JP5977605B2 - 4−hppd阻害剤に対する感受性を判定する方法 - Google Patents
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(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の286位又は該部位に対応するバリンからグリシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の246位又は該部位に対応するバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
[2] [1]に記載の方法に用いられるための試薬であって、イネのHIS1遺伝子の塩基配列に相補的な連続する少なくとも15塩基の塩基配列を含み、下記(i)又は(ii)に記載のオリゴヌクレオチドである試薬。
(ii)イネのHIS1遺伝子における下記(a)または(b)の一塩基置換を含む領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の286位又は該部位に対応するバリンからグリシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の246位又は該部位に対応するバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
本発明は、イネにおける4−HPPD阻害剤に対する感受性を判定する方法であって、被験イネのHIS1遺伝子における下記(a)または(b)の一塩基置換を検出し、当該一塩基置換が存在する場合に被験イネが4−HPPD阻害剤に対し感受性を有すると判定される方法を提供する。
(a)V286Gのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
(b)V246Iのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
本発明の方法を適用する「イネ」としては特に制限はない。4−HPPD阻害剤に対する感受性を評価したい所望のイネを本発明の方法に適用することができる。
(I) アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)阻害型除草剤
脂質合成の最初の段階に関与するACCaseを阻害するこの除草剤グループは、細胞膜合成を阻害し、植物を生育障害に至らしめる。このグループに属する除草剤はさらに(1)4−アリールオキシフェノキシプロピオン酸系、(2)シクロヘキサンジオン・オキシム系、(3)ジオン系に分類される。
(II) アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害型除草剤
ALSを標的とするこの除草剤のグループは、ALS活性を阻害し分岐アミノ酸生成を阻害することで、植物を生育障害に至らしめる。このグループに属する除草剤はさらに(1)スルホニルウレア系、(2)トリアゾリノン系、(3)トリアゾロピリミジン系、(4)ピリミジニルサリチル酸系、(5)イミダゾリノン系に分類される。
(III) 4−HPPD代謝阻害型除草剤
チロシン代謝経路の4−HPPD代謝を阻害するこの除草剤グループは、植物のカロテノイド合成系を間接的に阻害し、植物を白化・枯死に至らしめる。このグループに属する除草剤はさらに(1)シクロヘキサンジオン系、(2)ピラゾール系、(3)ビシクロ系(4)、イソオキサゾール系、(5)トリケトン系に分類される。また、(1)シクロヘキサンジオン系としては、例えばベンゾイルシクロヘキサン−1,3−ジオン誘導体が挙げられ、(2)ピラゾール系としては、例えば、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾキシフェンが挙げられ、(3)ビシクロ系としては、例えば、3−置換ベンゾイル−ビシクロ[4、1、0]ヘプタン−2、4−ジオン誘導体が挙げられ、(4)イソオキサゾール系としては、例えばイソオキサフルトールが挙げられ、(5)トリケトン系としては、例えば、BBC、メソトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオンが挙げられる。
(IV) プロトポルフィリノーゲン−IXオキシダーゼ(PPO)阻害剤除草剤
このグループの除草剤は葉緑素合成を阻害し、細胞膜崩壊から枯死に至らしめる。このグループに属する除草剤はさらに(1)ジフェニルエーテル系、(2)ジアリル系、(3)ピラゾール系に分類される。
(V) 超長鎖脂肪酸伸長酵素(VLCFAE)阻害型除草剤
このグループの除草剤は植物脂質生合成系のうちC20以上の超長鎖脂肪酸生合成系酵素を阻害し、植物を枯死に至らしめる。
(VI) フィトエンデサチュラーゼ(PDS)阻害型除草剤
カロテノイド生合成経路のPDS酵素を阻害するこの除草剤グループは、植物の葉緑素崩壊を引き起こし、植物を白化・枯死に至らしめる。
(VII) PS II阻害型除草剤
このグループの阻害剤は、プラストキノン(PQ)に結合し、その結果PQが関わる光化学系 II(PS II)から光化学系 I(PS I)への電子伝達が阻害され、植物体内での炭素固定機能が不能となり植物が枯死する。
(VIII) 合成オーキシン型除草剤
このグループの阻害剤は、植物体内に低濃度で存在し植物の生長を調節する天然オーキシンのように振る舞い、植物の分化・成長が不正常となり結果的に枯死する。
(IX) EPSP合成酵素(EPSPS)阻害型除草剤
このグループの阻害剤は、シキミ酸回路のEPSPSと結合し、EPSPの合成を阻害する。その結果トリプトファン、フェニルアラニン、チロシンが生合成されず、植物は枯死する。
さらに、本発明は、前記本発明の判定方法に用いられるための試薬であって、イネのHIS1遺伝子の塩基配列に相補的な連続する少なくとも15塩基の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを含む試薬を提供する。当該オリゴヌクレオチドには、オリゴヌクレオチドプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの双方が含まれる。当該オリゴヌクレオチドは、前記本発明の方法に使用し得る限り、イネのHIS1遺伝子の塩基配列に対して完全に相補的である必要はない。
(1)HIS遺伝子の塩基配列決定用・・配列番号:9及び10
(2)V286Gのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換の検出用・・配列番号:13及び14
(3)V246Iのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換の検出用・・配列番号:15及び16
本発明のオリゴヌクレオチドの他の好ましい態様は、本発明にかかる一塩基置換を含む領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドプローブ)である。オリゴヌクレオチドプローブは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、本発明にかかる一塩基置換を含む領域に特異的にハイブリダイズするものが好ましい。このような特異的なハイブリダイズが可能であれば、該オリゴヌクレオチドプローブは、本発明にかかる一塩基置換を含む領域の塩基配列に対し、完全に相補的である必要はない。
<QTL解析>
コシヒカリ/ハバタキ染色体断片置換系統、および、たちすがた//たちすがた/モミロマンのBC1F4を供試した。すなわち、抵抗性品種コシヒカリを遺伝的背景とし、その染色体断片の一部をインド型感受性品種ハバタキの染色体に置き換えたコシヒカリ/ハバタキ染色体断片置換系統群(KHSL)を解析した。なお、KHSLは32系統で構成され、ハバタキの全12染色体のすべてについて解析が可能となっている(KHSLについては、村田和優ら、「コシヒカリを遺伝的背景としたインド型品種ハバタキの染色体断片置換系統群の作出と評価」、育種学研究、2009年3月27日、第11巻、別1号、66ページ 参照のこと)。また、感受性品種モミロマンに抵抗性品種たちすがたを1回戻し交雑して得られたBC1F4系統群94系統もSSRマーカー80種を用いて解析した(用いたSSRマーカーについては 「Development and mapping of 2240 new SSR markers for rice (Oryza sativa L.)」、DNA Res、2002年、9巻、6号、199〜207ページ 、並びにhttp://www.gramene.org/ 参照のこと)。
イネにおいて発見されたレトロトランスポゾンであるTos17は、組織培養によって活性化され、ゲノム内に自らのコピーを転移させる。転移先が遺伝子の内部であった場合、その遺伝子は破壊され、突然変異を引き起こすことが知られている(Hirochikaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1996年、93巻、7783〜7788ページ 参照)。本参考例においては、この現象を利用して組織培養により作出された変異を蓄積したイネの集団(ミュータントパネル、データベース名:Tos17ミュータントパネルデータベース(http://tos.nias.affrc.go.jp/〜miyao/pub/tos17/))を利用した。Tos17ミュータントパネルデータベースから、QTL解析で特定された遺伝子座にあるBBC感受性との関与が強く疑われる、鉄・アスコルビン酸酸化還元酵素遺伝子と推定される遺伝子の転写部位にTos17が挿入された2系統を選び出した。そして、これら2系統の各15個体を栽培して得られた自殖種子を用いて、表現型(BBC感受性)と遺伝子型(Tos17の挿入)について調査した。
QTL解析で特定された遺伝子座にある鉄・アスコルビン酸依存性酸化還元酵素遺伝子と推定されるmRNA(AK065581)をイネジーンバンクから入手した。
nosプロモーターでドライブされるカナマイシン抵抗性遺伝子(NPT2)又はCaMV35Sプロモーターでドライブされるハイグロマイシン抵抗性遺伝子(mHPT)と、CaMV35SプロモーターでドライブされるAK065581(HIS1遺伝子)又はAK241948(HSL1遺伝子)の各発現カセットとを連結したバイナリーベクターを構築し(図3〜7 参照)、アグロ法の形質転換に供試した。
作出したA.thaliana組換え体(T2世代)およびイネ組換え体(T0世代)のBBC抵抗性検定には、株式会社エス・ディー・エス バイオテック保有のBBC原体を後述の濃度にて用いた。
作出したイネ組換え体(T1及びT2世代)のトリケトン系4−HPPD阻害剤、すなわちメソトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオン及びNTBC抵抗性検定には市販の各試薬を後述の濃度にて用いた。
HIS1(AK065581)の5つの各エクソン領域内を特異的に増幅するプライマーを設計しPCRに供試した。なお、PCRは、表1において示す塩基配列からなるプライマーを用いて、94℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 30秒の35サイクルにて行った。また、鋳型DNAとしては、BBC感受性イネ品種(モミロマン、タカナリ、カサラス)およびBBC抵抗性イネ品種(日本晴、コシヒカリ、北陸193号)の葉からCTAB法を用いて抽出したゲノムDNAを用いた。
ジャポニカ型イネの中で、4−HPPD阻害剤の一種であるBBCに対する感受性を有する品種は知られていない。一方、ジャポニカ型とインディカ型の交雑により育成されたイネ品種にはBBC感受性が出現することがある。
前述の通り、QTL解析によって4−HPPD阻害剤に対する抵抗性を決定する遺伝子がイネ第2染色体短腕上にあることが示唆された。そこで当該遺伝子座にある鉄・アスコルビン酸依存性酸化還元酵素遺伝子と推定される遺伝子に注目し、Tos17挿入系統を供試して表現型(BBC高感受性)と遺伝子型との連鎖関係を明らかにするとともに、BBC感受性のA.thaliana及びイネに当該遺伝子を導入した組換え体を作出し、BBC抵抗性付与効果を調査した。
<塩基配列の解析>
BBC感受性を示す5つのイネ品種「タカナリ」、「モミロマン」、「IR8」、「IR24」、「Kasalath」の葉部から抽出したDNAを供試した。
−DNA抽出−
鋳型DNAはイネ各品種の葉部約0.1gを供試してPI−50α(クラボウ)を用いて抽出・精製した。
PCRは、鋳型DNA 15ug/0.5ul、Go Taq Green Master Mix 5ul(Promega社、dNTP 各200uM、MgCl2 1.5mM、Taq polymeraseを含む)、プライマー2種 各0.5ul、milliQ水 3.5ul、合計10ulの反応液を調製して行った。PCRの温度条件及び各温度の反応時間は、以下に示すように個々の供試プライマー毎に最適化した。比較対照区として、鋳型DNAのかわりにmilliQ水を添加した反応液を用いた。
順向きプライマーとして「GTTCTGAACAAGTATGCATCAGGA(配列番号:11)」、逆向きプライマーとして「GGTGTCACCTAAGTTGATCAGCAAT(配列番号:12)」を設計した。PCR条件は「94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒」を32回繰り返した。
順向きプライマーとして「ATGTCAGTGGCCTGCAAGTT(配列番号:13)」、逆向きプライマーとして「CTCCTTCTCGGCGTTTGGCC(配列番号:14)」を設計した。PCR条件は「94℃30秒、65℃30秒、72℃30秒」を32回繰り返した。
順向きプライマーとして「AGATGTCAGTGGCCTGCCAA(配列番号:15)」、逆向きプライマーとして「CCTGAACTCTTCGACGCTCA(配列番号:16)」を設計した。PCR条件は「94℃30秒、60℃30秒、72℃30秒」を32回繰り返した。
Peta型、IR8型、日本晴型を1反応で識別するマルチプレックスPCRに用いるプライマーとして「GTTCTGAACAAGTATGCATCAGGA(配列番号:11)」(順向き)、「ATGTCAGTGGCCTGCAAGTT(配列番号:13)」(順向き)、「GGTGTCACCTAAGTTGATCAGCAAT(配列番号:12)」(逆向き)、「CTCCTTCTCGGCGTTTGGCC(配列番号:14)」(逆向き)を設計した。PCR条件は「94℃30秒、62℃30秒、72℃30秒」を32回繰り返した。
PCR産物の電気泳動はいずれも、3%アガロース電気泳動を行った。
(1)HIS1遺伝子の塩基配列
データベース(Rap−db)によると、BBC抵抗性のイネ品種「日本晴」のHIS1遺伝子はイネ2番染色体上にあり、5つのエキソンから構成される(図16)。アミノ酸配列解析データベース(Scan Prosite)によると、HIS1の推定アミノ酸配列には酵素活性ドメインと推定される領域が第4エキソンから第5エキソンにわたる領域に存在する(図16)。
−Peta型を識別するPCR−
Peta型を識別するPCRによって、「Peta」では約290bp、「日本晴」では約320bpに増幅産物を確認し、鋳型DNAのかわりにmilliQ水を添加した反応では増幅産物が見られないことを確認した。さらに、各イネ品種を供試した際のPCR産物を比較した。その結果、Peta型のHIS1遺伝子型を持つことが塩基配列解析で判明している「タカナリ」、「モミロマン」では「Peta」と同じく約290bpの増幅産物を確認した。加えて、「Taducan」、「IR64」、「密陽23」、「ミズホチカラ」、「夢十色」、「やまだわら」、「ハバタキ」、「おどろきもち」の各品種でも、「Peta」と同じく約290bpの増幅産物を確認した(図18A)。なお、「IR262−38-6-11」、「水原232」についても同様に約290bpの増幅産物を確認した。
IR8型を識別するPCRによって、「IR8」では約500bpに増幅産物を確認し、「日本晴」や、鋳型DNAのかわりにmilliQ水を添加した反応では増幅産物が見られないことを確認した。さらに、各イネ品種を供試した際のPCR産物を比較した。その結果、IR8型のHIS1遺伝子型を持つことが塩基配列解析で判明している「IR24」では、IR8と同じく約500bpの増幅産物を確認した。加えて、「DGWG(12189)」「水原258」「ルリアオバ」の各品種で、「IR8」と同じく約500bpの増幅産物を確認した(図18B)。
Kasalath型を識別するPCRによって、「Kasalath」では約620bpに増幅産物を確認し、「日本晴」や、鋳型DNAのかわりにmilliQ水を添加した反応では増幅産物が見られないことを確認した。その上で、各イネ品種を供試した際のPCR産物を比較した。その結果、「IR36」ではKasalath型のHIS1遺伝子型を持つことが塩基配列解析で判明している「Kasalath」と同じく約620bpの増幅産物を確認した(図18C)。
マルチプレックスPCRによって、「モミロマン」では約290bp、「日本晴」では約320bp、「IR8」では約500bpに増幅産物を確認し、鋳型DNAのかわりにmilliQ水を添加した反応では増幅産物が見られないことを確認した。さらに、各イネ品種を供試した際のPCR産物を比較した。その結果、「Peta型」、「日本晴型」、「IR8型」を判別可能であることを確認した(図19)。
前記のPCR判別技術により、イネ品種をHIS1遺伝子型で分類し、その結果を図20に示した。
<223> 人工的に合成されたプライマーの配列
Claims (2)
- イネにおける4−HPPD阻害剤に対する感受性を判定する方法であって、被験イネのHIS1遺伝子における下記(a)または(b)の一塩基置換を検出し、当該一塩基置換が存在する場合に被験イネが4−HPPD阻害剤に対し感受性を有すると判定される方法。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の286位又は該部位に対応するバリンからグリシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の246位又は該部位に対応するバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換 - 請求項1に記載の方法に用いられるための試薬であって、イネのHIS1遺伝子の塩基配列に相補的な連続する少なくとも15塩基の塩基配列を含み、下記(i)又は(ii)に記載のオリゴヌクレオチドである試薬。
(i)イネのHIS1遺伝子における下記(a)または(b)の一塩基置換の部位を挟み込むように設計された一対のオリゴヌクレオチド
(ii)イネのHIS1遺伝子における下記(a)または(b)の一塩基置換を含む領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の286位又は該部位に対応するバリンからグリシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列の246位又は該部位に対応するバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換をもたらす一塩基置換
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