以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付した。
まず、衛星の予測誤差を考慮して、地上局から見て2つの衛星が近接方向にあるかを判定し、それにより電波干渉が生じる可能性を判定する手法の一例を説明する。なお、一般に、特定の期間における衛星の衛星軌道暦(例えば、衛星の軌道の時々刻々の位置情報及び速度情報)は事前に計算することが可能であり、予め2つの衛星の予測軌道は与えられているものとする。また、所定の時刻における地上局1の位置ベクトルは計算することが可能な値である。
この電波干渉の判定手法の一例では、まず、地上局1から見た衛星の方向ベクトルである視線方向ベクトルを計算する。図2は、地上局1を基準とした衛星2の視線方向ベクトルを例示する図である。通常、視線方向ベクトルは図2に示すように地上局1を基準とした方位角(AZ:Azimuth)、仰角(EL:Elevation)で表現される。図3は、地上局1を基準とした方位角と仰角を用いた衛星2の視線方向の軌道の軌跡を表すAZ−EL座標のグラフを例示する図である。この様な図2及び図3に例示した2つの表現を用いて、衛星2の軌道の予測誤差を考慮した、電波干渉の判定手法の一例を説明する。
図4は、地上局1から見た2つの衛星2(例えば、衛星A、及び衛星B)の軌道を例示する図である。衛星2の軌道の予測誤差を考慮した、電波干渉の判定手法の一例では、まず、2つの衛星2(例えば、衛星A、及び衛星B)の視線方向ベクトルを計算する。図5は、視線方向ベクトルについて説明する図である。例えば、電波干渉の有無を調べたい時刻における衛星Aの地心からの位置ベクトルをRaとする。また、電波干渉の有無を調べたい時刻における地心からの地上局1の位置ベクトルをSとする。この場合に、電波干渉の有無を調べたい時刻における衛星Aの視線方向ベクトル:ρaは、例えば、以下の式1で計算できる。
ρa=Ra−S ・・・式1
ここで、衛星Aの位置ベクトル:Raは、予め計算することが可能であり、例えば、事前に計算された衛星軌道暦から取得可能である。また、地上局1の位置ベクトル:Sも計算することが可能な値である。そのため、電波干渉の有無を調べたい時刻における衛星Aの視線方向ベクトル:ρaも算出できる。
衛星Bの視線方向ベクトルについても同様に、例えば、電波干渉の有無を調べたい時刻における衛星Bの位置ベクトルをRbとする。また、地上局1の位置ベクトルをSとする。この場合に、電波干渉の有無を調べたい時刻における衛星Bの視線方向ベクトルは、例えば、以下の式2で計算できる。
ρb=Rb−S ・・・式2
ここで、衛星Bの位置ベクトル:Rbは、予め計算することが可能であり、例えば、事前に計算された衛星軌道暦から取得可能である。また、地上局1の位置ベクトル:Sも計算することが可能な値である。そのため、電波干渉の有無を調べたい時刻における衛星Bの視線方向ベクトル:ρbも算出できる。
続いて、衛星Aの視線方向ベクトル:ρa、及び衛星Bの視線方向ベクトル:ρbの2つのベクトルの成す角度を計算する。なお、この2つの衛星2(例えば衛星A及び衛星B)の視線方向ベクトルの成す角度を“はさみ角”と呼ぶ。衛星2の軌道の予測誤差を考慮した、電波干渉の判定手法の一例では、はさみ角が所定の閾値以下になる場合に、干渉ありと判断する。
ここで判定に用いる所定の閾値の値は、例えば、衛星2の軌道を正確に予測できる場合には、地上局1のアンテナのビーム幅等の電波特性によって決められてもよい。即ち、所定の閾値を、例えば、地上局1のアンテナのビーム幅等に設定し、はさみ角がビーム幅よりも広ければ電波干渉が発生しないと判定してもよい。しかしながら、実際には、衛星2の軌道の予測には誤差が生じる。特に、高度数100km〜1000kmの中高度衛星では大気抵抗などの影響で、軌道の予測に無視できない予測誤差が生じてしまう。そのため、電波干渉の発生の有無の判定では、軌道の予測誤差を考慮しなければならない。電波干渉の判定において予測誤差を反映させる手法の一例として、はさみ角に対する所定の閾値に予測誤差の分をマージンとして上乗せすることが考えられる。
図6は、はさみ角に対する所定の閾値に予測誤差の分をマージンとして上乗せする場合の電波干渉の判定を例示する図である。例えば、地上局1が衛星Aとの通信において用いるアンテナのビーム幅をθbとする。この場合に、θbは図6のAZ−EL座標において実線で示す円40の範囲として表される。また、図6には、θbに、θmの角度だけ予測誤差分のマージンをとった範囲が破線の円41で示されている。そして、はさみ角に対する所定の閾値に予測誤差の分をマージンとして上乗せすることで軌道の予測誤差を考慮する場合の電波干渉の判定では、このマージンをとった角度(θb+θm)を所定の閾値として用いる。即ち、円41の範囲内を電波の干渉が有りと判断する領域として用い、電波干渉が生じるか否かを調べたい対象の衛星Bが円41の範囲内に入った場合に、干渉ありと判定する。このように構成することで、電波干渉の発生有無を調べたい2つの衛星2(例えば、衛星A及び衛星B)の軌道予測に予測誤差があったとしても、電波の干渉が生じる可能性のある場合を検知することができる。
しかしながら、この様に、はさみ角に予測誤差の分のマージンを上乗せする場合、軌道誤差の影響を進行方向だけではなく、その垂直方向(クロストラック方向)にも上乗せしていることになる。クロストラック方向とは、例えば衛星固定座標系における衛星の進行方向と垂直な方向である。ところが、中高度の衛星2では軌道の予測誤差は主に衛星2の進行方向に加わる。そのため、衛星2の進行方向に予測誤差の分のマージンを十分に取った場合には、衛星2の垂直方向(クロストラック方向)には過大なマージンを考慮することになる。その結果、干渉発生を過剰に判定してしまうという問題が生じる。そこで、地上局から2つの衛星が近接方向に見える場合に発生し得る電波干渉の有無の判定に、衛星の進行方向の予測誤差を簡便に反映させることのできる手法が望まれている。
実施形態に係る衛星2の電波干渉の判定方式では、軌道の予測誤差の進行方向成分を、電波干渉が有りと判定する領域に反映し、その領域を用いて他の衛星2が電波干渉するか否かを判定する。以下、図7から図22(図22A及び図22B)を参照して、実施形態に係る衛星2の電波干渉の判定を説明する。
実施形態に係る衛星2の電波干渉の判定では、電波干渉の発生の予測は、指定された期間について指定された時刻間隔で干渉有無を判定する。以下では任意の時刻Tにおいて電波干渉の判定を行うことについて記述する。
まず、実施形態に係る衛星2の電波干渉の判定方式における、軌道の予測誤差の扱いについて説明する。上述した様に、中高度の衛星2では、軌道の予測誤差は主に衛星2の進行方向に加わる。一方、クロストラック方向の予測誤差は進行方向の誤差より小さく、また、クロストラック方向の予測誤差は、時間に依存して変化するものでもない。そのため、クロストラック方向の予測誤差については、考慮する必要があればはさみ角の閾値にマージンとして上乗せすればよい。即ち、考慮すべき予測誤差は進行方向の成分であることに着目する。
ここで、一般に、特定の期間における衛星2の衛星軌道暦(衛星の軌道の時々刻々の位置情報)は事前に計算することが可能である。従って、電波干渉の有無を調べたい2つの衛星2(例えば衛星Aと衛星B)の予測軌道は、例えば、予め衛星軌道暦700として与えられているものとする。図7は、一実施形態に係る衛星軌道暦700を例示する図である。衛星軌道暦700には、例えば、赤道面座標(T.O.D.:True of date)で表された衛星位置ベクトル及び速度ベクトルの時系列データが格納されており、任意時刻Tにおける衛星の位置及び速度の情報を取り出すことができる。
また、中高度の衛星2に着目した場合、或る時刻Tにおける進行方向の位置の予測誤差は次式で計算される。
ΔL=δL+(3n/2)δa・(T−Ta)+(3n/4)δadot・(T−Tad)2 ・・・式3
ここで、δLは、進行方向位置誤差一定値である。δaは、軌道長半径誤差である。Taは、軌道長半径誤差の予測開始時刻である。δadotは、軌道長半径変化率誤差である。Tadは、軌道長半径変化率誤差の予測開始時刻である。nは時刻Tにおける平均運動で、衛星2の位置ベクトル/衛星2の速度ベクトルから計算される値である。これらのパラメータ(δL、δa、Ta、δadot、Tad、及びn)は、予め計算することが可能な値である。従って、上記の式3により、或る時刻Tにおける進行方向の位置の予測誤差ΔLは算出可能である。
図8は、上記で算出した衛星2の進行方向の位置の予測誤差ΔLと、それを時刻誤差に換算したΔTとの関係を例示する図である。図示されるように、時刻Tにおける衛星の予測位置から前後にΔLの広がりをもって進行方向の位置の予測誤差の範囲が示されている。そして、この進行方向の位置の予測誤差ΔLは、時刻Tにおける速度の大きさをVとすると、以下の式4により時刻誤差:ΔTに換算できる。なお、時刻Tにおける速度の大きさVは、例えば、衛星軌道暦700の時刻Tにおける速度ベクトルから取得できる。
ΔT=ΔL/V ・・・式4
即ち、図8に示すように、或る時刻における衛星2の位置の予測誤差の広がりの範囲は、時刻TからΔT時間戻った時刻T1における衛星2の位置から、時刻TからΔT時間進んだ時刻T2における衛星2の位置までの範囲として捉えることができる。
T1=T−ΔT ・・・式5(式5−1)
T2=T+ΔT ・・・式5(式5−2)
そして、衛星2の軌道の時々刻々の位置情報は、上述のように衛星軌道暦700に格納されている。そのため、衛星軌道暦700から、赤道面座標で表された時刻Tにおける衛星位置ベクトルR0、時刻T1(T1=T−ΔT)における衛星位置ベクトルR1、時刻T2(T2=T+ΔT)における衛星位置ベクトルR2をそれぞれ取得することができる。
また、時刻Tにおける地心からの地上局1の位置を、赤道面座標(T.O.D.)で表した位置ベクトル:Sは計算することが可能な値であり、そのベクトルSの値を取得する。そして、時刻Tにおいて地上局1の位置から時刻Tにおける衛星2を見た視線方向単位ベクトルρ0、時刻T1における衛星を見た視線方向単位ベクトルρ1、時刻T2における衛星を見た視線方向単位ベクトルρ2をそれぞれ計算する。図9は、地上局1から衛星2を見たこれらの視線方向単位ベクトル(ρ0、ρ1、及びρ2)について説明する図である。これらの視線方向単位ベクトルは、例えば以下の式6(式6−1〜式6−3)によって算出できる。
ρ0=(R0−S)/|R0−S| ・・・式6(式6−1)
ρ1=(R1−S)/|R1−S| ・・・式6(式6−2)
ρ2=(R2−S)/|R2−S| ・・・式6(式6−3)
続いて、ρ0とρ1の成す角度θ1、及びρ0とρ2の成す角度θ2をそれぞれ求める。これらの視線方向単位ベクトルの成す角度は、例えば以下の式7(式7−1〜式7−2)によって算出できる。
θ1=cos−1(ρ0・ρ1) ・・・式7(式7−1)
θ2=cos−1(ρ0・ρ2) ・・・式7(式7−2)
従って、衛星2の時刻Tにおける進行方向の位置の予測誤差の範囲は、図9に示すように、衛星2の時刻Tにおける視線方向単位ベクトルρ0から(θ1+θ2)の広がりを持つことになる。
続いて、以上の衛星2の位置の予測誤差を時刻誤差に換算して得られた視線方向単位ベクトルρ1、ρ2と、角度θ1及びθ2とを用いた実施形態に係る電波干渉の判定方式について以下に説明する。
以下、或る時刻Tにおける衛星A及び衛星Bが地上局1から見て電波干渉を起こす位置関係にあるか否かの判定を説明する。なお、以下の説明では、衛星Aに対するパラメータには“a”、衛星Bに対するパラメータには“b”の添え字(サフィックス)を付けて表記する。まず、衛星A及び衛星Bのそれぞれに対して、上述の式3〜式7により、電波干渉の有無を調べたい時刻Tにおける上述のρ0、ρ1、及びρ2、並びにθ1及びθ2を求める。衛星Aに対して求めたρ0、ρ1、及びρ2、並びにθ1及びθ2の値を、それぞれ“a”の添え字をつけてρa0、ρa1、及びρa2、並びにθa1及びθa2とする。また、衛星Bに対して求めたρ0、ρ1、及びρ2、並びにθ1及びθ2の値を、それぞれ“b”の添え字をつけてρb0、ρb1、及びρb2、並びにθb1及びθb2とする。
そして、実施形態に係る電波干渉判定方式では、上記で求めた衛星Aの(θa1、θa2)及び衛星Bの(θb1、θb2)と、はさみ角に対して設定される所定の閾値との大小関係によって処理を2通りに分ける。なお、一実施形態に係る電波干渉の判定方式では、所定の閾値θcとして、例えば、地上局1が衛星Aとの通信において用いるアンテナのビーム幅を用いてもよい。或いは、別の実施形態においては、このアンテナのビーム幅に、例えば、クロストラック方向の予測誤差に対応するマージンとして所定の角度θmなどを上乗せした値を用いてもよい。以下では、例として、所定の閾値θcにアンテナのビーム幅を用いる場合を説明する。
<ケース1>
まず、衛星Aの(θa1、θa2)及び衛星Bの(θb1、θb2)が、はさみ角の所定の閾値θcよりも小さい場合について説明する。即ち、以下の条件式1が満たされる場合について説明する。なお、所定の閾値θcは例えば、地上局1のアンテナのビーム幅、及びアンテナのビーム幅にクロストラック方向の予測誤差に対応するマージンなどを上乗せした値などであってよい。
θa1、θa2、θb1、θb2のいずれも≦θc ・・・条件式1
この条件式1が満たされる場合、2つの衛星(衛星A及び衛星B)の進行方向における位置の予測誤差はいずれも小さく、はさみ角の所定の閾値θcの方が大きいことを示している。図10は、2つの衛星(衛星A及び衛星B)の進行方向における位置の予測誤差がいずれも小さく、条件式1を満たす場合を例示する図である。図10において、電波干渉の有無を調べたい時刻Tにおける衛星Aのρa0とρa1との成す角度θa1は閾値θcよりも内側にあり、また、衛星Aのρa0とρa2との成す角度θa2も閾値θcよりも内側にある。衛星Bについても、電波干渉の有無を調べたい時刻Tにおける衛星Bのρb0とρb1との成す角度θb1は閾値θcよりも内側にあり、また、衛星Bのρb0とρb2との成す角度θa2も閾値θcよりも内側にある。従って、θa1、θa2、θb1、及びθb2のいずれもがθc以下の角度であり、上記条件式1を満たしている。
この場合に、衛星Aについて求めた視線方向単位ベクトルρa0、ρa1、及びρa2と、衛星Bについて求めた視線方向単位ベクトルρb0、ρb1、及びρb2とのそれぞれの組合せ9通りについてはさみ角を、以下の式8(式8−1〜式8−9)で計算する。
θ00=cos−1(ρa0・ρb0) ・・・式8(式8−1)
θ01=cos−1(ρa0・ρb1) ・・・式8(式8−2)
θ02=cos−1(ρa0・ρb2) ・・・式8(式8−3)
θ10=cos−1(ρa1・ρb0) ・・・式8(式8−4)
θ11=cos−1(ρa1・ρb1) ・・・式8(式8−5)
θ12=cos−1(ρa1・ρb2) ・・・式8(式8−6)
θ20=cos−1(ρa2・ρb0) ・・・式8(式8−7)
θ21=cos−1(ρa2・ρb1) ・・・式8(式8−8)
θ22=cos−1(ρa2・ρb2) ・・・式8(式8−9)
そして、得られたθ00、θ01、θ02、θ10、θ11、θ12、θ20、θ21、及びθ22の9つのはさみ角のうち1つでも閾値θc以下であれば干渉ありと判定する。
θ00、θ01、θ02、θ10、θ11、θ12、θ20、θ21、及びθ22のいずれかが≦θc ・・・式9
以上のようにして、衛星Aの(θa1、θa2)及び衛星Bの(θb1、θb2)が、はさみ角の閾値θcよりも小さい場合において電波干渉の有無を判定することができる。この電波干渉の有無の判定方式では、衛星2の軌道を予測した衛星軌道暦700があれば、電波干渉の有無を調べたい時刻における進行方向の予測誤差の範囲を表す視線方向ベクトルを得ることができる。即ち、衛星2の進行方向の予測誤差を時刻に換算し、時刻誤差分ずれた位置ベクトルを衛星軌道暦700から読み込むことで、進行方向の予測誤差の広がりを表す誤差を考慮した視線方向ベクトルρ1及びρ2を得ることができる。そして、得られた誤差を考慮していない視線方向ベクトルと、誤差を考慮した視線方向ベクトルとから電波の干渉の有無を判定することができる。また、電波干渉の有無の判定に用いられる所定の閾値θcには、例えば、地上局1が衛星Aとの通信において用いるアンテナのビーム幅、或いは、ビーム幅に例えば、クロストラック方向の予測誤差に対応するマージンなどを上乗せした値などを用いることができる。換言すると、進行方向の予測誤差については視線方向ベクトル:ρ1及びρ2により考慮されているため、この所定の閾値θcの値には、進行方向の予測誤差の分はマージンとして上乗せしないでよい。そのため、例えば、図6を参照して説明した場合よりもずっと狭い値(例えば、地上局1のアンテナのビーム幅、及びアンテナのビーム幅にクロストラック方向の予測誤差に対応するマージンなどを上乗せした値など)を所定の閾値θcとして設定することができる。従って、中高度衛星の電波干渉予測において無視することのできない衛星の進行方向位置誤差を適切に考慮し、且つ、クロストラック方向に過大なマージンを考慮することなく、電波干渉の判定が可能であり、干渉発生を過剰に判定することを抑制できる。
<ケース2>
続いて、上述の衛星Aの(θa1、θa2)及び衛星Bの(θb1、θb2)のいずれかが、はさみ角の所定の閾値θcよりも大きい場合について説明する。即ち、以下の条件式2が満たされる場合について説明する。なお、所定の閾値θcは、例えば、地上局1のアンテナのビーム幅、及びアンテナのビーム幅にクロストラック方向の予測誤差に対応するマージンなどを上乗せした値などであってよい。
θa1、θa2、θb1、θb2のいずれかが>θc ・・・条件式2
図11は、2つの衛星(衛星A及び衛星B)の進行方向における位置の予測誤差が大きく、条件式2を満たす場合を例示する図である。図示されるように、衛星Aの進行方向の予測誤差の範囲を表すρa1からρa2への線分50(a)に、衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表すρb1からρb2への線分50(b)が交差している。即ち、地上局1が衛星Aと通信を行う際に電波干渉が起こり得る範囲に衛星Bが存在している可能性がある。しかしながら、ρa0、ρa1、及びρa2のそれぞれから所定の閾値θcの範囲内に、ρb0、ρb1、及びρb2のいずれも入っていないため、上述の<ケース1>の式9を用いた判定では、電波干渉が有りとは判定されない。
また、図12は、2つの衛星(衛星A及び衛星B)の進行方向における位置の予測誤差が大きく、条件式2を満たす別な場合を例示する図である。図12において、衛星Aの進行方向の予測誤差の範囲を表すρa1の終点からρa2の終点への線分50(a)から所定の閾値θcの範囲内に、衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表すρb1の終点からρb2の終点への線分50(b)が存在している。即ち、地上局1が衛星Aと通信を行う際に電波干渉が起こり得る範囲に衛星Bが存在している可能性がある。しかしながら、ρa0、ρa1、及びρa2のそれぞれから所定の閾値θcの範囲内に、ρb0、ρb1、及びρb2のいずれも入っていないため、上述の<ケース1>の式9を用いた判定では、電波干渉が有りとは判定されない。
<ケース2>では、以上で例示した図11及び図12のような状況を含む上記条件式2が満たされる場合において電波干渉の有無を判定する。まず、“AZ−EL座標における進行方向の予測誤差の範囲を表す視線方向単位ベクトルρ1の終点からρ2の終点までの線分50は、この線分50の区間において、ρ1とρ2の2つのベクトルが成す面から大きく外れることはない”という前提を置くこととする。これにより、電波干渉の有無を判定する視線方向ベクトルの予測誤差の範囲を、図13の線分50で近似する。これは中高度の衛星2では妥当な近似である。なお、妥当でないケースを識別するために、衛星2の高度が所定の判定値(例えば、静止衛星の高度に近い値)より大きければワーニング(警告)を出力するように構成してもよい。
衛星2の進行方向の予測誤差の範囲を、図13の線分50のように近似すると、実施形態に係る時刻Tにおける衛星Aの電波の干渉領域51は、図14の太線矩形枠のように表せる。なお、電波の干渉領域51とは、実施形態において、その領域の範囲内に別の衛星2が入っている場合、電波の干渉が起こる可能性があると判定される領域である。干渉領域51は、衛星2の進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50から衛星2の進行方向に沿って前後に所定の閾値θcの角度をとり、また、衛星2のクロストラック方向にも両側に閾値θcの角度をとった範囲である。なお、クロストラック方向とは、例えば、ベクトルρ1の方向をX軸とし、ベクトルρ1と、ベクトルρ2とが成す面に垂直な方向をZ軸とした場合に、Z軸、X軸に対して右手系で定義されるY軸の方向である。この干渉領域51の4隅の方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2は、上述のρa1、ρa2、及び所定の閾値θcからベクトル演算及び行列演算を用いて算出可能であり、その算出については後述する。
実施形態に係る電波の干渉の有無の判定においては、<ケース2>に該当する場合、衛星Aの干渉領域51に対して衛星Bの視線方向単位ベクトルが以下の(判定条件1)及び(判定条件2)のいずれかの位置関係にある場合に“干渉あり”と判定する。
(判定条件1)干渉領域51の4隅を構成する点へのベクトルのうち、ベクトル(P1、P2)の終点の成す線分60又はベクトル(Q1、Q2)の終点の成す線分61のいずれかと、視線方向単位ベクトル(ρb1、ρb2)の終点の成す線分50が交差する。
(判定条件2)衛星Aの干渉領域51内に、衛星Bの視線方向単位ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)の終点の1つ以上が包含される。
上記(判定条件1)の判定がYESと判定される場合には、例えば、図15のような状況が含まれている。図15は、図11で例示した状況に対して上記(判定条件1)の判定を実行した例を示す図である。図示されるように、衛星Bの視線方向単位ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)で示される衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50は、ベクトル(P1、P2)の終点の成す線分60と交わっている。また、衛星Bの視線方向ベクトルの進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50は、ベクトル(Q1、Q2)の終点の成す線分61と交わっている。従って、上記(判定条件1)の判定はYESとなり、“干渉あり”と判定できる。
また、上記(判定条件2)の判定がYESと判定される場合には、例えば、図16のような状況が含まれている。図16は、図12で例示した状況に対して上記(判定条件2)の判定を実行した例を示す図である。図示されるように、衛星Bの視線方向単位ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)は、ベクトル(P1、P2、Q1、Q2)の終点で構成される干渉領域51内に存在している。従って、上記(判定条件2)の判定はYESとなり、“干渉あり”と判定できる。
以上のように、衛星Aの(θa1、θa2)及び衛星Bの(θb1、θb2)のいずれかが、はさみ角の所定の閾値θcよりも大きい場合についても、上記(判定条件1)及び(判定条件2)の判定により電波干渉の有無を判定することができる。以下では、上記(判定条件1)及び(判定条件2)の判定について更に詳細に説明する。
<干渉領域51の方向ベクトルの計算>
図14から図16に示す干渉領域51の4隅の方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2の計算について述べる。まず、視線方向単位ベクトルρ1、ρ2を用いて図17に示すように座標系XYZsを定義する。座標系XYZsにおいて、3軸は下記のように定める。
・Xs方向: ρ1方向
・Zs方向: ρ1とρ2が成す面に垂直
・Ys方向: Zs、Xsに対して右手系で定義
この場合に、各軸方向の単位ベクトル:XS、ZS、及びYSは以下で計算される。
XS=ρ1
ZS=ρ1×ρ2
YS=ZS×XS
そして、視線方向単位ベクトルρ1をXYZs座標に変換すると、上述の干渉領域51の隅のベクトルP1は、ρ1をY軸回りに−θc、次にZ軸回りに−θc回転させることで得ることができる。なお、回転方向の正負は、各軸の方向に右ねじの進む方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向と一致する軸の回転方向を正の回転方向とし、逆の回転方向を負の回転方向とする。ベクトルQ1は、Y軸回り回転を+θc、次にZ軸回りに−θc回転させることで得ることができる。同様に、視線ベクトルρ2をXs方向として座標系を定義することによりベクトルP2、Q2についても得ることができる。視線方向単位ベクトルで定義する座標系とベクトルの回転方向の関係は、まとめると以下のようになる。
これらの方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2のそれぞれの計算を以下に示す。
まず、あらかじめZSを計算しておく。
ZS=ρ1×ρ2 ・・・式10
また、Y軸回りのベクトルの回転行列であるRy(θ)を以下とする。
Z軸回りのベクトルの回転行列であるRz(θ)を以下とする。
赤道面座標からXYZs座標への変換行列であるΦを以下とする。
この場合に、方向ベクトル:P1は以下で得ることができる。
(a)ベクトルP1
XS=ρ1 ・・・式11(式11−1)
YS=ZS×XS ・・・式11(式11−2)
P1=Rz(−θc)・Ry(−θc)・Φ・ρ1 ・・・式11(式11−3)
方向ベクトル:P2は以下で得ることができる。
(b)ベクトルP2
XS=ρ2 ・・・式12(式12−1)
YS=ZS×XS ・・・式12(式12−2)
P2=Rz(+θc)・Ry(−θc)・Φ・ρ2 ・・・式12(式12−3)
方向ベクトル:Q1は以下で得ることができる。
(c)ベクトルQ1
XS=ρ1 ・・・式13(式13−1)
YS=ZS×XS ・・・式13(式13−2)
Q1=Rz(−θc)・Ry(+θc)・Φ・ρ1 ・・・式13(式13−3)
方向ベクトル:Q2は以下で得ることができる。
(d)ベクトルQ2
XS=ρ2 ・・・式14(式14−1)
YS=ZS×XS ・・・式14(式14−2)
Q2=Rz(+θc)・Ry(+θc)・Φ・ρ2 ・・・式14(式14−3)
以上のようにして、干渉領域51の4隅の方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2を得ることができる。
<干渉領域の成す線分と視線方向ベクトルの成す線分の交差判定>
続いて、上記(判定条件1)の判定について述べる。例として、以下の説明では衛星Aの視線方向ベクトルの進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50に対して設定された干渉領域51の線分60及び線分61と、衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50の交差の判定について述べる。なお、図18は、以下に述べる、2つの単位ベクトルペアの成す線分の交差判定について説明する図である。
[衛星AのベクトルP1、P2の成す線分60と衛星Bの線分50の交差判定]
干渉領域51のベクトルP1、P2の成す線分60と、衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表すベクトル(ρb1、ρb2)が成す線分50との交差は以下のように計算できる。まず、説明の簡便のために、衛星Bの視線ベクトル(ρb1、ρb2)をそれぞれ(V1、V2)と置く。また、方向ベクトル(P1、P2)をそれぞれ(U1、U2)と置く。ベクトル(U1、U2)が成す面の法線ベクトルH1を求める。
H1=U1×U2 ・・・式15
ベクトル(V1、V2)が成す面の法線ベクトルH2を求める。
H2=V1×V2 ・・・式16
2つの面の交線方向ベクトルW1及びW2は、以下で得られる。
W1=H1×H2 ・・・式17
W2=−W1 ・・・式18
ここで、(U1、U2)の成す角をα、(V1、V2)の成す角をβとした時、α<180deg、β<180degであることを前提とする。これは、地上局1からのEL≧0deg以上の領域を対象にする限り妥当な前提である。また、地上局1からのEL<0deg未満の領域では、そもそも地上局1は衛星2と直接的に電波による通信を行うことが難しいため、判定から除外してもよい。
続いて、以下のCa及びCbを定義する。
Ca=U1・U2 ・・・式19(式19−1)
Cb=V1・V2 ・・・式19(式19−2)
この場合に、以下の条件が満たされる場合、2つのベクトルペア(U1、U2)(V1、V2)の線分(図18の太線)は交差する。
[衛星AのベクトルQ1、Q2の成す線分61と衛星Bの線分50の交差判定]
続いて、衛星AのベクトルP1、P2の場合と同様に、干渉領域51のベクトルQ1、Q2の成す線分61と、衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表すベクトル(ρb1、ρb2)が成す線分50との交差を計算する。方向ベクトル(Q1、Q2)をそれぞれ(U1、U2)と置いた上で、上述の式15〜式19を計算し式20の判定を行う。
そして、以上の衛星Bの線分50と、衛星AのベクトルP1、P2の成す線分60との式20による交差判定、又は衛星AのベクトルQ1、Q2の成す線分61との式20による交差判定のいずれかの判定がYESとなり交差するならば“干渉あり”と判定する。
以上の判定により、衛星Aの干渉領域51の4隅の方向ベクトルのうち方向ベクトルP1及びP2が成す線分60、又はQ1及びQ2が成す線分61と、衛星Bの視線ベクトル(ρb1、ρb2)の成す線分50とが交差するか否かを判定することができる。従って、図15に例示する場合を含む、電波干渉が生じる可能性のある状態を検知することができる。
<干渉領域内の視線方向ベクトルの包含条件>
衛星Aの干渉領域51に、衛星Bの視線方向ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)が包含されるか否かの判定について以下に説明する。なお、図19及び図20は、この衛星Aの干渉領域51に、衛星Bの視線方向ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)が包含されるか否かの判定について説明する図である。
まず、説明の簡便のために、干渉領域51の方向ベクトル(P1、Q1、Q2、P2)をそれぞれ(U1、U2、U3、U4)と置く。そして、2つのベクトル(U1、U2)(U2、U3)(U3、U4)(U4、U1)が成す面の法線ベクトルをそれぞれ求める。
H12=U1×U2 ・・・式21(式21−1)
H23=U2×U3 ・・・式21(式21−2)
H34=U3×U4 ・・・式21(式21−3)
H41=U4×U1 ・・・式21(式21−4)
[干渉領域内に視線方向ベクトル:ρb0が包含されるかを判定]
衛星Bの視線ベクトル:ρb0をUと置く。この場合に、図19及び図20に示すように、以下の式22が満たされる場合、ベクトルU(即ち、ρb0)が干渉領域51内に存在すると判定できる。
[干渉領域内に視線方向ベクトル:ρb1が包含されるかを判定]
同様に、衛星Bの視線ベクトルρb1をUと置く。この場合に、式22が満たされる場合、ベクトルU(即ち、ρb1)が干渉領域51内に存在すると判定できる。
[干渉領域内に視線方向ベクトル:ρb2が包含されるかを判定]
同様に、衛星Bの視線ベクトルρb2をUと置く。この場合に、式22が満たされる場合、ベクトルU(即ち、ρb2)が干渉領域51内に存在すると判定できる。
そして、<ケース2>の(判定条件2)の判定では、以上のρb0、ρb1、及びρb2に対して実行した式22の判定のいずれかが満たされるならば“干渉あり”と判定する。
以上で述べた判定により、例えば、衛星Aの干渉領域51内に、衛星Bの視線ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)が存在するか否かを判定することができる。従って、例えば図16に例示する場合を含む電波干渉が生じる可能性のある状態を検知することができる。
以上で述べた<ケース1>、並びに<ケース2>の(判定条件1)及び(判定条件2)の判定により、或る時刻Tにおいて衛星A及び衛星Bが地上局1から見て電波干渉を起こす位置関係にあるか否かを判定することができる。この電波干渉の有無の判定方式では、誤差を考慮せずに予測された衛星2の軌道の衛星軌道暦700があれば、電波干渉の有無を調べたい時刻における進行方向の予測誤差の範囲を表す視線方向ベクトルを得ることができる。即ち、衛星2の進行方向の予測誤差を時刻誤差に換算し、時刻誤差分ずれた位置ベクトルを衛星軌道暦700から読み込むことで、衛星2の進行方向における予測誤差の広がりを表す誤差を考慮した視線方向ベクトル:ρ1及びρ2を得ることができる。そして、得られた誤差を考慮した視線方向ベクトル:ρ1及びρ2を基に、電波干渉の有無を判定することができる。
更に、所定の閾値θcの値には、進行方向の予測誤差については、得られた視線方向ベクトル:ρ1及びρ2により考慮済みであるため、図6を参照して例示した進行方向の予測誤差の分を含むθmをマージンとして上乗せしないでよい。例えば、電波干渉の有無の判定に用いられる所定の閾値θcは、地上局1が衛星Aとの通信において用いるアンテナのビーム幅、或いは、アンテナのビーム幅に、例えばクロストラック方向の予測誤差に対応するマージンなどを上乗せした値を用いることができる。そのため、例えば、図6を参照して述べた手法よりもずっと狭い値に所定の閾値θcを設定することができる。従って、中高度の衛星2の電波干渉の予測において無視することのできない衛星2の進行方向の位置の予測誤差を適切に考慮した干渉判定を実行しつつ、干渉発生を過剰に判定することを抑制できる。
また更に、上述のように実施形態に係る電波干渉の有無の判定方式では、位置誤差を時刻誤差に換算し、誤差を考慮せずに予測された衛星軌道暦700から読み出した衛星2の位置ベクトルを用いて電波干渉の判定を行う。そのため、計算負荷の高い例えば誤差共分散等を用いる誤差を考慮した軌道の予測等を行わなくてもよい。
続いて、以上の電波干渉の判定方式を実施する実施形態に係る情報処理装置100について説明する。図21は、実施形態に係る情報処理装置100の機能ブロック構成を例示する図である。情報処理装置100は、例えば、制御部2100及び記憶部2110を含んでいる。制御部2100は、例えば換算部2111、取得部2112、及び判定部2113などの機能部2101を含んでいる。情報処理装置100の記憶部2110は、例えば、プログラム2120、並びに衛星軌道暦700を記憶していてもよい。また更に、情報処理装置100の記憶部2110は、例えば上述の式3のパラメータ、所定の閾値θcなどのその他の情報を記憶していてもよい。情報処理装置100の制御部2100は、プログラム2120を読み出して実行することで例えば換算部2111、取得部2112、及び判定部2113などの機能部2101として機能する。これらの各機能部2101の詳細については後述する。
図22A及び図22Bは、情報処理装置100の制御部2100によって実行される時刻Tにおける電波干渉判定処理を例示する図である。図22A及び図22Bの電波干渉判定処理の動作フローは、例えば、情報処理装置100の制御部2100が記憶部2110に格納されているプログラム2120を読み出して実行することで実施される。一実施形態においては、情報処理装置100に電波干渉判定処理の実行指示が入力されると電波干渉判定処理は開始する。
なお、情報処理装置100の制御部2100は、予め作成されている衛星Aに対する衛星軌道暦700から、衛星Aの軌道の時々刻々の位置及び速度を表す位置ベクトル及び速度ベクトルを取得可能であるものとする。また同様に、情報処理装置100の制御部2100は、予め作成されている衛星Bに対する衛星軌道暦700から、衛星Bの軌道の時々刻々の位置及び速度を表す位置ベクトル及び速度ベクトルを取得可能であるものとする。衛星軌道暦700は、一実施形態においては、情報処理装置100の記憶部2110に記憶されていてよい。別の実施形態においては、情報処理装置100の制御部2100は、他の情報処理装置が保持する衛星軌道暦700から衛星A及び衛星Bの位置ベクトル及び速度ベクトルを取得してもよい。
ステップS2201において情報処理装置100の制御部2100は、所定の時刻Tにおける地上局1との通信で電波が干渉するか否かを調べたい2つの衛星2の予測位置に対する進行方向の予測誤差ΔLを計算する。なお、電波が干渉するか否かを調べたい2つの衛星2を、例として衛星A及び衛星Bとする。
予測誤差ΔLは、例えば上述の式3により計算できる。なお、式3におけるパラメータ(δL、δa、Ta、δadot、Tad、及びn)は、予め計算することが可能な値であり、これらの値は、例えば、衛星A及び衛星Bのそれぞれについて予め計算されて記憶部2110に記憶されていてもよい。或いは、別の実施形態では、計算に用いる際に情報処理装置100の制御部2100に計算させて得られた値を用いてもよい。情報処理装置100の制御部2100は、衛星A及び衛星Bに対してそれぞれ上記式3の計算を実行し、衛星Aに対するΔL(ΔLa)、及び衛星Bに対するΔL(ΔLb)を取得する。
続いて、情報処理装置100の制御部2100は、衛星AのΔLaの値と、衛星Aの衛星軌道暦700から読み出した時刻Tにおける速度ベクトルとを用いて、上記式4を計算し、衛星Aの位置の予測誤差:ΔLaを時刻誤差:ΔTaに換算する。また同様に、衛星BのΔLbの値と、衛星Bの衛星軌道暦700から読み出した時刻Tにおける速度ベクトルとを用いて、上記式4を計算し、衛星Bの位置の予測誤差:ΔLaを時刻誤差:ΔTbに換算する。
ステップS2202において制御部2100は、電波干渉の有無を調べたい所定の時刻Tと、算出した衛星AのΔTaとを用いて、式5の計算を行い、衛星Aについて時刻TからΔTa時間戻った時刻Ta1、及び時刻TからΔTa時間進んだ時刻Ta2を算出する。また、同様に衛星Bについても、電波干渉の有無を調べたい所定の時刻Tと、算出した衛星BのΔTbとを用いて、式5の計算を行い、衛星Bについて時刻TからΔTb時間戻った時刻Tb1、及び時刻TからΔTb時間進んだ時刻Tb2を算出する。
なお、衛星Aに対して算出された時刻Ta1がTasより小さい場合には、算出されたTa1の値をTasに置き換える。また、算出された時刻Ta2がTaeより大きい場合には、算出されたTa2の値をTaeに置き換える。同様に、衛星Bに対して算出された時刻Tb1がTbsより小さい場合には、算出されたTb1の値をTbsに置き換える。また、算出された時刻Tb2がTbeより大きい場合には、算出されたTb2の値をTbeに置き換える。ここで、Tasは、例えば、時刻Tにおける衛星Aの軌道周回において、地上局1が衛星Aと通信を確立することが可能な最も早い時刻であってよい。また、Taeは、例えば、時刻Tにおける衛星Aの軌道周回において、地上局1が衛星Aと通信を確立することが可能な最も遅い時刻であってよい。同様に、Tbsは、例えば、時刻Tにおける衛星Bの軌道周回において、地上局1が衛星Bと通信を確立することが可能な最も早い時刻であってよい。また、Tbeは、例えば、時刻Tにおける衛星Bの軌道周回において、地上局1が衛星Bと通信を確立することが可能な最も遅い時刻であってよい。
上記の置き換えは、例えば、以下の理由によるものである。例えば、衛星Aについて算出したTa1からTa2の期間における衛星Aの軌跡(即ち、進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50と対応する)には、地上局1が通信することが不可能な衛星Aの位置が含まれている可能性がある。例えば、地上局1から見て、衛星Aが地平線よりも下側に有る場合(地上局1からのELが<0deg未満)には、地上局1は衛星Aと直接通信を確立することができない。そのため、このような衛星Aの位置では電波干渉の有無を判定しなくてもよい。そこで、衛星Aが時刻Ta1において地上局1から見て通信を確立することができない位置にある場合には、時刻Ta1の値を、時刻Tの軌道周回において地上局1が衛星Aと通信を確立することが可能な最も早い時刻Tasに置き換えている。また、衛星Aが時刻Ta2において地上局1から見て通信を確立することができない位置にある場合には、時刻Ta2の値を、時刻Tの軌道周回において地上局1が衛星Aと通信を確立することが可能な最も遅い時刻Taeに置き換えている。衛星BのTb1とTbsとの置き換え及びTb2とTbeとの置き換えについても同様である。なお、時刻Tas、及び時刻Taeは、例えば衛星Aの衛星軌道暦700に基づいて制御部2100が予め算出することが可能な値である。また、同様に時刻Tbs、及び時刻Tbeは、衛星Bの衛星軌道暦700に基づいて制御部2100が予め算出することが可能な値である。例えば、制御部2100は、予め算出されて記憶部2110に格納されている時刻Tas、時刻Tae、時刻Tbs、及び時刻Tbeの値を読み出して、ステップS2202で用いてもよい。
ステップS2203において制御部2100は、衛星Aの衛星軌道暦700から時刻Tにおける衛星Aの位置ベクトルRa0、時刻Ta1における衛星Aの位置ベクトルRa1、時刻Ta2における衛星Aの位置ベクトルRa2を読み込む。また、制御部2100は、衛星Bの衛星軌道暦700から時刻Tにおける衛星Bの位置ベクトルRb0、時刻Tb1における衛星Bの位置ベクトルRb1、時刻Tb2における衛星Bの位置ベクトルRb2を読み込む。
続くステップS2204からステップS2206までの処理において制御部2100は、上述の<ケース1>の場合の電波干渉の判定処理を実行する。ステップS2204において制御部2100は、時刻Tにおける地上局1の位置ベクトルSを計算する。続いて、制御部2100は、地上局1の位置ベクトルSと、ステップS2203で取得した衛星Aの位置ベクトルとから、上述の式6により衛星Aの視線方向単位ベクトル(ρa0、ρa1、ρa2)を計算する。また、制御部2100は、地上局1の位置ベクトルSと、ステップS2203で取得した衛星Bの位置ベクトルとから、上述の式6により衛星Bの視線方向単位ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)を計算する。更に、制御部2100は、衛星Aの視線方向単位ベクトル(ρa0、ρa1、ρa2)、及び衛星Bの視線方向単位ベクトル(ρb0、ρb1、ρb2)の各はさみ角を、上記式8により計算する。
ステップS2205において制御部2100は、上記式9の判定により、式8で計算されたはさみ角(θ00、θ01、θ02、θ10、θ11、θ12、θ20、θ21、及びθ22)のうちいずれか一つでも所定の閾値θc以下のものがあるか否かを判定する。なお、所定の閾値θcの値は、例えば、予め記憶部2110に記憶されていてもよい。はさみ角のうちで所定の閾値θc以下のものがある場合(ステップS2205がYES)、フローはステップS2223へと進み、例えば、電波干渉有りの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。一方、上記式8で得られた全てのはさみ角が所定の閾値θcよりも大きい場合(ステップS2205がNO)、フローはステップS2206へと進む。
ステップS2206において制御部2100は、上記式7により、衛星Aについてρa0とρa1の成す角度θa1、及びρa0とρa2の成す角度θa2をそれぞれ求める。また、衛星Bについても、上記式7により、ρb0とρb1の成す角度θb1、及びρb0とρb2の成す角度θb2をそれぞれ求める。そして、これらθa1、θa2、θb1、及びθb2のうちで1つでも所定の閾値θcよりも大きいものが有るか否かを判定する。θa1、θa2、θb1、及びθb2のうちで1つも所定の閾値θcよりも大きいものが無い場合(ステップS2206がNO)、フローはステップS2222へと進み、例えば、電波干渉無しの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。一方、θa1、θa2、θb1、及びθb2うち1つでも所定の閾値θcより大きい場合(ステップS2206がYES)、フローはステップS2207へと進む。
続くステップS2207からステップS2221までの処理において制御部2100は、<ケース2>で述べた電波の干渉の可能性を判定する処理を実行する。ステップS2207において制御部2100は、時刻Tにおける衛星Aの位置ベクトルR0の大きさが、所定の閾値Rchkよりも大きいか否かを判定する。また、制御部2100は、時刻Tにおける衛星Bの位置ベクトルR0の大きさが、所定の閾値Rchkよりも大きいか否かを判定する。なお、所定の閾値Rchkとしては、例えば、衛星の静止高度に近い高度を用いることができ、例えば3万キロメートルや4万キロメートルが用いられてよい。ステップS2207において衛星Aの位置ベクトルRa0の大きさ、又は衛星Bの位置ベクトルRb0の大きさのいずれかが所定の閾値Rchkよりも大きい場合(ステップS2207がYES)、フローはステップS2208へと進む。ステップS2208において制御部2100は、警告(ワーニング)を出力し、フローはステップS2209へと進む。一方、ステップS2207において衛星Aの位置ベクトルRa0の大きさ、又は衛星Bの位置ベクトルRb0の大きさのいずれもが所定の閾値Rchk以下である場合(ステップS2207がNO)、フローはステップS2209へと進む。
なお、このステップS2207からステップS2208の処理は、衛星A及び衛星Bが静止軌道に近い高度にある場合を検出するための処理である。例えば、衛星2が静止軌道に近い高度である場合、地上局1から見た衛星2の速度が遅くなり、その結果、例えば地球の自転などの影響でAZ−EL座標における衛星2の軌跡が、直線から大きく外れた軌跡になる。その結果、上記<ケース2>で述べた“AZ−EL座標におけるρ1からρ2までの誤差による広がりは、視線方向単位ベクトル(ρ1、ρ2)の区間において、この2つのベクトルが成す面から大きく外れることはない”という前提が成り立たない可能性がある。そのため、衛星A又は衛星Bの位置ベクトルRa0及びRb0のいずれかの大きさが所定の閾値Rchkよりも大きい場合には、警告を出力し、例えばユーザに注意を促すように構成している。
ステップS2209において制御部2100は、干渉領域51の4隅を構成する点への方向ベクトル(例えば、方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2)を、上記式10から式14を用いて計算する。なお、以下の説明では干渉領域51における方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2の配置は、衛星Aの進行方向に対して図14から図16に例示される配置にあるものとする。また、以下の説明では、衛星A及び衛星Bのうち、衛星Aに対して計算した干渉領域51に対して、衛星Bの進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50が電波干渉を引き起こす位置に存在するか否かを判定する場合を例にとり説明する。しかしながら、別の例では、衛星Bに対して計算した干渉領域51に対して、衛星Aの進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50が電波干渉を引き起こす位置に存在するか否かを判定してもよい。
続くステップS2210からステップS2214までの処理において制御部2100は、先の<ケース2>の(判定条件1)で述べた電波の干渉の可能性を判定する処理を実行する。ステップS2210において制御部2100は、衛星Bの視線方向単位ベクトルρb1をベクトルV1と置く。また、衛星Bの視線方向単位ベクトルρb2をベクトルV2と置く。ステップS2211において制御部2100は、地上局1からの衛星Aの干渉領域51の4隅を構成する点への方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2のうちで方向ベクトルP1を、ベクトルU1と置く。また、制御部2100は、方向ベクトルP2をベクトルU2と置く。そして、制御部2100は、上記式15から式19を計算する。
ステップS2212において制御部2100は、上記式20−1又は式20−2のいずれかが満たされるか否かを判定する。そして、上記式20−1又は式20−2のうちいずれかが満たされると判定された場合(ステップS2212がYES)、フローはステップS2223へと進み、例えば、電波干渉有りの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。なお、ステップS2212においてYESと判定される場合、図15に例示するように、方向ベクトルP1及びP2が成す線分60と、衛星Bの視線ベクトル(ρb1、ρb2)の成す進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50とが交差することを示している。この場合、地上局1と衛星Aとの通信において電波の干渉が生じる可能性のある位置に衛星Bが存在することになるため、ステップS2223で電波干渉有りとの判定結果を出力させている。一方、上記式20−1又は式20−2のうちのいずれも満たさないと判定された場合(ステップS2212がNO)、フローはステップS2213へと進む。
続くステップS2213からステップS2214の処理は、ステップS2210からステップS2212において方向ベクトルP1及びP2が成す線分60に対して実行した判定を、方向ベクトルQ1及びQ2が成す線分61に対して実行する処理である。ステップS2213において制御部2100は、地上局1からの衛星Aの干渉領域51の4隅を構成する点への方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2のうちで方向ベクトルQ1を、ベクトルU1と置く。また、制御部2100は、方向ベクトルQ2をベクトルU2と置く。そして、制御部2100は、上記式15から式19を計算する。
ステップS2214において制御部2100は、上記式20−1又は式20−2のいずれかが満たされるか否かを判定する。そして、上記式20−1又は式20−2のうちいずれかが満たされると判定された場合(ステップS2214がYES)、フローはステップS2223へと進み、例えば、電波干渉有りの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。なお、ステップS2214においてYESと判定される場合、図15に例示するように、方向ベクトルQ1及びQ2が成す線分61と、衛星Bの視線ベクトル(ρb1、ρb2)の成す進行方向の予測誤差の範囲を表す線分50とが交差することを示している。この場合、地上局1と衛星Aとの通信において電波の干渉が生じる可能性のある位置に衛星Bが存在することになるため、ステップS2223で電波干渉有りとの判定結果を出力させている。一方、上記式20−1又は式20−2のうちのいずれも満たさないと判定された場合(ステップS2214がNO)、フローはステップS2215へと進む。
続くステップS2215からステップS2221までの処理において制御部2100は、<ケース2>の(判定条件2)で述べた電波の干渉の可能性を判定する処理を実行する。ステップS2215において制御部2100は、地上局1からの衛星Aの干渉領域51の4隅を構成する点への方向ベクトル:P1、P2、Q1、及びQ2のうちで、方向ベクトルP1を、U1と置く。また、方向ベクトルQ1を、U2と置く。方向ベクトルQ2を、U3と置く。方向ベクトルP2を、U4と置く。そして、上記式21を計算する。
ステップS2216において制御部2100は、衛星Bの視線方向単位ベクトル:ρb0をベクトルUと置く。ステップS2217において制御部2100は、上記式22が満たされるか否かを判定する。上記式22が満たされる場合(ステップS2217がYES)、フローはステップS2223へと進み、例えば、電波干渉有りの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。なお、ステップS2217においてYESと判定される場合、例えば、図16に例示するように、衛星Aの干渉領域51内に、衛星Bの視線ベクトルρb0が存在することを示している。この場合、地上局1と衛星Aとの通信において電波の干渉が生じる可能性のある位置に衛星Bが存在することになるため、ステップS2223で電波干渉有りとの判定結果を出力させている。一方、上記式22を満たさないと判定された場合(ステップS2217がNO)、フローはステップS2218へと進む。
続くステップS2218からステップS2219の処理は、ステップS2215からステップS2217において、衛星Bの視線方向単位ベクトル:ρb0に対して実行した判定を、視線方向単位ベクトル:ρb1に対して実行する処理である。ステップS2218において制御部2100は、衛星Bの視線方向単位ベクトル:ρb1をベクトルUと置く。ステップS2219において制御部2100は、上記式22が満たされるか否かを判定する。上記式22が満たされる場合(ステップS2219がYES)、フローはステップS2223へと進み、例えば、電波干渉有りの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。なお、ステップS2219においてYESと判定される場合、例えば、図16に例示するように、衛星Aの干渉領域51内に、衛星Bの視線ベクトルρb1が存在することを示している。この場合、地上局1と衛星Aとの通信において電波の干渉が生じる可能性のある位置に衛星Bが存在することになるため、ステップS2223で電波干渉有りとの判定結果を出力させている。一方、上記式22を満たさないと判定された場合(ステップS2219がNO)、フローはステップS2220へと進む。
続くステップS2220からステップS2221の処理は、ステップS2215からステップS2217において、衛星Bの視線方向単位ベクトル:ρb0に対して実行した判定を、視線方向単位ベクトル:ρb2に対して実行する処理である。ステップS2220において制御部2100は、衛星Bの視線方向単位ベクトル:ρb2をベクトルUと置く。ステップS2221において制御部2100は、上記式22が満たされるか否かを判定する。上記式22が満たされる場合(ステップS2221がYES)、フローはステップS2223へと進み、例えば、電波干渉有りの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。なお、ステップS2221においてYESと判定される場合、例えば、図16に例示するように、衛星Aの干渉領域51内に、衛星Bの視線ベクトルρb2が存在することを示している。この場合、地上局1と衛星Aとの通信において電波の干渉が生じる可能性のある位置に衛星Bが存在することになるため、ステップS2223で電波干渉有りとの判定結果を出力させている。一方、上記式22を満たさないと判定された場合(ステップS2221がNO)、フローはステップS2222へと進む。
ステップS2222において制御部2100は、例えば、電波干渉無しの判定結果を出力し、本動作フローは終了する。ステップS2222では、ステップS2205からステップS2221の処理において<ケース1>、並びに<ケース2>の(判定条件1)及び(判定条件2)のいずれの判定でも電波の干渉有りと判定されなかったため、干渉無しの判定結果を出力している。
以上の図22A及び図22Bの動作フローにより、情報処理装置100の制御部2100は、所定の時刻Tにおいて衛星A及び衛星Bが地上局1から見て電波干渉を起こす位置関係にあるか否かを判定することができる。この電波干渉の有無の判定方式では、誤差を考慮せずに予測された衛星2の軌道の衛星軌道暦700があれば、電波干渉の有無を調べたい時刻における進行方向の予測誤差の範囲を表す視線方向ベクトルを得ることができる。即ち、衛星2の進行方向の予測誤差を時刻誤差に換算し、時刻誤差分ずれた位置ベクトルを衛星軌道暦700から読み込むことで、衛星2の進行方向における予測誤差の広がりを表す誤差を考慮した視線方向ベクトル:ρ1及びρ2を得ることができる。そして、得られた誤差を考慮した視線方向ベクトル:ρ1及びρ2を基に、電波干渉の有無を判定することができる。
更に、所定の閾値θcの値には、進行方向の予測誤差については、得られた視線方向ベクトル:ρ1及びρ2により考慮済みであるため、図6を参照して例示した進行方向の予測誤差の分を含むθmをマージンとして上乗せしないでよい。例えば、電波干渉の有無の判定に用いられる所定の閾値θcは、地上局1が衛星Aとの通信において用いるアンテナのビーム幅、或いは、アンテナのビーム幅に、例えばクロストラック方向の予測誤差に対応するマージンなどを上乗せした値を用いることができる。そのため、例えば、図6を参照して述べた手法よりもずっと狭い値に所定の閾値θcを設定することができる。従って、中高度の衛星2の電波干渉の予測において無視することのできない衛星2の進行方向の位置の予測誤差を適切に考慮した干渉判定を実行しつつ、干渉発生を過剰に判定することを抑制できる。
また更に、上述のように実施形態に係る電波干渉の有無の判定方式では、位置誤差を時刻誤差に換算し、誤差を考慮せずに予測された衛星軌道暦700から読み出した衛星2の位置ベクトルを用いて電波干渉の判定を行う。そのため、この判定は、単純なベクトル演算で実施することが可能であり、例えば衛星2の軌道の予測に誤差共分散等を用いる場合と比較して、計算にかかる負荷が小さくて済む。そのため、例えば、中高度衛星のように頻繁に電波の干渉が生じる衛星間で電波の干渉の有無を判定するのに、実施形態に係る判定方式は適している。
また、上述の実施形態では、地上局から2つの衛星が近接方向に見える場合に発生し得る電波干渉の有無の判定に、衛星の進行方向の予測誤差を簡便に反映させることのできる手法を適用する場合を例にとり説明を行った。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態に係る判定手法は、人工衛星の追跡管制分野や、未知宇宙物体の観測分野などに利用されてもよい。
なお、以上の図22の動作フローにおいて、ステップS2201からステップS2202までの処理では、情報処理装置1の制御部300は、例えば、換算部2111として機能する。また、ステップS2203の処理では、情報処理装置1の制御部300は、例えば、取得部2112として機能する。ステップS2204からステップS2223までの処理では、情報処理装置1の制御部300は、例えば、判定部2113として機能する。
図23は、実施形態に係る情報処理装置100を実現するためのコンピュータ2300のハードウェア構成を例示する図である。図23の情報処理装置100を実現するためのハードウェア構成は、例えば、プロセッサ2301、メモリ2302、記憶装置2303、読取装置2304、通信インタフェース2306、及び入出力インタフェース2307を備える。なお、プロセッサ2301、メモリ2302、記憶装置2303、読取装置2304、通信インタフェース2306、入出力インタフェース2307は、例えば、バス2308を介して互いに接続されている。
プロセッサ2301は、メモリ2302を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを含むプログラム2120を実行することにより、上述した各機能部の一部または全部の機能を提供する。例えば、情報処理装置100の制御部2100は、例えばプロセッサ2301であり、また、記憶部2110は、例えばメモリ2302、記憶装置2303、及び着脱可能記憶媒体2305を含んでいる。情報処理装置100のプロセッサ2301は、例えば、記憶装置2303に格納されているプログラム2120を読み出して実行することで、換算部2111、取得部2112、及び判定部2113として機能する。情報処理装置100の記憶装置2303には、例えば、衛星軌道暦700、上述の式3のパラメータ、及び所定の閾値θcなどの値を格納していてもよい。
メモリ2302は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含んで構成される。記憶装置2303は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、又は外部記憶装置である。
読取装置2304は、プロセッサ2301の指示に従って着脱可能記憶媒体2305にアクセスする。着脱可能記憶媒体2305は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD等)などにより実現される。通信インタフェース2306は、プロセッサ2301の指示に従ってネットワーク2320を介してデータを送受信する。入出力インタフェース2307は、例えば、入力装置及び出力装置との間のインタフェースに相当する。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボードやマウスなどのデバイスである。また、出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、及びスピーカなどの音声装置である。
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で情報処理装置100に提供される。
(1)記憶装置2303に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体2305により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバ2330から提供される。
以上において、いくつかの実施形態について説明した。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態及び代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態を成すことができることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して又は置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。