以下の説明は、脊髄刺激(SCS)システムに関する。しかし、本発明は、SCS(脊髄刺激)における適用に適切であるが、本発明は、その最も広い態様ではそのように制限されるものではないことを認めなければならない。そうではなく、本発明は、組織を刺激するのに使用するあらゆるタイプの埋込み可能電気回路と共に使用することができる。例えば、本発明は、ペースメーカー、除細動器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、協働四肢移動を生じるように構成された刺激器、皮質刺激器、脳深部刺激器、末梢神経刺激器、超小型刺激器、又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼、頭痛、その他を処置するように構成されたいずれの他の神経刺激器の一部としても使用することができる。
最初に図1を見ると、例示的なSCS(脊髄刺激)システム10は、一般的に、少なくとも1つの埋込み可能な刺激リード12と、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14(又は変形例ではRF受信機−刺激器)と、外部リモートコントロールRC16と、「臨床医用プログラマー(CP)」18と、「外部試行刺激器(ETS)」20と、外部充電器22とを含む。
IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、1つ又はそれよりも多くの経皮リード延長部24を通じて神経刺激リード12に物理的に接続され、神経刺激リード12は、アレイに配置された複数の電極26を担持している。神経刺激リード12は、図1に外科的パドルリードとして示されているが、後でより詳細に説明するように、1つ又はそれよりも多くの経皮刺激リードは、外科的パドルリード12の所定位置に使用することができる。同様に後でより詳細に説明するように、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、刺激パラメータのセットに従ってパルス化電気波形(すなわち、時間的に連続した電気パルス)の形態の電気刺激エネルギを電極アレイ26に送出するパルス発生回路を含む。
IPG(埋込み可能なパルス発生器)14として同様のパルス発生回路を有するETS(外部試行刺激器)20も、刺激パラメータのセットに従って電極アレイ26に電気刺激エネルギを供給する。ETS(外部試行刺激器)20とIPG(埋込み可能なパルス発生器)14の間の大きな違いは、ETS(外部試行刺激器)20が、神経刺激リード12が埋込まれた後及びIPG(埋込み可能なパルス発生器)14の埋込み前に試験的に使用され、与えられるべき刺激の反応性を試験する非埋込み可能デバイスであるということである。従って、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14に関して本明細書に説明するあらゆる機能は、ETS(外部試行刺激器)20に関して同様に実施することができる。例示的なETS(外部試行刺激器)の更なる詳細は、特許文献3に説明されている。
RC(リモートコントロール)16を使用して、双方向RF通信リンク32を通じてETS(外部試行刺激器)20をテレメトリ的に制御することができる。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14及び刺激リード12が埋込まれた状態で、RC(リモートコントロール)16を使用して、双方向RF通信リンク34を通じてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14をテレメトリ的に制御することができる。このような制御により、埋込み後、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14をオン又はオフにし、異なる刺激プログラムによってプログラムすることを可能にする。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14がプログラムされ、その電源が充電され、又はそうでなければ補充された状態で、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、RC(リモートコントロール)16が存在することなくプログラムされるように機能することができる。
CP(臨床医用プログラマー)18は、手術室及び経過観察セッションにおいてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14及びETS(外部試行刺激器)20をプログラムするために臨床医の詳細な刺激パラメータを提供する。CP(臨床医用プログラマー)18は、IR通信リンク36を通じたRC(リモートコントロール)16を通してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14又はETS(外部試行刺激器)20と間接的に通信することによってこの機能を行うことができる。変形例では、CP(臨床医用プログラマー)18は、RF通信リンク(図示せず)を通じてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14又はETS(外部試行刺激器)20と直接に通信することができる。
外部充電器22は、誘導リンク38を通じて経皮的にIPG(埋込み可能なパルス発生器)14を経皮的に充電するのに使用する携帯用デバイスである。簡略化するために、外部充電器22の詳細は、本明細書では以下に説明しない。外部充電器の例示的な実施形態の詳細は、特許文献3に開示されている。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14がプログラムされ、その電源が外部充電器22によって充電され、又はそうでなければ補充された状態で、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、RC(リモートコントロール)16又はCP(臨床医用プログラマー)18の存在なしにプログラムされるように機能することができる。
図2に示すように、電極リード12は、患者40の脊柱42内に埋込まれる。電極リード12の好ましい配置は、刺激すべき脊髄区域に隣接、すなわち、その上に載っている。電極リード12が脊柱42を出る位置の近くの空間の欠如により、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、一般的に、腹部内又は臀部の上のいずれかの外科的に作られたポケットに埋込まれる。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14はまた、勿論、患者の身体の他の位置に埋込むことができる。リード延長部24は、電極リード12の出口点から離れるようなIPG(埋込み可能なパルス発生器)14の位置決めしを容易にする。図示のように、CP(臨床医用プログラマー)18は、RC(リモートコントロール)を通じてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14と通信する。
図3を参照して、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、電子及び他の構成要素(以下により詳細に説明する)を収容するための外側ケース44と、神経刺激リード12の近位端が電極26を外側ケース44内の内部電極(以下により詳細に説明する)に電気的に接続する方式で嵌合するコネクタ46とを含む。外側ケース44は、チタンのような導電性の生体適合性材料から構成され、密封区画を形成し、内部電極は、体組織及び体液から保護される。一部の事例では、外側ケース44は、電極として機能することができる。
図3に示す実施形態において、神経刺激リード12は、電極26(この場合、電極E1〜E22)を支持する外科的パドルリード12の形態を取る。電極26は、神経刺激リード12の軸線に沿って4つの縦列の2次元配置で配置される。図示の実施形態において、電極26は、電極26’(電極E7〜E16)の2つの内側縦列と、内側電極縦列の横に位置しこれから縦方向にオフセットされた電極26”(電極E1〜E6及びE17〜E22)の2つの外側縦列に配置される。他の実施形態において、外側及び内側電極縦列は、互いに縦方向にオフセットされることはない。リード及び電極の実数は、勿論、意図する用途により異なることになる。外科的パドルリードを製造する構成及び方法に関する更なる詳細は、特許文献4及び特許文献5に開示されている。
図4に示す変形実施形態において、神経刺激リード12は、電極12(この場合、電極E1〜E8)をリング電極として配置する経皮刺激リードの形態を取る。1つの経皮刺激リード12のみを示しているが、複数の経皮刺激リード(例えば、2つ)をSCS(脊髄刺激)システム10と共に使用することができる。リード及び電極の実数及び形状は、勿論、意図する用途により異なることになる。経皮刺激リードを製造する構成及び方法を説明する更なる詳細は、特許文献6及び特許文献7に開示されている。
以下により詳細に説明するように、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14の中にプログラムされた刺激パラメータのセットに従ってパルス化電気波形の形態の電気的調整及び刺激エネルギを電極アレイ26に提供するパルス発生回路を含む。このような刺激パラメータは、電極組合せを含むことができ、電極組合せは、アノード(正)、カソード(負)として活性化され、かつオフ(ゼロ)にされる電極、各電極(分割電極構成)に割り当られた刺激エネルギの百分率、及び電気パルスパラメータを形成し、これは、パルス振幅(IPG(埋込み可能なパルス発生器)14が一定の電流又は一定の電圧を電極アレイ26に供給するか否かに依存してミリアンペア又はボルトで測定したもの)、パルス幅(マイクロ秒で測定したもの)、パルス繰返し数(1秒当たりのパルスで測定したもの)、及びバースト率(刺激オン持続期間X及び刺激オフ持続期間Yとして測定したもの)を形成する。
電気刺激は、2つの(又はそれよりも多くの)活性電極の間で起こることになり、そのうちの1つは、IPG(埋込み可能なパルス発生器)ケースとすることができる。刺激エネルギは、単極又は多極(例えば、2極、3極、その他)様式で組織に送信することができる。単極刺激は、刺激エネルギが選択電極26とケースの間に伝達されるように、リード電極26のうちの選択された1つがIPG(埋込み可能なパルス発生器)14のケース44と共に活性化される時に起こる。2極刺激は、刺激エネルギが選択電極26の間で伝達されるように、リード電極26のうちの2つがアノード及びカソードとして活性化される時に起こる。例えば、1つのリード12上の電極は、同じリード又は別のリード12上の電極がカソードとして活性化される時に同時にアノードとして活性化することができる。3極刺激は、リード電極26のうちの3つが、2つはアノードとして及び残りの1つはカソードとして又は2つはカソードとして及び残りの1つはアノードとして活性化される時に起こる。例えば、1つのリード12上の2つの電極は、別のリード12上の電極がカソードとして活性化される時に同時にアノードとして活性化することができる。
刺激エネルギは、単相電気エネルギ又は多相電気エネルギとして電極の間に送出することができる。単相電気エネルギは、全て正(アノード)又は全て負(カソード)のいずれかである一連のパルスを含む。多相電気エネルギは、正と負を繰り返す一連のパルスを含む。例えば、多相電気エネルギは、一連の2相パルスを含むことができ、各2相パルスは、カソード(負)刺激相及びアノード(正)再充電相を含み、このパルスは、直流電荷が組織を通して移動するのを阻止し、それによって電極分解及びセルトラウマを回避するように、刺激相の後に発生する。すなわち、電荷は、刺激期間(刺激パルスの長さ)中に電極において電流を通じて電極−組織インタフェースを通して送出され、次に、再充電期間(再充電パルスの長さ)中に同じ電極において反対方向に分極した電流を通じて電極−組織インタフェースをそれて後退する。
図示の実施形態において、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、電極の各々を流れる電流の大きさを個々に制御することができる。この場合、電流発生器を有することが好ましく、各電極に対する独立電流源からの個々の電流調節振幅は、選択的に発生させることができる。このシステムは、本発明を利用するのに最適であるが、本発明に使用することができる他の刺激は、電圧調節出力を有する刺激器を含む。個々にプログラマブル電極の振幅は、微調節を達成するのに最適であるが、電極にわたって切り換える単一出力源も、プログラムするのに殆ど微調節なしに使用することができる。混合電流及び電圧調節デバイスも、本発明に使用することができる。IPG(埋込み可能なパルス発生器)の詳細な構造及び機能を説明する更なる詳細は、特許文献8及び9により完全に説明されている。
IPG(埋込み可能なパルス発生器)ではなく、SCS(脊髄刺激)システム10は、変形例として、神経刺激リード12に接続された埋込み可能な受信機−刺激器(図示せず)を利用することができる。この場合、埋込まれた受信機及び制御回路に給電して受信機−刺激器に命令するための電源、例えば、バッテリは、電磁リンクを通じて受信機−刺激器に誘導結合された外部コントロールに収容されることになる。データ/動力信号は、埋込まれた受信機−刺激器の上に置かれたケーブル接続送信コイルから経皮的に結合される。埋込まれた受信機−刺激器は、信号を受信して制御信号に従って刺激を発生させる。
ここで図5を参照して、RC(リモートコントロール)16の一例示的実施形態を以下に説明する。上述したように、RC(リモートコントロール)16は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14、CP(臨床医用プログラマー)18、又はETS(外部試行刺激器)20と通信することができる。RC(リモートコントロール)16は、ケーシング50を含み、ケーシング50は、内部構成要素(プリント基板(PCB)を含む)、並びにケーシング50の外部によって担持される照明付き表示画面52及びボタンパッド54を収容する。図示の実施形態において、表示画面52は、照明付き平面パネル表示画面であり、ボタンパッド54は、フレックス回路の上に位置決めされた金属ドームを有する膜スイッチと、PCB(プリント基板)に直接に接続されたキーパッドコネクタとを含む。任意的な実施形態において、表示画面52は、タッチスクリーン機能を有する。ボタンパッド54は、多数のボタン56、58、60、及び62を含み、これらは、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14をオン及びオフにすることを可能にし、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14内の刺激パラメータの調節又は設定を行い、かつ画面の間の選択を行う。
図示の実施形態において、ボタン56は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14をオン及びオフにするように作動させることができるオン/オフボタンとして機能する。ボタン58は、RC(リモートコントロール)16が画面表示及び/又はパラメータの間で切り換えることを可能にする選択ボタンとして機能する。ボタン60及び62は、パルス振幅、パルス幅、及びパルス繰返し数を含むIPG(埋込み可能なパルス発生器)14によって発生するパルスの刺激パラメータのいずれかを増加又は低減するように作動させることができるアップ/ダウンボタンとして機能する。例えば、選択ボタン58は、その間にパルス振幅をアップ/ダウンボタン60、62を通じて調節することができる「パルス振幅調節モード」、その間にパルス幅をアップ/ダウンボタン60、62を通じて調節することができる「パルス幅調節モード」、及びその間にパルス繰返し数をアップ/ダウンボタン60、62を通じて調節することができる「パルス繰返し数調節モード」にRC(リモートコントロール)16を置くように作動させることができる。変形例では、専用アップ/ダウンボタンは、各刺激パラメータに提供することができる。アップ/ダウンボタンを使用するのではなく、ダイヤル、スライダーバー、又はキーパッドのようないずれかの他のタイプのアクチュエータを使用して刺激パラメータを増加又は低減することができる。RC(リモートコントロール)16の機能性及び内部構成要素の更なる詳細は、特許文献3に開示されている。
図6を参照して、例示的なRC(リモートコントロール)16の内部構成要素をここで以下に説明する。RC(リモートコントロール)16は、一般的に、プロセッサ64(例えば、マイクロコントロール)、プロセッサ64によって実行するための作動プログラムを格納するメモリ66、並びにナビゲーションテーブル(以下に説明する)における刺激パラメータセット、入力/出力回路、及び特に刺激パラメータをIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に出力し、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14からステータス情報を受け入れるためのテレメトリ回路68、及びボタンパッド54から刺激制御信号を受け入れ、ステータス情報を表示画面52(図5に示す)に送信するための入力/出力回路70を含む。簡略化のために本明細書では以下に説明しないRC(リモートコントロール)16の他の機能を制御するが、プロセッサ64は、ボタンパッド54のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを発生させる。これらの新しい刺激パラメータセットは、次に、テレメトリ回路68を通じてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に送信すると考えられる。RC(リモートコントロール)16の機能性及び内部構成要素の更なる詳細は、特許文献3に開示されている。
上記で簡単に説明したように、CP(臨床医用プログラマー)18は、複数の電極組合せのプログラムを大いに簡略化し、ユーザ(例えば、医師又は臨床医)がIPG(埋込み可能なパルス発生器)14、並びにRC(リモートコントロール)16の中にプログラムすべき望ましい刺激パラメータを容易に判断することを可能にする。従って、埋込み後IPG(埋込み可能なパルス発生器)14のプログラマブルメモリにおける刺激パラメータの調節は、CP(臨床医用プログラマー)18を使用してユーザによって実施され、CP(臨床医用プログラマー)18は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14と直接に通信するか又はRC(リモートコントロール)16を通じてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14と間接的に通信することができる。すなわち、CP(臨床医用プログラマー)18は、脊髄の近くで電極アレイ26の作動パラメータを調節するためにユーザが使用することができる。
図2に示すように、CP(臨床医用プログラマー)18の全体の外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)の外観であり、実際には、指示プログラムデバイスを含むように適正に構成されて本明細書に説明する機能を実施するようにプログラムされたPC(パーソナルコンピュータ)を使用して埋込むことができる。変形例では、CP(臨床医用プログラマー)18は、ミニコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、その他、又は更に拡張機能を有するリモートコントロール(RC)の形態を取ることができる。従って、プログラム手法は、CP(臨床医用プログラマー)18内に格納されたソフトウエア命令を実行することによって実施することができる。変形例では、このようなプログラム手法は、ファームウエア又はハードウエアを使用して実施することができる。いずれの場合でも、CP(臨床医用プログラマー)18は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御し、最適刺激パラメータを患者反応及びフィードバックに基づいて、その後に最適刺激パラメータを使用してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14をプログラムすると判断することを可能にすることができる。
ユーザがこれらの機能を実施することを可能にするために、CP(臨床医用プログラマー)18は、マウス72、キーボード74、及びケース78に収容されたプログラム表示画面76を含む。マウス72に加えて又はその代わりに、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック、又はキーボード74に関連付けられたキーの一部として含まれる方向キーのような他の指示プログラムデバイスを使用することができることは理解されるものとする。図示の実施形態において、モニタ76は、従来の画面である。変形例では、従来型の代わりに、モニタ76は、タッチスクリーン(図示せず)のようなデジタイザー画面とすることができ、これは、能動的又は受動的デジタイザースタイラス/指タッチと共に使用することができる。
図7に示すように、CP(臨床医用プログラマー)18は、制御回路80(例えば、中央演算処理デバイス(CPU))と、制御回路80によって実行され、ユーザがIPG(埋込み可能なパルス発生器)14及びRC(リモートコントロール)16をプログラムすることを可能にすることができる刺激プログラムパッケージ84を格納するメモリ82とを更に含む。CP(臨床医用プログラマー)18は、RC(リモートコントロール)16のテレメトリ回路68を通じて、刺激パラメータをIPG(埋込み可能なパルス発生器)14及びRC(リモートコントロール)16にダウンロードするために、及び既にRC(リモートコントロール)16のメモリ66に格納された刺激パラメータをアップロードするための出力回路86(例えば、RC(リモートコントロール)16のテレメトリ回路を通じて)を更に含む。
制御回路80によるプログラムパッケージ84の実行は、マウス72の使用を通じてナビゲートすることができる多くの表示画面(図示せず)を提供する。これらの表示画面は、他の機能の中でも、臨床医が患者プロフィール情報(例えば、名前、誕生日、患者識別、医師、診断、及び住所)を選択又は入力し、手順情報(例えば、プログラム/フォローアップ、インプラント試行システム、インプラントIPG、インプラントIPG及びリード、交換IPG、交換IPG及びリード、交換又は改定リード、外植、その他)を入力し、患者の疼痛マップを発生させ、リードの構成及び向きを形成し、リード12により出力された電気刺激エネルギを起動して制御し、かつ手術設定及び臨床設定の両方において刺激パラメータでIPG(埋込み可能なパルス発生器)14を選択してプログラムすることを可能にする。上述のCP(臨床医用プログラマー)機能を説明する更なる詳細は、特許文献10及び特許文献11に開示されている。
最も本発明に関連付けられたものとして、プログラムパッケージ84の実行を通じて、2極又は3極のような理想多極を模倣又はエミュレートする特許文献2に説明する方式と酷似する方式でユーザがIPG(埋込み可能なパルス発生器)14をプログラムすることを可能にする。しかし、この場合、プログラムパッケージ84は、一連の異なる理想多極構成を提供し、これらの構成を使用して、上述の指示プログラムデバイスのうちの1つ又はそれよりも多くのような指示プログラムデバイスの操作に応答して発生する方向制御信号に応答し、電極12に対して電流をステアリングすることができる。
最初に図8を参照して、プログラム画面100は、CP(臨床医用プログラマー)16によって発生させることができる。プログラム画面100は、ユーザが刺激パラメータ試験を実施することを可能にする。この目的のために、プログラム画面100は、刺激をオン又はオフにするように交互にクリックすることができる刺激オン/オフコントロール102を含む。プログラム画面100は、刺激パラメータを手動で調節するようにユーザが操作することができる様々な刺激パラメータコントロールを更に含む。特に、プログラム画面100は、パルス幅調節コントロール104(マイクロ秒(μs)で表される)、パルス繰返し数調節コントロール106(1秒当たりのパルス(pps)で表される)、及びパルス振幅調節コントロール108(ミリアンペア(mA)で表される)を含む。各コントロールは、それぞれの刺激パラメータの値を低減するようにクリックすることができる第1の矢印と、それぞれの刺激パラメータの値を増加させるようにクリックすることができる第2の矢印とを含む。プログラム画面100はまた、多極/単極刺激選択コントロール110を含み、これは、ユーザが交互にクリックして多極又は単極刺激を提供することができるチェックボックスを含む。任意的な実施形態において、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14のケース40は、ケース電極40とリード電極26のうちの少なくとも1つとの両方を使用して同時にアノード電流を伝達することができるように、リード電極26のうちの1つとして処理することができる。更に、ケース電極は、リード電極の全てのプログラマブル性、完全アノード及びカソード分割性を用いて構成することができる。
プログラム画面100はまた、4つの異なる電極組合せ1〜4のうちの1つを選択するようにユーザがクリックすることができる矢印を有する電極組合せコントロール112を含む。電極組合せ1〜4の各々は、様々な制御要素を使用して発生させることができる。
プログラム画面100はまた、軸線方向ステアリング制御要素116のセットと、横断方向ステアリング制御要素118のセットとを含む。図示の実施形態において、制御要素116、118、並びに本明細書に説明する他の制御要素は、図形アイコンとして実施され、図形アイコンは、マウスでクリックされ、又はタッチスクリーンの場合は指でタッチされる。変形例では、本明細書に説明する制御要素は、それを作動させるように押したり他の方法で移動したりすることができるジョイスティック、タッチパッド、ボタンパッド、1群のキーボード矢印キー、マウス、ローラボール追跡デバイス、水平又は垂直ロッカータイプのアームスイッチ等として実施することができる。
軸線方向ステアリング制御要素116のいずかを作動させると、制御信号が発生され、これに応答して制御回路80は、リード12の軸線方向に対して電気刺激フィールドの位置(及び従って活性化容積(VOA))を軸線方向に変位させるように設計された刺激パラメータセットを発生させるように構成される。同様に、横断方向ステアリング制御要素118のいずかを作動させると、制御信号が発生され、これに応答して制御回路80は、リード12の軸線方向に対して電気刺激フィールドの位置(及び従って活性化容積(VOA))を横方向に変位させるように設計された刺激パラメータセットを発生させるように構成される。
制御要素116、118は、連続的に(すなわち、制御要素116、118のうちの1つを連続的に作動させることにより、例えば、制御要素116、118のうちの1つをクリックし、そのクリック(すなわち、最初の「クリック」後のコントロールの連続作動)を保持し、又は例えば制御要素116、118を繰返しクリックしてそのうちの1つを解除することによって制御要素116、118のうちの1つを繰返し作動させることにより、)作動させて一連の制御信号を発生させ、これに応答して制御回路80は、複数の刺激パラメータセットを発生させるように構成することができる。出力テレメトリ回路86は、これらの刺激パラメータセットをIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に送信するように構成される。
好ましくは、制御要素116、118又は変形例の制御要素の作動に応答して発生する制御信号は、方向性があり、電気刺激フィールドの位置は、電気刺激フィールド位置の現在位置に関係なく信号制御要素の連続作動に応答して定められた方向に配置されることを意味する。以下により詳細に説明するように、制御回路80は、制御要素116、118の作動に応答し、最初に一連の理想多極を形成し、これらの理想多極を模倣又はエミュレートする方式で電極の各々に対する分割電流値を含む刺激パラメータをコンピュータ的に判断する。
制御要素116、118のセットの各々は、作動のモードに応じて電気刺激フィールドを調節するように作動させることができる二重矢印(すなわち、2つの反対方向を示す制御要素矢印)の形態を取る。例えば、上方矢印制御要素116aは、近位方向の電気刺激フィールドの位置を軸線方向に(すなわち、リード12の軸線に沿って)変位させるためにクリックすることができ、下向き矢印制御要素116bは、遠位方向の電気刺激フィールドの位置を軸線方向に(すなわち、リード12の軸線に沿って)変位させるためにクリックすることができ、左向き矢印制御要素118aは、左向き方向の電気刺激フィールドの位置を横に(すなわち、リード12の軸線に垂直に)変位させるためにクリックすることができ、右向き矢印制御要素118bは、右向き方向の電気刺激フィールドの位置を横に(すなわち、リード12の軸線に垂直に)変位させるためにクリックすることができる。制御要素116、118はまた、リード12に対して電気刺激フィールドの位置の指示を表示するためのインジケータ116c、118cを含む。特に、インジケータ116cは、電気刺激フィールド位置の軸線方向変位を表すドットを表示し、インジケータ118cは、電気刺激フィールド位置の横変位を表すドットを表示する。
プログラム画面100は、外科的パドルリードを示すが、プログラム画面100は、1つ又はそれよりも多くの経皮を示し、軸線方向に(単一神経刺激リードの場合に)電極12をいずれかに配置し、電流が軸線方向にステアリングするのを可能にし、又は電極12を2次元で(複数の神経刺激リードの場合)配置し、それによって電極を2次元で配置し、電流を外科的パドルリードに酷似する次元でステアリングすることができる。勿論、電極は、3次元に配置することができ(例えば、特許文献12に説明するセグメント神経刺激リードのように、例えば、3次元で3つの神経刺激リードを配置することにより、又は3次元で配置された単一神経刺激リード上の電極を使用することにより)、その場合には、電流は、3次元でステアリングすることができる。
プログラム画面100は、好ましくは、刺激ターゲットである解剖学的構造200の図形描写に対して電極アレイ26の2次元の図形表現を表示する。電流刺激パラメータセットに基づいて、制御回路80は、得られる活性化容積VOA202の推定値を計算し、モニタ76を促して図形電極アレイ26及び図形的な解剖学的構造200と共にVOA(活性化容積)202の図形表現を表示する表示信号を発生させる。好ましい実施形態において、図形的なVOA(活性化容積)は、図形的な解剖学的構造200の上に重ね合わせられる。
プログラム画面100はまた、電極アレイ26に対して制御回路80によって操作される理想多極250の図形表現を表示する。一実施形態において、多極250は、中心理想極252に対して5つの仮想位置及び4つの周囲の理想極254(1)〜254(4)(集合的に254)を定める汎用多極である。汎用多極250は、メモリ82に格納された変数値のいくつかのセットで定められる。変数値のこれらのセットは、中心理想極252及び周囲の理想極254の極性を定める変数値のセットと、中心理想極252と電極アレイ262の間の空間関係を定める変数値のセットと、周囲の理想極254と中心理想極252の間の空間関係を定める変数値のセットと、周囲の理想極254の相対強度を定める変数値のセットとを含む。
更に図9を参照して、典型的なSCS(脊髄刺激)計画に従って負に分極した電流によって神経を刺激すると仮定すると、例示的な実施形態において、極性を定める変数値のセットは、カソード(「−」)であるような中心理想極252の極性とアノード(「+」)であるような周囲の理想極254の極性とを定める。変形例の実施形態において、中心理想極252は、アノード(「+」)として定めることができ、周囲の理想極254の極性は、カソード(「−」)として定めることができる。変形例として、理想極の極性を定める変数値のセットを有するのではなく、理想極の極性は、これらを変更することができないように固定方式で予め定めることができる。
図示の実施形態において、中心理想極252と電極アレイ26の間の空間関係は、直線位置(例えば、2次元座標系のx−y位置又は3次元座標系のx−y−z位置)である。変形実施形態において、中心理想極252と電極アレイ26の間の空間関係は、極座標系、円筒座標系、又は球座標系における位置とすることができる。中心理想極252と電極アレイ26の間の空間関係は、中心理想極252及び電極アレイ26の両方に対する絶対座標位置として格納することができ、又は中心理想極252と電極アレイ26の間の相対座標位置として格納することができる。中心理想極252と電極アレイ26の間の空間関係は、電極アレイ26、例えば、指定の電極の参照点に対して判断することができる。
図示の実施形態において、周囲の理想極254と中心理想極252の間の空間関係は、周囲の理想極254の各々と中心理想極252の間に絶対距離(「フォーカス」と呼ばれる)を含む。特に、第1の理想極254(1)と中心理想極252の間の空間関係は、垂直フォーカスVF1によって定められ、第2の理想極254(2)と中心理想極252の間の空間関係は、垂直フォーカスVF2によって定められ、第3の理想極254(3)と中心理想極252の間の空間関係は、水平フォーカスHF1によって定められ、かつ第4の理想極254(4)と中心理想極252の間の空間関係は、水平フォーカスHF2によって定められる。
図示の実施形態において、周囲の理想極254の相対強度A1〜A4は、分割値を使用して定められる。例えば、周囲の理想極254の各々は、25%の強度を有することができる。注意すべき点は、特定の理想極254をオンにする(又は活性化される)場合、非ゼロ強度値を有し、特定の理想極254をオフにする(又は活性化されない)場合、ゼロ強度値を有することになる。従って、相対強度A1、A2が非ゼロであり(理想極254(1)、254(2)が活性化される)、かつ相対強度A3、A4がゼロである(理想極254(3)、254(4)が活性化されない)場合、縦3極構成(SCS(脊髄刺激)の場合吻側尾側)は、図10に示すように、汎用理想多極250から形成することができる。対照的に、相対強度A3、A4が非ゼロであり(理想極254(3)、254(4)が活性化される)、かつ相対強度A1、A2がゼロである(理想極254(1)、254(2)が活性化されない)場合、横3極構成(SCS(脊髄刺激)の場合中央横方向)は、図11に示すように、汎用理想多極250から形成することができる。
理想極254(1)及び254(2)、並びに中心理想極252は、第1の軸線256に沿って位置合わせ又は整列配置され、第1の軸線256に沿って理想極254(1)及び254(2)に対する絶対距離が定められ、理想極254(3)及び254(4)、並びに中心理想極252は、第2の軸線258に沿って位置合わせ又は整列配置され、第2の軸線252に沿って理想極254(3)及び254(4)に対する絶対距離が定められる。この場合、軸線256、258の一方又は両方と基準軸線260の間の角度を定める変数値のセットは、メモリ82に格納することができる。
図示の実施形態において、基準軸線260は、リード12の縦軸線に対して直角の軸線である。例えば、図9に示すように、軸線256と基準軸線260の間の角度αは、90度になるように定められ、基本的には理想多極250を電極アレイ26に整列配置させる。図12に示すように、軸線256と基準軸線260の間の角度αは、理想多極250を電極アレイ26から回転的にオフセットするように120度になるように定められる。
軸線256、258の間の相対角度が固定される場合(すなわち、軸線256、258は互いに対して回転できない)、1つの角度のみ(例えば、軸線256と基準軸線260の間の角度)が使用されなければならない。これは、図9及び図12に示すように、例えば、軸線256、258が常に互いに直交していると仮定する場合とすることができる。しかし、変形実施形態において、軸線256、258は互いに対して回転することができ、その場合に、2つの角度を定める必要がある。例えば、図13に示すように、軸線256と基準軸線260の間の角度αは、120度になるように定められ、軸線258と基準軸線260の間の角度βは、−15度になるように定められる。この場合、軸線256、258は、互いに直交していない。変形例として、基準軸線260に対して両軸線軸線256、258に対する角度を定めるのではなく、軸線256、258の一方の角度は、基準軸線260に対して定めることができ、軸線256、258の他方の1つの角度は、一方の軸線に対して定めることができる。例えば、軸線256と基準軸線260の間の角度αは、120度になるように定めることができ、軸線256、258の間の角度φは、135度になるように定めることができる。
好ましい実施形態において、それぞれの理想極254(1)、254(2)に対する垂直フォーカスVF1、VF2、及びそれぞれの理想極254(3)、254(4)に対する水平フォーカスHF1、HF2は、独立に定められる。例えば、図9の実施形態において、垂直フォーカスVF1、VF2は、等しく(対称的であり)、水平フォーカスHF1、HF2は、等しい(対称的である)が、図13の実施形態において、垂直フォーカスVF1、VF2は、等しくなく(VF1はVF2よりも大きく)(非対称的であり)、水平フォーカスHF1、HF2は、等しくない(HF1はHF2よりも小さい)(非対称的である)。
制御回路80は、ユーザインタフェースによって発生する方向制御信号に応答して、理想多極250を定める値のセットのうちの少なくとも1つを調節するように構成される。例えば、制御回路80は、中心理想極252及び周囲の理想極254の極性、電極アレイ26に対する中心理想極252の直線位置、垂直フォーカスVF1、VF2及び水平フォーカスHF1、HF2、周囲の理想極254の分割値A1〜A4、及び/又は角度α、β、φのいずれかを調節することができる。任意的な実施形態において、制御回路80は、自動シーケンスの関数として(例えば、値のセットは毎秒調節される)、電極境界の関数として(例えば、理想多極250は、一定の電極領域内に残る必要がある)、又は特定の電極位置の関数として(例えば、理想多極250の極のうちの1つは、特定の電極に適用する必要がある)理想多極250を定める値のセットのうちの1つを調節することができる。
制御回路80は、調節に基づいて、理想多極250の選択された極を模倣又はエミュレートするようにそれぞれの電極12に対して相対振幅値を定める刺激パラメータ値を発生させ、かつ刺激パラメータ値に従って電極アレイ26に電気エネルギを伝達するようにIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に命令するように更に構成される。理想多極を模倣又はエミュレートするように相対電極振幅値の計算を説明する更なる詳細は、特許文献13に開示されている。
重要なことは、制御回路80は、方向制御信号の連続発生に応答して生成した理想多極250を定める値を調節し、かつ調節値に基づいて生成された刺激パラメータ値に従って電極アレイ26に電気エネルギを伝達するようにIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に命令することによって特定の方向に電流をステアリングすることができる。
例えば、制御回路80は、方向制御信号に応答して電極アレイ26に対して複数の理想2極/3極構成を順次形成するように構成することができる。
図14に示す一実施形態において、制御回路80は、異なる理想2極/3極構成を形成するための基礎として中心理想カソード252及び2つの横に位置するアノード254(1)及び254(2)を有する縦3極構成を利用する。縦3極構成は、カソードであるべき中心理想極252の分極及びアノードであるべき周囲の理想極254の分極を形成し、非ゼロ値であるべき理想極254(1)及び254(2)に対して強度値を定め、かつゼロ値であるべき理想極254(3)及び254(4)(図14には示さず)に対して強度値を定めることによって発生された理想多極250から導出することができる。基礎の縦3極構成の特性は、縦方向フォーカス(LGF)(生成された多極250の垂直フォーカス(VF1)と同等)、上側アノード百分率(UAP)(生成された多極250の強度値A1と同等)、及び電極アレイ26に対するカソード位置によって定めることができる。下側アノード百分率は、式A2=100−A1に従って計算することができる。
制御回路80は、ウィービング電流ステアリング技術に従って異なる理想2極/3極構成を順次形成することができる。例えば、一連の理想2極/3極構成は、電極アレイ26において利用可能な電極位置を表す複数の点線にわたって図15に示されている。図示のように、理想2極/3極構成の個々の極は、一般的に、最もエネルギ効率的な方式で理想2極/3極構成を模倣又はエミュレートするために、利用可能な電極位置にわたってできるだけ多く維持される。図示の実施形態において、理想3極構成の全ては、理想アノードが中心理想カソードから同等に離間しているという点で対称的である。各示す理想2極/3極構成は、その構成が3極であるか又は2極であるか(3極に対してT及び2極に対してB)を示す指示子と、電極分離に関して縦方向フォーカス(LGF)を示す添字付き指示子とを有し、2極の場合、2極を示す添字付き指示子は、アノードがカソードの上に重なることを意味する上側2極(u)であり、2極は、アノードがカソードの下に重なることを意味する下側2極(l)である。
図15に示す実施形態において、異なる理想2極/3極構成は、狭い理想3極構成(T2)、狭い上側理想2極構成(B2u)、広い上側理想2極構成(B3u)、広い理想3極構成(T2.5)、広い下側理想2極構成(B3l)、狭い下側理想2極構成(B2l)、及び狭い理想3極構成(T2)というこの順序で順次定められる。本明細書の目的のために、用語「狭い」及び「広い」は、共に使用して理想2極又は理想3極を定める時の相対語であり、狭い2極及び/又は狭い3極は、広い2極及び/又は広い3極の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さいことを単に意味する。
図15に示す理想2極/3極構成は、臨界点であると考えることができ、臨界点の間で、カソード位置及び縦方向フォーカス(LGF)は、縦方向フォーカス(LGF)及び上側アノード百分率(UAP)によって定められる「ウィーブ空間」のシーケンスをマップすることによって区分的に(incrementally)変更される。図16に最も良く示すように、理想2極/3極構成のシーケンスは、理想2極/3極構成において連続変化をもたらす臨界点(円で表す)を順次接続する軌道によって定められる。
図16から認められるように、狭い理想3極構成(T2)で始まり狭い上側理想2極構成(B2u)で終るシーケンスは、縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。狭い上側理想2極構成(B2u)で始まり広い上側理想2極構成(B3u)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を増大させながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。広い上側理想2極構成(B3u)で始まり広い理想3極構成(T2.5)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を低下させながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を低減する。広い理想3極構成(T2.5)で始まり広い下側理想2極構成(B3l)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を増大させながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を低減する。広い下側理想2極構成(B3l)で始まり狭い下側理想2極構成(B2l)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を低下させながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。狭い下側理想2極構成(B2l)で始まり狭い理想3極構成(T2)で終るシーケンスは、縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。
注意すべき点は、上述のシーケンスは、狭い理想3極構成(T2)と広い上側理想2極構成(B3u)の間を異なるタイプの理想2極/3極構成を通して移行しながら、電極アレイ26に対して理想カソードの同じ位置を維持し、広い上側理想2極構成(B3u)と広い下側理想2極構成(B3l)の間の1つの方向(この場合、上方)の電極アレイ26に対して区分的に理想カソードの位置を変え、かつ広い下側理想2極構成(B3l)と狭い理想3極構成(T2)の間を異なるタイプの理想2極/3極構成を通して移行しながら、電極アレイ26に対して理想カソードの同じ位置を維持する。
図15に示すシーケンスは、理想カソードが各サイクル当たり1つの電極によって上方にシフトされるという効果によって繰返し循環させることができる。2極/3極構成のシーケンスを模倣又はエミュレートするように計算された刺激パラメータセットに従って電気エネルギが電極アレイ26に伝達される時に、活性化容積(VOA)は、理想カソードの区分的変位に従って患者の組織に沿って区分的に変位することになる。各理想2極/3極構成が患者の脊髄に沿ってほぼ整列配置される場合、VOA(活性化容積)は、患者の脊髄に沿って吻側尾側に変位することになる。
注意すべき点は、異なるステップサイズを使用して、理想2極/3極構成の間で移行することができることである。例えば、図17に示すように、細かい分解能(1臨海点移行当たり10ステップ)を使用して、カソードがシフトされていない臨界点の間で移行し、更により細かい分解能(1臨海点移行当たり20ステップ)を使用して、カソードがシフトされている臨界点の間で移行する。図18に示すように、粗い分解能(1臨海点移行当たり5ステップ)を使用して、臨界点の全ての間で移行する。
異なる理想2極/3極構成は、異なる順序で順次定められ、図15に示すシーケンスと比較して2極/3極構成の異なるものを使用してカソードをシフトさせることができる。例えば、図19に示すように、異なる理想2極/3極構成は、以下の狭い上側理想2極構成(B2u)、広い上側理想2極構成(B3u)、広い理想3極構成(T3)、広い下側理想2極構成(B3l)、狭い下側理想2極構成(B2l)、狭い理想3極構成(T2.5)、及び狭い上側理想2極構成(B2u)という順序で定めることができる。
図20に最も良く示すように、理想2極/3極構成のシーケンスは、臨界点(円で表す)を順次接続する軌道線によって定められる。図示のように、狭い上側理想2極構成(B2u)で始まり広い上側理想2極構成(B3u)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を増大させながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。広い上側理想2極構成(B3u)で始まり広い理想3極構成(T3)で終るシーケンスは、縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら上側アノード百分率(UAP)を低減する。広い理想3極構成(T3)で始まり広い下側2極構成(B3l)で終るシーケンスは、縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら上側アノード百分率(UAP)を低減する。広い下側理想2極構成(B3l)で始まり狭い下側理想2極構成(B2l)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を低下させながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。狭い下側理想2極構成(B2l)で始まり狭い上側理想3極構成(T2.5)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を増大させながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。狭い理想3極構成(T2.5)で始まり狭い上側理想2極構成(B2u)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を低下させながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。
注意すべき点は、上述のシーケンスは、狭い上側理想2極構成(B2u)と狭い下側理想2極構成(B2l)の間を異なるタイプの理想2極/3極構成を通して移行しながら、電極アレイ26に対して理想カソードの同じ位置を維持し、かつ狭い下側理想2極構成(B2l)と狭い上側理想2極構成(B2u)の間の1つの方向(この場合、上方)の電極アレイ26に対して区分的に理想カソードの位置を変えることである。
図19に示すシーケンスは、理想カソードが各サイクル当たり1つの電極によって上方にシフトされるという効果によって繰返し循環させることができる。図15に関して上述したように、2極/3極構成のシーケンスを模倣又はエミュレートするように計算された刺激パラメータセットに従って電気エネルギが電極アレイ26に伝達される時に、理想2極/3極構成の各々が患者の脊髄に沿ってほぼ整列配置される場合、活性化容積(VOA)は、理想カソードの区分的変位に従って患者の脊髄に沿って区分的に吻側尾側に変位することになる。
3極構成のカソード及びアノードは、図15及び図19に示すように軸線に沿って整列配置されるが、カソード及びアノードは、軸線に沿って整列配置されない場合があることを認めなければならない。例えば、図13に示す方式では、制御回路80は、理想極254(1)及び254(2)、並びに中心理想極252が軸線256に沿って整列配置されないという方式で角度α及びβを定める場合がある。
方向制御信号に応答して同じ方向に整列配置される異なる理想2極/3極構成を順次形成するのではなく、制御回路80は、複数の異なる理想多極構成を順次形成するように構成することができ、多極構成のうちの一部は、互いに直交することができる。
図21に示す一実施形態において、制御回路80は、直交する多極構成を形成するための基礎として中心理想カソード352及び4つの周囲の理想アノード354を有する発生された理想多極300を利用する。発生された理想多極300は、カソードであるべき中心理想極252の分極及びアノードであるべき周囲の理想極254の分極を定めることによって発生された理想多極250から導出することができる。発生された理想多極250の垂直フォーカスVF1、VF2は、上のアノードフォーカスAF及び下のアノードフォーカスBFとそれぞれ置換され、発生された理想多極250の水平フォーカスHF1、HF2は、左のアノードフォーカスLF及び右のアノードフォーカスRFとそれぞれ置きかえられている。
図22a〜図22cを参照して、図3の電極アレイを使用する一連の活性電極の組合せを発生させ、中央から横位置に活性化容積(VOA)をシフトさせることができる。以下により詳細に説明するように、理想多極を生成して活性電極組合せの実際のシーケンスを適合させることができる。
活性電極組合せのシーケンスは、カソードとして内側電極縦列26’(電極E9、E14)の中央の横列を活性化させ、アノードとして左外側縦列26”(電極E3、E4)の2つの横に位置する電極及び右外側縦列26”(電極E19、E20)の2つの横に位置する電極を活性化することによって作り出された横3極電極配置S1で始めることができ、それによって電極アレイ26に対して中央位置に実質的にVOA(活性化容積)を置く中央横方向電界を生成する。この横3極配置は、DR(脊髄後根)神経の上のDC(脊髄後索)神経に対して高い選択性を提供する。
別の横3極電極配置S2は、同じ横3極電極配置S1を使用することによって作り出されるが、左内側電極縦列26’(電極E9)において電極を不活性化させ、それによって得られるVOA(活性化容積)を中央位置から右に横方向にシフトさせる中央横方向電界を生成する。
狭い縦3極電極配置S3は、カソードとして右内側電極縦列26’(電極E14)の中央電極を活性化させ、アノードとして右内側電極縦列26’(電極E12、E16)の2つの横に位置する電極を活性化することによって作り出され、それによって得られるVOA(活性化容積)を更に右にシフトさせる吻側尾側電界を生成する。
広い縦3極電極配置S4は、右外側電極縦列26’(電極E19、E20)の中央の2つの電極を活性化させ、右外側縦列26’(電極E17、E22)の2つの横に位置する電極を活性化することによって作り出され、それによって得られるVOA(活性化容積)を全て右の方へシフトさせる吻側尾側電界を生成する。
4極電極配置S5は、縦3極電極配置S4を使用するが、右内側電極縦列26’(電極E14)の中央電極を活性化することによって作り出される。
注意すべき点は、得られるVOA(活性化容積)の配置は、中央位置から右に行われるように示されていることであるが、得られるVOA(活性化容積)は、中央位置から左に変位することができることを認めることができる。
図22bに示すように、制御回路50は、図21aに示す活性電極配置にそれぞれ適合する理想多極構成を順次形成することができる。特に、制御回路50は、以下の第1の方向(横断方向)に向けられた第1の理想3極構成S1、第1の方向(横断方向)に向けられた第2の理想3極構成S2、第2の直交方向(縦方向)に向けられた第3の理想3極構成S3、第2の方向(縦方向)に向けられた第4の理想3極構成S4、及び理想4極構成S5という順序で理想多極構成を形成することができる。
更に図22cを参照して、制御回路50は、アノード強度(A1〜A4)、アノードフォーカス(AF、BF、LF、RF)、及び電極アレイ26に対する中心理想カソードの位置に従って異なる多極構成を形成する。
特に、第1の理想3極構成S1は、中心理想カソードが2つの内側電極縦列26’の間で横に整列配置されるように、アノード強度A1、A2をゼロ値に設定し、アノード強度A3、A4を非ゼロ値に設定し、かつ左及び右のアノードフォーカスLF、RFを比較的小さな等しい値に設定し、中心理想カソードと電極アレイ26の間の相対位置を定めることによって狭い横の対称理想3極構成として定めることができる。
第2の理想3極構成S2は、中心理想カソードが右内側電極縦列26’と横に整列配置されるように、アノード強度A1、A2をゼロ値に設定し、アノード強度A3、A4を非ゼロ値に設定し、左アノードフォーカスLFを比較的大きな値になるように設定し、右アノードフォーカスRFを比較的小さな値になるように設定し、かつ中心理想カソードと電極アレイ26の間の相対位置を定めることによって狭い横の対称理想3極構成として定めることができる。
第3の理想3極構成S3は、中心理想カソードが右内側電極縦列26’と横に整列配置されるように、アノード強度A1、A2を非ゼロ値に設定し、アノード強度をA3、A4をゼロ値に設定し、上及び下のアノードフォーカスAF、BFを比較的小さな等しい値に設定し、かつ中心理想カソードと電極アレイ26の間の相対位置を定めることによって狭い縦方向の対称理想3極構成として定めることができる。
第4の理想3極構成S4は、中心理想カソードが右外側電極縦列12と横に整列配置されるように、アノード強度A1、A2を非ゼロ値に設定し、アノード強度をA3、A4をゼロ値に設定し、上及び下のアノードフォーカスAF、BFを比較的大きな等しい値に設定し、かつ中心理想カソードと電極アレイ26の間の相対位置を定めることによって広い対称理想3極構成として定めることができる。
理想4極構成S4は、中心理想カソードが右上側電極縦列26’と横に整列配置されるように、アノード強度A1、A2、A3を非ゼロ値に設定し、アノード強度A4をゼロ値に設定し、上及び下のアノードフォーカスAF、BFを比較的大きな等しい値に設定し、左アノードフォーカスLFを比較的小さな値に設定し、かつ中心理想カソードと電極アレイ26の間の相対位置を定めることにより、中心理想カソードを縦方向に横に位置する2つの理想アノードと、2つのアノードから同距離に中心理想カソードの左に位置決めされた第3の理想アノードとを有するように定めることができる。
図22cに最も良く示すように、図22bに示す理想多極構成は、臨界点を考慮することができ、その間で、アノード強度(A1〜A4)、アノードフォーカス(LF、RF、AF、BF)、及びカソード前進を区分的に変化させて、中央位置から横位置にVOA(活性化容積)が滑らかに進められる。
特に、第1の理想3極構成S1と第2の理想3極構成S2との間で、上及び下のアノード強度A1、A2は、ゼロ値に維持され(オフにしたままであり)、左及び右アノード強度A3、A4は、非ゼロ値に維持され(オンにしたままであり)、左アノードフォーカスLFは、区分的に比較的高値まで増大するが、右アノードフォーカスRFは、区分的に比較的低値まで低下し、理想中心カソードの位置は、区分的に右にシフトされる。
第2の理想3極構成S2と第3の理想3極構成S3の間で、上及び下のアノード強度A1、A2は、区分的にゼロ値から増大する(区分的にオンにする)が、左及び右アノード強度A3、A4は、区分的にゼロ値まで低下し(区分的にオフにする)、左及び右アノードフォーカスLF、RFは維持され、かつ理想中心カソードの位置も維持される。
第3の理想3極構成S3と第4の理想3極構成S4との間で、上及び下のアノード強度A1、A2の非ゼロ値は維持され(オンにしたままであり)、左及び右アノード強度A3、A4のゼロ値も維持され(オフにしたままであり)、左アノードフォーカスLFは、区分的に低下するが、右アノードフォーカスRFは、区分的に増大し、上及び下のアノードフォーカスAF、BFは、区分的に低下し、かつ理想中心カソードの位置は、区分的に右にシフトされる。
第4の理想3極構成S4と理想4極構成S5との間で、上及び下のアノード強度A1、A2は、区分的に非ゼロ値よりも小さくなるまで低下し(区分的に例えば、5〜50%だけ下がり)、左アノード強度A3は、区分的に非ゼロ値まで低下し(区分的に例えば、10〜100%だけ下がり)、右アノード強度A4のゼロ値は維持され(オフにしたままであり)、全てのアノードフォーカスAF、BF、LF、RFも維持され、かつ理想中心カソードの位置も維持される。
電気エネルギが、理想3極構成及び4極構成のシーケンスを模倣又はエミュレートするように計算された刺激パラメータセットに従って電極アレイ26に伝達される時に、活性化容積(VOA)は、理想カソードの区分的変位に従って患者の脊髄にわたって区分的に中央横方向に配置されることになる。
図14〜図22に関して説明する電流ステアリング手法中に、理想多極構成の極のどれも電極アレイ26の最大限の広がりを超えていないことが重要であることを認めなければならない。
例えば、図3に示す外科的パドルリード12が、電極縦列が脊髄の縦軸線に整列配置されるように患者内に従来の方式で埋込まれる場合、理想極は、電極E1及びE17の上方に延びず(これは、電流を吻側方向にステアリングする時に行うことができる)、電極E6及びE22の下方に延びず(これは、電流を尾側方向にステアリングする時に行うことができる)、左電極縦列26”の左まで延びず(これは、電流を左まで横方向にステアリングする時に行うことができる)、かつ右電極縦列26”の右まで延びない(これは、電流を右まで横方向にステアリングする時に行うことができる)ことが重要である。リードが脊髄の縦軸線に整列配置され、リードの遠位端が吻側方向に位置決めされるように(図2に示すように)、図4に示す経皮リード12が患者に埋込まれる場合、理想極は、電極E1及びE9の上方に延びず(これは、電流を吻側方向にステアリングする時に行うことができる)、電極E8及びE16の下方に延びない(これは、電流を尾側方向にステアリングする時に行うことができる)ことが重要である。線状電極アレイの場合に(例えば、外科的パドルリード又は経皮リードの電極縦列のいずれか)、最大限の広がりは、線形電極アレイの端部において電極26に適合していること(例えば、外科的パドルリード12、左外側電極縦列26”に対する電極E1及びE6、左内側電極縦列26’に対する電極E7及びE11、右内側電極縦列26’に対する電極E12及びE16、及び右外側電極縦列26”に対する電極E17及びE22、並びに経皮リード12(1)に対する電極E1及びE8、及び経皮リード12(2)に対する電極E9及びE16に対して)はこれから理解することができる。
図23を参照して、いずれかの理想極が電極アレイ26の最大限の広がりを超えて延びるのを阻止するために、制御回路50は、例えば、図15に関して上述した方式で、最初に電極アレイ26に対して複数の理想多極構成を順次形成する。制御回路50は、次に、形成された複数の理想多極構成のうちの少なくとも1つと電極アレイ26の最大限の広がりの間の空間関係を判断し、形成された理想多極構成のあらゆる極が、空間的に電極アレイ26の最大限の広がりを超える場合、制御回路50は、空間的に電極アレイ26の最大限の広がりを超える形成された理想多極構成の全てが空間的に電極アレイ26の最大限の広がりにあるように、複数の理想多極構成を修正する。図23から認められるように、形成された理想多極構成が調節されないままである場合、広い上側理想2極構成B3uの上側極(アノード)及び広い理想2極構成T2.5の上側極(アノード)は、最も吻側の電極(すなわち、最大の許容吻側フォーカス)の上方に延びる。図24に示すように、理想2極/3極構成のシーケンスは、順次臨界点(円で表す)を接続する点線の軌道によって定められる。
制御回路50は、広い上側理想2極構成B3uの縦方向フォーカスLGFを低下させる(基本的には、広い上側理想2極構成B3uを排除し、それを狭い上側理想2極構成B2.5uによって置換する)ことによってこれを修正する。制御回路50はまた、理想カソードの初期吻側変位を遅らせ、その変位は、以前は広い理想3極構成T2.5まで広い上側理想2極構成B3uにおいて起こるものであった。広い下側理想2極構成B3lにおける最終変位前に理想カソードを変位させるための別のステップを提供するために、制御回路50は、広い理想3極構成T2.5と広い下側理想2極構成B3lの間に下側理想2極構成BB2.5lを加える。
図25に最も良く示すように、理想2極/3極構成のシーケンスは、臨界点(円で表す)を順次接続する軌道線によって定められる。図示のように、狭い理想3極構成(T2)で始まり狭い上側理想2極構成(B2u)で終るシーケンスは、縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。狭い上側理想2極構成(B2u)で始まり広い上側理想2極構成(B2.5u)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。広い上側理想2極構成(B2.5u)で始まり広い理想3極構成(T2.5)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。広い理想3極構成(T2.5)で始まり(調節された)広い下側理想2極構成(B2.5l)で終るシーケンスは、縦方向フォーカス(LGF)を維持しながら区分的に上側アノード百分率(UAP)を増加させる。広い下側理想2極構成(B2.5l)で始まり広い下側理想2極構成(B3l)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を増大させながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。広い下側理想2極構成(B3l)で始まり狭い下側理想2極構成(B2l)で終るシーケンスは、区分的に縦方向フォーカス(LGF)を低下させながら上側アノード百分率(UAP)を維持する。
注意すべき点は、上述のシーケンスは、狭い理想3極構成(T2)と広い理想3極構成(T2.5u)の間、及び広い下側理想2極構成(B 3l )と狭い下側理想2極構成(B2l)の間に異なるタイプの理想2極/3極構成を通して移行しながら電極アレイ26に対して理想カソードの同じ位置を維持し、かつ広い理想3極構成(T2.5u)と広い下側理想2極構成(B 3l )の間の1つの方向(この場合、上方)の電極アレイ26に対して区分的に理想カソードの位置を変えることである。
図24に示すシーケンスは、理想カソードが各サイクル当たり1つの電極によって上方にシフトされるという効果によって繰返し循環させることができる。図15に関して上述したように、理想2極/3極構成の各々が患者の脊髄に沿ってほぼ整列配置される場合、2極/3極構成のシーケンスを模倣又はエミュレートするように計算された刺激パラメータセットに従って電気エネルギが電極アレイ26に伝達される時に、活性化容積(VOA)は、理想カソードの区分的変位に従って患者の組織に沿って区分的に吻側尾側に変位することになる。
認められるように、縦方向フォーカス(LGF)を調節することにより、制御回路50は、それぞれの理想多極構成のために互いに対して理想アノード及び理想カソードを変位させる。そうすることで、理想アノードと理想カソードの間の空間関係(この場合、縦方向フォーカス(LGF))を定める値は、メモリに格納することができる。これらの値の少なくとも一部は、制御回路50が、変数値を修正することによって互いに対して理想アノード及び理想カソードを変位させることができるように変動性とすることができる。
例えば、図26に示すように、いずれかの所定の時点における7つの理想2極/3極構成を表す7つの臨界点(P1〜P7)は、理想2極/3極構成のシーケンスが臨界点(円で表す)を順次接続する軌道線によって定められた状態で、縦方向フォーカス(LGF)及び上側アノード百分率(UAP)によって定められたウィーブ空間に示されている。狭い理想2極/3極構成を表す臨界点P1及びP7は、変更することができず、従って、メモリに格納された固定値によって定めることができ、広い理想2極/3極構成を表す臨界点P2〜P6は、変更することができず、従って、メモリに格納された変数値によって定めることができる。
図示の実施形態において、臨界点P1、P7は、最初に狭い下側理想2極構成及び狭い上側理想2極構成を表し、臨界点P2、P3は、最初に広い上側理想2極構成を表し、臨界点P4は、最初に広い3極極構成を表し、臨界点P5、P6は、最初に同様の広い下側理想2極構成を表す。最初に、吻側及び尾側方向の両方の最大の縦方向フォーカス(LGF)は、一定の限界を超えると仮定される。制御回路50は、理想2極/3極構成のどの極もが最大の縦方向フォーカス(LGF)(すなわち、電極アレイ26の最大限の広がり)を超えるように、臨界点P2〜P6に関連付けられた変数値を変化させることができる。図示の実施形態において、変数値は、臨界点に関連付けられる。
例えば、組織における最大の縦方向フォーカスが、吻側縦方向フォーカスである(すなわち、理想2極/3極構成の上側極が、場合によっては電極アレイ26の上側最大限の広がりを超える場合がある)場合、図27aに示すように、臨界点P2、P5は、それぞれのP2、P5移動線に沿って水平に左に変位させることができ(それによってそれぞれの縦方向フォーカス値(LGF)を低減する)、臨界点P3、P4は、それぞれのP3、P4移動線に沿って斜めに左に及び下向きに変位させることができる(それによってそれぞれの縦方向フォーカス値(LGF)を低下させ、上側アノード百分率(UAP)を低減する)。
吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)が、臨界点P2の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さい時に、臨界点P2、P5は、同じ縦方向フォーカス(LGF)値までそれぞれのP2、P5移動線に沿って同時に変位し(それによって広い上側及び下側理想2極構成を実質的に狭くし)、臨界点P3は、P3移動線に沿って変位する(上側理想2極構成を狭い理想3極構成に実質的に変える)。吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)が、臨界点P4の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さい場合、臨界点P4は、P4移動線に沿って同時に変位する(広い理想3極構成を実質的に狭くする)。この場合、臨界点P3、P4は、同じ縦方向フォーカス(LGF)値及び同じ上側アノード百分率(UAP)値にそれぞれのP3、P4移動線に沿って同時に変位する。実際には、臨界点P3、P4は、同様の理想3極構成を表すことになる。
図27bに示すように、臨界点P2、P3、P5は、臨界点P2、P4の縦方向フォーカス(LGF)の間にある3つの異なる吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)(垂直実線で表す)に従って変位する。図27cに示すように、臨界点P2、P3、P4、P5は、臨界点P4の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さい2つの異なる吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)(垂直実線で表す)に従って変位する。理想カソードのシフトは、臨界点P3、P6の間に適用することができる。修正されたウィービング軌道線は、図27b及び図27cに示す修正された臨界点P1〜P7を順次接続する。
別の例として、組織における最大の縦方向フォーカスが尾側縦方向フォーカスである(すなわち、理想2極/3極構成の下側極が、一部の事例では、電極アレイ26の下側最大限の広がりを超える場合がある)場合、図28aに示すように、臨界点P3、P6は、それぞれのP3、P6移動線に沿って水平に左に変位させることができ(それによってそれぞれの縦方向フォーカス値(LGF)を低減し、それぞれの上側アノード百分率(UAP)を低減する)、臨界点P4、P5は、それぞれのP4、P5移動線に沿って斜めに左及び右に変位させることができる(それによってそれぞれの縦方向フォーカス値(LGF)を低減し、それぞれの上側アノード百分率(UAP)を低減する)。
尾側最大の縦方向フォーカス(LGF)が、臨界点P6の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さい時に、臨界点P3、P6は、それぞれのP3、P6移動線に沿って同じ縦方向フォーカス(LGF)値に同時に変位し(それによって広い上側及び下側理想2極構成を実質的に狭くする)、臨界点P5は、P5移動線に沿って変位する(下側理想2極構成を狭い理想3極構成に実質的に変える)。吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)が、臨界点P4の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さい場合、臨界点P4は、P4移動線に沿って変位する(広い理想3極構成を実質的に狭くする)。この場合、臨界点P4、P5は、同じ縦方向フォーカス(LGF)値及び同じ上側アノード百分率(UAP)値までそれぞれのP4、P5移動線に沿って同時に変位する。実際には、臨界点P4、P5は、同様の理想3極構成を表すことになる。
図28bに示すように、臨界点P3、P5、P6は、臨界点P4、P6の縦方向フォーカス(LGF)の間にある3つの異なる吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)(垂直実線で表す)に従って変位する。図28cに示すように、臨界点P2、P3、P4、P5は、臨界点P4の縦方向フォーカス(LGF)よりも小さい2つの異なる吻側最大の縦方向フォーカス(LGF)(垂直実線で表す)に従って変位する。理想カソードのシフトは、臨界点P3、P6の間に適用することができる。修正されたウィービング軌道線は、図28b及び図28cに示す修正された臨界点P1〜P7を順次接続する。
注意すべき点は、理想カソードが電極アレイ26の最大限の広がりに近すぎるので、理想2極/3極構成の電極をシーケンスから排除する必要がある時期がある可能性があることである。例えば、図29に示すように、理想カソードが電極アレイ26の最大の吻側範囲に近すぎる結果、理想2極/3極構成の上側アノードを使用することはできない。この場合、図24に示す理想2極/3極構成のシーケンスは、下側理想2極構成(すなわち、狭い下側理想2極構成(B2l)、(調節された)広い下側理想2極構成(B2.5l)、及び広い下側理想2極構成(B3l))に限定されることになる。
図30に最も良く示すように、理想下側2極構成のシーケンスは、臨界点(円で表す)を順次接続する軌道線によって定められる。図示のように、狭い下側理想2極構成(B2l)で始まり、(調節された)広い下側理想2極構成(B2.5l)で終るシーケンスは、理想カソードを変位させながら区分的に縦方向フォーカス(LGF)を増大させる。広い下側理想2極構成(B2.5l)で始まり、広い下側理想2極構成(B3l)で終るシーケンスは、理想カソードを更に変位させながら区分的に縦方向フォーカス(LGF)を更に増加させる。広い下側理想2極構成(B3l)で始まり、狭い下側理想2極構成(B2l)で終るシーケンスは、理想カソードを維持しながら区分的に縦方向フォーカス(LGF)を低下させる。
理想多極構成が電極アレイ26の最大限の広がりを超えるのを阻止するための技術を縦2極/3極構成に関して上述したが、理想多極構成が電極アレイ26の最大限の広がりを超えるのを阻止するためのこの技術は、図22bに示す横多極構成に適用することができることを認めなければならない。
上述したように、理想多極構成の極(すなわち、フォーカス)の間の間隔は、電極26の間の有効な分離に適合することが好ましい。この機能を実施するのに、CP(臨床医用プログラマー)18は、物理的電極26の間の有効電極分離を推定し、物理的電極26によって境界付けられた空間のいずれかの点での有効電極分離を推定することができる。
最初に図31a及び図31bを参照して、理想縦3極構成は、互いに対して縦方向に千鳥配置された3つの経皮神経刺激リード12(1)〜12(3)に対して示されている。図示のように、神経刺激リード12(1)及び12(2)は、8つの電極26を各々担持し、神経刺激リード12(3)は、4つの電極26を担持する。
図31aに示すように、極軸線290に沿って理想3極構成の極が整列配置される極軸線290が、理想カソード252が電極26(中心電極)のうちの1つの上に位置する状態で、中心リード12(2)の縦軸線に平行である時に、2つの電極分離に等しい縦方向フォーカスが望ましいと仮定すると、理想カソード252が位置する中心電極から、理想アノード254が第2の電極の上に位置するように、有効電極分離は、中心リード12(2)に対する電極分離と単に同じであると推定される。
しかし、図31bに示すように、極軸線290が理想カソード252が電極26のうちの1つの上に位置する状態で、中心リード12(2)の縦軸線に対して回転している時に、有効電極分離は、極軸線290に沿って利用可能な電極26に基づいて推定される。2つの電極分離により縦方向フォーカスを得るために、中心電極からの最初の有効電極分離は、極軸線290に沿って推定され、第1の電極位置(ダイヤで表される)の推定を得て、次に、第1の電極位置からの第2の有効電極分離は、次に、第2の電極位置の推定を得るように推定される。
図32aを参照して、2つの千鳥配置の神経刺激リード12(1)、12(2)は、合計6つの電極E1〜E6と共に示されている。CP(臨床医用プログラマー)18は、極軸線290と一直線上に電極E1〜E6に対して理想多極構成を形成することになると仮定される。図示の実施形態において、神経刺激リード12(1)、12(2)は、互いに平行であり及び/又は極軸線290は、神経刺激リード12(1)、12(2)に平行である。しかし、神経刺激リード12(1)、12(2)は、互いに非平行であり、及び/又は極軸線290は、神経刺激リード12(1)、12(2)のいずれとも非平行であることに注意すべきである。
理想多極構成のフォーカスを極軸線290に沿って有効電極分離と適合させようとして、CP(臨床医用プログラマー)18は、基準電極として電極E1〜E6の各々を表し、E1〜E6の各々での有効電極分離を推定し、基準電極E1〜E6の各々において推定された有効電極分離に基づいて極軸線290に沿って空間の点(x、y)(恐らく、理想多極構成の1つの極が位置するところ)での有効電極分離を推定し、かつ極軸線290に沿って空間の点(x、y)において推定された有効電極分離に基づいて理想多極構成の極(すなわち、フォーカス)の間の間隔を定める。
図示の実施形態において、CP(臨床医用プログラマー)18は、各それぞれの基準電極と電極のインデックス付きのものとの間の実際の分離の加重平均を計算することにより、基準電極E1〜E6の各々での有効電極分離を推定する。各基準電極に対して、CP(臨床医用プログラマー)18は、有効電極分離を推定する方向に位置する電極のみを選択することになる。図示の実施形態において、CP(臨床医用プログラマー)18は、それぞれの基準電極と交差し、極軸線290に垂直な線292の片側上に位置する電極のみをインデックス付き電極として、すなわち、吻側方向の有効電極分離が推定される場合線292の上の電極の全て、及び尾側方向の有効電極分離が推定される場合線292の下の電極の全てを選択する。例えば、電流基準電極が電極E5であり、かつ有効電極分離を吻側方向で推定することになる場合、CP(臨床医用プログラマー)は、全てが線292の上に重なる基準電極E5とインデックス付き電極E1、E2、及びE4との間のそれぞれの間隔を判断することになる。電流基準電極が電極E5であり、かつ有効電極分離を尾側方向で推定することになる場合、CP(臨床医用プログラマー)は、両方とも線292の下に重なる基準電極E5とインデックス付き電極E3及びE6との間のそれぞれの間隔を判断することになる。
各基準電極に対して、基準電極に比較的近いインデックス付き電極は、比較的高い重み付け値を示し、かつ基準電極から比較的遠いインデックス付き電極は、比較的低い重み付け値を示すように、重み付け値は、基準電極とインデックス付き電極の間の分離に従ってインデックス付き電極に与えられる。従って、図32bに示すように、神経刺激リード12が広く離間する時に、右神経刺激リード12(2)上のインデックス付き電極は、考慮すべき左神経刺激リード12(1)上の基準電極(この場合、円で表す電極E2)からは遠すぎる場合があり、従って、有効電極分離は、神経刺激リード12上の公称電極分離(例えば、8mm)に近づくことになる。神経刺激リード12が図32cに示すように狭く離間する時に、右神経刺激リード12(2)上のインデックス付き電極は、左神経刺激12(1)上の基準電極(この場合、円で表す電極E2)に十分近づいて支配的であり、従って、有効電極分離は、基準電極E2と電極E4の間の分離(例えば、電極E4が電極E1とE2の間で等距離である場合に4mm)に近づくことになる。
図33を参照して、吻側方向の空間の点(x、y)における電極E1〜E6の有効電極分離を推定する1つの方法をここで説明する。
最初に、電極E1〜E6のうちの1つは、現在基準電極jとして指定されている(ステップ300)。次に、現在指定されている基準電極jの上、特に、極軸線に垂直であり、かつ現在指定されている基準電極jと交差する線の上にいずれかの電極があるかを判断する(ステップ301)。現在指定されている基準電極jの上にいずれかの電極がある場合、現在指定されている基準電極jと比較するために、これらの電極の全てをインデックス付き電極jと識別する(ステップ302)。次に、インデックス付き電極iのうちの1つが選択され(ステップ303)、現在指定されている基準電極jと現在選択されているインデックス付き電極iとの間の実際の分離が計算される(ステップ304)。
図示の実施形態において、実際の分離は、極軸線290に垂直の第1の方向成分d
x及び極軸線290に垂直の第2の方向成分d
yで表される。第1の方向成分d
xは、式:
に従って計算することができ、式中xは、極軸線290に垂直な軸線に沿って現在指定されている基準電極jの座標であり、E
xは、極軸線290に垂直な軸線に沿って現在選択されているインデックス付き電極iの座標である。第2の方向成分d
yは、式:
に従って計算することができ、式中yは、極軸線290に平行な軸線に沿って現在指定されている基準電極jの座標であり、E
yは、極軸線290に平行な軸線に沿って現在選択されているインデックス付き電極iの座標である。
次に、インデックス付き電極iに対する重み付け値W
x及びW
yは、それぞれ第1の方向分離成分d
x及び第2の方向分離成分d
yから計算される(ステップ305)。インデックス付き電極iに対する重み付け値W
xは、式:
に従って計算することができ、式中λ
xは定数である。インデックス付き電極iに対する重み付け値W
yは、式:
に従って計算することができ、式中λ
yは定数である。図示の実施形態において、λ
xは、λ
yよりも大きい。例えば、λ
xは5に等しくすることができ、λ
yは1に等しくすることができる。このようにして、極軸線202に沿った実際の間隔の成分は、極軸線202に垂直な実際の間隔の成分よりも大きく重み付けされる。
注意すべき点は、電気性能が低下する前に理想極にどこまで近づくことができるかに関して限界が存在するので、基準電極に近すぎる電極を有効電極分離推定から排除することは重要である。この目的のために、分離、特に選択されたインデックス付き電極iと現在指定されている基準電極jとの間の実際の分離の第2の方向成分dyが、最小閾値(例えば、3.8mm)よりも小さいか否かを判断する(ステップ306)。第2の方向成分dyが最小閾値よりも小さい場合、現在選択されているインデックス付き電極iは、離散的重み付け値wc(i)=0を示すことによって有効電極分離推定から排除される(ステップ307)。第2の方向成分dyが最小閾値よりも小さくない場合、現在選択されているインデックス付き電極iは、離散的重み付け値wc(i)=1を示すことによって有効電極分離推定で考慮される(ステップ308)。
次に、インデックス付き電極iの全てが、現在指定されている基準電極jと比較されるように選択されているか否かを判断する(ステップ309)。そうでなければ、ステップ303〜308は、次のインデックス付き電極iを繰り返す。そうであれば、選択されたインデックス付き電極iのいずれかが電極分離推定において考慮されるように選択されているか否か(すなわち、いずれのインデックス付き電極iが、非ゼロ離散的重み付けw
c(i)を有するか否か)が判断される(ステップ310)。少なくとも1つの選択されたインデックス付き電極iが、非ゼロ離散的重み付けw
c(i)を有する場合、現在指定されている基準電極jにおける有効電極分離は、式:
に従って現在指定されている基準電極jとインデックス付き電極iとの間の実際の分離の加重平均を計算することによって推定される(ステップ311)。
ステップ301で判断したように、現在指定されている基準電極jの上に電極がない場合、又はステップ310で判断したように、インデックス付き電極iが非ゼロ離散的重み付けwc(i)を持たない場合、現在指定されている基準電極jにおける有効電極分離は、最大値(例えば、12mm)に設定される(ステップ312)。
次に、全ての電極が基準電極jとして指定されているか否かを判断する(ステップ313)。そうでなければ、ステップ300〜312は、次の基準電極jを繰り返す。そうであれば、極軸線290に沿って空間の点(x、y)における有効電極分離は、式:
に従って基準電極jの全てにおいて推定された有効電極分離の加重平均を計算することによって判断され、式中S
sは、空間の点における有効電極分離であり、jは基準電極のうちの1つに対するインデックスであり、Nは基準電極の総数であり、W
xは、空間の点と基準電極jの間の距離の第1の方向成分の関数としての重み付け値であり、W
yは、空間の点と基準電極jの間の距離の第2の方向成分の関数としての重み付け値であり、S
eは、基準電極jにおける推定された有効電極分離である。
図示の実施形態において、重み付け値W
x及びW
yは、式:
及び
に従って計算され、式中λ
x及びλ
yは定数であり、xは、極軸線290に垂直な軸線に沿った空間の点の座標であり、yは、極軸線290に沿った空間の点の座標であり、E
xは、極軸線290に垂直な軸線に沿った基準電極jの位置の座標であり、E
yは、極軸線290に沿った基準電極jの位置の座標である。
空間の点における有効電極分離が最大値を超えるのを阻止するために、実際の基準電極jを取り囲む複数の仮想基準電極(E1’−E6’)における最大の電極分離は、図32aに示すように仮定することができる。図示の実施形態において、仮想基準電極E1’−E6’の総数は、実際の基準電極の総数の2倍である。特に、仮想基準電極の対は、各実際の基準電極に関連付けられている。仮想基準電極の対は、それぞれの実際の基準電極のy座標に整列配置され、かつ極軸線290に平行で実際の基準電極の外側に位置する2つの線294(例えば、最も左の基準電極の左に4mmにある左線、及び最も右の基準電極の右に4mmにある右線)上にそれぞれ位置する。各それぞれの仮想基準電極における最大の有効電極分離は、最大値(例えば、12mm)になるように選択することができる。推定の実際の基準電極に加えて仮想基準電極を含むことによって空間に有効電極分離を推定する時に、仮想基準電極を考慮に入れることができる。
空間の点(x、y)が、定めるべき理想多極構成の極(例えば、上側アノード2極構成又は3極構成における理想カソード)と適合していると仮定すると、他の極(例えば、理想アノード)の位置は、空間の点(x、y)において推定された有効電極分離に等しい吻側方向の距離になるように設定することができる。尾側方向に極の位置を定めることが望ましい場合には、空間の点(x、y)における有効電極分離は、各現在指定されている基準電極jよりも下、特に極軸線に垂直でそれぞれの指定された基準電極jと交差する線よりも下の電極がインデックス付き電極iとして選択されることを除いて、図32に関して説明する同じ方式に実施される。
上述の技術は、CP(臨床医用プログラマー)18に実施されるように説明したが、かかる技術は、代替的に又は追加的にRC(リモートコントロール)16に実施することができ、この技術の処理機能は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14において行うことさえできることに注意すべきである。
本発明の特定の実施形態を図示して説明したが、本発明を好ましい実施形態に限定するように考えていないことは理解されなければならず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を行うことができることは当業者には明らかである。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲に含まれる代替物、修正物、及び均等物をカバーするように意図している。