JP5982878B2 - 船舶用バラスト水の処理システムおよび船舶用バラスト水の処理方法 - Google Patents

船舶用バラスト水の処理システムおよび船舶用バラスト水の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、船舶の航行時の安定のために貯留されるバラスト水の処理システムに関するものであり、特に船上に搭載された後に他の海域において排出されるバラスト水の高度な処理に関するものである。
近年、船舶に積載するバラスト水の処理が問題となっている。バラスト水は空荷状態でも安全に航行するために船舶に積載される海水であり、バラスト水は航海の出発時に付近の海洋から取水し、到着地において付近の海洋へ排水される。即ち、出発地の海水からなるバラスト水が到着地で排水され、例えば、日本から出港したオイルタンカーがオイル産油国のクエート等の中近東へ航行してオイルを搭載する場合、日本海域の海水がバラスト水として積載され、中近東の海域で洋上に排水されるなどとなる。このようにバラスト水が取水した海域と異なる海域に排水されると、海水中の生物が本来の生息地でない海域に移動させられることとなり、海洋の生態系に大きな影響を及ぼすこととなる。
このため、バラスト水を浄化処理して微生物を除去あるいは殺滅、不活性化する方法が種々検討されている。たとえば特許文献1には海水を加熱して水中生物を殺菌する方法が記載され、特許文献2には蒸気を用いる方法や紫外線照射による方法が開示され、その他、電圧印加や衝撃波などの電気的方法や、次亜塩素酸ソーダなどの薬剤を投入する方法等が提案されている。また、前記殺滅処理の前段として、あるいは比較的大きな微生物の除去の目的で濾過を用いる方法も検討されており、たとえば特許文献3には濾過膜を用いたバラスト水の製造方法が記載されている。
また、本願発明者らは、このようなバラスト水の処理を検討しており、特許文献4のような回転する円筒状プリーツフィルタを用いた濾過装置を開示している。当該バラスト水の処理装置は、軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタと、該フィルタの外周面に向けて被処理水を流出する被処理水ノズルと、前記フィルタを囲むように設けられ前記被処理水ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路とを備えた船舶用バラスト水の処理装置である。かかる構成とすれば、円筒配置されたフィルタの外部から被処理水をフィルタ外周面に向けて噴出することでフィルタが回転しつつ連続的にフィルタ面を移動しながら濾過が行われる。これにより、フィルタの目詰まりを除去しつつ濾過を行い続けることが可能となり、同じ膜面積の平板状フィルタに比較して効率良く異物除去を行うことができる。
特許第3660984号公報 特許第4261955号公報 特開2006−728号公報 特開2011−194396号公報
特許文献1〜3のような従来のバラスト水処理はそれぞれに短所を有しており、その解決手段として本願発明者らは特許文献4のような処理装置を開発している。バラスト水は大量の海水であり、その処理は停泊中の船舶の限られた時間の中で極力短時間で行うことが求められる。しかし、フィルタによる濾過においては長時間の運転により目詰まりを起こす可能性があり、その都度のフィルタ交換という事態になれば時間損失による損害が大きい。特許文献4に記載の回転フィルタ濾過装置は、プリーツ形状を有するフィルタを回転させつつ濾過面に洗浄水を連続的に作用させることで、フィルタの洗浄と濾過を同時並行して行うことが特徴である。しかし、その配置と運転条件が不適切であれば、洗浄効果が十分に得られず、結果として目詰まりを起こし、必要な濾過水量を確保する前に運転停止を余儀なくされるなどの不具合が生じる。そこで、本発明の目的は、停止することなく長時間の定常運転が可能なバラスト水の処理システムを提供することにある。
本願発明者らは、船上に設置でき効率的にバラスト水の浄化処理が行える手段を鋭意検討の結果本願発明に至った。
本願発明は、軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられており、円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するフィルタと、該フィルタの外周部に被処理水を洗浄水として流出する洗浄ノズルと、前記フィルタを囲むように設けられ前記洗浄ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路とを備え、前記フィルタを回転させるための電動モータを備えた回転フィルタ濾過装置を用いた船舶用バラスト水の処理システムであって、前記外筒部と前記フィルタとの間での被処理水の圧力と、前記フィルタの円筒内部での濾過水の圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、当該差圧の変化に応じて前記洗浄水の流速と前記排出流路の排出水量を変化させる水量制御手段を備えた船舶用バラスト水の処理システムおよび処理方法である。
前述の通り、発明者らは、対象とする回転フィルタ濾過装置の適切な運転条件を見いだすべく鋭意検討の結果、目詰まりの予兆としてフィルタ内外の差圧に着目し、差圧の検出手段を設けて差圧の変化に応じて洗浄水の流速と排出水量を適切に選定することで、目詰まりを発生させることなく長時間の定常運転を可能とできることを見いだした。
濾過装置に流入する被処理水は、濾過されてバラスト水として利用される濾過水と、濾過されずに排出される排出水のいずれかになるため、被処理水流量=濾過流量+排出流量、となる。排出水量を少なくして濾過水量を多く出来れば装置全体での処理水量が多くなり効率的な運転として望ましい。しかし、必要な濾過流量を概ね一定に確保しつつ運転する場合において、排出水量を減らしてゆくと、濾過されずにケース内に留まる被処理水中の濁質分等が次第に高濃度になり、目詰まりを一層起こしやすくなる。そこで、目詰まりの予兆が差圧の上昇として検出された場合に、意図的に被処理水流量と排出水量を増加させることによって、濾過前の被処理水の濃度を下げつつ、また洗浄水の流速を上げることにより洗浄効果を向上させることで、目詰まりを起こさないようにすることが可能となる。結果として差圧が回復すれば、洗浄水の流速と排出水量を元の定常運転設定に戻すことで、効率の良い運転を確保することができる。
このように、具体的には、水量制御手段は、差圧が予め定められた制御閾値に達した場合に、洗浄水の流速を増加させ、かつ排出水量を増加させるように機能するものであれば良い。また、差圧が閾値を下回われば、洗浄水の流速と排出水量を元に戻すように機能しても良い。このように、濾過水の濾過水量を略一定に保持しつつ、洗浄水の流速と排出水量を増加させることで、バラスト水の処理量を安定確保することができる。
差圧の絶対値または変化量が予め定めた警報閾値を超えた場合に目詰まりと判断して警報を出すように構成された警報手段をさらに備えることが好ましい。手段を講じても何らかの要因により目詰まりが発生した場合に、装置停止やマニュアル操作による流量等の操作を可能とするためである。上述の目詰まりの予兆検出としての閾値は、このような警報閾値の10%以上50%以下の値であると良い。この程度の状態で洗浄水の流速と排出水量を増加させることで、回復が期待できるためである。
なお、洗浄効果を高めて回復運転を行うために差圧の検出を行うことの他、代替手段あるいは追加の手段として排出水の濁度や濁質分の粒度分布を検出する方法も可能である。目詰まりの予兆として、濁度等が大きくなってくることがあり、上述の差圧と同様に、検出値と予め定めた閾値との比較によって、意図的に被処理水流量と排出水量を増加させることによって、濾過前の被処理水の濃度を下げつつ、また洗浄水の流速を上げることにより洗浄効果を向上させることで、目詰まりを起こさないようにすることが可能となる。結果として濁度等が回復すれば、洗浄水の流速と排出水量を元の定常運転設定に戻すことで、効率の良い運転を確保することができる。
洗浄水としての被処理水の流速の増加量は、増加前の流速の10%以上50%以下であると良い。10%未満では十分な洗浄効果、回復効果が期待出来ない。一方、50%以上でも効果は期待できるものの、無駄に排出水量が多くなり、装置効率が大きく低下する。これらのバランスを考慮した範囲である。より好ましくは20%以上40%以下である。
このような制御によって、被処理水が濁度1〜1000NTU(Nephelometric Turbidity Unit)程度の海水である場合において、目詰まりせず、すなわち警報閾値を超えることなく12時間以上の(すなわち少なくとも12時間の)継続運転可能であるような船舶用バラスト水の処理システムを得ることが可能となる。本発明において処理の対象となる海水は特に制限されないが、一般的に船舶が停泊する港湾域の海水には、微生物や濁質が含まれており、濁度が1〜1000NTU程度である。問題とされる海水中の微生物として大腸菌、コレラ菌、腸球菌、ミジンコやヒトデ、アジア昆布等の幼生等が挙げられ、これらの微生物の大きさはほとんどが0.3から数百μmである。ここでのフィルタは、海水中からの濁質除去と共に微生物の除去を目的とするものである。除去対象である濁質にはシリカ等の無機質成分などが含まれており、その大きさは様々である。これらを効果的に除去するため、フィルタは、海水中の50μm以上、好ましくは30μm、さらに好ましくは10μm以上のプランクトンを濾過可能なものが用いられ、本願発明の効果を得るために好ましくは海水中の30μm以上のプランクトンを99%以上除去可能なフィルタであると良い。特に本願はフィルタの有効濾過面積が5m以上というような大面積のフィルタを用いて大量のバラスト水を処理する場合に効果的であり、好ましくは30m以上というような大型の装置において用いると長時間運転の面で有効である。
以上の発明によれば、目詰まりにより停止させることなく長時間の定常運転が可能なバラスト水の処理システムを提供することができる。
本発明にかかる船舶用バラスト水の処理システムの代表的な全体構成を示すブロック図である。 本発明に用いられる回転フィルタ濾過装置の構成例を説明する縦断面模式図である。 図2におけるA−A横断面を示す模式図である。 本発明に好適に用いられるプリーツフィルタの代表的構成を説明する斜視模式図である。 本発明にかかる船舶用バラスト水の処理システムの別な全体構成例を示すブロック図である。 図5のシステムに用いられる回転フィルタ濾過装置の構成例を説明する縦断面模式図である。
本発明にかかる船舶用バラスト水の処理システムの装置構成および処理方法を図面を参照して説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本願発明にかかる船舶用バラスト水の処理システム10の全体構成を模式的に示した説明図である。図1において、海洋から取水された海水である被処理水は配管31を経てポンプ21により送られ、配管32を通じて濾過手段であるフィルタ装置12に供給される。フィルタ装置12において濾過された濾過水は配管33を経て紫外線照射装置などの殺滅手段13(必須ではない。)に送られる。また、フィルタ装置12において濾過されなかった排出水は、配管35を経て装置外部へ導出される。殺滅処理を経た海水は、配管34、配管36を経てタンク11に送られる。
ここで、フィルタ装置12のフィルタ前後において被処理水と濾過水の圧力をそれぞれ圧力センサ42および43により検出する。センサ信号は制御器41に送られ、差圧が求められる。このように、圧力センサ42.43と制御器41により差圧検出手段が構成される。制御器41は、水量制御手段としての機能を備え、差圧の値の変化に応じて、ポンプ21および排出水の流路配管35に設けられたバルブ23の制御を行う。これにより、差圧に応じて、洗浄水としての被処理水の流速(流量)と排出水の流量を制御することが可能となるのである。差圧に応じた制御は、最も簡単には差圧と予め設定した閾値との比較によることができる。閾値を超えればポンプ21の流量を増やし、併せてバルブ23を開けて排出水流量を増やせば良い。その他、差圧の変化率を一定時間毎に検出して、変化率がプラス(差圧の増加方向)に所定回数以上継続した場合に、同様の動作を開始するようにする、あるいは変化率(増分)が所定の閾値以上の場合に動作開始する、などが可能である。差圧の増加と減少(回復)により制御対象に働きかける趣旨の範囲であれば特に限定されるものではない。
図2および図3は、濾過手段としての回転フィルタ濾過装置の代表的な構成例を説明する模式図である。図2は、回転フィルタ濾過装置の縦断面、図3は、図2におけるA−A横断面を示す。円筒形状のフィルタ101は回転中心となる軸線141を囲むように配置されており、中心に配置された中心配管104(配管は回転しない)の周囲を回転自在に取り付けられている。フィルタとしては円筒の半径方向に山谷を繰り返すように折り目が付けられたプリーツフィルタが好ましく用いられる。フィルタの上下面は水密に塞がれている。回転自在な取り付け構造は、同じく水密構造とする必要があるが、特に限定されることなく既知の構造が用いられる。フィルタ全体を覆うようにケース103が設けられる。ケース103は外筒部131、蓋部132、底部133で構成され、底部133には排出水流路108が設けられる。また、ケース103内に被処理水としての海水を導入するため被処理水流路106と、被処理水を洗浄水としてフィルタの濾過面方向に噴出するための洗浄水ノズル102が設けられる。洗浄水ノズル102は、そのノズル口121をケース103の外筒部131内に備えるように被処理水流路106から延設され、被処理水がフィルタの外周面に向かって流出するように構成されている。
本例の場合、洗浄水ノズル102から噴出した被処理水はプリーツフィルタのプリーツ外周面に当たり、その圧力によってフィルタの洗浄効果が得られる。円筒状のフィルタ101はフィルタ中心軸に電動モータ140の軸を連結し、強制的に回転させる構成としている。回転により、フィルタの洗浄部位が順次変化し、円筒外面の全体が洗浄され得る。電動モータ140の回転数は一定でも良いし、人為的に任意に定めることも可能である。さらには濾過水濁度や圧力値などによる制御も可能である。
本図の構成において、ケース103とフィルタ101との間での被処理水の圧力と、フィルタ101の円筒内部での濾過水の圧力を検出する圧力センサ(図1における圧力センサ42、43)をそれぞれ設ける。特に図示はしないが、それぞれの圧力を検出できる部位であれば取り付け場所は任意に設定可能である。もちろん若干の圧力差はあるものの排出水流路108および濾過水流路107に圧力センサを設けることによっても検出可能である。
濾過されない被処理水および、ケース103内に沈殿した濁質分は、ケース103底部の排出水流路108から順次排出される。このように濁質分や残った被処理水が連続的に常に排出されつつ濾過が進行される点がこの装置の特徴であり、バラスト水に求められる10〜20ton/時間、さらには100ton/時間を超える処理量を確保するために効果がある。なお、図では排出流路にバルブなどを記載していないが、保守用や流量調節用に必要な機器が設けられる。一方、フィルタ101により濾過された濾過水はフィルタ内部にて中心配管104に設けられた取水穴105を通して濾過水流路107に導かれ、ケース外部に導出される。
図4は、本発明に好適に用いられるプリーツフィルタの代表的構成を説明する斜視模式図である。このフィルタは帯状の平面基材を山谷交互に折りたたむことで、いわゆるプリーツ形状とし、さらに円筒状につなぎ合わせて構成されたものである。図4において円筒状プリーツフィルタであるフィルタ101の円筒外側から濾過対象となる被処理水が供給され、フィルタによって濾過された水が円筒内側から排出される。
フィルタの基材には多孔質樹脂シートが用いられる。材質として例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等からなる延伸多孔質体、相分離多孔体、不織布等の多孔質構造物が利用される。バラスト水処理では高流量処理を行うため、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなる不織布が特に好適に用いられる。また、寸法例として、プリーツフィルタの外径は700mm、軸方向長さ320mm、有効面積としての高さ280mm、プリーツ深さ70mm、プリーツ数420折、が挙げられ、必要な処理水量に応じて有効面積を変えたり、複数のフィルタを並列に用いたりすることなどが可能である。
図5は、本願発明にかかる船舶用バラスト水の処理システム10の別な全体構成を模式的に示した説明図である。図1と同じ要素には同じ符号を付けており、説明は省略する。図1と異なるのは、フィルタ装置12において、濾過されていない被処理水を洗浄水として循環させるための配管37,ポンプ22,配管38により構成される循環流路が追加されていることである。これにより、被処理水ノズルと洗浄水ノズルが別個独立に設けられる事になる。
かかる構造を図6を用いて説明する。図2と同じ要素には同じ符号を付けており、説明は省略する。図5で説明した循環流路は具体的には、取水流路151、ポンプ152,洗浄水流路153により構成される。洗浄水ノズル102へは洗浄水流路153から循環供給される被処理水が供給される。外部からの被処理水は、別途、被処理水流路106から被処理水ノズル112を経てケース内に流入する。図1と異なり、被処理水の供給量とは独立して洗浄水の流量(流速)を制御することが可能となり、洗浄効果の制御の自由度が高まる点に特徴がある。
なお、以上の構成において、圧力検出センサを例えば濁度検出センサなど、他の濾過状態を反映する量を検出するセンサに置き換えることによっても同様の効果を得ることが考えられる。圧力検出は目詰まりに最も直結した物理量であり、また検出も容易で低コストでの実現が可能であることから最も好ましく用いる事が出来る。
以下に海水の濾過を行った例を示す。いずれの検討例においても、所定の条件において12時間の連続運転を行い、フィルタの目詰まりの有無を確認する。目詰まりは、フィルタ内外の水圧の差である差圧測定により判定し、差圧が50kPa以上になった場合を目詰まり「有」と判断する。用いる海水は、佐賀県伊万里市において採取した標準的な海水であり、塩分濃度2〜4%、濁度1〜1000NTUである。
装置構成の異なる3種類の装置において同様の実験を行った。装置Aは、図2に示した装置であって、海水中の30μm以上のプランクトンを99%以上除去可能な不織布製のプリーツフィルタを用いている。プリーツフィルタの外径は334mm、軸方向長さ200mm、プリーツ深さは70mm、プリーツ数210折である。外筒部外径は406mmφとした。装置Bは、装置Aと同様の構成、材質であり、装置を大型化したものである。プリーツフィルタの外径は700mm、軸方向長さ309mm(有効面積としての高さ204mm)、プリーツ深さ70mm、プリーツ数420折、であり、かかるフィルタを3段重ねで用いた。装置Cは、図6に示した構成で被処理水ノズルと洗浄水ノズルを別々に備えた装置であり、フィルタは装置Aと同じものを使用した。
それぞれの装置において、実験の結果目詰まりした例を表1に示す。洗浄流速は、洗浄ノズルからケース内部に流れる洗浄水としての被処理水の流速である。大きいほど洗浄効果が高い。また、被処理水ノズルが洗浄ノズルを兼ねる場合は、投入される被処理水の量が多くなる。有効濾過面積(m)は、プリーツフィルタにおいて濾過に実効のある部分の表面積である。濾過水量(m/h(時間))は、フィルタによって濾過され、濾過水流路から排出される濾過水の量である。その値をフィルタの有効濾過面積で割ったものが、面積当たりの濾過水量(m/h)である。濾過水量は、その装置で処理できるバラスト水の量を表すものであり、大きいほど一定時間に多くの処理が行える。排出水量(m/h)は、濾過されずに排出流路からケース外部に排出される水量である。流入水量(m/h)は、被処理水の水量であって、排出水量と濾過水量の和である。排出比率(%)は、排出水量÷濾過水量を百分率で表したものであって、100%であれば濾過される水量と濾過されずに排出される水量が同じということになる。排出比率が小さい程、濾過の効率は高い(多くの処理を行える)ことになる。一方、排出比率が小さいと、ケース内に濾過されずに滞留する被処理水の濁度が高くなり、フィルタの目詰まりが起こりやすくなる傾向がある。
それぞれの装置において、目詰まりが発生する前に、検出された差圧が目詰まりと判定する警報閾値である50kPaの10%以上50%以下の値において予兆と判断する。予兆ありと判断した場合に、制御器により洗浄水の洗浄流速を増加前の流速の10%以上50%以下の範囲で増加させ、かつその流速増加により増加した流入水量に相当する量だけを排出水量を増加させることにより、濾過水量を一定に維持しつつ、目詰まりを防止することができる。
Figure 0005982878
10 バラスト水の処理システム
11 タンク
12 フィルタ装置
13 殺滅手段
21,22 ポンプ
23 バルブ
31,32,33,34,35,36,37,38 配管
41 制御器
42,43 圧力センサ
101 フィルタ
102 洗浄水ノズル
103 ケース
104 中心配管
105 取水穴
106 被処理水流路
107 濾過水流路
108 排出水流路
112 被処理水ノズル
121 ノズル口
131 外筒部
132 蓋部
133 底部
140 電動モータ
141 軸
151 取水流路
152 ポンプ
153 洗浄水流路

Claims (6)

  1. 軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられており、円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するフィルタと、該フィルタの外周部に被処理水を洗浄水として流出する洗浄ノズルと、前記フィルタを囲むように設けられ前記洗浄ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路とを備え、前記フィルタを回転させるための電動モータを備えた回転フィルタ濾過装置を用いた船舶用バラスト水の処理システムであって、
    前記外筒部と前記フィルタとの間での被処理水の圧力と、前記フィルタの円筒内部での濾過水の圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、当該差圧の変化に応じて前記洗浄水の流速と前記排出流路の排出水量を変化させる水量制御手段を備え
    前記水量制御手段は、前記ケースに流入する被処理水量の増加と、前記ケースから排出される前記排出水量の増加が等しくなるように、前記洗浄水の流速と前記排出水量を増加させることを特徴とする船舶用バラスト水の処理システム。
  2. 軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられており、円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するフィルタと、該フィルタの外周部に被処理水を洗浄水として流出する洗浄ノズルと、前記フィルタを囲むように設けられ前記洗浄ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路とを備え、前記フィルタを回転させるための電動モータを備えた回転フィルタ濾過装置を用いた船舶用バラスト水の処理システムであって、
    前記外筒部と前記フィルタとの間での被処理水の圧力と、前記フィルタの円筒内部での濾過水の圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、当該差圧の変化に応じて前記洗浄水の流速と前記排出流路の排出水量を変化させる水量制御手段を備え、
    前記水量制御手段は、前記差圧が予め定められた制御閾値に達した場合に、前記洗浄水の流速を増加させ、かつ前記排出水量を増加させることを特徴とする船舶用バラスト水の処理システム。
  3. 前記差圧の絶対値または変化量が予め定めた警報閾値を超えた場合に警報を出すように構成された警報手段をさらに備え、前記制御閾値が前記警報閾値の10%以上50%以下の値であることを特徴とする、請求項に記載の船舶用バラスト水の処理システム。
  4. 前記洗浄水の流速を増加させる増加量は、増加前の流速の10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバラスト水の処理システム。
  5. 前記被処理水が濁度1〜1000NTUの海水である場合において、前記差圧の絶対値または変化量が予め定めた警報閾値を超えることなく12時間以上継続運転可能であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理システム。
  6. 軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられており、円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するフィルタと、該フィルタの外周部に被処理水を洗浄水として流出する洗浄ノズルと、前記フィルタを囲むように設けられ前記洗浄ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路とを備え、前記フィルタを回転させるための電動モータを備えた回転フィルタ濾過装置を用いた船舶用バラスト水の処理方法であって、
    前記外筒部と前記フィルタとの間での被処理水の圧力と、前記フィルタの円筒内部での濾過水の圧力との差圧を検出し、当該差圧の変化に応じて前記ケースに流入する被処理水量の流量の変化と、前記ケースから排出される前記排出水量の変化が等しくなるように、前記洗浄水の流速と前記排出流路の排出水量を変化させるように制御することを特徴とする船舶用バラスト水の処理方法。
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