JP6090979B2 - 放射性セシウムの除染法 - Google Patents

放射性セシウムの除染法 Download PDF

Info

Publication number
JP6090979B2
JP6090979B2 JP2012231934A JP2012231934A JP6090979B2 JP 6090979 B2 JP6090979 B2 JP 6090979B2 JP 2012231934 A JP2012231934 A JP 2012231934A JP 2012231934 A JP2012231934 A JP 2012231934A JP 6090979 B2 JP6090979 B2 JP 6090979B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radioactive cesium
cesium
radioactive
corn
contaminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012231934A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014085133A (ja
Inventor
関口 徹
徹 関口
あい子 渡邉
あい子 渡邉
えり子 渡邉
えり子 渡邉
啓一郎 杉山
啓一郎 杉山
渡邉 優
優 渡邉
水野 剛
剛 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kikoh Corp
Original Assignee
Kikoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kikoh Corp filed Critical Kikoh Corp
Priority to JP2012231934A priority Critical patent/JP6090979B2/ja
Publication of JP2014085133A publication Critical patent/JP2014085133A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6090979B2 publication Critical patent/JP6090979B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)

Description

本願発明は、放射性セシウムの除染法の分野に関する。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を端緒として、東京電力の福島第一原子力発電所において福島第一原子力発電所事故が発生し、セシウム137などの放射性物質が大量に放出された。
土壌などに含まれる放射性物質の除染法としては、高吸収植物による除染(いわゆる、ファイトレメディエーション)、バイオレメディエーション、および、物理・化学的手法が候補として考えられる。ファイトレメディエーションは、比較的低コストで実施可能であり、外部エネルギーを必要とせず、低濃度・広範囲汚染に対応可能であり、土壌性能の維持にも優れるという利点があるものの、一般的に浄化効率は低いとされる(非特許文献1)。
ファイトレメディエーションを含む種々の農地土壌の放射性物質除去技術(除染技術)の開発が取り組まれ、平成23年9月14日には、「農地土壌の放射性物質除去技術(除染技術)について」が農林水産省からプレスリリースされた(http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/110914.htm)。その中の別添2「実証した除染技術の成果の概要」(非特許文献2)に示されるように、放射性セシウムの吸収能力が高い植物を栽培し土壌を除染する手法の開発が試みられたものの、「現時点では、除染に利用可能な高吸収植物の候補が得られていないため、現場への普及の段階に無い。」と結論付けられている。セシウムが土壌中の粘土鉱物等に強く結合することが、放射性セシウム除染の困難性の一因であると考えられている(非特許文献3)。
土壌や水溶液中などにおける放射性セシウムの除染のためのファイトレメディエーション法の開発が求められている。
王効拳ら、ファイトレメディエーションによる汚染土壌修復、埼玉県環境科学国際センター報、埼玉県、平成14年度、第3号、114頁〜123頁 農林水産技術会議、「農地土壌の放射性物質除去技術(除染技術)について」別添2、[online]、平成23年9月14日、農林水産省、[平成24年10月9日検索]、インターネット(URL: http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-02.pdf) 社団法人 日本土壌肥料学会 土壌・農作物等への原発事故影響WG、「原発事故関連情報(1):放射性核種(セシウム)の土壌−作物(特に水稲)系での動きに関する基礎的知見」、[online]、社団法人 日本土壌肥料学会、[平成24年10月10日検索]、インターネット(URL: http://jssspn.jp/info/secretariat/post-15.html)
放射性セシウムの除染のためのファイトレメディエーション法を提供することを、本発明の課題とする。
本発明の発明者らは、トウモロコシ、例えば、黒もちトウモロコシを用いることによって、放射性セシウムを効率良く除染できることを見い出し、本発明を完成した。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
放射性セシウムに汚染された場所から放射性セシウムを取り除くための方法であって、該方法は、以下:
(a)該汚染された場所上でトウモロコシを生長させる工程であって、この工程において該放射性セシウムが該トウモロコシ中に蓄積する、工程、
を包含する、方法。
(項目2)
前記トウモロコシが、黒もちトウモロコシ(Zea mays)である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記汚染された場所が水溶液および土壌からなる群から選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
項目1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
(b)前記工程(a)において生長させたトウモロコシから、前記放射性セシウムが蓄積した器官を分離する工程、
を包含する方法。
(項目5)
項目1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが蓄積した器官が、根、茎、葉、および、実からなる群から選択される、方法。
(項目6)
項目1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが蓄積した器官が、根、および、葉からなる群から選択される、方法。
(項目7)
項目1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが蓄積した器官が根である、方法。
(項目8)
項目4に記載の方法であって、さらに、
(c)前記工程(b)において分離した器官を、前記放射性セシウムを含まない画分と、前記放射性セシウムを含む画分とに分画する工程、
を包含する方法。
(項目9)
項目1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
(d)前記工程(a)において生長させたトウモロコシを、前記放射性セシウムを含まない画分と、前記放射性セシウムを含む画分とに分画する工程、
を包含する方法。
(項目10)
項目1〜9のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが根において、50Bq/Kg、100Bq/Kg、150Bq/Kg、200Bq/Kg、250Bq/Kg、または、300Bq/Kg以上の濃度である、方法。
(項目11)
項目1〜10のいずれか一項に記載の方法であって、前記汚染された場所が、さらに、放射性ヨウ素を含む、方法。
(項目12)
項目1〜11のいずれか一項に記載の方法であって、前記汚染された場所が、さらに、放射性ストロンチウムを含む、方法。
本発明の方法を用いることによって、放射性セシウムを効率的に除染することが可能となる。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
本明細書において使用される用語「放射性セシウム」とは、天然に存在するセシウムの安定同位体であるセシウム133(133Cs)の同位体をいう。放射性セシウムとしては、代表的には、セシウム134およびセシウム137が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される用語「放射性セシウムを取り除く」とは、放射性セシウムによって汚染された場所から、放射性セシウムの一部または全部を取り除くことをいう。
本明細書において使用される用語「汚染された場所」とは、放射性セシウムによって汚染された任意の場所をいい、代表的には、水溶液および土壌が挙げられるがこれらに限定されない。水溶液としては、例えば、河川の水、水道水、下水、地上水、雨水、および、地下水が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される用語「黒もちトウモロコシ」とは、熟すと実が赤紫から黒になるトウモロコシをいう(学名 Zea mays)。黒もちトウモロコシは、遺伝子組み換えがされているスイートコーンと異なり、次世代も育成できる種であり、繰り返し除染に利用できる点で優れている。
本明細書において使用される用語「器官」とは、植物体の構成単位であり、例えば、根、葉、茎、花、実、および、種子が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される用語「分画」とは、植物体または器官あるいは植物体または器官から調製した成分(例えば、水溶液もしくはバイオエタノール)を2つ以上の画分に分離することをいう。本発明の分画には、植物体または器官あるいは植物体または器官から調製した成分から放射性セシウムの一部または全部を除去することが包含される。本発明の分画としては、例えば、(1)器官から調製したバイオエタノールを、放射性セシウムを含む画分と、放射性セシウムを含まない画分に分離する手順;(2)器官から調製した成分に金属錯体化合物溶液を添加して、セシウムを除去する手順;ならびに、(3)器官から調製した溶液に、液体中でセシウムを捕捉する除染用磁性複合粒子を添加して、セシウムを除去する手順が挙げられるがこれらに限定されない。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。
(1.トウモロコシの生育による除染)
本発明においては、トウモロコシを放射性セシウムに汚染された場所で生育させることにより、トウモロコシの器官(例えば、根および葉、特に、根)に放射性セシウムを蓄積させることにより、汚染された場所の除染が可能となった。本発明において使用するトウモロコシの生育法としては、周知の生育法が利用可能である。セシウムは土壌鉱物と極めて強く結合しているために放射性セシウムの除染が困難と考えられており(非特許文献3)、ファイトレメディエーションによる除染法の開発が成功していないことに鑑みれば(非特許文献2)、本発明の効果は、驚くべき効果である。
トウモロコシとしては、任意の種が利用可能である。遺伝子組み換えがされているスイートコーンと異なり、黒もちトウモロコシは、複数世代にわたり生育させることができる点においてファイトレメディエーションによる除染に適している。
また、汚染された水溶液を用いてトウモロコシを栽培(例えば、水耕栽培)することによって、水溶液中の放射性セシウムを除染することも可能である。対象となる水溶液としては、例えば、河川の水、水道水、下水、地上水、雨水、および、地下水が挙げられるがこれらに限定されない。
(2.生育後のトウモロコシの処理)
トウモロコシを放射性セシウムに汚染された場所で生育させることにより、トウモロコシの根と葉に放射性セシウムが蓄積されたが、茎と実では放射性セシウムの蓄積が検出されなかった。ファイトレメディエーションでは、有害物質を蓄積した植物の処理が問題となるが、有害物質が蓄積する器官が限定された場合には、有害物質を含む植物器官のバイオマスが減少することとなり、ファイトレメディエーション全体に必要な労力・コストを大きく低減することができる。例えば、本発明においては、茎と実では放射性セシウムの蓄積が検出されなかったことから、汚染された場所で生育させたトウモロコシから分離した茎および実は、非汚染物質として(例えば、家畜飼料として)利用することが可能である。
例えば、根から茎や葉を分離する方法としては、トウモロコシを収穫するとき、まず実だけを収穫し、次に、葉を取り除き、その後、根に近いところから茎を切断して取り除く。茎と実は一緒にして家畜飼料ないしバイオ燃料などに使用可能である。残った根は人力や機械で掘り起こし、土を振るい落として乾燥し、一箇所に集めて、必要であれば、減容化のために、放射性セシウムを含まない画分と、放射性セシウムを含む画分とに分画する(例えば、放射性セシウムを回収する)。
トウモロコシは、バイオマスエタノールの原料としても有用であり、その需要が高まっている。トウモロコシの実は、高純度のデンプンを効率よく取り出すことができるため、バイオマスエタノールの原料として広く利用されている。
黒もちトウモロコシなどを用いた場合には、複数世代にわたり生育させることができるため、回収した実を用いてトウモロコシを汚染した場所で生育させることもできる。
近年、実以外のトウモロコシの器官(例えば、茎や葉)であるコーンストーバーと呼ばれるソフトバイオマス(農業残渣)をエタノール製造に利用する技術の開発も行われている。製造されたエタノールから放射性セシウムを除去することは比較的容易であることから、例えば、トウモロコシの根および/または葉を原料としてバイオマスエタノールを製造し、製造されたエタノール中に残存する放射性セシウムを除去することによって、最終的に燃料として利用可能なバイオマスエタノールを製造することができる。汚染された場所でトウモロコシを生長させ、放射性セシウムが蓄積した器官(例えば、根および/または葉)を、放射性セシウムを含まない画分と、放射性セシウムを含む画分とに分画する場合には、(1)放射性セシウムが蓄積した器官に対して、直接、放射性セシウムを除去しても、あるいは、(2)放射性セシウムが蓄積した器官を原料としてバイオマスエタノールを製造した後、製造されたエタノール(精製後のエタノール、または、未精製のエタノール、または、エタノールの粗精製物のいずれでもよい)から放射性セシウムを除去してもよい。
放射性セシウムを蓄積した器官(例えば、根および葉)を焼却することによって、容易に、汚染物質の減容化をすることが可能である。
(3.分画)
放射性セシウムで汚染された植物器官のバイオマスを減容化するためには、例えば、放射性セシウムが蓄積した器官を、放射性セシウムを含まない画分と、放射性セシウムを含む画分とに分画することができる。分画をする前に、必要に応じて、放射性セシウムを蓄積した器官から溶液(水溶液またはエタノール溶液)を調製し、バイオマスを減容化する。分画方法としては、例えば、以下の公知の方法が挙げられるがこれらに限定されない。
(3−1.ゼオライトなどを利用するセシウムの除去法)
ゼオライトのようなイオン交換体を用いて、溶液中のセシウムを選択的に除去する方法が公知である(例えば、特開平8−271692)。イオン交換体としてはゼオライト以外に、フェロシアン化合物やリンモリブデン酸アンモニウム等有機系物質を用いても同様の性能が得られる。例えば、ゼオライトの粒子をカラムに充填し、汚染水溶液または汚染エタノール溶液を通水することによって、汚染溶液中のセシウムを除去することができる。
(3−2.セシウムを選択的に吸着する吸着剤の使用)
セシウムを選択的に吸着する吸着剤として、チタン酸塩(または含水酸化チタン)およびフェロシアン化物の内の少なくとも何れか一方を使用する除去方法が公知である(特開2001−133594)。吸着剤としてのチタン酸塩(または含水酸化チタン)およびフェロシアン化物の内の少なくとも何れか一方に、含水酸化チタン以外の含水金属酸化物、多価金属の酸性塩ヘテロポリ酸塩のグループからなる水不溶性の無機物の内の少なくとも一種を共存させてもよい(例えば、セリオン(SELION)社(フィンランド国)の製品である「Cs−トリート(CsTreat(登録商標))」)。吸着剤としてのチタン酸塩(または含水酸化チタン)およびフェロシアン化物は、陽イオンの放射性核種の選択吸着性に優れており、イオン交換樹脂と比較して少なくとも100倍以上の吸着能力を有しているので、遥かに小さい容積の吸着剤によって放射線核種を除去することができる。また、これらの無機吸着剤は耐放射線性にすぐれており、廃棄後の劣化についての考慮を要しない。汚染水溶液または汚染エタノール溶液を吸着剤と接触させることによって、放射性セシウムを除去することが可能である。
(3−3.汚染物質の電気凝集によりセシウムを除去する方法)
汚染物質の電気凝集によりセシウムを除去する方法もまた公知である(特表2009−520185)。代表的には、セシウムを含む非磁性体を含む汚染物質に強磁性成分を添加して、非磁性体と強磁性成分が強磁性錯体を形成し、アノード手段とカソード手段との間に位置する多量の汚染物質を含む溶液に電流を流して汚染物質の電気凝集を生じ、このアノード手段が、溶液に溶解して汚染物質上の負の電荷を中和するための金属のカチオンを付与し、中和された汚染物質を含有する金属の酸化物または水酸化物の沈殿物を形成する金属からなる少なくとも一つのアノード元素を備えることを特徴とする。
(3−4.除染用磁性複合粒子を用いるセシウム除染システム)
除染用磁性複合粒子を用いるセシウム除染システムもまた公知である(特許第4932054号)。このシステムは、放射性物質類を液体中で捕捉する除染用磁性複合粒子と、液体中の前記除染用磁性複合粒子を集積する磁力集積手段とを備え、除染用磁性複合粒子は、コア部の磁性ナノ粒子、表層における液体中の放射性物質類を捕捉する捕捉性化合物、および、磁性ナノ粒子を直接被覆し、磁性ナノ粒子と捕捉性化合物の間に実質的に形成されている被覆層の多層構造からなる、ことを特徴とする。
放射能汚染水中に投入された除染用磁性複合粒子によって、放射性物質類を捕獲する。その後、磁力集積手段を放射能汚染水に浸漬して除染用磁性複合粒子を集積する。次いで、磁力集積手段を放射能汚染水から分離した後に、磁気発生をオフすることによって放射性物質類を回収する。すなわち、磁力集積手段の磁力により、放射性物質類をトラップした除染用磁性複合粒子を集積し、除染用磁性複合粒子を回収する。従って、簡便かつ効率よく放射性物質類を回収することができる。
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1:黒もちトウモロコシにおける非放射性セシウムの蓄積)
畑の土に一般的な追肥を行い、その土を30Lずつ大き目のプランターに入れ黒もちトウモロコシの栽培プラントとした。2011年5月15日、30Lの栽培プラント1個につき塩化セシウムが終濃度で500ppmとなるように添加した。このとき塩化セシウムは必要量を水に溶かし全体に均一になるように混合した。このプラント10Lにつき1本の黒もちトウモロコシ(学名 Zea mays)の種を直播し、日当たりのよいところで栽培を開始した。途中表面の状態を観察しながら水を散水し、追肥は行わず栽培を続けた。
2011年9月20日プラントからトウモロコシを根こそぎ取り出し、根に近い部分から根を切り離し、茎より実を剥がし、それぞれの部位を分別し、根はよく水洗いした後、自然乾燥を行った。十分に乾燥させた後、それぞれの部位の重量を測り、細かく刻んでからマッフル炉にて燃焼させ、炭として得た。炭の全量を測り取り、0.1N−HClを10倍量添加し、室温で5時間ゆっくりとセシウムを抽出した。抽出液をろ過し、透明の液に含まれるセシウムの濃度をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)によって分析した。6本のトウモロコシでの値の平均値を、以下の表1〜表2に示す。分析値からトウモロコシ全体の分布を確認した。
上記の表1〜表2に示されるように、非放射性セシウムを使用した栽培実験では、土壌のセシウムが吸収されその移行率は約10%であったが、トウモロコシ各器官での分布は、根に約90%、茎に約8%、実に約5%という値であった。
今回の震災で福島第一原発から放出された放射性物質は微粒子となって地面に降り注いだため、土壌中での存在形態は不明である。したがってトウモロコシによる放射性物質のファイトレメデーションを行うためには実際の汚染地域の土壌に栽培して放射性物質の分布を確認する必要があった。
そこで、以下の実施例2に記載の実験も行った。
(実施例2:黒もちトウモロコシを用いた、放射性セシウム汚染土壌の除染)
2012年5月21日、福島県川内村において土壌中のセシウム濃度が土1kgあたり2000Beq以上の線量を示す畑に畝を作り、40cm間隔で1箇所当たり2粒の黒もちトウモロコシの種を15箇所に亘って直播した。肥料や除草などは通常のトウモロコシの栽培と同じように行い、幹の高さが40cmに達したところで添え木を行い倒木を防いだ。
この状態で栽培を続け、2012年8月9日、黒もちトウモロコシを採取し、実施例1と同様に、黒もちトウモロコシの器官である根、茎、葉、および、実を調製した。2012年9月7日〜11日に、株式会社ベクレルセンターにて、試験した圃場の土壌、黒もちトウモロコシの器官に含まれる放射性セシウムを以下の手順で測定した。
・前処理 文部科学省「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」(食品時)
・測定法 厚生労働省「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」(食品時)
・検査官 文部科学省放射線取扱主任者
・測定器 ベルトールドLB2045
・測定容器 420ml。
セシウム134とセシウム137の測定結果は、以下の表3のとおりである。
土壌と比較して約13.6%の濃度で、黒もちトウモロコシの根に放射性セシウムが蓄積された。この結果から、黒もちトウモロコシは、ファイトレメディエーションによる放射性セシウムの除染に適していることが明らかとなった。また、実および茎では、明確なセシウムのピークを確認することはできなかったことから、黒もちトウモロコシでの除染を行う場合、実および茎は放射能汚染されていない器官として、通常の処理をすることが可能である。そのため、トウモロコシは、放射能汚染物質の減容化という観点からも、非常に優れている。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明によって、放射性セシウムによって汚染された場所(例えば、水溶液もしくは土壌)をファイトレメディエーションによって効率的に除染することが可能となった。

Claims (10)

  1. 放射性セシウムに汚染された場所から放射性セシウムを取り除くための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該汚染された場所上で黒もちトウモロコシを生長させる工程であって、この工程において該放射性セシウムが該黒もちトウモロコシ中に蓄積する、工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記汚染された場所が水溶液および土壌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、さらに、
    (b)前記工程(a)において生長させた黒もちトウモロコシから、前記放射性セシウムが蓄積した器官を分離する工程、
    を包含する方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが蓄積した器官が、根、および、葉からなる群から選択される、方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが蓄積した器官が根である、方法。
  6. 請求項に記載の方法であって、さらに、
    (c)前記工程(b)において分離した器官を、前記放射性セシウムを含まない画分と、前記放射性セシウムを含む画分とに分画する工程、
    を包含する方法。
  7. 請求項1または2に記載の方法であって、さらに、
    (d)前記工程(a)において生長させた黒もちトウモロコシを、前記放射性セシウムを含まない画分と、前記放射性セシウムを含む画分とに分画する工程、
    を包含する方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法であって、前記放射性セシウムが根において、50Bq/Kg、100Bq/Kg、150Bq/Kg、200Bq/Kg、250Bq/Kg、または、300Bq/Kg以上の濃度である、方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法であって、前記汚染された場所が、さらに、放射性ヨウ素を含む、方法。
  10. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法であって、前記汚染された場所が、さらに、放射性ストロンチウムを含む、方法。
JP2012231934A 2012-10-19 2012-10-19 放射性セシウムの除染法 Active JP6090979B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012231934A JP6090979B2 (ja) 2012-10-19 2012-10-19 放射性セシウムの除染法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012231934A JP6090979B2 (ja) 2012-10-19 2012-10-19 放射性セシウムの除染法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014085133A JP2014085133A (ja) 2014-05-12
JP6090979B2 true JP6090979B2 (ja) 2017-03-08

Family

ID=50788332

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012231934A Active JP6090979B2 (ja) 2012-10-19 2012-10-19 放射性セシウムの除染法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6090979B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2429142A1 (en) * 2000-11-16 2002-05-23 Yale University Maize yellow stripe1 and related genes
JP2005199209A (ja) * 2004-01-16 2005-07-28 Kanazawa Univ Tlo Inc 汚染土壌のファイトレメディエーションと有用資源化方法
JP2007289897A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Chugoku Electric Power Co Inc:The 汚染土壌の浄化方法
JP2013117407A (ja) * 2011-12-02 2013-06-13 Earth Note Co Ltd 植物を用いた放射性セシウム汚染土壌の除染方法並びに放射性セシウムで汚染されていない糖液の植物体からの回収方法の提供

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014085133A (ja) 2014-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liang et al. Phytoremediation of heavy metal contaminated saline soils using halophytes: current progress and future perspectives
Awan et al. Phytoremediation of zinc contaminated water by marigold (Tagetes Minuta L)
Khan et al. Application of biochar to soil reduces cancer risk via rice consumption: a case study in Miaoqian village, Longyan, China
Li et al. Halophyte Halogeton glomeratus, a promising candidate for phytoremediation of heavy metal-contaminated saline soils
Alshaal et al. Giant reed (Arundo donax L.): a green technology for clean environment
Mohamad Thani et al. Optimization of phytoremediation of nickel by Alocasia puber using response surface methodology
Pidlisnyuk et al. Sustainable land management: Growing miscanthus in soils contaminated with heavy metals
Wang et al. Effect of heavy metals combined stress on growth and metals accumulation of three Salix species with different cutting position
Asemoloye et al. Spent mushroom compost enhances plant response and phytoremediation of heavy metal polluted soil
Solomou et al. Utilizing mediterranean plants to remove contaminants from the soil environment: A short review
Subhashini et al. Phytoremediation of cadmium and chromium contaminated soils by Cyperus rotundus L
Xu et al. Phytodesalination of landfill leachate using Puccinellia nuttalliana and Typha latifolia
Černe et al. Uptake of radionuclides by a common reed (Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.) grown in the vicinity of the former uranium mine at Žirovski vrh
JP6296832B2 (ja) カドミウム吸収抑制資材及びこれを用いた作物の栽培方法
Wei et al. Trace elements in agro-ecosystems
Hegedus et al. The journey of 1000 leagues towards the decontamination of the soil from heavy metals and the impact on the soil–plant–animal–human chain begins with the first step: phytostabilization/phytoextraction
Ammar et al. Recent trends in the phytoremediation of radionuclide contamination of soil by cesium and strontium: Sources, mechanisms and methods: A comprehensive review
Jha et al. Phytoremediation of selected heavy metals contaminated water by Amaranthus hybridus in hydroponic system
Hu et al. Natural plant selection for radioactive waste remediation
Israila et al. Phytoextraction of heavy metals by Vetivera zizanioides, Cymbopogon citrates and Helianthus annuls
Fulekar et al. Phytoremediation of 137 Cs from low level nuclear waste using Catharanthus roseus
Oseni et al. Phytoremediation potential of Chromolaena odorata (L.) king and robinson (Asteraceae) and Sida acuta Burm. f.(Malvaceae) grown in lead-polluted soils
JP6090979B2 (ja) 放射性セシウムの除染法
KR101047354B1 (ko) 오이속 식물을 이용한 중금속 오염 토양의 복원 방법
Tiwari et al. Phytoremediation potential of industrially important and biofuel plants: Azadirachta indica and Acacia nilotica

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160726

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160923

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6090979

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250