(概要)
上記機構よりも複雑でない、サーバーに基づく信頼できるテレマティクスサービス、例えば車両用テレマティクスサービスを提供するための技術が求められている。
このようなニーズは、アプリケーションサーバーを制御するための第1方法によって満たされる。この方法は、携帯電話を介してアクセスできるアプリケーションサーバーによって実行され、この方法は、ユーザーターミナルが設置されている環境の環境設定を示す設定情報を、モバイルネットワークの無線インターフェースを介して受信するステップと、受信した設定情報に従い、アプリケーションサーバーがホストとなっているアプリケーションを制御するステップとを備える。
モバイルネットワークは、例えばGSM(登録商標)(モバイル通信のためのグローバルシステム)、UMTS(ユニバーサルモバイル通信システム)またはLTE(UMTS長期革新)ネットワークとすることができる。アプリケーションサーバーは種々の方法でモバイルネットワークに関連させることができる。例えばサーバーは、モバイルネットワークの一部とすることができ、例えばUMTSネットワークのうちのIMS(インターネットマルチメディアサブシステム)に属すことができる。別の変形例では、アプリケーションサーバーは、モバイルネットワークの外部に位置し、例えば1つ以上の固定ネットワーク、例えばインターネットを介してアクセスできる。ユーザーターミナルは、モバイルネットワークの無線インターフェースを介して通信できる任意のターミナルデバイスとすることができ、このターミナルデバイスとして、例えば携帯電話、スマートフォン、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、ノートブックなどを挙げることができる。ユーザーターミナルは、単一ユーザーまたはユーザーのグループに関連させることができ、更に物理的ユーザーまたは個人でないユーザー、例えば会社のうちの一方または双方に関係してもよい。
設定情報を、ある環境へのユーザーターミナルの設置に関する情報であると理解できる。従って、設定情報は、ユーザーターミナルとユーザーターミナルが設置された環境との間の関係を示すことができ、かかる関係は、環境設定によって定義できる。
ある環境設定は、ユーザーターミナルが設置されている環境の1つ以上の周辺条件または特定の周辺条件を含むフレームワークによって表記できる。一例として、「ユーザーターミナルが車両と称される環境内にあること」または「ユーザーターミナルが車両と称される環境内にないこと」をそれぞれ意味する「車両内に存在する」および「車両内に存在しない」なる2つの環境設定をあらかじめ定義できる。この設定情報は、これらあらかじめ定められた可能性のうちの1つを正確に示すことができる。この例では、設定情報を1ビットの情報として、すなわち「ビットセット」および「ビット非セット」として受信でき、すなわちこの情報は、あらかじめ定めた規定、例えば設定情報「ビット=1」により「車両内に存在する」を表示でき、設定情報「ビット=0」により「車両内に存在しない」を表示できる。従って、複数の環境設定をあらかじめ定義する場合、設定情報は(短い)基準だけでこれら設定のうちの1つを表示できる。
一実施例によれば、環境を物理的対象とすることができ、設定情報はユーザーターミナルと物理的対象との間の関係を示す。例えば設定情報は、物理的対象に対するユーザーターミナルの位置の表示を含むことができる。例えば物理的対象のタイプまたは種類を記述できる。例えば物理的対象は、車両(例えば自動車、バス、バンだけでなく、船舶、飛行機など)、建物、例えば他の公共または個人の建物と対照的な、図書館のような公共の建物、建物内の部屋、例えばミーティングルームなどでよい。物理的対象は、一般的なサイト、例えば「公共運輸のための停止ポイントに近い」サイト、例えば鉄道の駅またはバスの停留所、シティ内の中心部としても理解できる。設定情報は、ユーザーターミナルの位置が物理的対象の「内」、「内部」、「近く」、「近傍」などの物理的対象に関連することを表示できる。より一般的な例として、ユーザーターミナルと物理的対象との位置関係の存在は、例えばローカル通信接続の確立に基づいて決定でき、特にユーザーターミナル内のローカル通信ユニットと物理的対象との間に、例えばユーザーターミナル内のブルートゥース通信ユニットと車両との間に、数メートル以下のカバー範囲を有するブルートゥースまたは他の技術のような短距離通信技術を介して決定できる。この設定表示は、この場合、「ローカル通信確立」を示すことができ、このローカル通信は必ずしもユーザーターミナルが物理的対象の「内」にあることを意味するものでなく、物理的対象の「近く」または「近傍」の意味も定義し得る。
いずれのケースにおいても、アプリケーションサーバーは、適当な設定情報を送信したターミナルデバイスとこの種の設定情報を送っていない他のターミナルデバイスとを区別できるようにされる。
既に例として説明したように、一部の実現例では、設定情報はユーザーターミナルが物理的対象の近くまたはその内部に存在するのか、存在しないのかを示すことができる。更に、上記を例にすると、設定表示は「車両内に存在する」または「車両内に存在しない」(本明細書では、簡潔にするため、ときどき「車両内に存在する/存在しない」と表示する)、「ミーティングルーム内に存在する/存在しない」、「家の中に存在する/存在しない」、「シティ内の中心部にある」または「公共運輸のための停止ポイントの近くにある」のいずれかを表示できる。特殊なアプリケーションにより、必要に応じ、他の空間的関係も表示できる。
設定情報は、物理的対象の作動ステータスの表示を含むことができる。例えばステータス表示は、物理的対象のモータが始動しているかどうか、および/または対象が移動しているかどうかを表示できる。上記表示に加え、または上記表示の代わりに、物理的対象の速度も表示できる。かかる情報は、例えば環境設定「車両内に存在する/存在しない」に対して任意のタイプのモータ駆動および/または移動可能な物理的対象に関して有効であるだけでなく、バス、バン、列車、船舶などに関係する設定にも有効であり、更に交通路(例えば道路、河川など)上の停車中(非作動中の)車両とドライブ中(作動中の)車両とを区別することを助け、よってアプリケーションの精度を高めることができる。
この方法の一部の実施例は、ユーザーターミナルおよび/またはユーザーターミナルが設置されている環境に関連するターミナルデバイスに関するロケーションを決定するためのローカライゼーションサービスの実施を、設定情報の受信によってトリガーすることにより開始するステップを含むことができる。例えばターミナルが「車両内に存在する」として、その環境設定を表示した後に限り、ユーザーターミナルの位置が交通予測に含まれるように、交通予測サービスアプリケーションをコンフィギュアできる。この種の設定表示を受信した後にユーザーターミナルの位置を決定するよう、ローカライゼーションサービス(ローカライゼーションアプリケーション)を始動できる。例えばモバイルネットワーク内のローカライゼーションサービスにより、ユーザーターミナルから、またはユーザーターミナルが位置する、車両のような物理的対象に関連するターミナルデバイスから、ロケーション情報をリクエストできる。ユーザーターミナル内に設けられるか、または物理的対象、例えば車両内に組み込まれたGPSユニットを使用し、リクエストされたロケーション情報を決定できる。
サーバーで実行されるアプリケーションは車両テレマティクスサービス、例えば交通予測サービスまたは交通警告サービスを実施できるか、または車両のトラッキング、トレーラーのトラッキング、車両の集団管理、車両用緊急警告システムなどに関連した他の任意の車両テレマティクスを実施することもできる。アプリケーションは道路交通に関連する代わりに、鉄道の交通または他の任意のタイプの交通にも関係できる。更に、アプリケーションは、より広い意味でのテレマティクスアプリケーション、例えば家庭用機器のような機器の遠隔制御、または交通信号灯、またはユーザーターミナルのユーザーに関連するコンフィギュレーションの制御のようなテレマティクスアプリケーションとすることができ、例えばモバイルネットワーク内および/または他の任意のネットワークのユーザーのユーザープロファイルを受信した設定表示に従ってコンフィギュアしてもよい。
ユーザーターミナルに関連するユーザープロファイル内に設定情報が含まれてもよい。例えばアプリケーションを制御するためのステップは、ユーザーターミナルに関連するユーザープロファイル内の設定情報を表示するステップと、アプリケーションによりユーザープロファイル内に表示された設定情報にアクセスするステップとを含むことができる。モバイルネットワーク内、例えばHLR(ホームロケーションレジスタ)またはHSS(ホーム加入者サービス)、他のネットワーク内のユーザープロファイル記憶装置内でユーザープロファイルをホストとしてもよいし、またはアプリケーションサーバー自身によりユーザープロファイルをホストとするか、またはユーザープロファイルをアプリケーションサーバー自身と関連させることができる。他の任意のアプリケーションだけでなくモバイルネットワーク内の制御エンティティによっても、例えば(アプリケーションサーバーのポーリング作動に起因し)繰り返し状態で、または設定情報が確立された時間とは無関係にユーザープロファイルにアクセスしてもよい。更にこのように、ユーザーターミナルとそのユーザーが内部またはその近くに位置する環境またはその周辺に応じて、モバイルネットワーク内および/または他の任意の通信環境内、例えばテレマティクス環境内のユーザーターミナルのユーザーのユーザープロファイルを管理するように、設定情報を使用してもよい。
アプリケーションを制御するステップは、アプリケーションをスタートさせるステップを含むことができる。例えばユーザーターミナルのロケーションを決定し、対応するロケーション情報を他のアプリケーション、例えば交通予測アプリケーションへ提供するように、ローカライゼーションアプリケーションをスタートできる。上記方法とは異なり、または上記方法に加え、アプリケーションを制御するステップはアプリケーションを(再)コンフィギュアするステップを含むことができる。例えば適当な設定情報の受信だけに応答してユーザーターミナルのロケーションを含むように、交通予測アプリケーションをコンフィギュアしてもよい。
本方法の一部の実施例では、アプリケーションを制御するステップは、アプリケーションの実行から得られた結果情報をユーザーターミナルおよび物理的対象のうちの少なくとも1つに提供するステップを含むことができる。例えば交通予測サービスは、モバイルネットワークを介し、更にポイントツーポイント接続またはポイントツーマルチポイント接続(一斉送信、マルチキャスト)を介してユーザーターミナルに交通予測情報を提供できる。
上記ニーズは、モバイルネットワークを介してアクセスできるアプリケーションサーバーを制御する第2の方法によって満たされる。この方法は、モバイルネットワークのターミナルデバイスによって実行され、この方法は、ユーザーターミナルが設置されている環境の環境設定を示す設定情報を確立するステップと、設定情報に従い、アプリケーションを制御するよう、モバイルネットワークの無線インターフェースを介してアプリケーションサーバーに設定情報を送信するステップとを含む。ターミナルデバイスは、ユーザーターミナルまたはユーザーターミナルが設置された環境設定に関連するターミナルデバイスを含むことができ、例えば車両内にターミナルデバイスを固定された状態に組み込んでもよい。
第1方法に関して、既に設定情報だけでなく、アプリケーションの強制的およびオプションの特徴の概要についても説明した。本明細書に説明する特徴は、第2方法で特定される設定情報およびアプリケーションにも当てはまる。
更に第2方法に関連し、設定情報を送信するステップは、設定情報を確立するステップによって自動的にトリガーしてもよい。例えばユーザーターミナルを車両に物理的に接続することができ、ユーザーターミナルは、「車両内に存在する/存在しない」を判断するように、車両から受信された情報に基づいて作動する環境設定決定ルーチンを実行できる。環境設定が「車両内に存在する」となっているか、または「車両内に存在する」に変更されたとの結論にルーチンが至った場合、ルーチンは「車両内に存在する」を示す設定情報の送信をトリガーできる。
設定情報を確立するステップは、ユーザーターミナルと、このユーザーターミナルが設置されている環境に関連するターミナルデバイスとの間のローカル通信接続を介して、環境設定のための表示を受信するステップと、この表示から設定情報を決定するステップを含むことができる。例えばこの表示は、特定の環境内で一般に使用される特定の通信レジュームの確立を含むことができる。例えばユーザーターミナルが車両のハンズフリーキットとのブルートゥース通信を確立できる。これらの間でブルートゥースHFP(ハンズフリープロファイル)を確立できる。ユーザーターミナルは接続の確立に基づき、車両内に位置するとの結論を出すことができる。例えばユーザーターミナル内のローカル通信ユニットと車両との間でブルートゥースペア化機構を実行できる。車両のブルートゥース通信ユニット内に、ユーザーターミナルのブルートゥース通信ユニットのデバイスアドレスを記憶してもよいし、および/またはその逆にユーザーターミナルのブルートゥース通信ユニット内に車両のブルートゥース通信ユニットのデバイスアドレスを記憶してもよい。ユーザーは車両の前で他の方法により自らを認証することもできる。例えば「車両内に存在する」との設定情報により示される環境設定に対して表示される、作動に関する情報と共に、ユーザーが「車両内に存在する」との表示として、スターターロックの作動を利用できる。
別の変形例として、ある時間、例えば10秒よりも長くブルートゥース通信が休止した場合、ユーザーターミナルは、通過ではなく、実際に車両内に存在するとの結論を出すことができ、次にモバイルネットワークに対し、それぞれの設定情報を送信できる。
別の実施形態では、車両に固定的に関連するターミナルデバイスは、ユーザーターミナルとの短距離通信接続の確立を表示として利用でき、よってこの表示から、ターミナルデバイスに接続されたユーザーターミナルに関連するように「車両内に存在する」と設定情報を決定できる。
例えば環境設定固有のデバイス、すなわち環境に固定された状態で関連しているターミナルデバイスへのローカル通信接続の確立中、例えばUSBまたはブルートゥース通信の確立中にローカル表示を受信することができる。設定固有のデバイスは物理的対象に物理的に関連したローカル通信ユニットでよく、例えば車両内に組み込まれたハンズフリーキットでよい。別の例は、ミーティングルーム、家庭、公共交通停止ポイント等にある、ブルートゥース基地局またはWLANアクセスポイントに関係し得る。
既に例として述べたように、ローカル通信接続は、ブルートゥース、WLANまたは同様な短距離通信規格に従った無線ローカル通信接続を含むことができる。これら無接触特性に起因する無線通信接続は、有利なことに自動的に確立でき、すなわちユーザーは操作を全く行わなくてもよい。
第2の方法は、アプリケーションサーバーからのロケーション情報のリクエストを受信するステップと、リクエストされたロケーション情報を提供する別のステップを更に含むことができる。例えばローカライゼーションアプリケーションは、ターミナルが提供する設定情報に応答し、ユーザーターミナルからのGPS情報をリクエストできる。
更に、上記ニーズは、1つ以上の計算デバイス、例えばアプリケーションサーバーまたはユーザーターミナルでコンピュータプログラム製品を実行するときに、前記方法のいずれか1つのステップを実行するためのプログラムコード部分および本明細書に記載した方法の特徴を含むコンピュータプログラム製品によって満たされる。このコンピュータプログラム製品は、コンピュータで読み取り可能な記録メディア、例えば内部のまたは計算デバイスに結合した永久的または書き換え可能なメモリもしくは取り外し可能なCD−ROM、DVDまたはUSB−スティックに記憶させてもよい。上記方法に加え、または上記方法とは異なり、例えばインターネットのようなデータネットワークまたは電話回線もしくは無線リンクのような通信回線を介し、計算デバイスへダウンロードしてコンピュータプログラム製品を提供してもよい。
上記ニーズは、モバイルネットワークを介してアクセス可能なアプリケーションサーバーによって更に満たされる。このアプリケーションサーバーは、モバイルネットワークの無線インターフェースを介して設定情報を受信するようになっている第1コンポーネントを備え、設定情報はユーザーターミナルが設置されている環境の環境設定を示し、アプリケーションサーバーは更に設定情報に従ってアプリケーションサーバーのホストとなっているアプリケーションを制御するようになっている第2コンポーネントを更に含む。
以上のように、設定情報およびアプリケーションの特徴について要約した。この説明は、アプリケーションサーバーおよびそのホストとなっているアプリケーションにより受信され、使用されるような設定情報に対しても当てはまる。
アプリケーションは、設定情報の受信によってトリガーされ、ローカライゼーションアプリケーションを実行し、ターミナルデバイスのロケーションを決定するようになっているコンポーネントを更に含むことができる。このローカライゼーションアプリケーションは、モバイルネットワークのホストとなることができるか、またはアプリケーションサーバーのホストとなることもできる。いずれのケースにおいても、ローカライゼーションアプリケーションはターミナルデバイスからのロケーション情報をリクエストするようにコンフィギュアできる。
第2コンポーネントは、ユーザーターミナルに関連するユーザープロファイル内に設定情報を表示するようにでき、更にユーザープロファイルに含まれる設定情報にアクセスするようにできる。
更に、上記ニーズは、モバイルネットワークのターミナルデバイスによって満たされる。ターミナルは、ユーザーターミナルが設置されている環境の環境設定を示す設定情報を確立するようになっている第1コンポーネントと、設定情報に従い、アプリケーションを制御するよう、モバイルネットワークの無線インターフェースを介してアプリケーションサーバーに設定情報を送信するようになっている第2コンポーネントとを備える。ターミナルデバイスは、ユーザーターミナルまたはこのユーザーターミナルが設置されている環境に関連するターミナルデバイスを含むことができる。
第1コンポーネントは、設定情報を確立する際に第2コンポーネントを自動的にトリガーするようにできる。
第1コンポーネントは、ローカル通信接続を介し、環境設定のローカル表示を受信し、このローカル表示から設定情報を決定するようにできる。第1コンポーネントは更に、環境設定固有のデバイスへのローカル通信接続の確立中にローカル表示を更に受信するようにできる。この第1コンポーネントは、上記方法に加え、または上記方法の代わりに、無線ローカル通信接続を含むローカル通信接続に適応できる。
上記ニーズは更にユーザーターミナルに関連するユーザープロファイルによって満足される。このユーザープロファイルは、モバイルネットワークに接続可能なユーザーターミナル内、モバイルネットワークのユーザープロファイル記憶装置内、またはモバイルネットワークを介してアクセス可能なアプリケーションサーバー内で実行してもよいし、またはこのアプリケーションサーバーに関連させてもよい。ユーザープロファイルは、ユーザーターミナルが設置されている環境設定を示す設定情報を表示するためのデータフィールドを含む。この設定情報は、これまで要約したような特徴を有することができる。
上記ニーズは、これまで要約したようなアプリケーションサーバーおよびユーザーターミナルを含む通信システムによって更に満たされる。
(好ましい実施例の説明)
次の記載では、発明を限定するのではなく、発明を説明する目的で、特定の細部、例えば特定の環境設定および特定のネットワークノード、通信規格などを含むネットワークシステムについて記載し、本発明を完全に理解できるようにする。当業者であれば、これら特定の細部と異なる他の実施形態でも、本発明を実施できることが明らかとなろう。次の記載は、車両テレマティクスサービスに集中するが、他の分野、例えばプライベートおよび/または公共的環境における機器の遠隔制御、緊急サービス、その他のテレマティクスサービスなどでも、本発明を実施できる。更に当業者であれば、本発明を説明するために後述するようなUMTSネットワークと異なる通信ネットワークでも、本発明を実施できることが理解できよう。この通信ネットワークは、他のモバイルネットワーク、例えばGSMネットワークも含むことができる。本発明は、有線通信ネットワークでも実現できる。例えばインハウスIPネットワーク(例えば会社のイントラネット)内にアプリケーションサーバーを設けることができる。基本的にはサーバーに基づくサービス、例えば最も広い意味では、テレマティクスサービスを提供する任意の通信システムで本発明を実施できる。
当業者であれば、後述する機能は個々のハードウェア回路を使用するか、プログラムが組み込まれたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータと組み合わせて機能するソフトウェアを使用するか、および/または1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用することにより実現できることが、更に理解できよう。また、本発明を1つの方法として記述するとき、本発明はコンピュータプロセッサおよびプロセッサに結合されたメモリ内でも実施できることも理解できよう。この場合、メモリにはプロセッサによって実行されるときに本明細書に開示した方法を実行する1つ以上のプログラムがコード化される。本明細書に記載するノードまたは機能的エンティティのうちのいずれか、例えばアプリケーションサーバーおよびユーザーターミナルは、コンピュータプロセッサおよびこのプログラムに係合されたメモリを含む、計算デバイスとして実現してもよい。
図1は、車両101および104のユーザーに交通関連サービスを提供するための通信システム100を略図で示す。この通信システム100は、ユーザーターミナル106と、UMTSネットワーク110内のアプリケーションサーバー(AS)108とを含み、UMTSネットワーク110は、モバイルネットワークの一実施例となっている。ユーザーターミナル106は、UMTSネットワーク110と通信するようにイネーブルされたモバイルターミナルとなっている。ネットワーク110のコンポーネントとして、2つのノードB(無線基地局)112および114、およびHSS(ホーム加入者サービス)116しか明らかに示されていない。ローカライゼーションサーバー118は、モバイルデバイスのためのロケーション情報をネットワークに基づいて決定をするためのローカライゼーションサービスから、例えばネットワークおよび/または外部アプリケーションプロバイダの存在サービスのための、UMTSネットワーク110内またはそれに関連するサービスまでを提供する。ローカライゼーションサーバー118は、例えばモバイル測位サービス(MPS)のホストとなることができる。アプリケーションサーバー108は、交通予測サービス(TFS)アプリケーション109のホストとなる。
次に図1を参照し、アプリケーション109によって実行されるTFSの提供に関連する通信システム100の運用の概略について記載する。その後、より詳細な説明を記載する。ユーザーターミナル106と車両101に固定的に関連するローカル通信ユニットとの間に、ローカル通信接続120が確立される。次の記載では、通信接続120をブルートゥース通信であるとみなすが、WLAN、ファイヤーワイヤー(FireWire)などに基づくローカル通信接続の他の任意の実施例も利用できる。ターミナル106は、通信接続120により、このターミナルが車両101内に位置すると判断する(図1では、図解のためにターミナル106は、車両101の外部にあるように描かれている)。この判断に基づき、ユーザーターミナル106は、送信信号122において無線インターフェース126を介し、UMTSネットワーク110へ「車両内に存在する」(例えば自動車内)にあることを示す設定情報を送信する。前に説明したように、この表示は例えばXMLメッセージにおけるASCIIストリング「車両内に存在する」とすることができるが、送信信号122の基礎となる通信機構に従い、設定情報のために設けられたデータフィールド内に単一ビット(セットまたはアンセット)を含むだけでもよい。例えば送信信号122は、アプリケーションサーバー108に向けて送られるSMSを含むことができる。
ノードB122は、受信した設定情報124をアプリケーションサーバー108に転送する。このアプリケーションサーバー108は、例えばUMTSネットワーク110のIMS(インターネットマルチメディアサブシステム)ドメイン内にあってもよい。図1では、サーバー108は、ネットワーク110の一部として示されているが、別の実施形態では、アプリケーションサーバーはモバイルネットワークの外部にあってもよく、更に情報124のような設定情報を受信するよう、例えば固定通信回線を介してこのモバイルネットワークに接続してもよい。アプリケーションサーバー108は設定情報124から、それ以後、TFSアプリケーション109が、デバイス106を検討しなければならないと、判断する。こうして、アプリケーションサーバー108はローカライゼーションサーバー118との通信128を開始する。
ローカライゼーションサーバー118は、ネットワークに基づく三角測量機構を使用して、都市エリアでは数メートルの精度で、郊外のエリアの場合では数十または数百メートルの精度で、ユーザーターミナル106のロケーションを決定する。ローカライゼーションサーバー118は、例えばこの目的(図1には明示されていない)のためにノードB112および114を活用できる。別の実施形態では、AS108またはモバイルネットワーク110は、ユーザーターミナル106からロケーション情報をリクエストすることができ、ユーザーターミナル106はターミナル106または車両101内のGPSユニットに基づき、ロケーション情報を送ることができる。図1を参照すると、ローカライゼーションサーバー118は、ターミナル106に対するロケーション情報132を、通信接続128を介してアプリケーションサーバー108へ提供する。
アプリケーション109は、情報132によって示されたターミナル106のロケーションが車両101のロケーションを表示しているとみなすことにより、交通予測を決定するためのロケーション情報132を使用する。この仮定は、設定情報124の前の受信に基づくものであるので、その結果、ターミナルの実際の環境設定に関する情報を有しないで、登録済みターミナルのロケーションを検討するサービスと比較して、交通予測はより信頼できるものとなる。この交通予測はモバイルネットワーク110によってサポートされている配信領域へAS108により提供(134)され、このモバイルネットワーク110は、ノードB112および114を含むことができる。次にノードBは、例えば一斉送信またはマルチキャスト送信信号136により、車両101および104へ交通予測を送信する。
図1にはノードB112により設定情報124が直接アプリケーションサーバー108に転送されるように示されているが、その代わりに別の実施形態では、設定情報をHSS116へ提供することもできる。例えばHSS内で管理されているユーザープロファイルは、設定情報を示すための1つ以上のデータフィールドを含むことができる。この設定情報は、例えば設定情報またはその一部が変わった場合に、HSSからアプリケーションサーバーへ自動的に提供するか、またはリクエスト時に設定情報をアプリケーションサーバーに提供してもよい(このようなHSSからアプリケーションサーバーへの設定情報の提供は、図1における点線矢印138によって示されている)。
図2Aは、ユーザーターミナル106および車両101内のターミナルデバイス102の第1実施形態の機能コンポーネントをより詳細に示す。ユーザーターミナル106は、車両101の乗客室内に位置していてもよいが、ターミナルデバイス102は、車両101内に固定された状態に組み込まれていると見なされる。図示されているコンポーネントは、図1内のシステム100の作動に寄与している。モバイルターミナル106は、短距離、すなわちローカル通信ユニット(LCU)202と、設定決定コンポーネント204と、マッピング記憶装置206と、プロファイル記憶装置208と、送信コンポーネント210と、モバイル通信ユニット(MCU)212とを備える。ターミナルデバイス102は、LCU222とステータス記憶装置224とを備える。ターミナルデバイス102は、例えば更に後述するように、ブルートゥース通信ユニットも含むことができる。ユーザーターミナル106および車両101の一方または双方は更に、GPSユニット214および226を更にそれぞれ含むことができる。
図3は、モバイルターミナル106および車両101内のターミナルデバイス102の作動例300およびそれらコンポーネントの相互作用を示すフローチャートである。一般的に説明すれば、モバイルターミナル106はターミナル106の環境の特徴に関連付けできる環境設定に従ってモバイルネットワーク110を介し、交通予測サービスアプリケーション109(図1を参照)を制御するように作動する。
図2Aおよび3を参照する。ステップ302においてターミナル106は、ユーザーターミナル106が設置されている環境の環境設定を示す設定情報124を確立する。これら図に示されている例では、設定情報124は「車両内に存在する」こと、例えば車両101内にターミナル106が位置していることを示す。この設定情報124は、任意の特定の車両、特に車両101または地理的位置を示すものではないが、内部にターミナル106が位置している一般的な環境または環境設定のタイプを示す。
設定情報124を確立するために、次のステップを実行できる。すなわちユーザーターミナル106のユーザーが車両101に進入すると、LCU202および222は、自動的に、又はターミナル106にマニュアルで入力されるコマンドによって、通信120を確立できる。LCU202および222の双方は、例えば車両内のハンドフリーキットのためのブルートゥース規格のハンドフリーキットプロファイル(HFP)を使用し、ブルートゥース規格に従って通信をするようになっているブルートゥース通信ユニットとすることができる(明瞭にするために、図にはハンドフリーキットは示されていない)。通信確立中、LCUコンポーネント202および222の双方は、HFPに従って相互に通信することに同意する。LCU222のデバイスアドレスをモバイルターミナル106によるローカル環境設定の表示として使用できる。図2A内の矢印216が示すように、LCU202は、LCU222のデバイスアドレスを示すトリガー信号を設定決定コンポーネント204に提供するようになっている。当然ながら、LCU202は、通信リンク120を介して別のデータを送受信するように、別のデータ、例えば後述するデータ228を取り扱うことができる。
設定決定コンポーネント204は、LCU202からトリガー信号216を受信すると、マッピング記憶装置206にアクセスするように作動する。記憶装置206は、LCU202が提供できる表示216のようなインジケータと所定の環境設定との関係を含むマッピングテーブル207を備える。例えば種々のローカル(短距離)通信規格に従ったデバイスアドレスを設定と関連付けさせてもよい。マッピングテーブルは、かかる設定情報を明示的に含まなくてもよい。例えば2つの環境設定「車両内に存在する/存在しない」しか可能でないようなケースでは、かかる設定情報を搬送するのに、セットまたはアンセットのいずれかである単一ビットで十分である。所定の環境設定のより複雑な組は、より長いビットマッピングを必要とするか、またはテキストフォーム、人が読み取りできるASCIIフォーマットで決定された環境設定を表示してもよい。
コンポーネント204は、コンポーネント206内に記憶されたマッピングから適当な設定情報を抽出し、この設定情報124をコンポーネント208に記憶されているアクティブなユーザープロファイル209へ提供する。コンポーネント208は、ターミナル106の記憶コンポーネントでもよいし、または例えばターミナル106に挿入されたSIMまたはUSIM(UMTS加入者アイデンティティモジュール)カードに位置していてもよい。ユーザープロファイル209は、ターミナル106のユーザー、ターミナル自身およびモバイルネットワーク110に関連する種々のデータフィールドを含むことができるが、このユーザープロファイルは特に設定情報「車両内に存在する/存在しない」ことを示すためのデータフィールドを特に含むことができる。既に述べたように、データフィールドは単一ビットの長さだけを有していてもよいし、または「車両内に存在しない」のような設定情報をテキストフォームで示すようにも構成できる。
設定情報を誘導するために単に通信確立自体だけを使用する代わりに、車両101に関連するターミナルデバイス102内のLCU222は、より高度な例として、通信120の確立中に記憶コンポーネント224にアクセスし、車両101の作動ステータス情報228を読み出してもよい。この記憶コンポーネント224は、かかる作動ステータス情報を記憶するようにでき、この作動ステータス情報は、例えば車両内のセンサおよびこのセンサに接続されたプロセッサロジックから決定できる。この作動ステータス情報は、例えばモータがオンになっているかどうか、車両が移動中であるかどうか、および車両が移動中であるときにはそのときの速度に関する情報を示すことができる。記憶コンポーネント224は、例えば車両101のオンボードネットワーク内の中央プロセッサに関連するキャッシュまたは同様な記憶コンポーネントでよく、この場合、キャッシュは種々の目的のために、例えばアンチブレーキシステム(ABS)または電子安定プログラム(ESP)のような電子ドライバー支援システムによるアクセスのためのそのときの作動上のステータス条件を記憶する。
LCU222は、モータがオンであるかどうかなどに関する作動上のステータス情報を読み出すことができ、ローカル通信接続120の他端にてこの作動上のステータス情報228をLCU202へ提供できる。LCU202は、ユーザープロファイル209内、またはこれに関連するこの作動上のステータス情報の記憶を管理できる。ユーザープロファイル209が、これら作動上のステータス情報のアイテムのうちの1つ以上を記憶するようにはなっていない場合、コンポーネント208はそれぞれの情報を廃棄できる。
再び図3を参照する。ステップ304にて、送信コンポーネント210およびMCU212を使用し、無線インターフェース124およびモバイルネットワーク110(図1を参照)を介し、アプリケーションサーバー108へ設定情報124が送信される。より詳細には、ユーザープロファイル209内への設定情報124の記憶を開始するのと並行し、設定決定コンポーネント204は、送信コンポーネント210を自動的にトリガーでき、この送信コンポーネント210は、ユーザープロファイル209にアクセスし、このユーザープロファイル209から設定情報を抽出し、この情報をアプリケーションサーバー108に向けて送信するようになっている。送信コンポーネント210は、更に、または上記方法とは別に、サービスに対してユーザーが登録されている場合には、ユーザープロファイルからの設定情報をアプリケーションサーバーへ周期的に提供できる。別の可能性として、アプリケーションサーバーは、ターミナル106からの設定情報をリクエストすることもできる。更に別の例として、コンポーネント204、208および210は、ユーザープロファイル209内に記憶されている設定情報の変化をアプリケーションサーバーに表示するためにしか相互に作用できない。
ユーザープロファイル209内には、アプリケーションサーバーのアドレスも記憶できる。例えばサーバー108によって提供されるサービスに対するターミナルの登録時に、ターミナル106に、かかるアドレスを提供してもよい。
図には示されていないが、ネットワーク内のローカライゼーションアプリケーションは、設定情報124が提供された後にモバイルターミナル106からロケーション情報をリクエストできる。かかるリクエストに応答し、ターミナル106は、車両101のGPSユニット214またはGPSユニット226のいずれかに基づき、ロケーション情報を提供できる。後者の場合、ユニット226の作動から誘導されたロケーション情報は、ブルートゥース通信120を介し、ユーザーターミナル106に提供できる。
図2Bは、図1の車両101内のユーザーターミナル106およびターミナルデバイス102の第2実施形態の機能コンポーネントを示し、これらターミナルおよびターミナルデバイスは、図2Bでは明瞭にするためにそれぞれ番号106’および102’で表示されている。再び図2Aの第1実施形態と同じように、図2Bでは、ユーザーターミナル106’は、車両101の乗客室内部に位置し得るとみなされるが、ターミナルデバイス102’は車両101内に固定的に組み込まれているとみなされる。一般に図2Bでは、図2A内の要素と同一または同様な機能または意義を有する要素は、「’」を付した同じ参照番号で表示する。モバイルターミナル106’はローカル通信ユニット(LCU)202’を備える。車両102’は、LCU222’だけでなく、設定決定コンポーネント204’、送信コンポーネント210’およびモバイル通信ユニット(MCU)212’も含む。
図2Bにおいて、ターミナルデバイス102'により無線インターフェース126を通して設定情報124が確立され、送信される。この別のアプローチは、設定情報124を提供するための別の手順を示すために選択されたものである。図2Bに従った手順では、ターミナルデバイス102'に関連するユーザープロファイルからの設定情報124の転送を、図2Aにおいてユーザーターミナル106におけるユーザープロファイル208を参照して説明した方法と同じように実行できる。同様に、ターミナルデバイス102'では図2Aにおけるマッピング記憶装置206に対応するマッピングエンティティも利用できる。
こうして、図3のステップ302および304は、ユーザーターミナル自身、すなわち図2A内のユーザーターミナル106により実行できるだけでなく、別の方法として、車両101に関連する、図2B内のデバイス102’のような環境に関連するターミナルデバイスによっても実行できる。
より詳細には(ステップ302)、ユーザーターミナル106'のユーザーが車両101に進入するとき、LCU202'および222'は、(好ましくは)自動的にまたはターミナル106'にマニュアルで入力されたコマンドのいずれかにより、通信120'を確立できる。例えば通信120'は、ブルートゥースのような短距離通信技術に基づくことができる。特定の例として、ターミナルデバイス102'は、ブルートゥースSIMアクセスプロファイル(SAP)をサポートできる。この場合、ユーザーターミナル106'(SAPもサポートしている場合)は、通信120'の確立中にそのIMSIをターミナルデバイス102'へ提供できる。次に、ターミナルデバイスは、このIMSIを使ってモバイルネットワーク110に加入するか、またはこのネットワークと通信する。このユーザーターミナル106'をスタンバイモードに設定することができる。
通信120'の確立時に、LCU202は、通信リンク120'を示すトリガー信号を設定決定コンポーネント204'へ提供する(矢印216')。ターミナルデバイス102'内の設定決定コンポーネント204'は、通信120'の確立から、ユーザーターミナル106'と車両101との間の位置的関係に関する情報を決定する。従って、設定決定コンポーネント204'は、車両101内にユーザーターミナル106'が存在すると判断するようになっており、従って、「車両内に存在する」との設定情報124を確立できる。従って、ユーザーターミナルへのローカル通信の確立、例えば通信120'の結果、「車両内に存在する」との設定情報を生じさせるような簡単な記述を使用できる。ローカル通信120'が終了する結果、「車両内に存在しない」との設定情報が生じ得る。この設定情報は、図2Aを参照してこれまで説明したのと同じように、車両101(図2Bには示されていない)の作動上のステータス情報を更に含むことができる。
設定決定コンポーネント204'によって確立される設定情報124は、送信コンポーネント210'に提供される。図2Aに示される機構とは異なり、図2Bの実施形態では設定情報124はユーザープロファイル内に記憶されることなく、直接送信コンポーネント210'へ提供される。「車両内に存在する」との設定情報124の提供は、MCU212'を制御するように、送信コンポーネント210'をトリガーし、よって無線インターフェース126を介し、設定情報124をモバイルネットワーク110(図1を参照)へ送信できる(ステップ304)。
図2Aおよび2Bに示されるように、図3の手順300はユーザーターミナル106自体内、または車両101に固定的に関連するターミナルデバイス102'内のいずれかで実行できる。別の実施形態では、2つのターミナルデバイス間のタスクの分配を更に別の方法で実施することもできる。例えば設定情報をユーザーターミナル内で確立し、この設定情報を車両内のターミナルデバイスから送信することもできる。この場合、ユーザーターミナルは送信のために車両内のターミナルデバイスへ設定情報を提供する。別の例として、ユーザーターミナルは、車両内のターミナルデバイスによって記憶されたあらかじめ定められた設定情報を、例えばユーザープロファイル内に表示できる。変形例としてユーザーターミナルが1つ以上のユーザープロファイルのうちの1つを表示するだけで、車両内のターミナルデバイスはこの表示に応答し、表示されたユーザープロファイルに関連するユーザーターミナルのために、「車両内に存在する」との設定情報を自動的に送信してもよい。
従って、車両101に関連するターミナルデバイス102および102’は、それぞれローカル通信ユニット222および222’を含むことができ、ターミナルデバイス102’は、モバイル通信ユニット、例えばMCU212’を含んでもよいし、ターミナルデバイス102は、モバイル通信ユニット、例えばMCU212’を含まなくてもよい。
図4は、図1のUMTSネットワーク110およびアプリケーションサーバー108の機能コンポーネントを示す。交通予測サービスアプリケーション109のホストとなる機能エンティティは、アプリケーションサーバー108と称されるが、このサーバーは多数のアプリケーションサーバーおよびゲートウェイ、ファイアーウォール、認証サーバーなどの別のエンティティを含む自動車用アプリケーションのためのアプリケーション環境も含むことができると理解すべきである。換言すれば、アプリケーションサーバー108は、単一のサーバーだけではなく、アプリケーションプロバイダの完全に開発されたサイトとなり得ると理解すべきである。したがって、下記の機能は単一サーバーで実行してもよいし、またはアプリケーションサーバーファームのいくつかのノード上で分散させた状態で実施してもよい。アプリケーション環境のアプリケーションプロバイダは、モバイルネットワーク110のオペレータと同一でもよいし、同一でなくてもよい。
アプリケーションサーバーはモバイルネットワークの一部でもよいし、またはモバイルネットワークの外部に位置していてもよい。双方のコンフィギュレーションを明示的に示すために、図1は、モバイルネットワーク110内のAS108を示すが、このAS108は図4ではネットワーク110の外部に描かれている。
UMTSネットワーク110は、既に図1に示したノードBおよびローカライゼーションサーバー118を含む。アプリケーションサーバー108は、受信コンポーネント402、プロファイル記憶装置404、アプリケーション制御コンポーネント406、図1からの交通予測アプリケーション109およびローカライゼーションクライアント408を含む。
図5は、アプリケーション109によって実現されるTFSを提供するフレームワーク内で、アプリケーションサーバー108によって実行できる作動ステップのシーケンスの例500を示すフローチャートである。基本的にはアプリケーションサーバーは、モバイルネットワーク110を介し、ユーザーターミナル106から受信される設定情報124に従い、テレマティクスアプリケーション109を制御するように作動する(図1を参照)。
ステップ502において、受信コンポーネント402は、設定情報124を受信し、ユーザーターミナル106のユーザーに関連するユーザープロファイル410に関連して、記憶のためにプロファイル記憶装置404へ、受信した設定情報124を提供する(このユーザーターミナル106は、次の説明では、簡潔にするために図1および2Aに示されるように、ユーザーターミナル106としてしか述べないが、かかる記述は図2Bに示されるようにユーザーターミナル106’の記述と同じように理解されるものである)。ユーザープロファイル410は、ターミナル106のユーザーに関する別のデータも含むことができ、図2Aを参照して説明したユーザープロファイル209と構造が類似していてもよいし、類似していなくてもよい。例えばアプリケーションサーバー108によって提供されるアプリケーション109によって実施されるTFSサービスのようなサービスに関して、ユーザープロファイル410を特にターゲットとすることができる。換言すれば、ユーザープロファイル410は、アプリケーションプロバイダのアプリケーションの観点からプロパティを定めることができる。プロファイル記憶装置404は、アプリケーションサーバー108によって提供されるサービスのユーザーの複数のユーザープロファイルを記憶できる。別の実施形態では、設定情報をユーザープロファイル内に記憶することなく、設定情報を直接1つ以上のアプリケーションに提供してもよい。
ステップ504では、制御コンポーネント406は、ユーザープロファイル410内に記憶された設定情報124に従って、アプリケーション109を制御するように作動する。コンポーネント406は、図4においてエキストラコンポーネントとして示されているが、このコンポーネントはTFSアプリケーション109の一部でもよい。図4に示された実施例では、受信コンポーネント402は、記憶コンポーネント404内に設定情報124を記憶した後に、トリガー信号412を制御コンポーネント406へ提供する。制御コンポーネント406は、このトリガー信号412を受信すると、TFSアプリケーション109を実行するために、設定情報124を検討する。
より詳細には、トリガー信号412は、記憶装置404内のユーザープロファイル410への制御コンポーネント406のアクセスを開始し、まず最初にTFSアプリケーション109によって提供されるサービスに対してターミナル106のユーザーが登録されているかどうかを判断できる。このような場合、設定情報124自体を分析する。ユーザーターミナル106が「車両内に存在する」ことを情報が示しているとき、制御コンポーネントは次にTFSアプリケーション109によって計算されるような交通予測にユーザーターミナル106が寄与すると、(明示的に、または単に暗黙的に)制御コンポーネントが結論付ける。トリガー信号412の受信時に、プロファイル記憶装置404内のユーザープロファイルへのアクセスに加え、またはその代わりに、制御コンポーネント406は周期的にプロファイル記憶装置404にアクセスし、TFSアプリケーション109に対して登録されており、かつ瞬間的に「車両内に存在する」関連ユーザーターミナルを有するユーザーを決定する。例えばトリガー信号412がなくても、制御コンポーネント406は、ユーザーターミナル106のための「車両内に存在する」旨の設定情報を受信コンポーネント402がユーザープロファイル410に記憶した後に、これからターミナル106を検討すべきである旨を、次のポーリング中に自動的に認識する。別の実施形態では、この設定情報は、上記方法に加え、または上記方法の代わりに、この情報を利用するようになっているアプリケーションへ直接提供してもよい。
ユーザーターミナル106を検討すべきであると判断すると、制御コンポーネント406はローカライゼーションクライアント408をトリガーし、このローカライゼーションクライアント408は、次に図1を参照して既に説明した信号128をモバイルネットワーク110のローカライゼーションサーバー118へ向けて提供するよう作動する。次に、サーバー118から受信されたロケーション情報132は、ローカライゼーションクライアント408により交通予測アプリケーション109へ提供される。従って、交通予測の判断中にターミナル106のロケーションが検討される。別の実施形態では、ローカライゼーションクライアント408は上記方法に加え、または上記方法の代わりに、ロケーション情報132をユーザープロファイル410に提供してもよい。最終的に、通信134を介し、モバイルネットワーク110に上記方法の結果得られる交通予測が提供され、モバイルネットワークのユーザーに配信される。
既に述べたように、設定情報124は「車両内に存在する」との表示の他に別の情報、例えば車両101の作動ステータス情報を含むことができる。制御コンポーネント406は、TFSアプリケーション109に対し、実際にユーザーターミナル106(またはターミナルデバイス102)のロケーションを使用すべきであるかどうかを判断するときに、この情報を利用できる。例えば「モータが始動された」および/または「車両は移動中」のような表示を使用して、車両が駐車場に駐車中であるか、または実際に分析すべき交通の流れの一部となっているかどうかを判断できる。この場合、判断アルゴリズムは、例えば交通渋滞の場合に車両が動いておらず、ドライバーはモータも停止させてしまっているかどうかを検討しなければならない。前の情報(履歴設定情報)および/または近くにいる登録された別の参加者の(可能性のある場合には作動ステータス情報を含む)設定情報も使用し、特定のユーザーを実際に検討すべきかどうかを、より確実に判断し、このように、その結果生じる交通予測の信頼性を更に高めることができる。
図4にはアプリケーションサーバー108内のプロファイル記憶装置404に設定情報124が記憶されていることが示されているが、このことに加え、またはその代わりに、HSS166のようなモバイルネットワーク内のユーザープロファイル記憶装置に設定情報を記憶することもできる(図1を参照)。
前に述べたように、アプリケーションサーバーがホストとなっているアプリケーションまたはアプリケーション環境内のアプリケーションを制御し、ターミナルの環境設定に応じたユーザーターミナルのロケーションを検討できる。このことに加え、またはその代わりに、ユーザーターミナルへのアプリケーションの提供を制御してもよい。例えば車両内にターミナルが位置していることを環境設定が示しているターミナルに対してだけ、自動車サービスを提供してもよい。
図6は、ユーザーターミナル106と車両101とアプリケーションサーバー108との間で交換されるメッセージのシーケンス例を示すシーケンス図である。メッセージ交換602および604は、図2Aに示されたLCU202と222との間のブルートゥース接続120のセットアップを示す。図示されているメッセージ交換の各々は、通信パートナーの間で交換される1つ以上のメッセージペアを含むことができる。
ターミナル106は、「車両内に存在する」旨の設定情報124を送らなければならないことを決定するために、内部マッピングテーブル207を使用できることを、図2Aを参照して既に説明した。別の実施例では、車両は、ある車両と通信中であることの明示的な表示をターミナルに提供できる。更に車両は、アプリケーションサーバーに対し、「車両内に存在する」旨の設定情報を送るという明示的な表示を送ることができる。メッセージシーケンス600の場合、例えばサービスレベル接続確立手順604の間に、かかる表示をターミナル106に提供できる。別の実施例では、メッセージ交換602と604との間に使用されるブルートゥースプロトコルの他に、環境設定および/または作動ステータス情報に関連する表示を車両からターミナルデバイスに提供するのに、別のプロトコルを使用してもよい。かかるプロトコルは、ブルートゥース、WLANなどのようなローカル通信プロトコルのうちの1つ以上において定義できる。
車両によって明示的にリクエストされたアプリケーションサーバーへの設定情報124を送信することは、ユーザーターミナル106における設定情報の確立時にアプリケーションサーバーに対し、設定情報を自動的に送ることを可能にする別の方法である。設定情報を適当なアプリケーションサーバーに提供するための適当なアプリケーションサーバーのアドレスは、車両によって提供してもよいし、提供しなくてもよい。少なくとも後者のケースでは、図2Aを参照してこれまで説明したように、かかるアドレスをユーザーターミナル106でコンフィギュアできる。モバイルネットワーク110(図6には図示されず)を介してアプリケーションサーバーに設定情報124を送信(122)するのに種々の機構を使用できる。例えばSMSを送ってもよいし、またはSIP信号、ユーザー対ユーザー信号、ISDN信号なども使用できる。SIPに関しては、SIPプレゼンス機構を使用できる。また、所有権のある任意のプロトコル、例えばモバイルネットワークオペレータによって提供されるIPをベースとするプロトコルも使用できる。
アプリケーションサーバー108は、送信信号122内の設定情報124の受信に応答し、このサーバー108がホストとなっている車両テレマティクスサービスのうちの1つ以上を起動または変更できる。例えば交通予測アプリケーションが、そのサービスのためのユーザーターミナルを検討し始めることができる。図4に示されるように、アプリケーションサーバーはターミナル106のロケーションを決定するように、ローカライゼーション手順を開始できる。図6には、この結果行われるローカライゼーションのためのメッセージ交換は示されていない。次に、交通予測を決定するためのアプリケーションによってユーザーターミナルのロケーションを検討する。アプリケーションは、対応する設定情報に従い、(車両内に存在する)ユーザーターミナルだけを検討すればよいので、実際の環境設定と独立してすべての登録されたユーザーターミナルを検討する場合と比較し、交通予測はより正確となる。
メッセージ交換606および608により、ユーザーターミナル106と車両101との間のブルートゥース通信リンクは、例えばユーザーが車両101からターミナル106を外すことにより終了する。終了中、例えばサービスレベル接続が外された後に、ターミナル106は、自動的に、または車両101のトリガーにより、「車両内に存在しない」との設定情報を含む、アプリケーションサーバー108への送信610を実行できる。アプリケーションは次に、ホストとなっているサービスのうちの1つ以上のために、ターミナル106の(ロケーションの)検討を解除できる。例えばアプリケーションサーバーは、携帯電話のロケーションのリクエストを停止できる。
これまで設定情報は物理的対象、例えば車両に対するユーザーターミナルの関係を示すものとして説明したが、一般に設定情報は、最も広範な意味においてターミナルの環境に関連し、特定のサービスに対して適当な任意の情報を含むことができる。例えば設定情報は、上記とは別に、ローカルの温度、ローカル時間などのような環境パラメータも示すこともできる。設定情報に含ませることができる車両の作動ステータス情報は、車両のブランドおよびモデル、または車両の特定のタイプ、例えば乗用車、タクシー、バス、バンなども含むことができる。
本明細書で提案される技術を示すのに、例えば車両テレマティクスサービスを実施するアプリケーションを例として使用した。緊急アプリケーションは、これら技術が適す別のクラスのアプリケーションとなっている。例えばユーザーターミナルが緊急コールを行っていることを検討する。この場合、緊急センターに対し、ターミナルのロケーションを送ることができる。緊急センターに対し、「車両内に存在する」などの環境設定情報を、追加的に、かつ自動的に提供できる。次に、設定情報を使って、センター内のオペレータによりマニュアルで、または自動的に、とるべき処置をトリガーできる。例えばヘリコプター、自動車または警察官を送るかどうかの判断を、かかる設定情報に基づいて行うことができる。
アプリケーションサーバーへの設定情報の提供は、ユーザーがトリガーすることによって行ってもよい。例えばユーザーターミナル上の特定のプロファイル、例えば「車両」、「ミーティング」などを選択することにより行うことができる。この場合、ユーザーターミナルと例えば車両との間の接続は不要である。しかしながら、このことは設定情報が車両の作動ステータス情報を含まなくてもよいようにもできる。
ユーザーターミナルまたは車両内のいずれかでGPSユニットを利用できる場合、モバイルネットワーク内のローカライゼーションサービスに基づくローカライゼーション、およびGPSユニットに基づくローカライゼーションの双方を、相補的機構として使用できる。例えば、そのときにGPSユニットが衛星接続を利用できない場合、バックアップ機構としてローカライゼーションサービスを使用できる。別の実施形態では、モバイルネットワークの無線インターフェースを通した送信リソース利用を制限するために、ローカライゼーションサービスを利用できる。
本明細書で提案する技術は、車両テレマティクスサービスを除くサービスにも利用できる。例えば「ミーティングルーム内に存在しない/存在する」旨の環境設定を検討する。設定情報が「ミーティングルーム内に存在する」旨を表示する場合、通信相補的サービス、例えば(メールボックス、仲間、秘書への)無条件の通話転送を自動的に起動できる。「仕事中でない/仕事中である」旨の環境設定を使用し、着信、例えば個人的な通話を禁止するか、または所定の時間の後に限り転送するよう、ユーザープロファイルにおける通話転送または通話禁止のサービスを管理できる。
本明細書に提案する技術によって、例えばテレマティクス環境において、より信頼できるアプリケーションサービスを提供することが可能となる。例えば本発明は、実際に交通の流れの一部となっているユーザーターミナルを検討するだけで、交通の流れをより信頼性高く分析できるよう、ユーザーターミナル(携帯電話)をトラッキングできるようになる。一般的環境設定、またはユーザーターミナルが位置しているか、近くにあるか、内部にあるような環境のタイプを示すのに、設定情報を利用できる。この設定情報は単独で使用してもよいし、またはユーザーターミナルの地理的位置を示すロケーション情報に加えて使用してもよい。アプリケーションでは、計算などを実行するための入力データとしてロケーション情報を使用できるが、設定情報はかかるローカライゼーションアプリケーション(または他の任意のアプリケーション)を制御するための制御データとすることができる。例えばターミナルが車両内に存在することの信号を発した後に限り、交通予測/警告のために携帯電話のローカライゼーションの認識をスタートするようにアプリケーションを制御できる。
かかる設定情報を利用できれば、サービスを更に利用できるようになる。例えば交通の流れに関連するサービスは、交通の流れのより信頼できる予測を提供できるようになる。緊急コールに応答してとられる措置は、特に緊急ケースが生じた環境に、より特別に適応できるようにできる。相補的通信サービス、例えば無条件通話転送サービスを自動的にコンフィギュアするのに、設定情報を使用できる。
ユーザーターミナルの環境、例えば「ミーティング」、「自宅」、「仕事」に従って、モバイルネットワーク/固定ネットワークに関連するようなユーザープロファイルを自動的にコンフィギュアできる。ユーザーターミナルが、例えばローカル通信接続を介して環境設定を検出し、設定情報を自動的に提供するようになっている場合、追加的なマニュアルコンフィギュレーション作業をすることなく、ユーザーが上記利点を享受できる。他のケースでは、ユーザーは、「車両内に存在しない/存在する」のような環境をマニュアルで選択しなければならないことがある。マニュアルコンフィギュレーション(変更)は、アプリケーションサーバーへの設定情報の伝搬、および/またはモバイルネットワーク内(例えばHSS内)または他のサービスインフラストラクチャ内でのユーザープロファイルの伝搬をトリガーし得る。
提案されている技術を実施するには、例えばユーザーターミナルまたはモバイルネットワークコンポーネント内で若干の変更をするだけでよい。例えばユーザーターミナルとアプリケーションサーバーの双方に所定の設定情報を提供する場合、アプリケーションを制御するには、無線インターフェースを介して更に単一ビットも送信しなければならない場合もある。
交通予測サービスのような多くのロケーションに基づくサービスは、精度が限られているモバイルネットワークにおける現在の三角測量技術に基づくローカライゼーションサービスを使用する提案技術の利点を活用できる。すなわち交通予測の精度を高めるのにセンチメートルのレンジ内の精度で車両の位置を決定する必要はない。
以上で、好ましい実施形態に関連して本発明につて説明したが、この説明は単に発明を説明する目的のためのものであると理解すべきである。
従って、本発明は特許請求の範囲のみによって限定されるものである。