JP6125890B2 - 液体フィルター用基材 - Google Patents
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Description
高度に調製された薬液はウェハー上へ塗布する直前に、パターン形成、歩留りに大きな影響を与えるパーティクルを除去されるべく、緻密なフィルターで濾過される。最先端の20nmを下回るパターン形成においては、10nm前後のパーティクルを捕集できることが要求され、フィルターメーカー各社は、精力的に開発を進めているところである。
そこで、本発明では、上述した課題を解決すべく、長期使用において安定した破膜耐性を有する液体透過性を有する液体フィルター用基材を提供することを目的とする。
1.ポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、前記ポリオレフィン微多孔膜のクッション率が30%超65%以下である、液体フィルター用基材。
2.前記ポリオレフィン微多孔膜の130℃で1時間熱処理を行った後の幅方向の熱収縮率が20%以上である、上記1に記載の液体フィルター用基材。
3.前記ポリオレフィン微多孔膜の孔閉塞温度が140℃よりも高いものである、上記1または2に記載の液体フィルター用基材。
4.前記ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上0.80MPa以下である、上記1〜3のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
5.前記ポリオレフィン微多孔膜の厚さが4〜35μmである、上記1〜4のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
6.前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が46〜60%である、上記1〜5のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
7.前記ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が0.10〜2.90ml/min・cm2である、上記1〜6のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
本発明の液体フィルター用基材は、ポポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、前記ポリオレフィン微多孔膜のクッション率が30%超65%以下である。
このような本発明によれば、長期使用において安定した破膜耐性を有する液体フィルター用基材を提供することができる。以下、各構成の詳細について説明する。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、長期使用において安定した破膜耐性を有することを特徴とする。当該ポリオレフィン微多孔膜のクッション率は30%よりも大きいことが必要であり、上限値として65%以下であることが必要であり、35〜60%であることがさらに好ましい。本発明において、ポリオレフィン微多孔膜のクッション率が30%以下であると、フィルター内の濾過圧力変化による衝撃を吸収できず、例えば、長期の使用において破膜耐性に問題が生じ得る。一方、ポリオレフィン微多孔膜のクッション率が65%を超えると、濾過圧力変化により過度に厚み変化が発生し、膜厚方向の連通孔を維持できずに、透水性能が不安定になる問題が生じ得る。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、130℃の温度下で1時間放置した後の幅方向(TD)の収縮率が20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは20〜35%であり、22〜32%であることが特に好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮率が20%以上である場合、ポリオレフィン微多孔膜の加工での熱処理を受ける状況下の搬送において、弛みが発生することなく良好な搬送性を得られやすくなるため好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮率が35%以下である場合、ポリオレフィン微多孔膜の加工時に熱処理を受ける状況下の搬送において、蛇行やシワが発生することなく良好な搬送性を得られやすくなるため好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、孔閉塞温度が140℃よりも高いことが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の孔閉塞温度が140℃よりも高い場合、ポリオレフィン微多孔膜の加工時の熱接着工程の高温処理部付近もしくは高温体接触部の付近において、ポリオレフィン微多孔膜の多孔性が失われることなく、透水性能が維持され、加工後においても予定したろ過面積を得られやすくなるため好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、バブルポイントが0.40〜0.80MPaであることが好ましく、0.40〜0.75MPaであることがさらに好ましく、0.42〜0.75MPaであることが特に好ましい。本発明において、ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上である場合、粒径数nm〜100nm程度の微小な粒子を高度に捕集しやすくなるため好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.80MPa以下である場合、微小な粒子を非常に高度に捕集しやすくなるだけでなく、十分な透液性能を得られやすくなるため好ましい。例えば、該ポリオレフィン微多孔膜を基材とするフィルターを介した送液が適度な送液圧力のもとで安定することにより、無理に送液圧力を高める必要がなくなるため、フィルター寿命が延びたり、濾過物の漏れ出し等を抑制することが可能になる。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、その厚みは4〜35μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜30μmである。ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が4μm以上である場合、十分な力学強度が得られやすく、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性やフィルターカートリッジの長期使用における耐久性が得られやすくなるため好ましい。一方、厚みが35μm以下である場合、該微多孔膜単膜で十分な透水性能を得られやすくなるばかりでなく、所定の大きさのフィルターカートリッジにおいて、より多くのろ過面積を得られやすくなり、ポリオレフィン微多孔膜の加工時のフィルターの流量設計や構造設計がし易くなるため好ましい。
その一方で、濾材の厚みが薄いほど、濾材の強度や耐久性能が低下するが、例えば、フィルター設計において可能であれば、粗目の高強度支持体と複合化する(例えば、重ね合せて折込む等の加工を行う)ことで補強しながら、耐久性と流量の設計を調整することも可能になる。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜の空孔率は46〜60%であることが好ましく、より好ましくは47%〜58%である。該ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が46%以上である場合、透液性能が良好なものとなる点で好ましい。一方、空孔率が60%以下である場合、ポリオレフィン微多孔膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。ここで、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率(ε)は、下記式により算出する。
ε(%)={1−Ws/(ds・t)}×100
Ws:ポリオレフィン微多孔膜の目付け(g/m2)
ds:ポリオレフィンの真密度(g/cm3)
t:ポリオレフィン微多孔膜の膜厚(μm)
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、90kPaの差圧下における透水性能が0.10〜2.90ml/min・cm2であることが好ましく、0.10〜2.80ml/min・cm2であることがさらに好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が0.10ml/min・cm2以上である場合、液体フィルターとしての十分な透水性能を得られるだけでなく、例えば、約5nmまたはそれ以上の大きさのパーティクルを高度に捕集しやくなるため好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が2.90ml/min・cm2以下である場合、例えば、約100nmまたはそれ以下のパーティクルを高度に捕集しやすくなるため、さらには、液体フィルターとしての透水性能を十分に得られやすくなるばかりでなく、フィルターを介した送液の安定性(例えば、一定の送液量を維持するための動力負荷の安定性や一定の送液圧力(一定の動力負荷)下での送液量の安定性)が長期に渡って得られやすくなるため好ましい。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィンを含んで構成された微多孔膜である。ここで、微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。ポリオレフィン微多孔膜において、ポリオレフィンは90重量部以上含まれていることが好ましく、残部として本発明の効果に影響を与えない範囲で有機または無機のフィラーや界面活性剤等の添加剤を含ませてもよい。
上述した本発明の液体フィルター用基材は、薬液との親和性付与加工が適宜行われた上で、カートリッジ形体に加工され、液体フィルターとして用いることができる。液体フィルターは、有機物および/または無機物からなる粒子を含む、もしくは、含んでいる可能性がある被処理液から、当該粒子を除去するための器具である。粒子は被処理液中において固体状あるいはゲル状で存在する。本発明は、粒径が数nm程度の非常に微細な粒子から約100nm前後の微粒子を除去する場合に好適である。また、液体フィルターは半導体の製造工程のみならず、例えばディスプレイ製造や研磨等の他の製造工程においても用いることができる。
本発明の液体フィルター用基材であるポリオレフィン微多孔膜は、下記に示す方法で好ましく製造することができる。即ち、
(I)ポリエチレン組成物と溶剤とを含む溶液において、少なくとも大気圧における沸点が210℃未満の揮発性の溶剤を含む溶液を調整する工程、
(II)これを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却固化してゲル状成形物を得る工程、
(III)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸する前に、ゲル状成形物から予め一部の溶剤を絞り出す工程、
(IV)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸する工程、
(V)延伸した中間成形物の内部から溶剤を抽出洗浄する工程、を順次実施することにより、好ましく製造することができる。
また、本溶液の調整においては、上記の大気圧における沸点が210℃未満の揮発性の溶剤以外に、流動パラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油などの沸点が210℃以上の不揮発性の溶剤を含ませることもできる。
この製法により、優れた液体透過性能と優れた濾過対象物の除去性能を併せ持ち、かつ、低溶出のポリオレフィン微多孔膜を提供することが可能になる。
(クッション率)
ダイアルゲージ(三豊製作所製)に直径10mm平型の標準測定子を取り付け、ポリオレフィン微多孔膜の厚みを測定するに当たり、50g荷重を加えた場合の厚みT1(μm)と500g荷重を加えた場合の厚みT2(μm)を測定し、下記式によりクッション率を求めた。
クッション率(%)=(1−T2/T1)×100
なお、厚み測定は荷重を加えた後、30秒後に測定を行った。この測定は測定位置を変えて10点を測定し、その平均値を用いた。
ポリオレフィン微多孔膜を各辺が長手方向(MD)と幅方向(TD)に平行になるように100mm四方の大きさに切出し、温度を130℃に調節したオーブン内に1時間放置した後の幅方向(TD)の収縮率(寸法変化率)を下記式により算出した。
熱収縮率(%)=(|熱処理前寸法−熱処理後寸法|/熱処理前寸法)×100
非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に切り出したポリオレフィン微多孔膜基材を浸漬し、風乾した。風乾したサンプルを所定の大きさのSUS板に挟み、電解液である1MのLiBF4 プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を含浸させた。これを2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れ、昇温速度1.6℃/分で昇温させながら、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて、該セルの抵抗を測定した。抵抗値が1000Ω・cm2に達した時点の温度を孔閉塞温度とした。
ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントは、ASTM E−128−61に準拠し、測定溶媒にエタノールを用いて測定した。
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にてポリオレフィン微多孔膜の膜厚を20点測定し、これらを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。測定圧は0.1Nとした。
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率(ε)は、下記式により算出した。
ε(%)={1−Ws/(ds・t)}×100
Ws:ポリオレフィン微多孔膜の目付け(g/m2)
ds:ポリオレフィンの真密度(g/cm3)
t:ポリオレフィン微多孔膜の膜厚(μm)
なお、ポリオレフィン微多孔膜の目付けは、サンプルを10cm×10cmに切り出し、その質量を測定し、質量を面積で割ることで目付を求めた。
予めポリオレフィン微多孔膜をエタノールに浸漬し、室温下で乾燥した。このポリオレフィン微多孔膜を、直径37mmのステンレス製の透液セル(透液面積Scm2)にセットした。透液セル上の該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、90kPaの差圧で予め計量した純水V(100ml)を透過させて、純水全量が透過するのに要した時間Tl(min)を計測した。その純水の液量と純水の透過に要した時間から、90kPa差圧下における単位時間(min)・単位面積(cm2)当たりの透水量Vsを以下の式より計算し、これを透水性能(ml /min・cm2) とした。測定は室温24℃ の温度雰囲気下で行った。
Vs=V/(Tl×S)
下記粒子(1)〜(3)のいずれかを含有する水溶液100mlを、差圧10kPaでポリオレフィン微多孔膜を介してろ過を行った。ろ過前の粒子を含む水溶液100mlの質量(M1)とポリオレフィン微多孔膜を通過したろ液の質量(M2)との差から、下記(式1)または(式2)により粒子の捕集率を求めた。(式1)は、粒子(1)を用いた場合の捕集率の計算式である。(式2)は、粒子(2)または粒子(3)を用いた場合の捕集率の計算式である。なお、捕集率が90%以上である場合を最良(◎)、80%以上90%未満の場合を良好(○)、80%未満の場合を不良(×)と判定した。
粒子(1)金コロイド 平均粒子径 3nm 粒子濃度0.0045質量%
粒子(2)ポリスチレン粒子 平均粒子径30nm 粒子濃度0.1質量%
粒子(3)ポリスチレン粒子 平均粒子径70nm 粒子濃度0.1質量%
捕集率(%)=((M1−M2)/(M1×45×10−6))×100 …(式1)
捕集率(%)=((M1−M2)/(M1×0.1×10−2))×100…(式2)
予めポリオレフィン微多孔膜をエタノールに浸漬し、室温下で乾燥した。このポリオレフィン微多孔膜を、直径37mmのステンレス製の透液セル(透液面積Scm2)に0.5mm間隔に5枚を重ねてセットし、透液セル上の該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、40kPaの差圧下で純水200mlを透過させ、全量が透過するのに要した時間(T1)を計測し、その後直ちに差圧状態を開放した。引き続き同一サンプルを使って、40kPaの差圧下で純水200mlを透過させ、直ちに差圧を開放する操作を100回繰り返した。100回目の純水200mlの透過に要した時間(T100)を計測して、以下の式より計算し、透水量変化率(%)とした。なお、透水量変化率が10%以下である場合を最良(◎)、10%超15%以下の場合を良好(○)、15%超の場合を不良(×)と判定した。
透水量変化率(%)= (T100−T1)/Tl × 100
予めポリオレフィン微多孔膜をエタノールに浸漬し、室温下で乾燥した。このポリオレフィン微多孔膜を、直径37mmのステンレス製の透液セル(透液面積Scm2)に1.0mm間隔に3枚を重ねてセットし、30kPaの差圧下でエタノール100mlを透過させ、全量透過後直ちに差圧を開放した。引き続き同一サンプルを使って、30kPaの差圧下でエタノール100mlを透過させ、直ちに差圧を開放する操作を200回繰り返した。その間に破膜が発生しなかったものを破膜耐性が良好(○)と判断し、その間に破膜が発生したものを破膜耐性が不良(×)と判断した。
ポリオレフィン微多孔膜を塩化メチレンに所定の時間浸漬した後に、ポリオレフィン微多孔膜を取り除き、浸漬後の塩化メチレン溶液の重量を計測した。これとは別に前述した計測した重量と継続同重量の新品の塩化メチレンを準備し、各々から塩化メチレンを蒸発させて完全に溶媒を除去した(乾固)後に、各々の重量を測定した。新品の塩化メチレンを完全に除去した後の重量増分を基準として、ポリオレフィン微多孔膜を浸漬した後の塩化メチレン溶液を乾固させた後の重量増分の比を算出し、1.05倍以下を耐溶出性が良好(ろ液汚染なし、○)と判断し、1.05倍を超える場合を耐溶出性が不良(×)と判断した。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)6重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)22重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が28重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン69重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)3重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した後、引き続き、85℃に加熱したローラー上を20kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率5.8倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率14倍で延伸し、その後直ちに118℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続して該ベーステープを浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)とした。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径3nmの金コロイド粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、優れた送液安定性を有し、かつ優れた破膜耐性を有するポリオレフィン微多孔膜であった。
上記の製造条件を表1に示し、得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を表2に示す。なお、以下の実施例および比較例についても同様に、表1,2にまとめて示す。
実施例1において、ベーステープを40℃に加熱したローラー上で40kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した後、長手方向に温度90℃にて倍率5.8倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度90℃にて倍率14倍で延伸し、その後直ちに124℃で熱処理(熱固定)を行った以外は同様にポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径3nmの金コロイド粒子の捕集率が80%以上の優れた捕集性能を有し、優れた送液安定性を有し、かつ優れた破膜耐性を有するポリオレフィン微多孔膜であった。
実施例1において、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)8重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)22重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いて、ポリエチレン樹脂総量の濃度が30重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン55重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)15重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製し、押出により得られたゲル状シートを長手方向に4倍、横方向に15倍で延伸した以外は同様にポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径3nmの金コロイド粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、優れた送液安定性を有し、かつ優れた破膜耐性を有するポリオレフィン微多孔膜であった。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)12重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)8重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が20重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン55重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した後、引き続き、85℃に加熱したローラー上を20kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率5倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率14倍で延伸し、その後直ちに128℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続して浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)である。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径30nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、優れた送液安定性を有し、かつ優れた破膜耐性を有するポリオレフィン微多孔膜であった。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)6.5重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)18.5重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が25重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン50重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した後、引き続き、95℃に加熱したローラー上を10kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率6倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率12倍で延伸し、その後直ちに136℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続して浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)である。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有し、優れた送液安定性を有し、かつ優れた破膜耐性を有するポリオレフィン微多孔膜であった。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)32重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)8重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が40重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン60重量部と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で25℃で冷却するとともに、水浴の表層に水流を設け、水浴中でゲル化したシートの中から放出されて水面に浮遊する混合溶剤がシートに再び付着しないようにしながら、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを55℃で10分、さらに、95℃で10分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した後、引き続き、85℃に加熱したローラー上を20kgf/mの押圧を掛けながら搬送させて、ベーステープ内から流動パラフィンの一部を除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率5.8倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度100℃にて倍率14倍で延伸し、その後直ちに105℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを2槽に分かれた塩化メチレン浴にそれぞれ30秒間ずつ連続してベーステープを浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。なお、浸漬を開始する側を第1槽とし、浸漬を終了する側を第2槽とした場合の洗浄溶媒の純度は(低)第1層<第2槽(高)である。その後、45℃で塩化メチレンを乾燥除去し、110℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、クッション率が過度に低く、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が90%以上の優れた捕集性能を有したが、破膜耐性が不十分であり、液体フィルター用基材として適さなかった。
重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン(PE1)2重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン(PE2)28重量部とを混合したポリエチレン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が30重量%となるようにして、予め準備しておいた流動パラフィン45重量部とデカリン(デカヒドロナフタレン)25重量部の混合溶剤と混ぜ、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度148℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で20℃で冷却し、ゲル状シート(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを60℃で8分、さらに、95℃で15分乾燥してデカリンをベーステープ内から除去した。その後、該ベーステープを長手方向に温度90℃にて倍率5.5倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度105℃にて倍率11倍で延伸し、その後直ちに130℃で熱処理(熱固定)を行った。
次にこれを塩化メチレン浴に10秒間浸漬させながら、流動パラフィンを抽出した。その後、50℃で塩化メチレンを乾燥除去し、120℃に加熱したローラー上を搬送させながらアニール処理をすることでポリオレフィン微多孔膜を得た。
得られたポリオレフィン微多孔膜は、クッション率が過度に高く、粒径70nmのポリスチレン粒子の捕集率が80%未満であり捕集性能が不十分であり、かつ送液安定性が不十分であり、液体フィルター用基材として適さなかった。
Claims (7)
- ポリオレフィン微多孔膜からなる液体フィルター用基材であって、
前記ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィンは、重量平均分子量が90万以上である超高分子量ポリエチレンと、重量平均分子量が20万〜80万で密度が0.92〜0.96g/cm 3 である高密度ポリエチレンとを混合させたポリエチレン組成物であり、かつ、該高密度ポリエチレンのポリエチレン組成物中の割合は20〜87重量%であり、
前記ポリオレフィン微多孔膜のクッション率が30%超65%以下である、液体フィルター用基材。 - 前記ポリオレフィン微多孔膜の130℃で1時間熱処理を行った後の幅方向の熱収縮率が20%以上である、請求項1に記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜の孔閉塞温度が140℃よりも高いものである、請求項1または2に記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイントが0.40MPa以上0.80MPa以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜の厚さが4〜35μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が46〜60%である、請求項1〜5のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜の透水性能が0.10〜2.90ml/min・cm2である、請求項1〜6のいずれかに記載の液体フィルター用基材。
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