JP6018129B2 - グルカゴン類似体 - Google Patents

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Description

本発明は、グルカゴン類似体、並びに例えば、過剰食物摂取、肥満、及び過剰体重の処置におけるそれらの医学的な使用に関する。
プレプログルカゴンは、グルカゴン(Glu)、グルカゴン様ペプチド‐1(GLP‐1)、グルカゴン様ペプチド‐2(GLP‐2)、及びオキシントモジュリン(OXM)を含めた多くの構造的に関連したプログルカゴン由来ペプチドを形成するように組織内で別々に処理された158個のアミノ酸の前駆体ポリペプチドである。これらの分子は、グルコースの恒常性、インシュリン分泌、胃内容排出及び腸の成長、並びに摂食の調整を含めたさまざまな生理機能にかかわっている。
グルカゴンは、プレプログルカゴンの第53〜81アミノ酸に相当する、配列His‐Ser‐Gln‐Gly‐Thr‐Phe‐Thr‐Ser‐Asp‐Tyr‐Ser‐Lys‐Tyr‐Leu‐Asp‐Ser‐Arg‐Arg‐Ala‐Gln‐Asp‐Phe‐Val‐Gln‐Trp‐Leu‐Met‐Asn‐Thr(配列番号1)を持つ29個のアミノ酸のペプチドである。オキシントモジュリン(OXM)は、配列Lys‐Arg‐Asn‐Arg‐Asn‐Asn‐Ile‐Ala(配列番号2)を持つ「介在ペプチド1」若しくはIP‐1と呼ばれるオクタペプチド・カルボキシ末端伸長(プレプログルカゴンの第82〜89アミノ酸)を伴ったグルカゴンの完全な29個のアミノ酸配列を含んでいる37個のアミノ酸のペプチドである;よって、ヒト・オキシントモジュリンの完全な配列は、His‐Ser‐Gln‐Gly‐Thr‐Phe‐Thr‐Ser‐Asp‐Tyr‐Ser‐Lys‐Tyr‐Leu‐Asp‐Ser‐Arg‐Arg‐Ala‐Gln‐Asp‐Phe‐Val‐Gln‐Trp‐Leu‐Met‐Asn‐Thr‐Lys‐Arg‐Asn‐Arg‐Asn‐Asn‐Ile‐Ala(配列番号3)である。GLP‐1の主要な生物学的に活性な断片は、30個のアミノ酸であって、プレプログルカゴンの第98〜127アミノ酸に相当するC末端がアミド化されたペプチドとして産生される。
グルカゴンは、肝細胞上のグルカゴン受容体に結合し、肝臓がグリコーゲン分解によって‐グリコーゲンの形で保存された‐グルコースの放出を引き起こすことによって血中のグルコースレベルを維持するのに役立っている。これらの蓄えが使い果たされたとき、グルカゴンは、糖新生によって追加のグルコースを合成するように肝臓を刺激する。このグルコースが血流内に放出され、低血糖の発生を予防する。
OXMは、食物摂取に対応し、且つ、食事のカロリー量に比例して血液中に放出される。OXMが、ヒトの食欲を抑制し、そして食物摂取を阻害することが明らかにされた(Cohenら、Journal of Endocrinology and Metabolism、第88号、4696〜4701頁、2003年;WO 2003/022304)。オキシントモジュリンで処理したラットがペアフィード・ラットに比べてわずかな体重増加しか示さなかったので、(GLP‐1のそれと同様である)オキシントモジュリンの食欲抑制作用に加えて(Bloom, Endocrinology 2004, 145, 2687)、OXMはさらに別の機構によって体重に作用しているはずである。OXMによる肥満齧歯動物の処置はさらに、それらの耐糖能を改善し(Parlevlietら、Am J Physiol Endocrinol Metab、第294号、E142〜7頁、2008年)、且つ、体重増加を抑制する(WO 2003/022304)。
OXMは、グルカゴン受容体とGLP‐1受容体の両方を、GLP‐1受容体よりもグルカゴン受容体を二倍強力に活性化するが、それは、天然のグルカゴン及びGLP‐1がそれらのそれぞれの受容体に対するほど強力でない。GLP‐1受容体よりもグルカゴン受容体に関して強い優先傾向があるとはいえ、ヒト・グルカゴンもまた両方の受容体を活性化することができる。その一方、GLP‐1はグルカゴン受容体を活性化することができない。オキシントモジュリンの作用機序は十分に理解されていない。特に、ホルモンの効果が伝達されるのが、GLP‐1受容体やグルカゴン受容体を通じてなのか、1若しくは複数の同定されていない受容体を通じてなのか知られていない。
他のペプチドが、グルカゴン受容体とGLP‐1の両方に結合し、そして活性化すること(Hjortら、Journal of Biological Chemistry、第269号、30121〜30124頁、1994年)、及び体重増加を抑制し、且つ、食物摂取を低減すること(WO 2006/134340;WO 2007/100535;WO 2008/101017)が知られている。
肥満は、世界的に高まっている健康問題に分類され、そして様々な疾患、特に心血管疾患(CVD)、2型糖尿病、閉塞型睡眠時無呼吸症、特定のタイプの癌、及び骨関節炎と関連している。その結果、肥満は平均余命を短くすることがわかった。世界保健機構による2005年の予測によれば、世界中で4億人の成人(年齢>15歳)が肥満体に分類される。米国では、現在、肥満は、喫煙に次いで2番目に多い予防可能な死因であると考えられている。
肥満の増加は、糖尿病の増加を促進するので、2型糖尿病を患っている人の約90%が肥満に分類され得る。世界中には2億4600万人が糖尿病を患っていて、2025年までには、3億8000万人が糖尿病を患うであろうと推定されている。多くの人が、高い/異常なLDL及びトリグリセリド、そして低いHDLを含めた付加的な心血管疾患の危険因子を有する。
糖尿病を患っている人は、糖尿病を患っていない人に比べて心血管疾患を発症する可能性が2〜4倍高いので、心血管疾患が糖尿病の最も一般的な合併症になっている。心血管疾患は、糖尿病を患っている人の死亡率の約50%の割合を占める。肥満や2型糖尿病の高い発生率及び有病率と共に、糖尿病を患っている若年成人は、糖尿病を患っていない若年成人に比べて冠動脈性心疾患(CHD)の割合が12〜40倍高く、これらの代謝異常に関連する罹患率と死亡率が、効果的な処置の選択肢の医学的な必要性を浮き彫りにしている。
従って、肥満を処置すること、及び耐糖能を改善することの医学的な必要性が大いにある。
第1の態様では、本発明は、式R1‐X‐Z‐R2
{式中、
1が、H、C1‐4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
2が、OH又はNH2であり;
Xが、以下の式(I):
His‐Ser‐Gln‐Gly‐Thr‐Phe‐Thr‐Ser‐Asp‐Tyr‐Ser‐Lys‐Tyr‐Leu‐Asp‐Glu‐Arg‐Arg‐Ala‐Lys‐Asp‐Phe‐Ile‐Glu‐Trp‐Leu‐Leu‐Ser‐Ala(配列番号4)
を有するペプチドであるか;又は式(I)と異なる場合には、以下の:
2位の残基が:D‐Ser、Aibから選択され;
16位の残基が:Ser、Asp、Lys、Argから選択され;
18位の残基が:Alaであり;
20位の残基が:Gln、Arg、Glu、Aspから選択され;
21位の残基が:Gluであり;
23位の残基が:Valであり;
24位の残基が:Gln、Asp、Lys、Arg、Alaから選択され;
27位の残基が:Met、Cys、Lysから選択され;
28位の残基が:Asn、Arg、Lys、Ala、Glu、Aspから選択され;及び
29位の残基が:Thr、Argから選択される;
のうちの最大4ヶ所によって式(I)と異なっているペプチドであり;そして
Zが、存在しないか、又はAla、Leu、Ser、Thr、Tyr、Cys、Glu、Lys、Arg、Dbu、Dpr及びOrnから成る群から選択される1〜20個のアミノ酸単位から成る配列である。}を有する化合物、又は医薬的に許容し得るその塩を提供する。
いくつかの実施形態では、式(I)と異なる場合には、Xが、以下の:
2位の残基が:D‐Ser、Aibから選択され;
16位の残基が:Ser、Asp、Lysから選択され;
20位の残基が:Gln、Arg、Gluから選択され;
27位の残基が:Met、Cys、Lysから選択され;及び
28位の残基が:Asn、Arg、Alaから選択される;
のうちの最大4ヶ所によって式(I)と異なる。
それらの実施形態のうちのいくつかでは、式(I)と異なる場合には、Xが、以下の:
2位の残基が:D‐Ser、Aibから選択され;
16位の残基が:Ser、Asp、Lysから選択され;及び
20位の残基が:Gln、Arg、Gluから選択される;
のうちの最大3ヶ所によって式(I)と異なっていてもよい。
代替実施形態では、式(I)と異なる場合には、Xが、以下の:
2位の残基が:D‐Ser、Aibから選択され;
16位の残基が:Ser、Asp、Lysから選択され;
18位の残基が:Alaであり;及び
20位の残基が:Gln、Arg、Gluから選択される;
のうちの最大4ヶ所によって式(I)と異なっていてもよい。
より一層さらなる代替実施形態では、式(I)と異なる場合には、Xが、以下の:
23位の残基が:Valであり;
24位の残基が:Gln、Asp、Lys、Arg、Alaから選択され;
27位の残基が:Met、Cys、Lysから選択され;及び
28位の残基が:Asn、Arg、Alaから選択される;
のうちの最大4ヶ所によって式(I)と異なっていてもよい。
先に記載の実施形態のいずれかで、16位と20位の残基が、塩橋を形成できることもある。好適な残基対の例には:
16‐Asp、20‐Lys;
16‐Glu、20‐Lys;
16‐Asp、20‐Arg;
16‐Glu、20‐Arg;
16‐Lys、20‐Asp;
16‐Arg、20‐Asp;
16‐Lys、20‐Glu;
16‐Arg、20‐Glu、
が挙げられる。
さらに又はあるいは、20位と24位の残基が、塩橋を形成できることもある。好適な残基対の例には:
20‐Asp、24‐Lys;
20‐Glu、24‐Lys;
20‐Asp、24‐Arg;
20‐Glu、24‐Arg;
20‐Lys、24‐Asp;
20‐Arg、24‐Asp;
20‐Lys、24‐Glu;
20‐Arg、24‐Glu、
が挙げられる。
先の定義との整合性を維持しながら、Xが、以下の残基のセット:
20‐Lys、24‐Glu;
20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu;
16‐Glu、20‐Lys、24‐Glu;
16‐Glu、20‐Lys;
16‐Glu、20‐Lys、29‐Ala;
16‐Glu、20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu;
16‐Glu、20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu、29‐Ala;
16‐Glu、20‐Lys、24‐Glu、29‐Ala;
20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu、29‐Ala;
27‐Leu、28‐Ser、29‐Ala;
29‐Ala;
16‐Ser;
20‐Gln;
23‐Val;
24‐Gln;
16‐Ser、20‐Gln;
16‐Asp、20‐Arg、24‐Asp;
16‐Lys、20‐Glu;
24‐Arg;又は
28‐Arg、
のうちの1つ又は複数を含んでなることが望まれることもある。
例えば、Xは、以下の配列:
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAKDFIEWLLSA(配列番号13);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAQDFIEWLLSA(配列番号5);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFVEWLLSA(配列番号6);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIQWLLSA(配列番号7);
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFIEWLLSA(配列番号8);
HSQGTFTSDYSKYLDDRRARDFIDWLLSA(配列番号9);
HSQGTFTSDYSKYLDKRRAEDFIKWLLSA(配列番号10);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIRWLLSA(配列番号11);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLRA(配列番号12);
HSQGTFTSDYSKYLDERAAKDFIEWLLSA(配列番号14);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIDWLLSA(配列番号15);
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLAA(配列番号16);又は
HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLSA(配列番号17)、
を有していてもよい。
本発明は、本発明の化合物をコードする核酸(DNA若しくはRNAであってもよい)、そのような核酸を含んでなる発現ベクター、及びそのような核酸又は発現ベクターを含んでいる宿主細胞をさらに提供する。
更なる態様では、本発明は、本明細書中に規定されるグルカゴン類似体ペプチド、又はその塩若しくは誘導体を含んでなる組成物、そのようなグルカゴン類似体ペプチドをコードする核酸、そのような核酸を含んでなる発現ベクター、又は担体との混合物の状態でそのような核酸若しくは発現ベクターを含んでいる宿主細胞を提供する。好ましい実施形態では、前記組成物は医薬的に許容し得る組成物であり、且つ、前記担体は医薬的に許容し得る担体である。前記グルカゴン・ペプチド類似体は、グルカゴン類似体の医薬的に許容し得る酸付加塩であってもよい。
記載した化合物には、体重増加を予防するか又は体重減少を促進する際の使用が見出された。「予防すること」は、処置の不存在と比較した場合に、体重増加を阻害するか又は低減することを意味するが、必ずしも体重増加の完全な停止を含意するわけではない。前記ペプチドは、食物摂取の減少及び/又はエネルギー消費の増加を引き起こし、その結果として体重に対して観察された効果をもたらし得る。体重に対するそれらの効果とは無関係に、本発明の化合物は、循環LDLレベルを下げることや、HDL/LDL比を高めることができる、耐糖能及び循環コレステロールレベルに有益な効果を有し得る。よって、本発明の化合物は、過剰体重によって引き起こされる又は特徴づけられるあらゆる身体状態の直接的又は間接的な治療法、例えば肥満、病的な肥満、肥満に関連した炎症、肥満に関連した胆嚢疾患、肥満誘発型睡眠時無呼吸症の処置及び/又は予防などに使用できる。それらはさらに、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、耐糖能異常、2型糖尿病、高血圧症、アテローム形成性脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈性心疾患、又は脳卒中の処置に使用できる。これらの身体状態におけるそれらの効果は、体重に対するそれらの効果の結果としてであっても、それらの効果に関連していてもよく、又はそれとは無関係であってもよい。
よって、本発明は、それを必要としている人における、先に記載の身体状態の処置の際の本発明の化合物の使用を提供する。
本発明はさらに、医療処置方法での使用のための、特に先に記載したような身体状態の処置方法での使用のための本発明の化合物も提供する。
本発明はさらに、先に記載したような身体状態の処置のための薬剤の調製における本発明の化合物の使用も提供する。
既に記載したように、本発明は、先に記載した核酸配列を、その発現を指示する配列と任意に組み合わせて含んでなる発現ベクター、及びその発現ベクターを含んでいる宿主細胞まで広がる。好ましくは、宿主細胞は、本発明の化合物を発現し、そして分泌できる。より一層更なる態様では、本発明は、前記化合物の製造方法であって、その化合物を発現するのに好適な条件下で宿主細胞を培養し、そしてこうして産生された化合物を精製することを含んでなる方法を提供する。
本発明は、医療処置での使用のための、本発明の核酸、本発明の発現ベクター、又は本発明の化合物を発現し、そして分泌できる宿主細胞をさらに提供する。前記の核酸、発現ベクター、及び宿主細胞が、その化合物自体を用いて処置し得る本明細書中に記載の障害のいずれかの処置のために使用され得ることは理解される。そのため、本発明の化合物を含んでなる治療用組成物、本発明の化合物の投与、又はいずれかの治療のためのその使用は、文脈が他のものを求めている場合を除いて、本発明の核酸、発現ベクター又は宿主細胞の同等な使用を包含すると解釈されるべきである。
db/dbマウスにおける経口耐糖能に対するZP2663の効果。db/dbマウスを一晩断食させ、そしてビヒクル又はZP2663(45nmol/kg)の投与(腹腔内)直前に最初の血液サンプル(空腹時血糖値)を採血した。15分後に、経口用量のグルコース(5ml/kg中に1g/kg)を与え、そしてBGレベルをt=30分、t=60分、t=120分及びt=240分の時点で計測した。ベースライン(t=0)からの差をそれぞれの時点について計算し、そしてAUC0‐240値を決定した。ZP2663は、糖尿病db/dbマウスの耐糖能を有意に改善した。 マウスの食物摂取に対するZP2663の効果。(体重を量った後に階層化した)階層化マウスの群を一晩断食させ、そしてPYY3‐36(30nmol/kg)(内部陽性対照)、グルカゴン(500nmol/kg)、ZP2663(500nmol/kg)又はビヒクルで処置した。一時間後に、あらかじめ重量を量っておいた食餌を与え、一時間後に残っている食餌の重量を量ることによって食餌摂取量を計測し、そしてマウス体重に対して相対的に表した(mg食餌/g BW)。PYY(3‐36)は、以前の知見から予想されるとおり、食欲抑制効果を示した。ZP2663(500nmol/kg)は、ペプチドの注射後一時間の間、食餌摂取を有意に減少させた。グルカゴンは食餌摂取に対して効果がなかった。 食餌誘発性肥満(DIG)マウスの体重増加に対するZP2663を用いた28日間の処置の効果。C57Bl/6雄マウスに、高脂肪食(HFD)を与え、そしてZP2663(500nmol/kg)(ZP2663)又はビヒクルで処置した(1日2回;皮下)。普通食で維持された非肥満性対照群を、DIG群と同じ処置計画においてビヒクルで処置した(CHOW)。体重を毎日記録し、そして研究を通じてペプチドの体重補正用量の投与に使用した。ZP2663は、普通食(chow)摂取で観察されたのと同様のレベルまで体重増加を低減した。 LDLコレステロールの濃度に対する4週間のDIOマウスの二重Glu‐GLP‐1作動薬処置(1日2回)の効果。OXM(p=0.002)とZP2663(p=0.0001)の効果は、ビヒクル群とは統計的に有意に異なっていた。 HDL/LDL比に対する4週間のDIGマウスの二重Glu‐GLP‐1作動薬処置(1日2回)の効果。PBS(pH7.4)が、OXM及びエキセンジン‐4に使用されるビヒクルであったのに対して、酢酸(acetate)(pH5.0)は、ZP2663に使用されるビヒクルであった。OXM(P=0.002)及びZP2663(P=0.0003)の効果は、ビヒクル群とは統計的に有意に異なっていた。
発明の詳細な説明
この明細書を通して、天然アミノ酸についての慣習的な一文字表記及び三文字表記、並びにその他のアミノについての一般に認められている三文字表記、例えばAib(α‐アミノイソ酪酸)、Orn(オルニチン)、Dbu(2,4‐ジアミノ酪酸)及びDpr(2,3‐ジアミノプロパン酸)などが使用される。
「天然グルカゴン」という用語は、配列H‐His‐Ser‐Gln‐Gly‐Thr‐Phe‐Thr‐Ser‐Asp‐Tyr‐Ser‐Lys‐Tyr‐Leu‐Asp‐Ser‐Arg‐Arg‐Ala‐Gln‐Asp‐Phe‐Val‐Gln‐Trp‐Leu‐Met‐Asn‐Thr‐OH(配列番号1)を有する天然ヒト・グルカゴンを指す。
「オキシントモジュリン」及び「OXM」という用語は、配列H‐His‐Ser‐Gln‐Gly‐Thr‐Phe‐Thr‐Ser‐Asp‐Tyr‐Ser‐Lys‐Tyr‐Leu‐Asp‐Ser‐Arg‐Arg‐Ala‐Gln‐Asp‐Phe‐Val‐Gln‐Trp‐Leu‐Met‐Asn‐Thr‐Lys‐Arg‐Asn‐Arg‐Asn‐Asn‐Ile‐Ala‐OH(配列番号3)を有する天然ヒト・オキシントモジュリンを指す。
本発明は、先に規定した化合物を提供する。誤解を避けるために、本明細書中に示した定義において、配列Xは、変動を認めると記述された位置において式(I)と異なっているだけであることが一般に意図される。配列X内のアミノ酸は、従来のN末端からC末端の向きに1から29まで連続して付番されると考えられる。従って、X内の「位置」についての言及は、天然ヒト・グルカゴン及びその他の分子内の位置に対して言及しなくてはならないと解釈されるべきである。
本発明の化合物は、ペプチド配列X内に1若しくは複数の分子内架橋を持っていてもよい。そのような架橋のそれぞれは、Xの線形配列内で通常3アミノ酸離れているXの2つのアミノ酸残基の側鎖間(すなわち、アミノ酸Aとアミノ酸A+4の間)で形成される。
より特に、架橋は、残基対12と16、16と20、17と21、20と24、又は24と28の側鎖間で形成され得る。2つの側鎖は、イオン性相互作用を通して又は共有結合によって互いに連結されることができる。よって、これらの残基対は、イオン性相互作用によって塩橋を形成するために逆帯電した側鎖を備えていてもよい。例えば、前記残基の一方がGlu又はAspであり得、それと同時にもう一方がLys又はArgであり得る。
LysとGlu及びLysとAspの対合はまた、反応して、ラクタム環を形成することもできる。同様に、TyrとGlu又はTyrとAspは、ラクトン環を形成することができる。
特に、16位と20位の残基、及び/又は20位と24位の残基は、分子内架橋を形成できることもある。これらの位置の好適な残基対の例には:
16‐Asp、20‐Lys;
16‐Glu、20‐Lys;
16‐Asp、20‐Arg;
16‐Glu、20‐Arg;
16‐Lys、20‐Asp;
16‐Arg、20‐Asp;
16‐Lys、20‐Glu;
16‐Arg、20‐Glu;及び/又は
20‐Asp、24‐Lys;
20‐Glu、24‐Lys;
20‐Asp、24‐Arg;
20‐Glu、24‐Arg;
20‐Lys、24‐Asp;
20‐Arg、24‐Asp;
20‐Lys、24‐Glu;
20‐Arg、24‐Glu、
が挙げられる。
いずれかの特定の理論に縛られることを望むものではないが、そのような分子内架橋が、分子のαヘリックス構造を安定させるので、GLP‐1受容体における、そしてもしかするとグルカゴン受容体においても同様に、効力及び/又は選択性を増強すると信じられている。
いずれかの特定の理論に縛られることを望むものではないが、天然グルカゴンの17位及び18位のアルギニン残基は、顕著な選択性をグルカゴン受容体に与えるように思われる。18位の疎水性残基(例えばAla)は、GLP‐1受容体及びグルカゴン受容体の両方における効力を増強し得る。
(例えばIleによる)23位における置換は、GLP‐1受容体における効力及び/又は選択性を増強し得る。
(例えばGluによる)24位における置換もまた、GLP‐1受容体における効力及び/又は選択性を増強し得る。
いずれかの特定の理論に縛られることを望むものではないが、天然グルカゴンの27、28及び29位の残基は、グルカゴン受容体における顕著な選択性を与えるように思われる。天然グルカゴン配列に関するこれらの位置のうちの1つ、2つ又は3つすべての置換は、グルカゴン受容体における効力の顕著な低減の可能性なしに、GLP‐1受容体における効力及び/又は選択性を増強し得る。特定の例には、27位のLeu、28位のSer及び29位のAlaが含まれる。
(例えばLeu又はLys、特にLeuによる)27位の天然のMet残基の置換はさらに、酸化の可能性を低下させ、それで化合物の化学的安定性を増強する。
(例えばSer、Arg又はAlaによる)28位の天然のAsn残基の置換はさらに、酸性溶液中での脱アミド化の可能性を低下させ、それで化合物の化学的安定性を増強する。
GLP‐1受容体における効力及び/又は選択性はまた、両親媒性螺旋構造を形成する可能性がある残基を導入することによっても、グルカゴン受容体における効力の顕著な損失の可能性なしに増強され得る。これは、16、20、24、及び28位のうちの1つ又は複数に荷電残基を導入することによって達成され得る。よって、16及び20位の残基はすべてが荷電残基であり得、16、20、及び24位の残基はすべてが荷電残基であり得、又は16、20、24、及び28位の残基はすべてが荷電残基であり得る。例えば、16位の残基は、Glu、Lys又はAspであり得る。20位の残基は、Lys、Arg又はGluであり得る。24位の残基は、Glu、Asp、Lys又はArgであり得る。28位の残基はArgであり得る。
20及び24位の天然のGln残基の一方又は両方の置換はさらに、酸性溶液中の脱アミド化の可能性を低減し、それで化合物の化学的安定性を増強する。24位の残基は、Glu、Asp、Lys、Arg又はAlaであり得る。
化合物は、例えばWO99/46283に記載のとおり、例えばグルカゴン類似体ペプチドの立体構造及び/又は二次構造を安定させるために、そして/あるいはグルカゴン類似体ペプチドに酵素分解に対してより抵抗性をもたせるために、1〜20個のアミノ酸から成るC末端ペプチド配列Zを含んでなることもできる。
存在する場合、Zは、1〜20個のアミノ酸残基、例えば1〜15個の範囲内、より好ましくは1〜10個の範囲内、特に1〜7個の範囲内のアミノ酸残基、例えば1、2、3、4、5、6又は7個のアミノ酸残基、例えば6個のアミノ酸残基など、から成るペプチド配列を表す。ペプチド配列Z内のそれぞれアミノ酸残基は、独立に、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Cys、Glu、Lys、Arg、Dbu(2,4‐ジアミノ酪酸)、Dpr(2,3‐ジアミノプロパン酸)及びOrn(オルニチン)から選択され得る。好ましくは、前記アミノ酸残基は、Ser、Thr、Tyr、Glu、Lys、Arg、Dbu、Dpr及びOrnから選択され、より好ましくはGlu、Lys、及びCysだけから選択され得る。先に触れたアミノ酸はD型又はL型の立体配置のいずれかをとることができるが、好ましくはL型の立体配置をとっている。特に好ましい配列Zは、4、5、6又は7個の連続したリジン残基(すなわちLys3、Lys4、Lys5、Lys6又はLys7)であり、そして特に5又は6個の連続したリジン残基から成る配列である。Zのその他の代表的な配列は、WO01/04156に示されている。あるいは、配列ZのC末端残基は、Cys残基であってもよい。これは、化合物の修飾(例えばペグ化)を助けることができる。そのような実施形態では、配列Zは、例えば長さが1アミノ酸(すなわち、Z=Cys)だけでも、長さが2、3、4、5、6アミノ酸又はさらに多くのアミノ酸であってもよい。そのため、他のアミノ酸がペプチドXと端末のCys残基の間のスペーサーとして機能する。
ペプチド配列Zは、(配列Lys‐Arg‐Asn‐Arg‐Asn‐Asn‐Ile‐Alaを持っている)ヒトOXMのIP‐1部分の対応する配列と25%以下の配列同一性しかない。
別のポリペプチド配列(例えばIP‐1)に関する所定のペプチド又はポリペプチド配列の「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、2つが互いに整列された場合にもう一方のポリペプチドの対応する配列内の対応するアミノ酸残基と同一である所定のペプチド配列内のアミノ酸残基のパーセンテージとして計算され、必要であれば、最適な整列のためにギャップが導入される。%同一性の値は、WU‐BLAST‐2(Altschulら、Methods in Enzymology、第266号:460〜480頁(1996年))によって測定されてもよい。WU‐BLAST‐2はいくつかの検索パラメーターを使用するが、その大部分は初期値に設定される。調整可能なパラメーターは、以下の値:重複スパン=1、重複フラクション=0.125、ワード閾値(T)=11に設定される。%アミノ酸配列同一性値は、参照配列の残基総数(整列スコアを最大にするためにWU‐BLAST‐2によって参照配列内に導入されたギャップは無視される)で割って、100を掛けた、WU‐BLAST‐2によって測定された合致している同一残基数によって決定される。
よって、IP‐1の8個のアミノ酸と最適に整列させたとき、Zは、IP‐1の対応するアミノ酸と同一であるアミノ酸を2個以下しか持たない。
本発明の化合物内のアミノ酸側鎖のうちの1つ又は複数が、親油性置換基に結合することもできる。この親油性置換基は、アミノ酸側鎖の原子に共有結合されてもよく、あるいはスペーサーによってアミノ酸側鎖に結合されてもよい。前記アミノ酸はペプチドXの一部であっても、ペプチドZの一部であってもよい。
理論に縛られることを望むものではないが、親油性置換基が血流中でアルブミンに結合し、それよって酵素的分解からの本発明の化合物を保護することで化合物の半減期を延長できると考えられている。スペーサーは、存在する場合には、化合物と親油性置換基の間の間隔を提供するために使用される。
親油性置換基は、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドを介してアミノ酸側鎖又はスペーサーに取り付けられ得る。従って、好ましくは、親油性置換基としては、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドの一部を形成するアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子が挙げられることは理解される。好ましくは、親油性置換基内のアシル基は、アミノ酸側鎖又はスペーサーとアミド又はエステルの一部を形成する。
親油性置換基には、4〜30個のC原子を持つ炭化水素鎖が含まれ得る。好ましくは、それは8又は12個のC原子を持ち、そして好ましくは、それは24個以下のC原子、又は20個以下のC原子を持つ。炭化水素鎖は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、且つ、飽和であっても不飽和であってもよい。当然のことながら、炭化水素鎖は、アミノ酸側鎖又はスペーサーへの結合部の一部を形成する部分、例えばアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子により好ましくは置換される。最も好ましくは、炭化水素鎖はアシルによって置換され、従って、炭化水素鎖はアルカノイル基、例えばパルミトイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル又はステアロイルの一部となり得る。
従って、親油性置換基は、以下に示した式を持つこともできる。
Aは、例えばアシル基、スルホニル基、NH、N‐アルキル、O原子又はS原子であり得るが、好ましくはアシルであり得、nは、3〜29の整数であるが、好ましくは少なくとも7であるか又は少なくとも11であり、そして好ましくは23未満であり、より好ましくは19未満である。
炭化水素鎖はさらに置換されることもできる。例えば、それは、NH2、OH及びCOOHから選択される最大3つの置換基によりさらに置換されることもできる。炭化水素鎖がさらに置換されるのであれば、好ましくは、それは1つの置換基だけでさらに置換される。あるいは又は加えて、炭化水素鎖は、例えば以下に示したような、シクロアルカン又はヘテロシクロアルカンを含むこともできる:
好ましくは、シクロアルカン又はヘテロシクロアルカンは、六員環である。最も好ましくは、それはピペリジンである。
あるいは、親油性置換基は、シクロペンタノフェナントレン骨格に基づいていてもよく、それは部分的に又は完全に不飽和であっても、飽和されていてもよい。それぞれの骨格の炭素原子は、Me又はOHにより置換されていてもよい。例えば、親油性置換基は、コリル(cholyl)、デオキシコリル又はリトコリルであってもよい。
以上のように、親油性置換基は、スペーサーによってアミノ酸側鎖に結合されることもできる。存在している場合には、スペーサーは、親油性置換基とアミノ酸側鎖に取り付けられる。スペーサーは、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドによって独立に親油性置換基とアミノ酸側鎖に取り付けられることもできる。従って、それは、アシル、スルフォニル、N原子、O原子又はS原子から独立に選択される2つの部分を含むこともできる。スペーサーは、以下の式:
{式中、B及びDは、それぞれ独立に、アシル、スルフォニル、NH、N‐アルキル、O原子又はS原子から選択され、好ましくはアシル及びNHから選択される。}を持つこともできる。好ましくは、nは、1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。スペーサーは、C1‐6アルキル、C0‐6アルキル・アミン、C0‐6アルキル・ヒドロキシ及びC0‐6アルキル・カルボキシから選択される1若しくは複数の置換基によりさらに置換されることもできる。
あるいは、スペーサーは、先の式の2以上の反復単位を持つこともできる。B、D、及びnは、各反復単位に関してそれぞれ独立に選択される。隣接している反復単位は、それらのそれぞれのB及びD部分を介して互いに共有結合され得る。例えば、隣接している反復単位のB及びD部分は、一緒にエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドを形成し得る。スペーサーの各末端の遊離B及びDユニットは、先に記載のように、アミノ酸側鎖や親油性置換基に取り付けられる。
好ましくは、スペーサーには、5つ以下、4つ以下、又は3つ以下の反復単位しかない。最も好ましくはスペーサーには、2つの反復単位しかないか、又は単一ユニットである。
スペーサー(又は反復単位があるのであれば、スペーサーの1つ又は複数の反復単位)は、例えば、天然のアミノ酸であっても、非天然のアミノ酸であってもよい。当然のことながら、官能性側鎖を持つアミノ酸に関して、B及び/又はDは、アミノ酸の側鎖内の部分であってもよい。スペーサーは、どの天然のアミノ酸であっても、どの非天然のアミノ酸であってもよい。例えば、スペーサー(又は反復単位があるのであれば、スペーサーの1つ又は複数の反復単位)は、Gly、Pro、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Cys、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、Gln、Asn、α‐Glu、γ‐Glu、Asp、Ser、Thr、Gaba、Aib、β‐Ala、5‐アミノペンタノイル、6‐アミノヘキサノイル、7‐アミノヘプタノイル、8‐アミノオクタノイル、9‐アミノノナノイル又は10‐アミノデカノイルであり得る。
例えば、スペーサーは、γ‐Glu、Gaba、β‐Ala及びα‐Glyから選択される単一アミノ酸であり得る。
親油性置換基は、本発明の化合物のあらゆるアミノ酸側鎖に結合され得る。好ましくは、アミノ酸側鎖としては、スペーサー又は親油性置換基とエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド若しくはスルホンアミドを形成するためのカルボキシ、ヒドロキシル、チオール、アミド又はアミン基が挙げられる。例えば、親油性置換基は、Asn、Asp、Glu、Gln、His、Lys、Arg、Ser、Thr、Tyr、Trp、Cys又はDbu、Dpr若しくはOrnに結合させ得る。好ましくは、親油性置換基はLysに結合させる。しかしながら、親油性置換基が加えられる場合、本明細書中に提供した式中にLysと示したあらゆるアミノ酸が、Dbu、Dpr又はOrnによって置き換えられてもよい。
親脂質置換基とスペーサーの例は、以下の式に示されている:
ここで、本発明の化合物からのLysは、アミド部分を介することによってγ‐Glu(スペーサー)に共有結合で取り付けられる。パルミトイルは、アミド部分を介してγ‐Gluスペーサーに共有結合で取り付けられる。
あるいは又は加えて、本発明の化合物内の1つ又は複数のアミノ酸側鎖は、例えば溶解性、及び/又は生体内(例えば血漿中での)半減期、及び/又は生物学的利用能を増強するために、重合体部分に結合させることもできる。そのような修飾はさらに、治療用タンパク質やペプチドのクリアランス(例えば腎クリアランス)を低減することが知られている。
重合体部分は、水溶性(両親媒性(amphiphillc)又は親水性)であり、無毒性であり、且つ、医薬的に不活性であることが好ましい。好適な重合体部分には、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGのホモポリマー若しくはコポリマー、PEGのモノメチル置換重合体(mPEG)、又はポリオキシエチレン・グリセロール(POG)が含まれる。例えば、Int. J. Hematology、第68号:1頁(1998年);Bioconjugate Chem.、第6号:150頁(1995年);及びCrit. Rev. Therap. Drug Carrier Sys.、第9号:249頁(1992年)を参照のこと。
他の好適な重合体残基には、ポリ‐アミノ酸、例えばポリ‐リシン、ポリ‐アスパラギン酸及びポリ‐グルタミン酸などが含まれる(例えば、Gombotzら(1995年)、Bioconjugate Chem.、第6号:332〜351頁;Hudeczら(1992年)、Bioconjugate Chem.、第3号、49〜57頁;Tsukadaら(1984年)、J. Natl. Cancer Inst.、第73号:721〜729頁;及びPratesiら(1985年)、Br. J. Cancer、第52号:841〜848頁を参照のこと)。
重合体部分は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。それは、500〜40000Da、例えば500〜10000Da、1000〜5000Da、10000〜20000Da、又は20000〜40000Daの分子量を持ち得る。
化合物は2つ以上のそのような部分を含んでなることもできるが、その場合、そのような部分全部の総分子量は一般に、先に与えられた範囲内に収まる。
重合体部分は、アミノ酸側鎖のアミノ、カルボキシル又はチオール基に(共有結合によって)連結され得る。好ましい例は、Cys残基のチオール基やLys残基のイプシロン・アミノ基であり、そしてAsp及びGlu残基のカルボキシル基もまた使用され得る。
当業者(The skilled reader)は、連結反応を実施するのに使用できる好適な技術をよく知っている。例えば、メトキシ基を保有するPEG部分は、Nektar Therapeutics ALからの市販されている試薬を使用したマレイミド結合によってCysチオール基と連結できる。また、WO2008/101017及び好適な化学の詳細について先に引用した引用文献も参照のこと。
ペプチド合成
本願発明の化合物は、標準的な合成方法、遺伝子組み換え発現系、又はその他の最先端の方法のいずれかによって製造され得る。よって、グルカゴン類似体は、例えば以下の:
(a)固相法又は液相法を用いて段階的に若しくは断片組立によってペプチドを合成し、そして最終的なペプチド生成物を単離及び精製する段階;
(b)宿主細胞内でペプチドをコードする核酸構築物を発現させ、そして発現産物を宿主細胞培養物から回収する段階;又は
(c)ペプチドをコードする核酸構築物の無細胞試験管内発現をおこない、そして発現産物を回収する段階;
を含んでなる方法、あるいは、ペプチドの断片を得るための(a)、(b)、及び(c)の方法のいずれかの組み合わせと、それに続いて断片をつなぎ合わせてペプチドを得、そしてそのペプチドを回収すること、を含めた多くのやり方で合成され得る。
固相又は液相ペプチド合成を用いて本発明の類似体を合成することが好ましい。これに関連して、参考文献は、WO98/11125、そして中でもFields, GBら、2002年、「Principles and practice of solid-phase peptide synthesis」:Synthetic Peptides(第2版)中、及び本明細書中の実施例に与えられている。
組み換え発現のために、通常、本発明の核酸断片は、好適なベクター内に挿入されて、本発明の核酸断片を保有するクローニングベクター又は発現ベクターを形成する;そのような新規ベクターもまた本発明の不可欠な要素である。適用の目的及びタイプにより、ベクターは、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニ染色体、又はウイルスの形態であり得るが、特定の細胞において一時的に発現されるだけである裸のDNAもまた重要なベクターである。本発明の好ましいクローニングベクター及び発現ベクター(プラスミドベクター)は、自動複製が可能であり;それにより、その後のクローニングのための高レベルの発現又は高レベルの複製のための高いコピー数を可能にする。
一般的な概要では、発現ベクターは、5’→3’の方向で、且つ、作動できるように連結された状態で以下の要素を含んでなる:本発明の核酸断片の発現を駆動するためのプロモーター、任意には(細胞外相又は該当する場合にはペリプラズマ内への)分泌を可能にするリーダーペプチドをコードする核酸配列、本発明のペプチドをコードする核酸断片、及び任意にはターミネータをコードする核酸配列。それらは、追加の要素、例えば選択マーカーや複製開始点などを含んでもよい。生産株又は細胞株の中で発現ベクターを操作する場合、ベクターが宿主細胞ゲノム内に組み込まれることができるのは好ましいことであり得る。当業者は、好適なベクターに非常に詳しいので、それらの具体的な必要性に従ってベクターを設計できる。
本発明のベクターは、本発明の化合物を産生するように宿主細胞を形質転換するために使用される。(本発明の不可欠な要素でもある)そのような形質転換細胞は、本発明の核酸断片及びベクターの伝播のために使用される、又は本発明のペプチドの遺伝子組み換え産生のために使用される培養細胞又は細胞株であることができる。
本発明の好ましい形質転換細胞は、微生物、例えば細菌(例えばエシェリキア(Escherichia)属(例えばE.コリ(E. coli))、バチルス(Bacillus)属(例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis))、サルモネラ(Salmonella)属、若しくはマイコバクテリウム(Mycobacterlum)属(好ましくは非病原性のもの、例えばM.ボビス(M. bovis)BCG)、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)など)、及び原虫などである。あるいは、形質転換細胞は、多細胞生物に由来することもある、すなわち、それは、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、又は哺乳動物細胞であってもよい。クローニング及び/又は最適化された発現を目的として、形質転換細胞が本発明の核酸断片を複製することができるのが好ましい。核酸断片を発現する細胞は、本発明の有用な実施形態である;それらは本発明のペプチドの小規模又は大規模な調製のために使用できる。
形質転換細胞によって本発明のペプチドを製造するとき、必須ではないが、発現産物が培地中に分泌されると都合がよい。
有効性
GLP‐1又はグルカゴン(Glu)受容体への関連化合物の結合を、アゴニスト活性の指標として使用できるが、一般に、関連受容体へのかかる化合物の結合によって引き起こされる細胞内シグナル伝達を計測する生物学的アッセイを使用することが好ましい。例えば、グルカゴン作動薬によるグルカゴン受容体の活性化は、細胞サイクリックAMP(cAMP)形成を刺激する。同様に、GLP‐1作動薬によるGLP‐1受容体の活性化は、細胞cAMP形成を刺激する。よって、これらの2つの受容体のうちの一方を発現している好適な細胞におけるcAMPの産生は、関連する受容体活性を観察するのに使用できる。従って、それぞれ一方の受容体を発現しているが、もう一方を発現していない細胞型の好適な対の使用は、両タイプの受容体に対するアゴニスト活性を測定するのに使用できる。
当業者は好適なアッセイ形式を認識し、そして実施例が以下に提供されている。GLP‐1受容体及び/又はグルカゴン受容体は、実施例に記載のとおり受容体の配列を持つことができる。例えば、アッセイには、一次受入番号GI:4503947のヒト・グルカゴン受容体(グルカゴンR)及び/又は一次受入番号GI:166795283のヒト・グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP‐1R)を使用することもできる(前駆タンパク質の配列に関する場合には、シグナル配列を欠いた成熟タンパク質をアッセイに利用することはもちろん理解されるべきである)。
所定の受容体における作動薬の効力の数的評価基準としてEC50値が使用されることもある。EC50値は、特定のアッセイにおいてその化合物の最大活性の半分を達成するのに必要とされる化合物の濃度の評価基準である。よって、例えば、特定のアッセイにおいてグルカゴンのEC50[GLP‐1]より低いEC50[GLP‐1]を有する化合物は、グルカゴンよりもさらに高いGLP‐1効力を有すると考えることができる。
この明細書に記載の化合物は、通常、Glu‐GLP‐1二重作動薬である、すなわち、それらはグルカゴン受容体とGLP‐1受容体の両方においてcAMP形成を刺激することができる。それぞれの受容体の刺激は独立したアッセイにより計測され、その後互いに比較できる。
所定の化合物に関するGLP‐1受容体についてのEC50値(EC50[GLP‐1R])とグルカゴン受容体についてのEC50値(EC50[グルカゴンR])を比較することによって、その化合物の相対グルカゴン選択性(%)が求められる:
相対グルカゴンR選択性[化合物]=(1/EC50[グルカゴンR])x100/(1/EC50[グルカゴンR]+1/EC50[GLP‐1R])
相対GLP‐1R選択性も同様に求められる:
相対GLP‐1R選択性[化合物]=(1/EC50[GLP‐1R])x100/(1/EC50[グルカゴンR]+1/EC50[GLP‐1R])
化合物の相対的選択性は、GLP‐1又はグルカゴン受容体に対するその効果をもう片方の受容体に対するその効果と直接比較することを可能にする。例えば、より高い化合物の相対GLP‐1選択性は、グルカゴン受容体と比較したときにGLP‐1受容体に対してその化合物がより効果的であるということである。
以下で記載したアッセイを使用して、我々は、ヒト・グルカゴンに関する相対GLP‐1選択性が約5%であることを求めた。
本発明の化合物は、ヒト・グルカゴンに比べてより高い相対GLP‐1R選択性を有する。よって、特定のレベルのグルカゴンRアゴニスト活性に関して、化合物は、グルカゴンに比べてより高いレベルのGLP‐1Rアゴニスト活性(すなわち、GLP‐1受容体においてより優れた効力)を示す。当然のことながら、グルカゴン受容体及びGLP‐1受容体における特定の化合物の絶対効力は、適当な相対GLP‐1R選択性が達成されている限り、天然ヒト・グルカゴンより高くても、より低くても、又はほぼ同等であってもよい。
それにもかかわらず、本願発明の化合物は、ヒト・グルカゴンより低いEC50[GLP‐1R]を有することもある。化合物は、グルカゴンより低いEC50[GLP‐1R]を有することもある一方で、ヒト・グルカゴンのものより10倍弱高い、ヒト・グルカゴンのものより5倍弱高い、又はヒト・グルカゴンのものより2倍弱高いEC50[グルカゴンR]を維持している。
本発明の化合物は、ヒトグルカゴンのものより2倍弱であるEC50[グルカゴンR]を有することができる。化合物は、ヒト・グルカゴンのものの2倍弱であるEC50[グルカゴンR]を有することができ、且つ、ヒト・グルカゴンのそれの半分未満、ヒト・グルカゴンのものの5分の1未満、又はヒト・グルカゴンのものの10分の1未満であるEC50[GLP‐1R]を有する。
化合物の相対GLP‐1選択性は、5%〜95%であり得る。例えば、化合物は、5〜20%、10〜30%、20〜50%、30〜70%、又は50〜80%;又は30〜50%、40〜60%、50〜70%又は75〜95%の相対選択性を有し得る。
治療上の使用
本発明の化合物は、2型糖尿病を含めた肥満及び代謝性疾患のための魅力的な処置選択肢を提供し得る。
単純に糖尿病と呼ばれることも多い真性糖尿病は、通常、遺伝的原因と環境的原因の組み合わせによる代謝障害の症候群であり、異常に高い血糖値(高血糖)をもたらす。
血糖値は、膵臓のベータ細胞内で作られるホルモンであるインスリンによって制御される。糖尿病は、(1型糖尿病における)インスリン産生膵臓ベータ細胞の破壊によって、そして(2型糖尿病における)ベータ細胞の喪失に続く(妊娠糖尿病における)インスリンの効果に対する耐性によって発症する。両タイプの糖尿病とも高血糖につながり、それが糖尿病の急性徴候:過剰な尿産生、結果として生じる補償性口渇感と水分摂取の増加、視力障害、体重減少、嗜眠、及びエネルギー代謝の変化、の大きな原因となる。
メタボリック症候群は、人の代謝的なリスク因子群を特徴とする。それらには、腹部肥満(腹筋内臓周りの過剰な脂肪組織)、アテローム形成性脂質異常症(高いトリグリセリド、低いHDLコレステロール及び/又は高いLDLコレステロールを含めた血液脂質異常であって、それが動脈壁におけるプラークの蓄積を助長する)、高血圧(高血圧症)、インスリン抵抗性及び耐糖能異常、血栓形成促進状態(例えば、高い血中フィブリノゲン又はプラスミノゲンアクチベータインヒビター‐1)、及び炎症促進状態(例えば、高い血中C反応性タンパク質)が含まれる。
メタボリック症候群を患っている人は、2型糖尿病、並びに冠動脈性心疾患及び動脈硬化症のその他の発現(例えば脳卒中や末梢血管疾患)に関連した他の疾患の高いリスクがある。この症候群の主要な潜在するリスク因子は、腹部肥満、インスリン抵抗性及び耐糖能異常、血栓形成促進状態(例えば、高い血中フィブリノゲン又はプラスミノゲンアクチベータインヒビター‐1)、及び炎症促進状態(例えば、高い血中C反応性タンパク質)であると思われる。
いずれかの特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明の化合物はGluGLP‐1二重作動薬として作用すると信じられている。二重作動薬は、血糖値と食餌摂取に対するGLP‐1の効果と、脂肪代謝に対するグルカゴンの効果を兼ね備えている。そのため、それらは、低血糖の危険なしに、過度の脂肪沈着の排除を加速し、持続可能な体重減少を引き起こし、そして病的なグルコースレベルを正常レベルへと直接的に減少させるように相乗的な様式で作用し、そしてそれらは、GLP‐1作動薬とスルホニル尿素との併用に関連する。
二重GluGLP‐1作動薬の相乗効果はさらに、例えば高コレステロールやLDLなどの心血管疾患の危険因子の低減、並びに耐糖能の改善をもたらすこともできるが、それは、体重に対するそれらの効果とは完全に独立したものであり得る。
そのため、本発明の化合物は、病的な肥満、並びにこれだけに限定されるものではないが、肥満に関係する炎症、肥満に関係する胆嚢疾患及び肥満誘発性睡眠時無呼吸症を含めた関連疾患及び健康状態を含めて、(例えば食欲、給食、食物摂取、熱量摂取、及び/又はエネルギー消費の制御によって)体重増加を予防するか、体重減少を促進するか、過剰体重を低減するか、又は肥満を処置するための医薬品として使用できる。本発明の化合物はさらに、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、耐糖能異常、2型糖尿病、高血圧症、アテローム形成性脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈性心疾患、及び脳卒中の処置に使用できる。これらは、肥満に関連し得るすべての身体状態である。しかしながら、これらの身体状態に対する本発明の化合物の効果は、体重に対する効果を介して全体又は一部が媒介されていても、それとは無関係であってもよい。
医薬組成物
本発明の化合物又はその塩は、貯蔵又は投与向けに調製された医薬組成物として処方されてもよく、その医薬組成物は、医薬的に許容し得る担体中に治療上有効な量の本発明の化合物又はその塩を通常含んでなる。
本発明の化合物の治療上有効な量は、投与経路、処置される哺乳動物のタイプ、及び考慮している特定の哺乳動物の物理的特性に依存する。これらの因子とこの量を決定するためのそれらの相関は、医学分野の熟練した開業医にとって周知である。この量と投与方法は、最適な有効性を達成するために調整されることができ、医学分野の当業者に周知である体重、食餌、併用投薬、及び他の要素といった要因に依存し得る。
ヒトでの使用に最も適当である投薬量サイズ及び投薬計画は、本発明によって得られた結果を指針としてよく、適切に設計された臨床試験で確認されてもよい。
有効投薬量及び治療プロトコールは、実験動物における低用量から出発して、次に効果を観察しながら投薬量を増大させ、系統的に投薬計画を変えて、従来の手段によって決定され得る。所定の対象についての最適な用量を決定するとき、臨床医は多数の要因を考慮に入れることができる。そのような考慮事項は、当業者にとって公知である。
「医薬的に許容し得る担体」という用語には、あらゆる標準的な医薬担体が含まれる。治療用途のための医薬的に許容し得る担体は、医薬的技術分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro編、1985年)中に記載されている。例えば、弱酸性の又は生理的pHの無菌の生理的食塩水やリン酸緩衝生理的食塩水を使用してもよい。pH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N‐トリス(ヒドロキシメチル)メチル‐3‐アミノプロパン・スルホン酸(TAPS)、重炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、好ましい緩衝液であるヒスチジン、アルギニン、リジン又は酢酸塩、あるいはそれらの混合物であってもよい。前記用語は、ヒトを含めた動物における使用のためにUS薬局方に掲載されたあらゆる薬剤がさらに包含される。
「医薬的に許容し得る塩」という用語は、化合物の塩を指す。塩には、酸付加塩や塩基性塩などの医薬的に許容し得る塩が含まれる。酸付加塩の例には、塩酸塩、クエン酸塩、及び酢酸塩が含まれる。塩基性塩の例には、陽イオンがアルカリ金属、例えばナトリウムやカリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウムやアンモニウムイオン+N(R33(R4){ここで、R3及びR4は、独立に、任意に置換されたC1‐6‐アルキル、任意に置換されたC2‐6‐アルケニル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールを表す。}から選択される塩が含まれる。医薬的に許容し得る塩のその他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第17版、Ed. Alfonso R. Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、PA、U.S.A.、1985年、並びにさらに最新の版、及びEncyclopaedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
「処置」は、有益な又は所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本願発明の目的のために、有益な又は所望の臨床結果には、検出可能であるか検知不可能であるかにかかわらず、症状の緩和、疾患の範囲の縮小、安定化した(すなわち、悪化しない)病状、疾患進行の遅延又は減速、病状の改善又は緩和、及び(部分的であるか全体的であるかにかかわらず)寛解が含まれるが、これだけに限定されるものではない。「処置」はさらに、処置を受けなかった場合に予想された生存と比較して生存を長引かせることを意味することもできる。「処置」は、障害の発生を予防するか又は病理を変更することを企図して実施される干渉である。従って、「処置」は、治療処置と予防対策(prophylactic or preventative measures)の両方を指す。処置を必要とする人には、既に障害を患っている人、並びに障害を予防すべき状態にある人が含まれる。
医薬組成物は単位剤形であることができる。そのような形態では、組成物は適当な数量の活性成分を含む単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージ化された調製物であることができ、そのパッケージには、個別の分量の調製物、例えばパックされた錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤が含まれている。単位剤形はまた、カプセル剤、カシェ剤、それ自体の錠剤であることもできるが、又はそれは、これらのいずれかを適当な数パッケージ化した形態であることもできる。それは、例えばペン形で、単回投与注射剤型で提供することもできる。組成物は、あらゆる好適な投与経路及び手段のために処方され得る。医薬的に許容し得る担体又は希釈剤には、経口投与、直腸投与、経鼻投与、(頬側や舌下を含めた)局所投与、膣投与又は(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、及び経皮を含めた)非経口投与に好適な製剤に使用されるものが含まれる。製剤は、都合よく、単位剤形で提供されることができ、そして薬学の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製されることができる。
皮下又は経皮様式の投与が、本明細書中に記載した化合物にとって特に好適であり得る。
併用療法
本発明の化合物は、糖尿病、肥満又は高血圧症の処置のための作用物質と共に併用療法の一部として投与することもできる。
そのような場合、2種類の活性物質は、同じ医薬製剤の一部として又は別々の製剤として、一緒に又は別々に与えられることができる。
よって、本発明の化合物(又はその塩)は、これだけに限定されるものではないが、メトホルミン、スルホニル尿素、グリニド、DPP‐IV阻害剤、グリタゾン、又はインスリンを含めた他の抗糖尿病薬と組み合わせて使用できる。好ましい実施形態では、化合物又はその塩は、適当な血糖コントロールを達成するためにインスリン、DPP‐IV阻害剤、スルホニル尿素又はメトホルミン、特にスルホニル尿素又はメトホルミンと組み合わせて使用される。よりいっそう好ましい実施形態では、化合物又はその塩は、適当な血糖コントロールを達成するために、インスリン又はインシュリン類似体と組み合わせて使用される。インシュリン類似体の例には、Lantus、Novorapid、Humalog、Novomix、及びActraphane HMが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
化合物又はその塩は、これだけに限定されるものではないが、グルカゴン様ペプチド受容体1作動薬、ペプチドYY又はその類似体、カンナビノイド受容体1拮抗薬、リパーゼ阻害剤、メラノコルチン受容体4作動薬、又はメラニン濃縮ホルモン受容体1拮抗薬を含めた抗肥満薬と組み合わせてさらに使用されることができる。
類似体化合物又はその塩は、これだけに限定されるものではないが、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、利尿剤、ベータ遮断薬、又はカルシウムチャネル遮断薬を含めた抗高血圧剤と組み合わせて使用されることもできる。
方法
グルカゴン類似体の一般的合成
固相ペプチド合成を、ポリスチレン樹脂(TentaGel S Ram)上のNMPにおいて標準的なFmocストラテジーを使用したマイクロ波支援合成装置によるSPPSとして実施した。塩基としてのDIPEAと一緒に、HATUをカップリング試薬として使用した。Piperidlne(NMPの20%)は脱保護基に使用した。
擬プロリン:Fmoc‐Phe‐Thr(.Psi.Me、Me pro)‐OH及びFmoc‐Asp‐Ser(.Psi.Me、Me pro)‐OH(NovaBiochemから購入)を適切な場所で使用した。
切り出し:
未精製ペプチドを、95/2.5/2.5%(v/v)のTFA/TIS/水を用いて室温にて2時間処理することによって樹脂から切り出した。配列内にメチオニンがあるペプチドについては、95/5%(v/v)のTFA/EDTの混合物を使用した。TFAの大部分を減圧下で取り除き、未精製ペプチドを、沈殿させ、ジエチルエーテルで洗浄し、そして周囲温度にて恒量まで乾燥させた。
アシル化グルカゴン類似体の一般的合成
ペプチド骨格を、それがまだ樹脂に取り付けられているペプチドによってリジン残基の側鎖上でアシル化されること、及びアシル化されるべきリジン上のイプシロン・アミンを除いて、側鎖基上で完全に保護されていることを除いて、グルカゴン類似体の一般的合成について先に記載したとおり合成する。アシル化されるべきリジンを、Fmoc‐Lys(ivDde)‐OHの使用によって組み込む。ペプチドのN末端を、NMP中のBoc2Oを使用してBoc基で保護する。ペプチドがまだ樹脂に取り付けられているうちに、ivDde保護基を、NMP中の2% ヒドラジン水和物を使用して選択的に切り出す。そして、保護されていないリジン側鎖を、最初にFmoc‐Glu‐OtBuのようなスペーサー・アミノ酸に結合させ、それを、ピペリジンで脱保護し、先に記載したとおり標準的なペプチドカップリング法を使用して脂肪酸でアシル化する。あるいは、N末端のヒスチジンを、Boc‐His(Boc)‐OHとして始めから組み込むこともできる。樹脂からの切り出しと精製を、先に記載したとおり実施する。
ペプチドの安定性の分析
グルカゴン類似体を、固形の化合物として40℃にてインキュベートし、そして0.1MのHCl水溶液(2mg/ml)中の溶液として溶解した。溶液を40℃にてインキュベートした。残留している完全なグルカゴン類似体を、220nMにおけるUVシグナルの積分によってRP‐HPLCにより計測した。残留率(%)は相対安定性の評価基準である。
グルカゴン化合物の固体及び溶液を、分析前に0.2mg/mLの濃度までHPLC溶媒中に希釈し、そして適切な時点にて分析した。
ヒトグルカゴン受容体及びGLP‐1受容体を発現する細胞株の作出
ヒト・グルカゴン受容体(グルカゴンR)(一次受入番号P47871)又はヒト・グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP‐1R)(一次受入番号P43220)のどちらかをコードするcDNAを、それぞれcDNAクローンBC104854(MGC:132514/IMAGE:8143857)又はBC112126(MGC:138331/IMAGE:8327594)からクローン化した。グルカゴンR又はGLP‐1‐RをコードするDNAを、サブクローニングのために端末の制限部位をコードするプライマーを使用してPCRによって増幅した。5’末端プライマーは、効果的な翻訳を確実にするために近コザック・コンセンサス配列をさらにコードした。グルカゴンRとGLP‐1‐RをコードするDNAの忠実度を、DNA配列決定法によって確認した。グルカゴンR又はGLP‐1‐RをコードするPCR産物を、ネオマイシン(G418)耐性マーカーを含んでいる哺乳動物発現ベクター内にサブクローニングした。
グルカゴンR又はGLP‐1‐Rをコードする哺乳動物発現ベクターを、標準的なリン酸カルシウムトランスフェクション法によってHEK293細胞内にトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後に、限界希釈クローニングのために細胞を播種し、培地中の1mg/mlのG418を用いて選択した。3週間後に、グルカゴンR及びGLP‐1‐Rを発現する細胞の12個の生き残ったコロニーを採取し、増殖させ、以下で記載するとおりグルカゴンR及びGLP‐1‐R有効性アッセイにおいて試験した。化合物プロファイリングのために、1つのグルカゴン‐R発現クローンと1つのGLP‐1‐R発現クローンを選択した。
グルカゴン受容体及びGLP‐1‐受容体有効性アッセイ
0.01%のポリ‐L‐リジンをコートした96‐ウェルのマイクロタイタープレート内に1ウェルあたり40000個の細胞の割合で、ヒト・グルカゴン‐R又はヒトGLP‐1‐Rを発現するHEK293細胞を播種し、100μlの成長培地中での培養において1日成長させる。分析の日に、成長培地を取り除き、細胞を200μlのTyrode緩衝液で1回洗浄した。漸増濃度の試験ペプチド、100μMのIBMX、及び6mMのグルコースを含有する100μlのTyrode緩衝液中、37℃にて最長15分間、細胞をインキュベートした。25μlの0.5M HClを添加することによって反応を停止させ、氷上にて60分間インキュベートした。cAMP含有量を、Perkin‐Elmer製のFlashPlate(登録商標)cAMPキットを使用して推定した。基準化合物(グルカゴン及びGLP‐1)と比較したEC50と相対的有効性を、コンピューター支援曲線適合法によって推定した。
初代ラット脂肪細胞における脂肪分解
脂肪分解に対するグルカゴン類似体の効果を、ラット脂肪細胞の初代培養において評価した。脂肪細胞を、健常な若年成人Sprague-Dawleyラットから摘出した副睾丸脂肪から単離した。脂肪塊を、細かく刻み、4%BSA(KRB‐BSA)含有クレブス‐リンゲル緩衝液中のコラゲナーゼ(1mg/ml)と一緒に37℃にて60分間インキュベート及び振盪(220rpm)した。懸濁液を、ナイロン・フイルター(160μmのポアサイズ)を通して濾過し、そして濾液を200xgにて3分間遠心分離した。脂肪細胞の上部浮動層の下の下部媒質を、毛細管ピペットで取り除いた。脂肪細胞を、再懸濁と遠心分離によってKRB‐BSA緩衝液中で3回洗浄した。脂肪細胞を、KRB‐BSA中に再懸濁し、混合し、インキュベートし、そして96‐ウェルプレート(50000細胞/ウェル)内で1mlの全容積中、試験化合物と一緒に37℃にて60分間振盪した。プレートを、インキュベーション後少なくとも10分間氷上に置き、続いて200xgにて3分間遠心分離した。脂肪細胞層下の緩衝液300μlを、96‐ウェルプレート内に回収した。この過程をもう2回繰り返し、そして各培養物から3回分の抽出物を回収し、それを一緒に貯留した。脂肪細胞培養物における脂肪分解によって形成したグリセロールを、脂肪細胞抽出のアリコート(25μl)に遊離グリセロール試薬(200μl)を加え、室温にて15分間インキュベートし、そして540nmにて吸光度を計測するることによって計測した。
db/dbマウスにおける経口グルコース負荷試験(OGTT)
db/dbマウスに、一晩断食させ、そしてビヒクル(酢酸緩衝液、20mMの酢酸、250mMのマンニトール、pH5.0)又は試験化合物(5ml/kg、腹腔内)エキセンジン‐4(PBS中に0.56、1.67及び5.0nmol/kg)とZP2663(配列番号4)(酢酸緩衝液中に5及び45nmol/kg)の投与(腹腔内)直前に最初の血液サンプル(空腹時血糖値)を採血した。実験中、動物は断食したままにして、混乱した食餌摂取を予防した。15分後に、経口用量のグルコース(5ml/kg中に1g/kg)を与え、そしてt=30分、t=60分、t=120分、及びt=240分にBGレベルを計測した。
ベースライン(t=0)からの差を、それぞれの時点について計算し、そしてAUC0‐240分の値を決定した。一元配置ANOVA及びDunnetts事後検定によるAUC値の統計的分析を、GraphPad Prismバージョン4を用いて実施した。差はp<0.05の水準で有意であると見なした。
正常なマウスにおける食餌摂取
研究の1週間前に、C57Bl/6マウス(8週齢)(各群にN=9〜12匹の動物)を、0.2mlのビヒクルの連日注射(皮下)による処置に適合させ、週に2回のそれらの計量によって取り扱いに順化させた。実験開始前日に、マウスを、同じ位の体重(BW)を持つ群に階層化した。階層化マウス群に、一晩断食させ、そしてPYY3‐36(30nmol/kg)(内部陽性対照)、グルカゴン(500nmol/kg)及びZP2663(配列番号4)(500nmol/kg)又はビヒクル(PBS)を用いて処置した(10μlの試験溶液/g BW、皮下)。一時間後に、あらかじめ計量した食餌をマウスに与え、一時間後に残っている食餌の重量を計ることによって食餌摂取を計測し、そして体重に対して相対的に表した(mg食餌/g BW)。一元配置ANOVA及びDunnetts事後検定による食餌摂取データの統計的分析を、GraphPad Prismバージョン4を用いて実施した。差は、0.05の水準で有意であると見なした。
体重増加及び血漿コレステロールに対するGLP‐1と二重GluGLP‐1作動薬を用いた食餌誘発性肥満(DIO)マウスの28日間の処置の効果
薬物処置の4週間前に、C57Bl/6雄マウス(7週齢)(各群にN=9〜12匹の動物)に高脂肪食(HFD)を与え、そして2000/0800時にライトのオン/オフを用いてそれらの日夜サイクルを逆転した。薬物投与の開始1週間前に、実験動物を、0.1mlのビヒクルの連日注射(皮下)によって処置に適合させ、週に2回のそれらの計量による取り扱いに順化させた。実験開始前日に、マウスを、同じ位の体重(BW)を持つ群に階層化し、そして翌日に、階層化マウス群を、ZP2663(配列番号4)(500nmol/kg)又はビヒクル(酢酸緩衝液、20mMの酢酸、250mMのマンニトール、pH5.0)で処置した(1日2回;皮下)。オキシントモジュリン及びエキセンジン‐4をPBS溶液中で与えた(pH7.4;2.5μl/g BW)のに対して、ZP2663(配列番号4)を等張酢酸緩衝液中で与えた(pH4.8;2.5μl/g BW)。普通食を維持した非肥満対象群を、DIO群と同じ処置計画でビヒクルを用いて処置した。体重を毎日記録し、そして研究を通じて、体重補正した用量のペプチドを投与するのに使用した。屠殺前、動物に一晩断食させた。次の朝の頸椎脱臼の直前に眼血液サンプル(0.6mlのEDTA)を得た。血液の血漿サンプルを、市販キットを使用したコレステロール、HDL、及びLDLの分析まで−80℃にて保存した。処置期間を通じた体重増加を、処置開始時のその体重を引き算することによって各動物について計算した。
体重増加とコレステロールに対する処置の効果を、GraphPad Prismバージョン4を使用して、反復測定のある二元ANOVA及びBonferoni事後検定によって評価した。差は、0.05の水準で有意であると見なした。
結果
実施例1:ペプチドの安定性
HClストレス溶液中でのインキュベーションの結果を、下記の表2に示す。固体の化合物すべてが、90%超の純度の回収率で40℃にて5週間にわたり安定していた。しかしながら、化合物の酸性分解の結果は、グルカゴン類似体が天然グルカゴンに比べて4倍安定していることを示している。
実施例2:グルカゴン受容体及びGLP‐1受容体に対する有効性
実施例3:脂肪分解アッセイ
エキセンジン‐4及びOXMは、初代脂肪細胞培養物における脂肪分解に対して効果がないか又は効果はわずかであり、ZP2663(配列番号4)は、グルカゴンと同等であり、且つ、OXMの40倍強力であった。ZP2663(配列番号4)を用いたDIOマウスの4週間の処置が脂肪沈着を有意に減少させたという知見は、初代脂肪細胞培養物の脂肪代謝で観察された効果(表4)と一致する。
実施例4:db/dbマウスにおける経口耐糖能に対する効果
ZP2663(配列番号4)は、糖尿病db/dbマウスにおいてOGTT中に計測された耐糖能を有意に改善した(図1)。ZP2663(配列番号4)は、45nmol/kgにて耐糖能を64.9%改善した。
実施例5:マウスの食餌摂取に対する効果
ビヒクル処置動物は、最初の1時間で0.033±0.001g食餌/g体重を食べた(図2)。PYY(3‐36)は、これまでの知見から予想されるような食欲抑制作用を示した。ZP2663(配列番号4)(500nmol/kg)は、ペプチド注射後の最初の1時間、食餌摂取を有意に減少させた(図2)。グルカゴンは食餌摂取に対して効果がなかった。
実施例6:食餌誘発性肥満マウスにおける体重増加に対する皮下投与の効果
ZP2663(配列番号4)は、普通食(chow)摂取で観察されたのと同じようなレベルまで体重増加を減少させた(図3)。体重増加は、ビヒクル群に比べて統計的に有意に少なかった。
実施例7:LDL及びHDLに対する効果
エキセンジン‐4は非常に強力なGLP‐1R作動薬であるが、GluRに対して効果がなく、また先に記載したラット脂肪細胞の脂肪分解アッセイにおいても効果がなかった。さらに、エキセンジン‐4は、総コレステロール、HDL、LDLの血中濃度又はHDL/LDL比に対して効果がなかった(図4、5)。
対照的に、ZP2663(配列番号4)を用いたDIOマウスの処置は、ビヒクルと比較してLDLコレステロールの血中濃度(P=0.0001)並びにHDL/LDL比(P=0.0006)に対して有意な効果があった(図4、5)。

Claims (11)

  1. 式R1‐X‐Z‐R2
    {式中、
    1が、H、C1‐4アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
    2が、OH又はNH2であり;
    Xが、以下の式(I):
    His‐Ser‐Gln‐Gly‐Thr‐Phe‐Thr‐Ser‐Asp‐Tyr‐Ser‐Lys‐Tyr‐Leu‐Asp‐Glu‐Arg‐Arg‐Ala‐Lys‐Asp‐Phe‐Ile‐Glu‐Trp‐Leu‐Leu‐Ser‐Ala(配列番号4)
    を有するペプチドであるか;又は式(I)と異なる場合には、以下の
    6位の残基が:Serであり;
    20位の残基が:Glnであり;
    24位の残基が:Gln、Argから選択され;及び
    28位の残基が:Argであり;
    のうちの最大4ヶ所によって式(I)と異なっているペプチドであり;そして
    Zが、存在しないか、又は4、5、6又は7個の連続したリジン残基である。}を有する化合物、又は医薬的に許容し得るその塩(但し、該化合物は、
    H−HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLSA−NH
    H−HSQGTFTSDYSKYLDSRRAKDFIEWLLSA−NH
    H−HSQGTFTSDYSKYLDERRAQDFIEWLLSA−NH
    H−HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIQWLLSA−NH
    H−HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFIEWLLSA−NH
    H−HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIRWLLSA−NH
    H−HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLRA−NH;又は
    H−HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLSA−OH
    ではない)。
  2. 前記式(I)と異なる場合に、前記Xが、以下の:
    16位の残基がSerであり;及び
    20位の残基がGlnであり;
    のうちの1又は2ヶ所によって式(I)と異なっている、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記の16位と20位、及び/又は20位と24位の残基が、塩橋を形成することができる、請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物。
  4. 前記Xが、以下の残基のセット:
    20‐Lys、24‐Glu;
    20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu;
    16‐Glu、20‐Lys、24‐Glu;
    16‐Glu、20‐Lys;
    16‐Glu、20‐Lys、29‐Ala;
    16‐Glu、20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu;
    16‐Glu、20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu、29‐Ala;
    16‐Glu、20‐Lys、24‐Glu、29‐Ala;
    20‐Lys、23‐Ile、24‐Glu、29‐Ala;
    27‐Leu、28‐Ser、29‐Ala;
    29‐Ala;
    16‐Ser;
    20‐Gln;
    24‐Gln;
    16‐Ser、20‐Gln;
    24‐Arg;又は
    28‐Arg、
    のうちの1つ又は複数を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 前記Xが、以下の配列:
    HSQGTFTSDYSKYLDSRRAKDFIEWLLSA(配列番号13);
    HSQGTFTSDYSKYLDERRAQDFIEWLLSA(配列番号5);
    HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIQWLLSA(配列番号7);
    HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFIEWLLSA(配列番号8);
    HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIRWLLSA(配列番号11);
    HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLRA(配列番号12);又は
    HSQGTFTSDYSKYLDERRAKDFIEWLLSA(配列番号17)
    を有する、請求項1に記載の化合物。
  6. 前記R1がHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 前記R2がNH2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. 前記Zが存在しない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を、医薬的に許容し得る担体との混合物の状態で含んでなる医薬組成物。
  10. 体重増加を予防するためか、体重減少を促進するためか、あるいは病的な肥満、肥満に関係する炎症、肥満に関係する胆嚢疾患及び肥満誘発性睡眠時無呼吸症を含めた過剰体重若しくは肥満により引き起こされた又はそれらに関連する身体状態の処置のため、あるいはインスリン抵抗性、耐糖能異常、2型糖尿病、高血圧症、アテローム形成性脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈性心疾患又は脳卒中の処置のための医薬の調製における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  11. 体重増加を予防するか、体重減少を促進するか、あるいは病的な肥満、肥満に関係する炎症、肥満に関係する胆嚢疾患及び肥満誘発性睡眠時無呼吸症を含めた過剰体重若しくは肥満により引き起こされたか又はそれらに関連する身体状態の処置のためか、あるいはインスリン抵抗性、耐糖能異常、2型糖尿病、高血圧症、アテローム形成性脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈性心疾患又は脳卒中の処置のための方法における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
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