JP6130495B2 - カンナビノイド受容体活性関連障害及び疾患を調節する方法 - Google Patents

カンナビノイド受容体活性関連障害及び疾患を調節する方法 Download PDF

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Description

本願は、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2012年5月25日に出願された米国仮特許出願第61/651,961号及び2013年3月15日に出願された第61/789,629号の利益を主張する。
本開示は、カンナビノイド受容体の分野、特に、特定のフェノテロール類似体の投与によって、カンナビノイド受容体活性の変化と関連している、膠芽腫、肝細胞癌腫、肝臓癌、結腸癌及び/又は肺癌などの障害又は疾患を治療することを含めた、カンナビノイド(CB)受容体活性関連障害及び疾患を調節する方法、例えば、CB受容体を活性化する方法に関する。
癌は、米国では、冠動脈疾患に次いでヒトの死亡の2番目に多い原因である。世界中で、毎年、何百万人もの人が癌によって死亡している。アメリカ癌協会(American Cancer Society)によって報告されたように、米国単独で、癌は、毎年50万人をはるかに超える死亡を引き起こし、年に120万人を超える新規症例が診断されている。心疾患による死亡は、大幅に減少しているのに対し、癌に起因するものは、全体的に増加傾向にある。癌は、間もなく第1位の死因となると予測されている。脳癌及び肝臓癌を含めた多数の種類の癌に、有効な臨床治療がない。
本開示は、特定のフェノテロール類似体は、カンナビノイド(CB)受容体モジュレーターであり、それだけには限らないが、CB受容体活性又は発現(又は両方)の変化、例えば、GPR55カンナビノイド受容体の発現又は活性(又は両方)の変化と関連している膠芽腫又は肝細胞癌腫を含めた腫瘍などの障害又は疾患を治療するために使用され得るという発見に関する。本発明者らは、特定のフェノテロール類似体の投与は、CB受容体を発現する腫瘍と関連している1種又は複数の徴候又は症状(腫瘍成長など)を阻害することを発見した。本発明者らは、この発見を使用して、CB受容体を発現する腫瘍、例えば、CB受容体を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫の治療を含めた、CB受容体によってモジュレートされる障害又は疾患を治療する、開示されている方法を開発した。
いくつかの実施形態では、本方法は、CB受容体活性によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性がある対象に、CB受容体活性によって調節される障害又は疾患と関連している1種又は複数の症状を低減するのに有効な量の化合物を投与し、それによって、CB受容体活性によって調節される対象における障害又は疾患と関連している1種又は複数の症状を低減することを含み、化合物は、式
[式中、R〜Rは独立に、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(カルバモイル)又はそれらの組合せであり、Rは、H又は低級アルキルであり、Rは、

(Y、Y及びYは独立に、水素、ハロゲン、SH、スルホキシド、スルホン、スルファンアミドを含めた硫黄含有部分並びに関連アルキル及び芳香族置換部分、低級−OR及び−NRであり、Rは、H又は低級アルキルであり、R及びRは独立に、水素、低級アルキル、アルコキシカルボニル、アシル又はアミノカルボニルである)である]を有し、化合物は光学活性である。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、化合物内のRが、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルから選択される。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、化合物内のRが、メチルである。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、化合物内のRが、メチルである。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、化合物内のRが、

のうち1種である。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、化合物内のR〜Rが、水素である。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量の(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)又はそれらの組合せを投与することを含む。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量のMNF、NF又はそれらの組合せを投与することを含む。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量のMNFを投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、GPR55を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫などのCB受容体によって調節される障害又は疾患を治療するための、CB受容体関連障害又は疾患を調節できる、開示されているフェノテロール類似体のいずれかと、医薬上許容される担体とを含有する治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む。例えば、開示されている(R,R’)−MNF、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−NF、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−アミノNF、(R,R’)−ヒドロキシNF又はそれらの組合せは、CB受容体を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫、例えば、GPR55を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫の治療において有効である。いくつかの実施形態では、本方法は、CB受容体によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性がある対象を選択することをさらに含む。例えば、対象が、GPR55発現などのCB受容体発現と関連している障害又は腫瘍を決定することによって治療のために選択される。1つの特定の例では、本方法は、β2−AR機能の変化と関連していない障害及び/又は疾患を有する対象を選択することをさらに含む。例えば、障害又は疾患は、β2−AR活性を標的とする治療に応答しない。さらなる例では、本方法は、フェノテロール類似体又はその組合せに加えて1種又は複数の治療薬を投与することを含む。本方法は、例えば、フェノテロール類似体又はその組合せと組み合わされた組成物中で、1種又は複数の治療薬を個別、逐次又は同時に投与することを含み得る。
いくつかの実施形態では、本方法は、CB受容体を発現する腫瘍の治療において使用するためのものである。例えば、障害又は疾患は、CB受容体を発現する原発性脳腫瘍、CB受容体を発現する膠芽腫、CB受容体を発現する肝細胞癌腫、結腸癌、肝臓癌及び肺癌からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、疾患又は障害と関連している1種又は複数の徴候又は症状を阻害することは、腫瘍及び/若しくは癌細胞成長などの細胞成長、腫瘍体積又はそれらの組合せを阻害することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、GPR55であるCB受容体によって調節される障害又は疾患、例えば、糖尿病を治療するために使用される。
本開示の前記のもの並びにその他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して進む、以下の詳細な説明から、より明らかとなる。
β−アゴニスト刺激に曝露したHepG2細胞の応答を例示する図である。図1Aは、完全培地で維持された、HepG2(レーン1)及び1321N1(レーン2)細胞から調製され、ウエスタンブロット解析に付された可溶性抽出物のデジタル画像である。β2−アドレナリン受容体(β2−AR)及びβ−アクチンにおける細胞含量は、特異的一次抗体を使用して測定した。 β−アゴニスト刺激に曝露したHepG2細胞の応答を例示する図である。図1Bは、フォルスコリンでのHepG2細胞におけるcAMP蓄積の増大を例示し、(R)−イソプロテレノール(Iso)又は(R,R’)−フェノテロール(Fen)では増大しないことを例示する棒グラフである。示されるデータは、4連で実施された単回の研究から得られている。エラーバーは、単回の研究から得られた平均±S.D.を示す。図1Bにおいて示される研究は、2回反復し、匹敵する結果を得た。 β−アゴニスト刺激に曝露したHepG2細胞の応答を例示する図である。図1Cは、免疫ブロットのデジタル画像である。血清を欠乏させたHepG2細胞を、(R)−イソプロテレノール(Iso;1μM)又は(R,R’)−Fen(1μM)の存在下で5、10及び30分間インキュベートした。細胞溶解物を、リン酸化(Ser473)及び総Akt並びにリン酸化ERK1/2及び総ERK2に対する抗体を用いて免疫ブロットした。図1Cにおいて示される研究は、2回反復し、匹敵する結果を得た。分子量マーカーの泳動(キロダルトンでの値)が、免疫ブロットの左に示されている。
細胞成長に対する(R)−イソプロテレノール、(R,R’)−Fen及び誘導体の効果が、細胞型特異的であることを例示する図である。血清を欠乏させたHepG2細胞を、媒体又は示された濃度の(R)−イソプロテレノール(Iso)、(R,R’)−Fen、(R,R’)−アミノFen(NH−fen)若しくは(R,R’)−MNFとともに24時間インキュベートし、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。代表的な用量反応曲線が、図2Aに示されている。 細胞成長に対する(R)−イソプロテレノール、(R,R’)−Fen及び誘導体の効果が、細胞型特異的であることを例示する図である。血清を欠乏させたHepG2細胞を、媒体又は示された濃度の(R)−イソプロテレノール(Iso)、(R,R’)−Fen、(R,R’)−アミノFen(NH−fen)若しくは(R,R’)−MNFとともに24時間インキュベートし、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。代表的な用量反応曲線が、図2Bに示されている。 細胞成長に対する(R)−イソプロテレノール、(R,R’)−Fen及び誘導体の効果が、細胞型特異的であることを例示する図である。血清を欠乏させたHepG2細胞を、媒体又は示された濃度の(R)−イソプロテレノール(Iso)、(R,R’)−Fen、(R,R’)−アミノFen(NH−fen)若しくは(R,R’)−MNFとともに24時間インキュベートし、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。血清が枯渇した培地中のHepG2細胞及び完全培地中の1321N1細胞を、1μMの化合物を用いて24時間処置し、それらの結果が図2Cに示されている。 細胞成長に対する(R)−イソプロテレノール、(R,R’)−Fen及び誘導体の効果が、細胞型特異的であることを例示する図である。血清を欠乏させたHepG2細胞を、媒体又は示された濃度の(R)−イソプロテレノール(Iso)、(R,R’)−Fen、(R,R’)−アミノFen(NH−fen)若しくは(R,R’)−MNFとともに24時間インキュベートし、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。図2Dは、HepG2及び1321N1細胞を、示された濃度のIso又は(R,R’)−Fen(fen)の存在下で、血清を伴わずに(SFM)、又は血清とともに(CM)インキュベートした場合の知見を例示する図である。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化が、平均±SEとして表されており、各々3連のディッシュで実施された2〜6つの独立した研究から得られた結果を表す。ほとんどの場合、エラーバーは記号よりも小さい。
β2−ARアンタゴニストは、HepG2細胞において(R,R’)−MNFの抗増殖作用を阻害しないということを実証する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、示された濃度のβ2−ARアンタゴニスト、ICI−118,551(ICI)とともに、1時間インキュベートし、続いて、媒体を24時間添加し、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。 β2−ARアンタゴニストは、HepG2細胞において(R,R’)−MNFの抗増殖作用を阻害しないということを実証する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、示された濃度のβ2−ARアンタゴニスト、ICI−118,551(ICI)とともに、1時間インキュベートし、続いて、(R,R’)−Fen(左のパネル)又は(R,R’)−MNF(右のパネル)を24時間添加し、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFの代表的な用量反応曲線は、図3Bに示されている。 β2−ARアンタゴニストは、HepG2細胞において(R,R’)−MNFの抗増殖作用を阻害しないということを実証する図である。図3Cは、平均±SEとして対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化を例示する棒グラフであり、各々3連で実施された3つの独立した研究から得られた結果を表す。 β2−ARアンタゴニストは、HepG2細胞において(R,R’)−MNFの抗増殖作用を阻害しないということを実証する図である。図3Dは、平均±SEとして対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化を例示する棒グラフであり、各々3連で実施された3つの独立した研究から得られた結果を表す。
(R,R’)−MNFが、HepG2細胞においてサブ−G1事象の数を増加させることを例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、媒体、(R,R’)−Fen(1μM)又は(R,R’)−MNF(1μM)を用いて6時間、12時間又は24時間処置した後に回収した。細胞を固定し、染色し、フローサイトメトリーを使用してDNA含量について分析した。媒体、(R,R’)−Fen又は(R,R’)−MNFを用いて24時間処置した後の、細胞周期の種々の相における代表的なDNA含量分析が示されている。死滅細胞又は後期アポトーシスにある細胞を表すサブ−G1事象の数を、各々2連で実施された2つの独立した研究から得られた結果を使用して処置期間の関数として定量化した(右下のパネル)。データは、平均±SEとして表されている(n=4)。
(R,R’)−MNFが、HepG2細胞においてアポトーシスを誘導したフローサイトメトリー研究の結果を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、媒体、(R,R’)−Fen(1μM)又は(R,R’)−MNF(1μM)を用いて24時間処置し、アネキシンV及びヨウ化プロピジウム(PI)を用いて染色し、次いで、フローサイトメトリーによって分析した。代表的なプロフィールが示されている。アポトーシスであったアネキシンV陽性HepG2細胞の割合を、各々2連で実施された2つの独立した研究から得られた結果を使用して定量化した(右下のパネル)。データは、平均±SEとして表されている(n=4)。
HepG2細胞における(R,R’)−MNFの抗増殖作用におけるカンナビノイド受容体活性化の役割を例示する図である。HepG2、1321N1及びU87MG細胞から全RNAを抽出し、次いで、PCRによって半定量的に分析した。非鋳型対照(NTC)が含まれている(レーン1)。 HepG2細胞における(R,R’)−MNFの抗増殖作用におけるカンナビノイド受容体活性化の役割を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、カンナビノイド受容体アゴニスト、WIN55,212−2(Win;1μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化が、平均±SDとして表されており、各々3連のディッシュで実施された3つの独立した研究から得られた結果を表す。 HepG2細胞における(R,R’)−MNFの抗増殖作用におけるカンナビノイド受容体活性化の役割を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、AM251(1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−N−1−ピペリジニル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド;1μM)又はAM630(6−ヨード−2−メチル−1−[2−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インドール−3−イル](4−メトキシフェニル)メタノン、0.5μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化が、平均±SDとして表されており、各々3連のディッシュで実施された3つの独立した研究から得られた結果を表す。
β2−ARアンタゴニスト、ICI−118,551による(R,R’)−Fen媒介性細胞増殖制御の選択的阻害を例示する一連のグラフである。HepG2、1321N1及びU87MG細胞を、β2−ARアンタゴニスト、ICI−118,551(ICI、1μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加し、[H]−チミジン取り込みのレベルを測定した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化が、平均±SDとして表されており、各々3連のディッシュで実施された3つの独立した研究の結果を表す。
カンナビノイド受容体が、(R,R’)−Fenによる細胞増殖制御において役割を果たさないことを例示する棒グラフである。1321N1細胞を、カンナビノイド受容体アゴニスト、WIN55,212−2(Win;0.5〜1μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化は、平均±SDとして表されており、各々3連で実施された、3つの独立した研究から得られた結果を表す。 カンナビノイド受容体が、(R,R’)−Fenによる細胞増殖制御において役割を果たさないことを例示する棒グラフである。1321N1細胞を、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、AM251(0.5〜1μM)又はAM630(0.25〜0.5μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化は、平均±SDとして表されており、各々3連で実施された、3つの独立した研究から得られた結果を表す。 カンナビノイド受容体が、(R,R’)−Fenによる細胞増殖制御において役割を果たさないことを例示する棒グラフである。U87MG細胞を、カンナビノイド受容体アゴニスト、WIN55,212−2(Win;0.5〜1μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化は、平均±SDとして表されており、各々3連で実施された、3つの独立した研究から得られた結果を表す。 カンナビノイド受容体が、(R,R’)−Fenによる細胞増殖制御において役割を果たさないことを例示する棒グラフである。U87MG細胞を、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、AM251(0.5〜1μM)又はAM630(0.25〜0.5μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、媒体、(R,R’)−Fen(0.5μM)又は(R,R’)−MNF(0.25μM)を24時間添加した。対照に対する[H]−チミジン取り込みの変化パーセントの定量化は、平均±SDとして表されており、各々3連で実施された、3つの独立した研究から得られた結果を表す。
HepG2細胞におけるTocriFluor1117(T1117)、蛍光性AM251類似体の細胞性取り込みを例示する図である。細胞を、(R,R’)−Fen(1μM)、(R,R’)−MNF(1μM)又はAM251(10μM)を用いて1時間処置し、続いて、T1117(0.1μM)を添加した。細胞を共焦点顕微鏡に取り付け、COを用いて37℃で維持した。1時間まで30秒毎に画像を撮った。
ヒト及びラット肝臓ミクロソームでの(R,R’)−MNFの代謝的安定性を例示するグラフである。
(R,R’)−MNFによるシトクロムp450(CYP)阻害を例示する棒グラフである。ヒト肝臓ミクロソームを、8種の異なるCYP基質及び1又は10μM MNFとともにインキュベートした。10μMのMNFは、CYP2D6及びCYP3A4を阻害すると決定した。一次代謝産物は、O−脱メチル化MNFであると決定した。
(R,R’)−MNFの血漿及び脳組織濃度を例示するトレーシング図である。図12は、10mg/kg MNFのIV投与後30分に得られた血漿サンプルの分析を例示する。MNF及び図12の挿入図中のGluc−MNFは、対照血漿マトリックス中に存在する干渉ピークを伴わずに示されている。 (R,R’)−MNFの血漿及び脳組織濃度を例示するトレーシング図である。図13は、10mg/kg MNFのIV投与後30分に得られた脳組織の分析を例示する。6.39分のピークは、対照脳マトリックス中に存在する同定されていない化合物である(図13の挿入図を参照のこと)。
10mg/kg MNF IVのIV投与後の雄のスプラーグ−ドーリーラットの血漿及び脳におけるMNF濃度の時間経過であり、これでは、1時点あたり(血漿における10分〜24時間及び脳における10〜60分)n=3匹のラットである。脳組織におけるMNF濃度は、投与後10分で200ng/組織1mgであり、30分で800ng/組織1mgのピークに達した。血液(ng/mlとして測定される)及び脳組織(ng/組織1mgとして測定される)中のMNFの濃度の間の相対分布は、中枢及び末梢身体区画の両方の間の同等の分布を反映して、10分で0.2、30分及び60分で1.0であった。
MNFが、テトラヒドロカンナビノールによってもたらされる効果(図16中に示される)と比較して、中枢神経系に大幅な負の効果をもたらさないことを例示する一連の棒グラフである。
中枢神経系機能に対するテトラヒドロカンナビノールの効果を例示する一連の棒グラフである。
Hep3B細胞、PC3細胞又はLN229細胞を含む96ウェル培養プレートにおける[3H]−チミジン取り込みを例示する一連のグラフである。
MNFが、ラットC6神経膠腫細胞系の増殖を低減することを例示する図である。細胞増殖アッセイを、漸増濃度のMNFを用いて24時間処置し、続いて、[H]−チミジンを16時間添加したラットC6神経膠腫細胞において実施した。 MNFが、ラットC6神経膠腫細胞系の増殖を低減することを例示する図である。細胞を選択的β2−AR遮断薬、ICI−118,551(3nM)を伴わずに、又はそれとともに30分間プレインキュベートし、続いて、媒体又は20nMのMNF、(R,R’)−Fen若しくはイソプロテレノール(ISO)を24時間添加した。16時間インキュベートした後[H]−チミジンを測定した。バーは、3連のウェルで実施された単一実験の平均±SDを表す。2〜3つの独立した実験において、同様の結果が得られた。 MNFが、ラットC6神経膠腫細胞系の増殖を低減することを例示する図である。C6神経膠腫細胞を、カンナビノイド受容体インバースアゴニスト、AM251(0.5及び1μM)及びAM630(0.5μM)の存在下又は不在下で30分間前処置し、続いて、媒体又は20nM MNFを24時間添加した。16時間インキュベートした後[H]−チミジンを測定した。バーは、3連のウェルで実施された単一実験の平均±SDを表す。2〜3つの独立した実験において、同様の結果が得られた。 20nM MNFを用いて48時間インキュベートしたC6細胞について、細胞形態の変化を観察した。
MNFが、ラットC6神経膠腫異種移殖片モデルにおいて、in vivoで腫瘍成長を低減することを例示するグラフである。C6腫瘍を保有する雌のヌードマウスを、媒体又はMNF群のいずれかに無作為に割り当てた。PBS中の2mg/kg MNF又はシトラートのいずれかを、1週間につき5日、19日間注射することによって処置を行った。腫瘍体積を毎日モニタリングし、最後の処置の翌日、マウスを屠殺した。媒体処置された、腫瘍を保有するマウスと比較した、MNF処置動物の経時的な腫瘍体積が示されている(平均±SEM;n=9〜10)。 MNFが、ラットC6神経膠腫異種移殖片モデルにおいて、in vivoで腫瘍成長を低減することを例示するグラフである。C6腫瘍を保有する雌のヌードマウスを、媒体又はMNF群のいずれかに無作為に割り当てた。PBS中の2mg/kg MNF又はシトラートのいずれかを、1週間につき5日、19日間注射することによって処置を行った。腫瘍体積を毎日モニタリングし、最後の処置の翌日、マウスを屠殺した。2つのコホートの動物から得られた個々の結果が、血漿薬物濃度−時間曲線下面積(AUC)として表されている。媒体群の平均AUC±SEMは、5450±518(n=17)であり、MNF:3217±265(n=19)であった。示されるP値は、両側検定のものである。
MNF処置された、C6腫瘍を保有するマウスにおける遺伝子発現プロファイリングを例示する図である。ラットC6異種移植片における遺伝子クラスタリング:MNF対媒体対照で処置したラットC6神経膠腫異種移殖片の主成分分析(PCA)。PCAを、6種の独立したサンプル(3種のMNF、3種の対照)に適用し、番号は、個々のサンプル表示を指す。分析は、サンプルの処置群へのクラスタリングを示す。 MNF処置された、C6腫瘍を保有するマウスにおける遺伝子発現プロファイリングを例示する図である。コホート番号1、コホート番号2及び組み合わされたコホート(1+2)における、対照群と比較された、MNF処置によって変化した100種の遺伝子セットのクラスター分析を示す。 MNF処置された、C6腫瘍を保有するマウスにおける遺伝子発現プロファイリングを例示する図である。対象の選択された遺伝子のZ比が表されており、MNF及び媒体処置群間の対比較後の上方制御又は下方制御された発現のいずれかを示す。 MNF処置された、C6腫瘍を保有するマウスにおける遺伝子発現プロファイリングを例示する図である。MNF及び媒体処置マウスに由来するC6異種移殖片腫瘍から全RNAを抽出し、定量的リアルタイムPCRによって、Sox4、Olig1、Galnt3、Cdkn3、Ccna2及びBub1b mRNAレベルについて分析した(平均±SD;n=5〜6)。値は、GAPDHに対して標準化した。
C6腫瘍異種移植片におけるサイクリン発現に対するMNFの負の影響を実証する図である。腫瘍サンプルから得られた溶解物を、SDS−PAGEによって分離し、ウエスタンブロッティングは、サイクリンA及びサイクリンDに対して作製した一次抗体で実施した。膜を、ローディングコントロールとして働いたHsp90に対して再検出した。上のパネル、代表的免疫ブロット;下のパネル、媒体及びMNF処置マウスから得られた異種移殖片腫瘍間のサイクリンA及びサイクリンD1発現における有意差を示すデータの散布図。両側スチューデントのt検定を使用して*、p<0.05;**、p<0.01。 C6神経膠腫細胞を、20nM MNFとともに6及び24時間インキュベートし、その後、溶解物を調製し、サイクリンA及びサイクリンD1について免疫ブロットした。膜を、ローディングコントロールとして働いたβ−アクチンについて再検出した。上のパネル、代表的なブロット;下のパネル、バーは、媒体処置した細胞における値を1.0に設定した、各ブロットの濃度測定による定量化を表す。バーは、3つの独立した研究から得られた平均±SEMを表す。a、b:P<0.01の群間の有意差。
HepG2細胞におけるT1117の迅速な、飽和性取り込みを例示する図である。T1117の細胞侵入を、生細胞イメージングのための温度調節性チャンバーシステムを有するZeiss710共焦点顕微鏡で測定した。血清が枯渇したHepG2細胞を、漸増濃度のT1117(2.5〜100nM)の存在下でインキュベートした。規定の対象領域(ROI)から、時間に対するシグナル強度のプロットを作製した。結果は、2〜3つの独立した研究から得られたものである。 HepG2細胞におけるT1117の迅速な、飽和性取り込みを例示する図である。T1117の細胞侵入を、生細胞イメージングのための温度調節性チャンバーシステムを有するZeiss710共焦点顕微鏡で測定した。T1117濃度に対する相対AUCデータが示されており、T1117−100nM値を1に設定した。 HepG2細胞におけるT1117の迅速な、飽和性取り込みを例示する図である。T1117の細胞侵入を、生細胞イメージングのための温度調節性チャンバーシステムを有するZeiss710共焦点顕微鏡で測定した。T1117(100nM)の細胞取り込みを、100×モル過剰の非標識AM251の存在下で実施した。エラーバーは、2回反復し、匹敵する結果が得られた単一の研究から得られた平均±S.D.(n=3つのROI)を示す。 HepG2細胞におけるT1117の迅速な、飽和性取り込みを例示する図である。T1117の細胞侵入を、生細胞イメージングのための温度調節性チャンバーシステムを有するZeiss710共焦点顕微鏡で測定した。t=15分での代表的なイメージが示されている。バー、30μm。
T1117の細胞取り込みにおけるGPR55の役割を例示する図である。HepG2細胞を、CBR、CBR若しくはGPR55のいずれかに対するsiRNAオリゴ又は非サイレンシングsiRNA対照を用いて48時間トランスフェクトした。細胞を、血清不含培地で3時間維持し、続いて、T1117を添加した。規定のROIから、シグナル強度対時間のプロットを作製した。エラーバーは、各々、3〜4つのROIを用いて実施した2つの独立した研究の平均±S.D.を示す。 T1117の細胞取り込みにおけるGPR55の役割を例示する図である。相対AUCデータ、対照siRNA値を1に設定した。 T1117の細胞取り込みにおけるGPR55の役割を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、媒体(0.01%DMSO)、AM630(1μM)又はWIN55,212−2(1μM)で1時間処置し、続いて、T1117を添加した。エラーバーは、2回反復し、匹敵する結果が得られた単一の研究から得られた平均±S.D.(n=3つのROI)を示す。 T1117の細胞取り込みにおけるGPR55の役割を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、媒体(0.01%DMSO)、CP55,940(0.25μM)又はO−1602([5−メチル−4−[(1R,6R)−3−メチル−6−(1−メチルエテニル)−2−シクロヘキセン−1−イル]−1,3−ベンゼンジオール;0.25μM)を用いて30分間処置し、続いて、10nM T1117を添加した。エラーバーは、2回反復し、匹敵する結果が得られた単一の研究から得られた平均±S.D.(n=3つのROI)を示す。
T1117の細胞性取り込みに対するMNFの効果を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、MNF(1μM)若しくはAM251(10μM)を用いて、又は用いずに30分間前処置し、続いて、媒体(0.1%DMSO)、AM251又はMNFをさらに30分間添加した。次いで、細胞を10nM T1117とともにインキュベートした。図23A:規定のROIから、シグナル強度対時間のプロットを作製した。エラーバーは、各々3〜4つのROIを用いて実施した、2つの独立した研究の平均±S.D.を示す。 T1117の細胞性取り込みに対するMNFの効果を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、MNF(1μM)若しくはAM251(10μM)を用いて、又は用いずに30分間前処置し、続いて、媒体(0.1%DMSO)、AM251又はMNFをさらに30分間添加した。次いで、細胞を10nM T1117とともにインキュベートした。図23B:相対AUCデータ、DMSO値を1に設定した。 T1117の細胞性取り込みに対するMNFの効果を例示する図である。血清が枯渇したPANC−1細胞を、MNF(1μM)若しくはAM251(10μM)を用いて、又は用いずに30分間前処置し、続いて、媒体(0.1%DMSO)、AM251又はMNFをさらに30分間添加した。次いで、細胞を10nM T1117とともにインキュベートした。図23C:規定のROIから、シグナル強度対時間のプロットを作製した。エラーバーは、各々3〜4つのROIを用いて実施した、2つの独立した研究の平均±S.D.を示す。 T1117の細胞性取り込みに対するMNFの効果を例示する図である。血清が枯渇したPANC−1細胞を、MNF(1μM)若しくはAM251(10μM)を用いて、又は用いずに30分間前処置し、続いて、媒体(0.1%DMSO)、AM251又はMNFをさらに30分間添加した。次いで、細胞を10nM T1117とともにインキュベートした。図23D:相対AUCデータ、DMSO値を1に設定した。
MNFが、GPR55のリガンド誘導性内部移行を損なうことを示す図である。3xHAタグが付けられたhGPR55ベクターで安定にトランスフェクトされたHEK293細胞を、血清を欠乏させ、次いで、MNF(1μM)の不在下又は存在下、37℃で45分間、抗HA抗体とともにインキュベートした。十分に洗浄した後、O−1602(5μM)を、37℃で20分間細胞に添加して、GPR55内部移行を促進した。無傷の細胞を固定し、次いで、抗ウサギAlexa Fluor488抗体とともにインキュベートして、細胞表面GPR55を標識した。透過処理ステップの後、抗ウサギAlexa Fluor568抗体を添加して、細胞内GPR55を検出した。DAPIを用いて核を対比染色した。スケールバー=20μm。 MNFが、GPR55のリガンド誘導性内部移行を損なうことを示す図である。3xHAタグが付けられたhGPR55ベクターで安定にトランスフェクトされたHEK293細胞を、血清を欠乏させ、次いで、MNF(1μM)の不在下又は存在下、37℃で45分間、抗HA抗体とともにインキュベートした。十分に洗浄した後、O−1602(5μM)を、37℃で20分間細胞に添加して、GPR55内部移行を促進した。無傷の細胞を固定し、次いで、抗ウサギAlexa Fluor488抗体とともにインキュベートして、細胞表面GPR55を標識した。透過処理ステップの後、抗ウサギAlexa Fluor568抗体を添加して、細胞内GPR55を検出した。DAPIを用いて核を対比染色した。スケールバー=20μm。
MNFによるGPR55下流シグナル伝達における障害を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、MNF(1μM)の存在下で10分間前処置し又は処置せず、続いて、媒体、O−1602(2.5及び10μM)又は10%FBSをさらに10分間添加した。細胞溶解物を調製し、還元性SDS−PAGEゲル電気泳動によって分離し、総ERK及びERKのホスホ活性(phosphoactive)型について免疫ブロットした。図25A:代表的免疫ブロット。分子量マーカーの泳動(キロダルトンでの値)が、免疫ブロットの左に示されている。 MNFによるGPR55下流シグナル伝達における障害を例示する図である。血清が枯渇したHepG2細胞を、MNF(1μM)の存在下で10分間前処置し又は処置せず、続いて、媒体、O−1602(2.5及び10μM)又は10%FBSをさらに10分間添加した。細胞溶解物を調製し、還元性SDS−PAGEゲル電気泳動によって分離し、総ERK及びERKのホスホ活性型について免疫ブロットした。図25B:ホスホ−ERK1/2バンドは、総ERK2に対して標準化し、O−1602−10μM値を1に設定した。データは、2つの独立したディッシュの平均±範囲である。 MNFによるGPR55下流シグナル伝達における障害を例示する図である。血清が枯渇したPANC−1細胞を、MNF(1μM)の存在下で10分間前処置し又は処置せず、続いて、媒体、O−1602(2.5及び10μM)又は10%FBSをさらに10分間添加した。細胞溶解物を調製し、還元性SDS−PAGEゲル電気泳動によって分離し、総ERK及びERKのホスホ活性型について免疫ブロットした。図25C:代表的免疫ブロット。分子量マーカーの泳動(キロダルトンでの値)が、免疫ブロットの左に示されている。 MNFによるGPR55下流シグナル伝達における障害を例示する図である。血清が枯渇したPANC−1細胞を、MNF(1μM)の存在下で10分間前処置し又は処置せず、続いて、媒体、O−1602(2.5及び10μM)又は10%FBSをさらに10分間添加した。細胞溶解物を調製し、還元性SDS−PAGEゲル電気泳動によって分離し、総ERK及びERKのホスホ活性型について免疫ブロットした。図25D:ホスホ−ERK1/2バンドは、総ERK2に対して標準化し、O−1602−10μM値を1に設定した。データは、2つの独立したディッシュの平均±範囲である。
MNFが、細胞形態及びEGFRの発現の誘導可能な変化を干渉することを示す図である。血清を欠乏させたHepG2細胞を、DMSO(0.1%)又はMNF(1μM)の存在下で30分間プレインキュベートし、続いて、AM251(5μM)又はO−1602(5μM)を16時間添加した。未刺激のPANC−1細胞は、MNFを用いた場合も用いない場合も立方状の形態を示した。白色矢印は、糸状仮足を有する個々の細胞を示す。 MNFが、細胞形態及びEGFRの発現の誘導可能な変化を干渉することを示す図である。血清を欠乏させたPANC−1細胞を、DMSO(0.1%)又はMNF(1μM)の存在下で30分間プレインキュベートし、続いて、AM251(5μM)又はO−1602(5μM)を16時間添加した。未刺激のPANC−1細胞は、MNFを用いた場合も用いない場合も立方状の形態を示した。白色矢印は、糸状仮足を有する個々の細胞を示す。 MNFが、細胞形態及びEGFRの発現の誘導可能な変化を干渉することを示す図である。同様の研究から細胞溶解物を調製し、EGFRについて免疫ブロットした。膜をローディングコントロールとして働いたHsp90について再検出した。
MNFが、創傷治癒アッセイにおいて、HepG2及びPANC−1細胞のリガンド誘導性運動性を阻害することを示す図である。コンフルエントなHepG2細胞を、掻創に付した。細胞を、DMSO(0.1%)又はGPR55アゴニストAM251(1μM)の存在下で30分間インキュベートし、続いて、示される場合にMNF(1μM)を添加した。種々の時点で画像を撮った。図27A:相対創傷表面積を、経時的に測定し、プロットし、時間0での値を1に設定した。 MNFが、創傷治癒アッセイにおいて、HepG2及びPANC−1細胞のリガンド誘導性運動性を阻害することを示す図である。コンフルエントなHepG2細胞を、掻創に付した。細胞を、DMSO(0.1%)又はGPR55アゴニストAM251(1μM)の存在下で30分間インキュベートし、続いて、示される場合にMNF(1μM)を添加した。種々の時点で画像を撮った。図27B:24時間の時点での4つの独立した観察の相対創傷表面積がプロットされている。*P<0.05。 MNFが、創傷治癒アッセイにおいて、HepG2及びPANC−1細胞のリガンド誘導性運動性を阻害することを示す図である。コンフルエントなPANC−1細胞を、掻創に付した。細胞を、DMSO(0.1%)又はGPR55アゴニストAM251(1μM)の存在下で30分間インキュベートし、続いて、示される場合にMNF(1μM)を添加した。種々の時点で画像を撮った。図27C:相対創傷表面積を、経時的に測定し、プロットし、時間0での値を1に設定した。 MNFが、創傷治癒アッセイにおいて、HepG2及びPANC−1細胞のリガンド誘導性運動性を阻害することを示す図である。コンフルエントなPANC−1細胞を、掻創に付した。細胞を、DMSO(0.1%)又はGPR55アゴニストAM251(1μM)の存在下で30分間インキュベートし、続いて、示される場合にMNF(1μM)を添加した。種々の時点で画像を撮った。図27D:24時間の時点での4つの独立した観察の相対創傷表面積がプロットされている。***P<0.001。
5’−TAMRA−3−フェニルプロパン−1−アミン(TAMRA−PPA)及びT1117の構造を提供する図である。
TAMPRA−PPAイオンの質量スペクトルを提供する図であり、m/zは、548.0に相当する。
血清が枯渇したHepG2細胞におけるT1117(10nM)対TAMRA−PPA(20nM)の細胞蓄積の比較を提供する図である。細胞におけるTAMRA−PPA取り込みがないことに留意されたい。
代表的な創傷治癒アッセイの取り込み画像である。コンフルエントなHepG2細胞を、掻創に付し、図27A〜27Dについて上記のように処置した。4つの独立したアッセイにおいて同様のプロフィールが得られた。 代表的な創傷治癒アッセイの取り込み画像である。コンフルエントなPANC−1細胞を、掻創に付し、図27A〜27Dについて上記のように処置した。4つの独立したアッセイにおいて同様のプロフィールが得られた。 代表的な創傷治癒アッセイの取り込み画像である。コンフルエントなHepG2及びPANC−1細胞を、掻創に付した。細胞を非定型カンナビノイドO−1602(1μM)の存在下で30分間インキュベートし、続いて、媒体(DMSO、0.1%)又はMNF(1μM)を添加した。種々の時点で画像を撮った。24時間の時点での相対創傷表面積がプロットされている。**P<0.01。
I.導入
MNFなどの特定のフェノテロール類似体が、膠芽腫腫瘍細胞、肝細胞癌腫細胞、結腸癌細胞、肺癌細胞及び肝臓癌細胞を含めた種々の種類の腫瘍細胞の成長を阻害するという知見が本明細書において開示されている。特に、本発明者らは、フェノテロール類似体を特性決定し、その可能性ある治療活性を決定するための一連の研究を実施した。MNFは、ヒト由来肝細胞癌腫細胞(HepG2)並びにヒト(U87MG)及びラット(C6)由来膠芽腫細胞の成長を阻害することが、in vitroインキュベーションを使用して、及びヌードマウス中の側腹部に移植されたC6異種移殖片においてin vivoで観察された。これらの結果は、MNFがβ2−ARアゴニストであり、このクラスの化合物は、HepG2細胞において細胞成長を増大することがわかっていたので、予期しないものであった。結合及び機能的研究を実施し、これらによって、MNFが、GPR55カンナビノイド受容体の阻害剤として作用し、したがって、この標的に向けられる第1の可能性ある薬物の1種に相当するということが示された。最初のpK研究によって、この化合物が血液脳関門を通過することが実証され、最初の毒性研究によって、この薬物が、的外れの効果をほとんど有さないことが示された。β2−ARアゴニスト特性は陽性指標であり、MNFが心保護効果を有し得ることを示唆する。MNFはまた、それだけには限らないが、結腸癌細胞、肺癌細胞及び肝臓癌細胞を含めたさらなる種類の腫瘍細胞成長を大幅に阻害できるとわかった。さらに、(R,R’)−1−ナフチルフェノテロール(NF)などのさらなるフェノテロール化合物が、肝細胞癌腫細胞成長を阻害することがわかった。したがって、発見の本質は、CB受容体関連障害及び疾患、特に、現在有効な治療がない脳癌及び肝臓癌を含めたGRP55関連障害及び疾患を治療するために使用され得る新規クラスの化合物の同定である。これらの知見に基づいて、CB受容体活性を調節し、GRP55活性又は発現(又は両方)などのCB受容体活性又は発現(又は両方)によってモジュレートされる障害及び疾患を治療する方法が開示されている。
II.略語及び用語
略語
AKAP:A−キナーゼアンカリングタンパク質
AM251:1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−N−(1−ピペリジル)ピラゾール−3−カルボキサミド
AM630:1−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]−2−メチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−6−ヨードインドール
AR:アドレナリン受容体
BBB:血液脳関門
β2−AR:β2−アドレナリン受容体
CB:カンナビノイド
ERK:細胞外調節性キナーゼ
Fen:フェノテロール
GPR55:Gタンパク質共役型受容体55
GPCR:Gタンパク質共役型受容体
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
IAM−PC:固定化人工膜クロマトグラフィー支持体
ICI118,551:3−(イソプロピルアミノ)−1−[(7−メチル−4−インダニル)オキシ]ブタン−2−オール
ICYP:[125I]シアノピンドロール
IP:腹膜内
IV:静脈内
MNF:4−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール
NF:ナフチルフェノテロール
OGTT:経口糖負荷試験
UV:紫外
用語
別に説明のない限り、本明細書において使用されたすべての技術用語及び科学用語は、開示されている主題が属する分野において当業者によって一般的に理解されているものと同一の意味を有する。化学における一般用語の定義は、The McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms、1985年及びThe Condensed Chemical Dictionary、1981年に見出すことができる。
別に記載される場合を除いて、任意の定量的値は、単語「約」又は「およそ」などが記載されていようとそうでなかろうと、近似である。本明細書に記載される材料、方法及び実施例は、単に例示であって、制限であるよう意図されない。任意の分子量(molecular weight)又は分子量(molecular mass)の値は、近似であり、単に説明のために提供される。別に記載される場合を除いて、本発明の方法及び技術は、当技術分野で周知であり、本明細書を通じて引用され、論じられる種々の一般的な参考文献及びより特定の参考文献に記載されるような従来法に従って一般に実施される。例えば、Loudon、Organic Chemistry、第4版、New York:Oxford University Press、2002年、360〜361頁、1084〜1085頁;Smith及びMarch、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisms、and Structure、第5版、Wiley−Interscience、2001年;又はVogel、A Textbook of Practical Organic Chemistry、Including Qualitative Organic Analysis、第4版、New York:Longman、1978年を参照のこと。
本明細書において開示されている種々の実施形態の再検討を容易にするために、以下の特定の用語の説明を提供する:
アシル:式RC(O)−(式中、Rは、有機基である)の基。
アシルオキシ:構造−OC(O)R(式中、Rは、所望により置換されていてもよいアルキル又は所望により置換されていてもよいアリールであり得る)を有する基。「低級アシルオキシ」基とは、Rが、1〜10個(例えば、1〜6個)の炭素原子を含有するものである。
投与:対象に、任意の有効な経路によって1種又は複数のフェノテロール類似体を含む医薬組成物などの組成物を提供又は与えること。例示的投与経路として、それだけには限らないが、注射(皮下、筋肉内、皮内、腹膜内(IP)及び静脈内(IV)など)、経口、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、経膣及び吸入経路が挙げられる。
アルコキシ:構造−O−R(式中、Rは、置換又は非置換アルキルである)を有するラジカル(又は置換基)。メトキシ(−OCH)は、例示的アルコキシ基である。置換アルコキシでは、Rは、非干渉置換基で置換されたアルキルである。「チオアルコキシ」とは、−S−R(式中、Rは、置換又は非置換アルキルである)を指す。「ハロアルキルオキシ」とは、ラジカル−OR(式中、Rは、ハロアルキルである)を意味する。
アルコキシカルボニル:式−C(O)OR(式中、Rは、所望により置換されていてもよいアルキル又は所望により置換されていてもよいアリールであり得る)の基。「低級アルコキシカルボニル」基とは、Rが、1〜10個(例えば、1〜6個)の炭素原子を含有するものである。
アルキル:別に明確に記載されない限り、1〜15個の炭素原子;例えば、1〜10個、1〜6個又は1〜4個の炭素原子を含有する、非環式、飽和、分岐又は直鎖炭化水素基。この用語は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル又はドデシルなどの基を含む。用語「低級アルキル」とは、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基を指す。「非置換アルキル」と明確に呼ばれない限り、アルキル基は、非置換である場合も、置換されている場合もある。アルキル基は、1個又は複数の置換基(例えば、アルキル鎖中の各メチレン炭素について最大2個の置換基)で置換されてもよい。例示的アルキル置換基として、例えば、アミノ基、アミド、スルホンアミド、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アルキル、アルコキシ(メトキシなど)、アルキルチオ、チオアルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルファノ、ケト又はその他の官能基が挙げられる。
アミノカルボニル(カルバモイル):式C(O)N(R)R’(式中、R及びR’は互いに独立に、水素又は低級アルキル基である)の基。
抗糖尿病薬:それだけには限らないが、2型糖尿病と関連している症状を軽減する薬剤又は2型糖尿病の進行若しくは発症を減速する薬剤を含めた糖尿病を治療できる化学的又は医薬上の抗高血糖性薬剤又は薬物。抗糖尿病薬は、一般に6つのクラスに分類される:ビグアナイド;チアゾリジンジオン;スルホニル尿素;炭水化物吸収の阻害剤;脂肪酸オキシダーゼ阻害剤及び抗脂肪分解性薬物;並びに体重減少剤。抗糖尿病薬として、参照により本明細書に組み込まれる、Diabetes Care、22(4):623〜634(1999年)に開示されている薬剤が挙げられる。抗糖尿病薬の1つの一般定なクラスとして、スルホニル尿素があり、これは、インスリンの分泌を増大し、肝臓の糖新生を低減し、インスリン受容体感受性を増大すると考えられている。別のクラスの抗糖尿病薬として、ビグアナイド抗高血糖症薬があり、これは、高インスリン血症を誘導せずに、肝臓のグルコース産生及び腸管吸収を低減し、末梢のグルコース取り込み及び利用を増大する。いくつかの例では、抗糖尿病薬は、GPR55活性などのCB受容体活性をモジュレートできる、開示されているフェノテロール類似体である。
星状細胞腫:星状細胞から起こる脳の腫瘍。星状細胞腫は、原発腫瘍の一例である。星状細胞腫は、最も一般的な神経膠腫であり、脳のほとんどの部分で、時には、脊髄において起こり得る。しかし、星状細胞腫は、大脳において最もよく見られる。一例では、星状細胞腫は、対象に、治療上有効な量のフェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを投与し、それによって、星状細胞腫成長を阻害することによって阻害される。
β2−アドレナリン受容体(β2−AR):G−タンパク質共役型受容体ファミリーのメンバーであるアドレナリン受容体のサブタイプ。β2−ARサブタイプは、呼吸器疾患、心血管疾患、早産及び本明細書において開示されているように、腫瘍発達に関与している。β2−ARの発現の増大は、治療標的として働き得る。現在、いくつかの薬物、例えば、アルブテロール、フォルモテロール、イソプロテレノール又はサルメテロールが、β2−ARアゴニスト活性を有する。本明細書において開示されているように、フェノテロール及びフェノテロール類似体は、β2−ARアゴニストである。
血液脳関門(BBB):脳及び中枢神経系に供給する毛細血管において上皮細胞によって形成される障壁。この障壁は、水、酸素、二酸化炭素並びにグルコース、アルコール及び全身麻酔薬などの非イオン性溶質の侵入を選択的に可能にし、その他の物質の侵入を遮断する。アミノ酸などのいくつかの小分子は、特異的輸送機構によって障壁を越えて取り込まれる。一例では、フェノテロール又は開示されているフェノテロール類似体は、障壁を通過できる。
肥満度指数(BMI):ヒトにおいて体重を測定するための数式、ケトレー指数と呼ばれることもある。BMIは、体重(kgで)を身長(メートルで)で除すことによって算出される。「正常」と認められる男性及び女性両方の現在の標準は、20〜24.9kg/mのBMIである。一実施形態では、25kg/mを超えるBMIが、肥満対象を同定するために使用され得る。グレードI肥満症は、25〜29.9kg/mのBMIに相当する。グレードII肥満症は、30〜40kg/mのBMIに相当する。グレードIII肥満症は、40kg/mを超えるBMIに相当する(Jequier、Am.J Clin.Nutr.、45:1035〜47、1987年)。理想的な体重は、身長、体質、骨の構造及び性別に基づいて個人毎に変わる。
カンナビノイド受容体:Gタンパク質共役型受容体スーパーファミリー下の細胞膜受容体のクラス。カンナビノイド受容体は、7回膜貫通ドメインを含有する。カンナビノイド受容体は、3つの主要な群のリガンド、内因性カンナビノイド(哺乳動物の身体によって産生される)、植物カンナビノイド(大麻植物によって産生されるTHCなど)及び合成カンナビノイド(HU−210など)によって活性化される。内因性カンナビノイド及び植物カンナビノイドのすべては、親油性、すなわち、脂溶性化合物である。カンナビノイド受容体の2つのサブタイプとして、CB(GenBank受託番号NM_033181 mRNA及びUniProt P21554を参照のこと、その各々は、2012年5月23日現在で参照により本明細書に組み込まれる)及びCB(GenBank受託番号NM_001841 mRNA及びUniProt P34972を参照のこと、その各々は、2012年5月23日現在で参照により本明細書に組み込まれる)。CB受容体は、脳(中枢神経系、CNS)において主に発現されるが、肺、肝臓及び腎臓においても発現される。CB受容体は、免疫系において、及び造血細胞において主に発現される。さらなる非CB及び非CBとして、GPR55(GenBank受託番号NM_005683.3又はNP_005674.2タンパク質、その各々は、2012年5月23日現在で参照により本明細書に組み込まれる)、GPR119(GenBank受託番号NM_178471.2又はNP_848566.1タンパク質、その各々は、2012年5月23日現在で参照により本明細書に組み込まれる)及びGPR18(N−アラキドニルグリシン受容体としても知られ、ミクログリア遊走に関与している、GenBank受託番号NM_001098200 mRNA、NP_001091670.1、その各々は、2012年5月23日現在で参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。
CB及びCB受容体のタンパク質配列は、約44%が類似している。受容体の膜貫通領域のみが考慮される場合には、2種の受容体サブタイプ間のアミノ酸類似性は、およそ68%である。さらに、各受容体におけるわずかな変動が同定されている。カンナビノイドは、カンナビノイド受容体と、可逆性に、立体選択的に結合する。個々のカンナビノイドの各受容体に対する親和性が、そのカンナビノイドの効果を左右する。特定の受容体とより選択的に結合するカンナビノイドは、医学的利用にとってより望ましいものである。GPR55は、G−タンパク質G13及び/又はG11に共役され、受容体の活性化が、rhoA、cdc42及びrac1の刺激につながる。GPR55は、植物カンナビノイドΔ−THC及びカンナビジオール、並びに内因性カンナビノイドであるアナンダミド、2−AG、ノラジンエーテルによって、低いナノモル範囲で活性化される。対照的に、CB及びCB受容体は、阻害性Gタンパク質と共役される。これは、両種の受容体が異なる読み取り値を有するということを示す。例えば、CB1の活性化は、アポトーシスを引き起こすのに対して、GPR55活性の増大は、発癌性である。CB1受容体アンタゴニスト(「インバースアゴニスト」とも呼ばれる)化合物、AM251は、実際、GPR55のアゴニストである。GPR55と結合し、直ちに内部移行される。これは、これら2種のGPCRの反対の挙動を示す。MNFは、CB1受容体アゴニスト(WIN55,212−2と類似)であるが、GPR55の阻害剤、ひいては、選択された癌細胞におけるMNFのアポトーシス促進性挙動として作用すると本明細書において示される。
本明細書において開示されているように、MNF及びNFなどの特定のフェノテロール類似体は、GPR55の調節因子などのカンナビノイド受容体調節因子である。一例では、フェノテロール類似体が、単独又はその他の薬剤と組み合わせて、カンナビノイド受容体(GPR55など)によってモジュレートされる、障害(例えば、代謝性、炎症性、疼痛性などの障害)又は疾患(例えば、肝細胞癌腫、膠芽腫、肝臓癌、肺癌、結腸癌、脳癌、糖尿病又は炎症性疾患)と関連している1種又は複数の症状又は徴候を低減又は阻害するために対象に投与される。
カルバマート:式−OC(O)N(R)−(式中、Rは、H又は低級アルキル基若しくはアラルキル基などの脂肪族基である)の基。
化学療法;化学療法薬:本明細書において、異常な細胞成長を特徴とする疾患の治療において治療上の有用性を有する任意の化学剤。このような疾患として、腫瘍、新生物及び癌並びに過形成性成長を特徴とする疾患が挙げられる。一実施形態では、化学療法薬は、CB受容体活性及び/又は発現と関連している腫瘍を含めた、固形腫瘍などの新生物の治療において使用するための薬剤である。一実施形態では、化学療法薬は、放射活性分子である。いくつかの実施形態では、1種又は複数のフェノテロール類似体又はそれらの組合せなどのCB受容体調節因子は、化学療法薬である。一例では、化学療法薬は、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、ストレプトゾシン又はそれらの組合せである。当業者ならば、役立つ化学療法薬を容易に同定できる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第14版中、Slapak及びKufe、Principles of Cancer Therapy、第86章;Abeloff、Clinical Oncology第2版、(C)2000 Churchill Livingstone,Inc中、Perryら、Chemotherapy、第17章;Baltzer L.、Berkery R.(編):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy、第2版St. Louis、Mosby−Year Book、1995年;Fischer DS、Knobf MF、Durivage HJ(編):The Cancer Chmotherapy Handbook、第4版St. Louis、Mosby−Year Book、1993年を参照のこと)。
対照又は参照値。「対照」とは、試験サンプルとの比較のために使用されるサンプル又は標準を指す。いくつかの実施形態では、対照は、健常対象から得られたサンプル又はβ2−アゴニストを用いる治療に応答しなかった腫瘍などの障害又は疾患を有すると診断された患者から得られた組織サンプルである。いくつかの実施形態では、対照は、歴史的対照又は標準参照値又は値の範囲である(これまでに試験された対照サンプルなど、CB受容体を発現する腫瘍を有さない対象の群又はベースライン若しくは正常値を表すサンプルの群など、フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを用いる治療に応答しない腫瘍組織におけるCB受容体のレベルなど)。
真性糖尿病:真性糖尿病は、尿崩症と混同されてはならないが、「糖尿病」に一般的に簡易化される、制御されない炭水化物代謝につながるインスリンの相対的又は絶対的欠乏によって引き起こされる疾患。本明細書において、「糖尿病」とは、特に断りのない限り、真性糖尿病を指す。「糖尿病状態」は、糖尿病前症及び糖尿病を含む。I型糖尿病(「インスリン依存性糖尿病」又は「若年発症糖尿病」と呼ばれることもある)は、インスリンの完全な欠乏又はほぼ完全な欠乏につながる膵臓β細胞の破壊を特徴とする自己免疫疾患である。2型糖尿病(「非インスリン依存性糖尿病」又は「成人発症糖尿病」と呼ばれることもある)では、身体は、インスリンは存在するが、それに応答しない。
糖尿病の症状として、過度の口渇(多飲症);頻繁な排尿(多尿症);過度の空腹感又は持続する摂食(過食症);説明のつかない体重減少;尿中のグルコースの存在(糖尿);疲労(tiredness)又は疲労(fatigue);視覚の変化;四肢(手、足)におけるしびれ又は刺痛;回復が遅い創傷又は痛むところ;及び異常に高頻度の感染が挙げられる。糖尿病は、7.0mmol/L(126mg/dL)以上の空腹時血漿グルコース(FPG)濃度又は75gの負荷を用いる経口糖負荷試験(OGTT)の約2時間後の11.1mmol/L(200mg/dL)以上の血漿グルコース濃度によって臨床的に診断され得る。糖尿病のより詳細な説明は、Cecil Textbook of Medicine、J.B.Wyngaardenら編(W.B.Saunders Co.、Philadelphia、1992年、第19版)に見出すことができる。
以下の危険因子のうち1種又は複数を示す対象は、2型糖尿病を発症する大きな又は相当な危険を有すると考えられる:
1.約30kg/m以上のBMIなどの肥満症;
2.高い空腹時血糖(FPG)レベル;
3.耐糖能異常(IGT);
4.非白人民族性;
5.高インスリン血症;
6.高トリグリセリド血症;
7.糖尿病の家族歴;
8.妊娠糖尿病の病歴;
9.セデンタリーライフスタイル;及び
10.ヒトでは、中年又は高齢者の状態(すなわち、40歳以上)。
「非糖尿病」又は「正常」対象は、1型糖尿病、2型糖尿病又は糖尿病前症などのいずれの形態の糖尿病も有さない。
誘導体:別の化学物質とは、1個又は複数の官能基によって異なる化学物質。誘導体(フェノテロール類似体など)は、それが導かれた分子の生物活性(CB受容体活性化)を保持することが好ましい(CB受容体、例えば、GPR55を調節できるフェノテロール類似体など)。
有効量:状態又は疾患と関連している1種又は複数の徴候又は症状の低減又は阻害などの、所望の反応をもたらすのに十分である薬剤の量。対象に投与されると、標的組織濃度を達成する投与量が、一般に使用される。いくつかの例では、「有効量」は、障害又は疾患のいずれかの1種又は複数の症状及び/又は根底にある原因を治療するものである。いくつかの例では、「有効量」とは、薬剤単独が、さらなる治療薬(単数又は複数)(例えば、化学療法薬)とともに、腫瘍の治療などの所望の反応を誘導する「治療上有効な量」である。一例では、所望の反応は、療法が施される対象において腫瘍の大きさ又は転移を低減することである。組成物が有効であるには、腫瘍転移が完全に排除される必要はない。例えば、組成物は、組成物の不在下での転移と比較して、転移を所望の量、例えば、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又はさらに少なくとも100%(腫瘍の排除)低減し得る。
特定の例では、投与される対象、例えば、1種又は複数の癌腫を有する対象においてなど、いくつかの癌腫細胞を低減するのに有効な薬剤の量である。組成物が有効であるには、癌細胞は、完全に排除される必要はない。例えば、組成物は、組成物の不在下での癌細胞数と比較して、癌細胞の数を所望の量、例えば、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又はさらに少なくとも100%(検出可能な癌細胞の排除)低減し得る。
いくつかの例では、有効量は、CB受容体、例えば、GPR55発現及び/又は活性と関連している障害又は疾患の低減、阻害及び/又は治療において有用な(R,R’)−又は(R,S’)−フェノテロール類似体(単数又は複数)の量である。理想的には、薬剤の治療上有効な量は、対象において細胞傷害効果を引き起こさずに、対象において障害を低減、阻害及び/又は治療するのに十分な量である。
対象において障害を低減、阻害及び/又は治療するのに有用な組成物の有効量は、治療されている対象、障害の重篤度及び治療用組成物の投与方法に応じて変わる。治療薬の有効量は、脳腫瘍などの腫瘍を有する対象の腫瘍の大きさの低減又は生理学的状態の改善についてアッセイすることなど、多数の異なる方法で決定され得る。有効量はまた、種々のin vitro、in vivo又はin situアッセイによって決定され得る。
膠芽腫:原発性脳腫瘍の一般的な、悪性形態。膠芽腫は、グレードIV星状細胞腫であり、普通、脳において迅速に広がる。一例では、膠芽腫は、治療上有効な量のフェノテロール類似体を、対象にCB受容体、例えば、GPR55を調節できるその他の薬剤とともに投与し、それによって、膠芽腫と関連している1種又は複数の症状を阻害することによって阻害される。
炎症:組織への損傷が起こると、損傷に対する身体の反応は、普通、炎症である。損傷は、外傷、血液供給の欠如、出血、自己免疫発作、移植された外因性組織又は感染によるものであり得る。この身体による全身性反応は、多数の免疫系の成分(例えば、IL−1及びTNF)の放出、損傷部位への細胞の誘引、流体の放出及びその他のプロセスによる組織の膨潤を含む。いくつかの例では、炎症と関連している1種又は複数の徴候又は症状を、治療、例えば、低減又は阻害するために、CB受容体活性を調節できる開示されているフェノテロール類似体が使用される。
異性体:同一分子式を有するが、性質又はその原子の結合の配列又は空間におけるその原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。空間におけるその原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。2つ以上のキラル中心を含有し、互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオマー」と呼ばれる。互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体(Steroisomers)は、「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する場合には、例えば、炭素原子が、4種の異なる基と結合している場合には、1対のエナンチオマーがあり得る。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置を特徴とし得、Cahn及びPrelogのR−及びS−配列決定ルールによって、又は分子が偏光面を回転する方法によって記載され、右旋性又は左旋性と(すなわち、それぞれ、(+)又は(−)異性体と)表される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はそれらの混合物として存在し得る。等割合のエナンチオマーを含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
本明細書において記載される化合物は、1つ又は複数の不斉中心を有し得;したがって、このような化合物は、個々の(R)、(S)、(R,R’)、(R,S’)−立体異性体として、又はそれらの混合物として製造され得る。特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲において特定の化合物の説明又は名称は、個々のエナンチオマー及びそのラセミ又は別の混合物の両方を含むものとする。立体化学を決定する方法及び立体異性体を分離する方法は、当技術分野で周知である(例えば、March、Advanced Organic Chemistry、第4版、New York:John Wiley and Sons、1992年、第4章を参照のこと)。
肥満症:過剰の体脂肪がヒトを健康上危険な状態にさらし得る状態(Barlow及びDietz、Pediatrics102:E29、1998年;National Institutes of Health、National Heart,Lung,Blood Institute (NHLBI)、Obes.Res.6(付録2):51S〜209S、1998年を参照のこと)。過剰の体脂肪は、エネルギー摂取及びエネルギー消費の不均衡の結果である。一実施形態では、ヒトにおいて、肥満症を評価するために肥満度指数(BMI)が使用される。一実施形態では、25.0kg/m〜29.9kg/mのBMIは、過体重であり、30kg/mのBMIは、肥満である。
別の実施形態では、ヒトにおいて、肥満症を評価するためにウエスト周囲が使用される。この実施形態では、男性において、102cm以上のウエスト周囲が肥満と考えられ、女性においては、89cm以上のウエスト周囲が肥満と考えられる。強力な証拠によって、肥満症が、個体の罹病率及び死亡率の両方に影響を及ぼすことが示されている。例えば、肥満個体は、中でも、心疾患、非インスリン依存性(2型)糖尿病、高血圧症、卒中、癌(例えば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌及び結腸癌)、脂質異常症、胆嚢疾患、睡眠時無呼吸、受精能の低下及び変形性関節症の危険が増大している(Lyznickiら、Am.Fam.Phys.63:2185、2001年を参照のこと)。
任意選択の:「任意選択の」又は「所望により」とは、その後に記載される事象又は状況が起こり得るが必ずしもそうではないこと並びに記載が、前記事象又は状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むということを意味する。
経口糖負荷試験(OGTT):糖尿病の診断試験。一晩絶食した後、対象に、普通、50〜100グラムのグルコースを含有する、飲むための濃縮糖溶液が提供される。血糖レベルを経時的に調べるために、対象の血液が、その後2、3〜数時間にわたって周期的にサンプリングされる。非糖尿病対象では、血糖濃度は、わずかな上方シフトを示し、2〜3時間以内に正常に戻る。糖尿病対象では、血糖濃度は、絶食後正常よりも全般的に高く、対象が、グルコース溶液を飲んだ後はより上がり、正常に戻るのに数時間かかる場合もある。140mg/dl以上及び200mg/dl未満のOGTTは、対象が糖尿病前症を有することを示す。200mg/dl以上のOGTTは、対象が明らかな糖尿病を有することを示し、140mg/dl未満のOGTTは、対象が正常(健常)であり、糖尿病前症又は糖尿病を有さないことを示す。
過体重:理想体重よりも重い個体。過体重個体は肥満であり得るが、必ずしも肥満ではない。一実施形態では、過体重ヒト個体は、その体重を減らしたいと思っている任意の個体である。別の実施形態では、過体重ヒト個体は、25.0kg/m〜29.9kg/mのBMIを有する個体である。
医薬上許容される担体:この開示において有用な医薬上許容される担体(媒体)は、従来のものである。E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第19版(1995年)には、1種又は複数の治療用化合物又は分子、例えば、1種又は複数の核酸分子、タンパク質又はこれらのタンパク質と結合する抗体及びさらなる医薬品の医薬送達に適した組成物及び製剤が記載されている。
一般に、担体の性質は、使用されている特定の投与様式に応じて変わる。例えば、非経口製剤は、普通、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどといった医薬上及び生理学上許容される流体を、媒体として含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤又はカプセル剤形態)用には、従来の非毒性固体担体として、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。投与されるべき医薬組成物は、生物学的に中性の担体に加えて、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、保存料及びpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウラートを含有し得る。
フェニル:フェニル基は、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基で置換されていてもよく、置換基(単数又は複数)は、アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、チオアルコキシ、ハロ、ハロアルキル(−CFなど)、ニトロ、シアノ、−OR(式中、Rは、水素又はアルキルである)、−N(R)R’(式中、R及びR’は互いに独立に、水素又はアルキルである)、−COOR(式中、Rは、水素又はアルキルである)又は−C(O)N(R’)R”(式中、R’及びR”は独立に、水素又はアルキルから選択される)から独立に選択される。
精製された:用語「精製された」は、完全に純粋であることを必要とせず、むしろ、相対的な用語として意図される。したがって、例えば、精製された調製物とは、フェノテロールの(R,R’)−エナンチオマーなどの所望の成分が、(±)−フェノテロール混合物中などの前の環境においてよりも濃縮されているものである。フェノテロールの(R,R’)−エナンチオマーなどの所望の成分は、例えば、サンプルの少なくとも約70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、92重量%、95重量%、97重量%、98重量%又は99重量%が、所望の成分からなる場合に、精製されたと考えられる。化合物の純度は、例えば、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)又はその他の従来法によって決定され得る。一例では、特定のフェノテロール類似体エナンチオマーは、精製された調製物中に存在するその他のエナンチオマーの90%超、多くの場合は、95%超に相当するよう精製される。その他の場合には、精製された調製物は、本質的に均一であり、これでは、その他の立体異性体は1%未満である。
本明細書に記載される化合物は、シリカゲル及び/又はアルミナクロマトグラフィーを含めた当技術分野で公知の手段のいずれかによって、精製された形態で得られ得るか、又は精製され得る。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography、第2版、Snyder及びKirkland編、New York:John Wiley and Sons、1979年;並びにThin Layer Chromatography、Stahl編、New York:Springer Verlag、1969年を参照のこと。一例では、化合物は、その他の混入物に対してサンプルの、少なくとも約70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、92重量%、95重量%、97重量%、98重量%又は99重量%の純度を有する、精製されたフェノテロール又はフェノテロール類似体を含む。さらなる例では、化合物は、各々、その他の混入物に対してサンプルの、少なくとも約70重量%、80重量%、85重量%、90重量%、92重量%、95重量%、97重量%、98重量%又は99重量%の純度を有する、少なくとも2種の精製された立体異性体を含む。例えば、化合物は、実質的に精製された(R,R’)−フェノテロール類似体及び実質的に精製された(R,S’)−フェノテロール類似体を含み得る。
対象:用語「対象」は、ヒト及び獣医学対象の両方、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウス及びウシを含む。同様に、哺乳動物という用語は、ヒト及び非ヒト哺乳動物を含む。
組織:複数の機能的に関連している細胞。組織は、懸濁液、半固体又は固体であり得る。組織は、脳又はその一部などの対象から収集された細胞を含む。
腫瘍:悪性であろうが、良性であろうが、すべての新生細胞成長及び増殖並びにすべての前癌性及び癌性細胞及び組織。原発腫瘍とは、腫瘍進行が始まり、この量を生成するよう進行した解剖学的部位で成長している腫瘍である。原発性脳腫瘍(神経膠腫とも呼ばれる)は、脳を起源とする腫瘍である。例示的原発性脳腫瘍として、星状細胞腫、膠芽腫、上衣腫、乏突起神経膠腫(oligodendroglomas)及び混合膠腫が挙げられる。いくつかの例では、原発性脳腫瘍は、CB受容体を発現する、例えば、CB受容体発現と関連している膠芽腫。
〜に十分な条件下で:所望の活性を可能にする任意の環境を説明するために使用される語句。一例では、〜に十分な条件下は、1種又は複数のフェノテロール類似体、フェノテロール又はそれらの組合せを、所望の活性を可能にするのに十分な濃度で、対象に投与することを含む。いくつかの例では、所望の活性は、原発性脳腫瘍、肝細胞癌腫、肝臓癌、結腸癌又は肺癌などの障害又は疾患と関連している徴候又は症状を低減又は阻害することであり、例えば、感受性対象における腫瘍の臨床症状の発症の遅延、腫瘍の臨床症状の一部若しくはすべての重篤度の低減、腫瘍の遅い進行(例えば、腫瘍を有する対象の生命の延長によって)、腫瘍再発数の低減、対象の全体的な健康若しくは幸福の改善によって、又は特定の疾患にとって特異的である当技術分野で周知のその他のパラメータによって証明され得る。1つの特定の例では、所望の活性は、星状細胞腫、膠芽腫又は肝細胞癌腫成長などの腫瘍成長を防止又は阻害することである。治療が有効と考えられるために、腫瘍成長が、完全に阻害されることを必要としない。例えば、少なくとも約10%の低減などの成長の部分的な低減又は減速、例えば、少なくとも20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%又はそれより多くが有効であると考えられる。
III.(R,R’)−フェノテロール及びフェノテロール類似体
A.化学構造
本明細書において開示されているいくつかの例示的フェノテロール類似体は、式:

[式中、R〜Rは独立に、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル又はそれらの組合せであり、
は、H又は低級アルキルであり、
は、低級アルキル、

(式中、X及びYは独立に、水素、低級−OR及び−NRから選択され、
は、低級アルキル又はアシルであり、
及びRは独立に、水素、低級アルキル、アルコキシカルボニル、アシル又はアミノカルボニルである)である]
を有する。
上記のフェノテロール類似体の一般式に、引き続き関して、Yは、−OHであり得る。
一実施形態では、Rは、所望により、1、2又は3個の置換基を有する、1−又は2−ナフチル誘導体である。このようなR基の例は、式

[式中、Y、Y及びYは独立に、水素、ハロゲン、SH、スルホキシド、スルホン、スルファンアミドを含めた硫黄含有部分並びに関連アルキル及び芳香族置換部分、低級−OR及び−NRであり、Rは、各出現について独立に、低級アルキル及びアシルから選択され、R及びRは独立に、水素、低級アルキル、アルコキシカルボニル、アシル又はアミノカルボニル(カルバモイル)である]
によって表される。特定の化合物では、Y、Y及びYのうち少なくとも1つは、−OCHである。
特定のR基は、式

[式中、Rは、メチル、エチル、プロピル若しくはイソプロピル又はアセチルなどのアシルなどの低級アルキルである]
によって表されるものを含む。
例示的R基として、

が挙げられる。
一例では、Rは、低級アルキルであり、Rは、

[式中、X及びYは独立に、H、低級アルキル−OR及び−NRから選択され、Rは、低級アルキルであり、R及びRは独立に、水素又は低級アルキルである]
である。
さらなる例では、Rは、エチル、n−プロピル及びイソプロピルから選択され、Rは、式

[式中、XはH、−OR又は−NRである]
を有する。例えば、Rは、メチルであり得、又はR及びRは、水素である。
さらなる例では、Rは、式

を有する。
さらなる実施形態では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルから選択され、Rは、

を表す。
いくつかの実施形態では、R〜Rは独立に、水素であり、Rは、低級アルキル(CH又はCHCHなど)であり、Rは、低級アルキル、

[式中、X、Y、Y及びYは独立に、水素、−OR及び−NRであり、Rは独立に、水素、低級アルキル、アシル、アルコキシカルボニル又はアミノカルボニルであり、R及びRは独立に、水素、低級アルキル、アルコキシカルボニル、アシル又はアミノカルボニルである]
であり、化合物は、光学活性である。
いくつかの実施形態では、R〜Rは独立に、水素であり、Rは、メチル又はエチルであり、Rは、

[式中、Xは、−OH又は−OCHである]
である。
いくつかの実施形態では、R〜Rは独立に、水素であり、Rは、メチル又はエチルであり、Rは、

である。
例示的化合物として、それだけには限らないが、(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)又は(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)が挙げられる。
in vivoで切断されてヒドロキシ基を提供し得るR〜Rの適した基の例として、制限するものではないが、アシル、アシルオキシ及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。このような切断可能な基を有する化合物は、「プロドラッグ」と呼ばれる。用語「プロドラッグ」とは、本明細書において、in vivoでヒドロキシル基に変換可能である(例えば、加水分解によって)置換基を含む化合物を意味する。例えば、Bundgaard(編)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985年);Widderら(編)、Methods in Enzymology、第4巻、Academic Press(1985年);Krogsgaard−Larsenら(編)、Design and Application of Prodrugs、Textbook of Drug Design and Development、第5章、113 191(1991年);Bundgaardら、Journal of Drug Delivery Reviews、8:1 38(1992年);Bundgaard、Pharmaceutical Sciences、77:285以下参照(1988年);並びにHiguchi及びStella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975年)に論じられるように、種々の形態のプロドラッグが当技術分野で公知である。
いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量のMNF、NF又はそれらの組合せを投与することを含む。いくつかの実施形態では、投与することは、治療上有効な量のMNFを投与することを含む。
いくつかの実施形態では、方法は、GPR55を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫などのCB受容体によって調節される障害又は疾患を治療するために、CB受容体障害又は疾患を調節できる開示されているフェノテロール類似体のいずれかと、医薬上許容される担体とを含有する治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む。例えば、開示されている(R,R’)−MNF、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−NF、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−アミノNF、(R,R’)−ヒドロキシNF又はそれらの組合せ。
例示的(R,R’)−化合物は、

[X及びR〜Rは、上記のとおりである]
の化学構造を有する。
さらなる例示的(R,R’)−化合物は、化学構造:

を有する。
例示的(R,S’)−化合物は、化学構造:

[式中、X及びR〜Rは、上記のとおりである]
を有する。
さらなる例示的(R,S’)−化合物は、化学構造:

を有する。
例示的(S,R’)−化合物は、化学構造:

[式中、X及びR〜Rは、上記のとおりである]
を有する。
例示的(S,S’)−化合物は、化学構造:

[式中、X及びR〜Rは、上記のとおりである]
を有する。
フェノテロールの種々の立体異性体を例示する化学構造の例は、以下に提供される。
特定の方法実施形態は、(R,R’)−フェノテロール又は本明細書において記載されるフェノテロール類似体のいずれかの溶媒和物(水和物など)、医薬上許容される塩及び/又は種々の物理的形態の使用を考慮する。
1.溶媒和物、塩及び物理的形態
「溶媒和物」とは、化合物の、1種又は複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合及び共有結合を含み、例として、共有結合付加物及び水素結合された溶媒和物を含む。特定の場合には、溶媒和物は、例えば、結晶固体の結晶格子中に1つ又は複数の溶媒分子が組み込まれる場合には単離できる。「溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物として、エタノール会合化合物、メタノール会合化合物などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子(単数又は複数)がHOである溶媒和物である。
開示されている化合物はまた、いくつかの塩形成基が存在する場合には、混合塩及び/又は内部塩を含む塩を包含する。塩は、一般に、非毒性である医薬上許容される塩である。塩は、任意の種類(有機及び無機の両方)のもの、例えば、フマル酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩及びリン酸塩であり得る。一例では、塩は、元素周期表においてVII族を形成する非金属(例えば、ハロゲン)を含む。例えば、化合物は、臭化水素酸塩として提供され得る。
塩形成基のさらなる例として、それだけには限らないが、適した塩基と塩を形成し得る、カルボキシル基、ホスホン酸基又はボロン酸基が挙げられる。これらの塩として、例えば、元素周期表のIA、IB、IIA及びIIB族の金属に由来する非毒性金属カチオンを挙げることができる。一実施形態では、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムイオンなどのアルカリ金属カチオン又はマグネシウム若しくはカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属が使用され得る。塩はまた、亜鉛又はアンモニウムカチオンであり得る。塩はまた、非置換又はヒドロキシル置換モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン、特に、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミンなどの適した有機アミンで、或いは第四級アンモニウム化合物で、例えば、N−メチル−N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−若しくはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、例えば、モノ−、ビス−若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン又はトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、例えば、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン若しくはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン又はN−メチル−D−グルカミン、又はテトラブチルアンモニウム塩などの第四級アンモニウム化合物で形成され得る。
本明細書において開示されている例示的化合物は、無機酸との酸塩基塩を形成し得る少なくとも1個の塩基性基を有する。塩基性基の例として、それだけには限らないが、アミノ基又はイミノ基が挙げられる。このような塩基性基と塩を形成し得る無機酸の例として、それだけには限らないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸などの鉱酸が挙げられる。塩基性基はまた、有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸又はホスホ酸又はN−置換スルファミン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸又はイソニコチン酸と塩を形成し得、さらに、アミノ酸と、例えば、α−アミノ酸と、またメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシメタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−若しくは3−ホスホグリセラート、グルコース−6−ホスファート又はN−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラマートの形成を伴って)と、或いはその他の酸性有機化合物、例えば、アスコルビン酸と塩を形成し得る。現在好ましい実施形態では、フェノテロールは、臭化水素酸塩として提供され、例示的フェノテロール類似体は、そのフマル酸塩として提供される。
医薬上許容される塩を形成するためのさらなる対イオンは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995年に見出される。一態様では、医薬上許容される塩を使用することはまた、組成物の浸透圧を調整するよう働き得る。
特定の実施形態では、本方法において使用される化合物は、多形性で提供される。したがって、化合物は、異なる結晶形態、結晶、液晶又は非晶質(アモルファス)形態などの2種以上の物理的形態で提供され得る。
2.医薬の製造のための使用
上記の化合物のいずれか(例えば、(R,R’)及び/若しくは(R,S’)フェノテロール類似体又はその水和物若しくは医薬上許容される塩)又はそれらの組合せは、カンナビノイド受容体(例えば、GPR55)によってモジュレートされる、CB受容体調節性障害(例えば、代謝性、炎症性、疼痛性などの障害)若しくは疾患(例えば、肝細胞癌腫、膠芽腫、肝臓癌、肺癌、結腸癌、脳癌、糖尿病又は炎症性疾患)を発症する危険性があるか、又は有する対象において、GPR55などのCB受容体を調節するための医薬の製造において使用するために意図される。
このような医薬に適した製剤、それから恩恵を受け得る対象及びその他の関連する特徴は、本明細書において別の場所に記載されている。
B.合成方法
開示されているフェノテロール類似体は、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2009年2月9日に出願された米国特許出願第12/376,945号、2011年12月21日に出願された米国特許出願第13/333,866号及び2011年3月10日に出願されたWO2011/112867に記載されたものを含めた当技術分野で公知の任意の方法によって合成され得る。開示されている化合物を合成するのに有用な一般的に知られている化学合成スキーム及び条件を提供する多数の一般的な参考文献が利用可能である(例えば、Smith及びMarch、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure、第5版、Wiley−Interscience、2001年;又はVogel、A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis、第4版、New York:Longman、1978年を参照のこと)。
本明細書において記載されるような化合物は、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー手段を含めた当技術分野で公知の手段のいずれかによって精製され得る。正常相及び逆相並びにイオン樹脂を含めた任意の適した固定相が使用され得る。最も通常は、開示されている化合物は、オープンカラムクロマトグラフィー又は分取クロマトグラフィーによって精製される。
フェノテロール類似体の適した例示的合成を以下に提供する:
スキームI:(R)−又は(S)−3’,5’−ジベンジルオキシフェニルブロモヒドリンのいずれかから形成されたエポキシドの、適当なベンジル保護2−アミノ−3−ベンジルプロパン(1−5)の(R)−若しくは(S)−エナンチオマー又はN−ベンジル−2−アミノヘプタン(6)の(R)若しくは(S)−エナンチオマーとのカップリングを含む、1−6の4種の立体異性体の例示的合成。
スキームII:2−フェネチルアミンを使用する(R)−7及び(S)−7の例示的合成。得られた化合物は、Pd/Cでの水素化によって脱保護され、フマル酸塩として精製されてもよい。
スキームIIIは、スキームIIにおいて使用されるキラル構成要素の例示的合成を記載する。(R)−及び(S)−3’,5’−ジベンジルオキシフェニル−ブロモヒドリンエナンチオマーは、ホウ素−メチルスルフィド複合体(BHSCH)と、(1R,2S)−又は(1S,2R)−シス−1−アミノ−2−インダノールのいずれかを使用する3,5−ジベンジルオキシ−α−ブロモアセトフェノンのエナンチオ特異的還元によって得た。必要な(R)−及び(S)−2−ベンジルアミノプロパンは、対イオンとして(R)−又は(S)−マンデル酸のいずれかを使用するrac−2−ベンジルアミノプロパンのエナンチオ選択的結晶化によって調製した。
IV.医薬組成物
開示されているフェノテロール類似体は、少なくとも、カンナビノイド受容体(GPR55など)によってモジュレートされる、障害(例えば、代謝性、炎症性、疼痛性などの障害)又は疾患(例えば、肝細胞癌腫、膠芽腫、肝臓癌、肺癌、結腸癌、脳癌、糖尿病又は炎症性疾患)と関連している1種又は複数の症状又は徴候を低減又は阻害するために有用であり得る。したがって、少なくとも1種の開示されているフェノテロール類似体を含む医薬組成物も、本明細書において記載される。
医薬組成物のための製剤は、当技術分野で周知である。例えば、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第19版、1995年に、(R,R’)−フェノテロール及び開示されているフェノテロール類似体の医薬送達に適した例示的製剤(及びその成分)が記載されている。これらの化合物のうちの少なくとも1種を含む医薬組成物は、ヒト又は獣医学医学において使用するために製剤され得る。開示されている医薬組成物の特定の製剤は、例えば、投与様式(例えば、経口又は非経口)及び/又は治療されるべき障害(例えば、GPR55受容体などのCB受容体、活性又は発現と関連している腫瘍)に応じて変わり得る。いくつかの実施形態では、製剤は、フェノテロール化合物などの少なくとも1種の有効成分に加えて、医薬上許容される担体を含む。
開示されている方法及び組成物にとって有用な医薬上許容される担体は、当技術分野で従来のものである。医薬担体の性質は、使用されている特定の投与様式に応じて変わる。例えば、非経口製剤は、普通、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどといった医薬上及び生理学上許容される流体を、媒体として含む注射用流体を含む。散剤、丸剤、錠剤又はカプセル剤形態などの固体組成物用には、従来の非毒性固体担体として、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン又はステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。投与されるべき医薬組成物は、生物学的に中性の担体に加えて、所望により、微量の非毒性補助物質又は賦形剤、例えば、湿潤剤又は乳化剤、保存料及びpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウラートを含有し得る。その他の限定されない賦形剤として、クレモフォールなどの非イオン性可溶化剤又はヒト血清アルブミン若しくは血漿調製物などのタンパク質が挙げられる。
開示されている医薬組成物は、医薬上許容される塩として製剤され得る。医薬上許容される塩は、遊離塩基の所望の薬理活性を有する化合物の遊離塩基形態の非毒性塩である。これらの塩は、無機又は有機酸に由来し得る。適した無機酸の限定されない例として、塩酸、硝酸、臭化水素酸、硫酸、ヨウ化水素酸及びリン酸がある。適した有機酸の限定されない例として、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、サリチル酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスパラギン酸(asparagic acid)、アスパラギン酸(aspartic acid)、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などがある。その他の適した医薬上許容される塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995年に見出される。医薬上許容される塩はまた、組成物の浸透圧を調整するよう働き得る。
開示されている医薬組成物の剤形は、選択された投与様式によって決定される。例えば、注射用流体に加えて、経口剤形が使用され得る。経口製剤は、シロップ、溶液若しくは懸濁液などの液体又は散剤、丸剤、錠剤若しくはカプセル剤などの固体であり得る。このような剤形を調製する方法は、当業者に公知であり、明らかとなる。
開示されている化合物を含む医薬組成物の特定の実施形態は、正確な投与量の個々の投与に適した単位剤形で製剤され得る。投与される(R,R’)−MNF又はNFなどの有効成分の量は、治療されている対象、障害の重篤度及び投与方法に応じて変わり、当業者に公知である。これらの範囲内で、投与されるべき製剤は、治療されている対象において所望の効果を達成するのに有効な量で、本明細書において開示されている抽出物又は化合物の量を含有する。
特定の例では、経口投与用に、組成物は、治療されている対象に対する投与量の対症調節のために、約1.0〜約50mgの有効成分、特に、約2.0mg、約2.5mg、5mg、約10mg又は約50mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供される。1つの例示的経口投与計画では、約1mg〜約50mg(例えば、約2mg〜約10mg)の有効成分を含有する錠剤が、1日に2〜4回、例えば、2回、3回又は4回投与される。
その他の例では、非経口(parental)投与に適した用量は、1キログラムあたり約1ミリグラム(mg/kg)〜約100mg/kg、例えば、約10mg/kg〜約80mg/kgの用量であり、そのように、非経口的に投与される約1mg/kg、約2mg/kg、約5mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約80mg/kg又は約100mg/kgを含む。しかし、約0.5mg/kg〜約200mg/kgを含めた、約0.001mg/kg〜約1g/kg、例えば、約0.1〜約500mg/kgなどのその他のより高い又は低い投与量も使用され得る。
1種又は複数の開示されている組成物を含む組成物の単回又は複数回投与は、治療医師によって選択されている用量レベル及びパターンを用いて実施され得る。一般に、複数回用量が投与される。特定の例では、組成物は、1日に1回非経口的に投与される。しかし、組成物は、1日2回、1日3回、1日4回、1日6回、1日おき、週に2回、週1回又は月1回投与され得る。治療は、通常、少なくとも1カ月間、より多くの場合は、2又は3カ月間、時には、6カ月又は1年間継続し、不確定に、すなわち、慢性的にさらに継続する場合もある。治療の反復過程もまた、あり得る。
一実施形態では、医薬組成物は、CB受容体、例えば、GPR55を発現する腫瘍の治療のために、第2の薬剤の同時投与を伴わずに投与される。1つの特定の限定されない例では、開示されている組成物のうち1種又は複数が、その他の薬剤の同時投与を伴わずに、例えば、腫瘍を標的とすると同じくわかっているさらなる薬剤の同時投与を伴わずに投与される。その他の特定の限定されない例では、治療上有効な量の開示されている医薬組成物は、さらなる療法(例えば、それだけには限らないが、化学療法薬、さらなるCB受容体調節因子(GPR55の調節因子など)、抗炎症薬、抗酸化物質又は当業者に公知のその他の薬剤)を含めた、さらなる薬剤と同時に投与される。例えば、開示されている化合物は、化学療法薬、抗酸化物質、抗炎症薬又はそれらの組合せと組み合わせて投与される。
その他の例では、開示されている医薬組成物は、アジュバント療法で投与される。例えば、開示されている化合物のうち1種又は複数を含有する医薬組成物は、腫瘍成長を防止又は遅延するために対象に毎日経口投与される。1つの特定の例では、2種以上の開示されている化合物の同等の分量を含有する組成物が、対象に提供される。一例では、2種以上の開示されている化合物の不均等な分量を含有する組成物が、対象に提供される。例えば、組成物は、(R,R’)−フェノテロール誘導体及び(S,R’)−フェノテロール誘導体及び/又は(R,S’)−誘導体の不均等な分量を含有する。1つの特定の例では、組成物は、より多量の(S,R’)−又は(R,S’)−フェノテロール誘導体を含む。このような療法は、腫瘍再発を阻害、防止又は低減するために、不確定な期間、対象に与えられ得る。
V.使用方法
本開示は、カンナビノイド受容体(GPR55など)によってモジュレートされる、障害(例えば、代謝性、炎症性、疼痛性などの障害)又は疾患(例えば、肝細胞癌腫、膠芽腫、肝臓癌、肺癌、結腸癌、脳癌、糖尿病又は炎症性疾患)と関連している1種又は複数徴候の又は症状を低減又は阻害することを含む、障害を治療する方法を含む。
いくつかの例では、腫瘍は、CB受容体、例えば、GPR55を発現するか、それによって調節される原発性脳腫瘍などの原発腫瘍である。いくつかの例では、腫瘍は、CB受容体、例えば、GPR55を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫である。いくつかの例では、腫瘍は、CB受容体、例えば、GPR55を発現するが、β2−ARは発現しない膠芽腫又は肝細胞癌腫である。いくつかの例では、腫瘍は、CB受容体、例えば、GPR55及びβ2−ARの両方を発現する膠芽腫又は肝細胞癌腫である。フェノテロール類似体及び/又はフェノテロール、例えば、(R,R’)フェノテロール自体が、腫瘍受容体集団に応じて投与される。例えば、CB受容体、例えば、GPR55を発現するか、それによって調節される腫瘍は、CB受容体モジュレート活性を有する1種又は複数の開示されているフェノテロール類似体、例えば、(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)又はそれらの組合せを投与することによって治療される。いくつかの例では、CB受容体、例えば、GPR55及びβ2−ARを発現するか、又はそれによって調節される腫瘍は、CB受容体調節活性を有する1種又は複数の開示されているフェノテロール類似体、例えば、(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)及びβ2−AR刺激活性を有する1種又は複数のフェノテロール類似体又はフェノテロール自体を組み合わせて投与することによって治療される。
開示されている方法は、医薬上許容される担体中で、β2−AR、CB受容体又はそれらの組合せを発現する腫瘍、例えば、原発腫瘍を治療するのに有効な量で、対象に、腫瘍の受容体集団に応じて、フェノテロール、例えば、(R,R’)−フェノテロール、開示されているフェノテロール類似体又はそれらの組合せ(及び、所望により、1種又は複数のその他の医薬品)を投与することを含む。腫瘍の治療は、このような腫瘍の存在と関連している徴候又は症状を防止又は低減すること(例えば、腫瘍の大きさ若しくは体積又はその転移を低減することによって)を含む。このような成長の低減は、いくつかの例では、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%又は95%の低減を含めた、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%又は少なくとも75%、例えば、10%〜90%、20%〜80%、30%〜70%、40%〜60%の間で、腫瘍の転移を低減若しくは減速又は腫瘍の大きさ若しくは体積を低減し得る。別の例では、治療は、例えば、腫瘍が転移する能力を低減することによって、対象において腫瘍の浸潤活性を低減することを含む。いくつかの例では、本明細書において開示されている方法を使用する治療が、対象の生存時間を延長する。
開示されている方法において有用な投与経路として、それだけには限らないが、経口及び非経口経路、例えば、上記で詳細に記載されるような静脈内(IV)、腹膜内(IP)、直腸、局所、経眼、経鼻及び経皮が挙げられる。
フェノテロール、例えば、(R,R’)−フェノテロール若しくは開示されているフェノテロール類似体又はそれらの組合せの有効量は、少なくとも、特定の使用方法、治療されている対象、腫瘍の重篤度及び治療用組成物の投与方法に応じて変わる。組成物の「治療上有効な量」は、治療されている対象において所望の効果を達成するのに十分な指定の化合物の量である。例えば、これは、対象において腫瘍成長及び/又は腫瘍と関連している1種若しくは複数の症状を防止又は阻害するのに必要な、(R,R’)−フェノテロール、開示されているフェノテロール類似体又はそれらの組合せの量であり得る。理想的には、(R,’R)−フェノテロール又は開示されているフェノテロール類似体の治療上有効な量は、宿主細胞に対して実質的な細胞傷害性効果を引き起こさずに、対象において、腫瘍、例えば、脳腫瘍若しくは肝臓腫瘍成長及び/又は腫瘍と関連している1種若しくは複数の症状を防止又は阻害するのに十分な量である。
開示されているフェノテロール化合物又は医薬組成物の治療上有効な用量は、少なくとも、本明細書における実施例において開示されている適用可能な化合物のIC50と同程度に高い濃度を達成することを目的に、当業者によって決定され得る。投与量範囲の例は、単回又は分割用量で、経口で、約0.001〜約10mg/体重1kgである。特定の例では、投与量範囲は、単回又は分割用量で、経口で、約0.005〜約5mg/体重1kgである(およそ70kgの平均体重を仮定して;多かれ少なかれ平均より体重のある人に従って調整された値)。経口投与用には、組成物は、例えば、治療されている対象に対する投与量の対症調節のために、約1.0〜約50mgの有効成分、特に、約2.5mg、約5mg、約10mg又は約50mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供される。1つの例示的経口投与計画では、約1mg〜約50mgの有効成分を含有する錠剤が、1日に2〜4回、例えば、2回、3回又は4回投与される。
その他の例では、非経口(parental)投与に適した用量とは、1キログラムあたり約1ミリグラム(mg/kg)〜約100mg/kg、例えば、約10mg/kg〜約80mg/kgの用量であり、そのように、非経口的に投与される約1mg/kg、約2mg/kg、約5mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約80mg/kg又は約100mg/kgを含む。しかし、約0.5mg/kg〜約200mg/kgを含めた、約0.001mg/kg〜約1g/kg、例えば、約0.1〜約500mg/kgなどのその他のより高い又は低い投与量も使用され得る。
1種又は複数の開示されている組成物を含む組成物の単回又は複数回投与は、治療医師によって選択されている用量レベル及びパターンを用いて実施され得る。一般に、複数回用量が投与される。特定の例では、組成物は、1日に1回非経口的に投与される。しかし、組成物は、1日2回、1日3回、1日4回、1日6回、1日おき、週に2回、週1回又は月1回投与され得る。治療は、通常、少なくとも1カ月間、より多くの場合は、2又は3カ月間、時には、6カ月又は1年間継続し、不確定に、すなわち、慢性的にさらに継続する場合もある。治療の反復過程もまた、あり得る。
任意の特定の対象のための特定の用量レベル及び投与量の頻度は、変わり得、特定の化合物の活性、代謝的安定性及びその化合物の作用の長さ、対象の年齢、体重、全身の健康、性別及び食事、投与様式及び投与時間、排泄速度、薬物組合せ並びに療法を受けている対象の状態の重篤度を含めた種々の因子に応じて変わる。
対象を選択すること
対象は、例えば、CB受容体活性若しくは発現を必要とする対象又はそれによって調節される障害若しくは疾患を発症する危険性がある対象を選択するために、開示されている療法を開始する前にスクリーニングされ得る。手短には、本方法は、対象をスクリーニングして、GPR55によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性があるかどうか、例えば、対象が、腫瘍阻害を必要とするかどうかを決定することを含み得る。CB受容体、例えば、GPR55を発現する腫瘍若しくはCB受容体活性によって調節される腫瘍、例えば、膠芽腫などの原発性脳腫瘍を含めた原発腫瘍、肝細胞癌腫、肝臓癌、肺癌若しくは結腸癌を有する対象又はこのような腫瘍を発症する危険性がある対象が選択される。一例では、対象は、臨床徴候、検査室検査又は両方によって腫瘍を有すると診断される。例えば、原発性脳腫瘍などの腫瘍は、頭痛、嘔吐、発作、めまい、体重減少及び種々の関連する訴えなどの特徴的な臨床徴候によって診断され得る。診断は、一般に、磁気共鳴画像法(MRI)によってなどの画像解析によってであり、組織診断によって確認される。いくつかの例では、脳内出血などの出血障害を有さない対象が、選択される。
一例では、開示されている療法を必要とする対象は、CB受容体(例えば、GPR55)を発現するか、その活性によって調節される腫瘍を有するか、有する疑いのある、又は獲得する危険性があると同定された対象から得られたサンプルにおいてCB受容体活性又は発現を検出することなどによって、このような腫瘍を検出することによって選択される。例えば、原発腫瘍の不在下でのCB発現又は活性と比較される、CB発現又は活性における、10%〜90%、20%〜80%、30%〜70%、40%〜60%を含めた少なくとも10%の変化、例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%の変化又はそれ以上の変化の検出は、腫瘍が、CB受容体調節因子である本明細書において提供されるフェノテロール組成物及び方法を使用して治療され得ることを示す。その他の例では、対象は、対象においてMRI又は陽電子放射型断層撮影(PET)によって星状細胞腫又は膠芽腫などの原発性脳腫瘍を検出することによって選択される。
いくつかの例では、対象は、β2−AR刺激に応答しない腫瘍及び/又は癌などの障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性があることを決定することによって選択される。
本明細書において開示されている治療薬(フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを含むものなど)の投与に先立って、プレスクリーニングは必要ではない。
例示的腫瘍
例示的腫瘍として、CB受容体、例えば、GPR55を発現するか、又はこのようなものによって調節される腫瘍、例えば、原発性脳腫瘍などの原発腫瘍が挙げられる。原発性脳腫瘍として、星状細胞腫、膠芽腫、上衣腫、乏突起神経膠腫(oligodendroglomas)及び混合膠腫が挙げられる。CB受容体活性又は発現と関連している腫瘍のさらなる可能性ある種類として、急性白血病(11q23陽性急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病並びに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性及び赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球)白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性リンパ性白血病など)を含めた白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度及び高悪性度形態)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高グロブリン血症、重鎖疾患、骨髄異形成症候群、ヘアリーセル白血病及び脊髄形成異常症などの血液腫瘍が挙げられる。
CB受容体を発現し得るか、CB受容体活性によって調節され得る可能性ある固形腫瘍の例として、肉腫及び癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫及びその他の肉腫、滑膜腫、食道、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、リンパ系腫瘍、膵臓癌、乳癌(基底乳癌腫、乳管癌腫及び小葉癌腫を含む)、肺癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌腫、扁平上皮癌腫、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌腫、甲状腺髄様癌腫、甲状腺乳頭癌腫、クロム親和性細胞腫 皮脂腺癌腫、乳頭癌腫、乳頭状腺癌、髄様癌腫、気管支原性癌腫、腎細胞癌腫、肝細胞腫、胆管癌腫、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌腫並びにCNS腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyrgioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫及び網膜芽細胞腫など)が挙げられる。いくつかの例では、腫瘍は、CB受容体、例えば、GPR55を発現する脳癌、肝臓癌又は肺癌である。CB受容体、例えば、GPR55を発現する腫瘍は、CB受容体、例えば、GPR55を検出できる抗体を用いる、ウエスタンブロット及び組織学的研究を含めた、当業者に公知の日常的な方法によって同定され得る。
評価
1種又は複数の療法を施した後、CB受容体活性によって調節される障害又は疾患、例えば、GPR55を発現する腫瘍(例えば、原発腫瘍)を有する対象は、腫瘍成長、腫瘍体積の低減又は腫瘍と関連している1種若しくは複数の臨床症状の低減についてモニタリングされ得る。特定の例では、対象は、治療の7日後に出発して1回又は複数回分析される。対象は、画像解析を含めた本明細書において記載されるものを含めた、当技術分野で公知の任意の方法を使用してモニタリングされ得る。
さらなる治療及びさらなる治療薬
特定の例では、対象が、治療に対して、安定であるか、又は微量の、混合した、若しくは部分的な応答を有する場合には、対象は、再評価後に、同一スケジュール及びこれまでに投与された薬剤の調製物を用いて、所望の時間量の間、例えば、対象の寿命の期間、再治療されてもよい。部分的応答は、腫瘍の大きさ又は体積を含めた、障害又は疾患、例えば、CB受容体活性によって調節される腫瘍と関連している1種又は複数の徴候又は症状の、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又は少なくとも70%の低減などの低減である。
いくつかの例では、本方法は、治療上有効な量のフェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを、さらなる治療的治療とともに投与することをさらに含む。特定の例では、CB受容体活性によって調節される腫瘍を防止又は阻害する薬剤の治療量の投与の前、投与の間、投与の後に、対象は、1種又は複数のその他の療法を施され得る。一例では、対象は、フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを含む組成物の治療量の投与の前に、腫瘍を除去又は低減するための1種又は複数の治療を施される。
このような療法の例として、それだけには限らないが、腫瘍を除去又は低減するための外科的治療(外科的切除、寒冷療法又は化学塞栓療法など)並びに放射治療薬、抗新生物化学療法薬、抗生物質、アルキル化剤及び抗酸化物質、キナーゼ阻害剤並びにその他の薬剤を含み得る抗腫瘍薬剤治療が挙げられる。使用され得るさらなる治療薬の特定の例として、微小管結合剤、DNA介入物又は架橋剤、DNA合成阻害剤、DNA及び/又はRNA転写阻害剤、抗体、酵素、酵素阻害剤並びに遺伝子調節因子が挙げられる。これらの薬剤(治療上有効な量で投与される)及び治療は、単独又は組み合わせて使用され得る。方法及びこのような薬剤の治療的投与量は、当業者に公知であり、熟練した臨床医によって決定され得る。
「微小管結合剤」とは、チューブリンと相互作用して、微小管形成を安定化又は不安定化し、それによって、細胞分裂を阻害する薬剤を指す。開示されている療法とともに使用され得る微小管結合剤の例として、制限するものではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン(ナベルビン)、エポチロン、コルヒチン、ドラスタチン15、ノコダゾール、ポドフィロトキシン及びリゾキシンが挙げられる。このような化合物の類似体及び誘導体もまた、使用され得、当業者に公知である。例えば、適したエポチロン及びエポチロン類似体は、国際公開WO2004/018478に記載されている。パクリタキセル及びドセタキセル並びに米国特許第6,610,860号;同第5,530,020号及び同第5,912,264号によって教示されるパクリタキセルの類似体などのタキソイドが使用され得る。
以下のクラスの化合物が、本明細書において開示されている方法において有用である:制限するものではないが、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン並びにそれらの誘導体及び類似体を含めた、適したDNA及び/又はRNA転写調節因子も、開示されている療法と組み合わせて使用するのに適している。対象に投与され得るDNA介入物及び架橋剤として、制限するものではないが、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、マイトマイシCなどのマイトマイシン、ブレオマイシン、クロラムブシル、シクロホスファミド並びにそれらの誘導体及び類似体が挙げられる。治療薬として使用するのに適したDNA合成阻害剤として、制限するものではないが、メトトレキサート、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシル及びそれらの類似体が挙げられる。適した酵素阻害剤の例として、制限するものではないが、カンプトテシン、エトポシド、ホルメスタン、トリコスタチン並びにそれらの誘導体及び類似体が挙げられる。アルキル化剤の例として、カルムスチン又はロムスチンが挙げられる。遺伝子調節に影響を及ぼす適した化合物として、ラロキシフェン、5−アザシチジン、5−アザ−2’−デオキシシチジン、タモキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ミフェプリストン並びにそれらの誘導体及び類似体などの、1種又は複数の遺伝子の発現の増大又は減少をもたらす薬剤が挙げられる。キナーゼ阻害剤として、増殖因子のリン酸化及び活性化を防ぐ、Gleevac、Iressa及びTarcevaが挙げられる。
上記の分類の1種又は複数下に入る場合も入らない場合もあるその他の治療薬、例えば、抗腫瘍剤も、開示されている療法と組み合わせた投与に適している。例として、このような薬剤として、アドリアマイシン、アピゲニン、ラパマイシン、ゼブラリン、シメチジン並びにそれらの誘導体及び類似体が挙げられる。
一例では、開示されている療法を施す(フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せの投与など)前に、腫瘍(原発性脳腫瘍など)の少なくとも一部が、外科的に除去され(例えば、寒冷療法によって)、照射され、化学的に処置される(例えば、化学塞栓療法によって)又はそれらの組合せである。例えば、CB受容体活性と関連している原発性脳腫瘍を有する対象は、開示されている療法を施す前に外科的に切除される腫瘍の少なくとも一部を有し得る。一例では、フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを含む組成物での治療後に、1種又は複数の化学療法薬が投与される。別の特定の例では、対象は原発性脳腫瘍を有し、開示されている療法を施すのと同時に、放射線療法、化学塞栓療法治療又は両方が施される。
さらなる障害及び疾患
上記で論じられるように、CB受容体によって調節される腫瘍を治療する方法に加えて、CB受容体調節と関連しているその他の状態、例えば、代謝性障害及び疾患(例えば、肥満症及び糖尿病)又は炎症性及び神経因性疼痛性障害、アルツハイマー病、骨量減少、筋消耗(筋肉減少症)、変形性関節症及び食欲不振などの加齢と関連している疾患、鬱病及び不安神経症などの中枢神経系状態並びにCB受容体調節と関連しているその他の疾患及び障害を治療するために、CB受容体モジュレート活性を有する開示されているフェノテロール類似体、例えば、GPR55活性のモジュレーターが使用され得るということが考慮される。
これらの知見に基づいて、代謝性障害/疾患(肥満症、食欲不振及び/又は糖尿病など)、骨及び/又は筋肉障害又は疾患(骨量減少、筋消耗、変形性関節症など)、中枢神経系状態(鬱病及び不安神経症など)並びに炎症及び/又は加齢と関連している炎症、神経因性疼痛障害及び疾患(アルツハイマー病、変形性関節症など)などの炎症性障害/疾患を治療する方法が開示されている。例えば、肥満症、糖尿病及び関連障害を防止及び治療する方法が、本明細書に開示されている。
一例では、肥満症又は肥満症と関連している状態と関連している1種又は複数の徴候又は症状を低減又は阻害するために、対象に、有効量の少なくとも1種の、CB受容体モジュレート活性、例えば、GPR55活性を有するフェノテロール類似体(例えば、(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)又はそれらの組合せなどの開示されているナフチルフェノテロール類似体)を投与することを含む、対象において肥満症又は肥満症と関連している状態、例えば、糖尿病を治療する方法が開示されている。いくつかの例では、炎症性障害/疾患又は炎症性障害/疾患と関連している状態と関連している1種又は複数の徴候又は症状を低減又は阻害するために、対象に、有効量の少なくとも1種の、CB受容体モジュレート活性、例えば、GPR55活性を有するフェノテロール類似体(例えば、(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)又はそれらの組合せなどの開示されているナフチルフェノテロール類似体)を投与することを含む、炎症性障害及び/又は疾患と関連している1種又は複数の徴候又は症状を治療する方法が開示されている。
開示されている方法は、医薬上許容される担体中で、CB受容体活性、例えば、GPR55活性によって調節される障害又は疾患を治療するのに有効な量で、対象にCB受容体モジュレート活性を有する開示されているフェノテロール類似体(及び所望により、1種又は複数のその他の医薬品)を投与することを含む。障害又は疾患の治療は、特定の障害又は疾患と関連している徴候又は症状を防止又は低減することを含む。特定の障害又は疾患と関連している徴候及び症状は、当業者には公知であり、本明細書において開示されているアッセイ並びに当業者に公知のものによって測定され得る。いくつかの例では、本明細書において開示されている方法を使用する治療は、対象の生存時間を延長する。
開示されている方法において有用な投与経路として、それだけには限らないが、上記で詳細に記載されるような、経口及び非経口経路、例えば、静脈内(IV)、腹膜内(IP)、直腸、局所、経眼、経鼻及び経皮が挙げられる。
開示されているフェノテロール類似体又はそれらの組合せの有効量は、少なくとも、特定の使用方法、治療されている対象、障害/疾患の重篤度及び治療用組成物の投与方法に応じて変わる。組成物の「治療上有効な量」は、治療されている対象において所望の効果を達成するのに十分な指定の化合物の量である。理想的には、開示されているフェノテロール類似体の治療上有効な量は、宿主細胞に対して実質的な細胞傷害性効果を引き起こさずに、対象において、特定の障害/疾患と関連している1種又は複数の症状を防止又は阻害するのに十分な量である。
開示されているフェノテロール化合物又は医薬組成物の治療上有効な用量は、少なくとも、本明細書における実施例において開示されている適用可能な化合物のIC50と同程度に高い濃度を達成することを目的に、当業者によって決定され得る。投与量範囲の例は、単回又は分割用量で、経口で、約0.001〜約10mg/体重1kgである。特定の例では、投与量範囲は、単回又は分割用量で、経口で、約0.005〜約5mg/体重1kgである(およそ70kgの平均体重を仮定して;多かれ少なかれ平均より体重のある人に従って調整された値)。経口投与用には、組成物は、例えば、治療されている対象に対する投与量の対症調節のために、約1.0〜約50mgの有効成分、特に、約2.5mg、約5mg、約10mg又は約50mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供される。1つの例示的経口投与計画では、約1mg〜約50mgの有効成分を含有する錠剤が、1日に1〜4回、例えば、1回、2回、3回又は4回投与される。
その他の例では、非経口(parental)投与に適した用量とは、1キログラムあたり約1ミリグラム(mg/kg)〜約100mg/kg、例えば、約10mg/kg〜約80mg/kgの用量であり、そのように、非経口的に投与される約1mg/kg、約2mg/kg、約5mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約80mg/kg又は約100mg/kgを含む。しかし、約0.5mg/kg〜約200mg/kgを含めた、約0.001mg/kg〜約1g/kg、例えば、約0.1〜約500mg/kgなどのその他のより高い又は低い投与量も使用され得る。
1種又は複数の開示されている組成物を含む組成物の単回又は複数回投与は、治療医師によって選択されている用量レベル及びパターンを用いて実施され得る。一般に、複数回用量が投与される。特定の例では、組成物は、1日に1回非経口的に投与される。しかし、組成物は、1日2回、1日3回、1日4回、1日6回、1日おき、週に2回、週1回又は月1回投与され得る。治療は、通常、少なくとも1カ月間、より多くの場合は、2又は3カ月間、時には、6カ月又は1年間継続し、不確定に、すなわち、慢性的にさらに継続する場合もある。治療の反復過程もまた、あり得る。
任意の特定の対象のための特定の用量レベル及び投与量の頻度は、変わり得、特定の化合物の活性、代謝的安定性及びその化合物の作用の長さ、対象の年齢、体重、全身の健康、性別及び食事、投与様式及び投与時間、排泄速度、薬物組合せ並びに療法を受けている対象の状態の重篤度を含めた種々の因子に応じて変わる。いくつかの例では、加齢障害若しくは疾患(アルツハイマー病、筋肉減少症、骨量減少又はそれらの組合せなど)又は中枢神経系障害若しくは疾患(不安神経症又は鬱病など)と関連している1種又は複数の症状を治療するために、1種又は複数の、CB受容体活性を有する開示されているフェノテロール類似体が、対象に、毎日経口投与される。
対象は、例えば、CB受容体活性若しくは発現を必要とする対象又はそれによって調節される障害若しくは疾患を発症する危険性がある対象を選択するために、開示されている療法を開始する前にスクリーニングされ得る。手短には、本方法は、対象をスクリーニングして、GPR55によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性があるかどうか決定することを含み得る。CB受容体、例えば、GPR55を発現するか、又はCB受容体活性によって調節される障害又は疾患を有する対象が選択される。一例では、対象は、当業者に公知の、又は本明細書において開示されている(又は両方)、臨床徴候、検査室検査又は両方によって診断される。
本明細書において開示されている治療薬(フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを含むものなど)の投与に先立って、プレスクリーニングは必要ではない。
特定の例では、対象が、治療に対して、安定であるか、又は微量の、混合した、若しくは部分的な応答を有する場合には、対象は、再評価後に、同一スケジュール及びこれまでに投与された薬剤の調製物を用いて、所望の時間量の間、例えば、対象の寿命の期間、再治療されてもよい。部分的応答は、障害又は疾患と関連している1種又は複数の徴候又は症状の、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又は少なくとも70%の低減などの低減である。
いくつかの例では、本方法は、治療上有効な量の1種又は複数のフェノテロール類似体を、さらなる治療的治療とともに投与することをさらに含む。特定の例では、CB受容体活性によって調節される腫瘍を防止又は阻害する薬剤の治療量の投与の前、投与の間、投与の後に、対象は、1種又は複数のその他の療法を施され得る。一例では、対象は、1種又は複数のフェノテロール類似体を含む組成物の治療量の投与の前に、CB受容体によって調節される障害/疾患と関連している1種又は複数の徴候又は症状を除去又は低減するための1種又は複数の治療を施される。
特定の例では、肥満症又は肥満症と関連している状態の1種又は複数の徴候又は症状を低減又は阻害する、開示されているフェノテロール類似体組成物の治療量の投与前、投与の間又は投与後に、対象は、1種又は複数のその他の療法を施され得る。一例では、対象は、肥満症と関連している1種又は複数の状態、例えば、糖尿病を除去又は低減するために、1種又は複数の治療を施される。
このような療法の例として、それだけには限らないが、抗糖尿病薬、インスリン増感剤、インスリン分泌促進物質、β−細胞量を保存及び/又は増大する薬剤、グルコース刺激性インスリン分泌及びインスリン作用の末梢臓器(骨格筋、肝臓、脂肪組織)におけるグルコース取り込みを増強する薬剤、内因性グルコース産生を抑制する薬剤並びに抗肥満症剤が挙げられる。例えば、開示されている療法は、ビグアナイドなどの抗糖尿病薬とともに投与され得る。特定の実施形態では、ビグアナイド抗糖尿病薬は、メトホルミンである。メトホルミンは、そのアクロニムLIPHA SAによっても知られる、Lyonnaise Industrielle Pharmaceutique SA(Lyons、France)によって製造され、GLUCOPHAGE(登録商標)XRとして、Bristol−Myers Squibb Company(Princeton、New Jersey)によって塩酸塩として米国において商業的に流通されている。さらに、Bristol−Myers Squibbは、メトホルミン及びグリブリドの組合せを有する医薬をGLUCOVANCE(登録商標)として流通させている。
ビグアナイド以外の抗糖尿病薬も、同定された対象に投与され得る。例えば、代替実施形態では、抗糖尿病薬は、トログリタゾンなどのチアゾリンジンジオンである。いくつかの例では、抗糖尿病薬は、インクレチン又はジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤であるが、抗糖尿病薬は、対象の任意の薬剤であり得る。
治療上有効な量の抗糖尿病薬は、単回用量で、又は数回用量で、例えば、毎日、治療の過程の間、投与され得る。治療の過程は、糖尿病前症と診断された対象においてII型糖尿病の発症を阻害する、又は2型糖尿病若しくは糖尿病前症と診断された対象を正常な糖耐性に誘導するなどの治療効果が観察される限り、任意の時間の長さの間、例えば、1日若しくは数日、1週間若しくは数週間、1カ月若しくは数カ月、又は1年若しくは数年持続し得る。対象は、治療プロトコールの有効性を評価するために、本明細書において記載される方法を使用する治療を受けながらモニタリングされ得る。このようにして、本明細書において開示されている方法を使用して得られた結果に基づいて、対象に与えられる時間の長さ又は量が改変され得る。
治療上有効な量は、使用されている抗糖尿病薬、治療されている対象の特徴(例えば、年齢、BMI、生理学的状態など)、苦痛の重篤度及び種類並びに薬剤の投与方法に応じて変わる。治療上有効な用量は、経験的な用量反応曲線を作製すること、定量的構造活性関係(QSAR)法又は分子モデリングを使用することによって効力及び有効性を予測すること並びに薬学において使用されるその他の方法を含めた種々の方法によって決定され得る。特定の、限定されない例では、メトホルミン(又は関連ビグアナイド類似体若しくは同族体)の治療上有効な量は、1日あたり少なくとも約1000mg、例えば、1日あたり少なくとも約1500mg又はさらに1日あたり少なくとも約1700mgである。特定のその他の限定されない例では、メトホルミンの総量は、1日あたり2又は3用量、例えば、850mgを1日あたり2回(b.i.d.)又は500mgを1日あたり3回(t.i.d.)などのより小さい用量に分割される。代替の限定されない例では、メトホルミンの総量は、1日あたり約500mg以下である。対象は、対象とする対象にとって治療上有効な量を決定するために、本明細書において記載されるアッセイを使用して異なる用量の薬剤でモニタリングされ得る。
動物に投与するために、精製された治療上活性な薬剤は、一般に、医薬上許容される担体と組み合わされる。医薬調整物は、1種類のみの抗糖尿病薬を含有し得るか、2種以上の抗糖尿病薬の組合せなどの数種類の抗糖尿病薬の組合せからなり得る。
一般に、担体の性質は、使用されている特定の投与様式に応じて変わる。例えば、非経口製剤は、普通、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどといった医薬上及び生理学上許容される流体を、媒体として含む注射用流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤又はカプセル剤形態)用には、従来の非毒性固体担体として、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン又はステアリン酸マグネシウムを挙げることができる。投与されるべき医薬組成物は、生物学的に中性の担体に加えて、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、保存料及びpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウラートを含み得る。
抗糖尿病薬は、その意図される目的を達成する任意の手段によって投与され得る。例えば、抗糖尿病薬は、対象に、静脈内、腹膜内、病巣内、坐剤又は経口投与などの全身投与によって投与され得る。
抗糖尿病薬は、単独で、又は別の抗糖尿病薬と組み合わせて投与され得る。特定の実施形態では、抗糖尿病薬は、任意のその他の抗糖尿病薬の投与の不在下で投与される。
疾患を発症する高い危険性がある対象においてII型糖尿病の発症を阻害又は遅延するために、その他の手段が取られてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、抗糖尿病性ライフスタイル改変を取り入れるよう指導されるか、訓練されるか、又は誘導される。例えば、対象は、カロリー摂取を低減するか、運動するよう助言され得る。本明細書に開示されている方法は、これらの代替手段の有効性をモニタリングして、薬剤介入が対象とする対象にとって正当化されるかどうかを決定するために使用され得る。
本開示の主題は、以下の限定されない実施例によってさらに例示される。
(例1)
材料及び方法
この実施例は、例2〜4に使用される材料及び方法を記載する。
材料。(R,R’)−、(R,S’)−、(S,R’)−及び(S,S’)−フェノテロール及びフェノテロール類似体、(R,R’)−エチルフェノテロール、(R,R’)−4’−アミノフェノテロール、(R,R’)−1−ナフチルフェノテロール並びに(R,R’)−及び(R,S’)−4−メトキシ−1−ナフチルフェノテロールを、これまでに記載されたように合成した(各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Jozwiakら、J Med Chem50:2903〜2915、2007年;Jozwiakら、Bioorg Med Chem18:728〜736、2010年)。[H]−チミジン(70〜90Ci/mmol)は、PerkinElmer Life and Analytical Sciences(Waltham、MA)から購入した。イーグル最小必須培地(E−MEM)、トリプシン溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ウシ胎児血清(FBS)、ピルビン酸ナトリウムの100×溶液(100mM)、L−グルタミン(200mM)及びペニシリン/ストレプトマイシン(10,000ユニット/mlペニシリン及び10,000μg/mlストレプトマイシンの混合物)は、Quality Biological(Gaithersburg、MD)から入手した。WIN55,212−2、AM251及びAM630は、Cayman Chemical(Ann Arbor、MI)から購入した。ICI118,551ヒドロクロリド及び(R)−イソプロテレノールは、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から入手した。
細胞系の維持及び処置。ヒトHepG2肝細胞癌腫細胞及びヒトU87MG神経膠腫細胞(ATCC、Manassas、VA)は、1%L−グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBS(Hyclone、Logan、UT)を補給したEMEM培地で維持した。ヒト1321N1星状細胞腫細胞(European Collection of Cell Cultures、Sigma−Aldrich)は、10%FBS及びペニシリン/ストレプトマイシンを補給したダルベッコ改変イーグル培地で培養した。すべての細胞系は、5%CO中、37℃で培養し、培地は2〜3日毎に置き換えた。
特に断りのない限り、70〜80%コンフルエンスの細胞を、3時間血清を枯渇させ、続いて、ICI118551、AM251、AM630又はWIN55−212,2を1時間添加し、その後、媒体、示された濃度のフェノテロール又はフェノテロール誘導体を用いて処置した。
H]−チミジン取り込みアッセイ。細胞をおよそ50,000個/ウェルで12ウェルプレートに播種し、37℃でインキュベートした。24時間後、ウェルをPBSですすぎ、適当な濃度の試験化合物を含有する血清不含培地で置き換えた。37℃でさらに24時間インキュベーションした後、各ウェルに1μCiの[H]−チミジンを添加し、37℃で16時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで、600μLの0.1N NaOH中で振盪しながら30分間溶解した後、DNAへの[H]−チミジン取り込みをモニタリングした。溶解物を、3mLの液体シンチレーションカクテル(Beckman Coulter,Inc.、Brea、CA)と混合し、Beckman Coulter LS6000IC Scintillation Counterを使用する液体シンチレーション測定によって放射能を測定した。データは、対照細胞と比較した、取り込まれたCPMとして示されている。
cAMP蓄積。HepG2細胞を96ウェルプレートに播種し、コンフルエンシーに成長させた。細胞をKrebs−HEPESバッファー、pH7.4ですすぎ、バッファーを用いて10分間プレインキュベートし、次いで、10μM (R)−イソプロテレノール又は(R,R’)−フェノテロールを添加し、続いて、さらに10分間インキュベーションを行った。細胞中に蓄積されたcAMPのレベルを決定し、1ウェルあたりのタンパク質の量に対して正規化した。
RNA抽出、cDNA合成及びRT−PCR分析。RNeasy Miniキット(Qiagen、Valencia、CA)を使用してHepG2、1321N1及びU87MG細胞から全RNAを単離した。RNA調製は、DNアーゼ消化ステップを含んでいた。NanoDrop分光光度計(NanoDrop Technologies、Wilmington、DE)を使用してRNA濃度及び質を測定した。cDNAを得るために、1μgの全RNAを、Promega逆転写キット(Promega Corp.、Madison、WI)を使用して逆転写した。GAPDHを内部対照として使用するPCR反応を実施して、CB1R、CB2R及びβ2−AR mRNAの発現を決定した。PCRプライマー及び条件は、補助表1に見られる。
細胞周期分析。NIM技術によって調製したヨウ化プロピジウム染色した核でのフローサイトメトリーによって細胞周期分布を実施した。Becton−Dickinson FACScanto II(BD Biosciences、San Jose、CA)で獲得した少なくとも10,000個の細胞のDNAヒストグラムを、細胞周期のG0/1、S及びG2+M相にある細胞のパーセンテージの推定値を求めて、Multicycleプログラム(Phoenix Flow Systems)を使用してデコンボリューションした。ソフトウェアアルゴリズムによって分析からデブリ及びダブレットを除去した。
アポトーシスアッセイ。薬物治療によって誘導されたアポトーシスの程度を、Alexa Fluor(登録商標)488アネキシンV/死細胞アポトーシスキット(Invitrogen)を製造業者の標準プロトコールに従って使用してフローサイトメトリーによってアッセイした。手短には、HepG2細胞(5×10)を、100mmディッシュ上で24時間成長させ、続いて、すべて血清不含培地中の、媒体、(R,R’)−フェノテロール又は(R,R’)−MNFを用いて処置した。続いて、24時間インキュベーションを行った後に細胞を回収し、冷PBSで洗浄し、100μLの1Xアネキシン結合バッファーに再懸濁して、約1×10個/mLの密度を維持し、その後、5μLのAlexa Fluor(登録商標)488アネキシンV及び1μLの100μg/mLヨウ化プロピジウムを、細胞懸濁液に添加した。次いで、細胞を室温で15分間インキュベートし、400μLの1Xアネキシン結合バッファーを添加し、続いて穏やかに混合した。染色された細胞を、BDFACSCanto IIフローサイトメーターで分析した。
ウエスタンブロッティング。EGTA及びEDTAを含有するRIPAバッファー(Boston BioProducts、Ashland、MA)を用いて細胞を溶解した。溶解バッファーを、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich)と混合した。タンパク質濃度を、ビシンコニン酸試薬(Thermo−Pierce Biotechnology,Inc.、Rockford、IL)を使用して測定した。タンパク質(20μg/ウェル)を、還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して4〜12%プレキャストゲル(Invitrogen、Carlsbad、CA)で分離し、ポリビニリデンフルオリドメンブレン(Invitrogen)に電気泳動的にトランスファーした。標準法に従ってウエスタンブロットを実施した。ECL Plusウエスタンブロッティング検出システム(GE Healthcare、NJ)を使用して免疫反応バンドの可視化を実施し、その定量化をImage Jソフトウェアを使用して容量デンシトメトリーによって実施し、β−アクチンに対して正規化した。β2−ARの一次抗体は、Enzo Life Sciences,Inc.から入手し(カタログ番号ADI−905−742−100、Farmingdale、NY);ウサギ抗ホスホ−Akt(Ser−473)、ホスホ−ERK1/2、総Akt及び総ERK2は、Cell Signaling Technology(Beverly、MA)から入手し、抗β−アクチンはAbcam(Cambridge、MA)から入手した。抗体は、製造業者によって推奨される希釈で使用した。
統計解析。結果は、対照値に対して表した。研究は、少なくとも2〜3種の異なる培養調製物で実施し、各調製物において各試験条件について2〜3つのディッシュをプレーティングした。結果は、平均±S.E.として表されている。群間の統計比較を行うために、スチューデントのt検定を使用した。解析は、SigmaPlotソフトウェア(Systat Software,Inc.San Jose、CA)、Graphpad Prism4(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)及びMicrosoft(登録商標)Office Excel,2003(Microsoft Corp.、Redmond、WA)を使用して実施し、p値≦0.05を有意と考えた。
(例2)
カンナビノイド受容体活性に対するフェノテロール及びフェノテロール類似体の特性決定
この実施例は、フェノテロール及び開示されているフェノテロール類似体の、カンナビノイド受容体活性をモジュレートする能力を特性決定するために実施された一連の研究を記載する。
(R,R’)−フェノテロール、(R,R’)−Fenは、β−アドレナリン受容体(β−AR)の強力な、選択的アゴニストであり、β−ARと比較してβ−ARに対して43倍高い親和性及びヒトβ−ARを発現するHEK細胞においてcAMP蓄積の刺激に対して0.3nMというEC50cAMP値を有する。本発明者らは、さまざまなβ−AR選択性及び効力を有するいくつかの(R,R’)−Fen類似体及び立体異性体(例えば、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許公報WO2008/022038及びWO2011/112867を参照のこと)の合成及び特性決定を開示した。これらの類似体のうち1種、(R,R’)−4−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)は、573のβ−AR選択性を有し、3.90nMのEC50cAMPである。
β−ARは、ヘテロ三量体Gタンパク質(例えば、G、G)、イオンチャンネル及びβ−アレスチンを含めた細胞質スキャフォールドタンパク質と会合して、種々のシグナル伝達経路を開始し、アデニルシクラーゼ及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)などの細胞内エフェクターの活性をモジュレートする。β−ARアゴニストによるGタンパク質及びβ−アレスチンシグナル伝達の相違は、リガンド特異的GPCRコンホメーション及び機能選択性との相互作用に起因しており、これは、β−ARが、不活性の(R)状態及び1種又は複数のリガンド特異的活性コンホメーション(R*n)で存在するという仮定に基づいている。薬理学的結果のリガンド特異的相違の基礎は、アゴニストの分子構造と受容体の細胞環境間の相互関係にある。第1の例では、本発明者らは、(R,R’)−Fenが心筋細胞収縮性モデルにおいてGシグナル伝達を優先的に活性化したのに対し、(S,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFは、G及びGタンパク質の両方を活性化したので、FenのG/G選択性が、分子構造及び立体化学の関数であることを示した。後の例では、本発明者らは、(R,R’)−Fen及びイソプロテレノールなどのβ−ARアゴニストは、具体的には、cAMP依存性経路によって、ヒト由来1321N1星状細胞腫細胞系において抗増殖効果を発揮することを実証したが、Yuan及び同僚ら(Oncol Rep23:151〜157、2010年)は、イソプロテレノールがヒト由来HepG2肝細胞癌腫細胞系の成長を用量依存的に誘導したことを報告した。
この実施例は、HepG2細胞における[H]−チミジン取り込みに対するβ−ARアゴニストの分子構造及び立体化学の効果を記載し、これらの結果を、1321N1及びヒト由来U87MG膠芽腫細胞系を使用して実施された同様の研究に対して比較する。最初のデータは、(R,R’)−Fen及びイソプロテレノールは、HepG2細胞において[H]−チミジン取り込みを誘導し、1321N1細胞において増殖を低減し、U87MG細胞に対して効果を有さなかったということ並びにHepG2及び1321N1細胞における効果は、β−ARアンタゴニストICI118551によって減弱され得るということを実証した。(R,R’)−MNFが研究において利用された場合には、化合物が、HepG2細胞における[H]−チミジン取り込みを阻害し、1321N1細胞に対して有意な効果を有していなかったので、反対の結果が得られた。HepG2細胞における(R,R’)−MNFの阻害効果は、ICI118551の添加によって影響を受けず、(R,R’)−MNFはまた、β−AR欠損U87MG細胞系において[H]−チミジン取り込みを減弱した。これらの結果は、(R,R’)−MNFは、完全β−ARアゴニストであるが、この化合物の抗増殖効果は、この活性によるものではないということを示す。さらなる研究によって、AM251及びAM630、それぞれ、CB1及びCB2カンナビノイド受容体のインバースアゴニストは、HepG2及びU87MG細胞系において(R,R’)−MNF有糸分裂促進性反応を遮断したということ並びにWIN55,212−2、合成CB1及びCB2受容体アゴニストは、これらの細胞系において成長阻害をもたらしたということが示された。これらの結果は、カンナビノイド受容体活性化は、(R,R’)−MNFの細胞型依存性抗増殖効果及びアポトーシス促進効果と関連しているということを示唆する。
選択されたヒト癌細胞系におけるβ−ARの発現。HepG2肝細胞癌腫細胞、1321N1星状細胞腫細胞及びU87MG神経膠腫細胞の総抽出物におけるウエスタンブロット解析によって、β−ARのタンパク質レベルを決定した(図1A)。β−ARタンパク質レベルは、HepG2細胞と比較した場合に1321N1細胞において最高であった。U87MG細胞は、細胞表面でβ−ARを欠いていると本発明者らによってこれまでに見出された。
HepG2細胞におけるcAMP蓄積並びにAkt及びERK1/2のリン酸化に対するβ−ARアゴニストの効果。(R)−イソプロテレノールも(R,R’)−Fenも、10μMでは、HepG2細胞においてcAMP産生の増大を誘発しなかったが、アデニル酸シクラーゼアクチベーター、フォルスコリンを用いる細胞処置は、cAMPの大幅な蓄積を誘導した(図1B)。研究は、β−ARは、機能的アデニル酸シクラーゼカップリングとは独立に、マイトジェン活性化プロテインキナーゼERK1及びERK2にシグナル伝達し得るということを実証した。Akt及びERK1/2活性化に対するイソプロテレノール及び(R,R’)−Fenの効果を、Akt及びERK1/2の活性形態に相当するリン酸化ペプチドに対する選択的抗体を使用する免疫ブロッティング(imunoblotting)によって評価した。HepG2細胞の、これらのβ−アゴニストを用いる処置は、Akt及びERK活性化の時間依存性増大を誘導した(図1C)。これらの結果は、β−ARによって刺激されるアデニリルシクラーゼ活性は、少ない受容体数のために、この細胞系では検出可能レベル未満であり得るということを示す。
HepG2細胞の増殖に対する(R)−イソプロテレノール及びFen類似体の効果。HepG2細胞において、細胞増殖に対する(R)−イソプロテレノール、(R,R’)−Fen及び選択されたFen類似体の効果を決定した。(R)−イソプロテレノール及び(R,R’)−Fenの両方とも、[H]−チミジン取り込みによって評価されるように細胞増殖の大幅な増大をもたらし、それぞれ、0.40±0.08μM及び1.17±0.37μMのED50を有していた(表1;図2A)。Fenは、2つのキラル中心を有し、4種の可能性ある立体異性体形態、(R,R’)、(R,S’)、(S,R’)及び(S,S’)を有する。1μMの濃度の各異性体を使用してFenの増殖効果に対する立体化学の効果を決定した。データは、異性体のすべてが、[H]−チミジン取り込みの増大を誘導したこと及び立体化学は、このプロセスに対して定量的効果のみを有し、(R,R’)−Fenが最大の増大をもたらし(51.3%)、(S,S’)−Fenが最低の増大をもたらした(9.7%)(表1)ことを示す。この結果は、1321N1細胞における有糸分裂誘発に対する、これまでに報告されたFen立体異性体の阻害効果と一致し、これでは、阻害効力は、(R,R’)>(R,S’)≒(S,R’)>>(S,S’)であった(以下の表1を参照のこと)。N−アルキルメチル基のエチル部分{(R,R’)−エチルFen}への変化及び4’−アミノ基の4’−ヒドロキシル基{(R,R’)−アミノFen}との置換の効果も調べた。いずれの変更も[H]−チミジン取り込みに対する効果の方向性を変化させ、(R,R’)−アミノFenは、(R,R’)−Fenよりも3倍活性であり、EC50=0.47±0.09μMであると思われた(表1;図2A)。
本発明者らは、Fen分子へのナフチル部分の組込みが、得られた化合物の効力を低減したが、1321N1細胞における有糸分裂誘発に対する阻害効果を低減しなかったと決定した。さらに、(R,R’)−MNF及び1−ナフチルFenが、[H]−チミジン取り込みを阻害し、それぞれ、0.39±0.09μM及び0.21±0.07μMのIC50値を有していたので、反対の効果が観察された(表1;図2B)。(R,R’)−MNF及び(R,S’)−MNFの1μM濃度が、[H]−チミジン取り込みにおいてそれぞれ、−59.4%及び−68.1%という同等の低減をもたらしたので、MNF分子のN−アルキル部分でのキラル中心の立体化学の変化は、抗増殖反応に対して効果がなかった(表1)。
(R,R’)−MNFは、β2−ARを用いて安定にトランスフェクトされたHEK細胞及び1321N1細胞におけるcAMP発現の刺激に関して完全な、強力なβ−ARアゴニストであり、HEK細胞及び1321N1細胞は、それぞれ、3.9nM及び68.9nMのEC50を有する。HepG2細胞は、[H]−チミジン取り込みに関して、(R,R’)−アミノFen(EC50=0.47±0.09μM)及び(R,R’)−MNF(IC50=0.39±0.09μM)に対して相当な感受性を示したので、2種の化合物に対する1321N1細胞の反応性を決定し、著しく低いとわかった(図2C)。HepG2及び1321N1細胞における(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFに対する観察されたβ−AR反応の特異性を、これまでに活性β−ARの発現を欠くとわかっているU87MG細胞を使用して試験した。この細胞系では、(R,R’)−MNFは、細胞増殖の強力な阻害をもたらしたが、(R,R’)−Fenは効果がなかった(図7)。
1321N1細胞における有糸分裂誘発に対する(R)−イソプロテレノール及び(R,R’)−Fenの効果のこれまでの研究では、研究は、完全培地を使用して実施された。血清の存在又は不在が、(R)−イソプロテレノール及び(R,R’)−Fenに応じた有糸分裂誘発の程度に大幅に影響を及ぼしたかどうかを決定するために、両プロトコールを使用して研究を反復した。結果は、HepG2細胞は、血清が枯渇した培地においてより良好な感受性を示したが、感受性は完全培地で維持された1321N1細胞においてより高かったことを示した(図2D)。これらのデータは、HepG2及び1321N1細胞においてβ−ARアゴニストに対する対照的な有糸分裂促進性反応があることを示唆する。
β−AR拮抗作用は、(R,R’)−MNFの抗増殖作用を阻害しないが、HepG2細胞において(R,R’)−Fenの成長促進効果を妨げる。(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFによって媒介される多岐にわたる作用は、細胞増殖に対して反対の効果を有する個々のシグナル伝達経路の活性化と一致する。これを評価するために、HepG2細胞を、β受容体アンタゴニスト、ICI118,551を用いて前処置し、続いて、(R,R’)−Fen又は(R,R’)−MNFの存在下で24時間インキュベーションを行った。ICI118,551単独では細胞増殖に対して効果を示さなかった(図3A)が、その添加は、(R,R’)−Fenによって刺激される有糸分裂誘発を大幅に遮断した(図3B及び3C)。しかし、(R,R’)−MNFの抗増殖効果は、ICI118,551前処置に対して不応性であった(図3B及び3D)。
MNFの同時添加によって(R,R’)−Fenの作用を妨害する能力を決定した。結果は、(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNF単独の中間である、HepG2細胞における有糸分裂促進性反応を明確に示し、ICI118,551を用いる前処置は、(R,R’)−MNFの抗増殖効果を部分的に回復した(図7、上のパネル)。しかし、1321N1細胞において(R,R’)−Fenによって、及びU87MG細胞において(R,R’)−MNFによって誘発される細胞増殖プロフィールの特徴は、(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFを用いる同時処置によって維持された(図7、中央及び下のパネル)。ICI118,551を用いる前処置は、U87MG細胞において(R,R’)−MNFの抗増殖作用に対して不活性でありながら、1321N1細胞において(R,R’)−Fenシグナル伝達を遮断した(図7)。これらの結果は、細胞増殖に対する(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFの効果が、細胞型特異的であり、個々の受容体の活性化を必要とし得ることを示す。
(R,R’)−MNFは、HepG2細胞においてアポトーシスを誘導する。HepG2細胞の増殖は、ヨウ化プロピジウム染色を使用するフローサイトメトリー分析によって評価して、細胞周期を調べた。(R,R’)−Fenは、細胞周期の有意な変化をもたらさなかったが、(R,R’)−MNFは、1μMの(R,R’)−MNFで処置されたHepG2細胞において、G/M及びS相細胞集団の一時的な減少を引き起こした(対照におけるG2/M:13.8±1.1%対6時間後に10.2±0.9%、12時間後に14.6±1.8%及び24時間後に8.9±1.6%;S:対照における34.7±0.3%対6時間後に34.1±0.9%、12時間後に13.7±1.2%及び24時間後に24.6±4.2%)(図4)。(R,R’)−MNFを用いる処置はまた、サブG事象の数の時間依存性増大をもたらし、12時間までに21.5±0.7%の最大に達した(図4、下、右のパネル)。細胞が(R,R’)−Fen(1μM)を用いて処置された場合には、最大24時間でサブG事象の有意でない増大が観察された。
サブG事象は、細胞がアポトーシスの後期段階に進行したか、すでに死滅しているときに起こる。アポトーシスを直接測定するために、HepG2細胞においてアネキシンV/PI染色を用いるフローサイトメトリー分析を実施した。(R,R’)−MNF(1μM)を用いる24時間処置によって誘導されたアポトーシス細胞のパーセンテージは、対照と比較して5.7倍増大した(P<0.01)。しかし、(R,R’)−Fen処置は、対照の未処置細胞と比較してアポトーシスを著しく低減した(図5)。
(R,R’)−MNF及び(R,R’)−Fenの細胞増殖の対照におけるカンナビノイド受容体の役割。(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFに応じた有糸分裂誘発の調節が、カンナビノイド受容体シグナル伝達機構によって起こるかどうかを調べた。CB1R及びCB2RのmRNAレベルを、HepG2、1321N1及びU87MG細胞においてRT−PCRによって決定した(図6A、表2中に以下に提供されるプライマー)。結果は、HepG2及びU87MG細胞が、CB1R及びCB2Rを発現したが、1321N1細胞は検出可能なレベルのCBR mRNAを有さなかったことを示した。(R,R’)−Fen及び(R,R’)−MNFで処置された細胞において、対照と比較して、合成カンナビノイド化合物の強力な調節効果が観察された。(R,R’)−MNFと同様に、カンナビノイド受容体アゴニスト、WIN55,212−2(1μM)を用いたHepG2細胞の処置は、細胞増殖を低減し、フェノテロールの成長促進作用を相殺した(図6B)。AM251及びAM630は、それぞれ、CB1R及びCB2Rの合成インバースアゴニストである。AM251又はAM630を用いる細胞前処置は、(R,R’)−Fenの有糸分裂促進性反応に対して影響がなく(図6C)、これら2種のカンナビノイド受容体の基礎レベル活性は、(R,R’)−Fenの増殖作用において主要な役割を果たさないことを示す。しかし、AM251又はAM630を用いるプレインキュベーションは、HepG2細胞における(R,R’)−MNFの抗増殖効果を完全に阻害し(図6C)、これは、(R,R’)−MNFシグナル伝達におけるカンナビノイド受容体の関与と一致する。この仮説を支持して、(R,R’)−MNF非応答性である1321N1細胞は、単独又は(R,R’)−Fenと組み合わせて添加された場合に、カンナビノイド受容体リガンドに対して不応性であった(図8A及び8B)。しかし、MNFの抗増殖効果は、β−AR欠損、MNF反応性U87MG細胞において、AM251及びAM630によって部分的に遮断された(図8C及び8D)。
本実施例は、HepG2細胞の(R,R’)−Fenを用いる処置が、細胞増殖の増大につながったことを実証する。ICI118,551は、この効果を遮断し、これは、β−ARの関与を示す。しかし、フォルスコリンを用いる処置は、細胞が機能的アデニル酸シクラーゼを発現したことを実証したが、(R,R’)−Fenもイソプロテレノールも、HepG2細胞におけるcAMPの形成を誘導しなかった(図1)。これらの結果は、cAMP蓄積に対するβ−ARアゴニストの効果の欠如を説明するための2つの可能性を支持する:β−ARが、cAMPを大幅に増大しないほど十分に低いレベルにあるか、又はHepG2細胞系中のβ−ARが刺激性Gαタンパク質と不十分にしか共役せず、細胞成長を促進するその他のシグナル伝達中間体との可能性ある相互作用を示唆するか、のいずれか。本結果は、(R,R’)−Fen又はイソプロテレノールを用いるHepG2細胞の処置が、PI3−キナーゼ/Akt及びERK経路を活性化したことを実証する。
1321N1細胞におけるcAMP蓄積及び有糸分裂誘発の阻害のβ−AR関連刺激に対するFenの立体化学の効果に関するこれまでの研究は、分子の2つのキラル中心での空間配置の変化が、これらの特性の定量的変化のみをもたらすことをということを実証した。Fen立体異性体のすべてが、[H]−チミジン取り込みの増大をもたらしたように(変化%として報告される)、HepG2細胞において立体化学の同様の効果が観察され、(R,R’)>>(S,R’)≒(R,S’)>>(S,S’)であった(表1)。分子、(R,R’)−エチルFenのN−アルキル部分でのキラル中心での立体容積を増大することによって、また4’−置換基、(R,R’)−アミノFenの水素結合特性を変化させることによって、(R,R’)−Fen分子の構造変化の効果を調べた。両類似体とも、(R,R’)−Fenと同程度に、HepG2細胞における[H]−チミジン取り込みを増大し(表1及び図2A)、これは、Fen分子が、4’−置換フェニル環を含有する場合に、化合物が、HepG2細胞において[H]−チミジン取り込みを刺激すること及び分子の立体化学が、この効果に影響を及ぼすが、質的には変化させないことを示唆する。全構造−活性関係研究を開始しており、結果は別の場所で報告する。
本発明者らは、N−アルキル部分でのフェニル環のナフチル部分の置換によって製造されたFenのナフチルフェノテロール(NF)類似体が、β−ARを用いて安定にトランスフェクトされたHEK細胞(HEK−β−AR)におけるcAMP発現の刺激に関して完全な、強力なβ−ARアゴニストであることを実証した;例えば、(R,R’)−1−NF及び(R,R’)−MNFのEC50cAMPは、それぞれ、12.5及び3.9nMであった。(R,R’)−Fenを用いて観察されたように、(R,R’)−1−NF及び(R,R’)−MNFも、1321N1細胞において有糸分裂誘発を阻害したが、IC50値は、(R,R’)−Fenよりも≧10倍高かった(Tollら、J Pharmacol Exp Ther336:524〜32、2011年)。HepG2細胞が(R,R’)−1−NF及び(R,R’)−MNFとともにインキュベートされた場合には、同様の定量的効果、すなわち、[H]−チミジン取り込みの弱い刺激が期待された。しかし、(R,R’)−MNF及び(R,R’)−1−NFが、[H]−チミジン取り込みを阻害し、0.39±0.09μM及び0.21±0.07μMのIC50値をそれぞれ有していたので、質的に異なる効果が観察された(表1及び図2B)。さらに、Fenとは異なり、MNF分子のN−アルキル部分でのキラル中心の立体化学の変化は、抗増殖反応に対して効果がなかった(表1)。
この研究に使用されたFen及びNF類似体は、β−ARアゴニストであるので、ナフチル環のフェニル環との置換によって生じた効果の可能性ある説明として、「リガンドによって向けられるシグナル伝達」又は「偏ったアゴニズム」がある。β−ARは、複数のコンホメーションでリガンドと結合すること及び異なる受容体コンホメーションとの結合が、シグナル伝達の相違につながり得るということが実証されている。Fen及びNF分子に関して、Fen類似体のβ−ARとの相互作用の最初の比較分子場解析(Comparative Molecular Field Analysis)(CoMFA)研究によって、NF分子のナフチル置換基が、Fen分子上のフェニル部分には利用できない一連のπ−π及びπ−水素結合相互作用によってβ−ARと相互作用し得ることが示された。しかし、NF類似体の結合及び[H]−チミジン取り込みの低減の直接的関連は、選択的薬理学的β−ARアンタゴニスト、ICI118,551が、(R,R’)−MNFの抗増殖作用を遮断できず(図3)、β−AR陰性U87MG細胞の(R,R’)−MNFを用いる処置が、細胞成長の著しい低減を引き起こすが、(R,R’)−Fenは効果を有さなかった(図7)ので疑わしいと思われる。このデータは、NFがHepG2細胞において発現されたβ−ARと結合し、(R,R’)−Fenによって安定化されるコンホメーションとは異なるそのコンホメーションを安定化する可能性を排除しないが、これが起こる場合には、細胞成長をもたらす下流シグナル伝達カスケードの開始をもたらさないということを示唆する。
本明細書において開示されている薬理学的証拠は、(R,R’)−MNFが、CB受容体の活性化によってその抗増殖効果を媒介することを示す。一方では、(R,R’)−MNFのこの作用は、HepG2及びU87MG細胞においてWIN55,212−2によって再現され、組合せ(R,R’)−MNF及びWIN55,212−2は、相加効果の欠如を示した。他方、CB1及びCB2受容体の選択的阻害は、(R,R’)−MNFシグナル伝達の抑制を示した。1321N1細胞における細胞成長に対するWIN55,212−2によって媒介される作用の効果の欠如という知見は、1321N1細胞においてよりもHepG2及びU87MG細胞系において実質的により多くのCBR発現があることによって説明され得る。さらに、本結果は、HepG2細胞増殖における(R,R’)−Fenによって媒介される増大は、WIN55,212−2によって中和されることを実証し、場合によっては、WIN55,212−2に応じたGが連結しているCBRの刺激が、主にPI3−キナーゼ/Akt及び/又はERK経路を負にターゲッティングすることによって細胞成長を阻害することを示す。まとめると、これらの知見は、β−AR活性化を必要としない機序による、(R,R’)−MNFの抗有糸分裂促進性、アポトーシス促進性活性におけるCB受容体の複雑な細胞型特異的関与を示す。
(例3)
カンナビノイド受容体モジュレーションの特性決定
この実施例は、フェノテロール及び開示されているフェノテロール類似体のカンナビノイド受容体活性をモジュレートする能力をさらに特性決定するために実施された一連の研究を記載する。
(R,R’)−MNF誘導性反応を媒介するCB受容体の種類を同定するために、HepG2細胞におけるTocriFluor1117(T1117、Tocris Bioscience)取り込みに対するMNFの効果を評価した。T1117は、カンナビノイドCB1受容体インバースアゴニストAM251の蛍光性形態であり、これは、GPR55と高親和性で結合するが、CB1受容体との中程度の結合を有し、CB2受容体と相互作用しない。HepG2細胞を、フェノテロール(1μM)、MNF(1μM)又はAM251(10μM)とともに1時間インキュベートし、続いて、T1117(0.1μM)を添加した。図9に例示されるように、媒体又はフェノテロールのいずれかと比較して、T1117に先立ってMNF又はAM251で処置した細胞において、T1117取り込みは著しく低減した。これらの研究は、MNFはGPR55をモジュレートできることを示す。
(例4)
MNFのin vitro代謝的安定性
この実施例は、ヒト及びラット肝臓ミクロソームでのMNFの代謝的安定性を記載する。
図10は、MNFを、活性な、熱不活化したヒト(HLM)及びラット(RLM)肝臓ミクロソーム及び補助因子とともに37℃でインキュベートした(2連で)in vitro代謝的安定性研究から得られたデータを示す。アリコートを0、15、30及び60分で取り出し、各時点で残存する試験化合物(MNF)の量をLC−MS/MSによって決定した。結果は、熱不活化ミクロソーム対照の濃度の低下に基づいて、MNFが、インキュベーション条件下で幾分か不安定であることを示したが、結果は、ラット及びヒト肝臓ミクロソームとともにインキュベートした場合にMNFレベルの大きな低下を示す。
図11は、37℃で20分間の、MNF、1又は10μMの、モデルCYP基質のカクテルとの、ヒト肝臓ミクロソーム及びCYP補助因子の同時インキュベーションから得られた結果を実証する。既知CYP阻害剤を含有するインキュベーションも陽性対照として含めた。モデル基質の代謝産物の形成を、LC−MS/MSによって測定し、対照インキュベーション(基質の、ミクロソーム及び補助因子との、試験品又は阻害剤を伴わないインキュベーション)と比較した。対照の70%未満であった、試験化合物(MNF)の存在下でCYP活性を、有意と考えた。MNF(10μM)は、CYP2D6及びCYP3A4を対照の70%未満に阻害した。さらに、一次代謝産物をO−脱メチル化−MNFであると決定した。これらの研究は、MNFが、10μM以上で血漿又は肝臓中に存在する場合に、CYP2D6及び/又はCYP3A4アイソフォームの基質であるその他の薬物又は内因性化合物の代謝を変化させることを示す。
(例5)
IV投与後のin vivo分布及びクリアランス
MNFの血漿及び脳組織濃度を決定するために、10mg/kgのMNFの単回IV用量の投与後に、雄のスプラーグ−ドーリーラットから得られた血漿及び脳組織サンプル中のMNF及びその代謝産物の濃度を決定した。アッセイは、Eclipse XDB−C18ガードカラム(4.6mm×12.5mm)及びAtlantis HILICカラム(150×2.1mm ID、5mm)を使用して実施した。移動相は、成分Aとして0.1%ギ酸及び成分Bとしてアセトニトリルを含有する水からなっていた。直線勾配は以下の通りに流した:1.0ml/分の流速で、0分間95%B;5分間60%B;6分間80%B;10分間95%B。総実施時間は、1サンプルあたり15分とした。分析物の同定及び定量化は、ポジティブエレクトロスプレーイオン化モードにおいてAPI−4000 LC−MS/MSを使用して達成し、多重反応モニタリング(MRM)及び以下のMRMトランジション:MNF(369−200);MNF−Gluc(545−200)を使用してデータを獲得した。
図12は、10mg/kg MNFのIV投与後30分で得られた血漿サンプルの分析を例示する。図12の挿入図中、MNF及びGluc−MNFは、対照血漿マトリックス中に存在する干渉ピークを伴わずに示されている。図13は、10mg/kg MNFのIV投与後30分に得られた脳組織の分析を例示する。6.39分のピークは、対照脳マトリックス中に存在する同定されていない化合物である(図13の挿入図を参照のこと)。図14は、スプラーグ−ドーリー雄ラットの血漿及び脳におけるMNFの時間経過であり、算出された薬物動態パラメータが以下の表3中に示されている。
10mg/kg MNFを、雄のスプラーグ−ドーリーラットにIV投与し、投与後10分間から24時間の間、MNFの血漿中濃度を決定し、レベルは1時点あたり3匹の動物において測定した。同一研究において、1時点あたり3匹の動物を用いて、投与後10〜60分間の間で脳組織におけるMNFの濃度を測定した。投与後10分で脳組織におけるMNF濃度は、200ng/組織1mgであり、30分で、800ng/組織1mgのピークに達した。血液(ng/mlとして測定された)及び脳組織(ng/組織1mgとして測定された)中のMNFの濃度間の相対分布は、中枢及び末梢身体区画の両方の間の同等の分布を反映して、10分で0.2、30分及び60分で1.0であった。この分析は、薬物の相当なレベルが、投与後10分で脳組織において定量され得ること並びに投薬後30分で濃度がピークに達し、その時点で血漿中濃度は同等であり、60分で脳組織濃度は血漿中濃度と同等であり続けることを示す。さらに、見かけの分布容積(V)は高く、これは広範な組織分布を示す。
これらの研究は、MNFが血液脳関門を通過できること並びにこのような化合物並びにおそらくはその他の関連フェノテロール類似体及び/又はフェノテロールのIVによる投与は、これらの化合物を、例えば、CB受容体活性によって調節される脳腫瘍を治療するために脳に送達する有効な手段であることを実証する。
(例6)
MNFは、中枢神経系機能に対して有意な負の効果を有さない
この実施例は、MNFが、中枢神経系機能に対して有意な負の効果を有さないことを実証する。
単回用量増大研究を実施して、スプラーグ−ドーリーラットにおけるIV投与を用いる7日反復用量研究のために、用量レベルを選択した。用量レベルは、0、5、10及び25mg/kgとした。毒性効果はこの研究において最小であった(以下の表4及び5を参照のこと)。

中枢神経系機能に対するMNFの効果をさらに評価するさらなる研究を実施した。これらの研究において、MNFは、テトラヒドロカンナビノールと比較して(図16)、中枢神経系に有意な負の効果を全く有さないことがわかった(図15)。
(例7)
(R,R’)−MNF及び(R,R’)−4−メトキシフェノテロール(MF)は、肝臓、結腸及び肺癌細胞成長の強力な阻害剤である
この実施例は、(R,R’)−MNF及び(R,R’)−4−メトキシフェノテロール(MF)が、肝臓、結腸及び肺癌細胞成長の強力な阻害剤であることを実証する。
種々の腫瘍細胞の成長に対する(R,R’)−MF及び(R,R’)−MNFの効果を評価した。30μM未満のIC50値は、腫瘍細胞成長の有効な阻害剤であると考えられたのに対し、50μM未満のIC50値は、潜在的な活性を示す。以下の表6及び7に例示されるように、MNFは、肝臓癌細胞成長、肺癌細胞成長、結腸癌細胞成長、前立腺癌細胞成長、CNS癌細胞成長及び非小細胞肺癌(NSCLC)の強力な阻害剤であった。
これらの研究は、MNF及びMFが、肝臓、肺及び結腸癌を含めたさらなる種類の癌成長を阻害できることを示す。当業者ならば、それらはまた、ヒトを含めたさらなる対象において、肝臓、肺及び結腸癌などの癌を治療することを含め、腫瘍成長を低減するために、その他のフェノテロール類似体(その他のナフチルフェノテロール類似体など)を使用するための支持体を提供することを理解するであろう。

(例8)
マウスにおけるラットC6神経膠腫異種移殖片モデルにおける(R,R’)−4−メトキシ−1−ナフチルフェノテロールの抗腫瘍活性
この実施例は、マウスにおけるラットC6神経膠腫異種移殖片モデルにおけるMNFの抗腫瘍活性を実証する。
(R,R’)−4−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)は、いくつかの種類の癌細胞系のin vitro増殖を阻害する。この実施例では、MNFのin vivo抗腫瘍効果を、5週齢NMRI/ヌード雌スイスマウスの下部側腹部に皮下移植したラットC6神経膠腫細胞を使用して評価した。接種の3日後、マウスを、1週間に5日で2週間の生理食塩水又はMNF(2mg/kg)の腹膜内注射に付した。腫瘍体積をノギスを使用して毎日測定した。研究の最後に、動物を屠殺し、cDNAマイクロアレイ、定量的RT−PCR及び免疫ブロット分析のために腫瘍を採取した。生理食塩水処置群と比較して、MNFを投与されたマウスでは、平均腫瘍体積の大幅な低減が観察された(p<0.001、n=17〜19)。細胞増殖に関与する遺伝子の発現のクラスター並びに生理食塩水が注射された対照と比較して、MNF処置マウスの腫瘍において大幅に下方制御された膠芽腫の分子マーカーを同定した。in vivo及びin vitroにおいてC6神経膠腫細胞増殖に対するMNFの有効性は、細胞周期調節因子タンパク質の発現の著しい低減を伴った。この研究は、膠芽腫異種移殖片モデルにおけるMNF依存性化学予防の最初の実証であり、in vivoでのその抗癌作用の機序を提供する。
材料及び方法
材料。(R,R’)−4−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)は、本明細書に、及びこれまでに記載されたように合成した(各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Jozwiakら、J Med Chem50:2903〜2915、2007年;Jozwiakら、Bioorg Med Chem18:728〜736、2010年)。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、トリプシン溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ウシ胎児血清(FBS)、L−グルタミンの100×溶液(200mM)及びペニシリン/ストレプトマイシン(10,000ユニット/mlペニシリン及び10,000μg/mlストレプトマイシンの混合物)は、Quality Biological(Gaithersburg、MD、USA)から入手した。
細胞培養。ラット由来C6神経膠腫細胞系は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から入手した。細胞は、37℃の加湿CO2インキュベーター中、L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液及び10%FBSを補給したDMEMで日常的に維持した。
3H−チミジン取り込み。C6神経膠腫細胞を、約5×104個/ウェルで12ウェルプレートに播種し、24時間インキュベートし、続いて、種々の濃度のMNFとともに2回目の24時間インキュベーションを行った。放射標識チミジン(10Ci/mmol;PerkinElmer Life and Analytical Sciences、Waltham、MA)を、1ウェルあたり1μCiで16時間添加し、次いで、DNAへのその取り込みを測定した。各処置群を3連で実施し、3つの独立した研究を実施した。
マウスにおけるC6腫瘍異種移殖片。MNFの、in vivoでの腫瘍成長の退縮を誘導する能力を評価するために、ラットC6神経膠腫細胞を、コンフルエンシーでトリプシンで回収し、腫瘍異種移植片を作製するために使用した。胸腺欠損雌ヌードマウス(SWISS nu+/nu+)は、Charles Rivers(L’Arbresle、France)から入手し、病原体不含条件下、12時間明/12時間暗周期で維持した。動物に標準飼料(供給物)を自由に給餌させた。胸腺欠損ヌードマウスに、0.5×106個のC6神経膠腫細胞を含有する100μlの培養培地を左側腹部に皮下に接種し、次いで、各10匹の動物の2群に無作為に分割した。細胞接種の3日後に出発して、マウスに毎日、媒体又は生理食塩水中の100μMアスコルビン酸(媒体)中のMNF(2mg.kg−1)の腹膜内注射(10μl.g−1体重)を1週間に5日で19日間投与した。動物生存を毎日モニタリングし、長さ(a)及び幅(b)を測定して、4/3π×rl2×r2(式中、rlは短い方の半径であり、r2は長い方の半径である)として推定するためにノギスを使用して腫瘍の大きさを決定した。マウスを、MNF注射後最大19日モニタリングし、又は腫瘍の大きさが2cm3を超えた場合若しくはマウスが嗜眠性、病的になり、給餌することができず、このため体重が初期体重の20%未満に低下した場合には、より早く安楽死させた。マウスは、頸部伸長によって安楽死させ、腫瘍塊を採取し、秤量し、冷PBSで洗浄し、その後、液体窒素中で瞬間凍結した。両群において8〜9匹の動物を用いる第2セットの研究を反復した。
C6神経膠腫腫瘍におけるin vivoでのMNF蓄積の評価。胸腺欠損マウスにおけるC6腫瘍異種移植片におけるin vivoでのMNFの蓄積を、媒体処置腫瘍を保有する動物との比較で評価した。凍結腫瘍サンプルを解凍し、次いで、ホモジナイズした。MNF及びその代謝産物の濃度を、HPLCと、それに続くLC−MS/MSによって決定した。手短には、アッセイをEclipse XDB−C18ガードカラム(4.6mm×12.5mm)及びAtlantis HILICカラム(150×2.1mm ID、5mm)を使用して実施した。移動相は、成分Aとして0.1%ギ酸及び成分Bとしてアセトニトリルを含有する水からなっていた。直線勾配は以下の通りに流した:1.0ml/分の流速で、0分間95%B;5分間60%B;6分間80%B;10分間95%B。総実施時間は、1サンプルあたり15分とした。分析物の同定及び定量化は、ポジティブエレクトロスプレーイオン化モードにおいてAPI−4000 LC−MS/MSを使用して達成し、多重反応モニタリング(MRM)及び以下のMRMトランジション:MNF(369−200);MNF−Gluc(545−200)を使用してデータを獲得した。媒体が注射されたマウスから得られた腫瘍組織を対照として使用した。
ラットC6神経膠腫異種移植片における遺伝子発現の分析。媒体及びMNF処置マウス(n=1群あたり3、コホート1)から回収したラットC6神経膠腫異種移植片から全RNAを単離した。この分析を、動物の第2のコホート(n=1群あたり3、コホート2)で反復した。総細胞RNAを、RNeasyプラスミニキット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して抽出し、RNA 6000 Nano Chips(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を使用するAgilent BioAnalyzerを使用してその質を評価した。Illumina Sentrix BeadChips(Illumina、San Diego、CA)を使用して転写プロファイリングを決定した。全RNAを使用し、Illumina TotalPrep RNA増幅キットを用いてビオチン標識したcRNAを作製した。手短には、0.5μgの全RNAを、T7 RNAポリメラーゼプロモーター部位を含有するオリゴdTプライマーを使用し、逆転写酵素を用いて一本鎖cDNAにまず変換し、次いで、コピーして、二本鎖cDNA分子を製造した。供給されたカラムで二本鎖cDNAを清浄にし、濃縮し、ビオチン−16−UTPを組み込む一本鎖RNA(cRNA)が作製される一晩in−vitro転写反応において使用した。合計0.75μgのビオチン標識cRNAを、IlluminaのSentrix Rat Ref−12 Expression BeadChipと58℃で16時間ハイブリダイズした。各BeadChipは、およそ30倍の重複性を有する、約22,000ウェルの注釈のついたRefSeq転写物を有する。アレイを洗浄し、ブロッキングし、ストレプトアビジン−Cy3を用いて染色することによって標識されたcRNAを検出した。ハイブリダイズされたアレイを、Illumina BeadStation 500X Genetic Analysis Systemsスキャナーを使用してスキャンし、IlluminaのGenomeStudioソフトウェア、バージョン1.6.1を使用して画像データを抽出した。統計分析のために、発現データを、各チップで一貫したシグナル及びIllumina検出p値<0.02を有するプローブのみを含むようフィルターにかけた。
相関分析、サンプルクラスタリング分析及び主成分分析を実施して、任意の可能性ある異常値を同定/排除した。得られたデータセットを、次いで、0.05未満のZスコア信頼度及び0より大きい平均バックグラウンド補正シグナル強度の値統計を使用するDIANE6.0、スプレッドシートベースのマイクロアレイ分析プログラムを用いて分析した。
遺伝子セット濃縮分析は、マイクロアレイ中のすべての遺伝子の遺伝子発現値又は遺伝子発現変化値を使用する。遺伝子セット分析のためのWEB−PAGE GSAツールを使用する遺伝子セット濃縮のパラメトリック分析(PAGE)を使用した。遺伝子セットは、MSIGデータベース、遺伝子オントロジーデータベース、GADヒト疾患及びマウス表現型遺伝子セットを含み、これらを使用して機能的レベル変化を調査した。INGENUITY(登録商標)Pathway Analysis(IPA)システム(INGENUITY(登録商標) Systems)を使用して、遺伝子−遺伝子相互作用も分析した。
全RNA抽出、cDNA合成及びqRT−PCR分析。全RNA(DNアーゼ処置ステップを含む)を、RNeasyミニキット(Qiagen、Valencia、CA)を使用して凍結腫瘍組織から単離した。NanoDrop分光光度計(NanoDrop Technologies、Wilmington、DE)を使用してRNA濃度及び質を測定した。続いて、qSCRIPT(商標)cDNA SuperMix(Quanta Biosciences、Gaithersburg、MD)を使用して、2μgの全RNAをcDNAに逆転写した。定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)反応を実施して、マイクロアレイ分析から選択された6種の遺伝子の発現を確認した。Sox4、Olig1、Galnt3、Cdkn3、Ccna2及びBub1bの市販の標的プローブ(PrimeTime qPCR Assays and Primers、IDT DNA Technologies、Coralville、IA)を使用する、ABI Prism7300配列検出システム(Applied Biosystems)でSYBR(登録商標)Green PCRマスターミックスを用いて反応を実施した。内部対照として、Gapdh及び媒体処置腫瘍を用い、2−ΔΔCt法を使用してデータを分析した。cDNAを含まない反応混合物からなる対照は、すべての実施において陰性とした。
ウエスタンブロット分析。凍結腫瘍組織を、ホスファターゼ阻害剤カクテル(EMB−Calbiochem)及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich)を補給した、EGTA及びEDTAを含有する放射免疫沈澱バッファー(Boston BioProducts、Ashland、MA)を用い、標準プロトコールに従って溶解した。清澄化した溶解物から得られた等量のタンパク質を、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し(Invitrogen、Carlsbad、CA)、iBlotシステム(Invitrogen)を使用してポリビニリデンジフルオリドメンブレンに電気的に転写した。ウエスタンブロットを標準法に従って実施し、これは、5%脱脂乳でのメンブレンのブロッキングと、それに続く、対象の一次抗体及び酵素西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしている二次抗体を用いる逐次インキュベーション法を含んでいた。ECL Plusウエスタンブロッティング検出システム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用する化学発光によって免疫反応性バンドの検出を実施した。タンパク質バンドの定量化は、ImageJソフトウェア(National Institutes of Health、Bethesda、MD)を使用する容量デンシトメトリーによって行った。この研究において使用される一次抗体は、サイクリンA(sc−751、1:500希釈;Santa Cruz Biotechnology,Inc.、Santa Cruz、CA、USA)、サイクリンD1(sc−8396;1:500希釈;Santa Cruz)及びβ−アクチン(マウス;1:10000希釈;Abcam、Cambridge、MA、USA)に対して作製した。モノクローナル抗体(1:1000;Santa Cruz Biotechnology,Inc.、Santa Cruz、CA)を用いるHsp90の検出を実施して、同等タンパク質ローディングを制御した。
統計分析。腫瘍組織の両セットから得られたウエスタンブロットデータを一緒に分析した。シャピロ・ウィルク検定を使用して、値(タンパク質発現レベル)がガウス分布に従ったかどうかを評価した。異常値は、集団が正規性検定を通ることを妨げるので、さらなる分析から除去した。培養物でのラットC6細胞から得られた結果を、スチューデントt検定を使用して分析した。反復二元配置分散分析(ANOVA)を使用して、時間の関数として変化の誘導を比較した。データは平均±平均の標準誤差(SEM)として表されており、p値が0.05未満である場合に有意と考えた。
結果
MNFは、腫瘍細胞増殖を低減する。細胞増殖アッセイをラットC6神経膠腫細胞系を使用して実施した場合に、MNFに応じて強力な成長阻害が観察され、約1.0nMのIC50を有していた(図18A)。細胞増殖に対するβ−ARアゴニスト、イソプロテレノール及びFenの効果を、選択的β2−AR遮断薬、ICI−118,551の不在下及び存在下でのMNFのものと比較した(図18B)。イソプロテレノール及びFenの両方とも、20nMで使用した場合に、C6細胞成長の弱い10〜15%阻害を誘発し、同一濃度のMNFは、有糸分裂誘発の大幅な54.3±1.2%の低減を引き起こした(n=4、P<0.001)。ICI−118,551の添加は、イソプロテレノール及びFenシグナル伝達を妨害しながらMNFの抗増殖効果を遮断しなかった(図18B)。C6神経膠腫細胞は、β2−AR及びCB受容体の両方を発現し、MNFの細胞作用は、CB受容体活性と関係すると先に報告されている。CB1受容体インバースアゴニストAM251とのプレインキュベーションは、C6細胞をMNFの成長阻害効果に対して不応性にしたのに対し、CB2受容体のAM630を用いる阻害は、MNFシグナル伝達に対して最小の効果を有していた(図18C)。これらの結果は、MNFの抗増殖作用がCB1受容体シグナル伝達によって起こることを示す。MNF処置C6神経膠腫細胞において、細胞形態学及び核縮合における同時発生的変化が観察され、アポトーシスと一致した(図18D)。
MNFは、ラットC6神経膠腫異種移殖片モデルにおいて、in vivoで腫瘍成長を低減する。MNFが、in vivoで治療効果を有し得るかどうかを決定するために、免疫欠損マウスにおいてラットC6神経膠腫異種移植片モデルを開発した。腫瘍を保有する雌のヌードマウスをMNFを用いて毎日腹膜内に19日間処置した。MNF処置動物において、媒体処置群と比較して腫瘍体積の大幅な低減が観察された(P<0.008;図19A)。これらの研究は、マウスの第2の独立コホートにおいて実施し、同様の結果を示した(組み合わされた結果について図19Bを参照のこと)。処置の最終日の後に腫瘍を切除し、その後の分析のために液体窒素中で瞬間凍結した。
in vivoでのMNFレベルの決定。研究の完了時に、MNF処置動物から得られた腫瘍をMNFの組織濃度についてアッセイした。結果は、相当な濃度のMNFが腫瘍組織において蓄積したことを示し、141.0±52.5ng/ml/組織1g(コホート1、n=9)及び214.4±65.5ng/ml/組織1g(コホート2、n=7)、これは、全身投与されたMNFは、提案された治療標的に達することを実証した。
MNFは、C6神経膠腫異種移植片における遺伝子発現プロフィールを変化させる。マイクロアレイ分析によるグローバル遺伝子発現プロファイリングを実施して、腫瘍を保有する媒体処置マウスと比較して、C6神経膠腫異種移植片において、発現がMNF処置の際に変化した遺伝子の群を同定した。各群において2つの動物のコホートから得られた6つの独立した生物学的サンプルを使用した。マイクロアレイデータを正規化し、処理した後に、遺伝子が、MNF及び媒体間で1.5以上の絶対z比を示し、調整されたP値<0.05及び偽発見率<0.3が割り当てられた場合に、遺伝子は異なって発現されると考えられた。主成分分析(PCA)は、MNF及び媒体群間で大幅に変化した遺伝子発現の識別パターンを示した(図20A)。この研究に由来するデータセットのコンピュータによる解析は、いくつかの細胞周期と関連するGO期間、例えば、MNF処置の間の腫瘍成長の制御に関与している可能性が高い「DNA複製」、「細胞周期」、「有糸分裂」及び「細胞分裂」の同定につながった(表8)。異種移殖片トランスクリプトームにおけるMNF処置の際の大きな比率を占めるGO期間の分析は、核酸の代謝の制御に関与するものと一緒に、細胞分裂と関連する遺伝子の大幅な負の調節を示した。遺伝子セット濃縮のパラメータ化分析(PAGE)を使用して、MNFによって影響を受ける、調節されたシグナル伝達経路及び生物学的プロセスに関してさらなる洞察が提供された。308種を超える遺伝子セットの収集物から、MNFによって発現レベルが大幅に変化した55種の遺伝子セットがあり、遺伝子セットの大部分(48/55)は下方制御された(表10)。
2つの動物のコホートから得られたこのシグネチャーの強度が、図20Bに表されており、MNF処置によって最も影響を受けた10種の遺伝子セットの部分リストが表9に表されている。対象の遺伝子の中で、MNF群では、媒体対照と比較して、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)−11及び14を含めた多くのものが下方制御された(図20C)。MNFを用いる処置はまた、Galnt3並びにその他の細胞周期調節因子、例えば、Ccna2、Cdkn3及びBub1b(図20C)の下方制御による成長停止に対してC6神経膠腫腫瘍異種移殖片を感作させた。さらに、MNF処置の際にグリア脳腫瘍の分子マーカーの発現の大幅な低減があった。他方、Casp1、Casp11及びCasp12などのアポトーシス関連転写物は、MNFによって上方制御された(図20C)。定量的RT−PCR分析によって、MNFは、対照と比較して、Bub1b、Cdkn3 Ccna2、Olig1、Sox4及びGalnt3の発現を低減したことが確認され(図20D)、したがって、マイクロアレイデータが確認された。全体的に、これらの結果は、MNFが神経膠腫成長及び進行に負に影響を及ぼし得る経路を示す。また、これらの結果は、MNF処置の効率並びに全般的に神経膠腫成長及び進行を決定するために使用され得るバイオマーカーを示す。したがって、これらの研究は、開示されているバイオマーカーを指標として使用することによって、全般的に腫瘍成長及び進行のMNF並びにその他の処置の効率を診断、予後診断及び決定する方法を開示する。
乏突起膠細胞転写因子1(Olig1)は、新規膠芽腫マーカーとして同定されており、診断及び予後診断値を有する。さらに、SRY−ボックス4(Sox4)は、細胞運命の決定に、及び腫瘍発生に関与している転写因子である。対照群と比較して、MNF処置C6神経膠腫腫瘍ではOlig1及びSox4 mRNAレベルが低下したという事実は、神経膠腫発生につながる分子経路の活性化の低減と一致する。神経膠腫発生におけるCdkn3、Bub1b及びOlig−1の関与は確立される。ここで、MNFに応じたラットC6神経膠腫腫瘍異種移植片におけるこれらの遺伝子の発現レベルの下方制御の証拠が提供され、これは、MNF及び関連類似体が、高悪性度神経膠腫の治療における治療戦略に相当することを示す。MNFは、血液脳関門を通って容易に輸送され、ラット脳中に蓄積し得る。

この実施例は、マウスにおける膠芽腫異種移殖片モデルにおけるMNF依存性化学予防を実証し、in vivoでのその抗癌薬作用の機序を提供する。また、診断マーカー及び腫瘍治療の効率を決定する方法が示された。
(例9)
MNFは、GPR55媒介性リガンド内部移行を標的とし、癌細胞運動を損なう
この実施例は、MNFが、GPR55媒介性リガンド内部移行を標的とし、癌細胞運動を損なうことを実証する。
(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)は、カンナビノイド受容体(CBR)活性化によって、ヒトHepG2肝細胞癌腫細胞の成長阻害及びアポトーシスを促進する。合成CB1Rインバースアゴニスト、AM251は、これらの細胞におけるMNFの抗有糸分裂促進性効果を遮断するとわかった。しかし、AM251はまた、最近オーファンでなくなった脂質検出受容体である、その上方制御は発癌に寄与するGPR55のアゴニストである。ここで、培養物でのヒトHepG2及びPANC−1癌細胞系におけるMNFシグナル伝達におけるGPR55の役割を、蛍光性リガンドTocrifluor1117(T1117)の内部移行、アクチン細胞骨格の再組織化及び引っ掻きアッセイによって測定される細胞運動に焦点をあてて調べた。結果は、RNA干渉によるGPR55ノックダウンは、T1117の細胞取り込み、MNF阻害に対して感受性であったプロセスを著しく低減したことを示した。非定型カンナビノイドO−1602によって媒介されるGPR55内部移行は、GPR55を発現するHEK293細胞ではMNFによって遮断された。HepG2及びPANC−1細胞の、MNFを用いる前処置は、AM251、O−1602及び生理活性脂質を含有するとわかっているウシ胎児血清に応じたERK1/2リン酸化の誘導を大幅に抑制した。さらに、MNFは、掻創治癒アッセイを使用する細胞形態学及び遊走の変化を含めた、AM251及びO−1602誘導性プロセスの協調した負の調節を発揮した。この研究は、MNFが、GPR55媒介性シグナル伝達を損ない、GPR55に関する将来の調査を促進することによって、癌の管理において治療的可能性を有することを示す。
β2−アドレナリン受容体(β2−AR)アゴニストによるcAMPの蓄積は、培養物での癌細胞系の有糸分裂促進性反応の低減及び増大の両方と関連している。β2−AR媒介性抗腫瘍活性の細胞型特異性を決定する機序は、あまり理解されておらず、それによって、アゴニストの分子構造及び立体化学並びに受容体の細胞環境が、β2−ARの1種又は複数のリガンド特異的活性コンホメーションを安定化する、β2−ARの可能性ある偏ったアゴニズムについて疑問が生じる。β2−AR[及びその他のGタンパク質共役型受容体]での偏ったアゴニズムの主な結果は、生物学的結果の著しい相違につながり得る、複数のG−タンパク質アイソフォームの活性化及び種々の下流シグナル伝達経路のモジュレーションである。
(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)は、フェノテロールの類似体であり、β2−アドレナリン受容体(β2−AR)についてβ1−ARよりも573倍大きい選択性を有する。cAMP蓄積を増強し、ヒトβ2−AR過剰発現細胞において3.90nMのEC50値を有し、1321N1星状細胞腫細胞の増殖を減弱し、3.98nMのIC50値を有する。(R,R’)−フェノテロールとは対照的に、MNFは、Gαs及びGαiタンパク質の両方を活性化し、心筋細胞収縮性を強力に刺激し、β2−ARアゴニストとしての役割と一致する。しかし、ヒト由来HepG2肝細胞癌腫細胞系のMNF処置が、β2−AR独立経路によって成長停止及びアポトーシスを引き起こすことが本明細書において開示されている。MNF反応は、β2−ARアンタゴニストICI118,551に対して非感受性であるとわかり、β2−AR結合活性を欠くU87MG細胞は、MNFの抗有糸分裂促進性効果に対して反応性であった。MNF中のナフチル部分の存在のために、その他のリガンドと構造類似性を共有し、そのため、独特の親和性及び選択性プロフィールを有する二重作用性化合物として挙動し得ると推測した。
カンナビノイド受容体(CBR)は、多数の組織及び種々の細胞種ではβ2−ARと同時発現されることが多く、そのヘテロ二量体化する傾向は、2種の受容体間のクロストークの可能性を実証する。実際、CBRは、β2−AR活性をモジュレートし得る。内因性及び合成カンナビノイドリガンドによるCBRの関与は、HepG2細胞を含めた癌細胞の増殖及びアポトーシスの調節をもたらす。CBRの選択的薬理学的インバースアゴニストを用いる処置は、HepG2細胞におけるMNFの抗増殖性作用を遮断し、MNFシグナル伝達におけるCBRの可能性ある役割と一致するということは興味深い。AM251及びその臨床類似体、リモナバン(SR141716A;N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドヒドロクロリド)が、インバースアゴニストとしてCB1Rと相互作用しても、それらが最近オーファンでなくなったGPR55のアゴニストとして作用することを示唆する証拠が増えている。GPR55は、脂質検出特性を有するGタンパク質共役型受容体であり、その上方制御は、種々の癌の種類の攻撃行動に寄与する。ミクログリア活性化の際のERK/MAPキナーゼシグナル伝達の役割及びGPR55による癌細胞増殖の促進が提案されている。AM251はまた、GPR55アゴニストとして作用することによって、好中球走化作用を促進する。したがって、CB1Rによって媒介されていると広く解釈されているAM251及びリモナバンの作用は、実際、このクラスの化合物によるGPR55の的外れの効果を含み得る。
この実施例は、培養物の2種のヒト癌細胞系、HepG2及びPANC−1細胞におけるMNF作用におけるGPR55の寄与を調べるよう設計された。Tocrifluor1117(T1117)、内因性GPR55と結合し、CB1Rに対して低親和性を有する蛍光性リガンドを使用して、薬力学的研究を実施し、データは、MNFが、GPR55の内部移行/再利用における障害によって、T1117取り込みを大幅に遅延することを示す。MNFを用いる処置はまた、腫瘍細胞系及び創傷治癒アッセイを使用してその細胞遊走の両方において、下流GPR55シグナル伝達経路の損なわれたリガンド媒介性活性化をもたらした。本データは、MNFに対する細胞曝露がGPR55シグナル伝達の障害につながることを示す。
材料及び方法
材料。(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)を、これまでに記載されたように合成した(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Jozwiakら、Bioorg.Med.Chem.18:728、736、2007年)。イーグル最小必須培地、トリプシン溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ウシ胎児血清(FBS)、ピルビン酸ナトリウムの100×溶液(100mM)、L−グルタミン(200mM)及びペニシリン/ストレプトマイシン(10,000ユニット/mlペニシリン及び10,000μg/mlストレプトマイシンの混合物)は、Quality Biological(Gaithersburg、MD、USA)から入手した。WIN55,212−2、AM251及びAM630は、Cayman Chemical(Ann Arbor、MI)から購入したのに対し、CP55,940、O−1602及びTocrifluor T1117は、Tocris Bioscience(Ellisville、MO、USA)から購入した。
細胞系の維持及び処置。ヒトHepG2肝細胞癌腫細胞及びヒトPANC−1細胞は、ATCC(Manassas、VA、USA)から購入した。HepG2細胞は、1%L−グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBS(Hyclone、Logan、UT、USA)を補給したイーグル最小必須培地で維持した。PANC−1細胞は、4.5g/Lグルコース及び1.5g/L炭酸水素ナトリウムを、グルタミン、ピルバート、ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSと一緒に補給したフェノールレッド不含ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。HAタグが付けられたヒトGPR55(hGPR55−HEK293)を安定に発現するHEK293細胞は、Maria Waldhoer(Medical University of Graz、Graz、Austria)から提供された(Henstridgeら、Br.J.Pharmacol.160:604〜614、2010年)。細胞は、10%FBS、0.2mg/ml G418及びペニシリン/ストレプトマイシンを補給した4.5g/Lグルコースを有するDMEMで維持した。すべての細胞系は、5%CO2中、37℃で培養物で維持し、培地を2〜3日毎に置き換えた。
TocriFluor T1117、蛍光標識されたGPR55アゴニストの細胞取り込み。細胞を、35mmガラス底培養ディッシュ(MatTek Corp.、Ashland、MA、USA)中で約70%コンフルエンスに達するまで48時間成長させた。血清が枯渇した細胞を、DMSO(媒体、0.1%)、MNF(1μM)又は合成カンナビノイド化合物(AM630、AM251、O−1602、CP55,940)のいずれかとともに30分間インキュベートし、次いで、新規蛍光性ジアリールピラゾールカンナビノイドリガンド、Tocrifluor T1117(10〜100nM)を添加した。細胞を、温度制御、加湿CO2チャンバー及び限定的な焦点システムを備えたZeiss LSM710共焦点顕微鏡を用いて撮像した。5−TAMRAコンジュゲートの励起には561nm DPSSレーザーを使用した。Zeiss Zenソフトウェアの時系列関数を使用し、40×1.3NA対物レンズを用いて、1時間まで30秒毎に画像を集め、すべての共焦点設定は研究を通じて同一のままにした。静止画像、動画及び蛍光性強度定量化は、Zeiss Zenソフトウェアを使用してこれらの一連のものから得た。研究は、少なくとも2〜3回反復した。
遺伝子サイレンシング。HepG2細胞を、CB1R、CB2R若しくはGPR55に対するsiRNAオリゴ(1.25μg)又は非サイレンシングsiRNA対照(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)を用い、10μlのsiRNAトランスフェクション試薬(Santa Cruz Biotechnology)を使用し、製造業者のプロトコールに従って48時間トランスフェクトした。siRNAは、最小の的外れの効果しか伴わずに、効率的なノックダウンを実施すると確認されている。48時間のsiRNA処置の後、細胞をPBSで洗浄し、血清不含培地中で維持し、その後、T1117を添加した。
GPR55内部移行アッセイ。わずかな改変を加えたこれまでに記載されたプロトコールに従って(Henstridgeら、Br.J.Pharmacol.160:604〜614、2010年)、GPR55のエンドサイトーシスを観察した。手短には、hGPR55−HEK293細胞を、標準培地中、Lab−Tek II CC2チャンバースライド(Thermo Scientific Nunc、Rochester、NY)上で48時間成長させ、次いで、1時間血清を欠乏させた。血清不含培地中、媒体(0.1%DMSO)又は1μM MNFの存在下で、1:1000ウサギHA抗体(Covance、MD)とのプレインキュベーションを、COインキュベーター中、37℃で45分間実施した。次いで、細胞をPBSで十分に洗浄し、血清不含培地中、5μMのO1602を用いて、COインキュベーター中37℃で20分間処置した。続いて、細胞を3回洗浄し、新鮮な、PBS中3.7%パラホルムアルデヒド中で固定し(10分)、抗ウサギAlexa Fluor488抗体(Molecular Probes、Eugene、OR;1:1000、30分間)とともにインキュベートした。2回目のために、細胞を洗浄し、固定し、その後、0.2%Triton X−100を用いて透過処理した(5分間)。抗ウサギAlexa Fluor568抗体(Molecular Probes;1:1000、30分間)とのインキュベーションを実施して、内部移行されたGPR55−HA抗体複合体の程度を決定した。細胞をPBSで洗浄し、Prolong Gold抗退色マウント培地(Invitrogen)に添加したDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)を用いて核対比染色を実施し、室温、暗所で24時間硬化した。画像を、Carl Zeiss LSMソフトウェアを使用してZeiss LSM710共焦点顕微鏡(Thornwood、NY)を用いて獲得した。
引っ掻きアッセイ。これらのアッセイは、本質的にこれまでに記載されたように実施した(Fioriら、Endocrinology150:2551〜2560、2009年)。手短には、細胞を、平底の12ウェル未処理ポリスチレン細胞培養プレート(Greiner Bio−One、Monroe、NC)に播種した。細胞がコンフルエントになったら、ピペットチップを用いて掻創を作製し、直ちに画像を撮った(時間0)。細胞を、媒体(DMSO、0.1%)又は合成GPR55リガンドAM251(1μM)若しくはO−1602(1μM)のいずれかを用いて30分間前処置し、続いて、示された場合にはMNF(1μM)を添加した。それぞれ、HepG2及びPANC−1細胞について、引っ掻き後、12、24、36、48時間及び12、18、24、48時間で細胞遊走を調べた。3時間毎に同一視野の画像を撮り、細胞遊走率を決定した。画像は、AxioCam HRcデジタルカメラ(Carl Zeiss)を取り付けたAxiovert200倒立顕微鏡(Carl Zeiss、Thornwood、NY)で撮り、ImageJ1.46sソフトウェア(National Institutes of Health、Bethesda、MD)を用いて引っ掻き領域の測定を実施した。各研究は2連のディッシュで実施し、少なくとも2回反復した。
5’−TAMRA−3−フェニルプロパン−1−アミンの合成。10nmoleの、5’−TAMRAのNHSエステル(Sigma−Aldrich、St−Louis、MO)を、1mlの0.1M PBS、pH8.0中、20nmoleの3−フェニルプロパン−1−アミン(Sigma−Aldrich)とともに4時間インキュベートした。溶液は、窒素下で流れ乾燥させ、500μlの、エタノール中、10mM Tris−HCl、pH8.0の1:1溶液で再構成した。5’−TAMRA−3−フェニルプロパン−1−アミン(TAMRA−PPA、図28Aに示された構造)の形成及び5’−TAMRAのNHSエステルの不在を質量分析によって確認した(図28B、28C)。10mMのTAMRA−PPAの保存溶液を調製し、分注し、−20で保存した。
ウエスタンブロット解析。細胞内シグナル伝達タンパク質の検出のために、細胞を、EGTA及びEDTA(Boston BioProducts、Ashland、MA)を含有する放射性免疫沈降法バッファーに溶解した。溶解バッファーは、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich)及びホスファターゼ阻害剤カクテル(Calbiochem、San Diego、CA)を含有していた。等量のタンパク質(それぞれ、PANC−1及びHepG2細胞について14及び54μg/ウェル)を、還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して4〜12%プレキャストゲル(Invitrogen、Carlsbad、CA)で分離し、次いで、ポリビニリデンフルオリドメンブレン(Invitrogen)に電気泳動的にトランスファーした。ウエスタンブロットを標準法に従って実施し、これは、5%脱脂乳中のブロッキングを含み、対象の一次抗体とともにインキュベートし、それに続く、酵素西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートしている二次抗体とともにインキュベーションを行った。ECL Plusウエスタンブロッティング検出システム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用する化学発光によって、免疫反応性バンドの検出を実施した。バンドの定量化は、ImageJソフトウェアを使用する容量デンシトメトリーによって行った。EGFRに対するウサギポリクローナル抗体は、Cell Signaling Technology,Inc.(Beverly、MA)から入手し、モノクローナル抗Hsp90は、Santa Cruz Biotechnology,Inc.(Santa Cruz、CA)から購入した。
細胞シグナル伝達におけるO−1602媒介性増大に対するMNFの効果。血清を欠乏させた細胞を、1μM MNFの不在下又は存在下で10分間前処置し、続いて、0、2.5及び10μM O−1602又は10%FBSとともに、10分間インキュベーションを行い、その後、総ERK2及びERK1/2のリン酸化形態のレベル(pErk1/2、Thr202/Tyr204)を、ウエスタンブロッティング技術によって決定した。すべての一次抗体は、Cell Signaling Technologyから購入し、製造業者によって推奨された希釈で使用した。
統計分析。パーソナルコンピュータで実行するPrism4(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)を使用して、すべての統計データ分析を実施した。
結果
T1117の細胞取り込みにおけるオーファンでなくなったGPR55の役割。蛍光標識されたAM251類似体、T1117は、CB1Rに対して低親和性を有するGPR55のリガンドとして作用する。T1117取り込みの感受性及び特異性の問題に対応するために、血清が枯渇した細胞を、温度制御、加湿COチャンバーを備えた共焦点顕微鏡ステージで維持した。37℃でヒトHepG2及びPANC−1細胞におけるT1117取り込みの特徴を本明細書において研究した。細胞T1117レベルの量は、用量依存的に増大し、100nMで最大取り込みを有し、およそ8nMで半最大効果を有した(図21A、21B)。100×モル過剰の非標識AM251の同時添加は、T1117の細胞蓄積の大幅な18分の遅れを引き起こした(図21C、21D)。同様に温度を10℃に低下させることによって、T1117取り込み速度が低下した。T1117の細胞取り込みが、AM251部分の存在を必要としたかどうかを確立するために、HepG2細胞を、等モル量のT1117(5’−TAMRA−(3−フェニルプロパン−1−アミン)標識されたAM251)又は5’−TAMRA−3−フェニルプロパン−1−アミン(TAMRA−PPA)のいずれかとともに最大1時間インキュベートした。これらの条件下で、TAMRA−PPAとの細胞インキュベーション時に蛍光の大幅な取り込みはなかった(図29C)。これらの結果は、T1117の細胞蓄積が迅速で、飽和性であり、細胞表面受容体との競合結合によって開始したことを実証する。
T1117の細胞取り込みにおけるGPR55の役割を確認するために、HepG2細胞を、CB1R、CB2R又はGPR55に対するsiRNAオリゴ及び非サイレンシングsiRNA対照とともに48時間インキュベートし、その後、T1117取り込みをモニタリングした(図24A、24B)。研究は、示された標的に対するsiRNA二本鎖を使用した場合に遺伝子発現の選択的低減を示した。対照siRNAを用いてトランスフェクトされたHepG2細胞では、T1117の侵入が観察され、半最大取り込みは、約15分であった(図22A)。GPR55のサイレンシングは、T1117取り込みを6倍超遮断したのに対し、CB1Rサイレンシングの際には大幅な10〜12分の遅延が起こり、最終的に、細胞T1117レベルの40%の低減をもたらした(図22B)。しかし、CB2R siRNAを用いてトランスフェクトされた細胞では、T1117取り込みのプロフィールは、非サイレンシングsiRNAでトランスフェクトされた細胞のものに匹敵していた。これらの結果は、GPR55が、T1117の細胞侵入において主な役割を果たすこと及び構成性CB1R活性が、このGPR55機能に関与している可能性があることを示す。
これらの観察結果を独立に確認するために、HepG2細胞を、CB1R及びCB2Rの選択的インバースアゴニスト/アンタゴニストを用いて前処置し、その後、T1117を添加した。CB2Rインバースアゴニスト、AM630は大きく不活性であったが、CBRアゴニスト、WIN55,212−2を用いる前処置は、T1117蓄積の速度を増大した(図22C)。強力な合成カンナビノイドアゴニストCP55,940は、異種発現系においてGPR55内部移行を遮断すると報告されている。ここで、CP55,940(0.25μM)を用いる30分の前処置は、HepG2細胞において、T1117取り込みを2.5倍明確に低減した(図24D)。同様に、非定型カンナビノイドO−1602(0.25μM)を用いる細胞処置は、T1117の細胞蓄積の12.5分の遅延を引き起こし、取り込まれたT1117の量の47%の低減をもたらした(図22D)。
MNFは、T1117の細胞取り込みを阻害する。GPR55依存性活性のin vitroモデルとしてT1117の取り込みを使用して、GPR55シグナル伝達に対するMNFの効果を最初に調べた。HepG2細胞の、1μM AM251を用いる30分の前処置は、構成的T1117取り込みを阻害せず、増強もせず、これは、負の又は正のアロステリックモジュレーションがないことを示唆する(図23A、23B)。これは、対照的に、T1117との100×過剰のAM251の同時添加の効果であり、おそらくは蛍光性マーカーの低い特異的活性のために、同一アッセイ条件下で細胞性T1117蓄積を大幅に低減した(図23C)。この研究を、MNF単独の存在下で実施した場合には、約70%の低減が観察された(図23A、23B)。さらに、MNFを用いる30分の処置の前又は後のいずれかでのAM251の添加は、T1117取り込みのさらなる低下を引き起こし、媒体処置細胞と比較して約6.8倍低下した。
化合物の効果が、HepG2細胞に対して独特であったかどうかを調べるために、同様の研究を、培養物のPANC−1細胞において実施した。半定量的PCR分析は、これらの細胞におけるCB1R、CB2R及びGPR55の存在を示した。結果は、MNFは、PANC−1細胞におけるT1117取り込みの強力な阻害剤であったということを示した(図23C及び23D)。したがって、MNFが、GPR55リガンドのエンドサイトーシスを遮断したことは明らかであろう。
GPR55内部移行及び下流シグナル伝達に対するMNFの効果。HAタグが付けられたGPR55を安定に発現するHEK293細胞において、リガンド誘導性GPR55内部移行に対するMNFの効果を実施した。共焦点レーザー走査顕微鏡法を使用して、GPR55が、刺激されていない細胞の細胞膜に大部分局在することを見出した(図24A)。20分間のO−1602の添加は、HAタグが付けられたGPR55の著しいエンドサイトーシスにつながり、これは、MNFを用いる前処置によって遮断された(図24B)。
細胞表面からエンドソーム区画へのリガンドが結合した受容体の再分布が、種々のシグナル伝達経路及びその関連する生物学的結果を異なって調節するので、GPR55内部移行の下流のさらなる事象が、MNFを用いる細胞処置によって損なわれ得る。実際、細胞外シグナルによって調節されるキナーゼ(ERK)−MAPキナーゼの空間的−時間的活性化は、複雑な細胞機能の動的制御において役割を果たす。ここで、HepG2細胞のO−1602に対する曝露は、ERKリン酸化を用量依存的に増大し、MNF前処置は、O−1602反応性を抑制した(図25A及び25B)。PANC−1細胞は、HepG2細胞と同一挙動を示し、O−1602媒介性ERKリン酸化に関してMNFに対して精巧な感受性を示した(図25C及び25D)。MNF前処置を伴うか伴わないAM251を用いる細胞刺激後に同様の知見が観察された。
内因性カンナビノイドの生物活性濃度は、ウシ胎児血清中に存在し(250〜700nMの2−アラキドノイルグリセロール)、これは、単球/マクロファージ反応に強力に影響を及ぼす。図26A〜26Dに示されるように、MNFを用いる前処置は、両細胞系において血清誘導性ERKリン酸化を強力に阻害した。
腫瘍細胞の形態学及び運動性におけるMNFの役割。HepG2及びPANC−1細胞生物学におけるMNF及びGPR55活性化の役割をさらに研究するために、形態学における可能性ある変化を調べた。AM251及びO−1602刺激に応じて、不規則な外観並びに長い糸状仮足(filipodia)及び葉状仮足を有する細胞が観察された(図26A及び26B、白色矢印)。MNFを用いる前処置は、細胞を、両腫瘍細胞系においてAM251及びO−1602によって誘導される形態学の変化に対して不応性にした。図26Cに示されるように、O−1602を用いるHepG2及びPANC−1細胞の処置は、媒体処置細胞と比較して、高いEGFRレベルにつながり、MNFは、この効果(図26C、レーン4対3)及びAM251のものを遮断した。これらの知見は、MNFが、GPR55シグナル伝達に対する不応性を付与したという考えと一致する。
次いで、in vitroで創傷−治癒アッセイを実施して、細胞運動に対するMNFの効果を調べた。図27A及び29Aに示されるように、MNFは単独で、研究を通じて使用した濃度(1μM)でHepG2細胞の運動性に対して効果がなかった。しかし、これは、細胞運動のAM251媒介性増大に向けられたその大幅な阻害効果と対照的である(図27A、29A)。各条件を用いてHepG2細胞を24時間処置した後の相対創傷表面積が図27Bに表されている。HepG2細胞におけるその効果と同様に、MNFはまた、PANC−1細胞のAM251誘導性運動性において大幅な低減をもたらしたが、裂け目充填の構成速度を変化させなかった(図27C、27D及び29B)。O−1602に対して試験した場合には、MNFの存在下で細胞型選択的効果が観察された。特に、PANC−1細胞においてO−1602によって惹起されたMNFの創傷閉鎖を阻害する能力は、HepG2細胞では存在せず(図29C)、これは複雑な様式の拮抗作用を示す。
「カンナビノイド様受容体」GPR55の関与が、細胞増殖、遊走、生存及び発癌を促進するいくつかのシグナル伝達カスケードを誘発する。MNFは、1)蛍光性GPR55リガンドの細胞侵入の遅延、2)リガンドによって占有されたGPR55の内部移行の阻害及び3)いくつかの生物学的読み取り値に関するGPR55アゴニスト有効性の大幅な低減を含めた、GPR55シグナル伝達の選択的減弱と関連しているいくつかの特徴を示す。
細胞アッセイでは、フルオロフォア単独(5’−TAMRA−PPA)の低レベルの非特異的取り込みが、T1117(5’−TAMRA−PPAがコンジュゲートしているAM251)を、GPR55の占有率及び内部移行を評価することを目的としたin vivoイメージングアプローチに適したものにする。化合物T1117は、小さいマウス動脈においてGPR55の分布を測定するためにこれまでに示されている。ここで、siRNAベースの遺伝子サイレンシング法を使用して、GPR55が、無傷の細胞へのT1117侵入に関与する主な分子であると決定した。ヒトHepG2細胞では、PCR及び機能アッセイによって、GPR55及び古典的なCB1Rの存在が証明された。両受容体とも、内皮細胞において個別のシグナル伝達経路を誘発し、したがって、本発明者らの研究において、siRNAによるCB1Rのサイレンシングは、GPR55によって媒介される反応を制限したが、CB1Rのアゴニスト(WIN55,212−2)を用いる細胞刺激は、GPR55構成的活性の増大をもたらしたということを観察することは驚くべきことではなかった。GPR55は、好中球の炎症反応に影響を及ぼすようCB2Rと協調的に相互作用するが、薬理学的阻害及びsiRNAによるCB2Rのサイレンシングは、HepG2細胞においてT1117取り込みに影響を及ぼすことができなかった。したがって、CB1Rによって誘発される機序は、構成的なGPR55によって媒介されるT1117取り込みに、ある程度寄与すると思われる。CB1Rの、種々のGPCRと機能的ヘテロ二量体を形成する傾向によって、GPR55の細胞型特異的生理反応の一部が説明される。
データの分析によって、MNFが、内因性レベルのGPR55を発現する血清が枯渇した細胞において、T1117の細胞蓄積を大幅に遅延したことが示され、これは、T1117のGPR55に対する結合親和性の低下並びに/又は構成的細胞表面GPR55内部移行及び再利用経路の障害を示す。AM251を用いる30分の前処置は、MNFの効果を増強し、負の蓄積事象と一致した。このモデルでは、AM251が結合しているGPR55複合体は、内部移行し、任意の残存する細胞表面GPR55受容体が、MNFによって標的とされ、このGPCRを効率的なT1117結合及び/又は内部移行のために接近できないものにした。或いは、AM251によるCB1Rの阻害がまた、MNFシグナル伝達における観察された効力に寄与した可能性がある。CP55,940の、T1117の細胞侵入を遮断する能力は、GPR55アンタゴニストとしての役割と一致した。
GPR55を発現するHEK293細胞の、非定型カンナビノイドO−1602を用いる刺激は、MNF阻害可能な機序によるGPR55の迅速な内部移行を誘発し、これは、現在のアッセイ条件下では、MNFの効力が過剰発現の条件によって目に見えて影響を受けなかったことを示す。GPCR脱感作及び内部移行は、活性化受容体へのβ−アレスチン転位の関与を必要とする。一時的トランスフェクション形式でのβ−アレスチン転位アッセイを使用して、AM251及びその臨床類似体リモナバンは、GPR55アゴニストとして強力な活性を示すのに対し、CP55,940は、β−アレスチン/GPR55複合体の形成を遮断する。MNFが、β−アレスチンのGPR55への補充を妨げ、それによって、アゴニスト曝露後のこのGPCRの内部移行及び再利用に負の影響をもたらすという可能性が存在する。β−アレスチンは、GPCR内部移行の促進におけるその役割に加えて、下流シグナル伝達の活性化(例えば、ERK活性化)にとって必要である、GPR55は、主にG−タンパク質G13と結合し、そこで、内皮細胞におけるRho依存性シグナル伝達を促進すると考えられる。GPR55の下流のさらなる事象として、ERKの活性化及び内部貯蔵からのCa2+放出が挙げられる。ここで、AM251又はO−1602に対するHepG2及びPANC−1細胞のin vitro曝露は、ERKリン酸化、MNFを用いる細胞前処置によって阻害されたプロセスの迅速な増大をもたらした。MNFに応じた、ERKリン酸化のアゴニストによって刺激された増大の大幅な低減の説明は、オピオイド媒介性ERK活性化が、κ−オピオイド受容体内部移行に依存しないことを示すLi及び同僚らによる早期の研究(J.Biol.Chem.274:12087〜12094、1999年)とは対照的に、リガンドが結合しているGPR55は、受容体が内部移行されるとERK活性を刺激するというものである。或いは、MNFは、GPR55上の推定アロステリック結合部位と相互作用し、GPR55アゴニストの負のアロステリックモジュレーションを誘発し得る。CB1Rでアロステリック結合部位が報告されていることは注目に値する。MNFは、GPR55の下流のシグナル伝達を阻害して、T1117の結合、受容体内部移行及びERK活性化につながるシグナル伝達カスケードの誘導を撹乱し得る。
開示されている研究から得られた別の目立った観察結果として、基礎及びアゴニスト誘導性ERKリン酸化に対するMNFの効果並びにGPR55依存性細胞形態学及び細胞運動を含めた生物学的読み取り値に対するMNFの効果の間の類似性がある。ERKは、WAVE2調節複合体のリン酸化によって葉状仮足前縁運動を促進することによって細胞遊走を協同し、調節するとわかっている。ここで、HepG2及びPANC−1細胞の、AM251又はO−1602を用いる処置が、糸状仮足(fillipodia)伸長につながり、これは、MNF前処置によって遮断された。さらに、MNFは、掻創−治癒アッセイを使用してHepG2及びPANC−1細胞においてGPR55アゴニストの創傷閉鎖の速度の大幅な低減を誘発した。
この実施例は、MNFが、ヒトHepG2肝細胞癌腫細胞及び培養物のPANC−1膵臓癌細胞系において増殖を低減し、アポトーシスを増大したことを示す。HepG2及びPANC−1細胞におけるMNFシグナル伝達におけるGPR55の役割を、蛍光性リガンド、Tocrifluor1117(T1117)の内部移行、アクチン細胞骨格の再組織化及び引っ掻きアッセイによって測定される細胞運動に焦点をあてて調べた。結果は、RNA干渉によるGPR55ノックダウンは、T1117の細胞取り込み、MNF阻害に対して感受性であったプロセスを著しく低減したことを示した。非定型カンナビノイドO−1602によって媒介されるGPR55内部移行は、GPR55を発現するHEK293細胞ではMNFによって遮断された。HepG2及びPANC−1細胞の、MNFを用いる前処置は、AM251、O−1602及び生理活性脂質を含有するとわかっているウシ胎児血清に応じたERK1/2リン酸化の誘導を大幅に抑制した。さらに、MNFは、掻創治癒アッセイを使用する細胞形態学及び遊走の変化を含めた、AM251及びO−1602誘導性プロセスの協調した負の調節を発揮した。したがって、これらの研究は、MNFが、GPR55媒介性シグナル伝達を損ない、癌の管理において治療的使用を有することを初めて示す。
(例10)
CB受容体活性によって調節される腫瘍の治療
この実施例は、フェノテロール、フェノテロール類似体又はそれらの組合せを、膠芽腫又は肝細胞癌腫などの腫瘍と関連している1種又は複数の徴候又は症状を低減又は阻害するのに治療上有効な量で含む組成物を投与することによって、ヒト対象において腫瘍を治療するために使用され得る方法を記載する。特定の方法、投与量及び投与様式が提供されるが、当業者ならば、治療に実質的に影響を及ぼさずに、変法を行ってもよいということは理解するであろう。
膠芽腫又は肝細胞癌腫を有する対象を、臨床症状に基づいて選択する。生物学的サンプルを、対象から単離し、GPR55を含めたCB受容体発現及びβ2−AR発現を、マイクロアレイ、ウエスタンブロッティング又は組織学的研究によって決定する。陽性結果は、腫瘍が、フェノテロール、開示されているフェノテロール類似体又はそれらの組合せの投与によって治療され得ることを示す。1つの特定の例では、組織生検を、原発性脳腫瘍を有する対象から得る。サンプルにおいてβ2−AR及びGPR55の発現を決定する。サンプルにおいてβ2−ARがないこと及びGPR55があることが、原発性脳腫瘍が、(R,R’)−MNFを含む組成物の投与によって治療され得ることを示す。β2−ARがあること及びGPR55があることは、腫瘍が、(R,R’)−MNF若しくはフェノテロール(又は両方)又はβ2−AR活性を刺激すると知られているその他のフェノテロール類似体(単数又は複数)によって治療され得ることを示す。所望の化合物を含む組成物を、30mg/kg/日の濃度で、最初の10日間、50mg/kg/日の濃度で、残りの32日間、対象に腹膜内に投与する。次いで、治療後7日、14日、21日、30日及び42日に腫瘍成長を評価する。一例では、コンピューター断層撮影法(CT)及び特に、磁気共鳴画像法(MRI)などの非浸潤性、高解像度様式を含めたイメージング法によって治療の有効性を決定する。例えば、造影剤取り込みをモニタリングして、治療の有効性を決定する。参照値又は治療前に測定されたものと比較した、造影剤の取り込みの少なくとも20パーセント(20%)の低減によって示される血液脳関門への透過性の低下は、治療が有効であることを示す。また、治療前の腫瘍の大きさと比較した、腫瘍の大きさの20パーセント(20%)の低減は、有効な治療であると考えられる。一例では、治療的有効性は、本明細書においてMNFによって調節されると実証される1種又は複数の分子の発現又は活性を測定することによって決定される(例えば、表10を参照のこと)。いくつかの例では、対象は、cGMPによって製造された(R,R’)−4−メトキシナフチルフェノテロール(例えば、cGMPによって製造された(R,R’)−4−メトキシナフチルフェノテロール2Kg製剤)とともに使用されるMNFの静脈内製剤を投与される。いくつかの例では、対象は、0.1〜10mg/kgの範囲の濃度のMNFの静脈内製剤を単独薬剤として4日間、又はその他のフェノテロール類似体若しくは癌化学療法において使用される標準薬剤と組み合わせて、2週間にわたって、連続療法として、又はパルス療法として投与される。いくつかの例では、対象は、単独薬剤として又は(R,R’)−MNF及びその他のMNF立体異性体若しくはフェノテロール立体異性体の組合せとして製剤された25mg/kg用量のMNFを、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月などの特定の期間と、腫瘍の退縮又は腫瘍成長の阻害に基づいて必要に応じてそれに続くさらなる期間、毎日経口投与される。
(例11)
(R,R’)−MNF又は(R,R’)−NF(又は両方)を含む開示されている組成物の、アジュバント療法としての使用
この実施例は、悪性星状細胞腫について治療されているヒト対象において腫瘍成長を低減、防止又は遅延するために使用され得る方法を記載する。
星状細胞腫を有する対象を、臨床症状に基づいて選択し、CB受容体を発現する星状細胞腫を有することを決定する。悪性星状細胞腫の治療の第一形態は、観血的手術である。手術候補ではない対象には、放射線照射又は化学療法のいずれかが、最初の治療として使用される。最初の治療後、対象に、(R,R’)−MNF及び/又は(R,R’)−NFを含有する医薬組成物を、毎日、不確定な期間経口投与する。CT及びMRIなどの非浸潤性の、高解像度様式を含めたイメージング法によって、腫瘍成長の再発をモニタリングする。
開示されている本発明の原則が適用され得る多数の可能性ある実施形態を考慮して、例示された実施形態は、単に本発明の好ましい実施例であって、本発明の範囲を制限するととられてはならないということは認識されなければならない。そうではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。したがって、本発明者らは、本発明者らの発明として、これらの特許請求の範囲及び趣旨内に入るすべてを特許請求する。
我々は以下を特許請求する。
[請求項1]
カンナビノイド(CB)受容体活性によって調節される障害又は疾患を治療する方法であって、
CB受容体活性によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性がある対象に、CB受容体活性によって調節される障害又は疾患と関連している1種又は複数の症状を低減するのに有効な量の化合物を投与し、それによって、CB受容体活性によって調節される対象における障害又は疾患と関連している1種又は複数の症状を低減することを含み、前記化合物は、式
[化1]

[式中、R 〜R は独立に、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル(カルバモイル)又はそれらの組合せであり、
は、H又は低級アルキルであり、
は、
[化2]

(式中、Y 、Y 及びY は独立に、水素、低級−OR 及び−NR であり、
は、H又は低級アルキルであり、
及びR は独立に、水素、低級アルキル、アルコキシカルボニル、アシル又はアミノカルボニルである)である]
を有し、前記化合物は光学活性である、上記方法。
[請求項2]
投与することが、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、前記化合物内のR が、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル基である、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
投与することが、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、前記化合物内のR が、メチル基である、請求項2に記載の方法。
[請求項4]
投与することが、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、前記化合物内のR が、メチル基である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項5]
投与することが、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、前記化合物内のR が、以下の構造:
[化3]

のうち1種である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項6]
投与することが、治療上有効な量の化合物を投与することを含み、前記化合物内のR 、R 及びR が、水素である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項7]
投与することが、治療上有効な量の(R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)又はそれらの組合せを投与することを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項8]
投与することが、治療上有効な量のMNF、NF又はそれらの組合せを投与することを含む、請求項7に記載の方法。
[請求項9]
投与することが、治療上有効な量のMNFを投与することを含む、請求項7に記載の方法。
[請求項10]
治療上有効な量の化合物を投与する前に、CB受容体活性によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性がある対象を選択することをさらに含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項11]
CB受容体活性によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性がある対象を選択することが、対象から得られたサンプルにおいて、CB受容体活性又は発現(又は両方)を測定することを含み、CB受容体活性又は発現(又は両方)の存在が、対象が、CB受容体活性によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性があることを示す、請求項10に記載の方法。
[請求項12]
CB活性によって調節される障害若しくは疾患を有するか、又はそれを発症する危険性がある対象を選択することが、治療上有効な量の化合物を投与する前に、β2−AR活性を標的とする治療に応答しない障害又は疾患を有する対象を選択することを含む、請求項10又は11に記載の方法。
[請求項13]
CB受容体を発現する腫瘍の治療において使用される、請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項14]
障害又は疾患が、CB受容体を発現する原発性脳腫瘍、CB受容体を発現する星状細胞腫、CB受容体を発現する膠芽腫、CB受容体を発現する肝細胞癌腫、結腸癌、肝臓癌及び肺癌からなる群から選択される、請求項1から12までに記載の方法。
[請求項15]
疾患又は障害と関連している1種又は複数の徴候又は症状を阻害することが、腫瘍若しくは癌細胞成長(又は両方)などの細胞成長、腫瘍体積又はそれらの組合せを阻害することを含む、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
前記CB受容体が、GPR55である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項17]
化合物の投与の前に、それと一緒に、又はその後などに、さらなる治療薬を投与することをさらに含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項18]
前記さらなる治療薬が化学療法薬である、請求項17に記載の方法。
[請求項19]
治療上有効な量の化合物を投与することが、治療上有効な量の前記化合物を医薬上許容される担体とともに投与することを含む、請求項1から18までのいずれか一項に記載の方法。
[請求項20]
前記対象がヒトである、請求項1から19までのいずれか一項に記載の方法。

Claims (13)

  1. カンナビノイド(CB)受容体を発現する腫瘍を治療するための医薬組成物であって、
    (R,R’)−4’−メトキシ−1−ナフチルフェノテロール(MNF)、(R,S’)−MNF、(R,R’)−エチルMNF、(R,R’)−ナフチルフェノテロール(NF)、(R,R’)−エチルNF、(R,S’)−NF及び(R,R’)−4’−アミノ−1−ナフチルフェノテロール(アミノNF)、(R,R’)−4’−ヒドロキシ−1−ナフチルフェノテロール(ヒドロキシNF)又はそれらの組合せからなる群から選択される化合物を含有し、前記化合物はCB受容体を発現する腫瘍と関連している1種又は複数の徴候又は症状を低減する、上記医薬組成物。
  2. MNF、(R,S’)−MNF、NF又はそれらの組合せを含有する、請求項に記載の医薬組成物。
  3. MNF、(R,S’)−MNF又はそれらの組合せを含有する、請求項に記載の医薬組成物。
  4. 対象がCB受容体を発現する腫瘍を有するか、又はそれを発症する危険性がある、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 請求項に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物を投与する前に、対象から得られたサンプルにおいて、CB受容体活性又は発現(又は両方)が測定され、CB受容体活性又は発現(又は両方)の存在が、対象が、CB受容体を発現する腫瘍を有するか、又はそれを発症する危険性があることを示す、医薬組成物。
  6. 対象がβ2−AR活性を標的とする治療に応答しない障害又は疾患を有する、請求項又はに記載の医薬組成物。
  7. 対象の障害又は疾患が、CB受容体を発現する原発性脳腫瘍、CB受容体を発現する星状細胞腫、CB受容体を発現する膠芽腫、CB受容体を発現する肝細胞癌腫、結腸癌、肝臓癌、肺癌、乳癌、及び膵臓癌からなる群から選択される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. CB受容体を発現する腫瘍と関連している1種又は複数の徴候又は症状を低減することが、腫瘍若しくは癌細胞成長(又は両方)などの細胞成長、腫瘍体積又はそれらの組合せを低減することを含む、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 前記CB受容体が、GPR55である、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 前記化合物の投与の前に、それと一緒に、又はその後などに、さらなる治療薬が投与される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 前記さらなる治療薬が化学療法薬である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記化合物が医薬上許容される担体とともに投与される、請求項1から11までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記対象がヒトである、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
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