JP6068154B2 - 上皮バリア機能増強剤 - Google Patents

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Description

本発明は、酵母菌体またはその抽出物を含有する上皮バリア機能増強剤またはクローディン−4産生促進剤に関する。また本発明は、酵母菌体またはその抽出物に関する。
皮膚や消化管をはじめとする上皮は生体内と外界を隔てるバリア組織であり、外界からの刺激(紫外線、気温の変化、異物や病原体の侵入等)を防御する重要な役割を果たす。また、生体内に必要な水分や栄養分の漏出・拡散を防ぐ役割もあり、生体内と外界との間の物質の透過を制御している。この上皮バリアが正常に組織されていないと、例えば皮膚では乾燥肌や荒れ肌、アトピー性皮膚炎などの症状が現れる。皮膚のみならず消化管などの上皮でも、バリア機能が低下することで病原体の侵入による感染症や炎症が引き起こるとされている。
上皮バリアの構成因子のひとつに、細胞間接着を担うタイトジャンクション(以下、TJと言う。)がある。TJが正常に形成されないと上皮バリアが脆弱化することが報告されている(非特許文献1)。また、TJの主要構成タンパクとしてクローディン−4が挙げられ、クローディン−4の発現が低下することによっても上皮組織での物質の透過性が増加し、上皮バリアが脆弱化するという知見もある(非特許文献2)。よって、クローディン−4をはじめとするTJ構成因子の発現を促進することはTJの形成および上皮バリア機能の強化に重要だと考えられ、TJ構成因子の発現を促進する、安全な素材の開発が望まれている。
特許文献1及び2には、植物抽出物等によるクローディン−4産生促進作用を有するバリア機能改善剤が提案されている。またこれらの検討には、ヒト表皮角化細胞を使用した培養細胞での試験系が使用されている。
上記したように、植物抽出物を用いた上皮バリア機能増強剤またはクローディン−4産生促進剤は知られているが、より十分に作用効果を発揮しかつ安全である上皮バリア機能増強剤またはクローディン−4産生促進剤の開発が待たれていた。
ここで、植物抽出物の中でも、酵母、特にサッカロマイセス属酵母は古来より食品の発酵に用いられてきた微生物であり、日本酒、焼酎、ワイン、ビール、味噌、パンの製造など様々な用途で使用されてきた。サッカロマイセス属酵母はそれ自体も酵母菌体または酵母抽出物の形で、食品素材として広く使用されている。また、サッカロマイセス属酵母由来の抽出物は、「化粧品種別配合成分規格」で化粧品に配合することが許可されている。このように、長年の食経験や化粧品等への使用経験から、サッカロマイセス属酵母又はその抽出物は、安全性が認められている。また、サッカロマイセス属酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)の中でも、菌株によってその発酵特性に違いがあることが知られており、例えば特許文献3では、新規の酵母株(サッカロマイセス・セレビシエ)のパン及び日本酒の製造における発酵特性について記載されている。このように酵母菌株間で食品の発酵に対する性質が異なることから、食品や化粧品素材に用いられる酵母またはその抽出物の生理的効果にも酵母間で違いがあると考えられる。
特開2009−256244 特開2009−269900 特許第3057557号公報
J. Cell Biol. 156; 1099-1111 (2002),Exp. Dermatol. 16; 324-330 (2007) J. Cell Biol. 145; 195-204 (1999)
本発明の課題は、優れた作用を発揮し、かつ安全な上皮バリア機能増強剤およびクローディン−4産生促進剤を提供することである。また、本発明の別の課題は、優れた上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用を十分に有する安全な酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)またはその酵母抽出物を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下に関する。
(1)サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有することを特徴とする上皮バリア機能増強剤。
(2)前記サッカロマイセス・セレビシエが、DNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株であることを特徴とする前記(1)に記載の上皮バリア機能増強剤。
(3)サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有することを特徴とするクローディン−4産生促進剤。
(4)前記サッカロマイセス・セレビシエが、DNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株であることを特徴とする前記(3)に記載のクローディン−4産生促進剤。
(5)サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR株(受託番号NITE P−1494)株。
本発明によれば、サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有し、優れた上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用を十分に発揮し、かつ安全な上皮バリア機能剤およびクローディン−4産生促進剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、優れた上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用を有する安全な酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)またはその酵母抽出物を提供することができる。
酵母抽出物(200μg/mL)がNHEKの経上皮電気抵抗値(TEER)へ及ぼす影響を示す。 DNY005MR乾燥酵母菌体が、高カルシウム条件下でTEERへ及ぼす影響を示す。 酵母抽出物(100μg/mL)がCaco−2のTEERへ及ぼす影響を示す。 乾燥酵母菌体がNHEKにおけるクローディン−4の発現へ及ぼす影響を示す。
本発明のひとつの形態は、サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有する上皮バリア機能増強剤である。
本発明に用いるサッカロマイセス・セレビシエの由来は特に限定されず、この分野で通常の知識を持つ者が考え得る全てのサッカロマイセス・セレビシエを用いることができる。
本発明の好ましい態様において、前記サッカロマイセス・セレビシエは、ヤマモモ果実から分離したものであってよい。
本発明において、前記サッカロマイセス・セレビシエをヤマモモ果実から分離する方法は、特に限定されず、通常この分野で用いられる種々の方法を採用することができるが、例えば、具体的に以下の方法により行うことができる:米麹エキスにヤマモモ果実を添加して約22℃〜約27℃で静置培養する工程(i)を含む方法。また、前記方法は、前記工程(i)の後に、米麹エキス培養液を少量採取し、新しい米麹エキスに添加して約22℃〜約27℃で培養する工程(ii)を含んでいてもよい。さらに、前記工程(ii)の後に、得られた培養液をYPD寒天プレートに接種して培養し、コロニーを得る工程(iii)を含んでいてもよい。加えて、前記工程(iii)の後に、得られたコロニーを別の寒天プレートに引き伸ばして、約22℃〜約27℃で培養する工程(iv)を含んでいてもよい。
前記サッカロマイセス・セレビシエの抽出物の抽出方法は、特に限定されず、通常この分野で用いられる種々の方法を採用することができるが、例えば、具体的に、サッカロマイセス・セレビシエの酵母菌体を水に懸濁し、熱水抽出する工程を含む方法を用いてもよい。前記熱水抽出の温度は特に限定されないが、約75℃〜約98℃で実施してもよい。前記熱水抽出の温度は、より好ましくは90〜95℃である。また、前記熱水抽出の時間は、特に限定されないが、3〜6時間であってもよい。本発明の抽出方法は、前記熱水抽出の後、抽出残渣である固形物と、抽出溶液とを分離する工程を含んでいてもよい。固形物と溶液の分離方法は特に限定されず、試料を静置して固形物を自然沈殿させて分離してもよく、試料を遠心分離機に掛けることによって分離してもよく、好ましくは、遠心分離機を用いる方法を用いる。本発明に用いる抽出方法においては、固形物と溶液を分離した後、得られた上澄み液をフィルターでろ過する工程を含んでいてもよい。さらに、フィルターろ過した前記溶液を凍結乾燥する工程を含んでいてもよい。
さらに、本発明の上皮バリア機能増強剤に用いるサッカロマイセス・セレビシエの菌株は、特に限定されないが、DNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株であってもよい。
前記サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株の由来は特に限定されないが、上皮バリア機能増強効果の観点から、ヤマモモ果実から分離されたものが好ましい。ヤマモモ果実からの分離方法は、上記した方法を用いてもよい。
また、本発明の別の形態は、サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有したクローディン−4産生促進剤に関する。
本発明のクローディン−4産生促進剤に用いるサッカロマイセス・セレビシエは特に限定されないが、上記の上皮バリア機能増強剤と同様としてもよい。
さらに、本発明の別の形態は、ヤマモモ果実から分離したサッカロマイセス・セレビシエおよびその抽出物に関する。ヤマモモ果実から、サッカロマイセス・セレビシエを分離する方法は特に限定されないが、上記の分離方法を用いてもよい。また、サッカロマイセス・セレビシエの抽出物を抽出する方法は、特に限定されないが、上記の抽出方法を用いてもよい。
本発明のさらに別の形態は、サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株およびこれらの抽出物に関する。これらの酵母菌株の由来は特に限定されないが、優れた上皮バリア機能増強作用を有する観点から、ヤマモモ果実から分離されたものであることが好ましい。ヤマモモ果実からの分離方法は、特に限定されないが、上記した分離方法を用いてもよい。また、抽出物の抽出方法は特に限定されないが、上記した抽出方法を用いてもよい。
次に、本発明の上皮バリア機能増強剤およびクローディン−4産生促進剤の剤形について説明する。本発明における前記剤の形態には、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品組成物などが含まれる。
まず、前記化粧品について説明する。化粧品の形態としては特に限定されないが、例えば、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、美容液、クリーム、コールドクリーム、洗顔料、パック剤、サンスクリーン剤、アフターシェーブローション、シェービングソープ、ハンドクリームなどのスキンケア用品;化粧下地、ファウンデーション、コンシーラー、フェイスパウダー、水おしろい、おしろい、ドーラン、アイシャドーベース、アイシャドー、ノーズシャドー、リップペンシル、口紅、リップグロス、頬紅などのメイクアップ用品;シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア用品;歯磨剤、リップクリーム、石鹸、ボディソープなどが挙げられる。上記のなかでも、乾燥肌や荒れ肌の予防の観点から、化粧水、化粧用乳液、美容液、クリームが好ましく、より好ましくは化粧用乳液、クリームである。
上記した化粧品は、本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物に加えて、通常化粧品に用いられる成分、例えば、精製水、アルコール類(低級アルコール、多価アルコールなど)、油脂類、ロウ類、炭化水素類のような基剤を含有していてもよい。さらに、所望により、界面活性剤、増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、安定剤、防腐剤、着色剤、香料のような添加剤を含有させることができる。
次に、前記医薬部外品について説明する。本発明の医薬部外品の形態としては、特に限定されないが、例えば、薬用化粧品、薬用石鹸、薬用歯磨剤、制汗剤、薬用クリーム、育毛剤、染毛剤、うがい薬、ドリンク剤、口中清涼剤、健胃薬、口腔咽頭薬、コンタクトレンズ装着薬、殺菌消毒薬、しもやけ用薬、消化薬、生薬含有保健薬、整腸薬、鼻づまり改善薬、ビタミン含有保健薬、入浴剤、などが挙げられる。上記のなかでも、乾燥肌や荒れ肌の予防の観点から、薬用化粧品、薬用クリームである。なお、前記薬用化粧品の形態は特に限定されず、上記した化粧品の形態と同様とすることができる。
また、本発明の医薬部外品が皮膚外用剤である場合は、その形態は特に限定されないが、例えば、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、粉剤、懸濁剤、エアゾール剤、液剤などや、基剤を支持体上に支持させた硬膏剤、パップ剤、テープ剤、プラスター剤などとしてもよい。
本発明の医薬部外品の剤形が外用剤である場合、本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を適当な基剤に配合して調製してもよい。前記基剤としては、特に限定されないが、例えばアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、マンナン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等のポリマー類;白色ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ゲル化炭化水素(例えば、商品名プラスチベース、ブリストルマイヤーズスクイブ社製);ステアリン酸等の高級脂肪酸;セタノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール4000等);プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン等の多価アルコール;モノオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド等の脂肪酸エステル類;リン酸緩衝液などが挙げられる。さらに、溶解補助剤、無機充填剤、pH調節剤、保湿剤、防腐剤、粘稠剤、酸化防止剤、清涼化剤などの添加剤を添加してもよい。
次に、医薬品について説明する。本発明の医薬品の剤形としては、特に限定されないが、外用剤、経口投与剤が挙げられる。
前記外用剤としては、その形態は特に限定されないが、例えば、皮膚外用剤、座剤、点眼剤、点鼻剤、口腔剤などが挙げられる。これらのなかでも、特に皮膚外用剤および座剤が好ましい。
皮膚外用剤である場合、その形態は特に限定されないが、例えば、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、粉剤、懸濁剤、エアゾール剤、液剤などや、基剤を支持体上に支持させた硬膏剤、パップ剤、テープ剤、プラスター剤などとしてもよい。
また、前記皮膚外用剤は、本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物に加えて、適当な基剤を配合してもよく、さらに溶解補助剤、無機充填剤、pH調節剤、保湿剤、防腐剤、粘稠剤、酸化防止剤、清涼化剤などの添加剤を添加してもよい。前記基剤および前記添加剤は、上記した医薬部外品の皮膚外用剤と同様としてもよい。
皮膚外用剤中の本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の含有量は、以下の通りである。サッカロマイセス・セレビシエの酵母菌体である場合、含有量は、酵母菌体の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.0001〜1質量%であることが好ましく、約0.001〜1質量%であることがより好ましく、約0.01〜0.05質量%であることがさらにより好ましい。また、抽出物である場合、抽出物の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.0001〜1質量%であることが好ましく、約0.001〜1質量%あることがより好ましく、約0.01〜0.1質量%であることがさらにより好ましい。上記範囲であれば、適量の使用によって十分な上皮バリア機能増強効果またはクローディン−4産生促進効果が得られる。
前記皮膚外用剤の適用量は、十分な上皮バリア機能増強効果またはクローディン−4産生促進効果が得られれば特に限定されないが、皮膚外用剤にサッカロマイセス・セレビシエの菌体を用いている場合は、通常、単位面積当たりの菌体の乾燥重量に換算して約0.001〜1mg/cm/日、より好ましくは約0.01〜0.1mg/cm/日であり、菌体の抽出物を用いている場合は、通常、単位面積当たりの抽出物の乾燥重量に換算して約0.001〜1mg/cm/日、より好ましくは約0.01〜0.1mg/cm/日である。
さらに、前記外用剤が座剤である場合、本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物に加えて、適当な基剤を配合してもよい。前記基剤としては、特に限定されないが、カルボポールおよびポリカルボフィルのようなアクリル性高分子;ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース性高分子;アルギン酸ナトリウムおよびキトサンのような天然高分子;脂肪酸ワックスなどが挙げられる。さらに、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラベンのような防腐剤;塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウムのようなpH調節剤;メチオニンのような安定化剤などを配合してもよい。
座剤中の本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の含有量は、以下の通りである。サッカロマイセス・セレビシエの酵母菌体である場合、含有量は、酵母菌体の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.01〜5質量%であることが好ましく、約0.1〜1質量%であることがより好ましい。また、抽出物である場合、抽出物の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.01〜5質量%であることが好ましく、約0.1〜1質量%であることがより好ましい。上記範囲であれば、適量の使用によって十分な上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用が得られる。
また、座剤である場合は、サッカロマイセス・セレビシエの投与量は、乾燥重量に換算して、1日当たり、約1〜100mgであることが好ましく、抽出物である場合は、乾燥重量に換算して、1日当たり、約1〜100mgであることが好ましい。
本発明の前記医薬品の剤形が経口投与剤である場合、固形製剤または液体製剤としてもよい。前記固形製剤としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤などが挙げられ、前記液体製剤としては、乳剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。中でも、口腔から消化管の上皮粘膜を効率的に保護する点で、散剤、顆粒剤、液材が好ましい。
前記固形製剤は、有効成分である本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物に加えて、薬学的に許容される担体や添加剤を配合してもよい。例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニットのような賦形剤;アラビアゴム、ゼラチン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースのような結合剤;カルメロース、デンプンのような崩壊剤;無水クエン酸、ラウリン酸ナトリウム、グリセロールのような安定剤などが配合されてもよい。さらに、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなどでコーティングしたり、カプセル化したりしてもよい。また、前記液体製剤は、例えば、上記の有効成分を、水、エタノール、グリセリン、単シロップ、またはこれらの混液などに、溶解または分散させることにより調製してもよい。これらの製剤には、甘味料、防腐剤、粘滑剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、着香剤、着色剤のような添加剤が添加されていてもよい。
経口投与剤中の本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の含有量は、以下の通りである。サッカロマイセス・セレビシエの酵母菌体である場合、含有量は、酵母菌体の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.1〜20質量%であることが好ましく、約1〜10質量%であることがより好ましい。また、抽出物である場合、抽出物の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.1〜20質量%であることが好ましく、約1〜10質量%であることがより好ましい。上記範囲であれば、適量の使用によって十分な上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用が得られる。
経口投与剤である場合は、サッカロマイセス・セレビシエの投与量は、乾燥重量に換算して、1日当たり、約0.1〜10gであることが好ましく、抽出物である場合は、乾燥重量に換算して、1日当たり、約0.1〜10gであることが好ましい。
次に、食品組成物について説明する。本発明の食品組成物は、食品に通常用いられる賦形剤または添加剤を配合して、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、散剤、粉剤、カプセル剤、水和剤、乳剤、液剤、エキス剤、またはエリキシル剤等の剤型に調製してもよい。中でも、服用しやすく味が良い点で、錠剤、タブレット剤、顆粒剤が好ましく、顆粒剤がより好ましい。
食品に通常用いられる賦形剤としては、特に限定されないが、シロップ、アラビアゴム、ショ糖、乳糖、粉末還元麦芽糖、セルロース糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン類、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドンのような結合剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコールのような潤沢剤;ジャガイモ澱粉のような崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤等が挙げられる。添加剤としては、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤などが挙げられる。
また、この食品組成物は、飲料(スポーツ飲料、ドリンク剤、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、炭酸飲料、野菜飲料、茶飲料等)、菓子類(クッキー等の焼き菓子、ゼリー、ガム、グミ、飴等)を含むものであってもよい。
この食品組成物は、健康食品(サプリメント)として用いるのに適している。また、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)に好適に用いることができる。
本発明の上皮バリア機能増強剤およびクローディン−4産生促進剤が食品組成物である場合は、サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の含有量は以下の通りである。サッカロマイセス・セレビシエの酵母菌体である場合は、乾燥重量に換算して、組成物全体に対して約0.1〜20質量%であることが好ましく、約1〜10質量%であることがより好ましい。また、抽出物である場合、抽出物の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.1〜20質量%であることが好ましく、約1〜10質量%であることがより好ましい。上記範囲であれば、無理なく摂取できる量の食品中に、十分な上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用が得られるサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物が含まれることになる。
また、本発明の食品組成物の摂取量は、摂取者の体重や、上皮の状態などによって異なるが、サッカロマイセス・セレビシエの乾燥重量に換算して、1日当たり、約0.01〜5gであることが好ましく、抽出物である場合は、乾燥重量に換算して、1日当たり、約0.01〜5gであることが好ましい。
本発明の上皮バリア機能増強剤およびクローディン−4産生促進剤が健康食品(サプリメント)または保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)である場合は、サッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の含有量は以下の通りである。サッカロマイセス・セレビシエの酵母菌体である場合は、乾燥重量に換算して、組成物全体に対して約0.1〜20質量%であることが好ましく、約1〜10質量%であることがより好ましい。また、抽出物である場合、抽出物の乾燥重量に換算して、製剤全体に対して、約0.1〜20質量%であることが好ましく、約1〜10質量%であることがより好ましい。上記範囲であれば、無理なく摂取できる量の健康食品(サプリメント)または保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)中に、十分な表皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用が得られるサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物が含まれることになる。
また、本発明の健康食品(サプリメント)または保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)の摂取量は、摂取者の体重や、上皮の状態などによって異なるが、サッカロマイセス・セレビシエの乾燥重量に換算して、1日当たり、約0.01〜5gであることが好ましく、抽出物である場合は、乾燥重量に換算して、1日当たり、約0.01〜5gであることが好ましい。
本発明には、(i)本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有する上皮バリア機能増強用またはクローディン−4産生促進用食品組成物、(ii)上皮バリア機能増強用またはクローディン−4産生促進用食品組成物の製造における本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の使用、(iii)本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物を含有する上皮バリア機能増強作用またはクローディン−4産生促進作用を有する食品組成物、(iv)上皮バリア機能増強またはクローディン−4産生促進のための食品添加物の製造のための有効成分としての、本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の使用、も包含される。
使用対象は特に限定されないが、乾燥、ストレス、疾患(例えば、アトピー性皮膚炎など)または加齢などにより上皮バリア機能またはクローディン−4産生能が低下した人または動物、もしくは、上皮バリア機能またはクローディン−4産生能の低下を予防したい人または動物が好適な対象となる。
本発明は、上記説明した本発明のサッカロマイセス・セレビシエまたはその抽出物の有効量を哺乳動物、特に人に(化粧品、医薬部外品、医薬品、食品組成物として、上記と同様であってよい方法により)適用する、生体における上皮バリア機能増強方法、またはクローディン−4産生促進方法も包含する。
次に、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[製造例1]
<ヤマモモ果実からの酵母の分離>
(米麹エキスの調製)
市販の米麹に2.5倍容の蒸留水を加え、55℃で一晩加温した後にろ過したろ液を使用前にBrixを10%となるように希釈し、L−乳酸を添加してpHを3.5に調整し、米麹エキスとした。
(YPD培地の調製)
酵母エキス1%、ポリペプトン1%、D−グルコース2%としてYPD培地を調製した。また、YPD寒天プレートはYPD培地に寒天を1.5%添加して調製した。
(ヤマモモ果実からの酵母の分離)
オートクレーブ滅菌した米麹エキスにヤマモモ果実を添加して25℃で静置培養した。微生物による沈殿と発泡が確認された米麹エキス培養液を少量取り、新しい米麹エキスに添加し25℃で3日間培養した。この培養液をYPD寒天プレートに接種して3日間培養し、単一のコロニーを得た。得られたコロニーを別のYPD寒天プレートに引き伸ばして3日間25℃で培養した。コロニー形成を確認後、TTC含有培地(0.5%D−グルコース、0.05% 2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド、1% 寒天)を重層した。コロニーが濃い赤色を呈したものを選抜し、アピCオクサノグラム・酵母様真菌の同定キット(シスメックス・ビオメリュー社製)および26S rDNAの塩基配列解析による同定試験に供した。その結果、2株の酵母がサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)と判定され、それぞれ株名をDNY004MR、DNY005MRとした。2012年12月21日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託し、それぞれ、サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493、受託日2012年12月21日)株およびDNY005MR(受託番号NITE P−1494、受託日2012年12月21日)株なる受託番号を得た。
<酵母抽出物の調製>
[製造例2]
サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR、サッカロマイセス・セレビシエ DNY005MR、サッカロマイセス・セレビシエ JCM2223、サッカロマイセス・セレビシエ JCM1499、サッカロマイセス・セレビシエ JCM1818、又はサッカロマイセス・セレビシエ JCM2214(酵母)をYPD液体培地に接種して25℃で3日間静置培養した後、遠心分離して酵母菌体を回収した。菌体を蒸留水で2回洗浄した後、酵母菌体を水に懸濁し75℃〜95℃で4時間加熱し抽出した。遠心分離した上澄みをφ0.2μmフィルターでろ過し、凍結乾燥し、抽出物を得た。
[製造例3]
市販のドライイースト(日清フーズ社製)1さじをYPD液体培地に懸濁させ、一晩25℃で静置した後、その培養液1白金耳をYPD寒天プレート上に引き伸ばして単独コロニーを得ることによって日清スーパーカメリヤを用意した。酵母を日清スーパーカメリヤとした以外は、製造例2と同様にして抽出物を得た。
<乾燥酵母菌体の調製>
[製造例4]
サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR、サッカロマイセス・セレビシエ DNY005MR、サッカロマイセス・セレビシエ JCM2223、サッカロマイセス・セレビシエ JCM1499、サッカロマイセス・セレビシエ JCM1818、又はサッカロマイセス・セレビシエ JCM2214(酵母)をYPD液体培地に接種して25℃で3日間静置培養した後、遠心分離して酵母菌体を回収した。菌体は蒸留水で2回洗浄し、凍結乾燥させた。乾燥酵母菌体は−20℃で保存し、細胞培養試験に供する直前に95℃で10分間加熱して死滅させた。
[製造例5]
酵母を日清スーパーカメリヤとした以外は、製造例4と同様にして乾燥酵母菌体を得た。
(培養細胞)
・ヒト正常表皮角化細胞(NHEK):東洋紡社製
EpiLife培地(Invitrogen社製)にヒト角化細胞増殖因子(HKGS、Invitrogen社製)を添加した増殖用培地にて37℃、5%CO下で培養した。
・ヒト結腸癌由来細胞株(Caco−2):ATCC社製
高グルコース濃度のDMEM培地(Invitrogen社製)にMEM非必須アミノ酸溶液(Invitrogen社製)を100:1の割合で添加し、さらに牛胎児血清を5%となるように加え、DMEM増殖培地とした。この増殖培地を使用して37℃、5%CO下で培養した。
(バリア強度確認試験)
NHEKまたはCaco−2をThinCertTM (greiner bio−one社製、直径13.85 mm、径孔0.4 μm、PETフィルター)に105個/ウェルずつ播種し、NHEKは3日間、Caco−2は3週間、それぞれの増殖培地(上層0.5 ml、下層1.5 ml)にて37℃で培養した。その後、酵母エキス(抽出物)また乾燥酵母菌体を所定の濃度添加した増殖培地を上層に添加し、さらに4日間培養した。経上皮電気抵抗値(TEER; transepitherial electrical resistance)は毎日、ミリセルERS−2(ミリポア社製)で計測した。結果は試験検体添加直前のTEER値を100%として計算した。なお、TEERは、上皮バリアの物理的強度を評価する値として用いた。
(遺伝子発現量解析)
6ウェルプレートに2×105個のNHEKを播種し、EpiLife増殖培地で3日間培養した。試験検体を予め所定の濃度添加したEpiLife増殖培地に交換して、さらに24時間37℃で培養した。PBSで2回、細胞表面を洗浄した後、TRIzol (Invitrogen社製)で細胞を回収した。この細胞抽出液からRNAを抽出し、逆転写反応と定量性PCRに供することで各遺伝子のmRNA発現レベルを解析した。mRNA発現量はCyclophilin Aを内部標準遺伝子として標準化した。
<試験例1>
乾燥酵母菌体がNHEKのTEERへ及ぼす影響について確認した。
[実施例1]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY004MRの乾燥酵母菌体(100μg/mL)を、NHEKに添加して3日後、上皮バリア強度の指標である経上皮電気抵抗値(TEER)を測定した。
[実施例2]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は実施例1と同様にした。
[実施例3]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM2223の乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は実施例1と同様にした。
[実施例4]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM1499の乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は実施例1と同様にした。
[実施例5]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM1818の乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は実施例1と同様にした。
[比較例1]
製造例5で得た日清スーパーカメリヤの乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は実施例1と同様にした。
[コントロール]
乾燥酵母菌体を添加しない以外は、実施例1と同様にした。
結果を表1に示す。
実施例1〜5はいずれも、比較例1よりも高い値を示した。
<試験例2>
酵母抽出物がNHEKのTEERへ及ぼす経時的な影響について確認した。
[実施例6]
製造例2で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY004MRの酵母抽出物(200μg/mL)を、NHEKに添加して4日の間、経時的にTEERを測定した。
[実施例7]
製造例2で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの酵母抽出物(200μg/mL)を用いる以外は、実施例6と同様にした。
[実施例8]
製造例2で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM2223の酵母抽出物(200μg/mL)を用いる以外は、実施例6と同様にした。
[コントロール]
酵母抽出物を添加しない以外は、実施例6と同様にした。
結果を図1に示す。実施例6〜7は無添加の対象(コントロール)と比較するとTEER値は増加した。DNY005MR抽出物の添加(実施例7)で一番増加率が大きかった。
<試験例3>
本発明のサッカロマイセス・セレビシエの乾燥菌体が、角化細胞が分化する条件でも上皮バリア機能を強化させるかを調べた。
[実施例9]
カルシウムイオン濃度が1.8mMとなるように調製した培地を使用してNHEKを培養し、製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの乾燥酵母菌体(100μg/mL)を添加した後、4日の間、TEERを経時的に計測した。
[実施例10]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの乾燥酵母菌体(200μg/mL)を用いる以外は、実施例9と同様にした。
[コントロール]
乾燥酵母菌体を添加しない以外は、実施例9と同様にした。
結果を図2に示す。高カルシウム条件下でもDNY005MR株の乾燥菌体はTEERを増加させた。
試験例1〜3の結果から、サッカロマイセス・セレビシエは、NHEKの単層バリアを有意に強化し、皮膚表皮における上皮バリア機能の強化剤として有用であることが示された。
<試験例4>
乾燥酵母菌体がCaco−2のTEERへ及ぼす影響について確認した。
[実施例11]
3週間培養したCaco−2細胞に、製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY004MRの乾燥酵母菌体(100μg/mL)を添加して3日後にTEERを測定した。
[実施例12]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は、実施例11と同様にした。
[実施例13]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM2223の乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は、実施例11と同様にした。
[実施例14]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM2214の乾燥酵母菌体(100μg/mL)を用いる以外は、実施例11と同様にした。
[コントロール]
乾燥酵母菌体を添加しない以外は、実施例11と同様にした。
結果を表2に示す。実施例11〜14はいずれも、TEER増加効果を示した。なかでも、実施例12のDNY005MRの乾燥菌体は高いTEER増加効果を示した。
<試験例5>
酵母抽出物がCaco−2のTEERへ及ぼす影響について確認した。
[実施例15]
製造例2で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY004MRの酵母抽出物(100μg/mL)を3週間培養したCaco−2へ添加して、1日毎に3日間、TEERを測定した。
[実施例16]
製造例2で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの酵母抽出物(200μg/mL)を用いる以外は、実施例15と同様にした。
[実施例17]
製造例2で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM2223の酵母抽出物(200μg/mL)を用いる以外は、実施例15と同様にした。
[コントロール]
酵母抽出物を添加しない以外は、実施例15と同様にした。
結果を図3に示す。実施例15〜17から、サッカロマイセス・セレビシエは、有効にTEERの増加作用示すことが分かった。
試験例4および5の結果から、サッカロマイセス・セレビシエは、皮膚表皮だけでなく小腸上皮のバリア機能の強化にも有効であることが示された。中でも、ヤマモモ由来酵母DNY005MR株は高い効果を示した。
<試験例6>
乾燥酵母菌体がNHEKの遺伝子(クローディン−4)発現へ及ぼす影響について確認した。
[実施例18]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY004MRの乾燥酵母菌体(100、又は200μg/mL)をNHEKに処理し、24時間後に細胞を回収した。NHEKからRNAを抽出後、逆転写反応および定量性PCRに供し、mRNA発現量を解析した。
[実施例19]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエDNY005MRの乾燥酵母菌体(100、又は200μg/mL)を用いる以外は、実施例18と同様にした。
[実施例20]
製造例4で得たサッカロマイセス・セレビシエJCM2223の乾燥酵母菌体(100、又は200μg/mL)を用いる以外は、実施例18と同様にした。
[コントロール]
乾燥酵母菌体を添加しない以外は、実施例18と同様にした。
結果を図4に示す。タイトジャンクションの構成因子であるクローディン−4の発現量は実施例18〜20で増加した。
試験例6の結果から、サッカロマイセス・セレビシエはクローディン−4のmRNA発現を促進することでタイトジャンクションの形成強化に寄与し、その結果、上皮バリア強度を高めることが示された。
以上の結果から、サッカロマイセス・セレビシエは、クローディン−4のmRNA発現を促進することでタイトジャンクションの形成強化に寄与し、その結果、上皮バリア機能を高めることが示された。また、特にDNY004MR株およびDNY005MR株は効果が高かった。
本発明により、優れた上皮バリア機能増強効果を有する酵母菌を安定的に培養・生産することができ、またこれらを用いた安全で効果に優れた上皮バリア機能増強剤を提供することができる。

Claims (3)

  1. サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493)株もしくはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株またはその抽出物を含有することを特徴とする上皮バリア機能増強剤。
  2. サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493)株もしくはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株またはその抽出物を含有することを特徴とするクローディン−4産生促進剤。
  3. サッカロマイセス・セレビシエDNY004MR(受託番号NITE P−1493)株またはDNY005MR(受託番号NITE P−1494)株。
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