(発明の詳細な説明)
RrgB線毛サブユニットは、少なくとも3つのクレイドを有する。3つのクレイドの参照アミノ酸配列は、本明細書では配列番号1、2および3である。クレイドは、そのN末端およびC末端では十分に保存されているが、その間では差異がある。配列番号1と配列番号2とは46%同一であり、配列番号1と配列番号3とは51%同一であり、配列番号2と配列番号3とは65%同一である。
所与のRrgBクレイドに対する血清は、そのクレイドを発現する肺炎球菌に対して活性であるが、その他の2つのクレイドのうちの1つを発現する株に対しては活性ではなく、すなわち、クレイド内交差防御はあるが、クレイド間交差防御はないことがわかった。したがって、本発明によれば、免疫原性組成物は、RrgBの少なくとも2つの異なるクレイドを含む。これらは、免疫原性組成物中に別個のポリペプチドとして存在してもよく、単一ポリペプチド鎖として融合されてもよい。ワクチン成分として複数のRrgBクレイドを含めることによって、線毛含有肺炎球菌に対する免疫原性組成物の株の適用範囲が改善される。さらに、線毛−1の存在と抗生物質耐性との間に有意な関連があることが観察され、この観察結果は、複数のRrgBクレイドを含む免疫原性組成物を使用する線毛−1に対する免疫化が、抗生物質処置に対して耐性である肺炎球菌に対する防御というさらなる利点を有することを示唆する。
したがって、本発明は、
(a)(i)配列番号1に対して少なくともa%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号1に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド、
(b)(i)配列番号2に対して少なくともb%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号2に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、ならびに/または
(c)(i)配列番号3に対して少なくともc%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号3に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド
のうちの少なくとも2つを含む免疫原性組成物を提供する。
本発明はまた、
(a)(i)配列番号1に対して少なくともa%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号1に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第1のアミノ酸配列、
(b)(i)配列番号2に対して少なくともb%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号2に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第2のアミノ酸配列、ならびに/または
(c)(i)配列番号3に対して少なくともc%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号3に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第3のアミノ酸配列
のうちの少なくとも2つを含むポリペプチドも提供する。
本発明はまた、アミノ酸配列:
−A−{−X−L−}n−B−
[式中、Xは、上記で定義される、第1のポリペプチド、第2のポリペプチドまたは第3のポリペプチドのアミノ酸配列であり、Lは、任意選択のリンカーアミノ酸配列であり、Aは、任意選択のN末端アミノ酸配列であり、Bは、任意選択のC末端アミノ酸配列であり、nは、2以上の整数(例えば、2、3、4、5、6など)である]
を含むポリペプチドも提供する。場合により、ポリペプチドは、請求項1で定義される第1、第2および第3のポリペプチドのうちの少なくとも2つを含む。通常、nは、2または3であり、X部分は、以下から選択される。
本発明はまた、
(a)(i)配列番号1に対して少なくともa%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号1に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド、
(b)(i)配列番号2に対して少なくともb%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号2に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド、ならびに/または
(c)(i)配列番号3に対して少なくともc%の配列同一性を有し、および/もしくは(ii)配列番号3に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド
のうちの少なくとも2つを発現する細胞(通常、肺炎球菌などの細菌)を提供する。
(第1、第2および第3のアミノ酸配列)
aの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれ以上である。bの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれ以上である。cの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれ以上である。a、bおよびcの値は、同一であっても、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、a、bおよびcは、同一である。通常、a、bおよびcは、少なくとも90、例えば、少なくとも、95である。
xの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。yの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。zの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。x、yおよびzの値は、同一であっても、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、x、yおよびzは、同一である。
断片は、それぞれの配列番号の配列に由来するエピトープを含むことが好ましい。その他の有用な断片は、それぞれの配列番号のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、その少なくとも1つのエピトープを保持する。N末端での20〜25個のアミノ酸の末端切断、例えば、配列番号1〜3のいずれかの(または配列番号85〜96のいずれか1つの)アミノ酸1〜23の除去は、好都合である。
RrgBタンパク質は、そのリーダーペプチドとそのLPXTGアンカーとの間で4つのドメイン(D1〜D4)に分けることができる。これらの4つのドメインは、配列番号1〜3において以下のとおりであり、これらの残基に対応するさらなるRrgB配列における位置は、アラインメントによって容易に同定できる。
受動的防御研究に基づいて、RrgBの有用な断片は、少なくともドメインD1および/またはD4に由来するエピトープを保持し得る。図20に示されるように、ドメインD1、ドメインD4およびドメインD2〜D4を含有する断片と結合する抗体が作製されている。したがって、好ましい断片は、ドメインD1、ドメインD4およびドメインD2〜D4を含有する断片を含む。
配列番号1の適した断片は、配列番号4である。
配列番号2の適した断片は、配列番号5である。
配列番号3の適した断片は、配列番号6である。
配列番号1に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片はまた、配列番号2内または配列番号3内に存在しないはずである。同様に、配列番号2に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片はまた、配列番号1内または配列番号3内に存在しないはずである。同様に、配列番号3に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片はまた、配列番号1内または配列番号2内に存在しないはずである。したがって、いくつかの実施形態では、配列番号1の断片は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸31〜614の間であり、配列番号2の断片は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸31〜593の間であり、配列番号3の断片は、好ましくは、配列番号3のアミノ酸31〜603の間である。配列番号1に由来する少なくともx個の連続するアミノ酸の断片はまた、配列番号85、88および/または89のうちのいずれか1つに存在し得る。同様に、配列番号2に由来する少なくともy個の連続するアミノ酸の断片はまた、配列番号86、90、91、94および/または96のうちのいずれか1つに存在し得る。同様に、配列番号3に由来する少なくともz個の連続するアミノ酸の断片はまた、配列番号87、92、93および/または95のうちのいずれか1つに存在し得る。いくつかの実施形態では、配列番号1〜3のうちの1つに由来する断片が、他の2つの配列番号に対して連続する配列としてアラインメントされると、その断片と、他の2つの配列番号の各々との間の同一性は、75%未満、例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満である。
エピトープマッピング研究に基づいて、配列番号1のエピトープは、配列番号1の残基32と141との間、より詳しくは、配列番号1の残基55と89との間に同定されている。したがって、配列番号1の有用な断片は、配列番号1の残基32〜141および配列番号1の残基55〜89を含む。
第1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質(株TIGR4)と結合する抗体を含む抗体反応を誘発する。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質とも、配列番号3のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質とも結合しない。
第2のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、配列番号2のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質(株Finland6B−12)と結合する抗体を含む抗体反応を誘発する。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質とも、配列番号3のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質とも結合しない。
第3のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、配列番号3のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質(株Taiwan23F−15)と結合する抗体を含む抗体反応を誘発する。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質とも、配列番号2のアミノ酸配列を有する野生型肺炎球菌タンパク質とも結合しない。
第1、第2および第3のアミノ酸配列は、共通の一部の配列を共有し得るが、全体的には、それらは異なるアミノ酸配列を有する。
本発明が、2つのRrgBクレイドのみを使用する場合、組成物またはポリペプチドは、(a)上記で定義される第1のアミノ酸配列および(b)上記で定義される第2のアミノ酸配列の両方を含み得る。代替実施形態では、組成物は、(a)上記で定義される第1のアミノ酸配列および(b)上記で定義される第3のアミノ酸配列の両方を含む。代替実施形態では、組成物は、(a)上記で定義される第2のアミノ酸配列および(b)上記で定義される第3のアミノ酸配列の両方を含む。
本発明とともに使用されるアミノ酸配列は、配列番号1、2または3と比較して、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の保存的アミノ酸置換、すなわち、あるアミノ酸から、関連側鎖を有する別のアミノ酸への置換を含み得る。遺伝的にコードされるアミノ酸は、通常、4つのファミリー:(1)酸性アミノ酸、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸、(2)塩基性アミノ酸、すなわち、リシン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性アミノ酸、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、および(4)非荷電極性アミノ酸、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、一緒に、芳香族アミノ酸として分類されることもある。一般に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物活性に対して大きな影響を有さない。ポリペプチドは、参照配列に対して、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の単一アミノ酸欠失を有し得る。ポリペプチドはまた、参照配列に対して、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば、1、2、3、4または5個のアミノ酸の各々)を含み得る。
本発明とともに使用されるポリペプチドは、
(a)配列番号1、2または3と同一(すなわち、100%同一)であるアミノ酸配列、
(b)配列番号1、2または3と配列同一性を共有するアミノ酸配列、
(c)(a)または(b)の配列と比較して、別個の位置であってもよく、連続していてもよい、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(またはそれ以上)の単一アミノ酸変更(欠失、挿入、置換)を有するアミノ酸配列、
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1、2または3をアラインメントした場合に、N末端からC末端のx個のアミノ酸の各移動ウィンドウ(moving window)(p個のアミノ酸に及ぶアラインメントについては、p>xである場合には、p−x+1個のこのようなウィンドウがあるような)が、少なくともx・y個の同一であるアラインメントされたアミノ酸を有する(式中、xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数ではない場合は、最も近い整数に切り上げられる)アミノ酸配列(好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメータ(例えば、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用して、ギャップオープニングペナルティー=10.0、ギャップ伸長ペナルティー=0.5を用いる)を使用する、Needleman−Wunschのグローバルアラインメントアルゴリズムである[5]。このアルゴリズムが、EMBOSSパッケージ中のニードル(needle)ツールで実施されることは好都合である[6])
を含み得る。
群(c)内で、欠失または置換は、N末端および/またはC末端である場合も、2つの末端の間である場合もある。したがって、末端切断は、欠失の一例である。末端切断は、N末端および/またはC末端での最大40個(またはそれ以上)のアミノ酸の欠失を含み得る。
一般に、本発明のポリペプチドが、配列番号1〜3に由来する完全な肺炎球菌配列と同一でない配列を含む場合(例えば、配列番号1〜3に由来する完全な肺炎球菌配列に対して<100%の配列同一性を有する配列リストを含む場合、またはその断片を含む場合)、各個々の場合において、ポリペプチドが、完全な肺炎球菌配列を認識する抗体を誘発し得ることが好ましい。
参照のために、配列番号1〜3および85〜96は、45個の異なる株において同定されている、15個の特有のRrgB配列である。これらの配列のいずれも、本発明を実施するのに使用してよい。したがって、例えば、本発明とともに使用するための第1のポリペプチドは、以下の群(1)において列挙される配列番号のうちのいずれか1つを含み得、本発明とともに使用するための第2のポリペプチドは、以下の群(2)において列挙される配列番号のうちのいずれか1つを含み得、本発明とともに使用するための第3のポリペプチドは、以下の群(3)において列挙される配列番号のうちのいずれか1つを含み得る。群(1)〜(3)は以下のとおりである。
(1)配列番号1、85、88、89
(2)配列番号2、86、90、91、94、96
(3)配列番号3、87、92、93、95。
(ハイブリッドポリペプチド)
本発明において使用される種々のRrgBクレイドは、別個のポリペプチドとして存在しなくてもよく、代わりに、単一ポリペプチド鎖(「ハイブリッド」ポリペプチドまたは「キメラ」)として発現されてもよい。ハイブリッドポリペプチドは、2つの主な利点を提供する。第1に、それ自体では、安定でない、または不十分にしか発現されない可能性があるポリペプチドが、その問題を克服するために適したハイブリッドパートナーを加えることによって補助され得る。第2に、両方とも抗原的に有用である2つのポリペプチドを製造するために、商業的生産が、1つの発現および精製のみが使用されることが必要であるように単純化される。
ハイブリッドポリペプチドは、RrgB抗原のみに由来する配列を含み得るが、その他の実施形態では、その他の線毛サブユニットなどの非RrgB抗原(通常、肺炎球菌非RrgB抗原)を含み得る。非RrgB抗原が存在する場合には、これらは、いずれか2つのRrgB配列のN末端、いずれか2つのRrgB配列のC末端である場合も、2つのRrgB配列の間である場合もある。
種々のハイブリッドポリペプチドを、単一の処方物中で一緒に混合してもよい。ハイブリッドは、非ハイブリッドRrgB抗原またはその他の非RrgB抗原と組み合わせてもよい。
ハイブリッドポリペプチドは、式NH2−A−{−X−L−}n−B−COOHによって表され得る。
−X−部分が、リーダーペプチド配列をその野生型の形態で有する場合には、これは、ハイブリッドタンパク質では、含まれる場合も、省かれる場合もある。いくつかの実施形態では、リーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端に位置する−X−部分のものを除いて欠失される。すなわち、X1のリーダーペプチドは保持されるが、X2・・・Xnのリーダーペプチドは省かれる。これは、すべてのリーダーペプチドを欠失させて、X1のリーダーペプチドを部分−A−として使用することと同等である。
{−X−L−}のn個各々の例について、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在する場合も存在しない場合もある。例えば、n=2の場合には、ハイブリッドは、NH2−X1−L1−X2−L2−COOH、NH2−X1−X2−COOH、NH2−X1−L1−X2−COOH、NH2−X1−X2−L2−COOHなどであり得る。リンカーアミノ酸配列(複数可)−L−は、通常、短いもの(例えば、20個以下のアミノ酸、すなわち、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個)となる。例として、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわち、Glyn(ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)を含む)およびヒスチジンタグ(すなわち、Hisn(ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上))が含まれる。その他の適したリンカーアミノ酸配列は、当業者には明らかである。有用なリンカーとして、GSGGGG(配列番号7)またはGSGSGGGG(配列番号8)があり、BamHI制限部位からGly−Serジペプチドが形成され、したがって、クローニングおよび操作を補助し、(Gly)4テトラペプチドは典型的なポリグリシンリンカーである。特に、最終Lnとして使用するための、その他の適したリンカーとして、Leu−GluジペプチドまたはGly−Serがある。リンカーは、通常、構造的柔軟性を促進するために、少なくとも1個のグリシン残基を含む。例えば、−L−部分は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のグリシン残基を含み得る。このようなグリシンは、Gly−Glyジペプチド配列において、またはより長いオリゴGly配列、すなわち、Glyn(ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)において、少なくとも2つの連続するグリシンを含むよう配置され得る。
−A−は、任意選択のN末端アミノ酸配列である。これは、通常、短いもの(例えば、40個以下のアミノ酸、すなわち、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個)となる。例として、タンパク質輸送を方向付けるリーダー配列またはクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、Hisn(ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上))が含まれる。その他の適したN末端アミノ酸配列は、当業者には明らかである。X1が、それ自体のN末端メチオニンを欠く場合には、−A−は、N末端メチオニンを提供するオリゴペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8個のアミノ酸を含む)、例えば、Met−Ala−Serまたは単一Met残基であることが好ましい。新生ポリペプチドでは、−A−部分が、ポリペプチドのN末端メチオニン(細菌では、ホルミル−メチオニン、fMet)を提供し得る。しかし、1個または複数のアミノ酸が、新生−A−部分のN末端から切断される場合があり、その結果、本発明の成熟ポリペプチドでは、−A−部分は、必ずしもN末端メチオニンを含まない。
−B−は、任意選択のC末端アミノ酸配列である。これは、通常、短いもの(例えば、40個以下のアミノ酸、すなわち、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個)となる。例として、タンパク質輸送を方向付ける配列、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、Hisn(ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)、例えば、配列番号9を含む)またはタンパク質の安定性を増強する配列が挙げられる。その他の適したC末端アミノ酸配列、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、チオレドキシン、S.aureusプロテインAの14kDaの断片、ビオチン化ペプチド、マルトース結合性タンパク質、エンテロキナーゼflagなどは、当業者には明らかである。
−A−、−B−および−L−配列は、ヒトポリペプチド配列と10個またはそれ以上の連続するアミノ酸を共有する配列を含まないことが好ましい。
いくつかの実施形態では、−L−部分は、非RrgB抗原を含む。いくつかの実施形態では、−A−部分は、非RrgB抗原を含み、−B−部分が非RrgB抗原を含む場合もある。
本発明はまた、本発明のハイブリッドポリペプチドをコードする核酸を提供する。
種々のA、B、XおよびL部分のうち、有用な組み合わせとして、それだけには限らないが、以下が挙げられる。
したがって、本発明のハイブリッドの例として、配列番号11(配列番号12によってコードされる)、配列番号13(配列番号14によってコードされる)、配列番号15(配列番号16によってコードされる)、配列番号17(配列番号18によってコードされる)、配列番号19(配列番号20によってコードされる)、配列番号21(配列番号22によってコードされる)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。
本発明は、配列番号11、13、15、17、19または21のうちのいずれか1つに対して少なくともi%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。iの値は、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99またはそれ以上から選択され得る。
(ポリペプチド)
本発明とともに使用されるポリペプチドは、多数の方法で、例えば、化学合成(全体、または部分)によって、長いポリペプチドをプロテアーゼを使用して消化することによって、RNAからの翻訳によって、細胞培養物からの(例えば、組換え発現から)、生物自体からの(例えば、細菌培養後の、または患者から直接)精製によって等で、調製できる。<40個アミノ酸長のペプチドの好ましい製造方法は、インビトロ化学合成を含む[7、8]。固相ペプチド合成、例えば、tBocまたはFmoc[9]化学に基づく方法は、特に好ましい。酵素的合成[10]も部分でまたは全体で使用してもよい。化学合成の代替として、生物学的合成も使用してよい。例えば、ポリペプチドは、翻訳によって製造され得る。これはインビトロで実施しても、インビボで実施してもよい。生物学的方法は、一般に、L−アミノ酸をベースとするポリペプチドの製造に制限されるが、翻訳機構の(例えば、アミノアシルtRNA分子の)操作を使用して、D−アミノ酸の(または、ヨードチロシンまたはメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなどといった、その他の非天然アミノ酸の)導入を可能にすることができる[11]。しかし、D−アミノ酸が含まれる場合には、化学合成を使用することが好ましい。ポリペプチドは、C末端および/またはN末端に共有結合修飾を有し得る。
ポリペプチドは、種々の形態(例えば、天然、融合物、グリコシル化、非グリコシル化、脂質付加、非脂質付加、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体、多量体、粒状、変性など)をとり得る。
ポリペプチドは、精製、または実質的に精製された形態で提供されること、すなわち、その他のポリペプチドを実質的に含まない(例えば、天然ポリペプチドを含まない)、特に、その他の肺炎球菌または宿主細胞ポリペプチドを含まないことが好ましく、一般に、少なくとも約50%純粋(重量で)であり、通常、少なくとも約90%純粋である。すなわち、約50%未満、より好ましくは、約10%未満(例えば、5%以下)の組成物が、その他の発現されたポリペプチドで構成されている。
ポリペプチドは、固相支持体に結合されていてもよい。ポリペプチドは、検出可能な標識(例えば、放射性もしくは蛍光標識またはビオチン標識)を含み得る。
用語「ポリペプチド」とは、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。この用語はまた、天然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは修飾、例えば、標識成分との結合体化によって、修飾されているアミノ酸ポリマーを包含する。また、この定義内に、例えば、1個または複数のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)ならびに当技術分野で公知のその他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。ポリペプチドは、単一鎖または会合している鎖として生じ得る。ポリペプチドは、天然に、または非天然にグリコシル化され得る(すなわち、ポリペプチドは、対応する天然に存在するポリペプチドにおいて見られるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する)。
本発明は、ポリペプチド発現を誘導する条件下で本発明の宿主細胞を培養することを含む、本発明のポリペプチドを製造するプロセスを提供する。ポリペプチドの発現は、連鎖球菌で起こり得るが、本発明は、通常、発現のために異種宿主を使用する。異種宿主は、原核生物(例えば、細菌)であっても、真核生物であってもよい。通常、大腸菌となるが、その他の適した宿主として、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが挙げられる。
本発明はまた、ポリペプチドが、化学的手段を使用して、部分または全体において合成される、本発明のポリペプチドを製造するプロセスを提供する。
本発明はまた、2つ以上の本発明のポリペプチドを含む組成物を提供する。
(核酸)
本発明はまた、本発明のハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本発明はまた、このようなヌクレオチド配列に対して配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。このような核酸は、同一アミノ酸をコードするために代替コドンを使用するものを含む。
本発明はまた、これらの核酸とハイブリダイズできる核酸を提供する。ハイブリダイゼーション反応は、種々の「ストリンジェンシー」の条件下で実施してよい。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増大させる条件は、当技術分野では広く知られており、公開されている。関連条件の例として(ストリンジェンシーが増大する順に)、25℃、37℃、50℃、55℃および68℃のインキュベーション温度、10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(ここで、SSCは、0.15M NaClおよび15mMクエン酸緩衝剤である)の緩衝液濃度およびその他の緩衝液系を使用するその同等物、0%、25%、50%および75%のホルムアミド濃度、5分〜24時間のインキュベーション時間、1回、2回またはそれ以上の洗浄ステップ、1分、2分または15分の洗浄インキュベーション時間、ならびに6×SSC、1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水の洗浄溶液が挙げられる。ハイブリダイゼーション技術およびその最適化は、当技術分野では周知である[例えば、参考文献12および239などを参照のこと]。
本発明は、これらの配列と相補的である配列を含む核酸を含む(例えば、アンチセンスもしくはプロービングのため、またはプライマーとして使用するため)。
本発明の核酸は、種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識されたものなど)をとり得る。本発明の核酸は、環状または分岐であり得るが、通常は直鎖となる。特に断りのない限り、または必要でない限り、核酸を利用する本発明の任意の実施形態は、二本鎖形態と二本鎖形態を構成する2つの相補的一本鎖形態の各々との両方を利用し得る。プライマーおよびプローブは、通常、一本鎖であり、アンチセンス核酸も同様である。
本発明の核酸は、精製、または実質的に精製された形態で、すなわち、その他の核酸を実質的に含まずに(例えば、天然に存在する核酸を含まずに)、特に、その他の肺炎球菌核酸または宿主細胞核酸を含まずに提供されることが好ましく、一般に、少なくとも約50%純粋(重量で)、通常、少なくとも約90%純粋である。本発明の核酸は、肺炎球菌核酸であることが好ましい。
本発明の核酸は、多数の方法で、例えば、全体または部分における化学合成(例えば、DNAのホスホラミダイト合成)によって、長い核酸をヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用して消化することによって、短い核酸またはヌクレオチドを結合することによって(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼを使用して)、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから等で、調製してもよい。
本発明の核酸は、固相支持体(例えば、ビーズ、プレート、フィルター、フィルム、スライド、マクロアレイ支持体、樹脂など)と結合してもよい。本発明の核酸は、例えば、放射性標識または蛍光標識またはビオチン標識を用いて標識され得る。これは、核酸が、検出技術において使用される予定である場合、例えば、核酸がプライマーである場合、またはプローブとして使用される場合は特に有用である。
用語「核酸」は、一般的な意味で、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含み、これは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよび/またはそれらの類似体を含有する。DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドを含む。また、DNAまたはRNA類似体、例えば、修飾された骨格を含有するもの(例えば、ペプチド核酸(PNA)またはホスホロチオエート)または修飾された塩基を含有するものを含む。したがって、本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマーなどを含む。本発明の核酸が、RNAの形態をとる場合には、5’キャップを有する場合も有さない場合もある。
本発明の核酸は、ベクターの一部、すなわち、1つまたは複数の細胞の形質導入/トランスフェクションのために設計された核酸構築物の一部であり得る。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドの単離、増幅および複製のために設計されている「クローニングベクター」、宿主細胞におけるヌクレオチド配列の発現のために設計されている「発現ベクター」、組換えウイルスまたはウイルス様粒子の産生をもたらすよう設計されている「ウイルスベクター」、または2つ以上のベクターの特質を含む「シャトルベクター」であり得る。好ましいベクターとして、プラスミドがある。「宿主細胞」は、外因性核酸のレシピエントであり得る、またはレシピエントである個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含むが、子孫は、天然の、偶発的な、または意図的な変異および/または変化のために、最初の親細胞と必ずしも完全に同一ではない場合もある(形態学において、または全DNA相補体において)。宿主細胞は、本発明の核酸を用いてインビボまたはインビトロでトランスフェクトされた細胞または感染した細胞を含む。
核酸がDNAである場合は、当然のことではあるが、RNA配列中の「U」は、DNA中では「T」に置き換えられる。同様に、核酸がRNAである場合は、当然のことではあるが、DNA配列中の「T」は、RNA中では、「U」に置き換えられる。
用語「相補体」または「相補的」とは、核酸に関連して使用される場合、ワトソン−クリック塩基対形成を指す。したがって、Cの相補体は、Gであり、Gの相補体は、Cであり、Aの相補体は、T(またはU)であり、T(またはU)の相補体は、Aである。例えば、ピリミジン(CまたはT)を相補するためにI(プリンイノシン)などの塩基を使用することも可能である。
本発明の核酸を、例えば、インビトロまたはインビボでポリペプチドを製造するために使用すること、生物学的サンプルにおける核酸の検出のためのハイブリダイゼーションプローブとして使用すること、核酸のさらなるコピーを作製するために使用すること、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製するために使用すること、一本鎖DNAプライマーまたはプローブとして使用すること、または三重鎖形成オリゴヌクレオチドとして使用することができる。
本発明は、化学的手段を使用して部分または全体において合成される、本発明の核酸を製造するプロセスを提供する。
本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)およびこのようなベクターを用いて形質転換された宿主細胞を提供する。
(免疫原性組成物)
本発明の混合物およびハイブリッドポリペプチドは、免疫原性組成物中の有効成分として有用である。このような免疫原性組成物は、ワクチンとして有用であり得る。これらのワクチンは、予防的(すなわち、感染を防ぐため)または治療的(すなわち、感染を処置するため)のいずれかであり得るが、通常、予防的となる。
したがって、組成物は、薬学的に許容され得る。それらは、普通、抗原に加えて、成分を含む。例えば、それらは、通常、1つまたは複数の薬学的キャリアおよび/または賦形剤を含む。このような成分の徹底的な考察は、参考文献234において入手可能である。
組成物は、通常、水性形態で哺乳動物に投与される。しかし、投与前において、組成物は非水性形態であってもよい。例えば、一部のワクチンは、水性形態で製造され、同様に水性形態で、充填され、分配され、投与されるが、その他のワクチンは、製造の際に凍結乾燥され、使用時に水性形態に再構成される。したがって、本発明の組成物は乾燥されていてもよい(例えば、凍結乾燥処方物)。
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの防腐剤を含み得る。しかし、ワクチンは、水銀物質を実質的に含まないようにする(すなわち、5μg/ml未満)べきであり、例えば、チオメルサールを含まないことが好ましい。水銀を含有しないワクチンが、より好ましい。防腐剤を含まないワクチンが、特に好ましい。
張度を制御するために、ナトリウム塩などの生理学的塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1から20mg/mlの間、例えば、約10±2mg/ml NaClで存在してもよい。存在してもよいその他の塩として、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム二水和物(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
組成物は、通常、200mOsm/kgから400mOsm/kgの間、好ましくは、240〜360mOsm/kgの間の重量オスモル濃度を有し、290〜310mOsm/kgの範囲内に入ることがより好ましい。
組成物は、1つまたは複数の緩衝剤を含み得る。通常の緩衝剤として、リン酸緩衝剤、Tris緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤(特に、水酸化アルミニウムアジュバントと共に)またはクエン酸緩衝剤が挙げられる。緩衝剤は、通常、5〜20mMの範囲で含まれる。
組成物のpHは、通常、5.0から8.1の間、より通常的には、6.0から8.0の間、例えば、6.5から7.5または7.0から7.8の間となる。
組成物は、無菌であることが好ましい。組成物は、非発熱性であること、例えば、用量あたり<1EU(エンドトキシンユニット、標準的な基準)を含有することが好ましく、用量あたり<0.1EUが好ましい。組成物は、グルテンを含まないことが好ましい。
組成物は、単一免疫化のための材料を含む場合も、複数免疫化のための材料を含む場合もある(すなわち、「複数用量」キット)。防腐剤を含むことは、複数用量準備においては好ましい。複数用量組成物では、防腐剤を含むことの代替として(または、それに加えて)、組成物は、材料を取り出すための無菌アダプターを有する容器中に含有される場合もある。
ヒトワクチンは、通常、約0.5mlの投薬量で投与されるが、小児には、半分の用量(すなわち、約0.25ml)を投与してもよい。
本発明の免疫原性組成物はまた、1つまたは複数の免疫調節性物質を含み得る。1つまたは複数の免疫調節性物質が、1つまたは複数のアジュバント、例えば、2、3、4またはそれ以上のアジュバントを含むことが好ましい。アジュバントとして、以下でさらに論じられるTH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを挙げることができる。
本発明の組成物において使用してもよいアジュバントとして、それだけには限らないが、以下が挙げられる。
(A.無機物含有組成物)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した無機物含有組成物として、アルミニウム塩およびカルシウム塩などの無機塩が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩などといった無機塩[例えば、参考文献13の第8&9章を参照のこと]、または種々の無機化合物の混合物を含み、これらの化合物は任意の適した形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、吸着が好ましい。無機物含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方してもよい。
「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、通常、普通は、少なくとも部分的に結晶であるオキシ水酸化アルミニウム塩である。式AlO(OH)によって表すことができるオキシ水酸化アルミニウムは、赤外(IR)分光法によって、特に、1070cm−1での吸収帯(adsorption band)および3090〜3100cm−1の強いショルダーの存在によって、水酸化アルミニウムAl(OH)3などのその他のアルミニウム化合物と区別できる[参考文献13の第9章]。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶化度の程度は、半分の高さでの回折バンドの幅(width of the diffraction band at half height(WHH))によって反映され、不十分な結晶の粒子は、小さな結晶サイズのために、より大きなラインブロードニングを示す。WHHが増大するにつれ、表面積は増大し、高いWHH値を有するアジュバントが、抗原吸着のための高い能力を有するとわかった。繊維性形態(例えば、透過型電子顕微鏡において見られるような)は、水酸化アルミニウムアジュバントにとって典型的である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、通常、約11であり、すなわち、アジュバント自体は、生理学的pHで正の表面電荷を有する。水酸化アルミニウムアジュバントについては、pH7.4で1mgのAl+++あたり1.8〜2.6mgの間のタンパク質吸着能力が報告されている。
「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、通常、ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、少量の硫酸塩も含有することが多い(すなわち、ヒドロキシリン酸硫酸アルミニウム)。それらは、沈殿によって得ることができ、沈殿の際の反応条件および濃度が、塩中の、ホスフェートのヒドロキシルとの置換度に影響を及ぼす。ヒドロキシリン酸塩は、通常、0.3から1.2の間のPO4/Alモル比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基の存在によって厳密なAlPO4と区別できる。例えば、3164cm−1でのIRスペクトルバンド(例えば、200℃に加熱した場合の)は、構造的ヒドロキシルの存在を示す[参考文献13の第9章]。
リン酸アルミニウムアジュバントのPO4/Al3+モル比は、通常、0.3から1.2の間、好ましくは、0.8から1.2の間、より好ましくは、0.95±0.1となる。リン酸アルミニウムは、特に、ヒドロキシリン酸塩については、通常、非晶質である。通常のアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含まれる、0.84から0.92の間のPO4/Alモル比を有する非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである。リン酸アルミニウムは、通常、粒状(例えば、透過型電子顕微鏡において見られるプレート様の形態)となる。粒子の通常の直径は、任意の抗原吸着後に0.5〜20μmの範囲(例えば、約5〜10μm)にある。リン酸アルミニウムアジュバントについては、pH7.4で、1mgのAl+++あたり0.7〜1.5mgの間のタンパク質の吸着能力が報告されている。
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ホスフェートの、ヒドロキシルとの置換度と反比例し、この置換度は、沈殿による塩の調製に使用される反応条件および反応物質の濃度に応じて変わり得る。PZCはまた、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させることによって(より多いホスフェート=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝剤などの緩衝剤を添加することによって(PZCをより塩基性にする)変更される。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、通常、4.0から7.0の間、より好ましくは、5.0から6.5の間、例えば、約5.7のPZCを有する。
本発明の組成物を調製するために使用されるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤またはTris緩衝剤)を含み得るが、これは、必ずしも必要とは限らない。懸濁物は、無菌で、発熱物質を含まないことが好ましい。懸濁物は、例えば、1.0から20mMの間、好ましくは、5から15mMの間、より好ましくは、約10mMの濃度で存在する、遊離水性リン酸イオンを含み得る。懸濁物はまた、塩化ナトリウムを含み得る。
一実施形態では、アジュバント成分は、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム両方の混合物を含む。この場合には、水酸化物よりも多くの、例えば、少なくとも2:1、例えば、≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比のリン酸アルミニウムが存在し得る。
患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、10mg/ml未満、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどであることが好ましい。好ましい範囲は、0.3から1mg/mlの間である。最大<0.85mg/用量が好ましい。
(B.オイルエマルジョン)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したオイルエマルジョン組成物として、MF59などのスクアレン−水エマルジョン[参考文献13の第10章、参考文献14も参照のこと](マイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に処方された、5%スクアレン、0.5%Tween80および0.5%Span85)が挙げられる。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も使用してよい。
種々の適した水中油型エマルジョンが公知であり、それらは、通常、少なくとも1つの油と、少なくとも1つの界面活性剤を含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生分解性(代謝可能)および生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、通常、直径5μm未満であり、エマルジョンが、サブミクロンの直径を有する油滴を含むことが有利であり、これらの小さいサイズは、マイクロフルイダイザーを用いて達成され、安定なエマルジョンが提供される。220nm未満のサイズを有する液滴は、それらを濾過滅菌法に供することができるので好ましい。
本発明は、動物(例えば、魚)または植物供給源のものなどの油を用いて使用できる。植物油の供給源として、ナッツ、種子および穀類が挙げられる。ピーナッツ油、ダイズ油、ココナッツ油およびオリーブ油は、最も一般的に市販されているものであり、例示的なナッツ油である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油を使用してもよい。種子油として、サフラワー油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ種子油などが挙げられる。穀類群では、コーン油が最も容易に入手可能であるが、コムギ、オートムギ、ライムギ、コメ、テフ、ライコムギなどのその他の穀物の油も使用してよい。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10個の炭素の脂肪酸エステルは、種子油中では天然には生じないが、ナッツおよび種子油から出発して、適当な材料の加水分解、分離およびエステル化によって調製してもよい。哺乳動物の乳から得た脂肪および油は、代謝可能であり、したがって、本発明の実施において使用してもよい。動物供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化およびその他の手段の手順は、当技術分野で周知である。ほとんどの魚は、代謝可能な油を含有し、これは容易に回収され得る。例えば、タラ肝油、サメ肝油および鯨ろうなどの鯨油は、本明細書において使用してもよい魚油のいくつかを例示するものである。いくつかの分枝鎖油は、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、通常、テルペノイドと呼ばれる。サメ肝油は、スクアレンとして知られる分岐、不飽和テルペノイド、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンを含有する。その他の好ましい油として、トコフェロールがある(以下参照のこと)。スクアレン(sqlauene)を含む水中油型エマルジョンが特に好ましい。油の混合物を使用してもよい。
界面活性剤は、その「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類できる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは、少なくとも15、より好ましくは、少なくとも16のHLBを有する。本発明は、それだけには限らないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般に、Tweenと呼ばれる)、特に、ポリソルベート20およびポリソルベート80;DOWFAXTM商標の下で販売されている、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、直鎖EO/POブロックコポリマー;反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数で変わり得るオクトキシノール(オクトキシノール−9(Triton X−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノールは特に興味深い);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)などのリン脂質;ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知である)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30);ならびにソルビタンエステル(一般に、SPANとして公知である)、例えば、ソルビタントリオレエート(Span85)およびソルビタンモノラウラートを含む界面活性剤を用いて使用できる。エマルジョンに含めるのに好ましい界面活性剤として、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTriton X−100がある。上で言及したように、Tween80などの洗浄剤は、以下の実施例において見られる熱安定性に寄与し得る。
界面活性剤の混合物、例えば、Tween80/Span85混合物を使用してもよい。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステルおよびt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X−100)などのオキトキシノールの組み合わせも適している。別の有用な組み合わせは、ラウレス9ならびにポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオキトキシノールを含む。
好ましい量の界面活性剤(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween80)0.01〜1%、特に、約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、Triton X−100またはTritonシリーズ中のその他の洗浄剤)0.001〜0.1%、特に、0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ラウレス9)0.1〜20%、好ましくは、0.1〜10%、特に、0.1〜1%または約0.5%である。
本発明で有用な特定の水中油型エマルジョンアジュバントとして、それだけには限らないが以下が挙げられる。
・スクアレン、Tween80およびSpan85のサブミクロンエマルジョン。容積によるエマルジョンの組成は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80および約0.5%Span85であり得る。重量でいうと、これらの比は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%Span85となる。このアジュバントは、参考文献18の第10章および参考文献19の第12章により詳細に記載されるように「MF59」として公知である[15〜17]。MF59エマルジョンは、クエン酸イオン、例えば、10mMのクエン酸ナトリウム緩衝剤を含むことが有利である。
・スクアレン、α−トコフェロールおよびポリソルベート80を含むエマルジョン。これらのエマルジョンは、2〜10%のスクアレン、2〜10%のトコフェロールおよび0.3〜3%のTween80を有し得、スクアレン:トコフェロールの重量比は、≦1(例えば、0.90)であることが好ましいが、これは、この比が、より安定なエマルジョンを提供するからである。スクアレンおよびTween80は、約5:2の容積比で、または約11:5の重量比で存在し得る。1つのこのようなエマルジョンは、PBSにTween80を溶解して、2%溶液を得、次いで、90mlのこの溶液を、(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlのスクアレン)の混合物と混合すること、次いで、混合物をマイクロフルイダイズすることによって作製できる。得られたエマルジョンは、例えば、平均直径が100〜250nmの間、好ましくは、約180nmであるサブミクロン油滴を有し得る。
・スクアレン、トコフェロールおよびTriton洗浄剤(例えば、Triton X−100)のエマルジョン。エマルジョンはまた、3d−MPL(以下参照のこと)を含み得る。エマルジョンは、リン酸緩衝剤を含有し得る。
・ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えば、Triton X−100)およびトコフェロール(例えば、コハク酸α−トコフェロール)を含むエマルジョン。エマルジョンは、これら3つの成分を、約75:11:10(例えば、750μg/mlポリソルベート80、110μg/ml Triton X−100および100μg/ml コハク酸α−トコフェロール)の質量比で含んでよく、これらの濃度は、抗原からのこれらの成分の何らかの寄与を含むはずである。エマルジョンはまた、スクアレンを含んでもよい。エマルジョンはまた、3d−MPLを含んでもよい(以下参照のこと)。水相は、リン酸緩衝剤を含有し得る。
・スクアラン、ポリソルベート80およびポロキサマー401(「PluronicTM L121」)のエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4中で処方してよい。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドの有用な送達ビヒクルであり、「SAF−1」アジュバント[20](0.05〜1%Thr−MDP、5%スクアラン、2.5%Pluronic L121および0.2%ポリソルベート80)においてスレオニルMDPとともに使用されてきた。「AF」アジュバント[21](5%スクアラン、1.25%Pluronic L121および0.2%ポリソルベート80)におけるように、Thr−MDPを伴わずに使用してもよい。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)および疎水性非イオン性界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート(monoleate)または「Span80」などのソルビタンエステルまたはマンニドエステル(mannide ester))を含むエマルジョン。エマルジョンは、熱可逆性であることが好ましく、および/または、少なくとも90%(容積で)の200nm未満のサイズの油滴を有する[22]。エマルジョンはまた、アルジトール、凍結防止剤(例えば、ドデシルマルトシドおよび/またはスクロースなどの糖)、および/またはアルキルポリグリコシドのうちの1つまたは複数を含み得る。このようなエマルジョンは、凍結乾燥してもよい。
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質および0.05〜5%の非イオン性界面活性剤を有するエマルジョン。参考文献23に記載されるように、好ましいリン脂質成分として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンがある。サブミクロン液滴サイズが有利である。
・非代謝可能油(例えば、軽油)および少なくとも1つの界面活性剤(例えば、レシチン、Tween80またはSpan80)のサブミクロン水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性結合体(例えば、グルクロン酸のカルボキシル基を介したデスアシルサポニンへの脂肪族アミンの付加によって製造される、参考文献24に記載されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(dimethyidioctadecylammonium bromide)および/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンなどの添加物を含めてもよい。
・鉱油、非イオン性親油性エトキシ化脂肪アルコールおよび非イオン性親水性界面活性剤(例えば、エトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[25]。
・鉱油、非イオン性親水性エトキシ化脂肪アルコールおよび非イオン性親油性界面活性剤(例えば、エトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[25]。
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)およびステロール(例えば、コレステロール)がらせん状ミセルとして会合しているエマルジョン[26]。
組成物中の抗原およびアジュバントは、通常、患者への送達の時点で混合物中にある。エマルジョンは、製造の際に抗原と混合してもよく、送達の時点で即席に抗原と混合してもよい。したがって、アジュバントおよび抗原は、パッケージングまたは分配されたワクチン中で別個に維持し、使用の時点で最終処方物に準備してもよい。通常、抗原は、ワクチンが2つの液体を混合することによって最終的に調製されるよう、水性形態となる。混合するための2つの液体の容積比は、変わり得る(例えば、5:1から1:5の間)が、通常、約1:1である。
(C.サポニン処方物[参考文献13の第22章])
サポニン処方物もまた、本発明においてアジュバントとして使用してもよい。サポニンは、幅広い植物種の樹皮、葉、茎、根において、および花においてさえ見られる、ステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異質性の群である。Quillaia saponaria Molinaの樹の樹皮から得られるサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズベイル(brides veil))およびSaponaria officianalis(ソープルート(soap root))から商業的に入手できる。サポニンアジュバント処方物として、QS21などの精製処方物ならびにISCOMなどの脂質処方物が挙げられる。QS21は、StimulonTMとして販売されている。
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを使用して精製されている。これらの技術を使用して、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む特定の精製された画分が同定されている。サポニンは、QS21であることが好ましい。QS21の製造方法は、参考文献27に開示されている。サポニン処方物はまた、コレステロールなどのステロールを含み得る[28]。
サポニンおよびコレステロールの組み合わせを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特の粒子を形成できる[参考文献13の第23章]。ISCOMはまた、通常、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。ISCOMには、任意の公知のサポニンを使用してよい。ISCOMは、QuilA、QHAおよびQHCのうちの1つまたは複数を含むことが好ましい。ISCOMは、参考文献28〜30にさらに記載されている。場合により、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を欠いていてもよい[31]。
サポニンベースのアジュバントの開発についての総説は、参考文献32&33に見ることができる。
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明においてアジュバントとして使用してもよい。これらの構造は、通常、ウイルスに由来する1つまたは複数のタンパク質を含有し、場合により、リン脂質と組み合わされるか、またはリン脂質とともに処方される。それらは、通常、非病原性、非複製性であり、通常、天然のウイルスゲノムを少しも含有しない。ウイルスタンパク質は、組換えによって製造してもよく、または全ウイルスから単離してもよい。ビロソームまたはVLPにおいて使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質として、インフルエンザウイルス(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えば、コアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(例えば、コートタンパク質)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージおよびTy(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)に由来するタンパク質が挙げられる。VLPは、参考文献34〜39において、さらに論じられている。ビロソームは、例えば、参考文献40において、さらに論じられている。
(E.細菌または微生物誘導体)
本発明において使用するのに適したアジュバントとして、腸内細菌リポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体、脂質A誘導体、免疫賦活性オリゴヌクレオチドならびにADPリボシル化毒素およびその解毒化された誘導体などの細菌または微生物誘導体が挙げられる。
LPSの非毒性誘導体として、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4、5もしくは6アシル化鎖を有する3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの混合物である。3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、参考文献41に開示されている。3dMPLのこのような「小粒子」は、0.22μmメンブレンを通して滅菌濾過されるのに十分に小さい[41]。その他の非毒性LPS誘導体として、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えば、RC−529などのモノホスホリル脂質A摸倣物が挙げられる[42、43]。
脂質A誘導体として、OM−174などの大腸菌由来の脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば、参考文献44&45に記載されている。
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した免疫賦活性オリゴヌクレオチドとして、CpGモチーフを含有するヌクレオチド配列(グアノシンとリン酸結合によって結合している非メチル化シトシンを含有するジヌクレオチド配列)が挙げられる。二本鎖RNAおよびパリンドロームまたはポリ(dG)配列を含有するオリゴヌクレオチドはまた、免疫賦活性であると示されている。
CpGは、ホスホロチオエート修飾などのヌクレオチド修飾/類似体を含み得、二本鎖または一本鎖であり得る。参考文献46、47および48には、可能性ある類似体置換、例えば、グアノシンの、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでの置換が開示されている。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献49〜54にさらに論じられている。
CpG配列は、モチーフGTCGTTまたはTTCGTTなどのTLR9に向けられ得る[55]。CpG配列は、CpG−A ODNのようにTh1免疫応答の誘導に対して特異的であり得、またはCpG−B ODNのようにB細胞反応の誘導に対してより特異的であり得る。CpG−AおよびCpG−B ODNは、参考文献56〜58に論じられている。CpGは、CpG−A ODNであることが好ましい。
CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識に利用できるように構築されることが好ましい。場合により、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列が、その3’末端で、「イムノマー(immunomer)」を形成するよう結合されてもよい。例えば、参考文献55&59〜61参照のこと。
免疫賦活性オリゴヌクレオチドに基づく特に有用なアジュバントは、IC−31TMとして公知である[62]。したがって、本発明とともに使用されるアジュバントは、(i)少なくとも1つの(好ましくは、複数の)CpIモチーフ(すなわち、イノシンと結合してジヌクレオチドを形成するシトシン)を含むオリゴヌクレオチド(例えば、15〜40の間のヌクレオチド)および(ii)少なくとも1つの(好ましくは、複数の)Lys−Arg−Lysトリペプチド配列を含むオリゴペプチド(例えば、5〜20個の間のアミノ酸)などのポリカチオンポリマーの混合物を含み得る。オリゴヌクレオチドは、26マーの配列5’−(IC)13−3’(配列番号80)を含むデオキシヌクレオチドであり得る。ポリカチオンポリマーは、11マーのアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列番号81)を含むペプチドであり得る。
細菌ADPリボシル化毒素およびその解毒化された誘導体を、本発明におけるアジュバントとして使用してもよい。タンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)または百日咳(「PT」)由来であることが好ましい。粘膜アジュバントとしての解毒化されたADPリボシル化毒素の使用は、参考文献63に、非経口アジュバントとしての使用は、参考文献64に記載されている。毒素またはトキソイドは、AおよびB両サブユニットを含むホロ毒素の形態であることが好ましい。Aサブユニットが、解毒化変異を含有することが好ましく、Bサブユニットは変異されていないことが好ましい。アジュバントは、LT−K63、LT−R72およびLT−G192などの解毒化されたLT変異体であることが好ましい。ADPリボシル化毒素およびその解毒化された誘導体、特に、LT−K63およびLT−R72の、アジュバントとしての使用は、参考文献65〜72に見ることができる。有用なCT変異体として、CT−E29Hがある[73]。アミノ酸置換の参照番号は、参照によりその全文が本明細書に具体的に組み込まれる参考文献74に示されるADPリボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づくことが好ましい。
(F.ヒト免疫調節物質)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したヒト免疫調節物質として、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[75]など)[76]、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子および腫瘍壊死因子などのサイトカインが挙げられる。好ましい免疫調節物質として、IL−12がある。
(G.生体接着物質(Bioadhesive)および粘膜接着物質(Mucoadhesive))
生体接着物質および粘膜接着物質も、本発明においてアジュバントとして使用してよい。適した生体接着物質として、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア[77]またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体などの粘膜接着物質が挙げられる。キトサンおよびその誘導体も、本発明においてアジュバントとして使用してよい[78]。
(H.微小粒子)
微小粒子も、本発明においてアジュバントとして使用してよい。生分解性であり、非毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成される微小粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは、直径約500nm〜約10μmの粒子)。ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましく、場合により、負の荷電表面を有するように(例えば、SDSを用いて)、または正の荷電表面を有するように(例えば、CTABなどのカチオン性洗浄剤を用いて)処理される。
(I.リポソーム(参考文献13の第13&14章))
アジュバントとして使用するのに適したリポソーム処方物の例は、参考文献79〜81に記載されている。
(J.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明において使用するのに適したアジュバントとして、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる[82]。このような処方物は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤を、オキトキシノールと組み合わせて[83]、ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤を、オキトキシノールなどの少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせて[84]さらに含む。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン(polyoxytheylene)−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
(K.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、参考文献85および86に記載されている。
(L.ムラミルペプチド)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したムラミルペプチドの例として、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適したイミダゾキノロン化合物の例として、参考文献87および88にさらに記載されるイミクアモド(Imiquamod)およびその相同体(例えば、「レシキモド3M」)が挙げられる。
本発明はまた、上記で同定されたアジュバントのうちの1つまたは複数の態様の組み合わせを含み得る。例えば、以下のアジュバント組成物を、本発明において使用してもよい:(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン[89]、(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)[90]、(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール、(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(場合により、+ステロール)[91]、(5)3dMPLの、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ[92]、(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズされているか、またはより大きな粒径のエマルジョンを作製するようボルテックス処理されている、10%スクアラン、0.4%Tween80TM、5%プロロニック−ブロックポリマーL121およびthr−MDPを含有するSAF、(7)2%スクアレン、0.2%Tween80ならびにモノホスホリル脂質(monophosphorylipid)A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つまたは複数の細菌細胞壁成分(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM))を含有するRibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem)、および(8)1つまたは複数の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dMPL)。
免疫刺激剤として作用するその他の物質は、参考文献13の第7章に開示されている。
水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用は、特に、小児において有用であり、抗原は、通常、これらの塩に吸着させられる。水中スクアレンエマルジョンも、特に、高齢者において好ましい。有用なアジュバントの組み合わせとして、CpG&アラムまたはレシキモド&アラムなどのTh1およびTh2アジュバントの組み合わせが挙げられる。リン酸アルミニウムおよび3dMPLの組み合わせを使用してもよい。
本発明の組成物は、細胞媒介性免疫応答ならびに体液性免疫応答の両方を誘発し得る。
通常、2種類のT細胞、CD4およびCD8細胞が、細胞媒介性免疫および体液性免疫を開始および/または増強するのに必要であると考えられている。CD8T細胞は、CD8共受容体を発現でき、一般に、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と呼ばれる。CD8T細胞は、MHCクラスI分子上にディスプレイされる抗原を認識でき、またはそれと相互作用できる。
CD4T細胞は、CD4共受容体を発現でき、一般に、ヘルパーT細胞と呼ばれる。CD4T細胞は、MHCクラスII分子と結合している抗原性ペプチドを認識できる。CD4細胞は、MHCクラスII分子と相互作用すると、サイトカインなどの因子を分泌し得る。これらの分泌されたサイトカインは、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージおよび免疫応答に参加するその他の細胞を活性化し得る。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、2つの機能的に別個のサブセット:そのサイトカインおよびエフェクター機能が異なるTH1表現型およびTH2表現型にさらに分割できる。
活性化されたTH1細胞は、細胞性免疫(抗原特異的CTL産生の増大を含む)を増強し、したがって、細胞内感染に対する反応において特に価値がある。活性化されたTH1細胞は、IL−2、IFN−γおよびTNF−βのうちの1つまたは複数を分泌し得る。TH1免疫応答は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞およびCD8細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化することによって局所炎症反応をもたらし得る。TH1免疫応答はまた、IL−12を用いてBおよびT細胞の増殖を刺激することによって免疫応答を拡大するよう作用し得る。TH1によって刺激されたB細胞は、IgG2aを分泌し得る。
活性化されたTH2細胞は、抗体産生を増強し、したがって、細胞外感染に対する反応において価値がある。活性化されたTH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10のうちの1つまたは複数を分泌し得る。TH2免疫応答は、IgG1、IgE、IgAおよび将来の保護のための記憶B細胞の産生をもたらし得る。
増強された免疫応答は、増強されたTH1免疫応答およびTH2免疫応答のうちの1つまたは複数を含み得る。
TH1免疫応答は、CTLの増大、TH1免疫応答と関連している1つまたは複数のサイトカイン(例えば、IL−2、IFN−γおよびTNF−β)の増大、活性化されたマクロファージの増大、NK活性の増大またはIgG2aの産生の増大のうちの1つまたは複数を含み得る。増強されたTH1免疫応答が、IgG2a産生の増大を含むことが好ましい。
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを使用して誘発され得る。TH1アジュバントは、通常、アジュバントを用いない抗原の免疫化に対して、IgG2a産生レベルの増大を誘発する。本発明において使用するのに適したTH1アジュバントとして、例えば、サポニン処方物、ビロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを挙げることができる。CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドなどの免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、本発明において使用するのに好ましいTH1アジュバントである。
TH2免疫応答は、TH2免疫応答と関連している1つまたは複数のサイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)の増大またはIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の産生の増大のうちの1つまたは複数を含み得る。増強されたTH2免疫応答が、IgG1産生の増大を含むことが好ましい。
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを使用して誘発され得る。TH2アジュバントは、通常、アジュバントを用いない抗原の免疫化に対して、IgG1産生レベルの増大を誘発する。本発明において使用するのに適したTH2アジュバントとして、例えば、無機物含有組成物、オイルエマルジョンならびにADPリボシル化毒素およびその解毒化された誘導体が挙げられる。アルミニウム塩などの無機物含有組成物が、本発明において使用するのに好ましいTH2アジュバントである。
組成物は、TH1アジュバントおよびTH2アジュバントの組み合わせを含み得る。このような組成物は、増強されたTH1および増強されたTH2反応、すなわち、アジュバントを用いない免疫化に対して、IgG1の産生およびIgG2aの産生両方の増大を誘発することが好ましい。TH1およびTH2アジュバントの組み合わせを含む組成物は、単一アジュバントを用いる免疫化に対して(すなわち、TH1アジュバント単独を用いる免疫化またはTH2アジュバント単独を用いる免疫化に対して)、増大されたTH1および/または増大されたTH2免疫応答を誘発することがさらにより好ましい。
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2応答のうちの一方または両方であり得る。免疫応答は、増強されたTH1応答および増強されたTH2応答のうちの一方または両方を提供することが好ましい。
増強された免疫応答は、全身性免疫応答および粘膜免疫応答のうちの一方または両方であり得る。免疫応答は、増強された全身性免疫応答および増強された粘膜免疫応答のうちの一方または両方を提供することが好ましい。粘膜免疫応答は、TH2免疫応答であることが好ましい。粘膜免疫応答は、IgAの産生の増大を含むことが好ましい。
肺炎球菌感染は、身体の種々の領域に影響を及ぼし得るため、本発明の組成物は、種々の形態で調製してもよい。例えば、組成物は、注射用物質として、液体溶液または懸濁物のいずれかとして調製してよい。注射に先立って、液体ビヒクル中の溶液または懸濁物にとって適した固体形態も調製してよい(例えば、凍結乾燥組成物または噴霧凍結乾燥組成物)。組成物は、局所投与用に、例えば、軟膏、クリームまたは散剤として調製してもよい。組成物は、経口投与用に、例えば、錠剤またはカプセル剤として、スプレーとして、またはシロップ剤(場合により、矯味矯臭されて)として調製してもよい。組成物は、肺投与用に、例えば、微粉またはスプレーを使用する吸入剤として調製してもよい。組成物は、坐剤または膣坐剤として調製してもよい。組成物は、経鼻投与、耳への投与または眼の投与用に、例えば、滴剤として調製してもよい。組成物は、組み合わされた組成物が、患者への投与の直前に再構成されるように設計されたキットの形態であり得る。このようなキットは、液体形態の1つまたは複数の抗原および1つまたは複数の凍結乾燥抗原を含み得る。
組成物が、使用前に即席調製され(例えば、成分が凍結乾燥形態で提示される場合)、キットとして提示される場合には、キットは2つのバイアルを含む場合も、1つの事前充填されたシリンジと、1つのバイアルとを含み、シリンジの内容物を使用して、注射の前にバイアルの内容物を再活性化させる場合もある。
ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の抗原(複数可)ならびに必要に応じて任意のその他の成分を含む。「免疫学的に有効な量」とは、単一投与での、または一連のものの一部としての、個体へのその量の投与が、処置または予防にとって有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康状態および理学的状態、年齢、分類学的群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、望まれる保護の程度、ワクチンの処方、医学的状況の処置医師の評価ならびにその他の関連因子に応じて変わる。量は、比較的広い範囲に収まると予測され、これは日常的な試験によって決定できる。
(核酸免疫化)
上記の免疫原性組成物は、S.pneumoniae由来のポリペプチド抗原を含む。しかし、すべての場合において、ポリペプチド抗原を、核酸免疫化に基づく組成物、方法および使用を与えるよう、それらのポリペプチドをコードする核酸(一般に、DNA)によって置き換えてもよい[93〜100]。
免疫原をコードする核酸は、患者への送達の後、インビボで発現され、次いで、発現された免疫原は、免疫系を刺激する。有効成分は、通常、(i)プロモーターと、(ii)作動可能にプロモーターと連結している免疫原をコードする配列と、場合により、(iii)選択マーカーとを含む核酸ベクターの形態をとる。好ましいベクターは、(iv)複製起点および(v)(ii)の下流の、(ii)と作動可能に連結している転写ターミネーターをさらに含み得る。一般に、(i)&(v)は、真核生物のものであり、(iii)&(iv)は、原核生物のものとなる。
好ましいプロモーターは、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)に由来するウイルスプロモーターである。ベクターはまた、プロモーターに加えて、プロモーターと機能的に相互作用する転写調節配列(例えば、エンハンサー)を含み得る。好ましいベクターは、前初期CMVエンハンサー/プロモーターを含み、また、より好ましいベクターは、CMVイントロンAも含む。プロモーターは、免疫原をコードする下流配列と作動可能に連結しており、その結果、免疫原をコードする配列の発現は、プロモーターの制御下にある。
マーカーが使用される場合には、微生物宿主において(例えば、原核生物において、細菌において、酵母において)機能することが好ましい。マーカーは、原核生物選択マーカー(例えば、原核生物プロモーターの制御下で転写される)であることが好ましい。便宜のために、通常のマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。
ベクターは、自己複製エピソームベクターまたは染色体外ベクター(プラスミドなど)であることが好ましい。
ベクターは、複製起点を含むことが好ましい。複製起点が、原核生物では活性であるが、真核生物では活性ではないことが好ましい。
したがって、好ましいベクターは、ベクターの選択のための原核生物マーカーと、原核生物の複製起点と、免疫原をコードする配列の転写を駆動するための真核生物のプロモーターとを含む。したがって、ベクターは、(a)ポリペプチド発現を伴わずに原核生物宿主において増幅され、選択されるが、(b)増幅されずに真核生物宿主において発現される。核酸免疫化ベクターにとってこの計画が理想的である。
ベクターは、コード配列の下流に、真核生物転写ターミネーター配列を含み得る。これは、転写レベルを増強し得る。コード配列が、それ自体のものを有さない場合には、ベクターはポリアデニル化配列を含むことが好ましい。好ましいポリアデニル化配列として、ウシ成長ホルモン由来のものがある。
ベクターは、マルチクローニング部位を含み得る。
免疫原およびマーカーをコードする配列に加えて、ベクターは、第2の真核生物コード配列を含み得る。ベクターはまた、免疫原と同一の転写物からの第2の真核生物のポリペプチドの翻訳を可能にするために、前記の第2の配列の上流にIRESを含み得る。あるいは、免疫原をコードする配列は、IRESの下流であり得る。
ベクターは、非メチル化CpGモチーフ、例えば、2個の5’プリンおよび2個の3’ピリミジンが隣接する、グアノシンの前のシトシンを共通して有する非メチル化DNA配列を含み得る。非メチル化型において、これらのDNAモチーフは、いくつかの種類の免疫細胞の強力な刺激因子であることが示されている。
ベクターは、標的化方法で送達され得る。受容体媒介性DNA送達技術は、例えば、参考文献101〜106に記載されている。核酸を含有する治療的組成物は、遺伝子療法プロトコールにおける局所投与のために約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与される。約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μgおよび約20μg〜約100μgの濃度範囲のDNAも、遺伝子療法プロトコールの際に使用してよい。作用方法(例えば、コードされる遺伝子産物のレベルを増強または阻害するための)、ならびに形質転換および発現の有効性などの因子は、最終的な有効性にとって必要な投与量に影響を及ぼす検討事項である。広い領域の組織にわたって、より高い発現が望まれる場合には、陽性の治療結果を達成するために、より多量のベクター、または投与の連続プロトコールでの同量の再投与、または種々の隣接する組織部分もしくは近接する組織部分への数回の投与が必要であり得る。すべての場合において、臨床試験における日常的な実験によって、最適な治療効果のための特定の範囲が決定される。
ベクターは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達してもよい。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルス起源のものであっても、非ウイルス起源のものであってもよい(概して、参考文献107〜110を参照のこと)。
所望の核酸の送達および所望の細胞における発現のためのウイルスベースのベクターは、当技術分野で周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルとして、それだけには限らないが、組換えレトロウイルス(例えば、参考文献111〜121)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67、ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373、ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923、ATCC VR−1250、ATCC VR 1249、ATCC VR−532);これらのウイルスのハイブリッドまたはキメラも使用してよい)、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニア、鶏痘、カナリアポックス、改変ワクシニアアンカラなど)、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、参考文献122〜127参照のこと)が挙げられる。死滅したアデノウイルスと連結しているDNA[128]の投与も使用してよい。
それだけには限らないが、死滅したアデノウイルス単独と連結しているか、または連結していないポリカチオン濃縮DNA[例えば、128]、リガンドが連結しているDNA[129]、真核生物細胞送達ビヒクル細胞[例えば、参考文献130〜134]および核酸(nucleic)電荷中和または細胞膜との融合を含む非ウイルス性送達ビヒクルおよび方法も使用してよい。裸のDNAも使用してよい。例示的な裸のDNA導入法は、参考文献135および136に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用し得るリポソーム(例えば、イムノリポソーム)が、参考文献137〜141に記載されている。さらなるアプローチは、参考文献142&143に記載されている。
使用するのに適したさらなる非ウイルス送達として、参考文献143に記載されるアプローチなどの機械的送達システムが挙げられる。さらに、コード配列およびこのようなものの発現生成物を、光重合されたヒドロゲル物質の沈着またはイオン化照射の使用によって送達してもよい[例えば、参考文献144&145]。コード配列の送達のために使用できる遺伝子送達のためのその他の従来法として、例えば、ハンドヘルド遺伝子導入パーティクルガンの使用[146]または導入された遺伝子を活性化するためのイオン化照射の使用[144&145]が挙げられる。
例えば、負の荷電表面を有するように(例えば、SDSを用いて処理)、または正の荷電表面を有するように(例えば、CTABなどのカチオン性洗浄剤を用いて処理)、場合により処理されていてもよい微小粒子への吸着による、PLG{ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)}微小粒子を使用するDNAの送達は、特に好ましい方法である。
(処置方法およびワクチンの投与)
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物の有効量を投与するステップを含む、哺乳動物において免疫応答を惹起する方法を提供する。免疫応答は、防御的であることが好ましく、抗体および/または細胞媒介性免疫を含むことが好ましい。本方法は、追加免疫反応を惹起し得る。
本発明はまた、医薬としての組み合わせ使用のために、例えば、哺乳動物において免疫応答の惹起において使用するための、少なくとも2つの異なるRrgBクレイドを提供する。
本発明はまた、哺乳動物における免疫応答の惹起のための、医薬の製造における少なくとも2つの異なるRrgBクレイドの使用を提供する。
これらの使用および方法によって、哺乳動物において免疫応答を惹起することによって、哺乳動物は、肺炎球菌疾患および/または感染に対して、例えば、肺炎球菌髄膜炎に対して防御できる。
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物を用いて予め充填した送達デバイスを提供する。
哺乳動物は、ヒトであることが好ましい。ワクチンが予防的使用のためである場合は、ヒトは、小児(例えば、幼児または乳児)または10代であることが好ましく、ワクチンが治療的使用のためである場合は、ヒトは、10代または成人であることが好ましい。小児用に意図されるワクチンはまた、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために成人に投与してもよい。
治療的処置の有効性を調べる1つの方法は、本発明の組成物の投与後の肺炎球菌感染をモニタリングすることを含む。予防的処置の有効性を調べる1つの方法は、標準試験において免疫化後血清を試験することを含む。例えば、血清は、防御的有効性を示す細菌をオプソニン化する能力を用いる、オプソニン作用死滅アッセイ(OPKA)において試験することができる。予防的処置の有効性を調べる別の方法は、肺炎球菌感染の動物モデル、例えば、モルモットまたはマウスにおける免疫化後チャレンジを含む。1つのこのようなモデルは、参考文献147に記載されている。本発明の組成物の免疫原性を評価する別の方法は、イムノブロットおよび/またはマイクロアレイによって患者の血清または粘膜分泌物をスクリーニングするために組換えによってポリペプチドを発現させることである。ポリペプチドと患者サンプルとの間の正の反応は、患者が、問題のポリペプチドに対する免疫応答を開始したことを示す。また、この方法を使用して、免疫優性抗原および/または抗原内のエピトープを同定してもよい。
本発明の組成物は、通常、患者に直接的に投与される。直接送達は、非経口注射によって(例えば、皮下に、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、または組織の間質性空間への)、または経粘膜的に、例えば、直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、経膣、局所、経皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)、鼻腔内、眼の、耳の、肺のまたはその他の粘膜投与によって達成され得る。
本発明を使用して、全身性および/または粘膜免疫を誘発、好ましくは、増強された全身性および/または粘膜免疫を誘発してもよい。
増強された全身性および/または粘膜免疫は、増強されたTH1および/またはTH2免疫応答に反映されることが好ましい。増強された免疫応答は、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの産生の増大を含むことが好ましい。
投与量は、単一用量スケジュールによるものであっても、複数用量スケジュールによるものであってもよい。複数用量は、一次免疫化スケジュールにおいて使用しても、および/または追加免疫化スケジュールにおいて使用してもよい。複数用量スケジュールでは、種々の用量が、同一または異なる経路、例えば、非経口の一次免疫および粘膜の追加免疫、粘膜の一次免疫および非経口の追加免疫などによって与えられ得る。複数用量は、通常、少なくとも1週間離して(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)投与される。一実施形態では、複数用量を、生後、およそ6週間、10週間および14週間で、例えば、世界保健機構の拡大予防接種計画(World Health Organisation’s Expanded Program on Immunisation(「EPI」))によってよく使用されるような、6週齢、10週齢および14週齢で投与してもよい。代替実施形態では、2回の一次免疫投与を、約2カ月離して、例えば、約7、8または9週間離して、続いて、1回または複数の追加免疫投与を、2回目の一次免疫投与の約6カ月から1年後に、例えば、2回目の一次免疫投与の約6、8、10または12カ月後に投与する。さらなる実施形態では、3回の一次免疫投与を、約2カ月離して、例えば、約7、8または9週間離して、続いて、1回または複数の追加免疫投与を、3回目の一次免疫投与の約6カ月から1年後に、例えば、3回目の一次免疫投与の約6、8、10または12カ月後に投与する。
本発明に従って調製されたワクチンを使用して、小児および成人の両方を処置してもよい。したがって、ヒト患者は、1歳未満、5歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳または少なくとも55歳であり得る。ワクチンを受け取るのに好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、好ましくは、≧65歳)、幼若者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍務関係者および軍人、妊婦、慢性疾患または免疫不全患者である。しかし、ワクチンは、これらの群だけに適しているわけではなく、より一般に、集団において使用され得る。
本発明によって製造されるワクチンは、その他のワクチンと実質的に同時に(例えば、同一医療相談または医療専門家もしくはワクチン接種センターへの訪問の際に)、例えば、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、b型H.influenzae結合ワクチン、不活化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合ワクチン(例えば、4価A−C−W135−Yワクチン)、RSウイルスワクチンなどと実質的に同時に患者に投与してもよい。
(組み合わせ)
免疫化に有用な組成物は、少なくとも2つのRrgBクレイドを、ハイブリッドポリペプチドとして、または別個のポリペプチドとして含む。さらに、組成物は、(i)肺炎球菌タンパク質に対する、特に、RrgB以外の肺炎球菌タンパク質に対する抗体反応を誘発する1つまたは複数のさらなるポリペプチド、(ii)肺炎球菌由来の莢膜糖類、および/または(iii)非肺炎球菌生物上のエピトープを認識する抗体反応を誘発する1つまたは複数のさらなる免疫原を含み得る。上で詳述されるように、これらのような組み合わせを含む本発明の組成物は、1つまたは複数のアジュバント、例えば、2つ以上のアジュバントを場合により含んでもよい。適したアジュバントとして、アルミニウム塩などの無機塩およびMF59などのスクアレン−水エマルジョンが挙げられる。
(さらなるポリペプチド抗原との組み合わせ[148])
1つまたは複数のクレイドに由来するRrgBポリペプチドを、(1)spr0057抗原、(2)spr0565抗原、(3)spr1098抗原、(4)spr1416抗原、(5)spr1418抗原、(6)spr0867抗原、(7)spr1431抗原、(8)spr1739抗原、(9)spr2021抗原、(10)spr0096抗原、(11)spr1707抗原、(12)spr1875抗原および/または(13)spr0884抗原からなる群より選択される1つまたは複数の(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個または13個すべて)ポリペプチド抗原と組み合わせてもよい。
同様に、1つまたは複数のクレイドに由来するRrgBポリペプチドを、(1)ClpP、(2)LytA、(3)PhtA、(4)PhtB、(5)PhtD、(6)PhtE、(7)ZmpB、(8)CbpD、(9)CbpG、(10)PvaA、(11)CPL1、(12)PspC、(13)PspA、(14)PsaA、(15)PrtA、(16)Sp133、(17)PiaA、(18)PiuA、(19)CbiOおよび/または(20)30Sリボソームタンパク質S8からなる群より選択される1つまたは複数の(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19個または20個すべて)ポリペプチド抗原と組み合わせてもよい。
これらのさらなる抗原は、別個のポリペプチドとして加えてもよい。代替として、それらは、ハイブリッド、例えば、spr0057−spr0096ハイブリッドまたはspr0096−spr2021ハイブリッド、spr0565−PhtDハイブリッドなどとして加えてもよい。さらなる代替として、それらは、RrgBポリペプチド配列と融合して、ハイブリッドポリペプチド、例えば、RrgB−spr0057ハイブリッドを提供しもよい。
例えば、2つまたは3つのRrgBクレイドを含むキメラRrgBポリペプチドを、(a)spr0057、spr0096およびspr2021の混合物、(b)spr0057、spr0565およびspr2021の混合物、(c)spr0057、spr0096およびspr0565の混合物、(d)spr0057、spr0096、spr0565およびspr2021の混合物、(e)spr1418、spr0884およびspr0096の混合物、(f)spr1418、spr0884およびspr2021の混合物、(g)spr1418、spr0884、spr0096およびspr2021の混合物、(h)spr0884、spr1416およびspr0057の混合物、(h)spr0884、spr1416およびspr0096の混合物、(h)spr0884、spr1416、spr0057およびspr0096の混合物、または(i)spr1418、spr1431およびspr0565の混合物と組み合わせてもよい。これらの混合物が、spr0057およびspr0096の両方を含む場合には、例えば、配列番号82を含むか(参考文献148の配列番号200参照のこと)、または配列番号83を含むハイブリッドタンパク質を使用してもよい。これらの混合物が、spr0096およびspr2021の両方を含む場合には、例えば、配列番号84を含む(参考文献148の配列番号205参照のこと)ハイブリッドタンパク質を使用してもよい。
さらなる実施例では、2つまたは3つのRrgBクレイドを含むキメラRrgBポリペプチドを、spr2021(SP2216とも呼ばれる)抗原、SP1732抗原、および場合により、PsaA抗原を含む肺炎球菌免疫原と組み合わせてもよい。この種類の適した肺炎球菌免疫原として、抗原「SP2216−1」(参考文献159中の配列番号1、本明細書では配列番号97)、「SP1732−3」(参考文献159中の配列番号2、本明細書では配列番号98)、場合により、PsaA(参考文献159中の配列番号3、本明細書では配列番号99)を含む参考文献159に開示される免疫原がある。これらの配列番号の免疫原性断片を含む、例えば、配列番号97&98の各々に由来する少なくとも1つの免疫原性断片を含むポリペプチドを、実際に開示される配列番号の代わりに使用してもよい。spr2021(SP2216)、SP1732、および場合により、PsaAの改変体を含む、例えば、配列番号97および98の各々に由来する少なくとも1つの改変体を含むポリペプチドも、実際に開示される配列番号の代わりに使用してもよい。この組み合わせの例として、参考文献159に開示される肺炎球菌免疫原の、以下に詳述されるキメラII−I−III(例えば、配列番号21)またはキメラIII−II−I(例えば、配列番号15)を含むキメラRrgBポリペプチドとの組み合わせが挙げられる。さらなる抗原を、別個のポリペプチドとして加えてもよい。代替として、それらを、ハイブリッド、例えば、spr2021−SP1732ハイブリッドまたはspr2021−SP1732−PsaAハイブリッドとして加えてもよい。さらなる代替として、それらを、RrgBポリペプチド配列、例えば、キメラRrgBポリペプチドと融合して、ハイブリッドポリペプチド、例えば、RrgB−spr2021−SP1732ハイブリッドを提供してもよい。上記で詳述されるように、これらなどの組み合わせを含む本発明の組成物は、場合により、1つまたは複数のアジュバントを含み得る。適したアジュバントとして、アルミニウム塩などの無機塩およびMF59などのスクアレン−水エマルジョンが挙げられる。
これらの組み合わせのいずれも、通常、キャリアタンパク質(複数可)に結合体化された、1つまたは複数の肺炎球菌莢膜糖類を含んでもよい。このような糖類および結合体についてのさらなる情報を以下に提供する。
もともとの「spr0057」配列は、参考文献149において「β−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ前駆体」として注釈をつけられた(GI:15902101参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr0057のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号23として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr0057ポリペプチドは、(a)配列番号23に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号23の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0057タンパク質は、配列番号23の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号23に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号23のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号23の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチドおよびソルターゼ認識配列を省いている配列番号38がある。別の適した断片として、N末端およびC末端の末端切断を有する配列番号24がある。配列番号27は、様々な野生型株に基づく配列番号24の改変体であり、本発明とともに使用するのに有用なspr0057配列である。
もともとの「spr0565」配列は、参考文献149において、「β−ガラクトシダーゼ前駆体」として注釈をつけられた(GI:15902609参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr0565のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号25として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号25に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号25の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0565タンパク質は、配列番号25の改変体(例えば、配列番号45、以下参照のこと)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号25に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号25のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号25の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチドおよびソルターゼ認識配列を省いている配列番号42がある。別の適した断片として、配列番号43および44がある。天然ポリペプチドが極めて長い(>2000個アミノ酸)ので、spr0565のこれらの短縮版は、特に有用である。
spr0565の改変体の形態は、本明細書では配列番号45である。免疫化のためのこの改変体の形態の使用は、参考文献150において報告されている(それにおいては、配列番号178)。したがって、有用なspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号45に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号45の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号45の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号45に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号45のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号45の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。配列番号45の免疫原性断片は、参考文献150の表1に同定されている。
もともとの「spr1098」配列は、参考文献149において「ソルターゼ」として注釈をつけられた(GI:15903141参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr1098のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号26として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1098ポリペプチドは、(a)配列番号26に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号26の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1098タンパク質は、配列番号26の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号26に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号26のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号26の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチド配列を省いている配列番号46がある。
もともとの「spr1416」配列は、参考文献149において、「仮説上のタンパク質」として注釈をつけられた(GI:15903459参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr1416のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号28として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1416ポリペプチドは、(a)配列番号28に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号28の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1416タンパク質は、配列番号28の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号28に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号28のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号28の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
もともとの「spr1418」配列は、参考文献149において「仮説上のタンパク質」として注釈をつけられた(GI:15903461参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr1418のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号29として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1418ポリペプチドは、(a)配列番号29に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号29の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1418タンパク質は、配列番号29の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号29に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号29のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号29の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
もともとの「spr0867」配列は、参考文献149において、「エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ」として注釈をつけられた(GI:15902911参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr0867のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号30として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr0867ポリペプチドは、(a)配列番号30に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号30の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0867タンパク質は、配列番号30の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号30に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号30のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号30の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチド配列を省いている配列番号48がある。
もともとの「spr1431」配列は、参考文献149において、「1,4−β−N−アセチルムラミダーゼ」として注釈をつけられた(GI:15903474参照のこと)。これは、「LytC」としても知られ、免疫化のためのその使用は、参考文献171において報告されている。参照目的で、R6株において見られる全長spr1431のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号31として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1431ポリペプチドは、(a)配列番号31に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号31の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1431タンパク質は、配列番号31の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号31に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号31のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号31の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチド配列を省いている配列番号49がある。
「spr1739」ポリペプチドは、ニューモリシンである(例えば、GI:15903781参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr1739のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号32として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1739ポリペプチドは、(a)配列番号32に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号32の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1739タンパク質は、配列番号32の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号32に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号32のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号32の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。ワクチン接種使用のためのニューモリシンの変異体の形態は、当技術分野では公知であり[183、151〜156]、これらの変異体の形態は本発明とともに使用してもよい。解毒化は、C末端の末端切断(例えば、参考文献157参照のこと)、例えば、34個のアミノ酸、45個のアミノ酸、7個のアミノ酸を欠失させることなど[158]によって達成できる。配列番号32に従って番号付けられたさらなる変異として、Pro325→Leu(例えば、配列番号50)および/またはTrp433→Phe(例えば、配列番号51)が挙げられる。これらの変異を、C末端の末端切断と組み合わせて、例えば、Pro325→Leu変異を、7マーの末端切断と組み合わせてもよい(例えば、配列番号52)。
もともとの「spr2021」配列は、参考文献149において、「一般的なストレスタンパク質GSP−781」として注釈がつけられた(GI:15904062参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr2021のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号33として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr2021ポリペプチドは、(a)配列番号33に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号33の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr2021タンパク質は、配列番号33の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号33に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号33のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号33の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチド配列を省いている配列番号53がある。参考文献150では、spr2021に、GbpBに対して相同性を有する分泌された45kDaタンパク質として注釈がつけられており、免疫原としてのその使用が開示されている(それにおいては、配列番号243、SP2216)。spr2021の免疫原性断片は、参考文献150の表1(73頁)に同定されている。spr2021の別の有用な断片は、参考文献159の配列番号1として開示されている(本明細書では配列番号33のアミノ酸28〜278;spr2021のこの有用な断片は、本明細書では配列番号97として提供される;SP2216−1)。
もともとの「spr0096」配列は、参考文献149において「仮説上のタンパク質」として注釈をつけられた(GI:15902140参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr0096のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号34として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr0096ポリペプチドは、(a)配列番号34に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号34の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0096タンパク質は、配列番号34の改変体(例えば、配列番号54、以下参照のこと)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号34に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号34のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号34の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
配列番号34に対して、そのC末端近傍に挿入物を有するspr0096の改変体の形態は、本明細書では配列番号54である。免疫化のためのこの改変体の使用は、参考文献150において報告されており(それにおいては、配列番号150)、それにおいては、LysMドメインタンパク質として注釈がつけられている。したがって、本発明とともに使用するためのspr0096は、(a)配列番号54に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号54の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号54の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号54に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号54のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号54の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。配列番号54の免疫原性断片は、参考文献150の表1に同定されている。
spr0096ポリペプチドは、二量体、例えば、ホモ二量体の形態で使用してもよい。
もともとの「spr1707」配列は、参考文献149では、「ABC輸送体基質結合性タンパク質−オリゴペプチド輸送」として注釈がつけられた(GI:15903749参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr1707のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号36として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号36に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号36の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1707タンパク質は、配列番号36の改変体(例えば、配列番号55、以下参照のこと)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号36に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号36のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号36の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
配列番号14とは、4個のアミノ酸が異なるspr1707の改変体の形態は、本明細書では配列番号55である。免疫化のための配列番号55の使用は、参考文献150において報告されている(それにおいては、配列番号220)。したがって、本発明とともに使用するためのspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号55に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号55の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号55の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号55に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号55のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号55の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。配列番号55の免疫原性断片は、参考文献150の表1に同定されている。
もともとの「spr1875」配列は、参考文献149において「仮説上のタンパク質」として注釈をつけられた(GI:15903916参照のこと)。参照目的で、R6株において見られる全長spr1875のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号35として示されている。本発明とともに使用するのに好ましいspr1875ポリペプチドは、(a)配列番号35に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号35の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1875タンパク質は、配列番号35の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号35に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号35のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号35の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
「spr0884」タンパク質は、プロテアーゼ成熟タンパク質としても知られる、ペプチジルプロリルイソメラーゼである。参照目的で、全長spr0884のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号37である。本発明とともに使用するのに好ましいspr0884ポリペプチドは、(a)配列番号37に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号37の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0884タンパク質は、配列番号37の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号37に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号37のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号37の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。1つの適した断片として、天然リーダーペプチド配列を省いている配列番号56がある。免疫化のためのspr0884の使用は、参考文献160において報告されている。
ClpPはATP依存性Clpプロテアーゼタンパク質分解サブユニットである。参照目的で、全長ClpPのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号58である。R6ゲノムでは、ClpPは、spr0656である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいClpPポリペプチドは、(a)配列番号58に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号58の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのClpPタンパク質は、配列番号58の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号58に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号58のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号58の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのClpPの使用は、参考文献161および162において報告されている。PspAおよびPsaAおよび/またはPspCと組み合わせて使用することが有利であり得る[161]。
LytAは、N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ(自己溶解素)である。参照目的で、全長LytAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号59である。R6ゲノムでは、LytAは、spr1754である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいLytAポリペプチドは、(a)配列番号59に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号59の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのLytAタンパク質は、配列番号59の改変体を含む(例えば、GI:18568354)。(b)の好ましい断片は、配列番号59に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号59のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号59の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのLytAの使用は、特に、異種プロミスキャス(promiscuous)Tヘルパーエピトープと融合しているLytAコリン結合ドメインを含む形態で、参考文献163に報告されている。
PhtAは、肺炎球菌ヒスチジン三組(triad)プロテインAである。参照目的で、全長PhtA前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号60である。R6ゲノムでは、PhtAは、spr1061である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPhtAポリペプチドは、(a)配列番号60に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号60の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtAタンパク質は、配列番号60の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号60に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号60のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号60の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPhtAの使用は、参考文献164および165において報告されている。
PhtBは、肺炎球菌ヒスチジン三組タンパク質Bである。参照目的で、全長PhtB前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号61である。残基578のXaaは、リシンであり得る。本発明とともに使用するのに好ましいPhtBポリペプチドは、(a)配列番号61に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号61の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtBタンパク質は、配列番号61の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号61に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号61のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号61の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPhtBの使用は、参考文献164、165および166において報告されている。
PhtDは、肺炎球菌ヒスチジン三組タンパク質Dである。参照目的で、全長PhtD前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号62である。R6ゲノムでは、PhtDは、spr0907である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPhtDポリペプチドは、(a)配列番号62に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号62の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtDタンパク質は、配列番号62の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号62に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号62のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号62の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPhtDの使用は、参考文献164、165および166において報告されている。
PhtEは、肺炎球菌ヒスチジン三組タンパク質Eである。参照目的で、全長PhtE前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号63である。R6ゲノムでは、PhtEは、spr0908である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPhtEポリペプチドは、(a)配列番号63に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号63の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtEタンパク質は、配列番号63の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号63に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号63のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号63の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPhtEの使用は、参考文献164および165において報告されている。
ZmpBは、亜鉛メタロプロテアーゼである。参照目的で、全長ZmpBのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号64である。R6ゲノムでは、ZmpBは、spr0581である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいZmpBポリペプチドは、(a)配列番号64に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号64の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのZmpBタンパク質は、配列番号64の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号64に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号64のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号64の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
CbpDは、コリン結合タンパク質Dである。参照目的で、全長CbpDのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号65である。R6ゲノムでは、CbpDは、spr2006である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいCbpDポリペプチドは、(a)配列番号65に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号65の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのCbpDタンパク質は、配列番号65の改変体を含む(例えば、配列番号66、以下参照のこと)。(b)の好ましい断片は、配列番号65に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号65のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号65の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのCbpDの使用は、参考文献171において報告されている。
配列番号65の改変体は、本明細書では配列番号66である。免疫化のための配列番号66の使用は、参考文献150において報告されている(それにおいては、配列番号241)。したがって、本発明と共に使用するためのCbpDポリペプチドは、(a)配列番号66に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号66の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸の断片(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのCbpDタンパク質は、配列番号66の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号66に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号66のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号66の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。配列番号66の免疫原性断片は、参考文献150の表1に同定されている。
CbpGは、コリン結合タンパク質Gである。参照目的で、全長CbpGのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号67である。R6ゲノムでは、CbpGは、spr0350である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいCbpGポリペプチドは、(a)配列番号67に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号67の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのCbpGタンパク質は、配列番号67の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号67に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号67のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号67の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのCbpGの使用は、参考文献171において報告されている。
PvaA(Streptococcus pneumoniae肺炎球菌ワクチン抗原A)は、sp101としても知られている。参照目的で、全長PvaAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号68である。R6ゲノムでは、PvaAは、spr0930である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPvaAポリペプチドは、(a)配列番号68に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号68の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPvaAタンパク質は、配列番号68の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号68に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号68のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号68の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPvaAの使用は、参考文献168および169において報告されている。
CPL1は、肺炎球菌ファージCP1リゾチームである。参照目的で、全長CPL1のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号69である。本発明とともに使用するのに好ましいCPL1ポリペプチドは、(a)配列番号69に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号69の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのCPL1タンパク質は、配列番号69の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号69に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号69のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号69の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのCPL1の使用は、特に、異種プロミスキャスTヘルパーエピトープと融合しているCPL1コリン結合ドメインを含む形態で、参考文献163に報告されている。
PspCは、肺炎球菌表面タンパク質Cであり[170]、コリン結合プロテインA(CbpA)としても知られている。免疫化のためのその使用は、参考文献168および171に報告されている。R6株では、spr1995であり、参照のために、全長spr1995のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号57である。本発明とともに使用するのに好ましいPspCポリペプチドは、(a)配列番号57に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号57の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1995タンパク質は、配列番号57の改変体を含む(例えば、配列番号71、以下参照のこと)。(b)の好ましい断片は、配列番号57に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号57のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号57の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
PspCの改変体は、「Hic」としても知られている。それは、参考文献172の図1に示されるようにPspCと同様であり、それにおいては、H因子(fH)と結合すると報告されている。参照目的で、全長Hicのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号71である。Hicタンパク質は、PspCポリペプチドに加えて、またはPspCポリペプチドの代わりに、本発明とともに使用してもよい。本発明とともに使用するのに好ましいHicポリペプチドは、(a)配列番号71に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号71の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのHicタンパク質は、配列番号71の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号71に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号71のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号71の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。PspCおよび/またはHicは、PspAおよび/またはPsaAと組み合わせて使用することが有利であり得る。
PspAは、肺炎球菌表面プロテインAである。参照目的で、全長PspAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号72である。R6ゲノムでは、PspAは、spr0121である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPspAポリペプチドは、(a)配列番号72に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号72の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPspAタンパク質は、配列番号72の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号72に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号72のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号72の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPspAの使用は、特に参考文献173において報告されている。PspCと組み合わせて投与することが有利であり得る。
PsaAは、肺炎球菌表面アドヘシンである。参照目的で、全長PsaAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号73である。本発明とともに使用するのに好ましいPsaAポリペプチドは、(a)配列番号73に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号73の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPsaAタンパク質は、配列番号73の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号73に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号73のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号73の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。PsaAの有用な断片は、参考文献159において配列番号3として開示されている(本明細書では、配列番号73のアミノ酸21〜309に対応する;PsaAのこの有用な断片は、本明細書では配列番号99として提供される)。免疫化のためのPsaAの使用は、参考文献174に報告されている。PspAおよび/またはPspCと組み合わせて使用してもよい。
PrtAは、細胞壁結合セリンプロテイナーゼである。sp128およびsp130としても知られており、スブチリシン様セリンプロテアーゼ中にある。参照目的で、全長PrtA前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号74である。R6ゲノムでは、PrtAは、spr0561である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPrtAポリペプチドは、(a)配列番号74に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号74の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPrtAタンパク質は、配列番号74の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号74に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号74のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号74の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPrtAの使用は、参考文献175および176、また参考文献168において報告されている。
Sp133は、保存された肺炎球菌抗原である。参照目的で、全長Sp133のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号75である。R6ゲノムでは、Sp133は、spr0931である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいSp133ポリペプチドは、(a)配列番号75に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号75の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのSp133タンパク質は、配列番号75の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号75に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号75のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号75の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのSp133の使用は、参考文献177において報告されている。
PiaAは、肺炎球菌による鉄獲得に関与している膜透過酵素である。参照目的で、全長PiaAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号76である。R6ゲノムでは、PiaAは、spr0935である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPiaAポリペプチドは、(a)配列番号76に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号76の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPiaAタンパク質は、配列番号76の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号76に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号76のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号76の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPiaAの使用は、特に、PiuAと組み合わせて、参考文献178、179および180に報告されている。
PiuAは、第二鉄輸送のためのABC輸送体基質結合タンパク質である。FatBとしても知られている。参照目的で、全長PiuAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号77である。R6ゲノムでは、PiuAは、spr1687である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいPiuAポリペプチドは、(a)配列番号77に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号77の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのPiuAタンパク質は、配列番号77の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号77に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号77のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号77の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。免疫化のためのPiuAの使用は、特に、PiaAと組み合わせて、参考文献178〜180において報告されている。
CbiOは、コバルト輸送体ATP結合サブユニットとして注釈がつけられている。参照目的で、全長CbiOのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号78である。R6ゲノムでは、CbiOは、spr2025である[149]。免疫化のためのCbiOの使用は、参考文献181において報告されている(それにおいては、「ID2」)。本発明とともに使用するのに好ましいCbiOポリペプチドは、(a)配列番号78に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号78の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのCbiOタンパク質は、配列番号78の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号78に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号78のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号78の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
参照目的で、30Sリボソームタンパク質S8のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号79である。R6ゲノムでは、S8サブユニットは、spr0203である[149]。本発明とともに使用するのに好ましいS8ポリペプチドは、(a)配列番号79に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号79の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのS8タンパク質は、配列番号79の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号79に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号79のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号79の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
SP1732は、膜結合性セリン/トレオニンキナーゼ、StkPである。659個のアミノ酸を含むSP1732の配列は、参考文献150において配列番号214として同定されている。「SP 1732−3」と呼ばれる、この配列の例示的断片は、参考文献159において配列番号2として同定されている。参照目的で、SP 1732−3のアミノ酸配列が、本明細書では配列番号98として提供されている。本発明とともに使用するのに好ましいSP1732ポリペプチドは、(a)配列番号98に対して60%以上の同一性(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれ以上)を有し、および/または(b)配列番号98の少なくとも「n個」の連続するアミノ酸(ここで、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である)の断片を含むアミノ酸配列を含む。これらのSP1732タンパク質は、配列番号98の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号98に由来するエピトープを含む。その他の好ましい断片は、配列番号98のC末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)および/またはN末端から1個または複数のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個またはそれ以上)を欠き、一方で、配列番号98の少なくとも1つのエピトープを保持する。その他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを省いている。
(肺炎球菌糖類との組み合わせ)
1つまたは複数のクレイドに由来するRrgBポリペプチドは、通常、キャリアタンパク質(複数可)に結合体化された、1つまたは複数の肺炎球菌莢膜糖類と組み合わせてもよい。したがって、本発明は、
(1)混合物またはハイブリッドとしての、上記で論じられる少なくとも2つのRrgBクレイドの組み合わせと、
(2)1つまたは複数の肺炎球菌莢膜糖類と
の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。
この組み合わせの成分(2)において使用される糖類は、理想的には、糖類部分と、キャリアタンパク質部分とを含む結合体として存在する。結合体中のキャリア部分は、単一のRrgBポリペプチド、ハイブリッドRrgBポリペプチド、非RrgB肺炎球菌ポリペプチドまたは非肺炎球菌ポリペプチドであり得る。
糖類は、肺炎球菌の莢膜糖類に由来するものである。糖類は、細菌からの糖類の精製の際に生じる大きさを有する多糖であり得、またはこのような多糖の断片化によって達成されるオリゴ糖であり得る。7価のPREVNARTM製品では、例えば、糖類のうちの6つは、無傷の多糖として提示され、一方で、1つ(18C血清型)は、オリゴ糖として提示される。
組成物は、以下の肺炎球菌血清型のうちの1つまたは複数に由来する莢膜糖類を含み得る:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび/または33F。組成物は、複数の血清型、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23個またはそれ以上の血清型を含み得る。23価の非結合体化組み合わせと同様に、7価、9価、10価、11価および13価の結合体化組み合わせがすでに当技術分野で公知である。
例えば、10価の組み合わせは、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fに由来する糖類を含み得る。11価の組み合わせは、血清型3に由来する糖類をさらに含み得る。12価の組み合わせには、10価の混合物に、血清型6Aおよび19A、6Aおよび22F、19Aおよび22F、6Aおよび15B、19Aおよび15B、r22Fおよび15Bが加えられてもよい。13価の組み合わせには、11価の混合物に、血清型19Aおよび22F、8および12F、8および15B、8および19A、8および22F、12Fおよび15B、12Fおよび19A、12Fおよび22F、15Bおよび19A、15Bおよび22Fなどが加えられてもよい。1つの有用な13価の組み合わせは、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19、19Fおよび23Fに由来する莢膜糖類を含む。糖類が封入される場合には、血清型1、5および14のうちの1、2または3つを含むことが好ましい。
結合体中のキャリアタンパク質は、(1)のRrgB抗原のうちの1つであっても、そうでなくてもよい。RrgB抗原ではない場合には、代わりに、spr0057、spr0096およびspr2021などまたはニューモリシン[182]もしくはその非毒性誘導体[183]または肺炎球菌表面タンパク質PspA[184]といった様々な肺炎球菌抗原であり得る。いくつかの実施形態では、キャリアは肺炎球菌抗原ではなく、例えば、細菌毒素またはトキソイドであり得る。通常のキャリアタンパク質として、ジフテリアまたは破傷風トキソイドまたはその変異体がある。CRM197ジフテリア毒素変異体[185]は、有用であり、PREVNARTM製品中のキャリアである。その他の適したキャリアタンパク質として、N.meningitidis外膜タンパク質複合体[186]、合成ペプチド[187、188]、熱ショックタンパク質[189、190]、百日咳タンパク質[191、192]、サイトカイン[193]、リンホカイン[193]、ホルモン[193]、増殖因子[193]、種々の病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+T細胞エピトープ[194]を含む人工タンパク質、例えば、N19[195]、H.influenzae由来のタンパク質D[196〜198]、鉄取り込みタンパク質[199]、C.difficile由来の毒素AまたはB[200]、組換えP.aeruginosaエキソプロテインA(rEPA)[201]などが挙げられる。
組成物が、2つ以上の結合体を含む場合には、各結合体は、同一のキャリアタンパク質を使用してもよく、異なるキャリアタンパク質を使用してもよい。参考文献202には、多価肺炎球菌結合体化ワクチンにおいて異なるキャリアタンパク質を使用する場合の潜在的利点が記載されている。
いくつかの実施形態では、単一結合体が、複数の血清型に由来する糖類を保持し得る[203]。しかし、通常、各結合体は、単一の血清型に由来する糖類を含む。
結合体は、過剰のキャリア(w/w)または過剰の糖類(w/w)を有し得る。いくつかの実施形態では、結合体は、等しい重量の各々を含み得る。
キャリア分子は、キャリアと直接的に、またはリンカーを介して共有結合によって結合体化され得る。タンパク質との直接結合は、例えば、参考文献204および205に記載されるように、例えば、糖類とキャリアとの間の還元的アミノ化によって達成され得る。糖類は、まず、例えば、酸化によって活性化されることが必要であり得る。リンカー基を介した結合は、任意の公知の手順、例えば、参考文献206および207に記載される手順を使用して行ってよい。好ましい種類の結合はアジピン酸リンカーがあり、これは、遊離−NH2基(例えば、アミノ化によってグルカンに導入された)を、アジピン酸とカップリングすること(例えば、ジイミド活性化を使用して)、次いで、タンパク質を得られた糖類−アジピン酸中間体にカップリングすることによって形成され得る[208、209]。別の好ましい種類の結合として、カルボニルリンカーがあり、これは、CDIと糖類の遊離ヒドロキシル基[210、211]の反応と、それに続く、カルバメート結合を形成するタンパク質との反応によって形成され得る。その他のリンカーとして、β−プロピオンアミド[212]、ニトロフェニル−エチルアミン[213]、ハロゲン化ハロアシル[214]、グリコシド結合[215]、6−アミノカプロン酸[216]、ADH[217]、C4〜C12部分[218]などが挙げられる。カルボジイミド縮合も使用してよい[219]。
(非肺炎球菌抗原との組み合わせ)
RrgBクレイドの組み合わせは、非肺炎球菌抗原との組み合わせにおいて使用してもよい。したがって、本発明は、
(1)混合物またはハイブリッドとしての上記で論じられた少なくとも2つのRrgBクレイドの組み合わせ、および
(2)ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、1つまたは複数の百日咳抗原、B型肝炎ウイルス表面抗原、不活化ポリオウイルス抗原、B型Haemophilus influenzae由来の莢膜糖類抗原の結合体、Neisseria meningitidisの血清群C由来の莢膜糖類抗原の結合体、Neisseria meningitidisの血清群Y由来の莢膜糖類抗原の結合体、Neisseria meningitidisの血清群W135由来の莢膜糖類抗原の結合体、およびNeisseria meningitidisの血清群A由来の莢膜糖類抗原の結合体からなる群より選択される1つまたは複数の抗原
の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。
ジフテリアトキソイドは、Corynebacterium diphtheriae由来のジフテリア毒素を処理することによって(例えば、ホルムアルデヒドを使用して)得ることができる。ジフテリアトキソイドは、例えば、参考文献220の第13章に、より詳細に開示されている。
破傷風トキソイドは、Clostridium tetani由来の破傷風菌毒素を処理することによって(例えば、ホルムアルデヒドを使用して)得ることができる。破傷風トキソイドは、参考文献220の第27章に、より詳細に開示されている。
ワクチン中の百日咳抗原は、細胞性(全細胞、Pw)または無細胞性(Pa)のいずれかである。本発明は、いずれかの種類の百日咳抗原を使用してよい。細胞性百日咳抗原の調製は、十分に記述されている(例えば、参考文献220の第21章を参照のこと)。例えば、B.pertussisの第I相培養物の熱不活性化によって得てもよい。無細胞性百日咳抗原(複数可)は、天然の細菌から精製されたか、または組換え宿主における発現後に精製されたかのいずれかの、特定の精製されたB.pertussis抗原を含む。2つ以上の無細胞性抗原を使用することが普通であり、そのため、組成物は、以下の周知の、十分に特性決定されたB.pertussis抗原のうちの1、2または3つを含み得る:(1)解毒化された百日咳毒素(百日咳トキソイドまたは「PT」)、(2)線維状血球凝集素(「FHA」)、(3)ペルタクチン(「69キロダルトン外膜タンパク質」としても知られている)。FHAおよびペルタクチンは、本発明に従って使用する前に、ホルムアルデヒドを用いて処理してもよい。PTは、ホルムアルデヒドおよび/またはグルタルアルデヒドを用いて処理することによって解毒化され得るが、この化学的解毒化手順の代替として、変異誘発によって酵素活性が低減されている変異体PTであってもよい[221]。使用してもよいさらなる無細胞性百日咳抗原として、線毛(例えば、凝集原2および3)が挙げられる。
B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)は、B型肝炎ウイルスのカプシドの主要成分である。Saccharomyces cerevisiaeなどの酵母において組換え発現によって産生されることが好都合である。
不活化ポリオウイルス(IPV)抗原は、細胞培養物で増殖させられ、次いで、不活化させた(例えば、ホルムアルデヒドを使用して)ウイルスから調製される。参考文献220の第24章に説明されるように、3つのポリオウイルスのうちの1つによってポリオが引き起こされ得るので、組成物は、3つのポリオウイルス抗原:ポリオウイルス1型(例えば、Mahoney株)、ポリオウイルス2型(例えば、MEF−1株)およびポリオウイルス3型(例えば、Saukett株)を含み得る。
組成物が、成分(2)中に、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドまたは無細胞性百日咳抗原のうちの1つを含む場合は、それらのうちの3つすべてを含むことが普通となる。すなわち、成分(2)は、D−T−Paの組み合わせを含むこととなる。
組成物が、成分(2)中に、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドまたは細胞性百日咳抗原のうちの1つを含む場合は、それらのうちの3つすべてを含むことが普通となる。すなわち、成分(2)は、D−T−Pwの組み合わせを含むこととなる。
特に目的とする免疫原性組成物は、(i)混合物またはハイブリッドとしての上記で論じられる少なくとも2つのRrgBクレイド、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、全細胞百日咳抗原、B型Haemophilus influenzae莢膜糖類の結合体およびHBsAgの組み合わせ、(ii)混合物またはハイブリッドとしての上記で論じられる少なくとも2つのRrgBクレイド、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、無細胞性百日咳抗原(複数可)、B型Haemophilus influenzae莢膜糖類の結合体およびHBsAgの組み合わせ、(iii)混合物またはハイブリッドとしての上記で論じられる少なくとも2つのRrgBクレイド、ならびに髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYのうちの1つまたは複数に由来する結合体(複数可)の組み合わせ、(iv)混合物またはハイブリッドとしての上記で論じられる少なくとも2つのRrgBクレイドならびに髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYのすべてに由来する結合体の組み合わせ、(v)混合物またはハイブリッドとしての上記で論じられる少なくとも2つのRrgBクレイドおよび外膜小胞抗原などの髄膜炎菌血清群B抗原の組み合わせ、および/または参考文献222に開示される組み合わせを含む。
(抗体)
肺炎球菌抗原に対する抗体を、受動的免疫化に使用してもよい[223]。したがって、本発明は、(a)上記で定義される第1のアミノ酸配列を認識する抗体、(b)上記で定義される第2のアミノ酸配列を認識する抗体、および/または(c)上記で定義される第3のアミノ酸配列を認識する抗体のうちの少なくとも2つを含む、同時投与、別個の投与または逐次投与のための抗体の組み合わせを提供する。
本発明はまた、治療におけるこのような抗体の組み合わせの使用も提供する。本発明はまた、医薬の製造におけるこのような抗体の組み合わせの使用を提供する。本発明はまた、哺乳動物に、このような組み合わせの有効量を投与するステップを含む、哺乳動物を処置するための方法を提供する。免疫原性組成物について上に記載されるように、これらの方法および使用によって、哺乳動物が、肺炎球菌感染から保護されることが可能となる。
用語「抗体」は、無傷の免疫グロブリン分子ならびに抗原と結合できるその断片を含む。これらの分子として、ハイブリッド(キメラ)抗体分子[224、225]、F(ab’)2およびF(ab)断片およびFv分子、非共有結合へテロ二量体[226、227]、一本鎖Fv分子(sFv)[228]、二量体および三量体の抗体断片構築物、ミニボディー[229、230]、ヒト化抗体分子[231〜233]、およびこのような分子から得られた任意の機能的断片ならびにファージディスプレイなどの非従来的プロセスによって得られる抗体が挙げられる。抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。モノクローナル抗体を得る方法は、当技術分野で周知である。ヒト化または完全ヒト抗体が好ましい。
(一般)
本発明の実施は、特に断りのない限り、当技術分野の技術の範囲内の、化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来法を使用する。このような技術は、文献において十分に説明されている。例えば、参考文献234〜241などを参照のこと。
上記の「GI」番号付けが使用される。GI番号または「GenInfo識別子」は、配列がそのデータベースに加えられたときに、NCBIによって処理された各配列記録に連続して割り当てられた一連の数字である。GI番号は、配列記録のアクセッション番号とは類似性を有していない。配列が更新されると(例えば、訂正のために、またはより多くの注釈もしくは情報を加えるために)、新しいGI番号を受け取る。したがって、所与のGI番号と関連している配列は決して変化しない。
本発明が、「エピトープ」に関する場合は、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであり得る。このようなエピトープは、経験的に同定することができ(例えば、PEPSCAN[242、243]または同様の方法を使用して)、または、それらは、予測され得る(例えば、Jameson−Wolf抗原指数[244]、マトリックスベースのアプローチ[245]、MAPITOPE[246]、TEPITOPE[247、248]、ニューラルネットワーク[249]、OptiMer&EpiMer[250、251]、ADEPT[252]、Tsites[253]、親水性[254]、抗原指数[255]または参考文献256〜260に開示される方法などを使用して)。エピトープは、抗体の抗原結合部位またはT細胞受容体によって認識され、それらと結合する抗原の部分であり、それらは、「抗原決定基」と呼ばれることもある。
用語「含む(comprising)」は、「含有する(including)」ならびに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、全くXのみからなる場合も、追加の何か、例えば、X+Yを含有する場合もある。
語句「実質的に」は、「完全に」を排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない場合もある。必要に応じて、語句「実質的に」は、本発明の定義から省かれ得る。
数値xに関連して、用語「約」とは、任意選択であり、例えば、x±10%を意味する。
特に断りのない限り、2つ以上の成分を混合するステップを含むプロセスは、特定の順序の混合を全く必要としない。したがって、成分は、任意の順序で混合してよい。3つの成分がある場合は、2つの成分を互いに混合してよく、次いで、その組み合わせを、第3の成分などと組み合わせてもよい。
抗体は、通常、その標的に対して特異的となる。したがって、それらは、標的に対して、ウシ血清アルブミンなどの無関係の対照タンパク質に対してよりも、高い親和性を有する。
2つのアミノ酸配列間の配列同一性百分率に対する言及は、アラインメントされた場合に、その百分率のアミノ酸が、比較している2つの配列において同一であることを意味する。このアラインメントおよび相同性または配列同一性パーセントは、当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、参考文献261の7.7.18節に記載されるものを使用して決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップオープンペナルティーおよび2のギャップ伸長ペナルティー、62のBLOSUMマトリックスを用いるアフィンギャップ検索を使用するSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献262に開示されている。
(発明を実施するための様式)
(RrgBキメラの構築)
肺炎球菌では、2つの異なる線毛が同定されている[2]:PI−1およびPI−2。ノックアウト研究によって、PI−2の喪失は、ほとんど影響がなかったが、PI−1の喪失は、株のコロニー形成能力を低下させ、ひいては、低度の菌血症および低い肺洗浄力価につながったことが示された。したがって、PI−1を遮断することは、PI−2を遮断することよりも良好な、肺炎球菌疾患からの保護の見通しを有する。
PI−1 RrgBタンパク質は、3つの異なるクレイドを有する。45個の異なる株において15個の異なるRrgBアミノ酸配列が見られ、図9は、それらの関係性を示す。野生型配列は、各クレイド内で≧98%保存されている。RrgBタンパク質は、相同株(クレイド内)に対しては保護するが、異なるクレイドに由来するRrgBを有する株(クレイド間)に対しては保護できない免疫応答を誘発することがわかった。したがって、複数のRrgBクレイドを単一組成物中に組み合わせ、それによって株適用範囲のスペクトルを増大させることを決定した。
配列番号1、2および3は、株TIGR4、Finland6B−12およびTaiwan23F−15に由来するRrgBの全長によってコードされる配列である。これら3つのタンパク質のキメラを構築するために、そのN末端およびC末端を末端切断して、配列番号4、5および6を得た。この手順では、制限酵素NheI、BamHIおよびXhoIを使用した。これらの断片を結合してキメラを作製するために、Gly−SerまたはLeu−Glyジペプチドのいずれかと、それに続く配列番号7からなるリンカーの配列番号8および10を使用した。これらのリンカーは、断片の連結にとって好都合な制限部位を提供する。キメラのN末端は、Met−Ala−Serとして提供され、C末端は、Leu−Glyジペプチドと、それに続く、精製を容易にするためのヘキサHisタグ(配列番号9)であった。
6つのキメラを構築し、以後は、以下のように呼んだ。
RrgB I−II−III=配列番号11
RrgB I−III−II=配列番号13
RrgB III−II−I=配列番号15
RrgB III−I−II=配列番号17
RrgB II−III−I=配列番号19
RrgB II−I−III=配列番号21
I−III−IIキメラ(配列番号13)を除いて、発現されたキメラは、205kDaの分子量を有しており、大腸菌において可溶性形態で発現され得、可溶性タンパク質から精製された。例えば、図3は、90%の純度を有する1.6mg/mlでのI−II−IIIキメラのゲルを示す。
(有効性試験)
キメラの有効性を調べるために、肺炎球菌疾患の種々のモデル系を使用した。
腹腔内感染のマウスモデルでは、抗原を腹腔内に投与し、チャレンジは、腹腔内とした。6週齢の、特定の病原体を含まない雌性のBALB/cまたはCD1マウスを、0、14および28日目に腹腔内で免疫化した。免疫化は、水酸化アルミニウムまたはフロイントのアジュバントとともに、単一の組換えタンパク質(20μg/マウス)を使用して、またはそれらの組み合わせを用いて(各々10μg/マウス)行った。対照には、同一過程で生理食塩水およびアジュバントを与えた。次いで、マウスを、致死用量のTIGR4(通常のチャレンジ用量 約1×102CFU/マウス)、Finland6B−12(約2.×104CFU/マウス)または35B−SME15(約1×104CFU/マウス)を用いて腹腔内でチャレンジした。これら3つの株は、それぞれ、RrgBクレイドI、IIまたはIIIを発現し、TIGR4株は極めて毒性である。免疫化の有効性は、菌血症(感染の5および/または24時間後に)および死亡率(細菌のチャレンジ後、少なくとも10日間モニタリングされる)に対するワクチン接種の効果を評価することによって試験する。
静脈内感染のモデルでは、抗原を腹腔内に投与し、チャレンジは、静脈内とした。5週齢のCD1またはBALB/cマウスを、0、14および28日目に腹腔内で免疫化した。免疫化は、フロイントのアジュバントとともに、組換えタンパク質を個別に使用して(20μg/マウス)またはそれらの組み合わせを用いて(各々10μg/マウス)行った。対照には、同一過程で生理食塩水およびアジュバントを与えた。次いで、マウスを、致死用量のTIGR4(通常のチャレンジ用量 約5×106CFU/マウス)、Finland6B−12(約2×107CFU/マウス)または35B−SME15(約5×107CFU/マウス)を用いて静脈内でチャレンジした。ワクチン候補物の有効性は、菌血症(感染の48時間後)および死亡率(感染株に応じて、細菌のチャレンジ後10日間またはそれ以上モニタリングされる)に対するワクチン接種の効果を評価することによって試験する。
例えば、CD1マウスを、キメラを用いて免疫化し、次いで、TIGR4を用いてチャレンジした。図1は、チャレンジ後の菌血症を示す。幾何平均CFUは、対照群に対するU検定比較とともに以下のとおりであった。
図2は、チャレンジ後の死亡率を示す。日数での生存期間中央値は以下のとおりであった。
図30〜33は、20μgのIII−II−Iキメラを用いて腹腔内で免疫化されたマウスの菌血症および死亡率アッセイの結果を示す。図30は、TIGR4を用いるi.v.チャレンジのデータを示し、図31は、TIGR4を用いるi.p.チャレンジのデータを示し、図32は、35B−SME15を用いるi.v.チャレンジのデータを示し、図33は、6B Finland 12を用いるi.v.チャレンジのデータを示す。
以下の表は、それぞれ、クレイドI、IIまたはIIIのRrgBを発現する3つの異なる株を用いるチャレンジの、2つの異なるモデルにおいて得られた結果を要約するものである。
したがって、異なるクレイドのRrgBの組み合わせによって、単一のRrgB抗原よりも、肺炎球菌株に対する広い適用範囲が可能となる。
さらなる試験では、RrgBキメラにアラムを用いてアジュバント添加し、TIGR4腹腔内チャレンジに対する保護について試験した。キメラI−II−IIIおよびIII−II−Iは、菌血症に対して高度に保護的であり、III−II−Iキメラはまた、生存の点で保護的であった(図7)。
さらなる試験では、4つの異なるキメラ(I−II−III、III−II−I、II−III−I、II−I−III)のうちの1つを用いた腹腔内免疫化後の鼻腔内チャレンジを使用した。すべてのキメラが、鼻腔内TIGR4チャレンジ後の菌血症を低減することへの有効性または傾向を示した。II−III−Iキメラは、T4チャレンジの際に、菌血症の良好な低減および生存増大の有意ではない傾向を与えた。PsaA対照は、菌血症または死亡率のいずれかによって評価される有効性をほとんど示さなかったが、II−III−Iキメラは、菌血症を低減させ、生存を増大させた。図13は、20μgのキメラを用いて腹腔内で免疫化され(0−14−28日目)、TIGR4を用いて鼻腔内でチャレンジされたBalB/cマウスにおける、24時間菌血症アッセイにおける(図13A)および死亡率アッセイ(図13B)におけるRrgB III−II−Iキメラの結果を示す。
全5個のRrgBキメラに対する抗体はまた、OPKAにおける肺炎球菌のインビトロ死滅を媒介するとわかった。例えば、図8は、TIGR4株に対する結果を示す。図10は、OPKAアッセイ(0、21および35日目に100μgの各キメラを用いて皮下に免疫化されたウサギ)における、S.pneumoniae血清型6Bに対する結果を示し、これは、死滅百分率の相違が、5つのキメラ間で観察されないこと、およびキメラは、結合体ワクチンPCV7に匹敵する死滅を示すことを示す。図11は、死滅が特異的で、抗体濃度に依存することを示し、これは、希釈を1/131220まで増大させることによって、死滅百分率が、正の対照と同様に、試験されたキメラ曲線において低下するということを示す。
図12は、III−II−Iキメラ(i.p.免疫化され、35B−SME15を用いてi.p.チャレンジされた)を使用する、48時間菌血症(図12A)および死亡率(図12B)アッセイは、異なるキメラ用量(2μgおよび20μg)を使用する場合に同程度であることを示す。
図14は、RrgB III−II−Iキメラが、MF59アジュバントを使用して、20μgのキメラを用いて腹腔内で免疫化され(0−14−28日)、鼻腔内で(intransally)チャレンジされたBalB/cマウスにおいて保護的であることを示す。
図15は、RrgB III−II−Iキメラが、皮下で免疫化され、TIGR4を用いて腹腔内でチャレンジされたBalB/cマウス(130CFU/マウス)において、皮下免疫化の際に保護的であることを示す。図15Aは、24時間菌血症アッセイを示し、図15Bは、死亡率アッセイを示す。
図16は、24時間菌血症アッセイにおいて、正常ウサギ血清(NRS)対照と比較して、RrgB III−II−Iキメラが、受動的防御研究において機能的抗体の産生を誘発することを示す。
図17は、抗体が、3つのクレイドの株に対するOPAにおいて機能的であることを示し、図18は、OPA活性が、具体的には、RrgB III−II−Iキメラに対する抗体によるものであることを示す。
図19は、単一(sible)RrgBドメインが、インビボで保護を付与することを示す。具体的には、データは、RrgB D1ドメインまたはRrgB D4ドメインを用いて免疫化した(i.p.免疫化20μg、0−14−28日;TIGR4 100CFUを用いるi.p.チャレンジ)BalB/cマウスの生存%を示す。
図23は、種々の組み合わせのさらなるポリペプチド抗原と組み合わせた場合の(アラムを含む20μg抗原;i.p.免疫化され、6B−Finland 1.2E+08 CFU/マウスを用いてi.v.チャレンジされた)、III−II−Iキメラを使用する48時間菌血症(図23A)および死亡率(図23B)アッセイを示す。(A)および(B)の両方において、列1は、spr0057、spr0096およびspr2021の組み合わせを示し、列2は、SP2216−1、SP1732−3およびPsaAの組み合わせを示し、列3は、RrgB III−II−Iキメラを示し、列4は、spr0057、spr0096およびspr2021と組み合わせたRrgB III−II−Iキメラを示し、列5は、SP2216−1、SP1732−3およびPsaAと組み合わせたRrgB III−II−Iキメラを示し、列6は、アラム対照を示す。これらのデータは、SP2216−1、SP1732−3およびPsaAの組み合わせの有効性が、RrgBキメラと組み合わされた場合に有意に増大することを示す。
図24は、種々の組み合わせのさらなるポリペプチド抗原と組み合わせた場合の、III−II−Iキメラを使用する、48時間菌血症(図24A)および死亡率(図24B)アッセイを示す。(アラムを含む20μg抗原;i.p.免疫化され、35B−SME15 5.2E+07 CFU/マウスを用いてi.v.チャレンジされた)。(A)および(B)の両方において、列1は、spr0057、spr0096およびspr2021の組み合わせを示し、列2は、SP2216−1、SP1732−3およびPsaAの組み合わせを示し、列3は、RrgB III−II−Iキメラを示し、列4は、spr0057、spr0096およびspr2021と組み合わされたRrgB III−II−Iキメラを示し、列5は、SP2216−1、SP1732−3およびPsaAと組み合わされたRrgB III−II−Iキメラを示し、列6は、アラム対照を示す。これらのデータは、RrgB III−II−IキメラおよびRrgB III−II−Iキメラのその他の抗原との組み合わせはすべて保護的であることを示す。
図25は、タグのないIII−II−Iキメラおよびアラム対照と比較した、ポリヒスチジンタグを含有するIII−II−Iキメラを使用するBALB/cマウスにおける、(A)24時間菌血症アッセイおよび(B)死亡率データ(i.p.免疫化、TIGR4 2.1E+02 CFU/マウスを用いるi.p.チャレンジ)を示す。これらのデータは、hisタグをつけた、およびタグのないキメラの両方とも、菌血症および生存率両方の点でTIGR4に対して有意に保護することを示し、タグのないキメラは、最も有意な保護を示す。図26は、同様のデータ、すなわち、タグのないIII−II−Iキメラおよびアラム対照と比較した、さらにspr0057、spr0096およびspr2021抗原の組み合わせ、spr0057、spr0096およびspr2021抗原のタグのないIII−II−Iキメラとの組み合わせと比較した、ポリヒスチジンタグを含有するIII−II−Iキメラを使用する、BALB/cマウスにおける24時間菌血症アッセイ(i.p.免疫化、TIGR4 1.6E+02 CFU/マウスを用いるi.p.チャレンジ)を示す。図27および28は、35B−SME15(図27)および6BFinland12(図28)を用いるi.v.チャレンジのデータを示し、タグのないIII−II−Iキメラが、35B−SME15および6BFinland12i.v.チャレンジに対して、hisタグをつけたIII−II−Iキメラと同様の保護有効性を示したことを示す。同様に、図29は、タグのない、およびhisタグをつけたIII−II−Iキメラの両方が、i.v.TIGR4チャレンジに対して保護的であることを示す。
図34は、線毛を過剰発現するTIGR4チャレンジ株を、極めて少量の線毛のみを発現するチャレンジ株と比較する、III−II−Iキメラの48時間菌血症および死亡率アッセイの結果を示す。これらのデータは、線毛が過剰発現される場合も、線毛が極めて低レベルでのみ存在する場合も保護が極めて良好であることを示す。図35は、線毛を過剰発現する6BFinl12チャレンジ株(図35A)を、線毛を低発現する6BFinl12チャレンジ株(図35B)と比較する、III−II−IおよびII−I−IIIキメラ両方についての同様の菌血症データを示す。キメラは、線毛を過剰発現する株および低発現する株の両方に対して有意な保護を示す。
(抗菌剤耐性)
図36は、線毛−1が、抗生物質に対して感受性である株と比較して、抗生物質に対して耐性である(エリスロマイシン耐性、ペニシリン耐性および多剤耐性)肺炎球菌株においてより一般に存在するということを示す。線毛−1の存在と抗生物質耐性との間には有意な関連がある。抗生物質耐性株における線毛−1の存在の増大はまた、多剤耐性PMEN株収集物において観察された(データは示していない)。これらのデータは、複数のRrgBクレイドを含む免疫原性組成物を使用する線毛−1に対する免疫化が、抗生物質処置に対して耐性である肺炎球菌、例えば、エリスロマイシン耐性株、ペニシリン耐性株および多剤耐性株に対する保護というさらなる利点を有することを示唆する。
(モノクローナル抗体)
モノクローナル抗体は、TIGR4由来のRrgBに対して生じさせた。4つのmAbを、より詳細に研究した(23B8/B6、23F8/10、23E1/A9および30A8/A8と名づけられた)。23B8/B6および23F8/10は、TIGR4由来の全長RrgBと、D1ドメイン断片と、また、D1−D2−D3断片と結合したが、D4断片とは結合しなかった。逆に、23E1/A9は、全長タンパク質、またD4ドメイン断片(すなわちD4断片)と結合したが、D1−D2−D3断片とは結合しなかった。30A8/A8は、全長RrgBタンパク質と結合したが、ドメイン断片のいずれとも結合しなかった。mAbは、Finland6B−12または23F株由来のRrgBタンパク質と結合しなかったが、それらは発現させられた5つのキメラすべてと結合した。結合結果は、図5に示され、RrgBが、ハイブリッド形態中にエピトープを保持することが確認される。
図4Aに示されるように、4つの試験された抗TIGR4 mAbの各々が、受動的防御試験において菌血症を低減でき、最良の結果は、23F8/10によってもたらされた。4つの試験された抗TIGR4 mAbの各々はまた、死亡率アッセイにおいて有意な(23B8/B6、P=0.021を除くすべてのMAbについてp<0.01)生存率の増大を保証した(図4B)。
4つの保護的MAbの各々によって認識されるエピトープを決定するために、異なるRrgBドメインを、Hisタグのついたポリペプチドとして大腸菌において発現され、そしてHisトラップ高性能カラム(GE Healthcare)でアフィニティークロマトグラフィーによって可溶性形態で首尾よく精製される単一ドメイン(D1、D2、D3、D4)として、または複数ドメイン断片(D1−3、D2−4、D3−4)としてクローニングした。次いで、陽性対照および陰性対照としてそれぞれ、FL RrgBクレイドIおよびBSAを使用することによって、組換えタンパク質を、MAbに対してウエスタンブロット分析において調べた。
図20に示されるように、結果は、モノクローナル抗体が、組換えタンパク質に対して様々な特異的反応性を有することを示した。mAb 23 F8/10およびmAb 23 B8/B6の両方とも、N末端ドメインD1を特異的に認識でき、mAb 23 E1/A9は、C末端D4を認識したのに対し、30A8/A8はD2−4のみを検出でき、これは、D2とD4との間のコンホメーションエピトープの認識を示唆する。次いで、これらのデータをELISAによって続いて確認した(データは示していない)。
モノクローナル抗体をまた、Finland6B−12由来のRrgBに対して生じさせた。2つの特定のmAb(2A5/29、3A5/19)は、Finland6B−12由来の全長RrgBと結合したが、TIGR4または23F株由来のRrgBタンパク質とは結合しなかった。mAbはまた、発現させられた5つのキメラすべてと結合した。結合結果は、図6に示されている。
(保護的mAb 23F8/10のエピトープマッピング)
mAb 23 F8/10によって認識される保護的エピトープを含有するD1ドメイン上の領域をマッピングするために、組換えタンパク質の質量分析、ウエスタンブロット検出および限定されたタンパク質分解を組み合わせて使用した。このアプローチは、4つの主要なステップ:(i)タンパク質の酵素的または化学的部分切断、(ii)SDS−PAGEによるその分離後のMS分析による、生じた断片の配列カバー範囲(sequence coverage)の定義、(iii)生じた断片のウエスタンブロット分析、(iv)エピトープの位置を決定するためのウエスタンブロットにおける正と負のバンドの比較にまとめることができる。
第1のステップは、全長RrgBから、SDS−PAGEでの分離後に十分に分離したパターンを示す相当数のポリペプチドを得るためのものであった。この実験のために選択されたプロテアーゼは、タンパク質を、アルギニン(R)およびリシン(K)残基のC末端側で切断するトリプシンであった。20μgの全長RrgBを消化し、消化生成物をSDS−PAGEを用いて分離した(5μgの全長タンパク質および12μgの消化生成物)。上で記載されたように、また図20に示されるように、モノクローナル抗体23F8/10は、全長組換えRrgBおよびRrgB D1の両方、ならびに全長タンパク質のトリプシンでの切断に由来する非常に多数のポリペプチドを認識した。ウエスタンブロット分析では、正および負のバンド両方の同定(同一クマシー染色サンプルに関して)が、エピトープ同定のために重要であった。モノクローナル抗体23F8/C10を用いるウエスタンブロットが、図21として示されている。ウエスタンブロット(MAb 23F8/C10を用いてイムノブロットされた)の正(緑色矢印)および負(赤色矢印)のバンドの両方を含む約20のクマシー染色されたタンパク質分解(proteolitic)断片をゲルから切り出し、トリプシンO/Nでインサイチューで消化し、それらの各々の配列カバー範囲を定義するためにMALDI−TOF/TOF質量分析によって分析した。分析された断片各々について得られた配列カバー範囲は、PMFスペクトル(ペプチドマスフィンガープリント)において同定された、最も「N末端」のトリプシン処理ペプチドと最も「C末端」のトリプシン処理ペプチドとの間で定義した。ウエスタンブロットの結果と関連した、全長RrgBに由来するトリプシン生成物の電気泳動パターンの模式的配列カバー範囲を作製した。この分析によって、23F8/10エピトープは、全長RrgBのアミノ酸32とアミノ酸141との間であることが示唆された。
次いで、同じ戦略をN末端ドメインD1に対して使用して、MAb 23F8/C10によって認識されるエピトープを含有する領域を狭めた。20μgのD1を消化し、消化生成物をSDS−PAGEで分離した(5μgの全長タンパク質および12μgの消化生成物)。全長の消化されたRrgBとは異なり、この実験では、モノクローナル抗体23F8/10は、全長D1およびトリプシンD1消化に由来するポリペプチドの一部のみを認識した。その後、正および負両方のバンドを、さらなる分析のために考慮した。正および負両方のバンドを含む、約10のクマシー染色されたペプチド断片をゲルから切り出し、トリプシンO/Nでインサイチューで消化し、それらの各々の配列カバー範囲を定義するためにMALDI−TOF/TOF質量分析によって分析した。分析された断片各々について得られた配列カバー範囲は、PMFスペクトル(ペプチドマスフィンガープリント)において同定された、最も「N末端」のトリプシン処理ペプチドと最も「C末端」のトリプシン処理ペプチドとの間で定義した。ウエスタンブロットの結果と関連してこれまでに確立されたように、RrgB D1ドメインに由来するトリプシン生成物の電気泳動バンドの配列カバー範囲によって、保護的エピトープを含有するMAb 23F8/10によって認識される領域は、RrgBのアミノ酸残基55〜アミノ酸残基89であることが示唆された。D1アミノ酸配列(それに関する構造的データはまだ入手可能ではない)を、S.pyogenes線毛骨格Spy0128のドメイン1結晶構造に対してモデル化した(全体の相同性約27%)。データがエピトープであると示唆する残基(アミノ酸55〜89)を、モデル上にマッピングした(図22A)。RrgB D1−4構造の剛体フィッティング(rigid body fitting)を実施して得た線毛の電子密度マップの3D再構築では、このエピトープは表面に露出されていると示される(図22B&22C)。
(キャリアタンパク質としてのRrgBキメラ)
RrgBキメラは、ワクチン成分として作用するほかに、糖類キャリア結合体中でキャリアタンパク質として使用するのに適している。I−II−IIIおよびIII−II−Iキメラを糖類免疫原に結合体化させ、次いで、糖類に対するIgG反応(GMT)をELISAによって測定した。結果を、いくつかのその他の肺炎球菌タンパク質ならびに陽性対照としてN19およびCRM197とも比較した。研究VI/VIIから得られた結果は以下のとおりであった。
本発明は、単に例として記載されたのであって、本発明の範囲および精神内に留まりながら改変を行ってもよいことは理解されるであろう。