[1.パチンコ機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図7を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図である。図2は、パチンコ機の正面図であり、図3は、パチンコ機の右側面図である。また、図4は、パチンコ機の平面図であり、図5は、パチンコ機の背面図である。更に、図6は、パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図であり、図7は、パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図7において、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され前側が開放された箱枠状の本体枠3と、本体枠3に前側から装着固定され遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域1100を有した遊技盤4と、本体枠3及び遊技盤4の前面を遊技者側から閉鎖するように本体枠3に対して開閉自在に軸支された扉枠5とを備えている。このパチンコ機1の扉枠5には、遊技盤4の遊技領域1100が遊技者側から視認可能となるように形成された遊技窓101と、遊技窓101の下方に配置され遊技球を貯留する皿状の上皿301及び下皿302と、上皿301に貯留された遊技球を遊技盤5の遊技領域1100内へ打ち込むために遊技者が操作するハンドル装置500と、を備えている。
本例のパチンコ機1は、図示するように、正面視において、外枠2、本体枠3、及び扉枠5が夫々上下方向へ延びた縦長の矩形状に形成されており、夫々の左右方向の横幅が略同じ寸法とされていると共に、上下方向の縦幅の寸法が、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の寸法が若干短く形成されている。そして、本体枠3及び扉枠5よりも下側の位置において、外枠2の前面に装飾カバー23が取付けられており、扉枠5及び装飾カバー23によって外枠2の前面が完全に閉鎖されるようになっている。また、外枠2、本体枠3、及び扉枠5は、上端が略揃うように夫々が配置されると共に、外枠2の左端前側の位置で本体枠3及び扉枠5が回転可能に軸支されており、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の右端が前側へ移動することで開状態となるようになっている。
このパチンコ機1は、正面視において、略円形状の遊技窓101を介して遊技球が打ち込まれる遊技領域1100が望むようになっており、その遊技窓101の下側に前方へ突出するように二つの上皿301及び下皿302が上下に配置されている。また、扉枠5の前面右下隅部には、遊技者が操作するためのハンドル装置500が配置されており、上皿301内に遊技球が貯留されている状態で遊技者がハンドル装置500を回転操作すると、その回転角度に応じた打球強さで上皿301内の遊技球が遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込まれて、遊技をすることができるようになっている。
なお、詳細は後述するが、扉枠5の遊技窓101は、透明なガラスユニット590によって閉鎖されており、遊技者から遊技領域1100内を視認することができるものの、遊技者が遊技領域1100内へ手等を挿入して遊技領域1100内の遊技球や障害釘G(図110を参照)、各種入賞口や役物等に触ることができないようになっている。また、本体枠3の後側には、各種の制御基板が備えられていると共に、遊技盤4の後方を覆うように閉鎖するカバー体1250備えられている。
[1−1.外枠]
外枠2について、主として図8乃至図16を参照して説明する。図8は外枠の正面斜視図であり、図9は外枠の正面から見た分解斜視図であり、図10は外枠の正面図である。また、図11は外枠の背面斜視図であり、図12は外枠の右側面図である。更に、図13は、本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図である。また、図14(A)は外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図であり、(B)は(A)の図を下方から見た斜視図である。図15は、軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図である。更に、図16は、ロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態のパチンコ機1における外枠2は、横方向へ延びる上下の上枠板10及び下枠板11と、縦(上下)方向へ延びる左右の側枠板12,13と、夫々の枠板10,11,12,13の端部を連結する四つの連結部材14と、を備えており、連結部材14で各枠板10,11,12,13同士を連結することで縦長の矩形状(方形状)に組立てられている。本例の外枠2における上枠板10及び下枠板11は、所定厚さの無垢材(例えば、木材、合板、等)により形成されており、左右両端の前後方向の略中央に、上下に貫通し左右方向中央側へ窪んだ係合切欠部15が備えられている。なお、上枠板10における左側端部の上面及び前面には、その他の一般面よりも窪んだ取付段部10aが形成されており、この取付段部10aに後述する上支持金具20が取付けられるようになっている。
一方、側枠板12,13は、一定断面形状の軽量金属型材(例えば、アルミ合金)とされており、外側側面は略平坦面とされていると共に、内側側面は後端部に内側へ突出し上下方向(押出方向)に貫通する空洞を有した突出部16を備えており、強度剛性が高められている(図9及び図108を参照)。なお、側枠板12,13の外側側面及び内側側面には、上下方向へ延びた複数の溝が形成されており、パチンコ機1を遊技ホールの島設備に設置する際等に、作業者の指掛りとなってパチンコ機1を保持し易くすることができるようにっていると共に、外観の意匠性を高められるようになっている。なお、便宜上、側枠板12,13の側面に形成された複数の溝を省略して示した図面もある。
本例の外枠2における連結部材14は、所定厚さの金属板をプレス成型等によって屈曲塑性変形させることで形成されたものであり、上枠板10又は下枠板11に固定され左右方向へ延びた板状の水平片17と、水平片17の外側端部から上下方向の一方側へ延び側枠板12,13に固定される板状の垂直片18と、垂直片18とは反対方向へ延び上枠板10又は下枠板11の係合切欠部15内に挿入係合可能な板状の係合片19と、を有している。なお、本例では、上枠板10と左側の側枠板12とを連結する連結部材14と、上枠板10と右側の側枠板13とを連結する連結部材14とは、夫々左右非対称の形状に形成されていると共に、垂直片18が前後に分かれて形成されている。一方、下枠板11と左側の側枠板12とを連結する連結部材14と、下枠板11と右側の側枠板13とを連結する連結部材14とは、夫々左右対称の形状に形成されている。
この連結部材14は、水平片17の上面及び下面が上枠板10及び下枠板11の下面及び上面と当接すると共に、係合片19が上枠板10及び下枠板11の係合切欠部15内に挿入係合された状態で、水平片17及び係合片19を貫通して所定のビスが上枠板10及び下枠板11にねじ込まれることで、上枠板10及び下枠板11に固定されるようになっている。また、上枠板10に固定された連結部材14は、その垂直片18が側枠体12,13の上端内側側面に当接した状態で、側枠体12,13を貫通して所定のビスが垂直片18へねじ込まれることで、上枠板10と側枠板12,13とを連結することができるようになっている。なお、上枠板10に固定された連結部材14における後側の垂直片18は、側枠板12,13の突出部16内に挿入された状態で、側枠板12,13へ固定されるようになっている。更に、下枠板11に固定された連結部材14は、その垂直片18が側枠体12,13の下端内側側面に当接した状態で、側枠体12,13を貫通して所定のビスが垂直片18へねじ込まれることで、下枠板11と側枠板12,13とを連結することができるようになっており、四つの連結部材14により、上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を枠状に組立てることができるようになっている。
本例の外枠2は、上枠板10の左端上面に固定される上支持金具20と、上支持金具20と対向するように配置され左側の側枠板12における下部内側の所定位置に固定される下支持金具21と、下支持金具21の下面を支持するように配置され左右の側枠板12,13を連結するように固定される補強金具22と、補強金具22の前面に固定される装飾カバー23と、を備えている。この上支持金具20及び下支持金具21は、本体枠3及び扉枠5を開閉可能に軸支するためのものである。
まず、上支持金具20は、上枠板10に固定される板状の固定片20aと、固定片20aの前端から上枠板10の前端よりも前方へ突出する支持突出片20bと、支持突出片20bにおける前端付近の右側端から先端中央部へ向かって屈曲するように切欠かれて形成された支持鉤穴20cと、固定片20及び支持突出片20bの左端から下方へ垂下し左側の側枠板12における外側側面と当接する板状の垂下固定片20d(図14(A)を参照)と、垂下固定片20dと連続し支持突出片20bの外側縁に沿って垂下する垂下壁20e(図14を参照)と、垂下壁20eと連続し支持鉤穴20cの入口端部で内側へ向って傾斜した停止垂下部20f(図15を参照)と、を備えている。この上支持金具20における支持鉤穴20cには、後述する本体枠3における上軸支金具630の軸支ピン633(図63を参照)が着脱自在に係合されるようになっている。また、上支持金具20は、固定片20aと垂下固定片20dとによって、上枠板10と左側の側枠板12とを連結することができるようになっている。
この上支持金具20は、支持突出片20bの外側縁から垂下する垂下壁20eによって、支持突出片20bの強度が高められていると共に、詳細は後述するが、正面から見た時に支持突出片20bの裏面に配置されるロック部材27が遊技者側から視認できないように隠蔽することができ、外観の見栄えを良くすることができるようになっている。また、支持突出片20bに形成された支持鉤穴20cは、垂下壁20eが形成されない反対側(右側)の側方から先端中央部に向かって傾斜状となるようにく字状に屈曲した形状とされていると共に、支持鉤穴20cの傾斜状穴部の幅寸法は、軸支ピン633の直径よりもやや大きな寸法とされている。
一方、下支持金具21は、補強金具22上に載置固定される水平固定片21aと、水平固定片21aの左端から上方へ立上がり左側の側枠板12の内側側面に固定される垂直固定片21bと、水平固定片21aの前端から上枠板10及び下枠板11よりも前方へ突出する板状の支持突出片21cと、支持突出片21cの前端付近から上向きに突設されたピン状の支持突起21dと、を備えている。この下支持金具21における支持突起21dには、後述する本体枠3の本体枠軸支金具644(図66等を参照)に形成された本体枠軸支が挿入されるようになっており、下支持金具21の支持突起21dを、本体枠3における本体枠軸支金具644の支持穴に挿入した後に、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を支持鉤穴20cに係止することにより簡単に本体枠3を開閉自在に軸支することができるようになっている。
また、本例の外枠2は、図示するように、右側の側枠板13の内側に、上下方向に所定距離離反して配置される二つの閉鎖板24,25が取付固定されている。これら閉鎖板24,25は、平面視で略L字状に形成されており、下側に配置される閉鎖板25には、前後方向に貫通する矩形状の開口25aを有している(図9を参照)。この閉鎖板24,25は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図93を参照)と係合するものであり、詳細は後述するが、錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖板24,25との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
更に、本例の外枠2は、補強金具22の右端上面に固定される案内板26を更に備えている。この案内板26は、外枠2に対して本体枠3を閉止する際に、本体枠3をスムーズに案内するためのものであり、交換可能に装着固定されている。
また、本例の外枠2は、図14等に示すように、上支持金具20における支持突出片20bの裏面に支持されたロック部材27を更に備えており、リベット28によって支持突出片20bに対して回動可能に軸支されている。このロック部材27は、合成樹脂により形成されており、リベット28により軸支される位置から前方へ突出するストッパ部27aと、リベット28により軸支される位置から右方向へストッパ部27aよりも短く突出する操作部27bと、操作部27bに対してリベット28により軸支される位置とは反対側から突出する弾性片27cと、ストッパ部27aの先端に前方側へ膨出するように形成された円弧状の先端面27dと、を備えている。このロック部材27は、図示するように、ストッパ部27aと操作部27bとで、略L字状に形成されている。また、ロック部材27の弾性部27cは、ストッパ部27aや操作部27bよりも狭い幅に形成されていると共に、ストッパ部27aから左方へ遠ざかるに従って前方へ延びだすように形成されている。
このロック部材27は、図14(B)や図15に示すように、上支持金具20の支持突出片20bに支持した状態(通常の状態)では、弾性片27cの先端当接部が垂下壁20eの内側面と当接しており、ストッパ部27aが支持鉤穴20cの傾斜状穴部を閉塞するようになっていると共に、ストッパ部27aの先端部分が、支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態とはならず、支持鉤穴20cの先頭空間部分に本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を挿入可能な空間が形成された状態となっている。
本例の上支持金具20とロック部材27とを用いた軸支ピン633の支持機構は、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパ部27aの先端側方が入口端部の停止垂下部20fに対向している状態(この状態ではストッパ部27aの先端側方と停止垂下部20fとの間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン633とストッパ部27aの先端面27dとの夫々の中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン633が支持鉤穴20cの先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン633からストッパ部27aの先端面27dへの負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材27の弾性片27cに対し負荷がかかっていない状態となっている。なお、ストッパ部27aの先端に円弧状の先端面27dを備えているので、ロック部材27を回動させるために操作部27bを回動操作した時に、ロック部材27がスムーズに回動するようになっている。また、図示では、先端面27dの円弧中心が、リベット28の中心(ロック部材27の回転中心)とされている。
従って、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面27dに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン633と円弧状の先端面27dとの当接部分に作用する分力F1(先端面27dの円弧の法線方向)と、軸支ピン633と支持鉤穴20cの傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット28の中心(ロック部材27の回転中心)を向くため、ロック部材27のストッパ部27aの先端部が支持突出片20bから外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン633がロック部材27のストッパ部27aの先端部と支持鉤穴20cの傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン633の作用力がロック部材27にかかった状態でも、ロック部材27の弾性片27cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片27cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン633の支持鉤穴20cからの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材27のストッパ部27aの先端部が支持突出片20bから外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパ部27aの先端部の一側方が停止垂下部20fに当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材27が支持突出片20bの外側にはみ出ないようになっている。
なお、ストッパ部27aの先端面27dの形状は円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材27をその先端部が支持突出片20bの外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材27の回転中心(リベット28により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材27の弾性片27cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材27が回転してもストッパ部27aの先端一側方が停止垂下部20fに当接するだけであるため、ロック部材27が支持突出片20bの外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
本例のロック部材27の作用について図16を参照して具体的に説明する。外枠2に本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の本体枠軸支金具644(図63を参照)に形成される本体枠軸支穴(図示しない)に下支持金具21の支持突起21dが挿通されていることが必要である。そのような前提において、図16(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633をロック部材27のストッパ部27aの側面に当接させて押し込むことにより、図16(B)に示すように、ロック部材27が弾性片27cを変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン633を支持鉤穴20cに挿入することができる。そして、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図16(C)に示すように、軸支ピン633とストッパ部27aの先端側面とが当接しなくなるためロック部材27が弾性片27cの弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材27のストッパ部27aが再度通常の状態に戻って支持鉤穴20cの入口部分を閉塞すると同時に、ストッパ部27aの先端部分が軸支ピン633と対向して軸支ピン633が支持鉤穴20cから抜け落ちないようになっている。
そして、この状態は、図16(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン633を支持鉤穴20cから取外すためには、図16(E)に示すように、指を支持突出片20bの裏面に差し入れてロック部材27の操作部27bを反時計方向に回動することにより、ロック部材27が弾性片27cの弾性力に抗して回動し、ストッパ部27aの先端部分が支持鉤穴20cから退避した状態となるため、軸支ピン633を支持鉤穴20cから取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、本体枠軸支金具644に形成される本体枠軸支穴と下支持金具21の支持突起21dとの係合を解除することにより、本体枠3を外枠2から取外すことができるようになっている。
上述したように、本例の外枠2は、外枠2の外郭を構成する上枠板10と下枠板11とを従来と同じく木製とすると共に、側枠板12,13を軽量金属(例えば、アルミ合金)の押出型材としているので、パチンコ機1を遊技場に列設される島設備に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くすることができ、既存の島設備に本パチンコ機1を問題なく設置することができるようになっている。また、側枠板12,13を軽量金属(例えば、アルミ合金)の押出型材としているので、従来の木製の外枠と比較して強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することが可能となり、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の周壁部605(図63等を参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができ、左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができると同時に、遊技盤4の遊技領域1100を大きく形成することができるようになっている。
また、外枠2の外郭を構成する上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を連結部材14で連結するようにしており、連結部材14が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材14と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、外枠2の組付け強度を高くすることができ、頑丈な方形状の枠組みとすることができるようになっている。また、連結部材14によって上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を連結した後、上支持金具20を所定の位置に取付けたときに、図10に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材が存在しないので、パチンコ機1を図示しない遊技ホールの島設備に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸機)と密着して取付けることができるようになっている。
[1−2.扉枠の全体構成]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図17乃至図23を参照して説明する。図17は扉枠の正面図であり、図18は扉枠の背面図であり、図19は扉枠を右前方から見た斜視図である。また、図20は扉枠を左前方から見た斜視図であり、図21は扉枠の右後方から見た斜視図である。更に、図22は扉枠を正面から見た分解斜視図であり、図23は扉枠を背面から見た分解斜視図である。
本実施形態のパチンコ機1における扉枠5は、図示するように、外形が縦長の矩形状に形成され内周形状がやや縦長の円形状(楕円形状)とされた遊技窓101を有する扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の右外周に取付けられる右サイド装飾ユニット200と、右サイド装飾ユニット200と対向し扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の左外周に取付けられる左サイド装飾ユニット240と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の上部外周に取付けられる上部装飾ユニット280と、を備えている。
また、扉枠5は、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の下部に取付けられる皿ユニット300と、皿ユニット300の上部中央に取付けられる操作ユニット400と、皿ユニット300を貫通して扉枠ベースユニット100の右下隅部に取付けられ遊技球の打込操作をするためのハンドル装置500と、扉枠ベースユニット100を挟んで皿ユニット300の後側に配置され扉枠ベースユニット100の後面に取付けられるファールカバーユニット540と、ファールカバーユニット540の右側で扉枠ベースユニット100の後面に取付けられる球送りユニット580と、扉枠ベースユニット100の後側に遊技窓101を閉鎖するように取付けられるガラスユニット590と、を備えている。
[1−2A.扉枠ベースユニット]
続いて、扉枠5における扉枠ベースユニット100について、主に図24乃至図28を参照して説明する。図24(A)は扉枠における扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における扉枠ベースユニットの背面斜視図である。また、図25は扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図26は扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。更に、図27は扉枠ベースユニットにおける扉枠ベース基板カバーと配線保持部材とを後から見た斜視図であり、図28は扉枠と本体枠とを電気的に接続するの配線の様子を拡大して示す斜視図である。
本例の扉枠ベースユニット100は、図示するように、外形が縦長の矩形状に形成されると共に、前後方向に貫通し内周が縦長の略楕円形状に形成された遊技窓101を有する扉枠ベース本体110と、扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の下端左右両外側に配置される一対のサイドスピーカ130と、サイドスピーカ130を扉枠べース本体110へ固定するためのスピーカブラケット132と、扉枠ベース本体110の前面で正面視右下隅部に取付けられハンドル装置500を支持するためのハンドルブラケット140と、を備えている。
なお、扉枠ベースユニット100は、正面視で右側のサイドスピーカ130の外側には、サイドスピーカ130の側面と、右サイド装飾ユニット200等へ接続される配線(図示は省略)の前側とを覆い扉枠ベース本体110の前面に取付けられるカバー部材134を更に備えている。このカバー部材134は、配線をスピーカ取付部111の外周に沿って案内させることができると共に、サイドスピーカ130を取付ける際や取外す際に、配線が邪魔にならないように配線を保持することができるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース本体110の後側に固定される金属製で枠状の補強ユニット150と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の下部を被覆するように取付けられる防犯カバー180と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の外周の所定位置に回動可能に取付けられるガラスユニット係止部材190と、背面視で左右方向の中央より左側(開放側)に配置され遊技窓101の下端に沿って扉枠ベース本体110の後面に取付けられる発射カバー191と、発射カバー191の下側で扉枠ベース本体110の後面に取付けられハンドル装置500の回転位置検知センサ512と主制御基板4100との接続を中継するハンドル装置中継基板192と、ハンドル装置中継基板192の後側を被覆するハンドル装置中継基板カバー193と、左右方向の中央を挟んで発射カバー191やハンドル装置中継基板192等とは反対側(背面視で左右方向中央よりも右側(軸支側))に配置され扉枠ベース本体110の後面に取付けられる扉枠ベース基板194と、扉枠ベース基板194の後側を被覆する扉枠ベース基板カバー195と、扉枠ベース基板カバー195の後面に回動可能に軸支され扉枠5側と本体枠3側とを接続する配線コード196(図28を参照)の一部を保持する配線保持部材197と、を備えている。
本例の扉枠ベースユニット100は、合成樹脂からなる矩形状の扉枠ベース本体110の後側に、金属板金をリベット等で組立てた補強ユニット150が固定されることで、全体の剛性が高められていると共に、各装飾ユニット200,240,280や皿ユニット300等を充分に支持することができる強度を有している。
この扉枠ベースユニット100における扉枠ベース基板194は、サイドスピーカ130や左右のサイド装飾ユニット200,240の上部スピーカ222,262と接続されると共に、後述する遊技盤4に備えられた周辺制御部4140と接続されており、周辺制御部4140から送られた音響信号を増幅して各スピーカ130へ出力する増幅回路を備えている。なお、本例では、各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板430,432、操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータ414やセンサ432a,432b,432c、ハンドル装置中継基板192、皿ユニット300の貸球ユニット360等と、払出制御基板4110や周辺制御部4140等とを接続する配線コード196が、扉枠ベース基板194の背面視で右側(軸支側)の位置に集約して束ねられた上で、詳細は後述するが、配線保持部材197に保持されて後方へ延出し、本体枠3の主側中継端子板880や周辺側中継端子板882に接続されるようになっている(図1及び図28を参照)。
本例の扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110は、図25及び図26等に示すように、合成樹脂によって縦長の額縁状に形成されており、前後方向に貫通し内形が縦長で略楕円形状の遊技窓101が全体的に上方へオフセットするような形態で形成されている。この遊技窓101は、図示するように、左右側及び上側の内周縁が連続した滑らかな曲線状に形成されているのに対して、下側の内周縁は左右へ延びた直線状に形成されている。また、扉枠ベース本体110における遊技窓101の下側の内周縁には、軸支側(正面視で左側)にファールカバーユニット540の第一球出口544aを挿通可能な方形状の切欠部101aが形成されている。この扉枠ベース本体110は、遊技窓101によって形成される上辺、及び左右の側辺の幅が、後述する補強ユニット150の上側補強板金151、軸支側補強板金152、及び開放側補強板金153の幅と略同じ幅とされており、正面視における扉枠ベース本体110の大きさに対して、遊技窓101が可及的に大きく形成されている。従って、扉枠5の後側に配置される遊技盤4のより広い範囲を遊技者側から視認できるようになっており、従来のパチンコ機よりも広い遊技領域1100を容易に形成することができるようになっている。
この扉枠ベース本体110は、遊技窓101の他に、遊技窓101の下辺の左右両外側に配置されサイドスピーカ130を取付固定するためのスピーカ取付部111と、球送りユニット580を取付固定するための球送りユニット取付凹部112(図26を参照)と、球送りユニット取付凹部112の所定位置で前後方向に貫通し皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球を球送りユニット580へ供給するための球送り開口113と、正面視で右下隅部に配置され前方へ膨出した前面の右側(開放側)端が後退するように斜めに傾斜しハンドルブラケット140を取付けるためのハンドル取付部114と、ハンドル取付部114の所定位置で前後方向へ貫通しハンドル装置500からの配線が通過可能な配線通過口115と、ハンドル取付部114の上側で前方へ向かって短く延びた筒状に形成され後述するシリンダ錠1010が挿通可能な錠穴116と、を備えている。
また、扉枠ベース本体110は、図26に示すように、球送りユニット取付凹部112に下側にハンドル装置中継基板192を取付けるための中継基板取付部117と、背面視で扉枠ベース本体の下部右側(軸支側)に配置され扉枠ベース基板194を取付けるための基板取付部118と、遊技窓101の下端の背面視左側(開放側)でスピーカ取付部111よりも中央寄りの配置から後方へ突出し防犯カバー180の装着弾性片185を装着するための防犯カバー装着部119と、扉枠ベース本体110は、その後側に、遊技窓101の内周に略沿って前側へ凹みガラスユニット590の前面外周縁が当接可能なガラスユニット支持段部110aと、遊技窓101の外周の所定位置から後方へ突出しガラスユニット係止部材190を回動可能に支持するための二つの係止部材取付部110bと、を更に備えている。
更に、扉枠ベース本体110の後側には、その下辺から後方へ所定量突出する扉枠突片110cを備えており、この扉枠突片110cは、後述する本体枠3の係合溝603内に挿入されるようになっている。これにより、扉枠5が本体枠3に対して位置決め係止することができると共に、扉枠5と本体枠3との下辺の隙間からピアノ線等の不正な工具をパチンコ機1内に挿入しようとしても、係合溝603と係合した扉枠突片110cによって工具の侵入を阻止することができ、パチンコ機1の防犯機能が高められている。また、扉枠ベース本体110の後側には、背面視で錠穴116よりもやや右下の位置から後方へ突出し本体枠3の嵌合溝612と嵌合する位置決め突起110dを、備えており、この位置決め突起110dが嵌合溝612と嵌合することで、扉枠5と本体枠3とが正しい位置に位置決めされるようになっている。
また、扉枠ベース本体110は、図25に示すように、その前面に、装飾ユニット200,240,280や皿ユニット300等を固定するための前方へ突出した複数の取付ボス110eが備えられていると共に、ハンドルブラケット140等を取付けるための取付穴が適宜位置に多数形成されている。また、扉枠ベース本体110は、サイドスピーカ130を取付けるスピーカブラケット132を取付けるための取付部110gや、サイドスピーカカバー338を取付けるための取付孔110h(図18等を参照)が、適宜位置に夫々形成されている。
また、扉枠ベース本体110には、球送りユニット取付凹部112と基板取付部118との間で、後述する皿ユニット300の皿ユニットベース310における下皿球供給口310g及びファールカバーユニット540の第二球出口544bと対応する位置に、前後方向に貫通する矩形状の球通過口110fを備えている。
更に、扉枠ベース本体110は、その前面側で左右のスピーカ取付部111の上側に形成され、略三角形状に後方へ窪んだ浅い皿状の防犯凹部120を備えている。この防犯凹部120内には、前側から浅い箱状に形成された防犯部材121が挿入されるようになっている。防犯部材121は、金属板を屈曲させて前側が開放された浅い箱状に形成されている。これにより、パチンコ機1の内部に対して不正行為を行うために、例えば、サイド装飾ユニット200,240と皿ユニット300との接合部位から細いドリル等により穴を開けられてしまうのを金属製の防犯部材121によって阻止することができ、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100における一対のサイドスピーカ130は、詳細な図示は省略するが、その中心軸の交点が正面視で遊技領域1100の中央から前方へ所定距離(例えば、0.2m〜1.5m)の位置となるように斜めに固定されており、パチンコ機1の前に着座した遊技者に対して最も効率良く音が届くようになっている。また、このサイドスピーカ130は、主に中高音域の音を出力するようになっていると共に、パチンコ機1に対して、可及的に左右方向へ離反した位置に配置されており、左右のサイドスピーカ130から関連した異なる音を出力させることで、ステレオ感の高い音を出力することができるようになっている。
これらサイドスピーカ130は、その外周が、前側に配置された略円環状のスピーカブラケット132と、後側に配置された扉枠ベース本体110のスピーカ取付部111とによって挟持されることで、扉枠ベース本体110に取付けられるようになっている。なお、スピーカブラケット132は、所定のビスによって、前側から扉枠ベース本体110の取付部110gに取付けられるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース基板カバー195は、図25乃至図27等に示すように、前側が開放された薄い箱状に形成されていると共に、後側の後面に、上下方向の中央よりもやや下寄りの位置で前方へ窪んだ段部195aを備えている。この扉枠ベース基板カバー195の段部195aに、配線保持部材197が回動可能に取付けられている。
一方、扉枠ベースユニット100における配線保持部材197は、図27及び図28等に示すように、横方向へ長く延びた板状に形成されていると共に、断面がI字状に形成されており、比較的、硬質の合成樹脂によって形成されている。また、配線保持部材197は、図示するように、上下両端に長手方向へ沿って所定間隔で複数(本例では、上下に夫々三つずつ)の保持孔197aを備えている。この配線保持部材197は、扉枠5を組立てた状態で扉枠5が本体枠3に軸支される側の端部が、扉枠ベース基板カバー195における後面の段部195aに、上下方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支されており、詳細な図示は省略するが、配線保持部材197の自由端側が扉枠ベース基板カバー195側へ回動することで、配線保持部材197が扉枠ベース基板カバー195の段部195a内へ収容することができるようになっている。
この配線保持部材197は、その後面側に扉枠5と本体枠3とを電気的に接続するための配線コード196を沿わせた状態で、上下で対になった保持孔197aに所定の結束バンド198を挿通させて、その結束バンド198により配線保持部材197ごと配線コード196を締付けることで、配線コード196を保持することができるようになっている(図1及び図28を参照)。
本例の配線保持部材197は、本体枠3に対して扉枠5を閉じる方向へ回動させると、配線保持部材197の自由端側が、配線コード196における自由端側から本体枠3へ延びた部分により前方へ押されて扉枠ベース基板カバー195側へ近付く方向へ回動することとなる。これにより、扉枠5が閉まるに従って、配線保持部材197の自由端側が扉枠ベース基板カバー195へ接近すると共に、配線保持部材197の自由端から本体枠3側へ延びだした配線コード196が自由端付近で折れ曲りが大きく(鋭く)なる。そして、本体枠3に対して扉枠5が閉じられた状態となると、配線コード196が配線保持部材197の自由端側で横方向へ二つに折り畳まれたような状態となる。
一方、本体枠3に対して閉じられた扉枠5を開ける場合では、本体枠3と扉枠5とが相対的に遠ざかることとなるので、本体枠3側に接続された配線コード196によって配線保持部材197の自由端側が後方へ引っ張られることとなり、自由端側が扉枠ベース基板カバー195から遠ざかる方向(本体枠3の方向)へ移動するように配線保持部材197がスムーズに回動する。これにより、配線保持部材197の自由端側で折り畳まれた配線コード196が真直ぐに延びるように展開し、配線コード196によって阻害されること無く扉枠5を開くことができるようになっている。
このように、本例によると、配線保持部材197における扉枠5が軸支された側と同じ側の端部を、自由端側が本体枠3側へ移動するように扉枠ベース基板カバー195の後面に回動可能に軸支させると共に、扉枠5と本体枠3とを電気的に接続する配線コード196の一部が上下方向へ移動しないように保持するようにしているので、本体枠3に対して扉枠5を開閉させる際に、配線保持部材197の自由端側で配線コード196を横方向へ折り畳んだり、展開したりすることができ、扉枠5の開閉時に配線コード196が引っ掛かったり挟まれたりして不具合(配線コード196の断線、接続コネクタの外れ、等)が発生するのを防止することができるようになっている。
また、本例によると、配線保持部材197を比較的硬質で剛性の高い合成樹脂によって形成するようにしているので、扉枠5の開閉時に、配線コード196を介して力が作用しても、上下方向へブレ難くすることができ、配線コード196を確実に横方向へ折り畳んで不具合の発生を防止することができるようになっている。
更に、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を開閉させると、配線保持部材197によって本体枠3と扉枠5との間に橋が掛けられたような状態となり、配線196の一部が配線保持部材197によって架橋された状態となるので、扉枠5を開閉させても配線196が垂れ下がるのを防止することが可能となり、配線196が垂れ下がることで他の部材に引っ掛かって断線したり扉枠5を閉じることができなくなったりする不具合が発生するのを防止することができ、本体側電気機器としての主制御基板4100、周辺制御部4140、払出制御基板4110等、と扉側電気機器としての各装飾基板214,216,254,256,288,290,322,430,432、スピーカ130,222,262、貸球ユニット360、ハンドル装置500等、とを接続する配線196に不具合が発生するのを可及的に低減させることが可能なパチンコ機1を提供することができる。
また、配線196の一部を回動可能な配線保持部材197で保持するようにしており、扉枠5を開ける時に、配線196が無理に引っ張られても、配線保持部材197が回動することでその力を逃がすことができるので、配線196が引っ張られるのを防止することができ、配線196が引っ張られて断線したり接続コネクタが外れたりするような不具合が発生するのを防止することができる。また、配線保持部材197によって配線196の一部を保持しており、配線196は配線保持部材197の回動に伴って単に部分的に曲がるだけなので、従来のもの(例えば、特開2009−213675)のように配線196が摺動することは無く、配線196が擦れて漏電や断線等の不具合が発生するのを防止することができる。
更に、配線保持部材197では、長手方向へ所定間隔で複数配置された貫通する保持孔197aに結束バンド198を挿通し、その結束バンド198によって配線196を保持するようにしているので、配線196を保持した結束バンド198が保持孔197aによって配線保持部材197の長手方向へ移動(スライド)するのを防止することができ、配線保持部材197から結束バンド198ごと配線196が脱落するのを確実に防止することができる。
また、本体枠3や扉枠5から配線196が延びだす位置を、扉枠5を軸支した側辺から離れた位置に配置しても、上述したように、配線保持部材197によって配線196をガイド(案内)して扉枠5を開閉する際に配線196が垂れ下がるのを良好に防止することができるので、扉枠5おける軸支された側辺側の強度・剛性を高めた本体枠3や扉枠5とすることができ、不正行為に対する防犯性の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、配線保持部材197に、長手方向に対して直角方向両端から少なくとも配線196が沿う側へ突出した突条を備えるようにしているので、一対の突条と配線保持部材197の板面によって配線196の三方を囲むことができ、配線保持部材197に沿って配線196を保持し易くすることができる。また、配線保持部材197に突条を備えているので、板状の配線保持部材197の曲げ剛性を高めることができ、扉枠5を開閉する際に配線保持部材197が撓むのを防止して、良好な状態で扉枠5を開閉させることができる。
また、配線保持部材197の基端から先端までの長さを、扉枠5の軸心から基端の軸心までの距離と略同じ長さとすると共に、配線196における本体枠3の延出した所定位置を、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、配線保持部材197の先端よりも扉枠5の軸心側の位置としており、扉枠5の軸心と、配線保持部材197の軸心と、配線保持部材197の先端と、本体枠3における配線196が延出した位置とで、パンタグラフ状のリンクが形成されることとなるので、扉枠5を開閉する時の配線保持部材197や配線196等の動きをスムーズにすることができ、開閉作業を行い易くすることができると共に、配線196等に無理な力が作用するのを低減させて断線等の不具合が発生するのを防止することができる。また、パンタグラフ状のリンクを形成するようにしており、扉枠5を閉じる時に、配線196における配線保持部材197の先端から延出した部位が、配線保持部材197と沿うように先端側で折返されるので、扉枠5を閉じた状態では配線196を折り畳んでコンパクトに纏めることができ、配線保持部材197や配線196に係るスペースを小さくすることができる。
また、配線保持部材197を軸支した扉枠5の扉枠ベース基板カバー195に、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、本体枠3側へ向かって開口するように凹み、配線保持部材197を収納可能な段部195aを備えるようにしており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、配線保持部材197が扉枠ベース基板カバー195に備えられた段部195a内へ収納されるので、扉枠5側から本体枠3側への配線保持部材197の突出を殆ど無くすことができ、扉枠5を閉じ易くすることができると共に、配線保持部材197や配線196をコンパクトに纏めることができ、配線196が他の部材に引っ掛かるのを抑制して不具合が発生するのを防止することができる。
更に、配線196を、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、配線保持部材197における本体枠3側を向いた面に沿って保持させるようにしており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とした時に、配線保持部材197を扉枠5側(扉枠ベース基板カバー195側)へ可及的に近づけることができるので、これによっても、扉枠5からの配線保持部材197の突出を少なくすることができ、扉枠5を閉じ易くすることができると共に、配線保持部材197や配線196に係るスペースを可及的に小さくすることができる。
また、配線保持部材197を移動(開閉)する扉枠5側に備えているので、扉枠5を開閉させる慣性力や衝撃力等によって配線保持部材197を回動させ易くすることができ、上述した作用効果を確実に奏することができる。また、配線保持部材197を扉枠5に備えており、本体枠3に配線保持部材197を備えるためのスペースを確保する必要が無いので、相対的に本体枠3における遊技盤4を保持するスペースを大きくしてより大きな遊技領域1100を有した遊技盤4を保持させることができ、大型の遊技盤4を有して遊技者の関心を強く引付けることが可能なパチンコ機1とすることができる。
更に、扉枠ベースユニット100におけるハンドルブラケット140は、図25及び図26等に示すように、前後方向へ延びた円筒状の筒部141と、筒部141の後端から筒部141の軸に対して直角方向外方へ延びた円環状のフランジ部142と、筒部141内に突出し筒部141の周方向に対して不等間隔に配置された複数(本例では三つ)の突条143と、筒部141の外周面とフランジ部142の前面とを繋ぎ筒部141の周方向に対して複数配置された補強リブ144と、を備えている。このハンドルブラケット140は、フランジ部142の後面を、扉枠ベース本体110におけるハンドル取付部114の前面に当接させた状態で、所定のビスによってハンドル取付部114に取付けられるようになっており、図示は省略するが、ハンドル取付部114に取付けた状態で、筒部141の軸が配線通過口115と略一致するようになっている。
このハンドルブラケット140は、筒部141内の上側に一つ、下側に二つの突条143が備えられており、これら突条143はハンドル装置500におけるハンドルベース502の円筒部の外周に形成された三つの溝部502aと対応する位置に配置形成されている。そして、ハンドルブラケット140の三つの突条143と、ハンドル装置500の三つの溝部502aとが一致した状態でのみ、筒部141内にハンドル装置500の円筒部を挿入させることができるようになっている。従って、ハンドルブラケット140に挿入支持されたハンドル装置500のハンドルベース502は、ハンドルブラケット140に対して相対回転不能の状態に支持されるようになっている。
なお、このハンドルブラケット140は、斜めに傾斜したハンドル取付部114に取付けることで、筒部141の軸が正面視で前方へ向かうに従って右側(開放側)へ向かうように延びるように取付けられ、この状態でハンドルブラケット140に支持されたハンドル装置500の軸も、同様に斜めに傾いた状態となるようになっている。
続いて、扉枠ベースユニット100における補強ユニット150は、主に図25及び図26に示すように、扉枠ベース本体110の上辺部裏面に沿って取付けられる上側補強板金151と、扉枠ベース本体110の軸支側辺部裏面に沿って取付けられる軸支側補強板金152と、扉枠ベース本体110の開放側辺部裏面に沿って取付けられる開放側補強板金153と、扉枠ベース本体110の遊技窓101の下辺裏面に沿って取付けられる下側補強板金154と、を備えており、それらが相互にビスやリベット等で締着されて方形状に形成されている。
この補強ユニット150は、図25に示すように、軸支側補強板金152の上下端部に、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン155を有する上軸支部156と、その下面に軸ピン157(図18を参照)を有する下軸支部158と、を一体的に備えている。そして、上下の軸ピン155,157が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具630及び下軸支金具640に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に軸支されるようになっている。
また、補強ユニット150の下側補強板金154は、所定幅を有して扉枠ベース本体110の横幅寸法と略同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁に前方へ向って折曲した下折曲突片159と(図25を参照)、上方長辺端縁の正面視右側(開放側)部に前方へ向って折曲した上折曲突片160と、上方長辺端縁の中央部分に後方へ折曲した上で垂直方向に延設された垂直折曲突片161と、を備えている。この下側補強板金154は、下折曲突片159や上折曲突片160等によって強度が高められている。また、この下側補強板金154の垂直折曲突片161は、後述するガラスユニット590のユニット枠592の下端に形成された係止片592bと係合係止するように形成されており、ガラスユニット590を扉枠5の裏面側に固定した時に、垂直折曲突片161がガラスユニット590におけるユニット枠592の係止片592bが係止されることで、ガラスユニット590の下端が左右方向及び後方へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、下側補強板金154には、扉枠ベース本体110の切欠部101aと略対応した切欠部162が形成されている。
また、補強ユニット150の開放側補強板金153は、上側補強板金151と下側補強板金154との間の長辺の両側に、後方へ向かって屈曲された開放側外折曲突片163と、開放側内折曲突片164とを備えており、図示するように、開放側外折曲突片163よりも開放側内折曲突片164の方が後方へ長く延び出したように形成されている。また、開放側補強板金153の後側下部には、後述する錠装置1000の扉枠用フック部1041と当接するフックカバー165が備えられている。更に、軸支側補強板金152には、その長辺の外側端に後方へ延び出すと共に軸支側の外側に開口したコ字状の軸支側コ字状突片166を備えている(図108を参照)。また、上側補強板金151は、その長辺の両側に後方へ向かって屈曲された屈曲突片167を夫々備えている。
この補強ユニット150の軸支側補強板金152は、本体枠3に対して上軸支部156と下軸支部158の上下の二点でのみ取付支持されるようになっているので、軸支側の扉枠5と本体枠3との間にドライバーやバール等の不正な工具が差込まれると、軸支側補強板金152が変形して扉枠5と本体枠3との隙間が大きくなって不正行為を行い易くなる虞があるが、本例の軸支側補強板金152では、軸支側コ字状突片166を備えているので、軸支側補強板金152の強度がより高められており、軸支側補強板金152が曲がり難くなっている。また、軸支側補強板金152の軸支側コ字状突片166は、そのコ字内に後述する本体枠3における側面防犯板950における前端片952bが挿入されるようになっており(図108を参照)、工具の挿入を阻止することができると共に、軸支側補強板金152のみが曲がるのを防止することができ、パチンコ機1の防犯機能を高めることができるようになっている。
次に、扉枠5における扉枠ベースユニット100の防犯カバー180について、主に図25及び図26を参照して説明する。この防犯カバー180は、上記したガラスユニット590の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与されたものであり、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金152,153の間に配されるガラスユニット590の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部に遊技盤4の内レール1112の下方円弧面に略沿って円弧状に形成された当接凹部181と、当接凹部181の上端に沿って後方に向って突出する防犯後突片182と、を備えている。また、防犯カバー180の左右両端には、その端部形状に沿って後方へ突出する防犯後端部突片183が夫々備えられている。なお、背面視で右側(軸支側)の防犯後端部突片183は、反対側(開放側)の防犯後端部突片183よりも後方へ長く延びだした形態となっている。一方、防犯カバー180の前面には、防犯カバー180を取付けた状態でガラスユニット590におけるユニット枠592の下方形状に沿って突設する防犯前突片184と、防犯前突片184の外側で左右の下部端に前方へ突出するU字状の装着弾性片185と、を備えている。
この防犯カバー180は、正面視で右側(開放側)の装着弾性片185を扉枠ベースユニット100の防犯カバー装着部119に装着すると共に、反対側(軸支側)の装着弾性片185を皿ユニット300の防犯カバー装着部364に装着することで、扉枠5の裏面側に着脱自在に取付けられるようになっている。この防犯カバー180を、扉枠5に取付けた状態では、詳細な図示は省略するが、防犯前突片184がガラスユニット590のユニット枠592の下部外周と嵌合するようになっていると共に、ユニット枠592の下端部後面が垂直折曲突片161と当接するようになっている。また、後方へ突出した防犯後突片182は、扉枠5を閉じた時に、軸支側の半分が遊技盤4に固定された内レール1112の下側面に挿入され、開放側の半分が前構成部材1110における内レール1112のレール防犯溝1118に挿入された状態となるようになっている。これにより、遊技盤4の遊技領域1100に不正な工具を侵入させようとしても、内レール1112の下側に挿入された防犯後突片182によりその侵入を阻止することができるようになっている。
なお、防犯カバー180は、その裏面によって、扉枠5を閉じた状態で外レール1111と内レール1112とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うことができるようになっているので、誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板594への衝突を防止することができるようになっている。
これにより、本例では、防犯カバー180で扉枠5におけるガラスユニット590(遊技窓101)の後側下部外周を覆うようにしているので、扉枠5の前側から遊技窓101とガラスユニット590との間に可撓性の高い工具を挿入してパチンコ機1内(遊技領域1100内)に対して不正行為を行おうとしても、防犯カバー180によって工具の侵入を阻止することができ、不正行為等に対してより安全性の高いパチンコ機1とすることができるようになっている。
続いて、扉枠ベースユニット100における四つのガラスユニット係止部材190は、扉枠ベース本体110から後方へ突出する係止部材取付部110bに対して回動可能に嵌合する嵌合部190aと、嵌合部190aの軸方向に対して直角方向へ延出しガラスユニット590の係止突片451fを係止する係止片190bと、を備えている。このガラスユニット係止部材190は、嵌合部190aに対して扉枠ベース本体110の係止部材取付部110bが貫通した状態で、係止部材取付部110bの先端に抜止め用のビスを固定することで、係止部材取付部110bに対して回転可能に軸支されるようになっている。
このガラスユニット係止部材190の係止片190bは、詳細な図示は省略するが、後側に後方へ突出した突条を有しており、この突条がガラスユニット590の着脱時において、回転操作する際の指掛りとなっている。
また、扉枠ベースユニット100における発射カバー191は、補強ユニット150における下側補強板金154の後側に固定されるようになっている。また、ハンドル装置中継基板カバー193及び扉枠ベース基板カバー195は、夫々扉枠ベース110の後側の所定位置に固定されるようになっている。なお、扉枠ユニットベース100に対して発射カバー191、ハンドル装置中継基板カバー193、及び球送りユニット580を取付けた状態では、それらの後面が略同一面状となるようになっており、それらによって本体枠3に取付けられる打球発射装置650の前面を被覆することができるようになっている。
[1−2B.右サイド装飾ユニット]
続いて、扉枠5における右サイド装飾ユニット200について、主に図29乃至図31を参照して説明する。図29(A)は扉枠における右サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における右サイド装飾ユニットの背面斜視図である。また、図30は、右サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図31は、右サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態における扉枠5の右サイド装飾ユニット200は、図示するように、遊技窓101の前側外周のうち、正面視で下部を除く右側半分を装飾するものであり、内側が遊技窓101に沿って円弧状に形成されていると共に、外側が扉枠ベースユニット100の外周に沿って直線状に形成されている。この右サイド装飾ユニット200は、右サイド装飾ユニット200の外面を形成し略紡錘状の複数の湾曲面を有したサイドレンズ210と、サイドレンズ210の後側に配置されるサイドインナーレンズ212と、サイドインナーレンズ212の後側で上下方向の略中央から上側に配置され表面に複数のLED214a(フルカラーLED),214b(白色LED)が実装された右サイド上装飾基板214と、下側でサイドインナーレンズ212の上下方向の略中央から下側に配置され表面に複数のLED216a(フルカラーLED),216b(白色LED)が実装された右サイド下装飾基板216と、右サイド上装飾基板214の後側を覆い右サイド上装飾基板214を挟むようにサイドインナーレンズ212に取付けられる右サイド上装飾基板カバー218と、右サイド下装飾基板216の後側を覆い右サイド下装飾基板216を挟むようにサイドレンズ210及びサイド装飾フレーム202に取付けられる右サイド下装飾基板カバー220と、を備えている。
また、右サイド装飾ユニット200は、サイドレンズ210の右上隅に取付けられるサイドアウターカバー202と、サイドレンズ210の前面で且つ遊技窓101の周方向に所定間隔で配置されると共に遊技窓101の略中央を中心として放射状に延びた複数のサイド閃光レンズ204と、サイドインナーレンズ212における左上部とサイドレンズ210との間に配置されるサイド上部インナーレンズ206と、サイド上部インナーレンズ206をサイドインナーレンズ212に取付けるためのインナーレンズブラケット208と、サイド上部インナーレンズ206に取付けられる右上部スピーカ222と、を備えている。
この右サイド装飾ユニット200は、サイドアウターカバー202、サイド閃光レンズ204、サイド上部インナーレンズ205、インナーレンズブラケット208、サイドレンズ210、及びサイドインナーレンズ212が、透光性の部材によって形成されており、サイドアウターカバー202、サイド上部インナーレンズ205、インナーレンズブラケット208、サイドレンズ210、及びサイドインナーレンズ212が略無色透明に、サイド閃光レンズ204が有色透明(本例では赤色)とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、サイドインナーレンズ212及びサイド上部インナーレンズ206の表面には、複数の小径レンズが形成されており、光を乱屈折させることができるようになっている。そのため、サイドレンズ210、サイドインナーレンズ212、及びサイド上部インナーレンズ206の後側に配置された右サイド上装飾基板214や右サイド下装飾基板216の表面(前面)に実装されたLED214a,214b,216a,216b等が、遊技者側から明確に視認することができないようになっている。また、右サイド上装飾基板214や右サイド下装飾基板216の前面は、白色とされており、実装されたLED214a,214b,216a,216b等の光によって右サイド装飾ユニット200を効率良く発光装飾させることができるようになっていると共に、LED214a,214b,216a,216bが非点灯時に各装飾基板214,216が目立たないようになっている。なお、右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216は、夫々周辺制御部4140と接続されており、周辺制御部4140からの駆動信号(発光駆動信号)により各LED214a,214b,214c,216a,216bを適宜発光させて、右サイド装飾ユニット200を発光装飾させることができるようになっている。
本例の右サイド装飾ユニット200におけるサイドレンズ210は、図示するように、正面視で右端及び上端が扉枠ベース本体110の外周に沿った直線状に形成されていると共に、左端が遊技窓101の右側外周に沿った湾曲状に形成されている。このサイドレンズ210は、略紡錘状の複数の湾曲面からなる周レンズ部210aと、周レンズ部210aを遊技窓101の周方向へ複数に分割すると共に遊技窓101と略同心円状に延びた複数のプリズム面からなる放射レンズ部210bと、を備えている。このサイドレンズ210における複数の放射レンズ部210bは、図示するように、正面視で遊技窓101の中央下部を中心とした放射線上に延びるように形成されていると共に、周レンズ部210aの前面よりも後方へ窪んだ状態に形成されており、その窪みにサイド閃光レンズ204が挿入されるようになっている。
また、サイドレンズ210は、右側面に、前後方向へ延びると共に上下方向へ列設されたサイド拡散レンズ部210cを備えている。このサイド拡散レンズ部210cにより、右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216からの光をパチンコ機1の右方向及び上下方向へ広く拡散させることができるようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、サイドレンズ210における右上部スピーカの下側に該当する部位には、複数の貫通孔が形成されており、右上部スピーカからのサウンドを遊技者側へ良好に伝達させることができるようになっている。
サイドインナーレンズ212は、略無色透明でサイドレンズ210の内部に後側から挿入嵌合されるものであり、図示するように、サイドレンズ210における周レンズ部210aと対応した部位がシワ状に形成されていると共に、放射レンズ部210bと対応した部位が平坦面状に形成されている。また、詳細な図示は省略するが、サイドインナーレンズ212は、サイドレンズ210の周レンズ部210aに対応したシワ状の部位における前方へ突出した山部に複数の小径レンズが形成されている。このサイドインナーレンズ212は、シワ状の部位と複数の小径レンズとによって光を乱屈折及び乱反射させることができ、前側に配置されるサイドレンズ210と協同して右サイド装飾ユニット200の外観をキラキラさせると共に遠近感が不明瞭な不思議な感じに見せることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200の右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216は、表面に高輝度のカラーLEDが複数実装されており、サイドレンズ210の周レンズ部210aと対応する位置に配置されたLED214a,216aは比較的照射角度の広いもの(例えば、60゜〜180゜)が用いられており、サイドレンズ210の放射レンズ部210bと対応する位置に配置されたLED214b,216bは比較的照射角度の狭いもの(例えば、15゜〜60゜)が用いられている。なお、右サイド上装飾基板214のLED214cは、本例では、赤色と緑色のLEDとされている。
右サイド装飾ユニット200の右上部スピーカ222は、サイドスピーカ130と同様に、中高音域の音を出力するものであり、サイド上部インナーレンズ206により所定位置に所定方向へ向けて取付けられるようになっている。この右上部スピーカ222を支持するサイド上部インナーレンズ206は、正面視でパチンコ機1の左右中央で斜め前下方に向かって延びた円筒状のホーン部を備えており、ホーン部の上端裏側に、右上部スピーカ222が固定されて正面視では右上部スピーカ222が遊技者側から見えないようになっている。
本例の右上部スピーカ222は、サイド上部インナーレンズ206のホーン部によって、パチンコ機1の上部から下方の遊技者へ向かって発せられるようになっており、他のパチンコ機に対して騒音に為り難いようになっている。なお、このサイド上部インナーレンズ206もまた、サイドインナーレンズ212と同様に、その前面がシワ状に形成されていると共に、シワ状の部位における前方へ突出した山部に複数の小径レンズが形成されており、シワ状の部位と複数の小径レンズとによって光を乱屈折及び乱反射させることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200のサイド閃光レンズ204は、サイドレンズ210の後方へ窪んだ放射レンズ部210bの前側に挿入配置されるようになっており、紡錘状の複数の湾曲面によりゴツゴツした岩場を模したサイドレンズ210にアクセントを付けることができるようになっている。また、サイド閃光レンズ204は、後側に配置される右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216のLED214b,216aの発光により、放射状の発光演出を行うことができると共に、周レンズ部210aを遊技窓101の周方向へ分割させて夫々を強調させることができるようになっている。
[1−2C.左サイド装飾ユニット]
続いて、扉枠5における左サイド装飾ユニット240について、主に図32乃至図36を参照して説明する。図32(A)は扉枠における左サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における左サイド装飾ユニットの背面斜視図である。また、図33は、左サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図34は、左サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図35は左サイド装飾ユニットの断面図であり、図36は左サイド装飾ユニットの発光態様を写真で示す説明図である。
本実施形態における扉枠5の左サイド装飾ユニット240は、図示するように、遊技窓101の前側外周のうち、正面視で下部を除く左側半分を装飾するものであり、右側が遊技窓101に沿って円弧状に形成されていると共に、左側及び上側が扉枠ベースユニット100の外周に沿って直線状に形成されており、右サイド装飾ユニット200とは非対称に形成されている。この左サイド装飾ユニット240は、右サイド装飾ユニット200の幅と略同じ幅で遊技窓101の周方向へ延びた複数の大窓枠242a、及び大窓枠242a同士の間に配置される楕円状の小窓枠242bを有した枠状のサイド下装飾フレーム242と、サイド下装飾フレーム242の上側に連続し遊技窓101の周方向へ延びると共に列設された二つの大窓枠244a、及び大窓枠244a同士の間に配置される一つの楕円状の小窓枠244bを有した枠状のサイド上装飾フレーム244と、を備えている。
また、左サイド装飾ユニット240は、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の各小窓枠242a,244aに対して後側から嵌込まれるサイド閃光レンズ246と、サイド閃光レンズ246を後側から支持すると共にサイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の大窓枠242a,244aに対して後側から嵌込まれる周レンズ部250aを複数有した透明なサイドレンズ250と、サイドレンズ250における周レンズ部250aの後側に配置され遊技窓101の周方向に延びた複数のスリット251aが形成され表面に金属光沢を有するメッキ層を備えたインナー装飾部材251と、インナー装飾部材251の後側に配置され遊技窓101の左右中央下部を中心とした放射状に延びる複数の帯状レンズにより形成された拡散部252aを有するサイドインナーレンズ252と、を備えている。
また、左サイド装飾ユニット240は、サイドインナーレンズ252の後側で上下方向の略中央から上側に配置され表面に複数のLED254a(フルカラーLED),254b(白色LED)が実装された左サイド上装飾基板254と、下側でサイドインナーレンズ252の上下方向の略中央から下側に配置され表面に複数のLED256a(フルカラーLED),256b(白色LED)が実装された左サイド下装飾基板256と、左サイド上装飾基板254の後側を覆い左サイド上装飾基板254を挟むようにサイドインナーレンズ252に取付けられる左サイド上装飾基板カバー258と、左サイド下装飾基板256の後側を覆い左サイド下装飾基板256を挟むようにサイドレンズ250に取付けられる左サイド下装飾基板カバー260と、を備えている。
更に、左サイド装飾ユニット240は、サイドインナーレンズ252の前側且つ正面視右上部に配置される左上部スピーカ262と、左上部スピーカ262を支持しサイドインナーレンズ252の前面右上部に取付けられる透明な上部スピーカブラケット264と、上部スピーカブラケット264の前面に取付けられ正面視右上のインナー装飾部材251内に後側から挿入され左右中央下部を中心とした放射状に延びる複数の帯状レンズにより形成された拡散部266aを有する右上インナーレンズ266と、を備えている。なお、左上部スピーカ262は、サウンドを透過可能な金属板からなる保護板268を挟むように上部スピーカブラケット264に取付けられている。
この左サイド装飾ユニット240は、サイド下装飾フレーム242、サイド上装飾フレーム244、左サイド上装飾基板カバー258、及び左サイド下装飾基板カバー260が不透光性の部材によって形成されており、インナー装飾部材251の表面には所定色(本例では、銀色)のメッキ層が備えられている。また、サイド閃光レンズ246は、透光性を有し全体が乳白色の合成樹脂により形成されている。また、サイドレンズ250、サイドインナーレンズ252、上部スピーカブラケット264、及び右上インナーレンズ266は、略無色透明の合成樹脂によって形成されている。
なお、本例では、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244における夫々の小窓枠242b,244bの両側(遊技窓101の左右中央下部を中心とした放射線状の軸線方向に対して小窓枠242b,244bを挟んだ両側)には、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の側面まで切欠いた状態で貫通する開口枠242c,244cが形成されており、小窓枠242b,244b及び両側の開口枠242c,244cが後側からサイド閃光レンズ246によって閉鎖されるようになっている。従って、遊技者側からは、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244における小窓枠242b,244b及び開口枠242c,244cの後側が、乳白色のサイド閃光レンズ246によって視認できないようになっている。
一方、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244における大窓枠242a,244aには、後側から透明なサイドレンズ250における周レンズ部250aが挿入されて閉鎖されており、透明な周レンズ部250aを通して後側に配置されたインナー装飾部材251が遊技者側から視認できるようになっている。このインナー装飾部材251の後側には、サイドインナーレンズ252の拡散部252aが位置しており、拡散部252aで光が乱屈折することでインナー装飾部材251のスリット251aを通してサイドインナーレンズ252の後側を明確に視認することができないようになっている。つまり、インナー装飾部材251のスリット251aを通してサイドインナーレンズ252の後側に配置された左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256の表面(前面)に実装されたLED254a,254b,256a,256b等が、遊技者側から明確に視認することができないようになっている。
また、左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256の前面は、白色とされており、実装されたLED254a,254b,256a,256b等の光によって左サイド装飾ユニット240を効率良く発光装飾させることができるようになっていると共に、LED254a,254b,256a,256bが非点灯時に各装飾基板254,256が目立たないようになっている。なお、左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256は、夫々周辺制御部4140と接続されており、周辺制御部4140からの駆動信号(発光駆動信号)により各LED254a,254b,256a,256bを適宜発光させて、左サイド装飾ユニット240を発光装飾させることができるようになっている。
本例の左サイド装飾ユニット240におけるサイド下装飾フレーム242は、遊技窓101の左側外周に沿って上下方向へ延びた形態とされ、後側が開放された断面コ字状に形成されている。このサイド下装飾フレーム242は、遊技窓101の外周に沿って延び前後方向に貫通した複数の大窓枠242aと、大窓枠242a同士の間に配置され前後方向へ貫通した略楕円形状の小窓枠242bと、小窓枠242bの両側(遊技窓101側及びパチンコ機1の外側)に配置され前後方向に貫通すると共に側面まで切欠かれた開口枠242cと、を備えており、合成樹脂により形成されている。
サイド下装飾フレーム242は、大窓枠242aにサイドレンズ250の対応する周レンズ部250aが後側から嵌め込まれるようになっていると共に、小窓枠242b及び開口枠242cに対応するサイド閃光レンズ246が後側から嵌め込まれるようになっている。つまり、サイド下装飾フレーム242は、夫々対応するサイドレンズ250の周レンズ部250aとサイド閃光レンズ246の外周枠を形成することができるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240におけるサイド上装飾フレーム244は、サイド下装飾フレーム242の上端に連続し遊技窓101の左上側外周から上側外周にかけて延びた正面視が略三角形状の形態とされ、後側が開放された断面コ字状に形成されている。このサイド上装飾フレーム244は、遊技窓101に沿って延び前後方向に貫通した二つの大窓枠244aと、大窓枠244a同士の間に配置され前後方向に貫通した略楕円形状の小窓枠244bと、小窓枠244bの両側(遊技窓101側及びパチンコ機1の外側)に配置され前後方向に貫通すると共に側面まで切欠かれた開口枠244cと、を備えており、合成樹脂によって形成されている。
このサイド上装飾フレーム244は、大窓枠244aにサイドレンズ250の対応する周レンズ部250aが後側から嵌め込まれるようになっていると共に、小窓枠244b及び開口枠244cに対応するサイド閃光レンズ246が後側から嵌め込まれるようになっている。つまり、サイド上装飾フレーム244は、夫々対応するサイドレンズ250の周レンズ部250aとサイド閃光レンズ246の外周枠を形成することができるようになっている。サイド上装飾フレーム244は、左サイド装飾ユニット240として組立てた状態では、サイド下装飾フレーム242と連続した意匠を形成するようになっている。
なお、本例では、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244は、黒色に着色されており、大窓枠242a,244a、小窓枠242b,244b、及び開口枠242c,244cから臨むサイドレンズ250やサイド閃光レンズ246が強調されて見えるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ250は、サイド下装飾フレーム242とサイド上装飾フレーム244とを組合せた大きさとされ、遊技窓101の左側及び上側で中央よりも左側に亘る大きさとされている。このサイドレンズ250は、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の大窓枠242a,244aに後側から嵌め込まれる周レンズ部250aと、周レンズ部250a同士の間で後側へ窪んだ形態に形成され前側にサイド閃光レンズ246が配置される放射レンズ部250bと、を備えている。サイドレンズ250は、周レンズ部250aが夫々滑らかに湾曲した一つの曲面により形成されており、放射レンズ部250bが略平坦な面により形成されている。また、サイドレンズ250は、透明な合成樹脂により形成されており、後側が視認できるようになっている。
更に、左サイド装飾ユニット240におけるインナー装飾部材251は、サイドレンズ250における各周レンズ部250aの後側に配置され、遊技窓101の外周に沿って延び前後方向に貫通した複数のスリット251aを備えている。インナー装飾部材251は、図示するように、複数のスリット251aが、遊技窓101の外周に沿って延びると共に、遊技窓101の中央を中心として同心円状となるように、その幅方向に対しても複数備えられている。また、インナー装飾部材251は、複数のスリット251aが形成された前面が、サイドレンズ250の周レンズ部250aの内面に略沿った湾曲状に形成されている。なお、本例のインナー装飾部材251は、表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層を有しており、透明なサイドレンズ250の周レンズ部250aを通して遊技者側から視認できるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240におけるサイドインナーレンズ252は、インナー装飾部材251の後側に配置されると共にサイドレンズ250と略同じ大きさ且つ外形形状とされ、略無色透明な合成樹脂により形成されている。サイドインナーレンズ252は、インナー装飾部材251と対応する部位が各インナー装飾部材251の内部へ後側から挿入されるように前方へ膨出した拡散部252aが形成されている。このサイドインナーレンズ252の拡散部252aは、前面に遊技窓101の左右方向中央下部を中心とした放射状に延びる複数の帯状レンズが形成されており、帯状レンズの延びる方向が前側に配置されるインナー装飾部材251のスリット251aの延びる方向に対して交差(略直交)するようになっている。
サイドインナーレンズ252は、インナー装飾部材251のスリット251aを通して拡散部252aが遊技者側から見えるようになっているが、拡散部252aに形成された複数の帯状レンズにより光が乱屈折するため、拡散部252aを通しては後側が明確には見えないようになっている。また、サイドインナーレンズ252は、図示するように、拡散部252a同士の間が略平坦面となっており、後側に配置される左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256からの光を、拡散させたり屈折させたりすることなく前方へ透過させることができるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240の左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256は、表面に高輝度のカラーLEDが複数実装されており、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の大窓枠242a,244a(サイドレンズ250の周レンズ部250a)と対応する位置に配置されたLED254a,256aは比較的照射角度の広いもの(例えば、60゜〜180゜)が用いられており、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の小窓枠242b,244b及び開口枠242c,244c(サイドレンズ250の放射レンズ部250b、つまり、サイド閃光レンズ246)と対応する位置に配置されたLED254b,256bは比較的照射角度の狭いもの(例えば、15゜〜60゜)が用いられている。
左サイド装飾ユニット240の左上部スピーカ262は、サイドスピーカ130と同様に、中高音域の音を出力するものであり、上部スピーカブラケット264により所定位置に所定方向へ向けて取付けられるようになっている。この左上部スピーカ262を支持する上部スピーカブラケット264は、正面視でパチンコ機1の左右中央で斜め前下方に向かって突出する円筒状のホーン部(図示は省略)を備えている。そして、上部スピーカブラケット264におけるホーン部の上端裏側に、左上部スピーカ262が保護板268を介して固定されるようになっており、正面視では、左上部スピーカ262が遊技者側から見えないようになっている。また、金属板からなる保護板268により、左上部スピーカ262にイタズラされたり、左上部スピーカ262のコーンを破ってパチンコ機1内に不正工具が挿入されたりするのを防止することができるようになっている。本例の左上部スピーカ262は、パチンコ機1の上部から下方の遊技者へ向かって発せられるようになっており、他のパチンコ機に対して騒音に為り難いようになっている。
次に、本例の左サイド装飾ユニット240における特徴的な発光演出について説明する。左サイド装飾ユニット240は、上述したように、左サイド装飾ユニット240の外面を形成し湾曲した透明な周レンズ部250aを備えたサイドレンズ250と、周レンズ部250aの後側に配置され表面に金属光沢のメッキ層を有し前後方向に貫通した複数のスリット251aを備えたインナー装飾部材251と、インナー装飾部材251の後側に配置されスリット251aの延びる方向に対して交差する方向へ延びた複数の帯状レンズからなる拡散部252aを備えたサイドインナーレンズ252と、サイドインナーレンズ252の後側に配置され複数のLED254a,256aが実装された左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256と、を備えている(図35等を参照)。これにより、左サイド装飾ユニット240では、LED254a,256aを発光させると、前方へ照射された光が、サイドインナーレンズ252の拡散部252aで拡散された上でインナー装飾部材251のスリット251aを通り、サイドレンズ250の周レンズ部250aから遊技者側へと照射され、左サイド装飾ユニット240の周レンズ部250aを発光装飾させることができるようになっている。
ところで、インナー装飾部材251のスリット251aを通って前方(サイドレンズ250側)へ照射された光は、その一部が透明なサイドレンズ250の周レンズ部250aを透過して遊技者側へ照射されると共に、残りの光が周レンズ部250aの内面で反射してインナー装飾部材251の前面を照射することとなる。そして、インナー装飾部材251に表面には銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられているので、周レンズ部250aの内面でインナー装飾部材251側へ反射した光が、インナー装飾部材251の表面(前面)で周レンズ部250a側へ反射することとなり、インナー装飾部材251の表面で反射した光の一部が周レンズ部250aを透過して遊技者側へ照射されることとなる。
この際に、本例では、図35に示すように、周レンズ部250a、インナー装飾部材251の前面、及びサイドインナーレンズ252の拡散部252aが、夫々滑らかに湾曲しているので、内面側(後面側)で反射した光は収束し外面側(前面側)で反射した光は拡散することとなり、周レンズ部250aには、インナー装飾部材251のスリット251aを通した直接的な光と、周レンズ部250a及びインナー装飾部材251の前面で反射した間接的な光とが、夫々ずれた位置に照射されることとなる。また、インナー装飾部材251のスリット251aを通過する光は、サイドインナーレンズ252における複数の帯状レンズにより形成された拡散部252aによって、スリット251aの延びた方向に対して縞状に拡散されると共に交差(略直交)する方向へ拡散される。従って、サイドレンズ250における周レンズ部250aには、スリット251aの幅よりも長くスリット251aの延びた方向に対して交差する方向へ延び、濃淡の異なる複数の縞状の光が照射(投影)されることとなり、遠近感のある幻想的な発光装飾をすることができるようになっている(図36を参照)。
[1−2D.上部装飾ユニット]
続いて、扉枠5における上部装飾ユニット280について、主に図37乃至図40を参照して説明する。図37は、扉枠における上部装飾ユニットの正面斜視図であり、図38は、扉枠における上部装飾ユニットの背面斜視図である。また、図39は上部装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図40は上部装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態の扉枠5における上部装飾ユニット280は、図17等に示すように、扉枠5の前面中央上部で、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240における中央側の上端縁同士の間に取付けられ、それらの間を装飾するものである。上部装飾ユニット280は、図示するように、前後方向に貫通した円環状の中央枠281a、中央枠281aの上部から左右に細長く延出し先端に向かうに従って細くなる枠状の上部延出枠281b、及び中央枠281aの下部から左右に延出し先端に向かうに従って細くなる枠状の下部延出枠281cを備えた前面装飾部材281と、前面装飾部材281の後側に配置され上部延出枠281b及び下部延出枠281cの枠内を閉鎖すると共に中央枠281aの内径よりも小径の貫通孔282aを備えた透光性を有する上部レンズ282と、上部レンズ282の貫通孔282aに挿入される筒状の中央スリーブ283と、中央スリーブ283内に挿入され前方へ膨出した上部中央レンズ284と、上部中央レンズ284の後側に配置され表面に微細なプリズムが複数形成された板状の拡散レンズ285と、拡散レンズ285の外周を保持すると共に上部レンズ282の後側に支持される環状のレンズ支持部材286と、レンズ支持部材286の後側に配置されレンズ支持部材286の内径と略同径の筒部287aを有した遮光部材287と、遮光部材287の後側に配置され遮光部材287の筒部287aの内側と対応した位置に配置された複数のLED288a、及び筒部287aの外側と対応した位置に配置された複数のLED288bが前面に実装された上部中央装飾基板288と、を備えている。
また、上部装飾ユニット280は、前面装飾部材281、上部レンズ282、遮光部材287、及び上部中央装飾基板288を後側から支持するユニットベース289と、ユニットベース289の後側に配置され前面に複数のLED290aが実装された上部サイド装飾基板290と、上部サイド装飾基板290の後面を覆いユニットベース289の後側に取付けられる基板カバー291と、基板カバー291の後面下部に取付けられ後方に延出した取付ブラケット292と、取付ブラケット292の下側に取付けられ前面装飾部材281の下部後端から後方へ延出した上部下カバー293と、上部下カバー293の下側を多い透光性を有すると共に所定形状に造形された上部下装飾カバー294と、を備えている。
更に、上部装飾ユニット280は、基板カバー291に取付けられると共に前面装飾部材281の上部後端から後方へ板状に延出し、左右方向中央に後端側が開放された切欠き部295aを有する上部上カバー295と、上部上カバー295の切欠き部295aを閉鎖する板状の蓋部材296と、ユニットベース289の正面視右側面に取付けられ所定形状に造形された飾り部材297と、を備えている。
本例の上部装飾ユニット280は、前面装飾部材281の表面に、銀色の金属光沢を有したメッキ層が形成されており、前面装飾部材281が外部からの光によってキラキラ光るようになっている。また、上部レンズ282は、無色透明な合成樹脂により形成されており、貫通孔282aの外周で前面装飾部材281の中央枠281a内に臨む中央環レンズ部282bと、前面装飾部材281における上部延出枠281b及び下部延出枠281cの枠内に臨む延出枠レンズ部282cと、を備えている。上部レンズ282は、中央環レンズ部282bの後面に放射状に延びた複数の帯状レンズが周方向に列設されていると共に、延出枠レンズ部282cの前面に貫通孔282aの軸芯を中心とした同心円状に延びた複数のプリズムが形成されている。これにより、上部レンズ282の複数のプリズムや帯状レンズにより、光を乱屈折させることができ、上部レンズ282の後側が明確には見えないようになっている。
また、上部装飾ユニット280の上部中央レンズ284は、無色透明な合成樹脂により形成されている。この上部中央レンズ284は、前面側が滑らかな紡錘形状に形成されているのに対して、後面側が同心円状の複数のレンズが形成されており、光を乱屈折させることができるので、後側が明確には見えないようになっている。
また、上部装飾ユニット280の上部中央装飾基板288は、前面に実装された複数のLED288a,288bが夫々フルカラーLEDとされており、上部中央レンズ284と前面装飾部材281における中央枠281aの枠内で上部中央レンズ284の外周とを夫々別々に発光装飾させることができるようになっている。更に、上部装飾ユニット280の上部サイド装飾基板290は、前面に実装された複数のLED290aが夫々フルカラーLEDとされており、それらLED290aが前面装飾部材281における上部延出枠281b及び下部延出枠281cの夫々枠内と対応した位置に配置されている。この上部サイド装飾基板290は、LED290aを適宜発光させることで、前面装飾部材281の上部延出枠281bや下部延出枠281cを発光装飾させることができるようになっている。
[1−2E.皿ユニット]
続いて、扉枠5における皿ユニット300について、主に図41乃至図45を参照して説明する。図41は、扉枠における皿ユニットの正面斜視図であり、図42は、扉枠における皿ユニットの背面斜視図である。また、図43は、皿ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図44は、皿ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。図45は、扉枠における皿ユニットの貸球ユニットの部位で切断した断面図である。
本実施形態の扉枠5における皿ユニット300は、後述する賞球装置740から払出された遊技球を貯留するための上皿301及び下皿302を備えていると共に、上皿301に貯留した遊技球を球送りユニット580を介して後述する打球発射装置650へ供給することができるものである。本例の皿ユニット300は、図43及び図44等に示すように、扉枠ベースユニット100の下部前面に固定される左右方向延びた略板状の皿ユニットベース310と、皿ユニットベース310の前面略中央に固定され上方及び後方が開放され正面視左側(軸支側)が大きく前方へ膨出した皿状の上皿本体312と、上皿本体312の上部外周を覆うと共前端が正面視で左右方向中央が前方へ突出するように湾曲状に形成された上皿上部パネル314と、上皿上部パネル314の上側前端縁に取付けられる上皿前部装飾部材316と、上皿前部装飾部材316と上皿上部パネル314との間に配置される上皿上部インナー装飾部材318と、上皿前部装飾部材316における右側の部位と連続すると共に上皿上部パネル314における右側上部を覆う上皿上部右装飾部材319と、を備えている。
また、皿ユニット300は、上皿上部パネル314における左右中央から右側の下面に取付けられ表面に微細なプリズムが複数形成された板状の基板取付ベース320と、基板取付ベース320の下側に取付けられ上面に複数のLED322aが実装された上皿装飾基板322と、を備えている。この上皿装飾基板322のLED322aを適宜発光させることで、上皿前部装飾部材316の一部と上皿上部右装飾部材319を発光装飾させることができるようになっている。
更に、皿ユニット300には、上皿本体312の下側で皿ユニットベース310の前面に固定され上方及び後方が開放されると共に正面視で左右方向中央が前方へ膨出し前端が左右方向中央へ向かうに従って低くなるように形成された皿状の下皿本体324と、下皿本体324の上部に固定され正面視で左右方向中央が下皿本体324と略同様に前方へ膨出し前端が左右方向中央へ向かうに従って高くなるように湾曲した板状の下皿天板326と、下皿本体324の下辺前端を被覆し正面視で右側へ延出した部位に後述する錠装置1000のシリンダ錠1010が臨む錠孔328aを有した下皿カバー328と、下皿カバー328下端の左右中央左寄りの位置から右側を装飾し下皿カバー328の錠孔328aと同軸上の上開口部330a及び上開口部330aの下側に開口し前方からハンドル装置500が挿入される下開口部330bを備えた下皿右サイドカバー330と、を備えている。
また、皿ユニット300には、下皿本体324の左辺前端及び下皿天板326の左側前端を覆う斜めに延びた下皿左上サイドカバー332と、下皿左上サイドカバー332の下端に配置され前後方向に貫通した開口部334aを有する下皿左下サイドカバー334と、下皿左下サイドカバー334の開口部334aを後側から閉鎖しサウンドが透過可能とされた金属板からなる保護カバー336と、保護カバー336の外周を保持し下皿左下サイドカバー334の後面に取付けられる枠状の保持部材337と、を備えている。なお、下皿天板326の右側前端は、上皿前部装飾部材316によって覆われるようになっている。
また、皿ユニット300は、皿ユニットベース310の左右両端上部に取付けられ右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の下端と下皿サイドカバー330及び下皿左上カバー332の上端とがデザイン的に連続するような形状に形成されると共に扉枠ベースユニット100に取付けられたサイドスピーカ130と対応する位置に前後方向に貫通した開口部338aを有するサイドスピーカカバー338と、サイドスピーカカバー338の開口部338aを後側から閉鎖し前側へ膨出するように緩く湾曲した円盤状で複数の孔を有したカバー体339と、を備えている。
なお、本例では、カバー体339が、所定のパンチングメタルによって形成されているので、表側から押されたり、叩かれたりしても、変形し難いようになっており、サイドスピーカ130を可能な限り保護することができるようになっている。また、サイドスピーカカバー338は、表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が形成されている。カバー体339は、黒色に着色されている。
更に、皿ユニット300には、皿ユニットベース310及び上皿本体312に取付けられ上皿301に貯留された遊技球を下皿302へ抜くための上皿球抜き機構340と、下皿本体324の下面に取付けられ下皿302に貯留された遊技球を下方へ抜くための下皿球抜き機構350と、皿ユニットベース310の正面視で左側上部に取付けられパチンコ機1に隣接して設置された球貸し機(CRユニット6とも称す、図示は省略)を作動させる貸球ユニット360と、を備えている。
本例の皿ユニット300は、皿ユニットベース310の一部、上皿本体312、及び上皿上部パネル314等によって遊技球を貯留可能な上皿301を構成している。また、皿ユニット300は、皿ユニットベース310の一部、下皿本体324、下皿天板326、及び下皿カバー328等によって遊技球を貯留可能な下皿302を構成している。
この皿ユニット300における皿ユニットベース310は、図43に示すように、左右方向へ延びた略板状に形成されており、左右へ延びた上端縁には所定形状の形成された装飾部310aが備えられている。この装飾部310aの左端に前後方向へ貫通し貸球ユニット360を取付けるための貸球ユニット取付部310bが形成されている。この皿ユニットベース310は、貸球ユニット取付部310bの下側(正面視で左上隅部近傍)に配置され横長の矩形状で前後方向に貫通する上皿球供給口310cと、上皿球供給口310cよりも下側(皿ユニットベース310の高さ方向の略中間)で装飾部310aの右端近傍の下側に前後方向へ貫通し上下方向へ延びた上皿球排出口310dと、上皿球排出口310d及び上皿球供給口310cの直下に配置され前方へ突出すると共に上面が同じ高さとされた一対の下皿支持部310eと、を備えている。なお、上皿球排出口310dは、直下に配置された下皿支持部310eの上面の前後方向中間位置まで連続して形成されている。
また、皿ユニット300は、一対の下皿支持部310eの間に配置され下皿本体324及び下皿天板326の後端と嵌合し正面視で横長の矩形環状に形成された下皿支持溝310fと、下皿支持溝310fによって囲まれた部位の中央右寄りの下部に配置され前後方向に貫通する矩形状の下皿球供給口310gと、を備えている。更に、皿ユニットベース310は、図44に示すように、下皿球供給口310gと連続するように後方へ筒状に延びた下皿球供給樋310hと、下皿球供給樋310hの開放側側面に形成され遊技球が通過可能な大きさの切欠部310iと、を備えている。
この皿ユニットベース310の上皿球供給口310cは、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110及び補強ユニット150の切欠部101a,162を介して扉枠ベースユニットの後側に取付けられるファールカバーユニット540の第一球出口544aと連通するようになっている。この上皿球供給口310cの前端には、正面視右方向へ長く延び後方へ窪んだ誘導凹部310jを備えている。この誘導凹部310jは、左右方向に対しては正面視右端側が若干低くなるように傾斜していると共に、前後方向に対しては前端側が低くなるように傾斜している。これにより、誘導凹部310jの前端と上皿本体312の底面との高低差は、誘導凹部310j右端へ向かうほど高くなるようになっており、誘導凹部310jの右端では、上皿本体312の底面との高低差が遊技球の外径よりも若干高くなるようになっている。
従って、本例では、上皿301内に貯留された遊技球によって上皿球供給口310cの前側が閉鎖された場合、ファールカバーユニット540を介して賞球装置740から払出された遊技球が、上皿球供給口310cから直線的に前方の上皿301内に出ることができなくなるので、払出された遊技球は上皿球供給口310cの前側を閉鎖した遊技球に当接してその転動方向が変化し、誘導凹部310j内を正面視右方向へと転動するように誘導され、誘導凹部310jの右端付近から上皿301内に貯留された遊技球の上側へと放出されることとなる。これにより、上皿301内において遊技球を自動的に上下二段に貯留させることができるので、上皿球供給口310cの前を遊技球が塞いだ時に遊技者が手で遊技球を寄せなくても払出された遊技球を上皿301内に供給(放出)し続けることが可能となり、上皿301への遊技球の貯留に対して遊技者が煩わしく感じてしまうのを抑制することができ、遊技者を遊技球の打込操作や打ち込まれた遊技球による遊技に専念させて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができると共に、上皿301における遊技球の貯留量を多くすることができるようになっている。
皿ユニットベース310の上皿球排出口310dは、上皿球抜き機構340における上皿球抜きベース344の開口部344a、及び扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球送り開口113、を介して扉枠ベースユニット100の後側に取付けられる球送りユニット580の進入口581aと連通するようになっている。更に、下皿球供給口310gは、その後側から後方へ延びた下皿球供給樋310hが、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球通過口110fを貫通して後方へ延出した上で、扉枠ベースユニット100の後側に取付けられるファールカバーユニット540の第二球出口544bに接続されていると共に、下皿球供給樋310hの切欠部310iが、上皿球抜き機構340における上皿球抜きベース344の球抜き流路344cと接続されている。
なお、本例では、図示するように、下皿球供給口310gの前端には、正面視で左方向へ広がった拡口部310kを備えており、この拡口部310kによって下皿球供給口310gの前端が左右方向へ広がった状態となっている。これにより、下皿球供給口310gの前側に溜まった下皿302内の遊技球により下皿球供給口310gにおいて早期に球詰りが発生してしまうのを抑制することができ、より多くの遊技球を下皿302内へ供給することができるようになっている。
皿ユニット300の上皿本体312は、正面視で中央よりも左側(軸支側)が前方へ膨出し、底面が全体的に左端側(開放側)及び後端側が低くなるように形成されている。この上皿本体312の底面は、軸支側の後端が皿ユニットベース310における上皿球供給口310cの底辺付近に、開放側の後端が皿ユニットベース310における上皿球排出口310dの上下方向中間位置付近に、夫々位置するように形成されており、上皿球供給口310cから上皿本体312(上皿301)に供給された遊技球が、上皿球排出口310dへ誘導されるようになっている。
なお、上皿本体312は、底面の後端で左右方向中央から開放側に遊技球と接触可能な金属製の上皿レール313が取付けられている。この上皿レール313は、図示は省略するが、電気的に接地(アース)されており、遊技球に帯電した静電気を除去することができるようになっている。
皿ユニット300の上皿上部パネル314は、上皿本体312の上端から扉枠5の左右方向中央が前方へ突出するように湾曲状に延びだしており、上皿本体312の開放側よりも外側に上下方向へ貫通し後述する上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341が取付けられる取付孔314aが形成されている。この上皿上部パネル314は、前端に上皿本体312の上部前端よりも一段下がった段状に形成され上皿前部装飾部材316及び上皿上部インナー装飾部材318を取付けるための装飾取付部314bと、左右方向の中央で上皿本体312よりも前側の位置で装飾取付部314bよりも更に下がった段状に形成され後述する操作ユニット400を取付けるための操作ユニット取付部314cと、を備えている。
上皿前部装飾部材316は、無色透明な合成樹脂により、上皿上部パネル314の前端に沿って左右方向へ湾曲状に延びた形状に形成されている。この上皿前部装飾部材316は、左右方向中央右寄りの位置から左側が滑らかな形状に形成されているのに対して、右側が紡錘状に湾曲した複数の湾曲面により形成されており岩場のようなゴツゴツした形状に形成されている。また、上皿前部装飾部材316は、詳細な図示は省略するが、複数の湾曲面により形成された右側の後面に複数の小径レンズが形成されており、光を乱屈折させることができると共に遊技者側から後側が明確に見えないようになっている。上皿上部インナー装飾部材318は、上皿前部装飾部材316における左側の滑らかに形成された部位の後側に配置されるものであり、表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられている。これにより、上皿上部インナー装飾部材318は、組立てた状態では上皿前部装飾部材316の左側を通して見える部位が遊技者側から明確に見えるのに対して、上皿前部装飾部材316の右側を通して見える部位は遊技者側から不明確で距離感の定まらない感じに見えるようになっている。
また、上皿上部右装飾部材319は、無色透明な合成樹脂により形成されている。この上皿上部右装飾部材319は、表面が上皿前部装飾部材316の右側の部位と同様に、紡錘状に湾曲した複数の湾曲面により形成されており、上皿前部装飾部材316の右側の部位と一体的な形状に形成されている共に、上部右端側が後述する上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341の外周を装飾するように形成されている。また、上皿上部右装飾部材319は、裏面(下面)に複数の小径レンズが形成されており、光を乱屈折させることができると共に、遊技者側から下側が明確に見えないようになっている。なお、上皿前部装飾部材316における右側の部位の後側と、上皿上部右装飾部材319の下側には、上皿装飾基板322が配置されており、上皿装飾基板322のLED322aを適宜発光させることで、上皿前部装飾部材316及び上皿上部右装飾部材319を適宜発光させることができるようになっている。
皿ユニット300の下皿本体324は、平面視で前方へ扇状に広がり後端が左右方向へ直線状に形成され上面の略中央が最も低くなるように形成された底板324aと、底板324aの中央に上下方向へ貫通するように形成された下皿球抜き孔324bと、底板324aの後端を除く前端及び側端から上方へ立上る側板324cと、を備えている。この下皿本体324の側板324cは、底板324aの側端から上方へ立上った上端が、前側が最も低く後側へ向かうに従って高くなるように曲線状に形成されていると共に、底板324aの側端から上方へ立上った上端が直線状に形成されており、上端の直線状の部分に下皿天板326の左右両端が載置接続されるようになっている。
この下皿本体324は、底板324a及び側板324cの後端が、皿ユニットベース310の前面に形成された下皿支持溝310f内に挿入支持されるようになっている。また、下皿本体324の下皿球抜き孔324bは、底板324aの裏面側に配置される下皿球抜き機構350の開閉シャッター352によって閉鎖されるようになっている。
下皿カバー328は、黒色の合成樹脂で形成されている。一方、下皿サイドカバー330は、所定の合成樹脂により形成されていると共に表面に銀色で金属感(鏡面ではなくサンドブラスト処理をしたような艶消しの状態)のあるメッキ層が備えられている。この下皿サイドカバー330は、下端から後方へ延出し皿ユニット300の底面の一部を形成する板状の部位を備えている。下皿カバー328の錠孔328aと下皿サイドカバー330の上開口部330aとは、本体枠3に取付けられた錠装置1000のシリンダ錠1010と対応した位置に形成されており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、この錠孔328a及び上開口部330aからシリンダ錠1010の錠穴が臨むようになっている。
また、下皿左上カバー332は、所定の合成樹脂により形成されていると共に表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられている。また、下皿左下カバー334は、所定の合成樹脂により形成されていると共に表面に赤色の金属光沢を有したメッキ層が備えられており、下端から後方へ延出し皿ユニット300の底面の一部を形成する板状の部位を備えている。下皿左下カバー334の開口部334aは、後述する本体枠3に備えられたスピーカ821の前面に相当する位置に形成されており、スピーカ821からのサウンドを遊技者側へ透過させることができるようになっている。この下皿左下カバー334の開口部334aを閉鎖する保護カバー336は、金属板に複数の孔を穿設したパンチングメタルとされており、内部に不正工具が挿入されるのを防止している。
本例の皿ユニット300は、下皿サイドカバー330と下皿左下カバー334とによって左右方向中央を除いた底面が閉鎖されるようになっており、下皿サイドカバー330と下皿左下カバー334との間の底面が後述する下皿球抜き機構340によって閉鎖されるようになっている。
皿ユニット300における上皿球抜き機構340は、上皿上部パネル314の取付孔314aに対して上下方向へ進退可能に取付けられる上皿球抜きボタン341と、上皿球抜きボタン341の操作に対して上皿球抜きボタン341の上下動よりも大きく上下動し皿ユニットベース310の前面側に支持される作動片342と、作動片342を作動(回動)可能に支持すると共に皿ユニットベース310の前面に取付けられる取付ベース346と、取付ベース346に支持された作動片342の上下動によって上下方向へスライドし後述する球送りユニット580における球抜き部材583の作動棹583cと当接する当接片343aを備え皿ユニットベース310の後側に配置される上皿球抜きスライダ343と、上皿球抜きスライダ343を上下方向へスライド可能に支持し皿ユニットベース310の後側に取付けられる上皿球抜きベース344と、を備えている。
この上皿球抜き機構340は、詳細な図示は省略するが、上皿球抜きボタン341が上側の移動端に位置するように、上皿球抜きボタン341と伴に上下動する作動片342がコイルバネによって上方側へ付勢されている。また、上皿球抜きスライダ343は、上皿球抜きベース344との間に備えられたコイルバネによって上方側へ付勢された状態となっている。
上皿球抜き機構340の上皿球抜きベース344は、皿ユニットベース310の上皿球排出口310dを閉鎖すると同時に上皿球排出口310dと連絡し前方へ向かって開口する開口部344a(図43を参照)と、上皿球抜きベース344の裏面側で開口部344aと連通し開口部344aを通過した遊技球を下方へ誘導した後に後方へ誘導する球誘導流路344b(図42及び図44を参照)と、球誘導流路344bの下側から下方へ延出した後に上皿球抜きベース344の下辺に略沿って背面視で右側(軸支側)の端部へ向かって延出し遊技球が流通可能とされた球抜き流路344cと、を備えている。
上皿球抜きベース344は、開口部344aが上皿球排出口310dと連通すると共に、開口部344aと連通する球誘導流路344bの下端が扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球送り開口113を介して扉枠ベース本体110の後側に取付けられる球送りユニット580の進入口581aと連通するようになっており、上皿301内に貯留された遊技球を、球送りユニット580へ供給することができるようになっている。
また、上皿球抜きベース344の球抜き流路344cは、球誘導流路344bと隣接した上端が扉枠ベース本体110の球送り開口113を介して球送りユニット580の球抜口581bと連通していると共に、軸支側へ延びた下端が皿ユニットベース310における下皿球供給樋310hの切欠部310iと連通しており、球送りユニット580の球抜口581bから排出された遊技球を下皿302へ誘導することができるようになっている。なお、球抜き流路344cの後端下部は上皿球抜き流路カバー345によって閉鎖されている。
この上皿球抜き機構340は、コイルバネの付勢力に抗して上皿球抜きボタン341を下方へ押圧すると、上皿球抜きスライダ343が下方へスライドすると共に後方へ突出した当接片343aも下方へ移動する。そして、当接片343aの上面と当接する球送りユニット580における球抜き部材583の作動棹583cは、当接片343aが下方へ移動することで球抜き部材583の仕切部583aが所定方向へ回動し、仕切部583aによって仕切られた進入口581aと球抜口581bとの仕切りが解除されて進入口581aと球抜口581bとが連通した状態となる。これにより、上皿301に貯留された遊技球は、上皿球排出口310dから上皿球抜きベース344の開口部344a及び球誘導路344bを介して、球送りユニット580の進入口581aへ進入した上で球抜口581bから上皿球抜きベース344の球抜き流路344cへと排出され、皿ユニットベース310の下皿球供給樋310hを介して下皿球供給口310gから下皿302へ排出することができるようになっている。
なお、球送りユニット580の球抜き部材583は、その作動棹583cがコイルバネによって上方へ付勢された上皿球抜きスライダ343における当接片343aの上面と当接しているので、球抜き部材583の仕切部581a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹583cを介して上皿球抜きスライダ343を付勢するコイルバネによって吸収させることができ、球抜き部材583等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部583aで跳ね返るのを防止することができるようになっている。
皿ユニット300における下皿球抜き機構350は、下皿本体324の下側で下皿サイドカバー330と下皿左下カバー334との間に配置され皿ユニット300の底面中央部を形成する下皿球抜きベース351と、下皿球抜きベース351の上面に回動可能に軸支され下皿本体324の下皿球抜き孔324bを開閉可能な板状の開閉シャッター352と、開閉シャッター352を回動させると共に下皿球抜きベース351の上面に前後方向へスライド可能に支持された下皿球抜きスライダ353と、下皿球抜きスライダ353の前端に取付けられる下皿球抜きボタン354と、を備えている。
この下皿球抜きベース351は、下皿本体324の下皿球抜き孔324bと対向する位置に上下方向に貫通したベース球抜き孔351aを備えている。また、開閉シャッター352は、下皿球抜き孔324bを閉鎖可能な閉鎖部352aと、閉鎖部352aの前側に配置され下皿球抜き孔324bと略一致可能な上下方向に貫通したシャッター球抜き孔352bと、を備えており、下皿球抜きベース351との間でコイルバネ356によって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324b及びベース球抜き孔351aを閉鎖する位置となるように付勢されている。
なお、詳細な図示は省略するが、開閉シャッター352は、下皿球抜きスライダ353と当接可能な当接ピンを備えており、この当接ピンが下皿球抜きスライダ353と当接することで、下皿球抜きスライダ353によって閉鎖部352a及びシャッター球抜き孔352bが後方へ移動するように回動させられたり、コイルバネ356の付勢力により下皿球抜きスライダ353を前方側へスライドさせたりすることができるようになっている。
また、下皿球抜き機構350は、開閉シャッター352のシャッター球抜き孔352bが、下皿本体324の下皿球抜き孔324b及び下皿球抜きベース351のベース球抜き孔351aと略一致した回動位置に保持するために、下皿球抜きスライダ353を所定位置に保持する保持機構355を、更に備えている。
この下皿球抜き機構350は、下皿球抜きボタン354の表面形状が下皿カバー328等の表面形状と連続したような状態では、下皿球抜きボタン354が前方端へ移動した閉状態であり、開閉シャッター352の閉鎖部352aによって下皿本体324の下皿球抜き孔324bが閉鎖された状態となっている。この状態で、下皿本体324(下皿302)内に遊技球を貯留することができるようになっている。閉状態の下皿球抜きボタン354を、後方へ押圧しすると、下皿球抜きボタン354と下皿球抜きスライダ353とが後方へスライドすると共に、下皿球抜きスライダ353の後方へのスライドによって開閉シャッター352がコイルバネ356の付勢力に抗してその閉鎖部352a及びシャッター球抜き孔352bが後方へ移動するように回動することとなる。
そして、開閉シャッター352が後方へ回動することでシャッター球抜き孔352bが下皿球抜き孔324b及びベース球抜き孔351aと重なるようになり、やがて、シャッター球抜き孔352bと下皿球抜き孔324bとが一致し、下皿302に貯留された遊技球を下皿球抜き孔324bを介して皿ユニット300の下方へ排出することができる。なお、シャッター球抜き孔352bと下皿球抜き孔324bとが略一致する位置へ下皿球抜きスライダ353が後方へ移動すると、下皿球抜きスライダ353が保持機構355によってスライドが保持されるようになっており、下皿球抜きスライダ353のスライドがロック(保持)されることで下皿球抜きボタン354が後方へ後退した開状態のままとなると共に、シャッター球抜き孔352bが下皿球抜き孔3324bと一致した状態で保持され、下皿球抜きボタン354を押し続けていなくても、下皿302に貯留された遊技球を下方へ排出することができるようになっている。
一方、下皿球抜き孔324bを閉鎖する場合、後退した開状態の下皿球抜きボタン354を更に後方へ押圧すると、保持機構355による下皿球抜きスライド353の保持が解除されて、下皿球抜きスライド353がスライドすることができるようになり、コイルバネによって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324bを閉鎖する方向へ付勢された開閉シャッター352が、その付勢力によって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324bの方向(前方)へ移動する方向へ回動することとなる。そして、開閉シャッター352の前方への回動に伴って下皿球抜きスライド353が前方へスライドし、閉鎖部352aによって下皿球抜き孔324bが閉鎖されると共に、下皿球抜きボタン354が下皿カバー328等の前面と略一致した閉状態の位置に復帰し、下皿302内に遊技球を貯留することができるようになる。
なお、下皿球抜き機構350の保持機構355は、上記の機能を有した公知の技術を用いており、その詳細な機構については、説明を省略する。
皿ユニット300における貸球ユニット360は、後方へ押圧可能な貸球ボタン361及び返却ボタン362を備えていると共に、貸球ボタン361と返却ボタン362の間に貸出残表示部363を備えている。この貸球ユニット360は、パチンコ機1に隣接して設けられた球貸し機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、貸球ボタン361を押すと、所定数の遊技球を皿ユニット300の上皿301内へ貸出す(払出す)ことができると共に、返却ボタン362を押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却されるようになっている。また、貸出残表示部363には、球貸し機に投入した現金やプリペイドカードの残数が表示されるようになっている。
この貸球ユニット360は、皿ユニットベース310における上端の装飾部310aに形成された球貸ユニット取付部310bに対して、後側から取付けられるようになっている。また、球貸ユニット360には、後面から後方へ突出し防犯カバー180における軸支側(正面視で左側)の装着弾性片185を装着係止する防犯カバー装着部364を備えている。
更に詳述すると、貸球ユニット360は、貸出残表示部363の前面側を覆う透明な前カバー365と、前カバー365の後側に配置され貸出残表示部363が取付けられると共に貸球ボタン361及び返却ボタン362の操作により作動するスイッチが取付けられる貸球ユニット基板366(図45を参照)と、貸球ユニット基板366の後側を覆い皿ユニットベース310の貸球ユニット取付部310bの後側に取付けられる後カバー367と、を備えている。なお、防犯カバー装着部364は、後カバー364の後面に備えられている。
この貸球ユニット360が取付けられる皿ユニットベース310の貸球ユニット取付部310bには、貸球ボタン361及び返却ボタン362が臨む円形状のボタン開口310mと、ボタン開口310m同士の間に形成され前カバー365によって閉鎖される矩形状の表示開口310nと、二つのボタン開口310mの外周に夫々形成され前方へ突出した突出部310oと、を備えており、表示開口310nを閉鎖する透明な前カバー365を通して後側に配置された貸出残表示部363が遊技者側から見えるようになっている。また、皿ユニットベース310の突出部310oは、図45に示すように、前端が丸く形成されている。
本例の貸球ユニット360は、図示するように、皿ユニットベース310の貸球ユニット取付部310bが、上皿301よりも上側で上皿球供給口310cの直上に配置されていると共に、正面を向くように配置されている。また、貸球ユニット360は、返却ボタン362が貸球ボタン361よりも左右方向中央寄りの位置に配置されている。なお、本例では、貸球ボタン361及び返却ボタン362が、皿ユニットベース310(貸球ユニット取付部310b)とは異なる色に着色されている。これにより、遊技者に対して貸球ボタン361や返却ボタン362が認識し易くなっている。
また、貸球ユニット360は、貸球ボタン361及び返却ボタン362の外周から前方(遊技者側)へ突出した突出部310oを備えており、遊技者が上皿301内に手を挿入した際に、手が貸球ボタン361や返却ボタン362に触れる前に突出部310oに触れることとなるので、遊技者に対して貸球ボタン361や返却ボタン362の存在に気付かせることができ、貸球ボタン361や返却ボタン362等を誤操作してしまうのを防止することができるようになっている。
本例の皿ユニット300は、上皿301と下皿302とを備えており、貯留皿を二つ備えた従前のパチンコ機と同様な感じのパチンコ機1とすることができるので、昔ながらのパチンコ機を髣髴とさせることができ、新しいパチンコ機1(新機種のパチンコ機)でも遊技者に与える不安感等を低減させて遊技するパチンコ機として選択し易いパチンコ機1とすることができるようになっている。
[1−2F.操作ユニット]
次に、扉枠5における操作ユニット400について、主に図46乃至図50を参照して説明する。図46(A)は扉枠における操作ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における操作ユニットの背面斜視図である。また、図47は、操作ユニットを分解して右前上方から見た分解斜視図であり、図48は、操作ユニットを分解して右前下方から見た分解斜視図である。更に、図49は、操作ユニットの断面図であり、図50は、操作ユニットにおける押圧操作部押した状態で示す断面図である。
本実施形態の扉枠5における操作ユニット400は、正面視左右方向の略中央で上皿301の前面に配置され、遊技者が回転操作可能なダイヤル操作部401と、遊技者が押圧可能な押圧操作部405と、を備えており、遊技状態に応じて遊技者の操作を受付けたり、ダイヤル操作部401が可動したりすることができ、遊技者に対して遊技球の打込操作だけでなく、遊技中の演出にも参加することができるようにするものである。
この操作ユニット400は、円環状のダイヤル操作部401と、ダイヤル操作部401の円環内に挿入される円柱状の押圧操作部405と、ダイヤル操作部405の下端と連結される円環状の従動ギア410と、従動ギア410と噛合する円盤状の駆動ギア412と、駆動ギア412が回転軸に固定されるダイヤル駆動モータ414と、従動ギア410を回転可能に支持する円環状のギアレール416a、及び押圧操作部405を上下方向へ摺動可能に支持する円筒状のボタン支持筒416bを有した操作部保持部材416と、操作部保持部材416のボタン支持筒416b内に配置され押圧操作部405を上方へ付勢するバネ418と、操作部保持部材416のギアレール416a及びボタン支持筒416bが通過可能な開口420aを有し操作部保持部材416とダイヤル駆動モータ414とが下面に固定されるベース部材420と、ベース部材420の上面を覆いダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口422aを有した上カバー422と、上カバー422の下側にベース部材420を挟むように取付けられベース部材420及びダイヤル駆動モータ414の下面を覆う下カバー424と、を主に備えている。
また、操作ユニット400は、上カバー422の上側を覆うようにベース部材420に固定されダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口426a、及び開口426aの左右両側から外方へ延出し皿ユニット300における操作ユニット取付部314cへ固定するための固定部426bを有したカバー本体426と、カバー本体426の上側に配置され所定形状に形成されると共に表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられたインナーカバー427と、インナーカバー427の上面を覆う透明な表面カバー428と、を備えている。インナーカバー427及び表面カバー428には、ダイヤル操作部401の外筒部401cが通過可能な円形の開口が形成されている。
更に、操作ユニット400は、ベース部材420の上面に取付けられ操作部保持部材416のボタン支持筒416b及びダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口430aを有し上面におけるダイヤル操作部401の円環と対応した位置に複数のカラーLED430bが実装されたダイヤル装飾基板430と、操作部保持部材416の下側に固定され、ダイヤル操作部401の回転を検知する一対の回転検知センサ432a,432b、押圧操作部405の操作を検知する押圧検知センサ432c、及び押圧操作部405の直下の上面に実装されたカラーLED432dを有したボタン装飾基板432と、を備えている。このボタン装飾基板432は、操作部保持部材416の基板保持爪416gによって操作部保持部材416の下面に係止保持されるようになっている。
本例の操作ユニット400におけるダイヤル操作部401は、透光性を有した素材により形成されており、上下方向へ延びた筒状の内筒部401aと、内筒部401aの上端から外方へ延出し表面に所定の装飾が施された円環状の天板部401bと、天板部401bの外周端から下方へ筒状に延出し内筒部401aよりも短い外筒部401cと、外筒部401cの下端から外側へ環状に延出する鍔部401dと、を主に備えている。このダイヤル操作部401における鍔部401dの外径は、上カバー422における開口422aの内径よりも大径とされている。また、ダイヤル操作部401は、内筒部401aの下端に連結係止部(図48を参照)を備えており、従動ギア410の連結係止爪410bが係止されることで、ダイヤル操作部401と従動ギア410とを連結することができるようになっている。
更に、ダイヤル操作部401は、上端から所定距離下がった位置に内筒部401aの内壁から中心方向へ突出した突出部401fを更に備えている。ダイヤル操作部401の突出部401fは、内筒部401aの内周に沿って環状に形成されている。この突出部401fは、詳細は後述するが、押圧操作部405におけるボタンキャップ407の段部407aと当接することができるようになっており、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fと当接することで、ボタンキャップ407(押圧操作部405)がこれ以上内筒部401e内へ没入するのを防止することができるようになっている(図50を参照)。
なお、図示するように、ダイヤル操作部401の突出部401fと、押圧操作部405におけるボタンキャップ407の段部407aは、互いの当接面が、ダイヤル操作部401の中心へ向かうに従って低くなるような傾斜面とされており、互いが当接した時の接触面積が大きくなるようになっている。これにより、押圧操作部405からの荷重をダイヤル操作部401側へより多く分散させる(逃がす)ことができると共に、ダイヤル操作部401からの振動を押圧操作部405側へ伝え易くすることができるようになっている。
また、操作ユニット400における押圧操作部405は、上端が閉鎖された円筒状に形成されており、有底筒状のボタン本体406と、ボタン本体406の上端を閉鎖するボタンキャップ407と、ボタンキャップ407の内側に配置されボタン本体406の上端とボタンキャップ407の間に挟持されるキャップインナ408と、を備えている。この押圧操作部405のボタン本体406は、底部下面が下方へ向かうに従って窄まる円錐台形状とされており、この円錐台形状の下面にコイル状のバネ418の上端が挿入されるようになっていると共に、円錐台形状の下端面中央に上下方向に貫通する貫通孔406aを備えており、この貫通孔406aを通してボタン装飾基板432のLED432dからの光がボタンキャップ407及びボタンインナ408へ照射されるようになっている。
また、ボタン本体406は、外周下部から下方へ向かって延出し下端が軸直角方向外方へ突出した一対の係止爪406bを有しており、この係止爪406bが操作部保持部材416のボタン支持筒416b内に形成された係止凸部416f(図49及び図50を参照)と係止することで、ボタン本体406がボタン支持部416bから抜けないように、上方への移動端を規制することができるようになっている。また、詳細な図示は省略するが、操作部保持部材416におけるボタン支持筒416b内には、ボタン本体406の係止爪406bが周方向へ移動するのを阻止する当接部を備えており、ボタン本体406(押圧操作部405)が、ボタン支持筒416b内で回転しないようになっている。なお、ボタン本体406の係止爪406bと、ボタン支持筒416b内の当接部との間には、周方向へ所定量の隙間が形成されており、その隙間によって、ボタン本体406が所定角度範囲内で回動することができるようになっている。
また、ボタン本体406は、係止爪406bとは外周下部の異なる位置から下方へ延出しボタン装飾基板432の押圧検知センサ432cによって検知可能な押圧検知片406cを備えている。この押圧検知片406cは、バネ418の付勢力に抗してボタン本体406(押圧操作部405)が下方へ移動すると、押圧検知センサ432cによって検知されるようになっている。
更に、押圧操作部405のボタンキャップ407は、図示するように、上下方向の略中央よりも下側の外径が上側よりも小径とされており、上側と下側との間に段部407aが形成されている。このボタンキャップ407(押圧操作部405)は、段部407aよりも下側が、ダイヤル操作部401における突出部401fの内径よりも小径とされていると共に、段部407aよりも上側が、ダイヤル操作部401の内筒部401aの内径よりも小径で突出部401fの内径よりも大径とされている。これにより、ボタンキャップ407(押圧操作部405)を、ダイヤル操作部401の上側から内筒部401a内へ挿入すると、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fに当接して、ボタンキャップ407(押圧操作部405)がこれ以上内筒部401e内へ没入することができないようになっている(図50を参照)。
更に、押圧操作部405のボタンキャップ407及びキャップインナ408は、透光性環有した素材によって形成されている。キャップインナ408の上面には「Push」の文字が表示されており、その文字がボタンキャップ407を通して外側から視認することができるようになっている。
操作ユニット400における従動ギア410は、円環状の外周に駆動ギア412と噛合する複数のギア歯を備えている。この従動ギア410は、その内径が操作部保持部材416におけるボタン支持筒416bの外径よりも若干大径とされていると共に、下面に操作部保持部材416のギアレール416aと当接する円環状の摺動面410aを備えている。この摺動ギア410をボタン支持筒416bへ挿入すると共に、摺動面410aをギアレール416a上に当接させることで、摺動ギア410がボタン支持筒416bと略同心状に摺動回転することができるようになっている。
また、従動ギア410は、上端の対向する位置から上方へ延出した上で内側へ向かって突出する一対の連結係止爪410bを備えており、この連結係止爪410bがダイヤル操作部401における内筒部401aの連結係止部401eと係止することで、従動ギア410とダイヤル操作部401とが一体回転可能に連結されるようになっている。
また、従動ギア410は、下端から下方へ突出し周方向に一定間隔で列設された複数の回転検知片410cを備えている。これら回転検知片410cは、ボタン装飾基板432に取付けられた一対の回転検知センサ432a,432bによって検知されるようになっており、詳細は後述するが、回転検知片410cと回転検知片410c同士の間に形成されたスリット410dとにより、回転検知片410cに対する各回転検知センサ432a,432bの検知パターンによって従動ギア410すなわちダイヤル操作部401の回転方向を検知することができるようになっている。なお、本例では、回転検知片410cとスリット410dにおける周方向の長さが、略同じ長さとされている。
また、操作ユニット400における駆動ギア412は、図示するように、従動ギア410と噛合する平歯車とされており、ダイヤル駆動モータ414の回転軸と一体回転可能に固定されている。また、ダイヤル駆動モータ414は、回転方向、回転速度、及び回転角度を任意に制御可能な公知のステッピングモータとされており、ダイヤル駆動モータ414によって回転軸を介して駆動ギア412を回転駆動させることで、従動ギア410を介してダイヤル操作部401を回転させることができるようになっている。また、ダイヤル駆動モータ414によって駆動ギア412(回転軸)を小刻みに正転・逆転を繰返させることで、ダイヤル操作部401を振動させるようにすることができる。また、回転検知センサ432a,342bからの検知信号等に基づいて所定回転角度毎にダイヤル駆動モータ414の回転を短時間停止させるようにすることで、ダイヤル操作部401の回転操作に対して、クリック感を付与することができるようになっている。
更に、操作ユニット400における操作部保持部材416は、従動ギア410を回転可能に支持する円環状のギアレール416aと、ギアレール416aの内側から上方へ筒状に突出し内部に押圧操作部405のボタン本体406を上下方向へ摺動可能に支持するボタン支持筒416bと、ボタン支持筒416b内の底部近傍の内周面に形成されボタン本体406の係止爪406bと係止可能な係止凸部416f(図49及び図50を参照)と、ボタン支持筒416b内の底部中央を貫通しボタン装飾基板432に実装されたLED432dからの光をボタン支持筒416b内(押圧操作部405)へ送る貫通孔416cと、ボタン支持筒416bよりも外側の底部を上下方向に貫通しボタン装飾基板432に取付けられた回転検知センサ432a,432bが通過可能な開口部416dと、ボタン支持筒416b内の底部を上下方向に貫通しボタン装飾基板432に取付けられた押圧検知センサ432cが上側から望む開口部416eと、下面から下方へ延出しボタン装飾基板432を係止保持するための一対の基板保持爪416gと、を備えている。
また、操作部保持部材416は、詳細な図示は省略するが、ボタン支持筒416b内に配置され、ボタン本体406の係止爪406bに対して周方向へ所定量の隙間を形成すると共に係止爪406bと当接可能とされた複数の当接部を更に備えている。この当接部によって、ボタン本体406(押圧操作部405)が、所定角度範囲内で回動することができると共に、ボタン支持筒416b内でグルグルと回転しないようになっている。更に、操作部保持部材416は、詳細な説明は省略するが、ベース部材420へ固定するためのビス孔や、ベース部材420やボタン装飾基板432との位置決めをするための位置決めボス等が適宜位置に備えられている。
この操作部保持部材416は、ボタン支持筒416bの外周に従動ギア410を挿通させてギアレール416a上に載置することで、従動ギア410(ダイヤル操作部401)を所定の回転軸を中心として摺動回転可能に支持することができるようになっている。また、ボタン支持筒416b内に押圧操作部405のボタン本体406を挿入することで、ボタン本体406を介して押圧操作部405を上下方向へ摺動可能に支持することができるようになっている。なお、ボタン支持筒416b内の底部とボタン本体406の円錐台状の下面と間に、コイル状のバネ418が配置されるようになっており、このバネ418によって、ボタン本体406(押圧操作部405)が上方へ向かって付勢された状態となっている。
操作ユニット400におけるベース部材420は、アルミ合金等の金属により形成されており、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を強く叩いても操作ユニット400が破損し難いようになっている。このベース部材420は、操作保持部材416の外周が嵌合可能とされ上方へ向かって窪んだ下部凹部420bと、下部凹部420bの底部(天井部)を上下方向に貫通し操作部保持部材416のギアレール416aが通過可能な内形とされた開口420aと、開口420aを挟んで下部凹部420bとは反対側に配置され少なくとも従動ギア410を収容可能な下方へ向かって窪んだ上部凹部420cと、を備えている。また、ベース部材420は、図48に示すように、下部凹部420bの外側に下方へ向かって開放されダイヤル駆動モータ414を取付けるためのモータ取付部420dと、下部凹部420bの外側から下方へ向かって所定量突出する複数(本例では四つ)の脚部420eと、各脚部420eの下端に下方へ向かって開口する位置決め孔420fと、を備えている。
また、ベース部材420は、上部凹部420cの外側に上方に配置されるカバー本体426を固定するための複数のカバー固定部420gと、カバー固定部420gとは上部凹部420cの外側の異なる位置から上方へ突出しダイヤル装飾基板430を取付けるための複数の基板取付ボス420hと、を備えている。更に、ベース部材420は、詳細な説明は省略するが、その上面及び下面の適宜位置に、各部材の位置決めをするための位置決めボスや、取付孔等が形成されている。
このベース部材420は、中央の開口420aに対して、下側からボタン支持筒416b及びギアレール416aが通過するように下部凹部420b内に操作部保持部材416を嵌合挿入した上で、所定のビスを上側から下部凹部420bの天井部を通して操作部保持部材416にねじ込むことで、操作部保持部材416を支持することができるようになっている。ベース部材420は、詳細な図示は省略するが、操作部保持部材416を支持した状態では、ギアレール416aの上端が下部凹部420bの天井部の上面、つまり、上部凹部420cの底面よりも僅かに上方へ突出した状態となるようになっており、ギアレール416a上に載置される従動ギア410が、上部凹部420c内で問題なく摺動回転することができるようになっている。
また、ベース部材420の脚部420eは、その下端に形成された位置決め孔420fが、後述する下カバー424における底部の上面に形成された位置決め突起424aと嵌合するようになっており、ベース部材420と下カバー424とが互いに決められた位置に位置決めすることができるようになっている。また、ベース部材420の基板取付ボス420hは、上部凹部420c内に収容配置された従動ギア410よりも上方の位置まで突出しており、基板取付ボス420h上に取付けられたダイヤル装飾基板430が、従動ギア410と接触しないようになっている。
更に、ベース部材420は、モータ取付部420dにダイヤル駆動モータ414を取付けることで、ダイヤル駆動モータ414の上面と面で接触するようになっており、ダイヤル駆動モータ414からの熱をベース部材420側へ充分に伝達させることができ、ダイヤル駆動モータ414の熱を、ベース部材420によって放熱させることができるようになっている。これにより、ダイヤル駆動モータ414の過熱を抑制させることができ、過熱によりダイヤル駆動モータ414等に不具合が発生するのを防止することができるようになっている。
操作ユニット400の上カバー422は、下方が開放された箱状で、その天板にダイヤル操作部401の外筒部401cが通過可能で鍔部401dが通過不能とされた内径の開口422aを備えている。この上カバー422は、平面視で、押圧操作部405(従動ギア410)の軸心と、ダイヤル駆動モータ414(駆動ギア412)の軸心とを結ぶ方向(パチンコ機1における左右方向)が長く延びたように形成されており、その長軸方向両端に下方へ突出した係合爪422bを備えており、この係合爪422bを下カバー424の係合部424bに係合させることで、上カバー422と下カバー424とを組立てることができるようになっている。
また、上カバー422は、短軸方向(パチンコ機1における前後方向)の一方(パタンコ1における前側)の外周から下方へ延出した上で下端が外側へ突出した爪状の係止片422cを備えている。この係止片422cは、皿ユニット300における上皿前部装飾部材316と係止することができるようになっており、係止片422cを上皿前部装飾部材316に係止させることで、操作ユニット400が操作ユニット取付部314cから上方へ抜けるのを阻止することができるようになっている。
この上カバー422は、ベース部材420に、操作部保持部材416、従動ギア410、ダイヤル装飾基板430、及びダイヤル部材401等を取付けた状態で、開口422aに対して下側からダイヤル操作部401が通るようにベース部材420の上方を覆うことで、開口422aによってダイヤル操作部401が上方へ抜けるのを防止することができるようになっている。
一方、操作ユニット400の下カバー424は、上方が開放された箱状で、外周形状が上カバー422の外周と略一致した形状とされており、底部上面の所定位置にベース部材420における脚部420d下端の位置決め孔420fと嵌合可能な位置決め突起424aを備えている。この下カバー424は、長軸方向(パチンコ機1における左右方向)両端の上部に、上カバー422の係合爪422bと係合可能な係合部424bを備えており、この係合部424bに係合爪422bを係合させることで、下カバー424に上カバー422を取付けることができるようになっている。
操作ユニット400におけるカバー本体426は、図示するように、中央に上下方向に貫通し上カバー422が通過可能な開口426aと、開口426aの左右両側から外方へ延出し皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに固定される固定部426bと、開口426aの外周下面から下方へ延出しベース部材420のカバー固定部420gに固定される固定ボス426cと、を備えている。
本例の操作ユニット400は、カバー本体426の固定部426bを介して皿ユニット300に取付けられるようになっており、詳細な図示は省略するが、皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに取付けた状態では、操作ユニット400(下カバー424)の下面が操作ユニット取付部314cの上面よりも若干浮いた状態(例えば、0.5mm〜2.0mm)で取付けられるようになっており、操作ユニット400を押圧操作した場合や叩いた場合に、カバー本体426が弾性変形して衝撃を緩和させることができるようになっている。
なお、この操作ユニット400は、インナーカバー427及び表面カバー428を外した状態で、皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに対して、カバー本体426の固定部426bを所定のビスで取付け、その後、カバー本体426の上面にインナーカバー427及び表面カバー428を取付けるような構造となっている。
本実施形態の操作ユニット400は、ダイヤル操作部401と共に回転する従動ギア410の回転検知片410cが、隣接する回転検知片410c同士の間のスリットにおける周方向の長さと、回転検知片410cの周方向の長さが同じ長さとされている。また、ボタン装飾基板432に取付けられた一対の回転検知センサ432a,432bは、ダイヤル操作部401に対応した周方向の間隔が、回転検知片410の周方向における長さの2.5倍の間隔とされている。これにより、詳細は後述するが、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作することで、一対の回転検知センサ432a,432bによる回転検知片410cの検知・非検知にタイムラグが発生し、各回転検知センサ432a,432bによる回転検知片410cの検知パターンから、ダイヤル操作部401が何れの方向に回転しているのかを検知することができるようになっている。
また、本例の操作ユニット400は、詳細は後述するが、ダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を時計回りや、反時計周りの方向へ回転させることができるようになっている。また、操作ユニット400は、ステッピングモータを用いたダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を、カクカクと段階的に回転させたり、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作した時に、その回転を補助したり、わざと回らないようにしたり、回転にクリック感を付与したりすることができるようになっている。更に、操作ユニット400は、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転・逆転を繰返させることで、ダイヤル操作部401を振動させるようにすることができるようになっている。
また、本例の操作ユニット400は、図50に示すように、押圧操作部405を下方へ押圧すると、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fへ当接して、ボタンキャップ407(押圧操作部405)がこれ以上内筒部401e内へ没入することができないようになっているので、押圧操作部405へ加えられた荷重を、段部407a及び突出部401fを介してダイヤル操作部401側へ分散させることができ、押圧操作部405(操作ユニット400)が壊れ難いようになっている。
更に、本例の操作ユニット400は、押圧操作部405を押圧してボタンキャップ407の段部407aとダイヤル操作部401の突出部401fとが当接した状態で、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転・逆転を繰返させることで、ダイヤル操作部401と共に押圧操作部405も振動させるようにすることができ、押圧操作部405の振動によって遊技者を驚かせて遊技や演出を楽しませることができるようになっている。
本例の操作ユニット400によると、遊技者が回転操作可能なダイヤル操作部401と押圧操作可能な押圧操作部405とを、金属製のベース部材420によって支持するようにしており、操作ユニット400の強度を高めることができるので、遊技者等が操作部401,405を強く叩いても、操作ユニット400が破損するのを防止することができ、遊技者に対して操作部401,405を自由に操作させることができると共に、操作部401,405の操作性を向上させることができ、操作部401,405を用いた演出を楽しませて遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、円環状のダイヤル操作部401の中心に押圧操作部405を配置するようにしており、押圧操作部405を強く叩こうとすると、蓋然的に、ダイヤル操作部401も叩くこととなり、操作部401,405を叩く力をダイヤル操作部401と押圧操作部405とに分散させることができ、叩いた衝撃が集中するのを抑制して、操作ユニット400や皿ユニット300が破損するのを防止することができるので、操作ユニット400の操作部401,405を強打に耐え得るものとすることが可能となり、遊技者に対して操作部401,405を自由に操作させることができ、操作部401,405の操作性を向上させることができると共に、操作部401,405を用いた演出を楽しませて、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、操作ユニット400のベース部材420等を皿ユニット300の凹んだ操作ユニット取付部内314cに収容すると共にベース部材420の下端と操作ユニット取付部314cの底面との間で所定量の隙間が形成されるように、ベース部材420に取付けられたカバー本体426を皿ユニット300の上面に固定しており、操作ユニット400の操作部401,405を叩いて衝撃をかけたり、荷重をかけたりした場合、操作ユニット400の下端が操作ユニット取付部314cの底面と当接するまでは、カバー本体426の弾性変形によって衝撃や荷重を吸収することができ、操作ユニット400の下端が操作ユニット取付部314cの底面と当接した後には、操作ユニット取付部314cの底部(皿ユニット300)によって衝撃や荷重を受けることができるので、操作部401,405からの衝撃等を分散させて衝撃等が集中するのを回避させることができ、操作ユニット400及び皿ユニット300による耐衝撃性や耐荷重性を高めることができる。
更に、操作部401,405を支持する位置から離れた位置に下方へ突出した複数の脚部420eをベース部材420に備えるようにしており、ベース部材420の脚部420eが皿ユニット300における操作ユニット取付部314cの底面と当接して、操作部401,405からの衝撃がベース部材420にかかっても、衝撃の直下に脚部420eが配置されていないので、ベース部材420における操作部401,405を支持した部位が衝撃によって撓むこととなり、ベース部材420が撓む(弾性変形する)ことで操作部401,405からの衝撃をある程度吸収することができ、ベース部材420から皿ユニット300へかかる衝撃を減少させて皿ユニット300が破損するのを防止することができる。
また、ベース部材420に下側から取付けられる操作部保持部材416によって、ダイヤル操作部401の一部が平面視でベース部材420と重なるようにダイヤル操作部401を保持するようにしているので、ダイヤル操作部401を上側から強打した時に、ダイヤル操作部401を保持する操作部保持部材416がベース部材420から外れて下方へ移動しても、ベース部材420の上面にダイヤル操作部401が当接してベース部材420によりダイヤル操作部401の下方への移動を規制することができ、ダイヤル操作部401が落ち込んでしまうのを良好に防止することができる。
更に、中心に押圧操作部405を配置したダイヤル操作部401を、遊技状態に応じてダイヤル駆動モータ414により回転させるようにしているので、勝手に回転(振動も含む回転駆動)するダイヤル操作部401によって、遊技者を驚かせて操作部401,405による演出に注目させることができ、遊技者を楽しませることができると共に、ダイヤル操作部401をダイヤル駆動モータ414によって適宜駆動させることで、ダイヤル操作部401(押圧操作部405)を用いた演出をより多様なものとして飽き難くすることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、ダイヤル操作部401を従動ギア410及び駆動ギア412を介してダイヤル駆動モータ414によって回転させるようにしており、蓋然的に、ダイヤル駆動モータ414の回転軸の位置をダイヤル操作部401(従動ギア410)の回転軸の位置に対して偏芯した位置とすることができるので、ダイヤル操作部401や押圧操作部405が強く叩かれても、その衝撃がダイヤル操作部401の回転軸を介して直接ダイヤル駆動モータ414にかかるのを回避させることができ、ダイヤル駆動モータ414(操作ユニット400)が破損するのを防止することができる。
更に、ベース部材420の開口420aをダイヤル操作部401よりも小径とした上で、その開口420aを通して操作部保持部材416のギアレール416aによりダイヤル操作部401を支持するようにしているので、ダイヤル操作部401からの衝撃や荷重によってギアレール416a(操作部保持部材416)が下方へ移動しても、ダイヤル操作部401がベース部材420の開口420a上面に当接することができ、ダイヤル操作部401がベース部材420よりも落ち込んでしまうのを確実に防止することができる。また、ダイヤル操作部401を円環状のギアレール416aによって支持するようにしているので、ダイヤル操作部401と操作部保持部材416(ギアレール416a)との接触面積を増加させることができ、ダイヤル操作部401からの衝撃や荷重を分散させて操作部保持部材416が破損するのを防止することができる。
また、ダイヤル操作部401を回転駆動させるダイヤル駆動モータ414を金属製のベース部材420に取付けるようにしているので、ダイヤル駆動モータ414によりダイヤル操作部401を頻繁に回転駆動させたり、ダイヤル駆動モータ414により回転駆動させられているにも関わらず遊技者によってダイヤル操作部401の回転が強制的に停止させられていたりすることで、ダイヤル駆動モータ414に対する過度の負荷により発熱量が多くなっても、ダイヤル駆動モータ414から発生する熱を、ベース部材420を介して良好に発散・放熱させることができ、過熱によってダイヤル駆動手段414に不具合が発生するの防止することができると共に、ダイヤル駆動手段414を高い負荷に耐えられるようにすることが可能となり、上述したようなダイヤル駆動手段414を用いたダイヤル操作部401の演出を十分に具現化することができ、遊技者を楽しませられるパチンコ機1とすることができる。
更に、ダイヤル操作部401の回転を検知する回転検知センサ432a,432bと、押圧操作部405の押圧を検知する押圧検知センサ432cと、を備えるようにしており、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の回転操作や押圧操作を検知することができるので、その検知信号に基いて遊技者の操作に応じた演出を行うことが可能となり、操作部401,405を操作する遊技者に対してより一体感の有る演出を提供することができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。また、操作部401,405を発光装飾させるためのダイヤル装飾基板430やボタン装飾基板432を備えるようにしており、操作部401,405を発光装飾させることができるので、操作部401,405を発光させることで、遊技者の関心を操作部401,405に引付けることができ、遊技者に対して操作部401,405を操作させ易くすることができる。
また、操作ユニット400における押圧操作部405を押圧した時に、押圧操作部405の段部407aとダイヤル操作部401の突出部401fとが互いに接触するようにしているので、遊技者が押圧操作部405を押圧した時に、ダイヤル駆動モータ414によりダイヤル操作部401を所定角度範囲内で正転・逆転を繰返させて振動させることで、ダイヤル操作部401の突出部401fと接触した段部407aを介して押圧操作部405も振動させるができる。従って、押圧操作部405を振動させるためのバイブレータ等を別途備えなくても、遊技者に対して押圧操作405に対する操作感を付与することができるので、操作ユニット400を用いた演出を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。また、押圧操作部405を押圧操作した時に押圧操作部405が振動するので、勝手には動かないと思っていた押圧操作部405が動くことで遊技者を大きく驚かせることができ、何か良いことがあるのではないかと思わせることが可能となり、遊技に対する期待感を高めて興趣が低下するのを抑制することができる。従って、従来の操作部と違ってダイヤル操作部401や押圧操作部405が勝手に動くことで遊技者の関心を操作ユニット400へ強く引付けることができ、操作ユニット400を用いた演出へ参加させ易くすることができると共に、遊技者に対して操作ユニット400を積極的に操作させることができ、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、押圧操作部405を押圧操作した時に、押圧操作部405とダイヤル操作部401とが互いに接触するようにしているので、押圧操作部405からの力をダイヤル操作部401側へ伝達させることが可能となり、押圧操作部405を強打された場合でも、押圧操作部405にかかった荷重や衝撃をダイヤル操作部401側にも分散させることができ、押圧操作部405に対する耐荷重性や耐衝撃性を高めることができる。従って、押圧操作部405を強打しても、押圧操作部405が破損するのを防止することができるので、押圧操作部405(操作ユニット400)の破損によって遊技が中断してしまうのを回避させることができ、遊技の中断によって遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを防止することができる。
また、押圧操作部405を、上下方向へ延びた軸心周りに対して所定角度範囲内のみ回動可能に支持するようにしており、遊技者が押圧操作部405を押圧操作した時に、ダイヤル駆動モータ414によってダイヤル操作部401を回転駆動させても、押圧操作部405がダイヤル操作部401と一緒に回転しようとするのを防止することができるので、遊技者に対して操作ユニット400におけるダイヤル操作部401と押圧操作部405の夫々の役割を確実に認識させることができ、遊技者に対して操作ユニット400を用いた演出を楽しませ易くすることができると共に、押圧操作部405の上面に案内された「PUSH」の文字が回ったり大きく傾いたりすることがなく遊技者側から読み易くすることができ、遊技者に対して押圧操作部405が押圧操作するものであることを確実に認識させることができる。
また、ダイヤル操作部401における内筒部401aの内周から軸心側へ突出した突出部401fを備えると共に、押圧操作部405の外周面に上下方向の所定位置よりも下側を小径とすることで形成する段部407aを備えるようにしているので、操作ユニット400の上端ではダイヤル操作部401の内筒部401aの内周面と押圧操作部405の外周面とを可及的に近付けることができ、ダイヤル操作部401と押圧操作部405との隙間を可及的に小さくして見栄えを良くすることができると共に、ダイヤル操作部401と押圧操作部405との隙間を介して操作ユニット400内へゴミや埃等の異物の侵入をし難くすることができ、異物の侵入によってダイヤル操作部401が回動し難くなったり、押圧操作部405を押圧し難くなったりする不具合の発生を防止することができる。
更に、操作ユニット400における押圧操作部405とダイヤル操作部401との接触部位を円環状に形成しており、押圧操作部405を押圧操作した際に、ダイヤル操作部401に対して周方向のどの位置でも接触することができるので、押圧操作部405が傾くような感じで押圧(押圧操作部405の中心よりも外周へ偏った位置を押圧)されても、確実にダイヤル操作部401と接触させることができ、ダイヤル操作部401を介してダイヤル駆動モータ414からの回動駆動を押圧操作部405へ確実に伝達させることができる。また、ダイヤル操作部401と押圧操作部405とが円環状に接触するので、押圧操作部405からの荷重を広くダイヤル操作部401側へ分散させることができ、押圧操作部405に対する耐荷重性や耐衝撃性をより高めることができる。
また、操作ユニット400における押圧操作部405とダイヤル操作部401との接触部位を、ダイヤル操作部401の回転軸心の方向へ向かって低くなるように傾斜させているので、傾斜していない場合と比較して相対的に接触面積を増やすことができ、ダイヤル操作部401を介してダイヤル駆動モータ414からの駆動力を押圧操作部405側へ伝達させ易くすることができる。また、押圧操作部405からの荷重を、回転軸心の延びた方向に対して直角方向の外側方向へ放射状に分散させることができ、荷重が集中するのを防止して、操作ユニット400における耐荷重性や耐衝撃性を確実に高めることができると共に、操作ユニット400の耐久性を高めることができ、遊技中に不具合が発生するのを可及的に低減させて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、操作ユニット400のダイヤル駆動モータ414を、正転・逆転可能なステッピングモータとしているので、ダイヤル操作部401を単に回転させるだけでなく、簡単に所定位置で停止させたり、正転、逆転の繰返しにより簡単に振動させたりすることができ、上記の作用効果を奏する操作ユニット400(パチンコ機1)を確実に具現化することができる。
また、遊技球を貯留する上皿301を備えた皿ユニット300に操作ユニット400を支持させるようにしているので、蓋然的に、多数の遊技球を貯留するために皿ユニット300の強度剛性が高くなっており、操作ユニット400(押圧操作部405)への強打に対しても充分に対応することができ、操作ユニット400を用いた演出を楽しませ易くすることができる。
[1−2G.ハンドル装置]
次に、扉枠5におけるハンドル装置500について、主に図51を参照して説明する。図51(A)は扉枠におけるハンドル装置を分解して前から見た分解斜視図であり、(B)はハンドル装置を分解して後から見た分解斜視図である。本実施形態のハンドル装置500は、図示するように、皿ユニット300における皿サイド外カバー334のハンドル挿通孔334aを通して扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の前面に取付けられたハンドルブラケット140に固定され円筒状で前端が軸直角方向へ丸く膨出したハンドルベース502と、ハンドルベース502に対して相対回転可能にハンドルベース502の前側に配置されるハンドル本体504と、ハンドル本体504の前面に配置されると共にハンドルベース502に固定されハンドルベース502と協働してハンドル本体後504を回転可能に支持する前端カバー506と、を備えている。
また、ハンドル装置500は、ハンドル本体504の後側でハンドルベース502の前面に取付けられるインナーベース508と、インナーベース508及び前端カバー506とによって後端及び前端が回転可能に支持されると共にハンドル本体504と一体回転可能とされ外周に駆動ギア部510aを有した軸部材510と、軸部材510の駆動ギア部510aと噛合する伝達ギア511と、伝達ギア511と一体回転可能な検知軸部512aを有しインナーベース508とハンドルベース502との間に挟持される回転位置検知センサ512と、を備えている。
更に、ハンドル装置500は、一端側がインナーベース508に取付けられると共に他端側が伝達ギア511に取付けられ伝達ギア511を介して回転位置検知センサ512の検知軸部512aを正面視で時計回りの方向へ付勢する補助バネ514と、インナーベース508の後側に取付けられるタッチセンサ516と、タッチセンサ516とはインナーベース508の後面の異なる位置に取付けられる発射停止スイッチ518と、インナーベース508に対して回転可能に軸支され発射停止スイッチ518を作動させる単発ボタン520と、一端側がハンドルベース502に取付けられると共に他端側がハンドル本体504に取付けられハンドル本体504を初期回転位置(正面視で反時計周りの方向への回転端)へ復帰させるように付勢するハンドル復帰バネ522と、を備えている。
本例のハンドル装置500のハンドルベース502は、図示するように、前側が開放され後方へ丸く膨出した前端部から後方へ円筒状に延びた後端部を有した形態とされ、後端部の円筒状の外周に軸方向へ延びた三つの溝部502aが形成されている。ハンドルベース502の三つの溝部502aは、ハンドルブラケット140における筒部141内の三つの突条143と対応するように、上側に一つ、下側に二つ、周方向に対して不等間隔に配置されている。このハンドルベース502は、溝部502aが突条143と嵌合するように、ハンドルブラケット140の筒部141内に挿入することで、回転不能な状態で支持されるようになっている。
ハンドル装置500は、ハンドル本体504に、その回転軸と同心円状に配置された円弧状のスリット504aが形成されていると共に、前端カバー506に、後方へ突出する三つの取付ボス506aが形成されており、これら取付ボス506aがハンドル本体504のスリット504aを通してハンドルベース502の前面に固定されるようになっている。これにより、ハンドル本体504におけるスリット504aの周方向端部が、前端カバー506の取付ボス506aに当接することで、ハンドル本体504の回転範囲が規制されるようになっている。
また、ハンドル装置500は、ハンドル本体504に、後方へ突出する係止突部504bが形成されており、この係止突部504bにコイル状のハンドル復帰バネ522の他端側(前端側)が係止されることで、一端側がハンドルベース502に取付けられたハンドル復帰バネ522によってハンドル本体504が正面視で反時計周りの方向へ回動するように付勢されている。
本例のハンドル装置500は、扉枠ベース本体110のハンドル取付部114に対して、ハンドルブラケット140を介して取付けられるようになっている。この扉枠ベース本体110のハンドル取付部114は、上方から見た平面視において、その取付面が、外側(開放側)を向くように傾斜しているので、ハンドルブラケット140を介して取付けられるハンドル装置500も平面視で外側に傾斜(換言すると、パチンコ機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ機1の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されるようになっている。これにより、遊技者がハンドル装置500を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行い易いようになっている。
また、ハンドル装置500は、回転位置検知センサ512が可変抵抗器とされており、ハンドル本体504(ハンドル装置500)を回転させると、軸部材510及び伝達ギア511を介して回転位置検知センサ512の検知軸部512aが回転することとなる。そして、検知軸部512aの回転角度に応じて回転位置検知センサ512の内部抵抗が変化し、回位置検知センサ512の内部抵抗に応じて後述する打球発射装置650における発射ソレノイド654の駆動力が変化して、ハンドル装置500の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技領域1100内へ打ち込まれるようになっている。
なお、ハンドル本体504や前端カバー508の外周表面は、導電性のメッキが施されており、遊技者がハンドル本体504等に接触することでタッチセンサ516が接触を検出するようになっている。そして、タッチセンサ516が遊技者の接触を検出している時に、ハンドル本体504が回動すると、その回動に応じた強さで発射ソレノイド654の回転駆動が制御されて、遊技球を打ち込むことができるようになっている。つまり、遊技者がハンドル装置500を触らずに、何らかの方法でハンドル装置500を回転させて遊技球の打ち込みを行おうとしても、発射ソレノイド654は駆動されず、遊技球を打ち込むことができず、遊技者が本来とは異なる遊技をすることを防止してパチンコ機1を設置する遊技ホールに係る負荷(負担)を軽減させることができるようになっている。
また、遊技者がハンドル装置500を回転操作中に、単発ボタン520を押圧すると、発射停止スイッチ518が単発ボタン520の操作を検知し、発射制御部4120(図165を参照)によって発射ソレノイド654の回転駆動が停止させられるようになっている。これにより、ハンドル装置500の回転操作を戻さなくても、遊技球の発射を一時的に停止させることができると共に、単発ボタン520の押圧操作を解除することで、単発ボタン520を操作する前の打込強さで遊技球を発射することができるようになっている。
本例のハンドル装置500は、ハンドル本体504の回転操作を回転位置検知センサ512によって電気的に検知した上で、その回転位置検知センサ512からの回転位置の検知に基いて、発射制御部4120で発射ソレノイド654の回転駆動強さを制御するようにしているので、従来のパチンコ機のように、扉枠5に備えられるハンドル装置500と、本体枠3に備えられる打球発射装置650とを、扉枠5の閉鎖時には互いに連係し、扉枠5の開放時には連係が解除されるように機械的(例えば、ジョイントユニット)な機構を備える必要が無く、パチンコ機1に係る構成を簡略化することができると共に、ジョイントユニットでの不具合の発生をなくすことができ、遊技球の打込不具合によって遊技者の興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[1−2H.ファールカバーユニット]
次に、扉枠5におけるファールカバーユニット540について、主に図52及び図53を参照して説明する。図52(A)は扉枠におけるファールカバーユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)ファールカバーユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図53は、ファールカバーユニットの前カバーを外した状態で示す正面図である。
扉枠5におけるファールカバーユニット540は、扉枠ベースユニット100における遊技窓101よりも下側の後面に取付けられ、後述する賞球ユニット700から払出された遊技球や、打球発射装置650により発射されにも関わらず遊技領域1100内へ到達しなかった遊技球(ファール球)を、皿ユニット300の上皿301や下皿302へ誘導するものである。本例のファールカバーユニット540は、前側が開放され複数の遊技球の流路を内部に有したカバーベース542と、カバーベース542の前端を閉鎖する前カバー544と、を備えている。
このファールカバーユニット540のカバーベース542は、図52(B)に示すように、背面視で右上隅に配置され前後方向に貫通する第一球入口542aと、第一球入口と連通しカバーベース542の前端に向かうに従って正面視右側へ広がる第一球通路542bと、第一球入口542aの外側(背面視でで右側)に配置され第一球入口542aよりも大口の第二球入口542cと、第二球通路542dと連通しカバーベース542の内部で、下方へ延びた上で正面視右下隅へ向かって低くなるように傾斜した第二球入口542cと、を備えている。この第一球入口542a及び第二球入口542cは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態で、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774及び満タン球出口776と夫々対向する位置に形成されている。なお、カバーベース542における第二球通路542dは、図示するように、下端に沿って左右方向へ延びた部分の高さが、遊技球の外径に対して約3倍の高さとされており、所定量の遊技球を収容可能な収容空間546が形成されている。
また、カバーベース542は、左右方向の略中央上部に配置され上方に開口したファール球入口542eと、ファール球入口542eと連通し第二球通路542dの下流付近の上部へ遊技球を誘導可能なファール球通路542fと、を備えている。また、カバーベース542は、第二球入口542cの下側の後面に球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792を作動させるための開閉作動片542gを、備えている。この開閉作動片542gは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた時に、球出口開閉ユニット790における開閉クランク793の球状の当接部793dと当接することで、開閉クランク793を回転させて開閉シャッター792を開状態とすることができるものである。
ファールカバーユニット540の前カバー544は、カバーベース540の前面を閉鎖する略板状に形成されており、正面視左上隅に配置されカバーベース540の第一球通路542bと連通し前後方向に貫通した第一球出口544aと、正面視右下隅に配置されカバーベース540の第二球通路の下流端と連通し前後方向に貫通した第二球出口544bと、を備えている。前カバー544の第一球出口544aは、扉枠ベースユニット100の切欠部101aを通して皿ユニット300の上皿球供給口310cと接続されるようになっている。また、第二球出口544bは、扉枠ベース本体110の球通過口110fを通して皿ユニット300における下皿球供給樋310hの後端が接続されるようになっている。
本例のファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774から第一球入口542aへ供給された遊技球を、第一球通路542bを通って第一球出口544aから皿ユニット300の上皿球供給口310cを介して上皿301へ供給することができるようになっている。また、ファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の満タン球出口776から第二球入口542cへ供給された遊技球を、第二球通路542dを通って第二球出口544bから皿ユニット300の下皿球供給樋310h及び下皿球供給口310gを介して下皿302へ供給することができるようになっている。
更に、ファールカバーユニット540は、詳細は後述するが、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態とすると、ファール球入口542eが本体枠3のファール空間626の下部に位置するようになっており、打球発射装置650により発射された遊技球が遊技領域1100内へ到達せずにファール球となってファール空間626を落下すると、ファール球入口542eによって受けられるようになっている。そして、ファールカバーユニット540は、ファール球入口542eに受けられた遊技球を、ファール球通路542f及び第二球通路542dを通って第二球出口544bから皿ユニット300の下皿302へ排出(供給)することができるようになっている。
また、本例のファールカバーユニット540は、第二球通路542dにおける収容空間546の上流側(正面視左側)側面を形成し収容空間546内に貯留された遊技球によって揺動可能にカバーベース542に軸支された揺動部材548と、揺動部材548の揺動を検知する満タン検知センサ550と、揺動部材548が満タン検知センサ550によって非検知状態となる方向へ付勢するバネ552と、を備えている。この揺動部材548は、図53に示すように、カバーベース542に対して下端が回動可能に軸支されていると共に、上端が正面視左側へ回動するようになっており、略垂直な状態で収容空間546の左側側壁を形成するようになっている。また、揺動部材548は、バネ552によって略垂直状態となる位置へ付勢されている。また、動揺部材548は、収容空間546側とは反対側の側面に外側へ突出する検知片548aが形成されており、この検知片548aが満タン検知センサ550よって検知されるようになっている。
更に、ファールカバーユニット540は、第二球通路542dにおける収容空間546の底部に配置されるアースレール554と、カバーベース542の背面視で右端と、左端を夫々被覆する板状のアース金具556と、を備えており、遊技球の流通による転動抵抗によって発生する静電気を除去することができるようになっている。
本例では、賞球ユニット700から払出された遊技球が満タン分岐ユニット770の通常球出口774からファールカバーユニット540を介して皿ユニット300の上皿301へ供給されるようになっており、上皿301内が満杯となっても更に遊技球が賞球ユニット700から払出されると、ファールカバーユニット540の第一球通路542b内で滞り、更に満タン分岐ユニット770における通常球出口774の上流の通常通路773内も一杯になると、満タン分岐ユニット770の分岐空間772を介して満タン通路775側へ遊技球が流通するようになり(図79を参照)、満タン分岐ユニット770の満タン球出口776からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路542d、及び第二球出口544bを介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになる。
そして、皿ユニット300の下皿302内が遊技球で一杯になると、ファールカバーユニット540の第二球出口544bから遊技球が出られなくなり、第二球通路542d内の収容空間546内に滞った遊技球が貯留されることとなる。更に、賞球ユニット700から遊技球が払出されて収容空間546内に遊技球が多く貯留されるにつれて、遊技球の貯留圧が揺動部材548に作用し、バネ552の付勢力に抗して揺動部材548の上端が左方へと移動することとなる。そして、揺動部材548の検知片548aが、満タン検知センサ550によって検知されると、払出制御基板4110(図165を参照)において賞球ユニット700から遊技球の払出しが停止されると共に、遊技者に対して皿ユニット300内の遊技球を外部へ排出するのを促す通知を行うようになっている。
なお、収容空間546(下皿302)内の遊技球が排出されて、揺動部材548がバネ552の付勢力によって略垂直な状態に復帰すると、満タン検知センサ550による検知片548aの検知が非検知となり、賞球ユニット700からの遊技球の払出しが再開されるようになっている。
[1−2I.球送りユニット]
続いて、扉枠5における球送りユニット580について、主に図54乃至図57を参照して説明する。図54(A)は扉枠における球送りユニットの正面斜視図であり、(B)は球送りユニットの背面斜視図である。また、図55は、球送りユニットの背面図である。また、図56(A)は球送りユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)は球送りユニットの後ケースを外して後から見た分解斜視図である。更に、図57(A)は球送りユニットにおける不正防止部材の平面図であり、(B)は不正防止部材の正面図であり、(C)は不正防止部材を前から見た斜視図であり、(D)は不正防止部材の作用を示す説明図である。扉枠5における球送りユニット580は、皿ユニット300における上皿301から供給される遊技球を一つずつ打球発射装置650へ供給することができると共に、上皿301内に貯留された遊技球を、上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341の操作によって下皿302へ抜くことができるものである。
この球送りユニット580は、皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球が、皿ユニットベース310の上皿球排出口310d、扉枠ベース本体110の球送り開口113を通して供給され前後方向に貫通した進入口581a、及び進入口581aの下側に開口する球抜口581bを有し後方が開放された箱状の前カバー581と、前カバー581の後端を閉鎖すると共に前方が開放された箱状で、前後方向に貫通し前カバー581の進入口581aから進入した遊技球を打球発射装置650へ供給するための打球供給口582aを有した後カバー582と、後カバー582及び前カバー581の間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支され前カバー581の後側で進入口581aと球抜口581bとの間を仕切る仕切部583aを有した球抜き部材583と、球抜き部材583の仕切部583a上の遊技球を一つずつ後カバーの打球供給口582aへ送り前カバー581と後カバー582との間で上下方向へ延びた軸周りに回動可能に支持された球送り部材584と、球送り部材584を回動させる球送ソレノイド585と、を備えている。本例では、図示するように、正面視で、球送り部材584が進入口581aの右側に配置されており、この球送り部材584の左側に球抜き部材583が右側に球送ソレノイド585が夫々配置されている。
この球送りユニット580の前カバー581は、正面視で球抜口581bの左側に、球抜き部材583の回転中心に対して同心円状に形成された円弧状のスリット581cを備えており、このスリット581cから後述する球抜き部材583の作動棹583cが前方へ延びだすようになっている。また、前カバー581は、進入口581aの上縁から上側が上方へ延びだしており、扉枠ベースユニット100へ組立てた際に、上皿球抜きベース344における球誘導流路344bの後端開口を閉鎖するように形成されている。
また、球抜き部材583は、進入口581aよりも下側で進入口581aと球抜口581bと間を仕切り上面が球送り部材584の方向へ向かって低くなる仕切部583aと、仕切部583aの球送り部材584とは反対側の端部から下方へ延出すると共に上下方向の中間付近から球抜口581bの下側中央へ向かってく字状に屈曲し下端が前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される回動棹部583bと、回動棹部583bの上端から前方へ向かって突出する棒状の作動棹583cと、作動棹583cよりも下側で回動棹部583bの側面から仕切部583aとは反対側へ突出した錘部583dと、を備えている。この球抜き部材583の作動棹583cは、前カバー581に形成された円弧状のスリット581cを通して前方へ突出するように形成されており(図54を参照)、扉枠ベース本体110の球送り開口113を介して皿ユニット300の上皿球抜き機構340における上皿球抜きスライダ343の当接片343aの上端と当接するようになっている。
更に、球送り部材584は、進入口581a及び球抜き部材583の仕切部583aの方向を向き上下方向へ延びた回転軸芯を中心とした平面視が扇状の遮断部584aと、遮断部584aの後端から回転軸芯側へ円弧状に窪んだ球保持部584bと、球保持部584bの後端から下方へ延出する棒状の棹部584cと、を備えている。この球送り部材54における遮断部584aと球保持部584bは、夫々回転軸芯を中心とした約90゜の角度範囲内に夫々形成されている。また、球送り部材584の球保持部584bは、一つの遊技球を保持可能な大きさとされている。この球送り部材584は、球送ソレノイド585の駆動によって回転軸芯と偏芯した位置に配置された棹部584cが左右方向へ移動させられることで、回転軸芯周りに回動するようになっている。
球送り部材584は、遮断部584aが仕切部583aの方向を向くと同時に球保持部584bが打球供給口582aと連通した方向を供給位置と、球保持部584bが仕切部583aの方向へ向いた保持位置との間で回動するようになっている。この球送り部材584が供給位置の時には、球保持部584bに保持された遊技球が、打球供給口582aから打球発射装置650へ供給されると共に、進入口581aから仕切部583a上に進入した遊技球が、遮断部584aによって球保持部584b(打球供給口582a)側への移動が遮断されて仕切部583a上に留まった状態となる。一方、球送り部材584が保持位置へ回動すると、球保持部584bが仕切部583aの方向を向くと共に、球保持部584bの棹部584c側の端部が打球供給口582aを閉鎖した状態となり、仕切部583a上の遊技球が一つだけ球保持部584b内に保持されるようになっている。
また、球送りユニット580は、球送ソレノイド585の駆動(通電)によって先端が上下方向へ揺動する球送り作動桿586と、球送り作動桿586における上下方向へ揺動する先端の動きによって前後方向へ延びた軸周りに回動すると共に、球送り部材584を上下方向へ延びた軸周りに回動させる球送りクランク587と、を備えている。この球送りクランク587は、球送り作動桿586の上下動する先端と係合可能とされ左右方向へ延びた係合部587aと、係合部587aの球送り作動桿586と係合する側とは反対側に配置され前カバー581と後カバー582との間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支される軸部587bと、軸部587bから上方へ延出し球送り部材584における回動中心に対して偏芯した位置から下方へ突出する棒状の棹部584c(図56を参照)と係合する伝達部587cと、を備えている。
本例の球送りユニット580は、球送り作動桿586及び球送りクランク587によって、上下方向へ進退する球送ソレノイド585の駆動により揺動する球送り作動桿586の動きを伝達させて球送り部材584を回動させることができるようになっている。なお、球送ソレノイド585の非駆動時(通常時)では、球送り作動桿586が球送ソレノイド585の下端から離れて揺動する先端が下方へ位置した状態となるようになっており、この状態では球送り部材584が供給位置に位置した状態となる。また、球送ソレノイド585の駆動時では、球送り作動桿586が球送ソレノイド585の下端に吸引され揺動する先端が上方へ位置した状態となり、球送り部材584が保持位置へ回動するようになっている。つまり、球送ソレノイド585が駆動される(ONの状態)と球送り部材584が遊技球を一つ受入れ、球送ソレノイド585の駆動が解除される(OFFの状態)と球送り部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送る(供給する)ようになっている。この球送りユニット580における球送ソレノイド585の駆動は、発射制御部4120により発射ソレノイド654の駆動制御と同期して制御されるようになっている。
また、本例の球送りユニット580における回動可能に軸支された球抜き部材583は、錘部583cによって正面視反時計周りの方向へ回転するようなモーメントがかかるようになっているが、前方へ突出した作動棹583cが皿ユニット300の上皿球抜き機構340における上皿球抜きスライダ343の当接片343aの上端と当接することで、その回動が規制されるようになっており、通常時では、球抜き部材583の仕切部583aが進入口581aと球抜口581bとの間を仕切って、球抜口581b側へ遊技球が侵入しないようになっている。そして、遊技者が、皿ユニット300における上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341を下方へ押圧操作すると、上皿球抜きスライダ343が当接片343aと共に下方へスライドして、当接片343aの下方への移動に伴って作動棹583cも相対的に下方へ移動することとなる。
このように、上皿球抜き機構340の当接片343aと共に作動棹583cが下方へ移動することで、球抜き部材583が正面視反時計周りの方向へ回動して仕切部583aによる進入口381aと球抜口381bとの間の仕切りが解除され、進入口381aから進入した遊技球が、球抜口381bから皿ユニット300の上皿球抜きベース344の球抜き流路344cへと排出され、下皿302へ排出(供給)されるようになっている。
なお、球抜き部材583の作動棹583cが当接する上皿球抜きスライダ343の当接片343aは、コイルバネによって上方へ付勢されているので、仕切部581a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹583cを介して上皿球抜きスライダ343を付勢するコイルバネによって吸収させることができ、球抜き部材583等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部583aで跳ね返るのを防止することができるようになっている。
また、本例の球送りユニット580は、後カバー582における打球供給口582aの背面視で右上に前方へ窪んだ矩形状の取付凹部582b(図56(B)等を参照)が形成されていると共に、その取付凹部582b内に不正防止部材588が取付けられている。球送りユニット580の不正防止部材588は、工具鋼やステンレス等の硬質の金属板により形成されており、後カバー582の取付凹部582a内に対して後側から脱着可能に取付けられている。この不正防止部材588は、図55等に示すように、背面視における全体の外径が横長の矩形状に形成されており、背面視で左辺側となる先端における上下方向の略中央から反対側の基端側(右辺側)へ向かって所定長さ伸びた分割線588aを境界として上下に分断された上片部588b及び下片部588cと、上片部588b及び下片部588cの先端が互いに遠ざかるように上片部588bの基端側を不正防止部材588の一般面に対して垂直方向(後方)へ屈曲させることで上片部588bと下片部588cとの間に形成されるV字状の切断部588dと、上片部588b及び下片部588cの先端に形成され切断部588dへ向かって傾斜した傾斜部588eと、を備えている。
この不正防止部材588は、図示するように、上片部588bの先端(背面視で左端側)が後方へ移動するように上片部588bの基端側が屈曲されることで、切断部588dが平面視でV字状に形成されており、V字状の内部に不正な遊技球Iに付けられた線材Iwが挿入されるようになっている。この不正防止部材588の切断部588dは、上片部588bの下辺と下片部588cの上辺とが平面視において所定角度で交差した状態となっており、基端側へ向かうに従って隙間が狭くなるように形成されている。
また、不正防止部材588の傾斜部588eは、切断部588dの先端に形成されており、傾斜部588eによって不正な遊技球Iに付けられた線材Iwを切断部588d内へ誘導案内することができるようになっている。本例の球送りユニット580は、不正防止部材588が、図示するように、後カバー582の取付凹部582b内に後側から取付けられていると共に、後カバー582における取付凹部582b内の切断部588dが形成された部位と対応した部位が前後方向に貫通すると同時に打球供給口582aと連通した形態に形成されている。換言すると、後カバー582は、打球供給口582aが取付凹部582b内まで延びだした形状に形成されている。
この不正防止部材588によると、線材Iwが付けられた不正な遊技球Iを球送りユニット580から打球発射装置650へ供給し、打球発射装置650によって不正な遊技球Iを遊技盤4の遊技領域1100内へ向かって打込むと、打球発射装置650によって発射された不正な遊技球Iが発射レール660に沿って正面視で斜め左上へと移動し、外レール1111と内レール1112との間を通って遊技領域1100内に侵入しようとする。この際に、不正な遊技球Iに付けられた線材Iwは、打撃された遊技球Iの勢いによって引張られることとなり、線材Iwは不正な遊技球Iの移動軌跡とは異なり、遊技球の通路内において最短距離で結ぶルート上に沿うように移動することとなる。従って、皿ユニット300から球送りユニット580の打球供給口582aを通って打球発射装置650側へ延びた線材Iwは、遊技球Iが正面視で左上方向(背面視で右上方向)へ移動することで、最短ルート上へ移動しようと打球供給口582aの背面視右上隅の方へと引張られ、打球供給口582aの背面視右上に形成された取付凹部582b内へと移動することとなる。そして、打球供給口582aの背面視で右方へ延出した部位(取付凹部582b内)へ移動した線材Iwは、当該位置に配置された不正防止部材588の一対の傾斜部588eによって、切断部588d内へと案内された上で、更に、不正な遊技球Iの勢いによって背面視右方へと引張られる。
これにより、不正な遊技球Iに付いた線材Iwが、不正な遊技球Iの勢いにより、不正防止部材588の切断部588dで、その隙間が狭くなる方向(正面視で左方向)へ引張られた状態となり、切断部588dにより摩擦や剪断力が作用して、線材Iwが切断されることとなる(図57(D)を参照)。この際に、線材Iwが付いた不正な遊技球Iは、線材Iwに作用する摩擦等によりその勢いが減衰するので、遊技領域1100内へ侵入することなく外レール1111と発射レール660との間を通って排出されることとなる。
従って、不正防止部材588の切断部588dによって、不正な遊技球Iに付いた線材Iwを切断することができるので、遊技領域605内において線材Iwの付いた不正な遊技球Iで不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。なお、仮に不正な遊技球Iが遊技領域1100内へ侵入した場合でも、上述したように、不正防止部材588により線材Iwを切断することができるので、不正行為を行うことができない状態となる。また、仮に不正防止部材588により線材Iwを切断することができなかった場合でも、線材IwがV字状の切断部588dに食込むことで不正な遊技球Iの勢いを減衰させて遊技領域1100内に侵入するのを阻止することができるので、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
上述したように、本例によると、上皿301内に遊技球を貯留させて球送りユニット580へ遊技球を供給した上で、扉枠5の前面に備えられたハンドル装置500を遊技者が操作すると、球送りユニット580の球送ソレノイド585の駆動によって遊技球が打球発射装置650へ送られ、打球発射装置650によって遊技球が遊技領域1100へ打ち込まれることで、扉枠5の遊技窓101を介して視認可能とされた遊技領域1100内で遊技が行われることとなり、遊技者を楽しませることができると共に、扉枠ベースユニット100の後面に送り機構(球送り部材584や球送ソレノイド585等)と排出機構(球抜き部材583)とを備えた球送りユニット580を配置しているので、球送り部材584と球抜き部材583だけでなく球送り部材584と打球発射装置650も可及的に接近した状態となり、上皿球抜きボタン341の操作によって上皿301内の遊技球を排出させた時に、球送り部材584側に残存する遊技球の数を可及的に低減させることができ、遊技者が損した気分となるのを回避させて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、球抜き部材583を備えた球送りユニット580を扉枠ベースユニット100の後面に配置しているので、皿ユニット300における上皿301の容量を大きくすることが可能となり、遊技球の打込操作によって上皿301内の遊技球が早期になくなったり、上皿301内が遊技球で早期に満タンとなってしまったりするのを抑制することができ、上皿301内の遊技球に対して遊技者が煩わしく感じるのを低減させて興趣が低下するのを抑制することができると共に、上皿301の容量を維持した状態で皿ユニット300を小型化することができるので、相対的に遊技領域1100を大きく(広く)して遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができる。
また、球送りユニット580に球抜き部材583を備えるようにしているので、球送り部材584と球抜き部材583とを別々にしたものと比較して、球送りユニット580を取付けるだけで球送り部材584と球抜き部材583を取付けることができ、組立てに係る手間を簡略化することができると共に、送りユニット580を容易に交換することができ、球送り部材584や球抜き部材583に不具合が発生しても、球送りユニット580を交換することで簡単に不具合を解消させることができる。
更に、扉枠5における扉枠ベースユニット100の後面に球送りユニット580を配置するようにしているので、球送りユニット580を本体枠3側に備えるようにしたものと比較して、上皿球抜きボタン341の操作を球送りユニット580の球抜き部材584へ伝達させる伝達機構(上皿球抜き機構340)を開閉可能な扉枠5と本体枠3とに跨るように構成する必要がなく、伝達機構にかかる構成を簡略化することができる。また、球送りユニット580を扉枠5側に備えるようにしているので、球送りユニット580を本体枠3側に備えるようにした場合と比較して、扉枠5を開放する度に伝達機構(上皿球抜き機構340)が遮断されることで伝達機構が早期に消耗して誤作動したり破損したりする虞を回避させることができ、伝達機構や球送りユニット580等の作動に対する信頼性や耐久性を高めることができる。
また、上皿球抜きボタン341を下方へ押圧操作するものとしているので、上皿球抜きボタン341を下方へ押圧するだけで上皿301から遊技球を下皿302へ排出させたり、上皿301からの遊技球の排出を停止させたりすることができ、遊技者に対して上皿球抜きボタン341による上皿301内の球抜き操作を楽に操作させることができる。
また、上皿球抜きボタン341の操作に応じて上下方向へスライドする上皿球抜きスライダ343の動きによって、球抜き部材583の仕切部583aを可動させるようにしており、上皿球抜きスライダ343と共に仕切部583aも上下方向へ可動するので、上皿球抜きスライダ343や仕切部583aに係る水平方向の移動範囲を可及的に小さくすることが可能となり、上皿球抜き機構340や球送りユニット580を小型化することができ、上述した作用効果を確実に奏することが可能なパチンコ機1とすることができる。
更に、上皿球抜きスライダ343を上方へ付勢すると共に、上皿球抜きスライダ343が上昇位置の時に球抜き部材583の仕切部583aが進入口581aと打球供給口582aとを連通させるようにしているので、上皿301から遊技球が勢い良く仕切部583aに当接しても、その衝撃を上皿球抜きスライダ343に作用する付勢力によって緩和させることができ、仕切部583a(球抜き部材583)の耐久性を高めることができる。また、上皿球抜きスライダ343に作用する付勢力によって仕切部583aに係る衝撃を緩和させることができるので、遊技球が仕切部583aに衝突しても撥ね難くすることができ、遊技球の撥ねにより球送りユニット580等が破損して不具合が発生するのを抑制することができる。
また、仕切部583aを回動させるようにしているので、仕切部583aをスライドさせるようにした場合と比較して、仕切部583aに遊技球の荷重がかかった時の仕切部583aの移動に係るフリクションロスを低減させることができ、上皿球抜きボタン341の操作を軽くして操作性を向上させることができると共に、平面投影において仕切部583aの移動範囲を小さくすることができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
また、仕切部583aを、自重によって進入口581aと球抜口581bを連通する方向へ回動させるようにしているので、仕切部583aや上皿球抜き機構340に不具合が発生した場合、仕切部が自重によって回動することで進入口と排出口とを連通させた状態となり、排出操作部を操作していないのにも関わらず貯留皿内の遊技媒体が送り機構(投入装置)側へ送られずに遊技者側へ排出されることとなるため、遊技者に対してパチンコ機1に不具合が発生していることを認識させることができ、不具合の無いパチンコ機1へ移動させて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、球抜き部材583において仕切部583aを屈曲した回動棹部583bを介して回動させるようにしているので、遊技球が仕切部583aに衝突した場合、その衝撃を屈曲した回動棹部583bによって分散させたり、回動棹部583bの撓りによって吸収させたりすることで、回動軸へ直線的に衝撃が伝達されるのを防止することができ、球抜き部材583の耐久性を高めることができる。
また、上皿301側と連通する進入口581aの直下に球抜口581bを配置しているので、上皿301内の遊技球を排出させる際に、球送りユニット580内での遊技球の左右方向の動きを最小限とすることができ、球送りユニット580内での遊技球の通りを良くして遊技球を良好に排出させることができる。また、進入口581aの直下に球抜口581bを配置しているので、球送りユニット580内における遊技球の排出経路を可及的に短くすることができ、球送りユニット580に排出機構としての球抜き部材583を備えても、球送りユニット580が不必要に大型化するのを抑制することができる。
更に、不正防止部材588を、後カバー582の後側の取付凹部582bに取付けるようにしており、不正防止部材588(切断部588d)を打球発射装置650に対して可及的に近い位置に配置することができるので、打球発射装置650によって発射された直後の最も速度の速い(勢いのある)状態の不正な遊技球Iに付着した線材Iwが切断部588dに接触することとなり、切断部588dに対して線材Iwが速く(強く)引張られることで、線材Iwを確実に切断することができると共に、不正な遊技球Iの勢いを減衰させて遊技領域1100内に侵入するのを阻止することができ、不正な遊技球Iによって不正行為が行われるのを確実に防止することができる。
また、切断部588dを備えた不正防止部材588を、後カバー582の後面から前方へ向かって窪んだ取付凹部582b内に取付けるようにしているので、V字状の切断部588dを形成するために後方へ折曲げられた上片部588bが後カバー582の後端面から後方へ突出しない状態とすることができ、不正防止部材588の上片部588bによって組立て等の際に作業者が怪我をしてしまうのを防止することができる。
また、不正な遊技球Iに付けられた線材Iwを切断することが可能な不正防止部材588において、金属板材の右端から伸びた分割線588aを挟んで上側の上片部588bを後方へ屈曲させることで、V字状の切断部588dを形成するようにしているので、剪断力を発揮することが可能な切断部588dを簡単に形成(加工)することができ、パチンコ機1に係るコストが増加するのを抑制することができる。
[1−2J.ガラスユニット]
次に、扉枠5におけるガラスユニット590について、主に図22及び図23を参照して説明する。このガラスユニット590は、遊技窓101と略同じ大きさの開口を有し合成樹脂で成型した環状で縦長八角形状のユニット枠592と、ユニット枠592の開口の前後端を夫々閉鎖する二枚の透明なガラス板594(図108を参照)と、を備えている。このガラスユニット590のユニット枠592は、左右両辺の上部に配置され外方へ板状に延出した二つの止め片592aと、下端に沿って左右方向へ延び下方へ延出した板状の係止片592bと、を備えている。
このガラスユニット590は、下端の係止片592bを、扉枠ベースユニット100の補強ユニット150における下側補強板金154の垂直折曲突片161に対して後上方から係合するように係止させた上で、ユニット枠592の外周縁を扉枠ベース本体110のガラスユニット支持段部110a内に嵌め込み、ガラスユニット係止部材190によってユニット枠592の止め片592aを係止させることで、扉枠ベースユニット100に対して脱着可能に取付けられるようになっている(図21等を参照)。
[1−2K.扉枠における造形装飾]
次に、扉枠5における造形装飾、つまり、形状的な装飾について主に図17、図19、図20、及び図58を参照して説明する。図58は、扉枠を上下方向略中央で切断して示す断面図である。本実施形態のパチンコ機1における扉枠5は、図示するように、縦長楕円形状の遊技窓101の下側に、遊技球を貯留するための上皿301と下皿302とが上下に並ぶと共に、下皿302の正面視右側に、上皿301に貯留された遊技球を遊技窓101を閉鎖する透明なガラスユニット590の後側に配置された遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むためのハンドル装置500が配置されている。また、扉枠5は、遊技窓101の左右及び上側を囲むように右サイド装飾ユニット200、左サイド装飾ユニット2200、及び上部装飾ユニット280が配置されていると共に、遊技窓101の下側を囲むように皿ユニット300が配置されている。
扉枠5は、遊技窓101を挟んで両側の外観が大きく異なっており、右側が右サイド装飾ユニット200の外面を形成するサイドレンズ210によりゴツゴツした自然の岩のような感じの外観となっているの対して、左側が左サイド装飾ユニット240の透明なサイドレンズ250の周レンズ部250aから見えるサイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244により金属質のシャープで人工的な感じの外観となっている。
また、扉枠5は、図58に示すように、右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット240とでは、前方への突出量が異なっており、右サイド装飾ユニット200の方が左サイド装飾ユニット240よりも大きく前方へ突出している。また、右サイド装飾ユニット200の前端は前方へ尖ったような形状に形成されているのに対して、左サイド装飾ユニット240の前端は緩く湾曲した平面状に形成されている。
これにより、本例の扉枠5は、右前方から見た時には右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット240とが互いに同じようなボリュウムに見える(図19を参照)のに対して、左前方から見た時には右サイド装飾ユニット200が左サイド装飾ユニット240よりも大きく見える上に左サイド装飾ユニット240の装飾が殆ど見えなくなり、パチンコ機1に対する遊技者の立ち位置によって異なる印象を与えることができるようになっている。つまり、本パチンコ機1に対する遊技者の位置によって本パチンコ機1の外観が変化して見えて機種の異なるパチンコ機のように錯覚させることができるので、遊技するパチンコ機を選択中の遊技者等に対する訴求力を高くすることができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができる。
また、扉枠5の前面外観を左右非対称としているので、例えば、遊技ホールの島設備等で本パチンコ機1を左右方向へ複数列設した場合、島設備全体の外観がのっぺりとしたベタな感じになってしまうのを抑制し異なる形態の右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット240とが交互に配置されることでリズミカルな印象を与えて遊技者をワクワクさせられる外観(雰囲気)とすることができ、遊技者に対する訴求力を高くして遊技者の関心を強く引付けることができる。
また、扉枠5は、各ユニット200,220,280,300に備えられた装飾基板214,216,254,256,288,290,322等に実装されたLEDを発光させることで、遊技窓101を囲むように任意の発光色で発光装飾させることができるようになっている。また、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット220に備えられた装飾基板214,216,254,256に実装されたLEDのうち、サイド閃光レンズ204,246の後側に配置されたLED214b,216b,254b,256を点灯したり消灯したりすることで、遊技窓101を囲んだ発光装飾の態様を変化させることができるようになっている。
[1−2L.扉枠における発光装飾]
続いて、扉枠5における発光装飾について、主に図59及び図60を参照して説明する。図59は、扉枠における発光装飾用のLEDの配置を示す正面図である。また、図60は、扉枠における発光装飾用のLEDの系統を示す正面図である。本実施形態の扉枠5は、右サイド装飾ユニット200、左サイド装飾ユニット240、上部装飾ユニット280、及び皿ユニット300によって遊技盤4の遊技領域1100と略対応した遊技窓101の外周を略環状に囲うように形成されている。これら各ユニット200,240,280,300には、LEDが実装された装飾基板214,216,254,256,288,290,322を備えており、各LEDを適宜発光させることで、遊技窓101の外周を発光装飾させることができるようになっている。
扉枠5の右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240は、上述したように、遊技窓101の下辺を除く外周の殆どを囲うように形成されており、サイドレンズ210,250における複数の周レンズ部210a,250aが遊技窓101の外周に沿うように配置されていると共に、サイド閃光レンズ204,246が遊技窓101の左右方向中央の下部付近を中心とした放射状の軸線に沿って延びるように隣接した周レンズ部210a,250a同士の間に配置されている。
本例の扉枠5は、右サイド装飾ユニット200におけるサイドレンズ210の周レンズ部210aが略紡錘状の複数の湾曲面により形成されているのに対して、左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ250の周レンズ部250aが一つの滑らかな緩い湾曲面により形成されている。また、扉枠5は、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ210,250の後側に、光を拡散させることが可能なサイドインナーレンズ212,252が配置されている。なお、左サイド装飾ユニット240では、サイドレンズ250における周レンズ部250aとサイドインナーレンズ252との間に複数のスリット251aを有したインナー装飾部材251が配置されている。
また、扉枠5は、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドインナーレンズ212,252の後側に、右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、及び左サイド下装飾基板256が配置されており、各装飾基板214,216,254,256の前面には複数のLED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256bが実装されている。
サイドインナーレンズ212,252の後側に配置される右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、左サイド下装飾基板256には、周レンズ部210a,250aと対応する位置に配置されたLED214a,216a,254a,256aと、放射レンズ部210b,250b(サイド閃光レンズ204,246)と対応する位置に配置されたLED214b,216b,254b,256bとを備えている。本例では、周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aがフルカラーLEDとされており、放射レンズ部210b,250bと対応したLED214b,216b,254b,256bが比較的高輝度のLEDとされている。また、右サイド上装飾基板214における上部右端に配置された二つのLED214cは、緑色LEDと赤色LEDとされている。
なお、本例では、右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、及び左サイド下装飾基板256の表面が、白色のフォトレジスト、白色印刷(例えば、シルク印刷)、白色塗装、等によって白色とされている。これにより、装飾基板214,216,254,256での反射率を高めることができるので、各LED210a,210b等が非点灯時に遊技者側からの光を装飾基板214,216,254,256によって反射させることで、サイドレンズ210,250が暗くなりすぎて見栄えが悪くなるのを防止することができると共に、発光する各LED210a,210b等からの光を基板によって遊技者側へ反射させることで、サイドレンズ210,250をより明るく発光装飾させることができるようになっている。
扉枠5の上部装飾ユニット280は、上述したように、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の上部における扉枠5の左右方向中央側を向いた端部同士の間を接続するように形成されており、遊技窓101の上部中央を装飾するものである。この上部装飾ユニット280は、左右方向中央に配置される上部中央レンズ284と、上部中央レンズ284の外周に配置される環状の中央環レンズ部282bと、中央環レンズ部282bよりも外側で外方へ延びた四つの延出枠レンズ部282cと、を備えている。なお、正面視右下側の延出枠レンズ部282cは前面が上部下装飾カバー294によって被覆されている。
この上部装飾ユニット280は、上部中央レンズ284及び上部レンズ282における中央環レンズ部282bの後側に配置される上部中央装飾基板288と、上部中央装飾基板288よりも左右方向へ延出し上部レンズ282における延出枠レンズ部282c及び上部中央装飾基板288の後側に配置される上部サイド装飾基板290と、を備えている。上部中央装飾基板288には、上部中央レンズ284と対応した複数のLED288aと、中央環レンズ部282bと対応した複数のLED288bとが前面に実装されており、上部中央レンズ284と中央環レンズ部282bとを夫々別々に発光装飾させることができるようになっている。また、上部サイド装飾基板290には、延出枠レンズ部282cと対応した複数のLED290aが前面に実装されており、各延出枠レンズ部282cを夫々発光装飾させることができるようになっている。なお、上部中央装飾基板288及び上部サイド装飾基板290の各LED288a,288b,290aは、フルカラーLEDとされている。
続いて、皿ユニット300では、外側表面が略紡錘状の複数の湾曲面によって形成されており、右サイド装飾ユニット200の外観と連続した外観となっている。この皿ユニット300は、上皿前部装飾部材316の後側に上皿装飾基板322が配置されており、上皿装飾基板322に実装された複数のLED322aによって、上皿前部装飾部材316における右側の部位と、上皿球抜きボタン341の前側外周を装飾する上皿上右装飾部材319を発光装飾させることができるようになっている。なお、本例では、上皿装飾基板322のLED322aは、フルカラーLEDとされている。
次に、皿ユニット300に取付けられる操作ユニット400は、透光性を有した環状のダイヤル操作部401と、ダイヤル操作部401の内側に配置された透光性を有した円柱状の押圧操作部405とを備えており、ダイヤル操作部401及び押圧操作部405の下側にはダイヤル装飾基板430及びボタン装飾基板432が夫々配置されている。ダイヤル装飾基板430には、ダイヤル操作部401と対応するように周方向へ複数(本例では、四つ)配置されたLED430bが備えられている。また、ボタン装飾基板432には、押圧操作部405と対応するように一つのLED432dが備えられている。本例では、ダイヤル装飾基板430のLED430bが高輝度の白色LEDとされており、ボタン装飾基板432のLED432dがフルカラーLEDとされている。また、ダイヤル装飾基板430及びボタン装飾基板432の表面(上面)もまた、白色とされており、上記と同様の作用効果を奏することができるようになっている。
ところで、本例の扉枠5では、遊技窓101の下辺よりも上側の外周を覆う右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aが、遊技窓101に近い第一環状グループ102(図59及び図60においてハッチの範囲内)と、第一環状グループ102よりも外側に配置された第二環状グループ103(図59及び図60においてクロスハッチの範囲内)とに分けられており、第一環状グループ102と第二環状グループ103のLEDを適宜発光させることで、遊技窓101を囲むように略同心円状に複数(本例では二つ)発光装飾させることができるようになっている。つまり、第一環状グループ102のLED214a,216a,254a,256aを全て発光させると、遊技窓101に近いハッチの範囲が環状に発光装飾され、第二環状グループ103のLED214a,216a,254a,256aを全て発光させると、遊技窓101から遠ざかったクロスハッチの範囲が環状に発光装飾されるようになっている。
また、扉枠5では、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイド閃光レンズ204,246(サイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250b)と対応したLED214b,216b,254b,256bが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103を周方向へ分割するように遊技窓101(遊技領域1100)の左右方向中央下部を中心として放射状に延びた放射状グループ104(図59及び図60において網掛けの範囲内)とされている。この放射状グループ104のLED214b,216b,254b,256bを適宜発光させることで、遊技窓101の外側を放射状に発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103による環状の発光装飾を周方向へ分割するように発光装飾させることができるようになっている。
また、扉枠5では、右サイド装飾ユニット200におけるサイドレンズ210の右上隅と対応した右サイド上装飾基板214のLED214cは、報知グループ105とされており、このLED214cを適宜発光させることで、遊技者やパチンコ機1を設置した遊技ホールの従業員等に対して様々な情報を報知させることができるようになっている。
また、扉枠5では、遊技窓101の上側中央を装飾する上部装飾ユニット280における上部中央レンズ284及び中央環レンズ部282bと対応したLED288a,288bが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103の上部中央を発光装飾する上部中央グループ106とされている。この上部中央グループ106のLED288a,288bを適宜発光させることで、遊技窓101の上部中央を発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103による環状の発光装飾の基準点となるような発光装飾をさせることができるようになっている。また、上部装飾ユニット280における延出枠レンズ部282cと対応したLED290aは、上部中央グループ106の左右両側を発光装飾させる上部中央サイドグループ107とされている。この上部中央サイドグループ107のLED290aを適宜発光させることで、第一環状グループ102及び第二環状グループ103と上部中央グループ106との境界を発光装飾させることができるようになっている。
更に、扉枠5では、遊技窓101の下側に配置された皿ユニット300の上皿前部装飾部材316及び上皿上右装飾部材319と対応したLED322aは、上皿301を発光装飾させる上皿グループ108とされている。また、扉枠5では、遊技窓101の下側中央で皿ユニット300の上部中央に配置された操作ユニット400のダイヤル操作部401及び押圧操作部405と対応したLED430b,432dが、操作ユニット400を発光装飾させる操作部グループ109とされている。この操作部グループ109のLED430b,432dを適宜発光させることで、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を発光装飾させることができ、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作タイミングや操作方向等を遊技者に知らせることができるようになっている。
本実施形態における扉枠5における発光装飾について、更に、詳述すると、本例では、扉枠5に備えられた各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,288a,288b,290a,322a,430b,432dが、夫々が属するグループ102,103,104,106,107,108,109内で制御系統に対応して更に細分化されている。具体的には、図60に示すように、第一環状グループ102に属する20個のLED214a,216a,254a,256aは、サイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250a毎に102a〜102jの10系統に分けられており、第二環状グループ103に属する26個のLED214a,216a,254a,256aは、サイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250a毎に103a〜103jの10系統に分けられている。
また、放射状グループ104に属する20個のLED214b,216b,254b,256bは、サイド閃光レンズ204,246(サイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250b)毎に104a〜104hの8系統に分けられている。また、報知グループ105に属する2個のLED214cは、上側105aと下側105bの2系統に分けられている。更に、上部中央グループ106に属する8個のLED288a,288bは、中央部106a、右部106b、左部106cの3系統に分けられている。また、上部中央サイドグループ107に属する7個のLED290aは、右側107aと左側107bの2系統に分けられている。
更に、上皿グループ108に属する11個のLED322aは、前後及び左右に108a〜108dの4系統に分けられている。また、操作グループ109に属する5個のLED430b,432dは、ダイヤル操作部401と対応した4個のLED430bが押圧操作部405を挟んで対角線状に配置されたLED430bを一組として左右109aと前後109bの2系統、押圧操作部405と対応した1個のLED432cが1系統、の3系統に分けられている。このように、本例の扉枠5では、各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,288a,288b,290a,322a,430b,432dが、42の系統に分けられている。
ところで、扉枠5では、上述したように、LED214a,216a,254a,256a,288a,288b,290a,322a,432dがフルカラーLEDとされており、それらLED214a,216a,254a,256a,288a,288b,290a,322a,432dの属する28の系統102a〜102j,103a〜103j,106a〜106c,108a〜108d,109cでは、フルカラーで発光させるためにRGBの独立した3つの系統を更に備えており、実際の発光制御では3倍の84系統となっている。また、LED288a,430bは高輝度の白色LEDとされており、それらLED288a,430bが属する4つの系統107a,109a,109bでは、高輝度で発光させるために多くの電流を必要とするので、夫々2つの系統が接続されており、実際の発光制御では2倍の8系統となっている。
なお、LED214b,216b,254b,256bは通常の輝度の白色LEDとされており、8つの系統104a〜108hに属している。また、LED214cは緑色LED及び赤色LEDとされており、2つの系統105a,105bに属している。これらLED214b,216b,254b,256b,214cによる10の系統104a〜108h,105a,105bは、各系統で充分に制御することができるので、実際の発光制御でも同数の10系統となっている。
従って、扉枠5における発光制御での実際の系統数は、102系統となっており、各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,288a,288b,290a,322a,430b,432dが属した系統毎に、点灯・点滅等がダイナミック点灯により制御されていると共に、階調(色や明るさ)がPWM制御(パルス幅変調制御)により制御されるようになっている。これにより、表情豊かな発光演出をすることができるようになっている。
扉枠5における発光演出としては、例えば、第一環状グループ102から第二環状グループ103へ順に発光(同色、或いは、類似色で順次発光)させることで遊技窓101を中心として外側へ広がるような発光演出や、逆に、第二環状グループ103から第一環状グループ102へ順に発光(同色、或いは、類似色で順次発光)させることで遊技窓101へ向かって外側から収束するような発光演出、或いは、第一環状グループ102と第二環状グループ103とを同時に発光させることで遊技窓101の外周全体を広く発光させるような発光演出等をすることができるようになっている。
また、遊技盤4に備えられたLED(詳細な図示は省略する)と協調することで、遊技盤4のLEDと、遊技窓101に近い第一環状グループ102のLEDと、第一環状グループ102よりも外側に配置された第二環状グループ103のLEDとによって、更に表情豊かな発光演出を行うことが可能となり、遊技者の関心を強く引付けることができると共に、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、第一環状グループ102、第二環状グループ103や、下部グループ108において、各系統102a〜102j,103a〜103jを適宜発光させることで、遊技窓101の外周に沿って上部装飾ユニット280の上部中央レンズ284へ向かって光が移動するような、或いは、上部中央レンズ284から光が遊技窓101の外周に沿って移動するような発光演出をしたりすることができる。なお、本例では、第一環状グループ102や第二環状グループ103を周方向へ10系統102a〜102j,103a〜103jに分割(10分割)したものを示したが、これに限定するものではなく、8系統程に分割(8分割程)されていれば遊技窓101の外周を光が周回するような発光演出を良好に行うことができる。
更に、放射状グループ104のみを発光させることで遊技窓101を中心に放射状に発光する発光演出をしたり、放射状グループ104と同時に第一環状グループ102、第二環状グループ103、及び下部グループ108を発光させることで遊技窓101の外周全体を略均一に発光させる発光演出をしたり、第一環状グループ102や第二環状グループ103の発光中に放射状グループ104を発光(点灯・点滅)させることで環状の発光装飾に対してアクセントを付与する発光演出をしたりすることができる。また、放射状グループ104の各系統104a〜104hを夫々個々に発光させることで、サイド閃光レンズ204,246(放射レンズ部210b,250b)が周回するような発光演出もすることができる。
また、上部中央グループ106や上部中央サイドグループ105を発光させることで、遊技者に対してチャンスの到来や特定の遊技状態(例えば、大当り遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態、確変時短遊技状態、等)を示唆する発光演出を行うことができる。
更に、下部グループ108の各系統108a〜108dを適宜発光させることで、上皿301を発光装飾させる発光演出をしたり、操作グループ109と関連させて発光させることで、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を促す発光演出をしたりすることができる。また、操作グループ109におけるダイヤル操作部401と対応した系統109a,109bを適宜発光させることで、ダイヤル操作部401の操作を促したり、ダイヤル操作部401の回転操作方向を案内したりする発光演出をすることができる。更に、操作グループ109における押圧操作部405と対応した系統109cを発光させることで、押圧操作部405の操作を促す発光演出をすることができる。
なお、第一環状グループ102、第二環状グループ103、上部中央グループ106、下部グループ108、及び操作グループ109の系統109cは、フルカラーLEDとされているので、各グループ102,103,106,108,109毎や、各系統102a〜102j,103a〜103j,106a〜106c,108a〜108d,109c毎に、発光色や明るさ等の階調を異ならせた発光演出を行うことができ、多彩で表情豊かな発光演出を行うことができる。
[1−3.本体枠の全体構成]
次に、パチンコ機1における本体枠3について、図61乃至図67を参照して説明する。図61は、本体枠の正面図であり、図62は、本体枠の背面図である。また、図63は、本体枠の正面斜視図であり、図64は、本体枠の背面斜視図である。更に、図66は、本体枠を分解して前から見た分解斜視図であり、図65は、本体枠の左側面図であり、図67は、本体枠を分解して後から見た斜視図である。本実施形態の本体枠3は、外枠2に対して正面視左辺が軸支されており、扉枠5の後側で外枠2の前面を開閉するように扉状に支持されていると共に、前側が扉枠5によって開閉させられるようになっている。また、本体枠3は、扉枠5の遊技窓101と対応した位置に前側から遊技盤4を着脱自在に保持することができるようになっている。
本例の本体枠3は、本体枠3の骨格を形成すると共に前後方向に貫通し遊技盤4を保持するための矩形状の遊技盤保持口601を有した本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側端部の上端及び下端に夫々取付けられ外枠2に軸支されると共に扉枠5を軸支するための上軸支金具630及び下軸支金具640と、本体枠ベース600の下部前面に取付けられ遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むための打球発射装置650と、本体枠ベース600の後側に取付けられ皿ユニット300の上皿301へ遊技球を払出すための賞球ユニット700と、本体枠ベース600の前面に取付けられ本体枠3に対して扉枠5が開いた時に賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断する球出口開閉ユニット790と、を備えている。
また、本体枠3は、本体枠ベース600の下部後面に取付けられ遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に備えられた電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板851等を一纏めにしてユニット化した基板ユニット800と、本体枠ベース600における遊技盤保持口601の後側開口を覆う裏カバー900と、本体枠ベース600の正面視左側端部を被覆する側面防犯板950と、本体枠ベースの正面視右側端部に取付けられ外枠2に対する本体枠3の開閉施錠、及び本体枠3に対する扉枠5の開閉施錠をする錠装置1000と、を主に備えている。
[1−3A.本体枠ベース]
次に、本体枠3における本体枠ベース600について、主に図68及び図69を参照して説明する。図68は、本体枠における本体枠ベースの正面斜視図である。また、図69は、本体枠における本体枠ベースの背面斜視図である。本実施形態の本体枠3における本体枠ベース600は、合成樹脂によって一体成形されており、正面視の外形が扉枠5の外形と沿った縦長の矩形状とされていると共に、前後方向へ略一定の奥行きDを有するように形成されている(図65を参照)。これにより、本体枠ベース600に対して、その後側に賞球ユニット700、基板ユニット800、裏カバー900、及び錠装置1000等の取付作業時において、本体枠ベース600を伏せた状態で作業する際に、本体枠ベース600の後面が本体枠ベース600における奥行きDの高さで略平らな状態となり、賞球ユニット700等を容易に載置することができ、本体枠3の組立てに係る作業性を良くすることができるようになっている。
本体枠ベース600は、図示するように、上部から下部へ向かって全体の約3/4の範囲内が前後方向へ矩形状に貫通し遊技盤4の外周を嵌合保持可能な遊技盤保持口601と、本体枠ベース600の正面視左辺を除く前端外周を形成するコ字状の前端枠部602と、前端枠部602の前面から後方へ向かって窪み、扉枠5における扉枠ベース本体110の下端から後方へ突出した扉枠突片110c、扉枠5の補強ユニット150における上側補強板金151の後方へ突出した上側の屈曲突片167及び開放側補強板金153の後方へ突出した開放側外折曲突片163が挿入係合される係合溝603と、を備えている。
また、本体枠ベース600は、遊技盤保持口601の下側から本体枠ベース600下端まで延出し前端枠部602の前端から所定量後側へ窪み左右方向へ板状に広がった下部後壁部604と、前端枠部601よりも内側で後方へ突出し遊技盤保持口601の内周壁を形成する周壁部605と、を備えている。この周壁部605によって、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)同士が連結されるようになっており、本体枠ベース600の外形が枠状となるようになっている。
また、本体枠ベース600は、下部後壁部604の上端に遊技盤保持口601の下辺を形成すると共に遊技盤4が載置される遊技盤載置部606と、遊技盤載置部606の左右方向略中央から上方へ突出し遊技盤4における遊技パネル1150のアウト球排出溝1156と係合する位置決め突起607と、周壁部605における正面視右側内壁の所定位置に形成され遊技盤4の遊技盤止め具1120が止め付けられる遊技盤係止部608(図61を参照)と、周壁部605の上側内壁から下方へ垂下し下端が遊技盤4の上端と当接可能な板状で左右方向に複数配置された上端規制リブ609と、を備えている。本体枠ベース600の位置決め突起607は、遊技盤4のアウト球排出溝1156と嵌合することで、遊技盤4の下端が左右方向及び後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤係止部608は、遊技盤4の遊技盤止め具1120が係止されることで遊技盤4の正面視右辺が前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、遊技盤4の正面視左辺は、詳細は後述するが、側面防犯板950の位置決め部材956によって前後方向への移動が規制されるようになっている。
更に、本体枠ベース600は、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)の後面に上軸支金具630及び下軸支金具640を取付けるための金具取付部610を備えている(図69を参照)。この金具取付部610は、図68等示すように、その前側が上下及び左右に延びた複数のリブによって補強されており、充分な強度で上軸支金具630及び下軸支金具640を取付けることができるようになっている。また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の右端上部に前後方向に貫通した略円形のシリンダ錠貫通穴611と、シリンダ錠貫通穴611の正面視左下に形成され扉枠5における扉枠ベース本体110から後方へ突出する位置決め突起110dと嵌合するU字状の嵌合溝612と、嵌合溝612の正面視左下に形成され打球発射装置650の発射ソレノイド654を収容するソレノイド収容凹部613と、を備えている。
本例の本体枠ベース600は、上述したように、下部後壁部604が前端枠部602の前面よりも後側へ一段窪んだ位置に形成されており、下部後壁部604の正面視右側前面に、打球発射装置650の発射ソレノイド654がソレノイド収容凹部613内に収容されるように前側から打球発射装置650が取付けられるようになっている。この下部後壁部604の前面に打球発射装置650を取付けた状態では、図63や図98等に示すように、打球発射装置650における発射レール660の上端よりも正面視左側に、左方向及び下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。本例では、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540におけるファール球入口542eが位置するようになっており、ファール空間626を下降した遊技球が、ファールカバーユニット540のファール球入口542eに受けられて、皿ユニット300における下皿302へ排出されるようになっている。
また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の左右中央よりも左側に前後方向へ矩形状に貫通する開口部614と、開口部614の上側及び正面視左右両側に複数形成され前後方向に貫通した透孔615と、を備えている。この本体枠ベース600の開口部614は、前側から中継端子板カバー692(図66等を参照)によって閉鎖されるようになっており、中継端子板カバー692の開口692aを通して、下部後壁部604の後面に取付けられた基板ユニット800の主側中継端子板880と周辺側中継端子板882とが前側へ臨むようになっている。また、複数の透孔615は、基板ユニット800のスピーカボックス820からの音を、本体枠ベース600の前側へ伝達させるためのものである。なお、開口部614の左右両側に配置された透孔615は、前側に衝壁を有したベンチレーション型の孔とされている。
また、本体枠ベース600は、開口部614の上側で下部後壁部604の前面上端付近に遊技盤4を脱着可能に固定するための遊技盤固定具690を回転可能に支持する固定具支持部616と、固定具支持部616の正面視右下から前方へ突出し遊技盤固定具690の回転位置を規制するストッパ617と、を備えている。
ここで、遊技盤固定具690は、図61等に示すように、本体枠ベース600の固定具支持部616に軸支される軸心を中心に扇状に広がる固定片690aと、固定片690aにおける周方向一端側(正面視で時計回りの方向へ回転させた時に後端となる側)から外方へ延出する操作片690bと、を備えている。この遊技盤固定具690は、本体枠ベース600の固定具支持部616に軸支させた上で、操作片690bを操作して遊技盤固定具690を正面視で時計回りの方向へ回動させると、固定片690aが遊技盤載置部606よりも上方へ突出し、遊技盤載置部606に載置された遊技盤4の固定凹部1121内に挿入されるようになっており、遊技盤4が前側へ移動するのを阻止することができるようになっている。また、遊技盤固定具690は、操作片690bがストッパ617と当接するようになっており、ストッパ617と当接することで、正面視反時計周りの方向への回動端が規制されるようになっている。
更に、本体枠ベース600は、シリンダ錠貫通穴611の下側前面に、本体枠3に対する扉枠5の開放を検知するための扉枠開放スイッチ618が取付けられており、本体枠3に対して扉枠5が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて扉枠5の開放を検知することができるようになっている。また、本体枠ベース600は、扉枠開放スイッチ618が取付けられた位置よりも下側後面に、外枠2に対する本体枠3の開放を検知するための本体枠開放スイッチ619が取付けられており(図69を参照)、外枠2に対して本体枠3が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて本体枠3の開放を検知することができるようになっている。
また、本体枠ベース600は、コ字状の前端枠部602における正面視で右側(開放側)辺の係合溝603よりも内側(軸支側)に、前後方向へ縦長に貫通する三つの扉用フック穴620と、下端の扉用フック穴620の下側に前後方向へ貫通し左右方向に二つ並んだ錠係止穴621と、を備えている。これら三つの扉用フック穴620は、上下方向の上下両端付近と、上下方向の略中央に夫々形成されている。この上側と中央の扉用フック穴620と錠係止穴621には、錠装置1000の上下両端に備えられた係止突起1004が係合係止されるようになっており、前端枠部602における正面視右辺の後側で周壁部605の外壁に沿って錠装置1000が本体枠ベース600に取付けられるようになっている。そして、本体枠ベース600に錠装置1000を取付けた状態では、錠装置1000の三つの扉枠用フック部1041が、三つの扉用フック穴620から前方へ突出すると共に、錠装置1000のシリンダ錠1010がシリンダ錠貫通穴611から前方へ突出した状態となるようになっている(図63を参照)。
更に、本体枠ベース600は、下部後壁部604の後面に、背面視で、右側上端から左右方向略中央へ向かって緩く斜めに下降した上で、左右方向の略中央で下部後壁部604における上下方向の中間からやや上寄りの位置まで垂下し遊技球が流通可能とされた本体枠ベース球抜通路622を備えている。この本体枠ベース球抜通路622は、基板ユニット800における基板ユニットベース810によって後側が閉鎖されようになっており、詳細は後述するが、賞球装置740における球抜通路741dを流通した遊技球が流通するようになっている。
また、本体枠ベース600は、周壁部605における背面視左辺の後端に、上下方向へ所定間隔で複数配置され裏カバー900の軸支ピン906を回動可能に軸支する裏カバー軸支部623と、下部後壁部604の前面で開口部614の正面視斜め左上に球出口開閉ユニット790を取付けるための取付部624と、周壁部605の正面視右側(開放側)側面に錠装置1000を取付固定するための錠取付部625と、を備えている。
なお、詳細な説明は省略するが、本体枠ベース600には、上記の他に、打球発射装置650、賞球ユニット700、及び基板ユニット800等を取付けるための取付ボスや取付孔等が適宜位置に形成されている。
[1−3B.上軸支金具及び下軸支金具]
次に、本体枠3における上軸支金具630及び下軸支金具640について、主に図66及び図67を参照して説明する。本体枠3における上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600の正面視左端上下後面の金具取付部610に、所定のビスを用いて夫々取付けることで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができると共に、外枠2に対して本体枠3を開閉可能に軸支させることができるものである。
まず、上軸支金具630は、本体枠ベース600の上側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部631と、取付部631の上端から前方へ延出する板状の前方延出部632と、前方延出部632の前端付近から上方へ延びだすように突設された軸支ピン633と、軸支ピン633の正面視左側に配置され扉枠5の軸ピン155が挿入される上下方向に貫通した扉枠軸支穴634(図63等を参照)と、前方延出部632の正面視左側端部から下方へ垂下し扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ635(図65及び図109を参照)と、を備えている。この上軸支金具630は、取付部631、前方延出部632、及びストッパ635が、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
一方、下軸支金具640は、扉枠5を軸支するための扉枠軸支金具642と、扉枠軸支金具642の下側に配置され外枠2に対して本体枠3を軸支するための本体枠軸支金具644と、を備えている。下軸支金具640における扉枠軸支金具642は、本体枠ベース600の下側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部642aと、取付部642aの下端から前方へ延出する板状の前方延出部642bと、前方延出部642bの前端付近に上下方向へ貫通し扉枠5の軸ピン157が挿入される扉枠軸支穴642cと、前方延出部642aの正面視左側端部から上方へ立設され扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ642dと、を備えている。この扉枠軸支金具642は、取付部642a、前方延出部642b、及びストッパ642dが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
また、下軸支金具640における本体枠軸支金具644は、本体枠ベース600の下側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部644aと、取付部644aの下端から前方へ延出する前方延出部644bと、前方延出部644b前端付近に上下方向へ貫通した本体枠軸支穴(図示は省略する)と、を備えている。この本体枠軸支金具644もまた、取付部644a、及び前方延出部644bが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
本例の下軸支金具640は、扉枠軸支金具642の取付部642aと本体枠軸支金具644の取付部644aとが前後方向に重なった(接した)状態とされると共に、扉枠軸支金具642の前方延出部642bと本体枠軸支金具644の前方延出部644bとが上下方向に所定距離離間した状態で、本体枠ベース600における下側の金具取付部610に取付けられるようになっている。
この上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取付けた状態で、上軸支金具630の軸支ピン633と、下軸支金具640の図示しない本体枠軸支穴とが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における本体枠軸支金具644の本体枠軸支穴が、外枠2における下支持金具21の支持突起21dに嵌合挿入されるように、本体枠軸支金具644の前方延出部644bを、下支持金具21の支持突出片21c上に載置した上で、上軸支金具630の軸支ピン633を、外枠2における上支持金具20の支持鉤穴20c内に挿入することで、本体枠3を外枠2に対して開閉可能に軸支させることができるようになっている。
また、この上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取付けた状態で、上軸支金具630の扉枠軸支穴634と、下軸支金具640の扉枠軸支金具642cとが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における扉枠軸支金具642の扉枠軸支穴642cに、扉枠5の軸ピン157が挿入されるように扉枠5の下軸支部158を扉枠軸支金具642の前方延出部642b上に載置した上で、扉枠5の軸ピン155を、上軸支金具630の扉枠軸支穴634に挿入することで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができるようになっている。なお、本例では、扉枠5の上側の軸ピン155は、上下方向へ摺動可能とされており、上軸支金具630の扉枠軸支穴634へ挿入させる際に、軸ピン155を一旦、下方へスライドさせて、扉枠5の上軸支部156と上軸支金具630の前方延出部632とが上下に重なるようにした上で、軸ピン155を上方へスライドさせることで扉枠軸支穴634へ挿入することができるようになっている。
[1−3C.打球発射装置]
次に、本体枠3における打球発射装置650について、主に図70及び図71を参照して説明する。図70は、本体枠における打球発射装置の正面斜視図である。また、図71は、本体枠における打球発射装置の背面斜視図である。この打球発射装置650は、扉枠5の球送りユニット580から供給された遊技球を、ハンドル装置500の回転操作に応じた強さで遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むことができるものである。
本実施形態の打球発射装置650は、本体枠ベース600における下部後壁部604の前面所定位置に取付けられる金属板の発射ベース652と、発射ベース652の下部後面に前側へ回転駆動軸654aが突出するように取付けられる発射ソレノイド654と、発射ソレノイド654の駆動軸654aに一体回転可能に固定される打球槌656と、打球槌656の先端に固定される槌先658と、槌先658の移動軌跡上における所定位置を基端として正面視斜め左上へ延出し発射ベース652の前面に取付けられる発射レール660と、発射レール660の基端上部に発射レール660との間で打球槌656先端の槌先658が通過可能とされると同時に遊技球が通過不能な隙間を形成し発射レール660の基端に遊技球を保持する球止め片662と、球止め片662によって発射レール660の基端に保持された遊技球を打球可能な打球位置よりも打球槌656(槌先658)が発射レール660側へ回動するのを規制するストッパ664と、を備えている。
この打球発射装置650における発射ソレノイド654は、詳細な図示は省略するが、駆動軸654aがハンドル装置500の回転操作角度に応じた強さ(速さ)で往復回動するようになっている。また、打球発射装置650の打球槌656は、発射ソレノイド654の駆動軸654aに固定される固定部656aと、固定部656aから緩やかな円弧状に延出し先端が駆動軸654aの軸心に対して法線方向を向き先端に槌先658が固定される棹部656bと、棹部656bに対して固定部656aを挟んで反対側へ延出しストッパ664と当接可能なストッパ部656cと、を備えている。打球槌656のストッパ部656cがストッパ664と当接することで、先端の槌先658が打球位置(正面視で反時計周りの方向の回動端)よりも発射レール660側へ回動するのが規制されるようになっている。
また、打球発射装置650の発射レール660は、遊技盤4の外レール1111の下端延長線上と略沿うように下方が窪んだ緩い円弧状とされている(図98を参照)と共に、前後方向に対して中央がV字状に窪んだ形状とされており、打球槌656によって打球された遊技球を発射レール660に沿って滑らかに遊技盤4側へ誘導させることができるようになっている。この発射レール660は、金属板を屈曲成形することで形成されている。
また、打球発射装置650は、打球槌656における打球位置側への回動端を規制可能なストッパ664の前面を被覆するストッパカバー666と、打球槌656における打球位置とは離れた位置の回動端(正面視で時計回りの方向の回動端)を規制するストッパ668と、を備えている。本例の打球発射装置650は、ストッパ664,668の表面がゴムで覆われており、打球槌656が当接した時の衝撃を吸収することができると共に、当接による騒音の発生を抑制することができるようになっている。
本例の打球発射装置650は、図63や図98等に示すように、本体枠ベース600の下部後壁部604に取付けた状態とすると、発射レール660の上端が左右方向の略中央で下部後壁部604の上端、つまり、遊技盤載置部606(遊技盤保持口601の下辺)よりも下方に位置するようになっており、遊技盤保持口601に保持された遊技盤4における外レール1111の下端との間で、左右方向に所定幅で下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。そして、本例の打球発射装置650は、発射レール660よりも正面視左側のファール空間626を飛び越えるようにして遊技球を発射することで、遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むことができるようになっている。なお、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540のファール球入口542eが位置するようになっており、遊技領域1100内へ打ち込まれずにファール球となった遊技球が、ファール空間626を落下してファール球入口542eへ受入れられて、下皿302へ排出されるようになっている。
また、打球発射装置650は、発射ソレノイド654が、発射制御部4120によりハンドル装置500の回転操作に応じた駆動強さで駆動させられるようになっていると共に、球送りユニット580の球送ソレノイド585の駆動と同期するように駆動させられるようになっている。具体的には、打球発射装置650へ遊技球を供給する球送りユニット580では、球送ソレノイド585が駆動(ON)すると球送り部材584が遊技球を受入れ、その状態から球送ソレノイド585の駆動が解除(OFF)されると球送り部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送るようになっているので、この球送りユニット580の球送ソレノイド585と略同時に発射ソレノイド654を駆動(ON)することで、球送りユニット580から発射レール660の後端へ遊技球を円滑に供給することができ、打球槌656の回動により遊技球を確実に発射することができるようになっている。
[1−3D.賞球ユニット]
次に、本体枠3における賞球ユニット700について、主に図72乃至図79を参照して説明する。図72は、本体枠における賞球ユニットの正面斜視図であり、図73は、本体枠における賞球ユニットの背面斜視図である。また、図74は、賞球ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図75は、賞球ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。更に、図76は、賞球ユニットにおける賞球タンクとタンクレールユニットとの関係を分解して後方から示す分解斜視図である。図77は、賞球ユニットにおける賞球装置を分解して後から見た分解斜視図である。図78は、賞球装置における払出通路と払出モータと払出回転体との関係を示す背面図である。また、図79は、賞球ユニットにおける球の流通通路を示す断面図である。
本実施形態の本体枠3における賞球ユニット700は、パチンコ機1を設置する遊技ホールにおける島設備において、島設備側からパチンコ機1へ供給された遊技球を貯留した上で、所定の払出指示に基いてパチンコ機1の上皿301へ払出すものである。この賞球ユニット700は、本体枠ベース600の後面に取付けられる賞球ベース710と、賞球ベース710の後面上部に取付けられ島設備側から供給される遊技球を受けると共に貯留する賞球タンク720と、賞球タンク720の下側に配置され賞球タンク720に貯留された遊技球を整列させて下流側へ送るタンクレールユニット730と、タンクレールユニット730によって整列された遊技球を所定の払出指示に基いて払出す払出装置740と、払出装置740によって払出された遊技球を皿ユニットの上皿301へ誘導することができると共に上皿301が遊技球で満タンになると払出された遊技球を下皿302側へ分岐誘導することができる満タン分岐ユニット770と、を主に備えている。
また、賞球ユニット700は、賞球ベース710に形成された賞球通路715の後側開口を閉鎖する賞球通路蓋780と、タンクレールユニット730や賞球装置740を接地するためのアース金具782と、賞球ベース710の後面に取付けられる外部端子板784と、外部端子板784の後側を覆う外部端子板カバー786と、を備えている。賞球ユニット700における賞球通路蓋780は、その後面に裏カバー900を固定するための裏カバー係合溝780aと、裏カバー係合溝780aの背面視左側に裏カバー900を締結固定するための裏カバー締結孔780bとが形成されている(図73及び図75等を参照)。
この賞球ユニット700は、賞球ベース710が、正面視で本体枠ベース600の上辺と左辺に沿うような逆L字状に形成されており、上辺に賞球タンク720及びタンクレールユニット730が配置されていると共に、左辺に縦長の賞球装置740が配置されており、賞球装置740の下側に満タン分岐ユニット770が配置されている。また、賞球装置740の直上でタンクレールユニット730よりも上側に賞球タンク720と隣接するように外部端子板784及び外部端子板カバー786が配置されている。
次に、賞球ユニット700における賞球ベース710は、図示するように、本体枠ベース600の上辺と正面視で遊技盤保持口601の左辺と略対応するような正面視逆L字状に形成されており、透明な合成樹脂によって一体的に成形されている。この賞球ベース710は、逆L字状の外側外周に略沿って後方へ延出した周壁部710aと、周壁部710aの後端から内側へ所定幅で延出し略同一面状に配置された後壁部710bと、を備えている。本例では、図75に示すように、周壁部710aの上辺側が、賞球ベース710の上端よりも一段下がった位置から後方へ延出するように形成されている。この賞球ベース710は、後壁部710bが前端よりも奥まった位置に位置しており、本体枠ベース600に取付けた時に、遊技盤4を収容可能な空間を形成することができるようになっている。
また、賞球ベース710は、周壁部710aの上辺上側に賞球タンク720を取付けるタンク取付部711と、タンク取付部711の横(背面視で右側)に配置され外部端子板784及び外部端子板カバー786を取付けるための外部端子板取付部712と、後壁部710bの上辺下端後側にタンクレールユニット730を取付けるための複数の取付係止部713と、後壁部710bの垂直辺後側に賞球装置740を取付けるための賞球装置取付部714と、賞球装置取付部714に隣接して賞球装置740から払出された遊技球を下方へ誘導する賞球通路715と、後壁部710bの下端に満タン分岐ユニット770を取付けるための取付係止部716と、を備えている。
更に、賞球ベース710は、後壁部710bの賞球装置取付部714の位置に前後方向へ貫通し賞球装置740から前方へ突出した払出モータ744等を逃がすための逃し穴717と、裏カバー900を固定するための裏カバー係合溝718と、を備えている。また、賞球ベース710には、詳細な説明は省略するが、賞球タンク720や賞球装置740等を取付けたり、本体枠ベース600に取付けたりするための取付孔や取付ボス等が適宜位置に形成されている。
続いて、賞球ユニット700における賞球タンク720は、図76にも示すように、上方が開放された横長箱状に形成されており、平面視が横長の略矩形状とされた底壁部721と、底壁部721の外周から上方へ立上ると共に平面視で右側後部(開放側の後部)のみが矩形状に底壁部710よりも後方へ突出した外周壁部722と、外周壁部722における右側後部の底壁部721よりも後方へ突出した部位によって形成され下方へ開口した排出口723と、排出口723の平面視左側(軸支側)から賞球タンク720の左端まで板状に延びた庇部724と、庇部724の平面視左端下側から後方へ延出する棒状の軸部725と、軸部725の基端付近及び外周壁722の前側両端に形成され賞球タンク720を賞球ベース710における賞球タンク取付部711へ取付けるための取付部726と、を備えている。
この賞球タンク720は、底壁部721の外周が外周壁部722で囲まれており、底壁部721上に所定量の遊技球を貯留することができるようになっている。また、賞球タンク720は、底壁部721の上面が、排出口723へ向かって低くなるように傾斜しており、底壁部721上の遊技球が排出口723へ向かって転動するようになっている。
また、賞球タンク720は、軸部725に回動自在に軸支される二つの球ならし部材727を備えている。この球ならし部材727は、図示するように、一端側が軸部725に軸支されるようになっていると共に内部に錘を保持しており、自重によって他端側が垂下するようになっている。この球ならし部材727は、後述するタンクレールユニット730内に垂下するようになっており、タンクレールユニット730内を流通する遊技球をならして整列させることができるものである。また、賞球タンク720の庇部724は、タンクレールユニット730の上側の略半分を覆うように形成されており、タンクレールユニット730内から遊技球が溢れるのを防止することができると共に、タンクレールユニット730内に埃等が侵入するのを防止することができるようになっている。
なお、詳細な図示は省略するが、賞球タンク720の底壁部721の上面は、平面視で左側(排出口723から遠い側)が右側へ向かって低くなるように傾斜していると共に、平面視で右側(排出口723に近い側)が後側の排出口723へ向かって傾斜するように形成されている。これにより、遊技球の流れをスムーズにすることができ、賞球タンク720内で球詰まりが発生するのを抑制することができるようになっていると共に、排出口723からタンクレールユニット730側へ遊技球をスムーズに排出することができるようになっている。
次に、賞球ユニット700におけるタンクレールユニット730は、図76にも示すように、賞球タンク720の下側に配置され左右方向へ長く延びたタンクレール731を備えている。このタンクレール731は、上方が開放された所定深さの樋状で前後方向に遊技球が二列で整列することが可能な幅(奥行)とされ、正面視左側(軸支側)端部が低くなるように底部が傾斜している。このタンクレール731は、左側(軸支側)端部に下方へ開口する排出口731a(図79を参照)と、前後方向の略中央で底部から上方へ延出した仕切壁731bと、前端下面より下方へ突出し賞球ベース710の取付係止部713に上側から係止される複数の係止突片731c(図74を参照)と、を備えている。
このタンクレール731は、正面視右側(開放側)端部が賞球タンク720における排出口723の直下に位置するようになっており、賞球タンク720の排出口723から排出された遊技球を受取った後に左方向へ転動させて排出口731aから賞球装置740側へ受け渡すことができるようになっている。また、タンクレール731の係止突片731cを賞球ベース710の取付係止部713に係止させることで、タンクレール731つまりタンクレールユニット730を賞球ベース710に取付けることができるようになっている。
また、タンクレールユニット730は、タンクレール731の排出口731a上部に回転可能に支持される整列歯車732と、整列歯車732の上部を覆う歯車カバー733と、歯車カバー733の正面視右端と連続しタンクレール731の上部を閉鎖する球押え板734と、タンクレール731内に進退可能とされタンクレール731内の遊技球が排出口731a側へ転動するのを停止させることが可能な球止片735と、タンクレール731内に配置されタンクレール731内の遊技球と接触可能とされたアース板736と、を備えている。整列歯車732は、図示するように、タンクレール731の仕切壁731bによって二列に仕切られた遊技球の二つの流路と対応するように、前後方向に並んで二つ備えられている。また、球押え板734は、上部に球止片735が取付けられる取付部734aと、上下方向に貫通し球止片735の突片735aが挿通可能な二つのスリット734bと、を備えている。
このタンクレールユニット730内には、賞球タンク720に軸支された二つの球ならし部材727が上方から球押え板734の上流側(開放側)に挿入されるようになっており、この球ならし部材727によって賞球タンク720の排出口723からタンクレール731内に排出された遊技球が、一段となるようにならすと共に、仕切壁731bに沿って二列に整列させるようにすることができるようになっている。また、球押え板734は、球ならし部材727によって一段とならなかった遊技球を強制的に一段とするためのものであり、排出口731a側へ向かうに従ってタンクレール731の底部との隙間が狭くなるようにタンクレール731に取付けられている。
タンクレールユニット730の整列歯車732は、図示するように、外周に複数の歯が形成されており、一対の整列歯車732における歯のピッチが半ピッチずつ、ずれるように軸支されている。これにより、タンクレール731を流下してきた遊技球の上部が整列歯車732の歯と噛み合いながら下流側の排出口732へ流下する時に、二列に整列された遊技球が交互に一つずつ賞球装置740へ送られるようになっている。
なお、タンクレール731の底部には、上下に貫通する細溝が形成されており、タンクレール731内を遊技球と一緒に転動する埃等の異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、タンクレール731の内壁に配置されたアース板736は、詳細な図示は省略するが、アース金具782を介して電源基板851のアース用コネクタを経由して外部に接地されるようになっており、タンクレール731内で遊技球がアース板736と接触することで、帯電した静電気を除去することができるようになっている。
また、タンクレールユニット730は、球押え板734の取付部734aに回動可能に取付けられた球止片735を回動させて、球止片735の突片735aをスリット734aを通してタンクレール730内へ挿入することで、突片735aによってタンクレール731内の二列の流路を閉止することができ、賞球装置740側へ遊技球が供給されるのを停止させることができるようになっている。
更に、タンクレールユニット730は、タンクレール731が透明な合成樹脂によって形成されており、外部からタンクレール731内の遊技球等の状態を視認することができるようになっている。
続いて、賞球ユニット700における賞球装置740は、タンクレールユニット730の排出口731aから排出供給された遊技球を、所定の払出指示に基いて皿ユニット300の上皿301へ払出すためのものである。この賞球装置740は、図77乃至図79等に示すように、賞球ベース710における賞球装置取付部714に取付けられる上下方向へ延びたユニットベース741を備えている。賞球装置740におけるユニットベース741は、図示するように、後面側に、上端に開口し遊技球の外形よりも若干広い幅で上下方向の中央よりもやや下側の位置まで延出する供給通路741aと、供給通路741aの下端と連通し所定広さの空間を有した振分空間741bと、振分空間741bの背面視左側(開放側)下端と連通し略く字状に曲がって背面視左側面に開口する賞球通路741cと、振分空間741bの背面視右側(軸支側)下端と連通し下方へ延出して下端に開口する球抜通路741dと、を備えている。このユニットベース741の供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、及び球抜通路741dは、後方へ開放された状態で形成されている。
本例の賞球装置740は、ユニットベース741の後側に取付けられユニットベース741よりも上下方向の長さが短い裏蓋742と、裏蓋742の下側に配置される板状のモータ支持板743と、モータ支持板743の前側に配置され回転軸744aがモータ支持板743よりも後方へ突出するようにユニットベース741に固定される払出モータ744と、払出モータ744の回転軸744aに一体回転可能に固定されモータ支持板743の後側に配置される第一ギア745と、第一ギア745と噛合しユニットベース741に軸支される第二ギア746と、第二ギア746と噛合しユニットベース741に軸支される第三ギア747と、第三ギア747と共に一体回転しユニットベース741の振分空間741c内に配置される払出回転体748と、払出回転体748とは第三ギア747を挟んで反対側に一体回転可能に固定され周方向に等間隔で複数(本例では三つ)の検出スリット749aを有した回転検出盤749と、を備えている。
また、賞球装置740は、ユニットベース741に取付けられ供給通路741a内の遊技球の有無を検出する球切れスイッチ750と、ユニットベース741に取付けられ賞球通路741c内を流通する遊技球の数を計測するための計数センサ751と、払出回転体748と一体回転する回転検出盤749の検出スリット749aを検出する回転角センサ752と、回転角センサ752を保持し裏蓋742の後面に取付けられるセンサ基板753と、払出モータ744、球切れスイッチ750、計数センサ751、及び回転角センサ752と払出制御基板4110との接続を中継し裏蓋742の後面に取付けられる賞球中継基板754と、を備えている。
更に、賞球装置740は、賞球中継基板754を後側から覆い裏蓋742の後面に取付けられる基板カバー755と、第一ギア745、第二ギア746、第三ギア747(回転検出盤749)、及びセンサ基板753を後側から覆い裏蓋742を挟んでユニットベース741の後面に取付けられるギアカバー756と、ユニットベース741の供給通路741a内を流通する遊技球と接触可能な供給通路アース金具757と、モータ支持板743を挟んで払出モータ744をユニットベース741へ固定すると共に払出モータ744をアース接続するためのビス758と、裏蓋742をユニットベース741に対して着脱可能に支持する着脱ボタン759と、を備えている。
本例の賞球装置740は、ユニットベース741の後側に裏蓋742が取付けられることで、供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、及び球抜通路741dの開放された後端が閉鎖されるようになっている。また、ユニットベース741は、供給通路741aにおける上端よりも下の位置が、一旦、後方へ膨出した形状とされており、タンクレールユニット730から排出落下してきた遊技球の勢いを緩和させることができるようになっている。また、ユニットベース741は、供給通路741aにおける後方へ膨出した位置よりも下側の一方(背面視左側)の側面が部分的に切欠かれていると共に供給通路741aの切欠かれた位置の外側に球切れスイッチ750を取付けるためのスイッチ取付部741eと、賞球通路741cの途中に計数センサ751を取付けるためのセンサ取付部741fと、賞球通路741aよりも下側で前後方向へ貫通するように形成され払出モータ744を挿通可能なモータ挿通孔741gと、を備えている。
このユニットベース741のスイッチ取付部741eに球切れスイッチ750を取付けることで、球切れスイッチ741eの作動片が供給通路741aの側壁の一部を形成するようになっており、供給通路741a内に存在する遊技球によって作動片が押圧されることで球切れスイッチ741eによって供給通路741a内の遊技球の有無を検知することができるようになっている。この球切れスイッチ741eにより供給通路741e内の遊技球が検知されていない状態(球切れの状態)では、払出モータ744が回転しないようになっていると共に、球切れであることが遊技者やホール側に報知されるようになっている。
また、ユニットベース741は、第二ギア746、及び第三ギア747(払出回転体748)を軸支するための軸受部741hと、供給通路741aにおけるスイッチ取付部741eと振分空間741bとの間に配置され供給通路アース金具757を取付けるためのアース金具取付部741iと、ユニットベース741の上部に配置され裏蓋742を着脱支持するための着脱ボタン759が支持されるボタン支持孔741jと、を備えている。このユニットベース741は、アース金具取付部741iに供給通路アース金具757を取付けることで、供給通路アース金具757の後面が供給通路741a内の遊技球と接触することができるようになっていると共に、供給通路アース金具757の前面がコ字状のアース金具782の下端後面と接触するようになっており、供給通路アース金具757を介して供給通路741a内を流通する遊技球の静電気を除去することができるようになっている。
賞球装置740の裏蓋742は、全体が縦長の板状とされ上端が後方へ膨出した形態とされている。裏蓋742の上部には、着脱ボタン759を挿通させるボタン挿通穴742aと、上下方向の略中央後面に賞球中継基板754及び基板カバー755を取付けるための中継基板取付部742bと、中継基板取付部742bの下側に配置されセンサ基板753を取付けるためのセンサ基板取付部742cと、払出回転体748が通過可能な貫通孔742dと、を備えている。裏蓋742の中継基板取付部742bは、ユニットベース741のアース金具取付部741iの後側に位置するように形成されている。
また、賞球装置740のモータ支持板743は、本例では、アルミ板とされており、払出モータ744の金属製のモータハウジングと接触するようになっており、払出モータ744で発生する熱を放熱し易くすることができるようになっている。
また、賞球装置740の払出回転体748は、図78に示すように、周方向に等間隔で夫々一つの遊技球を収容可能な大きさの三つの凹部748aを備えており、払出回転体748が回転することで、供給通路741aから供給された遊技球が一つずつ凹部748aに収容されて、賞球通路741c又は球抜通路741d側へ払出すことができるようになってい。また、払出回転体748と一体回転する回転検出盤749の三つの検出スリット749aは、払出回転体748の凹部748a間と対応する位置に夫々形成されており、検出スリット749aを回転角センサ752によって検出することで、払出回転体748の回転位置を検出することができるようになっている。
本例の賞球装置740は、払出制御基板4110に、主制御基板4100からの払出コマンドやCRユニット6からの貸出コマンド等が入力されたり、球抜スイッチ860bが操作されたりすることで払出モータ744が回転して、所定数の遊技球を遊技者側(上皿301)へ払出したり、遊技ホール側(パチンコ機1の後側)へ排出したりすることができるようになっている。この払出モータ744の回転軸744aを回転駆動させると、回転軸744aに固定された第一ギア745を回転すると同時に、第一ギア745と噛合する第二ギア746が回転し、更に第二ギア746と噛合する第三ギア747が回転するようになっている。この第三ギア747には、前側に払出回転体748が、後側に回転検出盤749が、夫々一体回転可能に固定されており、第三ギア747と共に払出回転体748及び回転検出盤749が回転するようになっている。
この賞球装置740は、図78に示すように、振分空間741bの略中央に払出回転体748が回転可能に軸支されている。そして、払出モータ744によって払出回転体748が背面視反時計周りの方向へ回転させられると、供給通路741a内の遊技球が、賞球通路741c側へ払出されるようになっており、払出回転体748の回転によって賞球通路741c側へ払出された遊技球は、計数センサ751によって一つずつ数えられた上で賞球ベース710の賞球通路715へ受け渡されるようになっている。一方、払出モータ744によって払出回転体748が背面視時計回りの方向へ回転させられると、供給通路741a内の遊技球が球抜通路741d側へ払出されるようになっており、払出回転体748によって球抜通路741d側へ払出された遊技球は、球抜通路741dの下端から後述する満タン振分ユニット770の球抜通路778、本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路622、基板ユニット800における基板ユニットベース810の開口部812、及び電源基板ボックスホルダ840の排出通路842を介してパチンコ機1の後側外部へと排出することができるようになっている。
なお、本例の賞球装置740におけるユニットベース741は、透明な合成樹脂によって形成されており、本体枠3に組立てられた状態でも、透明な賞球ベース710を通して本体枠3の前側から、賞球装置740の供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、球抜通路741d等の内部を視認することができ、球詰り等の不具合を簡単に発見することができるようになっている。
次に、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770について、主に図74、図75及び図79を参照して説明する。賞球ユニット700における満タン振分ユニット770は、賞球ベース710の下端に取付けられるものであり、賞球ユニット740の賞球通路741c側へ払出された遊技球を、皿ユニット300へ誘導することができると共に、皿ユニット300の上皿301において遊技球が満タンになると、皿ユニット300の下皿302に対して遊技球を払出すように振分けることができるものである。
この満タン分岐ユニット770は、前後方向の略中央上部に賞球ベース710の取付係止部716に係止される係止部770aと、後端上部に賞球ベース710の下端裏面に固定される固定部770bと、を備えている。満タン分岐ユニット770は、係止部770aを賞球ベース710の取付係止部716に、後側から係止させることで取付係止部716に対して吊持ちされた状態となり、賞球ベース710に対して固定部770bを所定のビスで固定することで、満タン分岐ユニット770を賞球ベース710の下端に取付固定することができるようになっている。
また、満タン分岐ユニット770は、図示するように、全体が後端から前端へ向かうに従って低くなるような箱状に形成されており、後端上部における左右方向の略中央に上方へ向かって開口し賞球ベース710の賞球通路715を流下してきた遊技球を受ける賞球受口771と、賞球受口771の下側に配置され左右方向へ広がった分岐空間772(図79を参照)と、分岐空間772における賞球受口771の直下から前側へ向かって遊技球を誘導する通常通路773(図79を参照)と、通常通路773を流通した遊技球を前方へ放出し前端の正面視右端に開口した通常球出口774と、分岐空間772における賞球受口771の直下よりも背面視右側へ離れた位置から前側へ向かって遊技球を誘導する満タン通路775(図79を参照)と、満タン通路775を流通した遊技球を前方へ放出し通常球出口774の正面視左側に開口した満タン球出口776と、を備えている。
更に、満タン分岐ユニット770は、後端上部の正面視左側端部に上方へ向かって開口し賞球装置740の球抜通路741dを流下してきた遊技球を受ける球抜受口777と、球抜受口777に受けられた遊技球を前側へ誘導する球抜通路778(図79を参照)と、球抜通路778を流通した遊技球を前方へ放出し正面視左端で通常球出口774及び満タン球出口776よりも後方の位置で開口した球抜出口779と、を備えている。
本例の満タン分岐ユニット770は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、通常球出口774及び満タン球出口776が、夫々扉枠5におけるファールカバーユニット540の第一球入口542a及び第二球入口542cと対向して連通するようになっており、通常球出口774から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第一球入口542aを通って皿ユニット300の上皿301へ供給され、満タン球出口776から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第二球入口542cを通って皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。また、球抜出口779は、本体枠ベース600における本体枠ベース球抜通路622の背面視右側上端と連通するように形成されており、球抜出口779から放出された遊技球が本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路622へ受け渡されるようになっている。
この満タン分岐ユニット770は、賞球装置740の賞球通路741c側へ払出された遊技球が、賞球ベース710の賞球通路715を介して賞球受口771で受取られるようになっており、賞球受口771へ進入した遊技球は、通常の状態では、分岐空間772を垂下して賞球受口771の直下に配置された通常通路773内へと流下する。そして、通常通路773内へ流下した遊技球は、通常出口774からファールカバーユニット540の第一球入口542aに進入し、第一球通路542bを通って第一球出口544aから皿ユニット300の上皿301へ供給されることとなる。
ところで、皿ユニット300の上皿301が遊技球で満タンとなった状態で、更に賞球ユニット700(賞球装置740)から遊技球が払出されると、ファールカバーユニット540の第一球出口544aから上皿301側へ出られなくなった遊技球が、ファールカバーユニット540の第一球通路542b内で滞り、やがて、満タン分岐ユニット770における通常球出口774を通して上流の通常通路773内も一杯になる。この状態で、賞球受口771から分岐空間772内へ進入した遊技球は、通常通路773内へ進入することができず、分岐空間772内で横方向へ移動し始め、横方向へ移動した遊技球が満タン通路775内へ進入して、満タン球出口776からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路542d、及び第二球出口544bを介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。
なお、本例の満タン分岐ユニット770は、全体が透明な合成樹脂によって形成されており、外部から内部を視認することができるようになっている。これにより、満タン分岐ユニット770内に侵入した埃やゴミ等の異物や、球詰りの発生等を、満タン分岐ユニット7700を分解しなくても簡単に発見することができるようになっている。
このように、本例の満タン分岐ユニット770は、上皿301内で遊技球が満タンとなると、その満タンが解消されるまでは、賞球装置740から払出された遊技球を、自動的に下皿302へ供給させることができるので、従来のパチンコ機のように上皿が満タンとなって上皿の球抜ボタンを操作することで遊技球が打球発射装置に供給されなくなって遊技球の打込が中断してしまうのを回避させることができ、遊技中の煩わしさを解消させて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、本例の満タン分岐ユニット770は、上述したように、上皿301が満タンとなると、賞球装置740の直下、つまり、パチンコ機1の後部で払出される遊技球の通路を分岐させるようにしており、満タン分岐ユニット770の通常通路773内で滞留した遊技球は上皿301へ払出されるので、上皿301内の遊技球と通常通路773内の遊技球が打球発射装置650によって直接打ち込むことができる遊技球となり、上皿301における遊技球の貯留量は、実質的には、上皿301の容量と通常通路773の容量とを合わせた量となる。つまり、上皿301の容量を、従来のパチンコ機における上皿の容量よりも小さくしても、通常通路773の容量が加えられるので、従来と同等量の遊技球を上皿301で貯留することができる。従って、上皿301を小さくすることで相対的に扉枠5における遊技窓101を大きく(広く)することが可能となり、より広い遊技領域1100を備えたパチンコ機1とすることができ、遊技する遊技者に対して訴求力の高いパチンコ機1とすることができると共に、広い遊技領域1100により遊技者を楽しませることができるようになっている。
更に、満タン分岐ユニット770の二つの通常球出口774と満タン球出口776とを左右に並べて配置しているので、扉枠5に貯留皿を一つのみ備えるようにして受入口(第一球入口542a及び第二球入口542c)を一つのみとした場合でも、本体枠3側(満タン分岐ユニット770)を変更することなく、扉枠5側へ遊技球を送ることができる。従って、本体枠3における遊技球の流路(満タン分岐ユニット770)を変更しなくても、貯留皿の数が異なる扉枠5に対応させることが可能なパチンコ機1とすることができると共に、貯留皿の数が異なる扉枠5を備えたパチンコ機1のラインナップにかかるコストが増加するのを抑制することができる。
また、上述したように、扉枠5に備えられた貯留皿の数を変更しても、本体枠3を変更することなく対応させることができるので、扉枠5の変更にかかるパチンコ機1全体のコストを低減させることができ、多様なパチンコ機1を低コストで提供することができるようになっている。
更に、通常通路773を通って通常球出口774から扉枠5側へ送られる遊技球が、優先的に遊技領域1100内へ打ち込まれるようにしており、貯留皿を一つのみ備えた扉枠5に交換しても、賞球装置740から払出された遊技球を通常通路773及び通常球出口774を介して直ちに貯留皿へ送ることができるので、払出しから貯留までのタイムラグを少なくすることができ、打ち込むための遊技球が不足して遊技者の興趣が低下するのを抑制することができると共に、貯留皿の数が異なる扉枠5に対して充分に対応することができるようになっている。
また、上皿301が満タンでない限りは、賞球装置740から払出された遊技球が上皿301へ送られるので、下皿302に貯留された遊技球を上皿301へ移す頻度を低減させることが可能となり、遊技球の打込操作等に遊技者を専念させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、満タン分岐ユニット770の通常球出口774と満タン球出口776とを、左右に並んで配置しており、扉枠5に貯留皿を一つのみ備えるようにした場合でも、第一球入口542a等に相当する受入口の下端の位置を、貯留皿を二つ備えた扉枠5の上皿301と対応した第一球入口542a等と同じ高さとすることができるので、貯留皿の深さが浅くなるのを回避させることが可能となり、貯留皿を深くして充分な遊技球の貯留量を確保することができ、遊技者に対して頻繁に貯留量を気にさせることなく遊技を行わせることができると共に、本体枠3側を変更することなく、異なる数の貯留皿を備えた扉枠5に対応させることができ、パチンコ機1の機種変更等にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
更に、満タン分岐ユニット770における満タン通路775が通常通路773から分岐する位置を、賞球装置740に可及的に近い位置で分岐させるようにしており、上皿301が遊技球で満タンとなり通常球出口774から遊技球が出られなくなっても、通常球出口774から満タン通路775の分岐位置までの間の通常通路773内に貯留される遊技球の量を可及的に多くすることができ、上皿301に貯留される実質的な遊技球の貯留量を可及的に多くすることができる。なお、扉枠5に一つのみ貯留皿を備えるようにした場合では、貯留皿が遊技球で満タンとなって通常球出口773や満タン球出口776から遊技球が出られなくなっても、通常通路773から満タン通路775が分岐する位置を、賞球装置740に対して可及的に近い位置に配置しているので、通常通路773だけでなく満タン通路775にも多くの遊技球を貯留させることができ、貯留皿に貯留される実質的な遊技球の貯留量を可及的に多くすることができる。従って、扉枠5側に備えられた貯留皿の数が異なっていても、本体枠3側(満タン分岐ユニット770)を変更することなく、夫々の扉枠5における遊技球の貯留量を最大限に多くすることができ、異なる扉枠5に対して充分に対応することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、満タン分岐ユニット770における通常通路773及び満タン通路775を、複数列で遊技球を流通可能な広さとしており、満タン分岐ユニット770内での遊技球の停留量(貯留量)をより多くすることができるので、扉枠5に備えられた貯留皿の数が異なっていても、満タン分岐ユニット770内の遊技球を合わせた実質的な貯留量が少なくなるのを回避させることができ、本体枠3における遊技球の流路を変更することなく、貯留皿の数が異なる扉枠5に対応させることが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、満タン分岐ユニット770を透明樹脂で形成することで通常通路773及び満タン通路775の内部を、外部から視認可能としているので、満タン分岐ユニット770内で遊技球が詰まって不具合が発生した際に、満タン分岐ユニット770の外部から球詰りの箇所を容易に発見することができ、不具合を早期に解消させてパチンコ機1の稼働率を高めることができる。
[1−3E.球出口開閉ユニット]
次に、本体枠3における球出口開閉ユニット790について、主に図80乃至図82を参照して説明する。図80は、本体枠における球出口開閉ユニットの正面斜視図である。また、図81は、本体枠における球出口開閉ユニットの背面斜視図である。更に、図82は、本体枠における球出口開閉ユニットと扉枠におけるファールカバーユニットとの関係を示す説明図である。本実施形態の本体枠3における球出口開閉ユニット790は、本体枠ベース600の下部後壁部604における正面視左上端付近に形成された取付部624に取付けられるものであり、本体枠3に対して扉枠5が開いた時に、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを閉鎖して、賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断することができるものである。
この球出口開閉ユニット790は、本体枠ベース600の下部後壁部604における正面視左上端付近に形成された取付部624に下部後壁部604の上端よりも突出しないように取付けられるシャッターベース791と、シャッターベース791に上下方向へスライド可能に保持される板状の開閉シャッター792と、開閉シャッター792を上下方向へスライドさせる開閉クランク793と、開閉クランク793を介して開閉シャッター792が上昇するように付勢する開閉バネ794と、を備えている。
球出口開閉ユニット790のシャッターベース791は、開閉シャッター792がシャッターベース791の上端よりも上方へ突出するように上下方向へスライド可能に保持するための上下方向へ延びた一対のスライド溝791aと、一対のスライド溝791aの間で前後方向に貫通した矩形状の開口部791bと、正面視で左側端部前面に配置され開閉クランク793を前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持するクランク支持部791cと、開閉バネ794の一端(上端)を係止するバネ係止部791dと、を備えている。シャッターベース791のクランク支持部791cは、開口部791bの正面視左側に配置されていると共に、バネ係止部791dは、正面視で左右方向中央から左寄りの上部付近に配置されている。
また、球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792は、平板状のシャッター本体792aと、シャッター本体792aの前面から突出しシャッターベース791のスライド溝791a内を摺動する一対の摺動突部(図示は省略)と、一対の摺動突部の間でシャッターベース791の開口部791bから臨む位置に配置され前後方向へ貫通した横長矩形状の駆動孔792bと、を備えている。
更に、球出口開閉ユニット790の開閉クランク793は、シャッターベース791のクランク支持部791cにより前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される軸部793aと、軸部793aの正面視右側外周から右外方へ延出し先端が開口部791bの左右方向中央付近まで延出した駆動棹793bと、駆動棹793bの先端から後方へ突出し開閉シャッター792の駆動孔792b内に摺動可能に挿入される駆動ピン793cと、軸部793aの正面視下側外周から下方へ延出し先端が球形状とされた当接部793dと、駆動棹793bの途中上面に形成され開閉バネ794の他端(下端)を係止するバネ係止部793eと、を備えている。
なお、本例の球出口開閉ユニット790は、シャッターベース791及び開閉シャッター792が、透明な合成樹脂によって形成されており、開閉シャッター792が上昇した状態でも、開閉シャッター792を通して後側に配置された満タン分岐ユニット770における通常球出口774や満タン球出口776等が視認できるようになっている。
本例の球出口開閉ユニット790は、開閉クランク793が前後方向へ延びた軸回りに回動することで、開閉クランク793の駆動ピン793cが円弧状に上下方向へ回動すると同時に、駆動ピン793cが挿入された駆動孔792bを介して開閉シャッター792が上下方向へスライドするようになっている。この球出口開閉ユニット790は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態では、開閉クランク793の当接部793dが扉枠5におけるファールカバーユニット540の開閉作動片542gと当接して、当接部793dが正面視で時計回りの方向へ開閉バネ794の付勢力に抗して回動させられるようになっており、当接部793dと共に駆動ピン793cが正面視時計回りの方向へ回動することで、開閉シャッター792が下降して満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを開放させることができるようになっている。
この状態から本体枠3に対して扉枠5を開くと、開閉クランク793の当接部793cと、扉枠5におけるファールカバーユニット540の開閉作動片542gとの当接が解除され、開閉クランク793が開閉バネ794の付勢力によって正面視反時計周りの方向へ回動すると同時に、開閉シャッター792が上昇して、満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを閉鎖することができるようになっている。
このように、本体枠3に対する扉枠5の開閉に応じて、球出口開閉ユニット790により賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを自動的に開閉させることができるので、満タン分岐ユニット770内に遊技球が残っている状態で扉枠5を開いても、通常球出口774や満タン球出口776から遊技球がこぼれてしまうのを防止することができるようになっている。
[1−3F.基板ユニット]
次に、本体枠3における基板ユニット800について、主に図83乃至図89を参照して説明する。図83は、本体枠における基板ユニットの正面斜視図であり、図84は、本体枠における基板ユニットの背面斜視図である。また、図85は、基板ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図86は、基板ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図87は、基板ユニットにおける電源基板ボックスの立壁部の作用を説明する斜視図である。図88(A)は基板ユニットにおける端子基板ボックスの断面図であり、(B)は基板ユニットにおける端子基板ボックスを分解して前から見た分解斜視図である。また、図89(A)は発射電源基板ボックスの正面図であり、(B)は(A)に示すA−A線の断面図である。
本体枠3における基板ユニット800は、本体枠ベース600の下部後壁部604の後面に取付けられる基板ユニットベース810と、基板ユニットベース810の正面視左側後面に取付けられるスピーカボックス820と、基板ユニットベース810の正面視右端後面に取付けられる発射電源基板ボックス830と、発射電源基板ボックス830を後側から囲うように基板ユニットベース810の後面に取付けられる電源基板ボックスホルダ840と、電源基板ボックスホルダ840の後面に取付けられ後端がスピーカボックス820の後端と略同一面状となる大きさに形成された電源基板ボックス850と、電源基板ボックス850及びスピーカボックス820の後面に取付けられる払出制御基板ボックス860と、払出制御基板ボックス860の正面視左側端部を覆うようにスピーカボックス820の後面に取付けられる端子基板ボックス840と、基板ユニットベース810の前面に取付けられる主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882と、を備えている。
本例の基板ユニット800における基板ユニットベース810は、図示するように、左右方向へ長く延びた形態とされ、左右方向の略中央部が下方へ一段下がり左右両端へ向かうに従って緩やかに上側へ傾斜し前面から前方へ突出した壁状の遮蔽壁部811と、遮蔽壁部811における左右方向中央の一段下がった位置の上側に配置され前後方向へ貫通した開口部812と、遮蔽壁部811の下側で正面視左端近傍の前面に形成され主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882を取付けるための基板取付部813と、基板取付部813の正面視左側で前後方向へ横長の矩形状に貫通した筒状のダクト部814と、後面に固定されるスピーカボックス820のスピーカ821と対応する位置で前後方向に貫通する縦長スリット状の複数の透孔815と、背面視左側(正面視右側)上部の後面に後方及び上方へ開放され発射電源基板ボックス830の前側を収容可能なボックス収容部816と、を備えている。
この基板ユニットベース810は、遮蔽壁部811が、本体枠ベース600における下部後壁部604の後面に形成された本体枠ベース球抜通路622の下側に沿うように形成されており、本体枠ベース球抜通路622から遊技球が下方へ脱落するのを防止することができると共に、基板ユニットベース810の強度を高めることができるようになっている。また、基板ベースユニット810は、前後方向に貫通した開口部812を通して、本体枠ベース球抜通路622を流下してきた遊技球を基板ユニットベース810の後側に配置された電源基板ボックスホルダ840へ送ることができるようになっている。
また、基板ユニットベース810は、主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882を取付ける基板取付部813が、本体枠ベース600における矩形状に開口した開口部614と対応した位置に配置されており、基板取付部813に主側中継端子板880と周辺側中継端子板882を取付けた状態では、本体枠ベース600の開口部614から主側中継端子板880と周辺側中継端子板882が前側へ臨むようになっている。また、基板ユニットベース810は、ダクト部814及び複数の透孔815によってスピーカボックス820のスピーカ821からの音を前側へ良好に伝達させることができるようになっている。
更に、基板ユニットベース810は、ボックス収容部816が後側に配置される電源基板ボックスホルダ840の前ボックス収容部843と対応した位置に形成されており、ボックス収容部816と前ボックス収容部843とで、発射電源基板ボックス830を収容する収容凹部を形成することができるようになっている。
基板ユニット800におけるスピーカボックス820は、文字通り、前側を向いて取付けられたスピーカ821を備えている。このスピーカボックス820は、スピーカ821の後側を密閉状に覆うと同時に、正面視でスピーカ821の左側に横長矩形状の開放口822が形成されている。この開放口822は、詳細な図示は省略するが、所定の迷路状の通路を介してスピーカ821の後側の空間と連通することで、スピーカ821の後側の音の位相を反転させて前方へ放射するようにしており、スピーカ821の口径に対してより重低音を発することが可能なバスレフ型のスピーカボックスとされている。なお、基板ユニットベース810におけるダクト部814は、スピーカボックス820の開放口822と対応する位置に形成されており、開放口822から放射される音を前方へ良好に伝達させることができるようになっている。
基板ユニット800における発射電源基板ボックス830は、後方が開放された箱状に形成されており、その後端開口を閉鎖するように取付けられた発射電源基板831を備えている。この発射電源基板ボックス830は、発射電源基板831に取付けられた各種電子部品が内部に収容されるようになっており、上面及び下面に形成されたスリット830aを介して、電子部品等からの熱を外部へ放出することができるようになっている。
この発射電源基板ボックス830は、基板ユニットベース810のボックス収容部816と、後述する電源基板ボックスホルダ840の前ボックス収容部844とによって形成される上方へ開放された収容凹部内に、上方から脱着可能に収容されるようになっている。これにより、本体枠3を組立てた状態では、発射電源基板ボックス830に不具合が発生した場合、本体枠3の前側から発射電源基板ボックス830を簡単に脱着して交換したり修理したりすることができるようになっている(図63を参照)。
更に、発射電源基板ボックス830を詳述すると、図89にも示すように、発射電源基板831には、DC/DCコンバータ831aと、DC/DCコンバータ831aからの電力を充電及び放電する電解コンデンサSC0と、を備えており、DC/DCコンバータ831aからの電流と電解コンデンサSC0からの放電による電流とを併合した併合電流を打球発射装置650の発射ソレノイド654に電流を流して駆動している。この発射電源基板ボックス830は、発射電源基板831に実装されるDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が発する熱を外部へ放出するために、その上面及び下面に放熱孔としてのスリット830aが形成されている。
また、発射電源基板831の電解コンデンサSC0はDC/DCコンバータ831aと比べて熱によって破損しやすい電子部品であるため、電解コンデンサSC0が配置される発射電源基板ボックス830の側面には放熱孔としてのスリット830aが形成されている。また発射電源基板ボックス830には、その内部空間を、DC/DCコンバータ831aを収容するための空間と、電解コンデンサSC0を収容するための空間と、の2つの空間に仕切る仕切壁830bが上面内壁と下面内壁とを接続するように底面から端開口縁まで一体に形成されている。これにより、発射電源基板ボックス830の端開口に発射電源基板831を取付けて発射電源基板ボックス830の内部空間を閉鎖すると、発射電源基板ボックス830の内部空間が仕切壁830bによって、電解コンデンサSC0を収容するための収容空間830cと、DC/DCコンバータ831aを収容するための収容空間830dと、の2つ空間が形成されるため、仕切壁830bは、電解コンデンサSC0を収容するための収容空間830cと、DC/DCコンバータ831aを収容するための収容空間830dと、の熱の出入りを遮断する断熱壁として機能している。
電解コンデンサSC0が収容された収容空間830c内の熱は、つまり、電解コンデンサSC0が発する熱は、収容空間830cと外気とを連通する上面、側面、及び下面にそれぞれ形成された放熱孔としてのスリット830aを介して、外部へ放出されることにより、この放出される熱をDC/DCコンバータ831aが収容される収容空間830dへ入り込ませないようにすることができる。従って、電解コンデンサSC0が発する熱をDC/DCコンバータ831aへ伝えないようにすることができる。また、DC/DCコンバータ831aが収容された収容空間830d内の熱は、つまり、DC/DCコンバータ831aが発する熱は、収容空間830dと外気とを連通する上面及び下面にそれぞれ形成された放熱孔としてのスリット830aを介して、外部へ放出されることにより、この放出される熱を電解コンデンサSC0が収容される収容空間830cへ入り込ませないようにすることができる。従って、DC/DCコンバータ831aが発する熱を電解コンデンサSC0へ伝えないようにすることができる。
本実施形態では、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流す併合電流を作成するためのDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が電源基板851に設られるのではなく、電源基板851と別体の発射電源基板831に設けられることにより発射電源基板831のサイズを電源基板851のサイズと比べて小さくすることができる。従って、発射電源基板831の小型化により取り扱え易くなって発射電源基板831の交換作業が容易となりその交換作業に費やす時間の短縮化に寄与することができる。この交換作業では、発射電源基板ボックス830の端開口に発射電源基板831が取付けたままの状態、つまり発射電源基板ボックス830ごと、交換することもできる。
またパチンコ遊技機1が稼働されて電解コンデンサSC0がその寿命を迎え、発射ソレノイド654による駆動発射が突然発射不能となって遊技を中断せざるを得なくなっても、発射電源基板831の交換作業が容易に行えることにより遊技の中断を早い段階で解消することができる。したがって、電解コンデンサSC0の寿命による発射不能を極めて簡単に解消することができるとともに、その発射不能による遊技の中断を早い段階で解消して遊技を再開することができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、発射電源基板831の電解コンデンサSC0は、発射ソレノイド654による駆動発射が行われるごとに、例えば、1分当たりに100回という頻度において、充放電が繰り返し行われることにより劣化して寿命を迎えるのに対して、電源基板851は、遊技ホール等の島設備の交流電源から直流電源を作成するものの、発射電源基板831の電解コンデンサSC0と同様の頻度で充放電が繰り返し行わるものではないため、発射電源基板831と比べると、その寿命は極めて長い。換言すると、発射電源基板831は、電解コンデンサSC0の充放電にともなう劣化によって寿命を迎えるのに対して、電源基板851は、経年変化によって寿命を迎える。発射ソレノイド654に流す併合電流を作成するためのDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が電源基板851に設られるのではなく、電源基板851と別体の発射電源基板831に設けられることにより、寿命の長い経年変化にともなう電子部品を電源基板851に集中させることができる。これにより、寿命の長い経年変化にともなう電子部品が寿命の短い電解コンデンサSC0と一緒に交換されることを防止することができる。
また、打球発射装置650を制御する電解コンデンサSC0を備えた発射電源基板831を、遊技盤4を保持する遊技盤保持口601を通して前側から脱着可能としているので、打込特性を変化させるために容量の異なる電解コンデンサSC0に変更する不正を行おうとしても、発射電源基板831を脱着させるには遊技盤保持口601に保持された遊技盤4を取外す必要があり、発射電源基板831を交換し辛くして不正を行い難くすることができ、発射電源基板831が不正改造されて最適化されている打込強さを故意に変化させる不正を抑止することができると共に、不正を行い難くすることで苛立ち等を覚えた遊技者が不正行為等の不正へ発展するのを抑止することが可能なパチンコ機1とすることができるようになっている。
また、発射電源基板831を脱着可能として交換できるようにしているので、仮に、発射電源基板831の電解コンデンサSC0等に対して不正が行われても、発射電源基板831を直ちに交換して不正を解消させることができ、遊技の中断期間を可及的に短くすることができると共に、遊技の中断によって苛立ちを感じたり残念な気分になってしまったりするのを早期に解消させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
更に、打球発射装置650を制御する発射制御部4120における電解コンデンサSC0を備えた発射電源基板831が、遊技盤4を保持する本体枠3の遊技盤保持口601を通して前側から脱着可能とされており、機種変更等により遊技盤4を交換する際に、発射制御部4120の発射電源基板831(発射電源基板ボックス830)も簡単に交換することができるので、交換する新機種のコンセプト等にマッチした打込特性を実現できる電解コンデンサSC0やDC/DCコンバータ831aを備えた発射電源基板831に交換することで、本体枠3に以前から備えられている打球発射装置650の打込特性を、新しい遊技盤4にマッチしたものとすることができる。従って、遊技球の打込特性を遊技盤4のコンセプトに簡単に合わせることができるので、新機種の遊技盤4による遊技を充分に楽しませることができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、発射制御部4120の発射電源基板831を前側から脱着できるようにしているので、発射電源基板831を交換する際に、遊技ホール等の島設備に対して本体枠3を開ける必要がなく、交換にかかる手間を簡略化することができると共に、短時間で交換することができ、遊技ホール側の負担が増加するのを抑制することができる。また、発射電源基板831(発射電源基板ボックス830)を脱着可能として交換できるようにしているので、発射制御部4120(払出制御基板4110)全体を交換する場合と比較して、打込特性の変更にかかるコストを低減させることができ、ホール側等の負担を軽減させることができる。
更に、機種等を変更する際に、遊技盤4のみを交換して扉枠5や本体枠3等は以前のものをそのまま使用できるようにしているので、長期間の使用によって発射制御部4120の発射電源基板831の電解コンデンサSC0等が劣化した場合、上述したように、発射電源基板ボックス830を前側から簡単に交換することができるので、劣化によって不具合が発生して発射電源基板831を直ちに交換して不具合を解消させることができ、遊技の中断期間を可及的に短くすることができると共に、遊技の中断によって苛立ちを感じたり残念な気分になってしまったりするのを早期に解消させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、本体枠3の遊技盤保持口601を通して発射電源基板831(発射電源基板ボックス830)を支持させるようにしており、発射電源基板831を脱着させるには、遊技盤保持口601に保持された遊技盤4を取外す必要があるので、扉枠5と本体枠3との隙間から不正行為を行うための工具を侵入させても、遊技盤4によって不正な工具が発射電源基板831に到達するのを阻止することができ、発射電源基板831に対して不正行為が行われるのを防止することができると共に、不正行為に対する防御力の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、遊技盤保持口601を通して発射電源基板ボックス830を支持させるようにしており、蓋然的に、発射電源基板ボックス830を支持する位置が本体枠3の前面よりも後側となるので、発射電源基板ボックス830を支持するためのスペースを確保し易くすることができ、発射電源基板ボックス830を支持して上記の作用効果を奏するパチンコ機1を確実に具現化することができる。
また、電解コンデンサSC0を発射電源基板831に備えるようにしており、発射電源基板831を本体枠3の前側から簡単に脱着することができるので、電解コンデンサSC0から発射ソレノイド654へ電源を供給することで電解コンデンサSC0にかかる負荷が大きくなって電解コンデンサSC0が劣化し易くなっても、電解コンデンサSC0(発射電源基板831)を簡単に交換することができ、不具合を早期に解消させて遊技の中断時間を可及的に短くすることができると共に、上述した作用効果を確実に奏するパチンコ機1とすることができる。
また、基板ユニット800における電源基板ボックスホルダ840は、正面視で左右中央よりも左側前面に、上方へ開放され遊技盤4のアウト球排出部1161から排出された下方へ排出された遊技球を受ける排出球受部841と、排出球受部841で受けられた遊技球を下方へ誘導して排出する排出通路842と、排出通路842及び排出球受部841の横(正面視で右側)の前面に前方及び上方へ開放され発射電源基板ボックス830の後側を収容可能な前ボックス収容部843と、電源基板ボックスホルダ840の後面全体が前側へ窪んだように形成され電源基板ボックス850の前端を収容可能な後ボックス収容部844と、を備えている。
この電源基板ボックスホルダ840は、排出通路842の開放された前端側が基板ユニットベース810の後面によって閉鎖されるようになっていると共に、基板ユニットベース810の開口部812が排出通路842へ望む位置に形成されており、本体枠ベース600における下部後壁部604の後面に形成された本体枠ベース球抜通路622を流通して基板ベースユニット810の開口部812を通って基板ユニットベース810の後側へ流下した遊技球と、詳細は後述するが遊技盤4のアウト球排出部1161から排出されて排出球受部841で受けられた遊技球とを、排出通路842を通してパチンコ機1の後側下方へ排出することができるようになっている。
また、電源基板ボックスホルダ840は、基板ユニットベース810のボックス収容部816と対応した位置に形成されており、ボックス収容部816と前ボックス収容部843とで、発射電源基板ボックス830を収容する収容凹部を形成することができるようになっている。
更に、基板ユニット800における電源基板ボックス850は、前方が開放された横長の箱状に形成されており、その前端開口を閉鎖するように取付けられた電源基板851を備えている。この電源基板ボックス850は、電源基板851に取付けられた各種電子部品が収容されるようになっており、上面及び下面に形成された複数のスリット850aを介して、電子部品等からの熱を外部へ放出することができるようになっている。なお、図86に示すように、電源基板ボックス850の後面には、電源基板851に取付けられた電源スイッチ852が臨むようになっている。
また、電源基板ボックス850は、電源基板851における電源スイッチ852の下側に取付けられた電源端子853(図84及び図86を参照)が後側へ臨む開口の下辺に沿って後方へ突出した立壁部850bと、立壁部850bの後端の両側から後方へ突出した突起部850cと、立壁部850bよりも前側且つ下側に配置され電源基板ボックス850の外周との間で配線コード854を挿通可能な隙間を形成する配線ガイド部850dと、を備えている。なお、詳細な図示は省略するが、電源基板851に実装された電源端子853は、コネクタ端子855の係止爪と係止する係止片を有しており、それら係止爪と係止片とを係止させることで、電源端子853からコネクタ端子855が外れないようになっている。
この電源基板ボックス850は、立壁部850bが、図87に示すように、電源基板851の電源端子853に配線コード854のコネクタ端子855を接続した状態で、コネクタ端子855の後端よりも若干後方へ突出するように形成されている。本例の電源基板ボックス850では、配線コード854が電源基板ボックス850の前方下側から立壁部850bの後端に引っ掛かるように後側へ回り込んだ状態で、電源基板851の電源端子853にコネクタ端子855が接続されるようになっている。
ところで、基板に取付けられた接続端子に対して、配線コードが延びだしたコネクタ端子を接続した上で、その配線コードを基板側へ引っ張った状態とすると、配線コードから係る張力によってコネクタ端子が接続端子側へ押し付けられるような状態となるので、接続端子からコネクタ端子を外し難くなる問題がある。しかしながら、本例の電源基板ボックス850によると、配線コード854の先端側(電源端子853と接続されたコネクタ端子855側とは反対側)が電源基板851側(本体枠3に対して前側)へ引っ張られても、コネクタ端子855よりも後方へ突出した立壁部850bによって、配線コード854がコネクタ端子855よりも後側へ回り込む(折返す)ように取り回されているので、配線コード854からコネクタ端子855が電源端子853側へ押し付けられるような力が作用するのを防止することができ、電源端子853に接続されたコネクタ端子855を簡単に外すことができるようになっている。
また、電源基板ボックス850は、立壁部850bの後端両側に後方へ突出した突出部850cを備えているので、配線コード854が立壁部850bの後端に沿ってスライドしても、後端の両端に備えられた突起部850cによって、それ以上外側へ配線コード854がスライドするのを阻止することができ、配線コード854が立壁部850bから外れるのを防止することができるようになっている。
また、電源基板ボックス850の配線ガイド部850dに配線コード854を挿入させることで、立壁部850bで折返された配線コード854を立壁部850b側へ寄せることができるので、立壁部850bから配線コード854を外れ難くすることができると共に、立壁部850bで配線コード854を折返した上で、直ちに配線ガイド部850dで配線コード854を立壁部850b側へ寄せることができるので、一連の作業を連続して行わせることができ、組立てに係る作業工程を簡略化することができるようになっている。
なお、電源基板ボックス850及び電源基板ホルダ840は、互いに組付けた状態における前後方向の寸法が、スピーカボックス820の前後方向の寸法と略同じとなるように形成されており、基板ユニットベース810に取付けると、電源基板ボックス850の後面と、スピーカボックス820の後面とが略同一面状となるようになっている。
また、本例では、電源基板851を覆う電源基板ボックス850の開口から臨む電源端子853にコネクタ端子855を接続した上で、コネクタ端子855の後端よりも後側へ突出した立壁部850bによってコネクタ端子855の後端から延出した配線コード854を折返させるようにしているので、配線コード854が引っ張られることでコネクタ端子855に作用する張力を、係止爪等により接続が固定された電源端子853との接続を解除するような方向へ作用させることが可能となり、配線コード854によってコネクタ端子855が外せなくなるのを回避させることができ、電源基板851の電源端子853に接続されたコネクタ端子855を外し易くして基板の交換等のメンテナンスを簡単に行うことができる。
また、電源基板ボックス850の立壁部850bによって配線コード854を折返させるようにしており、立壁部850bが無い場合と比較して、配線コード854の折曲がり具合を緩くさせることができるので、配線コード854自体に無理な力が作用するのを回避させることができ、無理な力により配線コード854が断線して不具合が発生するのを防止することができる。
更に、電源端子853が臨む電源基板ボックス850の開口の近傍に立壁部850bを備えるようにしており、蓋然的に、立壁部850bが電源端子853と隣接した位置となるので、電源端子853に接続されたコネクタ端子855から延びた配線コード854を、コネクタ端子855に対して可及的に真直ぐ後側へ延びださせることが可能となり、コネクタ端子855と配線コード854との繋ぎ目が折れて無理な力が作用するのを防止することができ、断線等の不具合が発生するのを防止することができる。
また、電源基板851を被覆する電源基板ボックス850に立壁部850bを備えるようにしているので、電源基板851に立壁部850bを備える必要が無く、電源基板851の組立作業を容易にすることができる。また、電源基板ボックス850で電源基板851を覆うようにしているので、電源基板851に不具合の発生原因となる埃やゴミ等が付着するのを防止することができると共に、電源基板851に実装された電子部品(例えば、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、IC、CPU、メモリー、等)に対して触れ難くしたり交換し難くしたりすることができ、不正行為に対する防御力を高めることができるようになっている。
また、電源基板851における電源端子853にコネクタ端子855を接続する方向を、基板面に対して略直角方向(前後方向)としており、電源基板851に実装された電源端子853に対して、コネクタ端子855を接続したり取外したりする時にかかる力を電源基板851の面に作用させ易くすることができるので、電源端子853におけるリード部に剪断力が作用するのを防止することが可能となり、リード部が破断して通電不良が発生したり電源基板851から電源端子853が外れてしまったりするのを防止することができ、不具合が発生し難いパチンコ機1とすることができる。
更に、コネクタ端子855と電源端子853との接続を係止爪と係止片とによる固定手段によって固定するようにしているので、配線コード854が立壁部850bによって折返されることで配線コード854を介してコネクタ端子855に電源端子853との接続を解除するような方向へ力が作用しても、コネクタ端子855と電源端子853との接続が解除されてしまうのを防止することができ、コネクタ端子855と電源端子853との接続を確実に維持して接触不良や通電不良等の不具合が発生するのを防止することができる。
また、電源基板ボックス850の立壁部850bにおける配線コード854が折返される後端の両端に、後方へ突出する突起部850cを備えるようにしているので、配線コード854が立壁部850bにおける折返される辺に沿ってスライドしても、辺の両端に備えられた突起部850cによって、それ以上外側へ配線コード854がスライドするのを阻止することができ、配線コード854が立壁部850bから外れるのを防止して上述した作用効果を確実に奏するパチンコ機1を具現化することができる。
また、電源基板ボックス850に備えられた配線ガイド部850dによって、立壁部850bで折返された配線コード854を立壁部850b側へ寄せるようにしているので、立壁部850bから配線コード854を外れ難くすることができ、上述した作用効果を確実に奏するようにすることができると共に、立壁部850bで配線コード854を折返した上で、直ちに配線ガイド部850dで配線コード854を立壁部850b側へ寄せることが可能となり、一連の作業を連続して行わせることができ、組立てに係る作業工程を簡略化してコストが増加するのを抑制することができる。
また、基板ユニット800における払出制御基板ボックス860は、横長で後方が開放された薄箱状のボックスベース861と、ボックスベース861内へ後側から嵌合し前方が開放された薄箱状のカバー862と、ボックスベース861の後面に取付けられカバー862によって後面が覆われる払出制御基板4110(図165を参照)と、を備えている。また、払出制御基板ボックス860は、背面視左端から外方へ突出しボックスベース861及びカバー862の双方に形成された複数の分離切断部863を備えており、複数の分離切断部863の一箇所でボックスベース861とカバー862とがカシメ固定されている。これによってボックスベース861とカバー862とを分離するためには、分離切断部863を切断しないと分離できないようになっており、払出制御基板ボックス860を開くと、その痕跡が残るようになっている。従って、払出制御基板ボックス860が不正に開閉させられたか否かが判るようになっている。なお、本例では、検査等のために払出制御基板ボックス860を一回だけ開閉することができるようになっている。
この払出制御基板ボックス860は、払出制御基板4110に取付けられたエラー解除スイッチ860a、球抜スイッチ860b、検査用出力端子860c、等がカバー862を通して後方へ臨むようになっている(図62を参照)。また、払出制御基板ボックス860は、主制御基板4100等と接続するための各種接続用の端子が、カバー862を通して後方へ臨むようになっている。
更に、基板ユニット800における端子基板ボックス870は、スピーカボックス820の後面に取付けられ、背面視左側上部後面に形成された基板取付部871a、及び背面視右端後面に形成された基板カバー取付部871bを有した基板ベース871と、基板ベース871の基板取付部871aに後側から取付けられ後面に周辺パネル中継端子872aが取付けられた周辺パネル中継端子板872と、基板ベース871の基板カバー取付部871bに後側から取付けられ後壁部873aに上下方向へ延びた開口部873bを有する接続端子板カバー873と、接続端子板カバー873の開口部873aから後方へ臨むCRユニット接続端子874aが後面に取付けられた接続端子板カバー873内に支持されるCRユニット接続端子板874と、接続継端子板カバー873と共に基板ベース871の後側を覆う基板ボックスカバー875と、を備えている。
この端子基板ボックス870における周辺パネル中継端子板872は、パチンコ機1を設置する島設備側に備えられたパチンコ機1の稼動状態等を表示するための度数表示器と本パチンコ機1とを接続するためのものであり、CRユニット接続端子板874は、パチンコ機1と隣接して設置される球貸し機(CRユニット6とも称す)と本パチンコ機1とを接続するためのものである。なお、端子基板ボックス870における基板ベース871、接続端子板カバー873、及び基板ボックスカバー875は、夫々透明な合成樹脂によって形成されており、外部から内部の周辺パネル中継端子板872やCRユニット接続端子板874等を視認することができるようになっている。また、基板ボックスカバー875の後面には、パチンコ機1において球詰り等の不具合が発生した場合に、島設備側に設置された度数表示器やCRユニット6等に表示されるエラーコードの内容が表示された状態表示シール876が貼り付けられている。
この端子基板ボックス870における基板ベース871は、図88に示すように、基板取付部871aが、後端が開放された薄い箱状に形成されている。この基板ベース871は、基板取付部871aの内側上部に形成され周辺パネル中継端子板872の上端を固定する固定片(図示は省略する)と、基板取付部871aの内側下部に形成され周辺パネル中継端子板872の下端を係止する係止爪871cと、を備えており、固定片と係止爪871cとによって周辺パネル中継端子板872を後側から脱着可能に保持することができるようになっている。
また、基板ベース871は、基板カバー取付部871bが、後側へ開放された薄い箱状に形成されており、その内周の大きさが接続端子板カバー873の外周が挿入可能な大きさとされていると共に、その内周壁が前後方向へ延びた外片部871cとされている。基板ベース871は、背面視右側の外片部871cを左右方向へ貫通する一対の固定孔871dと、基板カバー取付部871bの底壁から後方へ延出しCRユニット接続端子板874の前面と当接する上下方向へ延びた二つの突条871eと、基板カバー取付部871bの背面視左外側に配置され前後方向へ貫通する係止孔871fと、を備えている。この基板ベース871における突条871eは、後方への突出量が外片部871cよりもやや控えた状態となっていると共に、図示するように、CRユニット接続端子板874の両側端に可及的に近い位置となるように配置されている。
更に、基板ベース871は、基板カバー取付部871bの背面視右側後面に上下方向へ離反して配置され基板ボックスカバー875を回動可能に軸支するための一対の軸受部871gと、背面視左端部付近の後面に配置され前後方向へ延びた角筒状の係止部871hと、を備えている。
端子基板ボックス870における接続端子板カバー873は、CRユニット接続端子板872の外周を囲うと共に基板ベース871の外片部871cで囲まれた基板カバー取付部871b内へ挿入可能とされた外壁部873cと、外壁部873cの後端を閉鎖する後壁部873aと、後壁部873aを貫通し上下方向へ延びた矩形状の開口部873bと、開口部873bの内周に略沿って後壁部873aから前方(基板ベース871側)へ延出する内壁部873dと、内壁部873dの前端がCRユニット接続端子板874の前面と当接するようにCRユニット接続端子板874を保持し上下の外壁部873cに形成された鉤爪状の一対の基板保持部873eと、を備えている。
また、接続端子板カバー873は、CRユニット接続端子板874に取付けられた複数の内部接続端子874bと対応する位置に配置され後壁部873aを貫通した複数の開口部873fと、上下方向の略中央に配置された開口部873fの後側を覆い背面視左側が開放された箱状の保護部873gと、外壁部873cにおける背面視右側端部から外方(右方向)へ延出し基板ベース871の固定孔871d内へ挿通可能とされた一対の固定片873hと、外壁部873cにおける背面視左側端部に形成され基板ベース871の係止孔871fへ係止可能とされた弾性爪状の係止爪片873iと、を備えている。なお、図示は省略するが、保護部873gを備えた中央の開口部873fにおける内周の上下にも前方へ延出した内壁部873dが形成されている。
この接続端子板カバー873は、外壁部873cと後壁部873aとによって、前側が開放された薄い箱状となっている。また、接続端子板カバー873は、開口した前側からCRユニット接続端子板874を内部へ挿入することで、内壁部873dの前端によってCRユニット接続端子板874が後方へ移動するのを規制することができると共に、一対の基板保持部873eによってCRユニット接続端子板874が前方へ移動するのを規制することができ、而して、CRユニット接続端子板874を脱着可能に保持することができるようになっている。更に、接続端子板カバー873は、その固定片873hを基板ベース871の固定孔871d内へ挿入した上で、係止爪片873iを基板ベース871の係止孔871fへ係止させることで、基板ベース871の基板カバー取付部871bへ脱着可能に取付けることができるようになっている。
端子基板ボックス870におけるCRユニット接続端子板874は、その表面側(後面側)に、パチンコ機1と遊技ホールの島設備側に設置されたCRユニット6とを接続するためのCRユニット接続端子874aの他に、払出制御基板4110や、貸球ユニット360等と接続するための複数の内部接続端子874bが備えられている。なお、本例のCRユニット接続端子板874では、図示するように、CRユニット接続端子874aが係止機能を有したD−subコネクタとされており、内部接続端子874bが角形ツーピースコネクタとされている。
また、端子基板ボックス870における基板ボックスカバー875は、基板ベース871の後面全体を略覆う大きさで全体が前側へ開放された薄い箱状に形成され、背面視右側面に配置され基板ベース871の軸受部871gに回動可能に軸支される一対の軸部875aと、接続端子板カバー873における開口部873bと対応し前後方向へ貫通した貫通口875bと、貫通口875bの左右両側端から前方へ延出する衝壁875cと、基板ベース871の係止部871hに係止される係止片875dと、を備えている。
この基板ボックスカバー875は、一対の軸部875aを基板ベース871の軸受部871gに軸支させることで、接続端子板カバー873と共に基板ベース871の後面を開閉可能に覆うことができるようになっている。また、基板ボックスカバー875は、軸部875aに近い側(軸支された側)の衝壁875cが基板ベース871の後面まで延出する長さとされており、軸部875aから遠い側の衝壁875cが接続端子板カバー873の後面まで延出する長さとされている。つまり、本例の端子基板ボックス870では、基板ボックスカバー875を閉じた状態とすると、夫々の衝壁875cの前端が、基板ベース871や接続端子板カバー873の後面に略当接した状態となるようになっている。
本例の端子基板ボックス870は、CRユニット接続端子板874のCRユニット接続端子874aをD−subコネクタとしているので、図88に示すように、CRユニット接続端子板874の後面に対してCRユニット接続端子874aの本体が浮いた状態となっており、CRユニット接続端子874aから延びたリード部がCRユニット接続端子板874の後面側でも外部に露出した状態となっている。また、CRユニット接続端板874の内部接続端子874bは、角形のツーピースコネクタとされており、図示するように、後方から嵌合接続できるように取付けられている。
そして、本例の端子基板ボックス870は、図88に示すように、組立てた状態では、CRユニット接続端子板874の前面に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと基板ベース871の突条871e及び外片部871cとが、また、CRユニット接続端子板874の後面に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと内壁部873dと基板ボックスカバー875の軸部875a側の衝壁875cとが、夫々存在するので、幾重にもよる防壁が構築されることとなると共に、接続端子板カバー873と基板ベース871との境界の断面形状が蛇行したクランク形状となるようになっている。従って、喩え、接続端子板カバー873と基板ベース871との間(境界)に、可撓性に優れた不正な工具を侵入させようとしても、境界に沿って工具が曲がらず、CRユニット接続端子板874の面に沿った方向からの不正な工具の侵入を確実に阻止することができ、CRユニット接続端子板874に備えられたCRユニット接続端子874aに対する不正行為を確実に防ぐことができるようになっている。
また、この端子基板ボックス870は、接続端子板カバー873における内壁部873dの前端がCRユニット接続端子板874の後面と当接するようになっているので、CRユニット接続端子874aとして取付けられたCRユニット接続端子板874との間に隙間が形成されるD−subコネクタを用いても、内壁部873dによって露出したリード部の外周を覆うことができ、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、端子基板ボックス870は、基板ベース871の後面に回動可能に軸支された基板ボックスカバー875に、CRユニット接続端子874aが臨む貫通口875bの軸部875a側に、一対の軸部875a間に跨る長さの衝壁875cを備えており、衝壁875cによって基板ボックスカバー875の強度・剛性を高めることができるので、基板ボックスカバー875と基板ベース871との間にドライバー等を差し込んで一対の軸部875aの間に隙間を形成させようとしても、基板ボックスカバー875が歪むのを阻止して隙間が形成されるのを防止することができ、不正行為を行い難くして抑止力の高いものとすることができるようになっている。
更に、本例の端子基板ボックス870は、CRユニット接続端子板874の中央付近の内部接続端子874bの後側を接続端子板カバー873の保護部873gと基板ボックスカバー875とで覆うようにしているので、ツーピースコネクタとされた内部接続端子874bに配線コード側の接続端子が嵌合接続された状態で接続端子のコネクタ本体と配線コードとの隙間を通して針状の電極を挿入する不正行為を行おうとしても、保護部873gと基板ボックスカバー875とによって電極の挿入を阻止することができ、内部接続端子874bに対する不正行為も防止することができるようになっている。
このように、本例によると、本体枠3の後面にCRユニット接続端子板874を収容した端子基板ボックス870を取付けるようにしているので、パチンコ機1の表側から外枠2と本体枠3との間等を介して不正な工具を挿入して、パチンコ機1の裏面側へ不正な工具の先端を侵入させても、端子基板ボックス870によって、収容されたCRユニット接続端子板874を保護することができ、CRユニット接続端子板874に対する不正行為を確実に防ぐことができる。
また、端子基板ボックス870内にCRユニット接続端子板874を収容した状態では、CRユニット接続端子板874の前面(基板の裏面)に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと基板ベース871の突条871e及び外片部と871cが、また、CRユニット接続端子板874の後面(基板の表面)に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと内壁部873dと基板ボックスカバー875の衝壁875cとが、夫々存在するので、幾重にもよる防壁が構築されることとなると共に、接続端子板カバー873と基板ベース871との境界の断面形状が蛇行したクランク形状となり、喩え、接続端子板カバー873と基板ベース871との間(境界)に、可撓性に優れた不正な工具を侵入させようとしても、境界に沿って工具が曲がらず、CRユニット接続端子板874の面に沿った方向からの不正な工具の侵入を確実に阻止することができ、CRユニット接続端子板874に備えられたCRユニット接続端子874aや内部接続端子874bに対する不正行為を確実に防ぐことが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、接続端子板カバー873における内壁部873dの前端がCRユニット接続端子板874の後面と当接するようにしているので、CRユニット接続端子874aとして基板との間に各リード部が露出するようなD−subコネクタを用いても、内壁部873dによって露出したリード部の外周を覆うことができ、不正行為が行われるのを確実に防止することができる。
更に、端子基板ボックス870に、基板ベース871の後面に一方の端部が回動可能に軸支されて接続端子板カバー873の後面を開閉可能に覆うと共に、接続端子板カバー873の開口部873bと対応した貫通口875bにおける軸支された側の側端から前方へ基板ベース871の後面まで延出する板状の衝壁875cを有した基板ボックスカバー875を更に備えるようにしているので、基板ボックスカバー875における基板ベース871に対して軸支された部位同士の間に、ドライバー等を差し込んで隙間を形成して不正な工具を侵入させようとしても、衝壁875cによって不正な工具が接続端子板カバー873(CRユニット接続端子板874)側へ到達するのを阻止することができ、不正行為が行われるのを防止することができる。
また、端子基板ボックス870内のCRユニット接続端子板874を取出すには、基板ボックスカバー875を開けた上で接続端子板カバー873を開けなければならず、CRユニット接続端子板874を取出し難くすることができ、不正行為に対する抑止力を高めることができる。また、衝壁875cによって基板ボックスカバー875の強度・剛性を高めることができるので、基板ボックスカバー875と基板ベース871との間にドライバー等を差し込んで隙間を形成させようとしても、基板ボックスカバー875が歪むのを阻止して隙間が形成されるのを防止することができ、不正行為を行い難くして抑止力の高いものとすることができる。
更に、CRユニット接続端子板874のC内部接続端子874bに接続された配線コード側の端子における被コネクタ本体と配線コードとの隙間を通して、針状の電極を挿入する不正行為を行おうとしても、対応した開口部873fの後側、すなわち、被コネクタ本体の配線コードと沿った隙間の開口の後側を保護部873gと基板ボックスカバー875とで覆うようにしているので、端子基板ボックス870の外側(後側)から被コネクタ本体の隙間へ針状の電極を挿入することができず、接続された配線コードの端子に対して不正行為が行われるのを防止することができ、防犯能力の高いものとすることができる。
また、接続端子板カバー873の外壁部873cに、CRユニット接続端子板874を保持する基板保持部873eを備えると共に、外壁部873cをCRユニット接続端子板874よりも前側へ延出させているので、不正行為を行うために接続端子板カバー873と基板ベース871との間にドライバー等を差し込んで隙間を形成させても、CRユニット接続端子板874が接続端子板カバー873と共に後側へ移動するため、接続端子板カバー873における外壁部873cの前端とCRユニット接続端子板874との位置関係は変化することが無く、CRユニット接続端子板874の外周が外壁部873c(接続端子板カバー873)で保護されたままとすることができ、CRユニット接続端子板874の後面のCRユニット接続端子874a等に対して不正行為を行うことができず、CRユニット接続端子板874やCRユニット接続端子874a等を狙った不正行為を防止することができる。
更に、端子基板ボックス870を、透明樹脂によって形成しており、外側から端子基板ボックス870内を視認することができるので、端子基板ボックス870を分解しなくても、端子基板ボックス870の外側から、内部に収容されたCRユニット接続端子板874や周辺パネル中継端子板872等に対して不正な工具が挿入されていないか、CRユニット接続端子板874等自体が不正なものに交換されていないか、或いは、CRユニット接続端子板874等に実装された電子部品(例えば、ROM、IC、抵抗器、コンデンサ、等)が不正なものと交換されていないか、等を簡単に点検することができ、不正行為を発見し易くすることができると共に、不正行為が発見し易くなるので、不正行為を行うものに対して不正行為の実行を躊躇させることができ、不正行為に対する抑止力を高めることができる。
また、本体枠5の裏面側に、CRユニット接続端子板874等の表面が後側を向く方向となるように端子基板ボックス870を取付けているので、メンテナンス等の際に外枠2に対して本体枠5を前側へ回動させて本体枠5の後側が現れると、端子基板ボックス870に収容されたCRユニット接続端子板874等が作業者側(遊技者側)を向いた状態となり、CRユニット接続端子板874等や端子基板ボックス870を点検し易くすることができる。
基板ユニット800における主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882は、本体枠3に取付けられる遊技盤4に備えられた周辺制御部4140や基板ユニット800の払出制御基板4110等と、扉枠5に備えられたハンドル装置500、各装飾基板や操作ユニット400等との接続を中継するためのものである。これら主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882は、本体枠3側や扉枠5側へ接続するための複数の接続端子を備えており、基板ユニットベース810の前面に形成された基板取付部813に取付けることで、それら接続端子が本体枠ベース600の前面から前側を向くようになっている。
なお、主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882は、図61及び図63等に示すように、本体枠ベース600の前面に取付けられる中継端子板カバー692によってその前側が覆われるようになっていると共に、中継端子板カバー692の開口692aを通して、扉枠5側と接続するための接続端子のみが前側へ臨むようになっており、それらの接続端子に配線コード196が接続されるようになっている(図1及び図28を参照)。
また、主側中継端子板880は、扉枠5側に配置される皿ユニット300における貸球ユニット360の貸球ボタン361、返却ボタン362、貸出残表示部363、ハンドル装置500の回転位置検知センサ512、タッチセンサ516、発射停止スイッチ518、及びファールカバーユニット540の満タン検知センサ550と、本体枠3側に配置される払出制御基板4110との接続を中継するためのものである。また、周辺側中継端子板882は、扉枠5側に配置される各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板430,432、及び操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータ414やセンサ432a,432b,432c
と、本体枠3側に配置される遊技盤4の周辺制御部4140との接続を中継するためのものである。
[1−3G.裏カバー]
続いて、本体枠3における裏カバー900について、図90乃至図92を参照して説明する。図90(A)は本体枠における裏カバーの正面斜視図であり、(B)は本体枠における裏カバーの背面斜視図である。また、図91は、裏カバーにおける締結機構の部位を拡大して示す断面図であり、図92は、裏カバーにおける締結機構を分解して後側から見た分解斜視図である。本例の裏カバー900は、透明な合成樹脂によって形成されており、パチンコ機1の後側から本体枠3内を視認することができるようになっている。
本体枠3における裏カバー900は、本体枠3における遊技盤4を保持するための遊技盤保持口601(本体枠3に取付けられた遊技盤4)の後側を開閉可能に被覆するものである。この裏カバー900は、遊技盤保持口601の後側開口を閉鎖する板状の本体部902と、本体部902の正面視右辺から前方へ延出する側部904と、側部904の前端に上下方向へ並んで複数配置され下方へ向かって突出し本体枠ベース600の裏カバー軸支部623に軸支される軸支ピン906と、本体部902の正面視左辺上部と下部に夫々形成され賞球ベース710の裏カバー係合溝718と賞球通路蓋780の裏カバー係合溝780aとに夫々係合する係合片908と、下側の係合片908の近傍に裏カバー900を本体枠3に対して開閉不能に締結するための締結機構920とを備えている。
裏カバー900における締結機構920は、図91及び図92等に示すように、裏カバー900の本体部902における下側の係止片908の背面視で左側に前後方向へ貫通した円形の挿通孔921と、挿通孔921の背面視で左側に所定距離はなれて配置され前後方向へ貫通した縦長矩形状の係止口922と、係止口922に対して後側から弾性係止される係止片923aを一端側に有すると共に他端側に挿通孔921と対応した横長の長孔923bを有する板状のガイド部材923と、ガイド部材923の長孔923bへ後側から挿通され本体部902の挿通孔921を介して賞球通路蓋780の裏カバー締結孔780bへ螺合される雄ねじ部924aを有した締結部材924と、締結部材924の雄ねじ部924aにガイド部材923を挟むように取付けられる保持部材925と、を備えている。なお、締結機構920におけるガイド部材923は、軟質の合成樹脂によって形成されており、曲がり易くなっている。
また、締結機構920は、ガイド部材923の係止片923aが、本体部902の係止口922に対して遊嵌状態で係止されるようになっており、ガイド部材923が所定の範囲内で遊動することができるようになっている。また、締結機構920は、締結部材924の雄ねじ部924aに取付けられた円盤状の保持部材925によって、締結部材924が長孔923bを通してガイド部材923に支持された状態となり、長孔923bに沿って左右方向へスライドすることができると共に、長孔923bから脱落しないようになっている。この締結機構920は、本体部902の係止口922へ後側からガイド部材923の係止片923aを係止させると、ガイド部材923の長孔923bを介して前側へ突出した締結部材924の雄ねじ部924aが、本体部902の挿通孔921へ挿通された状態となるようになっている。
本例の裏カバー900は、軸支ピン906を本体枠ベース600の裏カバー軸支部623に軸支させることで、本体枠3における遊技盤保持口601の後側開口を開閉することができ、係合片908を本体枠ベース600及び賞球通路蓋780の裏カバー係合溝718,780aに係合させることで、閉じた状態とすることができるようになっている。なお、裏カバー900を閉じた状態とすると、締結機構920における挿通孔921と賞球通路蓋780の裏カバー締結孔780bとが略一致した状態となるようになっている。
この裏カバー900を閉じた状態では、挿通孔921へ後側から前側へ挿通された締結部材924の雄ねじ部924aが、裏カバー締結孔780b内へ自然と螺合されることがないので、裏カバー900を閉じても雄ねじ部924aの先端が裏カバー締結孔780bの後端で止まった状態となり、締結部材924が裏カバー900の本体部902から後方へ突出することとなる。ところで、本例では、締結部材924が裏カバー900の本体部902の係止されたガイド部材923の長孔923b内に支持されているので、締結部材924が裏カバー900から脱落することなく、本体部9002の後側に位置した状態が維持されるようになっている。
そして、この状態から締結部材924の雄ねじ部924aの先端を裏カバー締結孔780bへ挿入して締結部材924を回転させることで、雄ねじ部924aが裏カバー締結孔780b内へとねじ込まれて(螺合されて)、裏カバー900を締結固定することができるようになっている。なお、本例の締結機構920は、締結部材924を裏カバー締結孔780bへねじ込む時に、締結部材924を支持するガイド部材923が本体部902に対して斜めになっていても、締結部材924を長孔923bで支持しているので、締結部材924(雄ねじ部924a)を裏カバー締結孔780bの軸心に対して真直ぐに位置させることができ、締結部材924を裏カバー締結孔780bへ良好にねじ込むことができるようになっている。
また、本例では、裏カバー900を、一箇所の締結機構920によって本体枠3側へ締結固定するようにしているので、一箇所の締結部材924を操作するだけで簡単に締結したり締結を解除したりすることができ、裏カバー900の開閉に係る手間を簡略化してメンテナンス性を向上させることができるようになっている。
また、裏カバー900は、本体部902の正面視右側下端で上方へ矩形状に切欠かれた接続用切欠部910と、接続用切欠部910の正面視上側で矩形状に貫通した確認用開口部912と、本体部902の正面視左下隅部に矩形状に切欠かれた確認用切欠部914と、を備えている。
この裏カバー900は、図5に示すように、本体枠3に対して閉じた状態で、接続用切欠部910を通して遊技盤4における主制御基板ボックス1170のRAMクリアスイッチ4100cや試験用端子4100f等が後側へ臨むようになっている。また、裏カバー900は、確認用開口部912を通して、主制御基板ボックス1170の後面に貼り付けられた基板管理シール1178(図101を参照)が後側へ臨むようになっていると共に、確認用切欠部914を通して主制御基板ボックス1170の封止部1176が臨むようになっている。これにより、裏カバー900を本体枠3に対して開かなくても、主制御基板ボックス1170及び主制御基板4100の作動確認や外観確認、管理状態確認等を行うことができるようになっている。
また、裏カバー900は、本体部902及び側部904に細長く貫通した複数のスリット916が形成されており、これらスリット916を通して遊技盤4等で発生した熱を本体枠3(パチンコ機1)の後側外部へ排出することができるようになっている。なお、図示するように、中央から正面視でやや左寄りの位置に、幅広で上下方向へ長く延びた左右方向へ所定間隔で列設された複数の透孔918を備えている。これら透孔918は、裏カバー900を本体枠3に対して閉じた状態とすると共に、本体枠3内に遊技盤4を収容保持させた状態で、遊技盤4における液晶表示装置1900の後側に備えられた周辺制御部4140や液晶制御部4150を冷却するための冷却ファンの後側に位置するようになっており、周辺制御部4140等からの熱を良好に排気することができるようになっている。因みに、透孔918の幅は、遊技球の外径よりも小さい幅とされており、透孔918を通してパチンコ機1内へ遊技球が侵入しないようになっている。
これにより、本例では、本体枠3に保持された遊技盤4の後側を閉鎖する裏カバー900を本体枠3へ締結する締結部材924を、裏カバー900に取付けられたガイド部材923に対して遊動可能に保持させているので、本体枠3に遊技盤4を保持した状態で、本体枠3の後側から裏カバー900を開いて遊技盤4の後側をメンテナンス等を行う際に、本体枠3に対して裏カバー900を締結固定している締結部材924の締結を解除して本体枠3の裏カバー締結孔780bから締結部材924を分離させても、締結部材924がガイド部材923を介して裏カバー900に保持された状態となり、締結部材924を紛失してしまったり、パチンコ機1内に取残してしまったりするのを防止することができ、裏カバー900から締結部材924が脱落するのを防止することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、上述したように、開いた裏カバー900から締結部材924が脱落するのを防止することができるので、メンテナンス等の際に、締結を解除した締結部材924を所定位置に保管する必要が無く、ガイド部材923を介して裏カバー900の挿入孔921の近傍に保持することができ、メンテナンスを行い易くすることができる。
また、ガイド部材923の長孔923bを、少なくとも係止口922側とは反対側へ延びるようにしているので、ガイド部材923が裏カバー900の面に対して傾いた状態となっていても、締結部材923の雄ねじ部924aを裏カバー900の挿通孔921を通して本体枠3の裏カバー締結孔780bへ真直ぐに位置させることができ、裏カバー締結孔780bに対して雄ねじ部924aを正しい状態で確実に締結させることができる。従って、本体枠3に裏カバー900をきちんと締結させることができ、裏カバー900による防犯効果を確実に発揮させることができる。
更に、締結部材924の頭部と協働して締結部材924をガイド部材923に対して遊動可能に保持させる保持部材925を締結部材924の雄ねじ部924aに取付けるようにしているので、締結部材924の頭部と保持部材925とでガイド部材923が挟まれた状態となり、締結部材924の雄ねじ部924aがガイド部材923の長孔923bから抜けるのを確実に防止することができると共に、保持部材925との隙間と長孔923bによってガイド部材923に対して締結部材924を遊動可能に保持させることができる。
また、裏カバー900における挿通孔921の周囲に保持部材を収容可能な収容凹部を備えるようにしており、締結部材924の雄ねじ部924aを、裏カバー900の挿通孔921を通して本体枠3の裏カバー締結孔780bへ締結させる際に、締結部材924の頭部とでガイド部材923を挟んだ保持部材925を、収容凹部内へ収容することができるので、裏カバー900とガイド部材923とを密着させて裏カバー900からの突出を可及的に少なくすることができ、ガイド部材923や締結部材924の突出した部位に他の部材が当接する可能性を低くして不具合が発生するのを低減させることができると共に、見栄えを良くすることができる。
また、本体枠3の裏カバー締結孔780bを雌ねじ部として、締結部材924の雄ねじ部924aとねじ結合するようにしているので、単なる係止爪による係合と比較して、引っ張っただけでは締結を解除することができず裏カバー900を取外し難くすることができ、裏カバー900による防犯効果をより高めることができると共に、不正行為に対する抑止力の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、可撓性を有したガイド部材923としており、ガイド部材923が撓むことができるので、裏カバー900(挿通孔921)に対する締結部材924の動きの自由度を更に高めることが可能となり、締結部材924の雄ねじ部924aを本体枠3の裏カバー締結孔780bに対して真直ぐな位置に位置させたり、雄ねじ部924を裏カバー締結孔770bに対して真直ぐに移動させたりするのをし易くすることができ、裏カバー締結孔780bに対して雄ねじ部924aを確実に締結させることができる。
また、ガイド部材923の係止片923aが、裏カバー900の係止口922における挿通孔921とを結んだ軸線に対して直角方向へ延びた内壁に沿って当接した状態で、係止口922へ弾性係止されるようにしているので、遊動可能に取付けられたガイド部材923の先端側(長孔923b側)を、挿通孔921とを結んだ軸線に対して直角方向へ延びた軸心周りを回動するように動かすことができ、係止口922に対して係止片923aが軸支されたようにすることができる。従って、ガイド部材923の先端側の長孔923bに保持された締結部材924を、裏カバー900の挿通孔921、すなわち、本体枠3の裏カバー締結孔780bを開閉するように回動させることができるので、挿通孔921や裏カバー締結孔780bに対して締結部材924の雄ねじ部924aを挿入し易くすることができ、締結部材924による締結作業を行い易くすることができる。
更に、本体枠3における裏カバー締結孔780bとは異なる位置に複数の裏カバー係合溝718,780aを更に備えた上で、裏カバー900に裏カバー係合溝718,780aと夫々弾性係合する複数の係合片908を更に備えるようにしており、裏カバー900の係合片908を本体枠3の裏カバー係合溝718,780aに係合させることで、締結部材924による締結とは別に、裏カバー900を本体枠3へ固定することができるので、締結部材924を用いて締結する箇所を一箇所のみとして締結作業を可及的に少なくすることができ、組立てやメンテナンス等の作業性を高めることができる。また、上述したように、締結部材924とは別に係合片908と裏カバー係合溝718,780aとの係合によって裏カバー900を本体枠3へ固定することができるので、閉鎖範囲の広い裏カバー900でも締結部材924による締結箇所を増やすことなく良好な状態で本体枠3における遊技盤保持口601の後側(遊技盤4の後側)を閉鎖させることができる。
また、本体枠3(本体枠ベース600)の裏カバー軸支部623に裏カバー900の軸支ピン906を軸支させることで、本体枠3に対して裏カバー900を回動可能に軸支できるようにしているので、裏カバー900を閉じる方向へ回動させて本体枠3における遊技盤保持口601の後側を閉鎖するだけで、裏カバー900の挿通孔921と本体枠3の裏カバー締結孔780bとを簡単に一致させることができ、挿通孔921を通して裏カバー900に保持された締結部材924を簡単に裏カバー締結孔780bへ締結させることができる。また、本体枠3に対して裏カバー900を回動可能に軸支するようにしているので、メンテナンス等の際に、締結部材924による締結を解除して裏カバー900を開けた場合でも、裏カバー900を本体枠3に軸支させた状態のままとすることができ、裏カバー900を本体枠3から取外す必要が無く、裏カバー900の開閉にかかる手間を簡略化することができる。
[1−3H.側面防犯板]
次に、本体枠3における側面防犯板950について、主に図66及び図67を参照して説明する。本体枠3における側面防犯板950は、図示するように、正面視における本体枠3の左側面を形成するものであり、本体枠ベース600に取付けられるようになっている。この側面防犯板950は、平面視で浅いコ字状に押出し成形された金属製の本体952と、本体952の内側前端付近の上下に固定され本体枠ベース600の前面に取付けられる取付金具954と、本体952の内側に固定され遊技盤4の位置決め凹部1119と係合する位置決め部材956と、を備えている。
この側面防犯板950の本体952は、本体枠ベース600の高さと略同じ長さで上下方向へ延びると共に前後方向が略一定奥行きとされた側板片952aと、側板片952aの前端から正面視右方向へ延出した前端片952bと、前端片952bの後側に所定量の隙間を形成するように配置され前端片952bよりも突出量の少ない中片952cと、側板片952aの後端から正面視右方向へ前端片952bよりも長く延出した後端片952dと、を備えている(図108を参照)。この本体952は、側板片952a、前端片952b、及び後端片952dによって浅いコ字状に形成されており、中片952cと後端片952dとの間に遊技盤4における前構成部材1110と遊技パネル1150との正面視左側側部が挿入されるようになっている(図108を参照)。
本例の側面防犯板950は、取付金具954が本体枠ベース600の前面に取付けられると共に、本体952の後端片952dが本体枠ベース600の後面に取付けられるようになっている。この側面防犯板950は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、本体952の前端片952bが、扉枠5の補強ユニット150における軸支側補強板金152の軸支側コ字状突片166のコ字内に挿入されるようになっており、正面視左側において本体枠3と扉枠5との間に不正行為を行うための工具が挿入されるのを防止することができるようになっている(図108を参照)。また、側面防犯板950の本体952は、金属(例えば、アルミ合金)の押出型材とされていると共に、側板片952aの面に対して直角方向へ配置された前端片952b、中片952c、及び後端片952dを備えているので、側面防犯板950の強度・剛性が高められており、本体枠3全体の強度を高めて遊技盤4や扉枠5等を良好に支持することができるようになっている。
このように、本例によると、本体枠3の前面を扉枠5で閉鎖した状態とすると、防犯側面板950の前端内側に形成された前端片952bと中片952cとの間に扉枠5における補強ユニット150の略コ字状に形成された軸支側コ字状突片166の後側の片が挿入される(侵入する)ようになっており、前端片952bを軸支側コ字状突片166で挟持した状態となるので、本体枠3に対して扉枠5を無理やり開けようとしても、扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3の前端片952bに当接して扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3から離れる方向へ移動するのを阻止することが可能となり、閉鎖された扉枠5が抉じ開けられるのを防止することができ、本体枠3に対して扉枠5を抉じ開けるような不正行為が行われるのを防止することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、本体枠3における金属により形成された防犯側面板950と、扉枠5における金属により形成された補強ユニット150とを嵌合させるようにしているので、本体枠3と扉枠5との間の強度・剛性が高くなり、不正工具によって本体枠3や扉枠5を歪み難くすることができ、パチンコ機1における防犯性能を高めることができる。また、遊技盤4を支持する本体枠ベース600を合成樹脂により形成した上で、扉枠5を軸支する側(軸支側)の防犯側面板950を金属により形成するようにしているので、本体枠3全体を金属によって形成するようにした場合と比較して、パチンコ機1に係るコストを低減させることができる。
更に、本体枠3に対して扉枠5を施錠する錠装置1000の扉枠用フック部1041を、上下両端と上下両端の間の一箇所で扉枠5における補強ユニット150のフックカバー165と係止させるようにして、錠装置1000側(開放側)における扉枠5と本体枠3との間を三つの扉枠用フック部1041によって係止するようにしているので、開放側がバール等の不正な工具によって抉られても扉枠5と本体枠3との間が広がるのを良好に防止することができ、扉枠5が無理やり抉じ開けられるのを防止することができる。
また、防犯側面板950における側面片952aの後端を、遊技盤4の前面(遊技領域1100)よりも後方へ延出させるようにしており、側面片952aの前後方向の寸法が長くなることで前後方向へかかる荷重に対する曲げ剛性が強くなるので、防犯側面板950全体の強度・剛性をより高めることができ、防犯側面板950が無理やり曲げられて不正行為が行われるのを防止することができる。
また、金属製の押出型材によって本体枠3の防犯側面板950を形成するようにしているので、前端片952bや中片952cを有した所定断面形状の防犯側面板950(本体952)を簡単に形成することができ、パチンコ機1の防犯性能を高めてもコストが増加するのを抑制することができると共に、金属板を屈曲させた場合と比較して、加工時に生ずる強度低下等の欠陥を可及的に少なくすることができ、耐久性や強度の高い防犯側面板950とすることができる。
[1−3I.錠装置]
続いて、本体枠3における錠装置1000について、主に図93乃至図97を参照して説明する。図93(A)は本体枠における錠装置の左側面図であり、(B)は本体枠における錠装置を前から見た斜視図である。また、図94(A)は錠装置の背面斜視図であり、(B)は錠装置のコ字状基体の内部に摺動自在に設けられるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆を示す背面斜視図であり、(C)は(B)の正面斜視図である。更に、図95は、錠装置を分解して後から見た分解斜視図であり、図96は、錠装置におけるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆の動作を示す説明図であり、図97は、錠装置における不正防止部材の動作を示す説明図である。
本体枠3における錠装置1000は、本体枠3の本体枠ベース600における周壁部605の開放側の外側側面に沿って本体枠3の略上端から下端にかけて取付けられるものであり、図68に示すように、本体枠ベース600における前端枠部602の正面視右側(開放側)辺の上部に形成された扉用フック穴620及び下部に形成された錠係止穴621と、本体枠ベース600における周壁部605の正面視右側側面に複数形成された錠取付部625と、に取付られるようになっている。
図93乃至図95に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取付けられる不正防止部材1023,1032と、を備えている。
錠装置1000におけるコ字状基体1001は、所定の金属板を断面コ字状となるように折曲成形したものであり、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが摺動可能に配置されるようになっている。なお、コ字状基体1001は、その横幅寸法が従来の断面L字状に成形された基体に集約された錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これにより、錠装置1000の左右方向の寸法を可及的に薄くすることが可能となり、相対的に本体枠3における遊技盤保持口601の左右方向の寸法を大きくすることができ、より遊技領域1100の広い遊技盤4を備えることができるようになっている。
このコ字状基体1001は、断面コ字状の開放側が本体枠ベース600の裏面と対面した状態で取付けられるようになっており、錠装置1000を本体枠3に取付けた状態では、コ字状基体1001の開放側が本体枠ベース600に閉鎖されるようになっている。これにより、コ字状基体1001の内部に配置された扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となり、外部から錠装置1000に対して不正行為を行い難い不正防止構造となっている。
また、錠装置1000におけるコ字状基体1001は、その開放側(後側)と反対の閉塞側(前側)上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通可能な長方形状のフック貫通開口1002と、前側における本体枠ベース600の周壁部605と接する側面1001b(図95を参照)の上部と中程に外方へ向かって突設されたビス止め部1003と、ビス止め部1003が突設された側面1001bとは反対側の側面1001a(図95を参照)の開放側(前側)の上端部と中間部、及び開放側の両側面1001a,1001bの下端部から前方へ突出した係止突起1004と、を備えている。
コ字状基体1001のビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠ベース600の扉用フック穴620及び錠係止穴621に後側から挿入した上で、上方へ移動させると、ビス止め部1003と本体枠ベース600の錠取付部625とが一致するようになっており、ビス止め部1003を介して図示しないビスを錠取付部625へ螺着することで、錠装置1000を本体枠ベース600(本体枠3)に強固に固定することができるようになっている。
なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と、シリンダ錠貫通穴611の上方近傍に形成された錠取付部625と、においても図示しないビスで本体枠ベース600に止着されるようになっており、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前側)の上中下の3箇所に形成された係止突起1004を、上中の扉用フック穴620と錠係止穴621とに挿入して位置決め係止すると共に、コ字状基体1001のビス止め部1003を錠取付部625にビスで固定する構造としているので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠ベース600(本体枠3)に強固に固定することができるようになっている。
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前側及び後側の係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前側の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の周壁部605と接しない側面1001aに突設した上で、後側の固定構造を構成するビス止め部1003がコ字状基体1001の周壁部605と密する側面1001bから周壁部605側へ突設した構造としているので、前側の係止構造が周壁部605と密する側面1001bに形成した場合と比較して、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるようになっている。
また、コ字状基体1001は、その両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に左右方向へ貫通した挿通穴1005を備えており、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることで、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を上下方向へ摺動自在に取付けることができるようになっている。
つまり、図94(C)に示すように、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されたリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通していると共に、図94(B)に示すように、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に夫々一つずつ形成されたリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、扉枠用摺動杆1040を上方に、本体枠用摺動杆1050を下方に移動させることができるようになっている。
更に、コ字状基体1001は、その下部の閉塞側面に形成された不正防止切欠部1007と、開放側の本体枠ベース600における周壁部605と接する側面1001bの前端から側方へ向かって突設されシリンダ錠1010を取付けるための錠取付片1008と、周壁部605と接する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022と、が夫々形成されている。コ字状基体1001の不正防止切欠部1007は、詳細は後述するが、第一不正防止部材1023のストッパ片部1027が進退するようになっている。また、コ字状基体1001の錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けた状態で、遊技盤保持口601の下端辺よりも下方の位置となるように側面1001bの前端部から側方に向かって突設されており、シリンダ錠1010が貫通する錠挿通穴1009と、シリンダ錠1010の錠取付基板1011に形成された取付穴1013をビス1012で取付けるため上下2箇所に穿設された取付穴1014と、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取付けるために穿設されたビス止め部1003と、が形成されている。
また、コ字状基体1001は、シリンダ錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダ錠1010の回動時に侵入する挿入縦開口1020と、第二不正防止部材1032を上方へ付勢するバネ1035を係止するためのバネ係止片1021と、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を形成する逃げ横穴1022と、を備えている。
錠装置1000におけるシリンダ錠1010は、コ字状基体1001における錠取付片1008に取付けられるものである。このシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体の後端に錠取付片1008へ取付けるための錠取付基板1011が固定されており、錠取付基板1011の後面からシリンダ錠本体の錠軸1015が延びだしていると共に、錠軸1015の後端にビス1019によって係合カム1016が固定されている。この係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017とされていると共に、他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018とされている。
このシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体部分を錠取付片1008に形成された錠挿通穴1009に後側から挿通した上で、錠取付基板1011の上下2箇所に形成された取付穴1013を通して錠取付片1008の取付穴1014へビス1012を螺着することで、シリンダ錠1010をコ字状基体1001に固定することができるようになっている。
錠装置1000のコ字状基体1001に取付けられる不正防止部材1023,1032は、シリンダ錠1010を正式な鍵で回動させずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。この不正防止部材1023,1032は、図95に示すように、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、縦長の板状で上端の揺動軸穴1025を中心にしてコ字状基体1001に揺動自在に支持されるようになっている。具体的には、この第一不正防止部材1023は、その揺動軸穴1025を通して、コ字状基体1001の内部に配置される扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050と共に最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取付けられるようになっている。
また、第一不正防止部材1023は、その板状面にコ字状基体1001の挿入縦開口1020と重複する位置で縦長に開口し係合カム1016の第二係合突片1018が挿入可能とされた突片挿入穴1026を備えている。この突片挿入穴1026と挿入縦開口1020とを、係合カム1016の第二係合突片1018が貫通することで、コ字状基体1001の内部に設けられた扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023は、突片挿入穴1026の前斜め上方の外辺に、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接可能な斜めに傾斜した傾斜部1024を備えており、この傾斜部1024が、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と当接することで、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図97(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023は、突片挿入穴1026の斜め後下方の外辺からコ字状基体1001側へ向かって突出したストッパ片部1027と、ストッパ片部1027が突出した位置から更に下方へ突出した規制突片1031と、規制突片1031の前側に左右方向へ貫通し上下に配置されたピン穴1029及び連結穴1030と、を備えている。この第一不正防止部材1023のストッパ片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に、不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合させることで、本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにすることができるようになっている。また、第一不正防止部材1023の規制突片1031は、バネ1035によって上方へ付勢された第二不正防止部材1032と当接することで、第二不正防止部材1032が上方(付勢方向)へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、第一不正防止部材1023のピン穴1029は、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側から挿入固定されるようになっており、ピン穴1029に固定されたガイドピン1028を、コ字状基体1001における挿入縦開口1020の最下端部に形成された横長状開口部に係合させることで、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内することができるようになっている。更に、第一不正防止部材1023の連結穴1030は、連結ピン1034によって、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを回動可能に連結するためのものである。
一方、第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033と、上部他端にバネ係止穴1036とが夫々穿設されていると共に、下方端部に当接部1037が備えられている。第二不正防止部材1032は、連結穴1033を第一不正防止部材1023の連結穴1030と合わせた上で連結ピン1034を挿入することで第一不正防止部材1023と相対回転可能に連結することができるようになっている。また、第二不正防止部材1032は、バネ係止穴1036に、上端(一端)がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されたバネ1035の下端(他端)を係止させることで、バネ1035によって上方へ付勢されるようになっている。更に、第二不正防止部材1032は、当接部1037が、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定された閉鎖板25と当接するようになっている。
次に、錠装置1000における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の内部に摺動自在に支持され、縦長の金属製の板状部材によって形成されている。この扉用摺動杆1040は、その一側縦辺の上中下の3箇所に前方へ向かって突出する扉枠用フック部1041を備えている。扉用摺動杆1040の扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に扉用摺動杆1040を収納した状態で、コ字状基体1001の開放側から前方に突出するようになっており、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に固定した時に、本体枠ベース600に形成された扉用フック穴620(図63及び図68等を参照)から前方に突出して、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー165(図18を参照)に係止することができるようになっている。なお、扉枠用フック部1041は、図示するように、下向きの係合爪形状となっており、これにより、扉枠用摺動杆1040を上昇させることで扉枠用フック部1041とフックカバー165との係止状態を解除することができるようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040は、上中下の側面中央に穿設されリベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042と、最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端に扉枠用摺動杆1040の面に対して直角方向へ突出したガイド突起1043と、を備えている。この扉用摺動杆1040のリベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が挿通されるようになっていると共に、リベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。なお、通常状態では、リベット用長穴1042の上端部に貫通したリベット1006が当接した状態となっている。また、扉枠用摺動杆1040は、ガイド突起1043が、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成された突片移動穴1056,1064に挿通されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内することができるようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040は、上端部にスプリング1048の一端を係止するスプリングフック部1046が形成されている。このスプリングフック部1046に係止されたスプリング1048の他端は、本体枠用摺動杆1050における上フック部材1051のスプリングフック部1057に係止されており、スプリング1048によって、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、夫々相互に付勢されるようになっている。また、扉枠用摺動杆1040は、上下方向の中程に凸状に形成された当接弾性片1047を備えており、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレス成形により打ち出して凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、コ字状基体1001の内側面に当接するようになっており、コ字状基体1001の内部で扉枠用摺動杆1040がガタ付くのを抑制することができるようになっている。
更に、扉枠用摺動杆1040は、下方部分の側面に縦長な遊び穴1044と、上昇係合穴1045と、を備えている。この遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動する時に、係合カム1016の回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動可能な空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動する時に、係合カム1016の回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040は、縦辺下部後方に、不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きく切欠いた逃げ切欠部1049を備えている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパ片部1027が、確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合するように、扉枠用摺動杆1040が邪魔にならないように該当部分を切欠いたものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、を備えている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されておらず、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。これにより、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができるようになっている。
この本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051は、上端部に後方に向かって形成されたフック部1054と、フック部1054に隣接した板面部に左右方向へ貫通したリベット用長穴1055と、リベット用長穴1055の下方に左右方向へ貫通した突片移動穴1056と、突片移動穴1056の前方の縦辺下端部に形成されたスプリングフック部1057と、スプリングフック部1057の下側に穿設された連結穴1058と、上フック部材1051の上辺及び下辺に形成された当接部1059と、を備えている。この上フック部材1051のフック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に備えられた閉鎖板24に係合するようになっており、上向きに係止爪部が形成されている。
また、上フック部材1051のこのリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されたリベット用長穴1042に対応する位置に配置されており、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通した通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となり、上フック部材1051が下方へ向かって移動することができるようになっている。上フック部材1051の突片移動穴1056は、扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内することができるようになっている。
また、上フック部材1051のスプリングフック部1057は、スプリング1048の他端が係止されるようになっている。また、上フック部材1051の連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるようになっている。更に、上フック部材1051の当接部1059は、コ字状基体1001に収納された時に、コ字状基体1001の内部側壁に当接するようになっており、上フック部材1051の摺動動作においてガタ付きがなくスムーズに摺動することができるようになっている。
一方、本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052は、下端部から後方に向かって突設されたフック部1065と、下フック部材1052の板面部の上端付近で左右方向へ貫通したリベット用長穴1061と、リベット用長穴1061の下側に配置された下降係合穴1062と、下降係合穴1062の下部後側から下方へ延出した遊び穴1063と、遊び穴1063の下方で下端付近に形成された突片移動穴1064と、下フック部材1052の縦辺上端部の前端側に穿設された連結穴1060と、下フック部材1052の後方の縦辺下部に形成された係合切欠部1066と、下フック部材1052の上辺及び下辺に形成された当接部1067と、を備えている。
この下フック部材1052のフック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に形成された閉鎖板25と係合するようになっており、上向きに係止爪部が形成されている。また、下フック部材1052のリベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されたリベット用長穴1042と対応する位置に形成されており、このリベット用長穴1061にリベット1006を貫通させた通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となるようになっている。これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。
また、下フック部材1052の下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動する時に、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、下フック部材1052の遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動する時に、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動可能な空間を形成することができるようになっている。また、下フック部材1052の突片移動穴1064は、扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内することができるようになっている。
また、下フック部材1052の連結穴1060は、連結線杆1053の折り曲げられた下端が挿入されるようになっている。更に、下フック部材1052の当接部1067は、コ字状基体1001に収納された時に、コ字状基体1001の内部側壁に当接するようになっており、コ字状基体1001に対して下フック部材1052が摺動動作する際に、ガタ付きがなくスムーズに摺動させることができるようになっている。
次に、本実施形態の錠装置1000の組立てについて説明する。この錠装置1000を組付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を、上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とを、コ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入した後に、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
このリベット1006を挿入する際に、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。なお、最下端のリベット1006を差し込む時には、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取付ける必要がある。また、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し、且つ、ガイドピン1028を、ピン穴1029に図示しないビスで止着してから、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片1021とバネ係止穴1036とに掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009に、シリンダ錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダ錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、この時、係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入されると共に、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入された状態となるようにシリンダ錠1010を錠取付片1008に取付ける。
このように、組立てた錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けるには、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠ベース600に形成された扉用フック穴620に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠ベース600の扉用フック穴620及び錠係止穴621に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003を錠取付部625に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の周壁部605と接しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003がコ字状基体1001の周壁部605と接する側面1001bから水平方向に突設形成される構造とされているので、前方部の係止構造が周壁部605と接する側面1001bに形成された場合と比較して、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠ベース600に固定することができるようになっている。
次に、本実施形態の錠装置1000の作用について、図96及び図97を参照して説明する。図96に示すように、本体枠ベース600(本体枠3)が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図96(A)に示すように、外枠2の閉鎖板24,25と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー165とが係止した状態となっている。その状態でシリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図96(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。これにより、外枠2の閉鎖板24,25と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065との係止状態が解除され、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図96(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖板24,25の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖板24,25とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻るようになっている。
一方、シリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図96(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー165と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるので、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図96(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているので、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー165の上端部と当接して扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、更に、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー165とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長と略同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面の略全長に亘って取付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているので、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠を確実に行うことができ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないようになっている。
このように、本実施形態の扉枠3の錠装置1000は、シリンダ錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。また、本例の錠装置1000は、シリンダ錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させるような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図97を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態では、図97(A)に示すように、外枠2の閉鎖板25と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパ片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパ片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。これにより、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパ片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができないようになっている。
一方、シリンダ錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図97(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパ片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。これにより、ストッパ片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。この時、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖板24,25との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができるようになっている。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じる時には、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているので、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図97(A)に示す状態と略同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖板25と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図97(A)に示す状態となる。これにより、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが、本体枠3を閉じる時に邪魔にならないようになっている。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3(本体枠ベース600)に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
このように、本実施形態の錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダ錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤4の下端辺よりも下方となる位置としているので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取付けることができる。
また、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるので、錠装置1000が本体枠3(本体枠ベース600)に取付けられた状態では、内部に配置された扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっており、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができないようになっている。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を扉用フック穴620や錠係止穴621に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003を錠取付部625にビスで固定する構造としているので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3(本体枠ベース600)に強固に固定することができるようになっている。
なお、本例の錠装置1000では、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダ錠貫通穴611の上部近傍に形成した錠取付部625とを螺着する構造としたものを示しているが、これに代えて、シリンダ錠1010を錠取付片1008に取付けるビス1012を利用して、ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダ錠貫通穴611の上下に形成する構造としても良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付部625との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3(本体枠ベース600)の裏面に、充分に強固に固定することができる。
また、本例の錠装置1000では、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものを示したが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を周壁部605に接しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、周壁部605に接する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としても良く、上述した錠装置1000と同様の作用効果を奏することができる。
上述したように、本例の本体枠3によると、本体枠ベース600の後側に後方(前後方向)へ延出した周壁部710aを有する透明な賞球ベース710と、賞球ベース710の上側に本パチンコ機1を設置する遊技ホールの島設備側から供給された遊技球を貯留する賞球タンク720と、賞球タンク720から排出された遊技球を整列させ賞球ベースの後壁部710bの後側に取付けられる透明なタンクレールユニット730と、タンクレールユニット730から放出された遊技球を所定の払出指示に基いて扉枠5の上皿301へ払出し賞球ベース710の後壁部710bの後側に取付けられる一部が透明の賞球装置740と、本体枠ベース600の後端へ延出した側部904を有し後面がタンクレールユニット730や賞球装置740の後面と略同一面状に配置された透明な裏カバー900とを備えているので、賞球ベース710や裏カバー900等を通して本体枠ベース600の遊技盤保持口601に保持された遊技盤4の後側と後側側面とを視認することができ、遊技盤4の後側を覆う裏カバー900を開けなくても簡単に遊技盤4の後側を点検(目視点検)することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、透明な賞球ベース710や裏カバー900等を通して遊技盤4の後側(後面)だけでなく遊技盤4の後側側面も視認することができるので、本体枠ベース600の遊技盤保持口601へ前側から遊技盤4を脱着した際に、遊技盤4と裏カバー900との間にドライバーやペンチ等の工具、洗浄用のウエス、埃やゴミ、等が残留した場合でも、それらを外側からは簡単に発見することができ、残留物によって何らかの不具合が発生するのを防止することができる。
更に、上述したように、遊技盤4の後面や後側側面を外側から視認することができるので、遊技盤4の後側や側面等に不正行為を行うための不正な装置や工具等が取付けられていても、容易に発見することができ、不正行為が行われるのを防止することができると共に、遊技盤4に取付けられた不正な装置等を外側から簡単に発見することができるので、不正な装置等の取付けを躊躇させることができ、不正行為に対する抑止力の高いパチンコ機1とすることができる。
また、遊技盤4の後側を賞球ベース710や裏カバー900で覆うようにしているので、遊技機4を設置した島設備内の他の部材が遊技盤4と接触したり、遊技盤4の後側にゴミや埃等の異物が付着したりするのを防止することができ、遊技盤4を良好な状態に維持して不具合が発生するのを抑制することができる。
また、賞球タンク720の後面が本体枠ベース600の奥行きDに対して、本体枠ベース600の前端から約2倍の奥行きの位置となるようにしている、つまり、本体枠ベース600の奥行きDを、本体枠3の奥行きの約半分としているので、賞球ベース710や裏カバー900等を通して遊技盤4の後側や後側側面をより見易くすることができ、上記した作用効果を確実に奏することができる。また、本体枠ベース600の奥行きDを、本体枠3の奥行きの約半分としているので、本体枠ベース600を伏せた時の高さを可及的に低くして平坦な形状とすることができ、本体枠ベース600の後側へ賞球ベース710や裏カバー900、タンクレールユニット730、賞球装置740等を取付ける取付作業を行い易くすることができる。
更に、透明な裏カバー900の後面(本体部902)を、賞球ベース710に取付けられた賞球タンク720、タンクレールユニット730、及び賞球装置740等の後面と、略同一面状となるようにしているので、パチンコ機1の後面を略フラットな面とすることができ、後方への突起物を無くすことで設置される島設備内の他の部材に引っ掛かったり当接したりするのを防止して不具合が発生するのを防止することができる。また、パチンコ機1の後面が略フラットとなるので、パチンコ機1を搬送する際に、単純な形状の緩衝材を用いることができると共に、集積効率(収納効率)を高くすることができ、パチンコ機1に係るコストを低減させることができる。
また、裏カバー900に、複数のスリット916や透孔918を備えるようにしており、スリット916等を介して遊技盤4の後側や後側側面等を直接視認することができるので、遊技盤4の後側等を更に見易くすることができ、上述した作用効果を確実に奏することができる。また、本体枠ベース600に保持された遊技盤4の後側を裏カバー900で覆っても、裏カバー900のスリット916等を介して遊技盤4からの熱を外部へ放出することができるので、遊技盤4からの熱が蓄積されるのを防止することができ、熱によって遊技に関する制御が不安定になったり、合成樹脂等の部材が変形したりして不具合が発生するのを抑制することができる。更に、裏カバー900のスリット916や透孔918を、遊技球が通過不能な大きさとしているので、例えば、島設備内でパチンコ機1の後側に遊技球がこぼれても、スリット916等を通して遊技球がパチンコ機1内へ侵入するのを阻止することができ、遊技球の侵入によって不具合が発生するのを防止することができる。
[1−4.遊技盤の基本構成]
次に、パチンコ機1における遊技盤4の基本構成について、図98乃至図107を参照して説明する。図98は、パチンコ機の扉枠を外した状態で本体枠に取付けられた遊技盤を示す正面図である。また、図99は、遊技盤の正面図であり、図100は、遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図101は、遊技盤を分解して後から見た分解斜視図である。更に、図102(A)はパチンコ機に取付けた状態で遊技盤における機能表示ユニットを拡大して示す正面図であり、(B)は機能表示ユニットの他の形態を示す正面図である。
また、図103は、図100等の例とは異なる実施形態の遊技パネルを用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図104は、図103を後から見た遊技盤の分解斜視図である。また、図105は、図103の遊技盤における遊技パネルを縦方向に切断した断面図である。更に、図106は図103等の例とは異なる実施形態の前構成部材を用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図107は図106を後から見た遊技盤の分解斜視図である。
本実施形態の遊技盤4は、図示するように、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技球が打ち込まれる遊技領域1100の外周を区画し外形が正面で略矩形状とされた前構成部材1110と、前構成部材1110の後側に配置され遊技領域1100の後端を区画する板状の遊技パネル1150と、遊技パネル1150の後側下部に配置される基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取付けられ遊技球を遊技領域1100内へ打ち込むことで行われる遊技内容を制御する主制御基板4100を収容する主制御基板ボックス1170と、主制御基板4100からの制御信号に基づいて所定の遊技状況を表示可能とされ前構成部材1110の所定位置に遊技者側へ視認可能に取付けられる機能表示ユニット1180と、を備えている。この遊技盤4は、図98乃至図105での図示は省略し詳細は後述するが、遊技パネル1150の前面に取付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1150の後面に取付けられる裏ユニット3000と、を更に備えている(乙108乃至乙115等を参照)。
本実施形態の遊技盤4は、前構成部材1110、遊技パネル1150、基板ホルダ1160、主制御基板ボックス1170、及び機能表示ユニット1180によって、基本的な構成が形成されており、遊技パネル1150に取付けられる表ユニット2000と裏ユニット3000、及び主制御基板ボックス1170内に収容される主制御基板4100によってパチンコ機1(遊技盤4)を特徴付ける詳細な構成が形成されている。ここでは、遊技盤4の基本構成を説明し、詳細構成については後述する。
[1−4A.前構成部材]
続いて、遊技盤4における前構成部材1110について説明する。本例の遊技盤4における前構成部材1110は、外形が本体枠3の遊技盤保持口601内へ挿入可能な略矩形状とされ、内形が略円形状に前後方向へ貫通しており、内形の内周によって遊技領域1100の外周が区画されるようになっている。この前構成部材1110は、正面視で左右方向中央から左寄りの下端から時計回りの周方向へ沿って円弧状に延び正面視左右方向中央上端を通り過ぎて右斜め上部まで延びた外レール1111と、外レール1111に略沿って外レール1111の内側に配置され正面視左右方向中央下部から正面視左斜め上部まで円弧状に延びた内レール1112と、内レール1112の下端から滑らかに連続するように正面視反時計回りの周方向へ沿って外レール1111の終端(上端)よりも下側の位置まで円弧状に延びた内周レール1113と、内周レール1113の終端(上端)と外レール1111の終端(上端)とを結び外レール1111に沿って転動してきた遊技球が当接可能とされた衝止部1114と、内レール1112と内周レール1113との境界部で遊技領域1100の最下端に配置され後方へ向かって低くなったアウト口誘導面1115と、内レール1112の上端に回動可能に軸支され、外レール1111との間を閉鎖するように内レール1112の上端から上方へ延出した閉鎖位置と正面視時計回りの方向へ回動して外レール1111との間を開放した開放位置との間でのみ回動可能とされると共に閉鎖位置側へ復帰するように図示しないバネによって付勢された逆流防止部材1116と、を備えている。
この前構成部材1110は、遊技盤4を本体枠3に取付けた状態とすると、図98等に示すように、外レール1111と内レール1112との間の下端開口が、本体枠3の打球発射装置650における発射レール660の延長線上に位置するようになっている。この外レール1111の下端と、発射レール660の上端との間には、左右方向及び下方へ広がった空間が形成されており、打球発射装置650の発射レール660に沿って打ち出された遊技球が、その空間を飛び越えて、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から外レール1111と内レール1112との間へ打ち込まれるようになっている。外レール1111と内レール1112との間に打ち込まれた遊技球は、その勢いに応じて外レール1111に沿って上方へ転動し、内レール1112の上端に軸支された逆流防止部材1116を、その付勢力に抗して開放位置側へ回動させることにより、遊技領域1100内へ進入することができるようになっている。
また、打球発射装置650において遊技球を強く打球した場合、遊技領域1100内で外レール1111に沿って転動した遊技球が、外レール1111の終端に備えられた衝止部1114に当接するようになっており、この衝止部1114に遊技球が当接することで遊技球の転動方向を強制的に変化させることができ、外レール1111から内周レール1113へ連続して遊技球が転動するのを防止することができるようになっている。なお、遊技領域1100内へ進入した(打ち込まれた)遊技球が、外レール1111と内レール1112との間へ戻ろうとしても、その前に逆流防止部材1116が付勢力によって閉鎖位置へ復帰することで、逆流防止部材1116によって遊技球の逆流が阻止されるようになっている。
また、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球は、後述する表ユニット2000の始動口2101,2102や入賞口2103,2104,2201等に受入れられなかった場合は、遊技領域1100の下端へと流下し、内レール1112と内周レール1113との境界のアウト口誘導面1115によって、遊技パネル1150のアウト口1151へ誘導され、アウト口1151から遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。
一方、打球発射装置650から発射された遊技球が、内レール1112先端の逆流防止部材1116を越えて遊技領域1100内へ進入することができなかった場合は、外レール1111と内レール1112との間を逆方向の下方へ向かって転動し、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から、発射レール660の上端と外レール1111の下端との間に形成されたファール空間626を落下することとなり、ファール空間626の下部に位置する扉枠5におけるファールカバーユニット540のファール球入口542eに受入れられて、皿ユニット300における下皿302へ排出されるようになっている。
なお、前構成部材1110における外レール1111は、その表面に金属板が取付けられており、遊技球の転動による耐摩耗性が高められていると共に、遊技球が滑らかに転動するようになっている。また、衝止部1114は、表面にゴムや合成樹脂等の弾性体が配置されており、遊技球が外レール1111に沿って勢い良く転動してきて衝突しても、その衝撃を緩和させることができるようになっていると共に、遊技球を内側へ反発させることができるようになっている。
また、前構成部材1110は、外レール1111の下部外側から前方へ向かって突出した壁状の防犯突起1117と、アウト口誘導面1115の下側から内周レール1113に沿って上下方向の略中央まで延出し前端から所定量窪んだ溝状のレール防犯溝1118と、を備えている。前構成部材1110における防犯突起1117は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とした時に、扉枠5における防犯カバー180の防犯後端部突片183と上下方向に重複するようになっており、これにより、軸支側(正面視左側)における本体枠3と扉枠5との間からピアノ線等の不正具を侵入させても、不正具を遊技領域1100内まで到達させることができないようになっている。
また、本例の前構成部材1110は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、レール防犯溝1118内に、扉枠5における防犯カバー180の防犯後突片182が挿入されるようになっていると共に、防犯後突片182が内レール1112の外側(遊技領域1100とは反対側)面に略接するように内レール1112と外レール1111との間に挿入されるようになっており、内レール1112及びレール防犯溝1118と防犯後突片182とでも、本体枠3と扉枠5との間から侵入させたピアノ線等の不正具が遊技領域1100内へ到達するのを防止することができるようになっている。
また、前構成部材1110は、正面視左端に上下方向へ離間して配置され前方から後方へ向かって窪むと共に左端に開放された一対の位置決め凹部1119と、正面視右端に上下方向へ離間して配置された一対の遊技盤止め具1120と、外レール1111の下端よりも正面視左側に配置され下方へ開放されると共に上側が円弧状に形成され前側から窪んだ固定凹部1121と、正面視下端の左側端部付近に下端から上方へ左右方向へ長く延びた矩形状に切欠かれた球通路用切欠部1122と、を備えている。前構成部材1110の位置決め凹部1119は、本体枠3における側面防犯版950の内側に取付けられた位置決め部材956と嵌合させることで、遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視左端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤止め具1120は、本体枠3における本体枠ベース600の遊技盤係止部608に対して着脱可能に係止することができるようになっており、遊技盤止め具1120を遊技盤係止部608に係止させることで、本体枠3の遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視右端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、前構成部材1110の固定凹部1121は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態で、本体枠3の前面に軸支された遊技盤固定具690を正面視で時計回りの方向へ回動させると、遊技盤固定具690の固定片690aが挿入されるようになっており、遊技盤固定具690によって遊技盤4の下端が前方へ移動するのが規制されるようになっている。また、前構成部材1110の球通路用切欠部1122は、遊技パネル1150の同位置にも同様の球通路用切欠部1152が形成されており、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態では、球通路用切欠部1122,1152内に満タン分岐ユニット770の前端が挿通されるようになっている。
更に、前構成部材1110は、下端部における正面視右端近傍に、前後方向へ貫通した横長の貫通穴1123と、貫通穴1123の下辺における左右方向の中央から正面視左寄りの位置に前後方向の厚さを薄く形成した締結部1124と、貫通穴1123の正面視左側に配置され証明確認用の証紙を貼付るための証紙貼付部1125と、を備えている。この前構成部材1110における締結部1124は、詳細な図示は省略するが、本遊技盤を従前の本体枠に取付ける場合に、従前の本体枠に形成された締結穴に対して所定の締結バンドを互いに巻き掛けて締結することで、遊技盤4を取外し難くすることができ、遊技盤4の不正な取外しを防止することができるものである。
また、前構成部材1110は、内周レール1113に沿ったレール防犯溝1118の外側で正面視右下に、後述する機能表示ユニット1180の表示部1181が配置されている。また、前構成部材1110は、後面の下部の左右両端から後方へ突出した複数の取付ボス1126と、内レール1112の後面から後方へ突出した複数の位置決め突起1127と、を備えている。この取付ボス1126は、遊技パネル1150を貫通して基板ホルダ1160の固定ボス1162と係合するようになっており、基板ホルダ1160の後側から固定ボス1162を通して取付ボス1126へ所定のビスを螺着することで、前構成部材1110と基板ホルダ1160とで遊技パネル1150を挟持することができるようになっている。また、位置決め突起1127は、遊技パネル1150に形成された内レール固定孔1155へ嵌合させることで、内レール1112を遊技パネル1150の所定位置に固定することができるようになっている。
[1−4B.遊技パネル]
続いて、遊技盤4における遊技パネル1150について説明する。本例の遊技パネル1150は、所定厚さ(例えば、18mm〜21mm)のベニア合板等の木質板材によって形成されており、外形が前構成部材1110の外形と略同形状とされている。この遊技パネル1150は、正面視左右方向略中央の下部で前構成部材1110におけるアウト口誘導面1115と対応した位置に前後方向へ貫通するアウト口1151と、下端の正面視左側に前後方向へ横長に貫通すると共に下方へ開放され前構成部材1110の球通路用切欠部1122と同形状の球通路用切欠部1152と、正面視右下隅部に前後方向へ貫通し機能表示ユニット1180の後方突出部1182が挿入される挿入穴1153と、を備えている。
また、遊技パネル1150は、下部の左右両端付近で前構成部材1110の取付ボス1126と対応した位置に前後方向へ貫通した複数のボス挿通孔1154と、前構成部材1110の位置決め突起1127が挿入固定される複数の内レール固定孔1155と、アウト口1151の後面側で後面から前方へ向かって所定量窪むと共に下端側が下方へ開放された溝状のアウト球排出溝1156(図101を参照)と、前構成部材1110の遊技盤止め具1120と対応した位置に形成され正面視右端から前後方向へ貫通するように切欠かれた切欠部1157と、を備えている。また、遊技パネル1150は、適宜位置に前構成部材1110の後面に対して取付固定するための複数の取付孔を備えている。
本例の遊技盤4における遊技パネル1150は、前構成部材1110によって外周が区画される遊技領域1100の後端を区画することができるものであり、前面における遊技領域1100と対応した範囲内に、複数の障害釘G(図110を参照)が所定のゲージ配列で植設されるようになっていると共に、表ユニット2000が取付けられるようになっている。また、遊技パネル1150の後面には、裏ユニット3000が取付けられるようになっている。また、遊技パネル1150は、アウト口1151が、遊技領域1100の最下端に位置するように形成されており、遊技盤4に組立てた状態では、前構成部材1110における遊技領域1100の最下端に形成されたアウト口誘導面1115によって後方へ誘導された遊技球がアウト口1151へ進入して遊技盤4の後側へ排出されるようになっている。
[1−4C.基板ホルダ]
次に、遊技盤4における基板ホルダ1160について説明する。基板ホルダ1160は、上方及び前方が開放された横長の箱状に形成されている。この基板ホルダ1160は、正面視左右方向の略中央における底壁部の前端に上下方向へ貫通するように形成されたアウト球排出部1161が形成されていると共に、底壁部の上面がアウト球排出部1161へ向かって低くなるように形成されており、遊技パネル1150のアウト口1151、表ユニットや裏ユニットから排出されて、基板ホルダ1160の底部上面に供給(排出)された遊技球が、アウト球排出部1161から下方へ排出されるようになっている。なお、アウト球排出部1161は、遊技盤4を本体枠3に取付けた状態とすると、本体枠3における基板ユニット800の排出球受部841の直上に位置するようになっており、遊技盤4から排出された遊技球は、すべて基板ユニット800の排出通路842を通ってパチンコ機1の後側下方へ排出されるようになっている。
また、基板ホルダ1160は、側壁部における上下両端の前端から前方へ突出した複数の固定ボス1162を備えている。複数の固定ボス1162は、先端が遊技パネル11520の後側からボス挿通孔1154内へ挿入された上で、前構成部材1110の取付ボス1126の後端と嵌合するようになっており、取付ボス1126と嵌合させた状態で、基板ホルダ1160の後側から固定ボス1162内を貫通して取付ボス1126へ所定のビスを螺着することで、前構成部材1110に対して基板ホルダ1160を組付けることができるようになっていると共に、前構成部材1110と基板ホルダ1160とで遊技パネル1150を挟持することができるようになっている。
また、基板ホルダ1160は、図101に示すように、後壁部における後面の背面視左側端部に主制御基板ボックス1170の固定片1174が横側から嵌合可能な固定部1163と、固定部1163と対向するように配置され主制御基板ボックス1170の弾性固定片1175が後方から係止可能な係止部1164と、を備えている。この基板ホルダ1160の固定部1163及び係止部1164によって、基板ホルダ1160の後面に主制御基板ボックス1170を着脱可能に支持することができるようになっている。
[1−4D.主制御基板ボックス]
続いて、遊技盤4における主制御基板ボックス1170について説明する。この主制御基板ボックス1170は、後側が開放された薄い横長箱状の基板ベース1171と、基板ベース1171の後面を覆い前側が開放された薄い横長箱状で基板ベース1171の内部へ後側から嵌合する基板カバー1172と、基板カバー1171の前端に電子部品や端子等が後面側に実装された主制御基板4100と、を備えている。また、主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171における背面視左側端部から外方へ延出し基板ホルダ1160の固定部1163と嵌合する固定片1174と、基板カバー1172における背面視右側端部から後方へ突出し基板ホルダ1160の係止部1164に弾性係止される弾性固定片と、を備えている。
また、主制御基板ボックス1170は、図101等に示すように、弾性固定片1175を挟んで上下に二つずつ背面視右側端部に配置され基板ベース1171と基板カバー1172との開閉を封止可能な封止部1176と、基板ベース1171と基板カバー1172の下端で基板ベース1171と基板カバー1172とに跨って貼付けられる密封シール(図示は省略)と、密封シールの表面を被覆する透明なシール保護カバー1177と、基板カバー1172の後面に貼り付けられる基板管理シール1178と、を備えている。この主制御基板ボックス1170の封止部1176は、基板ユニット800における払出制御基板ボックス860の分離切断部863と同様の構成とされており、四つの封止部1176の何れか一つにおいてカシメ固定されている。この主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171と基板カバー1172とを分離するには、カシメ固定された封止部1176を切断する必要があり、主制御基板ボックス1170の開閉の痕跡が残るようになっている。これにより、主制御基板ボックス1170が不正に開かれたか否かが外部から目視で明瞭に判別することができるようになっている。
なお、主制御基板ボックス1170の封止部1176は、本例では四つ備えられているので、主制御基板ボックス1170を三回まで開閉することができるようになっている。また、本例の主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171と基板カバー1172とに跨って密封シールが貼付られており、基板ベース1171と基板カバー1172とを分離させる際に、密封シールを切断したり剥したりする必要があり、この密封シールにおいても開閉の痕跡が残るようになっている。従って、主制御基板ボックス1170が不正に開閉されて、内部の主制御基板4100が不正に改造されたり、不正な主制御基板(或いは、遊技内容のプログラム等を記憶したROM)と交換されたりしても、外部から目視で確認することができ、それらの不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、主制御基板ボックス1170は、基板カバー1172の前後方向へ貫通した開口が適宜位置に形成されており、その開口を通して主制御基板4100に取付けられた、RAMクリアスイッチ4100cや試験用端子4100f、周辺制御基板4010や払出制御基板4110等と接続するための各種接続端子等が後側へ臨むようになっている。なお、主制御基板ボックス1170の後面から臨む試験用端子4100fに、所定の計測機器を接続することで、主制御基板ボックス1170を開けることなく主制御基板4100を外部からチェックすることができると共に、上述の封止部1176や密封シールに対して巧妙な細工がなされていても、主制御基板4100に対する不正な改造の有無を目視以外に確認することができ、防犯性能の高いパチンコ機1とすることができるようになっている。
[1−4E.機能表示ユニット]
次に、遊技盤4における機能表示ユニット1180について説明する。この機能表示ユニット1180は、前構成部材1110の所定位置に取付配置されるものであり、前構成部材1110の前面で遊技者側から視認可能に配置される表示部1181と、前構成部材1110の後面よりも後方へ突出した後方突出部1182と、を備えている。
本例の機能表示ユニット1180の表示部1181には、図102(A)に拡大して示すように、正面視左側端部に遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球によって変化する遊技状態を表示するための一つのLEDからなる遊技状態表示器1183と、遊技状態表示器1183の右側で上下方向へ並んだ二つのLEDからなり第一始動口2101への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための第一特別図柄記憶表示器1184と、第一特別図柄記憶表示器1184の右側に配置され第一始動口2101への遊技球の受入れにより抽選された第一特別抽選結果を第一特別図柄として表示するための一つの7セグメントLEDからなる第一特別図柄表示器1185と、第一特別図柄表示器1185の右斜め上に配置され第二始動口2102への遊技球の受入れにより抽選された第二特別抽選結果を第二特別図柄として表示するための一つの7セグメントLEDからなる第二特別図柄表示器1186と、第二特別図柄表示器1186の右側で上下方向へ並んだ二つのLEDからなり第二始動口2102への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための第二特別図柄記憶表示器1187と、を備えている。
また、機能表示ユニット1180の表示部1181には、第二特別図柄表示器1186の直上から内周レール1113に略沿った円弧状に並んで配置され遊技球によるゲート部2750の通過に関する保留数を表示するための四つのLEDからなる普通図柄記憶表示器1188と、普通図柄記憶表示器の下側に配置され遊技球がゲート部2750を通過することで抽選された普通抽選結果を普通図柄として表示するための一つのLEDからなる普通図柄表示器1189と、普通図柄記憶表示器1188の斜め右上側へ並んで配置され第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当り」の時に大入賞口2103の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示するための二つのLEDからなるラウンド表示器1190と、を備えている。
本例の機能表示ユニット1180における遊技状態表示器1183は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、様々な遊技状態(例えば、確率変動状態、時間短縮状態、確変時短状態、大当り遊技状態、小当り遊技状態、等)を表示することができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における第一特別図柄記憶表示器1184は、第一特別図柄表示器1185において第一特別図柄を変動表示させることができない時に、第一始動口2101へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第一特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この第一特別図柄記憶表示器1184は、所定のLEDからなる第一特別図柄記憶ランプ1184aと、第一特別図柄記憶ランプ1184bとを有しており、第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が一つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点灯して第一特別図柄記憶ランプ1184bが消灯し、保留数が二つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bが共に点灯し、保留数が三つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点滅して第一特別図柄記憶ランプ1184bが点灯し、保留数が四つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bが共に点滅するようになっている。なお、本例では、四つまで保留されるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における第二特別図柄記憶表示器1187は、第二特別図柄表示器1186において第二特別図柄を変動表示させることができない時に、第二始動口2102へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第二特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この第二特別図柄記憶表示器1187は、所定のLEDからなる第二特別図柄記憶ランプ1187aと、第二特別図柄記憶ランプ1187bとを有しており、第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が一つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点灯して第二特別図柄記憶ランプ1187bが消灯し、保留数が二つの時には第二特別図柄記憶表示ランプ1187a,1187bが共に点灯し、保留数が三つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点滅して第二特別図柄記憶ランプ1187bが点灯し、保留数が四つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bが共に点滅するようになっている。なお、本例では、四つまで保留されるようになっている。
更に、機能表示ユニット1180における第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186は、第一始動口2101や第二始動口2102への遊技球の受入れにより、抽選された第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を表示するものであり、7セグメントLEDが特別抽選結果に応じた所定の時間、変動した後に停止し、停止した7セグメントLEDの発光パターン(特別図柄)によって、第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を遊技者側に認識させることができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における普通図柄表示器1189は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、ゲート部2750を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果を表示することができるようになっている。なお、普通図柄表示器1189による普通図柄の表示も、特別図柄と同様に、所定時間変動表示した後に、普通抽選結果に対応した発光パターンで停止表示するようになっている。
また、機能表示ユニット1180における普通図柄記憶表示器1188は、普通図柄表示器1189において普通図柄を変動表示させることができない時に、ゲート部2750を遊技球が通過した場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された普通図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この普通図柄記憶表示器1188は、下から並んで配置された四つの普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを備え、夫々が所定のLEDとされており、保留数に応じて下から普通図柄記憶ランプ1188a〜1188dを順次点灯させることで普通図柄の保留数を表示させることができるようになっている。なお、本例では、普通図柄の変動表示が四つまで保留(記憶)されるようになっている。
更に、機能表示ユニット1180におけるラウンド表示器1190は、所定のLEDからなる2ラウンド表示ランプ1190aと、15ラウンド表示ランプ1190bとを備えており、夫々のランプが点灯することで「大当り」遊技におけるラウンド数を表示することができるようになっている。
本例の機能表示ユニット1180は、図102(A)に示すように、遊技盤4をパチンコ機1に取付けた状態で、扉枠5の遊技窓101を通して遊技者側から視認することができるようになっている。また、機能表示ユニット1180の遊技状態表示器1183、第一特別図柄記憶表示器1184、第一特別図柄表示器1185、第二特別図柄表示器1186、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄記憶表示器1188、普通図柄表示器1189、及びラウンド表示器1190は、機能表示基板1191(図128を参照)の前面に取付けられている。また、機能表示ユニット1180の後方突出部1182の後端には、機能表示基板1191と、主制御基板4100とを接続するための接続端子が取付けられている。
本例では、機能表示ユニット1180を遊技盤4の前構成部材1110に備えるようにしているので、遊技パネル1150に取付けられる表ユニット2000や裏ユニット300に備えるようにした場合と比較して、機能表示ユニット1180を遊技盤4の基本構成として流用することができ、パチンコ機1に係る構成を簡略化してコストが増加するのを防止することができると共に、パチンコ機1の機種(表ユニット2000や裏ユニット3000により具現化されパチンコ機1の機種を特徴付けることが可能な遊技盤4の詳細構成)が異なっていても、機能表示ユニット1180の表示部1181の位置が変化しないので、遊技者や遊技ホールの店員等に対して、戸惑うことなく表示部1181の位置を認識させることができるようになっている。
また、パチンコ機1の機能表示ユニット1180としては、図102(B)に示すような形態としても良い。この例では、7セグメントLEDにより構成した第一特別図柄表示器1185と第二特別図柄表示器1186を、夫々八つのLED群によって構成したものである。また、第一特別図柄記憶表示器1184と第二特別図柄記憶表示器1187を、夫々四つのLED群により構成すると共に、普通図柄記憶表示器1188を、二つのLEDにより構成するようにしている。
この機能表示ユニット1180でも上記と同様の作用効果を奏することができる他に、第一特別図柄表示器1185と第二特別図柄表示器1186を八つのLED群で構成するようにしているので、7セグメントLEDを用いた場合と比較して、遊技者に対して表示される特別図柄を憶え難くすることができる。従って、機能表示ユニット1180で表示されている内容が判り辛いので、遊技中に機能表示ユニット1180の表示が気掛かりとなって遊技に専念し難くなるのを抑制することができ、遊技球の動き、可動演出や演出画像等に専念させて遊技をより楽しませることができるようになっている。
[1−4F.遊技パネルの第二実施形態]
続いて、上記した遊技盤4における遊技パネル1150とは異なる形態の遊技パネル1200について、図103乃至図105を参照して説明する。なお、図103乃至図105における前構成部材1110、基板ホルダ1160、及び主制御基板ボックス1170は、上述したものと同一の構成とされており、ここでの詳細な説明は省略する。本実施形態の遊技パネル1200は、上述した遊技パネル1150よりも厚さが薄く前構成部材1110によって外周が区画された遊技領域1100の後端を区画可能な板状で前構成部材1110の外形よりも外形が小さく形成されたパネル板1210と、パネル板1210を前側から脱着可能に保持すると共に前構成部材1110の後面に取付けられる枠状のパネルホルダ1220と、を備えている。
この遊技パネル1200パネル板1210は、その外形が遊技領域1100よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂板や、ガラスや金属等の無機質板により形成されている。このパネル板1210の板厚は、パネルホルダ1220(遊技パネル1150)よりも薄く、障害釘Gを前面に植設したり表ユニット2000を取付けたりしても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。なお、本例では、透明な合成樹脂板によってパネル板1210が形成されている。
このパネル板1210は、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔1211と、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔1212と、を備えている。これら嵌合孔1211及び長孔1212は、遊技領域1100よりも外側に配置されており、パネルホルダ1220との位置決めを行うものである。また、パネル板1210には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部1213が夫々備えられている。この係合段部1213は、パネル板1210の板厚の略半分まで切欠いた形態とされると共に、嵌合孔1211及び長孔1212と同様に、遊技領域1100よりも外側に配置されており、パネル板1210をパネルホルダ1220へ係合固定するためのものである。
また、パネル板1210は、所定位置に内レール固定孔1214が複数備えられている。この内レール固定孔1214に内レール1112の後側から突出する位置決め突起1127を嵌合固定させることで、内レール1112を所定の位置に固定することができるようになっている。更に、パネル板1210は、詳細は後述するが、アタッカユニット2100やセンター役物2500等の表ユニット2000を取付けるための前後方向へ貫通した複数の開口部1215を備えており、開口部1215に対して前側からアタッカユニット2100等が挿入固定されるようになっている(乙133等を参照)。
一方、遊技パネル1200におけるパネルホルダ1220は、パネル板1210を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、上述した木質板からなる遊技パネル1150の厚さと略同じ厚さ(本例では、約20mm)とされた合成樹脂(例えば、熱可塑性合成樹脂)からなるものである。このパネルホルダ1220には、パネル板1210を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部1221と、保持段部1221の内側において略遊技領域1100と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口1222とを主に備えている。
パネルホルダ1220の保持段部1221は、前面からの深さがパネル板1210の厚さと略同じ深さとされており、保持段部1221内に保持されたパネル板1210の前面がパネルホルダ1220の前面と略同一面となるようになっている。また、この保持段部1221は、その前側内周面が、パネル板1210の外周面に対して所定量のクリアランスが形成される大きさとされている。このクリアランスにより、温度変化や経時変化により相対的にパネル板1210が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている。なお、クリアランス内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
また、パネルホルダ1220には、保持段部1221に保持されるパネル板1210に形成された嵌合孔1211及び長孔1212と対応する位置に配置され、保持段部1221の前面から前方に向かって延び、パネル板1210の嵌合孔1211及び長孔1212に嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン1223を備えている。これらの突出ピン1223をパネル板1210の嵌合孔1211及び長孔1212に嵌合及び挿通することで、パネルホルダ1220とパネル板1210とを互いに位置決めすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ1220には、パネル板1210の係合段部1213と対応する位置に、係合段部1213と係合する係合爪1224及び係合片1225を供えている。詳述すると、係合爪1224は、パネルホルダ1220の上側の保持段部1221に配置されており、パネル板1210における上側の係合段部1213と対応し、保持段部1221の前面から前方に向かって突出し係合段部1213と弾性係合するようになっている。この係合爪1224は、その先端がパネルホルダ1220の前面から突出しない大きさとされている。一方、係合片1225は、パネルホルダ1220の下側の保持段部1221に配置され、パネル板1210における下側の係合段部1213と対応し、保持段部1221の前面との間にパネル板1210の係合段部1213が挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ1220の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる形態とされている。これら係合爪1224及び係合片1225にパネル板1210の係合段部1213を係合させることで、パネル板1210がパネルホルダ1220に対して着脱可能に保持されるようになっている。
また、パネルホルダ1220には、前構成部材1110に備えられた取付ボス1126を挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔1226を備えており、このボス挿通孔1226に前構成部材1110の取付ボス1126を挿通することで、パネルホルダ1220と前構成部材1110とが互いに位置決めされるようになっている。
このパネルホルダ1220には、図104に示すように、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部1227が備えられている。この取付支持部1227により、パネルホルダ1220の後面は、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部1227に取付固定される裏ユニット3000における中箱3010のフランジ状の固定部3010c(図134等を参照)或いは裏箱3020の固定部3020cを収容できる深さ(本例では、約2.5mmとされており、1〜3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部1227に所定の部材を取付固定することで、その固定部3010c又は固定部3020cがパネルホルダ1220よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ1220すなわち遊技盤4を本体枠3(パチンコ機1)の遊技盤保持口601内に確実に設置装着できるようになっている。
更に、パネルホルダ1220には、図示するように、後面側の取付支持部1227内及び収容凹部630hよりも上側に配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔1228が所定配列で配置されている。また、パネルホルダ1220には、取付孔1228と対応するように配置される複数の位置決め孔1229が備えられている。この位置決め孔1229は、取付孔1228を用いて取付固定される部材に形成された位置決め突起(例えば、中箱3010又は裏箱3020における前面のフランジ状に形成された固定部3010c又は固定部3020cから前方へ突出する位置決め突起(図示は省略する))が挿入されるものである。なお、本例では、位置決め孔1229は、背面視略矩形状(角孔状)の止り孔とされている。
なお、取付孔1228に対して、その孔の内径が大径のものと小径のものとを混在させるようにして、取付固定する所定の部材の大きさや重量等に応じて、適宜径の取付孔1228を用いるようにしても良い。
また、パネルホルダ1220には、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部1230が形成されており、肉抜き部1230によりパネルホルダ1220の重量が軽減されるようになっている。図103に示すように、収容凹部630hの前側、つまり、パネルホルダ1220の前面側の下端から所定高さまでの所定範囲内には、これらの肉抜き部1230が形成されておらず、その範囲内では、パネルホルダ1220の前面が略平らな面となるようになっているので、その前面に配置される前構成部材1110の後面が略平らな面となり、打球発射装置650から発射された遊技球が、滑らかに案内されるようになっている。また、このパネルホルダ1220は、図示するように、肉抜き部1230が形成されることで、取付孔1228等がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネルホルダ1220の強度を維持したりするために、箱状のリブが形成された状態となっている。
なお、このパネルホルダ1220には、障害釘植設装置(図示しない)や、組立治具等の位置決め手段に対応した位置決め部1231が形成されており、障害釘植設装置に遊技パネル1150を保持した状態でセットできるようになっている。また、パネルホルダ1220の下部には、前構成部材1110のアウト口誘導面1115と対応した位置に前後方向へ貫通するアウト口1232と、下端の正面視左側に前後方向へ横長に貫通すると共に下方へ開放され前構成部材1110の球通路用切欠部1122と同形状の球通路用切欠部1233と、正面視右下隅部に前後方向へ貫通し機能表示ユニット1180の後方突出部1182が挿入される挿入穴1234と、を備えている。
また、パネルホルダ1220は、アウト口1232の後面側で後面から前方へ向かって所定量窪むと共に下端側が下方へ開放された溝状のアウト球排出溝1235(図104を参照)と、前構成部材1110の遊技盤止め具1120と対応した位置に形成され正面視右端から前後方向へ貫通するように切欠かれた切欠部1236と、を備えている。また、パネルホルダ1220は、適宜位置に前構成部材1110の後面に対して取付固定するための複数の取付孔を備えている。
このパネルホルダ1220におけるアウト球排出溝1235は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入保持させると、本体枠3(本体枠ベース600における遊技盤載置部606の上面)に備えられた位置決め突起607と嵌合するようになっており、アウト球排出溝1235が位置決め突起607と嵌合することで、本体枠3に対して遊技盤4が左右方向へ相対移動するのが規制されるようになっている。
本実施形態の遊技パネル1200は、前方からパネルホルダ1220の保持段部1221内へパネル板1210を嵌合挿入して、係合爪1224及び係合片1225と、係合段部1213とを係合させることで、パネルホルダ1220にパネル板1210を保持させることができると共に、パネル板1210とパネルホルダ1220の前面側が略面一となるようになっており、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくてもパネル板1210をパネルホルダ1220に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘Gの植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
また、本例の遊技パネル1200は、図示は省略するが、パネル板1210の前面における遊技領域1100と対応した範囲内に、複数の障害釘Gが所定のゲージ配列で植設されるようになっていると共に、表ユニット2000が取付けられるようになっている。また、パネルホルダ1220の後面には、裏ユニット3000が取付けられるようになっている。これにより、薄いパネル板1210においては、表ユニットのみを支持するようにしているので、表ユニットの荷重によってパネル板1210が歪むのを防止することができるようになっている。
更に、遊技パネル1200を、パネル板1210とパネルホルダ1220とによる分割構造としているので、パネル板1210を透明板としても遊技パネル1200全体の重量が増加するのを抑制することができ、透明なパネル板1210を通して遊技領域1100の後側が遊技者から見えるパチンコ機1を具現化することができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができるようになっている。
また、遊技パネル1200を、パネル板1210、及びパネルホルダ1220に分割するようにしているので、パチンコ機1の機種によって障害釘Gや入賞口等の位置が変化するパネル板1210を交換パーツとすると共に、パネルホルダ1220を共通パーツとすることができ、パネル板1210のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤4を備えたパチンコ機1とすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ1220に予め複数の取付孔1228が所定配列で備えられているので、機種に応じてパネルホルダ1220の後面側に取付固定される裏ユニット3000等の種々の所定部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔1228の位置と対応させるように設計することで、パネルホルダ1220を機種に依存しないパチンコ機1の共通パーツとすることができるようになっている。
[1−4G.前構成部材の第二実施形態]
次に、上記した遊技盤4における前構成部材1110とは異なる形態の前構成部材1110Aについて、図106及び図107を参照して説明する。なお、図106及び図108における遊技パネル1200、基板ホルダ1160、及び主制御基板ボックス1170は、パネル板1210の外形とパネルホルダ1220の貫通口1222の内形が、図103乃至図105の実施形態と異なるのみで、図103乃至図105の例と同一の構成とされており、ここでの詳細な説明は省略する。
図106及び図107に示す前構成部材1110Aは、上記の前構成部材1110と比較して、前後方向に貫通した内周形状の一部が異なっている他に、機能表示ユニット1180を備えていない点が大きく異なっている。なお、その他の構成については、前構成部材1110と同様であり、同一の符号を付すと共に、詳細な説明は省略する。また、この前構成部材1110Aを用いた遊技盤4では、機能表示ユニット1180が、遊技盤4における表ユニット2000又は裏ユニット3000の何れかに備えられるようになっている(本例では、表ユニット2000に備えられている)。
この前構成部材1110Aは、図示するように、枠状の内周形状が、アウト口誘導面1115を基点として正面視で時計回りの方向へ内レール1112及び外レール1111の衝止部1114までの形状が、前述の前構成部材1110と同じ形状に形成されており、衝止部1114から時計回りの方向へアウト口誘導面1115までの形状が、前述の前構成部材1110とは異なる形状となっている。具体的には、衝止部1114から衝止部1114の直下に配置された右側の証紙貼付部1125の直上までの間が緩やかな円弧状に形成されていると共に、円弧状の下端からアウト口誘導面1115までの間がアウト口誘導面1115へ向かって低くなるように傾斜した直線状に形成されている。
本例の前構成部材1110Aは、前述の前構成部材1110と比較して、遊技領域1100がより広く確保することができるようになっており、広い遊技領域1100によって遊技者をより楽しませることができるようになっている。
[1−5.パチンコ機の防犯構造]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における防犯構造について、主に図108及び図109を参照して説明する。図108は、パチンコ機の軸支側における防犯構造を示す部分断面図である。また、図109は、遊技盤を収容した状態で後側から見た斜視図である。
まず、本例のパチンコ機1における軸支側の防犯構造は、図108に示すように、本体枠3における合成樹脂によって形成された本体枠ベース600の軸支側(正面視で左側)の側面に取付けられる金属製の防犯側面板950と、扉枠5における合成樹脂によって形成された扉枠ベース110の後面に取付けられる金属製の補強ユニット150とによって構成されている。
本体枠3の防犯側面板950は、上述したように、金属(例えば、アルミ合金)製の押出型材によって形成されており、上下方向の寸法が本体枠ベース600の上下方向の寸法と略同じ寸法とされると共に、前後方向の寸法が遊技盤4における前構成部材1110と遊技パネル1150とを合せた前後方向の寸法よりも大きい寸法とされている。この側面防犯板950は、上下方向へ延びると共に前後方向へ延び本体枠3の側面を形成する板状の側面片952aと、側面片952aの前端から略直角方向内側(開放側)へ延びた前端片952bと、前端片952bの後側に所定量の隙間を形成するように側面片952aから前端片952bに沿って延びた中片952cと、側面片952aの後端から略直角方向内側へ延びた後端片952dとを備えている。これにより、防犯側面板950の前端は、前端片952bと中片952cとによって内側(開放側)に開口する断面が略コ字状に形成されている。
また、側面防犯板950(本体952)は、側板片952aの面に対して直角方向へ配置された前端片952b、中片952c、及び後端片952dにより、側面防犯板950の強度・剛性が高められており、本体枠3全体の強度を高めて遊技盤4や扉枠5等を良好に支持することができるようになっている。
一方、扉枠5の補強ユニット150は、上述したように、複数の長尺状の金属板をスポット溶接やリベット等を用いて扉枠5における遊技窓101の外周を囲うように枠状に形成したものであり、軸支側の軸支側補強板金152の外側辺には外側(軸支側)に開口した断面が略コ字状の軸支側コ字状突片166を備えている。この補強ユニット150の軸支側補強板金152では、軸支側コ字状突片166によって軸支側補強板金152の強度がより高められており、軸支側補強板金152が曲がり難くなっている。
ところで、本例では、扉枠5が本体枠3に対して上軸支部156と下軸支部158の上下の二点でのみ取付支持されるようになっているので、軸支側の扉枠5と本体枠3との間にドライバーやバール等の不正な工具が差込まれると、軸支側補強板金152が変形して扉枠5と本体枠3との隙間が大きくなりその隙間を介して不正行為が行われる虞がある。これに対して、本例の防犯構造は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、防犯側面板950の前端内側に形成された前端片952bと中片952cとの間に扉枠5における補強ユニット150の略コ字状に形成された軸支側コ字状突片166の後側の片が挿入される(侵入する)ようになっており、前端片952aを軸支側コ字状突片166で挟持した状態となるようになっている。これにより、本体枠3に対して扉枠5を無理やり開けようとしても、扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3の前端片952bの後面側に当接して扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3から離れる方向へ移動するのを阻止することができるので、閉鎖された扉枠5が抉じ開けられるのを防止することができ、本体枠3に対して扉枠5を抉じ開けるような不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、本体枠3における金属により形成された防犯側面板950と、扉枠5における金属により形成された補強ユニット150とを嵌合させるようにしているので、本体枠3と扉枠5との間の強度・剛性が高くなり、不正な工具によって本体枠3や扉枠5を歪み難くすることができ、防犯性能を高めることができるようになっている。
更に、防犯側面板950における側面片952aの後端が遊技盤4における遊技パネル1150よりも後方へ延出するようにしているので、仮に側面片952aの後端よりも後側の本体枠ベース600が破壊されても、側面片952aの後端から遊技盤4(遊技パネル1150)の前面の遊技領域1100内へピアノ線等の不正な工具を侵入させることができず、不正行為が行われるのを確実に防止することができるようになっている。なお、図108に示すように、防犯側面板950の外側を覆うように外枠2の側枠板12が接しているので、堅牢な側面を有したパチンコ機1となっており、側面側からの破壊行為に対して充分に対抗できるようになっている。また、一般的に、パチンコ機1を設置する遊技ホールでは、パチンコ機1の側面がパチンコ機1を設置するための島設備の枠内に挿入固定されるようになっているので、遊技者側(前側)からは側面片952cの後端よりも後側へ不正工具を侵入させることはほとんど不可能な状態となり、パチンコ機1の防犯性能をより高められた状態となるようになっている。
続いて、本例のパチンコ機1における後方側からの防犯構造としては、図109に示すように、遊技盤4を収容する本体枠3における賞球ベース710、タンクレール731、賞球装置740のユニットベース741、満タン分岐ユニット770、及び裏カバー900が、透明な合成樹脂によって形成されているので、本体枠3内に収容された遊技盤4の後側や側面側を、遊技盤4を本体枠3から取外したり裏カバー900を開けたりしなくても、本体枠3の後側から視認することができるようになっている。これにより、遊技盤4の後側等に不正な装置が取付けられていても、容易に発見することができ、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。また、遊技盤4に取付けられた不正な装置等を外側から簡単に発見することができるので、不正な装置の取付けを躊躇させることができ、不正行為に対する抑止力を高めることができるようになっている。
また、本体枠3の後側から遊技盤4の後側や側面側を、透明な賞球ベース710や裏カバー900等を通して視認することができるので、メンテナンスや機種の変更を行うために本体枠3に対して遊技盤4を脱着した際、本体枠3と遊技盤4との間に、ドライバーやペンチ等の工具、洗浄用のウエス、埃やゴミ、等が残留した場合でも、それらを外側から簡単に発見することができ、それらによって何らかの不具合が発生するのを防止することができるようになっていると共に、パチンコ機1に対するメンテナンス性を向上させることができるようになっている。
[2.遊技盤の詳細構成]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の詳細な構成について、図110乃至図116を参照して説明する。図110はパネル板の後側を省略して示す遊技盤の正面図であり、図111は遊技盤の正面図であり、図112は遊技盤を斜め右前から見た斜視図であり、図113は遊技盤を斜め左前から見た斜視図である。図114は遊技盤を斜め後から見た斜視図である。また、図115は遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め前から見た斜視図であり、図116は遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め後から見た斜視図である。
本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、外レール1111及び内レール1112を有し、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技媒体としての遊技球(単に「球」とも称す)が打ち込まれる遊技領域1100の外周を区画形成する枠状の前構成部材1110Aと、前構成部材1110Aの後側に遊技領域1100を閉鎖するように取付けられ遊技領域1100と対応する位置に所定形状で前後方向へ貫通した複数の開口部1215(図115等を参照)を有し遊技領域1100の後端を区画する板状の遊技パネル1200と、を備えている。
本例の遊技パネル1200は、前構成部材1110によって外周が区画された遊技領域1100の後端を区画可能な板状で前構成部材1110よりも外形が小さく形成された透明なパネル板1210と、パネル板1210を前側から脱着可能に保持すると共に前構成部材1110の後面に取付けられる枠状のパネルホルダ1220と、を備えている。遊技パネル1200の開口部1215は、透明なパネル板1210に形成されている。
また、遊技盤4は、遊技パネル1200の開口部1215に対して前側から取付けられる表ユニット2000と、表ユニット2000の正面視右下隅部でパチンコ機1へ取付けた時に扉枠5の遊技窓101から遊技者側へ視認可能となる位置に配置された機能表示ユニット1180と、遊技パネル1200(パネルホルダ1220)の後面に取付けられる裏ユニット3000と、裏ユニット3000の後側に遊技者側から視認可能に取付けられ所定の演出画像を表示可能な液晶表示装置1900と、裏ユニット3000の下部を後側から覆うように遊技パネル1220の後面下部に取付けられる基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取付けられる主制御基板ボックス1170と、を備えている。
本例の遊技盤4における表ユニット2000は、遊技領域1100内の下部でアウト口1151の直上に配置されたアタッカユニット2100と、アタッカユニット2100の左上側で遊技領域1100の外周に沿って配置された表サイドユニット2200と、遊技領域1100の略中央部分に配置された枠状のセンター役物2500と、を備えている。このセンター役物2500には、正面視右下隅部に機能表示ユニット1180が配置されていると共に、アタッカユニット2100と隣接するように配置されたゲート部2750が備えられている。また、センター役物2500には、右側外周に沿って流下してきた遊技球をアタッカユニット2100の右上に誘導する右下通路部材2690を備えている。
また、遊技盤4における裏ユニット3000は、遊技パネル1200(パネルホルダ1220)の後側に取付けられ前側が開放されると共に後壁3010aに貫通した開口3010bを有する浅い箱状の中箱3010と、中箱3010を介して遊技パネル1200の後側に取付けられ前側が開放された箱状で後壁3020aに液晶表示装置1900の表示画面が臨む開口3020bを有する裏箱3020と、中箱3010内に取付けられる中箱演出ユニット3100と、裏箱3020内の正面視右下隅に配置される裏右下演出ユニット3200と、裏箱3020内で開口3020bの左右両側に配置される裏左演出ユニット3300及び裏右演出ユニット3400と、裏箱3020内で裏左演出ユニット3300及び裏右演出ユニット3400によって昇降する裏中演出ユニット3500と、裏箱3020内で開口3020bの下側に配置される裏下演出ユニット3600と、裏箱3020内で開口3020bの上側且つ裏中演出ユニット3500の後側に配置される裏上演出ユニット3700と、を主に備えている。
更に、遊技盤4における液晶表示装置1900の後側には、詳細は後述するが、周辺制御部4140及び液晶制御部4150を有した周辺制御基板4010を収容する周辺制御基板ボックス1910が備えられている。
本実施形態の遊技盤4は、遊技パネル1200に取付けられたセンター役物2500によって遊技領域1100が左右に分割されるようになっており、センター役物2500の右側の外周と遊技領域1100の外周(前構成部材1110Aの内周)との間では遊技球の外径よりも若干大きい幅の領域とされていると共に、センター役物2500の左側の外周と遊技領域1100の外周(前構成部材1110Aの内周)との間では遊技球が充分に流通可能な広い領域とされており、図110に示すように、遊技領域1100におけるセンター役物2500の左側の領域内でパネル板1210の前面に、複数の障害釘Gが所定のゲージ配列で植設されている。
本例の遊技盤4は、センター役物2500の右側へ遊技球を打込むと、右下通路部材2690により誘導されてアタッカユニット2100の右上の位置へ放出されるようになっており、その下流側に配置された始動口2101,2102、大入賞口2103、ゲート部2750等に入賞させ易いようになっている。また、センター役物2500の左側へ遊技球を打込むと、植設された複数の障害釘Gによりアタッカユニット2100へ誘導されたり、途中でワープ入口2504へ進入することでステージ2510を介してアタッカユニット2100の直上へ放出されたりして、始動口2101,2102、大入賞口2103、ゲート部2750等に入賞させることが可能となっており、遊技球の動きによるパチンコ機1本来の遊技を楽しむことができるようになっている。つまり、センター役物2500を挟んで右側のルートでは、障害釘Gと殆ど接触せずにトンネル状の右下通路部材2690による整然とした感じの遊技球の動きを楽しませることができる一方、センター役物2500を挟んで左側のルートでは、障害釘Gによって跳ねることで躍動感のある遊技球の動きを楽しませることができ、遊技者に対して、好みや気分、技量等に応じた好きなルートを通るように遊技球の打込操作をさせることがで可能となり、遊技球の打込操作や動きが単調になるのを防止して飽き難くすることができるようになっている。
[2−1.表ユニットの全体構成]
次に、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の表ユニット2000の全体構成について、図117及び図118を参照して説明する。図117は遊技盤における表ユニットを前から見た斜視図であり、図118は遊技盤における表ユニットを後から見た斜視図である。
遊技盤4における表ユニット2000は、遊技領域1100内の左右方向略中央下部でアウト口1151の上側に配置され遊技パネル1200(パネル板1210)の前面に支持されるアタッカユニット2100と、アタッカユニット2100の左上側に配置され遊技領域1100の外周に略沿って左右方向中央側へ円弧状に延びた表サイドユニット2200と、遊技領域1100の略中央部から遊技領域の右寄りに配置され遊技パネル1150に支持される枠状のセンター役物2500と、センター役物2500の右下隅部に配置される機能表示ユニット1180と、センター役物2500におけるアタッカユニット2100の右側に隣接した位置に配置されるゲート部2750と、を備えている。
この表ユニット2000のアタッカユニット2100には、詳細は後述するが、遊技球が常時受入可能とされた第一始動口2101と、第一始動口2101の下側に配置されセンターユニット2500におけるゲート部2750を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第二始動口2102と、第二始動口2102の下側に配置され第一始動口2101や第二始動口2102への遊技球の受入れにより抽選される特別抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる大入賞口2103と、を備えている。
また、表ユニット2000の表サイドユニット2200は、詳細は後述するが、右側へ向かって開口した一般入賞口2201と左側へ向かって開口した一般入賞口2201とを互いに背向配置した一対の一般入賞口2201が、遊技領域1100の外周に沿うように二箇所配置されており、全部で四つの一般入賞口2201を備えている。また、表サイドユニット2200には、その上端に遊技領域1100の外周に沿って流下してきた遊技球を左右方向中央側へ誘導する棚部2202と、背向配置された一対の一般入賞口2201の上側に形成され正面視右側が低くなり当接した遊技球を右方向へ誘導する棚部2203とを備えている。
また、表ユニット2000のセンター役物2500は、詳細は後述するが、パネル板1210の略中央に形成された大きな開口部1215に取付けられ、後側に配置された液晶表示装置1900の表示画面等が遊技者側から視認することができる窓部2501を有した枠状に形成されている。このセンター役物2500には、遊技パネル1200(パネル板1210)の前面と当接する略枠状のフランジ部2502と、遊技領域1100内を流下してきた遊技球が枠内へ侵入するのを阻止する周壁部2503と、周壁部2503の所定位置に開口するワープ入口2504と、ワープ入口2504に進入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口2505と、ワープ出口2505から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後に遊技領域1100内へ放出して還流させるステージ2510と、が備えられている。センター役物2500のステージ2510は、アタッカユニット2100の直上に配置されており、ステージ2510から遊技領域1100内へ還流された遊技球が高い確率でアタッカユニット2100の第一始動口2101、第二始動口2102、及び大入賞口2103へ受入れられるようになっている。
また、センター役物2500には、ステージ2510の下側で正面右側の位置に、センター役物2500の右側外周に沿って流下してきた遊技球を受取ってアタッカユニット2100の右上へ誘導する右下通路部材2690と、右下通路部材2690の下側に配置され遊技状態に応じて遊技者が参加することが可能な演出を行うことができる表演出ユニット2700を備えている。なお、センター役物2500における表演出ユニット2700の下部前面に機能表示ユニット1180が配置されている。また、表演出ユニット2700の右側にゲート部2750が配置されており、右下通路部材2690によって誘導された遊技球が高い確率でゲート部2750を通過することができるようになっている。
[2−2.アタッカユニット]
次に、本実施形態のパチンコ機1の遊技盤4における表ユニット2000のアタッカユニット2100について、図119乃至図120参照して説明する。図119(A)はアタッカユニットを前から見た斜視図であり、(B)はアタッカユニットを後から見た斜視図である。また、図120は、アタッカユニットを後下から見た斜視図である。
本例の表ユニット2000における遊技盤4のアタッカユニット2100は、遊技パネル1200のパネル板1210における左右方向中央の下部に形成された開口部1215に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1200(パネル板1210)の前面に固定されるものである。このアタッカユニット2100は、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされた複数の受入口(入賞口)を有している。具体的には、左右方向の略中央でもっとも上側に配置された第一始動口2101と、第一始動口2101の下側(直下)に配置された第二始動口2102と、第二始動口2102の下側(直下)に配置され第一始動口2101や第二始動口2102よりも左右方向へ大きく延びた矩形状の大入賞口2103と、を備えている。
このアタッカユニット2100の第一始動口2101は、上側が開放されており遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。一方、第一始動口2101の下側に配置された第二始動口2102は、図示するように、第二始動口2102の左右両側に略直立状態で配置された一対の羽根状の可動片2105によって第一始動口2101との間が閉鎖された状態となっており、図示の状態では遊技球が第二始動口2102へ受入不能な状態となっている。この第二始動口2102を閉鎖する一対の可動片2105は、下端側が回動可能に軸支されており、上端側を互いに離反する方向へ回動させて拡開させることで、第二始動口2102へ遊技球が受入可能な状態となるようになっている。つまり、第二始動口2102は、一対の可動片2105による可変入賞口となっている。
また、アタッカユニット2100の大入賞口2103は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2106によって開閉可能とされている。この開閉部材2106は、略下辺を中心として回動可能に軸支されており、略垂直な状態では大入賞口2103を閉鎖して遊技球を受入不能とすることができると共に、上辺が前側へ移動するように回動すると大入賞口2103を開放して遊技球を受入可能とすることができるようになっている。つまり、大入賞口2103は、開閉部材2106による可変入賞口となっている。
このアタッカユニット2100は、第一始動口2101の左右方向の幅が遊技球の外形より若干大きい幅とされ、遊技球が一つずつ受入れられるような大きさ(幅)となっている。また、アタッカユニット2100の第二始動口2102は、一対の可動片2105の上端同士が互いに離反する方向へ回動させて拡開させた時の左右方向の幅が、遊技球の外形の3倍〜5倍の幅とされている。更に、アタッカユニット2100の大入賞口2103は、開閉部材2106を開状態とした時の左右方向の幅が、遊技球の外形の5倍〜8倍の幅とされている。これにより、各入賞口2101,2102,2103が受入可能となった状態では、下側の入賞口ほど遊技球が受入れられ易くなるようになっている。
本例のアタッカユニット2100は、更に詳述すると、遊技パネル1200におけるパネル板1210の前面に取付けられ、遊技領域1100の左右方向中央と対応する位置に第一始動口2101及び大入賞口2103を有し、第二始動口2102を形成可能な板状の台板2110と、台板2110における第一始動口2101の下側前面に取付けられ一対の可動片2105を回動可能に軸支すると共に第二始動口2102を形成し上側及び後側が開放された中央受部材2111と、を備えている。
また、アタッカユニット2100は、台板2110の後側に取付けられ、大入賞口2103を開閉する開閉部材2106を回動可能に軸支すると共に、一対の可動片2105及び開閉部材2106を回動駆動させるアタッカ駆動ユニット2120を備えている。
アタッカユニット2100の台板2110は、左右方向へ延びた板状に形成されており、表面に浅いレリーフ状の装飾が施されている。この台板2110は、第二始動口2102と対応した位置に、前後方向へ貫通し遊技球が通過可能な大きさの開口2110aを有している。また、台板2110は、第一始動口2101が形成された位置から後方へ延出し遊技球を誘導可能な樋部2110bを備えている。
アタッカユニット2000における台板2110の前面に取付けられる中央受部材2111は、前面に透光性を有した装飾が形成されており、詳細な図示は省略するが、台板2110における開口2110aの左右の幅よりも広い間隔で前板の後面から後方へ延出した一対の軸部を備え、これら軸部によって可動片2105を回動可能に軸支することができるようになっている。
更に、アタッカユニット2100におけるアタッカ駆動ユニット2120は、第二始動口2102を開閉する一対の可動片2105を開閉駆動させるための始動口ソレノイド2121と、始動口ソレノイド2121を支持し台板2110の後側に取付けられる始動口駆動機構ベース2123と、大入賞口2103を閉鎖する開閉部材2106を開閉駆動させるためのアタッカソレノイド2124と、アタッカソレノイド2124を支持すると共に開閉部材2106を回動可能に軸支し、始動口駆動機構ベース2123の下側で台板2110の後側に取付けられるアタッカ駆動機構ベース2126と、アタッカ駆動機構ベース2126の所定位置に支持され第二始動口2102に受入れられた遊技球を検知する第二始動口センサ2127と、第二始動口センサ2127とは異なる位置に支持され大入賞口2103に受入れられた遊技球を検知するカウントセンサ2128と、を備えている。
また、アタッカユニット2100におけるアタッカ駆動ユニット2120は、アタッカ駆動機構ベース2126の上面に支持され始動口ソレノイド2121、アタッカソレノイド2124、第二始動口センサ2127、及びカウントセンサ2128と主制御基板4100との接続を中継するためのアタッカユニット中継基板2130(図120を参照)と、アタッカ駆動機構ベース2126の下部に支持され上面に複数のLEDが実装された大入賞口装飾基板2131を備えている。本例のアタッカユニット2100は、大入賞口装飾基板2131のLEDを適宜発光させることで、大入賞口2103内を発光装飾させることができるようになっている。
始動口ソレノイド2121は、図示は省略するが、通電によって進退可能とされると共にコイルバネによって突出方向へ付勢されたプランジャを有しており、第一始動口2101の下側で第二始動口2102の後方位置に、プランジャが前方へ向かって突出するように始動口駆動機構ベース2123に支持されている。本例のアタッカユニット2100は、始動口ソレノイド2121へ通電すると、始動口ソレノイド2121のプランジャがコイルバネの付勢力に抗して後退し、プランジャの先端と係合した伝達部材を介して一対の可動片2105の上端同士が互いに離反した方向へ回動するようになっており、第二始動口2102が開状態となるようなっている。
また、始動口駆動機構ベース2123は、始動口ソレノイド2121を前側から収容支持することができるように箱状に形成されていると共に、上面に第一始動口2101へ受入れられて台板2110の樋部2110bを流通した遊技球を後方へ誘導する第一誘導部2123aと、始動口ソレノイド2121を支持する部位よりも下側に形成され第二始動口2102へ受入れられた遊技球を下方へ誘導する第二誘導部(詳細な図示は省略する)と、を備えている。
アタッカ駆動ユニット2120におけるアタッカソレノイド2124は、図示は省略するが、始動口ソレノイド2121と同様に、通電によって進退可能とされると共に、コイルバネによって突出方向へ付勢されたプランジャを有している。本例のアタッカユニット2100は、アタッカソレノイド2124に通電すると、アタッカソレノイド2124のプランジャが没入し、プランジャの先端に係合された伝達部材を介して開閉部材2106の上端が相対的に前方へ移動するように回動するようになっており、大入賞口2103が開状態となるようになっている。
本例のアタッカユニット2100は、第一始動口2101が常時遊技球を受入可能な状態となっている。一方、第二始動口2102では、後述するセンター役物2500において遊技球がゲート部2750を通過することで抽選される普通抽選結果に応じて、始動口ソレノイド2121が通電駆動されることで一対の可動片2105が拡開して受入可能となるようになっている。また、大入賞口2103では、第一始動口2101や第二始動口2102へ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで抽選される特別抽選結果に応じて(例えば、特別抽選結果が「大当り」の時に)、アタッカソレノイド2124が通電駆動されることで開閉部材2106が所定パターンで開閉して受入可能となるようになっている。
このアタッカユニット2100は、第一始動口2101へ受入れられた遊技球が、後述する裏ユニット3000の中箱演出ユニット3100における球誘導通路部材3163によって受けられて第一始動口センサ3102に検知された後に下方へ排出されるようになっている。
また、アタッカユニット2100は、また、第二始動口2102へ受入れられた遊技球が、アタッカ駆動機構ベース2126に支持された第二始動口センサ2127により検知された後に下方へ排出されるようになっている。更に、アタッカユニット2100は、大入賞口2103へ受入れられた遊技球が、カウントセンサ2128により検知された後に下方へ排出されるようになっている。
本実施形態のアタッカユニット2100は、アタッカソレノイド2124を、プランジャ2124aの進退方向が左右方向となるように配置すると共に、アタッカソレノイド2124を可及的に開閉部材2106へ近付けた位置に配置するようにしているので、アタッカユニット2100における前後方向の寸法を、従来品と比較して、5〜30%短くすることができ、アタッカユニット2100の後方空間をより広く確保することができるようになっている。
[2−3.表サイドユニット]
続いて、本実施形態のパチンコ機1の遊技盤4における表ユニット2000の表サイドユニット2200について、主に図121を参照して説明する。図121(A)は表サイドユニットを前から見た斜視図であり、(B)は表サイドユニットを後から見た斜視図である。遊技盤4の表ユニット2000における表サイドユニット2200は、遊技パネル1200のパネル板1210における遊技領域1100内の左右方向中央よりも左側で上下方向中央から下寄りの位置に、遊技領域1100の外周と接するようにパネル板1210の前面に固定されるものである。
本例の表サイドユニット2200は、図示するように、正面視が遊技領域1100の外周に沿った円弧状に形成されており、左右方向の中間部と右端付近に、互いに背向配置された一対の一般入賞口2201が夫々備えられている。また、表サイドユニット2200は、左端と一対の一般入賞口2201の上側に、右側が低くなるように傾斜した棚部2202,2203が夫々備えられており、棚部2202,2203によって遊技球を右方向へ誘導することができるようになっている。
この表サイドユニット2200は、遊技パネル1200におけるパネル板1210の前面に当接すると共に該当する開口部1215内に挿入されるベース部材2210と、ベース部材2210の前面左端に取付けられパネル板1210よりも前方へ突出すると共に上面に棚部2202を有し正面視が略三角形に形成された左端部材2211と、ベース部材2210の前面に取付けられると共にパネル板1210よりも前方へ突出し一対の一般入賞口2201及び棚部2203を有した受部材2212と、受部材2212及び左端部材2211の前端を互いに連結すると共に遊技領域1100の外周に沿って延びる壁部2213aを有した前飾り部材2213と、を備えている。
表サイドユニット2200のベース部材2210は、不透光性に形成されていると共に枠状に形成されており、一般入賞口2201に受入れられた遊技球を後方へ誘導する樋部2210aを備えている。また、表サイドユニット2200は、ベース部材2210の枠内に挿入され、円形の装飾が複数形成された透光性を有するレンズ部材2214を備えている。
この表サイドユニット2200は、前飾り部材2213及びレンズ部材2214等が透光性を有しており、後述する裏ユニット3000の中箱演出ユニット3100における下装飾基板3141に実装されたLEDによって発光装飾されるようになっている。
また、表サイドユニット2200の一般入賞口2201に受入れられて樋部2210aによりパネル板1210の後側へ誘導された遊技球は、裏ユニット3000の中箱演出ユニット3100の前面装飾部材3110における左下部材3112の貫通口3112aへ送られた上で、左下部材3112の後面形成された一般排出通路3112bを通って一般入賞口センサ3101で検出された後に下方へ排出されるようになっている。
[2−4.センター役物]
続いて、本実施形態のパチンコ機1の遊技盤4における表ユニット2000のセンター役物2500について、主に図122乃至図130を参照して説明する。図122はセンター役物の正面図であり、図123はセンター役物を前から見た斜視図であり、図124はセンター役物を後から見た斜視図である。図125はセンター役物を主要な構成毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図126はセンター役物を主要な構成毎に分解して後から見た分解斜視図である。また、図127(A)はセンター役物における表演出ユニットを前から見た斜視図であり、(B)は表演出ユニットを後から見た斜視図である。更に、図128はセンター役物における表演出ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図129は表演出ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図130はセンター役物における表演出ユニットの動きを示す説明図である。
本例のセンター役物2500は、遊技パネル1200における透明板状のパネル板1210の略中央を貫通するように大きく形成された開口部1215に対して、前側から挿入された上で、パネル板1210の前面に固定されるものであり、図110等に示すように、遊技領域1100の大半を占める大きさの枠状で前後方向へ貫通し後側に配置された液晶表示装置1900が視認可能とされた大きな窓部2501を備えている。
このセンター役物2500は、窓部2501の外周で遊技パネル1200の前面と当接する板状のフランジ部2502と、フランジ部2502から前方へ膨出し左右方向の略中央を境として遊技領域1100内を流下してきた遊技球を左右へ誘導すると共に枠内への遊技球の侵入を阻止する周壁部2503と、を備えている。また、センター役物2500は、パネル板1210の前側に位置する周壁部2503の左側の外周面に開口し遊技領域1100を流下する遊技球が進入可能とされたワープ入口2504(図113を参照)と、ワープ入口2504に進入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口2505と、ワープ出口2505から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後にアタッカユニット2100の上側の遊技領域1100内へ放出・還流させ窓部2501の下内縁に配置されたステージ2510と、を備えている。
このセンター役物2500におけるステージ2510は、ワープ出口2505から放出された遊技球が供給される第一ステージ2511と、第一ステージ2511から遊技球が供給されると共に遊技領域1100内へ還流・放出可能とされた第二ステージ2512と、第二ステージ2512と第一ステージ2511とに跨って配置され遊技球が進入可能とされたチャンス入口2513と、チャンス入口2513に進入した遊技球が放出され第二ステージ2512の下側でアタッカユニット2100における第一始動口2101の直上に開口したチャンス出口2514と、を備えている。本例のステージ2510におけるチャンス入口2513は、詳細な図示は省略するが、平面視が略円形状とされており、第一ステージ2511及び第二ステージ2512に対して夫々半分ずつ架かるように配置されている。
ステージ2510における第一ステージ2511は、左右両端が最も高くなるように湾曲状に形成された上で、遊技領域1100の左右方向中央が高くなるように形成されており全体として滑で扁平なW字状の波状に形成されている。この第一ステージ2511は、遊技領域1100における左右方向中央の高くなった部位に配置され前方(チャンス入口2513)へ向かうほど低くなるように形成された浅い溝状のチャンス誘導部2511aと、チャンス誘導部2511aの左右両側で第一ステージ2511が最も低くなった部位に配置され前方へ向かうほど低くなると共に左右へ扇状に広がった第一誘導部2511bと、第一誘導部2511b及びチャンス誘導部2511aを除いた第一ステージ2511の前端から上方へ突出する第一突出部2511cと、を備えている。
この第一ステージ2511では、ワープ出口2505から供給された遊技球が、チャンス誘導部2511a又は第一誘導部2511bの何れかから前方へ放出されるようになっている。また、第一ステージ2511の上面は、図示は省略するが、後端側が僅かに低くなるように傾斜している。なお、供給された遊技球の勢いによっては、第一突出部2511cを乗り越えて第二ステージ2512へ放出されることもある。また、チャンス誘導部2511aの前端は、チャンス入口2513によって切欠かれた状態となっている。
また、ステージ2510における第二ステージ2512は、第一ステージ2511の前側に配置されると共に全体的に第一ステージ2511よりも低く形成されており、遊技領域1100における左右方向中央が最も低くなるように湾曲状に形成されている。この第二ステージ2512は、遊技領域1100における左右方向中央に配置され前方へ向かうほど低くなると共に左右へ扇状に広がった第二誘導部2512aと、第二誘導部2512aを除いた第二ステージ2512の前端から上方へ突出する第二突出部2512bと、を備えている。
この第二ステージ2512では、第一ステージ2511側から供給された遊技球が、第二誘導部2512aから前方(遊技領域1100内)へ放出されるようになっている。また、第二ステージ2512の上面は、図示は省略するが、後端側が僅かに低くなるように傾斜している。なお、第二ステージ2512の第二突出部2512bは、第一ステージ2511の第一突出部2511cよりも上方へ突出しているが、供給された遊技球の勢いによっては、第二突出部2512bを乗り越えて遊技領域1100内へ放出されることもある。また、第二誘導部2512aの後端は、チャンス入口2513によって切欠かれた状態となっている。
なお、ステージ2510は、第一ステージ2511及び第二ステージ2512における第一誘導部2511b及び第二誘導部2512aの前端が、遊技球の直径に対して約2倍の広さとなっている。また、ステージ2510は、チャンス入口2513とチャンス出口2514は、その大きさが、遊技球の直径よりも僅かに大きく形成されていると共に、チャンス出口2514内に二つの突条が形成されており、チャンス入口2513へ進入した遊技球を、その挙動を抑制して整流させた状態で遊技領域1100内へ放出させることができるようになっており、チャンス出口2514から放出された遊技球は、高い確率で第一始動口2101へ受入れられる(入賞する)ようになっている。
このセンター役物2500は、ステージ2510の略全体が透明な部材により形成されており、詳細な図示は省略するが、ステージ2510を通して後側に配置された裏ユニット3000の裏下演出ユニット3600の上部等が遊技者側から視認することができるようになっている。
また、本例のセンター役物2500は、図125及び図126等に示すように、遊技パネル1150の前面と当接するフランジ部2502を有すると共にパネル板1210の開口部1215内に挿入される後方延出壁を有した枠状りベース部材2600と、ベース部材2600の前面に取付けられ窓部2501を形成する周壁部2503及び第二ステージ2512を有した枠状のセンター前装飾ユニット2620と、センター前装飾ユニット2620の枠内に後側から挿入されると共にベース部材2600の後側上部に取付けられ立体的な装飾を有したセンター上部装飾ユニット2640と、正面視左辺から下辺に亘ってベース部材2600の後側に取付けられ第一ステージ2511を有したセンター後装飾ユニット2660と、ベース部材2600の後側に取付けられセンター前装飾ユニット2620における正面視右辺側を発光装飾させるセンター右装飾基板2680と、を備えている。
また、センター役物2500は、ステージ2510よりも下側且つ正面視左右方向中央よりも右側の位置でベース部材2600の前面に取付けられ遊技球を左方向へ案内可能とされた右下通路部材2690と、右下通路部材2690よりも下方へ延出しベース部材2600における正面視左右方向中央から右側下部に取付けられる機能表示ユニット1180を有した表演出ユニット2700と、表演出ユニット2700の左端から左方向へ突出するように取付けられるゲート部2750と、を備えている。
センター役物2500におけるベース部材2600は、パネル板1210の前面と当接しブランジ部2502を形成する板状で枠状に形成された前面部2601と、前面部2601の後面から後方へ延出しパネル板1210の開口部1215内に挿入される後方延出部2602と、前面部2601における正面視左辺の所定位置で前後方向に貫通し遊技球が通過可能とされた貫通孔2603と、を備えている。また、ベース部材2600には、センター前装飾ユニット2620やセンター上部装飾ユニット2640等を取付けるための取付孔や取付ボス等が複数備えられている。
センター役物2500におけるセンター前装飾ユニット2620は、窓部2501を形成すると共に周壁部2502を形成し、外周を除いた前面及び内周が所定の装飾を有するように立体的に造形されていると共に、部分的に透光性を有するように形成されている。センター前装飾ユニット2620は、正面視左辺の外周にワープ入口2504が形成されており、ワープ入口2504へ進入した遊技球が、ベース部材2600の貫通孔2603を通るように誘導することができるようになっている。
このセンター前装飾ユニット2620の外周は、左右方向略中央が最も高くなるように形成されており、外周の上面は最も高くなった位置から左右両端へ向かうに従って夫々低くなるように形成されている。具体的には、センター前装飾ユニット2620における最も高くなった部位から左側上部の外周は、直線状に一旦約45゜の角度で下降した後に、直線状で略水平に近い角度で緩やかに下降し、更に左辺へ向かって約45゜の角度で下降するような直線を基調としたジグザク状に形成されている。
一方、センター前装飾ユニット2620における最も高くなった部位から右側の外周は、遊技領域1100の外周との間で遊技球の外径よりも若干大きい空間が形成されると共に遊技領域1100の外周に略沿った円弧状に形成されている。なお、センター前装飾ユニット2620の右側の外周における衝止部1114よりも下側には、前後方向へ延びた突条が所定間隔で複数形成されており、センター前装飾ユニット2620の右側の外周に沿って流下する遊技球の速度を抑制することができるようになっている。
センター前装飾ユニット2620は、ワープ入口2504の下側から窓部2501の内周に沿って第二ステージ2512の途中(第一ステージ2511における正面視左側の第一誘導部2511bの付近)まで延び前面に複数のLEDが実装されたセンター左下装飾基板2621を備えている(図126を参照)。このセンター左下装飾基板2621によって該当部位を発光装飾させることができるようになっている。
また、センター役物2500におけるセンター上部装飾ユニット2640は、ベース部材2600の枠内上部に後側から取付けられると共に窓部2501の上辺を形成し、正面視で液晶表示装置1900の上側に配置され、図示は省略するが、パチンコ機1のコンセプトを示すロゴが前面に形成されている。このセンター上部装飾ユニット2640は、詳細な図示は省略するが、ロゴの文字が透光性を有すると共に文字の縁取りに金属光沢を有するメッキ層が備えられ後方が解放された横長箱状のセンターロゴ装飾部材2641と、センターロゴ装飾部材2641の後端開口を閉鎖するように配置され前方へ向けて光を照射可能とされた複数のLEDが実装されたセンターロゴ装飾基板2642と、を備えている。
センター上部装飾ユニット2640は、横長のセンターロゴ装飾部材2641の左右両側及び上側に夫々配置され表面に金属光沢を有するメッキ層が備えられ金網を模した形状に形成された上部前装飾部材2643と、正面視左側の上部前装飾部材2643の上側に配置され前面に複数のLEDが実装されたセンター左上装飾基板2644と、センターロゴ装飾部材2641の上側に配置された上部前装飾部材2643の上側に配置され前面に複数のLEDが実装されたセンター上前装飾基板2645と、を更に備えている。
また、センター上部装飾ユニット2640は、正面視でセンターロゴ装飾部材2640とベース部材2600の枠内との空間を閉鎖するようにセンターロゴ装飾部材2641、上部前装飾部材2643及びセンター上前装飾基板2645の後側に配置され、前面に幾何学模様のレリーフが形成されると共に上側外周がセンター前装飾ユニット2620の上側外周と略同じ形状に形成された透光性を有する上部後装飾部材2646と、上部後装飾部材2646の後側に配置され前面に複数のLEDが実装されたセンター上後装飾基板2647と、を備えている。
センター役物2500におけるセンター後装飾ユニット2660は、図示するように、正面視でセンター上部装飾ユニット2640の左端から下方へ略垂直に延出した上で、下端から右方向へセンター上部装飾ユニット2640の右端の直下と略同じ位置まで延出した略L次状に形成されており、ベース部材2600の後側取付けられている。このセンター後装飾ユニット2660は、上下方向へ延びた部位と左右方向へ延びた部位とで窓部2501の内周左縁と下縁が形成されるようになっていると共に、下縁にワープ出口2505及び第一ステージ2511が備えられている。また、センター後装飾ユニット2660は、主に前面側が立体的な所定の形状に形成されていると共に、部分的に透光性を有するように形成されている。
また、センター後装飾ユニット2660は、左辺におけるベース部材2600の貫通孔2603と対応した位置に配置され前方へ開口し遊技球が通過可能な進入口2661と、進入口2661へ進入した遊技球を下方のワープ出口2505まで誘導し後方が開放された形態の誘導通路2662と、誘導通路2662及び第一ステージ2511の後端を仕切ると共に第一ステージ2511及び第二ステージ2512の上側を覆う透明なカバー部材2663と、進入口から上側の部位の後側に配置され前面に複数のLEDが実装されたセンター左装飾基板2664と、を備えている。
センター役物2500におけるセンター右装飾基板2680は、背面視の形状が略L字状に形成されており、前面に実装された複数のLEDによりセンター前装飾ユニット2620における右辺と下辺における第二ステージ2512よりも右側の部位を発光装飾させることができるようになっている。なお、図126中、符号2681は、センター右装飾基板2680の下部後面を被覆する基板カバーである。
センター役物2500における右下通路部材2690は、内部を遊技球が転動可能な大きさとされ後側が開放された断面コ字状で左右方向へ延びた形態に形成されており、有色透明な素材により形成されている。この右下通路部材2690は、センター前装飾ユニット2620の右側外周から第一ステージ2511における右側の第一誘導部2511bの略直下と対応した位置まで延びる長さとされており、水平に対して左側が若干低くなるように傾斜した状態でベース部材2600の前面に取付けられるようになっている。
また、右下通路部材2690は、断面コ字状の底辺における正面視右端側が、センター前装飾ユニット2620の外周よりも更に右方向へ延出した延出部2690aを備えている。この延出部2690aは、遊技領域1100の外周付近まで延出しており、これにより、センター役物2500の右側外周と遊技領域1100の外周との間を流下してきた遊技球が、右下通路部材2690の延出部2690aによって全て受止められ、右下通路部材2690内へ進入するようになっている。
なお、右下通路部材2690は、延出部2690aの直下でもベース部材2600へ取付けられるようになっており、延出部2690a上に遊技球が落下してきても、その衝撃に充分耐えられるようになっている。
また、センター役物2500における右下通路部材2690は、後述する表演出ユニット2700のセンター右下後装飾基板2711における右下通路部材2690の後側まで延出した上端の前面に実装されたLEDが発光することで、後側から発光装飾されるようになっている。これにより、右下通路部材2690を使用する遊技状態の時に右下通路部材2690を発光させることで、遊技者に対して右下通路部材2690を遊技球が流通するような打込操作を促すことができるようになっている。なお、右下通路部材2690の後側に配置されたセンター右下後装飾基板2711のLEDは、右下通路部材2690の長手方向へ列設されており、それらLEDを順次点灯・消灯させることで、流れるような発光装飾を行うことができるようになっており、遊技者を右下通路部材2690へ引付けることができるようになっている。
センター役物2500における表演出ユニット2700は、右下通路部材2690よりも下方へ延出するようにベース部材2600の後側に取付けられるものである。この表演出ユニット2700は、正面視の外形が、右下通路部材2690と略同じ長さとされると共に平行に左右方向へ延びた上辺と、上辺の左端から略垂直に上辺と略同じ長さで垂下した左辺と、左辺の下端から上辺と平行に右方向へ上辺の約半分ほどの長さで延びた下辺と、下辺の右端と上辺の右端とを遊技領域1100の外周に沿って円弧状に延びた右辺とで、全体的に略台形状に形成されている。この表演出ユニット2700の左辺の略中央に、左方へ延出するようにゲート部2750が取付けられており、ゲート部2750に遊技球の通過を検知するゲートセンサ2751が備えられている。
表演出ユニット2700は、図128及び図129等に示すように、上下方向の略中央且つ左右方向中央から左寄りの位置に形成された円形のレリーフ内に配置され上下方向へ矩形状に延びると共に前後方向に貫通し検出口2701a、検出口2701aの上側に配置され右側へ延びた横長矩形状で前後方向に貫通した開閉口2701b、開閉口2701bの下側且つ検出口2701aの右側に配置され円形状で前後方向に貫通した複数の貫通孔2701c、検出口2701aの下側に配置され透光性を有した機能表示部2701dを備え前面にレリーフ状の装飾が形成された前装飾部材2701と、前装飾部材2701の検出口2701aを閉鎖するように前装飾部材2701の後側に取付けられ接近した物体(例えば、遊技者の指)を検知可能な物体検知センサ2702と、前装飾部材2701における複数の貫通孔2701cを後側から閉鎖するように前装飾部材2701の後側に取付けられ透光性を有すると共に光を拡散可能とされたレンズ部材2703と、を備えている。
また、表演出ユニット2700は、物体検知センサ2702及びレンズ部材2703の後側に配置されると共に前装飾部材2701の後側に取付けられ前面に複数のLEDが実装されたセンター右下前装飾基板2704と、センター右下前装飾基板2704と同一面状で前装飾部材2701における機能表示部2701dの後側に配置されると共に前装飾部材2701の後側に取付けられ前面に複数のLEDが所定配列で実装された機能表示ユニット1180における機能表示基板1191と、機能表示基板1191と前装飾部材2701との間に配置され機能表示基板1191の各LEDと対応し前後方向に延びる複数の導孔2705aを有しLEDからの光が拡散するのを抑制する区画部材2705と、を備えている。
また、表演出ユニット2700は、センター右下前装飾基板2704及び機能表示基板1191の後側に配置されると共に前装飾部材2701における開閉口2701bを後側から閉鎖可能な横長矩形状に形成され、下辺から後方へ延びた二つの支持ボス2706aを有する板状の開閉部材2706を更に備えている。なお、開閉部材2706の二つの支持ボス2706aは、正面視で下辺の右端と左右方向略中央から後方へ延びるように配置されていると共に、左右方向略中央から後方へ延びた支持ボス2706aは右端の支持ボス2706aよりも長く後方へ延びだしている。(図129を参照)
更に、表演出ユニット2700は、前装飾部材2701の後側全体を覆うと共に前装飾部材2701の上辺から上方へ右下通路部材2690と対応するように突出した大きさとされ、開閉部材2706よりも後側で前装飾部材2701を後側から支持すると共にベース部材2600に取付けられるユニットベース2707を備えている。このユニットベース2707は、右下通路部材2690の後側と対応した位置に形成され横長矩形状で前後方向に貫通し右下通路部材2690に沿うように複数列設された透孔2707aと、前装飾部材2701における開閉口2701bと対応した位置に形成され前後方向に貫通した開口2707bと、開閉部材2706の二つの支持ボス2706aが夫々通過可能とされると共に誘導可能とされた長孔状の誘導部2707cと、を備えている。ユニットベース2707の二つの誘導部2707cは、図示するように、全体がく字状に折曲がっており、表演出ユニット2700の上辺と平行に左右方向へ延びた左端から斜め左下へ更に延びた形状に形成されている。
また、表演出ユニット2700は、ユニットベース2707の開口2707bを閉鎖するようにユニットベース2707の前面に取付けられ透光性を有した薄い板状のシート部材2708と、開閉部材2706の支持ボス2706aに回転可能に挿入されると共にユニットベース2707の誘導部2707c内を転動可能とされたローラブッシュ2709と、開閉部材2706における正面視右側の支持ボス2706aの後端に取付けられ支持ボス2706aがユニットベース2707の誘導部2707cから抜けるのを阻止するワッシャ2710と、を備えている。
また、表演出ユニット2700は、ユニットベース2707における開口2707bと対応した位置に配置されると共にユニットベース2707の後側に取付けられ前面に複数のLEDが実装されたセンター右下後装飾基板2711を備えている。このセンター右下後装飾基板2711は、右下通路部材2690の後側に配置され左右方向へ列設されたLED2711aと、ユニットベース2707の開口2707bから臨む三つの7セグメントLED2711bと、7セグメントLED2711b同士の間に配置される二つのLED2711cと、を備えている。このセンター右下後装飾基板2711は、三つの7セグメントLED2711bにおける左側と中間との間に配置された二つのLED2711cが、上下方向に配置されており、7セグメントLED2711bにより表示され数字に対して、「コロン」を形成するようになっている。つまり、三つの7セグメントLED2711bと二つのLED2711cとで時間を表示することができるようになっている。
更に、表演出ユニット2700は、センター右下後装飾基板2711よりも後側でユニットベース2707の下側後を覆うようにユニットベース2707の後側に取付けられ前側が開放された浅い箱状の後カバー2712と、後カバー2712の後側に取付けられ回転軸2713aが後カバー2712よりも前方へ延出する表演出駆動モータ2713と、表演出駆動モータ2713の回転軸2713aに固定されユニットベース2707と後カバー2712との間に配置される駆動ギア2714と、駆動ギア2714と噛合する従動ギア2715a、従動ギア2715aと一体回転し半径方向外方へ板状に延出した検知片2715b、検知片2715bとは外周の異なる位置から半径方向外方へ長く延出した延出片2715c、及び延出片2715cの先端側に配置され前後方向へ貫通すると共に半径方向へ延び開閉部材2706における左右方向中央付近の支持ボス2706aが摺動可能に挿入される長孔2715dを有し、ユニットベース2707に回転可能に支持される駆動伝達部材2715と、駆動伝達部材2715の検知片2715bを検知可能とされユニットベース2707の後側に取付けられる開閉検知センサ2716と、を備えている。
表演出ユニット2700の駆動伝達部材2715は、ユニットベース2707における左右に並んだ二つの誘導部2707cの間で誘導部2707cの下端付近に配置されていると共に、正面視左側の誘導部2707cのく字状に折曲がった内角を略二等分する分線上に回転軸芯が配置されている(図130を参照)。また、駆動伝達部材2715は、延出片2715cの長さが誘導部2707cにおける折曲がった部位の外周側までの長さとされていると共に、延出片2715cの先端に形成された長孔2715dが、延出片2715cが誘導部2707cにかかる駆動伝達部材2715の回転角度範囲内において何れの位置でも誘導部2707cにかかる長さとされている。これにより、誘導部2707cを前側から貫通して長孔2715d内に開閉部材2706の支持ボス2706aを挿入した状態で、駆動伝達部材2715を回転させると、支持ボス2706aが長孔2715d内を摺動すると同時に誘導部2707cを摺動させることができるようになっている。なお、本例では、駆動伝達部材2715の回転角度範囲が約110゜とされている。
次に、表演出ユニット2700における動作について説明する。この表運出ユニット2700は、指紋認証システムを模した形状に形成されており、前装飾部材2701における略中央に配置された円形のレリーフ内が指紋認証部を模し、その上側の開閉口2701bを閉鎖する開閉部材2706が認証の結果に応じて開閉する扉を模している。この表演出ユニット2700は、通常の状態では前装飾部材2701の横長矩形状の開閉口2701bが開閉部材2706によって閉鎖された状態となっており、開閉部材2706の前面に施された装飾(図示は省略)が遊技者側から見えるようになっていると共に、後側に配置されたセンター右下後装飾基板2711の7セグメントLED2711bが遊技者側から見えないようになっている。
そして、遊技領域1100内に遊技球を打込むことで変化する遊技状態に応じて、詳しくは、第一始動口2101や第二始動口2102へ遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果に応じて、液晶表示装置1900に遊技者に対して表演出ユニット2700による指紋認証を促す演出画像が表示されると、所定時間の間、物体検知センサ2702による物体の検知が可能な状態となる。この物体検知センサ2702が検知可能な状態の時に、遊技者が前装飾部材2701における検出口2701aの前面に所定時間以上指を当てると、開閉部材2706が可動して開閉口2701bが開き、後側に配置された7セグメントLEDによる表示を遊技者が視認できるようになっている。この7セグメントLEDによる表示は、例えば、特別抽選結果が表示されるまでの時間、大当り遊技が開始されるまでの時間、抽選された特別抽選結果の内容に対する可能性の度合い(信頼度)、等が表示され、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
表演出ユニット2700における開閉部材2706の可動は、通常の状態では、開閉部材2706が前装飾部材2701の開閉口2701bを閉鎖する位置に閉位置に位置しており、この閉位置では、開閉部材2706の二つの支持ボス2706aが、く字状に屈曲した誘導部2707cの一端側に位置した状態となっている(図130(a)を参照)。また、開閉部材2706が閉位置の状態では、駆動伝達部材2715の検知片2715cが、開閉検知センサ2716によって検知された状態となっている。
開閉部材2706が閉位置の状態で表演出駆動モータ2713を背面視で反時計周りの方向へ回転駆動させると、表演出駆動モータ2713の回転軸2713aに固定された駆動ギア2714と噛合従動ギア2715aによって駆動伝達部材2715が、背面視で時計回りの方向へ回転することとなる。この駆動伝達部材2715の回転により延出片2715cの先端に形成された長孔2715dが背面視で相対的に右方向へ移動することとなるので、長孔2715dの移動に伴って長孔2715d内に挿入された開閉部材2706の支持ボス2706aが背面視で右方向へ押されることとなる。
この開閉部材2706の支持ボス2706aは、ユニットベース2707の誘導部2707c内に挿入されているので、駆動伝達部材2715の長孔2715d内を摺動すると同時に誘導部2707c内を摺動し、開閉部材2706全体が誘導部2707cの形状に沿って誘導部2707cの他端側まで移動するこことなる(図130(b)を参照)。つまり、ユニットベース2707の誘導部2707cが、上述したように、折曲がった形状に形成されているので、開閉部材2706は、閉位置から開閉部材2706が延びた方向へスライドするように移動した後に、斜め下方へスライドして開位置へ移動するようになっている。
開閉部材2706が開位置へ移動すると、前装飾部材2701の開閉口2701bが開いた状態となり、開閉口2701bを通して後側に配置されたセンター右下後装飾基板2711の7セグメントLED2711b及びLED2711cが遊技者側から見えるようになる。
一方、開閉部材2706を開位置から閉位置へ移動させる場合は、表演出駆動モータ2713を上述とは逆方向へ回転駆動させることで、開閉部材2706を閉位置へ復帰させることができる。この際に、ユニットベース2707の誘導部2707cが、駆動伝達部材2715の回転軸芯が配置された側の折曲げ角度が鈍角とされている、つまり、誘導部2707cにおける上下方向へ斜めに延びた部位が、上側へ向かうに従って駆動伝達部材2715の回転中心側へ近付くように傾斜しているので、駆動伝達部材2715の長孔2715dによって左右方向中央側の支持ボス2706aに対して、押し上げる力を作用させると、左右方向中央側の支持ボス2706aが上昇すると同時に誘導部2707cに沿うように背面視で左方向へ移動する力が作用する。そして、開閉部材2706における背面視左側の支持ボス2706aは、中央側の支持ボス2706aから作用する背面視左方向への力によって、誘導部2707cの斜め上に延びた部位を登る方向へ移動することとなり、開閉部材2706がスムーズに平行移動して閉位置へ復帰することができるようになっている。
なお、本例の表演出ユニット2700は、前装飾部材2701の検出口2701aの下側に、機能表示ユニット1180の表示部1181となる機能表示部2701dが配置されている。本例の機能表示ユニット1180は、上述と同様に、正面視左側端部に遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球によって変化する遊技状態を表示するための一つのLEDからなる遊技状態表示器1183と、二つのLEDからなり第一始動口2101への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための第一特別図柄記憶表示器1184と、第一始動口2101への遊技球の受入れにより抽選された第一特別抽選結果を第一特別図柄として表示するための八つのLEDからなる第一特別図柄表示器1185と、第二始動口2102への遊技球の受入れにより抽選された第二特別抽選結果を第二特別図柄として表示するための八つのLEDからなる第二特別図柄表示器1186と、二つのLEDからなり第二始動口2102への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための第二特別図柄記憶表示器1187と、を備えている。
また、機能表示ユニット1180は、遊技球によるゲート部2750の通過に関する保留数を表示するための四つのLEDからなる普通図柄記憶表示器1188と、遊技球がゲート部2750を通過することで抽選された普通抽選結果を普通図柄として表示するための一つのLEDからなる普通図柄表示器1189と、第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当り」の時に大入賞口2103の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示するための二つのLEDからなるラウンド表示器1190と、を備えている。
本例の機能表示ユニット1180は、前装飾部材2701の検出口2701aの下側に配置されているので、遊技者が検出口2701aに指を当てると、遊技者の手によって機能表示ユニット1180の表示部1181(機能表示部2701d)が見辛くなるようになっている。これにより、機能表示ユニット1180の第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186等で表示される特別抽選結果を認識し辛くすることができるので、液晶表示装置1900において特別抽選結果が示唆される前に、特別抽選結果の内容を知ってしまうのを回避させることができ、液晶表示装置1900等で行われる特別抽選結果を示唆するための演出を最後まで楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
センター役物2500におけるゲート部2750は、表演出ユニット2700の正面視左辺から左側へ突出すると共に上下方向の略中央に配置されており、遊技球が一つのみ通過可能な幅とされている。このゲート部2750内には、ゲートセンサ2751が配置されており、ゲート部2750を通過した遊技球を検出することができるようになっている。
このセンター役物2500は、正面視で左右方向の略中央よりも右側の周壁部2503の外周が、遊技領域1100の外周(前構成部材1110Aの内周)に略沿った形状とされており、遊技パネル1200のパネル板1210に取付けた状態では、センター役物2500の上部から右側へセンター前装飾ユニット2620の外周に沿って右下通路部材2690まで、遊技球の外径よりも若干大きい隙間が形成されるようになっており、右打ちを行うことで右下通路部材2690を通ってアタッカユニット2100やゲート部2750の上側へ遊技球を簡単に打込むことができるようになっている。また、センター役物2500は、パネル板1210に取付けた状態では、センター役物2500の左側の外周に、遊技領域1100の内周との間で所定幅の領域が形成されるようになっている。
[2−5.裏ユニットの全体構成]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の裏ユニット3000について、図131乃至図135を参照して説明する。図131は遊技盤における裏ユニットの正面図であり、図132は遊技盤における裏ユニットを前から見た斜視図であり、図133は遊技盤における裏ユニットを後から見た斜視図である。また、図134は裏ユニットを主な構成部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図135は裏ユニットを主な構成部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。
本例の裏ユニット3000は、遊技パネル1200(パネルホルダ1220)の後側に取付けられ前側が開放されると共に後壁3010aに前後方向へ貫通した大きな開口3010bが形成された浅い箱状の中箱3010と、中箱3010を介して遊技パネル1200の後側に取付けられ前側が開放された箱状で後壁3020aに液晶表示装置1900の表示画面が臨む開口3020bが形成された裏箱3020と、中箱3010に取付けられる中箱演出ユニット3100と、裏箱3020内の正面視右下隅に配置される裏右下演出ユニット3200と、裏箱3020内で開口3020bの左右両側に配置される裏左演出ユニット3300及び裏右演出ユニット3400と、裏箱3020内で裏左演出ユニット3300及び裏右演出ユニット3400によって昇降する裏中演出ユニット3500と、裏箱3020内で開口3020bの下側に配置される裏下演出ユニット3600と、裏箱3020内で開口3020bの上側且つ裏中演出ユニット3500の後側に配置される裏上演出ユニット3700と、を主に備えている。
裏ユニット3000における裏中演出ユニット3500は、左右方向へ延びた左端側が裏左演出ユニット3300における裏左昇降スライダ3307の支持ピン3307aにローラブッシュ3504を介して回転可能且つ左右方向へ摺動可能に支持されていると共に、右端側が裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407の支持ピン3407aにローラブッシュ3504を介して回転可能に支持されている。
また、裏ユニット3000は、裏箱3020内における正面視左下隅に取付けられ裏箱3020内を換気するためのブロアー3030と、裏箱3020の後壁3020aにおける後面で開口3020bよりも下側の背面視左端付近に取付けられるパネル中継基板3040と、パネル中継基板3040の背面視右側で裏箱3020における後壁3020aの後面に取付けられるランプ駆動基板3041と、ランプ駆動基板3041の背面視右側で裏箱3020における後壁3020aの後面に取付けられるモータ駆動基板3042と、モータ駆動基板3042及びランプ駆動基板3041の後面を被覆し裏箱3020における後壁3020aの後面に取付けられる基板カバー3043と、裏箱3020における後壁3020aの後面で開口3020bの上側に取付けられる上部中継端子板3044と、を備えている。
裏ユニット3000におけるパネル中継基板3040は、主制御基板4100と周辺制御基板4010との接続や、主制御基板4100と遊技盤4に備えられた一般入賞口センサ3101、カウントセンサ2128、ゲートセンサ2751、始動口ソレノイド2121、アタッカソレノイド2124、磁気検出センサ3103等との接続を中継するためのものである。
裏ユニット3000におけるランプ駆動基板3041は、周辺制御基板4010からの制御信号(コマンド)に基づいて、扉枠5に備えられた各装飾基板214,216,254,256,288,290,322,430,432等や、遊技盤4に備えられた各装飾基板2131,2621,2642,2644,2645,2647,2664,2680,2704,2711,3140,3164,3310,3311,3410,3518,3609,3703等に実装されたLEDの発光を制御するためのものである。
また、裏ユニット3000におけるモータ駆動基板3402は、周辺制御基板4010からの制御信号(コマンド)に基づいて、扉枠5に備えられたダイヤル駆動モータ414や、遊技盤4に備えられた各駆動モータ2713,3204,3232,3303,3312,3403,3514,3555,3605等の駆動を制御するためのものである。
更に、裏ユニット3000における上部中継端子板3044は、ランプ駆動基板3041及びモータ駆動基板3042と、裏右演出ユニット3300の裏左昇降駆動モータ3303、裏左昇降位置検知センサ3309、裏右演出ユニット3400の裏右昇降駆動モータ3403、裏右昇降位置検知センサ3409、裏中演出ユニット3500の裏中回動駆動モータ3514、回動位置検知センサ3516、裏中装飾基板3518、回転ランプ駆動モータ3555、裏上演出ユニット3700の裏上装飾基板3703等との接続を中継するためのものである。
裏ユニット3000における中箱3010は、前側が開放され浅い箱状で後壁3010aに前後方向へ貫通した大きな開口3010bが形成されている。また、中箱3010は、前端外周から外側へ延出したフランジ状の固定部3010cが形成されており、この固定部3010cが遊技パネル1200(パネルホルダ1220)の後側に固定されるようになっている。更に、中箱3010は、中箱演出ユニット3100や裏箱3020等を取付けるための取付孔や取付ボスが適宜位置に形成されている。なお、本例では、中箱3010は、透明な合成樹脂によって形成されている。
裏ユニット3000における裏箱3020は、前側が開放された箱状で後壁3020aに前後方向に貫通した略矩形状の開口3020bが形成されている。この裏箱3020の開口3020bは、液晶表示装置1900の正面視外形よりも小さく形成されている。また、裏箱3020は、前端外周に中箱3010の後側に取付固定するための固定部3020cが形成されている。なお、詳細な説明は省略するが、裏箱3020には、各演出ユニット3200,3300,3400,3600,3700、基板類等を取付けるための取付孔や取付ボス等が適宜位置に形成されている。
更に、裏箱3020は、後壁3020aの後面における開口3020bの外周を液晶表示装置1900の外形と略同じ大きさで矩形状に囲むように後方へ板枠状に延出した固定枠3020dと、固定枠3020dにおける背面視右辺に形成され液晶表示装置1900の固定片1902を挿入可能とされた固定孔3020eと、固定孔3020eとは固定枠3020dにおける反対側の辺(背面視左辺)に形成されロック機構3050が取付けられるロック機構取付部3020fと、を備えている。この裏箱3020は、固定枠3020d内に液晶表示装置1900が後側から挿入されるようになっていると共に、後壁3020aにおける固定枠3020d内の後面が平坦面とされており、液晶表示装置1900の前面が当接するようになっている。
また、裏箱3020は、正面視左辺の外周壁の下端と、上辺の外周壁の左端付近に、矩形状に貫通して開口する通気口3020gが形成されている。この通気口3020gの内側には、ブロアー3030,3710の排気口が臨むようになっており、ブロアー3030,3710により通気口3020gを通して裏箱3020内の空気を外部へ排出して換気することができるようになっている。
裏ユニット3000におけるブロアー3030は、内部に前後方向へ回転軸が延びるように配置されたファン(シロッコファン)を有し、回転中心付近に前後方向へ貫通した吸気口3030aが形成されていると共に、外周に排気口3030bが形成されており、排気口3030bが裏箱3020の外周壁における左面下端に形成された通気口3020gに臨むように裏箱3020内に取付けられている。これにより、通気口3020gを通して裏箱3020内の空気を裏箱3020外へ排出して裏箱3020内の温度が上昇するのを抑制することができるようになっている。
また、裏ユニット3000は、裏箱3020における後壁3020aの後面に液晶表示装置1900を脱着可能に保持するためのロック機構3050を備えている。本例のロック機構3050は、裏箱3020のロック機構取付部3020fに取付けられ液晶表示装置1900の固定片1902が後側から挿入される挿入口を有したロック本体3051と、ロック本体3051の後側に上下方向へスライド可能に取付けられスライドすることで挿入口の後側を開閉可能とされたロックスライダ3052と、を備えている。
[2−6.中箱演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における中箱演出ユニット3100について、主に図136乃至図138を参照して説明する。図136(A)は裏ユニットにおける中箱演出ユニットを中箱と共に前から見た斜視図であり、(B)は中箱演出ユニットを中箱と共に後から見た斜視図である。また、図137は裏ユニットにおける中箱演出ユニットを分解して中箱と共に前から見た分解斜示図であり、図138は中箱演出ユニットを分解して中箱と共に後から見た分解斜示図である。
本例の中箱演出ユニット3100は、遊技パネル1200の後側に取付けられる浅い箱枠状の中箱3010に支持されるものであり、正面視の全体形状が中箱3010の箱枠に沿った略C字状とされている。この中箱演出ユニット3100は、遊技パネル1200の透明なパネル板1210を通して遊技者側から視認できるようになっており、主に遊技領域1100内における障害釘Gが植設された領域の後側を装飾している。
中箱演出ユニット3100は、正面視で遊技領域1100の略中央を中心として略同心円状(同心八角形状)且つ放射状に配置され立体的に造形された複数の主装飾部3110a、及び主装飾部3110a同士の間で所定幅に形成された副装飾部3110bを有した無色透明な前面装飾部材3110と、前面装飾部材3110の後面形状に沿って形成され前面に所定の絵柄装飾が施された板状の装飾シート3120と、装飾シート3120の後側に配置され光を拡散可能とされた拡散部材3130と、拡散部材3130の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された中箱装飾基板3140と、中箱装飾基板3140と拡散部材3130との間に配置され前面装飾部材3110における各主装飾部3110a及び各副装飾部3110bに夫々対応するように仕切られた格子状の遮蔽部材3150と、を備えている。
中箱演出ユニット3100における前面装飾部材3110は、後側が開放された浅い箱状に形成されており、後側内部に装飾シート3120、拡散部材3130、及び遮蔽部材3150等が収容され、後端が中箱装飾基板3140によって閉鎖されるようになっている。この前面装飾部材3110における主装飾部3110a(図164において網掛部分)は、正面視で遊技領域1100の略中央を中心とした略同心八角形状の辺に沿って延びた四角形状とされ、前面が副装飾部3110bよりも前方へ突出すると共に、正面視で遊技領域1100の中央に近い側が後側へ後退するように前後方向に傾斜した平坦面とされている。
また、前面装飾部材3110における略一定幅の副装飾部3110b(図164において斜線部分)は、前面が平坦面とされ、正面視で遊技領域1100の略中央を中心として放射状に延びた部位と、同心八角形状の周方向に沿った部位とを有していると共に、各部位の後面には各部位の延びる方向に対して直角方向へ延びた小幅の帯状レンズが列設されている。これにより、前面装飾部材3110では、副装飾部3110bの後側が認識し難いようになっている。また、副装飾部3110bの後面の帯状レンズは、周方向に沿った部位よりも放射状に延びた部位の方が優先して形成されている。
この前面装飾部材3110は、遊技領域1100における左右方向中央の下部後側でアタッカユニット2100の後側に配置される下部材3111と、下部材3111の左端と接し遊技領域1100における左下隅部の後側に配置される左下部材3112と、左下部材3112の上端と接し遊技領域1100における上下方向中央の左部後側でセンター役物2500の左後側に配置される左部材3113と、左部材3113の上端と接し遊技領域1100における左上隅部の後側に配置される左上部材3114と、左上部材3114の右端と接し遊技領域1100における左右方向中央の上部後側に配置される上部材3115と、を備えている。前面装飾部材3110は、五つの部材3111,3112,3113,3114,3115によって夫々八角形状における五つの各辺に対応するように分割されており、夫々が中箱3010に取付けられている。
前面装飾部材3110における左下部材3112は、表ユニット2000における表サイドユニット2200の後側に位置しており、表サイドユニット2200におけるベース部材2210の各樋部2210aと対応した位置に遊技球が通過可能な前後方向に貫通した貫通口3112aが形成されている。また、左下部材3112は、後側が開放され貫通口3112aを通過した遊技球を下方へ誘導する二つの一般排出通路3112bが形成されている。これら一般排出通路3112bは、表サイドユニット2200における背向配置された一対の一般入賞口2201に受入れられた遊技球を纏めて下方へ排出するように形成されており、開放された後側が板状の通路カバー3160によって閉鎖されるようになっている。なお、通路カバー3160における各一般排出通路3112bの下端部に対応した位置には、遊技球を検知する一般入賞口センサ3101が取付けられるようになっており、一般入賞口2201に受入れられた遊技球を検知することができるようになっている。
また、中箱演出ユニット3100における装飾シート3120は、透光性を有した乳白色に板材の表面に、所定の絵柄を印刷した上で、前面装飾部材3110の後面に沿うような形状に形成したものである。この装飾シート3120は、前面装飾部材3110と同様に、八角形状における五つの辺と対応するように五つに分割されており、下シート3121、左下シート3122、左シート3123、左上シート3124、上シート3125によって構成されている。なお、左下シート3122は、前面装飾部材3110における左下部材3112の主装飾部3110a及び副装飾部3110bが形成された部位にのみ対応する大きさとされており、一般排出通路3112b等が形成された部位の後側には配置されないようになっている
また、中箱延出ユニット3100における拡散部材3130は、正面視の形状が装飾シート3120と略同じ大きさに形成されており、前面が遊技パネル1200の面に略平行な平坦面とされ、前面装飾部材3110における主装飾部3110aと対応した部位に対して、副装飾部3110bと対応した部位が後方へ窪んだ形状に形成されている。この拡散部材3130は、前面装飾部材3110と同様に、副装飾部3110bと対応した部位の後面に、その延びる方向に対して直角方向へ延びた小幅の帯状プリズムが列設されている。
また、拡散部材3130は、前面装飾部材3110と同様に、八角形状における五つの辺と対応するように五つに分割されており、下部材3131、左下部材3132、左部材3133、左上部材3134、上部材3135によって構成されている。なお、拡散部材3130における上部材3135は、前面装飾部材3110における内周側の主装飾部3110aとその外側の副装飾部3110bのみに対応した大きさとされている。
更に、中箱演出ユニット3100における中箱装飾基板3140は、前面装飾部材3110における各主装飾部3110a及び各副装飾部3110bと対応した位置に夫々LEDが実装されており、各主装飾部3110aや副装飾部3110bを夫々独立して発光装飾させることができるようになっている。この中箱装飾基板3140は、八角形の周方向に沿って三つに分割されており、前面装飾部材3110における下部材3111と左下部材3112における放射状に延びた最も上側の副装飾部3110bまでの後側に配置される下装飾基板3141、前面装飾部材3110における左下部材3112の残りと左部材3113と左上部材3114における放射状に延びた最も上側の副装飾部3110bの下側までの後側に配置される左装飾基板3142、前面装飾部材3110における左上部材3114の残りと上部材3115における上側の主装飾部3110aよりも下側の後側に配置される上後装飾基板3143、及び前面装飾部材3110の上部材3115における上側の主装飾部3110aの後側に配置される上前装飾基板3144、によって構成されている。
なお、中箱装飾基板3140における下装飾基板3141には、表サイドユニット2200の後側と対応した位置にも複数のLEDが実装されており、表サイドユニット2200を発光装飾させることができるようになっている。
また、中箱演出ユニット3100における遮蔽部材3150は、前面装飾部材3110における各主装飾部3110aと対応した大きさで前後方向に貫通した貫通孔を複数有し、各副装飾部3110bに対応した部位には後側に配置される中箱装飾基板3140に実装されたLEDのみが臨む大きさの貫通孔が複数形成されている。この遮蔽部材3150は、主装飾部3110aや副装飾部3110bと対応したLEDからの光が他の主装飾部3110aや副装飾部3110bを照射してしまうのを遮ることができるものである。また、遮蔽部材3150は、前面装飾部材3110と同様に五つに分割されており、下部材3151、左下部材3152、左部材3153、左上部材3154、上部材3155によって構成されている。
また、中箱演出ユニット3100は、中箱3010の前面右上隅に取付けられる右上飾り部材3161と、前面装飾部材3110における下部材3111の上部右上に取付けられる下飾り部材3162と、中箱装飾基板3140における下装飾基板3141よりも後側で中箱3010内の左右方向略中央下部に取付けられアタッカユニット2100の第一始動口2101に受入れられた遊技球を受取って下方へ誘導放出する球誘導通路部材3163と、アタッカユニット2100における第一始動口2101の略真後ろで中箱3010の後面に取付けられ前面に複数のLEDが実装された始動口装飾基板3164と、を備えている。
中箱演出ユニット3100における球誘導通路部材3163は、開放された後側が中箱3010の後壁3010aによって閉鎖されるようになっている。また、球誘導通路部材3163には、内部を流通する遊技球を検知することが可能な第一始動口センサ3102が取付けられるようになっており、第一始動口2101に受入れられた遊技球を検知することができるようになっている。
また、中箱演出ユニット3100は、アタッカユニット2100における第一始動口2101の後側に対応した位置で遮蔽部材3150における下部材3151に取付けられ、磁気を検出可能な磁気検出センサ3103を更に備えている。この磁気検出センサ3103は、アタッカユニット2100付近に作用する磁気を検出することができ、磁石等を使った不正行為を検出することができるようになっている。
本実施形態の中箱演出ユニット3100は、遊技領域1100における透明な遊技パネル1200(パネル板1210)を通して遊技者側から見える後側の背景を構成するものであり、所定の絵柄装飾が印刷された盤面シールを遊技パネル1200の前面に貼付けた従来のパチンコ機に比較して、背景が遊技者から若干遠ざかることで圧迫感がなく奥行きのある背景を提供することができると共に、立体的に造形した主装飾部3110aを備えているので、遊技者の位置によって見え方を変化させることができ、これまでのパチンコ機とは異なる新しい雰囲気のパチンコ機1を提供することができるようになっている。
また、中箱演出ユニット3100は、前面装飾部材3110における複数の主装飾部3110aを同心八角状且つ放射状に配置し、夫々を中箱装飾基板3140により独立して発光装飾させることができるようになっているので、例えば、発光した部位が周回するような発光演出、放射状に移動する発光演出、遊技領域1100内を流下する遊技球を追うような発光演出、等の様々な発光演出を遊技領域1100の後側で行うことができ、より遊技者を楽しませることができるようになっている。
[2−7.裏右下演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏右下演出ユニット3200について、主に図139乃至図143を参照して説明する。図139は裏ユニットにおける裏右下演出ユニットの正面図である。また、図140(A)裏ユニットにおける裏右下演出ユニットを前から見た斜視図であり、(B)裏右下演出ユニットを後から見た斜視図である。また、図141は裏右下演出ユニットを主な構成毎に分解して前から見た分解斜示図であり、図142は裏右下演出ユニットを主な構成毎に分解して後から見た分解斜示図である。更に、図143は、裏右下演出ユニットの動きを示す説明図である。
本例の裏右下演出ユニット3200は、裏箱3020内における正面視で開口3020bよりも外側の右下隅に取付けられるものである。この裏右下演出ユニット3200は、裏箱3020内に取付けられる正面視略正方形のユニットベース3201と、ユニットベース3201の前面下部に取付けられ左右方向へ延びたレール部材3202と、レール部材3202によって左右方向へスライド可能に支持されるスライダ3203と、スライダ3203の前側に取付けられると共に上端がユニットベース3201と略同じ高さまで延出したスライドベース3230と、スライドベース3230の所定位置で基端側が回動可能に支持され所定幅で延びた板状のステー部3250a、及びステー部3250aの先端からステー部3250aの延びる方向に対して直角方向へ延びた円筒状の装飾本体3250bを有した裏右下装飾ユニット3250と、を備えている。
この裏右下演出ユニット3200は、ユニットベース3201の上部に左右方向へ延びると共に前後方向に貫通した長孔状の案内部3201aが形成されていると共に、スライドベース3230の上部に左右方向に離反して配置されると共に後方へ延出しユニットベース3201の案内部3201a内に挿入される円柱状の支持ピン3230aが形成されている。スライドベース3230の一対の支持ピン3230aには、夫々ワッシャ3207とローラブッシュ3208とがユニットベース3201を挟むように回転可能に挿入されており、ローラブッシュ3208の外周面が案内部3201aの内面に接触して転動するようになっている。これにより、スライドベース3230の上端と下端とが夫々左右方向へスライド可能に支持された状態となっていると共に、前後方向への移動が規制された状態となっている。
裏右下演出ユニット3200は、ユニットベース3201の下部後面でレール部材3202よりも下側に取付けられユニットベース3201を貫通して前面側へ延出する回転軸3204aを有した裏右下スライド駆動モータ3204と、裏右下スライド駆動モータ3204の回転軸3204aに固定される平歯車状の駆動ギア3205と、駆動ギア3205よりも大径で駆動ギア3205と噛合すると共に駆動ギア3205の正面視左側でユニットベース3201に回転可能に支持されるスライドギア3206と、スライドギア3206と噛合しスライドベース3230の下部前面に取付けられると共に左右方向へ延びたラックギア3231と、を備えている。
また、裏右下演出ユニット3200は、スライドベース3230における略中央の後側に取付けられスライドベース3230を貫通して前側へ延出する回転軸3232aを有した裏右下回動駆動モータ3232と、裏右下回動駆動モータ3232の回転軸3232aに固定される平歯車状の駆動ギア3233と、駆動ギア3233と噛合する大径の第一伝達ギア3234a、及び第一伝達ギア3234aよりも小径で第一伝達ギア3234aと一体回転する第二伝達ギア3234bを有しスライドベース3230の前面で回転可能に支持される伝達ギア3234と、伝達ギア3234の第二伝達ギア3234bと噛合し裏右下装飾ユニット3250におけるステー部3250aの基端側に取付けられた扇状の回動ギア3251と、を備えている。回動ギア3251は、スライドベース3230における一対の支持ピン3230a同士の間で正面視左右方向中央から左寄りの位置でスライドベース3230に対して回動可能に支持されており、この回動ギア3251を介して裏右下装飾ユニット3250が回動可能に支持されている。
裏右下演出ユニット3200は、スライドベース3230に取付けられたラックギア3231の前面左端付近から下方へ延出した板状の検知片3231aを備えていると共に、ユニットベース3201の前面左下隅にラックギア3231の検知片3231aを検知可能とされたスライド位置検知センサ3209を備えており、スライドベース3230(裏右下装飾ユニット3250)のスライド位置を検知することができるようになっている。
また、裏右下演出ユニット3200は、スライドベース3230に回転可能に支持される伝達ギア3234の前面から半径方向外方へ延出した板状の検知片3234cを備えていると共に、スライドベース3230の前面に伝達ギア3234の検知片3234cを検知可能な回動位置検知センサ3235を備えており、伝達ギア3234の回転位置を検知することで回動ギア3251つまり裏右下装飾ユニット3250の回動位置を検知することができるようになっている。
裏右下演出ユニット3200は、スライドベース3230の左側前面に取付けられ、裏右下スライド駆動モータ3204、スライド位置検知センサ3209、裏右下回動駆動モータ3232、及び回動位置検知センサ3235と裏箱3020に取付けられるモータ駆動基板3042との接続を中継する裏右下中継基板3236と、裏右下中継基板3236の上辺及び左辺外周を囲むようにスライドベース3230の前面に取付けられ裏右下装飾ユニット3250の装飾基板や駆動モータ等と裏下演出ユニット3600の裏下中継端子板3615とを接続するフレキシブルケーブル(図示は省略する)を収容可能とされた配線カバー3237と、を備えている。
本例の裏右下演出ユニット3200は、裏右下スライド駆動モータ3204の駆動により、スライドベース3230を介して裏右下装飾ユニット3250全体を左右方向へスライドさせることができるようになっている。また、裏右下演出ユニット3200は、裏右下回動駆動モータ3232の駆動により、裏右下装飾ユニット3250を、装飾本体3250bが立上った状態(通常の状態)と略水平の状態(出現の状態)との間で回動させることができるようになっている。
裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250のステー部3250aは、スライドベース3230に回動可能に支持され伝達ギア3234の第二伝達ギア3234bと噛合する扇状の回動ギア3251と、回動ギア3251に基端側が固定され半径方向外方へ延び金属板を屈曲形成したステーベース3252と、ステーベース3252の前側に取付けられる板状のベースカバー3253と、ベースカバー3253を覆うようにベースカバー3253の前側に取付けられ前面に装飾が施されると共に前後方向に貫通した開口3254aを有し後側が開放された浅い箱状に形成されたステー前面部材3254と、ステー前面部材3254の開口3254aを後側から閉鎖するように配置され光を拡散可能とされた透光性を有するレンズ部材3255と、レンズ部材3255とベースカバー3253との間に配置され前面に複数のLEDが実装された裏右下ステー装飾基板(図示は省略)と、裏右下ステー装飾基板とレンズ部材との間に配置されLEDからの光を遮断区画する枠状の区画部材(図示は省略)と、を備えている。
裏右下装飾ユニット3250のステー部3250aにおけるステーベース3252は、詳細な図示は省略するが、先端側が装飾本体3250bの延びる方向と同じ方向へ延出した略L字状に形成されており、その延出した部位に装飾本体3250bが取付けられるようになっている。また、ステー部3250aにおけるレンズ部材3255は、図示するように、その表面にステー部3250aの延びる方向と同じ方向へ延びた細かい間隔の筋が形成されていると共に、ステー部3250aの延びる方向に対して直角方向へ延びた筋により五つに分割されたような形状に形成されている。そして、ステー部3250aは、レンズ部材3255の後側に配置される区画部材が、レンズ部材3255の五つに分割された形状と対応するようにステー部3250aの延びる方向へ五つに分割した格子状に形成されていると共に、裏右下装飾基板のLEDが区画部材の各格子に対応した位置に配置されている。これにより、レンズ部材3255における五つに分割された部位を夫々独立して発光装飾させることができるようになっており、例えば、一方側から順次発光させることでメーターのような発光演出を行うことができるようになっている。
また、裏右下装飾ユニット3250における装飾本体3250bは、ステー部3250aのステーベース3252の先端に取付けられステー部3250aの延びる方向に対して直角方向へ延びた本体ベース(図示は省略)と、本体ベースの前側を覆うように本体ベースに取付けられ先端側が不定形な破断状に形成された半円筒状の本体下前装飾部材3261と、本体下前装飾部材3261の先端側に配置され基端側が本体下前装飾部材3261の先端側の形状に沿った形状に形成された半円筒状の本体上前装飾部材3262と、本体上前装飾部材3262及び本体下前装飾部材3261の後端と連続すると共に本体ベースの後側を覆うように形成され本体ベースに取付けられる本体後装飾部材3263と、本体下前装飾部材3261及び本体上前装飾部材3262と本体ベースとの間に配置され前面にレリーフ状の装飾が形成された湾曲板状で透光性を有するレンズ部材3264(図143(f)を参照)と、レンズ部材3264と本体ベースとの間に配置され前面に複数のLEDが実装された裏右下本体装飾基板(図示は省略)と、を備えている。
なお、図示は省略するが、装飾本体3250bの本体ベースは、本体下前装飾部材3261と本体上前装飾部材3262とを接近させた状態(図139等に示す通常の状態)で、本体上前装飾部材3262の先端側から突出する長さとされている。また、装飾本体3250bは、本体下前装飾部材3261と本体後装飾部材3263との外周に跨るように配置され、赤色透明で炎を模した形状に形成された外周装飾部材3266を更に備えている。
また、装飾本体3250bは、本体上前装飾部材3262の先端側で本体上前装飾部材3262と同軸上に配置されると共に本体ベースに対して回転可能に支持され、先端側を底部として本体上前装飾部材3262等と同径の有底円筒状に形成された本体頭部装飾部材3267を更に備えている。
更に、装飾本体3250bは、詳細な図示は省略するが、本体ベースの先端後側に取付けられ本体ベースを貫通して前側へ延出する回転軸を有した裏右下頭部スライド駆動モータと、裏右下頭部スライド駆動モータの回転軸に固定される平歯車状のピニオンギアと、ピニオンギアと噛合し装飾本体3250bの延びる方向へ延びたラックギアを有し本体ベースの先端から外方へ突出するように本体ベースにスライド可能に支持されるラック部材と、ラック部材の先端に固定されると共に本体上前装飾部材3262が取付けられる頭部ベースと、円筒状に形成された本体下前装飾部材3261及び本体上前装飾部材3262の中心軸線上で頭部ベースの先端から外方へ突出する回転軸を有し頭部ベースに取付けられる裏右下頭部回転駆動モータと、裏右下頭部回転駆動モータの回転軸に固定されると共に本体頭部装飾部材3267の内側底部が取付けられる円盤状の支持部材と、を備えている。
また、装飾本体3250bは、詳細な図示は省略するが、ラック部材の前側を覆うと共に本体ベースと協同してラック部材をスライド可能に支持し本体ベースの前面に取付けられるラックカバーと、ラックカバーの前側に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏右下頭部装飾基板と、裏右下頭部装飾基板の後側に取付けられラック部材のスライド位置を検知する裏右下頭部スライド位置検知センサと、頭部ベースに取付けられ本体頭部装飾部材の回転位置を検知する裏右下頭部回転位置検知センサと、を備えている。
装飾本体3250bの本体下前装飾部材3261と本体上前装飾部材3262は、軸方向端部に金属光沢(銀色)を有したメッキ層が備えられていると共に、端部を除いた外周面が透光性を有するように形成されており、裏右下本体装飾基板によって発光装飾させることができるようになっている。また、本体上前装飾部材3262の先端側中央に先端側が尖った野球のホームベース状のレリーフが透光性(赤色透明)を有するように形成されている。更に、本体頭部装飾部材3267は、外周面に頂点が基端側を向いた三角形のレリーフが形成されており、このレリーフの部位が透光性(赤色透明)を有すると共に、その他の部位の表面に金属光沢(銀色)を有したメッキ層が備えられている。これにより、裏右下装飾ユニット3250における装飾本体3250bが、円筒状の時限爆弾を模した形状に形成されている。
この装飾本体3250bは、裏右下頭部回転駆動モータの駆動によって有底円筒状の本体頭部装飾部材3267をその軸心周りに回転させることができるようになっていると共に、裏右下頭部スライド駆動モータの駆動によって本体上前装飾部材3262及び本体頭部装飾部材3267を軸方向へスライドさせることができるようになっている。これにより、例えば、本体下前装飾部材3261と本体上前装飾部材3262とを接近させた状態で、本体頭部装飾部材3267を回転させ、本体上前装飾部材3262におけるホームベース状のレリーフの頂点と、本体頭部装飾部材3267における三角形のレリーフの頂点とが一致したら本体頭部装飾部材3267の回転を停止させた上で、本体下前装飾部材3261から遠ざかる方向へ本体上前装飾部材3262及び本体頭部装飾部材3267をスライドさせることで、本体下前装飾部材3261と本体上前装飾部材3262との間から後側のレンズ部材3264が遊技者側に臨むようになり、装飾本体3250bが割れたような可動演出を行うことができ、装飾本体3250bを時限爆弾に見立てて爆発するような可動演出を行うことができるようになっている。
次に、本実施形態の裏右下演出ユニット3200の動作について詳細に説明する。本例の裏右下演出ユニット3200は、図143(a)等に示すように、通常の状態(通常位置の状態)では、スライドベース3230が正面視で左側の移動端に位置していると共に、裏右下装飾ユニット3250における円筒状の装飾本体3250bが立上った状態となっている。この通常の状態では、裏右下装飾ユニット3250をスライドさせるスライドベース3230に取付けられたラックギア3231の検知片3231aがスライド位置検知センサ3209により検知された状態となっていると共に、裏右下装飾ユニット3250を回動させる伝達ギア3234の検知片3234cが回動位置検知センサ3235によって検知された状態となっている。
また、裏右下演出ユニット3200の裏右下装飾ユニット3250が通常位置の状態では、遊技者側からは裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bのみが視認できる状態になっており、ステー部3250aがセンター役物2500の窓部2501の外側に位置して視認できないようになっている(図111等を参照)。これにより、遊技者に対して裏右下装飾ユニット3250における装飾本体3250bを強く意識させることができるようになっている。
この通常位置の状態から、第一始動口2101や第二始動口2102に遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果に応じて、裏右下演出ユニット3200を用いた可動演出が開始されると、裏右下スライド駆動モータ3204と裏右下回動駆動モータ3232とが同時に駆動を開始され、スライドベース3230が正面視右方向へのスライドを開始すると共に、裏右下装飾ユニット3250が反時計周りの方向への回動を開始する(図143(b)(c)を参照)。そして、スライドベース3230が正面視で右側の移動端までスライドすると共に裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bが水平状態となるまで回動すると、裏右下スライド駆動モータ3204及び裏右下回動駆動モータ3232の駆動が停止して裏右下装飾ユニット3250が第一出現位置の状態となる(図143(d)を参照)。
裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250が第一出現位置に位置した状態では、裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bがセンター役物2500の窓部2501の下縁よりも上側に位置した状態となっていると共に、裏右下装飾ユニット3250のステー部3250aが遊技者側から視認できる状態となっている(図153を参照)。これにより、裏右下装飾ユニット3250の円筒状の装飾本体3250bが、液晶表示装置1900の前側で浮いているように見せることができ、装飾本体3250bに対して遊技者の関心を強く引付けて装飾本体3250bに注目させることができるようになっている。
本例の裏右下演出ユニット3200は、裏右下装飾ユニット3250が通常位置から第一出現位置へ移動する際に、裏右下装飾ユニット3250をステー部3250aと円筒状の装飾本体3250bとでL字状に形成した上で、ステー部3250aの基端側を回動中心とし、裏右下装飾ユニット3250全体を右方向へスライドさせると同時に裏右下装飾ユニット3250を反時計周りの方向へ回動させるようにしているので、裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bにおける基端側の左右方向への移動量が、スライドベース3230の移動量よりも小さくなり、装飾本体3250bがあたかもその基端側を中心に回動しているように錯覚させることができるようになっている。
裏右下演出ユニット3200の裏右下装飾ユニット3250を通常位置から第一出現位置へ移動させた後に、裏右下スライド駆動モータ3204のみを逆方向へ駆動させて、裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bが水平の状態のままスライドベース3230と共に裏右下装飾ユニット3250を正面視で左方向へスライドさせる。そして、スライドベース3230が左側の移動端までスライドしてラックギア3231の検知片3231aがスライド位置検知センサ3209により検知されると、裏右下スライド駆動モータ3204の駆動を停止させる。これにより、裏右下装飾ユニット3250が第一出現位置から第二出現位置へ移動した状態となる(図143(e)を参照)。
裏右下演出ユニット3200の裏右下装飾ユニット3250が第二出現位置に位置した状態では、裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bが液晶表示装置1900の前面で左右方向略中央に位置した状態となっており、遊技者側から非常に目立つ位置に位置した状態となっている(図154を参照)。
裏右下装飾ユニット3250が第二出現位置に位置した状態で、装飾本体3250b内に備えられた裏右下頭部駆動モータを駆動して装飾本体3250bにおける本体頭部装飾部材3267を左右方向へ延びた軸心周りに回転させる。そして、本体頭部装飾部材3267における三角形のレリーフの頂点と、本体上前装飾部材3262におけるホームベース状のレリーフの頂点とが一致したら、裏右下頭部回転駆動モータの駆動を停止させて本体頭部装飾部材3267の回転を停止させる。
その後、装飾本体3250b内に備えられた裏右下頭部スライド駆動モータを駆動させて、本体頭部装飾部材3267及び本体上前装飾部材3262と本体下前装飾部材3261とが互いに遠ざかるように、本体頭部装飾部材3267及び本体上前装飾部材3262を正面視左方向へスライドさせる(図143(f)を参照)。これにより、本体上前装飾部材3261と本体下前装飾部材3261の互いに対向し破断状に形成された端部同士が互いに離反して、後側に配置されたレンズ部材3264が遊技者側から視認できるようになり、装飾本体3250bが割れたような爆発位置の状態となる。
なお、裏右下演出ユニット3200では、裏右下装飾ユニット3250の可動に伴って裏右下ステー装飾基板や裏右下本体装飾基板、及び裏右下頭部装飾基板等に実装されたLEDを適宜発光させるようになっており、より遊技者の関心を強く引付けることができるようになっている。また、裏右下装飾ユニット3250を爆発位置から通常位置へ復帰させるには、各駆動モータ3204,3232等を上記とは逆方向へ駆動させることで、裏右下装飾ユニット3250を通常位置へ復帰させることができる。
また、裏右下演出ユニット3200を用いた可動演出は、上述した通常位置から爆発位置までの演出の他に、通常位置から第一出現位置まで、通常位置から第二出現位置まで、等のように、抽選された特別抽選結果に応じて適宜選択できるようになっており、多様なパターンの可動演出を遊技者に提示することができるようになっている。
このように、本例の裏右下演出ユニット3200によると、円筒状の装飾本体3250bの基端から円筒状の軸心に対して直角方向へ延出したステー部3250aを備え、ステー部3250aの基端側で装飾本体3250bを含む裏右下装飾ユニット3250を回動させると同時に、裏右下装飾ユニット3250全体をスライドさせるようにしており、装飾本体3250bにおける基端側の左右方向の動きを可及的に小さくすることができると同時に装飾本体3250bの基端側の高さを低い位置から高い位置へ移動させることができ、あたかも装飾本体3250bの基端側が回動中心であるかのように錯覚させることができると共に、装飾本体3250bを大きくしても問題なく回動させることができ、大きな装飾本体3250bが回動することで遊技者を驚かせて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
[2−8.裏左演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏左演出ユニット3300について、主に図144乃至図146を参照して説明する。図144は、裏ユニットにおける裏左演出ユニット、裏右演出ユニット、及び裏中演出ユニットの正面図である。また、図145は裏ユニットにおける裏左演出ユニット、裏右演出ユニット、及び裏中演出ユニットを夫々分離させた状態で前から見た分解斜視図であり、図146は裏ユニットにおける裏左演出ユニット、裏右演出ユニット、及び裏中演出ユニットを夫々分離させた状態で後から見た分解斜視図である。
裏ユニット3000における裏左演出ユニット3300は、図示するように、裏箱3020内における開口3020bの左側に取付けられ上下方向へ延びた裏左ユニットベース3301と、裏左ユニットベース3301の上端に取付けられ前方へ棚状に延出した裏左モータベース3302と、裏左モータベース3302の上面に取付けられ回転軸が裏左モータベース3302の下側へ延出する裏左昇降駆動モータ3303と、裏左昇降駆動モータ3303の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギア3304と、駆動ギア3304と噛合し駆動ギア3304の正面視左側に配置される従動ギア3305と、従動ギア3305の回転軸心に上端が固定され且つ裏左ユニットベース3301の上下方向略中央まで下端が延出し従動ギア3305の下側及び下端で裏左ユニットベース3301に回転可能に支持されると共に外周にスパイラル状の溝3306aが形成された昇降駆動シャフト3306と、昇降駆動シャフト3306の溝3306a内から突出した状態で溝3306a内を転動可能とされた球形の伝達ボール(図示は省略)と、伝達ボールが昇降駆動シャフト3306の溝3306a内から脱落しないように伝達ボールを回転可能に支持すると共に昇降駆動シャフト3306の一部を被覆可能とされ裏中演出ユニット3500の左端側を支持するための支持ピン3307aを有した裏左昇降スライダ3307と、裏左昇降スライダ3307を上下方向へスライド可能に案内すると共に裏左ユニットベース3301に上下両端が支持され昇降駆動シャフト3306と略同じ長さで昇降駆動シャフト3306と平行に配置される案内シャフト3308と、裏左ユニットベース3301の所定位置に取付けられ裏左昇降スライダ3307の昇降位置を検知可能とされた裏左昇降位置検知センサ3309(図147(C)を参照)と、を備えている。
裏左演出ユニット3300の裏左ユニットベース3301は、透光性を有する素材により後側が開放された浅い箱状に形成されていると共に、裏箱3020における開口3020bの上下方向の大きさよりも長く形成されており、上端及び下端が夫々開口3020bよりも上側及び下側へ延出するように裏箱3020内に取付けられるようになっている。また、裏左ユニットベース3301は、正面視で左右方向中央から左側の前面で昇降駆動シャフト3306及び案内シャフト3308を支持しており、昇降駆動シャフト3306の正面視右側に案内シャフト3308を支持している。また、裏左ユニットベース3301は、左右方向中央から右側の前面には幾何学的なレリーフ状の装飾が形成されている。
この裏左演出ユニット3300は、詳細な図示は省略するが、昇降駆動シャフト3306におけるスパイラル状に形成された溝3306a内に、金属により球形に形成された伝達ボールの約半分が挿入されていると共に、伝達ボールの約半分が回転可能且つ移動不能な状態で裏左昇降スライダ3307に支持されている。また、裏左昇降スライダ3307は、昇降駆動シャフト3306及び案内シャフト3308に対してスライド可能とされていると共に、昇降駆動シャフト3306及び案内シャフト3308の軸直角方向への移動が不能な状態とされている。なお、本例では、昇降駆動シャフト3306の溝3306aが約45゜の角度で形成されている。
そして、この状態で裏左昇降駆動モータ3303により駆動ギア3304及び従動ギア3305を介して昇降駆動シャフト3306を回転させると、昇降駆動シャフト3306の外周に形成された溝3306aが斜めに延びているので、伝達ボールが斜めの溝3306aに押されることとなるが、伝達ボールの位置が裏左昇降スライダ3307によって規制されており、伝達ボールと共に裏左昇降スライダ3307が昇降駆動シャフト3306の軸方向へ移動することとなる。なお、本例では、昇降駆動シャフト3306を平面視で反時計回りの方向へ回転させると裏左昇降スライダ3307が下降し、昇降駆動シャフト3306を平面視で時計回りの方向へ回転させると裏左昇降スライダ3307が上昇するようになっている。
本例の裏左演出ユニット3300によると、裏左昇降スライダ3307からかかる荷重が、伝達ボールからスパイラル状の溝3306aを介して昇降駆動シャフト3306に作用することとなるが、溝3306aが昇降駆動シャフト3306の軸線に対して傾いているので、伝達ボールから下方へ作用する荷重の大きさに対して昇降駆動シャフト3306を回転させる方向へ作用する力が可及的に小さくなる。つまり、裏左昇降スライダ3307から大きな荷重を作用させても、小さい力で昇降駆動シャフト3306の回転を阻止することで裏左昇降スライダ3307の下降を阻止して停止させることができるので、特別なロック機構等を備えなくても裏左昇降スライダ3307を停止した状態に維持することができるようになっている。従って、重いものでも昇降駆動シャフト3306を介して裏左昇降駆動モータ3303に係る負荷を軽減させることができ、過負荷によって不具合が発生するのを防止することができると共に、大型のものや各種機構を備えて重くなったものでも問題なく停止させたり昇降させたりすることができるようになっている。
裏左演出ユニット3300における裏左昇降スライダ3307の支持ピン3307aは、図示するように円柱状に前方へ延出しており、後述する裏中演出ユニット3500における左支持部材3501の支持孔3501c内にローラブッシュ3504を介して挿入されるようになっている。なお、図示は省略するが、支持ピン3307aの前端には、ローラブッシュ3504が抜けるのを阻止するためのワッシャとビスが取付けられるようになっている。
また、裏左演出ユニット3300は、裏左ユニットベース3301の後端付近に取付けられ上下方向へ延びると共に前面に複数のLEDが実装された裏左装飾基板3310と、裏左ユニットベース3301の後端下部に取付けられ前面における正面視右端付近に複数のLEDが実装された裏左下装飾基板3311と、を更に備えている。これら裏左装飾基板3310及び裏左下装飾基板3311によって、裏左演出ユニット3300を発光装飾させることができるようになっている。
更に、裏左演出ユニット3300は、裏左ユニットベース3301における昇降駆動シャフト3306の下端と裏左ユニットベース3301の下端との間の上下方向略中央の位置で回転軸が裏左ユニットベース3301の後面へ延出するように裏左ユニットベース3301の前面に取付けられる裏左回動駆動モータ3312と、裏左回動駆動モータ3312の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギア3313と、駆動ギア3313と噛合する扇状の従動ギア3314と、従動ギア3314の回転軸芯に後端が固定されると共に前端が裏左ユニットベース3301の前側へ延出し裏左ユニットベース3301に回転可能に支持される回動軸3315と、回動軸3315の前端側に固定され部分的に透光性を有するようにオートバイのハンドルレバーを模した裏左装飾体3320と、裏左装飾体3320の後側に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏左装飾体装飾基板(図示は省略)と、裏左ユニットベース3301における前面の所定位置に取付けられ裏左装飾体3320の検知片3320aを検知することで回動位置を検知可能な裏左回動位置検知センサ3316と、を備えている。
なお、裏左演出ユニット3300の裏左装飾体3320は、略垂直に立上った通常位置の状態と、上端側が正面視で遊技領域1100の中央側へ移動した出現位置の状態(図149を参照)との間で回動可能とされている。また、裏左装飾体3320が通常位置の状態の時に、裏左回動位置検知センサ3316によって検知片3320aが検知されるようになっている。
[2−9.裏右演出ユニット]
次に、裏ユニット3000における裏右演出ユニット3400について主に図144乃至図146を参照して説明する。裏右演出ユニット3400は、裏箱3020内における開口3020bの右側で裏右下演出ユニット3200よりも上側に取付けられ上下方向へ延びた裏右ユニットベース3401と、裏右ユニットベース3401の上端に取付けられ前方へ棚状に延出した裏右モータベース3402と、裏右モータベース3402の上面に取付けられ回転軸が裏右モータベース3402の下側へ延出する裏右昇降駆動モータ3403と、裏右昇降駆動モータ3403の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギア(図示は省略)と、駆動ギアと噛合し駆動ギアの正面視右側に配置される従動ギア(図示は省略)と、従動ギアの回転軸心に上端が固定され且つ裏右ユニットベース3401の上端から全体の高さの約1/4下降した高さまで下端が延出し従動ギアの下側及び下端で裏右ユニットベース3401に回転可能に支持されると共に外周にスパイラル状の溝3406aが形成された昇降駆動シャフト3406と、昇降駆動シャフト3406の溝3406a内から突出した状態で溝3406a内を転動可能とされた球形の伝達ボール(図示は省略)と、を備えている。
また、裏右演出ユニット3400は、伝達ボールが昇降駆動シャフト3406の溝3406a内から脱落しないように伝達ボールを回転可能に支持すると共に昇降駆動シャフト3406の一部を被覆可能とされ裏中演出ユニット3500の右端側を支持するための支持ピン3407aを有した裏右昇降スライダ3407と、裏右昇降スライダ3407を上下方向へスライド可能に案内すると共に裏右ユニットベース3401に上下両端が支持され昇降駆動シャフト3406と略同じ長さで昇降駆動シャフト3406と平行に配置される案内シャフト3408と、裏右ユニットベース3401の所定位置に取付けられ裏右昇降スライダ3407の昇降位置を検知可能とされた裏右昇降位置検知センサ3409と、裏右ユニットベース3401の後側に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏右装飾基板3410と、を備えている。
裏右演出ユニット3400の裏右ユニットベース3401は、透光性を有する素材により形成されていると共に、上端が裏箱3020における開口3020bの上端よりも上側へ延出し、下端が開口3020bの下端と略同じ高さとなる大きさに形成されている。また、裏右ユニットベース3401は、正面視で左右方向中央から右側の前面で昇降駆動シャフト3406及び案内シャフト3408を支持しており、昇降駆動シャフト3406の正面視右側に案内シャフト3408を支持している。また、裏右ユニットベース3401は、昇降駆動シャフト3406よりも正面視左側及び下側の前面に、幾何学的なレリーフ状の装飾が形成されていると共に、右端から前方へ延出した板状の装飾部3401aを備えている。なお、裏右演出ユニット3400は、裏右装飾基板3410のLEDにより、裏右ユニットベース3401のレリーフ状の装飾を、発光装飾させることができるようになっている。
この裏右演出ユニット3400は、詳細な図示は省略するが裏左演出ユニット3300と同様に、昇降駆動シャフト3406におけるスパイラル状に形成された溝3406a内に、金属により球形に形成された伝達ボールの約半分が挿入されていると共に、伝達ボールの約半分が回転可能且つ移動不能な状態で裏右昇降スライダ3407に支持されている。また、裏右昇降スライダ3407は、昇降駆動シャフト3406及び案内シャフト3408に対してスライド可能とされていると共に、昇降駆動シャフト3406及び案内シャフト3408の軸直角方向への移動が不能な状態とされている。なお、本例では、昇降駆動シャフト3406の溝3406aが約45゜の角度で形成されている。
そして、この状態で裏右昇降駆動モータ3403により駆動ギア及び従動ギアを介して昇降駆動シャフト3406を回転させると、昇降駆動シャフト3406の外周に形成された溝3406aが斜めに延びているので、伝達ボールが斜めの溝3406aに押されることとなるが、伝達ボールの位置が裏右昇降スライダ3407によって規制されており、伝達ボールと共に裏右昇降スライダ3407が昇降駆動シャフト3406の軸方向へ移動することとなる。なお、本例では、昇降駆動シャフト3406を平面視で反時計回りの方向へ回転させると裏右昇降スライダ3407が下降し、昇降駆動シャフト3406を平面視で時計回りの方向へ回転させると裏右昇降スライダ3407が上昇するようになっている。
本例の裏右演出ユニット3400によると、裏右昇降スライダ3407からかかる荷重が、伝達ボールからスパイラル状の溝3406aを介して昇降駆動シャフト3406に作用することとなるが、溝3406aが昇降駆動シャフト3406の軸線に対して傾いているので、伝達ボールから下方へ作用する荷重の大きさに対して昇降駆動シャフト3406を回転させる方向へ作用する力が可及的に小さくなる。つまり、裏右昇降スライダ3407から大きな荷重を作用させても、小さい力で昇降駆動シャフト3406の回転を阻止することで裏右昇降スライダ3407の下降を阻止して停止させることができるので、特別なロック機構等を備えなくても裏右昇降スライダ3407を停止した状態に維持することができるようになっている。従って、重いものでも昇降駆動シャフト3406を介して裏右昇降駆動モータ3403に係る負荷を軽減させることができ、過負荷によって不具合が発生するのを防止することができると共に、大型のものや各種機構を備えて重くなったものでも問題なく停止させたり昇降させたりすることができるようになっている。
また、裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407の支持ピン3407aは、図示するように円柱状に前方へ延出しており、後述する裏中演出ユニット3500における右支持部材3502の支持孔3502c内にローラブッシュ3504を介して挿入されるようになっている。なお、図示は省略するが、支持ピン3407aの前端には、ローラブッシュ3504が抜けるのを阻止するためのワッシャとビスが取付けられるようになっている。
[2−10.裏中演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏中演出ユニット3500について、主に図144乃至図146を参照して説明する。裏中演出ユニット3500は、遊技パネル1200の面に略沿って左右方向へ延びた矩形板状の支持板部3501a、支持板部3501aの右端から前方へ板状に延出した受部3501c、及び支持板部3501aの上下方向略中央で左端付近に配置され裏左演出ユニット3300における裏左昇降スライダ3307から前方へ延出した支持ピン3307aが摺動可能に挿入され前後方向へ貫通すると共に左右方向へ延びた長孔状の支持孔3501cを有した左支持部材3501と、遊技パネル1200の面に略沿った板状の支持板部3502a、支持板部3502aの左端から前方へ板状に延出した受部3502b、及び支持板部3502aの上部で左右方向の略中央に配置され裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407から前方へ延出した支持ピン3407aが回転可能に挿入されると共に前後方向に貫通した支持孔3502cを有した右支持部材3502と、右支持部材3502と左支持部材3501とを連結し金属板を屈曲形成した連結部材3503と、を備えている。
裏中演出ユニット3500における左支持部材3501及び右支持部材3502は、夫々の支持孔3501c,3502cに対して、夫々裏左演出ユニット3300における裏左昇降スライダ3307の支持ピン3307a及び裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407の支持ピン3407aが、ローラブッシュ3504を介して回転可能に支持されるようになっている。ローラブッシュ3504は、前端から軸直角方向へ延出したフランジを備えており、左支持部材3501及び右支持部材3502の前側から支持孔3501c,3502cを通して支持ピン3307a,3407aに挿入されるようになっている。これらローラブッシュ3504は、図示は省略するが、支持ピン3307a,3407aの先端に固定されるワッシャとビスによって支持ピン3307a,3407aから抜けないようになっていると共に、ローラブッシュ3504を介して左支持部材3501及び右支持部材3502が支持ピン3307a,3407aが抜けないようになっている。
また、裏中演出ユニット3500は、連結部材3503によって互いに離間して支持された左支持部材3501及び右支持部材3502の受部3501b,3502b同士の間に配置され横長矩形状で後側が開放された箱状のユニットベース3510と、ユニットベース3510の左右両端に取付けられ左支持部材3501及び右支持部材3502の受部3501b,3502bに夫々回動可能に支持される円筒状の軸部材(図示は省略)と、正面視右側の軸部材と一体回転し右支持部材3502における受部3502bの右側に配置される従動ギア(図示は省略)と、従動ギアと噛合する平歯車状の駆動ギア(図示は省略)と、駆動ギアが回転軸に固定され右支持部材3502における支持板部3502aの前側に配置される裏中回動駆動モータと、裏中回動駆動モータを支持すると共に従動ギア及び駆動ギアを覆い右支持部材3502における受部3502bの右側に取付けられるモータベースと、を備えている。
更に、裏中演出ユニット3500は、正面視で右側の軸部材の後側に取付けられユニットベース3510の回動位置を検知可能とされた回動位置検知センサ3516を備えている。この回動位置検知センサ3516は、ユニットベース3510と共に回動するようになっており、右支持部材3502の受部3502bにおける回動軸よりも後側の位置から左方向へ延出した検知片(図示は省略)を検知することでユニットベース3510の回動位置を検知することができるようになっている。なお、本例では、ユニットベース3510が図144の状態(通常位置の状態)の時に、回動位置検知センサ3516が検知片を検知するようになっている。
また、裏中演出ユニット3500は、箱状のユニットベース3510内における前後方向の略中央に取付けられユニットベース3510内を仕切る板状の中カバー3517と、中カバー3517の前側に取付けられ前面と後面に複数のLEDが実装された裏中装飾基板3518と、ユニットベース3510の前面に取付けられる枠状のロゴフレーム3519と、ロゴフレーム3519の前側に取付けられ図示は省略するが前面にパチンコ機1のコンセプトに沿った所定のロゴが立体的に形成された透光性を有するロゴレンズ3520と、を備えている。本例の裏中演出ユニット3500は、裏中装飾基板3518における前面側に実装されたLEDを発光させることでロゴレンズ3520を発光装飾させることができるようになっている。
また、裏中演出ユニット3500は、箱状のユニットベース3510の後端開口を閉鎖するユニットベースカバー3530と、ユニットベースカバー3530から後方へ突出するように取付けられ左右方向へ列設された三つの回転ランプユニット3550(右回転ランプ3550R,中回転ランプ3550M,左回転ランプ3550L)と、回転ランプユニット3550の半分(図146では上側)を覆いユニットベースカバー3530の後側に取付けられる背面カバー3531と、を備えている。このユニットベースカバー3530は、図示は省略するが、回転ランプユニット3550が取付けられる部位に大径で前後方向に貫通した三つの貫通孔が形成されている。これら回転ランプユニット3550は、左右方向の中央に配置された中回転ランプ3550Mが、左右に配置された左回転ランプ3550L及び右回転ランプ3550Rよりも大径に形成されている(図148(B)等を参照)。
裏中演出ユニット3500における三つの回転ランプユニット3550は、夫々同じ構成となっおり、詳細な図示は省略するが、ユニットベースカバー3530の後側で貫通孔と同軸上に配置される円盤状のベース部、ベース部の中心で貫通する開口、及び開口を覆うようにベース部から直角方向へ湾曲状に延びた反射部を有し表面に金属光沢を有したメッキ層が備えられたリフレクタ(図示は省略)と、リフレクタにおけるベース部と協同してユニットベースカバー3530を挟持するようにユニットベースカバー3530の貫通孔を通してベース部に固定され中心に貫通した開口を有すると共にユニットベースカバー3530の後側に位置する外周に平歯車状のギア部を有したリフレクタギア(図示は省略)と、リフレクタギアと噛合する小径ギア、及び小径ギアの前側に一体回転可能に配置され小径ギアよりも大径の大径ギアを有しユニットベースカバー3530に回転可能に支持される伝達ギア(図示は省略)と、伝達ギアの大径ギアと噛合する平歯車状の駆動ギア(図示は省略)と、駆動ギアの中心に回転軸が固定されユニットベースカバー3530の後側に取付けられる回転ランプ駆動モータ3555と、ユニットベースカバー3530の後側に取付けられ背面カバー3531によって覆われた残りの部位を覆う四半球状で透明なランプカバー3556と、を備えている。
また、回転ランプユニット3550は、リフレクタのベース部とリフレクタギアとの間に挟持されユニットベースカバー3530における貫通孔の軸心方向へ光を誘導可能とされた導光部材(図示は省略)を備えている。本例の裏中演出ユニット3500は、裏中装飾基板3518の後面におけるユニットベースカバー3530の貫通孔と略同軸上となる位置に後方へ向けて光を照射可能な複数の高輝度LEDが実装されており、この高輝度LEDからの光を導光部材によってリフレクタの反射部へ導くことで、リフレクタの反射部で回転軸に対して直角方向へ反射させて、ランプカバー3556を通して外部へ光を照射することができるようになっている。
また、回転ランプユニット3550は、裏中装飾基板3518の後面に取付けられリフレクタの回転位置を検知する回転位置検知センサ(図示は省略)と、を備えている。本例の裏中演出ユニット3500は、詳細な図示は省略するが、中カバー3517におけるユニットベースカバー3530の貫通孔と同軸上の位置に前後方向へ貫通した開口部が形成されていると共に、リフレクタギアの前面に中カバー3517の開口部を貫通して前方へ延出する検知片が備えられており、この検知片を裏中装飾基板3518に取付けられた回転位置検知センサで検知することでリフレクタの回転位置を検知することができるようになっている。なお、回転位置検知センサでリフレクタギアの検知片を検知した状態では、リフレクタの反射部が、背面カバー3531側を向いた状態となるようになっている。
この裏中演出ユニット3500における回転ランプユニット3550は、裏中装飾基板3518の後面に実装された高輝度LEDを発光させた状態で、回転ランプ駆動モータ3555によりリフレクタを回転させると、リフレクタの反射部が回転することとなり、導光部材により導かれて反射部で反射した光の向きが回転軸芯周りを回転するように変化することとなる。従って、灯台の光のような光軸がくるくる回るような発光演出を行うことができ、遊技者の関心を強く引付けることができるようになっている。
本例の裏中演出ユニット3500は、左右に離間して配置された左支持部材3501及び右支持部材3502によってロゴレンズ3520や回転ランプユニット3550等が取付けられたユニットベース3510を、左右方向へ延びた軸周りに回動させることができるようになっている。この裏中演出ユニット3500は、通常の状態では、図144等に示すように、ロゴレンズ3520が正面(遊技者側)を向くように位置している。この通常位置の状態では、三つの回転ランプユニット3550が、ロゴレンズ3520の真後ろに位置した状態となっており、遊技者側からは見えないようになっている。この状態で裏中回動駆動モータ3514を駆動することで、ロゴレンズ3520が上方を向くようにユニットベース3510を左右方向へ延びた軸周りに約90゜回動させると、左右方向に列設された半球形の三つの回転ランプユニット3550が下方へ膨出したような状態となり遊技者側から視認できるようになる(出現位置の状態)。
そして、回転ランプユニット3550が遊技者側から視認できる出現位置の状態で、回転ランプ駆動モータ3555を駆動すると共に裏中装飾基板3518の対応する高輝度LEDを発光させることで、光軸がくるくる回るような発光演出を遊技者に見せることができるようになる。なお、三つの回転ランプユニット3550は、夫々独立して可動させることができるようになっており、三つの回転ランプユニット3550の可動を適宜組合せることで、多彩な発光演出を行うことができるようになっている。
[2−11.裏左演出ユニット、裏右演出ユニット、及び裏中演出ユニットの動きについて]
続いて、裏ユニット3000における裏左演出ユニット3300、裏右演出ユニット3400、及び裏中演出ユニット3500の動きについて、主に図147乃至図149を参照して説明する。図147は裏左演出ユニット、裏右演出ユニット、及び裏中演出ユニットの動きを示す説明図である。また、図148は、図147とは異なる動きを示す説明図である。更に、図149は、裏ユニットの裏左演出ユニットにおける裏左装飾体の動きを示す説明図である。
本例の裏ユニット3000は、上述したように、裏左演出ユニット3300及び裏右演出ユニット3400が、夫々裏箱3020内における開口3020bの左側及び右側に取付けられると共に、裏左演出ユニット3300及び裏右演出ユニット3400における裏左昇降スライダ3307及び裏右昇降スライダ3407の支持ピン3307a,3407aに裏中演出ユニット3500の左右両端が支持されている。
本例の裏中演出ユニット3500は、図147等にも示すように、通常の状態では、裏左演出ユニット3300の裏左昇降スライダ3307と、裏右演出ユニット3400の裏右昇降スライダ3407とが、夫々最も上昇した位置(上昇端の位置)となっている。この状態では、裏中演出ユニット3500における横長矩形状のロゴレンズ3520が略水平に延びた状態となっていると共に、正面視でロゴレンズ3520がセンター役物2500におけるセンターロゴ装飾部材2641の下辺と接するような位置(高さ)となっている。
この通常の状態で、裏左演出ユニット3300の裏左昇降駆動モータ3303と裏右演出ユニット3400の裏右昇降駆動モータ3403を夫々同時に駆動させて、裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407の下降端の位置(第一下降位置)まで裏中演出ユニット3500を略平行な状態で下降させる(図147(B)を参照)。この状態では、裏中演出ユニット3500のロゴレンズ3520が、正面視で遊技領域1100の中央側へ若干下がった状態となり、センター役物2500におけるセンターロゴ装飾部材2641から若干離れた状態となる。
裏中演出ユニット3500が第一下降位置の状態から、更に裏左演出ユニット3300の裏左昇降駆動モータ3303を駆動して裏左昇降スライダ3307のみを下降させると、裏中演出ユニット3500の右支持部材3502が円形の支持孔3502cで裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407の支持ピン3407aに支持されているのに対して、左支持部材3501が長孔状の支持孔3501cで裏左演出ユニット3300における裏左昇降スライダ3307の支持ピン3307aに支持されているので、その支持ピン3307aが長孔状の支持孔3501c内を摺動すると同時に、裏中演出ユニット3500の左端側が下降し、横長のロゴレンズ3520が傾いた状態となる。そして、裏左演出ユニット3300の裏左昇降スライダ3307が最も下降した下降端の位置(第二下降位置)まで下降すると、ロゴレンズ3520(裏中演出ユニット3500)の傾きが最大となる(図147(C)を参照)。
これにより、パチンコ機1のコンセプトに沿ったロゴが施されたロゴレンズ3520が傾くことで、遊技者に対して一見してバランスが崩れたことを認識させることが可能となり、遊技者に対して通常の遊技状態から特別な遊技状態に変化するのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、裏中演出ユニット3500を、裏左演出ユニット3300によって第一下降位置と第二下降位置との間で左端側を上下動させることで、裏中演出ユニット3500(ロゴレンズ3520)がぐらぐらと揺れているような可動演出を行うことができ、裏中演出ユニット3500の動きを楽しませることができるようになっている。
一方、裏中演出ユニット3500を通常位置の状態から第一下降位置の状態(図148(A)を参照)とした後に、裏中演出ユニット3500における裏中回動駆動モータ3514を駆動させることで、ロゴレンズ3520が上方を向くようにユニットベース3510を左右方向へ延びた軸周りに90゜回動させる。そして、ロゴレンズ3520が上方を向いて殆ど見えなくなると同時に、下側から下方へ膨出した三つの回転ランプユニット3550が出現して遊技者側から見える状態(出現位置の状態)となる(図148(B)を参照)。これにより、裏中演出ユニット3500の外観が大きく変化し、遊技者の関心を強く引付けることができると共に、何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。
裏中演出ユニット3500を第一下降位置とすると共に、三つの回転ランプユニット3550を出現位置とした状態で、回転ランプユニット3550の各回転ランプ駆動モータ3555を回転させると共に対応する裏中装飾基板3518の高輝度LEDを発光させることで、くるくる回る回転ランプにより遊技者の関心をより強く引付けることができると共に、他の遊技者に対しても本パチンコ機1への関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませることができる。
なお、図148(C)に示すように、裏中演出ユニット3500の回転ランプユニット3550を出現位置の状態としたままで、裏左演出ユニット3300の裏左昇降スライダ3307を第一下降位置と第二下降位置との間で上下動させるようにしても良く、ロゴレンズ3520の時とは違った雰囲気の可動演出を遊技者に提示することができ、多彩な可動演出により飽き難いパチンコ機1とすることができる。
ところで、裏ユニット3000における裏左演出ユニット3300には、裏中演出ユニット3500を昇降させる機構の他に、オートバイのハンドルレバーを模した裏左装飾体3320を備えている。この裏左演出ユニット3300における裏左装飾体3320は、通常の状態では、略垂直に立上った状態となっており、正面視でセンター役物2500の枠内を通して右側の部位が僅かに見えるようになっている(図110等を参照)。この裏左装飾体3320は、通常の状態から裏左回動駆動モータ3312によりその基端側(下端側)を中心として先端側が遊技領域1100の中央側へ移動するように回動させることで、その略全体が遊技者側から見えるようになる(図149を参照)。この裏左演出ユニット3300の裏左装飾体3320を、その先端側が正面視で遊技領域1100の中央側へ移動するように回動させて出現させることで、遊技者にチャンスの到来等を示唆することができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[2−12.裏下演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏下演出ユニット3600について、主に図150及び図151を参照して説明する。図150(A)は裏ユニットにおける裏下演出ユニットを前から見た斜視図であり、(B)は裏下演出ユニットを後から見た斜視図である。また、図151は、裏ユニットにおける裏下演出ユニットの動きを示す説明図である。
本例の裏下演出ユニット3600は、裏箱3020内における正面視左右方向略中央で開口3020bよりも下側に取付けられるものであり、表ユニット2000におけるセンター役物2500の透明なステージ2510の下側に配置されている。この裏下演出ユニット3600は、裏箱3020内の後壁3020aに取付けられる左右方向へ離間し前後方向に貫通すると共に上下方向に延びた長孔状の一対の案内部3601aを有したユニットベース3601と、ユニットベース3601の前側に配置され一対の案内部に夫々案内されると共に正面視左側面にラックギア3602aを有した一対のスライダ3602と、正面視左側のスライダ3602のラックギア3602aと噛合しユニットベース3601により回転可能に支持される平歯車状のピニオンギア3603と、ピニオンギア3603と噛合する駆動ギア3604と、駆動ギア3604の中心に回転軸が固定される裏下駆動モータ3605と、裏下駆動モータ3605を支持すると共に駆動ギア3604と裏下駆動モータ3605との間に配置されユニットベース3601の前側に取付けられるモータベース3606と、を備えている。
また、裏下演出ユニット3600は、一対のスライダ3602の前面に夫々取付けられ上下方向へ延びた縦部3607a、及び縦部3607aの上端同士を連結し左右方向へ延びた横部3607bを有し表面にレリーフ状の装飾が施された枠状の可動フレーム3607と、正面視右側のスライダ3602におけるラックギア3602aと噛合しユニットベース3601の前面に回転可能に支持される従動ギア3608と、ユニットベース3601の後側上部に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏下後装飾基板3609と、ユニットベース3601の前側に取付けられスライダ3602のスライド位置を検知可能なスライド検知センサ(図示は省略)と、を備えている。
更に、裏下演出ユニット3600は、可動フレーム3607よりも前側に配置されると共にユニットベース3601の前面に取付けられる前装飾ベース3611と、前装飾ベース3611の前面上部に取付けられ表面にコンピュータ等のキーボードを模した装飾が形成されていると共に部分的に透光性を有した前装飾部材3612と、前装飾部材3612と前装飾ベース3611との間に配置され前装飾部材3612におけるキーボードのキー等と対応し前後方向に貫通した複数の開口部を有した枠状の遮光部材(図示は省略)と、遮光部材と前装飾ベース3611との間に配置され前面に複数のLEDが実装された裏下前装飾基板(図示は省略)と、前装飾ベース3611における前面下部に取付けられ裏箱3020に取付けられるランプ駆動基板3041やモータ駆動基板3042と裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250内の装飾基板や駆動モータとの接続を中継する裏下中継端子板3615と、を備えている。
本例の裏下演出ユニット3600は、裏下駆動モータ3605の駆動により、一対のスライダ3602を介して枠状の可動フレーム3607を昇降させることができるようになっている。また、裏下演出ユニット3600は、裏下後装飾基板3609によりユニットベース3601の上辺付近を発光装飾させることができるようになっていると共に、裏下前装飾基板によりキーボードを模した前装飾部材3612を発光装飾させることができるようになっている。
この裏下演出ユニット3600は、詳細な図示は省略するが、正面視左側のスライダ3602に左方向へ突出する板状の検知片を備えており、この検知片をスライド検知センサにより検知することで、スライダ3602を介して可動フレーム3607のスライド位置(昇降位置)を検知することができるようになっている。なお、可動フレーム3607が最も下降した状態(通常位置の状態)の時に、検知片がスライド検知センサによって検知されるようになっている。
また、裏下演出ユニット3600は、スライダ3602における後側下部に、ユニットベース3601の案内部3601aを貫通するように後方へ延出し上下方向に離間した一対の支持ピン3602bを備えていると共に、支持ピン3602bに回転可能に挿入されると共に案内部3601a内を転動可能とされたローラブッシュ3616を備えており、スライダ3602が案内部3601aによってスムーズに案内されるようになっている。
また、裏下演出ユニット3600におけるユニットベース3601は、左右夫々のスライダ3602を挟んでピニオンギア3603及び従動ギア3608とは反対側で、スライダ3602がスライドする上下方向に対して直角方向(水平方向)でピニオンギア3603及び従動ギア3608の回転軸芯を通る軸線を挟んだ上下両側に、前方へ突出すると共にスライダ3602の右側面と接触する複数の案内突起3601bを備えている。このユニットベース3601の案内突起3601bは、スライダ3602の右側面が当接することで、スライダ3602がピニオンギア3603及び従動ギア3608から遠ざかる方向へ移動するのを規制することができるようになっており、ラックギア3602aとの噛合せが緩くなるのを防止することができるようになっている。また、ユニットベース3601の案内突起3601bは、接触したスライダ3602が摺動するようになっており、発生する摺動抵抗によって、可動フレーム3607を上昇位置で停止させた時に、裏下駆動モータ3605からの駆動力が作用しない従動ギア3608側のスライダ3602を、下がり難くすることができるようになっている。
裏下演出ユニット3600は、通常の状態(通常位置の状態)では、図示するように、可動フレーム3607の横部3607bが前装飾部材3612の上端と略同じ高さになっている。この状態から、裏下駆動モータ3605により駆動ギア3604を正面視で時計回りの方向へ回転させると、駆動ギア3604と噛合したピニオンギア3603が反時計回りの方向へ回転し、ピニオンギア3603と噛合したラックギア3602aにより正面視左側のスライダ3602が上方へスライドすることとなる。裏下延出ユニット3600は、正面視左側のスライダ3602が、一対の縦部3607aと横部3607bとで下側が開放されたコ字状の可動フレーム3607によって正面視右側のスライダ3602と連結されているので、左側のスライダ3602が上昇すると、可動フレーム3607を介して右側のスライダ3602も上昇し、可動フレーム3607全体が上昇するようになっている。
この可動フレーム3607は、スライダ3602の上昇端まで上昇することができるようになっており、最も高く上昇した状態(出現位置の状態)では、可動フレーム3607の上端がセンター役物2500におけるカバー部材2663よりも上側に位置し、可動フレーム3607内から後方に配置された液晶表示装置1900の下部の一部が臨むようになる(図161を参照)。この状態で液晶表示装置1900の表示画面における可動フレーム3607のフレーム内に該当する領域のみに所定の演出画像を表示させると、遊技者に対してあたかも可動フレーム3607内に演出画像が表示されているように錯覚させることができるようになっている。
なお、裏下演出ユニット3600は、可動フレーム3607を昇降させると、正面視右側のスライダ3602のラックギア3602aと噛合した従動ギア3608が空転するようになっている。これにより、ローラを接触させて空転させるようにした場合と比較して右側のスライダ2602に対する静摩擦抵抗を大きくすることができるので、下降端以外で可動フレーム3607を停止させた時に、右側のスライダ3602を落ち難くすることができ、可動フレーム3607が傾いてしまうのを防止することができる。また、右側のスライダ3602のラックギア3602aと噛合する従動ギア3608に駆動モータからの駆動力(抵抗力)を作用させなくても、右側のスライダ3602を落ち難くすることができるので、可動フレーム3607を昇降させるための機構を簡略化することができ、パチンコ機1に係るコストが増加するのを抑制することができると共に、余分な機構をなくすことでスペース効率を高めることができる。
[2−13.裏上演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏上演出ユニット3700について、主に図152を参照して説明する。図152(A)は裏ユニットにおける裏上演出ユニットを前から見た斜視図であり、(B)は裏上演出ユニットを後から見た斜視図である。本実施形態の裏ユニット3000における裏上演出ユニット3700は、裏箱3020内における正面視左右方向中央で開口3020bよりも上側に取付けられ、裏中演出ユニット3500よりも後側に配置されている。この裏上演出ユニット3700は、裏箱3020内に取付けられ正面視が横長矩形状で後側が開放された箱状のユニット本体3701と、ユニット本体3701内に配置され前面に幾何学状の装飾が形成された透光性を有するレンズ部材3702と、レンズ部材3702の後側でユニット本体3701の後端付近に配置され前面に複数のLEDが実装された裏上装飾基板3703と、を備えている。
また、裏上演出ユニット3700は、ユニット本体3701内における正面視左端部に取付けられ裏箱3020内を換気するためのブロワー3710を備えている。
裏上演出ユニット3700のユニット本体3701は、図示するように、ブロワー3710が取付けられる部位よりも正面視右側の前面が、下方へ向かうに従って後退するように斜めに傾斜し、所定形状で前後方向に貫通した複数の開口3701aが形成されていると共に、表面に金属光沢を有したメッキ層が備えられている。また、ユニット本体3701は、ブロワー3710が取付けられる部位の前面に複数の通気穴3701bが形成されていると共に、上部にブロワー3710の排気口3710bが臨む切欠き3701cが形成されている。
また、裏上演出ユニット3700のレンズ部材3702は、後側に配置される裏上装飾基板3703のLEDからの光を拡散させることができるように形成されており、ユニット本体3701の開口3701aが後側から閉鎖すると共に、開口3701aを通して前面の一部が遊技者側へ臨むようになっている。これにより、裏上装飾基板3703のLEDを発光させることでレンズ部材3702を通してユニット本体3701の開口3701aを発光装飾させることができるようになっている。
裏上演出ユニット3700におけるブロワー3710は、内部に前後方向へ回転軸が延びるように配置されたファン(シロッコファン)を有し、回転中心付近に前後方向へ貫通した吸気口3710aが形成されていると共に、外周に排気口3710bが形成されており、排気口3710bがユニット本体3701の切欠き3701cに臨むようにユニット本体3701に取付けられている。なお、ユニット本体3701の切欠き3701cは、裏上演出ユニット3700を裏箱3020に取付けると、裏箱3020の外周壁の上面に開口した通気口3020gに臨むようになっており、通気口3020gを通して裏箱3020内の空気を裏箱3020外へ排出して裏箱3020内の温度が上昇するのを抑制することができるようになっている。
[2−14.液晶表示装置]
続いて、本例の遊技盤4における液晶表示装置1900について説明する。この液晶表示装置1900は、裏ユニット3000における裏箱3020の後面に脱着可能に取付けられるようになっており、遊技状態に応じて所定の演出画像を表示することができるようになっている。この液晶表示装置1900は、図115や図116等に示すように、左右両側から外方へ突出した固定片1902を備えており、この固定片1902を介して裏箱3020に取付けられるようになっている。
具体的には、液晶表示装置1900は、裏箱3020における後壁3020aの後側に形成された箱枠状の固定枠3020d内へ後側から挿入されるようになっており、正面視左辺から突出した二つの固定片1902が、裏箱3020における背面視右側の二つの固定孔3020e内に挿入された上で、反対側の固定片1902がロック機構3050におけるロック本体3051の挿入口に挿入され、このロック本体3051の挿入口がロックスライダ3052により閉鎖されることで、液晶表示装置1900が裏箱3020に取付けられるようになっている。
また、液晶表示装置1900は、図114等に示すように、周辺制御部4140や液晶制御部4150(図165を参照)等を収容した周辺制御基板ボックス1910と、周辺制御基板ボックス1910の下部から後方へ延出したボリューム1912と、を備えている。このボリューム1912を適宜方向へ回転させることで、扉枠5に備えられた各スピーカ130,222,262や本体枠3に備えられたスピーカ821等から出力される音量を調節することができるようになっている。
なお、液晶表示装置1900は、バックライトとして光輝度白色LEDを用いたものとされている。
[2−15.遊技盤における可動演出]
次に、本実施形態の遊技盤4における可動演出について、主に図153乃至図163を参照して説明する。図153は裏右下演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図であり、図154は図153に続く裏右下演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図であり、図155は図154に続く裏右下演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。また、図156は裏中演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図であり、図157は図156に続く裏中演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。更に、図158は図156とは異なる状態で裏中演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図であり、図159は図158に続く裏中演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。また、図160は、裏左演出ユニットにおける裏左装飾体の動きを示す遊技盤の正面図である。また、図161は、裏下演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。更に、図162は、遊技窓から遊技盤が臨む状態で示すパチンコ機の正面図である。また、図163は、センター役物における表演出ユニットと機能表示ユニットとの関係を示す説明図である。
本例の遊技盤4は、図111等に示すように、通常の状態では、センター役物2500の窓部2501を通して後側に配置された液晶表示装置1900の表示画面が視認できるようになっている。また、遊技盤4は、通常の状態では、センター役物2500よりも後側で液晶表示装置1900の右端前面に、裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250の円筒状の装飾本体3250bが、その軸心が垂直に対して上側が左前方向へ若干た向いた状態で遊技者側から視認できるようになっている。更に、遊技盤4は、通常の状態では、裏左演出ユニット3300における裏左装飾体3320が略垂直に立上った状態となっており、正面視でセンター役物2500の窓部2501の左端でその右側の部位が遊技者側から僅かに見えるようになっている。
また、遊技盤4は、通常の状態では、裏中演出ユニット3500における横長矩形状のロゴレンズ3520が遊技者側の正面を向いた状態となっていると共に略水平に延びた状態となっており、このロゴレンズ3520がセンター役物2500におけるセンターロゴ装飾部材2641の下辺と接したように遊技者側から見えるようになっている。また、遊技盤4は、通常の状態では、裏下演出ユニット3600の可動フレーム3607がセンター役物2500のステージ2510よりも下側に位置しており、遊技者側からは殆ど見えないようになっている。
また、遊技盤4は、通常の状態では、センター役物2500における表演出ユニット2700の開閉口2701bが開閉部材2706で閉鎖された状態となっており、開閉口2701b内には開閉部材2706の前面に施された絵柄(図示は省略)が遊技者側から見えるようになっている。
本例の遊技盤4は、通常の状態から、裏右下演出ユニット3200において、裏右下装飾ユニット3250を支持するスライドベース3230が正面視右方向へのスライドするように裏右下スライド駆動モータ3204を駆動させると同時に、裏右下装飾ユニット3250が反時計周りの方向への回動するように裏右下回動駆動モータ3232を駆動させて、裏右下装飾ユニット3250を第一出現位置へ移動させる。裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250が第一出現位置に位置した状態では、図153に示すように、裏右下装飾ユニット3250の円筒状の装飾本体3250bが、装飾本体3250bがセンター役物2500におけるステージ2510を覆うカバー部材2663よりも上側の位置で略水平方向へ延びた状態となっていると共に、裏右下装飾ユニット3250におけるステー部3250aのレンズ部材3255が遊技者側から視認できる状態となっている。
また、裏右下演出ユニット3200の裏右下装飾ユニット3250が第一出現位置の状態では、裏右下装飾ユニット3250のステー部3250aが裏右演出ユニット3400における裏右ユニットベース3401の前面に位置しており、遊技者側から見ると、装飾本体3250bが液晶表示装置1900の表示画面の右端付近に位置しているように見えるようになっている。つまり、遊技者に対して、装飾本体3250bがその基端側を中心として回動したように錯覚させることができるようになっている。この第一出現位置の状態では、遊技者に対して裏右下装飾ユニット3250の円筒状の装飾本体3250bが、液晶表示装置1900の前側右端で浮いているように見せることができ、装飾本体3250bに対して遊技者の関心を強く引付けて装飾本体3250bに注目させることができるようになっている。
この状態で、裏右下スライド駆動モータ3204によりスライドベース3230と共に裏右下装飾ユニット3250を、スライドベース3230の左側の移動端まで左方向へスライドさせて、裏右下装飾ユニット3250を第二出現位置へ移動させる。この第二出現位置の状態では、図154に示すように、裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bが、液晶表示装置1900の前面で左右方向略中央、つまり、遊技領域1100の略中央に位置した状態となっているので、円筒状の装飾本体3250bを遊技者側から非常に目立つようにすることができ、装飾本体3250bへ遊技者を注目させることができるようになっている。
裏右下演出ユニット3200の裏右下装飾ユニット3250を第二出現位置に位置させた状態で、装飾本体3250b内に備えられた裏右下頭部駆動モータを駆動すると、装飾本体3250bの左端に位置した本体頭部装飾部材3267が左右方向へ延びた軸心周りに回転することとなる。なお、本例では、円筒状の装飾本体3250bの軸心が、前後方向に対して先端側(本体頭部装飾部材3267側)が若干前側を向くように傾いているので、本体頭部装飾部材3267が回転しているのを遊技者が認識し易いようになっている。そして、本体頭部装飾部材3267における三角形のレリーフの頂点と、本体上前装飾部材3262におけるホームベース状のレリーフの頂点とが一致すると、本体頭部装飾部材3267の回転を停止させた上で、装飾本体3250b内に備えられた裏右下頭部スライド駆動モータを駆動させる。
これにより、本体頭部装飾部材3267及び本体上前装飾部材3262が左方向へスライドし、本体上前装飾部材3261と本体下前装飾部材3261の互いに対向し破断状に形成された端部同士が互いに離反して、後側に配置されたレンズ部材3264が遊技者側から視認できるようになる(図155を参照)。従って、遊技者に対して裏右下装飾ユニット3250が破裂(爆発)したような可動演出を見せることができ、破裂することで何か良いことが起こるのではないかと思わせて遊技に対する期待感を高めさせることができるようになっている。
なお、裏右下演出ユニットを用いた可動演出を行う前に、液晶表示装置1900やスピーカ130,222,262,821により遊技者に対して裏右下装飾ユニット3250が時限爆弾を模したものであることを認識させるようにした場合、裏右下装飾ユニット3250が可動を開始すると、遊技者に対して時限爆弾のセットが開始されたように錯覚させることができ、遊技者をハラハラさせることができる。この裏右下装飾ユニット3250が通常位置から、第一出現位置、更に第二出現位置へ移動することで、危機が徐々に近付いてきているような演出をすることができ、遊技者をより一層ハラハラ・ドキドキさせて楽しませることができる。そして、本体頭部装飾部材3262が回転することで、いよいよ爆発のタイムリミットが迫ってきていることを認識させることが可能となり、遊技者の緊張感を高めさせることができ、遊技者の遊技に対する期待感を高めることができる。
また、本例の遊技盤4は、裏左演出ユニット3300の裏左昇降駆動モータ3303と裏右演出ユニット3400の裏右昇降駆動モータ3403を夫々同時に駆動して、裏右演出ユニット3400における裏右昇降スライダ3407の下降端の位置(第一下降位置)まで裏中演出ユニット3500を略平行な状態で下降させると、図156に示すように、裏中演出ユニット3500のロゴレンズ3520が、センター役物2500におけるセンターロゴ装飾部材2641から若干下側へ離れた状態となる。これにより、ロゴレンズ3520が液晶表示装置1900の前面上部から中心側へ移動するので、遊技者側からロゴレンズ3520が目立つようになり、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせることができる。
裏中演出ユニット3500を第一下降位置へ移動させた状態で、裏左演出ユニット3300の裏左昇降駆動モータ3303を駆動して裏左昇降スライダ3307のみを更に下降させると、図157に示すように、裏中演出ユニット3500が液晶表示装置1900の前面で傾斜する。これにより、パチンコ機1のコンセプトに沿ったロゴが施されたロゴレンズ3520が傾くことで、遊技者に対して一見してバランスが崩れたことを認識させることが可能となり、遊技者に対して通常の遊技状態から特別な遊技状態に変化するのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせることができる。
本例では、裏中演出ユニット3500におけるロゴレンズ3520が取付けられたユニットベース3510を、裏中演出ユニット3500の長手方向へ伸びた軸周りに回動させることができるようになっている。そして、裏中演出ユニット3500を通常位置の状態から第一下降位置へ移動させた状態で、裏中回動駆動モータ3514によってロゴレンズ3520が上を向くようにユニットベース3510を90゜回動させると、図158に示すように、ロゴレンズ3520の替りに半球状に下方へ膨出し左右方向に並んだ三つの回転ランプユニット3550が遊技者側から見えるように出現する。これにより、裏中演出ユニット3500の外観を大きく変化させることができ、遊技者の関心を強く引付けることができると共に、何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせることができる。
なお、裏中演出ユニット3500の回転ランプユニット3550を出現させた状態で、回転ランプユニット3550を回転させると共に発光させると、くるくる回る光により遊技者の関心をより強く引付けることができると共に、他の遊技者に対しても本パチンコ機1への関心を強く引付けることができ、パチンコ機1に注目させることができる。
本例の遊技盤4は、裏中演出ユニット3500の回転ランプユニット3550を遊技者側から見えるように出現させた状態でも、裏左演出ユニット3300における裏左昇降スライダ3307を第二下降位置まで移動させることができるようになっているので、裏左昇降スライダ3307を第一下降位置から第二下降位置側へ移動させることで、図159に示すように、回転ランプユニット3550を傾斜させることができ、ロゴレンズ3520の時とは違った雰囲気の可動演出を遊技者に提示することができる。
また、裏中演出ユニット3500の回転ランプユニット3550を遊技者側から見えるように出現させると共に、回転ランプユニット3550を発光させ状態で、裏左昇降スライダ3307を第一下降位置と第二下降位置との間で上下動させると、より緊迫感のある可動発光演出を行うことができ、遊技者をハラハラ・ドキドキさせて遊技に対する興趣を高めさせることができる。
また、遊技盤4は、図160に示すように、裏左演出ユニット3300の裏左回動駆動モータ3312を駆動させることで、オートバイのハンドルレバーを模した裏左装飾体3320を液晶表示装置1900の前面左側に出現させることができ、裏左装飾体3320の出現により遊技者に対してチャンスの到来等を示唆して遊技に対する期待感を高めさせることができる。
更に、遊技盤4は、図161に示すように、裏下演出ユニット3600における裏下駆動モータ3605により可動フレーム3607を上昇させて液晶表示装置1900の前面へ出現させることができるようになっている。そして、可動フレーム3607を上昇させた状態で、液晶表示装置1900の表示画面における可動フレーム3607のフレーム内に該当する領域のみに所定の演出画像を表示させると、遊技者に対してあたかも可動フレーム3607内に演出画像が表示されているように錯覚させることができ、遊技者を楽しませることができる。
なお、図示は省略するが、裏右下演出ユニット3200を用いた可動演出と、裏中演出ユニット3500を用いた可動演出とを適宜組合せるようにしても良く、これにより、より多彩な可動演出を遊技者に提示することができ、飽き難いパチンコ機1とすることができる。
ところで、本例の遊技盤4は、パチンコ機1の本体枠3に取付けて扉枠5の遊技窓101から臨むようにすると、図162に示すように、扉枠5における遊技窓101の外周に配置された右サイド装飾ユニット200及び皿ユニット300の表面がゴツゴツした自然の岩のような外観になっていると共に、左サイド装飾ユニット240の表面がシャープで人工的な外観となっている。そして、遊技窓101から臨む遊技盤4は、ゴツゴツした感じの右サイド装飾ユニット200や皿ユニット300の近傍には、表面に幾何学状で細かいレリーフが形成されたアタッカユニット2100、表サイドユニット2200、及びセンター役物2500のセンター前装飾ユニット2620や表演出ユニット2700等が配置されていると共に、人工的な感じの左サイドユニット2400の近傍には、透明な遊技パネル1200(パネル板1210)を通して四角形の主装飾部3110aが同心八角形状で放射状に配置された中箱演出ユニット3100が配置されている。
これにより、遊技盤4の装飾と扉枠5の装飾とで似たような雰囲気の装飾が同じような感じで配置されているので、遊技者に対して遊技盤4と扉枠5とが統一されたデザインのものであるように錯覚させることが可能となり、遊技盤4又は扉枠5の何れか一方のみが浮いて見えてしまうのを防止することができ、遊技者に違和感を与えてしまって本パチンコ機1に対する興趣を低下させてしまうのを抑制することができるようになっている。
また、本例の遊技盤4は、図163にも示すように、ステージ2510よりも下側でアタッカユニット2100の右側に配置され指紋認証システムを模したような表演出ユニット2700を備えている。この表演出ユニット2700は、第一始動口2101や第二始動口2102へ遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果に応じて、液晶表示装置1900に遊技者に対して表演出ユニット2700による指紋認証を促す演出画像が表示されると、所定時間の間、物体検知センサ2702による物体の検知が可能な状態とり、遊技者が前装飾部材2701における検出口2701aの前面に所定時間以上指を当てると、表演出駆動モータ2713により開閉部材2706が可動して開閉口2701bが開き、後側に配置された7セグメントLEDによる表示を遊技者が視認できるようになっている。
この表演出ユニット2700では、遊技者が検出口2701aの前面に指を当てると、検出口2701aの下側に配置された特別抽選結果等を表示するための機能表示ユニット1180の表示部1181(機能表示部2701d)が、遊技者の手によって見辛くなるようになっている。これにより、機能表示ユニット1180の第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186等で表示される特別抽選結果を認識し辛くすることができるので、液晶表示装置1900において特別抽選結果が示唆される前に、特別抽選結果の内容を知ってしまうのを回避させることができ、液晶表示装置1900等で行われる特別抽選結果を示唆するための演出を最後まで楽しませることができる。
[2−16.遊技盤における発光演出]
次に、本実施形態の遊技盤4における発光演出について、主に図164を参照して説明する。図164は、中箱装飾基板と共に示す遊技盤の正面図である。本例の遊技盤4は、図示するように、透明な遊技パネル1200(パネル板1220)を通して後側に配置された裏ユニット3000の中箱演出ユニット3100が遊技者側から視認できるようになっており、中箱演出ユニット3100の前面装飾部材3110によって遊技領域1100内の後側が装飾された状態となっている。
この中箱演出ユニット3100における前面装飾部材3110には、遊技領域1100の中央を中心とする略同心八角形状且つ放射状に配置された複数の主装飾部3110a(図164における網掛部分)と主装飾部3110a同士の間に配置された所定幅の副装飾部3110b(図164における斜線部分)とを備えており、各主装飾部3110a及び副装飾部3110bが後側に配置された中箱装飾基板3140によって夫々独立して発光装飾させることができるようになっている。
中箱演出ユニット3100を用いた発光演出としては、例えば、主装飾部3110aと副装飾部3110bとを同時に発光させることで該当する遊技領域1100の後側全体を発光させたり、主装飾部3110aを消灯した状態で副装飾部3110bを発光させることで遊技領域1100の後側を蜘蛛の巣のような網状に発光させたり、副装飾部3110bを消灯して主装飾部3110aを発光させることで遊技領域1100の後側をタイル状に発光させたり、主装飾部3110aや副装飾部3110bを下側から上側へ向かって順次発光させたり、主装飾部3110aや副装飾部3110bを上側から下側へ向かって順次発光させたり、主装飾部3110aや副装飾部3110bを遊技領域1100の中央側から外側へ向かって順次発光させたり、主装飾部3110aや副装飾部3110bを遊技領域1100の外側から中央側へ向かって順次発光させたり、主装飾部3110aや副装飾部3110bが遊技領域1100の中央を中心として周回するように発光させたり、することができるようになっている。
従って、複数の主装飾部3110aと複数の副装飾部3110bの発光を適宜組合せることで、遊技領域1100内の発光装飾を様々に変化させることができるので、多様な発光演出を提示することができ、飽き難いパチンコ機1とすることができると共に、複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bによって遊技領域1100内の装飾効果を高くすることができ、遊技者を楽しませることができるようになっている。
<パチンコ遊技機1において実現され得る制御>
次に、パチンコ遊技機1において実現され得る制御について説明する。以下の説明では、上記の説明では省略された構成も含めて、説明する。また、以下の説明では、一部の構成を、上記の説明とは独立的に説明しているが、以下の説明の構成は、適宜、上記の説明のパチンコ遊技機1に適用される。
[3.主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板]
次に、パチンコ遊技機1の各種制御を行う制御基板について、図165〜図169を参照して説明する。図165は主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板のブロック図であり、図166は図165のつづきを示すブロック図であり、図167は主基板を構成する払出制御基板とCRユニット及び度数表示板との電気的な接続を中継する遊技球等貸出装置接続端子板に入出力される各種検出信号の概略図であり、図168は図165のつづきを示すブロック図であり、図169は周辺制御MPUの概略を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1の制御構成は、図165に示すように、主制御基板4100、払出制御基板4110及び周辺制御基板4140から主として構成されており、各種制御が分担されている。まず、主制御基板4100について説明し、続いて払出制御基板4110、周辺制御基板4140について説明する。
[3−1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図165に示すように、各種制御プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU4100aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート4100bと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路4100cと、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路4100dと、主制御MPU4100aに内蔵されているRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリアスイッチ4100eと、を備えている。主制御MPU4100aは、その内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)や主制御内蔵RAMのほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。また、主制御MPU4100aは不揮発性のRAMが内蔵されており、この不揮発性のRAMには、主制御MPU4100aを製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな符号(世界で1つしか存在しない符号)が付された固有のIDコードが予め記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性のRAMに記憶されるため、外部装置を用いても書き換えられない。主制御MPU4100aは、不揮発性のRAMからIDコードを取り出して参照することができる。
図110〜図113に示した、第一始動口2101(上始動口2101とも呼ぶ)に入球した遊技球を検出する第一始動口センサ3102(上始動口スイッチ3102とも呼ぶ)、第二始動口2102(下始動口2102とも呼ぶ)に入球した遊技球を検出する第二始動口センサ2127(下始動口スイッチ2127とも呼ぶ)、及び一般入賞口2104に入球した遊技球を検出する一般入賞口センサ3101(一般入賞口スイッチ3101とも呼ぶ)からの検出信号は、まず主制御入力回路4100cに入力され、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力されている。また、図110〜図113に示した、ゲート部2750を通過した遊技球を検出するゲートセンサ2751(ゲートスイッチ2751とも呼ぶ)、一般入賞口2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3101、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントセンサ2128(カウントスイッチ2128とも呼ぶ)、及び図114に示した裏ユニット3000に取付けられて磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出センサ3103(磁気検出スイッチ3103とも呼ぶ)からの検出信号は、まず遊技盤4に取付けられたパネル中継端子板3040を介して主制御入力回路4100cに入力され、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力されている。
主制御MPU4100aは、これらの検出信号に基づいて、主制御I/Oポート4100bから主制御ソレノイド駆動回路4100dに制御信号を出力することにより、パネル中継端子板3040を介して始動口ソレノイド2121及びアタッカソレノイド2124に駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート4100bからパネル中継端子板3040、そして機能表示基板1191を介して上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190に駆動信号を出力したりする。
なお、本実施形態おいて、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、ゲートスイッチ2751、及びカウントスイッチ2128には、非接触タイプの電磁式の近接スイッチを用いているのに対して、一般入賞口スイッチ3101,3101には、接触タイプのON/OFF動作式のメカニカルスイッチを用いている。これは、遊技球が上始動口2101や下始動口2102に頻繁に入球するし、ゲート部2750を頻繁に通過するため、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、及びゲートスイッチ2751による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、及びゲートスイッチ2751には、寿命の長い近接スイッチを用いている。また、遊技者にとって有利となる大当り遊技状態が発生すると、大入賞口2103が開放されて遊技球が頻繁に入球するため、カウントスイッチ2128による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、カウントスイッチ2128にも、寿命の長い近接スイッチを用いている。これに対して、遊技球が頻繁に入球しない一般入賞口2104,2201には、一般入賞口スイッチ3101による検出も頻繁に発生しない。このため、一般入賞口スイッチ3101には、近接スイッチより寿命が短いメカニカルスイッチを用いている。
また、主制御MPU4100aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンド等を払出制御基板4110にシリアル方式で送信したり、この払出制御基板4110からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンド等をシリアル方式で受信したりする。また、主制御MPU4100aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドを周辺制御基板4140に送信したりする。ここで、周辺制御基板4140へ各種コマンドをシリアル方式で送信する主周シリアル送信ポートについて説明する。主制御MPU4100aは、主制御CPUコア4100aaを中心として構成されており、主制御内蔵RAMのほかに、主制御各種シリアルI/Oポートの1つである主周シリアル送信ポート4100ae等がバス4100ahを介して回路接続されている(図173を参照)。主周シリアル送信ポート4100aeは、周辺制御基板4140へ各種コマンドを主周シリアルデータとして送信するものであり、送信シフトレジスタ4100aea、送信バッファレジスタ4100aeb、シリアル管理部4100aec等を主として構成されている(図173を参照)。主制御CPUコア4100aaは、コマンドを送信バッファレジスタ4100aebにセットすると、送信開始信号をシリアル管理部4100aecに出力すると、このシリアル管理部4100aecが送信バッファレジスタ4100aebにセットされたコマンドを送信バッファレジスタ4100aebから送信シフトレジスタ4100aeaに転送して主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信開始する。本実施形態では、送信バッファレジスタ4100aebの記憶容量として32バイトを有している。主制御CPUコア4100aaは、送信バッファレジスタ4100aebに複数のコマンドをセットした後にシリアル管理部4100aecに送信開始信号を出力することによって複数のコマンドを連続的に周辺制御基板4140に送信している。
なお、主制御基板4100に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)BC0(図170参照)を備えている。このキャパシタBC0により主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。このRAMクリアスイッチ4100eの操作信号(検出信号)は、払出制御基板4110にも出力されるようになっている。
[3−2.払出制御基板]
遊技球の払い出し等を制御する払出制御基板4110は、図166に示すように、払い出しに関する各種制御を行う払出制御部4120と、発射ソレノイド654による発射制御を行うとともに、球送ソレノイド585による球送制御を行う発射制御部4130と、パチンコ遊技機1の状態を表示するエラーLED表示器860cと、エラーLED表示器860cに表示されているエラーを解除するためのエラー解除スイッチ860aと、図66に示した、賞球タンク720、タンクレール731、及び賞球装置740内の遊技球をパチンコ遊技機1の外部へ排出して球抜き動作を開始するための球抜きスイッチ860bと、を備えている。
[3−2−1.払出制御部]
払い出しに関する各種制御を行う払出制御部4120は、図166に示すように、各種制御プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである払出制御MPU4120aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート4120bと、払出制御MPU4120aが正常に動作しているか否かを監視するための外部ウォッチドックタイマ4120c(以下、「外部WDT4120c」と記載する。)と、賞球装置740の払出モータ744に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路4120dと、払い出しに関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される払出制御入力回路4120eと、CRユニット6との各種信号をやり取りするためのCRユニット入出力回路4120fと、を備えている。払出制御MPU4120aには、その内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)やRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)のほかに、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御MPU4120aは、主制御基板4100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンドを払出制御I/Oポート4120bを介してシリアル方式で受信したり、主制御基板4100からのRAMクリアスイッチ4100eの操作信号(検出信号)が払出制御I/Oポート4120bを介して入力されたりする。
図77に示した、賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741a内に遊技球の有無を検出する球切れスイッチ750、及びベースユニット741に形成された賞球通路741c内を流下する遊技球を検出する計数スイッチ751からの検出信号は、まず賞球装置740の賞球ケース内基板754を介して払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。賞球装置740の回転検出盤749に形成された検出スリット749aを検出するための回転角スイッチ752からの検出信号は、まず賞球装置740の回転角スイッチ基板753、そして賞球ケース内基板754を介して払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。
また、本体枠3に対する扉枠5の開放を検出する扉枠開放スイッチ618、及び外枠2に対する本体枠3の開放を検出する本体枠開放スイッチ619からの検出信号は、まず払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。
また、図22に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを検出する満タンスイッチ550からの検出信号は、まずハンドル中継端子板192、そして主扉中継端子板880を介して払出制御入力回路4120eに入力され、払出制御I/Oポート4120bを介して払出制御MPU4120aに入力されている。
払出制御MPU4120aは、払出モータ744を駆動するための駆動信号を、払出制御I/O4120b、そして賞球ケース内基板754を介して払出モータ744に出力したり、パチンコ遊技機1の状態をエラーLED表示器860cに表示するための信号を、払出制御I/Oポート4120bを介してエラーLED表示器860cに出力したり、パチンコ遊技機1の状態を示すためのコマンドを、払出制御I/Oポート4120bを介して主制御基板4100にシリアル方式で送信したり、実際に払い出した遊技球の球数を払出制御I/Oポート4120bを介して外部端子板784に出力したりする。この外部端子板784は、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
エラーLED表示器860cは、セグメント表示器であり、英数字や図形等を表示してパチンコ遊技機1の状態を表示している。エラーLED表示器860cが表示して報知する内容としては、次のようなものがある。例えば、図形「−」が表示されているときには「正常」である旨を報知し、数字「0」が表示されているときには「接続異常」である旨(具体的には、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の電気的な接続に異常が生じている旨)を報知し、数字「1」が表示されているときには「球切れ」である旨(具体的には、球切れスイッチ750からの検出信号に基づいて賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741a内に遊技球がない旨)を報知し、数字「2」が表示されているときには「球がみ」である旨(具体的には、回転角スイッチ752からの検出信号に基づいて賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741aと連通する振分空間741bの入り口において払出回転体748と遊技球とがその入り口近傍でかみ合って払出回転体748が回転困難となっている旨)を報知し、数字「3」が表示されているときには「計数スイッチエラー」である旨(具体的には、計数スイッチ751からの検出信号に基づいて計数スイッチ751に不具合が生じている旨)を報知し、数字「5」が表示されているときには「リトライエラー」である旨(具体的には、払い出し動作のリトライ回数が予め設定された上限値に達した旨)を報知し、数字「6」が表示されているときには「満タン」である旨(具体的には、満タンスイッチ550からの検出信号に基づいてファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンである旨)を報知し、数字「7」が表示されているときには「CR未接続」である旨(払出制御基板4110からCRユニット6までに亘るいずれかにおいて電気的な接続が切断されている旨)を報知し、数字「9」が表示されているときには「ストック中」である旨(具体的には、まだ払い出していない遊技球の球数が予め定めた球数に達している旨)を報知している。
球貸スイッチ365aからの遊技球の球貸要求信号、及び返却スイッチ365bからのプリペイドカードの返却要求信号は、まず度数表示板365、主扉中継端子板880、そして遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力されるようになっている。CRユニット6は、球貸要求信号に従って貸し出す遊技球の球数を指定した信号を、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して払出制御基板4110にシリアル方式で送信し、この信号がCRユニット入出力回路4120fを介して払出制御I/Oポート4120bで受信されて払出制御MPU4120aに入力されるようになっている。またCRユニット6は、貸し出した遊技球の球数に応じて挿入されたプリペイドカードの残度を更新するとともに、その残度を残度数表示器365cに表示するための信号を、遊技球等貸出装置接続端子板869、主扉中継端子板880、そして度数表示板365に出力し、この信号が残度数表示器365cに入力されるようになっている。
[3−2−2.発射制御部]
発射ソレノイド654による発射制御と、球送ソレノイド585による球送制御と、を行う発射制御部4130は、図166に示すように、発射に関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される発射制御入力回路4130aと、定時間毎にクロック信号を出力する発信回路4130bと、このクロック信号に基づいて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すための発射基準パルスを出力する発射タイミング制御回路4130cと、この発射基準パルスに基づいて発射ソレノイド654に駆動信号を出力する発射ソレノイド駆動回路4130dと、発射基準パルスに基づいて球送ソレノイド585に駆動信号を出力する球送ソレノイド駆動回路4130eと、を備えている。発射タイミング制御回路4130cは、発信回路4130bからのクロック信号に基づいて、1分当たり100個の遊技球が遊技領域1100に向かって打ち出されるよう発射基準パルスを生成して発射ソレノイド駆動回路4130dに出力するとともに、発射基準パルスを所定数倍した球送基準パルスを生成して球送ソレノイド駆動回路4130eに出力する。
回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ516、及び遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ518からの検出信号は、まずハンドル中継端子板192、そして主扉中継端子板880を介して発射制御入力回路4130aに入力され、発射タイミング制御回路4130cに入力されている。またCRユニット6と遊技球等貸出装置接続端子板869とが電気的に接続されると、CR接続信号として発射制御入力回路4130aに入力され、発射タイミング制御回路4130cに入力されるようになっている。回転ハンドル本体前506の回転位置に応じて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す強度を電気的に調節するポテンショメータ512からの信号は、まずハンドル中継端子板192、そして主扉中継端子板880を介して発射ソレノイド駆動回路4130dに入力されている。
この発射ソレノイド駆動回路4130dは、ポテンショメータ512からの信号に基づいて、回転ハンドル本体前506の回転位置に見合う打ち出し強度で遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すための駆動電流を、発射基準パルスが入力されたことを契機として、発射ソレノイド654に出力するようになっている。これに対して、球送ソレノイド駆動回路4130eは、球送基準パルスが入力されたことを契機として、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継端子板192を介して球送ソレノイド585に一定電流を出力することにより球送ユニット580の球送部材584が皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球を1球受け入れ、その球送基準パルスの入力が終了したことを契機として、その一定電流の出力を停止することにより球送部材584が受け入れた遊技球を打球発射装置650側へ送るようになっている。このように、発射ソレノイド駆動回路4130dから発射ソレノイド654に出力される駆動電流は可変に制御されるのに対して、球送ソレノイド駆動回路4130eから球送ソレノイド585に出力される駆動電流は一定に制御されている。
なお、払出制御基板4110に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板4110に電力を供給するためのバックアップ電源としてのキャパシタBC1(図170参照)を備えている。このキャパシタBC1により払出制御MPU4120aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、払出制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。
[3−2−3.遊技球等貸出装置接続端子板との各種信号のやり取り]
ここで、払出制御部4120とCRユニット6とにおける各種信号のやり取り、及びCRユニット6と度数表示板365とにおける各種信号のやり取りについて、図167に基づいて説明する。遊技球等貸出装置接続端子板869は、図167に示すように、CRユニット6と払出制御基板4110との基板間の電気的な接続を中継するほかに、CRユニット6と度数表示板365との基板間の電気的な接続も中継している。払出制御基板4110と遊技球等貸出装置接続端子板869との基板間、CRユニット6と遊技球等貸出装置接続端子板869との基板間、及び度数表示板365と遊技球等貸出装置接続端子板869との基板間は、各配線(ハーネス)によって電気的にそれぞれ接続されている。また、電源基板851からの後述するAC24Vが遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に供給されている。CRユニット6は、この供給されたAC24Vから所定電圧VL(本実施形態では、直流+12V(DC+12V、以下「+12V」記載する。))を、内蔵する図示しない電圧作成回路によって作成し、グランドLGとともに、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110及び度数表示板365に供給している。
度数表示板365は、その部品面に、図17に示した、貸球ユニット360の貸球ボタン361と対応する位置に押ボタンスイッチである球貸スイッチ365aが実装され、貸球ユニット360の返却ボタン362と対応する位置に押ボタンスイッチである返却スイッチ365bが実装され、貸球ユニット360の貸出残表示部363と対応する位置にセグメント表示器である残度数表示器365cが実装されている。
球貸スイッチ365a及び返却スイッチ365bは、CRユニット6からのグランドLGが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されている。球貸スイッチ365aは、貸球ボタン361が押圧操作されると、スイッチが入り(ONし)、この球貸操作信号TDSが遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力されるようになっている。返却スイッチ365bは、返却ボタン362が押圧操作されると、スイッチが入り(ONし)、この返却操作信号RESが遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力されるようになっている。
残度数表示器365cは、セグメント表示器が3個一列に並設されたものであり、これら3桁のセグメント表示器のうち1桁のセグメント表示器ずつ順次駆動する、いわゆるダイナミック点灯方式によって3桁のセグメント表示器が点灯制御されるようになっている。このような点灯制御によって、残度数表示器365cは、CRユニット6に挿入されたプリペイドカードの残額を表示したり、CRユニット6のエラーを表示したりする。残度数表示器365cは、3桁のセグメント表示器のうち1桁のセグメント表示器を指定するためのデジット信号DG0〜DG2(計3本の信号)と、この指定した1桁のセグメント表示器を点灯させて表示させる内容を指定するためのセグメント駆動信号SEG−A〜SEG−G(計7本の信号)と、がCRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されると、この入力された、デジット信号DG0〜DG2及びセグメント駆動信号SEG−A〜SEG−Gに従って1桁のセグメント表示器が順次発光され、これらの3桁のセグメント表示器の発光による内容が貸出残表示部363を通して視認することができるようになっている。なお、残度数表示器365cに隣接してCRユニットランプ365dが度数表示板365に実装されている。このCRユニットランプ365dは、CRユニット6からの所定電圧VLが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されている。所定電圧VLは、CRユニットランプ365dを介して遊技球等貸出装置接続端子板869に実装された電流制限抵抗を通って球貸可能信号TDLとしてCRユニット6に入力されている。CRユニット6は、内蔵する電圧作成回路で電源基板851から供給されたAC24Vから所定電圧VLを作成しており、球貸スイッチ365a及び返却スイッチ365bが有効である球貸可能な状態である場合には球貸可能信号TDLの論理を制御してCRユニットランプ365dを発光させ、この発光が貸出残表示部363を通して視認することができるようになっている。また、セグメント駆動信号SEG−A〜SEG−Gは、遊技球等貸出装置接続端子板869に実装された電流制限抵抗を通って残度数表示器365cに入力されている。
CRユニット6は、貸球ボタン361が押圧操作されて球貸操作信号TDSが度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されると、貸球要求信号であるBRDYを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力するようになっている。そしてCRユニット6は、1回の払出動作で所定の貸球数(本実施形態では、25球であり、金額として100円に相当する。)を払い出すための1回の払出動作開始要求信号であるBRQを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力するようになっている。BRDY及びBRQが入力される払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)は、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるための信号であるEXSを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力したり、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨又は不可能である旨を伝えるための信号であるPRDYを、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力したりする。なお、例えば、貸球ボタン361が押圧操作されると、200円分の遊技球が払い出されるように、ホールの店員等がCRユニット6に予め設定している場合には、1回の払出動作が連続して2回行われるようになっており、100円分の25球が払い出されると、続けて100円分の25球が払い出され、計200円分の50球が払い出されることとなる。
CRユニット6は、返却ボタン362が押圧操作されて返却操作信号RESが度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して入力されると、プリペイドカードを図示しない挿入口から排出して返却するようになっている。この返却されたプリペイドカードは、貸球ボタン361が押圧操作された結果、払い出された遊技球の球数に相当する金額が減算された残額が記憶されている。
[3−3.周辺制御基板]
周辺制御基板4140は、図168に示すように、主制御基板4100からの各種コマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部4150と、液晶表示装置1900の描画制御と本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の音制御とを行う液晶及び音制御部4160と、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを保持するリアルタイムクロック(以下、「RTC」と記載する。)制御部4165と、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の音量をつまみ部を回動操作することにより調節する音量調整ボリューム1912と、を備えている。
[3−3−1.周辺制御部]
演出制御を行う周辺制御部4150は、図167に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4150aと、各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ及び各種スケジュールデータを記憶する周辺制御ROM4150bと、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理をまたいで継続される各種情報(例えば、液晶表示装置1900に描画する画面を規定するスケジュールデータや各種LED等の発光態様を規定するスケジュールデータなどを管理するための情報など)を記憶する周辺制御RAM4150cと、日をまたいで継続される各種情報(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)を記憶する周辺制御SRAM4150dと、周辺制御MPU4150aが正常に動作しているか否かを監視するための周辺制御外部ウォッチドックタイマ4150e(以下、「周辺制御外部WDT4150e」と記載する。)と、を備えている。周辺制御RAM4150cは、瞬停が発生して電力がすぐ復帰する程度の時間しか記憶された内容を保持することができず、電力が長時間遮断された状態(長時間の電断が発生した場合)ではその内容を失うのに対して、周辺制御SRAM4150dは、電源基板851に設けられた図示しない大容量の電解コンデンサ(以下、「SRAM用電解コンデンサ」と記載する。)によりバックアップ電源が供給されることにより、記憶された内容を50時間程度、保持することができるようになっている。電源基板851にSRAM用電解コンデンサが設けられることにより、遊技盤4をパチンコ遊技機1から取り外した場合には、周辺制御SRAM4150dにバックアップ電源が供給されなくなるため、周辺制御SRAM4150dは、記憶された内容を保持することができなくなってその内容を失う。周辺制御外部WDT4150eは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマアップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御MPU4150aは、一定期間内(タイマがタイマアップするまで)に周辺制御外部WDT4150eのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御外部WDT4150eに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御MPU4150aは、一定期間内にクリア信号を周辺制御外部WDT4150eに出力するときには、周辺制御外部WDT4150eのタイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御MPU4150aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板4100からの各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートからランプ駆動基板3041に送信したり、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データをモータ駆動基板用シリアルI/Oポートからモータ駆動基板3042に送信したり、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データを枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートから枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したり、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データを枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートから枠周辺中継端子板868、そして周辺扉中継端子板882を介して枠装飾駆動アンプ基板194に送信したりする。
主制御基板4100からの各種コマンドは、周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートに入力されている。また、図47に示した、操作ユニット400に設けられた、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)を検出するための回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号、及び押圧操作部405の操作を検出するための押圧検出スイッチ432cからの検出信号は、枠装飾駆動アンプ基板194に設けた図示しない扉側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データが扉側シリアル送信回路から、周辺扉中継端子板882、そして枠周辺中継端子板868を介して周辺制御MPU4150aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチからの検出信号は、モータ駆動基板3042に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された可動体検出データが遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御MPU4150aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートに入力されている。周辺制御MPU4150aは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの入出力を切り替えることにより周辺制御基板4140とモータ駆動基板3042との基板間における各種データのやり取りを行うようになっている。
なお、周辺制御MPU4150aは、ウォッチドックタイマを内蔵(以下、「周辺制御内蔵WDT」と記載する。)しており、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDT4150eとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
[3−3−1a.周辺制御MPU]
次に、マイクロコンピュータである周辺制御MPU4150aについて説明する。周辺制御MPU4150aは、図169に示すように、周辺制御CPUコア4150aaを中心として、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMA(Direct Memory Accessの略)コントローラ4150ac、周辺制御バスコントローラ4150ad、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御アナログ/デジタルコンバータ(以下、周辺制御A/Dコンバータと記載する)4150ak等から構成されている。
周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御DMAコントローラ4150acに対して、内部バス4150ahを介して、各種データを読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150akに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、各種データを読み書きする。
また周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御ROM4150bに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして外部バス4150hを介して、各種データを読み込む一方、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150dに対して、内部バス4150ah、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして外部バス4150hを介して、各種データを読み書きする。
周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行う専用のコントローラであり、DMA0〜DMA3という4つのチャンネルを有している。
具体的には、周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御MPU4150aに内蔵される周辺制御内蔵RAM4150abの記憶装置と、周辺制御MPU4150aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御内蔵RAM4150abの記憶装置に対して、内部バス4150ahを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び周辺バス4150aiを介して、読み書きする。
また周辺制御DMAコントローラ4150acは、周辺制御MPU4150aに外付けされる、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御MPU4150aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御CPUコア4150aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び外部バス4150hを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ4150ad及び周辺バス4150aiを介して、読み書きする。
周辺制御バスコントローラ4150adは、内部バス4150ah、周辺バス4150ai、及び外部バス4150hをコントロールして周辺制御MPUコア4150aaの中央処理装置と、周辺制御内蔵RAM4150ab、周辺制御ROM4150b、周辺制御RAM4150c、及び周辺制御SRAM4150d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート4150ae、周辺制御内蔵WDT4150af、周辺制御各種パラレルI/Oポート4150ag、及び周辺制御A/Dコンバータ4150ak等の入出力装置と、の各種装置間において、各種データのやり取りを行う専用のコントローラである。
周辺制御各種シリアルI/Oポート4150aeは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポート、モータ駆動基板用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、主制御基板用シリアルI/Oポート、及び操作ユニット情報取得用シリアルI/Oポートを有している。
周辺制御内蔵ウォッチドックタイマ(周辺制御内蔵WDT)4150afは、周辺制御MPU4150aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマアップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせた場合には、一定期間内(タイマがタイマアップするまで)にそのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御CPUコア4150aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせて一定期間内にクリア信号を周辺制御内蔵WDT4150afに出力するときには、タイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agは、遊技盤側モータ駆動ラッチ信号、扉側モータ駆動発光ラッチ信号等の各種ラッチ信号を出力するほかに、周辺制御外部WDT4150eにクリア信号を出力したり、遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチからの検出信号をモータ駆動基板3042に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化して、このシリアル化された可動体検出データを遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御MPU4150aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートで受信するための可動体情報取得ラッチ信号を出力したり、扉枠5における上部装飾ユニット280の上部装飾基板286に実装されたLED286bの点灯信号を出力したりする。このLED286bは、上述したように、高輝度の白色LEDであり、大当り遊技状態の発生が確定している旨を伝えるための確定告知ランプとなっている。本実施形態では、LED286bと周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agとが電気的に直接接続された構成を採用することにより、LED286bと周辺制御各種パラレルI/Oポート4150agとの経路を短くすることで遊技上重量な意味を持つLED286bの点灯制御についてノイズ対策を講ずることができる。なお、LED286bの点灯制御については、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理において実行されるようになっており、このLED286bを除く他のLED等は、後述する周辺制御部定常処理において実行されるようになっている。
周辺制御A/Dコンバータ4150akは、音量調整ボリューム1912と電気的に接続されており、音量調整ボリューム1912のつまみ部が回動操作されることにより抵抗値が可変し、つまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から音楽や効果音が流れるようになっている。このように、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から音楽や効果音が流れるようになっている。なお、本実施形態では、音楽や効果音のほかに、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知する(例えば、液晶表示装置1900に繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したり等。)ための告知音も本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れるが、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム1912のつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。したがって、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて液晶表示装置1900で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
[3−3−1b.周辺制御ROM]
周辺制御ROM4150bは、周辺制御部4150、液晶及び音制御部4160、RTC制御部4165等を制御する各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ、及び各種スケジュールデータを予め記憶されている。各種スケジュールデータには、液晶表示装置1900に描画する画面を生成する画面生成用スケジュールデータ、各種LEDの発光態様を生成する発光態様生成用スケジュールデータ、音楽や効果音等を生成する音生成用スケジュールデータ、及びモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動態様を生成する電気的駆動源スケジュールデータ等がある。画面生成用スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示装置1900に描画する画面の順序が規定されている。発光態様生成用スケジュールデータは、各種LEDの発光態様を規定する発光データが時系列に配列されて構成されている。音生成用スケジュールデータは、音指令データが時系列に配列されて構成されており、音楽や効果音が流れる順番が規定されている。この音指令データには、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数の出力チャンネルのうち、どの出力チャンネルを使用するのかを指示するための出力チャンネル番号と、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックのうち、どのトラックに音楽及び効果音等の音データを組み込むのかを指示するためのトラック番号と、が規定されている。電気的駆動源スケジュールデータは、モータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データが時系列に配列されて構成されており、モータやソレノイド等の電気的駆動源の動作が規定されている。
なお、周辺制御ROM4150bに記憶されている各種制御プログラムは、周辺制御ROM4150bから直接読み出されて実行されるものもあれば、後述する周辺制御RAM4150cの各種制御プログラムコピーエリア4150cdに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されて実行されるものもある。また周辺制御ROM4150bに記憶されている、各種データ、各種制御データ及び各種スケジュールデータも、周辺制御ROM4150bから直接読み出されるものもあれば、後述する周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されるものもある。
また、周辺制御ROM4150bには、RTC制御部4165を制御する各種制御プログラムの1つとして、液晶表示装置1900の使用時間に応じて液晶表示装置1900の輝度を補正するための輝度補正プログラムが含まれている。この輝度補正プログラムは、液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、液晶表示装置1900の経年変化にともなう輝度低下を補正するものであり、後述するRTC制御部4165の内蔵RAMから液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時、現在の日時、輝度設定情報等を取得して、この取得した輝度設定情報を補正情報に基づいて補正する。この補正情報は、周辺制御ROM4150bに予め記憶されている。輝度設定情報は、後述するように、液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれているものであり、例えば、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。
[3−3−1c.周辺制御RAM]
周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cは、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア4150caと、このバックアップ管理対象ワークエリア4150caに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccと、周辺制御ROM4150bに記憶されている各種制御プログラムがコピーされたものを専用に記憶する各種制御プログラムコピーエリア4150cdと、周辺制御ROM4150bに記憶されている、各種データ、各種制御データ、及び各種スケジュールデータ等がコピーされたものを専用に記憶する各種制御データコピーエリア4150ceと、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっていないものを専用に記憶するバックアップ非管理対象ワークエリア4150cfと、が設けられている。なお、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)には、バックアップ非管理対象ワークエリア4150cfに対して値0が強制的に書き込まれてゼロクリアされる一方、バックアップ管理対象ワークエリア4150ca、バックアップ第1エリア4150cb、及びバックアップ第2エリア4150ccについては、パチンコ遊技機1の電源投入時に主制御基板4100からの電源投入コマンド(図185参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、図165に示したRAMクリアスイッチ4100eが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)であるときにはゼロクリアされる。
バックアップ管理対象ワークエリア4150caは、後述する液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理において更新される各種情報である演出情報(1fr)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1fr)と、後述する1msタイマ割り込みが発生するごとに実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理において更新される各種情報である演出情報(1ms)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1ms)と、から構成されている。ここで、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く「0」は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。そして、後述するバックアップ第1エリア4150cbからバックアップ第2エリア4150ccに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(1fr)」は、後述するように、音源内蔵VDP4160aが1画面分(1フレーム分)の描画データを液晶表示装置1900に出力すると、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU4150aに出力するようになっているため、Vブランク信号が入力されるごとに、換言すると、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(1fr)や後述する演出バックアップ情報(1fr)についても、同一の意味で用いる)。「(1ms)」は、後述するように、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(1ms)や後述する演出バックアップ情報(1ms)についても、同一の意味で用いる)。
Bank0(1fr)には、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cab、受信コマンド記憶領域4150cac、RTC情報取得記憶領域4150cad、及びスケジュールデータ記憶領域4150cae等が設けられている。ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaには、遊技盤4の各装飾基板に設けた複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATがセットされる記憶領域であり、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabには、扉枠5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATがセットされる記憶領域であり、受信コマンド記憶領域4150cacには、主制御基板4100から送信される各種コマンドを受信してその受信した各種コマンドがセットされる記憶領域であり、RTC情報取得記憶領域4150cadには、RTC制御部4165(後述するRTC41654aのRTC内蔵RAM4165aa)から取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、スケジュールデータ記憶領域4150caeには、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から受信したコマンドに基づいて、この受信したコマンドと対応する各種スケジュールデータがセットされる記憶領域である。スケジュールデータ記憶領域4150caeには、周辺制御ROM4150bから各種制御データコピーエリア4150ceにコピーされた各種スケジュールデータが読み出されてセットされるものもあれば、周辺制御ROM4150bから各種スケジュールデータが直接読み出されてセットされるものもある。
Bank0(1ms)には、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cag、可動体情報取得記憶領域4150cah、及び操作ユニット情報取得記憶領域4150cai等が設けられている。枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafには、扉枠5に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされる記憶領域であり、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagには、遊技盤4に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされる記憶領域であり、可動体情報取得記憶領域4150cahには、遊技盤4に設けた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、操作ユニット情報取得記憶領域4150caiには、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいてダイヤル操作部401の回転(回転方向)及び押圧操作部405の操作等を取得した各種情報(例えば、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成するダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)がセットされる記憶領域である。
なお、Bank0(1fr)のランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa及び枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabと、Bank0(1ms)の枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf及びモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagとは、第1領域及び第2領域という2つの領域にそれぞれ分割されている。
ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaは、後述する周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域に、遊技盤側発光データSL−DATがセットされ、次の周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域、第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが交互にセットされる。周辺制御部定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部定常処理においてランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部定常処理が実行された際に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの第1領域にセットした遊技盤側発光データSL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabは、周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域に、扉側発光データSTL−DATがセットされ、次の周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域、第2領域に扉側発光データSTL−DATが交互にセットされる。周辺制御部定常処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部定常処理において枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部定常処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの第1領域にセットした扉側発光データSTL−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafは、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域に、扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされ、次の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域、第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATが交互にセットされる。周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理において枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第2領域に扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの第1領域にセットした扉側モータ駆動データSTM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagは、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域に、遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされ、次の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域、第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが交互にセットされる。周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理においてモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるときには、前回の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの第1領域にセットした遊技盤側モータ駆動データSM−DATに基づいて処理を進行するようになっている。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア4150caに記憶されている各種情報である演出情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccについて説明する。バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccは、2つのバンクを1ペアとする2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリア4150cbは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
また、バックアップ第2エリア4150ccは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように、本実施形態では、バックアップ第1エリア4150cbは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリア4150ccは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶されるようになっている。
また、本実施形態では、通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150cb及びバックアップ第2エリア4150ccに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされるようになっているが、これらの周辺制御DMAコントローラ4150acによる高速コピーを実行するプログラムは共通化されている。つまり本実施形態では、演出情報(1fr)、演出情報(1ms)を、共通の管理手法(共通のプログラムの実行)で情報を管理している。
[3−3−1d.周辺制御SRAM]
周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御SRAM4150dは、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア4150daと、このバックアップ管理対象ワークエリア4150daに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcと、が設けられている。なお、周辺制御SRAM4150dに記憶された内容は、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)に主制御基板4100からの電源投入コマンド(図185参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、図165に示したRAMクリアスイッチ4100eが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)ときにおいても、ゼロクリアされない。この点については、上述した周辺制御RAM4150cのバックアップ管理対象ワークエリア4150ca、バックアップ第1エリア4150cb、及びバックアップ第2エリア4150ccがゼロクリアされる点と、全く異なる。また、パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで、周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容(項目)ごとに(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴など。)クリアすることができる一方、周辺制御RAM4150cに記憶されている内容(項目)については、全く表示されず、設定モードにおいてクリアすることができないようになっている。この点についても、周辺制御RAM4150cと周辺制御SRAM4150dとで全く異なる。
バックアップ管理対象ワークエリア4150daは、日をまたいで継続される各種情報である演出情報(SRAM)(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(SRAM)から構成されている。ここで、Bank0(SRAM)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、上述したように、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く「0」は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。そして、後述するバックアップ第1エリア4150dbからバックアップ第2エリア4150dcに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(SRAM)」は、周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている各種情報がバックアップ対象となっていることから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(SRAM)や後述する演出バックアップ情報(SRAM)についても、同一の意味で用いる)。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア4150daに記憶されている各種情報である演出情報(SRAM)がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcについて説明する。バックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcは、2つのバンクを1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容である演出情報(SRAM)は、演出バックアップ情報(SRAM)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcに周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリア4150dbは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
また、バックアップ第2エリア4150dcは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように、本実施形態では、バックアップ第1エリア4150dbは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリア4150dcは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア4150db及びバックアップ第2エリア4150dcの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶されるようになっている。
[3−3−2.液晶及び音制御部]
液晶表示装置1900の描画制御と本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の音制御とを行う液晶及び音制御部4160は、図168に示すように、音楽や効果音等の音制御を行うための音源が内蔵(以下、「内蔵音源」と記載する。)されるとともに液晶表示装置1900の描画制御を行う音源内蔵VDP(Video Display Processorの略)4160aと、液晶表示装置1900に表示される画面の各種キャラクタデータに加えて音楽や効果音等の各種音データを記憶する液晶及び音制御ROM4160bと、シリアル化された音楽や効果音等をオーディオデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するオーディオデータ送信IC4160cと、を備えている。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からのコマンドと対応する画面生成用スケジュールデータを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットし、このスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータの先頭の画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力した後に、後述するVブランク信号が入力されたことを契機として、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータに従って先頭の画面データに続く次の画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータに従って、この画面生成用スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の画面データから1つずつ音源内蔵VDP4160aに出力する。
また周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からのコマンドと対応する音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットし、このスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力した後に、Vブランク信号が入力されたことを契機として、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータに従って先頭の音指令データに続く次の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。このように、周辺制御MPU4150aは、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータに従って、この音生成用スケジュールデータに時系列に配列された音指令データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の音指令データから1つずつ音源内蔵VDP4160aに出力する。
[3−3−2a.音源内蔵VDP]
音源内蔵VDP4160aは、上述した内蔵音源のほかに、周辺制御MPU4150aから画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて液晶及び音制御ROM4160bからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを生成するためのVRAMも内蔵(以下、「内蔵VRAM」と記載する。)している。音源内蔵VDP4160aは、内蔵VRAM上に生成した描画データを液晶表示装置1900に出力する。このように、周辺制御MPU4150aが液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の画面データを音源内蔵VDP4160aに出力すると、音源内蔵VDP4160aは、この入力された画面データに基づいて液晶及び音制御ROM4160bからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1900に出力する。つまり、「1画面分(1フレーム分)の画面データ」とは、液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成するためのデータのことである。
また音源内蔵VDP4160aは、1画面分(1フレーム分)の描画データを液晶表示装置1900に出力すると、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU4150aに出力する。本実施形態では、液晶表示装置1900のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が出力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号が入力されたことを契機として、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理を実行するようになっている。ここで、Vブランク信号が出力される間隔は、液晶表示装置1900の液晶サイズによって多少変化する。また、周辺制御MPU4150aと音源内蔵VDP4160aとが実装された周辺制御基板4140の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合がある。
なお、音源内蔵VDP4160aは、フレームバッファ方式が採用されている。この「フレームバッファ方式」とは、液晶表示装置1900の画面に描画する1画面分(1フレーム分)の描画データをフレームバッファ(内蔵VRAM)に保持し、このフレームバッファ(内蔵VRAM)に保持した1画面分(1フレーム分)の描画データを液晶表示装置1900に出力する方式である。
また、音源内蔵VDP4160aは、主制御基板4100からのコマンドに基づいて周辺制御MPU4150aから上述した音指令データが入力されると、液晶及び音制御ROM4160bに記憶されている音楽や効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに規定された、トラック番号に従って音楽及び効果音等の音データをトラックに組み込むとともに、出力チャンネル番号に従って使用する出力チャンネルを設定して本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。なお、音指令データには、音データを組み込むトラックの音量を調節するためのサブボリューム値も含まれており、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックには、音楽や効果音等の演出音の音データとその音量を調節するサブボリューム値のほかに、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音の音データとその音量を調節するサブボリューム値が組み込まれる。具体的には、演出音に対しては、上述した、音量調整ボリューム1912のつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームがサブボリューム値として設定され、報知音に対しては、音量調整ボリューム1912のつまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されず最大音量がサブボリューム値として設定されるようになっている。演出音のサブボリューム値は、図47に示した、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで後述する設定モードへ移行して調節することができるようになっている。また、音指定データには、出力するチャンネルの音量を調節するためのマスターボリューム値も含まれており、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数の出力チャンネルには、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックうち、使用するトラックに組み込まれた演出音の音データと、使用するトラックに組み込まれた演出音の音量を調節するサブボリューム値と、を合成して、この合成した演出音の音量を、実際に、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力するようになっている。本実施形態では、マスターボリューム値は一定値に設定されており、合成した演出音の音量が最大音量であるときに、マスターボリューム値まで増幅されることでにより、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音量が許容最大音量となるように設定されている。具体的には、演出音に対しては、複数のトラックのうち、使用するトラックに組み込まれた演出音の音データと、使用するトラックに組み込まれた演出音の音量を調節するサブボリューム値として設定された音量調整ボリューム1912のつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームと、を合成して、この合成した演出音の音量を、実際に、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力し、報知音に対しては、使用するトラックに組み込まれた報知音の音データと、使用するトラックに組み込まれた報知音の音量を調節するサブボリューム値として設定された音量調整ボリューム1912のつまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されず最大音量と、を合成して、この合成した報知音の音量を、実際に、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した報知音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。ここで、演出音が本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れている場合に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するため報知音を流す制御について簡単に説明すると、まず演出音が組み込まれているトラックのサブボリューム値を強制的に消音に設定し、この演出音が組み込まれたトラックの音データと、その消音に設定したサブボリューム値と、報知音が組み込まれたトラックの音データと、報知音の音量が最大音量に設定されたサブボリューム値と、を合成し、この合成した演出音の音量と報知音の音量とを、実際に、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音量となるマスターボリューム値まで増幅し、この増幅した演出音及び報知音をシリアル化してオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力する。つまり、実際に、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音は、最大音量の報知音だけが流れることとなる。このとき、演出音は消音となっているため、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れないものの、演出音は、上述した音生成用スケジュールデータに従って進行している。本実施形態では、報知音は所定期間(例えば、90秒)だけ本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れとなるようになっており、この所定期間経過すると、これまで消音に強制的に設定された音生成用スケジュールデータに従って進行している演出音の音量が、音量調整ボリューム1912のつまみ部が回動操作されて調節された基板ボリュームがサブボリューム値として再び設定され(このとき、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行して調節されいる場合には、その調節された演出音のサブボリューム値に設定され)、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れるようになっている。このように、演出音が本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れている場合に、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するため報知音が流れるときには、演出音の音量が消音になって報知音が本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れるものの、この消音となった演出音は、音生成用スケジュールデータに従って進行しているため、報知音が所定期間経過して本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れなくなると、演出音は、報知音が流れ始めたところから再び流れ始めるのではなく、報知音が流れ始めて所定期間経過した時点まで音生成用スケジュールデータに従って進行したところから再び流れ始めるようになっている。
[3−3−2b.液晶及び音制御ROM]
液晶及び音制御ROM4160bは、極めて多くのキャラクタデータに加えて、音楽、効果音、報知音、及び告知音等の各種音データも予め記憶されている。
[3−3−2c.オーディオデータ送信IC]
オーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されるようになっている。なお、オーディオデータ送信IC4160cは、周辺制御基板4140から枠装飾駆動アンプ基板194に亘る基板間を、左右それぞれ差分方式のシリアルデータとしてオーディオデータを出力することにより、例えば、左側オーディオデータのプラス信号、マイナス信号にノイズの影響を受けても、プラス信号に乗ったノイズ成分と、マイナス信号に乗ったノイズ成分と、を枠装飾駆動アンプ基板194で合成して1つの左側オーディオデータにする際に、互いにキャンセルし合ってノイズ成分が除去されるようになっているため、ノイズ対策を講じることができる。
[3−3−3.RTC制御部]
年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを保持するRTC制御部4165は、図168に示すように、RTC4165aを中心として構成されている。このRTC4165aには、カレンダー情報と時刻情報とが保持されるRAM4165aaが内蔵(以下、「RTC内蔵RAM4165aa」と記載する。)されている。RTC4165aは、駆動用電源及びRTC内蔵RAM4165aaのバックアップ用電源として電池4165b(本実施形態では、ボタン電池を採用している。)から電力が供給されるようになっている。つまりRTC4165aは、周辺制御基板4140(パチンコ遊技機1)からの電力が全く供給されずに、周辺制御基板4140(パチンコ遊技機1)と独立して電池4165bから電力が供給されている。これにより、RTC4165aは、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても、電池4165bからの電力供給により、カレンダー情報や時刻情報を更新保持することができるようになっている。
周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、RTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaからカレンダー情報や時刻情報を取得して上述した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにセットし、この取得したカレンダー情報や時刻情報に基づく演出を液晶表示装置1900で繰り広げることができるようになっている。このような演出としては、例えば、12月25日であればクリスマスツリーやトナカイの画面が液晶表示装置1900で繰り広げられたり、大晦日であれば新年カウントダウンを実行する画面が液晶表示装置1900で繰り広げられたりする等を挙げることができる。カレンダー情報や時刻情報は、工場出荷時に設定される。
なお、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報や時刻情報のほかに、液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合にはLEDの輝度設定情報が記憶保持されている。周辺制御MPU4150aは、液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、RTC内蔵RAM4165aaから輝度設定情報を取得してバックライトの輝度調整をPWM制御により行う。輝度設定情報は、液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれている。さらに、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報、時刻情報や輝度設定情報のほかに、カレンダー情報、時刻情報、及び輝度設定情報をRTC内蔵RAM4165aaに最初に記憶した年月日及び時分秒の情報として入力日時情報も記憶されている。また周辺制御MPU4150aは、液晶表示装置1900のバックライトが冷陰極管タイプのものが装着されている場合には、バックライトのON/OFF制御もしくはONのみとするようになっている。RTC内蔵RAM4165aaに記憶される、カレンダー情報、時刻情報、輝度設定情報、及び入力日時情報等の各種情報は、遊技機メーカの製造ラインにおいて設定される。製造ラインにおいては、例えば液晶表示装置1900の表示テスト等の各種テストを行うため、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時として入力日時情報が製造ラインで入力された年月日及び時分秒である製造日時に設定される。
このように、RTC内蔵RAM4165aaには、カレンダー情報や時刻情報のほかに、液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合における輝度設定情報、及び入力日時情報等、パチンコ遊技機1の機種情報(例えば、低確率や高確率における大当り遊技状態が発生する確率など)とは独立して維持が必要な情報を記憶保持することができるようになっている。
また、RTC内蔵RAM4165aaに記憶保持される輝度設定情報等は、パチンコ遊技機1が設置されるホールの環境によっては製造日時に設定された液晶表示装置1900のバックライトの輝度では明るすぎたり、暗すぎたりする場合もある。そこで、図47に示した、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行してバックライトの輝度を所定の輝度に調節することができるようになっている。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が液晶表示装置1900に表示されるほかに、客待ち状態となって液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することでカレンダー情報、時刻情報を再設定したり、バックライトの輝度を所望の輝度に調節したりすることができる。この調節された所望の輝度は、輝度設定情報に記憶されるLEDの輝度として上書き(更新記憶)されるようになっている。なお、設定モードでは、周辺制御MPU4150aは、上述した輝度補正プログラムを実行することにより、液晶表示装置1900のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、液晶表示装置1900の経年変化にともなう輝度低下を補正する。周辺制御MPU4150aは、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから、入力日時情報を取得して液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時を特定し、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定し、液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と現在設定されている液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度とを有する輝度設定情報を取得する。この取得した輝度設定情報を周辺制御ROM4150bに予め記憶されている補正情報に基づいて補正する。例えば、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、液晶表示装置1900を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM4150bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。なお、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから、直接、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定してもいいし、後述する周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1002の現在時刻情報取得処理において周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにおける、カレンダー情報記憶部にセットされて周辺制御基板4140のシステムにより更新される現在のカレンダー情報と、時刻情報記憶部にセットされて周辺制御基板4140のシステムにより更新される現在の時刻情報と、を取得して現在の日時を特定してもいい。
[3−3−4.音量調整ボリューム]
音量調整ボリューム1912は、上述したように、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の音量をつまみ部を回動操作することにより調節することができるようになっている。音量調整ボリューム1912は、上述したように、そのつまみ部が回動操作されることにより抵抗値が可変するようになっており、電気的に接続された周辺制御A/Dコンバータ4150akがつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、上述したように、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から音楽や効果音が流れるようになっている。このように、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から音楽や効果音が流れるようになっている。また、本実施形態では、上述したように、音楽や効果音のほかに、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知する(例えば、液晶表示装置1900に繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したり等。)ための告知音も本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れるが、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160(後述する音源内蔵VDP4160a)を制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム1912のつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。したがって、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて液晶表示装置1900で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
なお、本実施形態では、音量調整ボリューム1912のつまみ部を回動操作することにより音楽や効果音の音量を調節するようにっていることに加えて、図47に示した、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで設定モードへ移行して音楽や効果音の音量を調節することができるようになっている。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が液晶表示装置1900に表示されるほかに、客待ち状態となって液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作すると、設定モードを行うための画面が液晶表示装置1900に表示されるようになっている。この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで音楽や効果音の音量を所望の音量に調節することができる。具体的には、音量調整ボリューム1912のつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、周辺制御A/Dコンバータ4150akがアナログ値からデジタル値に変換して、この変換した値に対して、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作に応じて所定値を加算又は減算することによって、基板ボリュームの値を増やしたり、又は減らしたりすることができるようになっている。この調節された音量は、音源内蔵VDP4160aの内蔵音源における複数のトラックのうち、音楽や効果音等の演出音の音データが組み込まれたトラックに対して、サブボリューム値として設定更新されて演出音の音量の調節に反映されるものの、上述した報知音や告知音の音量に調節に反映されないようになっている。
このように、本実施形態では、音量調整ボリューム1912のつまみ部を直接回動操作することにより音楽や効果音の音量を調節する場合と、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作に応じて所定値を加算又は減算することによって、基板ボリュームの値を増やしたり、又は減らしたりすることにより音楽や効果音の音量を調節する場合と、の2つの方法がある。音量調整ボリューム1912は、周辺制御基板4140に実装されているため、本体枠3を外枠2から必ず開放した状態にする必要がある。そうすると、音量調整ボリューム1912のつまみ部を回動操作することができるのは、ホールの店員となる。ところが、ホールの店員が調節した音量では、遊技者にとって小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合もあるし、遊技者にとって大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合もある。そこで、パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作したり、客待ち状態となって液晶表示装置1900によるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作したりした場合には、設定モードを行うための画面が液晶表示装置1900に表示され、この設定モードの画面に従って操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作することで音楽や効果音の音量を所望の音量に調節することができるようになっている。これにより、遊技者は所望の音量に音楽や効果音の音量を調節することができるため、ホールの店員が調節した音量を小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで大きくすることができるし、ホールの店員が調節した音量を大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合には、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで小さくすることができる。
また、本実施形態では、パチンコ遊技機1において遊技が行われていない状態が所定時間継続され、客待ち状態となって液晶表示装置1900によるデモンストレーションが繰り返し行われると(例えば、10回)、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量がキャンセルされて、音量が初期化されるようになっている。この音量の初期化では、ホールの店員が調節した音量、つまりホールの店員が音量調整ボリューム1912のつまみ部を直接回動操作して調節した音量となるようになっている。これにより、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量を小さく感じて音楽や効果音を聞き取り難い場合には、今回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行う遊技者が操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで大きくすることができるし、前回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行っていた遊技者が調節した音量をを大きく感じて音楽や効果音をうるさく感じる場合には、今回、パチンコ遊技機1の前面に着座して遊技を行う遊技者が操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405を操作して所望の音量まで小さくすることができる。
[4.電源システム]
次に、パチンコ遊技機1に供給される電力について、図170、及び図171を参照して説明する。図170はパチンコ遊技機の電源システムを示すブロック図であり、図171は図170のつづきを示すブロック図である。まず、電源基板851について説明し、続いて各制御基板等に供給される電源について説明する。なお、各種基板のグランドや各種端子板のグランドは、図示しないが、電源基板851のグランドと電気的に接続されている。
[4−1.電源基板]
電源基板851は、電源コードと電気的に接続されており、この電源コードのプラグがパチンコ島設備の電源コンセントに差し込まれている。図86に示した電源スイッチ852を操作すると、パチンコ島設備から供給されている電力が電源基板851に供給され、パチンコ遊技機1の電源投入を行うことができる。
電源基板851は、図170に示すように、全波整流回路851a、力率改善回路851b、平滑化回路851c、+5.2V作成回路851d、+5.25V作成回路851e、+12V作成回路851f、+24V作成回路851gを備えている。全波整流回路851aは、パチンコ島設備から供給されている交流24ボルト(AC24V)を全波整流して力率改善回路851bに供給している。この力率改善回路851bは、全波整流された電力の力率を改善して直流+37V(DC+37V、以下、「+37V」と記載する。)を作成して平滑化回路851cに供給している。この平滑化回路851cは、入力される+37Vのリップルを除去して+37Vを平滑化させて+5.2V作成回路851d、+5.25V作成回路851e、+12V作成回路851f、+24V作成回路851g、払出制御基板4110、及び枠周辺中継端子板868にそれぞれ供給している。+5.2V作成回路851dは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+5.2V(DC+5.2V、以下、「+5.2V」と記載する。)を作成している。この+5.2Vが印加されて供給される電源系統が+5.2V電源ラインとなる。+5.25V作成回路851eは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+5.25V(DC+5.25V、以下、「+5.25V」と記載する。)を作成している。この+5.25Vが印加されて供給される電源系統が+5.25V電源ラインとなる。+12V作成回路851fは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+12V(DC+12V、以下、「+12V」と記載する。)を作成している。この+12Vが印加されて供給される電源系統が+12V電源ラインとなる。+24V作成回路851gは、平滑化回路851cから供給される+37Vから直流+24V(DC+24V、以下、「+24V」と記載する。)を作成している。この+24Vが印加されて供給される電源系統が+24V電源ラインとなる。+5.2V作成回路851d、+12V作成回路851f、及び+24V作成回路851gで作成される電圧は、払出制御基板4110に供給され、+5.25V作成回路851e、+12V作成回路851f、及び+24V作成回路851gで作成される電圧は、枠周辺中継端子板868に供給されている。なお、パチンコ島設備から供給されているAC24Vは、全波整流回路851aのほかに、電源基板851を介して遊技球等貸出装置接続端子板869にも供給されている。
また、電源基板851は、キャパシタBC0,BC1を備えている。キャパシタBC0は、主制御基板4100の主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(主制御内蔵RAM)のバックアップ電源であり、キャパシタBC1は、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aに内蔵されたRAM(払出制御内蔵RAM)のバックアップ電源である。
+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vは、後述するように、払出制御基板4110に供給されるとともに、払出制御基板4110を介して主制御基板4100に供給されている。払出制御基板4110に供給される+5.2Vは、払出制御MPU4120aの電源端子に印加されるとともに、ダイオードPD0を介して払出制御内蔵RAMの電源端子に印加されるようになっている。主制御基板4100に供給される+5.2Vは、主制御MPU4100aの電源端子に印加されるとともに、ダイオードMD0を介して主制御内蔵RAMの電源端子に印加されるようになっている。
電源基板851のキャパシタBC1のマイナス端子(以下、「キャパシタBC1の−端子」と記載する。)は、グランドと接地される一方、そのプラス端子(以下、「キャパシタBC1の+端子」と記載する。)は、払出制御基板4110の払出制御内蔵RAMの電源端子と電気的に接続されるとともに、払出制御基板4110のダイオードPD0のカソード端子とも電気的に接続されている。つまり、+5.2V作成回路851dからの電力は、払出制御MPU4120aの電源端子に向かって電流が流れるとともに、ダイオードPD0により順方向である払出制御内蔵RAMの電源端子と、キャパシタBC1の+端子と、に向かって電流が流れるようになっている。このように、キャパシタBC1は、+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vが払出制御基板4110、そして再び払出制御基板4110から電源基板851に戻ってくるという電気的な接続方法により+5.2Vが印加されて充電することができるようになっている。これにより、+5.2V作成回路851dからの電力が払出制御基板4110に供給されなくなった場合には、キャパシタBC1に充電された電荷が払VBBとして払出制御基板4110に供給されるようになっているため、払出制御MPU4120aの電源端子にはダイオードPD0により電流が妨げられて流れず払出制御MPU4120aが作動しないものの、払出制御内蔵RAMの電源端子には払VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
電源基板851のキャパシタBC0のマイナス端子(以下、「キャパシタBC0の−端子」と記載する。)は、グランドと接地される一方、そのプラス端子(以下、「キャパシタBC0の+端子」と記載する。)は、払出制御基板4110を介して主制御基板4100の主制御内蔵RAMの電源端子と電気的に接続されるとともに、主制御基板4100のダイオードMD0のカソード端子とも電気的に接続されている。つまり、+5.2V作成回路851dからの電力は、主制御MPU4100aの電源端子に向かって電流が流れるとともに、ダイオードMD0により順方向である主制御内蔵RAMの電源端子と、キャパシタBC0の+端子と、に向かって電流が流れるようになっている。このように、キャパシタBC0は、+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vが払出制御基板4110、主制御基板4100、そして再び払出制御基板4110から電源基板851に戻ってくるという電気的な接続方法により+5.2Vが印加されて充電することができるようになっている。これにより、+5.2V作成回路851dからの電力が主制御基板4100に供給されなくなった場合には、キャパシタBC0に充電された電荷が主VBBとして主制御基板4100に供給されるようになっているため、主制御MPU4100aの電源端子にはダイオードMD0により電流が妨げられて流れず主制御MPU4100aが作動しないものの、主制御内蔵RAMの電源端子には主VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
[4−2.各制御基板等に供給される電圧]
次に、各制御基板等に供給される電圧についての概要を説明し、続いて、主として払出制御基板4110、主制御基板4100、及び発射電源基板831に供給される電圧ついて説明する。
電源基板851で作成された+5.2V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、図170に示すように、払出制御基板4110に供給されるとともに、この払出制御基板4110を介して主制御基板4100にも供給されている。また電源基板851で作成された+5.25V、+12V、+24V、及び+37Vという4種類の電圧は、枠周辺中継端子板868に供給されるとともに、この枠周辺中継端子板868を介して周辺制御基板4140に供給される一方、その4種類の電圧のうち、+5.25V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧が周辺扉中継端子板882に供給されている。周辺制御基板4140に供給される+5.25V、+12V、+24V、及び+37Vという4種類の電圧は、図171(a)に示すように、その4種類の電圧のうち、+5.25V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧がランプ駆動基板3041のランプ駆動回路3041aに供給されてランプ駆動回路3041aから遊技盤4の各種装飾基板に点灯信号、点滅信号や階調点灯信号等の各種信号が出力され、その4種類の電圧がモータ駆動基板3042の駆動源駆動回路3042aに供給されて駆動源駆動回路3042aから遊技盤4のモータやソレノイド等の電気的駆動源に駆動信号を出力している。また、その4種類の電圧のうち、+24V及び+37Vという2種類の電圧が液晶表示装置1900に供給されている。液晶表示装置1900は、描画制御される液晶モジュール1900aと、この液晶モジュール1900aのバックライト用の電源であるバックライト電源と、を備えており、+24Vが液晶モジュール1900aに供給され、+37Vがバックライト電源に供給されている。これに対して、周辺扉中継端子板882に供給される+5.25V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、図171(b)に示すように、枠装飾駆動アンプ基板194に供給されており、その3種類の電圧のうち、+12Vが+9V作成回路194aに供給されて直流+9V(DC+9V、以下、「+9V」と記載する。)を作成している。枠装飾駆動アンプ基板194は、その3種類の電圧に加えて、+9V作成回路194aで作成される+9Vを合わせた4種類の電圧を扉枠5の各種装飾基板等に供給している。
[4−2−1.払出制御基板に供給される電圧]
払出制御基板4110は、図170に示すように、払出制御MPU4120a等のほかに、払出制御フィルタ回路4110a、停電監視回路4110bも備えている。この払出制御フィルタ回路4110aは、電源基板851からの+5.2Vが供給されており、この+5.2Vからノイズを除去している。この+5.2Vは、ダイオードPD0を介して電源基板851のキャパシタBC1に供給されるほかに、例えば、払出制御部4120の払出制御MPU4120a等に供給されている。停電監視回路4110bは、電源基板851からの+12V及び+24Vが供給されており、これら+12V及び+24Vの停電又は瞬停の兆候を監視している。停電監視回路4110bは、+12V及び+24Vの停電又は瞬停の兆候を検出すると、停電予告として停電予告信号を主制御基板4100の主制御MPU4100aに出力する。この停電予告信号は、主制御基板4100を介して、周辺制御基板4140に伝わることにより、この周辺制御基板4140を介して、図171(a),(b)に示すように、液晶表示装置1900のバックライト電源1900bに伝わる一方、枠周辺中継端子板868、周辺扉中継端子板882、そして枠装飾駆動アンプ基板194にも伝わって、枠装飾駆動アンプ基板194を介して、扉枠5の各種装飾基板等に伝わるようになっている。
なお、+12V及び+24Vは、停電監視回路4110bに供給されるほかに、+12Vは、例えば、払出制御部4120の払出制御入力回路4120e等にも供給され、+24Vは、例えば、払出制御部4120の払出モータ駆動回路4120d等にも供給されている。また、電源基板851からの+37は、払出制御基板4110において何ら使用されずに、払出制御基板4110を介して、そのまま発射電源基板831に供給されている。発射電源基板831は、供給される+37Vから後述する所定電圧を作成して発射制御部4130の発射ソレノイド駆動回路4130dに供給している。
このように、停電監視回路4110bを本体枠3側の払出制御基板4110に備えることによって、遊技盤4を製造するごとに停電監視回路4110bを搭載する必要がまったくなくなるため、遊技盤4の製造コスト削減に寄与することができる。
ここで、本実施形態では、払出制御基板4110に停電監視回路4110bを備えた構成としている理由について簡単に説明する。電源基板851からの+5.2V、+12V、及び+24Vは、上述したように、払出制御基板4110を介して主制御基板4100に供給されている。換言すると、本体枠3側に備える電源基板851からの+5.2V、+12V、及び+24Vは、遊技盤4側に備える主制御基板4100に対して、伝送経路として最も近い関係となっている本体枠3側に備える払出制御基板4110を介して供給されている。これにより、電源基板851に停電監視回路を備える場合と比べて、主制御基板4100に対して伝送経路としてより近い関係で+12V及び+24Vの停電又は瞬停の兆候を監視することができるため、停電予告信号を主制御基板4100に伝える伝送経路を短く構成することによって主制御基板4100が重要な遊技情報のバックアップを開始するタイミングを速くすることに寄与することができる。また、上述した、+12V電源ラインと+24V電源ラインとの2つの電源ラインに印加される電圧をそれぞれ監視することによって、+12V電源ライン又は+24V電源ラインの一方の電源ラインに印加される電圧を監視する場合と比べて、停電又は瞬停等の電源断の兆候をより正確に把握することができる。また、最近のパチンコ遊技機では、扉枠や遊技盤等に極めて多くの電飾を設けることによって、煌びやかな演出や迫力ある魅力的な演出を遊技者に提供しており、電飾の数が増加する傾向にある。これに伴って消費電力も大きくなってきており、電源基板を改良する機会も増加してきている。これに対して、払出制御基板は、専ら遊技球の払出動作等を行う基板であるため、払出に関する大きなシステム改良がなければ、作り直す機会が極めて少ない。そこで、本実施形態では、上述した理由により、停電監視回路4110bを、電源基板851に備えた構成を採用せず、払出制御基板4110に備えた構成を採用した。
[4−2−2.主制御基板に供給される電圧]
主制御基板4100は、図170に示すように、主制御MPU4100a等のほかに、主制御フィルタ回路4100gも備えている。主制御フィルタ回路4100gは、払出制御基板4110からの+5.2Vが供給されており、この+5.2Vからノイズを除去している。この+5.2Vは、ダイオードMD0を介して電源基板851のキャパシタBC0に供給されるほかに、例えば、主制御MPU4100a等に供給されている。払出制御基板4110からの+12Vは、例えば、主制御入力回路4100c等に供給され、払出制御基板4110からの+24Vは、例えば、主制御ソレノイド駆動回路4100d等に供給されている。
[4−2−3.発射電源基板に供給される電圧]
発射電源基板831は、図170に示すように、DC/DCコンバータ831a、電解コンデンサSC0(本実施形態では、静電容量:4700マイクロファラッド(μF))を備えている。DC/DCコンバータ831aは、払出制御基板4110からの+37Vを降圧して直流+35V(DC+35V、以下、「+35V」と記載する。)を作成して払出制御基板4110における発射制御部4130の発射ソレノイド駆動回路4130dに供給している。
電解コンデンサSC0のマイナス端子(以下、「電解コンデンサSC0の−端子」と記載する。)は、グランドと接地される一方、そのプラス端子(以下、「電解コンデンサSC0の+端子」と記載する。)は、DC/DCコンバータ831aの+35V出力端子と電気的に接続されている。つまり、電解コンデンサSC0は、DC/DCコンバータ831aから出力される+35Vが印加されることで充電されるようになっている。本実施形態では、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0に充電された電荷の放電による電流と、が併合された併合電流が払出制御基板4110の発射ソレノイド駆動回路4130dに流れるようになっている。その詳細な説明を後述する。
なお、上述したように、電源基板851からの+5.2Vは、払出制御基板4110に供給されるのに対して、電源基板851からの+5.25Vは、枠周辺中継端子板868に供給されている。+5.2V及び+5.25Vは、各制御基板の制御基準電圧となるものであるが、電源基板851と配線(ハーネス)を介して電気的に接続された場合に、配線のトータル長さ、つまり電源経路が短い、払出制御基板4110と主制御基板4100とに対しては、その配線に伴う電圧ドロップ(電圧降下)を小さく見積もることができるため、+5.2Vが電源基板851から供給されるのに対して、配線のトータル長さ、つまり電源経路が払出制御基板4110と主制御基板4100とに比べて長い、周辺制御基板4140や枠装飾駆動アンプ基板194に加えて、周辺制御基板4140に従属する、ランプ駆動基板3041、及びモータ駆動基板3042や枠装飾駆動アンプ基板194に従属する扉枠側の各種装飾基板等に対しては、その配線に伴う電圧ドロップ(電圧降下)が無視できないため、払出制御基板4110と主制御基板4100とに供給される+5.2Vより高い電圧である+5.25Vが電源基板851から供給されている。
[5.主制御基板の回路]
次に、図165に示した主制御基板4100の回路等について、図172、及び図173を参照して説明する。図172は主制御基板の回路を示す回路図であり、図173は主制御基板と周辺制御基板との基板間の通信用インターフェース回路を示す回路図である。まず、図170に示した主制御フィルタ回路4100gについて説明し、続いて主制御基板4100で作成された電源、主制御システムリセットIC、主制御水晶発振器、主制御入力回路、主制御I/Oポート4100b等の各種入出力信号、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間の通信用インターフェース回路について説明する。
主制御基板4100は、図172に示すように、主制御MPU4100a、主制御I/Oポート4100b、主制御3端子フィルタMIC0のほかに、周辺回路として、リセット信号を出力する主制御システムリセットMIC1、クロック信号を出力する主制御水晶発振器MX0(本実施形態では、24メガヘルツ(MHz))を主として構成されている。
[5−1.主制御フィルタ回路]
主制御フィルタ回路4100gは、図172に示すように、主制御3端子フィルタMIC0を主として構成されている。この主制御3端子フィルタMIC0は、T型フィルタ回路であり、フェライトで磁気シールドした減衰特性の優れたものである。主制御3端子フィルタMIC0は、その1番端子に、図170に示した、電源基板851から払出制御基板4110を介して+5.2Vが印加され、その2番端子がグランドと接地され、その3番端子からノイズ成分を除去した+5.2Vが出力されている。1番端子に印加される+5.2Vは、グランド(GND)と接地された電解コンデンサMC0により、まずリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている。
3番端子から出力される+5.2Vは、グランドと接地された、コンデンサMC1、及び電解コンデンサMC2(本実施形態では、静電容量:470マイクロファラッド(μF))により、さらにリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5.2Vは、主制御システムリセットMIC1の電源端子、主制御水晶発振器MX0の電源端子であるVDD端子、主制御MPU4100aの電源端子であるVDD端子、主制御I/Oポート4100bの電源端子であるVCC端子等にそれぞれ印加されている。
主制御MPU4100aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサMC3と電気的に接続され、主制御I/Oポート4100bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサMC4と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5.2Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。主制御MPU4100aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、主制御I/Oポート4100bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。
また、主制御MPU4100aのVDD端子は、コンデンサMC3と電気的に接続されるほかに、ダイオードMD0のアノード端子と電気的に接続されている。ダイオードMD0のカソード端子は、主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(主制御内蔵RAM)の電源端子であるVBB端子と電気的に接続されるとともに、グランドと接地されたコンデンサMC5と電気的に接続されている。この主制御内蔵RAMのVBB端子は、ダイオードMD0のカソード端子及びコンデンサMC5と電気的に接続されるほかに、抵抗MR0を介して、図170に示した電源基板851のキャパシタBC0の+端子と電気的に接続されている。つまり、主制御フィルタ回路4100gによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、主制御MPU4100aのVDD端子に印加されるとともに、ダイオードMD0を介して、主制御内蔵RAMのVBB端子と、キャパシタBC0の+端子と、に印加されるようになっている。これにより、上述したように、図170に示した電源基板851の+5.2V作成回路851dからの電力が主制御基板4100に供給されなくなった場合には、キャパシタBC0に充電された電荷が主VBBとして主制御基板4100に供給されるようになっているため、主制御MPU4100aのVDD端子にはダイオードMD0により電流が妨げられて流れず主制御MPU4100aが作動しないものの、主制御内蔵RAMのVBB端子には主VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
[5−2.主制御システムリセットIC]
主制御フィルタ回路4100gによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図172に示すように、主制御システムリセットMIC1の電源端子に印加されている。主制御システムリセットMIC1は、主制御MPU4100a及び主制御I/Oポート4100bにリセットをかけるものであり、遅延回路が内蔵されている。主制御システムリセットMIC1の遅延容量端子には、グランドと接地されたコンデンサMC6が電気的に接続されており、このコンデンサMC6の容量によって遅延回路による遅延時間を設定することができるようになっている。具体的には、主制御システムリセットMIC1は、電源端子に入力された+5.2Vがしきい値(例えば、4.25V)に達すると、遅延時間経過後に出力端子からシステムリセット信号を出力する。
主制御システムリセットMIC1の出力端子は、主制御MPU4100aのリセット端子であるSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのリセット端子であるRESETN端子と電気的に接続されている。出力端子は、オープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗MR1により+5.2V側へ引き上げられている。この+5.2V側へ引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサMC7によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサMC7は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。出力端子は、電源端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗MR1により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなり、この論理が主制御MPU4100aのSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのRESETN端子に入力される一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなり、この論理が主制御MPU4100aのSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのRESETN端子に入力される。主制御MPU4100aのSRST端子及び主制御I/Oポート4100bのRESETN端子は負論理入力であるため、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態になると、主制御MPU4100a及び主制御I/Oポート4100bにリセットがかかる。なお、電源端子はグランドと接地されたコンデンサMC8と電気的に接続されており、電源端子に入力される+5.2Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、接地端子はグラントと接地されており、NC端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[5−3.主制御水晶発振器]
主制御フィルタ回路4100gによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図172に示すように、主制御水晶発振器MX0の電源端子であるVDD端子に印加されている。このVDD端子は、グランドと接地されたコンデンサMC9と電気的に接続されており、VDD端子に入力される+5.2Vは、さらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5.2Vは、VDD端子のほかに、出力周波数選択端子であるA端子、B端子、C端子及びST端子にも入力されている。主制御水晶発振器MX0は、これらのA端子、B端子、C端子及びST端子に+5.2Vが印加されることにより、24MHzのクロック信号を出力端子であるF端子から出力する。
主制御水晶発振器MX0のF端子は、主制御MPU4100aのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、24MHzのクロック信号が入力されている。このクロック信号が入力された主制御MPU4100aは、そのE端子よりクロック信号を出力する。E端子は、主制御I/Oポート4100bのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、E端子から出力される24MHzのクロック信号が入力されている。主制御MPU4100aのE端子と主制御I/Oポート4100bのCLK端子との端子間は、プルアップ抵抗MR2により+5.2V側へ引き上げられている。なお、主制御水晶発振器MX0の接地端子であるGND端子はグランドと接地されており、主制御水晶発振器MX0のF端子の分周波を出力するD端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[5−4.主制御入力回路]
主制御入力回路4100cは、図165に示した、一般入賞口スイッチ3101,3101、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、磁気検出スイッチ304、カウントスイッチ2128、ゲートスイッチ2751からの検出信号のほかに、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号、図170に示した払出制御基板4110における停電監視回路4110bからの停電予告信号が入力される回路である。各スイッチからの検出信号が入力される回路構成は、同一であるため、ここでは、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号が入力される回路と、停電予告信号が入力される回路と、について説明する。
[5−4−1.RAMクリアスイッチからの検出信号が入力される回路]
RAMクリアスイッチ4100eの出力ピンとしての3番ピンは、図172に示すように、プルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられているとともに、抵抗MR4を介して、トランジスタMTR0のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR0のベース端子は、抵抗MR4と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗MR5と電気的に接続されている。トランジスタMTR0のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタMTR0のコレクタ端子は、プルアップ抵抗MR6により+5.2V側へ引き上げられて主制御I/Oポート4100bの入力ポートPAの入力ピンPA0と電気的に接続されている。RAMクリアスイッチ4100eの1番ピン及び2番ピンはグランドと接地されており、4番ピンは3番ピンと電気的に接続されている。これにより、RAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、3番ピン及び4番ピンがプルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられる一方、RAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、3番ピン及び4番ピンが1番ピン及び2番ピンと電気的に接続されることによりグランド側へ引き下げられる。
トランジスタMTR0、抵抗MR4,MR5から構成される回路は、スイッチ回路であり、RAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、プルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられた電圧がトランジスタMTR0のベース端子に印加されることでトランジスタMTR0がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタMTR0のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったRAMクリア信号が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA0に入力される。一方、RAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、トランジスタMTR0のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタMTR0がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタMTR0のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR6により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったRAMクリア信号が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA0に入力される。
[5−4−2.停電予告信号が入力される回路]
払出制御基板4110における停電監視回路4110bからの停電予告信号は、図172に示すように、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられているとともに、抵抗MR8を介して、トランジスタMTR1のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR1のベース端子は、抵抗MR8と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗MR9と電気的に接続されている。トランジスタMTR1のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタMTR1のコレクタ端子は、プルアップ抵抗MR10により+5.2V側へ引き上げられて主制御I/Oポート4100bの入力ポートPAの入力ピンPA1と電気的に接続されている。停電予告信号を出力する停電監視回路4110bは、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されており、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられている。これにより、停電予告信号が入力されていないときには、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられる一方、停電予告信号が入力されているときには、グランド側へ引き下げられる。
トランジスタMTR1、抵抗MR8,MR9から構成される回路は、スイッチ回路であり、停電予告信号が入力されていないときには、プルアップ抵抗MR7により+5.2V側へ引き上げられた電圧がトランジスタMTR1のベース端子に印加されることでトランジスタMTR1がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタMTR1のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった停電予告信号1が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA1に入力される。一方、停電予告信号が入力されているときには、トランジスタMTR1のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタMTR1がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタMTR1のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR10により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった停電予告信号1が主制御I/Oポート4100bの入力ピンPA1に入力される。
なお、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号は、プルアップ抵抗MR3により+5.2V側へ引き上げられているのに対して、停電予告信号は、プルアップ抵抗MR7により+12V側へ引き上げられている。これは、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号が主制御基板4100に入力されているのに対して、停電予告信号が払出制御基板4110を介して入力されているためである。つまり、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間においては、基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いて信号の信頼性を高めている。これにより、主制御基板4100に入力される、一般入賞口スイッチ3101、上始動口スイッチ3102、及び下始動口スイッチ2127からの検出信号は、RAMクリアスイッチ4100eからの検出信号と同様に、プルアップ抵抗により+5.2V側へ引き上げられる一方、図165に示したパネル中継端子板3040を介して入力される、磁気検出スイッチ304、カウントスイッチ2128、一般入賞口スイッチ3101、及びゲートスイッチ2751からの検出信号は、払出制御基板4110からの停電予告信号と同様に、プルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられている。
[5−5.主制御I/Oポート等の各種入出力信号]
次に、主制御MPU4100a及び主制御I/Oポート4100bの各種入出力信号について説明する。主制御I/Oポート4100bのデータ入出力端子D0〜D7は、主制御MPU4100aのデータ入出力端子D0〜D7と、データバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。
主制御MPU4100aのシリアルデータ入力端子であるRXA端子は、図165に示した払出制御基板4110からのシリアルデータが払主シリアルデータ受信信号として入力される。一方、主制御MPU4100aのシリアルデータ出力端子であるTXA端子及びTXB端子は、TXA端子から、払出制御基板4110に送信するシリアルデータを主払シリアルデータ送信信号として出力し、TXB端子から、図165に示した周辺制御基板4140に送信するシリアルデータを主周シリアルデータ送信信号として出力する。
主制御I/Oポート4100bの入力ポートPAの入力ピンPA2には、上述した主払シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える払出制御基板4110からの払主ACK信号が上述した主制御入力回路4100cを介して入力され、入力ポートPAの他の入力ピンやポートPB〜PEのうち、入力ポートに設定されているポートの入力ピンには、例えば、図165に示した上始動口スイッチ3102等の各種スイッチからの検出信号が主制御入力回路4100cを介して入力されている。主制御I/Oポート4100bに入力された各種検出信号は、データバスを介して主制御MPU4100aに入力される。
一方、主制御MPU4100aは、データバスを介して主制御I/Oポート4100bの出力ポートPBの出力ピンPB0から上述した払主シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える主払ACK信号を出力し、ポートPB〜PEのうち、出力ポートに設定されているポートの出力ピンから、例えば、図165に示した、始動口ソレノイド2121への駆動信号を、主制御ソレノイド駆動回路4100dを介して、出力したり、図165に示した上特別図柄表示器1185等の各種表示器に駆動信号を出力したりする。
[5−6.主制御基板と周辺制御基板との基板間の通信用インターフェース回路]
次に、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間の通信用インターフェース回路について、図173を参照して説明する。主制御基板4100は、図170に示した電源基板851からの+12V、及び+5.2Vが払出制御基板4110を介して供給されている。主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号は、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いて送信されることによってその信頼性が高められている。
具体的には、図173に示すように、主制御基板4100には、通信用インターフェース回路として、プルアップ抵抗MR20、抵抗MR21,MR22、お及びトランジスタMTR20を主として構成されている。これに対して、周辺制御基板4140には、通信用インターフェース回路として、ダイオードAD10、電解コンデンサAC10(本実施形態では、静電容量:47μF)、フォトカプラAIC10(赤外LEDとフォトICとが内蔵されている。)を主として構成されている。
主制御基板4100のダイオードMD20のアノード端子には、電源基板851から供給される+12Vが払出制御基板4110を介して印加されて、ダイオードMD20のカソード端子が、マイナス端子がグランドと接地された電解コンデンサMC20(本実施形態では、静電容量:220マイクロファラッド(μF))のプラス端子と電気的に接続されている。ダイオードMD20のカソード端子は、電解コンデンサMC20のプラス端子と電気的に接続されるほかに、配線(ハーネス)を介して、周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10のアノード端子(1番端子)と電気的に接続されている。これにより、例えば停電又は瞬停が発生することにより、図170に示した電源基板851からの電力が払出制御基板4110を介して主制御基板4100に供給されなくなった場合には、電解コンデンサMC20に充電された電荷が+12Vとして主制御基板4100から周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10のアノード端子に印加し続けることができるようになっている。
ここで、主制御MPU4100aの電源端子であるVDD端子には、停電又は瞬停が発生した場合に、図172に示した電解コンデンサMC2(本実施形態では、静電容量:470μF)に充電された電荷が+5.2Vとして印加されるため、この印加される+5.2Vにより主制御MPU4100aから周辺制御基板4140への送信される主周シリアルデータ送信信号は、少なくとも、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebにセットされた主周シリアルデータが送信完了することができるようになっている。主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号は、上述したように、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いて送信されることによってその信頼性が高められている。つまり、停電又は瞬停が発生した場合に、主制御MPU4100aは、そのシリアル送信部の送信バッファレジスタにセットされた主周シリアルデータを送信完了することができるものの、この主周シリアルデータを制御基準電圧である+5.2Vにより論理をHIとする主周シリアルデータ送信信号がトランジスタMTR20のベース端子に入力されても、+12Vにより論理をHIとする主周シリアルデータ送信信号をトランジスタMTR20のコレクタ端子から出力することができない。そこで、本実施形態では、停電又は瞬停が発生した場合に、電解コンデンサMC20に充電された電荷が+12Vとして主制御基板4100から周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10のアノード端子に印加されるため、主制御MPU4100aのシリアル送信部の送信バッファレジスタにセットされた主周シリアルデータを、トランジスタMTR20のコレクタ端子から+12Vにより論理をHIとする主周シリアルデータ送信信号を出力することができるようになっている。これにより、送信途中の主周シリアルデータ送信信号、つまり主周シリアルデータが寸断されることなく周辺制御基板4140で確実に受信されるようになっている。なお、本実施形態では、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebの記憶容量が32バイトを有しており、また1パケットが3バイトのデータから構成されているため、送信バッファレジスタ4100aebに最大で10パケット分のデータが記憶されるようになっている。また、本実施形態では、主制御MPU4100aから送信される主周シリアルデータの転送ビットレートが19200bpsに設定されている。
フォトカプラAIC10のカソード端子(3番端子)は、抵抗AR10、そしてその配線(ハーネス)を介して、主制御基板4100のトランジスタMTR20のコレクタ端子と電気的に接続されている。周辺制御基板4140の抵抗AR10は、フォトカプラAIC10の内蔵赤外LEDに流れる電流を制限するための制限抵抗である。
図172に示した主制御MPU4100aから主周シリアルデータ送信信号を出力するTXB端子は、プルアップ抵抗MR20により+5.2V側に引き上げられているとともに、抵抗MR21を介して、トランジスタMTR20のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタMTR20のベース端子は、抵抗MR21と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗MR22と電気的に接続されている。トランジスタMTR20のエミッタ端子は、グランドと接地されている。
抵抗MR21,MR22、及びトランジスタMTR20から構成される回路はスイッチ回路であり、主周シリアルデータ送信信号の論理がHIであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がグランド側に引き下げられてトランジスタMTR20がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10の内蔵赤外LEDに順方向の電流が流れないため、フォトカプラAIC10がOFFする。一方、主周シリアルデータ送信信号の論理がLOWであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR20より+5.2V側に引き上げられてトランジスタMTR20がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、周辺制御基板4140のフォトカプラAIC10の内蔵赤外LEDに順方向の電流が流れるため、フォトカプラAIC10がONする。
周辺制御基板4140のダイオードAD10のアノード端子には、電源基板851から供給される+5.2Vが払出制御基板4110、そして主制御基板4100を介して印加されて、ダイオードAD10のカソード端子が、マイナス端子がグランドと接地された電解コンデンサAC10のプラス端子と電気的に接続されている。ダイオードAD10のカソード端子は、電解コンデンサAC10のプラス端子と電気的に接続されるほかに、フォトカプラAICの電源端子であるVcc端子(6番端子)と電気的に接続されている。フォトカプラAIC10のエミッタ端子(4番端子)は、グランドに接地され、フォトカプラAICのコレクタ端子(5番端子)は、電解コンデンサAC10のプラス端子と電気的に接続されるプルアップ抵抗AR11により+5.2V側に引き上げられて周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子と電気的に接続されている。フォトカプラAIC10がON/OFFすることによりフォトカプラAIC10のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が主周シリアルデータ送信信号として周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子に入力される。これにより、上述したように、例えば停電又は瞬停が発生することにより、電源基板851からの電力が払出制御基板4110、そして主制御基板4100を介して周辺制御基板4140に供給されなくなった場合には、電解コンデンサAC10に充電された電荷が+5.2VとしてフォトカプラAIC10のVcc端子に印加し続けることができるようになっている。電又は瞬停が発生した際に、電解コンデンサAC10からの+5.2Vが印加されることにより、主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号は、少なくとも、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebにセットされたデータが送信完了することができるようになっており、送信途中の主周シリアルデータ送信信号、つまり主周シリアルデータが寸断されることなく、また欠落されることなく周辺制御基板4140で確実に受信されるようになっている。
主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号の論理がHIであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がグランド側に引き下げられてトランジスタMTR20がOFFすることでフォトカプラAIC10がOFFするようになっているため、フォトカプラAIC10のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗AR11により+5.2Vに引き上げられて論理がHIとなった主周シリアルデータ送信信号が周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子に入力される一方、主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号の論理がLOWであるときには、トランジスタMTR20のベース端子に印加される電圧がプルアップ抵抗MR20より+5.2V側に引き上げられてトランジスタMTR20がONすることでフォトカプラAIC10がONするようになっているため、フォトカプラAIC10のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側に引き下げられて論理がLOWとなった主周シリアルデータ送信信号が周辺制御MPU4150aの主制御基板用シリアルI/Oポートの入力端子に入力される。このように、フォトカプラAIC10のコレクタ端子から出力される主周シリアルデータ送信信号の論理は、主制御MPU4100aのTXB端子から周辺制御基板4140へ送信される主周シリアルデータ送信信号の論理と、同一の論理となっている。
このように、本実施形態では、主制御フィルタ回路部4100gを介して各種電子部品に供給される+5.2V、つまり電源基板851の+5.2V作成回路851dが作成する基準制御電圧である+5.2Vが印加される+5.2V電源ラインと、ダイオードM20を介して印加される+12V、つまり+12V作成回路851fが作成する+12Vが通信制御電圧として印可される+12V電源ラインと、が停電又は瞬停が発生して基準制御電圧及び通信制御電圧が低下した際の対策が施されている。つまり、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeに対しては、+5.2V電源ラインと、主制御フィルタ回路部4100gの電解コンデンサMC2を第1の補助電源とする電解コンデンサMC2のプラス端子と、が電気的に並列接続されることにより、停電又は瞬停が発生して+5.2V電源ラインから印加される基準制御電圧が低下しても、第1の補助電源である主制御フィルタ回路部4100gの電解コンデンサMC2のプラス端子からの基準制御電圧が印加されることによって、基準制御電圧が印加された状態を維持することができるようになっているし、プルアップ抵抗MR20、抵抗MR21,MR22、及びトランジスタMTR20から構成されるインターフェース回路に対しては、+12V電源ラインに印加される+12Vが通信制御電圧としてダイオードM20のアノード端子に印加され、このダイオードMD20のカソード端子と、第2の補助電源である電解コンデンサMC20のプラス端子と、が電気的に並列接続されることにより、停電又は瞬停が発生して+12V電源ラインからダイオードMD20を介して印加される通信制御電圧が低下しても、第2の補助電源である電解コンデンサMC20のプラス端子からの通信制御電圧が印加されることによって、通信制御電圧が印加された状態を維持することができるようになっている。これにより、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信中のコマンドの寸断を防止することができ、また欠落を防止することができるため、周辺制御基板4140は、送信中のコマンドを確実に受信することができる。したがって、停電の発生直後や瞬停時におけるコマンドの取りこぼしを解消することができる。
また、主制御MPU4100aに内蔵された主周シリアル送信ポート4100aeの送信バッファレジスタ4100aebにセットされた複数のコマンドを主周シリアルデータとしてすべて、プルアップ抵抗MR20、抵抗MR21,MR22、及びトランジスタMTR20から構成されるインターフェース回路を介して、周辺制御基板4140へ送信完了することができるように、電解コンデンサMC2の静電容量として470μFが設定され、電解コンデンサMC20の静電容量として220μFが設定されている。これにより、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信中に停電又は瞬停が発生しても、送信バッファレジスタ4100aebにセットされた複数のコマンドを主周シリアルデータとしてすべてインターフェース回路を介して周辺制御基板4140へ送信完了することができるため、周辺制御基板4140は、送信バッファレジスタ4100aebにセットされた複数のコマンドを寸断することなく、また欠落することなく確実に受信することができる。
[6.払出制御基板の回路]
次に、図166に示した払出制御基板4110の回路等について、図174〜図179を参照して説明する。図174は停電監視回路を示す回路図であり、図175は払出制御部の回路等を示す回路図であり、図176は払出制御入力回路を示す回路図であり、図177はCRユニット入出力回路を示す回路図であり、図178は発射制御入力回路を示す回路図であり、図179は主制御基板との各種入出力信号、及び外部端子板への各種出力信号を示す入出力図である。まず、停電監視回路4110bについて説明し、続いて払出制御フィルタ回路4110a、払出制御部4120部の回路、発射制御部4130の回路、主制御基板4100との各種入出力信号、及び外部端子板784への各種出力信号について説明する。
[6−1.停電監視回路]
払出制御基板4110は、図170に示したように、電源基板851から+24V、+12V、及び+5.2Vが供給されており、+24V、及び+12Vが停電監視回路4110bに入力されている。停電監視回路4110bは、+24V、及び+12Vの停電又は瞬停の兆候を監視しており、停電又は瞬停の兆候を検出すると、停電予告として停電予告信号を、払出制御部4120の払出制御MPU4120aのほかに、主制御MPU4100aに出力する。ここでは、まず停電監視回路の構成について説明し、続いて+24Vの停電又は瞬停の監視、+12Vの停電又は瞬停の監視について説明する。
[6−1−1.停電監視回路の構成]
停電監視回路4110bは、図174に示すように、シャント式安定化電源回路PIC20、オープンコレクタ出力タイプのコンパレータPIC21、DタイプフリップフロップPIC22、トランジスタPTR20(本実施形態では、2SC1815)を主として構成されている。
シャント式安定化電源回路PIC20の基準電圧入力端子であるREF端子、及びカソード端子であるK端子は、+5.2Vが抵抗PR20を介して印加されており、REF端子に入力される電流が抵抗PR20により制限されている。K端子は、コンパレータPIC21の比較基準電圧となるリファレンス電圧Vref(本実施形態では、2.495Vが設定されている。)を出力している。このリファレンス電圧Vrefは、グランドと接地されたコンデンサPC20によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサPC20は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、シャント式安定化電源回路PIC20のアノード端子であるA端子はグランド(GND)と接地されている。
コンパレータPIC21は、2つの電圧比較回路を備えており、その1つ(PIC21A)は+24Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、+端子に+24Vの監視電圧V1が入力され、−端子にリファレンス電圧Vrefが入力されている。残りの1つ(PIC21B)は+12Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較するために用いられており、+端子に+12Vの監視電圧V2が入力され、−端子にリファレンス電圧Vrefが入力されている。これらの比較結果はDタイプフリップフロップPIC22に入力されている。このDタイプフリップフロップPIC22は、2つのDタイプフリップフロップ回路を備えており、その1つ(PIC23A)を本実施形態に用いている。なお、コンパレータPIC21の電源端子であるVcc端子に入力される+5.2Vは、グランドと接地されたコンデンサPC21によりリップルが除去されて平滑化されている。また、DタイプフリップフロップPIC22に入力される+5.2Vは、グランドと接地されたコンデンサPC22によりリップルが除去されて平滑化されている。
[6−1−2.+24Vの停電又は瞬停の監視]
+24Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータPIC21のPIC21Aが+24Vの監視電圧V1とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+24Vは、図174に示すように、抵抗PR21,PR22による抵抗比によって電圧が分配され、グランドと接地されたコンデンサPC23によりリップルが除去されてPIC21Aの+端子に入力されている(コンデンサPC23は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。抵抗PR21,PR22の値は、+24Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+24Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V1pf(本実施形態では、21.40Vに設定されている。)となったときに、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+24Vの電圧が停電検知電圧V1pfより大きいときには、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなるものの、コンパレータPIC21が上述したようにオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗PR23により+5.2V側へ引き上げられ、その論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される(コンデンサPC24は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。このPR端子が負論理入力であるため、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から、図166に示した払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力されない。
一方、+24Vの電圧が停電検知電圧V1pfより小さいときには、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなるものの、コンパレータPIC21がオープンコレクタ出力タイプであるため、その論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+24Vの監視電圧V1がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力される。
[6−1−3.+12Vの停電又は瞬停の監視]
+12Vの停電又は瞬停の監視は、上述したように、コンパレータPIC21のPIC21Bが+12Vの監視電圧V2とリファレンス電圧Vrefとを比較することにより行われている。+12Vは、図174に示すように、抵抗PR24,PR25による抵抗比によって電圧が分配され、グランドと接地されたコンデンサPC25によりリップルが除去されてPIC21Bの+端子に入力されている(コンデンサPC25は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。抵抗PR24,PR25の値は、+12Vが停電又は瞬停した際に、その電圧が+12Vから落ち始めて予め設定した停電検知電圧V2pf(本実施形態では、10.47Vに設定されている。)となったときに、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefと同値になるように設定されている。+12Vの電圧が停電検知電圧V2pfより大きいときには、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きくなり、その結果として論理がLOWとなるものの、コンパレータPIC21が上述したようにオープンコレクタ出力タイプであるため、プルアップ抵抗PR23により+5.2V側へ引き上げられ、その論理がHIとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより大きいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から、図166に示した払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力されない。
一方、+12Vの電圧が停電検知電圧V2pfより小さいときには、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さくなり、その結果として論理がHIとなるものの、コンパレータPIC21がオープンコレクタ出力タイプであるため、論理がLOWとなり、グランドと接地されたコンデンサPC24によりリップルが除去されてDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。このPR端子が負論理入力であるため、+12Vの監視電圧V2がリファレンス電圧Vrefより小さいときには、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から払出制御I/Oポート4120bに停電予告信号1が出力される。
なお、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子は、抵抗PR26を介してトランジスタPTR20のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR20のベース端子は、抵抗PR26と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR27と電気的に接続されている。トランジスタPTR20のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR20のコレクタ端子は、配線(ハーネス)を介して、図172に示した、主制御入力回路4100cのプルアップ抵抗MR7と電気的に接続されることより、1Q端子から出力する信号を+12V側へ引き上げて停電予告信号として主制御基板4100へ伝えている。つまり、トランジスタPTR20は、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。このように、DタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子と払出制御I/Oポート4100bの入力端子との端子間においては、DタイプフリップフロップPIC22と払出制御I/Oポート4100bとが払出制御基板4110に実装されているため、制御基準電圧である+5.2Vを用いたON/OFF信号である停電予告信号1によって停電予告を行うのに対して、払出制御基板4110と主制御基板4100との基板間においては、基板間を電気的に接続する配線(ハーネス)に侵入するノイズの影響を抑えるために、制御基準電圧である+5.2Vよりも高い電圧である+12Vを用いたON/OFF信号である停電予告信号によって停電予告を行っている。
また、DタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子には、図166に示した払出制御部4120の払出制御MPU4120aから、払出制御I/Oポート4210bを介して、停電クリア信号が入力されるようになっている。CLR端子は負論理入力であるため、払出制御MPU4120aからの停電クリア信号は、払出制御I/Oポート4210bを介してその論理がLOWとなってCLR端子に入力される。DタイプフリップフロップPIC22は、CLR端子に停電クリア信号が入力されると、ラッチ状態を解除するようになっており、このとき、プリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する。
一方、払出制御MPU4120aからの停電クリア信号の出力が停止されると、払出制御I/Oポート4210bを介してその論理がHIとなってCLR端子に入力される。DタイプフリップフロップPIC22は、CLR端子に停電クリア信号が入力されないときには、ラッチ状態をセットするようになっており、PR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチする。なお、D入力端子である1D端子、クロック入力端子である1CK端子、接地端子であるGND端子は、グランドと接地されている。また、1Q端子の論理を反転した負論理1Q端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[6−2.払出制御フィルタ回路]
払出制御フィルタ回路4110aは、図175に示すように、払出制御3端子フィルタPIC0を主として構成されている。この払出制御3端子フィルタPIC0は、T型フィルタ回路であり、フェライトで磁気シールドした減衰特性の優れたものである。払出制御3端子フィルタPIC0は、その1番端子に図170に示した電源基板851からの+5.2Vが印加され、その2番端子がグランドと接地され、その3番端子からノイズ成分を除去した+5.2Vが出力されている。1番端子に印加される+5.2Vは、グランド(GND)と接地された電解コンデンサPC0により、まずリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている。
3番端子から出力される+5.2Vは、グランドと接地された、コンデンサPC1、及び電解コンデンサPC2により、さらにリップルが除去されて平滑化されている。この平滑化された+5.2Vは、外部WDT4120cの電源端子であるVcc端子、払出制御水晶発振器PX0の電源端子であるVCC端子、払出制御MPU4120aの電源端子であるVDD端子、払出制御I/Oポート4120bの電源端子であるVCC端子等にそれぞれ印加されている。
払出制御MPU4120aのVDD端子はグランドと接地されたコンデンサPC3と電気的に接続され、払出制御I/Oポート4120bのVCC端子はグランドと接地されたコンデンサPC4と電気的に接続されており、VDD端子及びVCC端子に入力される+5.2Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。払出制御MPU4120aの接地端子であるVSS端子はグランドと接地され、払出制御I/Oポート4120bの接地端子であるGND端子はグランドと接地されている。
また、払出制御MPU4120aのVDD端子は、コンデンサPC3と電気的に接続されるほかに、ダイオードPD0のアノード端子と電気的に接続されている。ダイオードPD0のカソード端子は、払出制御MPU4120aに内蔵されたRAM(払出制御内蔵RAM)の電源端子であるVBB端子と電気的に接続されるとともに、グランドと接地されたコンデンサPC5と電気的に接続されている。この払出制御内蔵RAMのVBB端子は、ダイオードPD0のカソード端子及びコンデンサPC5と電気的に接続されるほかに、抵抗PR0を介して、図170に示した電源基板851のキャパシタBC1の+端子と電気的に接続されている。つまり、払出制御フィルタ回路4110aによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、払出制御MPU4120aのVDD端子に印加されるとともに、ダイオードPD0を介して、払出制御内蔵RAMのVBB端子と、キャパシタBC1の+端子と、に印加されるようになっている。これにより、上述したように、図170に示した電源基板851の+5.2V作成回路851dからの電力が払出制御基板4110に供給されなくなった場合には、キャパシタBC1に充電された電荷が払VBBとして払出制御基板4110に供給されるようになっているため、払出制御MPU4120aのVDD端子にはダイオードPD0により電流が妨げられて流れず払出制御MPU4120aが作動しないものの、払出制御内蔵RAMのVBB端子には払VBBが印加されることにより記憶内容が保持されるようになっている。
[6−3.払出制御部の回路]
払出制御部4120は、図175〜図177に示すように、払出制御MPU4120a、払出制御I/Oポート4120b、外部WDT4120c、払出モータ駆動回路4120d、払出制御入力回路4120e、CRユニット入出力回路4120fのほかに、周辺回路として、払出制御水晶発振器PX0(本実施形態では、8メガヘルツ(MHz))を主として構成されている。ここでは、まず外部WDT4120cについて説明し、続いて払出制御水晶発振器PX0、払出モータ駆動回路4120d、払出制御入力回路4120e、CRユニット入出力回路4120f、主制御I/Oポート等の各種入出力信号、払出制御I/Oポート等の各種入出力信号について説明する。
[6−3−1.外部WDT(外部ウォッチドックタイマ)]
払出制御フィルタ回路4110aによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図175に示すように、外部WDT4120cの電源端子であるVcc端子に印加されている。外部WDT4120cは、払出制御MPU4120aにリセットをかけるものであり、ウォッチドックタイマが内蔵されている。外部WDT4120cは、Vcc端子に入力された+5.2Vの電圧を監視する機能と、払出制御MPU4120aが正常に動作しているか否かを監視する機能と、を有しており、Vcc端子に入力された+5.2Vの電圧がしきい値(本実施形態では、4.2Vに設定されている。)に達すると、負論理RESET端子からリセット信号を出力したり、払出制御MPU4120aから払出制御I/Oポート4120bを介して外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にCK端子に入力されないと、負論理RESET端子からリセット信号を出力したりする。
外部WDT4120cのTC端子はグランドと接地されたコンデンサPC6が電気的に接続されており、外部WDT4120cのRCT端子は+5.2V側へ引き上げられたプルアップ抵抗PR1が電気的に接続されている。上述したクリア信号解除時間は、コンデンサPC6の容量と、プルアップ抵抗PR1の抵抗値と、によって設定することができる。なお、本実施形態では、クリア信号解除時間として払出制御MPU4120aの割り込みタイマ(1.75ms)の20回分に相当する時間35ms(=1.75ms×20回)が設定されている。
外部WDT4120cの負論理RESET端子は、払出制御MPU4120aのリセット端子であるRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのリセット端子であるRESETN端子と電気的に接続されている。負論理RESET端子はオープンコレクタ出力タイプであり、プルアップ抵抗PR2により+5.2V側へ引き上げられている。この+5.2V側へ引き上げられた電圧は、グランドと接地されたコンデンサPC7によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサPC7は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。負論理RESET端子は、Vcc端子に入力される電圧がしきい値より大きいときにはプルアップ抵抗PR1により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される一方、電源端子に入力される電圧がしきい値より小さいときには論理がLOWとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される。
また負論理RESET端子は、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONからOFFに切り替わって外部WDTクリア信号が解除されたときにはプルアップ抵抗PR2により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される一方、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONされたまま外部WDTクリア信号が解除されなかったときには論理がLOWとなって払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子に入力される。
払出制御MPU4120aのRST0端子、及び払出制御I/Oポート4120bのRESETN端子は負論理入力であるため、Vcc端子に入力される電圧がしきい値より小さい状態となったり、CK端子に入力される外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間内にONされたまま外部WDTクリア信号が解除されなかったときには、払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセットがかかる。なお、外部WDT4120cのVs端子には、グランドと接地されたコンデンサPC8が電気的に接続されており、Vcc端子にはグランドと接地されたコンデンサPC9が電気的に接続されている。このコンデンサPC9によってVcc端子に入力される+5.2Vはリップルが除去されて平滑化されている。また、外部WDT4120cの接地端子であるGND端子はグラントと接地されており、外部WDT4120cの正論理RESET端子は外部と電気的に未接続の状態となっている。
[6−3−2.払出制御水晶発振器]
払出制御フィルタ回路4110aによりノイズ成分が除去されて平滑化された+5.2Vは、図175に示すように、払出制御水晶発振器PX0の電源端子であるVCC端子に入力されている。このVCC端子は、グランドと接地されたコンデンサPC10と電気的に接続されており、VCC端子に入力される+5.2Vはさらにリップルが除去されて平滑化されている。また、この平滑化された+5.2Vは、VCC端子のほかに、払出制御水晶発振器PX0の出力許可(Output Enable)端子であるOE端子にも入力されている。払出制御水晶発振器PX0は、そのOE端子に+5.2Vが入力されることにより、8MHzのクロック信号を出力端子であるOUT端子から出力する。なお、払出制御水晶発振器PX0の接地端子であるGND端子はグラントと接地されている。
払出制御水晶発振器PX0のOUT端子は、払出制御MPU4120aのクロック端子であるMCLK端子、及び払出制御I/Oポート4120bのクロック端子であるCLK端子と電気的に接続されており、8MHzのクロック信号が払出制御MPU4120a、及び払出制御I/Oポート4120bに入力されている。
[6−3−3.払出モータ駆動回路]
払出モータ駆動回路4120dは、図175に示すように、ドライブPIC1を主として構成されている。このドライブPIC1は、4つのダーリントンパワートランジスタを備えており、本実施形態では、エミッタ端子をグランドと接地させ、ベース端子に払出モータ駆動信号が入力されると、対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが出力されるようになっている。
図170に示した電源基板851から供給された+24Vは、図175に示すように、ツェナーダイオードPZD0を介してドライブPIC1のカソード端子に入力されている。ツェナーダイオードPZD0のアノード端子は+24Vと電気的に接続されており、ツェナーダイオードPZD0のカソード端子がドライブPIC1のカソード端子と電気的に接続されている。ドライブPIC1のカソード端子に入力された+24Vは、払出モータ744の駆動電源となる。ドライブPIC1のベース端子は、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPCの出力ピンPC0〜PC3と電気的に接続されており、出力ピンPC0〜PC3から出力された払出モータ駆動信号に応じて対応するコレクタ端子から励磁信号である駆動パルスが抵抗PR3〜PR6、そして図166に示した賞球ケース内基板754を介して払出モータ744の各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力される。これらの駆動パルスは、払出モータ744の各相(/B相、B相、A相、/A相)に流す励磁電流のスイッチングにより行われ、払出モータ744を回転させる。なお、このスイッチングにより各相(/B相、B相、A相、/A相)の駆動パルス(励磁信号)を遮断したときには逆起電力が発生する。この逆起電力がドライブPIC1の耐圧を超えると、ドライブPIC1が破損するため、保護として、ドライブPIC1のカソード端子と、ツェナーダイオードPZD0のカソード端子と、が電気的に接続されている。
[6−3−4.払出制御入力回路]
払出制御入力回路4120eは、図166に示した、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619、エラー解除スイッチ860a、球抜きスイッチ860bからの検出信号が入力される回路である。まず、扉枠開放スイッチ618からの検出信号が入力される回路について説明し、続いて本体枠開放スイッチ619からの検出信号が入力される回路、エラー解除スイッチ860aからの検出信号が入力される回路、球抜きスイッチ860bからの検出信号が入力される回路について説明する。
[6−3−4(a).扉枠開放スイッチからの検出信号が入力される回路]
扉枠開放スイッチ618は、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、扉枠5が本体枠3から開放された状態でスイッチがON(導通)し、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。扉枠開放スイッチ618の一端は、図176に示すように、図170に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110を介して印加されており、扉枠開放スイッチ618の他端は、抵抗PR30、そして抵抗PR31を介して、トランジスタPTR30のベース端子と電気的に接続されている。抵抗PR30と抵抗PR31との接続間には、グランドと接地された抵抗PR32と、グランドと接地された電解コンデンサPC30と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR30のベース端子は、抵抗PR31と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR33と電気的に接続されている。トランジスタPTR30のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR30のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR34により+5.2V側へ引き上げられて、抵抗PR35を介してトランジスタPTR31のベース端子と電気的に接続されるほかに、抵抗PR36を介してトランジスタPTR32のベース端子と電気的に接続されている。
トランジスタPTR31のベース端子は、抵抗PR35と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR37と電気的に接続されている。トランジスタPTR31のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR31のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR38により+5.2V側へ引き上げられて図175に示した払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。トランジスタPTR31がON/OFFすることによりトランジスタPTR31のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が扉開放信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
一方、トランジスタPTR32のベース端子は、抵抗PR36と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR39と電気的に接続されている。トランジスタPTR32のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR32のコレクタ端子は、図165に示した主制御基板4100と電気的に接続されており、トランジスタPTR32は、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。トランジスタPTR32のコレクタ端子は、配線(ハーネス)を介して、主制御基板4100に設けた図示しないプルアップ抵抗と電気的に接続されており、このプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられている。トランジスタPTR32がON/OFFすることによりトランジスタPTR32のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が枠開放情報出力信号として主制御基板4100に入力される。
抵抗PR30,PR32、及び電解コンデンサPC30から構成される回路は、扉枠5が本体枠3から開放される際に、又は扉枠5が本体枠3に閉鎖される際に、扉枠開放スイッチ618を構成する接点が短時間ON/OFFを繰り返すバタつき現象による扉枠開放スイッチ618からの電圧の変動を吸収するためのチャタリング防止回路である。
抵抗PR31,PR33、及びトランジスタPTR30から構成される回路は、扉枠開放スイッチ618からの検出信号によりON/OFFする初段のスイッチ回路であり、抵抗PR35,PR37、及びトランジスタPTR31から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで扉開放信号を払出制御I/Oポート4120bに出力する最終段のスイッチ回路であり、抵抗PR36,PR39、及びトランジスタPTR32から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する最終段のスイッチ回路である。
扉枠5が本体枠3から開放された状態では、扉枠開放スイッチ618がONしているため、扉枠開放スイッチ618を介して供給される+12Vがチャタリング防止回路でチャタリングが吸収されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR30のベース端子に印加されることでトランジスタPTR30がONし、初段のスイッチ回路がONすることとなる。初段のスイッチ回路がONすると、トランジスタPTR30のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられるため、最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR31,PTR32のベース端子に印加される電圧もグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR31,PTR32がOFFし、最終段のスイッチ回路も共にOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR31のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR38により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR32のコレクタ端子に印加される電圧が主制御基板4100に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられて論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
一方、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態では、扉枠開放スイッチ618がOFFしているため、+12Vが扉枠開放スイッチ618で遮断されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR30のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR30がOFFし、初段のスイッチ回路がOFFすることとなる。初段のスイッチ回路がOFFすると、トランジスタPTR30のコレクタ端子に印加され電圧がプルアップ抵抗PR34により+5.2V側へ引き上げられるため、この電圧が最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR31,PTR32のベース端子に印加されることでトランジスタPTR31,PTR32がONし、最終段のスイッチ回路も共にONすることとなる。これにより、トランジスタPTR31のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR32のコレクタ端子に印加される電圧が引き下げられて論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
このように、扉枠5が本体枠3から開放された状態では、扉枠開放スイッチ618がONすることにより、初段のスイッチ回路がONするとともに、最終段のスイッチ回路が共にOFFすることとなり、論理がHIとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する一方、扉枠5が本体枠3に閉鎖された状態では、扉枠開放スイッチ618がOFFすることにより、初段のスイッチ回路がOFFするとともに、最終段のスイッチ回路が共にONすることとなり、論理がLOWとなった扉枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する。
[6−3−4(b).本体枠開放スイッチからの検出信号が入力される回路]
本体枠開放スイッチ619は、常閉形(ノーマルクローズ(NC))を用いており、本体枠3が外枠2から開放された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態でスイッチがOFF(切断)するようになっている。本体枠開放スイッチ619の一端は、図176に示すように、図170に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110を介して印加されており、本体枠開放スイッチ619の他端は、抵抗PR40、そして抵抗PR41を介して、トランジスタPTR33のベース端子と電気的に接続されている。抵抗PR40と抵抗PR41との接続間には、グランドと接地された抵抗PR42と、グランドと接地された電解コンデンサPC31と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR33のベース端子は、抵抗PR41と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR43と電気的に接続されている。トランジスタPTR33のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR33のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR44により+5.2V側へ引き上げられて、抵抗PR45を介してトランジスタPTR34のベース端子と電気的に接続されるほかに、抵抗PR46を介してトランジスタPTR35のベース端子と電気的に接続されている。
トランジスタPTR34のベース端子は、抵抗PR45と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR47と電気的に接続されている。トランジスタPTR34のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR34のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR48により+5.2V側へ引き上げられて図175に示した払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。トランジスタPTR34がON/OFFすることによりトランジスタPTR34のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が本体枠開放信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
一方、トランジスタPTR35のベース端子は、抵抗PR46と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR49と電気的に接続されている。トランジスタPTR35のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR35のコレクタ端子は、トランジスタPTR32のコレクタ端子と電気的に接続されるほか、図165に示した主制御基板4100と電気的に接続されており、トランジスタPTR35は、エミッタ端子がグランドに接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。トランジスタPTR35のコレクタ端子は、配線(ハーネス)を介して、主制御基板4100に設けた図示しないプルアップ抵抗と電気的に接続されており、このプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられている。トランジスタPTR35がON/OFFすることによりトランジスタPTR35のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が枠開放情報出力信号として主制御基板4100に入力される。この枠開放情報出力信号は、トランジスタPTR35のコレクタ端子から出力されるほか、トランジスタPTR32のコレクタ端子からも出力されるようになっており、トランジスタPTR35のコレクタ端子と、トランジスタPTR32のコレクタ端子と、によってOR回路が構成されている。
抵抗PR40,PR42、及び電解コンデンサPC31から構成される回路は、本体枠3が外枠2から開放される際に、又は本体枠3が外枠2に閉鎖される際に、本体枠開放スイッチ619を構成する接点が短時間ON/OFFを繰り返すバタつき現象による本体枠開放スイッチ619からの電圧の変動を吸収するためのチャタリング防止回路である。
抵抗PR41,PR43、及びトランジスタPTR33から構成される回路は、本体枠開放スイッチ619からの検出信号によりON/OFFする初段のスイッチ回路であり、抵抗PR45,PR47、及びトランジスタPTR34から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bに出力する最終段のスイッチ回路であり、抵抗PR46,PR49、及びトランジスタPTR35から構成される回路は、初段のスイッチ回路からのON/OFF信号によりON/OFFすることで枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する最終段のスイッチ回路である。
本体枠3が外枠2から開放された状態では、本体枠開放スイッチ619がONしているため、本体枠開放スイッチ619を介して供給される+12Vがチャタリング防止回路でチャタリングが吸収されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR33のベース端子に印加されることでトランジスタPTR33がONし、初段のスイッチ回路がONすることとなる。初段のスイッチ回路がONすると、トランジスタPTR33のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられるため、最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR34,PTR35のベース端子に印加される電圧もグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR34,PTR35がOFFし、最終段のスイッチ回路も共にOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR34のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR48により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR35のコレクタ端子に印加される電圧が主制御基板4100に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられて論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
一方、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態では、本体枠開放スイッチ619がOFFしているため、+12Vが本体枠開放スイッチ619で遮断されて初段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR33のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR33がOFFし、初段のスイッチ回路がOFFすることとなる。初段のスイッチ回路がOFFすると、トランジスタPTR33のコレクタ端子に印加され電圧がプルアップ抵抗PR44により+5.2V側へ引き上げられるため、この電圧が最終段のスイッチ回路を構成するトランジスタPTR34,PTR35のベース端子に印加されることでトランジスタPTR34,PTR35がONし、最終段のスイッチ回路も共にONすることとなる。これにより、トランジスタPTR34のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、トランジスタPTR35のコレクタ端子に印加される電圧が引き下げられて論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することとなる。
このように、本体枠3が外枠2から開放された状態では、本体枠開放スイッチ619がONすることにより、初段のスイッチ回路がONするとともに、最終段のスイッチ回路が共にOFFすることとなり、論理がHIとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がHIとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する一方、本体枠3が外枠2に閉鎖された状態では、本体枠開放スイッチ619がOFFすることにより、初段のスイッチ回路がOFFするとともに、最終段のスイッチ回路が共にONすることとなり、論理がLOWとなった本体枠開放信号を払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに出力し、論理がLOWとなった枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力する。
本実施形態では、上述したように、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619をノーマルクローズのスイッチを採用したことにより、扉枠開放スイッチ618が短絡してスイッチがON(導通)する状態となっても、扉枠5が本体枠3から開放された状態となり、本体枠開放スイッチ619が短絡してスイッチがON(導通)する状態となっても、本体枠3が外枠2から開放された状態となる。このように、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619をノーマルクローズのスイッチを採用したことにより、短絡時にでも例えば枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することができため、図165に示した、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、扉枠5が本体枠3から開放された状態や本体枠3が外枠2から開放された状態を判断することができる。
なお、扉枠開放スイッチ618、本体枠開放スイッチ619をノーマルクローズのスイッチから、常開形(ノーマルオープン(NO))のスイッチ(扉枠開放スイッチ618'、本体枠開放スイッチ619')に替えると、扉枠開放スイッチ618'は、扉枠5が本体枠3から閉鎖された状態でスイッチがON(導通)し、扉枠5が本体枠3に開放された状態でスイッチがOFF(切断)する。本体枠開放スイッチ619'は、本体枠3が外枠2から閉鎖された状態でスイッチがON(導通)し、本体枠3が外枠2に開放された状態でスイッチがOFF(切断)する。そうすると、扉枠開放スイッチ618'が断線してスイッチがOFF(切断)する状態となっても、扉枠5が本体枠3から開放された状態となり、本体枠開放スイッチ619'が断線してスイッチがOFF(切断)する状態となっても、本体枠3が外枠2から開放された状態となる。このように、扉枠開放スイッチ618
'、本体枠開放スイッチ619'をノーマルオープンのスイッチを採用しても、断線時にでも例えば枠開放情報出力信号を主制御基板4100に出力することができ、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、扉枠5が本体枠3から開放された状態や本体枠3が外枠2から開放された状態を判断することができる。
[6−3−4(c).エラー解除スイッチからの検出信号が入力される回路]
エラー解除スイッチ860aの出力ピンとしての1番ピンは、図176に示すように、プルアップ抵抗PR50により+5.2V側へ引き上げられて、図175に示す払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPAの入力ピンPA0と電気的に接続されている。エラー解除スイッチ860aの1番ピンは2番ピンと電気的に接続され、3番ピン及び4番ピンはグランドと接地されている。これにより、エラー解除スイッチ860aが操作されていないときには、1番ピン及び2番ピンがプルアップ抵抗PR50により+5.2V側へ引き上げられる一方、エラー解除スイッチ860aが操作されているときには、1番ピン及び2番ピンが3番ピン及び4番ピンと電気的に接続されることによりグランド側へ引き下げられる。
エラー解除スイッチ860aは、払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA0と電気的に接続されるほかに、グランドと接地されたコンデンサPC32によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサPC32は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。エラー解除スイッチ860aが操作されていないときには、プルアップ抵抗PR50により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったエラー解除検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA0に入力される一方、エラー解除スイッチ860aが操作されているときには、論理がLOWとなったエラー解除検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA0に入力される。
[6−3−4(d).球抜きスイッチからの検出信号が入力される回路]
球抜きスイッチ860bの出力ピンとしての1番ピンは、図176に示すように、プルアップ抵抗PR51により+5.2V側へ引き上げられて、図175に示す払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPAの入力ピンPA1と電気的に接続されている。球抜きスイッチ860bの1番ピンは2番ピンと電気的に接続され、3番ピン及び4番ピンはグランドと接地されている。これにより、球抜きスイッチ860bが操作されていないときには、1番ピン及び2番ピンがプルアップ抵抗PR51により+5.2V側へ引き上げられる一方、球抜きスイッチ860bが操作されているときには、1番ピン及び2番ピンが3番ピン及び4番ピンと電気的に接続されることによりグランド側へ引き下げられる。
球抜きスイッチ860bは、払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA1と電気的に接続されるほかに、グランドと接地されたコンデンサPC33によりリップルが除去されて平滑化されている(コンデンサPC33は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。球抜きスイッチ860bが操作されていないときには、プルアップ抵抗PR51により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった球抜き検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA1に入力される一方、球抜きスイッチ860bが操作されているときには、論理がLOWとなった球抜き検出信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンPA1に入力される。
[6−3−5.CRユニット入出力回路]
次に、図167に示したCRユニット6との各種信号を入出力するためのCRユニット入出力回路4120fについて説明する。払出制御基板4110は、CRユニット6から、上述したように、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、貸球要求信号であるBRDYと、1回の払出動作開始要求信号であるBRQと、が入力され、また図167に示した電源基板851から供給されるAC24Vから作成した、所定電圧VL(+12V)及びグランドLGが供給される一方、払出制御基板4110から、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号と、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨又は不可能である旨を伝えるPRDY信号と、を出力する。これらの各種信号等を入出力する入出力回路は、図177に示すように、フォトカプラPIC60〜PIC64(赤外LEDとフォトトランジスタとが内蔵されている。)を主として構成されている。
CRユニット6からの所定電圧VLは、抵抗PR60を介して、フォトカプラPIC60のアノード端子に印加されている。フォトカプラPIC60のカソード端子は、CRユニット6からのグランドLGと電気的に接続されている。抵抗PR60は、フォトカプラPIC60の内蔵赤外LEDに流れる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC60のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときには、フォトカプラPIC60がONする一方、フォトカプラPIC60のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されていないときには、フォトカプラPIC60がOFFするようになっている。フォトカプラPIC60のエミッタ端子は、グランドと接地され、フォトカプラPIC60のコレクタ端子は、抵抗PR61を介してトランジスタPTR60のベース端子と電気的に接続されるほかに、抵抗PR62を介してトランジスタPTR61のベース端子と電気的に接続されている。フォトカプラPIC60のコレクタ端子は、抵抗PR61と電気的に接続されるほかに、+5.2V側へ引き上げられたプルアップ抵抗R63と電気的に接続されている。
トランジスタPTR60のベース端子は、抵抗PR61と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR64と電気的に接続されている。トランジスタPTR60のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR60のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR65により+5.2V側へ引き上げられて図175に示した払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。トランジスタPTR60がON/OFFすることによりトランジスタPTR60のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がCR接続信号1として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
一方、トランジスタTR61のベース端子は、抵抗PR62と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR66と電気的に接続されている。トランジスタPTR61のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR61のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR67により+5.2V側へ引き上げられて、後述する発射タイミング回路4130cと電気的に接続されている。トランジスタPTR61がON/OFFすることによりトランジスタPTR61のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がCR接続信号として発射タイミング回路4130cに入力される。
抵抗PR61,PR64、及びトランジスタPTR60から構成される回路は、スイッチ回路であり、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されていないときには、フォトカプラPIC60がOFFし、プルアップ抵抗PR63により引き上げられた電圧がトランジスタPTR60のベース端子に印加されることでトランジスタPTR60がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR60のコレクタ端子に印加される電圧は、グランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったCR接続信号1が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。一方、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されているときには、フォトカプラPIC60がONし、トランジスタPTR60のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR60がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR60のコレクタ端子に印加される電圧は、プルアップ抵抗PTR65により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったCR接続信号1が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
抵抗PR62,PR66、及びトランジスタPTR61から構成される回路も、スイッチ回路であり、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されていないときには、フォトカプラPIC60がOFFし、プルアップ抵抗PR63により引き上げられた電圧がトランジスタPTR61のベース端子に印加されることでトランジスタPTR61がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR61のコレクタ端子に印加される電圧は、グランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったCR接続信号が発射タイミング回路4130cに入力される。一方、CRユニット6からの所定電圧VLがフォトカプラPIC60のアノード端子に印加されているときには、フォトカプラPIC60がONし、トランジスタPTR61のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられることでトランジスタPTR61がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR61のコレクタ端子に印加される電圧は、プルアップ抵抗PTR67により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったCR接続信号が発射タイミング回路4130cに入力される。なお、このスイッチ回路は、後述する発射制御入力回路4130aの入力回路の一部を構成している。
CRユニット6からの所定電圧VLは、フォトカプラPIC60のアノード端子のほかに、抵抗PR68を介して、フォトカプラPIC61のアノード端子にも印加されている。フォトカプラPIC61のカソード端子は、CRユニット6からのBRDYが入力されている。抵抗PR68は、フォトカプラPIC61の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC61がONする一方、フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC61がOFFするようになっている。フォトカプラPIC61のエミッタ端子は、グランドと接地され、フォトカプラPIC61のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR69により+5.2V側へ引き上げられて払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。フォトカプラPIC61がON/OFFすることによりフォトカプラPIC61のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がBRDY信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC61がONするため、フォトカプラPIC61のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったBRDY信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。一方、フォトカプラPIC61のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRDYの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC61がOFFするため、フォトカプラPIC61のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR69により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったBRDY信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。このように、フォトカプラPIC61のコレクタ端子から出力されるBRDY信号の論理は、CRユニット6からのBRDYの論理と同一の論理となっている。
CRユニット6からの所定電圧VLは、フォトカプラPIC60のアノード端子、及びフォトカプラPIC61のアノード端子のほかに、抵抗PR70を介して、フォトカプラPIC62のアノード端子にも印加されている。フォトカプラPIC62のカソード端子は、CRユニット6からのBRQが入力されている。抵抗PR70は、フォトカプラPIC62の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC62がONする一方、フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC62がOFFするようになっている。フォトカプラPIC62のエミッタ端子は、グランドと接地され、フォトカプラPIC62のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR71により+5.2V側へ引き上げられて払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEのうち予め定めた入力ピンと電気的に接続されている。フォトカプラPIC62がON/OFFすることによりフォトカプラPIC62のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がBRQ信号として払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。
フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC62がONするため、フォトカプラPIC62のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったBRQ信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。一方、フォトカプラPIC62のアノード端子にCRユニット6からの所定電圧VLが印加されているときであって、CRユニット6からのBRQの論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC62がOFFするため、フォトカプラPIC62のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR71により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったBRQ信号が払出制御I/Oポート4120bの入力ピンに入力される。このように、フォトカプラPIC62のコレクタ端子から出力されるBRQ信号の論理は、CRユニット6からのBRQの論理と同一の論理となっている。
図175に示した、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPBの出力ピンPB0から出力されるEXS信号は、抵抗PR72を介して、フォトカプラPIC63のカソード端子に入力されている。フォトカプラPIC63のアノード端子は、抵抗PR73を介して、+12Vが印加されている。抵抗PR73は、フォトカプラPIC63の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC63がONする一方、フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC63がOFFするようになっている。フォトカプラPIC63のエミッタ端子は、フォトカプラPIC60のカソード端子とともに、CRユニット6からのグランドLGと接地され、フォトカプラPIC63のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR74により、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6内において所定電圧VLに引き上げられてその内蔵制御装置と電気的に接続されている。フォトカプラPIC63がON/OFFすることによりフォトカプラPIC63のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がEXSとしてCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。
フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC63がONするため、フォトカプラPIC63のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったEXSがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。一方、フォトカプラPIC63のアノード端子に抵抗PR73を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC63がOFFするため、フォトカプラPIC63のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR74により所定電圧VLに引き上げられて論理がHIとなったEXSがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。このように、フォトカプラPIC63のコレクタ端子から出力されるEXSの論理は、払出制御I/Oポート4120bからのEXS信号の論理と同一の論理となっている。
図175に示した、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPBの出力ピンPB1から出力されるPRDY信号は、抵抗PR75を介して、フォトカプラPIC64のカソード端子に入力されている。フォトカプラPIC64のアノード端子は、抵抗PR76を介して、+12Vが印加されている。抵抗PR76は、フォトカプラPIC64の内蔵赤外LEDに流がれる電流を制限するための制限抵抗である。フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR76を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC64がONする一方、フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR76を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC64がOFFするようになっている。フォトカプラPIC64のエミッタ端子は、フォトカプラPIC60のカソード端子、及びフォトカプラPIC63のエミッタ端子とともに、CRユニット6からのグランドLGと接地され、フォトカプラPIC64のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR77により、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6内において所定電圧VLに引き上げられてその内蔵制御装置と電気的に接続されている。フォトカプラPIC64がON/OFFすることによりフォトカプラPIC64のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がPRDYとしてCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。
フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR77を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がLOWとなっているときには、フォトカプラPIC64がONするため、フォトカプラPIC64のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったPRDYがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。一方、フォトカプラPIC64のアノード端子に抵抗PR77を介して+12Vが印加されているときであって、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理がHIとなっているときには、フォトカプラPIC64がOFFするため、フォトカプラPIC64のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR77により所定電圧VLに引き上げられて論理がHIとなったPRDYがCRユニット6の内蔵制御装置に入力される。このように、フォトカプラPIC64のコレクタ端子から出力されるPRDYの論理は、払出制御I/Oポート4120bからのPRDY信号の論理と同一の論理となっている。
[6−3−6.払出制御I/Oポートの各種入出力信号]
次に、払出制御I/Oポート4120bの各種入出力信号について説明する。払出制御I/Oポート4120bのデータ入出力端子D0〜D7は、払出制御MPU4120aのデータ入出力端子D0〜D7と、データバスを介して各種情報や各種信号のやり取りを行う。
払出制御I/Oポート4120bのシリアルデータ入力端子であるRXD端子は、図175に示すように、主制御基板4100からのシリアルデータが主払シリアルデータ受信信号として入力されている。一方、払出制御I/Oポート4120bのシリアルデータ出力端子であるTXD端子から主制御基板4100に送信するシリアルデータが払主シリアルデータ送信信号として出力される。
払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPAの各入力ピンには、入力ピンPA0に、エラー解除スイッチ860aからのエラー解除検出信号が入力され、入力ピンPA1に、球抜きスイッチ860bからの球抜き検出信号が入力され、入力ピンPA2に、払主シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える主制御基板4100からの主払ACK信号が入力され、入力ピンPA3に、停電監視回路4110bからの停電予告信号1が入力されている。また払出制御I/Oポート4120bの入力ポートPA,PEの予め定めた各入力ピンには、CRユニット6からの1回の払出動作開始要求信号であるBRQ信号、CRユニット6からの貸球要求信号であるBRDY信号、及び払出制御基板4110とCRユニット6とが電気的に接続されているか否かを伝えるCR接続信号1等のCRユニット6からの各種信号、扉枠開放スイッチ618からの扉枠開放信号、本体枠開放スイッチ619からの本体枠開放信号のほかに、満タンスイッチ550からの検出信号等が入力されている。
一方、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPBの各出力ピンからは、出力ピンPB0から、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号が出力され、出力ピンPB1から、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨又は不可能である旨を伝えるPRDY信号が出力され、出力ピンPB2から、停電監視回路4110bのDタイプフリップフロップPIC22のラッチ状態を解除するための停電クリア信号が出力され、出力ピンPB3から、主払シリアルデータ受信信号の正常受信完了の旨を伝える払主ACK信号が出力され、出力ピンPB4から、外部WDT4120cへ外部WDTクリア信号が出力されている。また払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPCの出力ピンPC0〜PC3からは、払出モータ駆動信号が出力され、払出制御I/Oポート4120bの出力ポートPDの各出力ピンからは、エラーLED表示器860cの駆動信号が出力されている。
[6−4.発射制御部の回路]
次に、発射制御部4130について説明する。発射制御部4130は、図166に示したように、発射制御入力回路4130a、発振回路4130b、発射タイミング回路4130c、発射ソレノイド駆動回路4130d、球送りソレノイド駆動回路4130eから構成されている。ここでは、発射制御入力回路について、図178を参照して説明し、発射タイミング回路4130c等の構成についての詳細な説明は後述する。
[6−4−1.発射制御入力回路]
払出制御基板4110の発射制御入力回路4130aには、図178に示すように、ハンドル装置500のタッチスイッチ516からの検出信号と、ハンドル装置500の発射停止スイッチ518からの検出信号と、がハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、入力されている。タッチスイッチ516は、図51に示したハンドル装置500の回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出し、発射停止スイッチ518は、図51に示したハンドル装置500の単発ボタン520が操作されることにより遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出している。まず、タッチスイッチ516からの検出信号が入力される回路について説明し、続いて発射停止スイッチ518からの検出信号が入力される回路について説明する。
[6−4−1a.タッチスイッチからの検出信号が入力される回路]
タッチスイッチ516の一端は、図178に示すように、図170に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110の抵抗PR80、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して印加されており、タッチスイッチ516の他端は、ハンドル中継基板192に設けた図示しないプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられ、主扉中継端子板880、そして払出制御基板4110に入力され、抵抗PR81を介して、トランジスタPTR80のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR80のベース端子は、抵抗PR81と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR82と、グランドと接地されたコンデンサPC80と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR80のベース端子に印加される電圧は、コンデンサC80によりノイズが除去されて平滑化されている。トランジスタPTR80のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR80のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR83により+5.2V側へ引き上げられて発射タイミング回路4130cの入力端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR80がON/OFFすることによりトランジスタPTR80のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号がタッチ検出信号として発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
抵抗PR81,PR82、及びトランジスタPTR80から構成される回路は、タッチスイッチ516からの検出信号によりON/OFFするスイッチ回路であり、回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れていないときには、ハンドル中継基板192に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられた電圧がトランジスタPTR80のベース端子に印加されることでトランジスタPTR80がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR80のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなったタッチ検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。一方、回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているときには、トランジスタPTR80のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられてトランジスタPTR80がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR80のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR83により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなったタッチ検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
[6−4−1b.発射停止スイッチからの検出信号が入力される回路]
発射停止スイッチ518の一端は、図178に示すように、図170に示した電源基板851からの+12Vが払出制御基板4110の抵抗PR84、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して印加されており、発射停止スイッチ518の他端は、ハンドル中継基板192に設けた図示しないプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられ、主扉中継端子板880、そして払出制御基板4110に入力され、抵抗PR85を介して、トランジスタPTR81のベース端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR81のベース端子は、抵抗PR85と電気的に接続されるほかに、グランドと接地された抵抗PR86と、グランドと接地されたコンデンサPC81と、が電気的に接続されている。トランジスタPTR81のベース端子に印加される電圧は、コンデンサC81によりノイズが除去されて平滑化されている。トランジスタPTR81のエミッタ端子は、グランドに接地され、トランジスタPTR81のコレクタ端子は、プルアップ抵抗PR87により+5.2V側へ引き上げられて発射タイミング回路4130cの入力端子と電気的に接続されている。トランジスタPTR81がON/OFFすることによりトランジスタPTR81のコレクタ端子から出力される信号の論理が変化し、その信号が発射停止検出信号として発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
抵抗PR85,PR86、及びトランジスタPTR81から構成される回路は、発射停止スイッチ518からの検出信号によりON/OFFするスイッチ回路であり、単発ボタン520が操作されていないときには、ハンドル中継基板192に設けたプルアップ抵抗により+12V側へ引き上げられた電圧がトランジスタPTR81のベース端子に印加されることでトランジスタPTR81がONし、スイッチ回路もONすることとなる。これにより、トランジスタPTR81のコレクタ端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられて論理がLOWとなった発射停止検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。一方、単発ボタン520が操作されているときには、トランジスタPTR81のベース端子に印加される電圧がグランド側へ引き下げられてトランジスタPTR81がOFFし、スイッチ回路もOFFすることとなる。これにより、トランジスタPTR81のコレクタ端子に印加される電圧がプルアップ抵抗PR87により+5.2V側へ引き上げられて論理がHIとなった発射停止検出信号が発射タイミング回路4130cの入力端子に入力される。
なお、図177に示した、抵抗PR62,PR66、及びトランジスタPTR61から構成されるスイッチ回路も発射制御入力回路4130aの入力回路の一部であり、このトランジスタPTR61のコレクタ端子から出力されるCR接続信号も、上述した、タッチ検出信号、及び発射停止信号に加えて、発射タイミング回路4130cに入力されている。
[6−5.主制御基板との各種入出力信号、及び外部端子板への各種出力信号]
次に、払出制御基板4110と主制御基板4100との各種入出力信号と、払出制御基板4110から外部端子板784への各種出力信号について、図179を参照して説明する。
[6−5−1.主制御基板との各種入出力信号]
払出制御基板4110は、主制御基板4100と各種入出力信号のやり取りを行う。具体的には、図179(a)に示すように、払出制御基板4110は、払主シリアルデータ送信信号、払主ACK信号、停電予告信号、枠開放情報出力情報等を、主制御基板4100に出力する。一方、払出制御基板4110は、主払シリアルデータ受信信号、主払ACK信号、RAMクリア信号のほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、及び2ラウンド大当り情報出力信号等の大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力信号、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する遊技情報信号を、主制御基板4100から入力される。
[6−5−2.外部端子板への各種出力信号]
払出制御基板4110は、外部端子板784に各種信号を出力する。具体的には、図179(b)に示すように、扉枠開放信号、本体枠開放信号のほかに、図77に示した払出モータ744が実際に払い出した遊技球の球数を示す賞球数情報出力信号、主制御基板4100から払出制御基板4110を介して、15ラウンド大当り情報出力信号、及び2ラウンド大当り情報出力信号等の大当り情報出力信号に加えて、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力信号、及び始動口入賞情報出力信号等の遊技情報信号等を、外部端子板784に出力する。
外部端子板784は、図示しない遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されており、遊技者の遊技等を監視している。なお、15ラウンド大当り情報出力信号又は2ラウンド大当り情報出力信号を1つの大当り情報出力信号としてホールコンピュータに出力する場合には、ホールコンピュータは、ラウンドが2回となった大当りの回数(2ラウンド大当りの発生回数)と、ラウンドが15回となった大当りの回数(15ラウンド大当りの発生回数)と、が合算されたものがパチンコ遊技機1の大当りの回数となる。このため、ホールコンピュータは、その合算された大当り回数から、2ラウンド大当りの発生回数や15ランド大当りの発生回数を把握することができないので、実際にパチンコ遊技機1で発生した大当り回数が多いのが、2ラウンド大当りであるのか、それとも15ラウンド大当りであるのかを、把握することができない。またパチンコ遊技機1の上方に図示しないデータカウンタが配置されており、遊技者の中には、このデータカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数等を参考にして遊技を行うか否かを選択する者もいる。ところが、データカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数は、実際には2ラウンド大当りの発生回数に偏っている場合もあるので、遊技者が遊技を開始しても、2ラウンド大当りばかり発生して15ラウンド大当りがなかなか発生しないこともある。このように、データカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数は、遊技者に期待感を与えることはできるものの、必要以上に遊技者の射幸心をあおりかねない。そこで、本実施形態では、大当り情報出力信号として、15ラウンド大当り情報出力信号と2ラウンド大当り情報出力信号とを別々にホールコンピュータに出力することにより、ホールコンピュータは、2ラウンド大当りの発生回数と、15ラウンド大当り発生回数と、を正確に把握することができるようになっている。したがって、ホールコンピュータは、実際にパチンコ遊技機1で発生した大当り回数の多いのが、2ラウンド大当りであるのか、それとも15ラウンド大当りであるのかを、把握することができるし、データカウンタには15ラウンド大当りの発生回数と2ラウンド大当りの発生回数とを別々に又は15ラウンド大当りの発生回数のみを大当り遊技状態の発生回数として表示することができるので、必要以上に遊技者の射幸心をあおることもない。
なお、本実施形態では、2ラウンド大当り情報出力信号は2ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっており、15ラウンド大当り情報出力信号も15ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっている。本実施形態のように、2ラウンド大当り情報出力信号及び15ラウンド大当り情報出力信号をホールコンピュータに出力する方法のほかに、例えば、2ラウンド大当りが発生すると、2ラウンド大当り情報出力信号が所定期間だけホールコンピュータに出力される状態とし、15ラウンド大当りが発生すると、15ラウンド大当り情報出力信号が所定期間だけホールコンピュータに出力される状態とする、このような2ラウンド大当り情報出力信号及び15ラウンド大当り情報出力信号を同一の所定期間だけホールコンピュータに出力する方法も挙げることができる。
[7.発射ソレノイドの駆動方法]
次に、図66に示した発射ソレノイド654の駆動方法について、図180〜図183を参照して説明する。図180は発射ソレノイドの駆動回路を示すブロック図であり、図181はシャントレギュレータ回路、増幅回路、及びオペアンプ回路群を示す回路図であり、図182はDC/DCコンバータの特性を示す図であり、図183は図180の発射ソレノイドの駆動回路における所定点のタイミングチャートである。まず、発射ソレノイド654の駆動システムについて説明し、続いてその駆動回路の所定点における、入出力電流、出力電圧、信号の論理及び波形等について説明する。
[7−1.発射ソレノイドの駆動システム]
発射ソレノイド654の駆動システムは、図180に示すように、主として、払出制御基板4110における発射制御部4130の発射制御入力回路4130a、発信回路4130b、発射タイミング回路4130c、発射ソレノイド駆動回路4130d、及び球送ソレノイド駆動回路4130eと、発射電源基板831のDC/DCコンバータ831a、及び電解コンデンサSC0と、電源基板851の力率改善回路851b、及び平滑化回路851cと、により構成されている。
発射制御入力回路4130aは、上述したように、CRユニット6が遊技球等貸出装置接続端子板869を介して払出制御基板4110と電気的に接続されると、CRユニット6がパチンコ遊技機1から電力(AC24V)供給を受けている旨を伝える信号が入力されてCR接続信号として発射タイミング回路4130cに出力し、回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ516からの検出信号が入力されると、タッチ検出信号として発射タイミング回路4130cに出力し、遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ518からの検出信号が入力されると、発射停止検出信号として発射タイミング回路4130cに出力する。
発射タイミング回路4130cは、発射制御入力回路4130aからのCR接続信号、タッチ検出信号、及び発射停止検出信号に基づいて、発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可したり、禁止したりする。具体的には、発射タイミング回路4130cは、CRユニット6が遊技球等貸出装置接続端子板869を介して払出制御基板4110と電気的に接続されていないためにCR接続信号が入力されていないという第1のケース、タッチ検出信号が回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れていない旨を伝えているという第2のケース、発射停止検出信号が遊技球の打ち出しを強制的に停止する旨を伝えているという第3のケース、のうち、1つでも該当するときに発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを禁止する一方、すべてに該当しないときに発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可する。
発射タイミング回路4130cは、発信回路4130bからのクロック信号が入力されており、発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可するときには、このクロック信号に基づいて、1分当たり100個の遊技球が図110に示した遊技領域1100に向かって打ち出されるよう発射基準パルスを生成して発射ソレノイド駆動回路4130dに出力するとともに、発射基準パルスを所定数倍(本実施形態では、5倍)した球送基準パルスを生成して球送ソレノイド駆動回路4130eに出力する。発射ソレノイド駆動回路4130dは、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、を併合した併合電流により打球発射装置650の発射ソレノイド654を駆動する。これに対して、球送ソレノイド駆動回路4130eは、電源基板851からの+24Vによる球送ソレノイド585を駆動する。
発射ソレノイド駆動回路4130dは、主として、シャントレギュレータ回路4130da、増幅回路4130db、電圧比較回路4130dc、スイッチング回路4130ddから構成されている。シャントレギュレータ回路4130daは、電源基板851の+5.2V作成回路851dで作成される+5.2Vが供給されており、この+5.2Vから安定化された直流+2.5V(DC+2.5V、以下、「+2.5V」と記載する。)を作成して増幅回路4130dbに供給している。
シャントレギュレータ回路4130daは、図181(a)に示すように、シャント式安定化電源回路PIC90を主として構成されている。このシャント式安定化電源回路PIC90は、周囲温度による温度ドリフトが低減されたものであり、負荷に対して一定電圧に保持される安定化電源を作成して供給することができる。シャント式安定化電源回路PIC90の基準電圧入力端子であるREF端子、及びカソード端子であるK端子は、+5.2Vが抵抗PR90を介して印加されており、この抵抗PR90によりREF端子に入力される電流が制限されている。K端子は増幅回路4130dbに+2.5Vを出力している。この+2.5Vは、グランドと接地されたコンデンサPC90によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサPC90は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、シャント式安定化電源回路PIC90のアノード端子であるA端子はグランド(GND)と接地されている。
図180に戻り、増幅回路4130dbは、シャントレギュレータ回路4130daからの+2.5を2倍に増幅して直流+5.0V(DC+5.0V、以下、「+5.0V」と記載する。)を作成して主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して、ハンドル装置500におけるポテンショメータ512に供給している。
増幅回路4130dbは、図181(a)に示すように、オペアンプPIC91を主として構成されている。オペアンプPIC91は、非反転増幅回路として構成されており、オペアンプPIC91の非反転入力端子(+端子)にはシャントレギュレータ回路4130daのシャント式安定化電源回路PIC90からの+2.5Vが印加され、オペアンプPIC91の反転入力端子(−端子)には一端がグランドと接地された抵抗PR91の他端と電気的に接続されるとともに、オペアンプPIC91の出力端子と一端が電気的に接続された抵抗PR92の他端と電気的に接続されている。抵抗PR91,PR92の抵抗値は、オペアンプPIC91の増幅率(平ループ利得)が2倍となるように設定されている。オペアンプPIC91の出力端子は、オペアンプPIC91の非反転入力端子(+端子)に印加された+2.5Vを2倍に増幅した+5.0Vを、上述したように、主扉中継端子板880、そしてハンドル中継基板192を介して、ハンドル装置500におけるポテンショメータ512に供給している。この+5.0Vは、グランドと接地されたコンデンサPC91によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化されている(コンデンサPC91は、ローパスフィルタとしての役割も担っている)。なお、オペアンプPIC91の電源端子に入力される+24Vは、グランドと接地されたコンデンサPC92によりリップルが除去されて平滑化されている。
図180に戻り、ポテンショメータ512は3端子の可変抵抗器であり、第1の固定端子、第2の固定端子、可変端子を備え、第1の固定端子が上述した増幅回路4130dbからの+5.0Vが供給され、第2の固定端子がハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、払出制御基板4110における発射ソレノイド駆動回路4130dの抵抗PR100と電気的に接続されている。この抵抗PR100の他端は、グランドと接地されている。回転ハンドル本体前506が回転操作されると、これともないポテンショメータ512の検出軸部512aも回転して、第1の固定端子と第2の固定端子とに印加されている電圧を回転ハンドル本体前506の回転操作に応じて、つまりポテンショメータ512の検出軸部512aの回転位置に応じて分圧し、この分圧した電圧をポテンショメータ512の可変端子から取り出すことができるようになっている。ポテンショメータ512の可変端子から取り出した電圧は、ハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、払出制御基板4110の発射ソレノイド駆動回路4130dにおける後述する抵抗PR93,PR94(図181(b)参照)で分圧され、この分圧された抵抗PR94が受け持つ電圧が発射強度目標電圧として、電圧比較回路4130dcに印加される。
ハンドル装置500のポテンショメータ512の可変端子から取り出した電圧は、上述したように、ハンドル中継基板192、そして主扉中継端子板880を介して、図181(b)に示すように、グランドと接地されたコンデンサPC93によりリップル(電圧に畳重された交流成分)が除去されて平滑化され(コンデンサPC93は、ローパスフィルタとしての役割も担っている。)、払出制御基板4110の発射ソレノイド駆動回路4130dのボルテージフォロアとして構成されたオペアンプ回路群に印加される。このオペアンプ回路群は、図181(b)に示すように、初段のオペアンプPIC92、後段のオペアンプPIC93を主として構成されている。ハンドル装置500からの電圧は、ボルトオーダーの電圧であり初段のオペアンプPIC92の非反転入力端子(+端子)に印加される。初段のオペアンプPIC92の反転入力端子(−端子)には、初段のオペアンプPIC92の出力端子と電気的に接続されている。初段のオペアンプPIC92の出力端子は、オペアンプPIC92の非反転入力端子(+端子)に印加された電圧を1倍にして、つまりそのままのボルトオーダーの電圧として出力する。この初段のオペアンプPIC92は、ボルトオーダーの電圧である入力電圧を単にそのまま出力しているものの、ハンドル装置500からの電圧を印加するための初段入力側回路と、電圧を後段のオペアンプPIC93に出力するための初段出力側回路と、の回路分離を実現している。これにより、初段入力側回路から初段出力側回路に向かって電圧が信号として伝達することができ、初段出力側回路の影響を初段入力側回路へ与えなくすることができる。なお、オペアンプPIC92の電源端子に入力される+24Vは、グランドと接地されたコンデンサPC94によりリップルが除去されて平滑化されている。
初段のオペアンプPIC92の出力端子は、自身の反転入力端子(−端子)のほかに、抵抗PR93の一端と電気的に接続され、この抵抗PR93の他端が後段のオペアンプPIC93の非反転入力端子(+端子)と電気的に接続されている。後段のオペアンプPIC93の非反転入力端子(+端子)は、抵抗PR93の他端のほかに、一端がグランドと接地された抵抗PR94の他端と電気的に接続されている。これにより、初段のオペアンプPIC92の出力端からの電圧は、上述したように、ボルトオーダーの電圧である入力電圧を単にそのまま出力しているため、ボルトオーダーの電圧であり、抵抗PR93,PR94により分圧され、この分圧された抵抗PR94が受け持つ電圧がミリボルトオーダーの電圧として後段のオペアンプPIC93の非反転入力端子(+端子)に印加される。後段のオペアンプPIC93の反転入力端子(−端子)には、後段のオペアンプPIC93の出力端子と電気的に接続されている。後段のオペアンプPIC93の出力端子は、オペアンプPIC92の非反転入力端子(+端子)に印加された電圧を1倍にして、つまりそのままのミリボルトオーダーの電圧が発射強度目標電圧として電圧比較回路4130dcに出力する。この後段のオペアンプPIC93は、抵抗PR93,PR94で分圧されたミリボルトオーダーの抵抗PR94が受け持つ電圧である入力電圧を単にそのまま出力しているものの、抵抗PR93,PR94で分圧されたミリボルトオーダーの抵抗PR94が受け持つ電圧を印加するための後段入力側回路と、電圧を電圧比較回路4130dcに出力するための後段出力側回路と、の回路分離を実現している。これにより、後段入力側回路から後段出力側回路に向かって電圧が信号として伝達することができ、後段出力側回路の影響を後段入力側回路へ与えなくすることができる。なお、オペアンプPIC93の電源端子に入力される+24Vは、グランドと接地されたコンデンサPC95によりリップルが除去されて平滑化されている。
図180に戻り、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流れている電流は、一端がグランドと接地された抵抗PR101を流れることでこの抵抗PR101が受け持つミリボルトオーダーの電圧が発射制御電圧として電圧比較回路4130dcに印加される。電圧比較回路4130dcには、上述したミリボルトオーダーの電圧である発射強度目標電圧も印加されている。このように、電圧比較回路4130dcで比較する発射制御電圧と発射強度目標電圧とは、上述したように、払出制御基板4110(発射ソレノイド駆動回路4130d)においてボルトオーダーの電圧からミリボルトオーダーの電圧へ抵抗PR101,PR94が受け持つ電圧によりそれぞれ降圧されるようになっている。つまり、払出制御基板4110上に形成された配線パターンを介して印加されるため、この配線パターンがノイズの影響を受けにくく、電圧比較回路4130dcがミリボルトオーダーの電圧で発射制御電圧と発射強度目標電圧とを比較することができるのに対して、払出制御基板4110と打球発射装置650との基板装置間、及び払出制御基板4110とハンドル装置500との基板装置間においては、配線(ハーネス)を介して電気的に接続されているため、配線(ハーネス)にノイズの影響を受けやすく、ボルトオーダーの電圧とすることにより基板装置間におけるノイズの影響を抑制している。
電圧比較回路4130dcは、発射制御電圧と発射強度目標電圧とを大小比較する反転型の回路であり、その比較結果をスイッチング回路4130ddに出力する。電圧比較回路4130dcによる比較結果は、HI又はLOWという論理出力となっており、発射制御電圧が発射強度目標電圧より大きいときにはLOW(以下、「L」と記載する。)となる一方、発射制御電圧が発射強度目標電圧より小さいときにはHI(以下、「H」と記載する。)となる。このように、電圧比較回路4130dcによる比較結果によって出力論理がH又はLとなるため、その出力信号がON/OFF信号としてスイッチング回路4130ddに入力されることとなる。
スイッチング回路4130ddは、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスが入力されるごとに、電圧比較回路4130dcからのON/OFF信号に従って、発射電源基板831に備える、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流す。具体的には、スイッチング回路4130ddは、電圧比較回路4130dcからのON信号が入力されると、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流す一方、電圧比較回路4130dcからのOFF信号が入力されると、発射ソレノイド654に流れている電流を遮断する。つまり、スイッチング回路4130ddは、電圧比較回路4130dcからのON信号が入力されて、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流しているときに、この発射ソレノイド654に流れている電流を、抵抗PR101によって分圧された電圧が発射制御電圧として発射強度目標電圧より大きくなると、電圧比較回路4130dcの出力論理がLとなり、OFF信号をスイッチング回路4130ddに出力し、スイッチング回路4130ddが発射ソレノイド654に流れている定電流を遮断する。この遮断により、発射ソレノイド654に電流が流れなくなることによって発射制御電圧が発射強度目標電圧より小さくなり、電圧比較回路4130dcの出力論理が再びHとなり、ON信号をスイッチング回路4130ddに出力し、スイッチング回路4130ddが、上述したように、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流す。このように、電圧比較回路4130dcからのON/OFF信号に従ってスイッチング回路4130ddが、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を、発射ソレノイド654に流したり、その定電流を遮断したりするため、スイッチング回路4130ddは、電圧比較回路4130dcからのON/OFF信号に自励発振して電流を発射ソレノイドに流す制御を行っている。つまり、スイッチング回路4130ddは、「自励発振定電流回路」として機能しており、発射制御電圧を発射強度目標電圧に近づけている。これにより、回転ハンドル本体前506が回動操作されて回転ハンドル本体前506の回転位置に見合った発射強度で発射ソレノイド654を駆動して遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すことができる。
なお、遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を回動していない原回転位置であるときには、ポテンショメータ512の可変端子から取り出される電圧は、ポテンショメータ512の第2の固定端子に印加されている抵抗PR100が受け持つ電圧となる。つまり、ポテンショメータ512の第2の固定端子には、抵抗PR100が受け持つ電圧がオフセット電圧として印加された状態となっている。このオフセット電圧が上述したボルテージフォロアとして構成されたオペアンプ回路群に印加され、発射強度目標電圧として、電圧比較回路4130dcに印加される。この場合には、電圧比較回路4130dcからのON信号がスイッチング回路4130ddに出力されると、スイッチング回路4130ddは、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流を発射ソレノイド654に流す。このDC/DCコンバータ831aからの出力される電流が最小出力電流となる。このときの発射ソレノイド654の発射強度は、少なくとも、図1に示した発射レール660を飛び越えるものとなっている。つまり、抵抗PR100に印加されている電圧が発射強度目標電圧であるときには、その電圧に見合う電流(DC/DCコンバータ831aから出力される最小出力電流と、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流)が発射ソレノイド654に流れると、発射ソレノイド654によって打ち出された遊技球は、発射レール660を飛び越えることができても、図1に示した遊技盤4の外レール1111に沿って遊技領域1100に達することができないため、ファール球としてファール空間626の下部に位置する図1に示したファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れて回収されこととなる。換言すると、抵抗PR100に印加されている電圧がボルテージフォロアとして構成されたオペアンプ回路群に印加され、発射強度目標電圧として、電圧比較回路4130dcに印加されるときには、発射ソレノイド654に流れる電流が最小電流となっているものの、この最小電流が発射ソレノイド654に流れても、打ち出された遊技球がすべてファール球として回収されるようになっている。これにより、球送ソレノイド585によって発射レール660に送り出された遊技球と重複することを防止することができるため、発射ソレノイド654がその重複する遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すことを防止することができるとともに、発射ソレノイド654への加負荷を防止することができ、故障を防止することもできる。
また、上述したように、オフセット電圧は、回転ハンドル本体前506の回転位置が原回転位置にあるときにおける原回転位置に見合う最小発射強度を得るための電圧に設定されているため、最小発射強度で打球発射装置650により発射レール660そして外レール1111に沿って打ち出された遊技球は、ファール球としてファール空間626の下部に位置する、ファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れてすべて回収されるようになっている。これにより、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作開始した時点においては、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めることができない場合であっても、すべての遊技球は発射レール660を飛び越えることができるようになっているため、発射レール660上で遊技球同士が衝突し合うことを回避することができるようになっている。このため、次の遊技球が発射ソレノイド654で打ち出される前に、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めることにより、その発射強度で今回打ち出された遊技球を外レール1111に沿って下降してくる前回打ち出された遊技球に衝突させて、前回打ち出された遊技球とともに今回打ち出された遊技球を、遊技領域1100に飛び出させることができるし、仮に遊技領域1100に飛び出させることができなくてもファール球としてファール空間626の下部に位置する、ファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れてすべて回収されることとなる。換言すると、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めることができない場合であっても、発射レール660を飛び越えるだけの発射強度が与えられているため、打ち出された遊技球が発射レール660上で衝突し合って球詰まりが生ずることがない。また遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度を強めたときに、その発射強度で今回打ち出された遊技球を外レール1111に沿って下降してくる前回打ち出された遊技球に衝突させて、前回打ち出された遊技球とともに今回打ち出された遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができなくても、ファール球としてファール空間626の下部に位置する、ファールカバーユニット540のファール球入口542eで受け入れてすべて回収されるため、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度をさらに強めることで、球詰まりが生ずることなく遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができる。つまり、今回打ち出された遊技球を外内レール1111に沿って下降してくる前回打ち出された遊技球に衝突させて、前回打ち出された遊技球とともに今回打ち出された遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができず遊技者に不快な思いをさせる場合があっても、遊技者が回転ハンドル本体前506を回転操作して発射強度をさらに強めることで、球詰まりが生ずることなく遊技球を遊技領域1100に飛び出させることができるため、その不快を解消することができる。したがって、回転ハンドル本体前506の回転操作開始時の球詰まりによる遊技者の不快を解消することができる。
本実施形態では、シャントレギュレータ回路4130daにシャント式安定化電源回路PIC90を採用することにより、電圧比較回路4130dcに印加される発射強度目標電圧は、シャントレギュレータ回路4130daからの一定電圧である+2.5Vが増幅回路4130dbで増幅された+5.0Vがハンドル装置500のポテンショメータ512により分圧されたものとなることによって、この分圧された電圧も回転ハンドル本体前506の回転位置が同一回転位置に保持されているときには、変動が生じず一定の電圧に保持されることとなる。これにより、スイッチング回路4130ddが打球発射装置650の発射ソレノイド654に併合電流を流すことにより発射制御電圧を発射強度目標電圧に近づけて発射制御電圧が発射強度目標電圧と同一となった際に、回転ハンドル本体前506の回転位置が同一回転位置に保持されているときには、発射ソレノイド654に流れる併合電流も変動が生じず一定の電流が流れることとなるため、発射ソレノイド654が遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す発射強度が同一となる。したがって、発射ソレノイド654の駆動発射による遊技球の「飛びムラ」を防止することができる。
また、パチンコ遊技機1が設置されるパチンコ島設備は、複数のパチンコ遊技機から排出された遊技球を研磨して再びパチンコ遊技機に供給するという遊技球の循環システムが構築されている。このため、遊技球の研磨による熱、遊技球同士の衝突や摩擦による熱に加えて、パチンコ遊技機の電源基板や各種電飾による熱等によりパチンコ島設備内の温度は、極めて高くなっている。本実施形態では、上述したように、シャントレギュレータ回路4130daにシャント式安定化電源回路PIC90を採用することにより、パチンコ設備内に熱がこもる環境下にあっても、+2.5Vを安定化させて出力することができるようになっている。これにより、温度による+2.5Vの変動が抑制されることによってポテンショメータ512の可変端子から取り出された電圧、つまり発射強度目標電圧の「ゆらぎ」を抑えることができるため、この「ゆらぎ」分の電圧を含めずに、電圧比較回路4130dcがスイッチング回路4130ddに制御信号を出力することができる。つまり、回転ハンドル本体前506の回転位置が同一回転位置であるときには、遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す発射強度に「ムラ」を抑えることができるため、遊技球の「飛びムラ」を抑えることができる。
[7−2.DC/DCコンバータの入出力電流及び出力電圧]
次に、DC/DCコンバータ831aの入出力電流及び出力電圧について、図180に示した、TA点における入力電流、TB点における出力電流及び出力電圧について、図182を参照して説明する。TA点は、DC/DCコンバータ831aの入力電流Iinを参照するための点であり、TB点は、DC/DCコンバータ831aの出力電流Iout及び出力電圧Voutを参照するための点である。なお、この出力電圧Voutは、グランドとの電位差である。
まずTB点の出力電圧Voutと出力電流Ioutとの関係は、図182(a)に示すように、出力電圧Voutが+35Vから減少につれて出力電流Ioutが増大する関係となっている。具体的には、出力電圧Voutが+35Vから+30Vまでの区間Aでは、出力電流Ioutが約360mAと一定であり、出力電圧Voutが+30Vから+20Vまでの区間Bでは、出力電圧Voutが減少するにつれて出力電流Ioutが360mAから400mAまで約40mA増加し、出力電圧Voutが+20Vから+10Vまでの区間Cでは、出力電圧Voutが減少するにつれて出力電流Ioutが400mAから660mAまで約260mA増加し、出力電圧Voutが+10Vから+5Vまでの区間Dでは、出力電圧Voutが減少するにつれて出力電流Ioutが660mAから1010mAまで約350mA増加している。なお、+5VからゼロV近傍では、出力電流Ioutはほぼ1010mAとなっている。
TA点の入力電流IinとTB点の出力電流Ioutとの関係は、図182(b)に示すように、出力電圧Voutが+35Vから減少につれて、入力電流Iinが減少するとともに出力電流Ioutが増大する関係となっている。具体的には、出力電圧Voutが+35Vから+30Vまでの区間Aでは、出力電流Ioutが約360mAと一定であるのに対して、入力電流Iinが400mAから320mAまで約80mA減少している。この区間Aでは、回転ハンドル本体前506の回転位置と対応する電流が発射ソレノイド654に流れて出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが大きいときには遊技領域1100に向かって打ち出された遊技球が未だ遊技領域1100に達することが困難な発射強度となっている一方、回転ハンドル本体前506の回転位置と対応する電流が発射ソレノイド654に流れて出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが小さくなりだすときには遊技領域1100に向かって打ち出された遊技球が遊技領域1100に達する発射強度となっている。出力電圧Voutが+30Vから+20Vまでの区間Bでは、出力電流Ioutが360mAから400mAまで約40mA増加するのに対して、入力電流Iinが320mAから260mAまで約60mA減少しており、出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが完全に小さくなっている。出力電圧Voutが+20Vから+10Vまでの区間Cでは、出力電流Ioutが400mAから660mAまで約260mA増加するのに対して、入力電流Iinが260mAから210mAまで約50mA減少しており、区間Bと同様に、出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが完全に小さくなっている。出力電圧Voutが+10Vから+5Vまでの区間Dでは、出力電流Ioutが660mAから1010mAまで約350mA増加するのに対して、入力電流Iinが210mAから175mAまで約35mA減少しており、区間B、及び区間Cと同様に、出力電流Ioutと比べて入力電流Iinが完全に小さくなっている。
なお、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が360mAであるときには、この360mAと、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流が最小電流、つまり遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を回動していない原回転位置であるときに発射ソレノイド654に流れる電流であるのに対して、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が1010mAであるときには、この1010mAと、電解コンデンサSC0の放電による電流と、が併合された併合電流が最大電流、つまり遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を右回りに回動して限界回転位置であるときに発射ソレノイド654に流れる電流である。このように、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutは、最小出力電流の値が360mAとなり、最大出力電流の値が1010mAとなる。DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が1000mAを超える場合には、発射ソレノイド654の発射強度は、すでに、外レール1111に沿って遊技領域1100に飛び出した遊技球が衝止部1114に衝突して内周レール1113に沿って下流に向かって転動し、各種入賞口に入球することなく、アウト口1151で回収される程度にまで強くなっている。このため、遊技者が回転ハンドル本体前506を右回りに回動して遊技を行っているときにおけるDC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が取りうる範囲としては、360mAより大きく1000mAより小さく(360mA<出力電流Ioutの値<1000mA)、ミリアンペアオーダーの電流となっている。
[7−3.DC/DCコンバータの入出力電流及び出力電圧と発射タイミング回路からの発射基準パルスとの関係]
次に、回転ハンドル本体前506の一定回転位置において、図180に示した、TB点におけるDC/DCコンバータ831aの出力電流Iout及び出力電圧Voutと、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0と、について、図183を参照して説明する。TB点は、上述したように、DC/DCコンバータ831aの出力電流Iout及び出力電圧Vout(グランドとの電位差)を参照するための点であり、TC点は、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0を参照するための点である。
発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0は、上述したように、発射ソレノイド654による遊技球の打ち出しを許可するときにおいて、1分当たり、つまり60000ms当たり100個の遊技球が遊技領域1100に向かって打ち出されるように設定されているため、図183(a)に示すように、そのパルス幅が30ms、その周期Tが600msとなる。
ここで、遊技者が回転ハンドル本体前506に触れて、回転ハンドル本体前506を回動して限界回転位置であるときと、回動していない原回転位置であるときと、におけるDC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutの波形について説明する。
回転ハンドル本体前506が限界回転位置にあるときには、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0が発射ソレノイド駆動回路4130dのスイッチング回路4130ddに入力されると、図183(b),(c)に示すように、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0に充電された電荷の放電による電流と、が併合された併合電流が上述した最大電流となって発射ソレノイド654に流れ始める(タイミングt0)。この最大電流が発射ソレノイド654に流れているときには、図183に示したDC/DCコンバータ831aの特性に従って、DC/DCコンバータ831aの電圧(電解コンデンサSC0の電圧)が+5Vまで下がり、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が上述した最大出力電流である1010mAとなる。そして、発射基準パルスT0の入力後、30ms経過してその入力が停止されると、電解コンデンサSC0の出力電圧がゼロV近傍に達するまで放電が進んでいる(タイミングt1)。発射ソレノイド654への最大電流が遮断されることにより、DC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutが徐々に+35Vまで回復する。これにともない、DC/DCコンバータ831aの特性に従って電解コンデンサSC0の充電が開始される。具体的には、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutは、図182に示したように、出力電圧Voutが小さくなるのに対して、出力電流Ioutが大きくなるという特性がある。最大電流が遮断された直後ではDC/DCコンバータ831aの出力電圧Vout、つまり電解コンデンサSC0の出力電圧は、ゼロV近傍となっており、電解コンデンサSC0は、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutである1010mAという電流によって充電を開始し、そしてDC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutが+35V近傍まで回復してくると、360mAという電流によって充電を継続し、その後、充電を完了することとなる。この充電は、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの間にすでに完了するようになっている(タイミングt2)。つまり、今回の発射基準パルスT0が入力されて30ms経過して次の発射基準パルスT0が入力されるまでの570msの期間内に充電を完了するようになっている。
これに対して、回転ハンドル本体前506が原回転位置にあるときには、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0が発射ソレノイド駆動回路4130dのスイッチング回路4130ddに入力されると、図183(b),(d)に示すように、DC/DCコンバータ831aからの電流と、電解コンデンサSC0に充電された電荷の放電による電流と、が併合された併合電流が上述した最小電流となって発射ソレノイド654に流れ始める(タイミングt0)。この最小電流が発射ソレノイド654に流れているときには、図183に示したDC/DCコンバータ831aの特性に従って、DC/DCコンバータ831aの電圧(電解コンデンサSC0の電圧)が若干下がるものの、図182に示した区間Aに属し、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutの値が上述した最小出力電流である360mAとなる。そして、発射基準パルスT0の入力後、30ms経過してその入力が停止されると、電解コンデンサSC0の放電が少し進んでいる(タイミングt1)。発射ソレノイド654への最小電流が遮断されることにより、DC/DCコンバータ831aの出力電圧Voutが徐々に+35Vまで回復する。これにともない、DC/DCコンバータ831aの特性に従って電解コンデンサSC0の充電が開始される。具体的には、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutは、上述したように、出力電圧Voutが小さくなるのに対して、出力電流Ioutが大きくなるという特性がある。最小電流が遮断された直後ではDC/DCコンバータ831aの出力電圧Vout、つまり電解コンデンサSC0の出力電圧は、若干下がるものの、区間Aに属しており、電解コンデンサSC0は、DC/DCコンバータ831aの出力電流Ioutである360mAという電流によって充電を開始し、その後、充電を完了することとなる。この充電は、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの間にすでに完了するようになっている(タイミングt2)。つまり、今回の発射基準パルスT0が入力されて30ms経過して次の発射基準パルスT0が入力されるまでの570msの期間内に充電を完了するようになっている。
このように、発射ソレノイド654に最大電流、最小電流が流れても、DC/DCコンバータ831aの特性によって、今回の発射基準パルスT0が入力されて30msという放電時間内において電解コンデンサSC0が放電した電荷を、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの残りの570msという充電時間内に充電を完了させることができる。
ここで、発射基準パルスT0が入力されて30ms経過するまでの期間内に電解コンデンサSC0が存在しない状態でDC/DCコンバータ831aが単独で発射ソレノイド654に電流を流す制御方式を採用する場合について考えてみると、この制御方式では、DC/DCコンバータ831aが単独で発射ソレノイド654に流す電流が2A〜3.5A程度となるため、この電流が電源基板851から供給されることとなる。発射ソレノイド654を駆動するときには、瞬間的に2A〜3.5Aより大きい大電流が流れる。そうすると、30msという発射基準パルスT0が600msという周期Tで発生するごとに、電源基板への負荷もこの周期Tごとに増えることとなる。つまり、電源基板は、発射ソレノイド654が駆動される際に流れる瞬間的な大電流に加えて電子部品や、装飾に用いる電飾等にも所定電流を供給しているため、これらの総電力が電力供給上限値を超えると、安全のため電力供給を遮断することとなる。そこで、本実施形態では、発射基準パルスT0が入力されてからそのパルス幅である30msという期間において、電解コンデンサSC0が存在しない状態でDC/DCコンバータ831aが単独で発射ソレノイド654を駆動した場合に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるアンペアオーダーの電流を、発射基準パルスT0が入力されて次回の発射基準パルスT0が入力されるまでの600msという期間に引き延ばして、DC/DCコンバータ831aと電解コンデンサSC0とによる併合電流で発射ソレノイド654を駆動した場合に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるミリアンペアオーダーの「第1の電流」と、電解コンデンサSC0がDC/DCコンバータ831aからの電力を充電した場合に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるミリアンペアオーダーの「第2の電流」と、に分散することができる。これにより、電解コンデンサSC0が存在しない状態で発射基準パルスT0が入力されてからそのパルス幅である30msという期間に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるアンペアオーダーの電流を、電解コンデンサSC0が存在する状態で発射基準パルスT0が入力されて次回の発射基準パルスT0が入力されるまでの600msという期間に電源基板851の+37Vという直流電源からDC/DCコンバータ831aに供給されるミリアンペアオーダーの「第1の電流」と「第2の電流」とにより平均化することができる。したがって、発射ソレノイド654の駆動による瞬間的な大電流を供給するための負荷が電源基板851にかからなくすることができる。また、電源基板851の過負荷時の安全装置の作動条件の設計に時間を費やすことも解消することができる。
[7−4.発射タイミング回路からの発射基準パルスと球送基準パルスとの関係]
次に、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0と、球送基準パルスT1と、について、図183を参照して説明する。TC点は、上述したように、発射タイミング回路4130cからの発射基準パルスT0を参照するための点であり、図180に示したTD点は、発射タイミング回路4130cからの球送基準パルスT1を参照するための点である。
球送基準パルスT1は、発射基準パルスT0である30msの5倍である150ms(=T0(30ms)×5)が設定されている。発射基準パルスT0が発射ソレノイド駆動回路4130dのスイッチング回路4130ddに入力されると、図183(a),(e)に示すように、球送基準パルスT1が発射ソレノイド駆動回路4130dの球送ソレノイド駆動回路4130eに入力され(タイミングt0、150ms経過すると、その入力が停止されるようになっている(タイミングt3)。これにより、球送ソレノイド585を駆動して球送ソレノイド585による球送制御を行うことにより、次の発射基準パルスT0が入力されるまでの間に、次に打ち出される遊技球のセットを完了することができ、発射基準パルスT0が入力されるごとに、遊技球を遊技領域1100に向かって連続して打ち出すことができる。
[8.主制御基板の送受信に関する各種コマンド]
次に、主制御基板4100から払出制御基板4110へ送信される各種コマンドと、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて、図184〜図187を参照して説明する。図184は主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図185は主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図186は図185の主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンドのつづきを示すテーブルであり、図187は主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンドの一例を示すテーブルである。まず、主制御基板4100から払出制御基板4110へ送信される払い出しに関するコマンドである賞球コマンドについて説明し、続いて主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて説明し、主制御基板4100が受信する払出制御基板4110からの各種コマンドについて説明する。
[8−1.主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンド]
主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図165に示した、一般入賞口スイッチ3101,3101、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、及びカウントスイッチ2128等の各種入賞スイッチからの検出信号が入力されると、これらの検出信号に基づいて、予め定めた球数の遊技球を賞球として払い出すための賞球コマンドを払出制御基板へ送信する。この賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドである。本実施形態では、パチンコ遊技機1とCRユニット6(パチンコ遊技機1と通信して、パチンコ遊技機1(賞球装置740)の払出モータ744を駆動して貯留皿である、上皿301や下皿302に貸球として遊技球を払い出す装置)とが電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「CR機」という。)、図184(a)に示すように、主制御基板4100から払出制御基板4110に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されており、コマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド1EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板4110は、払出モータ744を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
また、パチンコ遊技機1と球貸し機(遊技球を貯留皿である、上皿301や下皿302に貸球として直接払い出す装置)とが遊技場(ホール)に隣接して設置され、パチンコ遊技機1と球貸し機が電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「一般機」という。)、図184(b)に示すように、主制御基板4100から払出制御基板4110に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されており、コマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド2EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板4110は、払出モータ744を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンドとして、図184(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。送信側は、コマンド送信後、所定期間、受信側からコマンドの受け取り確認として出力するACK信号が入力されない場合に、コマンド30Hを送信して、ACK信号が入力されるか否かをチェックすることで接続状態を確認する。本実施形態におけるCR機の場合では、払出制御基板4110がCRユニット6との接続状態を確認する。
[8−2.主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンド]
次に、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて説明する。主制御基板4100の主制御MPU4100aは、遊技の進行に基づいて周辺制御基板4140に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、図185及び図186に示すように、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、から構成されている。
各種コマンドは、図185及び図186に示すように、特図1同調演出関連、特図2同調演出関連、大当り関連、電源投入、普図同調演出関連、普通電役演出関連、報知表示、状態表示、及びその他に区分されている。
[8−2−1.特図1同調演出関連]
特図1同調演出関連は、図165に示した上始動口スイッチ3102からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図185に示すように、図165に示した機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185に関する、特図1同調演出開始、特別図柄1指定、特図1同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「A*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
特図1同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特別図柄1指定コマンドは、第一特別図柄に関する抽選の結果(例えば、はずれと小当りと大当りとの区別と、大当りに当選した場合には、大当りの種類)を指定するものであり、特図1同調演出終了コマンドは、特図1同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図1同調演出開始コマンドは、特別図柄1変動開始時に送信され、特別図柄1指定コマンドは、特図1同調演出開始の直後に送信され、特図1同調演出終了コマンドは、特別図柄1変動時間経過時(特別図柄1確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、特図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−2.特図2同調演出関連]
特図2同調演出関連は、図165に示した下始動口スイッチ2127からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図185に示すように、図165に示した機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186に関する、特図2同調演出開始、特別図柄2指定、及び特図2同調演出終了という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「B*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
特図2同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するものであり、特別図柄2指定コマンドは、第二特別図柄に関する抽選の結果(例えば、はずれと小当りと大当りとの区別と、大当りに当選した場合には、大当りの種類)を指定するものであり、特図2同調演出終了は、特図2同調演出終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図2同調演出開始コマンドは、特別図柄2変動開始時に送信され、特別図柄2指定コマンドは、特図2同調演出開始の直後に送信され、特図2同調演出終了コマンドは、特別図柄2変動時間経過時(特別図柄2確定時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−3.大当り関連]
大当り関連という区分には、図185に示すように、大当りオープニング、大入賞口1開放N回目表示、大入賞口1閉鎖表示、大入賞口1カウント表示、大当りエンディング、大当り図柄表示、小当りオープニング、小当り開放表示、小当りカウント表示、及び小当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「C*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始を指示するものであり、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜15ラウンド目の大入賞口1開放中開始(図110に示した、アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放中又は開放開始)を指示するものであり、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、ラウンド間の大入賞口1閉鎖中開始(アタッカユニット2100の大入賞口2103のラウンド間の閉鎖中又は閉鎖開始)を指示するものであり、大入賞口1カウント表示コマンドは、カウント0〜10個をカウントした旨(図165に示したカウントスイッチ2128によって検出された、大入賞口2103に入球した遊技球の球数)を伝えるものであり、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始を指示するものであり、大当り図柄表示コマンドは、大当り図柄情報表示を指示するものである。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始を指示するものであり、小当り開放表示コマンドは、小当り開放中開始(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放中又は開放開始)を指示するものであり、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞演出(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2128によって検出された場合における演出)を指示するものであり、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始時に送信され、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103のN回目のラウンドの開放時)に送信され、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、大入賞口1閉鎖時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の閉鎖開始)に送信され、大入賞口1カウント表示コマンドは、大入賞口1開放時及び大入賞口1へのカウント変化時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時、及び大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2128によって検出された時)に送信され、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始時に送信され、大当り図柄表示コマンドは、大入賞口開放時(アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信される。
また、小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始時に送信され、小当り開放表示コマンドは、小当り開放時(小当り時における、アタッカユニット2100の大入賞口2103の開放時)に送信され、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞時(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球がカウントスイッチ2128によって検出された時)に送信され、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−4.電源投入]
電源投入という区分には、図185に示すように、電源投入という名称の各種コマンドから構成されている。この電源投入コマンドには、ステータスとして「D*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
電源投入コマンドは、RAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、図165に示したRAMクリアスイッチ4100eが操作された時における演出の開始を指示したりするものである)。
電源投入コマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、RAMクリアスイッチ4100eが操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で電源投入コマンドが送信される。
[8−2−5.普図同調演出関連]
普図同調演出関連は、図165に示したゲートスイッチ2751からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図185に示すように、図165に示した機能表示基板1191の普通図柄表示器1189に関する、普図同調演出開始、普図柄指定、普図同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「E*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
普図同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで普図同調演出開始を指示するものであり、普図柄指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するものであり、普図同調演出終了コマンドは、普図同調演出終了を指示するものであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図同調演出開始コマンドは、普通図柄1変動開始時に送信され、普図柄指定コマンドは、普図同調演出開始の直後に送信され、普図同調演出終了コマンドは、普通図柄変動時間経過時(普通図柄確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、普図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−6.普通電役演出関連]
普通電役演出関連は、図165に示した始動口ソレノイド2121の駆動により開閉される図110に示した一対の可動片2105に関するものであり、その区分には、図185に示すように、普図当りオープニング、普電開放表示、及び普図当りエンディングという名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「F*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始を指示するものであり、普電開放表示コマンドは、普電開放中開始(一対の可動片2105が始動口ソレノイド2121の駆動により左右方向へ拡開した状態、又は拡開する時)を指示するものであり、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始時に送信され、普電開放表示コマンドは、普電開放時(一対の可動片2105が始動口ソレノイド2121の駆動により左右方向へ拡開する時)に送信され、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−7.報知表示]
報知表示の区分には、図186に示すように、入賞異常表示、接続異常表示、断線・短絡異常表示、磁気検出スイッチ異常表示、扉開放、及び扉閉鎖という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「6*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時(大当り中でもないのに、アタッカユニット2100の大入賞口2103に遊技球が入球してその遊技球をカウントスイッチ2128が検出した時)に入賞異常報知の開始を指示するものであり、接続異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間に亘る経路において電気的な接続異常がある場合に接続異常報知の開始を指示するものであり、断線・短絡異常表示コマンドは、例えば、主制御基板4100と、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、カウントスイッチ2128等との電気的な接続の断線・短絡が生じた場合に断線・短絡異常表示の開始を指示するものであり、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、図165に示した磁気検出スイッチ3103に異常が生じた場合に磁気検出スイッチ異常報知の開始を指示するものである。
また、扉開放コマンドは、図166に示した、払出制御基板4110を介して入力される扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号(開放信号)に基づいて、本体枠3が外枠2に対して開放された状態である場合や、扉枠5が本体枠3に対して開放された状態である場合に、扉開放報知を指示するものであり、扉閉鎖コマンドは、その扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して閉鎖された状態であるとともに、扉枠5が本体枠3に対して閉鎖された状態である場合に扉開放報知終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時に送信され、接続異常表示コマンドは、主制御基板4100から払出制御基板4110へのコマンド送信時に払出制御基板4110からのACK返信(ACK信号)がなかった時に送信され、断線・短絡異常表示コマンドは、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、カウントスイッチ2128等のうち、いずれが断線または短絡状態となった時に送信され、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気検出スイッチ3103の異常を検知した時に送信され、扉開放コマンドは、扉開放を検知した時(扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して開放された状態である場合や、扉枠5が本体枠3に対して開放された状態である場合)に送信され、扉閉鎖コマンドは、扉閉鎖を検知した時(扉枠開放スイッチ618及び本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠3が外枠2に対して閉鎖された状態であるとともに、扉枠5が本体枠3に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−8.状態表示]
状態表示の区分には、図186に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ、及び枠状態2という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「7*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、払出制御基板4110から送信された1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、これらの詳細な説明は、後述する。なお、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、図186に示すように、「7*H」をステータスとして設定するとともに、その受信したコマンドをそのままモードとして設定する。つまり、主制御MPU4100aは、払出制御基板4110からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、これら受信したコマンドに付加情報である「7*H」を付加することにより、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドに整形する。
整形された、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これら整形された、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−9.テスト関連]
テスト関連の区分には、図186に示すように、テストという名称の各種コマンドから構成されている。このテストコマンドには、ステータスとして「8*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
テストコマンドは、周辺制御基板4140の各種検査を指示するものである(例えば、図168に示した、周辺制御部4150の音源IC4150c、液晶制御部4160、ランプ駆動基板3041、モータ駆動基板3042、及び枠装飾駆動アンプ基板194等の各種基板の検査を行うものである)。
テストコマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、RAMクリアスイッチ4100eが操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理でテストコマンドが送信される。
[8−2−10.その他]
その他の区分には、図186に示すように、始動口入賞、変動短縮作動終了指定、高確率終了指定、特別図柄1記憶、特別図柄2記憶、普通図柄記憶、特別図柄1記憶先読み演出、及び特別図柄2記憶先読み演出という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「9*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出開始を指示するものであって、上始動口スイッチ3102からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した場合における演出の開始と、下始動口スイッチ2127からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した場合における演出の開始と、をそれぞれ指示するものであり、変動短縮作動終了指定コマンドは、変動短縮作動状態から変動短縮非作動状態への状態移行を指示するものであり、高確率終了指定コマンドは、高確率状態から低確率状態への状態移行を指示するものであり、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1保留0〜4個(図110に示した上始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2保留0〜4個(図110に示した下始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1保留0〜4個(図110に示したゲート部2750を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1保留が機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄1保留に基づく上特別図柄表示器1185による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものであり、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2保留が機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄2保留に基づく下特別図柄表示器1186による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、始動口入賞コマンドは、始動口入賞時(上始動口スイッチ3102からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した時や、下始動口スイッチ2127からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した時)に、図21に示したサイドスピーカ130,130、図30に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図85に示した下部スピーカ821から主に音声でその旨を報知するために送信され、変動短縮作動終了指定コマンドは、規定回数の変動短縮を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、高確率終了指定コマンドは、「高確率N回」の場合の高確率回数を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1作動保留球数変化時(上始動口2101に遊技球が入球して機能表示基板1191の上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに上始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から上特別図柄表示器1185で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2作動保留球数変化時(下始動口2102に遊技球が入球して機能表示基板1191の下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに下始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から下特別図柄表示器1186で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1作動保留球数変化時(ゲート部2750を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらにゲート部2750を遊技球が通過して保留数が増加した時や、その保留数から普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1作動保留球数増加時(上始動口2101に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信され、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2作動保留球数増加時(下始動口2102に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
ところで、始動口入賞コマンドは、上述したように、始動口入賞時(上始動口スイッチ3102からの検出信号に基づいて上始動口2101に遊技球が入球した時や、下始動口スイッチ2127からの検出信号に基づいて下始動口2102に遊技球が入球した時)に、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262や下部スピーカ821から主に音声でその旨を報知するために送信されるが、図168に示した周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドをどのように利用するかについては、パチンコ遊技機の仕様によって異なる場合もある。例えば、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262や下部スピーカ821から音声で報知するほかに、不正行為の有無を監視するためにも利用するという仕様のものである。これに対して、他のパチンコ遊技機では、周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドを単に受信するだけで、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262や下部スピーカ821から音声で報知しない仕様のものもある。
[8−3.主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンド]
次に、主制御基板4100が受信する払出制御基板4110からの各種コマンドについて説明する。
払出制御基板4110からの各種コマンドの区分には、図187に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ及び枠状態2という名称のコマンドから構成されており、枠状態1、エラー解除ナビ、そして枠状態2の順で優先順位が設定されている。
枠状態1コマンドには、球切れ、満タン、50個以上のストック中、接続異常及びCR未接続が用意されており、球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、満タンではビット1(B1)に値1がセットされ、50個以上のストック中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。枠状態1コマンドのビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B5に値1、B6に値0、そしてB7に値0がセットされている。
エラー解除ナビコマンドには、球がみ、計数スイッチエラー及びリトライエラーが用意されており、球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライエラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、図166に示した計数スイッチ751の不具合が生じているか否かを示すものである。「リトライエラー」とは、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球の払い出しが繰り返し行われたことを示すものである。エラー解除ナビコマンドのビット(B0)、ビット(B1)、及びビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B0に値0、B1に値0、B5に値0、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
枠状態2コマンドには、球抜き中が用意されており、球抜き中ではビット0(B0)に値1がセットされる。枠状態2コマンドのビット1(B1)〜ビット7(B7)には、B1に値0、B2に値0、B3に値0、B4に値0、B5に値1、B6に値1、そしてB7に値0がセットされている。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS360のコマンド送信処理で送信される。
[9.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて、図165に示した主制御基板4100が行う各種制御処理について、図188〜図190を参照して説明する。図188は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図189は図188の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図190は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図219は初期値更新型のカウンタの動きを示す説明図(最大値側に寄った範囲)であり、図220は初期値更新型のカウンタの動きを示す説明図(最小値側に寄った範囲)である。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて初期値更新型のカウンタの動き、主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。
[9−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いるための大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチ(リーチはずれ)を発生させるか否かの決定に用いるためのリーチ判定用乱数と、図165に示した、上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で変動表示される特別図柄の変動表示パターンの決定に用いるための変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で導出表示される大当り図柄の決定に用いるための大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための大当り図柄用初期値決定用乱数、小当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186で導出表示される小当り図柄の決定に用いるための小当り図柄用乱数、この小当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための小当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図119に示した可動片2105を開閉動作させるか否かの決定に用いるための普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図165に示した普通図柄表示器1189で変動表示される普通図柄の変動表示パターンの決定に用いるための普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。このようなカウンタの更新方法を「初期値更新型のカウンタ」という。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得ることができるようになっている。また、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数も上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一である。
なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、上述したように、大当り判定用初期値決定用乱数は初期値抽選処理を実行することにより更新されるようになっているが、図165に示したRAMクリアスイッチ4100eが電源投入時に操作された場合や、後述する、主制御側電源投入時処理において図165に示した主制御MPU4100aの主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出して得たチェックサムの値(サム値)が主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致していない場合など、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合には、大当り判定用初期値決定用乱数は、図165に示した主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が常に上書き更新されるようになっている。このように、大当り判定用初期値決定用乱数にセットされる値は、IDコードを利用して導出されており、主制御MPU4100aを製造したメーカによって主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMにIDコードを記憶させるとIDコードが外部装置を用いても書き換えられないという第1のセキュリティー対策と、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合に初期値導出処理を実行することによってIDコードに基づいて同一の固定値を導出するという第2のセキュリティー対策と、による2段階のセキュリティー対策が講じられることよって解析されるのを防止している。
ここで、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードを大当り判定用初期値決定用乱数として用いる利点について説明する。例えば、賞球として払い出される遊技球を不正に獲得しようとする者が何らかの方法で遊技盤4を入手して分解し、主制御MPU4100aに内蔵する不揮発性のRAMに予め記憶されているIDコードを不正に取得し、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングを把握することができたとしても、そのIDコードが個体を識別するためのユニークな符号が付されたものであるため、他の遊技盤4'に備える主制御MPU4100a'に内蔵する不揮発性のRAMに予め記憶されているIDコードとまったく異なるものとなる。つまり他の遊技盤4'においては、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングも、入手した遊技盤4のものとまったく異なる。換言すると、入手した遊技盤4を分解して解析して得たIDコードは、他の遊技盤4'、つまり他のパチンコ遊技機1'において、まったく役に立たないものであるため、分解して解析した得た所定間隔ごとに瞬停を発生させ、その所定間隔ごとに、図110に示した、上始動口2101や下始動口2102に遊技球を入球させるという始動入賞を狙っても、大当り遊技状態を発生させることができない。
[9−2.初期値更新型のカウンタの動き]
初期値更新型のカウンタは、図219に示すように、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合(RAMクリア時)に主制御MPU4100aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる。初期値更新型のカウンタは、1サイクル目として、この固定値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から固定値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数として大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされる。初期値更新型のカウンタは、2サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、3サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値31768〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出されるようになっている。大当り判定用乱数を更新するカウンタは、本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767までに亘る予め定めた固定数値範囲を更新するようになっている。換言すると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)は、低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている。
ここで、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値10〜値209が設定され、高確率では値10〜値339が設定されている場合について検討してみると、図220に示すように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最小値側に寄った範囲に設定されることとなる。このような場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値10となる時期までに亘る期間と、この値10の次の値11から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最後の値(低確率では値209、高確率では値339)までに亘る範囲と、この最後の値の次の値(低確率では値210、高確率では値340)から最大値(値32767)となるまでに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。そうすると、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して上始動口2101や下始動口2102に向かって電波を照射することにより遊技球が上始動口2101や下始動口2102に入球したかのように装う不正行為が行われると、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が高いと言える。
これに対して、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。そうすると、初期値更新型のカウンタは、値0から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲のうち、いずれかの値が初期値抽選処理により抽選された値となって上述した大当り判定用初期値決定用乱数にセットされることとなるため、この抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップすることとなる。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。つまり、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間が不規則となり、ランダム性に富んだものとなっている。これにより、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して上始動口2101や下始動口2102に向かって電波を照射することにより遊技球が上始動口2101や下始動口2102に入球したかのように装う不正行為が行われたとしても、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が低いと言える。
なお、初期値更新型のカウンタは、図219、及び図220に示すように、最小値から最大値までの範囲を繰り返し更新される。初期値から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)から2サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T0となる。時間T0から3サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T1となり、時間T0に比べて時間T1の方が短くなる。時間T1から4サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T2となり、時間T1に比べて時間T2の方が短くなる。このように、初期値更新型のカウンタでは、更新されるカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となる時間に対してゆらぎを持たせることによって(周期性を排除した状態にすることによって)遊技者に察知されないようになっている。
[9−3.主制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図188及び図189に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPU4100aは、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、払出制御基板4110の停電監視回路4110bから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、払出制御基板4110の停電監視回路4110bから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS14の判定では、払出制御基板4110の停電監視回路4110bからの停電予告信号に基づいて行う。
ステップS14に続いて、図165に示したRAMクリアスイッチ4100eが操作されているか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU4100aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていると判定する一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないと判定する。
ステップS16でRAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS18)、一方、ステップS16でRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS20)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU4100aに内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS20でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGの値は、主制御MPU4100aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS18又はステップS20に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS22)。このウェイトタイマ処理2では、図168に示した、周辺制御基板4140の液晶制御部4160による液晶表示装置1900の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS22に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS24)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS26)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS26に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS28)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS30)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等の遊技バックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS32)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPU4100aに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS32に続いて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS34)。この電源投入時コマンド作成処理では、遊技バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS28でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS36)。具体的には、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う(なお、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい)。また、上述した大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数は、RAMクリアスイッチ4100eが操作されて遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPU4100aの不揮発性のRAMに予め記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この固定値がセットされる。
ステップS36に続いて、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS38に続いて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS40)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための図185に示した電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板4140の各種検査を行うための図186に示したテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS34又はステップS40に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS42)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS42に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS44)。この設定によりステップS42で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS44に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS46)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS46に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS48)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が払出制御基板4110の停電監視回路4110bから入力される。ステップS48の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS48で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS50)。この非当落乱数更新処理では、上述した、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS50に続いて、再びステップS46に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS48で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS50で非当落乱数更新処理を行い、ステップS46〜ステップS50を繰り返し行う。なお、このステップS46〜ステップS50の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS48で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS52)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS52に続いて、図165に示した、始動口ソレノイド2121、アタッカソレノイド2124、上特別図柄表示器1185、下特別図柄表示器1186、上特別図柄記憶表示器1184、下特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190等に出力している駆動信号を停止する(ステップS54)。
ステップS54に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS56)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS56に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS58)。これにより、遊技バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS58に続いて、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS60に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU4100aにリセットがかかり、その後主制御MPU4100aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS52〜ステップS60の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(主制御MPU4100a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS28では主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS30では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報を2重にチェックすることにより遊技バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[9−4.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図188及び図189に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板4100の主制御MPU4100aは、図190に示すように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS46においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート4100bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。具体的には、図110に示した一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する図165に示した一般入賞口スイッチ3101,3101からの検出信号、図110に示した大入賞口2103に入球した遊技球を検出する図165に示したカウントスイッチ2128からの検出信号、図110に示した上始動口2101に入球した遊技球を検出する図165に示した上始動口スイッチ3102からの検出信号、図110に示した下始動口2102に入球した遊技球を検出する図165に示した下始動口スイッチ2127からの検出信号、図110に示したゲート部2750を通過した遊技球を検出する図165に示したゲートスイッチ2751からの検出信号、図165に示した磁石を用いた不正行為を検出する磁気検出スイッチ3103からの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを図165に示した払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払出制御基板4110からの払主ACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。また、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3102からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2127からの検出信号をそれぞれ読み取ると、これと対応する図186に示したその他に区分される始動口入賞コマンドを送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。つまり、上始動口スイッチ3102からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるし、下始動口スイッチ2127からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるようになっている。
なお、本実施形態では、一般入賞口2104,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ3101,3101からの検出信号、大入賞口2103に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ2128からの検出信号、上始動口2101に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ3102からの検出信号、下始動口2102に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ2127からの検出信号、及びゲート部2750を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ2751からの検出信号は、このスイッチ入力処理が開始されると、まず1回目としてそれぞれ読み取られ、所定時間(例えば、10μs)経過した後、2回目としてそれぞれ再び読み取られる。そして、この2回目に読み取られた結果と、1回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを判定する。同結果でないものについては、さらに、3回目として再び読み取られ、この3回目に読み取られた結果と、2回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果でないものについては、さらに、4回目として再び読み取られ、この4回目に読み取られた結果と、3回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果とならいものについては、遊技球の入球がないものとして扱う。
このように、スイッチ入力処理では、一般入賞口スイッチ3101,3101、カウントスイッチ2128、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、及びゲートスイッチ2751からの検出信号を、1回目〜3回目に亘って比較する2度読み取りと、2回目〜4回目に亘って比較する2度読み込みと、による計2回の2度読み取りを行うことによって、チャタリングやノイズ等の影響による誤検出を回避することができるようになっているため、一般入賞口スイッチ3101,3101、カウントスイッチ2128、上始動口スイッチ3102、下始動口スイッチ2127、及びゲートスイッチ2751からの検出信号の信頼性を高めることができる。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189が点灯する時間のほかに、主制御基板4100(主制御MPU4100a)が送信した各種コマンドを払出制御基板4110が正常に受信した旨を伝える払主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図189に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得ることができるようになっている。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
本実施形態では、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数を、図189に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理、及び本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS78の当落乱数更新処理でそれぞれ更新しているが、割り込みタイマが発生するごとに本ルーチンの処理時間にムラが生じて次の割り込みタイマが発生するまでの残り時間内において主制御側メイン処理を繰り返し実行することによりステップS50の非当落乱数更新処理の実行回数がランダムとなる場合には、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数をステップS50の非当落乱数更新処理においてのみ更新する仕組みとしてもよい。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出すための図184に示した賞球コマンドを作成したり、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するための図184に示したセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主払シリアルデータとして払出制御基板4110に送信する。例えば、図110に示した大入賞口2103に遊技球が1球、入球すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成して払出制御基板4110に送信したり、この賞球コマンドを払出制御基板4110が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して払出制御基板4110に送信したりする。
ステップS80に続いて、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板4110は、図187に示した状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を送信する。ステップS82の枠コマンド受信処理では、この各種コマンドを払主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を払出制御基板4110に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その正常に払主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し(図186の状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド))、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS82に続いて、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合にカウントスイッチ2128からの検出信号が入力されているとき(大入賞口2103に遊技球が入球するとき)等には、異常状態として図186に示した報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した大当り判定用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当り遊技状態を発生させるか否かを判定)したり、大当り図柄用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することである。本実施形態では、上述した大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値31768〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出される。このように、ステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理では、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と、主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と、が一致するか否かを判定するときには、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値が大当り判定範囲に含まれているか否かにより行う。
これらの判定結果が上始動口スイッチ3102によるものである場合には図185に示した特図1同調演出関連の各種コマンドを作成する一方、その抽選結果が下始動口スイッチ2127によるものである場合には図185に示した特図2同調演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するするとともに、その決定した特別図柄の変動表示パターンに従って上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186を点灯させるよう上特別図柄表示器1185又は下特別図柄表示器1186への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには、図185に示した大当り関連に区分される各種コマンド(大当りオープニングコマンド、大入賞口1開放N回目表示コマンド、大入賞口1閉鎖表示コマンド、大入賞口1カウント表示コマンド、大当りエンディングコマンド、及び大当り図柄表示コマンド)を作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、図110に示した開閉部材2106を開閉動作させるようアタッカソレノイド2124への駆動信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、大入賞口2103が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、図102に示したラウンド表示器1190の2ラウンド表示ランプ1190aを点灯させるよう2ラウンド表示ランプ1190aへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが15回であるときには、89に示したラウンド表示器1190の15ラウンド表示ランプ1190bを点灯させるよう15ラウンド表示ランプ1190bへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、確率変動の発生の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器1183への点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したりする。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。このゲート入賞処理では、入力情報からゲートスイッチ2751からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
このゲート情報記憶領域には、第0区画〜第3区画(4つの区画)が設けられており、第0区画、第1区画、第2区画、そして第3区画の順にゲート情報が格納されるようになっている。例えばゲート情報がゲート情報記憶の第0区画〜第2区画に格納されている場合、ゲートスイッチ2751からの検出信号が入力端子に入力されていたときにはゲート情報をゲート情報記憶の第3区画に格納する。
ゲート情報はゲート情報記憶の第0区画に格納されているものが主制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。このゲート情報がセットされると、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画に、ゲート情報記憶の第3区画のゲート情報がゲート情報記憶の第2区画に、それぞれシフトされてゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。例えば、ゲート情報記憶の第1区画〜第2区画にゲート情報が記憶されている場合には、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画にそれぞれシフトされてゲート情報記憶の第2区画及びゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。ここで、ゲート情報記憶の第1区画〜第3区画にゲート情報が格納されていると、格納されたゲート情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、上述したゲート情報に基づいて普通図柄記憶表示器1188の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ゲート入賞処理に続いて、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報を読み出し、この読み出したゲート情報から普通図柄当り判定用乱数の値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致するか否かを判定する(「普通抽選」という)。この判定結果(普通抽選による抽選結果)により可動片2105を開閉動作させるか否かが決定する。この決定で開閉動作をさせる場合には、一対の可動片2105が左右方向へ拡開した状態となることで下始動口2102へ遊技球が受入可能となる遊技状態となって遊技者に有利な遊技状態なる。この決定と対応する普通図柄の変動表示パターンを上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて決定し、図185に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄の変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、例えばその取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致しているときには、図185に示した普通電役演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、可動片2105を開閉動作させるよう始動口ソレノイド2121への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する一方、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と一致していないときには、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定し、図185に示した普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート4100bの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて主制御I/Oポート4100bの出力端子から、払出制御基板4110からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板4110に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口2103の開閉部材2106の開閉動作を行うアタッカソレノイド2124に駆動信号を出力したり、可動片2105の開閉動作を行う始動口ソレノイド2121に駆動信号を出力したりするほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、2ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を払出制御基板4110に出力したりする。
ステップS90に続いて、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板4140に送信する。この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した、図185に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図186に示した、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPU4100aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPU4100aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[10.払出制御基板の各種制御処理]
次に、図166に示した払出制御基板4110が行う各種制御処理について、図191〜図209を参照して説明する。図191は払出制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図192は図191の払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図193は図192に続いて払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図194は払出制御部タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図195は球抜きスイッチ操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図196は回転角スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートであり、図197はスプロケット定位置判定スキップ処理の一例を示すフローチャートであり、図198は球がみ判定処理の一例を示すフローチャートであり、図199は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図200は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図201はストック監視処理の一例を示すフローチャートであり、図202は払出球抜き判定設定処理の一例を示すフローチャートであり、図203は払出設定処理の一例を示すフローチャートであり、図204は球抜き設定処理の一例を示すフローチャートであり、図205は球がみ動作設定処理の一例を示すフローチャートであり、図206はリトライ動作監視処理の一例を示すフローチャートであり、図207は不整合カウンタリセット判定処理の一例を示すフローチャートであり、図208はエラー解除スイッチ操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図209は球貸しによる払出動作時の信号処理(ア)、CRユニットからの入力信号確認処理(イ)を示すタイミングチャートである。
まず、払出制御部電源投入時処理について説明し、続いて払出制御部タイマ割り込み処理、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、払出設定処理、球がみ動作設定処理、球抜き設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除スイッチ操作判定処理について説明する。なお、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球抜き判定設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除スイッチ操作判定処理は、後述する払出制御部電源投入時処理におけるステップS562の主要動作設定処理の一処理として行われ、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除スイッチ操作判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、そして払出球抜き判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
[10−1.払出制御部電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図191〜図193に示すように、払出制御部電源投入時処理を行う。この払出制御部電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU4120aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS500)。この割り込みモードは、払出制御MPU4120aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御部タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理を行う。
ステップS500に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS502)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU4120aのI/Oポートの入出設定等を行う。
ステップS502に続いて、図174に示した停電監視回路4110bに停電クリア信号の出力を開始する(ステップS504)。この停電監視回路4110bは、電圧比較回路と、DタイプフリップフロップICと、から構成されている。電圧比較回路は、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理がHIとなってDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理がLOWとなってDタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力されるようになっている。ステップS504では、このDタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bを介して、その論理がLOWとなってクリア端子に入力される。これにより、払出制御MPU4120aは、DタイプフリップフロップPIC22のラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップPIC22のプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS504に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS506)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS508)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路4110bから停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路4110bから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS506のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS508の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップPIC22の出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS508に続いて、DタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS510)。この停電クリア信号の出力を停止することで、払出制御I/Oポート4120bを介して、その論理がHIとなってクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、払出制御MPU4120aは、DタイプフリップフロップPIC22をラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップPIC22は、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS510に続いて、RAMクリアスイッチ4100eが操作されているか否かを判定する(ステップS512)。この判定は、主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100eが操作され、その操作信号(検出信号)が払出制御MPU4120aに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないと判定する。
ステップS512でRAMクリアスイッチ4100eが操作されているときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットし(ステップS514)、一方、ステップS512でRAMクリアスイッチ4100eが操作されていないときには、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS516)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU4120aに内蔵されたRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS514及びステップS516でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU4120aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS514又はステップS516に続いて、払出制御内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS518)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS518に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS520)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS520では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS520に続いて、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS522)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS524)。このチェックサムは、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS524に続いて、算出したチェックサムの値が後述する払出制御部電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS526)。一致しているときには、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS528)。この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値等の払出バックアップ情報を後述する払出制御部電源断時処理において払出制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、払出制御部電源断時処理を正常に終了したとき値1、払出制御部電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS530)。この設定は、払出バックアップフラグHBK−FLGに値0をセットするほかに、払出制御MPU4120aに内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を払出制御内蔵RAMの作業領域にセットする。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている上述した払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報、時間管理情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタリセット判定時間等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり払出情報を消去するときには、又はステップS526でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了していないときには、払出制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS532)。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報がクリアされる。
ステップS532に続いて、初期設定として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS534)。この設定は、払出制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS530又はステップS534に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS536)。この設定は、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では、1.75msに設定されている。
ステップS536に続いて、割り込み許可設定を行う(ステップS538)。この設定によりステップS536で設定した割り込み周期、つまり1.75msごとに払出制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS538に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS540)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路4110bから入力される。ステップS540の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS540で停電予告信号の入力がないときには1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS542)。この1.75ms経過フラグHT−FLGは、後述する、1.75msごとに処理される払出制御部タイマ割り込み処理で1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS542で1.75ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり1.75ms経過していないときには、ステップS540に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS542で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし(ステップS544)、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)4120cに外部WDTクリア信号を出力する(ONする、ステップS546)。この外部WDT4120cは、払出制御MPU4120aの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときには払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセット信号を出力してリセットをかける(払出制御MPU4120aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS546に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS548)。このポート出力処理では、払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子から出力する。出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンド(図184に示した、賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を正常に受信した旨を伝える払主ACK情報、払出モータ744への駆動制御を行う駆動情報、払出モータ744が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、エラーLED表示器860cに表示するLED表示情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて払出制御I/Oポート4120bの出力端子から、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときには払主ACK信号を主制御基板4100に出力したり、払出モータ744に駆動信号を出力したり、払出モータ744が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数情報信号として外部端子板784に出力したり(本実施形態では、払出モータ744が実際に10個の遊技球を払い出すごとに外部端子板784に賞球数情報信号を出力している。)、エラーLED表示器860cに表示信号を出力したりする。
ステップS548に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS550)。このポート入力処理では、払出制御I/Oポート4120bの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、エラー解除スイッチ860aの操作信号、回転角スイッチ752からの検出信号、計数スイッチ751からの検出信号、満タンスイッチ550からの検出信号、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板4100が正常に受信した旨を伝える主制御基板4100からの主払ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS550に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS552)。このタイマ更新処理では、図77に示した払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、払出回転体748の定位置判定を行わない際に設定されているスキップ判定時間、図72に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、図22に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、球切れスイッチ750からの検出信号により賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行うほかに、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ751で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを監視するための不整合カウンタINCCをリセットするか否かの判定を行う際にその判定条件と設定されている不整合カウンタリセット判定時間の時間管理を行う。例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、スキップ判定時間が22.75ms、球抜き判定時間が60060ms、満タン判定時間が504ms、球切れ判定時間が119ms、不整合カウンタリセット判定時間が7000s(約2時間)にそれぞれ設定されており、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を1.75msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS552に続いて、CR通信処理を行う(ステップS554)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、CRユニット6からの各種信号(BRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号)が入力されているか否かを判定する。CRユニット6からの各種信号に基づいて、払出制御MPU4120aは、CRユニット6と各種信号のやり取りを行う。ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元することができる。これにより、賞球装置740による遊技球の払出動作を実行している際に、瞬停又は停電して払出動作を続行することができなくなっても、復電時に、その払出動作を続行することができるため、過不足なく遊技球を上皿301や下皿302に払い出すことができる。換言すれば、払出制御MPU4120aは、CR通信処理において、CRユニット6と各種信号のやり取りを行いながら、遊技球を上皿301や下皿302に払い出している際に、瞬停又は停電してCRユニット6と各種信号のやり取りが遮断され、遊技球の払い出しを続行することができなくなっても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値が、払出バックアップ情報として記憶された、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元されることによって、瞬停又は停電する直前における、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りを、復電時から継続することができるとともに、遊技球の払い出しを引き続き行うことができるようになっている。このように、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りは、瞬停又は停止しても、復電時に、瞬停又は停止する直前の状態に復元されるようになっており、瞬停又は停止による影響によってパチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号が変化しないようになっている。したがって、パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りの信頼性を高めることができる。また、CR通信情報記憶領域に記憶される各種情報は、上述したように、払出バックアップ情報に含まれている。CR通信処理では、復電時に、ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において設定された、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報が、例えば貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、そのPRDY信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する。そして、主要動作設定処理の一処理として行われる、例えばリトライ動作監視処理において、払出バックアップ情報に含まれている、払出制御内蔵RAMに記憶されている賞球情報記憶領域の不整合カウンタINCCの値に基づいて、この不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かを判定し、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断して、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断して、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし、払出球抜き判定設定処理において、CRユニット6へのエラー状態の出力の設定として、例えばCRユニット6と通信中でないときには貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態(LOW)をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、CR通信処理では、復電時から次のタイマ割り込みで、このPRDY信号の論理の状態を、CR通信情報記憶領域から読み出してそのPRDY信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する。このように、例えば、瞬停する直前において、賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であった場合には、復電時に、その状態が復元されるため、復電してから極めて早い段階で、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号を払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力することができ、CRユニット6に賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態である旨を伝えることができる。これにより、復電時から極めて早い段階で、CRユニット6からの無駄な貸球要求信号であるBRDYが出力されるのを防止することができる。またCR通信処理では、ステップS550のポート入力処理で、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域からCR接続信号を読み出してこのCR接続信号に基づいて、その論理がHIであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板4110とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されているときには、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をHIとして払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する一方、その論理がLOWであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板4110とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されていないときには、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をLOWとして払出制御I/Oポート4120bの出力端子からCRユニット6へ出力する。なお、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号の論理の状態は、EXS信号出力設定情報として払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域に記憶され、払出制御基板4110とCRユニット6とが電気的に接続されているか否かを伝えるCR接続信号は、CR接続情報として状態情報記憶領域に記憶されるようになっている。
ステップS554に続いて、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS556)。この満タン及び球切れチェック処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、満タンスイッチ550からの検出信号により上述したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、球切れスイッチ750からの検出信号により上述した賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定したりする。例えば、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチ550からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチ550からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチ550からの検出信号がONであるときには、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。一方、満タンスイッチ550からの検出信号がOFFであるときには、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域域に記憶する。
賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期1.75msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(1.75ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れスイッチ750からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。そしてタイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、この満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチ750からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れスイッチ750からの検出信号がONであるときには、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れスイッチ750からの検出信号がOFFであるときには、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS556に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS558)。このコマンド受信処理では、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンド(図184に示した、賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える払主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の接続に異常が生じている(各種コマンド信号に異常が生じている)旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS558に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS560)。このコマンド解析処理では、ステップS558で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS560に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS562)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、リトライ動作の判定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。
ステップS562に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS564)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、払出制御基板4110のエラーLED表示器860cに表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に基づいて、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、対応する表示データ(本実施形態では、表示値1(数字「1」))を作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS564に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS566)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいて図186に示した状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を作成して主制御基板4100に送信したりする。例えば、状態情報記憶領域から球切れ情報を読み出すと、この球切れ情報に基づいて、賞球装置740の供給通路741aに取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、枠状態1コマンドを作成して主制御基板4100に送信したりする。
ステップS566に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)4120cに外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFする、ステップS568)。これにより、外部WDT4120cをクリアし、払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセットがかからないようにする。また外部WDT4120cは、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。
ステップS568に続いて、再びステップS540に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS542で1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この1.75ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり1.75ms経過したときには、ステップS544で1.75ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS546で外部WDT4120cに外部WDTクリア信号を出力(ON)し、ステップS548でポート出力処理を行い、ステップS550でポート入力処理を行い、ステップS552でタイマ更新処理を行い、ステップS554でCR通信処理を行い、ステップS556で満タン及び球切れチェック処理を行い、ステップS558でコマンド受信処理を行い、ステップS560でコマンド解析処理を行い、ステップS562で主要動作設定処理を行い、ステップS564でLED表示データ作成処理を行い、ステップS566でコマンド送信処理を行い、ステップS568で外部WDT4120cに外部WDTクリア信号の出力を停止(OFF)し、ステップS540〜ステップS568を繰り返し行う。なお、このステップS540〜ステップS568の処理を「払出制御部メイン処理」という。
主制御基板4100による遊技の進行に応じて払出制御部メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU4120aの処理に要する時間が変動することとなる。そこで、払出制御MPU4120aは、ステップS548のポート出力処理において、主制御基板4100からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝える払主ACK信号を、優先して主制御基板4100に出力している。これにより、払出制御MPU4120aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS540で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS570)。この設定により後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。ステップS570に続いて、停電クリア信号を、払出制御I/Oポート4120bを介して、停電監視回路4110bのDタイプフリップフロップPIC22のクリア端子であるCLR端子に出力する(ステップS572)。これにより、停電クリア信号が出力されることによりDタイプフリップフロップPIC22はラッチ状態を解除することができる。ステップS572に続いて、払出モータ744への駆動信号の出力を停止する(ステップS574)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。ステップS574に続いて、外部WDT4120cに外部WDTクリア信号を出力してその出力を停止する(ON/OFFする、ステップS576)。これにより、外部WDT4120cをクリアする。ステップS576に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS578)。このチェックサムは、ステップS524で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出制御内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS578に続いて、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする(ステップS580)。これにより、払出バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS580に続いて、払出制御内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS582)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。ステップS582に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、外部WDT4120cにクリア信号をON/OFFしない。このため、外部WDT4120cは、払出制御MPU4120a及び払出制御I/Oポート4120bにリセット信号を出力してリセットをかける。その後払出制御MPU4120aは、この払出制御部電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS570〜ステップS582の処理及び無限ループを「払出制御部電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(払出制御MPU4120a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御部電源投入時処理を行う。
なお、ステップS526では払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS528では払出制御部電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[10−2.払出制御部タイマ割り込み処理]
次に、払出制御部タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御部タイマ割り込み処理は、図191〜図193に示した払出制御部電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、1.75ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御部タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図194に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS590)。ここでは、上述した払出制御部メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御部タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS590に続いて、1.75ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS592)。この1.75経過フラグHT−FLGは、この払出制御部タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり1.75msごとに1.75msを計時するフラグであり、1.75ms経過したとき値1、1.75ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS592に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS594)。この復帰は、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタから汎用記憶素子(汎用レジスタ)に切り替える。この汎用レジスタを払出制御部メイン処理で使用することにより補助レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS594に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS596)、このルーチンを終了する。
[10−3.球抜きスイッチ操作判定処理]
次に、球抜きスイッチ操作判定処理について説明する。この球抜きスイッチ操作判定処理では、図166に示した球抜きスイッチ860bが操作されているか否かを判定する。
球抜きスイッチ操作判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図195に示すように、球抜きスイッチ860bが操作されているか否かを判定する(ステップS600)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で球抜きスイッチ860bからの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS600では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して球抜きスイッチ860bからの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に球抜きスイッチ860bからの検出信号があるときには、球抜きスイッチ860bが操作されていると判定する。一方、入力情報に球抜きスイッチ860bからの検出信号がないときには、球抜きスイッチ860bが操作されていないと判定する。
ステップS600で球抜きスイッチ860bが操作されているときには、球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする(ステップS602)。この球抜きフラグRMV−FLGは、図72に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS602に続いて、上述した球抜き判定時間を有効に設定し(ステップS604)、このルーチンを終了する。この球抜き判定時間が有効になることによって、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で球抜き判定時間の減算が行われる。
一方、ステップS600で球抜きスイッチ860bが操作されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS602でセットされた球抜きフラグRMV−FLGは、払出制御MPU4120aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
[10−4.回転角スイッチ履歴作成処理]
次に、回転角スイッチ履歴作成処理について説明する。この回転角スイッチ履歴作成処理では、図166に示した回転角スイッチ752からの検出信号の履歴を作成する。
回転角スイッチ履歴作成処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図196に示すように、払出制御内蔵RAMから回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS610)。この回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTは、1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転角スイッチ752からの検出信号の履歴を回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTとして払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。ステップS610では、この回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出している。
ステップS610に続いて、回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS612)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で回転角スイッチ752からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS612では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に回転角スイッチ752からの検出信号があるときには、図77に示した、払出回転体748の回転位置を把握する検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、入力情報に回転角スイッチ752からの検出信号がないときには、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS612で検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であるときには、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS614)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS614に続いて、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS616)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS612で検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるときには、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS618)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS614の回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理と同一の処理を行い、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS618に続いて、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS620)、このルーチンを終了する。
このように、この回転角スイッチ履歴作成処理が行われるごとに、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態又は検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態に応じて最下位ビットB0に値1又は値0がセットされるため、回転角スイッチ752からの検出信号の履歴を作成することができる。
[10−5.スプロケット定位置判定スキップ処理]
次に、スプロケット定位置判定スキップ処理について説明する。このスプロケット定位置判定スキップ処理は、図77に示した払出回転体748が定位置にあるか否かの判定を、所定の条件が成立しているときにスキップする。なお、払出回転体748の定位置判定は、賞球装置740による遊技球の払い出しが終了した際に行われるようにもなっている。これにより、球がみが発生していない状態で払出モータ744の回転軸744aの回転を確実に開始することができる。
スプロケット定位置判定スキップ処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図197に示すように、定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS630)。この定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出回転体748の定位置判定を行うか否かを示すフラグであり、払出回転体748の定位置判定を行わないとき(スキップするとき)値1、払出回転体748の定位置判定を行うとき(スキップしないとき)値0にそれぞれ設定される。
ステップS630で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるとき(スキップしないとき)、つまり払出回転体748の定位置判定を行うときには、払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出し(ステップS632)、定位置判定値と一致しているか否かを判定する(ステップS634)。この定位置判定値は、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS634の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ここで、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回のタイマ割り込み周期で続けて、上述した、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であることを意味している。この4回のタイマ割り込み周期の発生では、図166に示した払出モータ744が4ステップ回転している。払出モータ744の回転は、図77に示した、第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747を介して回転検出盤749の払出回転体748の回転となる。これらの第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747には遊び(バックラッシュ)があるため、払出回転体748が時計方向又は反時計方向に回転することとなるものの、このバックラッシュによる払出回転体748の回転は、払出モータ744の約2ステップの回転に相当する程度となるように設計されているため、本実施形態では、払出回転体748の定位置判定を行う場合には、回転角スイッチ752からの検出信号の履歴、図196で示した回転角スイッチ履歴作成処理で回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを作成し、作成した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0、つまり最新の4回のタイマ割り込み周期の発生による回転角スイッチ752からの検出信号に基づいて行っている。これにより、4回のタイマ割り込み周期では、払出モータ744が4ステップ回転しているため、バックラッシュによる払出回転体748の回転より多く回転しており、バックラッシュによる払出回転体748の回転を吸収することができる。したがって、バックラッシュによる払出回転体748の定位置の誤検出を防ぐことができるため、払出回転体748の回転位置を払出モータ744の回転位置で正しく管理することができる。なお、本実施形態では、4回のタイマ割り込み周期は7ms(=1.75ms×4回)であり、バックラッシュ吸収時間として設定されている。
ステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに値1をセットする(ステップS636)。これにより、払出回転体748の定位置判定を行わない(スキップする)ように設定することができる。なお、払出制御MPU4120aは、ステップS636における払出回転体748の回転位置を払出回転体748の定位置に設定する。
ステップS636に続いて、スキップ判定時間を有効に設定し(ステップS638)、このルーチンを終了する。ここで、図77に示したように、検出スリット749aは、払出回転体748の凹部748aと同じ数の3個であり、回転検出盤749の外周に等分(120度ごと)に形成されている。また、払出モータ744の回転は、上述したように、第1ギア745、第2ギア746、第3ギア747を介して回転検出盤749の払出回転体748の回転となる。本実施形態では、回転検出盤749(払出回転体748)の各検出スリット749a間(120度)の回転は、払出モータ744の18ステップの回転に相当するように設計されている。
払出制御MPU4120aは、払出回転体748の回転位置を払出モータ744のステップ数に基づいて管理している。具体的には、(1)検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移し出す過渡状態(「エッジ検出状態」という。)と、(2)検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態(「定位置確定状態」という。)と、(3)検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態(「定位置判定スキップ状態」)と、の3つの状態で管理している。(1)のエッジ検出状態では払出モータ744の1ステップの回転に相当し、(2)の定位置確定状態では払出モータ744の4ステップの回転に相当し、(3)の定位置判定スキップ状態では払出モータ744の13ステップの回転に相当し、計18ステップの回転で回転検出盤749の各検出スリット749a間(120度)の回転位置、つまり払出回転体748の回転位置を管理している。
(3)の定位置判定スキップ状態では、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるため、スキップ判定時間は、払出モータ744の13ステップ回転する時間が設定されている。上述したように、タイマ割り込み周期が1.75msに設定されているので、スキップ判定時間が22.75ms(=1.75ms×13ステップ)となる。
ステップS638でスキップ判定時間が有効になることによって、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理でスキップ判定時間の減算が行われる。なお、払出制御MPU4120aは、スキップ判定時間を減算し、その減算結果が値0になると、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに初期値0をセットする。
一方、ステップS630で定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0でない(値1である)とき(スキップするとき)、つまり払出回転体748の定位置判定を行わないときには、又はステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS636でセットされた定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出制御MPU4120aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
パチンコ島設備から供給された遊技球は、図72に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留され、図77に示した賞球装置740の供給通路741aに取り込まれ、賞球装置740に導かれる。遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球装置740はノイズの影響を受けやすり環境下にある。図77に示した賞球装置740の回転角スイッチ基板753には、回転角スイッチ752が設けられており、この回転角スイッチ752からの検出信号は遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、払出制御基板4110と、図77に示した賞球装置740内の賞球ケース内基板754と、の基板間を接続する配線(ハーネス)も遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
そこで、本実施形態では、ノイズの影響による誤検出を抑制するために、上述した(3)の定位置判定スキップ状態、つまり検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態では、払出回転体748の定位置判定を行わないようにしている。これにより、払出回転体748の定位置判定の精度を高めている。なお、払出回転体748の定位置を検出するために必要な周期や期間は、上述したように、予め計算によって求めることができるため、スキップ判定時間を簡単に設定及び調整するこができる。
[10−6.球がみ判定処理]
次に、球がみ判定処理について説明する。この球がみ判定処理は、図77に示した払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを判定する。
球がみ判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図198に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS640)。
ステップS640に続いて、上述した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS642)。この判定は、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS642の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS642で、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、検出スリット749aが回転角スイッチ752の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態、つまり払出回転体748が回転している状態であり、球がみ状態が生じていないとして、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS642で、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットする(ステップS644)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ744が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS644に続いて、球がみ判定時間を有効に設定し(ステップS646)、このルーチンを終了する。この球がみ判定時間が有効になることによって、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で球がみ判定時間の減算が行われる。
[10−7.各種賞球ストック数加算処理]
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理には、賞球用賞球ストック数加算処理と貸球用賞球ストック数加算処理とがあり、賞球用賞球ストック数加算処理は主制御基板4100からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理はCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されており、この賞球用賞球ストック数加算処理で加算された賞球ストック数に応じた遊技球が図77に示した賞球装置740で払い出されたあと、貸球用賞球ストック数加算処理を行うように設定されている。
[10−7−1.賞球用賞球ストック数加算処理]
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図199に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS650)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS560のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS650では、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
ステップS650で受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS650で受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS652)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明は後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出内蔵ROMに予め記憶されている情報テーブルである。
ステップS652に続いて、払出制御内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS654)。この賞球ストック数PBSは、賞球装置740で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。これにより、賞球ストック数PBSは、0〜値32767個までの未払い出しの球数を記憶することができるようになっている。なお、賞球ストック数PBSは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS652では、この賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出している。
ステップS654で読み出した賞球ストック数PBSにステップS652で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS656)、このルーチンを終了する。なお、ステップS656で加算したあと、ステップS650で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
[10−7−2.貸球用賞球ストック数加算処理]
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図200に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS660)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理でCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて行う。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS660では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
ステップS660で貸球要求信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS660で貸球要求信号があるときには、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS662)、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS664)、このルーチンを終了する。貸球数RBVは固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS664で加算したあと、ステップS660で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。また、本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)ため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって貸球の払い出しを行う。したがって、本実施形態では、賞球ストック数PBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
[10−8.ストック監視処理]
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に、図22に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図201に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS670)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS672)。注意的しきい値THは、固定値であり、払出内蔵ROMに予め記憶されている。本実施形態では、注意的しきい値THとして値50が設定されている。
ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるときには、注意フラグCA−FLGに値1をセットし(ステップS674)、このルーチンを終了する。この注意フラグCA−FLGは、遊技者がファールカバーユニット540の収容空間546に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH以上に達していないとき値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH未満であるときには、注意フラグCA−FLGに値0をセットし(ステップS676)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして図168に示した液晶表示装置1900で繰り広げられる演出に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を、図19に示した、下皿302から下皿球抜きボタン354を操作して抜かないことがある。この状態で遊技を続けると、下皿302が遊技球で満タンとなり、そしてファールカバーユニット540の収容空間546に遊技球が溜まり出す。ファールカバーユニット540の収容空間546が遊技球で満タンになると、上述したように、賞球ストック数PBSの値が増加して注意的しきい値TH以上となり、注意演出として図19に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが点滅する。この点滅によって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができる。これにより、ホールの店員は遊技者に下皿302から遊技球を抜く旨を伝えることができ、遊技者は下皿302(ファールカバーユニット540の収容空間546)に遊技球を満タンにした状態で遊技を継続することを防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値THは、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができるようになっている。
[10−9.払出球抜き判定設定処理]
次に、払出球抜き判定設定処理について説明する。この払出球抜き判定設定処理は、図77に示した払出モータ744で遊技球を、図19に示した、上皿301や下皿302に払い出すか、図72に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球をパチンコ遊技機1から排出するか、球がみ動作を行うか、又はこのような払い出しや排出等を行わないか、いずれかに設定する処理である。
払出球抜き判定設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図202に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS680)。
ステップS680に続いて、図77に示した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS682)。この判定は、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS682の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS682で、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS684)。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、後述するリトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
ステップS682で、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、又は、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりリトライ動作が異常動作していないときには、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS686)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ744が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS686で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS688)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS690)。この判定は、払出モータ744による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かを判定している。
ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出しの球数があるときには、図22に示したファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS692)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS556の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行う。具体的には、満タン情報は上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。ステップS692では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出してファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS692でファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンでないときには、後述する払出設定処理を行い(ステップS694)、このルーチンを終了する。この払出設定処理では、上皿301や下皿302に遊技球を払い出す払出動作を行う。
一方、ステップS692でファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるときには、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ遊技機1では、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンになると、払出モータ744を強制停止する。この払出モータ744が強制停止中に賞球が発生すると、払出モータ744による未払い出しの球数が増え、図199に示した賞球用賞球ストック数加算処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出しの球数がないときには、球抜きフラグRMV−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS696)。この球抜きフラグRMV−FLGは、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS696の判定は、図195に示した球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS600の判定結果に基づいて行う。つまり、図166に示した球抜きスイッチ860bからの操作信号(検出信号)が入力されると、球抜きスイッチ操作判定処理におけるステップS602で球抜きフラグRMV−FLGに値1をセットする。
ステップS696で球抜きフラグRMV−FLGが値1であるとき、つまり賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するときには、後述する球抜き設定処理を行い(ステップS698)、このルーチンを終了する。この球抜き設定処理では、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する球抜き動作を行う。
このように、電源投入後に球抜きスイッチ860bを操作すると、この払出球抜き判定設定処理のステップS698で球抜き設定処理を行うこととなり、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出することができるようになっている。この排出を終了すると、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットする。
一方、ステップS696で球抜きフラグRMV−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出しないときには、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しや排出を行わない。
一方、ステップS686で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、後述する球がみ動作設定処理を行い(ステップS700)、このルーチンを終了する。この球がみ動作設定処理では、賞球装置740の払出回転体748による球がみ状態を解消する球がみ動作を行う。
一方、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、払出モータ744への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS702)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS702に続いて、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定し(ステップS704)、このルーチンを終了する。ステップS704では、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御MPU4120aは、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図193の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図193の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理が維持されたEXS信号を、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
[10−9−1.払出設定処理]
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では、図77に示した払出モータ744を駆動して遊技球を払い出す設定を行う処理である。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図203に示すように、払出制御内蔵RAMから駆動指令数DRVを読み出す(ステップS710)。この駆動指令数DRVは、払出モータ744で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。なお、駆動指令数DRVは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS710では、この賞球情報記憶領域から駆動指令数DRVを読み出している。
ステップS710に続いて、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS712)。この判定は、払出モータ744で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定する。
ステップS712で駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり払出モータ744で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、払出モータ744への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS714)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS714に続いて、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS716)、実球計数PBを読み出す(ステップS718)。この実球計数PBは、払出モータ744が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明は後述するが、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で図77に示した計数スイッチ751からの検出信号に基づいて行う。なお、実球計数PBは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS718では、この賞球情報記憶領域から実球計数PBを読み出している。
ステップS718に続いて、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSからステップS718で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS720)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS722)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS722では、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS712で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり払出モータ744で払い出す遊技球の球数があるときには、払出モータ744への駆動信号の出力を設定する。(ステップS724)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS724に続いて、駆動指令数DRVから値1だけ引き(デクリメントし、ステップS726)、計数スイッチ751からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS728)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で計数スイッチ751からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS728では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ751からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS728で計数スイッチ751からの検出信号があるときには、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS730)、このルーチンを終了する。ステップS730で実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。
一方、ステップS728で計数スイッチ751からの検出信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、払出制御MPU4120aは、ステップS726で駆動指令数DRVをデクリメントする場合であって、ステップS728の判定で計数スイッチ751からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしない場合には、図77に示した払出回転体748の凹部748aに遊技球が受け止められていなかったために遊技球を1球が払い出すことができなかったと判断する。そこで、払出制御MPU4120aは、その払い出されるはずの1球をもう一度払い出すために、上述したステップS720で、賞球ストック数PBSから実球計数PBを引いた値を駆動指令数DRVにセットする。これにより、ステップS728の判定で計数スイッチ751からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしないときには、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSに含めることができ、換言すれば、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSにまるめ込むことができるため、その払い出されるはずの1球を再び払い出すリトライ動作を行うことができる。このリトライ動作を行うことによって、遊技者への遊技球の未払い出しが生ずるおそれを極めて小さくすることができ、遊技球の未払い出しによる遊技者の不利益を防止することができる。
[10−9−2.球抜き設定処理]
次に、球抜き設定処理について説明する。この球抜き設定処理では、図77に示した払出モータ744を駆動して、図72に示した、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する球抜き動作を行う処理である。
球抜き設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図204に示すように、球抜き判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS740)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で更新された球抜き判定時間に基づいて行う。具体的には、その球抜き判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS740では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球抜き判定時間が経過したか否かを判定する。なお、球抜き判定時間中には払出モータ744は、球抜き動作を行う。この球抜き動作は、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する。
ステップS740で球抜き判定時間が経過していないときには、球抜き動作を行うよう払出モータ744への駆動信号の出力を設定し(ステップS742)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ744に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
一方、ステップS740で球抜き判定時間が経過したときには、球抜き動作を終了するよう払出モータ744への駆動信号の停止を設定する(ステップS744)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS744に続いて、球抜きフラグRMV−FLGに値0をセットし(ステップS746)、このルーチンを終了する。この球抜きフラグRMV−FLGは、上述したように、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出するか否かを示すフラグであり、遊技球を排出するとき値1、遊技球を排出しないとき値0にそれぞれ設定される。
[10−9−3.球がみ動作設定処理]
次に、球がみ動作設定処理について説明する。この球がみ動作設定処理では、図77に示した賞球装置740の払出回転体748による球がみ状態を解消する設定を行う処理である。
球がみ動作設定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図205に示すように、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS750)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で減算された球がみ判定時間に基づいて行う。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS750では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS750で球がみ判定時間が経過していないときには、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS752)。
ステップS752に続いて、上述した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS754)。この判定は、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS754の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、球がみ動作を行うよう払出モータ744への駆動信号の出力を設定し(ステップS756)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ744に駆動信号を出力する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
一方、ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出モータ744への駆動信号の停止を設定する(ステップS758)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS758に続いて、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS760)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体748による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ744が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき(球がみ動作の終了)値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS750で球がみ判定時間が経過したときには、払出モータ744への駆動信号の停止を設定する(ステップS762)。この設定では、払出モータ744に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS762に続いて、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定する(ステップS764)。ここでは、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御MPU4120aは、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図193の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図193の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理が維持されたEXS信号を、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、上述したように、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
ステップS764に続いて、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS766)、このルーチンを終了する。
[10−10.リトライ動作監視処理]
次に、リトライ動作監視処理について説明する。このリトライ動作監視処理では、払い出されるはずの遊技球を再び払い出すリトライ動作が正常に行われているか否かを監視する処理である。
リトライ動作監視処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図206に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS770)。
ステップS770に続いて、上述した回転角スイッチ752からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS772)。この判定は、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出制御内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS772の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS772で、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、不整合カウンタINCCに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS774)。この不整合カウンタINCCは、図77に示した、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。払出制御MPU4120aは、図203に示した払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ751で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。なお、不整合カウンタINCCは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS774では、この賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCをインクリメントしている。
ステップS774に続いて、又はステップS772で、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、計数スイッチ751からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS776)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS780のポート入力処理で計数スイッチ751からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は、上述したように、入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS776では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ751からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS776で計数スイッチ751からの検出信号があるときには、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCから値1だけ引く(デクリメントし、ステップS778)。
ステップS778に続いて、又はステップS776で計数スイッチ751からの検出信号がないときには、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かの判定する(ステップS780)。本発明のパチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られており、本実施形態では、不整合しきい値INCTHとして値5が設定されている。図193の払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、復電時に、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに基づいてこのリトライ動作監視処理に使用する情報が設定される。この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における不整合カウンタINCC等の値に復元することができるようになっている。これにより、ステップS780の判定では、瞬停又は停電する直前まで行っていた、賞球装置740による遊技球の払出動作(リトライ動作)の監視を、復電時から継続することができるようになっている。このため、例えば、瞬停又は停電する直前において、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、リトライ動作が正常動作していると判断し、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が正常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で賞球装置740による遊技球の払出動作が正常状態であると判断することができる。一方、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断し、つまり賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で賞球装置740による遊技球の払出動作が異常状態であると判断することができる。
ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器860cに数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する(ステップS782)。
ステップS782に続いて、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットする(ステップS784)。ステップS784では、不整合カウンタINCCは、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。なお、不整合カウンタINCCは、図165に示した主制御基板4100に実装されたRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、この外的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。RAMクリアスイッチ4100eが操作されると、図165に示した主制御基板4100の主制御MPU4100aは、上述したように、主制御内蔵RAMに記憶されている各種情報をすべて消去し、RAMクリア報知コマンドを、図165に示した周辺制御基板4140に出力する。これにより、図21に示したサイドスピーカ130,130、図30に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図85に示した下部スピーカ821からRAMクリア報知音が流れるようになっている。
ステップS784に続いて、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし(ステップS786)、このルーチンを終了する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
なお、払出制御MPU4120aは、ステップS782で払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域にセット(記憶)したリトライエラー情報を、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理でリトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信し、同処理におけるステップS564のLED表示データ作成処理でエラーLED表示器860cに表示する表示データを作成してLED表示情報として出力情報記憶領域に記憶し、同処理におけるステップS548のポート出力処理で出力情報記憶領域に記憶されたLED表示情報に基づいてエラーLED表示器860cに駆動信号を出力し、このエラーLED表示器860cに数字「5」を表示する。状態コマンドを受信した主制御基板4100は、図190に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信し、周辺制御基板4140は、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させる、点灯信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドを図168に示した枠装飾駆動アンプ基板194に出力し、複数のLEDを所定の色で発光させる。この複数のLEDの発光に気付いたホールの店員等は、上述したように、本体枠3を外枠2に対して開放することで払出制御基板4110に実装されたエラーLED表示器860cに数字「5」が表示されることを目視することによって「リトライエラー」が発生していることを確認することができる。これにより、ホールの店員等は、その発生原因を調べるために、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等の確認作業を、複数のLEDの発光とエラーLED表示器860cの表示内容とが報知されない場合と比べると、極めて早く行うことができる。
また、計数スイッチ751を意図的に非作動状態とすることによって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させて、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われたとしても、上述した不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がパチンコ遊技機1の状態を確認するために駆け付けることとなる。そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHと一致しても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は不整合しきい値INCTHと同一となるため、つまり5球であるため、計数スイッチ751を意図的に非作動状態とする行為によるホールの損害を極めて小さく抑えることができる。
更に、不整合カウンタINCCは、上述したように、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となったという内的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。これにより、不整合カウンタINCCは、例えば、図166に示したエラー解除スイッチ860aを操作したという外的要因が発生したことを契機として初期化されないようになっている。したがって、エラー解除スイッチ860a等を不正に改造して、その操作信号が払出制御MPU4120aに入力されるようにしても、このような不正行為によって、不整合カウンタINCCが強制的に初期化されることがない。
[10−11.不整合カウンタリセット判定処理]
次に、不整合カウンタリセット処理について説明する。この不整合カウンタリセット処理では、図77に示した、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、の差を算出する不整合カウンタINCCを、リセットするか否かを判定する処理である。
不整合カウンタリセット判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図207に示すように、不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS790)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で更新された不整合カウンタリセット判定時間に基づいて行う。具体的には、その不整合カウンタリセット判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS790では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過していないときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過したときには、不整合カウンタリセット判定時間の初期化を行う(ステップS792)。この初期化によって、不整合カウンタリセット判定時間に初期値である7000s(約2時間)がセットされる。
ステップS792に続いて、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットし(ステップS794)、このルーチンを終了する。不整合カウンタINCCは、上述したように、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ751で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。払出制御MPU4120aは、図203に示した払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ751で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。本発明のパチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られている。ここで、パチンコ遊技機1は、上述したように、遊技盤4と、遊技盤4が装着される本体枠3等の枠体と、からなり、遊技盤4を交換(新台入替)することにより遊技仕様を変更できるように構成されているため、図77に示した賞球装置740を制御する払出制御基板4110、賞球装置740の駆動電源や払出制御基板4110の制御電源を生成する図85に示した電源基板851は、共通の機能として枠体側に装備されている。払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、上述したように、不整合カウンタINCCを監視することによって、リトライ動作を繰り返し行っているか否かの異常動作を判定することができるようになっており、図193に示した払出制御部電源投入時処理における払出制御部電源断時処理では電源遮断時に遮断直前の不整合カウンタINCCを記憶する一方、図192に示した払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の処理(RAM作業領域の復電時設定)では電源投入時にその記憶した不整合カウンタINCCから再び処理を開始するようになっている。そうすると、電源を遮断してパチンコ遊技機1に装着されている遊技盤4から、この遊技盤4と異なる他の遊技仕様の遊技盤4'に交換して電源を投入する場合には、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、遊技盤4がパチンコ遊技機1に装着されたときに記憶された不整合カウンタINCCから再び処理を開始することとなる。つまり、遊技盤4'が装着されたパチンコ遊技機1を遊技者が遊技すると、交換前の遊技盤4が装着されたパチンコ遊技機1における不整合カウンタINCCをそのまま受け継ぐこととなる。このため、遊技盤4'が装着されたパチンコ遊技機1を遊技者が遊技して、たまたま数百万分の1という確率で、つじつまの合わない遊技球の球数が生じて不整合カウンタINCCが増加し、この不整合カウンタINCCが上述した不整合しき値INCTH以上となると、遊技盤4から遊技盤4'に交換して短い期間で、払出制御MPU4120aによって、リトライ動作の異常動作として判定されるおそれがある。つまり、遊技盤4から遊技盤4'に交換されてから間もない期間で、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていないにもかかわらず、突然、リトライ動作の異常動作として判定されるおそれがある。このように、遊技盤4から遊技盤4'に交換して短い期間でリトライ動作の異常動作として判定されると、交換された遊技盤4'は新しいにもかかわらず、故障しやすいという印象を遊技者に与えかねない。リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される数百万分の1という確率は、本発明のパチンコ遊技機1をホールに設置して、1週間、ホールの営業時間中、連続稼働させた場合における、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率と同一であるため、図206に示したリトライ動作監視処理におけるステップS778の処理で不整合カウンタINCCから数百万分の1の確率で値1だけ引かれない状態となる。そうすると、1週間では不整合カウンタINCCに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値1となり、2週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値2となり、3週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値3となり、4週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値4となり、5週間では不整合カウンタINCCにさらに値1がインクリメントされて不整合カウンタINCCが値5となって上述した不整合しきい値INCTHと一致することとなる。つまり5週間が経過すると、不整合カウンタINCCが不整合しきい値INCTHと一致するために、払出制御MPU4120aは、図206に示したリトライ動作監視処理におけるステップS776の判定で、計数スイッチ751からの検出信号がないものとして判定することとなり、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていると判断して、図206に示したリトライ動作監視処理におけるステップS782の処理で、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器860cに数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)することとなる。
そこで、払出制御MPU4120aは、この不整合カウンタリセット判定処理におけるステップS790の判定で不整合カウンタリセット判定時間が経過したと判定したときには、つまり7000s(約2時間)ごとに、繰り返し、不整合カウンタリセット判定処理におけるステップS794の処理で不整合カウンタINCCに値0を強制的にセット、つまり強制的にリセットすることによって、上述した数百万分の1という確率で発生する不整合カウンタINCCのインクリメントを無効化している。これにより、計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等が生じていないにもかかわらず、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)することを防止することができる。
なお、計数スイッチ751を意図的に非作動状態とすることによって、払出回転体748の凹部748aに受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させ、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われても、計数スイッチ751を意図的に短時間繰り返し非作動状態とする場合では、上述したように、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がパチンコ遊技機1の状態を確認するために駆け付けることとなる。そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。一方、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上とならないよう計数スイッチ751を意図的に長時間繰り返し非作動状態する場合では、7000s(約2時間)ごとに、不整合カウンタINCCがリセットされるものの、この間に、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は、上述したように、不整合カウンタINCCが不整合しきい値INCTHまでであり、計数スイッチ751を意図的に長時間繰り返し非作動状態としても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数を極めて少なくすることができる。
[10−12.エラー解除スイッチ操作判定処理]
次に、エラー解除スイッチ操作判定処理について説明する。このエラー解除スイッチ操作判定処理では、図166に示したエラー解除スイッチ860aが操作されているか否かを判定する。
エラー解除スイッチ操作判定処理が開始されると、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、図208に示すように、エラー解除スイッチ860aが操作されているか否かを判定する(ステップS800)。この判定は、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理でエラー解除スイッチ860aからの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS800では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出してエラー解除スイッチ860aからの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報にエラー解除スイッチ860aからの検出信号があるときには、エラー解除スイッチ860aが操作されていると判定する。一方、入力情報にエラー解除スイッチ860aからの検出信号がないときには、エラー解除スイッチ860aが操作されていないと判定する。
ステップS800でエラー解除スイッチ860aが操作されていないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS800でエラー解除スイッチ860aが操作されているときには、エラーフラグ状態確認処理を行う(ステップS802)。このエラーフラグ状態判定処理では、図77に示した賞球装置740に関する各種エラー情報に対応するエラーフラグの状態を確認する。例えば、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGの状態を確認する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、上述したように、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定されるため、払出制御MPU4120aは、リトライエラーフラグRTERR−FLGの値が値0であるか、又は値1であるか、を確認している。
ステップS802に続いて、状態情報設定処理を行う(ステップS804)。この状態情報設定処理では、ステップS802で確認したエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグに対応する状態情報を、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する。これにより、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理で、状態情報記憶領域から各種情報(状態情報)を読み出し、この読み出した状態情報に基づいて状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信することとなる。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を、払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)すると、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理で、リトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板4100に送信することとなる。
なお、リトライエラー情報を受信した主制御基板4100は、図190に示した主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信し、周辺制御基板4140は、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライ動作エラー報知処理を行う。このリトライ動作エラー報知処理では、「賞球ユニットを確認してください。」、そして「払出制御基板のハーネスを確認してください。」のリトライ動作のエラー報知アナウンスを、所定回数(本実施形態では、2回。)繰り返し図21に示したサイドスピーカ130,130、図30に示した右上部スピーカ222、図32に示した左上部スピーカ262や図85に示した下部スピーカ821から流れることによって、ホールの店員等に報知するようになっている。このリトライ動作のエラー報知アナウンスを聞いたホールの店員等は、図77に示した計数スイッチ751の不具合や、計数スイッチ751からの払出制御基板4110まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等を、サイドスピーカ130,130、右上部スピーカ222、左上部スピーカ262、及び下部スピーカ821からリトライ動作のエラー報知アナウンスが流れない場合と比べると、極めて早く確認することができる。またリトライ動作エラー報知処理では、扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させている。
ステップS804に続いて、解除設定処理を行う(ステップS806)。この解除設定処理では、ステップS802で確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグに対応するエラーが既に払出制御基板4110に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器860cによって表示されている内容を強制的に停止したり、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、上述したPRDY信号の論理をHI、つまり立ち上げた状態を保持し、図166に示した、払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力したりする。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、既にエラーLED表示器860cによって表示されている「リトライエラー」である旨を報知する数字「5」を強制的に停止するために、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されているリトライエラー情報を、「正常」である旨を報知する図形「−」が表示される情報に強制的に上書きする。また、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
ステップS806に続いて、エラーフラグ初期化処理を行い(ステップS808)、このルーチンを終了する。このエラーフラグ初期化処理では、ステップS802で確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨を示すものである場合には、そのエラーフラグを初期化する。例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値0をセットして初期化する。このとき、上述した、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、このPRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図193の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理で、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理がLOWであるPRDY信号を、払出制御I/Oポート4120bから遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。このように、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、図206に示したリトライ動作監視処理におけるステップS780の判定で、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として同処理のステップS786の処理でリトライエラーフラグRTERR−FLGに値1がセットされる一方、エラー解除スイッチ860aが操作されると、これを契機として、つまりこの外的要因が発生したことを契機としてリトライエラーフラグRTERR−FLGに値0がセットされて初期化されるようになっている。なお、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、図165に示した、主制御基板4100に実装されたRAMクリアスイッチ4100eが操作されると、これを契機として、つまりエラー解除スイッチ860aが操作された場合と同様に、この外的要因が発生したことを契機として初期化されるようになっている。
[10−13.CRユニットとの各種信号のやり取り]
次に、図193の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理についてタイミングチャートを用いて説明する。このCR通信処理では、図166に示した、払出制御基板4110とCRユニット6との各種信号のやり取りを行う。まず、球貸しによる払出動作時の信号処理について説明し、続けてCRユニット6からの入力信号確認処理について説明する。ここでは、金額として200円分の遊技球の球数(本実施形態では、50球であり、金額として100円分の25球の払出動作を2回行っている。)を貸球数として、図19に示した、上皿301や下皿302に払い出す場合について説明する。なお、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号は、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの読み出した入力情報に記憶されているものであり、CR通信処理は、割り込みタイマ周期である1.75msごとに、入力情報からBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号の論理の状態を確認している。
[10−13−1.球貸しによる払出動作時の信号処理]
払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報が、貸球を払い出すための払出動作が可能状である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、図209(d)に示すように、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理をHIとして、つまり立ち上げて保持して払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH0)。この状態で、例えば遊技者によって図17に示した貸球ユニット360の貸球ボタン361が押圧操作されると、球貸スイッチ365bのスイッチが入る(ONする)ようになっており、この球貸操作信号が図167に示したTDSとして度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力される。このTDSが入力されたCRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図209(a)に示すように、貸球要求信号であるBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH1)。このBRDYは、BRDY信号として払出制御I/Oポート4120bに入力される。
このBRDY信号が入力された払出制御MPU4120aは、図209(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HA(本実施形態では、20ミリ秒(ms)〜58msに設定されている。)が経過するまでに、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、1回の払出動作で所定の貸球数(本実施形態では、25球であり、金額として100円に相当する。)を払い出すための1回の払出動作開始要求信号であるBRQが立ち上がるか否かを監視する。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、まず100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図209(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH2)。このBRQは、BRQ信号として払出制御I/Oポート4120bに入力される。
払出制御MPU4120aは、図209(c)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでにBRQ信号が立ち上がると、タイミングH2からBRQ要望了解ACK監視時間HB(本実施形態では、20ms±1msに設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を開始した旨を伝えるために、EXS信号の論理をHIとして、つまり立ち上げた状態を保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH3)。
このEXSが入力されたCRユニット6は、図209(b)に示すように、タイミングH3から貸出指示監視時間HC(本実施形態では、20ms〜58msに設定されている。)が経過するまでに、タイミングH2から立ち上げて保持したBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH4)。
払出制御MPU4120aは、図209(c)に示すように、タイミングH4から払出監視時間HD(本実施形態では、球払出時間に設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を行って所定の貸球数だけ、つまり100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出す。そして払出監視時間HDが経過すると、タイミングH3から立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH5)。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すため、図209(b)に示すように、タイミングH5から次要求確認タイミングHE(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH6)。
払出制御MPU4120aは、上述した方法を用いて同様に、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すと、図209(c)に示すように、立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH7)。
CRユニット6は、タイミングH7からCRユニット貸出完了監視時間HF(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、図209(a)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110(払出制御MPU4120a)に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH8)。
上述した、貸出要望監視時間HA、BRQ要望了解ACK監視時間HB、貸出指示監視時間HC、払出監視時間HD、次要求確認タイミングHE、CRユニット貸出完了監視時間HFは、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
なお、払出制御MPU4120aは、球切れ、球がみ、計数スイッチエラー、リトライエラー、満タン等が生じているとき場合には、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)には、図209(d)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH9)。一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)には、図示しないが、EXS信号の論理の状態を維持し、払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する。「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
このように、CRユニット6は、払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aと各種信号のやり取りを行い、払出制御MPU4120aが金額として200円分の遊技球の球数を、金額として100円分の25球の払出動作を2回行うことによって、貸球数が50球となる遊技球を上皿301や下皿302に払い出している。なお、CRユニット6の正面側に設けられている、図示しない設定部をホールの店員等が操作して、例えば、金額として100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU4120aが金額として100円分の25球の払出動作を1回行い、金額として500円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU4120aが金額として100円分の25球の払出動作を5回行い、金額として1000円分の遊技球の球数を貸球数として上皿301や下皿302に払い出すように設定した場合には払出制御MPU4120aが金額として100円分の25球の払出動作を10回行うこととなる。
[10−13−2.CRユニットからの入力信号確認処理]
払出制御基板4110における払出制御部4120の払出制御MPU4120aは、上述した貸出要望監視時間HAが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述した貸出指示監視時間HCが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げていない場合や、上述した次要求確認タイミングHEが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述したCRユニット貸出完了監視時間HFが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板4110に出力し、その信号を立ち下げていない場合には、上述した、PRDY及びEXSを用いて、BRQ及びBRDYが正常であるか否かの確認を行う。具体的には、払出制御MPU4120aは、図209(e),(f)に示すように、BRQ及びBRDYが正常でないと判断すると(タイミングJ0)、このタイミングJ0から所定期間JA(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、PRDY信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御部4120の払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、EXS信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ1)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ1から所定期間JB(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ1から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ2)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ2から所定期間JC(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ2から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ3)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ3から所定期間JD(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ3から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ4)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ4から所定期間JE(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ4から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ5)。
続いて払出制御MPU4120aは、タイミングJ5から所定期間JF(本実施形態では、10000ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ5から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御I/Oポート4120bから出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ6)。
上述した、所定期間JA〜所定期間JFは、図193に示した払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
[11.周辺制御基板の各種制御処理]
次に、図165に示した、主制御基板4100(主制御MPU4100a)から各種コマンドを受信する周辺制御基板4140の各種処理について、図210〜図215を参照して説明する。図210は周辺制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図211は周辺制御部Vブランク割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図212は周辺制御部1msタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図213は周辺制御部コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図214は周辺制御部停電予告信号割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図215は回転検出スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートである。
周辺制御基板4140は、図168に示したように、周辺制御部4150と液晶及び音制御部4160とから構成されており、ここでは、周辺制御部4150の各種制御処理について説明する。まず、周辺制御部電源投入時処理について説明し、続いて周辺制御部Vブランク割り込み処理、周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、周辺制御部停電予告信号割り込み処理、回転検出スイッチ履歴作成処理について説明する。回転検出スイッチ履歴作成処理は、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理におけるステップS1108の操作ユニット情報取得処理の一処理として実行される。なお、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部停電予告信号割り込み処理が最も高く設定され、続いて周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、そして周辺制御部Vブランク割り込み処理という順番に設定されている。
[11−1.周辺制御部の各種制御処理]
[11−1−1.周辺制御部電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図168に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図210に示すように、周辺制御部電源投入時処理を行う。この周辺制御部電源投入時処理が開始されると、周辺制御MPU4150aは、初期設定処理を行う(ステップS1000)。この初期設定処理は、周辺制御MPU4150a自身を初期化する処理と、ホットスタート/コールドスタートの判定処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。周辺制御MPU4150aは、まず自身を初期化する処理を行うが、この周辺制御MPU4150aを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPU4150aを初期化することができる。これにより、周辺制御MPU4150aは、割り込み許可が設定された状態となることによって、例えば、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理において、主制御基板4100から出力される、図185及び図186に示した、遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。
ホットスタート/コールドスタートの判定処理では、図169に示した周辺制御RAM4150cついては、そのバックアップ第1エリア4150cbにおける、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、そのバックアップ第2エリア4150ccにおける、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、この比較した内容が一致しているときには図169に示した周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)に対してBank1(1fr)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1fr)と、Bank0(1ms)に対してBank1(1ms)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1ms)と、をそれぞれコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御RAM4150cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)に対してそれぞれ値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。
またホットスタート/コールドスタートの判定処理では、図169に示した周辺制御SRAM4150dについても、そのバックアップ第1エリア4150dbにおける、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較するとともに、そのバックアップ第2エリア4150dcにおける、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較する。この比較した内容が一致しているときには図169に示した周辺制御SRAM4150dの通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対してBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(SRAM)をコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御SRAM4150dの通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対して値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。このようなホットスタート又はコールドスタートに続いて、図169に示した周辺制御RAM4150cのバックアップ非管理対象ワークエリア4150cfに対して値0を強制的に書き込んでゼロクリアする。そして周辺制御MPU4150aは、この初期化設定処理を行った後に、図169に示した周辺制御内蔵WDT4150afと、図168に示した周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1000に続いて、現在時刻情報取得処理を行う(ステップS1002)。この現在時刻情報取得処理では、図168に示したRTC制御部4165のRTC41654aのRTC内蔵RAM4165aaから、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して、図169に示した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadに、現在のカレンダー情報としてカレンダー情報記憶部にセットするとともに、現在の時刻情報として時刻情報記憶部にセットする。また、現在時刻情報取得処理では、液晶表示装置の輝度設定処理も行う。この液晶表示装置の輝度設定処理では、周辺制御MPU4150aがRTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaから輝度設定情報を取得して、この取得した輝度設定情報に含まれるLEDの輝度となるように、液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する処理を行う。輝度設定情報は、上述したように、液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている液晶表示装置1900のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれているものである。液晶表示装置の輝度設定処理では、具体的には、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaに記憶されている輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯し、RTC制御部4165のRTC内蔵RAM4165aaに記憶されている輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が80%で液晶表示装置1900のバックライトを点灯するときには、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて液晶表示装置1900のバックライトの輝度を調節して点灯する。なお、この液晶表示装置の輝度設定処理では、上述した、液晶表示装置1900の使用時間に応じて液晶表示装置1900の輝度を補正するための輝度補正プログラムと同様な補正が全く行われないようになっている。これは、この液晶表示装置の輝度設定処理に輝度補正プログラムと同様な補正プログラムが組み込まれることにより、液晶表示装置の輝度設定処理が実行されるごとに、LEDの輝度が100%に向かって補正されるのを防止するためである。本実施形態では、周辺制御MPU4150aがRTC4165aのRTC内蔵RAM4165aaからカレンダー情報と時刻情報とを取得するのは、電源投入時の1回のみとなっている。また周辺制御MPU4150aは、この現在時刻情報取得処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1002に続いて、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットする(ステップS1006)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、後述する周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。Vブランク信号検出フラグVB−FLGは、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされるようになっている。このステップS1006では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットすることによりVブランク信号検出フラグVB−FLGを一度初期化している。また周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットした後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1006に続いて、Vブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS1008)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1でない(値0である)ときには、再びステップS1008に戻ってVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを繰り返し判定する。このような判定を繰り返すことにより、周辺制御部定常処理を実行するまで待機する状態となる。また周辺制御MPU4150aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定した後に、周辺制御内蔵WDT4150afと周辺制御外部WDT4150eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行するときには、まず定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS1009)。この定常処理中フラグSP−FLGは、周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1009に続いて、1ms割り込みタイマ起動処理を行う(ステップS1010)。この1ms割り込みタイマ起動処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理を実行するための1ms割り込みタイマを起動するとともに、この1ms割り込みタイマが起動して周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするための1msタイマ割り込み実行回数STNに値1をセットして1msタイマ割り込み実行回数STNの初期化も行う。この1msタイマ割り込み実行回数STNは周辺制御部1msタイマ割り込み処理で更新される。
ステップS1010に続いて、ランプデータ出力処理を行う(ステップS1012)。このランプデータ出力処理では、図168に示したランプ駆動基板3041へのDMAシリアル連続送信を行う。ここでは、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、図169に示した周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaに、図1に示した遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaの先頭アドレスに格納された遊技盤側発光データSL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaに格納された残りの遊技盤側発光データSL−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またランプデータ出力処理では、図168に示した枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信を行う。この枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、図169に示した周辺制御MPU4150aに外付けされる周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabに、図19に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabの先頭アドレスに格納された扉側発光データSTL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabに格納された残りの扉側発光データSTL−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1012に続いて操作ユニット監視処理を行う(ステップS1014)。この操作ユニット監視処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理における操作ユニット情報取得処理において、図47に示した操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいてダイヤル操作部401の回転(回転方向)及び押圧操作部405の操作等を取得した各種情報(例えば、操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成するダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)がセットされる図169に示した周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに基づいて、ダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作有無を監視し、ダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作の状態を遊技演出に反映するか否かを適宜決定する。
ステップS1014に続いて、表示データ出力処理を行う(ステップS1016)。この表示データ出力処理では、後述する表示データ作成処理で音源内蔵VDP4160aの内蔵VRAM上に生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを液晶表示装置1900に出力する。これにより、液晶表示装置1900にさまざまな画面が描画される。なお、表示データ出力処理では、音源内蔵VDP4160aの描画能力を超える描画を行った場合には、生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを液晶表示装置1900への出力をキャンセルするようになっている。これにより、処理時間の遅れを防止することができるが、いわゆるコマ落ちが発生することとなるものの、ステップS1012のランプデータ出力処理による、図1に示した遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLED、及び図19に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDによる演出と、後述する音データ出力処理による、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から各種演出に合わせた音楽や効果音等による演出と、の同期を優先することができる仕組みとなっている。
ステップS1016に続いて、音データ出力処理を行う(ステップS1018)。この音データ出力処理では、後述する音データ作成処理で音源内蔵VDP4160aに設定された音楽及び効果音等の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したり、音楽及び効果音のほかに報知音や告知音の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したりする。このオーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されたりするほかに報知音や告知音もステレオ再生されたりする。
ステップS1018に続いて、スケジューラ更新処理を行う(ステップS1020)。このスケジューラ更新処理では、図169に示した周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた各種スケジュールデータを更新する。例えば、スケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた画面生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された画面データのうち、先頭の画面データから何番目の画面データを音源内蔵VDP4160aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた発光態様生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、先頭の発光データから何番目の発光データを各種LEDの発光態様とするのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた音生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された、音楽や効果音等の音データ、報知音や告知音の音データを指示する音指令データのうち、先頭の音指令データから何番目の音指令データを音源内蔵VDP4160aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、先頭の駆動データから何番目の駆動データを出力対象とするのかを指示するために、ポインタを更新する。電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データは、後述する、1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理におけるモータ及びソレノイド駆動処理で更新される。この1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行されるモータ及びソレノイド駆動処理では、ポインタが指示する駆動データに従ってモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、自身の処理を実行するごとに、ポインタを更新する。つまり、モータ及びソレノイド駆動処理において更新したポインタの指示する駆動データは、スケジューラ更新処理において強制的に更新される仕組みとなっているため、仮に、モータ及びソレノイド駆動処理においてポインタが何らかの原因で本来指示するはずの駆動データから他の駆動データを指示することとなっても、スケジューラ更新処理において強制的に本来指示するはずの駆動データに指示するように強制的に更新されるようになっている。
ステップS1020に続いて、受信コマンド解析処理を行う(ステップS1022)。この受信コマンド解析処理では、主制御基板4100から送信された各種コマンドを、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信してその受信した各種コマンドの解析を行う。主制御基板4100からの各種コマンドは、周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されて図169に示した周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されるようになっており、受信コマンド解析処理では、受信コマンド記憶領域4150cacに記憶された各種コマンドの解析を行う。各種コマンドには、図185に示した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、図186に示した、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある。
ステップS1022に続いて、警告処理を行う(ステップS1024)。この警告処理では、ステップS1022の受信コマンド解析処理で解析したコマンドに、図186に示した報知表示に区分される各種コマンドが含まれているときには、各種異常報知を実行するための異常表示態様に設定されている、画面生成用スケジュールデータ、発光態様生成用スケジュールデータ、音生成用スケジュールデータ、及び電気的駆動源スケジュールデータ等を、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域に4150caeにセットする。なお、警告処理では、複数の異常が同時に発生した場合には、予め登録した優先度の高い順から異常報知から行われ、その異常が解決して残っている他の異常報知に自動的に遷移するようになっている。これにより、一の異常が発生した後であってその異常を解決する前に他の異常が発生して一の異常が発生しているという情報を失うことなく、複数の異常を同時に監視することができる。
ステップS1024に続いて、RCT取得情報更新処理を行う(ステップS1026)。このRTC取得情報更新処理では、ステップS1002の現在時刻情報取得処理で取得して図169に示した周辺制御RAM4150cのRTC情報取得記憶領域4150cadにセットした、カレンダー情報記憶部に記憶されたカレンダー情報と時刻情報記憶部に記憶された時刻情報とを更新する。このRCT取得情報更新処理により、時刻情報記憶部に記憶される時刻情報である時分秒が更新され、この更新される時刻情報に基づいてカレンダー情報記憶部に記憶されるカレンダー情報である年月日が更新される。
ステップS1026に続いて、ランプデータ作成処理を行う(ステップS1028)。このランプデータ作成処理では、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、発光態様生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、そのポインタが指示する発光データに基づいて、図1に示した遊技盤4に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図169に示した周辺制御RAM4150cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caaにセットするとともに、図19に示した扉枠5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成して、図169に示した周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cabにセットする。
ステップS1028に続いて、表示データ作成処理を行う(ステップS1030)。この表示データ作成処理では、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、画面生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された画面データのうち、そのポインタが示す画面データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aから画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて液晶及び音制御ROM4160bからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して液晶表示装置1900に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上に生成する。
ステップS1030に続いて、音データ作成処理を行う(ステップS1032)。この音データ作成処理では、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、音生成用スケジュールデータを構成する時系列に配列された音指令データのうち、そのポインタが指示する音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して音源内蔵VDP4160aに出力する。音源内蔵VDP4160aは、周辺制御MPU4150aから音指令データが入力されると、液晶及び音制御ROM4160bに記憶されている音楽や効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに規定された、トラック番号に従って音楽及び効果音等の音データを組み込むとともに、出力チャンネル番号に従って使用する出力チャンネルを設定する。なお、音データ作成処理では、この音データ作成処理を行うごとに(つまり、周辺制御部定常処理を行うごとに)、図169に示した周辺制御A/Dコンバータ4150akを起動し、音量調整ボリューム1912のつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理しており、基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して、上述したステップS1018の音データ出力処理で音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力することにより、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から音楽や効果音が流れるようになっている。また、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム1912のつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができる。したがって、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて液晶表示装置1900で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
ステップS1032に続いて、バックアップ処理を行う(ステップS1034)。このバックアップ処理では、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbと、バックアップ第2エリア4150ccと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbと、バックアップ第2エリア4150dcと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM4150cについて、図169に示した、バックアップ対象ワークエリア4150caにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1fr)に含まれる、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域4150caa、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域4150cab、受信コマンド記憶領域4150cac、RTC情報取得記憶領域4150cad、及びスケジュールデータ記憶領域4150caeに記憶されている内容である演出情報(1fr)を、演出バックアップ情報(1fr)として、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1fr)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
またバックアップ処理では、周辺制御SRAM4150dについて、図169に示した、バックアップ対象ワークエリア4150daにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出情報(SRAM)を、演出バックアップ情報(SRAM)として、バックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(SRAM)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150dbのBank1(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbのBank2(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150dbのBank2(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150dcのBank3(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150dcのBank4(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150dcのBank4(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1034に続いて、WDTクリア処理を行う(ステップS1036)。このWDTクリア処理では、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1036に続いて、周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットし(ステップS1038)、再びステップS1006に戻り、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットして初期化し、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理においてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで、ステップS1008の判定を繰り返し行う。つまりステップS1008では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで待機し、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行い、再びステップS1006に戻る。このように、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行うようになっている。ステップS1009〜ステップS1038の処理を「周辺制御部定常処理」という。この周辺制御部定常処理は、まずステップS1009で周辺制御部定常処理を実行中であるとして定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることから開始し、ステップS1010で1ms割り込みタイマ起動処理を行い、ステップS1012、ステップS1014、・・・、そしてステップS1036の各処理を行って最後にステップS1038において周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすると、完了することとなる。周辺制御部定常処理は、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるときに実行される。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされるようになっている。本実施形態では、液晶表示装置1900のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるようになっている。
[11−1−2.周辺制御部Vブランク信号割り込み処理]
次に、図168に示した、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aから入力されたことを契機として実行する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理について説明する。この周辺制御部Vブランク信号割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図211に示すように、定常処理中フラグSP−FLGが値0であるかを判定する(ステップS1045)。この定常処理中フラグSP−FLGは、上述したように、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1009〜ステップS1038の周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり周辺制御部定常処理を実行中であるときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したときには、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットし(ステップS1050)、このルーチンを終了する。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。
本実施形態では、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定し、周辺制御部定常処理を実行完了したときにはステップS1050でVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットするようになっているが、これは、周辺制御部定常処理を実行中であるときに、Vブランク信号が入力されてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットすると、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008の判定で周辺制御部定常処理を実行するものとして、現在実行中の周辺制御部定常処理を途中で強制的にキャンセルして周辺制御部定常処理を最初から実行開始するため、これを防止する目的で、図210の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1009で定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることで周辺制御部定常処理を実行中である旨を、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えるとともに、図210の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1038で定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすることで周辺制御部定常処理を実行完了した旨を、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えることにより、本ルーチンである周辺制御部Vブランク信号割り込み処理におけるステップS1045の判定で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定するようになっている。換言すると、Vブランク信号が入力されて次のVブランク信号が入力されるまでに周辺制御部定常処理を実行完了することができず、いわゆる処理落ちした場合の処置である。
これにより、今回の周辺制御部定常処理においては、約33.3msという時間でその処理を完了できず処理落ちした場合には、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1008の判定で次回のVブランク信号が入力されるまで待機する状態となる。つまり、処理落ちした今回の周辺制御部定常処理を実行するための時間が約66.6msとなる。通常、図210の周辺制御部電源投入時処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理は1回の周辺制御部定常処理に対して32回だけ実行されるものの、上述した処理落ちした今回の周辺制御部定常処理が存在する場合には、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が64回ではなく、32回だけ実行されるようになっている。つまり、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。したがって、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても演出の進行状態を確実に整合させることができる。
[11−1−3.周辺制御部1msタイマ割り込み処理]
次に、図210の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する周辺制御部1msタイマ割り込み処理について説明する。この周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されると、図168に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図212に示すように、1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいか否かを判定する(ステップS1100)。この1msタイマ割り込み実行回数STNは、上述したように、図210の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするカウンターである。本実施形態では、液晶表示装置1900のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるようになっているため、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを起動した後、次の周辺制御部定常処理が実行されるまでに、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が32回だけ実行されるようになっている。具体的には、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマが起動されると、まず1回目の1msタイマ割り込みが発生し、2回目、・・・、そして32回目の1msタイマ割り込みが順次発生することとなる。
ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、そのままこのルーチンを終了する。33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部1msタイマ割り込み処理の方が周辺制御部Vブランク割り込み処理と比べて高く設定されているものの、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルするようになっている。換言すると、本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板4140のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。そして、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始するようになっている。
一方、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいときには、1msタイマ割り込み実行回数STNに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS1102)。この1msタイマ割り込み実行回数STNに値1が足されることにより、図210の周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数が1回分だけ増えることとなる。
ステップS1102に続いて、モータ及びソレノイド駆動処理を行う(ステップS1104)。このモータ及びソレノイド駆動処理では、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに従って、図168に示した、枠装飾駆動アンプ基板194及びモータ駆動基板3042のモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、このモータ及びソレノイド駆動処理を実行するごとに、ポインタを更新する。
具体的には、モータ及びソレノイド駆動処理では、枠装飾駆動アンプ基板194へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでは、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用して枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信を行う。この枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、図47に示した操作ユニット400のダイヤル駆動モータ414への駆動信号を出力するための扉側モータ駆動データSTM−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図169に示した周辺制御RAM4150cの枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafにセットする。そして周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因に枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafの先頭アドレスに格納された扉側モータ駆動データSTM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150cafに格納された残りの扉側モータ駆動データSTM−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またモータ及びソレノイド駆動処理では、モータ駆動基板3042へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御DMAコントローラ4150acを利用してモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cのスケジュールデータ記憶領域4150caeにセットされた電気的駆動源スケジュールデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、図1に示した遊技盤4に設けられる各種可動体を可動させるためのモータやソレノイドへの駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して作成するとともに、図169に示した周辺制御RAM4150cのモータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagにセットする。そして周辺制御MPU4150aの周辺制御CPUコア4150aaは、周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にモータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagの先頭アドレスに格納された遊技盤側モータ駆動データSM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。これにより、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。周辺制御DMAコントローラ4150acは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御CPUコア4150aaがバスを使用していない場合に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cagに格納された残りの遊技盤側モータ駆動データSM−DATを1バイトずつ、外部バス4150h、周辺制御バスコントローラ4150ad、そして周辺バス4150aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1104に続いて、可動体情報取得処理を行う(ステップS1106)。この可動体情報取得処理では、遊技盤4に設けた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば、原位置履歴情報、可動位置履歴情報など。)を作成し、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの可動体情報取得記憶領域4150cahにセットする。この可動体情報取得記憶領域4150cahにセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報から遊技盤4に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得することができる。
ステップS1106に続いて、操作ユニット情報取得処理を行う(ステップS1108)。この操作ユニット情報取得処理では、図47に示した操作ユニット400に設けられた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば、ダイヤル操作部401の回転(回転方向)履歴情報、及び押圧操作部405の操作履歴情報など。)を作成し、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiにセットする。この操作ユニット情報取得記憶領域4150caiにセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報からダイヤル操作部401の回転方向や押圧操作部405の操作有無を取得することができる。
ステップS1108に続いて、バックアップ処理を行い(ステップS1110)、このルーチンを終了する。このバックアップ処理では、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbと、バックアップ第2エリア4150ccと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御SRAM4150dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150dbと、バックアップ第2エリア4150dcと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM4150cについて、図169に示した、バックアップ対象ワークエリア4150caにおける、1ms割り込みタイマが発生するごとに、つまり本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1ms)に含まれる、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域4150caf、モータ駆動基板側送信データ記憶領域4150cag、可動体情報取得記憶領域4150cah、及び操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶されている内容である演出情報(1ms)を、演出バックアップ情報(1ms)として、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1ms)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
このように、周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、1msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1104〜ステップS1108の演出に関する各種処理を実行している。これに対して、図210の周辺制御部電源投入時処理における周辺制御部定常処理では、約33.3msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1012〜ステップS1032の演出に関する各種処理を実行している。周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが値33より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、そのままこのルーチンを終了するようになっているため、仮に、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合でも、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルし、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始するようになっている。つまり、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。したがって、演出の進行状態を確実に整合させることができる。また、上述したように、Vブランク信号が出力される間隔は、液晶表示装置1900の液晶サイズによって多少変化するし、周辺制御MPU4150aと音源内蔵VDP4160aとが実装された周辺制御基板4140の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合もある。本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板4140のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。つまり本実施形態では、Vブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合であっても、33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルすることによって、このVブランク信号が出力される間隔が多少変化することによる時間ズレを吸収することができるようになっている。
[11−1−4.周辺制御部コマンド受信割り込み処理]
次に、主制御基板4100からの各種コマンドを受信する周辺制御部コマンド受信割り込み処理について説明する。図168に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からの各種コマンドがシリアルデータとして送信開始されると、これを契機として主周シリアルデータを周辺制御MPU4150aに内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートで1バイト(8ビット)の情報を受信バッファに取り込み、この取り込みが完了すると、これを契機として割り込みが発生し、周辺制御部コマンド受信割り込み処理を行う。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されており、1バイト目としてステータスが割り振られ、2バイト目としてモードが割り振られ、3バイト目としてステータスとモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。
周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されると、周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図213に示すように、1バイト受信期間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1200)。この1バイト受信期間タイマは、主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を設定するものである。
ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間内であるときには、周辺制御MPU4150aの内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートの受信バッファから受信した1バイトの情報を取り込み(ステップS1202)、受信カウンタSRXCに値1を加える(インクリメントする、ステップS1204)。この受信カウンタSRXCは、受信バッファから取り出した回数を示すカウンタであり、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスを受信バッファから取り出すと値1、主周シリアルデータの2バイト目であるモードを受信バッファから取り出すと値2、主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出すと値3となる。なお、受信カウンタSRXCは、電源投入時等に初期値0がセットされる。
ステップS1204に続いて、受信カウンタSRXCが値3であるか否か、つまり主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出したか否かを判定する(ステップS1206)。この判定では、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したか否かを判定している。
ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3でないとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、まだ主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出していないときには、1バイト受信期間タイマのセットを行い(ステップS1208)、このルーチンを終了する。ステップS1208で1バイト受信期間タイマがセットされることで、主周シリアルデータの2バイト目であるモード又は主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信し得る期間が設定される。
一方、ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3であるとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したときには、受信カウンタSRXCに初期値0をセットし(ステップS1210)、サム値を算出する(ステップS1212)。この算出は、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスと、主周シリアルデータの2バイト目であるモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。
ステップS1212に続いて、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているか否かを判定する(ステップS1214)。ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値は、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値であるため、ステップS1212で算出したサム値と一致しているはずである。ところが、パチンコ遊技機1は、パチンコ島設備から遊技球が供給されており、遊技球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生するため、パチンコ遊技機1はノイズの影響を受けやすり環境下にある。そこで、本実施形態では、周辺制御部4150側において、受信した主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値が、主制御基板4100からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値と一致しているか否かを判定している。これにより、周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間において、主周シリアルデータがノイズの影響を受けて正規と異なる主周シリアルデータに変化したか否かを判定することができる。
ステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているときには、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとを、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cacに記憶し(ステップS1216)、このルーチンを終了する。この受信コマンド記憶領域4150cacは、リングバッファとして用いており、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとは、受信コマンド記憶領域4150cacの周辺制御部受信リングバッファに記憶される。この「周辺制御部受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。なお、周辺制御MPU4150aは、ステップS1216で周辺制御部受信リングバッファに記憶する際に、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を対応付けて記憶しており、3バイト目として割り振られたサム値を破棄する。
一方、ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板4100から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[11−1−5.周辺制御部停電予告信号割り込み処理]
次に、図170に示した、払出制御基板4110の停電監視回路4110bからの停電予告信号が主制御基板4100を介して入力されたことを契機として実行する周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。この周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されると、図168に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、まず2マイクロ秒タイマを起動し(ステップS1300)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS1302)。この判定で停電予告信号が入力されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS1302で停電予告信号が入力されているときには、2マイクロ秒経過したか否かを判定する(ステップS1304)。この判定では、ステップS1300で起動したタイマが2マイクロ秒経過した否かを判定している。ステップS1304で2マクロ秒経過していないときには、ステップS1302に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、停電予告信号が入力されていないときにはそのままこのルーチンを終了する一方、停電予告信号が入力されているときには、再びステップS1304で2マイクロ秒経過したか否かを判定する。つまりステップS1304の判定では、本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているか否かを判定している。
ステップS1304で本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているときには、節電処理を行う(ステップS1306)。この節電処理では、液晶表示装置1900のバックライトの消灯、遊技盤4に設けられるモータやソレノイドへの励磁OFF、各種LEDの消灯等を順次実行することによりパチンコ遊技機1のシステム全体の消費電力を抑えることによって、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても周辺制御MPU4150aが動作可能な時間である20ミリ秒の期間だけ安定動作を確保している。
ステップS1306に続いて、コマンド受信待機処理を行う(ステップS1308)。このコマンド受信待機処理では、主制御基板4100が送信中の各種コマンドがある場合を想定して、送信中のコマンドを周辺制御MPU4150aが受信することができるように、少なくとも、17ミリ秒の期間だけ待機するようになっている。コマンドを受信すると、上述した、周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されて、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cac(周辺制御部受信リングバッファ)に受信したコマンドが記憶される。
ステップS1308に続いて、コマンドのバックアップ処理を行う(ステップS1310)。このコマンドのバックアップ処理では、図169に示した、バックアップ対象ワークエリア4150caにおけるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ4150acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ4150acによるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、図169に示した周辺制御MPU4150aの周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリア4150cbのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。続いて、周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア4150aaが周辺制御DMAコントローラ4150acの要求要因にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacに記憶されている内容を、バックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域4150cacの終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリア4150ccのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1310に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS1312)。この判定で停電予告信号が入力されているときには、WDTクリア処理を行う(ステップS1314)。このWDTクリア処理では、周辺制御MPU4150aは、図169に示した周辺制御内蔵WDT4150afと、図168に示した周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようにする。
一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されていないとき、又はステップS1314に続いて、再びステップS1312に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。つまり、停電予告信号が入力されているか否かを無限に判定し続けることとなる。このように無限に判定し続けることにより、ステップS1312で停電予告信号が入力されていないときには、周辺制御MPU4150aは、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力することができなくなり、周辺制御MPU4150aにリセットがかかる一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されているときには、ステップS1314でWDTクリア処理を行い、周辺制御MPU4150aにリセットがかからない。なお、周辺制御MPU4150aにリセットがかかると、図210に示した周辺制御部電源投入時処理が再び開始されることとなる。
このように、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号の入力が継続する場合には、ステップS1314でWDTクリア処理が実行されることによって停電状態になる直前で周辺制御MPU4150aにリセットがかからないようになっている。これに対して、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号の入力が継続されず解除された場合には、WDTクリア処理が実行されないため、周辺制御内蔵WDT4150afと、周辺制御外部WDT4150eと、にクリア信号を出力が中断されるようになっている。これにより、ノイズなどで本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が誤って開始され、そのノイズが2マイクロ秒の期間を超えて発生することでステップS1302の判定を通過したとしても、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号の入力が継続されず解除された場合には、ステップS1314のWDTクリア処理が実行されないことにより周辺制御MPU4150aにリセットがかかるようになっているため、そのようなノイズに対して自動的にリセット復帰することで対応することができるようになっている。
[11−1−6.回転検出スイッチ履歴作成処理]
次に、図212に示した周辺制御部1msタイマ割り込み処理におけるステップS1108の操作ユニット情報取得処理の一処理として実行する回転検出スイッチ履歴作成処理について説明する。この回転検出スイッチ履歴作成処理は、図47に示した、ダイヤル操作部401の回転を検出する一対の回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号の履歴をそれぞれ作成する。
回転検出スイッチ履歴作成処理が開始されると、図168に示した周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図215に示すように、図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiから回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTを読み出す(ステップS1400)。この回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTは、それぞれ1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転検出スイッチ432aからの検出信号の履歴が回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTとして操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶され、回転検出スイッチ432bからの検出信号の履歴が回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTとして操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶されている。
ステップS1400に続いて、回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号があるか否かを判定する(ステップS1402)。この判定は、回転検出スイッチ432aからの検出信号があるときには、図44に示した、ダイヤル操作部401に連結された従動ギア410に一定間隔で列設された複数の回転検出片410cのうちの一の回転検出片が回転検出スイッチ432aの光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であると判定する一方、回転検出スイッチ432aからの検出信号がないときには、一の回転検出片が回転検出スイッチ432aの光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態と判定する。また、回転検出スイッチ432bからの検出信号があるときには、一の回転検出片が回転検出スイッチ432bの光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であると判定する一方、回転検出スイッチ432bからの検出信号がないときには、一の回転検出片が回転検出スイッチ432bの光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS1402で回転検出スイッチ432aからの検出信号があるとき、又は回転検出スイッチ432bからの検出信号があるときには、回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS1404)。この回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、回転検出スイッチ432aからの検出信号があるときには、ステップS1400で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする一方、回転検出スイッチ432bからの検出信号があるときには、ステップS1400で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS1404で回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTの最下位ビットB0に値1をセットする一方、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTの最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS1406)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS1402で回転検出スイッチ432aからの検出信号がないとき、又は回転検出スイッチ432bからの検出信号がないときには、回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS1408)。この回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS1404の回転検出スイッチ検出履歴情報のシフト処理と同一の処理を行い、回転検出スイッチ432aからの検出信号がないときには、ステップS1400で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする一方、回転検出スイッチ432bからの検出信号がないときには、ステップS1400で読み出した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS1408で回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTの最下位ビットB0に値0をセットする一方、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTをシフトした場合には回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTの最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS1410)、このルーチンを終了する。
このように、この回転検出スイッチ履歴作成処理が実行されるごとに、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトしたのち、最下位ビットB0に値1又は値0がセットされるため、回転検出スイッチ432a,432bからの検出信号の履歴を作成することができる。
次に、上述した回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTから、ダイヤル操作部401が停止している状態であるか(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であるか)、時計方向に回転している状態であるか、反時計方向に回転している状態であるか、を判定する方法について、図216〜図218を参照して説明する。図216は回転操作ユニットにおけるダイヤル操作部の時計方向の回転に伴う従動ギアの回転検出片と一対の回転検出スイッチとの位置関係を示す説明図であり、図217は回転操作ユニットにおけるダイヤル操作部の反時計方向の回転に伴う従動ギアの回転検出片と一対の回転検出スイッチとの位置関係を示す説明図であり、図218(A)は回転操作ユニットにおけるダイヤル操作部の時計方向の回転に伴う一対の回転検出スイッチのON/OFFを示す一覧表図であり、図218(B)はダイヤル操作部の反時計方向の回転に伴う一対の回転検出スイッチのON/OFFを示す一覧表図である。
回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTは、上述したように、それぞれ1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、回転検出スイッチ432aからの検出信号の履歴が回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTとして図169に示した、周辺制御MPU4150aと外付けされる周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶され、回転検出スイッチ432bからの検出信号の履歴が回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTとして周辺制御RAM4150cの操作ユニット情報取得記憶領域4150caiに記憶されている。このため、ダイヤル操作部401が停止している状態であるか(換言すると、ダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であるか)、時計方向に回転している状態であるか、反時計方向に回転している状態であるか、を判定する場合には、操作ユニット情報取得記憶領域4150caiから回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTを読み出し、検出判定値と一致しているか否かにより行う。この検出判定値は、図168に示した周辺制御ROM4150bに予め記憶されており、図169に示した周辺制御RAM4150cの周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されて使用されるようになっている。検出判定値として予め設定されたデータは、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。つまり、この判定では、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HIST,DSW1−HISTの下位4ビットB3〜B0と検出判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かにより行う。
具体的には、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW0−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回の1msタイマ割り込みの発生で続けて、回転検出スイッチ432aがダイヤル操作部401と一体的に回転する従動ギア410の回転検出片410cを検出したことを意味し、回転検出スイッチ検出履歴情報DSW1−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回の1msタイマ割り込みの発生で続けて、回転検出スイッチ432bがダイヤル操作部401と一体的に回転する従動ギア410の回転検出片410cを検出したことを意味している。
次に、ダイヤル操作部401の回転方向の検出について説明する。回転検出スイッチ432a,432bは、上述したように、ダイヤル操作部401と一体的に回転する従動ギア410の回転検出片410cを検出することにより、ダイヤル操作部401の回転方向を検出するようになっている。なお、図216〜図218中には、回転検出スイッチ432aを「A」と記載すると共に、回転検出スイッチ432bを「B」と記載する。また、以下に示すステップ1〜ステップ4は、それぞれ回転検出スイッチ432a,432bを基準としたダイヤル操作部401の4種類の回転位置のことであり、ダイヤル操作部401が回転することで、ステップ1、ステップ2、ステップ3、そしてステップ4へと順次、回転位置が移行するものであり、ステップ4へ移行した後は、再度ステップ1へ戻る。
ダイヤル操作部401が時計方向へ回転する場合は、図216に示すように、ステップ1として、回転検出スイッチ432a,432bが従動ギア410の回転検出片410cを検出し、その後、ダイヤル操作部401の時計方向への回転に伴うステップ2への移行により、回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出する一方、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432bへ移動して回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。その後、ダイヤル操作部401の時計方向への回転に伴うステップ3への移行により、従動ギア410のスリット410dが各回転検出スイッチ432a,432bへ移動して回転検出スイッチ432a,432bが共に回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。そして、ダイヤル操作部401の時計方向への回転に伴うステップ4への移行により、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432aへ移動して回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出しない一方、回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出するステップへ移行する。
一方、ダイヤル操作部401が反時計方向へ回転する場合は、図217に示すように、ステップ1として、両方の回転検出スイッチ432a,432bが従動ギア410の回転検出片410cを検出し、その後、ダイヤル操作部401の反時計方向への回転に伴うステップ2への移行により、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432aへ移動して回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出しない一方、回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出するステップへ移行する。その後、ダイヤル操作部401の反時計方向への回転に伴うステップ3への移行により、従動ギア410のスリット410dが各回転検出スイッチ432a,432bへ移動して回転検出スイッチ432a,432bが共に回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。そして、ダイヤル操作部401の反時計方向への回転に伴うステップ4への移行により、回転検出スイッチ432aが回転検出片410cを検出する一方、従動ギア410のスリット410dが回転検出スイッチ432bへ移動して回転検出スイッチ432bが回転検出片410cを検出しないステップへ移行する。
つまり、ダイヤル操作部401が時計方向へ回転する場合の回転検出スイッチ432a,432bのON(回転検出片410cの検出あり)/OFF(回転検出片410cの検出なし)動作は、図218(A)に示すように、ステップ1で回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」であり、ステップ2で回転検出スイッチ432aが「ON」を継続する一方、回転検出スイッチ432bが「OFF」となる。その後、ステップ3で回転検出スイッチ432a,432bが共に「OFF」となった後に、ステップ4で回転検出スイッチ432aが「OFF」を継続する一方、回転検出スイッチ432bが「ON」となる。その後は、再度、ステップ1に戻り、回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」となる。
一方、ダイヤル操作部401が反時計方向へ回転する場合の回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF動作は、図218(B)に示すように、ステップ1で回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」であり、ステップ2で回転検出スイッチ432bが「ON」を継続する一方、回転検出スイッチ432aが「OFF」となる。その後、ステップ3で回転検出スイッチ432a,432bが共に「OFF」となった後に、ステップ4で回転検出スイッチ432bが「OFF」を継続する一方、回転検出スイッチ432aが「ON」となる。その後は、再度、ステップ1に戻り、回転検出スイッチ432a,432bが共に「ON」となる。
なお、ダイヤル操作部401が時計方向、又は反時計方向へ回転していない停止した場合には、回転検出スイッチ432a,432bからの検出に変化が生じなくなるため、ステップ1〜ステップ4において回転検出スイッチ432a,432bによるON/OFF動作の切替りがまったくなくなる。
このように、回転検出スイッチ432a,432bは、上述した各ステップ1〜ステップ4でのON/OFFに基づいてダイヤル操作部401の回転方向を検出することができるようになっている。遊技者の操作によってダイヤル操作部401が操作された場合には、回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF状態の切替りを検出することによりダイヤル操作部401が回転操作されたことを検出して回転方向を把握することができるし、回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF状態の切替りがまったくないことを検出することによりダイヤル操作部401が停止している状態であることを把握することができる。
また、周辺制御MPU4150aは、ダイヤル操作部401を時計方向、又は反時計方向へ回転させている制御を実行している場合に、遊技者が指や手のひらでダイヤル操作部401を押さえてダイヤル操作部401の回転を強制的に停止させたときには、回転検出スイッチ432a,432bのON/OFF状態の切替りがまったくないことを検出することにより、ダイヤル操作部401を時計方向、又は反時計方向へ回転させる、ステッピングモータであるダイヤル駆動モータ414が脱調している状態であることを把握することができる。
以上説明した本実施形態のパチンコ遊技機1によれば、図25の扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の下端左右両外側に取り付けられる一対のサイドスピーカ130、図30の右サイド装飾ユニット200に取り付けられる右上部スピーカ222、図32の左サイド装飾ユニット240に取り付けられる左上部スピーカ262、及び図85の基板ユニット800におけるスピーカボックス820に取り付けられる下部スピーカ821等のスピーカと、音量を設定することができる音量調整ボリューム1912と、遊技の進行を制御する主制御基板4100と、主制御基板4100からの図185及び図186の各種コマンドに基づいて演出の進行を制御する周辺制御基板4140と、を備えている。
周辺制御基板4140における周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1032の音データ作成処理において、音量調整ボリューム1912で設定される音量で演出に関する音楽や効果音等の演出音の音量を調整することができ、パチンコ遊技機1の不具合の発生(例えば、図186の接続異常表示コマンド、断線・短絡異常表示コマンドのほかに、遊技盤4に設けた各種可動体の原位置を検出できない状態や可動位置を検出することができない状態である等)とパチンコ遊技機1に対する不正行為(例えば、図186の入賞異常表示コマンド、磁気検出スイッチ異常表示コマンド等)とをホールの店員に報知するための報知音を音量調整ボリューム1912で設定される音量に依存されることなく調整することができるようになっている。具体的には、音データ作成処理では、この音データ作成処理を行うごとに(つまり、周辺制御部定常処理を行うごとに)、図169に示した周辺制御A/Dコンバータ4150akを起動し、音量調整ボリューム1912のつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理しており、基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。基板ボリューム0〜6で設定される音量は、演出に関する音楽や効果音等の演出音の音量を調節するものであり、基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して、上述したステップS1018の音データ出力処理で音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力することにより、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から音楽や効果音が流れるようになっている。また、報知音や告知音は、つまみ部の回動操作に基づく音量調整に全く依存されずに流れる仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部4160の音源内蔵VDP4160aを制御して調整することができるようになっている。このプログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができるようになっている。例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム1912のつまみ部を回動操作して音量を小さく設定した場合であっても、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流れる音楽や効果音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を流すことができるし、また、つまみ部の回動操作に基づく音量調整により設定されている現在の基板ボリュームに基づいて、広告音を流す音量を小さくして音楽や効果音の妨げとならないようにしたりする一方、広告音を流す音量を大きくして音楽や効果音に加えて液晶表示装置1900で繰り広げられている画面をより迫力あるものとして演出したり、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する可能性が高いこと告知したりすることもできる。
周辺制御基板4140における周辺制御部4150の周辺制御MPU4150aは、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1018の音データ出力処理において、同処理におけるステップS1032の音データ作成処理において音量調整された演出音と報知音とを本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流す制御を実行することができるようになっている。具体的には、音データ作成処理で音源内蔵VDP4160aに設定された音楽及び効果音等の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したり、音楽及び効果音のほかに報知音や告知音の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC4160cに出力したりする。このオーディオデータ送信IC4160cは、音源内蔵VDP4160aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信するとともに、左側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板194に向かって送信する。これにより、本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から各種演出に合わせた音楽や効果音等がステレオ再生されたりするほかに報知音や告知音もステレオ再生されたりする。
このように、演出に関する音楽や効果音等の演出音の音量は、音量調整ボリューム1912で設定される音量となるように、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1032の音データ作成処理において音量調整されるのに対して、パチンコ遊技機1の不具合の発生やパチンコ遊技機1に対する不正行為をホールの店員に報知するための報知音は、音量調整ボリューム1912で設定される音量に依存されることなく、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1032の音データ作成処理において音量調整されるようになっているため、演出音の音量と報知音の音量とが独立してそれぞれ調整されるようになっている。これにより、音データ作成処理が音量調整ボリューム1912で設定される音量に応じて演出音の音量を小さく調整している状態であっても、音データ作成処理が演出音の音量と比べて大きい音量(本実施形態では、最大音量)に報知音の音量を調整することができるようになっているため、図210の周辺制御部電源投入時処理におけるステップS1018の音データ出力処理において演出音や報知音を本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から流す制御を実行することにより報知音が演出音と比べて大きい音量となって遊技者やホールの店員等に届くこととなる。したがって、演出音の音量を小さくしても、報知音によりホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を気付き難くなることを防止することができる。
[12.遊技機の進行に関する説明]
次に上述した主制御基板4100および周辺制御基板4140とが協働して実現されるパチンコ遊技機1の進行(例えば、抽選、演出)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、複数の変動表示パターンテーブルを有している。各変動表示パターンテーブルは、複数の変動表示パターンを含み得る。パチンコ遊技機1は、複数の変動表示パターンテーブルの中から1つの変動表示パターンテーブルを選択し、上始動口スイッチ3102および下始動口スイッチ2127の遊技球の検出に基づいて、選択した変動表示パターンテーブルの中から、1つの変動表示パターンを決定し得る。パチンコ遊技機1は、決定した変動表示パターンに基づいて、特別図柄表示器1189、1186における第一特別図柄、第二特別図柄の変動、および、液晶表示装置1900における表示演出等を実行し得る。
液晶表示装置1900で行われる表示演出は、後述するリーチ演出などを含み得るメイン演出に加えて、当該メイン演出の前に行われる擬似連演出(後述)を含み得る。言い換えれば、メイン演出は、液晶表示装置1900で行われる表示演出において擬似連演出を除く演出である。変動表示パターンは、液晶表示装置1900で行われるメイン演出の種類と、擬似連演出の回数とを規定し得る。また、変動表示パターンは、少なくとも特別図柄の変動時間を規定する。特別図柄の変動時間とは、特別図柄が変動開始してから停止するまでの時間のことである。この特別図柄の変動時間は、当該変動における変動表示パターンに基づいて液晶表示装置1900で表示演出が行われる時間(演出時間とも呼ぶ)とほぼ等しい。従って、変動表示パターンは、擬似連演出の時間と、メイン演出の時間との合計時間を規定していると言える。このような制御を含むパチンコ遊技機1の制御やパチンコ遊技機1の制御に伴う遊技状態の詳細について、以下に説明する。
[12−1.遊技状態の説明]
本実施形態のパチンコ遊技機1では、種々の遊技状態に移行し得る。具体的には、パチンコ遊技機1は、通常外部不利状態、通常外部有利状態、確変外部不利状態、および、確変外部有利状態のいずれかの遊技状態に移行し得る。通常外部不利状態は、確率変動機能および時短機能が作動してしない遊技状態である。通常外部有利状態は、確率変動機能が作動せずに、時短機能が作動している遊技状態である。確変外部不利状態は、確率変動機能が作動しており、時短機能が作動していない遊技状態である。確変外部有利状態は、確率変動機能および時短機能が作動している遊技状態である。
ここで、確率変動機能とは、上述した確率変動の状態とする機能、すなわち、後述する大当り抽選において大当りを引く確率(大当り確率)が通常時の確率(所定確率)よりも高く設定される機能である。時短機能とは、普通図柄表示器1189で変動する普通図柄の変動時間が通常時よりも短縮されると共に、後述する普通図柄抽選で当選する確率が、通常時の確率(所定確率)よりも高く設定されることによって、可動片2105の開閉が頻繁に実行され、下始動口2102への入賞のし易さを通常よりも増加させる機能である。通常外部有利状態、確変外部不利状態、および、確変外部有利状態へは、大当りを契機として大当り遊技後に移行し得る。外部有利状態から外部不利状態へは、大当りを契機として大当り遊技後に移行し得、また、大当り後の抽選回数がその大当りに対応付けられた所定数に到達したことに応じて、移行し得る。これら遊技状態のうち、確変外部有利状態が遊技者にとって最も有利であり、通常外部有利状態と確変外部不利状態とが遊技者にとって次に有利であり、通常外部不利状態が遊技者にとって最も不利である。
本実施形態において、「変動回数」とは、特別図柄が変動開始して停止した場合を1としてカウントされる回数であり、大当り抽選の回数と対応する。
また、通常外部不利状態と確変外部不利状態とは、大当り確率は異なるが、時短機能が作動していない状態であることは共通する。従って、通常外部不利状態と確変外部不利状態とを含む遊技状態の総称を時短無遊技状態とも呼ぶ。これに対して、通常外部有利状態と確変外部有利状態とは、時短機能が作動している状態であるので、通常外部有利状態と確変外部有利状態とを含む遊技状態の総称を時短遊技状態とも呼ぶ。さらに、確率外部有利状態と確変外部不利状態とは、時短機能の有無は異なるが、確率変動機能が作動していることは共通する。従って、確率外部有利状態と確変外部不利状態とを含む遊技状態の総称を確変作動有遊技状態とも呼ぶ。これに対して、通常外部不利状態と通常外部有利状態とは、確率変動機能が作動していない遊技状態であるので、通常外部不利状態と通常外部有利状態とを含む遊技状態の総称を確変作動無遊技状態とも呼ぶ。
[12−2.遊技の進行に関する主制御基板での制御処理]
次に、上述した主制御基板4100(特に主制御MPU4100a)で実行される制御処理のうち、遊技の進行に関連が強い部分について、さらに、図221〜図229を参照して説明する。図221は、始動口入賞処理を示すフローチャートである。図222は、特別図柄及び特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。図223は、変動開始処理を示すフローチャートである。図224は、変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図225は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。
また、図226は、大当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図227は、小当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図228は、大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。図229は、小当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。図230は、特別図柄用乱数記憶手段におけるテーブル構成を示す説明図である。なお、図221〜図229の処理は、図190の処理が繰り返されることによって、実現される。
ここで、上述した大当り判定用乱数を用いて、大当り遊技状態を発生させるか否かを判定することを「大当り判定」または「大当り抽選」とも呼ぶ。大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定された時に特別図柄をいずれの図柄で停止させるのかを大当り図柄用乱数を用いて抽選して決定することを「特別図柄抽選」とも呼ぶ。また、小当り遊技状態を発生させるか否かを判定することを「小当り判定」または「小当り抽選」とも呼ぶ。本実施形態では、小当り判定は、上述の大当り判定用乱数を用いて、行われる。小当り判定において小当り遊技状態を発生させると判定された時には、特別図柄をいずれの図柄で停止させるのかが小当り図柄用乱数を用いて抽選して決定される。大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定され、かつ、小当り判定にて小当り遊技状態を発生させないと判定された時に、リーチ判定用乱数を用いてリーチ態様を伴うハズレとするか否かを判定することを「リーチ判定」とも呼ぶ。特別図柄表示器1185,1186に表示する特別図柄の変動表示パターン(変動時間)をいずれのパターンで実行するのかを変動表示パターン用乱数(変動時間用乱数)を用いて抽選して決定することを、「変動表示パターン抽選」とも呼ぶ。下始動口2102を開閉する可動片2105を開放状態に制御するか否かを普通図柄当り判定用乱数を用いて判定することを普通図柄抽選とも呼ぶ。。
なお、本実施形態では、大当り判定用乱数を用いて大当りと判定された場合には、大当り図柄用乱数を用いて、大当り遊技後に確率変動機能が動作する大当り(「確変大当り」とも呼ぶ)とするか、あるいは、確率変動機能が動作しない大当り(「通常大当り」とも呼ぶ)とするか、の判定(確変判定とも呼ぶ)と、大当り遊技後に時短機能が動作する大当り(「時短有大当り」とも呼ぶ)とするか、あるいは、時短機能が動作しない大当り(「時短無大当り」とも呼ぶ)とするか、の判定(時短判定とも呼ぶ)と、実質的に出玉の有る大当り(一般の大当り、または、出玉有大当りとも呼ぶ)と、実質的に出玉の無い大当り(特殊当り、または、出玉無大当りとも呼ぶ)とするか否かの判定と、も行われる。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定すると共に、液晶表示装置1900にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしても良い。また、大当り判定用乱数に基づいて、「大当り抽選」または「小当り抽選」のいずれかで当選しているか否かの判定を行うことを「当り抽選」とも呼ぶ。また、大当り判定用乱数と大当り図柄用乱数とによって行われる判定の全体を、特別抽選とも呼ぶ。本実施形態の装飾図柄は、数値を表す図柄によって構成されている。
上述したように、大当り抽選は、大当り判定用乱数と、予め当選乱数が定められる大当り判定テーブル(上述した通常時判定テーブルと、確変時判定テーブル)と、を比較することで行われる。同様に、特別図柄抽選は、大当り図柄用乱数と、予め当選乱数が定められる特別図柄判定用テーブルと、を比較することで行われる。リーチ判定は、リーチ判定用乱数と、予め当選乱数が定められるリーチ判定用テーブルと、を比較することで行われる。変動表示パターン抽選は、変動表示パターン用乱数と、予め当選乱数が各変動表示パターンに対応づけられた変動表示パターンテーブルと、を比較することで行われる。普通図柄抽選は、普通図柄当り判定用乱数と、予め当選乱数が定められる普通図柄判定用テーブルと、を比較することで行われる。小当り抽選は、大当り判定用乱数と、予め当選乱数が定められる小当り判定テーブルと、を比較することで行われる。本実施形態では、大当り判定テーブル、および、変動表示パターンテーブルは、それぞれ複数種類のテーブルが用いられ得る。これについての詳細は、後述する。
これらの乱数のうち、上述した当落乱数更新処理(図190)では、大当り遊技状態の発生に関わる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、および可動片2105を開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定用乱数の更新を行う。すなわち、大当り遊技状態の発生および可動片2105を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は特定のタイミング(本実施形態では、主制御側タイマ割り込み処理が行われる毎)に更新される。このようにすることにより、乱数を用いた大当り抽選および普通図柄抽選の当選確率を一定にすることができ、遊技者が不利な状態となることを防止することができる。一方、上述したように非当落乱数更新処理(図189)では、大当り遊技状態の発生、及び普通図柄抽選に関わらないリーチ判定用乱数、及び変動表示パターン用乱数等の更新を行う。
次に、遊技の進行に関する処理の1つである始動口入賞処理について説明する。始動口入賞処理は、上述した主制御タイマ割り込み処理(図190)におけるスイッチ入力処理(S74)の一部の処理として実行される処理であり、上始動口2101や下始動口2102に遊技球が入賞したか否かを判別し、入賞した場合に抽選の保留状態を更新する処理である。
まず、始動口入賞処理では、図221に示すように、下始動口スイッチ2127から検出信号が出力されたか否かを判別し、下始動口スイッチ2127から検出信号が出力された場合には、下始動口2102に遊技球が入賞したと判別し(ステップS201にてYES)、下始動口スイッチ2127からの検出信号が出力されていなければ下始動口2102に遊技球が入賞していない(ステップS201にてNO)と判別する。ステップS201にて下始動口2102に遊技球が入賞したと判別した時には、第二大当り抽選用の各種乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数等)を取得し、内蔵RAMに設けられている第二保留数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS202)。そして、ステップS202で第二保留数カウンタが4未満であれば、取得した各種乱数を後述する第二特別図柄用乱数記憶手段4532に記憶する第二始動保留記憶処理(ステップS203)、及び、下特別図柄記憶表示器1187に保留状態の変化を反映する保留履歴更新処理(ステップS204)を実行する。なお、ステップS202で第二保留数カウンタの値が4である場合には、第二始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
一方、ステップS201で下始動口スイッチ2127から検出信号が出力されていない場合(ステップS201にてNO)、または、第二保留数カウンタの値が4である場合(ステップS202にてNO)には、上始動口2101に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS205)。具体的には、上始動口スイッチ3102から検出信号が出力されたか否かを判別する。ステップS205にて上始動口2101に遊技球が入賞したと判別した時には(YES)、第一大当り抽選用の各種乱数を取得し、内蔵RAMに設けられている第一保留数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS206)。そして、ステップS206で第一保留数カウンタが4未満であれば、取得した各種乱数を後述する第一特別図柄用乱数記憶手段4515に記憶する第一始動保留記憶処理(ステップS207)、及び、上特別図柄記憶表示器1184に保留状態の変化を反映する保留履歴更新処理(ステップS208)を実行する。なお、ステップS206で第一保留数カウンタの値が4である場合には、第一始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
なお、主制御MPU4100aは、図221のステップS203、S207において、上始動口2101または下始動口2102への遊技球の入賞を通知する始動口入賞コマンドを送信情報として内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。始動口入賞コマンドは、各種乱数が、何番目の保留として記憶されたかを表している。上始動口2101または下始動口2102に遊技球が受け入れられた場合であっても、乱数が保留として記憶されなかった場合には、主制御MPU4100aは、始動口入賞コマンドを送信情報記憶領域に記憶しなくてもよい。内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶された始動口入賞コマンドは、上述した周辺制御基板コマンド送信処理(図190:ステップS92:)において、周辺制御基板4140に送信される。周辺制御基板4140は、受信した始動口入賞コマンドに応じて、液晶表示装置1900に、保留数を表示してもよい。
また、主制御MPU4100aは、取得された各種乱数に基づく先行判定処理を実行し、始動口入賞コマンドとして、更に先行判定処理の結果を表すコマンドを、周辺制御基板4140に送信する場合がある。先行判定処理は、ステップS203、S207で記憶された乱数を用いた抽選(例えば、大当り抽選、小当り抽選、変動表示パターンの決定)に先立って行われ、その抽選結果を事前に判定する処理である。先行判定処理では、ステップS203、S207で記憶された乱数と、先行判定テーブルとを用いて行われる。先行判定テーブルは、当該乱数を用いた抽選に利用されるテーブル(例えば、大当り判定テーブル、特別図柄判定用テーブル、変動表示パターンテーブル、および、小当たり判定用テーブル)と同様のテーブルである。先行判定処理では、当該乱数と先行判定テーブルとを比較することによって、当該乱数を用いた抽選が行われた場合の抽選結果(大当りまたは小当りの当否と、大当りの種類(詳細は後述。例えば、一般の大当りであるのか特殊当りであるのか)と、変動表示パターン等)が判定される(このように抽選に先行して行われる判定は、「先読み判定」とも呼ばれる)。周辺制御基板4140は、受信した始動口入賞コマンド(先行判定結果)を反映した演出を、当該乱数を利用した抽選が行われるよりも前に、実現してもよい(このような演出は、「先読み演出」とも呼ばれる)。先読み演出は、例えば、先行判定結果が、特定のキャラクタをモチーフとした演出が実現されることを表す場合に、その演出が実現されるよりも前の演出において、特定のキャラクターが所定のアクションを実行する演出であってもよい。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、先行判定テーブルの内容は、抽選に利用されるテーブルの内容と同じである。ただし、先行判定テーブルの内容の少なくとも一部が、抽選に利用されるテーブルの内容と異なっていても良い。
また、主制御MPU4100aは、遊技状態が特定の条件を満たしている場合にのみ、先行判定処理の結果を表す始動口入賞コマンドを送信し、特定の条件を満たしていない場合には、先行判定処理の結果を表さない始動口入賞コマンドを送信してもよい。例えば、上始動口2101への入賞に起因する変動表示が、入賞後すぐには開始されず保留される場合に、主制御MPU4100aは、当該入賞に関する先行判定処理の結果を表す始動口入賞コマンドを送信してもよい。ここで、大当り遊技状態と、外部有利状態とにおいては、主制御MPU4100aは、先行判定処理の結果を表す始動口入賞コマンドを送信せずに、先行判定処理の結果を表さない始動口入賞コマンドを送信してもよい。下始動口2102に関する特定の条件も、同様であってよい。ここで、大当り遊技状態と、外部不利状態とにおいては、主制御MPU4100aは、先行判定処理の結果を表す始動口入賞コマンドを送信せずに、先行判定処理の結果を表さない始動口入賞コマンドを送信してもよい。
次に、上述した特別図柄および特別電動役物制御処理(図190:ステップS86)によって実現される処理ついて説明する。本処理において主制御MPU4100aは、図222に示すように、ステップS3000からステップS9000の処理を実行する。ステップS3000の変動開始処理では、保留数を確認し、保留数(合計の記憶数)が0でなければ、それに対応する特別図柄の変動表示を開始する前に必要な処理を行う。具体的には、大当り遊技状態(利益付与状態)を発生させるか否かの判定を行う。このとき、主制御MPU4100aは、必要に応じて、変動回数カウンタKCの初期設定および加算を行う。変動回数カウンタKCは、最後に大当りに当選してからの変動回数(大当り抽選の回数)を示す変数である。ステップS4000の変動パターン設定処理では、各特別図柄および各装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。具体的には、主制御MPU4100aは、参照すべき変動表示パターンテーブル(以下では、参照テーブルとも呼ぶ)を選択し、当該テーブルを参照して、特別図柄の変動表示パターンを決定する。そして、主制御MPU4100aは、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器1185,1186にて特別図柄の変動表示を開始してから停止するまでの時間)をタイマにセットする。
ステップS5000の変動中処理では、変動表示パターン設定処理(ステップS4000)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことに基づいて上特別図柄表示器1185または下特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。この時、変動開始処理(ステップS3000)における大当り抽選で大当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、同抽選で小当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当りまたは小当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。また、主制御MPU4100aは、変動回数カウンタKCの値に応じて、時短機能を終了させる等の種々の処理を行う。
ステップS6000の大当り遊技開始処理では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、大当りの種類に応じて開閉部材2106の開放回数や開放時間等の設定を行う。また、ステップS7000の小当り遊技開始処理では、小当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、小当りにおける開閉部材2106の開放回数や開放時間等の設定を行う。ステップS8000の大当り遊技処理では、大入賞口2103を開放させると共に、所定個数の遊技球が大入賞口2103に入賞した時、または、所定期間が経過した時、開閉部材2106を閉塞状態にするための処理を行う。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達していなければ、再び、開閉部材2106を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達した時には、処理選択フラグを「5」に更新する。また、ラウンド回数が所定回数に達した後、確率変動機能及び時短機能を発生させ得る処理を実行する。
ステップS9000の小当り遊技処理では、大入賞口2103を開放させると共に、所定個数の遊技球が大入賞口2103に入賞した時、または、所定期間が経過した時、開閉部材2106を閉塞状態にするための処理を行う。なお、詳細は後述するが、小当り遊技処理における大入賞口2103の開放は、一般の大当りにおける大当り遊技処理(ステップS8000)に比べて、遊技者への利益が極めて低くなるように設定されている。次に、ステップS2000〜ステップS9000における具体的な処理について説明する。
続いて、変動開始処理では、図223に示すように、まず、処理フラグが「0」か否かを判別し、「0」である場合(ステップS3001にてYES)には、ステップS3002以降の処理を実行し、「0」でない場合(ステップS3001にてNO)には、変動開始処理を終了する。ステップS3002では、夫々の特別図柄表示器1185、1186に対応する二つの保留数カウンタの値(第一始動記憶数及び第二始動記憶数)がともに「0」であるか否かを判別する。二つの保留数カウンタにおける値の和は、始動記憶の保存領域(特別図柄用乱数記憶手段4515,4532(図230参照))に格納される乱数値の個数を示すものであるため、ステップS3002において何れの保留数カウンタの値がともに「0」であれば(YES)、第一大当り抽選及び第二大当り抽選に関する始動条件が成立していないと判別されて変動開始処理を終了する。
一方、ステップS3002で何れかの保留数カウンタの値が「0」でなければ(NO)、始動記憶移行処理を実行する(ステップS3003〜ステップS3011)。図230(a)に示すように、第一特別図柄用乱数記憶手段4515には、四つの記憶領域(記憶領域[1]4515a〜記憶領域[4]4515d)が設けられており、第一始動記憶数(「1」〜「4」)の値にそれぞれ対応付けられている。また、図230(b)に示すように、第二特別図柄用乱数記憶手段4532にも、四つの記憶領域(記憶領域[1]4532a〜記憶領域[4]4532d)が設けられており、第二始動記憶数(「1」〜「4」)の値にそれぞれ対応付けられている。各記憶領域4515a〜4515d,4532a〜4532dは、大当り判定用乱数が記憶される大当り判定用乱数記憶領域4580と、大当り図柄用乱数が記憶される大当り図柄用乱数記憶領域4581とを有している。
そして、始動記憶移行処理では、まず、下特別図柄表示器1186に対応する保留数カウンタの値(第二始動記憶数)が「0」であるか否か、すなわち第二特別図柄用乱数記憶手段4532の記憶領域[1]4532aに乱数が記憶されていないかを判別し(ステップS3003)、乱数が記憶されていれば(NO)、n番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]4532b〜記憶領域[4]4532d)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]4532a〜記憶領域[3]4532c)に夫々シフトする処理(ステップS3004)と、記憶領域[1]4532aに記憶されていた第二特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS3005)とを実行する。また、特別図柄変動フラグに「1」をセットする(ステップS3006)と共に、第二特別図柄に対応する保留数カウンタを「1」減算する処理(ステップS3007)を実行する。
一方、第二特別図柄用乱数記憶手段4532の記憶領域[1]4532aに乱数が記憶されていない場合、すなわち下特別図柄表示器1186に対応する保留数カウンタの値が「0」の場合には(ステップS3003にてYES)、第一特別図柄用乱数記憶手段4515のn番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]4515b〜記憶領域[4]4515d)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]4515a〜記憶領域[3]4515c)に夫々シフトする処理(ステップS3008)と、記憶領域[1]4515aに記憶されていた第一特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS3009)とを実行する。また、特別図柄変動フラグに「2」をセットする(ステップS3010)と共に、第一特別図柄に対応する保留数カウンタを「1」減算する処理(ステップS3011)を実行する。
つまり、第一特別図柄に関して言えば、保留する際には、第二特別図柄の場合と同様に、保留数カウンタの値(第一始動記憶数)を「1」増やすと共に、抽出した乱数を、第一始動記憶数の値に対応した記憶領域に格納するが、第一特別図柄の変動を開始する際には第二始動記憶数が「0」である場合のみ、すなわち第一特別図柄による処理(第一処理と呼ぶ)が待機中であり且つ第二特別図柄による処理(第二処理と呼ぶ)が待機中でない場合に限り、第一特別図柄用乱数記憶手段4515の1番目の記憶領域「1」4515aから各乱数を読み出すようにしている。そして、この制御により第二処理を第一処理よりも優先的に行わせることを可能にしている。
その後、確率変動機能作動中か否か、すなわち高確率である確率変動状態か否かを判別し(ステップS3012)、確率変動状態でない場合には(ステップS3012にてNO)、確率変動未作動時用の大当り判定テーブルを選択する(ステップS3013)。一方、確率変動状態の場合には(ステップS3012にてYES)、確率変動作動時用の大当り判定テーブルを選択する(ステップS3015)。確率変動未作動時用大当り判定テーブルは、予め定められる当選乱数の数が、確率変動作動時用の大当り判定テーブルよりも、少ないテーブルである。言い換えれば、確率変動作動時用の大当り判定テーブルは、予め定められる当選乱数の数が、確率変動未作動時用大当り判定テーブルよりも多いテーブルである。従って、上述したように、確率変動機能作動時(すなわち、確変外部有利状態および確変外部不利状態時)には、確率変動機能未作動時(すなわち、通常外部有利状態および通常外部不利状態時)よりも、大当り確率が高くなる。なお、本実施形態では、確率変動未作動時には、大当り確率が2/700に設定され、確率変動作動時には、大当りとなる確率が20/700に設定されている。ここでは、700個の値からランダムに選択された1つの値を表す乱数を用いて大当りとなるか否かの判定を行うことを想定しているが、乱数のとり得る値の総数は、700個とは異なる他の任意の数(例えば、700よりも大きい数、あるいは、700よりも少ない数)であってよい。また、大当りとなる確率は、これらに限らず、他の値に設定されてもよい。例えば、確率変動機能未作動時の大当り確率が1/299であり、確率変動機能作動時の大当り確率が10/299であってもよい。
ステップS3013又はステップS3015において、何れかのテーブルが選択された後、そのテーブルに基づき、ステップS3005又はステップS3009にて取得された、何れかの特別図柄に関する乱数(大当り判定用乱数)が、大当りに相当する乱数(大当り値)であるか否かを判別する(ステップS3016(大当り抽選))。そして、大当り値である場合には(ステップS3016にてYES)、変動回数カウンタKCを初期設定する(ステップS3017)とともに、大当りフラグを「ON」にし(ステップS3018)、ステップS3021に移行する。ここで、変動回数カウンタKCの初期設定は、例えば、変動回数カウンタKCの値を初期値(本実施形態では、0)とすることによって行われる。一方、取得した乱数が大当り値ではない場合には(ステップS3016にてNO)、変動回数カウンタKCに「1」を加算し(ステップS3017b)、その乱数が小当りに相当する乱数(小当り値)であるか否かを小当り判定テーブルを用いて判別する(ステップS3019(小当り抽選))。そして、小当りである場合には(ステップS3019にてYES)、小当りフラグを「ON」にして(ステップS3020)、ステップS3021に移行する。また、小当りではない場合には(ステップS3019にてNO)、ステップS3020を経由することなく、ステップS3021に移行する。ステップS3021では、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。なお、大当りフラグおよび小当りフラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、内蔵RAMに記憶される。また、大当りフラグおよび小当りフラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグおよび小当りフラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
次に、変動パターン設定処理では、図224に示すように、処理フラグが「1」か否かを判別し、ステップS3017によって「1」となっている場合(ステップS4001にてYES)には、ステップS4002以降の処理を実行し、「1」でない場合(ステップS4001にてNO)には、変動パターン設定処理を終了する。
ステップS4002では、後述の図236に示すテーブル移行表TIに従って、参照すべき変動表示パターンテーブルを選択する。本実施形態のパチンコ遊技機1は、変動表示パターンテーブルとして、テーブルA、テーブルB、テーブルC、テーブルD、テーブルE、テーブルF、テーブルGを有している。本実施形態のパチンコ遊技機1では、最後の大当りの種類と、変動回数カウンタKCと、を利用して、テーブル移行表TIに従って、テーブルA、テーブルB、テーブルC、テーブルD、テーブルE、テーブルF、テーブルGの中から、参照すべき変動表示パターンテーブルが、選択される(ステップS4005〜S4011)。変動表示パターンテーブルの詳細については、後述する。
ステップS4015では、上述したステップS4005〜4011のいずれかで選択された変動表示パターンテーブルと、当り抽選(図223:ステップS3016、S3019)の結果(大当りフラグおよび小当りフラグの状態)と、ステップS3005またはステップS3009の何れかにおいて取得された各種の乱数(大当り図柄用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数)に基づいて、変動表示パターンを決定する(ステップS4015)。次いで、ステップS4015で決定した変動表示パターンを指定するコマンド(本実施例では、特図同調演出開始コマンド(特図1同調演出開始コマンドまたは特図2同調演出開始コマンド)のモードによって変動表示パターンが指定される。)として選択値をセットし(ステップS4016)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板4100の内蔵RAMに設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS4017)。ステップS4017では、ステップS4015で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理において、上述のステップS4015で決定した変動表示パターンを指定するコマンド、はずれ、小当り、および大当りのいずれであるか否かを示す抽選結果コマンド、大当りである場合には大当りの種類を示す当り種別コマンド、当該変動における遊技状態が、通常外部不利状態、通常外部有利状態、確変外部有利状態、および、確変外部不利状態のいずれであるのかを示す遊技状態コマンド、や演出コマンドが、周辺制御基板4140(周辺制御MPU4150a)に送信される。本実施形態において、抽選結果コマンド、当り種別コマンドは、例えば、特別図柄1指定コマンド、特別図柄2指定コマンドであり、遊技状態コマンドは、例えば、変動時状態指定コマンドである(図185)。ここで演出コマンドは、例えば、周辺制御基板4140が行うべき演出を決定する際に参照するコマンド(例えば、変動表示パターンを指定する特図同調演出開始コマンド)である。
また、特図同調演出開始コマンドなどの演出コマンドを周辺制御基板コマンド送信処理で周辺制御基板4140に送信する際には、上特別図柄表示器1185及び下特別図柄表示器1186に駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。その後、処理フラグを「2」に更新し(ステップS4018)、変動パターン設定処理を終了する。
続いて、変動中処理では、図225に示すように、まず、処理フラグが「2」か否かを判別し(ステップS5001)、ステップS4018によって「2」となっている場合には(ステップS5001にてYES)、ステップS5002以降の処理を実行し、「2」でない場合(ステップS5001にてNO)には、変動中処理を終了する。ステップS5002では、上特別図柄表示器1185または下特別図柄表示器1186にて第一特別図柄または第二特別図柄が変動中か否かを判別し、変動中の場合には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS5003)。そして、変動時間がタイムアップした際、すなわち、変動時間が終了した場合には(ステップS5003にてYES)、その変動を停止させ(ステップS5004)、ステップS5005の処理に移行する。この際、主制御MPU4100aは、周辺制御基板4140に液晶表示装置1900における装飾図柄の変動や、遊技演出を補助する演出補助演出装置(例えば、スピーカなど)の動作を停止させる演出停止コマンドを送信する。本実施形態では、演出停止コマンドは、例えば、特図1同調演出終了コマンドまたは特図2同調演出終了コマンドである(図185)。
なお、何れの特別図柄も変動していない場合(ステップS5002にてNO)、または変動時間が終了していない場合(ステップS5003にてNO)には、特別図柄の変動を停止させることなく変動中処理を終了する。
ステップS5005では、変動回数カウンタKCが、時短継続回数KCth以上であるか否かを判別する。時短継続回数KCthは、後述するように、大当りの種類に応じて予め決められている。本実施形態では、時短継続回数KCthは、「50回」、「70回」、「100回」、「次回の大当り当選まで」のいずれかに決定される。時短継続回数KCthが「次回の大当り当選まで」である場合には、変動回数カウンタKCの値がどんな値であっても、判別結果は「No」である。
ステップS5005の判別結果が「Yes」である場合には、ステップS5006で、時短機能が作動している場合には、時短機能を停止する。そして、ステップS5008に移行する。ステップS5006の処理によって、遊技状態は、外部有利状態から外部不利状態に移行する。
ステップS5005の判別結果が「No」である場合には、ステップS5006の処理を実行することなく、ステップS5008に移行する。
ステップS5008では、大当りフラグが「ON」か否かを判別する。大当りフラグが「ON」の場合(ステップS5008にてYES)には、処理フラグを「3」に更新する(ステップS5009)。一方、大当りフラグが「ON」でない場合(ステップS5008にてNO)には、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS510)、「ON」の場合(ステップS5010にてYES)には処理フラグを「4」に更新し(ステップS5011)、「ON」でない場合(ステップS5010にてNO)には処理フラグを「0」に更新する(ステップS5012)。このように、ステップS5009、ステップS5011、またはステップS5012の何れかにおいて処理フラグを更新した後、変動中処理を終了する。
次に、大当り遊技開始処理では、図226に示すように、まず、処理フラグが「3」か否かを判別し、ステップS5009によって「3」となっている場合には(ステップS6001にてYES)、ステップS6002以降の処理を実行し、「3」でない場合には(ステップS6001にてNO)、大当り遊技開始処理を終了する。ステップS6002では、確率変動機能作動中か否か、すなわち確率変動状態か否かを判別し、確率変動状態である場合には(YES)、確率変動機能の作動を一端停止し、ステップS6004に移行する。なお、確率変動状態ではない場合、すなわち通常の低確率状態である場合には(ステップS6002にてNO)、ステップS6003の処理を実行することなくステップS6004に移行する。ステップS6004では、時短機能作動中か否か、すなわち時短遊技状態か否かを判別し、時短遊技状態になっている場合には(YES)、時短機能の作動を停止させ(ステップS6005)、ステップS6007に移行する。一方、時短遊技状態でない場合には(ステップS6004にてNO)、ステップS6005の処理を実行させることなくステップS6007の処理に移行する。
ステップS6007では、開閉部材2106の開放回数(開閉部材2106による大入賞口2103の開放回数)と、開閉部材2106の一回当たりの開放時間(大入賞口2103の開放時間)と、大入賞口2103への入賞の制限個数と、をセットする。後述するように、本実施形態では、開閉部材2106の開放回数と、開閉部材2106の開放時間とは、大当りの種類に応じて決定される。また、入賞の制限個数は、大当りの種類によらずに、所定の値(例えば、9個)である。ステップS6007の後、処理フラグを「5」に更新し(ステップS609)、大当り遊技開始処理を終了する。
一方、小当り遊技開始処理では、図227に示すように、まず、処理フラグが「4」か否かを判別し、ステップS5008によって「4」となっている場合には(ステップS7001にてYES)、ステップS7002及びステップS7003の処理を実行し、処理フラグが「4」でない場合には(ステップS701にてNO)、ステップS7002及びステップS7003の処理を実行することなく小当り遊技開始処理を終了する。ステップS7002では、小当りの場合における大入賞口2103の開放条件、すなわち、開閉部材2106による大入賞口2103の小当り用開放回数、及び一回当りの開放時間が夫々設定される。なお、小当りにおける開放回数、入賞制限個数、及び開放時間は、特殊当りである大当りM(詳細は後述)に当選した場合に設定される条件(ステップS6007)と同一になるように設定されている。すなわち、大当りMと小当りとを、視覚的に判別することができないように設定されている。その後、処理フラグが「6」に更新され(ステップS7003)、小当り遊技開始処理を終了する。
次に、大当り遊技処理では、図228に示すように、まず、処理フラグが「5」か否かを判別し、ステップS6009によって「5」となっている場合には(ステップS8001にてYES)、ステップS802以降の処理を実行し、「5」でない場合には(ステップS8001にてNO)、大当り遊技処理を終了する。ステップS8002では、大入賞口2103が開放中か否かを判別し、開放中の場合には(YES)、大入賞口2103の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS8003)、経過した場合には(ステップS8003にてYES)、開閉部材2106を作動させて大入賞口2103を閉鎖する(ステップS8005)。
なお、設定された開放時間まで経過していない場合でも(ステップS8003にてNO)、大入賞口2103が開放された後に大入賞口2103に入賞した遊技球の個数が、ステップS6007で設定された制限個数(例えば9個)を超えた場合には(ステップS8004にてYES)、ステップS8005に移行して大入賞口2103を閉鎖する。また、大入賞口2103の開放時間が設定時間に到達しておらず(ステップS8003にてNO)、しかも遊技球の入賞個数が制限個数に達していない場合には(ステップS8004にてNO)、大当り遊技処理を終了する。
一方、ステップS8002において、大入賞口2103が開放中でない場合には(NO)、開閉部材2106による大入賞口2103の開放回数が、ステップS6007で設定された大当り用開放回数に、到達したか否かを判別する(ステップS8006)。そして、到達していない場合には(ステップS8006にてNO)、開閉部材2106を制御して大入賞口2103を開放し(ステップS8007)、大当り遊技処理を終了する。
ステップS8006において大入賞口2103の開放回数が設定された回数に達した場合(YES)、すなわち、大当り遊技状態が終了した場合には、ステップS8008〜ステップS8020の処理を実行可能であり、その後の抽選に対しての遊技状態を設定する。具体的には、まず、大当りフラグを「OFF」とし(ステップS8008)、続けて、今回の大当りの種類(詳細は後述)に応じて、確率変動機能と時短機能との作動状態を制御する(ステップS8010〜S8020)。
ステップS8010では、今回の大当りが、確率変動機能を作動させる大当りか否かを判別する。今回の大当りが、確率変動機能を作動させる大当りである場合(ステップS8010:YES)、確率変動機能の作動を開始し(ステップS8012)、ステップS8014に移行する。今回の大当りが、確率変動機能を作動させる大当りでない場合(ステップS8010にてNO)、確率変動機能を作動させることなく、ステップS8014に移行する。
次に、今回の大当りが、時短機能作動中の大当り(当選)であるか否かを判別する(ステップS8014)。時短機能作動中の大当りである場合には(ステップS8014:YES)、時短機能の作動を開始し(ステップS8016)、ステップS8020に移行する。一方、時短機能作動中の大当りでない場合には(ステップS8014:NO)、今回の大当りが時短機能を作動させる大当りか否かを判別する(ステップS8018)。今回の大当りが時短機能を作動させる大当りである場合には(ステップS8018:YES)、ステップS8016へ移行する。今回の大当りが時短機能を作動させる大当りでない場合には(ステップS8018:NO)、ステップS8020へ移行する。
以上の説明から分かるように、今回の大当りが時短機能を作動させる大当りでない場合であっても、今回の大当りが、外部有利状態における当りである場合には、時短機能が継続して作動する。
ステップS8020では、処理フラグを「0」に更新して、この大当り遊技処理を終了する。
次に、小当り遊技処理では、図229に示すように、まず、処理フラグが「6」か否かを判別し、ステップS7003によって「6」となっている場合には(ステップS9001にてYES)、ステップS9002以降の処理を実行し、「6」でない場合には(ステップS9001にてNO)、小当り遊技処理を終了する。ステップS9002では、大入賞口2103に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達したか否かを判別し(ステップS9002)、まだ最大入賞数に達していない場合には(NO)、大入賞口2103が開放中か否かを判別する(ステップS9003)。そして、ステップS9003において、大入賞口2103が開放中であると判別された場合には(YES)、大入賞口2103の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS9004)、経過した場合には(ステップS9004にてYES)、開閉部材2106を作動させて大入賞口2103を閉鎖する(ステップS9005)。その後、大入賞口2103の開放回数が予め定めた所定回数(例えば15回)に達したか否かを判別し(ステップS9006)、その回数に達した場合には(YES)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS9007)、小当り遊技処理を終了する。
なお、ステップS9004において大入賞口2103の開放時間が所定時間に達していない場合(NO)、またはステップS9006において開放回数が所定回数に達していない場合には(NO)、ステップS9007の処理を実行することなく、小当り遊技処理を終了する。また、ステップS9003において、大入賞口2103が開放中でない場合には(NO)、大入賞口2103を開放し、遊技球の入賞を可能とする(ステップS9008)。また、ステップS9002において、大入賞口2103に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達した場合には(YES)、大入賞口2103が開放中か否かを判別し(ステップS9009)、開放中の場合には(YES)、大入賞口2103を閉鎖し(ステップS9010)、ステップS9006に移行する。一方、大入賞口2103が開放中でない場合には(ステップS9009にてNO)、ステップS9010の処理を実行することなく、ステップS9006に移行する。ステップS9007では処理フラグを「0」に更新する。
[12−3.遊技の進行に関する周辺制御基板での制御処理]
次に、上述した周辺制御基板4140に搭載される周辺制御MPU4150aによって実行される処理のうち、遊技の進行に関連が強い部分について、さらに、図231〜図233を参照して説明する。図231は、上述した受信コマンド解析処理(図210:ステップS1022)の一例を示すフローチャートである。図232は、演出表示スケジュールデータ更新処理の一例を示すフローチャートである。図233は、装飾図柄変動開始処理の一例を示すフローチャートである。なお、図231〜図233の処理は、図210の処理が繰り返されることによって、実現される。
周辺制御MPU4150aは、主制御MPU4100aで決定された変動表示パターン(変動時間)に基づいて、表示演出を決定し、決定した表示演出を変動時間内に液晶表示装置1900、ランプ駆動基板3041等に実行させる。これらの表示演出に関する周辺制御MPU4150aによる制御は、上述した周辺制御部定常処理(図210)を繰り返し実行することによって実現される。
次に、この周辺制御部定常処理のうち、受信コマンド解析処理について、図231を参照して説明する。図231に示すように、まず、主制御基板4100から演出に関するコマンドを含むコマンド(図185参照)を受信したか否かを判別する(ステップS1501)。この実施の形態では、主制御基板4100からコマンドを受信すると、上述したように、周辺制御部コマンド受信割り込み処理によって、受信されたコマンドは、周辺制御RAM4150cの受信コマンド記憶領域4150cac(図169)に順次に記憶される。ステップS1502では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す。
そして、読み出したコマンドが変動表示パターンを指定する特図同調演出開始コマンド(特図1同調演出開始コマンド、または、特図2同調演出開始コマンド)であるか判別し(ステップS1503)、読み出したコマンドが特図同調演出開始コマンドであれば(ステップS1503にてYES)、受信フラグをセットすると共に、周辺制御基板4140に搭載される周辺制御RAM4150cにおける所定の格納領域に格納する(ステップS1504)。
一方、読み出したコマンドが特図同調演出開始コマンドでなければ(ステップS1503にてNO)、読み出したコマンドが特別抽選の抽選結果を示す特別図柄指定コマンド(特別図柄1指定コマンド、または、特別図柄2指定コマンド)であるか否かを判別する(ステップS1505)。コマンドが特別図柄指定コマンドである場合には(ステップS1505にてYES)、特別図柄指定コマンドに示す抽選結果が確変大当たりであることを示すコマンド(確変大当りコマンドとも呼ぶ)であるか判別し(ステップS1506)、読み出したコマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS1506にてYES)、確変大当りフラグと、特別図柄指定コマンド(抽選の結果)に対応付けられたフラグと、をセットする(ステップS1506)。また、読み出したコマンドが特別図柄指定コマンドでない場合(ステップS1505にてNO)、または、読み出したコマンドが確変大当りコマンドでない場合には(ステップS1506にてNO)、受信したコマンドに対応したフラグをセットする(ステップS1508)。なお、ステップS1507、S1508によって、特別図柄指定コマンド(抽選の結果)に対応するフラグもセットされる。
続いて、周辺制御部定常処理のスケジューラ更新処理(図210:ステップS1020)の一部の処理である演出表示スケジュールデータ更新処理について、図232を参照して説明する。演出表示スケジュールデータ更新処理は、特別図柄の変動に対応して表示すべき表示演出を実現するように、液晶表示装置1900に表示する画面データの内容を規定するスケジュールデータを更新する処理である。演出表示スケジュールデータ更新処理は、図232に示すように、遊技の進行状態に応じてステップS1610〜ステップS1640のうち何れかの処理を行う。具体的には、周辺制御基板4140(周辺制御MPU4150a)が、主制御基板4100から、変動開始時のコマンド(例えば、特図同調演出開始コマンド)を受信したことに応じて、ステップS1610の処理が実行される。変動停止のためのコマンドを受信したことに応じて、ステップS1620の処理が実行される。先読み演出開始を指示するコマンド(例えば、特別図柄記憶先読み演出コマンド)を受信したことに応じて、ステップS1630の処理が実行される。大当り遊技の進行のためのコマンド(例えば、大当り開始コマンド)を受信したことに応じて、ステップS1640の処理が実行される。
装飾図柄変動開始処理(ステップS1610)では、特図同調演出開始コマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、特図同調演出開始コマンおよび特別図柄指定コマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定すると共に、予告演出等の設定を行う。そして、決定した装飾図柄の変動および予告演出を実行させるようにスケジュールデータを更新する。
装飾図柄変動処理(ステップS1620)では、変動停止を指示する特図同調演出終了コマンドを受信した時に装飾図柄の変動表示を停止させるように、スケジュールデータを更新する。
先読み演出処理(ステップS1630)では、主制御基板4100から受信した特別図柄記憶先読み演出コマンドに応じて、液晶表示装置1900やスピーカ130を利用した先読み演出を実現するように、スケジュールデータを更新する。先読み演出としては、種々の演出を採用可能である。例えば、液晶表示装置1900の表示画面1900dに、特別図柄保留を表す表示を行う場合、その表示態様を、通常とは異なる態様に変更する演出を採用可能である。例えば、液晶表示装置1900に特別図柄保留を表すキャラクタを表示する場合には、そのキャラクタを、通常のキャラクタから、始動口入賞コマンド(先行判定処理の結果)によって表される変動表示パターンを利用して決定される特定のキャラクタに変更する演出を採用可能である。また、通常のキャラクタから、始動口入賞コマンド(先行判定処理の結果)によって表される特別抽選の結果を利用して決定される特定のキャラクタに変更する演出を採用してもよい。また、液晶表示装置1900に、通常とは異なる特定の画像(例えば、特定の背景画像や、特定の装飾画像によって装飾された装飾図柄)を表示する演出を、先読み演出として採用してもよい。このような特定の画像の表示は、先読み演出の対象となる特別図柄保留に基づく変動が行われるまで、継続されてよい。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、主制御MPU4100aは、大当り遊技中、および、外部有利状態においては、第一特別図柄のための特別図柄1記憶先読み演出コマンドを送信せずに、外部不利状態において、特別図柄1記憶先読み演出コマンドを送信し得る。また、主制御MPU4100aは、大当り遊技中、および、外部不利状態においては、第二特別図柄のための特別図柄2記憶先読み演出コマンドを送信せずに、外部有利状態において、特別図柄2記憶先読み演出コマンドを送信し得る。特別図柄記憶先読み演出コマンドを送信するか否かは、乱数を利用した抽選によって、決定されてよい。なお、主制御MPU4100aは、先読み演出が行われない場合(特別図柄記憶先読み演出コマンドを送信しない場合)と比べて、先読み演出が行われた場合(特別図柄記憶先読み演出コマンドを送信する場合)の方が、先読み対象の特別抽選で大当りに当選する確率が高くなるように、特別図柄記憶先読み演出コマンドを送信するか否かを決定することが好ましい。
大当り表示処理(ステップS1640)では、主制御基板4100から送信される大当り開始コマンドに応じて液晶表示装置1900に大当り遊技状態の開始を示す表示や大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)をさせるように、スケジュールデータを更新する。
なお、周辺制御MPU4150aは、図232に示すステップS1610、S1620、S1630、S1640に限らず、遊技状態の進行に応じて種々の制御を行い得る。
次に、装飾図柄変動開始処理は、図233に示すように、まず、特図同調演出開始コマンドを受信したことを示す受信フラグがセットされているか判別する(ステップS1701)。変動表示パターン受信フラグは、上述した受信コマンド解析処理(図231)のステップS1504でセットされる。ステップS1701で、この受信フラグがセットされていなければ(NO)、特図同調演出開始コマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、この受信フラグがセットされていれば(ステップS1701にてYES)、この受信フラグをリセットし(ステップS1702)、特図同調演出開始コマンドによって指定された変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS1703)。
変動表示パターンが当りパターンでなければ(ステップS1703にてNO)、はずれを示唆するはずれ図柄配列を形成する停止図柄を決定する(ステップS1705)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS1703にてYES)、大当りを示唆する大当り図柄配列を形成する停止図柄を決定する(ステップS1704)。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置1900の表示画面1900dに上記装飾図柄に加えて本装飾図柄が表示される。本装飾図柄は、第一特別図柄および第二特別図柄の変動に伴って変動し、第一特別図柄および第二特別図柄の停止態様と1:1に対応する態様で停止表示される。本装飾図柄は、例えば、マル、バツ、サンカク等の図形の組合せで構成されており、大当りを示唆する組合せ、小当りを示唆する組合せ、及びハズレを示唆する組合せ等が予め設定されている。つまり、変動表示パターンが当りパターンであれば、本装飾図柄の大当り態様として設定された複数の組合せのうち何れかの組合せ図柄を停止図柄として決定する。
続いて、周辺制御MPU4150aは、予告判定乱数に基づいて予告演出を実行するか否かの判別を行う予告選択処理を実行した後(ステップS1706)、変動表示パターンに基づく演出パターンおよび演出時間(変動時間)と、予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS1704,S1705で決定した装飾図柄列の停止図柄とに応じた表示演出を実現するように、スケジュールデータを更新して、処理を終了する(ステップS1707)。なお、ステップS1707で更新されたスケジュールデータに基づいて、上述した表示データ作成処理(図210:ステップS1030)にて、表示演出のための描画データが、内蔵VRAM上に生成される。そして、上述した表示データ出力処理(図210:ステップS1016)にて、描画データが液晶表示装置1900に出力される。この結果、液晶表示装置1900にて装飾図柄の変動表示が開始される。周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100から特図同調演出終了を受信すると装飾図柄の変動表示を停止するように、スケジュールデータを更新する。この結果、液晶表示装置1900にて装飾図柄の変動表示が終了される。
また、ステップS1707で予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読み出した時には、当該予告パターンを読み出した後、予告種類格納領域の内容をクリアする。これにより、次回の装飾図柄の変動表示にて誤って以前の装飾図柄の変動表示を開始する時に決定した予告パターンにもとづく予告演出が実行されることを防止できる。
なお、予告演出としては、種々の演出を採用可能である。例えば、液晶表示装置1900の表示画面1900dに、特定のメッセージを表示する演出を採用可能である。また、表示画面1900dに特定の動画像を表示する演出を採用してもよい。また、可動役物(例えば、裏右下装飾ユニット3250)が動作する演出を採用してもよい。
また、周辺制御MPU4150aは、ステップS1706において、予告演出が行われない場合と比べて、予告演出が行われた場合の方が、大当りに当選する確率が高くなるように、予告演出を実行するか否かを決定することが好ましい。
[12−4.普通図柄の変動処理の説明]
続いて、上述した主制御基板4100(特に主制御MPU4100a)で実行される、普通図柄の変動処理について説明する。図234は、普通図柄始動検出処理の一例を示すフローチャートである。図235は、普通図柄処理の一例を示すフローチャートである。図234、図235の処理は、図190の処理が繰り返されることによって、実現される。
図234の普通図柄始動検出処理は、上述した主制御タイマ割り込み処理(図190)におけるスイッチ入力処理(S74)の一部の処理として実行される処理であり、遊技球がゲート部2750を通過したか否かを判別し、通過した場合に抽選の保留状態を更新する処理である。
まず、ステップSF41では、ゲート部2750のゲートスイッチ2751から検出信号が出力されたか否かを判別する。検出信号が出力されていない場合には(SF41:No)、普通図柄始動検出処理を終了する。
検出信号が出力された場合には(SF41:Yes)、ステップSF42で、普通図柄抽選用の各種乱数(例えば、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄変動表示パターン用乱数)を取得し、主制御内蔵RAMに設けられている入力情報記憶領域(ゲート情報記憶領域)における保留数が上限値(例えば、4)未満であるか否かを判別する。保留数が上限値未満である場合には、取得した各種乱数を、ゲート情報として、入力情報記憶領域(ゲート情報記憶領域)に格納する(ステップSF43)。新たに格納されるゲート情報は、第0〜第3区画の4つの区画における空き区画のうちの最も番号の小さい区画に、格納される。また、このステップSF43では、格納された情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、普通図柄記憶表示器1188の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップSF42で保留数が上限値に到達している場合には、ステップSF43を実行せずに、普通図柄始動検出処理を終了する。
図235の普通図柄処理は、上述した主制御タイマ割り込み処理(図190)における、普通図柄及び普通電動役物制御処理(S88)によって実現される処理の一例を示している。
ステップSF51では、主制御内蔵RAMに設けられている入力情報記憶領域(ゲート情報記憶領域)における保留数がゼロであるか否かを判別する。保留数がゼロである場合には(SF51:Yes)、後述のステップSF55へ移行する。保留数がゼロではない場合には、ステップSF52で、普通図柄の変動が可能か否か、すなわち、普通図柄(普通図柄表示器1189)の変動表示中でないか否かを判別する。普通図柄の変動表示中である場合には(SF52:No)、後述のステップSF55へ移行する。
普通図柄の変動表示中ではない場合には、ステップSF53で、普通図柄保留記憶移行処理を実行する。この処理では、主制御内蔵RAMに設けられている入力情報記憶領域(ゲート情報記憶領域)の第0区画からゲート情報(各種乱数)が読み出されて、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。そして、第1区画のゲート情報が第0区画にシフトされ、さらに、第2区画のゲート情報が第1区画に、第3区画のゲート情報が第2区画に、それぞれシフトされ、第3区画が新たな空き区画となる。また、このステップSF53では、シフト後のゲート情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、普通図柄記憶表示器1188の点灯状態が制御される。
次のステップSF54では、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報(普通図柄当り判定用乱数)を利用して、普通抽選(普通図柄抽選)を行う。上述したように、時短機能が作動している場合の普通図柄の当選確率は、時短機能が作動していない場合の普通図柄の当選確率よりも、高い。例えば、時短機能が作動していない場合には、普通図柄の当選確率が1/100であり、時短機能が作動している場合には、普通図柄の当選確率が99/100である。
更に、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報(普通図柄変動表示パターン用乱数)を利用して、普通図柄の変動表示パターンが決定される。そして、決定された変動表示パターンに従って普通図柄表示器1189の変動表示が行われる。なお、普通図柄の変動時間(変動表示の開始から終了までの時間)は、時短機能が作動していない場合と比べて、時短機能が作動している場合の方が、短い。例えば、時短機能が作動していない場合の変動時間は、10秒であり、時短機能が作動している場合の変動時間は0.5秒である。
ステップSF55では、普通図柄抽選の結果と、普通図柄の変動表示パターンとに応じて、普通図柄表示器1189に関するコマンド(例えば、普図同調演出開始コマンドと、普図柄指定コマンドと、普図同調演出終了コマンドと、変動時状態指定コマンド)を、設定する。上述したように、各コマンドの送信(設定)のタイミングは、コマンド毎に決められている。
次のステップSF56では、普通図柄抽選の結果に応じて、可動片2105の動作を制御する。可動片2105の制御パターンは、普通図柄抽選の結果に応じて予め決定されている。例えば、普通図柄抽選の結果が「はずれ」である場合には、可動片2105は、閉状態に維持される。また、普通図柄抽選の結果が「当り」である場合には、可動片2105が、所定時間、開放される。なお、可動片2105の1回あたりの開放時間は、時短機能が作動していない場合と比べて、時短機能が作動している場合の方が、長い。例えば、時短機能が作動していない場合の開放時間は、0.2秒であり、時短機能が作動している場合の開放時間は、10秒である。また、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄抽選の結果が「当り」である場合の可動片2105の開放回数は、時短機能が作動しているか否かに拘わらずに、1回である。なお、可動片2105の動作パターンとしては、他の種々のパターンを採用可能である。例えば、時短機能作動中に普通図柄抽選に当選した場合には、複数回に亘って可動片2105の開放が行われても良い。また、可動片2105の動作パターンが異なる複数の当りが存在してもよい。いずれの場合も、時短機能が作動している場合の方が、時短機能が作動していない場合と比べて、下始動口2102への入賞のし易さが向上するように、動作パターンが決定される。なお、可動片2105の動作は、普通図柄の変動表示が終了した後に実現される。
[12−5.演出パターンの説明と当りの種類と変動表示パターンテーブルとの説明]
次に、周辺制御基板4140によって実現される演出パターンの例を説明する。上述したように、周辺制御基板4140の周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100によって決定された変動表示パターンに基づいて、演出パターンを決定する。そして、周辺制御MPU4150aは、決定した演出パターンが示す演出内容に従って、演出を進行する。この場合、周辺制御MPU4150aは、例えば、液晶および音制御部4160に制御信号(音コマンド)を出力することによってスピーカから音を出力し、モータ駆動基板3042に駆動コマンドを出力することによって、演出用の可動役物(例えば、裏右下演出ユニット3200(図139))を動作させ、液晶表示装置1900に描画データを出力することによって液晶表示装置1900に画像を表示させる。
図236は、テーブル移行表TIの一部を示す概略図である。図224のステップS4002では、このテーブル移行表TIに従って、参照すべき変動表示パターンテーブル(参照テーブル)が選択される。本実施形態のパチンコ遊技機1は、テーブルA〜Gを利用可能である。参照すべき変動表示パターンテーブルは、テーブルA〜Gの中から選択される。選択される変動表示パターンテーブルは、最後の大当り(特別抽選の大当り)の種類と、最後の大当り遊技後の変動回数と、に応じて決定される。本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別抽選の当りは、13種類の大当りA〜Mと、小当りと、を含む。
なお、テーブル移行表TIの図236に示す部分は、通常外部不利状態において、第一始動口2101に入賞した場合、すなわち、第一特別図柄に関する特別抽選で当りに当選した場合の、参照テーブルを示している。他の遊技状態と第二特別図柄の当りとに関する移行表については、図示を省略する。
図236のテーブル移行表TIでは、1行が、1種類の当りを示している。1つの行には、左から順番に、当り種類と、確率(当り遊技の終了後に確率変動機能が作動するか否か)、時短回数(時短機能が作動する変動回数(特別抽選の回数))と、が示されている。「次回」の時短回数は、次回の大当りに当選するまで時短機能の作動が継続することを示している。時短回数の右側には、テーブルの種類と遊技状態とに応じた複数の区分が示されている。1つの区分は、特定のテーブルと特定の遊技状態とに対応付けられている。ここで、「高確」は、確率変動機能が作動することを示し、「低確」は、確率変動機能が作動しないことを示す。また、「時短有」は、時短機能が作動することを示し、「時短無」は、時短機能が作動しないことを示す。各区分に示された数字(数字の範囲)は、その区分に対応付けられたテーブルが参照されてその区分に対応付けられた遊技状態が実現されるような、変動回数(当り遊技後の変動回数)を示している。例えば、大当りBに当選した場合には、その大当り遊技後の1回目〜30回目の変動において、テーブルCが参照され、31回目〜69回目の変動において、テーブルDが参照され、70回目の変動において、テーブルGが参照され、71回目以降はテーブルAが参照される。1回目〜70回目の変動では、「低確時短有」の遊技状態(通常外部有利状態)が実現され、71回目以降の変動では、「低確時短無」の遊技状態(通常外部不利状態)が実現される(時短回数は70回)。
次に、各当りについて説明する。ここでは、各当り毎に、当り遊技での開閉部材2106の開放回数と、当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間と、当り遊技後の時短回数と、当り遊技後の大当り確率と、を説明する。続けて、各当り間の関連について説明する。なお、当り遊技は、特別抽選の当りに応じて実現される遊技であり、上述の大当り遊技と上述の小当り遊技とを含む。
[大当りA]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:50回
大当り遊技後の大当り確率:低確
ここで、第1時間は、複数個(例えば9個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の時間である(例えば、20秒)。以下、第1時間に亘る開閉部材2106の開放を「ロング開放」とも呼ぶ。
[大当りB]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:70回
大当り遊技後の大当り確率:低確
[大当りC]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:100回
大当り遊技後の大当り確率:低確
[大当りD]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:50回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りE]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:70回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りF]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:100回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りG]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:次回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りH]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:次回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りI]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第1時間
大当り遊技後の時短回数:次回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りJ]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第2時間
大当り遊技後の時短回数:次回
大当り遊技後の大当り確率:高確
ここで、第2時間は、数個(例えば1個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の時間である(例えば、0.5秒)。以下、第2時間に亘る開閉部材2106の開放を「ショート開放」とも呼ぶ。
[大当りK]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第2時間
大当り遊技後の時短回数:次回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りL]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:15回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第2時間
大当り遊技後の時短回数:次回
大当り遊技後の大当り確率:高確
[大当りM]
大当り遊技での開閉部材2106の開放回数:2回
大当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第2時間
大当り遊技後の時短回数:時短無し。ただし、確率変動機能が作動している遊技状態で大当りMに当選した場合と、時短機能が作動している遊技状態で大当りMに当選した場合と、においては、次回まで。
大当り遊技後の大当り確率:高確
[小当り]
小当り遊技での開閉部材2106の開放回数:2回
小当り遊技での開閉部材2106の一回当たりの開放時間:第2時間
小当り遊技後の時短回数:時短機能の作動状態は、小当り当選前と同じ
小当り遊技後の大当り確率:確率変動機能の作動状態は、小当り当選前と同じ
次に、各当り間の関連について説明する。ここでは、開閉部材2106の開放回数と、開閉部材2106の開放時間と、当り遊技後の時短回数と、当り遊技後の大当り確率と、に関する関連について説明する。
9種類の大当りA〜Iは、大当り遊技において開閉部材2106のロング開放が行われるので、実質的に出玉のある大当り(出玉有大当り)である。他の4種類の大当りJ〜Mは、大当り遊技において開閉部材2106のロング開放が行われずにショート開放が行われるので、実質的に出玉のない大当り(出玉無大当り)である。
3種類の大当りA〜Cは、確率変動機能が作動しない大当り(通常大当り)であり、他の10種類の大当りD〜Mは、確率変動機能が作動する大当り(確変大当り)である。
3種類の大当りD〜Fは、確率変動機能が作動する点を除いて、3種類の大当りA〜Cと、それぞれ同じである。
3種類の大当りG〜Iは、時短回数が「次回」である点を除いて、3種類の大当りD〜Fと、それぞれ同じである。
3種類の大当りJ〜Lは、開閉部材2106の一回当たりの開放時間が第2時間である点を除いて、3種類の大当りG〜Iと、それぞれ同じである。
大当りMと小当りとの間では、当り遊技の内容は、同じである。
なお、当りの種類としては、上述した種類に限らず、他の種々の種類の大当りを実装してもよい。例えば、大当り遊技の途中で、開閉部材2106の開放時間が、第1時間から第2時間へ、または、第2時間から第1時間へ、変更されるような、大当りを実装してもよい。
次に、当りの種類と変動表示パターンとの関係について説明する。図示するように、大当りA、D、G、Jに関しては、当選後の1回目〜49回目の変動では、テーブルBが参照され、50回目の変動では、テーブルGが参照される。このように、1回目〜50回目の変動において、参照テーブルの移行態様(各変動回数に対応付けられた参照テーブル)が、大当りA、D、G、Jの間で同じである。すなわち、当選後の1回目〜50回目の変動において、これらの大当りA、D、G、Jのいずれに当選した場合であっても、同様の変動表示パターンが選択される。従って、遊技者にとっては、当選後の1回目〜50回目の変動における演出を観察するだけでは、大当りA、D、G、Jの区別をすることが困難である。50回目の変動の演出(テーブルGの演出)を観察する遊技者は、「時短機能が終わらずに継続して欲しい」という期待感を持って、演出を楽しむことができる。51回目以降の参照テーブルは、時短機能が50回目で終了する大当りA、Dに関しては、テーブルAであるが、時短機能が次回の大当りまで続く大当りG、Jに関しては、テーブルBである。以下、これらの大当りA、D、G、Jを、「共通50大当り」とも呼ぶ。
大当りB、E、H、Kに関しては、当選後の1回目〜30回目の変動では、テーブルCが参照され、31回目〜69回目の変動では、テーブルDが参照され、70回目の変動では、テーブルGが参照される。このように、1回目〜70回目の変動において、参照テーブルの移行態様は、大当りB、E、H、Kの間で同じである。従って、遊技者にとっては、当選後の1回目〜70回目の変動における演出を観察するだけでは、大当りB、E、H、Kの区別をすることが困難である。70回目の変動の演出(テーブルGの演出)を観察する遊技者は、「時短機能が終わらずに継続して欲しい」という期待感を持って、演出を楽しむことができる。71回目以降の参照テーブルは、時短機能が70回目で終了する大当たりB、Eに関しては、テーブルAであり、時短機能が次回の大当りまで続く大当りH、Kに関しては、テーブルDである。以下、これらの大当りB、E、H、Kを、「共通70大当り」とも呼ぶ。
大当りC、F、I、Lに関しては、当選後の1回目〜30回目の変動では、テーブルEが参照され、31回目から99回目の変動では、テーブルFが参照され、100回目の変動では、テーブルGが参照される。このように、1回目〜100回目の変動において、参照テーブルの移行態様は、大当たりC、F、I、Lの間で同じである。従って、遊技者にとっては、当選後の1回目〜100回目の変動における演出を観察するだけでは、大当りC、F、I、Lの区別をすることが困難である。100回目の変動の演出(テーブルGの演出)を観察する遊技者は、「時短機能が終わらずに継続して欲しい」という期待感を持って、演出を楽しむことができる。101回目以降の参照テーブルは、時短機能が100回目で終了する大当たりC、Fに関しては、テーブルAであり、時短機能が次回の大当りまで続く大当りI、Lに関しては、テーブルFである。以下、これらの大当りC、F、I、Lを、「共通100大当り」とも呼ぶ。
大当りMに関しては、当選後は、次回の大当りまで、テーブルAが参照される。小当りに関しては、小当り当選に起因する参照テーブルの変更はない。
図237は、総合変動表示パターンテーブルHHTの一部を示す概略図である。この総合変動表示パターンテーブルHHTは、本実施形態のパチンコ遊技機1で利用可能な変動表示パターンに関する情報をまとめたテーブルである。総合変動表示パターンテーブルHHTは、テーブルA〜Gを含んでいる。換言すれば、総合変動表示パターンテーブルHHTの各変動表示パターンは、テーブルA〜Gの少なくとも1つのテーブルに属している。
図237の総合変動表示パターンテーブルHHTでは、1行が1つの変動表示パターンを示している。1つの行には、左から順番に、変動表示パターン番号と、変動名称と、基本変動時間(単位はミリ秒)と、当落(特別抽選の結果)と、擬似連演出の回数に対応付けられた選択確率(単位はパーセント)と、が示されている。
変動表示パターン番号は、変動表示パターンに固有な番号である。変動名称は、変動表示パターンの名称であり、実現され得る演出の内容を表している。基本変動時間は、擬似連演出が行われない場合の変動時間である。当落は、特別抽選の結果を表している。「バツ」は、はずれを示し、「二重丸」は、出玉有大当りを示し、「四角」は、出玉無大当りを示し、「三角」は、小当りを示している。本実施形態のパチンコ遊技機1では、擬似連演出は、0〜3回、行われ得る。図中の「通常(10H)」は、「0回(擬似連演出なし)」の確率を示し、「加算1(11H)」は、「1回」の確率を示し、「加算2(12H)」は、「2回」の確率を示し、「加算3(13H)」は、「3回」の確率を示す。擬似連演出の回数に対応する選択確率は、特別図柄1と特別図柄2とに分けて、設定されている。図237の例では、特別図柄2に関しては、「通常(擬似連演出なし)」が100%に設定されている。本実施形態のパチンコ遊技機1では、1回の擬似連演出に割り当てられる時間は、予め決められている(例えば、5秒)。特別図柄の変動時間は、基本変動時間に、擬似連演出のための時間(擬似連演出の回数に1回の擬似連演出時間を乗じた値)を付加した時間に設定される。なお、図237に示す擬似連演出の回数に対応する選択確率は、通常外部不利状態でテーブルAが参照される場合の選択確率を示している。他の場合の選択確率については、図示を省略する。
ここで、擬似連演出について説明する。後述するように、本実施形態のパチンコ遊技機1では、表示画面1900d上で、複数の装飾図柄領域のそれぞれにおける装飾図柄の変動表示と停止表示とを行う演出が、実現される場合がある。停止表示された装飾図柄の組み合わせが、特別抽選の結果を示唆する。疑似連演出(擬似変動演出とも呼ぶ)は、装飾図柄の変動表示を行った後、装飾図柄の変動が終了するかのように遊技者に見せて、再び、装飾図柄の変動表示を行う演出である。擬似連演出の態様は、種々の態様であってよく、例えば、複数の装飾図柄領域のうちの少なくとも1つの装飾図柄領域で装飾図柄を仮に停止表示させ、その後に、その装飾図柄領域において装飾図柄を変動表示させる態様であってよい。また、装飾図柄は、数字やアルファベットや記号やキャラクタなどを表す図柄であってよく、遊技者から見て認識し易い十分な大きさを有する図柄であってよい。なお、擬似連演出の回数の選択確率は、擬似連演出の回数が多いほど特別抽選の結果が大当りである確率が高くなるように、予め決められている。
図238は、テーブルAの振り分けテーブルの一部を示す概略図である。この振り分けテーブルは、各変動表示パターンの選択確率を表している。図中には、特別抽選の結果が「はずれ」であり、リーチ判定の結果が「リーチ演出有」である場合の振り分けテーブルが示されている。リーチ演出は、いわゆるリーチ状態を表示する演出と、その後に大当りとなるか否かを示唆する演出(リーチ後演出)と、を含む。リーチ状態は、大当りの可能性が高いことを示唆する演出によって表現される状態であり、例えば、複数の装飾図柄領域のうちの1つを除いた残りの装飾図柄領域において、同じ装飾図柄が停止表示される状態である。
図238の振り分けテーブルは、参照テーブルと、遊技状態と、特別図柄の種類(特図1は上始動口2101の入賞を示し、特図2は下始動口2102の入賞を示す)と、に応じて決まる、各カテゴリa〜mのそれぞれの選択確率(単位は、パーセント)を表している。カテゴリa〜mは、テーブルAに含まれる複数の変動表示パターンを、複数のグループに分割したときの、各グループを示している。また、この振り分けテーブルは、各カテゴリa〜m毎に、変動表示パターンの選択確率(単位はパーセント)を表している。例えば、通常外部不利状態(低確時短無し)で、上始動口2101に入賞した場合(特図1)には、カテゴリの「a」の選択確率は36%であり、「b」は8%、「c」は16%、「d」は24%、「e」は1%、「f」は6%、「g」は7%、「h」は1%である。そして、カテゴリaが選択された場合には、変動表示パターンの「10番」の選択確率が48%であり、「11番」は6%であり、「15番」は40%であり、「16番」は6%である。変動表示パターンが選択された場合には、主制御MPU4100aは、図237の総合変動表示パターンテーブルHHTに従って、擬似連演出の回数を決定する。例えば、10番の変動表示パターンが選択された場合には、0回(擬似連演出無し)の確率が74%であり、1回の確率が26%である。
[12−6.目標説明演出の説明]
図239は、目標説明演出の説明図である。図236に示すように、共通70大当り(大当りB、E、H、K)と共通100大当り(大当りC、F、I、L)とに関しては、当り後の1回目〜30回目の変動と、31回目〜最短時短回数−1(69回目、または、99回目)の変動との間で、異なるテーブルが参照される。ここで、最短時短回数は、時短機能が継続し得る最短の変動回数を意味している。共通50大当りに関する最短時短回数は、50回であり、共通70大当りに関する最短時短回数は、70回であり、共通100大当りに関する最短時短回数は、100回である。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、共通70大当り、または、共通100大当りのいずれかに当選した場合には、1回目〜30回目の変動においては、目標説明演出が実現される。そして、31回目〜最短時短回数−1の変動においては、目標説明演出で説明された目標が達成されるか否かを導出する演出(目標結果演出とも呼ぶ)が行われる。共通50大当りに当選した場合には、目標説明演出が省略され、1回目〜最短時短回数−1の変動(すなわち、1回目〜49回目の変動)において、目標結果演出が実現される。なお、目標は、最短時短回数毎に異なっている。すなわち、共通50大当りには、第1目標が対応付けられ、共通70大当りには、第2目標が対応付けられ、共通100大当りには、第3目標が対応付けられている。また、共通50大当りと、共通70大当りと、共通100大当りと、のいずれかに当選した場合には、大当り遊技後、最短時短回数の変動が行われるまで、周辺制御MPU4150aは、図128で説明した開閉部材2706を開き、7セグメントLED2711bに、最短時短回数までの残りの変動回数を表示する。遊技者は、7セグメントLED2711bの表示を観察することによって、時短機能が作動する残りの変動回数を確認することができる。
以下、共通70大当りに当選した場合に実現される演出を例に挙げて、演出について説明する。この場合、1回目〜30回目の変動では、テーブルCが参照される。そして、31回目〜69回目の変動では、テーブルDが参照される。
図239には、液晶表示装置1900の表示画面1900dが示されている。表示画面1900dには、装飾図柄表示領域ZSZaと、保留表示領域ZHRaと、演出領域ZENaと、が設けられている。装飾図柄表示領域ZSZaには、3つの装飾図柄領域ZSa1、ZSa2、ZSa3が形成されており、各領域ZSa1、ZSa2、ZSa3において、装飾図柄の変動表示と停止表示とが行われる。保留表示領域ZHRaには、特別図柄保留を表す表示が行われる。演出領域ZENaには、目標説明演出ZMEが表示される。図示するように、装飾図柄表示領域ZSZaは、表示画面1900dの隅に小さく設けられており、演出領域ZENaは、装飾図柄表示領域ZSZaよりも大きく、そして、表示画面1900dの中央部分を占めるように、設けられている。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、目標説明演出ZMEは、例えば、映画のような動画像を含む。そして、動画像が進行することによって、大当りを示唆する場合に実現される演出で達成される目標が、説明される。例えば、目標説明演出ZMEは、特定の人物が建物に侵入し、その建物内に仕掛けられた罠をかいくぐって、人質(仲間)のいる部屋に辿り着く様子を表す演出である。このような目標説明演出ZMEを観察した遊技者は、人質とともに建物から脱出することが目標であるということを、容易に把握することができる。
また、周辺制御MPU4150aは、複数の変動(ここでは、当選後の1回目〜30回目の変動)が、目標説明演出ZMEの一部分ずつ分担するように、各変動の演出を決定する。図239の例では、目標説明演出ZMEが、k個の部分演出ZMEp(1)〜ZMEp(k)に分割されている(kは、例えば、30)。演出Zt(1)〜Zt(k)は、1回目からk回目のそれぞれの変動の演出を示している。周辺制御MPU4150aは、演出Zt(1)〜Zt(k)に、部分演出ZMEp(1)〜ZMEp(k)を、それぞれ割り当てる。このような演出は、テーブルCに従って、実現される。
図240は、テーブルCの振り分けテーブルの一部を示す概略図である。図中には、特別抽選の結果が「はずれ」であり、リーチ判定の結果が「リーチ演出無」である場合のテーブルが示されている。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、テーブルCが参照される場合には、特別抽選にはずれた場合のリーチ判定は「リーチ演出無」である。
テーブルCが参照される遊技状態は、図236で説明したように、外部有利状態である(時短機能が作動する)。すなわち、可動片2105の開閉が頻繁に行われるので、下始動口2102への入賞のし易さが向上している。図240に示すように、下始動口2102に入賞する場合には(特図2)、カテゴリi(低確時)、または、カテゴリl(高確時)が選択される。低確時(カテゴリi)には、203番の変動表示パターンが選択され、高確時(カテゴリl)には、206番の変動表示パターンが選択される。図237に示すように、203番、206番、共に、基本変動時間は、2秒である(図示を省略するが、テーブルCが参照される場合には、擬似連演出の回数はゼロである)。
また、テーブルCが参照される遊技状態では、時短機能が作動しているので、通常は、第二特別図柄の保留が途切れることなく、遊技が進行する。従って、周辺制御MPU4150aは、或る変動の変動時間が終了すると、間をあけずに、主制御基板4100から、次の変動のための特図同調演出開始コマンドを受信する。従って、周辺制御MPU4150aは、テーブルCが参照される遊技状態では(ここでは、1回目〜30回目の変動)、間をあけずに、続けて、演出を実現する。
このように、周辺制御MPU4150aは、1回目〜30回目の演出を、間をあけずに、続けて実現する。すなわち、周辺制御MPU4150aは、図239に示す演出Zt(1)〜Zt(k)を、間をあけずに連続して実現する。従って、部分演出ZMEp(1)〜ZMEp(k)は、間をあけずに連続して実現される。この結果、目標説明演出ZMEの開始ZMEsから終了ZMEeまでの全体が、連続的に、実現される。遊技者は、複数の変動に亘って実現される目標説明演出ZMEを、違和感なく、楽しむことができる。
また、上述したように、1回目〜30回目の変動では、変動時間が同じである。従って、周辺制御MPU4150aは、目標説明演出ZMEを複数(ここでは、30個)の部分演出に等分することによって、適切に、各変動に部分演出を割り当てることができる。
ここで、1回の変動の変動時間が比較的短い時間(例えば、2秒から10秒。本実施形態では、2秒)であるので、はずれの特別抽選結果が続く場合に、演出のために徒に時間を費やすことを抑制できる。1回目〜30回目の変動では、時短機能が終了し得る変動回数(ここでは、70回)までの残りの変動回数に余裕がある。従って、遊技者は、特別抽選の結果がはずれである場合には、焦ること無く、早く次の特別抽選の結果を知りたいと願う可能性が高い。本実施形態のパチンコ遊技機1では、1回の変動時間が比較的短い時間であるので、はずれの特別抽選の結果が続く場合に、徒に時間を費やすことを抑制しつつ、複数の変動の全体を利用することによって、目標説明演出ZMEを実現することを可能にしている。
なお、1回の変動の変動時間を比較的長くしてもよい(例えば、10秒〜30秒)。こうすれば、目標説明演出に費やすことができる総時間が長くなるので、長大な演出を目標説明演出として採用することができる。例えば、特定の人物が、様々な危機を乗り越えて、宝物をを探し求めるような演出を、目標説明演出として実現することができる。このように、映画のように遊技者の関心を引きつける演出を目標説明演出として実現することができるので、遊技者は、映画を観ているように、演出を楽しむことができる。
なお、1回目〜30回目の変動において大当りに当選した場合には、リーチ演出有の変動表示パターンが選択される(図示省略)。
[12−7.目標結果演出の説明]
図241は、目標結果演出の説明図である。目標結果演出は、31回目〜最短時短回数−1の変動において実現され得る表示演出である。図中には、k+1回目から最短時短回数m(ここでは、k=30、m=70)までの演出Zt(k+1)〜Zt(m)が示されている。図239の演出例とは異なり、これらの演出Zt(k+1)〜Zt(m)は、互いに独立に実現される。図241には、さらに、演出のフローと、そのフローに沿った表示画像の変化と、が示されている。目標結果演出は、例えば、テーブルDに従って実現される。
図242〜図244は、テーブルDの振り分けテーブルの一部を示す説明図である。図242は、特別抽選の結果が「はずれ」であり、リーチ判定が「リーチ演出無」の場合に参照される振り分けテーブルである。図示される保留数は、変動開始時の保留数を示している。図242に示すように、リーチ演出無のはずれの場合には、保留数に応じて、選択されるカテゴリが異なっており、カテゴリに応じて、203番〜208番の変動表示パターンが選択され得る。図237に示すように、203番〜208番の変動表示パターンは、基本変動時間が比較的短い時間(ここでは、2秒、8秒、15秒のいずれか)に設定されている。図示を省略するが、リーチ演出無のはずれの場合には、擬似連演出回数は、ゼロである。本実施形態では、保留数が少ないほど、変動時間が長くなるように、テーブルCが設定されている。
図243は、特別抽選の結果が「はずれ」であり、リーチ判定が「リーチ演出有」の場合に参照される振り分けテーブルである。この場合には、1つのカテゴリkの選択確率が100%であり、220番の変動表示パターンの選択確率が100%である。図237に示すように、220番の変動表示パターンの変動名称は「仲間救出 ハズレ」である。この演出の内容は、目標説明演出で見つけた仲間と脱出を試みるものの、失敗してやり直しが必要になる様子を示す演出である。
図241には、220番の変動表示パターンが選択された場合に実現され得る演出のフロー例が示されている。最初のステップZS200では、表示画面1900dにおいて、装飾図柄の変動表示が始まる。ステップZS210の表示例に示すように、表示画面1900dには、装飾図柄表示領域ZSZbと、保留表示領域ZHRaと、が設けられている。装飾図柄表示領域ZSZbは、図239の装飾図柄表示領域ZSZaよりも大きな領域であり、表示画面1900dのおおよそ全体を覆う。装飾図柄表示領域ZSZbには、3つの装飾図柄領域ZSb1、ZSb2、ZSb3が設けられている。ステップZS200では、各装飾図柄領域ZSb1、ZSb2、ZSb3において、装飾図柄の変動表示が始まる。
次のステップZS210では、リーチ状態が表示される。図241の例では、第1装飾図柄領域ZSb1と第3装飾図柄領域ZSb3とにおいて、同じ装飾図柄が停止表示されている。
次のステップZS220では、ミッション演出が実現される。この状態では、図239の例と同様に、表示画面1900dには、装飾図柄表示領域ZSZaと、演出領域ZENaと、が設けられている(保留表示領域ZHRaは省略されている)。演出領域ZENaには、目標が達成されるか否かを導出する演出(ミッション演出)が実現される。この演出は、例えば、特定の人物が、目標説明演出ZMEで発見した仲間と共に、脱出路を探し求める演出である。
特別抽選の結果が「はずれ」である場合には(ステップZS225:No)、ステップZS240では、演出領域ZENaにおいて、失敗演出が実現される。失敗演出は、例えば、特定の人物と仲間が出口を見つけるが、出口扉の鍵が開かずに、別の脱出路を探し始める演出である。
次のステップZS245では、はずれを示唆する装飾図柄が停止表示される。例えば、ステップZS210の表示例に示す第2装飾図柄領域ZSb2において、他の装飾図柄領域ZSb1、ZSb3とは異なる装飾図柄が停止表示された状態が、表示される。
図244は、特別抽選の結果が「当り」である場合に参照される振り分けテーブルである。この場合には、出玉有大当りに当選した場合には、カテゴリTが選択され、222番の変動表示パターンが選択される。出玉無大当りに当選した場合には、カテゴリUが選択され、223番の変動表示パターンが選択される。小当りに当選した場合には、カテゴリVが選択され、247番の変動表示パターンが選択される。
図241には、出玉有大当りに当選した場合の演出のフローが示されている。ステップZS200〜ZS220は、上述のリーチ演出有のはずれの場合の演出と同じである。特別抽選の結果が、特定の当り(ここでは、出玉有大当り)の場合には(ZS225:Yes)、ステップZS230で、成功演出が実現される。成功演出は、例えば、特定の人物と仲間が出口を見つけ、出口扉を開けて、建物から脱出する演出である。ここで、「成功」の文字を表示画面1900dに表示してもよい。
次のステップZS235では、当りを示唆する装飾図柄が停止表示される。例えば、表示画面1900dには、装飾図柄表示領域ZSZbが表示される。そして、
全ての装飾図柄領域ZSb1、ZSb2、ZSb3において、ステップZS210で装飾図柄領域ZSb1、ZSb3に停止表示された装飾図柄と同じ装飾図柄が停止表示された状態が、表示される。
以上のように、目標説明演出は、外部有利状態において行われ得る70回の抽選(変動)のうちの、最初の30回の抽選に対応して実現される。このように、目標説明演出は、外部有利状態の残りの抽選回数に余裕がある状態で、実現される。従って、遊技者は、「当りに当選せずに外部有利状態が終わってしまう」といった焦燥感の小さい状態で、目標説明演出を観察することができる。ここで、目標説明演出は、特定の当り(例えば、出玉有大当り)を示唆するための目標を30回の表示演出を通じて説明するように構成されている。このような説明を行う演出を30回の表示演出を通じて行うものの、上述のように焦燥感は小さいので、遊技者は、落ち着いて、30回の表示演出(目標説明演出)を観察することができる。この結果、遊技者は、適切に目標を把握することができる。
また、31回目以降の抽選では、目標が達成されるか否かを導出するミッション演出を含む目標結果演出が実現され得る。目標結果演出は、外部有利状態の残りの抽選回数が少ない状態で実現されるので、目標説明演出が実現される状態と比べて、遊技者の焦燥感が高まっている。しかしながら、遊技者は、上述のように既に目標を適切に把握しているので、焦ったり混乱したりせずに、目標結果演出を観察することによって、当りの抽選結果を期待しながら、遊技を進行することができる。
また、図239で説明したように、周辺制御MPU4150aは、目標説明演出ZMEを30回の表示演出が一部分ずつ分担するように、30回の表示演出Zt(1)〜Zt(k(30))のそれぞれを決定する。そして、周辺制御MPU4150aは、決定された30回の演出を実現することによって、30回の一連の演出に、全体として、目標説明演出ZMEを実現させる。従って、30回の演出のそれぞれの時間の自由度を高めつつ、目標説明演出を実現できる。例えば、1回の抽選に対応して実現される表示演出の時間を短くすれば、徒に時間を費やすことを抑制しつつ、目標説明演出を実現できる。また、1回の抽選に対応して実現される表示演出の時間を長くすれば、1回の抽選の表示演出では実現し得ないような長大なシナリオに沿って目標説明演出を実現できる。
また、そのような目標説明演出は、外部有利状態において行われ得る70回の抽選のうちの、最初の一部の抽選(ここでは、30回の抽選)に対応して実現される。従って、遊技者は、焦燥感の小さい状態で、30回の表示演出を観察することができる。
以上により、遊技者は、30回の表示演出に亘って実現される目標説明演出を落ち着いて楽しむことができ、また、落ち着いてそのような演出(目標説明演出)を観察することによって、適切に目標を把握することができる。
また、目標説明演出を実現する場合には、目標結果演出を実現する場合と比べて、変動する装飾図柄を小さく表示しつつ、表示画面1900dにおける残りの部分を利用して目標を説明するための画像を更に表示することによって、表示演出を進行可能である。また、目標結果演出を実現する場合には、目標説明演出を実現する場合と比べて、変動する装飾図柄を大きく表示することによって、装飾図柄の変動表示と停止表示とを用いた表示演出を進行可能である。
この構成によれば、目標説明演出では、目標結果演出と比べて、変動する装飾図柄が小さく表示され、目標を説明するための画像が更に表示される。こうすることによって、画像を用いた表示演出が、装飾図柄によって邪魔されることを抑制できる。また、目標説明演出は、外部有利状態の残りの抽選回数に余裕がある状態で、実現されるので、抽選の結果がハズレであっても、遊技者は、余裕を持って、目標説明演出を観察することができる。余裕を持って演出を観察できる遊技者は、目標を説明するための画像を用いた演出を、装飾図柄に邪魔されずに、存分に楽しむことができる。
一方、目標結果演出は、目標説明演出と比べて、外部有利状態の残りの抽選回数が少ない状態で、実現される。従って、目標結果演出が実現されている場合には、遊技者は、「早く当りに当選したい」という期待感(抽選結果に対する関心)を強く感じる。ここで、仮に、目標結果演出において、目標説明演出と同様に装飾図柄が小さく表示される場合には、抽選結果を報知可能な装飾図柄が見難いので、遊技者がストレスを感じる可能性がある。しかし、上記構成では、目標結果演出では、目標説明演出と比べて、変動する前記装飾図柄を大きく表示することによって、装飾図柄の変動表示と停止表示とを用いた表示演出が進行し得る。すなわち、目標結果演出では、遊技者の関心の高い抽選結果を報知可能な装飾図柄が、大きく表示される。この結果、遊技者のストレスが緩和されるので、遊技者は、表示演出を楽しみながら遊技を進行することができる。
また、目標説明演出ZMEは、可動片2105が、時短機能が作動している状態の動作モードで動作する遊技状態で実現される。従って、目標説明演出ZMEの途中で演出に間があく可能性を低減できる。
なお、31回目〜69回目の特別抽選で、出玉無大当り、または、小当りに当選した場合の演出としては、種々の演出を採用可能である。例えば、出玉無大当りに当選した場合には、出玉有大当りに当選した場合と同じ演出が実現されてもよい。また、小当りに当選した場合には、ハズレた場合と同じ演出が実現されてもよい。
以上、共通70大当りに当選した場合について説明したが、共通100大当りに当選した場合にも、同様に、目標説明演出と、目標結果演出と、が実現される。なお、最短時短回数は、70と100とに限らず、他の任意の値であってよい。
[12−8.最短時短回数に対応する変動における演出の説明]
次に、最短時短回数に対応する変動(以下、「最後時短変動」とも呼ぶ)における演出について説明する。以下、共通70大当りに当選した場合を例として、説明を行う。図236で説明したように、共通70大当りに当選した場合には、最後時短変動における演出(すなわち、70回目の変動における演出)が、テーブルGに従って実現される。図245、図246は、テーブルGの振り分けテーブルの一部を示す概略図である。図245は、特別抽選の結果が「はずれ」である場合のテーブルを示し、図246は、特別抽選の結果が「当り」である場合のテーブルを示している。
図245に示すように、特別抽選の結果が「はずれ」である場合には、227番の変動表示パターンが選択される。図237に示すように、227番の変動名称は「ラストチャンス ハズレ」である。
図246に示すように、特別抽選の結果が「当り」である場合には、当りの種類に応じて、選択されるカテゴリが異なる。出玉有大当りA〜Iに当選した場合には、カテゴリWが選択され、228番の変動表示パターンが選択される。出玉無大当りJ〜Mに当選した場合には、カテゴリXが選択され、229番の変動表示パターンが選択される。小当りに当選した場合には、カテゴリYが選択され、249番の変動表示パターンが選択される。図237に示すように、出玉有大当りに当選した場合の228番の変動名称は、「ラストチャンス 同図柄」である。出玉無大当りに当選した場合の229番の変動名称は、「ラストチャンス 特定確率変動」である。小当りに当選した場合の249番の変動名称は「ラストチャンス 小当り」である。
以上のように、テーブルGの変動表示パターンは、いずれも、「ラストチャンス」を共通のモチーフとする演出を示している。そのような演出としては、例えば、扉が閉まる様子を表示し、後に、扉が開いて、特別抽選の結果や次回以降の演出の内容を示唆する表示を行う演出を、採用可能である。周辺制御MPU4150aは、最後時短変動(例えば、共通70大当りに当選した後の70回目の変動)において、主制御基板4100から受信した種々のコマンドを利用して、変動表示パターンと、最後の大当りの種類と、当該変動における特別抽選の結果と、に応じて、当該変動の演出内容と、次回以降の変動の演出内容と、を決定する。具体的には、以下のように、演出内容が決定される。
[場合A]最後の大当りが、当該変動で時短機能が終了し、かつ、確率変動機能が作動しない大当りである場合(例えば、大当りBに当選していた場合)
1)当該変動の抽選結果が、ハズレ、または、小当りの場合
当該変動:高低移行演出、次回以降:高低演出
2)当該変動の抽選結果が、出玉無大当りの場合
当該変動:時短継続移行演出、次回以降:時短継続演出
3)当該変動の抽選結果が、出玉有大当りの場合:
当該変動:救済演出、次回以降:当該大当りの種類に応じた演出
[場合B]最後の大当りが、当該変動で時短機能が終了し、かつ、確率変動機能が作動する大当りである場合(例えば、大当りEに当選していた場合)
1)当該変動の抽選結果が、ハズレ、または、小当りの場合
パターンa)当該変動:高低移行演出、次回以降:高低演出
パターンb)当該変動:高確移行演出、次回以降:高確演出
2)当該変動の抽選結果が、出玉無大当りの場合
当該変動:時短継続移行演出、次回以降:時短継続演出
3)当該変動の抽選結果が、出玉有大当りの場合:
当該変動:救済演出、次回以降:当該大当りの種類に応じた演出
[場合C]最後の大当りが、時短機能が次回の大当りまで継続し、かつ、確率変動機能が作動する大当りである場合(例えば、大当りH、Kに当選していた場合)
1)当該変動の抽選結果が、ハズレ、または、小当りの場合
当該変動:継続演出、次回以降:31回目〜69回目の演出と同様
2)当該変動の抽選結果が、出玉無大当りの場合
当該変動:時短継続移行演出、次回以降:時短継続演出
3)当該変動の抽選結果が、出玉有大当りの場合:
当該変動:救済演出、次回以降:当該大当りの種類に応じた演出
「高低演出」は、時短機能が作動していない状態でテーブルAの変動表示パターンが選択された場合に、周辺制御MPU4150aによって実現され得る演出であり、特別抽選の大当り確率が高確率である可能性があることを示唆する演出である。高低演出では、周辺制御MPU4150aは、図128で説明した開閉部材2706を閉じる。そして、「高低移行演出」は、次の変動から高低演出が実現されることを表す演出である。上述の場合A(通常大当り)と場合B(確変大当り)とのそれぞれにおいて、高低演出が実現され得るので、高低演出が実現された場合には、確率変動機能が作動している可能性がある。従って、最後時短変動で、高低移行演出が実現された場合には、遊技者は、「次回以降の変動で、確率変動機能が作動しているかもしれない」という期待感を持って、遊技を楽しむことができる。なお、周辺制御MPU4150aは、時短機能の停止に続く連続する複数回の変動において、テーブルAの変動表示パターンに応じて、高低演出を実現し得る。ただし、現実の大当り確率が低確率である場合には、乱数に応じて決定された回数の高低演出を実現したことに応じて高低演出の実現をやめて、以降の変動では、テーブルAの変動表示パターンに応じた通常の演出を実現する。現実の大当り確率が高確率である場合には、周辺制御MPU4150aは、大当りに当選するまで高低演出を継続してもよい。この代わりに、周辺制御MPU4150aは、変動毎に乱数を用いた抽選を行い、その抽選に当選した場合には、大当り確率が高確率であることを示唆する演出を実現してもよい。
「時短継続演出」は、時短機能が作動している状態でテーブルAの変動表示パターンが選択された場合に、周辺制御MPU4150aによって実現され得る演出であり、時短機能の作動が次回の大当り当選まで継続することを示唆する演出である。時短継続演出では、周辺制御MPU4150aは、開閉部材2706(図128)を開けて、7セグメントLED2711bを利用して、時短機能が次回の大当りまで継続することを示唆する表示を行う(例えば、「999」を表示する)。「時短継続移行演出」は、次の変動から時短継続演出が実現されることを表す演出である。最後時短変動で、時短継続移行演出が実現された場合には、遊技者は、次回以降の変動においても時短機能が継続することを理解し、焦らずに楽しく遊技を進行することができる。
「救済演出」は、目標説明演出で説明された目標が達成されたことを表す演出である。最後時短変動で、救済演出が実現された場合には、遊技者は、目標を達成したこと、すなわち、大当りに当選したことを、容易に理解することができる。
なお、周辺制御MPU4150aは、上述の場合Bにおいて、当該変動の抽選結果が、ハズレ、または、小当りの場合には、乱数を用いた抽選に従って、パターンaとパターンbとのいずれかを選択する。
[12−9.大当り遊技中の演出の説明]
図247は、大当り遊技中の演出の一例を示す概略図である。図中には、開閉部材2106のロング開放が15回行われる大当り遊技における演出が示されている(例えば、出玉有大当りに当選した場合の大当り遊技)。図中には、n回の順次実現される演出Zr(1)〜Zr(n)が示されている(ここで、n=15)。各演出Zr(1)〜Zr(n)は、開閉部材2106の15回の開放(ラウンド)のそれぞれに、対応する。例えば、第2演出Zr(2)は、2回目のラウンド中に実現される演出である。
図247の例では、1回目〜3回目のラウンドにおける演出Zr(1)〜Zr(3)では、表示画面1900dで通常の演出(例えば、リーチ演出に登場するキャラクタを紹介する演出等)が実現される。また、これらの演出Zr(1)〜Zr(3)の実現中に、周辺制御MPU4150aは、特定のタイミングで、ダイヤル装飾基板430のカラーLED430b(図47)、または、ボタン装飾基板432のカラーLED432dを、一時的に発光させる。遊技者が、発光中に押圧操作部405を操作しなかった場合には(ステップZS100:No)、続く4回目〜13回目の演出Zr(4)〜Zr(n−2)において、表示画面1900dで、後に実現され得る目標結果演出の目標とは関係のない一般的な演出が実現される(ステップZS120。例えば、リーチ演出に登場するキャラクタを紹介する演出等)。そして、14回目の演出Zr(n−1)では、共通50大当りと、共通70大当りと、共通100大当りとのそれぞれに対応する3つの候補画像を表示画面1900dに表示し、表示された候補画像の中から1つの候補画像を選択する演出が実現される(ステップZS122。例えば、ルーレット演出)。最後の演出Zr(n)では、選択された1つの候補画像(当該抽選結果の大当りに対応付けられた候補画像)に対応付けられた文字列(例えば、目標を表すタイトル)が表示画面1900dに表示される演出が、実現される(ステップZS124)。
遊技者が、発光中に押圧操作部405を操作した場合には(ステップZS100:Yes)、周辺制御MPU4150aは、遊技者に指紋認証を促す画像(「認証促進画像」と呼ぶ)を、表示画面1900dに表示する(ステップZS102)。認証促進画像は、遊技者に指紋認証を促す種々の画像であってよく、例えば、「指紋認証せよ」というメッセージを含む。この指紋認証を促す画像は、押圧操作部405の操作から、所定時間の間、表示される。
認証促進画像が表示されている間に、遊技者が、図128で説明した検出口2701a(物体検知センサ2702)に指等の物体を近づけなかった場合には(ステップZS104:No)、周辺制御MPU4150aは、表示画面1900dに、認証失敗を表す画像を表示する(ステップZS106)。そして、遊技者が発光中に押圧操作部405を操作しなかった場合と同様に、ステップZS120〜ZS124の演出が実現される。
認証促進画像が表示されている間に、遊技者が、検出口2701a(物体検知センサ2702)に指等の物体を近づけた場合には(ステップZS104:Yes)、周辺制御MPU4150aは、表示画面1900dに、認証成功を表す画像を表示する(ステップZS108)。そして、続く4回目〜14回目の演出Zr(4)〜Zr(n−1)において、表示画面1900dで、当該大当り遊技後に実現され得る目標結果演出の目標を解説する演出が実現される(ステップZS110)。そして、最後の演出Zr(n)では、その目標を表す文字列(タイトル)が表示画面1900dに表示される演出が、実現される(ステップZS114)。
このように、遊技者は、特定のタイミングで押圧操作部405を操作することによって、指紋認証の機会を得ることができ、さらに、指紋認証を行うことにより、より早くに、目標、すなわち、最短時短回数を知ることができる。従って、図247のような演出を実現することによって、遊技者に、演出に対する積極的な参加を促すことができる。この結果、大当り遊技中も、遊技者は、積極的に演出を楽しむことができる。なお、指紋認証の演出では、実際に遊技者の指紋を認証するものではなく、物体検知センサ2702が指等の物体の接近を検知することによって、認証成功の演出が実現される。
[12−10.演出フロー例の説明]
図248は、表示画面1900dで実現され得る演出の一例を示すフローである。上述したように、テーブルAの変動表示パターンが選択された場合には、目標説明演出、目標結果演出、高低演出等の演出が実現され得る。本実施形態のパチンコ遊技機1では、テーブルAの変動表示パターンが選択された場合には、更に、種々の演出が実現され得る。以下、実現され得る演出の一部について、説明する。
まず、図237の、53番(はずれ)または54番(出玉有大当り)の変動表示パターンに応じた演出について説明する。最初のステップZS300では、装飾図柄の変動が開始する。例えば、図241に示すような装飾図柄表示領域ZSZbが表示画面1900dに表示され、3つの装飾図柄領域ZSb1、ZSb2、ZSb3のそれぞれにおいて、装飾図柄が変動表示を開始する。次のステップZS310では、リーチ状態が表示される。例えば、図241のステップZS210の表示例と同様に、リーチ状態が表示される。
次のステップZS313では、第1特定導出演出が実現される。第1特定導出演出は、後述する第1特定演出が行われるか否かを導出する演出である。本実施形態では、第1特定導出演出は、図139、図143に示す円筒状の装飾本体3250bが、立上った状態(通常の状態)から略水平の状態(出現の状態)へ、移動する可能性を示唆する演出である。例えば、第1特定導出演出では、装飾本体3250bが一時的に振動し、装飾本体3250bに設けられたLED(図示せず)が点滅する。そして、表示画面1900dでは、装飾本体3250bの近傍が光るような表示演出が実現される。
次のステップZS316では、第1特定演出が実現される。本実施形態では、第1特定演出は、図143のように、装飾本体3250bが、立上った状態(通常の状態)から略水平の状態(出現の状態)へ、移動し、表示画面1900dでは、大きな爆発が生じる様子を表す表示演出が実現される。
次のステップZS319では、第2種抽選結果導出演出が実現される。第2種抽選結果導出演出は、特別抽選の結果を導出する演出である。例えば、大当りに当選した場合には、特定の人物が作戦に成功する様子を表す演出が実現される。ハズレの場合には、特定の人物が作戦に失敗する様子を表す演出が実現される。
以下、このように、第1特定導出演出が実現され、第1特定導出演出の後に、第1特定演出が実現され、第1特定演出の後に、特別抽選の結果を示唆する演出が実現される演出パターンを、第1種演出パターンZPT1とも呼ぶ。
次に、図237の、21番(はずれ)と23番(出玉有大当り)の変動表示パターンに応じた演出について説明する。ステップZS300〜ZS313は、上述の53番、54番の演出パターンと同じである。21番、23番の演出パターンでは、第1特定演出(ZS316)は実現されずに、第1種抽選結果導出演出が実現される(ステップZS329)。第1種抽選結果導出演出は、特別抽選の結果を導出する演出である。例えば、大当りに当選した場合には、特定の人物がターゲットの人物と出会う様子を表す演出が実現される。ハズレの場合には、特定の人物がターゲットの人物と会えずにすれ違ってしまう様子を表す演出が実現される。
以下、このように、第1特定導出演出が実現されるもの、第1特定導出演出の後に、第1特定演出が実現されずに、後述の第2特定導出演出も実現されずに、演出が終了する演出パターンを、第4種演出パターンZPT4とも呼ぶ。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、第2種抽選結果導出演出が実現される場合には、第1種抽選結果導出演出が実現される場合と比べて、大当りに当選する確率が高くなるように、各変動表示パターンの選択確率が設定されている。従って、第1特定導出演出(ZS313)が実現された場合には、遊技者は、爆発(第1特定演出)が起こって欲しいと期待しつつ、演出の推移を楽しむことができる。
次に、図237の114番(はずれ)と115番(出玉有大当り)の変動表示パターンに応じた演出について説明する。ステップZS300の次のステップZS330では、リーチ状態の代わりに、チャンス目が表示画面1900dに表示される。チャンス目は、予め決められた複数の装飾図柄の組み合わせである(例えば、「4」「7」「3」の組み合わせ)。その組み合わせは、当りではなくはずれを示唆するものの、114番と115番との変動表示パターンに応じた演出では、チャンス目の停止表示の後に、再び装飾図柄が変動を開始して、演出が続く。
次のステップZS333では、上述のステップZS313と同様に、第1特定導出演出が実現される。続くステップZS336、ZS339は、上述のステップZS316、ZS319と、それぞれ同じである。
114番と115番の変動表示パターンに応じた演出パターンも、上述の53番と54番の変動表示パターンに応じた演出パターンと同様に、第1種演出パターンZPT1の例である。
次に、図237の、113番(大当りM)と244番(小当り)の変動表示パターンに応じた演出について説明する。ステップZS300〜ZS33は、上述の114番、115番の演出パターンと同じである。113番、244番の演出パターンでは、第1特定演出(ZS336)は実現されない。ただし、抽選結果を導出する演出の前に、第2特定導出演出が実現される(ステップZS343)。第2特定導出演出は、後述する第2特定演出が実現されるか否かを導出する演出である。本実施形態では、第2特定導出演出としては、表示画面1900dに水槽が表示され、その水槽にひび(割れ目)が生じる様子を表す演出が、実現される。
次のステップZS346では、第2特定演出が実現される。本実施形態では、第2特定演出は、ひびの入った水槽が割れて、特定の人物が、割れた水槽を通り抜けて脱出する様子を表示画面1900dに表示する演出である。続くステップZS349では、第3種抽選結果導出演出が実現される。本実施形態では、第3種抽選結果導出演出は、次回の変動から実現され得る演出と、特別抽選の結果と、を示唆する演出である。次回の変動からは、例えば、上述の高低演出が実現されてもよい。このように、大当りM(113番)と小当り(244番)との間で、同じ演出が実現されるので、遊技者にとっては、いずれの当りに当選したのかの判別が難しい。従って、遊技者は、大当り確率が高確率であって欲しいという期待感を抱きつつ、遊技を楽しむことができる。
以下、このように、第1特定導出演出が実現されるもの、第1特定導出演出の後に、第1特定演出が実現されずに、第2特定導出演出が実現され、第2特定導出演出の後に第2特定演出が実現される演出パターンを、第3種演出パターンZPT3と呼ぶ。
次に、図237の、112番(はずれ)の変動表示パターンに応じた演出について説明する。ステップZS300〜ZS343は、上述の113番、244番の演出パターンと同じである。112番では、第2特定演出(ZS346)は実現されずに、ハズレ導出演出が実現される(ZS359)。ハズレ導出演出では、図241のような装飾図柄表示領域ZSZbが表示画面1900dに表示され、はずれを示唆する組み合わせの3つの装飾図柄が停止表示される(例えば、ステップZS330で表示されたチャンス目の組み合わせ)。
以下、このように、第1特定導出演出が実現されるもの、第1特定導出演出の後に、第1特定演出が実現されずに、第2特定導出演出が実現され、第2特定導出演出の後に第2特定演出が実現されずに、演出を終了する演出パターンを、第2種演出パターンZPT2と呼ぶ。
以上のように、本実施形態では、第1種〜第3種演出パターンZPT1〜ZPT3を実現可能である。従って、第1特定導出演出が実現されるものの第1特定演出が実現されなかった場合には、出玉有大当りと、大当たりMと、小当りと、の中で最も有利な出玉有大当りの可能性が消えてしまうものの、続けて、第2特定導出演出が実現される可能性が残る。そして、第2特定導出演出が実現された後に、更に第2特定演出が実現されれば、大当りM、または、小当りの可能性がある。従って、第1特定演出が実現されない場合であっても、遊技者は、第2特定演出の実現の可能性に期待感を覚えつつ、続きの演出を楽しむことができる。さらに、第2特定演出が実現された場合には、互いに有利さの異なる大当りMと小当りとの両方の可能性が残る。従って、第1特定演出が実現されずに第2特定演出が実現された場合には、遊技者は、「大当りMと小当りとのいずれに当選したのかを見極めたい」という意欲を持って、遊技を進行することができる。この結果、遊技者の遊技意欲を向上できる。
さらに、本実施形態では、第1種〜第3種演出パターンZPT1〜ZPT3に加えて、第4種演出パターンZPT4が実現され得る。従って、第1特定導出演出が実現されるものの第1特定演出が実現されなかった場合に、さらに第2特定導出演出も実現されずに演出が終了する可能性が生じる。従って、第1特定演出が実現されない場合には、第2特定導出演出が実現されて欲しいという遊技者の期待感を向上することができ、さらに第2特定導出演出が実現された場合には、「第2特定導出演出が実現されて良かった!」という嬉しさを遊技者に提供することができる。このように、演出を観察することによって得られる楽しみが向上するので、遊技者は、より楽しく遊技を進行することができる。
なお、第1種演出パターンZPT1によって示唆され得る第1種当りは、出玉有大当りに限らず、確変大当り、または、出玉有確変大当り、であってもよく、他の種々の当りであってもよい。第3種演出パターンZPT3によって示唆され得る第2種当りは、出玉無確変大当りに限らず、出玉有大当り、または、出玉有通常大当り、であってもよく、他の種々の当りであってもよい。第3種演出パターンZPT3によって示唆され得る第3種当りは、小当りに限らず、出玉無確変大当りであってもよく、他の種々の当りであってもよい。
なお、本実施形態では、第1特定導出演出が実現される変動表示パターンの選択確率が、以下のように、設定されている。すなわち、第1特定演出が実現されない場合と比べて、第1特定演出が実現された場合には、大当りの可能性が高くなるように、変動表示パターンの選択確率が設定されている。従って、遊技者は、第1特定導出演出が実現された場合には、第1特定演出が実現されることを期待しつつ、演出を楽しむことができる。
なお、第1特定演出は、上記の演出に限らず、種々の演出であってよい。例えば、可動装飾体が動作する演出であってよい。可動装飾体が動作する代わりに、表示画面1900dに特定の表示が行われる表示演出であってもよい。第1特定導出演出も、上記の演出に限らず、第1特定演出が行われるか否かを導出するような種々の演出を採用可能である。例えば、第1特定演出を示唆する種々の演出を、第1特定導出演出として採用可能である。第2特定演出と、第2特定導出演出とについても、同様に、種々の演出(第1特定演出と第1特定導出演出とは異なる種々の演出)を採用可能である。
[13.本実施形態から抽出される態様(技術思想)]
以下、本実施形態を種々の観点から見ることによって抽出される種々の技術思想について説明する。
[当り遊技後の変動回数に着目することによって抽出される技術思想]
本実施形態を「当り遊技後の変動回数」に着目して見ることによって、以下のような態様(技術思想)を抽出することができる。
[態様1]
遊技機であって、
遊技媒体が通過可能に構成された通過手段と、
前記遊技媒体が前記通過手段を通過したことに応じて、抽選に用いられる抽選情報を取得可能な抽選情報取得手段と、
前記抽選情報を用いて、当りであるか否かの抽選を行う抽選手段と、
第1種遊技状態と、前記第1種遊技状態と比べて遊技者に有利な第2種遊技状態と、を含む複数種類の遊技状態の中から1つの遊技状態を選択して実現可能な手段であって、前記抽選が前記当りのうちの少なくとも一部の当りに当選した場合に、該一部の当りに当選した後に、N回(Nは3以上の整数)の前記抽選が行われるまで前記第2種遊技状態を実現した後に、前記第2種遊技状態から前記第1種遊技状態に切り替え可能な遊技状態実現手段と、
前記抽選毎の表示演出を表示可能な表示手段と、
各抽選のそれぞれに対応して前記表示手段を用いて実現すべき表示演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された表示演出を、前記表示手段を用いて実現する演出制御手段と、
を備え、
前記演出決定手段は、
前記第2種遊技状態における前記N回に亘って行われ得る前記抽選のうちの1回目からM回目(Mは2以上N未満の整数)までのM回の抽選に対応して実現されるM回の表示演出として、目標が達成される表示演出を実現することによって特定の当りを示唆するための前記目標を前記M回の表示演出を通じて説明するように構成された表示演出である第1種表示演出を決定可能であり、
M+1回目以降の抽選に対応して実現される前記表示演出として、前記目標が達成されるか否かを導出する表示演出を含む第2種表示演出を決定可能である、
遊技機。
第1種表示演出は、第2種遊技状態において行われ得るN回の抽選のうちの、最初のM回(M<N)の抽選に対応して実現される。このように、第1種表示演出は、第2種遊技状態の残りの抽選回数に余裕がある状態で、実現される。従って、遊技者は、「当りに当選せずに第2種遊技状態が終わってしまう」といった焦燥感の小さい状態で、第1種表示演出を観察することができる。ここで、第1種表示演出は、特定の当りを示唆するための目標をM回の表示演出を通じて説明するように構成されている。このような説明を行う演出をM回の表示演出を通じて行うものの、上述のように焦燥感は小さいので、遊技者は、落ち着いて、M回の表示演出(第1種表示演出)を観察することができる。この結果、遊技者は、適切に目標を把握することができる。
また、M+1回目以降の抽選では、目標が達成されるか否かを導出する第2種表示演出が実現され得る。第2種表示演出は、第2種遊技状態の残りの抽選回数が少ない状態で実現されるので、第1種表示演出が実現される状態と比べて、遊技者の焦燥感が高まっている。しかしながら、遊技者は、上述のように既に目標を適切に把握しているので、焦ったり混乱したりせずに、目標が達成されるか否かを導出する第2種表示演出を観察することによって、当りの抽選結果を期待しながら、遊技を進行することができる。
以上により、遊技者の遊技意欲を向上できる
なお、上記実施形態において、始動口2101、2102は、通過手段の例であり、特別抽選に用いられる乱数を抽選情報として取得する主制御MPU4100aが、抽選情報取得手段の例であり、抽選情報を用いて当りであるか否かの特別抽選を行う主制御MPU4100aが、抽選手段の例であり、通常外部不利状態と通常外部有利状態と確変外部不利状態と確変外部有利状態との中から1つの遊技状態を選択して実現する主制御MPU4100aが、遊技状態実現手段の例であり、液晶表示装置1900が表示手段の例であり、演出を決定する主制御基板4100と周辺制御基板4140との全体が、演出決定手段の例であり、表示演出を表示手段を用いて実現する主制御基板4100が、演出制御手段の例である。
[態様2]
態様1に記載の遊技機であって、
前記演出決定手段は、前記目標を説明する演出を前記M回の表示演出が一部分ずつ分担するように、前記M回の表示演出のそれぞれを決定し、
前記演出制御手段は、前記演出決定手段によって決定された表示演出を前記M回の表示演出として実現することによって、前記M回の一連の表示演出に、全体として、前記目標を説明する演出を実現させる、
遊技機。
この構成によれば、M回表示演出が、目標を説明する演出を、一部ずつ分担することによって、M回の一連の表示演出が、全体として、目標を説明する演出を実現するので、M回の演出の時間の自由度を高めつつ、目標を説明する演出を実現できる。例えば、1回の抽選に対応して実現される表示演出の時間を短くすれば、徒に時間を費やすことを抑制しつつ、目標を説明する演出を実現できる。また、1回の抽選に対応して実現される表示演出の時間を長くすれば、1回の抽選の表示演出では実現し得ないような長大なシナリオに沿って目標を説明する演出を実現できる。
また、そのような目標を説明する演出は、第2種遊技状態において行われ得るN回の抽選のうちの、最初のM回(M<N)の抽選に対応して実現される。従って、遊技者は、焦燥感の小さい状態で、M回の表示演出を観察することができる。
以上により、遊技者は、M回の表示演出に亘って実現される演出を落ち着いて楽しむことができ、また、落ち着いてそのような演出(目標を説明する演出)を観察することによって、適切に目標を把握することができる。
[態様3]
態様1または2に記載の遊技機であって、
前記演出制御手段は、
装飾図柄の変動表示と停止表示とを行うことによって、停止表示された装飾図柄によって前記抽選の結果を報知することが可能であり、
前記第1種表示演出を実現する場合には、前記第2種表示演出を実現する場合と比べて、変動する前記装飾図柄を小さく表示しつつ、前記表示手段における残りの部分を利用して前記目標を説明するための画像を更に表示することによって、表示演出を進行可能であり、
前記第2種表示演出を実現する場合には、前記第1種表示演出を実現する場合と比べて、変動する前記装飾図柄を大きく表示することによって、前記装飾図柄の変動表示と停止表示とを用いた表示演出を進行可能である、
遊技機。
上記構成によれば、第1種表示演出では、第2種表示演出と比べて、変動する装飾図柄が小さく表示され、目標を説明するための画像が更に表示される。こうすることによって、画像を用いた表示演出が、装飾図柄によって邪魔されることを抑制できる。また、第1種表示演出は、第2種遊技状態の残りの抽選回数に余裕がある状態で、実現されるので、抽選の結果がハズレであっても、遊技者は、余裕を持って、第1種表示演出を観察することができる。余裕を持って演出を観察できる遊技者は、目標を説明するための画像を用いた演出を、装飾図柄に邪魔されずに、存分に楽しむことができる。
一方、第2種表示演出は、第1種表示演出と比べて、第2種遊技状態の残りの抽選回数が少ない状態で、実現される。従って、第2種表示演出が実現されている場合には、遊技者は、「早く当りに当選したい」という期待感(抽選結果に対する関心)を強く感じる。ここで、仮に、第2種表示演出において、第1種表示演出と同様に装飾図柄が小さく表示される場合には、抽選結果を報知可能な装飾図柄が見難いので、遊技者がストレスを感じる可能性がある。しかし、上記構成では、第2種表示演出では、第1種表示演出と比べて、変動する前記装飾図柄を大きく表示することによって、装飾図柄の変動表示と停止表示とを用いた表示演出が進行し得る。すなわち、第2種表示演出では、遊技者の関心の高い抽選結果を報知可能な装飾図柄が、大きく表示される。この結果、遊技者のストレスが緩和されるので、遊技者は、表示演出を楽しみながら遊技を進行することができる。
[態様4]
態様1ないし3のいずれかに記載の遊技機であって、
前記演出決定手段は、前記M+1回目以降の抽選に対応して実現される前記表示演出として、
前記抽選の結果が前記特定の当りである場合には、前記目標が達成される表示演出を決定可能であり、
前記抽選の結果が前記特定の当りではない場合には、前記目標が達成されずに終了する表示演出を決定可能である、
遊技機。
この構成によれば、抽選の結果が特定の当りである場合には、第1種表示演出において説明された目標が達成される表示演出が実現され得、抽選の結果が特定の当りではない場合には、目標が達成されずに終了する表示演出が実現され得る。このように、目標と特定の当りとを強く結びつけた分かりやすい表示演出が実現されるので、遊技者は、表示演出の理解に煩わされることなく、表示演出を楽しみながら遊技を進行することができる。
[態様5]
態様1ないし4のいずれかに記載の遊技機であって、さらに、
前記通過手段に前記遊技媒体を導き得る可動部材を含み、
前記可動部材は、
前記遊技媒体を前記通過手段に比較的導き難い第1動作モードと、
前記遊技媒体を前記通過手段に比較的導き易い第2動作モードと、
を含む、複数の動作モードから選択された動作モードで動作可能であり、
前記第1種遊技状態は、少なくとも、前記可動部材が前記第1動作モードで動作する遊技状態であり、
前記第2種遊技状態は、少なくとも、前記可動部材が前記第2動作モードで動作する遊技状態である、
遊技機。
この構成によれば、第1種表示演出が、遊技媒体を通過手段に比較的導き易い第2動作モードで可動部材が動作する第2種遊技状態で実現されるので、第1種表示演出の途中で間があく可能性を低減できる。
なお、上記実施形態における可動片2105は、1以上の通過手段のうちの特定の通過手段(下始動口2102)に遊技媒体を導き得る可動部材の例である。そして、時短機能が作動していない状態の可動片2105の動作モードが、第1動作モードの例であり、時短機能が作動している応対の可動片2105の動作モードが、第2動作モードの例である。
以上、「当り遊技後の変動回数」という観点から抽出された態様について説明したが、この観点からは、これらの態様に限らず、他の種々の態様を抽出可能である。また、上述の種々の態様あるいは態様の一部の構成を、本明細書で説明されている他の態様と組み合わせてもよい。また、抽出された態様あるいは態様の一部の構成は、他の種々の態様、演出例(あるいは、種々の演出例を実現するという観点から抽出される態様)に適用してもよい。
[演出パターンのフローに着目することによって抽出される技術思想]
本実施形態を「演出パターンのフロー」に着目して見ることによって、以下のような態様(技術思想)を抽出することができる。
[態様6]
遊技機であって、
遊技媒体が通過可能に構成された通過手段と、
前記遊技媒体が前記通過手段を通過したことに応じて、抽選に用いられる情報を取得可能な抽選情報取得手段と、
前記抽選情報を用いて、当りであるか否かの抽選を行う抽選手段と、
前記抽選毎の表示演出を表示可能な表示手段と、
各抽選のそれぞれに対応して前記表示手段を用いて実現すべき表示演出を決定する演出決定手段と、
前記演出決定手段によって決定された表示演出を、前記表示手段を用いて実現する演出制御手段と、
を備え、
前記抽選手段による前記抽選の前記当りの種類は、第1種当りと、前記第1種当りとは遊技者にとっての特典が異なる第2種当りと、前記第1種当りと前記第2種当りとのいずれよりも遊技者にとって不利な第3種当りと、を含み、
前記演出決定手段は、前記表示演出のパターンとして、
前記第1種当りに当選した場合と、前記抽選に落選した場合と、のためのパターンであって、第1特定演出が行われるか否か導出する第1特定導出演出を実現し、前記第1特定導出演出の後に前記第1特定演出を実現し、前記第1特定演出の後に前記第1種当りに当選したか否かを示唆する演出を実現する第1種演出パターンと、
前記抽選に落選した場合のためのパターンであって、前記第1種演出パターンと同様に、前記第1特定導出演出を実現するものの、前記第1種演出パターンとは異なり、前記第1特定導出演出の後に、前記第1特定演出を実現せずに、第2特定演出が行われるか否かを導出する第2特定導出演出を実現し、前記第2特定導出演出の後に、前記第2特定演出を実現せずに、演出を終了することによって、前記抽選に落選したことを示唆する演出を実現する第2種演出パターンと、
前記第2種当りまたは前記第3種当りに当選した場合のためのパターンであって、前記第1種演出パターンおよび前記第2種演出パターンと同様に、前記第1特定導出演出を実現し、前記第1種演出パターンとは異なるものの前記第2種演出パターンと同様に、前記第1特定導出演出の後に、前記第1特定演出を実現せずに、前記第2特定導出演出を実現するものの、前記第2種演出パターンとは異なり、前記第2特定導出演出の後に前記第2特定演出を実現することによって、前記第2種当りまたは前記第3種当りに当選したことを示唆する演出を実現する第3種演出パターンと、
を、前記抽選の結果に応じて決定可能である、
遊技機。
上記構成によれば、第1特定導出演出が実現されるものの第1特定演出が実現されなかった場合には、3種類の当りの中で最も有利な第1種当りの可能性が消えてしまうものの、続けて、第2特定導出演出が実現される可能性が残る。そして、第2特定導出演出が実現された後に、更に第2特定演出が実現されれば、第2種当り、または、第3種当りの可能性がある。従って、第1特定演出が実現されない場合であっても、遊技者は、第2特定演出の実現の可能性に期待感を覚えつつ、続きの演出を楽しむことができる。さらに、第2特定演出が実現された場合には、互いに有利さの異なる第2種当りと第3種当りとの両方の可能性が残る。従って、第1特定演出が実現されずに第2特定演出が実現された場合には、遊技者は、「第2種当りと第3種当りとのいずれに当選したのかを見極めたい」という意欲を持って、遊技を進行することができる。この結果、遊技者の遊技意欲を向上できる。
なお、上記実施形態において、始動口2101、2102は、通過手段の例であり、特別抽選に用いられる乱数を抽選情報として取得する主制御MPU4100aが、抽選情報取得手段の例であり、抽選情報を用いて当りであるか否かの特別抽選を行う主制御MPU4100aが、抽選手段の例であり、液晶表示装置1900が表示手段の例であり、演出を決定する主制御基板4100と周辺制御基板4140との全体が、演出決定手段の例であり、表示演出を表示手段を用いて実現する主制御基板4100が、演出制御手段の例である。
[態様7]
態様6に記載の遊技機であって、
前記演出決定手段は、前記表示演出のパターンとして、
前記抽選に落選した場合のためのパターンであって、前記第2種演出パターンおよび前記第3種演出パターンと同様に、前記第1特定導出演出を実現するものの、前記第1特定導出演出の後に、前記第1特定演出を実現せずに、さらに前記第2パターンおよび前記第3種演出パターンとは異なり、第2特定導出演出も実現せずに、演出を終了することによって、前記抽選に落選したことを示唆する演出を実現する第4種演出パターンを、前記抽選の結果に応じて決定可能である、
遊技機。
この構成によれば、第1特定導出演出が実現されるものの第1特定演出が実現されなかった場合に、さらに第2特定導出演出も実現されずに演出が終了する可能性が生じる。従って、第1特定演出が実現されない場合には、第2特定導出演出が実現されて欲しいという遊技者の期待感を向上することができ、さらに第2特定導出演出が実現された場合には、「第2特定導出演出が実現されて良かった!」という嬉しさを遊技者に提供することができる。このように、演出を観察することによって得られる楽しみが向上するので、遊技者は、より楽しく遊技を進行することができる。
[態様8]
態様6または7に記載の遊技機であって、さらに、
前記抽選における当選確率が所定の低確率である第1種遊技状態と、前記当選確率が前記低確率よりも高い高確率である第2種遊技状態と、を含む複数種類の遊技状態の中から1つの遊技状態を選択して実現可能な遊技状態実現手段と、
遊技者に遊技媒体を付与し得る第1当遊技と、前記第1当遊技と比べて付与され得る遊技媒体が少ない第2当遊技と、を含む複数種類の当遊技を実現可能な付与手段と、
を備え、
前記第1種当りは、前記付与手段によって前記第1当遊技が実現される当りであり、
前記第2種当りは、前記第1種当りとは異なり、前記付与手段によって前記第2当遊技が実現されるとともに、前記第2当遊技の終了後に、前記遊技状態実現手段によって遊技状態が前記第1種遊技状態から前記第2種遊技状態に切り換えられる当りであり、
前記第3種当りは、前記第2種当りと同じ前記第2当遊技が実現されるものの、前記第2種当りとは異なり、前記第2当遊技の終了後に、前記遊技状態実現手段によって遊技状態が前記第1種遊技状態に維持される当りである、
遊技機。
上記構成によれば、第1種当りに当選した場合には、遊技者は、比較的多くの遊技媒体を得ることが可能な第1当遊技を楽しむことができる。一方、第2種当りに当選した場合には、遊技者は、第1当遊技を楽しむことができないものの、高い当選確率(高確率)を得ることができる。このように、第1種当りと第2種当りとの間では、遊技者にとっての特典が異なるものの、いずれも、遊技者に大きな利益(例えば、多量の遊技媒体)をもたらし得る。従って、第1特定演出が実現されない場合には、第1当遊技による多くの遊技媒体を得ることができないものの、第2特定演出が実現されることによって高い当選確率(高確率)を得ることができたならば(第2種当りに当選したならば)、最終的には、遊技者は、大きな利益を得ることが可能となる。従って、遊技者は、まずは、第1特定演出が実現されることを期待して演出を楽しみ、仮に第1特定演出が実現されなかった場合であっても、次には、第2特定演出が実現されることを期待して演出を楽しむことができる。
以上、「演出パターンのフロー」という観点から抽出された態様について説明したが、この観点からは、これらの態様に限らず、他の種々の態様を抽出可能である。また、上述の種々の態様あるいは態様の一部の構成を、本明細書で説明されている他の態様と組み合わせてもよい。また、抽出された態様あるいは態様の一部の構成は、他の種々の態様、演出例(あるいは、種々の演出例を実現するという観点から抽出される態様)に適用してもよい。
また、本実施形態からは、以下のような態様(技術思想)を抽出することができる。
態様9:遊技機において、
「遊技者の操作によって遊技媒体が打込まれる遊技領域と、
正面視で該遊技領域内の所定位置に配置され少なくとも前面に所定の装飾が施された装飾部材と、
該装飾部材の後側左右両端に夫々取付けられ上下方向へ延びるラックギアを夫々有した一対のスライダと、
一対の該スライダを夫々上下方向へスライド可能に支持するユニットベースと、
該ユニットベースの所定位置に回転可能に支持され一方の前記スライダにおける前記ラックギアと噛合するピニオンギアと、
該ピニオンギアを前記遊技領域内に遊技媒体が打込まれることで変化する遊技状態に応じて回転駆動させ前記ユニットベースに取付けられる駆動モータと、
該駆動モータにより回転駆動させられる前記ピニオンギアと噛合する前記ラックギアを有した一方の前記スライダとは反対側の他方の該スライダにおける前記ラックギアと噛合し、前記ユニットベースに回転可能に支持される従動ギアと
を具備する」ものであることを特徴とする。
ここで、「装飾部材」としては、「遊技機のコンセプトに沿った所定のアイテムを模したもの」、「遊技機のコンセプトに沿った所定のキャラクタを模したもの」、等が挙げられる。また、装飾部材に、遊技状態に応じて発光可能とされた発光手段を備えるようにしても良い。
また、「遊技状態に応じて」とは、「遊技領域内に配置された受入口(例えば、一般入賞口、始動入賞口(始動口)、大入賞口、役物入賞口、V入賞口、等)への遊技媒体の受入れに応じて」、「遊技領域内に打ち込まれた(投入された)遊技媒体が特定領域(例えば、ゲート、ワープ通路、ステージ、等)を通過したことに応じて」、「遊技媒体を受入れることで抽選される抽選結果に応じて」、「遊技媒体の投入を契機として回転する複数の回転体の回転に応じて」、「遊技媒体の投入を契機として回転した複数の回転体を順次停止させ、停止した回転体に表示された図柄の組合せに応じて」、「始動入賞等による抽選によって決まる演出の種類に応じて」、「遊技領域内へ打ち込まれる遊技媒体の打込量に応じて」、「遊技領域内へ打ち込まれる遊技媒体の打込ブランクの長さに応じて」、等が挙げられる。
ところで、特許文献1のものは、上述したように、装飾部材の両端をスライドさせるスライド機構に夫々駆動モータを備えているので、比較的突出量の大きい駆動モータを両側に備えることでスライド機構全体が大きくなってしまい、設置スペースの関係上、可動する装飾部材の配置自由度が制限されてしまう問題がある。これに対して、両側のスライド機構の何れか一方にのみ駆動モータを配置し、その駆動モータから他方のスライド機構へ駆動力を伝達させることで、スライド機構全体の大きさを小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合、一方のスライド機構から他方のスライド機構へ駆動モータの駆動力を伝達させるための伝達機構が新たに必要となり、スライド機構全体に係る構成部品が多くなり、コストが増加する問題がある。
態様9の構成によると、遊技機に、遊技者の操作によって遊技媒体が打込まれる遊技領域と、正面視で遊技領域内の所定位置に配置され少なくとも前面に所定の装飾が施された装飾部材と、装飾部材の後側左右両端に夫々取付けられ上下方向へ延びるラックギアを夫々有した一対のスライダと、一対のスライダを夫々上下方向へスライド可能に支持するユニットベースと、ユニットベースの所定位置に回転可能に支持され一方のスライダにおけるラックギアと噛合するピニオンギアと、ピニオンギアを遊技領域内に遊技媒体が打込まれることで変化する遊技状態に応じて回転駆動させユニットベースに取付けられる駆動モータと、駆動モータにより回転駆動させられるピニオンギアと噛合するラックギアを有した一方のスライダとは反対側の他方のスライダにおけるラックギアと噛合し、ユニットベースに回転可能に支持される従動ギアと、を備えるようにしたものである。
これにより、装飾部材の後側左右両端に取付けられたスライダを、ユニットベースによって夫々上下方向へスライド可能に支持した上で、一方のスライダのラックギアと噛合するピニオンギアを駆動モータにより回転駆動させるようにすると共に、他方のスライダのラックギアと噛合する従動ギアを備えるようにしているので、遊技領域内へ遊技媒体が打込まれることで変化する遊技状態に応じて駆動モータを回転駆動させると、ピニオンギア及びラックギアを介して一方のスライダにより装飾部材が上下方向へスライドすると同時に、装飾部材のスライドに伴って他方のスライダも上下方向へスライドし、他方のスライダのラックギアと噛合した従動ギアが空転することとなり、装飾部材を問題なく上下方向へスライドさせることができると共に、左右両側の一方のみに駆動モータを備えるようにしているので、従来よりも装飾部材のスライドに係る機構を小さくすることができ、可動(スライド)する装飾部材の配置自由度を高めることができる。従って、狭いスペースでもスライドする装飾部材を備えられるようにすることができ、スライドする装飾部材により遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することが可能な遊技機とすることができる。
また、他方のスライダのラックギアに空転する従動ギアを噛合させるようにしており、他方のスライダに抵抗を付与することができるので、装飾部材を上昇させた状態を維持する際に、他方のスライダが下降するのを抑制することができ、装飾部材を上昇位置に維持させ易くすることができると共に、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、従動ギアにより他方のスライダにかかる抵抗によって、装飾部材の他方側が下がって装飾部材が傾くのを抑制することができ、遊技者に対して装飾部材の見栄えに違和感を与えてしまうのを防止して興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、左右両端のスライダのラックギアに対して一方のスライダのラックギアと噛合するピニオンギアのみを駆動モータで回転駆動させるようにしており、左右両側の一方側にのみ駆動モータを配置するようにしているので、装飾部材のスライドに係る少なくとも他方側のスペースを従来のものよりも小さくすることが可能となり、相対的に、装飾部材を大きくしたり他方側に大きな他の装飾部材を配置したりして装飾部材により目立たせることができ、遊技者の関心を強く引付けられる遊技機とすることができる。
なお、ラックギアを、そのギア歯がスライダの左右何れかの側面から左右方向へ突出するように形成することが望ましく、これにより、ラックギアと噛合するピニオンギア及び従動ギアが、スライダに対して左右に並んだ状態となるので、スライダとピニオンギア及び従動ギアに係る前後方向の奥行きを可及的に薄くすることができ、相対的に装飾部材の前後方向の奥行きを厚くすることができる。従って、奥行が厚くできることで装飾部材の立体感をより高めることができるので、装飾性に優れた装飾部材によって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。また、奥行きが厚くできることで装飾部材の強度・剛性を高めることができるので、例えば、装飾部材をフレーム状(枠状)に形成したり大型化したりしても、装飾部材が撓んだり歪んだりして変形するのを防止することが可能となり、装飾部材が変形することで遊技者に対して安っぽい印象を与えてしまうのを回避させてより装飾効果の高い装飾部材を備えることができ、遊技者の関心を強く引付けられる遊技機とすることができる。
また、従動ギアと噛合するラックギアを有した他方のスライダが、上昇する方向へスライドし易いように従動ギアの回転をアシストするアシスト手段を備えるようにしても良く、これにより、アシスト手段によって従動ギアが、一方のスライダを上昇させる方向へ回転し易くしているので、装飾部材をスムーズに上昇させることができると共に、装飾部材を上昇位置に停止させた時に他方のスライダを下がり難くすることができ、上述した作用効果を確実に奏する遊技機とすることができる。
また、ユニットベースに、スライダがピニオンギア及び従動ギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制する案内手段を備えるようにしても良く、これにより、スライダがピニオンギア及び従動ギアから遠ざかるのを規制することができるので、スライダのラックギアとピニオンギア及び従動ギアとの噛合せが緩くなるのを防止することができ、ラックギアとピニオンギア及び従動ギアとを良好な状態に噛合せて装飾部材を確実にスライドさせることができると共に、案内手段によってスライダを真直ぐ上下方向へ案内させることができ、装飾部材を違和感なくスライドさせて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。なお、上述の案内手段としてスライダが接触して摺動するものとすることが望ましく、これにより、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、案内手段との接触による摺動抵抗によって駆動モータからの駆動力がかからない従動ギア側のスライダ(他方のスライダ)を下がり難くすることができ、装飾部材が傾くことで遊技者に違和感を与えて興趣を低下させてしまうのを抑制することができる。
更に、装飾部材を、一対の縦部と縦部の先端同士を連結する横部とで略コ字形のフレーム状に形成するようにしても良く、これにより、装飾部材を、外形の大きさに対して重量を軽くすることができるので、装飾部材を上昇させる時に駆動モータにかかる負荷を軽減させることができ、駆動モータが早期に消耗して装飾部材がスライドしなくなるような不具合が発生するのを抑制することができると共に、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、他方のスライダが下がり難くすることができ、装飾部材が傾くことで見栄えが悪くなって遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができる。また、装飾部材を略コ字状(フレーム状)に形成した場合、重量の増加を抑制しつつ外形を大きくすることができ、装飾部材をスライドさせる機構が相対的に小さくなり装飾部材の配置自由度を高めることができると共に、大型の装飾部材が上下方向へスライドすることで遊技者の関心を強く引付けることができ、装飾部材の動きや装飾等を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、装飾部材よりも後側に所定の演出画像を表示可能な演出表示手段を備えるようにした上で、装飾部材を、演出表示手段よりも正面視外側の位置と前面側の位置との間でスライド可能とするようにしても良く、これにより、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライドさせることで、装飾部材が演出画像を遮って遊技者から装飾部材を目立たせて遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができ、装飾部材の動き(スライド)や装飾を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができると共に、演出表示手段に装飾部材と関連した演出画像を表示させることで、装飾部材と演出画像とが一体となった演出を遊技者に提示することができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、遊技領域の後端を区画し、略中央に前後方向へ貫通した開口部を有する板状の遊技パネルと、遊技パネルの開口部の下側に取付けられ遊技領域内の遊技媒体を受入可能な受入口を少なくとも一つ有した受入口ユニットとを備え、受入口ユニットの後側に装飾部材及びユニットベースを配置すると共に、装飾部材を正面視で遊技パネルの開口部内へスライド可能とするようにしても良く、これにより、遊技状態に応じて装飾部材を上昇させると、遊技パネルの開口部を通して遊技者側から装飾部材が視認できるようになるので、遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができると同時に、遊技者の視界に受入口ユニットが入ることとなり、遊技者に対して受入口ユニットで何か良いことが起こるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。なお、この場合、受入口ユニットの直後に一対のスライダ同士の間を位置させると共にスライダ同士の間よりも外側に駆動モータ及びピニオンギアを位置させるようにすることが望ましく、これにより、受入口ユニットの後端が遊技パネルの後面から後方へ突出していても、受入口ユニットと駆動モータとが互いに干渉するのを回避させることができ、受入口ユニットの後側の狭いスペースに上下方向へスライドする装飾部材を確実に配置することができると共に、受入口ユニットから駆動モータを可及的に遠ざけることができるので、駆動モータからの磁力によって受入口ユニット内に備えられたセンサや、受入口への不正行為を検知するためのセンサ等が誤作動してしまうのを回避させることが可能となり、誤作動により遊技が中断して遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができ、問題なく遊技を楽しませて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
態様10:態様9の構成において、
「前記ユニットベースにおける一対の前記スライダを夫々挟んで前記ピニオンギア及び前記従動ギアとは反対側の位置に備えられ、前記スライダが前記ピニオンギア及び前記従動ギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制すると共に、前記スライダを上下方向へ案内可能とされた案内手段を更に具備する」ものであることを特徴とする。
ここで、「案内手段」としては、「スライダに対して摺動可能とされた突起状のもの」、「スライダに対して摺動可能とされた壁状のもの」、「スライダに対して転動可能とされたローラ状のもの」、等が挙げられる。なお、案内手段を突起状のもの(案内突起)とした場合では、案内突起を、「スライダのスライド方向(上下方向)に対して直角方向でピニオンギア及び従動ギアの回転軸芯を夫々通る軸線を挟んだ両側に夫々少なくとも一つ備える」、又は、「スライダのスライド方向(上下方向)に対して直角方向でピニオンギア及び従動ギアの回転軸芯を夫々通る軸線上に備える」、ことが望ましい。
態様10の構成によると、遊技機に、ユニットベースにおける一対のスライダを夫々挟んでピニオンギア及び従動ギアとは反対側の位置に備えられ、スライダがピニオンギア及び従動ギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制すると共に、スライダを上下方向へ案内可能とされた案内手段を、更に備えるようにしたものである。
これにより、ユニットベースに、スライダがピニオンギア及び従動ギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制する案内手段を備えるようにしているので、スライダがピニオンギア及び従動ギアから遠ざかってラックギアとの噛合せが緩くなるのを防止することができ、ラックギアとピニオンギア及び従動ギアとを良好な状態に噛合せて装飾部材を確実にスライドさせることができると共に、案内手段によってスライダを真直ぐ上下方向へ案内させることができ、装飾部材を違和感なくスライドさせて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
態様11:態様10の構成において、
「前記案内手段は、
前記スライダがスライドする上下方向に対して直角方向で前記ピニオンギア及び前記従動ギアの回転軸芯を夫々通る軸線を挟んだ両側に夫々少なくとも一つ備えられ、前記スライダに対して摺動可能とされた案内突起とされている」ものであることを特徴とする。
態様11の構成によると、案内手段を、スライダがスライドする上下方向に対して直角方向でピニオンギア及び従動ギアの回転軸芯を夫々通る軸線を挟んだ両側に夫々少なくとも一つ備え、スライダに対して摺動可能とされた案内突起としたものである。
これにより、上述の案内手段を、スライダのスライド方向(上下方向)に対して直角方向でピニオンギア及び従動ギアの回転軸芯を通る軸線を挟んで両側に備えた案内突起としているので、上述した作用効果を奏する遊技機を確実に具現化することができる他に、案内手段としての案内突起に対してスライダを摺動させるようにしているので、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、摺動抵抗によって駆動モータからの駆動力がかからない従動ギア側のスライダ(他方のスライダ)を下がり難くすることができ、装飾部材が傾くことで遊技者に違和感を与えて興趣を低下させてしまうのを抑制することができる。
また、案内手段としての案内突起を、ピニオンギア及び従動ギアの回転軸芯を通る軸線を挟んだ両側に夫々配置しているので、回転軸芯を通る軸線上に配置した場合と比較して、スライダを回動し難くすることができ、装飾部材が不自然にがたつきながらスライドするのを防止して装飾部材を良好な状態でスライドさせることができる。
態様12:態様9から態様11までの何れか一つの構成において、
「前記装飾部材は、
前記スライダのスライドする上下方向へ延びると共に左右方向へ離間して配置され、後側に前記スライダが取付けられる一対の棒状の縦部と、
該縦部の先端同士を連結する棒状の横部と
を備え、正面視が略コ字状に形成されている」ものであることを特徴とする。
態様12の構成によると、装飾部材を、スライダのスライドする上下方向へ延びると共に左右方向へ離間して配置され、後側にスライダが取付けられる一対の棒状の縦部と、縦部の先端同士を連結する棒状の横部とで、正面視略コ字状に形成したものである。
これにより、装飾部材を一対の縦部と縦部の先端同士を連結する横部とで略コ字形のフレーム状に形成しており、外形の大きさに対して重量を軽くすることができるので、装飾部材を上昇させる時に駆動モータにかかる負荷を軽減させることができ、駆動モータが早期に消耗して装飾部材がスライドしなくなるような不具合が発生するのを抑制することができると共に、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、他方のスライダが下がり難くすることができ、装飾部材が傾くことで見栄えが悪くなって遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができる。
また、装飾部材を略コ字状(フレーム状)に形成しているので、重量の増加を抑制しつつ外形を大きくすることができ、装飾部材をスライドさせる機構が相対的に小さくなり装飾部材の配置自由度を高めることができると共に、大型の装飾部材が上下方向へスライドすることで遊技者の関心を強く引付けることができ、装飾部材の動きや装飾等を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、装飾部材よりも後側に所定の演出画像を表示可能な演出表示手段を配置すると共に、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライド可能とするようにしても良く、これにより、フレーム状の装飾部材を演出表示手段の前面側へスライドさせた上で、演出表示手段の表示画面における装飾部材と対応した領域に特定の演出画像を表示させることで、遊技者に対してフレーム状の装飾部材があたかも演出表示手段とは別の表示装置のように錯覚させることが可能となり、装飾部材と演出画像とによるコラボレーション演出によって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
態様13:態様9から態様12までの何れか一つの構成において、
「前記装飾部材及び前記ユニットベースよりも後側で、正面視前記遊技領域内における遊技者側から視認可能な位置に配置され、所定の演出画像を表示可能な演出表示手段を更に具備し、
該演出表示手段よりも正面視外側の位置に前記ユニットベースが配置されていると共に、前記装飾部材が前記演出表示手段の前面側へスライド可能とされている」ものであることを特徴とする。
ここで、「演出表示手段」としては、「液晶表示装置(LCD)」、「ブラウン管表示装置(CRT)」、「プラズマディスプレイ」、「レーザーディスプレイ」、「LED表示装置」、「有機EL表示装置」、等が挙げられる。なお、前後方向の厚さの薄いものを用いることが望ましく、これにより、装飾部材等を配置するためのスペースを可及的に広くすることができるので、装飾部材を大きくしたり、他の装飾部材を備えるようにしたりすることができ、遊技者に対する訴求力の高い遊技機とすることができる。
態様13の構成によると、遊技機に、装飾部材及びユニットベースよりも後側で、正面視遊技領域内における遊技者側から視認可能な位置に配置され、所定の演出画像を表示可能な演出表示手段を、更に備えるようにした上で、演出表示手段よりも正面視外側の位置にユニットベースを配置すると共に、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライド可能としたものである。
これにより、遊技状態に応じて装飾部材を、演出表示手段よりも外側の位置と前面側の位置との間で上下方向へスライドさせることができるので、演出表示手段の前面側へ装飾部材をスライドさせることで、遊技者から装飾部材を目立たせて遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができ、装飾部材の動き(スライド)や装飾を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライド可能としているので、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライドさせると共に、演出表示手段に装飾部材と関連した演出画像を表示させることで、装飾部材と演出画像とが一体となった演出を遊技者に提示することができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、装飾部材をフレーム状に形成した上で、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライドさせた時に、演出表示手段の表示画面における装飾部材と対応した領域に特定の演出画像を表示させるようにしても良く、これにより、遊技者に対してフレーム状の装飾部材があたかも演出表示手段とは別の表示装置のように錯覚させることができるので、装飾部材と演出画像とによるコラボレーション演出によって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
態様14:態様9から態様13までの何れか一つの構成において、
「正面視前記遊技領域内と対応した位置で前後方向に貫通する開口部を有し、前記遊技領域の後端を区画する板状の遊技パネルと、
該遊技パネルの前面で前記開口部の下側に取付けられ、前記遊技領域内に打込まれた遊技媒体を受入可能とすると共に、遊技媒体の受入れにより所定の特典を付与可能とされた少なくとも一つの受入口を有する受入口ユニットと
を更に具備し、
前記装飾部材及び前記ユニットベースは、
前記受入口ユニットの直後に一対の前記スライダ同士の間が位置し、且つ、前記装飾部材が正面視で前記開口部内へスライドするように前記遊技パネルの後側に配置されると共に、一対の前記スライダ同士の間よりも外側の位置に前記ピニオンギア及び前記駆動モータが取付けられている」ものであることを特徴とする。
ここで、「遊技パネル」としては、「合板(例えば、ベニア板)」、「集成材」、「金属板」、等の不透明なもの、或いは、「アクリル樹脂板」、「ポリカーボネイト樹脂板」、「ABS樹脂板」、「ポリプロピレン板」、「ポリアリレート樹脂板」、「メタクリル樹脂板」、「ガラス板」、等の透明なもの、等が挙げられる。
また、「受入口」としては、「一般入賞口」、「始動口」、「可変始動口」、「可変入賞口」、「大入賞口」、「役物入賞口」、「V入賞口」、等が挙げられ、「受入口ユニット」としては、「アタッカユニット」、「一般入賞口ユニット」、「役物入賞口ユニット」、等が挙げられる。
更に、所定の「特典」としては、「遊技媒体の払出し」、「可変始動口の入賞確率の変更」、「遊技者が有利となる有利遊技状態が発生する抽選結果の抽選」、「有利遊技状態が発生する抽選結果が抽選される抽選確率の変更(例えば、確率変動)」、「遊技者が有利となる有利遊技状態が発生する抽選結果の抽選時間、又は、抽選結果を示唆するまでの時間の変更(例えば、時間短縮)」、等が挙げられる。
ところで、遊技パネルの前面に、遊技媒体の受入れによって所定の特典を付与する受入口を有した受入口ユニットを備えるようにした場合、受入口ユニットでは受入口へ受入れられた遊技媒体を、遊技パネルの後側で遊技者に戻すことなく遊技領域(遊技機)外へ排出するようにしているので、受入口ユニットの後端が遊技パネルの後面よりも後方へ突出した状態となっており、受入口ユニットの後側の空きスペースが他の部位と比較して狭くなる問題がある。
態様14の構成によると、遊技機に、正面視遊技領域内と対応した位置で前後方向に貫通する開口部を有し、遊技領域の後端を区画する板状の遊技パネルと、遊技パネルの前面で開口部の下側に取付けられ、遊技領域内に打込まれた遊技媒体を受入可能とすると共に、遊技媒体の受入れにより所定の特典を付与可能とされた少なくとも一つの受入口を有する受入口ユニットと、を更に備えるようにした上で、装飾部材及びユニットベースを、受入口ユニットの直後に一対のスライダ同士の間が位置し、且つ、装飾部材が正面視で開口部内へスライドするように遊技パネルの後側に配置されると共に、一対のスライダ同士の間よりも外側の位置にピニオンギア及び駆動モータを取付けるようにしたものである。
これにより、遊技パネルの前面で開口部の下側に受入口を有した受入口ユニットを取付けた上で、受入口ユニットの直後に一対のスライダ同士の間が位置すると共にスライダ同士の間よりも外側に駆動モータ及びピニオンギアが位置するように装飾部材及びユニットベースを配置し、装飾部材が正面視開口部内へスライドするようにしているので、受入口ユニットの後端が遊技パネルの後面から後方へ突出していても、受入口ユニットと駆動モータとが互いに干渉するのを回避させることができ、受入口ユニットの後側の狭いスペースに上下方向へスライドする装飾部材を確実に配置して上述と同様の作用効果を奏することができる。
また、一対のスライダ同士の間よりも外側に駆動モータ等を配置しており、受入口ユニットから駆動モータを可及的に遠ざけることができるので、駆動モータからの磁力によって受入口ユニット内に備えられたセンサや、受入口への不正行為を検知するためのセンサ等が誤作動してしまうのを回避させることが可能となり、誤作動により遊技が中断して遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができ、問題なく遊技を楽しませて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、受入口ユニットの直後に装飾部材をスライド可能に支持するユニットベースを配置した上で、装飾部材を正面視で遊技パネルの開口部内へ上昇可能としているので、遊技状態に応じて装飾部材を上昇させると、遊技パネルの開口部を通して遊技者側から装飾部材が視認できるようになり、遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができると同時に、遊技者の視界に受入口ユニットが入ることとなり、遊技者に対して受入口ユニットで何か良いことが起こるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、装飾部材及びユニットベースの後側に、正面視遊技パネルの開口部を通して遊技者側から視認可能な演出表示手段を備えるようにしても良く、これにより、装飾部材を正面視で遊技パネルの開口部内へ上昇させると、装飾部材が演出表示手段の前面側に位置することとなるので、装飾部材が演出画像を遮って遊技者から装飾部材を目立たせて遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができ、装飾部材の動き(スライド)や装飾を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、遊技パネルの開口部に前側から挿入され、遊技パネルから前方へ突出した周壁部を有する枠状のセンター役物を備えるようにしても良く、これにより、センター役物の周壁部によって遊技領域内の遊技媒体が開口部内へ侵入するのを防止することができると共に、センター役物を備えた従来の遊技機と似たような雰囲気の遊技領域を備えた遊技機とすることができ、従来の遊技機に慣れた遊技者に対して違和感を与えて敬遠されてしまうのを抑制し、遊技する遊技機として本遊技機を選択させ易くすることができる。
態様15:態様9から態様14までの何れか一つの構成において、
「前記従動ギアと噛合する前記ラックギアを有した他方の前記スライダが、上昇する方向へスライドし易いように前記従動ギアの回転をアシストするアシスト手段を更に備えている」ものであることを特徴とする。
ここで、「アシスト手段」としては、「他方のスライダが上昇する方向へ従動ギアが回転するようにバネやゴム等により従動ギアに付勢力を作用させるもの」、「他方のスライダが上昇する方向へ従動ギアが回転するように、錘及び可撓性を有した線材によって従動ギアに回転モーメントを作用させるもの」、等が挙げられる。なお、従動ギアに対して直接、付勢力や回転モーメントを作用させるようにしても良いし、従動ギアに対して間接的(例えば、従動ギア又は従動ギアと一体回転する伝達ギアを介して作用させるもの、従動ギアと一体回転する回転軸を介して作用させるもの、等)に、付勢力や回転モーメントを作用させるようにしても良い。
態様15の構成によると、遊技機に、従動ギアと噛合するラックギアを有した他方のスライダが、上昇する方向へスライドし易いように従動ギアの回転をアシストするアシスト手段を、備えるようにしたものである。
これにより、アシスト手段によって従動ギアが、一方のスライダを上昇させる方向へ回転し易くしているので、装飾部材をスムーズに上昇させることができると共に、装飾部材を上昇位置に停止させた時に他方のスライダを下がり難くすることができ、上述した作用効果を確実に奏する遊技機とすることができる。
態様16:遊技機において、
「遊技者の操作によって遊技媒体が打込まれる遊技領域と、
正面視で前記遊技領域内と対応した位置で前後方向に貫通する開口部を有し、前記遊技領域の後端を区画する板状の遊技パネルと、
該遊技パネルの前面で前記開口部の下側に取付けられ、前記遊技領域内に打込まれた遊技媒体を受入可能とすると共に、遊技媒体の受入れにより所定の特典を付与可能とされた少なくとも一つの受入口を有する受入口ユニットと、
該受入口ユニット及び前記遊技パネルよりも後側で前記開口部を通して遊技者側から視認可能に配置され、所定の演出画像を表示可能な演出表示手段と、
該演出表示手段と前記遊技パネルとの間に配置され、上下方向へ延びると共に左右方向へ離間して配置された一対の棒状の縦部、及び該縦部の上端同士を連結する棒状の横部を備え、正面視が略コ字状に形成されていると共に少なくとも前面に所定の装飾が施された装飾部材と、
該装飾部材における前記縦部の後側に夫々取付けられ上下方向へ延びるラックギアを夫々有した一対のスライダと、
一対の該スライダを夫々上下方向へスライド可能に支持し、前記装飾部材が前記演出表示手段の前面側へスライド可能となり、前記受入口ユニットの直後に一対の前記スライダ同士の間が位置するように前記遊技パネルの後側で前記演出表示手段よりも正面視外側の位置に配置されるユニットベースと、
該ユニットベースにおける一対の前記スライダ同士の間よりも外側の位置に回転可能に支持され、一方の前記スライダにおける前記ラックギアと噛合するピニオンギアと、
該ピニオンギアを前記遊技領域内に遊技媒体が打込まれることで変化する遊技状態に応じて回転駆動させ前記ユニットベースにおける一対の前記スライダ同士の間よりも外側の位置に取付けられる駆動モータと、
該駆動モータにより回転駆動させられる前記ピニオンギアと噛合する前記ラックギアを有した一方の前記スライダとは反対側の他方の該スライダにおける前記ラックギアと噛合し、前記ユニットベースに回転可能に支持される従動ギアと、
該従動ギア及び前記ピニオンギアとは一対の前記スライダを夫々挟んで前記ユニットベースにおける反対側の位置で、前記スライダがスライドする上下方向に対して直角方向で前記従動ギア及び前記ピニオンギアの回転軸芯を夫々通る軸線を挟んだ両側に夫々少なくとも一つ備えられ前記スライダに対して摺動可能とされた案内突起を有し、前記スライダが前記従動ギア及び前記ピニオンギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制すると共に、前記スライダを上下方向へ案内可能とされた案内手段と
を具備する」ものであることを特徴とする。
態様16の構成によると、遊技機に、遊技者の操作によって遊技媒体が打込まれる遊技領域と、正面視で遊技領域内と対応した位置で前後方向に貫通する開口部を有し、遊技領域の後端を区画する板状の遊技パネルと、遊技パネルの前面で開口部の下側に取付けられ、遊技領域内に打込まれた遊技媒体を受入可能とすると共に、遊技媒体の受入れにより所定の特典を付与可能とされた少なくとも一つの受入口を有する受入口ユニットと、受入口ユニット及び遊技パネルよりも後側で開口部を通して遊技者側から視認可能に配置され、所定の演出画像を表示可能な演出表示手段と、演出表示手段と遊技パネルとの間に配置され、上下方向へ延びると共に左右方向へ離間して配置された一対の棒状の縦部、及び縦部の上端同士を連結する棒状の横部を備え、正面視が略コ字状に形成されていると共に少なくとも前面に所定の装飾が施された装飾部材と、装飾部材における縦部の後側に夫々取付けられ上下方向へ延びるラックギアを夫々有した一対のスライダと、一対のスライダを夫々上下方向へスライド可能に支持し、装飾部材が演出表示手段の前面側へスライド可能となり、受入口ユニットの直後に一対のスライダ同士の間が位置するように遊技パネルの後側で演出表示手段よりも正面視外側の位置に配置されるユニットベースと、ユニットベースにおける一対のスライダ同士の間よりも外側の位置に回転可能に支持され、一方のスライダにおけるラックギアと噛合するピニオンギアと、ピニオンギアを遊技領域内に遊技媒体が打込まれることで変化する遊技状態に応じて回転駆動させユニットベースにおける一対のスライダ同士の間よりも外側の位置に取付けられる駆動モータと、駆動モータにより回転駆動させられるピニオンギアと噛合するラックギアを有した一方のスライダとは反対側の他方のスライダにおけるラックギアと噛合し、ユニットベースに回転可能に支持される従動ギアと、従動ギア及びピニオンギアとは一対のスライダを夫々挟んでユニットベースにおける反対側の位置で、スライダがスライドする上下方向に対して直角方向で従動ギア及びピニオンギアの回転軸芯を夫々通る軸線を挟んだ両側に夫々少なくとも一つ備えられスライダに対して摺動可能とされた案内突起を有し、スライダが従動ギア及びピニオンギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制すると共に、スライダを上下方向へ案内可能とされた案内手段と、を備えるようにしたものである。
これにより、遊技領域内へ遊技媒体が打込まれることで変化する遊技状態に応じて駆動モータを回転駆動させると、ピニオンギア及びラックギアを介して一方のスライダにより装飾部材が上下方向へスライドすると同時に、装飾部材のスライドに伴って他方のスライダも上下方向へスライドし、他方のスライダのラックギアと噛合した従動ギアが空転することとなり、装飾部材を問題なく上下方向へスライドさせることができる。この際に、スライダ同士の間よりも外側に駆動モータ及びピニオンギアが位置するようにしているので、受入口ユニットの後端が遊技パネルの後面から後方へ突出していても、受入口ユニットと駆動モータとが互いに干渉するのを回避させることができ、受入口ユニットの後側の狭いスペースに上下方向へスライドする装飾部材を確実に配置することができると共に、左右両側の一方のみに駆動モータを備えるようにしているので、従来よりも装飾部材のスライドに係る機構を小さくすることができ、可動(スライド)する装飾部材の配置自由度を高めることができる。従って、狭いスペースでもスライドする装飾部材を備えられるようにすることができ、スライドする装飾部材により遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することが可能な遊技機とすることができる。
また、左右両端のスライダのラックギアに対して一方のスライダのラックギアと噛合するピニオンギアのみを駆動モータで回転駆動させるようにしており、左右両側の一方側にのみ駆動モータを配置するようにしているので、装飾部材のスライドに係る少なくとも他方側のスペースを従来のものよりも小さくすることが可能となり、相対的に、装飾部材を大きくしたり他方側に大きな他の装飾部材を配置したりして装飾部材により目立たせることができ、遊技者の関心を強く引付けられる遊技機とすることができる。
また、他方のスライダのラックギアに空転する従動ギアを噛合させるようにしており、他方のスライダに抵抗を付与することができるので、装飾部材を上昇させた状態を維持する際に、他方のスライダが下降するのを抑制することができ、装飾部材を上昇位置に維持させ易くすることができると共に、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、従動ギアにより他方のスライダにかかる抵抗によって、装飾部材の他方側が下がって装飾部材が傾くのを抑制することができ、遊技者に対して装飾部材の見栄えに違和感を与えてしまうのを防止して興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、ユニットベースに、スライダがピニオンギア及び従動ギアから遠ざかる方向へ移動するのを規制する案内手段として、スライダのスライド方向(上下方向)に対して直角方向でピニオンギア及び従動ギアの回転軸芯を通る軸線を挟んで両側に備えられた案内突起を備えているので、スライダのラックギアとピニオンギア及び従動ギアとの噛合せが緩くなるのを防止することができ、ラックギアとピニオンギア及び従動ギアとを良好な状態に噛合せて装飾部材を確実にスライドさせることができると共に、案内手段によってスライダを真直ぐ上下方向へ案内させることができ、装飾部材を違和感なくスライドさせて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、案内手段としての案内突起に対してスライダを摺動させるようにしているので、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、摺動抵抗によって駆動モータからの駆動力がかからない従動ギア側のスライダ(他方のスライダ)を下がり難くすることができ、装飾部材が傾くことで遊技者に違和感を与えて興趣を低下させてしまうのを抑制することができる。
また、装飾部材を一対の縦部と縦部の先端同士を連結する横部とで略コ字形のフレーム状に形成しており、外形の大きさに対して重量を軽くすることができるので、装飾部材を上昇させる時に駆動モータにかかる負荷を軽減させることができ、駆動モータが早期に消耗して装飾部材がスライドしなくなるような不具合が発生するのを抑制することができると共に、装飾部材を上昇位置で停止させた時に、他方のスライダが下がり難くすることができ、装飾部材が傾くことで見栄えが悪くなって遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができる。
また、装飾部材を略コ字状(フレーム状)に形成しているので、重量の増加を抑制しつつ外形を大きくすることができ、装飾部材をスライドさせる機構が相対的に小さくなり装飾部材の配置自由度を高めることができると共に、大型の装飾部材が上下方向へスライドすることで遊技者の関心を強く引付けることができ、装飾部材の動きや装飾等を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、装飾部材及びユニットベースの後側に、正面視遊技パネルの開口部を通して遊技者側から視認可能な演出表示手段を備え、装飾部材を演出表示手段の前面側へスライド可能とするようにしているので、演出表示手段の前面側へ装飾部材をスライドさせることで、遊技者から装飾部材を目立たせて遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができ、装飾部材の動き(スライド)や装飾を楽しませることができると共に、装飾部材と演出画像とが一体となった演出を遊技者に提示することができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。また、例えば、フレーム状の装飾部材を演出表示手段の前面側へスライドさせた上で、演出表示手段の表示画面における装飾部材と対応した領域に特定の演出画像を表示させるようにした場合、遊技者に対してフレーム状の装飾部材があたかも演出表示手段とは別の表示装置のように錯覚させることができるので、装飾部材と演出画像とによるコラボレーション演出によって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、一対のスライダ同士の間よりも外側に駆動モータ等を配置しており、受入口ユニットから駆動モータを可及的に遠ざけることができるので、駆動モータからの磁力によって受入口ユニット内に備えられたセンサや、受入口への不正行為を検知するためのセンサ等が誤作動してしまうのを回避させることが可能となり、誤作動により遊技が中断して遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができ、問題なく遊技を楽しませて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、受入口ユニットの直後に装飾部材をスライド可能に支持するユニットベースを配置した上で、装飾部材を正面視で遊技パネルの開口部内へ上昇可能としているので、遊技状態に応じて装飾部材を上昇させると、遊技パネルの開口部を通して遊技者側から装飾部材が視認できるようになり、遊技者の関心を装飾部材へ強く引付けることができると同時に、遊技者の視界に受入口ユニットが入ることとなり、遊技者に対して受入口ユニットで何か良いことが起こるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、従動ギアと噛合するラックギアを有した他方のスライダが、上昇する方向へスライドし易いように従動ギアの回転をアシストするアシスト手段を備えるようにすることが望ましく、これにより、アシスト手段によって従動ギアが、一方のスライダを上昇させる方向へ回転し易くしているので、装飾部材をスムーズに上昇させることができると共に、装飾部材を上昇位置に停止させた時に他方のスライダを下がり難くすることができ、上述した作用効果を確実に奏する遊技機とすることができる。
態様17:態様9から態様16の何れか一つの遊技機において、
パチンコ機であることを特徴とする。
ここで、パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを具備するもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ機」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(遊技状態検出手段として捉えることもできる)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の図柄からなる図柄列を変動表示し、図柄列にて図柄を停止表示させたり、キャラクタや種々の物品等の表示物を描写し表示物を動作させたりする等によって適宜の演出表示を行う演出表示手段を更に具備するもの」、一般に「ハネモノ機」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ機」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
態様17の構成によると、パチンコ機において、上述した手段のいずれかの作用効果を奏することができる。
態様18:態様9から態様16までの何れか一つの遊技機において、
パチスロ機であることを特徴とする。
ここで、パチスロ機とは、投入媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作によって、夫々複数の図柄が描かれた複数のリールを回転させる等して、各リール等によって構成された図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて各図柄列の変動表示を停止させる、といった遊技が遊技者によって行われるものである。換言すれば、停止操作機能付きのスロットマシーンとして捉えることができるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動表示を停止させるものであってもよい。そして、各図柄列の変動表示の停止時において、表示された単体の図柄が特定の図柄であったり、各図柄列にて表示された図柄の組合せが特定の組合せであったりする等、特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができる遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
態様18の構成によると、パチスロ機において、上述した手段のいずれかの作用効果を奏することができる。
態様19:態様9から態様16までの何れか一つの遊技機において、
パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなることを特徴とする。
ここで、「パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機」とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動表示を停止させるものであってもよい。そして、各図柄列の変動表示の停止時において、表示された単体の図柄が特定の図柄であったり、各図柄列にて表示された図柄の組合せが特定の組合せであったりする等、特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができる遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
態様19の構成によると、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機において、上述した手段のいずれかの作用効果を奏することができる。
以下、より具体的に説明する。
本実施形態のパチンコ機1によると、遊技領域1100内へ遊技球が打込まれることで変化する遊技状態に応じて裏下演出ユニット3600の裏下駆動モータ3605を回転駆動させると、ピニオンギア3603及びラックギア3602aを介して正面視左側のスライダ3602により可動フレーム3607が上下方向へスライドすると同時に、可動フレーム3607のスライドに伴って正面視右側のスライダ3602も上下方向へスライドし、右側のスライダ3602のラックギア3602aと噛合した従動ギア3608が空転することとなり、可動フレーム3607を問題なく上下方向へスライドさせることができる。この際に、スライダ3602同士の間よりも外側に裏下駆動モータ3605及びピニオンギア3603を配置しているので、アタッカユニット2100の後端が遊技パネル1200(パネル板1210)の後面から後方へ突出していても、アタッカユニット2100と裏下駆動モータ3605とが互いに干渉するのを回避させることができ、アタッカユニット2100と液晶表示装置1900との間の狭いスペースに上下方向へスライドする可動フレーム3607を確実に配置することができると共に、左右両側の左側のみに裏下駆動モータ3605を備えるようにしているので、従来よりもスライドに係る機構を小さくすることができ、スライド(昇降)する可動フレーム3607の配置自由度を高めることができる。従って、狭いスペースでもスライドする可動フレーム3607を備えられるようにすることができ、スライドする可動フレーム3607により遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、左右両端のスライダ3602のラックギア3602aに対して正面視左側のスライダ3602のラックギア3602aと噛合するピニオンギア3603のみを裏下駆動モータ3605で回転駆動させるようにしており、左右両側の左側にのみ裏下駆動モータ3605を配置するようにしているので、可動フレーム3607のスライドに係る少なくとも右側のスペースを従来のものよりも小さくすることが可能となり、相対的に、可動フレーム3607を大きくしたり他方側に大きな他の装飾部材(ここでは、裏右下演出ユニット3200)を配置したりしてより目立たせることができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができる。
また、右側のスライダ3602のラックギア3602aに空転する従動ギア3608を噛合させるようにしており、右側のスライダ3602に抵抗を付与することができるので、可動フレーム3607を上昇させた状態を維持する際に、右側のスライダ3602が下降するのを抑制することができ、可動フレーム3607を上昇位置に維持させ易くすることができると共に、可動フレーム3607を上昇位置で停止させた時に、従動ギア3608により右側のスライダ3602にかかる抵抗によって、可動フレーム3607の右側が下がって可動フレーム3607が傾くのを抑制することができ、遊技者に対して可動フレーム3607の見栄えに違和感を与えてしまうのを防止して興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、裏下演出ユニット3600におけるユニットベース3601に、スライダ3602がピニオンギア3603及び従動ギア3608から遠ざかる方向へ移動するのを規制する案内手段として、スライダ3602のスライド方向(上下方向)に対して直角方向でピニオンギア3603及び従動ギア3608の回転軸芯を通る軸線を挟んで両側に備えられた案内突起3601bを備えているので、スライダ3602のラックギア3602aとピニオンギア3603及び従動ギア3608との噛合せが緩くなるのを防止することができ、ラックギア3602とピニオンギア3603及び従動ギア3608とを良好な状態に噛合せて可動フレーム3607を確実にスライドさせることができると共に、複数の案内突起3601bによってスライダ3602を真直ぐ上下方向へ案内させることができ、可動フレーム3607を違和感なくスライド(昇降)させて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、案内手段としての案内突起3601bに対してスライダ3602を摺動させるようにしているので、可動フレーム3607を上昇位置で停止させた時に、摺動抵抗によって裏下駆動モータ3605からの駆動力がかからない従動ギア3608側のスライダ3602(右側のスライダ3602)を下がり難くすることができ、可動フレーム3607が傾くことで遊技者に違和感を与えて興趣を低下させてしまうのを抑制することができる。
また、可動フレーム3607を一対の縦部3607aと縦部3607aの先端同士を連結する横部3607bとで略コ字形のフレーム状に形成しており、外形の大きさに対して重量を軽くすることができるので、可動フレーム3607を上昇させる時に裏下駆動モータ3605にかかる負荷を軽減させることができ、裏下駆動モータ3605が早期に消耗して可動フレーム3607がスライドしなくなるような不具合が発生するのを抑制することができると共に、可動フレーム3607を上昇位置で停止させた時に、右側のスライダ3602が下がり難くすることができ、可動フレーム3607が傾くことで見栄えが悪くなって遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができる。
更に、可動フレーム3607及びユニットベース3601の後側に、正面視遊技パネル1200の開口部1215を通して遊技者側から視認可能な液晶表示装置1900を備え、可動フレーム3607を液晶表示装置1900の前面側へスライド可能とするようにしているので、液晶表示装置1900の前面側へ可動フレーム3607をスライドさせることで、遊技者から可動フレーム3607を目立たせて遊技者の関心を可動フレーム3607へ強く引付けることができ、可動フレーム3607の動き(スライド)や装飾を楽しませることができると共に、可動フレーム3607と演出画像とが一体となった演出を遊技者に提示することができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。例えば、可動フレーム3607を液晶表示装置1900の前面側へスライドさせた上で、液晶表示装置1900の表示画面における可動フレーム3607と対応した領域に特定の演出画像を表示させるようにした場合、遊技者に対して可動フレーム3607があたかも液晶表示装置1900とは別の表示装置のように錯覚させることができるので、可動フレーム3607と演出画像とによるコラボレーション演出によって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、一対のスライダ3602同士の間よりも外側(左外側)に裏下駆動モータ3605等を配置しており、アタッカユニット2100から裏下駆動モータ3605を可及的に遠ざけることができるので、裏下駆動モータ3605からの磁力によってアタッカユニット2100内に備えられた第二始動口センサ2127、カウントセンサ2128や、不正行為を検知するための磁気検出センサ3103等が誤作動してしまうのを回避させることが可能となり、誤作動により遊技が中断して遊技者の興趣を低下させてしまうのを防止することができ、問題なく遊技を楽しませて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、アタッカユニット2100の直後に可動フレーム3607をスライド可能に支持するユニットベース3601を配置した上で、可動フレーム3607を正面視で遊技パネル1200(パネル板1210)の開口部1215内へ上昇可能としているので、遊技状態に応じて可動フレーム3607を上昇させると、遊技パネル1200の開口部1215を通して遊技者側から可動フレーム3607が視認できるようになり、遊技者の関心を可動フレーム3607へ強く引付けることができると同時に、遊技者の視界にアタッカユニット2100が入ることとなり、遊技者に対してアタッカユニット2100で何か良いことが起こるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、本実施形態のパチンコ機1によると、センター役物2500の略矩形状に形成された窓部2501における正面視右側の辺と略同じ長さで立体的に形成された裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bと、装飾本体3250bの基端側から遊技領域1100(窓部2501)の中央側へ延出したステー部3250aと、ステー部3250aの基端側を前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持するスライドベース3230と、スライドベース3230を窓部2501の右側の辺と交差する方向へ延びた下辺と略同じ方向(左右方向)へスライド可能に支持するユニットベース3201と、装飾本体3250bが窓部2501の右側の辺と略平行となる位置(第一回動位置)と右側の辺と交差する下辺と略平行となる位置(第二回動位置)との間で回動駆動させる裏右下回動駆動モータ3232、駆動ギア3233、伝達ギア3234及び回動ギア3251等の回動駆動機構と、スライドベース3230が遊技領域110の中央側へ移動した位置(第一スライド位置)と右側の辺へ接近した位置(第二スライド位置)との間でスライド駆動させるレール部材3202、スライダ3203、裏右下スライド駆動モータ3204、駆動ギア3205、スライドギア3206及びラックギア3231等のスライド駆動機構と、装飾本体3250b及びスライドベース3230が第一回動位置及び第一スライド位置(通常位置)の状態から夫々を同時に第二回動位置及び第二スライド位置(第一出現位置)へ移動するように回動駆動機構及びスライド駆動機構を制御可能とされ、且つ、その状態でスライドベース3230のみを第二スライド位置から第一スライド位置(第二出現位置)へ移動するように回動駆動機構及びスライド駆動機構を制御可能とされた周辺制御基板4140とを備えているので、装飾本体3250bが窓部2501の右側の辺に沿って接近した状態(通常位置の状態)で、ステー部3250aを介して装飾本体3250bを第二回動位置の方向へ回動させると、装飾本体3250bの先端側はステー部3250aの回動中心と装飾本体3250aの先端とを結んだ直線の長さの半径の円周に沿って周回移動し、装飾本体3250bの基端側はステー部3250aの回動中心と装飾本体3250bの基端とを結んだ直線の長さの半径の円周に沿って周回移動することとなり、装飾本体3250bの先端側及び基端側は遊技領域1100の中央側へ向かい相対的に右側の辺から遠ざかることとなる一方、スライドベース3230が第一スライド位置から第二スライド位置へスライドすることで装飾本体3250b全体は遊技領域1100の中央側から右側の辺の方向へ移動することとなるので、装飾本体3250bの基端側の移動が、右側の辺に対して交差する辺(下辺)と略平行な方向では、回動とスライドによって互いに略相殺するような動きとなって装飾本体3250bの基端側が常に右側の辺に接近した位置となり、遊技者に対して装飾本体3250bが恰も基端側を中心として回動しているように錯覚させることができる。そして、その状態から、スライドベース3230を第二スライド位置から第一スライド位置へ移動させると、装飾本体3250b全体が右側の辺から遠ざかるように遊技領域1100(窓部2501)における中央側の方向へスライドすることとなり、装飾本体3250bが窓部2501内の略中央に位置することとなる。従って、装飾本体3250bが窓部2501内で浮いたような状態となるので、装飾本体3250bを目立たせることができ、遊技者の関心を強く引付けることができると共に、インパクトの高い可動演出を行うことができ、インパクトの高い可動演出により遊技者を飽き難くして興趣が低下するのを抑制することが可能なパチンコ機1を提供することができる。
また、裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bを、ステー部3250aを介して回動させたりスライドベース3230を介してスライドさせたりすることができるので、周辺制御基板4140によって裏右下回動駆動モータ3232等の回動駆動機構や裏右下スライド駆動モータ3204等のスライド駆動機構を適宜制御して、回動とスライドを適宜組合せることで装飾本体3250bの可動パターンを多彩なものとすることができ、多様な可動演出を行うことができると共に、多様な可動演出によって遊技者を飽き難くすることができ、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、裏右下演出ユニット3200では、上述したように、ステー部3250aを介して装飾本体3250bを回動させたりスライドさせたりしており、窓部2501における右側の辺と略同じ長さの装飾本体3250bを可動させることができるので、可動する装飾本体3250bを可及的に大きくすることができ、大型の装飾本体3250bが動くことで遊技者に対して強いインパクトを与えることができると共に、遊技者の関心を装飾本体3250bへ強く引付けることができ、装飾本体3250bの可動演出を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。詳述すると、従来のパチンコ機における可動する大型の装飾体(装飾本体)は、回動又はスライドの何れかのみの動きしかしないため、従来のパチンコ機に慣れた遊技者では、パチンコ機に大型の装飾本体3250bが備えられていても、楽しめるような動きはしないものであるとの先入観を持ってしまうこととなり、装飾本体3250bに対する関心が低い状態となる。これに対して本実施形態では、上述したように、大型の装飾本体3250bが回動したりスライドしたりして複雑な動きをするので、遊技者の予想を超えた動きをすることとなり、遊技者を大いに驚かせることができると同時に、強いインパクトを与えることができ、装飾本体3250bに対して遊技者の関心を強く引付けて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、センター役物2500の窓部2501から遊技者側へ臨む液晶表示装置1900の前側に裏右下演出ユニット3200における裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bを配置しているので、ステー部3250aを介して装飾本体3250bを回動させたりスライドさせたりすることで装飾本体3250bを液晶表示装置1900の前面に出現させることができ、演出画像を遮って出現する装飾本体3250bによって遊技者を驚かせることができると共に、装飾本体3250bの出現によって遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。また、装飾本体3250bの動きに合せた演出画像を液晶表示装置1900に表示させることで、装飾本体3250bによる可動演出と液晶表示装置1900の演出画像とによるコラボレーション演出を行うことができ、より遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bが第一回動位置の時に、ステー部3250aが延出する基端側が正面視窓部2501よりも外側(下側)に位置するようにしているので、装飾本体3250bが窓部2501の右側の辺と略平行となった第一回動位置の時には、装飾本体3250bの基端側が窓部2501よりも外側(下側)に位置しており、蓋然的に、装飾本体3250bの基端側から延びたステー部3250aも窓部2501よりも外側の位置となるので、第一回動位置の時には遊技者側から装飾本体3250bのみが見えステー部3250aを見えないようにすることができ、第二回動位置へ回動すると遊技者側から装飾本体3250bとステー部3250aとが見えるようにすることができる。従って、ステー部3250aを介して装飾本体3250bを回動させると、ステー部3250aを出現させたり隠したりすることができるので、装飾本体3250bとステー部3250aとを合せた裏右下装飾ユニット3250全体の見え方を多彩に変化させることができ、多様な可動演出を行うことで飽き難くして遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、遊技状態に応じて裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bを伸縮可能としており、装飾本体3250bが伸びることで装飾本体3250bを大きくすることができるので、大きな装飾本体3250bによって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者に対して装飾本体3250bの動きや装飾を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。また、上述した回動、スライドの動きに加えて、装飾本体3250bを遊技状態に応じて伸縮させることができるので、三つの動きを適宜組合せることで装飾本体3250bに対してより多彩な動きをさせることができ、多様な可動演出を遊技者に提示することができると共に、装飾本体3250bに対してよりインパクトの高い動きをさせることができ、遊技者を楽しませて飽き難くすることが可能となり遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、裏右下装飾ユニット3250の装飾本体3250bに、遊技状態に応じて本体軸周りに回転する本体頭部装飾部材3267を備えるようにしているので、遊技状態に応じて装飾本体3250bにおける本体頭部装飾部材3267が回転することで、装飾本体3250bの見え方を大きく変化させることができ、遊技者の関心を強く引付けることが可能な装飾本体3250bとすることができると共に、遊技者に対して装飾本体3250bの動きや装飾等を楽しませることができ、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。また、本体頭部装飾部材3267が、装飾本体3250bの長手方向へ延びた本体軸、つまり、装飾本体3250bがステー部3250aを介して回動する前後方向へ延びた回動軸に対して交差する方向へ延びた本体軸の回りを回転するようにしているので、上述した回動とスライドの動きとを適宜組合せることで多彩な可動演出を行うことができ、飽き難くして遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、裏右下装飾ユニット3250における装飾本体3250bの本体軸、つまり、本体頭部装飾部材3267の回転軸を前後方向へ傾斜させるようにしているので、装飾本体3250bを真正面から見た時に回転する本体頭部装飾部材3267が楕円状に見えることとなり、本体頭部装飾部材3267の回転を認識させ易くすることができ、本体頭部装飾部材3267の回転による演出効果を確実に発揮させて、上述した作用効果を奏するパチンコ機1とすることができる。また、装飾本体3250bの先端側が前方へ位置するように本体軸を前後方向へ傾斜させており、装飾本体3250bの先端が遊技者側を向くこととなって装飾本体3250bの前面だけでなく先端面も遊技者側から見えるので、立体的に形成された装飾本体3250bの立体感を高めることができ、装飾本体3250bの装飾効果を高めて遊技者の関心を強く引付けられる装飾本体3250bとすることができると共に、装飾本体3250bの回動、スライド、回転等の可動演出を楽しませることができ、遊技者を飽き難くして遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、本実施形態のパチンコ機1によると、遊技者の操作によって遊技領域1100内に打込まれた遊技球が第一始動口2101又は第二始動口2102へ受入れられると、所定の特別抽選結果が抽選され、そして、抽選された特別抽選結果に応じて、液晶表示装置1900に表示された演出画像が遊技者に対してセンター役物2500の表演出ユニット2700における前装飾部材2701の検出口2701aへ指を接近又は接触するように促して、物体検知センサ2702によって遊技者の接近又は接触を検知すると、液晶表示装置1900や表演出ユニット2700により抽選された特別抽選結果を示唆するような所定の演出が行われる。この際に、液晶表示装置1900の演出画像に促されて遊技者が正面視で遊技領域1100内の上下方向中央から下側に配置された前装飾部材2701の検出口2701aへ接近又は接触すると、検出口2701aの直下に配置され機能表示ユニット1180と遊技者の目との間に物体検知センサ2702によって検知される遊技者の手(腕)が位置することとなり、遊技者の手によって機能表示ユニット1180の少なくとも一部が覆われて、特別抽選結果を表示する機能表示ユニット1180が遊技者から視認し難くなるので、遊技者の関心を機能表示ユニット1180から逸らして表演出ユニット2700や液晶表示装置1900へ向けさせることができ、表演出ユニット2700等によって提示される演出を確実に楽しませることができると共に、表演出ユニット2700等によって示唆される特別抽選結果に対する期待感を高めさせることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、第一始動口2101や第二始動口2102へ遊技球が受入れられて所定の特別抽選結果が抽選されると、遊技者に対して物体検知センサ2702に検知されるように前装飾部材2701の検出口2701aへ接近又は接触するような動作を行うように液晶表示装置1900等によって促すので、動作を促すことで遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、促された動作を積極的に行わせて遊技者を楽しませることができると共に、特別抽選結果に対する期待感を高めさせることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、液晶表示装置1900等によって表演出ユニット2700らおける前装飾部材2701の検出口2701aへ接近又は接触するような動作を促された時に、物体検知センサ2702により遊技者の指が検知されると、開閉部材2706が開いてセンター右下後装飾基板2711の7セグメントLED2711bによって抽選結果を示唆するような演出が提示(表示)されるので、開閉部材2706を開いて特別抽選結果を示唆するような演出を体験するには、え気象表示装置1900等によって促された通りの動作を行って遊技者の指を物体検知センサ2702に検知させる必要があり、遊技者に対して液晶表示装置1900等により促される動作を進んで行わせることができ、特別抽選結果の示唆に係る演出に対して遊技者を積極的に参加させることが可能となり、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、遊技者に対して前装飾部材2701の検出口2701aへ指を接近又は接触させるような動作を促す案内手段として所定の演出画像を表示可能な液晶表示装置1900を用いるようにしているので、遊技者に対して促す動作を画像によって案内することで遊技者が行うべき動作を判り易くすることが可能となり、遊技者に対して促した動作を確実に行わせることができ、上述した作用効果を確実に奏するパチンコ機1とすることができる。
また、機能表示ユニット1180において特別抽選結果の表示が開始されてから所定時間が経過すると特別抽選結果が表示されるようにしているので、遊技者が液晶表示装置1900等によって前装飾部材2701の検出口2701aへ指を接近又は接触させるような動作を促された際に、その動作を行って機能表示ユニット1180が視認し難くなる前に特別抽選結果が表示されてしまって遊技者が特別抽選結果を認識してしまうのを防止することができ、遊技者の関心を確実に機能表示ユニット1180から逸らして上述した作用効果を奏するパチンコ機1を具現化することができる。
また、前装飾部材2701の検出口2701a(物体検知センサ2702)を、正面視で遊技領域1100内に配置しているので、遊技者の視線を遊技領域1100内へ向けたままの状態とした上で、液晶表示装置1900等で促された動作をすると、機能表示ユニット1180を視認し難くすることができ、遊技者から遊技領域1100内がまったく見えなくなってしまうのを回避させることができる。つまり、液晶表示装置1900等により促されて遊技者が指を接近又は接触させるような動作を行っても、遊技領域1100内が見えなくなってしまうのを回避させることができるので、遊技領域1100内を流通する遊技球が気になって促された動作を行うのを躊躇してしまうのを抑制することができ、遊技者に対して所定の動作を確実に行わせて上述した作用効果を確実に奏することが可能なパチンコ機1とすることができる。
更に、本実施形態のパチンコ機1によると、遊技球が打込まれる遊技領域1100の後端を区画する透明な遊技パネル1200(パネル板1210)の後側に、遊技領域1100の中央を中心とする略同心状且つ放射状に配置された裏ユニット3000の中箱演出ユニット3100における前面装飾部材3110の複数の主装飾部3110aと主装飾部3110a同士の間に配置された所定幅の副装飾部3110bとを備えた上で、各主装飾部3110a及び副装飾部3110bを中箱装飾基板3140によって夫々独立して発光装飾させることができるようにしているので、例えば、主装飾部3110aと副装飾部3110bとを同時に発光させることで該当する遊技領域1100の後側全体を発光させたり、主装飾部3110aを消灯した状態で副装飾部3110bを発光させることで遊技領域1100の後側を同心状且つ放射状に配置された主装飾部3110aに沿ったような筋状或いは枠状に発光させたり、副装飾部3110bを消灯して主装飾部3110aを発光させることで遊技領域1100の後側をブロック状に発光させたりすることができるので、複数の主装飾部3110aと複数の副装飾部3110bの発光装飾を適宜組合せることで、遊技領域1100内の発光装飾を様々に変化させて多様な発光演出を提示することができ、飽き難いパチンコ機1とすることができると共に、複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bによって遊技領域1100内の装飾効果を高くすることができ、遊技者を楽しませて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、透明な遊技パネル1200の後側に立体的に形成された前面装飾部材3110の複数の主装飾部3110aを備えており、中箱装飾基板3140のLEDが発光していなくても、主装飾部3110aの形状によって遊技領域1100内を装飾することができるので、遊技領域1100内が寂しい感じになってしまうのを防止することが可能となり、遊技するパチンコ機1を選択中の遊技者に対しても、透明な遊技パネル1200を通して見える複数の主装飾部3110a等によって遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技するパチンコ機として本パチンコ機1を選択させ易くすることができる。
更に、透明な遊技パネル1200の後側に前面装飾部材3110の複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bを配置して遊技領域1100内の背景を構成するようにしており、遊技パネル1200の前面に絵柄などを描写した従来のパチンコ機と比較して、遊技領域1100内の背景に対する遊技者の目の焦点を遠くすることができるので、遊技者の目が早期に疲労してしまうのを軽減させることができ、眼精疲労等によって遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができると共に、遊技領域1100内の背景が遠くなることで遊技者に対して背景が圧迫感を与えてしまうのを緩和させることができるので、相対的に遊技領域1100内に対して開放感を付与することができ、遊技者を爽快な感じで遊技を楽しませることができる。
また、透明な遊技パネル1200の後側に所定形状に形成された前面装飾部材3110複数の主装飾部3110aと所定幅の複数の副装飾部3110bとを、正面視で遊技領域1100の略中央を中心とする同心状且つ放射状に配置しているので、遊技領域1100の背景として均一な感じの背景とすることが可能となり、特定の主装飾部3110aや副装飾部3110bのみに遊技者が注目してしまうのを回避させることができ、遊技領域1100内の背景全体に遊技者の関心を引付けて発光装飾等を楽しませることができる。
更に、透明な遊技パネル1200の後側に配置される前面装飾部材3110の複数の主装飾部3110aを、遊技領域1100の略中央を中心とした同心状且つ放射状に配置しているので、遊技領域1100の中央へ延びるように列設された複数の主装飾部3110aによって遊技者の視線を遊技領域1100の中央へ誘導したり、複数の主装飾部3110aが同心状且つ放射状に配置されることで遊技者に対して広がるような印象を与えて開放感のあるパチンコ機1としたりすることができ、遊技領域1100内で行われる遊技を確実に楽しませることができると共に、開放感により遊技者をリラックスさせることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、夫々独立して発光装飾可能とされた前面装飾部材3110の複数の主装飾部3110aを同心状且つ放射状に配置しているので、各主装飾部3110aを適宜発光させることで、遊技領域1100内で透明な遊技パネル1200を通してグルグル回転するような発光演出や、放射状に移動する発光演出等を行うことが可能となり、より装飾効果の高い発光演出を遊技者に見せて遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、遊技領域1100内における障害釘が植設された領域の後側に前面装飾部材3110の複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bを配置するようにしており、遊技領域1100内を流下する遊技球の後側に透明な遊技パネル1200を通して複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bが見えることとなるので、遊技者が遊技領域1100内を流下する遊技球に注目すると、遊技球の動きと共に後側に見える主装飾部3110aや副装飾部3110bの装飾も楽しませることができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、遊技球の後側に透明な遊技パネル1200を通して複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bが見えるので、主装飾部3110aや副装飾部3110bを発光装飾させることで主装飾部3110aや副装飾部3110bからの光によって流下する遊技球をシルエット状に見せたり、それらからの光が遊技球で反射して遊技球をキラキラさせたりすることが可能となり、遊技球の見え方を様々に変化させて遊技者を遊技球に注目させることができ、遊技者に遊技球の動きを楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、中箱演出ユニット3100における遮蔽部材3150によって前面装飾部材3110における主装飾部3110aや副装飾部3110bに対して、夫々対応した中箱装飾基板3140のLEDのみから光が照射されるようにしているので、各主装飾部3110aや副装飾部3110bを夫々明確に分離させて発光させることが可能となり、他の主装飾部3110aや副装飾部3110bが発光することで発光演出がぼやけたように見えてしまうのを抑制することができ、主装飾部3110aや副装飾部3110bの形状に沿ったメリハリの或る発光演出を行うことができる。従って、複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bの発光パターンによって遊技領域1100内の発光装飾を様々に変化させることができるので、透明な遊技パネル1200の後側に配置された複数の主装飾部3110aや副装飾部3110bによって多様な発光装飾を提示することができ、遊技領域1100内の装飾効果をより高めることで遊技者を楽しませて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、中箱演出ユニット3100において、拡散部材3130と中箱装飾基板3140との間に遮蔽部材3150を配置するようにしており、少なくとも遮蔽部材3150の分だけ拡散部材3130と中箱装飾基板3140との距離を遠くすることができるので、一つのLEDからの光を対応する拡散部材3130の部位の可及的に広い範囲へ照射させることができ、拡散部材3130で光を拡散させて対応する主装飾部3110aや副装飾部3110bを可及的に均一に発光装飾させることができる。つまり、中箱装飾基板3140に実装されるLEDの数を少なくしても前面装飾部材3110における主装飾部3110aや副装飾部3110bを良好に発光装飾させることができるので、実装するLEDの数を可及的に少なくすることで中箱装飾基板3140に対する制御の負荷を軽減させることができると共に、消費電力が増加するのを抑制することができ、上述したような構成を有しても環境に優しいパチンコ機1とすることができる。
また、前面装飾部材3110における主装飾部3110aの前面を、正面視で遊技領域1100の略中央に近い側が後側へ後退するように前後方向に傾斜させるようにしており、主装飾部3110aの前面が、遊技領域1100の中央側へ向かうほど遊技者から遠ざかるように傾斜することとなるので、遊技者に対して遊技領域1100の中央が遠くにあるように錯覚させることができ、奥行き感のある遊技領域1100として遊技者の関心を強く引付けることができると共に、遊技領域1100の中央側を遠くに感じさせることで本パチンコ機1の前に着座した遊技者に対して圧迫感を与えてしまうの抑制することができ、遊技者をリラックスさせて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、本実施形態のパチンコ機1によると、遊技球が打込まれる遊技領域1100内に配置されるセンター役物2500を境として、右側に遊技球の外径よりも若干大きい幅の第一流路(図110において破線の矢印で示す流路)と、左側に第一流路より広く複数の障害釘Gが備えられた第二流路(図110において一点差線の矢印で示す流路)とを形成すると共に、第一流路よりも下側に遊技球が通過することで所定の特典が付与されるアタッカユニット2100やゲート部2750等を配置した上で、第一流路の下端と連通し遊技球をゲート部2750の上流へ転動案内する右下通路部材2690を備えるようにし、アタッカユニット2100等に対して、複数の障害釘Gを介したルートと、右下通路部材2690を介したルートとを備えるようにしているので、遊技者の打込操作によって、第一流路(センター役物2500の右側)へ遊技球を進入させるとトンネル状の右下通路部材2690により遊技球の流れを整流することで整然とした感じの遊技球の動きを楽しませることができる一方、第二流路(センター役物2500の左側)へ遊技球を進入させると障害釘Gによって跳ねることで躍動感のある遊技球の動きを楽しませることができる。従って、遊技者に対して、遊技者の好みや気分、技量等に応じた好きなルートを通るように遊技球の打込操作をさせることができるので、遊技球の打込操作や動きが単調になるのを防止することができ、飽き難くして遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、右下通路部材2690を、アタッカユニット2100等の上流側が低くなるように水平に対して緩く直線状に傾斜させトンネル状としており、遊技球が流通することでその挙動を抑制して整流させることができると同時に動きを遅くすることができるので、右下通路部材2690からアタッカユニット2100側へ放出する遊技球の放出速度や放出方向を略均一化させることが可能となって、右下通路部材2690とアタッカユニット2100等との間の遊技球の動きを安定させることができ、アタッカユニット2100の第一始動口2101も第二始動口2102、大入賞口2103や、ゲート部2750等に対して高い確率で入賞や通過させて特典を得られ易くすることができる。従って、右下通路部材2690に遊技球を案内させると、遊技球が入賞する可能性が高くなるので、遊技者に対して遊技球が右下通路部材2690により案内されるように遊技領域1100内の所定位置(センター役物2500の右側)を狙った遊技球の打込操作をさせることができ、遊技球が狙った通りに右下通路部材2690によって案内されるか否かで遊技者を楽しませることができると共に、仮に遊技球が右下通路部材2690によって案内されなかった場合でも、障害釘Gを介したルートを通ってアタッカユニット2100等へ誘導されて特典を得られる可能性があるので、右下通路部材2690を狙った遊技球が右下通路部材2690を通らなくて遊技者が落胆してしまうのを回避させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、上述したように、右下通路部材2690を介したルートへ遊技球を打込むとアタッカユニット2100の第一始動口2101も第二始動口2102、大入賞口2103等に入賞して特典を得られる可能性が高いので、初心者等の遊技に不慣れな遊技者でも簡単に特典を得ることができ、初心者でも楽しめるパチンコ機1とすることができると共に、逆に、簡単に特典が得られてしまうと詰らなく感じてしまう遊技者の場合には、障害釘Gを介したルート(センター役物2500の左側)へ遊技球を打込むことで打込操作の技量を必要とした遊技を楽しむことができ、あらゆる技量の遊技者に対応したパチンコ機1とすることができる。
また、右下通路部材2690によって遊技球の動きを遅くすることができるので、右下通路部材2690に案内されている遊技球を確実に視認させて遊技球の動きを楽しませることができると共に、右下通路部材2690により案内されている遊技球を目で追うことで遊技者の視線を自然とアタッカユニット2100等へ向けさせることができ、入賞するか否かで遊技者の期待感を高めさせて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、同一のアタッカユニット2100等に対して、複数の障害釘Gを介したルートと、右下通路部材2690を介したルートとを備えるようにしているので、従来のパチンコ機を見慣れた遊技者等に対して、特典を得るに当って多様な打込操作が可能なパチンコ機1であると認識させることができ、パチンコ機1本来の遊技として遊技球の打込操作を楽しめるパチンコ機1であると思わせることが可能となり、遊技するパチンコ機として本パチンコ機1を選択させ易くすることができる。
更に、右下通路部材2690を透明に形成しており、転動案内している遊技球を遊技者側から視認可能な状態としており、右下通路部材2690で案内されている遊技球が見えなくなるの防止するようにしているので、遊技球が見えなくなることで遊技者に対して遊技球が見えない間に遊技者に不利なことが行われているのではないかと不信感を抱かせてしまうのを回避させることができ、遊技者の興趣が低下してしまうのを防止することができる。
また、遊技状態に応じて右下通路部材2690の後側に列設された複数のLED2711aを発光させるようにしているので、遊技球を案内する右下通路部材2690を目立たせることができ、遊技者に対して右下通路部材2690を狙った遊技球の打込操作を促すことができると共に、センター右下後装飾基板2711のLED2711aからの光によって右下通路部材2690において案内される遊技球をシルエット状に見せることが可能となり、右下通路部材2690で案内される遊技球の動きを楽しませて飽き難くすることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、遊技領域1100内へ打込まれる遊技球が向かう右側に、右下通路部材2690へ至る第一流路を形成しているので、遊技領域1100内へ遊技球を所定以上に強く打込むと、遊技領域1100の外周に沿って遊技球がセンター役物2500の右側へ進入することとなり、右下通路部材2690へ打込むための遊技球の打込操作を容易にすることができ、初心者等の不慣れな遊技者でも特典を得られ易くすることが可能となって、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。一方、遊技球が右下通路部材2690へ進入しないような強さで打込むこと、遊技球をセンター役物2500の左側へ進入させることができるので、センター役物2500の左側の領域に対しては様々な強さで遊技球を打込むことができ、遊技球の打込操作を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、アタッカユニット2100に、所定の特別抽選結果が抽選される第一始動口2101と、特別抽選結果に応じて開閉する大入賞口2103とを、少なくとも備えるようにしており、遊技球を第一始動口2101へ受入れさせて所定の特別抽選結果が抽選されると大入賞口2103が開閉動作してより多くの特典が得られるチャンスが到来することとなるので、遊技者に対してアタッカユニット2100(第一始動口2101や大入賞口2103等)を狙った遊技球の打込操作に対して意欲を持たすことができる。そして、上述したように、このアタッカユニット2100に対して、複数の障害釘Gを介したルートと、右下通路部材2690を介したルートとを備えるようにしているので、遊技者に対して遊技者の技量や気分等に応じた好きなルートを通るように遊技球の打込操作をさせることができ、遊技球の打込操作や動きが単調になるのを防止することが可能となり、飽き難くして遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
以上、本実施形態から抽出される種々の態様について説明したが、それらの態様あるいは態様の一部の構成を、本明細書で説明されている他の態様と組み合わせてもよい。また、抽出された態様あるいは態様の一部の構成は、他の種々の態様、演出例(あるいは、種々の演出例を実現するという観点から抽出される態様)に適用してもよい。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ遊技機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。