JP6080889B2 - 散水システム、及び散水方法 - Google Patents

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本願発明は、例えば橋梁の床版のように表面積が大きなコンクリートの湿潤養生に関するものであり、より具体的には、養生範囲を分割し、それぞれの範囲について個別に湿潤状態を判断したうえで自動散水する散水システムと散水方法に関するものである。
コンクリートは、水とセメントが反応(水和反応)することによって、時間の経過とともに硬化し、その強度が増していく。ところが、日光の直射による温度上昇や風等による乾燥のため、打ち込み直後のコンクリートからは水分が蒸発しやすい。コンクリートからの水分蒸発は、セメントの水和反応を阻害するうえ、プラスチック収縮ひび割れが生じるなど、その品質に悪影響を与えることとなる。そこで、打ち込み後のコンクリートの湿潤状態を維持する目的で、表面にコンクリート養生マット(以下、単に「養生マット」という。)を敷設し、さらに定期的な散水を行う「湿潤養生」が実施される。
コンクリートの湿潤養生は、日平均気温によっても異なるが、相当期間実施しなければならない。例えば、日平均気温が10℃程度であれば、普通ポルトランドセメントの場合1週間の湿潤養生が必要とされている。つまり、コンクリート打ち込み後、1週間にわたって定期的な散水を実施しなければならないわけである。
コンクリート構造物には、現場打ちの側溝など小規模なものもあれば、トンネルの覆工コンクリートのように比較的規模の大きなものもあり、当然ながらその規模に伴って湿潤養生の作業手間も異なる。特に、橋梁の床版コンクリートのようにコンクリート表面積が大きいと、それに応じて大きな養生マットが必要となり、散水する量も多くなる。特に散水に関しては、所定期間(例えば1週間)、広範囲かつ大量の散水を行うことになるが、従来では人がホース等を用いてこの散水作業を行っていたため、相当な手間と作業コストが掛かっていた。
そこで特許文献1では、トンネル覆工コンクリートの湿潤養生を行うに当たり、赤外線水分センサによってコンクリート表面の湿潤状態を判定し、その判定結果に応じて自動散水を行う技術を提案している。
特開2011−153497号公報
ところで、コンクリートの湿潤養生で自動散水する場合、対象範囲のうち一部を計測して全体の湿潤状態を判定し、この判定に従って全範囲同時に散水するのが一般的であった。自動散水にはポンプなどの送水装置が必要であり、ポンプの吐出能力から時間当たりの散水量には限りがある。したがって、橋梁の床版コンクリートのように広い範囲が対象となる場合、同時散水を行うためには相当数のポンプを設置しなければならない。そして、それぞれのポンプは養生範囲を分けて分担することから、当然ながらポンプは分散して配置することになり、これに伴ってポンプ設置場所ごとに散水するために十分な水量を確保しなければならない。
しかしながら、コンクリート構造物が構築される場所では必ずしも安定的に十分な水量を確保できる水源があるとは限らず、その場合は貯水設備を用意することとなる。つまり、数多くのポンプ及び貯留槽を用意しなければならず、自動化したにもかかわらず相当のコストが掛かることとなる。加えて、電力会社からの受電が困難な場所では充電式のポンプや発電機を使用しなければならず、その場合、湿潤養生を行う期間中は、給水作業のほか充電作業あるいは発電機のための給油作業が不可避となり、ポンプの数が多いほどその作業コストが掛かる。
さらに、養生範囲が広い場合、部分的には散水を要する程度に乾燥していたとしても、他の範囲では十分に湿潤状態を維持していることも考えられる。つまり、一部の湿潤状態(いわば全体を代表する湿潤状態)をもって散水の要否を判定し、その判定に従って全体を同時散水する手法では、不要な範囲まで散水する可能性があるわけである。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、表面積が大きなコンクリート構造物に対して湿潤養生するケースであっても、多数のポンプと貯水設備を必要とすることなく、しかも全体のうち必要とする範囲にのみ的確に散水することができる散水システムと散水方法を提供することにある。
本願発明は、養生範囲を分割した分割領域ごとに湿潤状態を判定し、その判定結果に応じて分割領域ごとに自動散水を行うという従来にはない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の散水システムは、それぞれの分割領域(養生マットが敷設された領域を複数に分割した領域)に対して湿潤状態を維持する散水システムであり、送水装置と、分岐手段、送水管、開閉弁、水分計測手段、そして制御部を備えたものである。このうち送水装置は、ポンプなど水を圧送することができる装置であり、2以上の分岐口を有する分岐手段は、送水装置から送られる水を各分岐口から分岐させるもので、それぞれの分岐口には送水管が連結される。つまり、分岐口の数だけ送水管が用意される。なお、送水管の途中には開閉弁が設けられる。水分計測手段は、養生マットの下に設置され、周辺の湿潤状態を計測することができる。また、制御部は、水分計測手段で得られた計測値に基づいて開閉弁の開閉の要否を判断するとともに、開閉時間(開閉弁が開放している時間)の設定を行うものである。1の送水管が1の分割領域を分担するように、それぞれ送水管の先端(分岐口側とは異なる一端)である出水口が養生マット内に配置され、水分計測手段も、それぞれ分割領域ごとに設置される。そして、制御部が分割領域ごとに開閉弁の開閉の要否を判断し、その開閉判断に応じて制御部が設定した開閉時間に基づいてそれぞれの開閉弁が開閉することによって、分割領域ごとに養生マット内で散水が行われる。
本願発明の散水システムは、吸水材が取り付けられた水分計測手段を備えたものとすることもできる。具体的には、水分計測手段のうち湿潤状態を計測する検知部に、例えばスポンジなど、養生マット内の水分を吸収するための吸水材が取り付けられる。
本願発明の散水システムは、制御部が開閉弁ごとに開放時刻と閉鎖時刻の設定を行うものとすることもできる。この場合の制御部は、2以上の開閉弁に対して開放すると判断したとき、同一時刻では1のみの開閉弁が開放されるように、それぞれ開閉弁の開放時刻と閉鎖時刻を設定する。それぞれの開閉弁は、制御部が設定した開放時刻と閉鎖時刻に基づいて開閉する。
本願発明の散水システムは、制御部が複数の分割領域に対してそれぞれ異なる時刻で開閉弁の開閉の要否を判断するものとすることもできる。
本願発明の散水システムは、貯水設備と、開放時間記憶手段、給水警告手段をさらに備えたものとすることもできる。貯水設備は、送水装置が送水するための水を溜めるものであり、開放時間記憶手段は、それぞれの開閉弁が開放した時間を、開閉弁ごとに記憶するものである。また給水警告手段は、開放時間記憶手段が記憶した開放時間に基づいて、貯留槽に給水する必要がある旨の情報を表示するものである。
本願発明の散水システムは、充電式の送水装置と、開放時間記憶手段、充電警告手段を備えたものとすることもできる。充電警告手段は、開放時間記憶手段が記憶した開放時間に基づいて、送水装置を充電する必要がある旨の情報を表示するものである。
本願発明の散水方法は、それぞれの分割領域に対して湿潤状態を維持する散水方法であり、養生マット敷設と、送水管配置工程、水分計測手段設置工程、開閉判断工程、開閉時間設定工程、そして散水工程を備えたものである。このうち養生マット敷設工程では、打ち込み後のコンクリートに養生マットが敷設され、送水管配置工程では、1の送水管が1の分割領域を分担するように複数の送水管が配置される。水分計測手段設置工程では、周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段が、それぞれ分割領域ごとに養生マット内に設置され、開閉判断工程では、水分計測手段で得られた計測値に基づいて、送水管の途中に設けられる開閉弁の開閉の要否が、それぞれ開閉弁ごとに判断される。開閉時間設定工程では、水分計測手段で得られた計測値に基づいて、開閉弁が開放する開閉時間を設定する。そして散水工程では、開閉判断工程における開閉判断に応じ、開閉時間設定工程で設定した開閉時間に基づいて、それぞれの開閉弁が開閉することで、分割領域ごとに、送水装置から圧送された水が養生マット内に散水される。
本願発明の散水システム、及び散水方法には、次のような効果がある。
(1)自動的に散水作業が行われるため、人による作業手間が著しく削減され、作業コストも圧縮することができる。
(2)コンピュータなどを利用した制御部が、機械的に散水判断を行うため、ヒューマンエラー(例えば散水作業の失念)を排除した的確な散水作業が実践される。
(3)送水装置の設置台数を大幅に減らす(養生範囲にもよるが基本的には1台で賄う)ことができるため、湿潤養生に掛かる初期費用と運転費用(ランニングコスト)を著しく削減数することができる。
(4)また、送水装置の設置台数を削減することによって、充電式の送水装置であれば充電作業が、貯水設備を設ける場合は給水作業が、それぞれ大幅に削減される。
(5)水分計測手段の検知部にスポンジなどの吸水材を取り付けることで、さらに感度よく養生マット内の湿潤状態を計測することができる。
(6)適切なタイミングで適切な範囲に散水することから、従来に比べ使用する水量を軽減することができる。コンクリート養生に使用した水はアルカリ性であり、通常、使用後は中和処理を施したうえで排水される。すなわち、散水量を軽減することによって、中和剤の量や中和に掛かる手間を削減することができる。
橋梁床版に本願発明の散水システムを設置した状態を示す平面図。 本願発明の散水方法の主要な工程を示すフロー図。 本願発明の散水システムの運転について説明するフロー図。 送水装置を起点とする送水系統を示すモデル図。 (a)は吸水材を装着する前の水分センサを示すモデル図、(b)は吸水材を装着した後の水分センサを示すモデル図。 給水警告手段と充電警告手段の機能を説明するモデル図。
本願発明の散水システム、及び散水方法の実施形態の一例を図に基づいて説明する。
1.全体説明
図1は、橋梁のコンクリート床版(以下、単に「床版100」という。)に本願発明の散水システム200を設置した状態を示す平面図であり、そのうち1の範囲(図では中央部)で散水が行われている状況を示す平面図である。一般的に、床版コンクリートの打ち込みは橋軸方向に分割した範囲(以下、「打設スパン」という。)ごとに行う。この図では、コンクリート打ち込み後で湿潤養生中の打設スパン(以下、「養生領域110」という。)と、既に養生が完了した既施工スパン120、まだコンクリートの打ち込みを行っていない未施工スパン130を示している。
養生領域110ではコンクリート表面に養生マット300が敷設され、その養生マット300内(養生マット300とコンクリートの間)では湿潤状態を維持するための散水が行われる。なお本願発明では、養生領域110を複数に分割した領域(以下、「分割領域」という。)ごとに、それぞれ独立して散水することを1つの技術的特徴としている。例えば図1では、養生領域110を、第1分割領域111と、第2分割領域112、第3分割領域113の3つに分割している。なおこの図では橋軸方向に3分割しているが、橋軸直角方向に分割してもよいし、橋軸方向と橋軸直角方向を組み合わせて分割してもよいし、もちろん2分割でも4以上の分割とすることもできる。
また本願発明では、養生マット300内の湿潤状態(あるいは乾燥状態)を計測し、散水を要する程度に乾燥しているときは散水するが、十分に湿潤状態が維持できているときは散水を行わない。この散水の要否判断は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)などを利用した制御部210によって、分割領域ごとに行われる。
具体的には、第1分割領域111、第2分割領域112、第3分割領域113それぞれに水分計測手段(以下、「水分センサ220」という。)を設置し、それぞれ水分センサ220の計測値(以下、「水分計測値」という。)を受け取った制御部210が、閾値に照らして分割領域ごとに散水の要否判断を行う。例えば制御部210は、第1分割領域111に設置された第1水分センサ221の計測結果では「要散水」と判断し、第2分割領域112に設置された第2水分センサ222と第3分割領域113に設置された第3水分センサ223の計測結果によれば「散水不要」と判断することがあるわけである。なお説明の便宜上、図1では養生マット300の上に水分センサ220が置かれ、養生マット300の上で散水されているように表現しているが、実際には養生マット300内に水分センサ220は配置され、当然ながら散水も養生マット300内で行われる。
次に、本願発明の散水方法の主な流れについて、図2を参考にしながら説明する。図2は、本願発明の散水方法の主要な工程を示すフロー図である。まず、所定の打設スパンで床版コンクリートの打ち込み(Step10)を行った後、コンクリート表面に養生マット300を敷設する(Step20)。
養生マット300の敷設が完了すると、いったん作業者によって散水作業が行われ、その後、本願発明の散水システム200を設置する(Step30)。なお、人による散水作業は、現場状況によって省略することもできる。散水システム200の設置について、具体的に説明する。図1に示すように、制御部210と、ポンプなどの送水装置230、貯水設備240を、例えば既施工スパン120上に設置する。送水装置230には分岐手段250が接続され、さらに分岐手段250にはその分岐口の数だけ、つまりこの図では3本の送水管260(第1送水管261、第2送水管262、第3送水管263)が連結される。送水管260の途中にはそれぞれ開閉装置270が設けられており、開閉装置270からさに延伸された送水管260の先端には、多数の出水口を備えた出水手段280が接続されている。
開閉装置270は、制御部210の指令に応じて開閉する開閉弁と、この開閉弁が開閉した時間(解放した時刻と閉鎖した時刻)を記憶する記憶手段(データロガ)を備えている。さらに開閉装置270には水分センサ220が有線で接続されており、開閉装置270の記憶手段は水分センサ220により得られた水分計測値も記憶する。もちろん開閉装置270は、送水管260の数だけ設けられ、すなわち図1の例では第1開閉装置271と、第2開閉装置272、第3開閉装置273の3つが設置されている。
それぞれの分割領域内には、少なくとも1つの水分センサ220が配置される。また、出水手段280は、各分割領域に散水できるようそれぞれの分割領域に配置される。つまり図1の例では、第1分割領域111に第1水分センサ221と第1出水手段281が配置され、同様に、第2分割領域112に第2水分センサ222と第2出水手段282が、第3分割領域113に第3水分センサ223と第3出水手段283が配置される。なお、水分センサ220本体と出水手段280は養生マット300内に設置されることから、これらは養生マット300の敷設(Step20)前に設置しておくとよい。
散水システム200が設置できると(Step30)、実際に散水システム200の運転を開始する(Step40)。散水システム200の運転の詳細について、図3を参考にしながら説明する。図3は、本願発明の散水システム200の運転について説明するフロー図である。既述のとおり、制御部210は水分センサ220の水分計測値に基づいて開閉の要否判断を行い、この要否判断に応じて開閉弁(開閉装置270)が開閉する。この開閉判断はあらかじめ定められた時刻に行われ、通常は待機状態(Step41)を保ち、要否判定すべき時刻と判断されると(Step42:Yes)、後続の処理へ進む。なお、開閉判断すべき時刻は、毎正時や30分ごとなど一定間隔で設定することもできるし、朝夕は間隔をあけて昼間に集中して実施するなど不定期に設定することもできる。
制御部210は、開閉装置270の記憶手段から無線又は有線の通信手段を通じて、第1水分センサ221、第2水分センサ222、第3水分センサ223それぞれの水分計測値を受信し(Step43)、あらかじめ定められた閾値と照らし合わせる(Step44)。そして、水分計測値が閾値を超える場合は(No)、待機状態(Step41)に戻り、水分計測値が閾値以下である場合は(Yes)、水分計測値に応じた散水時間を設定する(Step45)。例えば、水分計測値が閾値をやや下回るときは短い散水時間を設定し、水分計測値が閾値を大幅に下回るときは長い散水時間を設定する。あるいは水分計測値にかかわらず一定の散水時間を設定することもできる。この散水時間の設定は、水分センサ220ごとに個別に行う。
それぞれの水分計測値と閾値を照らし合わせた結果(Step44)、2以上の水分センサ220に対応する開閉弁で開放すべき(つまり散水すべき)と判断された場合(Step46:Yes)、複数の開閉弁が同じ時刻に重複して解放されることがないように、それぞれの開閉弁の開放時刻と閉鎖時刻を設定する(Step47)。送水装置230の圧送能力を分散させることなく1つの開閉弁(つまり送水管260)に集中させるためであり、これにより圧送能力が比較的小さな送水装置230を使用した場合であっても、分割領域を十分にカバーした散水を行うことができる。例えば、第2水分センサ222による水分計測値と、第3水分センサ223による水分計測値が閾値を下回り、それぞれ対応する開閉弁を30分間開放すると設定された場合、第2開閉装置272の開閉弁は10:00に開放して10:30分に閉鎖することとし、第3開閉装置273の開閉弁は10:30に開放して11:00分に閉鎖することとするわけである。
それぞれの開閉弁の開放時刻と閉鎖時刻の設定(Step47)が完了すると、その設定内容にしたがって実際に散水を実施する。また、水分計測値と閾値を照らし合わせた結果(Step44)、1の水分センサ220に対応する開閉弁のみ開放すべきと判断された場合(Step46:No)も、設定された開放時間にしたがって実際に散水を実施する。
既述のとおりコンクリートの湿潤養生を行う期間はあらかじめ定められている(例えば、日平均気温10℃の普通ポルトランドセメントでは1週間)ため、この間は継続して散水システム200の運転(Step40)を行い、養生期間を経過したときは(図1のStep50:Yes)散水システム200と養生マット300を撤去して(Step60)、当該打設ブロックの湿潤養生を終了する。
以下、本願発明の散水システム、及び散水方法について、構成する主要な要素ごとに詳述する。
2.送水装置
本願発明に使用する送水装置230は、種々の動力によって駆動するものを選択することができるが、ここでは電力によって駆動する電動ポンプの場合で説明する。また、電力会社から供給される電力を受電する電動ポンプを利用することもできるし、充電式(バッテリータイプ)の電動ポンプを利用することもできる。なお、送水管260の圧力を感知して、所定の圧力がかかっていないとき(つまり、弁が開放しているとき)は自動的に圧送し、所定の圧力がかかると(つまり、弁が閉じると)自動的に圧送を停止する形式の電動ポンプもあるので、本願発明でも当該形式の電動ポンプを採用すると良い。
図4は、送水装置230を起点とする送水系統を示すモデル図である。この図に示すように送水装置230は、貯水設備240(例えば貯水槽)から給水した水を、先方に向けて圧送するものである。なお、送水装置230に接続された給水管(ホース)の先端にはおもりが固定されており、貯水設備240内の水中に沈設される。送水装置230の出力側には1本の短い送水管が接続され、その先端には分岐手段250が設置されている。この分岐手段250は、送水装置230から圧送される1系統の水を、複数系統に分岐するためのもので、複数の分岐口(図では3口)を備えている。
分岐手段250の各分岐口には、それぞれ送水管260(送水ホース)が連結される。つまり図4の例では、第1送水管261と、第2送水管262、第3送水管263が分岐手段250に連結されている。既述のとおり、それぞれの送水管260途中には開閉装置270が設けられ、さらにその先端には出水手段280が連結されている。
3.制御部
制御部210は、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。このコンピュータ装置は、PCや、PDA(Personal Data Assistance)、あるいはiPad(登録商標)といったタブレットPCなどによって構成することができる。コンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを含むものもある。なお、一般的なPCであればマウスやキーボード等のデバイスから入力・編集するが、タブレットPCではタッチパネルを用いた操作(タップ、ピンチイン/アウト、スライド等)で入力・編集することが多い。なお、制御部210として1台のPCを配置して各々の開閉装置270を制御する中央制御方式とすることもできるし、それぞれの開閉装置270に制御部210を配置して各自の開閉装置270を制御する分散制御方式とすることもできる。
既述のとおり制御部210は、散水の要否(つまり開閉弁の開放/閉鎖)、散水時間、開閉弁の開放時刻と閉鎖時刻を、開閉弁ごと(つまり分割領域ごと)に判断あるいは設定するものである。そのため制御部210は、図4にも示すように、それぞれの開閉装置270の記憶手段(データロガ)から水分計測値と、開閉弁が開放した時刻及び閉鎖した時刻を無線又は有線の通信手段(図4では無線通信手段)を介して受信する。そして制御部210は、制御部210が記憶した閾値とそれぞれの水分計測値を照らし合わせて開閉弁ごとに散水の要否を判断し、水分計測値に基づいて開閉弁ごとに散水時間を設定し、2以上の開閉弁が開放するか否かを判断するとともに、2以上の開閉弁を解放すると判断したときは2以上が同時に開放することがないように開閉弁ごとの開放時刻と閉鎖時刻を設定する。この場合、中央制御方式であればPCなどの制御部210が処理を行い、分散制御方式であれば代表する開閉装置270の制御部210が処理を行うこととなる。また、複数の開閉弁の散水要否判断を同時に行う手法に代えて、散水要否判断の時期をずらす手法を採用することもできる。すなわち、開閉弁ごとに異なる時刻で散水要否判断を行うこととし、しかもこの判断の間隔を散水時間(できれば予定した最長散水時間)以上としておけば、2以上の開閉弁が重複して開放されることがないわけである。
4.水分センサ
水分センサ220は、養生マット300内の湿潤状態(乾燥状態)を計測することができるものであれば、従来から用いられている種々の製品を利用することができる。ただし、水分センサ220周辺の湿潤状態を直接計測するのが難しいものもあり、その場合は吸水材を利用すると良い。図5は、吸水材220bを利用した水分センサ220を示すモデル図であり、(a)は吸水材220b装着前の、(b)は吸水材220b装着後の状態を示す。図5(a)に示すように、水分計測手段は湿潤状態を計測する検知部220aを備えており、この部分に例えばスポンジなどの吸水材220bを装着する。具体的には、吸水材220bに切り込み又は空洞を設け、その部分に検知部220aを挿入する(図5(b))。その結果、検知部220aは、水分を吸収した吸水材220bを計測することになり、養生マット300内の湿潤状態を容易かつ正確に計測することができる。
5.出水手段
出水手段280は、多数の出水口を備え、同時に多条の出水ができるものであれば、例えばエバフロー(登録商標)など従来から用いられている種々の製品を利用することができる。出水手段280の本体は、円筒状(ホース状)であり、本体の一端が閉鎖されて他端が開口し、本体側部に多数の出水口が設けられている。すなわち、送水管260を通じて送られた水が、出水手段280の本体の開口端から流入し、本体側部の出水口から散水されるわけである。なお、床版100に横断勾配が設けられているときは、橋軸直角方向における高い側に出水手段280を設置するのが望ましい。
6.給水警告手段と充電警告手段
図6は、給水警告手段と充電警告手段の機能を説明するモデル図である。給水警告手段と充電警告手段は、制御部210と同様、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。もちろん制御部210として利用するコンピュータ装置を兼用することもできる。図6に示すように開放時間記憶手段は、それぞれの開閉装置270の記憶手段(データロガ)から、開閉弁の開放時刻・閉鎖時刻を無線又は有線の通信手段(図6では無線通信手段)を介して受信し、開閉弁ごとに記憶する。そして制御部210が、開放時間記憶手段から読み出したそれぞれの開閉弁の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて、開閉弁が散水した水量の合計を「推定散水量」として推定する。さらに制御部210は、推定散水量とあらかじめ設定された貯水設備240の貯水能力を照らし合わせ、推定散水量が貯水設備240の貯水能力に近付くと、給水警告手段が「貯水設備240に給水すべき」という情報を表示手段(例えばディスプレイ)に表示する。
また制御部210が、開放時間記憶手段から読み出したそれぞれの開閉弁の開放時刻・閉鎖時刻に基づいて、当該送水装置230が稼働した総時間を「推定稼働時間」として推定し、この推定稼働時間とあらかじめ設定された可能稼働時間(1回の充電で稼働できる時間)を照らし合わせる。推定稼働時間が可能稼働時間に近付くと、充電警告手段が「送水装置230に充電すべき」という情報を表示手段に表示する。
本願発明の散水システム、及び散水方法は、道路橋や鉄道橋といったあらゆる用途の橋梁のコンクリート床版や橋台、橋脚に利用できるし、河川橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。また橋梁に限らず、トンネル覆工コンクリートや大型コンクリート擁壁など種々のコンクリート構造物に対しても利用することができる。本願発明が、良好な品質のコンクリート構造物を提供し、いわば高品質な社会資本(インフラストラクチャー)を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 (橋梁のコンクリート)床版
110 養生領域
111 第1分割領域
112 第2分割領域
113 第3分割領域
120 既施工スパン
130 未施工スパン
200 本願発明の散水システム
210 制御部
220 水分センサ
221 第1水分センサ
222 第2水分センサ
223 第3水分センサ
220a 検知部
220b 吸水材
230 送水装置
240 貯水設備
250 分岐手段
260 送水管
261 第1送水管
262 第2送水管
263 第3送水管
270 開閉装置
271 第1開閉装置
272 第2開閉装置
273 第3開閉装置
280 出水手段
281 第1出水手段
282 第2出水手段
283 第3出水手段
300 養生マット

Claims (7)

  1. コンクリート養生マットが敷設された領域を複数に分割し、分割されたそれぞれの分割領域に対して湿潤状態を維持する散水システムにおいて、
    水を圧送する送水装置と、
    2以上の分岐口を具備し、前記送水装置からの水を各分岐口から分岐させる分岐手段と、
    前記各分岐口に連結される送水管と、
    前記送水管の途中に設けられる開閉弁と、
    前記コンクリート養生マットの下に設置され、周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段と、
    前記水分計測手段で得られた計測値に基づいて、前記開閉弁の開閉の要否を判断する制御部と、を備え、
    1の前記送水管が1の前記分割領域を分担するように、それぞれの前記送水管の出水口が前記コンクリート養生マット内に配置され、
    前記水分計測手段は、それぞれ前記分割領域ごとに設置され、
    前記制御部は、前記分割領域ごとに前記開閉弁の開閉の要否を判断するとともに、前記水分計測手段で得られた計測値に基づいて前記開閉弁が開放する開閉時間を設定し、
    前記制御部の開閉判断に応じ、前記制御部が設定した開閉時間に基づいて、それぞれの前記開閉弁が開閉することで、前記分割領域ごとに前記コンクリート養生マット内に散水する、ことを特徴とする散水システム。
  2. 前記水分計測手段は、湿潤状態を計測する検知部を有し、
    前記水分計測手段の前記検知部に、前記コンクリート養生マット内の水分を吸収するための吸水材が取り付けられた、ことを特徴とする請求項1記載の散水システム。
  3. 前記制御部は、2以上の前記開閉弁に対して開放すると判断したとき、同一時刻では1のみの開閉弁が開放されるように、それぞれ開閉弁の開放時刻と閉鎖時刻を設定し、
    それぞれの前記開閉弁は、前記制御部が設定した開放時刻と閉鎖時刻に基づいて開閉する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の散水システム。
  4. 前記制御部は、複数の前記分割領域に対して、それぞれ異なる時刻で前記開閉弁の開閉の要否を判断する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の散水システム。
  5. 前記送水装置が送水するための水を溜める貯水設備と、
    前記開閉弁が開放した時間を、前記開閉弁ごとに記憶する開放時間記憶手段と、
    前記開放時間記憶手段が記憶した開放時間に基づいて、前記貯水設備に給水する旨の情報を表示する給水警告手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の散水システム。
  6. 前記送水装置が充電式であり、
    前記開閉弁が開放した時間を、前記開閉弁ごとに記憶する開放時間記憶手段と、
    前記開放時間記憶手段が記憶した開放時間に基づいて、前記送水装置を充電する旨の情報を表示する充電警告手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の散水システム。
  7. コンクリート養生マットが敷設された領域を複数に分割し、分割されたそれぞれの分割領域に対して湿潤状態を維持する散水方法において、
    打ち込み後のコンクリートに前記コンクリート養生マットを敷設する養生マット敷設工程と、
    1の送水管が1の前記分割領域を分担するように、複数の送水管を配置する送水管配置工程と、
    周辺の湿潤状態を計測する水分計測手段を、それぞれ前記分割領域ごとに前記コンクリート養生マット内に設置する水分計測手段設置工程と、
    前記水分計測手段で得られた計測値に基づいて、前記送水管の途中に設けられる開閉弁の開閉の要否を、それぞれ開閉弁ごとに判断する開閉判断工程と、
    前記水分計測手段で得られた計測値に基づいて、前記開閉弁が開放する開閉時間を設定する開閉時間設定工程と、
    前記開閉判断工程における開閉判断に応じ、前記開閉時間設定工程で設定した前記開閉時間に基づいて、それぞれの前記開閉弁が開閉することで、前記分割領域ごとに、送水装置から圧送された水を前記コンクリート養生マット内に散水する散水工程と、を備えたことを特徴とする散水方法。
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