JP6121530B2 - 導電性材料である若しくはこれを含む物体を又はその種類を、近接場識別を用いて識別する、近接場uhf識別システム及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、極超短波により物体を識別する分野に関するものである。
導電性材料である又はこれを含む物体を、極超短波に基づいて識別すること(UHF RFID)が、挑戦的であることを、様々な著者が開示している。
非特許文献1では、約142mm×30mmの大きさで、3.18mmの厚さであるRFIDタグが提案されている。金属面上に用いることを意図するタグに関しては、厚さが重要となる。Mohammed氏等が提案しているような寸法を有するRFIDタグは、これがより薄肉でより廉価となれば、ラップトップバッテリに対して用いることができる。
非特許文献2では、金属物体上に配置された基板上にアンテナ層が配置されているプレーナマイクロストリップアンテナの設計が提案されている。マッチング回路は、12.4mmの縦方向長さ及び30mmの横方向長さを有している。マッチング回路のみの寸法がたとえ問題とならなくても、アンテナの全寸法は140mm×72mmであり、この全寸法が問題となる。通常、広帯域応答が必要である場合を除いて、マッチング回路がRFIDタグと接続されるのを回避することが試みられる。
非特許文献3では、RFIDタグがポリエチレンテレフタレート(PET)シート内に一体化され、このシートが150μm厚の紙シート上に配置され、この紙シートがフェライトシート上に配置されている円形ボタンタグ構造が提案されている。フェライトとしては、0.25mm又は0.50mmの厚さを有するTDK社製のFlexield IRLG4型の磁気シート/電波吸収体が用いられている。円形ボタンタグは、携帯電話機のバッテリの隅部に配置されており、このタグをこのバッテリのエッジ付近に配置した場合に、検査された全てのバッテリモジュールに対し4センチメートルを超える読取範囲が達成された。この範囲内の読取距離は、携帯電話機のバッテリを遠隔識別するための使用目的にとって充分であるとみなすことができる。
Mohammed et. al in their article "An RFID Tag Capable of Free-Space and On-Metal Operation" published by Information and Telecommunications Technology Center, University of Kansas, Lawrence, KS 66045, USA Eunni et al. in their article "A Novel Planar Microstrip Antenna Design for UHF RFID", published in Systemics, Cybernetics and Informatics, Vol. 5, Number 1 Koivu in his thesis "Thin RFID Solution for Battery Identification", EVTEK University of Applied Sciences, Institute of Technology, 2008
Mohammed氏等及びEunni 氏等により提案された構造のもの(非特許文献1及び2)は、著しく細長い形状をしており、従って、10cmよりも小さい寸法の物体に対して用いるのに適していない。一方、電子機器の殆どの現在の充電式バッテリはかなり小型である。例えば、携帯電話機に対して広く用いられているリチウムイオン充電式バッテリの寸法は、約5×4×0.8cmである。現在用いられているものに匹敵しうる寸法を有する上述した種類の充電式バッテリを識別するのには、Mohammed氏等又はEunni 氏等により提案された構造のものを簡単に用いることができない。更に、又より重要なことに、少なくとも2mmの厚さ及びこれらの解決策の製造費が上述した提案の構造のものを目下魅力のないものにしている。
Koivu 氏により提案された円形ボタンタグ構造(非特許文献3)は、充電式バッテリを識別するのに用いるのに適切な寸法である約1.3cmの直径を有している。しかし、Koivu 氏の解決策は、製造上の観点から魅力的なものではない。その理由は、フェライトシートが製造費を著しく高めるためであり、これが無い場合には製造費は1つ当り約2〜3セントとなる。しかし、この解決策はフェライトシートが無いと機能しない。
本発明の目的は、近接場(ニアフィールド)識別システムの製造費を低減させることにある。
上述した目的は、請求項1に記載の近接場識別システム及び請求項9に記載の方法により達成しうる。
従属請求項には、上述したシステム及び方法の有利な観点を開示している。
本発明の識別システムは、導電性材料である又はこれを含む物体と、極超短波マイクロストリップトランスポンダとを具え、この極超短波マイクロストリップトランスポンダはマイクロストリップラインと、このマイクロストリップラインに接続された識別用マイクロチップとを有している。マイクロストリップラインは、電気ループを形成するとともに曲がりくねった形状にする。
マイクロストリップトランスポンダは、物体が導電性領域を有している位置でこの物体上に在るとともに、マイクロストリップラインがこの物体の少なくとも1つのエッジを追随するように配置する。マイクロストリップラインが物体の少なくとも2つのエッジを追随する場合には読取角度及び読取量を大きくすることができるが、特にある充電式バッテリの場合で、この充電式バッテリの端部がラップトップに対するある種の充電式バッテリのような問題のある形状を有する場合には、マイクロストリップラインが物体の1つのみのエッジを追随するようにすることができる。
識別システムは、識別信号をマイクロストリップラインから、物体のエッジ上の電流により誘起される近接磁界(近傍磁界)を介して物体の下側に伝送するように構成し、識別システムが質問器によりこの識別システムの下側から質問された際に識別用マイクロチップを識別しうるようにする。このようにすることにより、識別用マイクロチップを識別し、これにより物体及びその種類の双方又は何れか一方を識別しうるようになる。
Mohammed氏等、Eunni 氏等及びKoivu 氏により提案されたタグに対する著しい改善は、新たな構造の結果、物体を透過させるような極超短波信号を送信する必要なく、近接磁界を物体のエッジ上の電流により誘起させれば充分であるということである。マイクロストリップライン上の電流は物体のエッジ上に二次電流を誘起させ、この二次電流によりトランスポンダと質問器との間を電気結合させうる近接磁界を誘起させる。従って、製造費を低減させることができる。その理由は、Koivu 氏による解決策と相違してフェライトを必要としない為であり、更に、Mohammed氏等及びEunni 氏等により提案された解決策と相違して構造を充分にコンパクトに形成しうる。
物体が電子装置用の充電式バッテリ、特にリチウムイオンに基づく充電式バッテリ又はエネルギー蓄積用の金属基板を有する充電式バッテリである場合には、本発明により、適切なリサイクルプログラム又は適切な廃棄方法を選択するために充電式バッテリを検出しうる。特定の充電式バッテリがリチウムイオンバッテリであるか、リチウムイオンポリマバッテリであるか、ニッケル‐金属水素化物バッテリであるかを認識しうるようにする必要がある。物体は他の何らかの金属製物体とすることができる。特に、装置産業では、幾つかのこのような物体が使用されている。本発明は特に、物体が例えば鋳型である場合に有利に用いることができる。
マイクロストリップラインはアルミニウム、銅又は銀を含んでいるか、或いはアルミニウム、銅又は銀より成っているようにするのが有利である。アルミニウム又は銅である場合には、エッチングによりマイクロストリップラインを形成しうる。銀である場合には、銀ベースのインクを用いて自動的に印刷することにより、マイクロストリップラインを形成しうる。
マイクロストリップトランスポンダが箔を有し、この箔にマイクロストリップラインが取付けられているとともに、この箔が物体上に又はこの物体を囲む箔、紙若しくは包装材すなわちカバー上に取付けられている場合には、マイクロストリップラインを物体の金属部分から更に分離させて物体が短絡させるのを回避するようにする必要がない。箔はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセチレン(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)若しくは紙から形成されているか又はこれらの何れかを有するようにするのが有利である。その理由は、この箔の無損失性を高くする必要がない為である。物体上への、又はこの物体を囲む箔、紙若しくは包装材すなわちカバー上への取付けは接着により実行でき、接着剤層の厚さは10〜30μm、好ましくは例えば、20μmとすることができる。この接着に代えて、マイクロストリップトランスポンダを、物体を囲む箔、紙又は包装材すなわちカバー内で巻き付けることができる。
ポリエチレンテレフタレート箔はその厚さとして40〜60μm、最も有利には50μmを有する。マイクロストリップラインはその厚さとして16〜20μm、最も有利には18μmを有する。
マイクロストリップラインはコンパクトに形成しうる。マイクロストリップラインはその寸法として約10〜14mm×13〜17mm、最も有利には12mm×15mmを有するようにするのが有利である。
マイクロストリップラインは物体の少なくとも2つの隣接エッジに追随してある距離に位置させるのが有利である。この距離は、有利には0.8〜1.2mm、最も有利には1.0mmとする。これにより、物体における近接磁界の形成を良好にすることができ、従って、識別用マイクロチップの識別性を改善する。
導電性材料である若しくは導電性材料を含む物体を又は物体の種類を識別する識別方法であって、この物体は特に携帯電話機又はその他の何らかの電子装置用の充電式バッテリとする識別方法では、この識別方法が、
a)マイクロストリップトランスポンダを前記物体に取付けて、本発明によるシステムを形成するステップと、
b)質問器により前記システムに質問するステップと、
c)識別用マイクロチップの識別信号を、前記マイクロストリップトランスポンダが位置している側とは反対の前記物体の側のような、前記物体の1つの側でこの物体と結合する近接磁界として受信するステップと、
d)前記識別信号を用いて、前記物体を又は前記物体の種類を識別するステップと
を具えているようにする。
この方法は、識別すべき物体の下側又は種類を識別すべき物体の下側から、達成しうる。本発明によれば、10cmまでの識別距離を達成できた。この方法には、識別処理を実行するためのスペース条件を低減させる傾向がある。その理由は、この場合、識別すべきシステムの上方にフリースペース(自由空間)を設ける必要がない為である。これにより、識別処理を実行しようとしている施設内でのスペース利用をより有効に計画する際の工場管理者又はリサイクル業者の作業を支援する。充電式バッテリの識別処理では、識別すべき充電式バッテリをコンベヤベルト上で運搬移動させる。従って、この場合、質問器装置のアンテナをコンベヤベルトの下側に配置することができる。
質問及び識別を技術的なUHF‐RFID標準規格とEPC gen2標準規格(ISO18000‐6)との双方又は何れか一方に応じて実行する場合には、市販されていて容易に入手しうる質問及び識別装置をこの処理のために用いることができる。
以下に、図1〜9に示す実施例につき本発明を詳細に説明する。全ての図面で同じ参照符号は同じ素子を参照している。
図1は、質問中の、上面に極超短波マイクロストリップトランスポンダが取付けられた5mmの厚さのアルミニウムブリックを有する近接場識別システムの下側5mmの磁界分布を示す説明図である。 図2は、携帯電話機のバッテリ内に取付けられた製造済みのプロトタイプを示す線図である。 図3は、一体化された同一平面の接地面を有するトランスポンダを示す斜視図である。 図4は、一体化された同一平面の接地面を有するトランスポンダを示す平面図である。 図5は、面積を最小化した一体化された同一平面の接地面を有するトランスポンダを示す斜視図である。 図6は、面積を最小化した一体化された同一平面の接地面を有するトランスポンダを示す平面図である。 図7は、第2の層中に一体化された接地平面を具えるトランスポンダの一態様を示す分解斜視図である。 図8は、第2の層中に一体化された接地平面を具えるトランスポンダの他の態様を示す分解斜視図である。 図9は、トランスポンダの2つのエッジを最適化するための非対称の接地平面を有する当該トランスポンダを示す平面図である。
本発明者は、携帯電話機や、少なくとも1つの金属面を有するその他の電子装置のような小型の物体110の充電式バッテリをマーキングするための、廉価で小型のUHF‐RFIDトランスポンダ10を用いる新規なシステムを発明した。物体110としては、金属製及び非金属製の如何なる物体をも用いることができる。本発明者は特に、鋳型を物体として用いる可能性を研究している。
UHFとは、860MHz〜960MHzの周波数範囲を意味するものである。
携帯電話機やその他の電子装置の充電式バッテリをリサイクルするには、ある重要な情報を充電式バッテリと関連付けるとともに充電式バッテリの寿命の終了時にこの情報を自動的に読取りうるようにする効率的な手段を必要とする。
RFID自体は極めて有効な技術であるが、金属面上に使用しうる小型で特に薄肉の廉価なトランスポンダが無いことにより実用的な実装を阻害している。
本発明のシステムによれば、小型及び薄肉で、金属面に作用する新規な種類の近接場UHF‐RFIDトランスポンダを実現しうる。
マイクロストリップトランスポンダ10は、製造費を高めるか又は寸法を大きくするような如何なる特別な層又はその他の部品をも必要としない。その代り、このトランスポンダ10は、金属物体100自体の特性を利用しており、現在の市場において支配的な種類のUHF‐RFIDであるラベル形式のトランスポンダを形成するのに用いられる標準処理により製造しうる。
現在EUで法律により義務付けられている充電式バッテリのリサイクルでは、例えば充電式バッテリの種類に関する、情報をこの充電式バッテリと一緒にこのバッテリの全ライフサイクルにわたって持つことが不可欠である。
充電式バッテリの識別情報と一緒に付す目的のために光学式符号を検査してきたが、充電式バッテリの表面のよごれや機械的な摩耗及び傷が、実際にこれらの光学式符号をしばしば判読しえないものとする。
従って、充電式バッテリをRFIDでマーキングする利点が認められている。従って、従来のRFIDの解決策もいつくか存在する。これらの解決策には、近接場HF及びUHF‐RFIDタグを利用し、このタグとタグ付け物体との間にフェライト層を付加することが含まれる。これには作業の概念があることが証明されたが、その問題は、特別なフェライト層のために費用が嵩むということである。このフェライト層はタグの厚さをも増大させる。本発明の解決策では、タグとタグ付け物体との間に特別な層を必要とせず、従って、トランスポンダは、小型の近接場UHF‐RFIDインレイと同様に廉価となる。
簡単で廉価な2Dラベル形式のRFIDトランスポンダであって、そのアンテナが、金属化されたプラスチック箔上にエッチングにより形成されているこのトランスポンダは、現在の市場のUHF‐RFIDに関する支配的な設計のものである。しかし、このアンテナの解決策は、金属製の物体上に直接配置した場合に機能しない。
金属物体上に用いるものとして開発された、より高価で大型の金属対応(オンメタル)のトランスポンダが得られているが、これらは、携帯電話機のバッテリのような小型で廉価な物体に対して用いる場合、実際の選択肢として考慮するにはあまりにも肉厚で高価な方法である。このような解決策の例は、日油株式会社のTAGAT(登録商標)製品シリーズのカタログから見ることができる。
マイクロストリップトランスポンダ10によれば、体積及び面積を小さくするとともに廉価にすることを要求することにより、小型の金属面物体110にマーキングを行うことができる。更に、携帯電話機の充電式バッテリ及びその他の電子装置の充電式バッテリに加えて、新規で廉価なマイクロストリップトランスポンダ10により恩恵を受ける他の多くの分野がある。
図1は、マイクロストリップライン13と、このマイクロストリップライン13に接続された識別用マイクロチップ14とを有し、箔12上に又はこの箔内に組合わされた極超短波のマイクロストリップトランスポンダ10を示している。箔としては、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセチレン(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、紙又はその他の適切な如何なる材料をも用いることができる。
図1における物体110は、5mmの厚さのアルミニウムブリックである。しかし、図2に示すように、アルミニウムブリックの代わりに、携帯電話機又はその他の電子装置の充電式バッテリを物体110として用いることができる。重要なことは、物体110が導電性材料であるか又はこれを含んでいるようにすることと、物体が少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのエッジ111、112、113、114を有し、最も有利なことに、これらのエッジのうち少なくとも2つのエッジを互いに隣接させて少なくとも1つの隅部111→114が得られるようにする。
マイクロストリップトランスポンダ10は、物体110が導電性領域を有する位置でこの物体110上にある。マイクロストリップライン13は少なくとも1つのエッジを追随し、この例の場合には、物体110の2つのエッジ111、114を追随する。
質問器により識別システム100の下側から又はこの識別システムの他の如何なる方向からもこの識別システムに質問を発し、識別用マイクロチップ14から生じる識別信号を、マイクロストリップライン13から、物体100のエッジ上の電流により誘起される近接磁界を介して物体100の下側に伝送し、識別用マイクロチップ14を識別しうるように、この識別システム100が構成されている。
極超短波のマイクロストリップトランスポンダ10は、システム100と、読取装置としても知られている質問器との間の近接磁界結合を用いることに基づいている。
平面ラインが小さい従来の近接場UHF‐RFIDタグは金属上で動作しない。その理由は、これらの磁束は金属面を透過しない為である。それどころか、磁界のエネルギーは、金属上で発生される渦電流により失われる。
マイクロストリップトランスポンダ10では、必要とする磁束の発生は、このマイクロストリップトランスポンダ10が配置されている物体110のエッジ111及び114に電流を誘起させ、これにより物体110の周りに延在する磁束を発生させることに基づいている。このことは、それぞれのエッジ111及び114の付近にマイクロストリップライン13を配置することにより達成されている。マイクロストリップトランスポンダ10は、技術的には曲がりくねったマイクロストリップラインとしてあり、その接地面は物体110により形成されている。
マイクロストリップライン13を物体110の1つのエッジ111、114又は隅部(111→114)の付近に配置した場合、それぞれのエッジ111、114に対し平行なマイクロストリップライン13の部分がそれぞれのエッジ111、114に電流を誘起する。
電流は、質問器(読取装置)への結合を達成する磁界Hのソース(磁界源)として作用する。磁界Hは物体110の周りに延在し、適切な近接場アンテナを用いることにより幾つかの方向からマイクロストリップトランスポンダ10を読取ることができる。
読取装置とシステム100との間を良好に結合させる高周波電力を得るためには、マイクロストリップライン13の入力インピーダンスがある値を有する必要がある。実際には、マイクロストリップライン13のリアクタンスを、使用するICに依存して100〜250Ωとする必要がある。このことは実際には、マイクロストリップライン13を長めに、代表的には数cmとする必要があることを意味する。しかし、マイクロストリップライン13は湾曲形態に曲がりくねったようにして、マイクロストリップトランスポンダ10の外形が小さくなるようにする。
図1及び2に示すマイクロストリップトランスポンダ10はプロトタイプである。
図1では、5mmの厚さのアルミニウムブリックである物体110の頂面上にマイクロストリップトランスポンダ10が予め取付けられているこの物体110の下側5mmでの磁界分布を計算した。
プロトタイプのマイクロストリップトランスポンダ10の寸法a×bは12mm×15mmである。従って、たとえ、充電式バッテリのリサイクルが、システム100及び方法の重要な、おそらく第1の実用的な適用であっても、かかる技術により、種々の金属物体110に小型のマイクロストリップトランスポンダ10を設けるようにすることができる。
携帯電話機の充電式バッテリの年間製造量は数億にもなる。多量生産した場合のマイクロストリップトランスポンダ10の価格は、約3ユーロセントである為、実際上全ての充電式バッテリにマイクロストリップトランスポンダ10を装着することができる。
マイクロストリップトランスポンダ10は廉価で、小型で平坦なラベル状の構造となっている為、このマイクロストリップトランスポンダ10の使用を、飲食物の金属製の缶のような消費者製品に拡張させることができる。本発明により、例えば工場環境における金属製部品の個々の追尾を可能としうる多数の可能な産業上の利用も存在する。このような利用には、自動車産業及び航空産業が含まれる。小型で廉価なマイクロストリップトランスポンダ10によれば、従来よりも小型で廉価な部品及びモジュールにタグ付けすることができる。
基本的に絶縁性の基板の箔12の頂面上にマイクロストリップライン13を有する極超短波マイクロストリップトランスポンダ10に代わるものとして、幾つかの例を図3〜8に示している、極超短波マイクロストリップトランスポンダ30、50及び70を用いることができる。
トランスポンダ30、50及び70には、一体化された接地平面を形成するある追加の金属構造体を設けることができる。これらの構造体は、マイクロストリップライン13を囲む金属31、51、52を有する(図3、4及び図5、6)か、絶縁基板の箔12の面上に配置されたマイクロストリップライン13の側とは反対側の箔12の面でマイクロストリップライン13の下側に配置された金属71、81を有する(図7、8)。
金属を、マイクロストリップライン13を囲むように加えることにより、マイクロストリップライン13の接地平面又はその一部がこのマイクロストリップライン13の主導体と同じ金属層上に形成され、このマイクロストリップライン13と接地平面との間に水平ギャップ32を残している一般に共平面導波路として既知の構造体を形成するようにすることができる。接地平面は、(図3、4に金属31で示すように)マイクロストリップライン13を囲む全領域を満たすか、又は(図5、6に金属51、52で示し、随意ではあるがマイクロチップ14の位置でへこみを呈するようにして)マイクロストリップライン13の側部におけるかなり狭い1つの導体又は一対の導体とすることができる。トランスポンダ30、50の接地平面を部分的に開放させることにより、物体110が特定の領域に金属を有していない場合に、磁束が、タグ付けすべき物体110を貫通するようにする。トランスポンダ30、50、70を印刷により形成する場合には、導電性インクを節約するのも有利なことである。
上述した構成の代わりに、又はこれに加えて、追加の金属層71、81をトランスポン
ダ70における絶縁性基板の底部上に加えることができる。図7に示すように、金属層71がトランスポンダ70の全領域を被覆しうるようにするか、又は図8に示すように、金属層81がトランスポンダ70の頂面上でマイクロストリップライン13の形状を追随し、このマイクロストリップライン13の幅eよりも大きな幅Eを有するようにしうる。この場合の利点は、図5及び6に示すトランスポンダ50の場合と同じである。
何れの方法を実施しても、マイクロストリップライン13を囲む又はマイクロストリップライン13の下側の追加の金属が、トランスポンダ30、50、70とタグ付けすべき物体との間の距離にそれ程依存しないようにトランスポンダ30、50、70の入力インピーダンスを安定化させる。又、上述した方法により、タグ付けすべき物体110の導電率が制限されているか、又は物体の表面が平坦でない場合に、トランスポンダ30、50、70の動作を向上させる。その結果、トランスポンダ30、50、70を、より一層頑健にできるとともに、読取範囲を犠牲にすることなく種々の分野及び物体110に対して適用しうるようにできる。これらのトランスポンダ30、50、70は金属物体上に用いるものとして理想的であるが、接地金属31、51、70、81を加えることにより、その適用分野を非導電性の物体や適用困難な形状の金属物体にも拡張させることができる。
トランスポンダの構造は図9に示すように非対称にすることができる。代表的には、マイクロストリップライン13の1つ又は2つのエッジが物体110のエッジに電流を発生させる磁界を誘起する為、これらの部分を囲む接地平面内に非金属スペース91を残し、磁界が正しい領域内に発生されるようにするのが有利である。この種類のトランスポンダの共平面形態の構造の例を図9に示す。2層構造の場合には、接地平面無しにトランスポンダの結合領域を残すことができる。
図3〜9に示すトランスポンダ30、50、70の寸法a×bは、a=20±2mm及びb=22±2mmとなるようにするのが最も有利であるが、前述した寸法を用いることもできる。
本発明は、特許請求の範囲のみに限定されるものとして理解されるべきではなく、これらの法的な均等物を含むものとして理解すべきである。

Claims (10)

  1. 近接場UHF識別システム(100)であって、この近接場UHF識別システムが、
    i)導電性材料である、又は導電性材料を含む物体(110)と、
    ii)マイクロストリップライン(13)と、このマイクロストリップライン(13)に接続された識別用マイクロチップ(14)とを有する極超短波マイクロストリップトランスポンダ(10、30、50、70)と
    を具える当該近接場UHF識別システムにおいて、
    前記マイクロストリップトランスポンダ(10、30、50、70)は、前記物体(110)が導電性領域を有している位置でこの物体(110)上に在り、前記マイクロストリップライン(13)がこの物体(110)の少なくとも1つのエッジ(111、114)を追随しており、
    近接場UHF識別システム(100)は、この近接場UHF識別システムがその下側から質問器により質問されている際に、前記識別用マイクロチップ(14)からの識別信号が、前記マイクロストリップライン(13)から、前記物体(110)のエッジ上の電流により誘起された近接磁界を介して、この物体(110)の下側に伝送でき、識別用マイクロチップ(14)を識別しうるようになっている近接場UHF識別システム。
  2. 請求項1に記載の近接場UHF識別システム(100)において、前記物体(110)が電子装置用の充電式バッテリである近接場UHF識別システム。
  3. 請求項1又は2に記載の近接場UHF識別システム(100)において、前記マイクロストリップライン(13)がアルミニウム、銅若しくは銀を含んでいるか、又はアルミニウム、銅若しくは銀より成っている近接場UHF識別システム。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の近接場UHF識別システム(100)において、前記マイクロストリップトランスポンダ(10、30、50、70)が箔(12)を有し、この箔に前記マイクロストリップライン(13)が取付けられているとともに、この箔が前記物体(110)上に又はこの物体(110)を囲む箔、紙若しくは包装材すなわちカバー上に取付けられている、近接場UHF識別システム。
  5. 請求項4に記載の近接場UHF識別システム(100)において、前記箔(12)はその厚さとして40〜60μmを有し、前記マイクロストリップライン(13)はその厚さとして16〜20μmを有している近接場UHF識別システム。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の近接場UHF識別システム(100)において、前記マイクロストリップライン(13)はその寸法(a×b)として約10〜14mm×13〜17mmを有している近接場UHF識別システム。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の近接場UHF識別システム(100)において、前記マイクロストリップライン(13)は前記物体の少なくとも2つの隣接エッジ(111、114)からそれぞれ一定の距離(c、d)に位置し、前記マイクロストリップライン(13)は前記少なくとも2つの隣接エッジ(111、114)に追随する、近接場UHF識別システム。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の近接場UHF識別システム(100)において、
    ‐前記マイクロストリップトランスポンダ(30)が更に、前記マイクロストリップライン(13)とで共平面にあるとともにこのマイクロストリップライン(13)からある距離(32)だけ離れている一体化された接地平面(31)を具えているようにすること
    前記マイクロストリップトランスポンダ(50)が更に、前記マイクロストリップライン(13)とで共平面にあるとともにこのマイクロストリップライン(13)の形状を追随するストリップ状の形状を有している一体化された接地平面(51、52)を具えるようにすること
    前記マイクロストリップトランスポンダ(70)が更に第2の層中に一体化された接地平面(71、81)を具えること及び
    前記マイクロストリップトランスポンダ(30)が更に、前記マイクロストリップライン(13)に対し非対称的に配置された一体化された接地平面(31)を具えているようにすること
    のいずれか1つが達成されている近接場UHF識別システム。
  9. 近接場識別を用いて、導電性材料である若しくは導電性材料を含む物体(110)を又は物体(110)の種類を識別する識別方法であって、この識別方法が、
    ‐マイクロストリップトランスポンダ(10、30、50、70)を前記物体(110)に取付けて、請求項1〜8の何れか一項に記載のシステム(100)を形成するステップと、
    ‐質問器により前記システム(100)に質問するステップと、
    ‐識別用マイクロチップ(14)の識別信号を、前記マイクロストリップトランスポンダ(10、30、50、70)が位置している側とは反対の前記物体(110)の側のような、前記物体(110)の1つの側でこの物体と結合する近接磁界として受信するステップと、
    ‐前記識別信号を用いて、前記物体(110)を又は前記物体(110)の種類を識別するステップと、
    を具えている識別方法。
  10. 請求項9に記載の識別方法において、技術的なUHF‐RFID標準規格に応じて質問及び識別を実行する識別方法。
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