以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る通信端末装置100の構成について、図2を用いて説明する。通信端末装置100は、制御信号の送信装置である。
通信端末装置100は、アンテナ101と、受信部102と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、選択部106と、符号化及び変調部107と、パラレル/シリアル(以下、「P/S」と記載する)変換部107と、送信部109と、アンテナ110とから主に構成されている。
受信部102は、アンテナ101を介して、図示しない在圏セルの基地局装置及び隣接セルの基地局装置から受信した信号に対して受信処理を施し、受信処理後の信号を回線品質推定部103に出力する。
回線品質推定部103は、受信部102から入力された在圏セルの基地局装置からの信号を用いて、通信端末装置100と在圏セルの基地局装置との間の回線品質を推定し、推定結果を第1の伝送レート要求用信号生成部104に出力する。回線品質推定部103は、受信部102から入力された隣接セルの基地局装置からの信号を用いて、通信端末装置100と隣接セルの基地局装置との間の回線品質を推定し、推定結果を第2の伝送レート要求用信号生成部105に出力する。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、回線品質推定部103から入力された在圏セルにおける回線品質の推定結果に応じて、通信端末装置100と在圏セルの基地局装置との間における通信の制御に用いる制御信号であるCQIの全ビットを生成する。第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットをP/S変換部108に出力する。ここで、第1の伝送レート要求用信号生成部104で生成されるCQIは、通信端末装置100と図示しない在圏セルの基地局装置との間の回線品質を示すとともに、在圏セルの基地局装置に対して伝送レートを要求するための制御信号であり、複数のビット(例えば、5ビット)で表される。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、回線品質推定部103から入力された隣接セルにおける回線品質の推定結果に応じて、通信端末装置100と隣接セルの基地局装置との間における通信の制御に用いる制御信号であるCQIの全ビットを生成する。第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットを選択部106に出力する。ここで、第2の伝送レート要求用信号生成部105で生成されるCQIは、通信端末装置100と図示しない隣接セルの基地局装置との間の回線品質を示すとともに、隣接セルの基地局装置に対して伝送レートを要求するための制御信号であり、複数のビット(例えば、5ビット)で表される。
選択部106は、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットのうち、下位桁から全ビットの桁数よりも少ない所定桁数に対応する所定数のビット(以下、「下位ビット」と記載する)を選択し、選択した下位ビットをP/S変換部108に出力する。ここで、生成されるCQIは、複数のビットで表される。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部108に出力する。
P/S変換部108は、第1の伝送レート要求用信号生成部104及び選択部106から入力された直列データ形式のCQIを並列データ形式のCQIに変換する。S/P変換部107は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部108は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。
送信部109は、S/P変換部107から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット、及び送信信号に対して送信処理を施す。送信部109は、送信処理を施した在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット、及び送信信号を、アンテナ110を介して送信する。
<基地局装置の構成>
本発明の実施の形態1における基地局装置200の構成について、図3を用いて説明する。基地局装置200は、制御信号の受信装置である。なお、基地局装置200は、通信端末装置100から見て隣接セルの基地局装置であるものとして説明する。
基地局装置200は、アンテナ201と、受信部202と、生成部203と、符号化及び変調部204と、伝送レート割当部205と、送信部206と、アンテナ207とから主に構成されている。
受信部202は、通信端末装置100からアンテナ201を介して受信した信号に対して受信処理を施し、受信処理後の信号を生成部203に出力する。
生成部203は、受信部202から入力された信号よりCQIの下位ビットを抽出する。生成部203は、自局と共にDual Cell動作を行う隣接セルの他の基地局装置から取得したCQIの上位ビットと、抽出したCQIの下位ビットとを合成することにより、CQIの全ビットを生成する。生成部203は、生成したCQIの全ビットを伝送レート割当部205に出力する。
符号化及び変調部204は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部204は、変調後の送信信号を伝送レート割当部205に出力する。
伝送レート割当部205は、生成部203から入力されたCQIの全ビットに基づいて、基地局装置200と通信端末装置100との間の通信を制御する。即ち、伝送レート割当部205は、符号化及び変調部204から入力された送信信号に対して所定の伝送レートを割り当てる。伝送レート割当部205は、割り当てた伝送レートの送信信号を送信部206に出力する。
送信部206は、伝送レート割当部205から入力された送信信号に対して送信処理を施す。送信部206は、送信処理を施した送信信号を、アンテナ207を介して送信する。
<CQIの値の変化について>
本発明の実施の形態1におけるCQIの値の変化について説明する。
CQIの値は回線状況に応じて変化する。また、CQIの値を表す複数ビットからなるビット列のうち、上位ビット(左側のビット)ほど大きな値を表す。つまり、CQIの値の変動量は、CQIの上位ビットが変化する方が、CQIの下位ビットが変化するよりも大きくなる。よって、一般には、CQIの値を表す複数ビットのうち、下位ビットから順に変化する可能性が高い。すなわち、CQIの値を表す複数ビットでは、下位ビット(右側のビット)ほど、回線状況の変動(回線変動)に応じて変化しやすい。つまり、CQIの上位ビットほど変化し難い。
<CQIの送信方法>
本発明の実施の形態1におけるCQIの送信方法について、図4及び図5を用いて説明する。
通信端末装置100は、在圏セルと隣接セルとの両方の基地局装置から送信されるデータを受信するDual Cell動作を行う。通信端末装置100が在圏セルの基地局装置と隣接セルの基地局装置との両方から送信されるデータを受信できるのは、通信端末装置100が在圏セルと隣接セルとの境界付近に存在する場合である。このため、一般に、通信端末装置100は、在圏セルと隣接セルとの境界付近においてのみDual Cell動作を行う。
ここで、一般に、在圏セルと隣接セルとの境界付近では、在圏セルの基地局装置及び隣接セルの基地局装置からの距離は遠い。このため、在圏セルと隣接セルとの境界付近では、回線品質が悪い状態が続くため、CQIの値は回線品質が悪い値が続く。従って、隣接セルにおけるCQIは、時間が経過しても下位ビットのみ変化し、上位ビットは回線品質が悪い値に固定されたまま変化しない可能性が高い。
つまり、通信端末装置100は、回線品質が悪い値のまま変化しないであろうCQIの上位ビットを常時送信しなくても、値が変化しやすいCQIの下位ビットのみを常時送信すれば、隣接セルの基地局装置に対して正確なCQIを通知することができる。換言すると、通信端末装置100は、隣接セルの基地局装置に対して、CQIの下位ビットのみを常時送信するだけでよい。
以下、図4を用いて具体的に説明する。以下の説明では、在圏セルの基地局装置に対して送信するCQIのビット数は、全ビットである5ビットとする。また、隣接セルの基地局装置に対して送信するCQIは、下位2ビットのみとする。
また、ここでは、CQI値が大きくなるほど(または、CQI値が小さくなるほど)、要求する伝送レートの値がより大きくなるものとする。例えば、CQI=‘00000’(または‘11111’)が最も低い伝送レートに対応し、CQI=‘11111’(または‘00000’)が最も高い伝送レートに対応する。つまり、CQI=‘00000’から‘11111’(または、CQI=‘11111’から‘00000’)は、最も低い伝送レートから昇順に対応付けられている。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、CQIの全ビットである5ビットを、S/P変換部108に出力する。これに対して、選択部106は、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの下位2ビットを選択し、選択した下位2ビットをS/P変換部108に出力する。
これにより、通信端末装置100は、図5に示すように、在圏セルの基地局装置に対して、CQIの全ビットである5ビットを送信し、続いて、隣接セルの基地局装置に対して、CQIの下位2ビットを送信する。
例えば、CQIを2msecに1回送信するとし、CQIを5ビットとした場合、従来のように、隣接セルに対するCQIを5ビットすべて送信する場合、CQIは1sec当たり5000ビット(5ビット×500×2)必要となる。これに対して、本実施の形態では、隣接セルに対するCQIを下位2ビットのみ送信する場合には、CQIは3500ビット(5ビット×500+2ビット×500)送信すればよく、CQI送信量を1500ビット削減することが可能となり、従来の70%程度のCQI送信ビット数でよい。
因みに、CQIの送信データ量を低減させるために、在圏セルの基地局装置に対してのみCQIの全ビットを送信し、隣接セルの基地局装置に対しては、CQIを送信しないシステム構成も考えられる。この場合、隣接セルの基地局装置は、基地局間のインターフェースを用いて、在圏セルの基地局装置から在圏セルのCQIを取得する。これにより、通信端末装置からのCQIの送信量を抑えることができる。しかしながら、この場合には、以下の問題が生じる。
即ち、在圏セルにおけるCQIと隣接セルのおけるCQIとは、当然のことであるが異なる。そのため、在圏セルの基地局装置に対してのみCQIの全ビットを送信すると、本来、隣接セルの基地局装置に対して送信するはずのCQIとの間に誤差が生じてしまう可能性がある。つまり、CQIの精度が悪くなってしまう。従って、隣接セルの基地局装置においては、CQIの送信データ量は低減されるものの、通信端末装置に対して適切な伝送レートを選択できず、スループットが低下してしまう可能性がある。このように、CQIの送信データ量の低減度合とスループットとの間には、トレードオフの関係がある。
<実施の形態1の効果>
本実施の形態によれば、通信端末装置は隣接セルの基地局装置に対して、制御信号であるCQIの下位ビットを送信することにより、CQIの上位ビット分だけCQIの送信データ量を低減でき、通信端末装置の消費電力及び他の通信端末装置に与える干渉量を抑制することができる。
また、本実施の形態では、通信端末装置は、隣接セルの基地局装置に対して、値の変化が激しいCQIの下位ビットを送信する。これにより、隣接セルの基地局装置に対してCQIを全く送信しない場合に比べて、隣接セルの基地局装置は通信端末装置に対して適切な伝送レートを設定することができ、スループットの低下を防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、隣接セルの基地局装置は、在圏セルの基地局装置よりCQIの上位ビットを取得するので、CQIの送信データ量を削減したにも関わらず、通信端末装置に対して最適な伝送レートを設定することができる。
<実施の形態1の変形例>
本実施の形態において、隣接セルの基地局装置は、在圏セルの基地局装置からCQIの上位ビットを取得したが、上位ビットを取得しなくてもよい。この場合、隣接セルの基地局装置は、例えば、後述する実施の形態にて示すように、所定の条件に合致した場合に所定の経路より上位ビットを取得する。
また、本実施の形態において、CQIの全ビットを5ビットにしたが、5ビットに限らず10ビット等の任意のビット数にすることができる。この場合、通信端末装置は、隣接セルの基地局装置に対して、下位5ビット等の10ビット未満の下位ビットを送信することにより、本実施の形態の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、通信端末装置は、隣接セルの基地局装置に対してCQIの下位2ビットを送信したが、下位3ビットまたは下位1ビット等、任意のビット数の下位ビットを送信することができる。
また、本実施の形態において、隣接セルの基地局装置に対して送信するCQIの下位ビットのビット数は、2ビットに固定したが、適応的に変化させてもよい。
また、本実施の形態において、Dual Cell動作を行う隣接セルを1つにしたが、Dual Cell動作を行う隣接セルが2つ以上存在し、2つ以上の隣接セルからのデータを受信する場合においても適用できる。Dual Cell動作を行う隣接セルが多くなるにつれて、CQI送信ビット数の削減効果は大きくなる。例えば、CQIを2msec毎に1回送信するとし、CQIの全ビット数を5ビットとし、Dual Cell動作を行う隣接セル数を3つとした場合について述べる。従来のように、隣接セルの基地局装置に対して全ビットの5ビットのCQIを送信する場合、CQIは1sec当たり10000ビット(5ビット×500×4(在圏セル1+隣接セル3))必要となる。これに対して、本実施の形態では、例えば隣接セルに対するCQIを下記2ビットのみ送信する場合、CQIは5500ビット(5ビット×500+2ビット×500×3)送信すればよく、CQIの送信データ量を4500ビット削減することが可能となり、送信するCQIのビット数を従来の半分程度にすることができる。
(実施の形態2)
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態2に係る通信端末装置500の構成について、図6を用いて説明する。通信端末装置500は、制御信号の送信装置である。
図6に示す通信端末装置500は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置100と比較して、選択部106の代わりに選択部501を有し、P/S変換部108の代わりにP/S変換部502を有している。なお、図6において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
通信端末装置500は、アンテナ101と、受信部102と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、符号化及び変調部107と、送信部109と、アンテナ110と、選択部501と、P/S変換部502とから主に構成されている。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部502に出力する。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットを選択部501及びP/S変換部502に出力する。なお、第1の伝送レート要求用信号生成部104における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットのうちの下位ビットのみを選択部501に出力する。なお、第2の伝送レート要求用信号生成部105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
選択部501は、第1の伝送レート要求用信号生成部104から入力されたCQIの値(在圏セルの基地局装置と通信端末装置100との間の回線品質の推定値)と、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの値(隣接セルの基地局装置と通信端末装置100との間の回線品質の推定値)との差分が、所定値以上であるか否かを判定する。選択部501は、前記差分が所定値以上であると判定した場合には、隣接セルの基地局装置に対するCQIの下位2ビットをP/S変換部502に出力する。選択部501は、前記差分が所定値未満であると判定した場合には、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIより選択する下位ビットを「0」とする。即ち、選択部501は、前記差分が所定値未満であると判定した場合には、何も選択せずかつ何も出力しない。この場合、隣接セルのCQIと在圏セルのCQIとはほぼ同じ値であるので、隣接セルの基地局装置は、在圏セルのCQIを隣接セルのCQIの代わりとして利用する。
選択部501は、隣接セルの基地局装置に対するCQIの下位2ビットの出力があるか否かを示す送信有無情報をP/S変換部502に出力する。選択部501は、例えば、隣接セルの基地局装置に対するCQIの下位2ビットの出力がある場合には送信有無情報として「1」を出力し、隣接セルの基地局装置に対するCQIの下位2ビットの出力がない場合には送信有無情報として「0」を出力する。ここで、送信有無情報は、「1」または「0」の1ビットでよい。従って、送信有無情報を送信することによる送信データ量の増加分は僅かで済む。
P/S変換部502は、第1の伝送レート要求用信号生成部104のみから入力された直列データ形式のCQI、または第1の伝送レート要求用信号生成部104から入力された直列データ形式のCQI及び第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力された直列データ形式の下位2ビットのCQIを、並列データ形式のCQIに変換する。S/P変換部502は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部502は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。P/S変換部502は、上記CQIの出力の合間に、選択部501から入力された送信有無情報を送信部109に出力する。
送信部109は、S/P変換部502から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット、送信信号、及び送信有無情報を、アンテナ110を介して送信する。
<CQI及び送信有無情報の送信方法>
本発明の実施の形態2におけるCQI及び送信有無情報の送信方法について、図7を用いて説明する。
本実施の形態においては、隣接セルに対するCQIの下位ビットが送信される場合と送信されない場合とが、時々刻々変化する。このため、隣接セルの基地局装置は、隣接セルに対するCQIの下位ビットが送信されているか否かを検出することが必要となる。通信端末装置500は、隣接セルの基地局装置において、隣接セルに対するCQIが送信されているか否かを検出できるようにするために、送信有無情報を送信する。
例えば、通信端末装置500は、図7に示すように、在圏セルに対するCQIの全ビットを送信した後に、隣接セルに対するCQIの下位ビットの送信が無いことを示す「0」を設定した送信有無情報を送信する。
<実施の形態2の効果>
本実施の形態では、在圏セルに対するCQIと隣接セルに対するCQIの差分が、所定の値より小さい場合は、在圏セルに対する伝送レート要求用信号のみを送信する。これにより、上記実施の形態1の効果に加えて、隣接セルに対するCQIの送信データ量をさらに削減できるため、CQIの送信データ量を実施の形態1よりもさらに低減することができる。
また、本実施の形態では、隣接セルの基地局装置に対して1ビットの送信有無情報を送信するため、隣接セルの基地局装置は隣接セルのCQIが送信されたか否かを確実に認識することができる。これにより、送信データ量の増加を抑制しつつ、隣接セルの基地局装置において適切なタイミングで伝送レートを設定することができる。
また、本実施の形態によれば、在圏セルに対するCQIと隣接セルに対するCQIの差分と比較する所定値を、適切に設定することにより、送信有無情報の送信データ量の増加よりも、CQIの送信データ量の低減効果を大きくすることができる。
<実施の形態2の変形例>
本実施の形態において、隣接セルに対するCQIが送信されない場合、隣接セルの基地局装置は何らかの手段で在圏セルのCQIを取得する必要がある。隣接セルの基地局装置が在圏セルのCQIを取得する手順としては様々なものが考えられる。例えば、在圏セルの基地局装置が在圏セルのCQIを定期的に隣接セルの基地局装置に通知しても良いし、在圏セルの基地局装置が送信有無情報の値を監視し、その値が「0」であった場合に在圏セルのCQIを隣接セルの基地局装置に通知してもよい。また、隣接セルの基地局装置が送信有無情報の値が「0」であることを認識し次第、在圏セルの基地局装置に対して在圏セルのCQIの通知を要求してもよい。なお、基地局装置間の通信は一般的には非常に高速な有線回線を用いて行われるため、このような基地局装置間のやり取りが各セル内の無線通信装置に干渉する可能性は極めて低い。
また、本実施の形態において、送信有無情報を送信したが、送信有無情報を送信しなくてもよい。この場合、隣接セルの基地局装置は、CQIが受信されるべきタイミングにおいてCQIが得られなかった場合には、隣接セルに対するCQIが送信されなかったものと判断する。
(実施の形態3)
<通信端末装置が使用する通信システムの構成>
本発明の実施の形態3における通信システムの構成について、図8を用いて説明する。
図8に示す通信システムでは、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしている。在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしている場合においては、在圏セルと隣接セルの境界付近ではない領域において、Dual Cell動作を行わない場合も考えられる。このような場合、通信端末装置700は、隣接セルの基地局装置760に比較的近い領域において、隣接セルの基地局装置760と通信を行う場合も考えられる。この場合、隣接セルに対するCQIは、悪い値が連続するとは限らない。したがって、この場合には、隣接セルに対するCQIの値が大きく変動する可能性があり、隣接セルに対する下位ビットのみの通知では精度が不十分となるおそれがある。そこで、本実施の形態では、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしているか否かに応じて、隣接セルに通知するCQIのビット数を変更する。
通信端末装置700は、図8に示す通信システムと、例えば図1に示すような在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしない通信システムとの両方において通信することができる。
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態3に係る通信端末装置700の構成について、図9を用いて説明する。通信端末装置700は、制御信号の送信装置である。
図9に示す通信端末装置700は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置100と比較して、システム制御部701を追加し、選択部106の代わりに選択部702を有し、P/S変換部108の代わりにP/S変換部703を有する。なお、図9において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
通信端末装置700は、アンテナ101と、受信部102と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、符号化及び変調部107と、送信部109と、アンテナ110と、システム制御部701と、選択部702と、P/S変換部703とから主に構成されている。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部703に出力する。
システム制御部701は、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしている通信システムであるか否かを示すシステム情報を生成する。システム制御部701は、生成したシステム情報を選択部702に出力する。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットをP/S変換部703に出力する。なお、第1の伝送レート要求用信号生成部104における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットを選択部702に出力する。なお、第2の伝送レート要求用信号生成部105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
選択部702は、システム制御部701から入力されたシステム情報に基づいて、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの下位ビットまたは全ビットを選択する。
具体的には、選択部702は、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしている通信システムを示すシステム情報がシステム制御部701から入力された場合には、CQIの全ビットを選択してP/S変換部703に出力する。選択部702は、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしていない通信システムを示すシステム情報がシステム制御部701から入力された場合には、CQIの下位ビットを選択してP/S変換部703に出力する。
P/S変換部703は、第1の伝送レート要求用信号生成部104及び選択部702から入力された直列データ形式のCQIを並列データ形式のCQIに変換する。P/S変換部703は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部703は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。
送信部109は、P/S変換部703から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット若しくは全ビット、及び送信信号を、アンテナ110を介して送信する。
<実施の形態3の効果>
本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしている通信システムを使用する場合には、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビットを送信するので、使用する通信システムに関わらず、最適な伝送レートを設定することができる。
また、本実施の形態によれば、通信端末装置は、セル間を移動する毎に1回のみシステム情報を送信すればよいため、システム情報を送信することによる制御信号の送信データ量の増加分をほとんど無視することができる。
<実施の形態3の変形例>
本実施の形態において、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしている場合に、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビットを送信したが、在圏セルと隣接セルとのオーバーラップの度合いに応じて、隣接セルの基地局装置に対するCQIの送信データ量を可変にすることができる。例えば、通信端末装置700は、以下の動作も可能である。
通信端末装置700は、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしてない通信システムを使用する場合には、隣接セルの基地局装置に対してCQIの下位2ビットのみを送信する。通信端末装置700は、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしているが、オーバーラップの度合いが小さい(例えば、オーバーラップしている面積Q1が閾値r1未満(Q1<r1)である)通信システムを使用する場合には、隣接セルの基地局装置に対してCQIの下位3ビットのみを送信する。通信端末装置700は、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしており、かつオーバーラップの度合いが大きい(例えば、オーバーラップしている面積Q2が閾値r1以上(Q2>r1)である)通信システムを使用する場合には、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビット(5ビット)を送信する。
また、本実施の形態において、システム情報を通信端末装置700が生成したが、通信端末装置700がセル間を移動する際に、在圏セルと隣接セルとがオーバーラップしているか否かを示す情報を基地局装置から通信端末装置700に対して送信してもよい。この場合には、通信端末装置700におけるシステム情報の生成を不要にすることができる。
(実施の形態4)
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態4に係る通信端末装置1000の構成について、図10を用いて説明する。通信端末装置1000は、制御信号の送信装置である。
図10に示す通信端末装置1000は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置100と比較して、タイミング制御部1001を追加し、選択部106の代わりに選択部1002を有し、P/S変換部108の代わりにP/S変換部1003を有する。なお、図10において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
通信端末装置1000は、アンテナ101と、受信部102と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、符号化及び変調部107と、送信部109と、アンテナ110と、タイミング制御部1001と、選択部1002と、P/S変換部1003とから主に構成されている。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部1003に出力する。
タイミング制御部1001は、通信開始のタイミング(通信開始時刻)を示すタイミング情報を生成する。そして、タイミング制御部1001は、生成したタイミング情報を選択部1002に出力する。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットをP/S変換部1003に出力する。なお、第1の伝送レート要求用信号生成部104における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットを選択部1002に出力する。なお、第2の伝送レート要求用信号生成部105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
選択部1002は、タイミング制御部1001から入力されたタイミング情報に示される通信開始時刻に基づいて、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットまたは下位ビットを選択する。
具体的には、選択部1002は、特定のタイミングである、通信開始時刻後において隣接セルの基地局装置に対して最初にCQIを送信するタイミングには、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットを選択してP/S変換部1003に出力する。選択部1002は、上記以外のタイミングには、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの下位ビットを選択してP/S変換部1003に出力する。
P/S変換部1003は、第1の伝送レート要求用信号生成部104及び選択部1002から入力された直列データ形式のCQIを並列データ形式のCQIに変換する。P/S変換部1003は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部1003は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。
送信部109は、P/S変換部1003から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット若しくは全ビット、及び送信信号を、アンテナ110を介して送信する。
<CQIの送信方法>
本発明の実施の形態4におけるCQIの送信方法について、図11を用いて説明する。
通信端末装置1000は、通信開始時刻t0後において、隣接セルの基地局装置に対して最初にCQIを送信する場合には、CQIの全ビット(例えば、5ビット)を送信する。通信端末装置1000は、隣接セルの基地局装置に対して最初にCQIを送信する場合以外の場合には、隣接セルの基地局装置に対してCQIの下位ビット(例えば、下位2ビット)のみを送信する。
ここで、隣接セルの基地局装置では、実際の回線には回線誤りが存在するため、通信端末装置1000から送信されたCQIに回線誤りが発生した場合、通信端末装置1000が要求する伝送レートとは異なる伝送レートを選択してしまう可能性がある。そこで、隣接セルの基地局装置では、CQIの回線誤りによる伝送レートの選択誤りを回避するために、CQIを複数回平均する処理を行うことが考えられる。しかし、この場合、隣接セルの基地局装置では、通信開始時にはCQIの受信サンプル数が少ないため、CQIの平均化効果が得られず、伝送レートの選択を誤る確率が高くなるという課題がある。本実施の形態では、上記課題を解決することができる。
<実施の形態4の効果>
本実施の形態では、通信開始時刻後において、隣接セルの基地局装置に対して、最初にCQIを送信する場合には、CQIの全ビットを送信することにより、隣接セルの基地局装置ではCQIの全ビットを用いて伝送レートを選択することができる。これにより、本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、伝送レートの選択を誤る確率を低減することができる。
<実施の形態4の変形例>
なお、本実施の形態において、隣接セルの基地局装置に対して、通信開始時刻後の最初にCQIを送信する際に、CQIの全ビットを送信したが、例えば、特定のタイミングとして、回線変動速度が速い時刻、つまり、CQIの値の変化が激しくなる時刻に、CQIの全ビットを送信してもよい。
また、本実施の形態において、通信開始時刻ではCQIの全ビットを送信したが、通信開始時刻において、CQIの下位ビットに加えて、CQIの全ビットのうちの下位ビット以外のビットの一部を選択して、下位ビットよりも多いビット数かつ全ビットよりも少ないビット数のCQIを送信してもよい。
(実施の形態5)
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態5に係る通信端末装置1200の構成について、図12を用いて説明する。通信端末装置1200は、制御信号の送信装置である。
図12に示す通信端末装置1200は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置100と比較して、システム制御部1202及びセル移動制御部1203を追加し、選択部106の代わりに選択部1204を有し、受信部102の代わりに受信部1201を有し、P/S変換部108の代わりにP/S変換部1205を有している。なお、図12において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
通信端末装置1200は、アンテナ101と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、符号化及び変調部107と、送信部109と、アンテナ110と、受信部1201と、システム制御部1202と、セル移動制御部1203と、選択部1204と、P/S変換部1205とから主に構成されている。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部1205に出力する。
受信部1201は、アンテナ101を介して、図示しない在圏セルの基地局装置及び隣接セルの基地局装置から受信した信号に対して受信処理を施し、受信処理後の信号を回線品質推定部103及びシステム制御部1202に出力する。
システム制御部1202は、受信部1201から入力された信号に、通信端末装置1200がセル間の移動を完了したメッセージが含まれている場合に、制御信号を生成してセル移動制御部1203に出力する。
セル移動制御部1203は、システム制御部1202から制御信号が入力された際に、セル移動を行ったことを示すセル移動情報を選択部1204に出力する。即ち、セル移動情報は、在圏セルが変更されたことを示す情報である。
回線品質推定部103は、受信部1201から入力された在圏セルの基地局装置からの信号を用いて、通信端末装置1200と在圏セルの基地局装置との間の回線品質を推定し、推定結果を第1の伝送レート要求用信号生成部104に出力する。回線品質推定部103は、受信部1201から入力された隣接セルの基地局装置からの信号を用いて、通信端末装置1200と隣接セルの基地局装置との間の回線品質を推定し、推定結果を第2の伝送レート要求用信号生成部105に出力する。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットをP/S変換部1205に出力する。なお、第1の伝送レート要求用信号生成部104における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットのうちの下位ビットのみを選択部1204に出力する。なお、第2の伝送レート要求用信号生成部105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
選択部1204は、セル移動制御部1203から入力されるセル移動情報に基づいて、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットまたは下位ビットを選択する。
具体的には、選択部1204は、隣接セルの基地局装置に対して、セル移動後において、最初に隣接セルの基地局装置に対してCQIを送信する場合には、CQIの全ビットを選択してP/S変換部1205に出力する。選択部1204は、セル移動後において、最初に隣接セルの基地局装置に対してCQIを送信する場合以外の場合には、CQIの下位ビットを選択してP/S変換部1205に出力する。
P/S変換部1205は、第1の伝送レート要求用信号生成部104及び選択部1204から入力された直列データ形式のCQIを並列データ形式のCQIに変換する。S/P変換部1206は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部1205は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。
送信部109は、P/S変換部1205から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット若しくは全ビット、及び送信信号を、アンテナ110を介して送信する。
<CQIの送信方法>
本発明の実施の形態5におけるCQIの送信方法について、図13を用いて説明する。
本実施の形態では、通信端末装置は、セル移動を行った場合には、CQIの全ビットを送信する。
具体的には、通信端末装置1200は、図13に示すように、セル移動を行った後において最初に隣接セルの基地局装置に対してCQIを送信する場合(時刻t1においてCQIを送信する場合)には、CQIの全ビット(5ビット)を送信する。通信端末装置1200は、時刻t1以外の時刻において隣接セルの基地局装置に対してCQIを送信する場合には、CQIの下位ビット(下位2ビット)のみを送信する。
ここで、上記実施の形態4と同様に、CQIを複数回平均する処理を行う場合、隣接セルの基地局装置では、セル移動直後にはCQIの受信サンプル数が少ないため、CQIの平均化効果が得られず、伝送レートの選択を誤る確率が高くなるという課題がある。本実施の形態では、上記課題を解決することができる。
<実施の形態5の効果>
本実施の形態では、セル移動後において、隣接セルの基地局装置に対して、最初にCQIを送信する場合には、CQIの全ビットを送信することにより、隣接セルの基地局装置ではCQIの全ビットを用いて伝送レートを選択することができる。これにより、本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、伝送レートの選択を誤る確率を低減することができる。
<実施の形態5の変形例>
なお、本実施の形態において、隣接セルの基地局装置に対して、セル移動後において最初にCQIを送信する際に、CQIの全ビットを送信したが、例えば、セル移動後において回線変動速度が速い時刻、つまり、CQIの値の変化が激しくなる時刻に、CQIの全ビットを送信してもよい。
また、本実施の形態において、セル移動後の最初にCQIを送信する場合にはCQIの全ビットを送信したが、セル移動後の最初にCQIを送信する場合において、CQIの下位ビットに加えて、CQIの全ビットのうちの下位ビット以外のビットの一部を選択して、下位ビットよりも多いビット数かつ全ビットよりも少ないビット数のCQIを送信してもよい。
(実施の形態6)
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態6に係る通信端末装置1400の構成について、図14を用いて説明する。通信端末装置1400は、制御信号の送信装置である。
図14に示す通信端末装置1400は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置100と比較して、データ制御部1401を追加し、選択部106の代わりに選択部1402を有し、P/S変換部108の代わりにP/S変換部1403を有している。なお、図14において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
通信端末装置1400は、アンテナ101と、受信部102と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、符号化及び変調部107と、送信部109と、アンテナ110と、データ制御部1401と、選択部1402と、P/S変換部1403とから主に構成されている。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部1403に出力する。
データ制御部1401は、これから送信しようとする送信データ(第2の送信データ)が他の送信データ(第1の送信データ)より良好な通信品質を要求されるデータであるか否かを示すデータ種別情報を選択部1402に出力する。
ここで、良好な通信品質を要求されるデータは、例えば、制御情報、再送情報、再送に使用されるAck若しくはNack情報、MBMS情報(マルチキャスト情報またはブロードキャスト情報)、または、誤り訂正としてターボ符号を用いた場合におけるシステマティックビット等がある。
良好な通信品質を要求されるデータについては、他のデータより高精度なCQIが要求されるため、隣接セルに対するCQIの全ビットを送信することが望ましい。そのため、良好な通信品質を要求されるデータが送信される場合には、CQIの送信データ量が増加する。しかしながら、良好な通信品質が要求されるデータは、他のデータに比べて送信データ量が非常に少ない。従って、良好な通信品質が要求されるデータの送信が完了した際にCQIの下位ビットのみを送信するように制御することで、CQIの送信データ量の増加は少なくてすむ。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットをP/S変換部1403に出力する。なお、第1の伝送レート要求用信号生成部104における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットを選択部1402に出力する。なお、第2の伝送レート要求用信号生成部105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
選択部1402は、データ制御部1401から入力されるデータ種別情報に基づいて、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットまたは下位ビットを選択する。
具体的には、選択部1402は、これから送信しようとする送信データが他の送信データよりも良好な通信品質が要求される場合には、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビットを選択してP/S変換部1403に出力する。選択部1402は、これから送信しようとする送信データが他の送信データよりも良好な通信品質が要求されない場合には、CQIの下位ビットを選択してP/S変換部1403に出力する。
P/S変換部1403は、第1の伝送レート要求用信号生成部104及び選択部1402から入力された直列データ形式のCQIを並列データ形式のCQIに変換する。P/S変換部1403は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部1403は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。
送信部109は、P/S変換部1403から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット若しくは全ビット、及び送信信号を、アンテナ110を介して送信する。
<実施の形態6の効果>
本実施の形態によれば、良好な通信品質を要求されるデータを送信する際に、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビットを送信することにより、CQIの送信データ量をほとんど増加することなく、良好な通信品質を要求されるデータの通信品質を改善することができる。
<実施の形態6の変形例>
本実施の形態において、良好な通信品質が要求されるデータを送信する際に、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビットを送信したが、隣接セルの基地局装置から良好な通信品質を要求される情報を受信する際においても、隣接セルの基地局装置に対してCQIの全ビットを送信してもよい。
また、本実施の形態において、通信方式としてOFDM等のマルチキャリア通信方式を用いた場合、隣接セルにおける特定のサブキャリアあるいは特定のサブキャリアグループにおいては、CQIの全ビットを送信することも可能である。例えば、通信端末装置は、特定のサブキャリアあるいは特定のサブキャリアグループにおいて、良好な通信品質を要求されるデータを送信している場合には、隣接セルの基地局装置に対して前記特定のサブキャリア若しくは前記特定のサブキャリアグループについてCQIの全ビットを送信することも可能である。
また、本実施の形態において、良好な通信品質を要求されるデータを送信する際にCQIの全ビットを選択したが、良好な通信品質を要求されるデータを送信する際において、CQIの下位ビットに加えて、CQIの全ビットのうちの下位ビット以外のビットの一部を選択して、下位ビットよりも多いビット数かつ全ビットよりも少ないビット数のCQIを送信してもよい。
(実施の形態7)
<通信端末装置の構成>
本発明の実施の形態7に係る通信端末装置1500の構成について、図15を用いて説明する。通信端末装置1500は、制御信号の送信装置である。
図15に示す通信端末装置1500は、図2に示す実施の形態1に係る通信端末装置100と比較して、伝送レート要求用信号判定部1501を追加し、選択部106の代わりに選択部1502を有し、P/S変換部108の代わりにP/S変換部1503を有している。なお、図15において、図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
通信端末装置1500は、アンテナ101と、受信部102と、回線品質推定部103と、第1の伝送レート要求用信号生成部104と、第2の伝送レート要求用信号生成部105と、符号化及び変調部107と、送信部109と、アンテナ110と、伝送レート要求用信号判定部1501と、選択部1502と、P/S変換部1503とから主に構成されている。
符号化及び変調部107は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部107は、変調後の送信信号をP/S変換部1503に出力する。
第1の伝送レート要求用信号生成部104は、生成したCQIの全ビットをP/S変換部1503に出力する。なお、第1の伝送レート要求用信号生成部104における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
第2の伝送レート要求用信号生成部105は、生成したCQIの全ビットを伝送レート要求用信号判定部1501及び選択部1502に出力する。なお、第2の伝送レート要求用信号生成部105における上記以外の構成は上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
伝送レート要求用信号判定部1501は、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力された、前回のCQIの全ビットと今回のCQIの全ビットとを比較する。伝送レート要求用信号判定部1501は、比較の結果、前回のCQIの最上位桁に対応するビット(以下、「最上位ビット」と記載する)の値に対して今回のCQIの最上位ビットの値が変化したか否かを判定する。伝送レート要求用信号判定部1501は、CQIの最上位ビットの値が変化したと判定した場合には、CQIの全ビットを送信するように選択部1502に指示する。伝送レート要求用信号判定部1501は、CQIの最上位ビットの値が変化していないと判定した場合には、CQIの下位ビットのみを送信するように選択部1502に指示する。
選択部1502は、伝送レート要求用信号判定部1501からの指示に基づいて、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットまたは下位ビットを選択する。
具体的には、選択部1502は、CQIの全ビットを送信するように伝送レート要求用信号判定部1501から指示された場合には、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの全ビットを選択してP/S変換部1503に出力する。選択部1502は、CQIの下位ビットのみを送信するように伝送レート要求用信号判定部1501から指示された場合には、第2の伝送レート要求用信号生成部105から入力されたCQIの下位ビットを選択してP/S変換部1503に出力する。
通信端末装置1500は、CQIの全ビットが送信されることを隣接セルの基地局装置に対して通知する必要がある。従って、選択部1502は、CQIの最上位ビットが変化したか否かを示す制御情報を付加したCQIをP/S変換部1503に出力する。ここで、上記制御情報は、CQIの最上位ビットの変化の有無を示す1ビット(「0」または「1」)でよいので、送信データ量の増加を最小限に抑えることができる。
P/S変換部1503は、第1の伝送レート要求用信号生成部104及び選択部1502から入力された直列データ形式のCQIを並列データ形式のCQIに変換する。S/P変換部1504は、並列データ形式に変換したCQIを送信部109に出力する。P/S変換部1503は、符号化及び変調部107から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部109に出力する。
送信部109は、P/S変換部1503から入力された、在圏セルのCQIの全ビット、隣接セルのCQIの下位ビット若しくは全ビット、及び送信信号を、アンテナ110を介して送信する。
<CQIの値の変化について>
本発明の実施の形態7におけるCQIの値の変化について説明する。
CQIの値を表す複数のビットのうちの最上位ビットは、最も大きい値を表す。また、CQIの最上位ビットが変化する時刻では、CQIの最上位ビット以外の全てのビットが変化する可能性が高い。例えば、5ビットのCQIにおいて、「01111」から1つ値が上がると「10000」となり、CQIの最上位ビットが「0」から「1」に変化するとともに、CQIの最上位ビット以外のすべてのビットが「1111」から「0000」に変化する。CQIが「10000」から「01111」に変化する場合も同様である。
ここで、通信端末装置1500が隣接セルの基地局装置に対してCQIの下位ビットのみを送信した際に、CQIの上位ビットを送信しない時刻に生成されるCQIの最上位ビットが、前回生成されたCQIの最上位ビットから変化してしまうことがあり得る。この場合、隣接セルの基地局装置は、受信したCQIを、実際のCQIと全く異なる値として特定してしまい、実際に通信端末装置1500が要求する伝送レートと異なる伝送レートを選択してしまうという課題がある。本実施の形態では、CQIの最上位ビットが変化する時刻では、CQIの全ビットを送信することにより、上記課題を解決することができる。
<実施の形態7の効果>
本実施の形態では、CQIの最上位ビットの値が変化する場合において、通信端末装置はCQIの全ビットを送信し、隣接セルの基地局装置はCQIの全ビットを受信する。これにより、本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果に加えて、実際に通信端末装置が要求する伝送レートと異なる伝送レートを誤って選択してしまうことを防ぐことができ、適切な伝送レートを確実に選択することができる。
<実施の形態7の変形例>
本実施の形態において、CQIの最上位ビットの値が変化した際にCQIの全ビットを送信したが、CQIの最上位ビットの値が変化した際において、CQIの下位ビットに加えて、CQIの全ビットのうちの下位ビット以外のビットのうち、少なくとも最上位ビットを含む一部のビットを選択して、下位ビットよりも多いビット数かつ全ビットよりも少ないビット数のCQIを送信してもよい。
<実施の形態1〜実施の形態7に共通の変形例>
上記実施の形態1〜実施の形態7において、CQIの送信データ量を削減したが、CQI以外の他の制御信号の送信データ量を削減してもよい。例えば、3GPP規格(TS36.213 7.2参照)の通信システムでは、CQIに付随して、precoding matrix indicatorまたはrank indicationのような制御信号も通信相手に通知する場合がある。上記実施の形態1〜実施の形態7において、CQI以外の上記制御信号に対しても、CQIと同様に適用可能である。CQIの送信データ量を削減することに加えて、CQI以外の上記制御信号についても、隣接セルの基地局装置に対しては下位ビットのみ送信するか、または送信しないようにすることにより、消費電力及び与干渉を更に低減することができる。
また、上記実施の形態1〜実施の形態7において、隣接セルの基地局装置は、隣接セルのCQIの全ビットもしくは在圏セルのCQIの全ビットを、各実施の形態に記載した所定のタイミング及び経路で取得し、その上位ビットを隣接セルのCQIの上位ビットとして使用していた。しかし、上位ビットの取得手順はこれに限られるものではない。例えば、隣接セルの基地局装置は、CQIの全ビットではなく上位ビットのみを取得しても良いし、上位ビットを複数回に分けて取得しても良い。すなわち、隣接セルの基地局装置は、CQIの下位ビット以外のビットが含まれる情報を取得すればよく、それがCQIの全ビットである必要はない。なお、通信の開始直後など隣接セルにて使用可能な上位ビットの情報が不足している場合には、通信環境が悪い場合に相当するビットの値(上述した各実施の形態では「0」)を、上位ビットの仮の値として用いてもよい。
(実施の形態8)
<実施の形態8の概要>
上記実施の形態1〜実施の形態7は、通信端末装置から在圏セルおよび隣接セルのそれぞれの基地局装置に送信される制御信号に関するものであった。しかし、実施の形態1〜実施の形態7と同様の思想は、基地局装置から通信端末装置に送られる制御信号に対しても適用できる。本実施の形態は、基地局装置から通信端末装置に送信される制御信号に関するものである。
このような制御信号としては、例えば3GPP規格(TS25.331 10.3.6.41b参照)におけるPower Offset for S-CPICH for MIMO(以下、「送信電力オフセット信号」と記載する)がある。送信電力オフセット信号は、第1共通パイロットチャネル信号であるプライマリ共通パイロットチャネル(以下、「P−CPICH」と記載する)信号と、第2共通パイロットチャネル信号であるセカンダリ共通パイロットチャネル(以下、「S−CPICH」と記載する)信号との送信電力差を示す。なお、以下では、P−CPICHとS−CPICHとを総称してCPICHとも記載する。
P−CPICHは、MIMO動作に対応しているか否かに関わらず、全ての通信端末装置において使用可能なパイロットチャネルである。一方、S−CPICHは、MIMO動作に対応している通信端末装置においてMIMOの各サブストリームにおける通信環境の推定に用いるパイロットチャネルであり、MIMO非対応の通信端末装置では使用されない。
MIMO非対応の通信端末装置にとっては、S−CPICHはP−CPICHに対して干渉する邪魔な信号でしかない。従って、基地局装置は、セル内のMIMO対応及び非対応の通信端末装置の状況等に応じて、S−CPICHの送信電力を低減することによりP−CPICHに対する干渉を抑制する制御を行うことがある。送信電力オフセット信号は、この低減量(送信電力オフセット)を示すものである。MIMOに対応している通信端末装置は、受信した送信電力オフセット信号に基づいてS−CPICHの電力がどの程度抑えられているのかを確認し、S−CPICHの受信時に、どの程度S−CPICHを増幅すべきか等を判断する。そして、MIMOに対応している通信端末装置は、増幅したS−CPICHを用いて伝搬路補償処理を行う。
3GPP規格では、送信電力オフセット信号は、3ビットで表されている。しかし、P−CPICHとS−CPICHとの送信電力オフセットが小さい場合には、上位桁を示すビットが「0」となり、上位桁が実質的に不要となる可能性が高い。
ここで、Dual Cell動作している通信端末装置は、セルの境界付近に存在しているために通信環境が安定して悪い状況にある。そのため、Dual Cell動作している通信端末装置は、S−CPICHの送信電力が低減された場合、S−CPICHの受信自体が困難になる可能性が高い。従って、基地局装置は、Dual Cell動作している通信端末装置が存在する場合、P−CPICHと比べてS−CPICHの電力をほとんど下げないよう制御する。すなわち、基地局装置は、送信電力オフセットが小さく上位ビットが「0」となる状態を継続させると考えられる。そのため、本実施の形態に係る基地局装置は、Dual Cell動作している通信端末装置が存在する場合には、上位ビットを送らないことにより、不要なビットの送信を抑えスループットの改善を図る。
<通信システムの構成>
本発明の実施の形態8における通信システム1700の構成について、図16を用いて説明する。
図16より、通信端末装置1670は、MIMOに対応しており、基地局装置1650のセルS3のセルエッジに存在している。通信端末装置1660は、MIMOに対応しており、基地局装置1600のセルS4に存在している。
基地局装置1650は、通信端末装置1670を含むセルS3の全ての通信端末装置に対して、セルS3用のCPICHを送信する(#11)。また、基地局装置1650は、通信端末装置1670を含むセルS3のMIMOに対応している通信端末装置に対して、セルS3用の送信電力オフセット信号を送信する(#11)。
基地局装置1600は、通信端末装置1660を含むセルS4の全ての通信端末装置に対して、セルS4用のCPICHを送信する(#12)。また、基地局装置1600は、通信端末装置1660を含むセルS4のMIMOに対応している通信端末装置に対して、セルS4用の送信電力オフセット信号を送信する(#12)。ここで、セルS4は、基地局装置1600から見て自セルである。
基地局装置1600は、通信端末装置1670を含むセルS3の全ての通信端末装置に対して、セルS3用のCPICHを送信する(#13)。また、基地局装置1600は、通信端末装置1670を含むセルS3のMIMOに対応している通信端末装置に対して、セルS3用の送信電力オフセット信号を送信する(#13)。ここで、セルS3は、基地局装置1600から見て隣接セルである。
基地局装置1600が送信するセルS3用の送信電力オフセット信号は、基地局装置1650が送信するセルS3用の送信電力オフセット信号と同一である。ただし、一般的に各セルは重複が少なくなるよう配置されているので、基地局装置1600が送信するセルS3用の送信電力オフセット信号は、セルS3のセルエッジに存在する通信端末装置のみが受信できる。通信端末装置1670は、受信したセルS3用のCPICH及びセルS3用の送信電力オフセット信号が、基地局装置1600から送信されたものであるのか、基地局装置1650から送信されたものであるのかを区別することができない。これは、Dual Cell動作では、どちらの基地局装置からも同一の信号が送信されるためである。従って、通信端末装置1670は、受信したセルS3用のCPICH及びセルS3用の送信電力オフセット信号を、マルチパスで直接波と反射波とが届いた場合と同様に処理する。
即ち、図16の場合、基地局装置1600は、セルS4用の送信電力オフセット信号の送信(#12の送信)と、セルS3用の送信電力オフセット信号の送信(#13の送信)とを行う。Dual Cell動作している通信端末装置1670は、セルS3の境界付近に存在しているために通信環境が安定して悪い状況にある。従って、基地局装置1600が送信するセルS3用の送信電力オフセット信号のオフセット値は、基地局装置1600が送信するセルS4用の送信電力オフセット信号のオフセット値よりも小さくなる。この結果、基地局装置1600が送信するセルS3用の送信電力オフセット信号のオフセット値のビット数は、基地局装置1600が送信するセルS4用の送信電力オフセット信号のオフセット値のビット数に比べて低減することができる。
<基地局装置の構成>
本発明の実施の形態8に係る基地局装置1600の構成について、図17を用いて説明する。図17の基地局装置1600は、図16の基地局装置1600と同一であり、制御信号の送信装置である。
基地局装置1600は、符号化及び変調部1601と、第1の送信電力オフセット信号生成部1602と、第2の送信電力オフセット信号生成部1603と、P/S変換部1605と、送信部1606と、アンテナ1607とから主に構成されている。
符号化及び変調部1601は、入力された送信信号に対して、符号化処理及び変調処理を施す。そして、符号化及び変調部1601は、変調後の送信信号をP/S変換部1605に出力する。
第1の送信電力オフセット信号生成部1602は、P−CPICH信号と、S−CPICH信号との送信電力差を示す送信電力オフセット信号を生成してP/S変換部1605に出力する。第1の送信電力オフセット信号生成部1602が生成する送信電力オフセット信号は、自セル(図16のセルS4)に存在する通信端末装置に対して送信される信号であり、自セルに存在する通信端末装置と基地局装置1600との間における通信の制御に用いられる。
第2の送信電力オフセット信号生成部1603は、P−CPICH信号とS−CPICH信号との送信電力差を示す送信電力オフセット信号を生成して選択部1604に出力する。第2の送信電力オフセット信号生成部1603が生成する送信電力オフセット信号は、基地局装置1600の隣接セル(図16のセルS3)に存在する通信端末装置(図16の通信端末装置1670)に対して送信される信号であり、隣接セルに存在する通信端末装置と隣接セルの基地局装置(図16の基地局装置1650)との間における通信の制御に用いられる。第2の送信電力オフセット信号生成部1603が生成する送信電力オフセット信号は、第1の送信電力オフセット信号生成部1602が生成する送信電力オフセット信号と比較して、送信電力差が小さいためビット数が少ない。
選択部1604は、第2の送信電力オフセット信号生成部1603から入力されたCQIの下位ビットを選択し、選択した下位ビットをP/S変換部1605に出力する。選択部1604において下位ビットを選択することにより、ここで、隣接セルに存在する通信端末装置に対して送信するS−CPICHの送信電力は、上記で説明したように、自セルに存在する通信端末装置に対して送信するS−CPICHの送信電力よりも大きくする必要がある。従って、隣接セルに存在する通信端末装置に対して送信する送信電力オフセット信号が示す値は、自セルに存在する通信端末装置に対して送信する送信電力オフセット信号が示す値よりも小さい。この結果、隣接セルに存在する通信端末装置は、下位ビットのみの送信電力オフセット信号を受信しても、S−CPICHを正しく増幅して精度良く伝搬路補償処理を行うことができる。
P/S変換部1605は、第1の送信電力オフセット用信号生成部1602及び選択部1604とから入力された直列データ形式の送信電力オフセット信号を、並列データ形式の送信電力オフセット信号に変換する。S/P変換部1604は、並列データ形式に変換した送信電力オフセット信号を送信部1606に出力する。P/S変換部1605は、符号化及び変調部1601から入力された変調後の送信信号を直列データ形式から並列データ形式に変換して送信部1606に出力する。
送信部1606は、P/S変換部1605から入力された、自セルの通信端末装置に対する送信電力オフセット信号、隣接セルの通信端末装置に対する送信電力オフセット信号、及び送信信号に対して送信処理を施す。送信部1606は、送信処理を施した自セルの通信端末装置に対する送信電力オフセット信号、隣接セルの通信端末装置に対する送信電力オフセット信号、及び送信信号を、アンテナ1607を介して送信する。
<送信電力オフセット信号の送信方法>
本発明の実施の形態8における送信電力オフセット信号の送信方法について、図18を用いて説明する。
第1の送信電力オフセット信号生成部1602は、図18に示すように、自セル(図16のセルS4)に在圏する通信端末装置に対して、送信電力差d1を通知する送信電力オフセット信号を生成する。そして、基地局装置1600は、送信電力差d1の送信電力オフセット信号を自セルに在圏する通信端末装置に対して送信する。
第2の送信電力オフセット信号生成部1603は、隣接セル(図16のセルS3)に在圏する通信端末装置に対して、送信電力差d2(d1>d2)を通知する送信電力オフセット信号を生成する。そして、基地局装置1600は、送信電力差d2の送信電力オフセット信号を隣接セルに在圏する通信端末装置に対して送信する。
因みに、従来、基地局装置は、隣接セルの通信端末装置に対して、自セルの通信端末装置と同一範囲の送信電力差を示す送信電力オフセット信号を送信していた。従って、例えば、送信電力オフセット信号の1回の送信当たりの送信データ量を3ビットとし、2msec毎に送信電力オフセット信号を送信し、隣接セル数が3であり、かつ送信電力オフセット信号の送信対象となる通信端末装置の数が500の場合、従来、1ユーザ当たりの送信電力オフセット信号の送信データ量は、1sec当たり4500(3ビット×3セル×500)ビットになる。本実施の形態では、上記送信データ量を削減することができる。
また、本実施の形態に係る基地局装置は、Dual Cell動作を行っている通信端末装置に対してS−CPICHをより確実に届けるために、Dual Cell動作を行っている通信端末装置に送信する送信電力オフセット信号のオフセットの値を小さくした。ここで、P−CPICHおよびS−CPICHは、基地局装置が通信可能な全ての通信端末装置に送信されるパイロットチャネルであるため、Dual Cell動作していない通信端末装置に対しても同様の制御が一括して行われる。その結果、MIMO非対応の通信端末装置は、P−CPICHに対してS−CPICHが干渉し易くなり、P−CPICHを復号し難くなるという悪影響が生じる。しかし、セルの中心付近に存在するMIMO非対応の通信端末装置は、P−CPICHを強い電力で受信できるので、S−CPICHをノイズとみなしてキャンセルすることが可能である。また、セルの境界付近に存在するMIMO非対応の通信端末装置は、S−CPICHの干渉の有無に関わらず、P−CPICHの受信が困難である可能性が高い。従って、本実施の形態では、基地局装置が本実施の形態の動作を行った場合であっても、MIMO非対応の通信端末装置に対する悪影響は限定的であり、システム全体における通信環境は改善される。
<実施の形態8の効果>
本実施の形態では、基地局装置から隣接セルの通信端末装置に対して送信する送信電力オフセット信号により通知する送信電力差を、基地局装置から自セルの通信端末装置に対して送信する送信電力オフセット信号により通知する送信電力差よりも小さくする。これにより、制御信号の送信データ量を少なくすることにより、他の通信端末装置に与える干渉量を抑制することができる。
また、本実施の形態では、隣接セルの通信端末装置は自セルと隣接セルとの境界に居るので、P−CPICHの送信電力とS−CPICHの送信電力との送信電力差はそれほど大きくならない。これにより、基地局装置から隣接セルの通信端末装置に対して送信する送信電力オフセット信号により通知する送信電力差を小さくしたにも関わらず、MIMOに非対応の通信端末装置に対して与える干渉を防ぐことができる。
<実施の形態8の変形例>
本実施の形態において、共通パイロットチャネルの送信電力オフセット信号の送信データ量を削減したが、他の制御信号についても同様の手順によって送信データ量を削減することができる。
<実施の形態1〜実施の形態8に共通の変形例>
上記実施の形態1〜実施の形態8では、制御信号の下位ビットのみを選択して送信することでデータ量の削減を図った。しかし、制御信号のフォーマットによっては、下位ビットが必ずしも制御信号の値の下位桁を示さない場合がある。この場合には、下位桁を示すビットのみを選択して送信する。なお、制御信号を送信する各装置が選択して送信する対象は、より一般的には、制御信号のビットのうち下位桁に対応するビットである。