実験動物飼育用ラックでは、空気排気口から排気チャンバーに吸引された空気の排気風量が各ケージ収容部において同一であり、各飼育ケージにおける換気風量が微風速かつ均等であることが必要である。実験動物飼育用ラックの出荷前には、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量が設定風量の範囲内であることを実証するため、空気排気口における排気風量を風速センサによって測定する。
風速センサによる排気風量の測定の一例としては、測定者が風速センサのプローブの柄を一方の手で持ち、他方の手で風速センサのコントローラを持ちながら、一方の手でプローブのセンサ部を空気排気口に近づける。センサ部が空気排気口の近傍に位置すると、コントローラが排気口の排気風量を計測し、計測した排気風量がコントローラのディスプレイに表示される。測定者は、コントローラのディスプレイに表示された排気風量を確認し、その排気風量があらかじめ設定された設定風量の範囲内にあるかを判断する。
そのような作業者の手作業による排気風量の測定では、測定者が一方の手でプローブのセンサ部を空気排気口に近づけるとともに、他方の手に持つコントローラのディスプレイを目で追うから、プローブのセンサ部を空気排気口の近傍における所定の位置に位置決め固定することが非常に困難であり、センサ部の測定位置が常に変化する。さらに、空気排気口の近傍では他の箇所からの空気の進入によって空気の気流が乱れている。
したがって、作業者の手作業による排気風量の測定では、全てのケージ収容部における測定条件を同じにすることができず、同一の測定条件で各ケージ収容部の排気風量を測定することができないとともに、各ケージ収容部において正確な排気風量を測定することができない。また、プローブのセンサ部を片手で空気排気口に近づけたときに、センサ部がケージ収容部に衝突し、排気風量の測定時にセンサ部を傷つける場合がある。センサ部が損傷するとそのセンサ部を新しいそれに交換しなければならず、そのためのコストがかかることはもちろん、交換作業に手間を要し、その結果、排気風量の測定に無用なコストと時間とが費やされる。
本発明の目的は、同一の測定条件で所定容積の内部空間を有する構造物のその内部空間に通流する空気の風量を測定することができるとともに、正確な風量を測定することができる風量測定器を提供することにある。本発明の他の目的は、同一の測定条件で全てのケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができるとともに、正確な換気風量を測定することができる風量測定器を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、換気風量の測定時に風速センサのセンサ部を損傷することがなく、コストがかからず、短時間に換気風量を測定することができるとともに、測定者の技量に頼ることなく換気風量を測定することができる風量測定器を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、所定容積の内部空間を有する構造物のその内部空間に挿脱可能に収容され、構造物の内部空間に流れる空気の風量を測定する風量測定器である。
前記前提における本発明の特徴は、風量測定器が、頂部を開放した所定容積の筐体と、風量を測定する風速センサと、筐体の内部に設置されて風速センサを着脱可能に固定するセンサユニットと、センサユニットとともに風速センサを筐体の内部において上下方向へ昇降させる昇降ユニットとを有し、風量測定器では、昇降ユニットを介して風速センサを上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサのセンサ部が筐体内部の測定位置に位置決め固定され、筐体内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させることで風速センサが空気流路に流れる空気の風量を測定することにある。
本発明の一例としては、構造物が、実験動物の飼育ケージを挿脱可能に収容する複数のケージ収容部を備えたラック本体と、それらケージ収容部に作られてケージ収容部に飼育ケージを収容したときにその飼育ケージの前壁側の上方に位置する空気排気口と、それら飼育ケージ内部に流れる空気を空気排気口を介して排気する排気チャンバーとを有する実験動物飼育用ラックであり、筐体が、飼育ケージであり、風量測定器では、昇降ユニットを介して風速センサを上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサのセンサ部が飼育ケージ内部の測定位置に位置決め固定され、ケージ内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させることで風速センサが飼育ケージにおける換気風量を測定する。
本発明の他の一例としては、センサユニットが、飼育ケージ内部に位置して前後方向へ延びていて風速センサを着脱可能に固定する昇降台座と、昇降台座の前端部に設置されて風速センサのセンサ部が挿入される空気通流ボックスとを備え、昇降ユニットが、飼育ケージ内部における昇降台座の下方に位置して前後方向へスライドするスライダーと、飼育ゲージの後壁からケージの外側に位置し、往復スライダクランク機構によってスライダーを前後方向へスライドさせるトグルクランプと、昇降台座とスライダーとに連結され、梃子クランク機構によって昇降台座を昇降させるベルクランクとを備え、風量測定器では、トグルクランプの往復スライダクランク機構によってスライダーを前後方向前方へスライドさせると、ベルクランクの梃子クランク機構によって昇降台座が上下方向上方へ上昇し、トグルクランプの往復スライダクランク機構によってスライダーを前後方向後方へスライドさせると、ベルクランクの梃子クランク機構によって昇降台座が上下方向下方へ下降する。
本発明の他の一例としては、昇降ユニットがスライダーの下方に位置して前後方向へ延びる固定台座を含み、トグルクランプが飼育ゲージの後壁からケージの外側に露出する固定台座の後端部に設置され、ベルクランクのシャフトが固定台座に連結され、ベルクランクの原動軸がスライダーに連結されているとともに、ベルクランクの従動軸が昇降台座に連結されている。
本発明の他の一例としては、空気通流ボックスが、風速センサのセンサ部が位置する筒状の第1ボックスと、第1ボックスの上方に位置する第2ボックスとから形成され、第1ボックスが、飼育ケージの底壁に対向する底部開口と、第2ボックスに連通する頂部開口と、それら開口の間に延びる空気流路とを有し、第2ボックスが、第1ボックスの頂部開口から流入した空気が通る空気流路と、ケージ収容部の空気排気口に対向する頂部開口とを有し、風量測定器では、昇降台座が上下方向上方へ上昇したときに、第2ボックスの頂部開口が空気排気口の全域を包囲しつつ頂部開口を画成する周縁部が空気排気口の周囲に密着する。
本発明の他の一例として、第2ボックスの頂部開口を画成する周縁部には、空気排気口の周囲に対する密着状態を維持するためのガスケットが取り付けられている。
本発明の他の一例としては、第1ボックスの空気流路の面積が飼育ケージの容積によってあらかじめ決定され、風量測定器では、面積の異なる空気流路を有する各種の第1ボックスが昇降台座の前端部に着脱可能に設置される。
本発明の他の一例としては、第1ボックスが透明なプラスチックから作られ、第1ボックスの底部開口が飼育ケージの底壁の側に位置するとともに、第2ボックスの頂部開口が飼育ケージの頂部開口の側に位置し、第1ボックスの空気流路が飼育ケージの前壁の側における上下方向中央において直状に延びている。
本発明の他の一例として、風量測定器では、飼育ケージの上下方向の高さ寸法に応じてケージの底壁からの第2ボックスの頂部開口の上下方向の高さ寸法を調節可能である。
本発明の他の一例として、風量測定器を形成する飼育ケージの後壁には、飼育ケージを片手で把持可能な持ち手が取り付けられている。
本発明の他の一例としては、風速センサが、前後方向へ長い棒状の前記センサ部および前後方向へ長い棒状の柄部を有するプローブと、センサ部が検知した風速から飼育ケージの換気風量を計測する換気風量計測手段および計測した換気風量を表示する風量表示手段を有するコントローラとから形成され、プローブの柄部が昇降台座に着脱可能に固定されている。
本発明の他の一例としては、コントローラが、あらかじめ設定された設定風量と計測した測定風量とを比較する風量比較手段と、風量比較手段によって設定風量と測定風量とを比較した結果、測定風量が設定風量の範囲内にある場合にそれを光または音によって出力する第1信号出力手段と、測定風量が設定風量の範囲内にない場合にそれを光または音によって出力する第2信号出力手段とを有する。
本発明の他の一例としては、コントローラが、換気風量計測手段によって計測した飼育ケージの換気風量を記憶する換気風量記憶手段と、風量比較手段によって比較した設定風量と測定風量との比較結果を記憶する比較結果記憶手段と、換気風量記憶手段によって記憶した換気風量を出力する換気風量出力手段と、比較結果記憶手段によって記憶した比較結果を出力する比較結果出力手段とを有する。
本発明の他の一例としては、風速センサが柄部とコントローラとを連結するケーブルを含み、ケーブルが飼育ケージの後壁からケージの外側へ向かって延び、コントローラがケージの外側に位置している。
本発明の他の一例としては、風速センサが柄部とコントローラとを連結するケーブルを含み、コントローラが飼育ケージの後壁の所定の箇所に取り付けられている。
本発明の他の一例として、コントローラは、昇降台座が上下方向上方へ上昇したことをトリガーとして換気風量計測手段と風量比較手段とを開始する。
本発明の他の一例としては、風速センサが0.01〜5.0m/sの微風速を測定する無指向性の微風速センサである。
本発明にかかる風量測定器によれば、昇降ユニットによって風速センサを上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサのセンサ部が頂部を開放した筐体内部の所定の測定位置に位置決め固定され、筐体内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させることで風速センサが筐体内部に流れる空気の風量を測定するから、風速センサのセンサ部を筐体内部の測定位置に位置決め固定することができ、所定容積の内部空間を有する構造物のその内部空間における測定位置を内部空間のあらゆる箇所において同一にすることができる。風量測定器は、同一の測定条件で構造物の内部空間に流れる空気の風量を測定することができるから、測定条件が異なることによる風量の測定値のばらつきを防ぐことができ、正確な風量を測定することができる。風量測定器は、筐体内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させるから、他の箇所からの空気の進入による空気の気流の乱れがなく、構造物の内部空間のあらゆる箇所において安定した気流で換気風量を測定することができ、安定した条件で構造物の内部空間の風量を測定することができる。風量測定器は、風速センサがセンサユニットに固定されているから、風量の測定時にセンサ部が構造物に衝突することはなく、センサ部の損傷を防ぐことができ、センサ部を交換することによる手間やコストがかからず、短時間に風量を測定することができる。
構造物が実験動物飼育用ラックであり、筐体が飼育ケージである風量測定器は、昇降ユニットによって風速センサを上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサのセンサ部がケージ内部の所定の測定位置に位置決め固定され、ケージ内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させることで風速センサがケージにおける換気風量を測定するから、風速センサのセンサ部をケージ内部の所定の測定位置に位置決め固定することができ、全てのケージ収容部における測定位置を同一にすることができる。風量測定器は、同一の測定条件で全てのケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができるから、測定条件が異なることによる換気風量の測定値のばらつきを防ぐことができ、正確な換気風量を測定することができる。風量測定器は、ケージ内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させるから、他の箇所からの空気の進入による空気の気流の乱れがなく、全てのケージ収容部において安定した気流で換気風量を測定することができ、安定した条件で飼育ケージの換気風量を測定することができる。風量測定器は、風速センサがセンサユニットに固定されているから、換気風量の測定時にセンサ部がラック本体のケージ収容部に衝突することはなく、センサ部の損傷を防ぐことができ、センサ部を交換することによる手間やコストがかからず、短時間に換気風量を測定することができる。
トグルクランプの往復スライダクランク機構によるスライダーのスライドとベルクランクの梃子クランク機構による昇降台座の昇降とによって昇降台座を上下方向へ昇降させる風量測定器は、往復スライダクランク機構と梃子クランク機構とによって風速センサを上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサのセンサ部が飼育ケージ内部の所定の測定位置に位置決め固定され、ケージ内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させることで風速センサが飼育ケージにおける換気風量を測定するから、風速センサのセンサ部をケージ内部の測定位置に位置決め固定することができ、全てのケージ収容部における測定位置を同一にすることができる。風量測定器は、同一の測定条件で全てのケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができるから、測定条件が異なることによる換気風量の測定値のばらつきを防ぐことができ、正確な換気風量を測定することができる。
ベルクランクのシャフトが固定台座に連結され、ベルクランクの原動軸がスライダーに連結されているとともに、ベルクランクの従動軸が昇降台座に連結されている風量測定器は、トグルクランプの往復スライダクランク機構によるスライダーのスライドによって、シャフトを中心にベルクランクを揺動させることができ、ベルクランクの梃子クランク機構によって昇降台座を上下方向へ確実に昇降させることができる。風量測定器は、風速センサを上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサのセンサ部が飼育ケージ内部の所定の測定位置に位置決め固定され、ケージ内部に画成された所定の空気流路に流れる空気をセンサ部に通流させることで風速センサが飼育ケージにおける換気風量を測定するから、風速センサのセンサ部をケージ内部の測定位置に位置決め固定することができ、全てのケージ収容部における測定位置を同一にすることができる。風量測定器は、同一の測定条件で全てのケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができるから、測定条件が異なることによる換気風量の測定値のばらつきを防ぐことができ、正確な換気風量を測定することができる。
空気通流ボックスが筒状の第1ボックスと第1ボックスの上方に位置する第2ボックスとから形成され、昇降台座が上下方向上方へ上昇したときに、第2ボックスの頂部開口が空気排気口の全域を包囲しつつ頂部開口を画成する周縁部が空気排気口の周囲に密着する風量測定器は、飼育ケージ内部の換気風量の測定時に、第2ボックスの頂部開口を画成する周縁部が空気排気口の周囲に密着するから、空気排気口と第2ボックスの頂部開口との間に隙間が生じることはなく、頂部開口の隙間から空気が第2ボックスに進入することを防ぐことができる。風量測定器は、飼育ケージ内部の第1および第2ボックスに画成された空気流路に流れる空気の気流が乱れることはなく、空気流路に流れる空気の気流が安定し、安定した流れの空気をセンサ部に通流させることができ、安定した条件で各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができる。風量測定器は、昇降台座が上下方向上方へ上昇したときに、第2ボックスの頂部開口が空気排気口の全域を包囲するから、空気排気口の一部が第2ボックスの頂部開口から外れることはなく、空気排気口から排気チャンバーに吸引される排気風量の全てに対応する正確な換気風量を測定することができる。
空気排気口の周囲に対する密着状態を維持するためのガスケットが第2ボックスの頂部開口を画成する周縁部に取り付けられている風量測定器は、飼育ケージ内部の換気風量の測定時に、第2ボックスの頂部開口を画成する周縁部がガスケットを介して空気排気口の周囲に密着するから、空気排気口と第2ボックスの頂部開口との間に隙間が生じることはなく、頂部開口の隙間から空気が第2ボックスに進入することを防ぐことができる。風量測定器は、飼育ケージ内部の第1および第2ボックスに画成された空気流路に流れる空気の気流が乱れることはなく、空気流路に流れる空気の気流が安定し、安定した流れの空気をセンサ部に通流させることができ、安定した条件で各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができる。
第1ボックスの空気流路の面積が飼育ケージの容積によってあらかじめ決定され、面積の異なる空気流路を有する各種の第1ボックスが昇降台座の前端部に着脱可能に設置される風量測定器は、飼育ケージの容積によって面積の異なる空気流路を有する第1ボックスが選定され、選定された第1ボックスが昇降台座の前端部に設置されるから、風速センサのセンサ部を配置する空気流路の面積が飼育ケージの容積に対応し、風速センサを利用して各ケージ収容部における飼育ケージの正確な換気風量を測定することができる。
第1ボックスの底部開口が飼育ケージの底壁の側に位置するとともに、第2ボックスの頂部開口が飼育ケージの頂部開口の側に位置し、第1ボックスの空気流路が飼育ケージの前壁の側における上下方向中央において直状に延びている風量測定器は、第1ボックスの空気流路が飼育ケージの底壁の側から上下方向へ直状に延びることで、第1ボックスの空気流路を流れる空気の気流が確実に整流され、第1および第2ボックスの空気流路に流れる空気の気流が乱れることはなく、空気流路に流れる空気の気流が安定し、安定した流れの空気をセンサ部に通流させることができ、安定した条件で各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができる。
第1ボックスが透明なプラスチックから作られ、飼育ケージの上下方向の高さ寸法に応じてケージの底壁からの第2ボックスの頂部開口の上下方向の高さ寸法を調節可能な風量測定器は、第1ボックスが透明なプラスチックから作られており、第1ボックスの中を視認することができるから、風速センサのセンサ部を第1ボックスの空気流路に配置するときに、センサ部の空気流路における位置を確認することができ、センサ部の測定位置を確認しつつ位置決めすることができる。風量測定器は、第2ボックスの頂部開口の上下方向の高さ寸法を飼育ケージの上下方向の高さ寸法に対応させることができるから、飼育ケージ内部の換気風量の測定時に、第2ボックスの頂部開口を画成する周縁部を空気排気口の周囲に確実に密着させることができ、空気排気口と第2ボックスの頂部開口との間に隙間が生じることはなく、頂部開口の隙間から空気が第2ボックスに進入することを防ぐことができる。風量測定器は、飼育ケージ内部に画成された第1および第2ボックスの空気流路に流れる空気の気流が乱れることはなく、空気流路に流れる空気の気流が安定し、安定した流れの空気をセンサ部に通流させることができ、安定した条件で各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を測定することができる。
飼育ケージを片手で把持可能な持ち手がケージの後壁に取り付けられている風量測定器は、持ち手を介して片手で飼育ケージを持つことができ、片手でケージを各ケージ収容部に挿脱することができるから、各ケージ収容部に対するケージの挿脱を両手で行う場合と比較し、各ケージ収容部に対するケージの挿脱を簡単に行うことができ、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量の測定に手間がかからず、換気風量の測定を迅速かつ容易に測定することができる。
風速センサが前後方向へ長い棒状のセンサ部および前後方向へ長い棒状の柄部を有するプローブとセンサ部が検知した風速から飼育ケージの換気風量を計測しつつ計測した換気風量を表示するコントローラとから形成され、プローブの柄部が昇降台座に着脱可能に固定されている風量測定器は、コントローラに表示された換気風量を見ることで、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を容易に確認することができる。風量測定器は、プローブの柄部が昇降台座に固定されるから、全てのケージ収容部における測定位置を同一にすることができるとともに、換気風量の測定時に風速センサのセンサ部がラック本体の所定の箇所に衝突することはなく、センサ部の損傷を防ぐことができる。
コントローラが設定風量と測定風量とを比較する風量比較手段、測定風量が設定風量の範囲内にあることを光または音によって出力する第1信号出力手段、測定風量が設定風量の範囲内にないことを光または音によって出力する第2信号出力手段を有する風量測定器は、コントローラを介して測定風量と設定風量とを正確に比較することができるのみならず、測定風量が設定風量の範囲内にあることを光または音によって知ることができるとともに、測定風量が設定風量の範囲内にないことを光または音によって知ることができるから、測定風量が設定風量の範囲内にあるか否かを測定者が容易かつ迅速に知ることができる。風量測定器は、測定者が飼育ケージの換気風量を視認して判断する手間を省くことができるとともに、測定者の換気風量の視認の誤りによる風量測定の過誤を防ぐことができる。
コントローラが飼育ケージの換気風量を記憶する換気風量記憶手段、設定風量と測定風量との比較結果を記憶する比較結果記憶手段、記憶した換気風量を出力する換気風量出力手段、記憶した比較結果を出力する比較結果出力手段を有する風量測定器は、換気風量記憶手段によって記憶した換気風量を事後に出力することができ、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を事後に確認することができる。風量測定器は、比較結果記憶手段によって記憶した比較結果を事後に出力することができ、各ケージ収容部における飼育ケージの測定風量と設定風量との比較結果を事後に確認することができる。風量測定器は、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量や各ケージ収容部における飼育ケージの測定風量と設定風量との比較結果をデータとして出力することができるから、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量が設定風量の範囲内にあることを十分に実証することができるとともに、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量が均等であることを十分に実証することができる。
風速センサが柄部とコントローラとを連結するケーブルを含み、ケーブルが飼育ケージの後壁からケージの外側へ向かって延び、コントローラが飼育ケージの外側に位置している風量測定器は、一方の手で飼育ケージを持つとともに、他方の手で風速センサのコントローラを持つことができるから、片手で飼育ケージを各ケージ収容部に挿脱しつつ、コントローラに表示された換気風量を見ることができ、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を容易に確認することができる。風量測定器は、プローブの柄部が昇降台座に固定されるから、全てのケージ収容部における測定位置を同一にすることができるとともに、換気風量の測定時に風速センサのセンサ部がラック本体の所定の箇所に衝突することはなく、センサ部の損傷を防ぐことができる。
風速センサが柄部とコントローラとを連結するケーブルを含み、コントローラが飼育ケージの所定の箇所に取り付けられている風量測定器は、コントローラを片手で持って換気風量を測定する風量測定器と異なり、コントローラを手で持つ必要はなく、片手で飼育ケージをケージ収容部に挿入しつつ、コントローラに表示された換気風量を見ることができ、各ケージ収容部における飼育ケージの換気風量を容易に確認することができる。風量測定器は、プローブの柄部が昇降台座に固定されるから、全てのケージ収容部における測定位置を同一にすることができるとともに、換気風量の測定時に風速センサのセンサ部がラック本体の所定の箇所に衝突することはなく、センサ部の損傷を防ぐことができる。
昇降台座が上下方向上方へ上昇したことをトリガーとして換気風量計測手段と風量比較手段とを開始する風量測定器は、昇降台座が上下方向上方へ上昇し、第2ボックスの頂部開口を画成する周縁部が空気排気口の周囲に密着したことを条件に、換気風量の計測が開始されるから、全てのケージ収容部における飼育ケージの換気風量を同一の条件で測定することができ、各ケージ収容部において測定風量と設定風量とを同一の条件で比較することができる。
風速センサが0.01〜5.0m/sの微風速を測定する無指向性の微風速センサである風量測定器は、飼育ケージの内部における空気の風速が微風速を条件としており、無指向性の微風速センサを使用することで、ケージにおける正確な換気風速を測定することができる。
一例として示す実験動物飼育用ラック11の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる風量測定器の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、ケージ収容部15に飼育ケージ14を収容した状態で示すラック11の部分拡大側面図であり、図3は、一例として示す風速センサ17の斜視図である。図4は、一例として示す風量測定器10Aの分解側面図であり、図5は、空気通流ボックス38の斜視図である。図6は、センサユニット18が下降した状態にある風量測定器10Aの側面図であり、図7は、センサユニット18が下降した状態にある風量測定器10Aの正面図である。図8は、センサユニット18が下降した状態にある風量測定器10Aの上面図である。図6,7では、前後方向を矢印A(図6のみ)で示し、横方向を矢印B(図7のみ)で示すとともに、上下方向を矢印Cで示す。図8では、前後方向前方を矢印A1で示し、前後方向後方を矢印A2で示す。
図2では、飼育ケージ14の内部における空気の流れや排気チャンバー13の内部における空気の流れを矢印で示す。図4,6〜8では、風速センサ17のコントローラ30Aおよびケーブル31の図示を省略している。図6〜8では、飼育ケージ14を二点鎖線で示す。以下、風量測定器10Aを使用して実験動物飼育用ラック11におけるケージ収容部15の換気風量を測定する場合を例として、風量測定器10A(風量測定器10Bを含む)の詳細を説明する。
なお、風量測定器10A(風量測定器10Bを含む)は、実験動物飼育用ラック11のケージ収容部15における換気風量の測定のみならず、所定容積の内部空間を有する構造物の内部空間に流れる空気の風量を測定することもできる。この場合、風量測定器10Aが構造物の内部空間に挿脱可能に収容される。構造物としては、生体の培養ケースや植物を栽培する所定容積の実験用植物栽培ケース等があるが、構造物をそれら限定するものではなく、内部空間に空気が流れ、その空気の風量を測定する必要がある全ての構造物にこの風量測定器10Aを使用することができる。
実験動物飼育用ラック11は、実験動物飼育室(図示せず)の室内に設置される。実験動物を飼育する作業者は、実験動物飼育室で実験動物の飼育作業を行う。実験動物飼育室の天井には、空調用の給気口が設置されている。室外に設置された空気調和機で所定の温度および湿度に管理されるとともに、空気清浄機で除塵殺菌された清浄な空気が給気口から実験動物飼育室の室内に供給されている。なお、実験動物飼育用ラック11(ラック本体12および排気チャンバー13)の構造については、特開2010−041978号公報や特開2012−010615号公報に開示のそれを援用し、その詳細な説明は省略する。
実験動物飼育用ラック11は、ラック本体12と、ラック本体12に取り付けられた排気チャンバー13とから形成されている。ラック本体12は、実験動物の飼育ケージ14を挿脱可能に収容する複数のケージ収容部15(内部空間)と、それらケージ収容部15に作られた空気排気口16とを有する。なお、図示はしていないが、ケージ収容部15には、ケージ14を円滑に挿入するための案内レールが設置されている。
空気排気口16は、それらケージ収容部15の天井に作られた円形の開口であり、複数個のそれらが横方向へ一列に並んでいる。空気排気口16は、図2に示すように、ラック11のケージ収容部15に飼育ケージ14を収容したときにそのケージ14の前壁20の側の上方に位置する。
排気チャンバー13は、ラック本体11の背面側に設置され、ケージ収容部15に収容された各飼育ケージ14の内部に流れる空気を空気排気口16を介して実験動物飼育室の室外に排気する。排気チャンバー13は、図示はしていないが、その上部に排気ダクトが設置され、排気ダクトを介して室外に設置された排気ファンに接続されている。排気チャンバー13の内部に吸引された空気は、排気ファンにより実験動物飼育室の室外に排気される。
風量測定器10A(換気風量測定ケージ)は、飼育ケージ14(筐体)および風速センサ17と、風速センサ17の後記するプローブを着脱可能に固定するセンサユニット18と、センサユニット18とともに風速センサ17を風量測定器10Aの内部において上下方向へ昇降させる昇降ユニット19とを有する。
飼育ケージ14(風量測定器10A、なお、後記する風量測定器10Bを含む)は、前後方向に対向する前壁20および後壁21と、横方向に対向する両側壁22,23と、底壁24および頂部開口25とを有する。それら壁20〜24は、透明なプラスチックから作られ、略矩形に成形されている。飼育ケージ14には、それら壁20〜24に囲繞された所定容積の飼育空間26が画成されている。なお、図示はしていないが、各種大きさの飼育ケージ14が存在し、それらケージ14によってその前後方向の長さ寸法や横方向の幅寸法、上下方向の高さ寸法が異なる。飼育ケージ14は、ラック本体12の各ケージ収容部15の正面から排気チャンバー13の側へ向かって後方へ挿入する。飼育ケージ14をケージ収容部15から取り出すには、ケージ収容部15に収容されたケージ14を前方へ引き出す。
風量測定器10Aを形成する飼育ケージ14は、実際に実験動物飼育用ラック11に利用されるそれが使用されている。風量測定器10Aを形成する飼育ケージ14の後壁21の下部には、矩形の開口27が作られている。さらに、飼育ケージ14の後壁21の上部には、持ち手28が取り付けられている。持ち手28は、後壁21の上部に固定されて前後方向後方へ延びる固定部と、固定部につながって上下方向下方へ延びる把持部とから形成されている。
風速センサ17は、飼育ケージ14の飼育空間26の換気風量を測定する。風速センサ17は、図3に示すように、プローブ29およびコントローラ30Aと、ケーブル31とから形成されている。プローブ29は、前後方向へ長い棒状のセンサ部32と前後方向へ長い棒状の柄部33とを有する。センサ部32は、その太さが柄部33のそれよりも小さく、それに衝撃が加わると、折損や欠損する場合がある。
風速センサ17には、0.01〜5.0m/sの微風速を測定する無指向性の微風速センサが使用されている。飼育ケージ14の内部における空気の風速が微風速を条件としており、無指向性の微風速センサを使用することで、ケージ14における正確な換気風速を測定することができる。なお、風速センサ17の通常の測定作業では、プローブ29の柄部33を手で把持し、センサ部32を測定箇所に近づけて風速の測定を行うが、センサ部32が測定箇所に衝突し、センサ部32を損傷する場合がある。
コントローラ30Aは、プローブ29のセンサ部32が検知した風速から風量測定器10A(飼育ケージ14)の換気風量を計測する。具体的には、測定した風速に後記する第1ボックス43の空気流路51の面積を乗じてケージ14における換気風量を算出する。コントローラ30Aは、CPUおよびメモリを有し、スイッチ(図示せず)やテンキーユニット34、ディスプレイ35を備えている。コントローラ30Aは、計測した換気風量をディスプレイ35にデジタル表示する。コントローラ30Aのメモリには、第1ボックス43の空気流路51の面積が格納されている。空気流路51の面積の設定値は、テンキーユニット34によって任意に変更することができる。
ケーブル31は、プローブ29の柄部33とコントローラ30Aとに接続され、それらを連結している。風速センサ17をセンサユニット18に固定した状態では、コントローラ30Aが風量測定器10Aの外側に位置し、ケーブル31の一部が風量測定器10Aの内部に位置するとともに、その大部分が風量測定器10Aの後壁21から風量測定器10Aの外側へ向かって延びる。
センサユニット18は、風量測定器10A(飼育ケージ14)の内部(飼育空間26)に設置されている。センサユニット18は、風量測定器10Aの内部において前後方向へ延びる昇降台座36と、昇降台座36の前端部37に設置された空気流通ボックス38とを備えている。昇降台座36には、風速センサ17が着脱可能に固定される。昇降台座36は、金属またはプラスチックから作られている。
昇降台座36は、前後方向へ延びる両側板39およびフランジ40と、それら側板39の間に位置して前後方向へ並ぶ2つのセンサ留具41とを有する。フランジ40は、側板39の上端部から横方向外方へ張り出している。昇降台座36の前端部37に延びるそれらフランジ40には、前後方向へ並ぶ4つの高さ調節治具42が設置されている。高さ調節治具42は、上下方向へ延びる円筒である。
空気通流ボックス38は、風速センサ17のセンサ部32が位置する筒状の第1ボックス43と、第1ボックス43の上方に位置する第2ボックス44とから形成されている。第1ボックス43は、図5に示すように、透明なプラスチックから作られ、第1〜第4側壁45〜48を有する四角柱状に成形されている。第1ボックス43は、風量測定器10A(飼育ケージ14)の底壁24に対向する円形の底部開口49と、風量測定器10A(飼育ケージ14)の頂部開口25に対向する円形の頂部開口50と、それら開口49,50の間に延びる円形筒状の空気流路51とを有する。頂部開口50は、第2ボックス44に連通されている。
第1ボックス43は、風量測定器10Aの前壁20の側に延びる両側板39の間に配置されている。第1ボックス43では、第1側壁45がセンサ留具41に対向し、第2および第4側壁46,48が側板39に対向しているとともに、第3側壁47が風量測定器10A(飼育ケージ14)の前壁20に対向している。第1ボックス43の第1側壁45には、径寸法がプローブ29の柄部33と略同一の挿入孔52が穿孔されている。空気流路51は、風量測定器10A(飼育ケージ14)の前壁20の側における上下方向中央に位置し、底部開口49と頂部開口50との間を上下方向へ直状に延びている。
第2ボックス44は、透明なプラスチックから作られ、矩形の頂板53および底板54と、矩形の前板55および後板56と、矩形の両側板57,58とを有する横方向へ長い六面体である。第2ボックス44は、第1ボックス43の頂部開口50から流入した空気が通る空気流路59と、ケージ収容部15に作られたそれら空気排気口16に対向する矩形の頂部開口60とを有する。第2ボックス44の頂部開口60を画成する周縁部の全域には、ゴム製のガスケット61(パッキン)が取り付けられている。
第2ボックス44の底板54には第1ボックス43が固定され、第1ボックス43の頂部開口50が第2ボックス44の空気流路59につながっている。第2ボックス44の底板54の角部には、高さ調節治具42の位置に一致する4つのビス孔62が作られている。高さ調節治具42およびビス孔62にはビス63が挿入され、そのビス63がフランジ40とビス孔62とに螺着されている。第2ボックス44(第1ボックス43を含む)は、ビス63によってフランジ40に着脱可能に固定されている。第2ボックス44をフランジ40に固定すると、第1ボックス43の底部開口49が風量測定器10A(飼育ケージ14)の底壁24の側に位置するとともに、第2ボックス44の頂部開口60が風量測定器10A(飼育ケージ14)の頂部開口25の側に位置する。
なお、第1ボックス43は、その空気流路51の面積が風量測定器10A(飼育ケージ14)の容積によってあらかじめ決定されている。風量測定器10Aの容積によって空気流路51の面積の異なる第1ボックス43が昇降台座36の前端部37に着脱可能に設置される。具体的には、空気流路51の面積の異なる第1ボックス43が固定された第2ボックス44のいずれかをビス63によってフランジ40に固定する。また、風量測定器10Aの上下方向の高さ寸法に応じて風量測定器10A(飼育ケージ14)の底壁24からの第2ボックス44の頂部開口60の上下方向の高さ寸法を調節することができる。具体的には、高さ調節治具42の上下方向長さ寸法を調節することで、頂部開口60の高さ寸法を調節する。
それらセンサ留具41は、側板39の間に延びる矩形の横板64と、横板64の上面に設置された四角形の包囲板65と、包囲板65の内周面に取り付けられたゴム製の圧着部材67とから形成されている。包囲板65は、ビス68によって横板64に固定されている。風速センサ17をセンサ留具41に固定する手順は、風速センサ17のセンサ部32および柄部33を包囲板65の内側(圧着部材66の内側)に挿通するとともに、センサ部32を第1ボックス43の挿入孔52に挿入する。柄部33を包囲板65の内側に挿通すると、包囲板65に取り付けられた圧着部材66が柄部33の周面を押圧し、柄部33が包囲板65(圧着部材66)に固定されるとともに、センサ部32が第1ボックス43の空気流路51の中央(測定位置)に配置される。包囲板65に対する柄部33の固定位置を変えることによって、センサ部32の空気流路51に対する位置を変えることができる。
なお、第1ボックス43が透明なプラスチックで作られているから、空気流路51内における風速センサ17のセンサ部32を風量測定器10Aの外側から目視することができ、測定者が空気流路51内におけるセンサ部32の位置決めを容易に行うことができる。
風速センサ17をセンサ留具41に固定した後、柄部33の後端にケーブル31の一方の連結端部を連結し、コントローラ30Aにケーブル31の他方の連結端部を連結する。柄部33にケーブル31を連結するとともに、ケーブル31にコントローラ30Aを連結すると、ケーブル31の一部が風量測定器10A内に位置し、ケーブル31の残余の部分が風量測定器10A(飼育ケージ14)の後壁21の開口27から風量測定器10Aの外側へ延び、コントローラ30Aが風量測定器10Aの外側に位置する。
昇降ユニット19は、風量測定器10A(飼育ケージ14)の内部(飼育空間26)に設置されている。昇降ユニット19は、風量測定器10Aの内部において前後方向へ延びるスライダー68と、風量測定器10Aの内部において前後方向へ延びる固定台座69と、風量測定器10A(飼育ゲージ14)の後壁21の開口27から後方であって風量測定器10Aの外側に位置するトグルクランプ70と、昇降台座36(風速センサ17)を昇降させるベルクランク71とを備えている。
スライダー68は、金属またはプラスチックから作られている。スライダー68は、両側板72と後板73とから形成されている。スライダー68は、昇降台座36の下方に位置し、風量測定器10Aの内部(飼育空間26)において前後方向前方と前後方向後方とへスライドする。固定台座69は、金属またはプラスチックから作られている。固定台座69は、両側板74と底板75と後板76とから形成されている。固定台座69は、スライダー68の下方に位置し、その底板75が風量測定器10A(飼育ケージ14)の底壁24にビス77によって固定されている。固定台座69は、その後端部78(後板76、両側板74および底板75の一部)が風量測定器10A(飼育ケージ14)の後壁21に形成された開口27から風量測定器10Aの外側に露出している。
トグルクランプ70は、固定台座69の後板76に固定されている。トグルクランプ70は、往復スライダクランク機構によってスライダー68を前後方向前方と前後方向後方とへスライドさせる。トグルクランプ70は、前後方向へ延びる軸79と、固定台座69の後板76に取り付けられて軸79を摺動可能に挿通する軸留具80と、第1リンク81および第2リンク82と、レバー83およびストッパー84とから形成されている。
軸79は、金属またはプラスチックから作られている。軸79は、固定台座69の後板76とトグルクランプ70の軸留具80とに挿通されている。軸79は、固定台座69の内側に位置する内側部分85と、軸留具80から露出して固定台座69の外側に位置する外側部分86とを有する。軸79の内側部分85の先端は、スライダー68の後板73に固定されている。
第1リンク81は、金属またはプラスチックから作られている。第1リンク81は、その後端部87が取付ピン88を介して軸留具80に旋回可能に取り付けられ、その前端部89が取付ピン90を介して第2リンク82の後端部91に旋回可能に取りけられている。第2リンク82は、金属またはプラスチックから作られている。第2リンク82は、その前端部92が取付ピン93を介して軸79の外側部分86の先端に旋回可能に取り付けられ、その後端部91が取付ピン90を介して第1リンク81の前端部89に回転可能に連結されている。
レバー83やストッパー84は、金属またはプラスチックから作られている。レバー83は、第2リンク82の後端部91に連結されて上下方向へ延びている。ストッパー84は、横方向へ延びる棒であり、第1リンク81の中間に取り付けられ、軸79の外側部分の上方に位置している。
ベルクランク71は、梃子クランク機構によって昇降台座36(風速センサ17のプローブ29)を昇降させる。ベルクランク71は、金属またはプラスチックから作られている。ベルクランク71には、昇降台座36の前端部37の側に位置する第1および第2ベルクランク71と、固定台座69の後端部78の側に位置する第3および第4ベルクランク71との4つのそれらが使用されている。それらベルクランク71は、昇降台座36とスライダー68と固定台座69とに連結されている。
それらベルクランク71は、L字状に成形され、上下方向へ延びる原動軸94と、前後方向へ延びていて長さ寸法が原動軸94のそれよりも小さい従動軸95と、それら軸94,95の間に位置するシャフト96とを有する。それらベルクランク71のシャフト96は、固定台座69の両側板74のうちの上方へ延出する延出部分97に回転軸98を介して回転可能に連結されている。それらベルクランク71の原動軸94は、スライダー68(原動体)の側板72に回転軸99を介して回転可能に連結されている。それらベルクランク71の従動軸95は、昇降台座36(従動体)の側板39に回転軸100を介して旋回可能に連結されている。
図9は、センサユニット18が上昇する途中の状態にある風量測定器10Aの側面図であり、図10は、センサユニット18が上昇した状態にある風量測定器10Aの側面図である。図11は、センサユニット18が上昇した状態にある風量測定器10Aの正面図であり、図12は、センサユニット18が上昇した状態にある風量測定器10Aの上面図である。なお、図9から12では、コントローラ30Aおよびケーブル31の図示を省略している。
以下、風量測定器10Aを使用して飼育ケージ14の内部(飼育空間26)の換気風量(ケージ収容部15の空気排気口16における排気風量)を測定する手順を説明する。なお、換気風量の測定時には、センサユニット18のセンサ留具41に風速センサ17のプローブ29が固定され、プローブ29とコントローラ30Aとにケーブル31が連結されている。
測定者は、風量測定器10Aの持ち手28を一方の手で把持し、他方の手でコントローラ30Aを持ちながら、風量測定器10Aをラック11のケージ収容部15に挿入し、風量測定器10Aの内部における換気風量を風速センサ17によって計測する。なお、1箇所のケージ収容部15の排気風量を測定した後、次の収容部15に風量測定器10Aを挿入し、その収容部15の排気風量を測定する。
このように、風量測定器10Aを各ケージ収容部15に順に挿入し、全てのケージ収容部15における排気風量(飼育ケージ14の内部の換気風量)を風速センサ17によって計測する。風量測定器10Aのケージ収容部15への挿入時には、収容部15に設置された案内レールによって風量測定器10Aがずれ動くことなく、収容部15に収容される。換気風量の測定時では、排気チャンバー13の排気ファンが稼働し、ケージ収容部15の空気排気口16からチャンバー13に空気が吸引されている。
なお、ラック11のケージ収容部15に風量測定器10Aを形成する飼育ケージ14の全体を挿入すると、ケージ14の前壁20の上部がケージ収容部15に当接し、ケージ14のそれ以上の前進が阻止されるとともに、空気排気口16がケージ10Aの前壁20の側の上方(第2ボックス44の頂部開口60の上方)に位置する。
風量測定器10Aでは、トグルクランプ70の往復スライダクランク機構によってスライダー68を前後方向前方へスライドさせると、ベルクランク71の梃子クランク機構によって昇降台座36(風速センサ17のプローブ29)が上下方向上方へ上昇し、トグルクランプ70の往復スライダクランク機構によってスライダー68を前後方向後方へスライドさせると、ベルクランク71の梃子クランク機構によって昇降台座36が上下方向下方へ下降する。
図6〜12に基づいて昇降台座36の昇降を具体的に説明すると、以下のとおりである。風量測定器10Aをラック11のケージ収容部15に挿入した時点では、図6〜8に示すように、レバー83が上方へ垂直に旋回しているとともに、スライダー68が前後方向後方へスライドしており、レバー83がストッパー84に当接し、レバー83のそれ以上の旋回が阻止されている。この状態では、昇降台座36が下降し、ケージ収容部15の空気排気口16と第2ボックス44の頂部開口60とが上下方向へ離間し、頂部開口60が空気排気口16の下方に位置する。
風量測定器10A(飼育ケージ14)をラック11のケージ収容部15に挿入した後、測定者がレバー83を下方へ旋回させると、第2リンク82の前端部92がピン93を中心に回転し、それにともなって第2リンク82の後端部91が上方へ次第に旋回する。さらに、第2リンク82の後端部91の旋回にともなって第1リンク81の後端部87がピン88を中心に回転するとともに、第1リンク81の前端部89が上方へ旋回する。第2リンク82の後端部91と第1リンク81の前端部89とが上方へ旋回すると、第2リンク82の前端部92が前後方向前方へ移動するとともに、前端部92の前方への移動にともなって軸79の外側部分86が前方へ次第に移動し、軸79の内側部分85が前方へ次第に移動する。
軸79が前後方向前方へ移動すると、軸79に押されてスライダー68が前方へ次第に移動するとともに、スライダー68に回転可能に連結された第1〜第4ベルクランク71の原動軸94がスライダー68に押され、それらベルクランク71の原動軸94が前後方向前方へ次第に旋回し、それによってそれらベルクランク71がシャフト96を中心に回転する。さらに、それらベルクランク71がシャフト96を中心に回転することにより、それらベルクランク71の従動軸95が上下方向上方へ次第に旋回する。従動軸95が上方へ旋回すると、従動軸95が連結された昇降台座36が上方へ次第に上昇する。
図9に示すように、レバー83が前後方向前方に向かって略水平に旋回した状態では、図6の状態と比較し、第1リンク81の前端部89が上方に旋回してリンク81が上り勾配に傾斜し、第2リンク82の後端部91が上方に旋回しており、軸79が前方へ移動している。また、スライダー68が前後方向前方へ移動し、それらベルクランク71の原動軸94が前後方向前方へ旋回して上下方向へ略垂直になるとともに、それらベルクランク71の従動軸95が上下方向上方へ旋回して前後方向へ略水平となり、昇降台座36が上方へ上昇している。
また、図10に示すように、レバー83が上下方向下方へ垂直に旋回した状態では、図9の状態と比較し、第1および第2リンク81,82が略水平になり、軸79とスライダー68とが図9の状態よりも前方へ移動している。また、それらベルクランク71の原動軸94が傾斜するとともに、それらベルクランク71の従動軸95が上り勾配に傾斜し、昇降台座36が図9の状態よりも上方へ上昇している。さらに、ストッパー84が軸79の上部の外周面に当接し、レバー83のそれ以上の旋回が阻止されている。
レバー83が上下方向下方へ垂直に旋回し、センサユニット18とともに風速センサ17のプローブ29を上下方向上方へ上昇させた図10〜12の状態では、第2ボックス44の頂部開口60が風量測定器10A(飼育ケージ14)の頂部開口25よりも上方に位置し、第2ボックス44の頂部開口60がケージ収容部15の空気排気口16の全域を包囲するとともに、頂部開口60を画成する周縁部がガスケット61を介して空気排気口16の周囲に密着する。さらに、風速センサ17のセンサ部32が風量測定器10Aの内部の測定位置(第1ボックス43の空気流路51の中央)に位置決め固定される。
第2ボックス44の頂部開口60の周縁部が空気排気口16の周囲に密着すると、風量測定器10Aの内部の空気が第1ボックス43の底部開口49から空気流路51を通って頂部開口50に向かい、頂部開口50から第2ボックス44の空気流路59に進入して第2ボックス44の頂部開口60から空気排気口16に吸引される。
第2ボックス44の頂部開口60の周縁部が空気排気口16の周囲に密着することで、第2ボックス44の頂壁53と空気排気口16との間に隙間が生じることはなく、風量測定器10Aの内部の空気が第1ボックス43の空気流路を通流し、空気が乱れることはなく、安定した気流が風速センサ17のセンサ部32に通流する。
レバー83を下方へ旋回させ、風速センサ17のプローブ29を上方へ上昇させた後、測定者は、コントローラ30AのスイッチをONにする。スイッチをONにすると、風速センサ17のセンサ部32が検知した第1ボックス43の空気流路59の風速がコントローラに転送され、コントローラ30Aが空気流路59の面積に風速を乗じて換気風量を計測する(換気風量計測手段)。コントローラ30Aは、計測した換気風量をディスプレイ35に表示する(風量表示手段)。
測定者は、ディスプレイ35に表示された換気風量を視認することで、風量測定器10A(飼育ケージ14)の内部の換気風量(ケージ収容部15の空気排気口16における排気風量)を知ることができる。測定者は、ディスプレイ35に表示された換気風量が許容のそれである場合、コントローラ30AのスイッチをOFFにし、そのケージ収容部15の換気風量の測定を終了し、次のケージ収容部15の換気風量の測定を行う。
ケージ収容部15の換気風量を測定した後、次のケージ収容部15の換気風量の測定を行う手順の一例は、以下のとおりである。測定者は、レバー83を上方へ旋回させる。レバー83を上方へ旋回させると、第2リンク82の前端部92がピン93を中心に回転し、それにともなって第2リンク82の後端部91が上方へ次第に旋回する。さらに、第2リンク82の後端部91の旋回にともなって第1リンク81の後端部87がピン88を中心に回転するとともに、第1リンク81の前端部89が上方へ旋回する。第2リンク82の後端部91と第1リンク81の前端部89とが上方へ旋回すると、第2リンク82の前端部92が前後方向後方へ移動するとともに、前端部92の後方への移動にともなって軸79の外側部分86が後方へ次第に移動し、軸79の内側部分85が後方へ次第に移動する。
軸79が前後方向後方へ移動すると、軸79に引っ張られてスライダー68が後方へ次第に移動するとともに、スライダー68に回転可能に連結された第1〜第4ベルクランク71の原動軸94がスライダー68に引かれ、それらベルクランク71の原動軸94が前後方向後方へ次第に旋回し、それによってそれらベルクランク71がシャフト96を中心に回転する。さらに、それらベルクランク71がシャフト96を中心に回転することにより、それらベルクランク71の従動軸95が上下方向下方へ次第に旋回する。従動軸95が下方へ旋回すると、従動軸95が連結された昇降台座36が下方へ次第に下降する。
レバー83を上方へ垂直に旋回させると、スライダー68が前後方向後方へスライドして昇降台座36が下降し、ケージ収容部15の空気排気口16と第2ボックス44の頂部開口60とが上下方向へ離間し、頂部開口60が空気排気口16の下方に位置する。レバー83を上方へ垂直に旋回させた後、測定者は、風量測定器10Aの持ち手28を手で把持し、風量測定器10Aをケージ収容部15から引き抜き、次に収容部15に風量測定器10Aを挿入し、前述した手順でその収容部15の換気風量を測定する。
風量測定器10A(換気風量測定ケージ)は、昇降ユニット19によって風速センサ17のプローブ29を上下方向上方へ上昇させたときに、風速センサ17のセンサ部32が風量測定器10A(飼育ケージ14)の内部(飼育空間26)の測定位置(第1ボックス43の空気流路51の中央)に位置決め固定され、空気流路51に流れる空気をセンサ部32に通流させることで風速センサ17が風量測定器10Aにおける換気風量を測定するから、風速センサ17のセンサ部32を風量測定器10Aの内部の測定位置に位置決め固定することができ、全ての測定対象のケージ収容部15における測定位置を同一にすることができる。
換気風量測定ケージ10Aは、同一の測定条件で全てのケージ収容部15における風量測定器10A(飼育ケージ14)の換気風量を測定することができるから、測定条件が異なることによる換気風量の測定値のばらつきを防ぐことができ、正確な換気風量を測定することができる。風量測定器10Aは、第1ボックス43の空気流路51に流れる空気を風速センサ17のセンサ部32に通流させるから、他の箇所からの空気の進入による空気の気流の乱れがなく、全てのケージ収容部15において安定した気流で換気風量を測定することができ、安定した条件でケージ収容部15における飼育ケージ14の換気風量を測定することができる。
風量測定器10Aは、風速センサ17のプローブ29がセンサユニット18のセンサ留具41に固定されているから、換気風量の測定時に風速センサ17のセンサ部32がラック本体11のケージ収容部15に衝突することはなく、センサ部32の損傷を防ぐことができ、損傷したセンサ部32の交換に要するコストや手間がかからず、短時間に各ケージ収容部15の換気風量を測定することができる。
図13は、他の一例として示すコントローラ30Bの斜視図である。このコントローラ30Bが図3のそれと異なるところは、コントローラ30Bに赤色のLED101および青色のLED102とスピーカー103とが設置され、コントローラ30Bが以下の手段を有する点にある。なお、その他の構成は図1のコントローラ30Aと同一である。なお、コントローラ30Bのメモリには、所定範囲の設定風量があらかじめ格納されている。設定風量は、テンキーユニット34によって任意に設定することができる。
このコントローラ30Bを使用した換気風量の測定を説明すると、以下のとおりである。前述した手順と同様に、測定者がケージ10Aをケージ収容部15に挿入し、レバー83を下方へ旋回させて第2ボックス44の頂部開口60の周縁部を空気排気口16の周囲に密着させた後、コントローラ30BのスイッチをONにする。スイッチをONにすると、コントローラ30Bは、風速センサ17のセンサ部32から転送された風速に空気流路51の面積を乗じて換気風量を計測するとともに(換気風量計測手段)、計測した換気風量をディスプレイ35に表示する(風量表示手段)。
コントローラ30BのCPUは、あらかじめ設定された設定風量と計測した測定風量とを比較し(風量比較手段)、風量比較手段によって設定風量と測定風量とを比較した結果、測定風量が設定風量の範囲内にある場合、LED(青色)を発光させるとともに、スピーカーから風量可を伝えるメッセージを発音する(第1信号出力手段)。逆に、測定風量が設定風量の範囲内にない場合、LED(赤色)を発光させるとともに、スピーカーから風量不可を伝えるメッセージを発音する(第2信号出力手段)。
測定者は、青色のLEDが発光し、風量可を伝えるメッセージが発音されることで、測定風量が設定風量の範囲内にあることを知ることができる。また、測定者は、赤色のLEDが発光し、風量不可を伝えるメッセージが発音されることで、測定風量が設定風量の範囲内にないことを知ることができる。
コントローラ30BのCPUは、換気風量計測手段によって計測した風量測定器10A(飼育ケージ14)の換気風量(各ケージ収容部15の排気風量)をメモリに記憶し(換気風量記憶手段)、風量比較手段によって比較した設定風量と測定風量との比較結果(可または不可)をメモリに記憶する(比較結果記憶手段)、また、コントローラ30Bは、換気風量記憶手段によって記憶した換気風量をディスプレイ35に出力し(換気風量出力手段)、比較結果記憶手段によって記憶した比較結果をディスプレイ35に出力する(比較結果出力手段)。なお、換気風量出力手段や比較結果出力手段では、換気風量や比較結果とともに各収容部15を特定する識別番号を表示する。また、コントローラ30Bを端末装置に接続することで、それに格納された換気風量や比較結果、識別番号をプリンタを介して印字することができる。
このコントローラ30Bを使用した風量測定器10Aは、コントローラ30Aを使用した風量測定器10Aが有するに加え、以下の効果を有する。換気風量測定ケージ10Aは、コントローラ30Bを介して測定風量と設定風量とを正確に比較することができるのみならず、測定風量が設定風量の範囲内にあることを光または音によって知ることができるとともに、測定風量が設定風量の範囲内にないことを光または音によって知ることができるから、測定風量が設定風量の範囲内にあるか否かを測定者が容易かつ迅速に知ることができる。風量測定器10Aは、測定者が換気風量を視認して判断する手間を省くことができるとともに、測定者の換気風量の視認の誤りによる風量測定の過誤を防ぐことができる。
風量測定器10Aは、換気風量記憶手段によって記憶した換気風量を事後に出力することができ、各ケージ収容部15における風量測定器10A(飼育ケージ14)の換気風量を事後に確認することができる。風量測定器10Aは、比較結果記憶手段によって記憶した比較結果を事後に出力することができ、各ケージ収容部15における飼育ケージ14の測定風量と設定風量との比較結果を事後に確認することができる。風量測定器10Aは、各ケージ収容部15における飼育ケージ14の換気風量や各ケージ収容部15における飼育ケージ14の測定風量と設定風量との比較結果を印字データとして出力することができるから、各ケージ収容部15における飼育ケージ14の換気風量が設定風量の範囲内にあることを十分に実証することができるとともに、各ケージ収容部15における飼育ケージ14の換気風量が設計風量内にあり適正であることを十分に実証することができる。
図14は、他の一例として示す風量測定器10Bの側面図であり、図15は、風量測定器10Bの背面図である。図14,15では、センサユニット18が下降した状態にある。図15では、トグルクランプ70の図示を省略している。
この風量測定器10B(換気風量測定ケージ)が図4のそれと異なるところは、コントローラ30Cが風量測定器10Bを形成する飼育ケージ14の後壁21の上部に固定され、そのコントローラ30Cに赤色のLED101および青色のLED102とスピーカー103とが設置され、コントローラ30Cが以下の手段を有する点にある。この風量測定器10Bのその他の構成は図4のそれと同一であるから、図4の風量測定器10Aと同一の符号を付すとともに、風量測定器10Aの説明を援用し、この風量測定器10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。
このコントローラ30Cを使用した風量測定器10Bによる換気風量の測定を説明すると、以下のとおりである。なお、コントローラ30Cにはメモリカード(図示せず)等の記憶メディアが着脱可能に装着され、その記憶メディアに所定範囲の設定風量があらかじめ格納されている。記憶メディアに格納された設定風量は、任意に書き替えることができる。
前述した手順と同様に、測定者が風量測定器10B(飼育ケージ14)をケージ収容部15に挿入し、レバー83を下方へ旋回させて第2ボックス44の頂部開口60の周縁部を空気排気口16の周囲に密着させる。なお、風量測定器10Bでは、昇降台座36が上方へ上昇(レバー83が下方へ垂直に旋回)したことをトリガーとしてコントローラ30Cが換気風量計測手段と風量比較手段とを開始する。
具体的には、昇降台座36が上方へ上昇(レバー83が下方へ垂直に旋回)すると、トグルスイッチがONとなり、ON信号がコントローラ30Cに転送され、コントローラ30Cは、風速センサ17のセンサ部32から転送された風速に空気流路51の面積を乗じて換気風量を計測するとともに(換気風量計測手段)、計測した換気風量をディスプレイ35に表示する(風量表示手段)。
コントローラ30CのCPUは、あらかじめ設定された設定風量と計測した測定風量とを比較し(風量比較手段)、風量比較手段によって設定風量と測定風量とを比較した結果、測定風量が設定風量の範囲内にある場合、LED(青色)を発光させるとともに、スピーカーから風量可を伝えるメッセージを発音する(第1信号出力手段)。逆に、測定風量が設定風量の範囲内にない場合、LED(赤色)を発光させるとともに、スピーカーから風量不可を伝えるメッセージを発音する(第2信号出力手段)。
コントローラ30CのCPUは、換気風量計測手段によって計測した風量測定器10B(飼育ケージ14)の換気風量(各ケージ収容部15の排気風量)を記憶メディアに書き込み(換気風量記憶手段)、風量比較手段によって比較した設定風量と測定風量との比較結果(可または不可)を記憶メディアに書き込む(比較結果記憶手段)、また、コントローラ30Cは、記憶メディアに書き込んだ換気風量をディスプレイ35に出力し(換気風量出力手段)、記憶メディアに書き込んだ比較結果をディスプレイ35に出力する(比較結果出力手段)。
なお、換気風量出力手段や比較結果出力手段では、換気風量や比較結果とともに各収容部15を特定する識別番号を表示する。また、記憶メディアをコントローラ30Cから抜き取り、その記憶メディアを端末装置に接続することで、それに格納された換気風量や比較結果、識別番号をプリンタを介して印字することができる。
このコントローラ30Cを使用した風量測定器10Bは、コントローラ30Aを使用した風量測定器10Aやコントローラ30Bを使用した風量測定器10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。風量測定器10Bは、コントローラ30A,30Bを片手で持って換気風量を測定する風量測定器10Aと異なり、コントローラ30Cを手で持つ必要はなく、片手で風量測定器10B(飼育ケージ14)をケージ収容部15に挿入し、レバー83を下方へ旋回させるだけで、換気風量を測定することができるとともに、LED101,102の発光やスピーカー103からの発音により、測定風量が設定風量の範囲内にあることや測定風量が設定風量の範囲内にないことを知ることができるから、測定風量が設定風量の範囲内にあるか否かを測定者が容易かつ一層迅速に知ることができる。