JP5984405B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置に関し、特に、傾斜磁場コイルの駆動に伴い発生する振動および騒音の低減構造の経年変化に伴う静磁場均一度の変化を制御する技術に関する。
MRI装置は、静磁場発生磁石により発生された均一な静磁場空間内に配置された被検体に、傾斜磁場コイルにて時間的に変化する傾斜磁場を印加するとともに、高周波コイル(以下、RFコイルと称す)からラーモア周波数のRFパルスを送信して印加する。これにより、被検体内の原子核スピンを磁気的に共鳴させ、励起により生じた核磁気共鳴信号(以下、NMR信号と称す)を検出する。そして、このNMR信号を用いて画像再構成することにより、被検体の物理的性質をあらわす磁気共鳴画像(以下、MRI画像という)を得るものである。
特に、水平磁場タイプの静磁場発生磁石は、円筒型形状を有して超電導コイルにより円筒ボア内に静磁場を発生する超電導磁石が殆どであり、その円筒ボア内に傾斜磁場コイルを収納する。そして、円筒ボア内部に1.5テスラ〜3.0テスラ程度の強力な静磁場を発生する。
また、前述の傾斜磁場コイルの一例として、アクティブ・シールド型傾斜磁場コイル(以下、ASGCと称す)がある。ASGCは、撮像空間に傾斜磁場を発生するメイン・コイルと、メイン・コイルからの漏洩磁場を抑制することで静磁場発生磁石の導電性金属部材に発生する渦電流を軽減するためのシールド・コイルから構成される。そして、メイン・コイルとシールド・コイルの間には、静磁場の均一度を調整するための磁性シム部材が配置されて、ASGCと一体化した構成とされる。
このような傾斜磁場コイルには傾斜磁場電源が接続され、撮影条件に応じて適切なタイミング及び電圧でパルス状電流が印加される。そのため、静磁場中の傾斜磁場コイルにパルス電流が流れると、その電流にローレンツ力が作用し、その結果傾斜磁場コイルが振動して騒音となる。さらに、傾斜磁場コイルの振動は、静磁場発生磁石に伝播し、特に超電導磁石であればその真空容器を振動させ、さらに騒音を増大させる。
これらの騒音は、撮像空間内に挿入される被検体に非常な不快感・不安感を与える。
振動および騒音を低減し、かつ構造を簡素化する技術としては、減衰機能を有する例えば防振ゴムなどの防振ダンパを介して、傾斜磁場コイルを静磁場発生磁石から支持することで、傾斜磁場コイルから静磁場発生磁石へ振動の固体伝播を軽減する構造が考案されている。(特許文献1参照)
特開平2007-202900号公報
磁性シム部材を一体化しているASGCは、静磁場の空間的均一度が変化しないようにするために、静磁場発生磁石に対する相対位置が変化しないように支持される必要がある。
しかしながら、一般に、防振ゴムなどの非金属材料は、金属に比べ、塑性変形(以下、クリープと称す)量が大きく、荷重量に依存するが、例えば、変形量が数年間で数10〜数百ミクロン程度に及ぶ場合がある。このような防振ゴムを傾斜磁場コイルの振動および騒音の低減目的で使用すると、防振ゴムは経年クリープし、そのクリープ量だけ、傾斜磁場コイルと静磁場発生磁石との相対位置も経年変化する。その結果、静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間的均一度も経年変化して乱されることになる。
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、傾斜磁場コイルの駆動に伴う振動と騒音を低減するための防振構造の経年変化に伴う静磁場の空間的均一度の変化を抑制又は許容範囲内に維持することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のMRI装置は、円筒形状の静磁場発生磁石と、静磁場発生磁石のボア内に軸方向を共通にして配置された円筒状の傾斜磁場コイルと、静磁場発生磁石から支持構造を介して傾斜磁場コイルを支持するものであって、傾斜磁場コイルは、下部の少なくとも一部において、軸方向の長さが、静磁場発生磁石の軸方向の長さより長く形成され、支持構造は、防振ダンパと前記傾斜磁場コイルの配置位置を調整するための位置調整機構を備えて、前記傾斜磁場コイルの両端下部にそれぞれ接続されている。そして、位置調整機構は、静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間分布を球面調和関数で展開して得られる所定の級数項で表される空間的不均一磁場成分に応じて、防振ダンパのクリープの順方向とは逆方向に傾斜磁場コイルの配置位置を調整したものであることを特徴とする。

本発明のMRI装置によれば、支持構造が寝台に配置された被検体の背面側となるので、大きめの占有体積を有する振動減衰器を含む支持構造であっても、被検体の視野角には影響しない。そのため、開放性を損なうことがなく、開放性を向上させた状態で傾斜磁場コイルを静磁場発生磁石から支持することができる。
また、支持構造に大きい占有体積を確保できるため、振動減衰器が荷重量(荷重面圧)依存のあるクリープ変化を有する防振ダンパである場合、十分に荷重面積を大きくして荷重面圧を下げることが可能となる。したがって、振動減衰器のクリープの経時変化率を小さくしてクリープ量を抑制でき、長期間でも微量なクリープ量とすることができる。その結果、静磁場発生磁石と傾斜磁場コイルとの相対距離の経年変化も小さく抑制でき、静磁場の空間的均一度の劣化を抑制することが可能となる。
本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図 円筒形状の超電導磁石と、そのボア内に配置された傾斜磁場コイルが組み立てられた状態の斜視図を示す図 図2の構成を、超電導磁石2の中心軸(Z方向)2を通り上下方向(Y方向)に並行な平面で切断した断面図を示す図 防振ゴムの経過時間に対する塑性変形量の推移と荷重依存の関係を示す図 傾斜磁場コイルの支持構造に備わる押しボルトによる位置調整機構を示す。(a)は、超電導磁石の中心軸方向から見た側面図を示し、(b)は、(a)の構成を、超電導磁石の中心軸(Z方向)を通り上下方向(Y方向)に並行な平面で切断した断面図を示す。(c)は。(b)の右側の置調整機構の拡大図を示す。(d)は、(c)の変形例を示す図 傾斜磁場コイルの位置調整に応じた、静磁場の空間的均一度を乱す不整磁場成分の変化傾向を示す。不整磁場成分として、例えば、Z方向のZ3項とY方向のZ2Y項を示す図 傾斜磁場コイルが、静磁場発生磁石のボア内で、Z方向とY方向にクリープにより変位した場合の不整磁場成分の径時変化の一例を示す図 本実施例3の磁性シムの配置量を決定するための処理フローをあらわすフローチャート
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施例について詳説する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
最初に、本発明に係るMRI装置を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、RF送信コイル104及びRF送信部110と、RF受信コイル105及び信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部112と、表示・操作部118と、被検体101を搭載する天板を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド106と、を備えて構成される。
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
また、静磁場不均一を低減するための補償磁場を発生するシムコイルを備える。シムコイルは各次数の補償磁場を発生する成分コイルをそれぞれ有してなる。具体的には、2次成分(x^2、y^2、xy、yz、zx、(x^2-y^2)成分など)、或いは更なる高次成分を含んでも良い。なお、0次(Bo成分)成分はRFパルスの励起周波数f0により補償され、1次成分は傾斜磁場コイルと兼用される。そして各成分コイルが、それぞれシミング電流値の電流が供給されて、各成分の補償磁場を発生する。このシムコイルは後述する傾斜磁場コイル103と一体化されていても良い。
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルである。特に本発明に係る傾斜磁場コイル103は、ASGCであって、撮像空間に傾斜磁場を形成するメイン・コイルと、静磁場発生磁石102の導電性金属部材に発生される渦電流を軽減すべく、メイン・コイルからの漏洩磁場を抑制するシールド・コイルから構成される。そして、メイン・コイルとシールド・コイルの間には、静磁場の空間的均一度を調整するための磁性シム部材がシムトレイに搭載された状態で配置されて、ASGCと一体化した構成とされる。
X、Y、Zの3軸方向に巻かれた各コイルは、それぞれを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれのコイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、NMR信号(エコー信号)にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。
RF送信コイル104は、被検体101に照射RF磁場パルス(以下、RFパルスと略記する)を照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子のスピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスを振幅変調し、増幅した後に被検体101に近接して配置されたRF送信コイル104に供給することにより、RFパルスが被検体101に照射される。
RF受信コイル105は、被検体101の生体組織を構成するスピンのNMR現象により放出されるエコー信号を受信するコイルであり、信号処理部107に接続されて受信したエコー信号が信号処理部107に送られる。
信号処理部107は、RF受信コイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号処理部107が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換する。従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。そして、信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理したエコーデータを計測制御部111に送る。
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なエコーデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号処理部107に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部112の制御で動作し、ある所定のシーケンスの制御データに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号処理部107を制御して、被検体101へのRFパルスの照射及び傾斜磁場パルスの印加と、被検体101からのエコー信号の検出と、を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータの収集を制御する。繰り返しの際には、2次元撮像の場合には位相エンコード傾斜磁場の印加量を、3次元撮像の場合には更にスライスエンコード傾斜磁場の印加量も、変えて行なう。位相エンコードの数は通常1枚の画像あたり128、256、512等の値が選ばれ、スライスエンコードの数は、通常16、32、64等の値が選ばれる。これらの制御により信号処理部107からのエコーデータを全体制御部112に出力する。
全体制御部112は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、演算処理部(CPU)114と、メモリ113と、磁気ディスク等の内部記憶部115と、外部ネットワークとのインターフェースを行うネットワークIF116と、を有して成る。また、全体制御部112には、光ディスク等の外部記憶部117が接続されていても良い。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリ113内のk空間に相当する領域に記憶させる。以下、エコーデータをk空間に配置する旨の記載は、エコーデータをメモリ113内のk空間に相当する領域に記憶させることを意味する。また、メモリ113内のk空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をk空間データともいう。そして演算処理部114は、このk空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部118に表示させ、内部記憶部115や外部記憶部117に記録させたり、ネットワークIF116を介して外部装置に転送したりする。
表示・操作部118は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部112で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウス及びキーボード等の操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を介してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
(本発明の傾斜磁場コイルの支持構造が解決する課題の詳細)
本発明に係るMRI装置では、傾斜磁場コイルの振動および騒音が静磁場発生磁石に伝播するのを低減するために、防振ゴム等の防振ダンパ(振動減衰器)を備えた支持部材を介して傾斜磁場コイルを静磁場発生磁石から支持する。この本発明に係る防振ダンパを介した傾斜磁場コイルの支持構造は、以下に説明する、防振ダンパに内在する主に2つの課題を解決する。
第1の課題は、防振ゴム等の防振ダンパを用いた支持部材は、金属系などの剛性の高い支持部材と比べ、塑性変形量が大きいことであり、第2の課題は、塑性変形量を最小化するために支持構造の占有体積を大きくせざる得なく、そのため開放性を損なうことである。
最初に、第1の課題を説明する。
前述したように、ASGCは、そのメイン・コイルとシールド・コイルの間の空間に静磁場の空間的均一度を調整するための磁性シム部材が配置されて、一体構造を形成する。このASGC内部に一体化された磁性シム部材は、静磁場発生磁石からの強力な磁場により、電磁力が働く。このとき、磁性シム部材の配置位置が軸方向および径方向に対して対称に分布されていれば、磁性シム部材に働く電磁力は相殺し合い、全ての磁性シム部材に働く電磁力の合力はゼロとなる。しかしながら、静磁場発生磁石の製作誤差や、MRI装置の設置環境による不整磁場は、軸方向および径方向に対し、非対称であることが常である。非対称の程度により、磁性シム部材に働く電磁力の合力は強大となり得るため、磁性シム部材を一体化しているASGCは、静磁場発生磁石に対する相対位置が変化しないように支持する必要がある。
また、振動および騒音を低減すべく、ASGCの支持に防振ゴムなどの非金属部材を用いると、防振ゴムなどの非金属材料のクリープによるASGCの位置変化が発生する。一般に、防振ゴムなどの非金属材料は、金属に比べて、塑性変形(以下、クリープと称す)量が大きく、荷重量に依存するが、例えば、数年間で数10〜数百ミクロン程度に及ぶ場合がある。
ASGCには、自重の他、前述の一体構造の一部である磁性シム部材の電磁力が働く。これらの荷重により、防振ゴムで形成された支持構造は、経年によりクリープし、このクリープ量だけ、ASGCと静磁場発生磁石との相対位置が変化する。ASGCの位置変化に伴い、磁性シム部材の静磁場発生磁石に対する相対位置が変化するため、静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間的均一度は経年変化して乱されることになる。
支持構造の経年変化により乱れた静磁場の空間的均一度を再調整するために、静磁場下において強力な電磁力が働いている磁性シム部材を移動可能な状態とするために、一度、静磁場を消磁し、再度、磁場の変化量に応じて、磁性シム部材を再配置しなおし、再励磁、磁場計測し、静磁場の空間的均一度の調整を実施する。
しかし、消磁をするためには、消磁するための励磁電源、配線が必要であり、さらに消磁および再励磁に伴い、超電導磁石の寒剤である液体ヘリウムの消費を伴う。このため、再度、液体ヘリウムの補液が必要となる。これらの工程により、MRI装置のダウンタイム(使用不可の期間)が長期化する。
次に、第2の課題を説明する。
前述の防振ゴムなどの防振ダンパの経過年数に対するクリープ量は、材料毎に既知量であり、クリープ量を予測することは可能である。また、前述のクリープ量は、一般には、荷重量(荷重面圧)が大きいほど、経過年数に対する変化率が大きくなる傾向がある。一例として、図4に防振ゴムの経過時間に対する塑性変形量の推移と荷重依存の関係を示す。図4に示すように、荷重量(荷重面圧)が大きいほど塑性変形量の経年変化率が大きい(グラフの傾きが大きくなる)ことが理解される。また、荷重面圧が大きいほど、防振ゴムの減衰特性は劣化する傾向もある。荷重面圧を小さくし、クリープ量を最小化、あるいは、減衰特性を向上させるためには、荷重される断面の面積を大きくすることが望まれる。
一方で、一般的に静磁場発生磁石の円筒ボアの内筒とASGCの外周の間の空隙部は、被検体を収納する静磁場空間を大きくして開放性を向上させるために、可能な限り縮小する必要があり、防振ゴムを含め支持構造の占有体積は制限を受けることになる。そのために、防振ダンパの荷重される断面の面積を大きくできないことになる。
上述のように、防振ダンパの減衰特性あるいは静磁場の空間的均一性を悪化させるクリープ量の抑制と、MRI装置における開放性の向上はトレード・オフの関係にある。
そこで、上記課題を解決するための、本発明のMRI装置に係る、静磁場発生磁石から傾斜磁場コイルを支持する支持構造の基本概念を説明する。
(本発明に係る支持構造)
本発明のMRI装置に係る、静磁場発生磁石から傾斜磁場コイルを支持する支持機構は、傾斜磁場コイルが、その下部の少なくとも一部において軸方向の長さを静磁場発生磁石の同じ軸方向の長さより長く形成され、静磁場発生磁石の側面に固定されて防振ダンパを備える支持構造が、傾斜磁場コイルの両端下部にそれぞれ接続されて、該支持構造を介して静磁場発生磁石から傾斜磁場コイルの両端下部をそれぞれ支持する。その際、傾斜磁場コイルの支持構造の占有容積を大きく確保することで振動減衰特性を向上させる共に防振ダンパのクリープ量を抑制する。以下、図2,3に基づいて支持構造を詳細に説明する。
図2は、本発明のMRI装置のうち、静磁場発生磁石102である円筒形状の超電導磁石203と、その円筒ボア(ボア)206内に配置された傾斜磁場コイル(ASGC)103が組み立てられた状態の斜視図を示す。また、図3は、図2の構成を、超電導磁石203の軸方法(中心軸(Z方向))205を通り上下方向(Y方向)に並行な平面で切断した断面図を示す。
ASGC103の下部の軸方向(Z方向)205の長さを、超電導磁石203を構成する真空容器204の軸方向(Z方向)205の長より長い構造とする。具体的には、ASGC103の両端下部にAGSC被支持部210を設ける。このAGSC被支持部210は、ASGC103に後から別途追加して設けても良いし、AGSC103と一体的に製作したものでも良い。なお、ASGC103両端の下部以外の横〜上部の軸方向(Z方向)205の長さは、被検体の視野角211が小さくなって開放性が損なわれることの無い様に、真空容器204の軸方向長さ以下とする。したがって、ASGC被支持部210は寝台に配置された被検体の背面側となることが好ましく、その中心軸205から見た周方向の角度範囲は、たとえば、20度〜45度とする。
一方、超電導磁石203の真空容器204の軸方向側面の下部に磁石側支持部202を固定し、振動減衰機能を有する、例えば防振ゴム等の防振ダンパ(振動減衰器)201を介して、ASGC被支持部210と磁石側支持部202とを連結することで、真空容器204がその軸方向の両側面でASGC103を支持する。
このように、ASGC103の支持構造を静磁場発生磁石102の両端下部に配置すると、そのASGC103の支持構造が寝台に配置された被検体の背面側となるので、大きめの占有体積を有する防振ダンパ(振動減衰器)201を含めた支持構造であっても、被検体の視野角211には影響しない。そのため、開放性を損なうことがなく、開放性を向上させた状態でASGC103を静磁場発生磁石102から支持することができる。
また、ASGC103の支持構造のために大きい占有体積を確保できるため、例えば、図3に示すような、防振ダンパ(振動減衰器)201が荷重量(荷重面圧)依存のあるクリープ変化する防振ゴムである場合、十分に荷重面積を大きくして荷重面圧を下げることが可能となる。したがって、防振ダンパ(振動減衰器)201のクリープの経時変化率を小さくしてクリープ量を抑制でき、長期間でも微量なクリープ量とすることができる。その結果、静磁場発生磁石102とASGC103との相対距離の経年変化も小さく抑制でき、静磁場の空間的均一度の劣化を抑制することが可能となる。
以下、上述した本発明の支持構造の基本構造に基づく本発明の各実施例を詳細に説明する。
次に、本発明のMRI装置の実施例1を説明する。本実施例1は、静磁場発生磁石から傾斜磁場コイルを支持するための防振ダンパ(振動減衰器)を有する支持構造に、該傾斜磁場コイルの配置位置を調整するための位置調整機構を有し、傾斜磁場コイルおよびこれと一体化された磁性シム部材をX,Y,Zの3軸方向に位置調整可能にする。以下、図5,6に基づいて本実施例1を説明する。
図5は、ASGC103の支持構造に備わる押しボルトによる位置調整機構を示す。図5(a)は、超電導磁石203の中心軸方向から見た側面図を示し、図5(b)は、図5(a)の構成を、超電導磁石203の中心軸(Z方向)205を通り上下方向(Y方向)に並行な平面で切断した断面図を示す。図5(c)は、図5(b)の右側の位置調整機構の拡大図を示す。図5(d)は、図5(c)の変形例を示す。なお、磁性シム部材209の表示を省略してある。また、図5(b)(c)(d)では、ASGC被支持部210と防振ゴム(振動減衰器)201とを一体的に示してある。
本実施例1においては、超電導磁石203の軸方向側面の下部に設けられた磁石側支持部202は、超電導磁石203のボア206側に開口したコの字状支持部材511と、コの字状支持部材511の開口部に配置されて防振ゴム201を支持する防振ゴム支持部材512とで構成される。コの字状支持部材511は超電導磁石203の軸方向側面の下部に固定され、防振ゴム201と防振ゴム支持部材512とは一体的に超電導磁石203の軸方向側面に対して移動する。
そして、コの字状支持部材511のY方向(上下方向)に螺設されたねじ穴に調整ねじ501a,501bを螺入させて、これらの調整ねじ501a,501bで防振ゴム支持部材512をY方向に支持する。また、コの字状支持部材511のX方向に螺設されたねじ穴に調整ねじ503a,503bを螺入させて、これらのねじ503a,503bで防振ゴム支持部材512をX方向に支持する。また、防振ゴム支持部材512のZ方向に螺設されたねじ穴に調整ねじ502を螺入させて、このねじ502で防振ゴム支持部材512をZ方向に支持する。なお、図5(d)に示すように、コの字状支持部材511が防振ゴム支持部材512を覆うようにX-Y面に平行な部分を備え、この部分に螺設されたねじ穴に調整ねじ502を螺入させてねじ502で防振ゴム支持部材512をZ方向に支持しても良い。
各調整ねじの螺入量(回転数)をそれぞれ独立に調整して防振ゴム支持部材512をX,Y,Z方向に位置調整することにより、超電導磁石203のボア206内でのASGC103のX,Y,Z方向の各配置位置をそれぞれ独立に微調整することができる。例えば、1回転あたり数100ミクロン変位させる機構とすることができる。
なお、超電導磁石203の軸方向側面の下部に設けられた上記ASGC103の支持構造と同様の補助的支持構造521a〜cを設けても良い。これらの補助的支持構造521a〜cは、全方向(Z,X,Y)の位置調整ではなく、一部の方向のみ位置調整するためのASGC103の支持構造である。例えば、左右方向に配置された521a,cは、左右方向(X方向)のみの押しボルトによるASGC103の位置調整機構を有し、上部に配置された521bは、上下方向(Y方向)のみの押しボルトによるASGC103の位置調整機構を有する。これらの補助構造により、ASGC103の上、左、右部においては支持構造を確保しつつ、全体としてASGC103の軸方向長さを短くすることができる。
このような位置調整機構により、ASGC103の位置変化に伴う不整磁場量を調整することができる。
図6に、ASGC103の位置調整に応じた、静磁場の空間的均一度を乱す不整磁場成分の変化傾向を示す。不整磁場成分として、例えば、Z方向のZ3項とY方向のZ2Y項を示す。Z3項は調整ねじの順方向回転により、不整磁場の変化量が+から−に変化していき、Z2Y項は調整ねじの順方向回転により、不整磁場の変化量が−から+に変化していくことを示している。
例えば、Z3項を調整する場合、Z方向に螺設された調整ねじ502を使用し、ASGC103のZ方向における位置を変位させる。このとき、Z3より低次であるZ項も、この調整により変化するが、この項は、ASGC103のZ項のオフセット調整にて補正することで無視することができる。
同様の構造、原理にて、例えば、Z2X項を調整する場合、X方向(左右方向)に螺設された調整ねじ503a,503bを使用し、ASGC103をX方向(左右方向)に変位させることでX方向における不整磁場調整する。また、例えば、Z2Y項を調整する場合、Y方向(上下方向)に螺設された調整ねじ501a,501bを使用し、ASGC103をY方向(上下方向)に変位させることで、Y方向における不整磁場調整する。また、Z項同様に、低次のY、X項も、これらの調整により変化するが、これら、Y、X項はASGC103のY、X項のオフセット調整にて補正することで無視することができる。
また、静磁場発生磁石102の個体差や設置環境に応じて、磁性シム部材209の配置量および分布は異なるので、図6に示す、調整ネジの回転数に対する不整磁場の変化量も異なることになる。
そこで、静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間的均一度の調整が完了した後、即ち、理想的には、不整磁場成分は限りなくゼロに近い値の状態とした後で、あえて調整ネジを回転させ、回転数と不整磁場成分の発生量との関係を表すデータ、つまり図6に示すようなデータ、を取得しておく。このデータは、MRI装置の内部記憶部115に記録しておいてもよい。
経年による防振ダンパのクリープにより、静磁場の空間的均一度に乱れが検出されたり、定期点検時の静磁場計測時に不整磁場量が増加していたりした場合に、内部記憶部115に記録しておいた調整ネジの回転数と不整磁場発生量との関係を表すデータを基に、各調整ねじを回転させてASGC103のX,Y,Z方向の配置位置を独立に調整することで、再度、静磁場の空間的均一度を調整し、空間的均一度の高い状態に復元することが可能となる。
以上説明したように、本実施例1のMRI装置は、静磁場発生磁石から傾斜磁場コイルを支持するための防振ダンパ(振動減衰器)を有する支持構造に、傾斜磁場コイルの位置調整機構を有し、傾斜磁場コイルおよびこれと一体化された磁性シム部材をX,Y,Zの3軸方向に位置調整可能にする。その結果、経年による防振ダンパのクリープにより、静磁場の空間的均一度が低下しても、位置調整機構により傾斜磁場コイルの配置位置を微調整することで、空間的均一度の高い状態に復元することが可能となる。
次に、本発明のMRI装置の実施例2を説明する。本実施例2は、防振ダンパ(振動減衰器)のクリープに基づく傾斜磁場コイルの位置変化を修正することによる静磁場の空間的均一度の調整を行う時間間隔が長くなるように、クリープの順方向とは逆方向に傾斜磁場コイルの配置位置を予め変位させておく。以下、図7に基づいて本実施例2を説明する。
静磁場発生磁石102が発生する静磁場の空間的均一度は、例えば、磁場分布の最大値・最小値によるピーク・トゥ・ピーク値や二乗平均値などで表現される。或いは、静磁場の空間分布を、球面調和関数などで級数展開して各磁場成分(各級数項)の和で表記することが可能である。
また、ASGC103の静磁場発生磁石のボア206内での変位方向および変位量に応じて、ある特定の級数項が変化する。このことから、ある特定の級数項の変化に基づいて、経年変化によりどの方向にどの位の量だけ、クリープ(変位)したかを見積ることが可能である。
図7には、ASGC103が、静磁場発生磁石のボア206内で、Z方向とY方向にクリープにより変位した場合の不整磁場成分の径時変化の一例を示す。横軸は経過時間(例えば、1〜10,000時間)、縦軸は静磁場の空間的均一度を乱す不整磁場成分の変化量(例えば、-0.3〜+0.3ppm at 50cmDSV)を示す。701は、Z方向の不整磁場(例えばZ3項)の径時変化を示し、702は、Y方向の不整磁場(例えばZ2Y項)の径時変化を示す。
また、静磁場の空間的均一度に影響を与える各不整磁場成分(各級数項に対応)の量を予め見積もっておき、傾斜磁場コイルの配置位置のクリープ変化により生じる各不整磁場成分の閾値として設定しておく。この各不整磁場成分の閾値の決定方法として、各不整磁場成分が変化した場合を仮想計算し、予め設定した静磁場の空間的均一度の指標値を超過しない範囲あるいは影響が希少である範囲で、クリープ変化した場合の各不整磁場成分の閾値を決定する。ここで、静磁場の空間的均一度の指標値として、例えば、40cmDSVで0.5ppmVRMS、あるいは、3ppm Peak to Peakとすることができる。
図7では、Z方向の不整磁場成分(Z3項)に対し、クリープがZ方向の順方向に進行した場合の閾値711を-0.3ppmと設定し、クリープがZ方向の逆方向に進行した場合の閾値712を+0.1ppmと設定している。また、Y方向の不整磁場成分(例えばZ2Y項)に対し、クリープがY方向の順方向に進行した場合の閾値711を+0.3ppmと設定し、クリープがY方向の逆方向に進行した場合の閾値712を-0.1ppmと設定している。
なお、図7において、ASGCの変位量に対する各不整磁場成分の変化傾向は、概ね比例としているが、2次以上の次数を有する曲線の場合もある。
上記閾値を用いて、静磁場調整を行う時間間隔を延長することができる。そのためには、図6、7に示す関係を用いることによって、上記で設定したクリープの順方向とは逆方向の閾値(例えば、+0.1ppm)を超過しないように、クリープの順方向とは逆方向にASGC103を予め変位させておく。ASGC103の変位は、前述の実施例1の位置調整機構を用いることができる。例えば、図7に示す不整磁場成分の経時変化701,702は、クリープの順方向とは逆方向にASGC103を予め変位させておくことで、点線に示す変遷から実線に示す変遷に変わる。
このようにクリープの順方向とは逆方向にASGC103を予め変位させておくことにより、静磁場の空間的均一度に対するクリープの影響を無視できる期間、即ち、クリープによる不整磁場成分の量が前記の静磁場の空間的均一度の指標値(例えば、40cmDSVで0.5ppmVRMS、あるいは、3ppm Peak to Peak)に影響しない期間を延長することができる。
例えば、クリープの順方向閾値をV+th、逆方向閾値をV-th、クリープに基づく不整磁場の経年変化率をRとすると、静磁場調整を行う時間間隔Tpmaxは、
LOG10(Tpmax)=(Vth−V-th)/R (1)
となる。ASGC103を予め変位させない場合の静磁場調整を行う時間間隔Tpは、式(1)でV-th⇒0とすればよいので、ASGC103を予め変位させると(−V-th)/Rだけ静磁場調整を行う時間間隔が延びることになる。
ここで、クリープに基づく不整磁場の経年変化率Rは、例えば、図4,6に示す関係を利用して見積もることができる。つまり、前述の防振ゴム(振動減衰器)201などの防振材料の経過年数に対するクリープ量は材料毎に既知量であり、例えば図4に示すように、クリープ量の経年変化を予測することは可能である。そして、図6に示すような変位量(即ちクリープ量)と不正磁場の変化量との関係を用いて、クリープに基づく不整磁場の経年変化率Rを見積もることが可能になる。
なお、上記閾値を用いて、次の静磁場調整の時期を見積もることも可能となる。そのためには、ある経過時間後における各不整磁場成分の量を計測し、当該不整磁場成分の量が当該成分に対応する前述の設定した閾値を超過する時期、即ち、次の静磁場調整の時期を見積もる。具体的には、閾値をVth、計測値をVmsとすると、計測時から次の静磁場調整までの時間ΔTは、
LOG10(ΔT)=(Vth−Vms)/R
と見積もることが可能になる。
以上説明したように、本実施例2のMRI装置は、防振ダンパ(振動減衰器)のクリープの順方向と逆方向に傾斜磁場コイルの配置位置を予めシフトさせておく。その結果、防振ダンパ(振動減衰器)のクリープに基づく傾斜磁場コイルの位置変化を修正することによる静磁場の空間的均一度の調整を行う時間間隔を延長することができる。
次に、本発明のMRI装置の実施例3を説明する。本実施例3は、磁性シム部材の配置位置及び配置量を計算で求める際に、磁性シム部材の働く電磁力を求め、この電磁力が所定の規定値の範囲内となるように、磁性シム部材の配置位置及び配置量を決定する。以下、図8に示す本実施例3の磁性シムの配置量を決定するための処理フローをあらわすフローチャートを説明する。
ステップ801で、操作者は、静磁場発生磁石102のボア206内に計測用のファントムを設置して、静磁場発生磁石102が発生する静磁場の空間分布の計測処理を起動する。それに応じて、演算処理部114は所定の計測用シーケンスの制御データを生成して計測制御部111に通知する。計測制御部111は、その制御データに基づいて計測用シーケンスを実行して、得られたNMR信号を演算処理部114に通知する。
ステップ802で、演算処理部114は、ステップ801で得られたNMR信号に基づいて、静磁場発生磁石102が発生する静磁場の空間的均一度を向上させるための磁性シム部材の配置位置及び配置量を計算する。例えば、磁性シム部材を搭載する各シムトレイの各スロットに配置する磁性シム部材の配置量を計算する。
ステップ803で、演算処理部114は、ステップ802で求めた磁性シム部材の配置位置及び配置量に基づいて、各磁性シム部材に作用する電磁力を求めると共に、各電磁力の合計を算出する。
ステップ804で、演算処理部114は、ステップ803で求めた電磁力の合計値が所定の規定値の範囲内にあるかを判定する。範囲内にある場合(Yes)にはステップ805に移行し、範囲内にない場合(No)にはステップ802に移行して、再度、電磁力の合計値が所定の規定値の範囲内となるように磁性シム部材の配置位置及び配置量を計算する。
ステップ805で、操作者は、ステップ802で計算された各配置位置に、その配置位置に対応する配置量分の磁性シム部材を配置する。具体的には、シムトレイの各スロットに磁性シム部材を搭載して、ASGC103の所定箇所にシムトレイを挿入する。
ステップ806で、操作者は、再度、静磁場の空間分布の計測処理を起動する。それに応じて、演算処理部114はステップ802で実行された計測用シーケンスを計測制御部111に再度実行させ、計測制御部111は、計測用シーケンスを実行して、得られたNMR信号を演算処理部114に通知する。そして、演算処理部114は、NMR信号に基づいて静磁場の空間分布を求める。
ステップ807で、演算処理部114は、ステップ806で求めた静磁場の空間分布から、静磁場の空間的均一度の評価値(例えば40cmDSVでのVRMS値、あるいは、Peak to Peak値)を算出し、その評価値が所定の規定値の範囲内か否かを判定する。範囲内であれば処理を終了する。範囲外であれば、ステップ802に戻って、評価値が所定の規定値の範囲内となるように磁性シム部材の配置位置及び配置量を再度計算する。
以上までが本実施例3の処理フローの説明である。
以上説明したように、本実施例3のMRI装置は、磁性シム部材の働く電磁力が所定の規定値の範囲内となるように、磁性シムの配置量を決定する。これにより、傾斜磁場の支持構造が有する防振ダンパ(振動減衰器)への荷重量(荷重面圧)を所定の範囲内にすることができ、防振ダンパのクリープを低減することができる。その結果、クリープに基づく傾斜磁場コイルの位置変化による静磁場の空間的不均一の経年変化を低減できると共に、傾斜磁場コイルの位置変化を修正することによる静磁場の空間的均一度の調整を行う時間間隔を延長することができる。
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の各実施例の説明では、水平磁場タイプの静磁場発生磁石及びこれを用いたMRI装置について説明したが、垂直磁場タイプの静磁場発生磁石及びこれを用いたMRI装置にも、本発明を同様に適用可能である。
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 RF受信コイル、106 信号検出部、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、112 ベッド、113メモリー、114 演算処理部、115 内部記憶部、117、外部記憶部、118 表示・操作部

Claims (5)

  1. 円筒形状の静磁場発生磁石と、
    前記静磁場発生磁石のボア内に軸方向を共通にして配置された状の傾斜磁場コイルと、を備え
    前記静磁場発生磁石から支持構造を介して前記傾斜磁場コイルを支持する磁気共鳴イメージング装置であって、
    前記傾斜磁場コイルは、下部の少なくとも一部において、前記軸方向の長さが、前記静磁場発生磁石の前記軸方向の長さより長く形成され、
    前記支持構造は、防振ダンパと前記傾斜磁場コイルの配置位置を調整するための位置調整機構を備えて、前記傾斜磁場コイルの両端下部にそれぞれ接続されており、
    前記位置調整機構は、前記静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間分布を球面調和関数で展開して得られる所定の級数項で表される空間的不均一磁場成分に応じて、前記防振ダンパのクリープの順方向とは逆方向に前記傾斜磁場コイルの配置位置を調整したものであることを特徴する磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記位置調整機構は、前記静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間的均一度の指標値に基いて求められた前記所定の級数項の前記逆方向についての閾値に基いて、前記防振ダンパのクリープの順方向とは逆方向に前記傾斜磁場コイルの配置位置を調整したものであることを特徴する磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記傾斜磁場コイルは、前記静磁場発生磁石が発生する静磁場の空間的均一度を調整するための磁性シム部材が複数配置されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記磁性シム部材の各々は、該磁性シム部材に作用する電磁力が所定の範囲内となるように配置されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記軸から見た前記支持構造の角度範囲は20度〜45度であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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