以下に添付図面を参照して、本発明に係る貯遊技媒体管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明をパチンコ遊技に適用する場合について説明することとする。
まず、本実施例1に係る遊技店の店内システムのシステム構成について説明する。図1は、実施例1に係る遊技店の店内システムのシステム構成を示す図である。なお、本実施例1では、パチンコ玉を1玉4円で貸し出す4円コーナーとパチンコ玉を1玉1円で貸し出す1円コーナーが遊技店内に併設される場合について説明することとする。
同図に示すように、店内システムには、遊技店にて予め登録処理された遊技客の会員情報を管理する会員管理用ターミナルコントローラ(以下、「会員管理T/C」と言う)10と、島コントローラ20と、カード処理ユニット(以下、「CRユニット」と言う)30a及び30bと、パチンコ機40a及び40bと、計数機50a及び50bと、会員カード処理機60a及び60bと、景品管理装置70a及び70bと、景品払出機80とが設けられている。なお、ここでは、CRユニット、パチンコ機、計数機、会員カード処理機ならびに景品管理装置に付した符号のうち英文字a及びbはその機器が所属する貸出レート(以下で言う玉1及び玉2)を指しているが、貸出レートに係る差異がない説明を行う場合には、かかる英文字を省略し、単に、CRユニット30、パチンコ機40、計数機50、会員カード処理機60ならびに景品管理装置70と記載して説明を行う。
そして、会員管理T/C10には、島コントローラ20、会員カード処理機60a及び60bならびに景品管理装置70a及び70bが接続されており、島コントローラ20には、各島に設置された複数のパチンコ機40a及び40bにそれぞれに併設されたCRユニット30a及び30bが接続されており、会員カード処理機60a及び60bには、パチンコ玉数を計数する計数機50a及び50bがそれぞれ接続されている。また、本実施例1では、高レートコーナー(4円コーナー)だけに特殊景品との交換を容認する運用を採用しており、4円コーナーの景品管理装置70aだけに特殊景品を払出す景品払出機80が接続されているが、両コーナーで特殊景品との交換を容認する運用を採用するようにしてもかまわない。
ここで、本実施例1では、CRユニット30a及びパチンコ機40aからなる4円コーナーと、CRユニット30b及びパチンコ機40bからなる1円コーナーとが設けられている。この4円コーナーは、遊技客に対して4円/玉の貸出レートで玉貸しを行う島であり、1円コーナーは、遊技客に対して1円/玉の貸出レートで玉貸しを行う島である。4円/玉の汎用貸出レートよりも低い1円/玉の1円コーナーを設けた理由は、主として、遊技客による試し打ちを可能にするとともに、遊技機に対する遊技客の客付きや評価に関する情報を得るためである。なお、本実施例1では、貸出レート「4円/玉」を玉1と呼称し、貸出レート「1円/玉」を玉2と呼称することとする。
CRユニット30aは、現金またはプリペイドカードによる4円/玉の玉貸し及び会員カードを用いた貯玉の再プレイを行うユニットであり、例えばこのCRユニット30aに1000円札が挿入されると、このCRユニット30aからパチンコ機40aに対して250玉の玉投出指示がなされる。一方、CRユニット30bは、現金による1円/玉の玉貸し及び会員カードを用いた貯玉の再プレイを行うユニットであり、例えばこのCRユニット30bに1000円札が挿入されると、500円分(=500玉)をパチンコ機40bに払い出させるとともに残額(500円)を記憶しておき、次の貸出指令を受ければ、その残額分をパチンコ機40bに投出させる。このように、1円貸しの場合だけパチンコ玉を分割して投出させることとしたのは、遊技台の下皿及び上皿は4円貸しが行われる際の投出数250個を基準に設計されており、1円貸しを行う際に1000円分(=1000玉)を全て投出させたのでは遊技台の下皿及び上皿からパチンコ玉が溢れ出してしまうからである。
パチンコ機40a及びパチンコ機40bは、パチンコ玉を用いたパチンコ遊技を遊技客に提供する遊技機であり、両者には4円コーナー及び1円コーナーに係る差異はない。ただし、1円コーナーに配設されるパチンコ機40bは、遊技店の売上を担う遊技機ではなく、これから遊技店に新たに導入される新台が配設されることが多い。遊技客が大きな投資をすることなく新台の試し打ちを可能にするとともに、低料金で比較的長い時間楽しんでもらえる遊技を提供するためである。
遊技客は、これらのCRユニット30a及び30bを用いて貯玉の再プレイを行うことができ、遊技客がCRユニット30a又は30bのカード挿入口に会員カードを挿入した状態でテンキーから暗証番号を入力して所定の再プレイボタンを押下操作すると、会員ID、暗証番号及びCRユニットに接続される遊技台の台番号を含む再プレイ要求(引落し要求)が会員管理T/C10に対して送信され、貯玉残高の範囲内で貯玉を引き落とすことができる。なお、ここでは一度の再プレイ操作で貯玉口座から引き出される玉数は固定であるものとする。
計数機50は、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数する計数機であり、その計数結果を会員カード処理機60に出力する。具体的には、計数機50aには4円コーナーのパチンコ機40aで獲得されたパチンコ玉が投入され、また、計数機50bには1円コーナーのパチンコ機40bで獲得されたパチンコ玉が投入されるので、計数機50a及び50bでは投入されたパチンコ玉を計数し、会員カード処理機60a又は60bに出力する。なお、本実施例1では、計数機50a及び50bはパチンコ玉の計数機能のみを有することとし、計数結果がバーコード印字された計数レシートを発行する印字機能、並びに、会員管理T/C10にて記憶管理される貯玉残高に計数結果の一部または全部を貯玉加算させる計数貯玉機能は、後述する会員カード処理機60a及び60bが有することとする。
会員カード処理機60は、登録済み会員による貯玉を行う際に利用される会員用端末装置であり、会員カードに記録した会員IDを読み取るカードリーダを備えている。例えば、計数機50aに接続される会員カード処理機60aでは、当該会員カード処理機60aが所属する貸出レート種別(玉1)を保持しており、計数機50aから計数結果が入力され、遊技店の係員が遊技客から受け取った会員カードをカード挿入口に挿入されると、会員ID、計数値、貸出レート(玉1)を含む貯玉依頼信号が会員管理T/C10に対して送信される。また、会員カード処理機60bでは、会員管理T/C10に送信する貸出レートとして、1円コーナーに所属する旨を表す情報(玉2)を送信する点が相違する。なお、ここでは、所属貸出レートを内部メモリに予め保持しておくこととしたが、計数時に係員により所属貸出レートの種別を指定させるようにしてもよい。
また、会員カード処理機60は、計数機50で計数されたパチンコ玉数をバーコード印刷した計数レシートを発行することもでき、係員によりパチンコ玉の計数時にレシート発行ボタンが押下操作されると、予め内部メモリに保持しておいた所属貸出レート、パチンコ玉数、発行日時及び計数機番号がバーコード印刷された計数レシートが発行される。
なお、本実施例1では、4円コーナー専用の計数機50aと1円コーナー専用の計数機50bとを別個に配設する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一台の計数機50を用いて4円コーナーで遊技客が獲得したパチンコ玉と1円コーナーで遊技客が獲得したパチンコ玉の両方を計数するようにしてもかまわない。
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに配設された景品交換用の端末装置であり、交換玉数管理テーブルを用いて獲得玉と景品との交換を管理する。この交換玉数管理テーブルは、各景品に交換玉数を対応付けて記憶するものであるが、1円コーナー専用の景品管理装置70bは4円コーナー専用の景品管理装置70aの4分の1の玉単価でパチンコ玉を扱うため、同一景品において4倍の交換玉数が設定されている。そして、景品交換カウンタ内の係員が、会員カード処理機60により計数値(獲得玉数)及び貸出レートを含む計数情報がバーコード印字された計数レシートを遊技客から受け取ると、この計数レシートから獲得玉数及び貸出レートをバーコードリーダで読み取り、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンが押下されると、当該景品の交換玉数を獲得玉数から減算する交換処理を実行させ、その後に係員による手作業で遊技客に受け渡す。
さらに、景品管理装置70は、計数レシートに印刷されたバーコードからパチンコ玉数及び貸出レートを読み取って景品交換に利用するだけではなく、計数レシートを用いた貯玉、いわゆるレシート貯玉を行うこともできる。具体的には、この景品管理装置70に設けられたバーコードリーダで計数レシートを読み取るとともに、カードリーダに会員カードを挿入して貯玉ボタンを押下すると、会員ID、パチンコ玉数、貸出レートを含む貯玉依頼信号が会員管理T/C10に対して送信される。なお、ここでは、計数レシートと遊技コーナーとの間で貸出レートが異なる場合にレシート貯玉を許容しているが、必ずしも許容する必要はない。
また、景品管理装置70は、会員管理T/C10の会員管理テーブルによって管理された貯玉残高を用いて景品交換を行うこともできる。具体的には、カードリーダを通じて会員カードから会員IDが読み取られると、この会員IDを用いて会員管理T/C10に両コーナーの貯玉残高を問合せ、該問い合わせた両コーナーの貯玉残高を表示するとともに、引落し対象とする貯玉口座の貸出レートを選択させ、該選択された貯玉口座の貸出レートと当コーナーの貸出レートが一致する場合に景品交換を許容して上記した景品交換を行う。
なお、1円コーナー専用の景品管理装置70bでは、上記した運用(すなわち、1円獲得玉及び1円貯玉と特殊景品との交換を禁止する運用)を行うため、特殊景品の交換ボタンが押下された場合でも獲得玉と特殊景品の交換は行われない。
一方、4円コーナー専用の景品管理装置70aでは、特殊景品への交換を許容されるので、既存の景品管理装置と同様、景品払出機80を通じて特殊景品の払出しを行うことができる。具体的には、遊技客が特殊景品への交換を希望する場合に、遊技店の係員はこの景品管理装置70aに設けられた特殊景品の交換ボタンを押下し、交換玉数管理テーブルを参照して獲得玉数分又は指定貯玉数分の特殊景品の払出しを景品払出機80に指示する。
会員管理T/C10は、後述する貯玉管理テーブル14aを用いて遊技店に登録された会員の統括管理を行う管理装置である。この貯玉管理テーブル14aは、会員ID、4円コーナーの貯玉口座(以下、「4円口座」と言う)の残高及び1円コーナーの貯玉口座(以下、「1円口座」と言う)の残高を対応付けて記憶している。そして、会員カード処理機60から貯玉加算依頼を受け付けたならば、この貯玉加算依頼に含まれる会員ID及び貸出レートに該当する貯玉口座内の貯玉残高を加算処理し、また、CRユニット30a又は30bから引落し要求を受け付けたならば、この引落し要求に含まれる会員IDの貯玉口座であり、かつ後述する引落し条件テーブル14cに記憶される引落し優先順序に適合する貸出レートの貯玉口座から引落しを行う。
ここで、本実施例1に係る会員管理T/C10は、CRユニットが所属する所属貸出レートごとに複数の貸出レートのうちいずれの貸出レートに対応する貯玉口座からの引落しを優先するかを定めた引落し優先順序を記憶しておき、記憶した所属貸出レートに対応する引落し優先順序に基づいて、貯玉口座からの引落し処理を行う点にその特徴がある。
すなわち、本実施例1に係る会員管理T/C10では、4円コーナー又は1円コーナーに配設されるCRユニット30a又は30bから再プレイ要求(引落し要求)を受け付けた場合に、両コーナーにおいて同一の貸出レートに対応する貯玉口座から順に再プレイ対価を引落すようなことはしない。つまり、各コーナーにおける貯玉口座からの引落しを遊技店の意図が反映された引落し優先順序で行う。
例えば、遊技店において各コーナーの所属貸出レートと対応した貯玉口座を使用させたいというニーズ、たとえば4円コーナーでは4円口座を、1円コーナーでは1円口座を使用させたいというニーズが強い場合には、所属貸出レート「玉1」の引落し優先順序を「4円口座→1円口座」と引落し条件テーブル14cに設定し、所属貸出レート「玉2」の引落し優先順序を「1円口座→4円口座」と引落し条件テーブル14cに設定しておけば、図2に示すように、第1優先である貯玉口座に再プレイ対価相当の残高が存在する限りは、各コーナーの所属貸出レートに対応する貯玉口座、すなわち4円コーナーでは玉1に対応する4円口座、1円コーナーでは玉2に対応する1円口座から再プレイ対価を引き落とす一方で、第1優先である貯玉口座に再プレイ対価相当の残高がない場合に限って、各コーナーの所属貸出レートに対応しない貯玉口座から引落しを行うことができる。
したがって、本実施例1では、複数の貸出レートでの遊技媒体の貸し出しを認めるとともに、各貸出レートで貸し出した遊技媒体の預け入れ及び再プレイをそれぞれ認める場合に、各遊技コーナーにおいて遊技店が意図する貸出レートの貯玉口座から再プレイ対価を徴収させることができ、遊技店の様々な営業形態に効率良く適合させることが可能になる。
さらに、本実施例1では、遊技コーナーの所属貸出レートに対応する貯玉口座の引落し優先順序を他の貸出レートの引落し優先順序よりも高く設定するので、原則的には、4円コーナーでは4円口座を、1円コーナーでは1円口座を使用させることとなり、以前に遊技客が預け入れた貯玉をその獲得元の遊技コーナーで使用させることができ、遊技客に違和感を与えることのない再プレイサービスを提供することができる。
次に、図1に示した会員管理T/C10の構成について説明する。図3は、図1に示した会員管理T/C10の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この会員管理T/C10は、入力部11と、出力部12と、通信I/F部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。
入力部11は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、出力部12は、液晶パネルやディスプレイ等の表示デバイスであり、また、通信I/F部13は、島コントローラ20、CRユニット30a及び30b、並びに、会員カード処理機60との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、遊技店に会員登録した会員の貯玉残高を管理する貯玉管理テーブル14aと、CRユニット30a及び30bに保持される台番号と所属貸出レートとの対応関係を管理する台対レート管理テーブル14bと、貯玉口座の引落し条件(引落し優先順序)を記憶するする引落し条件テーブル14cとを記憶する。
貯玉管理テーブル14aは、図4に示すように、会員IDごとに4円口座の残高及び1円口座の残高を記憶したテーブルである。なお、本実施例1では、玉1及び玉2のダブルレートに対応する4円口座の残高及び1円口座の残高を管理する例を説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の貸出レート(例えば、2円/玉)、或いは3つ以上の貸出レートに対応した貯玉口座を管理する場合にも本発明を同様に適用することができる。
台対レート管理テーブル14bは、図5に示すように、台番号と所属貸出レートの対応関係を記憶したテーブルである。図5に示した台対レート管理テーブル14bによれば、台番号が100番代のCRユニットは、玉1(4円コーナー)に所属し、また、台番号が200番代のCRユニットは、玉2(1円コーナー)に所属することを示している。
引落し条件テーブル14cは、図6に示すように、所属貸出レートごとに第1優先の貯玉口座及び第2優先の貯玉口座を記憶したテーブルである。図6に示した引落し条件テーブル14cによれば、4円コーナーにおいては4円口座に残高がある限り、4円口座から引き落としが行われ、4円口座に残高がなければ1円口座から引き落としが行われることを示しており、また、1円コーナーにおいては1円口座に残高がある限り、1円口座から引き落としが行われ、1円口座に残高がない場合には4円口座に残高がある場合でも引き落としが禁止されることを示している(図10参照)。
制御部15は、会員管理T/C10を全体制御する制御部であり、引落し条件設定部15aと、貯玉管理部15bとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、引落し条件設定部15a及び貯玉管理部15bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
引落し条件設定部15aは、引落し条件テーブル14cに各貯玉口座の引落し条件を設定する処理部である。具体的には、出力部12に表示された初期メニュー画面上で引落し条件設定の選択操作を入力部11を介して受け付けると、引落し条件設定画面を表示させ、かかる画面上で遊技店の運用ニーズを表す選択肢の指定を入力部11の操作を通じて受け付けた場合には、その運用方針に適合した引落し優先順序を自動決定し(図8及び図9参照)、一方、手動設定の選択肢を受け付けた場合には、4円コーナー及び1円コーナーにおける引落し優先順序の入力操作(選択操作でもよい)を受け付け、画面下部の決定ボタンを押下されると、引落し優先順序を引落し条件テーブル14cに登録する。
貯玉管理部15bは、貯玉管理テーブル14aを利用して会員の貯玉残高を管理する管理部であり、引落し処理部15cを内在する。なお、本実施例1では、計数貯玉等の貯玉加算に係る処理にはその特徴はないため、以下では貯玉加算に関する説明を省略する。
引落し処理部15cは、貯玉管理テーブル14a、台対レート管理テーブル14b及び引落し条件テーブル14cを用いて貯玉残高の引落し処理を行う処理部である。詳細は図11を用いて後述するが、概要としては、CRユニット30a又は30bから台番号及び会員IDを含む引落し要求(再プレイ要求)を受け付けた場合に、台対レート管理テーブル14bを参照して引落し要求に含まれる台番号に対応する所属貸出レートを特定し、該特定した所属貸出レートに対応する引落し優先順序を引落し条件テーブル14cから読み出すとともに、当該会員IDに対応する各貯玉口座の貯玉残高を貯玉管理テーブル14aから読み出し、その後、第1優先の貯玉口座から順番に貯玉残高が再プレイ対価以上であるか否かを確認し、この結果、優先順序が設定されている貯玉口座のいずれかに再プレイ対価以上の貯玉残高が存在する場合には、当該貯玉口座から再プレイ対価を減算してからCRユニット30a又は30bに引落し完了応答を返信する。
なお、貯玉残高と比較する引落し数は、所属貸出レートに対応した数量であるため、残高確認を行う際には、比較する貯玉口座が所属貸出レートでないならば、比較対象の貸出レートに引落し数を換算して正しい再プレイ対価を算出する必要がある。また、引落し処理を行う際にも同様に、引落し対象の貯玉口座が所属貸出レートと異なるならば、所属貸出レートの引落し数を引落し対象の貯玉口座の貸出レートに換算してから引き落とす振替引落しを行う必要がある。
次に、図1に示した会員管理T/C10による引落し条件設定処理について詳細に説明する。図7は、図3に示した引落し条件設定部15aが実行する引落し条件設定処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず表示部12上に各種設定一覧を内容とする初期メニュー画面を表示しておき項目選択を促す(ステップS701,S702否定)。ここで、入力部11により引落し条件設定が選択されたならば(ステップS702肯定)、引落し設定画面に移行し、設定情報(引落し優先順序)の入力を受け付ける(ステップS703)。
具体的には、出力部12に表示された初期メニュー画面上で引落し条件設定の選択操作を入力部11を介して受け付けると、引落し条件設定画面を表示させ、かかる画面上で遊技店の運用ニーズを表す選択肢の指定を入力部11の操作を通じて受け付けた場合には、その運用方針に適合した引落し優先順序を自動決定し(図8及び図9参照)、一方、手動設定の選択肢を受け付けた場合には、4円コーナー及び1円コーナーにおける引落し優先順序の入力操作(選択操作でもよい)を受け付ける。
例えば、図8に示すように、引落し条件設定画面上で「コーナーと使用口座の貸出レートを対応させる」という選択肢がチェックされた場合には、4円コーナーでは玉1に対応する4円口座、1円コーナーでは玉2に対応する1円口座から引き落としを行わせるために、4円コーナーの引落し優先順序の第1優先を4円口座に、第2優先を1円口座に自動決定するとともに、1円コーナーの引落し優先順序の第1優先を1円口座に、第2優先を4円口座に自動決定する。なお、かかる引落し優先順序が設定登録された場合には、第1優先である貯玉口座に再プレイ対価(引落し数)相当の残高がない場合に限って、各コーナーの所属貸出レートに対応しない貯玉口座から引落しが許容されることになる。
また、図9に示すように、上記した「コーナーと使用口座の貸出レートを対応させる」という選択肢に加え、さらに「低レートコーナーでの高レート貯玉の使用を禁止する」という選択肢が選択された場合には、1円コーナーにおいて第1優先である1円口座に再プレイ対価相当の残高がない時には、たとえ4円口座に再プレイ対価相当の残高が存在したとしても引き落としを禁止するために、1円コーナーにおける第2優先を「なし」と自動設定する。
このようにして入力された設定情報(引落し優先順序)は、引落し条件の設定反映を決定する操作、たとえば図8及び図9に示す引落し条件設定画面下部における決定ボタンの押下操作がなされると(ステップS704肯定)、所属貸出レートに対応付けて引落し条件テーブル14cに登録され(ステップS705)、処理が完了する。なお、引落し条件の設定反映がキャンセルされると(ステップS704否定)、引落し条件テーブル14cへの登録は行われずに処理が終了される。
ここで、図10に示すように、4円貯玉の4円コーナーでの再プレイ及び1円貯玉の1円コーナーでの再プレイについては認める一方で、4円貯玉の1円コーナーでの再プレイについては認めていない理由は、4円コーナーで獲得したパチンコ玉を4倍に増やして1円コーナーで遊技する状況を認めると、1円コーナーで一人の遊技客の長時間のパチンコ遊技を認める結果となり、他の遊技客が1円コーナーでお試し遊技を行う機会を奪う結果となるためである。
一方、1円貯玉の4円コーナーでの再プレイは積極的に認めている。これにより、1円コーナーでお試し遊技を行った遊技客を4円コーナーに移動させることができ、1円コーナーでより多くの遊技客にお試し遊技の機会を与えることができるだけでなく、1円コーナーで獲得した貯玉を4円コーナーで消却させることも可能だからである。また、遊技客側から見ても、1円コーナーで継続して遊技するニーズだけではなく、この1円コーナーで獲得した貯玉を使って4円コーナーで遊技したいとするニーズも大きいためである。これらのことから、1円貯玉口座の貯玉を4円口座に振替処理する場合には、振替貯玉数を単純に1/4にするのではなく、たとえば1/3で振替処理する(1円貯玉1000玉を4円貯玉250玉に振替処理するのではなく4円貯玉330玉に振替処理する)等の優遇を行うことが望ましい。
次に、図1に示した会員管理T/C10による引落し処理について詳細に説明する。図11は、図3に示した貯玉管理部15bに内在する引落し処理部15cが実行する引落し処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、CRユニット30a又は30bから台番号及び会員IDを含む引落し要求(再プレイ要求)を受け付けると(ステップS1101肯定)、引落し処理部15cは、台対レート管理テーブル14bを参照して引落し要求に含まれる台番号に対応する所属貸出レートを特定し(ステップS1102)、該特定した所属貸出レートに対応する引落し優先順序を引落し条件テーブル14cから読み出すとともに、当該会員IDに対応する各貯玉口座の貯玉残高を貯玉管理テーブル14aから読み出す(ステップS1103及びS1104)。
例えば、図5及び図6に示すように、100番代の台番号を受け付けた時には、台対レート管理テーブル14bを参照して、所属貸出レートを4円コーナーと特定した後に、引落し条件テーブル14cから4円コーナーの引落し優先順序「4円口座→1円口座」を読み出し、また、200番代の台番号を受け付けた時には、台対レート管理テーブル14bを参照して、所属貸出レートを1円コーナーと特定した後に、引落し条件テーブル14cから1円コーナーの引落し優先順序「1円口座」を読み出す。
続いて、引落し処理部15cは、優先順序が設定されている口座が残存するか否かを判定し(ステップS1105)、その結果、優先順序が設定されている口座が残存する場合(ステップS1105肯定)には、次の優先順序の貯玉口座内の残高を確認対象と決定する(ステップS1106)。
例えば、所属貸出レートが4円コーナーと特定されている時には、第1優先である4円口座から第2優先である1円口座の順に残高確認の対象と決定され、また、所属貸出レートが1円コーナーと特定されている時には、第1優先である1円口座だけが残高確認の対象と決定される。なお、貯玉残高と比較する引落し数は、所属貸出レートに対応した引落し数であるため、比較する貯玉口座が所属貸出レートでないならば、比較対象の貸出レートに引落し数を換算して正しい再プレイ対価を算出する必要がある。
このとき、確認対象とした貯玉口座に再プレイ対価以上の貯玉残高が存在すれば(ステップS1107肯定)、引落し処理部15cは、当該貯玉口座から再プレイ対価を減算し(ステップS1108)、CRユニット30a又は30bに引落し完了応答を行い(ステップS1109)、処理を終了する。なお、引落し処理を行う際には、引落し対象の貯玉口座が所属貸出レートと異なるならば、所属貸出レートの引落し数を引落し対象の貯玉口座の貸出レートに換算してから引き落とす振替引落しを行う必要がある。
一方、確認対象とした貯玉口座に再プレイ対価以上の貯玉残高が存在しなければ(ステップS1107否定)、引落し処理部15cは、優先順序が設定されている貯玉口座内に再プレイ対価以上の貯玉残高が存在することを確認するか、もしくは優先順序が設定されている口座がなくなるまで(ステップS1107肯定又はS1105否定)、上記したステップS1105〜S1107の処理を繰り返し行う。なお、優先順序が設定されている口座がなくなった場合(ステップS1105否定)には、CRユニット30a又は30bに残高NG応答が行われる(ステップS1110)。
上述してきたように、本実施例1では、CRユニットが所属する所属貸出レートごとに複数の貸出レートのうちいずれの貸出レートに対応する貯玉口座からの引落しを優先するかを定めた引落し優先順序を記憶しておき、記憶した所属貸出レートに対応する引落し優先順序に基づいて、貯玉口座からの引落し処理を行うように構成したので、各遊技コーナーにおいて遊技店が意図する貸出レートの貯玉口座から再プレイ対価を徴収させることができ、遊技店の様々な営業形態に効率良く適合させることが可能である。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
例えば、上記した実施例1では、引落し優先順序を自動決定するための選択肢として、図8及び図9に示した「コーナーと使用口座の貸出レートを対応させる」及び「低レートコーナーでの高レート貯玉の使用を禁止する」ものを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例を挙げれば、1円コーナーは、低料金で比較的長い時間楽しんでもらえる遊技を提供するコーナーであるが、お試し遊技を提供するお試しコーナーであるという一面もあり、その意図のもとに1円コーナーが導入されている場合には遊技客を4円コーナーに誘導することが最終的に目的とされるため、4円コーナーで獲得されたパチンコ玉については、景品買取場で買取り可能な特殊景品との交換を容認するが、1円コーナーで獲得されたパチンコ玉については、射幸性を抑制する観点から特殊景品との交換を禁止する運用が取られるケースも少なくない。
このため、かかる運用が採用されている場合には、図12に示すように、1円口座の引落し優先順序を4円口座よりも高く設定すれば、特殊景品に交換できる4円口座の残高を最後まで残すことができ、遊技客に不利な運用を採用する一方で一定の救済措置を取ることができる。さらに、所属貸出レートよりも高い貸出レートの貯玉口座を優先使用させた場合には、遊技客の貯玉消却効率を向上させることができ、遊技店の営業利益を高めることも可能になる。
また、上記した実施例1では、優先順序が高い貯玉口座であっても貯玉残高が再プレイ対価に満たなければ、次に優先順序が高い貯玉口座から引き落とすこととしたが、再プレイ対価に満たない残高を持つ貯玉口座から再プレイ対価の一部を引落すとともに、当該再プレイ対価に不足する玉数を次に優先順序が高い貯玉口座から振り替えて引き落とすようにしてもよい。
例えば、4円コーナーでは1度の再プレイでパチンコ玉250個が引き落とされるとした時に、図4に示した会員ID「5678」の会員のように、4円口座に200個しか残高がなく、1円口座に500個の残高があるならば、第1優先である4円口座から250個のうち200個を引き落としつつ、残りの50個を4倍して玉2「1円/玉」の貸出レートに換算した再プレイ対価「200個」を1円口座から引落し、貯玉管理テーブル14aを4円口座「0個」及び1円口座「300個」と更新するようにしてもよい。
すなわち、これによって、引落し単位として設定された個数未満の貯玉残高についても再プレイを行わせることができ、遊技客の再プレイサービスに係る利便性を向上させることが可能になる。
また、上記した実施例1では、再プレイ時に投出する玉数を引落し数とする実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、併せて手数料を徴収する場合にも本発明を同様に適用することができる。
なお、上記した実施例1では、再プレイサービスを提供する再プレイ機として各台に配設されるCRユニットを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、島端の再プレイ機であっても本発明を同様に適用することができる。
また、上記した実施例1では、本発明をパチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも本発明を同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店及びパチスロ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。