JP6123891B2 - 光論理回路 - Google Patents

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Description

本発明は、光論理回路に関する。
従来より、光信号に基づき論理演算を行う光論理回路の開発が進められているが、既存の光論理回路に採用されている光論理ゲートは、通常、非線形光学効果を利用して論理演算を行うものとなっている。
そのため、既存の光論理回路は、波長の異なる多数の光信号を入力すると、クロストークにより、各波長の光信号に基づく論理演算が正確に行われないものとなっている。
特表2010−534868号公報
開示の技術の課題は、波長の異なる複数の光信号を入力して、各光信号に対する論理演算を並列的に行わせることが出来る光論理回路を提供することにある。
開示の技術の一観点による光論理回路は、
標準光パルスと同波長且つ同強度のONパルス、前記標準光パルスをOFF変調したOFFパルスのいずれかであるデータパルスが入力される光論理回路において、
前記入力されたデータパルスを固定端反射させ、前記固定端反射させたデータパルスと、前記標準光パルスとを合波して出力するNOT回路を、備える。
開示の技術の一観点による光論理回路は、波長の異なる複数の光信号を入力して、各光信号に対する論理演算を並列的に行わせることが出来る。
図1は、第1実施形態に係る光論理回路の構成図である。 図2は、光論理回路に光信号を供給するために使用できる第1信号生成装置の構成図である。 図3は、第1実施形態に係る光論理回路に入力される光信号、及び、第1実施形態に係る光論理回路から出力される光信号の説明図である。 図4は、光論理回路に光信号を供給するために使用できる第2信号生成装置の構成図である。 図5は、第1実施形態に係る光論理回路に入力される光信号、及び、第1実施形態に係る光論理回路から出力される光信号の説明図である。 図6は、第1実施形態に係る光論理回路に使用されているAND回路の構成図である。 図7は、第1実施形態に係る光論理回路に使用されているXOR回路の構成図である。 図8は、第1実施形態に係る光論理回路に使用されているNOT回路の構成図である。 図9は、第1実施形態に係る光論理回路に使用されているOR回路の構成図である。 図10は、出力レベル調整部の構成例の説明図である。 図11は、第2OR回路の構成図である。 図12は、第2NOT回路の構成図である。 図13は、ハーフミラー部の説明図である。 図14は、第2OR回路の機能の説明図である。 図15は、第2OR回路用の出力レベル調整部の構成例の説明図である。 図16は、第2NOT回路の機能の説明図である。 図17は、第3実施形態に係る光論理回路の構成図である。 図18は、第3実施形態に係る光論理回路の機能の説明図である。 図19は、第4実施形態に係る光論理回路の構成図である。 図20は、光マルチプレクサの構成例の説明図である。 図21は、光デマルチプレクサの構成例の説明図である。 図22は、光D−FFの構成例の説明図である。 図23は、光D−FFの構成例の説明図である。 図24は、図22の光D−FFに関するタイミングチャートである。 図25は、光RS−FFの構成例の説明図である。 図26は、光RS−FFに関するタイミングチャートである。 図27は、光論理回路に搭載できる位相調整回路の構成例の説明図である。 図28は、光論理回路に搭載できる位相調整回路の構成例の説明図である。 図29は、位相調整回路を備えた第2OR回路及び第2NOT回路の主要部分の構成の説明図である。
以下、開示の技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《第1実施形態》
図1に、第1実施形態に係る光論理回路の概略構成を示す。
本実施形態に係る光論理回路は、1組(2個)のn(例えば、8)ビットデータの加算演算を行わせることや、m(≧2)組のnビットデータの加算演算を同時に行わせることが出来る回路である。図1に示してあるように、光論理回路は、入力ポート30A〜30C、光セレクタ10A及び10B、n個の加算器201〜20n、光合波器29及び出力ポート32を備える。
本実施形態に係る光論理回路の詳細を説明する前に、ここで、光論理回路の利用法を、1組のnビットデータの加算演算を行わせる場合と、m組のnビットデータの同時加算演算を行わせる場合とに分けて、説明しておくことにする。
1組のnビットデータ(以下、データA,Bと表記する)の加算演算を光論理回路に行わせる場合、光論理回路には、例えば、図2に示した構成を有する第1光信号生成装置が接続される。
この第1光信号生成装置は、出力ポート68A〜68Cが、それぞれ、光論理回路の入力ポート30A〜30Cと接続される装置である。図2に示してあるように、第1光信号生成装置は、出力ポート68A〜68C以外の構成要素として、連続パルス生成源61、光分波器62、光変調器(“MOD”)65A及び65Bを、備える。
連続パルス生成源61(以下、生成源61とも表記する)は、所定波長、所定強度且つ所定パルス幅の光パルスが時間T(通常、1nsec以下)毎に含まれる連続パルス列を生成するユニットである。
光分波器62は、生成源61が出力する連続パルス列を、強度比が1:1:NNOTの第1変調対象パルス列、第2変調対象パルス列、第0パルス列に分けるデバイスである。ここで、NNOTとは、光論理回路内に存在するNOT回路25(図6〜図8参照;詳細は後述)の数のことである。尚、本実施形態に係る光論理回路は、後述するように、14n個のNOT回路25を備える。従って、本実施形態におけるNNOTは、14nである。
光分波器62の、第1変調対象パルス列、第2変調対象パルス列、第0パルス列が出力される接続部は、それぞれ、光ファイバー等の光伝送路により、光変調器65A、光変調器65B、出力ポート68Cと接続されている。
光変調器65Aは、第1変調対象パルス列を、データA(nビットデータA)を表す光信号となるようにON/OFF変調するための変調器である。光変調器65Bは、第2変調対象パルス列を、データBを表す光信号となるようにON/OFF変調するための変調器である。ここで、『パルス列をデータXを表す光信号となるようにON/OFF変調する』とは、『データXの、値が0のビットに対応する各光パルスの強度がほぼ0となり、他ビットに対応する各光パルスの強度が変わらないようにパルス列を変調する』ということである。各光変調器65(65A、65B)による変調対象パルス列の変調は、データXの第1ビット(最下位ビット)側から順々に周期Tで行われる。
図2に示してあるように、光変調器65Aの出力、光変調器65Bの出力は、それぞれ、出力ポート68A、出力ポート68Bに入力されている。従って、出力ポート68A、出力ポート68Bからは、それぞれ、データAを表す光信号、データBを表す光信号が出力される。
以上、第1光信号生成装置の概略構成を説明したが、第1光信号生成装置は、通常、以下の条件1、2を満たすように、設計・製造される。
・条件1:生成源61・出力ポート68A間の光信号経路の光路長(光学距離)と、生成源61・出力ポート68B間の光信号経路の光路長と、生成源61・出力ポート68C間の光信号経路の光路長とが、一致
・条件2:生成源61・光変調器65A間の光信号経路の光路長と、生成源61・光変調器65B間の光信号経路の光路長とが、一致
以下、第1光信号生成装置が、通常、上記条件1、2を満たすように製造される理由を説明する。
尚、以下の説明において、データパルス列D[X](又は単にD[X];X=A,B等)とは、データXを表す光信号のことである。Isとは、第1及び第2変調対象パルス列中の各光パルスの強度と、ほぼ一致する(伝送損失等を無視すれば一致する)強度のことである。OFFパルス、ONパルス、データパルスとは、それぞれ、強度がほぼ0の光パルス、強度がほぼIsの光パルス、OFFパルス又はONパルスのことである。D[X]の第k(k=1〜n)パルスとは、データXの第kビットの値を表しているデータパルスのことである。『複数の光パルスが同時に入力される』とは、『複数の光パルスが、それらの間の位相差が、光論理回路の規模に基づき定められる値(例えば、π/20ラジアン)以下となる入力タイミングで入力される』ということである。
本実施形態に係る光論理回路は、データA、Bの加算演算時に以下の条件を満たす光信号を入力して使用する回路として構成されている。
条件i:入力ポート30Aに、D[A]の第1パルス〜第nパルスが、第1パルスから順々に周期T(Tは、第0パルス列、第1変調対象パルス列及び第2変調対象パルス列のパルス周期)で入力される。
条件ii:D[A]の第k(k=1〜n)パルスの入力ポート30Aへの入力と同時に、D[B]の第kパルス、第0パルス列中の或る光パルスが、それぞれ、入力ポート30B、入力ポート30Cに入力される。
条件iii:D[A]の第1〜第nパルスが入力されている間に光論理回路に入力される光パルス群が互いに可干渉である。
これらの条件i〜iiiを満たす光信号を光論理回路に供給できる装置としては様々なものが考えられる。ただし、上記した条件1を満たすようにしておけば、以下の3種の光パルスを時間T毎にほぼ同時に光論理回路に供給できる第1光信号生成装置を実現できる。
(1)生成源61から或る時刻に出力された光パルスP0から、光分波器62により第1変調対象パルス列の要素として生成された光パルスP1の光変調器65AによるON/OFF変調結果
(2)光パルスP0から、光分波器62により第2変調対象パルス列の要素として生成された光パルスP2の光変調器65BによるON/OFF変調結果
(3)光パルスP0から、光分波器62により第0連続パルス列の要素として生成された光パルスP3
すなわち、上記した条件1を満たすように第1光信号生成装置を製造しておけば、条件i〜iiiを満たす,干渉性が極めて高い3種の光パルスを光論理回路に供給できる。
そして、上記条件2も満たすように第1光信号生成装置を製造しておけば、光変調器65A及び光変調器65B用の制御装置として、光変調器65Aの制御と光変調器65Bの制御とを同時に開始する装置(つまり、簡単に実現できる装置)を使用できる。
そのため、第1光信号生成装置は、通常、上記条件1及び2を満たすように製造されるのである。
尚、以下に記す3種の光パルスも可干渉なものとなる。
(α)生成源61から或る時刻に出力された光パルスP0から、第1変調対象パルス列の要素として光分波器62により生成された光パルスの光変調器65AによるON/OFF変調結果
(β)光パルスP0との出力時間差が、過度に大きくない(例えば、数Tから数十T程度の)光パルスから、第2変調対象パルス列の要素として光分波器62により生成された光パルスの光変調器65BによるON/OFF変調結果
(γ)光パルスP0との出力時間差が、過度に大きくない光パルスから、第3連続パルス列の要素として光分波器62により生成された光パルス
さらに、上記した条件2を満たしていなくても、光変調器65A及び65Bの制御タイミングを調整すれば(異ならせれば)、(1)と(2)の光パルス(又は、(α)と(β)の光パルス)を光論理回路に同時に入力することが出来る。
従って、光論理回路にデータA、Bの加算演算を行わせる場合に使用する第1光信号生成装置を、条件1及び/又は条件2を満たさない装置としておくことも出来る。
次に、データA,Bの加算演算を光論理回路に行わせる場合に、光論理回路の出力ポート32に接続される装置について説明する。
詳細については後述するが、図3に示してあるように、光論理回路にD[A]、D[B]及び第0パルス列(以下、PT0とも表記する)を入力した場合、出力ポート32からは、“A+B”を表すデータパルス列D[A+B]が出力される。尚、図3における各データパルス列波形は、ONパルス、OFFパルスを、それぞれ、実線、点線で示したものである。また、各データパルス列波形は、時間的に先に入力/出力されるデータパルスを右側に示したものとなっている。
従って、データA,Bの加算演算を光論理回路に行わせる場合、光論理回路の出力ポート32には、データパルス列(つまり、ON/OFF変調された連続パルス列)をデジタルデータに変換できる光・電気変換装置が接続される。この光・電気変換装置としては、例えば、PD(フォトダイオード)により出力ポート32から出力される各光パルスの強度を測定して閾値(例えば、Is/2)と比較することにより、データパルス列をnビットデータ(通常、パラレルデータ)に変換する装置が使用される。
次に、m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時加算演算を行わせる場合における光論理回路の利用法を説明する。
m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時加算演算を光論理回路に行わせる場合、光論理回路の入力ポート30A〜30Cには、例えば、図4に示した構成を有する第2光信号生成装置が接続される。
この第2光信号生成装置は、出力ポート78A〜78Cが、それぞれ、光論理回路の入力ポート30A〜30Cに接続される装置である。図4に示してあるように、第2光信号生成装置は、出力ポート78A〜78C以外の構成要素として、多波長連続パルス生成源71、光分波器72、WDM(波長分割多重)光分波器73、及び、光分波器741〜74mを備える。また、第2光信号生成装置は、光変調器75A1〜75Am、光変調器75B1〜75Bm、光合波器76A及び76Bも、備える。
多波長連続パルス生成源71は、パルス周期がTであり、波長が互いに異なるm個の連続パルス列を同時に生成・出力するユニットである。この多波長連続パルス生成源71としては、通常、光パルスが現れるタイミングが一致し、強度が大きく異ならないm個の連続パルス列を出力するものが使用される。以下、多波長連続パルス生成源71が出力するm個の連続パルス列の波長のことを、λ1〜λmと表記する。また、多波長連続パルス生成源71のことを、生成源71と表記し、生成源71が出力する光信号等の,m個のパルス列が重畳された光信号のことを、複合パルス列と表記する。
光分波器72は、生成源71から出力される複合パルス列を、強度比が2:NNOTの2つの複合パルス列に分けるデバイスである。
光分波器72からの,強度比がNNOTの方の複合パルス列は、光ファイバー等の光伝送路により出力ポート78Cに供給される。また、光分波器72からの,強度比が1の方の複合パルス列は、光ファイバー等の光伝送路によりWDM光分波器73に供給される。
WDM光分波器73は、光分波器72から供給される複合パルス列を、波長λ1〜λmのm個の連続パルス列に分ける光分波器である。WDM光分波器73により分波された波長λk(k=1〜m)の連続パルス列は、光分波器74kに供給される。そして、波長λkの連続パルス列は、光分波器74kにより強度がほぼ等しい第1変調対象パルス列と第2変調対象パルス列とに分けられて、光変調器75Akと光変調器75Bkとに供給される。
光変調器75Ak(k=1〜m)は、波長λkの第1変調対象パルス列を、データAkを表す光信号となるようにON/OFF変調するためのデバイスである。波長λkの第1変調対象パルス列は、光変調器75Akにより、D[Ak](データAkを表すデータパルス列)に変調されて光合波器76Aに供給される。
光変調器75Bk(k=1〜m)は、波長λkの第2変調対象パルス列を、データBkを表す光信号となるようにON/OFF変調するためのデバイスである。波長λkの第2変調対象パルス列は、光変調器75Bkにより、D[Bk]に変調されて光合波器76Bに供給される。
光合波器76Aは、光変調器75A1〜75Amからのデータパルス列D[A1]〜D[Am]を合波して合波結果(つまり、D[A1]〜D[Am]が重畳された複合パルス列)を出力ポート78Aに供給するデバイスである。光合波器76Bは、光変調器75B1〜75Bmからのデータパルス列D[B1]〜D[Bm]を合波して合波結果を出力ポート78Bに供給するデバイスである。
また、この第2光信号生成装置は、通常、以下の条件3、4を満たすように、設計・製造される。
条件3:生成源71・出力ポート78A間の各光変調器75Aを経由する光信号経路の光路長と、生成源71・出力ポート78B間の各光変調器75Bを経由する光信号経路の光路長と、生成源71・出力ポート78C間の光信号経路の光路長とが、一致
条件4:生成源71と各光変調器75Aとの間の光信号経路の光路長と、生成源71と各光変調器75Bとの間の光信号経路の光路長とが、一致
条件3,4を満たすように第2光信号生成装置が設計・製造される理由は、第1光信号生成装置が条件1,2を満たすように設計・製造される理由と同様のものである。そのため、当該理由の詳細説明は省略する。
以上、説明した第2信号生成装置の構成から明らかなように、m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時加算演算を光論理回路に行わせる場合、光論理回路の入力ポート30A〜30Cには、図5に模式的に示したような光信号が入力される。
すなわち、入力ポート30Aには、D[A1]〜D[Am]が重畳された複合パルス列が入力される。また、入力ポート30Bには、D[B1]〜D[Bm]が重畳された複合パルス列が、D[B1]〜D[Bm]の第1パルスの入力時刻が、D[A1]〜D[Am]の第1パルスの入力時刻と一致するタイミングで、入力される。また、入力ポート30Cには、互いに波長が異なるm個の第0パルス列PT0が重畳された複合パルス列が、特定の光パルスの入力時刻が各データパルス列の第1パルスの入力時刻と一致するタイミングで入力される。
次に、m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時加算演算を光論理回路に行わせる場合に、光論理回路の出力ポート32に接続される装置について説明する。
m組のデータAk,Bkの同時加算演算を光論理回路に行わせた場合、光論理回路の出力ポート32からは、図5に模式的に示してあるように、波長が互いに異なるm個のD[A1+B1]〜D[Am+Bm]が重畳された光信号(複合パルス列)が出力される。
従って、この場合、出力ポート32には、出力ポート32から出力される光信号を波長λ1〜λmのm個のデータパルス列に分けるWDM光分波器と、当該m個のデータパルス列をデジタルデータに変換するm個の光・電気変換装置とを含む装置が接続される。尚、当該装置中の光・電気変換装置としては、既に説明したように、例えば、PDにより各光パルスの強度を測定して閾値と比較することにより、データパルス列をnビットのパラレルデータに変換する装置を使用することが出来る。
図1に戻って、第1実施形態に係る光論理回路の構成及び機能を説明する。尚、以下の説明において、接続部(接続部11、接続部21−1等)とは、光論理回路の各種構成要素(セレクタ10、XOR回路22、AND回路23等)の設計上の境界のことである。従って、接続部の中には、他の部材を接続するためにわざわざ製造されない部分(換言すれば、導波路等の光伝送路の一部として製造される部分)も含まれる。
図1に示してあるように、光論理回路の入力ポート30A、入力ポート30Bは、それぞれ、光セレクタ10Aの接続部11、光セレクタ10Bの接続部11と接続されている。
光セレクタ10Aは、接続部11と接続部121〜12nとを有し、接続部11から入力された光の出力先(接続部121〜12nのいずれか)を、電気的な制御信号(図示略)により指定できるデバイスである。光セレクタ10Aの各接続部12k(k=1〜n)は、接続部11に入力された各光パルス(データパルス)が、或る時間t0で加算器20kの接続部21−1に到達する光路長の光伝送路により加算器20kと接続される。
光セレクタ10Bも、接続部11と接続部121〜12nとを有し、接続部11に入力された光の出力先を、制御信号により指定できるデバイスである。光セレクタ10Bの各接続部12k(k=1〜n)は、接続部11に入力された各光パルス(データパルス)が、上記した時間t0で加算器20kの接続部21−2に到達する光路長の光伝送路により加算器20kと接続される。
既に説明したように、データA,Bの加算演算を光論理回路に行わせる場合(図3参照)、入力ポート30A、30Bには、それぞれ、D[A]、D[B]が入力される。
データA,Bの加算演算を光論理回路に行わせる場合、光セレクタ10Aは、D[A]の第k(k=1〜n)パルスが接続部12kから出力されるように制御され、光セレクタ10Bは、D[B]の第kパルスが接続部12kから出力されるように制御される。尚、光セレクタ10(10A,10B)を上記のように動作させるための制御としては、通常、『光セレクタ10に対して、時間T毎に、入力光の出力先を次の出力先に切り替えることを指示する制御』が行われる。
一方、m組のnビットデータの同時加算演算を光論理回路に行わせる場合、光セレクタ10Aは、D[A1]〜D[Am]の総計m個の第k(k=1〜n)パルスが接続部12kから出力されるように制御される。また、光セレクタ10Bは、D[B1]〜D[Bm]の総計m個の第kパルスが接続部12kから出力されるように制御される。
ただし、D[A1]〜D[Am]の総計m個の第kパルスは、それらが重畳された光信号(以下、複合パルスとも表記する)として、入力ポート30Aに入力される(図5参照)。また、D[B1]〜D[Bm]の総計m個の第kパルスも、それらが重畳された複合パルスとして、入力ポート30Bに入力される。従って、m組のnビットデータの同時加算演算、1組のデータA,Bの加算演算のいずれを光論理回路に行わせる場合にも、各光セレクタ10に対しては、同じ制御が行われる。
光論理回路(図1)内には、入力ポート30Cに単独で入力された第0パルス列PT0や、入力ポート30Cに重畳されて入力されたm個の第0パルス列PT0を、NNOT個のほぼ同強度の光信号に分けるための複数の光分波器(図示略)が設けられている。
以下、入力ポート30Cに単独で入力された1個の第0パルス列PT0を、NNOT個のほぼ同強度の光信号に分けた各光信号のことを、標準パルス列PTと表記する。入力ポート30Cに重畳されて入力されたm個の第0パルス列PT0を、NNOT個のほぼ同強度の光信号に分けた各光信号のことを、複合標準パルス列PTと表記する。また、複合標準パルス列PTに含まれる各波長の連続パルス列のことを、標準パルス列PTと表記する。
さらに、D[X1]〜D[Xm]が重畳された複合パルス列のことを、複合データパルス列と表記する。尚、既に説明したように、或る波長の第0パルス列の強度は、同一波長のデータパルス列の強度のほぼNNOT倍である。従って、標準パルス列PTは、各光パルスの強度がほぼIsとなっているパルス列である。
図1に示してある回路構成から明らかなように、加算器20k(k=1〜n)は、基本的には、電子回路用の全加算器のXORゲート、ANDゲート、ORゲートを、夫々、XOR回路22、AND回路23、OR回路24に置換した回路である。
図6、図7に、夫々、AND回路23、XOR回路22の構成を示す。
これらの図に示してあるように、AND回路23(図6)、XOR回路22(図7)は、いずれも、NOT回路25(251等)とOR回路24(241等)とを組み合わせた回路となっている。
そのため、XOR回路22及びAND回路23の詳細を説明する前に、NOT回路25及びOR回路24の構成及び機能を説明することにする。
図8に、NOT回路25の構成を示す。この図8に示してあるように、NOT回路25は、3つの接続部25a−1〜25a−3と、ミラー25bと、光合波器25cと、光伝送路25d−1及び25d−2とを、備える。
接続部25a−1、25a−2は、夫々、データパルス列又は複合データパルス列、標準パルス列PT又は複合標準パルス列PTが入力される部分である。尚、既に説明(定義)したように、複合データパルス列とは、D[X1]〜D[Xm]が重畳された光信号のことである。また、複合標準パルス列PTとは、波長が異なるm個の第0パルス列が重畳された光信号のことである。
ミラー25bは、接続部25a−1側から入力される光を、その表面で固定端反射させて光合波器25c側へ出力する部材である。すなわち、ミラー25bは、接続部25a−2側から或る波長のデータパルス列が単独で入力されると、各データパルスの位相が当該データパルス列とはπラジアン異なるデータパルス列を光合波器25c側へ出力する。また、ミラー25bは、接続部25a−2側から、複合データパルス列が入力されると、複合データパルス列中のデータパルス列毎に、各データパルスの位相が当該データパルス列とはπラジアン異なるデータパルス列を光合波器25c側へ出力する。尚、このミラー25bは、例えば、金属膜により実現される。
光伝送路25d−1は、接続部25a−1に入力された光信号(データパルス列又は複合データパルス列)をミラー25bに供給し、当該光信号のミラー25bによる反射光を光合波器25cに供給する光伝送路である。この光伝送路25d−1は、例えば、ミラー25bがその側面に設けられたスラブ導波路、スラブ導波路と接続部25a−1とを接続する導波路、及び、スラブ導波路と接続部25a−2とを接続する導波路により実現される。
光伝送路25d−2は、接続部25a−2に入力された標準パルス列PT又は複合標準パルス列PTを光合波器25cに供給する光伝送路である。この光伝送路25d−2の形状及び構成材料は、光路長が光伝送路25d−1と一致するように定められる。
光合波器25cは、入力された2光信号を合波するデバイス(例えば、Y字型に形成した導波路)である。NOT回路25の接続部25a−3には、この光合波器25cの出力が光伝送路により供給される。
以下、NOT回路25の機能を説明する。尚、以下の説明において、標準パルスとは、標準パルス列PT中の光パルスのことである。
同一波長のデータパルス及び標準パルスが同時にNOT回路25に入力された場合を考える。
この場合、接続部25a−1に入力されたデータパルスは、ミラー25bにより位相がπラジアンシフトされてから光合波器25cに供給される。また、当該データパルスと同時に入力された標準パルスは、位相がシフトされることなく、光合波器25cに供給される。
そして、光伝送路25d−1と光伝送路25d−2の光路長は一致しており、標準パルスの強度は、ONパルスの強度とほぼ等しい。従って、接続部25a−1に入力されたデータパルスがONパルスであった場合には、光合波器25cによる合波時に、ONパルスの位相をπラジアンシフトさせた光パルスと標準パルスとが干渉により打ち消しあう。そして、その結果として、光合波器25cからは、強度がほぼ“0”の光パルス(つまり、OFFパルス)が出力されることになる。
また、接続部25a−1に入力されたデータパルスがOFFパルスであった場合には、光合波器25cから、標準パルスと、位相がπラジアンシフトしたOFFパルスとの合波結果が出力される。そして、OFFパルスの強度はほぼ“0”であるので、当該合波結果としては、強度がほぼIsの光パルス(つまり、ONパルス)が出力されることになる。
このように、或るデータパルスが入力されると、NOT回路25は、当該データパルスのON/OFFを反転したデータパルスを出力する。そして、同一波長のデータパルス列と標準パルス列とをほぼ同時にNOT回路25に入力した場合には、当該データパルス列のデータパルス毎に、そのデータパルスを反転したデータパルスがNOT回路25から出力される。従って、NOT回路25は、入力されたデータパルス列の各データパルスのON/OFFを反転したデータパルス列(入力されたデータパルス列のNOT演算結果とも表記する)を出力できる回路となっていることになる。
さらに、NOT回路25は、光の固定端反射と2光の重ね合わせとにより、各データパルスのON/OFFを反転させる回路となっている。そして、光の固定端反射と2光の重ね合わせとは、他波長の光が存在していても影響を殆ど受けないものである。従って、複合データパルス列と複合標準パルス列とをNOT回路25に入力した場合には、入力されたデータパルス列のNOT演算結果を生成・出力する処理が、波長別に、他波長の光信号による悪影響を受けない形で、行われることになる。
次に、OR回路24の構成及び機能を説明する。
図9に、OR回路24の構成を示す。この図9に示してあるように、OR回路24は、3つの接続部24a−1〜24a−3と、光合波器24bと、出力レベル調整部24cとを、備える。
接続部24a−1は、それらの間のOR演算を行う2つのデータパルス列又は複合データパルス列の中の一方のデータパルス列又は複合データパルス列が入力される部分である。接続部24a−2は、当該2つのデータパルス列又は複合データパルス列の中の他方のデータパルス列又は複合データパルス列が入力される部分である。
光合波器24bは、接続部24a−1に入力された光信号と、接続部24a−2に入力された光信号とを合波するデバイスである。光合波器24bとしては、例えば、Y字型に形成した導波路が用いられる。尚、光合波器24cと接続部24a−1との間、光合波器24cと接続部24a−2との間は、光路長が等しい光伝送路により接続される。
出力レベル調整部24cは、光合波器24bから出力される,OFFパルスではない各光パルスを、強度がほぼIsのONパルスに変換して接続部24a−3に供給するデバイスである。
具体的には、上記した構成から明らかなように、OR回路24に1組のデータパルスを入力した場合、光合波器24bからは、強度がほぼ0の光パルス(つまり、OFFパルス)、強度がほぼIsの光パルス、又は、強度がほぼ2Isの光パルスが出力される。また、OR回路24に波長が互いに異なるm組のデータパルスを入力した場合、光合波器24bからは、波長別に、強度がほぼ0の光パルス、強度がほぼIsの光パルス、又は、強度がほぼ2Isの光パルスが出力される。
従って、OR回路24の出力レベル調整部24cは、各種波長の、強度がIs〜2Isの光パルスを、強度がほぼIsの光パルスに変換できるものでありさえすれば良い。そのような出力レベル調整部24cとしては、例えば、強度がIs程度の光パルスの入力により、SBS(Stimulated Brillouin Scattering:誘導ブリルアン散乱)が発生する導波路媒質(光ファイバー等)を使用することが出来る。
上記のSBS散乱は、ある強度以上の光が反射して戻る現象であり、各波長の光に対して、独立して起こる現象である。つまり、SBS散乱は、非線形光学効果ではあるものの、一方の波長の光強度が他方の波長の光強度に影響を及ぼさない。よって、SBS散乱が発生する導波路媒質が使用された光論理回路に、波長多重光が入力されても、波長毎の演算を行うことが出来る。
また、例えば、図10に示したような構成のデバイスを、出力レベル調整部24cとして使用することも出来る。すなわち、上記のような仕様の導波路媒質83の前後に、SBS散乱反射光を入力側に戻さないための光サーキュレータ82と分散補償部84(分散補償ファイバー等)とを設けたものを、出力レベル調整部24cとして使用することも出来る。
尚、図10に示した構成のデバイス(又は導波路媒質83のみ)を出力レベル調整部24cとして用いた場合、強度がIsの光パルスの光パルスから生成された光パルスの位相と、強度が2Isの光パルスから生成された光パルスの位相とが異なることがあり得る。ただし、強度がIsの光パルスの光パルスから生成された光パルスと強度が2Isの光パルスから生成された光パルスの間の位相差が、2πの整数倍であれば、光論理回路は問題無く機能する。また、当該位相差は、光論理回路に供給する光パルスの強度を変更することや、光論理回路に供給する光パルスの波長を特定の波長とすることにより、2πの整数倍とすることが出来る。
従って、出力レベル調整部24cとして、図10に示した構成のデバイス(又は導波路媒質83のみ)を用いる際に、光論理回路の回路構成を変更する必要はなく、位相差が2πの整数倍となるように光信号生成装置の構成(仕様)を変更すれば良い。
以下、第1実施形態に係る光論理回路の残りの部分の構成及び機能を説明する。
AND回路23(図6)は、NOTゲートとORゲートとを組み合わせたANDゲート中の3つのNOTゲート、ORゲートを、夫々、NOT回路251〜253、OR回路241に置換した回路である。AND回路23内のNOT回路251〜253は、いずれも、上記したNOT回路25(図8)と同構成の回路である。OR回路241も、上記したOR回路24(図9)と同構成の回路である。
すなわち、AND回路23は、各NOT回路25L(L=1〜3)が実際にNOT回路として機能し、OR回路241が実際にOR回路として機能すれば、光信号に基づくAND演算を行えるAND回路として機能する構成を有している。尚、光信号に基づくAND演算を行えるAND回路とは、接続部23−1及び23−2に入力された2つのデータパルス列又は複合データパルス列のAND演算結果を示すデータパルス列又は複合データパルス列を接続部23−3から出力できる回路のことである。
そのため、AND回路23は、以下の条件を満たすように、設計・製造される。
接続部23a−1からOR回路241までのNOT回路251を経由する光信号経路の光路長と、接続部23a−2からOR回路241までのNOT回路252を経由する光信号経路の光路長とが、一致
換言すれば、AND回路23は、接続部23a−1、23a−2に同時に2データパルスを入力すれば、それらのデータパルスのNOT回路251、252による処理結果がOR回路241に同時に入力されるように設計・製造される。
また、AND回路23内の各NOT回路25L(L=1〜3)に標準信号PTを供給するための光信号経路は、各NOT回路25Lが、入力されたデータパルスを反転できるように、設計・製造される。すなわち、各NOT回路25Lに標準パルス列PT又は複合標準パルス列PTを供給するための光信号経路は、接続部25a−1へのデータパルスの入力とほぼ同時に、接続部25a−2に標準パルスが供給されるように、設計・製造される。
XOR回路22(図7)は、基本的には、NOTゲートとORゲートとを組み合わせたXORゲート中の4つのNOTゲート、3つのORゲートを、夫々、NOT回路254〜257、OR回路242〜244に置換した回路である。
このXOR回路22内の各NOT回路25L(L=4〜7)も、上記したNOT回路25(図8)と同構成の回路である。OR回路24M(M=2〜4)も、上記したOR回路24(図9)と同構成の回路である。
すなわち、XOR回路22も、各構成要素が実際にNOT回路/OR回路として機能すれば、接続部23−1及び23−2に入力された2光信号のXOR演算結果を示す光信号を接続部23−3から出力する回路として機能するものとなっている。
そして、XOR回路22の各構成要素を実際にNOT回路/OR回路として機能させるためには、各NOT回路25L、各OR回路24Mに、各ONパルスの強度がほぼIsとなっているデータパルス列/複合データパルス列を供給することが望まれる。そのため、XOR回路22には、接続部22a−1に入力されたものと同強度の光信号をOR回路242とNOT回路254とに供給できるようにするための光増幅器27(つまり、増幅率がほぼ2の光増幅器27)が設けられている。また、XOR回路22には、接続部22a−2に入力されたものと同強度の光信号をOR回路243とNOT回路254とに供給できるようにするための光増幅器27も設けられている。
また、XOR回路22内の各OR回路24M(M=2〜4)を実際にOR回路として機能させるために、XOR回路22は、以下の条件を満たすように設計・製造される。
・NOT回路255等を経由する接続部22a−1からOR回路243までの光信号経路の光路長と、接続部22a−1からOR回路242までの光信号経路の光路長とが、一致
・NOT回路254等を経由する接続部22a−2からOR回路242までの信号経路の光路長と、接続部22a−1からOR回路243までの光信号経路の光路長が、一致
・NOT回路256等を経由する接続部22a−1からOR回路244までの光信号経路の光路長と、NOT回路257等を経由する接続部22a−2からOR回路244までの光信号経路の光路長とが、一致
また、XOR回路22内の各NOT回路25L(L=4〜7)を実際にNOT回路として機能させるために、各NOT回路25Lに標準信号PTを供給するための光信号経路は、以下の条件を満たすように設計・製造される。
・NOT回路25L(L=4〜7)の接続部25a−1への或る波長のデータパルスの入力とほぼ同時に、NOT回路25Lの接続部25a−2に同じ波長の標準パルスが供給される。
尚、各XOR回路22内や各AND回路23内の各NOT回路25への、上記条件を満たすPT伝送用の信号系の設計は、例えば、以下に記すような形で行われる。
光論理回路を、データパルス伝送用の光伝送路と各種論理回路(NOT回路25等)とが形成される第1層と、PT生成・伝送用の光分波器及び光伝送路が形成される第2層とを含む回路とする。そして、第1層を、各NOT回路25の接続部25a−2近傍に第2層からのPTの取り出し部分が存在する形で設計してから、各NOT回路25へのデータパルス及びPTの供給経路の光路長が一致するように、第2層(PTの供給経路の形状等)を設計する。
また、XOR回路22、AND回路23、他論理回路の構成要素ではないOR回路24及びNOT回路25は、データパルスの処理に要する時間(以下、処理時間と表記する)が同一となるように設計しておくことが望ましい。何故ならば、各回路の処理時間を同一としておけば、各回路の処理時間が同一でない場合よりも光伝送路の形状の設計を容易に行えることになるからである。
各回路の処理時間を同一にすることは、例えば、以下の手順で実現できる。
手順1:AND回路23等の構成要素として使用するNOT回路251〜257、OR回路241〜244を処理時間が短い回路として設計する。
手順2:NOT回路254〜257とOR回路242〜244とを組み合わせたXOR回路22を設計する。
手順3:設計したXOR回路22と処理時間が同一となるように、AND回路23、OR回路、NOT回路25を設計する。
図1に戻って、光論理回路の説明を続ける。
既に説明したように、加算器20k(k=1〜n)は、基本的には、全加算器のANDゲート、XORゲート、ORゲートを、夫々、XOR回路22、AND回路23、OR回路24に置換した回路である。ただし、XOR回路22、AND回路23、OR回路24は、上記したように、いずれも、2つの強度Isのデータパルス列又は複合データパルス列を同時に入力することにより使用する回路となっている。ここで、強度Isのデータパルス列又は複合データパルス列とは、各ONパルスの強度がほぼIsとなっているデータパルス列又は複合データパルス列のことである。
そして、同じ光信号(データパルス列又は複合データパルス列)を2つの論理回路に供給するために、当該光信号を光分波器により2信号に分けただけでは、2つの論理回路に強度Isのデータ信号を供給することが出来ない。そのため、加算器20k(k=1〜n)内の各光分波器の前には、入力された光信号をほぼ2倍の強度の光信号に増幅する光増幅器27が設けられている。尚、図1において、各光増幅器27近傍に示してある光伝送路(回路/接続部間を接続している実線)の分岐箇所が、光分波器である。光分波器としては、例えば、Y字形状を有する導波路を採用することができ、光増幅器27としては、例えば、光ファイバー増幅器を採用することができる。
さらに、各加算器20kの各部間を接続する光伝送路は、それらの間の論理演算を行う同一波長の2データパルスを各論理回路にほぼ同時に供給できるように設計・製造される。すなわち、例えば、入力ポート21−1・XOR回路221間の光信号経路(光増幅器27を含む光信号経路)は、入力ポート21−3・XOR回路221間の光信号経路と光路長が一致するように設計・製造される。入力ポート21−1・AND回路231間の光信号経路は、入力ポート21−3・AND回路231間の光信号経路と光路長が一致するように設計・製造される。入力ポート21−2からOR回路24までのAND回路232等を経由した光信号経路は、入力ポート21−1からOR回路24までの間のAND回路231等を経由した光信号経路と光路長が一致するように設計・製造される。
また、全加算器の回路構成と本質的には同じ回路構成を有するため、各加算器20k(k=1〜n)のOR回路24からは、桁上げの要否を示すデータパルス(以下、桁上げパルスと表記する)が出力される。ただし、加算器20kのOR回路24から桁上げパルスが出力されるのは、1組のデータA,Bの加算演算時を例に説明すれば、D[A]及びD[B]の第kパルスが入力された後、加算器20の構成によって定まる時間t1が経過したときである。そして、次の加算器20k+1に、D[A]及びD[B]の第k+1パルスが入力されるのは、加算器20kに、D[A]及びD[B]の第kパルスが入力されてから、時間Tが経過したときである。
そのため、加算器20k(k=1〜n−1)のOR回路24と加算器20k+1の入力ポート21−3との間の光信号経路には、およそ“T−t1”時間、桁上げパルスを遅延させるための光遅延回路26が設けられている。より正確には、加算器20kのOR回路24と加算器20k+1の入力ポート21−3との間の光信号経路には、桁上げパルスが当該光信号経路を通過するのに要する時間を“T−t1”時間とするための光遅延回路26が設けられている。尚、光遅延回路26としては、例えば、遅延させる時間に応じた長さの光ファイバーが使用される。
尚、加算器201の入力ポート21−3には、何も入力されていない。従って、加算器201は、半加算器として機能することになる。
加算器201〜20nの出力が入力されている光合波器29は、n個の入力用接続部を有し、各入力用接続部から入力された光信号を、各光信号の波長によらず合波するデバイスである。光論理回路の出力ポート32には、この光合波器29から出力される光信号が供給されている。
本実施形態に係る光論理回路は、このような構成を有している。そして、既に説明したように、データA,Bの加算演算を光論理回路に行わせる場合、各光セレクタ10X(X=A、B)は、D[X]の第k(k=1〜n)パルスが光セレクタ10Xの接続部12kから出力されるように制御される。
従って、データA,Bの加算演算を光論理回路に行わせた場合には、まず、D[A]及びD[B]の第1パルスが加算器201に入力される。そして、加算器201からD[A+B]の第1パルスが出力される。その後、D[A]及びD[B]の第2パルスが加算器202に入力されるが、その際、加算器202には、加算器201からの桁上げパルスも入力される。従って、加算器202から、D[A+B]の第2パルスが出力される。
そして、加算器203〜20nからも、同様のタイミングで、D[A+B]の第3パルス〜第nパルスが出力されるので、結局、光論理回路の出力ポート32から、データパルス列D[A+B](図3参照)が出力されることになる。
また、光論理回路に用いられている各論理回路(XOR回路22、AND回路23等)は、2光の重ね合わせ、又は、光の固定端反射及び2光の重ね合わせにより、データパルス列に対するNOT演算やデータパルス列間の論理演算を行う回路となっている。そして、光の固定端反射と2光の重ね合わせとは、他波長の光が存在していても影響を殆ど受けないものである。そのため、本実施形態に係る光論理回路に、m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時加算演算を行わせた場合、各論理回路にて、各波長のデータパルスが他波長のデータパルスの影響を受けずに処理される。従って、光論理回路の出力ポート32からは、m個のD[A1+B1]〜D[Am+Bm]が重畳された複合データパルス列(図5参照)が出力されることになる。
《第2実施形態》
以下、第2実施形態に係る光論理回路の構成及び機能を、第1実施形態に係る光論理回路と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態に係る光論理回路(以下、第2光論理回路とも表記する)は、上記した第1実施形態に係る光論理回路(以下、第1光論理回路とも表記する)と、ほぼ同構成の回路である。ただし、第2光論理回路は、図11に示した構成を有するOR回路24が、XOR回路22、加算器20等の構成要素として使用され、図12に示した構成を有するNOT回路25が、XOR回路22等の構成要素として使用された回路となっている。
まず、第2光論理回路に使用されているOR回路24(以下、第2OR回路24とも表記する)について、説明する。
図11に示してあるように、第2OR回路24は、3つの接続部24a−1〜24a−3とハーフミラー部40と出力レベル調整部46とを備える。
第2OR回路24の接続部24a−1〜24a−3は、夫々、第1実施形態に係る光論理回路内のOR回路24(以下、第1OR回路24とも表記する)の接続部24a−1〜24a−3と同じものである。すなわち、第2OR回路24の接続部24a−1、24a−2には、OR演算対象である2つの光信号(データパルス列又は複合データパルス列)が入力される。また、第2OR回路24の接続部24a−3からは、接続部24a−1、24a−2に入力された2つの光信号のOR演算結果を示す光信号が出力される。
図11に示してあるように、ハーフミラー部40は、接続部24a−1と接続された接続部41、接続部24a−2と接続された接続部42、及び、出力レベル調整部46と接続された接続部44を備える。また、ハーフミラー部40は、光論理回路外へ光を導くための伝送路(図示略)に接続された接続部43、及び、ハーフミラー45を、備える。
ハーフミラー45は、非対称ハーフミラー等と呼ばれているものである。すなわち、ハーフミラー45は、図13に模式的に示してあるように、接続部41側からの光(実線)を、位相がπラジアンシフト(図13では、πシフト)した反射光と、当該反射光とほぼ同強度の,位相がシフトしていない透過光とに分岐する。さらに、ハーフミラー45は、接続部42側からの光(点線)を、位相がシフトしていない、ほぼ同強度の反射光及び透過光に分岐する。尚、ハーフミラー45としては、通常、金属薄膜が使用される。
また、ハーフミラー部40(図13参照)の各部の位置関係は、以下の条件を満たすように、定められている。
パルス列Y、パルス列Zを、夫々、接続部41、42から入力すると、パルス列Yの反射光とパルス列Zの透過光とが合波されて接続部43から出力され、パルス列Yの透過光とパルス列Zの反射光とが合波されて接続部44から出力される。
上記した構成から明らかなように、ハーフミラー部40は、以下の機能を有するデバイスとなっている。
ハーフミラー部40の接続部41及び接続部42の一方に或る波長のONパルスを入力し、他方に同じ波長のOFFパルスを入力した場合、接続部44から、強度がほぼIs/2の光パルスが出力される。また、接続部41及び接続部42の双方に同じ波長のONパルスを入力した場合には、接続部44から、強度がほぼIsの光パルスが出力される。接続部41及び接続部42の双方に同じ波長のOFFパルスを入力した場合には、接続部44から、強度がほぼ“0”の光パルス(つまりOFFパルス)が出力される。
要するに、ハーフミラー部40の接続部44からは、図14に示したように、接続部24a−1、24a−2に入力されたデータパルスの組み合わせに応じて、OFFパルス、強度がほぼIs/2の光パルス、強度がほぼIsの光パルスのいずれかが出力される。
接続部44から出力されるパルス列は、強度が所定の閾値(例えば、3Is/8)以上であるか否かにより各パルスがONパルスであるか否かを判断すれば、入力された2つのデータパルス列のOR演算結果を示していると解釈できるものである。そのため、接続部44の出力を、OR演算結果として使用することも可能なのであるが、他回路との接続上、第2OR回路24は、強度がほぼIsのONパルスを出力するものであることが望まれる。
第2OR回路24から出力される各ONパルスの強度をほぼIsとするために第2OR回路24内に設けられているデバイスが、出力レベル調整部46である。
すなわち、出力レベル調整部46としては、各種波長の、強度がほぼIs/2〜Isの光パルスを、強度がほぼIsの光パルスに変換できるデバイスが使用される。尚、出力レベル調整部46としては、例えば、図15に示したような構成のデバイスを使用することが出来る。すなわち、図10に示した出力レベル調整部23cの前段に、信号強度をおよそ2倍にする光増幅器81を設けたデバイスを、出力レベル調整部46として使用することが出来る。
尚、この図15に示した構成のデバイスを出力レベル調整部46として用いた場合にも、強度がIsの光パルスの光パルスから生成された光パルスの位相と、強度が2Isの光パルスから生成された光パルスの位相とが異なることがあり得る。ただし、強度がIsの光パルスの光パルスから生成された光パルスと強度が2Isの光パルスから生成された光パルスの間の位相差が、2πの整数倍であれば、光論理回路は問題無く機能する。また、当該位相差は、光論理回路に供給する光パルスの強度を変更することや、光論理回路に供給する光パルスの波長を特定の波長とすることにより、2πの整数倍とすることが出来る。
従って、出力レベル調整部46として、図15に示した構成のデバイスを用いる際にも、光論理回路の回路構成を変更する必要はなく、位相差が2πの整数倍となるように光信号生成装置の構成(仕様)を変更すれば良いだけである。
次に、第2実施形態に係る光論理回路に使用されているNOT回路25(以下、第2NOT回路25とも表記する)について、説明する。
図12に示してあるように、第2NOT回路25は、3つの接続部25a−1〜25a−3とハーフミラー部40と出力レベル調整部48とを備える。
第2NOT回路25の接続部25a−1〜25a−3は、夫々、第1光論理回路内のNOT回路25(以下、第1NOT回路25とも表記する)の接続部25a−1〜25a−3と同じものである。すなわち、第2NOT回路25の接続部25a−1、接続部25a−2には、夫々、データパルス列又は複合データパルス列、標準パルス列PT又は複合標準パルス列PTが入力される。また、第2NOT回路25の接続部25a−3からは、接続部25a−1に入力された光信号(データパルス列又は複合データパルス列)の各光パルスのON/OFFが反転した光信号が出力される。
第2NOT回路25のハーフミラー部40は、第2OR回路24のハーフミラー部40と同じものである。ただし、図12に示してあるように、第2NOT回路25のハーフミラー部40の接続部43は、出力レベル調整部48を介して接続部25a−3と接続されている。また、第2NOT回路25のハーフミラー部40の接続部44は、光論理回路外へ光を導くための伝送路(図示略)に接続されている。
要するに、第2NOT回路25内のハーフミラー部40は、以下のように機能する。
まず、或る波長のONパルス(強度がほぼIsの光パルス)が接続部41に入力された場合を考える。この場合、接続部41に入力されたONパルスの一部がハーフミラー45により反射され、位相がπラジアンシフトし、強度がほぼIs/2の光パルス(以下、第2種ONパルスと表記する)として接続部43側に出力される。
また、接続部41にONパルスが入力される際には、そのONパルスと同波長の標準パルス(強度Isの光パルス)が接続部42に入力される。従って、接続部42に入力された標準パルスの一部がハーフミラー45を透過し、位相がシフトせず、強度がIs/2となった光パルス(以下、第2種標準パルスと表記する)として接続部43側に出力される。
第2種標準パルス及び第2種ONパルスは、重ね合わせると干渉により打ち消し合う光パルスである。そして、それらの光パルスが接続部43側に出力されるので、結局、ハーフミラー部40の接続部41にONパルスが入力されると、ハーフミラー部40の接続部43から、OFFパルス(強度がほぼ0の光パルス)が出力されることになる。
また、OFFパルスが接続部41に入力された場合には、当該OFFパルスのハーフミラー45による反射光の強度もほぼ0となる。従って、この場合、第2種標準パルス(強度がIs/2の光パルス)がほぼそのまま接続部43から出力されることになる。
このように、ハーフミラー部40は、入力されたONパルス、OFFパルスを、夫々、OFFパルス、強度がほぼIs/2の光パルスに変換できる。
そのため、ハーフミラー部40の接続部43の出力を、NOT演算結果として使用することも可能なのであるが、他回路との接続上、第2NOT回路25は、強度がほぼIsのONパルスを出力するものであることが望まれる。
第2NOT回路25を強度がほぼIsのONパルスを出力する回路とするために設けられているのが、出力レベル調整部48である。この出力レベル調整部48としては、上記した出力レベル調整部46(図15)のようなものを採用することも出来る。ただし、ハーフミラー部40の接続部43から出力される光パルスは、図16に模式的に示してあるように、OFFパルスか、強度がほぼIs/2の光パルスである。そのため、出力レベル調整部48としては、通常、増幅率がほぼ2の光増幅器が用いられる。
以上の説明から明らかなように、第2光論理回路(第2実施形態に係る光論理回路)に採用されている各論理回路も、非線形光学効果を全く利用せずに、データパルス列に対するNOT演算やデータパルス列間の論理演算を行うものとなっている。従って、この第2光論理回路も、第1光論理回路と同様に、他波長の光の存在に起因する問題が生じない形で、多数組(m組)のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時加算演算を行える回路として機能することになる。
《第3実施形態》
第3実施形態に係る光論理回路は、上記した第1光論理回路及び第2光論理回路に使用されている各種論理回路(以下、線形光学型論理回路とも表記する)を用いて構成可能な、n(例えば、8)ビットデータ用の乗算器の一例である。
図17に、第3実施形態に係る光論理回路(以下、第3光論理回路とも表記する)の構成を示す。
この図17に示してあるように、第3光論理回路は、入力ポート30A〜30C、光増幅器50、光分波器51、n−1個の光遅延回路521〜52n-1、光合波器53及びAND回路23INを、備える。また、第3光論理回路は、加算回路54、光増幅器27b、光遅延回路55、光分波器56及び出力ポート32を、備える。
入力ポート30Aに接続されている光増幅器50は、光信号を増幅するための,増幅率がほぼnの光増幅器である。光分波器51は、光増幅器40からの光信号をn個の同強度の光信号に分ける光分波器である。直接又は光遅延回路52k(k=1〜n−1)を介して光分波器51と接続されている光合波器53は、光分波器51からの各光信号をAND回路23INに供給するための光合波器である。
光遅延回路52k(k=1〜n−1)は、入力された光信号を、およそ(k−1)・(T+Ta)時間分、遅延させて出力するデバイス(光ファイバー等)である。ここで、『およそ(k−1)・(T+Ta)時間』とは、以下の時間のことである。
或る光パルスから生成され、光遅延回路52kを経由した光パルスのAND回路23INへの入力時刻が、同じ光パルスから生成された、光遅延回路52を経由していない光パルスのAND回路23INへの入力時刻の(k−1)・(T+Ta)時間後となる時間
尚、入力ポート30A・AND回路23IN間の各光信号経路の光路長は一致しており、入力ポート30B・AND回路23IN間は、入力ポート30A・AND回路23IN間の各光信号経路と同じ光路長の伝送路により接続されている。
図17と図1とを比較すれば明らかように、加算回路54は、加算器20と同じ回路構成を有する回路である。ただし、加算回路54は、加算器20では、次位の加算器20に供給されている光遅延回路26の出力(つまり、桁上がりパルス)が、自回路の接続部21−3に相当する部分に入力された回路となっている。
そして、図17に示してあるように、加算回路54の接続部21−2には、AND回路23INの出力が入力されている。また、加算回路54の接続部21−1には、加算回路54の後段のXOR回路22から出力される光信号が、光増幅器27b、光分波器56及び光遅延回路55を介して入力されている。
光増幅器27bは、加算回路54の後段のXOR回路22から出力される光信号を増幅するための,増幅率がほぼ2の光増幅器である。光分波器56は、光増幅器27bから出力される光信号を、同強度の2つの光信号に分ける光分波器である。図17に示してあるように、この光分波器56から出力される一方の光信号は、出力ポート32に供給されており、他方の光信号は、光遅延回路55に供給されている。
光遅延回路55は、加算回路54の後段のXOR回路22から出力される光信号が、時間Ta(≧2T)の経過後に、加算回路54の接続部21−1に入力されるようにするための光遅延回路である。
以下、nビットデータA,Bの乗算を第3光論理回路に行わせる場合を例に、第3光論理回路の利用法及び機能を説明する。
nビットデータA、Bの乗算を行わせる場合、第3光論理回路の入力ポート30Aには、データパルス列D[A]が入力される。また、入力ポート30Cには、強度がD[A]のNNOT(本実施形態では、NNOT=17)倍の第0パルス列が入力され、入力ポート30Bには、第1ビットパルス列〜第nビットパルス列が、周期“Ta+T”で、順次、入力される。ここで、第k(k=1〜n)ビットパルス列とは、全パルスが、D[B]の第kパルスと同じ値を示しているデータパルス列のことである。
尚、第3光論理回路への上記光信号入力は、例えば、第1光信号生成装置(図2)を用いて、行われる。その際、第1光信号生成装置の変調器65A,65Bは、第1ビットパルス列中の先頭の光パルスと、D[A]の第1パルスと、第0パルス列中の或る光パルスとが同時に第3光論理回路に入力されるように、制御される。
要するに、nビットデータA,Bの乗算を第3光論理回路に行わせる場合、AND回路23INには、図18に模式的に示したように、D[A]と、第kビットパルス列とが、“Ta+T”時間毎に入力される。尚、図18において、ai、bi(i=1〜n)とは、夫々、データA、Bの第iビット(最下位ビットが第1ビット)の値のことである。
そして、D[A]と第1ビットパルス列とが入力された場合、AND回路23INは、b1×A(図18では、b1×(a1,a2,a3,…,an))を表すデータパルス列を出力する。従って、当該データパルス列が加算回路54の接続部21−2に入力されるが、その際、加算回路54の接続部21−1には、何も入力されていない。換言すれば、加算回路54の接続部21−1には、全ビットの値が“0”であることを示すデータパルス列が入力されている。そのため、加算回路54からは、b1×Aを表すデータパルス列が出力される。
そして、当該データパルス列がTa時間後に、加算回路54の接続部21−1に供給され始めるが、加算回路54の接続部21−2には、b2×Aを表すデータパルス列が、前データパルス列の供給開始時刻のTa+T時間後に、供給され始める。
従って、b1×Aを表すデータパルス列とb2×Aを表すデータパルス列とが1ビット分ずらした形で加算されることになり、その結果として、加算回路54からは、(b1+2b2)×Aを表すデータパルス列が出力される。そして、そのような処理が繰り返されるため、結局、第nビットパルス列までの入力が完了すると、2nビットの乗算結果を表すデータパルス列が出力ポート32から出力されることになる。
そして、この第3光論理回路(第3実施形態に係る光論理回路)に採用されている各論理回路は、第1、第2光論理回路に採用されている各論理回路と同じものである。そのため、この第3光論理回路に、m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時乗算演算を行わせた場合、各論理回路にて、各波長のデータパルスが他波長のデータパルスの影響を受けずに処理される。従って、m組のデータAk,Bk(k=1〜m)の同時乗算演算を第3光論理回路に行わせた場合、mの値に依らず、出力ポート32からは、D[A1×B1]〜D[Am×Bm]が重畳された光信号(複合データパルス列)が出力されることになる。
《第4実施形態》
第4実施形態に係る光論理回路は、様々な演算処理を行わせることが出来るものとして開発した回路である。
図19に、第4実施形態に係る光論理回路の構成及び使用形態を示す。
この図19に示してあるように、本実施形態に係る光論理回路(以下、第4光論理回路とも表記する)は、光クロスコネクト(光XC)85と、複数の光パルス処理回路86とを備えた回路である。また、第4光論理回路は、信号生成装置91、制御ユニット92及び光電変換ユニット93と組み合わせて使用される回路となっている。
信号生成装置91としては、通常、第2信号生成装置(図4)に、複数の制御用光信号を生成する機能を付加したものに相当する装置(以下、第2装置と表記する)が使用される。ここで、制御用光信号とは、生成源71から出力される光信号の一部を変調することによって生成される、各波長の各ONパルスの強度がほぼIsとなっている信号(以下、複合制御用パルス列とも表記する)のことである。
ただし、信号生成装置91として、第1信号生成装置(図2)に、複数の制御用光信号を生成する機能を付加したものに相当する装置(以下、第1装置と表記する)を使用することも出来る。尚、この第1装置の場合、制御用光信号とは、生成源61から出力される光信号の一部を変調することによって生成される、各ONパルスの強度がほぼIsとなっている信号(以下、制御用パルス列とも表記する)のことである。
光電変換ユニット93は、光XC85から出力される光信号をデジタルデータに変換するためのユニットである。信号生成装置91として第2装置を用いる場合、光電変換ユニット93としては、例えば、光XC85から出力される光信号を波長λ1〜λmのm個のデータパルス列に分けるWDM光分波器と、各波長の信号用のm個の光・電気変換装置とを含むユニットが使用される。また、信号生成装置91として第1装置を用いる場合、光電変換ユニット93としては、例えば、1個の光・電気変換装置が使用される。
制御ユニット92は、所望の演算が第4光論理回路によって行われるように、信号生成装置91及び光電変換ユニット93を制御するユニットである。この制御ユニット92としては、例えば、信号生成装置91用の通信インタフェースと、光電変換ユニット93用の通信インタフェースとを備えたコンピュータが使用される。尚、光XC85に接続されている光パルス処理回路86(詳細は後述)の中に電気的な制御が必要な幾つかの光パルス処理回路86が含まれる場合には、制御ユニット92として、当該幾つかの光パルス処理回路86も制御できるユニットが使用される。
光XC85は、自身に接続されている任意のユニット(信号生成装置91、光パルス処理回路96)の出力ポートを、他の任意のユニット(光パルス処理回路96、光電変換ユニット93)の入力ポートに接続できるユニットである。この光XC85は、線形光学型論理回路(上記した第1〜第3光論理回路に使用されている各種論理回路)を用いて構成された光マルチプレクサや光デマルチプレクサを組み合わせることによって実現される。
図20、図21に、光XC85の構成要素として使用できる光マルチプレクサ、光デマルチプレクサの一例を示す。
図20に示した光マルチプレクサ100は、4入力1出力の光マルチプレクサである。図20に示してあるように、光マルチプレクサ100は、入力ポート101−1及び101−2と、入力ポート102−1〜102−4と、出力ポート103とを備える。また、光マルチプレクサ100は、光増幅器104−1及び104−2と、光分波器105−1及び105−2と、NOT回路25−1〜25−4と、AND回路23−1〜23−8と、光合波器106とを備える。
入力ポート102−1〜102−4は、夫々、データ信号(データパルス列又は複合データパルス列)In1〜In4が入力されるポートである。入力ポート101−1、101−2は、夫々、制御用光信号(制御用パルス列又は複合制御用パルス列)SEL1、SEL2が入力されるポートである。
光増幅器104−1、104−2は、いずれも、光信号を増幅するための、増幅率がおよそ4の光増幅器である。光分波器105−1、105−2は、いずれも、入力された光信号を、ほぼ同強度の4つの光信号に分ける光分波器である。要するに、光増幅器104−1と光分波器105−1とからなる光回路は、SEL1と同強度の4つの光信号を出力する回路となっている。また、光増幅器104−2と光分波器105−2とからなる光回路は、SEL2と同強度の4つの光信号を出力する回路となっている。以下、光分波器105−1/105−2から出力される、SEL1/SEL2と同強度の各光信号のことも、SEL1/SEL2と表記する。
図20に示してあるように、2つの光分波器105から出力される1組のSEL1及びSEL2は、NOT回路25−1、25−2により反転されてから、AND回路23−1に入力されている。2つの光分波器105から出力される他の1組のSEL1及びSEL2は、SEL2だけがNOT回路25−3により反転されてから、AND回路23−2に入力されている。2つの光分波器105から出力される他の1組のSEL1及びSEL2は、SEL1だけがNOT回路25−4により反転されてから、AND回路23−3に入力されている。2つの光分波器105から出力される残りの1組のSEL1及びSEL2は、そのまま、AND回路23−4に入力されている。
AND回路23−k(k=1〜4)の出力は、データ信号Inkと共に、AND回路23−(k+4)に入力されている。そして、AND回路23−5〜23−8の出力が、入力信号を合波して出力する機能を有する光合波器106を介して出力ポート103に供給されている。
さらに、光マルチプレクサ100の各構成要素間の光信号経路の光路長は、以下の条件を満たすように定められている。
入力ポート101−1とAND回路23−k(k=1〜4)との間の光信号経路の光路長と、入力ポート101−2とAND回路23−kとの間の光信号経路の光路長とが、一致
入力ポート101−1とAND回路23−(k+4)(k=1〜4)との間の光信号経路の光路長と、入力ポート102−kとAND回路23−(k+4)との間の光信号経路の光路長とが、一致
従って、この光マルチプレクサ100は、以下のように機能する。
光マルチプレクサ100は、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号In1を出力ポート103から出力する。
光マルチプレクサ100は、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号In2を出力ポート103から出力する。
光マルチプレクサ100は、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号In3を出力ポート103から出力する。
光マルチプレクサ100は、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号In4を出力ポート103から出力する。
図21に示した光デマルチプレクサ110は、1入力4出力のデマルチプレクサである。図21に示してあるように、光デマルチプレクサ110は、入力ポート111−1及び111−2と、入力ポート112と、光合波器105−3と、出力ポート113−1〜113−4とを備える。また、光デマルチプレクサ110は、光増幅器104−1及び104−2と、光分波器105−1及び105−2と、NOT回路25−1〜25−4と、AND回路23−1〜23−8とを備える。
入力ポート112は、データ信号Inが入力されるポートである。入力ポート111−1、111−2は、夫々、この光デマルチプレクサ110用の制御用光信号SEL1、SEL2が入力されるポートである。
この光デマルチプレクサ110の、光増幅器104−1及び104−2、光分波器105−1及び105−2、NOT回路25−1〜25−4及びAND回路23−1〜23−8は、光マルチプレクサ100の、同名・同符号の構成要素と同じものである。
光分波器105−3は、光分波器105−1及び105−2と同様に、入力された光信号を、ほぼ同強度の4つの光信号に分ける光分波器である。
そして、光デマルチプレクサ110の各構成要素間の光信号経路の光路長は、以下の条件を満たすように定められている。
入力ポート111−1とAND回路23−k(k=1〜4)との間の光信号経路の光路長と、入力ポート111−2とAND回路23−kとの間の光信号経路の光路長とが、一致
入力ポート111−1とAND回路23−(k+4)(k=1〜4)との間の光信号経路の光路長と、入力ポート112−kとAND回路23−(k+4)との間の光信号経路の光路長とが、一致
従って、この光デマルチプレクサ110は、以下のように機能する。
光デマルチプレクサ110は、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号Inを出力ポート103−1から出力する。
光デマルチプレクサ110は、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号Inを出力ポート103−2から出力する。
光デマルチプレクサ110は、全波長の光パルスがOFFパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号Inを出力ポート103−3から出力する。
光デマルチプレクサ110は、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL1と、全波長の光パルスがONパルスとなっている制御用光信号SEL2とが入力されている間は、データ信号Inを出力ポート103−4から出力する。
このように、データ信号の入力元/出力先を、制御用光信号SEL1,SEL2により制御できる光マルチプレクサ100、光デマルチプレクサ110を、線形光学論理回路を用いて実現できる。従って、組み合わせる光マルチプレクサ100、光デマルチプレクサ110の数や、具体的な回路構成(入力ポート101、102の数等)を、接続するユニット数に応じて調整すれば、任意のユニット間を接続できる光XC85を実現できることになる。
光XC85(図19)と接続される各光パルス処理回路86は、線形光学型論理回路を用いて構成される、1つ或いは2つのデータ信号に対して何らかの処理を行う回路である。光XC85には、光パルス処理回路86として、例えば、以下のような回路が接続される。
第1又は第2光論理回路と同構成の回路
第1又は第2光論理回路のセレクタ10A、10Bを、制御用光信号により制御できる光デマルチプレクサ(図21参照)に置換した回路
第3光論理回路と同構成の回路
光D−フリップフロップ
光SR−フリップフロップ
以下、光パルス処理回路86として使用可能な光D−フリップフロップ、光SR−フリップフロップの構成例を説明する。尚、以下で説明する各回路も、上記した各種回路と同様に、演算対象とすべき2値を表す2光パルスが各論理回路に同時に入力されるように、設計・製造されるものである。
図22、図23に、光パルス処理回路86として使用可能な光D−フリップフロップ(以下、光D−FFとも表記する)の構成例を示す。
まず、図22に、その構成を示してある光D−FF120について説明する。
図22から明らかなように、この光D−FF120は、通常のD−FFの各ORゲート、各NOTゲートを、夫々、OR回路24(24−1〜24−4)、NOT回路25に置換した回路である。ただし、光D−FF120内には、各回路に同強度のデータ信号を供給できるようにするための4つの,増幅率がおよそ2の光増幅器27が設けられている。
光D−FF120内には、或る時刻tにOR回路24−3に入力された同波長の2光パルスからOR回路24−3によって生成される光パルスが、時刻t+TにOR回路24−4に入力されるようにするための光遅延回路28−1も設けられている。さらに、光D−FF120内には、或る時刻tにOR回路24−4に入力された同波長の2光パルスからOR回路24−4によって生成される光パルスが、時刻t+TにOR回路24−3に入力されるようにするための光遅延回路28−2も設けられている。
次に、光D−FF120の機能を説明する。
この光D−FF120は、Dポートに、データ信号(データパルス列又は複合データパルス列)が入力され、CLKポートに、CLKとして制御用光信号(制御用パルス列又は複合制御用パルス列)が入力されて使用される回路である。尚、光D−FF120のCLKポートに入力されるCLKは、電子回路におけるクロックのようなものではなく、Dポートに入力したデータ信号を保持させたい期間中、OFFパルスが連続する制御用光信号である。
図24に、データパルス列、ONパルスが連続した制御用パルス列を、夫々、Dポート、CLKポートに入力した場合における光D−FF120のタイミング図を示す。
この図24から明らかなように、光D−FF120は、入力(Dポートに入力された光パルス)を取り込ませることが出来る回路である。尚、『入力を取り込ませる』とは、『入力とON/OFFが同じ光パルスがQポートから出力される状態で動作させる』ということである。
ただし、光D−FF120は、或る光パルス(図24におけるOFFパルス121やONパルス122)とCLKパルスとが入力された段階では、入力の取り込みが完了せず、同じ光パルスが続けて入力されたときに入力の取り込みが完了する回路となっている。
換言すれば、光D−FF120は、或る情報(或る値を示す光パルス)を保持させるために、当該情報を2度入力しなければならないという欠点を有している。
光D−FF130(図23)は、上記欠点を無くした光D−FFである。
具体的には、図23に示してあるように、光D−FF130は、光D−FF120の前段に、分周回路131a、131bを設けた構成を有している。各分周回路131x(x=a,b)は、入力された光信号を光増幅器27及び光分波器132により同強度の2信号に分け、一方の信号を光遅延回路133によりT/2時間だけ遅延し、遅延した信号と遅延していない信号とを光合波器134により合波して出力する回路である。
すなわち、分周回路131aは、入力された各データパルス列を、特定のデータを表す光パルスが2個ずつ連続する,単位時間当たりのパルス数が2倍のデータパルス列に変換して光D−FF120のDポートに供給できる回路となっている。また、分周回路131bは、入力された各制御用パルス列を、各制御値を表す光パルスが2個ずつ連続する,単位時間当たりのパルス数が2倍の制御パルス列に変換して光D−FF120のCLKポートに供給できる回路となっている。
尚、光D−FF130は、各標準パルス列PTをパルス数が2倍の標準パルス列PTに変換して光D−FF120内の各NOT回路25の接続部25a−2に供給するための、分周回路131a、131bと同構成の複数の分周回路(図示略)も備える。
さらに、光D−FF130は、光D−FF120のQポートから出力される信号(以下、分周Q信号と表記する)とPT(標準パルス列/複合パルス列)とのAND演算結果を光D−FF130のQポートに供給するAND回路24を備える。このAND回路24に分周Q信号及びPTを供給するための光伝送路は、2個目の光パルス(遅延された光パルス)から光D−FF120により生成された光パルスと標準パルスとがAND回路24に同時に供給されるように、設計・製造される。
以上の説明から明らかなように、光D−FF130内の光D−FF120のD/CLKポートには、光D−FF130のD/CLKポートに或る光パルスが入力される度に、強度(ON/OFFの別)が当該光パルスと同じ光パルスが2回入力される。また、光D−FF130内(光D−FF120内)の各NOT回路25の接続部25a−2には、単位時間当たりのパルス数がPTの2倍の、PTと同強度の信号が入力される。
そして、光D−FF120内の各論理回路(NOT回路25、OR回路24)は、光パルスの入力周期がTでなくても問題なく動作する回路である。従って、光D−FF130では、CLKポートに光パルス/複合パルスが入力される度に、Dポートに入力された光信号の取り込みが完了することになる。ただし、光D−FF120のQポートから出力される分周Q信号には、不要な光パルス(1回目に入力された光パルスから生成された光パルス)が含まれる。そのため、光D−FF120の後段にAND回路24を設けことにより、不要な光パルスを含まない信号が光D−FF130のQポートから出力されるようにしているのである。
図25に、光パルス処理回路86として使用可能な光RS−フリップフロップ(以下、光RS−FFとも表記する)140の構成を示す。
この図25に示した光RS−FF140は、基本的には、NORゲートを組み合わせたRS−FFのNORゲートを、NOR回路35に置換した回路である。尚、NOR回路35とは、OR回路24(図9、図11)の後段にNOT回路25(図8、図12)を接続した回路のことである。
ただし、光RS−FF140内には、各NOR回路35に同強度のデータ信号を供給するための光増幅器27も設けられている。また、光RS−FF140内には、各NOR回路35から出力される光パルス又は複合パルスを、およそT時間後に他方のNOR回路35に供給するための2つの光遅延回路28も設けられている。
図26に、データパルス列をR及びSポートに入力した場合における光RS−FF140のタイミング図を示す。
図26から明らかなように、RS−FF140は、基本的には、RS−FFと同様に機能する回路である。ただし、RS−FF140は、D−FF120と同様に、R及びSポートに同じ光パルスの組み合わせを2回連続して入力しないと出力が確定しない回路となっている。
そのため、このRS−FF140に対しても、光D−FF120に対する改良(図24参照)と同様の改良を施しておくことが望ましい。
光パルス処理回路86として使用できる回路は、上記したものに限られない。例えば、図24に示した光D−FF140を複数個組み合わせた光シフトレジスタや、線形光学型論理回路を組み合わせたJK−フリップフロップを、光パルス処理回路86として使用することも出来る。
以上、説明したように、第4光論理回路(第4実施形態に係る光論理回路)は、或る信号生成回路91の出力を他の信号生成回路91の入力することにより当該他の信号生成回路91に処理させることが出来る構成を有している。そして、第4光論理回路に採用されている各論理回路は、波長が異なるデータパルス列や制御用パルス列を多数入力しても問題なく機能する回路である。従って、この第4光論理回路によれば、異なるデータに対する様々な演算処理を高速に行うことが可能となる。
さらに、上記のフリップフロップ回路を、3R再生中継器に適用することで、電気信号に変換せずに、光のまま3R再生を行うことが出来る。
《変形形態》
上記した各実施形態に係る光論理回路は、各種の変形を行うことが出来るものである。
例えば、各実施形態に係る光論理回路の製造後に各光信号間の位相差を調整できるようにするために、各実施形態に係る光論理回路の各所に、位相調整回路を設けておくことが出来る。換言すれば、製造誤差等により、幾つかの論理回路に同時に光パルスが供給されない光論理回路が製造されてしまっても当該光論理回路を正常な回路として機能させることが出来るようにするために、光論理回路の各所に位相調整回路を設けておくことが出来る。
位相調整回路としては、各種波長の光信号に同じ位相差を付与できれば良い。従って、位相調整回路として、リチウム二オベートなどの非線形効果をもつ媒質を用いた回路を採用することも出来る。ただし、そのような回路は、製造コストがかかるものとなる。
そのため、位相調整回路としては、より安価に製造できる、図27に示した構成を有する位相調整回路150aや、図28に示した構成を有する位相調整回路150bを採用しておくことが好ましい。
まず、位相調整回路150aの構成及び機能を説明する。
図27に模式的に示してあるように、位相調整回路150aは、光分波器151と、位相変更部152と、液晶ドット153−1及び153−2と、光合波器154とを、備える。
液晶ドット153(153−1、153−2)は、反射率を、電気的な制御信号(図示略)により制御(変更)できるデバイスである。光合波器154は、位相調整回路150a内の2つの液晶ドット153からの反射光を合波する光合波器である。
光分波器151は、入力された光信号を同強度の2信号に分ける光分波器である。位相変更部152は、入力された各種波長の光信号に同じ位相差を与えるユニットである。この位相変更部152としては、広帯域の波長に対して位相をずらせる位相板(四分の一位相板、二分の一位相板)や、光論理回路に入力される全波長の信号に、所定量の位相差を付与できるようにプリズムを組み合わせたユニットを使用することが出来る。
要するに、同波長の、位相がずれた2信号を合波すると、当該2信号の強度比に応じた位相の信号が生成される。位相調整回路150aは、そのことを利用して、回路150aから出力される光信号の位相を調整する回路となっている。ただし、位相調整回路150aは、回路150aから出力される光信号の位相を変更すると、信号強度も変わる回路となっている。従って、位相調整回路150aを光論理回路内に設ける場合には、位相調整回路150aの後段に、出力レベル調整部46(図15)のような回路を設けておくことが望ましい。
位相調整回路150aは、合波する2信号の強度比を、2つの液晶ドット153の反射率を変更することにより変更する回路であったが、液晶ドット153は、反射率を変更すると透過率も変わるデバイスである。
従って、位相調整回路150aと同じ構成要素を用いて、図28に示した構成の位相調整回路150b、すなわち、2つの液晶ドット153の透過光の合波結果が出力される位相調整回路150bを製造することも出来る。尚、この位相調整回路150bも、回路150bから出力される光信号の位相を変更すると、信号強度が変わる回路である。従って、位相調整回路150bを光論理回路内に設ける場合には、位相調整回路150bの後段に、出力レベル調整部46(図15)のような回路を設けておくことが望ましい。
また、液晶を用いた、光の位相のみを変更できるデバイス(空間光変調器等と呼ばれているもの)も開発されている。従って、位相調整回路として、そのようなデバイス自体を採用することも出来る。
また、第2OR回路24(図11)や第2NOT回路25(図12)を、位相調整回路を備えた回路に変形することも出来る。
図29に、位相調整回路を備えた第2OR回路24及び第2NOT回路25の主要部分160の構成を示す。
この主要部分160は、第2OR回路24(図11)のハーフミラー部40とその前後の光伝送路とからなる部分、及び、第2NOT回路25(図12)のハーフミラー部40とその前後の光伝送路とからなる部分に相当するものである。
図29に示してあるように、主要部分160は、導波路層161〜164と、ミラー層165及び167と、液晶ミラー層171〜174と、ハーフミラー層176とを備える。
ハーフミラー層176は、ハーフミラー45(非対称ハーフミラー)を、光を透過する物質層で挟んだ層である。液晶ミラー層171〜174は、複数の液晶ドット153が、等間隔に配置された層である。図28に示してあるように、液晶ミラー層171及び174には、ハーフミラー層176に関し面対称な位置に液晶ドット153が配置される。また、液晶ミラー層172及び173の各液晶ドット153は、液晶ミラー層171及び174の隣り合う2つの液晶ドット153のほぼ中央に配置される。尚、液晶ドット153の間隔は、導波路層161,164の厚さL1,L2、及び、導波路層161,164への光信号の入射角θを考慮して定められる。
主要部分160内の各液晶ドット153は、光をほぼ100%透過する状態、光をほぼ100%反射する状態のいずれかに制御されるものである。尚、主要部分160は、通常、各点線枠内に示してある4つの液晶ドット153単位で、液晶ドット153の状態を制御できる回路として設計・製造される。
ミラー層165は、液晶ミラー層171(液晶ミラー層171内の液晶ドット153)により反射された光を反射する,反射率がほぼ“1”の層である。ミラー層166は、液晶ミラー層174により反射された光を反射する,反射率がほぼ“1”の層である。
導波路層161〜164は、光を透過する物質からなる層である。導波路層162及び導波路層163の厚さは、通常、導波路層161又は導波路層162の厚さL1又はL2と同じ厚さとされる。導波路層161の厚さL1は、導波路層164の厚さL2との間に数nm程度の差(例えば、5nm)があるものとされる。
以上、説明した構成から明らかなように、主要部分160は、透過状態に制御する液晶ドット153の組み合わせを1つ隣の組み合わせに変更すると、入力されている2光信号の位相差が、“2(L1-L2)/sinθ”だけ増減するユニットとなっている。
従って、この主要部分160の、図29における右側に、出力レベル調整部46又は48を接続しておけば、位相調整回路を備えた第2OR回路24又は第2NOT回路25を実現できることになる。
また、SBSが発生する導波路媒質83を用いた出力レベル調整部24c、46を実現しやすくするために、データパルス列を、データパルスと、データパルスではないONパルスとが交互に並んだパルス列としておくことも出来る。ただし、そのようなパルス列(以下、交番パルス列と表記する)をNOT回路25に入力すると、NOT回路25により、交番パルス列が、交番パルス列ではないパルス列に変換されてしまうことになる。そして、交番パルス列が交番パルス列ではないパルス列に変換されてしまっては、SBSが発生する導波路媒質83を用いた出力レベル調整部24c、46を実現しやすくするという目的を達成することが出来ない。そのため、データパルス列として交番パルス列を採用する場合、光論理回路は、各NOT回路25の出力に、当該出力が交番パルス列となるように、周期2TのONパルス列を追加する構成を備えた回路として設計・製造される。
また、上記した各光論理回路を、入力ポート30Cに、標準パルス列PT又は複合標準パルス列PTが入力されて使用する回路、すなわち、光論理回路内で、入力されたPTを増幅してNNOT個のPTを生成する回路に、変形することも出来る。
さらに、各光論理回路をデータパルス列相当のものをパラレルに入出力する回路に変形しても良いことや、各光論理回路に光信号を供給する装置として、上記した第1,第2信号生成装置とは構成の異なる装置を用いても良いこと等は、当然のことである。
また、上記したNOT回路を用いて光伝送装置を実現することも出来る。すなわち、
標準光パルスと同波長且つ同強度のONパルス、前記標準光パルスをOFF変調したOFFパルスのいずれかであるデータパルスを受信する受信部と、
前記受信したデータパルスのタイミングを再生する再生部と、
前記タイミングが再生されたデータパルスを送信する送信部と、を有し、
前記再生部は、
前記入力されたデータパルスを固定端反射させ、前記固定端反射させたデータパルスと、前記標準光パルスとを合波して出力するNOT回路を有する光伝送装置を実現することも出来る。
10A,10B 光セレクタ
20 加算器
22 XOR回路
23 AND回路
24 OR回路
25 NOT回路
35 NOR回路
40 ハーフミラー部

Claims (10)

  1. 標準光パルスと同波長且つ同強度のONパルス、前記標準光パルスをOFF変調したOFFパルスのいずれかであるデータパルスが入力される光論理回路において、
    前記入力されたデータパルスを固定端反射させ、前記固定端反射させたデータパルスと、前記標準光パルスとを合波して出力するNOT回路
    を備えることを特徴とする光論理回路。
  2. 前記NOT回路は、
    入力されたデータパルスを固定端反射させると共に、前記固定端反射させたデータパルスと、前記標準光パルスとを合波して出力するハーフミラー部と、
    前記ハーフミラー部から出力される光パルスを、強度が2倍になるように増幅する光増幅部と、
    を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の光論理回路。
  3. 2つのデータパルスを合波して出力する合波部と、
    誘導ブリルアン散乱が発生する導波路媒質と、を有するOR回路を更に有し、
    前記合波部から出力される光パルスは、前記導波路媒質に入力されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光論理回路。
  4. 光パルスの位相を調整する位相調整回路
    を、さらに備え、
    前記位相が調整された光パルスが、前記NOT回路に入力されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光論理回路。
  5. 光パルスの位相を調整する位相調整回路
    を、さらに備え、
    前記位相が調整された光パルスが、前記OR回路に入力されることを特徴とする請求項3に記載の光論理回路。
  6. 前記位相調整回路は、
    液晶ドットを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の光論理回路。
  7. 前記NOT回路を含むフリップフロップであって、
    前記フリップフロップからの出力パルスが帰還されるゲートに、前記出力パルスが1ビット分遅延されて入力されるフリップフロップを備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の光論理回路。
  8. 前記データパルスを、各パルスを2個ずつ含むデータパルスに変換して前記フリップフロップに供給する回路を、さらに備える
    ことを特徴とする請求項に記載の光論理回路。
  9. 第1論理演算を行う第1光パルス処理回路と、
    第2論理演算を行う第2光パルス処理回路と、
    前記データパルスを前記第1光パルス処理回路と前記第2光パルス処理回路の何れかに出力するセレクタと、を更に備え、
    前記第1光パルス処理回路と、前記第2光パルス処理回路とは、前記OR回路と前記NOT回路のうち、少なくも何れか一方を含むことを特徴とする請求項に記載の光論理回路。
  10. 標準光パルスと同波長且つ同強度のONパルス、前記標準光パルスをOFF変調したOFFパルスのいずれかであるデータパルスを受信する受信部と、
    前記受信したデータパルスのタイミングを再生する再生部と、
    前記タイミングが再生されたデータパルスを送信する送信部と、を有し、
    前記再生部は、
    前記入力されたデータパルスを固定端反射させ、前記固定端反射させたデータパルスと、前記標準光パルスとを合波して出力するNOT回路を有することを特徴とする光伝送装置。
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