JP6067427B2 - 燃料生成システムおよび発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、水素を含有する水等の液体化合物の原料や、水素を含有する無機化合物や有機化合物の固体化合物を液化した原料を用いて、水素を含む燃料を生成する燃料生成システムと、この燃料生成システムで生成された燃料を用いて発電機を駆動する発電システムに関する。
水素を含有する液体化合物や固体化合物から、水素や炭化水素等の気体燃料や、アルコール等の液体燃料を生成する燃料生成システムとしては、熱源や低周波、レーザ等のエネルギ源を用いて熱分解する熱化学反応方式のものと、電気分解等を利用する電気化学反応方式のものとが多く採用されている。一部では、麹や微生物を用いて発酵させる生物化学反応方式のものも採用されている。
これらの熱化学反応方式や電気化学反応方式の燃料生成システムは、エネルギ変換効率や処理能力が低いこと、反応の未達による有害な中間分解ガスが発生すること、水素を含有する原料の熱特性に依存する適用限界があること等の問題がある。また、生物化学反応方式のものは処理能力に限界がある。
これらの問題に対して、水から水素ガスを生成する燃料生成システムとしては、太陽光による光化学反応を利用するものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載されたものでは、太陽光により励起される半導体をイオン交換性層状化合物に包接した光分解用触媒を水溶液に添加し、水溶液に太陽光を照射することにより、水を分解して水素ガスを製造するようにしている。また、特許文献2に記載されたものでは、高分子電解質膜を備えた水電解層内に、太陽電池に接続した電極を配置し、太陽電池に太陽光を照射することにより、水の電気分解によって水素ガスを製造するようにしている。
さらに、水から水素ガスを生成する燃料生成システムとしては、放射線励起による化学反応を利用するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載されたものでは、半導体触媒の粉末を水溶液に添加し、水溶液にγ線、X線、β線等の放射線を照射することにより、水を分解して水素ガスを製造するようにしている。
特開平7−88380号公報 特開平7−126883号公報 特開平5−193902号公報
特許文献1、2に記載された太陽光による光化学反応を利用する燃料生成システムは、太陽光を受ける大表面積を必要とし、かつ天候の影響も受けやすいので、立地条件が大きく制約されるとともに、コンパクトな設計ができない問題がある。特許文献1に記載されたものは、可視光線から紫外線までの波長が長い低エネルギ領域の太陽光を利用するため、水溶液中の半導体の励起効率が低い問題もある。
一方、特許文献3に記載された放射線励起による化学反応を利用する燃料生成システムは、放射線のエネルギが高いために半導体触媒が短期間で機能劣化を生じやすい問題がある。また、放射線照射による化学反応の効率は、100eVのエネルギ吸収線量当たりの放射線分解により生成される励起種の分子数を表すG値で評価されるが、水溶液に放射線を照射したときの水素等のG値は高々1程度と低く、また吸収線量が原料の体積と密度に依存する制約も大きいので、燃料生成の効率が高いコンパクトな商用システム化が困難である。
そこで、本発明の課題は、水素を含有する液体化合物や固体化合物から、水素を含む燃料を効率よく、かつ長期間安定して生成することができる燃料生成システムを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は、水素を含有する液体化合物の原料、または水素を含有する固体化合物を液状化した原料を用いて、水素を含む燃料を生成する燃料生成システムにおいて、前記液体化合物の原料または前記固体化合物を液状化した原料をガス化したガス化物質を反応セル内で発生させるか、または前記ガス化物質を反応セル内に供給し、前記反応セル内に配置した金属媒体に放射線源から電離放射線を照射して、この電離放射線の照射で前記金属媒体からその表面に放出されるδ電子の低速電子励起反応効果によって、前記金属媒体の表面に接触する前記ガス化物質を化学反応させ、前記水素を含む燃料を生成する構成を採用した。
本発明者らは、MeV級の高エネルギを有するγ線や中性子線等の電離放射線を金属媒体に照射すると、コンプトン散乱、電子対形成、光電効果等によって金属媒体内に二次電子線としてのδ電子が発生して、このδ電子が金属媒体の表面を貫通して放出され、金属媒体の表面に水素を含有する化合物のガス化物質を接触させると、放出されるδ電子の低速電子励起反応効果によって、ガス化物質の化学反応効率が、液状またはガス状の水素含有化合物に電離放射線を直接照射する場合よりも百倍のオーダで向上し、効率よく水素を含む燃料を生成できることを知見した。この知見に基づいて、上記構成を採用し、水素を含有する液体化合物や固体化合物から、水素を含む燃料を効率よく、かつ長期間安定して生成できるようにした。
前記電離放射線としては、α線、β線、γ線、X線、中性子線、陽子線等が挙げられる。また、前記水素を含有する固体化合物としては、糖蜜、セルロース、VOC(volatile organic compounds)、PAH(polycyclic aromatic hydrocarbons)、PCB(poly chlorinated biphenyl)等の有機化合物や、炭化水素を含む石炭等の無機化合物が挙げられる。なお、ここで定義する固体化合物の液状化とは、固体化合物を融点以上に溶解することによる液状化、固体化合物を低分子化合物に分解することによる液状化、および固体化合物を溶液に溶解することによる液状化を包含する。
前記反応セル内のガス化物質を流動させる手段を設けることにより、反応生成物の金属媒体表面からの離脱と、未反応のガス化物質の金属媒体表面への接触、吸着を促進して、化学反応効率を数倍のオーダで高めることができる。ガス化物質を流動させる手段としては、ガス化物質に自然対流を生じさせる熱的手段や、ガス化物質を強制攪拌する機械的手段等を採用することができる。
前記金属媒体を、質量%で、Mn:0.5%以下、Si:3.0%以下、Fe:10.0〜40.0%、Cr:23.0〜30.0%、Ni:20.0〜60.0%、W:14.0%以下を含有し、かつ、C、P、S、NおよびOの合計含有率を0.01%以下としたFe−Cr−Ni基オーステナイト合金とすることにより、電離放射線の照射下で、高温のガス化物質や水素ガス等の化学的活性なガスと接触する金属媒体の腐食や、応力腐食割れ、水素脆性等の環境誘起割れを抑制して、優れた耐久性を確保できるとともに、凝固割れや溶接割れ等の構成機器の製造時における欠陥の発生を防止することができる。
Mnは、熱間加工性を改善し、組織の安定化に有効であるが、0.5%を超えると耐食性を阻害するので、含有率を0.5%以下とした。
Siは、適用する燃料生成システムの腐食条件に対応して調整する合金元素であり、Fe、Cr、Niの主要合金成分の調整だけでは十分な耐食性を確保できないような酸化力が高い高温側での保護性酸化膜の形成能を高める。また、Siはボイド生成の抑制効果も有し、機械的強度やクリープ強度も改善する。一方、多量に添加すると、凝固割れ感受性が増大するので、含有率を3.0%以下とした。
Feは、酸化力の高い条件では温度上昇とともにCrが昇華性の六価クロムとなって逃げ出して、耐食性が低下するのを防止するために、10.0〜40.0%の範囲で調整し、ニッケル−フェライト系酸化膜の形成を促進して耐食性を確保する。
Crは、クロム酸化膜を形成して耐食性を確保する。一方、Crはσやα−Cr等の耐照射性や耐食性を損なう二次相を生成するので、オーステナイト相の安定化が必要である。例えば、18%Cr−8%Niのオーステナイト系ステンレス鋼は、500℃以下でオーステナイト相の安定性が低下し、水素脆性に関わる粒内の粗大すべり支配の貫粒型割れが生じやすくなる。これよりもNi含有量が高いオーステナイト合金は、結晶粒界よりも粒内強度が高く、不純物の偏析等も関わり、粒界割れが生じやすい性質を有する。これらの貫粒型割れや粒界割れに対しては、Cr含有率25%近傍で、オーステナイト相の安定性が高いFe/Ni域が最も優れた抵抗性を有するので、含有率を23.0〜30.0%の範囲とした。
Niは、電子空孔濃度を低くし、ボイド生成を抑制する積層欠陥エネルギを高めて、オーステナイト相を安定化し、電離放射線の照射下で耐スエリング性を向上させる。また、クロムの酸化物は、酸化力の高い表面に露出すると、有害な六価クロムを形成しやすくなるが、その抑制には、溶解度が低く熱力学的安定性の高いニッケル−フェライト系酸化膜の形成が不可欠である。これらのために、含有率を20.0〜60.0%の範囲とした。上限を60.0%としたのは、60.0%を超えると、電離放射線の照射による残留放射能が高くなり、廃棄物の保管や再処理上の問題が生じるほか、熱中性子によるNiの核変換反応でヘリウム等のガス原子の生成量が高くなり、補修溶接時等の高温化により粒界にガスボイドを生成するヘリウム脆性が生じやすくなるからである。
Wは、合金中に固溶し高温強度を向上させるとともに、酸化電位の高い条件で耐食性を保持する酸化膜の形成能を高める。一方、多量に添加すると、凝固割れ感受性が増大するので、含有率を14.0%以下とした。
C、P、S、NおよびOは不純物元素である。上記のように高Cr化と高Ni化を図ったオーステナイト合金では、結晶粒内に対する結晶粒界の相対強度が低下しやすいとともに、凝固割れや溶接割れに対する感受性が増大する。これらの抑制には、共晶点を低める主要元素以外の元素をできる限り除去することが必要である。さらに、低中温で転位等の格子欠陥との相互作用を生じやすい格子間侵入型元素や結晶粒界の結合力を低下させる不純物元素の十分な除去が必要である。この対策として、C、P、S、NおよびOの合計含有率を0.01%以下とした。
前記オーステナイト合金のオーステナイト結晶粒度をASTM粒度番号No7以上の微細粒とすることにより、500℃以下の使用領域での機械的強度およびクリープ強度と耐摩耗性を確保することができる。
前記放射線源は、原子炉の炉心、使用済み核燃料、加速器および放射性核種のいずれかとすることができる。原子炉としては、軽水炉、重水炉、黒鉛炉、高速増殖炉等が挙げられる。また、放射性核種としては、トリチウム、コバルト60、クリプトン85等が挙げられる。
前記固体化合物を液状化した原料を用い、前記固体化合物を電離放射線の照射による放射線分解によって液状化することにより、放射線源のみを用いるシンプルな一貫工程で固体化合物から燃料を生成することができる。なお、固体化合物を一般的な熱分解で液状化する場合は、別途の熱源やエネルギ源を必要とするので、全体の設備が複雑なものとなり、一貫工程化も困難になる。
また、本発明は、上述したいずれかの燃料生成システムにおける前記液体化合物の原料として水を用い、前記燃料として水素ガスを生成して、この生成された水素ガスの燃料を用いて発電機を駆動する発電システムも採用した。
この発電システムを原子力発電所に設ければ、原子炉の炉心や使用済み核燃料を放射線源とした上記燃料生成システムで生成される水素ガスを貯蔵するか、またはそのまま燃焼させて発電機を駆動し、非常時に原子炉の冷却水系統等を作動させる恒久的な非常用電源とすることもできる。
本発明に係る燃料生成システムは、液体化合物の原料または固体化合物を液状化した原料をガス化したガス化物質を反応セル内で発生させるか、またはガス化物質を反応セル内に供給し、反応セル内に配置した金属媒体に放射線源から電離放射線を照射して、この電離放射線の照射で金属媒体からその表面に放出されるδ電子の低速電子励起反応効果によって、金属媒体の表面に接触するガス化物質を化学反応させ、水素を含む燃料を生成するようにしたので、水素を含有する液体化合物や固体化合物から、水素を含む燃料を効率よく、かつ長期間安定して生成することができる。
第1の実施形態の燃料生成システムを示す縦断面図 図1の金属媒体表面での低速電子励起反応効果を説明する概念図 水蒸気の低速電子励起反応効果を示すグラフ ラボテストにおける水滴の供給速度と生成される水素ガス濃度との関係を示すグラフ 変形例のラボテストにおける糖蜜から生成されたガスの分析結果を示すグラフ 図1の燃料生成システムを利用した発電システムの系統図 第2の実施形態の燃料生成システムを示す構成図
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は第1の実施形態を示す。この燃料生成システムは、原料として水素を含有する液体化合物である水Wが供給される反応セル1の中に、複数の板状の金属媒体2が間隔を開けて立設されており、供給された水Wを、反応セル1の外周と底に配置されたヒータ3で加熱してガス化し、ガス化物質としての水蒸気Sを発生させるとともに、外部に設置した放射線源としてのコバルト60の放射性核種4から、電離放射線としてのγ線5を金属媒体2に照射するようになっている。また、水蒸気Sはヒータ3の加熱によって反応セル1内で自然対流するようになっている。
前記反応セル1の頂部には、後述する低速電子励起反応効果によって生成される燃料としての水素ガスHをアルゴンガスのキャリアガスAと一緒に排出する排気口1aが設けられている。排気口1aから排出された水素ガスHは、分離器6でキャリアガスAと分離され、燃料として取り出される。キャリアガスAは戻し経路7から反応セル1内に戻される。
前記金属媒体2は、質量%で、Mn:0.5%以下、Si:3.0%以下、Fe:10.0〜40.0%、Cr:23.0〜30.0%、Ni:20.0〜60.0%、W:14.0%以下を含有し、酸化−還元精錬を行う磁気浮上型高周波誘導溶解炉と昇華精錬性の優れた電子ビーム溶解炉とを用いた2段の複合溶製法によって、不純物元素としてのC、P、S、NおよびOの合計含有率を0.01%以下としたFe−Cr−Ni基オーステナイト合金で形成されている。また、そのオーステナイト結晶粒度は、冷間加工、時効析出処理および中高温再結晶を組み合わせた加工熱処理によって、ASTM粒度番号No7以上の微細粒とされている。
したがって、γ線5の照射下で高温の水蒸気Sや水素ガスHと接触する金属媒体2の腐食や、応力腐食割れ、水素脆性等の環境誘起割れを抑制して、優れた耐久性を確保できるとともに、製造時の凝固割れや溶接割れの発生も防止することができ、長期間安定して水素ガスHを生成することができる。
前記コバルト60の放射性核種4からγ線5を照射することにより、図2に示すように、コンプトン散乱、電子対形成、光電効果等によって金属媒体2内に二次電子線としてのδ電子8が発生して、δ電子8が金属媒体2の表面に形成された酸化膜2aを貫通して放出される。この放出されるδ電子8の低速電子励起反応効果によって、酸化膜2aに接触して吸着する水蒸気Sが水素と酸素に分解する化学反応が生じ、水素ガスHが生成される。生成された水素ガスHは排気口1aへ上昇し、未反応の水蒸気Sがヒータ3の加熱による自然対流によって次々に酸化膜2aと接触し、効率よく化学反応が継続される。
実施例として、図1に示した燃料生成システムを用いて、γ線の照射量を変化させたときのキャリアガス中の水素ガス濃度を測定した。比較例として、金属媒体を設けず、反応セル内の水に直接γ線を照射したときのキャリアガス中の水素ガス濃度も測定した。実施例と比較例における反応セルの容積は28.4リットル、γ線の照射量は3.2×10Gy/hrとし、実施例における金属媒体の全表面積は3.2mとした。
図3に、これらの測定結果を示す。金属媒体にγ線を照射して水蒸気を接触させる実施例では、水に直接γ線を照射する比較例に対して、キャリアガス中の水素ガス濃度が百倍のオーダで高くなっていることが分かる。図示は省略するが、水蒸気に直接γ線を照射した場合は、比較例よりもさらに水素ガス濃度が低かった。この結果より、δ電子の低速電子励起反応効果を利用する本発明に係る燃料生成システムは、非常に効率よく水素ガスの燃料を生成できることが確認された。
また、ヒータで250℃に加熱した金属媒体にγ線を照射して、この金属媒体に滴下する水滴の供給速度を変化させるラボテストを行い、加熱された金属媒体に接触してガス化する水蒸気の化学反応により生成される水素ガスの濃度を測定した。γ線の照射量は3.2×10Gy/hrとし、金属媒体の表面積は0.063mとした。
図4は、上記ラボテストにおける生成された水素ガス濃度と水滴の供給速度との関係を対数目物で示すが、水滴の供給速度の増加に伴って水素ガス濃度が著しく増加している。このテスト結果より、水滴の供給速度を増加させ、新たな水蒸気を発生させて次々と金属媒体に接触させることにより、水素ガスの生成量が著しく増加することが分かる。なお、水滴の供給速度が速い領域で水素ガス濃度が増加していないのは、金属媒体の表面が速い速度で供給される水滴によって濡れ状態となり、水蒸気の発生量が飽和したためと考えられる。このことより、上述した自然対流等によって反応セル内の水蒸気を流動させ、未反応の水蒸気を迅速に金属媒体と接触させることにより、水素ガスを生成する化学反応の効率がより高くなることが確認された。
さらに、ヒータで200℃に加熱した同様の金属媒体にγ線を照射して、有機の固体化合物である糖蜜を水に溶解した水溶液を金属媒体に滴下する変形例のラボテストを行い、金属媒体に接触してガス化する水溶液の化学反応により生成されたガスの成分を分析した。水溶液の糖蜜濃度は、1質量%と5質量%の2レベルに変化させ、液滴の供給速度は1.4ml/minとした。また、γ線の照射量は3.2×10Gy/hrとし、金属媒体の表面積は0.063mとした。
図5は、上記変形例のラボテストにおける生成ガスの分析結果を示す。この分析結果より、いずれの糖蜜濃度の場合も、利用上の熱効率が高い高濃度のエチルアルコールが生成されていることが分かる。この分析結果はガス側のものであり、アルコールは液側にもほぼ同量移行するので、実際のアルコール濃度は図5に示した値の2倍程度となる。生成ガスにはメチルアルコールも含まれ、このほかに水素ガス、一酸化炭素およびアセトアルデヒドも含まれているが、水素ガスの濃度は低いので、取り扱いの容易な燃料を得ることができる。なお、生成されたアルコールは液化して分離され、液体燃料として使用される。
図6は、上述した燃料生成システムを利用した発電システムを示す。この発電システムは、前記分離器6から取り出される水素ガスHの燃料を燃焼器11に供給し、水素ガスHを燃焼させた燃焼ガスBでタービン12を回転させて、発電機13を駆動するものである。水素貯蔵設備を設けて、分離器6から取り出される水素ガスHを一時貯蔵するようにしてもよい。また、燃料生成システムの放射線源を原子力発電所の原子炉の炉心や使用済み核燃料とし、非常時に原子炉の冷却水系統等を作動させる恒久的な非常用電源とすることもできる。
図7は第2の実施形態を示す。この燃料生成システムは、水素を含有する有機の固体化合物であるセルロースCを液状化したものを原料として用いるものであり、セルロースCを液状化するタンク9を備えた第1工程と、液状化された原料Lから炭化水素やアルコールの燃料Nを生成する反応セル10を備えた第2工程とからなる。第2工程の反応セル10の中には、第1の実施形態の反応セル1と同様に、複数の板状の金属媒体2が間隔を開けて立設されている。
前記第1工程では、液体媒体として水Wを満たしたタンク9にセルロースCが投入され、外部に設置したコバルト60の放射性核種4aから、電離放射線としてのγ線5aが照射される。このγ線5aの照射によってセルロースCが低分子化合物に放射線分解され、液状化された原料Lが得られる。得られた原料Lは第2工程の反応セル10に供給される。
前記第2工程では、反応セル10に供給された液状の原料Lを、その外周と底に配置されたヒータ3で加熱してガス化するとともに、ガス化したガス化物質Gをヒータ3の加熱によって自然対流させる。また、反応セル10内の金属媒体2には、外部に設置したコバルト60の放射性核種4からγ線5が照射され、図2に示したように、金属媒体2内に二次電子線としてのδ電子8が発生して、δ電子8が金属媒体2の表面に形成された酸化膜2aを貫通して放出される。この放出されるδ電子8の低速電子励起反応効果によって、酸化膜2aに接触して吸着するガス化物質Gがメタンガス、エタンガス、ブタンガス等の炭化水素やメチルアルコール、エチルアルコール等のアルコールに分解する化学反応が生じ、この化学反応で生成された燃料Nが外部に取り出される。
上述した第2の実施形態では、原料として液状化する固体化合物を有機化合物のセルロースとしたが、この固体化合物は、他の有機化合物や石炭等の無機化合物とすることもできる。また、第1工程で固体化合物を液状化するときの液体媒体は水に限定されることはない。
上述した各実施形態では、放射線源をコバルト60の放射性核種とし、電離放射線をγ線としたが、放射線源は他の放射性核種や、原子炉の炉心、使用済み核燃料または加速器とすることもでき、電離放射線はα線、β線、X線、中性子線、陽子線等とすることもできる。
上述した各実施形態では、反応セル内に水または固体化合物を液状化した原料を供給して、反応セル内でガス化物質にガス化するようにしたが、ガス化物質を直接反応セル内に供給することもできる。また、反応セル内のガス化物質を自然対流によって流動させるようにしたが、ガス化物質を強制攪拌して流動させるようにしてもよい。
1 反応セル
1a 排気口
2 金属媒体
2a 酸化膜
3 ヒータ
4、4a 放射性核種
5、5a γ線
6 分離器
7 戻し経路
8 δ電子
9 タンク
10 反応セル
11 燃焼器
12 タービン
13 発電機

Claims (7)

  1. 水素を含有する液体化合物の原料、または水素を含有する固体化合物を液状化した原料を用いて、水素を含む燃料を生成する燃料生成システムにおいて、前記液体化合物の原料または前記固体化合物を液状化した原料をガス化したガス化物質を反応セル内で発生させるか、または前記ガス化物質を反応セル内に供給し、前記反応セル内に配置した金属媒体に放射線源から電離放射線を照射して、この電離放射線の照射で前記金属媒体からその表面に放出されるδ電子の低速電子励起反応効果によって、前記金属媒体の表面に接触する前記ガス化物質を化学反応させ、前記水素を含む燃料を生成することを特徴とする燃料生成システム。
  2. 前記反応セル内のガス化物質を流動させる手段を設けた請求項1に記載の燃料生成システム。
  3. 前記金属媒体が、質量%で、Mn:0.5%以下、Si:3.0%以下、Fe:10.0〜40.0%、Cr:23.0〜30.0%、Ni:20.0〜60.0%、W:14.0%以下を含有し、かつ、C、P、S、NおよびOの合計含有率を0.01%以下としたFe−Cr−Ni基オーステナイト合金である請求項1または2に記載の燃料生成システム。
  4. 前記オーステナイト合金のオーステナイト結晶粒度をASTM粒度番号No7以上の微細粒とした請求項3に記載の燃料生成システム。
  5. 前記放射線源を、原子炉の炉心、使用済み核燃料、加速器および放射性核種のいずれかとした請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料生成システム。
  6. 前記固体化合物を液状化した原料を用い、前記固体化合物を電離放射線の照射による放射線分解によって液状化するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料生成システム。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料生成システムにおける前記液体化合物の原料として水を用い、前記燃料として水素ガスを生成して、この生成された水素ガスの燃料を用いて発電機を駆動することを特徴とする発電システム。
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