JP6072515B2 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Al純度の高い基材と、極性基含有重合体を含む層とが隣接し、かつ接着強度に優れる積層体およびその製造方法に関する。
アルミニウムは、単体として、あるいは種々の合金として、広く用いられている素材である。
一方、各種素材からなる成形体の意匠性を高めたいという要請は多く、一般には素材を塗装することが行われている。また、簡便に意匠性を高める方法として、意匠層を有するフィルムを素材に貼り合わせる方法も検討されている。
金属の意匠性を高めるにあたっては、金属との接着性を考慮して、塗料やフィルムとして、極性基を含有する重合体を含有する塗料やフィルムを使用することがある。
特許文献1には、接着剤層と、顔料や染料等を混合して着色する層とを有する積層フィルムであって、該接着剤層がオレフィン樹脂に不飽和二重結合基を含有する極性化合物でグラフト変性されたオレフィン樹脂である積層体を用い、金属や各種樹脂との積層体を製造する技術が開示されている。
特開2011−56892号公報
一方、本発明者らの検討によれば、アルミニウム材料の内でも、Al純度の高いものを基材とした場合には、極性基を有する重合体を用いても接着が困難である場合があることがわかってきた。
本発明が解決しようとする課題は、Al純度の高い基材と、極性基含有重合体を含む層とが隣接し、かつ接着強度に優れる積層体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記状況を鑑み鋭意研究した結果、アルミニウム基材として、特定の物性を有するものを用いることにより、極性基含有重合体を含む重合体層との接着強度が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の[1]〜[10]に関する。
[1]下記(A)、(B1)の要件を満たすアルミニウム層と、
極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
が隣接する構造を有することを特徴とする積層体:
(A)Alの純度が98質量%以上;
(B1)XPS法で決定されるアルミニウム層表面における酸素原子の存在割合が、37atom%以上80atom%以下である。
[2] 下記(A)、(B2)の要件を満たすアルミニウム層と、
極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
が隣接する構造を有することを特徴とする積層体:
(A)Alの純度が98質量%以上;
(B2)XPS法で決定されるアルミニウム層表面における酸素原子の存在割合と、炭素原子の存在割合との比PO/PCが、1.0よりも大きい値である。
[3] 下記(A)、(B3)の要件を満たすアルミニウム層と、
極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
が隣接する構造を有することを特徴とする積層体:
(A)Alの純度が98質量%以上;
(B3)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子が、35atom%以上である。
[4] 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、(B1)の状態となるように処理して得られた基材と、
極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
が隣接してなる構造を有することを特徴とする積層体:
(AA)Alの純度が98質量%以上である;
(B1)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子の存在割合が、37atom%以上80atom%以下である。
[5] 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、(B2)の状態となるように処理して得られた基材と、
極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
が隣接してなる構造を有することを特徴とする積層体:
(AA)Alの純度が98質量%以上である;
(B2)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子の存在割合と、炭素原子の存在割合との比PO/PCが、1.0よりも大きい値である。
[6] 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、(B3)の状態となるように処理して得られた基材と、
極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
が隣接してなる構造を有することを特徴とする積層体:
(AA)Alの純度が98質量%以上である;
(B3)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子が、35atom%以上である。
[7] 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、160℃以上の温度で加熱して得られた基材上に、
極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体を積層させる
ことを特徴とする、アルミニウム層と極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)とが隣接してなる積層体の製造方法:
(AA)Alの純度が98質量%以上である。
[8] 前記加熱して得られたアルミニウム基材を160℃未満の温度にする工程をさらに含む前記[7]記載の製造方法。
[9] 前記加熱を空気中で行う前記[7]または[8]記載の積層体の製造方法。
[10] 前記[7]〜[9]のいずれかに記載の方法で得られる積層体。
本発明によれば、Al純度の高い基材と、極性基含有重合体を含む層とが隣接しており、かつ接着強度に優れる積層体が提供される。またAl純度の高い基材と、極性基含有重合体を含む層とが隣接しており、かつ接着強度に優れる積層体を製造できる。
本発明について以下詳細に説明する。
[構造体]
本発明に係る構造体は、特定の物性を有するアルミニウム層と、極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層とが隣接する構造を有することを特徴とする。
<アルミニウム層>
本発明の積層体を構成するアルミニウム層は、通常、(A)アルミニウム含量が98質量%以上、好ましくは99%質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上であり、上限は特にないが、アルミニウム含量は通常100質量%以下である。
上記アルミニウム含量は、JISH−4000(2006年版)の「7.試験」の項に記載された方法により測定できる。すなわちJISH−1305、JISH−1306,JISH−1307,JISH−1352、JISH−1353,JISH−1354,JISH−1355,JISH−1356,JISH−1357,JISH−1358、JISH−1359、JISH−1360、JISH−1361、JISH−1362,JISH−1363,JISH−1364,JISH−1365,JISH−1366,JISH−1367,JISH−1368に記載の方法を用いて測定することができる。
本発明の積層体を構成するアルミニウム層は、その表面に一定以上の割合で酸素原子が存在するものであり、通常、以下の(B1)〜(B3)のうちのいずれかを満たす。
(B1)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子の存在割合が、37atom%以上80atom%以下である。
(B2)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子の存在割合と、炭素原子の存在割合との比PO/PCが、1.0よりも大きい値である。
(B3)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子が、35atom%以上である。
ここで、(B1)XPS法で決定されるAl層表面の酸素原子の存在割合は、通常、37atom%以上80atom%以下である。ここで、好ましくは39atom%以上であり、より好ましくは41atom%以上である。また、上限については、前記上限値以下であれば特に限定はないものの、70atom%以下が好ましく、より好ましくは60atom%以下である。この範囲にあると、酸素原子が多く表面に含まれることでAl層と重合体の極性基との相互作用が高まるため、接着力にとって好ましいと考えられる。
また、(B2)XPS法で決定されるAl層表面の酸素原子の存在割合と、炭素原子の存在割合との比PO/PCが、通常、1.0よりも大きい値である。そして好ましくは1.2以上であり、より好ましくは1.5以上である。Po/Pcの上限は、前記上限値以下であれば特に限定はないものの、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。この範囲にあると、酸素原子が炭素原子に比してより多く表面に含まれることでAl層と重合体の極性基との相互作用が高まるため、接着力にとって好ましいと考えられる。
また、(B3)XPS法で決定されるAl層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子が、通常、35atom%以上である。また好ましくは、38atom%以上であり、より好ましくは41atom%以上である。前記Al層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子の割合についての上限は、特に限定はないものの、好ましくは95atom%以下であり、より好ましくは90atom%以下である。Al金属と結合した酸素原子は、重合体の極性基との親和性が高いとともに、Alにも共有結合で結合しているため、接着力に寄与するのではないかと考えられる。
また本発明は、(B1)から(B3)のうち2つ以上を満たすことも好ましい態様であり、例えば(B1)と(B2)の組み合わせ、(B2)と(B3)との組み合わせ、(B1)と(B3)の組み合わせが考えられる。(B1)と(B2)を同時に満たすか、(B1)と(B3)とを同時に満たすことがより好ましい。もちろん(B1)(B2)(B3)の全てを満たしてもよい。
なお、本明細書においては、「アルミニウム層」という語は、後述する重合体(C)からなる層を表面に形成する前の段階においては、アルミニウム基材を指す意味で用いられることもある。
<アルミニウム層を調製する方法>
本発明のアルミニウム層は、前記(B1)〜(B3)のうちいずれかを満たすものである限り、その製造方法や製造条件に限定はないものの、次述するアルミニウム材料を、例えば前記(B1)〜(B3)のうちのいずれかを満たす状態となるように処理することにより、好適に得ることができる。
・アルミニウム材料
本発明では、アルミニウム層を形成するために用いられるアルミニウム基材の原料として、以下の(AA)を満たすアルミニウム材料が用いられる:
(AA)Alの純度が98質量%以上。
ここで、このアルミニウム材料におけるアルミニウム含量は、好ましくは99%質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上であり、上限は特にないが、アルミニウム含量は通常100質量%以下である。
上記アルミニウム含量は、JISH−4000(2006年版)の「7.試験」の項に記載された方法により測定できる。すなわちJISH−1305、JISH−1306,JISH−1307,JISH−1352、JISH−1353,JISH−1354,JISH−1355,JISH−1356,JISH−1357,JISH−1358、JISH−1359、JISH−1360、JISH−1361、JISH−1362,JISH−1363,JISH−1364,JISH−1365,JISH−1366,JISH−1367,JISH−1368に記載の方法を用いて測定することができる。
本発明で用いられるアルミニウム材料は、上記を満たしていれば制限されるものではないが、具体例として、例えばJISH−4000に定められた、合金番号1085、1080、1070、1060、1050、1050A、1100,1200、1N00,1N30などの素材を好ましく挙げることができる。これらは1000系アルミニウム、または純アルミニウム系材料と呼ばれることもある。また4桁の番号の前にAという記号をつけて呼ぶ場合があり、この場合Aはアルミニウムまたはアルミニウム合金を表す。
・アルミニウム材料の処理方法
本発明のアルミニウム層は、前記アルミニウム材料を、前記(B1)〜(B3)のうちのいずれかを満たす状態となるように処理することにより得ることができる。ここで、この処理を行う方法としては、特に限定されるものではない。ただ、本発明では、アルミニウム層を構成するアルミニウム基材は、上述のアルミニウム材料を熱処理することで得ることができ、たとえば160℃以上の温度雰囲気下で加熱する方法を挙げることができる。ここで、加熱は、好ましくは165℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上、特に好ましくは190℃以上の温度雰囲気下で行うことが好ましい。ここで、得られるアルミニウム基材がアルミニウム層として適した形状を保持できる限り、加熱温度の上限は特にないが、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは220℃以下である。また、加熱時間は特に制限はないが、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上である。ここで、加熱時間の上限は特にはないが、例えば5時間以下である。加熱の目安としては、上記(B1)〜(B3)のいずれかを満たすようにすることが望ましい。
なお前記した加熱温度は、例えば加熱を行う雰囲気の平均の温度を採用して良い。アルミニウムは、熱伝導性に優れるため、加熱中の雰囲気の温度と、素材の温度とがよく一致する。また加熱は、真空中、不活性ガス中、空気中などの種々の条件下で行うことができ、その中では、空気中で行うことが好ましい。
なお、たとえばアルミニウム材料を熱などによる処理をしてアルミニウム基材とした場合、熱などによる処理を行った場合に起こる組成の変化が主にアルミニウムの表面で起こるであろうことを考慮すると、加熱に用いるアルミニウム材料のアルミニウム純度と、加熱処理によって得られるアルミニウム基材のアルミニウム純度とは、同じ値であると考えることができる。
すなわち、本願の積層体を構成するアルミニウム層は、アルミニウム純度について、以下の(A)を満たすことになると考えることができる:
(A)Alの純度が98質量%以上。
そして、アルミニウム層における好ましいアルミニウム含量もまた、上述したアルミニウム材料におけるものと同様である。
<(C)極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体>
本発明の積層体を構成する重合体(C)は、極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する。
ここで、「極性基を有し」とは、重合体(C)が極性基を有していれば足りることを意味し、その存在態様や種類に特に制限はない。このような重合体(C)として、極性基を有する繰り返し単位を含む単独重合体または共重合体(本明細書では、「重合体」という語は、別途の記載がない限り、単独重合体および共重合体の両方を包含する意味で用いられる。)が挙げられる。このような重合体(C)が有する極性基の具体例として、例えばウレタン基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、カルボン酸無水基、ハロゲン基、アミノ基、アミドチオエーテル基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、エポキシ基など、炭素と水素以外の原子を含有する基を挙げることができる。
また「主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体」とは、主鎖が一部でも炭素−炭素結合を有している重合体を意味する。すなわち、主鎖が炭素−炭素結合のみから成る重合体に限らず、主鎖が、炭素−炭素結合のほかに、炭素と炭素以外の原子との結合を1つ以上含む重合体であっても良い。また、「炭素−炭素結合」は、炭素−炭素単結合に限られず、炭素−炭素多重結合であっても良い。そして、重合体(C)は、主鎖が一部でも炭素−炭素結合を有している重合体である限りにおいては特に制限はないが、その具体例として、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリオキシアルキレン、ビニル単量体の重合体などを例示することができる。
このうちでもビニル単量体の重合体が好ましい。
ここで、本発明の重合体(C)として用いうるビニル単量体の重合体として、例えば(メタ)アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル系重合体、シアノアクリレート系重合体、極性基含有化合物でグラフト変性されたα−オレフィン重合体などを挙げることができる。
本発明の重合体(C)は、極性基含有化合物由来の構成部位が通常0.1重量%以上、好ましくは0.1重量%〜100重量%である。
また、本発明の重合体(C)として特に好ましい重合体として、以下の(C1)および(C2)が挙げられる。
(C1)炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が極性基含有単量体でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体(以下、「変性オレフィン系重合体(C1)」と称する。);
(C2)炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部がハロゲン化変性されてなるハロゲン化オレフィン系重合体(以下、「ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)」と称する。)。
ここで、このような変性オレフィン系重合体(C1)およびハロゲン化オレフィン系重合体(C2)の原料となる重合体として、次述するオレフィン系重合体(C0)が用いられる。
・オレフィン系重合体(C0)
本発明に好適に用いられる重合体(C1)または重合体(C2)の原料となるα−オレフィン重合体(C0)は、特に限定されないものの、例えば、α−オレフィンの重合体または2以上のα−オレフィンの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとして、炭素数2〜20のα−オレフィンが例示され、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。すなわち、α−オレフィン重合体(C0)として、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体が挙げられる。
さらに、α−オレフィン重合体(C0)は、前記α−オレフィン由来の構成単位を100モル%とした場合に、さらに10モル%以下の範囲で、α−オレフィン以外の不飽和単量体(以下、「他の不飽和単量体」)由来の構成単位を有していても良い。ここで、他の不飽和単量体としては例えばブタジエン、イソプレンなどの共役ポリエン類や、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなどの非共役ポリエン類が挙げられる。オレフィン重合体(C0)が2種以上のα−オレフィン由来の構成単位を含む共重合体である場合、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも良い。
ここで、本発明の好適な態様において、αオレフィン重合体(C0)は、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、プロピレン由来の構成単位を40〜100モル%と、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を60〜0モル%とを含有するプロピレン系重合体である。ここで、「プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン」の好適な例として、炭素数2〜8のα−オレフィン(プロピレンを除く)が挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、オクテンなどが挙げられる。ここで炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、プロピレン由来の構成単位は好ましくは55〜90モル%、より好ましくは60〜85モル%、さらに好ましくは60〜80モル%であり、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位は好ましくは45〜10モル%、より好ましくは40〜15モル%、さらに好ましくは40〜20モル%とを含有するプロピレン系重合体がより好ましい。
本発明では、このような重合体(C0)を、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明で用いられるこのような重合体(C0)は、製造方法に限定はなく、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、特許文献1および国際公開2004/87775号パンフレットに記載の方法に従って製造することができる。ここで、本発明において重合体(C0)として好適に用いられるプロピレン・1−ブテン共重合体を例にとると、このようなプロピレン・1−ブテン共重合体は、例えば、rac-ジメチルシリレン−ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドなどの適当なメタロセン化合物と、アルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物と、必要に応じて用いられるトリブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物とからなるメタロセン系触媒存在下で、プロピレンと1−ブテンを共重合させることにより得ることができる。
・変性オレフィン系重合体(C1)
変性オレフィン系重合体(C1)としては、前記した炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が極性基含有単量体でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体が挙げられる。そして好ましくは当該変性オレフィン系重合体100重量部に対して、極性基含有単量体由来の構成単位を0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部含む重合体である。
たとえば、本発明においては、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体(C0a)を、一旦極性基含有単量体でグラフト変性し、これによって得られるグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)そのものを、変性オレフィン系重合体(C1)として「極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)」に用いることができる。
また、変性オレフィン系重合体(C1)は、上記のような(C0a)のグラフト変性物、すなわちグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)と、未変性の(C0a)とを混合して、変性オレフィン系重合体組成物の形で用いられるものであっても良い。このような場合、グラフト変性に用いる(C0a)と未変性のまま用いる(C0a)とは同一でも異なっていても良い。そしてこの場合が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部が極性基含有単量体でグラフト変性されてなるものの一例である。
上記で用いることのできる重合体(C0a)の重量平均分子量は、特に制限はないが、通常1×104〜1000×104の範囲であり、好ましくは2×104以上100×104以下、より好ましくは3×104以上50×104以下である。またJISK7122に従って測定される融解熱量は、特に制限はないが、前記融解熱量は、通常は低結晶性のものであり、例えば0J/g以上50J/g以下であり、下限は好ましくは3J/g、より好ましくは5J/gであり、上限は好ましくは40J/g以下、より好ましくは30J/g以下である。また(C0)のGPCにより求められるMw/Mnには特に制限はないが、例えば3以下であり、好ましくは1.5〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5である。
また、本発明で用いられる変性オレフィン系重合体(C1)は、グラフト変性オレフィン系重合体(C1m)と、任意で用いられる未変性の(C0a)との合計100重量部に対し、極性基含有単量体由来の構成単位を0.1〜15重量部含むことが好ましい。
本発明において、変性オレフィン系重合体(C1)を構成するグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)を得るために、重合体(C0a)に極性基含有単量体をグラフト共重合する。極性基含有単量体としては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸とその無水物およびその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル等を挙げることができるが、不飽和カルボン酸およびその無水物が好ましい。
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシープロピル(メタ)アクリレート、3−クロロー2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロヘキサノイルオキシ)エチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルおよび10−ウンデセンー1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン1,4−ジオール、グリセリンモノアルコール等を挙げることができる。
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、下式で表されるようなアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
−NR12
(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R2は、水素原子、炭素数1〜12,好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数8〜12、好ましくは6〜9のシクロアルキル基である。なお、上記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有しても良い。)
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノメチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体、p−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミド等のイミド類を挙げることができる。
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、1分子中に重合可能な不飽和結合基及びエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーが用いられる。
このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、あるいはマレイン酸、フマル酸、クロトン酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2、3―ジカルボン酸(ナジック酸TM)、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)等の不飽和ジカルボン酸のモノグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p―スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p―グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等を挙げることができる。
不飽和カルボン酸類としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸またはこれらの誘導体(例えば酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステル等)を挙げることができる。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピル等を挙げることができる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等を挙げることができる。
これらの極性基含有単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、グラフト変性オレフィン系重合体(C1m)をそのまま変性オレフィン系重合体(C1)として用いる場合、上記極性基含有単量体はグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)100重量部に対し、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部となるようにグラフト共重合されるのが好ましい。
これらの極性基含有単量体の含有率は、オレフィン重合体と極性基含有単量体とをラジカル開始剤などの存在下に反応させる際の仕込み比や、1H NMR測定などの公知の手段で行うことが出来る。具体的なNMR測定条件としては、以下の様な条件を例示できる。
1H NMR測定の場合、日本電子(株)製ECX400型核磁気共鳴装置を用い、溶媒は重水素化オルトジクロロベンゼンとし、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルス、パルス幅は5.12μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は500回以上とする条件である。基準のケミカルシフトは、テトラメチルシランの水素を0ppmとするが、例えば、重水素化オルトジクロロベンゼンの残存水素由来のピークを7.10ppmとしてケミカルシフトの基準値とすることでも同様の結果を得ることが出来る。官能基含有化合物由来の1Hなどのピークは、常法によりアサインできる。
また、上記極性基含有単量体として、上記不飽和カルボン酸およびその無水物など酸性官能基を有する単量体を用いた場合、変性オレフィン系重合体(C1)に導入された官能基の量の目安となる量として、例えば酸価を用いることも可能である。ここで、酸価の測定方法としては、以下のものが挙げられる。
<酸価の測定>
基本操作はJIS K−2501−2003に準ずる。
1)変性オレフィン重合体 約10gを正確に測り取り、200mLトールビーカーに投入する。そこに滴定溶剤として、キシレンとジメチルホルムアミドとを1:1(体積比)で混合してなる混合溶媒を150mL添加する。指示薬として1w/v%のフェノールフタレインエタノール溶液(和光純薬工業社製)を数滴加え、液温を80℃に加熱して、試料を溶解させる。液温が80℃で一定になった後、0.1mol/Lの水酸化カリウムの2-プロパノール溶液(和光純薬工業社製)を用いて滴定を行い、滴定量から酸価を求める。
計算式は
酸価(mgKOH/g)=(EP1−BL1)×FA1×C1/SIZE
である。
ここで、上記計算式において、EP1は滴定量(mL)、BL1はブランク値(mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL:0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、SIZEは試料採取量(g)をそれぞれ表す。
この測定を3回繰り返して平均値を酸価とする。
酸化合物で変性する場合、得られた変性オレフィン系重合体(C1)の酸価は、通常0.1〜100mgKOH/g程度であり、0.5〜60mgKOH/gであることがより好ましく、0.5〜30mgKOH/gであることがさらに好ましい。ここで、グラフト変性オレフィン系重合体(C1m)と未変性の(C0a)とを混合してなる変性オレフィン系重合体組成物が変性オレフィン系重合体(C1)として用いられる場合、当該変性オレフィン系重合体組成物全体として上記のような酸価を有することが好ましい。
また、上記極性基含有単量体として無水マレイン酸を用いる場合には、赤外分光光度計を用いて1790cm-1付近に検出される無水マレイン酸のカルボニル基の吸収に基づいてグラフト量を求めることもできる。
上記重合体(C0a)に、上記極性基含有単量体から選ばれる少なくとも1種の極性基含有単量体をグラフト共重合させる方法として、種々の方法を挙げることができる。たとえば、重合体(C0a)を有機溶媒に溶解し、上記極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を添加して加熱、攪拌してグラフト共重合反応させる方法、重合体(C0a)を加熱溶融して、得られる溶融物に上記極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を添加し、攪拌してグラフト共重合させる方法、上記重合体(C0a)、上記極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を予め混合し、得られる混合物を押出機に供給して加熱混練しながらグラフト共重合反応させる方法、重合体(C0a)に、上記極性基含有単量体およびラジカル重合開始剤を有機溶媒に溶解してなる溶液を含浸させた後、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が溶解しない最高の温度まで加熱し、グラフト共重合反応させる方法などを挙げることができる。
反応温度は、50℃以上、特に80〜200℃の範囲が好適であり、反応時間は1分〜10時間程度である。
反応方式は、回分式、連続式のいずれでも良いが、グラフト共重合を均一に行うためには回分式が好ましい。
使用するラジカル重合開始剤は、上記重合体(C0a)と上記極性基含有単量体との反応を促進するものであれば何でも良いが、特に有機ペルオキシド、有機ペルエステルが好ましい。
具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert―ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシンー3、1,4−ビス(tert―ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert―ブチルペルオキシ)ヘキシンー3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert―ブチルペルオキシド)ヘキサン、tert−ブチルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテートがあり、その他アゾ化合物、たとえば、アゾビスーイソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチルニトリルがある。
これらのうちでは、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシンー3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、上記重合体(C0a)100重量部に対して、0.001〜10重量部程度の量で使用されることが好ましい。
また、上記グラフト変性オレフィン系重合体(C1m)と、未変性の(Ca)とを混合してなる変性オレフィン系重合体組成物を変性オレフィン系重合体(C1)として用いる場合には、グラフト変性オレフィン系重合体(C1m)と未変性の(C0a)との合計100重量部に対し、グラフトされた極性基含有単量体が、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部となるように調製するのが好ましい。
以上の方法により、変性オレフィン系重合体(C1)を構成するグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)が得られるが、本発明では、このようなグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)を、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性オレフィン系重合体(C1)が、2種以上のグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)から構成される場合、好ましくは当該2種以上のグラフト変性オレフィン系重合体(C1m)の合計と、任意で用いられる未変性の(C0a)との合計100重量部に対し、グラフトされた極性基含有単量体が、0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部となるように調製するのが好ましい。
また、本発明の好適な態様において、変性オレフィン系重合体(C1)は、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、プロピレン由来の構成単位を40〜100モル%と、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を60〜0モル%とを含有する重合体である。ここで、「プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン」の好適な例として、1−ブテン、オクテンなどが挙げられる。ここでより好適な態様としては、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、プロピレン由来の構成単位は好ましくは55〜90モル%、より好ましくは60〜85モル%、さらに好ましくは60〜80モル%であり、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位は好ましくは45〜10モル%、より好ましくは40〜15モル%、さらに好ましくは40〜20モル%である。
・ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)
ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)としては、前記した炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体の一部または全部がハロゲン化変性されてなるハロゲン化オレフィン系重合体が挙げられる。たとえば、本発明においては、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体(C0b)を、一旦ハロゲン化変性し、これによって得られるハロゲン化変性オレフィン系重合体(CC2m)を、ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)として「極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)」に用いることができる。ここで、重合体(C0b)としては、上記重合体(C0)と同様のものが挙げられる。
重合体(C2)は、好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部がハロゲン化変性されてなるハロゲン化変性オレフィン重合体であり、当該ハロゲン化変性オレフィン重合体100重量部に対してハロゲン含有量が2〜40重量部であるハロゲン化変性オレフィン系重合体である。
また重合体(C2)は、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計を100モル%としたときに、プロピレン由来の構成単位を40〜100モル%、好ましくは50〜100モル%と、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を60〜0モル%、好ましくは50〜0モル%とを含有するプロピレン系重合体であることが好ましい。ここで、「プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン」の好適な例として、1−ブテン、オクテンなどが挙げられる。
また、ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)は、上記のような(C0b)のハロゲン化変性物、すなわちハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)と、未変性の(C0b)とを混合して、ハロゲン化変性オレフィン系重合体組成物の形で用いられるものであっても良い。このような場合、ハロゲン化変性に用いる(C0b)と未変性のまま用いる(C0b)とは同一でも異なっていても良い。そしてこの場合が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体の一部が極性基含有単量体でハロゲン化変性されてなるものの一例である。
上記で用いることのできる重合体(C0b)の重量平均分子量は、特に制限はないが、通常1×104〜1000×104の範囲であり、好ましくは2×104以上100×104以下、より好ましくは3×104以上50×104以下である。またJISK7122に従って測定される融解熱量は、特に制限はない。ハロゲン化により融解熱量は下がる傾向にあるので、それに応じて用いる(C0b)を選択しうる。
また、ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)は、ハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)と、任意で用いられる未変性の重合体(C0b)との合計100重量部に対して、ハロゲンを2〜40重量部含むことが好ましい。
本発明では、ハロゲン化オレフィン系重合体(C2)を構成するハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)として、塩素化ポリオレフィンを好適に用いることができる。
本発明でハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)として用いられる塩素化ポリオレフィンは、公知の方法でポリオレフィンを塩素化することによって得られる。ここで、ハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)として用いられる塩素化ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸およびその無水物(例えば、無水マレイン酸)などの極性基含有単量体によって、さらに変性されたものであってもよい。例えば、ハードレンCY−9122P、ハードレンCY−9124P、ハードレンHM−21P、ハードレンM−28P、ハードレンF−2P及びハードレンF−6P(いずれも東洋紡績(株)製、商品名)等の市販品が好適に用いられる。
塩素化ポリオレフィンの塩素含有率は、ハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)として用いられる塩素化変性オレフィン系重合体と、任意で用いられる未変性の重合体(C0b)との合計を基準として、10重量%以上40重量%以下が好ましく、更に好ましくは20重量%以上30重量%以下である。上限値以下であると、熱や太陽光、紫外線、雨等の暴露による劣化を抑えることができ、下限値以上であると、十分な密着性が得られるので好ましい。
なお塩素含有量は、JISK7229に準じ、次式により求めることができる。
塩素含有量(質量%)={(A−B)×F}/S×100
A:試料の滴定に要した0.0282N硝酸銀水溶液の量(ml)
B:空試料の滴定に要した0.0282N硝酸銀水溶液の量(ml)
F:0.0282N硝酸銀水溶液の力価
S:試料の質量(mg)
本発明では、このようなハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)を、1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなハロゲン化変性オレフィン系重合体(C2m)は、例えば、塩素系溶媒中にポリα−オレフィン(C0b)を溶解し、ラジカル触媒の存在下または不存在下で、塩素含有率が16〜35重量%になるまでは塩素ガスを吹き込むことで得ることができる。
ここで、塩素化反応の溶媒として用いられる塩素系溶媒としては、例えば、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム等が挙げられる。
上記溶解および塩素化反応を行う温度としては、塩素系溶媒中でポリオレフィンが溶解する温度以上が望ましい。
本発明で好ましく用いられる極性基含有化合物でグラフト変性されたオレフィン重合体(C1)または(C2)は、例えばJIS K 7122に従って測定した融解熱量が0〜50J/gの範囲にあることが好ましく、またGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が1×104〜1000×104であることが好ましい。さらに、これらの両者を満たすこともまた好ましい態様の一つである。
ここで、融解熱量はJIS K 7122に従って、示差走査熱量測定(DSC測定)によって求めることができ、具体的には、10℃/分の昇温過程で得られるサーモグラムのピーク面積から算出される。その測定に際して、本発明においては、測定前の熱履歴をキャンセルする目的で、測定前に10℃/分で融点+20℃に昇温し、その温度で3分保持し、次いで10℃/分で室温まで降温後に融解熱量の測定を行う。
前記融解熱量は、0J/g以上50J/g以下であり、下限は好ましくは3J/g、より好ましくは5J/gであり、上限は好ましくは40J/g以下、より好ましくは30J/g以下である。50J/g以下であれば、アルミニウム基材との密着性がより良好であるため好ましい。
一方、(C)層の強度、耐タック性の点からは、融解熱量の下限がより高い方が好ましい。
本発明で好ましく用いられる極性基含有化合物でグラフト変性されたオレフィン重合体(C1)または(C2)は、GPC法により測定した重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1×104以上1000×104以下であることが好ましく、更に好ましくは2×104以上100×104以下、より好ましくは3×104以上50×104以下である。重量平均分子量が1×104以上であると、(C)層の強度を十分高くすることができ、また密着強度が良好であるため好ましい。一方、重量平均分子量が1000×104以下であれば成型加工が容易でありより好ましい。
<(C)層の製造方法>
(C)層の形成方法としては、例えば前記「極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)」を溶媒に溶解又は分散させて得られる接着剤ワニスを印刷・塗工し、必要に応じ溶媒などを除去して製膜する方法、もしくは、前記「極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)」を熱プレス、押出成形、カレンダー成形、インフレーション成形などによってシート又はフィルム状に成形する方法などがある。
印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法及びオフセット印刷法が挙げられる。
塗工法としては、例えば、フローコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、キスリバースコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールドクターコート法、エアナイフコート法、コンマロールコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法及びディッピングコート法が挙げられる。
該接着剤ワニスの溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル類、トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。通常、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が使用される。また、水などに分散せしめたものを使用してもよい。
該接着剤に含まれる樹脂固形分の含有量は、通常、5〜40重量%程度、好ましくは10〜30重量%の割合である。本発明における接着剤には、必要に応じて、酸化チタン(ルチル型)、酸化亜鉛などの遷移金属化合物、カーボンブラック等の顔料、揺変剤、増粘剤、ロジン樹脂・テルペン樹脂などの粘着付与剤、消泡剤、表面調整剤、沈降防止剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、顔料分散剤、帯電防止剤などの塗料用添加剤を添加しても良い。
本発明で用いる(C)層は、例えば加飾フィルムの一層として存在していても良く、意匠性を有するフィルムと組み合わせて用いる事ができる。例えば、予め印刷・塗装・蒸着等で加飾されたフィルム、もしくはこれらの組み合わせによって加飾されたフィルムと、本発明の重合体(C)を積層させて用いることが出来る。
該意匠層を有するフィルムの材質としては、アクリルフィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、COCフィルム、塩化ビニルフィルム等の熱可塑性フィルムが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前述した加飾フィルムの製造方法としては、加飾フィルムに本発明で使用する(C)層が具備されていればよく、特に制限は無い。具体的には、意匠層を有する加飾フィルムの被着体と相対峙する面に、該接着層をドライラミネートする方法、該接着層に印刷等で直接意匠層を設ける方法、フィルムにクリア層、塗料層、接着層と順じ印刷等で形成していく方法等が挙げられる。
本発明の「極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)」層と、アルミニウム基材とを積層させる方法としては、特に制限はないが、例えば前記方法で、熱処理などの処理を施したアルミニウム基材と、前述した(C)層を含むフィルム、たとえば加飾フィルムなどとを、例えば、熱圧着法などで積層させることができる。また、真空成形法、圧空真空成形法等の既存の真空成形方法、インサート成形法及びインモールド成形法、また、特許第3733564に記載の「真空成形装置」によるTOM工法等を利用することで、たとえ複雑な三次元構造を有する成形体に加飾を施すことができる。アルミニウム基材は、平面だけでなく、複雑な三次元構造を有していても良い。積層する際には、重合体(C)を含むフィルムなどを、ある程度軟化させるために適宜加熱してもよいが、アルミニウム基材は加熱してもしなくてもよく、加熱する場合にも前述したアルミニウムの熱処理温度と同等の温度まで加熱する必要はなく、熱処理温度未満の温度でもよい。
<積層体の製造方法>
本発明に係る積層体の製造方法は、
上述の「アルミニウム層を調製する方法」に記載したような、特定のアルミニウム材料を熱処理してアルミニウム基材を得る工程と、
上述の「(C)層の製造方法」に記載したような、当該アルミニウム基材に(C)層を形成する工程と
を含む。
このような本発明に係る積層体の製造方法についての1つの好適な実施態様として、
Alの純度が98質量%以上であるアルミニウム材料を、160℃以上の温度で加熱して得られた基材上に、
極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体を積層させる
ことを特徴とする、アルミニウム層と極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)とが隣接してなる積層体の製造方法
を挙げることができる。
ここで、上記実施態様における、さらに好適な態様の1つにおいては、前記加熱して得られたアルミニウム基材を160℃未満の温度にする工程がさらに含まれる。この場合、極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体を積層させる工程は、160℃未満の温度としたアルミニウム基材に対して行うこともできる。
<用途>
本発明において驚くべきことには、前述したようにアルミニウム材料に一旦熱処理などの処理を加えた基材とした後は、例えば当該アルミニウム基材の温度が、例えば160℃未満、中でも80℃以下、さらには40℃以下、特に室温の状態で積層体の製造に供しても、(C)層との接着に優れた積層体が得られる。一方アルミニウム基材の温度は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上である。このような場合には、積層工程においてアルミニウム基材を加熱するのに要するコストが小さくなるため、経済性に優れる。
本発明によって得られる積層体は、例えば、自動車内外装用部材;AV機器等の各種フロントパネル;ボタン、エンブレム等の表面化粧材;携帯電話等情報家電端末の筐体、ハウジング、表示窓、ボタン等の各種部品;家具用外装材;サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材;窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材;各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材;電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用部材;及び瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器、包装材料、景品、小物等の雑貨等のその他各種用途に好適に使用することができる。
[物性の測定]
<プロピレン含量の測定>
13C−NMRを利用して求めた。
<融点、融解熱量の測定>
示差走査熱量計(TA Instruments製;DSC−Q1000)を用いて、融点および融解熱量を求めた。10℃/minで30℃から180℃まで昇温後、10℃/minで0℃まで降温し、再度10℃/minで150℃まで昇温する過程において、2度目の昇温時のサーモグラムより、JIS K 7122に准じて融点と融解熱量を求めた。
<重量平均分子量(Mw)並びに分子量分布(Mw/Mn)の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製;LC−10 series)を用いて、以下の条件で分子量及び分子量分布を測定した。
・検出器: 島津製作所社製;C−R4A
・カラム: TSKG 6000H−TSKG 4000H−TSKG 3000H−TSKG 2000H(東ソー社製)
・移動層: テトラヒドロフラン
・温度: 40℃
・流量: 0.8ml/min
単分散標準ポリスチレンより作成した検量線を用いて、MwおよびMw/Mnを算出した。
<Al表面のXPS分析>
下記条件にてAl表面のXPS分析を行った。
X線源:単色化Al−Kα
出力:150w
分光系:パスエネルギー 100eV=ワイドスペクトル(1.0eV刻み) 20eV=ナロースペクトル(0.1eV刻み)
測定領域:300×700μm
データ解析には装置付属のソフトウェア(Vision Processing)を用い、下記のとおり行った。
組成率:ナロースペクトルのピーク面積比より算出した。
酸素(O1s)状態分析:ベースラインはバックグラウンドを直線法によって差し引き、O−金属結合に相当する約530.8eVに相当するピーク1と、C=OないしO−C=O結合に相当する約531.8eVに相当するピーク2と、C−O結合に相当する約532.9eVに相当するピーク3とに分離した。それぞれのピーク面積比より結合状態の構成比%を算出した。
<極性基含有単量体のグラフト量の測定>
1H−NMRによる測定から求めた。
[製造例:無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体の合成]
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを900ml、1-ブテンを90g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1ミリモル加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧7kg/cm2Gにし、メチルアルミノキサン0. 30ミリモル、rac-ジメチルシリレン−ビス{1-(2-メチル-4- フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロライドをZr原子に換算して0. 001ミリモル加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を7kg/cm2Gに保ちながら30分間重合を行った。重合後、脱気して大量のメタノール中でポリマーを回収し、110℃で12時間減圧乾燥した。得られたプロピレン/1-ブテン共重合体(低結晶性オレフィン樹脂A−1)の融点は78.3℃、融解熱量は29.2J/g、Mwは330,000、Mw/Mnは2.2、プロピレン含有量は67.2モル%であった。
上記プロピレン/1-ブテン共重合体(低結晶性オレフィン樹脂A−1)3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、該共重合体をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ−tert−ブチルパーオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌を行った。冷却後、多量のアセトンを投入し変性された共重合体を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥した。
得られた無水マレイン酸変性プロピレン/1-ブテン共重合体(低結晶性オレフィン樹脂A−2)の融点は75.8℃、融解熱量は28.6J/g、Mwは110,000、無水マレイン酸のグラフト量は変性共重合体100重量部に対し、1重量部であった。
[実施例1]
100gの無水マレイン酸変性プロピレン/1−ブテン共重合体を400gのトルエンに溶解させ接着剤ワニスを調製した。調製した接着剤ワニスを硬質アルミ(30μm厚)上に塗工し、200℃で1分間乾燥を行い、乾燥膜厚20μmの塗膜を有する塗膜(接着層)付き硬質アルミを得た。
一方、Al被着体として、予めアルミニウム材料(A1050:株式会社テストピース社製; 25×50×2mm)を200℃の空気雰囲気下で2時間熱処理させ、その後室温で一晩静置しておくことにより得られたアルミニウム基材を用いた。
そして、上記塗膜(接着層)付き硬質アルミを、上記Al被着体に、ヒートシーラー(テスター産業社製 TP−701−B)を用いて、140℃、0.3MPa、20秒の条件で圧着させた。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上、XPS分析で求まるアルミニウム基材表面の炭素は25.8atom%、酸素は42.6atom%、酸素/炭素比1.65、酸素(O1s)状態分析でのO−金属結合の割合は45.5%であった。
下記表1に、Al被着体として用いたアルミニウム材料(「未処理」;比較例2で用いたAl被着体)およびアルミニウム基材(「200℃ 120分処理」)についての、酸素(O1s)状態分析のデータを示す。
Figure 0006072515
試験片は一晩室温で静置した後、幅1cmの短冊状にカッターで切り目を入れ、オートグラフ(島津製作所社製 AGS−500B)を用いて、180°、100mm/minの条件でアルミを剥離し、剥離強度を測定した。
[実施例2]
アルミニウム材料の熱処理時間を60分とした以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上であった。
[実施例3]
アルミニウム材料の熱処理条件を175℃、60分とした以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上であった。
[実施例4]
アルミニウム材料の熱処理時間を30分とした以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上であった。
[実施例5]
アルミニウム材料の熱処理時間を10分とした以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上であった。
[比較例1]
アルミニウム材料の熱処理条件を150℃、60分の雰囲気下とした以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上であった。
[比較例2]
アルミニウム材料の熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は99.5%以上、XPS分析で求まるアルミニウム基材表面の炭素は38.3atom%、酸素は35.9atom%、酸素/炭素比0.94、酸素(O1s)状態分析でのO−金属結合の割合は32.8%であった。
[比較例3]
アルミニウム材料をA5052(株式会社テストピース社製; 25×50×2mm)とし、熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様に行い、剥離強度を測定した。この時用いたアルミニウム材料のAl純度は97.5%であった。
下記表2に、上記実施例1〜5及び比較例1〜3についての結果を示す。なお、表2において、「接着強度」に示された数字が、各実施例および比較例における剥離強度を表す。
Figure 0006072515

Claims (9)

  1. 下記(A)、(B1)の要件を満たすアルミニウム層と、
    極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
    が隣接する構造を有し、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体であることを特徴とする積層体:
    (A)Alの純度が98質量%以上;
    (B1)XPS法で決定されるアルミニウム層表面における酸素原子の存在割合が、37atom%以上80atom%以下である。
  2. 下記(A)、(B2)の要件を満たすアルミニウム層と、
    極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
    が隣接する構造を有し、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体であることを特徴とする積層体:
    (A)Alの純度が98質量%以上;
    (B2)XPS法で決定されるアルミニウム層表面における酸素原子の存在割合と、炭素原子の存在割合との比PO/PCが、1.0よりも大きい値である。
  3. 下記(A)、(B3)の要件を満たすアルミニウム層と、
    極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
    が隣接する構造を有し、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体であることを特徴とする積層体:
    (A)Alの純度が98質量%以上;
    (B3)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子が、35atom%以上である。
  4. 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、(B1)の状態となるように処理して得られた基材と、
    極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
    が隣接してなる構造を有し、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体であることを特徴とする積層体:
    (AA)Alの純度が98質量%以上である;
    (B1)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子の存在割合が、37atom%以上80atom%以下である。
  5. 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、(B2)の状態となるように処理して得られた基材と、
    極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
    が隣接してなる構造を有し、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体であることを特徴とする積層体:
    (AA)Alの純度が98質量%以上である;
    (B2)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子の存在割合と、炭素原子の存在割合との比PO/PCが、1.0よりも大きい値である。
  6. 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、(B3)の状態となるように処理して得られた基材と、
    極性基を有し、かつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)層と
    が隣接してなる構造を有し、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体であることを特徴とする積層体:
    (AA)Alの純度が98質量%以上である;
    (B3)XPS法で決定されるアルミニウム層表面の酸素原子のうち、金属と結合した酸素原子が、35atom%以上である。
  7. 以下の(AA)を満たすアルミニウム材料を、160℃以上の温度で加熱して得られた基材上に、
    極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体を積層させることを特徴とする、アルミニウム層と極性基を有しかつ主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体(C)とが隣接してなり、且つ、
    該重合体(C)が、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合体であって、その一部または全部が不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されてなる変性オレフィン系重合体である積層体の製造方法:
    (AA)Alの純度が98質量%以上である。
  8. 前記加熱して得られたアルミニウム基材を160℃未満の温度にする工程をさらに含む請求項7記載の製造方法。
  9. 前記加熱を空気中で行う請求項7または8記載の積層体の製造方法。
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