JP6032988B2 - 計算方法、計算装置、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

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本発明は、等価回路を用いてアンテナの特性を計算する計算方法及び計算装置に関する。また、そのような計算装置としてコンピュータを動作させるためのプログラム、及び、そのようなプログラムが記録された記録媒体に関する。
アンテナの特性を計算するために、そのアンテナに対応する等価回路が広く用いられている。放射素子がメアンダ化されたモノポールアンテナでは、放射素子各部の自己インダクタンスに加えて、放射素子各部間のキャパシタンス及び相互インダクタンスを考慮する必要がある。したがって、モノポールアンテナに対応する等価回路は、例えば図21に示すものとなる。
図21に示す等価回路は、互いに並列に接続されたキャパシタCmとインダクタLmとを備えている。キャパシタCmは、メアンダ化された放射素子のキャパシタンス、すなわち、放射素子各部間のキャパシタンスの和に対応するキャパシタンス(以下、記号を流用してキャパシタンスCmと記載)を有する。また、インダクタLmは、メアンダ化された放射素子のインダクタンス、すなわち、放射素子各部の自己インダクタンスと放射素子各部間の相互インダクタンスとの和に対応するインダクタンス(以下、記号を流用してインダクタンスLmと記載)を有する。キャパシタCmとインダクタLmとの一方の接続点は、信号源を介して接地され、他方の接続点は、直接接地される。
メアンダ化された放射素子のキャパシタンスCmを算出する方法としては、例えば、非特許文献1に記載のものが知られている。また、メアンダ化された放射素子のインダクタンスLmを算出する方法としては、例えば、非特許文献2に記載のものが知られている。
M. Rafaei Booket, M. Kamyab, A. Jafargholi and S. M. Mousavi, "ANALYTICALMODELING OF THE PRINTED DIPOLE ANTENNA LOADED WITH CRLH STRUCTURES", Progress In Electromagnetics Research B, Vol. 20, 167-186, 2010 G. Stojanovic, L. Zivanov, M. Damjanovic, "Compact Form of Expressions for Inductance Calculation of Meander Inductors", SERBIAN JOURNAL OF ELECTRICAL ENGINEERING Vol. 1, No. 3, November 2004, 57-68
しかしながら、実際のモノポールアンテナのリアクタンスは、直列共振の周波数特性(図22(a)参照)と並列共振の周波数特性(図22(b)参照)とを混成した周波数特性(図22(c)参照)を有しているのに対し、従来の等価回路(図21参照)のリアクタンスは、並列共振の周波数特性を有している。したがって、従来の等価回路を用いても、実際のモノポールアンテナの特性を精度良く再現することができないという問題があった。
また、モノポールアンテナは、例えば、放射素子及び地板を誘電体シート上にパターニングすることにより実現可能であるが、このような平面モノポールアンテナは、導体板(電子機器の筐体を構成する金属板など)に貼り付けた状態での利用を求められることが多い。近年の電子機器は、筐体その他の導体部品が多数装備されており、構成部品において導体部品の占める割合が高いからである。したがって、モノポールアンテナの実使用時の性能を知るためには、導体板に貼り付けた状態での特性を求める必要があるが、従来の等価回路(図21参照)からは、導体板に貼り付けた状態での特性を求めることができなかった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モノポールアンテナの特性を、従来の等価回路を用いた場合よりも精度良く計算することができる計算方法及び計算装置を実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る計算方法は、等価回路を用いてメアンダ化された放射素子を備えたモノポールアンテナの特性を計算する計算方法であって、上記等価回路は、上記放射素子に対応する互いに並列に接続された第1のキャパシタと第1のインダクタとを含み、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの一方の接続点が、信号源を介して接地され、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの他方の接続点が、上記放射素子の先端とグランドとの間のギャップに対応する第2のキャパシタを介して接地されている、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、上記等価回路のリアクタンスが、直列共振の周波数特性と並列共振の周波数特性とを混成した周波数特性となる。したがって、上記の構成によれば、モノポールアンテナの各種特性を精度良く計算することができる。
本発明に係る計算方法は、上記放射素子の実効半径をa、真空の誘電率をεoとして、上記第2のキャパシタのキャパシタンスCendを、Cend=8π・εo・aに従って算出する工程を含んでいる、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記第2のキャパシタのキャパシタンスを、正確に、かつ、簡単に算出することができる。
本発明に係る計算方法において、上記モノポールアンテナは、上記放射素子に対向する導体板を更に備えており、上記等価回路は、上記導体板に対応する互いに並列に接続された第3のキャパシタと第2のインダクタとを更に含み、上記第3のキャパシタと上記第2のインダクタとの一方の接続点が、上記第2のキャパシタの一端に接続され、上記第3のキャパシタと上記第2のインダクタとの他方の接続点が、接地されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、放射素子に対向する導体板を備えたモノポールアンテナの各種特性を精度良く計算することができる。
本発明に係る計算方法は、上記第1のインダクタ及び上記第2のインダクタのインダクタンスを、上記放射素子各部の自己インダクタンスと、上記放射素子各部と上記導体板との間の相互インダクタンスとの和を求めることによって算出する工程を含んでいる、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記放射素子各部の間の相互インダクタンスを計算する必要がないので、上記第1のインダクタ及び上記第2のインダクタのインダクタンスを簡単に計算することができる。
上記課題を解決するために、本発明に係る計算装置は、等価回路を用いてメアンダ化された放射素子を備えたモノポールアンテナの特性を計算する計算装置であって、上記等価回路は、上記放射素子に対応する互いに並列に接続された第1のキャパシタと第1のインダクタとを含み、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの一方の接続点が、信号源を介して接地され、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの他方の接続点が、上記放射素子の先端とグランドとの間のギャップに対応する第2のキャパシタを介して接地されており、当該計算装置は、上記第1のキャパシタのキャパシタンスを算出する第1のキャパシタンス算出手段と、上記1のインダクタのインダクタンスを算出する第1のインダクタンス算出手段と、上記第2のキャパシタのキャパシタンスを算出する第2のキャパシタンス算出手段とを備えている、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、上記計算方法と同様の効果を奏する。
なお、本発明に係る計算装置はコンピュータを用いて実現することができる。上記計算装置としてコンピュータを動作させるプログラム、及び、プログラムが記録されている記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
本発明によれば、モノポールアンテナの各種特性を従来よりも精度良く計算することができる。
(a)は、第1の実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナの平面図であり、(b)は、同アンテナの断面図である。 図1に示すアンテナに対応する等価回路の回路図である。 図1に示すアンテナにおけるアーム部間のキャパシタンスを表すモデル図である。 図1に示すアンテナの放射素子を流れる電流を表すモデル図である。 t/wとa/wとの間の対応関係を示すグラフである。ここで、tは、放射素子の厚み、wは、放射素子の幅、aは、放射素子の実効半径を表す。 第1の実施形態に係る計算方法を実施するための計算装置の構成を示すブロック図である。 図6に示す計算装置として機能するコンピュータの構成を示す図である。 第1の実施形態に係る計算方法により得られた入力リアクタンス、及び、実験により得られた入力リアクタンスの周波数特性を示すグラフである。 第1の実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数、従来の計算方法により得られた共振周波数、及び、実験により得られ共振周波数のアーム長依存性を示すグラフである。 第1の実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数、従来の計算方法により得られた共振周波数、及び、実験により得られ共振周波数のターン数依存性を示すグラフである。 (a)は、第2の実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナの平面図であり、(b)は、同アンテナの断面図である。 図11に示すアンテナに対応する等価回路の回路図である。 図11に示すアンテナにおけるアーム部間のキャパシタンスを表すモデル図である。 (a)は、図11に示すアンテナの放射素子を流れる電流を表すモデル図である。(b)は、図11に示すアンテナの導体板を流れる電流を表すモデル図である。 第2の実施形態に係る計算方法を実施するための計算装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る計算方法により得られた入力リアクタンス、及び、実験により得られた入力リアクタンスの周波数特性を示すグラフである。 第2の実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数、従来の計算方法により得られた共振周波数、及び、実験により得られ共振周波数のアーム長依存性を示すグラフである。 第2の実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数、従来の計算方法により得られた共振周波数、及び、実験により得られ共振周波数のターン数依存性を示すグラフである。 第2の実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数、及び、実験により得られ共振周波数の間隔(放射素子と導体板との距離)依存性を示すグラフである。 第2の実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数、及び、実験により得られ共振周波数の規格化された間隔依存性を示すグラフである。 従来の等価回路を示す回路図である。 リアクタンスの周波数特性を示すグラフである。(a)は、直列共振の周波数特性、(b)は、並列共振の周波数特性、(c)は、直列共振と並列共振とが混成した周波数特性を示す。
本発明の各実施形態に係る計算方法について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、以下に説明する計算方法は、モノポールアンテナの特性を、そのモノポールアンテナの形状を規定する形状パラメ−タから算出するものである。以下では、モノポールアンテナのリアクタンス、入力インピーダンス、及び共振周波数を算出する計算方法について説明するが、本発明は、これに限定されない。すなわち、後述する各等価回路から算出し得る特性であれば、どのような特性を算出する計算方法であっても、本発明の範疇に含まれる。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態について、以下、図1〜図10を参照して説明する。
(適用対象となるアンテナ)
まず、本実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナ1について、図1を参照して説明する。図1(a)は、アンテナ1の構成を示す平面図であり、図1(b)は、アンテナ1のAA’断面を示す断面図である。
アンテナ1は、図1(a)に示すように、放射素子11、地板12、及び誘電体シート13を備えている。放射素子11と地板12との間に、直流的な導通を生じさせる短絡路はなく、アンテナ1は、モノポールアンテナとして機能する。
放射素子11は、誘電体シート13の上面に形成された帯状の導体箔(例えば、銅箔)であり、放射素子11には、同軸ケ−ブルの内側導体が接続される。同軸ケ−ブルの内側導体が接続される放射素子11上の点を、以下、「第1の給電点P」と記載する。図1(a)においては、第1の給電点Pをブリッジ部b1上に設けているが、第1の給電点Pの位置は、これに限定されるものではない。
本実施形態に係る計算方法を適用するための前提として、放射素子11は、メアンダ化されているものと仮定する。すなわち、放射素子11は、(a)互いに平行に配置されたNa本のアーム部a1〜aNaと、(b1)奇数番目のアーム部a1,a3,…の一方の側(図1(a)におけるx軸負方向側)の端部を、隣接するアーム部a2,a4,…の同じ側の端部に接続するブリッジ部b2,b4,…と、(b2)偶数番目のアーム部a2,a4,…の他方の側(図1(a)におけるx軸正方向側)の端部を、隣接するアーム部a3,a5,…の同じ側の端部に接続するブリッジ部b3,b5,…とを備えているものと仮定する。
ただし、アーム部a1のブリッジ部b2に接続されている側と反対側(図1(a)におけるx軸正方向側)の端部から、アーム部a2側とは反対側(図1(a)におけるy軸負方向側)に伸びるブリッジ部b1を設けることは、これを許容する。同様に、アーム部aNaのブリッジ部bNaに接続されている側とは反対側(図1(a)におけるx軸負方向側)の端部から、アーム部aNa−1側とは反対側(図1(a)におけるy軸正方向側)に伸びるブリッジ部bNa+1を設けることも、これを許容する。したがって、ブリッジ部の本数Nbは、Na−1、Na、Na+1の何れかになる。図1(a)に示す放射素子11は、Na=5、Nb=Na+1=6となる場合の例である。
更に、アーム部a1〜aNaの長さは同一であり、ブリッジ部b1〜bNbは、アーム部a1〜aNに直交するものと仮定する。また、アーム部a1〜aNaの幅及び厚みは、それぞれ、ブリッジ部b1〜bNbの幅及び厚みと一致するものと仮定する。また、Nb=Na+1となる場合、ブリッジ部b1及びブリッジ部bNbの長さは、他のブリッジ部bj(j≠1,Nb)の長さの1/2であるものとする。
これらの仮定の下、放射素子11の形状は、アーム部aiの長さl(エル)[mm](図1(a)参照)、アーム部ai及びブリッジ部bjの幅w[mm](図1(b)参照)、互いに隣接するアーム部aiとアーム部ai+1との中心軸間距離s[mm](図1(b)参照)、アーム部ai及びブリッジ部bjの厚みt[mm](図1(b)参照)、アーム部aiの本数Na、及び、ブリッジ部bjの本数Nbにより規定される。
なお、本明細書においては、メアンダ化された放射素子11の構成単位の1つとして、「ターン」という概念を用いる。1つのターンは、隣接する3本のアーム部と、これらのアーム部に接続された4本のブリッジ部とからなる。ただし、各ターンの両端に位置する2本のブリッジ部の長さは、他のブリッジ部の長さの1/2であるものとする。図1(a)に示す放射素子11においては、例えば、3本のアーム部a1〜a3と、4本のブリッジ部b1〜b4が1つのターンを構成する。このターンという概念を用いると、図1(a)に示す放射素子11は、1+2/3ターンの放射素子であると表現することができる。
地板12は、誘電体シート13の上面に形成された面状の導体箔(例えば、銅箔)であり、地板12には、同軸ケ−ブルの外側導体が接続される。同軸ケ−ブルの外側導体が接続される地板12上の点を、以下、第2の給電点Qと記載する。図1(a)においては、第2の給電点Qを地板12の右上隅に設けているが、第2の給電点Qの位置は、これに限定されるものではない。
なお、地板12の面積がグランドとして機能するために必要な面積を下回らない限り、地板12の形状及びサイズを変更しても、アンテナ1のアンテナ特性(例えば、入力インピーダンスや共振周波数など)が大きく変化することはない。したがって、本実施形態に係る計算方法においては、地板12の形状及びサイズを考慮しないものとする。
以上のように、メアンダ化された放射素子11の形状は、アーム部aiの長さl[mm]、アーム部ai及びブリッジ部bjの幅w[mm]、互いに隣接するアーム部aiとアーム部ai+1との中心軸間距離s[mm]、アーム部ai及びブリッジ部bjの厚みt[mm]、アーム部aiの本数Na、及び、ブリッジ部bjの本数Nbにより規定される。本実施形態に係る計算方法においては、これら6つのパラメ−タに誘電体シート13の厚みh(図1(b)参照)を加えた7つのパラメ−タを形状パラメ−タとし、これら7つの形状パラメ−タを用いてアンテナ1の特性を計算する。
(使用する等価回路)
本実施形態に係る計算方法においては、上述したアンテナ1を表現する集中定数素子の等価回路として、図2に示す等価回路E1を使用する。
アンテナ1に対応する等価回路E1は、互いに並列に接続されたキャパシタCmとインダクタLmとにより構成される、放射素子11に対応する等価回路E11を含む。キャパシタCmとインダクタLmとの一方の接続点は、信号源を介して接地され、他方の接続点は、キャパシタCendを介して接地されたものである。
キャパシタCmは、放射素子11の各構成要素間のキャパシタンスに対応するものであり、インダクタンスLmは、放射素子11の各構成要素の自己インダクタンスと、放射素子11の各構成要素間の相互インダクタンスとに対応するものである。一方、キャパシタCendは、放射素子11の先端とグランドとの間のキャパシタンスに対応するものである。このキャパシタCendを加えたことによって、放射素子11の先端に残留する残留電荷も考慮に入れた等価回路を構成することが可能になる。
以下、キャパシタCmのキャパシタンス(記号を流用してキャパシタンスCmと記載)、インダクLmのインダクタンス(記号を流用してインダクタンスLmと記載)、及び、キャパシタCendのキャパシタンス(記号を流用してキャパシタンスCmと記載)の算出方法について説明する。
1.キャパシタンスCmの算出方法
誘電体上に配置されたメアンダ線路のキャパシタンスを算出する方法としては、例えば、非特許文献1に記載のものが知られている。本実施形態においては、非特許文献1に記載の方法を用いて、メアンダ化された放射素子11のキャパシタンスCmを算出する。
すなわち、1ターン分の放射素子11を、図3に示すようにモデル化し、1ターン分の放射素子11のキャパシタンスCgを、Cg=(Cga+Cgd)/4に従って算出する。そして、放射素子11のキャパシタンスCmを、Cm=Cg×N×lに従って算出する。ここで、Nは、放射素子11のターン数であり、Naが3の倍数であり、かつ、Nb=Na+1である場合、N=Na/3に従って算出される。
図3において、Cgaは、隣接するアーム部間のキャパシタンスのエアギャップ成分を表し、以下の式(b1)に従って算出される。式(b1)において、kは、k=(s−w)/(s+w)により定義されるパラメータであり、k’は、k’=(1−k21/2により定義されるパラメータである。また、K(k)は、楕円関数であり、εoは、真空の誘電率である。
Cga=εo・K(k’)/(2K(k)) ・・・(b1)
また、図3において、Cgdは、隣接するアーム部間のキャパシタンスの誘電体ギャップ成分を表し、以下の式(b2)に従って算出される。ここで、εeffは、誘電体シート13の実効誘電率であり、誘電体シート13の比誘電率をεrとして、以下の式(b3)に従って算出される。
Cgd=(εo・εeff/π)・(coth(0.25π・(s−w)/h)) ・・・(b2)
εeff=0.5(εr+1)(tanh(1.785log(h/w)+1.75))
+(k・w/h)(0.04−0.7k+0.01(1−0.1εr)(0.25+k)) ・・・(b3)
なお、上述したキャパシタンスCmの算出方法は一例に過ぎず、他の算出方法の利用を妨げるものではない。
2.インダクタンスLmの算出方法
メアンダ線路のインダクタンスを算出する方法としては、例えば、非特許文献2に記載のものが知られている。メアンダ化された放射素子11のインダクタンスLmは、例えば、非特許文献2に記載の方法を用いて算出することができる。
すなわち、放射素子11のインダクタンスLmは、以下の式(b4)に従って多項式近似することができる。式(b4)において、aは、放射素子11を円柱状のワイヤと見做した場合の実効半径である。
Lm=0.00266・((s−w)/2)0.0603・(l−w)0.4429・Na0.954・s0.606・w-0.173
・・・(b4)
なお、上述したインダクタンスLmの算出方法は一例に過ぎず、他の算出方法の利用を妨げるものではない。例えば、以下のようにして、インダクタンスLmを算出してもよい。
すなわち、放射素子11を構成する各アーム部aiの自己インダクタンスLaを、式(b5)に従って算出し、放射素子11を構成する各ブリッジ部bjの自己インダクタンスLbを、式(b6)に従って算出する。ここで、μoは、真空の透磁率である。
La=(μo/2π)[(l−w)ln(2(l−w)/(w+t))
+(l−w)/2+0.2235(w+t)] ・・・(b5)
Lb=(μo/2π)[sln(2s/(w+t))
+s/2+0.2235(w+t)] ・・・(b6)
また、各アーム部ai(1≦i≦Na)の他のアーム部ai+j(1≦j≦Na−i)との間の相互インダクタンスMa ijを、式(b7)に従って算出する。ここで、ra jは、アーム部aiとアーム部ai+jとの間の距離(中心軸間距離)であり、ra j=j×sにより与えられる。
Figure 0006032988
また、Nbが偶数の場合、各ブリッジ部bi(1≦i≦Nb)について、異側ブリッジ部bi+2×j−1(1≦j≦Nb/2−i)との間の相互インダクタンスMb1 ijを、式(b8−1)に従って算出し、同側ブリッジ部bi+2×j(1≦j≦Nb/2−i)との間の相互インダクタンスMb2 ijを、式(b8−2)に従って算出する。ここで、rb1 jは、ブリッジ部biと異側ブリッジ部bi+2×j−1との間の距離であり、j×(l−w)により与えられる。一方、rb2 jは、ブリッジ部biと同側ブリッジ部bi+2×jとの間の距離であり、j×sにより与えられる。また、siは、ブリッジ部biの長さである。
Figure 0006032988
また、Nbが奇数の場合、各ブリッジ部bi(1≦i≦Nb)について、異側ブリッジ部bi+2×j−1(1≦j<(Nb−1)/2−i)との間の相互インダクタンスMb1 ijを、式(b8−1’)に従って算出し、同側ブリッジ部bi+2×j(1≦j<(Nb−1)/2−i)との間の相互インダクタンスMb2 ijを、式(b8−2’)に従って算出する。ここで、rb1 jは、ブリッジ部biと異側ブリッジ部bi+2×j−1との間の距離であり、j×(l−w)により与えられる。一方、rb2 jは、ブリッジ部biと同側ブリッジ部bi+2×jとの間の距離であり、j×sにより与えられる。また、siは、ブリッジ部biの長さである。
Figure 0006032988
自己インダクタンスLa,Lb及び相互インダクタンス相互インダクタンスMa ij,Mb1 ij,Mb2 ijを用いると、放射素子11のインダクタンスLmは、Lm=Na×La+Nb×Lb+Mtotに従って算出される。ここで、Mtotは、以下の式に従って算出される。
Figure 0006032988
3.キャパシタンスCendの算出方法
放射素子11の先端とグランドとの間のキャパシタンスCendは、例えば、式(b9)に従って算出することができる。
Cend=8π・εo・a ・・・(b9)
ここで、aは、放射素子11を円柱状のワイヤと見做した場合の実効半径である。実効半径aは、参考文献(J. L. Volakis, "Antenna Engineering Handbook - Fourth Edition", McGraw Hill Professional, June 2007, 4/8 - 4/9)に記載の対応関係を用いて、放射素子11の厚みtと幅wとから導出することができる。なお、上記参考文献に記載に記載の対応関係は、図5に示すように、t/wとa/wとの間の対応関係を与えるものである。なお、上述したキャパシタンスCendの算出方法は一例に過ぎず、他の算出方法の利用を妨げるものではない。
(等価回路を用いた特性の計算)
図3に示す等価回路を用いることによって、図1に示すアンテナ1の各種特性を計算することができる。
例えば、アンテナ1のリアクタンスZaを、以下の式(b10)に従って算出することができる。ここで、jは、虚数単位であり、ωは、周波数である。
Za=(j・ω・Lm)/(1−ω2・Lm・Cm) ・・・(b10)
また、アンテナ1の入力インピーダンスZinを、以下の式(b11)に従って算出することができる。
Zin=Za+1/(j・ω・Cend) ・・・(b11)
更に、アンテナ1の共振周波数frを、以下の式(b12)に従って算出することができる。
fr=1/2π{Lm(Cm+Cend)}1/2 ・・・(b12)
なお、ここで挙げたリアクタンスZa、入力インピーダンスZin、及び共振周波数frは、図3に示す等価回路から計算可能な特性の一例に過ぎず、図3に示す等価回路から他の特性を計算することを妨げるものではない。
(実施に用いる計算装置)
本実施形態に計算方法は、例えば、コンピュータ等の計算装置を用いて実施することができる。以下、本実施形態に係る計算方法の実施に用いる計算装置2の構成について、図6を参照して説明する。図6は、計算装置2の構成を示すブロック図である。
計算装置2は、図6に示すように、パラメータ取得部21と、パラメータ変換部22と、インダクタンス算出部23と、キャパシタンス算出部24と、先端キャパシタンス算出部25と、特性算出部26とを備えている。なお、これらのブロックは、ハードウェアとして実現されたものであってもよいし、ソフトウェアとして実現されたものであってもよい。
パラメータ取得部21は、アンテナ1の形状を規定する形状パラメータt、w、l、s、Na、Nb、hの値を取得するための手段である。上述したように、形状パラメータt、w、l、s、Na、Nb、hは、それぞれ、アーム部及びブリッジ部の厚み、アーム部及びブリッジ部の幅、アーム部の長さ、アーム部の中心軸間距離、アーム部の本数、ブリッジ部の本数、誘電体シート13の厚みを表す。
パラメータ変換部22は、パラメータ取得部21が取得した形状パラメータt、wの値から、実効半径aを導出するための手段である。パラメータ変換部22は、例えば、図5に示す対応関係を数値として記載したテーブルを参照して、以下のように実効半径aを算出する。
ステップ1:形状パラメータtの値を、形状パラメータwの値で除算する。
ステップ2:上述したテーブルを参照して、ステップ1にて得たt/wの値に対応するa/wの値を得る。
ステップ3:形状パラメータwの値を、ステップ2にて得たa/wの値に乗算する。
インダクタンス算出部23は、パラメータ取得部21が取得した形状パラメータt、w、l、s、Na、Nbの値から、メアンダ化された放射素子11のインダクタンスLmを算出するための手段である。インダクタンス算出部23は、例えば以下のようにして、メアンダ化された放射素子11のインダクタンスLmを算出する。
ステップ1:形状パラメータl、w、tの値を、式(b5)に代入することによって、アーム部のインダクタンスLaを算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ2:形状パラメータs、w、tの値を、式(b6)に代入することによって、ブリッジ部のインダクタンスLbを算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ3:形状パラメータl、w、sの値を、式(b7)に代入することによって、アーム部の相互インダクタンスMa ijの値を算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ4:形状パラメータl、w、sの値を、式(b8−1)〜(b8−2)又は式(b8−1’)〜(b8−2’)に代入することによって、ブリッジ部の相互インダクタンスMb1 ij,Mb2 ijの値を算出する。この際、式(b8−1)〜(b8−2)を用いるか、(b8−1’)〜(b8−2’)を用いるかは、Nbが偶数であるか奇数であるかに応じて決定する。また、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ5:ステップ1、2、3、4にて得たLa、Lb、Ma ij、Mb1 ij、Mb2 ijの値と、形状パラメータNa、Nbの値とを、Lm=Na×La+Nb×Lb+Mtotに代入することによって、メアンダ化された放射素子11のインダクタンスLmの値を得る。Mtotの算出方法については、上述したとおりである。
なお、ここでは、インダクタンス算出部23が式(b5)〜式(b8)を用いてメアンダ化された放射素子11のインダクタンスLmを算出する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、インダクタンス算出部23が式(b4)を用いてメアンダ化された放射素子11のインダクタンスLmを算出する構成を採用してもよい。この場合、インダクタンス算出部23は、式(b4)に代入する実効半径aの値を、パラメータ変換部22から取得することになる。
キャパシタンス算出部24は、パラメータ取得部21が取得した形状パラメータw、l、s、Na、Nb、hの値から、メアンダ化された放射素子11のキャパシタンスCmを算出するための手段である。キャパシタンス算出部24は、例えば以下のようにして、メアンダ化された放射素子11のキャパシタンスCmを算出する。
ステップ1:形状パラメータs、wの値を、k=(s−w)/(s+w)に代入することによって、kの値を得る。更に、kの値を、k’=(1−k21/2に代入することによって、k’の値を得る。
ステップ2:ステップ1にて得たk、k’の値を、式(b1)に代入することによって、キャパシタンスCgのエアギャップ成分Cgaの値を得る。この際、定数εoの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ3:ステップ1にて得たkの値と、形状パラメータh、wの値とを、式(b3)に代入することによって、実効誘電率εeffの値を得る。この際、εrの値は、不図示の記憶装置から読み込む。なお、εrの値を不変とする場合には、その値を予め記憶装置に格納しておき、εrの値を可変とする場合には、ユーザが指定した値を記憶装置に格納しておくものとする。
ステップ4:ステップ3にて得たεeffの値と、形状パラメータs、hの値とを、式(b2)に代入することによって、キャパシタンスCgの誘電体ギャップ成分Cgdの値を得る。この際、定数εo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ5:ステップ2にて得たCgaの値と、ステップ4にて得たCgdの値とを、Cg=(Cga+Cgd)/4に代入することによって、1ターン分の放射素子11のキャパシタンスCgの値を得る。
ステップ6:形状パラメータNa、Nbの値から、ターン数Nの値を得る。例えば、Naが3の倍数であり、かつ、Nb=Na+1である場合、形状パラメータNaの値を、N=Na/3に代入することによって、ターン数Nの値を得る。
ステップ7:ステップ5にて得たCgの値と、ステップ6にて得たNの値と、形状パラメータlの値とを、Cm=Cg×N×lに代入することによって、メアンダ化された放射素子11のキャパシタンスCmの値を得る。
先端キャパシタンス算出部24は、パラメータ変換部21が導出した実効半径aの値から、放射素子11の先端とグランドとの間のキャパシタンスCendを算出するための手段である。先端キャパシタンス算出部24は、例えば、実効半径aの値を、式(b9)に代入することによって、キャパシタンスCendの値を得る。この際、定数π、εoの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
特性算出部26は、インダクタンス算出部23が算出したインダクタンスLmの値、キャパシタンス算出部24が算出したキャパシタンスCmの値、及び、先端キャパシタンス算出部25が算出したキャパシタンスCendの値から、アンテナ1の各種特性を算出するための手段である。本実施形態においては、特性算出部26を、共振周波数算出部26aと、リアクタンス算出26bと、インピーダンス算出部26cとにより構成している。
共振周波数算出部26aは、Lm、Cm、Cendの値から、アンテナ1の共振周波数frを算出するための手段である。共振周波数算出部26は、例えば、Lm、Cm、Cendの値を、式(b12)に代入することによって、アンテナ1の共振周波数frの値を得る。この際、定数πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
リアクタンス算出部26bは、Lm、Cmの値から、与えられた周波数ωにおけるアンテナ1のリアクタンスZaを算出するための手段である。リアクタンス算出部26bは、例えば、Lm、Cm、ωの値を、式(b10)に代入することによって、アンテナ1のリアクタンスZaの値を得る。
インピーダンス算出部26cは、Cendの値と、リアクタンス算出部26bが算出したリアクタンスZaの値とから、与えられた周波数ωにおけるアンテナ1の入力インピーダンスZinを算出するための手段である。インピーダンス算出部26cは、例えば、Cend、Zaの値を、式(b11)に代入することによって、アンテナ1の入力インピーダンスZinの値を得る。
(コンピュータを用いた計算装置の実現例)
上述した計算装置2は、コンピュータを用いて実現することができる。図7は、計算装置2として利用可能なコンピュータ100の構成を示したブロック図である。
コンピュータ100は、図7に示したように、バス110を介して互いに接続された演算装置120と、主記憶装置130と、補助記憶装置140と、入出力 インタフェース150とを備えている。演算装置120として利用可能なデバイスとしては、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、主記憶装置130として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(random access memory)を挙げることができる。また、補助記憶装置140として利用可能なデバイスとしては、例えば、ハードディスクドライブを挙げることができる。
入出力インタフェース150には、図7に示したように、入力装置200及び出力装置300が接続される。ユーザに形状パラメータを入力させるためのキーボードは、この入出力インタフェース150に接続される入力装置200の一例である。また、共振周波数frや入力インピーダンスZinなどの計算結果を数値として、或いはグラフとして出力するディスプレイやプリンタなどは、この入出力インタフェース150に接続される出力装置300の一例である。
補助記憶装置140には、コンピュータ100を計算装置2として動作させるための各種プログラムが格納されている。具体的には、図6に示す各ブロックに対応するプログラム、すなわち、パラメータ取得プログラム、パラメータ変換プログラム、インダクタンス算出プログラム、キャパシタンス算出プログラム、先端キャパシタンスプログラム、及び特性算出プログラムが格納されている。また、図5に示す対応関係を数値として記載したテーブル、及び、各種定数(π、εo、μoなど)も補助記憶装置140に格納されている。
演算装置120は、補助記憶装置140に格納された上記各プログラムを主記憶装置130上に展開し、主記憶装置130上に展開された上記各プログラムに含まれる命令を実行することによって、コンピュータ100を、パラメータ取得部21、パラメータ変換部22、インダクタンス算出部23、キャパシタンス算出部24、先端キャパシタンス算出部25、及び特性算出部26として機能させる。
主記憶装置130には、演算装置120が参照する各種数値が格納される。入力装置200を用いて入力された形状パラメータ、パラメータ変換部22、インダクタンス算出部23、キャパシタンス算出部24、及び先端キャパシタンス算出部25により算出された中間結果、並びに、特性算出部26により算出された最終結果は、何れも、主記憶装置130に格納される。
なお、ここでは、内部記録媒体である補助記憶装置140に記録されているプログラムを用いてコンピュータ100を計算装置2として機能させる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、外部記録媒体に記録されているプログラムを用いてコンピュータ100を計算装置2として機能させる構成を採用してもよい。外部記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば何でもよく、例えば、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクなどのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュ ROM等の半導体メモリ系などにより実現することができる。
また、コンピュータ100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上述した各プログラムコードを通信ネットワークを介してコンピュータ100に供給する ようにしてもよい。この通信ネットワークとしては、とくに限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、 VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、とくに限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話 線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
〔計算結果〕
次に、本実施形態に係る計算方法により得られた計算結果を、実験により得られた測定結果と比較し、本実施形態に係る計算方法の有効性について確認する。
図8は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた入力インピーダンスZinのリアクタンス成分(以下、入力リアクタンスと記載)Xin(同図における「Calculation」)、及び(2)実験により得られた入力リアクタンスXin(同図における「Measured」)の周波数特性を表すグラフである。
なお、対象としたアンテナは、図1に示すアンテナ1において、l=5mm、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mm、Na=Nb=15本(すなわち、ターン数N=5)としたものである。地板12としては、縦(図1におけるy軸方向)5mm、横(図1におけるx軸方向)25mmのものを用いた。また、誘電体シート13としては、誘電率=3のものを用いた。
図8に示すように、本実施形態に係る計算方法により得られた入力リアクタンスXinの周波数特性は、実験により得られた入力リアクタンスXinの周波数特性、すなわち、直列共振の周波数特性と並列共振の周波数特性とを混成した周波数特性を再現した。とりわけ、直列共振の周波数は良好に一致しており、本実施形態に係る計算方法の妥当性が示された。
図9は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ.」)、(2)従来の等価回路を用いた計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ._no_edge」)、及び(3)実験により得られた共振周波数fr(同図における「Meas.」)のアーム長(各アームaiの長さl)依存性を示すグラフである。
なお、対象としたアンテナは、上述したものと同様、図1に示すアンテナ1において、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mm、Na=Nb=15本(すなわち、ターン数N=5)としたものである。実験においては、反射係数が極小(入力リアクタンスが0になることと等価)となる周波数のうちで最も低い周波数を共振周波数frとしている。
図9に示すように、従来の等価回路を用いた計算方法により得られた共振周波数frと比べて、本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数frは、広い範囲(1mm≦l≦20mm)に亘って実験により得られた共振周波数frをより精度良く再現した。
図10は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ.」)、(2)従来の等価回路を用いた計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ._no_edge」)、及び(3)実験により得られた共振周波数fr(同図における「Meas.」)のターン数依存性を示すグラフである。
なお、対象としたアンテナは、上述したものと同様、図1に示すアンテナ1において、l=5mm、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mmとしたものである。実験においては、反射係数が極小(入力リアクタンスが0になることと等価)となる周波数のうちで最も低い周波数を共振周波数frとしている。
図10に示すように、従来の等価回路を用いた計算方法により得られた共振周波数frと比べて、本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数frは、実験を行った全ての範囲(1≦N≦7)に亘って実験により得られた共振周波数frをより精度良く再現した。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態について、図11〜図20を参照して説明する。
(適用対象となるアンテナ)
まず、本実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナ1’について、図11を参照して説明する。図11(a)は、アンテナ1’の構成を示す平面図であり、図11(b)は、アンテナ1’のAA’断面を示す断面図である。
本実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナ1’は、第1の実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナ1に、導体板14を付加したものである。すなわち、アンテナ1’は、放射素子11、地板12、誘電体シート13、及び導体板14を備えている。
導体板14は、誘電体シート13の下面に形成された板状の導体(例えば、銅板などの金属板)である。放射素子11と導体板14との距離は、放射素子11と導体板14との間に介在する誘電体シート13の厚みhと一致する。
導体板14は、上面視したときに放射素子11全体を覆うものであればよく、その形状及びサイズにそれ以上の制約はない。例えば、第1の実施形態に係る計算方法の適用対象となるアンテナ1を、電子機器の筐体や自動車のボディーなどの金属板に貼り付けて利用する場合、この金属板が導体板14に該当する。
このような導体板14を付加することによって、放射素子11と導体板14との間に新たなキャパシタンスが生じる。また、放射素子11に電流が流れると、導体板14に誘導電流が流れるため、導体板14に新たなインダクタンスが生じ、また、放射素子11と導体板14との間に新たな相互インダクタンスが生じる。本実施形態に係る計算方法は、これを考慮に入れたものである。
(使用する等価回路)
本実施形態に係る計算方法においては、上述したアンテナ1を表現する集中定数素子の等価回路として、図12に示す等価回路E1’を使用する。
アンテナ1’に対応する等価回路E1’は、放射素子11に対応する等価回路E11と、導体板14に対応する等価回路E14とを、キャパシタCendを介して直列に接続したものである。換言すれば、アンテナ1に対応する等価回路E1において、キャパシタCendとグランドとの間に、導体板14に対応する等価回路E14を挿入したものである。
放射素子11に対応する等価回路E11は、互いに並列に接続されたキャパシタCpとインダクタLpとにより構成される。等価回路E11を構成するキャパシタCpとインダクタLpとの一方の接続点は、信号源を介してグランドに接続され、他方の接続点は、キャパシタCendの一端に接続される。
導体板14に対応する等価回路E14は、放射素子11に対応する等価回路E11と同様、互いに並列に接続されたキャパシタCpとインダクタLpとにより構成される。等価回路E14を構成するキャパシタCpとインダクタLpとの一方の接続点は、キャパシタCendの他端に接続され、他方の接続点は、グランドに接続される。
なお、導体板14に対応する等価回路E14を構成するキャパシタCpのキャパシタンスは、放射素子11に対応する等価回路E11を構成するキャパシタCpのキャパシタンスと同一である。これらのキャパシタCpのキャパシタンスを、以下、記号を流用してキャパシタンスCpと記載する。また、導体板14に対応する等価回路E14を構成するインダクタLpのインダクタンスは、放射素子11に対応する等価回路E11を構成するインダクタLpのインダクタンスと同一である。これらのインダクタLpのインダクタンスを、以下、記号を流用してインダクタンスLpと記載する。
1.キャパシタンスCpの算出方法
放射素子11と導体板14との間の結合が、図13に示すように奇モードの結合である場合、放射素子11と導体板14との間に生じるキャパシタンスClは、Cl=3N・l・Cunit+3N・s・Cunitにより与えられる。ここで、Cunitは、放射素子11と導体板14との間に生じる単位長さあたりのキャパシタンスであり、Cunit=εo・w/hにより与えられる。そして、放射素子11のキャパシタンスCpは、Cp=Cm+Clに従って算出することができる。なお、キャパシタンスCmの算出方法は、第1に実施形態と同様なので、ここではその説明を繰り返さない。
2.インダクタンスLpの算出方法
放射素子11に、図14(a)に示す電流が流れると、導体板14に、図14(b)に示す誘導電流が流れる。すなわち、放射素子11の各アーム部aiを流れる電流フィラメントIaiに対し、これとは逆向きの電流フィラメントIai’が導体板14に形成され、放射素子11の各ブリッジ部biを流れる電流フィラメントIbiに対し、これとは逆向きの電流フィラメントIbi’が導体板14に形成される。
このため、放射素子11の各アーム部aiは、上述した自己インダクタンスLaに加えて、直下の導体板14との間に相互インダクタンスMa’を持つことになる。この相互インダクタンスMa’は、以下の式(c1)に従って算出することができる。
Ma’=(μo/2π)(l−w)[ln(2(l−w)/h)
−1+h/(l−w)] ・・・(c1)
同様に、放射素子11の各ブリッジ部bjは、上述した自己インダクタンスLbに加えて、直下の導体板14との間に相互インダクタンスMb’を持つことになる。この相互インダクタンスMb’は、以下の式(c2)に従って算出することができる。
Mb’=(μo/2π)s[ln(2s/h)
−1+h/s] ・・・(c2)
なお、放射素子11の各アーム部aiは、隣接するアーム部ai−1,ai+1との間にも相互インダクタンスを持ち得るし、また、隣接するアーム部ai−1,ai+1の直下の導体板14との間にも相互インダクタンスを持ち得る(アーム部間の相互インダクタンスは、アーム部間の距離に依存して決まり、アーム部aiと非隣接アーム部an(n≠i−1,i+1)との間の相互インダクタンスは、アーム部aiと隣接アーム部an(n≠i−1,i+1)との間の相互インダクタンスと比べて無視できる程度に小さくなる)。しかしながら、アーム部ai−1,ai+1の直下には、アーム部ai−1,ai+1を流れる電流フィラメントIai−1,ai+1と逆向きの電流フィラメントIa−1’,Ia+1'が導体板14に形成される。そして、電流フィラメントIai−1が逆向きの電流フィラメントIa−1’と近接しているため、電流フィラメントIaiと電流フィラメントIai−1との間の相互インダクタンスは、電流フィラメントIaiと電流フィラメントIai−1’との間の相互インダクタンスにより相殺される。同様に、電流フィラメントIai+1が逆向きの電流フィラメントIa+1’と近接しているため、電流フィラメントIaiと電流フィラメントIai+1との間の相互インダクタンスは、電流フィラメントIaiと電流フィラメントIai+1’との間の相互インダクタンスにより相殺される。このため、これらの相互インダクタンスの和は、無視できる程度に小さくなる。したがって、放射素子11のインダクタンスLpは、Lp=Na(La−Ma’)+Nb(Lb−Mb’)に従って算出する(精度良く近似する)ことができる。なお、自己インダクタンスLa、Lbの算出方法は、第1に実施形態と同様なので、ここではその説明を繰り返さない。
3.キャパシタンスCendの算出方法
放射素子11の先端とグランドとの間のキャパシタンスCendは、第1の実施形態と同様、式(b9)に従って算出することができる。
(等価回路を用いた特性の計算)
図12に示す等価回路を用いることによって、図11に示すアンテナ1’の各種特性を計算することができる。
例えば、アンテナ1’のリアクタンスZaを、以下の式(c3)に従って算出することができる。ここで、jは、虚数単位であり、ωは、周波数である。
Za=(j・ω・2Lp)/(1−ω2・Lp・Cp) ・・・(c3)
また、アンテナ1’の入力インピーダンスZinを、以下の式(c4)に従って算出することができる。
Zin=Za+1/(j・ω・Cend) ・・・(c4)
更に、アンテナ1の共振周波数frを、以下の式(b12)に従って算出することができる。
fr=1/2π{Lp(Cp+2Cend)}1/2 ・・・(c5)
なお、ここで挙げたリアクタンスZa、入力インピーダンスZin、及び共振周波数frは、図12に示す等価回路E1’から計算可能な特性の一例に過ぎず、図12に示す等価回路E1’から他の特性を計算することを妨げるものではない。
(実施に用いる計算装置)
本実施形態に計算方法は、例えば、計算装置を用いて実施することができる。以下、本実施形態に係る計算方法の実施に用いる計算装置3の構成について、図15を参照して説明する。図15は、計算装置3の構成を示すブロック図である。
計算装置3は、図15に示すように、パラメータ取得部31と、パラメータ変換部32と、インダクタンス算出部33と、キャパシタンス算出部34と、先端キャパシタンス算出部35と、特性算出部36とを備えている。なお、これらのブロックは、ハードウェアとして実現されたものであってもよいし、ソフトウェアとして実現されたものであってもよい。
パラメータ取得部31は、アンテナ1の形状を規定する形状パラメータt、w、l、s、Na、Nb、hの値を取得するための手段である。上述したように、形状パラメータt、w、l、s、Na、Nb、hは、それぞれ、アーム部ai及びブリッジ部bjの厚み、アーム部ai及びブリッジ部bjの幅、アーム部aiの長さ、アーム部aiの中心軸間距離、アーム部aiの本数、ブリッジ部bjの本数、誘電体シート13の厚みを表す。誘電体シート13の厚みは、すなわち、放射素子11と導体板14との間の距離である。
パラメータ変換部32は、パラメータ取得部31が取得した形状パラメータt、wの値から、実効半径aを導出するための手段である。パラメータ変換部32は、例えば、図5に示す対応関係を数値として記載したテーブルを参照して、以下のように実効半径aを算出する。
ステップ1:形状パラメータtの値を、形状パラメータwの値で除算する。
ステップ2:上述したテーブルを参照して、ステップ1にて得たt/wの値に対応するa/wの値を得る。
ステップ3:形状パラメータwの値を、ステップ2にて得たa/wの値に乗算する。
インダクタンス算出部33は、パラメータ取得部21が取得した形状パラメータt、w、l、s、Na、Nb、hの値から、インダクタンスLpを算出するための手段である。インダクタンス算出部33は、例えば以下のようにして、メアンダ化された放射素子11のインダクタンスLpを算出する。
ステップ1:形状パラメータl、w、tの値を、式(b5)に代入することによって、アーム部のインダクタンスLaを算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ2:形状パラメータs、w、tの値を、式(b6)に代入することによって、ブリッジ部のインダクタンスLbを算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ3:形状パラメータl、w、hの値を、式(c1)に代入することによって、アーム部と導体板14との間の相互インダクタンスMa’を算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ4:形状パラメータs、w、hの値を、式(c2)に代入することによって、ブリッジ部と導体板14との間の相互インダクタンスMb’を算出する。この際、定数μo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ5:ステップ1、2、3、4にて得たLa、Lb、Ma’、Mb’の値と、形状パラメータNa、Nbの値とを、Lm=Na(La−Ma’)+Nb(Lb−Mb’)に代入することによって、インダクタンスLpの値を得る。
キャパシタンス算出部34は、パラメータ取得部31が取得した形状パラメータw、l、s、Na、Nb、hの値から、キャパシタンスCpを算出するための手段である。キャパシタンス算出部34は、例えば以下のようにして、キャパシタンスCpを算出する。
ステップ1:形状パラメータs、wの値を、k=(s−w)/(s+w)に代入することによって、kの値を得る。更に、kの値を、k’=(1−k2)1/2に代入することによって、k’の値を得る。
ステップ2:ステップ1にて得たk、k’の値を、式(b1)に代入することによって、キャパシタンスCgのエアギャップ成分Cgaの値を得る。この際、定数εoの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ3:ステップ1にて得たkの値と、形状パラメータh、wの値とを、式(b3)に代入することによって、実効誘電率εeffの値を得る。この際、εrの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ4:ステップ3にて得たεeffの値と、形状パラメータs、hの値とを、式(b2)に代入することによって、キャパシタンスCgの誘電体ギャップ成分Cgdの値を得る。この際、定数εo、πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ5:ステップ2にて得たCgaの値と、ステップ4にて得たCgdの値とを、Cg=(Cga+Cgd)/4に代入することによって、1ターン分の放射素子11のキャパシタンスCgの値を得る。
ステップ6:形状パラメータNa、Nbの値から、ターン数Nの値を得る。例えば、Naが3の倍数であり、かつ、Nb=Na+1である場合、形状パラメータNaの値を、N=Na/3に代入することによって、ターン数Nの値を得る。
ステップ7:ステップ5にて得たCgの値と、ステップ6にて得たNの値と、形状パラメータlの値とを、Cm=Cg×N×lに代入することによって、キャパシタンスCmの値を得る。
ステップ8:形状パラメータw、hを、Cunit=εo・w/hに代入することによって、放射素子11と導体板14との間に生じる単位長さあたりのキャパシタンスCunitの値を得る。この際、定数εoの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
ステップ9:形状パラメータl、w、sの値と、ステップ6にて得たNの値と、ステップ8にて得たCunitの値とを、Cl=3N・l・Cunit+3N・s・Cunitに代入することによって、放射素子11と導体板14との間に生じるキャパシタンスClの値を得る。
ステップ10:ステップ7にて得たCmの値と、ステップ9にて得たClの値とを、Cp=Cm+Clに代入することによって、キャパシタンスCpの値を得る。
先端キャパシタンス算出部34は、パラメータ変換部31が導出した実効半径aの値から、放射素子11の先端とグランドとの間のキャパシタンスCendを算出するための手段である。先端キャパシタンス算出部34は、例えば、実効半径aの値を、式(b9)に代入することによって、キャパシタンスCendの値を得る。この際、定数π、εoの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
特性算出部36は、インダクタンス算出部33が算出したインダクタンスLpの値、キャパシタンス算出部34が算出したキャパシタンスCpの値、及び、先端キャパシタンス算出部35が算出したキャパシタンスCendの値から、アンテナ1の各種特性を算出するための手段である。本実施形態においては、特性算出部36を、共振周波数算出部36aと、リアクタンス算出36bと、インピーダンス算出部36cとにより構成している。
共振周波数算出部36aは、Lp、Cp、Cendの値から、アンテナ1の共振周波数frを算出するための手段である。共振周波数算出部36は、例えば、これらの値を、式(c5)に代入することによって、アンテナ1の共振周波数frの値を得る。この際、定数πの値は、不図示の記憶装置から読み込む。
リアクタンス算出部36bは、Lp、Cpの値から、与えられた周波数ωにおけるアンテナ1のリアクタンスZaを算出するための手段である。リアクタンス算出部36bは、例えば、これらの値を、式(c3)に代入することによって、アンテナ1のリアクタンスZaの値を得る。
インピーダンス算出部36cは、Cendの値と、リアクタンス算出部36bが算出したリアクタンスZaの値とから、与えられた周波数ωにおけるアンテナ1の入力インピーダンスZinを算出するための手段である。インピーダンス算出部36cは、例えば、これらの値を、式(c4)に代入することによって、アンテナ1の入力インピーダンスZinの値を得る。
なお、本実施形態に係る計算装置3は、第1の実施形態に係る計算装置2と同様、図7に示すコンピュータ100を用いて実現することができる。
〔計算結果〕
次に、本実施形態に係る計算方法により得られた計算結果を、実験により得られた測定結果と比較し、本実施形態に係る計算方法の有効性について確認する。
図16は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた入力リアクタンスXin(同図における「Calculation」)、及び(2)実験により得られた入力リアクタンスXin(同図における「Measured」)の周波数特性を表すグラフである。
なお、対象としたアンテナは、図11に示すアンテナ1’において、l=5mm、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mm、h=0.15mm、Na=Nb=15本(すなわち、ターン数N=5)としたものである。地板12としては、縦(図1におけるy軸方向)5mm、横(図1におけるx軸方向)25mmのものを用いた。また、誘電体シート13としては、誘電率=3のものを用いた。
図16に示すように、本実施形態に係る計算方法により得られた入力リアクタンスXinの周波数特性は、実験により得られた入力リアクタンスXinの周波数特性、すなわち、直列共振の周波数特性と並列共振の周波数特性とを混成した周波数特性を再現した。とりわけ、直列共振の周波数は良好に一致しており、本実施形態に係る計算方法の妥当性が示された。
図17は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ.」)、及び(2)実験により得られた共振周波数fr(同図における「Meas.」)のアーム長依存性を示すグラフである。
なお、対象としたアンテナは、上述したものと同様、図11に示すアンテナ1’において、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mm、h=0.15mm、Na=Nb=15本(すなわち、ターン数N=5)としたものである。実験においては、反射係数が極小(入力リアクタンスが0になることと等価)となる周波数のうちで最も低い周波数を共振周波数frとしている。
図17に示すように、本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数frは、アーム長lが2mm以上のときに実験により得られた共振周波数frの共振周波数依存性を特に精度良く再現した。
図18は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ.」)、及び(2)実験により得られた共振周波数fr(同図における「Meas.」)のターン数依存性を示すグラフである。
なお、対象としたアンテナは、上述したものと同様、図11に示すアンテナ1’において、l=5mm、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mm、h=0.15mmとしたものである。実験においては、反射係数が極小(入力リアクタンスが0になることと等価)となる周波数のうちで最も低い周波数を共振周波数frとしている。
図18に示すように、本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数frは、ターン数Nが2以上のときに実験により得られた共振周波数frを特に精度良く再現した。
図19は、(1)本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数fr(同図における「Circ.」)、及び(2)実験により得られた共振周波数fr(同図における「Meas.」)の間隔依存性を示すグラフである。ここで、「間隔」とは、放射素子11と導体板14との間の間隔、すなわち、誘電体シート13の厚みhのことを指す。下段のグラフは、上段のグラフにおけるh=0.1mmからh=0.5mmまでの範囲を格段したものである。
なお、対象としたアンテナは、上述したものと同様、図11に示すアンテナ1’において、l=5mm、w=0.5mm、s=1mm、t=0.135mm、Na=Nb=15本(すなわち、ターン数N=5)としたものである。実験においては、反射係数が極小(入力リアクタンスが0になることと等価)となる周波数のうち、最も低い周波数を共振周波数frとしている。
図19に示すように、本実施形態に係る計算方法により得られた共振周波数frは、間隔hが0.16mm程度(0.1mm以上0.2mm以下)のときに実験により得られた共振周波数frを特に精度良く再現した。
図20は、図19に示すグラフにおける横軸を、規格化された間隔h/lに置き換えたものである。図20に示すグラフから、規格化された間隔h/lが0.3以上0.45以下のときに、実験により得られた共振周波数frが取り分け精度良く再現されることが分かる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、メアンダ化された放射素子を有するモノポールアンテナの設計や製造などに利用することができる。
1、1’ アンテナ(モノポールアンテナ)
11 放射素子
12 地板
13 誘電体シート
14 導体板
E1、E1’ 等価回路
Cm キャパシタ(第1のキャパシタ)
Lm インダクタ(第1のインダクタ)
Cend キャパシタ(第2のキャパシタ)
Cp キャパシタ(第1のキャパシタ、第3のキャパシタ)
Lp インダクタ(第1のインダクタ、第2のインダクタ)
2 計算装置
21 パラメータ取得部
22 パラメータ変換部
23 インダクタンス算出部(第1のインダクタンス算出手段)
24 キャパシタンス算出部(第1のキャパシタンス算出手段)
25 先端キャパシタンス算出部(第2のキャパシタンス算出手段)
26 特性算出部

Claims (7)

  1. 等価回路を用いてメアンダ化された放射素子を備えたモノポールアンテナの特性を計算する計算方法であって、
    上記等価回路は、上記放射素子に対応する互いに並列に接続された第1のキャパシタと第1のインダクタとを含み、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの一方の接続点が、信号源を介して接地され、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの他方の接続点が、上記放射素子の先端とグランドとの間のギャップに対応する第2のキャパシタを介して接地されている、
    ことを特徴とする計算方法。
  2. 上記放射素子の実効半径をa、真空の誘電率をεoとして、上記第2のキャパシタのキャパシタンスCendを、Cend=8π・εo・aに従って算出する工程を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の計算方法。
  3. 上記モノポールアンテナは、上記放射素子に対向する導体板を更に備えており、
    上記等価回路は、上記導体板に対応する互いに並列に接続された第3のキャパシタと第2のインダクタとを更に含み、上記第3のキャパシタと上記第2のインダクタとの一方の接続点が、上記第2のキャパシタの一端に接続され、上記第3のキャパシタと上記第2のインダクタとの他方の接続点が、接地されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計算方法。
  4. 上記第1のインダクタ及び上記第2のインダクタのインダクタンスを、上記放射素子各部の自己インダクタンスから、上記放射素子各部と上記導体板との間の相互インダクタンスを引いた差を求めることによって算出する工程を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項3に記載に計算方法。
  5. 等価回路を用いてメアンダ化された放射素子を備えたモノポールアンテナの特性を計算する計算装置であって、
    上記等価回路は、上記放射素子に対応する互いに並列に接続された第1のキャパシタと第1のインダクタとを含み、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの一方の接続点が、信号源を介して接地され、上記第1のキャパシタと上記第1のインダクタとの他方の接続点が、上記放射素子の先端とグランドとの間のギャップに対応する第2のキャパシタを介して接地されており、
    当該計算装置は、上記第1のキャパシタのキャパシタンスを算出する第1のキャパシタンス算出手段と、上記第1のインダクタのインダクタンスを算出する第1のインダクタンス算出手段と、上記第2のキャパシタのキャパシタンスを算出する第2のキャパシタンス算出手段とを備えている、
    ことを特徴とする計算装置。
  6. 請求項5に記載の計算装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、上記計算装置が備える各手段として上記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
  7. 請求項6に記載のプログラムが記録されている、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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