JP6054867B2 - 小分子の自動合成のための装置および方法 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、2010年7月23日に出願された米国特許仮出願番号61/367,176号の優先権の利益を請求する。
本発明は、小分子の自動合成のための装置および方法に関する。
政府の支援
本発明は、アメリカ国立衛生研究所助成金番号GM080436およびGM090153のもとで米国政府の支援によっておこなわれた。政府は本発明である一定の権利を有する。
ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびオリゴ糖と同様に、ほとんどの小分子天然生成物はそれらの構成が高モジュール式である。これは、前記オリゴマーと同様に、小分子の大部分が二官能性ビルディングブロックの逐次カップリングにより生合成されるからである。特に、ポリケチドは、複数のマロニル−CoAおよび/またはメタマロニル−CoA単位から誘導され、非リボソームペプチドはアミノ酸から構築され、ポリテルペンは、イソペンテニルピロリン酸および/またはジメチルアリルピロリン酸ビルディングブロックからつなぎ合わされ、そして脂肪酸は、マロニル−CoAのフラグメントから調製される。他の種類のモジュール式天然生成物は、シキミ酸、アミノ酸、および/またはそれらの各誘導体などの一般的なビルディングブロックの酸化的カップリングから得られる。
ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびさらにオリゴ糖で、この固有のモジュール性は、好適に保護された二官能性ビルディングブロックからの全自動合成を可能にするために現在慣例的に利用されている(非特許文献1;非特許文献2;および非特許文献3)。これらの進歩の直接的結果として、論文分野の研究は、主に、新規分子機能の発見および理解に集中している。全く対照的に、2世紀近くにわたる大幅な進歩にもかかわらず、小分子の実験室での合成は、依然として、ほとんど高度な訓練を受けた専門家だけによって実施される、比較的複雑で、融通のきかない非体系化プロセスである(ポリマーの援助および/またはフローケミストリーによる小分子の自動合成における先駆的開発については:a)非特許文献4;b)非特許文献5;およびc)非特許文献6を参照のこと。)
R.B. Merrifield, Science 1965, 150, 178-185 M.H. Caruthers, Science 1985, 24, 799 O.J. Plante, M.R. Palmacci, P.H. Seeberger, Science 2001, 291, 1523 C.H. Hornung, M.R. Mackley, I.R. Baxendale and S.V. Ley and, Org. Proc. Res. Dev. 2007, 11, 399-405 Nikzad Nikbin, Mark Ladlow, and Steven V. Ley Org. Process Res. Dev. 2007, 11, 458-462 France, S.;Bernstein, D.;Weatherwax, A.;Lectka, T. Org. Lett. 2005, 7, 3009-3012
したがって、この分野での研究は、依然として合成に大きな重きを置いている。多くの小分子を、科学、工学、および医療における広範囲にわたる適用に非常に適するようなものとするそれらの特別な特性を考慮すると、素人に入手可能な非常に一般的で自動化された合成プラットフォームによるこれらの化合物へのアクセスの増加が非常に効果的である。最終的に、そのようなプロセスは、主な焦点が小分子の合成から重要な小分子機能の発見や理解に移行するのを促す可能性があった。
本発明のある態様は、炭素−炭素結合形成反応を繰り返して利用して、広範囲にわたる小分子を既製のビルディングブロックから作製する装置、およびそれを使用するための方法に関する。ある実施形態において、好適に保護されたアミノ酸からのペプチドの自動調製と同様に、自動化プロセスは、対応するN−メチルイミノ二酢酸(MIDA)ボロネートとして保護された二官能性ハロボロン酸ビルディングブロックの制御された反復アセンブリを含む。ある実施形態において、固体支持体に対する共有結合の必要性を排除して、中間体の精製は、MIDAボロネートの2つの非常に一般的な物理的特性:シリカゲルを用いたキャッチ・アンド・リリースクロマトグラフィーの能力;およびそれらのヘキサン中の不溶性を利用することによって達成される。本発明のさらなる態様、実施形態、および利点を詳細に後述する。
図1Aは、ペプチドおよび小分子の合成のための類似した方策を示す。 図1Bは、脱保護、クロスカップリング、および精製のサイクルと最終的な直接放出クロスカップリングステップの概略図であり、ここで、各カップリングについて、ハロゲン化物に対しておよそ3当量のボロン酸を使用する。 図1Cは、MIDAボロネート中間体を精製するための2つの異なる方策を示す。第1の方策は「キャッチ・アンド・リリース精製」であり、MIDAボロネートのシリカゲルに対する高い親和性を利用する。特に、粗生成物混合物をシリカゲルのパッド上にロードし、これを次いでEtO/MeOHでフラッシュする。すべての副生成物がこの極性溶媒混合物中に急速に溶出される一方、MIDAボロネートは本質的に無限の滞留を示す。注目すべきことに、「キャッチ」現象はMIDAボロネート官能基を含有する任意の化合物について一般的である。しかし、溶媒をテトラヒドロフラン(THF)に単に切り替えることによって、精製されたMIDAボロネートが、その後の脱保護反応での使用に好適な溶液として「リリース」される。第2の方策は「沈殿精製」であり、ヘキサン中のMIDAボロネートの一般的な不溶性を利用する。特に、THF中の粗反応混合物を、ヘキサンを含有するチャンバー中に移す。MIDAボロネートは沈殿し、ろ過によって可溶性反応副生成物から分離される。カスタマイズされたハイブリッド精製容器を用いて、これらの精製プロセスの両方を連続して利用することができ、かくして固体支持体に共有結合させる必要のないMIDAボロネート中間体の自動精製のための高度に強固で一般的な方法を提供する。 図1Dは、(i)脱保護、(ii)クロスカップリング、および(iii)精製のためのモジュールであって、その全てが注文設計のソフトウェアを備えたコンピュータの制御下にあるモジュールを含む全自動小分子合成機の1つの実施形態の写真を示す。 図2−1は、合成機で実施することができる反応の例を示し、図中、Dは脱保護ステップを表し、CCはクロスカップリングステップを表し、Pは精製ステップを表し、そしてRCCは、ボロン酸/ボロン酸エステルの高速または低速インサイツ放出のいずれかをともなうクロスカップリングステップを表す。 図2−2は図2−1の続きである。 図3は、対応するN−メチルイミノ二酢酸(MIDA)ボロネートとして保護された二官能性ハロボロン酸ビルディングブロックを含む選択されたビルディングブロック、および前記ビルディングブロックから調製することができる化合物を示す。 図4は、対応するN−メチルイミノ二酢酸(MIDA)ボロネートとして保護された二官能性ハロボロン酸ビルディングブロックを含む選択されたビルディングブロック、および前記ビルディングブロックから調製することができる化合物を示す。 図5は、(上)自動化小分子合成機の1つの実施形態の設計概略図および(下)種々のポンプ、バルブ、ポートおよび管の連結性の一例を示し;図中、(1)は溶媒レザバーを示し;(2)は乾燥および脱気テーブルを示し;(3)は加熱ブロックおよび撹拌プレートを示し;(4)はソレノイドバルブおよびガスマニホルドを示し;(5)は脱保護テーブルを示し;(6)は精製テーブルを示し;(7)はバルブモジュールを示し(バルブマップの一例を図7に示す);(8)は主シリンジポンプを示し;(9)は精製のためのシリンジポンプを示し;そして(10)は水性反応のためのシリンジポンプを示す。 図6は、例示的反応管、チュービングおよびフィッティングの写真を示す。 図7は、バルブマップの一例を示す。 図8は、反応管の一例を示す。 図9は、水性脱保護モジュールの一例の概略図である。 図10は、沈殿チャンバーおよびシリカカラムの一例を示す。 図11は、乾燥および脱気管の一例を示す。 図12は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図13は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図14は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図15は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図16は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図17は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図18は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図19は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図20は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図21は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図22は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図23は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図24は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図25は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図26は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図27は、(i)MIDAボロネートを含む擬反応混合物、および(ii)混合物から精製した後のMIDAボロネートに対応するH NMRスペクトル対である。 図28Aは、フェニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護およびその後のフェニルボロン酸のヨウ化ビニル二官能性ビルディングブロックでの自動化されたクロスカップリングを表す。 図28Bは、トリエニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護およびその後のトリエニルボロン酸のヨウ化ビニル二官能性ビルディングブロックでの自動化されたクロスカップリングを表す。 図28Cは、ブテニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護およびその後のブテニルボロン酸のジエニルヨウ化ビニル二官能性ビルディングブロックの異性体混合物での自動化されたクロスカップリングを表す。 図29は、水性脱保護モジュールを用いた全トランスレチナールの全自動合成を示す。
本発明のある態様は、小分子の自動合成のための装置および方法に関する。ある実施形態において、小分子は、必要とされる官能基、酸化状態、およびプレインストールされた立体化学の全てを有する二官能性ビルディングブロックのコレクションを結合させるために単一反応を繰り返し用いることによって調製される。
二官能性MIDAで保護されたハロボロン酸
小分子の自動合成のための装置および方法の開発の鍵は、スズキ・ミヤウラ反応を使用して、二官能性「ハロボロン酸」の反復クロスカップリング(ICC)を達成することであった(図1A)。しかし、効率的な自動化可能な手順を得るために、各ハロボロン酸の一端を可逆的に減弱してランダムオリゴマー化を回避するための穏やかで選択的な方法の開発が必要であった。このように、本明細書中で記載される装置および方法は、三価リガンドN−メチルイミノ二酢酸(MIDA)が、非常に穏やかな条件下でボロン酸の反応性を「オフ」および「オン」にするスイッチとして作用することができるという知見を利用する(その全体が参照することによって本明細書中に組み込まれる、E.P. Gillis, M.D. Burke J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 6716-6717;および米国特許出願公開第2009/0030238号)。MIDAボロネートのこの特性は、MIDAボロネート脱保護、選択的クロスカップリング、および精製を含む反復サイクルによって種々の天然生成物を調製することを可能にした(図1B;S.J. Lee, K.C. Gray, J.S. Paek, M.D. Burke J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 466-468;E.P. Gillis, M.D. Burke, J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 14084-14085;およびE.M. Woerly, A.H. Cherney, E.K. Davis, M.D. Burke, J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 6941-6943)。さらにビルディングブロックとしてのそれらの一般的な有用性を可能にするために、MIDAボロネートは、広範囲にわたる一般的な合成試薬およびシリカゲルクロマトグラフィーと十分に適合性である、均一に空気中で安定する高結晶質モノマー自由流動性固体である(E.P. Gillis, M.D. Burke Aldrichimica Acta 2009, 42, 17-27)。加えて、MIDAボロネートビルディングブロックを調製するための方法における最近の進歩、および「スロー・リリース」クロスカップリングのためのそれらの能力の発見は、本明細書中に記載される合
成プラットフォームの有用性を実質的に拡大した(その全体が参照することによって本明細書中に組み込まれる、G.R. Dick, D.M. Knapp, E.P. Gillis, Org. Lett. 2010, 12, 2314-2317;D.M. Knapp, E.P. Gillis J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 6961-6963;および米国特許出願公開第2010/0121062号)。実際、天然生成物および医薬で一般的で見られる下部構造の多くを示すMIDAボロネートの急速に成長するコレクションは、現在、商業的に入手可能である。Csp−Csp型カップリングをますます含むスズキ・ミヤウラ反応の拡大する範囲(M.R. Netherton, G.C. Fu, Adv. Syn. Cat. 2004, 346, 1525-1532)は、このICC法の潜在的な一般性が実質的であることを示す。
MIDAで保護された有機ボロン酸の精製
ICCアプローチを全自動プロセスに変えることは、合成中間体を精製するための一般的な方策を必要とする。ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびオリゴ糖の場合、この問題は、成長するオリゴマーを固体支持体に結合することによって解決された。各カップリング反応の終了後、所望の生成物を残留溶媒、試薬、および副生成物から簡単なろ過によって分離する。これらの状況で非常に有効であるが、ICCベースの小分子合成の基礎としてのこの精製アプローチの2つの主な限界がある。
第1に、この方策は、成長するオリゴマーの固相への共有結合を可能にする、偏在する化学的手段を必要とする。ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびオリゴ糖の場合、各モノマーは全て、目標とされる構造の固有の成分として一般的なヘテロ原子結合要素を都合よく含有する。対照的に、いくつかの優れた固相結合システムが開発されたが、小分子は構造的に非常に多様であり、多くは固相への結合のために利用可能な一般的な官能基がない。
第2に、ボロン酸をMIDAボロネートの存在下で選択的にカップリングすることは、比較的無水条件が用いられることを必要とする。なぜなら、MIDAボロネートは無水塩基性条件下で安定かつ非反応性であるが、水性塩基で処理された場合、容易に加水分解されて、反応性ボロン酸を生成するからである。予備研究において、無水スズキ・ミヤウラクロスカップリングの化学作用を固相に翻訳することは問題がある可能性があることが見出された。
驚くべきことに、本発明者らは、MIDAボロネートの2つの顕著な物理的特性を発見し、前記課題の両方を回避することが可能になった。あわせると、2つの特性は、非常に有効な代替的精製法を可能にし、かくして液相化学でICCの完全自動化を可能にした。2つの精製法、つまり「沈殿」および「キャッチ・アンド・リリース」を以下で詳細に検討する。2つの精製法を単独または組み合わせで使用することができ、この場合、それらをいずれかの順序で連続して実施することができる。
沈殿による精製。本発明の1つの態様は、MIDAで保護された有機ボロン酸官能基を含有する実質的に全ての分子は、ヘキサン:THF(3:1v/v)中に不溶性であり、一方、ほとんど全てのボロン酸、他のボロン酸エステル、または関連する代用物はこの溶媒系中で可溶性であるという発見に関連する(図1C)。MIDAボロネートのこの一般的な物理的特性は、非常に効率的な沈殿に基づく精製を可能にする。(沈殿に基づく精製の背景については:H. Perrier, M. Labelle, J. Org. Chem. 1999, 64, 2110-2113;T. Bosanac, C.S. Wilcox, Org. Lett. 2004, 6, 2321-2324;およびJ.C. Poupon, A.A. Boezio, A.B. Charette, Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 1415-1420を参照のこと)。さらに、ほとんどの触媒種および有機ハロゲン化物はヘキサン:THF(3:1)中に可溶性であるので、MIDAボロネートは、無水スズキクロスカップリング反応などのクロスカップリング反応から直接精製することができる。THF中の粗生成物混合物(例えば、クロスカップリング反応から得られる)を、添加されるTHFの合計体積のほぼ3倍の量のヘキサンを含む撹拌容器に単に添加すると、結果としてMIDAボロネート生成物の迅速かつ定量的な沈殿が起こり、一方、残存する未反応ボロン酸、ならびにほとんどの副生成物および他の反応成分、例えばパラジウムおよびホスフィンリガンドは全て、ヘキサン:THF(3:1v/v)混合物中に可溶性のままである。この混合物の簡単なろ過と、それに続いて沈殿したMIDAボロネートをTHFで溶解させることによって、半精製されたMIDAボロネートの溶液を得る。
本発明の1つの態様は、MIDAボロネートを溶液から精製する方法であって、ヘキサンでMIDAボロネートを含む溶液を希釈し、それによってMIDAボロネートを選択的に沈殿させ;そして沈殿したMIDAボロネートを単離するステップを含む方法に関する。ヘキサンは、ヘキサンの任意の異性体またはヘキサンの混合物であり得る。本発明で有用なヘキサンの例示的異性体としては、非分枝ヘキサン(n−ヘキサン)、分枝ヘキサン(例えば、イソヘキサン)、およびシクロヘキサンが挙げられる。
ある実施形態において、本発明は、沈殿したMIDAボロネートがろ過によって単離される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿したMIDAボロネートを極性溶媒中に溶解させるステップをさらに含む、前記方法のいずれか1つに関する。ある実施形態において、本発明は、沈殿したMIDAボロネートをTHF中に溶解させるステップをさらに含む、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートを含む溶液がTHF溶液である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートを含む溶液をヘキサンに滴加する、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ヘキサンの体積が、MIDAボロネートを含む溶液の体積の約2倍〜約4倍である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ヘキサンの体積がMIDAボロネートを含む溶液の体積の約3倍である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートを含む溶液が化学反応から得られる粗生成物混合物である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、化学反応が、スズキ・ミヤウラカップリング、酸化、スワーン酸化、「ジョーンズ試薬」酸化、還元、エヴァンス・アルドール反応、HWEオレフィン化、タカイオレフィン化、アルコールシリル化、脱シリル化、p−メトキシベンジル化、ヨウ素化、ネギシクロスカップリング、ヘックカップリング、ミヤウラボリル化、スティルカップリング、およびソノガシラカップリングからなる群から選択される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、化学反応が、MIDAボロネートを試薬と接触させるステップを含む前記方法のいずれか1つに関し、ここで、MIDAボロネートは、sp混成を有するホウ素、ホウ素に結合したMIDA保護基、およびホウ素−炭素結合によってホウ素に結合した有機基を含み;有機基は化学的に変換され、そしてホウ素は化学的に変換されない。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートが
によって表され;R10が有機基を表し;Bがsp混成を有するホウ素を表し;R20はメチルであり;そしてR21、R22、R23およびR24が独立して、水素基および有機基からなる群から選択される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、R21、R22、R23およびR24が水素である、前記方法のいずれか1つに関する。
キャッチ・アンド・リリース精製。MIDAボロネート官能基を含有する全ての分子は、シリカゲルに対して非常に高い親和性を有することがさらに見出された(図1C)。例えば、MIDAボロネートは、ホウ素に付加された有機基の性質に関係なく、ヘキサン:THF(3:1v/v)、EtO、およびEtO:MeOH(98.5:1.5v/v)中で本質的に0のRを有することが見出された。したがって、MIDAボロネートをシリカゲル上でのキャッチ・アンド・リリース精製のための汎用性タグとして使用することができる(有機合成における分離のための標識法に関する優れた総説については: J. Yoshida, K. Itami, Chem. Rev. 2002, 102, 3693-3716を参照のこと。有機合成における最新の分離技術に関する優れた総説については: C.C. Tzschucke, C. Markert, W. Bannwarth, S. Roller, A. Hebel, R. Haag, Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 3964-4000を参照のこと。さらに、D.P. Curran, Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 1174-1196;P.H. Toy, K.D. Janda, Acc. Chem. Res. 2000, 33, 546-554;S.V. Ley, A. Massi, F. Rodriguez, D.C. Horwell, R.A. Lewthwaite, M.C. Pritchard, A.M. Reid, Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1053-1055;A.R. Brown, S.L. Irving, R. Ramage, G. Raphy Tetrahedron 1995, 51, 11815-11830;L. A. Thompson, Curr. Opin. Chem. Bio. 2000, 4, 324-337;およびM.G. Siegel, P.J. Hahn, B.A. Dressman, J.E. Fritz, J.R. Grunwell, S.W. Kaldor, Tetrahedron Lett. 1997, 38, 3357-3360を参照のこと。タンパク質を精製するためのキャッチ・アンド・リリース型の方法の使用については: J. Porath, J. Carlsson, I. Olsson, G. Belfrage, Nature 1975, 278, 598を参照のこと)。言い換えると、いくつかのICCシーケンス(図1B)で用いられる全ての中間体で都合よく存在するMIDAボロネート官能基は、任意のMIDAボロネートのシリカゲル、固体支持体に対する可逆的非共有結合を可能にする。
ヘキサン:THF(例えば、3:1v/v)を溶媒系として使用することが重要である。なぜなら、それはMIDAボロネートを含有するTHF反応溶液を直接精製する手段(ヘキサンで希釈することによって)を提供するからである。自動合成に関して、後述するように、この特性は重要である。なぜなら、精製のための反応溶液を調製するために、溶媒蒸発などの高度な操作が必要でないからである。EtOの使用は重要である。なぜなら、あるカップリング反応では、反応溶液中に存在するほとんど全ての他の化合物がEtO中に溶出するからである。興味深いことに、1.5%のMeOH(v/v)をEtOに添加することで、極性ボロン酸さえも妥当な量の溶媒でカラムから確実に溶出される。精製方法におけるMeOHのMIDAボロネートとの適合性は予想外であった。なぜなら、MeOHを用いて室温でMIDAボロネートを脱保護して、対応するボロン酸にすることができるからである。前記特性の全てを多くのMIDAボロネートで試験し、そして一般的であることが示された。例えば、ボロネートAおよびBは、それらが非極性であり、ヘキサン:EtOAcなどの他の溶媒の組み合わせ中に十分に溶出するという事実にもかかわらず、前述のように挙動する。
一旦、未反応ボロン酸、ならびに反応試薬が溶出されたら、純粋なMIDAボロネートは、一般的にTHF中に十分に溶出する。さらに、MIDAボロネートは、一般的にMeCNおよびアセトンで十分に溶出する。
本発明の1つの態様は、MIDAボロネートを溶液から精製する方法であって、シリカプラグに溶液を通過させるステップ;シリカプラグに第1液体を通過させるステップ;およびシリカプラグに第2液体を通過させ、それによってMIDAボロネートを第2液体中に溶出させるステップを含む方法に関し;ここで、第1液体はジエチルエーテルを含有するか、または第1液体の極性は、98.5:1.5(v/v)EtO:MeOHの混合物の極性よりも低いかまたはほぼ等しく;そして第2液体の極性は、THFの極性よりも高いかまたはほぼ等しい。
MIDAボロネートは、ほとんどの有機化合物と同様に、一般的に、溶媒の極性が高い場合にSiOからより迅速に流出する(すなわち、より高いRを有する)。しかし、前述の精製方法は、ある溶媒中のMIDAボロネートの特別な特性を利用する。特に、MIDAボロネートのRが溶媒の極性に関連しないある溶媒系が存在する。実際、ある溶媒系では、Rはゼロに近づく可能性があるか、またはゼロである可能性がある。例えば、クロロホルムはTHFよりも極性が高いが、ドデシルMIDAボロネートのクロロホルム中のRは0.00であり、THF中では0.80である。任意の特定の理論に拘束されることを意図しないが、この非常に驚くべき現象は、3つの因子、すなわち溶媒、シリカゲルおよびMIDAボロネート全ての間で独特の相互作用を含む可能性が高い。したがって、溶出則の例外である溶媒(例えば、クロロホルムまたはEtO)を選択するならば、シリカカラム上でMIDAボロネートを単離することが可能である。このようにロードされたカラムからMIDAボロネートを除去するためには、通常の溶出則に従う極性溶媒(例えば、THF、MeCN、またはアセトン)に切り替える。
官能化されたシリカゲル、例えば3−アミノプロピル官能化シリカゲルは、MIDAボロネート/SiO相互作用の特性に影響を及ぼすことなくSiOと置換することができることも見出された。官能化されたシリカゲルを用いて、例えば、金属触媒を溶液から除去することができる。したがって、ある実施形態において、本発明は、シリカが3−アミノプロピル官能化シリカである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルを含む、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルとメタノールとの混合物である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルとメタノールとの混合物であり;そしてジエチルエーテル対メタノールの比が98.5:1.5(v/v)である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2液体がTHF、MeCN、酢酸エチルもしくはアセトン、または類似した極性の溶媒である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2液体がTHF、MeCN、酢酸エチルまたはアセトンである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2液体がTHFである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、溶液が化学反応から得られる粗生成物混合物である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、化学反応がスズキ・ミヤウラカップリング、酸化、スワーン酸化、「ジョーンズ試薬」酸化、還元、エヴァンス・アルドール反応、HWEオレフィン化、タカイオレフィン化、アルコールシリル化、脱シリル化、p−メトキシベンジル化、ヨウ素化、ネギシクロスカップリング、ヘックカップリング、ミヤウラボリル化、スティルカップリング、およびソノガシラカップリングからなる群から選択される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、化学反応がMIDAボロネートを試薬と接触させるステップを含み、MIDAボロネートがsp混成を有するホウ素、ホウ素に結合したMIDA保護基、およびホウ素−炭素結合によってホウ素に結合した有機基を含み;有機基が化学的に変換され、そしてホウ素が化学的に変換されない、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートが
によって表され;R10が有機基を表し;Bがsp混成を有するホウ素を表し;R20はメチルであり;そしてR21、R22、R23およびR24が独立して、水素基および有機基からなる群から選択される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、R21、R22、R23およびR24が水素である、前記方法のいずれか1つに関する。
沈殿およびキャッチ・アンド・リリース精製の組み合わせ。前述の2つの精製方策を組み合わせて1つの強固かつ一般的なプロセスにすることができる。特に、前述のキャッチ・アンド・リリース精製に供される溶液は、MIDAボロネートの選択的沈殿から誘導される溶液であり得る。
本発明の1つの態様は、MIDAボロネートを溶液から精製する方法であって、溶液をヘキサンで希釈し、それによってMIDAボロネートを選択的に沈殿させるステップ;シリカプラグに希釈された溶液を通過させ、それによって沈殿したMIDAで保護された有機ボロン酸をシリカプラグ上に堆積させるステップ;シリカプラグに第1液体を通過させるステップ;およびシリカプラグに第2液体を通過させ、それによって第2液体中にMIDAボロネートを溶出させるステップを含む方法に関し;ここで、第1液体はジエチルエーテルを含有するか、または第1液体の極性は、98.5:1.5(v/v)EtO:MeOHの混合物の極性よりも低いかもしくはほぼ等しく;そして第2液体の極性は、THFの極性よりも高いか、またはほぼ等しい。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルを含む、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルとメタノールとの混合物である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1液体がジエチルエーテルとメタノールとの混合物であり;そしてジエチルエーテル対メタノールの比が98.5:1.5(v/v)である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2液体が、THF、MeCN、酢酸エチルもしくはアセトン、または類似しているかもしくはより高い極性を有する溶媒である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2液体が、THF、MeCN、酢酸エチルまたはアセトンである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2液体がTHFである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、溶液が化学反応から得られる粗生成物混合物である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、化学反応が、スズキ・ミヤウラカップリング、酸化、スワーン酸化、「ジョーンズ試薬」酸化、還元、エヴァンス・アルドール反応、HWEオレフィン化、タカイオレフィン化、アルコールシリル化、脱シリル化、p−メトキシベンジル化、ヨウ素化、ネギシクロスカップリング、ヘックカップリング、ミヤウラボリル化、スティルカップリング、およびソノガシラカップリングからなる群から選択される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、化学反応がMIDAボロネートを試薬と接触させるステップを含み、MIDAボロネートがsp混成を有するホウ素、ホウ素に結合したMIDA保護基、およびホウ素−炭素結合によってホウ素に結合した有機基を含み;有機基が化学的に変換され、そしてホウ素が化学的に変換されない、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートが
によって表され;R10が有機基を表し;Bがsp混成を有するホウ素を表し;R20はメチルであり;そしてR21、R22、R23およびR24が独立して、水素基および有機基からなる群から選択される、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、R21、R22、R23およびR24が水素である、前記方法のいずれか1つに関する。
カスタマイズされたハイブリッド精製容器。ある実施形態において、本発明は、直列に配置された「沈殿チャンバー」と「キャッチ・アンド・リリースチャンバー」との両方を含むカスタマイズされたハイブリッド精製容器(図1C)が使用される前記方法のいずれか1つに関する。このシステムでは、粗クロスカップリング反応を、ヘキサンで満たされた第1(例えば、上側)チャンバーに移し、その結果、MIDAボロネート含有生成物の迅速かつ定量的な沈殿が得られ、一方、残存するボロン酸(およびほとんどの副生成物)、パラジウム、およびホスフィンリガンドはすべて可溶性のままである。すでに述べたように、この懸濁液の単純なろ過と、それに続くEtO:MeOHでの洗浄によって、結果として得られた半精製固体MIDAボロネートは第2(例えば、下側)チャンバー中にあるシリカゲルプラグの上部に配置される。この下側チャンバーを次いで大量の、例えば、EtO:MeOH 98.5:1.5(v/v)と、それに続いて所定の少量のTHFでの洗浄に付して、キャッチ・アンド・リリースシリカゲル精製を実施する。結果として得られた精製ボロン酸のTHF溶液は、脱保護およびカップリングのその後のサイクルでの利用に都合よく準備できている。
MIDAで保護された有機ボロン酸の精製/脱保護
ボロン酸の精製に関連する課題は、「極性および多くの場合両親媒性は、それらの単離および精製を困難にする傾向がある」という事実を含む(Hall, D. G.Boronic Acids;Wiley-VCH: Weinheim, Germany, 2005;pp 57-58)。さらに、「広く知られ、用いられるボロン酸は、様々な安定性を示し(ビニルボロン酸、アルキルボロン酸、およびアルキニルボロン酸はあまり安定でない)、それらの精製は簡単ではない。さらに、単離されたボロン酸は、一般的に多量の無水物またはボロキシンを含有し、その結果、それらの化学量論を決定するための問題が生じる(Darses, S.;Genet, J-P. Chem. Rev. 2008, 108, 288-325)。
ボロン酸を精製するためのアプローチが数多く開発されているが、すべてそれらの普遍性において制限されている。ほとんどの基本的アプローチは、ボロン酸を、典型的には水溶液から再結晶することである。しかし、このアプローチは、試料がすでに比較的純粋である場合、そして水中でのボロン酸の温度依存的な溶解性が有利である場合にのみ有効である。非極性再結晶溶媒を使用する場合、ボロン酸の顕著な脱水が起こり、ボロキシンが生じる可能性がある(Santucci, L.;Gilman, H. J. Am. Chem. Soc. 1958, 80, 193-196)。別のアプローチは、「相スイッチング」液体/液体分配である(Mothana, S.;Grassot, J-M.;Hall, D. G. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 2883-2887)。このアプローチでは、ボロン酸を強塩基(pH10)中でアニオン性ボロン酸塩種に変換し、非アニオン性有機物を洗い流し、次いで溶液を酸性化(pH1〜5)して、ボロン酸を再生する。この方法は、酸性官能基、塩基性官能基、またはボロン酸官能基をはじめとする酸もしくは塩基感受性である任意の官能基を含有するボロン酸と適合性でない。ジエタノールアミンベースの固体に支持されたボロン酸のスカベンジャー(DEAM−PSと略記)も報告されている(Hall, D. G.;Tailor, J.;Gravel, M. Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 3064-3067)。しかし、この方法は費用がかかり、実際的またはスケーラブルな溶液ではない。
ボロン酸は、ボロン酸代用物によって2ステッププロセスで精製することができる。例えば、ボロン酸は、対応するトリフルオロホウ酸塩に変換することができ、これを結晶化させることができる(Darses, S.;Genet, J-P. Chem. Rev. 2008, 108, 288-325)。しかし、このアプローチの制約は、結晶化条件が基質特異的であり、多量のフッ化物が使用され、いくつかの不純物が生成物と同時結晶化し、そしてボロン酸をトリフルオロホウ酸塩から再生することが効率的でないという事実を含む(Molander, G. A.;Cavalcanti, L. N.;Canturk, B.;Pan, P-S.;Kennedy, L. E. J. Org. Chem. 2009, 74, 7364-7369)。あるいは、ボロン酸をジオール(多くの場合、ピナコール)の存在下で脱水して、対応するボロン酸エステルを形成することができる。いくつかのアリールボロン酸エステルは、対応するボロン酸よりも有利なクロマトグラフィー、抽出、および結晶化特性を有する。しかし、他のクラスのボロン酸エステル(ヘテロアリール、アルケニル、アルキル、アルキニルなど)は、非常に様々な特色を有する傾向がある。さらに、ボロン酸エステルがその精製特性を改善するために十分安定になるにつれ、ボロン酸を再生するために必要な条件はより厳しくなる。例えば、ピナコールボロン酸エステルを対応するボロン酸に変換することは、典型的には水性酸および酸化剤(多くの場合、NaIO)を必要とし、このことは、このアプローチの一般性を制限する(Murphy, J. M.;Tzschuck, C. C.;Hartwig, J. F. Org. Lett. 2007, 9, 757-760)。
最後に、不安定なボロン酸は、特に難しい問題を提示する。前述のアプローチはどれも、ビニルボロン酸などの不安定なボロン酸を精製するために使用することができない。注目すべきことに、ビニルボロン酸は、95%より高い純度でビニルMIDAボロネートから生成させることができる(Knapp, D. M.;Gillis, E. P.;Burke, M. D. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 6961-6963)。
上述の問題のいくつかに対処するために、本明細書中で開示されるのは、MIDAボロネート加水分解のために開発された、「キャッチ・アンド・セレクティブリリース」型の方法である。特に、MIDAボロネートのTHF溶液(反応性=OFF)を固体で支持された水酸化アンモニウム試薬(例えば、Amberlyst A26(OH);T.M. Morwick, J. Comb. Chem. 2006, 8, 649-651を参照のこと)と混合して、MIDA加水分解を促進する。この点で、切断されたMIDAリガンド(MIDA2−Na の形態である可能性が高い)およびボロン酸(対応するアニオン性ボロン酸「エステル」複合体の形態である可能性が高い;D.G. Hall, J. Tailor, M. Gravel, Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 3064-3067を参照のこと)はどちらも樹脂中にトラップされたままである(「キャッチ」)。AcOHのTHF溶液でのその後の処理(M.G. Siegel, P.J. Hahn, B.A. Dressman, J.E. Fritz, J.R. Grunwell, S.W. Kaldor, Tetrahedron Lett. 1997, 38, 3357-3360を参照のこと)の結果、ボロン酸(反応性=ON)のみの「選択的放出(セレクティブ・リリース)」となると判定され、一方、切断されたMIDAリガンドは、好都合には、これらの弱酸性条件下で、樹脂中にトラップされたままである。このTHF/AcOH/ボロン酸溶液を、KCO、4Åモレキュラーシーブ、およびCelite(登録商標)を含む新しいバイアルに移し、続いてアルゴンを混合物に吹き込み、そしてろ過することによって、次のクロスカップリング反応の準備が整った、中和されたほとんど無水の新しく調製されたボロン酸のTHF中脱酸素化溶液が得られる。
本発明の1つの態様は、MIDAボロネートの脱保護であって、MIDAボロネートおよび溶媒を含む溶液を固体で支持された水酸化アンモニウム試薬と接触させ、それによってMIDAボロネートを脱保護し、ボロン酸およびMIDAを形成するステップを含む、MIDAボロネートの脱保護に関する。
ある実施形態において、本発明は、溶媒がTHFを含む、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬がMIDAと結合する、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、溶媒をろ過によって除去し、それによってボロン酸およびMIDAリガンドが固体で支持された水酸化アンモニウム試薬の内部にトラップされた状態のまま残るステップ;およびさらなる溶媒を添加するステップをさらに含む、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、さらなる溶媒がTHFである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬を、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬を中和するために必要であるよりも多い量で弱もしくは強酸を含む有機溶液で洗浄し、それによってボロン酸を溶出させる、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬を、弱酸もしくは強酸を含むTHF溶液で洗浄し、それによってボロン酸を溶出させる、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬を、酢酸を含むTHF溶液で洗浄し、それによってボロン酸を溶出させる、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、溶出されたボロン酸を塩基で処理して、酸(例えば、酢酸)を中和する、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、塩基が炭酸カリウムである、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬を、塩酸を含む1,4−ジオキサン溶液で洗浄し、それによってボロン酸を溶出させる、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬が、強塩基アニオン交換樹脂、例えばAmberlite IRA−400(OH形)、Amberlite IRA 420(OH形)、Amberlite IRA 410(OH形)、Amberlite IRN−150、Amberlite IRA 900(OH形)、Amberlite IRA 904(OH形)、Amberlite IRA 910(OH形)、Amberlite A5836、Amberlyst A26(OH形)、Ambersep 900、Dowex−1(OH形)、Dowex−3(OH形)、Dowex 1−X4(OH形)、Dowex 1−I 9880、Dowex 1−I0131、Dowex 550 A(OH形)、またはAmberjet 4400である、前記方法のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬が、第4アンモニウム基を含有する架橋したスチレンジビニルベンゼンコポリマーベースの強塩基1型アニオン性巨大網状ポリマー樹脂、例えばAmberlyst A26(OH形)(Rohm and Haas, Philadelphia, PA)である、前記方法のいずれか1つに関する。
本発明の1つの態様は、MIDAボロネートを脱保護する方法であって、MIDAボロネートおよび溶媒を含む溶液をNaOHの水溶液と接触させ、それによってMIDAボロネートを脱保護し、ボロン酸および遊離MIDAリガンドを形成するステップを含む方法に関する。この方法は、酸感受性基質(ボロン酸)に関連して特に有用である。なぜなら、固体支持体からの溶出のために酸へ曝露することを含まないからである。
水はその後のステップで除去されるので、システムに導入される水性成分(NaOHの溶液)の体積を比較的少量、例えばMIDAボロネートを含む溶液およびその溶媒の体積の約25〜33パーセントに制限することが一般的に望ましい。
ある実施形態において、本発明は、溶媒がTHFを含む、前記方法に関する。
ある実施形態において、本発明は、溶媒がTHFである前記方法に関する。1つの実施形態では、THFは乾燥かつ脱酸素化されている。
ある実施形態において、本発明は、ジエチルエーテルを添加し、それによってボロン酸および遊離MIDAリガンドを含む有機相と、水性相とを含む二相混合物を精製するステップ;およびボロン酸および遊離MIDAリガンドを含む有機相を水性相から分離するステップをさらに含む、前記方法に関する。ジエチルエーテルを添加するステップは、場合によって、反応をクエンチするために有効な試薬を添加することを含む。1つの実施形態では、反応をクエンチするために有効な試薬はリン酸塩緩衝液である。ここでも、水がその後のステップで除去されるので、システムに導入される水の総量を比較的少量、例えばMIDAボロネート、その有機溶媒、およびNaOHの水溶液を含む複合溶液の体積の約25〜33パーセントに制限することが一般的に望ましい。1つの実施形態では、リン酸塩緩衝液を、NaOHの水溶液の体積とほぼ等しい量で添加する。
ある実施形態において、本発明は、有機相を、硫酸マグネシウム、珪藻土、およびモレキュラーシーブからなる群から選択される1以上の乾燥剤と接触させ、それによって、ボロン酸および遊離MIDAリガンドを含む有機相を乾燥するステップをさらに含む、前記方法のいずれか1つに関する。珪藻土は、例えば、Celite(登録商標)(Fluka/Sigma-Aldrich, St. Louis, MO;Celite Corp., Lompoc, CA)であり得る。
ある実施形態において、本発明は、ボロン酸および遊離MIDAリガンドを含む乾燥された有機相を脱酸素化するステップをさらに含む、前記方法のいずれか1つに関する。1つの実施形態では、脱酸素化は、ボロン酸および遊離MIDAリガンドを含む有機相に乾燥無酸素ガスを吹き込むことによって達成される。1つの実施形態では、無酸素ガスはアルゴンである。
自動化小分子合成機
MIDAボロネートの精製および脱保護のための強固で一般的な方法を使用して、ICCによる小分子を全自動合成する能力を有する装置(図1D)を設計し、構築した。ある実施形態において、この装置は、図1Bで図示されるICCスキームを実施するために必要な脱保護(D)、クロスカップリング(CC)、または精製(P)ステップを促進するために設計された3つのモジュールから構成される。ある実施形態において、全材料は、一組のスイッチで切り替え可能なバルブ(J-KEM Scientific)と連係した一連の主シリンジポンプ(例えば、8個)によって操作される溶液としてモジュール間で輸送される。ある実施形態において、シリンジポンプは全て、特別注文のソフトウェアプログラムを実行するコンピュータによって運転される。機械の1つの実施形態を図1Dに示す;この機械に関する更なる詳細は、以下の実例で提供する。
反応系設計。ある実施形態において、クロスカップリング反応をLuknovaから購入したポリプロピレン管(商品番号FC003012)中で実施する。管の寸法は、21mm×120mm(ID×長さ)である。管の底部には、21mm直径×4mm高さのフリットが取り付けられている。フリットの上に金属ワイヤによって13mm直径×4mm高さのフリットが固定されている。フリットの上に、希土類磁石を含有する大きな撹拌棒 (Big Science Inc., SBM-1508-REH) が配置されている。管の底部にはオスルアーチップが挿入され、一方、管の頭頂部は、メスルアーポートを含む気密性ねじぶたで密封されている。管は、25mLまでの溶媒体積を保持する。管を、特別注文のアルミニウム加熱ブロック中に入れる。加熱ブロックは9個までの反応管を保持する。管は撹拌プレートの表面から3cm上に保持され、この場合、管の底部4cmは加熱ブロックによって覆われる。反応管の底部に接近するためのチュービングは、底部付近のブロックの側面の穴を通過する。
ポリプロピレン管の使用は、反応管の設計の簡素化に重要であるように思われる。特に、材料は、加熱ブロックによって覆われた部分のみが熱くなるように、良好な絶縁体である。加熱ブロックが60℃まで加熱されると、反応溶液は数分以内に60℃に到達する。しかし、管のジャケットに覆われていない部分は室温にとどまり、冷却器としての役割を果たし、したがって、溶媒の上の蒸気は室温にとどまる。他の材料、例えばガラスを使用した場合、加熱ブロックの上の管の部分は熱くなり、溶液は急速に蒸発した。したがって、ガラスがポリプロピレンの代わりに使用されるとしたら、溶液が漏出を避けるために、さらなる冷却素子が必要である。
システムのある実施形態において、反応ブロック中の管は、管の内部に溶液があるかどうかにかかわらず、一定して撹拌される。これによりシステムは簡単に保たれる。なぜなら、撹拌プレートはオンまたはオフにする必要が無く、さらに、ブロック内の反応の開始および停止時間は連係させる必要がないからである。しかし、長時間にわたる撹拌の間に、管中の撹拌棒が乳鉢としての役割をし、そしてフリットは乳棒としての役割をするので、塩基はフリットの孔中に微粉砕されるようになる。さらに、撹拌棒は塩基がない場合でも、フリットの上部に損害を与える可能性がある。これらの状況では、フリットから溶液を抜き取ることはほぼ不可能になる。なぜなら、フリットの上部が詰まる、および/または損傷を受けるからである。この限界を克服するために、反応管を、異なるサイズの2つのフリットを含むように設計された(図8)。このように、撹拌棒は小さい方の一番上のフリットと接触するだけであり、たとえこのフリットの上部が損傷を受けるかまたは詰まったとしても、溶液を、小さなフリットの側面から、または大きい方のフリットに対してのみ開かれた空間を通して抜き取ることができる。反応中に横向きに回転して、大きな方のフリットに対して垂直にならないように、一番上のフリットを固定するためにワイヤが必要である。ある実施形態において、単一のフリットを、複合フリットに類似した形状を有するように組み立てることができる。
精製システム設計。簡単な精製アプローチを可能にするMIDAボロネートのクロマトグラフィー特性は前述されている。システムの設計がどのようにキャッチ・アンド・リリースクロマトグラフィーおよび沈殿に基づく精製を支持するかを以下に記載する。
粗THF反応溶液のヘキサンでの希釈は、MIDAボロネート生成物が直ちに沈殿する原因となるので、沈殿した生成物を保持するために十分な体積の容器中でTHFおよびヘキサンの混合が起こらなければならない。溶媒はまた、溶液が均一になるように、十分に混合されなければならない。最終的に、ヘキサンのTHF溶液への添加はまた、反応副生成物が不溶性になる原因となる。場合によっては、これらの副生成物は粘着性であるか、またはフリットを詰まらせる可能性がある非常に微細な沈殿を形成する。ある実施形態において、粗THF溶液およびヘキサンを混合するための注文設計された沈殿チャンバーを使用することができる(図9)。ある実施形態において、沈殿チャンバーは、沈殿する粘着性不純物を除去するCelite(登録商標)を含み、この物質がフリットを詰まらせないようにCelite(登録商標)全体にわたって分布した状態に保つ。ある実施形態において、チャンバー中の撹拌棒は、適切な混合を確実にする。しかし、撹拌棒が連続して数時間撹拌する場合、管中のCelite(登録商標)が非常に微細になり、したがってフリットを通過して、下流プロセスを妨害する可能性があることが観察された。この問題を解決するために、沈殿チャンバーを溶媒で満たし、混合した後、撹拌棒が乾燥Celite(登録商標)中に埋まり、撹拌しなくなる様に、溶媒を抜き取る。言い換えると、撹拌棒は、必要とされる場合に、即ち、沈殿チャンバー中に溶媒がある場合にのみ、撹拌するようにすることができ、したがって、このプロセスは、撹拌プレートをオン/オフにするか、または同じ撹拌プレートを使用する他のプロセスの撹拌と連係させる必要がない。ある実施形態において、3−アミノプロピル官能化シリカゲルを沈殿チャンバー中に入れて、粗反応溶液からパラジウムを除去する。
ある実施形態において、沈殿チャンバーをまず補助ポンプによってヘキサンで満たす(このようにして、プロセスにおいてSiOカラムをヘキサンで湿らせる)。次いで、THF反応溶液を頭頂部から添加する。主ポンプはヘキサンおよびTHF溶液の両方を扱わない。なぜなら、シリンジ中に残存するヘキサンがMIDAボロネート生成物をシリンジ中で析出させる可能性があるからである。さらに、主ポンプは、廃棄物THF:ヘキサン溶液をこの理由のために、そして汚染を低減するために抜きとらない。したがって、いったん溶媒を沈殿チャンバー中で混合したら、溶液を、補助ポンプによってSiOカラムを通して抜き取り、次いで廃棄する。次に、EtOとMeOHを沈殿チャンバーに添加し、混合し、次いでSiOカラムを通して抜き取り、廃棄する。このプロセスを、EtOを用いて繰り返す。この段階で、純粋なMIDAボロネート生成物は、沈殿チャンバー中で沈殿として残存するか、またはSiOカラムの一番上にある。補助ポンプは次いで、THFをSiOカラムの底部から注入し、頭頂部から外へ、沈殿チャンバーへと送達する。したがって、MIDAボロネート生成物が最初にSiOカラム中にあるか、または沈殿チャンバー中にあるかは重要ではない。なぜなら、MIDAボロネート生成物はいずれの位置でもTHF中に溶解されるからである。このシステムは、生成物を溶出/溶解させるために用いられるTHFの量を減少させ、溶液をさらに濃縮することなく次の反応で使用されることを可能にする。THFを沈殿チャンバー中で約30分間混合した後、SiOカラムを再度通過することなく、主ポンプによって三方継ぎ手を通して抜き取られる。
このセットアップのいくつかの重要な特色は次のとおりである:沈殿事象は混合チャンバー中で起こる;混合チャンバーは、スカベンジャー(Celite(登録商標)および官能化シリカゲル)を含む;撹拌は簡単な方法で制御することができる;沈殿チャンバーおよびSiOカラムは空間的に分離される;そしてポンプの構成は、プロセス全体にわたって種々の接合部で溶媒が添加され、抜き取られることを可能にする。
ソフトウェア。機械を制御するソフトウェアは、3つのレベル:基本レベル、機能レベル、および発展ベルの複雑さを有すると記載することができる。基本レベルは、本質的に1と0との組み合わせであり、これを装具に送って、シリンジポンプやバルブを動かすことができる。機能レベルは、コンピュータコードを検討する人が理解することができる、装具を動かすための最も簡単なコマンドである。発展ベルは、合成が実施される方法を修正するために素人が使用できる、自動合成機械にあわせて特に調整されたソフトウェアである。基本レベルは、Kloehnによって製造される装具に固有である。機能レベルは、装具を購入した場合、J−KEMによって提供されるソースコードに由来した。機能レベルは、基本レベルのコマンドを、容易に実行されるサブルーチンにパッケージするVB.NETによって書かれたソースコードである。発展ベルは、機能レベルで提供されるソースコードに基づいてVB.NETで注文設計され、書かれた。
さらに詳細には、機械は、KloehnからのOEMパーツである多くのシリンジポンプおよびバルブから構成される。シリンジポンプおよびバルブはパッケージし直され、J−KEMによってハードウェアのカスタムピースとして販売された。装具は、Kloehnパーツに特有の機械語で書かれた簡単なテキスト文字列コマンドを送受信するRS−485シリアルポートによって制御される。したがって、最も簡単なレベルで、機械は、「/xR」などの簡単なテキスト文字列を送ることによって制御することができるが、これらのコマンドは、その装具を使用する誰にも理解できない。J−KEMから出荷された装具は、シリンジポンプを特定の位置に移動させ、バルブを特定の位置に変化させ、シリンジが移動する速度を制御し、そしてソレノイドバルブを開/閉するサブルーチンを提供する、VB.NETで書かれたソースコードを装備していた。開発されたコードは、J−KEMによって提供されるコードからのサブルーチンを使用する。J−KEMからのソースコードは、除去することができ、ソフトウェアは、機能を失うことなく装具と直接連通することができた。しかし、J−KEMからのソースコードは、それ自体で自動合成を実行するには十分でない。したがって、自動合成機械の開発を可能にするためのソフトウェアを作成することが必要であった。ソフトウェアのある実施形態に関する詳細は、実例で見出すことができる。
自動合成機。本発明の1つの態様は:(d)精製モジュールと流体的に連通する(c)反応モジュールと流体的に連通する(b)乾燥および脱気モジュールと流体的に連通する(a)脱保護モジュール;1つのモジュールから別のモジュールへと液体を移動させることができる少なくとも1つのポンプ;およびソフトウェアを備えたコンピュータを含む自動化小分子合成機に関し;ここで、モジュールはすべてコンピュータの制御下にある。
1つの実施形態では、脱保護モジュールは、本明細書中で記載されるように、固定または固体で支持された塩基、例えば、NaOHを含む。1つの実施形態では、脱保護モジュールは、本明細書中で記載されるように、水性塩基、例えば、水性NaOHで脱保護を実施するように構築および配置される。
1つの実施形態では、精製モジュールは、組み合わされた(または「ハイブリッド」)沈殿およびキャッチ・アンド・リリースモジュールを含む。
ある実施形態において、本発明は、脱保護モジュールが、チャンバーの頭頂部で第1開口部、チャンバーの底部で第2開口部、第2開口部を覆う第1フリット、および固体で支持された水酸化アンモニウム試薬を含む脱保護チャンバーを含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーが円柱管を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護チャンバーの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬が強塩基アニオン交換樹脂、例えばAmberlite IRA−400(OH形)、Amberlite IRA 420(OH形)、Amberlite IRA 410(OH形)、Amberlite IRN−150、Amberlite IRA 900(OH形)、Amberlite IRA 904(OH形)、Amberlite IRA 910(OH形)、Amberlite A5836、Amberlyst A26(OH形)、Ambersep 900、Dowex−1(OH形)、Dowex−3(OH形)、Dowex 1−X4(OH形)、Dowex 1−I 9880、Dowex 1−I0131、Dowex 550 A(OH形)、またはAmberjet 4400である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、固体で支持された水酸化アンモニウム試薬が、第4アンモニウム基を含有する架橋したスチレンジビニルベンゼンコポリマーベースの強塩基1型アニオン性巨大網状ポリマー樹脂、例えばAmberlyst A26(OH形)である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱保護モジュールが、ガス源をさらに含み;そのガス源を脱保護チャンバーと流体的に連通して配置することができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥および脱気モジュールが組み合わされた乾燥および脱気チャンバーを含み、このチャンバーは、その組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの最上部に第1開口部、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの底部に第2開口部、第2開口部を覆う第1フリット、およびプランジャーを含み;そして乾燥および脱気モジュールが脱保護モジュールと流体的に連通する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥および脱気チャンバーが珪藻土、例えばCelite(登録商標)をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーが活性化モレキュラーシーブをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、モレキュラーシーブが4オングストローム、8〜12メッシュである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーが炭酸カリウムをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、流体連通が、脱保護チャンバーの第2開口部を、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの第2開口部に連結した結果である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーが円柱管を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、アルゴン源をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの内容物を散布するために、アルゴンを組み合わされた乾燥および脱気チャンバーと流体的に連通して配置することができ;そしてプランジャーは、固体が散布中に持ち上がるのを防止する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの第1開口部が、油入バブラーを通したベントによって大気圧付近に維持された不活性ガス雰囲気にベントされる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、アルゴンを、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの管の第2開口部を通して組み合わされた乾燥および脱気チャンバーと流体的に連通して配置することができ、一方、組み合わされた乾燥および脱気チャンバーの管の第1開口部は不活性ガス雰囲気にベントされる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥および脱気モジュールが乾燥チャンバーおよび脱気チャンバーを含み;乾燥チャンバーが、乾燥チャンバーの頭頂部で第1開口部、乾燥チャンバーの底部で第2開口部、第2開口部を覆う第1フリット、およびプランジャーを含み;脱気チャンバーが、脱気チャンバーの頭頂部で第1開口部および脱気チャンバーの底部で第2開口部を含み;乾燥チャンバーが脱気チャンバーと流体的に連通し;そして脱気チャンバーが脱保護モジュールと流体的に連通する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーが、珪藻土、例えばCelite(登録商標)をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーが活性化モレキュラーシーブをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、モレキュラーシーブが4オングストローム、8〜12メッシュである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーが炭酸カリウムをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーと脱気チャンバーとの間の流体連通が、乾燥チャンバーの第2開口部を脱気チャンバーの第2開口部に連結した結果である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥および脱気モジュールと脱気チャンバーとの間の流体連通が、脱気チャンバーの第2開口部を脱保護モジュールに連結した結果である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーが円柱管を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、乾燥チャンバーの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーが円柱管を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、アルゴン源をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの内容物を散布するために、アルゴンを脱気チャンバーと流体的に連通して配置することができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、脱気チャンバーの第1開口部が、油入バブラーによるベントによって大気圧付近に維持された不活性ガス雰囲気にベントされる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、アルゴンを、脱気チャンバーの管の第2開口部を通して脱気チャンバーと流体的に連通して配置することができ、一方、脱気チャンバーの管の第1開口部は、不活性ガス雰囲気にベントされる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応モジュールが、反応チャンバーの頭頂部で第1開口部、反応チャンバーの底部で第2開口部、第2開口部を覆う第1フリット、および撹拌棒を含む反応チャンバーを含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関し;ここで、反応モジュールは、乾燥および脱気モジュールと流体的に連通する。
ある実施形態において、本発明は、反応モジュールが、反応チャンバーの頭頂部で第3開口部を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関し、この第3開口部を通して、反応チャンバーの側壁または底部に接触することなく液体を反応チャンバーに添加することができる。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの第1開口部が不活性雰囲気にベントされる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、微細固体が反応チャンバーから漏れるのを防止するために反応チャンバーの第1開口部にフリット管が取り付けられている、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの第1開口部が、油入バブラーによるベントによって大気圧付近に維持された不活性雰囲気にベントされる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの第2開口部および第3開口部がどちらも、乾燥および脱気チャンバーの第2開口部と同時に流体的に連通する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーが円柱管を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーが撹拌棒と第1フリットとの間に第2フリットをさらに含み;第2フリットが第1フリットよりも小さい、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2フリットおよび第1フリットがワイヤで一緒に結合されて、第2フリットが第1フリットに対して垂直になるのを防止する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1フリットがディスク状であり;第1フリットが約18mm〜約24mmの直径を有し;そして第1フリットが約2mm〜約6mmの高さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1フリットがディスク状であり;第1フリットが約21mmの直径を有し;そして第1フリットが約4mmの高さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2フリットがディスク状であり;第2フリットが約16mm〜約10mmの直径を有し;そして第2フリットが約2mm〜約6mmの高さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第2フリットがディスク状であり;第2フリットが約13mmの直径を有し;そして第2フリットが約4mmの高さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1フリットの形状が、第2ディスクの上の第1ディスクの形状であり;第1ディスクの直径が第2ディスクの直径よりも小さい、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、第1フリットの形状が、固体が反応チャンバーの第2開口部を通過するのを防止する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応モジュールが、撹拌棒を回転させる撹拌プレートをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応モジュールが加熱ブロックをさらに含み、この加熱ブロックは反応チャンバーの内容物を加熱することができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーの少なくとも一部が加熱ブロックによって覆われている、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーが遷移金属塩をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、遷移金属塩が固体上に吸着されている、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、遷移金属塩が酢酸パラジウムである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、遷移金属塩が吸着された固体が炭酸セシウムである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーがホスフィンリガンドをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ホスフィンリガンドが固体上に吸着される、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ホスフィンリガンドがS−Phos(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル)である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、触媒が空気中で安定するパラジウムプレ触媒由来である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ホスフィンリガンドが吸着される固体が炭酸セシウムである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバーが塩基をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバー中の塩基が水酸化カリウムである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバー中で実施される反応がクロスカップリング反応である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバー中で実施される反応が、スズキ・ミヤウラカップリング、酸化、スワーン酸化、「ジョーンズ試薬」酸化、還元、エヴァンス・アルドール反応、HWEオレフィン化、タカイオレフィン化、アルコールシリル化、脱シリル化、p−メトキシベンジル化、ヨウ素化、ネギシクロスカップリング、ヘックカップリング、ミヤウラボリル化、スティルカップリング、およびソノガシラカップリングからなる群から選択される、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバー中で実施される反応がスズキ・ミヤウラカップリングである、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、反応チャンバー中で実施される化学反応が、MIDAボロネートを試薬と接触させるステップを含み、MIDAボロネートがsp混成を有するホウ素、ホウ素に結合したMIDA保護基、およびホウ素−炭素結合によってホウ素に結合した有機基を含み;有機基が化学的に変換され、そしてホウ素が化学的に変換されない、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、MIDAボロネートが
によって表され;R10が有機基を表し;Bがsp混成を有するホウ素を表し;R20はメチルであり;R21、R22、R23およびR24が独立して、水素基および有機基からなる群から選択される、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、R21、R22、R23およびR24が水素である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールが沈殿チャンバーおよびシリカカラムを含み;沈殿チャンバーが、沈殿チャンバーの頭頂部で第1開口部と、沈殿チャンバーの底部で第2開口部と、第2開口部を覆う第1フリットと、撹拌棒と、珪藻土(例えばCelite(登録商標))とを含み;そしてシリカカラムが、カラムの最上部で第1開口部と、カラムの底部で第2開口部と、カラムの頭頂開口部を覆う第2フリットと、カラムの底部開口部を覆う第3フリットと、シリカとを含み;精製モジュールが反応モジュールと流体的に連通する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーが円柱管を含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーが金属を除去する樹脂をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーが、活性炭をさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールが、撹拌棒を回転させる撹拌プレートをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバー中の珪藻土(例えば、Celite(登録商標))が、沈殿チャンバー中に溶媒が無いならば撹拌棒が回転するのを防止する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの第1フリットが珪藻土を沈殿チャンバー中に保持する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムが円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの円柱管がポリプロピレン円柱管である、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの円柱管が約100mm〜140mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの円柱管が約120mmの長さを有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの円柱管が約18mm〜約24mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの円柱管が21mmの内径を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの円柱管が約25mLの体積を有する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカカラムの第2フリットおよびシリカカラムの第3フリットがシリカをシリカカラム中に保持する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、シリカがアミノ基で官能化される、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールが補助ポンプをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ヘキサンを含有する溶媒レザバーをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールがヘキサンのレザバーと流体的に連通し;補助ポンプが、ヘキサンを、シリカカラムの第2開口部を通ってシリカカラム中へ、シリカカラムの第1開口部を通ってシリカカラムから外へ、そして沈殿チャンバーの第2開口部を通って沈殿チャンバー中へと送ることによって、レザバーからのヘキサンを沈殿チャンバーへ提供する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、補助ポンプが、シリカカラムの第1開口部を通って沈殿チャンバーの第2開口部中へ、そしてシリカカラムの第2開口部から外へとヘキサンを通過させることによって、ヘキサンを除去することができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、ジエチルエーテルを含有する溶媒レザバーをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールがジエチルエーテルのレザバーに流体的に連通し;そしてジエチルエーテルを、シリカカラムの第2開口部を通ってシリカカラム中へ、シリカカラムの第1開口部を通ってシリカカラムから外へ、そして沈殿チャンバーの第2開口部を通って沈殿チャンバー中へと通過させることによって、補助ポンプがジエチルエーテルをレザバーから沈殿チャンバーへ提供する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、補助ポンプが、ジエチルエーテルを、シリカカラムの第1開口部を通って沈殿チャンバーの第2開口部中へ、そしてシリカカラムの第2開口部から外へと通過させることによって、ジエチルエーテルを除去することができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、1.5体積%のメタノールを含有するジエチルエーテルを含む溶媒レザバーをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールが、1.5体積%のメタノールを含有するジエチルエーテルのレザバーに流体的に連通し;そしてジエチルエーテルを、シリカカラムの第2開口部を通ってシリカカラム中へ、シリカカラムの第1開口部を通ってシリカカラムから外へ、そして沈殿チャンバーの第2開口部を通って沈殿チャンバー中へと通過させることによって、補助ポンプが、1.5体積%のメタノールを含有するジエチルエーテルをレザバーから沈殿チャンバーへ提供する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、補助ポンプが、1.5体積%のメタノールを含有するジエチルエーテルを沈殿チャンバーの第2開口部中へ、シリカカラムの第1開口部を通って、そしてシリカカラムの第2開口部から外へ通過させることによって、1.5体積%のメタノールを含有するジエチルエーテルを除去することができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、廃棄物容器をさらに含み;シリカカラムの第2開口部が廃棄物容器と流体的に連通する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、THFを含有する溶媒レザバーをさらに含む、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、精製モジュールがTHFのレザバーと流体的に連通し;そして補助ポンプがTHFを、シリカカラムの第2開口部を通ってシリカカラム中に、シリカカラムの第1開口部を通ってシリカカラムから外に、そして沈殿チャンバーの第2開口部を通って沈殿チャンバー中に通過させることによって、THFをレザバーから沈殿チャンバー中へ提供する、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
ある実施形態において、本発明は、沈殿チャンバーの第2開口部を三方バルブによってシリカカラムの第1開口部に流体的に連通して配置することができ;バルブ上の第1ポートが沈殿チャンバーの第2開口部に連結され、バルブ上の第2ポートがシリカカラムの第1開口部に連結され、そしてシリカカラムに溶液を通過させることなく、バルブ上の第3ポートを用いて溶液を沈殿チャンバーから抜き取ることができる、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
本発明の別の態様は:1以上の脱保護モジュール;1以上の乾燥および脱気モジュール;1以上の反応モジュール;1以上の精製モジュール;1つのモジュールから別のモジュールへと液体を移動させることができる少なくとも1つのポンプ;およびソフトウェアを備えたコンピュータを含み;モジュールがすべてコンピュータの制御下にある、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
本発明の別の態様は、複数の脱保護モジュール;複数の乾燥および脱気モジュール;複数の反応モジュール;複数の精製モジュール;1つのモジュールから別のモジュールへと液体を移動させることができる少なくとも1つのポンプ;およびソフトウェアを備えたコンピュータを含み;モジュールがすべてコンピュータの制御下にある、前記自動化小分子合成機のいずれか1つに関する。
水性脱保護モジュールを使用する別の実施形態。水性脱保護モジュールは、クロスカップリングの準備において、液相水性塩基で媒介されたMIDAボロネート脱保護、結果として得られた二相混合物の分離、有機層の前乾燥および乾燥(例えば、ボロン酸のエーテル性溶液)、ならびに乾燥された有機層の脱酸素化/濃縮を完了するために必要な装具から構成される。
特に、2つのシリンジポンプおよびアルゴンソレノイドが新規脱保護モジュールで使用される(図9)。全シーケンス中で液体取り扱いのほとんどに用いられる主シリンジポンプは、有機溶媒および溶液を取り扱う。専用の水性シリンジポンプを用いて、全水性試薬(水、0.5M、pH=6、リン酸カリウム緩衝液、および50%飽和塩化ナトリウム)を取り扱う。水溶液の専用のシリンジポンプへのこの単離は、機械の残り全体にわたる水汚染を最小限に抑える。アルゴンソレノイドを用いて、脱保護を撹拌するため、そしてボロン酸の最終溶液の濃縮および脱酸素化のために、乾燥アルゴンの流れを送達する。
例えば、多ステップシーケンスの最初の脱保護は、12gLuknovaカートリッジ中固体MIDAボロネート(1ミリモル、1当量)および固体水酸化ナトリウム(3ミリモル、3当量)で始める。主ポンプは、乾燥脱酸素化THF(10mL、0.1M)を送達して、MIDAボロネートを溶解させる。水+性ポンプは、次いで脱イオン水(3mL、0.33M)を送達し、二相混合物を形成して、水酸化ナトリウムを溶解させる。乾燥アルゴンの流れを次いで管の底部から送達し(短い0.5〜2秒パルスで)、二相混合物に吹き込み、10分間撹拌し、その時点で脱保護が完了する。次いで、同時に水性ポンプはリン酸塩緩衝液(3mL)を送達して、反応をクエンチし、そして主ポンプはジエチルエーテル(5mL)を送達して、分離のための準備をする。水性ポンプは次いで、大気を数回注入して、クエンチされた反応を撹拌する。水性ポンプは次に二相反応混合物を吸引し、中断して完全に分離させ、そして残りの有機層を脱保護管に戻す。水性層を廃棄物に注入し、水性ポンプは50%飽和塩化ナトリウム(3mL)を脱保護管に送達し、そして空気を数回注入して混合物を撹拌する。再度、水性ポンプは二相混合物を吸引し、中断して完全に分離させ、そして有機層を脱保護管に戻す。水性層を廃棄物に注入する。
この分離は、水性層体積の製造において再現可能であることが示されている。1ミリモルスケールで、第1水性層は6.0mL(±0.1mL)である。0.66ミリモルスケールで、第1水性層は6.2mL(±0.1mL)である。0.33ミリモルスケールで、第1水性層は6.4mL(±0.1mL)である。水性塩体積は反応スケールに関係なく3.8mL(±0.1mL)であることが示された。
その後の脱保護は、THF中溶液としての精製されたMIDAボロネート(自動精製から得られる)を、水酸化ナトリウムを含有する新規脱保護管中に注入して開始する。脱保護の残りは、前述の様に進行する。これらの下流脱保護について、実験セットアップにおける唯一の相違は、使用される水酸化ナトリウムの量である(化学量論はMIDAボロネートに関して常に3当量である)。溶媒および試薬体積は同じままであり、上記で概要を記載したとおりである。分離体積はスケール依存性を示し、上記で概要を記載したとおりである。残りの操作(前乾燥、乾燥、ならびに脱酸素化および濃縮)は後述のように進行する。溶媒および試薬の相対的体積および量は、反応スケールと無関係である。
依然として湿っている有機層(ボロン酸のエーテル性溶液)の前乾燥は、残存する水の大半を除去する。1つの実施形態では、前乾燥管は、Celite(登録商標)(800mg)および無水硫酸マグネシウム(2.1g)の混合物を含む12gLuknovaカートリッジである。5mLポリプロピレンシリンジプランジャーを固体混合物の上に置く。2つの固体をよく混合して、硫酸マグネシウムクラスレートの凝集を防止する。さらに、シリンジプランジャーは、液体が注入された際の管に固体が上方向へ動くのを防止する。前乾燥ステップを開始するために、主ポンプは5mLの乾燥脱酸素化THFを前乾燥管へ送達する。固体はこのプロセスの間に約5mLのTHFを吸着し、したがって、固体を清浄なTHFで湿らせることは、体積の損失を防止することが示された。次に、主ポンプは、有機層を脱保護管から前乾燥管へと移す。溶液を、主ポンプによる反復吸引/注入(速度=15mL/分)によって、固体混合物上を通過させる。合計して、溶液はこの方法で20回撹拌される。この時点で、バルク水がボロン酸の溶液から除去された。
エーテル性ボロン酸溶液の乾燥は、残存する残留水を除去するために必要とされる。1つの実施形態では、乾燥管は、活性化モレキュラーシーブ(4Å、−325メッシュ、3.6g)でふたをしたCelite(登録商標)の層(300mg)を含有する12gLuknovaカートリッジである。5mLポリプロピレンシリンジプランジャーをこれらの固体の上に置く。Celite(登録商標)の底層は、微細なモレキュラーシーブによる管フリットの目詰まりを防止する。シリンジプランジャーは、前述のような固体の動きを防止する。乾燥ステップを開始するために、主ポンプは5mLの乾燥脱酸素化THFを前乾燥管へ送達する。前述のように、これによって体積の損失が防止される。次に、主ポンプは、ボロン酸の前乾燥された溶液を前乾燥管から乾燥管へと移す。前述の撹拌方法と同様に、主ポンプによる反復吸引/注入(速度=5mL/分)によって、溶液に固体上を通過させる。全体で、溶液をこの方法で12回撹拌する。乾燥ステップ中の吸引速度は、適切な吸引を達成し、それによって完全な撹拌を達成する。特に、約5mL/分のゆっくりした吸引速度は、モレキュラーシーブの層を通してボロン酸溶液を効率的に吸引する。さらに速い速度は真空のビルドアップをもたらし、これは溶媒吸引よりはむしろ溶媒蒸発によって消滅する;ボロン酸溶液は、モレキュラーシーブ上を効率的に通過せず、湿ったままである。この時点で、ボロン酸溶液は十分に乾燥された。
ボロン酸溶液の脱酸素化は、クロスカップリング反応の準備に必要とされる。特に、溶液は、カップリングが生産的に進行するために脱酸素化される必要がある。さらに、溶液の濃縮は、脱保護仕上げ処理から依然として存在するジエチルエーテルを除去するために、ならびにクロスカップリング反応のために実行可能な体積を維持するために、有用である。カップリング反応のための実行可能な相対的体積は、反応スケールに関係なく、全てのカップリングについて9mLのボロン酸溶液であると決定されている。例外として、シーケンスの最終反応は、2mLのボロン酸溶液を必要とする。1つの実施形態では、濃縮管は空の12gLuknovaカートリッジである。脱酸素化/濃縮ステップを開始するために、主ポンプは乾燥ボロン酸溶液を濃縮管へ移す。次いで、乾燥アルゴンを溶液に吹き込み、同時に脱酸素化し、濃縮する。アルゴン流れは、短い0.5秒パルスで開始し、これらのパルスは3分にわたって次第に長くなり、この時点で、アルゴン流れは連続してとどまる。この濃縮プロセスは、0.1mL/分のおよその速度で、体積を減じることが示された。濃縮前に、体積は18mLであり、したがって、約90分のアルゴン流れは、体積を9mLまで減じる。結果として得られたボロン酸の乾燥脱酸素化濃縮溶液は、無水クロスカップリング反応への添加に好適である。
水性脱保護モジュールは、MIDAボロネート脱保護反応の確固とした予測可能な自動化のための方法である。これらの種類の水性条件は、非自動合成に関連して多くの感受性ボロン酸について作用することが知られ、したがって、この自動化脱保護は、広範囲にわたる感受性基質について確実に作用することが予想される。この水性脱保護モジュール、しかしながら、以前に報告されているMIDAボロネート脱保護法とはいくつかの点で異なる。公開された液相反応で用いられる手順に対して自動化プロセスで用いられる変更には、アルゴン流撹拌およびアルゴン散布脱酸素化/濃縮、3ステップ乾燥法、溶媒比体積の最小化および使用、ならびに液体取り扱いのための制御された低速吸引が含まれる。
非自動化MIDAボロネート脱保護では、二相反応の撹拌は、通常の撹拌(磁気撹拌棒および撹拌プレート)で達成される。本発明の水性脱保護モジュールは、アルゴンガス流れを利用して脱保護反応を撹拌する。アルゴンが脱保護管のフリットを通過する際に、結果として生じる気泡が二相系の非常に効率的な撹拌を提供する。撹拌は、撹拌プレートを使用せずに(非自動化条件と同様に)室温にて10分で完全変換を達成するために十分である。さらに、水性脱保護モジュールは、アルゴン流れを使用して、ボロン酸溶液を散布し、濃縮する。安定なボロン酸での非自動化合成では、酸を典型的には固体として単離し、脱酸素化された溶媒の存在下でクロスカップリングに供する。不安定なボロン酸の場合、酸は典型的には単離されないが、脱酸素化された溶媒からの反復的濃縮によってある小体積まで濃縮される。アルゴン散布およびガス流れ濃縮を自動化システムにおいて同時に使用することで、ボロン酸溶液を脱酸素化し、濃縮する。これによって、潜在的に不安定なボロン酸を単離する必要がなく、カップリングにすぐ使えるボロン酸溶液が提供される。
非自動合成のためのボロン酸溶液の乾燥は、典型的には、無水乾燥試薬上での乾燥、Celite(登録商標)を通したろ過、およびその後の乾燥試薬の洗浄を含む。過剰の乾燥試薬の使用は、完全な乾燥を保証することができ、そして大量の溶媒体積の使用は、定量的な回収を保証することができる。この増大した溶媒体積は、自動化に関連した課題をもたらす。すなわち、自動化プロセスで蓄積した過剰の体積はすべて、下流で濃縮する必要がある。乾燥プロセスに密接に関連する溶媒の蓄積を最小限に抑えるために、自動化システムは、協同的3ステップ乾燥法および溶媒比体積を利用する。3ステップの1番目は、脱保護反応の有機相の50%飽和塩化ナトリウム抽出である。これは、有機相から若干のバルク水を除去し、そして、前述のように、再現可能な比体積でそのようにする。3ステップの2番目は、無水硫酸マグネシウム上でのボロン酸溶液の前乾燥であり、これは溶液からさらに多くのバルク水を除去する。最終ステップはモレキュラーシーブ上での乾燥であり、これは残存する残留水を除去する。前述のように、各ステップは、特定のあらかじめ決められた溶媒体積を使用して、最小限に抑えられているが、再現可能な溶媒蓄積を維持する。このプロセスは、あらかじめ決められた使用と組み合わせて、乾燥剤の量を最小限にし、溶媒蓄積を最小限に抑えつつ、乾燥および基質回収を最大にする。
非自動化合成のための以前に報告されている方法と、本発明の自動化システムとの間の別の重大な相違は、液体取り扱いのために制御された低速吸引を使用することである。乾燥ステップ中の減少した吸引速度は、前述のように、液体の効率的な取り扱いを可能にした。特に、乾燥ステップの間の2mL/分を超える吸引速度は、主シリンジポンプ中の真空のビルドアップの原因となる。真空はその後、溶媒の蒸発によって解放される。結果として、ボロン酸溶液は完全に吸引されず、モレキュラーシーブ上で効率的に乾燥されない。減少した吸引速度を使用することによって、真空のビルドアップを最小限に抑え、ボロン酸溶液の完全な吸引を可能にする。この低速吸引アプローチも、粗クロスカップリング反応混合物の吸引のために適用されてきた。
前記開示の特定の体積および量は、もちろん、それぞれ、より大きなまたはより小さな全体的スケール自動化機械に適合するように拡大または縮小することができる。ただし、拡大・縮小された体積および拡大・縮小された量は互いに比例したままであるとする。
例示的な自動化カップリングサイクル。自動化カップリングの1つの全サイクルの一例は以下のように進行する。
ステップ1.脱保護モジュールにおいて、MIDAボロネートのキャッチ・アンド・セレクティブ・リリースに基づく加水分解によって、新しく調製されたボロン酸をTHF中溶液として得る。
この例では、MIDAで保護された有機ボロン酸の固体で支持された水酸化アンモニウム試薬による脱保護は、添加されたバルク水を使用することなく進行し、それによって、その後の無水反応(例えば、クロスカップリング)の前にバルク水を除去する必要が回避される。自動合成に関連した様々な水性脱保護条件を試みたが、以下の問題が見出された:
・ボロン酸生成物を抽出するために必要な溶媒の量は、ボロン酸の素性に依存した。極性ボロン酸ははるかに多くの溶媒を必要とした。いくつかのボロン酸は極性が高すぎたので効率的に抽出されなかった。
・抽出ステップで使用される溶媒の量は、妥当な濃度を得るためにさらなる蒸発ステップを必要とする。
・有機相中の大量の水の除去は、非常に大量の乾燥試薬を必要とし、非実用的になった。
・脱保護ステップで導入された水を機械から完全に除去することは、技術的観点から非常に困難であった。残留水はチュービングやシリンジ中に残留した。
固体KOHおよび無水THFで脱保護反応の実施は進行しなかった。固体KOHおよび1%のTHF中水での脱保護反応の実施は一般的な解決策ではなかった。なぜなら、脱保護反応の2つの生成物であるN−メチルイミノ二酢酸ビスカリウム塩およびボロン酸塩(ボロン酸はKOHと反応して、アニオン性ボロン酸塩種を生成する)は、どちらもTHF中に不溶性であり、凝集して、水およびTHFを分離させ、KOHを隔離させ、かくして反応を失速させるからである。Amberlyst A26(OH)樹脂の使用は、これらの問題の全てを解決した。この樹脂は無水でない。なぜなら、水中で調製され、湿った状態で出荷されるからであり;樹脂を洗浄するために用いられる有機溶媒の体積を基準として存在する水の量を制御できる。したがって、脱保護反応を進行させるだけの水を含有し、結果として得られた反応溶液が少量のモレキュラーシーブで容易に乾燥できないほどの多くの水を含有しない、自由流動性樹脂を製造することが可能である。さらに、バルク水が反応に添加されないので、残留水は装具を汚染しない。脱保護反応で生成するN−メチルイミノ二酢酸ビスカリウム塩は樹脂の孔内にトラップされるようになり、未反応KOHまたは水と凝集しないので、凝集の問題は解決される。多くの場合、脱保護反応で生成するボロン酸塩も、樹脂の孔内にトラップされるようになる。樹脂中にトラップされたボロン酸塩は凝集せず、反応を失速させない。さらに、このプロトコルは撹拌を必要としないMIDAボロネートの唯一の脱保護条件である。Amberlyst A26(OH)での反応は、周期的にエアバブリングして混合物を混合しながら進行して60分以内に完全に変換され、かくして多数の脱保護反応が簡単な装具で平行して実施されるのを可能にする。混合物(樹脂およびTHF)を次いで希酢酸で処理して、ボロン酸塩をボロン酸に変換する。このプロセスで生成した、非常に微細な非常に極性の高いN−メチルイミノ二酢酸は、Amberlyst樹脂中にトラップされたままであり、これは混合物のろ過を大幅に容易にする。(N−メチルイミノ二酢酸を隔離するAmberlyst樹脂なしでは、その後のろ過ステップは信頼できないことが判明した。)
ステップ2。このボロン酸溶液を次いでクロスカップリングモジュールに移し、ここで、次のハロゲンを有するビルディングブロック、パラジウム触媒、および固体無機塩基を含有する撹拌された反応混合物にゆっくりと添加する。(a)ハロゲン化物(1当量)に対して過剰のボロン酸(約3当量)の使用;(b)クロスカップリング反応中のそのインサイツ分解を回避する助けになるボロン酸の低速添加または低速放出の使用;および(c)クロスカップリング条件の一般性、効率および穏やかな性質を最大化するためのバックウォルドの非常に効率的で空気中で安定するSPhosPd触媒の使用によって、各ハロゲン化物ビルディングブロックの変換は最大化される(D.M. Knapp, E.P. Gillis J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 6961-6963;およびR. Martin S.L. Buchwald Acc. Chem. Res. 2008, 41, pp 1461-1473)。
ステップ3。結果として得られた粗反応混合物の可溶性成分を精製モジュールに移し、ここで、MIDAボロネート生成物を前記のようなタンデム式沈殿およびキャッチ・アンド・リリースプロセスによって精製する。
自動化システムでは、THF:ヘキサン溶液、EtOと1.5%MeOH(v/v)の溶液およびEtO溶液をSiOカラムの頭頂部から真空下で底部まで通す。このアプローチは、圧力下でカラムの頭頂部から溶液を押し込む標準的クロマトグラフィーとは異なる。また、MIDAボロネートの独特の溶出特性はこの修飾下で持続し、そしてこの修飾は精製ステップの作業を大幅に簡素化する。自動化システムでは、THFをカラムの底部に注入し、陽圧下で頭頂部から流出する。このように、カラムの頭頂部付近で固定されたMIDAボロネートは、THF中で輸送される距離が最小であり(最小カラム体積を有し)、このように、MIDAボロネートを溶出させるために用いられるTHFの量を最小限に抑えることができる。溶媒を同じカラムで別々の時間に反対方向に流すことは、標準的クロマトグラフィーの実施ではないと考えられる。
脱保護、クロスカップリング、および精製のこの3ステップサイクルを、最終ビルディングブロックカップリングステップに到達するまで繰り返す。効率を最大にするために、各シーケンスにおける最終カップリング反応は、水性塩基性条件下での最終MIDAボロネートのインサイツ加水分解によって実施される。これに関連した「スロー・リリース」クロスカップリングは、この最終カップリング反応の収率を最大にするのを助ける可能性がある。ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびオリゴ糖カップリングで用いられるアプローチと同様に、個々のビルディングブロックが他の種類の保護基を含有するならば、これらは、最終生成物の自動クロマトグラフィー精製の前に手動で実施される脱保護反応を用いてまとめて除去される(図1B)。
小分子天然生成物の調製
この新規卓上小分子合成装置を用いて、完全に自動化された方法で、ポリテルペン、脂肪酸、および酸化的カップリングを含む種々の生合成クラスから誘導された、一連の小分子天然生成物の調製によって、その能力を試験した(図2)。選択された反応の詳細を以下の実例のセクションで提供する。理想化されたICCアプローチでは、そのような小分子は、立体特異的クロスカップリング反応のみを用いて構築され、適切な酸化状態でプレインストールされた必要とされる官能性の全てを有し、必要とされる立体化学的関係を有するビルディングブロックのコレクションを反復してアセンブルする(これらの合成に必要とされるビルディングブロックのいくつかは商業的に入手可能である)。
全ての脊椎動物における視覚のための発色団、集光性バクテリオロドプシン複合体、およびほ乳動物の生理学において重要なビタミンの誘導体として、ポリテルピン由来の天然生成物レチナールは、化学、生物学、物理学、および医療における広範囲の調査の焦点である。したがって、この天然生成物およびその誘導体の多くの全自動合成手段は、これらの研究分野の全てに対して広範囲の影響を及ぼす。この天然生成物を、ビルディングブロックBB、商業的に利用可能なBB、およびBBを結合させる2つのカップリングサイクルを用いて自動的に合成した(図2A)。
蛍光脂質であるβ−パリナリン酸は、脂肪酸生合成から誘導され、脂質二重層膜の広範囲にわたる構造的および機能的研究で非常に有用であることが判明した。小分子で存在するモジュール性が生合成クラス間で交雑さえすることを証明して、同じ商業的に入手可能なビルディングブロックBBをβ−パリナリン酸の自動調製において2回使用した。特に、3回繰り返されるカップリングサイクルは、ビルディングブロックBB、BB、BB、およびBBの自動アセンブリに至り、この小分子標的が効率的に調製される(図2B)。
別の例で、ネオリグナンラタニン(A. Arnone, V. Di Modugno, G. Nasini, O.V. de Pava Gazz. Chim. Ital. 1990, 120, 397-401)は、一般的なビルディングブロックの酸化的カップリングから誘導されるモジュール式天然生成物であり、この場合、フェニルアラニン由来のフェニルプロパノイドビルディングブロックである(S.R. Angle, K.D. Turnbull, J. Org. Chem. 1993, 58, 5360-5369)。他の誘導体のように、このビルディングブロックベースの生合成方策の結果、実質的なモジュール性が得られる。例えば、MIDAボロネートBB中に存在するプロペニルフラグメントは、広範囲にわたる天然生成物で見られ、このビルディングブロックは現在、商業的に入手可能である。ラタニンを、BB、BB10、BB11、およびBB12の逐次カップリングによって自動的に合成し、続いてメトキシメチル(MOM)エーテルの最終的な全体的脱保護をおこなった。この種類の全体的な脱保護は、自動的に合成されたペプチド、オリゴヌクレオチド、およびオリゴ糖を脱保護するために用いられるものと類似している。図2Cを参照のこと。
図2Dで示されるように、興味深いPK/NRPS由来の天然生成物クロカインCは、商業的に入手可能なMIDAボロネートBBから出発して自動的にアセンブルされる。BBおよびBBでの自動カップリングの2サイクルで天然生成物が産生されると予想される。
自動化ICCの簡単で柔軟な性質は、その機能の基本的研究をおこなうための可能性を有する特定の小分子の誘導体の迅速な調製を可能にする可能性があることも提案される。特に、前述のように、広範囲の科学分野にわたるその例外的な重要性のために、レチナールは、化学者、生物学者、生物物理学者、および分子工学者によって熱心に研究されてきた。二重結合立体化学は、この天然生成物の機能と密接に関連し、これらの関係の調査は、化学的に純粋な形態でこれらの立体異性体に効率的利用法を必要とする。さらに、13C原子で部位選択的に標識されたレチナール誘導体は、NMR分光法が介在する生物物理学的研究に非常に価値がある。ICCアプローチは、単に、前述の自動合成シーケンスに所望の立体化学を有する別のMIDAボロネートビルディングブロックおよびプレインストールされた部位特異的13C標識を組み入れることによって、これらの合成課題の両方に潜在的に取り組むことができると認められる(図3A)。特に、ビルディングブロックBB、(E)−BB、(Z)−BB、(E)−13−BB、(Z)−13−BB、BB、および13−BBの種々の組み合わせの全自動反復的カップリングは、2つの可能な立体異性体であり、それぞれ3つの異なるパターンで13C標識されている、レチナールの6つの異なる誘導体を産生することが予想される(図3B)。
自動化ICCはまた、医学的応用のためのそれらの可能性を改善することを目的として、生物学的に活性な小分子天然生成物の多くの誘導体の調製を実質的に加速する理論的能力も有する。具体例として、ラタニンは、ネオリグナン天然生成物の非常に大きなファミリーのただ1つのメンバーである。これらの天然生成物の多くは、興味深い抗真菌、抗レーシュマニア、抗血管新生、抗リウマチ、抗腫瘍、および/または脂質低下特性を示し、いくつかは新規医薬開発のための主導化合物として用いられてきた(S. Apers, A. Vlietinck, L. Pieters, Phytochem. Rev. 2003, 2, 201-217)。天然生成物のこのファミリーの構造的アナログを調製するための自動化ICCの可能性を調査するために、これらの化合物の多くで一般的に見られる種々の下部構造を示す4組のビルディングブロックがプレアセンブルされた。全自動化ICCを用いて全ての可能な組み合わせでこれらのビルディングブロックを連結させて、保護された形態で、4つのネオリグナン天然生成物および20の新規ネオリグナンアナログを生成することができることが予想される(図4B)。ヒドロキシル保護基の除去および自動HPLC精製後、これらの天然生成物および天然生成物誘導体の全ては、生物学的アッセイに適した量で生成されることが予想される。
小分子合成のための全自動化ICCプラットフォームの開発は、小分子を実験室で調製することができる効率および柔軟性を増大させる重要なステップである。ある種類の小分子(例えば、多くのCsp−Csp結合を有するもの)は現在、他のものよりもこのアプローチに反応しやすいが、Cspカップリングパートナーを次第に多く含むスズキ・ミヤウラ反応の急速に拡大する範囲(M.R. Netherton, G.C. Fu, Adv. Synth. Catal. 2004, 346, 1525-1532)は、このアプローチの潜在的な一般性が実質的であることを示唆する。この合成装置は、小分子合成の権限を化学者以外まで拡大するために有効であり、最終的に小分子科学における律速段階が合成の達成から機能の理解までシフトするのを助ける。小分子の機能的能力が、現在理解されているかまたは利用されているものをはるかに超える可能性が高いことを想定すれば、本明細書中に記載される開発は、科学と医療とのどちらにおいても広範囲の影響を及ぼすのに有効である。
定義
冠詞「a」および「an」は、本明細書中で用いられる場合、1以上(すなわち、少なくとも1つ)の、冠詞の文法上の目的語を指す。例として、「an element」は、1つの要素または1より多い要素を意味する。
「および/または」という表現は、本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、そのように連結された要素の「どちらかまたは両方とも」、すなわち、ある場合では結合して存在し、そして他の場合では結合せずに存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」を用いて列挙される複数の要素は、同じように、すなわちそのように連結された「1以上の」要素と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素が場合によって存在し得る。したがって、非限定的例として、「Aおよび/またはB」に対する言及は、「含む(comprising)」などの制限のない言語に関連して使用される場合、1つの実施形態では、Aのみ(場合によってB以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(場合によってはA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(場合によって、他の要素を含む);などを指す可能性がある。
明細書および請求項で用いられる場合、「または(or)」は、前記定義の「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストの項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、多くの要素または要素のリストの少なくとも1つを含むが、1より多い要素も含み、場合によって、さらなる列挙されていない項目も含むと解釈されるべきである。例えば「1つだけ」または「ちょうど1つ」、または請求項で用いられる場合、「〜からなる」などの明らかに逆に記載されている用語だけは、多くの要素または要素のリストのちょうど1つの要素を含むことを意味する。一般的に、本明細書中で用いられる「または」という用語は、例えば「いずれか(either)」、「1つ」、「1つだけ」、または「ちょうど1つ」などの排他的な用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、「1つまたはその他であるが、両方ではない」)を示すと単に解釈されるべきである。「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」とは、請求項で用いられる場合、特許法の分野で用いられる通常の意味を有するものとする。
明細書および請求項で用いられる場合、1以上の要素のリストに関する「少なくとも1つ」という語句は、そのリストの要素の任意の1以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙された全要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト中の要素の組み合わせを除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に特定された要素に関連するかまたは関連しないかに関わらず、「少なくとも1つ」という表現が意味する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が場合によって存在し得ることも許容する。したがって、非限定的例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に、「AもしくはBの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/もしくはBの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態では、場合によって1より多いAを含み、Bは存在しない、少なくとも1つ(そして場合によってB以外の要素を含む);別の実施形態では、場合によって1より多いBを含み、Aは存在しない、少なくとも1つ(そして場合によってA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、場合によって1より多いAを含む、少なくとも1つ、および場合によって1より多いBを含む少なくとも1つ(および場合によって他の要素を含む);などを指す可能性がある。
明らかに別段の記載がない限り、1より多いステップまたは作用を含む本明細書中で請求される任意の方法において、方法のステップまたは作用の順序は、必ずしも、その方法のステップまたは作用が記載される順序に限定されるとは限らないことも理解されるべきである。
請求項、ならびに前記明細書において、例えば「含む(comprising)」、「包含する(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「〜から構成される(composed of)」などのすべての移行句は、制限がない、すなわち、含むが限定されないと理解されるべきである。「〜からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という移行句だけは、米国特許庁特許審査基準第2111.03節に記載されているように、それぞれ、排他的または半排他的移行句である。
実例
本発明を一般的に記載してきたが、本発明のある態様および実施形態を例示する目的のみで含まれ、本発明を制限することを意図しない、以下を参照することによってさらに容易に理解されるであろう。
実施例1 一般的装置設計主体
自動化小分子合成機の一例を図1D(写真)および図5(概略図)に示す。この注文設計された装置は、8つの小分子の全自動合成を同時に実行することができる。各合成は、1〜3の反復的カップリングシーケンスから構成され、この場合、各カップリングシーケンスは、脱保護ステップ、クロスカップリングステップおよび精製ステップを含む可能性がある。装置の機構は8つの主シリンジポンプに集中している。各8つの主シリンジポンプは1つだけの合成に専用である。これらの8つの主シリンジポンプは独立して作動して、反復的カップリングシーケンスを平行して実行する。各合成のためのリソースは、以下の例外:全ての溶媒および全ての生成物アウトプットポートは、主シリンジポンプの全てによって共有されることを除いては、別の主シリンジポンプのリソースにアクセスしないように区分される。さらに、補助シリンジポンプは精製ステップのための共有リソースとして用いられる。別の補助シリンジポンプは、全ての水溶液を取り扱うための共有リソースとして用いられる。機械を操作する注文設計されたソフトウェアは共有リソースが分配される方法を支配する。
標準的バルブ。バルブモジュールをJ-KEM Scientificから購入し(部品番号Syr−CS4)、USB連結部へのRS485を介して制御コンピュータに連結する。各バルブモジュールは、4つの8ポート流れ選択バルブ(J−KEM、部品番号SPDV−CS8)を備えている。各バルブはインプット流れに連結し、これは、バルブの中央を通って、8つの可能なアウトプット流れ(ポートA〜H)のうちの1つに侵入する。標準的バルブの位置を図5に示す。
シリンジポンプバルブ。各シリンジポンプに、8ポート流れ選択バルブ(J−KEM、部品番号SPDV8)を取り付け、この場合、インプット流れは、ポート「E」の直前に連結されたシリンジから侵入する。ポート「E」は、シリンジによって部分的にブロックされ、アウトプット流れと連結するために、フラッシュネットフィッティング(IDEX Health and Science、部品番号F−358)を必要とする。シリンジポンプバルブの位置を図5に示す。
シリンジポンプ。シリンジポンプをJ-KEM Scientificから購入し(P1−P8については部品番号SYR1400−8、P9およびP10については部品番号SYR−1400PC)、USB連結部へのRS485を介して制御コンピュータに連結する。各シリンジポンプに、8ポート流れ選択バルブ(J−KEM、部品番号SPDV8)およびTeflonプランジャーを備えた10mLガラスシリンジ(J−KEM、部品番号SPGS−10000)を取り付けた。シリンジポンプは、0.0029mLの段階で、0.0mL/分から70.0mL/分までの速度で抜き取り、注入する。シリンジポンプの位置を図5に示す。
反応管。二次汚染を最小限に抑え、合成の迅速なセットアップを可能にするために、全ての化学的操作はLuknovaから購入した使い捨てポリプロピレン管(商品番号FC003012)中で実施する。管の寸法は21mm×120mm(ID×長さ)である。管の底部に、21mm直径×5mm高さのフリットを取り付ける。管の底部にオスルアーチップが挿入され、一方、管の頭頂部を、メスルアーポートを含む気密性ねじぶたで密封する。管は25mLまでの溶媒体積を保持する。反応管の例を図6および8に示す。
チュービングおよびフィッティング。すべてのチュービングおよびフィッティングは、IDEX Health and Scienceから購入した。機械で用いられるチュービングは、0.030インチ(ID)×1/16インチ(OD)Teflon FEPチュービング(部品番号1520xL)である。すべてのチュービング連結部は、1/16インチのETFEフランジレスフェルール(部品番号P−200x)および1/4−28アセタールフィッティング(部品番号P−202x)で作製した。オスルアーフィッティング(部品番号P−625)およびメスルアーフィッティング(部品番号P−658)は、それぞれETFEおよびPEEKである。管およびフィッティングの例を図6に示す。
実施例2−装置のコンピュータ制御
一般的プログラミングデザイン主体。全ての装置装具は、Microsoft Visual Basic 2008 Express Editionを用いたVB.NETで書かれた特別注文のプログラムによって制御される。装置は、Windows(登録商標)Vistaを実行する1つのコンピュータによって制御される。装置は、8つの主シリンジポンプのそれぞれに対して独立して実験を実施するように設計される。各主ポンプは、他のポンプに影響を及ぼすことなく自由に開始し、停止することができる。さらに、実験を同時に実行するスクリプトは、実験をうまく実施するために、同じである必要は無く、また連係させる必要もない。プログラムは、一般的なバルブ装具および補助シリンジポンプなどの共有されたリソースの分布ならびにCOMポート上の帯域幅を管理するために設計される。
実験を実行するために用いられるスクリプトのセットアップおよび修飾は、簡単で安易になるように設計される。この目的のために、簡単な特別注文のスクリプト言語が開発された。スクリプト言語は、指示をバーチャルマシンに送るため、これらの操作のタイミングを管理するため、そして共有リソースへのアクセスをロック/ロック解除するために用いられるコマンドの小さなコレクションを含む。プログラムは、この特別注文のスクリプト言語のための通訳の役割を果たし、バーチャルマシンの指示を必要とされる装置ハードウェアにマップする。このようにして、同じスクリプトを修飾することなく主シリンジポンプのいずれにも用いることができる。
装置装具への連通。コンピュータのシリアルポートを用いてコマンドを装置装具に送る。装置装具のRS485シリアルポートはシリアル・トゥ・USBコンバータに連結され、これはコンピュータに連結される。各COMポートは、16ピースまでの装具を扱うことができ、この場合、1ピースの装具は、バルブまたはシリンジポンプと定義される。シリンジポンプは、ソレノイドバルブをさらに制御する可能性があるか、または制御する可能性がない。構成される場合、装置への連通は、4つのCOMポートにわたって分布する。コマンドを毎20ミリ秒程度で装具に送ることができる。この遅延を実行するために、プログラムは装具に送られるコマンドのキューを維持する。装具によって認識されるコマンドは:バルブを特定の位置へ移動させ、バルブの現在の位置を報告し、シリンジプランジャーを特定の位置に特定の速度で移動させ、ソレノイドバルブをオン/オフにし、そして装具が直前のコマンドの実行を完了したかどうかを報告する。
プログラム構成。各バルブおよび各シリンジポンプは、「装具対象」としてプログラム的に表される。装具対象のそれぞれは、スクリプト言語のコマンドを装具対象によって表される実際のハードウェアにマップさせるために用いることができる識別子を与えられる。各主ポンプは、主ポンプに利用可能なリソースを表す装具対象の全てのための容器である「ポンプ対象」を割り当てられる。全ての装具対象を含むポンプ対象は1つもないが、全ての装具対象は、少なくとも1つのポンプ対象に含まれていた。実験が主ポンプで実行される場合、スクリプトされたコマンドのリストは、テキストファイルとして対応するポンプ対象へと渡される。ポンプ対象は、スクリプトされたコマンドの校正、通訳および実行、ならびに必要に応じてグラフィックユーザーインターフェース(GUI)のアップデートに関与する。
スクリプト実行。ポンプ対象にコマンドラインのテキストファイルが渡されると、ポンプ対象は各コマンドラインを「コマンド対象」に通訳する。コマンド対象は、コマンドを実行するために必要な情報のすべてを含む。一旦コマンド対象が作製されると、それはポンプ対象によって管理されるキューに入力される。このプロセスによって、スクリプトは校正されて、コードの適切な実行を妨害するシンタックスエラーを特定する。スクリプトは次いで、キューから項目を読み出すことによって実行し、COMポートを介して適切なコマンドを装具に送り、コマンドが完了するまで機械装具の状態を定期的にチェックし、次いでキュー中の次のコマンドのためにプロセスを繰り返す。
スクリプト言語。スクリプト言語は、それらの用途を表示した以下のコマンドを含む:
実施例3 化学合成
一般的手順。全ての化学的操作を、Luknovaから購入したポリプロピレン管(商品番号FC003012)中で実施した。管の寸法は21mm×120mm(ID×長さ)である。管の底部に、21mm直径×5mm高さのフリットを取り付けられている。管の底部にはオスルアーチップが挿入され、一方、管の頭頂部は、メスルアーポートを含む気密性ねじぶたで密封される。管は25mLまでの溶媒体積を保持する。
脱保護管。自動化を可能にするために、Amberlyst A26(OH)樹脂を使用して新規MIDAボロネート脱保護方法を開発した。Amberlyst A26(OH)をSigma-Aldrichから購入し、N雰囲気下、4℃で保管した。Amberlyst A26(OH)(20mLの懸濁液体積)をMeCN(50mL)で2回洗浄し、各洗浄では、60秒間激しく撹拌した。樹脂が明るいベージュ色になり、自由流動性になるまで、5分間高速空気流下で残留溶媒を蒸発させた。各ポリプロピレン管に、Amberlyst樹脂(1.0ミリモルの脱保護されるMIDAボロネートあたり2.0gの樹脂)および、場合によって、MIDAボロネート出発物質を添加した。管にふたをし、次いで機械上に置き、この場合、底部ルアーチップは脱保護テーブルに連結し、頭頂部ルアーポートをアルミ箔で覆う。
乾燥および脱気管。ポリプロピレン管にCelite(登録商標)、活性化モレキュラーシーブ(4Å、8〜12メッシュ)およびKCOを添加した。これらの試薬の量は、以下で示すように、乾燥/脱気前の脱保護ステップで使用されるAmberlyst A26樹脂の量に比例する。固体床の上に、5mLのポリプロピレンシリンジのプランジャーから切り出したプラスチックプランジャー(Fisher #14-817-28、Norm-Ject)を置いた。プランジャーは、脱気ステップ中に固体が持ち上がるのを防止する。管にふたをし、次いで機械上に置き、この場合、底部ルアーチップは脱気テーブルに連結し、頭頂部ルアーポートはガスマニホルドに連結される。
反応管。少量のPd(OAc)およびS−Phosの移動を助けるために、これらの試薬を以下のようにしてCsCO上に吸着させた。40mLガラスバイアルに、Pd(OAc)(22mg)およびCsCO(2.723g)を添加した。バイアルにTHF(10mL)を添加し、懸濁液を真空で濃縮して、淡黄色粉末であるPd混合物を得た。40mLガラスバイアルに、S−Phos(76mg)およびCs2CO3(2.667g)を添加した。バイアルにTHF(10mL)を添加し、懸濁液を真空で濃縮して、白色粉末であるSPhos混合物を得た。
ポリプロピレン管に、撹拌棒(Big Science Inc., SBM-1508-REH)、ハロゲン化物(0.333ミリモル)、Pd混合物(488mg、5%Pd)およびSPhos混合物(488mg、10%S−Phos)を添加した。水性カップリングのために、管に、KOHペレット(75mg、1.7ミリモル)を添加した。管に修飾されたふた(詳細を参照)をして、加熱ブロック中に入れた。管の底部を反応テーブルに連結し、管の頭頂部は、ガスマニホルドに対してベントされ、上から2番目のインプットを、ボロン酸の添加のために反応テーブルに連結する。以前に公開された「スリー・リリース」クロスカップリングの報告に基づいて、ボロン酸をシリンジポンプによってゆっくりと添加して、インサイツ分解を最小限に抑え、それによって収率を最大にした。
自動化。自動化シーケンスにおける各カップリングを次の全自動スクリプトにしたがって実施した:
脱保護
1)THF(5mL)を脱保護管に添加する
2)混合物をガスバブリングによって60分間撹拌する
3)THF中AcOH(4.0M、1.0gのAmberlyst樹脂あたり5.0ミリモル)を添加する
4)混合物をガスバブリングによって15分間撹拌する
5)溶液を乾燥管に移し、樹脂をTHF(5×1.0mL)で洗浄する
6)混合物にArガスを15分間散布する
7)反応管にArガスを15分間散布する間、2分ごとのガスバブリングによってTHF混合物を撹拌する
クロスカップリング
8)THF(3mL)を反応管に添加し、混合物を10分間撹拌する。
9)ボロン酸溶液を乾燥管から反応管へと120分にわたって移し、固体をTHFで洗浄する(3×1.0mL)
10)反応混合物を150rpmで22時間撹拌する。
精製
11)ヘキサン(12mL)をppt.チャンバーに添加し、次いで反応溶液の一部(3mL)をppt.チャンバーに添加する。
12)ppt.チャンバー中の溶液をSiOプラグから抜き取り、廃棄する
13)反応溶液のすべてが移されるまでステップ11および12を繰り返す
14)EtOw/MeOH(1.5%v/v)(7.5mL)をppt.チャンバーに添加し、溶液をSiOプラグから抜き取り、廃棄する。さらに4回繰り返す。
15)EtO(7.5mL)をppt.チャンバーに添加し、溶液をSiOプラグから抜き取り、廃棄する。さらに2回繰り返す。
16)SiOプラグを通してArガスを3分間流して、残留溶媒を蒸発させる。
17)THF(6.8mL)をppt.チャンバーに添加する
18)SiOプラグからTHF溶液を抜き取り、次いで溶液をppt.チャンバーへ注入して戻す。さらに2回繰り返す。
19)SiOプラグからTHF溶液を抜き取り、溶液を次の反応で使用する脱保護管に注入する。次の反応はステップ1から開始する。
直接リリース/水性カップリング修飾(典型的には自動合成の最後のステップとして実施)。このシーケンスは、一般的な自動化スクリプト(上述)からのステップ19の後に開始する。
1)先のクロスカップリングの精製から誘導されるTHF溶液にArガスを15分間散布する。
2)THF溶液を反応管に一度に移す。
3)混合物を5分間撹拌する。
4)脱気したHO(2mL)を反応管に添加する
5)反応混合物を室温で12時間撹拌する。
6)水性NHCl(2.5mL)を添加し、5分間混合し、次いで混合物の全体を抜き取り、それを生成物試験管に移す。
β−パリナリン酸。全てのステップは一般的手順にしたがって実施した。機械は以下のような試薬管を備えていた。

ステップ1。機械は、Amberlyst樹脂(2.0g)およびMIDAボロネート1(211mg、1.0ミリモル)を装填した脱保護管;モレキュラーシーブ(2.0g)、KCO(2.0g)およびCelite(登録商標)(0.2g)を装填した乾燥管;ならびにPd混合物(488mg)、SPhos混合物(488mg)およびボロン酸塩2(103mg、0.333ミリモル)を装填した反応管を備えていた。
ステップ2。機械は、Amberlyst樹脂(1.0g)を装填した脱保護管;モレキュラーシーブ(1.0g)、KCO(1.0g)およびCelite(登録商標)(0.1g)を装填した乾燥管;ならびにPd混合物(244mg)、SPhos混合物(244mg)、およびボロン酸塩2(34mg、0.11ミリモル)を装填した反応管を備えていた。
ステップ3。機械は、脱保護管(空であるが、MIDAボロネート溶液の散布に使用)ならびにPd混合物(60mg)、SPhos混合物(60mg)、KOH(75mg、1.7ミリモル)およびハロゲン化物3(11mg、0.037ミリモル)を装填した反応管を備えていた。
自動化。合成を完全に自動化された方法で、オペレータの介入なしに実施した。ステップ1およびステップ2は標準的スクリプトにしたがって実施し、ステップ3は標準的スクリプトの直接リリース/水性カップリング修飾にしたがって実施した。機械から出力された水性混合物を次のようにして手動で精製した:混合物を60mLの分液漏斗に移し、飽和水性NHCl(10mL)で希釈した。混合物をEtO(20mL)で2回抽出し、組み合わされた有機物を塩水(20mL)で洗浄し;MgSO上で乾燥し;ろ過し、次いで真空で濃縮した。黄色残留物をSiOクロマトグラフィーによって精製して、β−パリナリン酸を白色固体として得た(収量は測定せず)。合成された生成物のH−NMR(CDCl)スペクトルは文献データと完全に一致した(Lee, S. J.;Gray, K. C.;Paek, J. S.;Burke, M. D. J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 466-468)。
各ステップの効率を特性化し、全ての中間体を特性化するために、ステップ1を繰り返し、標準的スクリプトのライン19で生成したMIDAボロネート溶液を試験管に移し、次いで濃縮して、純粋な中間体4を無色固体(40mg、52%)として得た。
1H-NMR (500 MHz, acetone-d6): δ 6.53 (dd, J = 17.0, 10 Hz, 1H), 6.11 (dd, J = 15.5, 10.0 Hz, 1H), 5.82 (dt, J = 15.5, 6.5 Hz, 1H), 5.54 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 4.20 (d, J = 17.0 Hz, 2H), 4.01 (d, J = 17.0 Hz, 2H), 2.98 (s, 3H), 2.10 (quint, J = 7.5 Hz, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H). 13C-NMR (125 MHz, acetone-d6): δ 196.1, 143.7, 137.8, 132.6, 62.2, 47.2, 26.1, 13.7
ステップ1およびステップ2を繰り返し、第2カップリング(標準的スクリプトのライン19)中に生成したMIDAボロネート溶液を試験管に移し、次いで濃縮して、純粋な中間体5を無色固体(22mg、76%)として得た。
1H-NMR (500 MHz, acetone-d6): δ 6.58 (dd, J = 18.0, 10.5 Hz, 1H), 6.28 (dd, J = 15.0, 10.0 Hz, 1H), 6.20 (dd, J = 15.0, 10.0 Hz, 1H), 6.11 (ddt, J = 15.5, 10.5, 1.5 Hz, 1H), 5.82 (dt, J = 15.0, 6.5 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 4.21 (d, J = 17.0 Hz, 2H), 4.03 (d, J = 17.0 Hz, 2H), 2.99 (s, 3H), 2.12 (quint, J = 7.5 Hz, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H). 13C-NMR (125 MHz, acetone-d6): δ 169.0, 143.5, 138.3, 134.8, 133.5, 130.3, 62.2, 47.3, 26.4, 13.8.
全トランスレチナール。全てのステップは一般的手順にしたがって実施した。機械は以下のような試薬管を備えていた。

ステップ1。機械は、Amberlyst樹脂(1.0g)を装填した脱保護管およびMIDAボロネート6(173mg、0.500ミリモル);モレキュラーシーブ(1.0g)、KCO(1.0g)およびCelite(登録商標)(0.1g)を装填した乾燥管;ならびにPd混合物(244mg)、SPhos混合物(244mg)およびボロン酸塩2(52mg、0.111ミリモル)を装填した反応管を備えていた。
ステップ2.機械は、Amberlyst樹脂(0.5g)を装填した脱保護管;モレキュラーシーブ(0.5g)、KCO(0.5g)およびCelite(登録商標)(50mg)を装填した乾燥管;ならびにPd混合物(82mg)、SPhos混合物(82mg)を装填した反応管を備えていた。別のポリプロピレン管にハロゲン化物7(0.056ミリモル)の脱気したTHF(3mL)中溶液を入れた。
自動化。合成をオペレータの介入なしに完全に自動化された方法で実施した。ステップ1を標準的スクリプトにしたがって実施した。ステップ2を、標準的直接リリース/水性カップリング修飾スクリプトにしたがい、標準的スクリプトのライン8で使用したTHFがハロゲン化物7を含有する溶液全体であるというさらなる修飾を加えて実施した。さらに、ステップ2のスクリプトをライン10の後で停止させ、反応溶液を試験管から出した。生成物を次のようにして手動で精製した:反応溶液を真空で濃縮し、固体黄色残留物を、Isco−Teledyne CombiFlashシステムを使用したSiOクロマトグラフィーによって精製して、全トランスレチナールを黄色固体として得た(3.3mg、20%)。生成物のH−NMR(CDCl)スペクトルは文献データと完全に一致した(Lee, S. J.;Gray, K. C.;Paek, J. S.;Burke, M. D. J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 466-468)。
実施例4 精製プラットフォームの一般性
新規精製プラットフォームの一般性を確立するために、アリール、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル、およびアルキル誘導体を含む多様な構造を表す一連のMIDAボロネートを精製するその能力を試験した。簡単には、各MIDAボロネート(1当量)(表1)をトリル−ボロン酸(1当量)およびTHF中パラジウム触媒(0.1当量)と混合することによって、擬粗反応混合物を調製した。これらの混合物のそれぞれを、次いで、本明細書中で詳細に記載されるハイブリッド沈殿/キャッチ・アンド・リリースプラットフォームによる全自動精製に付した。このプロセスの終了後、これらのMIDAボロネートの全ては、H NMRによって判定されるように90%を超える純度で得られ(図11〜26を参照のこと)、そして回収されたMIDAボロネートの収率は良好ないし極めて優れていた(表1)。
手順の詳細は次のとおりである。
触媒溶液の予備活性化:実施される精製につき酢酸パラジウム(II)(0.001875ミリモル、2.5モル%)およびSPhos(0.00375ミリモル、5モル%)を、PTFEでコーティングされた磁気撹拌棒を備えた8mLのシンチレーションバイアル中で組み合わせ、アルゴン雰囲気下に置いた。THFを添加して、0.01Mの触媒ストック溶液(酢酸パラジウム(II)に関して)を生成させ、それを30分間室温で激しく撹拌して、橙色、黄色または透明溶液を生成させた。この活性化プロセスの後、1mLの触媒ストック溶液を、シミュレーションされた反応混合物を含有するポリプロピレンカートリッジ中の溶液に添加した。
反応チャンバーの調製およびインストール:新しいフリット付12gLuknovaポリプロピレンカートリッジに、MIDAボロネート(0.075ミリモル、1当量)、4−メチルベンゼンボロン酸(0.075ミリモル、1当量)、およびTHF(10mL)を添加した。予備活性化された触媒溶液の添加後、カートリッジを、自動合成機の反応ブロック中のルアーフィッティングにインストールした。全カートリッジが所定の位置になったら、コンピュータインターフェースを使用して自動精製ルーチンを実施した。試料をTHF溶液として、風袋を測定した40mLのシンチレーションバイアル中に集めた。
精製から回収された物質の濃縮、共沸乾燥、および分析:THF溶液を減圧下、ロータリーエバポレーターで濃縮し、次いで残留物をジクロロメタン(3×5mL)と共沸させて残留溶媒を除去した。これらの残留物を次いで真空下に12〜36時間置き、その後、アセトン−d6中のH NMRを、所望のMIDAボロネートの標準的試料と、そしてシミュレーションされた反応混合物の試料と比較することによって、収率および純度を測定した。
自動化精製の詳細なプロトコル
1)バックグラウンドで、補助ポンプは6mLのヘキサンを吸引し、これを沈殿チャンバーの底部へ、シリカゲルカラムを通して送達する。このプロセスを合計12mLのヘキサンについて1回繰り返す。
2)主ポンプは9mLの反応混合物を反応チャンバー底部から吸引し、そして6mLを底部から戻して、3mLだけが沈殿チャンバーに送達されることを確実にする。
3)主ポンプは、3mLの反応混合物を、12mLのヘキサンを含む沈殿チャンバーの頭頂部へ送達する。これにより、THF溶液からMIDAボロネート沈殿が誘発される。主ポンプは次いで乾燥窒素の2つの10mLプラグを沈殿チャンバーの底部に送達(シリカゲルカラムを迂回する)して、撹拌棒を除去する。
4)沈殿チャンバー中の懸濁液を補助ポンプによって底部からシリカゲルカラムを通って吸引する。溶離液を廃棄する。
5)ステップ1〜4をさらに3回繰り返して、反応混合物の全てを沈殿チャンバーに送る。
6)主ポンプは1.5mLのTHFを吸引し、それを反応チャンバーの頭頂部へリンス液として送達する。ステップ1〜3を繰り返す。
7)主ポンプは1.5mLのTHFを吸引し、それを反応チャンバーの頭頂部へリンス液として送達する。ステップ2〜3を繰り返す。
8)ステップ4を繰り返す。
9)ステップ1〜4を繰り返す。
10)ステップ4を繰り返す。
11)主ポンプは6.5mLのEtO中1.5%(v/v)MeOHを吸引し、それを沈殿チャンバーの頭頂部へ送達する。このプロセスを13mLの溶媒の全送達のために1回繰り返す。
12)主ポンプは乾燥窒素の2つの10mLプラグを沈殿チャンバーの底部へ送達(シリカゲルカラムを迂回)して、撹拌棒を除去する。
13)ステップ4を繰り返す。
14)ステップ11〜13を繰り返す。ステップ4を再度繰り返す。
15)ステップ11〜13を、EtO中1.5%(v/v)MeOHのかわりにEtOを用いて2回繰り返す。ステップ4をさらに2回繰り返して、シリカゲルカラムを完全に乾燥させる。
16)補助ポンプを2×1mLのTHFでリンスして、残存するMeOHを洗い流す。洗浄THFを廃棄する。
17)補助ポンプは6mLのTHFを吸引し、沈殿チャンバーの底部へシリカゲルカラムを通してゆっくりと送達する。このプロセスを、合計で12mLのTHFについて1回繰り返す。
18)主ポンプは5mLの乾燥窒素を吸引し、それを沈殿チャンバーの底部へ送達(シリカゲルカラムを迂回)して、懸濁液を撹拌し、かくして、MIDAボロネート溶液の混合を促進する。このプロセスを40回実施する。
19)MIDAボロネートのTHF溶液を主ポンプによって沈殿チャンバーの底部から吸引する(シリカゲルカラムを迂回)。溶液を捕集管に送達する。この吸引/送達をさらに5回繰り返して、完全な移動を確実にする。
20)補助ポンプは、シリカゲルカラム中の残留THFを沈殿チャンバーの底部中へリンス液として押し込む。
21)主ポンプは5mLの乾燥窒素を吸引し、それを沈殿チャンバーの底部(シリカゲルカラムを迂回)へ送達して、懸濁液を撹拌し、かくしてMIDAボロネート溶液の混合を促進する。このプロセスを5回実施する。
22)THFリンスを主ポンプによって沈殿チャンバーの底部から吸い出す(シリカゲルカラムを迂回)。溶液を捕集管に送達する。
広範囲にわたる構造的に多様なMIDAボロネートのこの研究から得られた結果は、ハイブリッド沈殿/キャッチ・アンド・リリース精製法が著しく一般的であることを示す。
実施例5 水性脱保護モジュール
フェニルMIDAボロネート、トリエニルMIDAボロネート、およびブテニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護を、前述の水性脱保護法およびモジュールを用いて実施した。
フェニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護によってフェニルボロン酸を得た。その後のヨウ化ビニル二官能性ビルディングブロックとの自動クロスカップリングによって、所望のカップリングされた生成物を手作業の精製後に77%の収率で得た。図28Aを参照のこと。
トリエニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護によってトリエニルボロン酸を得た。その後のヨウ化ビニル二官能性ビルディングブロックとの自動クロスカップリングによって、所望のカップリングされた生成物を手作業の精製後に66%の収率で得た。図28Bを参照のこと。
ブテニルMIDAボロネートの自動化された水性脱保護によって、ブテニルボロン酸を得た。その後のジエニルヨウ化ビニル二官能性ビルディングブロックとの自動化されたクロスカップリングによって、75%の収率の予想される異性体トリエニルカップリング生成物を、自動化精製後に75%収率で得た。図28Cを参照のこと。
実施例6 水性脱保護モジュールを用いた全トランスレチナールの全自動合成
第1脱保護管を次のようにして調製した:新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)に、トリエニルMIDAボロネート(345.2mg、1ミリモル、9当量)を添加した。これに、水酸化ナトリウム(120.0mg、3ミリモル、27当量)を添加した。カートリッジに、そのメスルアーポートねじぶたでふたをした。このルアーポートに、プランジャーを除去しておいた5mLのポリプロピレンシリンジバレル(Henke-Sass, Wolf GmbH, Tuttlingen, Germany, 78532、部品番号A5)に取り付けた。この第1脱保護管にアルミ箔を巻き付けた。
第2脱保護管を次のようにして調製した:新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)に、水酸化ナトリウム(40.0mg、1ミリモル、9当量)を添加した。水酸化ナトリウムペレットを清浄なカミソリの刃でそり落として適切な質量にし、迅速にまとめて、大気中の水分の吸着を最小限に抑えた。カートリッジにそのメスルアーポートねじぶたでふたをした。このルアーポートに、プランジャーを除去しておいた5mLのポリプロピレンシリンジバレル(Henke-Sass, Wolf GmbH, Tuttlingen, Germany, 78532、部品番号A5)を取り付けた。この第2脱保護管にアルミ箔を巻き付けた。
第1および第2前乾燥管を次のようにして調製した:新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)に、Celite(登録商標)545ろ過助剤(800mg、酸洗浄せず、Acros Organics、製品番号349670025、ロット番号A0287832)を添加した。これに、無水硫酸マグネシウム(2.1g、ReagentPlus(登録商標)、≧99.5%、Sigma-Aldrich、製品番号M7506、ロット番号080M0246V)を添加した。これらの2つの固体を視覚的に均一になるまでスパチュラで混合した。固体混合物の上に5mLのポリプロピレンシリンジプランジャー(Henke-Sass, Wolf GmbH, Tuttlingen, Germany, 78532、部品番号A5)を置き、手作業で約6.5cmの長さに切断した。カートリッジにそのメスルアーポートねじぶたでふたをした。ルアーポートを小さな正方形(約1cm×1cm)のアルミ箔でしっかりと覆った。各前乾燥管にアルミ箔を巻き付けた。
第1および第2乾燥管を次のようにして調製した:新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)に、Celite(登録商標)545ろ過助剤(300mg、酸洗浄せず、Acros Organics、製品番号349670025、ロット番号A0287832)を添加した。これに、活性化モレキュラーシーブ(3.6g、4Å、−325メッシュ、Sigma-Aldrich、製品番号688363、ロット番号MKBF4010V)を添加した。モレキュラーシーブを300℃、周囲圧力で24時間活性化し、乾燥アルゴン下、Drierite上、真空デシケーター中で冷却/保管した。これらの2つの固体を混合しなかった。層状固体の上に、5mLのポリプロピレンシリンジプランジャー(Henke-Sass, Wolf GmbH, Tuttlingen, Germany, 78532、部品番号A5)を置き、手作業で約5.5cmの長さに切断した。カートリッジにそのメスルアーポートねじぶたでふたをした。各乾燥管にアルミ箔を巻き付けた。
第1および第2脱酸素および濃縮管を次のようにして調製した:新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)をそのルアーポートメスねじぶたで蓋をした。各脱酸素および濃縮管にアルミ箔を巻き付けた。
第1反応管を次のようにして調製した:新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)に4gフリット(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003004)を添加した。このフリットを12gカートリッジフリットに、26G Chromel Aワイヤで、12gフリットを貫通して同心円状に固定した。この反応管に、無水リン酸カリウム(1.39g、3ミリモル+750mg、27当量+750mg、97%、Alfa Aesar、製品番号L15168、ロット番号L02U015)、酢酸パラジウム(II)(1.9mg、0.0083ミリモル、2.5モル%、≧99.9%、Sigma-Aldrich、製品番号520764、ロット番号1000824996)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメチオキシ−1,1’−ビフェニル(Sphos、6.8mg、0.017ミリモル、5モル%、98%、Strem Chemicals、製品番号15−1143、ロット番号18526300)、ヨウ化ビニルMIDAボロネート(103.0mg、0.33ミリモル、3当量)、およびPTFEでコーティングされた希土類磁気撹拌棒を順々に添加した。リン酸カリウムを新しく100℃の乳鉢および乳棒で粉砕した。カートリッジにそのカスタマイズされたメスルアーポートねじぶたでふたをした。カスタマイズされたふたは、ふたを貫通して差し込まれた屈曲した(約45°)、1.5インチ、18G、使い捨て針を有する標準的メスルアーポートふたと、ルアーポートに挿入されたキムワイプの小球とから構成される。芯のポリプロピレンプラグをインストール後に針の内部から除去することが重要である。ふたに、フリット付4gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003004)でふたをした。
沈殿管を次のようにして調製した:PTFEでコーティングされた磁気撹拌棒を備えた新しいフリット付12gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003012)に、Celite(登録商標)545ろ過助剤(150mg、酸洗浄せず、Acros Organics、製品番号349670025、ロット番号A0287832)および3−アミノプロピル官能化シリカゲル(250mg、40−63μm、約1ミリモル/g NH2、Sigma-Aldrich、製品番号364258、ロット番号79096HM)を添加した。カートリッジにそのメスルアーポートねじぶたでふたをした。カートリッジに、ヘキサン(5mL、試薬等級)を添加し、結果として得られた懸濁液を激しく撹拌して、固体を混合した。混合された懸濁液を5秒間沈殿させ、次いでシリンジによってカートリッジの頭頂部から周囲空気のプラグを押し込むことによって溶媒を流出させた。このプロセスは、撹拌棒を固体中にしっかりと埋め込んで、沈殿管が利用されるまで撹拌を防止する。この沈殿管にアルミ箔を巻き付けた。
シリカゲルクロマトグラフィーカラムを次のようにして調製した:シリカゲルクロマトグラフィーカラムを特別注文のPTFEフィッティングから、非官能化シリカゲルを用いて新たに調製した。カートリッジは、4gカートリッジ(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003004)を手本にしたが、ポリプロピレンの代わりにPTFEから作製した。透明なフリット付カラムにシリカゲルを添加した。これは、底部オスルアーチップフィッティングを通して真空吸引することによって実施した。このプロセスは、シリカゲルプラグのタイトで均一なパッキングを保証した。過剰のシリカゲルは、スパチュラを用いて手作業で除去し、4gフリット(Luknova, Mansfield, MA, 02048、部品番号FC003004)をシリカプラグの頭頂部に配置した。この二重フリット付カートリッジに、PTFEテープを用いてそのメスルアーポートねじぶたでふたをして、気密性シールを保証した。
第2反応容器を次のようにして調製した:PTFEでコーティングされた磁気撹拌棒を備えた7mL非火力乾燥ガラスバイアルに、酢酸パラジウム(II)(1.2mg、0.0056ミリモル、5モル%、≧99.9%、Sigma-Aldrich、製品番号520764、ロット番号1000824996)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメチオキシ−1,1’−ビフェニル(Sphos、4.6mg、0.011ミリモル、10モル%、98%、Strem Chemicals、製品番号15−1143、ロット番号18526300)、および無水リン酸カリウム(212mg、1ミリモル、9当量、97%、Alfa Aesar、製品番号L15168、ロット番号L02U015)を添加した。リン酸カリウムを100℃の乳鉢および乳棒で新しく粉砕した。このバイアルを、PTFEで裏打ちされた隔壁ねじぶたで密封した。隔壁を通して、乾燥アルゴンガスラインに連結された1.5インチ、20G、使い捨て針を添加した。次いで、隔壁を通して、1.5インチ、20G、使い捨て針を添加して、ベントとしての役割をさせた。反応バイアルを次いで乾燥アルゴンで約7分間フラッシュした。ベント針、次いでアルゴン針を隔壁から除去した。
前述の管、容器およびカラムを次のようにして使用した:反応スキームについては図29を参照のこと。両脱保護管(アルミ箔でくるむ)を機械にしっかりとインストールした。管のオスルアーチップを機械の適切なメスルアーポートに入れることによって管をインストールし、しっかりと下方向に力を加え、そして少し(4分の1回転未満)時計回りに回転させて固定した。両前乾燥管(アルミ箔を巻き付け、ふたをする)を機械にしっかりとインストールした。両乾燥管(アルミ箔でくるむ)を機械にしっかりとインストールした。パッチラインを機械のガスマニホルドおよび管の頭頂部ルアーポートに取り付けることによって、各乾燥管を不活性ガスマニホルドに連結した。パッチラインは、両端にオスルアーチップフィッティングを有する約12インチの長さのチュービングである。脱酸素および濃縮管の両方(アルミ箔でくるむ)を機械にしっかりとインストールした。ベント型パッチラインを機械のガスマニホルドおよび管の頭頂部ルアーポートに取り付けることによって、各脱酸素および濃縮管を不活性ガスマニホルドに連結した。ベント型パッチラインは、機械側にオスルアーチップフィッティングおよび管側にYコネクター(1つのポートはラインに連結され、1つのポートはオスルアーチップフィッティングに連結され、そして1つのポートはあいたままである)を有する約12インチの長さのチュービングである。第1反応管を機械(40℃に予熱した加熱ブロック中)にしっかりとインストールし、反応通気管路を管の頭頂部ルアーポートに取り付けることによって、不活性ガスマニホルドに連結した。反応管を次いでアルミ箔で覆い、600rpmでの撹拌を始めた。シリカゲルカラムを機械にしっかりとインストールし、溶離液ラインをカラムの頭頂部ルアーポートに取り付けることによって、精製モジュールに連結した。沈殿管(アルミ箔でくるむ)を機械にしっかりとインストールし、溶離液ライン(1.5インチ、18G、使い捨て針で固定)を、管の頭頂部ルアーポートを通して配置することによって精製モジュールに連結した)。
実験のあらかじめ組み立てられたコードを次いでロードし、実行して、自動化シーケンスを開始した。第1水性MIDAボロネート脱保護を直ちに開始した。第1脱保護(室温、10分)を実施した後、機械は、結果として得られたボロン酸溶液をクエンチし、仕上げ処理し、次いでそれを乾燥し、脱酸素化し、そして濃縮した。機械は次に、第1の低速添加、クロスカップリング反応(40℃、合計8時間)を実施し、そして結果として得られたカップリングされた生成物を精製した。機械は次に第2水性MIDAボロネート脱保護(室温、10分)を実施し、続いて結果として得られたボロン酸溶液をクエンチし、仕上げ処理し、乾燥し、脱酸素化し、そして濃縮した。
第2クロスカップリングが始まる約5分前に、第2反応容器を撹拌プレート上のアルミニウムブロック(室温にて)中に配置した。不活性ガス通気管路(1.5インチ、20G、使い捨て針で固定)を、隔壁を通って連結した。反応管を次いでアルミ箔で覆い、600rpmでの撹拌を始めた。別に、1.5−mLの非火力乾燥ガラスバイアル中に、アルデヒド(16.6mg、0.11ミリモル、1当量)を添加した。バイアルを隔壁ねじぶたで密封し、これに、100μLの気密性固定針ガラスシリンジから100μLの脱酸素化乾燥THFを添加した。バイアルを手動でやさしく撹拌して、アルデヒドを溶解させ、次いで反応バイアルに同じシリンジで添加した。残存する残留アルデヒドを、同じシリンジを用いて、2×50μLの脱酸素化乾燥THFとともに反応バイアルに定量的に移した。機械が反応添加ライン(1.5インチ、22G、使い捨て針で固定)を自動的に脱酸素化する際、これを、隔壁を貫通して反応容器に連結した。機械は次に、第2の高速添加、クロスカップリング反応を実施した(室温、3時間)。
3時間の最後に、反応バイアルを機械から取り出し、粗反応混合物を、ピペット中に充填されたCelite(登録商標)の1cmパッドを通してろ過した。反応バイアルを3×2mLの乾燥THFで洗浄し、これらの洗浄液を、Celite(登録商標)パッドを通してろ過した。パッドを次いで3×2mLの乾燥THFで洗浄した。結果として得られた透明暗黄色ろ液を真空で濃縮し(室温、80Torr)、3×5mLのジクロロメタンで共沸させ(室温、80Torr)、そして残存する溶媒を高真空で除去して(30分、200mTorr)、暗黄/橙色粘着性固体を得た。この粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって手作業で精製して、全トランスレチナール:13シスレチナールの1:0.55の比の混合物を全収率30%で得た。
引用
本明細書中で言及される全ての刊行物および特許は、その全体において、個々の刊行物または特許が具体的かつ個別に示されているかのように参照することによって本明細書中に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書中の定義を含む本出願が支配する。
同等物
対象の発明の特定の実施形態を考察してきたが、前記明細書は例示的であって、限定的ではない。本発明の多くの変動は、本明細書の再検討によって当業者には明らかになるであろう。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態および変動を請求することを意図せず、本発明の全範囲は、請求の範囲をそれらの同等物の全範囲とともに、および明細書をそのような変形とともに参照することによって決定されるべきである。

Claims (20)

  1. N−メチルイミノ二酢酸(MIDA)ボロネートを溶液から精製する方法であって、MIDAボロネートを含む溶液をヘキサンで希釈し、それによってMIDAボロネートを選択的に沈殿させるステップと、沈殿したMIDAボロネートを単離するステップと、を含み、MIDAボロネートを含む溶液がテトラヒドロフラン(THF)溶液である、方法。
  2. 単離が、沈殿したMIDAボロネートをろ過することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 沈殿したMIDAボロネートをテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させるステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. MIDAボロネートを含む溶液をヘキサンに滴加する、請求項1記載の方法。
  5. ヘキサンの体積が溶液の体積の2倍〜4倍である、請求項1記載の方法。
  6. ヘキサンの体積が溶液の体積の3倍である、請求項1記載の方法。
  7. MIDAボロネートを含む溶液が化学反応から得られる粗生成物混合物である、請求項1記載の方法。
  8. MIDAボロネートが
    によって表され、R10が有機基を表し、Bがsp混成を有するホウ素を表し、R20はメチルであり、R21、R22、R23およびR24は独立して、水素および有機基からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  9. 21、R22、R23およびR24が水素である、請求項記載の方法。
  10. 沈殿したMIDAボロネートを単離するステップが、希釈された溶液をシリカプラグに通過させ、それによって沈殿したMIDAボロネートをシリカプラグ上に堆積させるステップと、シリカプラグに第1溶液を通過させるステップと、シリカプラグに第2液体を通過させ、それによってMIDAボロネートを第2液体中に溶出させるステップと、を含み、第1液体がジエチルエーテルを含むか、または第1液体の極性が、98.5:1.5(v/v)EtO:MeOHの混合物の極性よりも低いかもしくは等しく、第2液体の極性がテトラヒドロフラン(THF)の極性よりも高いかもしくは等しい、請求項1記載の方法。
  11. 第1液体がジエチルエーテルを含む、請求項10記載の方法。
  12. 第1液体がジエチルエーテルである、請求項10記載の方法。
  13. 第1液体がジエチルエーテルとメタノールとの混合物である、請求項10記載の方法。
  14. 第1液体がジエチルエーテルとメタノールとの混合物であり、ジエチルエーテル対メタノールの比が98.5:1.5(v/v)である、請求項10記載の方法。
  15. 第2液体が、THF、MeCN、酢酸エチルもしくはアセトン、またはそれらと同じかもしくはより高い極性を有する溶媒である、請求項10記載の方法。
  16. 第2液体がTHF、MeCN、酢酸エチルまたはアセトンである、請求項10記載の方法。
  17. 第2液体がTHFである、請求項10記載の方法。
  18. MIDAボロネートを含む溶液が化学反応から得られる粗生成物混合物である、請求項10記載の方法。
  19. MIDAボロネートが
    によって表され、R10が有機基を表し、Bがsp混成を有するホウ素を表し、R20はメチルであり、R21、R22、R23およびR24は独立して、水素および有機基からなる群から選択される、請求項10記載の方法。
  20. 21、R22、R23およびR24が水素である、請求項19記載の方法。
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