以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の上部左右位置と下側には、全3個のスピーカが配置されている。上部に配置された2個のスピーカは、各々、左右チャネルR,Lの音声を出力し、下側のスピーカは重低音を出力するよう構成されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOには、大型の液晶カラーディスプレイ(LCD)で構成された表示装置DSが配置されている。
表示装置DSは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DSは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19とを有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されることがあり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、適宜な予告演出などが実行される。
遊技球が落下移動する遊技領域には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、及び、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部17の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで、開閉爪15aが開放されるようになっている。
なお、普通図柄表示部19は、普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止する。
大入賞口16は、前後方向に進退する開閉板16aを有して構成されている。大入賞口16の動作は、特に限定されないが、典型的な大当り状態では、大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1、ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27と画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板32を経由して、払出制御基板24に伝送される。制御コマンドCMD,CMD’,CMD”は、何れも16ビット長であるが、主制御基板21や払出制御基板24が関係する制御コマンドは、8ビット長毎に2回に分けてパラレル送信されている。一方、演出制御基板22から画像制御基板23に伝送される制御コマンドCMD’は、16ビット長をまとめてパラレル伝送されている。そのため、可動予告演出を含む予告演出を、多様化して多数の制御コマンドを連続的に送受信するような場合でも、迅速にその処理を終えることができ、他の制御動作に支障を与えない。
ところで、本実施例では、演出インタフェイス基板27と演出制御基板22とは、配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されて二枚の回路基板が積層されている。同様に、画像インタフェイス基板28と画像制御基板23についても、配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されて二枚の回路基板が積層されている。そのため、各電子回路の回路構成を複雑高度化しても基板全体の収納空間を最小化できると共に、接続ラインを最短化することで耐ノイズ性を高めることができる。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24とインタフェイス基板27〜28に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22’、画像制御部23’、及び払出制御部24と言うことがある。すなわち、この実施例では、演出制御基板22と演出インタフェイス基板27とで演出制御部22’を構成し、画像制御基板23と画像インタフェイス基板28とで画像制御部23’を構成している。なお、演出制御部22’、画像制御部23’、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
また、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板35と、ランプ駆動基板36とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
ランプ駆動基板36には、複数のLEDが接続されており、これらのLED群を駆動する駆動データSDATAは、シリアル信号として、演出制御基板22→演出インタフェイス基板27→枠中継基板34→枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36に搭載された複数のドライバDRijに伝送されている。
実施例のドライバDRij(ドライバIC)は、各々、LEDや電飾ランプなどのLED群を最高24個まで駆動可能であるが、以下の説明では、ランプ駆動基板36に搭載された5個のドライバDRijによって、合計5×24個のLEDが駆動されているとする(図8参照)。そして、本明細書では、これらのLEDを、便宜上、第0チャンネル(CH0)のLED群と称する。
遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23が、表示装置DSやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板32に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板33に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。
また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
ところで、本実施例のシステムリセット信号は、交流電源に基づく直流電源によって生成されている。そのため、交流電源の投入(通常は電源スイッチのON)を検知してHレベルに増加した後は、直流電源電圧が異常レベルまで低下しない限り、Hレベルを維持する。したがって、直流電源電圧が維持された状態で、交流電源が瞬停状態となっても、システムリセット信号SYSがCPUをリセットすることはない。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源の瞬停状態でも出力される。
主基板中継基板32は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びDC5V,DC12V,DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板33は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22’と画像制御部23’に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって演出制御部22’と画像制御部23’のワンチップマイコンは、その他のIC素子と共に電源リセットされるようになっている。
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部24には、供給されておらず、各々の回路基板21,24のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。そのため、例えば、接続コネクタC2がガタついたり、或いは、配線ケーブルにノイズが重畳しても、主制御部21や払出制御部24のCPUが異常リセットされるおそれはない。演出制御部22’と画像制御部23’は、主制御部21からの制御コマンドに基づいて、従属的に演出動作を実行することから、回路構成の複雑化を回避するために、電源基板20から出力されるシステムリセット信号SYSを利用している。
ところで、主制御部21や払出制御部24に設けられたリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,24のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
図3に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板32を経由して、払出制御部24に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部24からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部24の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板31を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動式チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から配電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。また、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベル又はCMOSレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
先に説明した通り、演出制御基板22と演出インタフェイス基板27とはコネクタ連結によって一体化されており、演出制御部22’は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から各レベルの直流電圧(5V,12V,32V)と、システムリセット信号SYSを受けている(図3及び図4参照)。また、演出制御部22’は、コマンド中継基板26を経由して、主制御部21から制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受けている(図3及び図4参照)。
そして、演出制御部22’は、演出インタフェイス基板27を経由して、ランプ駆動基板29やランプ駆動基板30に搭載されたドライバDRijに、ランプ駆動データSDATA(シリアル信号)を供給している。特に限定されるものではないが、ランプ駆動基板29,30に搭載されているドライバDRijは、ランプ駆動基板36に搭載されたドライバDRijと同一構成であり、ランプ駆動基板29,30には、各々、5個のドライバDRijが配置されている。
先に説明した通り、これらのドライバDRijは、各々、最高24個のランプを駆動可能であるが、以下の説明では、ランプ駆動基板29に接続された合計24×5個のランプを、第1チャンネルCH1のランプ群と称し、ランプ駆動基板30に接続された合計24×5個のランプを、第2チャンネルCH2のランプ群と称することがある。
このように、本実施例では、多数(3×24×5個)のランプが、チャンネルCH0〜チャンネルCH2のランプ群に三分されて、各々、ランプ駆動基板36、ランプ駆動基板29、ランプ駆動基板30に接続されている。なお、全てのドライバDRijは、演出制御部22’のワンチップマイコン40が、一括的に出力するシリアル信号SDATAのうち、該当信号を受信して、担当するランプ群を駆動している(図4参照)。
ところで、同じドライバDRijを使用してステッピングモータを駆動することもでき、例えば、破線に示すように、ランプ駆動基板30を経由して、演出モータ群M1〜Mnを駆動するのも好適である。この場合、モータ駆動データは、ランプ駆動データと同様のシリアル信号であり、演出内容を豊富化するべく演出モータ個数を増やしても、配線ケーブルが増加することがなく、機器構成が簡素化される。
図3及び図4に示す通り、演出制御部22’は、画像制御部23’に対して、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’と、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSと、2種類の直流電圧(12V,5V)とを出力している。
そして、画像制御部23’では、制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動して各種の画像演出を実行している。表示装置DSは、LEDバックライトによって発光しており、画像インタフェイス基板28から5対のLVDS(低電圧差動伝送Low voltage differential signaling)信号と、バックライト電源電圧(12V)とを受けて駆動されている(図4参照)。
続いて、上記した演出制御部22’と画像制御部23’の構成を更に詳細に説明する。図4に示す通り、演出インタフェイス基板27は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から3種類の直流電圧(5V,12V,32V)を受けている。ここで、直流電圧5Vは、デジタル論理回路の電源電圧として、演出インタフェイス基板27、ランプ駆動基板29、ランプ駆動基板30、画像インタフェイス基板28、及び画像制御基板23に配電されて各デジタル回路を動作させている。
但し、演出制御基板22には、直流電圧5Vが配電されておらず、12VからDC/DCコンバータで降圧された直流電圧3.3Vと、3.3VからDC/DCコンバータで更に降圧された直流電圧1.8Vだけが、演出インタフェイス基板27から演出制御基板22に配電されている。
このように、本実施例の演出制御基板22は、全ての回路が、電源電圧3.3V又はそれ以下の電源電圧で駆動されているので、電源電圧を5Vで動作する場合と比較して大幅に低電力化することができ、仮に、演出制御基板22の直上に演出インタフェイス基板27を配置して積層しても放熱上の問題が生じない。
但し、電源基板20から受けた直流電圧12Vは、そのままデジタルアンプ46の電源電圧として使用されると共に、ランプ駆動基板30とランプ駆動基板29に配電されて各ランプ群の電源電圧となる。また、直流電圧32Vは、演出インタフェイス基板のDC/DCコンバータにおいて直流電圧13Vに降圧されて、必要に応じて、演出モータM1〜Mnの駆動電源として使用される。
図4に示すように、演出制御部22’は、音声演出・ランプ演出・演出可動体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶する不揮発性メモリ41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声合成回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ43と、ワンチップマイコン40の動作タイミングを規定するシステムクロックSCKを生成するクロック発振部39と、を備えて構成されている。
なお、ワンチップマイコン40、フラッシュメモリ41、及び音声用メモリ43は、電源電圧3.3Vで動作しており、また、音声合成回路42は、電源電圧3.3V及び電源電圧1.8Vで動作しており大幅な省電力化が実現されている。1.8Vは、音声合成回路のコンピュータ・コア部の電源電圧であり、3.3Vは、I/O部の電源電圧である。
ところで、本実施例のクロック発振部39は、水晶振動子Xtalの固有周波数で規定される中心周波数Fiを固定的に発振するのではなく、中心周波数Fiを中心として、所定範囲内で周波数(Fi−δ〜Fi+δ)が偏移するシステムクロックSCK(変調クロック)を生成している。なお、周波数偏移量δは、中心周波数Fiの上下に±1.0%程度とするか(センタスプレッド)、或いは、中心周波数Fiの上方又は下方に0〜2.0%程度とするのが好適である(アップスプレッド又はダウンスプレッド)。
図5(a)は、その回路構成を例示したものであり、水晶振動子Xtalによる原発振回路OSCと、原発振回路OSCの発振周波数Fiを偏移させる周波数変調回路FSと、を有して構成されている。原発振回路OSCは、水晶振動子Xtalと、インバータINと、帰還抵抗Rsと、負荷コンデンサC11,C12とを有して構成され、中心周波数Fiの基準クロックを生成している。ここで、インバータINと帰還抵抗Rsを接続する正帰還ループは、制御信号CTLによって開閉制御可能に構成されており、制御信号CTLによって発振動作の許否が制御可能に構成されている。
なお、図5(a)では、信号端子Xin,Xout間に、水晶振動子Xtalを接続して自励発振させる構成を示しているが、図5(c)に示すように、信号端子Xoutを解放状態にすれば、他の回路から受ける外部クロックを周波数変調することも可能となる。なお、この場合には、基準クロックは、外部クロックを論理否定した論理レベルとなる。
周波数変調回路FSは、PLL(phase locked loop )動作を実行するPLLブロック37と、そのPLL動作を制御する制御端子T1,T2とを有して構成されている。そして、制御端子T1にHレベルの制御信号を受けると、原発振回路OSCとPLLブロック37の動作が許可される。また、制御端子T2に受ける設定信号の論理レベルに応じて、変調度が高低に設定可能となっている。変調度は、中心周波数Fiからの周波数偏移量を意味し、制御端子T2が受ける設定信号の論理レベルに応じて、例えば、±0.5%か、±1.0%かの何れかの周波数偏移量となる。なお、図示例では、設定信号がHレベル(変調度が高レベル)であって、周波数偏移量が±1.0%となっている。
但し、必ずしも、センタスプレッド方式によって中心周波数Fiの上下に周波数変調する必要はなく、制御端子T2が受ける設定信号の論理レベルに応じて、例えば、中心周波数Fiの下方に−1.0%か、−2.0%かの何れかの周波数偏移量とするダウンスプレッド方式を採っても良い。
何れにしても、PLLブロック37から出力されるシステムクロックSCKは、δ=Fi×2/100程度、その周波数が偏移するので、不要輻射ノイズEMIの抑制に効果的に寄与する。なお、この点は、ランプ駆動信号やモータ駆動信号に関して更に後述する。
図5(b)は、PLLブロック37の内部構成を図示したものであり、変調ロジック部59を除けば、通常のPLL回路とほぼ同様である。すなわち、PLLブロック37は、変調ロジック部59の他に、出力信号(変調クロック出力)を1/M分周する第1分周部50と、基準クロックを1/N分周する第2分周部51と、基準クロックを1/L分周する第3分周部52と、第1分周部50と第2分周部51の出力を比較する位相比較部53と、位相比較部53の出力を受けるチャージポンプ54と、抵抗とコンデンサによるループフィルタ55と、ループフィルタ55の出力電圧に対応して出力周波数Foが変化する電圧制御発振部VCOと、を有して構成されている。
但し、PLLブロック37は、通常のPLL回路とは異なり、変調ロジック部59から受ける変調信号MDに基づいて、電圧制御発振部VCOの周波数が、最大で2%程度、微小に揺らぐ周波数変調が実現されるよう構成されている。また、実施例では、変調周期を、時間的に切り替え、変調周期τ1でVCOの出力周波数をFo−δ〜Fo+δの範囲で変化させた後、変調周期τ2でVCOの出力周波数をFo−δ〜Fo+δの範囲で変化させている。その結果、出力周波数が更に不規則に周波数変調されることで、不要輻射ノイズEMIの抑制効果が高まる。
何れにしても、PLLブロック37内部では、周波数Fo/Mの第1分周部50の出力信号と、周波数Fi/Nの第2分周部51の出力信号との位相差が、位相比較器53において検出され、その位相差がゼロとなるよう負帰還ループが機能するので、Fo/M=Fi/Nの関係が成立し、出力信号(変調クロック出力)の周波数Foは、やや揺らぐもののFo=Fi×M/Nとなる。本実施例では、この出力信号が、システムクロックSCKとしてワンチップマイコン40に供給され、ワンチップマイコン40の内部動作の動作タイミングを規定している。
このようなシステムクロックSCKに基づいて動作するワンチップマイコン40には、複数のパラレル入出力ポートPIO(Pi+Po+Po’)と、複数のシリアル出力ポートSIとが内蔵されている。ここで、シリアル出力ポートSIは、より詳細には、3チャンネルのシリアルポート(S0〜S2)を含んで構成されており(図6参照)、ランプ駆動基板36、29、30に搭載された各5個のドライバDRijに、各々、ランプ駆動データSDATA0〜SDATA2を、クロック信号CK0〜CK2に同期して出力している。
すなわち、シリアルポートS0〜シリアルポートS2は、クロック同期方式に基づいて、対応するランプ駆動基板36、29、30に、ランプ駆動データSDATA0〜SDATA2を伝送している。なお、ランプ駆動データSDATA0〜SDATA2は、各LEDの発光輝度をPWM制御(pulse width modulation)によって輝度調整するため輝度データである。
また、ランプ駆動基板36、29、30は、パラレル入出力ポートPIOのパラレル出力ポートPo’にも接続されており、各ランプ駆動基板36、29、30に搭載されたドライバDRijは、パラレル出力ポートPo’が出力する3ビット長の動作許可信号ENABLE0〜ENABLE2の何れかに基づいて動作を開始している。
一方、パラレル入出力ポートPIOの入力ポートPiには、主制御部21からの制御コマンドCMD及びストローブ信号STBが入力され、コマンド出力ポートPoからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’が出力されるよう構成されている。
具体的には、入力ポートPiには、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インタフェイス基板27のバッファ44において、電源電圧3.3Vに対応する論理レベルに変換されて8ビット単位で供給される。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子に供給され、受信割込み処理によって、演出制御部22’は、制御コマンドCMDを取得するよう構成されている。
演出制御部22’が取得する制御コマンドCMDには、(1)異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)や、図柄種別を指定する制御コマンド(図柄指定コマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当たり抽選における当否結果とが含まれている。
また、図柄指定コマンドには、大当たり抽選の結果に応じて、大当たりの場合には、大当たり種別に関する情報(15R確変、2R確変、15R通常、2R通常など)を特定する情報が含まれ、ハズレの場合には、ハズレを特定する情報が含まれている。変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22’では、変動パターンコマンドを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、画像制御部23’に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した画像演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。
このような演出動作に同期した画像演出を実現するため、演出制御部22’は、コマンド出力ポートPoを通して、画像制御部23’に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、16ビット長の制御コマンドCMD’を演出インタフェイス基板27に向けて出力している。なお、演出制御部22’は、図柄指定コマンドや、表示装置DSに関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、16ビット長に纏めた状態で、割込み信号STB’と共に演出インタフェイス基板27に向けて出力している。
上記した演出制御基板22の構成に対応して、演出インタフェイス基板27には出力バッファ45が設けられており、16ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を画像インタフェイス基板28に出力している。そして、これらのデータCMD’,STB’は、画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送される。
また、演出インタフェイス基板27には、音声合成回路42から出力される音声信号を受けるデジタルアンプ46が配置されている。先に説明した通り、音声合成回路42は、3.3Vと1.8Vの電源電圧で動作しており、また、デジタルアンプ46は、電源電圧12VでD級増幅動作しており、消費電力を抑制しつつ大音量の音声演出を可能にしている。
そして、デジタルアンプ46の出力によって、遊技機上部の左右スピーカと、遊技機下部のスピーカとを駆動している。そのため、音声合成回路42は、3チャネルの音声信号を生成する必要があり、これをパラレル伝送すると、音声合成回路42とデジタルアンプ46との配線が複雑化する。
そこで、本実施例では、音質の劣化を防止すると共に、配線の複雑化を回避するため、音声合成回路42とデジタルアンプ46との間は、4本の信号線で接続されており、具体的には、転送クロック信号SCLKと、チャネル制御信号LRCLKと、2ビット長のシリアル信号SD1,SD2との合計4ビットの信号線に抑制されている。なお、何れの信号も、その振幅レベルは3.3Vである。
ここで、SD1は、遊技機上部に配置された左右スピーカのステレオ信号R,Lを特定するPCMデータについてのシリアル信号であり、SD2は、遊技機下部に配置された重低音スピーカのモノラル信号を特定するPCMデータについてのシリアル信号である。そして、音声合成回路342は、チャネル制御信号LRCLKをLレベルに維持した状態で、左チャネルの音声信号Lを伝送し、チャネル制御信号LRCLKをHレベルに維持した状態で、右チャネルの音声信号Rを伝送する。なお、重低音スピーカは本実施例では1個であるので、モノラル音声信号が伝送されているが、ステレオ音声信号として伝送できるのは勿論である。
何れにしても本実施例では、4種類の音声信号を4本のケーブルで伝送可能であるので、最小のケーブル本数によってノイズによる音声劣化のない信号伝達が可能となる。すなわち、シリアル伝送であるのでパラレル伝送より圧倒的にケーブル本数が少な。なお、アナログ伝送を採る場合には、ケーブル本数は同数であるが、3.3V振幅のアナログ信号に、少なからずノイズが重畳して、音質が大幅に劣化する。一方、振幅レベルを上げると、電源配線が複雑化する上に消費電力が増加する。
このようなシリアル信号SD1,SD2は、クロック信号SCLKの立上りエッジに同期して、デジタルアンプ46に取得される。そして、デジタルアンプ46内部で、所定ビット長毎にパラレル変換され、DA変換後にD級増幅されて各スピーカに供給されている。
本実施例では、音声合成回路42とデジタルアンプ46とをシリアル回線で接続するので、PCMデータ(音声データ)のビット長を如何に増やして高音質化を実現しても配線ケーブルその他を変更する必要がなく、回路構成の簡素化を維持することができる。
また、演出インタフェイス基板27には、ワンチップマイコン40のパラレル出力ポートPo’や、シリアルポートSIや出力される各種の信号を伝送する出力バッファ回路47,48,49が設けられている。ここで、出力バッファ47は、第0チャンネルのLED群に関連しており、ワンチップマイコン40が出力するランプ駆動データSDATA0、クロック信号CK0、及び、動作許可信号ENABLE0を、枠中継基板34に出力している。そして、出力された3ビットの信号は、枠中継基板34、及び、枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36のドライバDRijに伝送される。
同様に、出力バッファ48は、ワンチップマイコン40が出力するランプ駆動データSDATA1、クロック信号CK1、及び、動作許可信号ENABLE1をランプ駆動基板29のドライバDRijに伝送しており、出力バッファ49は、ランプ駆動データSDATA2、クロック信号CK2、及び、動作許可信号ENABLE2をランプ駆動基板30のドライバDRijに伝送している。なお、ランプ駆動基板29のドライバDRijは、第1チャンネルのLED群を駆動し、ランプ駆動基板30のドライバDRijは、第2チャンネルのLED群を駆動している。
図6(a)は、ワンチップマイコン40に内蔵されたシリアルポートSIの内部構成を図示したものである。図示の通り、シリアルポートS0〜シリアルポートS2は全ての同一構成であり、クロック同期方式のシリアル送受信動作が実現可能に構成されている。
そして、何れのシリアルポートSIも、CPUコアから1バイトデータを受ける送信データレジスタDRと、送信データレジスタDRから1バイトデータの転送を受けて、ランプ駆動データSDATAiとしてシリアル出力する送信シフトレジスタSRと、シリアルポートの内部動作状態を管理する多数の制御レジスタRGと、カウンタ回路CTの出力パルスΦを受けて制御レジスタRGが指定する分周比のクロック信号CKiを出力するボーレートジェネレータBGと、を有して構成されている。
制御レジスタRGには、エンプティビットEMPを含んだREAD可能な制御レジスタが含まれており、送信データレジスタDRが、新規データを受け入れ可能か否かを示している。すなわち、送信シフトレジスタSRの1バイトデータの送信が完了すると、エンプティビットEMPがHレベル(empty レベル)に遷移して、送信データレジスタDRに、新規データを書込むことができることが示される。したがって、CPUコアは、エンプティビットEMPがHレベルであることを確認した上で、新規データを送信データレジスタDRに書込むことになる。
また、制御レジスタRGには、送信許可ビットTXEを含んだWRITE可能な制御レジスタが含まれており、CPUが送信許可ビットTXEをON(H)レベルに設定すると、シリアルポートの送信動作が許可され、OFFレベルに設定すると送信動作が禁止される。そこで、本実施例では、CPUは、送信処理の開始時に送信許可ビットTXEをON状態にセットし、送信処理の終了時に送信許可ビットTXEをOFFレベルにリセットしている。
図6(b)は、シリアルポートS0〜S2について、送信開始時の動作を示すタイムチャートである。図示の通り、シリアルポートS0〜S2が送信禁止状態(TXE=L)である場合や、送信データレジスタDRのデータがシリアル出力された後は、クロック信号CKが固定状態のHレベルである。また、送信データレジスタDRは空であり、エンプティビットEMPもHレベル(empty レベル)である。
そして、CPUが送信許可ビットTXEをON状態(送信許可状態)にセットした後、送信データレジスタDRに1バイト目の送信データを書込むと、エンプティビットEMPがLレベルに遷移すると共に、その後、所定時間(τ)経過後に、1バイト目の送信データが送信シフトレジスタSRに転送されて、シリアル送信動作が開始される。
また、送信データが送信シフトレジスタSRに転送されたことで、1ビット目のシリアル送信開始に対応して、その後は、エンプティビットEMPがHレベル(empty レベル)に遷移する。したがって、CPUは、HレベルのエンプティビットEMPを確認した上で、2バイト目の送信データを、送信データレジスタDRに書込むことになる。
すると、送信データレジスタDRへのデータ書込み動作に対応して、エンプティビットEMPがLレベル(fullレベル)に遷移する。そして、その後、1バイト目の送信データが全て送信されると、送信データレジスタDRから送信シフトレジスタSRに2バイト目のデータが転送され、2バイト目のデータ送信が開始されて、エンプティビットEMPがHレベルに遷移する。
このエンプティビットEMPは、送信データレジスタDRへの3バイト目のデータ書込み動作に対応して、Lレベルに変化するが、図示のように、新規データの書き込みがない場合にはHレベルを維持する。また、全てのデータが送信された後は、クロック信号CKがHレベルを維持して変化しない。
図7は、ランプ駆動基板36,29,30の回路構成を確認的に図示したものである。図示の通り、ランプ駆動基板36には、5個のドライバDR00,DR01・・・DR04が搭載されて、第0チャンネルのLED群(合計5×24個のLED)を点灯駆動している。同様に、ランプ駆動基板29には、5個のドライバDR10,DR11・・・DR14が搭載され、また、ランプ駆動基板30には、5個のドライバDR18,DR19・・・DR1Cが搭載されて、各々、第1チャンネルと第2チャンネルのLED群(合計5×24個のLED)を点灯駆動している。
各ドライバDRijには、5ビットの付番端子が設けられており、この付番端子に固定的なデジタルデータが供給される回路構成を採ることで、各々スレーブアドレス(ポートアドレス)が一連に付番されている。すなわち、図示例の場合には、各ドライバ(DR00,DR01・・・DR04、DR10,DR11・・・DR14、DR18,DR19・・・DR1C)のスレーブアドレスは、16進数表示で、00H,01H・・・04H、10H,11H・・・14H、18H,19H・・・1CHとなる。
各ランプ制御基板36,29,30のドライバDRijに、一連のスレーブアドレスを付番することで、各ドライバDRijに対する輝度データなどの設定処理を迅速化することができる。また、各ドライバDRijには、24個のLEDを駆動する点灯駆動信号のアナログレベルを各々規定可能な階調レジスタGR0〜GR23が内蔵されている。
階調レジスタGRnは、各々、8ビット長の輝度データを記憶可能であり、LEDの輝度レベルを00H〜FFHまで256段階で設定することができる。
続いて、画像制御部について説明する。図8は、画像制御部23’(画像インタフェイス基板28と画像制御基板23)について、その周りの基板も含めて詳細に図示した回路ブロック図である。先に説明した通り、画像制御部23’は、演出制御部22’から制御コマンドCMD’とストローブ信号STB’とシステムリセット信号SYSとを受けて動作している。また、演出制御部を経由して2種類の直流電圧5V,12Vを受けている。
図示の通り、画像制御部23’は、演出インタフェイス基板27を経由して制御コマンドを受信して画像制御動作を実行するワンチップマイコン60と、ワンチップマイコン60の制御プログラムなどを記憶するフラッシュメモリ61と、ワンチップマイコン60の指示に基づき表示装置DSを駆動するVDP(Video Display Processor )62と、画像演出用の画像圧縮データを記憶するグラフィックROM(CGROM)63と、VDP62の作業領域(Video RAM )として機能するSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)64と、ワンチップマイコン60を強制リセットさせるウォッチドッグタイマWDTなどを有して構成されている。
図8に示す通り、実施例のVDP62は、表示装置DSのスキャンタイミングや、画像データの送出動作を規定する表示系クロックΦbと、その他の処理の動作タイミングを規定するシステムクロックΦaを別々に受けている。ここで、システムクロックΦaは、水晶振動子Xaの固有周波数で規定される固定値である。
一方、表示系クロックΦbは、図5(a)と同様の構成の周波数変調回路FSの出力信号であり、水晶振動子Xbの固有周波数Fiを、所定の範囲(変調度)で偏移させた周波数を有する。先に説明した通り、変調度は、中心周波数Fiからの周波数偏移量を意味するが、表示系クロックΦbの変調度は、中心周波数Fiの2.0%以下に設定されている。
また、表示系クロックΦb(変調クロック)の中心周波数Fiは、ドットクロック周波数の整数倍(1倍,2倍,4倍程度)となっており、表示装置DSの解像度に対応して高くなる。なお、ドットクロック周波数は、表示装置DSの1画素(ドット)を表示するために必要な動作時間の逆数であり、例えば、垂直同期信号60Hzであって、解像度1280×1024の場合には、ドットクロック周波数が100MHz程度となる。
そして、1画素はRGB三原色で構成されるので、大量の画像データを高速に伝送する必要が生じ、不要輻射ノイズEMIの発生も懸念される。しかし、本実施例では、表示系クロックΦb(変調クロック)の周波数が適度に揺らぐので、不要輻射ノイズを効果的に抑制することができる。
また、5対のLVDS信号線毎にノイズ対策を採る必要がなく、コスト的にもスペース的にも有効である。すなわち、フェライトコアを配線毎に配置したのでは、最低5個の部品が必要なる。また、ノイズ対策として、コイルやコンデンサを配置する場合にも、同様にコスト的及びスペース的な不利があり、これらの対策が不要となる本実施例の構成の効果は顕著である。
図8に示す他の構成についても説明すると、ウォッチドッグタイマWDTの出力は、システムリセット信号SYSと共にOR回路の供給されており、OR回路への入力信号の何れかがアクティブレベルになると、ワンチップマイコン60とVDP62とが同期してリセットされるようになっている。したがって、ワンチップマイコン60のプログラム暴走などに起因して制御動作が初期化されると、これに対応して、VDP62の動作を初期化されることになり、矛盾した不自然な画像演出が実行されることがない。
また、本実施例では、消費電力を可能な限り抑制するべく、各素子の電源電圧を最小化しており、各素子の電源電圧は、(1)ワンチップマイコン60が3.3Vと1.25V、(2)フラッシュメモリ61が1.25V、(3)VDP62が3.3Vと1.8Vと1.1V、(4)CGROM63が3.3V、(5)SDRAM64が1.8Vとなっている。
そして、制御端子を有する複数のDC/DCコンバータを配置すると共に、電源シーケンサ65を設けることで、多数の直流電圧を最適なタイミングで各素子に供給している。図9は、電源シーケンサ65の一例としてLM3881(national semiconductor)の内部構成(a)と、電源シーケンサ65を使用した場合にも実行される動作タイムチャート(b)を図示したものである。
図9(a)の電源シーケンサ65の場合には、INV端子がLレベルであると、Hレベルの動作開始指令ENを受けて動作を開始し、TADJ端子に接続されるキャパシタンスで規定されるクロック信号Clockの9周期後に第一制御信号PCNT1が立上り、クロック信号の8周期後に第二制御信号PCNT2が立上り、クロック信号の更に8周期後に第三制御信号PCNT3が立上がる。
一方、動作開始指令ENがLレベルに遷移すると、クロック信号の9周期後に第三制御信号PCNT3が立下り、クロック信号の8周期後に第二制御信号PCNT2が立下り、クロック信号の更に8周期後に第三制御信号PCNT3が立下がる。
本実施例では、図8に示す通り、動作開始指令ENは、演出制御部22’(演出インタフェイス基板27)から供給される2種類の直流電圧のAND論理出力となっている。そして、第一制御信号PCNT1は、1.1V生成用のDC/DCコンバータV1の動作イネーブル端子ENに供給され、第二制御信号PCNT2は、3.3V生成用のDC/DCコンバータV2の動作イネーブル端子ENに供給されている。
また、第三制御信号PCNT3は、3.3VとのAND論理出力に変換されて、1.8V生成用のDC/DCコンバータV3の動作イネーブル端子ENに供給されている。上記した各DC/DCコンバータは、動作イネーブル端子ENがHレベルとなることを条件に電圧変換動作を開始する。
そのため、図9(b)に示す通り、演出制御部22’から配電される5Vに基づいてDC/DCコンバータV1が最初に機能して、直流電圧1.1Vが生成される。この直流電圧1.1Vは、VDP62に内蔵されたデジタル回路及び内蔵VRAM用の電源電圧であり、他の内蔵回路より先に動作を開始することで、電源投入後のVDP62の正常な動作開始シーケンスが担保される。
上記の動作の後に、第二制御信号PCNT2がHレベルになるので、演出制御部22’から配電される12Vを受けるDC/DCコンバータV2が機能して直流電圧3.3Vが生成される。直流電圧3.3Vは、1.25V用のDC/DCコンバータV4に供給されているが、このコンバータV4には、動作イネーブル端子が存在しないので、直ちに、動作を開始して、直流電圧1.25Vが生成される。
これら第二制御信号PCNT2に制御されて生成される2種類の直流電圧3.3V,1.25Vは、ワンチップマイコン60、フラッシュメモリ61、及びCGROM63に、ほぼ同タイミングで供給されるので、前記の各回路素子は、電源投入後に遅滞なく動作開始の準備が完了することになる。なお、このタイミングでは、システムリセット信号SYSがLレベルであり、このレベルがしばらく維持された後に、Hレベルに変化するよう電源基板の電源回路が動作しているので、ワンチップマイコン60は、正しく電源リセットされることになる。
最後に第三制御信号PCNT3がHレベルに変化すると、第三制御信号PCNT3と3.3VのAND論理出力が、DC/DCコンバータV3に供給されて直流電圧1.8Vが生成される。この直流電圧1.8Vは、VDP62と、DDRSRAM64と、DDRSRAM用の電源回路68とに、ほぼ同タイミングで供給されるので、DDRSRAM64と、VDP62内部のDDRSRAMインタフェイス回路が同期して動作可能状態となる。したがって、システムリセット信号SYSがHレベルに変化すると、VDP62は、円滑に初期設定動作を開始することができる。
図10は、VDP62の内部構成と、SDRA64、CGROM63、及びワンチップマイコンとの接続関係を示すブロック図である。VDP62は、ワンチップマイコン60からの指示に基づき、表示装置DSで実行される一連の変動演出用の画像データ群と、予告演出用の画像データ群とを別々に生成して出力する。そして、これらの画像データ群は、ディスプレイコントローラ78aによって最終生成されてLVDS_ I/F部75に出力されるよう構成されている。
ここで、変動演出用の画像データ群と予告演出用の画像データ群は、何れも、連続的に変化する動画データと、連続的には移動しない静止画データとを組合せて構成している。また、これらの画像データ群を構成するRGB画素は、各々8ビット長(256階調)であって、表示装置DSでの高画質の画像演出を実現している。
図示の通り、ワンチップマイコン60とVDP62は、CPU_ I/F部を経由して接続されており、コマンドメモリ70には、一連の画像演出を特定する多数のコマンドリストが予め格納されている。コマンドリストは、変動演出用と予告演出用に区別されると共に、各々、多種類のリストが用意して演出バリエーションの豊富化を図っている。
そして、ワンチップマイコン60は、必要時にシステム制御レジスタ71をアクセスして、実行を開始すべき一連の画像演出を特定する所定のコマンドリストの開始アドレスを設定する。すると、コマンドパーサ(構文解析器)72は、システム制御レジスタ71で指定されるコマンドリストを解析して、解析結果に対応する内部コードを、動画デコーダ73や静止画デコーダ74などの内部モジュールに渡す。
すると、各内部モジュールが動作を開始して、VRAM(Video RAM )エリアに必要な画像データを確保すると共に、フレーム画像データを、所定時間毎にLVDS_ IF部(LVDS送信部)75やDRGB_ IF部76に出力する。LVDS_ IF部75は、フレーム画像データをLVDS信号に変換して出力する部分であり、DRGB_ IF部76は、デジタルRGB信号を水平/垂直同期信号などの制御信号と共に出力する部分である。
上記の構成において、コマンドパーサ72の動作は、システムクロックΦaに基づいて実行される。一方、動画デコーダ73、静止画デコーダ74、ディスプレイコントローラ78a,78b、LVDS_ IF部75、及びDRGB_ IF部76など、表示装置DSに供給すべき画像表示データの生成や、出力に関する動作は、表示系クロック(変調クロック)Φbに基づいて実行される。
なお、本実施例では、DRGB_ IF部76を使用していないが、LVDS_ IF部75に代えて、DRGB_ IF部76を使用しても良く、差動信号に変えてシングルエンド信号を使用しても、本実施例によれば、不要輻射ノイズ発生が大幅に軽減される。
ところで、本実施例では、VDP62による一連の描画動作を高速且つ円滑化するため、CGROM63には、高速に変化する一連の動画を特定する動画圧縮データと、静止画像を特定する静止圧縮データと、が区別して記憶している。そして、CGROM63から、ROM_ I/F部やCGメモリコントローラを経由して読み出された静止圧縮データは、静止画デコーダ74において伸張されて内蔵VRAM77に一時記憶されるようになっている。一方、CGROM63から読み出された動画圧縮データは、動画デコーダ73において伸張されてSDRAM64に一時記憶されるよう構成されている。
すなわち、本実施例では、外付けのSDRAM64をVRAMとして使用するので、内蔵RAMを使用する場合のようにメモリ容量に制限がなく、したがって、例えば、変動演出と予告演出の2系統について、一連の動画圧縮データを連続的にデコードして、SDRAMに先行して確保することもでき、画像処理を高速に実現することができる。また、本実施例のRAM63は、特に、DDRS2DRAM(Double-Data-Rate2 SDRAM)で構成されており、SDRAMより高速のデータ転送を実現しており、共通しない2系統の画像データを高速に生成することができる。
このようにしてVRAMエリア64,77に確保された画像データは、ディスプレイコントローラ78aに読み出されて、ガンマ補正などの後にLVDS/IF部75から出力される。
図11は、上記した内部構成のVDP62と、表示装置DSとの接続関係について、図8や図10の該当部分(LVDS送信部75)をより詳細に図示したものである。図示の通り、本実施例の表示装置DSは、VDP62のLVDS送信部(LVDS_ I/F)75に対応するLVDS受信部(LVDS_ I/F)81を内蔵して構成されている。
図11(a)に示す通り、LVDS_ I/F部(LVDS送信部)75は、RGBデータ24ビットを含んだパラレルデータを、LVDS(low voltage differential signaling)信号に変換する部分である。LVDSとは、RGBデータなどを低ノイズ、低電力で高速伝送するための低電圧差動伝送方式を意味し、本実施例では、一対の信号伝送ライン(1本のツイストペア線)に数mAの程度の低レベルの信号電流を送信側から供給する一方、この信号電流を受信側に設けた100Ω程度の終端抵抗で受ける構成を採っている。したがって、電圧振幅は、数100mV程度の低レベルであるが、論理レベル(H/L)に対応して電流方向を代えることで確実な信号伝送を実現している。
そして、この実施例では、図11(a)に示す通り、全24ビット長のRGB信号(各8ビット長)と、水平/垂直同期信号とを含んだ合計28ビット長のパラレルデータ(TA0〜TA6,TB0〜TB6,TC0〜TC6,TD0〜TD6)を、LVDS送信部75において、4対の差動信号に変換している。そして、これに、一対の転送クロックの差動信号を加えて、5本のツイストペア線で表示装置DSに伝送している。
なお、図8や図11(a)では、これら4対の差動信号を、表示装置DSの立場から評価して、(RXIN0+,RXIN0−)、(RXIN1+,RXIN1−)、(RXIN2+,RXIN2−)、(RXIN3+,RXIN3+)、(RXCLK+,RXCLK−)と記載している。
図11(b)に示すように、転送クロックRXCLKの一周期の間に、ツイストペア線(RXIN0+,RXIN0−)では、G0→R5→R4→R3→R2→R1→R0をシリアル転送し、ツイストペア線(RXIN1+,RXIN1−)では、B1→B0→G5→G4→G3→G2→G1をシリアル転送し、ツイストペア線(RXIN2+,RXIN2−)では、DE→(VS)→(HS)→B5→B4→B3→B2をシリアル転送し、ツイストペア線(RXIN3+,RXIN3−)では、NA→B7→B6→G7→G6→R7→R6をシリアル転送している。
ここで、R0〜R7は、赤色画素の輝度を示す8ビット長データ、G0〜G7は、緑色画素の輝度を示す8ビット長データ、B0〜B7は、青色画素の輝度を示す8ビット長データである。また、(VS)や(HS)は、垂直同期タイミング、水平同期タイミングであることを示し、DEは、DATA ENABLE を意味している。なお、NAは未使用である。
上記した4対の差動信号を受ける表示装置DSには、VDP62のLVDS送信部75に対応するLVDS受信部81が設けられている。そして、一連のシリアルデータがパラレル変換されて、4組のパラレルデータRA0〜RA6,RB0〜RB6,RC0〜RC6,RD0〜RD6となる。図11(b)に示すシリアルデータ列から明らか通り、パラレルデータRA0〜RA6は、具体的には、R0〜R5と、G0の7ビットであり、その他のパラレルデータも、図11(b)に示すシリアルデータに対応したものである。
そして、表示装置は、これらから抽出されるRGB階調データに基づいて画面表示を実現する。このように本実施例では、画素データが、RGB各8ビット(256階調)であってフルカラーの画像演出を実現することができる。
しかも、VDP62と表示装置DSとの信号伝送にLVDS信号を使用するので、電圧振幅が低レベルで足り(数100mV)、その分だけデジタル信号の立上り時間や立下り時間が短いので、高速通信を実現することができ、高速度に推移する画像演出を滑らかに実現することができる。しかも、コモンモードノイズの影響を受けないので、不自然な画素が生じることもない。
なお、表示系クロックΦbの周波数変調度は2.0%以下であるので、周波数の揺らぎが表示画面に悪影響を与えることはない。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。特に、実施例では弾球遊技機について説明したが、本発明の適用は、回胴遊技機や、その他の遊技機にも好適に適用されるのは勿論である。