JP6106061B2 - 腐食電位センサ - Google Patents

腐食電位センサ Download PDF

Info

Publication number
JP6106061B2
JP6106061B2 JP2013208712A JP2013208712A JP6106061B2 JP 6106061 B2 JP6106061 B2 JP 6106061B2 JP 2013208712 A JP2013208712 A JP 2013208712A JP 2013208712 A JP2013208712 A JP 2013208712A JP 6106061 B2 JP6106061 B2 JP 6106061B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
corrosion potential
potential sensor
electrical insulator
water
reactor water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013208712A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015072228A (ja
JP2015072228A5 (ja
Inventor
正彦 橘
正彦 橘
石田 一成
一成 石田
太田 信之
信之 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi GE Nuclear Energy Ltd filed Critical Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
Priority to JP2013208712A priority Critical patent/JP6106061B2/ja
Publication of JP2015072228A publication Critical patent/JP2015072228A/ja
Publication of JP2015072228A5 publication Critical patent/JP2015072228A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6106061B2 publication Critical patent/JP6106061B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

本発明は、腐食電位センサに係り、特に、原子力発電プラントに適用するのに好適な腐食電位センサに関する。
原子力発電プラントにおいて、ステンレス鋼およびニッケル基合金等は構造材と呼ばれ、原子炉機器および配管等の構造部材に用いられる。これらの構造材は、特定の条件下で応力腐食割れ(SCC)の感受性を示す。そこで、原子力発電プラントの健全性を維持するために、SCCの抑制策が適用されている。また、近年では、原子力発電プラントの設備利用率の向上および長寿命化のような経済性向上の観点からも、SCCの抑制策が適用されている。SCC抑制策には、材料の耐食性向上、応力の改善、あるいは腐食環境の緩和を目的とした技術がある。
沸騰水型原子力発電プラントでは、SCC抑制策の1つとして、沸騰水型原子力発電プラントの構造部材に接触する原子炉冷却材(以下、炉水と記載する)の腐食環境を改善する水素注入が、広く用いられている。特許第2687780号公報は、水素注入の一例を記載している。原子炉内の炉水は、炉水の放射線分解により生成されて構造部材の腐食の原因となる酸素および過酸化水素を含んでいる。酸素および過酸化水素が腐食環境を形成している。水素注入は、給水配管等を介して炉水に水素を注入し、炉水に含まれている酸素および過酸化水素を注入された水素と反応させて水に戻す技術である。その反応により炉水中の酸素および過酸化水素の濃度が低下する結果、炉水に接触する構造部材の腐食電位(ECP)が低下し、構造部材におけるSCCの発生および進展が緩和される。
水素注入を実施した際における腐食電位の低下をさらに促進させる技術として、例えば、特開平4−223299号公報に記載された白金族貴金属元素を炉水に注入する技術(貴金属注入技術)が知られている。貴金属注入技術は水素注入技術と併用され、白金族貴金属元素が有する水素の電気化学反応への触媒作用を利用して、水素注入による腐食電位の低減幅をさらに大きくする。
これらの炉水の腐食環境を低減させるSCC抑制策の効果を確認するためには、構造部材の腐食電位を測定する必要がある。そこで、原子炉内あるいは原子炉に接続された配管に腐食電位センサを設置し、腐食電位センサを用いて構造部材の腐食電位を測定することが行われている。腐食電位センサは、使用条件下で、酸素および過酸化水素の濃度とは無関係に腐食電位測定の基準となる一定の電位(基準電位)を発生する。このため、腐食電位センサは、基準電極、参照電極、または照合電極と呼ばれている。沸騰水型原子力発電プラントの構造部材が接触する炉水の温度、炉水に含まれる酸素、過酸化水素および水素のそれぞれの濃度、および流れている炉水の流速の条件下で構造部材が有する電位と、腐食電位センサの有する基準電位との電位差を、電位差計を用いて測定することによって、その構造部材の腐食電位を知ることができる。
従来の腐食電位センサの例が、Proceedings of International Symposium on Plant Aging and Life Prediction of Corrodible Structures, May 15-18, 1995, Sapporo Japan, p413 JSCE-NACE (1995)に記載されている。腐食電位センサの他の例が、特開2000−65785号公報に記載されている。
特開2000−147184号公報に記載された水質センサ(腐食電位センサ)は、単結晶イットリニア安定化ジルコニウムで作られた蓋を、円筒状の電気絶縁体(単結晶イットリニア安定化ジルコニウム製)の先端部に取り付け、低熱膨張係数のコバールで作られた外部スリーブを電気絶縁体にロウ付けしている。さらに、電極ボディーが外部スリーブに取り付けられている。銀塩化銀電極が電気絶縁体内に配置され、電極ボディーの外部に導かれる芯線が銀塩化銀電極に接続されている。従来、電気絶縁体を構成していたサファイアは腐食減肉量が大きく、単結晶イットリニア安定化ジルコニウム製の電気絶縁体は腐食減肉量が小さくなっている。このため、特開2000−147184号公報に記載された、単結晶イットリニア安定化ジルコニウム製の電気絶縁体を設けた腐食電位センサは、センサの溶接部のシール性が損なわれて内部に水が浸入する可能性が低減される。
特開2009−42111号公報に記載された腐食電位センサは、管状の電気絶縁体の先端部に電極をロウ付けし、電気絶縁体の他端部に環状の金属筐体をロウ付けし、電気絶縁体と電極のろう付部および電気絶縁体と金属筐体のろう付部を酸化イットリニウム被覆層で覆っているため、各ロウ付け部の腐食を抑制することができ、腐食電位センサの寿命を伸ばすことができる。
特開2012−37364号公報に記載された腐食電位センサは、内部への水の浸入を検出するために診断用電極を内部に配置している。
特許第2687780号公報 特開平4−223299号公報 特開2000−65785号公報 特開2000−147184号公報 特開2009−42111号公報 特開2012−37364号公報
Proceedings of International Symposium on Plant Aging and Life Prediction of Corrodible Structures, May 15-18, 1995, Sapporo Japan, p413 JSCE-NACE (1995)
特開2012−37364号公報に記載されているように、腐食電位センサの溶接部(例えば、管状の電気絶縁体と管状の金属筺体の溶接部)にき裂等の不具合が生じ、この不具合個所から腐食電位センサ内に水が浸入した場合には、腐食電位センサの電極に接続された芯線と金属筺体が浸入した水によって電気的に接続され、腐食電位センサは芯線と金属筺体の間に電位を計測する。
特開2009−42111号公報に記載された腐食電位センサでは、電気絶縁体と電極のろう付部および電気絶縁体と金属筐体のろう付部のそれぞれの外面を酸化イットリニウム被覆層で覆うことによって、腐食電位センサ内への水の浸入を抑制している。このような腐食電位センサは、腐食電位センサの供用期間中において接合である上記ロウ付け部の炉水への接触を回避することができ、腐食電位センサの金属筐体内部への炉水の浸入を抑制でき、より長期間に亘って腐食電位センサの健全性を維持することができる。
各ロウ付け部を覆う酸化イットリニウム被覆層の形成は、化学気相成長法(CVDと称する)によって行われる。しかしながら、CVDを用いて施工対象部材の表面に被膜を形成する場合は、施工対象部材上での反応性を高めるため、施工対象部材の温度を高める必要がある。必要な温度は、常圧CVDおよび減圧CVDでは400〜800℃程度、プラズマCVDで250〜400℃程度である。管状の電気絶縁体と管状の金属筺体の接合部の表面への被覆は、電気絶縁体と金属筺体を接合した後に行う必要がある。このため、CVDによる被覆形成時において、接合された電気絶縁体および金属筺体に比較的急激な温度変化が生じ、電気絶縁体と金属筺体との急激な熱膨張差によりそれらの接合部が破損する可能性がある。また、急激な熱膨張差の発生を回避するため、緩慢な温度変化によって接合された電気絶縁体および金属筺体の温度を上昇させた場合には、被覆の形成に要する時間が長期化する。さらに、そのような対策を施しても腐食電位センサ内に水が浸入した場合には、前述したように、腐食電位センサの電極に接続された芯線と金属筺体の間に短絡回路が形成されるため、腐食電位センサは電位出力機能を喪失してしまう。
このため、電気絶縁体と金属筐体の供用中の最高温度以上の加熱を必要とせず、製造時間が短く、接合部にき裂が生じた場合において芯線と金属筐体の短絡を防ぐことができる腐食電位センサの実現が望まれている。
本発明の目的は、接合部に不具合が生じた場合においても内部への水の浸入を防ぐことができる腐食電位センサを提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、電気絶縁体と、電気絶縁体に接合された金属筺体と、電気絶縁体内に配置された電極および電気絶縁体に取り付けられた電極のいずれかの電極と、この電極に接続された電位信号を伝える芯線とを備えた腐食電位センサであって、
電気絶縁体と金属筺体の接合部の内面に面して配置された吸水反応物、および電気絶縁体と金属筺体の間に形成されてその第1接合部の内面に達する隙間内に配置された吸水反応物のいずれか金属筺体の内側に存在する腐食電位センサにある。
本発明によれば、腐食電位センサの接合部に不具合が生じた場合においても内部への水の浸入を防ぐことができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の腐食電位センサの構成図である。 実施例1の腐食電位センサおよび従来の腐食電位センサのそれぞれの接合部にき裂が生じた場合において検出される電位差の経時変化を示す説明図である。 沸騰水型原子力発電プラントで実測した、水素注入時における炉水中の溶存酸素濃度および構造部材の腐食電位と給水中の水素濃度との関係を示す説明図である。 従来の腐食電位センサの構成図である。 本発明の他の好適な実施例である実施例2の腐食電位センサの構成図である。 本発明の他の好適な実施例である実施例3の腐食電位センサの構成図である。
発明者らは、腐食電位センサの不具合の発生について検討を行った。この検討内容について説明する。
沸騰水型原子力発電プラントにおいて原子炉内の炉水への水素注入を実施したときの、原子炉に供給する給水の水素濃度に対する、サンプリング系によりサンプリングした炉水の溶存酸素濃度の変化、およびそのプラントの構造部材の腐食電位の変化の測定結果を、図3に示す。図3により、給水の水素濃度が上昇すると、炉水の溶存酸素濃度が低下し、それに追従して構造部材の腐食電位が低下する様子が分かる。したがって、腐食電位を精度良く測定するためには、腐食電位センサが不可欠であり、腐食電位センサが原子力発電プラントの運転条件で使用可能であることが求められる。
このため、原子力発電プラントでは、このプラントの構造部材の腐食電位を測定する場合に、測定に供している期間中の腐食電位センサの健全性を維持する必要がある。例えば、腐食電位センサを設置してから、原子力発電プラントの1運転サイクル(国により13カ月、18カ月、または24カ月等に規定されている)の運転期間において連続的にその構造部材の腐食電位を測定する場合がある。しかしながら、その運転期間における腐食電位の測定中に、腐食電位センサが、電位測定機能を喪失して電位を出力しなくなることがある。
図4は、従来の腐食電位センサ24を、原子力発電プラントにおいて原子炉圧力容器(図示せず)に接続された配管20に設置し、腐食電位センサ24によって配管20の腐食電位を測定している状態を示している。
この腐食電位センサ24は、先端が封鎖された円筒状の電気絶縁体2に円筒状の金属筐体3が接合されており、金属筐体3の端部が端栓4によって封鎖される。白金黒電極5が電気絶縁体2内で電気絶縁体2の封鎖された先端部に配置されている。A/Ag2O(銀/銀酸化物)焼結粉体が充填されたA/Ag2O焼結粉体層6が電気絶縁体2内に形成され、白金黒電極5に接続された白金製の芯線7がA/Ag2O焼結粉体層6を貫通している。鉱物絶縁ケーブル(MIケーブル)11が、端栓4を貫通して端栓4に取り付けられる。MIケーブル)11内の芯線12が、金属筐体3内で芯線7に接続される。
腐食電位センサ24は、配管20に取り付けられた円筒状のセンサ支持部材21に取り付けられる。すなわち、金属筐体3が、アダプタ22を介してセンサ支持部材21に取り付けられる。電気絶縁体2、および金属筐体3の一部が、センサ支持部材21内に配置される。電位差計13に接続されたリード線14は芯線12に接続される。電位差計13に接続されたリード線15は、接地された配管20に接続される。
原子力発電プラントの運転中、原子炉圧力容器内の炉水2は、配管23内を流れて原子炉圧力容器に戻される。この炉水23はセンサ支持部材21内に流入し、センサ支持部材21内に挿入されている電気絶縁体2および金属筐体3とセンサ支持部材21の内面との間には、炉水23が満たされている。
腐食電位センサ24が健全な場合には、電位差計13は、白金黒電極5が接触している電気絶縁体2とセンサ支持部材21の内面との間の経路Aにおける電位差を測定する。この測定された電位差が、原子力発電プラントの構造部材である配管20の腐食電位である。ところが、電気絶縁体2と金属筐体3のロウ付け部に不具合が発生し、金属筐体3内に炉水23が浸入した場合には、経路Aとは異なる経路で電位差が測定される。金属筐体3内への炉水23の浸入により、腐食電位センサ24内において金属筐体3と芯線12が短絡するため、電位差計13は経路Bにおける電位差を測定する。このため、経路Aにおける電位差が測定できなくなり、電位差計13は、経路Bで生じている、誤った電位差を測定しまうことになる。
しかしながら、腐食電位センサが前述のように誤った腐食電位を測定する状態になっても、その腐食電位センサを容易に交換することができない。原子力発電プラントにおいて、腐食電位センサを原子炉圧力容器内および原子炉圧力容器に接続された配管に設置するときは、前述したように、腐食電位センサの金属筐体3を、センサ支持部材21を介して配管20に溶接によって固定する。また、原子力発電プラントの運転中では、交換作業を行う従事者がそのような腐食電位センサの設置個所に接近することができない。このため、内部に炉水23が浸入した腐食電位センサ24を、原子力発電プラントの運転中において、健全な腐食電位センサと交換するために取り外すことはできない。
このような課題を改善してより長期間に亘って腐食電位センサの健全性を維持することを目的とした腐食電位センサが、特開2009−42111号公報に開示されている。この腐食電位センサは、前述したように、電気絶縁体と電極のろう付部および電気絶縁体と金属筐体のろう付部のそれぞれの外面を、酸化イットリニウム被覆層で覆っている。このような腐食電位センサにおいても、前述したように、水が内部に浸入した場合には芯線と金属筺体が短絡して構造部材の正常な腐食電位を測定することができなくなる。
発明者らは、上記した事項を考慮して、原子力発電プラントの運転中における内部への炉水の浸入による腐食電位センサの腐食電位測定機能の喪失を防ぐことができる腐食電位センサについて検討した。この検討の結果、腐食電位センサの、炉水が浸入する可能性の高い接合部の内側に位置するように、吸水して体積が増大する特性を有する吸水反応物を予め充填し、この接合部に不具合(例えば、き裂)が生じて腐食電位センサ内に炉水が浸入した場合には、浸入した炉水をその充填した吸水反応物に吸収させることによって、吸水反応物を水酸化物に変化させることで膨張させ、浸入した炉水がさらに内部に浸入することを抑止すればよいことを見出した。吸水反応物に浸入した炉水を吸水させることによって、腐食電位センサ内に浸入した炉水を除去することができ、さらに、吸水反応物が浸入した炉水を吸水することによって生成された水酸化物が炉水の浸入経路を封鎖するので、腐食電位センサ内への炉水のさらなる浸入を防ぐことができる。これにより、腐食電位センサ内に配置された芯線と腐食電位センサの金属筐体との短絡が防止され、接合部に不具合が生じても、腐食電位センサによる腐食電位の測定を継続して行うことができる。
腐食電位センサの接合部の内側に位置するように充填される吸水反応物としては、金属酸化物が好適であり、なかでも、MgOが好適である。MgOは、水を吸水することによって下記の式(1)に示された反応を生じ、水酸化物であるMg(OH)2を生成する。MgOの水への溶解量は0.00860mg/100mLであるのに対し、Mg(OH)2は0.00098mg/100mLと1桁低く、MgOよりもMg(OH)2の方がより安定な固体である。MgOが水を吸水することによって生成されるMg(OH)2の体積は、吸水する前のMgOの体積の2.2倍に増加する。
MgO+H2O→Mg(OH)2 …(1)
腐食電位センサの、炉水が浸入する可能性の高い接合部の内側に位置するように吸水反応物であるMgOを予め充填することによって、接合部の不具合によって腐食電位センサの内部に浸入した水とMgOが反応してMg(OH)2を生成する。生成されたMg(OH)2が接合部に生じたき裂を塞ぐため、このき裂を通してのさらなる水の浸入を防ぐことができる。また、き裂の発生によって腐食電位センサ内に浸入した水は、MgOとの反応に消費され、なくなってしまう。このため、不具合であるき裂が接合部に生じても、腐食電位センサによる腐食電位の測定が継続して行われる。
MgOの替りにベントナイトを用いてもよい。MgOおよびベントナイトは、水を吸水することによって体積が膨張する物質である。
以上の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の腐食電位センサを、図1を用いて説明する。本実施例の腐食電位センサ1は、ジルコニア隔膜型腐食電位センサであり、例えば、原子力発電プラントの構造部材の腐食電位の測定に適用される。
腐食電位センサ1は、先端が封鎖された円筒状の電気絶縁体2、円筒状の金属筐体3、白金黒電極5、A/Ag2O(銀/銀酸化物)焼結粉体層6、白金製の芯線7、炉水浸入経路形成部材9、およびMgO粉体(吸水反応物)10を備えている。42Alloy製の金属筐体3の一端部がジルコニア製の電気絶縁体2の開放端部にロウ付けにより接合されている。端栓4が、金属筐体3の他端部にロウ付けされ、金属筐体3の他端部を封鎖する。
A/Ag2O焼結粉体が充填されたA/Ag2O焼結粉体層6が、電気絶縁体2内に形成されている。白金黒電極5が、電気絶縁体2内でA/Ag2O焼結粉体層6と電気絶縁体2の先端部の間に配置される。封鎖部材8が、A/Ag2O焼結粉体層6を覆っており、A/Ag2O焼結粉体層6内のA/Ag2O焼結粉体の飛散を防止している。白金黒電極5は電気絶縁体2の内面に接触している。A/Ag2O焼結粉体層6を貫通する芯線7が、白金黒電極5に接続される。鉱物絶縁ケーブル(MIケーブル)11が、端栓4を貫通し、端栓4にロウ付けされる。鉱物絶縁ケーブル11の芯線12が、金属筐体3内で芯線7に接続される。
42Alloy製の炉水浸入経路形成部材9が、金属筐体3内に配置され、電気絶縁体2の端栓4側の端面にロウ付けにより取り付けられる。炉水浸入経路形成部材9は、金属筐体3、および芯線7および12と接触しない位置に配置されている。炉水浸入経路形成部材9が芯線12を取り囲んでいる。炉水浸入経路が、炉水浸入経路形成部材9の外面と金属筐体3の内面に間に形成される。MgO粉体10が、隙間である炉水浸入経路、すなわち、炉水浸入経路形成部材9の外面と金属筐体3の内面に間に配置される。本実施例では、MgO粉体10を充填した領域は、金属筐体3と電気絶縁体2のロウ付け接合部の内面に面した位置、具体的には、上記の炉水侵入経路に配置されている。
腐食電位センサ1が、原子力発電プラントの原子力圧力容器(図示せず)に接続された配管20に取り付けられる。具体的には、腐食電位センサ1の金属筐体3の外面に溶接された環状のアダプタ22が、配管20に溶接された円筒状のセンサ支持部材21に溶接にて取り付けられる。腐食電位センサ1は、電気絶縁体2が金属筐体3よりも下方に位置するように、配管20に取り付けられる。腐食電位センサ1の電気絶縁体2の先端の外面が、配管20の内面の位置に配置され、電気絶縁体2の先端が配管20の内部まで挿入されていない。電気絶縁体2、および金属筐体3の一部が、センサ支持部材21内に配置される。電位差計13に接続されたリード線14は芯線12に接続される。電位差計13に接続されたリード線15は、接地された配管20に接続される。
原子力発電プラントの運転中では、原子炉圧力容器内の炉水23が配管20内を流れ、この炉水23がセンサ支持部材21内に流入している。電気絶縁体2の外面、金属筐体3の、センサ支持部材21内に配置された部分の外面、および電気絶縁体2と金属筐体3のロウ付け部の外面が、センサ支持部材21内に存在する炉水23と接触している。
原子力発電プラントの運転中において腐食電位センサ1が健全な場合には、固体電解質である電気絶縁体2内をO2-が移動するため、腐食電位センサ1の内部に保持されたO2との電気化学反応を生じることで電位が規定される。この電位が、白金黒電極5によって検出され、芯線7および芯線12を通して介して腐食電位センサ1の外部に出力される。電位差計13に接続されたリード線15が接続された配管20の、炉水23と接触する内面においては、炉水23に含まれる酸素などの酸化剤濃度および炉水23の水素濃度に応じた電極電位が発生している。このため、白金黒電極5と配管20との間の経路Aで生じる電位差が電位差計13によって測定される。健全な腐食電位センサ1では、炉水浸入経路形成部材9が芯線7及び12と電気的に絶縁状態にあるため、電位差計13が、白金黒電極5と配管20との間の経路Aで生じる電位差を測定する。この電位差が、腐食電位センサ1を取り付けた位置での配管20の腐食電位を示している。
原子力発電プラントの運転中において腐食電位センサ1の電気絶縁体2と金属筐体3とのロウ付け接合部が破損し、センサ支持部材21内に存在する炉水23が金属筐体3内に浸入した場合には、この浸入した炉水23は、腐食電位センサ1内において、炉水浸入経路形成部材9の外面と金属筐体3の内面に間に形成された炉水浸入経路に達する。炉水浸入経路内にはMgO粉体10が充填されているため、炉水浸入経路に浸入した炉水が炉水浸入経路内のMgO粉体10に吸水され、MgOと炉水が式(1)で表された反応を生じることによって、Mg(OH)2がその炉水浸入経路内で生成される。
生成されたMg(OH)2がロウ付け接合部に生じた破損箇所(例えば、き裂)を塞ぐため、このき裂を通しての腐食電位センサ1内へのさらなる水の浸入を防ぐことができる。このように、本実施例では、内部に浸入した炉水を積極的にMgO粉体10に接触させて式(1)の水和反応を生じさせ、Mg(OH)2を生成させることによって、破損による腐食電位センサ1の内部への浸水を初期段階で抑止することができる。また、き裂の発生によって腐食電位センサ1内に浸入した水は、MgOとの反応に消費され、なくなってしまうため、浸入した炉水が腐食電位センサ1の内部で広がることを防止できる。すなわち、腐食電位センサ1内に浸入した水はMgO粉体10と反応するため、腐食電位センサ1内で炉水23が浸入する領域が限定された領域になる。特に、腐食電位センサ1は内部に電気絶縁体2の端栓4側の端面に炉水浸入経路形成部材9を取り付けているので、ロウ付け接合部の破損個所を通して腐食電位センサ1内に浸入した炉水23の浸入領域は、MgO粉体10が充填された、炉水浸入経路形成部材9の外面と金属筐体3の内面に間の炉水浸入経路に制限される。腐食電位センサ1内に浸入した炉水23は、この炉水浸入経路内において必ずMgO粉体10との上記の水和反応を生じさせる。
式(1)の反応により生成されたMg(OH)2は、固体であって一つの塊になり、炉水浸入経路に充填されたMgO粉体10の体積の2.2倍の体積に増加する。このため、生成された塊であるMg(OH)2が炉水浸入経路形成部材9の外面および金属筐体3の内面に密着し、Mg(OH)2の塊と炉水浸入経路形成部材9の外面の間、およびMg(OH)2の塊と金属筐体3の内面の間がシールされることになる。結果的に、炉水浸入経路形成部材9の外面と金属筐体3の内面との間の炉水浸入経路も、生成されたMg(OH)2によって封鎖される。生成されたMg(OH)2が、上記したロウ付け接合部の破損個所を塞ぐだけでなく、浸入した炉水23の浸入経路になる可能性がある炉水浸入経路形成部材9の外面と金属筐体3の内面との間の炉水浸入経路も封鎖する。
本実施例によれば、以上述べたように、腐食電位センサ1内に浸入した炉水23がMgO粉体10に吸水され、且つ炉水23とMgO粉体10との水和反応により生成されたMg(OH)2がロウ付け接合部に生じた破損箇所を短時間に塞ぐため、腐食電位センサ1内における金属筺体3と芯線7または芯線12との電気的な短絡が回避される。Mg(OH)2による上記の炉水浸入経路の封鎖によっても、それらの電気的な短絡が回避される。このため、図2に示すように、従来の腐食電位センサでは、ロウ付け接合部に不具合が発生して炉水23が内部に浸入した後で電位差計13により測定される電位が急激に減少するのに対して、本実施例の腐食電位センサ1では、ロウ付け接合部に不具合が発生して炉水23が内部に浸入しても、前述の理由により、電位差計13で測定される電位は、減少しなく、ロウ付け接合部に不具合が発生する前と同じ値を示している。
したがって、本実施例によれば、外面が炉水23に接触する、腐食電位センサ1のロウ付け接合部に不具合が生じてこの不具合個所から内部に炉水23が浸入した場合であっても、電位信号を伝える芯線7または芯線12と金属筺体3の電気的な短絡を防ぐことができ、原子力発電プラントの構造部材である配管20の腐食電位を継続して測定することができる。本実施例は、腐食電位センサ1のロウ付け接合部の不具合が生じて内部に炉水23が浸入した場合でも、腐食電位センサ1の腐食電位測定機能の喪失時期を延ばすことができる。
本実施例では、MgO粉体10の替りにベントナイトを用いてもよい。
本発明の他の好適な実施例である実施例2の腐食電位センサを、図5を用いて説明する。本実施例の腐食電位センサ1Aは、内部に銀/塩化銀電極26を配置した銀/塩化銀型腐食電位センサであり、例えば、原子力発電プラントの構造部材の腐食電位の測定に適用される。
腐食電位センサ1Aは、電気絶縁体2A、円筒状の金属筺体3、白金製の芯線7、MgO粉体(吸水反応物)10、蓋25、銀/塩化銀電極26、および封止部材27を備えている。高純度サファイヤ製の電気絶縁体2Aが金属筺体3の一端部にロウ付けにより接合される。電気絶縁体2Aは、先端部に水室30となる窪みが形成されている。高純度サファイヤ製の蓋25が電気絶縁体2Aの先端部に取り付けられる。蓋25の電気絶縁体2Aの先端部への取り付けは、以下のように行われる。蓋25に形成された突出部に雄ネジを形成し、この雄ネジを電気絶縁体2Aの先端部の窪みに形成された雌ネジに噛み合わせることによって、蓋25が電気絶縁体2Aの先端部に取り付けられる。蓋25を取り付けることによって、電気絶縁体2Aの先端部の窪みは、蓋25で覆われて水室30になる。封止部材27が、電気絶縁体2Aの他端部に取り付けられる。
芯線12を内部に有する鉱物絶縁ケーブル11が、金属筺体3の他端部にロウ付けされて金属筺体3を封鎖している端栓4を貫通し、端栓4にロウ付けされている。
銀/塩化銀電極26が水室30内に配置される。銀/塩化銀電極26に接続された芯線7が、電気絶縁体2Aおよび封止部材27を貫通し、金属筺体3内の、端栓4と封止部材27の間の領域で芯線12に接続されている。
腐食電位センサ1Aは、実施例1の腐食電位センサ1と同様に、アダプタ22により、配管20に溶接された円筒状のセンサ支持部材21に溶接にて取り付けられている。腐食電位センサ1Aは、蓋25が下方に位置するように、配管20に取り付けられる。腐食電位センサ1Aの蓋25の端面は、配管20の内面と同じ位置に位置しており、配管20内に挿入されていない。電位差計13が、リード線14により芯線12に接続され、また、リード線15により配管20に接続される。
腐食電位センサ1Aでは、電気絶縁体2Aの、金属筺体3の内面に対向する部分の外径が、その部分よりも水室30側での電気絶縁体2Aの外径よりも小さくなっている。この結果、直径が小さくなっている部分での電気絶縁体2Aの外面と金属筺体3の内面の間に、炉水浸入経路が形成され、MgO粉体10が充填されている。本実施例では、電気絶縁体2Aの、直径が小さくなっている部分が、実施例1の腐食電位センサ1に用いられた炉水浸入経路形成部材9の機能を兼ねている。本実施例では、MgO粉体10を充填した領域は、金属筐体3と電気絶縁体2のロウ付け接合部の内面に面した位置、具体的には、上記の炉水侵入経路に配置されている。
原子力発電プラントの運転中では、配管20内を流れる炉水23の一部が、電気絶縁体2Aに取り付けられた蓋25の雄ネジと電気絶縁体2Aに形成された雌ネジとの間の隙間を通して水室30内に流入する。このため、銀/塩化銀電極26は、水室30内において炉水23と接触している。腐食電位センサ1Aが健全な状態では、銀/塩化銀電極26で生じる電位が芯線7及び12及びリード線14を通して電位差計13に伝えられ、腐食電位センサ1Aと配管20の間の経路Aで生じる電位差が、電位差計13によって測定される。この電位差が、腐食電位センサ1Aが取り付けられた配管20の腐食電位を示している。封止部材27が、電気絶縁体2Aに形成された、芯線7が通過する貫通孔を封鎖しているため、封止部材27は、水室30内の炉水23がその貫通孔を通して封止部材27と端栓4の間の金属筺体3内の空間に流入し、健全な腐食電位センサ1Aにおいて金属筺体3と芯線7または芯線12が電気的に短絡することを防いでいる。
原子力発電プラントの運転中において腐食電位センサ1Aの電気絶縁体2Aと金属筐体3とのロウ付け接合部が破損し、センサ支持部材21内に存在する炉水23が金属筐体3内に浸入した場合には、この浸入した炉水23は、腐食電位センサ1A内において、電気絶縁体2Aの外面と金属筐体3の内面に間に形成された炉水浸入経路に達する。内部に浸入した炉水23は、この炉水侵入経路内でMgO粉体10に吸水されて式(1)で表される反応を生じる。この結果、Mg(OH)2が、実施例1と同様に、炉水浸入経路内で生成され、電気絶縁体2Aと金属筐体3とのロウ付け接合部の破損箇所、例えば、き裂を塞ぎ、炉水侵入経路を封鎖する。
このような腐食電位センサ1Aは、実施例1の腐食電位センサ1で生じる各効果を得ることができる。腐食電位センサ1Aでは、電気絶縁体2Aが炉水浸入経路形成部材9の機能を兼ねているため、腐食電位センサ1のように、炉水浸入経路形成部材9を別に設ける必要が無くなる。
本実施例において、MgO粉体10の替りに、実施例3のように、ベントナイトを用いてもよい。
本発明の他の好適な実施例である実施例3の腐食電位センサを、図6を用いて説明する。本実施例の腐食電位センサ1Bは、白金電極28を有する配置した白金型腐食電位センサであり、例えば、原子力発電プラントの構造部材の腐食電位の測定に適用される。
腐食電位センサ1Bは、管状の電気絶縁体2B、円筒状の金属筺体3、白金製の芯線7、炉水浸入経路形成部材9A、ベントナイト(吸水反応物)10A,10B、および白金電極28を備えている。白金電極28が高純度サファイヤ製の電気絶縁体2Bの一端部にロウ付けにより接合され、熱膨張率の低いNi−Fe合金である42Alloy製の金属筐体3が電気絶縁体2Bの端部にロウ付けにより接合されている。31Aが白金電極28と電気絶縁体2Bのロウ付け接合部であり、31Bが金属筐体3と電気絶縁体2Bのロウ付け接合部である。
乾燥状態のベントナイト10Aが、腐食電位センサ1B内において、白金電極28に接触して白金電極28と電気絶縁体2Bの間に配置されている。封止栓29が、ベントナイト10Aに対向して電気絶縁体2Bに形成された貫通孔内に配置され、この貫通孔を封鎖している。芯線12を内部に有する鉱物絶縁ケーブル11が、金属筺体3の他端部にロウ付けされて金属筺体3を封鎖している端栓4を貫通し、端栓4にロウ付けされている。白金電極28に接続された白金製の芯線7が、ベントナイト10Aおよび封止栓29を貫通し、電気絶縁体2Bに形成された貫通孔内を端栓4に向かって伸びている。芯線7は芯線12に接続される。
42Alloy製の炉水浸入経路形成部材9Aが、金属筐体3内に配置され、電気絶縁体2Bの端栓4側の端面にロウ付けにより取り付けられる。炉水浸入経路形成部材9Bは、金属筐体3、および芯線7および12と接触しない位置に配置されている。炉水浸入経路形成部材9Aが芯線7を取り囲んでいる。炉水浸入経路が、炉水浸入経路形成部材9Aの外面と金属筐体3の内面に間に形成される。乾燥状態のベントナイト10Bが、隙間である炉水浸入経路、すなわち、炉水浸入経路形成部材9Aの外面と金属筐体3の内面に間に配置される。
本実施例では、ベントナイト10Aを充填した領域は、白金電極28と電気絶縁体2Bのロウ付け接合部31Aの内面に達する白金電極28と電気絶縁体2Bの間に形成された隙間に面する位置に配置される。ベントナイト10Bを充填した領域は、金属筺体3と電気絶縁体2Bのロウ付け接合部31Bの内面に達する金属筺体3と電気絶縁体2Bの間に形成された隙間に面する位置、具体的には、上記の炉水侵入経路に配置されている。
腐食電位センサ1Bは、実施例1の腐食電位センサ1と同様に、アダプタ22により、配管20に溶接された円筒状のセンサ支持部材21に溶接にて取り付けられている。腐食電位センサ1Bは、白金電極28が下方に位置するように、配管20に取り付けられる。腐食電位センサ1Bの白金電極28の端面は、配管20の内面と同じ位置に位置しており、配管20内に挿入されていない。電位差計13が、リード線14により芯線12に接続され、また、リード線15により配管20に接続される。
原子力発電プラントの運転中では、配管20内を流れる炉水23が白金電極28の端面に接触している。腐食電位センサ1Bが健全な状態では、白金電極28で生じる電位が芯線7及び12及びリード線14を通して電位差計13に伝えられ、腐食電位センサ1Bと配管20の間の経路Aで生じる電位差が、電位差計13によって測定される。この測定された電位差が、腐食電位センサ1Bを取り付けた配管20の腐食電位である。
原子力発電プラントの運転中において腐食電位センサ1Bの2箇所のロウ付け接合部31A,31Bのうち、白金電極28と電気絶縁体2Bのロウ付け接合部31Aが破損し、センサ支持部材21内に存在する炉水23が、ロウ付け接合部31Aの破損箇所を通って白金電極28と電気絶縁体2Bの間に形成される隙間に浸入したとき、この浸入した炉水23は、ベントナイト10Aが配置された領域に流入し、ベントナイト10Aに吸水される。
ベントナイト10Aが浸入した炉水23を吸水すると、ベントナイト10Aの体積が膨張し、破損箇所が存在するロウ付け接合部31Aに連絡される、白金電極28と電気絶縁体2Bの間に形成された隙間を完全に塞いでしまう。
ベントナイト10Aは、浸入した炉水23を吸収することによって、ベントナイト10Aの板状の結晶同士の隙間に存在する陽イオンが水和し、結晶面同士の間隔が増加して膨潤する。このため、ベントナイト10Aの体積が増加し、白金電極28と電気絶縁体2Bの間に形成された隙間を完全に塞いでしまう。水を吸水したとき、ベントナイト10Aが体積膨張する具体的な理由を、以下に説明する。ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトは、ケイ酸、アルミナおよびケイ酸という三層の薄い板状の層が積層した構造を有している。その板状の各層は負に帯電しているので、単に、それらの層を積み重ねると互いに反発して離れるため、各層の間に陽イオン(Na+、K+、Ca2+およびMg2+など)を存在させている。この陽イオンは、板状の各層の負電荷を中和させて隣り合う各層同士を吸着する役目を有している。ベントナイトが水と接触した場合に、陽イオンが隣り合う板状の層同士を吸着する力が強ければ、その水が各層間に浸入しない。しかしながら、水がその陽イオンに吸着する力の方が相対的に強いので、隣り合う板状の各層間に存在する陽イオンの周りに水の分子が吸着し、その分、隣り合う板状の各層間の間隔が広がり、結果的にベントナイト10Aの体積が増加する。
浸入した炉水23を吸収したベントナイト10Aの体積の増加によって、ロウ付け接合部31Aの破損箇所につながる、白金電極28と電気絶縁体2Bの間に形成される隙間が塞がれるため、ロウ付け接合部31Aが破損しても、具体的には、ロウ付け接合部31Aにき裂が生じた場合においても、初期段階において腐食電位センサ1B内への炉水23の浸入を止めることができ、金属筺体3と芯線7または芯線12の電気的な短絡を回避することができる。
また、原子力発電プラントの運転中において腐食電位センサ1Bのロウ付け接合部31Bが破損してロウ付け接合部31Bにき裂が生じた場合においても、このき裂を通して電気絶縁体2Bと金属筺体3の間に形成される隙間に浸入した炉水23は、金属筺体3と炉水浸入経路形成部材9Aの間に存在するベントナイト10Bに吸水される。浸入した炉水23を吸水したベントナイト10Bは、ベントナイト10Aと同様に、体積が増加し、電気絶縁体2Bと金属筺体3の間に形成される隙間を完全に塞いでしまう。このため、ロウ付け接合部31Bが破損しても、初期段階において腐食電位センサ1B内への炉水23の浸入を止めることができ、金属筺体3と芯線7または芯線12の電気的な短絡を回避することができる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
本実施例では、ベントナイト10A,10Bのそれぞれの替りに、MgO粉体10を用いてもよい。
1,1A,1B…腐食電位センサ、2,2A,2B…電気絶縁体、3…金属筐体、4…端栓、5…白金黒電極、6…A/Ag2O焼結粉体層、7,12…芯線、9,9A…炉水浸入経路形成部材、10…MgO粉体(吸水反応物)、10A,10B…ベントナイト(吸水反応物)、13…電位差計、20…配管、21…センサ支持部材、25…蓋、26…銀/塩化銀電極、27…封止部材、28…白金電極、30…水室。

Claims (6)

  1. 電気絶縁体と、前記電気絶縁体に接合された金属筺体と、前記電気絶縁体内に配置された電極および前記電気絶縁体に取り付けられた電極のいずれかの電極と、この電極に接続された電位信号を伝える芯線とを備えた腐食電位センサであって、
    前記電気絶縁体と前記金属筺体の第1接合部の内面に面して配置された吸水反応物、および前記電気絶縁体と前記金属筺体の間に形成されて前記第1接合部の前記内面に達する第1隙間内に配置された吸水反応物のいずれか前記金属筺体の内側に存在することを特徴とする腐食電位センサ。
  2. 別の前記吸水反応物が、前記電気絶縁体に取り付けられた前記電極と前記電気絶縁体の間に形成されて前記電極と前記電気絶縁体の第2接合部の内面に達する第2隙間内に配置されている請求項1に記載の腐食電位センサ。
  3. 前記吸水反応物は吸水することによって体積が増加する物質である請求項1または2に記載の腐食電位センサ。
  4. 前記吸水反応物がMgOおよびベントナイトのいずれかである請求項3に記載の腐食電位センサ。
  5. 前記金属筺体内に配置された水浸入経路形成部材を前記電気絶縁体の端面に取り付け、前記吸水反応物を、前記金属筺体の内面と水浸入経路形成部材の間に配置している請求項1に記載の腐食電位センサ。
  6. 前記水浸入経路形成部材として前記電気絶縁体を用いる請求項5に記載の腐食電位センサ。
JP2013208712A 2013-10-04 2013-10-04 腐食電位センサ Active JP6106061B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013208712A JP6106061B2 (ja) 2013-10-04 2013-10-04 腐食電位センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013208712A JP6106061B2 (ja) 2013-10-04 2013-10-04 腐食電位センサ

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015072228A JP2015072228A (ja) 2015-04-16
JP2015072228A5 JP2015072228A5 (ja) 2016-03-31
JP6106061B2 true JP6106061B2 (ja) 2017-03-29

Family

ID=53014688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013208712A Active JP6106061B2 (ja) 2013-10-04 2013-10-04 腐食電位センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6106061B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9718046B2 (en) 2011-05-24 2017-08-01 Saudi Arabian Oil Company Bimetallic titania-based electrocatalysts deposited on ionic conductors for hydrodesulfurization reactions

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2268353B1 (ja) * 1974-04-19 1977-10-14 Commissariat Energie Atomique
JP2001326475A (ja) * 2000-05-15 2001-11-22 Nec Corp 通信機器の防水構造
JP2004186177A (ja) * 2002-11-29 2004-07-02 Nec Corp 電子装置
JP4709191B2 (ja) * 2007-08-09 2011-06-22 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 腐食電位センサ
JP5002606B2 (ja) * 2009-01-30 2012-08-15 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 腐食電位センサ
JP5864270B2 (ja) * 2012-01-05 2016-02-17 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子力プラント温度計測システムおよび原子力プラント計装システム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9718046B2 (en) 2011-05-24 2017-08-01 Saudi Arabian Oil Company Bimetallic titania-based electrocatalysts deposited on ionic conductors for hydrodesulfurization reactions

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015072228A (ja) 2015-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5898595B2 (ja) 腐食電位センサ
JP5002606B2 (ja) 腐食電位センサ
US6181760B1 (en) Electrochemical corrosion potential sensor with increased lifetime
JP4709191B2 (ja) 腐食電位センサ
US5043053A (en) Reference electrode probe for use in aqueous environments of high temperature and high radiation
JP5281618B2 (ja) 腐食電位計測方法およびその装置
JPH04361151A (ja) 高温、高放射線の水性環境に用いる電極プローブ
JP6106061B2 (ja) 腐食電位センサ
US10989606B2 (en) Gas impermeable temperature sensor protection system
US6357284B1 (en) Ceramic corrosion potential sensor and method for its manufacture
JP3736131B2 (ja) センサーとそれを用いたプラント運転方法
CN113804739B (zh) 用于测量液态金属的氧浓度的电位氧传感器,测量sfr型核反应堆的液态钠中的氧的应用
JP5662054B2 (ja) 腐食電位センサ
JP5956368B2 (ja) 腐食電位センサ
JP2005140608A (ja) 腐食電位センサ
US6391173B1 (en) Electrochemical corrosion potential sensor
JP5358554B2 (ja) 腐食電位センサ及び腐食電位センサの設置構造
JP3886686B2 (ja) 腐食電位測定装置
JP2020085563A (ja) 腐食電位センサ
JP5986363B2 (ja) 腐食電位センサおよび腐食電位センサの設置構造
JPH04337452A (ja) 原子炉用白金照合電極
JPH0726932B2 (ja) 電極用一体型キャップおよびそれを使用した電極
JP6146713B2 (ja) プロトン導電性セラミックスを用いた水素濃度計
JP2023094904A (ja) 腐食電位センサおよび腐食電位センサの製造方法
US10962502B2 (en) Hydrogen detector for gas and fluid media

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160210

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6106061

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150