JP6036316B2 - 金属部材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)本発明の金属部材は、母材金属からなる基部と、該基部の少なくとも一部に形成された改質部と、を備える金属部材であって、前記改質部は、組織全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに0.1〜50%の酸素(O)を含むと共に平均結晶粒径が1μm以下である酸素含有微細組織が、該改質部の最表面から少なくとも5μm以上の深さまでほぼ均一的に存在することを特徴とする。
(1)本発明は上述した金属部材のみならず、その製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、母材金属からなり酸素含有雰囲気下にある被処理部へエネルギービームを相対移動させつつ照射することにより、該被処理部でアブレーションを生じさせると共に少なくとも該被処理部にプラズマ化した酸素を生成させる照射工程を備え、上述した金属部材が得られることを特徴とする金属部材の製造方法でもよい。
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を、新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
(1)母材金属
本発明に係る母材金属は、導入されたOが酸化物または酸素固溶体を形成して、母材金属の特性(硬さ等)を改善し得るものであれば、純金属でも合金でもよく、その種類や成分組成を問わない。なお、導入されたOが酸化物または酸素固溶体を形成することを、本明細書では適宜、便宜的に「酸化」ともいう。
本発明に係る改質部は酸素含有微細組織からなる。酸素含有微細組織の具体的な形態は母材金属の種類や酸素濃度等に依るが、母材金属の酸素固溶体、または母材金属中若しくは酸素固溶体中に酸化物相が分散した複合組織であると好ましい。
(1)高エネルギービーム
高エネルギービームは、母材金属の被処理部でアブレーションを生じさせ、アブレーション部の周囲にある雰囲気ガスから活性酸素が生成される限り、その種類を問わない。高エネルギービームは、例えば、パルスレーザ、電子ビーム等である。
照射工程は、所望する改質部の形態に応じて、高エネルギービームを母材金属の表面部へ照射しつつ、その照射域を移動させる工程である。
照射工程を行う雰囲気は、既述したように、高エネルギービームを照射した際に、アブレーションにより活性酸素が発生し得る酸素含有雰囲気であればよい。このような雰囲気は、高エネルギービームの種類に応じて適宜選択される。
本発明の金属部材は、その用途を問わない。本発明に係る改質部を有する表面部(表面層)は、高強度、高靱性であり、また表面粗さも良好なため、種々の優れた特性(耐摩耗性、耐食性、電気的特性等)を安定的に発揮し得る。例えば、自動車部品等の耐摩耗性部材、ターボチャージャー・タービン等の耐食部材、半導体絶縁・放熱基板等の電気機器用部材などに本発明の金属部材は好適である。
(1)母材金属
市販されている鉄鋼基材(JIS S45C、これを適宜単に「S45C」と表す。)と、市販されているα−β型のチタン合金基材(Ti−6質量%Al−4質量%V、これを適宜単に「Ti−6Al−4V」と表す。)とをそれぞれ用意した。各基材のサイズは15.7×6.5×10.0mmとした。
先ず高エネルギービームとして、近紫外線領域の波長をもつパルス幅がナノ秒レベルのパルスレーザ(このレーザを単に「近紫外ナノレーザ」という。)を準備した。このレーザを用いて、各基材の被処理部へ酸素含有ガスを吹き付けつつ照射した。具体的には、波長:355nm、パルス幅:<20ns、発振周波数:20kHz、出力:1.2W、出力密度:300MW/cm2、走査速度:2mm/s、焦点位置:基材の被処理部の最表面上(焦点はずし距離:0μm)とした。また、ガス吹き付けは、近紫外ナノレーザの光軸に沿った上方向から行った。用いたガスは、酸素濃度が20体積%で残部が希釈ガス(アルゴンガス)からなる混合ガスまたは酸素ガス(酸素濃度100体積%)である。
(1)酸素濃度
各試料について、処理した表面部の断面を電子顕微鏡で観察した反射電子像(BEI)と、その断面を電子線マイクロアナライザー(EPMA)で解析して得た元素マッピング像とを図1Aおよび図1Bに示した。
全面を改質処理した各試料の処理部(具体的には最表面から10μmの部分)についてX線回折(XRD)による解析を行った。得られた結果を図3Aおよび図3Bに示した。いずれの試料でも、処理前の基材に対して、半値幅が増加していると共にピーク位置もシフトしていた。これらのことから、マトリックス(母材金属)中にOが固溶していることが確認できた。
各試料の処理部の断面を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。その一例として、チタン合金基材に係るTEM写真を図4に示した。それらから、いずれの処理部も、結晶粒径が1μm以下の微細組織からなることがわかった。より具体的にいうと、図4からもわかるように、平均結晶粒径は約350nm程度であり非常に微細であることもわかった。これは鉄鋼基材の場合もほぼ同様であった。なお、この平均結晶粒径は、既述した通り、TEM像の視野内に現れた各結晶粒の長軸と単軸を相加平均して求めた値である。
(1)表面硬さ(断面硬さ)
上述した処理前後の各被処理部の断面硬さ(ビッカース硬さ)を測定した結果(平均値)を図5に示した。処理前における鉄鋼基材の断面硬さはHV212、チタン合金基材の断面硬さはHV332であった。これに対して、鉄鋼基材の処理部の断面硬さはHV700(焼入れしたときの硬さに相当)程度、チタン合金基材の処理部の断面硬さはHV1200程度であった。いずれも前述した酸化処理を行うことにより、断面硬さが急激に上昇することが確認できた。特にチタン合金基材の場合は、鉄鋼基材の場合よりも遥かに硬くなることもわかった。なお、図5等に示した断面硬さは、表面から15μmおよび30μmの位置で、それぞれ3点計測した(計6点)を平均して求めた値である。
前述した鉄鋼基材とチタン合金基材からなるブロック状の試験片をそれぞれ3つずつ用意した。そのうち各一つは未処理のままとした。残り各二つは、前述した近紫外ナノレーザの照射により、試験片の一面を改質したものであり、そのうち各一つは全面改質をし、別の各一つは、前述したように20μmピッチの表面テクスチャ改質をした。
上述した表面テクスチャ改質部は20μmピッチとしたが、40μmピッチでも80μmピッチでも、上述した場合と同等な耐摩耗性が得られることがわかっている。上述した処理では、被処理部へのレーザ照射を一回しか行わなかったが、その照射を複数繰り返し行ってもよい。照射工程の回数を増やすことにより、被処理部における酸素濃度を一層高めることが可能となる。但し、本発明の製造方法によれば、一回の照射工程で、十分な深さをもつ均質的な改質部を効率的に形成できる。
Claims (7)
- 母材金属からなる基部と、
該基部の少なくとも一部に形成された改質部と、
を備える金属部材であって、
前記改質部は、組織全体を100原子%(以下「%」という。)としたときに0.1〜50%の酸素(O)を含むと共に平均結晶粒径が1μm以下である酸素含有微細組織が、該改質部の最表面から少なくとも5μm以上の深さまでほぼ均一的に存在することを特徴とする金属部材。 - 前記酸素含有微細組織は、酸素が前記母材金属に固溶してなる固溶相と酸素が該母材金属の構成元素と結合してなる酸化物相とが混在した混相からなる請求項1に記載の金属部材。
- 前記母材金属は、チタン(Ti)またはチタン合金であり、
前記酸化物相は、TixO(x≧1)からなる請求項2に記載の金属部材。 - 前記母材金属は、鉄(Fe)または鉄合金であり、
前記酸化物相は、FeOからなる請求項2に記載の金属部材。 - 前記改質部と該改質部以外の非改質部とが並存した表面テクスチャを有する請求項1〜4のいずれかに記載の金属部材。
- 前記改質部を少なくとも摺動面の一部とする摺動部材である請求項1〜5のいずれかに記載の金属部材。
- 母材金属からなり酸素含有雰囲気下にある被処理部へエネルギービームを相対移動させつつ照射することにより、該被処理部でアブレーションを生じさせると共に少なくとも該被処理部にプラズマ化した酸素を生成させる照射工程を備え、
請求項1〜6のいずれかに記載の金属部材が得られることを特徴とする金属部材の製造方法。
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