JP6026425B2 - イソグルタミニルシクラーゼの結晶構造 - Google Patents

イソグルタミニルシクラーゼの結晶構造 Download PDF

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Description

(発明の分野)
本発明は、イソグルタミニルシクラーゼ(isoQC)の新規結晶構造に関する。QCは、アンモニアの遊離下でのN-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(5-オキソ-プロリル、pGlu*)への分子内環化、及び水の遊離下でのN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸への分子内環化を触媒する。
(発明の背景)
グルタミニルシクラーゼ(QC、EC 2.3.2.5;Qpct;グルタミニルペプチドシクロトランスフェラーゼ)は、アンモニアの遊離下でのN-末端グルタミン残基のピログルタミン酸(5-オキソ-プロリン、pGlu*)への分子内環化、及び水の遊離下でのN-末端グルタミン酸残基のピログルタミン酸への分子内環化を触媒する。
QCは、1963年に熱帯植物カリカ・パパイヤ(Carica papaya)のラテックスからMesserによって最初に単離された(Messer, M.の文献、Nature, 4874, 1299(1963))。24年後、対応する酵素活性が、動物の下垂体において発見された(Busby, W. H. J.らの文献、J Biol Chem, 262, 8532-8536(1987);Fischer, W. H.及びSpiess, J.の文献、Proc Natl Acad Sci USA, 84, 3628-3632(1987))。哺乳動物のQCに関して、QCによるGlnからpGluへの変換をTRH及びGnRHの前駆体について示すことができた(Busby, W. H. J.らの文献、J Biol Chem, 262, 8532-8536(1987);Fischer, W. H.及びSpiess, J.の文献、Proc Natl Acad Sci USA, 84, 3628-3632(1987))。さらに、初期のQC局在化実験は、ペプチドホルモン合成における示唆された機能をさらに向上させる、ウシ下垂体における触媒反応のその推定上の生成物との共局在を明らかにした(Bockers, T. M.らの文献、J Neuroendocrinol, 7, 445-453(1995))。対照的に、植物QCの生理機能は、あまり明確ではない。C.パパイヤ由来の酵素の場合、病原性微生物に対する植物防御における役割が示唆された(El Moussaoui, A.らの文献、Cell Mol Life Sci, 58, 556-570(2001))。他の植物に由来する推定上のQCが、配列比較により最近同定された(Dahl, S. W.らの文献、Protein Expr Purif, 20, 27-36(2000))。しかしながら、これらの酵素の生理機能は依然として曖昧である。
植物及び動物由来の既知のQCは、それらの基質のN-末端位置のL-グルタミンに対する厳密な特異性を示し、それらの反応速度論的挙動は、ミカエリス-メンテン式に従うことが分かった(Pohl, T.らの文献、Proc Natl Acad Sci USA, 88, 10059-10063(1991);Consalvo, A. P.らの文献、Anal Biochem, 175, 131-138(1988);Gololobov, M. Y.らの文献、Biol Chem Hoppe Seyler, 377, 395-398(1996))。しかしながら、C.パパイヤ由来のQCの一次構造と哺乳動物由来の高度に保存されたQCの一次構造の比較は、いかなる配列相同性も明らかにしなかった(Dahl, S. W.らの文献、Protein Expr Purif, 20, 27-36(2000))。植物QCが新たな酵素ファミリーに属するように見える(Dahl, S. W.らの文献、Protein Expr Purif, 20, 27-36(2000))のに対し、哺乳動物QCは、細菌のアミノペプチダーゼと顕著な配列相同性を有することが分かり(Bateman, R. C.らの文献、Biochemistry, 40, 11246-11250(2001))、これにより、植物由来のQCと動物由来のQCが異なる進化上の起源を有するという結論が導かれた。
最近、組換えヒトQC、及び脳抽出物由来QC活性が、N-末端グルタミニルの環化とグルタミン酸の環化の両方を触媒することが示された。最も特筆すべきことは、シクラーゼによって触媒されるGlu1-変換が、pH6.0付近で好ましいのに対し、pGlu-誘導体へのGln1-変換は、8.0付近の至適pHで生じるという知見である。pGlu-Aβ関連ペプチドの形成は、組換えヒトQC、及びブタ下垂体抽出物由来QC活性の阻害によって抑制することができるので、酵素QCは、アルツハイマー病の治療のための薬物開発の標的である。
QCのアイソザイム(すなわち、イソグルタミニルペプチドシクロトランスフェラーゼ;isoQC;QPCTL)は、WO 2008/034891号、WO 2008/087197号、及びWO 2010/026209号(各々、Probiodrug AGの名義である)に記載されている。
US 7,572,614号(Wangら)及びHuangらの文献(PNAS 102(37), 13117-13122(2005))は両方とも、可溶性グルタミニルシクラーゼの結晶構造の一例を記載している。Wangらの特許及びHuangらの文献に開示されている結晶構造は、グリコシル化の欠如をもたらす大腸菌で発現されたタンパク質を用いて生成された。全ての哺乳動物QCは、少なくとも1つのグリコシル化部位を含むことが周知であり(Pohl, T.らの文献、Proc Natl Acad Sci USA, 88, 10059-10063(1991);Song, I.らの文献、J Mol Endocrinol, 13, 77-86(1994))、該部位は、真核生物宿主で発現されることにより、本発明に従って結晶化されるisoQCにおいてグリコシル化され、これは、本明細書に提示された結晶構造において観察することができる。さらに、全ての哺乳動物QCは、活性部位の近くに2つの保存されたシステイン残基を含み、これらはジスルフィド結合を形成する。Wangらの特許及びHuangらの文献の結晶構造では、このジスルフィド結合は欠如している。細菌での哺乳動物分泌タンパク質の発現は、多くの場合、ジスルフィド形成の欠如をもたらす(Hannig, G.及びMakrides, S. C.の文献、Trends Biotechnol, 16, 54-60(1998))。このジスルフィド結合は、本明細書に提示されたヒトisoQC結晶構造中には明らかに存在する。とりわけ、ヒトQCを用いて本発明者によって実施された突然変異解析は、全体構造に対するジスルフィド結合の重要な安定化機能を示唆している。さらに、Wangらの特許及びHuangらの文献の構造では、活性部位の近くの残基のセグメント(L205-H206-W207)は、2つの異なる立体構造で見られる。その配向が原因で、基質の結合様式が影響を受け、信頼できる機構的結論を出すことができなかった(Huangらの文献、2005)。
本発明に記載されるような、真核生物宿主でのヒトisoQCの発現は、ネイティブの哺乳動物isoQCの結晶化及び構造精密化、並びに重要なことに、阻害剤の結合様式の一義的決定を可能にする。
(発明の概要)
本発明の第一の態様によれば、特性解析された空間群P1211、並びに単位格子寸法a=126.51Å、b=109.68Å、c=159.53Å、α=90.0°、β=104.9°、及びγ=90.0°の±5%を有するヒトイソグルタミニルシクラーゼを含む結晶が提供される。
本発明の第二の態様によれば、本明細書に記載のヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を調製する方法であって:
(a)ヒトイソグルタミニルシクラーゼの溶液を、任意に、既知のイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤の存在下で、25mMビス-トリスpH6.8/100mM NaCl緩衝液などの好適な緩衝液中に提供する工程;
(b)該溶液を、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウム、及び13%(w/v)35000 PEGを含む結晶化溶液と混合する工程;並びに
(c)該混合物を、ハンギングドロップ蒸気拡散を促進する条件下で、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を生成させるのに十分な時間、インキュベートする工程
を含む、方法が提供される。
第三の態様によれば、本明細書に記載の結晶化方法によって入手可能なヒトイソグルタミニルシクラーゼを含む結晶が提供される。
本発明の第四の態様によれば、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの阻害剤を同定する方法であって、以下の工程:
(a)図1に記載の構造座標を用いて、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの3次元モデルを作成する工程;
(b)図1の座標による配列番号:1の残基E226、D186、及びH351によって提供される結合ポケットを解析する工程;
(c)コンピュータモデリング解析を実施して、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットと会合し得る阻害剤化合物を同定する工程
を含む、方法が提供される。
(図面の簡単な説明)
1mMの阻害剤Aとともに結晶化されたヒトisoQCのX線座標を記載している。この結晶構造は、AU中の11個の分子(鎖A〜鎖Kと示す)を含む。これらの異なる鎖の配列は、以下の通りである:
Figure 0006026425
本明細書に記載の発現されたヒトisoQC(配列番号:19)と比較した鎖A〜K(配列番号:2〜12)の配列アラインメントを示す。 トランスジェニックP.パストリス株の培地からの、コンストラクトYSShisoQCE42I55NC351A N-Hisに基づくヒトisoQCの精製を示す。isoQCは、IMAC(固定化金属親和性クロマトグラフィー、レーン3)、HIC(疎水性相互作用クロマトグラフィー、レーン4)、及び脱塩(レーン5)の組合せによって精製された。該酵素のグリコシル化は、タンパク質の移動の変化を生じさせる、酵素的脱グリコシル化によって明らかにされた(レーン6)。レーン1、タンパク質標準:レーン2、精製前の培地。 0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウムpH6.5、及び13%(w/v)35k PEGからなる緩衝液中で成長させたヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を示す。 AU中に含まれる11個のヒトイソグルタミニルシクラーゼ分子の配置の表示を記載しており、バックグラウンドとしての単位格子が軸とともに示されている。 図1に示される座標によって記述される(鎖A)のヒトisoQCの得られた3次元構造の模式図を記載している。構造は、2つの直交視野で示されている。この構造は、β-シート構造、α-ヘリックス、及びランダムコイルループを明らかに含んでいる。 阻害分子との複合体を形成した鎖Aのモデル化された活性部位の詳細な表示を記載している。球体で示された触媒亜鉛イオンとともに阻害剤Aとの複合体を形成しているヒトisoQCの活性部位関連残基のスティック表示。
(発明の詳細な説明)
本発明は、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶に関し、ここで、該結晶は、P1211空間群において、約3.4オングストロームの分解能まで、イソグルタミニルシクラーゼの3次元X線回折構造を決定することを可能にするのに十分な品質及びサイズである。本発明はまた、ヒトイソグルタミニルシクラーゼを調製し、結晶化する方法に関する。ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶、及びその結晶構造から得られる情報を用いて、イソグルタミニルシクラーゼを解析し、改変するだけでなく、イソグルタミニルシクラーゼと相互作用する化合物を同定することもできる。
本発明の第一の態様によれば、特性解析された空間群P1211、並びに単位格子寸法a=126.51Å、b=109.68Å、c=159.53Å、α=90.0°、β=104.9°、及びγ=90.0°の±5%を有するヒトイソグルタミニルシクラーゼを含む結晶が提供される。
本発明の第一の態様の一実施態様では、結晶は、単位格子寸法a=126.51Å、b=109.68Å、及びc=159.53Åを有する。
本発明の第一の態様の一実施態様では、結晶は、単位格子寸法α=90.0°、β=104.9°、及びγ=90.0°を有する。
本発明の第一の態様の一実施態様では、結晶は、3.42Å〜34.72Åの分解能まで該結晶の原子座標の決定のためのx線を回折する。
本発明の第一の態様の一実施態様では、結晶は、単位格子寸法a=126.51Å、b=109.68Å、及びc=159.53Å、α=90.0°、β=104.9°、及びγ=90.0°を有する。本発明の第一の態様のこの実施態様は、以下のような構造を有する本明細書で阻害剤Aと称されるグルタミニルシクラーゼ阻害剤と複合体を形成したヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶構造に関する:
Figure 0006026425
阻害剤Aは、インビトロでヒトQCとマウスQCの両方を阻害し、さらに、阻害剤Aは水に溶けるので、結晶化に有用である。
本発明の範囲内の結晶がアポ結晶と共結晶の両方を含むことが理解されるであろう。アポ結晶は、通常、実質的に純粋なイソグルタミニルシクラーゼを含む。共結晶は、通常、実質的に純粋なイソグルタミニルシクラーゼを、イソグルタミニルシクラーゼに結合した、イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤などの結合リガンドとともに含む。したがって、本発明のさらなる態様によれば、イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤などの結合リガンドに結合した本明細書に規定された結晶を含む共結晶が提供される。
本発明の第一の態様の一実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、配列番号:1のネイティブのヒトisoQC配列のアミノ酸残基I73〜L382からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、配列番号:2のアミノ酸残基A74〜A383からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基G74〜L382(配列番号:3)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基G74〜L382(配列番号:4)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸A75〜L382(配列番号:5)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基A73〜L382(配列番号:6)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基A75〜L382(配列番号:7)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基A75〜L382(配列番号:8)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基L76〜L382(配列番号:9)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基A75〜L382(配列番号:10)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基L76〜L382(配列番号:11)からなる。代替の実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼは、アミノ酸残基P77〜L382(配列番号:12)からなる。
イソグルタミニルシクラーゼを含む結晶が、天然又はネイティブのイソグルタミニルシクラーゼから入手可能なものに限定されないことが理解されるであろう。これらの結晶は、ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼ中に1以上のアミノ酸の挿入、欠失、又は置換を有する突然変異体を含む。したがって、ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼの突然変異体は、ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼの少なくとも1つ(例えば、最大10、例えば、最大25)のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置き換えることによるか、或いはネイティブのタンパク質内で又はネイティブのタンパク質のN-もしくはC-末端でアミノ酸残基を付加するか又は欠失させることによって得られ、突然変異体が由来するネイティブのイソグルタミニルシクラーゼと実質的に同じ3次元構造を有する。
実質的に同じ3次元構造を有するとは、突然変異体が由来するネイティブのイソグルタミニルシクラーゼの原子構造座標と重ね合わせたとき、ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼのα炭素原子の少なくとも約50%〜約100%がその重ね合わせに含まれる場合に、約2Å未満又はそれと等しい二乗平均平方根偏差を有するアポ結晶又は共結晶からの1組の原子構造座標を有することを意味する。
場合によっては、タンパク質をコードするcDNA中に好都合なクローニング部位を提供するため、タンパク質精製を支援するため、及び同様の目的のために、ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼに対して、アミノ酸残基を置換し、欠失させ、かつ/又は付加することが特に有利又は好都合である場合がある。ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼの3次元構造を実質的には変化させない、そのような置換、欠失、及び/又は付加は、当業者に明らかであろう。
本明細書で企図される突然変異体ポリペプチドは、イソグルタミニルシクラーゼ活性を示す必要がないことに留意すべきである。実際、イソグルタミニルシクラーゼの活性を妨害するが、イソグルタミニルシクラーゼの3次元構造を著しくは変化させないアミノ酸の置換、付加、又は欠失も含まれる。そのようなポリペプチド結晶、又はそれから得られる原子構造座標を用いて、ネイティブのイソグルタミニルシクラーゼに結合し、かつネイティブのイソグルタミニルシクラーゼの活性に影響を及ぼし得る化合物を同定することができる。
本発明の派生結晶は、通常、1以上の金属原子と非共有結合的/共有結合的に会合しているイソグルタミニルシクラーゼ結晶を含む。このポリペプチドは、ネイティブの又は突然変異したイソグルタミニルシクラーゼに相当し得る。好適な金属原子のそのような一例は、亜鉛である。
イソグルタミニルシクラーゼの共結晶は、通常、イソグルタミニルシクラーゼに結合した1以上の化合物と会合しているイソグルタミニルシクラーゼを含む結晶を含む。この会合は、共有結合的又は非共有結合的であることができる。一実施態様では、イソグルタミニルシクラーゼに結合した化合物は、イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤を含む。そのようなイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤の例としては、WO 2008/034891号、WO 2008/087197号、及びWO 2010/026209号に記載されているものが挙げられる。
本明細書に記載のネイティブの及び突然変異したイソグルタミニルシクラーゼは、天然供給源から単離するか、又は分子生物学の分野の当業者に周知の方法によって生成させることができる。ヒトイソグルタミニルシクラーゼの調製のための詳細な実験は、本明細書中の実施例1に記載されている。
イソグルタミニルシクラーゼのアポ結晶、派生結晶、及び共結晶は、バッチ法、液柱、透析、蒸気拡散、例えば、ハンギングドロップ蒸気拡散などを含む、タンパク質結晶学の分野で周知の技術によって得ることができる(例えば、McPhersonの文献、「タンパク質結晶の調製及び分析(Preparation and Analysis of Protein Crystals)」、John Wiley社、NY(1982);McPhersonの文献、Eur. J. Biochem. 189:1-23(1990);Webberの文献、Adv. Protein Chem. 41:1-36(1991);「核酸及びタンパク質の結晶化(Crystallization of Nuckeic Acids and Proteins)」、Ducruix及びGiege編、Oxford University Press社;「タンパク質結晶化の技術、戦略、及びヒント(Protein Crystallization Techniques, Strategies, and Tips)」、Bergfors編、International University Line社(1999)を参照されたい)。
一実施態様では、イソグルタミニルシクラーゼ結晶、アポ結晶又は共結晶を、蒸気拡散、例えば、ハンギングドロップ蒸気拡散によって成長させる。
本発明の第二の態様によれば、本明細書に記載のヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を調製する方法であって、以下の工程:
(a)ヒトイソグルタミニルシクラーゼの溶液を、任意に、既知のイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤の存在下で、25mMビス-トリスpH6.8/100mM NaCl緩衝液などの好適な緩衝液中に提供する工程;
(b)該溶液を、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウム、及び13%(w/v)35000 PEGを含む結晶化溶液と混合する工程;並びに
(c)該混合物を、ハンギングドロップ蒸気拡散を促進する条件下で、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を生成させるのに十分な時間、インキュベートする工程
を含む、方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤などの結合リガンドに結合したヒトイソグルタミニルシクラーゼの共結晶を調製する方法であって、以下の工程:
(a)ヒトイソグルタミニルシクラーゼの溶液を、イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤などの結合リガンドの存在下で、25mMビス-トリスpH6.8/100mM NaCl緩衝液などの好適な緩衝液中に提供する工程;
(b)該溶液を、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウム、及び13%(w/v)35000 PEGを含む結晶化溶液と混合する工程;並びに
(c)該混合物を、ハンギングドロップ蒸気拡散を促進する条件下で、イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤などの結合リガンドに結合したヒトイソグルタミニルシクラーゼの共結晶を生成させるのに十分な時間、インキュベートする工程
を含む、方法が提供される。
さらなる態様によれば、本明細書に規定される結晶化方法によって入手可能なヒトイソグルタミニルシクラーゼを含む結晶又は共結晶が提供される。
共結晶を生成させるためのヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶化は、以下及び実施例1に記載の通りに実施することができる。記載の通りに、精製されたヒトイソグルタミニルシクラーゼを、25mMビス-トリスpH6.8/100mM NaCl緩衝液などの好適な緩衝液及び1mMの阻害剤Aの存在下で、10mg/mLまで濃縮する。等量のタンパク質溶液を、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウム、及び13%(w/v)35000 PEGを含む結晶化溶液と混合することにより、肉眼的な棒状結晶形態を21℃でのハンギングドロップ蒸気拡散によって成長させる。結晶は、通常、実験が開始されてから10〜15日後に出現し、このプロトコルに従って得られたそのような結晶の例が図4に示されている。アポ結晶を生成させるために、リガンドが上記プロトコルから除かれることが理解されるであろう。
一実施態様では、結晶化の前に、ヒトイソグルタミニルシクラーゼを脱グリコシル化する。グリコシル化は、溶解性の顕著な低下をもたらすことが知られている。本明細書に記載されているように、脱グリコシル化の最も良好な結果は、エンドグリコシダーゼHfを用いて得られた。
一実施態様では、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶化の前に、溶解性増強部分を付加する。本明細書に記載されているように、溶解性の増強の最も良好な結果は、アシル-N-グルカミドに基づく非イオン性洗剤MEGA-8を用いて得られた。
データ収集の前に、ヒトイソグルタミニルシクラーゼ結晶を凍結してもよい。結晶は、例えば、(a)結晶化セットアップ中に存在する20〜30%の飽和グルコース、(b)15〜20%まで添加されるエタノール、(c)10〜20%まで添加されるエチレングリコール及び最大25%とされるPEG10,000、又は(d)15%まで添加されるグリセロールのいずれかを用いて凍結を防止することができる。本発明の第三の態様の一実施態様では、結晶は、15%(v/v)まで添加されるグリセロールの添加によって凍結が防止される。結晶は、凍結防止剤中に短時間浸漬させるか、又は1日もの間凍結防止剤中に浸すかのいずれかにすることができる。凍結は、結晶を液体窒素浴中に浸漬させることによるか、又は結晶を-180℃の窒素ガス流中に置くことによって達成することができる。
実施例1に記載されているように、阻害剤Aとの複合体を形成したヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶構造が得られた。阻害剤Aに結合したヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶の属性のまとめを表2に記載し、阻害剤Aに結合したヒトイソグルタミニルシクラーゼの空間群P1211の3次元構造座標を図1に示す。
本明細書における「座標」への言及は、結晶形態のタンパク質又はタンパク質複合体の原子による単色X線ビームの回折に基づいて得られたパターンに関連した数学的方程式から導出されるデカルト座標への言及を含む。この回折データを用いて、結晶の反復単位の電子密度マップを計算する。その後、この電子密度マップを用いて、分子又は分子複合体の個々の原子の位置を定める。
空間群P1211の座標に基づく、阻害剤Aに結合したヒトイソグルタミニルシクラーゼのリボン図及びオーバーレイ図を図5に示す。特に、このタンパク質は、球状のα/βヒドロラーゼフォールドを含むことが分かった。中心のβ-シートは、6つのβ-ストランドが二番目を除いて全て平行になって形成された。このβ-シートは、2つのヘリックスが片側に、さらに6つα-ヘリックスが反対面にあるサンドイッチの形でα-ヘリックスに囲まれていることが観察された。このタンパク質の構造は、酵素の活性部位を構築していると考えられるかなり大量のランダムコイルループにより完成された。
本明細書における「活性部位」への言及は、別の分子実体との安定化相互作用に加わることが可能である分子実体中の特定の領域(又は原子)への言及を含む。ある実施態様では、この用語はまた、別の分子とのその特定の組合せに直接関与する高分子の反応性部分を指す。代替の実施態様では、結合部位は、折り畳まれたポリペプチド内の1以上のアミノ酸残基の3次元配置によって構成又は規定されることができる。「結合ポケット」への言及は、「活性部位」と類似の方法で解釈されるものとし、かつこれらの用語が互換的に使用され得ることが理解されるであろう。
ヒトイソグルタミニルシクラーゼのこの活性部位は、3つのタンパク質残基E226、D186、及びH351によって配位される亜鉛イオンを収容することが分かった。したがって、本発明の第一の態様の一実施態様では、この結晶は、図1の座標による配列番号:1の残基E226、D186、及びH351によって提供される結合ポケットを含む。
さらに、このタンパク質は、残基C167とC191の間のジスルフィド架橋の存在を示している。したがって、本発明の第一の態様の一実施態様では、この結晶は、配列番号:1の残基C167とC191の間のジスルフィド架橋を含む。そのようなジスルフィド架橋の存在は、QCを用いた結晶化研究(Wangらの特許、Huangらの文献)では、これまでに報告されていない。
最後に、このポリペプチド鎖の2つのセグメントは電子密度が見られない。これらのギャップには、K182とD190の間の残基、及びF146とN150の間の残基が含まれる。
本発明はまた、イソグルタミニルシクラーゼの構造座標を含む機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を有する機械可読データ記憶媒体に関する。本発明はまた、適切な機械によって読み取られたときにイソグルタミニルシクラーゼの構造の3次元表現を表示することができる機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を有する機械可読データ記憶媒体に関する。
図1に示したイソグルタミニルシクラーゼ座標データの全て又は一部は、それらの座標をイソグルタミニルシクラーゼの3次元構造に変換するソフトウェアがプログラムされたコンピュータとともに使用する場合、様々な目的のために、特に、創薬に関する目的のために使用することができる。3次元グラフィカル表現を作成するソフトウェアは公知であり、かつ市販されている。座標データの即時使用は、それがコンピュータ可読フォーマットで記憶されることを必要とする。したがって、本発明によれば、イソグルタミニルシクラーゼ及び/もしくはその一部並びに/又はそれらの構造的に類似した変異体の3次元構造として表示されることができるデータを、その構造のグラフィカルな3次元表現を表示することができる機械可読記憶媒体に記憶させることができる。
本発明の別の実施態様は、機械可読データ記憶媒体であって、該データを使用するための指示がプログラムされた機械によって使用されたときに、イソグルタミニルシクラーゼ又はその変異体を含むグラフィカルな3次元表現を表示する機械可読データがコード化されたデータ記憶材料を含む、機械可読データ記憶媒体を提供する。
任意に、コンピュータシステムは、本明細書で提供される機械可読データ記憶媒体と組み合わせて提供される。一実施態様では、このコンピュータシステムは、機械可読データを処理するための指示を記憶するための作業メモリ;機械可読データを3次元表現へと処理するための、作業メモリ及び機械可読データ記憶媒体に連結された処理装置;並びに3次元表現を受容するための、処理装置に連結された出力ハードウェアを備える。
本発明の3次元結晶構造は、イソグルタミニルシクラーゼ結合部位を同定するために使用することができ、未知の結晶化タンパク質の構造を解明し、望ましい結合特性を有する突然変異体を設計し、最終的には、イソグルタミニルシクラーゼ及び他の構造的に類似したタンパク質に結合し、それらを阻害することができる実体を設計し、特徴付け、同定するための分子置換モデルとしてだけでなく、当業者によって認識される他の用途のためにも使用することができる。そのような実体は、化学的実体又はタンパク質であってもよい。本明細書で使用される用語「化学的実体」は、化学的化合物、少なくとも2つの化学的化合物の複合体、及びそのような化合物の断片を指す。
本明細書で提供されるイソグルタミニルシクラーゼの構造座標は、イソグルタミニルシクラーゼ及び他の構造的に類似したタンパク質を阻害する薬物のスクリーニング及び同定に有用である。例えば、データによってコード化された構造は、推定上の基質又はリガンドと会合するその能力についてコンピュータで評価することができる。イソグルタミニルシクラーゼと会合するそのような化合物は、イソグルタミニルシクラーゼ活性を阻害することができ、かつ潜在的な薬物候補である。さらに又は代わりに、データによってコード化された構造は、コンピュータスクリーン上にグラフィカルな3次元表現で表示することができる。これは、この構造の目視検査、及びこの構造の化合物との会合の目視検査を可能にする。
したがって、本発明の第四の態様によれば、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの阻害剤を同定する方法であって、以下の工程:
(a)図1に記載の構造座標を用いて、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの3次元モデルを作成する工程;
(b)図1の座標による配列番号:1の残基E226、D186、及びH351によって提供される結合ポケットを解析する工程;
(c)コンピュータモデリング解析を実施して、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットと会合し得る阻害剤化合物を同定する工程
を含む、方法が提供される。
図1に提供された構造座標の全てもしくは一部又はその機能的同等物を用いることによって、イソグルタミニルシクラーゼ又はその変異体と会合する実体の潜在能力を評価する方法も提供される。図1に提供された構造座標の全てもしくは一部に類似した構造座標又はその機能的同等物を用いることによって、イソグルタミニルシクラーゼ又はその変異体と会合する実体の潜在能力を評価する方法も提供される。
本発明の第四の態様の一実施態様では、この方法は、阻害剤化合物を合成し、かつこの化合物をイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットと接触させて、イソグルタミニルシクラーゼを阻害するこの化合物の能力を決定する工程をさらに含む。
本発明の第四の態様の一実施態様では、コンピュータモデリング解析を実施して該阻害剤化合物を同定する工程は、該化合物を化合物のライブラリーから同定することを含む。
本発明の第四の態様の一実施態様では、コンピュータモデリング解析を実施して該阻害剤化合物を同定する工程は、該化合物をデータベース中で同定することを含む。
本発明の第四の態様の一実施態様では、コンピュータモデリング解析を実施して該阻害剤化合物を同定する工程は、該化合物を既知のイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤から設計することを含む。
本明細書で提供された構造を用いて、本発明は、イソグルタミニルシクラーゼの構造に基づくイソグルタミニルシクラーゼの潜在的阻害剤を同定、選択、又は設計する分子設計技術の使用を可能にする。そのような予測モデルは、イソグルタミニルシクラーゼに結合することができると思われる多くの多様な化合物の調製及び試験に伴う高い費用を考慮すると、価値がある。
本発明によれば、潜在的なイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、その実際の合成及び試験の前に、イソグルタミニルシクラーゼに結合するその能力について評価することができる。提案されている実体が、結合ポケットとの不十分な相互作用又は会合を有すると予測される場合、この実体の調製及び試験は省略することができる。しかしながら、コンピュータモデリングによって強力な相互作用が示される場合、この実体を入手し、かつその結合能力について試験することができる。
イソグルタミニルシクラーゼの潜在的阻害剤は、化学的実体又は断片を、イソグルタミニルシクラーゼと会合するその能力についてスクリーニング及び選択する一連の工程を用いて、コンピュータで評価することができる。
当業者は、実体(化学物質であるか、タンパク質であるかを問わない)を、イソグルタミニルシクラーゼと会合するその能力についてスクリーニングするいくつかの方法のうちの1つを用いることができる。このプロセスは、例えば、図1のイソグルタミニルシクラーゼの構造座標又は機械可読記憶媒体から作成された類似の形状を規定する他の座標に基づく、コンピュータスクリーン上でのイソグルタミニルシクラーゼの目視検査から始めることができる。次に、選択された断片又は化学的実体を、上で規定したようなその結合ポケット内で、様々な配向で位置付ける、すなわち、ドッキングさせる。ドッキングは、Quanta及びSybylなどのソフトウェア、次いで、CHARMM及びAMBERなどの、標準的な分子力学力場を用いるエネルギー最小化及び分子動力学を用いて達成することができる。
特殊なコンピュータプログラムで、実体を選択するプロセスを支援することもできる。これらには、以下のものが含まれる:GRID(Goodfordの文献、「生物学的に重要な高分子上のエネルギー的に好ましい結合部位を決定するためのコンピュータ手順(A Computational Procedure for Determining Energetically Favorable Binding Sites on Biologically Important Macromolecules)」、J. Med. Chem., 28, 849-857頁(1985))。GRIDは、オックスフォード大学(オックスフォード、英国)から入手可能である;MCSS(Mirankerらの文献、「結合部位の機能性マップ:多コピー同時検索法(Functionality Maps of Binding Sites: A Multiple Copy Simultaneous Search Method)」、Proteins: Structure, Function and Genetics, 11, 29-34頁(1991))。MCSSは、Molecular Simulations社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から入手可能である;AUTODOCK(Goodsellらの文献、「シミュレートされたアニーリングによる基質のタンパク質への自動ドッキング(Automated Docking of Substrates to Proteins by Simulated Annealing)」、Proteins: Structure, Function, and Genetics, 8, 195-202頁(1990))。AUTODOCKは、Scripps Research Institute社(ラホヤ、カリフォルニア州)から入手可能である;及びDOCK(Kuntzらの文献、「高分子-リガンド相互作用への幾何的アプローチ(A Geometric Approach to Macromolecule-Ligand Interactions)」、J. Mol. Biol., 161, 269-288頁(1982))。DOCKは、カリフォルニア大学(サンフランシスコ、カリフォルニア州)から入手可能である。
好適な実体が選択されれば、それらを設計するか又はアセンブルすることができる。アセンブリの前に、イソグルタミニルシクラーゼの構造座標に関連してコンピュータスクリーンに表示された3次元画像上で断片の相互の関係を目視検査することができる。これに続いて、次に、MOE、QUANTA、又はSybyl(Tripos Associates社、セントルイス、ミズーリ州)などのソフトウェアを用いて、手作業でモデル構築を行なうことができる。
個々の化学的実体又は断片を相互に関連付ける際に当業者を支援する有用なプログラムとして、以下のものが挙げられる:CAVEAT(Bartlettらの文献、「CAVEAT:生体活性分子の構造から導かれる設計を促進するプログラム(CAVEAT: A Program to Facilitate the Structure-Derived Design of Biologically Active Molecules)」、Molecular Recognition in Chemical and Biological Problems, Special Pub., Royal Chem. Soc., 78, 182-196頁(1989);Lauri及びBartlettの文献、「CAVEAT:有機分子の設計を促進するプログラム(CAVEAT: a Program to Facilitate the Design of Organic Molecules)」、J. Comput. Aided Mol. Des., 8, 51-66頁(1994))。CAVEATは、カリフォルニア大学(バークレー、カリフォルニア州)から入手可能である;3Dデータベースシステム、例えば、ISIS(MDL Information Systems社、サン・レアンドロ、カリフォルニア州)。この分野は、Martinの文献、「薬物設計における3Dデータベース検索(3D. Database Searching in Drug Design)」、J. Med. Chem., 35, 2145-2154頁(1992)に概説されている;HOOK(Eisenらの文献、「HOOK:高分子結合部位の化学的及び立体的要件を満たす新規分子構造を発見するためのプログラム(HOOK: A Program for Finding Novel Molecular Architectures that Satisfy the Chemical and Steric Requirements of a Macromolecule Binding Site)」、Proteins: Struct., Funct., Genet., 19, 199-221頁(1994)。HOOKは、Molecular Simulations社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から入手可能である。
先に記載したように1度に1つの断片又は実体の段階的様式でイソグルタミニルシクラーゼの阻害剤の構築を進める代わりに、阻害化合物又は他のイソグルタミニルシクラーゼ結合化合物を、空の結合部位を用いるか又は任意に既知の阻害剤のある部分を含めるかのいずれかで、全体として又は「デノボで」設計することができる。以下を含む多くのデノボのリガンド設計法が存在する:LUDI(Bohmの文献、「コンピュータプログラムLUDI:酵素阻害剤のデノボ設計のための新たな方法(The Computer Program LUDI: A New Method for the De Novo Design of Enzyme Inhibitors)」、J. Comp. Aid. Molec. Design, 6, 61-78頁(1992))。LUDIは、Molecular Simulations社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から入手可能である;LEGEND(Nishibataらの文献、Tetrahedron, 47, 8985頁(1991))。LEGENDは、Molecular Simulations社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から入手可能である;LEAPFROG(Tripos Associates社、セントルイス、ミズーリ州から入手可能である);及びSPROUT(Gilletらの文献、「SPROUT:構造作成のためのプログラム(SPROUT: A Program for Structure Generation)」、J. Comput. Aided Mol. Design, 7, 127-153頁(1993))。SPROUTはリード大学(英国)から入手可能である。
他の分子モデリング技術も本発明に従って利用することができる(例えば、Cohenらの文献、「分子モデリングソフトウェア及び医薬品化学の方法(Molecular Modeling Software and Methods for Medicinal Chemistry)」、J. Med. Chem., 33, 883-894頁(1990)を参照;同じく、Navia及びMurckoの文献、「薬物設計における構造情報の使用(The Use of Structural Information in Drug Design)」、Current Opinions in Structural Biology, 2, 202-210頁(1992);Balbesらの文献、「コンピュータ援用薬物設計における最新方法の展望(A Perspective of Modern Methods in Computer-Aided Drug Design)」、Reviews in Computational Chemistry, 第5巻、Lipkowitz及びBoyd編、VCH社、ニューヨーク、337-380頁(1994)を参照;同じく、Guidaの文献、「構造に基づく薬物設計のためのソフトウェア(Software For Structure-Based Drug Design)」、Curr. Opin. Struct. Biology, 4, 777-781頁(1994)を参照)。
例えば、上記の方法によって、実体が設計又は選択されれば、その実体がイソグルタミニルシクラーゼに結合し得る効率をコンピュータ評価によって試験し、最適化することができる。例えば、効果的なイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、好ましくは、その結合状態と遊離状態の間での比較的小さいエネルギー差(すなわち、小さい結合の変形エネルギー)を示す。したがって、最も効率的なイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、好ましくは約10kcal/モルを超えない、より好ましくは、7kcal/モルを超えない結合の変形エネルギーを有するように設計されるべきである。イソグルタミニルシクラーゼ阻害剤は、全体の結合エネルギーが類似している複数の立体構造のうちの2つ以上で、このタンパク質と相互作用することができる。それらの場合、結合の変形エネルギーは、遊離した実体のエネルギーと阻害剤がこのタンパク質に結合するときに認められる立体構造の平均エネルギーの差であると理解される。
イソグルタミニルシクラーゼに結合するものとして設計又は選択された実体を、その結合状態で、それが、好ましくは、標的酵素との及び周囲の水分子との反発性の静電相互作用を欠くように、コンピュータでさらに最適化することができる。そのような非相補的静電相互作用には、反発性の電荷-電荷、双極子-双極子、及び電荷-双極子相互作用が含まれる。
化合物の変形エネルギー及び静電相互作用を評価するために、特定のコンピュータソフトウェアが当技術分野で利用可能である。そのような用途のために設計されたプログラムの例としては、以下のものが挙げられる:Gaussian 94、改訂版C(Frisch、Gaussian社、ピッツバーグ、ペンシルバニア州、1995);AMBER、4.1版(Kollman、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、1995);QUANTA/CHARMM(Molecular Simulations社、サンディエゴ、カリフォルニア州、1995);Insight II/Discover(Molecular Simulations社、サンディエゴ、カリフォルニア州、1995);DelPhi(Molecular Simulations社、サンディエゴ、カリフォルニア州、1995);及びAMSOL(Quantm Chemistry Program Exchange、インディアナ大学)。これらのプログラムは、例えば、Indigo2などの、Silicon Graphics社のワークステーションを「IMPACT」グラフィックスとともに用いて実行することができる。他のハードウェアシステム及びソフトウェアパッケージは当業者に公知であろう。
本発明によって提供される別の手法は、イソグルタミニルシクラーゼに全体的に又は部分的に結合することができる化学的実体又は化合物に関する小分子データベースのコンピュータによるスクリーニングである。このスクリーニングでは、そのような実体の結合部位へのフィットの質は、形状の相補性によるか又は推定された相互作用エネルギーによるかのいずれかで判断することができる(Mengらの文献、J. Comp. Chem., 13, 505-524(1992))。
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で先に記載したような様々な方法によって生成されるか又は同定されるイソグルタミニルシクラーゼと会合する化合物が提供される。
図1に示した構造座標を用いて、別の結晶化分子又は分子複合体に関する構造情報の取得を支援することもできる。これは、分子置換を含む、いくつかの周知の技術のいずれかによって達成することができる。
例えば、分子置換を利用して、その構造が未知であるタンパク質に関する構造情報を得る方法であって:その構造が未知であるタンパク質の結晶のX線回折パターンを作成する工程;図1に示された構造座標の少なくとも一部を分子置換モデルとして用いることによって、X線回折パターンから、その構造が未知であるタンパク質の3次元電子密度マップを作成する工程を含む、方法も提供される。
分子置換を用いることによって、本発明によって提供される(及び、図1に示される)イソグルタミニルシクラーゼの構造座標の全て又は一部を用いて、最初からの(ab initio)構造決定を試みるよりも迅速かつ効率的に、別の結晶化分子又は分子複合体の構造を決定することができる。1つの具体的な使用としては、他の構造的に類似したタンパク質の使用が挙げられる。分子置換は、未知の構造の位相の正確な推測を提供する。位相は、直接決定することができない結晶構造を解明するために用いられる方程式の因数である。分子置換以外の方法によって、位相の正確な値を得ることは、概算及び精密化の反復サイクルを必要とし、かつ結晶構造の解明を大いに妨げる時間のかかるプロセスである。しかしながら、少なくとも相同部分を含むタンパク質の結晶構造が解明されている場合、既知の構造由来の位相は、未知の構造の位相の十分な推定を提供する。
したがって、この方法は、その構造が未知である分子又は分子複合体の結晶の観察されたX線回折パターンを説明するのに最適であるように、未知の分子又は分子複合体の結晶の単位格子内に、図1によるイソグルタミニルシクラーゼの関連部分を配向させ、位置付けることによって、その構造座標が未知である分子又は分子複合体の予備的モデルを作成することを含む。次に、このモデルから位相を計算し、観察されたX線回折パターンの振幅と組み合わせて、その座標が未知である構造の電子密度マップを作成することができる。これを次に、任意の周知のモデル構築技術及び構造精密化技術に供して、未知の結晶化分子又は分子複合体の最終的な正確な構造を提供することができる(Lattmanの文献、「回転及び変換関数の使用(Use of the Rotation and Translation Functions)」、Meth. Enzymol., 115, 55-77頁(1985);Rossmann編、「分子置換法(The Molecular Replacement Method)」、Int. Sci. Rev. Ser., 第13巻, Gordon & Breach社、ニューヨーク、(1972))。
イソグルタミニルシクラーゼの任意の部分に十分に相同である任意の結晶化分子又は分子複合体の任意の部分の構造は、この方法によって解明することができる。
一実施態様では、分子置換法を利用して、本発明及び任意の他のイソグルタミニルシクラーゼ様分子に関する構造情報を得る。
本発明によって提供されるイソグルタミニルシクラーゼの構造座標は、アミノ酸の置換、付加、及び/又は欠失を有するイソグルタミニルシクラーゼ変異体(天然に存在するイソグルタミニルシクラーゼと比較して、「イソグルタミニルシクラーゼ突然変異体」と総称される)の構造を解明する際に有用である。これらのイソグルタミニルシクラーゼ突然変異体は、任意に、阻害剤又は基質類似体などのリガンドとの共複合体として結晶化することができる。その後、一連のそのような複合体の結晶構造を分子置換によって解明し、イソグルタミニルシクラーゼの結晶構造と比較することができる。この酵素の様々な結合部位内の潜在的修飾部位をこのようにして同定することができる。この情報は、例えば、イソグルタミニルシクラーゼとリガンドの間の増大した疎水性相互作用などの、最も効率的な結合相互作用を決定するためのさらなるツールを提供する。このリガンドは、タンパク質の天然のリガンドであってもよく、又はタンパク質の潜在的なアゴニストもしくはアンタゴニストであってもよいことに留意されたい。
本発明のさらなる態様によれば、図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部に結合する化学的実体を設計、選択、及び/又は最適化する方法であって:
(a)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造座標を、該構造座標から3次元構造情報を生成させる手段を備えるコンピュータに提供する工程;並びに
(b)該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の該3次元構造情報との間のフィッティング操作を実施することによって、該化学的実体を設計、選択、及び/又は最適化する工程
を含む、方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部と会合する化学的実体の能力を評価する方法であって:
(a)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造座標を、該構造座標から3次元構造情報を生成させる手段を備えるコンピュータに提供する工程;
(b)コンピュータ手段を利用して、該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部との間のフィッティング操作を実施する工程;及び
(c)該フィッティング操作の結果を解析して、該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の間の会合を定量化する工程
を含む、方法が提供される。
一実施態様では、本方法は、工程(b)の前に、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の3次元グラフィカル表現を作成することをさらに含む。
本発明のさらなる態様によれば、図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部と会合する化学的実体の能力を評価するためにコンピュータを使用する方法であって、該コンピュータが、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットを規定する該構造座標がコード化されたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体、並びに該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの3次元グラフィカル表現を作成する手段を備え、かつ該方法が:
(a)第一の化学的実体を、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の中に、該化学的実体及び該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造のグラフィカルな3次元表現を用いて位置付ける工程;
(b)該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットとの間のフィッティング操作を、コンピュータ手段を利用することによって実施する工程;及び
(c)該フィッティング操作の結果を解析して、該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の間の会合を定量化する工程
を含む、方法が提供される。
一実施態様では、本方法は:
(d)第二の化学的実体を用いて、工程(a)〜(c)を繰り返す工程;及び
(e)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの該全体又は一部と会合する該第一又は第二の化学的実体のうちの少なくとも1つを、該第一又は第二の化学的実体の該定量された会合に基づいて選択する工程
をさらに含む。
本発明のさらなる態様によれば、図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法であって:
(a)ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの3次元構造を用いて、化学的実体を設計又は選択する工程;
(b)該化学的実体をヒトイソグルタミニルシクラーゼと接触させる工程;
(c)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの触媒活性をモニタリングする工程;及び
(d)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの触媒活性に対する該化学的実体の効果に基づいて、該化学的実体をアゴニスト又はアンタゴニストに分類する工程
を含む、方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部と会合する化合物又は複合体を設計する方法であって:
(a)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造座標を、該構造座標から3次元構造情報を生成させる手段を備えるコンピュータに提供する工程;並びに
(b)該コンピュータを用いて、フィッティング操作を実施し、第一の化学的実体を該結合ポケットの全体又は一部と会合させる工程;
(c)フィッティング操作を実施して、少なくとも第二の化学的実体を該結合ポケットの全体又は一部と会合させる工程;
(d)該第一及び第二の化学的実体と該結合ポケットの全体又は一部の間の会合を定量化する工程;
(e)任意に、別の第一及び第二の化学的実体を用いて、工程(b)から工程(d)を繰り返し、該第一及び第二の化学的実体の全ての該定量化された会合に基づいて、第一及び第二の化学的実体を選択する工程;
(f)任意に、該第一及び第二の化学的実体の相互の関係を、該結合ポケットとの関連において、該結合ポケット並びに該第一及び第二の化学的実体の3次元グラフィカル表現を用いて、コンピュータスクリーン上で目視検査する工程;並びに
(g)モデル構築によって、該第一及び第二の化学的実体を、該結合ポケットの全体又は一部と会合する化合物又は複合体へとアセンブルする工程
を含む、方法が提供される。
上で言及された複合体は全て、周知のX線回折技術を用いて研究することができ、かつX-PLOR(Brungerらの文献、「X-PLOR、バージョン3.1、X線結晶学及びNMRのためのシステム(X-PLOR, Version 3.1, A system for X-ray crystallography and NMR)、イェール大学(1992))、CNS(Brungerらの文献、「結晶学及びNMRシステム(CNS)、高分子構造決定のための新規ソフトウェアパッケージ(Crystallography & NMR System(CNS), A new software suite for macromolecular structure determination)」、Acta Cryst. D54:905-921(1998))、TNT(Tronrudらの文献、「高分子構造のための効率的汎用最小二乗精密化プログラム(An efficient general-Purpose least-squares refinement program for macromolecular structures)」、Acta Cryst. A43, 489-501(1987))、Buster(Bricogneの文献、「構造決定に関するベイズ統計学的視点:基本概念及び例(The Bayesian Statistical Viewpoint on Structure Determination: Basic Concepts and Examples)」、Methods in Enzymology, 276A, 361-423、Carter及びSweet編、(1997))、並びにRefmac(Murshudovらの文献、「最尤法による高分子構造の精密化(Refinement of macromolecular structures by the maximum-likelihood method)」、Acta Cryst D53 :240-255(1997))などのコンピュータソフトウェアを用いて、1.5〜3.5Åの分解能のX線データに対して、約0.22以下のR値まで精密化することができる(例えば、Blundell及びJohnsonの文献、前掲;Meth. Enzymol., 第114及び115巻, Wyckoffら編, Academic Press社(1985)を参照されたい)。したがって、この情報を用いて、既知のイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤を最適化し、かつより重要なことに、新規のイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤を設計することができる。
本明細書に記載の構造座標を用いて、タンパク質骨格中のアミノ酸の立体構造を規定する二面角φ及びψを導出することもできる。当業者によって理解されるように、φ角度は、α-炭素と窒素の間の結合の周りの回転を指し、かつψ角度は、カルボニル炭素とα-炭素の間の結合の周りの回転を指す。添え字「n」により、その立体構造が記載されているアミノ酸が特定される(一般的な参考文献については、Blundell及びJohnsonの文献、「タンパク質結晶学(Protein Crystallography)」、Academic Press社、ロンドン、1976年を参照されたい)。
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例証される:
(1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)チオ尿素(阻害剤A)の調製)
4.0mmolの3,4-ジメトキシフェニルイソチオシアネート及び4.0mmolの3-(1H-イミダゾール-1-イル)アルキル-1-アミンを、10mLの無水エタノールに溶解させた。還流下で2時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、得られた固形物をエタノールから再結晶化させた。
収量:0.66g(51.3%);融点:160.0〜161.0℃。
Figure 0006026425
(実施例1)
(ヒトイソグルタミニルシクラーゼの発現、精製、及び結晶化)
((A)P.パストリスでのヒトイソグルタミニルシクラーゼの発現及び精製)
(宿主株及び培地)
大腸菌株DH5αをプラスミドの増殖に用い、P.パストリス株X-33を酵母でのヒトisoQCの発現に用いた。大腸菌株及びP.パストリス株を、製造業者の指示に従って成長させ、形質転換し、解析した(Qiagen(DH5α), Invitrogen(X-33))。大腸菌に必要とされる培地、すなわち、ルリア-ベルターニ(LB)培地は、製造業者の奨めに従って調製した。ピキア・パストリスに必要とされる培地、すなわち、BMMY、BMGY、YPD、YPDS、及び抗生物質の濃縮物、すなわち、Zeocinは、ピキアマニュアル(Invitrogen, カタログ番号K1740-01)に記載の通りに調製した。このマニュアルには、酵母の取扱いのための全ての関連性のある記述も含まれている。
(ヒトisoQCをコードするプラスミドベクターの分子クローニング)
クローニング手順は全て、標準的な分子生物学の技術を適用して行なわれた。ピキア・パストリスX-33の発現のために、pPiCZαA(Invitrogen)を用いた。(メチオニンIIから数えて)コドン42から始まる成熟ヒトisoQCのcDNA を、タンパク質を分泌経路に向かわせるα-因子がコードされたプラスミドにインフレームで融合させた。プライマー
Figure 0006026425
を用いた増幅の後、断片を、NotI及びEcoR Iという制限部位を用いてこの発現ベクターに挿入した。突然変異を、プライマー
Figure 0006026425
を用いてコドン55に導入するだけでなく、プライマー
Figure 0006026425
を用いて、コドン351(Cys)にも導入した。突然変異生成は、標準的なPCR技術、それに続く、DpnIを用いた親DNAの消化(クイック-チェンジII部位特異的突然変異生成キット、Stratagene社、カタログ番号200524)によって実施した。
(P.パストリスの形質転換、及び小規模発現)
1〜2μgのプラスミドDNAを、製造業者の指示(BioRad社)に従うエレクトロポレーションによって、コンピテントなP.パストリス細胞の形質転換に適用した。100μg/mlのZeocinを含むプレート上で選択を行なった。isoQC発現時に組換え酵母クローンを試験するために、組換え体を、2mlのBMGYを含む10ml円錐チューブ中で24時間成長させた。その後、酵母を遠心分離し、0.5%メタノールを含む2mlのBMMYに再懸濁させた。24時間毎に、約72時間、メタノールを添加することによって、この濃度を維持した。その後、上清中のQC活性を測定した。最も高い活性を示したクローンをさらなる実験及び大規模発現のために選んだ。
(P.パストリスでのhisoQCの発現及び精製)
ピキア・パストリスでのisoQCの大規模発現のために、条件を、小規模発現において記載した通りに保持したが、総量は8Lとした。発現を振盪フラスコ中で実施した。発現後、細胞を遠心分離(1500×g、20分)によって培地から分離し、ペレットを捨てた。上清のpH値を中性になるように調整し、再び遠心分離し、第一の精製工程に適用した。hisoQCタンパク質を3工程プロトコルを用いて精製した(表1)。この精製は、図3のSDS-PAGE解析によって示されている。精製収率は60%であった。見かけのタンパク質は、50kDa〜75kDaのhisoQCの移動から明らかなように、不均一にグリコシル化されていた(図3)。精製後、このタンパク質を、10kDaの分子量カットオフを有するU-Tube(商標)Concentrators(Novagen)を用いて12mg/mlにまで濃縮し、-80℃で保存した。
Figure 0006026425
((B)ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶化)
(結晶成長)
結晶は、ハンギングドロップ蒸気拡散技術を用いて、室温(21℃)で、Easyxtal 24-ウェルプレート(Qiagen社)中で成長させた。母液緩衝液は、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウム、及び13%(w/v)35000 PEGからなっていた。最大10mg/mlまで濃縮されたタンパク質溶液は、25mMビス-トリスpH6.8/100mM NaCl緩衝液の存在下の組換えヒトイソグルタミニルシクラーゼ(hisoQC)であった。結晶化の前に、hisoQCを、エンドグリコシダーゼHf(New England Biolabs社)を用いて脱グリコシル化した。糖鎖の除去は、hisoQCの溶解性の激減をもたらした。タンパク質を可溶性に保つために、hisoQCを洗剤MEGA-8(Fluka)(最終濃度100mM)で処理した。その後、エンドグリコシダーゼHfを添加した(最終活性4.8*103単位/ml)。反応を室温で一晩行なった。脱グリコシル化の後、阻害剤Aを添加した(最終濃度1mM)。
hisoQCの結晶化は、均一なタンパク質を必要とする。それゆえ、グリコシル化を除去する必要があった。上で述べたように、脱グリコシル化は、溶解性の極度の減少をもたらす。タンパク質凝集を避けるために、様々な薬剤及び洗剤を、タンパク質の溶解性及び安定性に対するその影響について試験した。アシル-N-グルカミドベースの非イオン性洗剤MEGA-8は、好適な添加剤であることが分かった。hisoQCの溶解性の媒介の他に、それは、エンドグリコシダーゼHf活性に対する検出可能な影響を及ぼさなかった。
上記のような1μlの母液緩衝液と1μlの脱グリコシル化タンパク質溶液の混合物を用意した。結晶は、通常、実験を開始してから10〜15日後に現われ、それらは、肉眼的な棒状形状を示した(図4)。
(極低温溶液)
X線測定の前に、結晶を、母液緩衝溶液が15%(v/v)グリセロールで飽和している新しい極低温-緩衝溶液に速やかに浸漬させた。すぐに、結晶を、ピン状のナイロンループを用いて極低温-緩衝溶液から収集し、それらをゴニオメーターの上に取り付け、窒素流下、-180℃で瞬間凍結させた。
(データ収集)
単結晶からのデータ収集は、回転陰極源(RA Micro 007;理学/MSC社、東京、日本)、及びVarimax(商標)Optics(理学社)を備えるCCD検出装置(CCD Saturn 944+、理学社)、及びAFC-11ゴニオメーターを用いることにより、Cu Kα線(λ=1.5418Å)によって行なわれた。
最後に、この結晶を取り外し、ベルリンのシンクロトロン(Bessy)のビームラインBessx-MX BL14.1でのさらなる測定のために、液体窒素中で保存した。分解能カットオフは、I/sig(I)を1.9、Rmergeを13.7に設定して、最終的に3.42オングストロームの分解能を達成した。
(データ処理)
画像反射強度を、プログラムXDSを用いてインデキシングし、積分した。さらなるデータ処理は、結晶学パッケージソフトCCP4に含まれるプログラムを用いて実行した。積分した強度を、プログラムScalaを用いてスケーリングし、統合した。初期のmtzファイルを、マシューズ係数を計算することによって解析した。マシューズ係数は、水含量が約50%で11個の分子又は12個の分子のいずれかを含む非対称単位(AU)に対して最も高い確率を示した。
さらにその後、初期位相を、Phaserを用いる分子置換アプローチを用いて得た。ヒトグルタミニルシクラーゼ(hQC)(構造は未発表)の結晶構造を検索モデルとして採用した。位相決定の前に、hQCファイルのPDBファイルをChainsawプログラムを用いて修正し、hQCのもとの配列をhisoQCの1つに置き換えた。このモデルは、それぞれ、4.7及び29.1という回転(RFZ)スコア及び並進(TFZ)lスコア、並びに4846というLLGスコアを示す解を与え、有用な解の可能性を示した。Phaserの解は、AU中に11個の分子を含む初期モデルの場合に奏功し(図5)、活性部位関連残基の部分に局在するさらなる明確に規定された陽電子密度マップを示した。
このようにして、初期の電子密度を得た。その後の手作業による欠損断片の構築及び最尤精密化サイクルは、同じくCCP4パッケージソフトからのプログラムCOOT及びREFMAC5を用いることによって実施した。最初に、鎖Aをより正確にモデリングするために用いられる平均化FoFc密度マップを用いて、モデル構築を容易にした。さらに、鎖Aを鋳型として用い、77〜380の残基範囲の鎖B、C、D、E、F、G、H、I、J、及びKの主鎖及び側鎖残基に厳しいNCS制限を適用して、非結晶学的対称(NCS)精密化を実施した。このようにして、このモデルを改良し、それぞれ、26.84及び31.7というRwork及びRfreeを達成した。
(結果)
表2は、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を用いてベルリンのシンクロトロンBessyで得られたデータセットの統計、並びにデータ処理及びモデル構築に関するそれらの対応する統計をまとめたものである。使用したプログラムは、データ処理についてはXDS及びSCALA、分子置換についてはPHASER、精密化についてはREFMAC5、並びにモデル構築についてはCootであった(それらは全てCCP4パッケージソフトに含まれている)。括弧内の数字は、外側シェルの解像限界に属している。
Figure 0006026425
全体的な3次元構造。簡潔にするために、非対称単位の鎖Aを記載することにする。得られた実験的電子密度から構築されたモデルは、11個のhisoQC分子を含み、ポリペプチド鎖を残基75〜383に拡張する。このモデルは、阻害剤A分子との複合体を実現させている亜鉛イオンを含む(図7)。このタンパク質は、球状のα/βヒドロラーゼフォールドを示す(図6)。中心のβ-シートは、6つのβ-ストランドが二番目を除いて全て平行になって形成されている。このβ-シートは、2つのヘリックスが片側に、さらに6つα-ヘリックスが反対面にあるサンドイッチの形でα-ヘリックスに囲まれている。このタンパク質の構造は、酵素の活性部位を構築しているかなり大量のランダムコイルループにより完成される。この活性部位は、3つのタンパク質残基E226、D186、及びH351によって配位される亜鉛イオン、並びに阻害剤Aの分子を収容している(図7)。さらに、このタンパク質は、残基C167とC191の間のジスルフィド架橋の存在を示している。最後に、このポリペプチド鎖の2つのセグメントは電子密度が見られない。これらのギャップには、K182とD190の間の残基、及びF146とN150の間の残基が含まれる。

Claims (15)

  1. 配列番号:19のヒトイソグルタミニルシクラーゼ及び下記構造を有する阻害剤Aからなる共結晶であって:
    Figure 0006026425
    特性解析された空間群P1211、並びに単位格子寸法a=126.51Å、b=109.68Å、c=159.53Å、α=90.0°、β=104.9°、及びγ=90.0°の±5%を有する、前記共結晶。
  2. 3.42Å〜34.72Åの分解能まで結晶の原子座標を決定するためのX線を回折する、請求項1記載の結晶。
  3. 配列番号:19の残基E175、D135及びH301によって提供される結合ポケットを含み、該残基が、図1の座標による配列番号:1の残基E226、D186、及びH351に対応する、請求項2記載の結晶。
  4. 配列番号:19の残基C116とC140の間にジスルフィド架橋を含み、該残基が、配列番号:1の残基C167及びC191に対応する、請求項3記載の結晶。
  5. ヒトイソグルタミニルシクラーゼの阻害剤を同定する方法であって、以下の工程:
    (a)請求項1記載の共結晶を調製し、該結晶から図1に記載の構造座標を取得する工程;
    (b)該図1に記載の構造座標を用いて、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの3次元モデルを作成する工程;
    (c)配列番号:19の残基E175、D135及びH301によって提供される結合ポケットを解析する工程であって、該残基が、図1の座標による配列番号:1の残基E226、D186、及びH351に対応する、前記工程;
    (d)コンピュータモデリング解析を実施して、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットと会合し得る阻害剤化合物を同定する工程
    を含む、前記方法。
  6. 前記阻害剤化合物を合成する工程、及び該化合物を前記ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットと接触させて、ヒトイソグルタミニルシクラーゼを阻害する該化合物の能力を決定する工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
  7. 前記コンピュータモデリング解析を実施して、前記阻害剤化合物を同定する工程が、該化合物を化合物のライブラリーから同定することを含む、請求項5又は6記載の方法。
  8. 前記コンピュータモデリング解析を実施して、前記阻害剤化合物を同定する工程が、該化合物をデータベース中で同定することを含む、請求項5又は6記載の方法。
  9. 前記コンピュータモデリング解析を実施して、前記阻害剤化合物を同定する工程が、該化合物を既知のヒトイソグルタミニルシクラーゼ阻害剤から設計することを含む、請求項5又は6記載の方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項記載のヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を調製する方法であって:
    (a)ヒトイソグルタミニルシクラーゼの溶液を、阻害剤Aの存在下で、25mMビス-トリスpH6.8/100mM NaCl緩衝液などの好適な緩衝液中に提供する工程;
    (b)該溶液を、0.1Mクエン酸ナトリウム、0.1M硫酸アンモニウム、及び13%(w/v)35000 PEGを含む結晶化溶液と混合する工程;並びに
    (c)該混合物を、ハンギングドロップ蒸気拡散を促進する条件下で、ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結晶を生成させるのに十分な時間、インキュベートする工程
    を含む、前記方法。
  11. 図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部に結合する化学的実体を設計、選択、及び/又は最適化する方法であって:
    (a)請求項1記載の共結晶を調製し、該結晶から図1に記載の構造座標を取得する工程;
    (b)該構造座標から3次元構造情報を生成させる手段を備えるコンピュータ上で、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造座標を取得して提供する工程;並びに
    (c)該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の該3次元構造情報との間のフィッティング操作を実施することによって、該化学的実体を設計、選択、及び/又は最適化する工程
    を含む、前記方法。
  12. 図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部と会合する化学的実体の能力を評価する方法であって:
    (a)請求項1記載の共結晶を調製し、該結晶から図1に記載の構造座標を取得する工程;
    (b)該構造座標から3次元構造情報を生成させる手段を備えるコンピュータ上で、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造座標を取得して提供する工程;
    (c)コンピュータ手段を利用して、該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部との間のフィッティング操作を実施する工程;及び
    (d)該フィッティング操作の結果を解析して、該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の間の会合を定量化する工程
    を含む、前記方法。
  13. 図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部と会合する化学的実体の能力を評価するためにコンピュータを使用する方法であって、該コンピュータが、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットを規定する該構造座標でコード化されたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体、並びに該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの3次元グラフィカル表現を作成する手段を備え、かつ該方法が:
    (a)請求項1記載の共結晶を調製し、該結晶から図1に記載の構造座標を取得し、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットを取得する工程;
    (b)第一の化学的実体を、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の中に、該化学的実体及び該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造のグラフィカルな3次元表現を用いて位置付ける工程;
    (c)該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットとの間のフィッティング操作を、コンピュータ手段を利用することによって実施する工程;及び
    (d)該フィッティング操作の結果を解析して、該化学的実体と該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部の間の会合を定量化する工程
    を含む、前記方法。
  14. 図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法であって:
    (a)請求項1記載の共結晶を調製し、該結晶から図1に記載の構造座標を取得し、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットを取得する工程;
    (b)前記ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの3次元構造を用いて、化学的実体を設計又は選択する工程;
    (c)該化学的実体をヒトイソグルタミニルシクラーゼと接触させる工程;
    (d)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの触媒活性をモニタリングする工程;及び
    (e)該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの触媒活性に対する該化学的実体の効果に基づいて、該化学的実体をアゴニスト又はアンタゴニストに分類する工程
    を含む、前記方法。
  15. 図1によるヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの全体又は一部と会合する化合物又は複合体を設計する方法であって:
    (a)請求項1記載の共結晶を調製し、該結晶から図1に記載の構造座標を取得し、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットを取得する工程;
    (b)該構造座標から3次元構造情報を生成させる手段を備えるコンピュータ上で、該ヒトイソグルタミニルシクラーゼの結合ポケットの構造座標を提供する工程;並びに
    (c)該コンピュータを用いて、フィッティング操作を実施し、第一の化学的実体を該結合ポケットの全体又は一部と会合させる工程;
    (d)フィッティング操作を実施して、少なくとも第二の化学的実体を該結合ポケットの全体又は一部と会合させる工程;
    (e)該第一及び第二の化学的実体と該結合ポケットの全体又は一部の間の会合を定量化する工程;
    (f)任意に、別の第一及び第二の化学的実体を用いて、工程(c)から工程(e)を繰り返し、該第一及び第二の化学的実体の全ての該定量化された会合に基づいて、第一及び第二の化学的実体を選択する工程;
    (g)任意に、該第一及び第二の化学的実体の相互の関係を、該結合ポケットとの関連において、該結合ポケット並びに該第一及び第二の化学的実体の3次元グラフィカル表現を用いて、コンピュータスクリーン上で目視検査する工程;並びに
    (h)モデル構築によって、該第一及び第二の化学的実体を、該結合ポケットの全体又は一部と会合する化合物又は複合体へとアセンブルする工程
    を含む、前記方法。
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