JP5991567B2 - 合成樹脂製ボトルの成形方法 - Google Patents
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さらに、インサート材とするボトル本体の表面を印刷層、塗装膜層あるいは金属蒸着膜層等の加飾層を積層することにより、透明な外殻体による光学的装飾効果をさらに高度に発揮させることができるが、この場合には、インサート材の僅かな変形により加飾層にひび割れや皺が発生し易く、そのひび割れや皺が透明な外殻体を通して視認され、加飾性が大きく損なわれてしまうので、溶融樹脂圧力によるインサート材の変形をさらに高度に抑制する必要がある。
合成樹脂製ブロー成形壜体であるボトル本体の外周面の所定の領域に加飾層を積層したものをインサート材とし、このボトル本体の胴部と底部を外装する有底筒状の透明な合成樹脂製の外殻体を射出成形する合成樹脂製ボトルの成形方法において、
ボトル本体の底部の中央部に対向位置させてゲート口を配設した射出金型を使用し、ボトル本体が少なくとも0.8mmの壁厚を有するものとし、外殻体の、底部が少なくとも4mmの肉厚、筒状部の周壁が少なくとも3mmの肉厚を有するようにキャビティ金型の形状を設定し、
射出金型内にセットされたボトル本体の底部に冷却エアを供給するエアピンの先端を当接させた状態にて冷却エアを循環供給しつつ、計量充填法により、外殻体を形成する溶融樹脂を充填するものとし、
計量充填法の採用により保圧工程に係る圧力上昇を回避し、
冷却エアによりボトル本体の温度上昇を抑制し、また外殻体の周壁の厚肉化により溶融樹脂の流動に係る溶融樹脂圧力の上昇を抑制するものとし、
冷却エアによる冷却と外殻体の周壁の厚肉化の程度を、溶融樹脂圧力によりボトル本体に変形が生じない程度に設定する、
と云うものである。
また、上記構成の方法はインサート成形中の溶融樹脂圧力によるボトル本体の変形を、(1)ボトル本体の冷却エアによる冷却、(2)計量充填法の採用、(3)外殻体の周壁の厚肉化、と云う3つの手段を合せて抑制しようとするものであり、それぞれの手段は次のような作用効果を発揮する。
冷却エアにより溶融樹脂によるボトル本体の温度上昇を抑制することができ、好ましくは、温度上昇をボトル本体に使用されている合成樹脂のガラス転移点以下に抑制することにより、高温、高圧状態にある溶融樹脂による変形を効果的に抑制することができる。
また、ボトル本体の、特にゲート口に対向する位置等、変形の発生しやすい部分に集中的に冷却エアを吹き付けることにより、当該部分の変形をより効果的に抑制することが可能となる。
計量充填法は、キャビティ金型の充填不足がないように予め決めた量の溶融樹脂をキャビティ金型に充填し、保圧工程を省略するものであり、保圧工程に係る大きな圧力上昇を回避し、この圧力によるボトル本体の変形を抑制することができる。
外殻体の周壁を厚肉化する、すなわちインサート材であるボトル本体の外周面とキャビティ金型により形成されるキャビティを広げて、ゲート口を介してキャビティ内に射出される溶融樹脂の流動通路を大きくし、流動抵抗を小さくして溶融樹脂圧力の上昇を効果的に抑制することができる。
この中で、冷却エアによる冷却によりボトル本体の温度の上昇を抑制することができるが、冷却エアにより内部から、液体を充填するように射出成形圧力を十分に支えることには限界があり、
冷却エアによる冷却によりボトル本体の温度の上昇を抑制すると共に、外殻体の周壁の厚肉化により溶融樹脂圧力の上昇を抑制することにより、これら冷却エアによる冷却と外殻体の周壁の厚肉化と云う両手段の条件を、生産性やデザイン状の制約を考慮しながら相互に調整することにより、冷却エアによる冷却と外殻体の周壁の厚肉化の程度を溶融樹脂圧力によりボトル本体に変形が生じない程度に設定することが可能となる。
なお、たとえばゲート口に対向する部分では高温で高圧の溶融樹脂が衝突するので僅かに変形する場合もあるが、透明な外殻体を透して外部から視認できない程度の変形は許容される。
またここで、本発明に係る合成樹脂製ボトルはボトル本体を透明な合成樹脂製の外殻体で外層したものであるが、本発明では「透明」には半透明、あるいは有色透明のものが含まれるものとする。
ここで、ブロー成形品の場合底部底面は比較的厚肉に形成されるが、胴部の下端部すなわち底部直上の周壁が薄肉に形成される場合が多く、溶融樹脂の上記した底部底面への衝突及び底部から周壁への回り込み状の流動による圧力により、底部直上で周壁が押潰し状に変形してしまう場合があるが、ボトル本体が少なくとも0.8mmの壁厚を有するものとすることにより、極端なこの種の変形を防ぐことができる。
冷却エアによる冷却と外殻体の周壁の厚肉化の程度を、溶融樹脂圧力により加飾層にひび割れや皺の発生がない程度に設定することにより、
加飾層と透明な外殻体による加飾効果をより高品位に発揮させることができる。
なお、加飾層が金属蒸着膜層等の熱変形しやすい層の場合には外殻体の底部を少なくとも5mmの肉厚を有するものとするのが好ましい。
ボトル本体内の底部近傍から冷却エアを供給する、と云うものである。
口筒部を連設し、ボトル本体の外周面の少なくとも底部近傍を含む領域に加飾層を積層した合成樹脂製ブロー壜体であるボトル本体と、
このボトル本体をインサート材とし、また冷却エアを供給するエアピンの先端が当接されるボトル本体の底部に対向する位置にゲート部を配設した射出成形により形成され、ボトル本体の胴部と底部を外装する有底筒状の透明な合成樹脂製の外殻体とから構成され、
ボトル本体は少なくとも0.8mmの壁厚を有するものとし、
外殻体の、底部が少なくとも4mmの肉厚を有し、筒状部の周壁は少なくとも3mmの肉厚を有する構成する、
と云うものである。
また、ボトル本体は目的に応じて不透明なものとすることができるし、透明なものとすることもできる。
加飾層と透明な外殻体による光学的な加飾効果を高度に発揮させることができる。
なお、加飾層が金属蒸着膜層等の熱変形しやすい層の場合には外殻体の底部を少なくとも5mmの肉厚を有するものとするのが好ましい。
さらに、ボトル本体を透明なものとし、加飾層の形成領域と非形成領域をストライプ状に交互に整列配置し、全体として規則性を有するパターンを形成し、モアレ模様を現出させる等、さらなる光学的な加飾効果を発揮させることもできる。
すなわち、本発明の合成樹脂製ボトルの成形方法は、ボトル本体の冷却エアによる冷却、計量充填法の採用、外殻体の周壁の厚肉化と云う3つの手段を合せ、外殻体の射出成形おいて溶融樹脂圧力によるボトル本体の変形を抑制しようとするものであり、
冷却エアによりボトル本体の内部から射出成形圧力を十分に支えることには限界があるが、冷却エアによる冷却によりボトル本体の温度の上昇を抑制すると共に、外殻体の周壁の厚肉化により溶融樹脂圧力の上昇を抑制することにより、これら冷却エアによる冷却と外殻体の周壁の厚肉化と云う両手段の条件を、生産性やデザイン状の制約を考慮しながら相互に調整することにより、冷却エアによる冷却と外殻体の周壁の厚肉化の程度を溶融樹脂圧力によりボトル本体に変形が生じない程度に設定することができる。
図1〜4は本発明の合成樹脂製ボトル(以下、単にボトルと記す。)の第1実施例を示すものであり、図1は全体斜視図、図2(a)は半縦断面図、(b)は底面図、図3は平面図、そして図4は図1のボトル1に使用されるボトル本体11の(a)は正面図、(b)は底面図である。
このボトル1は円筒状の口筒部2、肩部3、筒状の胴部4そして底部5を有し、ボトル本体11とこのボトル本体11を外装する透明で厚肉の外殻体21から構成されており、全高さが93mm、胴部の径が37mm、容量が約30mlの壜体である。
また、このボトル本体11の胴部14から底部15にかけての平均肉厚は1.6mmであるが、胴部14の下端部(底部15の直上)には0.9mmの薄肉部分がある。
また、本実施例ではボトル本体11の底部15の形状を、底壁を内方に湾曲陥没した壁構造としているが、この底壁の形状は限定されるものではなく、平坦状、あるいは外方に湾曲膨出させて半球弧殻状とすることもできる。
また、外殻体21の底部25の中央部には図2(b)に示されるようにゲート跡27がみられる。
また、筒状部24の周壁の肉厚は4〜5mm、底部25の肉厚は薄い部分で6mmとしている。
透明な合成樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系の透明樹脂等があるが、本実施例では、PET樹脂製のボトル本体11との相性や、成形性、機械的な強度、耐薬品性に優れている点からPCTA、PCTG等のポリエステル樹脂系の透明樹脂等を使用した。
勿論、ボトル本体11や外殻体21に使用される合成樹脂材料が限定されることはなく、成形性を含めて要求される特性を発揮できる樹脂材料を、自由に選択して使用することができるのは云うまでもない。
PCTA樹脂としてはイーストマンケミカル社製のEastarAN014、PCTG樹脂としてはイーストマンケミカル社製のEastarDN011を利用することができる。
ここで、このような加飾効果は、さらにボトル本体1を透明にする、ボトル本体の胴部の形状を多角形状にする、金属蒸着膜層を半透過性にする等、ボトル本体と外殻体あるいは加飾層を組み合せることにより、さまざまな態様で発揮させることができる。勿論、加飾層のない構成とすることもできる。
図5、6はボトル1をインサート成形する射出金型31の構成例と、ボトル1の成形手順例を説明する図で、図5は成形前の金型構成図、図6は成形後の金型構成図、である。
また、キャビティ金型33のボトル本体11の底部15に対向する位置にはキャビティ34と連通するようにゲート口37が配設されている。
そして、ボトル本体11には、エアピン36を介して冷却エアaが循環供給されるが、この冷却エアaは、冷却機により冷たくした空気を使用しても良いし、射出される溶融樹脂よりも温度の低い常温空気を使用しても良い。
この際、溶融樹脂は図5中に示めされる白抜き矢印のようにボトル本体11の底部15に衝突するように流動し、胴部14の周壁に回り込み、その後周壁に沿って胴部15の上端部まで流動し、キャビティ34を充填し、図6に示されるように外殻体21が成形される。
また、小さな押潰し状の変形でも、底部15近傍の外表面にはその変形に伴って皺が発生するので成形されたボトル1では透明な外殻体21を透してこの皺が現出し、本来の加飾性が損なわれてしまう。
さらに図1、2のボトル1のようにボトル本体11に加飾層を積層する場合には、この加飾層におけるひび割れや皺の発生も防ぐ必要があり、さらに高度に変形を抑制する必要がある。
(1)底部近傍に加飾層を積層しない場合
筒状部24の周壁と底部25が少なくとも3mmの肉厚を有するようにする。2.5mmの薄肉部分があるとボトル本体11の変形による皺が外部から視認される。
(2)底部近傍に加飾層を積層する場合
筒状部24の周壁が少なくとも3mm、底部25が少なくとも4mmの肉厚を有するようにする。
底部25に3.5mmの薄肉部分があると、加飾層に皺の発生が見られる。
なお、加飾層が金属蒸着膜層のように熱変形しやすいケースは底部25を少なくとも5mmの肉厚を有するようにすることが好ましい。
このボトル1は円筒状の口筒部2、肩部3、円筒状の胴部4そして底部5を有し、第1実施例のボトルと同様にボトル本体11とこのボトル本体11を外装する透明で厚肉の外殻体21から構成されており、全高さが85mm、胴部4の径が47mmの壜体である。
2 ;口筒部
3 ;肩部
4 ;胴部
5 ;底部
11;ボトル本体
12;口筒部
13;肩部
14;胴部
15;底部
18a、18b;加飾層
21;外殻体
24;筒状部
25;底部
27;ゲート跡
31;射出金型
32;ボトル本体保持部
33;キャビティ金型
34;キャビティ
36;エアピン
37;ゲート口
a ;冷却エア
Claims (3)
- 合成樹脂製ブロー成形壜体であるボトル本体の外周面の所定の領域に加飾層を積層したものをインサート材とし、該ボトル本体の胴部と底部を外装する有底筒状の透明な合成樹脂製の外殻体を射出成形する合成樹脂製ボトルの成形方法であって、
前記ボトル本体の底部の中央部に対向位置させてゲート口を配設した射出金型を使用し、前記ボトル本体が少なくとも0.8mmの壁厚を有するものとし、前記外殻体の、底部が少なくとも4mmの肉厚、筒状部の周壁が少なくとも3mmの肉厚を有するようにキャビティ金型の形状を設定し、
射出金型内にセットされたボトル本体の底部に冷却エアを供給するエアピンの先端を当接させた状態にて冷却エアを循環供給しつつ、計量充填法により外殻体を形成する溶融樹脂を充填するものとし、
前記計量充填法の採用により保圧工程に係る圧力上昇を回避し、
前記冷却エアによりボトル本体の温度上昇を抑制し、また前記外殻体の周壁の厚肉化により溶融樹脂の流動に係る溶融樹脂圧力の上昇を抑制するものとしたことを特徴とする合成樹脂製ボトルの成形方法。 - ボトル本体内の底部近傍から冷却エアを供給する請求項1記載の合成樹脂製ボトルの成形方法。
- 加飾層を、印刷層、塗装膜層又は金属蒸着膜層から選らばれる少なくとも一つの層とした請求項1又は2記載の合成樹脂製ボトルの成形方法。
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