以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図6を参照して、一実施形態による段ボール製造装置(コルゲータ)用の原紙計測システム100(以下、原紙計測システム100という)について説明する。
図1に示すように、本実施形態による原紙計測システム100は、段ボール製造装置110における生産管理システム200の一部または生産管理システム200と連携するシステムとして構成される。生産管理システム200は、段ボール製造装置110による段ボールシート製造工程の管理や、原紙(原紙ロール1)の在庫管理などを行うシステムである。
生産管理システム200は、原紙計測システム100およびコルゲータ管理装置120を含んでおり、ネットワークを介して段ボール製造装置110を管理する。コルゲータ管理装置120は、段ボール製造装置110の動作制御や、製造ロットの管理を行う機能を有する。原紙計測システム100は、生産管理システム200のうち原紙ロール1(図2参照)の在庫管理機能に関わり、段ボールシートの製造に使用される原紙ロール1の残長さの計測を行う。計測された残長さの情報は、原紙ロール1の在庫管理および発注を行うための在庫情報の把握などに利用される。
[段ボール製造装置の概要]
まず、本実施形態による原紙計測システム100により原紙の計測が行われる段ボール製造装置110について説明する。段ボール製造装置110は、ロール状に巻かれた原紙(原紙ロール)を使用して、段ボールシートを製造する装置である。
段ボール製造装置110は、図2に示すように、ロールスタンド11、スプライサ12、シングルフェーサ13、ダブルフェーサ14、カッタ15およびスタッカ16を主として備えている。図2の段ボール製造装置110は、5つのロールスタンド11を備え、5枚の原紙(3枚のライナおよび2枚の中芯)を貼り合わせて2段(波状の中芯部が2層)の段ボールを製造可能な装置の例を示している。ライナは、段ボールの表面および中間に設けられる平坦な原紙であり、中芯は波状に段成形される原紙である。
各ロールスタンド11は、それぞれ2つの原紙ロール1を回転可能に保持する。スプライサ12は、ロールスタンド11毎に設けられ、原紙ロール1の切替時に紙継ぎを行う。シングルフェーサ13は、ライナと中芯とを貼り合わせて片面段ボールシートを形成する。ダブルフェーサ14は、2つのシングルフェーサ13からそれぞれ送られる2つの片面段ボールシートと、ライナとの3枚のシートを貼り合わせて、2段(ダブル)の段ボールシートを形成する。シングルフェーサ13およびダブルフェーサ14の上流側には、それぞれ、シートを加熱するヒータ17が設けられている。また、ダブルフェーサ14の上流側には、シートに糊付けを行うグルーイングマシン18が配置されている。貼り合わされた2段(ダブル)の段ボールシートは、スリッタスコアラ19によって罫線(折り曲げ線)や切り込みを形成され、カッタ15によって所定長さに切断された後、スタッカ16に積み上げられて貯留される。
5つのロールスタンド11に装着される原紙ロール1の原紙には、たとえば、段(波形状)の高さおよび単位長さ当たりの段数の異なる2種類の中芯(A芯、B芯)と、A芯用の裏ライナ、B芯用の裏ライナおよび共通の表ライナの3種類のライナとの5種類が使用される。したがって、段ボール製造装置110は、AB段の2段の段ボールの他、A段のみまたはB段のみの1段の段ボールを選択的に製造することが可能である。
図3に示すように、原紙ロール1は、所定幅寸法の原紙が円柱状に巻回されたものであり、径方向の表面である外周面2と、巻回軸方向の端面3とを有する。原紙ロール1の径方向中心には、巻回用の紙管の内面からなる中心孔4がある。
原紙ロール1は、図2に示した原紙の搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)に延びる一対のレール20上に載置され、一対のレール20間をY方向に移動可能な搬送装置21によって、ロールスタンド11に搬送される。一対のレール20は、互いに向かい合う方向に下り傾斜となっており、一対のレール20の中間位置に原紙ロール1を保持する。搬送装置21は、一対のレール20の間で、原紙ロール1の端面3の下部と係合(チャック)して、原紙ロール1を搬送する。原紙ロール1は、ロールスタンド11とX方向に並ぶ位置までY方向に搬送され、ロールスタンド11のアーム11aにチャック(装着)されることによって、巻回軸回りに回転可能に保持される。1日の作業終了時や、製造ロット分の製造終了時には、搬送装置21によって原紙ロール1がロールスタンド11からY方向の逆向きに搬送される(払い出される)。
ロールスタンド11に装着される原紙ロール1は、新原紙(未使用の原紙)の場合だけでなく、半端原紙(途中まで使用された原紙)の場合もある。段ボールシートの多品種生産の結果、同一種類の原紙について、新原紙のロールや半端原紙のロールが複数、在庫として保管されることになる。
[原紙計測システムの構成]
次に、原紙計測システム100の構成について説明する。図1に示すように、原紙計測システム100は、サーバ装置30と、撮影装置40と、制御装置50とを含む。コルゲータ管理装置120と、サーバ装置30と、制御装置50とは、有線または無線のネットワークを介して互いに接続されている。
サーバ装置30は、生産管理システム200全体のサーバ装置であってもよいし、生産管理システム200の上位サーバ装置130(二点鎖線参照)と連携するように構成される原紙計測システム100専用のサーバ装置であってもよい。ここでは、原紙計測システム100のサーバ装置30が生産管理システム200と共通のサーバ装置である場合の例を説明する。
サーバ装置30は、CPU、メモリおよび記憶装置を備えたPCにより構成されている。サーバ装置30は、複数の原紙ロール1の在庫情報31を記憶している。図4に示すように、在庫情報31は、原紙ロール1の識別番号31a、原紙種類31b、幅寸法W、銘柄31c(メーカー名)、初期の原紙長さLs、初期直径Ds、使用日時31d、残長さLp、および、ロット番号31eなどを含む。
識別番号31aは、たとえば原紙メーカーによって付与される固有の製造番号や、原紙ロール1の入庫時に付される固有の番号であり、個々の原紙ロール1を一意に特定するものである。原紙種類31bは、坪量や紙質による原紙の品種であり、k5、k6などの記号で表される。幅寸法Wは、原紙ロール1の巻回軸線方向の長さである。幅寸法Wは、50mm間隔で規格が存在し、一般に850mm〜2000mmの範囲である。原紙長さLsは、入庫時の未使用状態の原紙ロール1の総長さである。初期直径Dsは、入庫時の未使用状態の原紙ロール1の直径であり、一般に、80cm〜1.2m程度の範囲である。使用日時31dは、原紙ロール1が最後に使用された日時である。残長さLpは、使用された原紙ロール1の残りの総長さである。ロット番号31eは、段ボール製造の順番を表す番号であり、コルゲータ管理装置120から取得される。
在庫情報31のうち、識別番号31a、原紙種類31b、幅寸法W、銘柄31c、原紙長さLsおよび初期直径Dsは、その原紙ロール1の入荷(入庫)時または初期の使用時にサーバ装置30に入力される情報である。使用日時31d、ロット番号31eおよび残長さLpは、原紙ロール1が段ボール製造装置110において使用される度に付与(更新)される情報である。
図1に戻って、撮影装置40は、段ボール製造装置110に装着される原紙ロール1を撮影するように構成されている。撮影装置40は、たとえばCMOSセンサやCCDセンサなどのイメージセンサを有するカメラであり、制御装置50に撮影画像を出力する。撮影装置40としては、WEBカメラなどの安価なカメラを採用することができる。図3に示すように、撮影装置40は、ロールスタンド11に装着される全ての原紙ロール1を撮影可能なように、2本の原紙ロール1を装着可能な各ロールスタンド11に対して2つずつ設けられている。
本実施形態では、撮影装置40は、段ボール製造装置110に装着される際の原紙ロール1全体の外周面2の平面画像を上方(Z1方向)から撮影するように設けられている。具体的には、撮影装置40は、ロールスタンド11へ原紙ロール1を供給するためのレール20の上方位置(Z1側位置)に、撮影光軸を下向き(Z2方向)にして配置される。設置高さは、撮影装置40の画素数および画角(撮影範囲)にもよるが、床面から2m〜2.5m程度の高さ位置に設置すればよい。撮影装置40は、段ボール製造装置110の製造ラインを構成するための梁材22に直接、または、ステーなどを介して固定設置されている。撮影装置40は、Y方向に沿って搬送される原紙ロール1が撮影装置40の下方を通過する際に、移動中の原紙ロール1を全体が写るように上方から撮影する。
撮影装置40は、段ボール製造装置110に装着される際の原紙ロール1と、段ボール製造装置110から取り出される際の原紙ロール1とをそれぞれ撮影するように構成されている。すなわち、撮影装置40は、原紙ロール1がロールスタンド11に向けてY方向に搬送されてロールスタンド11に装着される時に撮影を行い、使用後の原紙ロール1がロールスタンド11から払い出される時にも撮影を行う。
制御装置50は、段ボール製造装置110の5台のロールスタンド11に対応して、複数設けられている。具体的には、制御装置50は、1台のロールスタンド11に対して1つずつ(合計5つ、図1参照)設けられている。それぞれの制御装置50は、各ロールスタンド11に設置される2つの撮影装置40と有線または無線により接続されている。
制御装置50は、CPU、メモリおよび記憶装置を備えたPCにより構成されている。また、制御装置50は、表示装置51および入力装置と接続されている。本実施形態では、表示装置51はタッチパネルを備えたディスプレイであり、入力装置を兼ねている。記憶装置に記憶されたプログラム(ソフトウェア)をCPUが実行することにより、PCが原紙計測システム100の制御装置として機能する。
制御装置50は、撮影装置40の撮影画像IM(図5参照)から原紙ロール1の特定および原紙ロール1の残長さの計測を行い、計測した残長さをサーバ装置30の在庫情報31に反映する機能を有している。以下、制御装置50の各機能について説明する。
[残長さの計測]
まず、制御装置50は、撮影画像IMから、原紙ロール1の径寸法(直径)Dpと、原紙ロール1の幅寸法Wとを取得するように構成されている。
図5に示すように、制御装置50は、撮影画像IMにおける原紙ロール1の径方向のピクセル数および幅方向のピクセル数から、原紙ロール1の径寸法Dpと幅寸法Wとを取得する。制御装置50は、移動中の原紙ロール1の撮影画像IMを撮影装置40から複数回取り込み、各撮影画像IMから取得された値の平均値を径寸法Dpおよび幅寸法Wとして採用する。
ここで、図6に示すように、撮影装置40は原紙ロール1の上方から撮影を行うため、撮影画像IMから取得される半径Rp(Rp=Dp/2)と、実際の半径Rrとは、誤差Eを含んでいる。ただし、たとえば撮影装置40の高さHを2m、原紙ロール1の直径を1mとした場合、半径Rpと、実際の半径Rrとの誤差Eは15mm程度であり、原紙ロール1の長さに換算すると90m程度の誤差になる。原紙ロール1の総長さは数千mに及ぶため、在庫管理の目的上、この誤差を無視することができる。また、半径Rpと実際の半径Rrとの誤差Eは、原紙ロール1の直径が小さくなるにつれて減少していくため、残長さが小さくなっても十分な精度を確保することができる。なお、撮影画像IMから取得される半径Rpと実際の半径Rrとの関係を予め求めておき、誤差Eを補正するようにしてもよい。
次に、制御装置50は、撮影装置40の撮影画像IMから得られた原紙ロール1の径寸法Dp(半径Rp)と、原紙ロール1の初期直径Ds(半径Rs)および原紙長さLsとに基づいて、原紙ロール1の現在の残長さLp(図5参照)を取得するように構成されている。
ここで、原紙の厚みを一定とすると、巻回された原紙の総長さ(残長さ)と原紙の全断面積とは比例する。そのため、原紙ロール1の残長さLpは、たとえば未使用時の原紙ロール1の断面積および原紙長さと、撮影時の原紙ロール1の断面積との面積比によって、取得することができる。具体的には、原紙ロール1の残長さLpは、下式(1)を用いて算出することができる。
Ls:π×Rs2=Lp:π×Rp2
Lp=Ls×{(π×Rp2)/(π×Rs2)}・・・(1)
ここで、未使用時の原紙長さ(総長さ)がLs、未使用時の半径がRs(Rs=Ds/2)であり、撮影画像から得られた原紙ロールの半径をRp(Rp=Dp/2)、撮影時点の原紙ロールの残長さをLpとする。
制御装置50は、上記式(1)を用いて、原紙ロール1の現在の残長さLpを取得する。なお、残長さLpの取得方法は、これに限られない。上記式(1)とは異なる算出式を用いてもよい。また、初期直径Dsおよび原紙長さLsと、計測時の径寸法Dpおよび残長さLpとを対応付けたテーブルを予め作成しておき、現在の径寸法Dpに最も近い残長さLpの値をテーブルから読み出したりしてもよい。
[表示画面の説明]
次に、制御装置50による画面表示について説明する。図5に示すように、制御装置50は、原紙ロール1の残長さLpを計測する際に、表示装置51に表示画面60を表示させるように構成されている。
表示画面60には、撮影画像IM、モード切替ボタン61、原紙情報表示欄62、原紙情報入力欄63、調整入力欄64および計測結果表示欄65が含まれている。
撮影画像IMの上方には、撮影装置40の設置位置を示す情報が表示される。図5では、「A芯」のロールスタンドの「レール2」に設置された撮影装置であることが示されている。
ここで、本実施形態では、制御装置50は、段ボール製造装置110への装着時の原紙ロール1の第1残長さL1と、段ボール製造装置110からの取り出し時の原紙ロール1の第2残長さL2とをそれぞれ取得するように構成されている。以下では、装着時および取り出し時の計測時点を区別する場合には、それぞれ、「第1残長さL1」および「第2残長さL2」を用いて区別して説明し、計測時点を区別しない場合には、単に「残長さLp」という。第1残長さL1および第2残長さL2は、本発明の「残長さLp」の一例である。
残長さの計測において、原紙ロール1の装着時か取り出し時かは、撮影装置40の下方を通過する際の原紙ロール1の移動方向から判別する。すなわち、撮影された原紙ロール1がロールスタンド11に近付く方向(図5では左方向)に移動する場合、制御装置50は装着時と判別する。逆に、撮影された原紙ロール1がロールスタンド11から離れる方向(図5では右方向)に移動する場合、制御装置50は原紙ロール1の払い出し(取り出し)時と判断する。第1残長さL1と第2残長さL2は、それぞれ、撮影された原紙ロール1の使用前の残長さと使用後の残長さとに対応する。そのため、原則として、第1残長さL1は、前回計測時の第2残長さと一致することになる。
モード切替ボタン61は、使用開始時やメンテナンス時の校正(キャリブレーション)を行う調整モードと、段ボール製造時に原紙ロール1の計測を行う計測モードとを切り替えるためのボタンである。調整モードでは、校正用の原紙ロール1の撮影画像IMから取得される幅方向のピクセル数および径方向のピクセル数と、作業者が実測して調整入力欄64に入力した幅寸法および径寸法とにより、幅方向および径方向のピクセル数と実距離とが対応付けられる。
原紙情報表示欄62には、1番〜5番までの表示欄が設けられており、サーバ装置30の在庫情報31と、ロールスタンド11への装着時の原紙ロール1の第1残長さL1とに基づいて、特定された原紙ロール1の情報が表示される。また、計測結果表示欄65には、今回計測された径寸法Dpと残長さLp(第1残長さL1)とが表示される。
制御装置50は、幅寸法Wと原紙種類31b(図4参照)とによって絞り込んだ在庫の中から、前回計測時の残長さLp(在庫情報31に記録されている残長さ)が計測結果表示欄65の値と一致または近似するものを抽出することによって、原紙ロール1を特定する。なお、各製造ロットにおいて使用される全ての原紙ロール1の原紙種類31bおよび幅寸法Wは、コルゲータ管理装置120にオーダーとして登録されている。したがって、使用される原紙ロール1の幅寸法Wおよび原紙種類31bは、コルゲータ管理装置120において予め決定されており(使用予定が決まっており)、コルゲータ管理装置120から取得される。このように、本実施形態では、制御装置50は、サーバ装置30の在庫情報31と、第1残長さL1とに基づいて、段ボール製造装置110に装着された原紙ロール1を在庫情報31の内から特定する。
ここで、在庫情報31の中には、幅寸法Wおよび原紙種類31bが同じで、かつ、記録された残長さLpが今回計測された第1残長さL1と一致または近似する在庫が複数存在する場合がある。本実施形態では、制御装置50は、第1残長さL1に基づいて識別可能な原紙ロール1の候補が在庫情報31に複数存在する場合に、複数の原紙ロール1の候補を表示装置51に表示するように構成されている。図5では、3つの候補が存在した場合の表示例を示している。なお、通常は、唯一の原紙ロール1が特定されるので、1つの原紙ロール1の情報のみが表示される。
複数の候補が存在した場合、制御装置50は、表示装置51(タッチパネル)から原紙ロール1の候補の選択を受け付けることによって、段ボール製造装置110に装着された原紙ロール1を在庫情報31の内から特定するように構成されている。選択は、図5の選択ボタン62aにおいて行うことができる。選択が終了すると、非選択の候補は原紙情報表示欄62から消去され、選択された原紙ロールの情報が1番目の表示欄に表示される。
原紙ロール1が払い出される際に第2残長さL2が取得されると、制御装置50は、原紙情報表示欄62の最終欄(5番目の表示欄)に第2残長さL2を表示する。そして、本実施形態では、制御装置50は、特定した原紙ロール1の第2残長さL2をサーバ装置30の在庫情報31に反映させるように構成されている。
制御装置50は、計測した残長さLp(第2残長さL2)を、使用日時31d(図4参照)とともにサーバ装置30に蓄積記録する。この結果、個々の原紙ロール1が新原紙の状態から使い切られるまでの間、サーバ装置30の在庫情報31には、残長さLpが毎回の使用毎に記録されていく。
なお、在庫情報31の登録ミスやデータエラーなどによって、原紙ロール1が特定できない場合(候補が見つからない場合)が考えられる。その場合には、制御装置50は、作業者が原紙情報入力欄63に直接必要事項を入力することにより、入力された情報をサーバ装置30の在庫情報31に記録可能なように構成されている。この場合、使用される原紙ロール1の幅寸法Wおよび原紙種類31bは、上記の通りコルゲータ管理装置120より取得可能であるので、入力は不要である。
[残長さ計測処理の説明]
次に、図5および図7を参照して、本実施形態による原紙計測システム100の制御装置50による残長さの計測処理について説明する。なお、ここでは、1つの撮影装置40の撮影画像IMに基づいて残長さLpを計測する処理について説明する。5台のロールスタンド11に対応する合計10個の撮影装置40の各々について、以下に示す処理フローが行われる。
図7のステップS1において、制御装置50は、ロールスタンド11に投入(装着)される際の撮影画像IM(図5参照)を撮影装置40から取り込む。
ステップS2において、制御装置50は、取り込んだ撮影画像IMから投入される原紙ロール1の幅寸法Wおよび径寸法Dpを計測する。また、上記式(1)により、原紙ロール1の第1残長さL1を取得する。
ステップS3において、制御装置50は、投入される原紙ロール1の原紙種類31bと幅寸法Wとをコルゲータ管理装置120から取得する。
ステップS4において、制御装置50は、原紙種類31bおよび幅寸法Wが今回の原紙と一致し、かつ、第1残長さL1が一致または近似する原紙在庫を、サーバ装置30の在庫情報31から検索する。ステップS5において、制御装置50は、検索結果として1または複数の候補が存在するか否かを判断する。
検索結果が存在した場合、ステップS6において、制御装置50は、検索された原紙ロール1の情報を表示装置51に表示する。候補が複数の場合には、表示画面60(図5参照)に各候補がリスト表示される。
ステップS7において、候補が複数の場合、制御装置50は作業者による選択(選択ボタン62aの入力)を受け付ける。なお、検索された原紙ロール1が1本のみの場合にも、確認のため、制御装置50は作業者による確定入力を受け付ける。
一方、ステップS5において検索結果が存在しなかった場合、ステップS8において、制御装置50は、再計測を行うか否かの入力を受け付ける。制御装置50は、再計測ボタン66(図5参照)が入力された場合には、ステップS1に処理を戻して再計測を行う。撮影の際には、作業者が搬送装置21によって原紙ロール1を撮影位置まで戻す。
再計測ボタン66が入力されない場合、制御装置50は、ステップS9において、原紙情報入力欄63(図5参照)から作業者による識別番号31a、銘柄31cおよび残長さLpの入力を受け付ける。なお、制御装置50は、再計測ボタン66が入力されずに原紙情報入力欄63の選択および入力が行われた場合に、ステップS8で再計測しないと判断する。
このように、ステップS7またはステップS9を経ることによって、制御装置50は、ステップS10において、投入(装着)される原紙ロール1を在庫情報31の内から特定する。そして、制御装置50は、特定した原紙ロール1をメモリまたは記憶装置に記憶させる。
原紙ロール1が特定された後は、段ボール製造装置110によって、投入された原紙ロール1を用いた段ボール製造が行われることになる。
ここで、ステップS10で特定された原紙ロール1が使い切られずに製造ロット分が終了した場合、原紙ロール1はロールスタンド11から払い出され(取り出され)、半端原紙の在庫として保管されることになる。一方、原紙ロール1が段ボール製造装置110によって使い切られた場合には、ロールスタンド11から払い出されずに原紙ロール1が廃棄処分される。この場合、次の原紙ロール1が補充されることになる。
そこで、制御装置50は、ステップS11において、次の原紙ロール1が投入されたか否かを判断する。制御装置50は、撮影された原紙ロール1がロールスタンド11に近付く方向に移動していく場合に、次の原紙ロール1が投入されたと判断し、ステップS12に進む。
ステップS12では、制御装置50は、ステップS10で特定した原紙ロール1(先に投入された原紙ロール)が廃棄処分されたと設定して、サーバ装置30の在庫情報31に反映する。そして、制御装置50は、ステップS1に処理を戻し、次に投入された原紙ロール1の計測を行う。
一方、ステップS11において、撮影された原紙ロール1がロールスタンド11から離れる方向に移動していく場合に、制御装置50は、原紙ロール1が払い出された(次の原紙ロールは投入されない)と判断し、ステップS13に進む。
ステップS13において、制御装置50は、払い出される際の原紙ロール1の撮影画像IMを撮影装置40から取り込む。そして、ステップS14において、制御装置50は、取り込んだ撮影画像IMから払い出される原紙ロール1の径寸法Dpを計測する。また、上記式(1)により、原紙ロール1の第2残長さL2を取得する。なお、原紙ロール1はステップS10で特定済みであるので、払い出される原紙ロール1の幅寸法Wを計測する必要はない。
ステップS14において、制御装置50は、取得した第2残長さL2を、ステップS10で特定した原紙ロール1の在庫情報31に反映する。すなわち、制御装置50は、サーバ装置30の在庫情報31の該当個所の情報(使用日時31d、残長さLpおよびロット番号31e)を、今回取得された情報に更新する。この結果、半端原紙の状態の原紙ロール1の残長さLpが、使用日時31dおよびロット番号31eとともに、原紙ロール1が使用される度に逐次更新されていくことになる。
以上のようにして、本実施形態による原紙計測システム100による各原紙ロール1の残長さLpの計測および在庫情報31の更新が行われる。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、段ボール製造装置110に装着される原紙ロール1を撮影する撮影装置40と、撮影装置40の撮影画像IMから得られた原紙ロール1の半径Rpと、原紙ロール1の未使用時の半径Rpおよび原紙長さLsとに基づいて、原紙ロール1の現在の残長さLpを取得する制御装置50とを設けることによって、原紙ロール1を外部から撮影するだけで原紙ロール1の残長さLpを計測することができる。そのため、既存設備の置き換えを要することなく、既存の段ボール製造装置110に対しても容易に原紙計測システム100を導入(後付け)することができる。また、撮影装置40による撮影という非接触の計測方法を採用するため、撮影装置40等のメンテナンスも容易になる。そして、作業者自身が原紙ロール1の寸法を実測する必要がなくなるので、原紙ロール1の残長さLpの計測のための作業者の負担を軽減することができる。以上から、本実施形態によれば、既存設備に対しても導入が容易で、かつ、作業者の負担軽減が可能な原紙計測システム100を提供することができる。
また、本実施形態では、上記のように、段ボール製造装置110への装着時の原紙ロール1の第1残長さL1と、段ボール製造装置110から取り出し時の原紙ロール1の第2残長さL2とをそれぞれ取得するように制御装置50を構成する。これにより、原紙ロール1の使用開始時(第1残長さL1)と使用終了時(第2残長さL2)との両方の残長さLpを把握することができる。その結果、原紙ロール1の使用に伴う残長さLpの変化を把握することができるので、たとえば原紙種類31bおよび幅寸法Wが同一の原紙ロール1が在庫として複数存在する場合などにも、在庫管理を容易化することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御装置50を、在庫情報31および第1残長さL1に基づいて、段ボール製造装置110に装着された原紙ロール1を在庫情報31の内から特定し、特定した原紙ロール1の第2残長さL2を在庫情報31に反映させるように構成する。これにより、在庫情報31のうちで第1残長さL1が対応する原紙ロール1を容易に特定することができる。そして、特定した原紙ロール1の第2残長さL2を在庫情報31に反映することができるので、容易に、原紙ロール1の在庫管理を自動化することができる。
すなわち、個々の原紙ロール1の残長さLpを一括で自動管理して、新原紙の発注や半端原紙の管理に利用することが可能なほか、原紙種類31bおよび幅寸法Wが共通する複数の原紙ロール1の総使用量を算出するなどの利用が可能である。具体的には、段ボールシート製造において、原紙種類31bおよび幅寸法Wが共通する複数の原紙ロール1は相互に代替可能であるから、これらの原紙ロール1についての原紙計測システム100での総使用量と、対応する幅寸法の段ボールシートについてのコルゲータ管理装置120の製造実績(製造した段ボールシートの総長さ)とを比較することにより、日々の運用上の作業員による入力ミスなどのトラブルを発見、調査することができるようになる。
また、本実施形態では、上記のように、制御装置50を、第1残長さL1に基づいて識別可能な原紙ロール1の候補が在庫情報31に複数存在する場合に、複数の原紙ロール1の候補を表示装置51に表示し、原紙ロール1の候補の選択を受け付けることによって、段ボール製造装置110に装着された原紙ロール1を在庫情報31の内から特定するように構成する。これにより、取得した第1残長さL1に対応する原紙ロール1の在庫が複数存在した場合にも、表示された候補の中から作業者が選択するだけで、容易かつ確実に原紙ロール1を特定することができる。
なお、本実施形態では、計測した残長さLpに加えて、原紙ロール1の使用日時31dおよびロット番号31eをサーバ装置30の在庫情報31に記録するように制御装置50を構成している。これにより、製造した段ボールシートに不良などが発生した場合に、製造に使用した原紙ロール1の銘柄31c(製造メーカー)などを特定するトレーサビリティーの確保を容易化することができる。すなわち、個々の原紙ロール1のメーカー製造番号などを厳密に管理しなくとも、コルゲータ管理装置120から得られたロット番号31eと、残長さLpおよび使用日時31dとによって、製造に使用した原紙ロール1の特定を行うことが可能となるので、製造番号を記録せずにトレーサビリティーを確保することができるようになる。
また、本実施形態では、上記のように、撮影装置40を、原紙ロール1全体の外周面2の平面画像を上方(Z方向上側)から撮影するように設ける。そして、撮影装置40の撮影画像IMから、原紙ロール1の径寸法Dpと、幅寸法Wとを取得するように制御装置50を構成する。これにより、原紙ロール1の残長さLpの計測のための径寸法Dp(半径Rp)のみならず、原紙ロール1の幅寸法Wを同一の撮影画像IMから一度に取得することができる。これにより、残長さLpのみならず幅寸法Wの対応関係にも基づいて原紙ロール1の特定が可能となるので、原紙ロール1の在庫管理を容易に精度良く行うことができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、第1残長さL1に基づいて原紙ロール1を特定するように制御装置50を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば作業者の操作入力によって原紙ロールを特定してもよい。
上記実施形態では、第1残長さL1と第2残長さL2とを計測するように制御装置50を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2残長さのみを計測してもよい。
また、上記実施形態では、特定した原紙ロール1の第2残長さL2を在庫情報31に反映するように制御装置50を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御装置が第2残長さを在庫情報に反映しなくてもよい。たとえば、各制御装置が第2残長さを記録しておき、記録された第2残長さを作業者などが手動で在庫情報に反映してもよい。
また、上記実施形態では、原紙ロール1の原紙種類31bと、幅寸法Wと、第1残長さL1とに基づいて、原紙ロール1を特定した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、原紙種類、幅寸法および第1残長さ以外の情報を更に考慮して原紙ロールを特定してもよいし、たとえば製造番号などの識別番号により原紙ロールを特定してもよい。
また、上記実施形態では、原紙ロール1の全体の外周面2の平面画像を上方から撮影するように撮影装置40を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上方以外の方向から原紙ロールを撮影してもよい。特に、撮影画像から幅寸法を取得する必要がない場合、撮影装置40が原紙ロール1の巻回軸方向の端面3(図3参照)を撮影するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、レール20上を搬送される移動中の原紙ロール1を撮影装置40により撮影する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定位置に停止中の原紙ロールを撮影してもよい。
また、上記実施形態では、5台のロールスタンド11のそれぞれに制御装置50を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のロールスタンド11に対して共通の制御装置50を設けてもよい。たとえば、図2に示すように、隣接するA芯用ロールスタンド11とA芯の裏ライナ用ロールスタンド11とについて1つ、隣接するB芯用ロールスタンド11とB芯の裏ライナ用ロールスタンド11とに1つ、表ライナ用ロールスタンド11について1つ、というように合計3つの制御装置50を設けてもよい。また、制御装置は4つでもよい。制御装置は1つまたは2つでも可能だが、作業者の作業効率が低下しないような数を設けるのがよい。
また、上記実施形態では、原紙ロール1の実際の半径Rr(図6参照)ではなく、撮影画像IMから直接取得可能な径寸法Dp(半径Rp=Dp/2)を用いて、残長さLpを算出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、撮影画像IMから原紙ロール1の実際の半径Rrを算出して、半径Rrを用いて残長さLpを算出してもよい。この場合、半径Rrは、本発明の「径寸法」の一例である。
半径Rrの具体的な算出方法を、図8(変形例)を参照して説明する。以下では、求める半径Rrの大きさを「x」とする。
まず、事前準備として、原紙ロール1の載置面(床面)における基準距離と撮影画像中のピクセル数との対応付け(キャリブレーション)を行う。基準距離は、一対のマーカーを用いたマーカー間距離を用いてもよいし、たとえば撮影装置40の最大画角(撮影画像の両端間)における距離を実測してもよい。基準距離との比により、撮影画像から得られる点QR間の距離(2×b)が取得される。また、撮影装置40から載置面までの距離a(図6では高さH)は既知である。距離aおよびbから、点SR(SQ)間の距離cも求まる。
ここで、sinθ=b/cである。また、三角形SOPについて、sinθ=x/(a−x)となるので、半径Rrの大きさxは、下式(2)で求まる。
x=(a×sinθ)/(1+sinθ)・・・(2)
また、面積の関係から半径Rrの大きさxを求めることもできる。三角形SQRの面積は、三角形SOQ+三角形SOR+三角形OQRの合計面積と等しい。このため、a×b=b×x+c×xが成り立つので、半径Rrの大きさxは、下式(3)で求まる。
x=(a×b)/(b+c) ・・・(3)
なお、上記式(2)にsinθ=b/cを代入すれば式(3)になる。
以上のように撮影画像IMから原紙ロール1の実際の半径Rrを算出して、半径Rrを用いて残長さLpを算出してもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御装置の処理をフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御装置の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。