本明細書で述べられる技術は、符号分割多重アクセス(CDMA)システム、時分割多重アクセス(TDMA)システム、周波数分割多重アクセス(FDMA)システム、直交FDMA(OFDMA)システム、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)システム、およびその他のシステム等の、種々の無線通信システムにおいて使用され得る。用語「システム」および「ネットワーク」は、しばしば同義的に使用され得る。CDMAシステムは、ユニバーサル地上波無線アクセス(UTRA)やcdma2000(登録商標)等のような無線技術(規格)を実装し得る。UTRAは、広帯域CDMA(WCDMA)およびCDMAのその他の改良型を含む。cdma2000は、IS−2000、IS−95、およびIS−856規格をカバーする。TDMAシステムは、GlobalSystemfor Mobile Communications(GSM(登録商標))のような無線技術を実装し得る。OFDMAシステムは、Evolved UTRA(E-UTRA)、UltraMobile Broadband(UMB)、IEEE802.11(Wi-Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE802.20、Flash‐OFDM(登録商標)などのような無線技術を実装し得る。UTRAおよびE−UTRAは、汎用移動通信システム(UMTS)の一部である。3GPP LTE(Long Term Evolution)は、ダウンリンク上でOFDMAを、アップリンク上でSC−FDMAを採用するE−UTRAを使用するUMTSである。LTE−Aは、LTEを改良したシステム、無線技術、規格である。UTRA、E−UTRA、UMTS、LTE、LTE−AおよびGSM(登録商標)は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)と名付けられた機関からのドキュメントで説明されている。cdma2000およびUMBは、第3世代パートナーシッププロジェクト2(3GPP2)と名付けられた機関からのドキュメントで説明されている。明確さのために、本技術のある側面は、LTE、LTE−Aにおけるデータ通信について以下では述べられ、LTE用語、LTE−A用語は、以下の記述の多くで用いられる。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。まず、図8〜図12を用いて、本実施形態に係る通信システムの全体像、および無線フレームの構成などについて説明する。次に、図1〜図6を用いて、本実施形態に係る通信システムの構成について説明する。次に、図7を用いて、本実施形態に係る通信システムの動作処理について説明する。
<通信システムの全体像>
図8は、本発明の実施形態に係る通信システムの全体像についての概略を説明する図である。この図が示す通信システム1は、基地局装置(eNodeB、NodeB、BS: Base Station、AP: Access Point; アクセスポイント、マクロ基地局とも呼称する)3と、複数のRRH(Remote Radio Head、基地局装置より小型の屋外型の無線部を有する装置、Remote Radio Unit: RRUとも呼称する、リモートアンテナ、分散アンテナとも呼称する)4A、4B、4Cと、複数の移動局装置(UE: User Equipment、MS: Mobile Station、MT: Mobile Terminal、端末、端末装置、移動端末とも呼称する)5A、5B、5Cとが通信を行なう。以下、本実施形態において、RRH4A、4B、4CをRRH4と呼び、移動局装置5A、5B、5Cを移動局装置5と呼び、適宜説明を行なう。通信システム1では、基地局装置3とRRH4が協調して、移動局装置5と通信を行なう。図8では、基地局装置3とRRH4Aとが移動局装置5Aと協調通信を行ない、基地局装置3とRRH4Bとが移動局装置5Bと協調通信を行ない、基地局装置3とRRH4Cとが移動局装置5Cと協調通信を行なう。また、通信システム1では、複数のRRH4が協調して、移動局装置5と通信を行なう。例えば、RRH4AとRRH4Bとが移動局装置5A、または移動局装置5Bと協調通信を行ない、RRH4BとRRH4Cとが移動局装置5B、または移動局装置5Cと協調通信を行ない、RRH4CとRRH4Aとが移動局装置5C、または移動局装置5Aと協調通信を行なう。
なお、RRHは、基地局装置の特殊な形態とも言える。例えば、RRHは信号処理部のみを有し、他の基地局装置によってRRHで用いられるパラメータの設定、スケジューリングの決定などが行なわれる基地局装置と言うことができる。よって、以降の説明では、基地局装置3という表現は、適宜RRH4を含むことに注意すべきである。
<協調通信>
本発明の実施形態に係る通信システム1では、複数のセルを用いて協調して信号の送受信が行なわれる協調通信(Cooperative Multipoint: CoMP通信)が用いられ得る。なお、例えば、基地局装置が任意の1つの周波数帯域を用いて通信する形態のことを「セル(Cell)」と呼称する。例えば、協調通信として、複数のセル(基地局装置3とRRH4)で異なる重み付け信号処理(プリコーディング処理)が信号に適用され、基地局装置3とRRH4がその信号を協調して同一の移動局装置5に送信する。例えば、協調通信として、複数のセル(基地局装置3とRRH4)で協調して移動局装置5に対してスケジューリングを行なう(Coordinated Scheduling: CS)。例えば、協調通信として、複数のセル(基地局装置3とRRH4)で協調してビームフォーミングを適用して移動局装置5に信号を送信する(Coordinated beamforming:CB)。例えば、協調通信として、一方のセル(基地局装置3、またはRRH4)でのみ所定のリソースを用いて信号を送信し、一方のセル(基地局装置3、またはRRH4)では所定のリソースで信号を送信しない(Blanking, Muting)。
なお、本発明の実施形態では説明を省略するが、協調通信に用いられる複数のセルに関して、異なるセルは異なる基地局装置3により構成されてもよいし、異なるセルは同じ基地局装置3に管理される異なるRRH4により構成されてもよいし、異なるセルは基地局装置3とその基地局装置とは異なる基地局装置3に管理されるRRH4により構成されてもよい。
なお、複数のセルは物理的には異なるセルとして用いられるが、論理的には同一のセルとして用いられてもよい。具体的には、共通のセル識別子(物理セルID:Physical cell ID)が各セルに用いられる構成でもよい。複数の送信装置(基地局装置3とRRH4)が同一の周波数を用いて同一の受信装置に対して共通の信号を送信する構成を単一周波数ネットワーク(SFN; Single Frequency Network)と呼称する。
本発明の実施形態の通信システム1の展開は、ヘテロジーニアスネットワーク展開を想定する。通信システム1は、基地局装置3と、RRH4により構成され、基地局装置3によりサポートされるカバレッジがRRH4によりサポートされるカバレッジの一部または全部を含んで構成される。ここで、カバレッジとは、要求を満たしつつ通信を実現することができるエリアのことを意味する。通信システム1では、基地局装置3とRRH4が、お互いに重複したカバレッジ内に位置する移動局装置5に対して、協調して信号を送信する。ここで、RRH4は、基地局装置3により管理され、送受信が制御されている。なお、基地局装置3とRRH4は、光ファイバ等の有線回線や、リレー技術を用いた無線回線により接続されている。
移動局装置5は、基地局装置3またはRRH4の付近に位置している場合、基地局装置3またはRRH4とシングルセル通信を用いてもよい。つまり、ある移動局装置5は、協調通信を用いずに、基地局装置3またはRRH4と通信を行ない、信号の送受信を行なってもよい。例えば、基地局装置3は、自装置に距離的に近い移動局装置5からの上りリンクの信号を受信してもよい。例えば、RRH4は、自装置に距離的に近い移動局装置5からの上りリンクの信号を受信してもよい。また、例えば、基地局装置3とRRH4の両方が、RRH4が構築するカバレッジの端付近(セルエッジ)に位置する移動局装置5からの上りリンクの信号を受信してもよい。また、例えば、複数のRRH4が、それぞれのRRH4が構築するカバレッジの端付近(セルエッジ)に位置する移動局装置5からの上りリンクの信号を受信してもよい。
また、移動局装置5は、下りリンクでは、協調通信を用いて、基地局装置3とRRH4の双方から送信された信号を受信し、上りリンクでは、基地局装置3、またはRRH4の何れかに対して適した形で信号を送信してもよい。例えば、移動局装置5は、基地局装置3で信号が受信されるのに適した送信電力で上りリンクの信号を送信する。例えば、移動局装置5は、RRH4で信号が受信されるのに適した送信電力で上りリンクの信号を送信する。
また、基地局装置3とRRH4とで異なる周波数帯域が用いられ、異なるRRH4間でのみ協調通信が用いられてもよい。例えば、移動局装置5は、それぞれのRRH4で信号が受信されるのに適した送信電力で上りリンクの信号を送信する。
通信システム1では、基地局装置3、またはRRH4から移動局装置5への通信方向である下りリンク(DL: Downlinkとも呼称する)が、下りリンクパイロットチャネル、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannelとも呼称する)、および物理下りリンク共用チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared CHannelとも呼称する)を含んで構成される。PDSCHは、協調通信が適用されたり、適用されなかったりする。
また、通信システム1では、移動局装置5から基地局装置3、またはRRH4への通信方向である上りリンク(UL: Uplinkとも呼称する)が、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared CHannelとも呼称する)、上りリンクパイロットチャネル(上りリンク参照信号; UL RS: Uplink Reference Signal、SRS: Sounding Reference Signal、DM RS: Demodulation Reference Signal)、および物理上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control CHannelとも呼称する)を含んで構成される。チャネルとは、信号の送信に用いられる媒体を意味する。物理層で用いられるチャネルは物理チャネル、媒体アクセス制御(Medium Access Control: MAC)層で用いられるチャネルは論理チャネルと呼称する。
また、本発明は、移動局装置5が上りリンクにおいて、基地局装置3で受信されるのに適した送信電力で信号を送信することと、RRH4で受信されるのに適した送信電力で信号を送信することとを制御される通信システムに適用可能であり、説明の簡略化のため、その他の動作については、適宜説明を省略するが、本発明がそのような動作に限定されるということを意味しているわけではないことに注意すべきである。例えば、本発明は、移動局装置5が上りリンクにおいて、RRH4で受信されるのに最適な送信電力で信号を送信することと、基地局装置3で受信されるのに準最適な送信電力で信号を送信することとが制御される通信システムにも適用可能である。
また、本発明の実施形態は、本明細書に記載されるチャネルのみが用いられる通信システム1に限定されず、その他のチャネルが用いられる通信システムにも適用可能である。例えば、PDCCHとは異なる性質を持つ下りリンク制御チャネル(E-PDCCH: Enhanced-PDCCH)がPDCCHとは独立して用いられてもよい。例えば、E−PDCCHには、プリコーディング処理が適用され得る。例えば、E−PDCCHは、E−PDCCHに用いられるプリコーディング処理と同様の処理が適用された参照信号に基づく、伝搬路補償などの復調処理が実行され得る。
PDSCHは、下りリンクのデータおよび制御情報の送受信に用いられる物理チャネルである。PDCCHは、下りリンクの制御情報の送受信に用いられる物理チャネルである。PUSCHは、上りリンクのデータおよび制御情報の送受信に用いられる物理チャネルである。PUCCHは、上りリンクの制御情報(上りリンク制御情報; Uplink Control Information: UCI)の送受信に用いられる物理チャネルである。UCIの種類としては、PDSCHの下りリンクのデータに対する肯定応答(Acknowledgement: ACK)、または否定応答(Negative Acknowledgement: NACK)を示す受信確認応答(ACK/NACK)と、リソースの割り当てを要求するか否かを示すスケジューリング要求(Scheduling request: SR)等が用いられる。その他の物理チャネルの種類としては、下りリンクの同期確立のために用いられる同期チャネル(Synchronization CHannel: SCH、同期信号; synchronization signal)、上りリンクの同期確立のために用いられる物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access CHannel: PRACH)、下りリンクのシステム情報(SIB: System Information Blockとも呼称する)の送信に用いられる物理報知チャネル(Physical Broadcast CHannel: PBCH)等が用いられる。また、PDSCHは下りリンクのシステム情報の送信にも用いられる。
移動局装置5、基地局装置3、またはRRH4は、制御情報、データなどから生成した信号を各物理チャネルに配置して、送信する。PDSCH、またはPUSCHで送信されるデータは、トランスポートブロックと呼称する。また、基地局装置3、またはRRH4が管轄するエリアのことをセルと呼ぶ。
<下りリンクの時間フレームの構成>
図9は、本発明の実施形態に係る基地局装置3、またはRRH4から移動局装置5への下りリンクの時間フレームの概略構成を示す図である。この図において、横軸は時間領域、縦軸は周波数領域を表している。下りリンクの時間フレームは、リソースの割り当てなどの単位であり、下りリンクの予め決められた幅の周波数帯および時間帯からなるリソースブロック(RB)(物理リソースブロック; PRB: Physical Resource Blockとも呼称する)のペア(物理リソースブロックペア; PRB pairと呼称する)から構成される。1個の下りリンクのPRBpair(下りリンク物理リソースブロックペア; DL PRB pairと呼称する)は下りリンクの時間領域で連続する2個のPRB(下りリンク物理リソースブロック; DL PRBと呼称する)から構成される。
また、この図において、1個のDL PRBは、下りリンクの周波数領域において12個のサブキャリア(下りリンクサブキャリアと呼称する)から構成され、時間領域において7個のOFDM(直交周波数分割多重; Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルから構成される。下りリンクのシステム帯域(下りリンクシステム帯域と呼称する)は、基地局装置3、またはRRH4の下りリンクの通信帯域である。例えば、下りリンクのシステム帯域幅(下りリンクシステム帯域幅と呼称する)は、20MHzの周波数帯域幅から構成される。
なお、下りリンクシステム帯域では下りリンクシステム帯域幅に応じて複数のDL PRBが配置される。例えば、20MHzの周波数帯域幅の下りリンクシステム帯域は、110個のDL PRBから構成される。
また、この図が示す時間領域においては、7個のOFDMシンボルから構成されるスロット(下りリンクスロットと呼称する)、2個の下りリンクスロットから構成されるサブフレーム(下りリンクサブフレームと呼称する)がある。なお、1個の下りリンクサブキャリアと1個のOFDMシンボルから構成されるユニットをリソースエレメント(RE: Resource Element、下りリンクリソースエレメント)と呼称する。各下りリンクサブフレームには少なくとも、情報データ(トランスポートブロック; Transport Blockとも呼称する)の送信に用いられるPDSCH、制御情報の送信に用いられるPDCCHが配置される。この図においては、PDCCHは下りリンクサブフレームの1番目から3番目までのOFDMシンボルから構成され、PDSCHは下りリンクサブフレームの4番目から14番目までのOFDMシンボルから構成される。なお、PDCCHを構成するOFDMシンボルの数と、PDSCHを構成するOFDMシンボルの数は、下りリンクサブフレーム毎に変更されてもよい。
この図において図示は省略するが、下りリンクの参照信号(Reference signal: RS)(下りリンク参照信号と呼称する)の送信に用いられる下りリンクパイロットチャネルが複数の下りリンクリソースエレメントに分散して配置される。ここで、下りリンク参照信号は、少なくとも異なるタイプの第一の参照信号と第二の参照信号と第三の参照信号から構成される。例えば、下りリンク参照信号は、PDSCHおよびPDCCHの伝搬路変動の推定に用いられる。例えば、第一の参照信号は、PDSCH、PDCCHの復調に用いられ、Cellspecific RS:CRSとも呼称する。例えば、第二の参照信号は、協調通信が適用されるPDSCHの復調に用いられ、UEspecificRSとも呼称する。例えば、第三の参照信号は、伝搬路変動の推定のみに用いられ、ChannelState InformationRS:CSI−RSとも呼称する。下りリンク参照信号は、通信システム1において既知の信号である。なお、下りリンク参照信号を構成する下りリンクリソースエレメントの数は、基地局装置3、RRH4において移動局装置5への通信に用いられる送信アンテナ(アンテナポート)の数に依存してもよい。以降の説明では、第一の参照信号としてCRS、第二の参照信号としてUEspecific RS、第三の参照信号としてCSI−RSが用いられる場合について説明する。なお、UEspecific RSは、協調通信が適用されないPDSCHの復調にも用いられ得る。
PDCCHは、PDSCHに対するDL PRBの割り当てを示す情報、PUSCHに対するUL PRBの割り当てを示す情報、移動局識別子(Radio Network Temporary Identifier: RNTIと呼称する)、変調方式、符号化率、再送パラメータ、空間多重数、プリコーディング行列、送信電力制御コマンド(TPC command)を示す情報などの制御情報から生成された信号が配置される。PDCCHに含まれる制御情報を下りリンク制御情報(Downlink Control Information: DCI)と呼称する。PDSCHに対するDLPRBの割り当てを示す情報を含むDCIは下りリンクアサインメント(Downlink assignment:DL assignment、またDownlink grantとも呼称する)と呼称し、PUSCHに対するULPRBの割り当てを示す情報を含むDCIは上りリンクグラント(Uplink grant: ULgrant)と呼称する。なお、下りリンクアサインメントは、PUCCHに対する送信電力制御コマンドを含む。なお、上りリンクアサインメントは、PUSCHに対する送信電力制御コマンドを含む。なお、1個のPDCCHは、1個のPDSCHのリソースの割り当てを示す情報、または1個のPUSCHのリソースの割り当てを示す情報しか含まず、複数のPDSCHのリソースの割り当てを示す情報、または複数のPUSCHのリソースの割り当てを示す情報を含まない。
更に、PDCCHで送信される情報として、巡回冗長検査CRC(Cyclic Redundancy Check)符号がある。PDCCHで送信される、DCI、RNTI、CRCの関係について詳細に説明する。予め決められた生成多項式を用いてDCIからCRC符号が生成される。生成されたCRC符号に対してRNTIを用いて排他的論理和(スクランブリングとも呼称する)の処理が行なわれる。DCIを示すビットと、CRC符号に対してRNTIを用いて排他的論理和の処理が行なわれて生成されたビット(CRCmasked by UE IDと呼称する)を変調した信号が、PDCCHで実際に送信される。
PDSCHのリソースは、時間領域において、そのPDSCHのリソースの割り当てに用いられた下りリンクアサインメントを含むPDCCHのリソースが配置された下りリンクサブフレームと同一の下りリンクサブフレームに配置される。
下りリンク参照信号の配置について説明する。図10は、本発明の実施形態に係る通信システム1の下りリンクサブフレーム内の下りリンク参照信号の配置の一例を示す図である。説明の簡略化のため、図10では、1個のPRBpair内の下りリンク参照信号の配置について説明するが、基本的に下りリンクシステム帯域内の全てのPRBpairにおいて共通した配置方法が用いられる。
網掛けした下りリンクリソースエレメントのうち、R0〜R1は、それぞれアンテナポート0〜1のCRSを示す。ここで、アンテナポートとは、信号処理で用いる論理的なアンテナを意味し、1個のアンテナポートは複数の物理的なアンテナから構成されてもよい。同一のアンテナポートを構成する複数の物理的なアンテナは、同一の信号を送信する。同一のアンテナポート内で、複数の物理的なアンテナを用いて、遅延ダイバーシチ、またはCDD(Cyclic Delay Diversity)を適用することはできるが、その他の信号処理を用いることはできない。ここで、図10においては、CRSが2つのアンテナポートに対応する場合について示すが、本実施形態の通信システムは異なる数のアンテナポートに対応してもよく、例えば、1つのアンテナポートや4つのアンテナポートに対するCRSが下りリンクのリソースにマッピングされてもよい。CRSは、下りリンクシステム帯域内の全てのDLPRB内に配置される。
斜線部分の下りリンクリソースエレメントのうち、D1はUE specific RSを示す。複数のアンテナポートを用いてUE specific RSが送信される場合、各アンテナポートで異なる符号が用いられる。つまり、UEspecific RSにCDM(Code Division Multiplexing)が適用される。ここで、UEspecific RSは、そのPRB pairにマッピングされる制御信号やデータ信号に用いられる信号処理のタイプ(アンテナポートの数)に応じて、CDMに用いられる符号の長さやマッピングされる下りリンクリソースエレメントの数が変えられてもよい。例えば、基地局装置3、RRH4において、協調通信に用いられるアンテナポートの数が2本の場合、符号の長さが2である符号を用いて、同じ周波数領域(サブキャリア)で連続する時間領域(OFDMシンボル)の2個の下りリンクリソースエレメントを一単位(CDMの単位)としてUE specificRSが多重されて、配置される。言い換えると、この場合、UE specific RSの多重にCDMが適用される。例えば、基地局装置3、RRH4において協調通信に用いられるアンテナポートの数が4本の場合、UEspecificRSがマッピングされる下りリンクリソースエレメントの数が2倍に変えられ、2本のアンテナポート毎に異なる下りリンクリソースエレメントにUEspecific RSが多重されて、配置される。言い換えると、この場合、UEspecific RSの多重にCDMとFDM(Frequency Division Multiplexing)が適用される。例えば、基地局装置3、RRH4において協調通信に用いられるアンテナポートの数が8本の場合、UEspecific RSがマッピングされる下りリンクリソースエレメントの数が2倍に変えられ、符号の長さが4である符号を用いて、4個の下りリンクリソースエレメントを一単位としてUEspecific RSが多重されて、配置される。言い換えると、この場合、UEspecific RSの多重に異なる符号長のCDMが適用される。
また、UE specific RSにおいて、各アンテナポートの符号に対してスクランブル符号がさらに重畳される。このスクランブル符号は、基地局装置3、RRH4から通知されるセルIDおよびスクランブルIDに基づいて生成される。例えば、スクランブル符号は、基地局装置3、RRH4から通知されるセルIDおよびスクランブルIDに基づいて生成される擬似雑音系列から生成される。例えば、スクランブルIDは、0または1を示す値である。また、用いられるスクランブルIDおよびアンテナポートは、ジョイントコーディング(Joint coding)されて、それらを示す情報をインデックス化することもできる。UEspecific RSは、UE specific RSを用いることが設定された移動局装置5に割り当てられたPDSCHのDLPRB内に配置される。
また、基地局装置3およびRRH4はそれぞれ、異なる下りリンクリソースエレメントにCRSの信号を割り当てる場合もあるし、同じ下りリンクリソースエレメントにCRSの信号を割り当てる場合もある。例えば、基地局装置3およびRRH4はそれぞれ、異なるリソースエレメントおよび、または異なる信号系列にCRSの信号を割り当てる場合には、移動局装置5はCRSを用いてそれぞれの受信電力(受信信号電力、受信品質)を個別に算出することができる。特に、基地局装置3およびRRH4から通知されるセルIDが異なる場合には前述のような設定が可能となる。別の例では、基地局装置3のみが一部の下りリンクリソースエレメントにCRSの信号を割り当て、RRH4は何れの下りリンクリソースエレメントにもCRSの信号を割り当てない場合がある。この場合には、移動局装置5は、基地局装置3の受信電力をCRSから算出することができる。特に、基地局装置3からのみセルIDが通知される場合には前述のような設定が可能となる。別の例では、基地局装置3およびRRH4が同じ下りリンクリソースエレメントにCRSの信号を割り当て、同じ系列を基地局装置3およびRRH4から送信した場合には、移動局装置5はCRSを用いて合成された受信電力を算出することができる。特に、基地局装置3およびRRH4から通知されるセルIDが同じ場合には前述のような設定が可能となる。
なお、本発明の実施形態の説明では、例えば、電力を算出することは電力の値を算出することを含み、電力を計算することは電力の値を計算することを含み、電力を測定することは電力の値を測定することを含み、電力を報告することは電力の値を報告することを含む。このように、電力という表現は、適宜電力の値という意味も含まれる。
図11は、8アンテナポート用のCSI−RS(伝送路状況測定用参照信号)がマッピングされたDLPRB pairを示す図である。図11は、基地局装置3およびRRH4において用いられるアンテナポート数(CSIポート数)が8の場合のCSI−RSがマッピングされる場合を示している。なお、図11において、CRS、UEspecific RS、PDCCH、PDSCH等の記載は、説明の簡略化のため、省略している。
CSI−RSは、それぞれのCDMグループにおいて、2チップの直交符号(Walsh符号)が用いられ、それぞれの直交符号にCSIポート(CSI-RSのポート(アンテナポート、リソースグリッド))が割り当てられ、2CSIポート毎に符号分割多重される。さらに、それぞれのCDMグループが周波数分割多重される。4つのCDMグループを用いて、CSIポート1〜8(アンテナポート15〜22)の8アンテナポートのCSI−RSがマッピングされる。例えば、CSI−RSのCDMグループC1では、CSIポート1および2(アンテナポート15および16)のCSI−RSが符号分割多重され、マッピングされる。CSI−RSのCDMグループC2では、CSIポート3および4(アンテナポート17および18)のCSI−RSが符号分割多重され、マッピングされる。CSI−RSのCDMグループC3では、CSIポート5および6(アンテナポート19および20)のCSI−RSが符号分割多重され、マッピングされる。CSI−RSのCDMグループC4では、CSIポート7および8(アンテナポート21および22)のCSI−RSが符号分割多重され、マッピングされる。
基地局装置3およびRRH4のアンテナポート数が8の場合、基地局装置3およびRRH4はPDSCHに適用するレイヤー数(ランク数、空間多重数)を最大8とすることができる。また、基地局装置3およびRRH4は、アンテナポート数が1、2または4の場合のCSI−RSを送信することができる。基地局装置3およびRRH4は、1アンテナポート用または2アンテナポート用のCSI−RSを、図11で示すCSI−RSのCDMグループC1を用いて、送信することができる。基地局装置3およびRRH4は、4アンテナポート用のCSI−RSを、図11で示すCSI−RSのCDMグループC1、C2を用いて、送信することができる。
また、基地局装置3およびRRH4はそれぞれ、異なる下りリンクリソースエレメントにCSI−RSの信号を割り当てる場合もあるし、同じ下りリンクリソースエレメントにCSI−RSの信号を割り当てる場合もある。例えば、基地局装置3およびRRH4はそれぞれ、異なる下りリンクリソースエレメントおよび、または異なる信号系列をCSI−RSに割り当てる場合には、移動局装置5はCSI−RSを用いて、基地局装置3およびRRH4のそれぞれの受信電力(受信信号電力、受信品質)およびそれぞれの伝搬路状態を個別に算出することができる。別の例では、基地局装置およびRRH4が同じ下りリンクリソースエレメントをCSI−RSに割り当て、同じ系列を基地局装置3およびRRH4から送信した場合には、移動局装置5はCSI−RSを用いて合成された受信電力を算出することができる。また、異なるRRH4はそれぞれ、異なる下りリンクリソースエレメントにCSI−RSの信号を割り当てる場合もある。例えば、異なるRRH4のそれぞれが異なる下りリンクリソースエレメントおよび、または異なる信号系列をCSI−RSに割り当てる場合には、移動局装置5はCSI−RSを用いて、異なるRRH4のそれぞれの受信電力(受信信号電力、受信品質)およびそれぞれの伝搬路状態を個別に算出することができる。
CSI−RSの構成(CSI-RS-Config-r10)は、基地局装置3、RRH4から移動局装置5に通知される。CSI−RSの構成としては、CSI−RSに設定されるアンテナポートの数を示す情報(antennaPortsCount-r10)、CSI−RSが配置される下りリンクサブフレームを示す情報(subframeConfig-r10)、CSI−RSが配置される周波数領域を示す情報(resourceConfig-r10)が少なくとも含まれる。アンテナポートの数は、例えば、1、2、4、8の値の何れかが用いられる。CSI−RSが配置される周波数領域を示す情報として、アンテナポート15(CSIポート1)に対応するCSI−RSが配置されるリソースエレメントの中で、先頭のリソースエレメントの位置を示すインデックスが用いられる。アンテナポート15に対応するCSI−RSの位置が決まれば、他のアンテナポートに対応するCSI−RSは予め決められたルールに基づき一意に決まる。CSI−RSが配置される下りリンクサブフレームを示す情報として、CSI−RSが配置される下りリンクサブフレームの位置と周期がインデックスにより示される。例えば、subframeConfig−r10のインデックスが5であれば、10サブフレーム毎にCSI−RSが配置されることを示し、10サブフレームを単位とする無線フレーム中ではサブフレーム0(無線フレーム内のサブフレームの番号)にCSI−RSが配置されることを示す。また、別の例では、例えばsubframeConfig−r10のインデックスが1であれば、5サブフレーム毎にCSI−RSが配置されることを示し、10サブフレームを単位とする無線フレーム中ではサブフレーム1と6にCSI−RSが配置されることを示す。
本発明の実施形態では、少なくとも特定のアンテナポートに対応するCSI−RSをRRH4のみが送信する場合を主に想定する。CSI−RSの全てのアンテナポートに対応するCSI−RSをRRH4のみが送信する場合を含む。一部のアンテナポートに対応するCSI−RSをRRH4のみが送信する場合、その他のアンテナポートに対応するCSI−RSは、基地局装置3のみから送信されてもよく、基地局装置3とRRH4の両方から送信(SFN送信)されてもよい。CRSは、基地局装置3のみから送信されてもよく、基地局装置3とRRH4の両方から送信(SFN送信)されてもよい。
詳細は後述するが、移動局装置5は、RRH4のみが送信する特定のアンテナポートのCSI−RSを受信して、RRH4に対するパスロスを測定し、測定したパスロスを上りリンクの信号の送信電力の設定に用いる。これにより、信号の受信先がRRH4である場合に適した送信電力を設定することができる。また、移動局装置5は、基地局装置3のみが送信するRS(CRS、またはCSI-RS)を受信して、基地局装置3に対するパスロスを測定し、測定したパスロスを上りリンクの信号の送信電力の設定に用いるようにしてもよい。これにより、信号の受信先が基地局装置3である場合に適した送信電力を設定することができる。また、移動局装置5は、基地局装置3とRRH4の両方が送信するRS(CRS、またはCSI-RS)を受信して、両信号が合成された信号からパスロスを測定し、測定したパスロスを上りリンクの信号の送信電力の設定に用いるようにしてもよい。これにより、信号の受信先が基地局装置3、またはRRH4である場合に、ある程度適した送信電力を設定することができる。このように、信号の受信先に適した送信電力を設定するようにすることにより、信号の要求品質を満足しつつ、他の信号に与える干渉を抑え、通信システムの効率を向上させることができる。本発明の実施形態は、上述のように、移動局装置5が、異なる種類の下りリンクの参照信号から複数のパスロスの測定を行ない、何れか1つのパスロスを用いて、または各パスロスを用いて上りリンクの信号の送信電力を制御する通信システムを主に想定する。
なお、RRH4のみが送信するCSI−RSのアンテナポートに関する情報は、移動局装置5に通知される。通知された情報に基づき、移動局装置5はRRH4から送信される信号に対するパスロスの測定を行なうことができる。以降の説明では、説明の簡略化のため、基本的にCRSは基地局装置3のみから送信され、CSI−RSはRRH4のみから送信される場合について説明する。よって、以降の説明では、CRSに基づいて測定されるパスロスは基地局装置3から送信される信号に対してのものであり、CSI−RSに基づいて測定されるパスロスはRRH4から送信される信号に対してのものであることを意味する。説明の簡略化のために、このような通信システムに対して本発明の実施形態を説明しているだけであり、以降の説明は本発明を限定するものではなく、CRSが基地局装置3とRRH4の両方から送信される通信システム、特定のアンテナポートのCSI−RSのみがRRH4のみから送信される通信システムなどにも本発明を適用することができる。
なお、CRSの送信電力、CSI−RSの送信電力に関する情報がRRCシグナリングを用いて、基地局装置3、RRH4から移動局装置5に通知される。詳細は後述するが、移動局装置5は、通知された各種類の下りリンク参照信号の送信電力を用いて、各種類の下りリンク参照信号からパスロスを測定(計算)する。
異なるRRH4のそれぞれに異なるCSI−RSの構成が適用されてもよい。例えば、異なるRRH4の異なるCSI−RSの構成において、CSI−RSが配置される下りリンクサブフレームが異なってもよい。例えば、異なるRRH4の異なるCSI−RSの構成において、CSI−RSが配置される周波数領域が異なってもよい。例えば、異なるRRH4の異なるCSI−RSの構成において、CSI−RSのアンテナポートの数が異なってもよい。協調通信が適用される、それぞれのRRH4に対するCSI−RSの構成に関する情報がRRCシグナリングを用いて、基地局装置3から移動局装置5に通知される。移動局装置5は、通知されたCSI−RSの構成に基づき、それぞれのRRH4が送信するCSI−RSを受信して、それぞれのRRH4に対するパスロスを測定し、測定したパスロスを上りリンクの信号の送信電力に設定する。これにより、移動局装置5は、信号の受信先である、それぞれのRRH4に対して適した送信電力を設定することができる。このように、信号の受信先に適した送信電力を設定するようにすることにより、信号の要求品質を満足しつつ、他の信号に与える干渉を抑え、通信システムの効率を向上させることができる。本発明は、上述のように、移動局装置5が、異なる種類の下りリンクの参照信号から複数のパスロスの測定を行ない、何れか1つのパスロスを用いて、または各パスロスを用いて上りリンクの信号の送信電力を制御する通信システムに適用されてもよい。より詳細には、移動局装置5は、異なるCSI−RSの構成の複数のCSI−RSから複数のパスロスの測定を行ない、何れか1つのパスロスを用いて、または各パスロスを用いて上りリンクの信号の送信電力を制御するようにしてもよい。
<上りリンクの時間フレームの構成>
図12は、本発明の実施形態に係る移動局装置5から基地局装置3、RRH4への上りリンクの時間フレームの概略構成を示す図である。この図において、横軸は時間領域、縦軸は周波数領域を表している。上りリンクの時間フレームは、リソースの割り当てなどの単位であり、上りリンクの予め決められた幅の周波数帯および時間帯からなる物理リソースブロックのペア(上りリンク物理リソースブロックペア; UL PRB pairと呼称する)から構成される。1個のULPRB pairは、上りリンクの時間領域で連続する2個の上りリンクのPRB(上りリンク物理リソースブロック; UL PRBと呼称する)から構成される。
また、この図において、1個のUL PRBは、上りリンクの周波数領域において12個のサブキャリア(上りリンクサブキャリアと呼称する)から構成され、時間領域において7個のSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)シンボルから構成される。上りリンクのシステム帯域(上りリンクシステム帯域と呼称する)は、基地局装置3、RRH4の上りリンクの通信帯域である。上りリンクのシステム帯域幅(上りリンクシステム帯域幅と呼称する)は、例えば、20MHzの周波数帯域幅から構成される。
なお、上りリンクシステム帯域では上りリンクシステム帯域幅に応じて複数のUL PRBが配置される。例えば、20MHzの周波数帯域幅の上りリンクシステム帯域は、110個のUL PRBから構成される。また、この図が示す時間領域においては、7個のSC−FDMAシンボルから構成されるスロット(上りリンクスロットと呼称する)、2個の上りリンクスロットから構成されるサブフレーム(上りリンクサブフレームと呼称する)がある。なお、1個の上りリンクサブキャリアと1個のSC−FDMAシンボルから構成されるユニットをリソースエレメント(上りリンクリソースエレメント)と呼称する。
各上りリンクサブフレームには、少なくとも情報データの送信に用いられるPUSCH、上りリンク制御情報(UCI: Uplink Control Information)の送信に用いられるPUCCH、PUSCHとPUCCHの復調(伝搬路変動の推定)のためのULRS(DMRS)が配置される。また、図示は省略するが、何れかの上りリンクサブフレームには、上りリンクの同期確立のために用いられるPRACHが配置される。また、図示は省略するが、何れかの上りリンクサブフレームには、チャネル品質、同期ずれの測定等に用いられるULRS(SRS)が配置される。PUCCHは、PDSCHを用いて受信されたデータに対する肯定応答(ACK: Acknowledgement)または否定応答(NACK: Negative Acknowledgement)を示すUCI(ACK/NACK)、上りリンクのリソースの割り当てを要求するか否かを少なくとも示すUCI(SR: Scheduling Request; スケジューリング要求)、下りリンクの受信品質(チャネル品質とも呼称する)を示すUCI(CQI: Channel Quality Indicator; チャネル品質指標)を送信するために用いられる。
なお、移動局装置5が上りリンクのリソースの割り当てを要求することを基地局装置3に示す場合に、移動局装置5はSRの送信用のPUCCHで信号を送信する。基地局装置3は、SRの送信用のPUCCHのリソースで信号を検出したという結果から移動局装置5が上りリンクのリソースの割り当てを要求していることを認識する。移動局装置5が上りリンクのリソースの割り当てを要求しないことを基地局装置3に示す場合に、移動局装置5は予め割り当てられたSRの送信用のPUCCHのリソースで何も信号を送信しない。基地局装置3は、SRの送信用のPUCCHのリソースで信号を検出しなかったという結果から移動局装置5が上りリンクのリソースの割り当てを要求していないことを認識する。
また、PUCCHは、ACK/NACKからなるUCIが送信される場合と、SRからなるUCIが送信される場合と、CQIからなるUCIが送信される場合とで異なる種類の信号構成が用いられる。ACK/NACKの送信に用いられるPUCCHをPUCCH format 1a、またはPUCCH format 1bと呼称する。PUCCH format 1aでは、ACK/NACKに関する情報を変調する変調方式としてBPSK(二位相偏移変調; Binary Phase Shift Keying)が用いられる。PUCCH format 1aでは、1ビットの情報が変調信号から示される。PUCCH format 1bでは、ACK/NACKに関する情報を変調する変調方式としてQPSK(四位相偏移変調; Quadrature Phase Shift Keying)が用いられる。PUCCH format 1bでは、2ビットの情報が変調信号から示される。SRの送信に用いられるPUCCHをPUCCH format 1と呼称する。CQIの送信に用いられるPUCCHをPUCCH format 2と呼称する。CQIとACK/NACKの同時送信に用いられるPUCCHをPUCCH format 2a、またはPUCCH format 2bと呼称する。PUCCH format 2bでは、上りリンクパイロットチャネルの参照信号(DM RS)にACK/NACKの情報から生成された変調信号が乗算される。PUCCH format 2aでは、ACK/NACKに関する1ビットの情報とCQIの情報が送信される。PUCCH format 2bでは、ACK/NACKに関する2ビットの情報とCQIの情報が送信される。
なお、1個のPUSCHは1個以上のUL PRBから構成され、1個のPUCCHは上りリンクシステム帯域内において周波数領域に対称関係にあり、異なる上りリンクスロットに位置する2個のULPRBから構成され、1個のPRACHは6個のUL PRB pairから構成される。例えば、図12において、上りリンクサブフレーム内において、1番目の上りリンクスロットの最も周波数が低いULPRBと、2番目の上りリンクスロットの最も周波数が高いUL PRBと、により、PUCCHに用いられるULPRB pairの1個が構成される。なお、移動局装置5は、PUSCHとPUCCHの同時送信を行なわないように設定されている場合、同一上りリンクサブフレームでPUCCHのリソースとPUSCHのリソースが割り当てられた場合は、PUSCHのリソースのみを用いて信号を送信する。なお、移動局装置5は、PUSCHとPUCCHの同時送信を行なうように設定されている場合、同一上りリンクサブフレームでPUCCHのリソースとPUSCHのリソースが割り当てられた場合は、基本的にPUCCHのリソースとPUSCHのリソースの両方を用いて信号を送信することができる。
UL RSは、上りリンクパイロットチャネルに用いられる信号である。ULRSは、PUSCHおよびPUCCHの伝搬路変動の推定に用いられる復調参照信号(DM RS:Demodulation Reference Signal)と、基地局装置3、RRH4のPUSCHの周波数スケジューリングおよび適応変調のためのチャネル品質の測定、基地局装置3、RRH4と移動局装置5間の同期ずれの測定に用いられるサウンディング参照信号(SRS: Sounding Reference Signal)とから構成される。DMRSは、PUSCHと同じUL PRB内に配置される場合と、PUCCHと同じULPRB内に配置される場合とで、異なるSC−FDMAシンボルに配置される。DM RSは、PUSCHおよびPUCCHの伝搬路変動の推定に用いられる、通信システム1において既知の信号である。
DM RSは、PUSCHと同じULPRB内に配置される場合、上りリンクスロット内の4番目のSC−FDMAシンボルに配置される。DMRSは、ACK/NACKを含むPUCCHと同じUL PRB内に配置される場合、上りリンクスロット内の3番目と4番目と5番目のSC−FDMAシンボルに配置される。DM RSは、SRを含むPUCCHと同じUL PRB内に配置される場合、上りリンクスロット内の3番目と4番目と5番目のSC−FDMAシンボルに配置される。DMRSは、CQIを含むPUCCHと同じUL PRB内に配置される場合、上りリンクスロット内の2番目と6番目のSC−FDMAシンボルに配置される。
SRSは、基地局装置3が決定したUL PRB内に配置され、上りリンクサブフレーム内の14番目のSC−FDMAシンボル(上りリンクサブフレームの2番目の上りリンクスロットの7番目のSC-FDMAシンボル)に配置される。SRSは、セル内において基地局装置3が決定した周期の上りリンクサブフレーム(調査参照信号サブフレーム;SRS subframeと呼称する)のみに配置され得る。SRS subframeに対して、基地局装置3は移動局装置5毎にSRSを送信する周期、SRSに割り当てるULPRBを割り当てる。
図12では、PUCCHが上りリンクシステム帯域の周波数領域で最も端のUL PRBに配置された場合を示しているが、上りリンクシステム帯域の端から2番目、3番目などのUL PRBがPUCCHに用いられてもよい。
なお、PUCCHにおいて周波数領域での符号多重、時間領域での符号多重が用いられる。周波数領域での符号多重は、サブキャリア単位で符号系列の各符号が上りリンク制御情報から変調された変調信号に乗算されることにより処理される。時間領域での符号多重は、SC−FDMAシンボル単位で符号系列の各符号が上りリンク制御情報から変調された変調信号に乗算されることにより処理される。複数のPUCCHが同一のULPRBに配置され、各PUCCHは異なる符号が割り当てられ、割り当てられた符号により周波数領域、または時間領域において符号多重が実現される。ACK/NACKを送信するために用いられるPUCCH(PUCCH format 1a、またはPUCCH format 1bと呼称する)においては、周波数領域および時間領域での符号多重が用いられる。SRを送信するために用いられるPUCCH(PUCCH format 1と呼称する)においては、周波数領域および時間領域での符号多重が用いられる。CQIを送信するために用いられるPUCCH(PUCCH format 2、またはPUCCH format 2a、またはPUCCH format 2bと呼称する)においては、周波数領域での符号多重が用いられる。なお、説明の簡略化のため、PUCCHの符号多重に係る内容の説明は適宜省略する。
PUSCHのリソースは、時間領域において、そのPUSCHのリソースの割り当てに用いられた上りリンクグラントを含むPDCCHのリソースが配置された下りリンクサブフレームから所定の数(例えば、4)後の上りリンクサブフレームに配置される。
<CSI−RSに基づくパスロスの測定の追加>
移動局装置5は、CRSに基づきパスロスを計算(測定)する。また、移動局装置5は、追加として、CSI−RSに基づきパスロスを計算(測定)する。移動局装置5は、計算したパスロスに基づき上りリンクの送信電力の計算を行ない、計算した値の上りリンクの送信電力で上りリンクの信号の送信を行なう。基地局装置3は、移動局装置5に対して下りリンク参照信号の測定に関するパラメータ(コンフィグレーション)を設定する。なお、初期状態(デフォルト状態)では、移動局装置5はCRSに基づきパスロスを計算し、計算したパスロスを用いて上りリンクの送信電力値を計算する。なお、初期状態では、移動局装置5は、アンテナポート0のCRS、またはアンテナポート0と1のCRSに基づき、パスロスの計算を行なう。
基地局装置3は、必要と判断した場合(例えば、移動局装置5がRRH4に距離的に近いと判断した場合)、追加でCSI−RSに基づきパスロスを計算し、上りリンクの送信電力に用いることができるように、移動局装置5に対して設定を行なう。具体的には、基地局装置3は、移動局装置5のパスロスリファレンスの追加変更(再設定、再構成)を行なう。例えば、この変更は、RRCシグナリングを用いて行なわれる。パスロスリファレンスとは、パスロスの計算に用いる測定対象を意味し、CRS、またはCSI−RSである。ここで、基地局装置3は、移動局装置5がパスロスの計算に用いるCSI−RSのアンテナポートを指定することができ、移動局装置5は基地局装置3より指定されたアンテナポートのCSI−RSに基づきパスロスの計算を行なう。なお、ここでは、移動局装置5が基地局装置3より指定されるアンテナポートは、1つのアンテナポートであってもよく、複数のアンテナポートであってもよく、全てのアンテナポートであってもよい。基地局装置3は、CRSに基づき測定されたパスロス用いて計算した送信電力で上りリンクの信号を送信するように、移動局装置5を制御する。基地局装置3は、CSI−RSに基づき測定されたパスロス用いて計算した送信電力で上りリンクの信号を送信するように、移動局装置5を制御する。また、基地局装置3は、必要と判断した場合、CSI−RSに基づくパスロスの測定をやめるように、移動局装置5に対して設定を行なう。この動作は、移動局装置5がCSI−RSに基づきパスロスを計算している状態に対して行なわれ得る。
なお、パスロスの計算には、下りリンクの参照信号の送信電力の値が必要となるため、CRSの送信電力値に関する情報、CSI−RSの送信電力値に関する情報が、基地局装置3から移動局装置5に通知される。
また、基地局装置3により構成されるセルとRRH4により構成されるセルとが異なる周波数帯域である場合、RRH4から構成されるセルにおいて、CRSは構成されず、CSI−RSしか構成されなくてもよい。例えば、この場合、移動局装置5は、RRH4により構成されるセルに対して、CRSに基づきパスロスを計算し、計算したパスロスを用いて上りリンクの送信電力値を計算する処理を初期状態(デフォルト状態)とするのではなく、CSI−RSに基づきパスロスを計算し、計算したパスロスを用いて上りリンクの送信電力値を計算する処理を初期状態(デフォルト状態)としてもよい。基地局装置5が、移動局装置5に対して協調通信に用いるRRH4の追加が必要と判断した場合、そのRRH4により構成されるセルに対するCSI−RSの構成を移動局装置5に通知し、移動局装置5のパスロスリファレンスの追加変更(再設定、再構成)を行なう。
<パワーヘッドルームレポーティング>
パワーヘッドルームレポーティング(Power Headroom Reporting)は、名目上の移動局最大送信電力(nominal UE maximum transmit power)と、PUSCHに対する推定送信電力との差に関する情報(パワーヘッドルーム;Power Headroom)を基地局装置3、RRH4に提供するための手順である。処理階層としてRRC(Radio Resource Control)がパワーヘッドルームレポーティングを制御し、制御のために2つのタイマー(periodicPHR-Timer、prohibitPHR-Timer)を構成し、あるパラメータ(dl-PathlossChange)をシグナリングする。パワーヘッドルームの送信を判断する一連の処理のことを、パワーヘッドルームの送信処理と称する。各パスロスリファレンスに対して、独立にパワーヘッドルームの送信処理が実行(制御)される。
dl−PathlossChangeは、パスロスの値が変化した際にパワーヘッドルームの送信をトリガーするためのパラメータである。最後にパワーヘッドルームを送信した時点で測定されたパスロスと、現時点で測定されたパスロスとの変化量が、dl−PathlossChangeとの閾値判断に用いられる。dl−PathlossChangeを用いた閾値判断が行なわれ、測定されたパスロスの変化量がdl−PathlossChangeの値を超えたら、パワーヘッドルームの送信がトリガーされる。dl−PathlossChangeの値は、dBで表現され、例えば、1dB、3dB、6dB、無限(Infinity)の何れかの値が用いられる。
periodicPHR−Timerは、ある程度定期的にパワーヘッドルームの送信をトリガーするために用いられるタイマーである。periodicPHR−Timerが終了したら、パワーヘッドルームの送信がトリガーされる。パワーヘッドルームの送信が行なわれると、計測中のperiodicPHR−Timerは一旦リセット、リスタートされる。periodicPHR−Timerの値は、単位としてサブフレーム数で表現され、例えば、10サブフレーム、20サブフレーム、50サブフレーム、100サブフレーム、200サブフレーム、500サブフレーム、1000サブフレーム、無限(Infinity)の何れかの値が用いられる。
prohibitPHR−Timerは、必要以上に頻繁にパワーヘッドルームの送信がトリガーされることを防ぐために用いられるタイマーである。prohibitPHR−Timerが終了せず、計測中の間は、測定されたパスロスの変化量がdl−PathlossChangeの値を超えたとしても、パワーヘッドルームの送信はトリガーされない。prohibitPHR−Timerが終了したら、dl−PathlossChangeにより、パワーヘッドルームの送信がトリガーされ得る。パワーヘッドルームの送信が行なわれると、計測中のprohibitPHR−Timerは一旦リセット、リスタートされる。prohibitPHR−Timerの値は、単位としてサブフレーム数で表現され、例えば、0サブフレーム、10サブフレーム、20サブフレーム、50サブフレーム、100サブフレーム、200サブフレーム、500サブフレーム、1000サブフレームの何れかの値が用いられる。
periodicPHR−Timer、prohibitPHR−Timer、dl−PathlossChangeのパラメータが、phr−ConfigというRRCシグナリングの構造体を用いて、基地局装置3、RRH4から移動局装置5に通知される。phr−Configが初期設定(configuration of power headroom reporting functionality)されたら、または再設定(reconfiguration of power headroom reporting functionality)されたら、パワーヘッドルームの送信がトリガーされる。
パワーヘッドルームの値は、移動局装置5に予め構成された送信電力値と、所望のPUSCHの送信電力値との差分である。所望のPUSCHの送信電力値は、送信電力制御に用いられるパラメータを用いて、予め決められた式(アルゴリズム)を用いて計算される。例えば、所望のPUSCHの送信電力値は、要求される品質を満たすために設定される。実際に送信されるPUSCHの送信電力値は、移動局装置5に予め構成された送信電力値と、所望のPUSCHの送信電力値とを比較して小さい値が用いられる。移動局装置5に予め構成された送信電力値は、基地局装置3、RRH4が予め移動局装置5に対して設定した送信電力値、または移動局装置5の装置能力としての許容送信電力の上限値である。例えば、装置能力はパワーアンプのクラスと対応する。パワーヘッドルームの値は、[40;−23]dBの範囲内で、1dBステップで表現される。
移動局装置5は、パスロスの測定(計算、推定)に用いる下りリンクの参照信号が基地局装置3、RRH4より追加で設定された(構成された、変更された、再設定された、再構成された、再変更された)場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となる。送信待機状態とは、パワーヘッドルームの送信がトリガーされた状態とも言える。送信待機状態の移動局装置5は、再送を除く、新規送信のためのPUSCHのリソースが基地局装置3、RRH4より割り当てられたら、リソースが割り当てられたPUSCHを用いてパワーヘッドルームの情報を含む信号を送信する。パワーヘッドルームの値の計算は、基本的に、パワーヘッドルームの送信に用いるPUSCHに設定される送信電力値に基づいて行なわれる。正確には、パワーヘッドルームの計算に用いられるのは、上述の所望のPUSCHの送信電力値である。上述の所望のPUSCHの送信電力値が移動局装置5に予め構成された送信電力値より小さい場合は、パワーヘッドルームの送信に用いられるPUSCHの送信電力値は所望のPUSCHの送信電力値となる。上述の所望のPUSCHの送信電力値が移動局装置5に予め構成された送信電力値より大きい場合は、パワーヘッドルームの送信に用いられるPUSCHの送信電力値は移動局装置5に予め構成された送信電力値となる。なお、パスロスの測定に用いる対象を、パスロスリファレンス(Pathlossreference)と称する。上りリンクの送信電力値の計算に用いるパスロスは、設定されたパスロスリファレンスから計算される。つまり、パワーヘッドルームの値の計算は、設定されたパスロスリファレンスから計算されるパスロスに基づいて行なわれる。
例えば、移動局装置5は、CRSに基づきパスロスを測定する状態から、CRSに基づきパスロスを測定し、且つCSI−RSに基づきパスロスを測定する状態に切り替えられた場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となる。ここでは、少なくともCSI−RSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となる。ここでは、更に、CRSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となってもよい。例えば、移動局装置5は、CSI−RSに基づきパスロスを測定する処理のみを行なっている状態において、CRSに基づきパスロスを測定する処理が追加設定された場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となる。ここでは、少なくともCRSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となる。ここでは、更に、CSI−RSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となってもよい。
例えば、移動局装置5は、あるCSI−RSの構成のCSI−RSに基づきパスロスを測定する状態において、異なるCSI−RSの構成のCSI−RSに基づきパスロスを測定する処理が追加設定された場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となる。ここでは、少なくとも追加されたCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となる。ここでは、更に、元から設定されているCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となってもよい。
また、移動局装置5は、パスロスの測定(計算、推定)に用いる下りリンクの参照信号の一部が基地局装置3、RRH4より削除される設定(構成)がなされた場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となってもよい。例えば、移動局装置5は、CRSに基づきパスロスを測定し、且つCSI−RSに基づきパスロスを測定する状態から、CRSに基づきパスロスを測定するのみの状態に切り替えられた場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となってもよい。ここでは、CRSから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となる。
移動局装置5においてパスロスリファレンスが追加設定される通信システムであって、移動局装置5は、パスロスリファレンスが追加設定された場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となる。パスロスリファレンスが追加設定されるということは、パスロスの測定に用いる対象(下りリンク参照信号)が追加設定されるということである。例えば、移動局装置5は、CRSに基づきパスロスを測定する処理と、CSI−RSに基づきパスロスを測定する処理とを、並列して同時に行なう。パスロスリファレンスが追加設定された場合、移動局装置5は、少なくとも追加されたパスロスリファレンスから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となる。
移動局装置5においてパスロスリファレンスが追加設定される通信システムであって、移動局装置5は、パスロスリファレンスが追加設定された場合、パワーヘッドルームの送信待機状態となる。パスロスリファレンスが追加設定されるということは、パスロスの測定に用いる対象(下りリンク参照信号)が追加設定されるということである。例えば、移動局装置5は、あるCSI−RSの構成のCSI−RSに基づきパスロスを測定する処理と、異なるCSI−RSの構成のCSI−RSに基づきパスロスを測定する処理とを、並列して同時に行なう。パスロスリファレンスが追加設定された場合、移動局装置5は、少なくとも追加されたパスロスリファレンスから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームの送信待機状態となる。
異なるパスロスリファレンスが同時に複数設定される移動局装置5は、異なる種類のパスロスが測定され、測定されたパスロスの値が保持され、上りリンクサブフレーム単位で、PUSCHに用いるパスロスが切り替えられ得る。例えば、何れのパスロスリファレンスに基づくパスロスをPUSCHに用いるかが、PDCCHの情報により示される。例えば、何れのパスロスリファレンスに基づくパスロスをPUSCHに用いるかが、上りリンクグラントの送信に用いられるチャネル(PDCCH、またはE-PDCCH)に基づき指定される。例えば、何れの上りリンクサブフレームで何れのパスロスリファレンスに基づくパスロスをPUSCHに用いるかが、予め指定される。例えば、何れのパスロスリファレンスに基づくパスロスをPUSCHに用いるかが、上りリンクグラントを含むPDCCHが配置される下りリンクサブフレームに基づき指定される。ここでは、下りリンクサブフレームの番号と対応するパスロスリファレンスの種類の関係が予め設定される。
パワーヘッドルームの送信待機状態となっている移動局装置5は、送信待機状態となっているパワーヘッドルームに対応するパスロスリファレンスに基づくパスロスを用いる新規送信のためのPUSCHのリソースが割り当てられたら、リソースが割り当てられたPUSCHを用いて送信待機状態となっているパワーヘッドルームの情報を含む信号を送信する。送信待機状態となっているパワーヘッドルームに対応しないパスロスリファレンスに基づくパスロスを用いる新規送信のためのPUSCHのリソースが割り当てられても、移動局装置5は送信待機状態となっているパワーヘッドルームを送信する処理を実行しない。
第1の実施形態のパワーヘッドルームレポーティングの詳細について説明する。異なるパスロスリファレンスが同時に複数設定される移動局装置5は、パワーヘッドルームレポーティングに関連するパラメータが複数設定される。例えば、複数のパスロスリファレンスのそれぞれに対して、1つのperiodicPHR−Timerと1つのprohibitPHR−Timerと1つのdl−PathlossChangeとが設定され得る。例えば、periodicPHR−Timerが複数設定される。例えば、prohibitPHR−Timerが複数設定される。例えば、dl−PathlossChangeが複数設定される。移動局装置5は、異なるパスロスリファレンスから測定されるパスロスに基づくパワーヘッドルームに対するパワーヘッドルームレポートティングの処理を独立に行なう。パスロスリファレンス毎に独立にパワーヘッドルームレポーティングの処理が行なわれる。例えば、periodicPHR−Timerが複数設定される場合、periodicPHR−Timerのリセット、リスタートの判断は、periodicPHR−Timerが対応するパスロスリファレンスから計算されるパワーヘッドルームが送信されたか否かに基づき行なわれる。例えば、periodicPHR−Timerが複数設定される場合、periodicPHR−Timerが終了したことにより送信がトリガーされるパワーヘッドルームは、periodicPHR−Timerが対応するパスロスリファレンスから計算されるパワーヘッドルームである。例えば、prohibitPHR−Timerが複数設定される場合、prohibitPHR−Timerのリセット、リスタートの判断は、prohibitPHR−Timerが対応するパスロスリファレンスから計算されるパワーヘッドルームが送信されたか否かに基づき行なわれる。例えば、prohibitPHR−Timerが複数設定される場合、prohibitPHR−Timerの動作中に、送信が禁止されるパワーヘッドルームは、prohibitPHR−Timerが対応するパスロスリファレンスから計算されるパワーヘッドルームである。例えば、dl−PathlossChangeが複数設定される場合、dl−PathlossChangeとパスロスの変化量との閾値判断は、dl−PathlossChangeが対応するパスロスリファレンスから測定されるパスロスに対して行なわれる。
例えば、パスロスリファレンスとして、CRSとCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。CRSに対応するperiodicPHR−TimerをperiodicPHR−Timer 1、CSI−RSに対応するperiodicPHR−TimerをperiodicPHR−Timer 3とする。CRSに対応するprohibitPHR−TimerをprohibitPHR−Timer 1、CSI−RSに対応するprohibitPHR−TimerをprohibitPHR−Timer 3とする。CRSに対応するdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 1、CSI−RSに対応するdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 3とする。CRSに基づくパワーヘッドルームが送信された場合、計測中のperiodicPHR−Timer 1、prohibitPHR−Timer 1、dl−PathlossChange 1がリセット(リスタート)される。CSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信された場合、計測中のperiodicPHR−Timer 3、prohibitPHR−Timer 3、dl−PathlossChange 3がリセット(リスタート)される。periodicPHR−Timer 1が終了した場合、CRSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。periodicPHR−Timer 3が終了した場合、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。prohibitPHR−Timer 1が計測中(タイマーが終了する前の間)の場合、CRSに基づくパワーヘッドルームの送信が禁止された状態となる。prohibitPHR−Timer 3が計測中の場合、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームの送信が禁止された状態となる。dl−PathlossChange 1は、CRSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断に用いられる。CRSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 1の値よりも大きくなった場合、CRSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。dl−PathlossChange 3は、CSI−RSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断に用いられる。CSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 3の値よりも大きくなった場合、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。
例えば、パスロスリファレンスとして、複数のCSI−RSの構成(第一のCSI−RSの構成、第二のCSI−RSの構成)のCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応するperiodicPHR−TimerをperiodicPHR−Timer 1、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応するperiodicPHR−TimerをperiodicPHR−Timer 3とする。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応するprohibitPHR−TimerをprohibitPHR−Timer 1、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応するprohibitPHR−TimerをprohibitPHR−Timer 3とする。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応するdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 1、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応するdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 3とする。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信された場合、計測中のperiodicPHR−Timer 1、prohibitPHR−Timer 1、dl−PathlossChange 1がリセット(リスタート)される。第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信された場合、計測中のperiodicPHR−Timer 3、prohibitPHR−Timer 3、dl−PathlossChange 3がリセット(リスタート)される。periodicPHR−Timer 1が終了した場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。periodicPHR−Timer 3が終了した場合、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。prohibitPHR−Timer 1が計測中(タイマーが終了する前の間)の場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームの送信が禁止された状態となる。prohibitPHR−Timer 3が計測中の場合、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームの送信が禁止された状態となる。dl−PathlossChange 1は、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断に用いられる。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 1の値よりも大きくなった場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。dl−PathlossChange 3は、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断に用いられる。第二のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 3の値よりも大きくなった場合、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームが送信待機状態となる。
<基地局装置3の全体構成>
以下、図1、図2、図3を用いて、本実施形態に係る基地局装置3の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る基地局装置3の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、基地局装置3は、受信処理部(第二の受信処理部)101、無線リソース制御部(第二の無線リソース制御部)103、制御部(第二の制御部)105、および、送信処理部(第二の送信処理部)107を含んで構成される。
受信処理部101は、制御部105の指示に従い、受信アンテナ109により移動局装置5から受信した、PUCCH、PUSCHの受信信号をULRSを用いて復調し、復号して、制御情報、情報データを抽出する。例えば、受信処理部101は、PUSCHからパワーヘッドルームの情報を抽出する。受信処理部101は、自装置が移動局装置5にPUCCHのリソースを割り当てた上りリンクサブフレーム、ULPRBに対してUCIを抽出する処理を行なう。受信処理部101は、何れの上りリンクサブフレーム、何れのULPRBに対してどのような処理を行なうかを制御部105から指示される。例えば、受信処理部101は、ACK/NACK用のPUCCH(PUCCH format1a、PUCCH format 1b)の信号に対して時間領域での符号系列の乗算と合成、周波数領域での符号系列の乗算と合成を行なう検出処理を制御部105から指示される。また、受信処理部101は、PUCCHからUCIを検出する処理に用いる周波数領域の符号系列および/または時間領域の符号系列を制御部105から指示される。受信処理部101は、抽出したUCIを制御部105に出力し、情報データを上位層に出力する。受信処理部101は、抽出したUCIを制御部105に出力し、情報データを上位層に出力する。
また、受信処理部101は、制御部105の指示に従い、受信アンテナ109により移動局装置5から受信したPRACHの受信信号から、プリアンブル系列を検出(受信)する。また、受信処理部101は、プリアンブル系列の検出と共に、到来タイミング(受信タイミング)の推定も行なう。受信処理部101は、自装置がPRACHのリソースを割り当てた上りリンクサブフレーム、ULPRBに対してプリアンブル系列を検出する処理を行なう。受信処理部101は、推定した到来タイミングに関する情報を制御部105に出力する。
また、受信処理部101は、移動局装置5から受信したSRSを用いて1個以上のULPRBのチャネル品質を測定する。また、受信処理部101は、移動局装置5から受信したSRSを用いて上りリンクの同期ずれを検出(算出、測定)する。受信処理部101は、何れの上りリンクサブフレーム、何れのULPRBに対してどのような処理を行なうかを制御部105から指示される。受信処理部101は、測定したチャネル品質、検出した上りリンクの同期ずれに関する情報を制御部105に出力する。受信処理部101の詳細については、後述する。
無線リソース制御部103は、CSI−RSの構成、PDCCHに対するリソースの割り当て、PUCCHに対するリソースの割り当て、PDSCHに対するDLPRBの割り当て、PUSCHに対するUL PRBの割り当て、PRACHに対するリソースの割り当て、SRSに対するリソースの割り当て、各種チャネルの変調方式・符号化率・送信電力制御値・プリコーディング処理に用いる位相回転量(重み付け値)などを設定する。無線リソース制御部103は、パワーヘッドルームレポーティングに関連するパラメータ(periodicPHR-Timer、prohibitPHR-Timer、dl-PathlossChange)を設定する。無線リソース制御部103は、移動局装置5に対してパスロスの測定に用いる下りリンク参照信号(CRS、CSI-RS)を設定する。なお、無線リソース制御部103は、PUCCHに対する周波数領域の符号系列、時間領域の符号系列なども設定する。また、無線リソース制御部103は、設定したPUCCHのリソースの割り当てを示す情報などを制御部105に出力する。無線リソース制御部103で設定された情報の一部は送信処理部107を介して移動局装置5に通知され、例えば、CSI−RSの構成に関する情報、パワーヘッドルームレポーティングに関連するパラメータの値を示す情報、PUSCHの送信電力に関連する一部のパラメータの値を示す情報、PUCCHの送信電力に関連する一部のパラメータの値を示す情報が移動局装置5に通知される。
また、無線リソース制御部103は、受信処理部101においてPUCCHを用いて取得され、制御部105を介して入力されたUCIに基づいてPDSCHの無線リソースの割り当てなどを設定する。例えば、無線リソース制御部103は、PUCCHを用いて取得されたACK/NACKが入力された場合、ACK/NACKでNACKが示されたPDSCHのリソースの割り当てを移動局装置5に対して行なう。
無線リソース制御部103は、各種制御信号を制御部105に出力する。例えば、制御信号は、PUSCHのリソースの割り当てを示す制御信号や、プリコーディング処理に用いる位相回転量を示す制御信号などである。
制御部105は、無線リソース制御部103から入力された制御信号に基づき、CSI−RSの設定、PDSCHに対するDLPRBの割り当て、PDCCHに対するリソースの割り当て、PDSCHに対する変調方式の設定、PDSCHおよびPDCCHに対する符号化率の設定、PDSCHおよびUEspecific RSに対するプリコーディング処理の設定などの制御を送信処理部107に対して行なう。また、制御部105は、無線リソース制御部103から入力された制御信号に基づき、PDCCHを用いて送信されるDCIを生成し、送信処理部107に出力する。PDCCHを用いて送信されるDCIは、下りリンクアサインメント、上りリンクグラントなどである。
制御部105は、無線リソース制御部103から入力された制御信号に基づき、PUSCHに対するULPRBの割り当て、PUCCHに対するリソースの割り当て、PUSCHおよびPUCCHの変調方式の設定、PUSCHの符号化率の設定、PUCCHに対する検出処理、PUCCHに対する符号系列の設定、PRACHに対するリソースの割り当て、SRSに対するリソースの割り当てなどの制御を受信処理部101に対して行なう。また、制御部105は、移動局装置5によってPUCCHを用いて送信されたUCIが受信処理部101より入力され、入力されたUCIを無線リソース制御部103に出力する。
また、制御部105は、受信処理部101より、検出されたプリアンブル系列の到来タイミングを示す情報、受信されたSRSから検出された上りリンクの同期ずれを示す情報が入力され、上りリンクの送信タイミングの調整値(TA: Timing Advance、Timing Adjustment、Timing Alignment)(TA value)を算出する。算出された上りリンクの送信タイミングの調整値を示す情報(TA command)は、送信処理部107を介して移動局装置5に通知される。
送信処理部107は、制御部105から入力された制御信号に基づき、PDCCH、PDSCHを用いて送信する信号を生成して、送信アンテナ111を介して送信する。送信処理部107は、無線リソース制御部103から入力された、CSI−RSの構成に関する情報、パワーヘッドルームレポーティングに関連するパラメータ(periodicPHR-Timer、prohibitPHR-Timer、dl-PathlossChange)を示す情報、パスロスの測定に用いる下りリンク参照信号(CRS、CSI-RS)を示す情報、PUSCHの送信電力に関連する一部のパラメータの値を示す情報、PUCCHの送信電力に関連する一部のパラメータの値を示す情報、上位層から入力された情報データ等をPDSCHを用いて移動局装置5に対して送信し、制御部105から入力されたDCIをPDCCHを用いて移動局装置5に対して送信する。なお、説明の簡略化のため、以降、情報データは数種の制御に関する情報を含むものとする。送信処理部107の詳細については、後述する。
<基地局装置3の送信処理部107の構成>
以下、基地局装置3の送信処理部107の詳細について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る基地局装置3の送信処理部107の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、送信処理部107は、複数の物理下りリンク共用チャネル処理部201−1〜201−M(以下、物理下りリンク共用チャネル処理部201-1〜201-Mを合わせて物理下りリンク共用チャネル処理部201と表す)、複数の物理下りリンク制御チャネル処理部203−1〜203−M(以下、物理下りリンク制御チャネル処理部203-1〜203-Mを合わせて物理下りリンク制御チャネル処理部203と表す)、下りリンクパイロットチャネル処理部205、プリコーディング処理部231、多重部207、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform; 高速逆フーリエ変換)部209、GI(Guard Interval; ガードインターバル)挿入部211、D/A(Digital/Analog converter; ディジタルアナログ変換)部213、送信RF(Radio Frequency; 無線周波数)部215、および、送信アンテナ111を含んで構成される。なお、各物理下りリンク共用チャネル処理部201、各物理下りリンク制御チャネル処理部203は、それぞれ、同様の構成および機能を有するので、その一つを代表して説明する。なお、説明の簡略化のため、送信アンテナ111は、複数のアンテナポートをまとめたものとする。
また、この図に示すように、物理下りリンク共用チャネル処理部201は、それぞれ、ターボ符号部219、データ変調部221およびプリコーディング処理部229を備える。また、この図に示すように、物理下りリンク制御チャネル処理部203は、畳み込み符号部223、QPSK変調部225およびプリコーディング処理部227を備える。物理下りリンク共用チャネル処理部201は、移動局装置5への情報データをOFDM方式で伝送するためのベースバンド信号処理を行なう。ターボ符号部219は、入力された情報データを、制御部105から入力された符号化率で、データの誤り耐性を高めるためのターボ符号化を行ない、データ変調部221に出力する。データ変調部221は、ターボ符号部219が符号化したデータを、制御部105から入力された変調方式、例えば、QPSK(四位相偏移変調; Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16値直交振幅変調; 16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM(64値直交振幅変調; 64 Quadrature Amplitude Modulation)のような変調方式で変調し、変調シンボルの信号系列を生成する。データ変調部221は、生成した信号系列を、プリコーディング処理部229に出力する。プリコーディング処理部229は、データ変調部221から入力された信号に対してプリコーディング処理(ビームフォーミング処理)を行ない、多重部207に出力する。ここで、プリコーディング処理は、移動局装置5が効率よく受信できるように(例えば、受信電力が最大になるように、干渉が最小になるように)、生成する信号に対して位相回転などを行なうことが好ましい。
物理下りリンク制御チャネル処理部203は、制御部105から入力されたDCIを、OFDM方式で伝送するためのベースバンド信号処理を行なう。畳み込み符号部223は、制御部105から入力された符号化率に基づき、DCIの誤り耐性を高めるための畳み込み符号化を行なう。ここで、DCIはビット単位で制御される。また、畳み込み符号部223は、制御部105から入力された符号化率に基づき、畳み込み符号化の処理を行なったビットに対して出力ビットの数を調整するためにレートマッチングも行なう。畳み込み符号部223は、符号化したDCIをQPSK変調部225に出力する。QPSK変調部225は、畳み込み符号部223が符号化したDCIを、QPSK変調方式で変調し、変調した変調シンボルの信号系列を、プリコーディング処理部227に出力する。プリコーディング処理部227は、QPSK変調部225から入力された信号に対してプリコーディング処理を行ない、多重部207に出力する。なお、プリコーディング処理部227は、QPSK変調部225から入力された信号に対してプリコーディング処理を行なわず、多重部207に出力することができる。
下りリンクパイロットチャネル処理部205は、移動局装置5において既知の信号である下りリンク参照信号(CRS、UE specific RS、CSI-RS)を生成し、プリコーディング処理部231に出力する。プリコーディング処理部231は、下りリンクパイロットチャネル処理部205より入力されたCRS、CSI−RSに対してはプリコーディング処理を行なわず、多重部207に出力する。プリコーディング処理部231は、下りリンクパイロットチャネル処理部205より入力されたUEspecific RSに対してプリコーディング処理を行ない、多重部207に出力する。プリコーディング処理部231は、プリコーディング処理部229においてPDSCHに行なわれる処理、および/またはプリコーディング処理部227においてPDCCHに行なわれる処理と同様の処理をUEspecific RSに対して行なう。そのため、移動局装置5においてプリコーディング処理が適用されたPDSCH、PDCCHの信号を復調するに際し、UEspecific RSは、下りリンクにおける伝搬路(伝送路)の変動とプリコーディング処理部229、プリコーディング処理部227による位相回転があわさった等化チャネルを推定することができる。すなわち、基地局装置3は、移動局装置5に対して、プリコーディング処理部229、プリコーディング処理部227によるプリコーディング処理の情報(位相回転量)を通知する必要が無く、移動局装置5はプリコーディング処理された(協調通信で送信された)信号を復調することができる。なお、UEspecific RSを用いて伝搬路補償などの復調処理が行なわれるPDSCHにプリコーディング処理が用いられない場合などは、プリコーディング処理部231は、UEspecific RSに対してプリコーディング処理を行なわず、多重部207に出力する。
多重部207は、下りリンクパイロットチャネル処理部205から入力された信号と、物理下りリンク共用チャネル処理部201各々から入力された信号と、物理下りリンク制御チャネル処理部203各々から入力された信号とを、制御部105からの指示に従って、下りリンクサブフレームに多重する。無線リソース制御部103によって設定されたPDSCHに対するDLPRBの割り当て、PDCCHに対するリソースの割り当てに関する制御信号が制御部105に入力され、その制御信号に基づき、制御部105は多重部207の処理を制御する。
なお、多重部207は、PDSCHとPDCCHの多重を、基本的に図9に示したように時間多重で行なう。また、多重部207は、下りリンクパイロットチャネルと、その他のチャネル間の多重は時間・周波数多重で行なう。また、多重部207は、各移動局装置5宛てのPDSCHの多重をDLPRB pair単位で行ない、1つの移動局装置5に対して複数のDLPRB pairを用いてPDSCHを多重することもある。多重部207は、多重化した信号を、IFFT部209に出力する。
IFFT部209は、多重部207が多重化した信号を高速逆フーリエ変換し、OFDM方式の変調を行ない、GI挿入部211に出力する。GI挿入部211は、IFFT部209がOFDM方式の変調を行なった信号に、ガードインターバルを付加することで、OFDM方式におけるシンボルからなるベースバンドのディジタル信号を生成する。周知のように、ガードインターバルは、伝送するOFDMシンボルの先頭または末尾の一部を複製することによって生成される。GI挿入部211は、生成したベースバンドのディジタル信号をD/A部213に出力する。D/A部213は、GI挿入部211から入力されたベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、送信RF部215に出力する。送信RF部215は、D/A部213から入力されたアナログ信号から、中間周波数の同相成分および直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去する。次に、送信RF部215は、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送信アンテナ111を介して、移動局装置5に送信する。
<基地局装置3の受信処理部101の構成>
以下、基地局装置3の受信処理部101の詳細について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る基地局装置3の受信処理部101の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、受信処理部101は、受信RF部301、A/D(Analog/Digital converter; アナログディジタル変換)部303、シンボルタイミング検出部309、GI除去部311、FFT部313、サブキャリアデマッピング部315、伝搬路推定部317、PUSCH用の伝搬路等化部319、PUCCH用の伝搬路等化部321、IDFT部323、データ復調部325、ターボ復号部327、物理上りリンク制御チャネル検出部329、プリアンブル検出部331、およびSRS処理部333を含んで構成される。
受信RF部301は、受信アンテナ109で受信された信号を、適切に増幅し、中間周波数に変換し(ダウンコンバート)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信された信号の同相成分および直交成分に基づいて、直交復調する。受信RF部301は、直交復調したアナログ信号を、A/D部303に出力する。A/D部303は、受信RF部301が直交復調したアナログ信号をディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号をシンボルタイミング検出部309、GI除去部311およびプリアンブル検出部331に出力する。
シンボルタイミング検出部309は、A/D部303より入力された信号に基づいて、シンボルのタイミングを検出し、検出したシンボル境界のタイミングを示す制御信号を、GI除去部311に出力する。GI除去部311は、シンボルタイミング検出部309からの制御信号に基づいて、A/D部303より入力された信号からガードインターバルに相当する部分を除去し、残りの部分の信号を、FFT部313に出力する。FFT部313は、GI除去部311から入力された信号を高速フーリエ変換し、DFT−Spread−OFDM方式の復調を行ない、サブキャリアデマッピング部315に出力する。なお、FFT部313のポイント数は、後述する移動局装置5のIFFT部のポイント数と等しい。
サブキャリアデマッピング部315は、制御部105から入力された制御信号に基づき、FFT部313が復調した信号を、DMRSと、SRSと、PUSCHの信号と、PUCCHの信号とに分離する。サブキャリアデマッピング部315は、分離したDMRSを伝搬路推定部317に出力し、分離したSRSをSRS処理部333に出力し、分離したPUSCHの信号をPUSCH用の伝搬路等化部319に出力し、分離したPUCCHの信号をPUCCH用の伝搬路等化部321に出力する。
伝搬路推定部317は、サブキャリアデマッピング部315が分離したDM RSと既知の信号を用いて伝搬路の変動を推定する。伝搬路推定部317は、推定した伝搬路推定値を、PUSCH用の伝搬路等化部319と、PUCCH用の伝搬路等化部321に出力する。PUSCH用の伝搬路等化部319は、サブキャリアデマッピング部315が分離したPUSCHの信号の振幅および位相を、伝搬路推定部317から入力された伝搬路推定値に基づいて等化する。ここで、等化とは、信号が無線通信中に受けた伝搬路の変動を元に戻す処理のことを表す。PUSCH用の伝搬路等化部319は、調整した信号をIDFT部323に出力する。
IDFT部323は、PUSCH用の伝搬路等化部319から入力された信号を離散逆フーリエ変換し、データ復調部325に出力する。データ復調部325は、IDFT部323が変換したPUSCHの信号の復調を行ない、復調したPUSCHの信号をターボ復号部327に出力する。この復調は、移動局装置5のデータ変調部で用いられる変調方式に対応した復調であり、変調方式は制御部105より入力される。ターボ復号部327は、データ復調部325から入力され、復調されたPUSCHの信号から、情報データを復号する。符号化率は、制御部105より入力される。
PUCCH用の伝搬路等化部321は、サブキャリアデマッピング部315で分離されたPUCCHの信号の振幅および位相を、伝搬路推定部317から入力された伝搬路推定値に基づいて等化する。PUCCH用の伝搬路等化部321は、等化した信号を物理上りリンク制御チャネル検出部329に出力する。
物理上りリンク制御チャネル検出部329は、PUCCH用の伝搬路等化部321から入力された信号を復調、復号し、UCIを検出する。物理上りリンク制御チャネル検出部329は、周波数領域、および/または周波数領域で符号多重された信号を分離する処理を行なう。物理上りリンク制御チャネル検出部329は、送信側で用いられた符号系列を用いて周波数領域、および/または時間領域で符号多重されたPUCCHの信号からACK/NACK、SR、CQIを検出するための処理を行なう。具体的には、物理上りリンク制御チャネル検出部329は、周波数領域での符号系列を用いた検出処理、つまり周波数領域で符号多重された信号を分離する処理として、PUCCHのサブキャリア毎の信号に対して符号系列の各符号を乗算した後、各符号を乗算した信号を合成する。具体的には、物理上りリンク制御チャネル検出部329は、時間領域での符号系列を用いた検出処理、つまり時間領域での符号多重された信号を分離する処理として、PUCCHのSC−FDMAシンボル毎の信号に対して符号系列の各符号を乗算した後、各符号を乗算した信号を合成する。なお、物理上りリンク制御チャネル検出部329は、制御部105からの制御信号に基づき、PUCCHの信号に対する検出処理を設定する。
SRS処理部333は、サブキャリアデマッピング部315から入力されたSRSを用いて、チャネル品質を測定し、ULPRBのチャネル品質の測定結果を制御部105に出力する。SRS処理部333は、どの上りリンクサブフレームの、どのULPRBの信号に対して移動局装置5のチャネル品質の測定を行なうかが制御部105より指示される。また、SRS処理部333は、サブキャリアデマッピング部315から入力されたSRSを用いて、上りリンクの同期ずれを検出し、上りリンクの同期ずれを示す情報(同期ずれ情報)を制御部105に出力する。なお、SRS処理部333は、時間領域の受信信号から上りリンクの同期ずれを検出する処理を行なうようにしてもよい。具体的な処理は、後述するプリアンブル検出部331で行なわれる処理と同等の処理を行なうようにしてもよい。
プリアンブル検出部331は、A/D部303より入力された信号に基づいて、PRACHに相当する受信信号に対して送信されたプリアンブルを検出(受信)する処理を行なう。具体的には、プリアンブル検出部331は、ガードタイム内の様々なタイミングの受信信号に対して、送信される可能性のある、各プリアンブル系列を用いて生成したレプリカの信号との相関処理を行なう。例えば、プリアンブル検出部331は、相関値が予め設定された閾値よりも高かった場合、相関処理に用いられたレプリカの信号の生成に用いられたプリアンブル系列と同一の信号が、移動局装置5より送信されたと判断する。そして、プリアンブル検出部331は、最も相関値の高いタイミングをプリアンブル系列の到来タイミングと判断する。そして、プリアンブル検出部331は、検出したプリアンブル系列を示す情報と、到来タイミングを示す情報を少なくとも含むプリアンブル検出情報を生成し、制御部105に出力する。
制御部105は、基地局装置3が、移動局装置5にPDCCHを用いて送信した制御情報(DCI)、およびPDSCHを用いて送信した制御情報に基づいて、サブキャリアデマッピング部315、データ復調部325、ターボ復号部327、伝搬路推定部317、および物理上りリンク制御チャネル検出部329の制御を行なう。また、制御部105は、基地局装置3が移動局装置5に送信した制御情報に基づき、各移動局装置5が送信した(送信した可能性のある)PRACH、PUSCH、PUCCH、SRSがどのリソース(上りリンクサブフレーム、UL PRB、周波数領域の符号系列、時間領域の符号系列、プリアンブル系列)により構成されているかを把握している。
<移動局装置5の全体構成>
以下、図4、図5、図6を用いて、本実施形態に係る移動局装置5の構成について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る移動局装置5の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、移動局装置5は、受信処理部(第一の受信処理部)401、無線リソース制御部(第一の無線リソース制御部)403、制御部(第一の制御部)405、送信処理部(第一の送信処理部)407を含んで構成される。また、制御部405は、パスロス計算部4051、送信電力設定部4053およびパワーヘッドルーム制御部4055、を備える。
受信処理部401は、基地局装置3から信号を受信し、制御部405の指示に従い、受信信号を復調、復号する。受信処理部401は、自装置宛てのPDCCHの信号を検出した場合は、PDCCHの信号を復号して取得したDCIを制御部405に出力する。例えば、受信処理部401は、PDCCHに含まれるPUCCHのリソースに関する制御情報を制御部405に出力する。また、受信処理部401は、PDCCHに含まれるDCIを制御部405に出力した後の制御部405の指示に基づき、自装置宛てのPDSCHを復号して得た情報データを、制御部405を介して上位層に出力する。PDCCHに含まれるDCIの中で下りリンクアサインメントがPDSCHのリソースの割り当てを示す情報を含む。また、受信処理部401は、PDSCHを復号して得た基地局装置3の無線リソース制御部103で生成された制御情報を制御部405に出力し、また制御部405を介して自装置の無線リソース制御部403に出力する。例えば、基地局装置3の無線リソース制御部103で生成された制御情報は、CSI−RSの構成に関する情報、パスロスの測定に用いる下りリンク参照信号を示す情報、パワーヘッドルームレポーティングに関するパラメータの値を示す情報、PUSCHの送信電力に関連する一部のパラメータの値を示す情報、PUCCHの送信電力に関連する一部のパラメータの値を示す情報を含む。
また、受信処理部401は、PDSCHに含まれる巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check: CRC)符号を制御部405に出力する。基地局装置3の説明では省略したが、基地局装置3の送信処理部107は情報データからCRC符号を生成し、情報データとCRC符号をPDSCHで送信する。CRC符号は、PDSCHに含まれるデータが誤っているか、誤っていないかを判断するために使われる。例えば、移動局装置5において予め決められた生成多項式を用いてデータから生成された情報と、基地局装置3において生成され、PDSCHで送信されたCRC符号とが同じ場合はデータが誤っていないと判断され、移動局装置5において予め決められた生成多項式を用いてデータから生成された情報と、基地局装置3において生成され、PDSCHで送信されたCRC符号とが異なる場合はデータが誤っていると判断される。
また、受信処理部401は、下りリンクの受信品質(RSRP: Reference Signal Received Power; 参照信号受信電力)を測定し、測定結果を制御部405に出力する。受信処理部401は、制御部405からの指示に基づき、CRS、またはCSI−RSからRSRPを測定(計算)する。受信処理部401の詳細については後述する。
制御部405は、パスロス計算部4051、送信電力設定部4053およびパワーヘッドルーム制御部4055を備える。制御部405は、PDSCHを用いて基地局装置3から送信され、受信処理部401より入力されたデータを確認し、データの中で情報データを上位層に出力し、データの中で基地局装置3の無線リソース制御部103で生成された制御情報に基づいて、受信処理部401、送信処理部407を制御する。また、制御部405は、無線リソース制御部403からの指示に基づき、受信処理部401、送信処理部407を制御する。例えば、制御部405は、パスロスの測定に用いる下りリンク参照信号を示す情報に基づき、RSRPを測定する下りリンク参照信号を受信処理部401に設定する。例えば、制御部405は、無線リソース制御部403から指示されたPUSCHを用いてパワーヘッドルームの情報を含む信号を送信するように送信処理部407を制御する。
また、制御部405は、PDCCHを用いて基地局装置3から送信され、受信処理部401より入力されたDCIに基づいて、受信処理部401、送信処理部407を制御する。具体的には、制御部405は検出された下りリンクアサインメントに基づき受信処理部401を制御し、検出された上りリンクグラントに基づき送信処理部407を制御する。また、制御部405は、予め決められた生成多項式を用いて受信処理部401より入力されたデータと受信処理部401より入力されたCRC符号を比較し、データが誤っているか否かを判断し、ACK/NACKを生成する。また、制御部405は、無線リソース制御部403からの指示に基づき、SR、CQIを生成する。また、制御部405は、基地局装置3から通知された上りリンクの送信タイミングの調整値等に基づいて、送信処理部407の信号の送信タイミングを制御する。
パスロス計算部4051は、受信処理部401より入力されたRSRPを用いてパスロスの計算を行なう。例えば、パスロスは、下りリンク参照信号の送信電力の値から平均化したRSRPの値を減算することによって計算される。例えば、平均化は、所定のフィルタ係数(filterCoefficent)を用いて、平均化処理を行なってきた値に(1-filterCoefficent)を乗算した値と、新たに測定した値にfilterCoefficentを乗算した値とを加算することによって行なわれる。なお、移動局装置5において用いられるフィルタ係数(filterCoefficent)の値は基地局装置3、RRH4より設定される。パスロス計算部4051は、計算したパスロスの情報を送信電力設定部4053およびパワーヘッドルーム制御部4055に出力する。
送信電力設定部4053は、上りリンクの送信電力の設定を行なう。送信電力設定部4053は、パスロス計算部4051より入力されたパスロス、パスロスに乗算される係数、PUSCHに割り当てられるULPRBの数に基づくパラメータ、予め基地局装置3、RRH4より通知されたセル固有、および移動局装置固有のパラメータ、基地局装置3、RRH4より通知された送信電力制御コマンドに基づくパラメータ等に基づいて、PUSCHの所望の送信電力の設定を行なう。送信電力設定部4053は、パスロス計算部4051より入力されたパスロス、PUCCHの信号構成に基づくパラメータ、PUCCHで送信される情報量に基づくパラメータ、予め基地局装置3、RRH4より通知されたセル固有、および移動局装置固有のパラメータ、基地局装置3、RRH4より通知された送信電力制御コマンドに基づくパラメータ等に基づいて、PUCCHの所望の送信電力の設定を行なう。送信電力設定部4053は、パスロス計算部4051より入力されたパスロス、パスロスに乗算される係数、SRSに割り当てられるULPRBの数に基づくパラメータ、予め基地局装置3、RRH4より通知されたセル固有、および移動局装置固有のパラメータ、予め基地局装置3、RRH4より通知されたオフセット、基地局装置3、RRH4より通知された送信電力制御コマンドに基づくパラメータ等に基づいて、SRSの所望の送信電力の設定を行なう。なお、送信電力設定部4053は、DMRSに対しては、DMRSが配置される物理チャネルと同様の送信電力の設定を行なう。なお、上記で説明した各種パラメータは、基地局装置3、RRH4からシグナリングを用いて設定される構成でもよいし、仕様で一意に値が設定される構成でもよいし、その他の各種要因に応じて値が設定される構成でもよい。送信電力設定部4053は、設定した所望の送信電力値、または移動局装置5に予め構成された送信電力値を用いるように送信処理部407を制御する。送信電力設定部4053は、移動局装置5に予め構成された送信電力値と、所望の送信電力値とを比較して小さい値を選択して、選択した送信電力値を用いるように送信処理部407を制御する。また、送信電力設定部4053は、設定した所望の送信電力の値をパワーヘッドルーム制御部4055に出力する。
送信電力設定部4053では、送信電力制御コマンドに基づくパラメータの設定は、2種類のモードが用いられる。一方のモード(Accumulation mode)は、通知された送信電力制御コマンドの値を積算していくモードである。もう一方のモード(Absolute mode)は、通知された複数の送信電力制御コマンドの値を積算することは行なわず、最新の送信電力制御コマンドの値のみを用いるモードである。例えば、PUSCHに対しては、RRCシグナリングを用いて、Accumulationmode、またはAbsolutemodeの何れかのモードが移動局装置5に設定され、PUCCHに対しては、Accumulationmodeが移動局装置5に設定される。
パワーヘッドルーム制御部4055は、パワーヘッドルームレポーティングの制御を行なう。パワーヘッドルームは、送信電力の余地に関する情報である。パワーヘッドルーム制御部4055は、パワーヘッドルームレポーティングに関連するパラメータ(periodicPHR-Timer、prohibitPHR-Timer、dl-PathlossChange)と、パスロス計算部4051から入力されたパスロスを用いて、パワーヘッドルームの送信を制御する。また、パワーヘッドルーム制御部4055は、基地局装置3、RRH4より通知された情報に基づき、パスロス計算部4051において計算に用いられる下りリンクの参照信号の種類(CRS、またはCSI-RS)が追加設定されたことを契機として、パワーヘッドルームの送信を行なうと判断する。パワーヘッドルーム制御部4055は、送信電力設定部4053より入力された所望の送信電力と、名目上の移動局最大送信電力を用いて、パワーヘッドルームの値を計算する。例えば、パワーヘッドルーム制御部4055は、名目上の移動局最大送信電力の値から、送信電力設定部4053より入力された送信電力の値を減算して、パワーヘッドルームの値を計算する。パワーヘッドルーム制御部4055は、パワーヘッドルームの送信を行なうと判断した場合、PUSCHを用いてパワーヘッドルームの情報を送信するように送信処理部407を制御する。
なお、送信電力に関連するパラメータとして、セル固有、および移動局装置固有のパラメータ、パスロスに乗算される係数、SRSに対して用いられるオフセットはPDSCHを用いて基地局装置3より通知され、送信電力制御コマンドはPDCCHを用いて基地局装置3より通知される。その他のパラメータは、受信信号から計算され、またはその他の情報に基づいて計算、設定される。PUSCHに対する送信電力制御コマンドは上りリンクグラントに含まれ、PUCCHに対する送信電力制御コマンドは下りリンクアサインメントに含まれる。なお、制御部405は、送信されるUCIの種類に応じてPUCCHの信号構成を制御しており、送信電力設定部4053で用いられるPUCCHの信号構成を制御している。なお、基地局装置3より通知された、送信電力に関連する各種パラメータは無線リソース制御部403において適宜記憶され、記憶された値が送信電力設定部4053に入力される。
無線リソース制御部403は、基地局装置3の無線リソース制御部103で生成され、基地局装置3より通知された制御情報を記憶して保持すると共に、制御部405を介して受信処理部401、送信処理部407の制御を行なう。つまり、無線リソース制御部403は、各種パラメータなどを保持するメモリの機能を備える。例えば、無線リソース制御部403は、PUSCH、PUCCH、SRSの送信電力に関連するパラメータを保持し、送信電力設定部4053において基地局装置3より通知されたパラメータを用いるように制御信号を制御部405に出力する。例えば、無線リソース制御部403は、パスロスの測定に用いる下りリンク参照信号の種類に関する情報を保持し、基地局装置3、RRH4より通知された種類の下りリンク参照信号からパスロスの計算に用いる受信品質(RSRP)を測定するように制御信号を制御部405に出力する。
送信処理部407は、制御部405の指示に従い、情報データ、UCIを符号化および変調した信号をPUSCH、PUCCHのリソースを用いて、基地局装置3に送信アンテナ411を介してDMRSと共に送信する。また、送信処理部407は、制御部405の指示に従い、SRSを送信する。また、送信処理部407は、制御部405の指示に従い、PRACHのリソースを用いてプリアンブルを基地局装置3、RRH4に送信する。また、送信処理部407は、制御部405の指示に従い、PUSCH、PUCCH、PRACH(説明は省略)、DMRS、SRSの送信電力を設定する。送信処理部407の詳細については後述する。
<移動局装置5の受信処理部401>
以下、移動局装置5の受信処理部401の詳細について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る移動局装置5の受信処理部401の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、受信処理部401は、受信RF部501、A/D部503、シンボルタイミング検出部505、GI除去部507、FFT部509、多重分離部511、伝搬路推定部513、PDSCH用の伝搬路補償部515、物理下りリンク共用チャネル復号部517、PDCCH用の伝搬路補償部519、物理下りリンク制御チャネル復号部521、および下りリンク受信品質測定部531を含んで構成される。また、この図に示すように、物理下りリンク共用チャネル復号部517は、データ復調部523、および、ターボ復号部525、を備える。また、この図に示すように、物理下りリンク制御チャネル復号部521は、QPSK復調部527、およびビタビデコーダ部529、を備える。
受信RF部501は、受信アンテナ409で受信した信号を、適切に増幅し、中間周波数に変換し(ダウンコンバート)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信した信号の同相成分および直交成分に基づいて、直交復調する。受信RF部501は、直交復調したアナログ信号を、A/D部503に出力する。
A/D部503は、受信RF部501が直交復調したアナログ信号をディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号を、シンボルタイミング検出部505と、GI除去部507と、に出力する。シンボルタイミング検出部505は、A/D部503が変換したディジタル信号に基づいて、シンボルのタイミングを検出し、検出したシンボル境界のタイミングを示す制御信号を、GI除去部507に出力する。GI除去部507は、シンボルタイミング検出部505からの制御信号に基づいて、A/D部503の出力したディジタル信号からガードインターバルに相当する部分を除去し、残りの部分の信号を、FFT部509に出力する。FFT部509は、GI除去部507から入力された信号を高速フーリエ変換し、OFDM方式の復調を行ない、多重分離部511に出力する。
多重分離部511は、制御部405から入力された制御信号に基づき、FFT部509が復調した信号を、PDCCHの信号と、PDSCHの信号とに分離する。多重分離部511は、分離したPDSCHの信号を、PDSCH用の伝搬路補償部515に出力し、また、分離したPDCCHの信号を、PDCCH用の伝搬路補償部519に出力する。また、多重分離部511は、下りリンクパイロットチャネルが配置される下りリンクリソースエレメントを分離し、下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号(CRS、UE specific RS)を、伝搬路推定部513に出力する。また、多重分離部511は、下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号(CRS、CSI-RS)を下りリンク受信品質測定部531に出力する。なお、多重分離部511は、PDCCHの信号をPDCCH用の伝搬路補償部519に出力し、PDSCHの信号をPDSCH用の伝搬路補償部515に出力する。
伝搬路推定部513は、多重分離部511が分離した下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号(CRS、UE specific RS)と既知の信号とを用いて伝搬路の変動を推定し、伝搬路の変動を補償するように、振幅および位相を調整するための伝搬路補償値を、PDSCH用の伝搬路補償部515と、PDCCH用の伝搬路補償部519に出力する。伝搬路推定部513は、CRSとUE specific RSをそれぞれ用いて独立に伝搬路の変動を推定し、伝搬路補償値を出力する。または、伝搬路推定部513は、基地局装置3からの指示に基づき、CRS、またはUE specific RSを用いて伝搬路の変動を推定し、伝搬路補償値を出力する。なお、基地局装置3、RRH4では、移動局装置5においてUE specific RSを用いて伝搬路の補償が行なわれる物理チャネル(PDSCH、E-PDCCH)に対しては、UE specific RSに用いられる処理と共通のプリコーディング処理が実行される。
PDSCH用の伝搬路補償部515は、多重分離部511が分離したPDSCHの信号の振幅および位相を、伝搬路推定部513から入力された伝搬路補償値に従って調整する。例えば、PDSCH用の伝搬路補償部515は、協調通信を用いて送信されたPDSCHの信号に対して伝搬路推定部513でUE specific RSに基づいて生成された伝搬路補償値に従って調整し、協調通信を用いずに送信されたPDSCHの信号に対して伝搬路推定部513でCRSに基づいて生成された伝搬路補償値に従って調整する。PDSCH用の伝搬路補償部515は、伝搬路を調整した信号を物理下りリンク共用チャネル復号部517のデータ復調部523に出力する。なお、PDSCH用の伝搬路補償部515は、協調通信を用いずに(プリコーディング処理が適用されずに)送信されたPDSCHの信号に対して伝搬路推定部513でUE specific RSに基づいて生成された伝搬路補償値に従って調整することもできる。
物理下りリンク共用チャネル復号部517は、制御部405からの指示に基づき、PDSCHの復調、復号を行ない、情報データを検出する。データ復調部523は、伝搬路補償部515から入力されたPDSCHの信号の復調を行ない、復調したPDSCHの信号をターボ復号部525に出力する。この復調は、基地局装置3のデータ変調部221で用いられる変調方式に対応した復調である。ターボ復号部525は、データ復調部523から入力され、復調されたPDSCHの信号から情報データを復号し、制御部405を介して上位層に出力する。なお、PDSCHを用いて送信された、基地局装置3の無線リソース制御部103で生成された制御情報等も制御部405に出力され、制御部405を介して無線リソース制御部403にも出力される。なお、PDSCHに含まれるCRC符号も制御部405に出力される。
PDCCH用の伝搬路補償部519は、多重分離部511が分離したPDCCHの信号の振幅および位相を、伝搬路推定部513から入力された伝搬路補償値に従って調整する。例えば、PDCCH用の伝搬路補償部519は、PDCCHの信号に対して伝搬路推定部513でCRSに基づいて生成された伝搬路補償値に従って調整し、協調通信を用いて送信されたPDCCH(E-PDCCH)の信号に対して伝搬路推定部513でUE specific RSに基づいて生成された伝搬路補償値に従って調整する。PDCCH用の伝搬路補償部519は、調整した信号を物理下りリンク制御チャネル復号部521のQPSK復調部527に出力する。なお、PDCCH用の伝搬路補償部515は、協調通信を用いずに(プリコーディング処理が適用されずに)送信されたPDCCH(E-PDCCHを含む)の信号に対して伝搬路推定部513でUE specific RSに基づいて生成された伝搬路補償値に従って調整することもできる。
物理下りリンク制御チャネル復号部521は、以下のように、PDCCH用の伝搬路補償部519から入力された信号を復調、復号し、制御データを検出する。QPSK復調部527は、PDCCHの信号に対してQPSK復調を行ない、ビタビデコーダ部529に出力する。ビタビデコーダ部529は、QPSK復調部527が復調した信号を復号し、復号したDCIを制御部405に出力する。ここで、この信号はビット単位で表現され、ビタビデコーダ部529は、入力ビットに対してビタビデコーディング処理を行なうビットの数を調整するためにレートデマッチングも行なう。
移動局装置5は、複数の符号化率を想定して、PDCCHに対して自装置宛てのDCIを検出する処理を行なう。移動局装置5は、想定する符号化率毎に異なる復号処理をPDCCHの信号に対して行ない、DCIと一緒にPDCCHに付加されるCRC符号に誤りが検出されなかったPDCCHに含まれるDCIを取得する。このような処理をブラインドデコーディングと呼称する。なお、移動局装置5は、下りリンクシステム帯域の全てのリソースの信号に対してブラインドデコーディングを行なうのではなく、一部のリソースの信号に対してのみブラインドデコーディングを行なうようにしてもよい。ブラインドデコーディングが行なわれる一部のリソースの領域をSearchspaceと呼称する。また、移動局装置5は、符号化率毎に異なるリソースに対してブラインドデコーディングを行なうようにしてもよい。
なお、制御部405は、ビタビデコーダ部529より入力されたDCIが誤りなく、自装置宛てのDCIかを判定し、誤りなく、自装置宛てのDCIと判定した場合、DCIに基づいて多重分離部511、データ復調部523、ターボ復号部525、および送信処理部407、を制御する。例えば、制御部405は、DCIが下りリンクアサインメントである場合、受信処理部401にPDSCHの信号を復号するように制御する。なお、PDCCHにおいてもPDSCHと同様にCRC符号が含まれており、制御部405はCRC符号を用いてPDCCHのDCIが誤っているか否かを判断する。
下りリンク受信品質測定部531は、下りリンクパイロットチャネルの下りリンク参照信号(CRS、CSI-RS)を用いてセルの下りリンクの受信品質(RSRP)を測定し、測定した下りリンクの受信品質情報を制御部405に出力する。また、下りリンク受信品質測定部531は、移動局装置5において基地局装置3、RRH4に通知するCQIの生成のための、瞬時的なチャネル品質の測定も行なう。下りリンク受信品質測定部531は、制御部405を介して基地局装置3、RRH4より、何れの種類の下りリンク参照信号(CRS、CSI-RS、CRSとCSI-RS、CSI-RSとCSI-RS)を用いてRSRPを測定するか制御される。この制御は、パスロスの測定に用いる下りリンク参照信号を示す情報により制御される。例えば、下りリンク受信品質測定部531は、CRSを用いてRSRPの測定を行なう。例えば、下りリンク受信品質測定部531は、CSI−RSを用いてRSRPの測定を行なう。例えば、下りリンク受信品質測定部531は、CRSを用いてRSRPの測定を行ない、且つCSI−RSを用いてRSRPの測定を行なう。例えば、下りリンク受信品質測定部531は、あるCSI−RSの構成のCSI−RSを用いてRSRPの測定を行ない、かつ異なるCSI−RSの構成のCSI−RSを用いてRSRPの測定を行なう。または、下りリンク受信品質測定部531は、CRSを用いてRSRPの測定を常時行ない、基地局装置3、RRH4より指示された場合、追加でCSI−RSを用いてRSRPの測定を行なう。下りリンク受信品質測定部531は、測定したRSRP等の情報を制御部405に出力する。
<移動局装置5の送信処理部407>
図6は、本発明の実施形態に係る移動局装置5の送信処理部407の構成を示す概略ブロック図である。この図に示すように、送信処理部407は、ターボ符号部611、データ変調部613、DFT部615、上りリンクパイロットチャネル処理部617、物理上りリンク制御チャネル処理部619、サブキャリアマッピング部621、IFFT部623、GI挿入部625、送信電力調整部627、ランダムアクセスチャネル処理部629、D/A部605、送信RF部607、および、送信アンテナ411を含んで構成される。送信処理部407は、情報データ、UCIに対して符号化、変調を行ない、PUSCH、PUCCHを用いて送信する信号を生成し、PUSCH、PUCCHの送信電力を調整する。送信処理部407は、PRACHを用いて送信する信号を生成し、PRACHの送信電力を調整する。送信処理部407は、DMRS、SRSを生成し、DM RS、SRSの送信電力を調整する。
ターボ符号部611は、入力された情報データを、制御部405から指示された符号化率で、データの誤り耐性を高めるためのターボ符号化を行ない、データ変調部613に出力する。データ変調部613は、ターボ符号部611が符号化した符号データを、制御部405から指示された変調方式、例えば、QPSK、16QAM、64QAMのような変調方式で変調し、変調シンボルの信号系列を生成する。データ変調部613は、生成した変調シンボルの信号系列を、DFT部615に出力する。DFT部615は、データ変調部613が出力した信号を離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部621に出力する。
物理上りリンク制御チャネル処理部619は、制御部405から入力されたUCIを伝送するためのベースバンド信号処理を行なう。物理上りリンク制御チャネル処理部619に入力されるUCIは、ACK/NACK、SR、CQIである。物理上りリンク制御チャネル処理部619は、ベースバンド信号処理を行ない、生成した信号をサブキャリアマッピング部621に出力する。物理上りリンク制御チャネル処理部619は、UCIの情報ビットを符号化して信号を生成する。
また、物理上りリンク制御チャネル処理部619は、UCIから生成される信号に対して周波数領域の符号多重および/または時間領域の符号多重に関連する信号処理を行なう。物理上りリンク制御チャネル処理部619は、ACK/NACKの情報ビット、またはSRの情報ビット、またはCQIの情報ビットから生成されるPUCCHの信号に対して周波数領域の符号多重を実現するために制御部405から指示された符号系列を乗算する。物理上りリンク制御チャネル処理部619は、ACK/NACKの情報ビット、またはSRの情報ビットから生成されるPUCCHの信号に対して時間領域の符号多重を実現するために制御部405から指示された符号系列を乗算する。
上りリンクパイロットチャネル処理部617は、基地局装置3において既知の信号であるSRS、DMRSを制御部405からの指示に基づき生成し、サブキャリアマッピング部621に出力する。
サブキャリアマッピング部621は、上りリンクパイロットチャネル処理部617から入力された信号と、DFT部615から入力された信号と、物理上りリンク制御チャネル処理部619から入力された信号とを、制御部405からの指示に従ってサブキャリアに配置し、IFFT部623に出力する。
IFFT部623は、サブキャリアマッピング部621が出力した信号を高速逆フーリエ変換し、GI挿入部625に出力する。ここで、IFFT部623のポイント数はDFT部615のポイント数よりも多く、移動局装置5は、DFT部615、サブキャリアマッピング部621、IFFT部623を用いることにより、PUSCHを用いて送信する信号に対してDFT−Spread−OFDM方式の変調を行なう。GI挿入部625は、IFFT部623から入力された信号に、ガードインターバルを付加し、送信電力調整部627に出力する。
ランダムアクセスチャネル処理部629は、制御部405から指示されたプリアンブル系列を用いて、PRACHで送信する信号を生成し、生成した信号を送信電力調整部627に出力する。
送信電力調整部627は、GI挿入部625から入力された信号、またはランダムアクセスチャネル処理部629から入力された信号に対して、制御部405(送信電力設定部4053)からの制御信号に基づき送信電力を調整してD/A部605に出力する。なお、送信電力調整部627では、PUSCH、PUCCH、DMRS、SRS、PRACHの平均送信電力が上りリンクサブフレーム毎に制御される。
D/A部605は、送信電力調整部627から入力されたベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、送信RF部607に出力する。送信RF部607は、D/A部605から入力されたアナログ信号から、中間周波数の同相成分および直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去する。次に、送信RF部607は、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送信アンテナ411を介して、基地局装置3に送信する。
図7は、本発明の実施形態に係る移動局装置5のパワーヘッドルームを送信する処理の一例を示すフローチャートである。移動局装置5は、基地局装置3、RRH4から受信した情報(RRCシグナリング)に基づき、パスロスの測定に用いる下りリンクの参照信号を追加設定されたか否かを判定する(ステップS101)。移動局装置5は、パスロスの測定に用いる下りリンクの参照信号を追加設定されたと判定した場合(ステップS101:YES)、少なくとも追加設定された下りリンク参照信号から測定されるパスロスを用いるパワーヘッドルームの送信待機状態と判断する(ステップS102)。移動局装置5は、パスロスの測定に用いる下りリンクの参照信号を追加設定されていないと判定した場合(ステップS101:NO)、パワーヘッドルームの送信待機状態ではないと判断する(ステップS103)。次に、移動局装置5は、少なくとも追加設定された下りリンク参照信号に基づきパスロスの測定を行なう(ステップS104)。次に、移動局装置5は、新規送信のためのPUSCHのリソースが割り当てられたか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105では、少なくとも追加設定された下りリンク参照信号から測定されるパスロスを送信電力の計算に用いるPUSCHのリソースを対象とする。移動局装置5は、新規送信のためのPUSCHのリソースが割り当てられたと判定した場合(ステップS105:YES)、少なくとも追加設定された下りリンク参照信号から測定されるパスロスを用いるパワーヘッドルームの送信を行なう(ステップS106)。移動局装置5は、新規送信のためのPUSCHのリソースが割り当てられていないと判定した場合(ステップS105:NO)、パワーヘッドルームの送信を行なわず、PUSCHのリソースが割り当てられるまで待機する。なお、図7に関わる説明では、説明の簡略化のため、periodicPHR−Timer、dl−PathlossChange、prohibitPHR−Timerに関する処理の説明は省略しているが、periodicPHR−Timer、dl−PathlossChange、prohibitPHR−Timerに関する処理は上述の説明の通りに行なわれる。なお、ステップS104は、パワーヘッドルームレポーティングのためだけに、パスロスの測定を行なうということは意味していない。ステップS104の処理は、ステップS102の前に行なわれてもよいし、ステップS106の前に行なわれてもよい。
以上のように、本発明の実施形態では、移動局装置5が、パスロスの測定(計算、推定)に用いる下りリンクの参照信号(パスロスリファレンス)が基地局装置3、RRH4より追加設定されたことを契機として、少なくとも追加設定された下りリンク参照信号から測定されるパスロスを用いるパワーヘッドルームの送信待機状態となることにより、上りリンクの送信電力値の計算に用いられるパスロスが追加設定された場合に早急にパワーヘッドルームに関する情報が基地局装置3、RRH4に通知されるので、基地局装置3、RRH4は移動局装置5に対して上りリンクのスケジューリング(PUSCHのリソース割り当て、変調方式の決定)を効率良く行なうことができる。言い換えると、上りリンクの信号の可能性のある受信先(基地局装置3、またはRRH4)が複数に追加された場合に早急にパワーヘッドルームに関する情報が基地局装置3、RRH4に通知されるので、各受信先に適した上りリンクのスケジューリングを実行することができる。移動局装置5が、パスロスリファレンスとしてCSI−RSが追加設定されたことを契機として、CSI−RSから測定されるパスロスを用いるパワーヘッドルームの送信待機状態となり、早急に追加設定されたパスロスリファレンスに基づくパワーヘッドルームに関する情報が基地局装置3、RRH4に通知されるので、移動局装置5においてCRSに基づくパスロスが用いられる場合の上りリンクのスケジューリング、または移動局装置5においてCSI−RSに基づくパスロスが用いられる場合の上りリンクのスケジューリングを基地局装置3、RRH4が効率良く行なうことができる。
以上のように、本発明の第一の実施形態では、移動局装置5において、異なるパスロスリファレンス(CRS、CSI-RS)(CSI-RS、CSI-RS)が同時に複数設定される場合、パワーヘッドルームレポーティングに関連する各種パラメータ(periodicPHR-Timer、prohibitPHR-Timer、dl-PathlossChange)を各パスロスリファレンスに基づくパワーヘッドルームのレポーティングに対して独立に構成し、各パスロスリファレンスに対応するパワーヘッドルームレポーティングを独立に制御することにより、移動局装置5と、基地局装置3、RRH4とで各パスロスリファレンスに基づくパワーヘッドルームの情報を適切にやり取りすることができる。これにより、各パスロスリファレンスに基づくパスロスを上りリンクの送信電力値の計算に用いたそれぞれのPUSCHを上りリンクサブフレーム単位で切り替えて送信し得る移動局装置5に対して、基地局装置3、RRH4は上りリンクのスケジューリング(PUSCHのリソース割り当て、変調方式の決定)を効率良く行なうことができる。
なお、本発明の実施形態では、パスロスの測定に用いる下りリンクの参照信号が追加設定されたら即座にパワーヘッドルームの送信待機状態となる(判断する)場合について説明しているが、パスロスの測定精度を向上させるために、移動局装置5は、複数の下りリンクサブフレームの下りリンク参照信号の結果を平均化してパスロスの計算を行なった後、パワーヘッドルームの送信待機状態となる(判断する)ようにしてもよい。または、パスロスの測定に用いる下りリンクの参照信号が追加設定されたら即座にパワーヘッドルームの送信待機状態となる(判断する)が、移動局装置5は、複数の下りリンクサブフレームの下りリンク参照信号の結果を平均化してパスロスの計算を行なった後、パワーヘッドルームの送信を行なうようにしてもよい。
また、移動局装置5とは、移動する端末に限らず、固定端末に移動局装置5の機能を実装することなどにより本発明を実現しても良い。
また、本発明の実施形態において、異なる種類の下りリンク参照信号とは、異なるCSI−RSの構成のCSI−RSという意味を含むことに注意すべきである。
以上説明した本発明の特徴的な手段は、集積回路に機能を実装し、制御することによっても実現することができる。すなわち、本発明の集積回路は、基地局装置3、RRH4と通信を行なう移動局装置5に実装される集積回路であって、基地局装置3、RRH4から信号を受信する第一の受信処理部と、前記受信処理部で受信された複数種類の参照信号のそれぞれに基づきパスロスの計算を行なうパスロス計算部と、前記パスロス計算部で計算された前記パスロスを用いて上りリンクの信号の所望の送信電力を設定する送信電力設定部と、前記送信電力設定部において設定された前記所望の送信電力を用いて、送信電力の余地に関する情報であるパワーヘッドルームを生成し、前記パワーヘッドルームの送信を制御するパワーヘッドルーム制御部と、を含み、前記パワーヘッドルーム制御部は、前記複数種類の参照信号のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームの送信処理と、前記パワーヘッドルームの送信処理のそれぞれに対して独立なパラメータを用いて独立に制御することを特徴とする。
このように、本発明の集積回路を用いた移動局装置5は、異なるパスロスリファレンス(CRS、CSI-RS)(CSI-RS、CSI-RS)が同時に複数設定される場合、パワーヘッドルームレポーティングに関連する各種パラメータ(periodicPHR-Timer、prohibitPHR-Timer、dl-PathlossChange)を各パスロスリファレンスに基づくパワーヘッドルームのレポーティングに対して独立に構成し、各パスロスリファレンスに対応するパワーヘッドルームレポーティングを独立に制御することにより、移動局装置5と、基地局装置3、RRH4とで各パスロスリファレンスに基づくパワーヘッドルームの情報を適切にやり取りすることができる。これにより、各パスロスリファレンスに基づくパスロスを上りリンクの送信電力値の計算に用いたそれぞれのPUSCHを上りリンクサブフレーム単位で切り替えて送信し得る移動局装置5に対して、基地局装置3、RRH4は上りリンクのスケジューリング(PUSCHのリソース割り当て、変調方式の決定)を効率良く行なうことができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、複数のパワーヘッドルームの送信処理に対して共通のdl−PathlossChangeを用いる。パワーヘッドルーム制御部4055は、複数種類の参照信号(CRS、CSI-RS)(CSI-RS、CSI-RS)のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームの送信処理に対して共通のdl−PathlossChangeを用い、パスロス計算部4051で計算された複数のパスロスの何れか1つのパスロスの変化量がdl−PathlossChangeの値より大きくなった場合に、複数種類の参照信号のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームを送信するように制御する。
例えば、パスロスリファレンスとして、CRSとCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。CRS、およびCSI−RSに対応する、共通のdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 20とする。dl−PathlossChange 20は、CRSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断、およびCSI−RSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断の両方に用いられる。CRSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 20の値よりも大きくなった場合、CRSに基づくパワーヘッドルームと、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。CSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 20の値よりも大きくなった場合、CRSに基づくパワーヘッドルームと、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。なお、何れかの参照信号に基づくパワーヘッドルームの送信が行なわれたら、パスロスの変化量がリセットされる。
例えば、パスロスリファレンスとして、異なるCSI−RSの構成(第一のCSI−RSの構成、第二のCSI−RSの構成)のCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。第一のCSI−RSの構成のCSI−RS、および第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応する、共通のdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 20とする。dl−PathlossChange 20は、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断、および第二のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量との閾値判断の両方に用いられる。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 20の値よりも大きくなった場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームと、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。第二のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 20の値よりも大きくなった場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームと、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。なお、何れかの参照信号に基づくパワーヘッドルームの送信が行なわれたら、パスロスの変化量がリセットされる。
第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、基地局装置3、RRH4と、移動局装置5と間でやり取りされるdl−PathlossChangeのシグナリングの量を減らすことができ、下りリンクの周波数利用効率を向上させることができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、複数のパワーヘッドルームの送信処理の中で所定の1つのパワーヘッドルームの送信処理に対してのみdl−PathlossChangeを用いた処理を実行する。パワーヘッドルーム制御部4055は、複数種類の参照信号(CRS、CSI-RS)(CSI-RS、CSI-RS)のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームの送信処理に対して、所定の1つのパワーヘッドルームの送信処理に対してのみdl−PathlossChangeを用い、所定の1つのパワーヘッドルームの送信処理に用いられるパスロスの変化量がdl−PathlossChangeの値より大きくなった場合に、複数種類の参照信号のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームを送信するように制御する。例えば、パスロスリファレンスとして、CRSとCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。例えば、CSI−RSから測定されたパスロスを用いたパワーヘッドルームの送信処理に対してのみdl−PathlossChangeを用いた処理を実行する。ここで用いられるdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 200とする。CSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 200の値よりも大きくなった場合、CRSに基づくパワーヘッドルームと、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。
例えば、パスロスリファレンスとして、異なるCSI−RSの構成(第一のCSI−RSの構成、第二のCSI−RSの構成)のCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。例えば、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されたパスロスを用いたパワーヘッドルームの送信処理に対してのみdl−PathlossChangeを用いた処理を実行する。ここで用いられるdl−PathlossChangeをdl−PathlossChange 200とする。第一のCSI−RSの構成のCSI−RSから測定されるパスロスの変化量がdl−PathlossChange 200の値よりも大きくなった場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームと、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。
第3の実施形態では、第1の実施形態と比較して、dl−PathlossChangeを用いたパワーヘッドルームの送信処理を削減することができ、移動局装置5における処理の負荷を軽減することができる。また、基地局装置3、RRH4と、移動局装置5と間でやり取りされるdl−PathlossChangeのシグナリングの量を減らすことができ、下りリンクの周波数利用効率を向上させることができる。例えば、通常時は移動局装置5がCSI−RSに基づくパスロスを上りリンクの信号の送信電力の設定に用い、上りリンクの信号の受信先がRRH4である状態であって、異常時に移動局装置5がCRSに基づくパスロスを上りリンクの信号の送信電力の設定に用い、上りリンクの信号の受信先が基地局装置3になるような場合に、第3の実施形態は好適である。第3の実施形態では、頻繁に送信される上りリンクの信号に用いられるパスロスは十分な精度が保たれつつ、処理負荷の低減、シグナリング量の削減を実施することができる。なお、異常時とは、例えば、無線品質問題(Radio Link Failure)が発生した時などである。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、第2の実施形態、第3の実施形態と比較して、複数のパワーヘッドルームの送信処理に対して共通のperiodicPHR−Timerを用いる。パワーヘッドルーム制御部4055は、複数種類の参照信号(CRS、CSI-RS)(CSI-RS、CSI-RS)のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームの送信処理に対して共通のperiodicPHR−Timerを用い、periodicPHR−Timerが満了した場合に、複数種類の参照信号のそれぞれに基づき計算されたパスロスを用いたパワーヘッドルームを送信するように制御する。
例えば、パスロスリファレンスとして、CRSとCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。CRS、およびCSI−RSに対応する、共通のperiodicPHR−TimerをperiodicPHR−Timer 20とする。periodicPHR−Timer 20が満了した場合、CRSに基づくパワーヘッドルームと、CSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。何れか一方の送信待機状態のパワーヘッドルームが先に実際に送信された時点で、periodicPHR−Timer 20はリセット(リスタート)され、再度計測が開始される。
例えば、パスロスリファレンスとして、異なるCSI−RSの構成(第一のCSI−RSの構成、第二のCSI−RSの構成)のCSI−RSが同時に設定される場合について説明する。第一のCSI−RSの構成のCSI−RS、および第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに対応する、共通のperiodicPHR−TimerをperiodicPHR−Timer 20とする。periodicPHR−Timer 20が満了した場合、第一のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームと、第二のCSI−RSの構成のCSI−RSに基づくパワーヘッドルームとの両方のパワーヘッドルームが送信待機状態となる。何れか一方の送信待機状態のパワーヘッドルームが先に実際に送信された時点で、periodicPHR−Timer 20はリセット(リスタート)され、再度計測が開始される。
第4の実施形態では、第2の実施形態、第3の実施形態と比較して、基地局装置3、RRH4と、移動局装置5と間でやり取りされるperiodicPHR−Timerのシグナリングの量を減らすことができ、下りリンクの周波数利用効率を向上させることができる。また、第4の実施形態は、移動局装置5で管理されるタイマー(periodicPHR-Timer)の数を削減できるので、移動局装置5の処理の負荷を軽減することができる。
本発明の実施形態に記載の動作をプログラムで実現してもよい。本発明に関わる移動局装置5および基地局装置3で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送することができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置5および基地局装置3の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置5および基地局装置3の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。移動局装置5および基地局装置3の各機能ブロックは、複数の回路により実現してもよい。
情報および信号が、種々の異なるあらゆる技術および方法を用いて示され得る。例えば上記説明を通して参照され得るチップ、シンボル、ビット、信号、情報、コマンド、命令、およびデータは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光学場または光粒子、またはこれらの組み合わせによって示され得る。
本明細書の開示に関連して述べられた種々の例示的な論理ブロック、処理部、およびアルゴリズムステップが、電子的なハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組み合わせとして実装され得る。ハードウェアとソフトウェアとのこの同義性を明瞭に示すために、種々の例示的な要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、概してその機能性に関して述べられてきた。そのような機能性がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、個々のアプリケーション、およびシステム全体に課された設計の制約に依存する。当業者は、各具体的なアプリケーションにつき種々の方法で、述べられた機能性を実装し得るが、そのような実装の決定は、この開示の範囲から逸脱するものとして解釈されるべきではない。
本明細書の開示に関連して述べられた種々の例示的な論理ブロック、処理部は、本明細書で述べられた機能を実行するように設計された汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものによって、実装または実行され得る。汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサであっても良いが、代わりにプロセッサは従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであっても良い。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスを組み合わせたものとして実装されても良い。例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと接続された一つ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成を組み合わせたものである。
本明細書の開示に関連して述べられた方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、またはこれら2つを組み合わせたものによって、直接的に具体化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または本分野で既知のあらゆる形態の記録媒体内に存在し得る。典型的な記録媒体は、プロセッサが情報を記録媒体から読み出すことが出来、また記録媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合され得る。別の方法では、記録媒体はプロセッサに一体化されても良い。プロセッサと記録媒体は、ASIC内にあっても良い。ASICは、移動局装置(ユーザ端末)内にあり得る。あるいは、プロセッサおよび記録媒体は、ディスクリート要素として移動局装置5内にあっても良い。
1つまたはそれ以上の典型的なデザインにおいて、述べられた機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらを組み合わせたもので実装され得る。もしソフトウェアによって実装されるのであれば、機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上の一つ以上の命令またはコードとして保持され、または伝達され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所への持ち運びを助ける媒体を含むコミュニケーションメディアやコンピュータ記録メディアの両方を含む。記録媒体は、汎用または特殊用途のコンピュータによってアクセスされることが可能な市販のいずれの媒体であって良い。一例であってこれに限定するものではないものとして、このようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CDROMまたはその他の光ディスク媒体、磁気ディスク媒体またはその他の磁気記録媒体、または汎用または特殊用途のコンピュータまたは汎用または特殊用途のプロセッサによりアクセス可能とされ且つ命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を持ち運びまたは保持するために使用可能な媒体を含むことができる。また、あらゆる接続が、適切にコンピュータ読み取り可能な媒体と呼ばれる。例えば、もしソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外、無線、またマイクロ波のような無線技術を用いて、ウェブサイト、サーバ、またはその他の遠隔ソースから送信される場合には、これらの同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外、無線、またマイクロ波のような無線技術が、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk、disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光学ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、ブルーレイディスク、を含み、ディスク(disk)は、一般的に、磁気的にデータを再生する一方で、ディスク(disc)はレーザによって光学的にデータを再生する。上記のものを組み合わせたものもまた、コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるべきである。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。