JP5995021B1 - 熱発光測定装置と熱発光測定方法 - Google Patents

熱発光測定装置と熱発光測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間でかつ精度よく熱発光強度を測定することができる熱ルミネッセンス測定装置を提供する。【解決手段】測定する試料を加熱する試料加熱部と、前記加熱した試料から発せられる熱発光強度を測定する熱発光計測部と、前記試料加熱部と前記熱発光計測部とを収納する暗室から構成される熱発光測定装置において、前記暗室には、給気ダクトと冷却ファンとを有する給気部と、排気ファンと排気ダクトとを有する排気部が設けられていることを特徴とする熱発光測定装置。【選択図】図4

Description

本発明は、熱発光測定装置と熱発光測定方法に関し、具体的には、熱発光強度を迅速かつ精度よく測定することができる熱発光測定装置と熱発光測定方法に関するものである。
ガンマ線や電子線などのいわゆる電離放射線が物質に照射されると、物質を構成する分子や原子の持つ電子が弾き飛ばされる。電子は動きやすいので、大部分はすぐに元の状態に復帰するが、結晶性の物質では、含まれる不純物などの影響で、照射後も電子の過不足が生じた純安定状態が維持され易い。これは、結晶には、不純物や転位などの格子欠陥が存在しており、部分的にポテンシャルの高いところが存在し、それらの場所に自由電子がトラップされるためである。この純安定状態は、熱で刺激されると、電子が基底状態まで落ちることで解消され、即ち、蓄積されたエネルギーが放出され、その際、特定周波数の発光が起こる。この現象を熱ルミネッセンス(TL:thermoluminescence)または熱発光という。なお、本発明では、単に「熱発光」ともいう。
上記熱発光で放射される光の量は、被爆した放射線量に依存するため、光度を測定することで被爆した放射線量(パレオドース)を知ることができる。また、上記被爆線量は、時間に比例する。したがって、発光した光度を測定して蓄積された被爆線量を評価し、これと結晶が被った年間線量から、高温に曝されたときや太陽光を受けて電子が基底状態まで落ちたときからの時間を知ることができる。この原理を応用したのが、岩石や土器等の年代測定に用いられる、いわゆる「熱ルミネッセンス(TL)年代測定法」である。
一方、被爆した放射線量によって結晶内に蓄積されたエネルギーは、前述したように、熱を受けることによって減衰し、その減衰量は結晶が受けた温度や被熱時間に影響される。このことは、熱発光の測定は、地熱活動により受ける熱的影響を評価する一種の地質温度計としての応用が可能であることを示しており、例えば、非特許文献1に記載されたように、熱源探査や地下温度構造の推定等に利用されている。
なお、熱発光の測定に用いる岩石中に含まれる結晶としては、石英や長石、角閃石、方解石、粘度鉱物等があるが、上記熱発光測定による年代測定や地熱活動の評価には、石英や長石が用いられることが多い。中でも石英は、発光強度が強く、安定していることに加え、内部に放射性元素を含まないことから、年間線量の評価が単純に行えるので最も多く用いられている。
上記石英を用いた熱発光の測定は、一般に以下の手順、方法で行われる。
まず、岩石試料を採取し、粗砕して石英を選別し、微粉砕し、篩分けして50〜200μm程度の大きさに整粒した後、HCl溶液やHF溶液等で酸洗いし、不純物や表層を除去して測定試料とする。
次いで、上記測定試料を、一定の加熱速度で室温(約40℃)から蓄積エネルギーを放出し終える400℃超えの温度まで加熱し、各温度において試料が発する熱発光強度を、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier tube、以降、単に「PMT」ともいう)等を用いて測定し、図1(a)のA線に示したような温度−発光強度曲線を得る。
次いで、上記測定完了後の試料、即ち、蓄積エネルギー解放後の試料を用いて同様の測定を行って、図1(a)のB線に示したようなバックグランドの温度−発光強度曲線を測定し、先に測定した蓄積エネルギー解放前の試料の温度−発光強度曲線との差(グローカーブ:図1(b)のC線)を求めて積分し、積分発光量を求める。
上記積分発光量は、測定に供した石英試料を採取した岩石や土器等が受けた被爆線量に比例することから、年間に受ける被爆線量で割ることで、先に蓄積エネルギーを解放してからの被爆時間、例えば、土器などが焼かれたときからの時間を推定することができる。また、上記積分発光量は、熱的刺激によって減衰することから、他の地域から採取した岩石と比較することで、地熱活動の違いや地熱の変化等を推定することができる。
上記非特許文献1に記載された熱発光測定装置は、図2に示したように、測定対象となる試料を加熱する試料加熱部1と、上記試料加熱部で加熱した試料から発せられる熱発光の強度を測定する計測部2からなり、それらは、周囲からの光を遮断する暗室3の内部に収納されている。
上記試料加熱部1は、図3に示すように、上面に測定する試料Xを載置する窪み(試料置き4)を設けた平板状のPt板5に電極6を介して電力を供給し、直接通電加熱して試料Xを昇温する構造となっている。
上記試料加熱部1の温度制御は、上記試料置き4の下部(裏側)に取り付けた熱電対7で試料の温度を間接的に測定し、その測定結果に基き、温度制御装置8を介して電源部(電力供給装置)9からPt板に供給する電力を調整することで行っている。
また、上記計測部2は、測定試料Xが発する熱発光の強度を測定する光電子増倍管(PMT)10と、上記PMTに高電圧を印加する高圧電源11と、上記PMTで得た信号を増幅する増幅器12等から構成されている。
また、測定試料から発せられる発熱光の波長は、広い範囲に及ぶが、測定に適した波長を選択するため、および、発熱体からの赤外放射をカットするため、測定試料とPMTとの間にフィルター13が挿入されている。
土屋範芳ら、「葛根田地熱地域の火山岩および火山砕屑岩中の石英の熱発光−熱発光地質温度計の予察的研究−」:日本地熱学会誌、第16巻第1号(1994)p.55−70.
しかしながら、先述したように、熱発光強度の測定においては、試料を室温(約40℃)から400℃超えの温度まで一定昇温速度で加熱しているため、次の測定を行うためには、測定装置を室温まで冷却する必要がある。特に、熱発光強度の測定精度を高めるためには、熱発光強度を測定した後、同じ試料を用いて、再度、室温から400℃超えの温度までのバックグランドを測定する必要があるため、迅速に測定装置を室温まで冷却する必要がある。しかし、上記非特許文献1の試料加熱部は、密閉した暗室内部に収納されているため、上記冷却には長時間を要し、測定回数が大幅に制限されていた。
そこで、従来技術においては、上記問題点を解消するため、加熱部1の扉を開けて扇風機等で暗室外の空気を試料加熱部に向けて送風し、強制冷却していた。上記冷却方法では、過度の入光からPMTを保護するため、PMTの電源をOFFにする必要がある。しかし、一度、電源がOFFされたPMTは、その後、電源をONにしても、元と同じ感度特性とはならないことが多い。そのため、バックグランドの測定結果が変動し、熱発光強度の測定精度が低下するという問題があった。
また、図3に示した試料加熱部は、Pt板に直接通電して加熱しているため、加熱ムラが生じる問題がある。また、Pt板が赤熱し、その赤外放射がPMTにバックグランドとして検出されるため、バックグランドに対する試料の発光強度比が相対的に低下し、測定精度が低下するという問題がある。また、上記加熱方法では、Pt板と電極との接触部が高温となって溶損することがあり、また、溶損したPt板を交換した場合には、昇温特性が変化し、測定条件が安定しない。さらに、上記構造では、熱電対をPt板の試料置の裏面に高温セメントで貼り付けていたため、剥がれ易く、正確な温度測定ができない。そのため、全体的に操作性や測定精度の点で劣るという問題があった。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、暗室を開放することなく、試料加熱部を急速冷却することができ、ひいては、迅速かつ精度よく熱発光強度を測定することができる熱発光測定装置を提供するとともに、その熱発光測定方法を提案することにある。
上記課題を解決するべく開発した本発明は、測定する試料を所定の温度範囲に亘り加熱する試料加熱部と、前記加熱した試料から発せられる前記温度範囲に亘る熱発光強度を光電子増倍管により繰り返し二度測定する熱発光計測部と、前記試料加熱部と前記熱発光計測部とを収納する暗室と、前記繰り返し二度行われる熱発光強度計測間に前記試料を冷却する、前記暗室に設けられた給気ダクトと冷却ファンとを有する給気部および排気ファンと排気ダクトとを有する排気部と、から構成され、1回目の測定で得られる温度−熱発光強度曲線と2回目の測定で得られる温度−熱発光強度曲線の差を積分して積分発光量を求める熱発光測定装置において、前記2つのダクト内に互い違いに配設された違い棚状の遮光板が設置されていることを特徴とする熱発光測定装置である。
また、本発明の熱発光測定装置における上記試料加熱部は、接合部なく一体構造に作製された放熱フィンを備えていることを特徴とする。
また、本発明の熱発光測定装置における上記2つのダクトの開口部は、下向きであることを特徴とする。
また、本発明は、試料を加熱しながら、該試料から発せられる熱発光強度を光電子増倍管により測定するステップと、該試料を冷却するステップと、該冷却された試料を再加熱しながらバックグランド値を測定するステップと、を有する熱発光測定方法において、前記一連の各ステップにおいて熱発光強度計測部の光電子増倍管の電源を常にON状態のままとすることを特徴とする測定方法を提案する。
本発明によれば、暗室に遮光が可能な給気部と排気部を設けて試料加熱部を強制的に冷却するようにしたので、試料加熱部を迅速に冷却することができ、単位時間当たりの測定回数を飛躍的に増大することが可能となる。
また、本発明によれば、光電子増倍管の電源をOFFにする必要がなく、測定試料の熱発光測定からバックグランド測定までを、同一感度の光電子増倍管で、一貫して測定することができるので、熱発光測定精度を大幅に向上することが可能となる。
熱発光強度の測定方法を説明する図である。 非特許文献1に開示の従来の熱発光測定装置を説明する概略図である。 図2の熱発光測定装置における試料加熱部を説明する図である。 本発明の熱発光測定装置を説明する概略図である。 本発明の熱発光測定装置に用いて好適な試料加熱部を説明する図である。 本発明の試料加熱部を用いて試料を加熱したときの経過時間と温度の関係を示すグラフである。
本発明の熱発光(熱ルミネッセンス)測定装置について説明する。
図4は、本発明の熱発光測定装置の一例を示した概略図であり、図2に示した従来の熱発光測定装置と同様、測定する試料を加熱する試料加熱部1と、上記加熱した試料から発せられる熱発光を測定する光電子増倍管(PMT)10を備えた計測部2と、上記試料加熱部1と上記計測部2のうちの少なくともPMT10を収納し、周囲からの光を遮蔽する暗室3から構成されている。なお、熱発光強度の測定には、PMTに代わり、CCDやCMOSなどのイメージセンサ、Siフォトダイオードなどを用いることができる。
上記暗室3は、暗室の高さ方向中段に設けられた遮熱板14によって、試料加熱部1を収納する下部暗室3aと、計測部2のうちの少なくともPMT10を収納する上部暗室3bとに分割され、加熱された試料加熱部からの熱風の侵入や輻射熱によってPMT10が悪影響を受けないようにしている。また、上記遮熱板14の中央には、試料Xから発せられた熱発光をPMTに導くガラス窓13´が設けられている。上記PMT10は、上部暗室3bの内部に完全に収納されている必要はなく、少なくとも試料Xから発せられる熱発光を受けて光電子に変換する変換部および光電子の増幅をおこなう増幅部が暗室内にあればよい。なお、上記遮熱板としては、ベークライト板などを用いることができる。また、本発明の熱発光測定装置は、バックグランドを遮蔽し、試料からの熱発光を十分な強度で測定できる構造となっているため、上記ガラス窓13´は、フィルター機能を有するものでなくてもよい。
ここで、下部暗室3a内に収納された試料加熱部について、図5を用いて具体的に説明する。なお、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
試料加熱部1は、測定する試料Xを収納した試料皿15と、上記試料皿15の周囲を取り囲むようにして試料を加熱する加熱部本体1aと、該加熱部本体1aを覆う試料皿押え1bから構成されている。また、上記加熱部本体1aは、内部に発熱体16を内蔵し、測定する試料Xを収納した試料皿15を下方から加熱する下部ブロック1aaと、上記試料皿を格納する貫通孔17が設けられ、試料皿15を周囲から加熱する上部ブロック1abとから構成されている。
加熱部本体1aを、上記構造としたのは、発熱体16を内蔵した下部ブロック1aaの上に試料皿15を載置して加熱した場合には、試料皿の底部は加熱されても、試料皿の胴部は加熱されないため、試料が均一に加熱されないからである。そこで、試料皿を載置する位置に試料皿を格納する貫通孔17を設けた上部ブロック1abを配設し、試料皿を側面からも加熱する。
試料皿15の加熱温度は、上記下部ブロック1aaの上面に、試料皿を載置する位置まで溝18を形成しておき、該溝に熱電対7を挿入することで、試料皿下部の温度を測定する。このとき、熱電対の頭部が試料皿の下部に直接接触すると、試料皿が浮き上がり、下部ブロックと試料皿との間に隙間が生じて、下部ブロックからの伝熱が阻害されたり、試料皿が不安定となったりする。そこで、上記のように溝に熱電対を挿入する場合には、下部ブロック1aaと上部ブロック1abの間に、熱電対7を押え込むための熱電対押え1acを挿入するのが好ましい。なお、上記熱電対押えを挿入する場合には、熱電対押えの厚さを極力薄くするか、試料皿を載置する位置に凹み19を設けて、下部ブロックと試料皿との距離をできるだけ縮めるようにするのが好ましい。
ここで、上記試料皿15の胴部は、上記上部ブロックに対して、0.1〜0.3mm程度突出する高さを有することが好ましい。後述する試料皿押えで試料皿を押えるために必要であるからである。
なお、前述した熱電対押え1acは、必ずしも必要ではなく、例えば、上記した熱電対を挿入する溝18に代えて、熱電対を挿入する孔を設けた場合や、上部ブロックの貫通孔を底付きとし、熱電対押えとして用いる場合には、不要である。ただし、この場合にも、下部ブロックに設ける孔の位置を上面にできる限り近づけたり、上部ブロックの貫通孔に設ける底の厚さをできる限り薄くしたりするのが好ましい。
次に、上記加熱部本体1aを覆う試料皿押え1bについて説明する。
この試料皿押え1bは、上部ブロック1abの貫通孔17内に格納された試料皿15を上から押圧することによって、試料皿15と熱電対押え1acとの密着性を高めて、試料皿15の温度を下部ブロック1aaの温度により近づける役割を有するものである。
ただし、この試料皿押え1bは、試料皿15と接触している部分以外は、上部ブロック1abと離間していることが好ましい。それは、試料皿押え1bと上部ブロック1abとが接触すると、試料皿押え1bも下部ブロック1aaによって加熱され、赤外放射が発生するため、PMT10で測定されるバックグランドが増大し、熱発光の測定に悪影響を及ぼす。そこで、上記試料皿押え1bを上部ブロックと離間させることで形成される空気層に遮熱板としての機能を持たせるのが好ましいからである。上記効果を得るためには、上記離間距離は0.5〜1mm程度とするのが好ましい。なお、試料皿押えを断熱材で形成しても同様の効果を得ることができるが、耐久性や耐熱性の点で、空気層を遮熱板として活用する方が優れている。
なお、上述した加熱部本体で、試料皿を均一な温度に加熱するためには、下部ブロック1a(特に、発熱体より上側)、上部ブロック1bおよび熱電対押え1cが同一温度かつ均一に加熱される必要がある。そのためには、上記した試料皿や、上部ブロック、熱電対押さえおよび下部ブロックは、熱伝導性に優れる金属、例えば、アルミニウム(合金を含む)や銅(合金を含む)で製造するのが好ましい。中でも、アルミニウムは、加工性が良好で、安価であるので好ましい。
また、下部ブロックと熱電対押え間、および、熱電対押えと上部ブロック間の熱伝導性が高いことも必要である。そこで、上部ブロック、熱電対押えおよび下部ブロックは、ボルト等で締結して押圧し、密着性を高めてやることが好ましい。
また、上記試料皿15の加熱温度制御は、先述した熱電対7の測定温度と、目標温度との差がゼロとなるよう、ヒータに投入する電力をPID制御することにより行うのが望ましい。また、発熱体への供給電力の制御は、ゼロクロスSSRを使用したサイクル制御を採用するのが望ましい。この制御方式は、電気的なノイズも抑えられる他、一番簡易なON/OFF+SSR制御よりも精密な電力量の調整、即ち、精密な昇温速度制御が可能である。また、上記加熱部本体に内蔵される発熱体は、特別なもので有る必要はなく、市販のカートリッジヒータやシーズヒータ等であれば好適に用いることができる。
ところで、前述したように、図2に示した従来の熱発光測定装置は、400℃を超える高温まで加熱した試料加熱部を強制冷却する手段を有していなかったため、室温まで冷却するのに長時間を要し、測定回数が限られていた。また、上記問題を解消するため、試料加熱部やPMT等を収納した暗室の扉を解放し、扇風機等で強制冷却した場合には、冷却時間を短縮することはできるものの、光電子増倍管の感度特性が変化し、測定精度が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、図4に示したように、下部暗室3aに、暗室外の空気を上記試料加熱部に向けて送風して冷却する冷却ファン21aを有する給気部21と、上記冷却に使用された空気を暗室外に排出する排気ファン22aを有する排気部22を設置して、試料加熱部1を強制冷却するようにした。この給気部21および排気部22の設置により、暗室3を開放することなく、試料加熱部1を急速冷却することができるので、測定精度を低下することなく、冷却時間を短縮することが可能となる。
また、上述した冷却効果をさらに高め、冷却時間をより短縮するためには、試料加熱部1、具体的には、加熱部本体1aの下部ブロック1aaに冷却フィン20を設置することが好ましい。ただし、上記冷却フィンは、試料皿15とは反対側、即ち、下側に設置するのが好ましい。というのは、冷却フィン20は、加熱中においても冷却機能を発揮し、下部ブロック内の温度を不均一化するからである。
ここで、上記冷却フィン20は、下部ブロック1aaと一体構造とするのが好ましい。これは、下部ブロック1aaと冷却フィン20を別体として作製し、組み合わせた場合には、接合部の伝熱抵抗が大きくなり、冷却能が低下するからである。なお、上記問題点は、接合面を鏡面加工することである程度の改善は可能であるが、加工コストが上昇するばかりでなく、大気中で400℃超えの温度まで加熱されるため、表面に酸化皮膜が形成されたり、熱歪によって接合部の密着性が低下したりするため、安定した冷却能を得ることができない。
また、上記冷却フィン20は、下部ブロックの大きさにもよるが、3〜5枚程度とするのが好ましい。3枚未満では、冷却効果が小さく、一方、5枚を超えると、加工することが難しくなるからである。
また、上記冷却フィン20は、冷却空気が流れる方向に平行に立設するのが好ましい。冷却空気が流れに垂直な方向では、冷却空気が最初に当たるフィンは冷却されるが、その他のフィンが冷却されないため、冷却能が低下するだけでなく、試料加熱時の温度ムラを引き起こすので好ましくない。
また、上記した試料加熱部の冷却速度を高める観点からは、加熱ブロック1aおよび冷却フィン18の素材は、熱伝導性に優れかつ加工が容易なものであることが好ましく、具体的には、アルミニウム(合金を含む)やCu(合金を含む)であることが好ましい。
上記給気部21、排気部22を設けることによって、試料加熱部の冷却時間は大幅に短縮される。しかし、冷却ファン21aや排気ファン22aのみでは、下部暗室3a内に外部の光が射し込み、PMT10に悪影響を及ぼす。そこで、外部からの光を遮蔽するため、上記給気21および排気部22のそれぞれに開口部を有するダクト21b、22bを取り付けるとともに、その内部に、上記開口部から光が侵入するのを防止する違い棚状の遮光板21c、22cを複数設置することとした。上記違い棚状遮光板は、間隔を開けて互い違いに配設されているので、空気の流れを妨げることなく、光の侵入を効果的に遮ることができる。
なお、上記給気ダクト21bおよび排気ダクト22bの開口方向は、横方向でもよいが、光の侵入を遮る観点からは下向きとするのが好ましい。また、上記ダクト内に設置する違い棚状の遮光板21c、22cは、2以上とするのが好ましいが、空気の流動抵抗の上昇を抑制する観点、および、5を超えて増加させても遮光効果はほとんど変わらないことから、最大でも5程度とするのが好ましい。
図2に示した非特許文献1に記載された熱発光測定装置と、図4に示した本発明の熱発光測定装置の2つの装置を用いて、発光強度測定値の比較実験を行った。
なお、試料測定に際しては、装置の構成上、被測定鉱物を載せない発熱体のみの赤外放射による発光強度データは常に一定であるはずなので、これを発光量測定時の安定性評価に用いることとした。
熱発光強度の測定は、図2に示した熱発光測定装置については、加熱終了後は暗室開放あり(PMT電源断あり)、扇風機による強制冷却なしの条件で行い、また、図4に示した本発明の熱発光測定装置については、加熱終了後は暗室解放なし(PMT電源断なし)、強制冷却ありの条件で行い、それぞれ50℃から400℃まで加熱し、加熱終了後、上記条件で50℃まで冷却するのに要する時間を測定した。
上記測定は、各条件で10回連続して行い、積分発光量については常用する測定温度区間である50℃から365℃までの1℃毎の発光量を積分した値を求め、それらの平均値と標準偏差σの大きさを、また、冷却時間については、それらの平均値を求めた。実際の測定では、この動作を1測定試料につき2回(発光量測定とバックグランド測定)繰り返して行うことになるので、所要時間は約2倍となる。
上記測定の結果を表1と図6に示した。この結果から、本発明の熱発光測定装置を用いることにより、熱発光測定時間を大幅に短縮することができることがわかる。また、積分熱発光量を見ると、本発明例は比較例に比べて平均値が大きいにも拘わらず、標準偏差が小さいことから、熱発光測定精度も大きく向上することがわかる。また、昇温速度も一定にできることもわかる。
Figure 0005995021
X:測定試料、1:試料加熱部、1a:加熱部本体、1aa:下部ブロック、1ab:上部ブロック、1ac:熱電対押え、1b:試料皿押え、2:計測部、3:暗室、3a:下部暗室、3b、上部暗室、4:試料置き、5:Pt板、6:電極、7:熱電対、8:温度制御装置、9:電源(電力供給装置)、10:高電子層倍管(PMT)、11:高圧電源、12:増幅器、13:フィルター、13´:ガラス窓、14:遮熱板、15:試料皿、16:発熱体、17:貫通孔、18:熱電対用溝、19:試料皿置き用凹み、20:冷却フィン、21:給気部、21a:給気ファン、21b:給気ダクト、21c:遮光板、22:排気部、22a:排気ファン、22b:排気ダクト、22c:遮光板

Claims (4)

  1. 測定する試料を繰り返し2回加熱する試料加熱部と、
    前記2回の加熱に伴い試料から発せられる測定試料の熱発光強度およびバックグランドの熱発光強度を光電子増倍管の電源をONにした状態のまま一貫して測定する熱発光計測部と、
    前記試料加熱部と前記熱発光計測部とを収納する暗室と、
    前記繰り返し2回行われる熱発光強度計測間に前記試料を冷却する、前記暗室に設けられた給気ダクトと冷却ファンとを有する給気部および排気ファンと排気ダクトとを有する排気部と、
    から構成され、1回目の測定で得られる温度−熱発光強度曲線と2回目の測定で得られる温度−熱発光強度曲線の差を積分して積分発光量を求める熱発光測定装置において、
    前記2つのダクト内に互い違いに配設された違い棚状の遮光板が設置されていることを特徴とする熱発光測定装置。
  2. 前記試料加熱部は、接合部なく一体構造に作製された放熱フィンを備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱発光測定装置。
  3. 前記2つのダクトの開口部は、下向きであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱発光測定装置。
  4. 試料を加熱しながら、該試料から発せられる熱発光強度を光電子増倍管により測定するステップと、
    該試料を冷却するステップと、
    該冷却された試料を再加熱しながらバックグランド値を測定するステップと、
    を有する熱発光測定方法において、
    前記一連の各ステップにおいて熱発光強度計測部の光電子増倍管の電源を常にON状態のままとすることを特徴とする測定方法。
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