以下、本発明に係る可変容量形ポンプの実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、本実施形態は、自動車用内燃機関の摺動部に潤滑油を供給すると共に、機関弁のバルブタイミングを可変にする可変動弁機構の作動源としての油圧を供給する可変容量形ポンプに適用したものを示している。
〔第1実施形態〕
本実施形態における可変容量形ポンプは、ベーンタイプに適用したものであって、内燃機関のシリンダブロックの前端部などに設けられ、図1、図2で示すように、一端開口がポンプカバー2によって閉塞された有底円筒状のポンプハウジング1と、該ポンプハウジング1のほぼ中心部を貫通して、図外の機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動軸3と、前記ポンプハウジング1の内部に回転自在に収容され、中心部が前記駆動軸3に結合されたロータ4と、該ロータ4の外周側に揺動自在に配置された可動部材であるカムリング5と、前記ポンプカバー2の外側面に配置固定された制御ハウジング6に設けられて、前記カムリング5を揺動させるために、油圧供給切り換えを制御する制御機構であるパイロット弁7及び切換機構である電磁切換弁8と、から主として構成されている。
前記ポンプハウジング1とポンプカバー2及び制御ハウジング6は、図4に示すように、前記シリンダブロックへ取り付けられる際に、6本のボルト9によって一体的に結合されており、この各ボルト9は、ポンプハウジング1と制御ハウジング6及びポンプカバー2にそれぞれ形成されたボルト挿通孔に挿通して、先端部9aがシリンダブロックに形成された各雌ねじ孔に螺着締結されるようになっている。
前記ポンプハウジング1は、アルミ合金材によって一体に形成され、図5にも示すように、凹状のポンプ収容室1sの底面はカムリング5の軸方向の一側面が摺動することから、平面度や表面粗さなどの精度が高く加工され、摺動範囲が機械加工によって形成されている。
また、ポンプハウジング1は、図2、図4及び図5に示すように、作動室であるポンプ収容室1sの底面ほぼ中央位置に前記駆動軸3の一端部を軸受する軸受孔1dが貫通形成されていると共に、内周面の所定位置には、前記カムリング5の枢支点となる枢支ピンであるピボットピン10が挿入される有底状のピン孔1cが穿設されている。また、ピボットピン10の軸心とポンプハウジング1の中心(駆動軸3の軸心)を結んだ直線M(以下「カムリング基準線」という。)より垂直方向下方の位置の内周側に、円弧凹状に形成された第1シール面1aが形成されている。一方、前記ポンプハウジング1のカムリング基準線Mより垂直方向上方の位置の内周側には、円弧凹状の第2シール面1bが形成されている。
前記第1シール面1aは、後述する第1制御油室16を、前記カムリング5に形成された後述するシール溝5bに嵌着された第1シール部材13が常時摺接してシールするようになっている。前記第1シール面1aと第1シール部材13とによって第1シール機構が構成されている。
前記第2シール面1bは、前記カムリング5に形成されたシール溝5cに嵌着された後述する第2シール部材14が常時摺接して後述する第2制御油室17をシールするようになっている。前記第2シール面1bと第2シール部材14とによって第2シール機構が構成されている。
また、前記第1シール面1aと第2シール面1bは、図5に示すように、前記ピン孔1cを中心とした所定長さの半径R1、R2によって形成される円弧面状に形成されており、前記カムリング5が偏心揺動する範囲において前記第1、第2シール部材13,14が常時摺接可能な長さに設定されている。また、第1シール面1aの半径R1の方が第2シール面1bの半径R2よりも長く形成されており、これによって、後述する第1制御油室16の容積が第2制御油室17よりも大きく設定されている。
また、ポンプハウジング1の底面には、図5中、駆動軸3の左側の位置にほぼ三日月凹状の吸入部である吸入ポート11が形成されていると共に、該吸入ポート11に径方向の反対側の位置、つまり、前記駆動軸3の右側の位置に、ほぼ扇形凹状の吐出部である吐出ポート12がそれぞれほぼ対向して形成されている。なお、この吸入ポート11と吐出ポート12の具体的構成については後述する。
さらに、前記ポンプ収容室1sの駆動軸3の軸受孔1dには、前記吐出ポート12から吐出された潤滑油が小幅なほぼL字形に形成された給油溝23を介して供給されるようになっていると共に、前記給油溝23の開口から前記ロータ4の両側面や後述する各ベーン15の側面に潤滑油が供給されて潤滑性が確保されるようになっている。なお、前記給油溝23は、各ベーン15の出没方向と合致しないように形成されており、これによって、各ベーン15が出没する際に給油溝23への脱落が防止されるようになっている。
前記ポンプカバー2は、図1、図2及び図6に示すように、アルミ合金材によってほぼプレート状に形成され、ほぼ中央位置に前記駆動軸3の他端部を回転自在に支持する軸受孔2aが貫通形成されていると共に、外周部に前記ボルト挿通孔を形成する複数のボス部が一体に形成されている。また、ポンプカバー2の内側面は、この実施形態ではほぼ平坦面状に形成されているが、ここに前記ポンプ収容室1sの底面と同じく吸入ポートや吐出口ポート、オイル溜まり部を形成することも可能である。また、このポンプカバー2は、図外の複数の位置決めピンを介してポンプハウジング1に円周方向の位置決めされつつ前記複数のボルト9によってポンプハウジング1に結合されている。
前記駆動軸3は、ポンプハウジング1から突出した先端部3aにギアなどを介してクランクシャフトから伝達された回転力によってロータ4を図2中、矢印方向(反時計方向)に回転するようになっており、該駆動軸3を中心とした図中左側の半分が吸入領域となり、右側の半分が吐出領域となる。
前記ロータ4は、図1及び図2に示すように、内部中心側から外方へ放射状に形成された9つのスリット4a内にそれぞれ9枚のベーン15が進退自在に摺動保持されていると共に、前記各スリット4aの基端部に前記吐出ポート12に吐出された吐出油圧を導入する断面ほぼ円形状の背圧室24がそれぞれ形成されている。この各背圧室24内の圧力とロータ4の回転に伴う遠心力とによって前記ベーン15を外方へ押し出すようになっている。
前記各ベーン15は、内側の各基端縁が前後一対のベーンリング18、18の外周面に摺接している共に、各先端縁が前記カムリング5の内周面5aに摺接自在になっている。また、隣接する各ベーン15間とカムリング5の内周面5a及びロータ4の内周面、ポンプ収容室1s、ポンプカバー2の内側面との間に複数の作動油室であるポンプ室19が液密的に隔成されている。前記各ベーンリング18は、回転に伴って前記各ベーン15を放射外方へ押し出すようになっており、機関回転数が低く、また、前記遠心力や背圧室24の圧力が小さい場合でも、各ベーン15の各先端部がそれぞれカムリング5の内周面と摺接して各ポンプ室19が液密に隔成されるようになっている。
前記カムリング5は、加工容易な焼結金属によってほぼ円筒状に一体に形成され、外周面の前記カムリング基準線M上の図2中、右外側位置に前記ピボット凹部5dが形成されており、このピボット凹部5bに挿入位置決めされた前記ピボットピン10が嵌挿して偏心揺動支点となっている。
また、カムリング5の前記第1前記カムリング基準線Mから下方側の位置には、形成された円弧状の凸部5eの中央に前記吐出口12aと連通する連通口25が貫通形成されていると共に、前記第1シール溝5bを介して第1シール部材13を保持するほぼ三角形状の第1突起部5gが設けられている。さらに、前記カムリング基準線Mから上方側の位置には、前記第2シール溝5cを介して第2シール部材14を保持するほぼ三角形状の前記第2突起部5hが設けられている。
なお、前記駆動軸3とロータ4、カムリング5、ベーン15、ベーンリング18によってポンプ構成体が形成されている。
前記カムリング5の各第1、第2突起部5g、5h側の外周面とポンプハウジング1の間には、前記カムリング基準線Mを中心とした下方側に前記第1制御油室16が形成されていると共に、上方側には第2制御油室17がそれぞれ形成されている。
前記第1制御油室16は、内部に供給された油圧によって前記カムリング5を後述するコイルばね28のばね力に抗して偏心量が減少する方向へ押圧するようになっている。また、この第1制御油室16は、前記パイロット弁7を介して前記吐出ポート12に連通あるいは連通が遮断されるようになっていると共に、カムリング5の揺動時においても前記第1シール機構によって常時液密的にシールされるようになっている。
前記第2制御油室17は、内部に供給された油圧によって前記カムリング5を後述するコイルばね28のばね力とアシストして偏心量が増加する方向へ押圧するようになっており、前記電磁切換弁8やパイロット弁7を介して油圧が供給あるいは排出されるようになっている。
また、偏心揺動支点から第1シール部材13までの距離R1が、第2シール部材14までの距離R2よりも大きく設定されていることから、前記カムリング5の第1制御油室16側の外側面である第1受圧面20の面積が、第2制御油室17側の外側面である第2受圧面21の面積よりも大きくなっている。
したがって、第1制御油室16内の油圧によるカムリング5に対する押圧力が、前記第2制御油室17内の反対の油圧によって僅かに相殺されて、結果として吐出油圧力によりカムリング5を、ピボットピン10を支点として時計方向へ揺動させて偏心量を減少させようとする力は小さくなり、これに対向してカムリング5を反時計方向へ付勢する後述のコイルばね28のばね力を小さく設定できる。
前記第1、第2シール部材13,14は、例えば低摩耗性の合成樹脂材によってカムリング5の軸方向に沿って細長く形成されていると共に、カムリング5の前記第1,第2突起部5g、5hの外周面に形成された前記シール溝5b、5c内に保持されていると共に、該シール溝5b、5cの底部側に固定されたゴム製の弾性部材13a、14aの弾性力によって前方へ、つまり各シール面1a、1bに押し付けられるようになっている。これにより、第1、第2制御油室16、17の常時良好な液密性を確保するようになっている。
前記吸入ポート11は、図2、図5に示すように、各ポンプ室19の容積が拡大する領域に開口していると共に、前記ポンプ構成体によるポンプ作用に伴って発生する負圧によって、ほぼ中央に形成された吸入口11aを介してオイルパン60内の潤滑油が導入されるようになっている。
また、この吸入ポート11の外周側のほぼ中央位置には、後述するばね収容室27まで延設された導入部11bが連続して形成されており、この導入部11bは前記吸入口11aが連通している。この吸入口11aは、導入部11bと共に低圧室22と連通していると共に、ポンプ構成体のポンプ作用によって発生する負圧によって、オイルパン60から吸入通路を介して吸い上げられたオイルを吸入ポート11に供給して、容積が拡大された各ポンプ室19に供給するようになっている。したがって、前記吸入ポート11と吸入口11a、導入部11b及び低圧室22の全体が低圧部として構成されている。
一方、前記吐出ポート12は、前記ポンプ構成体によるポンプ作用に伴って各ポンプ室19の容積が縮小する領域に開口していると共に、下端側に形成された吐出口12aからシリンダヘッドに形成された後述する図9に示す吐出通路31(オイルメインギャラリー)を介して機関の各摺動部および可変動弁装置である例えばバルブタイミング制御装置に連通している。
前記カムリング5は、筒状本体の外周面の前記ピボット凹部5dと反対側の位置に径方向外側に突出した延出部であるアーム26が一体に設けられている。このアーム26は、図1及び図2に示すように、前記カムリング5の筒状本体の前端縁から軸方向のほぼ中央位置まで延設された矩形板状のアーム本体26aと、該アーム本体26aの先端部26b側の上面に一体に形成された凸部26cと、を有している。
前記アーム本体26aは、先端部26bの前記凸部26cと反対側の下面が平坦状に形成されている一方、前記凸部26cは、その上面が曲率半径の小さな曲面状に形成されている。
また、前記ポンプハウジング1の前記ピン孔1cと反対側の位置、つまり前記アーム26の上方位置には、ばね収容室27が形成されている。
前記ばね収容室27は、ポンプハウジング1の軸方向に沿って延びたほぼ平面矩形状に形成され、内部には、前記アーム26を介して前記カムリング5を図2中、反時計方向へ付勢する、つまりロータ4の回転中心と前記カムリング5の内周面の中心との偏心量が大きくなる方向へ前記カムリング5を付勢する付勢部材であるコイルばね28が収容配置されている。なお、前記ばね収容室27は、前記導入部1bと吸入ポート11を介して前記低圧室22に連通している。
前記コイルばね28は、上端縁がばね収容室27の底面に弾接している一方、下端縁がアーム26の凸部26cに弾接しており、ばね収容室27内において所定のばね荷重Wが付与されていて、前記下端縁が前記アーム本体26aの凸部26cに常時当接しつつ前記カムリング5における前記ロータ4の回転中心と前記カムリング5の内周面の中心との偏心量が大きくなる方向へ付勢している。
つまり、前記コイルばね28は、ばね荷重Wが付与された状態で常にアーム26を介してカムリング5を下方へ偏心させる方向、つまり各ポンプ室19の容積が大きくなる方向に付勢している。前記ばね荷重Wは、油圧がバルブタイミング制御装置の必要油圧P1のときに第1制御油室16のみに導入されてカムリング5が動き出す荷重である。
また、ポンプハウジング1の前記ばね収容室27と軸方向から対向する位置に、前記アーム26の先端部26bの下面が当接して該アーム26の反時計方向の最大回動位置を規制する平坦状の規制面29が形成されている。
そして、前記ポンプカバー2には、図6に示すように、前記カムリング5の連通口25に対向する位置に吐出圧導入孔30が貫通形成されている共に、前記第1、第2制御油室16,17と対向する位置に第1制御口31と第2制御口32がそれぞれ貫通形成されている。
前記吐出圧導入口30は、一端が前記ポンプカバー2の外側面2bに開口して、前記パイロット弁7の後述する油圧導入ポート45に連通している。
前記第1制御口31は、一端が同じくポンプカバー2の外側面2bに開口し、図中上方向に延びて先端部が屈曲した第1パイロット油溝31aを介して前記パイロット弁7の後述する第1パイロット制御ポート46に連通していると共に、図中左上方へ延びた第1ソレノイド油溝31bを介して前記電磁切換弁8の後述する第1ソレノイド制御ポート55に連通している。
一方、第2制御口32は、一端が同じくポンプカバー2の外側面2bに開口し、下方向へ延びた第2パイロット油溝32aを介して前記パイロット弁7の後述する第2パイロット制御ポート47に連通していると共に、図中左下方へ延びた第2パイロット油溝31bを介して前記ソレノイド弁の後述する第2ソレノイド制御ポート56に連通している。
前記パイロット弁7は、図1及び図7に示すように、制御ハウジング6の外面一側部に一体に上下方向に設けられ、底部が閉塞された有蓋円筒状の第1バルブボディ40と、該第1バルブボディ40の内部に形成された第1バルブ孔41内に上下方向へ摺動自在な第1スプール弁42と、前記第1バルブ孔41の上端開口を閉塞するプラグ43と前記第1スプール弁42との間に弾装されて第1スプール弁42を下方へ付勢する第1バルブスプリング44と、を備えている。
前記第1バルブボディ40は、制御ハウジング6の側壁の下端部に前記吐出圧導入口30と第1バルブ孔41の小径先端部41aとを連通させる前記油圧導入ポート45が水平方向に沿って貫通形成されている。この油圧導入ポート45は、外側が大径状に形成されている一方、内側が前記小径先端部41aに直角方向から連通する小径状に形成されている。
また、油圧導入ポート45の上方位置には、前記第1パイロット油溝31aと第1バルブ孔41とを連通させる前記第1パイロット制御ポート46が貫通形成されていると共に、この上方位置には、前記第2パイロット油溝32aと第1バルブ孔41とを連通させる前記第2パイロット制御ポート47が貫通形成されている。
さらに、第1バルブボディ40は、周壁の軸方向のほぼ中央位置に小径な第1ドレンポート48が貫通形成されていると共に、周壁の軸方向の上部位置に大気に開放した小径な呼吸孔49が貫通形されている。なお、この呼吸孔49は、前記第1スプール弁42の円滑な摺動性を確保するもので、前記第1、第2制御油室16,17よりも高い位置に形成されて、該各制御油室16,17への空気の流入が抑制されている。
前記第1スプール弁42は、軸方向の外周面ほぼ中央に形成された環状溝42cを中心とした上下位置に、摺動位置に応じて前記各ポート45の開口面積を変化させる第1弁体42aと第2弁体42bが形成されている。そして、この第1スプール弁42は、前記第1バルブスプリング44のばね力によって前記油圧導入ポート45を閉止する方向に付勢されている。
なお、前記第1ドレンポート48は、図9に示すドレン通路61を介してオイルパン60に連通している。
〔パイロット弁7の基本作動〕
以下、前記パイロット弁7の基本的な作動について説明する。
(第1の状態)
まず、前記油圧導入ポート45に油圧が導入されていない場合、あるいは油圧が図12のPkより小さい場合は、図9に示すように、第1バルブスプリング44のばね力によって第1スプール弁42が右方向(下方)へ最大に移動して前記油圧導入ポート45の開口端を閉止する。このとき、第1パイロット制御ポート46は、油圧導入ポート45と第1弁体42aによって連通が遮断されて、第1ドレンポート48と連通し、第2パイロット制御ポート47は、第2弁体42bによって開口端が閉止されている。
(第2の状態)
前記油圧導入ポート45に油圧が導入されて油圧が図12のPkまで高まると、図10に示すように、第1スプール弁42は、第1バルブスプリング44のばね力に抗して所定の距離だけ後退移動する。これによって、前記油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46が連通されると共に、この第1パイロット制御ポート46と第1ドレンポート48との連通が遮断され、第2パイロット制御ポート47も第2弁体42bによって閉止状態が維持される。
この第2の状態で、油圧導入ポート45の油圧が、後述する図12に示すPfとなり、第3の状態に移行するように第1バルブスプリング44のばね荷重やばね定数、第1スプール弁42の長さ寸法や各ポート46〜48の形成位置が設定されている。
(第3の状態)
前記油圧導入ポート45に導入される油圧がさらに図12のPsまで高まると、図11に示すように、第1スプール弁42は、第1バルブスプリング44のばね力に抗して最大に後退移動する。これによって、前記油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46の連通状態が維持されると共に、この第2パイロット制御ポート47と第1ドレンポート48が第1環状溝42cを介して連通が開始される。
前記電磁切換弁8は、図1及び図8に示すように、前記制御ハウジング6の外面他側部に一体に上下方向に設けられ、上部が閉塞された有蓋円筒状の第2バルブボディ50と、該第2バルブボディ50の内部に形成された第2バルブ孔51内に上下方向へ摺動自在な第2スプール弁52と、前記第2バルブ孔51の下端部に設けられたソレノイド部53と、前記第2バルブボディ50の上壁50a内面と第2スプール弁52の上端面との間に弾装されて第2スプール弁52をソレノイド部53方向へ付勢する第2バルブスプリング54と、を備えている。
前記第2バルブボディ50は、制御ハウジング6の側壁の下端部に前記第1ソレノイド油溝31bの先端部と前記第2バルブ孔51を連通する第2吐出ポートである第1ソレノイド制御ポート55が貫通形成されていると共に、この上方位置には、前記第2ソレノイド油溝32bの先端部と前記第2バルブ孔51とを連通する第2ソレノイド制御ポート56が平行に貫通形成されている。また、前記第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56とは、その通路断面積が比較的小さく設定されて固定絞り(オリフィス)として形成されおり、この両者55,56を通流するオイルに流動抵抗を付与するようになっている。
さらに、第2バルブボディ50は、周壁の軸方向のほぼ上部位置に小径な第2ドレンポート57が貫通形成されていると共に、上壁50aのほぼ中央位置に大気開放された小径な呼吸孔58が貫通形されている。この呼吸孔58も、前記第2スプール弁52の円滑は摺動性を確保するもので、第1、第2制御油室16,17よりも高い位置に形成されて、該各制御油室16,17へ空気が流入するのを抑制している。前記第2ドレンポート57は、ドレン通路61を介してオイルパン60に連通している。
前記第2スプール弁52は、軸方向の外周面ほぼ中央に形成された第2環状溝52cを中心とした上下位置に、摺動位置に応じて前記各ポート55〜57の開口面積を変化させる第1弁体52aと第2弁体52bが形成されている。そして、この第2スプール弁52は、前記第2バルブスプリング54のばね力によって前記ソレノイド部53のプッシュロッド53aを押し下げつつ最大下方位置に付勢されて、前記第2環状溝52cを介して前記第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56を連通するようになっている。
前記ソレノイド部53は、図1に示すように、上端外周に設けられたブラケット53dを介してボルト59によって前記第2バルブボディ50に結合されており、ボディ内部に電磁コイルや固定鉄心及び摺動可能な可動鉄心が収容されている共に、該可動鉄心の先端の前記プッシュロッド53aが結合されている。
(電磁切換弁の基本作動)
したがって、前記電磁コイルに図外の電子コントローラから制御電流が通電されると固定鉄心が励磁されて、図8〜図10に示すように、可動鉄心を介してプッシュロッド53aが前記第2スプール弁52を第2バルブスプリング54のばね力に抗して最大上方位置に摺動させる。これによって、第1弁体52aが第1ソレノイド制御ポート55の開口端を閉止して第2ソレノイド制御ポート56との連通を遮断すると共に、第2環状溝52cを介して第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57を連通させるようになっている。
また、電磁コイルへの通電が遮断されると、図11に示すように、第2バルブスプリング54のばね力によって、第2スプール弁52が最大右方向位置(図8の最大下方位置)に移動する。これによって、前記第2環状溝52cを介して第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56を連通させるようになっている。
そして、前記パイロット弁7と電磁切換弁8によって、前記第1制御油室16と第2制御油室17に吐出ポート12からの吐出圧が切り換え導入され、第1制御油室16にのみ吐出圧が作用した場合は、カムリング5の第1受圧面20に該カムリング5の偏心量を減少させる方向に圧力が作用して、前記コイルばね28のばね荷重Wよりも大きくなったときにカムリング5がピボットピン10を中心に図2の時計方向揺動を開始する。
また、第2制御油室17にも前記吐出圧が作用した場合には、カムリング5の第2受圧面21に該カムリング5の偏心量を増加させる方向に圧力が作用する。しかし、ピボットピン10から各シール面1a、1bまでの距離がR1>R2の関係にあり、第1受圧面20の面積が第2受圧面21の面積よりも大きいことから、第1制御油室16の吐出圧が前記コイルばね28のばね荷重Wより大きくなったときは、カムリング5がピボットピン10を中心として時計方向へ揺動を開始するが、そのときの油圧は第1制御油室16のみに吐出圧が作用した場合よりも大きくなる。
したがって、前記第2制御油室17への吐出圧の導入の有無を切り換えることによって、2種類の作動圧(高作動圧と低作動圧)の特性を得ることができる。
〔可変容量形ポンプの吐出圧制御の基準となる機関の必要油圧〕
まず、可変容量形ポンプの作用説明に入る前に、この可変容量形ポンプの吐出圧制御の基準となる内燃機関の必要油圧を、図12に基づいて説明する。
図中のP1は、前記バルブタイミング制御装置の要求油圧に相当する第1の要求油圧を示し、図中のP2は、ピストンの冷却に供されるオイルジェットを用いた場合の第2の要求油圧を示し、図中のP3は機関高回転時のクランクシャフト軸受部の潤滑に要する第3要求油圧をそれぞれ示している。これらP1〜P3を繋いだ一点鎖線(E)が、内燃機関の機関回転数に応じた理想的な要求油圧(吐出圧)Pを示している。
なお、図中の実線は、本実施形態の可変容量形ポンプによる油圧特性を示し、図中の破線は、前記従来の可変容量形ポンプの油圧特性を表したものである。ここでPfは例えば機関始動時の低作動圧状態での作動圧であり、Psは例えば機関高回転域の高作動圧状態の作動圧である。また、Ptは所定の機関回転数、機関の油温、機関負荷のときに高作動圧側に切り換えたときの到達油圧である。
前記従来の可変容量形ポンプでは、油圧Pfに到達した以降でもカムリングの偏心量を減少させて、機関回転数(ポンプ回転数)の上昇に伴う吐出量、吐出圧の上昇を抑えているが、カムリングに作用するコイルばねのばね定数の影響で吐出圧は急激に上昇してしまう。この状態は、高作動圧に切り換わってPsに到達した以降でも同様である。
これに対して、本実施形態の可変容量形ポンプの場合は、前記パイロット弁7の第1バルブスプリング44のばね荷重は、第1スプール弁42の移動と吐出ポート12からのポンプ吐出圧との関係で設定されることは前述の通りであるが、前記コイルばね28のばね荷重Wや第1、第2制御油室16,17の容積の大きさは、前記第2制御油室17に吐出圧が作用しない状態での作動圧がPkよりも小さく、第2制御油室17に吐出圧が作用した状態で作動圧Pu(図示せず)がPsよりも大きくなるように設定されている。具体的な作用効果を以下に説明する。
〔第1実施形態における可変容量形ポンプの具体的作用〕
機関の始動から低回転域までに相当する図12の(a)区間では、吐出圧P(機関内油圧)がPkよりも小さいことから、図9に示すように、前記パイロット弁7の第1スプール弁42が第1バルブスプリング44のばね力によって第1バルブ孔41の図中右方向の位置の段部41bに押し付けられた状態になる。これによって、第1弁体42aにより油圧導入ポート45が閉止されて、第1パイロット制御ポート46と第1ドレンポート48が第1環状溝42cを介して連通した状態になる。
一方、電磁切換弁8は、電磁コイルに電子コントローラから制御信号が出力されて、第2スプール弁52が第2バルブスプリング54のばね力に抗して最大左方向の位置に移動する。これによって、第1弁体52aによって第1ソレノイド制御ポート55が閉止されて、第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57が第2環状溝52cを介して連通した状態になる。
よって、前記第1制御油室16は、前記パイロット弁7を介してドレン通路61に連通するため、内部に油圧が導入されない。一方、第2制御油室17は、電磁切換弁8を介して第2ドレンポート57に連通するため、内部に油圧が導入されない。
したがって、カムリング5は、コイルばね28のばね荷重Wによる付勢力によってアーム26の先端部26bが規制面29に当接して最大偏心状態に保持されることになる。この結果、ポンプの吐出量が最大となって、吐出圧Pも機関回転数の上昇に伴ってほぼ比例する形で上昇する。
その後、機関回転数がさらに上昇して吐出圧PがPkに達すると、図10に示すように、パイロット弁7の油圧導入ポート45の油圧が高くなって、第1スプール弁42が図示の左方向へ所定長さだけ移動して、第1パイロット制御ポート47と第1ドレンポート48の連通を遮断すると共に、油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46が連通される。したがって、第1制御油室16には、吐出圧Pが導入されることになる。また、第2パイロット制御ポート47は、第2弁体42bによって継続して閉止されている。
このとき、前記電磁切換弁8への通電が継続されており、前記第2スプール弁52の第1ソレノイド制御ポート55が閉止されて、第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57が連通されていることから、この時点ではいまだ第2制御油室17にオイルが導入されない。
前述のように、前記油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46との連通が開始されるが、この時点の低い吐出圧がPkの状態では前記第1スプール弁42aによる第1パイロット制御ポート46の開口面積が小さいため、減圧された状態で第1制御油室16にオイルが導入される。前記コイルばね28のばね荷重Wは、前述のように、油圧Pkよりも小さな油圧でカムリング5が揺動するように設定されているから、第1制御油室16の油圧がPkまで上昇しないようにパイロット弁7によって調圧されている。
前記第1制御油室16の調圧は、パイロット弁7の第1パイロット制御ポート46が開口し始めた初期状態の開口面積の変化によって行うことから、コイルばね28のばね定数の影響を受けない。
そして、前述のように、パイロット弁7の第1スプール弁42の短いストローク範囲で行うため、第1バルブスプリング44のばね定数の影響も受けず、機関回転数の上昇に基づく吐出圧Pの無用な増加も抑制されることになる(図12の(b)区間)。
また、オイル中にエアが混入した場合に、カムリング5内外の油圧均衡が崩れて、該カムリング5の挙動変化により油圧が変動することも抑制できる。
前記図12の(b)区間における吐出圧Pは、図中の破線で示した従来のポンプのように、機関回転数の上昇に基づいて比例的の増大するのではなく、ほぼフラットな特性となって前記理想的な必要油圧(図12の一点鎖線)に極力近づけることができる。これによって、本実施形態に係る可変容量形ポンプでは、機関回転数の上昇に伴い、コイルばね28のばね定数分だけ吐出圧Pの増大を余儀なくされていた従来のオイルポンプの特性(図12の破線)に対して、当該吐出圧Pを無駄に増加させてしまうことによって生じる動力損失(図12のハッチング範囲E1)を削減することが可能になる。
また、機関回転数がさらに上昇して吐出圧が前述のオイルジェットの要求圧であるP2以上とする必要がある場合は、電磁切換弁8への通電を遮断すると、第2スプール弁52は、図11に示すように第2バルブスプリング54のばね力によって最大右方向の位置に移動して、第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56を連通させると共に、第2ドレンポート57を閉止する。これによって、前記第2制御油室17にも吐出圧が導入されるため、カムリング5は、偏心量を増加させる方向に揺動して吐出量が増加すると共に、吐出圧も上昇する。
一方、パイロット弁7の第1スプール弁42は、図10に示す位置よりもさらに左方向へ移動して油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46とが十分な開口面積をもって連通する。このため、第1制御油室16と第2制御油室17がほぼ等しい吐出圧となることから、前述の高作動圧の状態になる。
しかし、前記パイロット弁7によって第2パイロット制御ポート47と第1ドレンポート48が連通した状態になる油圧Psの方が、第1制御油室16と第2制御油室17に油圧が供給されて、前記コイルばね28のばね荷重Wに反してカムリング5が揺動を開始する高作動圧Puよりも低く設定されているため、吐出圧は高作動圧まで達することはなく、Psに達した時点で、第2制御油室17はパイロット弁7の第1ドレンポート48(ドレン通路61)と連通を開始する。
電磁切換弁8から第2制御油室17までの油通路中、つまり、前記第1,第2ソレノイド制御ポート55,56をオイルが通流する際に流動抵抗が発生して圧力損失を生じさせるようになっていることからパイロット弁7からオイルがドレンすることによって、第2制御油室17の油圧は、吐出圧よりも減圧調整される。
つまり、図11に示すように、パイロット弁7の油圧導入ポート45から第1パイロット制御ポート46を通ったオイルは、その一部が第1制御油室16に供給されるが、他の一部は電磁切換弁8の第1ソレノイド制御ポート55から第2環状溝52cを介して第2ソレノイド制御ポート56を通流するが、ここで流動抵抗を付与される。
また、この第2ソレノイド制御ポート56を通ったオイルは、第2制御油室17とパイロット弁7側に分流して、この分流されたパイロット弁7側のオイルが第2パイロット制御ポート47から第1環状溝42cに流入して第1ドレンポート48からドレン通路61に排出されるが、前記第2パイロット制御ポート47から第1環状溝42cに流入する際に、前記第1スプール弁42の第2弁体42bの端縁で開口面積が絞られてドレン量が調整されることになる。したがって、第2制御油室17の油圧は、吐出圧よりも減圧調整されるのである。
前記第2制御油室17の調圧は、パイロット弁7の第2パイロット制御ポート47が第2弁体42bによって開口が開始された初期状態の開口面積の変化で行うため、前記コイルばね28のばね定数の影響を受けない。そして、前述のように、パイロット弁7の第1スプール弁42の短いストローク範囲で行うことから、第1バルブスプリング44のばね定数の影響も受けずに、機関回転数の上昇に基づく吐出圧Pの無用な増加も抑制されることになり(図12の(c)区間)、当該吐出圧Pを無駄に高めてしまうことによって生じる動力損失(図12中のハッチング範囲E2)を最小限に抑制することができる。
また、電磁切換弁8は、非通電時に、第2制御油室17に連通して油圧を供給して高作動油側の特性とすることにより、断線などの異常時には、中速以上のポンプ回転領域において吐出圧は、図12に示すP2、P3を確保でき、いわゆるフェールセーフ機能を発揮する。
以上のように、本実施形態では、第1、第2制御油室16,17に対する供給油圧を、パイロット弁7と電磁切換弁8が連係した制御によって無用な油圧の上昇を抑制することができるため、動力損失を低減することができ、機関の常用回転域での燃費の低減と高回転時の出力の向上が図れる。
また、本実施形態では、前記ポンプカバー2の背面に制御ハウジング6を介してパイロット弁7と電磁切換弁8を一体的に設けたため、装置全体の小型化が図れる。
しかも、前記ポンプカバー2の外側面に、前記各パイロット油溝31a、31bや各ソレノイド油溝32a、32bを設けたため、これらの通路を別に配管する場合に比較して製造作業が容易になると共に、組み付け作業も容易になり、コストの高騰を抑制できる。
また、本実施形態では、前述のように、ポンプカバー2の外側面にそれぞれ油溝31a〜32bを形成するために、制御ハウジング6とポンプカバー2とを別体に形成したが、これらを一体に形成して前記油溝に相当する通路を孔開け加工によって形成することも可能である。
さらに、前記油圧導入ポート45の下流側にオイルフィルタを設けて、前記パイロット弁7や電磁切換弁8内へのコンタミの浸入を抑制することも可能である。
〔第2実施形態〕
図13は本発明の第2実施形態を示し、可変容量形ポンプのポンプ本体の基本構造は第1実施形態のものとほぼ同じであるが、図面上では逆さまに配置されている。また、パイロット弁7はポンプカバー2側に一体に設けられているが、電磁切換弁7はポンプハウジング1に一体に設けられている。第1実施形態と共通の箇所は同一の符号を付して説明する。
すなわち、前記パイロット弁7は、図13に示すように、円筒状の第1バルブボディ40と、第1弁孔41内に摺動自在に設けられた第1スプール弁42と、プラグ43と第1スプール弁42との間に弾装された第1バルブスプリング44と、から主として構成されている。
前記第1スプール弁42は、前端側に設けられて、前記油圧導入ポート45の開口面積を変化させる第1弁体42aと、ほぼ中央よりに設けられて、第2パイロット制御ポート47の開口面積を変化させる第2弁体42bと、後端側に設けられたランド部42dとを有している。また、弁軸の内部軸方向には、第1弁体42a側の一端側が閉塞され、後述の第1ドレンポート48側の他端部が開口形成された通路孔42eが形成されていると共に、弁軸の前記第1弁体42aと第2弁体42bの間には、前記通路孔42eに連通する連通孔42fが径方向に沿って貫通形成されている。
前記第1バルブボディ40の上端開口が油圧導入ポート45として構成され、周壁の上部側の上下位置に、第1パイロット制御ポート46と第2パイロット制御ポート47が径方向に貫通形成されている。また、バルブボディ40の周壁の下部側の位置に、第1ドレンポート48が貫通形成されている。このドレンポート48は、呼吸孔も共用化しているからポートを一つ削減できる。
前記油圧導入ポート45は、図外のフィルタを介してオイルメインギャラリーと連通し、前記第1パイロット制御ポート46は、ポンプハウジング1のポンプカバー2が当接する前面に形成された第1油溝62を介して第1制御油室16に連通している。また、第2パイロット制御ポート47は、同じくポンプハウジング1の前面に形成された第2油溝63を介して前記第2制御油室17に連通している。
前記電磁切換弁8は、図14A,Bに示すように、ポンプハウジング1の所定位置に形成されたバルブ収容孔1aに圧入固定され、内部軸方向に作動孔51が形成された第2バルブボディ50と、前記作動孔51の先端部に圧入され、中央に第1ソレノイド制御ポート55が形成されたバルブシート64と、該バルブシート64の内側に離着座自在に設けられて、前記第1ソレノイド制御ポート55の開口端を開閉する金属製のボール弁65と、バルブボディ50の一端側に設けられたソレノイド部53とから主として構成されている。
前記第2バルブボディ50は、周壁の上端部に前記作動孔51と連通する第2ソレノイド制御ポート56が径方向から貫通形成されていると共に、周壁の下端部側には、作動孔51と連通する第2ドレンポート57が径方向から貫通形成されている。
前記第1ソレノイド制御ポート55は、前記ポンプハウジング1に形成された前記第1油溝62を介して第1制御油室16に連通し、第2ソレノイド制御ポート56は前記第2油溝63を介して第2制御油室17に連通している。
前記ソレノイド部53は、基本構造が第1実施形態のものと同じであり、ケーシング内部に電磁コイルや固定鉄心、可動鉄心等が収容配置され、前記可動鉄心の先端部にプッシュロッド53aが設けられている。また、ケーシング内部には、前記プッシュロッド53aを後退方向に付勢する第2バルブスプリングが設けられている。
そして、前記電磁コイルに電子コントローラから通電されると、図14Bに示すように、前記プッシュロッド53aが進出移動して先端部で前記ボール弁65を押圧してバルブシート64に着座させて前記第1ソレノイド制御ポート55を閉止すると共に、前記作動孔51を介して第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57とを連通させる。
一方、電磁コイルへの通電が遮断されると、図14Aに示すように、前記プッシュロッド53aが後退移動してボール弁65の押圧(閉止)を解除し、前記第1ソレノイド制御ポート55を開成して該第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56を作動孔51内で連通させると共に、第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57との連通を遮断するようになっている。
その他構成や前記コイルばね28、第1、第2バルブスプリング44のばね荷重や作動圧力などの設定は第1実施形態と同じである。
〔第2実施形態における可変容量ポンプの作用〕
機関始動時や低回転域(図12の(a)区間)では、ポンプ吐出圧が低いため、図15Aに示すように、パイロット弁7の油圧導入ポート45に作動油圧が作用するものの第1スプール弁42は第1バルブスプリング44のばね力に抗して下降移動することができない。したがって、油圧導入ポート45は他のポートと連通することはなく第1パイロット制御ポート46にオイルが流入しない。一方、電磁切換弁8は、電磁コイルに通電された状態にあることから、図14Bに示すように、プッシュロッド53aによってボール弁65が押圧されて、第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57が連通され、第1ソレノイド制御ポート55が閉止された状態になる。したがって、第1、第2制御油室16、17にも油圧が供給されないことから、カムリング5は、コイルばね28のばね力で偏心量が最大の位置に保持される。したがって、ポンプ吐出圧は、図12の(a)区間における実線の特性になる。
機関回転数が上昇して所定の吐出圧に達すると、図12の(b)区間となり、パイロット弁7の第1スプール弁42は、図15Bに示すように、油圧導入ポート45からの油圧によって第1バルブスプリング44のばね力に抗して僅かに後退移動して前記油圧導入ポート45を開成すると共に、第1パイロット制御ポート46の開口面積を僅かに大きくして、両ポート45、46を連通し始める。ただし、この状態では、第2パイロット制御ポート46の開口面積が小さく、オイルが流通する際に圧力損失が発生して、調圧された油圧が第1制御油室16に供給される。
このように、第1制御油室16内の油圧が上昇することから、カムリング5は、図15Bに示すように、コイルばね28のばね力に抗して偏心量が小さくなる方向に揺動してポンプ吐出量を削減して吐出圧をわずかに低下させる。したがって、ポンプ吐出圧は、図12の(b)区間のおける実線の特性になる。
機関回転数がさらに上昇してポンプ吐出圧がさらに上昇すると、図12の(c)区間となり、電磁切換弁8は、電磁コイルへの通電が遮断されて、図14Aに示すように、プッシュロッド53aが第2バルブスプリングのばね力で後退してボール弁65が第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56を連通させると共に、第2ドレンポート57を閉止させる。これによって、第2制御油室17にオイルが供給されて油圧を上昇させるため、カムリング5は前記コイルばね28のばね力と第2制御油室17内の油圧によって偏心量が大きくなる方向へ揺動する。このため、ポンプ吐出量が増大させて吐出圧を上昇させる。
一方、パイロット弁7は、図15Cに示すように、前記吐出圧の上昇に伴い油圧導入ポート45に導入された高油圧によって第1スプール弁42がさらに下降して、第2パイロット制御ポート46の開口面積を最大に大きくすると共に、第2パイロット制御ポート47と前記連通孔42fを連通させる。これによって、第2パイロット制御ポート47と第1ドレンポート48が通路孔42eを介して連通するため、第2制御油室17のオイルが前記各ポート47、42f、42e、48を介してドレンされる。この第2制御油室17の油圧は、前記電磁切換弁7の前記各ポート55、56のオリフィス効果による流動抵抗とドレン量によって決定されるが、これは、前記パイロット弁7の第2パイロット制御ポート47の開口面積でドレン量を調整することに行うので、この作用により前記ポンプ吐出圧の過度な上昇を抑制することができ、図12の(c)区間における実線の特性を得ることができるのである。
したがって、第1実施形態と同じく、図12の斜線領域E2の無駄な吐出油圧が抑制されて、動力損失を抑制することが可能になる。
また、この第2実施形態では、電磁切換弁8をポンプハウジング1に設け、パイロット弁7をポンプカバー2と一体に設けたことから、第1実施形態のようにカバーに通路溝を形成する必要がなくなり、これによって制御ハウジングが不要になるので、カバーの2重構造が不要になる。
また、前記電磁切換弁8の弁をスプール弁に代えてボール弁65としたことによって、第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56が連通された場合も、その開口面積が小さくすることができ、オイル流量によって減圧させて減圧レベルを調整するためのオリフィス効果が十分に得ることができる。
〔第3実施形態〕
図16〜図18は第3実施形態を示し、第1実施形態におけるパイロット弁7と電磁切換弁8の他に、第2制御機構である第2パイロット弁70を設けたものである。
まず、第1パイロット弁7の構造の変更点について説明すると、この第1パイロット弁7は、第2パイロット制御ポート47が廃止されている共に、第1バルブスプリング44のばね荷重は、前記第1油圧導入ポート46に作用する比較的低い所定の油圧によって圧縮変形して第1スプール弁42を後退移動させるに設定圧になっている。
前記第2パイロット弁70は、第1パイロット7とほぼ同じ構造であって、前述した図外の制御ハウジングの外面一側部に第1パイロット弁7と平行に一体に上下方向に設けられ、底部が閉塞された有蓋円筒状の第3バルブボディ71と、該第3バルブボディ71の内部に形成された第3バルブ孔72内に上下方向へ摺動自在な第3スプール弁73と、前記第3バルブ孔72の上端開口を閉塞するプラグ74と前記第3スプール弁73との間に弾装されて、第3スプール弁73を図中右方向へ付勢する第3バルブスプリング75と、を備えている。
前記第3バルブボディ71は、制御ハウジングの側壁の下端部に前記吐出圧導入口30と第3バルブ孔72の小径先端部72aとを連通させる前記第2油圧導入ポート76が貫通形成されている。この第2油圧導入ポート76は、外側が大径状に形成されている一方、内側が前記小径先端部72aに直角方向から連通する小径状に形成されている。
また、第3バルブボディ71は、周壁の前記第2油圧導入ポート76の側部には、前記第2パイロット油溝32aと第3バルブ孔72とを連通させる前記第3パイロット制御ポート77が貫通形成されている。さらに、周壁の軸方向のほぼ中央位置に小径な第3ドレンポート78が貫通形成されていると共に、周壁の軸方向の図中左位置に大気に開放した小径な呼吸孔79が貫通形されている。なお、この呼吸孔79は、前記第3スプール弁73の円滑な摺動性を確保するもので、前記第1、第2制御油室16,17よりも高い位置に形成されて、該各制御油室16,17への空気の流入が抑制されている。
前記第3スプール弁73は、軸方向の外周面ほぼ中央に形成された環状溝73cを中心とした左右位置に、摺動位置に応じて前記第3パイロット制御ポート77と第3環状溝73c及び第3ドレンポート78との開口面積を変化させつつ連通、遮断する第1弁体73aと第2弁体73bが形成されている。そして、この第3スプール弁72は、前記第3バルブスプリング75のばね力によって前記第2油圧導入ポート76を閉止する方向に付勢されている。
前記第3バルブスプリング75は、前記第1バルブスプリング44のばね力よりも大きく設定されて、第2油圧導入ポート76へ供給された吐出油圧が所定の高圧になった際に、第3スプール弁73を後退移動させて、前記各ポート77,78を連通させるようになっている。
なお、前記第3ドレンポート79は、ドレン通路61を介してオイルパン60に連通している。
〔第3実施形態における可変容量形ポンプの作用〕
機関の始動から低回転域までに相当する図12の(a)区間では、前記第1、第2油圧導入ポート45、76に油圧が導入されていないか、あるいは油圧が小さい場合であり、図16に示すように、第1、第3バルブスプリング44、75のばね力によって第1、第3スプール弁42、73が右方向(下方)へ最大に移動して前記各油圧導入ポート45、76の開口端を閉止する。このとき、第3パイロット制御ポート77と第3ドレンポート78は、第3スプール弁73の第2弁体73bによって連通が遮断されているが、第1パイロット弁7の第1パイロット制御ポート46と第1ドレンポート48の連通が維持されて第1制御油室16内が各ポート46,48などを介して大気に開放されている。
一方、電磁切換弁8は、第1実施形態と同じく、電磁コイルに電子コントローラから制御信号が出力されて、第2スプール弁52が第2バルブスプリング54のばね力に抗して最大左方向の位置に移動する。これによって、第1弁体52aによって第1ソレノイド制御ポート55が閉止されて、第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57が第2環状溝52cを介して連通した状態になる。
よって、前記第1制御油室16は、前記第1パイロット弁7を介してドレン通路61に連通するため、内部にオイルが導入されないと共に、第2制御油室17も、電磁切換弁8を介して第2ドレンポート57に連通するため、内部にオイルが導入されない。
したがって、カムリング5は、コイルばね28のばね荷重Wによる付勢力によってアーム26の先端部26bが規制面29に当接して最大偏心状態に保持されることになる。この結果、ポンプの吐出量が最大となって、吐出圧Pも機関回転数の上昇に伴ってほぼ比例する形で上昇する。
その後、機関回転数がさらに上昇して吐出圧PがPkに達すると、図17に示すように、第1パイロット弁7の第1油圧導入ポート45の油圧が高くなって、第1スプール弁42が図示の左方向へ所定長さだけ移動して第1弁体42aが第1パイロット制御ポート46の開口面積を大きくする。これによって、油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46が連通されて、前記第1制御油室16には、吐出圧Pが導入されることになる。
このとき、第2パイロット弁70は、第2油圧導入ポート76に作用する油圧が第3バルブスプリング75を圧縮変形させるまでの圧力に達しないので、第3スプール弁73によって第1パイロット制御ポート77と第3ドレンポート78は連通されない状態を維持している。
また、この時点では、前記電磁切換弁8への通電も継続されており、前記第2スプール弁52の第1ソレノイド制御ポート55が閉止されて、第2ソレノイド制御ポート56と第2ドレンポート57が連通されていることから、この時点ではいまだ第2制御油室17にオイルが導入されない。
また、機関回転数がさらに上昇して吐出圧を前述のオイルジェットの要求圧P2以上とすることが必要になった場合は、電磁切換弁8への通電を遮断すると、第2スプール弁52は、図18に示すように、第2バルブスプリング54のばね力によって最大右方向の位置に移動して、第1ソレノイド制御ポート55と第2ソレノイド制御ポート56を連通させると共に、第2ドレンポート57を閉止する。これによって、前記第2制御油室17にも吐出圧が導入されるため、カムリング5は、偏心量を増加させる方向に揺動して吐出量が増加すると共に、吐出圧も上昇する。
一方、第1パイロット弁7の第1スプール弁42は、第1油圧導入ポート45と第1パイロット制御ポート46とが十分な開口面積をもって連通する状態を維持する。このため、第1制御油室16と第2制御油室17がほぼ等しい吐出圧となることから、前述の高作動圧の状態になる。
しかし、前記第1パイロット弁7によって第1パイロット制御ポート46と第1ドレンポート48が連通した状態になる油圧Psの方が、第1制御油室16と第2制御油室17に油圧が供給されて、前記コイルばね28のばね荷重Wに反してカムリング5が揺動を開始する高作動圧Puよりも低く設定されているため、吐出圧は高作動圧まで達することはなく、Psに達した時点で、第2パイロット弁70は、図18に示すように、第3スプール弁73が第2油圧導入ポート76の油圧の上昇に伴って第3バルブスプリング75のばね力に抗して後退移動して第3パイロット制御ポート77と第3ドレンポート78(ドレン通路61)との連通を開始させる。これによって、第2制御油室17は、ドレン通路61に連通状態になる。
そして、前記電磁切換弁8から第2制御油室17までの油通路中、つまり、前記第1,第2ソレノイド制御ポート55,56をオイルが通流する際に流動抵抗が発生して圧力損失を生じさせるようになっていることから、前記第2パイロット弁70の各ポート77,78からオイルをドレンさせることによって、第2制御油室17の油圧は、吐出圧よりも減圧調整される。
つまり、図18の矢印で示すように、第1パイロット弁7の油圧導入ポート45から第1パイロット制御ポート46を通ったオイルは、その一部が第1制御油室16に供給されるが、他の一部は電磁切換弁8の第1ソレノイド制御ポート55から第2環状溝52cを介して第2ソレノイド制御ポート56を通流するが、ここで流動抵抗を付与される。
また、この第2ソレノイド制御ポート56を通ったオイルは、第1制御油室17と第2パイロット弁70側に分流して、この分流された第2パイロット弁70側のオイルが第3パイロット制御ポート77から第3環状溝73cに流入して第3ドレンポート78からドレン通路61に排出されるが、前記第3パイロット制御ポート77から第3環状溝73cに流入する際に、前記第3スプール弁73の第2弁体73bの端縁で開口面積が絞られることになる。したがって、第2制御油室17の油圧は、吐出圧よりも減圧調整されるのである。
前記第2制御油室17の調圧は、第2パイロット弁70の第3パイロット制御ポート77が第2弁体73bによって開口が開始された初期状態の開口面積の変化で行うため、前記コイルばね28のばね定数の影響を受けない。
そして、前述のように、2パイロット弁70の第3スプール弁73の短いストローク範囲で行うことから、第3バルブスプリング75のばね定数の影響も受けずに、機関回転数の上昇に基づく吐出圧Pの無用な増加も抑制されることになる(図12の(c)区間)。したがって、前述した第1実施形態と同様な作用効果が得られる。
特に、本実施形態では、第1パイロット弁7の他に独立した第2パイロット弁70を設け、この第2パイロット弁70によって第2制御油室17の油圧を制御するようにしたため、第1パイロット弁7の影響を受けずに第2制御油室17自体による高精度な制御が可能になる。
この結果、前記図12の(a)区間と(b)区間、とりわけ高回転数(c)区間におけるポンプ吐出油圧を一点鎖線に十分に近づけることができ、無駄な吐出圧の発生を十分に抑制することが可能になる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前記ばね収容室27,21の配置をさらに変更することも可能である。
また、コイルばね28のばね荷重は、それぞれポンプの仕様や大きさに応じて自由に設定することが可能であると共に、そのコイル径や長さも自由に変更することができる。
また、この可変容量形ポンプを、内燃機関以外の油圧機器類等に適用することも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕請求項1に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記吐出部から前記第1制御油室に作動油を導く状態と、前記第1制御油室内の作動油を排出する状態を切り換える第2制御機構を設けたことを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項b〕請求項aに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記第2制御機構は、第3付勢部材と、該第3付勢部材によって付勢された第3弁体とによって構成され、
前記第3弁体が吐出圧を受圧することによって前記付勢部材よりも先に前記第3付勢部材の付勢力に抗して弁体が移動して、前記第1制御油室から作動油が排出されている状態から作動油が導かれる状態に切り換えられることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項c〕請求項1に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記切換機構は、電気的に切り換え制御される電磁制御弁であることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項d〕請求項cに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記電磁制御弁は、前記第2制御機構が前記第1制御油室に作動油が導かれる状態となるよりもさらに前記ロータの回転数が大きくなったときに、前記吐出部から前記第2制御油室に作動油を導く状態に切り換えることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項e〕請求項dに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記制御機構は、前記電磁制御弁が前記吐出部から前記第2制御油室に作動油を導く状態に切り換えた後は、前記第2制御油室内の作動油を常に排出させ、かつ、常に排出量が可変になっていることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項f〕請求項1に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記切換機構と前記第2制御油室との間には、固定絞りが設けられていることを特徴とする可変容量形ポンプ。
固定絞りによって作動油に対して流動抵抗を付与して第2制御油室へ減圧した作動油を供給する。
〔請求項g〕請求項1に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記制御機構は、吐出圧が所定の第1圧力になるまでは前記第1制御油室内の作動油を排出させ、
吐出圧が第1圧力を超えると前記第1制御油室に吐出圧を導くと共に、ドレンポートと他のポートとの連通を規制し、
吐出圧がさらに上昇して第2圧力を超えると前記第1制御油室に吐出圧が導かれるのを維持しつつ、前記第2制御油室内の作動油を排出させることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項h〕請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記切換機構は、吐出圧が導かれる第2吐出ポートと、前記第2制御油室に連通する連通ポートと、排出通路に連通する第2ドレンポートとを有するバルブボディと、該バルブボディ内に摺動自在に設けられ、前記各ポートの連通状態を制御するスプール弁体とを備え、
該スプール弁体が初期状態になっているときは、前記第2吐出ポートと他のポートとの連通状態が制限されると共に、前記連通ポートと前記第2ドレンポートが連通し、
前記スプール弁体が移動することによって、前記第2吐出ポートと連通ポートが連通すると共に、前記第2ドレンポートと他のポートとの連通状態が制限されることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項i〕請求項hに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記切換機構のスプール弁は、電気的に移動するように構成されていることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項j〕請求項iに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記第2とポートは、第1制御油室、または第1制御ポートと第1制御油室とを連通する通路から分岐した通路と連通していることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項k〕請求項jに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記連通ポートは、前記第2制御油室、または、前記第2制御ポートと第2制御油室とを連通する通路から分岐した通路と連通していることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項l〕請求項kに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記切換機構のスプール弁は、前記制御機構が前記第2の状態となるときに切り換えられることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項m〕請求項lに記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記第2吐出ポート及び/または前記連通ポートが前記絞りを構成していることを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項n〕請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記制御機構のスプール弁における前記制御ばねで付勢されていない側の端部に、前記吐出ポートを経由して吐出圧が導かれるように構成され、前記スプール弁が前記制御ばねの付勢力に抗して移動することによって前記スプール弁の端部を介して前記吐出ポートと第1制御ポートが連通することを特徴とする可変容量形ポンプ。
〔請求項o〕請求項2に記載の可変容量形ポンプにおいて、
前記制御機構のドレンポートは、前記絞りよりも開口面積が小さいことを特徴とする可変容量形ポンプ。