JP6122273B2 - バーナ装置 - Google Patents

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本発明は、放散塔の周縁に取付けられ、放散塔から大気中に放散される可燃性ガスを燃焼するバーナ装置に関する。
従来、例えば高炉から発生する高炉ガスなどの可燃性ガスを放散する放散塔の周縁には複数のバーナ装置が設けられ、放散される可燃性ガスを連続的に燃焼処理する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−171023号公報
特許文献1に記載の発明は、放散塔でのガス爆発を確実に回避することを目的にしたシールガスの供給方法に特徴を有するものであるので、バーナ装置そのものに関しては詳細に記載されていない。
バーナ装置に関しては、例えば、図7に示すようなものが一般的に知られている。
これは4機のバーナ装置が、放散塔100の周縁で略等間隔にサポートガイド11を介して取付けられたもので、ガスミキサー12によって燃焼用のブタンガスとともに1次空気が混合された気体が供給されるガス管10の先端部10aが放散塔100の頂部で放散塔100の内方側に略45度の角度で傾けられ、しかもガス管10の先端部10aには着火された火炎(図示しない)を包囲する円筒状の保炎筒15が設けられている。保炎筒15もガス管10の先端部10aと同様に略45度の角度で傾けられている。
また、保炎筒15の内部には着火用の点火器16と温度検出用の熱電対17が設けられている。
さらに、保炎筒15の周面後側には複数の孔15aが設けられ、2次空気を保炎筒15内に自然吸気するようになっている。
しかしながら、図7で示したような従来の技術では、燃焼放散中にバーナが失火するといった問題がある。
失火の原因としては2次空気の不足があげられる。
燃焼用のガスと1次空気が混合された気体は、逆火を防ぐため空気が不足した状態で供給されている。ガス管10の先端部10から保炎筒15内に吐出された気体に、二次空気が供給されることで完全燃焼する。
このとき、2次空気は自然吸気であるため、放散塔の頂部に強風が吹くと吸込口である孔15aの部分が負圧になって安定して2次空気が供給されないといった問題がある。また、1次空気及び2次空気の流れが悪いと大気粉塵が保炎筒15内に沈着しやすいといった問題もある。
特に、放散塔100の周縁に取付けられたバーナ装置は例えば50mといった高所にあるため、保炎筒15にたまったススや大気粉塵の除去などのメンテナンス時には作業者が放散塔100の頂上まで上って、保炎筒15の取り外し、分解、清掃、組立、組みつけの作業をしなければならないので、安全上短時間で作業が済むようにしなければならない。
そのため、保炎筒15に大掛かりな装置や器具を取り付けたり、保炎筒15の内部構造を複雑にすることができず、従来品と同等に簡素な構造にしなければならないという制約がある。
そこで、本発明の目的とするところは、安定的な燃焼を保持し得る、かつ簡素な構造のバーナ装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のバーナ装置は、放散塔(100)の周縁に取付けられ前記放散塔(100)から大気中に放散される可燃性ガスを燃焼するもので、燃焼用ガスとともに1次空気が供給されるガス管(10)の先端部(10a)が前記放散塔(100)の頂部で放散塔(100)の内方側に傾けられ、前記ガス管(10)の先端部(10a)の至端で着火された火炎を包囲する保炎筒(25,35)が設けられ、しかも前記保炎筒(25,35)の内部に2次空気が取り込まれるようにしてなるバーナ装置であって、
前記保炎筒(25,35)は前記ガス管(10)の径より大径で前面(25a)が開放された略円筒形状で、その円形後面(25b)の中心から差し込まれた前記ガス管(10)の先端部(10a)を環状に囲むように設けられるとともに、
前記2次空気を強制吸気して圧縮空気で前記保炎筒(25,35)の内部に2次空気供給管(20)を介して送るエア供給装置(21,22)を備え、前記エア供給装置(20,21,22)は、大気を取り込むことにより前記圧縮空気を増倍させる空気増倍器(22)を有することを特徴とする。
また、本発明のバーナ装置は、前記保炎筒(25,35)内で前記ガス管(10)の先端部(10a)の至端より後側に設けられ、前記エア供給装置(21,22)によって送られる2次空気の渦流を抑制して均一に整流化する多孔整流板(30)を備えることを特徴とする。
さらに、本発明のバーナ装置は、前記2次空気は、前記保炎筒(25)の円形後面(25b)の接線方向に設けられた導入管(25X)から旋回流状態で前記保炎筒(25)の内部に送られることを特徴とする。
また、本発明のバーナ装置は、前記2次空気は、前記保炎筒(25)の円形後面(25b)から斜めに挿入された一本又は二本以上の導入管(20J,20K)から旋回流状態で前記保炎筒(25)の内部に送られることを特徴とする。
また、本発明のバーナ装置は、前記2次空気は、前記2次空気供給管(20)から先端が複数に分けられしかも前記保炎筒(35)の円形後面(35b)から前記ガス管(10)の先端部(10a)を中心にして等間隔に配置された分配管(20A〜20H)から直流状態で前記保炎筒(35)の内部に送られることを特徴とする
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
本発明のバーナ装置によれば、略円筒形状でその円形後面の中心から差し込まれたガス管の先端部を環状に囲むように設けられた保炎筒の内部に、2次空気を強制吸気して圧縮空気で確実に送るようにしたので、従来例で示したように、ガス管から1次空気が送り込まれなくなったりあるいは送り込まれてもその量が少ないといった事態が発生したとしても、火炎が失火することはなく安定した燃焼処理を実施することができる。すなわち、2次空気を従来の自然吸気から強制吸気方式に変更することによって1次空気が変動したとしても2次空気によって連続的に完全燃焼させることができる。
また、本発明によれば、エア供給装置は、大気を取り込むことにより圧縮空気を増倍させる空気増倍器を有するので2次空気として圧縮空気だけを供給する場合と比較してコスト的に有利である。
また、本発明によれば、保炎筒内に多孔整流板を設けて2次空気の渦流を抑制して均一に整流化するようにしたので、火炎のゆらぎをなくしてさらに安定した燃焼処理を実施することができる。
さらに、本発明によれば、2次空気は、保炎筒の円形後面の接線方向に設けられた一本の導入管から旋回流状態で保炎筒の内部に送られるので、全周に均一でしかも流速が高められた空気が供給される。これによれば、流速が高められた空気によって特に傾斜された保炎筒内に溜まり易いススや大気粉塵を保炎筒から外に排出させやすい。そして、その後、多孔整流板を通過させることよって均一で整流化された空気が供給されるのでさらに安定した燃焼処理を実施することができる。
また、本発明によれば、2次空気は、保炎筒の円形後面から斜めに挿入された一本又は二本以上の導入管から旋回流状態で保炎筒の内部に送られるので、全周に均一でしかも流速が高められた空気が極めて簡単な機構で供給される。
また、本発明によれば、2次空気は、2次空気供給管から先端が複数に分けられた分配管から直流状態で保炎筒の内部に送られ、しかも分配管はガス管の先端部を中心にして等間隔に配置されているので、保炎筒内に特に多孔整流板を設けなくても均一な流れにすることができる。なお、この場合、保炎筒内に多孔整流板を設けるとさらに均一に整流化された空気流にすることができる。
本発明の実施形態に係るバーナ装置の構成概要を示す側面図である。 図1に示すA−A線拡大断面図である。 図1に示す空気増幅器の内部構成を示す拡大断面図である。 図1に示す多孔整流板を示す拡大正面図である。 本発明の実施形態に係る別のバーナ装置のバーナ本体部を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るさらに別のバーナ装置のバーナ本体部を示す斜視図である。 従来例に係るバーナ装置の構成概要を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るさらにもう一つ別のバーナ装置のバーナ本体部を示すもので、(a)は側面図,(b)は(a)に示すB−B線拡大断面図である。
図1乃至図4を参照して本発明の実施形態に係るバーナ装置について説明する。なお、従来例と同一箇所には同一符号を付した。
本発明の実施形態に係るバーナ装置は、図1に示すように、放散塔100の周縁に取付けられ放散塔100から大気中に放散される高炉ガス(可燃性ガス)を燃焼するものであり、ここでは放散塔100の頂部において周方向に略等間隔で4機のバーナ装置がサポートガイド11を介してそれぞれ取付けられている。
バーナの本体部は、主に、燃焼用のブタンガスと1次空気が混合された気体が供給されるガス管10の先端部10を保炎筒15で覆う部分である。保炎筒15の内部に設けられた着火用の点火器16によってガス管10の先端部10の至端に火炎(図示しない)が着火されると、火炎は保炎筒15によって保護される。
ガス管10の先端部10aは、放散塔100の頂部で放散塔100の内方側に略45度の角度で傾けられ、火炎を包囲する保炎筒15もガス管10の先端部10aと同様に略45度の角度で上向きに傾けられている。
保炎筒25は、ガス管10の径より大径で前面25a(図1では斜め上方を向いた面)が開放されるとともに後面25b(図1では斜め下方を向いた面)は閉鎖された略円筒形状をしていて、その円形後面25bの中心から差し込まれたガス管10の先端部10aを環状に囲むように設けられている。保炎筒25の前後方向の長さは後面25bの直径よりも長く全体的に細長くしている。
また、図2に示すように、保炎筒25の円形後面25bの接線方向には一本の導入管25Xが設けられている。
ガス管10に供給されるブタンガスと1次空気は、従来例(図7)で示したものと同様に、下流側に設けられたガスミキサー12によって混合される。このとき、1次空気は、ガスミキサー12によって強制的に吸気されるようになっている。
そして、導入管25Xには、2次空気が供給される2次空気供給管20の上流側先端部20aが接続されている。2次空気供給管20の下流側には、コンプレッサ21と空気増幅器22からなるエア供給装置が設けられている。コンプレッサ21から送られた圧縮空気は減圧弁26を通して、図3に示すように、空気増幅器22の圧縮空気供給口22aに送られる。図3に示したものは、サンワ・エンタープライズ株式会社製の「ラウンド・ブロー」という商品で、空気増幅器22の一例としてあげたものであるが、他の空気増幅器を使用してもよい。
空気増幅器22は、送られた圧縮空気を動力源として周囲の空気(2次空気)を大量に吸引(強制吸気)して増倍された空気(2次空気+圧縮空気)を保炎筒25側に向けて吐出するようになっている。この空気増幅器22は、電源を一切使用することなくバキュームとブローの2つの用途に対応した空気増倍器として機能するものであり、電気ブロアと比較すると騒音を大幅に減少することができしかも圧縮空気の消費量を減少することができるといった特徴を有している。なお、空気増幅器22の上流側には保炎筒25側に供給される空気量を測定する流量計27が設けられている。
このようにして2次空気供給管20を介し圧縮空気を利用して供給される2次空気は、導入管25Xから周方向に円を描くように旋回流状態で保炎筒25の内部に投入される。これにより2次空気は、保炎筒25の内部においてその全周に均一でしかも流速が高められた流れとされている。
また、保炎筒25内には、図4で示すような、一定の厚みを有するドーナツ状で複数の貫通する孔30aが形成された多孔整流板30が設けられている。多孔整流板30は、ガス管10の先端部10aの至端と保炎筒25の後面25bの間に設けられ、2次空気供給管20及び導入管25Xから保炎筒25内に旋回流状態で送られた2次空気の渦流を抑制して均一に整流化するはたらきをする。
なお、本実施形態では、多孔整流板30の厚み(図4では紙面の表裏方向)をtとし、孔30aの直径をdとした場合、t/d=0.7となるような多孔整流板30を採用することで整流効果を高めている。さらに、保炎筒25の前面25aからの多孔整流板30までの距離をZとし、保炎筒25の前面25aの直径をDとした場合、Z>Dとなるような多孔整流板30を位置決めすることによっても整流効果を高めている。
また、保炎筒15の内部には温度検出用の熱電対17が着火用の点火器16に併設されている。熱電対17は、ガス管10の先端部10aの至端より前側に設けられた点火器16よりもさらに前方に設けられ、その温度検出部によって、特に限定されるわけではないが、本実施形態では保炎筒15の内部中央位置の温度を測定している。
このように構成されたバーナ装置によれば、ガス管10の先端部10aを環状に囲むように設けられた保炎筒25の内部に、2次空気を従来の自然吸気から強制吸気方式に変更して圧縮空気で確実に送るようにしたので、従来例で示したように、ガス管10から1次空気が送り込まれなくなったりあるいは送り込まれてもその量が少ないといったように1次空気の量が変動したとしても、火炎を失火させることなく安定した燃焼処理を途切れなく実施することができる。
また、2次空気は、保炎筒25の円形後面25bの接線方向に設けられた一本の導入管25Xから旋回流状態で保炎筒25の内部に送られるので、全周に均一でしかも流速が高められた空気が供給され、その後、多孔整流板30を通過させることよって均一で整流化された空気が供給されるのでさらに安定した燃焼処理を実施することができる。また、流速が高められた空気によって特に傾斜された保炎筒25内に溜まり易いススや大気粉塵を保炎筒25から外に排出させることができる。
また、エア供給装置として機能する空気増幅器22は、圧縮空気だけを供給するのではなく、大気(空気)を大量に取り込み圧縮空気とともに吐出するので、2次空気として圧縮空気だけを供給する場合と比較してコスト的に有利である。
なお、本発明の実施形態では、2次空気を保炎筒25に設けられた一本の導入管25Xから旋回流状態で保炎筒25の内部に送るようにしたが、図5及び図6に示すように、2次空気供給管20から先端が複数に分けられしかも保炎筒35の円形後面35bからガス管10の先端部10aを中心にして周方向に等間隔に配置された分配管20A〜20Hから直流状態で保炎筒35の内部に送るようにしてもよい。なお、分岐点については図示を省略した。
分配管の数は特に限定されるものではなく、図5では8本の分配管20A〜20H,図6では4本の分配管20A,20C,20E,20Gを使用した例を示した。
これによれば、2次空気は、2次空気供給管20から先端が複数に分けられた分配管20A〜20Hから直流状態で保炎筒35の内部に送られ、しかも分配管20A〜20Hはガス管10の先端部10aを中心にして等間隔に配置されているので、図5に示したように、保炎筒35内に特に多孔整流板30を設けなくても均一な流れにすることができる。なお、図6に示したように、保炎筒35内に多孔整流板30を設けるとさらに均一に整流化された空気流にすることができる。また、図1に示した場合において多孔整流板30を設けないようにすることも考えられる。
さらに、図8に示すように、保炎筒25の円形後面25bから二本の導入管20J,20Kを斜めに挿入することによって、二次空気を旋回流状態で保炎筒25の内部に送るようにしてもよい。二本の導入管20J,20Kは、2次空気供給管20から先端が分岐したものであり、互いに平行で保炎筒25の中心から等間隔の位置に設けられている。なお、分岐点については図示を省略した。
導入管20J,20Kの先端は、図8(b)に示したように矢印T,Sの方向に、すなわち内周面側により近接する方向にそれぞれ向けるようにしてもよい。また、ここでは二本の導入管20J,20Kを示したが、保炎筒25の円形後面25bから導入管を斜めに挿入することで二次空気を旋回流状態で保炎筒25の内部に送ることができれば導入管は一本でも二本以上でもよく、また配置位置も限定されるものではない。
これによれば、全周に均一でしかも流速が高められた2次空気を極めて簡単な機構で供給することできる。
10 ガス管
10a 先端部
11 サポートガイド
12 ガスミキサー
15 保炎筒
15a 孔
16 点火器
17 熱電対
20 2次空気供給管
20a 先端部
20A〜20H 分配管
20J,20K 導入管
21 コンプレッサ
22 空気増幅器
22a 圧縮空気供給口
25 保炎筒
25a 前面
25b 後面
25X 導入管
26 減圧弁
27 流量計
30 多孔整流板
30a 孔
35 保炎筒
35a 前面
35b 後面
100 放散塔

Claims (5)

  1. 放散塔の周縁に取付けられ前記放散塔から大気中に放散される可燃性ガスを燃焼するもので、燃焼用ガスとともに1次空気が供給されるガス管の先端部が前記放散塔の頂部で放散塔の内方側に傾けられ、前記ガス管の先端部の至端で着火された火炎を包囲する保炎筒が設けられ、しかも前記保炎筒の内部に2次空気が取り込まれるようにしてなるバーナ装置であって、
    前記保炎筒は前記ガス管の径より大径で前面が開放された略円筒形状で、その円形後面の中心から差し込まれた前記ガス管の先端部を環状に囲むように設けられるとともに、
    前記2次空気を強制吸気して圧縮空気で前記保炎筒の内部に2次空気供給管を介して送るエア供給装置を備え、前記エア供給装置は、大気を取り込むことにより前記圧縮空気を増倍させる空気増倍器を有することを特徴とするバーナ装置。
  2. 前記保炎筒内で前記ガス管の先端部の至端より後側に設けられ、前記エア供給装置によって送られる2次空気の渦流を抑制して均一に整流化する多孔整流板を備えることを特徴とする請求項1に記載のバーナ装置。
  3. 前記2次空気は、前記保炎筒の円形後面の接線方向に設けられた導入管から旋回流状態で前記保炎筒の内部に送られることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーナ装置。
  4. 前記2次空気は、前記保炎筒の円形後面から斜めに挿入された1本又は2本以上の導入管から旋回流状態で前記保炎筒の内部に送られることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーナ装置。
  5. 前記2次空気は、前記2次空気供給管から先端が複数に分けられしかも前記保炎筒の円形後面から前記ガス管の先端部を中心にして等間隔に配置された分配管から直流状態で前記保炎筒の内部に送られることを特徴とする請求項1又は2に記載のバーナ装置。
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