JP6004313B2 - リグノセルロース系バイオマスからの樹脂原料の製造方法及びその装置における反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法 - Google Patents

リグノセルロース系バイオマスからの樹脂原料の製造方法及びその装置における反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法 Download PDF

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Description

本発明は、リグノセルロース系バイオマスを原料とした樹脂原料の製造方法及びその装置に関するものであり、更に詳しくは、リグノセルロース系バイオマスを原料として、低分子リグニン誘導体を主成分とする樹脂原料をグリース状で分離することを可能とする樹脂原料の連続的な製造方法及びその装置における反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法に関するものである。
従来から、リグノセルロース系バイオマス、特に木質バイオマスからパルプ原料(セルロース)を製造することを目的に、多くの技術開発が行われてきた。ここで、パルプ原料(セルロース)を製造する際のパルプ化とは、リグノセルロース系バイオマスの主要成分であるヘミセルロース、セルロース及びリグニンから、ヘミセルロース及びリグニンを分解・可溶化して、セルロースを単離する方法のことであり、蒸解薬品として、Na2SとNaOHを用い、140〜170℃で数時間を加熱するのがクラフトパルプ、蒸解薬品として、亜硫酸塩水溶液を用い、150℃で数時間を加熱するのが亜硫酸パルプである。
両方とも、リグニン、ヘミセルロースは、黒液として分離され、ボイラー燃料などに利用されている。一方、蒸解液として、有機溶媒、すなわち酢酸、酢酸エチル、水の混合液を用い、170〜180で1〜3時間加熱して、リグニン及びヘミセルロースを可溶化して、セルロースを単離するのが、オルガノソルブパルプ化法と呼ばれ、リグニンは、有機溶媒相に、ヘミセルロース(分解物)は、水相に分離される。
近年でも、パルプ化や生分解性プラスチック原料の製造を目的に、セルロースを効率よく分離する研究が数多く行われている。特表平4−506544(特許文献1)では、パルプ化法として、超臨界条件下で約12%までの水分を含むアンモニア系溶媒中で硫化ナトリウムを含む水酸化ナトリウムからなる活性脱リグニン化剤により、温度5〜250℃、圧力400〜3500psで脱リグニンを行う方法が示されている。
特開2004−306021(特許文献2)では、生分解性プラスチック原料としてのセルロースを得ることを目的に、原料を180〜300℃かつ15〜28MPaで圧縮し、これに180〜200℃の熱水を混合して、リグニン、ヘミセルロースを可溶化し、セルロースを固形物として分離する方法が提案されている。
この方法は、特別な蒸解薬品を使用せず、極めて興味深いものであるが、原料は、コーンコブ(トウモロコシの芯)やバガス、稲わらと草本系バイオマスであり、木質バイオマスの場合、リグニン成分が180〜200℃の熱水で可溶化されることはほとんどないことを考慮すると、リグニン成分(分子量)が、木質バイオマスとは異なっている可能性が高い。
また、特開2008−248202(特許文献3)では、リグノセルロース系植物原料から高純度(100%近い)のセルロースを取りだすための方法及び装置が開示されている。処理プロセスは、3段階で構成されており、始めに、ヘミセルロースとリグニンの一部を180〜250℃、10〜20MPaの加圧熱水により分解し、可溶分として分離する。この処理で、リグニンの一部は、親水基を多く持つ可溶性リグニンと親水基の少ない不溶性の疎水性リグニンに分別され、セルロースの多くは固形状態で残存する。
次に、ここでの残存固形物を、350〜390℃、25〜35MPa、0.5秒で処理し、セルロースを高温高圧水に可溶化し、次いで、この液状物(セルロース可溶)を冷却するが、直後のセルロースは可溶状態のため、高圧ろ過した後、減圧して貯留槽へ送り、該貯留槽では常温のまま2時間〜2日間静置しておき、固形物を析出させると、ほぼ100%のセルロースが得られる。
該特許文案には記載はないものの、疎水性リグニンは、最終処理の高圧ろ過で分離されると推測されるが、第二工程で、セルロースが加水分解を受けるのは避けられず、実施例に記載がないが、100%セルロースの収率は極めて低いものと想定される。該特許では、実施例はバガス(サトウキビの搾りかす)のみであり、この方法が木質バイオマスに適用できるかは不明である。
上述したように、リグノセルロース系バイオマス成分の利用は、主にセルロースに限定されてきたが、近年、リグニンに着目した研究が精力的に行われており、リグノセルロース系木質バイオマスの熱化学変換により、木質バイオマスの構成成分であるセルロース、ヘミセルロースや、リグニン溶液を抽出する技術が種々開発されている。
先行技術として、例えば、木質バイオマスを180℃で水熱処理して、可溶性ヘミセルロースを分離し、次に、不溶性リグニン、セルロースをアセトン/水の混合物で230℃で処理することにより、不溶セルロースと、可溶性リグニンを分離する、二段階プロセスによるリグニン溶液の製造プロセスが知られている(非特許文献1)。
また、他の先行技術として、木質バイオマスを300℃で水熱処理して、可溶性ヘミセルロース、セルロースを分離し、次に、不溶リグニンを常温でアセトン抽出処理して、高分子リグニンと、低分子リグニンに分離する、一段プロセスによる低分子リグニンの製造プロセスが知られている(特許文献4、5)。
ここでは、アセトン可溶分から溶媒を留去したものが、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基とをモル比で9:1〜8:2の比率で含むリグニン誘導体であり、これにヘキサメチレンテトラミンなどの架橋剤を混合することにより、リグニン樹脂組成物となることが示されている。
その他の先行技術を含めて、従来、一段階又は二段階プロセスにより、可溶リグニン又は低分子リグニンを分離することを目的とした処理プロセスは報告されているが、それらは、回分式、或いは半流通式プロセスによるものである。これまで、反応器出口ラインにおける配管閉塞や析出物の問題のない、リグノセルロース系バイオマスから樹脂原料となり得るリグニン誘導体の分離が可能な連続製造プロセスは確立されていないのが実情である。
また、先行技術でのリグニン誘導体の分離には、アセトンなどの有機溶媒の使用が必須であり、再使用を考慮したとしても、アセトン補給にかかる原料費や、アセトン分離のためのエネルギー費は多大であり、経済的にも問題を残していた。従って、当技術分野においては、木粉、樹皮などの木質バイオマス、稲わら、とうもろこしなどの草本系バイオマスから、反応器出口ラインにおける配管閉塞や析出物の問題のない、リグニン樹脂を経済的に高効率で製造するためのリグニン樹脂の連続製造プロセスを開発することが強く要請されていた。
特表平4−506544号公報 特開2004−306021号公報 特開2008−248202号公報 特開2009−84320号公報 特開2009−227890号公報
Isao Hasegawa et al.Energy & Iuels,2004,18,755−760
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、リグノセルロース系バイオマスからのリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の高効率製造プロセスを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、反応器出口ラインにおける配管閉塞や析出物の問題のない、亜臨界水処理を利用した連続プロセスにより、有機溶媒を使用しないで、樹脂原料を経済的に、高効率で分離、回収する技術を確立することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、亜臨界水による木粉、樹皮などの木質バイオマス、稲わら、とうもろこしなどの草本系バイオマスからのリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の経済的な高効率製造方法及びその装置における反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、反応器出口ラインにおける配管閉塞や析出物の問題のない、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の高効率製造方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインからの反応物を回収する受器、上記反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器を構成要素として含む装置を使用して、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを主成分とするリグノセルロース系バイオマスから樹脂原料を製造する方法において、反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法であって、
該バイオマスを粉砕し、水と混合することで水スラリーとし、該水スラリーを300℃以上374℃以下の温度で、その温度における飽和水蒸気圧以上の圧力のもと、30分以上連続的に反応処理を行い、反応終了後、上記反応器出口ライン(反応器出口から受器)の温度を200〜250℃の高温に保持する温度制御と該温度での固液分離操作を行うことで、上記反応器出口ラインにおける高温熱水可溶成分の閉塞を回避して、固体としての高分子リグニン成分と高温熱水可溶成分を分離し、該高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却することで、ヘミセルロース加水分解物とセルロース加水分解物を低温熱水可溶成分のまま分離して、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料をグリース状で分離することにより、上記反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避することを特徴とする上記閉塞回避方法。
(2)水スラリーを300℃以上330℃以下の温度で上記反応器で処理する、前記(1)に記載の方法。
(3)200〜250℃の高温での固液分離操作が、ろ過、或いは比重差分離による操作である、前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)200〜250℃の高温で分離された高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却する方法が、200〜250℃を保持したまま高温高圧回収受器に受け、受器の中で100℃以下の低温に冷却するか、或いは200〜250℃の状態から直接大気圧下へフラッシュして100℃以下の低温に冷却する、前記(1)−(3)のいずれか一項に記載の方法。
(5)水スラリー中の固形物濃度が、最大15%(含水率85%以上)である、前記(1)−(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)前記(1)に記載の方法で使用する装置であって、水スラリーを高圧供給するポンプシステム、亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインからの反応物を回収する受器、上記反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器を構成要素として含み、
上記反応器で処理された200〜250℃の高温の高温熱水可溶成分と固体物を上記固液分離器で分離し、高温熱水可溶成分を200〜250℃の高温に保持したまま上記受器に受け、該受器の中で上記高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却することにより、樹脂原料をグリース状の固形物として析出させ、低温熱水可溶成分と分離することにより、樹脂原料を回収する一連の操作を実行する機能を具備したことを特徴とする装置。
(7)上記固液分離器が、ろ過器、或いは比重差分離器である、前記(6)に記載の装置。
(8)反応器出口ライン(反応器出口から受器)を200〜250℃の高温に保つ保温加熱手段を有する、前記(6)又は(7)に記載の装置。
(9)保温加熱手段が、熱媒加熱である、前記(8)に記載の装置。
(10)受器内に収容した高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却する手段を有する、前記(6)−(9)のいずれか一項に記載の装置。
(11)受器が内部にピストンを有し、ピストンの片側に高温熱水可溶性成分を受入れ、ピストンの反対側に充填されている高圧水を所定の圧力で排出することにより、装置全体の圧力調整を行うとともに、高温熱水可溶性成分を回収する一連の操作を実行する機能を具備した、前記(6)−(10)のいずれか一項に記載の装置。
(12)100℃以下の低温に冷却する手段が、受器の外側に設置された冷却ジャケットである、前記(10)に記載の装置。
(13)受器にあらかじめ不活性ガスを所定の圧力で充填しておき、高温熱水可溶性成分を受入れることによるガス圧力上昇分を所定の圧力で排出することにより、装置全体の圧力調整を行うとともに、高温熱水可溶性成分を回収する一連の操作を実行する機能を具備した、前記(6)−(10)のいずれか一項に記載の装置。
(14)100℃以下の低温に冷却する手段が、受器内に挿入された冷却コイルである、前記(10)に記載の装置。
(15)前記(1)に記載の方法で使用する装置であって、水スラリーを高圧供給するポンプシステム、亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器、該固液分離器からの液状物(高温熱水可溶成分)を直接大気圧下にフラッシュする減圧弁、フラッシュ後の反応物を回収する受器を構成要素として含み、
上記反応器で処理された200〜250℃の高温の高温熱水可溶成分と固体物を上記固液分離器で分離し、高温熱水可溶成分を200〜250℃の状態から直接大気圧まで減圧し、100℃以下の低温に冷却することにより、受器の中で樹脂原料をグリース状の固形物として析出させ、低温熱水可溶成分と分離することにより、樹脂原料を回収する一連の操作を実行する機能を具備したことを特徴とする装置。
(16)上記固液分離器が、ろ過器、或いは比重差分離器である、前記(15)に記載の装置。
(17)反応器出口ライン(反応器出口から受器)を200〜250℃の高温に保つ保温加熱手段を有する、前記(15)又は(16)に記載の装置。
(18)保温加熱手段が、熱媒加熱である、前記(17)に記載の装置。
(19)フラッシュ後の反応物を蒸気と固液混合物に分離するセパレータを有し、蒸気は凝縮器により蒸発凝縮水とし、固液混合物を受器に受け入れる操作工程を実行する機能を具備した、前記(15)−(18)のいずれか一項に記載の装置。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを主成分とするリグノセルロース系バイオマスから樹脂原料を製造する方法において、反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法であって、該バイオマスを粉砕し、水と混合することで水スラリーとし、該水スラリーを300℃以上374℃以下の温度で、その温度における飽和水蒸気圧以上の圧力のもと、30分以上連続処理を行い、反応終了後、200〜250℃以上で固液分離を行うことにより、固体と高温熱水可溶成分を分離し、該高温熱水可溶成分を100℃以下に温度を低下させることで、低温熱水可溶成分とグリース状の樹脂原料とに分離することにより、上記反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避することを特徴とするものである。
また、本発明は、上記方法で使用する装置であって、水スラリーを高圧供給するポンプシステム、亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインからの反応物を回収する受器、上記反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器を構成要素として含み、上記反応器で処理された200〜250℃以上の高温熱水可溶成分と固体物を上記固液分離器で分離し、高温熱水可溶成分を200〜250℃以上を保持したまま上記受器に受け、受器の中で100℃以下に温度を低下させることにより、樹脂原料をグリース状の固形物として析出させ、低温熱水可溶成分と分離することにより、樹脂原料を回収する一連の操作を実行する機能を具備したことを特徴とするものである。
本発明では、リグノセルロース系バイオマスからのリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の高効率製造プロセスを開発するに際して、リグノセルロース系バイオマスの亜臨界水による水熱処理の基礎的条件を確立するために、バッチ試験を行った。試験装置は、内容積200ccの高温高圧オートクレーブ(設計条件:500℃・45MPa)を用いた。
試験に供したバイオマス原料は、建築材料加工時に排出される杉木粉(0.5mm以下)とした。反応温度を180〜360℃、反応時間を30分、圧力を反応温度における飽和蒸気圧とし、杉木粉に水を添加し、固形物を10重量%に調整したものを使用して試験を行なった。
反応時間経過直後に冷却を開始し、内温が100℃以下となった後に残圧を開放し、処理物を回収した。回収物は、図1に示す方法で分別及び分析を行い、評価の指標として、固形物残存率、クラーソンリグニン率、アセトン可溶成分率を算出した。
ここで、クラーソンリグニンとは、固形物を強酸(72%硫酸)で処理し、ヘミセルロース、セルロースを可溶化し、残った不溶分を酸不溶リグニンとして評価するものであり、アセトン可溶成分は、リグニンが低分子化された誘導体と考えられ、樹脂原料となることが文献(特開2009−84320、227890号公報)に示されている。各収率の定義は、以下の通りである。
固形物残存率=処理後固形物(乾燥重量:B)/バイオマス投入量(乾燥重量A)
クラーソンリグニン率=酸不溶成分(C)/処理後固形物(B)
アセトン可溶成分率=アセトン可溶成分量(D)/処理後固形物(B)
図2に、上記バッチ試験の結果を示した。図より、亜臨界水処理(180〜360℃)において、高温になるほど固形物残存率(図2−1)は減少し、クラーソンリグニン率(図2−2)は増加するが、固形物残存率・クラーソンリグニン率とも、ほぼ300℃で飽和傾向を示すことが明らかとなった。
300℃以上の処理では、固形物残存率は約50%に減少し、そのほとんどがクラーソンリグニンとして評価されることが分かった。しかしながら、原料(杉木粉)中のクラーソンリグニンは35%であることより、残渣固形物には、リグニンに加え、セルロース由来の炭化物や油化物も含まれていると考えられる。一方、リグニン誘導体(樹脂原料)と考えられるアセトン可溶成分率(図2−2)は、300℃までは上昇するものの、それ以上の温度では逆に減少した。
具体的には、180℃処理では数%の結果が、300℃処理では約40%となり、リグニンの低分子化(リグニン誘導体)が温度の増加とともに進行したが、それ以上の温度では炭化の進行などにより逆にアセトン可溶成分率は低下した。また、アセトン可溶成分には、リグニン誘導体以外にもセルロース由来の油化物が少量含まれていると推測される。
更に、樹脂原料収率(図2−3)を対バイオマス比(=アセトン可溶成分量(D)/バイオマス投入量(A))と、対バイオマス投入中全リグニン比(=アセトン可溶成分量(D)/バイオマス投入量(A)×0.35)の2種類で計算した結果、300℃〜330℃で最大となり、360℃では逆に減少した。
300℃処理における樹脂原料収率(対バイオマス比)はほぼ20%となり、これを対バイオマス投入中全リグニン比に換算すると、55%を達成できることが分かった。この結果により、別途行った経済性試算に基づく目標値(50%)を、300℃・9MPa〜330℃・13MPa処理で達成できることが明らかとなった。従って、エネルギー的な観点や要求される装置の耐圧性などから考えて、300℃処理が最適であると判断した。
次に、リグノセルロース系バイオマスの種類(木質系/草本系、針葉樹/広葉樹など)、すなわちリグニン含有量やリグニン構造が本処理にどのように影響するかを評価するため、杉(針葉樹)に加え、楓(広葉樹)、竹、稲わら(草本系)を対象に、上述と同様のバッチ試験を行った。ただし、反応条件は、300℃・9MPa・30分とした。
表1に、実験結果[亜臨界水処理バッチ試験(リグノセルロース系バイオマスの違い)の結果]を整理して示す。その結果、バイオマスの種類により、リグニン含有量や構造は異なっていると思われるが、固形物残存率は、40〜50%の範囲で大きな違いは見られず、そのクラーソンリグニン率は、いずれも90%以上となった。
一方、アセトン可溶成分率は、楓が32%と杉より低い結果であったが、稲わらや竹は逆に48%と、杉より10%程度大きな値を示した。これらの結果を樹脂原料収率に換算すると、楓が14.5%と低いものの、他の3種類(杉、稲わら、竹)は20%程度であり、本処理原理は、多くのバイオマスに適用が可能であると結論した。
上記バッチ試験の結果から、連続処理装置を構築した。図3に、連続処理装置のブロックフローシートを示す。1はスラリー化装置、2は高圧ポンプシステム、3は反応器、4は熱媒加熱器、5は冷却器、6は冷却塔、7は減圧装置、そして、8はプロダクト貯槽を各々示す。
主要装置である反応器の設計条件は、320℃・12MPaとし、最大処理能力20g/分で各機器の容量・能力を決定した。ここでの試験では、既に粉砕された杉原料(0.5mm以下)を入手して用いたため、粉砕装置は設置していないが、この粉砕には、ボールミルなど、一般的な機械粉砕装置を用いることが可能である。ここでは、粉砕された原料に所定量の水を加え、均一なスラリーとするために、スラリー化装置1を設置している。
スラリー化装置は、対象物に如何に大きな剪断力を与えるかで、ミル方式、回転式、高圧式、超音波式、石臼式など種々の方式が採用されるが、ここでは、ローターとスクリーンによって構成され、スクリーンと微少なクリアランスを保ちローターが高速回転することにより、処理物がスクリーンスリット部を通過して速度増大され大きな剪断力を得る方式を採用した。
高圧ポンプシステム2は、流動性の乏しいスラリーを反応器へ高圧・定量供給する必要があり、特殊なピストンポンプの使用が考えられるが、本連続処理装置は、処理量が最大20g/分と極めて小さいため、市販のポンプシステムは採用できず、専用の高圧ポンプシステムを構築した。
具体的には、内部にピストンを有するインジェクションタンク、低圧スラリーポンプ(モーノポンプ)及び高圧水ポンプ(プランジャポンプ)から構成され、低圧スラリーポンプによりインジェクションタンク内にスラリーを充填し、ピストンを介して高圧水ポンプでスラリーを高圧下で定量供給する方式を採用した。
反応器3は、縦型上昇流式の高圧容器であり、内部下部にスクリュスクレーパ、上部に2枚羽のJタイプスクレーパを装填している。これは、反応器下部では流動性のほとんどないスラリーが入ってくるため、積極的に上へ押し上げていくスクリュスクレーパを採用し、ある程度温度が高くなり流動性が良くなったスラリーには、熱交換能力と混合効果のあるJタイプスクレーパを用いたものである。
スラリーの加熱は、電気式の熱媒加熱器4で行った。通常、実験装置規模の加熱にはニクロム加熱など、電気式加熱の採用が一般的であるが、反応器内部の局部的加熱による焦げ付き(→閉塞)などを避けるために、熱媒加熱方式を採用した。反応終了後の高温高圧プロダクトはコイル(スラリー)/シェル(冷却水)方式の冷却器5で、冷却水は冷却塔6から供給した。冷却後の高圧プロダクトは、通常圧力コントロール弁により所定圧に制御されるが、ここでは、対象物が固形物を大量に含むことと、処理量が極めて少ないことなどを勘案して、内部にピストンを有した減圧装置7を製作して用いた。
具体的には、ピストンの上部にプロダクトを受入れ、ピストンの反対側に充満されている高圧水を、ばね式保圧弁(1次圧調整弁)で所定圧に制御した。この方式では、高圧下でプロダクトを受入れ、ピストンが最下部に到達したら、反応器(冷却器)と通ずる弁を閉め、高圧水を上記保圧弁を調整して減圧し、スラリー排出ポンプを稼働してピストンを押し上げながらプロダクトをプロダクト貯槽8へと排出した。本連続処理装置の詳細フローを図4に示した。
この連続処理装置を用いて、始めに、清水により本装置の圧入性能、加熱性能、冷却性能及び減圧性能が計画通りに作動することを確認した後、杉木粉(0.5mm以下)を用いた連続試験に移行した。あらかじめ杉木粉に水を加え、固形物濃度5重量%のスラリーを上記のスラリー化装置で調製した。
このスラリーを用いて、反応温度250℃、圧力5MPa、流量20g/分の条件で、連続運転を実施したところ、運転途中で圧力が徐々に上昇し、反応器出口ラインで閉塞が発生した。運転終了後、閉塞部位を特定するために、反応器出口ライン、冷却器、冷却器から減圧装置までのラインを解体したところ、閉塞は冷却器内で発生し、反応器から冷却器までのラインでは閉塞が生じないことが分かった。
析出物は、黒色、表面は滑らかで、配管を完全に閉塞したことが分かった。この閉塞物は、バッチ試験で得られる残存固形物とは明らかに異なっており、単に残存固形物が閉塞したのではなく、ある特定の成分のみが析出した可能性を示唆した。
反応器出口ラインにおける閉塞を回避するために、温度と固形物析出の関係を検証とするべく、反応器出口から減圧装置受器までの排出ラインの制御温度を変化させ、温度と閉塞、すなわち固形物析出の関係を調べた。その結果、図5に示されるように、冷却過程における温度を制御して、反応器排出ラインの温度を210℃以上に保った時のみ、配管閉塞・固形物析出が無いことが分かった。
次に、図5のRun−06の処理後固形物を評価するために、反応器から排出ラインを経て減圧装置受器に回収された固形物、すなわち処理後固形物を調べた。その結果、反応器内の被処理物は、未処理スラリーを含み、クラーソンリグニン78%、アセトン可溶成分3%であったのに対し、受器内の処理後固形物は、クラーソンリグニン100%で、アセトン可溶成分は95%であり、処理後固形物は、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料であることが分かった。
この結果は、アセトンなどの有機溶媒を使用せずに、樹脂原料を分離できる可能性を示しており、極めて重要である。図6に、Run−06(図5)の処理後固形物の評価結果を示した。上述したように、同じ杉木粉を用いたバッチ試験結果では、クラーソンリグニンは97%と高いものの、アセトン可溶成分は38%であったことから、連続処理によるリグニン誘導体の選択的な分離が確認された。これは、アセトン可溶な低分子リグニンであるリグニン誘導体が、210℃以上の亜臨界水に溶解し、選択的に分離回収されていることを示唆するものである。
本発明では、リグノセルロース系バイオマスを粉砕し、水と混合することで水スラリーとするが、この場合、水スラリー化方法及び装置は、適宜の手段を使用することができ、その手段は、特に限定されるものではない。本発明は、亜臨界水によるリグノセルロース系バイオマスからリグニン誘導体を主成分とする樹脂原料を高効率に製造する方法及びその装置において、反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法を提供するものである。
本発明は、リグノセルロース系バイオマスからリグニン樹脂原料を製造する方法において、リグノセルロース系バイオマスを粉砕し、水と混合することで水スラリーとし、該水スラリーを300℃以上374℃以下の温度で、その温度における飽和水蒸気圧以上の圧力のもと、30分以上処理を行い、反応終了後、200〜250℃以上で固液分離を行うことを特徴とするものである。
本発明では、固体としての高分子リグニン成分を分離し、高温熱水可溶成分としてのヘミセルロース加水分解物、セルロース加水分解物と、樹脂原料となる低分子リグニン誘導体を分けとり、200〜250℃を保持したまま高温高圧回収受器に受け、受器の中で100℃以下に冷却するか、或いは200〜250℃の状態から直接大気圧下へフラッシュして100℃以下とする。
そして、本発明では、それにより、ヘミセルロース加水分解物とセルロース加水分解物を低温熱水可溶成分のまま分離し、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料をグリース状で分離することにより、反応器出口ラインにおける閉塞を回避して、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料を高効率で製造する方法及びその装置を提供することが可能となり、また、低温熱水可溶成分として回収されたヘミセルロースとセルロースの加水分解物である糖や有機酸を、発酵原料やその他の原料として用いることにより、経済的なリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造方法を提供することが可能となる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)亜臨界水処理により、リグノセルロース系バイオマスからリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料をグリース状固形物として、分離、回収できる樹脂原料の連続製造方法及びその装置を提供することができる。
(2)200〜250℃の温度制御と高温高圧固液分離操作を組み合わせることにより、高分子リグニンと低分子リグニン誘導体の選択的な抽出、分離が可能であり、長時間運転においても、低分子リグニン誘導体を選択的に分離することが可能である。
(3)反応器出口ラインの温度を200〜250℃に保温することで、固形物による閉塞を回避することができる。
(4)杉原料の300℃処理において、樹脂原料収率は20%近い数値となり、これを対バイオマス投入中全リグニン比に換算すると、55%を達成できる。
(5)本処理は、杉(木質・針葉樹)、楓(木質・広葉樹)、竹(木質)、稲わら(草本系)などと、多くのリグノセルロース系バイオマスに適用が可能である。
(6)アセトンなどの有機溶媒を用いずに、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料を、選択的に分離することができる。
(7)有機溶媒を使用せず、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造方法を提供できる。
(8)本発明により、バイオマス固形物濃度が15重量%の高濃度スラリーの運転が可能であり、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造方法を提供できる。
(9)本発明は、ヘミセルロースとセルロースの加水分解物である糖や有機酸を水可溶成分として分離でき、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造方法を提供するものとして有用である。
亜臨界水処理により得られる処理後固形物の分別・分析方法を示す説明図である。 亜臨界水処理バッチ試験(杉木粉)の結果を示す。 連続処理装置のブロックフローシートを示す。 連続処理装置の詳細フローシートを示す。 反応器出口ライン−固形物閉塞の検討結果を示す。 図5のRun−06の処理後固形物の評価についての説明図である。 リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造装置の実施形態の一例を示す。 亜臨界水抽出装置のフローダイアグラムの説明図である。 亜臨界水抽出実験の結果を示す。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的に説明する。以下に、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造装置の実施形態の一例を示す。図7は、200〜250℃での固液分離操作をろ過で行い、200〜250℃から100℃以下の冷却操作を大気圧下へのフラッシュ(急減圧)で実施した場合のブロックフローを示す。
図において、1はスラリー化装置、2は高圧ポンプシステム、3は反応器、4は熱媒加熱器、6は冷却塔、8はプロダクト貯槽、9は高温高圧ろ過器、10はフラッシュ装置、11は固液分離装置、12は凝縮器を各々示す。本図には図示していないが、リグノセルロース系バイオマスが未粉砕の状態であれば、スラリー化装置の前段に、0.5mm以下のバイオマス粉にする粉砕装置の設置が必要である。この粉砕には、ボールミルなどの一般的な機械粉砕装置を用いることが可能である。
粉砕された原料に、所定量の水を加え、スラリー化装置1により均一な水スラリーを調製した。スラリー化装置には、ミル方式、回転式、高圧式、超音波式、石臼式など、種々の方式の装置が採用される。水スラリーは、高圧ポンプシステム2により反応器3へ高圧・定量供給されるが、前述したように、ほとんど流動性を有していないため、通常のスラリーポンプでは供給が困難であり、特殊なピストンポンプの使用に限定される。
例えば、Putzmeister社や、Weil Minerals社のダブルピストンポンプなどが挙げられるが、対象とするリグノセルロース系バイオマスの種類は多く、その性状によっては圧入できない場合もある。その場合、図3で説明した、専用の高圧ポンプシステム(低圧スラリーポンプ、ピストン付きインジェクションタンク、高圧水ポンプより構成)を採用することも可能である。
昇圧された水スラリーは、反応器3の下部より導入され、縦型上昇流式の高圧容器内を通過する間に加熱され、反応が行われる。反応器内には、前述したような特殊なスクレーパが装着されている。スラリーの加熱は、熱媒加熱器4で行うが、熱源は、小型であれば、電気式が選択され、容量が大きくなれば、都市ガス、LPG、灯油、重油などが選択される。熱媒は、操作圧力を低くするために、専用の熱媒体油、例えば、Dowtherm Aや、NeoSK−OILなどが選定される。
加熱時の熱媒状態は、気相、液相どちらでも良いが、伝熱能力とシステム構成を検討して適宜選択される。反応器では、例えば、300℃で30分以上処理が行われ、リグノセルロース系バイオマスの構成成分であるヘミセルロース、セルロースは大半が加水分解を受けて、糖類や有機酸などの水可溶の状態となる。ただし、一部は炭化物や油状物質になる。
一方、リグニンは、加水分解を受けて親水基を有した低分子のリグニン誘導体と疎水性の高分子リグニンとになる。反応器出口では、これらが混合状態の高温高圧プロダクトとして排出され、高温高圧ろ過器9に導入される。ろ過器は、高圧容器と容器内部に設置されたフィルターから構成されており、フィルターには、金属性の網メッシュや焼結金属などが用いられる。
200〜250℃に保たれたろ過器9で補足される固形物は、高分子の疎水性リグニンを主成分とするが、セルロースなどが炭化した固形物も含まれる。一方、ろ過器を通過した液体(高温熱水可溶成分)には、ヘミセルロース加水分解物、セルロース加水分解物に加え、低分子となったリグニン誘導体、更にはセルロース由来の油状物質も少量含まれる。
なお、ろ過は、バッチ操作であるので、完全な連続操作を行うためには、複数のろ過器を設置し、ろ過器前後の差圧などを指標にして切り替えを行えば連続操作も可能となる。ろ過器を通過した液体(高温熱水可溶成分)は、温度を200〜250℃に保持されたままフラッシュ装置10に導入される。フラッシュ装置は、高温高圧用の圧力コントロール弁と、大気圧下に噴出された混合物を蒸気と液体・固体物とに分離するセパレータから構成されている。
圧力コントロール弁は、石炭液化装置や汚泥油化装置などで使用された弁、例えば、アングル弁((株)山武製)などが採用可能であるが、ニードルと弁座を摩耗性の高い材質、例えば、タングステンカーバイト、セラミクス、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などとすれば、一般的なコントロール弁でも特に問題ない。セパレータは、円筒形の縦型容器とし、噴出された混合物を接線方向から流入させ、遠心力を利用して蒸気を上部に、液体・固体物を下部に分離する方式などが用いられる。
ここで分離された蒸気は、凝縮器12に流入され、冷却されて蒸発凝縮水と不凝縮性のガスとに分けられる。蒸発凝縮水には、揮発性の低い有機酸が含まれ、ガスは二酸化炭素が主成分である。一方、セパレータ下部から排出される液体/固体混合物は、プロダクト貯槽8に貯められ、随時、固液分離装置11で処理される。
固液分離装置としては、比重差分離方式や遠心分離方式が採用可能であり、ヘミセルロース加水分解物、セルロース加水分解物などの低温熱水可溶成分を含む液体と、リグニン誘導体を主成分とするグリース状固体とに分離される。以上のように、本装置を用いることで、リグノセルロース系バイオマスを亜臨界水状態で連続的に処理でき、特定の温度域で分離を適切に行えば、リグニン誘導体を主成分とする樹脂原料が、有機溶媒を使用することなく、連続的に製造できる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、リグニン誘導体が高温熱水に可溶であるかを実験的に検証した。始めに、上述のバッチ式装置により、杉木粉と水の混合物(固形物濃度10重量%)を300℃・9MPa・30分で処理し、得られた残渣固形物(クラーソンリグニン率90%、アセトン可溶成分率40%)を約3g程度、専用に構築した亜臨界水抽出装置に仕込み、温度を種々変えて、亜臨界水による抽出を試みた。亜臨界水抽出装置の概要を図8に示す。
抽出容器は、1/2インチチューブで構成し、L:150mm、容積:13.5mlとし、前後にフィルター(目開き7μm)を設置し、容器内の固形物の流出を防止した。この抽出容器に所定の温度・圧力の亜臨界水(150〜300℃・圧力は9MPaで一定)を電気式の加熱器で製造し、2.5g/分の流量で約3時間流通させた。抽出容器を出た亜臨界水は、二重管式の冷却器で室温付近まで冷却し、フィルターを通した後に、ばね式保圧弁でシステムの圧力を9MPaに保ちながら減圧した。
ここで用いた二重管式冷却器の内管は、抽出容器と同じ1/2インチチューブを用い、外管を3/4インチチューブとして、内管と外管の環状部を水で冷却した。冷却器の内管を1/2インチチューブとしたのは、抽出容器を熱水とともに流出した高温熱水可溶成分が冷却器内で析出しても閉塞して圧力上昇を起こすのを防ぐためである。
亜臨界水抽出における温度と、固形物流出率(%)、及びアセトン可溶成分抽出率(%)の関係を調べた。その結果を、図9に示す。なお、固形物流出率は、仕込んだ残存固形物重量に対する流出した固形物重量の比と定義したが、実際には、抽出容器内に残存した量を測定し、その差分として求めた。
また、亜臨界水によるアセトン可溶成分抽出率は、仕込んだ残存固形物中のアセトン可溶成分量に対する流出した固形物中のアセトン可溶成分量の比として定義したが、流出した固形物が100%アセトン可溶として求めた。ただし、回収できた流出物をアセトンで抽出した結果、100%アセトン可溶であることは実験的に確認した。図に示されるように、250℃の実験では、仕込んだ残存固形物中のアセトン可溶成分ほぼ全量が抽出されたことが分かる。これに対し、200℃では60%弱の結果となった。
しかしながら、前述した図5の連続実験の結果では、210℃以上とすることにより、閉塞がなくなり、ラインでの固形物析出が防止でき、その時、受器内で回収された固形物は、ほぼ全量がアセトン可溶成分であったこと考え合わせると、亜臨界水実験は、純粋な高温熱水への溶解性を評価しているのに対し、連続実験系では、ヘミセルロース、セルロースの加水分解物である有機酸などとの共存状態での溶解性であり、より低い温度域で全量が溶解できていた可能性が高いと考えられる。
また、300℃の実験では、アセトン可溶成分率が120%と評価され、仕込んだ量以上となるが、これは、300℃の亜臨界抽出の過程で、リグニンが更に低分子化されたことを示唆している。いずれにしても、本実施例は、アセトンなどの有機溶媒を使用せずに、温度制御により、樹脂原料を分離できる可能性を明確に示した。
本実施例では、連続運転におけるフィルター付着固形物とともに、クラーソンリグニン率とアセトン可溶成分率を調べた。図4に示した連続処理装置の反応器出口ラインに、高温高圧ろ過器を設置し、反応器出口から減圧装置受器までを210℃以上に熱媒で保持して、連続運転を行った。対象物は、杉木粉とし、水を加えて固形物濃度を10重量%の水スラリーに調整したものを用いた。反応条件は、300℃・9MPaとして、流量を20g/分とした。
連続運転は、温度、圧力ともほぼ変動が見られず、閉塞などの問題を生じることなく終了した。運転翌日に、高温高圧ろ過器を外し、フィルターに付着した固形物を採取した。並行して、減圧装置受器内でグリース状固形物を採取して、フィルター付着固形物とともに、クラーソンリグニン率とアセトン可溶成分率を測定した。
その結果、クラーソンリグニン率は、両サンプルともほぼ100%であったが、アセトン可溶成分率は、フィルター付着固形物が2%であるのに対し、グリース状固形物はほぼ100%と大きく異なる結果であった。この結果は、高温高圧ろ過器で阻止された固形物は、高分子リグニンを主体とした成分であり、減圧装置受器で得られたグリース状固形物は、低分子リグニン誘導体を主成分とする樹脂原料であることを示した。
本実施例では、連続圧入が可能な固形物濃度を検討した。バイオマス/水スラリーにおけるバイオマス固形物濃度は、処理装置の規模やエネルギーバランスに直接的に大きな影響を及ぼし、固形物濃度が高いほど、経済性は良好となる。しかしながら、固形物濃度が高くなるにつれて流動性は悪くなり、ある濃度以上では連続圧入が実質上不可能となる。
対象物は、杉木粉とし、固形物濃度が5,10,15,20重量%となるように水を加えた後、スラリー化装置(高速せん断型ホモジナイザー)で均質化処理を行った。均質化処理後の各種濃度のスラリーを、図4に示した連続処理装置の低圧スラリーポンプ(モーノポンプ)ホッパーに充填し、反応器へ挿入できるかどうかを検討した。
その結果、固形物濃度が15%までのスラリーは、ほぼ問題なく送液が可能であったが、20%スラリーでは、固形物が配管内で留まり水だけが送られる結果(すなわち、圧搾)となり、最終的に圧力上昇が起こり、自動停止となった。その後、この高濃度スラリーを再度スラリー化装置により長時間の処理を施して同様の実験を行ったが、結果は同様であった。以上の結果より、安定した連続圧入が可能な固形物濃度は、15重量%と結論した。
以上詳述した通り、本発明は、リグノセルロース系バイオマスを原料としたリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の製造方法及びその装置において、反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法に係るものであり、本発明により、亜臨界水によるリグノセルロース系バイオマスから低分子リグニン誘導体を固形物として、分離、回収できる樹脂原料の連続製造方法及びその装置を提供することができる。本発明では、温度制御と高温高圧固液分離を組み合わせることにより、高分子リグニンと低分子リグニン誘導体の選択的な抽出、分離が可能であり、長時間運転においても、低分子リグニン誘導体を選択的に分離することが可能である。特に、供給するスラリーの固形物濃度が高くなってくると、反応器出口ラインの固形物濃度も上昇するため、閉塞の課題が顕在化してくる。本発明は、反応器出口ラインの温度を200〜250℃以上に保持することで、固形物による閉塞を回避することができ、樹脂原料収率(バイオマス投入量に対する低分子リグニン誘導体の比)は、多くのリグノセロース系バイオマスに対してほぼ20%を達成することが可能である。本発明は、アセトンなどの有機溶媒を用いずに低分子リグニン誘導体を選択的に分離することができ、経済的かつ高効率なリグニン誘導体を主成分とした樹脂原料の連続製造方法とその装置における反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法を提供するものとして有用である。

Claims (19)

  1. 亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインからの反応物を回収する受器、上記反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器を構成要素として含む装置を使用して、ヘミセルロース、セルロース及びリグニンを主成分とするリグノセルロース系バイオマスから樹脂原料を製造する方法において、反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避する方法であって、
    該バイオマスを粉砕し、水と混合することで水スラリーとし、該水スラリーを300℃以上374℃以下の温度で、その温度における飽和水蒸気圧以上の圧力のもと、30分以上連続的に反応処理を行い、反応終了後、上記反応器出口ライン(反応器出口から受器)の温度を200〜250℃の高温に保持する温度制御と該温度での固液分離操作を行うことで、上記反応器出口ラインにおける高温熱水可溶成分の閉塞を回避して、固体としての高分子リグニン成分と高温熱水可溶成分を分離し、該高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却することで、ヘミセルロース加水分解物とセルロース加水分解物を低温熱水可溶成分のまま分離して、リグニン誘導体を主成分とした樹脂原料をグリース状で分離することにより、上記反応器出口ラインの固形物による閉塞を回避することを特徴とする上記閉塞回避方法。
  2. 水スラリーを300℃以上330℃以下の温度で上記反応器で処理する、請求項1に記載の方法。
  3. 200〜250℃の高温での固液分離操作が、ろ過、或いは比重差分離による操作である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 200〜250℃の高温で分離された高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却する方法が、200〜250℃を保持したまま高温高圧回収受器に受け、受器の中で100℃以下の低温に冷却するか、或いは200〜250℃の状態から直接大気圧下へフラッシュして100℃以下の低温に冷却する、請求項1−3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 水スラリー中の固形物濃度が、最大15%(含水率85%以上)である、請求項1−4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1に記載の方法で使用する装置であって、水スラリーを高圧供給するポンプシステム、亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインからの反応物を回収する受器、上記反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器を構成要素として含み、
    上記反応器で処理された200〜250℃の高温の高温熱水可溶成分と固体物を上記固液分離器で分離し、高温熱水可溶成分を200〜250℃の高温に保持したまま上記受器に受け、該受器の中で上記高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却することにより、樹脂原料をグリース状の固形物として析出させ、低温熱水可溶成分と分離することにより、樹脂原料を回収する一連の操作を実行する機能を具備したことを特徴とする装置。
  7. 上記固液分離器が、ろ過器、或いは比重差分離器である、請求項6に記載の装置。
  8. 反応器出口ライン(反応器出口から受器)を200〜250℃の高温に保つ保温加熱手段を有する、請求項6又は7に記載の装置。
  9. 保温加熱手段が、熱媒加熱である、請求項8に記載の装置。
  10. 受器内に収容した高温熱水可溶成分を100℃以下の低温に冷却する手段を有する、請求項6−9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 受器が内部にピストンを有し、ピストンの片側に高温熱水可溶性成分を受入れ、ピストンの反対側に充填されている高圧水を所定の圧力で排出することにより、装置全体の圧力調整を行うとともに、高温熱水可溶性成分を回収する一連の操作を実行する機能を具備した、請求項6−10のいずれか一項に記載の装置。
  12. 100℃以下の低温に冷却する手段が、受器の外側に設置された冷却ジャケットである、請求項10に記載の装置。
  13. 受器にあらかじめ不活性ガスを所定の圧力で充填しておき、高温熱水可溶性成分を受入れることによるガス圧力上昇分を所定の圧力で排出することにより、装置全体の圧力調整を行うとともに、高温熱水可溶性成分を回収する一連の操作を実行する機能を具備した、請求項6−10のいずれか一項に記載の装置。
  14. 100℃以下の低温に冷却する手段が、受器内に挿入された冷却コイルである、請求項10に記載の装置。
  15. 請求項1に記載の方法で使用する装置であって、水スラリーを高圧供給するポンプシステム、亜臨界水反応を行う反応器、該反応器で処理した反応物を排出する反応器出口ライン、該反応器出口ラインの途中に設置された固液分離器、該固液分離器からの液状物(高温熱水可溶成分)を直接大気圧下にフラッシュする減圧弁、フラッシュ後の反応物を回収する受器を構成要素として含み、
    上記反応器で処理された200〜250℃の高温の高温熱水可溶成分と固体物を上記固液分離器で分離し、高温熱水可溶成分を200〜250℃の状態から直接大気圧まで減圧し、100℃以下の低温に冷却することにより、受器の中で樹脂原料をグリース状の固形物として析出させ、低温熱水可溶成分と分離することにより、樹脂原料を回収する一連の操作を実行する機能を具備したことを特徴とする装置。
  16. 上記固液分離器が、ろ過器、或いは比重差分離器である、請求項15に記載の装置。
  17. 反応器出口ライン(反応器出口から受器)を200〜250℃の高温に保つ保温加熱手段を有する、請求項15又は16に記載の装置。
  18. 保温加熱手段が、熱媒加熱である、請求項17に記載の装置。
  19. フラッシュ後の反応物を蒸気と固液混合物に分離するセパレータを有し、蒸気は凝縮器により蒸発凝縮水とし、固液混合物を受器に受け入れる操作工程を実行する機能を具備した、請求項15−18のいずれか一項に記載の装置。
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