以下、本発明の一実施形態に係るバルブ装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るバルブ装置1は、図1及び図2に示すように、所定の軸線L回りで回転可能に設けられる弁体2であって、該軸線Lと直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通路R1が形成された弁体2と、弁体2を収容する弁体収容室VRが形成されるハウジング3であって、弁体収容室VR内の弁体2の連通路R1を介して互いに連通する少なくとも二つの主通路R2,R3が形成されたハウジング3と、各主通路R2,R3同士を連通させた弁体2の連通路R1周りと対向するように、少なくとも何れか一つの主通路(本実施形態では、主通路R2及び主通路R3の少なくとも何れか一つ)に対応させてハウジング3内に配置された環状のシート部材4と、該シート部材4が包囲する領域内に配置される環状のリング部材5と、該リング部材5を弁体2側に付勢する付勢部材6とを備える。
また、バルブ装置1は、シート部材4を弁体2側に付勢する付勢部材7を備えている。なお、本実施形態では、リング部材5を弁体2側に付勢する付勢部材6を第一の付勢部材6とし、シート部材4を弁体2側に付勢する付勢部材7を第二の付勢部材7として、以下の説明を行うこととする。
そして、バルブ装置1は、軸線Lを通るようにハウジング3に挿通され、弁体2を所定の第一方向の一端側(本実施形態においてはハウジング3の下端側)で傾動可能に支持するとともに該弁体2を所定の軸線L周りで回転させる軸状のステム(以下、第一ステム8とする)8と、所定の軸線Lを通るように第一ステム8とは反対側でハウジング3に挿通され、所定の軸線Lの他端側(本実施形態においてはハウジング3の上端側)で弁体2をシート部材4に向けて付勢して該弁体2を傾動させる軸状のステム(以下、第二ステム9とする)9とを備える。
弁体2は、略球状に形成される。そして、弁体2は、連通路R1が該弁体2の略中心を通る真っ直ぐな穴に形成される。
弁体2は、所定の第一方向の一端側となる下部に第一ステム8の一端部(後述する接続部80)を挿入する凹状のステム挿入部(以下、第一ステム挿入部とする)20と(図3参照)、所定の第一方向の他端側(第一ステム挿入部20とは反対側)となる上部に、第二ステム9の端部を挿入する凹状のステム挿入部(以下、第二ステム挿入部とする)21とを有する(図4参照)。
第一ステム挿入部20は、図6に示すように、非貫通状態の穴(凹部)で構成されている。そのため、第一ステム挿入部20は、内周面の一部で構成される一対の第一平面部20a,20bと、一対の第二平面部20c,20dとを有する。
より具体的に説明する。第一ステム挿入部20は、弁体2の非貫通部分がシート部材4と対向した状態において、一対の主通路R2、R3が並ぶ方向(以下、第二方向とする)で軸線Lを挟んで並ぶ一対の第一平面部20a,20bと、弁体2の非貫通部分がシート部材4と対向した状態において、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する方向(以下、第三方向とする)で軸線Lを挟んで並ぶ一対の第二平面部20c,20dとを有する。
一対の第一平面部20a,20bのそれぞれは、互いに平行又は略平行をなして対向する平面で構成される。そして、一対の第二平面部20c,20dのそれぞれは、互いに平行又は略平行をなして対向する平面で構成される。このように、バルブ装置1は、第一ステム8(接続部80)の周囲が一対の第一平面部20a,20b及び一対の第二平面部20c,20dによって取り囲まれている。
第二ステム挿入部21は、図4に示すように、弁体2の非貫通部分がシート部材4と対向した状態において、第二方向で軸線Lを挟んで並ぶ一対の被押圧部21a,21bを有する。
一対の被押圧部21a,21bのそれぞれは、互いに平行又は略平行をなして対向する平面で構成される。そのため、弁体2の非貫通部分がシート部材4と対向した状態において、一方の被押圧部21aは、シート部材4側に作用する押圧力を第二ステム9の後述する押圧部90から受けることができ、他方の被押圧部21bは、シート部材4側とは反対側に作用する押圧力を押圧部90から受けることができるようになっている。
ハウジング3は、図1、図2に示すように、内部に弁体2を収容する弁体収容室VRが形成されており、二つの主通路(穴)R2,R3が弁体収容室VRを挟んで互いに対向するように形成される。そのため、二つの主通路R2,R3は、弁体2の連通路R1と略同心になるように形成される。また、二つの主通路R2,R3は、弁体2の連通路R1の内径と同径に設定される。
より具体的に説明する。ハウジング3は、弁体2を収容するメインフレーム30と、該メインフレーム30に取り付けられるサブフレーム31とを有する。
メインフレーム30は、内部に弁体2が非接触状態で配置される空間を有する本体部300と、該本体部300の空間に連通するステム挿通穴(以下、第一ステム挿通穴とする)H1を有する第一ステム挿通部301であって、第一ステム8を挿通する第一ステム挿通部301と、該本体部300の空間に連通するステム挿通穴(以下、第二ステム挿通穴とする)H2を有する第二ステム挿通部302であって、第二ステム9を挿通するための第二ステム挿通部302と、主通路(R3)を画定する筒状の配管接続部303とを有する。さらに、メインフレーム30は、サブフレーム31を取り付けるための取付部304を有する。
本体部300は、第二方向で第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する。本体部300は、第一端側に形成される導入口部(採番しない)であって、弁体2を内部の空間に導入するための導入口部を有する。導入口部は、中心線CL(弁体収容室VR(凹部)の中心又は略中心を通って軸線Lと直交する中心線CL)を中心にして略円形状に形成されている。
第一ステム挿通部301は、図3に示すように、本体部300から軸線Lに沿って延出する筒状の第一延出部301aを有する。また、第一ステム挿通部301は、第一延出部301aに嵌め込まれる第一嵌込部材301bを有する。
第一延出部301aは、本体部300側の基端と該基端とは反対側の先端とを有する。
第一嵌込部材301bは、第一延出部301aの先端側の内部に挿入される筒状の第一挿入部301cであって、軸心方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する第一挿入部301cと、該第一挿入部301cの外周から径方向外方に延出する第一フランジ部301dと、第一挿入部301cの第一端側の内部から径方向内方に向けて突出する第一突出部301eとを有する。
第一挿入部301cは、第一端側が第一延出部301aに挿入される。そのため、本実施形態における第一ステム挿通穴H1は、第一挿入部301cの内部によって構成されている。第一フランジ部301dは、周方向に間隔をあけて複数の貫通穴(図示しない)が形成されている。そのため、第一嵌込部材301bは、例えば、第一フランジ部301dの貫通穴に挿通させたボルトを第一延出部301a等に螺合させることで固定することができる。そして、第一突出部301eは、第一挿入部301cの内周全周に亘って形成されている。
なお、本実施形態に係る第一嵌込部材301bは、第一端側の内部に筒状のシール部材Sが配置されている。これに伴い、第一ステム挿通部301は、第一嵌込部材301bの第二端側から第一嵌込部材301bの第一端側に挿入してシール部材Sを押圧する第一押圧部材301fを有する。
第二ステム挿通部302は、図4に示すように、本体部300から軸線Lに沿って延出する筒状の第二延出部302aを有する。また、第二ステム挿通部302は、第二延出部302aに嵌め込まれる第二嵌込部材302bを有する。
第二延出部302aは、本体部300側の基端と該基端とは反対側の先端とを有する。
第二嵌込部材302bは、第二延出部302aの先端側の内部に挿入される筒状の第二挿入部302cであって、軸心方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する第二挿入部302cと、該第二挿入部302cの外周から径方向外方に延出する第二フランジ部302dと、第二挿入部302cの第一端側の内部から径方向内方に向けて突出する第二突出部302eとを有する。
第二挿入部302cは、第一端側が第二延出部302aに挿入される。そのため、本実施形態では、第二ステム挿通穴H2が第二挿入部302cの内部で構成される。そして、第二フランジ部302dは、周方向に間隔をあけて複数の貫通穴(図示しない)が形成されている。そのため、第二嵌込部材302bは、例えば、第二フランジ部302dの貫通穴に挿通させたボルトを第二延出部302a等に螺合させることで固定することができる。第一突出部301eは、第一挿入部301cの内周全周に亘って形成されている。
第二突出部302eは、第二挿入部302cの内周全周に亘って形成されている。なお、本実施形態に係る第二嵌込部材302bは、第一端側の内部に筒状のシール部材Sが配置されている。これに伴い、第二ステム挿通部302は、第二嵌込部材302bの第二端側から挿入してシール部材Sを押圧する第二押圧部材302fを有する。また、図4において図示していないが、第二嵌込部材302bは、例えば、第二フランジ部302dの貫通穴に挿通させたボルトを本体部300に螺合させる等して本体部300に固定することができる。
配管接続部303は、図1及び図2に示すように、筒状の通路形成部303aであって、軸心方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端側とを有する通路形成部303aと、該通路形成部303aの一端側に形成される第三フランジ部303bとを有する。
通路形成部303aは、上述のように、筒状に形成されている。そのため、配管接続部303は、主通路R3が通路形成部303aの内部で構成されている。また、通路形成部303aは、内部が本体部300の内部と本体部300の外部とに亘って連通する。そのため、配管接続部303は、主通路R3が本体部300の内部と本体部300の外部とに連通する。
第三フランジ部303bは、通路形成部303aの外周全周に亘って形成されており、通路形成部303aの外周から径方向外方に延出する。
サブフレーム31は、第二方向で貫通する貫通穴(採番しない)を有するベース部310であって、第二方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有するベース部310と、ベース部310の第一端側に形成される接続用フランジ部311と、ベース部310の第二端側に形成される配管用フランジ部312とを有する。
また、サブフレーム31は、図6に示すように、シート部材4を配置するシート部材配置部313であって、ベース部310の内部に形成されるシート部材配置部313と、リング部材5を配置するリング部材配置部314であって、ベース部310の内部に形成されるリング部材配置部314とを有する。
さらに、サブフレーム31は、外部から供給された流体をシート部材4とリング部材5との間から弁体収容室VR側に放出させる流体供給路315を有する。
接続用フランジ部311は、ベース部310の外周全周に亘って形成されており、ベース部310の径方向外方に延出する。なお、図示しないが、接続用フランジ部311は、周方向で間隔をあけて複数の貫通穴が形成されている。
配管用フランジ部312は、ベース部310の外周全周に亘って形成されており、ベース部310の径方向外方に延出する。なお、図示しないが、配管用フランジ部312も、周方向で間隔をあけて複数の貫通穴が形成されている。そのため、配管用フランジ部312は、例えば、貫通穴に挿通させたボルトを取付部304に螺合させることで、メインフレーム30に固定することができる。
シート部材配置部313は、内径がシート部材4の外径と同一又は略同一に設定されている。また、シート部材配置部313は、サブフレーム31の第一端上で開放している。すなわち、シート部材配置部313は、弁体収容室VRに向けて開口するように形成されている。これに伴い、サブフレーム31は、第一端に取り付けられる環状のストッパー316をさらに有する。
ストッパー316は、内径がシート部材配置部313の穴径よりも小さく設定されている。そのため、ストッパー316は、内周部がベース部310におけるシート部材配置部313を画定する部分よりも内側に進出している。従って、シート部材配置部313は、第二の付勢部材7の付勢力によってストッパー316に当接し、該ストッパー316よりも弁体2側に移動することが防止された状態になっている。
リング部材配置部314は、シート部材配置部313と連続する第一配置部314aと、該第一配置部314aの内径よりも小さい内径で形成される第二配置部314bとを有する。
第一配置部314aの内径は、シート部材配置部313よりも小さく設定されている。そして、第二配置部314bの内径は、第一配置部314aの内径よりも小さく設定され、且つベース部310の第二端側の内径よりも大きく設定されている。
そのため、サブフレーム31は、シート部材配置部313と第一配置部314aとの間に段差(以下、第一の段差とする)が形成されている。また、サブフレーム31は、第一配置部314aと第二配置部314bとの間に段差(以下、第二の段差とする)が形成されている。さらに、サブフレーム31は、第二配置部314bとベース部310の第二端側の内周面との間にも段差(以下、第三の段差とする)が形成されている。
流体供給路315は、環状に形成されており、連通路R1回りで弁体収容室VR側に向けて開放している。本実施形態において、流体供給路315は、シート部材4の内周面と、リング部材5の外周面との間の隙間によって構成されている。そのため、流体供給路315は、外部から供給された流体をシート部材4とリング部材5における弁体2の非貫通部分に当接する部分との間から弁体収容室VR側に放出させるようにしてもよい。
なお、本実施形態に係る流体供給路315には、ハウジング3の内面(本実施形態では、シート部材配置部313と第一配置部314aとの間の段差)からハウジング3の外面に亘って貫通穴Cが形成されている。
シート部材4は、外径がシート部材配置部313の内径と同一又は略同一に設定されている。
また、シート部材4は、第二方向における寸法が第二方向におけるシート部材配置部313の寸法よりも小さく設定されている。そのため、シート部材4は、第一の段差との間に隙間が形成されるようにしてシート部材配置部313に配置することができる。なお、本実施形態に係るシート部材4は、外周全周に亘って連続する溝(採番しない)が形成されており、該溝にシール部材(採番しない)が嵌め込まれている。
リング部材5は、筒状に形成されており、リング部材配置部314内に第二方向でスライド可能に配置されている。より具体的に説明する。リング部材5は、第一配置部314a内に第二方向でスライド可能に配置されるリング部材本体部50と、該リング部材本体部50から第二配置部314b側に延びる延出筒部51と、リング部材本体部50からシート部材配置部313側に延びる当接筒部52とを有する。
リング部材本体部50は、外径が第一配置部314aの内径と同一又は略同一に設定されている。
また、リング部材本体部50は、第二方向における寸法が第二方向における第一配置部314aの寸法よりも小さく設定されている。そのため、リング部材本体部50は、第二の段差との間に隙間が形成されるようにして第一配置部314aに配置することができる。
延出筒部51は、リング部材本体部50側の第一端と、該第一端とは反対側の第二端とを有する。
そして、延出筒部51は、外径が第二配置部314bの内径と同一又は略同一に設定されている。そのため、リング部材5は、延出筒部51と第一配置部314aとの間に隙間が形成される。
さらに、延出筒部51は、弁体2がシート部材4側に傾動していない状態において、先端と第三の段差との間に隙間が形成されるように配置されている。従って、リング部材5は、弁体2がシート部材4側に傾動するに伴い、該弁体2が傾動する方向にスライドする。
当接筒部52は、リング部材本体部50側の基端と該基端とは反対側の先端とを有する。そして、当接筒部52は、先端の形状が、弁体2の非貫通部分の形状に対応するように形成されている。
さらに、当接筒部52は、シート部材4の下方側に位置する。そのため、本実施形態に係るバルブ装置1は、シート部材4(シート部材4の内回面)とリング部材5(リング部材5の当接筒部52の外周部)との間の隙間で流体供給路315が構成されている。
さらに、リング部材5は、リング部材本体部50、延出筒部51、当接筒部52、のそれぞれの内径がベース部310の第二端側の内径と同一に設定されている。そのため、主通路R2は、リング部材本体部50、延出筒部51、当接筒部52、ベース部310の第二端側の内周面によって構成されている。
第一の付勢部材6は、円環状に形成されており、その中心が主通路R2の穴中心と同心又は略同心となるように、リング部材本体部50と第二の段差との間に配置されている。
なお、第一の付勢部材6は、リング部材5の弁体2に対する圧力が1N/mm2以下となるように該弁体2を付勢することが好ましい。また、第一の付勢部材6は、コイルバネや皿バネ等の種々タイプのものを採用することができる。
第二の付勢部材7は、円環状に形成されており、その中心が主通路R2の穴中心と同心又は略同心となるように、シート部材4と第一の段差との間に配置されている。また、第二の付勢部材7は、シート部材4側に傾動した弁体2が圧接したときにたわむようになっている。なお、第二の付勢部材7も、コイルバネや皿バネ等の種々タイプのものを採用できる。
前記第一ステム8は、図3に示すように、ハウジング3(第一ステム挿通部301)に挿通される接続部80を有する。
接続部80は、一対の第一平面部20a,20bと対向するように、前記所定の軸線Lと直交又は略直交方向に延びる一対の凸条部80a,80bが前記所定の軸線Lを挟んで形成されるとともに、一対の凸条部80a,80bの延びる方向と直交又は略直交する方向に延び且つ前記所定の軸線Lと平行又は略平行な一対の第三平面部80c,80dを有する。
一対の凸条部80a,80bと第一平面部20a,20bとの間には、僅かな隙間が形成される。すなわち、一対の凸条部80a,80bの間隔は、一対の第一平面部20a,20bの間隔よりも狭く設定されている。そのため、各凸条部80a,80bは、弁体2が傾動したときに、各第一平面部20a,20bに対して線接触する。
第三平面部80c,80dは、対向する弁体2側の第二平面部20c,20dと面接触しており、第一ステム8を回転させたときのトルクが第二平面部20c,20dから第三平面部80c,80dに伝達できるように構成されるとともに、その接触面に沿った弁体2の移動(傾動)を許容できるように構成されている。
そして、図3に示すように、ハウジング3内に位置する第一ステム8の先端には、弁体2と点接触するように構成された凸部(採番しない)が形成されている。この凸部は、頂点(最も突出した部分)が第一ステム8(弁体2)の所定の軸線L上に位置するように形成されており、本実施形態においては、外面が球面状をなすように形成されている。そして、該第一ステム8は、前記凸部が弁体2の第一ステム挿入部20の奥部に形成される面(平面)に接触するように設けられる。すなわち、第一ステム8は、上方にある弁体2を支持できるように取り付けられる。
なお、第一ステム8は、ハンドルを取り付けたり、回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)を取り付けたりすることができる。
第二ステム9は、図4に示すように、ハウジング3(第二ステム挿通部302)に挿通されている。そして、第二ステム9は、ハウジング3(第二ステム挿通部302)に挿通されるステム本体91と、該ステム本体91の外周に対して部分的に突設された押圧部90とを有する。
押圧部90は、湾曲した外周面に対する曲率中心がステム本体91の軸心に対して偏心した偏心カムであり、弁体2の非貫通部分がシート部材4に対向した状態で、第二ステム9を所定の軸線L周りで回転させると、一方の被押圧部21aに接触乃至押圧するようになっている。
また、押圧部90は、弁体2の非貫通部分がシート部材4に対向した状態で、第二ステム9を所定の軸線L周りで逆回転(押圧部90に第一被押圧部21aを押圧させるとき回転方向とは逆方向に回転)させることで、他方の被押圧部21bに対しても押圧できるようになっている。そのため、バルブ装置1は、シート部材4側に傾動(変位)した弁体2(非貫通部分)をシート部材4から強制的に離間させることもできるようになっている。
なお、第二ステム9は、第一ステム8と同様に、ハンドルを取り付けたり、回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)を取り付けたりすることができる。
本実施形態に係るバルブ装置1は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係るバルブ装置1の作動について説明する。
上記構成のバルブ装置1は、図2に示すように、弁体2の連通路R1とハウジング3の主通路R2,R3とが互いに連通した状態で、一方の主通路R2側から他方の主通路R3側(又は、他方の主通路R3側から一方の主通路R2側)に向けて流通対象物の流通が許容される。
このとき、図7に示すように、弁体2がシート部材4に対して非接触状態になっている一方で、リング部材5(当接筒部52)が弁体2の連通路R1周りにおけるシート部材4と対向する部分よりも内側の部分に当接する。そのため、ハウジング3の主通路R2からシート部材4側に流れ込もうとする流通対象物がリング部材5によって遮られる。
また、流体供給路315を介してハウジング3内に流体を供給すると、該流体がシート部材4とリング部材5の当接筒部52との間を通過して弁体2の非貫通部分(弁体収容室VR側)に放出される。これにより、弁体2の連通路R1の周囲及びシート部材4の外面(環状の領域)に付着した流通対象物を吹き飛ばして除去することができる。このとき、主通路R2側に流れようとする流体がリング部材5によって遮られるため、シート部材4と弁体2との間により多くの流体が流れるようにすることができる。
そして、第一ステム8のみを90°回転させると、第一ステム8の回転力が第三平面部80c,80dを介して弁体2の第二平面部20c,20dに伝達され、弁体2が90°回転する。
このときも、弁体2がシート部材4に対して非接触状態になっている一方で、リング部材5(当接筒部52)が弁体2の連通路R1周りにおけるシート部材4と対向する部分よりも内側の部分に当接している。そのため、弁体2を回転させている最中においても、ハウジング3の主通路R2からシート部材4側に流れ込もうとする流通対象物をリング部材5で遮ることができ、また、主通路R2側に流れ込もうとする流体をリング部材5で遮ることができる。
また、バルブ装置1は、弁体2が軸線L周りで回転するに伴い、非貫通部分の一部がリング部材5に包囲された領域内(ハウジング3の主通路R2に対応する領域)を通過する。このとき、流通対象物が弁体2の非貫通部分に付着することがある。
しかしながら、バルブ装置1は、リング部材5が弁体2の非貫通部分に当接するため、弁体2が軸線L周りで回転すると、該弁体2の非貫通部分とリング部材5とが擦れる。そのため、バルブ装置1は、弁体2の非貫通部分に流通対象物が付着したとしても、該流通対象物をリング部材5(当接筒部52)で除去する(掻き取る)ことができる。これにより、バルブ装置1は、弁体2とシート部材4との間に流通対象物が入り込むことをより確実に防止することができる。
そして、弁体2の非貫通部分と環状のシート部材4とが対向する。このような状態で第二ステム9を回転させると、押圧部90が第一被押圧部21a(弁体2の上部側)を押圧して弁体2をシート部材4側に付勢する。これにより、第一ステム8の先端(弁体2を支持した支持点)を傾動支点にして弁体2が傾動し、図7に示すように、弁体2の非貫通部分がシート部材4に圧接する。従って、弁体2とハウジング3との間がシールされる結果、一方の主通路R2(二つの主通路R2,R3間)が遮断され、流通対象物の流通が停止することになる。
これに対し、第二ステム9を逆回転(弁体2をシート部材4側に変位させる場合とは反対側に回転)させると、第一被押圧部21aに対する押圧部90の当接が解除される一方、該押圧部90が第二被押圧部21bを押圧することになり、第二被押圧部21bに対する押圧部90の押圧作用で、弁体2がシート部材4から離間する方向に傾動する。
そして、第一ステム8のみを逆回転(弁体2の非貫通部分をシート部材4と対向させる場合とは反対側に回転)させると、弁体2がシート部材4に対して非接触状態で回転し、二つの主通路R2,R3が弁体2の連通路R1を介して連通して流通対象物の流通を許容した状態に戻る。
以上のように、バルブ装置1は、リング部材5が弁体2の連通路R1周りにおけるシート部材4と対向する部分よりも内側の部分に当接するため、ハウジング3の主通路R2からシート部材4側に流れ込もうとする流通対象物をリング部材5によって遮ることができる。従って、バルブ装置1は、弁体2とシート部材4との間に流通対象物が入り込むことを防止することができる。
また、バルブ装置1は、回転している最中に弁体2に付着した流通対象物をリング部材5で除去することができるため、弁体2とシート部材4との間に流通対象物が入り込むことをより確実に防止することができる。
そして、バルブ装置1は、リング部材5の弁体2に対する圧力が1N/mm2以下に設定されるため、リング部材5の磨耗を抑えつつ、弁体2とシート部材4との間に流通対象物が入り込むことを防止することができる。
さらに、バルブ装置1は、流体供給路315を介してハウジング3内に流体を供給すると、該流体がシート部材4とリング部材5の当接筒部52との間を通過して弁体2の非貫通部分(弁体収容室VR側)に放出されるため、主通路R2側に流れ込もうとする流体がリング部材5によって遮られる。従って、バルブ装置1は、外部から供給された流体が主通路R2側に流れることを防止することで、シート部材4と弁体2との間により多くの流体が流れるようにすることができる。
尚、本発明のバルブ装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、バルブ装置1は、二つの主通路R2,R3の形成された二方弁を一例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、弁体収容室VR回りに三つ以上の主通路の形成された分岐用のバルブ装置であってもよい。
また、上記実施形態において、ハウジング3は、流体供給路315を有するようになっていたが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング3は、図9に示すように、流体供給路315を有していなくてもよい。このようにする場合においても、リング部材5が弁体2の連通路R1周りにおけるシート部材4と対向する部分よりも内側の部分に当接するため、ハウジング3の主通路R2からシート部材4側に流れ込もうとする流通対象物をリング部材5によって遮ることができる。従って、バルブ装置1は、弁体2とシート部材4との間に流通対象物が入り込むことを防止することができる。
また、上記実施形態において、特に言及しなかったが、リング部材5は、硬度が弁体2の硬度よりも低く設定されることが好ましく、弁体2の硬度及びシート部材4の硬度よりも低く設定されることがより好ましい。
リング部材5の硬度を弁体2の硬度よりも低くする場合、例えば、弁体2をオーステナイト系ステンレス鋼で構成し、リング部材5を弁体2よりも硬度が小さい材料(例えば、PTFE、PEEK、UPE、PPS、POM、PBI、PI等の樹脂や、アルミニウム、銅、ニッケル等の非鉄金属) で構成してもよい。そして、弁体2とリング部材5とを同一の材料で構成する場合は、例えば、弁体2の表面を硬化処理することで、リング部材5の硬度を弁体2の硬度よりも低くしてもよい。
また、上記実施形態におけるバルブ装置1は、リング部材5の弁体2に対する圧力が1N/mm2以下となるように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、リング部材5の弁体2に対する圧力が2N/mm2〜8N/mm2の間で設定されていてもよい。
また、上記実施形態において特に言及しなかったが、第一の付勢部材6は、弁体2がシート部材4側に傾動していない状態において、僅かにたわむようにしたり、弁体2がシート部材4側に傾動していない状態において、自然長になるように構成したりすることができる。
弁体2がシート部材4側に傾動していない状態において、第一の付勢部材6が僅かにたわむようにする場合は、リング部材5が磨耗したとしても、リング部材5を弁体2に当接させた状態を維持することができる。