JP6080233B2 - 機能性光透過材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性光透過材に関し、より詳細には、平板状の銀ナノ粒子を利用した機能性光透過材に関する。
ナノオーダースケールの銀微粒子(銀ナノ粒子)に光が当たると、粒子内部の自由電子が入射光に共鳴して集団的に振動を起こす。この自由電子の振動によって引き起こされる電場と入射光(外部電場)とが共鳴する結果、粒子の表面に局在化した増強電磁場が発生する。この現象を局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance:LSPR)といい、銀ナノ粒子は、このLSPRが要因となって、その物理的断面積の約10倍に当たる有効な消光(吸収+散乱)断面積を有するため、通常ではない強い光の吸収と散乱を生じることが知られている。
上述した吸光特性を持つ平板状の銀ナノ粒子は、サイズによって、その吸収波長域を紫外領域から近赤外領域にわたって自在に制御できることから、有用な光学材料として種々の応用が検討されている。
例えば、近年、近赤外領域に吸収波長域を持つ平板状の銀ナノ粒子を利用した日射遮熱材が注目を集めている。この点につき、特許文献1は、平板状の銀ナノ粒子を含む熱線遮蔽層を有する熱線遮蔽材を開示する。
特許第5703156号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明は、平板状の銀ナノ粒子を利用した新規な機能性光透過材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、平板状の銀ナノ粒子を利用した新規な機能性光透過材およびその製造方法について鋭意検討を加えた結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、透明基材と、前記透明基材の表面に形成された疎水性の有機化クレイを含む吸着膜と、前記吸着膜に配向吸着した平板状の銀ナノ粒子と、を含む、機能性光透過材が提供される。
さらに、本発明によれば、機能性光透過材を製造する方法であって、透明基材の表面に疎水性の有機化クレイを含む吸着膜を形成するステップと、前記吸着膜が形成された前記透明基材を平板状の銀ナノ粒子の水分散液に浸漬するステップと、を含む製造方法が提供される。
上述したように、本発明によれば、平板状の銀ナノ粒子を利用した新規な機能性光透過材およびその製造方法が提供される。
本実施形態の機能性光透過材の製造工程を示す図。 銀ナノ平板粒子の調製方法を説明するための概念図。 銀ナノ平板粒子が透明基板に配向吸着した様子を示す模式図。 本実施形態の日射遮熱材の層構成を示す模式図。 銀ナノ平板粒子水分散液の吸収スペクトルを示す図。 本実施例の機能性光透過材の透過スペクトルを示す図。 本実施例の機能性光透過材の差スペクトルを示す図。
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。
最初に、本発明の実施形態である機能性光透過材の製造方法を図1に基づいて説明する。
工程1では、液相還元法によって平板状の銀ナノ粒子(以下、銀ナノ平板粒子という)の水分散液を調製する。ここで、局在表面プラズモン共鳴の発現によって光の吸収や散乱が起こる波長域は、銀ナノ平板粒子の結晶サイズに依存することが知られている。したがって、工程1では、機能性光透過材に求められる吸収波長域が実現されるように、銀ナノ平板粒子の結晶サイズを制御する必要がある。この点につき、銀ナノ平板粒子の水分散液(以下、銀ナノ平板粒子水分散液という)の好ましい調製方法を図2に基づいて説明する。
まず、工程1−1では、晶癖制御剤を含む銀イオン水溶液を調製する。具体的には、水(好ましくは純水、より好ましくは超純水)をよく攪拌しながら、これに硝酸銀(AgNO3)などの銀塩と晶癖制御剤を加えることよって銀イオン水溶液を調製する。ここで、本実施形態で用いる晶癖制御剤の好適な例としては、銀結晶の(111)面に対して選択的な吸着性を示すクエン酸を挙げることができる。
続く工程1−2では、上述した銀イオン水溶液をよく攪拌しながら、これに還元剤を添加する。添加された還元剤により、水溶液中の銀イオンが還元され、非常に微小な銀の種結晶が形成される。本実施形態で用いる還元剤の好適な例としては、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(NaBH4)を挙げることができる。
続く工程1−3では、上述した手順で得られた微小な銀結晶を含む水分散液をよく攪拌しながら、これに酸化剤を添加する。本実施形態で用いる酸化剤の好適な例としては、過酸化水素(H2O2)を挙げることができる。酸化剤が添加されると、水分散液中の金属銀の溶解度が増し、微小な銀結晶の一部が再イオン化する。そこで、酸化剤を複数回に分けて添加したり、添加流量を制御しながら酸化剤を連続添加するなどして、一定レベルの銀イオンが反応系に終始にわたって安定的に存在するようにしむけると、オストワルド熟成が進行し、大きい結晶が選択的に成長していく一方で、小さい結晶は消滅していく。その結果、反応系に主平面の長径サイズが増大化した銀ナノ平板粒子が主成分として生き残る。
こうして得られた大サイズの銀ナノ平板粒子は、可視領域〜近赤外領域に局在表面プラズモン共鳴による吸収波長域を持つ。本実施形態においては、工程1−1における銀イオンと晶癖制御剤の濃度、工程1−2における添加する還元剤の量、攪拌効率、反応温度などを調整することによって銀ナノ平板粒子の結晶サイズを制御することができる。
図1に戻って説明を続ける。
続く工程2では、透明基材の表面に有機化クレイを含む吸着膜を形成する。なお、ここでいう透明基材とは、機能性光透過材の基材となるものであり、その用途に応じて適切な透明基材を用意する。透明基材としては、ガラス基板、プラスチック基板、金属酸化物基板などの他、プラスチックシートなどの可撓性材を挙げることができる。
工程2では、まず、有機化クレイをトルエンなどの有機溶媒に加えて混合・攪拌することで有機化クレイの有機溶媒分散液を調製する。ここでいう有機化クレイとは、層間カチオンを有機物カチオンに置換したクレイ(層状ケイ酸塩鉱物)を意味し、好ましくは、スメクタイトである。本実施形態においては、疎水性の高い有機化クレイを用いることが望ましく、トルエンなどの疎水性の高い有機溶媒に高い濃度(数wt%程度)で分散しうる有機化クレイを用いることが望ましい。
なお、本実施形態においては、有機化クレイの有機溶媒分散液に対して、窒素原子−ホウ素原子錯体構造を有する電荷移動型ボロンポリマーを加えてもよい。電荷移動型ボロンポリマーを加えることによって、最終生成物である機能性光透過材に抗菌性や導電性を発現させることが可能になる。
次に、調製した有機化クレイの有機溶媒分散液に対して用意した透明基材を浸漬する。このとき、有機溶媒分散液中の有機化クレイが透明基材の表面に吸着して膜を形成し、この膜が後に銀ナノ平板粒子を配向吸着させるための吸着膜として機能することになる。以下、この有機化クレイの膜を吸着膜という。なお、吸着膜は、透明基材の表面に有機化クレイの有機溶媒分散液を適切な方法で塗布することによって形成してもよい。
ここまで工程1から工程2へ順を追って説明してきたが、本実施形態は、工程1と工程2の順序を問うものではない。
続く工程3では、工程1で調製した銀ナノ平板粒子水分散液に対して、工程2で得た吸着膜付きの透明基板を所定時間にわたって浸漬する。その結果、銀ナノ平板粒子が透明基板に形成された吸着膜を介して配向吸着する。図3は、銀ナノ平板粒子が透明基板10に形成された吸着膜12を介して配向吸着した様子を模式的に示す。図3に示すように、銀ナノ平板粒子は、その主平面が透明基板10の表面に対して略平行となるように面配向する。
このとき、銀ナノ平板粒子が、粒子同士の会合・凝集を伴うことなく、且つ、その数密度が適度に疎となる形で透明基板10に対し自己組織的に配向吸着することを本発明者は発見した。これは、基材表面に吸着した疎水性の高い有機化クレイが水を嫌う結果、有機化クレイに対して水よりも親和性の高い銀ナノ平板粒子がこれに引き寄せられる形で面配向して吸着するものと本発明者は推察する。
最後に、工程4では、銀ナノ平板粒子水分散液から透明基板を取り出し、これを水でよく洗浄した後、十分に乾燥する。その後、必要に応じて、銀ナノ平板粒子の吸着面にコーティング処理を施し、本実施形態の機能性光透過材を得る。
以上、本実施形態の機能性光透過材の製造方法について説明した。従来、銀ナノ平板粒子を利用した機能性光透過材は、銀ナノ平板粒子を含む塗布液を調製しこれを透明基材に塗布することで製造していたため、銀ナノ平板粒子水分散液を一旦濃縮した後、これをバインダ溶液に再分散する工程を要していた。
この点に関し、本実施形態の製造方法においては、液相還元法によって作製された銀ナノ平板粒子水分散液をそのまま使用するため、塗布液を調製するための工程が不要となり、また、本実施形態の製造方法においては、銀ナノ平板粒子水分散液に透明基材を浸漬するだけで、銀ナノ平板粒子が基材に対して自己組織的に配向吸着するので、塗布工程のための大がかりな装置が不要となる。また、このとき、銀ナノ平板粒子は、粒子同士の会合・凝集を伴うことなく、必要最小限の量が吸着することになるので、結果として省銀化が図られる。よって、本実施形態によれば、生産コストの低減化ならびに生産設備のコンパクト化が可能になる。
以上、本実施形態の機能性光透過材の製造方法について説明してきたが、続いて、本実施形態の機能性光透過材の用途について説明する。
本実施形態の機能性光透過材においては、銀ナノ平板粒子が、粒子同士の会合・凝集を伴うことなく、且つ、その数密度が適度に疎となる形で基材上に存在するため、水分散液中の銀ナノ平板粒子と同等の吸光特性を発現する。そのため、本実施形態の機能性光透過材は、銀ナノ平板粒子の結晶サイズに応じた特定の吸光波長域を持つ。したがって、本実施形態の機能性光透過材は、その吸光波長域を可視領域に設定することによって、任意の色を発色する光透過材として構成することができる。この場合の発色は、局在表面プラズモン共鳴による光の吸収によって起こるので、染料による着色とは異なり、その発色において高い耐久性が期待できる。
また、本実施形態の機能性光透過材は、その吸光波長域を紫外領域に設定することによって、紫外線遮蔽材として構成することができ、さらに、その吸光波長域を近赤外領域に設定することによって、日射による入熱を低減するための日射遮熱材として構成することができる。
本実施形態の機能性光透過材を日射遮熱材として構成する場合、上述した透明基材が酸化インジウムスズ(ITO)の結晶膜を含むことが好ましい。ITOは、1200nm以上の赤外領域に吸収波長域を持つため、ITOの結晶膜を含む透明基材に対して近赤外領域に吸光波長域を持つ銀ナノ平板粒子を配向吸着させてなる日射遮熱材は、赤外線を広波長域にわたって遮蔽することで高い遮熱効果を発揮する。
図4は、ITOの結晶膜を含む日射遮熱材の膜構成を例示する。図4(a)はガラスなどの透明基板の表面にITO結晶膜を形成してなる透明基材において、当該ITO結晶膜に対して、吸着膜を介して銀ナノ平板粒子(Ag)を配向吸着させてなる日射遮熱材を示す。また、図4(b)は、ガラスなどの透明基板の表面にITO結晶膜を形成してなる透明基材において、当該透明基板の裏面(すなわち、ITO結晶膜が形成されていない方の面)に対して、吸着膜を介して銀ナノ平板粒子(Ag)を配向吸着させてなる日射遮熱材を示す。さらに、図4(c)は、透明基材の上に吸着膜を介して配向吸着している銀ナノ平板粒子(Ag)の上にITO結晶膜を形成してなる日射遮熱材を示す。なお、ITO結晶膜は、ガラスなどの透明基板に対して、真空蒸着法、スパッタリング法、ゾルーゲル法、塗布熱分解法といった既知の方法を用いて成膜することができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
以下、本発明の機能性光透過材について、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
<銀ナノ平板粒子水分散液の作製>
以下の手順で3種類の銀ナノ平板粒子を作製した。なお、使用した全ての試薬は、和光純薬工業社製の特級グレードのものである。
(銀ナノ平板粒子Aの作製)
超純水144mlを攪拌しながら、これに150mMクエン酸三ナトリウム水溶液1.5mlおよび50mM硝酸銀水溶液300μlを順次加えて出発溶液を調製した。調製した出発溶液を激しく攪拌しながら、100mMテトラヒドロホウ酸ナトリウム水溶液1.5mlを還元剤として加えた。
還元剤の添加に伴い、水溶液が薄黄色に着色したことを確認後、直ちに、30%過酸化水素水360μlを加えて攪拌を続けた。1時間程度撹拌を続けた後、撹拌を穏やかにし、さらに24時間程度撹拌を続けて、銀ナノ粒子を含む水分散液(銀濃度:0.001wt%)を得た。
超純水125mlを撹拌しながら、先に作製した銀ナノ粒子水分散液25ml、および50mMアスコルビン酸水溶液170μlを順次加えた。続いて、0.125mM硝酸銀水溶液360mlを3ml/minの流速で添加すると同時に、50mMアスコルビン酸水溶液340μlを2回に分けて加えた。さらに、続けて、0.250mM硝酸銀水溶液120mlを3ml/minの流速で添加すると同時に、50mMアスコルビン酸水溶液340μlを2回に分けて加え、銀ナノ平板粒子Aを含む水分散液(銀濃度:0.0013wt%)を得た。
(銀ナノ平板粒子Bの作製)
超純水900mlを撹拌しながら、先に作製した銀ナノ平板粒子Aを含む水分散液200ml、および50mMアスコルビン酸水溶液350μlを順次加えた。続いて、0.125mM硝酸銀水溶液1920mlを6ml/minの流速で添加すると同時に、50mMアスコルビン酸水溶液2450μlを7回に分けて加えた。さらに、続けて、0.250mM硝酸銀水溶液960mlを6ml/minの流速で添加すると同時に、50mMアスコルビン酸水溶液2800μlを8回に分けて加え、銀ナノ平板粒子Bを含む水分散液(銀濃度:0.0014wt%)を得た。
(銀ナノ平板粒子Cの作製)
超純水235mlを攪拌しながら、これに450mMクエン酸三ナトリウム水溶液2.5mlおよび100mM硝酸銀水溶液750μlを順次加えて出発溶液を調製した。調製した出発溶液を激しく攪拌しながら、300mMテトラヒドロホウ酸ナトリウム水溶液3.75mlを還元剤として加えた。
還元剤の添加に伴い、水溶液が薄黄色に着色したことを確認後、直ちに、30%過酸化水素水900μlを加えて攪拌を続けた。以降、撹拌を続けながら、1時間毎に30%過酸化水素水900μlを加える操作を7回繰り返した後、撹拌を穏やかにして、さらに24時間程度撹拌を続けて、銀ナノ平板粒子Cを含む水分散液(銀濃度:0.003wt%)を得た。
<銀ナノ平板粒子を含む水分散液の吸収スペクトル測定>
分光光度計(日本分光社製 V-670UV/Vis/NIR)を用いて、銀ナノ平板粒子A、B、およびCを含む水分散液の吸収スペクトルをそれぞれ測定した。なお、測定において、セル長を2mmとし、超純水をリファレンスとして、各水分散液は希釈せずにそのまま測定を行った。
図4は、吸収スペクトルの測定結果を示す。図4に示すように、いずれの水分散液のスペクトルにおいても非平板状の銀ナノ粒子に由来する吸収バンド(400〜420nm付近)は認められなかった。これにより、銀ナノ平板粒子A、B、およびCが、ほぼ平板状の銀ナノ粒子のみから成ることが示された。
銀ナノ平板粒子A、Cを含む水分散液については、それぞれ、1000nmと1080nmに局在表面プラズモン共鳴による極大吸収が認められた。それぞれのバンドの極大吸収波長から、銀ナノ平板粒子A、Cの主平面のサイズは150〜200nm近辺であり、また、各バンドの半値幅から、銀ナノ平板粒子Cよりも銀ナノ平板粒子Aの方が平板のサイズ分布がより狭いことが示された。
一方、銀ナノ平板粒子B含む水分散液については、局在表面プラズモン共鳴に由来する吸収バンドが336nm付近に認められた。本来であれば、より長波長側にも局在表面プラズモン共鳴に由来するより大きな吸光バンドが現れるところであるが、おそらく、銀ナノ平板粒子Bの主平面のサイズがμmオーダーに達しているために、測定範囲(〜1300nm)を超えたものと推察される。
<銀ナノ平板粒子が吸着した板ガラスの作製>
市販のソーダガラス(厚み1.1mm)の片面にスパッタリングによりITO(酸化インジウム・スズ)を成膜(膜厚200±20nm)した後、このITO被膜ソーダガラスを5cm×5cmにカットした。カットしたITO被膜ソーダガラス(以下、基材ガラスという)を0.3wt%親油性合成粘土(ルーセンタイトSAN、コープケミカル社製)のトルエン分散液中に2日間浸漬させた後、取り出してよく液切を行ってから、2時間程度、室温で自然乾燥させた。その後、表面に粘土の膜が形成された基材ガラスを銀ナノ平板粒子Aを含む水分散液中に異なる時間条件(42時間、94時間)て浸漬させた。その後、取り出したガラスの表面を超純水でをよく水洗を行い、十分に液切を行ってから自然乾燥させた。最後に、ITO膜が形成されていない面に吸着した銀ナノ平板粒子Aをこそぎ取って、本実施例の板ガラスA−1(42時間浸漬品)および板ガラスA−2(94時間浸漬品)を得た。
厚み3.0mm、5cm×5cmのソーダガラスを0.3wt%親油性合成粘土(コープケミカル社製 ルーセンタイトSAN)のトルエン分散液中に2日間浸漬させた後、取り出してよく液切を行った後、2時間程度、室温で自然乾燥させた。その後、表面に粘土の膜が形成されたソーダガラスを銀ナノ平板粒子Bを含む水分散液中に異なる時間条件(62時間、114時間)で浸漬させた。その後、取り出して超純水でガラス表面をよく水洗を行い、十分に液切を行ってから自然乾燥させた。最後に、一方の面に吸着した銀ナノ平板粒子Bをこそぎ取って、本実施例のサンプルB−1(66時間浸漬品)およびサンプルB−2(114時間浸漬品)を得た。
同様の手順で、先出の表面に粘土の膜が形成されたソーダガラスを銀ナノ平板粒子Cを含む水分散液中に261時間浸漬させた後、水洗、自然乾燥を行ってから、最後に、一方の面に吸着した銀ナノ平板粒子Cをこそぎ取って、本実施例のサンプルC−1(261時間浸漬品)を得た。
<サンプルの透過スペクトル測定>
上述した手順で作成したサンプルA−1およびサンプルA−2と、基材ガラス(ITO被膜ソーダガラス)の透過スペクトルを分光光度計(日本分光社製 V-670UV/Vis/NIR)を用いて測定した。なお、本測定では、空気をリファレンスとした。
図5は、サンプルA−1、サンプルA−2および基材ガラスの透過スペクトルを合わせて示す。図5に示すように、サンプルA−1およびサンプルA−2の透過率は、いずれも、基材ガラスのそれと比較して、700〜1200nmの範囲に大幅な減少が認められた。
一方、図6は、サンプルA−1およびサンプルA−2のそれぞれの吸収スペクトルから基材ガラスの吸収スペクトルを差し引いた差スペクトルを示す。図6に示したサンプルA−1、A−2の差スペクトルと図4に示した銀ナノ平板粒子Aを含む水分散液の吸収スペクトルを比較すると、両者は、バンドの波長領域および形状がよく近似しており、特に、サンプルA−1においてその傾向が顕著であった。これにより、本実施例のサンプルにおいて、基材ガラス上に吸着している銀ナノ平板粒子が、水分散液に含まれる銀ナノ平板粒子と同等の吸光特性(局在表面プラズモン共鳴による)を保持していることが示された。
また、図6に示す結果から、サンプルA−2は、サンプルA−1と比較してより長波側の吸収が大きくなっていることがわかった。従来、平板状の銀ナノ粒子が、凝集を伴わずに同一平面内に密に存在するようになると、孤立した銀ナノ平板粒子の局在表面プラズモンの共鳴波長より長波側の領域で反射が著しく増大することが知られている。この現象は、局在表面プラズモン共鳴が、複数のナノ粒子にまたがるより広い領域での電磁場振動となり、光(電磁波)をナノ粒子の外により放出し易くなることが主因とされている。
この知見に照らせば、サンプルA−2における長波側の吸収の増大は、浸漬時間を長くしたことにより、基材ガラス上の同一平面内において銀ナノ平板粒子が凝集を伴わずに(サンプルA−1よりも)さらに密に存在するようになったことが原因と考えられる。そして、基材ガラス上の同一平面内において銀ナノ平板粒子が凝集を伴わずに密に存在しているということは、銀ナノ平板粒子の主平面が基材平面に対して平行に配向していることを示唆する。
<銀ナノ平板粒子が吸着したサンプルの光学性能試験>
JIS A 5759(建築窓ガラス用フィルム)に準じて、実施例(サンプルA−1、A−2、B−1、B−2、C−1)および比較例(基材ガラス)の光学性能試験を一般財団法人建材試験センターにおいて実施した。下記表1にその試験結果をまとめて示す。なお、下記表1において「遮蔽係数」は厚み3.0mmのフロート板ガラスを1として算出した。
Figure 0006080233
上記表に示すように、基材ガラス(ITO膜付きソーダガラス)の日射熱取得率は、0.76(厚み3.0mmのソーダガラスの日射熱取得率の85%程度)であった。ITO薄膜は、可視光の透過率が高い一方で1200nmより長い波長領域の赤外光は反射することが知られており、ITO薄膜を利用した日射遮熱材が既に実用化されている。
一方、サンプルA−1およびサンプルA−2の日射熱取得率は、それぞれ0.59と0.56であり、基材ガラス(ITO膜付きソーダガラス)よりも格段に低い値を示した。これは、ITO薄膜上に吸着した銀ナノ平板粒子Aの局在表面プラズモン共鳴(共鳴波長1000nm)によって、ITO薄膜が反射しない近赤外線の波長領域(900〜1000nm近辺)の光を吸収・反射(散乱)していることによるものと考えられる。また、ITO膜がないサンプルB−1、B−2、C−1の日射熱取得率は、それぞれ0.71、0.51、0.62であり、いずれも基材ガラス(ITO膜付きソーダガラス)より低い値を示した。以上の結果から、本発明の機能性光透過材の日射遮熱材としての実用性が確認された。
<銀ナノ平板粒子が吸着した板ガラスを窓ガラスとして用いた場合の熱負荷計算>
環境省 平成26年度環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野「建築物外皮による空調負荷低減等技術」のオフィスモデルおよび木造住宅モデルを参考に、当該事業のシミュレーションプログラムを用いて、建物の全ての窓ガラス(厚み3.0mmのフロート板ガラス)を先述のサンプル(B−1、B−2、C−1)に置き換えた場合の冷暖房負荷低減率の計算を一般財団法人建材試験センターにおいて行った。本計算では、地域モデルは東京とし、遮へい係数および熱貫流率は上記表1に示した実測値を用いた。オフィスモデルおよび住宅モデルに係る冷暖房負荷低減率の計算結果を下記表2にまとめて示す。
Figure 0006080233
上記表3に示すように、いずれのサンプル(B−1、B−2、C−1)も日射遮熱材として機能することで、夏季における冷房負荷を低減することが示された。冷房負荷低減効果は住宅よりオフィスの方が大きく、サンプルB−2では25%以上の値を示した。日射遮熱により冬季における暖房負荷は増大するものの、オフィスにおける通年の冷暖房負荷低減率は、いずれのサンプル(B−1、B−2、C−1)も10%以上の値を示し、既存の窓用日射遮蔽フィルムや窓用日射遮蔽コーティング材のそれと比較して遜色のない結果となった。
10…透明基材
12…吸着膜

Claims (14)

  1. 透明基材と、
    前記透明基材の表面に形成された疎水性の有機化クレイを含む吸着膜と、
    前記吸着膜に配向吸着した平板状の銀ナノ粒子と、
    を含む、機能性光透過材。
  2. 前記銀ナノ粒子は、その主平面が基材平面に対して略平行となるように面配向している、
    請求項1に記載の機能性光透過材。
  3. 前記吸着膜が電荷移動型ボロンポリマーを含む、
    請求項1または2に記載の機能性光透過材。
  4. 前記銀ナノ粒子のプラズモン共鳴の発現波長域が近赤外領域を含む、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性光透過材。
  5. 前記透明基材は、酸化インジウムスズ(ITO)の結晶膜を含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能性光透過材。
  6. 請求項4または5に記載の機能性光透過材を用いた日射遮熱材。
  7. 機能性光透過材を製造する方法であって、
    透明基材の表面に疎水性の有機化クレイを含む吸着膜を形成するステップと、
    前記吸着膜が形成された前記透明基材を平板状の銀ナノ粒子の水分散液に浸漬するステップと、
    を含む製造方法。
  8. 前記吸着膜を形成するステップは、
    前記透明基材を前記有機化クレイの有機溶媒分散液に浸漬するステップを含む、
    請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記吸着膜を形成するステップは、
    前記有機化クレイの有機溶媒分散液を前記透明基材に塗布するステップを含む、
    請求項7に記載の製造方法。
  10. 前記有機化クレイの有機溶媒分散液が電荷移動型ボロンポリマーを含む、
    請求項8または9に記載の製造方法。
  11. 前記銀ナノ粒子のプラズモン共鳴の発現波長域が近赤外領域を含む、
    請求項7〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記水分散液に浸漬するステップにおいて、前記銀ナノ粒子が前記吸着膜に自己組織的に配向吸着する、
    請求項7〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 前記透明基材は、酸化インジウムスズ(ITO)の結晶膜を含む、
    請求項7〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 基材に平板状の銀ナノ粒子を自己組織的に配向吸着させる方法であって、
    基材の表面に疎水性の有機化クレイを含む吸着膜を形成するステップと、
    前記吸着膜が形成された前記基材を平板状の銀ナノ粒子の水分散液に浸漬するステップと、
    を含む方法。
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