JP5982309B2 - 化学蓄熱空調システム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1の車両用化学蓄熱システムにおいては、化学蓄熱材が内蔵された反応器を用いて、加熱対象を加熱することが開示されている。この車両用化学蓄熱システムにおいては、車両の走行時に、車両に搭載された内燃機関の排気熱により、反応器における化学蓄熱材の脱水反応を行って蓄熱しておく。そして、車両始動時に、化学蓄熱材に水蒸気を供給して、この化学蓄熱材の水和反応を行い、このときに生じる熱によって加熱対象を加熱している。この車両用化学蓄熱システムによれば、長期間に亘って安定的に蓄熱でき、かつ高温が要求される加熱対象の加熱を可能としている。また、車両用化学蓄熱システムとしては、特許文献1以外にも、例えば特許文献2に開示されたものがある。
該反応器と熱交換可能な熱交換器と、
上記反応器と接続され、上記化学蓄熱材の水和反応に用いられる水を蒸発させるとともに上記化学蓄熱材の脱水反応によって生じる水を凝縮させるための蒸発・凝縮手段と、
該蒸発・凝縮手段と上記熱交換器とに別々に接続され、上記水和反応に用いられる水及び上記脱水反応によって生じる水を貯めることができ、かつ上記熱交換器と熱交換可能な熱交換型水タンクと、
上記反応器及び上記熱交換器に接触させる空気を通過させるよう構成された空調配管と、を備え、
上記化学蓄熱材の脱水反応時には、凝縮器として機能する上記蒸発・凝縮手段を経由して上記熱交換型水タンクに水を回収し、
上記化学蓄熱材の脱水反応完了後には、上記反応器に残存する熱を、上記熱交換器を経由して上記熱交換型水タンクに蓄熱し、
上記化学蓄熱材の水和反応時には、上記熱交換型水タンクに回収した水を蒸発器として機能する上記蒸発・凝縮手段を経由して上記反応器へ供給する際に、該熱交換型水タンクに蓄熱した熱を上記蒸発器の熱源として用い、かつ、上記化学蓄熱材の水和反応によって生じる熱を用いて、上記空調配管を通過して上記反応器及び上記熱交換器に接触する空気の温度調整を行うよう構成されていることを特徴とする化学蓄熱空調システムにある(請求項1)。
具体的には、化学蓄熱空調システムにおいては、反応器と熱交換可能な熱交換器と、熱交換器及び蒸発・凝縮手段と熱交換可能な熱交換型水タンクとを用いる。
そして、化学蓄熱材の脱水反応完了後には、化学蓄熱材の脱水反応時に反応器に残存する熱を熱交換器を経由して熱交換型水タンクに蓄熱する。これにより、反応器に残存する顕熱を有効に蓄熱することができる。また、水和反応時の反応温度よりも高温に、脱水反応によって加熱された反応器を、迅速に適切な温度まで低下させることができる。
上記化学蓄熱材の脱水反応完了直後とは、化学蓄熱材の脱水反応が完了した後、水和反応を行うまでの間の時間のことをいう。
上記化学蓄熱空調システムにおいては、上記熱交換器と上記熱交換型水タンクとは、該熱交換型水タンク内の水を該熱交換器との間で循環させるための循環経路によって接続されており、該循環経路には、水の圧力を高めて、上記熱交換型水タンクにおける飽和蒸気温度を高めるためのポンプが設けられていてもよい(請求項2)。
この場合には、熱交換型水タンクにおける飽和蒸気温度を高めることによって、熱交換器から熱交換型水タンクへの熱移動効率と、熱交換型水タンクにおける蓄熱効率とを高めることができる。
この場合には、熱交換型水タンクから蒸発器への水の供給を、ポンプ等の動力源を用いることなく行うことができる。また、熱交換型水タンクに蓄熱した熱をさらに有効に活用することができる。
この場合には、化学蓄熱材の脱水反応時に、自動車において廃棄される排気エネルギー又は余剰エネルギーを有効に活用することができる。
また、化学蓄熱空調システムを、エンジン及び走行モータの非稼動時における空調システムとして有効に活用することができる。
この場合には、分配手段によって空気の流量を第1配管部と第2配管部とに適宜割合で分配し、第1配管部から自動車の車室内へ導く空気の温度をより適切に調整することができる。
この場合には、化学蓄熱材の水和反応を行う際に、第1配管部内を流れる空気を冷却用熱交換器に接触させることにより、この空気を冷却することができる。そして、化学蓄熱空調システムによって、自動車の車室内の冷房運転を行うことができる。
この場合には、熱交換器を小さく形成し、脱水反応完了直後において、反応器内の化学蓄熱材に残存する熱をより効果的に回収することができる。
本例の化学蓄熱空調システム1は、図1〜図3に示すごとく、以下の反応器2、熱交換器25、蒸発・凝縮手段31,32、熱交換型水タンク4及び空調配管6を備えている。
反応器2は、容器本体内に化学蓄熱材21を内蔵して構成されている。熱交換器25は、反応器2と熱交換可能に構成されている。蒸発・凝縮手段31,32は、反応器2と接続され、化学蓄熱材21の水和反応に用いられる水Wを蒸発させるとともに化学蓄熱材21の脱水反応によって生じる水Wを凝縮させるよう構成されている。熱交換型水タンク4は、蒸発・凝縮手段31,32と熱交換器25とに別々に接続され、水和反応に用いられる水W及び脱水反応によって生じる水Wを貯めることができ、かつ熱交換器25と熱交換可能に構成されている。空調配管6は、反応器2及び熱交換器25に接触させる空気Aを通過させるよう構成されている。
本例の化学蓄熱空調システム1は、エンジン及び走行モータと、バッテリーとを有するハイブリッド自動車に搭載されている。この自動車には、車室内60を空調するエアコンディショナ等の空調装置が設けられている。また、この自動車は、エンジンを稼動させた走行時には、空調装置によって暖房及び冷房の空調を行い、エンジンを停止させた停車時には、化学蓄熱空調システム1によって暖房及び冷房の空調を行うよう構成されている。
熱交換器25と熱交換型水タンク4とは、熱交換型水タンク4内の水Wを熱交換器25との間で循環させるための循環経路51によって接続されている。循環経路51には、水Wの圧力を高めて、熱交換型水タンク4における飽和蒸気温度を高めるためのポンプ52と、ポンプ52によって高められる水Wの圧力を目標とする圧力に調整するための調圧バルブ53とが設けられている。
エンジンの稼動時に空調装置によって車室内60の空調を行う場合、及びエンジンの停止時に化学蓄熱空調システム1によって車室内60の空調を行う場合のいずれにおいても、ブロワ63を作動させて車室内60の空気Aを循環させることができる。
第2配管部62は、第1配管部61から分流される空気Aを反応器2及び熱交換器25に接触させた後、外部へ排気するための排気経路65が形成されている。第2配管部62において排気経路65の入口部には、第1配管部61を、第1配管部61に合流させるか又は排気経路65に接続するかの切換弁66が配設されている。
化学蓄熱空調システム1においては、熱交換器25が一体化された反応器2と、熱交換器25、蒸発器31及び凝縮器32に対して熱交換可能な熱交換型水タンク4とを用いる。
そして、図2に示すごとく、化学蓄熱材21の脱水反応完了後には、化学蓄熱材21の脱水反応時に反応器2に残存する熱を熱交換器25を経由して熱交換型水タンク4に蓄熱する。これにより、反応器2に残存する顕熱を有効に蓄熱することができる。また、水和反応時の反応温度よりも高温に、脱水反応によって加熱された反応器2を、迅速に適切な温度まで低下させることができる。
2 反応器
21 化学蓄熱材
25 熱交換器
31,32 蒸発・凝縮手段
4 熱交換型水タンク
6 空調配管
A 空気
W 水
Claims (7)
- 化学蓄熱材(21)が内蔵された反応器(2)と、
該反応器(2)と熱交換可能な熱交換器(25)と、
上記反応器(2)と接続され、上記化学蓄熱材(21)の水和反応に用いられる水(W)を蒸発させるとともに上記化学蓄熱材(21)の脱水反応によって生じる水(W)を凝縮させるための蒸発・凝縮手段(31,32)と、
該蒸発・凝縮手段(31,32)と上記熱交換器(25)とに別々に接続され、上記水和反応に用いられる水(W)及び上記脱水反応によって生じる水(W)を貯めることができ、かつ上記熱交換器(25)と熱交換可能な熱交換型水タンク(4)と、
上記反応器(2)及び上記熱交換器(25)に接触させる空気(A)を通過させるよう構成された空調配管(6)と、を備え、
上記化学蓄熱材(21)の脱水反応時には、凝縮器(32)として機能する上記蒸発・凝縮手段(31,32)を経由して上記熱交換型水タンク(4)に水(W)を回収し、
上記化学蓄熱材(21)の脱水反応完了後には、上記反応器(2)に残存する熱を、上記熱交換器(25)を経由して上記熱交換型水タンク(4)に蓄熱し、
上記化学蓄熱材(21)の水和反応時には、上記熱交換型水タンク(4)に回収した水(W)を蒸発器(31)として機能する上記蒸発・凝縮手段(31,32)を経由して上記反応器(2)へ供給する際に、該熱交換型水タンク(4)に蓄熱した熱を上記蒸発器(31)の熱源として用い、かつ、上記化学蓄熱材(21)の水和反応によって生じる熱を用いて、上記空調配管(6)を通過して上記反応器(2)及び上記熱交換器(25)に接触する空気(A)の温度調整を行うよう構成されていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。 - 請求項1に記載の化学蓄熱空調システム(1)において、上記熱交換器(25)と上記熱交換型水タンク(4)とは、該熱交換型水タンク(4)内の水(W)を該熱交換器(25)との間で循環させるための循環経路(51)によって接続されており、
該循環経路(51)には、水(W)の圧力を高めて、上記熱交換型水タンク(4)における飽和蒸気温度を高めるためのポンプ(52)が設けられていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。 - 請求項1又は2に記載の化学蓄熱空調システム(1)において、上記熱交換型水タンク(4)における圧力が、蒸発器(31)として機能する上記蒸発・凝縮手段(31,32)における圧力よりも高いことを利用して、上記熱交換型水タンク(4)から上記蒸発器(31)へ水(W)を供給するよう構成されていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学蓄熱空調システム(1)において、該化学蓄熱空調システム(1)は、エンジンと走行モータとの少なくとも一方と、バッテリーとを有する自動車に搭載されており、
上記化学蓄熱材(21)の脱水反応は、上記エンジン又は上記走行モータの稼動時に、上記エンジンから排気される排気エネルギー、上記バッテリーに蓄電されずに捨てられる余剰エネルギーを用いて行い、
上記化学蓄熱材(21)の水和反応は、上記エンジン及び上記走行モータの非稼動時に、上記熱交換型水タンク(4)に回収した水(W)を用いて行うよう構成されていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。 - 請求項4に記載の化学蓄熱空調システム(1)において、上記空調配管(6)において上記反応器(2)及び上記熱交換器(25)が配置された位置よりも上流側には、空気(A)を送風するブロワ(63)が配置されており、
上記空調配管(6)は、上記ブロワ(63)から上記自動車の車室内(60)へ空気(A)を導く第1配管部(61)と、上記反応器(2)及び上記熱交換器(25)が内部に配置され、上記第1配管部(61)から分岐して、上記反応器(2)及び上記熱交換器(25)に接触した空気(A)を、上記第1配管部(61)に再び合流させることが可能な第2配管部(62)とを有しており、
上記第1配管部(61)に対して上記第2配管部(62)が分岐する位置には、上記ブロワ(63)によって送風される空気(A)の流量を、上記第1配管部(61)と上記第2配管部(62)とに適宜割合で分配するよう構成された分配手段(64)が配設されていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。 - 請求項5に記載の化学蓄熱空調システム(1)において、上記蒸発・凝縮手段(31,32)は、蒸発器(31)の部分と凝縮器(32)の部分とに分かれて配置されており、
上記第1配管部(61)内には、上記蒸発器(31)の部分に接続された冷却用熱交換器(311)が配置されていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の化学蓄熱空調システム(1)において、上記熱交換器(25)は、上記反応器(2)と一体的に形成されていることを特徴とする化学蓄熱空調システム(1)。
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