以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である航空券販売システムの構成例について概要を示した図である。本実施の形態の航空券販売システム1は、「どこかに行きたい」という顧客(ユーザ)を対象に、入力された条件に基づいて抽出した複数の目的地の候補から最終的な行き先および航空便をシステムが抽選により自動的に決定するという目的地提案型の販売手法を実現する情報処理システムである。これにより、販売者が希望する候補地(在庫が多く残るであろう候補地)を優先的に選択して在庫の販売促進を図ることを可能とする。一方で、本実施の形態では、自動的に決定した行き先を出発直前までユーザに対して秘匿しておくことで、旅行に対する意外性や期待感をユーザに対して提供することも可能とする。
本実施の形態の航空券販売システム1は、例えば、サーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバ等により実装されたサーバシステムである航空券販売サーバ10と、航空会社等が各航空便の空席状況(在庫)を管理するとともに、空席に対する顧客による予約を処理するために運営する航空会社システム20とを有し、これらが図示しないLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して通信可能な構成を有する。本実施の形態では、図1に示すように、航空会社等が有する既存の航空会社システム20を前提とし、これと連携する形で航空券販売サーバ10を別途設けているが、これらを一体の情報処理システムとして構築することも当然可能である。
また、航空券販売サーバ10および航空会社システム20に対してインターネット等のネットワーク30を介してユーザが保有するPC(Personal Computer)や、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理端末からなるユーザ端末40が接続可能な構成を有する。
航空会社システム20は、航空会社等が有する既存の情報処理システムであり、少なくとも、対象の航空会社が運航する各航空便に対する空席の予約を受け付けてこれを保持、管理する機能を有する。本実施の形態では、例えば、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアとして実装された予約処理部21を有する。また、データベース等により実装された在庫データベース(DB)22および購入履歴DB23などの各データストアを有する。
予約処理部21は、空席の予約を受け付けるインタフェースを有し、予約が成立する場合には、その内容に基づいて、空席(在庫)情報を管理する在庫DB22、および顧客の購入履歴(搭乗履歴)を記録する購入履歴DB23の内容を更新する。予約処理部21が有するインタフェースは、例えば、ネットワーク30を介したユーザ端末40等からの予約入力を受け付けるユーザインタフェースであってもよいし、後述する航空券販売サーバ10からの指示を受け付けるプログラミングインタフェースやデータ連携のインタフェースであってもよい。
航空券販売サーバ10は、ユーザからの条件の入力を受け付けて目的地の候補を抽出するとともに、その中から最終的な行き先および航空便を抽選により決定する機能を有するサーバシステムであり、例えば、図示しないOSやDBMS、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアとして実装された在庫管理部11、目的地候補抽出部12、および申込管理部13などの各部を有する。また、データベースやファイルテーブル等により実装された在庫DB14、購入履歴DB15、ユーザDB16、および申込DB17などの各データストアを有する。
在庫管理部11は、販売対象となる航空便の空席(在庫)に係る情報を在庫DB14に保持して管理する機能を有する。本実施の形態では、例えば、航空会社システム20において最新の在庫情報を保持している在庫DB22から定期的に、もしくは随時に必要な在庫情報を抽出して、コピーやレプリケーション等することで在庫DB14を構築する。航空券販売サーバ10に在庫DB14を有さず、航空会社システム20上の在庫DB22を直接参照する構成としてもよい。また、在庫情報に限らず、各ユーザについての航空券の購入履歴(搭乗履歴)の情報を航空会社システム20上の購入履歴DB23から抽出してコピーやレプリケーション等することで、航空券販売サーバ10上に購入履歴DB15を構築するようにしてもよい。
目的地候補抽出部12は、ユーザ端末40を介したユーザからの条件の入力を受け付けて、在庫DB14の在庫情報や、購入履歴DB15の過去の購入(搭乗)履歴情報、ユーザDB16に登録されているユーザの属性情報などに基づいて目的地の候補を複数抽出するとともに、その中から最終的な行き先および航空便を抽選により決定し、ユーザ端末40に対して提示する機能を有する。なお、目的地の候補の抽出や、最終的な行き先の決定等に係る処理内容の詳細については後述する。
申込管理部13は、ユーザ端末40を介したユーザからの航空券の購入申し込みの入力を受け付けて、申込DB17に登録する機能を有する。後述するように、申し込みを受け付ける時点では、ユーザには目的地の候補のみが提示されている状態であり、申し込みの内容にはこれらの候補の内容が含まれる。申込管理部13は、例えば、申し込みの受け付け後、往路の出発日までの間の所定のタイミングで、最終的な行き先をユーザに対して通知する。最終的な行き先が決定された時点で、その内容に基づいて航空会社システム20の予約処理部21を介して自動的に予約を成立させてもよいし、ユーザがユーザ端末40により予約処理部21にアクセスして手動で予約を成立させてもよい。
<画面遷移例>
図2〜図5は、本実施の形態の航空券販売サーバ10がユーザ端末40に表示させる画面の例について概要を示した図である。ユーザがユーザ端末40上の図示しないWebブラウザや専用のアプリケーション等を利用して航空券販売サーバ10にアクセスすると、まず図2に示すような条件入力画面が表示される。ここでは、往路と復路についてそれぞれ希望日付を入力するとともに、往路の発時間および復路の着時間を時間帯で指定する。
仮に往路の発時間および復路の着時間を全く指定できないとすると、システムにより選択される航空便の範囲が広くなりすぎ、いつ出発していつ帰って来られるのかが分からないためにユーザにとって利用しにくいものとなる。一方、往路の発時間および復路の着時間を細かく指定できるとすると、システムにより選択される航空便の選択肢が狭くなりすぎ、目的地提案型の販売手法として意外性のある目的地を選択することが困難になり得る。したがって本実施の形態では、例えば、発時間もしくは着時間につき、5:00〜9:00を「早朝」、9:00〜12:00を「午前」、12:00〜17:00を「午後」、17:00〜20:00を「夕方」、20:00〜24:00を「深夜」のように時間帯に区分して指定するものとする。
なお、本実施の形態では、目的地によって飛行時間が異なることを考慮して、出発地にいつ帰って来られるのかの目安とするために復路については着時間の時間帯を指定するものとしているが、これに限らず、目的地での滞在可能時間を重視して選択できるようにするため、復路についても発時間の時間帯を指定するようにしてもよい。
図2の画面では、さらに出発空港を指定するとともに搭乗人数を入力する。当然ながら到着空港については指定することができない。本実施の形態では考慮しないが、ここで旅行の目的(例えば、温泉旅行やゴルフ旅行など)を指定できるようにしてもよい。
条件を指定・入力して「検索する」ボタンを押下すると、航空券販売サーバ10の目的地候補抽出部12により後述する手法によって抽出された複数(本実施の形態では4つ)の候補地(候補空港)が、図3に示すような画面により表示される。ここで、例えば、ユーザが航空券販売サーバ10のユーザDB16に予め旅行についての嗜好や希望、趣味などを属性情報として登録している場合には、その内容に応じて表示内容をパーソナライズしてもよい。
この時点ではユーザにとって最終的な行き先は未確定であるが、図3の画面に示された候補地のいずれかに行くことができることをユーザが了承すると、図4に示すような申し込みおよび決済処理を行う画面が表示される。ここで決済まで完了することにより、最終的な行き先は未確定であるものの、4つの候補地のいずれかに行くことができる権利だけを先に確保することができる。なお、図4の例では決済手段としてマイレージサービスのマイルを用いる場合を示しているが、決済手段は特に限定されず、クレジットカード決済など他の決済手段を適宜利用することができる。
申し込みおよび決済の後、往路の出発日までの間の所定のタイミングで、ユーザに対して図5に示すような画面により、最終的な行き先が決定されたことが通知される。図5の例では、最終的な行き先が広島空港に決定されたことを示している。通知は、例えば、対象のユーザの有するスマートフォンに導入されている専用アプリケーションを介して行ったり、対象のユーザに対して図5に示す画面を表示させるハイパーリンクを含む電子メールを送信したりすることで行う。本実施の形態では、かかる通知を例えば往路の出発日の4日前に行うものとする。すなわち、出発日の4日前までは最終的な行き先は未確定のままである。
このように、図4の画面による申し込みの後、最終的な行き先の決定と図5の画面によるユーザへの通知を往路の出発の直前に行うものとすることで、出発直前の在庫数(空席状況)に応じて最適な(最も在庫数が多い)行き先を決定することができ、出発直前までの在庫数の変動や突発的な売り切れ等にも対応することが可能となる。一方で、販売者である航空会社等の観点からは、出発直前まで在庫の販売が確定せず、それまでの在庫管理が難しくなるという面も有する。
これに対し、図4の画面による申し込みを受け付けた際に、最終的な行き先についても決定し、その時点で航空会社システム20を介した予約の登録まで行っておくことで在庫DB22に反映させてしまう構成とすることも可能である。この場合は、申し込みの時点で在庫DB22に反映されることから、その後の在庫管理を明確かつ容易にすることが可能となる。一方で、「どこかに行きたい」というユーザに対する目的地提案型の販売手法として、「出発直前まで行き先が分からない」というユーザにとっての意外性や期待感が低減してしまう場合がある。
そこで本実施の形態では、いずれの手法をとるかについて限定されず、最終的な行き先については、出発直前にその時点での在庫数に応じて最適なものを選択するようにしてもよいし、図4の画面による申し込みを受け付けた際に決定して予約の登録まで行っておくが、上記の例のようにユーザに対しては最終的な行き先を通知せずに出発直前まで秘匿しておくようにしてもよいものとする。これにより、必要に応じて在庫管理の明確化・容易化と、ユーザに対する意外性・期待感の高揚の実現を可能とする。すなわち、最終的な行き先の決定と実際の予約の登録のタイミングや、ユーザへの通知のタイミングについては、最適な在庫販売や在庫管理、ユーザへの訴求などいずれの要素を重視するかによって適宜設定することができる。
<処理の流れ>
図6は、本実施の形態における航空券の販売処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。まず、航空券販売サーバ10が上述の図2に示したような画面を介してユーザから航空券販売に係る条件の入力を受け付ける(S10)。条件の入力を受け付けると、航空券販売サーバ10の目的地候補抽出部12が目的地の候補となる空港を決定する一連の処理を行う(S20)。
ここではまず、ステップS10で入力された条件に合致する便を在庫DB14から抽出して該当便リストを作成する(S21)。具体的には、在庫DB14に登録されている在庫の中から、入力された条件において指定された往路、復路のそれぞれの日付および時間帯に該当し、かつ指定された人数より在庫数が多い便を抽出して該当便リストを作成する。なお、在庫DB14には、在庫管理部11により予め全便の全在庫のリストが反映・登録されているものとする。ここでの在庫数は、各便についての座席の販売可能数−販売済数として算出される。
図7は、該当便リストの具体的な例について概要を示した図である。図7(a)、(b)は、それぞれ、図2の条件入力画面において指定された条件に合致する往路および復路の該当便リストの例を示している。図7(a)では、4月17日早朝発の「HND(羽田)」空港発で在庫数が4以上の便がリストされており、図7(b)では、4月18日夕方発の「HND」空港着で在庫数が4以上の便がリストされている。なお、ユーザにより指定された条件以外の追加条件として、例えば、各便の機材もしく座席数に応じて一定の在庫数以下のものは販売不可として取り扱う(もしくはリストから除外する)ようにしてもよい。図7の例では、網掛けされた各便が追加条件に該当するものとして販売不可として取り扱われることを示している。
図6に戻り、次に、ステップS21で作成した該当便リストに基づいて、リストに含まれる空港からなる該当空港リストを作成する(S22)。具体的には、往路の該当便リストから到着空港のリストを抽出し、さらに復路の該当便リストから出発空港のリストを抽出する。そして、往路の到着空港のリストと復路の出発空港のリストの双方に共通して含まれる空港を抽出して該当空港リストとする。
なお、本実施の形態では、上記のように往路と復路で個別に空港のリストを抽出して、双方に共通する空港を抽出する処理手順としているが、同様の結果を得ることができるものであれば処理手順は特に限定されない。例えば、ステップS21およびS22に相当する処理として、先に往路のみについて該当便リストを作成して到着空港のリストを抽出し、その後、復路について、出発空港が往路の到着空港のリストに含まれる空港である便のみを対象として該当便リストを作成し、復路の該当便リストに含まれる出発空港を候補空港リストとする処理手順としてもよい。
本実施の形態では、図3に示したように、行き先の候補として4つの候補地(空港)を提示するものとしていることから、ステップS22で作成した該当空港リストに含まれる空港の数が3以下の場合は、複数候補地から行き先を抽選により選択するという仕組みが成立しない場合が生じ得る。したがって、ステップS22で作成した該当空港リストに含まれる空港の数が3以下であるか否かをチェックし(S23)、3以下の場合には、例えば、ユーザ端末40に対して「該当する便はご用意できませんでした」等のメッセージを表示して処理を終了する。
図8は、該当空港リストの具体的な例について概要を示した図である。図中の表における左側の列は、図7(a)に示した往路の該当便リストから到着空港を抽出したものを示し、表の中央の列は、図7(b)に示した復路の該当便リストから出発空港を抽出したものを示している。そして表の右側の列は、これらに共通して含まれる空港、すなわち、往復便の組み合わせを作ることができる空港のリストを示している。本実施の形態では、ユーザが行う旅行は基本的に出発地から1ヶ所の目的地に行き、そこから出発地に帰ってくるものであることを想定しているため、目的地としては、出発地との間で往復便の組み合わせがあることが必要となる。
図6に戻り、次に、ステップS22、S23で作成した該当空港リストに含まれる空港から、ユーザに対して候補地として提示する4つの空港を選択して候補空港リストを作成する(S24)。具体的には、例えば、ステップS22、S23で作成した往復での該当空港リストに含まれる各空港を所定の基準でスコアリングする等により順位付けし、上位のものから順に4つの空港を選択して候補空港リストとする。もしくは、算出したスコアに応じて設定された抽選確率に基づいてランダムな抽選により4つの空港を選択するようにしてもよい。
スコアリングに際しては、例えば、各空港について所定のパラメータ毎にウェイトを設定して重み付けし、各ウェイトを乗算することでスコアを算出する。基本となるパラメータは空港毎の在庫数であり、在庫数が多い空港ほどスコアが高くなるようウェイトを設定するものとするが、これに他のパラメータによるウェイトを反映することができる。例えば、空港別のパラメータとしては、人気がある空港(利用者数や便数が多い空港)であるか否かや、航空会社等が催すキャンペーン等の対象空港であるか否かなどによりウェイトを設定することができる。
また、同じ空港内でも、月や曜日、時間帯、もしくはこれらの組み合わせの別でウェイトを設定することができる。例えば、同じ空港から出発する便でも金曜日の夕方の便は平日の他の時間帯の便に比べて需要が高く在庫が販売されやすいなどの事情を反映させることができる。さらに、ユーザ毎の個人別のウェイトとして、例えば、過去に本実施の形態の航空券販売システム1により抽選・決定された行き先や過去に行ったことがある行き先と同じ空港については再度選択されにくくするようにウェイトを設定することができる。
図9は、候補空港リストの具体的な例について概要を示した図である。図中の左側の表は、図8に示した往復の該当空港リストに含まれる各空港について、上述したような空港別、月別、曜日別、および個人別のパラメータ毎にウェイトを設定し、各ウェイトを乗算した結果を示している。そして、乗算結果の上位4つの空港を抽出して候補空港リストとしたものを右側の表に示している。なお、各パラメータがどのような条件に該当した場合にどのような値のウェイトを設定するかについての設定情報は、例えば、図示しない設定ファイルやテーブル等に予め登録して外出しにしておき、必要に応じて変更できるようにしてもよい。
上述したように、該当空港リスト中の空港から4つの候補空港を選択する際には、パラメータ毎にウェイトを設定してスコアリングし、上位4つを選択、もしくは抽選により4つ選択することで行う。例えば、上位4つを選択するものとした場合、近接した時間間隔で同一ユーザについて複数回検索を行った場合、在庫数がその間に大きく変化していない限り、基本的には同じ4つの空港が候補として選択されることになるが、在庫数が変化した場合には候補空港も変化することがあり得る。また、抽選により4つ選択するものとした場合は、当然ながら検索を行う毎に候補空港が変化し得る。このとき、いい組み合わせの候補空港が現れるまで何度も検索を繰り返すことをユーザに許容すると、システムに対して過大な負荷がかかることになる。
そこで本実施の形態では、ユーザが入力した条件と検索結果の候補空港の内容をCookieに記録する等により、再度同じ条件が入力された場合、在庫が存在する限りにおいて最初に出力した候補空港と同じ内容の候補空港を出力する。在庫の変動により在庫数が不足する状態となった場合など、当初の検索結果の候補空港を選択できない場合には、「該当なし」として応答する。これによりユーザによる検索の繰り返しを抑制することができる。同じ条件が指定された場合に、常に当初の検索結果を用いるのではなく、回数制限を設けて一定の回数に限り再度の検索処理を許容するようにしてもよい。また、例えば数日後など一定期間を経過した後にはリセットして再度新規の検索ができるようにする。
図6に戻り、4つの候補空港が決定されると、次に、出発空港と候補空港との間の往復便の組み合わせのうち、実際にユーザに販売する航空便を決定する一連の処理を行う(S30)。ここでは、リソース(在庫)に応じたウェイトを設定して各便をスコアリングし、スコアに応じた抽選確率で最終的な往復便を抽選により決定する。
なお、本実施の形態では、上述したように、最終的な行き先および往復便の決定や、実際の予約の登録のタイミング等については柔軟に設定することができるため、設定によっては航空会社システム20での実際の予約の登録時に既に対象便の在庫がなくなっていて販売できないという事態が生じ得る。
そこで本実施の形態では、上記のようなリスクを回避するため、最終的な往復便を抽選により決定する際に、抽選された1つの往復便以外の他の往復便についても予め抽選により順位を決定して優先順位のリストとしておく。これにより、予約の登録時に対象便の在庫がない場合でも、速やかに次順位の候補便を対象として予約の登録をすることができる。次順位の候補便にも在庫がない場合には、さらに次順位の候補便、というように予約が登録できるまで優先順位のリストから順次代替の候補便を抽出して予約を試みることができる。
また、本実施の形態では、上述したように、予約の登録を行っても最終的な行き先および航空便の情報は出発直前までユーザに対して通知しないようにすることもできることから、上記のような往復便の決定過程についてもユーザから秘匿することができる。なお、候補の往復便全てについて優先順位を決定してもよいし、上位から所定の順位までのみ優先順位を決定して以降は省略することで効率化してもよい。
ステップS30の一連の処理では、まず、ステップS10で指定された出発空港と、ステップS24で作成された候補空港リストに含まれる4つの候補空港との間の往復の航空便からなる候補便リストを作成する(S31)。具体的には、ステップS21で作成した往路の該当便リストから、到着空港が候補空港に該当する便を抽出し、往路の候補便リストを作成する。同様に、ステップS21で作成した復路の該当便リストから、出発空港が候補空港に該当する便を抽出し、復路の候補便リストを作成する。そして、往路および復路の候補便リストに基づいて、往復可能な全ての組み合わせからなる往復の候補便リストを作成する。
図10、図11は、候補便リストの具体的な例について概要を示した図である。図10(a)、(b)は、それぞれ、上述の図7(a)、(b)に示した往路および復路の該当便リストから、図9に示した候補空港リストに含まれる各空港に該当する便を抽出した往路および復路の候補便リストの例を示している。また図11は、図10(a)、(b)に示した往路および復路の候補便リストに基づいて作成された往復の候補便リストの例を示している。図中では便宜上、候補空港毎に太線枠で囲って示している。
図12は、往復の候補便リストにおける往路と復路の便の組合せ状況の例について示した図である。ここでは、図11に示した往復の候補便リストにおける組み合わせ状況を図示している。図中では上段に往路の候補便リストに含まれる各便について到着空港と便名、在庫数を示し、下段に復路の候補便リストに含まれる各便について出発空港と便名、在庫数を示している。また、往復便の組み合わせとして可能なものとして、往路の到着空港と復路の出発空港が同一である便について総当りで組み合わせたものを実線で示している。すなわち、往路と復路の便を結ぶ各実線は図11に示した往復の候補便リストの各行に対応している。
図6に戻り、次に、ステップS31で作成した往復の候補便リスト中の各往復便の組み合わせについて、所定の条件に基づいて優先順位を決定する処理を行う(S32)。優先順位の決定方法には各種のものが考えられ、任意の方法を適宜採用することができる。例えば、最も単純かつ一般的に考え得る方法として、往復便の組み合わせを考慮せずに、往路便、復路便の順(もしくはその逆)で順次個別に選択・決定した後、これらを組み合わせて往復便とする方法が考えられる。
図13は、往復便の順位を決定する第0方式の処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。処理を開始すると、まず、往路の候補便リストから対象とする往路便を無作為に1つ抽選して決定する(S321_1)。次に、ステップS321_1で決定した往路便の到着空港を出発空港とする復路便を、復路の候補便リストから無作為に1つ抽選して決定する(S321_2)。その後、ステップS321_1およびS321_2で決定した往路便と復路便の組み合わせからなる往復便が既に抽出済みであるか否かを判定する(S321_3)。既に抽出済みである場合は、ステップS321_1に戻って処理を繰り返す。
一方、ステップS321_3で対象の往復便が抽出済みでない場合は、対象の往復便を優先順位のリストの末尾に追加して順位を決定する(S321_4)。順位を決定した往復便の情報は、図6のステップS31で作成した往復の候補便リストから削除する。その後、往復の候補便リスト中に残りがあるか否かを判定する(S321_5)。残りがある場合はステップS321_1に戻って処理を繰り返す一方、残りがなくなった場合は処理を終了する。
上記のような第0方式を採用した場合、往復便について優先順位のリストを作成する際のロジックがシンプルになり、実装が容易になるという利点を有する。一方で、決定した往路便と復路便の組み合わせに対して、新たに順位を決定した場合には往復の候補便リストに対して消し込みを行う必要があり、また、既に順位を決定済みである場合には対象の組み合わせを決定した処理が無駄になってしまうなど、処理の効率が悪く処理時間を要する場合があり得る。
また、在庫の販売という観点でも効率性が低下する場合がある。第0方式では、各便の在庫数の多寡を全く考慮していないため、在庫数が少ない便および空港であっても先に販売されてしまう可能性があり、在庫数が多い便や空港について効率的に販売したいという販売者側の要望を満たすことができない。また、在庫数が少ない便や空港であっても無作為に選択されて販売され得る結果、販売不可(売り切れ)となる空港が多く出現する場合があり、ひいては行き先の候補空港を4つ選択することができなくなる場合も生じ得る。
これに対し、在庫数が多い便から優先的に販売されるよう、第0方式のような無作為の抽出ではなく、各便に対して在庫数に応じたウェイトをつけて重み付けし、在庫数が多い便ほど選択・抽選されやすくすることが考えられる(この方式を「第1方式」とする)。図14は、第1方式により往路と復路の便の組み合わせから往復便の順位を決定する際の例について示した図である。図14の例では、説明の便宜のため、図12に示した往路と復路の便の組み合わせの例における在庫数とは異なり、往路と復路の各便はそれぞれ図示するような在庫数であったものとする。
第1方式では、第0方式と同様に、まず上段の往路便の中から対象の往路便を1つ選択するが、その際、第0方式のような無作為選択ではなく、在庫数に応じて設定されたウェイトを考慮して決定する。図14の例では他の空港行きの便と比較して在庫数がいずれも100席と多い「ITM(伊丹)」空港行きの便のうち「002便」が抽選・選択されたことを太枠で示している。次に、下段の復路便のうち、選択された往路便の到着空港を出発空港とするものから在庫数に応じて設定されたウェイトを考慮して1つ決定する。図14の例では在庫数がいずれも10席である「ITM」空港発の復路便のうち「103便」が抽選・選択されたことを太枠で示している。
上記の第1方式の場合、ウェイトにより在庫数の多寡を考慮することができるものの、例えば、往路便と復路便の間の在庫数の偏りや、往路の各便の間の在庫数の偏りと復路の各便の間の在庫数の偏りが大きい場合には、在庫の多寡を適切に評価することができずに非効率な販売となる場合が生じ得る。例えば図14の例における「ITM」空港は、往路の3便の在庫数(空席数)の合計は300席と多数であるが、復路の3便の在庫数(空席数)の合計は30席しかなく大きな偏りがある。この場合、これらの便を利用して「ITM」空港との間で往復することができる人数は最大で30人しかいないことになる。すなわち、「ITM」空港との間の往復という点での輸送可能キャパシティは30席である。
これに対し、図14の例における「AXT(秋田)」空港は、往路の1便の在庫数(空席数)が30席であり、「ITM」に比べてはるかに在庫数が少ないが、復路の1便の在庫数(空席数)も30席であり、輸送可能キャパシティは「ITM」と同じ30席となる。このように、往復での輸送可能キャパシティという点では同じであるにも関わらず、往路便の在庫数が多い「ITM」の方が、往路便の抽選の際に圧倒的に選択されやすくなってしまい、結果として非効率な販売となり得る。空港によっては上記の例のように、例えば、平日の日中の便は空席が比較的多い一方で、金曜日の夕方の便はほぼ満席となるのが通常、というように在庫数に大きな偏りがある場合もある。
図15は、往復便の順位を決定する第2方式の処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。この第2方式では、空港毎の往路便と復路便の在庫数の偏りに伴う非効率を解消するため、往復便での在庫数を考慮してウェイトを設定する。処理を開始すると、まず、往路と復路の便の組み合わせからなる往復便について、全ての組み合わせを作成する(S322_1)。この処理は図6のステップS31において作成した往復の候補便リストの作成と同内容である。
次に、ステップS322_1で取得した各往復便について、往路もしくは復路の在庫数のいずれか少ない方を、往復便としての在庫数(往復在庫数)とする(S322_2)。そして、各往復便について往復在庫数をウェイトとして重み付けした上で優先順位を抽選・決定し(S322_3)、処理を終了する。各往復便について抽選により優先順位を抽選・決定する手法については後述する。
図16は、第2方式により往路と復路の便の組み合わせから往復便の順位を決定する際の例について示した図である。図16の例では、図12に示した往路と復路の便の組み合わせの例における在庫数と同様の在庫数であったものとする。図中では、「ITM」空港と「AXT」空港について、それぞれ、これらの空港との間の各往復便についてステップS322_2で決定された往復在庫数を示している。また、「ITM」空港としての全ての往復便(9パターン)についての往復在庫数の合計は140であり、「AXT」空港としての全ての往復便(1パターン)についての往復在庫数の合計は10であることを示している。
図16の例において、第2方式では、各往復便について順位を抽選・決定する際に、「ITM」空港との間の各往復便については140のウェイトが設定され、「AXT」空港との間の往復便については10のウェイトが設定される。このように、各往復便の往復在庫数に基づいたウェイトが設定されるため、往路と復路の間の在庫数の偏りによる非効率を解消することができるとともに、往復便として在庫数が多い組み合わせほど高い優先順位で抽選されやすくなり、在庫を最後まで効率的に販売しやすくなる。
一方で、図16の例では、「ITM」空港との間の往復便全便のウェイトの合計と、「AXT」空港との間の往復便全便のウェイトの合計との比は14:1となる。したがって、各往復便の順位を抽選・決定する際において、「ITM」との間の往復便のいずれかが選択される確率は、「AXT」との間の往復便が選択される確率の14倍となる。すなわち、最終的な行き先として「ITM」空港が選択される確率は、「AXT」空港が選択される確率の14倍となる。
しかし、ここで上述したような空港毎の輸送可能キャパシティを考慮すると、「ITM」空港は全体で60席であるのに対し、「AXT」空港は10席であり、空港としての輸送可能キャパシティの比は6:1に過ぎない。すなわち、「ITM」空港のように往復便の組み合わせが多い空港ほど、輸送可能キャパシティの偏りに比べて空港として大きいウェイトが設定される結果、最終的な行き先としてより抽選されやすくなる。
したがって、第2方式は、往復便の組み合わせが多い空港(すなわち、発着便数が多い空港、利用客が多い空港)との間の往復便の方を優先的に販売したいというような場合には有効である。なお、往復便の組み合わせが多い空港でも、在庫が減った(売り切った)便が増えてくるにしたがって往復便の組み合わせも減ってくるため、空港として大きいウェイトが設定される(すなわち在庫が販売されやすい)状態も緩和されてくる。
一方、空港毎の在庫数の偏りに加えて、空港内での各往復便の在庫数の偏りについても考慮することが望まれる。図17は、同一空港内での複数の往復便について順位を決定する際の例について示した図である。例えば、ある空港について往路便の候補が上段の図に示す3便、復路便の候補が下段の図に示す3便の状態で、これらの組み合わせからなる往復便の中から対象の往復便を抽選・選択する場合を考える。この場合、上記の第2方式では、図15のステップS322_2で決定する各往復便の往復在庫数は、いずれも在庫数が少ない方の10に補正される。したがって、ステップS322_3で往復在庫数に基づいて各往復便に対して設定されるウェイト、すなわち優先順位決定の際の抽選確率は、均等な値となる。
しかしながら、図17の例では復路の「101便」のみ他の便の10席と異なり80席の在庫(空席)を有しており、優先順位決定の際に復路として「101便」が選択される抽選確率は他の便に比べて8倍とするのが実態に沿うものと考えられる。すなわち、第2方式では、図17の例のようにある空港について全ての往路便(もしくは復路便)の在庫数が総じて少なく、かつ、復路便(もしくは往路便)の在庫数が総じて多い場合には、復路便(もしくは往路便)の在庫数の分布や偏りが往復便を決定する際のウェイトに反映されなくなる。
図18は、往復便の順位を決定する第3方式の処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。この第3方式では、往復便の組み合わせの数が多い空港についてウェイトが大きく設定されることを回避しつつ、各空港での往路と復路毎の在庫数のバランスを考慮してウェイトを設定する。処理を開始すると、まず、往路と復路の便の組み合わせからなる往復便について、全ての組み合わせを作成する(S323_1)。この処理は図6のステップS31において作成した往復の候補便リストの作成と同内容である。次に、ステップS322_1で取得した各往復便について、往路便と復路便の在庫数を乗算し、その値を空港内往復毎ウェイトとして決定する(S323_2)。
次に、空港毎に往路の各便の在庫数の合計と復路の各便の在庫数の合計をそれぞれ算出し、その少ない方を空港毎ウェイトとして決定する(S323_3)。すなわち、上述した各空港の輸送可能キャパシティを算出して空港毎ウェイトとする。そして、ステップS323_2で算出した空港内往復毎ウェイトと、ステップS323_3で算出した空港毎ウェイトを往復便毎に乗算して往復毎ウェイトを算出し(S323_4)、往復毎ウェイトに基づいて抽選・選択を行って各往復便の優先順位を決定して(S323_5)、処理を終了する。
図19は、第3方式により往路と復路の便の組み合わせから往復便の順位を決定する際の例について示した図である。図19の例では、図12に示した往路と復路の便の組み合わせの例における在庫数と同様の在庫数であったものとする。図中では、「ITM」空港について、往復便毎に算出した空港内往復毎ウェイトを示している。また、各空港について、それぞれ往路と復路毎の各便の在庫数合計を示し、その少ない方を空港毎ウェイトとしたことを示している。
以下では、上記の第3方式によりウェイトを設定した場合に、各往復便についての優先順位を決定するための抽選確率がどのように算出されるかを示す。図20は、比較のために上述した第1方式により各便にウェイトを設定した場合の抽選確率の例を示した図である。図20(a)、(b)は、図6のステップS31で作成された往復の候補便リストが図11(および図12)の例に示したものであった場合に、往路、復路のそれぞれについて、各便の片道での在庫数をウェイトとして抽選確率を算出した場合を示している。
ここでは、往路、復路のそれぞれについて、全空港の全便の在庫数の合計(往路=215、復路=180となる)に対して100%となる抽選確率を、各便の在庫数で単純に按分した値が抽選確率とされている。第1方式では、この抽選確率に基づいて順次抽選された往路便と復路便の組み合わせによって往復便の優先順位が決定される。
図21、図22では、第3方式により各便にウェイトを設定した場合にどのように抽選確率が算出されるかの例を示している。図21は、図18に示した第3方式の処理フローのステップS323_4で決定される往復毎ウェイトの例を示した図である。図21(a)〜(d)は、それぞれ、図6のステップS31で作成された往復の候補便リストが図11(および図12)の例に示したものであった場合に、4つの各候補空港(「ITM」、「FUK(福岡)」、「OKA(那覇)」、「AXT」)を対象に、図18に示した処理フローのステップS323_2で決定される空港内往復毎ウェイトと、ステップS323_3で決定される空港毎ウェイトとを乗算して往復毎ウェイトを算出した例を示している。
各図において、左辺の第1項では、対象の空港における往路便と復路便の全組み合わせからなるマトリクスにそれぞれの在庫数を乗算した結果を空港内往復毎ウェイトとして示している。各セルでは、上段に在庫数を乗算した値を示し、下段には当該値が対象の空港内全体に占める割合としてパーセントにより示している(以下の演算では下段のパーセント値を用いるものとする)。
また、左辺第2項では、図19に示されている各空港の空港毎ウェイト(図19の例では「ITM」空港が60、「FUK」空港が50、「OKA」空港が45、「AXT」空港が10)について、全空港での合計(60+50+45+10=165)に占める割合として示している。そして、右辺では、往路便と復路便の組み合わせからなるマトリクスに左辺の計算結果として得られた往復毎ウェイトを示している。なお、図21(a)〜(d)に示された各空港の全往復便の往復毎ウェイトを全て合計すると100%となる。第3方式では、この往復毎ウェイトを抽選確率として順次抽選することで往復便の優先順位を決定する。
第3方式では、空港毎ウェイト(すなわち、上記の輸送可能キャパシティ)によって空港毎に抽選確率を配分することで、例えば、在庫数が多く往復便の組み合わせが多い空港がある場合にも、第2方式と比較して空港毎の在庫数に応じてより適切に販売することができる。すなわち、往復便の組み合わせが多い空港の便が優先的に販売されるようなことにならず、空港毎の往復での在庫数(輸送可能キャパシティ)が同じであれば、往復便の組み合わせの多寡によって優先度(抽選確率)が影響されないようにすることができる。
また、同じ空港内では往復毎の在庫数を乗算した空港内往復毎ウェイトによって抽選確率を配分することで、往復便として余剰がある(在庫数が多い)便ほど販売されやすくなり、在庫を最後まで効率的に販売することができる。また、往路と復路それぞれの在庫数の比率に応じて抽選確率を配分することになり、より適切に在庫を販売することができる。
なお、第3方式では、往復毎の在庫数を乗算して得た空港内往復毎ウェイトを用いていることから、実質的には、上述の第1方式などと同様に、往路と復路それぞれ個別に抽選・選択して組み合わせることと等価である。したがって、いずれの方法を用いてもよいが、往路と復路でそれぞれ個別に抽選・選択して組み合わせる後者の手法の場合、空港内往復毎ウェイトの算出は不要であるものの、全ての組み合わせに対して順位付けを行う際には組み合わせを考慮した消し込み処理等を行う必要があり非効率な処理となり得る。
図22は、第3方式により各便にウェイトを設定した場合の抽選確率の例を示した図である。図22(a)、(b)は、図21に示した各往復便の抽選確率(右辺の往復毎ウェイト)を、往路、復路に分けてそれぞれ便毎に集計したものを示している。上述したように、第3方式は、図22に示したような抽選確率によって往路、復路それぞれ個別に便を抽選・選択し、これらを組み合わせて往復便を決定することと等価である。
図22に示した第3方式により決定された抽選確率を、図20に示した第1方式により決定された抽選確率と比較すると、図22の例では、空港間の在庫数のバランス、往路、復路それぞれにおける在庫数のバランスに基づいて抽選確率が補正されていることが分かる。例えば、図22(a)の例では、在庫数が同じ30の往路便でも、「ITM行き001便」と「FUK行き005便」では空港毎の復路便の在庫数によって抽選確率が調整されて前者の方が抽選確率が高くなっている。
なお、本実施の形態では、抽選確率(もしくはウェイト)の異なる複数の便から抽選で選択された要素を順次取り出して順位付け(ランキング)するが、その手法については特に限定されず、公知のものも含めて任意の手法をとることができる。
図23は、本実施の形態における往復便毎の抽選確率が決定された際の優先順位の決定方法の例について概要を示した図である。例えば、A、B、Cの3つの要素に対して順位付けを行う場合、それぞれの抽選確率がW=1、2、3であったとすると、左側の図に示すように、要素Aの当選範囲HAを0<HA≦1、要素Bの当選範囲HBを1<HB≦3、要素Cの当選範囲HCを3<HC≦6とする。なお、当選範囲Hの配置の順序はこれに限られず任意とすることができる。
その後、乱数値Pを0<P≦6の範囲で発生させ、Pが属する当選範囲Hに対応する要素が当選したものとする。図23の例では要素Bが当選したことを示している。その後、当選した要素Bを順位リストの末尾に追加するとともに、当選範囲HBを取り除き、右側の図に示すように当選範囲HB部分の間隙を詰めて当選範囲を再構成した上で次回の抽選を行う。このとき次回の抽選で生成する乱数値Pの範囲は0<P≦4となる。このようにして当選した要素の当選範囲Hを順次取り除き、当選範囲Hが全てなくなるまで抽選を繰り返すことで、全ての要素について順位付けを行った結果の順位リストを得ることができる。
図6に戻り、ステップS32において往復便についての優先順位が決定されると、ステップS24で作成した候補空港リストに含まれる4つの空港の情報を上述の図3に示したような画面によってユーザ端末40上に表示させる(S33)。
その後、ユーザは旅行の申し込みをするか否かを判断するが、申し込みをしなかった場合(他の画面に遷移したり、アプリケーションを終了させたり等の場合)は、上述したように、ステップS10で入力された検索条件と、ステップS24で作成した候補空港リストの情報をCookie等を用いて記憶するようにしてもよい。一方で、ユーザが申し込みをする場合は、上述の図4に示したような画面を介してユーザ端末40からの申し込みの要求を受け付けて申込処理を行い(S40)、一連の処理を終了する。
申込処理では、例えば、ステップS24で作成した候補空港リストや、ステップS32で決定された往復便の優先順位のリスト等の情報を申込DB17等に記録した上で、本実施の形態では、優先順位リストの最上位に記録された往復便について、航空会社システム20の予約処理部21を介して実際に予約の処理を行い、在庫数を減算する(もしくは販売済み数を加算する)。上述したように、航空会社システム20での実際の予約登録の際に在庫数が不足するような状態となった場合には、優先順位リストの次順位に記録された往復便により代替して予約処理を行う。実際に予約された往復便の情報については、本実施の形態では出発日の4日前にユーザに対して図5に示したような画面を介して通知される。
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である航空券販売システム1によれば、ユーザから入力された条件に基づいて抽出した複数の目的地の候補から最終的な行き先および航空便をシステムが抽選により自動的に決定するという目的地提案型の販売手法を実現することができ、販売者が希望する候補地を優先的に選択して在庫の販売促進を図ることが可能である。また、自動的に決定した行き先を出発直前までユーザに対して秘匿しておくことで、旅行に対する意外性や期待感をユーザに対して提供することも可能である。
そして、複数の候補地(候補空港)の選択や、最終的な行き先の空港と往復便の決定の際には、往路便、復路便の在庫数や空港毎の在庫数などを含む各種のパラメータによってウェイトを設定して重み付けし、優先順位の高いものから販売するようにすることで、効率的、効果的に在庫の販売促進を行うことが可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
具体的には、例えば上記の実施の形態では、出発空港と、目的地となる到着空港との間の往路便と復路便を組み合わせて往復便として販売する場合と例としているが、このようなパターンに限られず、適宜他のパターンに応用、適用することができる。例えば、目的地に近接する空港がある場合には、往路便の到着空港と復路便の出発空港が異なる(例えば、伊丹空港と関西国際空港など)ようないわゆるオープンジョーで組むことも可能である。往路便の出発空港と復路便の到着空港が異なる場合も同様である。
また、上記の実施の形態では航空券における往路便と復路便という異なるリソースの組み合わせについて在庫数の多いものから優先的、効率的に販売するシステムを例として説明したが、航空券に限らず、組み合わせて割り当てるべき異なるリソースを、リソースの在庫量に応じて適切に割り当てる他のシステムや方法にも適用することができる。例えば、航空便に限らず新幹線などの他の交通機関にも適用可能であるし、交通機関やレンタカーとホテル、ホテルとレストラン、英会話の講師とレッスン用の部屋、人材派遣会社における要員と派遣先、弁当とお茶、など幅広く適用することができる。また、2つのリソースの組み合わせに限らず、3つ以上のリソースの組み合わせにも応用することが可能である。