以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態におけるレンズ加工管理システム(レンズ設計データ利用管理システム)220の概念図である。
本実施形態において、図1に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)220は、設計データに基づいてレンズを加工するレンズ加工部b17を含むレンズ加工装置b1と、レンズ材料又はレンズ半製品222に実質的に付属される認証部(制限手段、認証手段)224と、認証部224を用いてレンズの加工にかかる認証処理を行う認証処理部226とを備える。
本実施形態において、レンズ設計企業CからレンズメーカBにレンズの半製品222が提供される。本実施形態において、認証部224は、設計データの使用許諾の認証に用いられる情報(例えば認証コード、認証パラメータ)を含み、レンズの半製品222に埋め込まれている。一例において、認証部224は、一のレンズ半製品222に対応付けられた一の認証コードを含む。別の例において、認証部224は、複数のレンズ半製品222に対応付けられた一又は複数の認証コードを含む。
認証部224の形態例として、特殊マーキング、ICタグなど様々な認証マークが適用され得る。レンズの半製品222に埋め込まれた認証部224は、容易に視認及び/又は検出可能である、あるいは、視認困難かつ所定機器を介してのみ検出可能である。
代替的又は追加的に、認証部224は、レンズの半製品222に付属して一体的に出荷・運搬される。例えば、認証部224を、レンズ半製品222とは別の物体に設けることができる。別の物体に設けられた認証部224は、容易に視認及び/又は検出可能である、あるいは、視認困難かつ所定機器を介してのみ検出可能である。
認証部22は、視認困難なように、極小に構成できる、あるいは、実質的に透明に構成できる。レンズメーカBは、少なくとも、認証部224の認証情報に対する対価を含むレンズの半製品222の対価として、レンズ設計企業Cに対して料金を支払う。
本実施形態において、設計データは、レンズ設計データ記憶部b13に保存され、認証に基づく使用制限がなされている。すなわち、使用許諾の認証がされない限り、加工装置b1は設計データを使用できない。認証部224の認証情報(認証コード、認証パラメータ)は、不図示の入力手段を介して入力される、あるいは、不図示の検出手段を介して検出され、必要に応じて不図示の解析手段で解析される。
認証処理部226は、認証情報について認証処理を行う。認証処理は、提供された情報の承認、提供された情報と登録情報との対応確認、資格の有無の検証、個別企業や個別装置にかかる識別情報の確認、及び手続き経過の正当性又は正確性の確認の少なくとも1つを含むことができる。例えば、認証処理部226において、正しい認証コードが入力されない限り、設計データを読み出しできない。本実施形態において、認証情報が認証されると、設計データの使用制限が解除される。一例において、認証処理部226は、コンピュータプログラムの一部として構成できる。別の一例において、認証処理部226は、検出手段と、解析手段と、必要に応じてコンピュータプログラムとを含むことができる。
一例において、認証処理は、設計データとともに提供される又は別途提供される認証プログラムを用いてレンズ加工装置b1において行うことができる。この場合、認証処理がシンプルである。別の一例において、認証処理は、インターネットを通じてレンズ設計企業cにて行うことができる。この場合、認証処理プロセスの不正な変更を回避できる。
また、認証処理は、1つのパラメータに基づき、又は2以上のパラメータの組み合わせに基づき実行可能である。複数のパラメータを用いた認証処理の一例において、認証プログラムは、認証部224の認証情報と、設計データの識別情報とを要求する。別の一例において、認証プログラムは、認証部224の認証情報と、レンズ加工装置b1(又はレンズメーカ)のID情報とを要求する。設計データの識別情報やレンズ加工装置b1(又はレンズメーカ)のID情報は、レンズ加工装置b1に記憶できる、又は、別の物体又は媒体に記憶できる。追加的又は代替的に、認証処理は、認証サポート物理デバイス(セキュリティトークン)を使用することができる。
本実施形態において、加工装置b1におけるレンズ加工に際して、認証部224を使用した認証手続きが要求されることにより、不正に設計データを使用したレンズの加工が制限される。また、レンズ設計企業cから提供されるレンズ半製品とは異なる材料や半製品を用いたレンズの加工が制限される。
図2は、図1のレンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)220が適用可能な別の実施形態の一例を示す概念図である。図2において、レンズ設計企業Cと、レンズメーカBと、レンズ販売店Aとがインターネットd1を介してつながっている。
図2において、眼鏡販売店等のレンズ販売店Aが管理するサーバa2、レンズを加工して販売店に納入するレンズメーカBが管理するサーバb2、及びレンズの設計を行うレンズ設計企業Cが管理するサーバc2は、インターネットd1に接続されている。また、サーバb2に接続されたレンズ加工装置b1は、サーバa2に接続された処方データ送信装置a1、及びサーバc2に接続されたレンズ設計装置(データ供給装置)c1と通信可能である。
本実施形態において、レンズ加工装置b1は、処方データ送信装置a1から、レンズの発注を行うための発注データと、レンズを使用する顧客のレンズ処方に関する情報及び眼鏡のフレーム形状等を含む処方データと、を受信し、受信した処方データをレンズ設計装置c1に送信する。また、レンズ加工装置b1は、送信した処方データに対するレンズの設計データ(以下、レンズ設計データという)をレンズ設計装置c1から受信して記憶する。
レンズメーカBは、このようにして、レンズ設計企業Cにレンズの設計を依頼し、提供されたレンズの設計に対して設計料を支払う。ここで、レンズメーカBがレンズ設計企業Cに支払う設計料は、レンズ1枚あたりの加工についての設計料である。例えば、レンズメーカBは、同じレンズ設計データを用いたレンズの加工であっても、レンズ1枚1枚の加工に対応する設計料を、レンズ設計企業Cに支払う必要がある。
本実施形態では、レンズ加工装置b1は、レンズの加工を行う前に、レンズ半製品222に付属された認証部224の認証コードを、レンズ設計装置c1に送信する。レンズ設計装置c1において、認証処理部226は、受信した認証コードに対して認証処理を行い、認証結果である認証応答をレンズ加工装置b1に送信する。
レンズ加工装置b1は、レンズ設計装置c1から受信した認証応答が、認証許可応答である場合、レンズを加工することができる。そして、レンズメーカBは、加工したレンズをレンズ販売店Aに納入する。
このように、レンズ設計データ利用管理システム220は、レンズ設計装置c1がレンズ加工装置b1から受信した認証コードを認証判定することにより、レンズ設計データの利用状況を適切に管理することができる。
<レンズ加工装置>
以下、図2のレンズ加工装置b1及びレンズ設計装置c1について、詳細を説明する。
図3は、本実施形態に係るレンズ加工装置b1の構成を示す概略的ブロック図である。
レンズ加工装置b1は、通信部b10、処方データ送受信部b11、レンズ設計データ受信部b12、レンズ設計データ記憶部b13、認証コード入力部b14、認証要求送信部b15、レンズ加工制御部b16、レンズ加工部b17、及び設計データ処理部b18を含む。
なお、レンズ加工管理装置E1は、レンズ設計データ記憶部b13、認証要求送信部b15、及びレンズ加工制御部b16を含む。また、図3においては、本実施形態の説明に関連する構成の概略のみを示す。
通信部b10は、図2のサーバb2を介し、処方データ送信装置a1とレンズ設計装置c1とからデータを受信する。また、通信部b10は、図2のサーバb2を介し、レンズ設計装置c1にデータを送信する。
処方データ送受信部b11は、処方データを、処方データ送信装置a1から通信部b10を介して受信する。また、処方データ送受信部b11は、受信した処方データを、レンズ設計装置c1に通信部b10を介して送信する。
レンズ設計データ受信部b12は、レンズ設計データを、レンズ設計装置c1から通信部b10を介して受信する。レンズ設計データ受信部b12は、受信したレンズ設計データをレンズ設計データ記憶部b13に記憶させる。なお、レンズ設計データには当該レンズ設計データを識別する識別情報が含まれる。
また、レンズ設計データには、例えば、面形状データとして、非球面、乱視面と非球面が合成された面、累進焦点面、累進焦点面と乱視面が合成された面、累進焦点面と乱視面と非球面が合成された面、光がレンズ表面と裏面を通過したときに眼鏡レンズとしてのレンズ作用を発生させる自由曲面に関する情報のうち少なくとも1つが含まれる。また、レンズ設計データには、例えば、ブランク材形状、ブランク材の屈折率、レンズの厚さ、レンズ外径、レンズ外周形状に関する情報のうち少なくとも1つが含まれる。また、レンズ設計データには、例えば、レンズのS度数、C度数、軸度、加入度、プリズム、偏心に関する処方情報のうち少なくとも1つが含まれる。
認証コード入力部b14において、レンズ半製品222の認証部224の識別コードが利用者の操作によって入力される、あるいは、所定の検出部を介して検出される。認証コード入力部b14は、認証要求送信部b15に認証コードを出力する。
認証要求送信部b15は、認証コードとレンズ設計データの識別情報とを含む確認要求であって、認証コードの判定を要求する認証要求を、レンズ設計装置c1に通信部b10を介して送信する。
すなわち、認証要求送信部b15は、レンズ設計データを用いてレンズの加工を行う前に、レンズの加工を認証する認証要求を、レンズ設計データ利用管理装置c1に送信する。なお、レンズの加工はレンズ1枚ずつ行われ、認証要求送信部b15は、認証要求を、レンズ1枚ごとに送信する。
設計データ制御部b18は、認証要求の応答である認証応答を受信し、認証が許可されたか否かを判定する。設計データ制御部b18は、認証応答が、認証許可応答(使用許諾応答)である場合、レンズ設計データ記憶部b13から、レンズ設計データを読み出す。
この場合、設計データ制御部b18は、読み出したレンズ設計データをレンズ加工部b17に出力する。また、レンズ加工制御部b16は、レンズの加工を開始させる制御情報をレンズ加工部b17に出力する。すなわち、設計データ制御部b18は、使用許諾を受信した場合に、設計データを実際に使用可能な状態にする。
一方、判定の結果、認証不許可を示す応答(以下、認証不許可応答という)である場合、レンズの加工をすることができないことを示すエラーメッセージ等を、モニタ(図示せず)に出力する。
レンズ加工部b17は、レンズ加工制御部b16から入力された制御情報に従い、設計データ制御部b18から入力されたレンズ設計データを使用してレンズを加工する。
<レンズ設計装置>
図4は、本実施形態に係るレンズ設計装置c1の構成を示す概略的ブロック図である。
レンズ設計装置c1は、通信部c10、処方データ受信部c11、処方データ出力部c12、レンズ設計データ入力部c13、レンズ設計データ送信部c14、レンズ設計部c30、認証要求受信部c15、認証処理部226、レンズ設計データ利用情報記憶部c17(初回許可応答日時記憶部)、認証応答部c18、及び累積加工回数算出部c19を含む。
なお、レンズ設計データ利用管理装置E2は、認証要求受信部c15、認証処理部226、レンズ設計データ利用情報記憶部c17、認証応答部c18、及び累積加工回数算出部c19を含む。また、図4においては、本実施形態の説明に関連する構成の概略のみを示す。
通信部c10は、図2のサーバc2を介し、レンズ加工装置b1からデータを受信し、また、送信する。処方データ受信部c11は、処方データを、レンズ加工装置b1から通信部c10を介して受信し、処方データ出力部c12に出力する。処方データ出力部c12は、処方データ受信部c11から入力された処方データを、モニタやプリンタ等の出力装置に出力する。また、処方データ出力部c12からの処方データは、レンズ設計部c30に送られる。レンズ設計部c30は、入力された処方データを用いてレンズを設計し、レンズの設計情報をレンズ設計データ入力部c13に出力する。
レンズ設計データ入力部c13には、処方データ出力部c12が出力した処方データに対して設計されたレンズの設計情報が入力される。レンズ設計データ入力部c13は、入力されたレンズの設計情報に、識別情報を含ませたレンズ設計データを生成し、生成したレンズ設計データをレンズ設計データ送信部c14に出力する。レンズ設計データ送信部c14は、レンズ設計データ入力部c13から入力されたレンズ設計データを、レンズ加工装置b1に通信部c10を介して送信する。
認証要求受信部c15は、認証要求をレンズ加工装置b1から通信部c10を介して受信し、認証要求に含まれる認証コードと、レンズ設計データの識別情報と、認証要求の受信日と、を認証処理部226に出力する。
認証処理部226は、認証コードの認証を行う。また、認証処理部226は、レンズ設計データ利用情報記憶部c17のレンズ設計データ利用情報管理テーブル(図5)より、認証要求受信部c15から入力されたレンズ設計データの識別情報に対応する累積加工回数を読み出す。
認証処理部226は、読み出した累積加工回数、及び、認証要求受信部c15から入力された認証要求の受信日から、認証要求に含まれる識別情報のレンズ設計データを用いたレンズの加工を許可するか否かを決定する。
なお、レンズ設計データ利用情報記憶部c17が記憶する累積加工回数は、後述する累積加工回数算出部c19が算出した累積加工回数である。また、レンズ設計データ利用情報記憶部c17が記憶する初回許可応答日は、後述する認証可否応答部c18が記憶させた認証許可応答の最初の応答日である。
以下、レンズ設計データを用いたレンズの最大加工回数に基づく判定と、レンズの加工許可期間に基づく判定と、について説明する。
<レンズの最大加工回数に基づく判定>
まず、認証処理部226は、読み出した累積加工回数が、レンズ設計データ利用情報記憶部c17が予め記憶する最大加工回数以内であるか否かを判定する。認証部226は、累積加工回数が最大加工回数より大きいと判定した場合、レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可しない決定をする。
一方、認証部226は、累積加工回数が最大加工回数以内と判定した場合、以下のレンズの加工許可期間の決定を行う。
<レンズの加工許可期間の決定>
認証処理部226は、認証要求受信部c15から入力された認証要求の受信日が、レンズ設計データ利用情報記憶部c17が記憶する認証許可応答の最初の応答日である初回許可応答日から、予め定められた期間である加工許可期間(本実施形態では、20日とする)内であるか否かを判定する。
認証処理部226は、対象のレンズ設計データに関する認証要求の受信日が初回許可応答日から加工許可期間内でない場合、レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可しない決定をする。一方、認証処理部226は、対象のレンズ設計データに関する認証要求の受信日が初回許可応答日から加工許可期間内である場合、レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可する決定をする。
認証処理部226は、決定した当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可するか否かの情報と、当該レンズ設計データの識別情報と、を認証応答部c18に出力する。
すなわち、認証処理部226は、後述する累積加工回数算出部c19が算出した累積加工回数が、予め記憶する最大加工回数を超えない場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可する。また、認証処理部226は、対象のレンズ設計データに関して、認証要求の受信日が、レンズ設計データ利用情報記憶部c17が記憶する認証許可応答の最初の応答日から予め記憶する期間内である場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可する。
認証応答部c18は、認証処理部226c16から入力された情報が、レンズの加工を許可することを示す情報である場合、認証応答を認証許可応答とする。一方、認証応答部c18は、認証処理部c16から入力された情報が、レンズの加工を許可しないことを示す情報である場合、認証応答を認証不許可応答とする。
認証応答部c18は、認証処理部226から入力されたレンズ設計データの識別情報を含む認証応答を、レンズ加工装置b1に通信部c10を介して送信する。認証応答部c18は、送信した認証応答の情報を、累積加工回数算出部c19に出力する。
また、認証応答部c18は、認証応答の情報に含まれるレンズ設計データの識別情報毎に、最初に送信した時間を、初回許可応答日として、レンズ設計データ利用情報記憶部c17のレンズ設計データ利用情報管理テーブルに記憶させる。すなわち、認証応答部c18は、レンズ設計データ各々について、認証許可応答の最初の応答日時を、レンズ設計データ利用情報記憶部c17に記憶させる。
また、累積加工回数算出部c19は、認証応答が認証許可応答である場合、レンズ設計データ利用情報記憶部c17が記憶する累積加工回数であって、認証応答部c18から入力される認証応答(認証許可応答)の情報に含まれる識別情報に対応する累積加工回数を読み出す。累積加工回数算出部c19は、読み出した累積加工回数に、認証許可応答の情報が示すレンズの加工を許可したレンズの枚数(本実施形態では、1枚)を加えた累積加工回数を、当該識別情報に対応する累積加工回数として、レンズ設計データ利用情報記憶部c17のレンズ設計データ利用情報管理テーブルに記憶させる。すなわち、累積加工回数算出部c19は、認証許可応答で許可をした加工回数の累積加工回数を算出する。
<レンズ設計データ利用情報管理テーブル>
以下、レンズ設計データ利用情報管理テーブルについて詳細を説明する。
レンズ設計データ利用情報管理テーブルは、データベースにより管理されている。
図5は、本実施形態に係るレンズ設計データ利用情報管理テーブルの一例を示す概略図である。図示するように、レンズ設計データ利用情報管理テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、レンズ設計データ識別情報、累積加工回数、最大加工回数、及び認証応答送信日の各項目の列を有している。このレンズ設計データ利用情報管理テーブルの主キーは、レンズ設計データ識別情報である。
例えば、図5において、レンズ設計データ識別情報が「abc12345」のデータは、レンズ加工装置b1が、レンズ加工装置b1が「abc12345」のレンズ設計データを用いて、累積して累積加工回数「2」枚のレンズを加工していることを示し、累積して最大加工回数「4」枚まで、このレンズ設計データを用いてレンズを加工することを許可することを示す。また、図5において、レンズ設計データ識別情報が「abc12345」のデータは、レンズ加工装置b1が「abc12345」のレンズ設計データを用いてレンズを加工することを最初に許可した日が、初回許可応答日「2008年6月20日」であることを示す。
また、図5において、レンズ設計データ識別情報が「bca23456」のデータは、例えば、レンズ設計装置c1が認証要求の受信日が「2008年7月1日」である場合、初回許可応答日が「2008年6月1日」から加工許可期間(20日)内でないことを示し、この場合、レンズ設計装置c1は、認証不許可応答を送信する。
また、図5において、レンズ設計データ識別情報が「cab24567」のデータは、累積加工回数と最大加工回数とが同じ「20」枚であることを示し、この場合、レンズ設計装置c1は、これ以上、「cab24567」のレンズ設計データを用いて、レンズを加工することを許可することができず、認証不許可応答を送信する。
<レンズ設計データ利用管理システムの動作>
以下、レンズ設計データ利用管理システム220の動作について説明をする。
図6は、本実施形態に係るレンズ設計データ利用管理システム220の動作を示すフロー図である。
処方データ送信装置a1は、レンズの発注を行うための発注データと処方データとをレンズ加工装置b1に送信する(S501)。
レンズ加工装置b1は、ステップS501にて処方データ送信装置a1が送信した処方データを受信し、受信した処方データをレンズ設計装置c1に送信する(S502)。
レンズ設計装置c1は、ステップS502にてレンズ加工装置b1が送信した処方データを受信し、受信した処方データをモニタやプリンタ等に出力する(S503)。
レンズ設計装置c1は、ステップS503にて出力した処方データに対して設計されたレンズ設計データが入力されると、レンズ設計データを、レンズ加工装置b1に送信する(S504)。
レンズ加工装置b1は、ステップS504にてレンズ設計装置c1が送信したレンズ設計データを、受信して記憶する(S505)。
レンズ加工装置b1は、ステップS505にて記憶したレンズ設計データを用いたレンズの加工を開始する命令が入力されると、認証要求を、レンズ設計装置c1に送信する(S506)。
レンズ設計装置c1は、ステップS506にてレンズ加工装置b1が送信した認証要求を受信し、以下の判定を行う。
レンズ設計装置c1は、記憶する累積加工回数が最大加工回数以内であるか否かを判定する(S507)。ステップS507の判定にて、累積加工回数が最大加工回数以内と判定された場合(YES)、レンズ設計装置c1は、ステップS508の判定を行う。一方、ステップS507の判定にて、累積加工回数が最大加工回数より大きいと判定された場合(NO)、レンズ設計装置c1は、ステップS510の処理を行う。
レンズ設計装置c1は、認証要求の受信日が初回許可応答日から加工許可期間内であるか否かを判定する(S508)。ステップS508の判定にて、認証要求の受信日が初回許可応答日から加工許可期間内であると判定された場合(YES)、レンズ設計装置c1は、ステップS509の処理を行う。一方、ステップS508の判定にて、認証要求の受信日が初回許可応答日から加工許可期間内でないと判定された場合(NO)、レンズ設計装置c1は、ステップS510の処理を行う。
レンズ設計装置c1は、認証応答として認証許可応答を、レンズ加工装置b1に送信する(S509)。レンズ設計装置c1は、認証応答として認証不許可応答を、レンズ加工装置b1に送信する(S510)。
レンズ加工装置b1は、レンズ設計装置c1から受信した認証応答が、認証許可応答であるか否かを判定する(S511)。ステップS511の判定にて、認証応答が認証許可応答である場合(YES)、レンズ設計装置c1は、認証応答に含まれる識別情報のレンズ設計データを用いたレンズの加工を開始する(S512)。一方、ステップS511の判定にて、認証応答が認証不許可応答である場合(NO)、レンズ設計装置c1は、本動作を終了する。
なお、本動作では、レンズ設計装置c1が、累積加工回数及び加工許可期間に基づいて認証応答の内容を判定している(S507、S508)が、本発明はこれに限らず、累積加工回数、又は、加工許可期間のいずれか一方による判定だけでもよい。
このように、本実施形態において、レンズ加工に際して、認証部224を使用した認証処理が行われ、不正に設計データを使用したレンズの加工や、レンズ設計企業から提供されるレンズ半製品とは異なる材料や半製品を用いたレンズの加工が制限される。
また、本実施形態において、レンズ設計データ利用管理システム220は、レンズ加工管理装置b1がレンズ設計データを用いてレンズの加工を行う前に、レンズ設計データ利用管理装置c1がレンズ設計データを用いた累積加工回数、及び、初回加工日(初回許可応答日)の情報に基づき、レンズの加工を許可するか否かを決定し、レンズ加工管理装置が、レンズ設計データ利用管理装置がレンズの加工を許可する決定をした場合に、レンズの加工を行う制御をする。これにより、レンズ設計データの利用状況を適切に管理することができ、当該レンズ設計データを不正に利用してレンズが加工されることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、レンズ設計データ利用管理システム220は、レンズ設計データ利用管理装置c1が、前記累積加工回数が前記最大加工回数を超えない場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可するので、レンズ設計データを契約等で定めた最大加工回数を超えて不正に利用し、レンズの加工が行われることを防止することができる。また、本実施形態によれば、レンズ設計データ利用管理システム220は、レンズ設計データ利用管理装置c1が、累積加工回数を算出するので、累積加工回数を適切に管理することができる。
また、本実施形態において、レンズ設計データ利用管理システム220は、レンズ設計データ利用管理装置c1が、認証要求の受信日時が、認証許可応答の最初の応答日時から予め記憶する期間内である場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可するので、レンズ設計データを契約等で定めた期間を超えて不正に利用し、レンズの加工が行われることを防止することができる。
なお、上述した実施形態におけるレンズ加工装置b1の一部、例えば、認証要求送信部b15、レンズ加工制御部b16、又は、レンズ設計装置c1の一部、例えば、認証要求受信部c15、認証処理部226、認証応答部c18、及び累積加工回数算出部c19をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
[変形実施形態]
次に、図1又は図2に示す実施形態の変形実施形態について図7を参照して説明する。
なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図7に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)220は、レンズを加工する加工装置(レンズ製造装置)b1と、設計データを加工装置b1に供給可能な設計装置(データ供給装置)c1と、設計装置c1から加工装置b1への設計データの供給流れを制御する制御部202(制限手段、複製制限手段)とを備える。
本実施形態において、制御部202は、設計装置c1に設けられる。代替的又は追加的に、制御部202を、加工装置b1あるいは他の装置に設けることができる。必要に応じて、設計データが送信用の特定のデータ形式に変換される。必要に応じて、設計装置c1及び/又は加工装置b1に、設計データ送信又は受信用の特定のコンピュータプログラムが組み込まれる。制御部202は、加工装置b1でのレンズ加工の処理の進行に合わせて設計データの供給流れを制御できる。制御部202の制御において、例えば、ある時点の処理に必要な最小限の設計データが設計装置c1から加工装置b1に供給される。その処理が終了すると、加工装置b1において、使用済みの設計データが消去される、あるいは、使用済みの設計データが再使用不能となる。続いて、次の処理に必要な最小限の設計データが設計装置c1から加工装置b1に供給される。代替的又は追加的に、データ受信用の特定のコンピュータプログラムが、設計データの送受信の前に、設計装置c1から加工装置b1に供給できる。
本実施形態において、複数に分割された設計データが設計装置c1から加工装置b1に漸次に供給される。代替的に、設計データ全体が設計装置c1から加工装置b1に一度に供給されるとともに、使用後に消去され得る、あるいは再使用不能にできる。また、代替的に、使用済みの設計データを使用回数又は使用期間に応じて消去する又は再使用不能にするように制御できる。
本実施形態において、加工装置b1に送信された設計データの複製が防止される。すなわち、使用済みの設計データを使用したレンズの加工が制限される。
次に、図1又は図2に示す実施形態の別の変形実施形態について図8を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図8に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)210は、レンズを加工する加工装置b1と、設計データを加工装置b1に供給可能な設計装置(データ供給装置)c1と、加工装置b1の動作の記録を保持する記録保持部(制限手段、記録保持手段)212とを備える。
本実施形態において、記録保持部212は、加工装置b1に設けられる。代替的又は追加的に、記録保持部212を、設計装置c1あるいは他の装置に設けることができる。本実施形態において、記録保持部212は、加工処理の進行に沿って加工装置b1の各動作を示すデータを記録する。記録されたそれらのデータを含む記録(ログ)に基づき、設計データの使用回数や使用期間などが認識可能である。
本実施形態において、必要に応じて、課金処理部214を加工装置b1あるいは他の装置に設けることができる。課金処理部214は、記録保持部212に保持された記録に基づいて、レンズメーカBに対して課金処理を行う。例えば、課金処理部214は、記録に基づく設計データの使用回数や使用期間に基づく設計料の支払いをレンズメーカBに要求する、あるいは所定の手続きに沿って設計料を徴収する。
本実施形態において、加工装置b1の記録(ログ)に基づき、設計データの実際の使用状態が認識される。したがって、不正に設計データを使用したレンズの加工が制限される。
次に、図1又は図2に示す実施形態のさらに別の変形実施形態について図9を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図9に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)230は、レンズを加工する加工装置b1と、設計データを加工装置b1に供給可能な設計装置(データ供給装置)c1と、加工装置b1の動作を管理するための持ち運び可能なメディア232(制限手段、管理手段、第1媒体)とを備える。
本実施形態において、加工装置b1は、メディア232が投入されるメディア投入装置234を備える。メディア投入装置234へのメディア232の投入は、加工装置b1における設計データを使用したレンズの加工を可能にする。メディア232は、設計データの使用回数及び使用期間の少なくとも1つに関する所定のデータを含む。メディア232の形態例として、カード(IDカード、プリペイドカードなど)、USBメモリ装置、セキュリティトークンなど、様々なメディアが適用され得る。メディア投入装置234は、設計データを使用したレンズの加工が制限された制限状態と、非制限状態との間で、加工装置b1の状態(ステータス)を切り替えることが可能である。レンズメーカBは、少なくともメディア232に対する対価として、レンズ設計企業Cに対して料金を支払う。
本実施形態において、加工装置b1で設計データを使用したレンズの加工処理が実行されることにより、メディア投入装置234内のメディア232のデータが書き換えられる。例えば、初期のメディア232には、所定の数(使用可能回数)が記憶されている。加工処理の実行に伴い、メディア232に記憶された数が減少する。加工装置b1において、その数(使用可能回数)がゼロになると、そのメディア232を使用した加工処理が実行不能となる。
本実施形態において、加工装置b1におけるレンズ加工に際して、メディア232を使用した動作管理が実行されることにより、不正に設計データを使用したレンズの加工が制限される。
次に、図1又は図2に示す実施形態のさらに別の変形実施形態について図10を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図10に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)240は、レンズを加工する加工装置b1と、レンズの形状のデータ(設計データ、加工データ)を作成する設計装置c1と、設計データ(加工データ)が書き込まれた持ち運び可能なメディア(データ供給装置)242とを備える。
本実施形態において、加工装置b1は、メディア242内のデータを読み出す読出装置244を備える。加工装置b1は、メディア242から読み出した設計データを使用してレンズを加工することができる。メディア242の形態例として、メモリチップ、CDなど、様々なメディアが適用され得る。メディア242から他の媒体へのデータの保存が防止されている、あるいはメディア242が複製不能であることにより、設計データの複製や不正使用が制限される。レンズメーカBは、少なくともメディア(設計データ)242に対する対価として、レンズ設計企業Cに対して料金を支払う。
追加的に、メディア242が、レンズの半製品222と一体的に運搬され得る。レンズメーカBは、少なくともレンズの半製品222とメディア(設計データ)242とに対する対価として、レンズ設計企業Cに対して料金を支払う。
追加的に、設計データを1回だけ使用できるという制限がなされたメディア242を使用できる。こうしたメディア242として、例えば、光メモリやホログラム式のメモリチップが挙げられる。本例において、1つの設計データと1つの半製品とが対応付けられていることにより、その設計データを他のレンズの半製品に使用するのが防止される。
次に、図1又は図2に示す実施形態のさらに別の変形実施形態図11を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図11に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)250は、レンズを加工する加工装置b1と、レンズの形状のデータ(設計データ、加工データ)を作成する設計装置c1と、設計データ(加工データ)が書き込まれた持ち運び可能なメディア(データ供給装置)252とを備える。また、設計データは、認証情報(認証部224、識別情報、認証コード、認証パラメータ)を含む。
本実施形態において、加工装置b1は、メディア242内のデータを読み出す読出装置254を備える。加工装置b1は、メディア252から読み出した設計データを使用してレンズを加工することができる。
本実施形態において、メディア252が、レンズの半製品256に埋め込まれている。
レンズメーカBは、少なくともレンズの半製品256とメディア(設計データ)252とに対する対価として、レンズ設計企業Cに対して料金を支払う。
メディア252の形態例として、メモリチップなど様々なメディアが適用され得る。設計データを含むメディア252が半製品256に埋め込まれていることにより、1つの設計データと1つの半製品とが対応付けられ、その結果、その設計データを他のレンズの半製品に使用するのが防止される。追加的に、設計データを1回だけ使用できるという制限がなされたメディア252を使用できる。こうしたメディア252として、例えば、光メモリやホログラム式のメモリチップが挙げられる。本例において、設計データの不正使用がより確実に防止される。
次に、図1又は図2に示す実施形態のさらに別の変形実施形態について図12を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図12に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)260は、レンズを加工する加工装置b1を有する複数のレンズメーカと、レンズの形状のデータ(設計データ、加工データ)を作成する設計装置c1を有するレンズ設計企業Cと、レンズを販売するレンズ販売店Aとを備える。
本実施形態において、レンズ販売店Aからレンズ設計企業Cに対して直接的にレンズが発注される。レンズ設計企業Cは、その企業内での所定の手続き等に基づき、複数のレンズメーカの中から、1つのレンズメーカBを選定する。また、レンズ設計企業Cは、そのレンズメーカBに対して設計データを供給する。レンズメーカBは、設計データを使用してレンズの加工を行う。完成したレンズは、レンズメーカBからレンズ販売店Aに供給される。代替的に、完成したレンズは、レンズメーカBからレンズ設計企業Cを介してレンズ販売店Aに供給され得る。
本実施形態において、レンズ設計企業Cは、レンズメーカの不正利用の可能性に関する情報を集めてデータベースに保持することができる。例えば、そのデータベース(選定手段)の情報に基づき、レンズメーカの選定作業を実行することができる。レンズ設計企業がレンズメーカの選定を行うことにより、レンズメーカでの設計データの不正利用が制限される。
次に、図1又は図2に示す実施形態のさらに別の変形実施形態について図13を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略又は簡略化する。
本実施形態において、図13に示すように、レンズ加工管理システム(レンズ製造システム、レンズ設計データ利用管理システム)270は、レンズを加工する加工装置b1と、光学設計に関するレンズの形状データ(設計データ、加工データ)を作成する光学設計部272と、サーバ274とを備える。
本実施形態において、光学設計部272は、加工装置b1に配置される。例えば、光学設計部272は、所定のコンピュータプログラムであり、メディア、デバイス、又はメモリ等に保持されている。サーバ274は、必要に応じて、光学設計に関する情報を保持している。光学設計部272は、サーバ274に光学設計(又はレンズ加工)の許諾を要求する。許諾を受けた光学設計部272は、必要に応じてサーバ274を介して、レンズの光学設計を行うことができる。加工装置b1は、光学設計部272からの設計データを使用して、レンズを加工することができる。
本実施形態において、レンズメーカBは、サーバ274の使用回数(光学設計回数)、及び加工装置b1でのレンズ加工の数量、の少なくとも1つに応じて、レンズ設計企業Cに対して料金を支払う。追加的に、図10を使用した説明と同様のメディア(プリペイドカード)を使用して加工装置b1の動作を管理することができる。
本実施形態において、レンズ設計又はレンズ加工に際して、サーバ274への許諾が必要であることから、設計データを不正使用したレンズの加工が制限される。
以上、この発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
実際の製造において、レンズ設計データを補正することが可能である。加工誤差が生じる場合など、設計値のデータを補正することでレンズを良好に製造することができる。設計データは複雑な面形状のため、レンズメーカでこの補正に対応するのは一般に難しい。
設計データの修正(補正)は、設計側で行ってもよい。この場合、例えば、レンズ設計データは、レンズ加工時に発生する加工誤差を補正するための修正が行われたものにできる。また、設計データの修正(補正)を加工装置で行ってもよい。この場合、例えば、レンズ加工装置は、レンズ加工時に発生する加工誤差を補正するためのデータ修正を行う構成にできる。また、半製品の誤差を反映した設計データが供給されてもよい。この場合、例えば、レンズ設計データは、半製品1つ1つの個別の曲率ばらつきを補正するための修正を含むデータにできる。
例えば、レンズ設計データは、データ供給装置で暗号化キーにより暗号化処理されてからネットワークを通じて加工装置に送信されても良い。そして、暗号化処理されたレンズ設計データは、加工装置において、複号化キーにより複号化処理されても良い。なお、暗号化処理されたレンズ設計データは、予め設定された期限内でのみ複号化処理することが可能となるように構成されても良いし、予め設定された期限を過ぎると自動的に消去されるように構成されても良い。さらに、複号化キーの使用回数をカウントするように構成されても良い。
また、レンズ設計データは、セミ材(半製品)を加工するための面形状の他に、複数種類あるセミ材のどれを使うかの情報を含むように構成されても良い。また、必要に応じて、加工されたレンズの品質確認用データとして、レンズの中心厚、縁厚、外径等のレンズ形状情報や、レンズ度数測定器等を使用してレンズ屈折力の検査をする際に用いるレンズ度数情報を含むように構成されても良い。
また、レンズ設計データは、レンズの2つある面のうち、表面の面形状データを含むように構成されても良いし、裏面の面形状データを含むように構成されても良いし、あるいは表裏両面の面形状データを含むように構成されても良い。面形状データは、点群(セミ材の加工面上の各点における空間座標(x座標、y座標、z座標)の値の集合)で構成されたものであっても良いし、点群で構成された面形状データを面補間したデータであっても良いし、さらには、面補間したデータをNC加工プログラムに変換したデータであっても良い。
また、レンズ販売店からレンズ設計企業に対して直接的にレンズが発注され、レンズ設計企業は、そのレンズ販売店に対して設計データを供給するように構成されても良い。そして、レンズ販売店は、レンズメーカに対して設計データを供給し、レンズメーカは、設計データを使用してレンズの加工を行うように構成されても良い。完成したレンズは、レンズメーカからレンズ販売店に供給される。
また、加工されるレンズは、その種類を限定されるものではなく、単焦点レンズ、累進屈折力レンズ、中近累進レンズ、近々累進レンズなどに上記の実施形態を適用することが可能である。
なお、従来のシステムでは、レンズの光学設計のサービスを受けることによってレンズの形状を表すレンズ形状データを受け取った企業が、光学設計を行う企業に対して料金を支払うことなく、同じレンズ形状データを繰り返し使用することによって不正にレンズを製造することが可能であり、光学設計を行う企業はこの不正を把握することが困難であった。そのため、光学設計を行う企業が、本来得られたはずの利益を回収することができないという問題があった。
また、従来の技術では、レンズ設計データは複製等をすることができるため、レンズ加工企業がレンズ1枚あたりの加工についての設計料しか支払っていないにもかかわらず、2枚以上のレンズを加工する等、不正に繰り返してレンズを加工するおそれがあるという欠点があった。例えば、通信装置で表示出力されたデータを複製等することで、レンズ加工企業が当該データのレンズを、何枚でも作成するおそれがあるという欠点があった。
また、従来の技術では、レンズ加工企業が不正に繰り返してレンズを加工するおそれがあり、さらに、レンズ設計データを提供したレンズ設計企業は、この不正を把握することができないという欠点があった。
また、従来の技術では、レンズ設計データの利用状況を適切に管理することができず、当該レンズ設計データを不正に利用したレンズが加工されるおそれがあるという欠点があった。
一実施形態において、レンズ製造装置は、レンズの形状を表すレンズ形状データとその使用可能回数とを含むレンズデータを記憶するレンズデータ記憶部と、前記レンズ形状データが使用された回数を記憶する使用回数記憶部と、前記レンズ形状データが使用された回数を前記使用回数記憶部から読み出し、前記レンズ形状データの使用可能回数を前記レンズデータ記憶部から読み出し、前記レンズ形状データが使用された回数が前記レンズ形状データの使用可能回数より少ない場合には、前記レンズ形状データを前記レンズデータ記憶部から読み出し、前記使用回数記憶部に記憶される前記レンズ形状データが使用された回数を使用回数分増加させるアクセス制御部と、前記アクセス制御部によって読み出されたレンズ形状データを記憶するレンズ形状データメモリと、前記レンズ形状データメモリに記憶されるレンズ形状データに基づいてレンズを製造し、製造後に前記レンズ形状データを前記レンズ形状データメモリから消去するレンズ製造部と、を備える。
上記のレンズ製造装置において、前記レンズデータは、前記レンズ形状データの使用可能期限をさらに含み、前記アクセス制御部は、前記レンズ形状データの使用可能期限を前記レンズデータ記憶部から読み出し、使用可能期限が切れていない場合であって且つ前記レンズ形状データが使用された回数が前記レンズ形状データの使用可能回数より少ない場合には、前記レンズ形状データを前記レンズデータ記憶部から読み出す、ように構成されることができる。
別の実施形態において、レンズ設計データ利用管理システムは、レンズ設計データを用いたレンズの加工を管理するレンズ加工管理装置と、レンズ加工管理装置と通信するレンズ設計データ利用管理装置と、を備える。このシステムにおいて、前記レンズ加工管理装置は、前記レンズ設計データを用いてレンズの加工を行う前に、レンズの加工の可否を確認する加工可否確認要求を、前記レンズ設計データ利用管理装置に送信する加工可否確認要求送信部と、前記加工可否確認要求送信部が送信した加工可否確認要求の応答として、レンズの加工を許可することを示す加工許可応答を受信した場合に、レンズの加工を行う制御をするレンズ加工制御部と、を備え、前記レンズ設計データ利用管理装置は、加工可否確認要求送信部から送信された前記加工可否確認要求に対して、前記レンズ設計データの利用状況に関する情報に基づいてレンズの加工を許可するか否かを決定する加工可否決定部と、前記加工可否決定部がレンズの加工を許可した場合、前記加工許可応答を、前記レンズ加工管理装置に送信する加工可否応答部と、を備える。
上記構成によると、前記レンズ設計データ利用管理システムは、前記レンズ加工管理装置が前記レンズ設計データを用いてレンズの加工を行う前に、前記レンズ設計データ利用管理装置が前記レンズ設計データの利用状況に関する情報に基づき、レンズの加工を許可するか否かを決定し、前記レンズ加工管理装置が、前記レンズ設計データ利用管理装置がレンズの加工を許可する決定をした場合に、レンズの加工を行う制御をするので、レンズ設計データの利用状況を適切に管理することができ、当該レンズ設計データを不正に利用してレンズが加工されることを防止することができる。
上記のレンズ設計データ利用管理システムにおいて、前記レンズ設計データの利用状況に関する情報は、前記レンズ設計データ各々について、前記レンズ加工管理装置の制御により、前記レンズ設計データを用いた加工を行った累積加工回数であり、前記加工可否決定部は、前記累積加工回数が、予め記憶する最大加工回数を超えない場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可することができる。
上記構成によると、前記レンズ設計データ利用管理システムは、前記レンズ設計データ利用管理装置が、前記累積加工回数が前記最大加工回数を超えない場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可するので、レンズ設計データを契約等で定めた最大加工回数を超えて不正に利用し、レンズの加工が行われることを防止することができる。
上記のレンズ設計データ利用管理システムにおいて、前記レンズ設計データ利用管理装置は、前記レンズ設計データ各々について、前記加工許可応答で許可をした加工回数の累積加工回数を算出する累積加工回数算出部を備え、前記加工可否決定部は、前記累積加工回数算出部が算出した前記累積加工回数が、予め記憶する最大加工回数を超えない場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可することができる。
上記構成によると、前記レンズ設計データ利用管理システムは、前記レンズ設計データ利用管理装置が、前記累積加工回数を算出するので、前記累積加工回数を適切に管理することができる。
上記のレンズ設計データ利用管理システムにおいて、前記最大加工回数は、20回以下にできる。
上記のレンズ設計データ利用管理システムにおいて、前記レンズ設計データの利用状況に関する情報は、前記加工許可応答の最初の応答日時であり、前記加工可否応答部は、前記加工許可応答の最初の応答日時を、初回許可応答日時記憶部に記憶させ、前記加工可否決定部は、前記加工可否確認要求の受信日時が、前記初回許可応答日時記憶部が記憶する前記加工許可応答の最初の応答日時から予め記憶する期間内である場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可することができる。
上記構成によると、前記レンズ設計データ利用管理システムは、前記レンズ設計データ利用管理装置が、前記加工可否確認要求の受信日時が、前記加工許可応答の最初の応答日時から予め記憶する期間内である場合、当該レンズ設計データを用いたレンズの加工を許可するので、レンズ設計データを契約等で定めた期間を超えて不正に利用し、レンズの加工が行われることを防止することができる。
上記のレンズ設計データ利用管理システムにおいて、前記予め記憶する期間は、20日以内にできる。
本発明にかかるいくつかの実施形態において、レンズ形状データを受け取った企業が光学設計元の企業に対して不正にレンズを製造することを抑止することが可能となる。より具体的には、本発明により、使用可能回数を超えてレンズ形状データを使用したレンズ製造を行うことができないようにすることが可能となる。
本発明にかかるいくつかの実施形態において、レンズ設計データ利用管理システムは、レンズ加工管理装置がレンズ設計データを用いてレンズの加工を行う前に、レンズ設計データ利用管理装置がレンズ設計データの利用状況に関する情報に基づき、レンズの加工を許可するか否かを決定し、レンズ加工管理装置が、レンズ設計データ利用管理装置がレンズの加工を許可する決定をした場合に、レンズの加工を行う制御をするので、レンズ設計データの利用状況を適切に管理することができ、当該レンズ設計データを不正に利用してレンズが加工されることを防止することができる。