JP5988579B2 - 延性金属ガラス - Google Patents

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Description

本開示は、鉄系合金、比較的高い強度、高い弾性伸び、および高い塑性伸びを生じる延性金属ガラス、ならびにその作製方法に関する。
金属ナノ結晶材料および金属ガラスは、比較的高い硬度および強度特性を呈することが知られている特定の分類の材料であると考えられる。これらは、その可能性に起因して、構造的応用の候補であると考えられる。しかし、これらの分類の材料は、剪断帯および/または割れの迅速な伝播に付随して限定された破壊靱性を呈する場合があり、このことは、これらの材料の技術的利用に関する懸念事項であり得る。これらの材料は、圧縮状態での試験により適切な延性を示し得る一方で、引張状態での試験の場合には、脆性体系においてゼロに近い伸びを示し得る。これらの分類の材料が室温において引張状態で変形可能となることが本質的にできないということは、突発故障を回避するために固有の延性が必要とされるいくつかの可能性のある構造用途では制限要因となり得る。
いくつかの場合では、ナノ結晶材料は、いくつかの場合には100nm未満の平均粒子サイズを含めた500nm未満の平均粒子サイズを有する多結晶構造体と理解され得る。ナノ結晶材料は、その比較的魅力的な特性(高い硬度、降伏応力および破壊強度)にも関わらず、満足のいかない比較的低い引張伸びを一般に示す場合があり、極めて脆性になってしまう傾向があり得る。実際には、粒子サイズを減少させるには延性を減少させることが、長い間知られていた。このことは、例えば、冷間圧延され従来的には再結晶される軟鋼に関しては他に提案されている、加工硬化指数と粒子サイズとの経験的相関によって証明されている。粒子サイズが次第に減少するにしたがい、転位蓄積の形成がより困難になる場合があり、歪み硬化能力を限定し、負荷下での機械的不安定性および割れを引き起こす場合がある。
USSR特許第128427号明細書
G F. Taylor、Physical Review、第23巻(1924年) 655頁
本発明は、
35原子%から92原子%の鉄と、
7原子%から50原子%の範囲で存在するニッケルおよび/またはコバルトと、
1原子%から35原子%の範囲で存在する、ホウ素、炭素、ケイ素、リンおよび窒素からなる群から選択される少なくとも1種の元素と、
を含み、上記原子パーセントは、所与の合金について95原子パーセントを与えるように選択される、金属合金に関する。
別の態様によると、本発明は、先に定義した合金製の延性金属材料であって、10℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)によって測定される少なくとも1つのガラス−結晶転移を呈する金属ガラス、ナノ結晶材料またはこれらの混合物である、延性金属材料に関する。
本発明の金属材料は、最大で3%の弾性、0.5%を超える歪み、1GPaから5.9GPaの範囲の破断強度および9GPaから15GPaのビッカース硬度(HV300)を呈し得る。
さらなる態様によると、本発明は、延性金属材料を形成する方法であって、
請求項1から7のいずれか一項に記載のガラス形成鉄系金属合金を提供するステップと、
上記ガラス形成鉄系金属合金を溶融するステップと、
上記ガラス形成合金を形成し、上記合金を10から10K/sの速度で冷却して、金属ガラス、ナノ結晶材料またはこれらの混合物を含む材料を得るステップと、
を含む方法に関する。
本開示の上記および他の特徴ならびにこれらを達成する様式は、添付の図面と併用して本明細書に記載する実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より明らかになり、よりよく理解されよう。
図1aから1fは、ガラス−結晶転移ピークおよび溶融ピークの存在を示す合金のDTA曲線を示し;図1a)は、16m/sで溶融紡糸した合金1を示し、図1b)は、16m/sで溶融紡糸した合金4を示し、図1c)は、16m/sで溶融紡糸した合金2を示し、図1d)は、16m/sで溶融紡糸した合金5を示し、図1e)は、16m/sで溶融紡糸した合金3を示し、図1f)は、16m/sで溶融紡糸した合金6を示す。 図2aから2fは、ガラス−結晶転移ピークおよび溶融ピークの存在を示す合金のDTA曲線を示し;図2a)は、16m/sで溶融紡糸した合金7を示し、図2b)は、16m/sで溶融紡糸した合金10を示し、図2c)は、16m/sで溶融紡糸した合金8を示し、図2d)は、16m/sで溶融紡糸した合金11を示し、図2e)は、16m/sで溶融紡糸した合金9を示し、図2f)は、16m/sで溶融紡糸した合金12を示す。 図3aから3fは、ガラス−結晶転移ピークおよび溶融ピーク(16m/sのサンプルについては)の存在を示す合金のDTA曲線を示し;図3a)は、16m/sで溶融紡糸した合金13を示し、図3b)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金3を示し、図3c)は、16m/sで溶融紡糸した合金1を示し、図3d)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金4を示し、図3e)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金2を示し、図3f)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金5を示す。 図4aから4fは、ガラス−結晶転移ピークの存在を示す合金のDTA曲線を示し;図4a)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金6を示し、図4b)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金9を示し、図4c)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金7を示し、図4d)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金10を示し、図4e)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金8を示し、図4f)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金11を示す。 図5aから5bは、ガラス−結晶転移ピークの存在を示す合金のDTA曲線を示し;図5a)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金12を示し、図5b)は、10.5m/sで溶融紡糸した合金13を示す。 図6aから6cは、16m/sで溶融紡糸した合金1リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を示し;図6a)は、リボン断面全体を示す低倍率のものを示し(気孔率の孤立点の存在に注意されたい)、図6b)は、中程度の倍率のリボン構造体を示し、図6c)は、高倍率のリボン構造体を示す。 図7aから7cは、16m/sで溶融紡糸した合金7リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を示し;図7a)は、リボン断面全体を示す低倍率のものを示し、図7b)は、中程度の倍率のリボン構造体を示し(リボンの頂部における自由表面の存在に注意されたい)、図7c)は、高倍率のリボン構造体を示す。 図8aから8dは、合金11のリボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を示し;図8a)は、16m/sにおけるリボン断面全体を示す低倍率のものを示し、図8b)は、16m/sにおける高倍率のリボン構造体を示し(スクラッチおよび空洞の存在に注意されたい)、図8c)は、10.5m/sにおけるリボン断面全体を示す低倍率のものを示し(ビッカース硬度の圧痕の存在に注意されたい)、図8d)は、10m/sにおける高倍率のリボン構造体を示す。 図9aから9bは、16m/sで溶融紡糸し、次いで1000℃で1時間アニールした合金11リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を示し;図9a)は、中程度の倍率のリボン構造体を示し、図9b)は、高倍率のリボン構造体を示す。 図10aから10dは、16m/sで溶融紡糸した合金11リボンのSEM二次電子顕微鏡写真およびEDSスキャンを示し;図10a)は、リボン構造体の高倍率の二次電子写真を示し、図10b)は、鉄の存在を示すEDSマップを示し、図10c)は、ニッケルの存在を示すEDSマップを示し、図10d)は、コバルトの存在を示すEDSマップを示す。 図11aおよび11bは、2点曲げ試験システムを示し;図11a)は、曲げ試験機の写真であり、図11b)は、曲げプロセスの拡大概略図を示す。 図12は、16m/sで溶融紡糸した合金1Aシリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図13は、16m/sで溶融紡糸した合金1Bシリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図14は、16m/sで溶融紡糸した合金1Cシリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図15は、10.5m/sで溶融紡糸した合金1Aシリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図16は、10.5m/sで溶融紡糸した合金1Bシリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図17は、10.5m/sで溶融紡糸した合金1Cシリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図18は、16m/s、10.5m/sおよび5m/sのホイール接線速度で溶融紡糸した合金11合金のDTA曲線を示す。 図19は、16m/sで溶融紡糸し、450℃で3時間アニールした合金11シリーズ合金に関する破断歪みの関数としての累積破断確率を示す曲げ試験データを示す。 図20は、2点曲げの間に破壊することなく180°曲げた合金11のリボンサンプルの例を示す。 図21は、約2.5%の歪みで曲げた合金11のリボンサンプルの例を示し、捩れ(矢印を参照)は、プラスチック変形の開始を表わしていると思われる。
本出願は、ガラス形成鉄系合金に関し、該合金は形成されると、金属ガラス、または金属ガラスとナノ結晶相とからなる混合構造体を含み得る。このような合金は、最大で97%の比較的高い歪み、および最大で5.9GPaの比較的高い強度を呈し得る。さらに、最大で2.6%の比較的高い弾性が観察されており、これは、アモルファス構造体に一致し得る。したがって、該合金は、金属ガラスと同様の比較的高い弾性、延性結晶性金属と同様の高い塑性、およびナノスケール材料において観察されるような比較的高い強度を得ることができる構造および特性を呈する。
金属ガラス材料またはアモルファス金属合金は、数個の原子のスケール、例えば100nm以下の範囲の秩序化など長距離秩序をほとんど呈さない。当然ながら局所的な秩序化は存在し得る。ナノ結晶材料は、100nm未満などの、1nmから500nmの範囲の全ての値および増分を含めた500nm未満の平均粒子サイズを有する多結晶構造体として理解され得る。アモルファスおよびナノ結晶材料の特性決定がある程度まで重複する場合があること、ならびにナノ結晶材料における結晶サイズが、アモルファス組成物における短距離秩序のサイズよりも小さい場合があることを認識することができる。これらの材料は、10℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)によって測定される少なくとも1つのガラス−結晶転移を呈することを特徴とする。
本明細書において意図される鉄系合金は、少なくとも35原子パーセント(原子%)の鉄、7から50原子%の範囲のニッケルおよび/またはコバルト、ならびに1から35原子%の範囲で存在する、ホウ素、炭素、ケイ素、リン、または窒素からなる群から選択される少なくとも1種の非金属または半金属を含み得る。原子パーセントは、所与の合金について少なくとも95原子パーセントを与えるように選択および構成されてよく、100原子パーセントに対する残りは不純物である。例えば、該合金は、7原子%のニッケルまたはコバルト、1原子%のホウ素、炭素、ケイ素、リンまたは窒素の1種、残りの92原子%が鉄であってよい。この場合、不純物は存在しないこととなる。さらなる例によると、該合金は、7原子%がニッケルまたはコバルト、1原子%がホウ素、炭素、ケイ素、リンまたは窒素の1種、残りの87原子%が鉄、残りの最大で5原子パーセントが不純物であってよい。
したがって、それぞれの金属についてのそれぞれの原子パーセントのこれらの一般的な範囲内で、好ましいサブ範囲を利用できることが明らかなはずである。例えば、鉄の場合、範囲の下限は、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54または55原子%から独立して選択することができ、一方で、範囲の上限は、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57または56原子%から独立して選択することができる。本発明による合金における鉄の好適な範囲は、45原子%から70原子%、50原子%から65原子%、または52原子%から60原子%であり得る。
ニッケルおよび/またはコバルトから選択される第2グループの構成要素では、範囲の下限は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26原子%から独立して選択することができ、一方で、範囲の上限は、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、または28原子%から独立して選択することができる。本発明の合金は、先に特定した範囲または両方の組み合わせ内の量でニッケルまたはコバルトを含有することができる。例えば、本発明の合金は、10から40原子%のNiを含有することができ、これにより、範囲の下限は、10、11、12、13、14、15または16原子%から独立して選択することができ、一方で、範囲の上限は、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19または18原子%から独立して選択することができ、0から20の量でコバルトと組み合わせることが可能であり、これにより、範囲の下限は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から独立して選択することができ、一方で、上限は、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11から独立して選択することができる。ニッケルに好適な範囲は、10から30原子%または13から18原子%である。コバルトに好適な範囲は、0から15原子%または8から12原子%である。
ホウ素、炭素、ケイ素、リンまたは窒素からなる群から選択される非金属または半金属である第3のグループの構成要素では、範囲の下限は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18原子%から独立して選択することができ、一方で、範囲の上限は、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20または19原子%から独立して選択することができる。
いくつかの例において、本明細書において意図される合金は、45原子%から70原子%の鉄などの、先に言及した一般的な範囲のなおより好ましいサブ範囲を含んでいてよい。ニッケルの特定の好ましいサブ範囲は、10原子%から30原子%のニッケルであってよい。コバルトの特定の好ましいサブ範囲は、0原子%から15原子%のコバルトであってよい。ホウ素の特に好ましいサブ範囲は、7原子%から25原子%のホウ素であってよい。炭素の特定の好ましいサブ範囲は、0原子%から6原子%であってよい。ケイ素の特定の好ましいサブ範囲は、0原子%から2原子%であってよい。本発明により、本発明の合金の特定の成分についてのこれらの範囲のいずれかは、本明細書に記載の他のいずれかの成分のいずれかの範囲と組み合わせることができることが注目されよう。
例えば、開示した合金についての1つの特に好ましいサブ範囲は、52原子%から60原子%の範囲の鉄、13原子%から18原子%のニッケル、8原子%から12原子%のコバルト、10原子%から17原子%のホウ素、3原子%から6原子%の炭素、および0.3原子%から0.7原子%のケイ素を有する合金を提供することができる。
ガラス形成鉄系合金は、金属ガラス形成のための臨界冷却速度について10から10K/秒(K/s)の一般的な範囲を呈し得る。より好ましくは、臨界冷却速度は、例えば、10,000K/sから1,000K/sなどの全ての値および増分を含めて、100,000K/s以下であってよい。得られる合金材料の構造体は、500nm未満のサイズの金属ガラスおよび/または結晶ナノ構造の特徴から主として構成され得る。いくつかの例において、金属ガラスおよび/またはナノ結晶合金である合金は、10%から80体積%の金属ガラスの範囲内の全ての値および増分を含めて、金属ガラスが少なくとも10体積%であってよい。
鉄系合金は、0.5%から3.0%の範囲内の全ての値および増分を含めた、0.5%を超える弾性伸びを呈することができる。弾性伸びは、実質的に回復可能であり得る、負荷適用下での材料の長さ変化として理解することができる。さらに、鉄系合金は、0.6%から最大で97%の範囲など、この範囲内の全ての値および増分を含めた、0.6%を超える引張または曲げ伸びを呈することができる。引張または曲げ伸びは、引張または曲げ時の負荷の適用から生じるサンプル長さの増大と理解することができる。さらに、鉄系合金は、1GPaから5.9GPaの範囲の全ての値および増分を含めた、1GPaを超える強度を呈し得る。強度は、材料を破壊する、断裂する、または破断を引き起こすのに必要とされる応力と理解することができる。合金は1GPaを超える強度と2%を超える引張または曲げ伸びとの特性の組合せを呈することができるということを認識することができる。形成された鉄系合金はまた、10GPaから15GPaの範囲の、この範囲内の全ての値および増分を含めた硬度(VH300)を呈することもできる。
合金は、原料材料を所望の割合で提供することによって調製され得る。原料材料は、次いで、アーク溶融システムまたは誘導加熱などによって溶融されてよく、ガラス形成金属合金を生成する。ガラス形成金属合金は、次いで、シールドガス下で、アルゴンなどの不活性ガスを用いて、インゴットに形成され得る。形成された合金は、多数回フリップおよび再溶融されて、ガラス形成金属合金の均一性を確保することができる。ガラス形成金属合金は、さらに鋳造されても、所望の形状に形成されてもよい。いくつかの例において、ガラス形成金属合金は、溶融し、次いで1個または複数個の銅ホイール上またはその間に鋳造されてよく、合金組成物のリボンまたはシートもしくはフィルムを形成する。他の例において、ガラス形成合金は、ワイヤまたはロッドとして、例えばHVOF、プラズマアークなどの溶射プロセスに供給されてよい。最終的な形成プロセスは、100,000K/s未満の冷却速度を与えることができる。
いくつかの実施形態では、形成された合金は、粒子、相、結晶構造を呈さないかまたは、100nmから1,000nmの範囲の全ての値および増分を含めた、100nm以上のスケールの他の長距離秩序化も呈さない。形成された合金組成物はまた、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定されるとき、範囲内の全ての値および増分を含めた、350℃から675℃の範囲にガラス−結晶転移開始を呈し得る。形成された合金組成物は、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定されるとき、範囲内の全ての値および増分を含めた、350℃から700℃の範囲にガラス−結晶転移ピークを呈し得る。さらに、形成された合金は、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定されるとき、範囲内の全ての値および増分を含めた、1000℃から1250℃の範囲に溶融開始を呈し得る。形成された合金はまた、範囲内の全ての値および増分を含めた、1000℃から1250℃の範囲に溶融ピークを呈し得る。該合金は、いくつかの例において、少なくとも1個から可能な場合には最大で3個のガラス−結晶転移ならびに/または少なくとも1個および可能な場合には最大で3個の溶融転移を呈することができることが認識され得る。さらに、形成された合金は、7.3g/cmから7.9g/cmの範囲の密度を有することができる。
(実施例)
以下の実施例は、説明目的のみで提示され、したがって、本明細書において提供されている詳細な説明およびこれに付随する特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。
[サンプル調製]
少なくとも99原子%の純度を有する比較的高い純度の元素を用いて、合金1シリーズ合金の合金原料15gを調製した。合金1シリーズ合金の原料を表1に示した原子比にしたがって秤量した。次いで、各原料材料をアーク溶融システムの銅炉内に配置した。原料を、高純度のアルゴンをシールドガスとして用いてアーク溶融して、インゴットにした。インゴットを数回フリップし、再溶融して均一性を確保した。続いて、混合後に、インゴットを、幅約12mm、長さ30mm、厚さ8mmのフィンガの形態に鋳造した。次いで、得られたフィンガを、約0.81mmの穴径を有する石英るつぼ内の溶融紡糸室に配置した。インゴットをRF誘導により1/3気圧のヘリウム雰囲気において溶融し、次いで、5から25m/sまで変動する接線速度で移動する245mmの径の銅ホイール上に取り出した。生成された合金1シリーズのリボンは、幅が典型的には約1.25mmであり、厚さが0.02から0.15mmであった。
[冷却速度]
したがって、上記を詳しく説明すると、溶融紡糸後、一方向(すなわち、厚さ)において寸法的に薄く長い連続的なリボンが生成されることを認識することができる。生成されたリボンの厚さを、マイクロメータを用いて測定した。表1Aに、ホイール接線速度に応じた表1における合金に典型的なリボン厚さの範囲を示す。厚さを基準として、周知の関係dT/dt=10/(dc)を用いて冷却速度を推定することができる。表1Aに、推定した冷却速度範囲を各リボン厚さについて示す。示すように、通常のパラメータ範囲を用いた溶融紡糸において利用可能な冷却速度範囲は、2.5×10から16×10K/sである。公知の延性範囲を基準とした好ましい冷却速度は、10から10K/sの範囲内である。
ガラス様またはナノ結晶形態を得るための冷却温度依存性は、所与の合金の厳密な組成に依存し得るため、所与の合金の組成によって決定され得ることにも注意すべきである。例えば、このことは、本明細書において述べるようにDSCによってガラス−結晶転移を測定することによって達成され得る。
[密度]
インゴット形態の合金の密度を、空気および蒸留水の両方での秤量を可能にするバランスでアルキメデス法を用いて測定した。各合金についてアーク溶融した15グラムのインゴットの密度を表2に一覧にすると、7.39g/cmから7.85g/cmまで変動することが分かった。実験結果から、この技術の正確さが±0.01g/cmであることが明らかとなった。
[固化された状態の構造体]
固化された状態のリボン構造体について、DSC−7オプションを有するPerkin Elmer DTA−7システムにおいて熱分析を実施した。サンプルを超高純度アルゴン流の使用により酸化から保護して、示差熱分析(DTA)および示差走査熱量測定(DSC)を10℃/分の加熱速度で実施した。表3に、2つの異なるホイール接線速度、16m/sおよび10.5m/sにおいて溶融紡糸した合金1シリーズ合金について、ガラス−結晶転移に関係するDSCデータを示す。ホイール接線速度が増大すると冷却速度が増大することに注意されたい。16m/sおよび10.5m/sで溶融紡糸した合金の典型的なリボン厚さは、それぞれ、0.04から0.05mnおよび0.06から0.08mmである。図1から5に、対応するDTAプロットを、16および10.5m/sで溶融紡糸した各合金1シリーズサンプルについて示す。図から分かるように、大部分のサンプル(2を除く全て)は、紡糸された状態がかなりの割合の金属ガラスを含有することを実証するガラス−結晶転移を呈する。ガラス−結晶転移は、約350から約700℃の温度範囲および約−1から約−125J/gの転移エンタルピーにおいて、1段階、2段階または3段階のいずれかで起こる。
表4に、合金1シリーズ合金の溶融挙動を表わす高温DTAの結果を示す。表4および図1から3に見られるように、溶融は、1から3段階で起こり、初期の溶融が、約1060℃から約1100℃までに観察され(すなわち、斜線)、最後の溶融が、1130℃までに観察される。
[SEM顕微鏡による研究]
リボン構造体をさらに分析するために、選択したリボンサンプルについて走査電子顕微鏡撮影(SEM)を行った。溶融紡糸したリボンを標準的な金属顕微鏡用プレパラートに載せ、いくつかのリボンは、金属顕微鏡用バインダークリップを用いて保持した。リボンを含めたバインダークリップを金型内にセットし、エポキシを注入して硬化させた。得られた金属顕微鏡用プレパラートを、標準の金属顕微鏡用技法の後で適当な媒体を用いて粉砕し、研磨した。サンプルの構造体をCarl Zeiss SMT社製のEVO−60走査電子顕微鏡を用いて観察した。典型的な操作条件は、電子線エネルギーが17.5kV、フィラメント電流が2.4A、スポットサイズ設定が800であった。エネルギー分散分光法をApolloシリコンドリフト検出器(SDD−10)によって、Genesisソフトウエアを用いて(共にEDAX製)実施した。増幅時間は、検出器の不感時間が約12から15%となるように6.4マイクロ秒に設定した。
図6に、16m/sで溶融紡糸した合金1リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を示す。図から分かるように、気孔率の孤立点が見られるが、結晶構造の特徴は観察されなかった。図7に、16m/sで溶融紡糸した合金7リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を示す。合金1の結果と一致して、低倍率、中倍率および高倍率の画像は、粒子、相、および結晶構造のいずれも示していない。図8に、合金11リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を、16m/sのサンプルと10.5m/sのサンプルとを比較して示す。SEMの解像限界のスケールでは結晶構造が見られないこと、および2つの冷却速度間での差違が観察されなかったことに注意されたい。図9に、16m/sで溶融紡糸し、次いで1000℃で1時間アニールした合金11リボンのSEM後方散乱電子顕微鏡写真を2つの異なる倍率で示す。この非常に高温での熱処理の後であっても、粒子、相、および結晶材料が見られなかったことに注意されたい。
DTA結果から、この温度での熱処理が、完全な失透を確実に引き起こすことが明らかであり、形成された粒子/相が粗大化に対して非常に安定であることが示唆される。図10aに、16m/sで溶融紡糸した合金11リボンの高倍率二次電子顕微鏡写真を示す。エネルギー分散分光法(EDS)によるマップを、低倍率(1,770X)、中倍率(5,000x)、および高倍率(20,000X)で測定した。図10b、10c、および10dに;図10aに示す領域に相当する鉄、ニッケル、およびコバルトそれぞれの高倍率のEDSマップを示す。図から分かるように、相の欠乏が見られることと一致して、鉄、ニッケル、およびコバルトの均一な分布が見られる。写真の斑点状の形態は、化学的偏析によるものではなく、EDS走査解像度の影響によるものであることに注意されたい。
[機械的特性試験]
機械的特性試験を、第1に、ヤング率を測定するナノインデンタ試験ならびに破断強度および伸びを測定する曲げ試験を用いることによって実施した。以下のセクションは、技術的アプローチおよび測定データを詳説する。
[ナノインデンテーション試験]
ナノインデンテーションは、公知の幾何学的形状を有する圧子先端を、増大する常用負荷を適用することによって試験対象の材料の特定の部位内に駆動させる確立された方法を用いる。予め設定された最大値に達した後、部分的または完全な緩和が起こるまで常用負荷を低減させる。この手順を、実験の各段階において繰り返し実施し、サンプル表面に対する圧子の位置を差動容量センサによって正確に監視する。それぞれの負荷/無負荷サイクルについて、適用した負荷値を対応する圧子位置についてプロットする。得られた負荷/変位曲線は、検査に際して、材料の機械的性質に特異的なデータを与える。ヤング率の計算は、低減率Eをまず計算し(式1を参照)、次いで該値を用いてヤング率を計算する(式2を参照)ことによって行う。
これは、面積関数を用いてインデンテーション曲線から誘導されるSおよびAを用いて計算することができ、Aは、投影接触面積である。
式中、Eおよびvは、圧子のヤング率およびポワソン係数であり、vは、被験サンプルのポワソン係数である。
表5に示す試験条件をナノインデンテーション測定に用いた。サンプルの硬度およびヤング率の測定値ならびに侵入深さ(Δd)をその平均および標準偏差と共に表6から10に一覧にする。示すように、硬度が非常に高いことが分かり、960から1410kg/mm(10.3から14.9GPa)の範囲であった。弾性率(すなわち、ヤング率)は、119から134GPaまで変動することが分かった。全ての合金1シリーズ合金をナノインデンテーションによって測定しなかったため、ヤング率を既存の範囲内である残りの合金について推定し、125GPaを強度の曲げ試験計算に用いた。
[2点曲げ試験]
強度測定のための2点曲げ法は、光ファイバおよびリボンなどの薄い、高度に可撓性の試料のために開発された。該方法は、ある長さのテープ(ファイバ、リボンなど)を「U」字形状に曲げるステップ、およびこれを2枚の平らで平行な面板の間に挿入するステップを含む。一方の面板は静止しているが、第2の面板は、面板のゼロ分離位置に起因する約10μmの系統的不確実性を有して、面板間のギャップが約5μmより良好な精度に制御され得るように、コンピュータ制御されたステッピングモータによって動かされる(図11)。ステッピングモータは、厳密に制御された特定の速度(最大で10,000μm/sの任意の速度)で面板を一緒に動かす。テープの破壊を、ステッピングモータを停止させる音響センサを用いて検出する。テープでの測定に関しては、破断時の面板分離が2から11mmの間で変動したため、装置の精度は結果に影響しない。
試料の強度は、破断時の面板分離から計算することができる。面板は、測定により歪みを直接与えて破断するように、テープを特定の変形に抑圧する。材料のヤング率を用いて、以下の式(式3)にしたがって破断応力を計算する:
式中、dはテープ厚さであり、Dは、破断時の面板分離である。ヤング率をナノインデンテーション試験から測定し、合金1シリーズ合金については119から134GPaまで変動することが分かった。先に言及したように、測定していないサンプルについてはヤング率を125GPaであると推定した。面板間のテープの形状は、約2:1のアスペクト比を有する楕円形に類似する弾性線である。方程式は、テープの弾性変形を想定する。テープが破断時に粉砕して、破壊した端部が永久変形を全く示さないとき、破断部位において広範囲のプラスチック変形は存在せず、したがって、方程式は正確である。多くの合金1シリーズ合金において示されるようにプラスチック変形が起こる場合であっても、曲げ測定は強度の相対的な尺度を依然として提供し得ることに注意されたい。材料の強度データは、式4に示すようなワイブル分布に典型的に適合される:
式中、mは、ワイブル係数(分布幅の逆の尺度)であり、εは、ワイブルのスケールパラメータ(中心度の測定、実際には63%の破断確率)である。一般に、mは、測定された強度の変動性に相当する無次元数であり、欠陥の分布を表示する。試料の強度がどのぐらいサイズに依存するかを記載しているワイブルの最弱リンク説を組み込むのが簡単であるため、この分布は広く用いられている。
図12、13、および14に、16m/sで溶融紡糸した合金1Aシリーズ、合金1Bシリーズ、および合金1C合金それぞれについて、破断歪みの関数としての累積破断確率を与える2点曲げ結果を示す。これらの図においてデータ点ごとに別々の曲げ試験を表示していること、および各サンプルについて、17から25回の測定が行われたことに注意されたい。表11に、これらの16m/sの曲げ試験測定について、ヤング率(GPAおよびpsi)、破断強度(GPAおよびpsi)、ワイブル係数、平均歪み(%)、および最大歪み(%)を含めた結果を一覧にする。合金7サンプルについて、全ての被験リボンが試験の間に破壊しなかったため破断強度を測定できなかった。ヤング率の計算および推定については、先のナノインデンテーション試験のセクションに記載したとおりである。式3にしたがって計算した破断強度は、比較的高いことが分かり、2.24から5.88GPa(325,000から855,000psi)の範囲である。ワイブル係数は、2.43から10.1まで変動することが分かり、永久破断を引き起こすリボンのいくつかにおいてマクロ欠陥が存在することを示唆する。平均歪み%を2点曲げ試験の間に破壊したサンプルセットを基準にして計算した。試験の間に破壊しなかった合金7サンプルの場合、平均歪みは1.37から97%の範囲であった。最大歪み%は、試験の間に破壊したサンプルセットについては曲げの間に見られた最大歪みであり、破壊しなかったサンプルについては97%であった。最大歪みは、3.4%から97%まで変動することが分かった。
図15、16、および17に、10.5m/sで溶融紡糸した合金1Aシリーズ、合金1Bシリーズ、および合金1C合金それぞれについて、破断歪みの関数としての累積破断確率を与える2点曲げ結果を示す。これらの図においてデータ点ごとに別々の曲げ試験を表示していること、および各サンプルについて、17から25回、測定が行われたことに注意されたい。表12に、これらの10.5m/sの曲げ試験測定について、ヤング率(GPAおよびpsi)、破断強度(GPAおよびpsi)、ワイブル係数、平均歪み(%)、および最大歪み(%)を含めた結果を一覧にする。ヤング率の計算および推定は、先のナノインデンテーション試験のセクションに記載した。式3にしたがって計算した破断強度は、比較的高いことが分かり、1.08から5.36GPa(160,000から780,000psi)の範囲である。ワイブル係数は、2.42から6.24まで変動することが分かり、永久破断を引き起こすリボンのいくつかにおいてマクロ欠陥が存在することを示唆する。平均歪み%は、0.63から2.25%の範囲であり、最大歪み%は、0.86%から4.00%まで変動することが分かった。
[市販品形態]
表1の合金の特性を組み合わせることにより、これらの合金から開発された薄型製品の潜在的または予測される用途を考えることができる。かなりの引張伸びおよび高い弾性と結び付けられた比較的高い引張強度および硬度を含めた好ましい特性の特定の組合せにより、ファイバ、リボン、箔、およびマイクロワイヤを含めた多くの薄型製品が実行可能であり得ることが考えられる。
薄型製品の形態を参照すると、厚さが0.25mm以下であるか、断面径が0.25mm以下であることを理解することができる。したがって、厚さの範囲は、0.01mmの増分において、範囲内の全ての値および増分を含めた0.01mmから0.25mmであってよい。薄型製品の形態として、例えば、シート、箔、リボン、ファイバ、粉末およびマイクロワイヤを挙げることができる。例えばTaylor−Ulitovskyワイヤ作製プロセスを利用することができる。Taylor−Ulitovsky法は、金属材料で充填したガラス管を高周波加熱によって溶融すること、続いて迅速に固化することによってワイヤ材料を調製する方法である。該調製方法についての詳細は、A. V. Ulitovsky、“Method of Continuous Fabrication of Microwires Coated by Glass”、USSR特許、第128427号(1950年3月9日)、またはG F. Taylor、Physical Review、第23巻 (1924年) 655頁に記載されている。
先に述べた薄型製品は、限定されないが複合材料強化材を含めた構造/強化材型用途に使用され得る(例えば、熱可塑性および非架橋ポリマーならびに/または熱硬化性もしくは架橋型樹脂のいずれかを含めた選択されたポリマー樹脂への薄型製品形態の配置)。薄型製品形態(ファイバおよび/またはリボン)はまた、コンクリート強化材に用いることもできる。さらに、薄型製品形態は、切断用ワイヤのこぎり、衝撃耐性用途のための織物、および衝撃裏地用途のための箔に用いることができる。
生成される材料の厚さは、好ましくは0.02から0.15mmのサブ範囲内であってよい。表13に、工業的加工技術、その材料形態、典型的な厚さおよび推定冷却速度のリストを示す。示すように、これらの市販品において可能な厚さの範囲は、十分に表1の合金の能力の範囲内である。したがって、延性ワイヤ、薄いシート(箔)、およびファイバは、これらおよび他の関係する工業的加工法によって生成され得ると考えられる。
(実施例1)
高純度の元素を用いて、合金11の化学構造を有する3つの15gの投入材料を表1の原子比にしたがって秤量した。元素の混合物を銅炉上に配置し、カバーガスとして超高純度のアルゴンを用いてアーク溶融してインゴットにした。混合後、得られたインゴットを溶融紡糸に適したフィンガ形状に鋳造した。次いで、合金11の鋳造したフィンガを公称0.81mmの穴径を有する石英るつぼ内に配置した。インゴットをRF誘導によって加熱し、次いで、16m/s、10.5m/s、および5m/sのホイール接線速度で移動する、迅速に動く245mmの銅ホイール上に取り出した。固化された状態のリボンのDTA/DSC分析を10℃/分の加熱速度で行い、室温から900℃または1350℃のいずれかまで加熱した。3つのリボンサンプルのDTA曲線を図18に示し、ガラス結晶化ピークに相当するDSCデータを表14に示す。示すように、ホイール接線速度を変化させることにより、ガラスの量および相当する結晶化度を、20m/sでの非常に高いパーセント(100%に近い)のガラスから5m/sでの非常に低い値(0%に近い)に変化させることができる。
(実施例2)
高純度の元素を用いて、合金11の化学構造を有する15gの投入材料を表1の原子比にしたがって秤量した。元素の混合物を銅炉上に配置し、カバーガスとして超高純度のアルゴンを用いてアーク溶融してインゴットにした。混合後、得られたインゴットを溶融紡糸に適したフィンガ形状に鋳造した。次いで、合金11の鋳造したフィンガを公称0.81mmの穴径を有する石英るつぼ内に配置した。インゴットをRF誘導によって加熱し、次いで、16m/sのホイール接線速度で移動する、迅速に動く245mmの銅ホイール上に取り出した。次いで、生成したリボンを真空管炉において450℃で3時間アニールした。紡糸された状態およびアニールされた状態において、合金11のサンプルを、2点曲げを用いて試験した。2点曲げの結果を図19に示し、表15に一覧にする。噴霧された状態のサンプルについては、これらのサンプルの大部分が試験の間に破壊せず、図20に示すように自身に対して完全に折り曲がったことに注意されたい。2点曲げ機の下限を120ミクロンに設定したこと、および測定された合金11のリボン厚さが約53ミクロンであったことに注意されたい。したがって、リボンは、自身の上に完全に折り曲げられたとき、引張の側で約97%の歪みを受けた。特定の熱処理が選択された後、合金11サンプルの破断強度および歪みの両方が減少したことに注意されたい。
(実施例3)
16m/sで溶融紡糸し、実施例1における方法にしたがって調製した合金11のリボンサンプルを、追加の2点曲げ試験に利用した。面板を開放および閉鎖してサンプルを視覚的に検査することにより、プラスチック変形の開始を視覚的に判断して永久変形を予期することができた。サンプルを2.4%およびそれ未満の歪みで曲げたとき、リボンが完全に跳ね返ったように見えたため、リボンにおいて永久変形は観察されなかった。リボンを2.4%から2.6%まで変形させながら、試験後の僅かな捩れを含むリボン(図21における矢印を参照)を用いて永久変形を観察した。この例は、材料が比較的高い弾性を呈し得ることを表わし、このことは、その金属ガラスの性質と一致し得る。従来の結晶材料が0.5%未満の弾性限界を一般に呈するであろうことに注意されたい。
いくつかの方法および実施形態の上記の詳細な説明は、説明目的で提示されたものである。排他的であること、または特許請求の範囲を開示した厳密なステップおよび/もしくは形態に限定することを意図しておらず、上記教示を考慮すると明らかに多くの変更および変形が可能である。本発明の範囲は本明細書に添付した特許請求の範囲によって定義されることが意図される。

Claims (9)

  1. 52原子%から60原子%の鉄と、
    13原子%から18原子%の範囲で存在するニッケルと、
    8原子%から12原子%の範囲で存在するコバルトと、
    10原子%から17原子%の範囲で存在するホウ素と、
    3原子%から6原子%の範囲で存在する炭素と、
    0.3原子%から0.7原子%のケイ素と、
    最大で5原子%の不純物と、
    からなり、
    前記原子パーセントは、金属合金組成について100原子パーセントを与えるように選択される、金属合金組成を有する、延性金属材料であって、
    前記延性金属材料が、少なくとも1つのガラス−結晶転移を呈する金属ガラスまたは金属ガラスとナノ結晶相との混合構造物である、延性金属材料
  2. 前記少なくとも1つのガラス−結晶転移が、10℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)によって測定される、請求項1に記載の延性金属材料。
  3. 350℃から675℃の範囲において、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定される少なくとも1つのガラス−結晶転移開始、または350℃から700℃の範囲において、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定される少なくとも1つのガラス−結晶転移ピークを示す、請求項2に記載の金属材料。
  4. 1000℃から1250℃の範囲の温度において、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定される少なくとも1つの溶融開始、または1000℃から1250℃の範囲の温度において、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定される少なくとも1つの溶融ピークを示す、請求項2または3に記載の金属材料。
  5. 最大で3%の弾性伸びを示す、請求項2から4のいずれか一項に記載の金属材料。
  6. 0.5%を超える弾性伸び、1GPaから5.9GPaの範囲の破断強度および9GPaから15GPaのビッカース硬度(HV300)を呈する、請求項2から5のいずれか一項に記載の金属材料。
  7. 厚さが0.25mm以下であるか、または断面径が0.25mm以下である、請求項2から6のいずれか一項に記載の金属材料。
  8. 延性金属材料を形成する方法であって、
    52原子%から60原子%の鉄と、
    13原子%から18原子%の範囲で存在するニッケルと、
    8原子%から12原子%の範囲で存在するコバルトと、
    10原子%から17原子%の範囲で存在するホウ素と、
    3原子%から6原子%の範囲で存在する炭素と、
    0.3原子%から0.7原子%のケイ素と、
    最大で5原子%の不純物と、
    からなり、
    前記原子パーセントは、金属合金組成について100原子パーセントを与えるように選択される、金属合金組成を有する、ガラス形成鉄系金属合金を提供するステップと、
    前記ガラス形成鉄系金属合金を溶融するステップと、
    前記ガラス形成合金を形成し、前記合金を10 から10 K/sの速度で冷却して、金属ガラスまたは金属ガラスとナノ結晶相との混合構造物を含む材料を得るステップと、
    を含む方法。
  9. ガラス形成合金を提供するステップが、原料をブレンドするステップと、前記原料を溶融して前記原料を前記ガラス形成鉄系金属合金にするステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
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