JP6072593B2 - 光増幅装置 - Google Patents

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本発明は、光通信システムや光計測システムにおいて用いられる光増幅装置に関する。
従来の光伝送システムでは、光ファイバを伝搬することにより減衰した信号を再生するために、光信号を電気信号に変換し、ディジタル信号を識別した後に光信号を再生する識別再生光中継器が用いられていた。しかしながら、この識別再生光中継器では、光信号を電気信号に変換する電子部品の応答速度に制限があることや、伝送する信号のスピードが速くなると消費電力が大きくなるなどの問題があった。
この問題を解決する光増幅手段として、エルビウムやプラセオジム等の希土類元素を添加した光ファイバに励起光を入射して信号光を増幅するファイバレーザ増幅器や半導体レーザ増幅器がある。このようなファイバレーザ増幅器や半導体レーザ増幅器は、信号光を光のままで増幅することができるため、識別再生光中継器で問題になっていた電気的な処理速度の制限が存在しない。加えて、機器構成も比較的単純である利点を有する。
しかしながら、これらのレーザ増幅器は、劣化した信号光波形を整形する機能を有していない。また、これらのレーザ増幅器においては、不可避的かつランダムに発生する自然放出光が信号成分とは全く無関係に混入されるため、信号光のS/N比が増幅前後で少なくとも3dB低下する。これらは、ディジタル信号伝送時における伝送符号誤り率の上昇につながり、伝送品質を低下させる要因になっている。
このような従来のレーザ増幅器の限界を打開する手段として、位相感応光増幅器(Phase Sensitive Amplifier:PSA)が検討されている。この位相感応光増幅器は、伝送ファイバの分散の影響による劣化した信号光波形や位相信号を整形する機能を有する。また、信号とは無関係の直交位相をもった自然放出光を抑圧することができ、同相の自然放出光も最小限で済むために、増幅前後で信号光のS/Nを劣化させず同一に保つことが原理的に可能である。
高田、今宿、「コヒーレント光増幅器」、レーザ研究、2001年9月、Vol.29、p.599−604
しかしながら、上述したPSAを中継器として用いて光伝送システムを構成する場合、以下に述べるような2つの課題がある。1つ目の課題は、PSAによって補正できる位相変化量に限界があるという点である。PSAの基本的な構成を図1に示す。図1には、光パラメトリック増幅を用いた位相感応光増幅部101と、励起光源102と、励起光位相制御部103と、第1の光分岐部104−1及び第2の光分岐部104−2とを備えたPSA100が示されている。図1に示されるように、PSA100に入力された信号光110は、第1の光分岐部104−1で2分岐されて、一方は位相感応光増幅部101に入射し、他方は励起光源102に入射する。励起光源102から出射した励起光111は、励起光位相制御部103を介して位相が調整されて、位相感応光増幅部101に入射する。位相感応光増幅部101は、入力した信号光110及び励起光111に基づいて出力信号光112を出力する。
位相感応光増幅部101は、入射した信号光110の位相と励起光111の位相とが一致すると信号光110を増幅し、例えばバイナリ位相変調(BPSK)信号を増幅するPSAでは両者の位相が90度ずれた直交位相関係になると、信号光110を減衰する特性を有するように設計することができる。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光111と信号光110との間の位相を一致させると、信号光110と直交位相の自然放出光が発生せず、また同相の自然放出光を最小限に抑えることができ、同相の成分に関しても信号光110が有する雑音以上に過剰な自然放出光が発生しないため、S/N比を劣化させずに信号光110の増幅が可能になる。
このような信号光110と励起光111との位相同期を達成するために、励起光位相制御部103は、第1の光分岐部104−1で分岐された信号光110の位相と同期するように励起光111の位相を制御する。加えて、励起光位相制御部103は、第2の光分岐部104−2で分岐された出力信号光112の一部を狭帯域の検出器で検波し、出力信号光112の増幅利得が最大となるように励起光111の位相を制御する。その結果、位相感応光増幅部102では、信号光110の位相と励起光111の位相とが同期するように制御し、上記の原理に基づいてS/N比の劣化のない光増幅が実現される。位相感応光増幅部102には、二次又は三次の非線形光学効果を有する媒質が用いられる。
PSAにおけるBPSK信号用の位相感応光増幅器の利得と、信号光−励起光間の位相差Δφとの関係の例を図2に示す。上述のように、従来のPSA100においては、出力信号光112の一部を分岐して狭帯域の検出器で検波し、出力信号が最大となるように励起光111の位相を制御して、信号光110と励起光111との位相同期を達成する。
図2に示されるように、励起光と同相の成分が増幅され、直交位相の成分は減衰される。従って、伝送ファイバの分散によって位相ひずみを生じた信号を入力しても、信号光の位相は励起光と同相に修正されながら増幅されるため、位相ひずみを除去することが可能となる。しかしながら、図2に示されるように、位相変化がπ/2を超えると利得がまた増大するため、PSAによる中継によって補正できる位相変化量には限界があることが想像される。
2番目の課題は、位相雑音の低減に伴い強度雑音が発生する懸念があるという点である。近年の光伝送システムにおいて、光増幅器が発生するASE雑音と光ファイバの非線形光学効果との相互作用による信号劣化が、伝送容量の上限を左右する問題として指摘されている。例えば光増幅器のASE光と信号光との干渉によって強度雑音が生じている信号を光ファイバを用いて伝送すると、光ファイバの光Kerr効果によって信号強度に応じて位相変調を受けるため、ASEによる強度雑音が位相雑音に変換されてしまう。
近年の光ファイバ伝送システムでは、周波数利用効率の向上の観点から様々な位相変調フォーマットを用いた信号が用いられるようになってきており、このような位相雑音は符号誤り率を増大させる原因となる。図2に示したPSAの位相に依存した利得が得られる特性を利用すると、上記のような位相雑音を低減することができる。図3を用いて位相雑音の低減のメカニズムを説明する。
図3は、PSAの入出力光の位相状態をベクトル表示したコンスタレーションマップである。図3(a)に示したように、入力信号光が位相雑音を有している場合、図2に示す直交位相成分を減衰させる特性を利用すると、入力信号光を図3中の横軸、すなわち励起光位相と同相方向に射影した信号が得られるために、図3(c)に示されるように出力の位相雑音を低減することが可能になる。
しかしながら、図3(b)に示したように、入力光が有する位相雑音が非常に大きい場合、位相雑音を減少させた結果として、図3(d)に示されるようにPSA出力には大きな強度雑音が発生してしまうことになる。
本発明の目的は、上記のような従来技術の課題を解決し、光ファイバの非線形効果による位相雑音や光ファイバの分散による波形劣化の累積がなく、長距離に渡って大容量のデータを伝送できる光伝送システムを提供することにある。
本発明の請求項1記載の光伝送システムは、ビットレートBで波長λの信号光を発生する送信装置と、複数の光位相感応増幅器と、受信装置とを備え、前記送信装置と前記受信装置との間が複数の光ファイバ及び前記複数の光位相感応増幅器で中継された光伝送システムであって、前記光位相感応増幅器は、前記信号光に同期した励起光を発生する手段を備え、かつ前記励起光と同相成分の前記信号光を選択的に増幅して出力し、cを光速とすると、前記送信装置と前記送信装置に接続された光位相感応増幅器との間、前記複数の光位相感応増幅器同士の間及び前記受信装置と前記受信装置に接続された光位相感応増幅器との間を結ぶそれぞれの中継区間における光ファイバの単位長さ当たりの群速度分散Dと前記光ファイバの長さLとの積が、
の関係を満足し、前記光位相感応増幅器は、非線形光学材料を用いたパラメトリック増幅を行う周期反転LiNO 3 導波路を含み、前記光位相感応増幅器の前段にはさらに、当該光位相感応増幅器の出力において前記周期反転LiNO 3 導波路における前記パラメトリック増幅の利得が入力信号の瞬時値が増大したときに飽和するように、光ファイバ増幅器を備えることを特徴とする。
本発明によると、光増幅器を中継器として用いた光伝送システムにおいて、光ファイバの分散による波形劣化の累積を防ぐとともに、ファイバの非線形効果による位相雑音や強度雑音の増加を防ぎながら、伝送パワーの増大が図れるので、光伝送システムにおけるS/N比を増大させることが可能であり、その結果大容量の信号を長距離に渡って伝送することが可能になる。
位相感応光増幅器の基本的な構成を説明する図である。 位相感応光増幅器の動作を説明する図である。 位相感応光増幅器による位相雑音低減効果を説明する図である。 本発明の実施例1に係る伝送システム及びPSAの構成を説明する図である。 本発明の実施例1に係る伝送システムによって中継伝送を行った場合の分散耐力を説明する図である。 本発明の実施例1に係る伝送システムによって中継伝送を行った場合の信号スペクトルと異なる分散値における位相変化の関係及び利得帯域の関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る伝送システムによって中継される信号の周波数スペクトルを説明する図である。 本発明の実施例1に係る伝送システムによって中継できる信号のビットレートと中継区間分散の関係を説明する図である。 本発明の実施例1に係る伝送システムの効果を検証する方法を説明する図である。 従来技術と本発明の実施例1の実施例1に係る伝送システムとによって伝送したときの信号の様子を説明する図である。 本発明の実施例2に係る伝送システム及びPSAの構成を説明する図である。 本発明の実施例2に係るPSAの動作を説明する図である。
以下、図面を参照しながら本発明の各実施例について詳細に説明する。
(実施例1)
図4を用いて、本発明の実施例1に係る光増幅装置の構成を説明する。図4(a)には、DPSK送信装置410と、DPSK受信装置420と、複数のPSA430とを備えた光伝送システム400が示されている。DPSK送信装置410は、半導体レーザ(LD)411と、LiNbO変調器412と、エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)413とから構成されている。DPSK受信装置420は、前置増幅器としてのEDFA421と、バンドパスフィルタ(BPF)422と、遅延干渉計(DI:Delay interferometer)423と、バランスドPD424、クロックリカバリ回路(CDR)425と、ディジタル信号を識別するD型フリップフロップ(DFF)426とから構成されている。DPSK送信装置410とPSA430と間、隣接するPSA430同士の間及びPSA430とDPSK受信装置420との間は、それぞれ分散シフトファイバ401で接続されている。
実施例1に係る光伝送システム400は、40Gbit/sのDPSK信号を長距離伝送できるように構築されている。LD411から出力した1.55μm帯のレーザ光をLiNbO変調器412を用いて40Gbit/sでDPSK変調した信号をEDFA413で増幅し、分散シフトファイバ401で伝送する。伝送された信号は、PSA群420におけるPSA421で中継を行い、再び分散シフトファイバ401を介して後段のPSA430に伝送される。このような伝送・中継を繰り返し行い、最終的にDPSK受信装置420で増幅された信号が受信される。
図4(b)は、本発明の実施例1に係るPSA430の構成を示す。実施例1に係るPSA430では、十分な利得を得るため及びPSAの利得飽和特性を利用するために、信号光1をEDFA431で増幅した後に、二次非線形光学素子である周期分極反転LiNbO(PPLN)導波路によるパラメトリック増幅を行うようにPSA430を構成した。
PSA430には、DPSK送信装置410から出力されたDPSK信号である信号光1が入力される。信号光1は、EDFA431で増幅され、偏波コントローラ432を介して偏波が調整された後、光カプラ433で分岐され、一方は第1の3dBカプラ435に入力され、他方は、PPLN導波路を有する第3の二次非線形光学素子450に入力される。第1の励起光源434で発生した第1の局部発振光(以下、局発光とする)2は、第2の3dBカプラ436で分岐され、一方は第1の3dBカプラ435に入力され、他方はVOA440に入力される。第1の局発光2は、信号光1の波長から離調した波長を有する。
第1の3dBカプラ435は、入力した信号光1及び第1の局発光2を結合してEDFA437に出力する。EDFA437は、第1の3dBカプラ435から出力された結合光を増幅して、第1の二次非線形光学素子438に出力する。
第1の二次非線形光学素子438は、第1の空間光学系451と、第1のPPLN導波路452と、第2の空間光学系453を有する。第1の空間光学系451は、第1の二次非線形光学素子438の入力ポートから入力された光を第1のPPLN導波路452に結合する。第1のPPLN導波路452では、信号光1の第二高調波(以下、SH光)を発生することにより搬送波位相を再生する。SH光の位相は、信号光1と第1の局発光2との差周波発生(DFG)により信号光1の周波数を中心として対称な周波数のアイドラ光にコピーされる。第2の空間光学系453は、第1のPPLN導波路452で生成された光を第1の二次非線形光学素子438の出力ポートに結合する。第1の二次非線形光学素子438からの出力光3は、サーキュレータ439に入力される。
一方、第2の3dBカプラ436で分岐された他方の第1の局発光2は、VOA440で減衰され、位相変調器441及びPZT442を介して位相変調されて、アイソレータ444を介してアレイ導波路グレーティング(AWG)446に入力される。
第1の二次非線形光学素子438で生成された出力光3のうちのアイドラ光に不要な雑音成分が含まれている場合でも、これをサーキュレータ439及びAWG446を介して第2の励起光源445で発生したレーザへの注入同期を行うことにより取り除くことで、安定した第2の局発光4を得ることができる。第1の局発光2及び第2の局発光4は、EDFA447で増幅され、BPF448を介して第2の二次非線形光学素子449に入力される。
第2の二次非線形光学素子449は、第3及び第4の空間光学系454及び457と、第1及び第2のダイクロイックミラー455及び458と、第2のPPLN導波路456とを有する。第3の空間光学系454は、第2の二次非線形光学素子449の入力ポートから入力された光を第1のダイクロイックミラー455を介して第2のPPLN導波路456に結合する。第2のPPLN導波路456は、入力した第1の局発光2及び第2の局発光による和周波発生を行うことにより、信号の搬送波に同期した励起光5を得ることができる。第2のPPLN導波路456で生成された励起光5は、第4の空間光学系457及び第2のダイクロイックミラー458を介して、信号光1とともに第3の二次非線形光学素子450に入力される。
第3の二次非線形光学素子450は、第5及び第6の空間光学系459及び462と、第3及び第4のダイクロイックミラー460及び463と、第3のPPLN導波路461とを有する。第5の空間光学系459は、第3の二次非線形光学素子450の入力ポートから入力された信号光1及び励起光5を第3のダイクロイックミラー460を介して第3のPPLN導波路461に結合する。第3のPPLN導波路461では、信号光1及び励起光5の縮退パラメトリック増幅による位相感応増幅が行われ、出力光6が生成される。第3のPPLN導波路461で生成された出力光6は、第6の空間光学系462及び第4のダイクロイックミラー463を介して第3の二次非線形光学素子450の出力ポートから出力される。第3の二次非線形光学素子450の第3のPPLN導波路461で増幅された信号光は、BPF466を通過して不要な自然放出光を除去したのちに、伝送用ファイバへと出力される。
図4に示される各構成要素は、光ファイバで接続されており、その温度変動や音響・振動効果による位相変動の影響を除去するためにLiNbO位相変調器441及びPZT442を用いた。位相同期ループ(PLL)回路443は、励起光−信号光間の位相差を安定化する機能を有する。図4に示される伝送システム400により、信号の搬送波に同期した励起光を増幅器の内部で発生して中継動作を実現している。
次に、本発明に係る伝送ファイバの分散値の設定について説明する。PSAは、伝送路の分散による位相変化を補正して中継できる特性を有しているが、その分散耐性を実験的に調べるために以下のような試験を行った。
図4に示される本発明に係る光増幅装置の1中継スパン分の分散が変化した場合における中継後の信号品質を調べるために敢えて、1.55μm帯で大きな分散を有する1.3μm零分散シングルモードファイバ(SSMF)を用いて光信号を伝送した後にPSA430で中継増幅を行い、分散の大きさを変化させるためSSMFの長さを変化させて、中継後の信号をDPSK受信器420で受信して誤り率測定を行い、受信感度の測定を行った。その結果を図5に示す。図5では、比較のためにPSAでの中継を行わない場合の結果をあわせて示した。
図5に示される結果から明らかなように、PSA430よる中継を行わない場合は分散の増大に伴って位相変化が生じ、受信感度が単調に劣化してパワーペナルティが生じているが、PSAによる中継を行った場合は分散が50ps/nm程度まではほとんどパワーペナルティを生じることなく中継が行われていることが分かる。これはPSA430により位相情報が再生されていることを意味している。
しかしながら、分散値が60ps/nmを超えると、むしろパワーペナルティが急激に増大していることが分かる。このことから、送信装置410と送信装置410に接続されたPSA430との間、隣接するPSA430同士の間及び受信装置420と受信装置420に接続されたPSA430との間を結ぶそれぞれの1中継スパンの分散値を一定値以内に留めて中継すると、PSAによる位相再生を効果的に利用できることが分かった。この結果を任意のビットレートに一般化して考えると、以下のように説明することができることが分かった。光ファイバ中の伝搬定数βの周波数依存性すなわち分散は、搬送波周波数ωを中心として以下の(式1)のようにテーラ展開できる。
β(ω)=β+(ω−ω+1/2(ω−ω)β+・・・ (式1)
ここで、
であり、以下の(式3)及び(式4)のように、一次の分散は群遅延、二次の分散は群速度分散にそれぞれ対応する。
ここで、vは群速度、cは光速、λは信号光の波長、Dは単位長さ当たりの群速度分散を示す。一次の分散は、伝送信号の群遅延が一定であることに相当するため省略し、二次の分散に注目すると、長さzの光ファイバを伝搬した伝送信号の各周波数成分の位相は、搬送波位相を基準にして、以下の(式5)のように与えられる。
すなわち、二次の分散が支配的な分散値の波長領域では、各周波数成分の位相は搬送波周波数からの離調に対して放物線状に変化することになる。図6(a)に実施例1で使用した40Gbit/sDPSK信号の光スペクトルと、SSMFの長さを1.6km、3.2kmとしたときの搬送波位相を基準とした信号の各波長成分の位相とを示す。
図2に示したように、バイナリ変調用のPSAでは、位相が±π/2の条件で信号が減衰される。図2に示される特性と図6(a)に示される位相変化とから各分散値におけるPSAの利得の波長依存性を予測したものを、40Gbit/sのDPSK信号の光スペクトルとともに図6(b)に示す。図6(b)から明らかなように、分散が大きくなるほどPSAの利得が得られる帯域が狭くなっていく。図6(b)に示される例では、54.4ps/nmの条件で40Gbit/sDPSK信号が有する変調サイドバンドの一部が帯域の外にはみ出してしまうことが分かる。
このような分散による利得帯域の狭窄化が、図5に示されるようなPSAの中継時の急激なパワーペナルティの原因となっていることが分かった。分散値をどの程度に設定すればパワーペナルティを発生することなく中継できるかは、どの程度の符号誤り率を許容するかによって厳密には変わってくるが、図6に示される入力信号の変調サイドバンドのうち、中心となるサイドローブの帯域をカバーすれば原信号を再生できるという考え方に基づくと、以下のように整理できることが分かった。
BPSKやDPSKなどのバイナリ位相変調において、ランダムな入力信号列に対するベースバンドスペクトルS(ω)は、以下の(式6)で与えられる。
ここで、Tは入力信号の1ビットのタイムスロットに相当する。上記のスペクトルを図7に示す。図7からわかるように、バイナリ変調のメインのサイドローブは、搬送波から次の周波数だけ離調した周波数がその上限となり、搬送波からこの周波数までのスペクトルに原波形の情報がほぼすべての情報が含まれていると考えることができる。
ここで、Bは送信信号のビットレートである。従って、上記(式7)の離調周波数における位相変化がπ/2以内となるようにすれば、PSAで増幅される帯域内にほぼすべての原信号の情報が収まる。よって、分散による帯域制限を受けない条件は、以下の(式8)のように与えられることが分かった。
ここで、Lは光ファイバの長さであり、(式8)の左辺は、1中継スパンの総分散量を表している。この値をビットレートに対して計算したものを図8に示す。図8から分かるように、例えばビットレート40Gbit/sでは40ps/nm以下とし、28Gbit/sでは80ps/nm以下とすることにより、PSAによる位相再生の効果を有効に利用できることになる。したがって、例えば中継間隔を40kmもしくは80kmとした場合、許容される単位長さ当たりの分散量は、40Gbit/sでは1ps/nm/kmもしくは0.5ps/nm/kmとなる。これらの値を超える伝送ファイバを用いる場合は、中継区間に適宜分散補償用のファイバを加えて、総分散量が上記の値を超えないように設定すれば良い。
ここまでは、分散による位相変化がいかに再生できるかを説明してきた。次に、伝送ファイバの非線形効果による波形劣化に対して本発明がいかに効果を発揮するかを説明する。図4に示される伝送システム400及びPSA430を用いた場合、図3(a)に示されるように信号に光ファイバの非線形効果により位相雑音が発生しても、その位相雑音が比較的小さい範囲では、PSA430の効果により中継を行うたびに位相雑音を低減することができると考えられる。しかし、伝送ファイバへの入力パワーが大きい条件や伝送距離が長くなるに従って、ASEの蓄積や非線形効果による位相雑音の蓄積が大きくなると、図3(b)に示されるように強度雑音が増加してしまうようにも考えられる。
そこで、本実施例1に係る伝送システム400では、PSAの利得飽和を利用することにより、強度雑音の低減を図っている。PPLN等の非線形光学媒質によるパラメトリック増幅では、EDFA等のレーザ増幅器とは異なり、利得は入力信号の強度や励起光の強度に対してps以下の瞬時応答を示す。また、パラメトリック増幅された信号光のエネルギーは、励起光が変換されて発生したものであるため、励起光パワーを越えて出力パワーが得られることはなく、PPLN導波路に入射された励起光のほとんどが出力光へ変換されてしまうような動作領域においては、入力光のパワーが大きくなるほど利得の飽和を生じ、またその利得飽和は入力される信号の1ビットごとの強度変動に追従するものとなる。従って、そのような利得飽和の得られる状態で動作させると、入力光の強度雑音を低減することが可能になる。
本実施例では、PPLNのみで得られるパラメトリック利得は、搬送波抽出用の信号の分岐やPLL用の信号を分岐するカプラ等の損失も加えると、入力ファイバから出力ファイバの間で12dBであった。例えば、図4において、1中継区間のファイバ長を80kmとしてファイバの伝搬損失を0.2dB/kmとすると、中継区間の伝送損失は、16dBとなり、PPLNのPSAだけでは中継区間の損失を完全に補償することはできず、またPSAの利得飽和を利用することは難しい。
そこで、本実施例では、PSAの利得飽和効果を積極的に利用するために、第3のPPLN導波路461の前段にあえてEDFA431を配置して、第3のPPLN導波路461への入力パワーを増大させて利得飽和による強度雑音効果も得られるようにした。
なお、この利得効果は、本実施例1の形態に限定されるものでなく、将来的にパラメトリック増幅だけで十分な利得が得られるように非線形媒質の効率等が改善されれば、パラメトリック媒質だけの利得の飽和を利用して強度雑音が低減できることは言うまでもない。パラメトリック媒質だけの利得の飽和を利用するとき、PSAの利得が非線形光学材料を用いたパラメトリック増幅のみによって得られ、PSAの出力においてパラメトリック増幅の利得が入力信号の瞬時値が増大した場合に飽和するように、励起光から利得を引いた入力光パワー以下で得られる出力光パワーが励起光パワーと同程度に設定することができる。
本実施例1に係る伝送システム400のPSA430では、第3のPPLN導波路461への入力が10dBmを超えると急激に利得飽和が得られる条件が得られたため、光ファイバで伝送されてきた入力信号を前段のEDFA431で+10dBmまで増幅したのちに、第3のPPLN導波路461による増幅を行うようにした。第3のPPLN導波路で得られるパラメトリック利得は前述のように12dBであるが、入力パワーが+10dBmのとき利得飽和のため、利得が若干減少して、第3のPPLN導波路461から得られる出力461は+20dBmであった。第3のPPLN導波路461で増幅された信号は、BPF466を通すことで+18dBmまで減衰した。この+18dBという出力パワーは、伝送光ファイバでの非線形効果を考慮すると若干大きすぎるため、適宜光減衰器を用いて所望のパワーまで減衰させてから伝送させることが望ましい。
ここまで説明してきたように、本発明によれば、PSAによる位相再生効果及び位相雑音低減効果を利用しながら、伝送ファイバの群速度分散や非線形効果による波形劣化を抑制して大容量の光信号を長距離伝送することが可能になる。本発明の効果は、光増幅器と伝送路を多段に接続・中継を行うことで初めて確認できるため、その実証には多くの光増幅器を用意する必要があるが、現時点で開発途中であるPSAを多数用意することは現実的ではないため、以下に述べるような周回伝送実験を行って、その効果を確認した。図9に、本発明による実施例1に係る伝送システムにおける伝送実験の概要を示す。
図9に示される光伝送システム900においては、送信信号として、半導体レーザ912から出力されてLiNbO変調器913で発生した28Gbit/sのBPSK信号を用いた。この送信信号をEDFA914で所望の光パワーまで増幅したのちに、BPF915で不要なASE光を除去し、第1のAO変調器からなる第1の光スイッチ930を用いて、後述するループ状に接続された伝送用ファイバ940中を光信号で満たすのに必要な時間幅に信号をパルス状に切り出す。
偏波コントローラ931で送信偏波を調整したのちに、3dBカプラ932を介して伝送用ファイバ940に光信号を入射する。図9に示される光伝送システム900では、伝送用ファイバ940に長さ40kmの分散シフトファイバを用い、信号波長1.54DPSK帯における残留分散を補正するために長さ2kmのSSMFを接続している。伝送用ファイバ940で減衰した信号を図4に示した本実施例のEDFA951とPSA952との従属接続で構成した光増幅器で増幅する。
なお、本発明の効果の確認のため、EDFA単体で中継を行った場合も比較のために検証した。増幅器で増幅された信号はBPF941で余分な自然放出光を取り除いたのちに、可変光減衰器(VOA)942で光パワーを調整し、第2のAO変調器からなる第2の光スイッチ943に入射される。第2の光スイッチ943では、第1の光スイッチ930と連動して動作し、第1の光スイッチ930がONの状態で信号パルスが伝送用ファイバ940に入射されているときは、第2の光スイッチ943をOFFにし、ループ状の伝送用ファイバ940を伝搬してきた信号との衝突を防ぐ。
一方、第1の光スイッチ930がOFFの状態で信号の入射がない間は、第2の光スイッチ943をONの状態にして、ループ状の伝送用ファイバ940を伝送してきた信号を通過させる。このようにすることで、同じファイバ及び光増幅器を何周も周回させて伝送することができ、本発明による長距離伝送における効果を確認することができる。
ループ状の伝送用ファイバ940を伝搬した光信号列は、順次3dBカプラ932から出力される。図9に示される例では、3dBカプラ932からの出力信号をディジタルコヒーレント受信器920を用いて受信・解析した。ディジタルコヒーレント受信器920は、光90度ハイブリッド回路921と、信号の位相変調を復調するための局発光(LO)を出力する局発光源922と、2つのバランスドPD923と、高速動作するアナログ−ディジタル変換器924と、DSP925とから構成されている。
ディジタル変換された信号の位相はディジタル信号処理により再生され、その光ベクトルの様子や符号誤り率等を解析した。図10に図9の実験系で解析した周回伝送後の光ベクトルの様子を表すコンスタレーションマップを示す。図10(a)は従来技術であるEDFAを用いて中継を行ったときの結果である。
このときの伝送ファイバへの入力パワーは高々−5dBmであり、伝送距離は2940km、周回伝送回数は70回である。図10(a)に示されるように、従来技術においては、増幅器の発生する自然放出光と伝送媒体である光ファイバの非線形光学効果の相互作用により、位相雑音の蓄積が生じ、高々−5dBmの入射パワーで信号の品質が著しく劣化している。
次に、図10(b)に本発明を用いた場合の結果を示す。伝送ファイバへの入力パワーは+7dBmであり、伝送距離は5460km、周回伝送回数は130回である。図10(b)に示されるように、従来技術を用いた場合に比べて光ファイバへの入力パワーが大幅に増加したにもかかわらず、PSAの効果により位相雑音が小さく抑えられている。さらに、PSAの位相雑音低減効果を利用しているにもかかわらず、PSAの利得飽和を用いることで、出力の強度雑音が増加することなく長距離の伝送が可能になっていることがわかる。
このように、本発明によれば、光ファイバの非線形効果による位相雑音や強度雑音の増加を防ぎながら、伝送パワーの増大が図れるので、光伝送システムにおけるS/N比を増大させることが可能であり、その結果大容量の信号を長距離に渡って伝送することが可能になる。
(実施例2)
本実施例2に係る伝送システム1100では、QPSK信号を長距離伝送できるように構成した。図11を用いて本実施例2に係る伝送システム1100の構成を説明する。図11に示される本実施例2の全体の構成と図4に示される実施例1の構成との主な相違点は、本実施例2において、送信系がDQPSK送信装置1110になり、受信系がDQPSK受信装置1120となった点と、PSA1130がQPSK信号に対応するようになった点である。
図11(a)は、本実施例2に係る伝送システム1100の構成を示す。図11(a)に示されるように、実施例2に係る伝送システム1100は、DQPSK送信装置1110と、DQPSK受信装置1120と、複数のPSA1130とを備える。DQPSK送信装置1110は、半導体レーザ1111、LiNbOからなるIQ変調器1112及びEDFA1113を備え、DQPSK受信装置1120は、EDFA1121、BPF1122、遅延干渉計1123、バランスドPD1124、DFF1125及びCDR1126を備える。DPSK送信装置1110とPSA1130と間、隣接するPSA1130同士の間及びPSA1130とDPSK受信装置1120との間は、それぞれ分散シフトファイバ1101で接続されている。
実施例2に係る伝送システム1100は、QPSK信号に対応するPSA1130を有するため、以下にその動作を簡単に説明する。図11(b)は、実施例2に係る伝送システム1100におけるPSA1130の構成を示す。
図11(b)に示されるように、本実施例2に係るPSA1120では、DQPSK送信装置1110から出力されたQPSK信号である信号光7は、光カプラ1131に入射する。第1の励起光源1132で発生する第1の局発光8は、第2の光カプラ1133によって分岐されて、一方が光カプラ1131に入射し、他方は光カプラ1134に入射する。光カプラ1131に入射した信号光7及び第1の局発光8は合波されたのちにEDFA1135に入射する。EDFA1135は、後段の第1の二次非線形光学素子1136の利得飽和が十分得られるように信号光を増幅する。第1の二次非線形光学素子1136の第1のPPLN導波路1152では、以下の波長変換プロセスが行われる。
図12(a)は、第1のPPLN導波路1152中の周波数配置及び位相整合特性を示す。図12(a)に示されるように、第1のPPLN導波路1152の3つの位相整合ピークのうち最も低周波側のピークを信号光7の周波数と一致させる。そして、第1の局発光8は、信号光7よりも100GHzだけ低周波に離調するように波長を設定する。以上のような条件において、第1のPPLN導波路1152中では、まず信号光7がSH光に変換され、そのSH光を励起光とする差周波発生(DFG)により第1の局発光8が第1のアイドラ光9に変換される。
変換された第1のアイドラ光9の周波数は、第1のPPLN導波路1152の2番目の位相整合波長に一致するため、第1のアイドラ光9はSH光に変換され、そのSH光を励起光として信号光7が第2のアイドラ光10へ変換される。第2のアイドラ光10の周波数は第1のPPLN導波路1152の3番目の位相整合波長に一致するために、第2のアイドラ光10はSH光に変換され、そのSH光を励起光として第1のアイドラ光11が第3のアイドラ光へ変換される。このとき、第1から第3のアイドラ光の位相は、以下の(式9)〜(式11)のように与えられる。
φi=2φs−φp (式9)
φi=2φi−φs=3φs−2φp (式10)
φi=2φi−φi=4φs−3φp (式11)
ここで、φsは信号光7の位相、φpは第1の局発光8の位相、φiは第1のアイドラ光9の位相、φiは第2のアイドラ光10の位相、φiは第3のアイドラ光11の位相を表している。
今、第1の局発光8の位相が一定であると仮定して(式9)に注目すると、第3のアイドラ光11の位相は信号光7の位相の4倍となる。従って、QPSKのようなπ/2の整数倍の位相のみを取る信号では、第3のアイドラ光11の位相は一定となり、QPSK信号から搬送波の位相が抽出できることになる。
再び図11(b)を参照すると、第1の二次非線形光学素子1136の第1のPPLN導波路1152の出力は、分波器1137により波長ごとに分離されて二分岐され、信号光7及び第2のアイドラ光10は第3の二次非線形光学素子1144に入射し、第3のアイドラ光11は光サーキュレータ1139に入射する。第3のアイドラ光11は光サーキュレータ1139において第2の励起光源1138(半導体レーザ)から出力されるレーザに注入同期され、残留する強度変調成分が取り除かれて第2の局発光12として出力される。第1の局発光8及び第2の局発光12は光カプラ1134で合波され、EDFA1140で増幅された後、第1の局発光8及び第2の局発光12のみを透過するBPF1141により過剰な自然放出光を除去したのちに、第2の二次非線形光学素子1142に入射される。
図12(b)は、第2のPPLN導波路1156中の周波数配置を示す。第2の二次非線形光学素子1142の第2のPPLN導波路1156は第1のPPLN導波路1152とほぼ同様だが、位相変調は加えられていない。従って、第二高調波発生(SHG)で評価したときの位相整合波長は、図12(a)に示される第1のアイドラ光9の波長に一致する。第1の局発光8及び第2の局発光12は、この位相整合波長からともに200GHzだけ互いに逆方向に周波数が離れている。従って、第1の局発光8及び第2の局発光12は和周波発生の位相整合条件を満足することになり、第2のPPLN導波路1156により第1のアイドラ光9のSH光に相当する波長に和周波光として波長変換が行われる。このとき、和周波光13の位相φsは下記(式12)で与えられる。ここで、φpは第2の局発光12の位相を示す。
φs=φp+φp=−2φp (式12)
この和周波光13は、ダイクロイックミラー1158により分離された後に第3の二次非線形光学素子1144の第3のPPLN導波路1161に入射する。一方で、分波器1137で分離された信号光7及び第2のアイドラ光10も、第3の二次非線形光学素子1144の第3のPPLN導波路1161に入射する。第3のPPLN導波路1161は第2のPPLN導波路1156と同等の特性を有しており、従ってその位相整合波長は第2のPPLN導波路1156とほぼ同じであり、両者の位相整合波長は適切な温度調整により一致させるように設定されている。
図12(c)は、第3のPPLN導波路1161中の周波数配置を示す。図12(c)に示されるように、和周波光の周波数は1.55μm帯における第3のPPLN導波路1161の位相整合波長のSH光に相当する。従って、和周波光と信号光、第2のアイドラ光10の間では位相整合条件が満たされており、信号光7の位相と第2のアイドラ光10の位相との総和を計算すると、下記の(式13)のように表される。
φs+φi=4φs−2φp (式13)
(式13)を(式12)と比較すると、両者は信号の位相がπ/2の整数倍のときのみ一致するため、QPSK信号を位相感応増幅することができることが分かる。
実際の増幅動作においては、各光学部品を接続する光ファイバの伸び縮みによる光路長の変動による位相変動の影響を抑圧するために、本実施例2では、第3のPPLN導波路1161の出力から増幅された信号光だけをBPF1145を用いて取り出し、さらにその一部を光カプラ1146で分岐し、光検出器1147で検出したのちに、PLL回路1148を介して位相変調器・PZTからなる光ファイバ伸長器1149にフィードバックを行い、安定的な動作を実現している。
ここで、本実施例2に係る伝送システム1100において許容できる分散量について説明する。ランダムな信号で変調されたQPSK信号のベースバンドスペクトル密度は上記(式6)で与えられる。ただし、ここで、Tは1シンボルを送出するタイムスロットの時間であり、QPSK変調においては1シンボルで2ビットの情報を送出するのでT=1/2Bである。Bは前述のBPSKと同様にビットレートを表す。したがって、QPSKでは、同じビットレートで比較した場合半分の周波数帯域で信号を伝送できることになる。
図4に示されるようなBPSKに対応するPSA430では、励起光と同相の信号を増幅し、励起位相から±π/2だけ位相のずれた直交位相成分を減衰するのに対して、図11に示したQPSKに対応するPSA1130においては、局発光との位相差が0、±π/2、±π、±3π/2・・・等のときは増幅し、±π/4、±3π/4、±π/2、・・・等のときは減衰させる。従って、QPSKに対応するPSA1130における帯域を制限する位相変化の上限は±π/4であり、BPSKに対応するPSA430の場合に比べる半分の値となる。
このような考察から、QPSKの信号では、同じビットレートにおいてBPSKの半分の帯域を信号が有しているが、許容できる分散量もBPSKの半分となり、QPSKの場合もPSAでの位相再生効果を有効に利用するためのファイバの分散の許容値はBPSKと同様に上記(式8)で与えられる。
従って、本実施例2に係る伝送システム1100においても実施例1に係る伝送システム400と同様にファイバの分散を設定し、PSA1130の利得飽和を利用することによってQPSKの信号を長距離に渡って伝送することが可能になる。なお、上記では、BPSK及びQPSKの場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、M値のPSKの信号の帯域はBPSKの1/Mとなるので、上式の関係は任意のM値のPSKに一般的に適用できることは言うまでもない。
PSA 100、430、952、1130
位相感応光増幅部 101
励起光源 102、434、445、922、1132、1138
励起光位相制御部 103
第1の光分岐部 104−1
第2の光分岐部 104−2
光伝送システム 400、900、1100
分散シフトファイバ 401、940、1101
DPSK送信装置 410
LD 411、912、1111
LiNbO変調器 412、913
EDFA 413、421、431、437、447、914、951、1113、1121、1135、1140
BPF 422、448、466、915、1122、1141、1145
DI 423
バランスドPD 424、923、1124
CDR 425、1126
DFF 426、1125
偏波コントローラ 432、931、944
光カプラ 433、1131、1133、1134、1146
3dBカプラ 435、436、932
二次非線形光学素子 438、449、450、1136、1142、1144
サーキュレータ 439、1139
VOA 440、942
位相変調器 441
PZT 442
PLL回路 443、1148
アイソレータ 444
AWG 446
空間光学系 451、453、454、457、459、462、1151、1153、1155、1157、1159、1162
PPLN導波路 452、456、461、1152、1156、1161
ダイクロイックミラー 455、458、460、463、1154、1158、1160、1163
ディジタルコヒーレント受信器 920
光90度ハイブリッド回路 921
アナログ−ディジタル変換器 924
DSP925
光スイッチ 930、943
DQPSK送信装置 1110
IQ変調器1112
DQPSK受信装置 1120
遅延干渉計1123
分波器1137
光検出器 1147
位相変調器・PZTからなる光ファイバ伸長器 1149

Claims (1)

  1. ビットレートBで波長λの信号光を発生する送信装置と、
    複数の光位相感応増幅器と、
    受信装置と
    を備え、前記送信装置と前記受信装置との間が複数の光ファイバ及び前記複数の光位相感応増幅器で中継された光伝送システムであって、
    前記光位相感応増幅器は、前記信号光に同期した励起光を発生する手段を備え、かつ前記励起光と同相成分の前記信号光を選択的に増幅して出力し、
    cを光速とすると、前記送信装置と前記送信装置に接続された光位相感応増幅器との間、前記複数の光位相感応増幅器同士の間及び前記受信装置と前記受信装置に接続された光位相感応増幅器との間を結ぶそれぞれの中継区間における光ファイバの単位長さ当たりの群速度分散Dと前記光ファイバの長さLとの積が、
    の関係を満足し、
    前記光位相感応増幅器は、非線形光学材料を用いたパラメトリック増幅を行う周期反転LiNO 3 導波路を含み、
    前記光位相感応増幅器の前段にはさらに、当該光位相感応増幅器の出力において前記周期反転LiNO 3 導波路における前記パラメトリック増幅の利得が入力信号の瞬時値が増大したときに飽和するように、光ファイバ増幅器を備えることを特徴とする光伝送システム。
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