以下,図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は,第1の実施の形態における電圧生成回路を示す図である。図1に示す電圧生成回路10は,電源電圧Vsolarと電源電圧Vsolarを供給されるDTMOS回路16との間に設けられたPMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10と,電源電圧Vsolarに応じてPMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10を制御する電源電圧検出回路12とを有する。また,電圧生成回路10は,電源電圧Vsolarに応じてノード15の電圧V15を出力してDTMOS回路16に供給する。
電源電圧検出回路12は比較器C10を有する。比較器C10には,抵抗R10とR11の接続ノード13の電圧V13と,抵抗R12とダイオードD10の接続ノード14の電圧V14とが入力され,抵抗R13が出力端に接続されている。
入力端子11には,環境発電装置,例えば太陽光発電装置E1の出力である電源電圧Vsolarが入力される。太陽光発電装置E1は,図示しないが太陽電池セルと充電用コンデンサとを有し,発電した電力を充電用コンデンサに充電し,電源電圧Vsolarを出力する。
電源電圧Vsolarは,天候等の自然条件や太陽電池セルの複数の使用により,極低電圧から高電圧の間(例えば0.3v〜5.5v)を変動する性質を有するものとする。ここで,DTMOS回路16が有するDTMOSトランジスタのように0.3v程度の極低電圧を供給されても動作するトランジスタが正常動作可能な電圧の範囲を極低電圧範囲(第1の電圧範囲)と呼ぶこととする。第1の実施の形態では,DTMOSトランジスタにおけるウェル領域と基板領域間のリーク電流が増大し始める電圧0.9vを極低電圧範囲の上限電圧Vb1とし,0.9v未満を極低電圧範囲とする。なお,極低電圧範囲の上限電圧Vb1はこれに限らず,DTMOSトランジスタが正常に動作可能である0.9v未満の任意の電圧値でも良い。
抵抗R10とR11は,入力端子11と基準電源GNDとの間で直列に接続される。また,抵抗R12とダイオードD10も同様に入力端子11と基準電源GNDとの間で直列に接続される。
ダイオードD10は,順方向電圧Vfを有する。電源電圧VsolarがVfよりも低い場合,ノード14の電圧V14は電源電圧Vsolarであるが,電源電圧VsolarがVf以上である場合ノード14の電圧V14はVfにクランプされる。
第1の実施の形態では,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲にある場合ノード13の電圧V13<ノード14の電圧V14となり,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲以上である場合ノード13の電圧V13≧ノード14の電圧V14となるよう,抵抗R10〜R12,ダイオードD10が設計されている。
電源電圧Vsolarを電源として供給される比較器C10は,電圧V13及びV14に基づいて,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧を制御する。
例えば,電源電圧Vsolarが極低電圧の低い電圧では,接続ノード13の電圧V13が接続ノード14の電圧V14よりも低く,比較器C10はLレベルを出力し,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧を基準電源GNDと等しくする。電源電圧Vsolarが上昇すると,接続ノード13の電圧V13が接続ノード14の電圧V14よりも高くなり,比較器C10はHレベルを出力し,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧を電源電圧Vsolarと等しくする。
抵抗R13は,電源電圧Vsolarが低いために比較器C10が動作しないときに,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧を基準電源GNDと等しくするためのプルダウン抵抗である。
DTMOS回路16は,極低電圧でも動作可能なDTMOSトランジスタを有する回路であり,例えばバンドギャップリファレンス回路やオシレータ等であり,ノード15の電圧V15を供給されて動作する。
ここで,図2を参照して,電圧生成回路10の動作について説明する。図2は,第1の実施の形態における電圧生成回路の出力電圧V15の一例を示す図である。
(1−1) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲(Vsolar<0.9v)にある場合
ノード13の電圧V13はノード14の電圧V14よりも低い。そのため,比較器C10がLレベルを出力し,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧は基準電源GNDと等しくなる。これにより,PMOSトランジスタP10は導通状態,NMOSトランジスタN10は非導通状態となる。その結果,ノード15の電圧V15は極低電圧の電源電圧Vsolarになる。すなわち,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲のとき,DTMOS回路16に極低電圧範囲の電圧V15が供給される。極低電圧の電圧V15を供給されたDTMOS回路16は正常に動作する。
(1−2) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲よりも高い電圧(Vsolar≧0.9v)である場合
ノード13の電圧V13はノード14の電圧V14よりも高い。そのため,比較器C10がHレベルを出力し,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧は電源電圧Vsolarと等しくなる。これにより,PMOSトランジスタP10は非導通状態,NMOSトランジスタN10は導通状態となる。その結果,ノード15の電圧V15は,NMOSトランジスタN10のゲート電圧から,NMOSトランジスタN10の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN10のゲート電圧に比例して大きくなるオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)になる。
なお、オーバードライブ電圧Vovaは
Vova={(2IDS/μ・Cox)・(L/W)}1/2,
で決まる電圧である。
なお、IDSはトランジスタに流れるドレイン電流、μは移動度、Coxはゲート酸化膜単位容量あたりのキャパシタンス、Wはトランジスタ幅、Lはトランジスタ長である。さらに、詳細は、非特許文献1のP.39を参照されたい。
ノード13の電圧V13はノード14の電圧V14よりも高い。そのため,比較器C10がHレベルを出力し,PMOSトランジスタP10及びNMOSトランジスタN10のゲート電圧は電源電圧Vsolarと等しくなる。これにより,PMOSトランジスタP10は非導通状態,NMOSトランジスタN10は導通状態となる。その結果,ノード15の電圧V15は,NMOSトランジスタN10のゲート電圧から,NMOSトランジスタN10の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN10のゲート電圧に比例して大きくなるオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)になる。
例えば,電源電圧Vsolarを低電圧範囲の電圧0.9v,NMOSトランジスタN10の閾値電圧Vthaを0.4v,オーバードライブ電圧Vovaを0.1vとすると,ノードN14の電圧V15は極低電圧範囲の電圧0.4vとなる。つまり,DTMOS回路16には極低電圧0.4vが供給され,DTMOS回路16は正常に動作する。
また,電源電圧Vsolarが1.4vとなると,NMOSトランジスタN10の閾値電圧Vthaは同様に0.4v,ただしオーバードライブ電圧Vovaは0.2vと高くなる。その結果,ノードN14の電圧V15は極低電圧範囲の電圧0.8vとなる。つまり,DTMOS回路16には極低電圧範囲内の0.8vが供給され,DTMOS回路16は正常に動作する。
このように,DTMOS回路16に供給される電圧は,電源電圧Vsolarよりも閾値電圧Vthaとオーバードライブ電圧Vovaとだけ低い。これにより,上記例のように,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲の上限電圧Vb1(=0.9v)以上であっても,DTMOS回路16に供給される電圧が極低電圧範囲の電圧となるような,電源電圧Vsolarの電圧範囲が存在する。この電圧範囲(例えば0.9v≦Vsolar<1.8v)を低電圧範囲と呼ぶこととする。
つまり,第1の実施の形態では,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲又は低電圧範囲にある場合,DTMOS回路16には極低電圧範囲の電圧が供給される。そして,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の上限電圧Vb2以上である場合には,DTMOS回路16には極低電圧範囲の上限電圧Vb1(=0.9v)以上の電圧V15が供給される。
[第2の実施の形態]
図1の電圧生成回路10では,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の上限電圧Vb2以上である場合,DTMOS回路16に極低電圧範囲の上限電圧Vb1(=0.9v)以上の電圧V15が供給されると,DTMOS回路16は動作するもののDTMOSトランジスタのウェル領域と基板領域間のPN接合がオンしてリーク電流が増大してしまう。
そこで第2の実施の形態では,後述する図2の電圧生成回路20によって,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の上限電圧Vb2以上である場合には,DTMOS回路31への電圧供給を停止し,DTMOS回路31でのリーク電流の発生を防止する。その代わりに,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の上限電圧Vb2以上である場合には,電圧生成回路20は,1.8v程度で動作するような通常のCMOS回路32へ電圧供給を行う。これにより,CMOS回路32がDTMOS回路31に代わって動作する。
図3は,第2の実施の形態における電圧生成回路を示す図である。図3に示す電圧生成回路20は,DTMOS回路31に対して電源としてノード30の電圧V30を供給し,CMOS回路32に対して動作制御用にノード28の電圧V28を供給する。なお,DTMOS回路31は,バンドギャップリファレンス回路や後述する図5に示すオシレータ等,DTMOSトランジスタを有する回路である。また,CMOS回路32は,ADコンバータ,DAコンバータ,DC−DCコンバータ等,CMOSトランジスタを有し,1.8v程度以上の電源Vsolarを供給され,かつノード28からHレベルの電圧V28を供給されると動作をする回路である。
電圧生成回路20は,太陽光発電装置E2の出力である電源電圧VsolarとDTMOS31回路との間に設けられたPMOSトランジスタP20及びNMOSトランジスタN20と,電源電圧VsolarとPMOSトランジスタP20との間に設けられたPMOSトランジスタP21と,電源電圧Vsolarに応じてPMOSトランジスタP20,P21及びNMOSトランジスタN20を制御する電源電圧検出回路22とを有する。
電源電圧検出回路22は,電源電圧Vsolarを電源として供給される比較器C20及びC21を有する。
比較器C20には,抵抗R21とR22の接続ノード24の電圧V24と,抵抗R23とダイオードD20の接続ノード25の電圧V25とが入力され,プルダウン抵抗R24が出力端26に接続されている。また,比較器C20の出力電圧V26は,PMOSトランジスタP20及びNMOSトランジスタN20のゲートに供給される。
比較器C21には,抵抗R20とR21の接続ノード23の電圧V23と,抵抗R25とダイオードD21の接続ノード27の電圧V27とが入力され,プルダウン抵抗R26が出力端28に接続されている。また,比較器21の出力電圧V28は,PMOSトランジスタP21のゲートに供給されると共にCMOS回路32にも供給される。
抵抗R20〜R22は,入力端子21と基準電源GNDとの間で直列に接続される。また,抵抗RR23とダイオードD20も同様に入力端子11と基準電源GNDとの間で直列に接続される。さらに,抵抗R25とダイオードD21,D22も同様に入力端子11と基準電源GNDとの間で直列に接続される。
ダイオードD20〜D22は順方向電圧Vfを有する。電源電圧VsolarがVfよりも低い場合,ノード25の電圧V25は電源電圧Vsolarであるが,電源電圧VsolarがVf以上である場合ノード25の電圧V25はVfにクランプされる。また,電源電圧Vsolarが2Vfよりも低い場合,ノード27の電圧V27は電源電圧Vsolarであるが,電源電圧Vsolarが2Vf以上である場合ノード27の電圧V27は2Vfにクランプされる。
第2の実施の形態では,抵抗R20〜R23,R25及びダイオードD20〜D22は,電源電圧Vsolarに応じて次の4つの条件を満たすように設計されている。
第1の条件は,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲にある場合,ノード24の電圧V24<ノード25の電圧V25となることである。
第2の条件は,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲より高い場合,ノード24の電圧V24≧ノード25の電圧V25となることである。
第3の条件は,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲又は低電圧範囲にある場合,ノード23の電圧V23<ノード27の電圧V27となることである。
第4の条件は,電源電圧Vsolarが低電圧範囲より高い場合,ノード23の電圧V23≧ノード27の電圧V27となることである。
そのため,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲にある場合,比較器C20,C21の出力は共にLレベルとなる。また,電源電圧Vsolarが低電圧範囲にある場合,比較器C20の出力はHレベル,C21の出力はLレベルとなり,電源電圧Vsolarが低電圧範囲よりも高い場合,比較器C20,C21の出力は共にHレベルとなる。
ここで,図4を参照して,電圧生成回路20の動作について説明する。図4は,第2の実施の形態における電圧生成回路の出力電圧V28及びV30の一例を示す図である。図4では,極低電圧範囲の上限電圧Vb1を第1の実施の形態と同様に0.9vとし,低電圧範囲の上限電圧Vb2を通常のCMOS回路31が動作可能な1.8vとする。
(2−1) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲にある場合(Vsolar<0.9v)
ノード23の電圧V23はノード27の電圧V27よりも低いため,比較器C21の出力電圧V28は基準電源GNDとになる。これにより,PMOSトランジスタP21は導通状態となる。また,この場合,基準電源GNDと等しい出力電圧V28を供給されるCMOS回路32は動作しない。
一方,ノード24の電圧V24はノード25の電圧V25よりも低い。そのため,比較器C20の出力電圧V26は基準電源GNDとになる。これにより,PMOSトランジスタP20は導通状態,NMOSトランジスタN20は非導通状態となる。これは,第1の実施の形態における極低電圧範囲での電圧生成回路の動作と同様である。
したがって,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲にある場合,PMOSトランジスタP20,P21がオンするためノード30の電圧V30は極低電圧の電源電圧Vsolarとほぼ等しくなる。すなわち,DTMOS回路31に極低電圧範囲の電圧V30が供給される。極低電圧範囲の電圧V30を供給されたDTMOS回路31は動作する。
(2−2) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲にある場合(0.9v≦Vsolar<1.8v)
電源電圧Vsolarが極低電圧範囲の場合と同様,ノード23の電圧V23はノード27の電圧V27よりも低いため,比較器C21の出力電圧V28は基準電源GNDとなる。よって,PMOSトランジスタP21は導通状態となる。また,CMOS回路32は動作しない。
一方,ノード24の電圧V24はノード25の電圧V25よりも高い。そのため,比較器C20の出力電圧V26は電源電圧Vsolarになる。これにより,PMOSトランジスタP10は非導通状態,NMOSトランジスタN10は導通状態となる。これは,第1の実施の形態における極低電圧範囲での電圧生成回路の動作と同様である。
したがって,電源電圧Vsolarが低電圧範囲にある場合,ノード30の電圧V30は,電源電圧VsolarよりもNMOSトランジスタN20の閾値電圧Vthaとオーバードライブ電圧Vovaとだけ低い,極低電圧範囲の電圧となる。極低電圧範囲の電圧V30を供給されたDTMOS回路31は正常に動作する。
(2−3) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲よりも高い電圧である場合(Vsolar≧1.8v)
ノード23の電圧V23はノード27の電圧V27よりも高いため,比較器C21の出力電圧V28は電源電圧Vsolarと等しくHレベルとなる。これにより,PMOSトランジスタP21は非導通状態となる。また,CMOS回路32には,1.8v以上の電源電圧Vsolar及びHレベルの電圧V28が供給され動作する。さらに,PMOSトランジスタP21が非導通になることで,DTMOS回路31には極低電圧範囲よりも高い電圧(0.9v以上)が供給されないため,DTMOS回路31でのリーク電流の発生を防止することができる。
このように,第2の実施の形態では,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲又は低電圧範囲にある場合(例えば図4のように1.8v未満の場合),電圧生成回路20はDTMOS回路31に極低電圧範囲の電圧V30を供給してDTMOS回路31を動作させることができる。さらに,電源電圧Vsolarが上昇して低電圧範囲よりも高い電圧になった場合(例えば図4のように1.8v以上の場合),電圧生成回路20は,DTMOS回路31への電圧供給を止める。そして,電圧生成回路20は,電圧供給先をDTMOS回路31からCMOS回路32に切り替えてCMOS回路32を動作させることで,太陽光発電装置E2で生成された電力を有効に利用することができる。
しかしながら,電圧生成回路20では,DTMOS回路31が動作しているときに,DTMOS回路31の動作に一時的に大電流の消費が発生すると,ノード30の電圧V30が急激に低下してしまいCMOS回路31の動作が止まる可能性がある。図5に示すリングオシレータを例に説明する。
図5は,第2の実施の形態におけるDTMOS回路が有するリングオシレータの一例を示す図である。図5のリングオシレータ40は,3つのインバータ41,42,43を有する。
インバータ41は,PMOSトランジスタのゲートとウェルを接続させたDTMOSトランジスタPD1とNMOSトランジスタのゲートとウェルを接続させたDTMOSトランジスタND1とを有する。DTMOSトランジスタPD1及びND1は,電圧生成回路20のノード30の電圧V30と基準電源との間に直列に接続されている。インバータ42,43もインバータ41と同様に,それぞれ2つのDTMOSトランジスタを有する。
DTMOSトランジスタPD1及びND1のゲートには,入力端子44から入力電圧VINが供給される。インバータ41の出力端子45の電圧V45は,DTMOSトランジスタPD2及びND2のゲートに供給される。また,インバータ42の出力端子46の電圧V46は,DTMOSトランジスタPD3及びND3のゲートに供給される。そして,インバータ43の出力端子47の電圧V47は,出力端子48から出力電圧VOUTとして出力するとともに,DTMOSトランジスタPD1及びND1のゲートに供給される。これにより,リングオシレータ40は発振動作を行う。
上述のように,電圧生成回路20のPMOSトランジスタP20及びP21が導通状態になっているとき,又はPMOSトランジスタP21及びNMOSトランジスタN20がともに導通状態になっているとき,オシレータ40に極低電圧範囲の電圧V30が供給される。そして,オシレータ40のインバータ41〜43では,DTMOSトランジスタのスイッチング動作が行われる。
しかしながら,インバータ41〜43のスイッチング動作時に貫通電流を消費することがある。これによって,電圧生成回路20のノード30には一時的に大電流が流れ,ノード30の電圧V30が低下してしまい,各インバータが反転動作不能となり発振動作が一時的に停止し,発振周波数のばらつきやジッターが発生する。
そこで第3の実施の形態では,後述する図6の電圧生成回路50によって,DTMOS回路への安定した電圧供給を可能にする。
[第3の実施の形態]
図6は,第3の実施の形態における電圧生成回路を示す図である。図6に示す電圧生成回路50は,DTMOS回路61,CMOS回路62に対して,それぞれノード60の電圧V60,電源電圧Vsolarを供給する。DTMOS回路61,CMOS回路62は,図3のDTMOS回路31,CMOS回路32とそれぞれ同様である。
電圧生成回路50は,太陽光発電装置E5の出力である電源電圧VsolarとDTMOS51回路との間に設けられたPMOSトランジスタP50及びNMOSトランジスタN50と,電源電圧VsolarとトランジスタP50,N50との間に設けられたPMOSトランジスタP51及びNMOSトランジスタN51と,電源電圧Vsolarに応じてトランジスタP50,P51,N50,N51を制御する電源電圧検出回路52とを有する。なお,NMOSトランジスタN51は,NMOSトランジスタN50の閾値電圧Vthaよりも低い閾値電圧Vthbを有するトランジスタである。
電源電圧検出回路52は,電源電圧Vsolarを電源として供給される比較器C50及びC51を有する。
比較器C50には,図3の比較器C20と同様に,接続ノード54の電圧V54と接続ノード55の電圧V55とが入力され,プルダウン抵抗R54が出力端56に接続されている。また,比較器C20の出力電圧V26は,PMOSトランジスタP50,P51及びNMOSトランジスタN50のゲートに供給される。
比較器C51には,図3の比較器C21と同様に,接続ノード53の電圧V53と,接続ノード57の電圧V57とが入力され,プルダウン抵抗R56が出力端58に接続されている。また,比較器51の出力電圧V58は,CMOS回路62に供給される。
抵抗R50〜53,R55及びダイオードD50〜D52は,図3の抵抗R20〜R23,R25及びダイオードD20〜D22とそれぞれ同様に構成されている。ただし,図6では,抵抗R53とダイオードD50の接続ノード55の電圧V55が,PMOSトランジスタP52を介してNMOSトランジスタN51のゲートに供給される。このPMOSトランジスタP52のゲートには,インバータ63を介して比較器C50の出力電圧V56が供給される。さらに,ダイオード63の出力がNMOSトランジスタN52のゲートに供給される。
また,第3の実施の形態では,抵抗R50〜53,R55及びダイオードD50〜D52は,図3の抵抗R20〜R23,R25及びダイオードD20〜D22とそれぞれ同様に,第2の実施の形態で述べた4つの条件を満たすよう設計されている。
さらに,ダイオードD50は,NMOSトランジスタN51の閾値電圧Vthbよりも高い順方向電圧Vfを有するダイオードである。ただし,DTMOSトランジスタにおけるウェル領域と基板領域間のリーク電流が増大し始める電圧0.9v程度の電圧よりも低い順方向電圧Vfを有するダイオードD50が使用されているものとする。さらに,第3の実施の形態では,ダイオードD50の順方向電圧Vfは,極低電圧範囲の上限電圧Vb1よりも低いものとする。その理由については,後述する。
ここで,図7を参照して,電圧生成回路50の動作について説明する。図7は,第3の実施の形態における電圧生成回路の出力電圧V59及びV60の一例を示す図である。また,図7は,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51と,PMOSトランジスタP50,P51及びNMOSトランジスタN50に供給される比較器C50の出力電圧V56とを併せて示す。なお,図7では,ダイオードD50の順方向電圧Vfを0.8v,極低電圧範囲の上限電圧Vb1を0.9vとし,低電圧範囲の上限電圧Vb2を第2の実施の形態における図4と同様に1.8vとする。
(3−1) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲である場合(Vsolar<Vb1(0.9v))
ノード54の電圧V54はノード55の電圧V55よりも低いため,比較器C50の出力はLレベル(基準電源GND)となる。
そのため,PMOSトランジスタP52のゲートにHレベル(電源電圧Vsolar)が供給されて,PMOSトランジスタP52はオフする。また,NMOSトランジスタN52のゲートにはHレベル(電源電圧Vsolar)が供給されて,PMOSトランジスタP52はオンする。
そして,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51はLレベルの基準電源GNDとなるため,NMOSトランジスタN51は非導通状態となる。
また,トランジスタP50,P51,N50のゲートには,Lレベルの基準電源GNDが供給される。これにより,PMOSトランジスタP50,P51は導通状態,NMOSトランジスタN50は非導通状態となる。したがって,ノード59,60の電圧は電源電圧Vsolarとなり,DTMOS回路61は正常に動作することができる。
一方,ノード53の電圧V53はノード57の電圧V57よりも低いため,比較器C51の出力電圧V58はLレベル(基準電源GND)になる。その結果,CMOS回路32は,基準電源GNDと等しい出力電圧V28をオフ動作の制御信号として伝送されるため,動作しない。
(3−2) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲である場合(Vb1(0.9v)≦Vsolar<Vb2(1.8v))
電源電圧Vsolarが極低電圧範囲の場合と同様,ノード53の電圧V53はノード57の電圧よりも低いため,比較器C51の出力電圧V58はLレベルの基準電源GNDとなる。また,CMOS回路62は動作しない。
一方,ノード54の電圧V54はノード55の電圧V55よりも高いため,比較器C50の出力はHレベル(電源電圧Vsolar)となる。これにより,PMOSトランジスタP50,P51は非導通状態,NMOSトランジスタN50は導通状態になる。
さらに,PMOSトランジスタP52のゲートにLレベル(基準電源GND)が供給されて,PMOSトランジスタP52はオンする。また,NMOSトランジスタN52のゲートにはLレベル(基準電源GND)が供給されて,PMOSトランジスタP52はオフする。そして,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51は閾値電圧Vthbより高いダイオードV10の順方向電圧Vf(0.8v)となるため,NMOSトランジスタN51は導通状態となる。また,ノード55の電圧V55はVfにクランプされているため,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51は定電圧Vfとなる。そのため,電源電圧Vsolarが低電圧範囲である場合,NMOSトランジスタN51のドレイン・ソース間電流Idは定電流となる。
これにより,ノード59の電圧V59は,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51(=Vf)から,NMOSトランジスタN51の閾値電圧Vthbと,NMOSトランジスタN51のオーバードライフ電圧Vovbとの和だけ低い電圧(=Vf−Vthb−Vovb)になる。さらに,NMOSトランジスタN51のゲート電圧は定電圧であるため,ノード59の電圧V59はほぼ一定となる。
前述のとおり,トランジスタP50,P51,N50のゲートには,比較器C50の出力のHレベルの電源電圧Vsolarが供給される。これにより,PMOSトランジスタP50,P51は非導通状態,NMOSトランジスタN51は導通状態となる。
したがって,ノード60の電圧V60は,NMOSトランジスタN50のゲート電圧から,NMOSトランジスタN50の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN50のオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)になり,ノード59の電圧V59より低い電圧でほぼ一定となる。
ここで,オーバードライブ電圧Vovaは,NMOSトランジスタN50のゲート電圧に比例して大きくなる。したがって,NMOSトランジスタN50のゲート電圧Vsolarの上昇とともに,オーバードライブ電圧Vovaも高くなる。
例えば,電源電圧Vsolarを低電圧範囲の電圧0.9v,NMOSトランジスタN50の閾値電圧Vthaを0.35v,オーバードライブ電圧Vovaを0.15v,NMOSトランジスタN51の閾値電圧Vthbを0.2v,オーバードライブ電圧Vovbを0.1vとすると,ノード59の電圧V59は0.5v(=0.8v−0.2v−0.1v),ノード60の電圧V60は0.4v(=0.9v−0.35v−0.15v)となる。
また,電源電圧Vsolarを低電圧範囲の電圧1.4vとなると,NMOSトランジスタN50の閾値電圧Vthaは同様に0.35v,ただしオーバードライブ電圧Vovaは0.65vと高くなり,NMOSトランジスタN51の閾値電圧Vthb,オーバードライブ電圧Vovbはそれぞれ同様に0.2v,0.1vとなる。その結果,ノード59の電圧V59は0.5v(=0.8v−0.2v−0.1v),ノード60の電圧V60は0.4v(=1.4v−0.35v−0.65v)となる。
このようにして,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の場合,電源電圧Vsolar≧ダイオードD50の順方向電圧Vf>ノード59の電圧V59>ノード60の電圧V60となるため,DTMOS回路61には,極低電圧範囲の電圧V60が供給される。
さらに,NMOSトランジスタN51のドレイン・ソース間電流Idは定電流であるため,電圧生成回路50からDTMOS回路61に供給される電流I50は制限されている。これにより,DTMOS回路61の消費電流の増加が抑制され,DTMOS回路61は正常に動作することができる。
なお,ダイオードD50の順方向電圧Vfを極低電圧範囲の上限電圧Vb1(0.9v)よりも低い0.8vとしている理由は, 以下のとおりである。
ダイオードD50の順方向電圧Vfが極低電圧範囲の上限電圧Vb1以上とすると,電源電圧Vsolarが低電圧範囲以上で,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51が電源電圧Vsolarとなってしまい定電圧とならない場合がある。この場合,NMOSトランジスタN51のドレイン・ソース間電流Idは定電流にならず,DTMOS回路31に一時的に大電流の消費が発生すると,ノード60の電圧V60が急激に低下してしまいCMOS回路31の動作が止まる可能性がある。
一方,ダイオードD50の順方向電圧Vfを極低電圧範囲の上限電圧Vb1よりも低いと,電源電圧Vsolarが低電圧範囲以上のとき,ノード55の電圧V55が定電圧Vfとなり,NMOSトランジスタN51のゲート電圧Vg51が定電圧Vfとなる。これにより,ドレイン・ソース間電流Idは定電流になり,DTMOS回路61の消費電流の増加を抑制される。
そのため,第3の実施の形態では,ダイオードD50の順方向電圧Vfを極低電圧範囲の上限電圧Vb1よりも低いものとしている。
(3−3) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲よりも高い電圧である場合(Vsolar≧Vb2(1.8v))
ノード53の電圧V53はノード57の電圧よりも高いため,比較器C51の出力電圧V58はHレベルの電源電圧Vsolarとなり,CMOS回路62は正常に動作する。
一方,ノード54の電圧V54はノード55の電圧V55よりも高いため,比較器C50の出力はHレベル(電源電圧Vsolar)となる。
そのため,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の場合と同様,NMOSトランジスタN51のゲートには,定電圧の順方向電圧Vf(0.8v)が供給されるため,NMOSトランジスタN51は導通状態となる。また,ノード59の電圧V59はほぼ一定となり,NMOSトランジスタN51のドレイン・ソース間電流Idは定電流となる。
トランジスタP50,P51,N50のゲートには,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の場合と同様,Hレベルの電源電圧Vsolarが供給される。これにより,PMOSトランジスタP50,P51は非導通状態,NMOSトランジスタN51は導通状態となる。
ノード60の電圧V60は,NMOSトランジスタN50のゲート電圧から,NMOSトランジスタN50の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN50のゲート電圧に比例して大きくなるオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)になる。したがって,ノード60の電圧V60はほぼ一定である。しかし,電源電圧Vsolarが高い電圧になるに従いオーバードライブ電圧Vovaが飽和するので,ノード60の電圧V60は徐々に高くなりノード59の電圧V59近傍で収束する。つまり,図7において,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の上限電圧Vb2以上において,電圧V60が電圧V59に近づいている。
このように,電源電圧Vsolarが低電圧範囲よりも高い電圧の場合(Vsolar≧1.8v)でも,DTMOS回路61は,極低電圧範囲の電圧V60と定電流が供給され,正常に動作することができる。この場合,CMOS回路62及びDTMOS回路61がともに動作することができるため,CMOS回路62は独自にバンドギャップリファレンス回路やオシレータ等を持たずに,DTMOS回路61のバンドギャップリファレンス回路やオシレータ等を利用することができる。
[第4の実施の形態]
図8は,第4の実施の形態における電圧生成回路を示す図である。図8の電圧生成回路70は,図6の電圧生成回路50のPMOSトランジスタP51,P52,NMOSトランジスタN52及びインバータ63を除いた回路である。
NMOSトランジスタN71のゲートには,ノード75の電圧V75が供給されている。したがって,電源電圧VsolarがダイオードD70の順方向電圧Vfよりも低い場合には,NMOSトランジスタN71のゲートには電源電圧Vsolarが供給される。また,電源電圧VsolarがダイオードD70の順方向電圧Vfよりも高い場合には,ノード75の電圧V75は順方向電圧Vfにクランプされるため,NMOSトランジスタN71のゲートには順方向電圧Vfが供給される。但し,NMOSトランジスタN71は,閾値電圧Vthbが低くてもよいが,閾値電圧Vthbが例えば−0.2vとなるディプレッション型であると,なお望ましい。
図9を参照して,電圧生成回路70の動作について説明する。図9は,第4の実施の形態における電圧生成回路の出力電圧V79及びV80の一例を示す図である。なお,図9では,極低電圧範囲の上限電圧Vb1をDTMOSトランジスタにおけるウェル領域と基板領域間のリーク電流が増大し始める電圧0.9v,低電圧範囲の上限電圧Vb2を第2の実施の形態における図4と同様に1.8vとする。さらに,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbを0.2v,ダイオードD70の順方向電圧Vfを極低電圧範囲の上限電圧Vb1よりも低い0.8vとする。
(4−1) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲である場合(Vsolar<Vb1(0.9v))
ノード73の電圧V73はノード77の電圧V77よりも低いため,比較器C71の出力はLレベル(基準電源GND)となる。そのため,CMOS回路82は動作しない。また,ノード54の電圧V54はノード55の電圧V55よりも低いため,比較器C70の出力はLレベルの基準電源GNDとなる。そして,トランジスタP70,N70のゲートには,比較器C70からLレベルの基準電源GNDが供給される。
(4−1−1) 電源電圧VsolarがNMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbよりも低い場合には(Vsolar<Vthb(0.2v)),NMOSトランジスタN71は非導通状態となる。そのため,DTMOS回路81には電圧が供給されず,DTMOS回路81は動作しない。
(4−1−2) 電源電圧VsolarがNMOSトランジスタN71の閾値電圧VthbとダイオードD70の順方向電圧Vfの間にある場合には(Vthb(0.2v)≦Vsolar<Vf(0.8v)),ゲートに電源電圧Vsolarを供給されたNMOSトランジスタN71は導通状態となる。
したがって,ノード79の電圧V79は,NMOSトランジスタN71のゲート電圧から,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbと,NMOSトランジスタN71のオーバードライブ電圧Vovbとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vthb−Vovb)になる。また,ゲートにLレベルの基準電源GNDを供給されるPMOSトランジスタP70は導通状態となるため,ノード80の電圧V80も電圧V79と等しくなる。その結果,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80が供給され,DTMOS回路81は正常に動作する。
(4−1−3) 電源電圧VsolarがダイオードD70の順方向電圧Vfよりも高い場合(Vf(0.8v)≦Vsolar<Vb1(0.9v)),NMOSトランジスタN71はゲートに定電圧Vf(0.8v)を供給され導通状態となる。
したがって,ノード79の電圧V79は,NMOSトランジスタN71のゲート電圧から,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthb(0.2v)と,NMOSトランジスタN71のオーバードライブ電圧Vovb(0.1v)との和だけ低い電圧(=Vf−Vthb−Vovb(0.5v))でほぼ一定となる。さらに,NMOSトランジスタN71のゲート電圧は定電圧Vfのため,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流となる。
PMOSトランジスタP70は導通状態を維持するため,ノード80の電圧V80は電圧V79とほぼ等しくなる。その結果,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80が供給される。さらに,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流であるため,電圧生成回路70からDTMOS回路71に供給される電流I50は制限されている。
このように,第4の実施の形態では,電源電圧Vsolarが順方向電圧Vf以上の極低電圧範囲である場合でも,DTMOS回路61の消費電流の増加が抑制され,DTMOS回路61は正常に動作することができる。
(4−2) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲である場合(Vb1(0.9v)≦Vsolar<Vb2(1.8v))
電源電圧Vsolarが極低電圧範囲の場合と同様,ノード73の電圧V73はノード77の電圧V77より低いため,比較器C71の出力電圧V78はLレベルの基準電源GNDとなる。また,CMOS回路82は動作しない。
一方,ノード74の電圧V74はノード75の電圧V75より高いため,比較器C70の出力はHレベル(電源電圧Vsolar)となる。そのため,PMOSトランジスタP70及びNMOSトランジスタN70のゲートにHレベルの電源電圧Vsolarが供給され,PMOSトランジスタP70は非導通状態に,NMOSトランジスタN70は導通状態になる。
また,NMOSトランジスタN71のゲートには定電圧Vf(0.8v)が供給されて導通状態になり,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流となる。
これにより,ノード79の電圧V79は,NMOSトランジスタN71のゲート電圧から,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbと,NMOSトランジスタN71のオーバードライフ電圧Vovbとの和だけ低い電圧(=Vf−Vthb−Vovb)になる。さらに,NMOSトランジスタN71のゲート電圧は定電圧Vfであるため,電源電圧Vsolarが低電圧範囲である場合,ノード79の電圧V79はほぼ一定となる。
一方,ノード80の電圧V80は,NMOSトランジスタN70のゲート電圧から,NMOSトランジスタN70の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN70のオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)になる。ここで,オーバードライブ電圧VovaはNMOSトランジスタN70のゲート電圧に比例して大きくなる。その結果,ノード79の電圧V79より低い電圧でほぼ一定となる。
このように,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の場合,電源電圧Vsolar≧ダイオードD70の順方向電圧Vf>ノード79の電圧V79>ノード80の電圧V80となるため,DTMOS回路81には,極低電圧範囲の電圧V80が供給される。
さらに,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流であるため,電圧生成回路70からDTMOS回路81に供給される電流I70は制限されている。これにより,DTMOS回路81の消費電流の増加が抑制され,DTMOS回路81は正常に動作することができる。
(4−3) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲よりも高い電圧である場合(Vsolar≧1.8v)
ノード73の電圧V73はノード77の電圧V77より高いため,比較器C71の出力電圧V78はHレベルの電源電圧Vsolarとなる。そのため,CMOS回路82は正常に動作する。
電源電圧Vsolarが低電圧範囲の場合と同様に,NMOSトランジスタN71のゲートには,定電圧Vf(0.8v)が供給されるため,NMOSトランジスタN71は導通状態となる。そして,ノード79の電圧V79は,NMOSトランジスタN71のゲート電圧から,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbと,NMOSトランジスタN71のオーバードライフ電圧Vovbとの和だけ低い電圧(=Vf−Vthb−Vovb)でほぼ一定となる。また,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流となる。
また,PMOSトランジスタP70及びNMOSトランジスタN70のゲートには,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の場合と同様に,Hレベルの電源電圧Vsolarが供給される。これにより,PMOSトランジスタP70が非導通状態,NMOSトランジスタN70が導通状態になる。
ノード80の電圧V80は,NMOSトランジスタN70のゲート電圧Vsolarから,NMOSトランジスタN70の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN70のゲート電圧に比例して大きくなるオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)になる。したがって,ノード80の電圧V80はほぼ一定である。しかし,電源電圧Vsolarが高い電圧になるに従いオーバードライブ電圧Vovaが飽和するので,ノード80の電圧V80は徐々に高くなりノード79の電圧V79近傍で収束する。つまり,図9において,電源電圧Vsolarが低電圧範囲の上限電圧Vb2以上において,電圧V80が電圧V79に近づいている。
このようにして,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80及び定電流Idが供給され,DTMOS回路81は正常に動作することができる。
以上のように図7と比較すると図9では,電源電圧Vsolarが閾値電圧Vthb以上の場合でないと,DMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80が供給されない。しかし,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲にあり,かつ順方向電圧Vf以上の場合は,NMOSトランジスタN71のゲート電圧が定電圧Vfとなるため,DTMOS回路81に供給される電流I70は定電流となる。すなわち,図9では,電圧生成回路70は,図7よりも低い電源電圧VsolarでDTMOS回路81の消費電流の増加を抑制することができる。
なお,第4の実施の形態では,NMOSトランジスタN71にディプレッション型のトランジスタを使用してもよい。NMOSトランジスタN71にディプレッション型のトランジスタを使用すると,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbが負になる。
ここで,図10を参照して,NMOSトランジスタN71にディプレッション型のトランジスタを使用した場合の,極低電圧範囲での電圧生成回路70の動作について説明する。図10は,第4の実施の形態における,ディプレッション型トランジスタを使用した電圧生成回路の出力電圧V79及びV80の一例を示す図である。図10では,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbを−0.2v,オーバードライブ電圧Vovbを0.1v,ダイオードD70の順方向電圧Vfを極低電圧範囲の上限電圧Vb1よりも低い0.6vとし,他の値は図9と同様とする。
ダイオードD70の順方向電圧Vfを図9の0.8vよりも低い0.6vとしているのは,順方向電圧Vfが高いと,ディプレッション型NMOSトランジスタN71のゲートに定電圧Vfが供給された場合,閾値電圧Vthbが負であるためにノード79の電圧V79及びノード80の電圧V80が極低電圧範囲より高い電圧になり得るからである。
(4−4) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲である場合(Vsolar<Vb1(0.9v))
比較器C71の出力は,上述の(4−1)と同様に,Lレベル(基準電源GND)となる。そのため,CMOS回路82は動作しない。また,トランジスタP70,N70のゲートには,上述の(4−1)と同様に,比較器C70からLレベルの基準電源GNDが供給される。
(4−4−1) 電源電圧Vsolarが,ダイオードD70の順方向電圧Vf(0.6v)よりも低い場合(Vsolar<Vf(0.6v))
ディプレッション型NMOSトランジスタN71のゲートには電源電圧Vsolarが供給され,ディプレッション型NMOSトランジスタN71は導通状態になる。
一方,PMOSトランジスタP70及びNMOSトランジスタN70のゲートにはLレベルの基準電源GNDが供給され,PMOSトランジスタP70は導通状態,NMOSトランジスタN70は非導通状態となる。
したがって,ノード79の電圧V79及びノード80の電圧V80は共に電源電圧Vsolarとなる。その結果,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80が供給され,DTMOS回路81は正常に動作する。
このようにNMOSトランジスタN71をディプレッション型にすることで,図9と異なり図10では,DTMOS回路81に供給する電圧V80が極低電圧範囲の0v〜Vf(0.6v)において,電源電圧Vsolarとほぼ等しくなり好ましい。
(4−4−2) 電源電圧Vsolarが,ダイオードD70の順方向電圧VfからNMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbとオーバードライブ電圧Vovbとの和だけ低い電圧よりも低い場合(Vf(0.6v)≦Vsolar<Vf−Vthb−Vovb(0.7v))
ノード55の電圧V55はVfにクランプされているため,ディプレッション型NMOSトランジスタN71のゲートには順方向電圧Vfが供給される。これにより,ディプレッション型NMOSトランジスタN71は導通状態になる。その結果,ノード79の電圧V79の電圧は,電源電圧Vsolarとほぼ等しくなる。
なお,(4−4−3)で後述するように,ディプレッション型NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbは負の値であるため,ノード79の電圧V79がV75(=Vf(0.6v))−Vthb(−0.2v)−Vovb(0.1v)=0.7vを超えると電圧N71は非導通となる。したがって,電源電圧VsolarがVf−Vthb−Vovb(0.7v)を超えると,ノード79の電圧V79がVf−Vthb−Vovbにクランプされる。
一方,PMOSトランジスタP70及びNMOSトランジスタN70のゲートにはLレベルの基準電源GNDが供給され,PMOSトランジスタP70は導通状態,NMOSトランジスタN70は非導通状態となる。
したがって,ノード79の電圧V79及びノード80の電圧V80は共に電源電圧Vsolarとなる。その結果,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80が供給され,DTMOS回路81は正常に動作する。
(4−4−3) 電源電圧Vsolarが,ダイオードD70の順方向電圧VfからNMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbとオーバードライブ電圧Vovbとの和だけ低い電圧以上の場合(Vf−Vthb−Vovb(0.7v)≦Vsolar<Vb1(0.9v))
ノード75の電圧V75はVfにクランプされているため,ディプレッション型NMOSトランジスタN71のゲートには定電圧Vfが供給され,ディプレッション型NMOSトランジスタN71は導通状態になる。そして,ノード79の電圧V79は,ゲート電圧Vfから閾値電圧Vthbとオーバードライブ電圧Vovbとの和を差し引いた電圧(Vf−Vthb−Vovb(0.7v))でほぼ一定となる。また,ドレイン・ソース電流は定電流となる。
一方,PMOSトランジスタP70のゲートにはLレベルの基準電源GNDが供給され,PMOSトランジスタP70は導通状態となり,ノード80の電圧V80はノード79の電圧V79とほぼ等しくなる。
したがって,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80(=Vf−Vthb−Vovb(0.7v))が供給される。さらに,ディプレッション型NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流であるため,電圧生成回路70からDTMOS回路81に供給される電流I50は制限されている。その結果,DTMOS回路81は正常に動作する。
(4−5) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲である場合(Vb1(0.9v)≦VsolarVb2(1.8v))
電圧生成回路70は,上述の(4−2)と同様に動作する。すなわち,PMOSトランジスタP70及びNMOSトランジスタN70のゲートに電源電圧Vsolarが供給され,PMOSトランジスタP70は非導通状態,NMOSトランジスタN70は導通状態となる。また,NMOSトランジスタN71のゲートに定電圧Vfが供給され,NMOSトランジスタN71は導通状態となる。
これにより,ノード79の電圧V79は,上述の(4−2)と同様,NMOSトランジスタN71のゲート電圧から,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbと,NMOSトランジスタN71のオーバードライフ電圧Vovbとの和だけ低い電圧(=Vf−Vthb−Vovb)でほぼ一定となる。
また,ノード80の電圧V80は,上述の(4−2)と同様,NMOSトランジスタN70のゲート電圧から,NMOSトランジスタN70の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN70のオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)でほぼ一定となる。
その結果,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80が供給される。さらに,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流であるため,DTMOS回路81の消費電流の増加が抑制され,DTMOS回路81は正常に動作することができる。
(4−6) 電源電圧Vsolarが低電圧範囲より高い電圧である場合(Vsolar≧1.8v)
電圧生成回路70は,上述の(4−3)と同様に動作する。すなわち,PMOSトランジスタP70及びNMOSトランジスタN70のゲートに電源電圧Vsolarが供給され,PMOSトランジスタP70は非導通状態,NMOSトランジスタN70は導通状態となる。また,NMOSトランジスタN71のゲートに定電圧Vfが供給され,NMOSトランジスタN71は導通状態となる。
ノード79の電圧V79は,上述の(4−3)と同様,NMOSトランジスタN71のゲート電圧から,NMOSトランジスタN71の閾値電圧Vthbと,NMOSトランジスタN71のオーバードライフ電圧Vovbとの和だけ低い電圧で(=Vf−Vthb−Vovb)ほぼ一定となる。また,NMOSトランジスタN71のドレイン・ソース間電流Idは定電流となる。
ノード80の電圧V80は,上述の(4−3)と同様,NMOSトランジスタN70のゲート電圧から,NMOSトランジスタN70の閾値電圧Vthaと,NMOSトランジスタN70のゲート電圧に比例して大きくなるオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vsolar−Vtha−Vova)でほぼ一定となる。しかし,電源電圧Vsolarが高い電圧になるに従いオーバードライブ電圧Vovaが飽和するので,ノード80の電圧V80は徐々に高くなる。
このようにして,電源電圧Vsolarが低電圧範囲より高い電圧である場合,DTMOS回路81には極低電圧範囲の電圧V80及び定電流Idが供給され,DTMOS回路81は正常に動作することができる。
以上のように,図9と比較すると図10では,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲の0vに近い電圧であっても,NMOSトランジスタN71及びPMOSトランジスタP70が共に導通状態となるため,電圧生成回路70は,DTMOS回路81に極低電圧範囲の電圧V80を供給することができる。すなわち,ディプレッション型のNMOSトランジスタ71を使用した場合には,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲以上のいずれの電圧であっても,電圧生成回路70はDTMOS回路81に極低電圧範囲の電圧を供給することができる。
また,第3の実施の形態での図7と比較すると図10では,電圧生成回路70は,図7よりも低い電源電圧Vsolarで,DTMOS回路81に定電流を供給してDTMOS回路81の消費電流を抑えることができる。
[第5の実施の形態]
第1の実施の形態では,電源電圧Vsolarが低電圧範囲より高い電圧である場合(Vsolar≧1.8v),DTMOS回路16に供給される電圧が,DTMOS回路が正常に動作することができる極低電圧範囲よりも高くなってしまう。そこで,第5の実施の形態では,図11に示すように電圧生成回路90によって,電源電圧Vsolarが低電圧範囲より高い電圧であっても,極低電圧範囲の電圧がDTMOS回路97に供給されるようにする。
図11は,第5の実施の形態における電圧生成回路を示す図である。図11の電圧生成回路90は,図1の電圧生成回路10の電源電圧検出回路12に対してバイアス回路98を設けた回路である。電圧生成回路90は,図1と同様に,電源電圧Vsolarに応じてノード96の電圧V96を出力してDTMOS回路97に供給する。
太陽光発電装置E9,抵抗R90〜R93,ダイオードD90,比較器C90,DTMOS回路97は,図1と同様である。
電源電圧検出回路92のバイアス回路98は,入力端子91より電源電圧Vsolarを供給される。また,バイアス回路98は,比較器C90が電源電圧Vsolarに応じて出力する電圧V95に基づいて,NMOSトランジスタN90のゲートに定電圧Vbiasを供給する。
図12は,第5の実施の形態におけるバイアス回路を示す図である。図12(1),(2)には,バイアス回路98の例が示されている。
図12(1)では,バイアス回路98は,電源電圧Vsolarと基準電源GNDとの間に,比較器C90の出力電圧V95がゲートに供給されるNMOSトランジスタN91と,抵抗R94と,ダイオードD91とを有する。また,バイアス回路98は,抵抗R94とダイオードD91との間のノード100の電圧Vbiasを出力し,図11のNMOSトランジスタN90のゲートに電圧Vbiasを供給する。なお,ダイオードD91の順方向電圧Vfは,極低電圧範囲の上限電圧Vb1よりも低いものとする。
図12(1)において,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲(Vsolar<0.9v)である場合,第1の実施の形態と同様,比較器C90の出力電圧V95はLレベルとなる。そのため,NMOSトランジスタN91は非導通状態となり,電圧Vbiasは基準電源GNDとなる。
また,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲よりも高い電圧(Vsolar≧0.9v)である場合,第1の実施の形態と同様,比較器C90の出力電圧V95はHレベルとなる。そのため,NMOSトランジスタN91は導通状態となる。このとき,電源電圧VsolarはダイオードD91の順方向電圧Vfよりも高いため,電圧Vbiasは順方向電圧Vfで一定となる。したがって,図11のNMOSトランジスタN90のノード電圧はVfで一定となる。
一方,図12(2)では,バイアス回路98は,電源電圧Vsolarと基準電源GNDとの間に,ゲートに比較器C90の出力電圧V95が供給されるNMOSトランジスタN92と,抵抗R94と,ゲートがノード101に接続するNMOSトランジスタN93とを有する。また,バイアス回路98は,ノード101の電圧Vbiasを図11のNMOSトランジスタN90のゲートに供給する。なお,NMOSトランジスタN92の閾値電圧Vthcとオーバードライブ電圧Vovcとは,極低電圧範囲の上限電圧Vb1に対して,Vb1>Vthc+Vovcの関係が成り立つものとする。
図12(2)において,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲(Vsolar<0.9v)である場合,第1の実施の形態と同様,比較器C90の出力電圧V95はLレベルとなる。そのため,NMOSトランジスタN91は非導通状態となり,電圧Vbiasは基準電源GNDとなる。
また,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲よりも高い電圧(Vsolar≧0.9v)である場合,第1の実施の形態と同様,比較器C90の出力電圧V95はHレベルとなる。そのため,NMOSトランジスタN92は導通状態となる。そして,NMOSトランジスタN93のゲートの電圧は,基準電源GNDよりも閾値電圧Vthcとオーバードライブ電圧Vovcだけ高い電圧(Vthc+Vovc)となり,NMOSトランジスタN93はオンする。これにより,ノード101の電圧Vbiasは,基準電源GNDよりも閾値電圧Vthcとオーバードライブ電圧Vovcだけ高い電圧(Vthc+Vovc)で一定となる。
このようなバイアス回路98を有する電圧生成回路90の動作について説明する。図13は,第5の実施の形態における電圧生成回路の出力電圧V96の一例を示す図である。なお,極低電圧範囲の上限電圧Vb1を第1の実施の形態と同様に0.9vとする。また,バイアス回路98には図12(1)のバイアス回路98が使用され,ダイオードD91の順方向電圧Vfを0.8vとする。
(5−1) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲(Vsolar<0.9v)にある場合
図11において,比較器C90の出力電圧V95は,第1の実施の形態と同様に,Lレベルの基準電源GNDとなり,PMOSトランジスタP90のゲート電圧は基準電源GNDと等しくなる。これにより,PMOSトランジスタP90は導通状態となる。
一方,図12(1)において,比較器C90の出力電圧V95が供給されるバイアス回路98では,NMOSトランジスタN91のゲート電圧が基準電源GNDと等しくなる。これにより,NMOSトランジスタN91は非導通状態となり,バイアス回路98の出力電圧Vbiasは基準電源GNDと等しくなる。
そして,図11のNMOSトランジスタN90のゲート電圧Vbiasは基準電源GNDとなるため,NMOSトランジスタN90は非導通状態となる。そのため,図13に示すように,ノード96の電圧V96は極低電圧の電源電圧Vsolarになる。その結果,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲のとき,DTMOS回路97に極低電圧範囲の電圧V96が供給され,DTMOS回路97は正常に動作する。
(5−2) 電源電圧Vsolarが極低電圧範囲よりも高い電圧(Vsolar≧0.9v)である場合
比較器C90の出力電圧V95は,第1の実施の形態と同様にHレベルの電源電圧Vsolarとなり,PMOSトランジスタP90のゲート電圧は電源電圧Vsolarと等しくなる。これによりPMOSトランジスタP90は非導通状態となる。
一方,図12(1)において,比較器C90の出力電圧V95が供給されるバイアス回路98では,NMOSトランジスタN91のゲート電圧が電源電圧Vsolarと等しくなる。これにより,NMOSトランジスタN91は導通状態となり,バイアス回路98の出力電圧VbiasはダイオードD91の順方向電圧Vf(0.8v)で一定となる。
そして,図11のNMOSトランジスタN90のゲート電圧Vbiasは,図13のように順方向電圧Vf(0.8v)で一定となり,NMOSトランジスタN90は導通状態となる。そのため,ノード96の電圧V96は,NMOSトランジスタN90のゲート電圧Vbiasから,NMOSトランジスタN90の閾値電圧Vthaとオーバードライブ電圧Vovaとの和だけ低い電圧(=Vbias−Vtha−Vova)となる。
また,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲よりも高い電圧(Vsolar≧0.9v)である場合,NMOSトランジスタN90のゲート電圧Vbiasは上述の通り順方向電圧Vf(0.8v)で一定のため,NMOSトランジスタN90のオーバードライブ電圧Vovaも一定となる。その結果,図13のように,ノード96の電圧V96も一定となる。すなわち,DTMOS回路97に極低電圧範囲の電圧V96が供給され,DTMOS回路97は正常に動作する。
さらに,電源電圧Vsolarが極低電圧範囲よりも高い電圧(Vsolar≧0.9v)である場合,NMOSトランジスタN90のゲート電圧Vbiasが定電圧となることで,NMOSトランジスタN90のドレイン・ソース間電流は定電流となる。これにより,DTMOS回路97の消費電流の増加が抑制される。
なお,図12(2)のバイアス回路98を図11のバイアス回路98に使用した場合には,NMOSトランジスタN90のゲート電圧Vbiasは,NMOSトランジスタN93の閾値電圧とオーバードライブ電圧との和(Vthc+Vovc)で一定となる。そして,(Vthc+Vovc)>(Vtha−Vova)とすると,ノード96の電圧V96は極低電圧範囲の電圧(Vthc+Vovc−Vtha−Vova)で一定となる。
このように,第1〜第5の実施の形態で述べた電圧生成回路により,電源電圧Vsolarが低電圧範囲以上の場合でも,極低電圧範囲の電圧がDTMOS回路に供給され,DTMOS回路は正常に動作することができる。
なお,上述の第1〜第5の実施の形態では,極低電圧範囲で動作する回路として,DTMOS回路を用いて説明したが,極低電圧範囲で好適に動作し,極低電圧範囲以外で破壊に至る恐れのある耐圧のトランジスタで構成したCMOSあるいはBIPOLAR回路に同様の構成ができることはいうまでもない。
また,第1〜第5の実施の形態では,PMOS及びNMOSトランジスタを用いて説明したが,バイポーラトランジスタを用いて同様の回路を構成できることはいうまでもない。
さらに,本発明は,上記第1〜第5の実施の形態に限られることなく,特許請求の範囲に記載される範囲内で自由に変形,変更可能である。
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
(付記1)
入力端子に入力された電源電圧から出力端子に所望の出力電圧を生成する電圧生成回路において,
前記入力端子と前記出力端子との間に互いに並列に設けられる第1のPMOSトランジスタ及び第1のNMOSトランジスタと,
前記電源電圧に応じて,前記第1のPMOSトランジスタのゲート電圧及び前記第1のNMOSトランジスタのゲート電圧を制御し,前記第1のPMOSトランジスタ及び前記第1のNMOSトランジスタを導通状態又は非導通状態にする電源電圧検出回路とを有し,
前記電源電圧検出回路は,
前記電源電圧が第1の電圧範囲内にある場合,前記第1のPMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第1のPMOSトランジスタを導通状態にする電圧にし,前記第1のNMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第1のNMOSトランジスタを非導通状態にする電圧にし,
前記電源電圧が前記第1の電圧範囲より高い電圧である場合,前記第1のPMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第1のPMOSトランジスタを非導通状態にする電圧にし,前記第1のNMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第1のNMOSトランジスタを導通状態にする電圧にすることを特徴とする電圧生成回路。
(付記2)
付記1において,
さらに,前記入力端子と前記第1のPMOSトランジスタとの間に,前記電源電圧検出回路によってゲート電圧が制御される第2のPMOSトランジスタを有し,
前記電源電圧検出回路は,
前記電源電圧が前記第1の電圧範囲内又は前記第1の電圧範囲より高い第2の電圧範囲内のいずれかにある場合,前記第2のPMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のPMOSトランジスタを導通状態にする電圧にし,
前記電源電圧が前記第2の電圧範囲より高い電圧である場合,前記第2のPMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のPMOSトランジスタを非導通状態にする電圧にすることを特徴とする電圧生成回路。
(付記3)
付記1において,
さらに,前記入力端子と前記第1のPMOSトランジスタとの間に,前記電源電圧検出回路によってゲート電圧が制御される第2のPMOSトランジスタと,
前記入力端子と前記第1のNMOSトランジスタとの間に,前記電源電圧検出回路によってゲート電圧が制御される第2のNMOSトランジスタとを有し,
前記電源電圧検出回路は,
前記電源電圧が前記第1の電圧範囲にある場合,前記第2のPMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のPMOSトランジスタを導通状態にする電圧にし,前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のNMOSトランジスタを非導通状態にする電圧にし,
前記電源電圧が前記第1の電圧範囲よりも高い電圧である場合,前記第2のPMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のPMOSトランジスタを非導通状態にする電圧にし,前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のNMOSトランジスタを導通状態にする電圧にすることを特徴とする電圧生成回路。
(付記4)
付記1において,
前記入力端子と前記第1のNMOSトランジスタとの間に,前記電源電圧検出回路によってゲート電圧が制御される第2のNMOSトランジスタとを有し,
前記電源電圧検出回路は,
前記電源電圧が前記第1の電圧範囲にある場合,前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のNMOSトランジスタを導通状態にする電圧にし,
前記電源電圧が前記第1の電圧範囲よりも高い電圧である場合,前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧を,前記第2のNMOSトランジスタを導通状態にする電圧にすることを特徴とする電圧生成回路。
(付記5)
付記1において
前記電源電圧検出回路は,前記電源電圧が前記第1の電圧範囲より高い電圧である場合,前記第1のNMOSトランジスタのゲート電圧を所定の定電圧にすることを特徴とする電圧生成回路。
(付記6)
付記1において,
前記電源電圧は,環境発電装置で発電されることを特徴とする電圧生成回路。
(付記7)
付記1において,
前記所望の出力電圧は,DTMOSトランジスタを有するDTMOS回路に供給されることを特徴とする電圧生成回路。
(付記8)
付記3において,
前記第2のNMOSトランジスタの閾値電圧は,前記第1のNMOSトランジスタの閾値電圧よりも低いことを特徴とする電圧生成回路。
(付記9)
付記4において,
前記第2のNMOSトランジスタは,ディプレッション型トランジスタであることを特徴とする電圧生成回路。
(付記10)
付記4において,
前記第2のNMOSトランジスタを導通状態にする電圧は,前記第4のNMOSトランジスタの閾値電圧以上で,かつ前記第1の電圧範囲の電圧であることを特徴とする電圧生成回路。