JP6076512B1 - 複数波長レーザ光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小型軽量化が容易であり、第1波長のレーザビームと第2波長のレーザビームとの2つの光軸を平行にするための調整の手数を削減する。【解決手段】 実施形態の複数波長レーザ光学装置は、レーザ光源及びレンズを具備する。前記レーザ光源は、第1レーザチップと、第2レーザチップとを互いに近接して中心軸の近傍に配置している。前記第1レーザチップは、第1波長のレーザビームを出射する。前記第2レーザチップは、第2波長のレーザビームを出射する。前記レンズは、前記レーザ光源の出射端に対向して前記中心軸上に凸部が配置され、前記凸部の中央に円形の平面部が形成され、前記平面部上に前記第2波長のレーザビームを減衰させるフィルタ層が形成されている。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、複数波長レーザ光学装置に関する。
非可視光による近・遠距離通信を用いた射撃訓練システムが知られている。この種の射撃訓練システムは、実銃もしくはモデルガン(以下、「銃」という。)に装着されたレーザ光学装置と、このレーザ光学装置の被照射側に配置された受光装置とを備えている。
レーザ光学装置は、射撃手であるユーザを示すデータを付与した非可視光を弾の代わりに用い、ユーザの操作により、銃の照準器が照準する方向に非可視光を照射する。受光装置は、照射された非可視光をデータに変換し、当該データが示すユーザから被弾したことを判定する。
このとき、銃の照準器が照準する方向と、非可視光の照射方向(光軸方向)とが一致していることが前提となる。
しかしながら、非可視光を裸眼で認識できないため、2つの方向を一致させるには、別途、非可視光の照射方向を確認するための装置を用意する必要がある。
これに伴い、第1波長の非可視光を光源とする光学系と、第2波長の可視光を光源とする光学系との2つの光軸が平行となるように機械的に調整して固定した構造により、非可視光の照射方向を可視光で視認できる複数波長レーザ光学装置が市場に存在する。
以上の複数波長レーザ光学装置は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、小型軽量化が困難なことに加え、第1波長のレーザビームと第2波長のレーザビームとの2つの光軸を平行にするための製造業者での調整に手数を要する不都合がある。
例えば、レーザ光の光源となるレーザダイオードは、点光源に近似する極微小な光源を有するが、このままではポインタとならず、レンズによって光源から拡散するレーザ光を一定方向に集光する必要がある。このため、複数光源を有する複数波長レーザ光学装置は、光源毎に集光レンズ(と光学鏡筒)を有することから、光源の数だけ装置サイズが大きくなる。
なお、一般的な光学研究において、複数光源の光軸を一致させる技術として、集光光をビームコンバイナやプリズムを用いて光軸を合わせる方法や、レーザダイオードに直接光ファイバを接合し、コンバイナで合成したものを光源とする方法等がある。但し、本発明者の検討によれば、いずれの方法も装置サイズが増大し、銃身に装着すると射撃操作に支障をきたす可能性がある。
また、本発明者の検討によれば、光源をまとめて1つの集光レンズでレーザビームを整形した場合、各光源のレーザパターンの大きさ(レーザビームサイズ)が同等となるが、用途によっては各光源毎にレーザパターンの大きさを変える必要が生じる。例えば、可視光をポインタ用途として小さいレーザパターンとし、非可視光を通信用途として中程度の大きさのレーザパターンとしたい場合がある。この場合、少なくともレーザパターンの大きさを変える方の光源にはそのための光学系が必要になり、その光学系に起因した装置サイズや調整などといった更なる不都合が生じてしまう。
本発明が解決しようとする課題は、小型軽量化が容易であり、第1波長のレーザビームと第2波長のレーザビームとの2つの光軸を平行にするための調整の手数を削減し得る複数波長レーザ光学装置を提供することである。
実施形態の複数波長レーザ光学装置は、レーザ光源及びレンズを具備する。
前記レーザ光源は、第1レーザチップと、第2レーザチップとを互いに近接して中心軸の近傍に配置している。
前記第1レーザチップは、第1波長のレーザビームを出射する。
前記第2レーザチップは、第2波長のレーザビームを出射する。
前記レンズは、前記レーザ光源の出射端に対向して前記中心軸上に凸部が配置され、前記凸部の中央に円形の平面部が形成され、前記平面部上に前記第2波長のレーザビームを減衰させるフィルタ層が形成されている。
以下、各実施形態に係る複数波長レーザ光学装置について図面を用いて説明する。なお、以下の説明は、第1波長のレーザビームとして非可視光のレーザビームを用い、第2波長のレーザビームとして可視光のレーザビームを用いる場合を例に挙げて述べるが、各実施形態はこれに限定されない。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る複数波長レーザ光学装置の構成を示す模式図であり、図2及び図3は複数波長レーザ光学装置におけるレーザダイオードの構成を示す模式図である。図4は複数波長レーザ光学装置における凸レンズの外観を示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線矢視断面を示す模式図である。すなわち、複数波長レーザ光学装置は、概略的には、レーザダイオード1及び凸レンズ2を備えている。具体的には複数波長レーザ光学装置は、レーザダイオード1及び凸レンズ2を設けた筐体11を備えている。筐体11は、円筒状の筐体本体111と、筐体本体111の一端に取り付けられ、レーザダイオード1を中心軸部に保持する光源部筐体112と、筐体本体111の他端に取り付けられ、凸レンズ2を保持するレンズ部筐体113とを備えている。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る複数波長レーザ光学装置の構成を示す模式図であり、図2及び図3は複数波長レーザ光学装置におけるレーザダイオードの構成を示す模式図である。図4は複数波長レーザ光学装置における凸レンズの外観を示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線矢視断面を示す模式図である。すなわち、複数波長レーザ光学装置は、概略的には、レーザダイオード1及び凸レンズ2を備えている。具体的には複数波長レーザ光学装置は、レーザダイオード1及び凸レンズ2を設けた筐体11を備えている。筐体11は、円筒状の筐体本体111と、筐体本体111の一端に取り付けられ、レーザダイオード1を中心軸部に保持する光源部筐体112と、筐体本体111の他端に取り付けられ、凸レンズ2を保持するレンズ部筐体113とを備えている。
これにより、レーザダイオード1から発生したレーザビームは凸レンズ2に入射する。凸レンズ2は、レーザビームの光軸上に凸部が当該レーザビームの入射側になるように配置され、所定の曲率半径を有すると共に、入射面中央に円形の平面部201が形成されている。凸レンズ2の平面部201を透過したレーザビームは近距離用のレーザビーム(近距離レーザビーム3)を形成し、凸レンズ2の外側曲率部202を透過したレーザビームは遠距離用のレーザビーム(遠距離レーザビーム4)を形成する。すなわち、平面部201は、入射したレーザビームを絞らずに透過させて近距離レーザビーム3に形成する。外側曲率部202は、入射したレーザビームを絞りつつ透過させて遠距離レーザビーム4に形成する。
ここで、レーザダイオード1は、図2(a)に示すように、第1LD(laser diode)チップ1aと、第2LD(laser diode)チップ1bとを互いに近接して中心軸Zの近傍に配置したレーザ光源である。中心軸Zは、各LDチップ1a,1bのいずれかの光軸に一致してもよく、一致しなくてもよい。一致又は不一致のいずれにしても、中心軸Zと、各LDチップ1a,1bの光軸とは、互いに近傍に位置して互いに平行(略平行)な関係がある。すなわち、中心軸Zと、各LDチップ1a,1bの光軸とは、(ズレを無視できる程度の)許容範囲内で同一の軸である。
第1LDチップ1aは、非可視光(第1波長)のレーザビームを照射する。第2LDチップ1bは、可視光(第2波長)のレーザビームを照射する。各LDチップ1a,1bは、例えば、サブマウント基板1c上に配置される。サブマウント基板1cは、図示しないヒートシンク上に設けられる。
ここで、「非可視光のレーザビーム」は、第1波長のピーク値が非可視光領域にあるレーザ光であり、例えば近赤外光のように、波長の端部が可視光領域にあってもよい。「非可視光」としては、例えば、第1波長が700−2500nmの範囲内にあるレーザ光が適宜、使用可能となっている。「第1波長」は「第1波長帯域」又は「第1波長帯」と読み替えてもよい。
「可視光のレーザビーム」は、第2波長のピーク値が可視光領域にあるレーザ光であり、例えば、第2波長が620−750nmの範囲内にある赤色レーザ光、又は第2波長が495−570nmの範囲内にある緑色レーザ光が適宜、使用可能となっている。なお、緑色レーザ光は、赤色レーザ光よりも視感度が高いため、可視光のレーザビームの視認性を向上させる観点から好ましい。「第2波長」は「第2波長帯域」又は「第2波長帯」と読み替えてもよい。なお、第1波長帯域及び第2波長帯域は互いに異なる波長帯域であるものの、近赤外光の第1波長帯域と赤色レーザ光の第2波長帯域のように、一部の波長帯域が重なっていてもよい。
このようなレーザダイオード1としては、例えば図2(b)に示すように、中心軸Zに直交する2軸をX軸、Y軸としたとき、第1LDチップ1a及び第2LDチップ1bが、いずれも中心軸Z(X軸とY軸の交点)から外れてX軸上に配置されてもよい。なお、X軸、Y軸も互いに直交する。また、「LDチップ」は、「レーザチップ」、「半導体レーザチップ」又は「半導体発光素子チップ」等と読み替えてもよい。
また、図2(c)に示すように、例えば、第1LDチップ1aが中心軸Z上(X軸とY軸の交点上)に位置し、第2LDチップ1bが中心軸Zから外れてX軸上に配置されてもよい。また、図2(c)中、第1LDチップ1aと第2LDチップ1bとの配置は逆でもよい。
さらに図3(a)に示すように、両LDチップ1a,1bの間隔Wは、例えば、各LDチップ1a,1bの一辺の長さL〜10L程度としてもよい(例えば、0.9L≦W≦10.5Lとしてもよい。)。ここで、各LDチップ1a,1bの一辺の長さLとしては、例えば70μm位としてもよい(この場合、63μm≦W≦735μmとしてもよい。)。このような「両LDチップ1a,1bの間隔W」は、前述した「互いに近接して」における近接の度合いに相当する。
このような各LDチップ1a,1bは、図3(b)に示すように、例えば、中心軸Z(X軸とY軸の交点)から半径3Lの円1d内における任意の位置に配置可能である。この場合、「中心軸Zから半径3Lの円1d内」は、中心軸Zに直交する平面(XY平面)上の円1d内を意味しており、前述した「中心軸Z近傍」や、「許容範囲内で同一の軸」における「許容範囲内」に相当する。また、中心軸Zから半径3Lの円1dが凸レンズ2の円形の平面部201よりも小さいことから、第1LDチップ1aからのレーザビームが広がって平面部201を通り、近距離レーザビーム3が形成される。なお、半径3Lは、単なる例示であり、半径としては、4L、5L又は他の所定値が適宜、使用可能である。
凸レンズ2は、レーザ光源(1)の出射端に対向して中心軸Z上に凸部が配置され、当該凸部の中央に円形の平面部201が形成され、当該平面部201上に第2波長(可視光)のレーザビームを減衰させるフィルタ層204が形成されたレンズを構成している。
具体的には例えば、凸レンズ2は、図4(a)及び図4(b)に示すように、レーザダイオード1に対向配置された凸部の中心近傍に設けられた平面部201と、当該凸部の外周近傍に設けられた湾曲した面状の外側曲率部202と、凸レンズ2の裏面に設けられた平坦部203とを備えている。平面部201上には、可視光を減衰させるフィルタコーティングを施すことにより、可視光(第2波長のレーザビーム)を減衰させるフィルタ層204が形成されている。なお、フィルタ層204は、非可視光(第1波長のレーザビーム)を透過させる。
補足すると、フィルタ層204は、非可視光のレーザビームが近赤外光であって、波長の端部が可視光領域にある場合、非可視光のレーザビームのうち、端部の可視光領域を減衰させる。すなわち、フィルタ層204は、第1波長のレーザビームが可視光領域を含む場合には、第2波長のレーザビームの減衰に加え、第1波長のレーザビーム内の可視光領域を減衰させるものが用いられる。このように、フィルタ層204が減衰させる波長範囲は、第2波長を含む範囲であればよく、第2波長に一致させる必要はない。なお、非可視光のレーザビームが近赤外光であって、近赤外光のレーザビームが可視光領域及び非可視光領域の両方で所定のレーザ強度以上ある場合、可視光の第2LDチップ1bを省略可能である。
なお、可視光を減衰させるフィルタ層204は、平面部201に代えて、外側曲率部202上に形成するように変形してもよい。この変形例の場合、可視光については、遠距離レーザビーム4が整形されず、近距離レーザビーム3のみからなるレーザパターンが整形される。なお、「レーザパターン」は「レーザビームパターン」と読み替えてもよい。
また、フィルタ層204における「減衰」は「遮断」と読み替えてもよい。但し、フィルタ層204は、可視光を(実質的に遮断する程度に)著しく減衰させればよいので、必ずしも完全に可視光を遮断しなくてもよい。ここでいう「実質的に遮断する程度」は、「近射距離において、近距離レーザビーム3によるレーザパターンの大きさが視認されない程度」を意味している。
また、フィルタ層204は、必須ではなく、省略してもよい。すなわち、フィルタ層204は、LDチップ1a,1b毎に異なるレーザパターンの大きさを整形する場合に用いるものであり、LDチップ1a,1bのレーザパターンの大きさが同等でよいときには、省略してもよい。
ここで、可視光を減衰させるフィルタ層204の機能について詳細に説明する。
非可視光の場合(例、ピーク波長940nm)、図5に示すように、レーザダイオード1から照射されたレーザビームは凸レンズ2に入射する。凸レンズ2のフィルタ層204及び平面部201を透過したレーザビームは、近距離で拡大される近距離レーザビーム3を形成する。凸レンズ2の外側曲率部202を透過したレーザビームは、近距離では小さく、遠方で拡大される遠距離レーザビーム4を形成する。すなわち、非可視光については、近距離レーザビーム3及び遠距離レーザビーム4からなる遠近2つのレーザパターンが整形される。
一方、可視光の場合(例、ピーク波長525nm)、図6に示すように、レーザダイオード1から照射されたレーザビームは凸レンズ2に入射する。凸レンズ2の中心近傍のフィルタ層204に入射したレーザビームは、当該フィルタ層204で減衰する。また、凸レンズ2の外側曲率部202を透過したレーザビームは、近距離では小さく、遠方で拡大される遠距離レーザビーム4を形成する。すなわち、可視光については、近距離レーザビーム3が整形されず、遠距離レーザビーム4のみからなるレーザパターンが整形される。
従って、非可視光及び可視光の場合(例、ピーク波長525nm及び940nm)、図7に示すように、レーザダイオード1から照射された非可視光及び可視光のレーザビームは凸レンズ2に入射する。可視光のレーザビームはフィルタ層204で減衰する。
凸レンズ2のフィルタ層204及び平面部201を透過した非可視光のレーザビームは、近距離で拡大される近距離レーザビーム3を形成する。
凸レンズ2の外側曲率部202を透過した非可視光及び可視光のレーザビームは、近距離では小さく、遠方で拡大される遠距離レーザビーム4を形成する。すなわち、非可視光及び可視光については、図5及び図6のレーザパターンを重ね合わせたレーザパターンが整形される。
図8は複数波長レーザ光学装置の原理説明図である。筐体11内の開口部に凸レンズ2が設けられる。Aは筐体11内に設けられるレーザダイオード1の位置、Rは凸レンズ2の曲率半径、D1は凸レンズ2のレンズ開口径(開口直径)、D2は凸レンズ2の平面部201の直径、f1は凸レンズ2の焦点距離である。
図8に示すように、凸レンズ2の曲率半径Rの値、焦点距離f1の値、レンズ開口径D1の値により遠距離レーザビーム4の広がり角を決めることができ、遠距離レーザビーム4が形成するレーザパターンの大きさは下記の関係式で調整することができる(特開2009−169095号公報を参照。)。
f1=4×D1
f1>4×D1の場合、遠距離レーザビーム4が筐体11の開口部エッジに干渉し回折が大きくなり縦横比が増大する。
f1>4×D1の場合、遠距離レーザビーム4が筐体11の開口部エッジに干渉し回折が大きくなり縦横比が増大する。
f1<4×D1の場合、レーザダイオード1の縦横比が投影される。
また、凸レンズ2の平面部201の直径D2の値と焦点距離f1の値で近距離レーザビーム3の広がり角を決めることができ、近距離レーザビーム3が形成するレーザパターンの大きさは下記の関係式で調整することができる。近距離レーザビーム3はレーザダイオード1の特性をそのまま利用しており、一般的なアパーチャ効果を利用している。複数波長レーザ光学装置の筐体11の前方5mで直径60cmのレーザパターンの確保が必要となる場合、焦点距離f1の値と平面部201の直径D2の値を一定の比率で維持すれば良い。
f1=8×D2
f1>8×D2の場合、複数波長レーザ光学装置の筐体11の前方5m付近の近距離レーザビーム3のレーザパターンの大きさは比例的に減少する。
f1>8×D2の場合、複数波長レーザ光学装置の筐体11の前方5m付近の近距離レーザビーム3のレーザパターンの大きさは比例的に減少する。
f1<8×D2の場合、複数波長レーザ光学装置の筐体11の前方5m付近の近距離レーザビーム3のレーザパターンの大きさは比例的に増加する。
この場合、近距離レーザビーム3の到達距離はレーザダイオード1の出力によるため、遠くまで到達させる場合はレーザダイオード1の出力を増加させる必要がある。
また、複数波長レーザ光学装置の光学系の外形形状は上記関係を維持すれば、おおよそ似たパターンを取得することが可能となる。但し、小型化した場合、部品の寸法精度及び調整精度の影響を受けやすくなる。
尚、凸レンズ2の焦点距離f1の値と曲率半径Rの値は互いに対応して変化する。
なお、本実施形態では、レンズ曲率半径Rまたは焦点距離f1とレンズ開口径D1、及びレンズ曲率半径Rまたは焦点距離f1と平面部201の直径D2が所定の関係をもつ凸レンズ2を用いている。ここで、「所定の関係」は、所定のレーザ強度以上のエリアを示すレーザパターンを近距離から遠距離においてほぼ一定の大きさに維持するような関係を意味する。また、「ほぼ一定」は「予め設定された許容範囲内で一定」を意味する。
補足すると、凸レンズ2は、レーザビームを絞るためにレーザダイオード1の出射端から指定距離だけ離して中心軸Z上に凸部がレーザビームの入射側になるように配置され、所定の曲率半径Rを有すると共に、入射面中央に円形の平面部201が形成されている。ここで、凸レンズ2の指定距離を、曲率半径Rに基づいて設定されるレンズの焦点距離f1と等しくし、レンズ開口径D1を焦点距離f1の1/4とし、平面部201の直径D2を焦点距離f1の1/8としたとする。この場合、予め設定されたレーザ強度以上のレーザパターンのサイズが近距離の第1の位置(近射距離24)から、遠距離の第2の位置(標準射距離25)にかけて予め設定された許容範囲内で一定の大きさで維持される。
図9は非可視光のレーザパターンを示す模式図である。非可視光の場合、レーザビームの発射点23から照射された近距離レーザビーム3及び遠距離レーザビーム4からなるレーザパターン21が形成される。レーザパターン21のうち、発射点23と近射距離24との間のレーザパターン211と、近射距離24と標準射距離25との間のレーザパターン212とは、ほぼ一定の大きさを維持している。レーザパターン21は、標準射距離25から最大射距離26にかけて小さくなっていく。
図10は可視光のレーザパターンを示す模式図である。可視光の場合、レーザビームの発射点23から照射された遠距離レーザビーム4は、中央部が減衰したレーザパターンを形成する。遠距離レーザビーム4は、近射距離24では比較的小さく、標準射距離25で大きいレーザパターンを形成する。遠距離レーザビーム4のレーザパターンは、標準射距離25から最大射距離26にかけて小さくなっていく。
図11は非可視光及び可視光のレーザパターンを示す模式図である。非可視光及び可視光については、図9に示した非可視光のレーザパターン21と、図10に示した可視光の遠距離レーザビーム4のレーザパターンとを重ね合わせたレーザパターンが形成される。
なお、レーザパターンは、レンズ曲率半径Rまたは焦点距離f1(レーザダイオード1と凸レンズ2との距離)とレンズ開口径D1、及びレンズ曲率半径Rまたは焦点距離f1と平面部201の直径D2に、所定の関係をもつ凸レンズ2により得られる。所定の関係とは、例えば「f1=4×D1」及び「f1=8×D2」である。これにより、所定のレーザ強度以上のエリアを示す非可視光のレーザパターン21を、近距離から遠距離においてほぼ一定の大きさに維持することができる。すなわち、より近傍からレーザパターン211を形成できると共に、中距離のレーザパターン212の形成により近傍から標準射距離25まで所望のレーザパターンの大きさを確保することができる。
なお、近射距離24では、非可視光のレーザパターン21が大きく、可視光の遠距離レーザビーム4のレーザパターンが小さい。このように、近射距離24においては、LDチップ1a,1b毎に異なる大きさのレーザパターンを整形することができる。ここで、非可視光及び可視光の用途が異なる場合、近射距離24においては、用途毎に異なる大きさのレーザパターンを整形することができる。
上述したように本実施形態によれば、複数波長レーザ光学装置は、第1及び第2LDチップ1a,1bを互いに近接して中心軸Zの近傍に配置したレーザダイオード1と、レーザダイオード1の出射端に対向して中心軸Z上に凸部が配置された凸レンズ2とを具備する。各LDチップ1a,1bは、それぞれ非可視光及び可視光のレーザビームを凸レンズ2に出射する。凸レンズ2は、凸部の中央に円形の平面部201が形成され、平面部201上に可視光のレーザビームを減衰させるフィルタ層204が形成されている。
すなわち、本実施形態では、光学系を1つに集約して小型軽量化を図り、さらに2つの光源位置のズレを略ゼロにして2つの光軸を略一致(ズレが無視できる程度に一致)させている。
従って、このような構成により、光源毎に集光用レンズを有する従来の装置に比べ、小型軽量化が容易であり、第1波長のレーザビームと第2波長のレーザビームとの2つの光軸を平行にするための調整の手数を削減できる複数波長レーザ光学装置を提供できる。
補足すると、レンズ中心近傍が平面である単一の凸レンズ2を用いることにより、部品点数等の削減による部品調達時の経済性の改善と、構造の単純化による光学系調整の簡素化とを実現することができる。
また、凸レンズ2は、レーザダイオード1の出射端から指定距離だけ離してレーザビームの光軸(中心軸Zと略同一)上に凸部が配置され、所定の曲率半径Rを有すると共に、入射面中央に円形の平面部201が形成されていてもよい。このとき、凸レンズ2の指定距離を、曲率半径Rに基づいて設定されるレンズの焦点距離f1と等しくし、レンズ開口径D1を焦点距離f1の1/4とし、平面部201の直径D2を焦点距離f1の1/8にしてもよい。この場合、所定のレーザ強度以上のエリアを示す非可視光のレーザパターン21を近距離から遠距離においてほぼ一定の大きさに維持することができる。言い換えると、近距離から遠距離までの中間距離においてのレーザパターンの大きさの減少を低減できる。
また、第2波長のレーザビームを減衰させるフィルタ層204が凸レンズ2の平面部201上に形成されている場合、第2波長のレーザパターンを、第1波長のレーザパターンとは異なる大きさに変えることができる。すなわち、装置サイズを増大させずに、光源毎にレーザパターンの大きさを変えることができる。
<第2の実施形態>
図12は第2の実施形態に係る複数波長レーザ光学装置の外観を示す模式図であり、図13は複数波長レーザ光学装置の構成を示す機能ブロック図であって、第1の実施形態と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。
図12は第2の実施形態に係る複数波長レーザ光学装置の外観を示す模式図であり、図13は複数波長レーザ光学装置の構成を示す機能ブロック図であって、第1の実施形態と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。
すなわち、第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、第1の実施形態におけるレーザダイオード1が発生する非可視光及び可視光をオンオフ制御可能な構成となっている。
第2の実施形態における複数波長レーザ光学装置は、リモートスイッチ30及び装置本体31を備えている。装置本体31は、制御回路32、低出力非可視レーザ駆動回路(DRV1)33、高出力可視レーザ駆動回路(DRV2)34、及び前述した筐体11を備えている。以下、「低出力非可視レーザ駆動回路(DRV1)33」、「高出力可視レーザ駆動回路(DRV2)34」を、それぞれ「非可視レーザ駆動回路33」、「可視レーザ駆動回路34」と呼ぶ。なお、「非可視レーザ駆動回路33」、「可視レーザ駆動回路34」は、それぞれ「第1波長レーザ駆動回路33」、「第2波長レーザ駆動回路34」と読み替えてもよい。
図12に示すように、リモートスイッチ30は、射撃手であるユーザが操作するスイッチであり、非可視レーザまたは可視レーザのいずれかのボタンを押すことにより、非可視レーザまたは可視レーザの選択結果をオン(ON)/オフ(OFF)信号として制御回路32に出力する。その他の方法として装置本体31に非可視レーザ/可視レーザを選択するSWを設け、リモートSWはオン/オフ信号のみ操作する方法もある。何れの方法も実現可能である。
制御回路32では、選択されたレーザ種別を制御するための回路が構成され、リモートスイッチ30を操作することにより非可視レーザ制御信号、可視レーザ制御信号を選択して出力する。なお、「非可視レーザ制御信号」、「可視レーザ制御信号」は、それぞれ「第1波長レーザ制御信号」、「第2波長レーザ制御信号」と読み替えてもよい。
制御回路32からの非可視レーザ制御信号、可視レーザ制御信号はそれぞれ対応して非可視レーザ駆動回路(DRV1)33、可視レーザ駆動回路(DRV2)34に出力される。尚、制御回路32は、可視レーザ駆動回路34を常時オン状態に制御し、オフ信号が入力されると所定期間オフするように構成してもよい。また、制御回路32は、非可視レーザ駆動回路33を常時オフ状態に制御し、オン信号が入力されると所定期間オンするように構成してもよい。
非可視レーザ駆動回路33、可視レーザ駆動回路34は、制御回路32からの非可視レーザ制御信号、可視レーザ制御信号がそれぞれ対応して入力され、非可視レーザ駆動信号、可視レーザ駆動信号を第1LDチップ1a、第2LDチップ1bにそれぞれ対応して出力する。なお、「非可視レーザ駆動信号」、「可視レーザ駆動信号」は、それぞれ「第1波長レーザ駆動信号」、「第2波長レーザ駆動信号」と読み替えてもよい。
第1LDチップ1aは、非可視レーザ駆動回路33から出力された非可視レーザ駆動信号に対応して、非可視光のレーザビームを凸レンズ2に向けて出射する。なお、非可視光は、例えば、ユーザを識別するレーザパルス(識別コードを表すパルス)で形成してもよい。
第2LDチップ1bは、可視レーザ駆動回路34から出力された可視レーザ駆動信号に対応して、可視光のレーザビームを凸レンズ2に向けて出射する。
第1LDチップ1aからの非可視光のレーザビームと、第2LDチップ1bからの可視光のレーザビームとは、それぞれ凸レンズ2に入射される。
凸レンズ2は、前述同様に、非可視レーザ光の近距離レーザビーム3及び遠距離レーザビーム4と、可視レーザ光の遠距離レーザビーム4とを照射する。
例えば、近射距離24に配置された受光装置(図示せず)は、照射された非可視光のレーザビームをデータに変換し、当該データが示すユーザから被弾したことを判定する。
上述したように本実施形態によれば、スイッチを操作することにより、非可視(第1波長)レーザ制御信号、可視(第2波長)レーザ制御信号を選択して出力し、非可視(第1波長)レーザ駆動信号、可視(第2波長)レーザ駆動信号をそれぞれ対応して出力する。第1LDチップ1aは、非可視レーザ駆動信号に対応して、非可視光(第1波長)のレーザビームを凸レンズ2に向けて出射する。第2LDチップ1bは、可視レーザ駆動信号に対応して、可視光(第2波長)のレーザビームを凸レンズ2に向けて出射する。
これにより、第1の実施形態の効果に加え、第1波長のレーザビームと、第2波長のレーザビームとを選択的に出力できるため、例えば、第2波長のポインタ用、第1波長の通信用又はその両方といった用途に応じて複数波長レーザ光学装置を操作することができる。
このような複数波長レーザ光学装置は、例えば、射撃訓練システムに好適に使用することができる。また、装置使用前において銃に装着した状態でのレーザ光軸調整を可視光のレーザビームにより軽易に行えるだけでなく、従来技術では非可視レーザ・可視レーザの2回に分けて実施していた光軸調整作業を一回で済ませることが可能となる。
また、可視光のレーザビームは、非可視光の照射方向を調整するためのガイドとして利用できることに加え、銃の照準方向を照星部門よりも簡易的に確認するためのポインタとしても利用することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…レーザダイオード、2…凸レンズ、3…近距離レーザビーム、4…遠距離レーザビーム、201平面部、202…外側曲率部、203…平坦部、204…フィルタ層、30…リモートスイッチ、31…装置本体、32…制御回路、33…低出力非可視レーザ駆動回路、34…高出力可視レーザ駆動回路。
Claims (2)
- 第1波長のレーザビームを出射する第1レーザチップと、第2波長のレーザビームを出射する第2レーザチップとを互いに近接して中心軸の近傍に備えたレーザ光源と、
前記レーザ光源の出射端に対向して前記中心軸上に凸部が配置され、前記凸部の中央に円形の平面部が形成され、前記平面部上に前記第2波長のレーザビームを減衰させるフィルタ層が形成されたレンズと
を具備することを特徴とする複数波長レーザ光学装置。 - 請求項1に記載の複数波長レーザ光学装置において、
スイッチを操作することにより第1波長レーザ制御信号、第2波長レーザ制御信号を選択して出力する制御回路と、
前記制御回路からの第1波長レーザ制御信号、第2波長レーザ制御信号がそれぞれ対応して入力され、第1波長レーザ駆動信号、第2波長レーザ駆動信号をそれぞれ対応して出力する第1波長レーザ駆動回路、第2波長レーザ駆動回路と
を更に具備し、
前記第1レーザチップは、前記第1波長レーザ駆動回路から出力された第1波長レーザ駆動信号に対応して、前記第1波長のレーザビームを前記レンズに向けて出射し、
前記第2レーザチップは、前記第2波長レーザ駆動回路から出力された第2波長レーザ駆動信号に対応して、前記第2波長のレーザビームを前記レンズに向けて出射する
ことを特徴とする複数波長レーザ光学装置。
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