JP5988515B2 - 無線通信システム及び無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホワイトスペースを利用した無線通信システム及び無線通信方法に関し、特に、利用する周波数の割当て技術に関する。
一般に、無線通信に使用する周波数は国がライセンス管理を行い、ライセンスを割当てられた者だけが、特定の場所および時間において、厳格な管理の下、その周波数を利用することができる。しかし、今後も増え続けるであろう周波数需要に対応するためには、これまでの利用方法にとらわれない、新しい周波数の利用方法が求められている。
そこで近年、周波数の枯渇問題を解決するための新たな周波数の利用方法として、既に割当てられているにも関わらず、空間的、時間的に使用されない周波数帯(ホワイトスペース)を利用する方法が研究されている。例えば、ライセンスを受けている利用者(以下、「一次利用者」という。)の既存システムの周波数使用への影響を十分回避しつつ、ライセンスを受けていない利用者(以下、「二次利用者」という。)が柔軟にホワイトスペースの電波を利用するコグニティブ無線通信システムなどの研究開発が行われている(例えば、非特許文献1)。
例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers:米国電気電子学会)においてIEEE802.22規格として標準化が行われている、ホワイトスペースを利用する広域無線通信(WRAN: Wireless Regional Area Network)システムは、基地局(BS:Base Station)と、戸別に設置される子局或いは端末(CPE:Customer Premises Equipment)とから構成される。その基地局は、IPネットワーク上のホワイトスペースデータベースにアクセスすることで、自局の位置情報に基づく使用許可周波数リストと最大送信可能電力とを取得する。使用許可周波数リストは、BS内のスペクトルマネージャ(SM:Spectrum Manager)によって、随時更新をしながら一括管理されている。そして、BSはこの使用許可周波数リストに基づき、BSとCPEの間で双方向に通信の利用可能な周波数を、使用周波数として決定する(非特許文献2参照)。
また、各無線局(BSおよびCPEをいう、以下同様。)は、スペクトルセンシング機能を具備していることもある。各無線局は、スペクトルセンシングによって、決定された使用周波数が既存システム(一次利用者のシステム)によって使用されていることを検知すると、その情報をSMに通知する。すると、SMは使用許可周波数リストからこの周波数を除外する。ホワイトスペースを利用する無線通信システムでは、このようにして時々刻々と更新される情報に基づきダイナミックなスペクトルアクセスを行うことで、一次利用者の周波数使用への影響を回避すると同時に、二次利用者の通信も実現する。
ところで、IEEE802.22規格では、二次利用システムが使用許可周波数リストの中から実際に運用を行う周波数を選択する基準は明確に規定されておらず、周辺で運用されている IEEE 802.22システム(WRANセル)の運用チャネル情報を参照しながら、WRANセル同士の干渉を低減するように運用されるべきであるとの記載があるのみである。また、周辺のセルとの間で周波数を融通し合う仕組みも規定されていない。したがって、あるWRANセルで運用している周波数は、当該周波数が二次利用不可とならない限り、先に当該周波数で運用を開始したセルが優先して当該周波数を二次利用するシステムとなっている。
特許第4544350号公報
藤井宏治、"コグニティブ無線:電波利用のムダなくす、ホワイトスペース活用のコア技術"、[online]、リックテレコム、[平成23年6月9日検索]、インターネット<URL:http://businessnetwork.jp/tabid/65/artid/110/page/1/Default.aspx> 米国電気電子学会(IEEE)Computer Society編、「IEEE Std 802.22-2011 Part 22: Cognitive Wireless RAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer(PHY)Specifications: Policies and Procedures for Operation in the TV Bands 」、(米国)、IEEE標準化協会、2011年7月27日
上述したように、IEEE802.22規格は、最初にその周波数で運用を開始したセルが、優先して二次利用し続けるシステムである。しかしながら、当該二次利用システムを構成する無線局のハードウェア的な制限が存在する場合がある。例えば、各無線局の対応周波数帯を絞り込むことでコストを低減して全体のシステムコストを下げるなどの目的で設計時に対応周波数が決定されている場合や、不具合によって使用できない周波数が存在している場合や、運用上使用制限することが好ましい周波数が存在する場合である。このような場合、2次利用が許可されている帯域内であっても、当該無線局において運用不能な周波数(以下、合わせて「非対応周波数」という。)が存在することとなり、この場合は、当該非対応周波数が使用許可周波数リストに含まれていても、運用チャネルとして選択することはできないという問題があった。
すなわち、当該無線局が後から二次利用システムとして運用を開始しようとした場合に、ホワイトスペースデータベース等から得られた使用許可周波数リストに含まれる周波数のうち、当該無線局の非対応周波数以外の周波数の全てが他の二次利用システムによって既に使用されている場合、使用許可周波数リスト上は二次利用可能な周波数が存在するにもかかわらず、選択可能な周波数が存在しないため無線通信が不可能となってしまう。
或いは、先に当該周波数を利用しているシステムとの間で時間的に分割するなどして周波数を共用することが可能となる場合もあるが、いずれにしても、運よく保存されていた周波数が無線局自身の理由により利用されない事態が頻発すると、周波数リソースの有効利用が図れない恐れがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ホワイトスペースを利用した無線通信システムにおいて、異なる非対応周波数を有する複数の無線局がそれぞれ二次利用システムとして運用を開始しようとした場合であっても、周波数リソースの有効利用が可能な無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
なお、IEEE802.22規格では、使用する周波数の決定に当たり、スペクトルマネージャが使用許可周波数リストの中から自律的に選択するだけでなく、ネットワークマネージャのようなエンティティが集中制御的に各セルに周波数を割り当てるような構成をとることも可能であるが、その場合のネットワークマネージャの動作はIEEE 802.22規格の規定の範囲外としている。
上記目的を達成するための本発明の一側面の無線通信システムは、互いに無線通信を行う基地局と端末局とを含んで構成され、ホワイトスペースを利用して前記無線通信を行う無線通信システムであって、インターネット上に、前記基地局または前記端末局の送信可能周波数リストを構築する共存マネージャを備え、前記基地局または前記端末局は、自局が対応可能な対応周波数情報を記憶する対応周波数情報記憶手段と、前記対応周波数情報を前記共存マネージャに送信する周波数情報通信手段とを有し、前記共存マネージャは、他の無線通信システムで使用するホワイトスペース周波数情報と、前記基地局または前記端末局から取得した対応周波数情報と、インターネット上に設置されたホワイトスペースデータベースから取得した使用許可周波数情報とから、前記基地局または前記端末局の送信可能周波数リストを構築すると共に、当該送信可能周波数リストを前記基地局または前記端末局へ送信し、前記基地局または前記端末局は、前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定する際に、前記送信可能周波数リストから前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定することを特徴とする。
本発明の他の側面の無線通信方法は、互いに無線通信を行う基地局と端末局とを含んで構成される無線通信システムにおいてホワイトスペースを利用して前記無線通信を行う無線通信方法であって、インターネット上に備えられた、前記基地局または前記端末局の送信可能周波数リストを構築する共存マネージャに、前記基地局または前記端末局が、自局が対応可能な対応周波数情報を送信する周波数情報通信ステップと、前記共存マネージャが、他の無線通信システムで使用するホワイトスペース周波数情報と、前記基地局または前記端末局から取得した対応周波数情報と、インターネット上に設置されたホワイトスペースデータベースから取得した使用許可周波数情報とから、前記基地局または前記端末局のための送信可能周波数リストを構築すると共に、当該送信可能周波数リストを前記基地局または前記端末局へ送信するステップと、前記基地局または前記端末局が、前記送信可能周波数リストから前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定するステップと、を有することを特徴とする。
本発明の他の側面の無線通信システムは、互いに無線通信を行う基地局と端末局とを含んで構成され、ホワイトスペースを利用して前記無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局または前記端末局は、自局が対応可能な対応周波数情報を記憶する対応周波数情報記憶手段を有し、前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定する際に、インターネット上に設置されたホワイトスペースデータベースから取得した使用許可周波数情報と前記対応周波数情報とを基に、前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定する周波数決定手段(60,132)をそれぞれ備えることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、ホワイトスペースを利用した無線通信システムにおいて、その一部が非対応周波数を有する無線局によって構成されていても、当該非対応周波数を避けて最適な周波数の割り当てが可能となり、二次利用システム全体として周波数リソースの有効利用を図ることができる。
本発明の実施形態1に係る無線通信システム1の全体構成図。 無線通信システム1のBS10のブロック図。 無線通信システム1の基本動作を示すシーケンス図。
<実施形態1>
(無線通信システムの構成)
以下、本発明の実施形態1に係る無線通信システムについて、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る無線通信システム1の全体構成図である。無線通信システム1は、テレビホワイトスペースを利用した無線アクセスシステム(ホワイトスペース利用システム、二次利用システム)である。
図1に示すように、無線通信システム1は、戸別に設置される子局や携帯電話等の無線通信端末(加入者局装置)であるCPE21およびCPE22と、これらの無線通信端末が接続する基地局であるBS10と、BS10のバックホール回線30と、インターネット40と、空間的、時間的に使用可能なホワイトスペースの使用許可周波数情報を保持するテレビホワイトスペースデータベース(以下、「データベース」という。)50と、BS10の送信可能周波数リストを構築するホワイトスペース共存マネージャ(以下、「共存マネージャ」という。)60とを含んで構成される。
BS10は、バックホール回線30を通してインターネット40に接続し、インターネット上に存在するデータベース50、共存マネージャ60へのアクセスを行う。
また、周波数使用のライセンスを受けている一次利用者の通信システム(以下、「既存システム」という。)2は、送信局70と受信局80とを含んで構成されており、周波数f1およびf2のライセンスを受け使用しているものとする。以下の説明においては、周波数f1およびf2の使用ライセンスを受けていない二次利用者が、周波数f1およびf2をホワイトスペースとして利用するものとする。
ここで、図1に示すように、既存システム2が周波数f1およびf2を使用して通信を行っている時でも、既存システム2のサービスエリアから十分な離隔距離を取って無線通信システム1のサービスエリアを配置し、かつ無線通信システム1を構成する無線局の送信電力を十分小さくすれば、無線通信システム1が周波数f1を用いて送信を行っても、既存システム2に干渉を与えることなく通信を行うことが可能である。
さらに、無線通信システム1と同様に、ホワイトスペースを利用した無線通信システムであるその他の二次利用システム3が無線通信システム1のサービスエリア内に存在する場合であっても、無線通信システム1とその他の二次利用システム3は、それぞれ異なる周波数を二次利用(たとえば、無線通信システム1が周波数f1を、その他の二次利用システム3が周波数f2をそれぞれ利用)して無線通信を行うことができる。
このように、ホワイトスペース無線通信システムは、空間的に使用可能な周波数資源を有効利用できる。
図2は、無線通信システム1のBS10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、BS10は、電波の送受信を行うアンテナ101と、データの送受信を行うデータ伝送部102と、運用チャネルや送信可能周波数の管理を行うスペクトルマネージャ(SM)103と、自局全体の制御を行う主制御部104と、対応周波数リストを記憶する対応周波数情報保持部105と、バックホール回線30や外部装置とのインターフェースとなるインターフェース部106と、バックホール回線や外部装置と接続するための端子107と、例えば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等を搭載することによって、BS10の位置情報を取得する位置情報取得部108とを備える。
データ伝送部102は、RF部111と、ベースバンド(BB)信号処理部112と、MAC処理部113とを備える。
RF部111は、ベースバンドから無線周波数帯への周波数変換及び無線周波数帯からベースバンドへの周波数変換や、信号増幅等の処理を行う。
BB信号処理部112は、誤り訂正符号化・復号処理、および変復調処理などを行う。
MAC処理部113は、自局が使用する周波数チャネルやデータ送受信タイミングの制御、通信パケットへの自局識別子の付加、およびデータ送信元の無線装置の認識などの処理を行う。
SM103は、周波数情報通信部121と、周波数情報管理部122とを備える。
周波数情報通信部121は、対応周波数情報保持部105から自局の対応周波数情報を取得し、共存マネージャ60へ対応周波数情報や自局の位置情報を送信し、共存マネージャ60から送信可能周波数リストを受信する。
周波数情報管理部122は、前記送信可能周波数リストの中から運用チャネルを選択し、自局が使用する周波数をデータ伝送部102へ通知するとともに、共存マネージャ60に対し、自局の運用チャネルを通知する。
主制御部104は、たとえば、プロセッサとメモリ上に定義されたデータ記憶領域とソフトウェアで構成することが可能である。また、BB信号処理部112、MAC処理部113、およびSM103における処理は、たとえば、主制御部104のプロセッサがハードディスクやフラッシュメモリ等のデータ記憶装置に記憶されているプログラムをメモリ上に読み出して実行することにより実現することが可能である。
対応周波数情報保持部105は、当該BS10において無線送受信できる周波数(対応周波数)を格納する。RF部111をTVWS帯域の全てで無線送受信可能に実装しようとすると、ハードウェアが非常に大がかりなものになる。或いは、局部発信信号やクロック等が漏れこんで、どうしても正常に送受信できない周波数が生じたりする。この保持部105は、そのような使用できない周波数を除外した情報を保持することで、機器が対応していない周波数をSM103等に把握できるようにする。RF部111が、複数の周波数バンクで構成される場合、各バンクの搭載状態に応じて対応周波数情報が自動的に再構築されることが望ましい。また対応周波数以外での使用は、電波法令に違反しうるため、使用できない周波数を対応周波数へ変更するような改ざんが不能な様態で不揮発性メモリに保持されることが望ましい。なお対応周波数情報は、TVWS帯域から非対応周波数を除いた周波数であるので、非対応周波数の情報によって代替できる。
(無線通信システム1の基本動作)
図3は、本発明の実施形態1に係る無線通信システム1の基本動作を示すシーケンス図である。
ステップS101において、BS10の周波数情報通信部121は、対応周波数情報保持部105から自局の対応周波数情報を、また、位置情報取得部108から自局の位置情報を取得して、共存マネージャ60へ送信する。
ステップS102において、共存マネージャ60は、データベース50に対して、BS10が空間的・時間的に一次利用システムへ影響を与えず、無線通信に使用可能な使用許可周波数リストの要求を行う。
ステップS103において、共存マネージャ60は、データベース50からBS10の使用許可周波数リストを取得する。
ステップS104において、共存マネージャ60は、BS10の周辺に存在している他の二次利用システムの運用チャネルと、BS10の対応周波数情報及び使用許可周波数リストから、BS10の送信可能周波数リストを構築する。
ステップS105において、共存マネージャ60は、BS10へ送信可能周波数リストを送信する。
ステップS106において、BS10は、共存マネージャ60から送信された送信可能周波数リストから運用チャネルを選択する。
ステップS107において、BS10は、共存マネージャ60へ運用チャネルを通知する。
ステップS108において、共存マネージャ60は、BS10から運用チャネルを受信することで、無線通信システム1が二次利用する周波数を把握する。
次に、簡単な動作例を説明する。ここで、ホワイトスペースとして二次利用可能な周波数が、f1、f2、およびf3の3つあり、CPE21は周波数f1、f2に対応しており周波数f3に非対応であると仮定する。最初にBS10が周波数f1を用いて送信していれば、CPE21はBS10に接続可能である。このとき、周波数f1が二次利用不可になると、BS10により使用される周波数を、周波数f2もしくは周波数f3へ移動する必要がある。ここで、CPE21が周波数f3に非対応であることをBS10に前もって通知し、BS10が取得した当該CPEの非対応周波数の情報を、共存マネージャ60に通知することによって、BS10が周波数をf2に変更するように決定される。
以上説明したように、本発明の実施形態1に係る無線通信システムによれば、ホワイトスペースを利用した無線通信システムにおいて、その一部が非対応周波数を有する無線局によって構成されていても、当該非対応周波数を避けて最適な周波数の割り当てが可能となり、二次利用システム全体として周波数リソースの有効利用を図ることができる。
なお、本発明を実施するための形態は、本構成例に限定されるものではない。本構成例とは異なる以下のような構成をとることも可能である。ただし、以下に述べる例にも限定されるものではない。
本構成例では、BS10の対応周波数リストを対応周波数情報保持部105に保持していたが、主制御部104でRF部111の周波数設定を変更して自己診断プログラムを実行し、不要ノイズの発生や、ハードウェアの故障を検知すると、対応周波数リストから当該周波数を除外するような構成によって対応周波数リストを構築する方法をとってもよい。この場合において、あらかじめBS10に記憶されている対応周波数リストと、自己診断プログラムを併用してもよい。
また、本構成例では、BS10が運用する周波数を決定する際、共存マネージャ60がBS10の対応周波数情報を取得して送信可能周波数リストをBS10に通知していたが、共存マネージャ60で対応周波数情報を取得せずに使用許可周波数リストをBS10に通知し、BS10では自局の対応周波数リストの情報を加味して運用チャネルを決定し、無線通信システム1の周辺に存在するその他の二次利用システム3には、IEEE 802.22規格に規定されているCBP(Coexistence Beacon Protocol)を利用して周波数の融通を行うなど、自律分散的に非対応周波数ないしは対応周波数の情報を交換してもよい。
IEEE 802.22規格には本例の非対応周波数に相当する概念がないが、他の2次利用システムによる使用を検出したために使用できない周波数として、SM或いは上位層に認識させることで、同様の結果が得られる。非対応周波数は、ハードウェアの制約によるものに限らず、異種システムとの共存を図るために自主的に不使用にした周波数を含みうる。
また、本構成例では、BS10の非対応周波数情報のみを用いて周波数を決定していたが、CPE21、CPE22の非対応周波数情報を用いる、以下のような例も考えられる。
すなわち、ホワイトスペースとして二次利用可能な周波数が、f1、f2、およびf3の3つであったとする。ここで、CPE21が周波数f1、f2に対応しており周波数f3に非対応であったとしても、最初にBS10が周波数f1を用いて送信していれば、CPE21はBS10に接続可能である。このとき、周波数f1が二次利用不可になると、BS10により使用される周波数を、周波数f2もしくは周波数f3へ移動する必要がある。ここで、CPE21が周波数f3に非対応であることをBS10に前もって通知し、BS10が取得した当該CPEの非対応周波数の情報を、共存マネージャ60に通知することによって、BS10が周波数をf2に変更するように決定されるような構成をとってもよい。
また、無線通信システム1のBS10、CPE21、CPE22の対応周波数情報だけでなく、その他の二次利用システム3の対応周波数情報を加味して排他使用させるような構成をとってもよい。
<実施形態2>
この実施形態2では、先の実施形態1の無線通信システム1を、IEEE802.19.1により適合させるための変更について説明する。IEEE802.19.1では、共存マネージャが、事業者コアネットワーク上に備えられたり、或いは、一部のBSやCPEに内蔵されることを想定して、上述したCM60が行っていた周波数情報の集約は、別途インターネット上に設けられる共存発見兼情報サーバ(CDIS:Coexistence Discovery and Information Server)63と呼ばれるエンティティで行われる。
実施形態2のBS13は、周波数情報通信部121に相当するエンティティとして、共存イネーブラ(Coexistence enabler)131を有し、更に共存マネージャ132を追加的に備える。
共存イネーブラ131は、IEEE802.22等のテレビ帯域デバイスのMAC層や物理層の管理エンティティを、メディア非依存の共存マネージャ132に接続するためのインタフェースとなる部分であり、一般的には、運用チャネルの変更、送信電力や変調レートの変更、環境周波数のスキャンやセンシング等に関する通信を介在する。本例では、データベース60へのアクセスや送信可能周波数リストの通知もこの共存イネーブラ131を介して行われる。共存イネーブラ131は必然的に、配下のデバイスの地理的位置、送信可能周波数、運用周波数、被干渉状況等を知り得る。
共存マネージャ132は、共存のための意思決定や情報サービスの転送を行うエンティティであり、RFC 6953(PAWS)のプロトコルによりデータベース60と通信し、MIH ProtocolやRFC 5677(MSFD)のプロトコルにより配下の1または複数の共存イネーブラ131やCDIS63と通信する。共存マネージャ132は、ネットワーク上に存在する他の共存マネージャ132を発見し、通信を確立する。
共存マネージャ132、共存イネーブラ131などからの共存要求を集約し、データベース60の使用許可周波数やスペクトラムエチケットに則った決定を行い、共存イネーブラ131に適切な指令を与える。共存マネージャ132を分散的に設けたことには、近い距離にある(局所的な)複数の2次利用システム同士の共存を、CDIS63による集中管理ではなく、その場で解決させようとする意図がある。
CDIS63は、共存マネージャ132からの情報を集約し、問い合わせに応答する。共存マネージャ132が使用している情報に変更があったときは、その共存マネージャ132へプッシュ配信も行う。また共存マネージャ132が他の共存マネージャの発見を容易にするための情報を提供する。
また本実施形態2のCPE23は、共存イネーブラ131と同様の共存イネーブラ133を備える。つまりこのエンティティは、テレビ帯域デバイス1台1台に備えられる。
本実施形態の特徴として、共存マネージャ132は、複数のBS13やCPE23の共存イネーブラ131から、対応周波数情報、あるいは非対応周波数の発生イベント、または運用周波数から非対応周波数を除外してほしいという要求を受信する。これらは干渉を検出したときに発せられる共存要求とよく似ている。共存マネージャ132は、デバイスの地理的位置情報や無線規格情報(例えば802.22や802.11af等)も前もって受信しており、要求元毎に、デバイスの存在位置において送信可能な周波数リストをデータベース60から取得し更に、受信した対応周波数に合致し且つ他の2次利用システムへの干渉の恐れが少ない周波数を抽出し、送信可能周波数リストを生成する。この送信可能周波数リストは、データベース60からの送信可能周波数リストの一種のサブセットであるが、局所的な干渉を解消するために、許容送信電力を送信可能周波数リストで指定されたそれよりさらに下げるような修正が、共存マネージャ132によって為される。最終的に、送信可能周波数リスト中では、複数の周波数(チャンネル)が許容送信電力と対応付けられて、使用が推奨される順(基本的には干渉の恐れが少ない順、或いは許容送信電力の大きい順)で列挙される。
もし、BS13の対応周波数に合致する周波数の全てにおいて干渉リスクが許容できないほど高い場合、共存マネージャ132は、干渉する他の2次利用システムの運用周波数を他の送信可能周波数に変更することで、BS13の対応周波数のいずれかが使用できるようにならないか、多数の変更パターンにおいて検証する。ここで共存マネージャ132は、周波数の変更の前後で、変更の影響を受ける他の2次利用システムと、変更の恩恵を受けるBS13とにおける満足度(サービス品質に関する指標)の合計が改善するかどうかで、変更の可否を判断する。
一方、干渉の恐れが少ない周波数が複数ある場合、その中に近隣の異種の(無線規格が異なる)2次利用システムで非対応の周波数が含まれていれば、その周波数の優先度が高まるように(BS13で使用されやすくなるように)ソートされた送信可能周波数リストを生成する。また、干渉の恐れが少ない複数の周波数に、近隣の同種の(無線規格が等しい或いは互換性がある)2次利用システム(例えばBS13と無線通信する可能性の高いCPE)で非対応の周波数が含まれていれば、その周波数の優先度が下がるようにソートされた送信可能周波数リストを生成する。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
本発明は、他のシステムと共用の周波数帯から周波数を選んで使用する無線通信装置や方法に適用でき、IEEE802.22、IEEE802.11af、IEEE802.15.4m、IEEE1900.7(Dyspan)やECMA-392等のテレビホワイトスペースを用いる多くの無線アクセスシステムに好適である。
1:無線通信システム(Radio communication system)、
2:一次利用者の通信システム(Incumbent system)、
3:その他の二次利用システム(Other secondary system)、
10:BS(Base Station)、21,22:CPE(Customer Premises Equipment)、
30:バックホール回線(Backhaul link)、40:インターネット(Internet)、
50:ホワイトスペースデータベース(Whitespace database)、
60:ホワイトスペース共存マネージャ(Whitespace coexistence manager)、
70:送信局(Transmitter station)、80:受信局(Receiver)、
101:アンテナ(Antenna)、102:データ伝送部(Data transfer unit)、
103:スペクトルマネージャ(Spectrum Manager)、104:主制御部(Mail controler)、
105:対応周波数情報保持部(Suppoted and uninhibited frequency infomation storage)、
106:インターフェース部(Interface)、107:端子(Terminal)、
108:位置情報取得部(location infomation acquirer)、
111:RF部(Radio Frequency unit)、112:ベースバンド信号処理部(Baseband processor)、
113:MAC処理部(MAC Processor)、
121:周波数情報通信部(Frequency infomation communicator)、
122:周波数情報管理部(Frequency infomation manager)。

Claims (6)

  1. 互いに無線通信を行う基地局と端末局とを含んで構成され、ホワイトスペースを利用して前記無線通信を行う無線通信システムであって、
    インターネット上、事業者コアネットワーク上、又は前記基地局内に、少なくとも前記基地局の送信可能周波数リストを構築する共存マネージャを備え、
    前記基地局は、自局が対応可能な対応周波数情報を記憶する対応周波数情報記憶手段と、前記対応周波数情報を前記共存マネージャに送信する周波数情報通信手段とを有し、
    前記共存マネージャは他の2次利用システムで使用するホワイトスペース周波数情報と、前記基地局または前記端末局から取得した対応周波数情報と、インターネット上に設置されたホワイトスペースデータベースによって規定される使用許可周波数情報とに基づいて、前記対応周波数に合致し且つ前記他の2次利用システムへの干渉の恐れが少ない周波数を前記使用許可周波数から抽出することにより、前記基地局または前記端末局の送信可能周波数リストを構築すると共に、当該送信可能周波数リストを前記基地局または前記端末局へ送信し、
    前記基地局は、前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定する際に、前記送信可能周波数リストから前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定するとともに、前記無線通信を用いて前記端末局から該端末局の対応周波数情報の通知を受けたときに、該端末局の対応周波数情報を共存マネージャに通知する、若しくは、前記送信可能周波数リストに該端末局の対応周波数情報を更に加味して前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定することを特徴とする無線通信システム。
  2. 互いに無線通信を行う基地局と端末局とを含んで構成され、ホワイトスペースを利用して前記無線通信を行う無線通信システムの無線通信方法であって、
    前記無線通信システムは、インターネット上、事業者コアネットワーク上、又は前記基地局内に、少なくとも前記基地局の送信可能周波数リストを構築する共存マネージャを備え、
    前記基地局が、自局が対応可能な対応周波数情報を前記共存マネージャに送信する周波数情報通信ステップと、
    前記共存マネージャが、他の無線通信システムで使用するホワイトスペース周波数情報と、少なくとも前記基地局から取得した対応周波数情報と、インターネット上に設置されたホワイトスペースデータベースから取得した使用許可周波数情報とに基づいて、前記対応周波数に合致し且つ前記他の2次利用システムへの干渉の恐れが少ない周波数を前記使用許可周波数から抽出することにより、前記基地局または前記端末局の送信可能周波数リストを構築すると共に、当該送信可能周波数リストを前記基地局または前記端末局へ送信するステップと、
    前記基地局が、前記送信可能周波数リストから前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定するステップと、
    前記基地局が、前記無線通信を用いて前記端末局から該端末局の対応周波数情報の通知を受けたときに、該端末局の対応周波数情報を共存マネージャに通知する、若しくは、前記送信可能周波数リストに該端末局の対応周波数情報を更に加味して前記無線通信に使用するホワイトスペース周波数を決定するステップと、
    を有することを特徴とする無線通信システムの無線通信方法。
  3. 前記基地局は、複数の周波数バンクで構成されたRF部を有し、
    前記対応周波数情報記憶手段が記憶する対応周波数情報は、各周波数バンクの搭載状態に応じて自動的に再構築されるか、或いは、該基地局が実行する自己診断プログラムによって不要ノイズの発生若しくはハードウェアの故障が検知されたときに当該周波数を除外するように構築され、
    前記共存マネージャは、前記無線通信システムを構成する複数の前記基地局の一部にのみ設けられることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  4. 該基地局または該端末局のいずれかの局において、その対応周波数に合致する周波数の全てにおいて干渉リスクが高い場合、前記共存マネージャは、該干渉する他の2次利用システムの運用周波数を他の送信可能周波数に変更することで、該いずれかの局の対応周波数のいずれかが使用できるようになるかどうか、複数の変更パターンにおいて検証し、
    その際、該共存マネージャは、周波数の変更の前後で、変更の影響を受ける該他の2次利用システムと、変更の恩恵を受ける該いずれかの局とにおける満足度の合計が改善するかどうかに基づいて、変更を判断することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  5. 該いずれかの局において、その対応周波数に合致する周波数の多くにおいて前記干渉の恐れが少ない場合、該対応周波数の中に近隣の異種の2次利用システムで非対応の周波数が含まれていれば、その周波数の優先度が高まるようにソートされた前記使用許可周波数リストを生成することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
  6. 該いずれかの局において、その対応周波数に合致する周波数の多くにおいて前記干渉の恐れが少ない場合、近隣で該いずれかの局と無線通信する可能性の高い他の基地局または端末局にとっての非対応の周波数が含まれていれば、その非対応の周波数の優先度が下がるようにソートされた前記使用許可周波数リストを生成することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
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