JP5985079B2 - スペクトル推定装置及びスペクトル推定方法 - Google Patents
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Description
この発明は、レーダ装置に搭載されているアンテナ素子の受信信号から、例えば、波源の位置や方向を推定するスペクトル推定装置及びスペクトル推定方法に関するものである。
波源の位置や方向を推定する到来波推定装置(空間方向に対する電力スペクトルを推定するスペクトル推定装置)では、波源からの電波を受信する複数のアンテナ素子に対して、推定可能な方位角の範囲と刻み幅を設定する。
例えば、角度点数がN、アンテナの素子数がL、時間サンプル数がMであるとき、アンテナ素子毎に時間サンプル数分の信号を受信して構成されるL×Mの観測行列yは、雑音成分nが含まれていることを踏まえ、アンテナ素子毎に角度点数分の走査ベクトルを並べて構成されるL×Nの辞書行列Aによって、下記の式(1)のように表される。
式(1)において、Xは角度毎に時間サンプル数分の要素を有するN×Mの到来波行列であり、空間方向に対する電力スペクトルに相当する情報である。したがって、到来波推定処理は、既知の行列である観測行列y及び辞書行列Aから、未知行列である到来波行列Xの推定を行う処理となる。
例えば、角度点数がN、アンテナの素子数がL、時間サンプル数がMであるとき、アンテナ素子毎に時間サンプル数分の信号を受信して構成されるL×Mの観測行列yは、雑音成分nが含まれていることを踏まえ、アンテナ素子毎に角度点数分の走査ベクトルを並べて構成されるL×Nの辞書行列Aによって、下記の式(1)のように表される。
式(1)において、Xは角度毎に時間サンプル数分の要素を有するN×Mの到来波行列であり、空間方向に対する電力スペクトルに相当する情報である。したがって、到来波推定処理は、既知の行列である観測行列y及び辞書行列Aから、未知行列である到来波行列Xの推定を行う処理となる。
非特許文献1,2には、最適化アルゴリズムを用いて、未知行列である到来波行列Xを求める方法が開示されている。
まず、到来波行列Xを評価する目的関数f(X)を下記の式(2)のように設定する。
また、λとpは解の精度に寄与する計算用パラメータであり、0<p≦1の範囲となるように、それぞれ任意の値が設定される。
この目的関数f(X)から、目的関数f(X)の勾配方向へと探索を進める最適化アルゴリズムを利用するため、式(2)を近似することで、微分可能な下記の式(3)を目的関数f(X)として使用する。
ここで、εはゼロ除算を回避するための計算用パラメータであり、任意の値が設定される。
まず、到来波行列Xを評価する目的関数f(X)を下記の式(2)のように設定する。
また、λとpは解の精度に寄与する計算用パラメータであり、0<p≦1の範囲となるように、それぞれ任意の値が設定される。
この目的関数f(X)から、目的関数f(X)の勾配方向へと探索を進める最適化アルゴリズムを利用するため、式(2)を近似することで、微分可能な下記の式(3)を目的関数f(X)として使用する。
ここで、εはゼロ除算を回避するための計算用パラメータであり、任意の値が設定される。
上記の式(3)を微分することで、下記の式(4)に示す勾配▽f(X)を得る。
ここで、diag{S}は長さNのベクトルSを対角成分とするN×Nの対角行列であり、AHはN×Nの行列Aの複素共役転置行列である。
ここで、diag{S}は長さNのベクトルSを対角成分とするN×Nの対角行列であり、AHはN×Nの行列Aの複素共役転置行列である。
数学的な最適化アルゴリズムを導入した場合、未知の到来波行列Xを繰り返し修整していく処理を行う。
k回目の反復時のパラメータを(k)と表記すると、到来波行列X(k)をX(k+1)(新しい解)へと修整する式は、下記の式(10)のように表される。
ここで、αは探索方向に対するステップ幅であり、下記の式(11)から得られる値である。
k回目の反復時のパラメータを(k)と表記すると、到来波行列X(k)をX(k+1)(新しい解)へと修整する式は、下記の式(10)のように表される。
ここで、αは探索方向に対するステップ幅であり、下記の式(11)から得られる値である。
また、dは探索方向を表すN×Mの行列であり、最適化アルゴリズムの種類に応じて計算法が異なる。最急降下法では、下記の式(12)に示すように、目的関数f(X)に対する勾配▽f(X)を、そのまま探索方向dとして扱う。
非線形共役勾配法では、下記の式(13)に示すように、目的関数f(X)に対する勾配▽f(X)に加えて、共役方向βを用いる。
共役方向βの計算法は多様に存在するが、例えば、下記の式(14)で示すように、Fletcher-Reevesの公式を用いた計算を行う。
非線形共役勾配法では、下記の式(13)に示すように、目的関数f(X)に対する勾配▽f(X)に加えて、共役方向βを用いる。
共役方向βの計算法は多様に存在するが、例えば、下記の式(14)で示すように、Fletcher-Reevesの公式を用いた計算を行う。
準ニュートン法では、目的関数f(X)に対する勾配▽f(X)と、目的関数f(X)の二階微分であるヘッセ行列▽2f(X)を近似した行列Hの逆行列との積を計算する。
式(15)における行列Hは、式(5)のHに相当する。αを1に設定し、式(10)に対して、式(15)と式(4)を代入すると、ヘッセ近似行列Hを用いた準ニュートン法は、以下のように展開され、連立方程式(16)の反復計算となる。
式(15)における行列Hは、式(5)のHに相当する。αを1に設定し、式(10)に対して、式(15)と式(4)を代入すると、ヘッセ近似行列Hを用いた準ニュートン法は、以下のように展開され、連立方程式(16)の反復計算となる。
この方法は、以上で示したような最適化アルゴリズムに基づき、以下の手順(1)〜(6)で未知行列である到来波行列Xを徐々に修整(反復計算)して、最終的な到来波行列Xの推定結果として、波源の方位に対応する要素以外をゼロ成分とした疎行列を得るものである。
(1)式(6)及び式(7)より、行列H0及び行列bを計算する。また、未知行列である到来波行列Xに任意の初期値を設定する。
(2)式(9)より、N×Mの到来波行列Xを時間サンプル数Mの方向に積み上げ、長さNの到来波ベクトルxを生成する。
(3)式(8)に対して、生成した到来波ベクトルxを代入して、対角成分ベクトルSを計算する。また、式(5)に対して、計算した対角成分ベクトルSを代入して、行列H0の対角成分をベクトルSに設定した行列Hを得る。
(1)式(6)及び式(7)より、行列H0及び行列bを計算する。また、未知行列である到来波行列Xに任意の初期値を設定する。
(2)式(9)より、N×Mの到来波行列Xを時間サンプル数Mの方向に積み上げ、長さNの到来波ベクトルxを生成する。
(3)式(8)に対して、生成した到来波ベクトルxを代入して、対角成分ベクトルSを計算する。また、式(5)に対して、計算した対角成分ベクトルSを代入して、行列H0の対角成分をベクトルSに設定した行列Hを得る。
(4)設定した行列Hを最適化アルゴリズムに入力する。
連立方程式の計算を伴う準ニュートン法を用いる場合は、式(16)で与えられた連立方程式H(k)X(k+1)=bを解くことで、到来波行列X(k)をX(k+1)(新しい解)に更新する。
一方、連立方程式の計算を必要としない最急降下法や非線形共役勾配法を用いる場合は、まず、式(4)に基づき、行列積H(k)X(k)の計算を経て勾配▽f(X(k))を得る。
次に、勾配▽f(X(k))を式(12)又は式(13)に入力して探索方向行列d(k)を生成する。
最後に、生成した探索方向行列d(k)を式(10)に入力することで、到来波行列X(k)をX(k+1)(新たな解)に更新する。
連立方程式の計算を伴う準ニュートン法を用いる場合は、式(16)で与えられた連立方程式H(k)X(k+1)=bを解くことで、到来波行列X(k)をX(k+1)(新しい解)に更新する。
一方、連立方程式の計算を必要としない最急降下法や非線形共役勾配法を用いる場合は、まず、式(4)に基づき、行列積H(k)X(k)の計算を経て勾配▽f(X(k))を得る。
次に、勾配▽f(X(k))を式(12)又は式(13)に入力して探索方向行列d(k)を生成する。
最後に、生成した探索方向行列d(k)を式(10)に入力することで、到来波行列X(k)をX(k+1)(新たな解)に更新する。
Malioutov,D.,Cetin,M.,and Willsky,A.S.: A Sparse Signal Reconstruction Perspective for Source Localization With Sensor Arrays,IEEE Trans.Signal Processing,Vol.53,No.8,pp.3010-3022,2005.
Cetin,M.,Malioutov,D.,and Willsky,A. S.: A variational technique for source localization based on a sparse signal reconstruction perspective,in Proc. 2002 IEEE International Conference on Acoustics,Speech,and Signal Processing(ICASSP),Vol.3,pp.2965-2968,2002.
従来のスペクトル推定装置は以上のように構成されているので、反復計算(3)〜(6)の中に、演算負荷が高い到来波行列Xの修整操作((4)における連立方程式HX=bの計算、または、行列積HXの計算)が含まれている。このため、角度点数が大きく、行列H及び到来波行列Xの行列サイズが大きくなると、演算量が爆発的に増加し、到来波行列Xの推定結果が得られるまでに多くの時間を要してしまう課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、角度点数が大きく、到来波行列Xの行列サイズが大きくても、短時間で到来波行列Xを推定することができるスペクトル推定装置及びスペクトル推定方法を得ることを目的とする。
この発明に係るスペクトル推定装置は、1以上のアンテナ素子の走査ベクトルからなる辞書行列の複素共役転置と辞書行列との積の行列Hと、1以上のアンテナ素子の受信信号からなる観測行列と辞書行列の複素共役転置との積の行列bと、受信信号に含まれているスペクトルに関する未知行列であるスペクトル行列とを設定する行列設定手段と、そのスペクトル行列を積み上げることでスペクトルベクトルを生成するベクトル生成手段と、ベクトル生成手段により生成されたスペクトルベクトルに含まれている各要素のうち、疎成分の要素が集まるように各要素を並び替える並び替え手段と、並び替え手段による並び替え後のスペクトルベクトルから定数成分が集まった設定用ベクトルを算出し、その設定用ベクトルによって行列Hの対角成分を設定する対角成分設定手段と、対角成分設定手段により設定用ベクトルが設定された行列Hと行列bを用いて、そのスペクトル行列を更新する行列更新手段とを設け、収束判定手段が、行列更新手段により更新されたスペクトル行列が収束するまで、スペクトルベクトルの生成からスペクトル行列の更新までの処理を繰り返し実施させるようにしたものである。
この発明によれば、行列設定手段により設定されたスペクトル行列を積み上げることでスペクトルベクトルを生成するベクトル生成手段と、ベクトル生成手段により生成されたスペクトルベクトルに含まれている各要素のうち、疎成分の要素が集まるように各要素を並び替える並び替え手段と、並び替え手段による並び替え後のスペクトルベクトルから定数成分が集まった設定用ベクトルを算出し、その設定用ベクトルによって行列Hの対角成分を設定する対角成分設定手段と、対角成分設定手段により設定用ベクトルが設定された行列Hと行列bを用いて、そのスペクトル行列を更新する行列更新手段とを設け、スペクトル行列の疎成分に対する演算結果を再利用するように構成したものであるため、角度点数が大きく、疎成分を多量に含むスペクトル行列の行列サイズが大きくても、短時間でスペクトル行列を推定することができる効果がある。
実施の形態1.
この実施の形態1では、スペクトル推定装置が、空間方向に対する電力スペクトルである到来波(アンテナ素子の受信信号に含まれている到来波)を推定する例を説明する。
図1はこの発明の実施の形態1によるスペクトル推定装置を示す構成図である。
図1において、行列設定部1はL本のアンテナ素子の走査ベクトルが角度点数Nだけ並べられたL×Nの辞書行列Aの複素共役転置AHと辞書行列Aとの積の行列である行列Hの初期行列H0と、辞書行列Aの複素共役転置AHとL本のアンテナ素子の受信信号が時間サンプル数Mだけ並べられたL×Mの観測行列yとの積の行列である行列bと、L本のアンテナ素子の受信信号に含まれている到来波に関する未知行列であるN×Mの到来波行列(スペクトル行列)Xとを設定する処理を実施する。Nは電波を受信する方位角の点数である。なお、行列設定部1は行列設定手段を構成している。
この実施の形態1では、スペクトル推定装置が、空間方向に対する電力スペクトルである到来波(アンテナ素子の受信信号に含まれている到来波)を推定する例を説明する。
図1はこの発明の実施の形態1によるスペクトル推定装置を示す構成図である。
図1において、行列設定部1はL本のアンテナ素子の走査ベクトルが角度点数Nだけ並べられたL×Nの辞書行列Aの複素共役転置AHと辞書行列Aとの積の行列である行列Hの初期行列H0と、辞書行列Aの複素共役転置AHとL本のアンテナ素子の受信信号が時間サンプル数Mだけ並べられたL×Mの観測行列yとの積の行列である行列bと、L本のアンテナ素子の受信信号に含まれている到来波に関する未知行列であるN×Mの到来波行列(スペクトル行列)Xとを設定する処理を実施する。Nは電波を受信する方位角の点数である。なお、行列設定部1は行列設定手段を構成している。
到来波ベクトル生成部2は行列設定部1により設定された到来波行列Xを時間サンプル数Mだけ積み上げることで、スペクトルベクトルである到来波ベクトルxを生成する処理を実施する。なお、到来波ベクトル生成部2はベクトル生成手段を構成している。
要素並び替え部3は到来波ベクトル生成部2により生成された到来波ベクトルxに含まれている各要素xkのうち、疎成分の要素を抽出するように各要素xkを並び替える処理を実施する。要素並び替え部3は並び替え手段を構成している。
要素並び替え部3は到来波ベクトル生成部2により生成された到来波ベクトルxに含まれている各要素xkのうち、疎成分の要素を抽出するように各要素xkを並び替える処理を実施する。要素並び替え部3は並び替え手段を構成している。
対角成分設定部4は要素並び替え部3により各要素xkが並び替えられた到来波ベクトルxから定数成分が集まった設定用ベクトルSを算出するとともに、その設定用ベクトルSを行列設定部1により設定された初期行列H0の対角成分に設定し、設定後の初期行列H0を行列Hとして出力する処理を実施する。なお、対角成分設定部4は対角成分設定手段を構成している。
到来波行列更新部5は対角成分設定部4により設定用ベクトルSが対角成分に設定された行列Hと行列設定部1により設定された行列bを用いて、到来波行列Xを更新する処理を実施する。なお、到来波行列更新部5は行列更新手段を構成している。
到来波行列更新部5は対角成分設定部4により設定用ベクトルSが対角成分に設定された行列Hと行列設定部1により設定された行列bを用いて、到来波行列Xを更新する処理を実施する。なお、到来波行列更新部5は行列更新手段を構成している。
収束判定部6は到来波行列更新部5により更新された到来波行列Xが収束しているか否かを判定し、未だ収束していなければ、到来波ベクトル生成部2、要素並び替え部3、対角成分設定部4及び到来波行列更新部5に対して反復計算指令を出力することで、到来波ベクトルxの生成から到来波行列Xの更新までの処理を繰り返し実施させる処理を実施する。
到来波ベクトル復元部7は収束判定部6により到来波行列Xが収束していると判定された場合、要素並び替え部3により並び替えられている到来波ベクトルxの各要素xkを元の位置に戻してから、当該到来波ベクトルxを出力する処理を実施する。
なお、収束判定部6及び到来波ベクトル復元部7から収束判定手段が構成されている。
到来波ベクトル復元部7は収束判定部6により到来波行列Xが収束していると判定された場合、要素並び替え部3により並び替えられている到来波ベクトルxの各要素xkを元の位置に戻してから、当該到来波ベクトルxを出力する処理を実施する。
なお、収束判定部6及び到来波ベクトル復元部7から収束判定手段が構成されている。
図1の例では、スペクトル推定装置の構成要素である行列設定部1、到来波ベクトル生成部2、要素並び替え部3、対角成分設定部4、到来波行列更新部5、収束判定部6及び到来波ベクトル復元部7のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、スペクトル推定装置がコンピュータで構成されていてもよい。
スペクトル推定装置をコンピュータで構成する場合、行列設定部1、到来波ベクトル生成部2、要素並び替え部3、対角成分設定部4、到来波行列更新部5、収束判定部6及び到来波ベクトル復元部7の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
スペクトル推定装置をコンピュータで構成する場合、行列設定部1、到来波ベクトル生成部2、要素並び替え部3、対角成分設定部4、到来波行列更新部5、収束判定部6及び到来波ベクトル復元部7の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
次に動作について説明する。
この実施の形態1では、到来波行列更新部5の手段として、連立方程式の計算を必要とする最適化アルゴリズムを利用する。この最適化アルゴリズムを説明する便宜上、「準ニュートン法」の操作手順について説明するが、準ニュートン法と同様に連立方程式の計算を必要とする他の最適化アルゴリズム(例えば「ニュートン法」)を使用するようにしてもよい。また、説明の便宜上、連立方程式の求解手法として、行列Hを二種類の三角行列に分解する「LU分解」を用いた方法を例として挙げるが、LU分解同様に、行列Hの対角成分を左上隅から右下隅へと順に選択し、未選択の対角成分を含む部分行列を更新していく他の方法(例えば、「コレスキー分解」や「修正コレスキー分解」を用いた方法)を使用するようにしてもよい。
この実施の形態1では、推定対象の波源から到来している信号データの観測環境として、電波を受信する方位角の点数がN、アンテナの素子数がL、時間サンプル数がMであり、L本のアンテナ素子の受信信号が時間サンプル数Mだけ並べられた行列がL×Mの観測行列y、L本のアンテナ素子による角度点数Nに対する走査ベクトルが並べられた行列がL×Nの辞書行列Aであるとして説明する。
この実施の形態1では、到来波行列更新部5の手段として、連立方程式の計算を必要とする最適化アルゴリズムを利用する。この最適化アルゴリズムを説明する便宜上、「準ニュートン法」の操作手順について説明するが、準ニュートン法と同様に連立方程式の計算を必要とする他の最適化アルゴリズム(例えば「ニュートン法」)を使用するようにしてもよい。また、説明の便宜上、連立方程式の求解手法として、行列Hを二種類の三角行列に分解する「LU分解」を用いた方法を例として挙げるが、LU分解同様に、行列Hの対角成分を左上隅から右下隅へと順に選択し、未選択の対角成分を含む部分行列を更新していく他の方法(例えば、「コレスキー分解」や「修正コレスキー分解」を用いた方法)を使用するようにしてもよい。
この実施の形態1では、推定対象の波源から到来している信号データの観測環境として、電波を受信する方位角の点数がN、アンテナの素子数がL、時間サンプル数がMであり、L本のアンテナ素子の受信信号が時間サンプル数Mだけ並べられた行列がL×Mの観測行列y、L本のアンテナ素子による角度点数Nに対する走査ベクトルが並べられた行列がL×Nの辞書行列Aであるとして説明する。
この実施の形態1は、ベクトルの疎成分に対する演算結果を引き継ぐ形で、連立方程式の計算に基づき未知行列の修整を行う方法に関するものであるが、この実施の形態1でのスペクトル推定方法の利点を明らかにするため、最初に、非特許文献1,2に開示されているスペクトル推定方法を説明し、このスペクトル推定方法との違いを示す形で、この実施の形態1でのスペクトル推定方法を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1によるスペクトル推定装置の処理内容(スペクトル推定方法)を示すフローチャートである。
また、図3は非特許文献1,2に開示されている従来のスペクトル推定方法を示すフローチャートである。
図2はこの発明の実施の形態1によるスペクトル推定装置の処理内容(スペクトル推定方法)を示すフローチャートである。
また、図3は非特許文献1,2に開示されている従来のスペクトル推定方法を示すフローチャートである。
[従来のスペクトル推定方法]
図4は従来のスペクトル推定方法での処理フローを図解している説明図である。
まず、図1の行列設定部1に相当する行列設定部(図示せず)は、辞書行列Aの複素共役転置AHと辞書行列Aとの積の行列である行列Hの初期行列H0(図4中、符号98のH0)と、観測行列yと辞書行列Aの複素共役転置AHとの積の行列である行列b(図4中、符号100のb)と、到来波に関する未知行列であるN×Mの到来波行列X(図4中、符号101のXの初期値)とを設定する(図3のステップST1)。
なお、初期行列H0は、連立方程式HX=bにおける左辺の行列Hの初期値であり、未知行列である到来波行列Xの初期値は、任意の値で構わない。例えば、任意のスペクトル推定方法による推定結果や、全ての成分を任意の乱数生成方法で生成した乱数値でも構わない。
図4は従来のスペクトル推定方法での処理フローを図解している説明図である。
まず、図1の行列設定部1に相当する行列設定部(図示せず)は、辞書行列Aの複素共役転置AHと辞書行列Aとの積の行列である行列Hの初期行列H0(図4中、符号98のH0)と、観測行列yと辞書行列Aの複素共役転置AHとの積の行列である行列b(図4中、符号100のb)と、到来波に関する未知行列であるN×Mの到来波行列X(図4中、符号101のXの初期値)とを設定する(図3のステップST1)。
なお、初期行列H0は、連立方程式HX=bにおける左辺の行列Hの初期値であり、未知行列である到来波行列Xの初期値は、任意の値で構わない。例えば、任意のスペクトル推定方法による推定結果や、全ての成分を任意の乱数生成方法で生成した乱数値でも構わない。
図1の到来波ベクトル生成部2に相当する到来波ベクトル生成部(図示せず)は、行列設定部が到来波行列Xを設定すると、上記の式(9)に示すように、その到来波行列X(図4中、符号101のX)を時間サンプル数Mだけ積み上げることで、到来波ベクトルx(図4中、符号102のx)を生成する(図3のステップST4)。
図1の対角成分設定部4に相当する対角成分設定部(図示せず)は、到来波ベクトル生成部が到来波ベクトルxを生成すると、上記の式(8)に示すように、その到来波ベクトルxから設定用ベクトルS(図4中、符号103のS)を算出する(図3のステップST7)。
対角成分設定部は、設定用ベクトルSを算出すると、式(5)に示すように、その設定用ベクトルSを行列設定部により設定された初期行列H0(図4中、符号98のH0)の対角成分に設定し、設定後の初期行列H0を行列H(図4中、符号99のH)として出力する(図3のステップST8)。
即ち、対角成分設定部は、全ての成分が0である行列の対角成分に設定用ベクトルSを設定することで、図4中、符号104の疎行列を定義し、その疎行列を行列設定部により設定された初期行列H0に足し合わせることで、図4中、符号99の行列Hを生成する。
即ち、対角成分設定部は、全ての成分が0である行列の対角成分に設定用ベクトルSを設定することで、図4中、符号104の疎行列を定義し、その疎行列を行列設定部により設定された初期行列H0に足し合わせることで、図4中、符号99の行列Hを生成する。
到来波行列更新部5に相当する到来波行列更新部(図示せず)は、対角成分設定部が行列Hの対角成分を設定すると、式(16)に示すように、連立方程式HX=bを解くことで到来波行列X(図4中、符号101のX)を求め、その到来波行列Xを更新後の到来波行列X(新しい解)に設定する(図3のステップST10)。
以下、到来波行列更新部の処理内容を具体的に説明する。
以下、到来波行列更新部の処理内容を具体的に説明する。
到来波行列更新部は、対角成分設定部が行列Hの対角成分を設定すると、下記の式(18)に示すように、その行列Hを下三角行列L(上三角成分がゼロの行列)と上三角行列U(下三角成分がゼロの行列)との積(H=LU)の形に分解する(LU分解操作)。
LU分解では、行列Hの左上隅の成分H1,1を除数として選択し、 同じ列の成分(H2,1,H3,1…HN,1)を除算して行列Hを更新する。ここで、下記に示すように除算後のH2,1,H3,1…HN,1を(N―1)行1列の行列、H1,1と同じ行の成分H1,2,H1,3…H1,Nを1行(N−1)列の行列とする。
この時点で、対角成分H1,1と上記の行列成分は、以降の操作で更新されない成分として確定する。このとき、上記の(N−1)行1列の行列と1行(N−1)列の行列との積をとった下記の(N−1)行(N−1)列の行列を、行列Hの残る成分値(部分行列)に対するマイナス値として、行列Hを更新する。
これと同様の操作を、行列Hの左上隅から右下隅へ順に、対角成分を選択して繰り返すことで、下三角行列Lと上三角行列Uをひとまとめに格納した行列Hが生成される。
これと同様の操作を、行列Hの左上隅から右下隅へ順に、対角成分を選択して繰り返すことで、下三角行列Lと上三角行列Uをひとまとめに格納した行列Hが生成される。
ここで、下三角行列Lは上三角成分がゼロであるため、未知行列tの成分値は、下記の式(20)で表されるように、代入操作(前進代入)によって徐々に求まっていくものである。
この結果、得られた行列tを使用して、同様の代入操作をUX=tに対して行えば、連立方程式の解である到来波行列Xが求まる。
ただし、Uは上三角行列であるため、代入操作は逆順(後進代入)となる。
この結果、得られた行列tを使用して、同様の代入操作をUX=tに対して行えば、連立方程式の解である到来波行列Xが求まる。
ただし、Uは上三角行列であるため、代入操作は逆順(後進代入)となる。
図1の収束判定部6に相当する収束判定部(図示せず)は、到来波行列更新部が到来波行列Xを更新する(到来波行列Xに対する修整操作を行う)と、式(17)に示すように、更新後の到来波行列Xが収束しているか否かを判定する(図3のステップST12)。
以上のように構成されている従来のスペクトル推定方法では、ステップST4で得られる到来波ベクトルxが反復の度に疎ベクトルへと修整されていく特徴を有している。
図5は到来波ベクトルxが疎ベクトルに修整されていく様子を示す説明図である。
反復1周目の到来波ベクトルx(図5中、符号120のx)は、非疎成分(斜線部)で埋められており、この到来波ベクトルxから設定用ベクトルS(図5中、符号121のS)が算出され、この設定用ベクトルSが対角成分(図5中、符号123の対角成分)となる行列H(図5中、符号122のH)が生成される。この行列Hから、ステップST10での連立方程式の求解操作を経て、反復2周目の処理に移行する。
図5は到来波ベクトルxが疎ベクトルに修整されていく様子を示す説明図である。
反復1周目の到来波ベクトルx(図5中、符号120のx)は、非疎成分(斜線部)で埋められており、この到来波ベクトルxから設定用ベクトルS(図5中、符号121のS)が算出され、この設定用ベクトルSが対角成分(図5中、符号123の対角成分)となる行列H(図5中、符号122のH)が生成される。この行列Hから、ステップST10での連立方程式の求解操作を経て、反復2周目の処理に移行する。
反復2周目以降の処理では、ステップST4で到来波ベクトルx(図5中、符号124のx)を生成するが、この到来波ベクトルxは、疎成分を含むベクトルに修整されている。
この到来波ベクトルxから算出される設定用ベクトルS(図5中、符号125のS)には、疎成分に対する演算結果である定数が格納される。疎成分へと修整されたベクトル成分は、以降の反復計算中も常に疎であるものとして扱えば、行列H(図5中、符号126のH)の対角成分(図5中、符号127の対角成分)には、以降の反復計算でも常に定数となる成分が出現する特徴がある。
この反復処理が終了するとき、到来波ベクトルx(図5中、符号128のx)は、ほとんど全ての成分が疎で占められた疎ベクトルになる。
この到来波ベクトルxから算出される設定用ベクトルS(図5中、符号125のS)には、疎成分に対する演算結果である定数が格納される。疎成分へと修整されたベクトル成分は、以降の反復計算中も常に疎であるものとして扱えば、行列H(図5中、符号126のH)の対角成分(図5中、符号127の対角成分)には、以降の反復計算でも常に定数となる成分が出現する特徴がある。
この反復処理が終了するとき、到来波ベクトルx(図5中、符号128のx)は、ほとんど全ての成分が疎で占められた疎ベクトルになる。
[実施の形態1のスペクトル推定方法]
図6は実施の形態1のスペクトル推定方法での処理フローを図解している説明図である。
まず、行列設定部1は、辞書行列Aの複素共役転置AHと辞書行列Aとの積の行列である行列Hの初期行列H0(図6中、符号140のH0)と、観測行列yと辞書行列Aの複素共役転置AHとの積の行列である行列b(図6中、符号143のb)と、到来波に関する未知行列であるN×Mの到来波行列X(図6中、符号145のXの初期値)とを設定する(図2のステップST1)。
なお、初期行列H0は、連立方程式HX=bにおける左辺の行列Hの初期値であり、未知行列である到来波行列Xの初期値は、任意の値で構わない。例えば、任意のスペクトル推定方法による推定結果や、全ての成分を任意の乱数生成方法で生成した乱数値でも構わない。
図6は実施の形態1のスペクトル推定方法での処理フローを図解している説明図である。
まず、行列設定部1は、辞書行列Aの複素共役転置AHと辞書行列Aとの積の行列である行列Hの初期行列H0(図6中、符号140のH0)と、観測行列yと辞書行列Aの複素共役転置AHとの積の行列である行列b(図6中、符号143のb)と、到来波に関する未知行列であるN×Mの到来波行列X(図6中、符号145のXの初期値)とを設定する(図2のステップST1)。
なお、初期行列H0は、連立方程式HX=bにおける左辺の行列Hの初期値であり、未知行列である到来波行列Xの初期値は、任意の値で構わない。例えば、任意のスペクトル推定方法による推定結果や、全ての成分を任意の乱数生成方法で生成した乱数値でも構わない。
行列設定部1は、各種の行列を設定すると、疎成分に対する部分演算結果の格納領域P(図6中、符号142のP)を初期化して、データ領域を確保する(図2のステップST2)。
また、行列設定部1は、到来波ベクトルxの並べ替え情報(後述する要素並び替え部3により各要素が並び替えられた到来波ベクトルxの各要素の並び順を示す情報)の格納領域Q(図6中、符号144のQ)を初期化して、データ領域を確保する(図2のステップST3)。
また、行列設定部1は、到来波ベクトルxの並べ替え情報(後述する要素並び替え部3により各要素が並び替えられた到来波ベクトルxの各要素の並び順を示す情報)の格納領域Q(図6中、符号144のQ)を初期化して、データ領域を確保する(図2のステップST3)。
到来波ベクトル生成部2は、行列設定部1が到来波行列Xを設定すると、上記の式(9)に示すように、その到来波行列X(図6中、符号145のX)を時間サンプル数Mだけ積み上げることで、到来波ベクトルx(図6中、符号146のx)を生成する(図2のステップST4)。
要素並び替え部3は、到来波ベクトル生成部2が到来波ベクトルxを生成すると、その到来波ベクトルxに含まれている要素xk毎に、当該要素xkが疎であるか否かを判定し、疎成分の要素が左端に集まるように各要素xkを並び替える処理を実施する。
ここで、図7は到来波ベクトルxが疎ベクトルに修整されていく様子を示す説明図である。詳細は後述するが、反復2周目において、到来波ベクトルxに含まれている疎成分の要素が左端に集められている。
要素並び替え部3は、各要素xkを並び替える処理を実施すると、並び替え後の各要素xkの並び順を示す並べ替え情報を格納領域Q(図6中、符号144のQ)に格納する(図2のステップST5)。
また、要素並び替え部3は、到来波ベクトルxに含まれている各要素xkの並び替えを行うと、並べ替えた要素に対する演算結果が変わらないようにするため、行列設定部1により生成された行列b(図6中、符号143のb)の各要素の並び順が、到来波ベクトルxの各要素xkの並び順と一致するように並び替える(図2のステップST6)。
ここで、図7は到来波ベクトルxが疎ベクトルに修整されていく様子を示す説明図である。詳細は後述するが、反復2周目において、到来波ベクトルxに含まれている疎成分の要素が左端に集められている。
要素並び替え部3は、各要素xkを並び替える処理を実施すると、並び替え後の各要素xkの並び順を示す並べ替え情報を格納領域Q(図6中、符号144のQ)に格納する(図2のステップST5)。
また、要素並び替え部3は、到来波ベクトルxに含まれている各要素xkの並び替えを行うと、並べ替えた要素に対する演算結果が変わらないようにするため、行列設定部1により生成された行列b(図6中、符号143のb)の各要素の並び順が、到来波ベクトルxの各要素xkの並び順と一致するように並び替える(図2のステップST6)。
対角成分設定部4は、要素並び替え部3が到来波ベクトルxの各要素xkを並び替えると、上記の式(8)に示すように、その到来波ベクトルxから設定用ベクトルS(図6中、符号147のS)を算出する(図2のステップST7)。
対角成分設定部4は、設定用ベクトルSを算出すると、式(5)に示すように、その設定用ベクトルSを行列設定部1により設定された初期行列H0(図6中、符号140のH0)の対角成分に設定し、設定後の初期行列H0を行列H(図6中、符号141のH)として出力する(図2のステップST8)。
即ち、対角成分設定部4は、全ての成分が0である疎行列の対角成分に設定用ベクトルSを設定することで、図6中、符号148の疎行列を定義し、その疎行列を行列設定部1により設定された初期行列H0に足し合わせることで、図6中、符号141の行列Hを生成する。
即ち、対角成分設定部4は、全ての成分が0である疎行列の対角成分に設定用ベクトルSを設定することで、図6中、符号148の疎行列を定義し、その疎行列を行列設定部1により設定された初期行列H0に足し合わせることで、図6中、符号141の行列Hを生成する。
到来波行列更新部5は、対角成分設定部4が行列Hの対角成分を設定すると、格納領域Pから疎成分に対する部分演算結果をロードし(図2のステップST9)、その部分演算結果を引き継ぐ形で、上記の式(16)に示すように、連立方程式HX=bを解くことで到来波行列X(図6中、符号145のX)を求め、その到来波行列Xを更新後の到来波行列X(新しい解)に設定する(図3のステップST10)。
また、到来波行列更新部5は、疎成分に対する連立方程式の求解操作を部分演算結果として格納領域Pに格納する(図3のステップST11)。
なお、疎成分に対する部分演算結果を引き継ぐ形で連立方程式を解いているので、到来波ベクトルxに疎成分が多く現れるほど、より多くの演算結果を引き継ぐことができるため、連立方程式の求解操作に対する演算量が削減される。
以下、到来波行列更新部の処理内容を具体的に説明する。
また、到来波行列更新部5は、疎成分に対する連立方程式の求解操作を部分演算結果として格納領域Pに格納する(図3のステップST11)。
なお、疎成分に対する部分演算結果を引き継ぐ形で連立方程式を解いているので、到来波ベクトルxに疎成分が多く現れるほど、より多くの演算結果を引き継ぐことができるため、連立方程式の求解操作に対する演算量が削減される。
以下、到来波行列更新部の処理内容を具体的に説明する。
到来波行列更新部5は、対角成分設定部4が行列Hの対角成分を設定すると、下記の式(21)に示すように、その行列Hを下三角行列L(上三角成分がゼロの行列)と上三角行列U(下三角行列がゼロの行列)との積(H=LU)の形に分解する(LU分解操作)。
通常のLU分解では、行列Hの左上隅の成分H1,1を除数として選択し、同じ列の成分(H2,1,H3,1…HN,1)を除算して行列Hを更新する。ここで、下記に示すように除算後のH2,1,H3,1…HN,1を(N―1)行1列の行列、H1,1と同じ行の成分H1,2,H1,3…H1,Nを1行(N−1)列の行列とする。
この時点で、対角成分H1,1と上記の行列成分は、以降の操作で更新されない成分として確定する。
このとき、上記の(N−1)行1列の行列と1行(N−1)列の行列との積をとった下記の(N−1)行(N−1)列の行列を、行列Hの残る成分値に対するマイナス値として、行列Hを更新する。
このとき、上記の(N−1)行1列の行列と1行(N−1)列の行列との積をとった下記の(N−1)行(N−1)列の行列を、行列Hの残る成分値に対するマイナス値として、行列Hを更新する。
H1,1が到来波ベクトルxの疎成分に対応した対角成分であり、H1,1及びH1,1と同じ行と列の成分が格納領域Pに格納されていない場合は、上記の手順で値を計算し、確定したH1,1及びH1,1と同じ行と列の成分を格納領域Pに格納する。同様に、(N−1)行(N−1)列のマイナス値行列を上記の手順で計算し、格納領域Pに格納する。
一方、H1,1が到来波ベクトルxの疎成分に対応した対角成分であり、H1,1及びH1,1と同じ列と行の成分が格納領域Pに格納されている場合は、上記の手順でH1,1及びH1,1と同じ行と列の成分を計算する代わりに、格納領域Pから対応する成分値を行列Hに代入する。
残る行列Hの対角成分に対しても、同様の操作を右下隅の方向へ順に繰り返し、格納領域Pから代入操作ができない対角成分(到来波ベクトルxの非疎成分に対応した対角成分)に遭遇した時点で、行列Hの残る成分値(部分行列)を、格納領域Pに格納したマイナス値行列を適用して更新する。その後、残る対角成分に対して通常のLU分解操作を進めていくことで、丁度、下三角行列Lと上三角行列Uをひとまとめに格納した行列Hが生成される。
一方、H1,1が到来波ベクトルxの疎成分に対応した対角成分であり、H1,1及びH1,1と同じ列と行の成分が格納領域Pに格納されている場合は、上記の手順でH1,1及びH1,1と同じ行と列の成分を計算する代わりに、格納領域Pから対応する成分値を行列Hに代入する。
残る行列Hの対角成分に対しても、同様の操作を右下隅の方向へ順に繰り返し、格納領域Pから代入操作ができない対角成分(到来波ベクトルxの非疎成分に対応した対角成分)に遭遇した時点で、行列Hの残る成分値(部分行列)を、格納領域Pに格納したマイナス値行列を適用して更新する。その後、残る対角成分に対して通常のLU分解操作を進めていくことで、丁度、下三角行列Lと上三角行列Uをひとまとめに格納した行列Hが生成される。
ここで、下三角行列Lは上三角成分がゼロであるため、未知行列tの成分値は、下記の式(23)で表されるように、代入操作(前進代入)によって徐々に求まっていくものである。
この結果、得られた行列tを使用して、同様の代入操作をUX=tに対して行えば、連立方程式の解である到来波行列Xが求まる。
ただし、Uは上三角行列であるため、代入操作は逆順(後進代入)となる。
この結果、得られた行列tを使用して、同様の代入操作をUX=tに対して行えば、連立方程式の解である到来波行列Xが求まる。
ただし、Uは上三角行列であるため、代入操作は逆順(後進代入)となる。
収束判定部6は、到来波行列更新部5が到来波行列Xを更新(到来波行列Xに対する修整操作)すると、上記の式(17)に示すように、更新後の到来波行列Xが収束しているか否かを判定する(図2のステップST12)。
収束判定部6は、到来波行列Xが収束していると判定すれば、到来波行列Xに対する修整操作を終了するが、未だ到来波行列Xが収束していないと判定すれば、到来波ベクトル生成部2、対角成分設定部4及び到来波行列更新部5に対して反復計算指令を出力することで、到来波ベクトルxの生成から到来波行列Xの更新までの処理を繰り返し実施させる。
収束判定部6は、到来波行列Xが収束していると判定すれば、到来波行列Xに対する修整操作を終了するが、未だ到来波行列Xが収束していないと判定すれば、到来波ベクトル生成部2、対角成分設定部4及び到来波行列更新部5に対して反復計算指令を出力することで、到来波ベクトルxの生成から到来波行列Xの更新までの処理を繰り返し実施させる。
到来波ベクトル復元部7は、収束判定部6により到来波行列Xが収束していると判定された場合(到来波行列Xに対する修整操作が終了した場合)、格納領域Q(図6中、符号144のQ)に格納されている並べ替え情報を参照して、要素並び替え部3により並び替えられている到来波ベクトルxの各要素xkを元の位置に戻してから、当該到来波ベクトルxを出力する。
ここで、図7を参照しながら、到来波ベクトルxが疎ベクトルに修整されていく様子を説明する。
反復1周目の処理は、従来のスペクトル推定方法と同様であり、到来波ベクトルx(図7中、符号129のx)は、非疎成分(斜線部)で埋められており、この到来波ベクトルxから設定用ベクトルS(図7中、符号130のS)が算出され、この設定用ベクトルSが対角成分(図7中、符号132の対角成分)となる行列H(図7中、符号131のH)が生成される。
この行列Hから、ステップST10での連立方程式の求解操作を経て、反復2周目の処理に移行する。
反復1周目の処理は、従来のスペクトル推定方法と同様であり、到来波ベクトルx(図7中、符号129のx)は、非疎成分(斜線部)で埋められており、この到来波ベクトルxから設定用ベクトルS(図7中、符号130のS)が算出され、この設定用ベクトルSが対角成分(図7中、符号132の対角成分)となる行列H(図7中、符号131のH)が生成される。
この行列Hから、ステップST10での連立方程式の求解操作を経て、反復2周目の処理に移行する。
反復2周目以降の処理では、到来波ベクトルx(図7中、符号133のx)に含まれている疎成分の要素が左端に集まるように、各要素xkの並び替えが行われる。到来波ベクトルxの各要素xkの並び替えに伴って、設定用ベクトルS(図7中、符号134のS)の定数成分の位置も左端に集まるため、行列H(図7中、符号135のH)の対角成分(図7中、符号136の対角成分)の定数部が左上隅に集まるようになる。連立方程式HX=bの求解操作では、対角成分を左上隅から右下隅へと順に選択し、選択した対角成分と、その対角成分と同じ行と列の成分の値を計算により確定させ、確定した成分値を用いて残る部分行列を更新する。このため、行列Hの対角成分の定数部を左上隅に集めておくことで、対角成分の定数部に対する反復2週目以降の演算は、格納領域Pから確定済みの演算結果を代入する操作に置き換えることができる。
このような並べ替えを含む形での最適化計算(到来波行列Xに対する修整操作)が収束すると、右端に非疎成分(斜線部)を有する到来波ベクトルx(図7中、符号137のx)が得られる。
この到来波ベクトルxの各要素xkを並べ替え以前の順序に再整列することで、従来のスペクトル推定方法で得られる到来波ベクトルx(図5中、符号128のx)と同様の到来波ベクトルx(図7中、符号138のx)を得ることができる。
このような並べ替えを含む形での最適化計算(到来波行列Xに対する修整操作)が収束すると、右端に非疎成分(斜線部)を有する到来波ベクトルx(図7中、符号137のx)が得られる。
この到来波ベクトルxの各要素xkを並べ替え以前の順序に再整列することで、従来のスペクトル推定方法で得られる到来波ベクトルx(図5中、符号128のx)と同様の到来波ベクトルx(図7中、符号138のx)を得ることができる。
以下、到来波行列更新部5における到来波行列Xの更新処理の具体例を説明する。
ここでは、一例として、N=3、下記の行列HをLU分解する操作例を説明する。図8はLU分解の操作例を示す説明図である。
なお、LU分解は、演算誤差の最小化を目的に、行や列を入れ替えるピボット操作を行うことが一般的であるが、説明を簡単にするため、ピボット操作を行わないLU分解を使用するものとする。また、行列Hの左上隅の成分H1,1は、定数であるものとする。
ここでは、一例として、N=3、下記の行列HをLU分解する操作例を説明する。図8はLU分解の操作例を示す説明図である。
なお、LU分解は、演算誤差の最小化を目的に、行や列を入れ替えるピボット操作を行うことが一般的であるが、説明を簡単にするため、ピボット操作を行わないLU分解を使用するものとする。また、行列Hの左上隅の成分H1,1は、定数であるものとする。
まず、反復1周目のLU分解では、行列H(図8中、符号150のH)の左上隅の成分H1,1を除数として選択し、同じ列の成分(H2,1,H3,1)を除算して行列H(図8中、符号151のH)へと更新する。
ここで、下記に示すように、H2,1,H3,1を2行1列の行列、H1,1と同じ行の成分H1,2,H1,3を1行2列の行列とする。
1行2列の行列=(5 7)
ここで、下記に示すように、H2,1,H3,1を2行1列の行列、H1,1と同じ行の成分H1,2,H1,3を1行2列の行列とする。
1行2列の行列=(5 7)
このとき、上記の2行1列の行列と1行2列の行列との積をとった下記の2行2列の行列は、行列H(図8中、符号151のH)の残る成分値に対するマイナス値となり、行列H(図8中、符号152のH)へと更新する。
これと同様の操作を、行列Hの左上隅から右下隅へ順に、対角成分を選択して繰り返すことで、丁度、下三角行列L(図8中、符号154のL)と上三角行列U(図8中、符号155のU)をひとまとめに格納した行列H(図8中、符号153のH)が生成される。
このとき、対角成分の定数を基準に、行と列の成分(図8中、符号156の成分)と、マイナス値の行列(図8中、符号157の行列)を部分演算結果として格納領域Pに格納する。
このとき、対角成分の定数を基準に、行と列の成分(図8中、符号156の成分)と、マイナス値の行列(図8中、符号157の行列)を部分演算結果として格納領域Pに格納する。
次に、反復2周目で、行列H(図8中、符号150のH)の対角成分が更新された下記の行列H(図8中、符号158のH)をLU分解する操作について説明する。
反復1周目に引き続き対角成分H1,1は定数である。
反復1周目に引き続き対角成分H1,1は定数である。
格納領域Pに格納されている部分演算結果のうち、計算結果(図8中、符号156の計算結果)を行列H(図8中、符号158のH)に代入して、行列H(図8中、符号159のH)へと更新する。
その後、マイナス値の行列(図8中、符号157の行列)を行列H(図8中、符号159のH)に適用して、行列H(図8中、符号160のH)へと更新する。
この時点で、対角成分H1,1に関するLU分解操作が完了しているため、次の対角成分H2,2から通常のLU分解を行うことで、丁度、下三角行列L(図8中、符号162のL)と上三角行列U(図8中、符号163のU)をひとまとめに格納した行列H(図8中、符号161のH)が生成される。
その後、マイナス値の行列(図8中、符号157の行列)を行列H(図8中、符号159のH)に適用して、行列H(図8中、符号160のH)へと更新する。
この時点で、対角成分H1,1に関するLU分解操作が完了しているため、次の対角成分H2,2から通常のLU分解を行うことで、丁度、下三角行列L(図8中、符号162のL)と上三角行列U(図8中、符号163のU)をひとまとめに格納した行列H(図8中、符号161のH)が生成される。
更に、以上の手順で、部分演算結果を引き継ぐLU分解を行うと、連立方程式を解くための代入操作まで省略することができる。
下記の式(26)において、対角成分H1,1を基準とした行と列(H1,1〜H1,N、H1,1〜HN,1)の演算結果が定数として格納領域Pに格納されている場合、下三角行列Lの列成分L1,1〜LN,1と上三角行列Uの行成分U1,1〜U1,Nも定数となる。
下記の式(26)において、対角成分H1,1を基準とした行と列(H1,1〜H1,N、H1,1〜HN,1)の演算結果が定数として格納領域Pに格納されている場合、下三角行列Lの列成分L1,1〜LN,1と上三角行列Uの行成分U1,1〜U1,Nも定数となる。
即ち、代入操作で解く下記の式(27)の連立方程式において、代入操作で要する乗算が、定数部分については、乗算結果の代入操作で置き換えられる。つまり、部分演算結果として、この定数部分に対する乗算結果も併せて格納領域Pに格納しておくようにする。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、行列設定部1により設定された到来波行列Xを積み上げることで到来波ベクトルxを生成する到来波ベクトル生成部2と、到来波ベクトル生成部2により生成された到来波ベクトルxに含まれている各要素xkのうち、疎成分の要素が左端に集まるように各要素xkを並び替える要素並び替え部3と、要素並び替え部3による並び替え後の到来波ベクトルxから定数成分が左端に集まっている設定用ベクトルSを算出し、その設定用ベクトルSによって行列Hの対角成分を設定する対角成分設定部4と、対角成分設定部4により対角成分が設定された行列Hと行列bを用いて、その到来波行列Xを更新する到来波行列更新部5とを設けるように構成したので、角度点数Nが大きく、到来波行列Xの行列サイズが大きくても、短時間で到来波行列Xを推定することができる効果を奏する。
即ち、この実施の形態1によれば、最適化の進行に伴って、到来波ベクトルxに疎成分が増えるほど、連立方程式の求解操作手順を省略することができる。この結果、反復1回毎の処理時間を徐々に短くすることができるため、従来より短時間で到来波行列Xの推定結果を得ることができる。
また、連立方程式を解く行列サイズを徐々に小さくすることができるため、到来波推定処理へ入力する行列サイズを大きくした場合でも、演算時間の爆発的な増加を抑制することができる。
また、連立方程式を解く行列サイズを徐々に小さくすることができるため、到来波推定処理へ入力する行列サイズを大きくした場合でも、演算時間の爆発的な増加を抑制することができる。
なお、この実施の形態1では、要素並び替え部3が、到来波ベクトル生成部2により生成された到来波ベクトルxに含まれている各要素xkのうち、疎成分の要素が左端に集まるように各要素xkを並び替えるものを示したが、予め設定された閾値(例えば、10−4)より小さな値を有する要素については、疎成分の要素に置き換えてから、疎成分の要素が左端に集まるように各要素xkを並び替えるようにしてもよい。
また、この実施の形態1では、到来波行列更新部5が、式(16)の連立方程式を解くことで到来波行列Xを更新するものを示したが、行列Hの行列サイズに応じて、到来波行列Xの更新演算の演算精度を切り替えるようにしてもよい。
即ち、この実施の形態1では、最適化の進行に伴って、扱う行列サイズ(行列Hのサイズ、到来波行列Xのサイズ)が縮小していく特徴を有しており、行列サイズが小さい場合には、精度の低い演算処理を行っても、演算誤差が小さくなるので、行列Hの行列サイズが一定の行列サイズ(例えば、100×100)以下となった時点で、例えば、倍精度の演算処理から単精度の演算処理に切り替えることで、高速な処理を実現するようにしてもよい。
即ち、この実施の形態1では、最適化の進行に伴って、扱う行列サイズ(行列Hのサイズ、到来波行列Xのサイズ)が縮小していく特徴を有しており、行列サイズが小さい場合には、精度の低い演算処理を行っても、演算誤差が小さくなるので、行列Hの行列サイズが一定の行列サイズ(例えば、100×100)以下となった時点で、例えば、倍精度の演算処理から単精度の演算処理に切り替えることで、高速な処理を実現するようにしてもよい。
また、この実施の形態1では、図2のステップST4〜ST12で反復計算を行うものを示したが、到来波行列更新部5が、到来波行列Xの更新を並列処理で行うようにしてもよい。
即ち、逐次的な反復処理である未知行列(到来波行列X)の修整操作(行列Hの対角成分を更新して連立方程式を解く操作)に対して、反復1回当りの未知行列の修整を、複数のCPUの演算単位で並列処理する手段を備え、未知行列を並列に修整する(連立方程式を並列に解く)ようにしてもよい。
あるいは、グラフィックス用プロセッサであるGPUで並列処理する手段を備えて、未知行列を並列に修整する(連立方程式を並列に解く)ようにしてもよい。
即ち、逐次的な反復処理である未知行列(到来波行列X)の修整操作(行列Hの対角成分を更新して連立方程式を解く操作)に対して、反復1回当りの未知行列の修整を、複数のCPUの演算単位で並列処理する手段を備え、未知行列を並列に修整する(連立方程式を並列に解く)ようにしてもよい。
あるいは、グラフィックス用プロセッサであるGPUで並列処理する手段を備えて、未知行列を並列に修整する(連立方程式を並列に解く)ようにしてもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、到来波行列更新部5が連立方程式を解く最適化アルゴリズムで構成され、格納領域Pから疎成分に対する部分演算結果をロードし、その部分演算結果を引き継ぐ形で演算量を削減する方式を示したが、到来波行列更新部5が、対角成分設定部4により対角成分が設定された行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を連立方程式の演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで連立方程式を解くようにしてもよい。
上記実施の形態1では、到来波行列更新部5が連立方程式を解く最適化アルゴリズムで構成され、格納領域Pから疎成分に対する部分演算結果をロードし、その部分演算結果を引き継ぐ形で演算量を削減する方式を示したが、到来波行列更新部5が、対角成分設定部4により対角成分が設定された行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を連立方程式の演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで連立方程式を解くようにしてもよい。
図9はこの発明の実施の形態2によるスペクトル推定装置の処理内容(スペクトル推定方法)を示すフローチャートである。
この実施の形態2では、上記実施の形態1と比べると、行列設定部1が部分演算結果の格納領域Pを初期化する処理(ステップST2)と、到来波行列更新部5が格納領域Pから疎成分に対する部分演算結果をロードする処理(ステップST9)と、到来波行列更新部5が疎成分に対する連立方程式の求解操作を部分演算結果として格納領域Pに格納する処理(ステップST11)とがなくなっている。
また、この実施の形態2では、到来波行列更新部5が、行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を連立方程式の演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで連立方程式を解くようにしている(図9のステップST20)。
この実施の形態2では、上記実施の形態1と比べると、行列設定部1が部分演算結果の格納領域Pを初期化する処理(ステップST2)と、到来波行列更新部5が格納領域Pから疎成分に対する部分演算結果をロードする処理(ステップST9)と、到来波行列更新部5が疎成分に対する連立方程式の求解操作を部分演算結果として格納領域Pに格納する処理(ステップST11)とがなくなっている。
また、この実施の形態2では、到来波行列更新部5が、行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を連立方程式の演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで連立方程式を解くようにしている(図9のステップST20)。
図10はこの実施の形態2における到来波行列更新部5の更新処理を示す説明図である。
図10はN=3で、行列H(図10中、符号200のH)が下記の場合を示している。
この例では、対角成分H1,1が定数であるものとして扱う。
図10はN=3で、行列H(図10中、符号200のH)が下記の場合を示している。
この例では、対角成分H1,1が定数であるものとして扱う。
この実施の形態2では、到来波行列更新部5が到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する到来波行列Xの定数成分を演算対象から除外するため、対角成分H1,1を基点とする行成分H1,1〜H1,Nと列成分H1,1〜HN,1を削除する。
これにより、行列H(図10中、符号200のH)は、行列H(図10中、符号201のH)へと更新される。
到来波行列更新部5は、連立方程式内の行列Hが符号201の行列Hであるとして、LU分解やコレスキー分解などを用いた方法で、連立方程式を解くようにする。
これにより、行列H(図10中、符号200のH)は、行列H(図10中、符号201のH)へと更新される。
到来波行列更新部5は、連立方程式内の行列Hが符号201の行列Hであるとして、LU分解やコレスキー分解などを用いた方法で、連立方程式を解くようにする。
なお、この実施の形態2で示している未知行列である到来波行列Xに対する修整操作を、任意の反復タイミングで、上記実施の形態1で示している修整操作に切り替えるようにしてもよい。
逆に、上記実施の形態1で示している修整操作を、任意の反復タイミングで、上記実施の形態2で示している修整操作に切り替えるようにしてもよい。
また、連立方程式を解く方法(LU分解やコレスキー分解など)は、任意の反復タイミングで切り替えても構わない。連立方程式を解いた後に、演算誤差を判定し、別の連立方程式を解く方法で、解き直しても構わない。
逆に、上記実施の形態1で示している修整操作を、任意の反復タイミングで、上記実施の形態2で示している修整操作に切り替えるようにしてもよい。
また、連立方程式を解く方法(LU分解やコレスキー分解など)は、任意の反復タイミングで切り替えても構わない。連立方程式を解いた後に、演算誤差を判定し、別の連立方程式を解く方法で、解き直しても構わない。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、到来波行列更新部5が、対角成分設定部4により対角成分が設定された行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を連立方程式の演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで連立方程式を解くように構成しているので、上記実施の形態1と同様の効果を奏する他に、最適化の進行に伴って、到来波ベクトルxに疎成分が増えるほど、連立方程式を解く解の数を削減して、処理の高速化を図ることができる効果を奏する。
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、到来波行列更新部5が、連立方程式を解く最適化アルゴリズムで構成されているものを示したが、到来波行列更新部5の手段として、連立方程式の計算を必要としない最適化アルゴリズムを利用し、その際の行列積計算に対して疎成分に対応する演算を省略するようにしても構わない。
この実施の形態3では、連立方程式の計算を必要としない最適化アルゴリズムに対する実施例を説明する便宜上、「最急降下法」の操作手順を例に説明するが、最急降下法と同様に連立方程式の計算を必要としない他の最適化アルゴリズム(例えば、「非線形共役勾配法」やヘッセ逆行列を直接的に近似した「準ニュートン法」など)を使用するようにしてもよい。
上記実施の形態1,2では、到来波行列更新部5が、連立方程式を解く最適化アルゴリズムで構成されているものを示したが、到来波行列更新部5の手段として、連立方程式の計算を必要としない最適化アルゴリズムを利用し、その際の行列積計算に対して疎成分に対応する演算を省略するようにしても構わない。
この実施の形態3では、連立方程式の計算を必要としない最適化アルゴリズムに対する実施例を説明する便宜上、「最急降下法」の操作手順を例に説明するが、最急降下法と同様に連立方程式の計算を必要としない他の最適化アルゴリズム(例えば、「非線形共役勾配法」やヘッセ逆行列を直接的に近似した「準ニュートン法」など)を使用するようにしてもよい。
図11はこの発明の実施の形態3によるスペクトル推定装置の処理内容(スペクトル推定方法)を示すフローチャートである。
この実施の形態3では、上記実施の形態2と比べると、到来波行列更新部5が、式(4)に基づき、到来波行列Xを評価する目的関数の勾配▽f(X)を行列積HXと行列bとの差分として計算し、その計算した勾配▽f(X)から式(10)、式(11)、式(12)に基づき、到来波行列Xを更新する形式に置き換わっている。
即ち、上記実施の形態2における図9のフローチャートのうち、連立方程式の計算による到来波行列Xの更新処理(ステップST20)が、この実施の形態3における図11のフローチャートでは、行列積HXの計算を中心とする到来波行列Xの更新処理(ステップST30)に置き換わっている。このステップST30以外の処理内容については、上記実施の形態2と同様である。
また、この実施の形態3では、到来波行列更新部5が、行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を行列積HXの演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで行列積を計算するようにしている。
この実施の形態3では、上記実施の形態2と比べると、到来波行列更新部5が、式(4)に基づき、到来波行列Xを評価する目的関数の勾配▽f(X)を行列積HXと行列bとの差分として計算し、その計算した勾配▽f(X)から式(10)、式(11)、式(12)に基づき、到来波行列Xを更新する形式に置き換わっている。
即ち、上記実施の形態2における図9のフローチャートのうち、連立方程式の計算による到来波行列Xの更新処理(ステップST20)が、この実施の形態3における図11のフローチャートでは、行列積HXの計算を中心とする到来波行列Xの更新処理(ステップST30)に置き換わっている。このステップST30以外の処理内容については、上記実施の形態2と同様である。
また、この実施の形態3では、到来波行列更新部5が、行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を行列積HXの演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで行列積を計算するようにしている。
図12はこの発明の実施の形態3によるスペクトル推定装置での到来波推定の処理フローを図解している説明図である。
上記実施の形態2と同様の手順で、行列H(図12の符号323)、行列X(図12の符号320)及びベクトルx(図12の符号321)は、到来波ベクトル生成部2、行列設定部1、要素並び替え部3によって、疎成分(図12の符号320から符号323までの斜線領域)と非疎成分(図12の符号320から符号323の白色領域)とがそれぞれ集合するように並べ替えが行われている。
上記実施の形態2と同様の手順で、行列H(図12の符号323)、行列X(図12の符号320)及びベクトルx(図12の符号321)は、到来波ベクトル生成部2、行列設定部1、要素並び替え部3によって、疎成分(図12の符号320から符号323までの斜線領域)と非疎成分(図12の符号320から符号323の白色領域)とがそれぞれ集合するように並べ替えが行われている。
到来波行列Xの更新処理において、勾配▽f(X)を求めるための行列積HXの計算では、n行m列目の要素Cn,mが、下記の式(30)に示すように、行列Hのn行目の行ベクトルと、行列Xのm列目の列ベクトルとの積和計算によって求められる。
この際、到来波行列Xにおいて疎となった領域は、以降の反復計算中も常に疎として扱うことで、その後の反復計算では、疎と判明した領域に対する値の修整処理が必要なくなる。このため、行列積HXの計算領域のうち、行列Xの疎成分に対応する領域(図12の符号324の白色領域)の計算については全て省略しても到来波行列Xの更新に支障がなく、演算量を削減した勾配▽f(X)の計算が実施される。
更に、到来波行列Xの非疎成分に対応する領域についても、Xi,mの疎となった領域(図12の符号320)に対するHn,iとの積の結果はゼロであるため、式(30)における積和計算のうち、行列Xの疎となった領域に対応する積和計算を省略して扱う。このため、到来波行列Xに疎成分が増加していくにつれて、対応する行列Hの計算不要な領域(図12の符号323の白色領域)が増加し、演算量を削減した勾配▽f(X)の計算が実施される。
更に、到来波行列Xの非疎成分に対応する領域についても、Xi,mの疎となった領域(図12の符号320)に対するHn,iとの積の結果はゼロであるため、式(30)における積和計算のうち、行列Xの疎となった領域に対応する積和計算を省略して扱う。このため、到来波行列Xに疎成分が増加していくにつれて、対応する行列Hの計算不要な領域(図12の符号323の白色領域)が増加し、演算量を削減した勾配▽f(X)の計算が実施される。
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、到来波行列更新部5が、対角成分設定部4により対角成分が設定された行列Hに含まれている到来波ベクトルxの疎成分の要素に対応する行列成分を行列積の演算対象から除外し、その疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで行列積計算を解くように構成しているので、連立方程式の計算を必要としない最適化アルゴリズムを利用した場合においても、上記実施の形態1,2と同様に、最適化の進行に伴って、到来波ベクトルxに疎成分が増えるほど、行列積の演算量を削減して、処理の高速化を図ることができる効果を奏する。
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、スペクトル推定装置が、空間方向に対する電力スペクトルである到来波(アンテナ素子の受信信号に含まれている到来波)を推定するものを示したが、y=AX+nとしてモデル化できるスペクトル推定問題であれば、汎用的に当てはめて利用して、未知行列Xの推定を実施することができる。
この実施の形態4では、その一例として、周波数スペクトルである遅延時間の推定について説明する。
上記実施の形態1〜3では、スペクトル推定装置が、空間方向に対する電力スペクトルである到来波(アンテナ素子の受信信号に含まれている到来波)を推定するものを示したが、y=AX+nとしてモデル化できるスペクトル推定問題であれば、汎用的に当てはめて利用して、未知行列Xの推定を実施することができる。
この実施の形態4では、その一例として、周波数スペクトルである遅延時間の推定について説明する。
遅延時間の推定では、時間サンプル数Mで観測した時間軸上の受信信号(時間波形)をM×1の観測行列yとし、これに対応する周波数軸上での時間周波数をM×1の行列Xとすることで、例えば、レーダから目標に対して放射したパルス波が反射して返ってくるまでの遅延時間を求める。このとき、辞書行列Aは、下記の式(31)で表される。
上記実施の形態1〜3では、未知行列Xが到来波行列であり、その到来波行列Xを積み上げることで到来波ベクトルxが生成されるが、この実施の形態4では、未知行列Xが遅延時間行列であり、その遅延時間行列を積み上げることで遅延時間ベクトルxが生成される。
上記実施の形態1〜3では、未知行列Xが到来波行列であり、その到来波行列Xを積み上げることで到来波ベクトルxが生成されるが、この実施の形態4では、未知行列Xが遅延時間行列であり、その遅延時間行列を積み上げることで遅延時間ベクトルxが生成される。
また、辞書行列A及び未知行列Xと観測行列yは、上記の式(1)によって関連付けられる。
ここで、未知行列Xを推定するために、上記実施の形態1〜3の観測条件に合うように、時間サンプル数Mを1に、角度点数Nを実施の形態4における時間サンプル数Mに、アンテナ素子数Lを実施の形態4における時間サンプル数Mに設定する。
これにより、上記実施の形態1〜3のいずれかに示した方法で、この実施の形態4における周波数軸上での時間周波数のスペクトルXが求まる。
ここで、未知行列Xを推定するために、上記実施の形態1〜3の観測条件に合うように、時間サンプル数Mを1に、角度点数Nを実施の形態4における時間サンプル数Mに、アンテナ素子数Lを実施の形態4における時間サンプル数Mに設定する。
これにより、上記実施の形態1〜3のいずれかに示した方法で、この実施の形態4における周波数軸上での時間周波数のスペクトルXが求まる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
この発明は、角度点数が大きく、スペクトル行列Xの行列サイズが大きくても、短時間でスペクトル行列Xを推定する必要があるスペクトル推定装置及びスペクトル推定方法に適している。
1 行列設定部(行列設定手段)、2 到来波ベクトル生成部(ベクトル生成手段)、3 要素並び替え部(並び替え手段)、4 対角成分設定部(対角成分設定手段)、5 到来波行列更新部(行列更新手段)、6 収束判定部(収束判定手段)、7 到来波ベクトル復元部(収束判定手段)。
Claims (10)
- 1以上のアンテナ素子の走査ベクトルからなる辞書行列の複素共役転置と前記辞書行列との積の行列Hと、前記アンテナ素子の受信信号からなる観測行列と前記辞書行列の複素共役転置との積の行列bと、前記受信信号に含まれているスペクトルに関する未知行列であるスペクトル行列とを設定する行列設定手段と、
前記スペクトル行列を積み上げることでスペクトルベクトルを生成するベクトル生成手段と、
前記ベクトル生成手段により生成されたスペクトルベクトルに含まれている各要素のうち、疎成分の要素が集まるように前記各要素を並び替える並び替え手段と、
前記並び替え手段による並び替え後のスペクトルベクトルから定数成分が集まった設定用ベクトルを算出し、前記設定用ベクトルによって前記行列Hの対角成分を設定する対角成分設定手段と、
前記対角成分設定手段により対角成分が設定された行列Hと前記行列bを用いて、前記スペクトル行列を更新する行列更新手段と、
前記行列更新手段により更新されたスペクトル行列が収束するまで、前記スペクトルベクトルの生成から前記スペクトル行列の更新までの処理を繰り返し実施させる収束判定手段と
を備えたスペクトル推定装置。 - 前記収束判定手段は、前記行列更新手段により更新されたスペクトル行列が収束している場合、前記並び替え手段により並び替えられているスペクトルベクトルの各要素を元の位置に戻してから、当該スペクトルベクトルを出力することを特徴とする請求項1記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列更新手段は、前記ベクトル生成手段により生成されたスペクトルベクトルに含まれている各要素のうち、予め設定された閾値より小さな値を有する要素については、疎成分の要素に置き換えてから、疎成分の要素が集まるように前記各要素を並び替えることを特徴とする請求項1記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列更新手段は、前記対角成分設定手段により対角成分が設定された行列Hと前記行列bを用いて、前記スペクトル行列を更新する際、前記行列Hの行列サイズに応じて、前記スペクトル行列の更新演算の演算精度を切り替えることを特徴とする請求項1記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列更新手段は、前記対角成分設定手段により対角成分が設定された行列Hと前記スペクトル行列の積が前記行列bと一致する連立方程式を解くことで更新後の前記スペクトル行列を求め、前記スペクトルベクトルの疎成分の要素に対応する行列成分への演算結果を格納して、2回目以降の連立方程式を解く際に再利用することを特徴とする請求項1記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列更新手段は、前記対角成分設定手段により対角成分が設定された行列Hに含まれている前記スペクトルベクトルの疎成分の要素に対応する行列成分を前記連立方程式の演算対象から除外し、前記疎成分の要素に対応する行列成分以外の行列成分のみで前記連立方程式を解くことを特徴とする請求項5記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列更新手段は、前記連立方程式の求解をLU分解又はコレスキー分解の操作で実現することを特徴とする請求項5記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列更新手段は、スペクトル行列の更新を並列処理で行うことを特徴とする請求項1記載のスペクトル推定装置。
- 前記行列設定手段は、前記受信信号に含まれているスペクトルに関するスペクトル行列として、前記受信信号に含まれている空間方向に対する電力スペクトルである到来波に関する到来波行列を設定し、
前記ベクトル生成手段は、前記到来波行列を積み上げることで到来波ベクトルを生成し、
前記並び替え手段は、前記ベクトル生成手段により生成された到来波ベクトルに含まれている各要素のうち、疎成分の要素が集まるように前記各要素の並び替えを実施し、
前記対角成分設定手段は、前記並び替え手段による並び替え後の到来波ベクトルから定数成分が集まった設定用ベクトルを算出し、前記設定用ベクトルによって前記行列Hの対角成分を設定し、
前記行列更新手段は、前記対角成分設定手段により対角成分が設定された行列Hと前記行列bを用いて、前記到来波行列を更新し、
前記収束判定手段は、前記行列更新手段により更新された到来波行列が収束するまで、前記到来波ベクトルの生成から前記到来波行列の更新までの処理を繰り返し実施させることを特徴とする請求項1記載のスペクトル推定装置。 - 行列設定手段が、1以上のアンテナ素子の走査ベクトルからなる辞書行列の複素共役転置と前記辞書行列との積の行列Hと、前記アンテナ素子の受信信号からなる観測行列と前記辞書行列の複素共役転置との積の行列bと、前記受信信号に含まれているスペクトルに関する未知行列であるスペクトル行列とを設定する行列設定処理ステップと、
ベクトル生成手段が、前記スペクトル行列を積み上げることでスペクトルベクトルを生成するベクトル生成処理ステップと、
並び替え手段が、前記ベクトル生成処理ステップで生成されたスペクトルベクトルに含まれている各要素のうち、疎成分の要素が集まるように前記各要素を並び替える並び替え処理ステップと、
対角成分設定手段が、前記並び替え処理ステップでの並び替え後のスペクトルベクトルから定数成分が集まった設定用ベクトルを算出し、前記設定用ベクトルによって前記行列Hの対角成分を設定する対角成分設定処理ステップと、
行列更新手段が、前記対角成分設定処理ステップで対角成分が設定された行列Hと前記行列bを用いて、前記スペクトル行列を更新する行列更新処理ステップと、
収束判定手段が、前記行列更新処理ステップで更新されたスペクトル行列が収束するまで、前記スペクトルベクトルの生成から前記スペクトル行列の更新までの処理を繰り返し実施させる収束判定処理ステップと
を備えたスペクトル推定方法。
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