JP6097500B2 - 磁気測定データ校正装置及び方位角計測装置 - Google Patents

磁気測定データ校正装置及び方位角計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、携帯機器に搭載される磁気素子の校正を行う磁気測定データ校正装置及び方位角計測装置に関する。
近年、携帯電話などの携帯機器に3軸の磁気素子(以下、単に磁気素子)が搭載され、携帯機器における方位測定に用いられている。
この方位測定に用いる磁気素子は、通常、携帯機器に搭載する前に、3軸ヘルムホルツコイルを用いて、各軸毎のゼロ磁界出力値の調整(以下、オフセット調整)をしておく。
この具体的な調整手順は、予め校正された磁気素子により、地磁気の測定を行い、その予め校正された磁気素子の出力する3軸各々の磁気データを基準磁気測定データとして、方位測定に用いる。
次に、3軸ヘルムホルツコイルにより、基準磁気測定データと逆方向の磁界を、オフセット調整の対象である対象磁気素子に対して印加する。
ここで、対象磁気素子は、オフセットが無い場合、出力する磁気測定データが3軸共に0であり、オフセットを有する場合、出力する磁気測定データが0ではない。
ここで、対象磁気素子が出力する磁気測定データを、対象磁気素子自身の有するオフセットとして測定し、この磁気測定データにより、磁気素子の出力する磁気測定データのオフセット調整を行う。
すなわち、磁気素子の出力する磁気測定データから、3軸ヘルムホルツコイルで測定したオフセットを、各磁気測定データから減算し、磁気素子の測定結果として方位検出を行うことになる。
しかしながら、磁気素子単体でオフセット調整を行ったとしても、携帯機器には方位を検出する磁気素子以外にも多くの他の部品が使われており、これら他の部品が発生する磁界が磁気素子に対して影響を与える場合がある。例えば、スピーカに搭載されている磁石、開閉スイッチに設けられている磁石、あるいは携帯機器の部品に施されたニッケルメッキなどから磁界が発生している。
このため、携帯機器内部に設けられた磁気素子に対して周囲の環境による環境オフセットが生じ、オフセット調整を行った磁気素子単体から環境オフセットが重畳した磁気測定データが出力されることになる。
したがって、磁気素子単体でオフセット調整を行った後、搭載される携帯機器の他の部品が発生する磁界により、携帯機器が向いている実際の方位と、磁気素子が出力する磁気データから得られる方位とに、環境オフセットによる差異が生じることになる。
また、磁気素子を他の部品とともに携帯機器に搭載した状態で、3軸ヘルムホルツコイルにより環境オフセットを含めたオフセット調整を行うことが考えられる。
しかしながら、各部品の磁力の経時的な変化や、携帯機器の周囲の温度の変化、さらには携帯機器の周囲に強度の磁界を発生する物体の存在により、環境オフセットの値が常に変動してしまう。
したがって、3軸ヘルムホルツコイルにより、携帯機器に搭載した後に、環境オフセットを含めた磁気素子のオフセット調整を行っても、周囲の状況により環境オフセットが刻々変動する。このため、磁気素子の磁気測定データに重畳する環境オフセットの変動により、磁気素子が出力する磁気測定データが真値に対してずれてしまうことになる。
このため、オフセットを再度行う必要があるが、常に3軸ヘルムホルツコイルにより、携帯機器に搭載された磁気素子のオフセット調整を行うことができない。したがって、自身が磁気素子のオフセット調整を行う機能を、携帯機器に対して持たせる必要がある。
このため、携帯機器に搭載されたオフセット調整部が、3軸各々の磁気素子により、各軸の磁界の強度を多数測定し、測定した磁気測定データを内部のデータバッファに一旦蓄積する。
そして、オフセット調整部がデータバッファに蓄積された磁気測定データに対して、距離(磁界の強度)が最小となるオフセットを求める手法がある(例えば、特許文献1を参照)。この手法においては、以下の式に示すように、球の方程式に磁気測定データを代入し、最小二乗法によりオフセットSを求める。
=Σ{(X−X+(Y−Y+(Z−Z−R}=0 …(i)
、Y及びZが磁気測定データであり、X、Y及びZがオフセット座標であり、Rが定数である。
また、3軸の磁気素子の各々の磁気測定データを1組として、4組の磁気測定データの組をデータバッファに蓄積し、上述した特許文献1と同様に、磁気測定データとの距離によりオフセットを求める手法がある(例えば、特許文献2を参照)。
この特許文献2においては、時系列に測定される測定データの中から4組の磁気測定データを抽出する際、抽出する抽出条件を以下のように設定している。すなわち、磁気素子の3軸で構成される3次元空間で、磁気測定データを座標点として以下の抽出条件が設定されている。
3軸の磁気測定データを3次元空間(3次元座標系)内に描画(配置)した際、
a.1組目の磁気測定データと2組目の磁気測定データとの距離が十分離れている
b.3組目の磁気測定データは、1組目及び2組目の磁気測定データとで構成される鈍角3角形の鈍角の頂点である
c.4組目の磁気測定データは、1組目から3組目の磁気測定データが形成する平面からの距離が十分離れている
そして、特許文献2においては、以下の球の方程式を用いて、連立方程式を解くことによりオフセットを算出している。
(X−X+(Y−Y+(Z−Z−R=0 …(ii)
、Y及びZが磁気測定データであり、X、Y及びZがオフセット座標であり、Rが定数である。
特許4391416号公報 特許4590511号公報
しかしながら、特許文献1は、データバッファに複数の磁気測定データ蓄積し、この蓄積した磁気測定データを用いて、(i)式を用いた最小二乗法によりオフセットを算出する。ここで、特許文献1は、データバッファ分の磁気測定データを多数測定した後、オフセットの算出が行われる。このため、特許文献1は、多数の磁気測定データを蓄積するための時間を必要とし、環境オフセットの変化に対するオフセット調整の追従性が悪くなる。
また、特許文献2は、磁気素子自身の特性の時間的変動要因と、外部磁場の時間的変動要因とによる磁気ノイズが、磁気素子の出力する磁気測定データに重畳すると、(ii)式で算出されるオフセットを正確に算出できない。
すなわち、4組の磁気測定データのいずれかに磁気ノイズが重畳している場合、これらの磁気測定データを用いて算出されたオフセットは、磁気ノイズによる誤差が含まれることになり、実際のオフセットとずれることになる。
さらに、特許文献1及び特許文献2の双方において、オフセットを求めるための磁気測定データの測定点が、一定の球の表面で測定されることが仮定されている。
このため、ユーザは、オフセット調整の際、携帯機器を円を描くように、すなわち、一定の球面に沿うように移動させる必要がある。
この移動が行われている際、磁気測定データを多数取得してバッファに蓄積し、すでに説明した算出に用いる磁気測定データの抽出処理を行う。
したがって、環境オフセットが変化に追従できない場合が発生し、再度、新たな磁気測定データを取得して、オフセット調整を繰り返して行なわなければならなくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、環境オフセットの変動に対する追従性を向上させることが可能な磁気測定データ校正装置及び方位角計測装置を提供することを目的とする。
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の磁気測定データ校正装置は、互いに直交する3つの測定軸を有し、測定軸方向の地磁気を測定する軸センサからなる磁気素子から出力される前記測定軸毎の地磁気の測定結果である磁気測定データのオフセットを求め、前記磁気測定データを補正する磁気測定データ校正装置であり、測定された磁気測定データの前記測定軸毎の磁気データと、前回求められたオフセットとの差分から誤差関数を求める誤差関数計算部と、前記誤差関数及び前回求められた共分散行列からオフセット残差を算出するオフセット残差計算部と、前回の前記磁気測定データの測定時に算出した前記オフセットに対し、前記オフセット残差を加算し、新たなオフセットを算出するオフセット更新部と、測定された前記磁気測定データを用い、以前に測定された前記磁気測定データを母集団とする磁気測定データの共分散行列を更新し、測定された前記磁気測定データを前記母集団に加えて新たな共分散行列を生成する共分散行列更新部と、更新された前記オフセットとオフセットの真値との誤差を示す第1評価値を算出するオフセット有効性判定部と、前記第1評価値が予め設定された第1閾値を超えているか否かの判定を行い、前記第1評価値が前記第1閾値を越えている場合、前記オフセット及び前記共分散行列を初期化する処理を行う初期化判定部とを備え、前記共分散行列は、4行×4列の行列であり、前記新たな共分散行列は、前記測定された前記磁気測定データMを前記3つの測定軸に対応した(Mxn,Myn,Mzn)とするとき、以下の(5)式で定義されるベクトルである行列zと、その転置行列z と、更新前の共分散行列とを用いて生成され、前記オフセット有効性判定部が、前記磁気素子の測定軸からなる3次元磁界空間における前記磁気測定データの各々と、更新された前記オフセットとの第1距離を求め、当該第1距離の各々と前記磁気測定データから求めた全磁力との第1差分を求め、全ての第1距離に対応する当該第1差分の二乗を加算して前記第1評価値を算出することを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、前記初期化判定部が、オフセット更新を行う過程において、前記第1評価値が前記第1閾値を越えていることを判定した回数が予め設定された回数以上である場合、前記初期化する処理を行うことを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、前記新たな共分散行列が、前記行列z と、前記転置行列z と、更新前の共分散行列と、忘却係数ρとを用いて生成されることを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、前回算出されたオフセットを求める際に用いた磁気測定データと、前記磁気素子から新たに入力された新たな磁気測定データとの、前記磁気素子の測定軸からなる3次元磁界空間における第2距離を求め、当該第2距離と予め設定されている第2閾値との比較を行い、前記第2距離が前記第2閾値を超えている場合、前記オフセット更新部に対して新たなオフセットの更新を行わせ、一方前記第2距離が前記第2閾値以下の場合、新たなオフセットの更新を行わせない制御を行う磁気測定データ判定部をさらに有することを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、前記第2閾値が、前記3次元磁界空間における前記磁気素子の各測定軸方向における測定ノイズの座標点と、前記3次元磁界空間の原点との距離として定められていることを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、前記第1評価値が前記第1差分の二乗の総和であり、前記第1閾値地磁気の大きさの二乗であることを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、現時点までに前記オフセットを算出した際に用いた磁気測定データを時系列に記憶するバッファと、前記バッファに記憶されている前記磁気測定データの各々と前回のオフセットとの第3距離を求め、当該第3距離の各々と前回のオフセットを求めた際の前記磁気測定データから求めた全磁力との第3差分を求め、全ての第3距離に対応する当該第3差分の二乗を加算して第2評価値を算出し、当該第2評価値と前記第1評価値とを比較し、前記第1評価値が前記第2評価値未満である場合、新たに求めたオフセットを前記磁気測定データの校正に用いるオフセットとし、一方、前記第1評価値が前記第2評価値以上である場合、前回求めたオフセットを前記磁気測定データの校正に用いるオフセットとすることを特徴とする。
本発明の磁気測定データ校正装置は、前記誤差関数計算部が、前記3つの測定軸からなる3次元座標系において、測定された前記磁気測定データのデータ座標と、前回の前記磁気測定データの測定時に算出した前記オフセットのオフセット座標との距離の2乗から全磁力を求め、当該全磁力から前回算出した前回全磁力を減算し、減算結果を前記誤差関数とすることを特徴とする。
本発明の方位角計測装置は、互いに直交する3つの測定軸を有し、測定軸方向の地磁気を測定する軸センサからなる磁気素子と、前記磁気素子から出力される前記測定軸毎の地磁気の測定結果である磁気測定データのオフセットを求め、前記磁気測定データを補正する磁気測定データ校正部と、前記磁気測定データ校正から出力される、前記磁気測定データを校正した磁気校正データから方位角を算出する方位角計測部とを備え、前記磁気測定データ校正部が、本発明の磁気測定データ校正装置であることを特徴とする。
この発明によれば、前回算出したオフセットと、新たに得られる磁気測定データとから、前回算出したオフセットに対するオフセット残差を求め、このオフセット残差を前回算出したオフセットに加算して新たなオフセットを算出するため、従来のように複数の磁気測定データを得た後にオフセットを算出するための遅延時間が無く、リアルタイムに、すなわち高速にオフセットの算出が行うことが可能となり、また算出されたオフセットが地磁気に比較して大きい場合にオフセットの算出を初期化から行えるため、環境オフセットの変動に対する追従性を、従来に比較して向上させることができる。
発明の一の実施形態による磁気測定データ校正装置を用いた方位角計測装置の構成例を示す概略ブロック図である。 磁気素子2が検出した磁気測定データMを校正する処理の動作例を示すフローチャートである。 本実施形態による磁気測定データ校正装置1、校正装置#1及び校正装置#2におけるオフセット推定誤差(オフセット誤差)を示すテーブルである。 オフセットが急激に変化した場合に、オフセットが真値に近づくまでの実験結果を示す図である。 オフセットが急激に変化した場合に、オフセットが真値に近づくまでの実験結果を示す図である。 3軸加速度センサにより求まる絶対座標系と、3軸磁気素子である磁気計測装置の検出するセンサ座標系との各軸のずれを説明する図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、この発明の一の実施形態による磁気測定データ校正装置を用いた方位角計測装置の構成例を示す概略ブロック図である。この方位角計測装置は、携帯機器などに搭載される。
本実施形態の方位角計測装置は、磁気測定データ校正装置1、磁気素子2及び方位角計測部3から構成されている。
磁気素子2は、例えば、X軸方向の測定軸における磁界の強度を示す磁気データMを測定するX軸方向磁気検出部21、Y軸方向の測定軸における磁界の強度を示す磁気データMを測定するY軸方向磁気検出部22、Z軸方向の測定軸における磁界の強度を示す磁気データMを測定するZ軸方向磁気検出部23とから構成された、X軸、Y軸及びZ軸の3軸の測定軸を有する磁気素子である。ここで、X軸方向磁気検出部21、Y軸方向磁気検出部22及びZ軸方向磁気検出部23は、例えば、ホール素子、磁気抵抗素子、フラックスゲート型磁気素子などが用いられる。
磁気測定データ校正装置1は、磁気素子2から供給される、磁気データM、磁気データM及び磁気データMからなる磁気測定データM(M,M,M)のオフセットを校正した磁気校正データM(Mfx,Mfy,Mfz)を出力する。
方位角計測部3は、磁気測定データ校正装置1が校正した磁気校正データM(Mfx,Mfy,Mfz)を用い、上記X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向からなる3次元磁界空間において方位角計測装置の向いている方位を出力する。
本実施形態において、補正すべきオフセットを、オフセットO(O,O,O)とする。ここで、OはX軸方向のオフセットであり、OはY軸方向のオフセットであり、OはZ軸方向のオフセットである。
また、磁気測定データM(Mxn,Myn,Mzn)は、n番目の磁気データである。また、地磁気ベクトルの大きさ(以下、全磁力)をRとする。
ここで、全磁力は、磁気測定データM(Mxn,Myn,Mzn)とオフセットO(O,O,O)とを用い、以下の(1)式により、求められる。
Figure 0006097500
この(1)式の関係は常に成り立つ。すなわち、携帯機器を携帯するユーザの移動の際、携帯機器が回転することにより、磁気測定データにおける各測定軸方向の磁気データが変化する。しかしながら、この磁気測定データから検出される全磁力が変化しない限り、磁気測定データをX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元空間の座標点として配置すると、磁気測定データは測定軸からなる3次元空間において、同一の球面上のいずれかの位置に存在する(この点については従来例と同様に同一球面上で移動することを仮定している)。
したがって、全磁力が同一であるならば、上述した(1)式の関係は、磁気測定データにおける各測定軸方向の磁気データが変化したとしても、常に成り立つことになる。
上記(1)式において、4個の磁気測定データMを用いることにより、オフセットOの各測定軸におけるオフセット成分O、O、O、全磁力Rを、算出することができる。
ここで、(1)式を変形するため、以下の(2)式に示す定数Qを定義する。
Figure 0006097500
上記(2)式を用いて(1)式を行列の構成とすることにより、以下の(3)式のように変形する。
Figure 0006097500
上記(3)式を解くことにより、オフセット成分O、O、O、全磁力Rを求めることができる。このとき、(3)式の左辺の逆行列が存在することが必要である。
しかしながら、実際の磁気測定データMには、携帯機器の各部品からのまたは外部からの磁気ノイズが重畳している。
このため、(3)式から算出されるオフセット成分O、O、O、全磁力Rは正確な値を得ることができない場合がある。
したがって、統計的な手法、すなわちRLS(Recursive Least Square:再帰的最小二乗)法を用いて、磁気ノイズを低減することにより、オフセット成分O、O、O、全磁力Rの推定値(以下、最尤推定値)を算出する。最尤推定値が算出できる説明は後述する。以下、本実施形態における、RLS法を用いた磁気測定データの校正について説明する。
次に、磁気測定データ校正装置1は、オフセット有効性判定部10、測定データ入力部11、共分散行列計算部12、共分散行列更新部13、記憶部14、誤差関数計算部15、オフセット残差計算部16、オフセット更新部17、磁気測定データ処理部18、磁気測定データ判定部19、初期化判定部20を備えている。
測定データ入力部11は、X軸方向磁気検出部21、Y軸方向磁気検出部22及びZ軸方向磁気検出部23の各々から入力されるアナログ値の軸センサ測定値を、デジタル値に変換して出力する。ここで、X軸方向磁気検出部21、Y軸方向磁気検出部22及びZ軸方向磁気検出部23の各々は、自身の感知方向で検出した磁場に対応した、アナログ値である電圧値を磁気データとして出力する。
また、測定データ入力部11は、アナログ値の磁気データM(M,M,M)を、デジタル値の磁気測定データM(M、M、M)に変換する際、アナログ値の磁気データに含まれているオフセット値を除去するため、磁気素子単体でのオフセット調整を行うようにしてもよい。
共分散行列計算部12は、後述するオフセット残差計算部16において用いる共分散行列Pの初期値を、以下の(4)式のように設定する。
Figure 0006097500
この(4)式において、共分散行列計算部12は、定数αを、例えば1.000から100.000までの範囲で設定する。
また、(4)式における右辺の4行×4列の行列における磁気測定データを示す列行列を、以下の(5)式のベクトルzとして定義する。
Figure 0006097500
また、(5)式における右辺の4行×1列の行列を、以下の(6)式のオフセットのベクトルxとして定義する。
Figure 0006097500
上記(6)式は、n番目の磁気測定データを用いて更新された際のオフセットOn(Oxn,Oyn,Ozn)と全磁力から計算された定数Qからなるベクトルを示す行列である。
誤差関数計算部15は、以下の(7)式を用いて、誤差関数eを算出する。
Figure 0006097500
すなわち、誤差関数計算部15は、n番目に測定された磁気測定データMと、前回算出したオフセットOn−1(n−1番目の磁気測定データMn−1を用いて求めたオフセット)と、前回算出した全磁力Rn−1(n−1番目の磁気測定データMn−1を用いて求めた全磁力)とから、誤差関数eを算出する。
ここで、誤差関数計算部15は、磁気測定データMとオフセットOとの距離の二乗と、全磁力Rn−1の二乗を算出し、磁気測定データMとオフセットOとの距離の二乗から、全磁力Rn−1の二乗を減算し、減算結果を誤差関数eとする。ここで、磁気測定データMとオフセットOとの距離とは、測定軸であるX軸、Y軸及びZ軸からなる3次元空間において、磁気測定データMnとオフセットOn−1とを配置した際の、磁気測定データMとオフセットOn−1との座標点の距離である。
オフセット残差計算部16は、誤差関数計算部15の求めた誤差関数eと、前回測定時に求めた共分散行列Pn−1とを用い、以下の(8)式により、オフセット残差ηを算出する。
Figure 0006097500
この(8)式において、忘却係数ρは、RLS法で用いられる定数である。一般的に、0.95<ρ<1の範囲に設定される。
共分散行列更新部13は、磁気測定データMを共分散行列の母集団に含めた際の共分散行列Pを、(1)式の行列zと、(1)式の転置行列z と、磁気測定データMからMn−1を母集団とする共分散行列Pn−1と、忘却係数ρとを用い、以下に示す(9)式により算出する。
Figure 0006097500
オフセット更新部17は、直前の磁気測定データMn−1から求めたオフセットベクトルxn−1と、オフセット残差ηとから、磁気測定データMに対応するオフセットベクトルxを、以下の(10)式により算出する。
Figure 0006097500
磁気測定データ処理部18は、磁気測定データMの磁気データMxn、Myn、Mznの各々から、オフセットベクトルXにおけるOxn、Oyn、Oznをそれぞれ減算し、磁気校正データM(Mfx,Mfy,Mfz)を算出する。
記憶部14には、共分散行列Pと、オフセットベクトルxと、全磁力Rとが記憶される。共分散行列P、オフセットベクトルx及び全磁力Rの各々は、それぞれ書き込まれる際に、次の算出において用いられる直前のデータである、共分散行列Pn−1、オフセットベクトルn−1及び全磁力Rn−1として書き込まれる。
また、記憶部14には、共分散行列Pの初期値、忘却係数ρ、(5)式、(6)式、(7)式、(8)式、(9)式、(10)式が予め書き込まれて記憶されている。
磁気測定データ判定部19は、前回オフセットOn−1を算出した磁気測定データMn−1、現時点で測定された磁気測定データMとの距離dを算出する。この距離dは、すでに説明したように、磁気素子2のX軸、Y軸及びZ軸方向の各々の測定軸で構成される3次元空間(磁界3次元空間)に磁気測定データM及びMn−1を配置した際の、それぞれの座標値の距離である。
また、磁気測定データ判定部19は、算出した距離dが予め設定した閾値dを超えない場合、磁気測定データ校正装置1において、新たな磁気測定データMによるオフセットOの算出を行わない制御を行う。この場合、記憶部14に記憶されるデータは、磁気測定データMn−1において算出された数値が、書き換えられずにそのまま記憶されることになる。
ここで、閾値dは、以下のように設定されている。すなわち、閾値dは磁気素子2の測定における測定ノイズに対応した数値で決定される。磁気データを測定するX軸、Y軸及びZ軸方向の各測定軸の測定ノイズを、それぞれ測定ノイズv、v、zとすると、静止状態においても、時系列に磁気素子2において測定される磁気測定データ間の距離は、0とはならない。
方位計測装置を静止状態とし、X軸、Y軸及びZ軸方向の各測定軸の磁気測定データの変動幅を予め測定し、この変動幅を含む範囲を測定ノイズv、v、zとする。
したがって、以下に示す(11)式により、閾値dsが求められている。この閾値dは予め記憶部14に書き込まれ記憶されている。ここで、閾値dは、測定ノイズのベクトル(v、v、z)の長さ、すなわち磁気素子2の測定軸で構成される3次元空間(3次元磁界空間)の原点と、測定ノイズv、v、zの座標値との距離で設定されている。
例えば、X軸、Y軸及びZ軸方向の各測定軸の測定ノイズの標準偏差が1μTである磁気素子を用いた場合、(11)式により求められる変動幅は最大で4.5μTである。
この場合、閾値dを5μTとして設定する。
また、測定データ入力部11は、オフセットOnが求められた後、磁気測定データMを記憶部14に書き込んで記憶させる。
Figure 0006097500
オフセット有効性判定部10は、磁気素子2から読み込んだ磁気測定データMnから求めたオフセットOが有効か否かの判定を行い、オフセットOが有効でないと判定した場合、前回求めたオフセットOn−1を新たなオフセットOとして用いる。
また、記憶部14には、データバッファが設けられており、16組から32組の磁気測定データMがこのデータバッファに書き込まれて記憶されている。例えば、16組の磁気測定データの組が記憶されている場合、磁気測定データMからM16までの磁気測定データがデータバッファに記憶されることになる。
ここで、オフセット有効性判定部10は、磁気測定データ判定部19において、距離dが予め設定した閾値dを超えた磁気測定データMを、上述したデータバッファに書き込んで記憶させる。このとき、オフセット有効性判定部10は、データバッファにおける最も古い磁気測定データに、新たな磁気測定データMを上書きする。すなわち、オフセット有効性判定部10は、磁気測定データ判定部19がオフセット計算をして更新すると判定された磁気測定データのみをデータに書き込んで記憶させる。本実施形態における距離も、第2実施形態で示した磁気素子2のX軸、Y軸及びZ軸方向の各々の測定軸で構成される3次元空間における距離である。
また、オフセット有効性判定部10は、記憶部14からオフセットOn−1と、全磁力Rn−1とを読み出し、このオフセットのベクトルをO(O1x,O1y,O1z)とし、全磁力をRとする。
オフセット有効性判定部10は、以下の(12)式により、データバッファに記憶されている磁気測定データMからMの各々に対応する距離d1nを算出する。
Figure 0006097500
すなわち、オフセット有効性判定部10は、磁気測定データM毎に、磁気データMからオフセットO1xを減算した結果を二乗し、磁気データMからオフセットO1yを減算した結果を二乗し、磁気データMからオフセットO1zを減算した結果を二乗する。この評価値G1(第2評価値)は、前回のオフセットでOn−1とオフセットの真値との誤差として推定される。
そして、オフセット有効性判定部10は、それぞれ二乗した結果を加算し、加算結果の平方根を算出することで、距離d1nを求める。ここで、オフセット有効性判定部10は、磁気測定データMからMの各々に対応し、距離d11からd1nの各々を求める。
また、オフセット有効性判定部10は、以下の(13)式により、評価値G1を算出する。
Figure 0006097500
ここで、オフセット有効性判定部10は、距離d11からd1nの各々から、それぞれ全磁力Rを減算し、減算結果毎に二乗して、減算結果の二乗の総和を求めるため、全ての二乗結果を加算し、加算結果である二乗の総和を評価値G1とする。
また、オフセット有効性判定部10は、磁気素子2から読み込んだ磁気測定データMから求めたオフセットOのオフセットのベクトルをO(O2x,O2y,O2z)とし、このベクトルO(O2x,O2y,O2z)と、磁気測定データMとから新たに全磁力Rを求める。
そして、オフセット有効性判定部10は、以下の(14)式により、データバッファに記憶されている磁気測定データMからMの各々に対応する距離d2nを算出する。
Figure 0006097500
ここで、オフセット有効性判定部10は、磁気測定データM毎に、磁気データMからオフセットO2xを減算した結果を二乗し、磁気データMからオフセットO2yを減算した結果を二乗し、磁気データMからオフセットO2zを減算した結果を二乗する。
そして、オフセット有効性判定部10は、それぞれ二乗した結果を加算し、加算結果の平方根を算出することで、距離d2nを求める。ここで、オフセット有効性判定部10は、磁気測定データMからMの各々に対応し、距離d21からd2nの各々を求める。
また、オフセット有効性判定部10は、以下の(15)式により、評価値G2を算出する。
Figure 0006097500
ここで、オフセット有効性判定部10は、距離d21からd2nの各々から、それぞれ全磁力Rを減算し、減算結果毎に二乗して、減算結果の二乗の総和を求めるため、全ての二乗結果を加算し、加算結果である二乗の総和を評価値G2とする。この評価値G2(第1評価値)は、今回のオフセットでOとオフセットの真値との誤差として推定される。
評価値G1及びG2を算出すると、オフセット有効性判定部10は、この評価値G1と評価値G2の比較を行う。
このとき、オフセットOと全磁力Rとが真値になっている場合、評価値G1が真値であり、オフセットOと全磁力Rとが真値になっている場合、評価値G2が真値である。すなわち、オフセットOと全磁力Rとが真値に近くなるほど評価値G1が小さくなり、また、オフセットOと全磁力Rとが真値に近くなるほど評価値G2が小さくなると考えられる。
したがって、オフセット有効性判定部10は、評価値G1及びG2を比較し、評価値G2が評価値G1未満である(G2<G1)場合、新たに算出されたオフセットO及び全磁力Rが前回算出したオフセットOn−1及び全磁力Rn−1より真値に近いと判定する。
一方、オフセット有効性判定部10は、評価値G2が評価値G1以上である(G2≧G1)場合、前回算出したオフセットOn−1及び全磁力Rn−1が新たに算出されたオフセットO及び全磁力Rより真値に近いか、あるいは同様と判定する。
ここで、オフセット有効性判定部10は、G2<G1の場合、新たに算出されたオフセットO及び全磁力Rを、磁気測定データ処理部18へ出力するとともに、オフセットを更新することを示す制御信号を、オフセット更新部17に対して出力する。
オフセット更新部17は、前回算出したオフセットOn−1を更新することを示す制御情報が供給されると、記憶部14に記憶されているオフセットOn−1対して、新たに算出されたオフセットOを上書きする。これにより、記憶部14には最新のオフセットOが保持される。
また、オフセット有効性判定部10は、G2≧G1の場合、記憶部14に記憶されているオフセットの値と全磁力Rとを、磁気測定データ処理部18へ出力するとともに、オフセットを更新しないことを示す制御信号を、オフセット更新部17に対して出力する。
オフセット更新部17は、オフセットを更新しないことを示す制御情報が供給されると、記憶部14に記憶されている前回算出したオフセットOn−1を上書きせず、前回算出したオフセットOn−1の値の更新処理を行わない。これにより、記憶部14には、最新のオフセットとして、前回算出したオフセットOn−1と同じ値のオフセットOが保持される。
初期化判定部20は、評価値G2が評価値G1より大きいかの判定処理の後、評価値G2が予め設定した閾値GSを超える(G1>GS)か否かの判定を行う。
この閾値GSは、標準的な地磁気の数値を基づいて決定されており、例えば日本における地磁気の大きさが約46μTであるので、この二乗である2116を用いている。すなわち、本実施形態においては、地磁気を超える(同等以上)のオフセット誤差が残っている場合を検出している。
また、この閾値GSは、磁気校正処理の仕様に対応して任意の数値に設定しても良い。
また、初期化判定部20は、評価値G2が閾値GSを越えている場合、自身の内部に設けられたカウンタのカウンタ値Jをインクリメント(カウント値Jに対して「1」を加算)する。
そして、初期化判定部20は、カウンタのカウンタ値Jが予め設定した閾値JS以上か否かの判定を行う。ここで、初期化判定部20は、カウンタ値Jが閾値JS以上である場合、閾値GSを超えるオフセット誤差が残っている、すなわち地磁気を超えるオフセット誤差が残っているため、オフセットO、全磁力R及び共分散行列Pを初期化する処理を行う。
ここで、評価値G2が閾値GSを越えている場合、オフセットO、全磁力R及び共分散行列Pを初期化する理由として、オフセットOが急激に変化した際においても、穏やかに新しいオフセットに近づくため、オフセットの真値への到達に時間がかかってしまう(オフセットの更新回数が増大する)。本実施形態においては、オフセット変化後の測定データの影響が最も大きくなるようにオフセットの推定が行われる構成となっている。しかしながら、時間に対して重み付けされた最小二乗法によりオフセットを推定しているが、共分散行列に対してオフセット変化前の測定データの影響が残っているため、オフセット誤差が大きくなるにつれ、推定されるオフセットが真値に近づくまでに時間がかかり(オフセット更新の回数が増加し)、上述したように大きなオフセットの変化に早急に対応できない。
この解決作として、閾値GSより大きなオフセット誤差が存在している場合、初期化したほうが、オフセット変化前の影響を完全に取り除くことができるため、オフセットの真値に近づく時間を短縮することができる。
一方、初期化判定部20は、評価値G2が閾値GS以下の場合、自身の内部に設けられたカウンタのリセット、すなわちカウント値Jを「0」とする処理を行う。
また、プログラムの構成あるいは回路の構成により変わるが、オフセットO、全磁力R及び共分散行列Pが初期化されてからオフセットの推定が終了するまで、複数のステップ数が必要となる。そして、この初期化からオフセットの終了まで、評価値G2が閾値GSを超える場合が存在する。このため、閾値JSは、初期化からオフセットの推定が終了するまでのステップ数、すなわちオフセット推定の処理におけるオフセットの更新回数として設定されている。
次に、図1及び図2を用いて、本実施形態の磁気測定データ校正装置1における磁気測定データの校正を行う処理について説明する。図2は、磁気素子2が検出した磁気測定データMを校正する処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS1:
共分散行列計算部12は、オフセットO及び全磁力Rの初期化を行う。
このとき、例えば、オフセットOの初期化の値としては磁気素子2の単体で3軸ヘルムホルツコイルにて測定されたオフセット値が記憶部14に予め書き込まれて記憶されている。また、全磁力Rの初期化の値としては、複数の地域における地磁気基準値が記憶部14に予め書き込まれて記憶されている。
そして、携帯機器に電源を投入した後、ユーザは携帯機器の表示部に表示される複数の地域から、自身の居住地が含まれる地域を選択する。
これにより、共分散行列計算部12は、記憶部14から、オフセットOの初期値を読み出すとともに、ユーザの選択した地域に対応して記憶されている地磁気基準値を全磁力Rの初期値として読み出す。
また、GPS(Global Positioning System)機能が携帯機器に搭載されている場合、共分散行列計算部12は、GPSから得られる緯度経度情報が含まれる地域(緯度経度情報の範囲で規定された領域)に対応して記憶されている地磁気基準値を全磁力Rの初期値として読み出すように構成しても良い。
そして、共分散行列計算部12は、処理をステップS2へ進める。
ステップS2:
次に、共分散行列計算部12は、共分散行列Pの初期化を行う。すなわち、共分散行列計算部12は、記憶部14に予め書き込まれて記憶されている(4)式を読み出し、読み出した(4)式を共分散行列の初期値とする。
そして、共分散行列計算部12は、処理をステップS3へ進める。
ステップS3:
測定データ入力部11は、磁気素子2のX軸方向磁気検出部21、Y軸方向磁気検出部22及びZ軸方向磁気検出部23の各々から、磁気測定データMとして磁気データMxn、Myn及びMznを読み込む。
そして、測定データ入力部11は、読み込んだ磁気測定データMを記憶部14に書き込んで記憶させる。
磁気測定データMを読み込んだ後、測定データ入力部11は、処理をステップS4へ進める。
ステップS4:
磁気測定データ判定部19は、測定データ入力部11から磁気測定データMが供給されると、閾値dと、前回オフセットOn−1の算出に用いた磁気測定データMn−1とを記憶部14から読み出す。
次に、磁気測定データ判定部19は、供給された磁気測定データMと、記憶部14から読み出した磁気測定データMn−1との距離dを(11)式により算出する。
そして、磁気測定データ判定部19は、算出した距離dと、記憶部14から読み出した閾値dとを比較する。
このとき、磁気測定データ判定部19は、距離dが閾値d以上の場合、処理をステップS5へ進め、一方、距離dが閾値d未満の場合、処理をステップS6へ進める。
ステップS5:
次に、誤差関数計算部15は、記憶部14から読み込んだ(7)式に対し、磁気素子2から読み込んだ磁気データMxn、Myn及びMznと、記憶部14から読み込んだオフセットOn−1(Oxn−1,Oyn−1,Ozn−1)とを代入し、誤差関数eを算出する。
すなわち、誤差関数計算部15は、磁気データMxnからオフセットOxn−1を減算した結果を二乗し、磁気データMynからオフセットOyn−1を減算した結果を二乗し、磁気データMznからオフセットOzn−1を減算した結果を二乗する。
そして、誤差関数計算部15は、それぞれの減算した結果を加算し、この加算した結果から、全磁力Rn−1の二乗を減算し、誤差関数eを求める。
誤差関数eを算出した後、誤差関数計算部15は、処理をステップS7へ進める。
また、図2のフローチャートにおけるステップS3からステップS17までのループ(繰り返し処理)において、携帯機器の電源が投入されてから1回目のループの際、オフセットOn−1としては初期化におけるオフセットの数値が用いられ、同様に、全磁力Rn−1としては初期化における全磁力の数値が用いられる。
ステップS6:
磁気測定データ判定部19は、オフセットOnの算出の処理を磁気測定データ校正装置1に行わせず、記憶部14に記憶された数値をそのままとし、処理をステップS3へ進める。
ステップS7:
オフセット残差計算部16は、記憶部14から、(5)式と、(8)式と、忘却係数ρと、前回求めた共分散行列Pn−1とを読み出す。
次に、オフセット残差計算部16は、磁気データMを(5)式に代入してベクトルzの行列を生成し、この生成したベクトルzの行列の転置行列z を生成する。
そして、オフセット残差計算部16は、忘却係数ρ、共分散行列Pn−1、ベクトルz及び転置行列z の各々を(8)式に代入し、オフセット残差ηを算出し、このオフセット残差ηをオフセット更新部17へ出力する。
オフセット残差ηを算出した後、オフセット残差計算部16は、処理をステップS8へ進める。
ステップS8:
共分散行列更新部13は、記憶部14から、(5)式と、(9)式と、忘却係数ρと、共分散行列Pn−1とを読み込む。
次に、共分散行列更新部13は、磁気データMを(5)式に代入してベクトルzの行列を生成し、この生成したベクトルzの行列の転置行列z を生成する。
そして、共分散行列更新部13は、忘却係数ρと、共分散行列Pn−1と、ベクトルzと、転置行列z とを、(9)式に代入し、新たな共分散行列Pを生成し、記憶部14に書き込んで記憶させる。この共分散行列更新部13が記憶部14に書き込んだ共分散行列Pが、磁界のループにおいては共分散行列Pn−1として用いられる。
今回の磁気データMを含む、今までに共分散行列Pを生成するために用いた磁気データMの全てを母集団とする共分散行列Pを生成した後、共分散行列更新部13は、処理をステップS9へ進める。
ステップS9:
オフセット更新部17は、記憶部14から(6)式及び(10)式を読み出す。
次に、オフセット更新部17は、(6)式に対し、前回算出されたオフセットOn−1と全磁力Rn−1とを代入し、オフセットのベクトルxn−1を求める。
そして、オフセット更新部17は、オフセット残差計算部16から供給されるオフセット残差ηと、求めたベクトルとを(10)式に代入し、磁気測定データMを測定した時点(すなわち現在)におけるオフセットOnを示すオフセットのベクトルxを算出する。すなわち、オフセット更新部17は、ベクトルxn−1に対し、オフセット残差ηを加算することにより、新たなオフセットを示すベクトルxを算出する。
ベクトルxを算出した後、オフセット更新部17は、処理をステップS10へ進める。
また、磁気測定データ処理部18は、方位角計測部3が方位角の算出を行う際、測定データ入力部11が入力する磁気測定データMに対応したオフセットOを、磁気測定データMnから減算する。
そして、磁気測定データ処理部18は、磁気測定データMからオフセットOを減算した結果を、校正した磁気校正データM(Mfx,Mfy,Mfz)として、方位角計測部3に対して出力する。
ステップS10:
次に、オフセット有効性判定部10は、記憶部14に記憶されている磁気測定データMからMと、前回算出されて記憶されたオフセットOn−1(O)を読み出し、磁気データM毎に、上述した(12)式により距離d1nを算出する。
そして、オフセット有効性判定部10は、記憶部14に記憶されている磁気測定データMn−1とオフセットOn−1とを読み出し、(1)式により全磁力Rを算出する。
これにより、オフセット有効性判定部10は、算出した磁気データ毎の距離d1nと、全磁力Rとから、(13)式により評価値G1の算出を行い、処理をステップS16へ進める。
ステップS11:
次に、オフセット有効性判定部10は、記憶部14に記憶されている磁気測定データMからMと、今回算出されて記憶されたオフセットO(O)を読み出し、磁気データM毎に、上述した(14)式により距離d2nを算出する。
そして、オフセット有効性判定部10は、記憶部14に記憶されている磁気測定データMとオフセットOとを読み出し、(1)式により全磁力R2を算出する。
これにより、オフセット有効性判定部10は、算出した磁気データ毎の距離d2nと、全磁力Rとから、(15)式により評価値G2の算出を行い、処理をステップS12へ進める。
ステップS12:
次に、オフセット有効性判定部10は、算出した評価値G1とG2とを比較し、評価値G2が評価値G1未満であるか否かの判定を行う。
このとき、オフセット有効性判定部10は、評価値G2が評価値G1未満である場合、処理をステップS13へ進め、一方、評価値G2が評価値G1以上である場合、処理をステップS14へ進める。
ステップS13:
評価値G2が評価値G1未満である場合、今回求めたオフセットOが前回記憶部14にオフセットとして書き込まれて記憶されたオフセットOn−1より真値に近いため、オフセット有効性判定部10は、今回求めたオフセットOを更新しないことを判定する。
そして、オフセット有効性判定部10は、記憶部14に記憶されているオフセットの値を更新することを示す制御信号を、オフセット更新部17に対して出力する。
この更新を行うことを示す制御情報が供給されると、オフセット更新部17は、記憶部14に記憶されているオフセットに対し、今回求めたオフセットOを上書きし、オフセットの値の更新を行う。
そして、オフセット更新部17は、処理をステップS15へ進める。
ステップS14:
評価値G2が評価値G1以上である場合、今回求めたオフセットOに対して、前回記憶部14にオフセットとして書き込まれて記憶されたオフセットOn−1の方が真値に近いため、オフセット有効性判定部10は、前回書き込まれたオフセットの値を維持したまま更新することを示す制御信号を、オフセット更新部17へ出力する。
この更新を行わないことを示す制御情報が供給されると、オフセット更新部17は、記憶部14に記憶されているオフセットO、前回のオフセットOn−1の値を維持したまま上書し、オフセットの値の更新を行う。
そして、オフセット更新部17は、処理をステップS15へ進める。
ステップS15:
次に、初期化判定部20は、評価値G2が内部の記憶部に予め書き込まれて記憶されている閾値GSを超えるか否かの判定を行う。
このとき、初期化判定部20は、評価値G2が閾値GSを超えている場合、処理をステップS16へ進める。
一方、初期化判定部20は、評価値G2が閾値GS以下の場合、内部のカウンタのカウンタ値Jをリセットした後、処理をステップS3へ進める。
ステップS16:
次に、初期化判定部20は、自身内部に設けられたカウンタのカウンタ値Jをインクリメントした後、処理をステップS17へ進める。
ステップS17:
次に、初期化判定部20は、カウンタのカウンタ値Jが、自身内部に設けられた記憶部に予め書き込まれて記憶されている閾値JS以上か否かの判定を行う。
このとき、初期化判定部20は、カウンタ値Jが閾値JS以上である場合、処理をステップS1へ進め、共分散行列計算部12に対してオフセットO、全磁力R及び共分散行列Pの初期化を行わせる処理を行う。
一方、初期化判定部20は、カウンタ値Jが閾値JS未満である場合、処理をステップS3へ進め、オフセット推定の処理を継続させる。
上述した本実施形態によれば、前回求めたオフセットOn−1と、現時点で測定した磁気測定データMとを用い、誤差関数eが最小となるように、オフセット残差ηを算出し、このオフセット残差ηと前回求めたオフセットOn−1とを用いてオフセットOを算出するため、磁気測定データMに重畳する磁気ノイズも最小化することが可能となり、従来に比較してより高い精度により、測定される磁気測定データMのオフセットOを求めることができる。
また、本実施形態によれば、今回の磁気測定データMからオフセットOを求めるため、前回求めたオフセットOn−1に加算するオフセット残差ηを求める際、誤差関数をどの程度反映させるかの割合を、前回までの測定値を母集団とする共分散行列Pn−1と、現時点の磁気測定データMと、忘却係数ρとにより設定しており、従来のように同一球面上を移動させて複数の磁気測定データMを測定する必要が無いため、新たな磁気測定データMを測定する毎に、前回までのオフセットOn−1から容易に現時点のオフセットOを求めることが可能となり、環境オフセットの変動に対する追従性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、同一あるいは同様の磁気測定データ、すなわち距離が小さな磁気測定データにおいて、オフセットを算出する計算を繰り返すことにより、オフセットを大きく推定する、すなわち磁気測定データが全てオフセットであると判定してしまう第1の実施形態の欠点を解消することが可能である。
また、本実施形態によれば、オフセットOの算出に使用可能と判定された磁気測定データMが供給される毎に、オフセットOを算出して、前回有効と判定されて記憶部14に記憶されているオフセットOn−1といずれが真値に近いかを評価値G1とG2とにより比較し、より真値に近いオフセットを選択し、選択したオフセットを記憶部14に保持するため、常に最も真値に近いと推定されるオフセットOを磁気データMの校正に用いることができ、精度の高い磁気データの校正が行えることになる。
また、本実施形態によれば、閾値GSより大きなオフセット誤差が存在している場合、共分散行列に残っているオフセット変化前の測定データの影響を、オフセットO、全磁力R及び共分散行列Pの初期化を行うことで除去するため、オフセット誤差が大きくなってたとしても、推定されるオフセットが真値に近づくまでの時間を短縮できる。
次に、本実施形態の磁気測定データ校正装置1と、特許文献1の第1の手法と、特許文献2の第2の手法との各々により推定したオフセットOnの真値との誤差を比較した結果を説明する。
本実施形態による磁気測定データ校正装置1と、第1の手法のアルゴリズムを用いた校正装置#1と、第2の手法のアルゴリズムを用いた校正装置#2との各々を搭載した磁気計測装置を用意した。
そして、磁気計測装置の各々のオフセットを3軸ヘルムホルツコイルにて測定し、それぞれの校正装置が設けられた磁気素子のオフセット調整を行った状態とする。
次に、磁気測定データ校正装置1と、第1の手法のアルゴリズムを用いた校正装置#1と、第2の手法のアルゴリズムを用いた校正装置#2との各々を搭載した磁気計測装置の各々におけるオフセットの算出処理を行った。
まず、測定する磁気計測装置をオフセットが校正された状態で、3軸ヘルムホルツコイルのステージに静止させてセットする。
そして、地磁気と逆の磁界を発生させて磁界が0となる状態とし、この状態で磁気計測装置を特定の方向に移動させた際に磁気素子に印加される磁界である特定移動磁界を3軸ヘルムホルツコイルに発生させる。
すなわち、3軸ヘルムホルツコイルのステージに静止されてセットされた磁気計測装置に対し、磁気計測装置を移動させたときに磁気素子が検出すると推定される磁界を3軸ヘルムホルツコイルにより印加する。これにより、磁気計測装置を搭載した携帯機器を移動させた状態をシミュレーションすることになる。
本実施形態において、上述した3軸ヘルムホルツコイルを用いた携帯機器の移動のシミュレーションとしては、例えば8の字を描く移動を行わせた第1のシミュレーションと、斜め方向に移動させた第2のシミュレーションとを行った。この斜め方向とは、地表面に垂直な軸に対して角度を有する方向を指している。
このシミュレーションの際、地磁気と逆の磁界と特定移動磁界とのみでなく、ある一方向の決められた大きさの特定方向の磁界を仮想オフセットとする磁界(あたかも環境オフセットが存在するようにする仮想的なオフセット磁界)を、地磁気と逆の磁界と特定移動磁界とに対して合成した合成磁界を印加した。
そして、上述した合成磁界を印加し、各磁気計測装置の出力を計測した。このとき、合成磁界の磁界変化を検知し、正常に校正が行われた場合、磁気計測装置における校正装置がオフセット磁界を、携帯機器内部のオフセットとして判定する。このため、磁気計測装置は、オフセット磁界と携帯機器内部のオフセットを磁気測定データから減算して出力することになる。
したがって、上述した校正処理を磁気計測装置に対して行わせた後、地磁気と逆の磁界とオフセット磁界との合成磁界を印加した状態における磁気計測装置の出力する磁気測定データM(Mx,My,Mz)は0となる。
上述した実験において、X、Y及びZ軸方向の各々の測定軸に対し、それぞれオフセット磁界として10μT(マイクロテスラ)を用いた。
また、地磁気と逆の磁界とオフセット磁界との合成磁界を印加した状態における磁気計測装置の出力する各測定軸の磁気データの2乗を加算し、加算結果の平方根をオフセット推定誤差として計算した。このオフセット推定誤差は0に近くなるほど、校正装置の算出したオフセットが真値に近いことを示すことになる。
図3に本実施形態における実験の結果を示す。この図3は、本実施形態による磁気測定データ校正装置1、校正装置#1及び校正装置#2に対し、磁気と逆の磁界と、特定移動磁界(8の字状の移動と斜め方向の移動)と、オフセット磁界との合成磁界を印加し、計測したオフセット推定誤差を示すテーブルである。
図3に示されているように、携帯機器を8の字状に移動させた第1の状態、斜め方向に移動させた第2の状態のいずれの場合でも、本実施形態における磁気測定データ校正装置1によるオフセットが真値に近いことが、すなわち算出されるオフセットOが実際のオフセットに近い結果が得られた。
斜め方向に移動させる第2の状態の場合、本実施形態においては第1の状態の場合と差がないが、校正装置#1及び#2においては第1の状態に対し、算出されるオフセットの算出精度が低下している。特に、校正装置#2は、17.32=(102+102+102)1/2であるため、そもそもオフセットの推定自体が行われていないことが判る。
上述した図3の結果から、本実施形態によれば、磁気測定データの校正に必要な携帯機器の移動を最小限にすることができ、かつ従来の手法に比較してオフセットの推定精度を向上させることができる。
次に、図4及び図5は、オフセットが急激に変化した場合に、オフセットが真値に近づくまでの実験結果を示す図である。
すなわち、図4及び図5は、横軸が時間を示し、縦軸がオフセットの値を示し、オフセットが真値に近づくまでのオフセット推定にかかる時間を定量的に評価するための実験の結果を示す図である。図4は初期化判定部20を設けない構成の磁気校正装置によりオフセット推定を行い、一方、図5は初期化判定部20を設けた構成の磁気校正装置によりオフセット推定を行った結果を示している。
本実験においては、双方の磁気校正装置の磁気素子2に対して、20000m秒の自転で、100.0μTのオフセットを印加している。図4においては、オフセットの印加から20000m秒経過しても、推定されるオフセットが印加した100.0μTとはなっていない。一方、図5においては、オフセットの印加から3000m秒経過した時点において、推定されるオフセットが印加した100.0μTと真値に近づいている。
この図4及び図5の結果から分かるように、オフセットが急激に大きく変化した場合に、オフセットO、全磁力R及び共分散行列Pの初期化を行わないと、真のオフセットに近づくまでに長い時間がかかることになる。一方、オフセットO、全磁力R及び共分散行列Pの初期化を行うことにより、オフセットが変化しても、初期化を行わない場合に比較して、オフセットの変化により速く追従できることが分かる。
<RLS法によりオフセットが最尤推定値として得られることの説明>
以下に、RLS法を用いた場合、共分散行列を用いて最新の磁気測定データMを用いてオフセットOを更新する、すなわちオフセットのベクトルxを更新することで、常にオフセットOの最尤値(最尤推定値)を得ることができることの説明を行う。
まず、磁気測定データM(Mxn,Myn,Mzn)から、以下の(16)式を定義する。
Figure 0006097500
一般的な最小二乗法によれば、現時点までに測定した磁気測定データMからMを用い、以下に示す(17)式の評価関数Jを最小とするオフセットのベクトルxを算出することになる。
Figure 0006097500
次に、(18)式に示すように、ベクトルzの転置行列z を要素とする列行列Zと、(16)式のベクトルyを要素とする列行列Yとを定義する。
Figure 0006097500
上記(18)式の列行列ZとYとを用いることにより、(17)式が以下に示す(19)式のように変形することができる。
Figure 0006097500
上記(19)式は、(18)式から判るように、磁気測定データMからMまで、すなわち現在までに測定した全ての磁気測定データの要素が含まれている。
次に、重み付け係数Wを要素とする行列、すなわち重み付け行列Wを以下の(20)式のように定義する。
Figure 0006097500
そして、この重み付け行列Wと、列行列Y及びZとを用いて、評価関数Jを以下の(21)式として示す。
Figure 0006097500
(20)式に示すように、重み付け行列Wは、磁気測定データM毎を計算に用いる際の重み付け、すなわち特定の磁気測定データMの影響度を高くするために導入している。
この重み付け行列Wが単位行列であるならば、評価関数Jはすでに示した(17)式による評価関数Jと同一の評価値(J=J)を求める最小二乗法になる。
ここで、(21)式の評価関数Jが最小となるオフセットのベクトルxは、以下の(22)式に示すものとなる。
Figure 0006097500
上記(22)式を(21)式に代入すると、(21)式の評価関数Jが最小、すなわちJ=0となるため、(22)式が最尤推定値のベクトルxを示していることが判る。
また、計算で用いる共分散行列Pを表すため、行列Uを以下の(23)式により定義する。
Figure 0006097500
(23)式の行列Uの逆行列に対し、(18)式及び(20)式を代入することにより、以下に示す(24)式が得られる。
Figure 0006097500
ここで、(24)式を解析的に解くため、逆行列の補助定理を用いる。すなわち、逆行列の補助定理において、行列Aがn×n行列、行列bがn×1ベクトル、行列cがn×1ベクトルである場合、以下の(25)式に示す関係が成り立つことになる。
Figure 0006097500
したがって、(24)式を(25)式に代入すると、以下の(26)式となる。
Figure 0006097500
これにより、(24)式は、(26)式の逆行列を求めることにより、以下の(27)式の漸化式として表すことができる。
Figure 0006097500
ここで、(20)式における重み付け行列を、以下に示す(28)式のように設定する。
Figure 0006097500
上記(28)において、忘却係数ρを0から1の範囲(0<ρ<1)で設定すると、過去に取得した磁気測定データの影響(反映)の度合いが徐々に低くなる。
また、共分散行列Pを、重み付け係数wと行列Uで表すと、以下の(29)式となり、(27)式が(9)式と一致することになる。
Figure 0006097500
また、以降の計算の都合上、kを以下の(30)式のように定義する。
Figure 0006097500
次に、(22)式に対し、(27)式と(30)式とを代入すると、以下に示す(31)式が得られる。
Figure 0006097500
また、磁気測定データMからMn−1までのデータで求められたオフセットのベクトルxn−1の推定値、すなわちn−1番目のベクトルxn−1の推定値は以下の(32)式で求められる。
Figure 0006097500
したがって、n番目のベクトルxの推定値は、上記(32)式を(31)式に代入し、(31)式を変形することで、以下に示す(33)式として表される。
Figure 0006097500
そして、この(33)式を変形することにより、以下の(34)式を得る。
Figure 0006097500
上記(34)式を用いることにより、(33)式の右辺の第3項はk×yと簡略化できることから、(33)式から以下に示す(35)式のベクトルxの漸化式を導くことができる。
Figure 0006097500
上記(35)式は、(8)式及び(10)式を統合した式となっている。したがって、上述してきたRLS法により、最新の磁気測定データMを用いてオフセットのベクトルxの更新を行うことにより、常に、ベクトルxの最尤推定値を得ることができる。
<方位角検出装置>
次に、本発明の一実施形態による磁気測定データ校正装置1を用いた方位角計測装置の動作を以下に示す。
携帯機器に搭載される方位角計測装置には、図1に示す互いに直交する3つの測定軸を有する磁気検出部からなる磁気素子2と、図示されていない3軸加速度センサとを組み合わせた構成が搭載されている。
すなわち、この方位角計測装置は、3軸加速度センサにより重力を検出し、検出した重力の傾きの程度から自身の傾斜角を計算する。
そして、方位角計測装置において、磁気素子2により測定された磁気測定データが、磁気測定データ校正装置1により、オフセットが校正された磁気校正データMを生成する。
方位角計測装置は、磁気測定データ校正装置1から出力される磁気校正データMにより、方位角を算出する。
以下に、方位角計測部3が行う磁気校正データMによる方位角の算出について説明する。
図6は、3軸加速度センサにより求まる絶対座標系と、3軸磁気素子である磁気計測装置の検出するセンサ座標系との各軸のずれを説明する図である。
図6において、3次元の絶対座標系を校正するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。そして、X軸を回転軸とした回転角度をピッチ角(p)とし、Y軸を回転軸とした回転角度をロール角(r)とし、Z軸を回転軸とした回転角度を方位角(θ)とする。
上記絶対座標系とは、本実施形態においては、重力ベクトルに対してX軸とY軸とにより形成される平面が垂直であり、磁気素子2の測定する磁気測定データM(M,M,M)の全てがゼロとなる地点を原点Oとした座標系としている。また、センサ座標系は、磁気素子2が測定する磁気データM(M,M,M)が形成する座標系である。このため、磁気素子2が磁気データM(M,M,M)を測定する測定点毎にセンサ座標系は異なる。
しかしながら、ユーザが携帯した携帯機器を、絶対座標系におけるX軸及びY軸のなす平面と、磁気素子の測定軸、すなわちセンサ座標系におけるX軸(Mの測定軸)及びY軸(Mの測定軸)のなす平面とを平行とすることは困難である。
そのため、磁気素子2により方位角を推定する場合、常に絶対座標系におけるX軸及びY軸のなす平面に対して、磁気素子2のセンサ座標系におけるX方向の測定軸(X軸検出磁界)とY方向の測定軸(T軸検出磁界)とのなす平面が平行であれば、周囲の環境による磁界の変化などの影響があっても、常に、傾斜センサとして用いた3軸加速度センサの測定する重力ベクトルにより、磁気素子2、すなわち方位角計測装置の傾斜角を正確に測定することができる。
このときに、方位角計測装置が地表に対して水平状態である場合、3軸加速度センサの出力する加速度計測データを、加速度計測データS(S,S,S)とする。一方、方位角計測装置が地表に対して傾斜状態である場合、3軸加速度センサの出力する加速度計測データを、加速度計測データS’(S’,S’,S’)とする。
このとき、加速度計測データS(S,S,S)と加速度計測データS’(S’,S’,S’)との関係は、以下の(36)式により示される。
Figure 0006097500
そして、ユーザの携帯する携帯機器が傾斜状態にあるとき、この傾斜状態での重力加速度で規格化された3軸加速度センサの出力を加速度計測データA(A,A,A)とすると、地表面に対して方位計測装置が水平状態にある場合、A(A,A,A)=A(0,0,1)であるため、上記(36)式は以下に示す(37)式となる。
Figure 0006097500
したがって、方位角計測部3は、3軸加速度センサの出力する加速度計測データA(A,A,A)を用い、ピッチ角(p)が以下に示す(38)式から、また、ロール角(r)が以下に示す(39)式により算出する。
Figure 0006097500
Figure 0006097500
また、ユーザの携帯する携帯機器が傾斜状態にあるとき、磁気測定データ校正装置1から出力される磁気校正データMを、磁気測定データM(Mtx,Mty,Mtz)とすると、上記(38)式及び(39)式の各々から算出されたピッチ角(p)とロール角(r)とにより、以下の(40)式により、水平状態における磁気測定データM(H,H,V)が求まる。
Figure 0006097500
したがって、方位角計測部3は、上記(40)式により算出した磁気測定データM(H,H,V)を用い、以下に示す(41)式から方位角(θ)を算出する。
Figure 0006097500
上述したように、本実施形態によれば、環境オフセットを調整し、磁気素子2の出力する磁気測定データMを校正した(すなわちゼロ磁界における磁気測定データの調整が行われた)磁気校正データMを用い、かつ3軸磁気素子により傾斜状態を補正して方位角を求めることが可能となり、常に、方位角測定装置の検出座標系のX軸方向及びY軸方向のなす平面と、絶対座標系における地表面とが水平状態であり、かつオフセットが校正がされた磁気測定データを用いることができるため、高い精度で方位角を求めることが実現できる。
また、図1における磁気測定データ校正装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより磁気測定データMの校正処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…磁気測定データ校正装置 2…磁気素子 3…方位角計測部 10…オフセット有効性判定部 11…測定データ入力部 12…共分散行列計算部 13…共分散行列更新部 14…記憶部 15…誤差関数計算部 16…オフセット残差計算部 17…オフセット更新部 18…磁気測定データ処理部 19…磁気測定データ判定部 20…初期化判定部 21…X軸方向磁気検出部 22…Y軸方向磁気検出部 23…Z軸方向磁気検出部

Claims (9)

  1. 互いに直交する3つの測定軸を有し、測定軸方向の地磁気を測定する軸センサからなる磁気素子から出力される前記測定軸毎の地磁気の測定結果である磁気測定データのオフセットを求め、前記磁気測定データを補正する磁気測定データ校正装置であり、
    測定された磁気測定データの前記測定軸毎の磁気データと、前回求められたオフセットとの差分から誤差関数を求める誤差関数計算部と、
    前記誤差関数及び前回求められた共分散行列からオフセット残差を算出するオフセット残差計算部と、
    前回の前記磁気測定データの測定時に算出した前記オフセットに対し、前記オフセット残差を加算し、新たなオフセットを算出するオフセット更新部と、
    測定された前記磁気測定データを用い、以前に測定された前記磁気測定データを母集団とする磁気測定データの共分散行列を更新し、測定された前記磁気測定データを前記母集団に加えて新たな共分散行列を生成する共分散行列更新部と、
    更新された前記オフセットとオフセットの真値との誤差を示す第1評価値を算出するオフセット有効性判定部と、
    前記第1評価値が予め設定された第1閾値を超えているか否かの判定を行い、前記第1評価値が前記第1閾値を越えている場合、前記オフセット及び前記共分散行列を初期化する処理を行う初期化判定部と
    を備え、
    前記共分散行列は、4行×4列の行列であり、前記新たな共分散行列は、前記測定された前記磁気測定データMを前記3つの測定軸に対応した(Mxn,Myn,Mzn)とするとき、
    Figure 0006097500
    で定義されるベクトルである行列zと、その転置行列z と、更新前の共分散行列とを用いて生成され、
    前記オフセット有効性判定部が、前記磁気素子の測定軸からなる3次元磁界空間における前記磁気測定データの各々と、更新された前記オフセットとの第1距離を求め、当該第1距離の各々と前記磁気測定データから求めた全磁力との第1差分を求め、全ての第1距離に対応する当該第1差分の二乗を加算して前記第1評価値を算出することを特徴とする磁気測定データ校正装置。
  2. 前記初期化判定部が、
    オフセット更新を行う過程において、前記第1評価値が前記第1閾値を越えていることを判定した回数が予め設定された回数以上である場合、前記初期化する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気測定データ校正装置。
  3. 前記新たな共分散行列が、前記行列zと、前記転置行列z と、更新前の共分散行列と、忘却係数ρとを用いて生成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気測定データ校正装置。
  4. 前回算出されたオフセットを求める際に用いた磁気測定データと、前記磁気素子から新たに入力された新たな磁気測定データとの、前記磁気素子の測定軸からなる3次元磁界空間における第2距離を求め、当該第2距離と予め設定されている第2閾値との比較を行い、前記第2距離が前記第2閾値を超えている場合、前記オフセット更新部に対して新たなオフセットの更新を行わせ、一方前記第2距離が前記第2閾値以下の場合、新たなオフセットの更新を行わせない制御を行う磁気測定データ判定部を
    さらに有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気測定データ校正装置。
  5. 前記第2閾値が、前記3次元磁界空間における前記磁気素子の各測定軸方向における測定ノイズの座標点と、前記3次元磁界空間の原点との距離として定められている
    ことを特徴とする請求項4に記載の磁気測定データ校正装置。
  6. 前記第1評価値が前記第1差分の二乗の総和であり、前記第1閾値が地磁気の大きさの二乗であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の磁気測定データ校正装置。
  7. 現時点までに前記オフセットを算出した際に用いた磁気測定データを時系列に記憶するバッファと、
    前記バッファに記憶されている前記磁気測定データの各々と前回のオフセットとの第3距離を求め、当該第3距離の各々と前回のオフセットを求めた際の前記磁気測定データから求めた全磁力との第3差分を求め、全ての第3距離に対応する当該第3差分の二乗を加算して第2評価値を算出し、当該第2評価値と前記第1評価値とを比較し、前記第1評価値が前記第2評価値未満である場合、新たに求めたオフセットを前記磁気測定データの校正に用いるオフセットとし、一方、前記第1評価値が前記第2評価値以上である場合、前回求めたオフセットを前記磁気測定データの校正に用いるオフセットとする
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の磁気測定データ校正装置。
  8. 前記誤差関数計算部が、
    前記3つの測定軸からなる3次元座標系において、測定された前記磁気測定データのデータ座標と、前回の前記磁気測定データの測定時に算出した前記オフセットのオフセット座標との距離の2乗から全磁力を求め、当該全磁力から前回算出した前回全磁力を減算し、減算結果を前記誤差関数とする
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁気測定データ校正装置。
  9. 互いに直交する3つの測定軸を有し、測定軸方向の地磁気を測定する軸センサからなる磁気素子と、
    前記磁気素子から出力される前記測定軸毎の地磁気の測定結果である磁気測定データのオフセットを求め、前記磁気測定データを補正する磁気測定データ校正部と、
    前記磁気測定データ校正部から出力される、前記磁気測定データを校正した磁気校正データから方位角を算出する方位角計測部と
    を備え、
    前記磁気測定データ校正部が、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の磁気測定データ校正装置であることを特徴とする方位角計測装置。
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