JP6028183B2 - 馬場クッション材組成物 - Google Patents
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Description
人工馬場は、馬場クッション材にバインダを添加したものであり、馬場クッション材としては、砂、ゴム、樹脂などが使用され、バインダとしては、オイル成分、水不溶性合成樹脂、ゴムアスファルト、樹脂アスファルト、ワックスなどが使用される。馬場クッション材は、主にクッション性を与え、バインダは馬場クッション材のクッション性をより向上させ、クッション材に対し粘着性を付与し、さらに、砂塵抑制、凍結防止などの役割を果たす。
さらに、特許文献3には、砂、ゴム繊維、ポリエステル繊維、樹脂成分、ワックスからなる馬場クッション材組成物が開示されており、バインダとして使用されるワックス成分は、天候の変化に対する耐久性を向上させ、馬場クッション材どうしの凝集を防止する。
前記骨材は、1.18mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の50〜90質量%、0.60mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の25〜65質量%、及び0.15mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の2〜15質量%であり、
前記バインダは、下記(A)および(B)を含有し、(A)および(B)の質量比[(A)/(B)]が95/5〜50/50である馬場クッション材組成物である。
(A)流動点が40℃以下、100℃における動粘度が500〜10, 000mm2/sであるポリオレフィン誘導体
(B)炭素数10〜24の脂肪酸が2種以上混合されてなり、曇り点が15〜55℃、流動点が−25〜50℃である脂肪酸混合物
本発明に用いられる骨材としては、砂や土を用いることができる。砂としては、川砂、山砂、海砂等の天然砂、砕砂等の人工砂、硅砂等の砂が挙げられ、これらの砂を篩などにかけ、粒径を均一にした極粗粒砂、粗粒砂、中粒砂、細粒砂、極細粒砂などを使用することができる。砂は、バインダによる砂粒子の被覆を確実に行うために、水分を除去した乾燥砂を用いることが好ましい。土としては、黒土、赤土、庭土、腐葉土、ピートモス、ココナッツピート、パーライト、バーミキュライトなどが挙げられる。
このうち、1.18mmふるい目については、通過質量百分率が50質量%未満であると、クッション性が低下するおそれがあり、90質量%を超えると、適度な透水性が得られなくなるおそれがある。
また、4.75mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがさらに好ましい。
さらに、2.36mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の80〜100質量%であることが好ましく、85〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、0.30mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の8〜35質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがさらに好ましく、13〜35質量%であることが特に好ましい。
なお、骨材のふるい分けは、日本工業規格(JIS) A 1102「骨材のふるい分け試験」に準じて行うことができる。
上述の布としては、木綿、麻、アセテート、キュプラ、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、フィストップなどが挙げられる。
不織布としては、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維などが挙げられる。また、繊維屑としては、カーペット屑やタイヤコードの繊維屑が挙げられる。
合成樹脂としては、例えば電線被覆材を再利用したものが用いられ、樹脂材料としては、塩化ビニル樹脂やスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
ウッドチップとしては、通常、競馬場やその練習場などで使用されている木材を切断したのち、チップスクリーンを通して製造されたものなどが挙げられる。
タイヤ屑としては、使用済みのタイヤを粉砕したものなどが挙げられる。
本発明に用いられるバインダは、ポリオレフィン誘導体(A)および脂肪酸混合物(B)を含有する。ポリオレフィン誘導体(A)は、馬場クッション材に対し、クッション性と粘着性を付与し、さらに砂塵抑制効果を付与する効果がある。一方、脂肪酸混合物(B)は、馬場クッション材に対し、クッション性と粘着性のバランスを調整するとともに、透水性を付与し、大量の降雨時や繰り返しの降雨後などにおいて、雨水を十分に排水させ、さらに低温での凝固を防ぐ効果がある。以下、これらの成分を順次説明する。
ポリオレフィン誘導体(A)は、オレフィンを重合することにより得られる重合体である。オレフィンとしては、αオレフィン等のモノオレフィン、ジオレフィン、イソオレフィンなどが挙げられ、炭素数2〜16のオレフィンが好ましい。好ましいオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。より好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンであり、さらに好ましくは、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンである。
本発明において流動点は、JIS K 2269に準じて、1℃刻みで測定した温度にて評価される。流動点が40℃を超える場合、馬場クッション材組成物の粘着性が不足し、スリップや砂塵発生のおそれがあり、さらに適度なクッション性が得られないおそれがある。好ましい流動点は、30℃以下であり、さらに好ましくは、20℃以下である。なお、流動点の下限は、−80℃以上が好ましく、−60℃以上がさらに好ましい。
水に不溶なポリオレフィン誘導体としては、重合体であるポリオレフィン誘導体中に占めるポリオレフィン部位の割合が50質量%以上の重合体が挙げられる。なお、ポリオレフィン誘導体中に占めるポリオレフィン部位の割合は、H1−NMR およびC13−NMR により測定することかできる。
本発明において、水に不溶のポリオレフィン誘導体としては好ましく使用できるのは、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン含量が50質量%以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体、イソプレン重合体およびその水素添加物、ブタジエン重合体およびその水素添加物、炭素数4〜16のαオレフィンを重合して得られた重合体、ポリブテンであって、これらのうち、数平均分子量(Mn)が500以上の重合体であり、より好ましくは数平均分子量が1000以上の重合体である。なお、ポリオレフィン誘導体の数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定し、ポリスチレン換算することで算出することができる。
脂肪酸混合物(B)は、炭素数10〜24の脂肪酸が2種以上混合されてなるものであり、炭素数10〜24の単体の脂肪酸を2種以上混合したものに限らず、2種以上の脂肪酸を含有する天然物由来の脂肪酸混合物が用いられる。なお、脂肪酸は、水に対して不溶であり、分子内に極性基であるカルボキシル基を有するので、表面が極性であるクッション材に対しても吸着し易く、様々なクッション材に対して効果を発揮できる。
バインダ中、20〜30℃において、脂肪酸混合物(B)が固体脂肪酸のみから構成される場合は、ポリオレフィン誘導体(A)の機能が十分に引き出せず、適度な粘着性を付与することが困難となるので、良好なクッション性を得ることができないことがある。一方、バインダ中、20〜30℃において、脂肪酸混合物(B)が液体脂肪酸のみから構成される場合は、繰り返しの降雨時にバインダが徐々に流れ出ることがあり、馬場クッション材組成物が透水性に劣る場合があり、冬季の低温時に凝固するおそれもある。したがって、脂肪酸混合物(B)は、バインダ中、20〜30℃において、固体脂肪酸と液体脂肪酸が共存した状態であることが好ましい。
脂肪酸混合物(B)の曇り点が15℃未満の場合は、バインダ中、20〜30℃において、液体脂肪酸のみが存在した状態となるおそれがあり、雨と共にバインダが流れ出て、透水性に劣る場合がある。また脂肪酸混合物(B)の曇り点が55℃を超える場合、バインダ中において、固体脂肪酸のみが存在した状態となるおそれがあり、バインダの粘着性が劣り、スリップなどの原因となるおそれがある。なお、曇り点は、JIS K 2269に従い測定した値である。
流動点は、脂肪酸混合物(B)の流動性を失う温度であるので、その温度において脂肪酸混合物(B)を構成する脂肪酸全てが固体なった温度を示しているわけではないが、固体脂肪酸と液体脂肪酸の共存状態を維持できる温度の目安になる。流動点が−25℃未満の場合は、バインダ中において、液体脂肪酸のみが存在した状態となるおそれがあり、雨と共にバインダが流れ出て、透水性に劣る場合がある。また脂肪酸混合物(B)の流動点が50℃を超える場合は、バインダ中において、固体脂肪酸のみが存在した状態となるおそれがあり、バインダの粘着性が劣り、スリップなどの原因となるおそれがある。なお、流動点は、JIS K 2269に準じて、1℃刻みで測定した値である。
本発明の馬場クッション材組成物は、馬場クッション材とバインダとを混合し、必要に応じて加熱を行い、混練機などで十分に混ぜ合わせて調製することができる。
ポリオレフィン誘導体〔日油(株)製、ポリブテン200N(Mn=2650)、流動点:15℃、100℃動粘度:4, 500mm2/s〕と、脂肪酸混合物(ミリスチン酸2質量%、パルミチン酸9質量%、パルミトオレイン酸7質量%、ステアリン酸7質量%、オレイン酸64質量%、リノール酸10質量%、イソステアリン酸0質量%、アラキジン酸1質量%含有。曇り点:18℃、流動点:17℃)とを質量比60/40で80℃に加熱し、混合してバインダを調製した。調製したバインダの曇り点は17℃、流動点は14℃であった。
表1に示す粗砂、混合ケイ砂、5号ケイ砂を用いた。なお、骨材のふるい分けは、日本工業規格(JIS) A 1102「骨材のふるい分け試験」に準じて行った。
弾性体として、ポリエステル繊維製3×3mm程度の破砕品(弾性体1)、タイヤコード屑(弾性体2)およびカーペット屑(弾性体3)を用いた。
調製した馬場クッション材組成物1〜5について以下の評価を実施した。評価結果を表3に示す。
馬場クッション材組成物1〜5について、日本工業規格(JIS) A 1210「突固め試験方法」に従い試験を行った。カラー、底板を付けた内径10cmモールドに3層に分けて土を突き固め、突固め後の全厚が13cmになるようにする。突固めは、2.5kgランマを用いて各突固め面より30cmの高さから25回自由落下させて均等に突固めて行なう。突固め後、カラーを取り外してモールド上部の余分な土を削り取り、モールド及び底板の外部に付いた土をよくふきとり、全体の質量を計る。この全体の質量からモールド及び底板の質量を減じ、モールド容積1000cm3で除することで突き固めた土の密度(g/cm3)を求めた。
馬場クッション材組成物1〜5について、財団法人 日本体育施設協会 屋外体育施設部会発行の「屋外体育施設の建設指針」に定める試験方法に従い試験を行った。直径10cm、高さ12. 7cmのモールド容器を用いて、2. 5kgのランマで各25回、厚さが均一になるように、サンプルを三層に突き固めた供試体を作成し、プロクターニードル貫入器を供試体に貫入させた。
貫入器の貫入針は直径6.5mmを使用し、地面に垂直に立て、毎秒1/2インチの速度で、1 インチまで押し込む。その時の荷重(抵抗値)をポンドで表す。本試験の値が小さいほど柔らかく、13ポンド(Lb)以下が好ましい。
馬場クッション材組成物1〜5について、財団法人 日本体育施設協会 屋外体育施設部会発行の「屋外体育施設の建設指針」に定める試験方法に従い試験を行った。本試験は直径1インチの鋼球を1mの高さから落下させたときのバウンドの高さを以下のように表した値である。
SB反発係数=(バウンドの高さ(m)/1(m))×100
馬場クッション材組成物1〜5について、財団法人 日本体育施設協会 屋外体育施設部会発行の「屋外体育施設の建設指針」に定める試験方法に従い試験を行った。本試験はゴルフボールを1mの高さから落下させたときのバウンド高さを以下のように表した値である。
GB反発係数=(バウンドの高さ(m)/1(m))×100
馬場クッション材組成物1〜5について、社団法人 日本道路協会発行の「舗装調査・試験法便覧」に記載の試験方法に従い、透水試験を行った。
供試体を図1に示す透水試験機に設置する。水位差(h)を1mm単位まで測る。透水円筒カラーの上端から静かに注水し、透水円筒カラーの越流口から越流させ定常的に一定の水量が流れ出る状態に水量を調整する。一定時間内に排出される水量をメスシリンダで計る。
KT=(L/h)×Q/{A(t2−t1)}
L:供試体の厚さ(cm)
A:供試体の断面積(cm2)
h:水位差(cm)
t1:測定開始時間(s)
t2:測定終了時間(s)
Q:t1からt2で越流した水量(cm3)
K15=KT×μT/μ15 (T=15のとき、μT/μ15=1)
総合評価は以下に示す基準で行った。
総合評価:◎
以下の(1)〜(4)を全て満たす馬場クッション材組成物
(1)プロクターニードル試験値が10(Lb)以下
(2)GB反発係数2.0以下
(3)SB反発係数2.0以下
(4)透水係数1.00×10−3以上
総合評価◎以外で、以下の(1)〜(4)を全て満たす馬場クッション材組成物
(1)プロクターニードル試験値が15(Lb)以下
(2)GB反発係数3.0以下
(3)SB反発係数3.0以下
(4)透水係数1.00×10−4以上
総合評価◎および〇以外で、以下の(1)〜(4)を全て満たす馬場クッション材組成物
(1)プロクターニードル試験値が20(Lb)以下
(2)GB反発係数3.0以下
(3)SB反発係数3.0以下
(4)透水係数1.00×10−5以上
以下の(1)〜(4)のいずれかを満たす馬場クッション材組成物
(1)プロクターニードル試験値が20(Lb)超
(2)GB反発係数3.0超
(3)SB反発係数3.0超
(4)透水係数1.00×10−5未満
実施例2の馬場クッション材組成物2は、硬度が若干高いものの、クッション性が良好で、排水性が顕著に優れている。
実施例3の馬場クッション材組成物3は、硬度が低く、クッション性および排水性がいずれも優れている。
比較例1の馬場クッション材組成物4は、排水性が良好なものの、硬度が顕著に高く、クッション性も好ましくない。
比較例2の馬場クッション材組成物5は、硬度やクッション性が良好なものの、透水性試験おいて不透水であるので、馬場クッション材組成物として不適切である。
h:水位差(cm)
Claims (1)
- 骨材80〜94質量%、およびバインダ2〜10質量%を少なくとも含む馬場クッション材組成物であって、
前記骨材は、1.18mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の50〜90質量%、0.60mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の25〜65質量%、及び0.15mmふるい目の通過質量百分率が骨材全体の2〜15質量%であり、
前記バインダは、下記(A)および(B)を含有し、(A)および(B)の質量比[(A)/(B)]が95/5〜50/50である馬場クッション材組成物。
(A)流動点が40℃以下、100℃における動粘度が500〜10, 000mm2/sであるポリオレフィン誘導体
(B)炭素数10〜24の脂肪酸が2種以上混合されてなり、曇り点が15〜55℃、流動点が−25〜50℃である脂肪酸混合物
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