関連出願
本出願は、2011年9月30日に出願された「ピコセルの上りリンクの干渉の緩和」と題する米国仮出願(仮出願番号61/542、043)に基づく優先権を主張し、ここに引用することによりその全てが本願明細書に組み込まれているものとする。
ここに開示されるシステム及び方法は、概して干渉の緩和に関し、特に、例えばピコセルのような小セルの上りリンクの範囲内でユーザ機器によって引き起こされる干渉を緩和することに関する。
セルラネットワーク又はモバイルネットワークは、大きな地理的エリアに配信されることのできる無線ネットワークである。この地理的エリアは「セル(cells)」に分けられる。通常、各セルは、多くの場合は一定の場所に固定され、LTE(Long Term Evolution)システムのeNB(進化型Node B、evolved Node B)を備えていてもよい、「基地局(base station)」として知られている少なくとも1つの送受信機によって、提供されている。同時に、基地局は、「WWAN(wireless wide area network)」を備えていてもよい。WWANは、Internetとして一般に知られているネットワークの特定の集合体を含んでいてもよい、公衆又は私設のネットワークに通信可能に接続されることもできる。
セルラネットワークは、マクロセル(macrocells)と小セル(small cells)との両方を含んでいてもよい。マクロセルは、高出力のセルラ基地局によって提供される無線カバレッジを提供する。高出力のセルラ基地局は、典型的には数十ワットのパワー出力を持ち、地上に設置されたアンテナ塔、屋上及び他の既存の構造物に、周囲の建造物及び/又は地形をよく見渡せる高さに取り付けられていてもよい。他方で、小セルは、通常は低出力のラジオアクセスノードであり、例えばフェムトセル、ピコセル、及びマイクロセルを含んでいる。マクロセルが数キロメートル以上の範囲を持っていてもよいのに対して、スモールセルは、通常は数キロメートル未満(例えば、田舎に設置した場合)の範囲を持ち、数百メートル以下であること(例えば、都市部では10メートル)もしばしばある。携帯電話事業者(モバイルオペレーター)は、例えば、トラフィックのピーク時間にマクロセルから小セルへトラフィックを振り替えることを行うなどして、自社の提供する通信エリア範囲の拡張及び/又はネットワーク容量の増大のために頻繁に小セルを使用している。
ユーザ機器は、携帯型であっても移動型であってもよく、セルラネットワークを構成するマクロセル及び小セルの基地局と接続を確立するように構成されている。本明細書で使用するように、「ユーザ機器(UE)」の用語は、移動局、移動通信デバイスなど(例えば、スマートホン又は他の無線電話機)、タブレットコンピュータ及び/又はノートパソコン、と同様にデスクトップコンピュータを含むがこれに限定されない、任意のタイプのデバイスを指していても良い。UEと基地局の間に形成された接続は、例えば、符号分割多元接続(CDMA)、世界移動体通信システム(GSM(登録商標))、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、LTE、又は同様のものを用いて確立されていてもよい。UEは、基地局とのこれらの接続を通して、ネットワーク内又はインターネットを含む他の接続されたネットワーク内にある、UE同士及び他の送受信機又は受信機と、音声及び/又はデータ通信を確立することができる。
フェムトセル、ピコセル、及びマイクロセルのような小セルは、大きなマクロセルのサービスエリアの範囲内で動作しヘテロジニアスネットワークを形成していてもよい。かかるネットワークは、マクロセルの全サービスエリアにわたって均一な広帯域サービスを提供することができる。しかし、マクロセル及び小セルが同じ無線キャリアで動作した場合、セル間の同一チャネル干渉が、セルラネットワークのパフォーマンスの低下を引き起こす可能性がある。オペレーターは、マクロセル及び小セルに別々の無線キャリアを割り当てることによってかかる干渉を回避することができるが、このことはキャリアの利用効率に影響を与える可能性があり、かかる割り当てを行うために、オペレーターが利用可能なスペクトル量が大きく制限されるおそれがある。
マクロセルによってサービス提供されているUE(マクロセルUE)と小セルによってサービス提供されているUE(小セルUE)との間の同一チャネル干渉を緩和する一般的な手法では、1つのキャリアのサブキャリアの一部をマクロセルの中心により近くのサービス提供しているUEに割り当て、他のサブキャリアをマクロセルの端により近くのサービス提供しているUEに割り当てる。小セルUEは、マクロセルの中心により近いマクロセルUEに割り当てられたサブキャリアを使用して、サービスを提供される。幾つかの配置によっては、小セルは、マクロセルの端のUEに割り当てられたサブキャリアを使用していてもよいが、小セルUEの送信電力は制限されている。従って、マクロセルの端により近いマクロセルUEは、小セルUEとは干渉せず、また、マクロセルの中心により近いマクロセルUEは、小セルUEから距離が離れている。マクロセルUEがマクロセルの端近くへ移動してスモールセルに近づいた場合は、マクロセルUEからの測定報告が、マクロセルに対して、マクロセルの端に近いマクロセルUEに割り当てたサブキャリアをUEのリソースとして指定することを制限するように働きかけることができる。
同じような方法で、オペレーターは、マクロセル及び小セルのサービスエリアの範囲内で複数のキャリアを展開し、かかるキャリアの使用を動的に制御してスペクトル効率を増大させることを望むことができる。1つ又は複数のキャリアをマクロセルの中心に近いマクロセルUE及び小セルUEに割り当て、異なるキャリアをマクロセルのサービスエリアの端に近くかつ小セルに近いマクロセルUEに割り当てることで、干渉を制御することができる。マクロセルUEが、マクロセルの端近く及び小セルの近くに移動した場合は、小セルとの干渉を回避するために、マクロセルUEは、他のマクロセルのキャリア又は小セルへハンドオーバーされることができる。
しかしながら、図1は、マクロセルによってサービス提供されているUEが、正常なハンドオーバーのトリガなしで小セルのオペレーションと干渉してしまう可能性のある状況を示している。図に示すように、小セル130はマクロセル120のサービスエリア122の範囲内で動作しており、不安定な又は均整のとれていない上りリンク及び下りのカバレッジを持つ。具体的には、上りリンク領域132は、小セルがUE110から上りリンク信号を受信することができる領域を示しており、UE110が小セル130から下りリンク信号を受信することのできる領域を示す下りリンク領域134よりも大きなカバレッジを持つ。小セル130は、完全にマクロセル120の領域122の範囲内で動作するものとして示されているが、干渉の状況についての以下の記載は、小セル130の上りリンク領域132の少なくとも一部がマクロセル120のサービスエリアの範囲内にある任意の事例に対してもあてはまると理解されたい。
マクロセル120及び小セル130は、1つ以上の共通の無線キャリアにおいて動作し、UE110などのマクロセルを利用するUE、及び小セル130を利用するUEは、同一チャネル干渉をうける場合がある。例えば、図1に示す状況において、UE110は、最初はマクロセル120によってサービス提供され、小セル130がサービス提供しているUEのために小セル130が利用することのできる少なくとも1つの無線キャリア周波数で動作している。UE110は、プライマリーセル(PCell)かセカンダリーセル(SCell)のどちらかとして、共通のキャリアを指定されていてもよい。UE110は、小セル130の上りリンクのサービスエリアの範囲内であるが、小セル130の下りリンクのサービスエリアの範囲内ではない。言い換えれば、小セル130は、UE110から上りリンク信号を受信できるが、UE110は、小セル130から下りリンク信号を受信できない。その結果、UE110の上りリンク信号は小セルと干渉しているが、UE110は小セル130を検出することができない。
仮に下りリンク及び上りリンクの信号の均衡がとれていた場合、UE110における下りリンク信号の強度は、UE110の測定イベントを引き起こすきっかけとして作用することができる。上りリンクと下りリンクの不均衡がない場合では、UE110は小セル130の下りリンク信号を測定することになる。次に、UE110は、測定情報をマクロセル120に送信する。この測定情報の送信は、通常は、UE110により小セル120において干渉が起こる可能性についてマクロセル120に通知するものとなる。測定情報に基づき、マクロセル120は、とるべき修正措置がもしあれば、決定する。例えば、マクロセル120は、UE110をハンドオーバーして小セル130によってサービス提供されるようにするハンドオーバー手続、又は、別の無線キャリアで引き続きマクロセル120によってサービス提供されるようにするハンドオーバー手続を開始してもよい。
しかしながら、図1に示した状況では、小セル130からの下りリンク信号の強度は、UE110の測定イベントを引き起こすことができるほど十分にはUE110において強くない。従って、マクロセル120は、UE110が小セル130に対する干渉を引き起こしていることに気づかず、そのため、干渉をハンドオーバーのような修正措置によって緩和することができない。小セル130は、例えば、LTE標準のX2インターフェースのような2基地局間の地上波の接続で、上りリンクの干渉をマクロセル120に報告することができる。しかし、仮にマクロセル120が干渉について通知されても、マクロセルは複数のUEにサービス提供することができるものであり、マクロセル120及び小セル130の両方は干渉を引き起こしている特定のUEの識別を知らないため、マクロセル120は修正措置をとることはできない。
したがって、セルラネットワークの動作における無線キャリアの使用を制御するメカニズムが必要である。LTEの仕様は、干渉の制御を支援する幾つかのメカニズムを含んでいる。UEは、サービス提供をしている基地局に対し、隣接するセルの下りリンク信号強度の測定報告を提供することができる。これらは、一般的に、他のセルへハンドオーバーする際の支援としてモバイルシステムにおいて使用されてきた。干渉に対処するために、測定報告の機能は、UEがセルの中心領域内で動作しているのか、あるいは、セルの端の領域で動作しており他のセルに近いのか、を基地局が判断することができるように拡張されてきた。下りリンク信号強度の測定の報告のための新しいトリガは、UEが中心領域とセルの端の領域の境界を超える場合におけるマクロセルの判断を援助するために定義された。しかし、これらのトリガは、隣接する基地局の下りリンク信号強度の検出及び測定を行うUEに依存しており、また、小セルからの下りリンクの干渉を制御する一般的な手法は、小セルの下りリンクの送信電力を減少させることであり、図1に示すように、小セルのサービスエリア内において上りリンク及び下りリンクの間に起こりうる不均衡の一例となっている。
LTEの仕様に備えられている干渉の制御を支援する他のメカニズムには、上りリンク(UL)のHigh Interference Indication(HII)がある。このパラメータは、セルの端近くのUEに対するリソースの指定に割り当てられているサブキャリアの割り当てについて、基地局が他の基地局に対して知らせるために使用されていてもよい。このパラメータを受信した基地局は、これらのリソースを自局がサービス提供しているUEに指定することを回避するべき、又は、これらのリソースを低電力で送信しているUEに対してのみ指定するべきである。干渉を制御する他のLTEのメカニズムには、上りリンクInterference Overload Indication(OI)パラメータがある。このパラメータは、基地局の間で交換されてもよい。このパラメータは、上りリンク干渉がある特定のサブキャリアが特定のキャリアとして識別されており、上りリンク干渉の測定が一定期間について平均化されており、上りリンク干渉が受信している基地局のセルの1つによっておそらく引き起こされている、送信している基地局のセルの1つに関する上りリンク干渉情報を提供する。幾つかの実施形態では、OIは、他の基地局のセルの上りリンク干渉のレベルが閾値を超過しているような、基地局のHIIパラメータにより決定づけられている干渉の水準が合致しない場合において、基地局に知らせるためにHIIと連動して使用されてもよい。1つの例示的な事例として、小セルが、セル中心のマクロセルUEと同じ周波数リソースで動作しており、1つ以上のマクロセルUEが小セルに対して過度の上りリンク干渉を引き起こしている場合がある。小セルは、OIパラメータを使用してこの干渉をマクロセルへ報告することができ、マクロセルは、マクロセルのセル中心とセル端の領域間の境界を変えてもよい。他の例示的な例として、小セルが、マクロセルがセル中心のUEに割り当てた周波数リソースにおけるUEに対して、より低電力のUL送信を指定し、これらの小セルUEがマクロセルに対して過度の上りリンク干渉を引き起こしている場合がある。マクロセルの基地局は、小セルにOIパラメータを送信してもよく、小セルは、これらの周波数リソースに送信しているUEの送信電力を減少させてもよい。
基地局が、一定期間にわたる過度の干渉のあるサブキャリアの特定及び報告を含む上りリンク干渉情報を交換する、これらの現行メカニズムは、図1に示す状況における上りリンク干渉の報告及び解決には効果的ではない。具体的には、図示された状況において、小セルに対して干渉を引き起こしているマクロセルUEを特定する必要がある。マクロセルUEは、指定がされた際の無線状況に応じて、各送信に対して異なる上りリンクのサブキャリアを指定されてもよい。したがって、干渉がおきているサブキャリアの特定は、干渉しているUEの特定には役立たない。さらに、マクロセルUEによって引き起こされた小セルの上りリンク干渉は、OI報告を始動させるための基準を満たさない可能性があるが、さらに小セルに対して重大な干渉を引き起こす可能性がある。基地局間で交換されることができる、新しい上りリンクの干渉インジケータが必要とされている。
したがって、マクロセルによってサービス提供されているUEによって引き起こされた、小セルの上りリンクの干渉を緩和するためのシステム及び方法について開示する。具体的には、一実施形態において、マクロセルのユーザデバイスが小セルの下りリンクを検出及び報告することができず、その結果として、マクロセルが小セルの下りリンクの報告から干渉しているマクロセルUEを特定することができない状況を引き起こしている、上りリンクと下りリンクの不均衡が小セルのカバレッジに存在する場合において、小セルのユーザデバイスに対して上りリンク干渉を引き起こしているマクロセルのユーザデバイスを特定するシステム及び方法を開示する。
一実施形態において、干渉しているマクロセルのユーザデバイスを特定する方法について開示する。該方法は、セルラネットワークの第1の基地局が、第2の基地局が少なくとも1つの干渉するユーザデバイスから上りリンクの干渉をうけていることの通知を含む、干渉を通知するメッセージを前記第2の基地局から受信することと、UEが前記小セルにプリアンブルを送信することのできる時間枠及び物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)に割り当てられた周波数リソースを含む、前記第2の基地局のPRACHの設定を受信することと、前記第2の基地局からのプリアンブルのリスト及びマクロセルUEによるプリアンブルの前記送信のための関連する時間枠を受信することと、前記第1の基地局によってサービス提供されている複数のユーザデバイスの各々もしくは部分集合に対して、受信したプリアンブルと送信の時間枠を前記ユーザデバイスに指定し、前記指定したプリアンブルを該ユーザデバイスに送信し、前記第2の基地局のPRACHが使用した前記リソースについて指定されたプリアンブルの送信を各ユーザデバイスに指示することと、前記第2の基地局がマクロセルのユーザデバイスから受信した1つ以上のプリアンブルを含むプリアンブルのリストを前記第2の基地局から受信することと、該プリアンブルのリストに基づいて少なくとも1つの干渉するユーザデバイスを特定することとを含む。
付加的な実施形態において、干渉しているマクロセルのユーザデバイスを特定するシステムを開示する。該システムは、第2の基地局が少なくとも1つの干渉するユーザデバイスから上りリンクの干渉をうけていることの通知を含む干渉を通知するメッセージを前記第2の基地局から受信し、前記第2の基地局からのプリアンブルのリスト及び該第2の基地局の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)についての情報を受信し、前記第1の基地局によってサービス提供されている複数のユーザデバイスの各々もしくは部分集合に対して、受信したプリアンブルを前記ユーザデバイスに指定し、該指定したプリアンブルを該ユーザデバイスに送信し、前記第2の基地局のPRACHが使用した前記リソースについて指定されたプリアンブルの送信を各ユーザデバイスに指示し、前記第2の基地局においてマクロセルのユーザデバイスから受信された1つ以上のプリアンブルを含むプリアンブルのリストを前記第2の基地局から受信し、該プリアンブルのリストに基づいて少なくとも1つの干渉するユーザデバイスを特定するように構成されている第1の基地局を含む。
構造及び動作の両方に関する、本発明の詳細は、参照符号が部品に対応する以下の添付図面の観察から、ある程度得ることができる。
図1は、UEが小セルの上りリンクチャネルにおいて干渉を引き起こしている状況を示している。
図2は、実施形態における、干渉しているUEを特定する方法のためのシグナル伝達を示している。
図3は、マクロセル及び小セルに関するUEのタイミングアドバンスにおける相違を示している。
図4は、実施形態における、タイミングアドバンス調整を示している。
図5は、記載されている状況における、マクロセル、小セル及びUEの関係を示している。
図6は、実施形態における、伝搬遅延のある、マクロセル及び小セルの上りリンクのサブフレームの例を示している。
図7は、本明細書において記載されている様々な実施形態に関連して使用されてもよい、デバイスの例を示している。
詳細な説明
一実施形態において、開示されているシステム及び方法は、マクロセル及び小セルが協働して干渉するUEを特定する手段を提供する。高いレベルでは、マクロセルは、1つ以上の干渉する可能性のあるUEから小セルに向けて、例えば、小セルの上りリンク制御チャネル及び/又は上りリンクデータチャネルで、プリアンブルのような情報の送信を開始する。この送信の結果は、小セルからマクロセルへ伝えられることが可能であり、干渉するUEの特定のためにマクロセルによって使用されることが可能である。本明細書では、システム及び方法は、マクロセル及び小セルに関連して記述されるが、開示されているシステム及び方法は、1つ以上のセルが不均衡な上りリンク及び下りリンクのサービスエリアをもつ、重複するセルの任意のペア(例えば、マクロセル及びマクロセルの組み合わせ、ならびに小セル及び小セル)に適用可能である。また、これらのシステム及び方法は、セルのペアに限定されるものではなく、任意の数の重複するセル(例えば、3つ以上)で利用されてもよいことは理解されるべきである。
LTEのPRACHにおけるプリアンブルの使用の概略
LTE方式のような携帯電話システムにおいて、UEは、同期されていない基地局にアクセスしようと試みるときはいつでも、物理非同期ランダムアクセス(RA)手続を行う。UEは、電源をオンにして待機モードから接続モードへの移行の時に、隣接する基地局間でハンドオーバーされる手続、基地局からの物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)の指示を受信する手続、などの手続を行ってもよい。一般に、LTE方式において、UEは、eNBと非同期の場合はいつも、RA手続を使用しているeNBにだけアクセスすることができる。
RA手続の第1のステップは、UEが、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)においてプリアンブルを送信することである。プリアンブルは、LTEの物理レイヤの仕様で定義されているシーケンスのセル仕様のセットから選択されたシーケンス(例えば、バイナリシーケンス)である。プリアンブルのシーケンスは、一般に、隣接するセルによる同じプリアンブルの使用を防ぐために、隣接するセルの間で区分化され又は割り当てられている。プリアンブルは、UEがまだ上りリンク信号を新しい基地局に同期させていない場合でも、検出を促進するように設計されている。プリアンブルの送信により、eNBは、UEとeNBの間の伝搬遅延を決定することが可能になる。その後、eNBは、UEに、伝搬遅延を補償するためにUEは上りリンク送信を何時開始するべきかを通知するタイミングアドバンス値を供給する。主に本明細書においてプリアンブルはLTE方式との関連で議論されるが、他の方式でもプリアンブルを同一又は類似の様式で使用することを理解されたい。したがって、開示されているシステム及び方法は、当業者によって、任意のそのような方式に容易に適応させることができる。
プリアンブルは、コンテンションレス手続(ノンコンテンションベースド手続としても知られる)又はコンテンションベースド手続において使用されていてもよい。コンテンションレス手続では、UEは、アクセスされている基地局から固有のプリアンブルを指定される。指定されたプリアンブルは、他の指定されたプリアンブルとは異なる固有のものである。したがって、UEは、同じプリアンブルを利用する他のUEと争うことなく、固有なプリアンブルを使用して基地局にアクセスすることができる。対照的に、コンテンションベースド手続では、2つのUEが同じプリアンブルを利用する可能性がある。したがって、手続は、別個の2つのUEによる同一プリアンブルの使用によって引き起こされるコンフリクトの解決ができなければならない。かかるコンフリクトの解消手段は、当技術分野でよく知られており、本明細書では詳細に議論しない。
PRACHでのプリアンブルの送信は、UE及びeNBが上りリンクチャネルで同期されていない場合における検出確率を高め、伝搬遅延の検出を促進するように設計されている。LTE方式では、PRACHの継続時間は一般に1乃至3ミリ秒である。この継続時間は、タイミングの不確実性及び様々な量の遅延を扱う多重のフォーマットを処理するガードタイム期間、並びに、UEとeNB間の周波数オフセットを処理する手段を含んでいてもよい。
干渉するユーザデバイスの特定
図2は、一実施形態における、1つ以上の干渉するUEを特定するプロセスのための信号伝達の図である。上述のとおり、小セル130は、例えばマクロセル120及び小セル130の両方によって利用されている無線キャリアにおける、1つ以上の特定されていないUEからの干渉を検出する。小セルは、フェムトセル、ピコセル、マイクロセル、あるいは、上りリンクのサービスエリア132がマクロセル120のサービスエリア122と重複する他のタイプのセル(マクロセルを含む)であってもよい。
t1の時に、小セル130は、マクロセル120に干渉に関して通知してもよい。例えば、この通知は、小セル130及びマクロセル120の2つの基地局間の地上接続で供給されてもよい。LTE標準のX2インターフェースは、このような通知に利用されることのできる接続の1つであり、同様に、本明細書で議論されているマクロセル120及び小セル130間の他の通信に利用されてもよい。しかしながら、マクロセル120及び小セル130の間の通信の、代替の又は付加的方法が可能であることを理解されたい。マクロセル120及び小セル130の間で使用される通信の特定の方法は、開示されている実施形態に不可欠なものではなく、適切な通信方法は当技術分野でよく知られている。よって、かかる方法について本明細書では詳細に議論しない。
一実施形態において、小セル基地局は、前記マクロセル基地局に、特定のキャリアに関する上りリンク干渉通知を提供する。この干渉通知は、干渉が検出された後できる限り速やかに送信されてもよい。この干渉通知は、キャリアの特定のサブキャリアに関連づけられることはできず、干渉通知は、干渉のパワーレベルの通知を含むことはできない。一例として、上りリンク干渉通知は、1つのキャリアに対するシングルビットの情報を含んでいてもよいが、これに限定されるものではない。
t2の時に、マクロセル120は、小セル130に応答してもよい。応答は、干渉しているUEをマクロセル120が知らないことの通知を含んでいてもよい。代替の実施形態において、この応答は省略されることができる。
t3の時に、小セル130は、アクセス情報をマクロセル120に伝える。このアクセス情報により、UEは、小セル130の上りリンク制御チャネル及び/又は上りリンクデータチャネル(例えば、PRACH)で小セル130にアクセスすることが可能になる。一実施形態において、アクセス情報は、1つ以上のプリアンブルあるいは1つ以上のプリアンブルの特定(例えば、インデックス及び/もしくはアルゴリズム又は、マクロセル120がプリアンブル自体の決定に適用してもよい他のデータ)を含む。アクセス情報は、PRACHの設定情報、時間枠の情報、サブキャリア情報、周波数情報などのような、小セル130に使用される無線リソースをさらに特定してもよい。
コンテンションレスプリアンブルを使用する実施形態において、多重プリアンブルの各々は、他の多重プリアンブルとは異なる固有のものであることができる。プリアンブルは、アルゴリズム又はシーケンスのような既知の技術を用いて、小セル130によって決定されてもよい。マクロセル120に伝えられ又は特定されたプリアンブルの数(例えば、10,25,50,100)は、所定のシステム構成であってもよく、マクロセル120及び/又は小セル130によって(例えば、アルゴリズムに従って)決定されてもよい。例えば、マクロセル120から小セル130へt2の時に送られる応答は、マクロセル120が要求するプリアンブルの数の識別を含んでいてもよい。
t4の時に、マクロセル120は、干渉しているUEの特定を促進するための1つ以上の措置を行ってもよい。例えば、マクロセルは、第一に、小セル130に干渉する見込みが最も高い1つ以上の疑わしいUEのリストを生成するための、マクロセル120によってサービス提供されているUEのリストの絞り込みを試みてもよい。一実施形態において、マクロセル120は、UEが小セル130と干渉する可能性があることを示す1つ以上の基準(例えば、位置)を満たしているUEのみを選択してもよい。例示的実施例として、マクロセルによる干渉する見込みのあるマクロセルUEの選択は、サービス提供されているUEからの報告よりマクロセル基地局120が収集した保存情報、ならびに、マクロセル120に近い他の基地局であって小セル130を含む基地局から受信した情報にも基づいていてもよい。例えば、マクロセル基地局120と他の基地局の間の接続が確立されたときに、隣接セルの情報は、小セル130を含む隣接する基地局によって報告されてもよい。また、マクロセル120は、検出を行って小セル130に測定を提供したマクロセルUEから過去に収集された、保存されたジオメトリ情報を使用してもよい。この情報は、このマクロセルから受信した検出できたセルについての測定報告、マクロセルと共に使用されているタイミングアドバンス、及び/又は他の基地局から受信した干渉報告のような、干渉する可能性のあるマクロセルUEについて分かっている情報と相関していてもよい。マクロセル120は、小セル130から受信したプリアンブル数に等しい、疑わしいUEの所定の最大数を選択するように構成されていてもよい。あるいは、マクロセル120は、マクロセル120によってサービス提供されている全てのUEを、疑わしいUE(すなわち、干渉する可能性のあるUE)として扱ってもよい。しかしながら、サービス提供されているUEのいくつかを考察から取り除くことは、オーバーヘッドを減少させ、効率を高めることができる。
一実施形態において、マクロセル120は、マクロセル120により特定された疑わしいUEのリストに対して、プリアンブルの指定又はマッピングを行う。マクロセル120は、データベース、表、配列、あるいは他のデータ構造を用いて、このマッピングをメモリに保存してもよい。このようにして、マクロセル120は、次に、プリアンブルの識別を用いて検索を行い、特定のプリアンブルに対応するUEを決定する。
一実施形態において、マクロセル120は、また、疑わしいUEのリスト中の各UEについて、タイミングアドバンスあるいはタイミングアドバンス調整を評価する。この評価の手続は、後で図3及び4により詳しく述べられている。
t5の時に、マクロセル120は、疑わしいUEのリスト内の各UEに対して、UEに指定されたプリアンブルを送信する。同一のあるいは別個のメッセージにおいて、マクロセル120は同様に、疑わしいUEのリスト内の各UEに対して、UEについて評価されたタイミングアドバンス情報を送信してもよい。同様に、同一のあるいは別個のメッセージにおいて、マクロセル120は、疑わしいUEの各々に対して、小セル130から受信した追加のアクセス情報のような追加の情報を送信してもよい。このため、疑わしいUEのリスト内の各UEは、プリアンブルを受信し、幾つかの実施形態においては、タイミングアドバンス情報及び/又はアクセス情報を受信することになる。コンテンションレスプリアンブルを利用する実施形態では、これらUEの各々は、他の疑わしいUEの各々によって受信されるプリアンブルとは異なるプリアンブルを受信することになる。上記のように、各UEと、UEに指定され、UEによって受信されるプリアンブルとの間の関連付けは、マクロセル120によって保持されるアサインメントマッピングに保存されてもよい。
PRACHの送信機会を示すt6の時に、マクロセル120からプリアンブルを受信したUEの各々は、上りリンク信号においてプリアンブルを送信する。異なるUEは、異なるPRACH送信機会で送信をしてもよい。マクロセル120が疑わしいUEにアクセス情報を提供する実施形態において、各UEは、アクセス情報において及び/又はアクセス情報に従って定められた小セル130の制御チャネル又はデータチャネルにおいて、プリアンブルを送信してもよい。例えば、UEは、小セルのPRACHにおいて、各自のプリアンブルを送信してもよい。マクロセル120によって評価されて、マクロセル120より受信したように、さらに、UEは、各自のタイミングアドバンス情報に従って、各自のプリアンブルを送信してもよい。
小セル130は、小セル130へのアクセスに成功した、1つ以上の干渉しているUEを含むUEの各々から、プリアンブルを受信することになる。したがって、t7の時に、小セル130は、マクロセルUEから受信したプリアンブルを、マクロセル120へ送信してもよい。t8の時に、マクロセル120は、小セル130からt7の時に受信したプリアンブルに基づいて、保存されているUE及びプリアンブル間のマッピングについて検索を実行する。その結果、マッピングは、受信したプリアンブルに関連づけられている干渉するUEの識別を返す。
一実施形態において、小セル130がサービス提供していないUEからのプリアンブルを小セル130が受信することが可能であるとしても、そのUEが干渉しているUEだと自動的にみなされることはない。むしろ、t7の時又はt7の前後の時に、小セル130は、受信したプリアンブルに加えて、受信したプリアンブルについての各UEの信号強度をマクロセル120へ送信してもよい。すなわち、受信した各プリアンブルについて、小セル130は、プリアンブルの識別及び、プリアンブルの送信が受信された際の信号強度を送信する。よって、マクロセル120は、プリアンブルのセット及び関連した信号強度を受信する。マクロセル120は、その次に、小セル130と干渉している見込みの最も高いUEを決定するために、受信した信号強度のソート又はそうでなければ比較を行うことができる。一実施形態において、最も信号強度が大きいUEが、干渉している見込みの最も高いUEであるとみなされる。したがって、マクロセル120は、最も大きい信号強度に対応するプリアンブルに基づいて、干渉しているUEを特定するために、保存されたマッピングにおける検索を実行してもよい。例えば、仮に小セル130が、上りリンクチャネルにおいて3つのUEが現在干渉を起こしているとマクロセル120に通知した場合は、マクロセル120は、小セル130において最も大きい信号強度をもつ3つのUEを干渉しているUEであると判断してもよい。他の実施形態においては、マクロセル120は、小セル130から受信したプリアンブルの信号強度に基づいて、小セル130が受信するであろうマクロセルUEからのデータチャネル送信の信号強度を評価してもよい。マクロセル120は、それから、データ送信信号強度の測定に基づいて、干渉しているUEを決定することができる。
マクロセル120が、一旦、干渉しているUEを特定すると、マクロ120は、小セル130への干渉を緩和するための1つ以上の修正措置を選択及び実行してもよい。例えば、修正措置は、干渉しているUEを小セル130にサービス提供されるようにハンドオーバーすることを含んでいてもよい。他の例として、修正措置は、干渉しているUEをマクロセル120が運用する別の無線キャリアへハンドオーバーすることを含んでいてもよい。かかるハンドオーバーの手法は、当技術分野でよく知られており、従って、本明細書では詳細に記述しない。
タイミングアドバンスの評価
LTEのような移動通信システムにおける上りリンク送信において、UEは、UEとUEが通信を試みている基地局との間の送信又は伝搬の遅延を補償しなければならない。そうでなければ、UEからの送信は、適切な時、すなわち、基地局が受信を期待しそれ故に送信を探している時に、基地局に到達しないことになる。したがって、UEは、UE及びUEと通信している基地局の間の送信遅延を知っていなければならない。この時間補償は、「タイミングアドバンス」と呼ばれており、上りリンクのタイミングアドバンスの決定は、「同期(シンクロナイゼーション)」と呼ばれている。
典型的には、UEが新しい基地局にアクセスした場合、UEは、第1に、下りリンク制御信号を用いて基地局の下りリンクチャネルと同期し、それから新しい基地局へプリアンブルを送信する。しかし、UEから基地局への送信遅延がまだわかっていないため、UEが新しい基地局へ最初に上りリンクチャネルでプリアンブルを送信するときは、UEは基地局の上りリンクチャネルとまだ同期していない。このため、プリアンブルの送信は、タイミングの不確実性を許容するためのギャップを含んでいる。基地局が、一旦、UEから送信を受信すれば、基地局は、プリアンブルを検出して、UEに対して必要なタイミングアドバンスを決定することができる。その後、基地局は、無線の信号伝達を用いてタイミングアドバンスをUEへ送信する。従って、UEは、基地局からタイミングアドバンスについて通知される。
しかし、図1に示す状況では、マクロセルUE110が小セル130へアクセスを試みた場合、この従来の同期手続は、マクロセルUE110と小セル130との間では不可能である。具体的には、UE110は、小セル130の下りリンクのカバレッジエリア134の範囲内ではない。そのため、UE110は、小セル130の下りリンクチャネルと同期する機会がなく、上りリンク送信を送信するための最初の基準点ももたない。従って、UE110は、小セル130への上りリンク送信のために必要なタイミングアドバンスを知らない。
UE110は、伝搬遅延の違いのために小セル130に必要なタイミングアドバンスとは異なっている、マクロセル120のために必要なタイミングアドバンスのみを持つ。図3は、マクロセル120及び小セル130に必要なタイミングアドバンスの違いを示す。単純な実施形態においては、マクロセル120は、UE110と小セル130の間で必要なタイミングアドバンスが、UE110とマクロセル120の間のものと同じであるとみなすことができる。しかし、図示するように、タイミングアドバンスは、一般的に距離に比例する。そのため、UE110がマクロセル120及び小セル130から等距離の場所にある場合でない限り、必要なタイミングアドバンスは、恐らく一致しないであろう。
さらに、図5に示すように、マクロセルUE110は、マクロセル120よりも小セル130に近い可能性が最も高い。したがって、図6のように、マクロセルUE110が使用しているマクロセルタイミングアドバンスは、マクロセルUE110及び小セル130の間の伝搬遅延よりも大きい可能性がある。そのため、対象とする小セルPRACHのサブフレームの開始よりも前に、マクロセルタイミングアドバンスに基づくマクロセルUE110の送信が到達することがある。このことは、RA手続が対象とするサブフレームから遅延している(すなわち、対象とするサブフレームの前よりもむしろ、対象とするサブフレームの開始の後に受信される)プリアンブル送信を検出するように設計されているために、プリアンブルの検出をより困難にする。一実施形態において、マクロセル120は、プリアンブルを送信する前に、マクロセルUE110のタイミングアドバンスをゼロに設定する。この場合において、マクロセル及び小セルのフレーム及びサブフレームが同期されているときは、マクロセルのプリアンブル送信は、対象とするサブフレームの開始後に小セル130によって受信されることになる。
一実施形態において、マクロセル120は、UE110及び小セル130の間の通信のために、タイミングアドバンスを(例えば、図2におけるt4の時に)評価する。この評価を実行するために、マクロセル120は、小セル130の位置情報を取得してもよい。例えば、マクロセル120は、小セル130から小セル130の位置を受信してもよい(例えば、LTE方式のX2インターフェース経由で)。あるいは、小セル130の位置は、運用保守(OAM:Operations and Maintenance)システムから受信され、マクロセル120のメモリに保存されていてもよい。小セル130の位置情報に基づいて、マクロセル120は、マクロセル120自身と小セル130との間の距離を計算する。あるいは、距離の計算が必要ではない場合において、マクロセル120及び小セル130の間の距離は、OAMシステムから受信され、マクロセル120のメモリに保存されてもよい。マクロセル120は、その後、マクロセル120及び小セル130の間の距離を、マクロセル120及び小セル130の間の送信遅延又は伝搬遅延の推定値に変換する。例えば、距離は、表あるいはアルゴリズムを用いて伝搬遅延に変換されてもよい。一実施形態において、マクロセル120は、干渉している可能性のあるUE(例えば、UE110)が小セル130のカバレッジエリアの端近くであるとみなす。小セル130へのマクロセルUEのプリアンブル送信に適したタイミングアドバンスは、セル間の距離と、マクロセルUE及びマクロセル120の間で使用されているタイミングアドバンスとに基づいて決定されることができる。例えば、仮にマクロセル及び小セルのフレーム及びサブフレームが同期されており、マクロセル120、マクロセルUE及び小セル130が互いに空間的に調整されている場合、マクロセル120は、セル間の距離に関連する伝搬時間及び現在のタイミングアドバンスを差し引くことで、タイミングアドバンスを決定することができる。伝搬時間は、セル間の距離に光の速度を乗じることで決定される。図5に示すように、マクロセルUEは、小セル130のカバレッジエリアの端に位置しているとみなされるため、このタイミングアドバンス値は、小セル130の最大のカバレッジ半径を意味する。LTE方式においては、UEが新しいセルに最初にアクセスしたときに、絶対的なタイミングアドバンス値がUEに提供される。続いて、タイミングアドバンス調整がUEに提供される。タイミングアドバンス調整は、セル間の距離に関連する伝搬時間及び現在のタイミングアドバンスを差し引いて、次いで、この値をUEが使用している現在のタイミングアドバンスから差し引くことによって、求められることができる。
同様に、マクロセル120は、小セル130の最大セルサイズを取得してもよい。例えば、マクロセル120は、小セル130の最大セルサイズを小セル130から受け取ってもよい(例えば、LTE方式のX2インターフェース経由で)。あるいは、小セル130の最大セルサイズは、OAMシステムから受け取られ、マクロセル120のメモリに保存されてもよい。一実施形態において、マクロセル120は、干渉している可能性のあるUE(例えば、UE110)が小セル130のカバレッジエリアの端近くにあるとみなす。小セル130へのマクロセルUEのプリアンブル送信に適したタイミングアドバンスは、小セル130の最大サイズ並びに、マクロセルUE及びマクロセル120の間で使用されているタイミングアドバンスに基づいて決定されることができる。例えば、仮にマクロセル及び小セルのフレーム及びサブフレームが同期されており、マクロセル120、マクロセルUE及び小セル130が互いに空間的に調整されている場合、マクロセル120は、小セルの最大セル半径を新しいタイミングアドバンス値として使用できる。タイミングアドバンス調整値は、マクロセルUEの現在のタイミングアドバンスから小セルの最大セル半径を差し引くことによって取得されることができる。マクロセル及び小セルのフレーム及びサブフレームが同期されていない場合では、基地局は、同期情報の交換することによって、又はOAMシステムから受信した情報によって、それらのタイミングの相違を判断してもよい。その後、この判断されたタイミングの相違を補償するために、マクロセルUEのプリアンブル送信のためのタイミングアドバンスの評価は、調節されてもよい。もちろん、UEは、小セル130の端付近のどこに位置していてもよい。従って、付加的なもしくは代替の実施形態において、UEは、小セル130に対するUEのより正確な位置を決定するために、従来技術を利用してもよい(例えば、全地球測位システム(GPS)情報、三角測量)。
小セル130の位置及び干渉する可能性のあるUEの位置の評価、並びにマクロセル120に対するUEの位置の評価を用いて、マクロセル120は、UE及び小セル130の間の通信に必要な、タイミングアドバンス又はタイミングアドバンス調整を評価することができる。
例えば、図4乃至6に示すように、UE110及びマクロセル120の間で必要なタイミングアドバンスは、UE110及び小セル130の間で必要なタイミングアドバンスよりも一般に大きい。図3に描かれているように、このことは、UE110がマクロセル120よりも小セル130に近いときの一般的な状況であろう。マクロセル120が、評価されたタイミングアドバンス又はタイミングアドバンス調整を一旦計算すれば、このタイミングアドバンス情報は、干渉する可能性のあるUEであってその情報について計算がなされたものへ送信されることができる(例えば、図2のt5の時に)。タイミングアドバンス情報は、UEが小セル130への送信を行うのに必要なタイミングアドバンス、あるいは、UEが小セル130への送信のために必要なタイミングアドバンスを取得するためにUEがマクロセル120へ送信するために必要なタイミングアドバンスに適用されることのできるタイミングアドバンス調整を含んでいてもよいと理解されるべきである。例えば、図4に示すように、UE及び小セル130の間の送信のためのタイミングアドバンスは、UE及びマクロセル120の間の送信のためのタイミングアドバンスよりも短い。したがって、この場合、タイミングアドバンス調整は、UEと小セル130の間の送信のためのタイミングアドバンスを得るために、UE及びマクロセル120の間の送信のためのタイミングアドバンスから差し引かれることのできる値を含んでいることになる。
デバイス例
図7は、本明細書で記述されている様々な実施例と関連して使用されてもよい、有線あるいは無線のシステム550の例を示すブロック図である。例えば、システム550は、UE110のようなUE、並びに/又は、マクロセル120及び/もしくは小セル130のような基地局として、あるいは連動して使用されてもよい。システム550は、従来のパーソナルコンピュータ、コンピュータサーバー、パーソナルデジタルアシスタント、スマートフォン、タブレットコンピュータ、車両用ナビゲーション及び/もしくは車両制御システム、基地局コントローラ、又は有線もしくは無線のデータ通信をすることのできる、プロセッサ使用可能な他の任意のデバイスであってもよい。当業者にとって明らかであるように、他のコンピュータシステム及び/又はアーキテクチャも使用されてもよい。
システム550は、プロセッサ560のようなプロセッサを1つ以上含むことが好ましい。入/出力を処理する補助プロセッサ、浮動小数点数学演算を実行する補助プロセッサ、信号処理アルゴリズムの迅速な実行に適したアーキテクチャを有する特殊用途のマイクロプロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)、メインの処理システムに従属するスレーブプロセッサ(例えば、バックエンドプロセッサ)、デュアルもしくはマルチプルのプロセッサシステムのための付加的なマイクロプロセッサもしくはコントローラ、又はコプロセッサのような付加的なプロセッサが設けられていてもよい。かかる補助プロセッサは、個別のプロセッサであっても、あるいは、プロセッサ560と一体化されていてもよい。
プロセッサ560は、コミュニケーションバス555に接続されていることが好ましい。コミュニケーションバス555は、記録装置とシステム550の他の周辺構成要素との間の情報転送を促進するためのデータチャネルを含んでいてもよい。コミュニケーションバス555は、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス(図示せず)を含む、プロセッサ560との通信に使用される信号のセットをさらに提供してもよい。コミュニケーションバス555は、例えば、業界標準アーキテクチャ(ISA)、拡張業界標準アーキテクチャ(EISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)ローカルバス、又は、IEEE 488汎用インターフェースバス(GPIB)やIEEE 696/S−100などを含む電気電子技術者協会(IEEE)から公布された標準に準拠しているバスアーキテクチャのような、標準又は非標準の任意のバスアーキテクチャを含んでいてもよい。
システム550は、メインメモリ565を含んでいることが好ましく、さらに二次メモリ570を含んでいてもよい。メインメモリ565は、上述のオーバーレイモジュール及び/又は手書き文字認識モジュールのような、プロセッサ560上で実行するプログラムに対して、命令及びデータの記録を提供する。メインメモリ565は、典型的には、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)及び/又は静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)などの半導体ベースのメモリである。他の半導体ベースのメモリタイプとしては、例えば、同期動的ランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ランバス動的ランダムアクセスメモリ(RDRAM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM)等を含み、読み出し専用メモリ(ROM)を含む。
二次メモリ570は、内部メモリ575及び/又は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、コンパクトディスク(CD)ドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの取り外し可能な媒体580を任意選択として含んでいてもよい。取り外し可能な媒体580は、よく知られた方法で、読み取り及び/又は書き込みが行われる。取り外し可能な記録媒体580は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD、DVD、SDカードなどであってもよい。
取り外し可能な記録媒体580は、コンピュータが実行可能なコード(例えば、ソフトウェア)及び/又はデータが記録されている、持続的コンピュータ可読媒体である。取り外し可能な記録媒体580に記録されているコンピュータソフトウェア又はデータは、プロセッサ560により実行されるためにシステム550へ読み込まれる。
代替の実施形態では、二次メモリ570は、コンピュータプログラムあるいは他のデータあるいは命令がシステム550へロードされることを可能にするための他の同様の手段を含んでいてもよい。かかる手段は、例えば、外付けの記録媒体595及びインターフェース590を含んでいてもよい。外付けの記録媒体595の例には、外付けハードディスクドライブあるいは外付け光学式ドライブ、あるいは及び外付け光磁気ドライブを含んでいてもよい。
二次メモリ570の他の例には、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、あるいはフラッシュメモリ(EEPROMに類似したブロック指向のメモリ)などの半導体ベースのメモリを含んでいてもよい。また、ソフトウェア及びデータが、外付け媒体595からシステム550へ転送されることを可能にする、他の任意の取り外し可能な記録媒体580及び通信インターフェース590が含まれていてもよい。
通信インターフェース590は、システム550と外付けデバイス(例えば、プリンタ)、ネットワーク、あるいは情報ソースとの間で、ソフトウェア及びデータが転送されることを可能にする。例えば、コンピュータソフトウェアあるいは実行可能なコードは、ネットワークサーバからシステム550へ通信インターフェース590経由で転送されてもよい。通信インターフェース590の例には、数例を挙げると、モデム、ネットワークインターフェースカード(NIC)、無線データカード、通信ポート、PCMCIAスロット及びカード、赤外線インターフェース、並びにIEEE 1394ファイアワイヤを含む。
通信インターフェース590は、イーサネット(登録商標)IEEE802標準、ファイバチャネル、デジタル加入者回線(DSL)、非同期デジタル加入者回線(ADSL)、フレームリレー、非同期転送モード(ATM)、総合デジタル通信網(ISDN)、パーソナル通信サービス(PCS)、転送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、シリアル回線インターネットプロトコル/ポイントツーポイントプロトコル(SLIP/PPP)等のような、産業界で公表されているプロトコル標準を実装していることが好ましいが、なお同様に、専用のあるいは非標準のインターフェースプロトコルを実装していてもよい。
通信インターフェース590経由で転送されるソフトウェア及びデータは、一般的に、電気通信信号605の形式である。これらの信号605は、通信チャネル600経由で通信インターフェース590へ提供されることが好ましい。一実施形態において、通信チャネル600は、有線もしくは無線のネットワーク、又は任意の種類の他の通信回線であってもよい。通信チャネル600は、信号605を伝える。通信チャネル600は、数例を挙げれば、ワイヤもしくはケーブルを含むさまざまな有線あるいは無線の通信手段、光ファイバ、従来型の電話回線、携帯電話リンク、無線データ通信リンク、無線周波数(RF)リンク、又は赤外線リンクを用いて実装されていてもよい。
コンピュータが実行可能なコード(すなわち、コンピュータプログラム又はソフトウェア)は、メインメモリ565及び/又は二次メモリ570に格納されている。コンピュータプログラムは、通信インターフェース590経由で受信され、メインメモリ565及び/又は二次メモリ570に格納されることも可能である。すでに述べたように、かかるコンピュータプログラムは、実行されたときに、システム550が本発明のさまざまな機能を実行することを可能にする。
この明細書では、用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータが実行可能なコード(例えば、ソフトウェア及びコンピュータプログラム)をシステム550に提供するために使用される、任意の持続的コンピュータ可読記録媒体について言及するために用いられている。これら媒体の例には、メインメモリ565、二次メモリ570(内部メモリ575、取り外し可能な媒体580、及び外付け記録媒体595を含む)、並びに通信インターフェース590と通信可能に接続された周辺機器デバイス(ネットワーク情報サーバあるいは他のネットワークデバイスを含む)を含む。これらの持続的コンピュータ可読媒体は、実行可能なコード、プログラミング命令、及びソフトウェアをシステム550へ提供する手段である。
ソフトウェアを用いて実装されている実施形態において、ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体に格納され、取り外し可能な媒体580、入出力インターフェース585又は通信インターフェース590を経由してシステム550へロードされていてもよい。かかる実施形態では、ソフトウェアは、電気通信信号605の形式でシステム550へロードされる。ソフトウェアは、プロセッサ560によって実行されたときに、本明細書においてこれまでに記載された発明の特徴及び機能をプロセッサ560に実行させることが好ましい。
システム550は、また、音声及びデータネットワークの無線通信を促進する、任意選択の無線通信構成要素も含む。無線通信構成要素には、アンテナシステム610、無線システム615及びベースバンドシステム620を含む。システム550において、無線周波数(RF)信号は、無線システム615に管理されているアンテナシステム610によって、無線で送信及び受信される。
一実施形態において、アンテナシステム610は、1つ以上のアンテナ及び、アンテナシステム610に送信及び受信の信号経路を提供する切り替え機能を実行する、1つ以上のマルチプレクサ(図示せず)を備えていてもよい。受信経路において、受信されたRF信号は、受信したRF信号を増幅して増幅した信号を無線システム615へ送信する低雑音増幅器(図示せず)へ、マルチプレクサから結合されることができる。
代替の実施形態では、無線システム615は、様々な周波数で通信するように構成されている、1つ以上の無線機を含んでいてもよい。一実施形態では、無線システム615は、復調器(図示せず)及び変調器(図示せず)を1つの集積回路(IC)内で組合せていてもよい。また、復調器及び変調器は、別個の構成要素であってもよい。往路において、復調器は、無線システム615からベースバンドシステム620へ送信されるベースバンド受信音声信号を残して、RFキャリア信号を取り除く。
仮に受信された信号が音声情報を含んでいる場合、ベースバンドシステム620は、その後、信号をデコードし、アナログ信号へ変換する。そして、信号は増幅され、スピーカーへ送られる。ベースバンドシステム620は、また、マイクロホンからアナログ音声信号も受信する。これらアナログ音声信号は、ベースバンドシステム620によって、デジタル信号に変換され、エンコードされる。ベースバンドシステム620は、また、送信用にデジタル信号をコーディングし、無線システム615の一部である変調器へ送られるベースバンド送信音声信号を生成する。変調器は、ベースバンド送信音声信号をRFキャリア信号と混合し、RF送信信号を生成する。RF送信信号は、アンテナシステムへ送られ、パワーアンプ(図示せず)を通過してもよい。パワーアンプは、RF送信信号を増幅し、送信用のアンテナポートへ信号が切り替えられるアンテナシステム610へ増幅した信号を送る。
ベースバンドシステム620は、プロセッサ560と通信可能に接続されてもいる。中央処理ユニット560は、データ記録領域565及び570にアクセスを行っている。中央処理ユニット560は、メモリ565又は二次メモリ570に記録されることのできる命令(すなわち、コンピュータプログラム又はソフトウェア)を実行するように構成されていることが好ましい。コンピュータプログラムは、ベースバンドプロセッサ610から受信されてデータ記録領域565もしくは二次メモリ570に記録されることもでき、又は、受信次第実行されることもできる。かかるコンピュータプログラムは、実行されたときに、これまでに記載されているように、本発明の様々な機能をシステム550に実行させることができる。例えば、データ記録領域565及び/又は570は、図2及び3に関してこれまでに記載された様々なソフトウェアモジュール(図示せず)を含んでいてもよい。
様々な実施形態は、主にハードウェアにおいて、例えば、特定用途向け集積回路(ASICs)あるいはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)のような構成要素を用いて実装されていてもよい。本明細書に記載されている機能を実行することができるハードウェアステートマシンの実装もまた、当業者には明らかであろう。また、様々な実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアの両方の組み合わせを用いて実装されていてもよい。
さらに、当業者は、上述の図と本明細書で開示されている実施形態とに関連づけて記載されているさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路及び方法ステップが、電子機器、コンピュータソフトウェア又は両者の組合せとして実現される場合が多いことをよく理解するであろう。ハードウェア並びにソフトウェア、様々な例示的構成要素、ブロック、モジュール、回路及びステップの互換性の分かりやすい説明は、ほとんどの場合その機能性の観点から上述されている。かかる機能性がハードウェア又はソフトウェアのどちらとして実現されるかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課された設計制約に依存する。熟練者は、記載されている機能性を特定のアプリケーションにさまざまな方法で実装することができるが、かかる実装の決定によって、本発明の範囲からの逸脱がおきる解釈されるべきではない。さらに、モジュール、ブロック、回路あるいはステップの範囲内での機能のグループ化は、記述を容易にするためのものである。特定の機能あるいはステップは、1つのモジュール、ブロック又は回路から別のものへ、本発明の範囲から逸脱することなく移されることができる。
また、本明細書で開示されている実施形態と関連づけて記載されているさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール及び方法は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGAもしくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書に記述されている機能を実行するように設計されたものの任意の組合せで、実装あるいは実行されることができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、別の選択として、任意のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。また、プロセッサは、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は他の任意のこのような構成のような、計算装置の組合せとして実現されることもできる。
さらに、本明細書で開示されている実施形態に関して記載されている方法のステップ又はアルゴリズムは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組合せによって、直接具現化可能である。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能なディスク、CD−ROM又はネットワーク記録媒体を含む他の任意の形式の記録媒体に常駐することができる。記録媒体の例としては、記録媒体に対して情報の読み出し及び情報の書き込みができるようなプロセッサに連結されていることができる。また、記録媒体は、プロセッサと一体化することもできる。プロセッサ及び記録媒体はまた、ASICに常駐することができる。
開示された実施形態の上記記載により、当業者は、本発明を作成し又は使用することができる。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者に容易に明らかになるであろう。本明細書で述べた一般的原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されることができる。よって、本明細書に示されている説明及び図面は、本発明の特定の実施形態を示し、そのため、本発明によって広く考えられる主題を表すものであることが理解されるべきである。さらに、本発明の範囲は、当業者にとって明らかであり、本発明の範囲を制限することのない他の実施形態も完全に包含することを理解されたい。