範囲内であると推定する。
実施例4では、凝集剤を曝気しながら投入し、凝集・沈殿処理を行う際において、気泡噴出部に複数の通気孔が形成された曝気手段により被処理水域の攪拌を行った場合における、懸濁液の凝集・沈殿に最適な通気孔の孔径及び間隔を検討した。
懸濁モデルとして、縦30cm×横30cm×高さ30cmの水槽を準備し、実験ごとに、水道水を27L入れ、そこにカオリンを200mg/Lの割合で添加し、混合した。
曝気手段には、電動空気ポンプの空気供給口に管内直径9.5mmのチューブを取り付け、チューブの先端側30cmまでの気泡噴出部の部分に複数の通気孔を形成したものを用いた。チューブには、通気孔の孔径の異なる4種類を準備した。チューブ上に一列に、それぞれ、孔径が0.5、1、2.5、3.5mm、孔間の間隔が5、20、40、80mmになるように通気孔を形成した。
いずれかの孔径の通気孔を備えた曝気手段を用いて、水槽内に空気を供給し、曝気により濁水を撹拌した。その際、曝気手段からの空気吹き込み量を調整することにより、循環水流の水平最大流速が10cm/secになるように調整した。
凝集剤を添加する前の各水槽の濁度を測定した後、水平最大流速を調整しながら攪拌し、曝気位置の上方より、凝集剤として、まず、ポリ硫酸第二鉄水溶液を1,620μL添加し(最終濃度6.4mg/L)、6分間撹拌し、次に、凝集剤として、実施例1などと同様の多糖類含有ラン藻類由来成分溶液を、曝気位置の上方より最終濃度で6mg/Lになるように添加し、6分間撹拌した。撹拌手段を停止し、5分間静置した後、各水槽における濁度を測定し、実施例1などと同様の方法で、濁り減衰率を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 0006132348
表2に示す通り、通気孔の孔径を0.5mmにした場合、濁り減衰率は60%と低かった。これは、通気孔の孔径が小さい場合、気泡径も小さくなるため、気泡が凝集フロックに付着しやすくなり、凝集フロックの沈降を妨げるためであると推測する。その他、通気孔の孔径が小さい場合、水深が増すとより高圧で空気を供給できる装置が必要となりコスト高になる、孔が閉塞しやすい、などの不利益が想定される。
一方、通気孔の孔径を1.0mm、2.5mm、3.5mmにした場合には、濁り減衰率がいずれも90%以上の高い値を示し、良好な凝集結果が得られた。但し、通気孔の孔径が過大な場合は、チューブ上に孔を形成すること自体が難しくなり、また、孔の間隔も大きくしないと、各孔から均一に気泡が噴出されにくくなる。従って、凝集剤を曝気しながら投入し、凝集・沈殿処理を行う際において、気泡噴出部に複数の通気孔が形成された曝気手段により被処理水域の攪拌を行う場合、本実験結果などに基づき、通気孔の孔径は0.6〜5.0mmが好適であると考える。
実施例5では、より広い水域の中から特定領域を選択し、その領域の側面及び上面を仕切って略隔離された被処理水域を形成した場合に、凝集剤を曝気しながら投入し、凝集・沈殿処理を行う手段が、その被処理水域内における凝集・沈殿処理に有効か、実証した。
懸濁モデルとして、円形水槽を準備し、水道水を200L入れ、そこにカオリンを200mg/Lの割合で添加し、混合した。
水槽内の特定部位を仕切るための仕切り部材を試作した。縦30cm×横30cmのパネル4枚で四方の側面を組み立て、同じパネルを上面に取り付けることにより、底面が開放され、それ以外の面が閉鎖された直方体状の仕切り部材を形成した。上面のパネルの中央に穴をあけ、筒状部材を挿し込むことにより、筒状部材の中空部分を介して、仕切り部材内と水面上とが連通する構成になるようにした。
円形水槽内の特定領域に、仕切り部材を設置し、水槽全体の濁水から仕切り部材内の濁水を略隔離した。なお、この仕切り部材内の水量は、27Lである。
曝気手段として、電動空気ポンプの空気供給口に、管内直径9.5mmのチューブを取り付け、チューブの先端側30cmまでの部分に、2cm間隔で一列に孔径2mmの通気孔を計12個形成したものを準備し、そのチューブの先端側を仕切り部材内の中央下方に設置した。この曝気手段により仕切り部材内に空気を供給し、曝気により濁水を撹拌した。その際、曝気手段からの空気吹き込み量を調整することにより、循環水流の水平最大流速が10cm/secになるように調整した。
凝集剤を添加する前の仕切り部材内の濁度を測定した後、水平最大流速を調整しながら攪拌し、曝気位置の上方より、凝集剤として、まず、ポリ硫酸第二鉄水溶液を筒状部材の中空部分から1,620μL添加し(最終濃度6.4mg/L)、6分間撹拌し、次に、凝集剤として、実施例1などと同様の多糖類含有ラン藻類由来成分溶液を、筒状部材の中空部分から最終濃度で9mg/Lになるように添加し、6分間撹拌した。撹拌手段を停止し、5分間静置した後、仕切り部材内における濁度を測定し、実施例1と同様の方法で、濁り減衰率を算出した。
その結果、仕切り部材内における濁り減衰率は、94%であった。この結果より、例えば、広い水域で濁り凝集処理を行いたい場合にも、その中の特定領域を選択し、その領域を仕切って略隔離された被処理水域を形成し、凝集剤を曝気しながら投入し、凝集・沈殿処理を行うことにより、水域の濁りを簡易かつ有効に低減できることが実証された。
なお、本実験のように、曝気位置の上方にあたる仕切り部材の上面に、仕切り部材内と水面上とを連通する筒状部材を立設することにより、曝気による空気を仕切り部材の外へ排出することができ、仕切り部材内への空気の貯留、それによる仕切り部材の浮上・移動などを抑止できるほか、筒状部材の中空部分から凝集剤を透過することにより、水面上から曝気位置の上方の位置へ凝集剤を簡易に投入することができる。
本発明に係る濁り凝集処理方法の例を示す断面模式図。 本発明に係る凝集処理方法において、気泡噴出部を複数列配置した例を示す平面模式図。 実施例2において、凝集剤に鉄塩及び多糖類含有ラン藻由来成分を用いて曝気により各水平最大流速で被処理水域の攪拌を行った場合における濁り減衰率を示すグラフ。 実施例3において、凝集剤にキトサンを用いて曝気により各水平最大流速で被処理水域の攪拌を行った場合における濁り減衰率を示すグラフ。
1 被処理水域
2 仕切り部材
3 曝気手段
32 管路
33 気泡噴出部
4 筒状部材
B 気泡
C 汚濁防止膜
E 水中構造体
R 汚濁領域
R1 汚濁区域
W 水域

Claims (5)

  1. 凝集剤を用いて、工事の際に発生する濁水を凝集処理する濁水凝集処理方法であって、
    濁水の貯留又は滞留した汚濁領域内に形成され、全側面及び天井面が仕切られ、略隔離された範囲を被処理領域とし、
    前記被処理領域内に貯留又は滞留する濁水に、前記被処理領域の略中央下方の、底質面とは接触しない位置から曝気手段により曝気することで、前記被処理領域内に循環水流を形成するとともに、該循環水流に凝集剤を投入する濁水凝集処理方法。
  2. 前記曝気の際、循環水流の水平最大流速が4〜50cm/secになるように前記曝気手段からの気体の吹き込み量を調整する請求項1記載の濁水凝集処理方法。
  3. 前記曝気手段が、管状部材で形成された、気体を前記被処理領域に導入するための管路を備え、
    前記管路の先端側には、気泡を噴出する気泡噴出部が形成され、
    該気泡噴出部には、複数の通気孔が形成され、前記通気孔の孔径が0.6〜5.0mm、であり、
    前記気泡噴出部が、前記被処理領域内の前記位置に一列又は複数列設置された請求項1又は請求項2記載の濁水凝集処理方法。
  4. 前記凝集剤として高分子多糖類を投入する手順を少なくとも含む請求項1〜3のいずれか一項記載の濁水凝集処理方法。
  5. 前記凝集剤として、鉄塩と高分子多糖類とを個別に投入する請求項4記載の濁水凝集処理方法。
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