JP6132225B2 - 発電方法及び発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、地熱系発電に関する発電方法及び発電システムに関する。
地熱を利用した発電手法として、涵養地熱系発電(EGS:Engineered geothermal system power generation)が知られている。涵養地熱系発電は、当初は高温岩体発電とほとんど同義であった。しかしながら、涵養地熱系発電は、次第に意味が拡張され、今日では、与えられた地熱地域の地下条件下において、熱、亀裂、流体等のうちの一部の要素が十分でない場合に、足りない要素を工学的手法により克服する地熱発電手法と定義されている(下記非特許文献1参照)。涵養地熱系発電の中心は、水圧破砕による人工亀裂システムと人工熱水循環系の構築にあり、その意味においては従来の高温岩体発電の概念とほとんど変わらない。しかしながら、涵養地熱系発電は、熱の不足について大深度掘削という工学的手法により克服することを狙っており、高温岩体発電よりさらに発展した概念といえるものである。
涵養地熱系発電は、熱水資源を利用する従来の熱水系地熱発電よりも深部をターゲットにすることが多く、従来よりも掘削コストが増大する傾向がある。しかし、熱水資源を利用することができる高透水性の天然亀裂は極めて偏在しているため、熱水系地熱発電には、熱水資源として利用可能な天然亀裂を外して掘削してしまうという掘削リスクが存在する。一方、亀裂を能動的に人工造成する涵養地熱系発電には、熱水系地熱発電のような掘削リスクがない。また、涵養地熱系発電は、人工的に水を循環させるため、温泉泉源等の天然の熱水対流系に影響を与えず、火山帯に限らず陸域のどこでも利用可能である。このような涵養地熱系発電のメリットは、深度増加によるコスト増大を相殺すると共に投資回収性を高める可能性を秘めている。そのため、涵養地熱系発電については、各国が研究開発に凌ぎを削っている。
涵養地熱系発電を実用化する上での課題として、注入水損失及び誘発地震の発生という大きく2つの課題が認識されている(非特許文献1参照)。
Goldstein, B., Hiriart, G., Bertani, R., Bromley, C., Gutierrez‐Negrin, L.,Huenges, E., Muraoka, H., Ragnarsson, A., Tester J., Zui, V. (2011): Chapter 4Geothermal Energy, In: Edenhofer, O., Pichs‐Madruga, R., Sokona, Y., Seyboth, K.,Matschoss, P., Kadner, S., Zwickel, T., Eickemeier, P., Hansen, G., Schlomer,S., von Stechow, C., (eds), IPCC Special Report on Renewable Energy Sources andClimate Change Mitigation, Cambridge University Press, Cambridge, UnitedKingdom and New York, NY, USA., 1076p., 401-436.
しかしながら、これらの注入水損失及び誘発地震の発生の課題は、未だ解決に至っていない。注入水損失の課題とは、天然断裂系が卓越する地殻条件下において、注入水の回収率が低くなり、絶えず膨大な注入水補充が必要になるという課題である。実際に、これまでの涵養地熱系発電の注入水損失については、秋田県雄勝地域において2坑井を使って75〜68%、山形県肘折地域において3坑井を使って55%、4坑井を使って46%という測定結果が得られている。このように、坑井数が増えるにつれて、注入水損失率は若干減少するものの、坑井数がある程度以上になるとその効果は目立たなくなる。また、これらは小規模な実験であったため、注入水の補充量についてはさほど問題にならなかったが、実用規模の発電においては、大型河川一つ分の水を消費する規模となるため、持続的な稼働は事実上困難となる。従って、涵養地熱系発電を実用化する上で、注入水損失は大きな課題の一つである。
誘発地震の課題とは、地殻への水の注入が間隙水圧を上昇させ、誘発地震を引き起こすという課題である。昨今、実用規模の熱水系地熱発電及び涵養地熱系発電の開発が進められるにつれ、想定外のマグニチュードを有する有感地震の発生が報告されるようになってきている。スイスのバーゼルで行われた深度5kmの坑井を使った注水実験では、マグニチュード3.4の誘発地震が発生し、建物被害に対して7百万スイスフランの補償が行われ、実験自体が中止に追い込まれている。また、これ以降、世界各地の涵養地熱系発電の実験において、誘発地震が問題視されている。従って、涵養地熱系発電を実用化する上で、誘発地震は大きな課題の一つである。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、水等の注入流体の損失及び誘発地震の発生を抑制しつつ、効率よく発電することができる発電システム及び発電方法を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る発電方法は、地上から、天然亀裂が点在する領域である脆性帯と自然状態で亀裂が生じない領域である延性帯との境界である脆性延性境界よりも深部に位置する延性帯まで延びる注入井を掘削する第1掘削工程と、注入井を介して地上から延性帯に流体を注入することにより、流体を注入された領域を局所的な脆性帯領域に変化させ、当該局所的な脆性帯領域に亀裂を生成することで、局所的な脆性帯領域及び亀裂からなり、延性帯に包囲される貯留層を生成する貯留層生成工程と、地上から、注入井とは異なる位置において貯留層まで延びる生産井を掘削する第2掘削工程と、生産井を介して前記貯留層から地上に流れる流体を用いて発電する発電工程と、を含む。
岩石は、低温低圧の脆性領域では脆性変形や脆性破壊を起こすが、ある温度や圧力を超えた延性領域では流動する。延性領域からなる地層(延性帯)と脆性領域からなる地層(脆性帯)との境界が脆性延性境界であり、延性帯は脆性帯よりも深部に位置している。延性帯は、自然状態では亀裂や熱水対流系の全く生じない超高温領域であるが、延性帯まで注入井を掘削し、当該注入井を介して地上から延性帯に流体を注入し、延性帯を冷却することで、局所的な脆性帯領域を生成することができ、さらに、局所的な脆性帯領域に亀裂を生成することができる。即ち、局所的な脆性帯領域及び亀裂からなり、延性帯に包囲された貯留層を生成することができる。
このような貯留層は、亀裂のない延性帯に包囲された閉鎖系の貯留層となるため、周囲の延性帯により、貯留層に注入された流体の外界への流出を遮断し、注入流体の損失を抑制することができる。また、延性帯中に生じた局所的な脆性帯は、広域応力場から孤立しているため、せん断応力が小さく、せん断滑りに起因する地震は発生しにくい。さらに、仮に局所的な脆性帯領域において流体注入による亀裂生成が原因で地震が発生したとしても、歪エネルギーを蓄積できない周囲の延性帯により、地震の伝播を抑制することができる。即ち、本発明に係る発電方法によれば、注入流体の損失及び誘発地震の発生を抑制しつつ、効率よく発電することができる。
予め測定されている地質データに基づいて掘削地域を選択する選択工程をさらに含み、第1掘削工程及び第2掘削工程では、選択工程において選択された掘削地域に含まれる地点を掘削することとしてもよい。このように、掘削開始前に、地質データに基づいて、脆性延性境界の深度が比較的浅いことが期待される地域を掘削地域として選択することで、本発明に係る発電システムを、掘削の経済性及びエネルギー回収効率の観点から望ましい地域に構築することができる。
掘削対象とする地域において予め測定されている地温データから得られた地温勾配又は地下温度分布に関する情報に基づいて、脆性延性境界の深度を推定する推定工程をさらに含み、第1掘削工程では、推定工程において推定された脆性延性境界の深度に基づいて、注入井を掘削することとしてもよい。このように、掘削開始前に、おおよその脆性延性境界の深度を推定しておくことで、適切な掘削計画を立てることができ、当該掘削計画に基づいて効率的に掘削作業を進めることができる。
第1掘削工程では、注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定する判定工程を含み、第1掘削工程では、判定工程において注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部に到達していると判定された場合に、注入井の掘削を完了することとしてもよい。
判定工程では、注入井の内部の温度を測定し、測定された温度に基づいて、注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定することとしてもよい。
判定工程では、注入井の側面部を画像化し、当該画像に含まれる亀裂の量に基づいて、注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定することとしてもよい。
判定工程では、注入井の内部の比抵抗値を深度方向に連続して測定し、所定の深度区間において連続して測定された比抵抗値が当該深度区間において所定幅以上に上下する回数に基づいて、注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定することとしてもよい。
判定工程では、注入井の坑底から岩石コアを採取し、当該岩石コアの3主応力軸間の主応力を測定し、当該主応力間の応力比に基づいて、注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定することとしてもよい。
このように、ある程度掘削が進んだ段階で、注入井の坑底が脆性延性境界よりも深部、即ち延性帯に到達しているか否かを種々の観点から判定することにより、既に掘削された距離が十分であるか否かを確認でき、掘削作業を適切に完了することができる。
貯留層生成工程では、局所的な脆性帯領域に亀裂を生成した際に生じるアコースティックエミッションを時系列的に観測することで亀裂を監視し、当該亀裂の状態に基づいて、注入井を介して地上から貯留層に注入する流体の速度又は圧力を調節することで、貯留層を生成又は維持することとしてもよい。
貯留層生成工程では、第1掘削工程における掘削以前に予め測定した地下の比抵抗値を基準とした比抵抗値の変化を時系列的に観測することで貯留層の成長過程を監視し、当該成長過程に基づいて注入井を介して地上から貯留層に注入する流体の速度又は圧力を調節することで、貯留層を生成又は維持することとしてもよい。
このように、局所的な脆性帯領域及び亀裂の状態を監視しつつ、注入井を介して地上から貯留層に注入する流体の速度及び圧力を調節することで、局所的な脆性帯領域の規模を適度な大きさとし、さらに、十分な数の亀裂を生成及び維持することができる。例えば、亀裂が必要な発電量を得るのに十分な数又は大きさを備えていない場合には、注入する流体の速度又は圧力を高めることで亀裂を生成又は拡大させることができる。
流体注入による亀裂生成は、注入井の坑底付近における小規模な冷却と、坑底周辺の延性帯からの大規模な熱伝導とのせめぎ合いであるため、貯留層に亀裂が生じても、直ちに圧着し、浸透率を失いやすい。従って、貯留層生成工程では、注入井を介して地上から貯留層に注入する流体にプロッパントを混入させることとしてもよい。これにより、大規模な熱伝導に対抗して、貯留層に新たに生じた亀裂を不可逆的に維持することができる。
本発明に係る発電システムは、地上から、天然亀裂が点在する領域である脆性帯と自然状態で亀裂が生じない領域である延性帯との境界である脆性延性境界よりも深部に位置する延性帯まで延びる注入井と、地上から延性帯への注入井を介した流体の注入により、流体を注入された領域を局所的な脆性帯領域に変化させ、当該局所的な脆性帯領域に亀裂を生成することで、延性帯に包囲されるように形成された、局所的な脆性帯領域及び亀裂からなる貯留層と、地上から、注入井とは異なる位置において貯留層まで延びる生産井と、生産井を介して貯留層から地上に流れる流体を用いて発電する発電手段と、を備える。
本発明に係る発電システムにおいて、貯留層は、亀裂のない延性帯に包囲された閉鎖系の貯留層であるため、周囲の延性帯により、貯留層に注入された水等の流体の外界への流出を遮断し、水等の注入流体の損失を抑制することができる。また、延性帯中に生じた局所的な脆性帯は、広域応力場から孤立しているため、せん断応力が小さく、せん断滑りに起因する地震は発生しにくい。さらに、仮に局所的な脆性帯において流体注入による亀裂生成が原因で地震が発生したとしても、歪エネルギーを蓄積できない周囲の延性帯により、地震の伝播を抑制することができる。即ち、本発明に係る発電システムによれば、水等の注入流体の損失及び誘発地震の発生を抑制しつつ、効率よく発電することができる。
本発明は、水等の注入流体の損失及び誘発地震の発生を抑制しつつ、効率よく発電することができる。
本発明に係る発電方法及び発電システムの概念図である。 本発明の実施形態に係る発電システムを含む地上及び地下の立体断面図である。 実施形態に係る発電方法のフローを示す図である。 地熱性WD−1a井のコアのDSCA応力測定結果を示す図である。 実施形態に係る発電方法における貯留層生成方法を説明するための図である。
以下、図面と共に本発明に係る発電システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
まず、図1及び図2を用いて、脆性帯L1、延性帯L2、及び脆性延性境界Bについて説明する。図1は、本発明に係る発電方法及び発電システムの概念図である。図2は、図1において拡大して示した本発明の実施形態に係る発電システムを含む地上及び地下の立体断面図である。
脆性帯L1は、図1及び図2に示すように、比較的浅い位置(東日本の火山近傍の場合、約2〜5kmまでの深度)にある地層である。脆性帯L1では、岩石が脆性変形や脆性破壊を起こす領域であり、天然の亀裂(天然亀裂系)及び熱水対流系が点在している。
延性帯L2は、図1及び図2に示すように脆性帯L1よりも下層にある地層である。延性帯L2は、脆性帯L1よりも深部に位置するため、脆性帯L1よりも高温高圧であり、岩石が流動する領域となっている。延性帯L2では亀裂がなく、熱水対流系が生じないため、直下のマグマ性熱源に由来する温度勾配の高い熱伝導領域となっている。
脆性延性境界Bとは、脆性帯L1と延性帯L2との地層境界である。脆性帯L1と延性帯L2とは、上記の通り、温度、圧力、温度勾配、亀裂の有無等において、性質が大きく異なっている。すなわち、地層における岩石変形挙動が、脆性延性境界Bの上方と下方とで不連続的に変化する。本実施形態に示すように脆性延性境界Bが深度数kmといった浅い深度に分布する場合には、高温の温度場をつくる上でマグマ性貫入岩体の存在が不可欠である。そのため、脆性延性境界Bは、マグマ性貫入岩体の近傍に位置する。なお、脆性延性境界Bは、岩手県葛根田地熱地域において、深度3.1km、温度380℃の温度屈曲点として、世界で初めて確認された(Ikeuchi, K., Doi, N., Sakagawa, Y., Kamenosono, H. and Uchida, T.(1998): High-temperature measurements in well WD-1a and the thermal strucutureof the Kakkonda geothermal system, Japan. Geothermics, 27, 591-607.及びMuraoka, H.,Uchida, T., Sasada, M., Yagi, M., Akaku, K., Sasaki, M., Yasukawa, K.,Miyazaki, S., Doi, N., Saito, S., Sato, K. and Tanaka, S. (1998): Deepgeothermal resources survey program: igneous, metamorphic and hydrothermalprocesses in a well encountering 500oC at 3729 m depth, Kakkonda, Japan.Geothermics, 27, 507-534.。以下、「文献1」という。)。
次に、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る発電システム1について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る発電システム1は、脆性帯L1に貯留層を生成する従来の熱水系地熱発電方式とは異なり、延性帯L2に貯留層20を生成及び維持し、これを利用することにより涵養地熱系発電を行う次世代の発電システムである。発電システム1により生成された電力は、例えば、送電線50により送電され、家庭用電力や産業用電力として利用される。発電システム1は、注入井10と、貯留層20と、生産井30と、発電機40(発電手段)とを備えている。
注入井10は、地上から脆性延性境界Bを越えて延性帯L2まで延びる坑井である。貯留層20は、注入井10を介した流体注入により注入井10の坑底付近の延性帯L2が冷却及び破砕され、延性帯L2に包囲されるように生成・涵養された局所的な脆性帯領域20a及び亀裂20bからなる領域である。ここで、注入井10を介して注入される流体としては、例えば、水、泥水、炭酸水等の液体を用いることができる。生産井30は、注入井10と同様に地上から脆性延性境界Bを越えて延性帯L2まで延びる坑井である。生産井30は、貯留層20の内部を流れる流体が生産井30に流れ出るように、生産井30の地中側の端部(開口を有する部分)において、注入井10とは異なる位置(貯留層20の規模によって異なるが、例えば、注入井10から0.5〜3km程度離れた位置)で貯留層20の亀裂20b部分と接続する。発電機40は、生産井30を介して貯留層20から地上まで流れる流体の熱エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出す装置である。ここで、生産井30を貯留層20から地上まで流れる流体としては、例えば、熱水等の液体、蒸気(水蒸気を含む)、超臨界流体等がある。
次に、発電システム1による発電サイクルについて説明する。注入井10を介して貯留層20に注入された水等の流体は、貯留層20における亀裂内を通過する間に地下の熱エネルギーを蓄えて蒸気となり、生産井30に至る。当該蒸気は、生産井30を介して地上の発電機40まで流れ、発電機40による発電に利用されて熱エネルギーを失うことで再び水となり、再度注入井10を介して貯留層20に注入(循環)される。
本実施形態に係る発電システム1によれば、貯留層20が、亀裂のない延性帯L2に包囲された閉鎖系の領域として形成されるため、貯留層20に注入された流体の外界への流出を周囲の延性帯L2により遮断でき、注入流体の損失を理論的には0%にまで抑制することができる。実際上は初期の流体圧入による貯留層20の形成工程において、新たに形成される亀裂表面では岩石の吸水化学反応が起こり、注入流体の初期損失が起こり得る。しかし、これは初期の工程に限定されるため、発電稼働時には注入流体の損失が限りなく0%に近づく。また、延性帯L2中に生じた局所的な脆性帯領域20aは、広域応力場から孤立しているため、せん断応力が小さく、せん断滑りに起因する地震は発生しにくい。これは、岩手県葛根田地域の花崗岩内において延性遷移領域以深で微小地震発生数が少ないことからもわかる(Tosha, T., Sugihara, M. and Nishi, Y.(1998): Revised hypocentersolutions for microearthquakes in the Kakkonda geothermal field, Japan.Geothermics, 27, 553-571.)。また、貯留層20内の流体の流入又は流出により生じた貯留層20の体積の増減に起因して貯留層20外部の断層で地震が誘発される現象(Suckale, J.,(2009): Induced seismicity in hydrocarbon fields.Advances in Geophysics, 51, 55-106.)も抑制される。また、延性帯L2における貯留層20の生成又は当該貯留層20からの熱抽出(生産井30を介した貯留層20内の流体の抽出)時に発生する地震の最大マグニチュードは、貯留層20の大きさと滑り速度により定まるものと考えられるが、周囲の延性帯L2の応力の均質性から極度に高速な滑りは発生しにくい。さらに、仮に局所的な脆性帯領域20aにおいて流体注入による亀裂20b生成が原因で地震が発生したとしても、歪エネルギーを蓄積できない周囲の延性帯L2により、地震の伝播を抑制することができる。なお、実施形態に係る発電方法のような涵養地熱系発電で問題となる誘発地震は、直下型地震ではあるが、その大きさは最大でもマグニチュード4程度であり、微小地震又は小地震に分類される。従って、上記のような貯留層20を包囲する周囲の延性帯L2による地震波の伝播抑制効果によって、十分に地上に被害のない程度の規模に抑制することが可能と考えられる。
ここで、貯留層20に注入する流体として純水を用いた場合において、開放系の天然の地熱貯留層では、貯留する流体の量に比べて広大な天然の亀裂面における流体―岩石反応(流体と岩石との間における化学反応)から塩成分(NaCl等)が溶出すると共に沸騰によって塩濃度の低い蒸気相が上方へ分離することにより、残液の塩濃度が高くなるため、塩濃度の上昇と共に残液の臨界点温度が上昇し、貯留層内の流体を超臨界状態に維持することができない(Driesner and Heinrich, 2007, The system H2O-NaCL. Part I:Correlation formulae for phase relations in temperature-pressure-compositionspace from 0 to 1000 ℃, 0 to 5000 bar, and 0 to 1 XNaCl. Geochimica etCosmochimica Acta, 71, p.4880-4901. Fig.1. Phase diagram of H2O-NaClin temperature-pressure-composition coordinates.)。これに対し、発電システム1における貯留層20は閉鎖系であるため注入される膨大な量の純水に比べて限定された亀裂面における流体―岩石反応から少量の塩成分が溶出し、それもやがて希釈されることから、塩濃度の上昇により臨界点温度が上昇することがない。また、貯留層20の圧力及び温度条件は純水の臨界点である圧力22.12MPa、温度374.15℃を超えているため、貯留層20内の流体を純水状態に維持することができ、超臨界状態を維持することができる。これにより、潜熱損失を抑えた高い発電効率の超臨界流体発電を実現することができる。
次に、図3を用いて、本実施形態に係る発電方法について説明する。図3は、本実施形態における発電方法のフローを示す図である。
まず、発電システム1を構築するに先立って、掘削に適した地域を選択する(工程S1、選択工程)。掘削の経済性及びエネルギー回収効率の観点からは、脆性延性境界Bの深度の浅い地域を掘削地域として選択することが望ましい。そこで、地質データや地温データ等に基づいて、例えば、深度5km以浅で380℃(文献1に示される岩手県葛根田地熱地域において観測された脆性延性境界の温度)に達することが期待できる地域を掘削地域として選択する。
例えば、地質データに基づいて、花崗岩質地殻の短縮テクトニクス場の火山帯の地域を掘削地域として選択するのが好ましい。このような短縮テクトニクス場では、マグマ性貫入岩体が比較的地下浅いところに存在するため、脆性延性境界Bの深度が一般に5km未満と考えられるからである。逆に、ハンレイ岩質地殻の火山帯は、脆性延性境界Bの深度が一般に8km以上と考えられるため、掘削地域から除外するのが好ましく、花崗岩質地殻の伸張テクトニクス場の火山帯についても、脆性延性境界Bの深度が一般に5km以上8km未満と考えられるため、掘削地域から除外するのが好ましい。文献1に示される岩手県葛根田地熱地域は、上記の花崗岩質地殻の短縮テクトニクス場の火山帯の地域の例であり、深度3729mで脆性延性境界Bが観測されている。
また、例えば、掘削対象地域の既存坑井内の地温測定により得られた地温勾配や地下温度分布に関する情報に基づいて、深度5km以浅で380℃に達すると推定される地域を特定し(推定工程)、当該地域を掘削地域として選択してもよい。例えば、次式(1)により坑底深度z以浅で温度Tdに達するために必要となる地温勾配Gを求めることができる。
G:地温勾配(℃/km)
Td:脆性延性境界温度(℃又はK)
T0:平均地上気温(℃又はK)
z:坑底深度(km)
G=(Td−T0)/z…(1)
例えば、上記式(1)において、Td=380℃、T0=15℃、坑底深度=5kmを代入すると、地温勾配GはG=73℃/kmと求まる。すなわち、深度5km以浅で380℃に達する地域は、地温勾配が73℃/km以上となる地域であることがわかる。ここで、地域毎の地温勾配に関する情報(例えば、「日本列島地温勾配図(矢野雄策,田中明子,高橋正明,大久保泰邦,笹田政克,梅田浩司,中司昇(1999):日本列島地温勾配図(1:3,000,000),産総研地質調査総合センター,6p.)」(以下、「文献2」という。)等)を用いることで、地温勾配が73℃/km以上の地域、すなわち深度5km以浅で380℃に達する地域を掘削地域として選択することができる。また、複数の深度毎の地下温度分布に関する情報からも、上記温度勾配の例と同様に、特定深度で特定温度に達する地域を推定することができる。
ここで、上記式(1)により、本実施形態に係る発電方法は、日本を例とすれば、国土面積の約30%以上が深度5km以浅で380℃に達する地域となることがわかる。即ち、本実施形態に係る発電方法は、人工的に亀裂を生成するため、天然亀裂を狙わなければならなかった従来の蒸気フラッシュ発電(国土面積の約1%)や、天然亀裂を避けなければならなかった従来の高温岩体発電(天然亀裂のないところは稀有)とは全く異なり、亀裂分布を全く無視することができ、天然亀裂系が存在する脆性帯L1の下位に存在する広範な延性帯L2の熱伝導型地熱資源により発電することができる。
本実施形態に係る発電方法によれば、このように、掘削開始前に、地質データや地温データ等に基づいて、脆性延性境界Bの深度が比較的浅いことが期待される地域を掘削地域として選択することで、発電システム1を、掘削の経済性及びエネルギー回収効率の観点から望ましい地域に構築することができる。また、地温勾配又は地下温度分布に関する情報に基づいて脆性延性境界Bのおおよその深度を推定することで、適切な掘削計画(掘削に要する日数、各日程における掘削距離目標等)を立てることができ、当該掘削計画に基づいて効率的に掘削作業を進めることができる。
続いて、工程S1において選択された掘削地域(例えば、深度5km以浅で380℃に達すると期待できる地域)において、注入井10を掘削する(工程S2、第1掘削工程)。注入井10は、例えば、従来のロータリー掘削工法等の従来の掘削工法により土砂や岩石を掘り掘り起こす工程と、当該掘り起こす工程により形成された掘削坑(裸坑)の内部に各種測定を行うための各種測定機器を降下させて各種測定を行う工程と、坑壁の崩壊を防ぐために注入井10の坑壁にケーシングを設置する工程とを複数回繰り返すことによって、段階的に掘り進められてもよい。注入井10は、最終的には延性帯L2まで延びる坑井として完成する。
続く貯留層生成工程(工程S3)において生成される貯留層20が延性帯L2に包囲されるようにするために、注入井10は、脆性延性境界Bを通過してから、さらに余裕をもって500m程度以上掘削されるのが好ましい。ここで、注入井10の坑底が脆性延性境界Bに到達しているか否かの判定は、例えば、坑内温度データ、亀裂の量(亀裂分布)、坑内比抵抗値、応力状態等を測定することにより行うことができる。これらの測定は、既に述べたように、土砂や岩石を掘り起こした後の裸坑状態の注入井10の坑内に各種測定機器を降下させることにより行うことができる。
各種測定機器による測定は、各測定内容に応じて、所定深度毎に離散的に行われるか、又は、連続的に行われる。例えば、温度測定等のように一定の深度間隔毎の値があれば十分なものについては、所定深度毎に離散的に行われ、亀裂分布の観測等のように連続的な変化量を見る必要があるものについては、連続的に行われる。このように各種測定機器により測定された一又は複数の深度における測定結果に基づいて、注入井10の坑底が脆性延性境界Bよりも深部に到達しているか否かの判定を掘削深度毎に行う(判定工程)。以下、各種測定による判定方法について詳細に説明する。
まず、坑内温度データに基づく脆性延性境界Bへの到達判定方法について説明する。世界で初めて脆性延性境界Bが発見された岩手県葛根田地熱地域において、温度380℃を境目(屈曲点)として、地温勾配が急激に上昇する様子が観測された(文献1)。従って、当該観測結果に基づいて、例えば、注入井10の抗内温度を所定深度毎に複数測定することにより深度毎の温度勾配を算出し、坑内温度が380℃を超える深度において、温度勾配の変化量が予め定めた所定値(例えば150℃/km)を超えたことをもって、当該深度において脆性延性境界Bに到達したものと判定することができる。
また、文献1の観測結果を別の観点から見ると以下のようなことがいえる。即ち、坑内温度が380度となる深度に達する前には、坑内温度は、静水圧条件下の地下沸騰曲線(Haas, J.L. (1971) The effect of salinity on the maximum thermalgradient of a hydrothermal system at hydrostatic pressure. Economic Geology,v.66, p.940-946.)により深度に対して一意に定まる温度(沸騰温度)を超えず、坑内温度が380度となる深度を超えると、坑内温度が上記沸騰温度を明瞭に超えて、高温側に急上昇する様子が観測された。従って、ある深度において上記の条件(坑内温度が380℃を超え、かつ、温度勾配の変化量が所定値を超えたこと)を満たすことに加えて、坑内温度が上記沸騰温度よりも予め定められた所定値以上の値を示したことをもって、当該深度において脆性延性境界Bに到達したものと判定してもよい。ここで、「所定値」とは、上記の判定を行うのに適した値であれば何でもよく、固定値としてもよく、割合で示される値としてもよい。
また、文献1の観測結果においては、温度勾配の変化量が所定値以上となった深度と、坑内温度が沸騰温度よりも所定値以上の値を示した深度とは、ほぼ同一深度であり、このときの深度における坑内温度が380℃付近であることから、温度勾配の変化量が所定値を超えたか、又は、坑内温度が沸騰温度よりも所定値以上の値を示したか、のいずれかの条件に基づいて脆性延性境界Bに到達したか否かの判定を行い得る。
ここで、坑内温度を測定する方法は特に限定されないが、例えば、注入井10の掘削において行われる泥水循環の停止後、120時間程度以上空けることにより、十分に注入井10坑内の温度を回復させた後に光ファイバ温度計等を用いて測定してもよい。また、光ファイバ温度計よりも最大測定可能温度が低く、坑内温度が平衡温度に達するまで測定することのできない温度計を用いる場合には、低温段階の複数の温度測定結果からHornerプロット等によって平衡温度を推定し、推定した平衡温度を注入井10の抗内温度として上記判定を行ってもよい(Ikeuchi, K., Doi, N., Sakagawa, Y., Kamenosono, H. and Uchida, T.(1998): High-temperature measurements in well WD-1a and the thermal strucutureof the Kakkonda geothermal system, Japan. Geothermics, 27, 591-607.)。
次に、亀裂の量(亀裂分布)に基づく脆性延性境界Bへの到達判定方法について説明する。例えば、ボアホールテレビュア等の画像化技術を用いて注入井10の坑壁の状態を画像化することで、当該画像内の亀裂の量を観察することができる。既に述べた通り、脆性帯L1では天然亀裂系が点在するが、延性帯L2では亀裂はほとんど存在しない。従って、上記の画像観察を深度方向に対して連続的に行い、所定の深度区間当たりの亀裂の量が所定数以下となった場合に、脆性延性境界Bに到達したものと判定することができる。例えば、3mの深度区間当たりで観察される亀裂の量が0となった場合に、脆性延性境界Bに到達したものと判定してもよい。
次に、坑内比抵抗値に基づく脆性延性境界Bへの到達判定方法について説明する。例えば、比抵抗検層(例えば、ノルマル検層)によって、注入井10坑内の比抵抗値を深度方向に連続して測定した場合、一般に亀裂がある部分の比抵抗値は、亀裂がない部分の比抵抗値よりも小さい値となる。従って、注入井10坑内の所定の深度区間(例えば1m)において深度方向に連続して測定された比抵抗値がごく短い深度区間で鋭く上下に振動する回数は、亀裂密度が大きいほど多くなる。すなわち、亀裂密度が大きい領域では、所定の深度区間当たりで測定される比抵抗値の振動回数が所定数以上となるスパイク形状(低比抵抗スパイク)が観察される(Muraoka, H., Uchida, T., Sasada, M., Yagi, M., Akaku, K., Sasaki,M., Yasukawa, K., Miyazaki, S., Doi, N., Saito, S., Sato, K. and Tanaka, S.(1998): Deep geothermal resources survey program: igneous, metamorphic andhydrothermal processes in a well encountering 500oC at 3729 m depth, Kakkonda,Japan. Geothermics, 27, 507-534.)。よって、例えば、所定の深度区間当たりの比抵抗値の一定幅以上の振動回数が所定数以下となった場合、即ち、低比抵抗スパイクが観察されなくなった場合に、亀裂が多い脆性帯L1から亀裂がほとんどない延性帯L2に突入した、即ち脆性延性境界Bに到達したものと判定することができる。
次に、応力比に基づく脆性延性境界Bへの到達判定方法について説明する。注入井10の坑底から岩石コアを採取し、例えばDSCA(Differential strain curve analysis)法(Strickland, F.G. and Ren, N.K. (1980): Use of differential straincurve analysis in predicting in situ stress state for deep wells, A State ofthe Art. Proc. 21st Rock Mechanics Symposium, 523-532.)によって当該岩石コアの3主応力軸間の主応力を測定し、当該主応力間の応力比(3主応力軸のうちの最小圧縮主応力/最大圧縮主応力)がおよそ0.4以上となった場合に、応力が均質(等方的)と考えられる延性帯L2に突入した、即ち脆性延性境界Bに到達したものと判定することができる。図4を用いて、このような判断の根拠について説明する。図4は、世界で初めて脆性延性境界を貫いた地熱井WD−1a井の岩石コアのDSCA法による応力測定結果を示す図である。σは最大圧縮主応力を示し、σは最小圧縮主応力を示している。ここで、図4に示すグラフにおいて応力比0.4となる位置を示す直線Mよりも上方にある3つの測定値は、応力比0.4以上であることを示しているが、これらはいずれも脆性延性境界Bよりも深部で測定された値である。一方、直線Mよりも下方にあるその他の測定値は、いずれも脆性延性境界Bよりも浅部で測定された値である。従って、脆性延性境界Bは、応力比が0.4前後となる深度に位置すると考えられることから、応力比がおよそ0.4以上となった場合に、脆性延性境界Bに到達したものと判定することができる。なお、その他微小地震のメカニズムの解析から応力集中、延性の証拠(例えばImanishi, K., Y. Kuwahara, T. Takeda, T. Mizuno, H. Ito, K. Ito, H.Wada, and Y. Haryu (2011), Depth‐dependent stress field in and around the Atotsugawa fault, centralJapan, deduced from microearthquake focal mechanisms: Evidence for localizedaseismic deformation in the downward extension of the fault, J. Geophys. Res.,116, B01305, doi:10.1029/2010JB007900.)を判断材料としてもよい。
本実施形態に係る発電方法によれば、このように、ある程度掘削が進んだ段階で、注入井10の坑底が脆性延性境界Bよりも深部、即ち延性帯L2に到達しているか否かを種々の観点から判定することにより、既に掘削された距離が十分であるか否かを確認でき、注入井10の掘削作業を適切に完了することができる。
工程S2における注入井10の掘削は、例えば、WD−1a井のように、泥水循環を行いながら進められ、注入井10の抗内は当該泥水によって200℃未満に冷却され続ける。この冷却効果によって注入井10のごく周辺の延性帯L2は、脆性に変形することが期待されるが、そのように脆性に変形する領域は極めて狭い領域に限定されると考えられる(例えば、「盛田耕二・松林修、坑井内同軸熱交換器の性能に及ぼす主要設計諸元の影響−坑井内同軸熱交換器に関する研究(第一報)―、日本地熱学会誌、8, 301-322, 1986.」)。そのため、経済的熱回収が可能な範囲に脆性の領域を拡大するために、流体の注入による冷却及び破砕等の制御された手法により、脆性の領域を拡大し、亀裂を人工的に造成する。即ち、工程S2において掘削された注入井10の脆性延性境界Bよりも下方において定めた特定深度区間の側面部に対して、流体を圧入し、当該側面部周辺の延性帯L2を冷却及び破砕することにより、当該特定深度区間の側面部周辺に局所的な脆性帯領域20a及び亀裂20bからなる貯留層20を造成する(工程S3、貯留層生成工程)。
図5を用いて、貯留層20の造成手順について詳細に説明する。まず、注入井10にパッカー(区間閉塞栓)60を降下させる(図5(a))。続いて、特定の深度区間における注入井10の抗壁のケーシングに穴を開けるパーフォレーションを行った上で、当該深度区間の上端で上部パッカー60aを固定し、当該深度区間の下端で下部パッカー60bを固定する(図5(b))。続いて、地上からポンプ等を用いることにより、上部パッカー60a及び下部パッカー60bによって注入井10内に形成された閉領域に、流体70を注入し、パーフォレーションによりケーシングに穴を開けた部分から延性帯L2に向けて流体70を圧入(注入)する。これにより、流体70を圧入された部分付近の延性帯L2を冷却し、局所的な脆性帯領域20aに変化させる。さらに、流体70の流体圧を高めて当該局所的な脆性帯領域20aを破砕することで亀裂20bを発生させる(図5(c))。ここで、流体70は、延性帯L2を冷却するのに適した温度とされ、地上からポンプ等を用いることにより、延性帯L2を破砕するのに十分な速度又は圧力により高速注入又は高圧注入される。このような流体注入による集中的な冷却及び破砕を繰り返し行うことで、貯留層20を形成する局所的な脆性帯領域20aを拡大し、亀裂20bを生成及び拡大させることができる。亀裂20bが生成されることにより、貯留層20の浸透率の増加が期待される。
貯留層20の生成又は維持においては、亀裂20bの生成及び拡大の際に発生するアコースティックエミッション(微小地震)を、高精度な震源決定手法、マイグレーション手法、ホドグラム解析手法等を用いて時系列的に観測することによって、貯留層20の三次元的形状をイメージングし、亀裂20bの状態(各亀裂の位置、大きさ等)を監視し、亀裂20bの状態に基づいて、流体70の圧入の速度や圧力を制御してもよい。例えば、観測された亀裂20bの状態から、局所的な脆性帯領域20aの規模や亀裂20bの数や大きさが発電効率の観点から不足していると判定した場合には、地上からポンプ等を用いることにより、流体70の圧入の速度を速くしたり、圧力を高めたりすることにより、局所的な脆性帯領域20aを拡大したり、亀裂20bの数を増やしたり、亀裂20bの大きさを拡大させたりする等により、貯留層20の成長を適切に促進させる。
また、MT法(マグネトテルリック法)等の電磁気探査方法を用いて、掘削以前に予め測定された地下の比抵抗値を基準とした微小な比抵抗値の変化を時系列的に観測し、貯留層20の成長過程を監視することによって、流体70の圧入の速度や圧力を制御してもよい。例えば、観測された貯留層20の成長過程から、貯留層20の規模が発電効率の観点から不足していると判定した場合には、地上からポンプ等を用いることにより、流体70の圧入の速度を速くしたり、圧力を高めたりすることにより、局所的な脆性帯領域20aを拡大したり、亀裂20bの数を増やしたり、亀裂20bの大きさを拡大させたりする等により、貯留層20の成長を適切に促進させる。
本実施形態に係る発電方法によれば、このように、局所的な脆性帯領域20a及び亀裂20bの状態を、アコースティックエミッション(微小地震)やMT法(マグネトテルリック法)等により監視しつつ、注入井10を介して地上から貯留層20に注入する流体70の速度及び圧力を地上からのポンプ等により調節することで、局所的な脆性帯領域20aの規模を適度な大きさとし、さらに、十分な数の亀裂20bを生成及び維持することができる。
上記のような流体圧入により亀裂20bを生成したとしても、貯留層20は大規模な熱伝導領域である延性帯L2に包囲されているため、一旦生じた亀裂20bが直ちに圧着してしまい、貯留層20における浸透率が低下してしまうおそれがある。そこで、新たに生じた亀裂20bを不可逆的に維持、即ち圧着により亀裂20bが塞がってしまうことを防止すべく、圧入する流体70にシェールガスの採掘等で用いられるプロッパント、即ち亀裂維持のために用いられる様々な粒径の粒子を混入させてもよい。貯留層20は上述の通り大規模な熱伝導領域である延性帯L2に包囲されており非常に高温となるため、融点が2050℃のコランダム(Al)、融点が1840℃のルチル(TiO)、高温用セラミックス、耐火レンガ等の耐温性の高いプロッパントを用いるのが好ましい。
本実施形態に係る発電方法によれば、このように、圧入する流体70にプロッパントを混入させることにより、延性帯L2からの大規模な熱伝導に対抗して、貯留層20に新たに生じた亀裂20bを不可逆的に維持することができる。
続いて、アコースティックエミッション観測におけるホドグラム解析手法等を用いて貯留層20における亀裂20bの位置を画像化して特定し、貯留層20の内部を流れる流体が生産井30に流入するようにするために、注入井10から比較的離れた位置において、生産井30の地中側の端部(開口を有する部分)が貯留層20における亀裂20bと接続するように、生産井30を掘削する(工程S4、第2掘削工程)。ここで、注入井10から離れた位置に生産井30を掘削する理由は、注入井10を介して地上から貯留層20に注入された流体が、貯留層20の亀裂20bを通過する間に熱エネルギーをなるべく多く蓄えられるようにし、その結果として発電効率を高められるようにするためである。生産井30の掘削は、例えば、注入井10と同様に、ロータリー掘削工法等の従来の掘削工法により行うことができる。
以上により、発電システム1の構築が完了する。その後、注入井10を介して地上から貯留層20に流体(例えば水)を注入し、貯留層20で温められて生産井30から流れ出る蒸気を用いて発電機40で発電することにより、延性帯L2の地熱を利用した熱発電を行う(工程S5、発電工程)。発電機40の発電方法は、特に限定されないが、例えば、蒸気フラッシュ発電やバイナリ―サイクル発電等で用いられる従来の発電方法を用いることができる。しかし、貯留層20の圧力及び温度条件が純水の臨界点である圧力22.12MPa、温度374.15℃を超えていることや、貯留層20内の流体が純水に近い状態を維持し得ることを最大限に生かす発電方法は、潜熱損失を抑えた高い発電効率の超臨界流体発電であり、この発電方法を用いることができる。ここで、発電機40による発電に利用された蒸気は、熱エネルギーを失って再び水となり、再度注入井10を介して貯留層20に注入(循環)される。
循環においては、上記のアコースティックエミッション観測方法やMT法(マグネトテルリック法)等の電磁気探査方法による監視を継続的に実施し、局所的な脆性帯領域20a及び亀裂20bを適切に維持するために、注入井10を介して地上から貯留層20に注入する流体70の速度及び圧力を調節制御することが好ましい。また、亀裂20bの開口及び浸透率を維持するために、上記監視に基づいてプロッパントを適切に流体70に混入させることが好ましい。
なお、上記のように循環させる流体70の速度や圧力を制御する(実質的に「流量」を制御することにもなる)ことにより、長期循環後に貯留層20内に卓越した流路が形成されて抽熱性能が低下してしまう現象(チャンネリング)を抑制し得る。このようなチャンネリングを抑制しつつ、貯留層20が持続性を有するように循環させる流体70の流量を制御しすることで、実施形態に係る発電システム1により長期にわたって一定の熱出力を得ることが可能になる。
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。例えば、本明細書において具体的な値として記載した脆性延性境界Bの温度(380℃)や応力比(0.4)等の値は、岩手県葛根田におけるWD−1a井の掘削において得られた値であり、絶対的な基準ではない。即ち、今後採掘例が積み重ねられることにより、より精度の高い新たな値が得られた場合には、当該新たな値を基準としてもよい。
以上、延性帯L2中に孤立した人工断裂系(貯留層20)を造成することにより、従来の涵養地熱系発電が有する注入水損失及び誘発地震の発生という2つの課題を一挙に解決するものとして、実施形態に係る発電方法(及び発電システム1)について説明した。以下、実施形態に係る発電方法の適正地域について、掘削地域の選択工程(工程S1)を説明する際に既に述べた内容と一部重複するが、より詳細に説明する。
実施形態に係る発電方法の利点は、従来の地熱発電に比べて、適正地域が広範なことである。もちろん、実施形態に係る発電方法にも適正地域の範囲は存在し、脆性延性境界Bの深度が浅い火山帯の方が有利である。例えば、伸張テクトニクス場の九州と、短縮テクトニクス場の東日本の地熱地帯とを比較すると、後者の高温地熱井の方が、同一深度において、やや温度が高い傾向がある(玉生志郎(1994):地熱系モデリングから見たマグマ溜り−豊肥・仙岩・栗駒地熱地域を例にして−. 地質学論集, 第43号, 141-155.)。これは次のような事実とも一致している。即ち、経験的には短縮テクトニクス場の地熱井はしばしば、マグマ性貫入岩体を補足することが多いのに対し、伸張テクトニクス場の地熱井は、稀にしかマグマ性貫入岩体を補足しない(Muraoka, H. and Yano, Y.(1998): Why neo-plutons are deeper inextension tectonic fields and shallower in contraction tectonic fields? Proceedings ofthe 20th New Zealand Geothermal Workshop 1998, 109-114.。以下、「文献3」という。)。つまり、短縮テクトニクス場のマグマ性貫入岩体の方が、伸張テクトニクス場よりも浅い深度で浮力平衡深度(neutral buoyancy depth)に達しているように見える。
これは、大洋中央海嶺でのマグマ溜りの浮力平衡深度に関する議論と同じように(Ryan, M.P.(1994): Neutral-buoyancy controlled magma transport andstorage in mid-ocean ridge magma reservoirs and their sheeted-dike complex: Asummary of basic relationships. In: Ryan, M.P., ed., Magmatic Systems, 401p.,Academic Press, San Diego, New York, Boston, London, Sydney, Tokyo and Toronto,97-138)、基本的には地殻表層の岩石の密度分布によって説明できる。地殻表層の深度数km程度の範囲では、岩石密度は主に空隙の圧密によって劇的に変化し、短縮テクトニクス場の方がByerlee則から予想されるように、3〜5倍も大きな水平応力を受けて圧密されていることから(例えば、Brace, W. and Kohlstedt, D.L.(1980): Limits on lithospheric stressimposed by laboratory experiments. J. Geophys. Res., 85, 6248-6252.)、岩石密度が大きい傾向がある。実際に、伸張テクトニクス場の九州と、短縮テクトニクス場の東日本の地熱井のコアを比較すると、同一深度では東日本のコアの密度の方が大きい傾向がある(文献3)。これは近似曲線を求めると、さらに明療となる(文献3)。つまり、単純化していえば、密度2.5g/cmのマグマがあった場合、九州では深度4km程度で浮力平衡深度に達するが、東日本では深度1km程度で浮力平衡深度に達するということになる。これが、両テクトニクス場におけるマグマの定置深度の違いを明瞭に説明している(文献3)。
深度10kmを超えるような地殻中では、地下温度が非常に高温に達するため、脆性延性境界Bが必ずしもマグマ性貫入岩体に伴って分布するとは限らない。しかしながら、脆性延性境界Bが深度数kmといった浅い深度に分布する場合には、そのような高温の温度場をつくる上で、マグマ性貫入岩体の存在が不可欠である。そのため、脆性延性境界Bは、文献1で示した葛根田地熱地域の例のように、マグマ性貫入岩体の近傍にのみ期待される。マグマ性貫入岩体の定置深度が深いと予想される九州の別府―島原地溝帯やニュージーランドのタウポ地溝帯などにおいて、本実施形態に係る発電方法を実現するためには、おそらく5kmを超える掘削が必要と思われる(文献3)。これに対し、東日本、フィリピン、インドネシア、カムチャッカ等の短縮テクトニクス場では、マグマ性貫入岩体が浅いため、深度3〜4km程度の掘削により十分に、本実施形態に係る発電方法(延性帯涵養地熱系発電)を実現することができ、本実施形態に係る発電方法の格好の適正地域である(文献3)。
さらに、脆性延性境界Bの深度は、岩石の種類によっても、劇的に異なる。「Burov, E.B.(2011): Rheology and strength of the lithosphere. Marineand Petroleum Geology, 28, 1402-1443.」(以下、「文献4」という。)に、海洋と大陸の流体力学的強度の例が示されている。大陸では、花崗岩質上部地殻、ハンレイ岩質下部地殻、カンラン岩質上部マントルと、3層に渡って、脆性帯L1と延性帯L2とが繰り返すことになる。これに対し、ハンレイ岩質地殻から始まる海洋地殻では、ごく単純に脆性帯L1と延性帯L2とがそれぞれ1層となる。そして、海洋地殻では、ごく若い地殻の場合であっても、脆性延性境界Bがかなり深い。つまり、地殻がハンレイ岩質の岩石で構成されるアイスランド等において、本実施形態に係る発電方法を実現するためには、おそらく8kmを超える掘削が必要になると考えられる(文献4)。
このように見ると、わずか深度3〜4km程度の掘削によって、本実施形態に係る発電方法の実現を目指すことができる火山帯は、東日本、フィリピン、インドネシア、及びカムチャッカ等の短縮テクトニクス場の火山帯に限定されるように考えられる。その意味において、本実施形態に係る発電方法は、東日本的な涵養地熱系発電ということができる。しかしながら、東日本の火山帯の内部のスケールで見た場合には、実施形態に係る発電方法は、温度構造のみを考慮すればよく、従来の地熱開発のように、掘削ターゲットをごく小さな天然の亀裂に定める必要がない。つまり、東日本の火山帯というスケールで見た場合には、広範な温度構造そのものが開発対象となる(文献2)。
1…発電システム、10…注入井、20…貯留層、20a…局所的な脆性帯領域、20b…亀裂、30…生産井、40…発電機、L1…脆性帯、L2…延性帯、B…脆性延性境界。

Claims (12)

  1. 地上から、天然亀裂が点在する領域である脆性帯と自然状態で亀裂が生じない領域である延性帯との境界である脆性延性境界よりも深部に位置する前記延性帯まで延びる注入井を掘削する第1掘削工程と、
    前記注入井を介して地上から前記延性帯に流体を注入することにより、流体を注入された領域を局所的な脆性帯領域に変化させ、当該局所的な脆性帯領域に亀裂を生成することで、前記局所的な脆性帯領域及び亀裂からなり、前記延性帯に包囲される貯留層を生成する貯留層生成工程と、
    地上から、前記注入井とは異なる位置において前記貯留層まで延びる生産井を掘削する第2掘削工程と、
    前記生産井を介して前記貯留層から地上に流れる流体を用いて発電する発電工程と、
    を含む発電方法。
  2. 予め測定されている地質データに基づいて掘削地域を選択する選択工程をさらに含み、
    前記第1掘削工程及び前記第2掘削工程では、前記選択工程において選択された掘削地域に含まれる地点を掘削する、
    請求項1記載の発電方法。
  3. 掘削対象とする地域において予め測定されている地温データから得られた地温勾配又は地下温度分布に関する情報に基づいて、前記脆性延性境界の深度を推定する推定工程をさらに含み、
    前記第1掘削工程では、前記推定工程において推定された前記脆性延性境界の深度に基づいて、前記注入井を掘削する、
    請求項1又は2記載の発電方法。
  4. 前記第1掘削工程では、
    前記注入井の坑底が前記脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定する判定工程を含み、
    前記第1掘削工程では、前記判定工程において前記注入井の坑底が前記脆性延性境界よりも深部に到達していると判定された場合に、前記注入井の掘削を完了する、
    請求項1〜3の何れか一項記載の発電方法。
  5. 前記判定工程では、
    前記注入井の内部の温度を測定し、測定された温度に基づいて、前記注入井の坑底が前記脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定する、
    請求項4記載の発電方法。
  6. 前記判定工程では、
    前記注入井の側面部を画像化し、当該画像に含まれる亀裂の量に基づいて、前記注入井の坑底が前記脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定する、
    請求項4又は5記載の発電方法。
  7. 前記判定工程では、
    前記注入井の内部の比抵抗値を深度方向に連続して測定し、所定の深度区間において連続して測定された比抵抗値が当該深度区間において所定幅以上に上下する回数に基づいて、前記注入井の坑底が前記脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定する、
    請求項4〜6の何れか一項記載の発電方法。
  8. 前記判定工程では、
    前記注入井の坑底から岩石コアを採取し、当該岩石コアの3主応力軸間の主応力を測定し、当該主応力間の応力比に基づいて、前記注入井の坑底が前記脆性延性境界よりも深部に到達しているか否かを判定する、
    請求項4〜7の何れか一項記載の発電方法。
  9. 前記貯留層生成工程では、
    前記局所的な脆性帯領域に亀裂を生成した際に生じるアコースティックエミッションを時系列的に観測することで亀裂を監視し、当該亀裂の状態に基づいて前記注入井を介して地上から前記貯留層に注入する流体の速度及び圧力を調節することで、前記貯留層を生成又は維持する、
    請求項1〜8の何れか一項記載の発電方法。
  10. 前記貯留層生成工程では、
    前記第1掘削工程における掘削以前に予め測定した地下の比抵抗値を基準とした比抵抗値の変化を時系列的に観測することで前記局所的な脆性帯領域の成長過程を監視し、当該成長過程に基づいて前記注入井を介して地上から前記貯留層に注入する流体の速度及び圧力を調節することで、前記貯留層を生成又は維持する、
    請求項1〜9の何れか一項記載の発電方法。
  11. 前記貯留層生成工程では、
    前記注入井を介して地上から前記貯留層に注入する流体にプロッパントを混入させる、
    請求項1〜10の何れか一項記載の発電方法。
  12. 地上から、天然亀裂が点在する領域である脆性帯と自然状態で亀裂が生じない領域である延性帯との境界である脆性延性境界よりも深部に位置する前記延性帯まで延びる注入井と、
    地上から前記延性帯への前記注入井を介した流体の注入により、流体を注入された領域を局所的な脆性帯領域に変化させ、当該局所的な脆性帯領域に亀裂を生成することで、前記延性帯に包囲されるように形成された、局所的な脆性帯領域及び亀裂からなる貯留層と、
    地上から、前記注入井とは異なる位置において前記貯留層まで延びる生産井と、
    前記生産井を介して前記貯留層から地上に流れる流体を用いて発電する発電手段と、
    を備える発電システム。
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